運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
土田政府委員(土田栄作)
○土田
政府
委員
お答えいたします。 まず、特別
交付税
の関係でございますけれども、ことしの特別
交付税
で除雪
経費
を幾ら見るかということにつきましては、普通
交付税
算入額に比べて幾ら余計かかっているかという
調査
を現在やっております。それで、二月二十日現在でどうなっているか、二月二十日まで幾らかかった、それからそれ以降三月中に幾らかかるかという見込み額を両方とっておりまして、その係数に基づきまして特別
交付税
を算定し、三月中に配分したい、こういうふうに存じております。 それから、寒冷補正の中の積雪補正でございます。順次お尋ねがあるのかと存じますけれども、私どもとしましては、除排雪
経費
というのは、昔はスコップでやるような雪おろしの
経費
でございましたけれども、最近では道路をブルドーザーで除雪する
経費
、さらに
住民
ニーズが高まってまいりましたので、そのほかに融雪とかそれから消雪
施設
、そういうふうなものに対します
経費
というものもトータル計算としては入れて、積雪補正というものを算入するということにいたしております。
kokalog - 国会議事録検索
1985-02-21 第102回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
六十年二月二十一日(木曜日) 午前十時二分
開議
出席委員
委員長
高鳥
修君
理事
糸山英太郎君
理事
臼井日出男
君
理事
平林 鴻三君
理事
加藤 万吉君
理事
安田
修三
君
理事
柴田 弘君
理事
岡田 正勝君
石原健太郎
君 大村
襄治
君 工藤 巖君
小杉
隆君 坂本三十次君 中川 昭一君
長谷川
峻君 細田 吉藏君 松田 九郎君 山岡 謙蔵君
五十嵐広三
君 小川 省吾君 佐藤
敬治
君 細谷
治嘉
君 山下八
洲夫君
小谷 輝二君 宮崎 角治君 吉井 光照君
藤原哲太郎
君 経塚 幸夫君
出席国務大臣
自 治 大 臣
国家公安委員会
委員長
古屋
亨君
出席政府委員
警察庁長官
鈴木
貞敏君
警察庁長官官房
長
鈴木
良一君
警察庁刑事局長
金澤 昭雄君
警察庁刑事局保
安部長
中山 好雄君
警察庁交通局長
太田
壽郎
君
建設大臣官房会
計
課長
望月
薫雄
君
自治大臣官房長
津田
正君
自治大臣官房審
議官
石山 努君
自治大臣官房審
議官
土田 栄作君
自治大臣官房審
議官
井上 孝男君
自治大臣官房審
議官
吉住 俊彦君
自治大臣官房会
計
課長
大島 満君
自治省行政局長
大林 勝臣君
自治省行政局公
務員部長
中島 忠能君
自治省財政局長
花岡 圭三君
自治省税務局長
矢野浩一郎
君
消防庁長官
関根 則之君
消防庁次長
坂 弘二君
委員外
の
出席者
法務省矯正局参
事官
長谷川
永君
大蔵省主計局主
計
企画官
藤井 誠人君
大蔵省主税局税
制第一
課長
濱本 英輔君
文部省教育助成
局財務課長
菴谷 利夫君
文部省体育局学
校給食課長
小西 亘君
厚生省社会局保
護課長
清水 康之君
建設省道路局道
路防災対策室長
寺田 章次君
地方行政委員会
調査室長
島村 幸雄君 ――
―――――――――――
委員
の
異動
二月九日
辞任
補欠選任
伊藤
公介
君
小杉
隆君 同日
辞任
補欠選任
小杉
隆君
伊藤
公介
君 同月二十一日
辞任
補欠選任
伊藤
公介
君
石原健太郎
君
河野
洋平
君
小杉
隆君 同日
辞任
補欠選任
石原健太郎
君
伊藤
公介
君
小杉
隆君
河野
洋平
君 同日
理事安田修三
君同月八日
委員辞任
につき、その
補欠
として
安田修三
君が
理事
に当選した。 ――
―――――――――――
二月十四日
市町村
の合併の
特例
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第三二号)(予) 同月十九日
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二一号)
地方交付税法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二四号) 同日
固定資産税
の
増税反対等
に関する
請願
(
伊藤茂
君
紹介
)(第一六五六号)
地方財政
の
拡充等
に関する
請願
(
中野寛成
君
紹介
)(第一六六八号)
保存樹木
の土地に対する
固定資産税軽減等
に関する
請願
(
鯨岡兵輔
君
紹介
)(第一六八七号)
個人事業税
にみなし
法人課税制度
の
適用
に関する
請願
(
深谷隆司
君
紹介
)(第一六八八号) は本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
理事
の
補欠選任
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二一号)
地方交付税法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二四号)
地方財政
に関する件(
昭和
六十年度
地方財政計画
)
地方自治
、
地方財政
、
警察
及び
消防
に関する件 ――――◇―――――
高鳥委員長(高鳥修)
1
○
高鳥委員長
これより
会議
を開きます。 まず、
理事
の
補欠選任
の件についてお諮りいたします。
委員
の
異動
に伴い、現在
理事
が一名欠員となっております。これよりその
補欠選任
を行いたいと存じますが、先例により、
委員長
において指名するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
高鳥委員長(高鳥修)
2
○
高鳥委員長
御
異議
なしと認めます。 それでは、
安田修三
君を
理事
に指名いたします。 ――――◇―――――
高鳥委員長(高鳥修)
3
○
高鳥委員長
地方自治
、
地方財政
、
警察
及び
消防
に関する件について
調査
を進めます。 この際、
古屋国務大臣
から、
所管行政
の当面する諸問題について
説明
を聴取いたします。
古屋国務大臣
。
古屋国務大臣(古屋亨)
4
○
古屋国務大臣
委員各位
には、平素から
地方行政
及び
警察行政
の推進に格段の御尽力をいただきましてありがとうございます。厚く御礼申し上げます。 この機会に
所管行政
の当面する諸問題につきまして所信の一端を申し上げ、各位の深い御理解と御協力を賜りたいと存じます。 今日、我が国の社会、経済は、さまざまな面で成熟化が進み、人生八十年時代の到来や国際化、情報化の進展等、その姿を大きく変えつつあります。国民のニーズはますます多様化し、単に経済的、物質的豊かさだけではなく、生活の質的な向上、心の豊かさを求めるようになってきております。このような中で住民と最も身近に接している
地方公共団体
の役割は、ますます重要になってくるとともに、社会、経済の変化に対応した個性豊かな
地域社会
を実現することが、
地方自治行政
の大きな課題となってきております。 一方、
地方公共団体
を取り巻く環境は、依然として厳しいものがあり、多様化する
行政需要
に対応しつつ、
地域社会
の活性化及び
住民福祉
の増進を進めていくには、引き続き行政の減量化及び
簡素効率化
を強力に推進していく必要があります。 この昭和六十年という節目の年に当たり、私といたしましても、
地方行財政
が新しい時代に的確に対応し得るよう、その
基盤づくり
を積極的に進めるとともに、所要の
地方行財政施策
を講じて、真の
地方自治
の確立のため最大限の努力をしてまいる所存であります。 以下、その概要について申し述べます。 まず、
地域振興
の問題でありますが、
地方公共団体
が住民の期待にこたえて活力と潤いのある
地域づくり
を推進していくためには、
中長期的観点
に立って、それぞれの地域の特性を生かしつつ、その総合的、計画的な整備を図る必要があります。 このため、地域における
生活環境
や
都市基盤等
の
計画的整備
を進める
まちづくり特別対策事業
を推進するとともに、
地域社会
の均衡ある発展を図るため、
地域経済活性化対策
を推進してまいりたいと考えております。 また、住民の
日常社会生活圏
の
広域化等
に伴う
市町村行政
の広域化の要請に対処して、
広域行政
の推進のための所要の措置を講じてまいる所存であります。 さらには、今後における
高度情報化
の進展に即応して、
地方公共団体等
が有する地域の情報を一元的に蓄積管理する総合的な情報のシステムを検討してまいりたいと考えております。 さて、我が国を取り巻く厳しい環境の中で、内外の
社会経済情勢
の変化に対応しつつ
住民福祉
を増進し、活力ある
地域社会
を実現していくためには、
行政改革
の推進が当面の最
重要課題
となっております。このため政府におきましては、去る十二月二十九日に「
行政改革
の推進に関する当面の
実施方針
について」を閣議決定し、その着実な推進を図ることとしておりますが、
行政改革
は国と地方が相互の信頼のもとに相協力して初めてその実効を上げることができるものであり、国、地方を通ずる行財政の
簡素効率化
を図るとともに、国民に身近な行政は国民に身近な
地方公共団体
において自主的、自律的に処理することのできる体制を強化し、
地方分権
を一層推進することが必要であると考えております。
地方公共団体
における行財政の運営につきましては、
地方行革推進
のための体制を整備し、今後さらに自主的、総合的な減量化、効率化に取り組むことが求められているところであり、去る一月二十二日に示した「
地方公共団体
における
行政改革推進
の方針」(
地方行革大綱
)に沿って
事務事業
の見直し、組織、機構の
簡素合理化
、給与及び
定員管理
の
適正化等
の
行政改革
が積極的、計画的に推進されるよう強力に指導してまいりたいと考えております。 また、かねてより、国と
地方公共団体
の間の事務、権限の再配分、
地方公共団体
に対する国の関与や
地方公共団体
の組織、職員等に関する
必置規制
の整理、
機関委任事務
の見直し、
地方財政基盤
の確立などに努めてきたところでありますが、今後ともに国と地方の間の
機能分担
を適正化し、
地方行政
を充実させるためにさらに努力したいと考えております。 次に
地方財政
に係る施策について申し上げます。 まず、昭和六十年度の国の
予算編成
上最
重要課題
でありました
国庫補助負担率
の
引き下げ
問題につきましては、国の
財政事情
が極めて深刻な状況にあることにかんがみ、
暫定措置
として
国庫補助負担率
の
引き下げ
が実施されることとなりましたが、この措置は一年度限りとし、
国庫補助負担率
については、昭和六十年度において
社会保障関係
について国と地方の
役割分担
、
費用負担
の
あり方等
とともに、検討することとしております。また、これに伴い増加する
地方負担
五千八百億円に相当する額につきましては、
地方交付税
の増額と
建設地方債
の増発により完全に補てんし、
地方公共団体
の円滑な
財政運営
が図られるよう、万全の措置を講ずることとしたところであります。 明年度の
地方財政計画
につきましては、以上のような問題等に対処しつつ、国と同一基調による歳出の抑制を図るとともに、節度ある
財政運営
を行うことを基本とし、次のような方針に基づき策定いたしたところであります。 その第一は、歳出面において、経費全般について徹底した
節減合理化
を行いつつ、限られた財源を
地域住民
の福祉の確保、住民の生活に直結した
社会資本
の整備、
住民生活
の
安全確保等
に重点的に配分することであります。 第二は、歳入面において、
地方税制
の改正、
受益者負担
の
適正化等
により収入の確保を図るほか、
地方交付税
の
特例措置
と
建設地方債
の増発等により必要な
地方財源
を確保することであります。 この結果、明年度の
地方財政計画
の規模は、
歳入歳出
とも五十兆五千二百七十一億町となり、前年度に比べて、四・六%の増加となっております。 また、
地方公営企業
につきましては、
住民生活
に必要なサービスの
安定的供給
と経営の健全化を図るため、引き続き交通及び
病院事業
の再建を促進するとともに、
上下水道等
の事業に必要な
地方債資金
を確保する等所要の
財源措置
を講ずることとしております。 次に、地方税について申し上げます。 昭和六十年度の
地方税制改正
につきましては、
地方税負担
の現状と
地方財政
の実状にかんがみ、その負担の
公平適正化
を図るため、
個人住民税均等割
の税率の見直し及び事業税における新聞業等七事業に係る
非課税措置
の
廃止等地方税
における
非課税等特別措置
の
整理合理化
を行うとともに、
住民負担
の軽減及び合理化を図るため、
個人事業税
の
事業主控除額
の引き上げ、
不動産取得税
の
新築住宅
に係る
課税標準
の
特例控除額
の
引き上げ等
を行い、
固定資産税
及び
都市計画税
の評価がえに伴う
負担調整措置
を講ずるほか、
自動車取得税
及び
軽油引取税
の税率等の
特例措置
の適用期限を延長することといたしております。 また、
基地交付金
及び
調整交付金
につきましては、
基地所在市町村
の実情にかんがみ、所要の額を確保することといたしております。 次に
地方公務員行政
について申し述べます。 かねてより、
公務員秩序
の確立と公務の公正かつ効率的な遂行の推進に努めてまいったところでありますが、今後ともこの方針に基づき、公務能率の向上、厳正な服務規律の確立、正常な
労使関係
の樹立等を図るとともに、
地方公務員
の給与及び退職手当について適正化を強力に進めることとし、また、
定員管理
につきましても、その適正化を一層推進し、もって住民の期待と信頼にこたえるようさらに積極的に取り組む所存であります。 特に、
給与水準
が著しく高い団体等に対しましては、計画的に
是正措置
を講ずるよう引き続き個別に
助言指導
を行うことといたしております。 また、
地方公務員
の
共済年金制度
につきましては、その長期的安定と他の
公的年金制度
との整合性を確保するため、
公務員制度
の一環としての特質にも留意しつつ所要の改革を進めてまいる所存であります。 次に
消防行政
についてでありますが、我が国の消防は、戦後
自治体消防
として発足して以来、
住民生活
の安全の確保を目指して、消防力の
充実強化
が図られてまいりました。しかしながら、近年、災害はますます
複雑多様化
、大規模化するとともに、
世田谷電話局洞道火災等
のように
国民生活
に重大な支陣を及ぼす新しいタイプの災害も発生するなど、消防を取り巻く環境はますます厳しいものとなっております。 私はこのような状況にかんがみ、何よりもまず人命の尊重を基本とし、安全な
地域社会
を実現するため、消防力の
充実強化
はもとより、住民、事業所及び
消防機関
が一体となった
地域ぐるみ
の
消防防災体制
を確立することが重要であると考えております。 このため、まず、
消防機関
の施設、装備の重点的な整備、
消防職団員
の
教育訓練
の充実等を通じ、
消防機関
の
機能強化
を図るとともに、ホテル、
百貨店等
多数の者の出入りする建築物における
防災安全対策
を一層推進してまいる所存であります。 また、地震、風水害、
林野火災等
の大
規模災害
に備えるため、国、都道府県、市町村を通ずる
消防防災無線
の整備を進め、全国的な
消防防災通信ネットワーク
を強化するとともに、消防団の活性化、
自主防災組織
の
育成強化等
を推進してまいりたいと存じます。 次に
警察行政
について申し上げます。 申すまでもなく、治安の確保は、
法治国家
の根幹であり、国民の豊かで平穏な生活の基盤をなすものであります。 我が国の治安は高い評価を受けているものの、内外の情勢はまことに厳しく、現在の
治安水準
を維持するためには、一層努力を重ねる必要があります。私は、流動する
社会情勢
に的確に対応する
警察運営
の推進を図り、引き続き治安の確保に努めてまいる所存であります。 まず、警察の最
重点課題
となっておりますいわゆるグリコ・
森永事件
及び
極左暴力集団
によるテロ、
ゲリラ事件
についてでありますが、現在、
関係都府県警察
が鋭意捜査を行っているところであり、今後とも、警察がその総力を挙げて捜査を推進し、犯人の
早期検挙
を図るよう対処してまいる所存であります。 最近の
犯罪情勢
について見ますと、刑法犯の
認知件数
は、逐年増加傾向を示しており、昨年も一昨年をさらに上回り、百五十八万件に達しております。 内容的にも、
身の代金目的誘拐事件
、
保険金目的殺人事件
、金融機関対象強盗事件等悪質な犯罪の発生が目立っているところでありますが、犯罪が質量ともに変化するこうした状況にもかかわらず、検挙率は、ここ二十年間の最高である六三・一%という高率を実現したところであり、一部未
解決事件
を残しつつも、全体的には高い
治安水準
を保っているところであります。 しかしながら、捜査を取り巻く環境は、今後、ますます厳しさを増すものと思われますので、今後とも、
広域犯罪捜査体制
の
充実強化
、科学技術の導入等の施策を一層推進してまいる所存であります。さらに、
民事介入暴力
や
銃器発砲事件等
を引き起こし、
国民生活
の平穏を脅かす暴力団に対しては、組織の根絶を目指し、
集中取り締まり
を強力に推進してまいる所存であります。 また、最近の目に余る
風俗環境
の悪化に対処するため、昨年の国会において
風俗営業等取締法
が改正され、去る二月十三日から施行されておりますので、法の的確な運用を図ることにより
風俗環境
の浄化を図ってまいる所存であります。 少年非行は、昨年八年ぶりにわずかながら減少したものの、依然として高い水準で推移し、さらに、少年間でのいじめに関連する悪質粗暴な事案や規範意識の欠如に起因する悪質な非行が多発するなど楽観を許さない状況にあります。このため、少年の
補導活動
を初め、これら非行の実態や傾向に対応した諸対策を鋭意推進してまいる所存であります。
覚せい刑事犯
については、昨年は
検挙件数
、
検挙人員
及び押収量が第二の
覚せい剤乱用時代
が始まった昭和四十五年以来最高を記録するとともに、その乱用も女性を中心に
一般市民層
へ拡大するなど、依然として厳しい情勢が続いているところであります。このため、
関係静国
との
情報交換
を一層強化するなどにより、
密輸入事犯
の
水際検挙
に努めるとともに、暴力団を中心とする
密売組織
の摘発を推進し、あわせて
覚せい剤
を拒絶する
社会環境づくり
に取り組んでまいる所存であります。 また、都市化の進展、
新興住宅地
の
開発等地域社会
の変貌に対応した警戒、
警ら活動
の強化を図るとともに、強く、そして親切な執行務に徹し、国民とともにある
警察活動
を一層充実してまいる所存であります。 次に道路交通問題について申し上げます。 昭和五十九年中の
交通事故
による死者数は、九千二百六十二人で、前年に比べわずかながらも減少いたしました。 しかしながら、現下の
交通情勢
は
運転免許保有者数
や
車両保有台数
の増加などにより一段と過密混合化しており、
交通事故
についても、このような情勢を背景に今後とも楽観視できない状況にあります。 警察としては、かかる状況に対処するため、
道路交通環境
の整備、
運転者対策
の充実、効果的な
交通指導取り締まり活動等
、従来の施策をさらに強化していくとともに、シートベルト、ヘルメットの
着用強化等
、
交通情勢
の変化に対応して必要となる新たな施策についても積極的に取り組み、また、長期的な視点に立った計画的な施策の推進により、
交通事故抑止
の実効を期してまいる所存であります。 次に当面の
治安情勢
でありますが、
極左暴力集団
は、本年も新
東京国際空港
に対する
反対闘争
を
主要課題
としながら、テロ、
ゲリラ志向
を一段と強めており、引き続き凶悪な事件を敢行するおそれがあります。警察としては、こうした動向に対処するために強靱な体制を確立し、法と秩序を破壊する
暴力行為
の
取り締まり
の徹底を期する所存であります。また、多様化する災害に適切に対応し得る
災害警備体制
の
充実強化
にも積極的に取り組んでまいる所存であります。 以上、警察当面の諸問題について申し述べたのでありますが、流動する
社会情勢
に的確に対処し、治安の万全を期するためには、当面、
警察装備
、食器材の近代化の促進を初めとする
警察体制
の
整備充実
を図るとともに、
警察職員
の資質の向上を図ってまいることが肝要であります。 このため、昭和六十年度においては、厳しい
財政事情
のもとではありますが、
第一線警察活動
が的確に推進されるための
緊急課題
であります
警察無線
の
ディジタル化
を最重点として、装備、食器材の整備を行うこととしたいのであります。 また、最近における
警察職員
の不祥事案を踏まえ、
警察職員
の資質の向上を図るための
警察教養
の徹底と処遇の改善に配意するとともに、職業倫理の確立、規律の保持並びに士気の高揚についても一層努力をいたし、もって国民の期待と信頼にこたえてまいる所存であります。 以上、
所管行政
の当面の諸問題について、所信の一端を申し述べましたが、
委員各位
の格別の御協力によりまして、その実を上げることができますよう一層の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。(拍手)
高鳥委員長(高鳥修)
5
○
高鳥委員長
引き続き、
昭和
六十年度
自治省関係予算
の
概要
について
説明
を聴取いたします。津
津田政府委員(津田正)
6
○
津田政府委員
昭和
六十年度の
自治省関係歳入歳出予算
につきまして、
概要
を御
説明
申し上げます。 第一に、
一般会計予算
でありますが、
歳入
は二千二百万円、
歳出
は九兆七千七百十九億八千七百万円を計上いたしております。
歳出予算額
は、前年度の
予算額
九兆一千五百五十七億一千七百万円と比較し、六千百六十二億七千万円の
増額
となっております。 また、この
歳出予算額
の
組織別
の額を申し上げますと、
自治本省
九兆七千五百四十億八千九百万円、
消防庁
百七十八億九千八百万円となっております。 以下、この
歳出予算額
のうち、主な事項につきまして、内容の御
説明
を申し上げます。 最初に、
自治本省
につきまして、御
説明
を申し上げます。 まず、
地方交付税交付金財源
の繰り入れに必要な
経費
でありますが、九兆六千九百億八千万円を計上いたしております。 これは、
昭和
六十年度の
所得税
、
法人税
及び酒税の
収入見込み額
のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の
合算額
九兆五千九百億八千万円と
昭和
六十年度の
特例措置額
一千億円を合算した額を
交付税
及び
譲与税配付金特別会計
へ繰り入れるためのものであります。 次に、
国有提供施設等所在市町村助成交付金
に必要な
経費
でありますが、百九十九億五千万円を計上いたしております。 これは、いわゆる
基地交付金
でありまして、
米軍
及び自衛隊が使用する
国有提供施設等
の所在する都及び
市町村
に対し、
助成交付金
を
交付
するためのものであります。 次に、
施設等所在市町村調整交付金
に必要な
経費
でありますが、五十二億円を計上いたしております。 これは、特定の
防衛施設
が所在することに伴い
税財政
上特別の影響を受ける
施設等所在市町村
に対し、
調整交付金
を
交付
するためのものであります。 次に、新
産業都市等建設事業債調整分
の
利子補給
に必要な
経費
として、九十五億七千八百万円を計上いたしております。 これは、新
産業都市
、
工業整備特別地域等
の
建設
、
整備
の
促進
を図るため、
建設事業債
の
特別調整分
について
利子補給金
を
交付
するためのものであります。 次に、
