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矢野政府委員 数点にわたってのお尋ねでございますが、まず非
課税特別措置の
整理についての基本的な
考え方からお答え申し上げます。
地方税における非
課税等の特別措置は、これはもちろん主として
租税負担の軽減というものを通じて
一定の政策目的に誘導するために設けられた措置でございますが、しかしながら、個々の政策目的と税
負担の公平の原則との調和を図るという見地に立ちまして、社会経済情勢の推移に応じて、既得権化あるいは慢性化を排除するために常に見直しを行わなければならないということは申すまでもないところでございます。かねてから税制調査会あるいは臨時行政調査会の答申におきまして、最近の厳しい
財政状況にかんがみて、各種の公共サービスのあり方についての抜本的な見直しを含む歳出の節減合理化、抑制の
努力とあわせて制度面、執行面にわたる税
負担の公平確保が強く要請されておるところである、特に
租税特別措置の見直しを進めるべきであるとされているところでございます。
昭和六十
年度の税制
改正に当たりましても、
地方税における非
課税特別措置につきましては、税
負担の公平を確保する見地から一層の
整理合理化を進めるとともに、新たな減収要因となる新設、拡充を行うことは厳に抑制するというぐあいに税調の答申で述べられた
趣旨にのっとりまして、引き続き積極的に見直しを行っておるところでございます。この結果、
昭和六十
年度の税制
改正におきましては、
地方税では全体としては三十三件の廃止または縮減、廃止が十件、縮減が二十三件、これを行うことにしておるところでございます。
次に、電気税の非
課税でございますが、電気税の非
課税措置の額の
割合が高い市町村の実例を示せというお尋ねが第三点でございましたが、まずそちらから先に申し上げます。
全国の市町村につきましての統計
資料は実は持っていないのでございますが、指定都市について調査したものが
手元にございますのでその
状況から見ますと、この非
課税措置の額の大きい団体は、例えば川崎市の場合は二十八億三千万円でございます。非
課税額の電気
税収入額に占める
割合は四七・三%ということでございます。また大阪市は十六億一千八百万円が非
課税額でございまして、電気
税収入に占める非
課税額の率を申し上げますと一〇・九%ということでございます。また名
古屋市が九億八千七百万円でございます。名
古屋市につきましては一〇・四%の
割合となっております。それから神戸市が八億一千万円、一六・四%、こういったような
割合でございます。
電気税につきまして、第二点でお尋ねの五%から一〇%の業種について見直しを進めたらどうか、こういう点でございますが、現在産業用の電気につきましては原料
課税をできるだけ排除するという見地から、重要基幹産業あるいは新規重要産業に係る製品で、コストの中に占める電気料金の比率がおおむね五%以上のものを非
課税としておる、そういう扱いをしておるところでございますが、これにつきましては御
指摘のように
租税特別措置であり、税
負担の公平の推進の見地から
整理合理化すべきであるという意見があることはよく
承知をしておるところでございます。
ただ、こういった電気税の非
課税措置につきましては、税制調査会の中期答申におきましても、「社会経済情勢の変化に即応して、
整理合理化を行うべきであるとの意見があるが、これを行う場合には物価など国民経済に及ぼす
影響等についても配慮すべきであるとの
考え方もあるので、これらを踏まえながら必要な見直しを行うことが適当である。」やはり両方の
議論があるわけでございます。
したがいまして、御
指摘のようなものを直ちに一律に
整理をしていくということについては問題があろうと
考えますが、これまでも製品コストの中に占める電気料金の
割合がだんだん低下をしてきた、現在の非
課税の基準五%に達しなくなった、あるいは電気税を
課税しても国民経済に及ぼす
影響がそんなに大きくはないと
考えられるようなものについては
整理合理化を進めておるところでございまして、こういった
整理につきましては、さらにいろいろ現在の基準の見直しな
ども含めまして引き続きよく
検討してまいりたいと
考えております。