地方公営交通事業再建債
の
利子補給
に必要な
経費
でありますが、七億六千三百万円を計上いたしております。 これは、
地方公営交通事業
の
再建
を
促進
するため、
再建事業
を経営する
地方公共団体
が起こした
再建債
について
利子補給金
を
交付
するためのものであります。 次に、
公営地下高速鉄道事業助成
に必要な
経費
でありますが、七十二億八千三百万円を計上いたしております。 これは、
公営地下高速鉄道事業債
の
支払い利子
に相当するものとして発行を認めた
特例債
の
利子
の一部について、
地方公共団体
に
助成金
を
交付
するためのものであります。 次に、
公営企業金融公庫
の
補給金
に必要な
経費
でありますが、百五十五億九千二百万円を計上いたしております。 これは、
公営企業金融公庫
の
上水道事業
、
下水道事業
、
工業用水道事業
、
交通事業
、
市場事業
、
電気事業
及び
ガス事業
に係る
貸付利率
の
引き下げ
のための
補給金
を同
公庫
に
交付
するためのものであります。 なお、このほか、同
公庫
につきましては、
出資金
を
増額
するための
経費
七億円が
大蔵省所管産業投資特別会計
に計上されております。 次に、
広域市町村圏等
の
整備
の
推進
に必要な
経費
でありますが、九億一千七百万円を計上いたしております。 これは、
田園都市構想
に即し、
地域社会
の総合的な
振興
を図るため、
広域市町村圏等
における
田園都市中核施設
の
整備計画
の策定に対する
補助
及び
当該施設
の
整備
に対する
助成交付金
の
交付
に必要な
経費
であります。 次に、選挙に関する常時啓発に必要な
経費
でありますが、八億二千五百万円を計上いたしております。 これは、選挙人の政治常識の
向上
を図り、選挙をきれいにする
国民
運動等を
推進
するために要する
経費
について、都道府県に対し
補助
する等のために必要な
経費
であります。 以上が
自治本省
についてであります。 次に、
消防庁
について、御
説明
申し上げます。 まず、大震火災
対策
施設
等
整備
に必要な
経費
として、三十六億九千五百万円を計上いたしております。これは、震災等大
規模災害
に備えるため、
消防防災無線
通信
施設
の
整備
及び耐震性貯水槽、コミュニティー防災センターなど震災
対策
のための諸
施設
の
充実
を図るために必要な
経費
であります。 次に、
消防
施設
等
整備
費
補助
に必要な
経費
として、百二十四億一千百万円を計上いたしております。 これは、
市町村
の
消防力
の
充実強化
を図るため、
消防
車、防火水槽などの
消防
施設
を
地域
の実情に応じて
重点
的に
整備
するとともに、
林野火災等
に対する防災
対策
の
推進
を図るために必要な
経費
であります。 第二に、特別会計予算につきまして、御
説明
を申し上げます。 自治省関係の特別会計といたしましては、
交付税
及び
譲与税配付金特別会計
があり、
交付税
及び譲与税配付金勘定と
交通
安全
対策
特別
交付
金勘定があります。 まず、
交付税
及び譲与税配付金勘定の
歳入
予定額は、十五兆八千九百三十八億四千八百万円、
歳出
予定額は、十五兆八千四百九十二億四千八百万円となっております。
歳入
は、
交付税
及び
譲与税配付金特別会計
法に基づく一般会計からの受け入れ見込み額、
地方
道路税の
収入見込み額
、石油ガス税の
収入見込み額
の二分の一に相当する額、航空機燃料税の
収入見込み額
の十三分の二に相当する額、自動車重量税の
収入見込み額
の四分の一に相当する額、特別とん税の
収入見込み額
等を計上いたしております。
歳出
は、
地方交付税
交付
金、
地方
譲与税譲与金及び借入金の償還
財源
等の国債
整理
基金特別会計への繰り入れ等に必要な
経費
であります。 次に、
交通
安全
対策
特別
交付
金勘定の
歳入
予定額は、七百五十六億九百万円、
歳出
予定額は、七百億三千二百万円となっております。
歳入
は、
交通
反則者納金の
収入見込み額
等を計上いたしております。
歳出
は、
交通
安全
対策
特別
交付
金等に必要な
経費
であります。 以上、
昭和
六十年度の自治省関係の一般会計及び特別会計予算の
概要
を御
説明
申し上げました。
高鳥委員長(高鳥修)
7
○
高鳥委員長
次に、
昭和
六十年度
警察
庁関係予算の
概要
について
説明
を聴取いたします。
鈴木
官房長。
鈴木(良)政府委員(鈴木良一)
8
○
鈴木
(良)
政府
委員
昭和
六十年度の
警察
庁予算につきまして、
概要
を御
説明
申し上げます。
昭和
六十年度の
警察
庁予算総額は、一千六百九億二千五百余万円でありまして、前年度
予算額
(当初)一千五百六十二億九千五百余万円に比較しまして、四十六億二千九百余万円の
増額
となっております。 次に、その内容の主なものにつきまして御
説明
申し上げます。 第一は、
警察
庁一般
行政
に必要な
経費
六百四億九千七百余万円であります。 この
経費
は、
警察
庁、
警察
大学校及び
地方
機関の職員並びに都道府県
警察
の警視正以上の
警察
官の職員俸給等の人件費のほか、
警察
庁、
警察
大学校及び
地方
機関の一般
事務
経費
であります。 第二は、電子計算機
運営
に必要な
経費
四十五億二百余万円であります。 この
経費
は、全国的
情報
管理システムその他のために設置した電子計算機
組織
の
運営
に必要な電子計算機の借料とそれに付随する消耗品購入費等であります。 第三は、
警察
機動力の
整備
に必要な
経費
百六十四億八千三百余万円であります。 この
経費
は、
災害
対策
の一環ともなりますヘリコプター、
警察
車両の購入、
警察装備
品の
整備
及び
警察
通信
施設
の
整備
並びにその維持管理等の
経費
であります。先ほどの大臣の
所信
表明の中にございました
警察無線
の
ディジタル化
は、この項目に約五十三億円余含まれております。 第四は、
警察教養
に必要な
経費
三十一億二千百余万円であります。 この
経費
は、
警察
学校入校生の旅費と
警察
学校における教養のための講師謝金、教材の
整備
費等であります。 第五は、刑事
警察
に必要な
経費
七億七千三百余万円であります。 この
経費
は、
暴力団
犯罪
及び一般
犯罪
の
捜査
、
取り締まり
の
指導
、連絡等に必要な旅費、物件費並びに
犯罪
鑑識に必要な法医理化学機材等の
整備
費、消耗品費、死体の検案解剖の
経費
のほか、
犯罪
統計の
事務
等に必要な
経費
であります。 第六は、保安
警察
に必要な
経費
一億七百余万円であります。 この
経費
は、青
少年
の
非行
化防止、風俗
取り締まり
、麻薬、
覚せい剤
、密貿易、けん銃等銃砲危険物、公害等に関する
犯罪
の
捜査
、
取り締まり
の
指導
、連絡等に必要な旅費、物件費等であります。 第七は、
交通
警察
に必要な
経費
一億九千百余万円であります。 この
経費
は、
交通
安全に関する広報及び
運転者対策
等に必要な物件費並びに
交通
取り締まり
指導
のための旅費等であります。 第八は、警備
警察
に必要な
経費
六億七百余万円であります。 この
経費
は、警備
警察運営
に関する
会議
、
指導
、連絡等の旅費、機材類の
整備
等に必要な
経費
であります。 第九は、
警察活動
に必要な
経費
百四十九億四千余万円であります。 この
経費
は、
犯罪
の
捜査
、
取り締まり
等
警察活動
に必要な旅費及び
捜査
費であります。 第十は、
警察
電話専用回線の維持に必要な
経費
三十八億八千三百余万円であります。 この
経費
は、
警察
電話専用回線を維持するためのいわゆる
警察
電話専用料であります。 第十一は、
犯罪
被害給付に必要な
経費
五億六千二百余万円であります。 この
経費
は、殺人、傷害等の
犯罪
により死亡しまたは重障害を受けた場合、その遺族または被害者に対し国が一定の給付をするために必要な給付金及び
事務
費であります。 第十二は、千葉県
警察
新
東京国際空港
警備隊に必要な
経費
六十二億七千余万円であります。 この
経費
は、千葉県
警察
新
東京国際空港
警備隊の維持、
運営
に必要な旅費、物件費及び空港警備隊員の人件費等の
補助
金であります。 第十三は、船舶の建造に必要な
経費
二億一千百余万円であります。 この
経費
は、
警察
用船舶の建造に必要な
経費
であります。 第十四は、科学
警察
研究所に必要な
経費
八億四千七百余万円であります。 この
経費
は、
警察
庁の附属機関として設置されています科学
警察
研究所職員の職員俸給等人件費と鑑定、検査、研究に必要な機械、器具類の購入費、維持費、その他一般
事務
経費
であります。 第十五は、皇宮
警察
本部の一般
行政
に必要な
経費
四十九億四千四百余万円であります。 この
経費
は、皇宮
警察
本部職員の職員俸給等人件費のほか、その他一般
事務
経費
であります。 第十六は、皇宮
警察
本部の護衛、警備に必要な
経費
一億六千八百余万円であります。 この
経費
は、皇居の警備及び行幸啓の護衛に必要な
経費
であります。 第十七は、
警察
庁の
施設
整備
に必要な
経費
二十九億四千三百余万円であります。 この
経費
は、直接国庫の支弁対象となっております都道府県
警察
学校等の
施設
の
整備
に必要な
経費
であります。 第十八は、都道府県
警察
費
補助
に必要な
経費
二百二十四億四千七百余万円であります。 この
経費
は、
警察
法第三十七条第三項の規定による都道府県
警察
の一般の
犯罪
捜査
、
交通
指導
取り締まり
、外勤
警察活動
、防犯活動等の一般
行政
費の
補助
に必要な
経費
であります。 第十九は、都道府県
警察
の
施設
整備
費
補助
に必要な
経費
百七十四億二千余万円であります。 この
経費
は、
警察
法第三十七条第三項の規定による都道府県
警察
の
警察
署、派出所、駐在所、待機宿舎等及び
交通
安全
施設
の
整備
費の
補助
に必要な
経費
であります。 以上、
昭和
六十年度の
警察
庁予算の内容につきましてその
概要
を御
説明
申し上げました。
高鳥委員長(高鳥修)
9
○
高鳥委員長
以上で
説明
は終わりました。 ――
―――――――――――
高鳥委員長(高鳥修)
10
○
高鳥委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平林鴻三君。
平林委員(平林鴻三)
11
○平林
委員
先ほど大臣の
所信
を拝聴いたしまして、どうか
地方自治
の発展のため、また
国民
の安全のために一層の御尽力をお願い申し上げます。 大臣がおっしゃいましたように、
我が国
の
社会
経済
はどんどんと変わってまいります。
地方自治行政
も、従来の仕事を
見直し
ながら次々と新しい仕事に取り組んでいかなければならないと思います。自治省としましても、
行政改革
に当たって
時代
に即して
地方自治
が伸びていくように、またその新しい仕事の裏づけが財政的にしっかりとなされるように御尽力を願わなければならないと思うのであります。全国的に全体的にとらえてきちんとした制度をつくっていかなければなりませんけれども、同時に、三千余りに上る
地方公共団体
でありますから、個々の
地方公共団体
の行
財政運営
がそれぞれ適正に行われて、
住民生活
が
向上
発展していくようにということを心がけていかなければならない、こういうことが大切なわけであります。でありますから、自治省の仕事、
地方自治
の全体の取り仕切りもマクロの取り扱いに間違いがないようにということと同時に、それぞれの団体の仕事が
地域
の特性に応じてきちんと行われ、また正しく行われていくようにということの配慮がこれからますます必要になっていくと思いますので、その点特に御注意を願いたいと思っておるようなことであります。 特に
昭和
六十年度でありますが、国の財政危機が非常に深刻であるということからいたしまして、暫定的に
国庫補助負担率
を
引き下げ
るという
措置
が行われることになりまして、これは当然のことながら
地方負担
の
増加
を伴うということになったわけであります。昨年、私が質問を申し上げましたときにも、こういうことが仮に行われたときに、各団体において補てんが完全に行われるのかどうか懸念を表明したところであります。確かに、このたびの
地方財政
対策
におきまして、全体としては完全補てんが行われる、
地方交付税
が
増額
され、また特別な起債
措置
も行われることによって
財源
の補てんは行われた、これは認めることができますけれども、各団体においてそういうことがきちんと行われるかどうか、このことについては、やはりまだ心配が残るわけであります。今後の
課題
であると思いますが、その点につきましても、今後誤りなきを期していただきたい。このことをまず要望を申し上げておきたいと思います。 さて、さようなことに関連いたしまして数点御質問を申し上げたいと思いますが、実は、
地方
の
経済
における
地方公共団体
の果たす
役割
ということがいろいろございます。
我が国
の
経済
は全体的には上昇基調にある、これはだれしも認めるところでありますが、もちろん産業別に見ますとばらつきがありますし、業種的にも非常にいい薬種もあれば悪い業種もある。したがって、
地域
によって上昇の著しい
地域
と依然として停滞をしておる
地域
というものは確かにあるわけであります。そのようなことからいたしますと、
経済
の停滞の著しい
地域
におきます府県や
市町村
におきましては、今日も、公共部門において
地域
の
経済
を支えてほしい、そういう要請というものがこの
地域
には強くある、そういうことでございます。 自治省でも、町づくりというようなことに力を入れられるとともに、
地域
経済
の
活性化
の
対策
というようなことを
推進
すると大臣の
所信
表明にもおっしゃっておられるところでございますが、
地域
の
経済
の実情に応じましてそれぞれの
地方
団体の活動が行われるように、これからも御
努力
を願いたいと思うのであります。そのためには、やはり
財源措置
に配慮が必要だと思うわけであります。
経済
の停滞をしておりますところは、それだけ
財源
的にも苦しいわけでありますが、これを
地方交付税
とかあるいは起債とか、そういう方面において特に配慮をしていかなければいかぬ、そのような気がいたします。その点につきまして、自治省の御見解を伺いたいと思うわけであります。
古屋国務大臣(古屋亨)
12
○
古屋国務大臣
ただいま平林
委員
から要望を承りました。この点は、私も御趣旨に沿いまして一生懸命に
努力
をしてまいる決意でございます。 お話しのように、景気の思わしくないような
地域
において公共部門の
経済
を支える
役割
を
期待
されるが、やはり
地方
団体の
財源
対策
の
充実
を図っていくことが必要ではないかという御意見でございます。私どもも全くそういうように考えておりまして、現在
地方財政
は巨額の借入金を抱えて厳しい
状況
でありますが、こういう厳しい財政
環境
におきましても、
地方
団体が、
地域社会
が求める財政需要に対応して
国民生活
に直結いたします内政の担い手として
役割
を果たすためには、やはり
地方税
、
地方交付税
等の一般
財源
の
充実強化
が必要でございまして、このためには特段の
努力
をいたす決意でございます。
昭和
六十年度の
地方財政計画
におきましては、
経費全般
を通じて
徹底
した
節減合理化
を図る一方で、
地域
経済
の
活性化
、あるいはお話しのような潤いのある
地域
経済
というような意味におきまして、
地方
単独
事業
の総額を
確保
するように努めますとともに、
まちづくり特別対策事業
等につきましても、
地域
の特質を考慮しながら、この
地域
対策
特別
事業
などの
推進
を図ったところでございます。今後とも、限られた
財源
の中で、
地方公共団体
がいろいろのニーズに応じた
施策
を講じ得るように、
地方財源
の
充実強化
を図りますとともに、
地方
の声を十分よく聞きながら、個々の
地方
団体の実情に配意した
財源措置
をいたしますように十分
努力
をいたしてまいります。
平林委員(平林鴻三)
13
○平林
委員
ただいま大臣もおっしゃいましたが、やはり単独
事業
の
財源
の
確保
というのが、特に
財源
に乏しい団体では非常に難しいわけであります。その辺のところを、やはり自治省で
財源措置
を考えられる場合にいろいろな工夫をしていただきたい、この点を特に要望をいたしておきたいと存じます。 質問時間が余りございませんので次に移らしていただきます。 次は、
地方財政
全体とそれぞれの
地方公共団体
の
財政運営
との違いという点でございますが、
昭和
六十年度の
地方財政計画
をざっと見ますと、
地方税
あるいは
地方交付税
は一〇%以上伸びておる。最近こういう伸びは珍しいわけでありますから、まことに結構なことだと思うわけであります。また、
地方
債が一七%減少という見込みで計画が立っておるわけであります。今日まで
増加
が続いております
地方
債が減少ということで、これまた結構なことでございますけれども、こういうことで
歳入
構成がよくなってきた。今後もこういう一般
財源
がふえていくという格好で
地方財政
が改善されることが望ましいわけであります。けれども、個々の府県や
市町村
で実際に各年度に予算を組むということになりますと、毎年
地方
債、一般
財源
、よく変わるわけであります。去年は
地方
債で充当しておった
事業
が、ことしは
地方
債から今度は一般
財源
充当に変わる、こういうことになりますと、予算を組んで財政を
運営
をするときに非常に見込みを立てにくい。
地方財政
全体としては確かに税が伸びるということが見込まれましても、先ほどちょっと述べましたように、
地域
によりまして税の伸び方は非常に違うわけであります。ある
地方
では税がどんと伸びても、この
地方
ではほとんど伸びないというようなことも出てまいる。
地方交付税
でそれが相当カバーできるとしても、完全にカバーできるかどうかということになりますと、それは、たくさんある
地方
団体でありますから、完全にカバーできるところもあればなかなかできないというところも出てくるということで、予算を組んでそれを執行するときには非常に苦労をするというのが各団体の実情であります。これは実は毎年のことであります。私なんかも長年そういうことで苦労をし続けてきた経験がありますから、特にことしのような
地方財政計画
の大きな
変化
が起こった場合には、そういう懸念を実は持っております。 そこで、個々の団体におきまして
地方財政計画
で見込んでおるほどの税収増が
期待
できない。
財源
の手当てというものが、従来起債に頼っておったものが起債も
期待
できないというようなことで、実際問題として継続
事業
でやっておる
事業
をやめるわけにはいかない、どうにも困ってしまうということが起こってまいるわけでありますから、そこら辺のことをよく見ていただかなければいかぬと思うのであります。最近もそういう声をあちこちの
地方
団体から聞かされております。このようなことにつきまして、自治省はどのようなことをお考えであるか、特別にそういうことについての
財源
を自治省で用意しておられるのか、私も余りよく承知しておりませんので、財政局長の方からその辺を聞かしていただきたいと思うのであります。
花岡政府委員(花岡圭三)
14
○花岡
政府
委員
御指摘のように、六十年度の
地方財政
の計画におきましては、
地方税
が一〇・六%の伸び、また
交付税
は一〇・九%というふうに一般
財源
が大きく伸びておるわけでございます。これはおっしゃいますように全国的な伸びでございますけれども、個々の団体について見ますと、例えば五十九年度の税収の伸びを見ておりましても、団体によりまして非情な格差がある、こういった税収のばらつきというものが近年特にひどくなったのではないかというふうな感じも受けておるところでございます。 したがいまして、六十年度におきましても、税収につきまして、全国的な伸びの
期待
できない団体というのはいろいろと出てくるのじゃないかということを私ども心配しておりまして、こういう団体につきましては、
地方交付税
の算定におきましてもちろん適切な対処をいたしますが、さらに新年度に入りましての
財政運営
につきましては、個々の団体の実情等をよくお聞きしながら、
地方
債の配分等におきまして、適切にそれぞれの団体の
運営
ができますような
措置
を講じてまいりたい、このように考えております。
平林委員(平林鴻三)
15
○平林
委員
結局、
地方
債で処置をするということになるわけですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
16
○花岡
政府
委員
結局はそういう形になろうかと思います。
平林委員(平林鴻三)
17
○平林
委員
地方
債計画というものが決まっておるわけですけれども、
地方
債計画の中で始末ができるものでしょうか。
花岡政府委員(花岡圭三)
18
○花岡
政府
委員
地方
債計画でできるだけ
措置
をしてまいりますけれども、どうしてもやむを得ないような事情がありますときには枠外の起債も認めてまいりたいというふうに考えております。
平林委員(平林鴻三)
19
○平林
委員
個々の
地方
団体の
財政運営
ができるように、仕事がやっていけるように、今おっしゃったような御配慮を望んでおきたいと思っております。 次は、
地方財政計画
の
歳出面
を見た場合のことでありますが、公債費が九・八%伸びておるという点が気になるわけであります。人件費もことしはベースアップがございましたから伸びておりますし、また後でちょっと触れたいと思いますけれども、扶助費も
地方負担
が伸びましたから伸びておるというようなことで、いわゆる義務的
経費
が伸び続けておる。先ほど
歳入
構成は、
地方税
、
交付税
が伸びたからよくなったけれども、この
歳出
構成の方を見ますと、これは公債費の累増ということを
中心
にして悪くなってきておる、このことが非箱に心配なわけであります。 実際に個々の
地方
団体について見てまいりました場合に、例の公債費比率が二〇%を超えるというような団体がだんだんとふえてきておるように実は聞いておりまして心配をしております。これらの団体の中には、もちろん放漫財政をやってその報いというようなことも中にはあるかもしれませんが、よく聞いてみますと、どうしてもやらなければいかぬ仕事をやりまして、起債でやって、その結果公債費がふえてということで公債費比率が大きくなってきた。今日、一般
財源
の伸びが昔に比べて少ないものですから、起債で仕事をやりますと、どうしても公債費比率がぐんとはね上がってくる、こういう
傾向
が強いわけであります。したがいまして、
歳出
の中で義務的
経費
の占める割合が伸びてくるというのは、これはある程度やむを得ない面があるような気がいたします。 そこで、私が最近、
地方
団体の
財政運営
について感じておりますことは、確かに公債費比率が伸びてきて、財政の面から考えますと注意信号、ですから、
歳出
の抑制も大いに気をつけてやらなければいかぬという気がいたします。始末をしながら
財政運営
をしなければいかぬと思いますけれども、他方で
見直し
をしながら新しい仕事もしなければいかぬわけでありますから、
歳出
の構成に気をつけながら、公債費比率が相当上がってきてもある程度仕事ができるような配慮もしてやらなければいかぬ、そこに非常に苦心が必要なわけであります。 これも財政局長にお尋ねをしておきたいわけでありますけれども、公債費比率がある程度上がる、注意はしなければいかぬ、冗費も節約しなければいかぬけれども、どうしても必要な仕事の
財源
というものはやはりつけてやる、そういうような考え方でこれからも臨んでほしいと思うのでありますが、その点はいかがなものでありましょうか。
花岡政府委員(花岡圭三)
20
○花岡
政府
委員
御指摘のように、
地方財政
は五十年度以降、巨額の
財源
の不足に対処するために
財源
対策
債等の発行をいたしておりまして、公債費の
負担
が大幅に伸びていっておるわけでございまして、この公債費
負担
比率が二〇%を超える団体というのも、五十八年度の決算では八百二十団体に上っているという
状況
でございます。もちろんこういった公債費はできるだけ抑えるという考え方のもとに、本年度におきましても、
地方
債の発行額を八千億円程度減らしたわけでございますけれども、やはり過去の累積した
地方
債の償還費というものは
地方財政
をかなり圧迫しておるわけでございます。これらの団体が発行いたします
財源
対策
償等につきましては、その元利償還費を
地方交付税
に算入いたしております。また、この公債費
負担
比率の高い団体の中には過疎団体がかなりありまして、これらは過疎債による公債費の増というふうなことでもございますから、これらにつきましても、
地方交付税
で
措置
をされるという
状況
でございます。 全般的には、しかし、公債費
負担
あるいは義務的
経費
の圧迫というものが大きくなっておるわけでございますので、今後とも
行財政
の
簡素効率化
、あるいは財政構造の
健全化
が
促進
されるようにいろいろ
指導
してまいらなければならないと思いますし、また都道府県の関係部局ともその辺はよく相談をしながら適切な
財政運営
に努めていきたいと思うわけでございますけれども、やはり何と申しましても、
地域
の仕事ということは現在の
市町村
あるいは都道府県、どのような財政
状況
のもとにありましても、どうしても仕事ということはやっていかなければいかぬわけでございますので、その辺につきましては、個々の団体の実情をよくお聞きしながら、とにかく
地域住民
の
福祉
の
向上
が図られますように、私どもも十分に相談に乗ってまいりたいと存じております。
平林委員(平林鴻三)
21
○平林
委員
その点のきめ細かい御検討、御配慮を要望をいたしておきたいと思います。 次は、
補助
率の一律
引き下げ
問題に関連しまして、例の
生活
保護費の問題であります。
昭和
六十年度の
生活
保護費
補助
率
引き下げ
、十分の八を十分の七に下げるということに伴いまして、市の財政に大きな影響が及ぶところが相当出てくるんではないかと心配をいたしております。
補助
金をカットした、その額に見合う
財源措置
は国が責任を持って行うということでありますが、問題は責任を持って行われたかどうか、個々の団体が、なるほどこうなったかということが納得できるように、ちゃんと
説明
がつくような、そういう形をつくってもらわなければいかぬだろうと私は思うのであります。もちろん
交付税
の算定におきましてもそういうことを十分に考えた算定方法をやってもらいたいと思うわけでありますが、その点、どのようなことを現在考えておられるか、伺っておきたいと思います。 また、
交付税
の不
交付
団体につきまして、結局どういう
財源措置
になるかと言えば、自分の税金で
負担
増を賄うということにならざるを得ないわけてありますから、どういう計算になっておるかということは特にはっきりとわかるようにしておかなければいかぬ。その点は一体どういうお考えなのか。不
交付
団体についてはどういう御
説明
を一なさるのか、そこら辺のところもはっきりと聞かせておいていただきたいと思うわけであります。 また、厚生省が来ていらっしゃると思いますが、
生活
保護の臨時財政調整
補助
金二百億円というものが計上されておるわけでありますが、これはどのような配分をなさるのか、現在御検討中かとも思いますけれども、聞かせておいていただきたいと思います。
花岡政府委員(花岡圭三)
22
○花岡
政府
委員
生活
保護費に係る
地方負担
額につきましては、従来から普通
交付税
の基準財政需要額に
所要
額を算入しておるところでございます。その算入に当たりましては、市部人口を測定単位として、
生活
保護者数の多寡によって密度補正を併用するというふうな
措置
を講じておるわけでございまして、これによりまして各
地方
団体の実態に応じた算定をするということにしておるわけでございます。今回の
補助
率カットに伴います
地方負担
の
増加
につきましても、従来と同様の方法によりまして基準財政需要額に算入いたしまして、きちんとカット分につきましては
措置
をするという形を講じたところでございます。 それから不
交付
団体につきましては、もとよりこういった
交付税
の需要額にも算入されるわけでございますが、算入した結果、税収の額が多いということで
交付税
はもらえない形になるわけでございますので、一応
所要
額の算定ということはなされております。ただ、形の上では
交付税
をもらえないということにはなってくるわけでございますが、その辺は、本来そういった
交付税
制度の建前からいきまして税収等におきましても十分賄えるということでございますけれども、個々の
地方
団体の
運営
につきまして、不
交付
団体であしてもいろいろ問題のあるようなところがあるかもしれません。例えば
財源
超過額が減ってくるとかいうふうな団体も出てこようかと思いますので、そういった点につきましては、
地方
債の配分につきまして十分配慮してまいりたいと考えております。
清水説明員(清水康之)
23
○清水
説明
員 お答えをいたします。
生活
保護費に係る国庫
負担
率の
引き下げ
の問題につきましては、昨年の夏以来特に本
委員会
の
委員
の皆様方には大変御心配をおかけしまして恐縮に存じておるところでございますけれども、御案内のような経過と内容をもちまして六十年度における
措置
というものが決定したわけでございますので、私どもとしましては、まず
地方負担
の
増加
分については、
地方財政計画
の作成を通じて全体として
所要
の
措置
はとられているというふうに考えているわけでございます。 ただ、平林
委員
が先ほど御指摘のとおり、全体としての
措置
もさることながら、個々の団体ごとに見てどのように
財源措置
をされるかということが重要であるという点については全く同感でございます。
生活
保護の
経費
支弁といいますのは、四十七の都道府県と、六百五十一の市と、二十二の区等で七百二十五の団体がその対象といいますか単位になるわけでございます。御案内のとおり、保護率に大変
地域
的な差等がございますので、団体によりましては
歳出
規模
に占める
生活
保護費の割合が非常に高いという団体がございます。例えば福岡県などで見ますと、
歳出
規模
の一〇%を超える
生活
保護費になっているという団体が、山田市とか大牟田市とか飯塚市、中間市などかなりございまして、私どもとしては、そういう団体についての
財政運営
に支障が生じないような配慮がぜひ必要だということを考えているわけでございます。 そして、
基本
的には先ほど財政局長さんから御答弁がありましたように、この
負担
増につきましては、
地方交付税
の算定というふうなものを通じて
基本
的な
措置
はなされると考えておりますけれども、
交付税
算定上の技術的制約などもあるかと思いますので、
負担
の
増加
状況
を見ながら
負担
の激変緩和
措置
ということも考えて、先ほど御指摘の
生活
保護臨時財政調整
補助
金二百億円というものをお願いしているわけであります。この
補助
金の配分については、まだ具体的な
方針
は確定をしておりません。予算の成立をまちまして財政当局ともいろいろ協議しながらできるだけ速やかに決定したいと考えているわけでございます。 ただ、先ほどお話しのありました不
交付
団体はどうなるのかということでございますけれども、この
補助
金創設の経緯あるいは趣旨というものから考えますれば、財政力の脆弱な普通
交付税
の
交付
団体をまずもって対象とすることが妥当だと考えておるわけでございます。しかし、六百五十一市のうち五十九年度ベースで見ましても八十二、三の市が不
交付
団体のようでございますので、これらの団体につきまして全く対象にしないかどうかということにつきましては、その
財源
超過の状態がどうであるかとか、
地方
債による
措置
がどのようにとられるかとか、あるいは適正実施に向けてどのような状態になっているかという
行政
的要素、そういうものをいろいろ勘案しまして、個別的に見た影響と、
生活
保護制度の円滑適正な実施の
確保
というようなことを総合的に勘案しながら最終的な結論を今後得てまいりたい、そういうふうに考えております。
平林委員(平林鴻三)
24
○平林
委員
補助
率の一律
引き下げ
問題というのは、これの完全な補てん
措置
が行われておるということを各団体がわかるようにということをしてあげなければいかぬと思いますし、同時にこのことによりまして各団体が
財政運営
が困難に陥らないようにという配慮を全体として行わなければいかぬ、両方の観点からひとつ遺憾なきを期していただきたいと思うわけであります。 質問の時間がなくなりましたので、
警察
に対しましての質問は取りやめにさせていただきますが、どうかひとつグリコ・
森永事件
等の解決には一層の
努力
をお願いをいたしておきます。以上で終わらせていただきます。
高鳥委員長(高鳥修)
25
○
高鳥委員長
次に、
安田修三
君。
安田委員(安田修三)
26
○
安田
委員
それでは、大臣の
所信
表明に関連いたしまして質問したいと存じます。 まず、来年度の
予算編成
に際しまして、
地方
の立場を、大臣は自治大臣という立場からいろいろと
補助
金の削減問題に対しまして強力に反対されてきたことは、昨年末の新聞報道その他でもその発言の内容は承知しているところであります。しかし、
政府
部内のやりとりの結果
補助
金の削減が行われたわけでありまして、同じ
政府
の中の閣僚として、大臣はどういう経緯がありましょうとも、その結果に対しては重大なことになったということで当然責任を感じておられなければならぬと存じておるところでありますが、まずその点、大臣の考えをひとつお聞きしたいと思います。
古屋国務大臣(古屋亨)
27
○
古屋国務大臣
補助
率の一割カットの問題、私もしばしば、
地方
の事情からしてこれにはどうしても賛成できないという立場は本
委員会
でも申し上げたところでございまして、この問題は、
予算編成
の最後のぎりぎりの線まで大蔵省と対峙しておったところでございます。そうして十二月二十一日になりましてこの調整の問題が起こりまして、私どもも方策としては、例えば
生活
保護関係の予算を十一カ月組めとかいろいろ大蔵大臣と折衝いたしました。しかし、結論的にはああいうような事態に一至ったのでございます。 私といたしましては、何とかしてこういうことがなきことを希望したのでございますが、私の力の足らぬと申しますか、国の余りにも厳しい
財政事情
のために、私どもは、これは一年限り、その補てんは完全に国で見てもらう、特に
社会
保障の問題につきましてはいろいろ問題もありますので、この一年間に自治省、厚生省、大蔵省において十分協議をするという条件のもとでこの問題の解決を図ったところであります。 私は、そういうような
地方自治
体の
期待
に反したということはまことに残念でございますが、ただ、これによりまして、この影響を一年間は完全に財政的にも食いとめ、検討機関を置き、そうして一年限りのものとしたということで、また金額も、その
補助
の減りました分については
交付税
と
地方
建設
債で完全に補てんするというように話を詰めまして、そういう意味で、ぜひそのいきさつを御承知の上、御了解をいただきたいと思っております。
安田委員(安田修三)
28
○
安田
委員
地方財政計画
の自治省の文書を見ても、カットされた
財源
分については完全に補てんした、「完全に補てん」という言葉が出るのですが、大臣の
所信
には「万全の
措置
」、いろいろな関係ではかなり名を捨てて実をとったというような
評価
があるように言われております。しかし、十二月二十三日の朝日新聞に報道されておりますように、「既成事実化を警戒」という中に、「「今度は
地方
側が完敗です」というのは全国市長会。」「ショックを隠し切れない。」まさに各自治体においては、これは決して今おっしゃったような甘いものではない。ましてや大臣が
所信
でも言っておられるように、国と
地方
との
信頼
関係、これは保たれたところか、私は逆に今度は非常に阻害されたのではないかと思います。その点、大臣はどう考えておられますか。
古屋国務大臣(古屋亨)
29
○
古屋国務大臣
お話しの点でございますが、確かに国と
地方
の
信頼
関係というのは、今度の問題につきましては先生のお話しのような点はあったし、また、そういう点はこの補てんによりまして、しかも一年間の検討ということによりまして、今後ますます
信頼
関係の回復に私もぜひ一生懸命に努めてまいるつもりでございます。
安田委員(安田修三)
30
○
安田
委員
大臣の
所信
表明にも、それから一月に出た行革
方針
、
地方
行車の大綱にも、盛んに
行政
の
減量化
、簡素化という言葉が出るのですが、私は大臣はどういうぐあいに考えておられるか知りませんが、お隣にお座りの花岡財政局長は、そういう点ではずばりおっしゃっているわけです。 雑誌「
地方財政
」の一月号の「
地方
の自立について」という中でもおっしゃっておりますが、「国の
負担
を
地方
に転嫁して、総体で眺めれば一般
財源
比率が高まっていたというのでは、
地方
の自主性が高まるどころか、少なくなった
補助
金等に拠って、
地方
の
行政
運営
に関与する余地を残すもので、むしろ
地方
の自立の妨げになると考えるのが自然ではないだろうか。申請の手続と
交付
の手数というのは一向に減らないで、
行政
の簡素化ところか、
合理化
、
行政改革
にはつながらない。」こう言って、
地方
へのこの種の転嫁は反対という趣旨を極めて明快に述べてあるのですけれども、大臣のいろいろな
所信
表明その他を見ますと、そこらあたりに対する反省はさらさらない。その点、大臣は少しお考え違いしておられるんじゃなかろうかと私は思うのですが、どうでしょうか。
古屋国務大臣(古屋亨)
31
○
古屋国務大臣
私は皆さんとともに
地方行政
を長くやってまいりまして、何でも身近な
地域
の問題は
地方
の自律性ということを考えていかなければなりませんが、厳しい財政
状況
のもとにおきまして、特に
地方
、
行政
の簡素化といいますか、そういう点を
中心
にいたしまして、身近なことは
地方
でやるということを
基本
方針
に進めたいと私は思っております。今度のいろいろの問題からいたしまして、私の真意が
徹底
しないところもあると思いますので、今後とも十分
地方
の意見を聞きながら、また私どもの意向を申し述べながら、その
信頼
関係の回復と申しますか、
地域
の自律性、簡素化ということに向かいまして一生懸命に
努力
をしてまいりたいと思っております。
安田委員(安田修三)
32
○
安田
委員
地方財政
審議会が十二月に答申を出しましたが、これはどうでしょう。
地方
制度
調査
会が十二月四日に答申を出し、そして十八日に今度は
地方財政
審議会が出す。大蔵省の財政制度審議会とは真っ向から意見が対立するようなことになりましたが、しかし、この種の立派な審議会から、まさに
補助
金カット問題については強い
地方
の立場の意見が盛られておるわけでありますけれども、一体、この審議会答申というのは
政府
部内ではどういう取り扱いなんでしょうか。その点、お聞かせいただきたいと思います。
古屋国務大臣(古屋亨)
33
○
古屋国務大臣
地方財政
審議会、十二月十八日に答申が出ましたことは御承知のとおりであります。
地方財政
の
対策
に対しまして極めて貴重な御意見を承りまして、私どもといたしましては、
地方財政
の自律性という観点から誠心誠意その意見の趣旨を実現するように
努力
してまいったところでございます。 ただ、まことに遺憾ながら、
国庫補助負担率
の一律
引き下げ
につきましては、御意見の趣旨に反しまして、厳しい財政
状況
のもとで六十年に限るという
暫定措置
で行われることになりましたが、これに対しましては、
地方財政
対策
に対しまして万全の
措置
を講じ、
地方財政
の
運営
に支障ないように私どもも一生懸命に
努力
をしてまいる決意でございます。
安田委員(安田修三)
34
○
安田
委員
私、審議会答申は、全部皆さんの方で主張されたが通らなかった、そういうことも実はあり得ることですが、しかし、例えば
社会保障関係
については後ほどちょっと触れますが、
機能分担
と
見直し
、この審議会答申には、「現行の国と
地方
との
負担
割合は堅持されなければならないものである。」というのは、特に、
生活
保護等の
社会
保障にかかわる
事務
は、
基本
的な国の責務に基づくものであるので、国と
地方
との
負担
割合は堅持しなければならぬとぴしっと出しておるわけですね。いろいろなやり方はあっても、こういうものの
見直し
について、安易に大臣が妥協してこられるというのはおかしいじゃないですか。 そういう点、金に困るから単年度だけやむなかった、しかし、こういう
基本
的なものについてまで――
社会
保障制度審議会あり、
社会
保険審議会、いろいろな諸制度がまたがって、
基本
的に
社会
保障の
役割
、それからそれに基づく
機能分担
というものが出て初めて財政サイドの問題が出なければならぬのに、どうして
予算編成
から出発しなければならぬのか、非常に
国民
にとってわかりにくい。この点、大臣はどういうぐあいに見られたのでしょう。
古屋国務大臣(古屋亨)
35
○
古屋国務大臣
私は、
社会保障関係
は憲法上極めて重要な国の仕事であると考えております。したがいまして、こういうような問題につきましては、話し合いの時間がもっとなければどうしても結論は出ない。ところが
予算編成
を目の前にいたしまして、この問題は検討する機関をつくるからぜひ今回は一年限りの
措置
で、その間に十分検討するということで厚生大臣と大蔵大臣と私との覚書が交わされたような次第でございまして、本当に緊急的な、緊急避難というと私の責任を逃がれることになりますが、あのときにおいては
予算編成
上厳しい財政下においてのやむを得ない
措置
として、暫定的と申しますか一年限りの
措置
で、しかもその間に十分検討し直すという約束のもとに実施したものでありますので、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
安田委員(安田修三)
36
○
安田
委員
来年度限り、暫定的と盛んにおっしゃる、そういうことにも発表されておりますが、これは大臣、本当に来年度だけ、一年だけで終わると断言できるんですね。
古屋国務大臣(古屋亨)
37
○
古屋国務大臣
私の決意は、一年のうちに新たな
施策
を考えて決めるという決意でございまして、その当時の交渉を見ましても、例えば十一カ月の予算を組んだらどうかとか、いろいろな提案も内部的には私したところでございます。したがいまして、これはとにかく一年限りで、この間に
対策
をつくり上げるという決意で進んでおりますので、私の今の立場としては、今年限りというふうに考えさせていただいています。
安田委員(安田修三)
38
○
安田
委員
私は、大臣の決意は、
補助
金は削らせぬという決意を十二月にもお聞きしたのです。決意はわかるのですが、決意が通らないから困るのですよ。だから、これは覚書が
政府
部内で取り交わされている。絶対一年でこの
措置
は終わるのだということ、これは
予算編成
に際して皆さんの取り決めがあったのだから、絶対変わりませんよということを断言できるかと言っておるのです。決意であるとか思うとかということ、そういう予測を私は聞いているのではない。
古屋国務大臣(古屋亨)
39
○
古屋国務大臣
この覚書があります以上、それによって一年ということで、その間に
対策
を考えます。
安田委員(安田修三)
40
○
安田
委員
そこで、いろいろな
暫定措置
がたくさんあるわけですけれども、特に今度の場合に、国の
歳出
の抑制のやりくりのために削ったり、足したり、こういうまさにわかりにくい金のやりとりになってしまったわけですね。これは大臣だって認めざるを得ないと思うのです。そこで、経常
経費
系統の
補助
金削減のうち、
建設地方債
で手当てをする一千六百億円のうち一千億円は、当面の
暫定措置
として
昭和
六十六年度以降に精算すべき
地方交付税
の総額に加算する、こういうことになっておるわけですが、これは確実に加算されますか。
花岡政府委員(花岡圭三)
41
○花岡
政府
委員
経常
経費
系統に係る二千六百億円のうち、六百億円を除きました二分の一、そしてその二分の一について千億円は六十年度に加算するわけでございますが、残りの一千億円につきましては六十六年度以降に加算するという建前にいたしております。これは先ほどから大臣がお答えいたしておりますように、
国庫補助負担率
の
引き下げ
というものが一年間という形になっておりまして、この間にいろいろ検討をするということになっておりますので、一応とりあえず六十六年度以降加算するものは今年度におきましては国が持つということにしておりますが、この一年間の検討の結果を踏まえて、もし動くようなことがあるならば、これは大蔵省と自治省の間で改めて協議をしようということになっております。
安田委員(安田修三)
42
○
安田
委員
そうしますと、これは動く可能性があるということですね。
花岡政府委員(花岡圭三)
43
○花岡
政府
委員
そのとおりでございます。
安田委員(安田修三)
44
○
安田
委員
要するに動くというのは、総額が加算されることは間違いないけれども、処置方法については動くという意味ですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
45
○花岡
政府
委員
具体的に、どういう話し合いをするかというところまで話を詰めておるわけじゃございませんで、今回の
措置
を論ずるに当たりまして、とにかく一千億円は六十年度に加算をする、あと一千億円も本来国が持つべきではないかという私どもの主張に対しまして、大蔵省の方も、そこは何とかしてくれないかという話がございました。私どもは、それでは
地方
団体は納得できない、とにかく将来であっても国が持てというふうな語をしたわけでございまして、その結果、とにかく将来において国が持とう、しかし一年間検討するということになっておるのだから、国の方といたしましても、そのときにどう動くかまだわからぬではないか、それについては一応一年後に検討するような余地を残しておいてくれということがございまして、これに合意したものでございますので、検討の結果、両省間でどうするかということは改めて話し合いをするということでございます。
安田委員(安田修三)
46
○
安田
委員
極めてこれは不安定要素の一千億円だということがわかりました。 さてそこで、先ほどの
社会保障関係
の
役割分担
と
費用負担
のあり方の方ですが、検討は一年かけてということなんですが、予算の概算要求基準が、もう何カ月かたちますといよいよ算定されたなという時期に来るのですが、この点大臣は、この
見直し
ということについていつまでに決着をつける考えですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
47
○花岡
政府
委員
三相合意は「一年以内」ということにいたしておりますので、長い場合には一年かかって、いわゆる
予算編成
のときまでかかる可能性はございます。
安田委員(安田修三)
48
○
安田
委員
うちの党、あるいは他の党の方も一緒かも存じません、その点もし違っていたら失礼いたしますが、自民党藤尾政調会長との話では、八月までに決着をつける、こういうことになっているのですけれども、
政府
部内ではそういうことになっていないのですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
49
○花岡
政府
委員
三大臣が合意いたしましたときには「一年以内に結論を得る」ということになっておりまして、早ければ早い方がいいわけでございましょうけれども、問題が問題なだけに昨年の夏からいろいろ問題が議論されておったわけでございまして、かなり重要な内容の検討でございますので、概算要求時までに本当に決着ができるのかどうか、なかなか難しいのではなかろうかと考えております。
安田委員(安田修三)
50
○
安田
委員
そうしますと、六十年度予算の場合には既に昨年の八月に
補助
金の一律カット等がそれぞれ
整理
されて、経常
経費
系統の関係は既に出たわけですけれども、再来年度、六十一年度の概算要求基準のときには、それでは皆さんは一体今のままの
暫定措置
で予算を組むということになるのか、あるいは旧に戻して、従前どおりの方法で概算要求をするということになるのか。もし八月までに決着がつかなければですよ。その点、どういうことになるのでしょう。
花岡政府委員(花岡圭三)
51
○花岡
政府
委員
概算要求時点でどのような概算要求を各省に求めるかということにつきましては、それまでに大蔵省と話をしたいと思っております。私どもといたしましては、大蔵省の方では、今回の中期展望を作成いたしますときにも
補助
率はもとに戻して作成しておると承知いたしておりますので、今後概算要求を出しますときにどういう形で出すように大蔵省が求めるのか、それまでに大蔵省とその点を十分に詰めてまいりたいと思っております。
安田委員(安田修三)
52
○
安田
委員
そこで、大臣の
所信
表明の中に「
広域行政
の
推進
のための
所要
の
措置
を講じてまいる」とあるのですが、いろいろな
広域化
の要請に対処してどういうぐあいな
措置
を考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
大林政府委員(大林勝臣)
53
○大林
政府
委員
御案内のように、
社会
経済
の
進展
に伴いまして
昭和
四十年代から
広域行政
施策
を進めてまいっておるところでありますが、
事務
の共同処理を初めといたしまして中核
施設
の
建設
あるいはその間のソフトの面の利用関係、こういったものの
進展
をお願いしてきたわけであります。同時に、そうやってそれぞれの
市町村
が手をつないで
協力
して仕事を進めるうちに条件が整いましたところにつきましては合併するのも適当であろう、こういうことで合併の
特例
法というのも設けて運用してまいったところであります。 こういった
施策
につきましては引き続き今後とも積極的に
推進
してまいるつもりでございますが、たまたま合併
特例
法がことしの三月末をもって期限が切れますので、あわせましてその
特例
法の延長も今国会においてお願いいたしたい。そういった
特例
法の問題、従来やってまいりました広域
市町村行政
、今後とも積極的に続けていくという趣旨でございます。
安田委員(安田修三)
54
○
安田
委員
次に、
公務
員
給与
の問題で皆さんの方も触れられておりますので、少しお聞きしたいと思います。 「
地方公務員
の
給与
及び
退職手当
について
適正化
を強力に進める」、こういうことが大臣の
所信
表明に載っております。いろいろな自治省の文書を私読んでみますと、これは意味があるのかないのかわかりませんが、いろいろな使い分けがなされておるわけでありますけれども、この場合に「
適正化
」というのはどういう意味を指すのか。例えば「
給与水準
」という使い方、「
給与
」という使い方、いろいろあるのです。それから、
適正化
という場合にも、私たちが考える
適正化
というのは、妥当な線に上は抑え下は持ち上げるという意味に通常考えるのですが、何か見ておりますと、その後に「高い」が来たり、いろいろなのが文章としては続きます。まず「
適正化
」、大臣はどういう意味でおっしゃっておるのか、お聞きしたいと思います。
中島(忠)政府委員(中島忠能)
55
○中島(忠)
政府
委員
地方公務員
の現在の
給与水準
につきましては、各方面から非常に厳しい批判が寄せられております。したがいまして、現在私たちが念頭に置いております
適正化
といいますのは、
国民
から非常に厳しい批判が寄せられておる
給与水準
というものを妥当な線に持っていくというふうにお考えいただいて結構だと思います。
安田委員(安田修三)
56
○
安田
委員
その点、今の中島部長のお話ですと高いものを抑えるという意味。ところがいろいろな文章の続きを見ますと使い分けが、例えば
地方
制度
調査
会の
地方行財政
の答申の場合には、「
給与水準
の不適正な
地方公共団体
又は国の支給基準を上回る
退職手当
」についてはこれこれだ、こういう言い方。続いてまたその次に、「「また、
給与水準
が国を著しく上回る
地方公共団体
、
退職手当
が国の支給率を上回っている
地方公共団体
」に対しては個別に
指導
せよ。」要するに使い分けが二つになっているわけです。ところが、自治省の文書を見ますと一本になってしまう。ですから私は、皆さんの方では何か都合のいいものだけをつまみ食いしておるのじゃないだろうかと思うのです。 例えば今、部長は、
公務
員
給与
が高い高いと各方面からと言う。私は、各方面というよりも、各文書を見ますと、大体同じ文章で出ておるわけでありますが、自治省の方が
公務
員
給与
の実態について
国民
に余り知らしてないのじゃなかろうかと思うのですが、どうでしょう。
中島(忠)政府委員(中島忠能)
57
○中島(忠)
政府
委員
私たちは、
地方公務員
の
給与
というのはそれぞれの
住民
の税金で賄われておりますので、その実態を議会及び
住民
にできるだけ正確に知らせた方がいいだろうというふうに考えております。そういう趣旨から、一つはそれぞれの議会が予算を審議される場合に予算
説明
書というのを出しますけれども、その中に
給与
費明細書というのがございます。その
給与
費明細書というものをより議員さんにわかっていただけるように私たちは工夫をこらしまして、各
地方
団体の方にそれに基づいて議会に正確にお知らせするように現在
指導
しておるところでございます。 もう一つは、
住民
に対してもそれぞれの
地方
団体の
給与
というものを正確に知っていただく必要があるというので、私たち通達を出しまして、基準を示しまして
住民
に公表するように
指導
しております。私たちはこの
給与
の実態というものを、高かろうが低かろうがそれを
地方
議会、
住民
に正確に知っていただくようにそれぞれの
地方
団体に現在
指導
しておるところでございますので御了解いただきたいと思います。
安田委員(安田修三)
58
○
安田
委員
ラスパイレスの指数の用い方そのものについて、私たちもいろいろなとらえ方という観点からしますと問題点を持っておるのでありますけれども、しかし皆さんがラスパイレスをもって高い、低いを論じておられますので、そこで一応ラスパイレス化しまして、ラスパイレスを用いて皆さんの資料からした場合に、よく標準として出てまいる一〇〇以上、それから特に皆さんがこれは高いぞと言ってやり玉に上げて、そして起債制限その他、私たちとすれば報復
措置
だと言っている一一五以上の団体、こういう点の分布について一体どういう実態かひとつ公表していただきたいと思います。
中島(忠)政府委員(中島忠能)
59
○中島(忠)
政府
委員
お答え申し上げます。 五十八年四月一日現在ですが、ラスパイレス指数が一二〇を超える団体が二十四ございます。それから一一五から一二〇までが六十九団体でございます。一一〇から一一五までが二百四十五団体、一〇五から一一〇までが四百五十二団体、一〇〇から一〇五までが八百四十九団体、一〇〇未満が一千六百八十六団体でございます。
安田委員(安田修三)
60
○
安田
委員
今の部長の発表からしますと、これを率にいたしますとこういうことになります。大臣、聞いてくださいよ。全国で三千三百二十五ある自治体のうちに、今おっしゃった、皆さんがいつも目のかたきにしておる一一五以上の団体は二・八%。この中身を申し上げますとよくわかるのですが、東京、大阪、名
古屋
のいわゆる大企業のある周辺都市であります。ですから札幌市といえどもラスパイレスは高くはございません。なぜかというと、それは産業の
状況
によって違うからでしょう。 さて、それでは一〇〇以下は一体幾らあるのか。高い高いと言うが、
公務
員は何も昔と違って官尊民卑じゃないですから、国家
公務
員が上で
地方
が下でなければならぬということはないのだ、ただ、いろいろの
社会
の妥当な観念というものがあるから、それをおおよそ行ったり来たりしなさいというのが私は
国民
の大方の考えだろうと思うのです。だから、国家
公務
員の上へ行ってはいかぬ。では、
公務
員の下の者はどうするのか。同じ
公務
員という肩書きで、
地方
のついた下の人はどうするのか。大臣、聞いてくださいよ、九五未満の自治体が八百六十五、二四・八%、それから九五から一〇〇までが八百二十一、二四。七%、合わせて四九・五%、約五〇%は一〇〇以下の自治体なんです。これをどうしてくれるのですか、まず
適正化
という場合。これを大臣、聞かせてください。
中島(忠)政府委員(中島忠能)
61
○中島(忠)
政府
委員
ラスパイレス指数が一〇〇未満の
地方
団体というのは、主として小
規模
の
市町村
でございます。この小
規模
の
市町村
の
公務
員の
給与
をどう考えるかということにつきましては、先生がおっしゃるような御議論もありますし、考え方もあり得るだろうと私は思います。ただその場合私たちが見捨ててならないのは、一つは、そういう町村においては民間の
給与
というのは非常に低い。例えて言いますと、労働省がおつくりになっております民間賃金の統計というものを見てみますと、民間賃金の
地域
差指数というのがございます。全国平均を一〇〇にいたしましてそれぞれの
地域
の指数というのをとっておるわけでございますけれども、これは県全体でとっておりますので、
市町村
ごとには現在私たち手元に持っておりませんが、県全体で見ましても、全国平均を一〇〇にいたしまして八〇を割っておるようなところがあるわけですね。そういたしますと、やはり当該
地域
における民間賃金の実態というものを無視するわけにはいかぬというふうにそれぞれの町村長はおっしゃいます。私たちも先生がおっしゃるような問題意識を持ちまして低いところについて聞いたこともございます。それが一つでございます。 もう一つは、国家
公務
員の給料表というのは八等級制というのをとっておりますが、
規模
の小さい町村におきましてはやはり
組織
も小さいので、八等級制の給料表というのは採用されておりません。四等級制とか五等級制の給料表が採用されておる。国家
公務
員の給料表にいたしますと、四等級から八等級までを使って五等級制の給料表を使っておる、そういうような実態でございます。 そういたしますと、仮に回しように大学を卒業して、片方の人は国家
公務
員の上級職試験に合格して中央官庁に勤めた。ところが片方の方はその試験を受けずに田舎に帰って町村役場にお勤めになったというときに、二十二、三年後どうなるかといいますと、二十二、三年後は国家
公務
員の方は恐らく本庁の
課長
になっておるだろう、片方の、町村の役場にお勤めになった方は町村役場の恐らく
課長
ぐらいになっておられるだろうけれども、そのときにどちらも同じ
給与
であるべきかどうかという議論というのがやはりあるのじゃないかというふうに思うわけです。 私は、それぞれの
地方
団体の
規模
に応じて給料表というものが決まり、国家
公務
員の
給与
の制度、運用と同じものを
地方
団体が施行した場合に、
給与水準
というのはそこに若干の差が出てくるというのは
国民
が納得されるのじゃないかというふうに思います。そういうことで、ラスパイレス指数が一〇〇未満の
地方
団体というものが小
規模
の
市町村
で出てきても、それは
国民
が納得される線というものがおのずからあるだろうというふうに考えておる次第でございます。
安田委員(安田修三)
62
○
安田
委員
それは部長だめです。そういうことになれば、私の方は最低賃金審議会から皆さんそういうことをよく議論してきたので、とてもじゃないがあなたの言う理屈は通らない。なぜかというと、大都会周辺の方は賃金が高いのは当然じゃないか、そうでしょう。
地域
対応制でいくならそのとおりにしなさい。そうしたら山村の人が低くてもいいということなんだ。そうしたら東京や大阪は高くてもいいということになるんでしょう。全国最賃でも五段階になっておるのはあなた知っておるでしょう。 それからもう一つ。山村の方は確かに業種別最賃というのは経営者がなかなかうんと言わないのです、ついていけないということで。それはなぜかというと、郵便局と役場と農協さんの賃金が標準になっておるのです。いわゆる昔からそこに勤めただんなさんとうちと、それが標準になっておるのですね。 それからもう一つ。役場では今おっしゃったように数が少ないから人の
異動
がなかなかないので、年配の人がおると大学を出ていてもなかなか上がらない。だから、それを皆さんが
指導
しなければならぬのでしょう。
地方交付税
だってそういうことはちゃんと算定指標に入っているんだから、そういうのをうっちゃっておいて、低いことをいいことにしているということは、役場の賃金が低いということは、その
地域
の賃金が総体的に上がらない。いわゆる全国一律最低賃金制というのがなかなかできがたいのは、そこに一つの難問を抱えておるからです。ですから私は、そういう御都合主義はおかしいと思います。一〇〇以下のところをうっちゃって
適正化
と言うなら、この実態を自治省は発表すべきである、そして
適正化
を言ってもらいたい。これを隠しておいて、皆さんが
適正化
というのは当てはまらない。 大臣、私は、これは率直に言いますよ。二・八%の団体は極めて高い。これを一生懸命直しておるのです。事実毎年下がっておるのです。だがこういう低いのがまだ半分あるのですよということを、あらゆるところにアピールしてもらいたいと私は思うのです。農村、山村に行けばやはり財政力指数は小さいでしょう。そのためにこそ自治省は
地域
特性化あるいは
活性化
等、広域圏をつくってやっておるのですと大臣もきょうちゃんと述べておるんだから、言ってもらいたいと思うのですよ。大臣、どうでしょうか。
古屋国務大臣(古屋亨)
63
○
古屋国務大臣
私の方は、今の話の高いところがとにかく目立ちますと、数字的には少なくても
地方財政
が豊かであるというような印象をいろいろの方面――わかっておる人はわかるのですが、そういうことを意欲的にまた使おうという人もあることは御承知のとおりでございます。でございますので、高い方のことは言っておりますが、低い方のことは先生がお話しのように余り言ってないので、やはりそういうことが十分
徹底
されるということは、先生の御意見に賛成したいと思います。
安田委員(安田修三)
64
○
安田
委員
大臣、そういうことでお願いします。 次に、行革
推進
問題で皆さんが
方針
を出されました。そこでは議会の定数問題は実は触れてはいないが、「
地方
議会の議員定数の減少については、既にかなりの自主的な
努力
が行われているところであるが、
地方
議会においてはその機能に十分留意しつつ、」云々と書いてあるのです。これも実はつまみ食いのところがありまして、
地方
制度
調査
会では「
地方
議会においても、その機能に十分留意しつつ、」と、自治省と一緒の文章になっているのですよ。自治省の方は、その先に
地方
議会の議員定数の減少という問題について、減少せよとは言っていないんだけれども、減少してきたという実績について
評価
しているのです。自治省が
地方
議会のことまでこういうぐあいに「大綱」に言うのはおかしいんじゃないでしょうか。長年議会政治に大きな貢献をしてこられた大臣の所見を聞きたいと私は思います。
古屋国務大臣(古屋亨)
65
○
古屋国務大臣
今のお話ですが、私ども基準を出して全国的に右へ倣え、統一しろというようなことは考えておりませんで、これは一つの基準でございます。ただ、統一的に言っておるのは、そういう
組織
をつくってもらいたい、いつごろまでにやってもらいたいというお願いをしておりますけれども、内容につきましては
地域
の自主性を
中心
にしてやってもらうというような気持ちでおりますし、それから先生御承知のように議員の数につきましても、むしろ
地方
では率先してもう今までにやっておる、相当やっているな、国と比べても
地方
の方がそういう点は進んでいるところもあることは事実だと私は考えております。そういうような意味で、これは
地方
の自主性。ということで、私ども出しておるのは基準というふうに考えればいいんじゃないかと思っております。
安田委員(安田修三)
66
○
安田
委員
大臣、ちょっとあなた答弁を変えて、先に飛ばして言われたんじゃないですか、質問通告したのを。私が聞いたのは、今
地方
議会のことを
地方行革推進
方針
の中に書いてあるので、それを聞いたのであって、それを大臣は、行革
推進
のために皆さんからいろいろな要綱とかモデルを出してあることについて先に答弁を何かいただいてしまったような感じですが、よく聞いておってくださいよ、大臣。今言ったこともちょっと言ってあったのだけれども、それはまくら言葉みたいなことですからね。よく聞いておってください。 そこで大臣、今先に答弁をいただきましたが、皆さんが行革
推進
のためにいろいろなモデルを出してやっているのですけれども、ただ、その中にも皆さんが、例えば
給与
問題でも○○カ月の昇給延伸を行うとか、あるいは○○%の定員を削減するとか、あるいは何々の会館を何々業に委託するとか、こういう例示事項がずっと出て、そして行革
推進
大綱とか、あるいは既に各県、これは去年ですか、自治省から発表された前の資料にもあるのですが、各県とも、あるいは各
市町村
、非常に行革は多彩にわたってもう十年ほどの間やってきているわけですね。国より、どちらかというと自治省自身認めたより進んでいるんですよ。 それを皆さんがいろいろまたヒアリングをやって、進められるために改めてやる。
行政
の
減量化
、簡素化ところか、逆に肥大化しているところがある。それはなぜか。そんなものやらぬでもいいじゃないか、皆さんからすればそういう言葉だと思うのですが、日本の役所の癖で、皆さんがやると、それに合わせてやらぬとおしかりをこうむるかと思って、御丁寧にまたやり直しをするところがある。こういうことをしておったら、
行政
の簡素化ところか、逆に手間暇かけておるようなことになってしまうんですよ。ですから、今大臣がおっしゃったようなサンプルをつくってやっているが、それはあくまで基準だとおっしゃるんだけれども、その基準が
地方
にとってはもう神様を見るようなことになるわけですね。 したがって、そうであれば、もう皆さんの方で強制しないというようなことを再三おっしゃらぬとだめです。五月にまたヒアリングをやるからとおっしゃれば、これは皆さん黙って通れますか。皆さん、大臣の意向がそうであれば、部内によく言ってくださいよ、
地方
に出たら気をつけなさいって。どうでしょうか。
大林政府委員(大林勝臣)
67
○大林
政府
委員
今後の
地方
行革の一つの指針として
地方行革大綱
というものを定めまして、行革目標の典型的な項目をそこに盛り込んで、その
地方
の自主的な
努力
によって、あるいは自主的な選択によって、今後足並みをそろえていただくというのが今回の行革大綱を出しました趣旨でございます。 御案内のように私ども自身も、国よりも
地方
の行革の方が先行しておる、それなりの実績を上げておるということは十分認識しておるわけでありますけれども、しかしながら三千三百の団体の中では、やはり行革
努力
が非常に不足しておる団体があることもまたこれは事実でありまして、最近の世の中の動きというのは、そういった行革
努力
が足らない、不足しておる団体が
地方
の全体の足を引っ張るような
傾向
もなきにしもあらず、これでは困るというので、今後は従来
努力
をしていただいておるところは従来どおりまた
努力
を続けていただく、従来
努力
をしていただかないところがひとつ足並みをそろえて
努力
をしていただきたいというのが私どもの念願であります。 そういった意味でございますので、行革の
推進
方策につきましては、あくまで
地方
の自主的な
努力
というものを尊重してまいるつもりでありますけれども、同時にやはりこの際、足並みはそろえていただきたいということは強く希望をしておるところであります。
安田委員(安田修三)
68
○
安田
委員
それでは、次に、雪害
対策
の方で少しお聞きしたいと思います。 まず、まとめて少しお聞きしますが、
地方交付税
のうち、ことしの雪害によって特別
交付税
の配分は、豪雪地帯はどういうことになるか。 それから、
交付税
関係の方で
地方交付税
の寒冷補正のうちのまた積雪補正について、その費目の拡大、例えば除雪、排雪というものについてなお費目拡大できないだろうかという点、まず、
交付税
の関係からひとつ聞きたいと思います。
土田政府委員(土田栄作)
69
○土田
政府
委員
お答えいたします。 まず、特別
交付税
の関係でございますけれども、ことしの特別
交付税
で除雪
経費
を幾ら見るかということにつきましては、普通
交付税
算入額に比べて幾ら余計かかっているかという
調査
を現在やっております。それで、二月二十日現在でどうなっているか、二月二十日まで幾らかかった、それからそれ以降三月中に幾らかかるかという見込み額を両方とっておりまして、その係数に基づきまして特別
交付税
を算定し、三月中に配分したい、こういうふうに存じております。 それから、寒冷補正の中の積雪補正でございます。順次お尋ねがあるのかと存じますけれども、私どもとしましては、除排雪
経費
というのは、昔はスコップでやるような雪おろしの
経費
でございましたけれども、最近では道路をブルドーザーで除雪する
経費
、さらに
住民
ニーズが高まってまいりましたので、そのほかに融雪とかそれから消雪
施設
、そういうふうなものに対します
経費
というものもトータル計算としては入れて、積雪補正というものを算入するということにいたしております。
安田委員(安田修三)
70
○
安田
委員
建設
省の方にお尋ねしますが、
市町村
道に対する除雪費の国庫
補助
、これはことしは出していただけるものと思うのですけれども、どういう算定になりますか。
寺田説明員(寺田章次)
71
○寺田
説明
員 お答えいたします。
市町村
道の除雪費につきましては、通常は普通
交付税
に算入されておりまして、それを超えるものにつきましては、特別
交付税
により
措置
されているものであります。しかし、異常豪雪となりました五十一年度、五十五年度、五十八年度におきましては、除雪費の増高の実情にかんがみまして、特に積雪の多い
市町村
に対しまして、幹線
市町村
道の除雪費につきまして、臨時に特別の助成
措置
を講じたところであります。
昭和
五十九年度につきましては、一部の
地域
につきまして、平年の積雪量を大きく上回っているため、関係省庁と協議いたしまして、二月十五日、降雪
状況
等の
調査
を行うことといたしまして、関係道府県に通知したところでございます。今後、関係省庁とその
調査
結果を検討いたしまして対応を協議してまいりたいと考えております。 以上であります。
安田委員(安田修三)
72
○
安田
委員
大蔵省にお尋ねいたしますけれども、この雪関係の除雪、雪囲いあるいは屋根欠損、こういうことの
所得税
の雑損控除等についての対象範囲の拡大ということについて検討しておられませんでしょうか。
濱本説明員(濱本英輔)
73
○濱本
説明
員 お答え申し上げます。 どのような家計でも、
災害
でございますとかあるいは病気でございますとかそういった特別支出というのが多かれ少なかれあろうかと存じますけれども、通常の場合、通常の日常
経費
に随伴します程度のものにつきましては、これを基礎控除額あるいは課税最低限によってカバーするという考え方を
所得税
法上とっておるわけでございますが、この額が相当の
規模
に達しました場合には、やはり担税力を減殺すると考えられるわけでございまして、その限りにおける配慮が必要だということから、
所得税
法上、御指摘がございました雑損控除制度というのが設けられているわけでございます。 雑損控除制度を設けておる趣旨というのは、あくまでもそういった通常の
経費
に比べますと異常と言えるようなもの、そういうものに対する対応でございますので、この制度ができました
昭和
二十五年からこの方、一応年間所得の一〇%を超えるような特別な支出がございました場合、その超えた分につきまして控除を認めるという考え方でございました。それが、去る五十六年にいろいろな御議論がございまして、この雪おろしの費用につきましても
災害
関連
経費
ということでこれに加えてさらに配慮するということに相なりまして、その足切り限度額を五万円まで実質的に
引き下げ
したところでございます。 この五万円という
水準
でございますけれども、同じくその家計の避けがたい特別な支出に病気、つまり医療支出があろうかと存じますけれども、この場合
適用
されます医療控除、これも五万円で仕切られておりまして、そういったバランスから見ましてこれが一応ぎりぎりの限度か、かように考えております。
安田委員(安田修三)
74
○
安田
委員
それでは、
警察
関係について最後にお尋ねいたします。 まず大臣には、最近非常に、きょうも
所信
表明に入っておりますが、部内の不祥事が続くわけですけれども、その原因は一体何か。私は、いろいろな管理
体制
の問題もあるのではないかと思います。その点、どうでしょうか。
古屋国務大臣(古屋亨)
75
○
古屋国務大臣
警察
官の不祥
事件
につきましては、私も自身の身をつねられるような、非常に痛さを感じながら反省をしておるのでございますが、やはり教養訓練の
徹底
、士気の高揚というほかに、特に最近のいろいろの
社会
事情とか
経済
事情、若い者の考え方、こういうものにつきまして、
警察
官としての精神的訓練、処遇も入っております。こういう点もうんと考えていかなければならないというように感じておりまして、とにかく、特にどこの期に固まっておるということはございませんけれども、不祥
事件
が目立っておりますことはまことに残念、申しわけない至極でございます。 こういう問題につきましては、常に
警察庁長官
に対しまして、その士気の振作あるいは不祥
事件
の排除につきましては十分何回も注意しているところでありますが、今後ともそういうような気持ちでこの問題には対処してまいりたいと思っております。
安田委員(安田修三)
76
○
安田
委員
時間が来ましたので、最後にもう何分間まとめて申し上げます。 まず、グリコ・
森永事件
ですけれども、きのう「国会ぎいんの みなさん え」ということで、早朝、在阪の報道機関に文書が届いた。全文を見ました。そこで大阪、神戸に五個置いてあるという。皆さんの方では、それは向こうの誘導作戦ではないか、私たちも決して向こうに振り回される必要もございませんで、そういう点では要らざらぬことには乗る必要はないと思っております。皆さんの方で厳正にひとつ
捜査
を一生懸命やっていただきたいと思います。 そこで、向こうがそう言っておるので、皆さんの方で、
捜査
当局ではそれに対してどうであったか、それから、これらは十三日は東京、名
古屋
に十八個置いて、あとまだ五個は見つかっていないのだ、十三個だけ
警察
が挙げたんじゃないかということ至言っております。それらについてどうかということ。 さらに、実はこういうぐあいに人が、まあ一億一千七百万人おりますけれども、東京、大阪、名
古屋
にほぼ限定されて、人の居住しているところということになれば、例えばこんな官庁街にはだれも住んでいないわけですから、もう範囲が限定される。それから人が
生活
する以上は、何か勤めているか商売しているか、あるいは人が動けば、必ず最近は車か何かがあれば皆さんの網にかからない人はいないわけです。そういう非常にわかりやすい構図があるにもかかわらず、しかも犯人は絶えず手紙を出しておる。物を置いておる。それにもかかわらず、なおかつ今日、いよいよ一年になろうとするにもかかわらず挙がらないという極めて大きな焦りが
国民
の中にあります。 この点皆さんも一生懸命やっておられるが、一体どうしたら解決に向かっていくのか。金がないから出せ、こうおっしゃって予算を積み上げろということもあるのでしょうが、一体何がどうなっておるのか、そういうもどかしさに対してぜひひとつ
警察
当局の答えをお聞きしたいと思います。
金澤政府委員(金澤昭雄)
77
○金澤
政府
委員
それではまとめてお答えをいたします。 まず、きのう参りました挑戦状によります個数と、
警察
側でつかんでおります個数との差の問題でございますが、挑戦状によりますと、東京、名
古屋
に十八個、大阪、神戸に五個置いたというふうに記載されておりますが、十二日以降、バレンタインの前でございますが、それ以降
警察
に届け出がありますこの種のチョコレートは、東京、名
古屋
で十三個でございます。それ以上は届け出がございません。それと神戸、大阪からは全くこの種のチョコレートの届け出はございません。きのうこの挑戦状が参りましたので、改めてこの両府県警には
調査
を指示いたしました結果、そういった届け出は全然ない、こういうことでございますので、やはりこれは犯人側の
捜査
を攪乱する一つの目的でもってなされたものというふうに考えております。 それから
捜査
が現在難航いたしております。その原因は何だ、こういうお尋ねでございますが、これは二つの面があろうかと思います。 一つは、犯人グループ側の
状況
だと思います。これは何といいましても、このグループは統制が非常にとれたグループでありまして、それぞれの任務分担がきちっととれておるという面があります。それと、計画が非常に緻密でありまして、例えば距離を、車で何分かかるかというようなことは、ストップウォッチではかったというような
状況
もございますし、そういった、非常に計画が緻密であるということも言えると思います。 またもう一つは、危険を絶対に冒さない。無理をしないで、ちょっとでも
警察
が関与しているというような節があれば現金受け渡しの機会を次回に延ばす、こういった非常に用心深い性格がございます。この辺が
捜査
を難航させておる一つの原因だと思います。 もう一つ、我が方の
捜査
側にとっての
状況
から申しますと、非常に物が残っておりますけれども、これは大量生産の中の物でございまして、この物から犯人に到達するというのが非常に時間と人手がかかる。 それからもう一つ、人に関する
情報
が
国民
各層の御
協力
によりまして非常に多く参っております。この人に関する
情報
に対してのつぶしの
捜査
、これもまた人手と時間がかかるということで、現在、
捜査
は時間が非常にかかっております。こういう
状況
でございますが、一生懸命やりまして、できるだけ早い機会に検挙したいという考えでございます。
安田委員(安田修三)
78
○
安田
委員
これで終わりますが、そこでもう一つだけ。 皆さんこの間指紋を新たに東京の日本橋の場合とったと言っておるのですが、犯人は何人ぐらいだと思っておられるのでしょうか。
金澤政府委員(金澤昭雄)
79
○金澤
政府
委員
断定的に申し上げるのは難しいわけでございますが、少なくとも男四人は入っておる。それに女一人、これは間違いないと思いますが、子供はグループであるかどうかは別にいたしまして、そういった数は今推定をされるわけでございます。
安田委員(安田修三)
80
○
安田
委員
一生懸命お願いします。 では、終わります。
高鳥委員長(高鳥修)
81
○
高鳥委員長
午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時九分休憩 ――――◇――――― 午後一時一分
開議
高鳥委員長(高鳥修)
82
○
高鳥委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 質疑を続行いたします。小川省吾君。
小川(省)委員(小川省吾)
83
○小川(省)
委員
まず最初に大臣にお伺いをいたしたいと思います。
昭和
六十年度の
予算編成
をめぐって、厚生省の
社会保障関係
費等を
中心
にして
補助
金の一律カットが行われ、
地方自治
体に大きな打撃を与えております。
交付税
に一千億を加算をしたり、あるいは
建設地方債
の
増発等
を言っておられるわけでありますが、自治体の不満を解消するものでないことは明らかでございます。大臣の前任者の段階で決められたことでありますが、実施は
古屋
自治大臣になってからでございます。 そこで、昨年の十二月二十二日、大蔵、自治、厚生の三大臣で覚書を交わし、この
措置
を一年限りの
暫定措置
であるとされておるわけでございます。先ほどの
安田
委員
の質問に対しても、大臣は大変力強く一年限りだということを主張されて心強く思っておるわけでありますが、何も担保がないわけでありまして、必ず一年が守られるとは限らないわけでございます。 そこで私どもは、従来の
政府
のとってきた
措置
から見て、この
措置
が半永久化することをおそれておるわけでありますが、一年限りということが守られない場合に自治大臣はどんな責任をとられるわけでありますか。
古屋国務大臣(古屋亨)
84
○
古屋国務大臣
お答えいたします。 国庫
負担
率の
引き下げ
の問題は、昨年の
予算編成
ぎりぎりのときまで大蔵省と自治省の意見が違いまして、私どももそれで頑張ってきたのでございますが、非常に厳しい国の財政のもとにおいて一年限りの
措置
であるということ、そうして今のお話の、特に
社会
保障費につきましては三大臣の覚書というものによりまして、これを一年のうちに検討をし直すという覚書を交換しておるところであり、また今回の
補助
率カットによりまして
地方
が影響を受ける金額は国で全部補てんするということで、
地方交付税
と
建設地方債
で補うことになったのでございまして、まあ先生のお話、これが一隻限りでなかったらどういう責任があるかというお話でございます。 私は、竹下大蔵大臣もああいう地位の方でありますから、正式に覚書を交換し、それに自民党の政調会長もサインしておりますから間違いはないというふうに自分も信じておりますし、今度出るように聞いております法案も一年限りということで出されるように承っておりますので、どうしてもこれは一年限りのものであるという信念のもとに進み、これに間違うようなことはないように、自分も政治的な判断で解決した問題でございますから、そういう問題はバックの三千余の
地方
団体の御意見にも必ず沿うように、この
措置
は一年限りということで頑張ってまいります心
小川(省)委員(小川省吾)
85
○小川(省)
委員
まず大臣が責任を持ってそう言われるわけでありますから私どもは信じていかなければならないわけでありますが、私どもは実際に従来の
政府
がとってきた態度からすると、どうもこれが半永久化をされるおそれがあるというふうに考えております。しかし、そこまで言い切られる大臣でありますから、ぜひひとつ責任を持って一年限りで済ませるように頑張ってください。このことを強く要請をしておきたいと思います。 そこで、二月二十二日の
行政改革
大綱について若干お尋ねをいたしたいのであります。 まず、
行政改革推進
委員会
を設置したり
行政改革
懇談会を設けたり、あるいは
推進
本部を設置するような
指導
をいろいろしておるわけであります。臨調のお声がかりで閣議の決定があり、取り組みを進めるのであろうと思いますが、行革、行革という渦に全自治体を巻き込んでいきたいというふうな意図を自治省が持っているように見えるわけでありますが、これは
組織
が
組織
倒れになるような感じもしないわけではございません。自治省の真のねらいというのは、この中で言っておりますように、
給与
の高い自治体の
給与
の
適正化
を図るとか、あるいは定員や退職金の
引き下げ
を図るということに真のねらいがあるのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
中島(忠)政府委員(中島忠能)
86
○中島(忠)
政府
委員
先生よく御存じのように、
地方行革大綱
というのは、現下の非常に厳しい
行財政
環境
のもとにおきまして、すべての
地方公共団体
が足並みをそろえてひとつ
行政改革
に取り組んでくださいということを要請するものでございます。先生が今お話しになられました
給与
とかあるいは退職金、
定員管理
というものもその中の一つの重要な要素ではございますけれども、それのみを目的として
地方行革大綱
をつくれというような考えのもとに要請しているものではございません。
小川(省)委員(小川省吾)
87
○小川(省)
委員
でも、恐らくその辺のところが中核となって行革大綱が進められていくことになるのであろうというふうに思っておるわけであります。
給与
が高いところばかりが目のかたきにされておるようでありますが、先ほどの
安田
委員
の質問にいたしましても、ラスの一〇〇%以下のところが大変多いわけでございまして、これらの実態に対する
指導
というものが何らなされていない。これは私は完全な片手落ちであろうというふうに思っておるわけでございまして、いわゆる
公務
員
給与
が高いなどというふうに言われておるのは、自治省が現実に一〇〇以下のところがたくさんある実情というのをPRしないところに原因があるだろうというふうに思っております。 先ほど中島公
務員部長
が、大学を出ていわゆる中央の官庁に入った場合と村役場の職員に入った場合の例を挙げられて、違いがあっても当然だというふうなお話をなさいましたけれども、そうであるとするならば、いわゆる大都市近郊、東京や大阪近郊の民間
給与
の高い
地域
にある
公務
員の
給与
が高いことは当然だということに、あなたの言われる理論を展開していくとそういうことになるだろうと思いますが、いかがですか。
中島(忠)政府委員(中島忠能)
88
○中島(忠)
政府
委員
たびたび先生にも御
説明
申し上げたと思いますが、
地方公務員
の
給与
が高いというふうに言われますのは、全体といたしまして一〇五・九というその数字を念頭に置きまして言われておるんだというふうに思います。それともう一つは、先ほども数字を挙げて御
説明
させていただきましたけれども、非常に高いところ、ごく少数でございますけれども、非常に高いところがあるということは事実でございますので、そのことを言われておるんだというふうに御理解いただければと思います。 なお、ラスパイレス指数が一〇〇未満のところにつきましてはどうだ、こういう話でございますが、先ほども
安田
先生に御
説明
させていただきましたけれども、そういう小
規模
な
市町村
というのは、概して申し上げますと民間賃金も非常に低い。県単位でございますけれども、労働省が統計をおとりになったのを見せていただきますと、全国平均の民間賃金を一〇〇といたしますと八〇を割っているところもあるという実態がやはりございますし、これを個々の小
規模
の町村に落としますとさらに低いところが出てくるんじゃないかというふうに私は思います。 そういうことを各町村が考慮されておるということだと思いますし、また、先ほども御
説明
させていただきましたけれども、小
規模
の町村というのは、ラスパイレス指数が非常に低いところは大体人口が千人とか二千人というところが多うございますけれども、そういうところの町村の職員数というのも大体五、六十人未満だというようなところでございますし、
組織
も非常に小さい。したがって、給料表も非常にこじんまりした給料表になるということでございますので、国と同じ給料の制度、運用というものを仮におやりになりましても、やはり若干国家
公務
員より低い給料になっていくというふうに私たちは見ております。 私は、国家
公務
員も
地方公務員
も同じ
公務
員でございますから、やはり非常に重要な勤務条件である
給与
というのは、国家
公務
員というものを念頭に置いてそれぞれの
地方
団体で決めていただかなければならないと思いますけれども、今申し上げました民間賃金の
状況
とがそれぞれの団体の
規模
とか
組織
、それに見合う給料表というものも考慮に入れてそれぞれの議会で決めていただく。そのことによって現在の
給与水準
があると思いますが、先ほども申し上げましたように、そのことを
住民
に公表し、議会にお示しして、そこで関係者が納得してお決めいただいておる現在の
状況
というのはそれなりに私たちも認めていいんじゃないかというふうに現在考えております。
小川(省)委員(小川省吾)
89
○小川(省)
委員
御
説明
のように、いわゆるへんぴな町村部における低い賃金ということはわかります。学校か郵便局か農協しかないようなところではそういう実態があるんだろうと思いますが、それならば、いわゆる周辺の民間
給与
の高いところの市部である程度賃金が高いこともそれはまたやむを得ないのではないかと思いますが、いかがですか。
中島(忠)政府委員(中島忠能)
90
○中島(忠)
政府
委員
民間賃金というものを基準にして
給与
を議論するというのも一つの考え方でございますが、先ほども申し上げましたように、同じ
公務
員であってみれば、
基本
的な勤務条件である
給与
というものは、やはり国家
公務
員の
給与
のあり方を念頭に置いて、町村においてもあるいは大都市近辺においても考えていかなければならないだろうというふうに思います。 現在の
給与水準
というものを見ました場合に、非常に
給与水準
が高いと言われておるところ、例えて言いますと大阪の府下の市がその一つでございますけれども、大阪府の民間賃金の
地域
差指数というのは、全国平均を一〇〇にいたしますと一一〇にも達しておりません。したがいまして、現在の
状況
のもとにおきましては、私は、まだまだ
給与
というものが大都市近辺においては高過ぎるというふうに判断して、民間賃金との関係においても国家
公務
員との関係においても、そういうことを考えてもいいんじゃないかというふうに思います。
小川(省)委員(小川省吾)
91
○小川(省)
委員
今の
説明
ですが、だとするならば、町村部で
公務
員であるということで低いところの
指導
をされないということも問題でございます。そういう意味で、ひとつ自治省は心して賃金については取り扱っていただきたい、このことだけを申し上げておきます。幾らやってもこれは水かけ論でございますから、以上でとどめます。 そこで、公営ギャンブルといいますか公営競技についてお伺いをしていきたいと思うのでありますが、現在公営競技をやっておる団体は何団体ですか。公営競技の種目別に明らかにしていただきたいと思います。
土田政府委員(土田栄作)
92
○土田
政府
委員
お答え申し上げます。 公営競技を施行しております
地方
団体の数は、
昭和
五十九年度で申しますと、純計ベースで都道府県が二十一団体、
市町村
が四百二十一団体、合計四百四十二団体ということになっております。この中では二種目以上の公営競技を行っている団体というものがございますので、種目別に数える場合は延べでカウントする必要がございます。延べの団体で数えますと、都道府県は三十団体、
市町村
は四百五十六団体ということで、合計四百八十六団体ということになっております。この四百八十六団体の種目別の内訳でございますけれども、競馬が七十一団体、競輪が二百五十八団体、オートレースが八団体、競艇が百四十九団体ということになっております。
小川(省)委員(小川省吾)
93
○小川(省)
委員
公営競技の入場者や収益金が落ちてきているようでありますが、いかがでございますか。競技の種目によって特徴づけられる点があるようでございましたら、その辺についてもコメントしていただきたいと思います。
土田政府委員(土田栄作)
94
○土田
政府
委員
五十八年度の決算及び経営
状況
について申し上げますと、これら四種目全体での入場者数は八千五百二十一万人、収益金は二千二百七十六億円ということになっておりまして、入場者数は五十七年度に比べまして八・二%、収益金は九・七%減少いたしております。 競技種目別に見ますと、同じ年度におきまして入場者数について申しますと、競馬が千四百四十二万人、競輪が二千八百七十五万人、オートレースが六百二十三万人、競艇が三千五百八十一万人でございます。 収益金で申しますと、競馬が百八十七億円、競輪が六百五十一億円、オートレースが百十八億円、競艇が千三百十九億円ということでございまして、種目別に申しますと、特に
地方
競馬、続きまして競輪の収益率の低下というものが目立ってまいっております。
小川(省)委員(小川省吾)
95
○小川(省)
委員
年々売り上げが減少しているようでありますが、競技内容をもっと改善するとか、場外チケットの売り場をふやすとか、売上増に対する考え方をもっと広げていく必要があるのではないかというふうに思います。 競技種目によって開催日数が違っておるようでありますが、この辺はいかがですか。
土田政府委員(土田栄作)
96
○土田
政府
委員
まず公営競技の開催日数でございますが、これは公営競技関係の政省令に基づきまして主務官庁が定めておりますけれども、現在一回の開催日数について見ますと、競馬、競輪は六日、オートレースは九日、競艇は十二日というふうになっております。 それから、ただいま御指摘がございましたように、公営競技の売上高と申しますのは逐年減少いたしてきております。そういうことから自治省といたしましても、公営競技の健全経営の
確保
ということのためにはファンサービスの改善、そういうことによりまして売り上げというものの落ち込みをなくし、さらには売り上げをふやすという
努力
が必要であり、そのことが
地方財源
の安定的な
確保
に資するというふうに考えております。そういうことから、関係各省と
協力
いたしまして、できるだけ経営改善の
努力
をするように、経営改善のためのファンサービスの
向上
でございますとか、施行内容の改善というものを行いますように、各施行団体に対しまして
助言指導
を行っているところでございます。 各省自体もいろいろおやりになっているようでございまして、私ども聞くところによりますと、例えば競馬につきましては、農林省は場外馬券の売り場の制限の緩和をいたしますとか、それから連勝複式というのが普通の当たりでございますけれども、それを連勝単式を採用できるというようにいたしますとか、あるいは通産省におきましては、場外車券につきましてミニの場外売り場の設置規制といったものの緩和をする、つまり二つないし三つの窓のミニ場外を設置できるというようなことの改善とかいろいろやっているというふうに聞いております。
小川(省)委員(小川省吾)
97
○小川(省)
委員
大体人が休む日曜なり祝祭日を
中心
に行われておるのでありまして、競技場に働く従業員の賃金やボーナス等が普通考えられているよりも高いことは当然なんだと思うのでありますが、自治省は
経費
を切り詰めるということなのか、これらの賃金の抑制ばかりを
指導
していると言われます。そんなことはないんだろうと思いますが、いかがなんですか。
土田政府委員(土田栄作)
98
○土田
政府
委員
ただいままでお答え申し上げてまいりましたように、公営競技の経営は近年非常に悪化する
傾向
にございますので、各施行者におきましても、一つは売り上げの
向上
に努めるとともに、ただいま
委員
御指摘のございました賃金も含めました開催
経費
の抑制等に
努力
しておるところでございまして、私たちといたしましても、これら施行者の相談に応じまして一般的な経営改善のための
指導
助言を行うことが必要だと考えまして、そういうふうに対応いたしているところでございます。
小川(省)委員(小川省吾)
99
○小川(省)
委員
経営改善の
指導
をやられるのは当然でありますが、特に賃金抑制を日当でのような改善はぜひ慎んでいただきたいというふうに思っています。 また、
公営企業金融公庫
納付金の納付率が、一・〇%から一・一、一・二%に
引き上げ
られる案が出ておるわけでありますが、今考えられるのは売り上げを維持拡大というか、売上増を図ることが先だと思うのですが、その辺のところはどうなんですか。いわゆる納付率を上げることよりも、むしろ売上増を図ることが先だろうというふうに思っています。 それから納付金の基礎控除を八億から十億円にしていくようでありますが、納付を要しない団体が激増していくんではないかというふうに思いますが、その辺のところはいかがですか。
土田政府委員(土田栄作)
100
○土田
政府
委員
公営競技の経営が悪くなっていくという
傾向
に対処いたしますためには、
委員
御指摘のとおりまず売り上げを伸ばすための
努力
をする、そのことによりまして健全経営を
確保
していくということが大事だろうと思います。そういうことで、私どもはそちらの方の
指導
も今後発力してまいるつもりでございますが、同時に現在の厳しい
地方財政
状況
のもとにおきまして公営競技の収益金は二千億以上あるわけでございまして、一部の施行団体にこれらの
財源
が偏在しているということも事実でございます。 そういうことから臨時
行政改革推進
審議会、それから
地方
制度
調査
会の答申の趣旨に沿いまして、私どもといたしましては収益金の一層の均てん化を
推進
するということを考えて今後法案の審議をお願いいたす次第でございます。ただ、これも激変を避ける意味から、納付率を一遍に上げないで段階的に上げるとか、それから納付率の
引き上げ
に伴いまして、売上額の少ない、収益率の低い団体につきましては政令段階で激変緩和の
措置
をとりたいというふうに考えている次第でございます。 それから、控除額が八億円で現在幾つの団体が収益金の納付を要しないかというお尋ねでございますが、この足切りによりまして現在納付を要しない団体は百三十四団体でございます。 それから、八億円から十億円に上げますことによって何団体ふえるかということ、これは将来の売り上げの問題がありますのでやや流動的でございますけれども、仮に現在の売り上げを五十八年度の売り上げで横ばいというふうに考えますと、十三団体ほどふえるのではないかという一応の推計をいたしているところでございます。
小川(省)委員(小川省吾)
101
○小川(省)
委員
売り上げ等の
状況
をよく勘案、配慮しながら進めていっていただきたい、このことを要請をいたしておきたいと思います。 そこで、当せん金附証票法の一部を
改正
するようでありますが、収益金の使途の弾力化を図るということは大変結構なことだと思いますが、一点だけ伺いたいわけです。
最高
賞金の倍率の制限の緩和ということであります。恐らく年末ジャンボかサマージャンボの賞金をふやしていくのだろうと思いますが、賞金をふやせという声と同時に、一方にもっと倍率を低くして当たりくじをふやしたらどうかという声もあることは事実であります。だれがどう判断してこういうふうにしたのかわかりませんが、これと同時に倍率を低くして当たりくじをふやすような宝くじを発売していったらどうかと思いますが、そういうおつもりはございませんか。
土田政府委員(土田栄作)
102
○土田
政府
委員
私ども宝くじの購買者の動向というものにつきましては常に
情報
を集め、どういうふうに対応すればいいかということを検討している次第でございまして、私どもの得ております
情報
によりますれば、一般的には
最高
賞金額を上げてもらいたいというファン層と、
最高
賞金というのはなかなか当たらないから、もっと一等賞金を低くして当たる率を多くした方がいいという二つの層があると承知いたしております。 現在の当たる確率で申しますと、
最高
賞金一等三千万円が当たりますのは百万分の一の確率でございます。それから、例えば二百万円で申しますと、これは現在二十万分の一の倍率ということになっております。それから、百万円ではもっと率のいいのがございまして、十万本で六本当たる、一万七千本に一本当たるくじもございます。そういうふうな要するに高額賞金化と、それから一等賞金が余計当たる方がいいという二つの要請に今後私どもこたえてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございまして、
昭和
五十九年度におきましても、一等賞金二百万円以下の宝くじを、
昭和
五十八年度は三十二回売っておりまして売上額百八十四億でございましたけれども、五十九年度は四十回にふやしまして三百十四億発売することにいたしているわけでございまして、宝くじにつきましては絶えずファンの動向をとらえまして、高額化を一部年末ジャンボ等について図りますとともに、あわせてレジャーくじとかインスタントくじとかいろいろな方に希望のある、魅力のある低額賞金の宝くじも発売してまいりたい、両建てでまいりたい、このように存じております。
小川(省)委員(小川省吾)
103
○小川(省)
委員
今お答えのように倍率を高くする、多くするのは結構でありますが、ぜひ低い方も心をしながらひとつ
指導
をしていっていただきたい、このように思っております。 そこで、文部省にお伺いをいたしたいと思います。 文部省は一月二十一日に、各県教育
委員会
教育長に対して体育局長名の通知として、「学校給食業務の
運営
の
合理化
について」という通知を発しました。これは自治大臣もこのような通知が出たことを御存じだと思いますが、この通知には、臨時
行政
調査
会、臨時
行政改革推進
審議会及び総務庁から
合理化
の必要性が指摘されて出したのだというふうに言っておるわけであります。臨調や総務庁はなぜ
合理化
の必要性を指摘したのだと思いますか、この点だけは大臣にお伺いします。
大林政府委員(大林勝臣)
104
○大林
政府
委員
この数年間の臨調、行革審の論議を見てみますと、まず
行政
の責任領域という議論が相当高まってきたと思います。
行政
が、本来民間がやるべきものまでも背負ってきたというような議論が展開され、この際行革を進めるためには、本来民間が行ってしかるべきものはできるだけ民間の手で行うべきだという考え方のもとに、役所がやっております仕事の中でも、必ずしも
公務
員がみずからやらなくとも民間の技術と経験、こういったものを活用して運用した方が効果的である、こういうものの一つの例として民間委託というものが持ち出されまして、そこにいろいろ、先ほど御指摘の学校給食などが一つの典型である、こういう御指摘になったのであろうと理解しております。
小川(省)委員(小川省吾)
105
○小川(省)
委員
文部省、この局長通知の真意といいますか、ねらいはどこにあるのですか。
小西説明員(小西亘)
106
○小西
説明
員 お答え申し上げます。 今回の通知は、各設置者、つまり
市町村
の教育
委員会
等が、学校給食は学校教育活動の一環であるといういわゆる学校教育の意義を踏まえつつ、
地域
の実情等に応じた適切な方法によりまして学校教育業務の
運営
の
合理化
を図るよう要請するとともに、その場合の留意点について注意を喚起することにより、学校給食業務が円滑に実施されるように求めたものでございます。
小川(省)委員(小川省吾)
107
○小川(省)
委員
きれいな答弁なんですね。この通知にもあるように、学校給食は学校教育活動の一環であり、給食の質の低下を招くことのないようにというふうに冒頭に述べております。しかし、この通知の後半に述べられているようなことを設置者が実施をしたとするならば、給食業務が円滑に行われなくなったり、給食の質の低下を招いていくことは明らかだと思いますので、以下、順を追って質問をいたしたいと思います。 そもそも学校給食は、児童及び生徒の心身の健全な発達に資し、かつ、
国民
の食
生活
の改善に資することを目的にすると言われております。学校給食は、一、バランスのとれた栄養豊かな食事を提供することにより、児童生徒の健康の増進、体位の
向上
及び正しい食習慣の形成。二、学校で食事をともにすることによって、教師と児童生徒、児童生徒相互間の心の触れ合いの場をつくり、好ましい人間関係の育成をしていく。三、学校給食の事前の準備、後片づけを通して、
協力
、責任、清潔、決まりを守ること等共回
生活
における協同、協調の精神を身につけさせる。四、給食調理従事者に対する感謝、労働の精神を学ばせるなど、教科学習では得にくい貴重な教育上の意義を有していると言われておるわけでありますが、文部省は、学校給食の意義や
役割
についてどのように考えておられますか。
小西説明員(小西亘)
108
○小西
説明
員 今先生がお示しになりましたことが学校給食の目的でございます。
小川(省)委員(小川省吾)
109
○小川(省)
委員
そうですね。これは私は文部省の
指導
のとおりに申し上げたわけですから、恐らくそうだろうというふうに思っております。ところが、この通知のようなことを実施するとこれにもとるようなことになるから実は問題なのでございます。 今回の局長通知でありますが、従来文部省は直営方式が望ましいという
指導
をしてきたはずであります。この
方針
を変更されたわけですか。
小西説明員(小西亘)
110
○小西
説明
員 今回の通知の中にその具体的な例として三つばかり挙げてございますけれども、その一つに民間委託の実施についても述べているところでございます。先生これでよく御存じかと思いますけれども、今回の通知は、この民間委託につきましても、幾つかの条件といいますか、留意事項をつけておりまして、これを守っていただくことによりましていわゆる設置者の責任というものが十分達成される、そういうように私どもここで希望、
期待
しているわけでございまして、従来の
方針
と大きな変わりはないかと思います。
小川(省)委員(小川省吾)
111
○小川(省)
委員
しかし、この三つの条件を実施すれば、従来の直営方式を
指導
してきた文部省とは大変変わると思うのですね。私も、学校給食の実施の形態については、その実施責任を有する設置者が、その円滑な実施を
基本
にして
地域
の実情等を十分踏まえて実施をすればよいとは思っておりますが、直営方式は、設置者が学校給食業務の
運営
を直接実施をするために、安全、衛生、食事内容等について設置者としての責任がとりやすいということが第一に挙げられると思うのであります。従来直営方式を
指導
してきたのはそういう理由からなんでしょう。
小西説明員(小西亘)
112
○小西
説明
員 文部省が従来直営方式というものが望ましいということで
指導
してきたことは事実でございまして、先生今おっしゃるように、そういう形態がいわゆる設置者としての責任を一番とりやすいということであったことは、これは事実でございます。
小川(省)委員(小川省吾)
113
○小川(省)
委員
そうなんでしょうね。何よりも設置者の責任が果たせる
運営
を
確保
できるということが
基本
になるのだと思うのであります。しかし文部省は、今回の通知で、
合理化
の具体的方法については最終的に設置者の判断に任せるとしておるわけでありますが、文部省が責任逃れをしていると指摘されてもやむを得ないと思うのであります。 そこで、学校給食が実施をされ始めてから一貫した文部省の
指導
を眺めてまいりますと、文部省は、やはり学校給食は一番望ましいのは自校直営方式である、今回の通知は臨調に指摘をされたので出さざるを得なかった通知であると私は受けとめておるわけでありますが、こういう受けとめ方が最も正しい受けとめ方ではないかというふうに思うのであります。一応
合理化
に配慮をしながら、
経費
を適正に、いわゆる自粛できるように配慮しながらやりなさいというのがどうも真意であると思われますが、そのように受けとめてよろしいわけでありますか。
小西説明員(小西亘)
114
○小西
説明
員 先生御指摘のように、今回の通知が臨時
行政
調査
会等の答申に基づいて行われたことは事実でございますけれども、やはり現在の国及び
市町村
の財政
状況
を十分勘案し、かつまた、学校給食におきましても経営の
合理化
というものを考えなければいけないことは現下の大きな
課題
でございまして、そういう視点から、やはりこういう民間委託等の問題につきましても、幾つかの留意事項は十分示しつつやっていくのも一つの方法であるというように考えている次第でございます。
小川(省)委員(小川省吾)
115
○小川(省)
委員
今回の通知内容を実践していくと、学校教育活動としての学校給食ということがないがしろにされて、給食が教育の一環ではなく、ただ単なる食事の提供ということになってしまうおそれはありませんか。
小西説明員(小西亘)
116
○小西
説明
員 学校給食は、従来もそうでございましたが、今後も学校教育の一環として行うことは変わりないことでございまして、このことによってそのことに変更があってはならないというふうに考えております。
小川(省)委員(小川省吾)
117
○小川(省)
委員
給食の質の低下を来さないようにという表現がありますけれども、質の低下を来さないということはどういうことですか。
小西説明員(小西亘)
118
○小西
説明
員 その一つは、例えば栄養のバランスというものについての配慮が欠けてはならないというようなことでございます。
小川(省)委員(小川省吾)
119
○小川(省)
委員
職員のパートタイムということについてお伺いをいたしますが、このパートタイム化をするというのは、もちろん現行給食調理従事者を解雇してパートタイマーにするということでないことは当然だと理解をしておりますが、そういう理解でよろしいわけですね。
小西説明員(小西亘)
120
○小西
説明
員 現在の給食調理員の解雇というものを前提にしてないことは事実でございます。
小川(省)委員(小川省吾)
121
○小川(省)
委員
また、パートタイム職員は常勤職員とは異なるのはもちろんなんでしょうが、パートタイム職員とはどういう職員で、常勤職員とはどのように異なるわけですか。
小西説明員(小西亘)
122
○小西
説明
員 この通知で示しておりますパートタイム職員といいますのは
市町村
等に任用される職員でございまして、一つは、従事する業務が調理等の一般の学校給食業務であること、二つは、一日の勤務時間が常勤の学校給食業務従事員よりも短く、かつ一週間の勤務時間は常勤職員の四分の三以下であること、三つ目は、主として学校給食が実施される期間のみ職務に従事すること、四番目は、
給与
は職務に従事した日または時間に応じて支払われる、このような条件を満たしている職員のことでございます。
小川(省)委員(小川省吾)
123
○小川(省)
委員
恐らく地公法の十七条の非常勤の職員になるんだろうと思うのですが、その雇用に当たって期限は付せられますか。
小西説明員(小西亘)
124
○小西
説明
員 先生今御指摘のように、このパートタイム職員というのは、
地方公務員
法上の一般職に属する非常勤の職員でございます。この場合、定年制の規定でございます二十八条の二の
適用
を受けないことになっておりますから、そういう関係で任期というものはつけるべきであろうというふうに考えております。
小川(省)委員(小川省吾)
125
○小川(省)
委員
そうすると、常勤職員が退職をした後の補充をパートタイムの職員で埋めたいということになるわけですか。
小西説明員(小西亘)
126
○小西
説明
員 現実的な処理としては、そのような方法が考えられるんじゃないかと思っております。
小川(省)委員(小川省吾)
127
○小川(省)
委員
パートの職員が将来は
増加
をしていくことになるんだろうというふうに思われるわけでありますが。そうすると、給食調理関係の職員は常勤職員は要らない、パートだけでいいんだというふうにもむしろ考えておるわけですか。
小西説明員(小西亘)
128
○小西
説明
員 私どもは全員がパートタイム職員である必要があるとは考えていないわけでございまして、その中にはやはり責任ある立場の方も必要で、そのような方は常勤の職員が当たる必要があるのではないか、このように考えております。
小川(省)委員(小川省吾)
129
○小川(省)
委員
まあそうなんでしょうね。
昭和
三十五年の体育局長の通知は、学校給食調理員の人件費
負担
の
適正化
を求めて、学校給食調理員を
市町村
立学校の常勤職員として発令をするように
指導
をしておるわけであります。教育活動の一環として学校給食をとらえていくとするならば、常勤職員ということは当然であり、今回の通知は、この三十五年通知に反するものであるというふうに思いますが、反しないんだということであるならば、その理由をひとつ例証をして
説明
していただきたいと思います。
小西説明員(小西亘)
130
○小西
説明
員
昭和
三十五年の文部省体育局長通知は、実はその当時、学校給食の調理員はPTAの雇用とかあるいはまたPTAが
給与
を
負担
する、そういうことが非常に多く行われておりまして、義務教育における父兄
負担
の
軽減
という観点からかなり大きな
社会
問題になっていたわけでございます。この文部省の通知はそういった実態を解消するための
指導
通知でございまして、今回のこの
合理化
の問題とは全然別な事柄であるというふうに私どもは理解しております、
小川(省)委員(小川省吾)
131
○小川(省)
委員
次に、共同調理場方式について伺いたいと思います。 今回の通知の三本柱の一つになっておるわけでありますが、共同調理場というのは労働安全衛生面で単独枚方式よりは若干すぐれているのではないかと思います。あるいは物資の大量購入で安い材料が
確保
できるというようなメリットがあるんだろうというふうに思いますが、細かいところに目が届くというような面は失われていくだろうと思うのです。単独枚方式と比べてメリットはどこにあるのですか。
小西説明員(小西亘)
132
○小西
説明
員 今先生も御指摘になりましたけれども、共同調理場の長所といたしまして、一つには、大量調理を行いますために近代的な
施設
設備の効率的な導入を図られる、あるいはまた人件費等の
経費
節約というものが可能である、また、衛生管理や労働安全衛生面ですぐれているということがございます。さらに、
施設
設備の
整備
により献立の多様化に対応しやすいというメリットがございます。さらに、物資の大量購入によりまして安価な食材料の
確保
が可能であるというようなことが、この共同調理場のいわゆるメリットとして考えられるんじゃないかというように考えております。
小川(省)委員(小川省吾)
133
○小川(省)
委員
そこで、仮にある
市町村
が共同調理場方式に変えたとした場合には調理員をパート化しろということではないと思うのであります。今回の通知の趣旨は、三つの方式を示して
合理化
の方式を検討してみたらいかがかという通知なんだろうと思うのです。
地域
の実情に合えば、適切な方法をとっていけばよいということを言っているんで、設置者の責任に任せるということで設置者が検討してみて、こういうことはやりたいが、こういうことは
地域
の実情にそぐわないので実施をしない。
地域
の実情にそぐえばやっていけばよろしいんで、
地域
の実情にそぐわない場合にはやむを得ずできない、こういうふうな形になってもやむを得ないというふうに文部省は思っておられるわけですか。
小西説明員(小西亘)
134
○小西
説明
員 今回の通知は、先ほどから御
説明
申しておりますように、それぞれの
地域
の実情等に応じまして適切な方法で学校給食の
運営
の
合理化
を
推進
するようにお願いしたものでございます。したがって、どのような方法で
合理化
を行うかということは設置者である
市町村
の御判断にお任せしている、これがこの通知の内容でございます。
小川(省)委員(小川省吾)
135
○小川(省)
委員
共同調理場方式は、単独校調理方式でも現在残食が少なくないという実情から、共同調理場方式になればさらに残念が出てくるんではないかというふうに思われます。また、細かい献立の作成が難しいのではないかと思いますが、いかがですか。
小西説明員(小西亘)
136
○小西
説明
員 学校給食における残念の問題は、単独調理場であるとか共同調理場であるとか、そういった調理場の形態とは別のところに原因があるように思いまして、共同調理場にしたからそれで残念が多くなるということはあり得ないんじゃないか、このように思っております。
小川(省)委員(小川省吾)
137
○小川(省)
委員
また、三本柱の一つに民間委託ということが出てきているわけで、全く恐ろしいことだと思っておるわけでありますが、民間委託方式になれば採算性を
基本
として、いわゆる民間の論理によって学校給食が扱われることになり、いかにうたってみても質の低下を来すことは明らかだと思います。この民間委託だけは何としても、百歩譲っても撤回をされたらいかがかというふうに思っておりますが、いかがですか。
小西説明員(小西亘)
138
○小西
説明
員 今回のこの通知の中にもございますように、
合理化
の実施に当たりましては、「学校給食の質の低下を招くことのないよう十分配慮すること。」このように述べておりまして、民間委託を実施する場合にもこの点は十分配慮すべき点であろうかと思っております。その方法として、ここに書いてございます民間委託の実施の場合の留意事項というのはぜひとも御留意いただきたい、このように考えるわけでございます。
小川(省)委員(小川省吾)
139
○小川(省)
委員
いみじくも言われるわけですね。民間委託をするにしても献立だけは直営と言っておるわけでありますが、これは献立の作成まで民間委託をすれば間違いなく質が低下をするということを文部省は認めているんだというふうに思いますが、いかがですか。
小西説明員(小西亘)
140
○小西
説明
員 学校給食は、先ほどから御
説明
申し上げておりますように学校教育の一環でございまして、そういう観点から、いわゆる設置者の責任というものが非常に大きいというふうに理解いたしております。今回の、この民間委託を実施する場合にも献立は委託の対象としないというふうに決めましたのも、やはり設置者としての責任というものを全うするための一つの方法としてそのようなことを提示したわけでございます。
小川(省)委員(小川省吾)
141
○小川(省)
委員
そうですよね、設置者の責任というのが大変重要なわけでありますから。 そこで、物資の購入をめぐってもいろいろ煩わしいことが随伴をしてまいってきておるのがこういうところの実情でございます。物資の購入も献立の作成と同様に、委託をしないで直営でやることが望ましいというふうに思っておりますが、いかがでございましょう。
小西説明員(小西亘)
142
○小西
説明
員 まず献立は委託の対象としないということをはっきり書かせていただきました。したがって、献立どおりに実施していただければいいわけでございますが、さらにそれを念を入れまして、物資の購入についても、正確にその献立どおりであるかどうかということについてチェックすることも必要じゃないかと考えておりまして、このように管理
体制
というものを
整備
するということをお願いしたわけでございます。
小川(省)委員(小川省吾)
143
○小川(省)
委員
いずれにいたしましても、この一月二十一日の学校給食の通知は問題でございまして、小西
課長
がよく承知をしておるところだろうというふうに思っていますから、私は、折に触れてこの問題は取り上げてまいりたい、こう思っておるわけでございます。十分な注意を設置者に喚起をすることは大事でありますが、あくまでも教育の一環である学校給食というものをぜひひとつ十分に配慮をしながら
運営
をしていっていただきたい、こう思っておるわけでございまして、時間も参ったようでありますから、以上で質問を終わります。
高鳥委員長(高鳥修)
144
○
高鳥委員長
次に、柴田弘君。
柴田(弘)委員(柴田弘)
145
○柴田(弘)
委員
私は、きょうは大臣の
所信
表明に対しまして、特に高率
補助
金の一律削減の問題あるいは
地方税
の
改正
の問題、そして減税問題を
中心
にして議論をさせていただこう、こういうふうに思っておるわけでありますが、その前に、今
緊急課題
である
警察
関係の諸問題について数点にわたってお尋ねをしておきたいと思います。 そこでまず第一に、監獄法
改正
の問題に関連をいたしまして、日弁連の方から私どもの方に要請書が参っております。つまり、今国会に法務省関係の刑事
施設
法案あるいはまた
警察
庁の留置
施設
法案、これを同時に再上程しようとしている。こういった法案は、虚偽自白の温床となった代用監獄制を永続化し、弁護人との接見
交通
にも不当な制限を加えるなど多くの問題を含んでおる。だから日弁連は、刑事
施設
法案は抜本的な修正を求める、留置
施設
法案については撤回を主張してきた。でありますから、どうかひとつ今国会にこれらの法案の上程を見合わせ、さらに十分な検討を加えるように勧告をしていただきたい、これをお願いいたします。 仮に国会に上程された場合には審議を開始されないようにお願いをしたい、こういう要旨であるわけでありますが、こういった反対の強いこれらの二法案を、あえてそれを押し切って再上程をされるその必要性、理由というのは一体どこにあるのか、ひとつ法務、
警察
、両省に対しまして簡潔に、法案の中身は結構でございますので、きょうはそういった問題じゃありませんので、あえて再上程される必要性というものを簡潔にひとつお聞かせをいただきたいと思います。
鈴木(良)政府委員(鈴木良一)
146
○
鈴木
(良)
政府
委員
先生御存じのとおり法制審議会の答申が行われまして、受刑者を収容しないこととするほかは、ほぼ現行の代用監獄制度を踏襲することとされた答申が出ておるわけでございます。 監獄法が制定された当時とは違いまして、現在では都道府県の
施設
であります留置場は、当然のことながら国の
施設
である拘置所、刑事
施設
とは、
行政
組織
なりあるいは指揮監督系統なり、
費用負担
の問題なりということが異なっておるわけでございます。したがいまして、法制審議会の答申を実現するためには、被勾留者の収容
施設
としての都道府県の
施設
である留置場、これを用いる
法律
的な仕組み、手当てをきちっとしなければならないということでございます。 そういうことで、留置場を用いることにつきまして、刑事
施設
法案に国が都道府県に委任する規定を設けるのに加えまして、さらに現行の
地方自治
の制度に沿いまして、別個の
法律
で都道府県がこれを受ける根拠等
所要
の規定を
整備
する必要がある、こういうことでございます。しかもその
法律
は、当然のことながら公安
委員会
制度を
基盤
といたします現行
警察
法の体系に合ったものでなければならないということでございまして、そういう角度から、刑事
施設
法案と一体のものとして、現在、留置
施設
法案を検討しておる、こういうことでございます。
長谷川説明員(長谷川永)
147
○
長谷川
説明
員 刑事
施設
法案は、現行の監獄法を全面的に
改正
しようとするものでございます。 現在の監獄法は、先生も御存じのとおり明治四十一年につくられたものでございまして、既に七十七年たっております。その間、二つの大戦等もございまして、日本の
社会
も随分変わってまいりましたが、監獄法の方はこの七十七年間にほとんど
改正
されないで現在に至っております。したがいまして、当然のことでございますけれども、その内容も形式も大変古くて、現在の
社会
に合わないものになっております。例えば、形式面で申しますと、もう通常
国民
が理解できないような文字や表現が使われておりますし、内容的に見ますと、現行の憲法のもとではとても許されないような規定も残っているわけでございます。 刑事
施設
法案はこれらの点を改めようとするものでございます。例えば、被収容者の権利を拡大いたしまして、それを
法律
上明らかにするとか、被収容者の
生活
水準
を
法律
上保障しようとするとか、あるいは受刑者の改善更生を図るための制度を
整備充実
する等、処遇の
近代化
、
国際化
を図っているわけでございます。それからまた、
警察
庁から提出される予定でございます留置
施設
法案ともども代用監獄制度にも改善を加えよう、こんなふうに図っているわけでございます。 このように、現行憲法の理念に合致するような近代的な、そして国際的にも恥ずかしくないような被収容者の処遇を実現するためには、どうしてもこの監獄法を全面的に
改正
する刑事
施設
法案が必要だ、このように考えておる次第でございます。
柴田(弘)委員(柴田弘)
148
○柴田(弘)
委員
そこで、きょうはこの法案の中身云々の問題じゃないわけでありまして、日弁連との話し合いは、お聞きいたしますと法務省ではもう何回となくなされた。それでずっと調整をされてきておるわけであります。いろいろ修正もなされてきたと思いますが、法務省の感じとしては、もうきちっと日弁連の方と今回のこの刑事
施設
法案については合意がなされたと感じていらっしゃるのか、あるいはまた修正の余地なり話し合いの余地というのはもうないのか、この辺のところをもう一つお尋ねしておきたい。 それから、
警察
庁、昨年の末にわずか一回しかやられなかった。お聞きしていると、話し合いは平行線だった、それで、もうこれ以上話し合いには応じない、ただ法案の中身についての話だけであった、もう日弁連の要求を一つとして受け入れない、もう話し合いの余地はないんだ、こういった姿勢であるやに私は聞いております。もう話し合いの余地はないのか、これは大事なところでありますので、簡潔にひとつお伺いをしたい。法務省と
警察
庁。
長谷川説明員(長谷川永)
149
○
長谷川
説明
員 先生御指摘のとおり、法務省といたしましては、五十八年の二月から五十九年の十一月まで、前後二十二因にわたりまして日本弁護士連合会と意見交換会を行いました。その結果、今度提出を予定しております法案は、日弁連の御主張を随分受け入れまして、幾つかの修正を施す考えでございます。それで、これ以上に話し合いを続ける余地は私どもは今の段階ではない、このように考えております。
鈴木(良)政府委員(鈴木良一)
150
○
鈴木
(良)
政府
委員
留置
施設
法案は、御存じのとおり被収容者の権利や義務あるいは処遇の内容につきまして、法務省が作成をしております刑事
施設
法案と合わせて作成をしているものでございます。そういうことで、法務省と日弁連の意見交換会が行われておるわけでございまして、その内容は、ほとんど留置
施設
法案とも共通する部分が大変多いわけでございます。法務省が意見交換会をやられます。その内容は、逐次私の方にも御連絡がありまして、私どもの方もそれに合わせて検討を進めてきておるということでございます。 そういうことで、ほとんどが共通部分になるわけでございますが、留置
施設
法案のプロパーな部分もございます。その部分につきましては、日弁連の方もそういう面につきまして
説明
を聞きたい、こういうことでございましたので、昨年十二月にそういう
会議
を持ちまして、十分御
説明
をしたというふうに考えておるわけでございます。 この修正の余地がないのかというお話でございますが、先ほど法務省からお話がありましたように、法務省が日弁連といろいろ意見交換会をやってまいりまして、それでかなりの部分につきまして修正を法務省の方も検討される、私の方にも関連部分がございます。その部分は合わせて修正を私の方も検討しておるということでございまして、それ以上に修正をするということは現在は困難ではなかろうか、かように考えております。
柴田(弘)委員(柴田弘)
151
○柴田(弘)
委員
この問題はこの程度で終わりますが、いずれにいたしましても、今後の話し合いの余地はない、修正の余地はない、こういうはっきりした答弁をいただきました。これは
国民
の
基本
的な人権にかかわる大事な問題である、このように思います。慎重な対応を要望してまいります。 それから、続きましてグリコ・
森永事件
でありますが、これは、最初に国家公安
委員長
並びにお忙しいところを来ていただきました
警察庁長官
にお尋ねしていきたいわけであります。 昨年の三月、江崎グリコ社長が誘拐をされました。この
事件
に端を発して、もう既に一年を迎えようといたしておる。この間、犯人グループはグリコ製品への青酸混入の予告あるいは毒入りチョコレートの店頭配置、森永、ハウス食品、不二家への脅迫、そして去る二月十三日はバレンタインデーに照準を合わせて、大手五社製品への青酸混合商品の店頭配置、そして昨日はまた脅迫文ということで、ますますエスカレートしてきているわけでございます。 一方
捜査
当局は、犯人と接触をしておきながら取り逃がすという大失態を演じた。この点は
国民
の
警察
不信というものにつながってくるのではないかと思いますし、また同時に、犯人を捕らえずに後手に回った。やはりそういった感を今
国民
に与えているようであります。この
事件
の解決が長引けば長引くほど、
国民
の
警察
に対する不信感も高まってくるであろう、こういうように私は思います。同時に、これがまた政治不信というものに必ずつながってくるわけであります。 こういった一年近くたった今日の時点に立ちまして、まず、公安
委員長
としては、今日のこの
捜査
の現状というものについてどういった御認識を持っていらっしゃるか、あるいはまた、あわせて
警察庁長官
はどのようにお考えになっているのか、
基本
的なお考えについて、まずお伺いをしておきたい、このように思います。
古屋国務大臣(古屋亨)
152
○
古屋国務大臣
今先生のお話しのとおり、グリコ・
森永事件
が、ほとんど十一カ月たちました現在解決を見ていないということはまことに私も残念であり、申しわけないことだと考えております。特に毒物を食品の中へ入れ、
国民生活
を人質にするようなこういう悪質な事犯は、一日も早く検挙しなければならぬと思っております。 お話しのように、
国民
の
信頼
がなければ
警察
の仕事というのは十分に完遂することはできないのでありまして、この
事件
は検挙によって
国民
の
信頼
を
警察
が回復する一番大事な問題である、一一四号
事件
といたしまして全国の
警察
官を挙げまして一生懸命にやらしておりまして、必ずやこれは検挙されるものと私は考えております。
鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)
153
○
鈴木
(貞)
政府
委員
この
事件
は、
国民
を人質にしたまことに卑劣な犯行、そしてまた食品流通の
秩序
を乱す極めて悪質な
事件
であるという
基本
的な考えを持っておりまして、
国民
的にも大変な関心を持たれている事犯でございます。
警察
としましては、まさにこういう時節でございますので、日々これ戦場といいますか、いろいろ事犯が起きます。それを真摯に解決していくということはもとよりでございますが、今現在におきまして、何といいましても
警察
としての最
重要課題
は本件の解決である、こういうふうな認識を持っております。そのために、被害が
国民
に及ばないということを考慮しながら、一日も早く
国民
の
協力
のもとにこれを検挙することこそ今
警察
に課せられた一番大きな
課題
であろう、こういうことでございまして、全国
警察
力を挙げましてそういう面に向かって邁進していくという気持ちでこれからもまいりたい、こういう気持ちでございます。
柴田(弘)委員(柴田弘)
154
○柴田(弘)
委員
早期検挙
に向けてやっていく、これは非常に心強い御答弁をいただいたわけでありますが、一年近くたって私考えるのですけれども、ビデオの公開
捜査
もなされている、あるいはモンタージュ写真を作成してこれの公開
捜査
もなされている、しかも犯人と接触をしておる、こういった中で今日なお検挙されないというのは一体どこに問題点があるのか、今日の
警察
の
捜査
体制
というものに非常に問題があろうか、私はこういうふうに思ってあと何点か指摘します。 総体的に言って、長官どうですか、はっきり聞かしていただきたいのですが、
早期検挙
とおっしゃるには、また、
国民
の
協力
を得て全力を挙げていく、他のいろいろな
事件
もあるのだがこのグリコ・
森永事件
の解決が第一である、こうおっしゃるならば、一つは犯人検挙の見通しというのは近いのかどうなのか、
国民
に安心感を与えるためにひとつはっきりとお聞かせいただきたいし、また、これだけの遺留品等の証拠がありながら今日まで一年近くも検挙されないのは、
警察
の
捜査
体制
に何か大きな原因があるのか、この二点をしかとお伺いをしたい、こう思います。
鈴木(貞)政府委員(鈴木貞敏)
155
○
鈴木
(貞)
政府
委員
この
事件
はまことに特異な
事件
であるという認識を持っております。
事件
発生と同時に、兵庫、大阪の共同
捜査
本部ということで発足したわけでございますが、長い年月の間にいろいろの経緯がございました。当方としましても、あらゆる知恵を絞ってそのフェーズ、フェーズにいろいろな手だてをしてきたわけでございますけれども、この
事件
の検挙が非常におくれているという理由は、これはいろいろのことが挙げられると思いますが、何といいましても、一つはやはり犯人が極めて周到緻密であるということが挙げられると思います。また、二つ目には顔をあらわさない、現場その他におきましても顔をあらわさない、
警察
の姿、動きを十分偵察した上で動く、そういった周到緻密な犯人側の作戦、これがあろうと思います。 さらにまた、
警察
が現在行っております基礎
捜査
でございますが、これは物の面、あるいは今まで先生おっしゃったようにビデオの男とか、声の問題とか、あるいはキツネ目の男とか、いろいろのものを公開いたしまして、
国民
の
協力
を得ながら、今それをシラミつぶしにつぶしておるというふうな段階でございますけれども、そういうこととあわせて、物、いわゆる遺留物でございますが、いろいろ残しております。しかし、これがいずれも現在の大量生産、大量消費
社会
の中におきまして、相当の人をかけ、日時をかけながらなかなかつぶし切れない、すなわち途中で断絶する、こういうふうな格好で大変苦慮しておるというふうなことがございます。 まあいろいろの理由が挙げられますが、これはセービング、こちらの言いわけになりますので申し上げませんけれども、しかし我々としてはそういういろいろの新しい問題、今の制度の中に広域
体制
の
強化
とかというものを含め、また緊急配備の問題あるいはコンピューターを
捜査
といかに結びつけるかという問題、こういったいろいろのものを積み上げまして、必ずや犯人検挙に到達するという自信でひとつこれからもやってまいりたい、こう思っておるわけでございます。(柴田(弘)
委員
「犯人逮捕はいつごろですか」と呼ぶ)これはあらゆる手だてを尽くして日々やっていくということで、いつつかまるということは残念ながら申し上げられないことを御理解願いたいと思います。
柴田(弘)委員(柴田弘)
156
○柴田(弘)
委員
長官、どうも御苦労さまでした。どうぞ御退席ください、あとは刑事局長にお聞きしますから。 私は素人だから、いろいろなうわさを聞いてお尋ねして申しわけないのだが、一つは、企業側が犯人と裏取引しているのじゃないかといううわさがある。うわさだけだと私は思いますが、この辺、
警察
庁の方から一遍きちっと否定するなら否定してもらいたい。 それから、犯人の中に
警察
関係者がいるからなかなか
警察
はつかまえられぬだろう、そういううわさもある。この辺についても、ひとつ否定するなら否定していただきたい。 それから、午前中の答弁の中で刑事局長が、男が四人で女が一人だ、こうおっしゃった。子供もいるだろうと私は思うのですが、犯人像というのはサラリーマンか
暴力団
関係者か、あるいはどういった人か、あらあらの犯人像というのは
警察
の方ではもう既につかんでいらっしゃると思いますが、ひとつ差し支えない程度でこの三点について御答弁をいただきたいと思います。
金澤政府委員(金澤昭雄)
157
○金澤
政府
委員
お答えをいたします。 まず、裏取引の問題でございますが、これまでのところ、
警察
と被害に遭っております会社との間では緊密に連絡をとっております。その会社側と今まで連絡をとってきた
状況
、それと私どもの
捜査
の
状況
から考えまして、裏取引はないというふうに我々は確信をいたしております。 それから二点目の、犯人グループの中に元
警察
官がいるんではないかというようなお話でございますが、これは犯人グループからの挑戦状の中に
警察
官がおるということが何回か出てきておりますのでそういう御懸念が出てまいるのだと思いますが、これも今までいろいろと
捜査
をやってまいりました経過から見まして、そういうことはないというふうに確信をいたしております。 それから三点目の犯人像でございますが、これを絞るのは今の段階では非常に難しいという
状況
でございます。数の点は先ほども答弁申し上げましたが、これはある事実と推理を含めまして四人プラスアルファというようなことで申し上げましたが、それから一体どういう犯人像かというのを絞り出すのは、今までやりました
捜査
の過程からしては非常に絞りが難しい、今後できるだけこの面についての
情報
を
整理
いたしまして犯人を絞り、検挙に結びつけていきたい、こういうふうに思います。
柴田(弘)委員(柴田弘)
158
○柴田(弘)
委員
そこで
捜査
状況
ですが、山場に来ているのか、まだ二合目か三合目のところかということですね。きのうの脅迫状によれば、「わしら らい年 まで つかまらへん」とか「国会ぎいんの みなさん え」なんて言ってきておるのですね。そんなにかかるのか。その辺の確たる見通し、これはどうですか。
金澤政府委員(金澤昭雄)
159
○金澤
政府
委員
ただいまも長官がお答えをいたしましたとおり、その見通しはこれもなかなか難しい問題でございます。ただ、現在までのところは各般の
捜査
、いろいろな面での
捜査
を強力に推し進めておりますので、できるだけ近い将来に、早い機会に検挙したい、するということを申し上げたいのですが、現在では早い機会に検挙したいということでやっておりますので、その辺のところを御理解いただきたいと思います。
柴田(弘)委員(柴田弘)
160
○柴田(弘)
委員
それで、私も素人ですから、素人考えに何点か今日の
捜査
体制
の問題につきまして考えました。間違っている点もあるかと思いますので、それだったら遠慮なく御指摘いただきたいのですが、いずれにしましても、
警察
幹部の皆さんや
捜査
員の皆さんが、日夜寝食を忘れて一生懸命に早期解決に向けて頑張っていらっしゃる、私はこういったお姿には本当に心から敬意を表しているわけです。その上に立った質問であるということもひとつ御理解をいただきたいわけであります。 こういった新しいタイプの
犯罪
捜査
体制
が本当に
確立
されているのか、いろいろと述べてみますと、第一点は、一連の
事件
の発生当初、グリコ社長の拉致
事件
というふうに
警察
は見ておって初動
捜査
に誤りがあったのではないかと考えられる。 二つ目には、先ほど来おっしゃっておりますように広域
事件
だ。三県警本部に
捜査
本部を設けた。しかし、こういった各県警の縄張り意識が
捜査
の支障になっているのではないかというような懸念もなきにしもあらずである。 第三点目は、
事件
発生から既に一年近く経過し、多くの遺留品等があるにもかかわらず、あるいはモンタージュ写真あるいはビデオ等があるにもかかわらず犯人を詰められない。これは
捜査
指揮能力の問題、
捜査
力の問題、例えばベテラン刑事の退職による新旧交代、
教育訓練
の不足の問題、こういった問題があるのではないか、こういうふうに私は感ぜられてならないわけでありますが、この辺はどのように
警察
庁としては考えていらっしゃるでしょうか。
金澤政府委員(金澤昭雄)
161
○金澤
政府
委員
まず第一点の初動
捜査
に誤りはなかったかという御質問でございますが、去年の三月、
事件
が発生をいたしました際は、兵庫県警が誘拐
事件
ということで緊急配備を含めまして初動の態勢をとったわけでございます。その後、
事案
がだんだんわかってまいりまして、大阪府警の方と合同の
捜査
本部を置きまして
捜査
をやっておるわけでございますが、三月十八日発生をいたしましたその当時の初動態勢、初動
捜査
というものは、今から考えましても特に誤りがあったというふうには考えていないわけでございます。 それともう一点、第二点目の縄張り意識の点が
捜査
に支障を及ぼしているのではないかというような御質問でございますが、確かに現在の
警察
法で都道府県
警察
が単位となっておりますので、主たる管轄区域、活動の区域が都道府県であるということは間違いございません。しかし、このような各府県にまたがります重要
事件
、こういう大きな
事件
につきましては、
警察
庁ないしは管区
警察
局が
捜査
の
指導
調整ということで間に入りまして、
事件
の
捜査
の調整を行うということにしております。今回の
事件
も、
警察
庁指定一一四号ということで
警察
庁の方が主として調整に当たっておるわけでございます。確かに競争意識は各都道府県
警察
ともあると思います。もちろんこれはあることはあるわけですが、その競争意識をできるだけいい方向に向けながら
捜査
の調整を行っていくというのが現在の私どもの考え方でございます。 それから第三点目ですが、長期間かかっておるのは
捜査
力、特にベテラン刑事の退職の問題があるのではないかという御質問でございますが、確かに五十六年ごろから現在にかけましてベテラン刑事の大量退職、交代の時期にあることは事実でございます。したがいまして、それを予想しまして五十五年から要綱をつくりましてすぐれた
捜査
官の育成、
捜査
指揮能力の
向上
、こういうことをテーマにして現在まで取り組んでおるわけでございます。 刑事の任用の問題につきましても、また任用しました刑事の教育の問題、それから後専門的な教育ということで
警察
学校から――一番専門的なのは
警察
大学校に特別
捜査
幹部研修所もございますが、各段階に至るまでの専門教育ということで、
捜査
力が現在のいろいろな問題にマッチして低下しないように、むしろ
向上
するようにということでいろいろと配慮しておるわけでございます。ひとつ御理解をいただきたいと思います。
柴田(弘)委員(柴田弘)
162
○柴田(弘)
委員
捜査
体制
の
整備
の問題であります。 大臣も
所信
表明の中で、今日の厳しさを増す
情勢
にかんがみて、
広域犯罪捜査体制
の
充実強化
、あるいは
科学技術
の
導入等
の
施策
の
推進
、あるいはまた流動する
社会情勢
に的確に対処し、
治安
の万全を期すために、当面
警察装備
、資器材の
近代化
の
促進
を初めとする
警察体制
の
整備充実
、あるいはまた
警察職員
の
資質
の
向上
、こういうことをおっしゃっているわけでありまして、犯人が幾ら用意周到であるからといって、緻密だからといって、顔を見せないからといって、今日まで一年近くもこのような検挙されないという状態では、私はやはり
捜査
体制
にも問題があったのではないか、こういうふうに率直な見解を持っております。昨年の十一月には滋賀県で職務尋問したが結局逃げられている。この職務尋問のあり方にも問題がある。あるいはまた
警察無線
が犯人側に傍受されておったというようなお話も聞いておるわけでありますが、こういった問題がやはりあると私は思います。 そこで、これから下部の
捜査
員への
状況
の周知
徹底
の問題とか刑事部門の
強化
の問題、あるいは無線の
ディジタル化
の問題、コンピューターによる
捜査
情報
の処理、そして民間
協力
の
確保
、こういった問題を今以上のより一層の
充実強化
を図って犯人の早期逮捕に向けていかなければならないのじゃないか、こんな感想を抱いているわけでありますが、この辺の
捜査
体制
の
整備充実
という問題についてはどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
金澤政府委員(金澤昭雄)
163
○金澤
政府
委員
捜査
体制
の
充実強化
という点についてお答えを申し上げます。 今お話がありました滋賀県警のパトカーの問題、そういった問題もありまして、当時
警察無線
が傍受されておるということで、それを前提として
捜査
体制
を組んだわけでございますが、結果的に犯人に逃走されるということで非常に残念な思いを現在までもしておるわけでございます。 そういうことも含めまして、
捜査
体制
としましては、まずすぐれた
捜査
官、先ほど申しました
捜査
員自体の能力を高める。それとその
捜査
員に近代的ないろいろな
装備
、資器材を十分に使いこなせるような
教育訓練
を行うということが一つでございます。
捜査
員の質の
強化
という点、それと各府県警の
協力
体制
の問題、都道府県の枠を超えました広域
捜査
の
体制
、これは管区
警察
局と
警察
庁が
中心
となりまして
捜査
の調整を行っていくという
体制
の問題。それにもう一つは、科学
捜査
力ということでコンピューターを十分に取り入れましたいろいろな
捜査
用の資器材をできるだけ使いまして今後の
体制
を
強化
していきたい。 そういう人の問題、広域
捜査
体制
の問題、それとコンピューターを使った科学
捜査
力という問題、この三つを含めまして今後も十分
充実
さしていきたいというふうに考えております。
柴田(弘)委員(柴田弘)
164
○柴田(弘)
委員
いろいろありがとうございました。グリコ・
森永事件
、ひとつ早期解決を心から要望してまいりたいと思いますし、私ども国会といたしましても、我が党におきましても、こういった
対策
特別
委員会
を設置いたしまして、一日も早い解決を心から願っているわけであります。日ごろの御労苦に心から感謝をいたしておる次第でございます。どうぞひとつよろしくお願いいたします。 続きまして、時間がだんだん迫ってまいりましたので、まとめて新風営法の問題についてちょっとお聞きしていきます。 一つは、二月十三日から新しく施行されましてまだ一週間余りでありますが、この成果はどのように考えていらっしゃるか。 それから二つ目には、こういったセックス産業が地下潜行するおそれがあるのじゃないか、やはりそういった
対策
というものはきちっと立てていかなければならない、こういうことがよく言われております。 三つ目には、立ち入り等、
警察
権限の過剰介入があってはいけない、必要以上の拡大というものを心配する向きもあるわけであります。簡潔で結構でございますが、この三点について御答弁をいただきたいと思います。
中山政府委員(中山好雄)
165
○中山
政府
委員
御指摘の新風営法、長い題名でございますので風営
適正化
法というふうに私ども略称するようにしております。これが二月十三日に施行になりまして、法の施行の直後でございまして、まだ必ずしも十分に把握できているわけではないのでございますが、施行当日には全国で
警察
官約三万人を動員いたしまして、特別
指導
取り締まり
を実施いたしております。現在に至るまで各都道府県
警察
におきまして新法の周知
徹底
、
指導
取り締まり
の
徹底
を図っているところでございます。 例えば、マスコミなどにも報道されておりますように、悪質な看板が撤去されたり、深夜における個室つき浴場あるいはのぞき劇場、個室マッサージなど、そういうのを営む者がなくなる、あるいは悪質な客引きがほとんど見受けられなくなるなど、
少年
を有害な
環境
から守り、
風俗環境
を浄化するという法
改正
の目的はかなり
期待
どおり
実効
が上がりつつある、こういうふうに見ておるところでございます。 次に、規制を免れて地下に潜行するおそれがあるのではないかという点につきましては、どういった新手の業態が出てくるかということは私どもにわかに予測できないところでございますが、いわゆるセックス産業につきまして今後の推移を十分に見守ってまいりたいと思います。善良な風俗の観点から問題のある業態が出てきた場合には、それが法令違反となるようなものであれば厳正な
取り締まり
を行い、機先を制してそういうことをやってまいりたいと思っておるところでございます。またその時点で法規制の必要性についても検討して、必要があれば風俗関連営業の規制対象とする等の
措置
も講ずることを検討してまいりたいと考えておるところでございます。 それから三つ目でございます。風営
適正化
法は
警察
権限の過剰介入等と言われているがという御指摘でございますが、この
法律
は、先生御承知のことと存じますが、現下の
少年
をめぐる問題の深刻化や
風俗環境
の悪化等の問題に対処することが
行政
の緊急の
課題
であったということにかんがみまして、必要な最小限度の
措置
を講ずることとしたものでございまして、
警察
権限の過剰な介入であるとか、そういった御懸念のないように十分留意して運用してまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
柴田(弘)委員(柴田弘)
166
○柴田(弘)
委員
新風営法の問題、その他接待の基準等につきましても、解釈基準ですか、お尋ねしたいと思いましたが、時間の関係でやめてまいりますので、
警察
庁はこれで結構であります。 それから、一割カットの問題でありますが、大臣、私、本
会議
でも申しましたが、今回の六十年度予算というのは、財政
再建
を放棄した、
国民生活
無視、増税押しつけ予算と言わざるを得ないのじゃないかと私は判断する。
国民
待望の
所得税
減税を見送ったり、防衛費を突出させ、
福祉
、文教予算を後退させている。しかも一番関係のある
地方自治
体に対する高率
補助
金の一律削減が行われている、そして
地方
への
負担
転嫁をしている、こういった事実は、大臣も
地方分権
が大事だ、あるいは
地方自治
の
確立
が大事だ、こうおっしゃっていますが、その分権と自治の精神に反した、いかに
予算編成
上の問題であるといっても、財政
措置
と言わざるを得ない、こういうふうに断定をいたしたいと思います。分権と自治の精神ということからいって、今回のこの一律カットは大臣はどう考えていらっしゃいますか。
古屋国務大臣(古屋亨)
167
○
古屋国務大臣
ただいまのお話でございますが、
補助
金の一割カットというのは、私どもも
予算編成
の最後の場面まで私どもとしての立場を賢いてまいったのでございますが、厳しい国の
財政事情
下におきまして、これをやるのは私としてはどうしても納得できませんのでいろいろの案を出しましたが、それもできないということで、最終的に、では暫定的に一年を限度とする、特に経常的
経費
で一番問題になりました
社会
保障等は一年間三大臣、三省におきまして協議をして、必ずそれによって今後に備えていく、対処していく、この間の費用は全部国において補てんするということで、
交付税
と
地方
債によって処理をすることにいたしました。一般的には
地方
には迷惑をかけないということでいたしましたが、やはり
補助
金の一割カットというのは私もなかなか納得できない問題でございます。 ただ、
補助
金の
見直し
ということは、私は
地方自治
の立場からも賛成というような考え方でございました。そういう意味におきまして、この一年間にそういう問題を検討して、私どもは一年限りというような考え方で進んでおるのであります。
地方分権
ということから考えますと、
補助
金は、
地方
にもう定着化したようなものは、今度もその減った四百億ばかりのうちに学校の教材費とかいろいろございまして、これはもう
地方
に定着しておるものでございますから、
地方
の費用のうちから出していくということで、それは完全に起債、
交付税
によって処理をするということを考えております。 しかし、先生お話しのように、本当の
地方分権
からいいますと、今度法案が三月に出ると言われておりますが、国の
必置規制
や国の関与、それに一番問題の国の権限移譲というような問題が、行革審の答申がおくれているということでこの六月か七月になるということは大変残念でございますが、これはもう何といっても
地方
の自治、自律性ということから考えて、これを邪魔しているのは――私は
地方
は相当進めておる、むしろ国の関与とか
必置規制
だとかあるいは権限の問題とか、こういうものが本当の
地方自治
を阻害しているというような考え方でございまして、何としても今度の
地方行革大綱
の一環としてこういうものは、権限移譲の問題が夏になりましても、ぜひそういう法案を早く出して、
地方
の分権といいますか、本当に身近なことは身近で処理することができるように財政的にも
措置
をしてまいりたいと考えている次第でございます。
柴田(弘)委員(柴田弘)
168
○柴田(弘)
委員
ただいまの問題は
地方税制改正
のところでお考えをお伺いいたします。 いずれにいたしましても、国の財政難だけを理由にいたしまして制度、
施策
の
見直し
を行わないで、国と
地方
との
負担
割合を一方的に変えるということは、これは単なる
地方
への
負担
転嫁である、こういうふうに思います。 財政
措置
に問題がない、こうきちっと大臣も、「
地方交付税
の
増額
と
建設地方債
の
増発
により完全に補填し、
地方公共団体
の円滑な
財政運営
が図られるよう、万全の
措置
を講ずる」、こういうふうにおっしゃっているわけでありますが、私もこの辺のところをひとつお聞かせいただきたいのですが、今回のこの
補助
負担
率の
引き下げ
に伴う
交付税
の増強は一千億だけてあります。残額は
建設地方債
四千八百億円を
増発
して、後年度の財政
措置
で対応しておるわけですね。 二つ目に、経常
経費
分の一千億については、六十六年度以降
交付税
で精算するとして、国の財政
措置
を先送りしている、これもそうですね。 それから三つ日は、投資的
経費
分の二千億については臨時財政
特例債
を発行し、その元利償還金の二分の一のみ国庫が
負担
することとし、残りの元利償還金の二分の一は
交付税
を増強することなく、現行
交付税
総額の枠内で対応する仕組みをとろうとしているが、これは
交付税
総額の実質減につながるおそれはないかという心配が一つあるわけです。 それから四つ目には、投資的
経費
分の一千二百億円については
建設
地方
横を
増発
し、その元利償還金については現行
交付税
総額の枠内で対応する仕組みをとろうとしている。やはりこれも
交付税
総額の実質減につながるのではないかという問題が出てくる心配がないのかということです。 それから五つ目には、経常
経費
分の六百億円は、不
交付
団体が
増発
する
建設地方債
で、結果的にはこの元利償還金は当該団体の一般
財源
で
負担
することになっており、不
交付
団体に対する国の
負担
転嫁が直接及んでいる、こういう心配がないかということ。 それから六つ目には、教員の旅費と教材費については
負担
金対象からは外され、
地方
一般
財源
化を図る、これについても
交付税
の増強は行われないわけでありまして、現行の
交付税
総額の枠内で行われるということは、やはり
交付税
の実質減につながる心配があるのではないかということ。 こういう各点につきまして憂慮しているわけであります。完全に補てんされる、こうおっしゃっているのですけれども、本当にこういった点は大丈夫か、簡潔で結構ですからひとつお考えをお聞かせいただきたい。
花岡政府委員(花岡圭三)
169
○花岡
政府
委員
今回の
地方財政
対策
におきまして、五千八百億円の
補助
負担
率の
引き下げ
に伴う
地方負担
の
増加
が出たわけでございますが、その中の経常
経費
系統の二千六百億円につきましては、御指摘のように、千億円は
交付税
で加算、それから不
交付
団体分を除きます一千億円につきましては、当面起債で
措置
をいたしますけれども、
建設地方債
の
増発
によって
財源
を浮かしてそれで
措置
をする。建前としましては、六十六年度以降国の方で
交付税
に加算するという
措置
をとったわけでございます。 この一千億円につきまして、六十六年度以降大丈夫かという問題でございますけれども、この点につきましては、
補助
負担
率の
引き下げ
が一応暫定的なものであって、一年間検討するということとの関連におきまして、一年後に自治、大蔵でこれを検討しよう、話し合いをしようという形になっておるものでございます。 それから公共
事業
に係る三千二百億円でございますが、うち二千億円につきましては
補助
率の
引き下げ
に伴う部分でございます。これにつきましては、かつて例がございますような、いわゆる行革関連
特例
法に基づく
地域
財政
特例債
と同様の
措置
を講ずる、これも前例に従いましてこのような
措置
を講じたわけでございますが、具体的には、これにつきまして臨時財政
特例債
を起こし、そしてその元利償還金につきましては
交付税
で算定する、そして元利償還金に要する
経費
の二分の一は
交付税
で加算をするという
措置
をとっておるわけでございます。 それから残りの千二百億円と申しますのは、
事業
量拡大に伴う
地方負担
の増でございまして、これにつきましては
地方
債で
措置
をする。これらすべて
地方
債で
措置
をいたしましたものにつきましては、いわゆる財対債と同様な
措置
を講ずることにいたしまして、その元利償還金につきましては
交付税
に算入をするということをやるわけでございます。 それから旅費、教材費等一般
財源
化したものについて、これは
交付税
の実質減でないかという御指摘でございますが、この旅費、教材費等につきましては、かねてから
地方自治
体も我々も主張しておったわけでございますけれども、既に
地方
団体の
事務事業
として定着しているような
補助
金については、これを
整理
すべきであるというような考え方に沿ったものであるということで今回これを受け入れたわけでございますけれども、六十年度の
地方財政
収支の見通しの段階におきまして
所要
の
財源
が
確保
できましたので、これにつきましては別途
財源措置
をする対象の外に置いたものでございます。 こういった問題につきまして、いわゆる一般
財源
を食うのではないかということでございますが、六十年度におきましては、例えば
法人税
制の
改正
による増収あるいは電電公社等の民営化に伴う
法人税
の増収、こういったものに伴います
交付税
の
増加
額が大体四百億円程度もございます。そういったこともございまして、今回これを特に
財源
対策
をしなければならないというふうな中にはカウントしなかったわけでございます。
柴田(弘)委員(柴田弘)
170
○柴田(弘)
委員
そうおっしゃいますけれども、この一年間かかって大蔵、自治両省で検討する、六十六年度以降
交付税
で精算するということ、これも国の財政難、これがまかり通っていくのじゃないか、こういう懸念を持っていますし、やはり
交付税
総額の実質減につながる。これは
交付税
で
措置
する、枠内で対応する、こう言っても、
交付税
そのものの全体から言えば、
地方自治
体にとってはやはり実質的につながってくるものである、こういう点を憂慮し、指摘をしていきたいと思います。 それで、今回の国庫
補助
率の
引き下げ
の問題、これは再三再四言われておりますように、大臣もおっしゃっていましたように、これを一律削減をする前に、国と
地方
間の
機能分担
のあり方や
費用負担
のあり方をきちっと見なければならない。順序があべこべだ。これはもうはっきり言えますよ。これは理由がないわけですね。あるいはまた、今回厚生省の
社会保障関係
費が削減のほとんどを占めている。約九〇%を占めている。こういった不当性の問題、あるいは
行政改革
の理念に反した
補助
負担
率の
引き下げ
、やはりこれは問題である。 それから第四番目としては、やはり
地方財政
法第二条二項に違反をするのではないか、こういった疑問点もありますし、あるいは
生活
保護費の削減は、
生活
保護世帯の多い
地方
団体の
財政運営
を困難にする。一割削減による
地方
団体の影響額を見てまいりましても、そういった
生活
保護世帯の多い
地方
団体の
財政運営
に非常に支障を来してくるであろう。あるいはこういった
生活
保護費、
社会保障関係
に対する国の
負担
、これは
国民
の最低限度の
生活
を保障することをうたった憲法第二十五条の規定に基づくものであり、みだりに国の
負担
割合を
引き下げ
るということは国の
行政
責任の放棄につながる。 そして最後に、
地方
への
負担
転嫁というのは、国と
地方
の正滝な財政
秩序
を乱し、国と
地方
との
信頼
協力
関係を失わせる、こういうことになるわけであります。でありますから、私は、本
会議
でもこの撤回を要求いたしました。ところが中曽根総理は撤回をしない、こういう御答弁であったわけでありますね。今後予算修正に絡んでこの問題が大きくクローズアップされてくるわけでありますが、とにかく我が党の主張は撤回であります。 そこで百歩譲って、今度の覚書の問題についていろいろお聞かせをいただきたいのですが、大臣は先ほどから、この
措置
は
昭和
六十年度一年限りだ、こうおっしゃっているんですね。ところが二番目に、この覚書を見てみると、「国と
地方
の間の
役割分担
・
費用負担
の
見直し
等とともに、
政府
部内において検討を進め、今後一年以内に結論を得る」、こうなっておるわけなんですね。「六十年度における
暫定措置
」、こうなってはおるのですが、六十一年度においては五十九年度並みに戻すとはっきり書いていないわけです。大臣が心の中で思っていらっしゃるだけであって、私はこの辺は弱いと思うのです。 大事なことは、この後に一体何があるかということなんですね。こういった
役割分担
、
費用負担
のあり方を検討する中に、一割カットが正しかったなというような結論が出るかもしれません。あるいは一割じゃ足らぬから一割五分なり二割なりやれ、こういう結論が出るかもわかりませんし、また元へ戻すという結論が出るかもしれませんが、いずれにいたしましても、自治大臣がそのようにおっしゃっておっても、六十一年度は元に戻すというわけじゃない、こういうふうに私は考えているわけ。であります。 そこで大蔵省、どうなんですか。今回の、
法律
上はこれは経常
経費
分だけでなくて、
社会
保障費だけでなくて、一年間の
措置
となっているわけですが、これは何も六十一年度に五十九年度並みに戻す、こういうことじゃないでしょう。大蔵省どうですか。この辺をひとつ聞かしてもらいたい。
藤井説明員(藤井誠人)
171
○藤井
説明
員 お答え申し上げます。 先ほど先生がおっしゃいましたように、覚書につきましてはまさにそのとおりでございまして、自治、厚生、大蔵大臣、それに政調会長も入られたところで一応合意を見ておるわけでございます。したがいまして、六十一年度以降の問題というものにつきましては、まさにこの覚書の文言に書いてございますように、今後
政府
部内において検討を進めて一年以内に結論を得るということでございます。現時点におきましては、
政府
部内での検討の具体的方法等につきまして、関係省庁間で鋭意検討しておる段階でございます。 いずれにしましても、今後関係方面と相談した上で、六十一年度以降の取り扱いについての結論が得られますれば、そういうものをしんしゃくしまして対応させていただきたいというように考えております。
柴田(弘)委員(柴田弘)
172
○柴田(弘)
委員
大臣、私は大蔵
委員会
に長くいて、大蔵省のやり方はよくわかっておるわけです。行革関連の
特例
法案、三年間の
暫定措置
、あれだって、あのときの議論も同じような議論だった。三年間だった。今日、先日国会で大蔵省が提出をいたしました「財政の中期展望」を見ましても、もう六十一年度以降大幅な赤字、要調整額が出ているわけですよね。今回の六十年度の一割カット、一律削減は、国の財政上の問題だけで何の理屈もなくばっさりとやられたということがあるならば、六十一年度に元へ戻すというのであれば、自治省としてもよほどの正当性を持った議論をして、理論的にも現実的にもこうなんだからこの一割カットはけしからぬのだ、
地方
と国とのあり方はこうなんだというものをきちっとしていかないと、また大蔵省にやり込められてしまうだろう、こういう心配を私はしています。 その上、国の財政に比べて
地方
の財政はだんだん明るさが見えてきた。今
地方
行革の問題もおっしゃった。なるほど
地方
行革をやらなければならない。しかし、一生懸命
地方
は
地方
行革をやっても、仮に余裕
財源
ができた場合、それを
地方
の
住民福祉
のために使おうと思っても、今回のような一律カットで取られてしまったら、一生懸命
地方
行革をやりなさいと幾ら国が言ったって
地方
はやりませんよ。そういった問題もあります。 私は、
地方
が財政豊かになるのは結構なことだと思うのです。大蔵省に言わせれば、我々は「財政の中期展望」を出している、ところが自治省は
地方
の財政の中期展望は出さぬ、これは
地方
の財政がだんだん明るくなってくるから出さぬのでしょう、こんなことを、まあだれとは言いませんが言う方もある。やはり大蔵大臣と話していくには一筋縄ではいかない。私は警告を与えておきますけれども、どうかひとつ正当性ある理論づけ、現実的な理論づけを持って対応していただきたい、こういうことを思いますが、具体的にどうですか。
古屋国務大臣(古屋亨)
173
○
古屋国務大臣
地方自治
の立場から柴田先生の御意見、まことに私も傾聴いたしました。今言われるように、そういう大蔵省との折衝の経験とかいろいろの点につきましては先生の方が御経験が多いかと思いますけれども、私も率直に申しまして、党の
最高
幹部による調整でございましたのでこの問題は条件つきで今のようなお話にしたのでございますけれども、今後が問題でございます。御意見の点は十分よくわかりました。 ただ、
地方財政
も御承知のように、五十六、七兆の赤字、借金を抱えておりまして、まことに厳しいものがありますのでそんな余裕はないはずでございますが、数字の魔術というようなものもまた世間にはないでもないと思いますので、ひとつそういう点はよく勉強いたしまして、理論的にも私どもも対抗できるような勉強をさせていただくつもりでございますから、よろしく御
指導
願います。
柴田(弘)委員(柴田弘)
174
○柴田(弘)
委員
それでは、ちょっとあと一つだけ簡潔に答弁をいただきたいのです。 これは先日の本
会議
の質問の関連になってきますが、中曽根総理は、
地方税制
についても、国と
地方
との税源配分のあり方などを含めて抜本的な
見直し
を行う、こうおっしゃっておる。それを受けて自治大臣も、
地方交付税
については
交付税
率の
引き上げ
あるいは対象税目の拡大、こういったものが検討対象になってくるだろうとおっしゃっているのですね。やはり
地方
行革あるいは国と
地方
間の権限移譲、今相当意欲を持っていらっしゃるわけであります。当然これに
財源
が伴っていかなければなりませんよね、
地方
に。その辺の具体的なお考え方、スケジュール、例えば六十一年度以降に大幅な税制
改正
をやっていくのか、そこら辺簡潔で結構ですからお伺いして、時間が参りましたので質問を終わります。どうでしょうか。
古屋国務大臣(古屋亨)
175
○
古屋国務大臣
この間本
会議
で先生からもお話がございました。
地方税制
の問題につきましては国とも関係がございます、また税調等の関係もございますので、あくまでもそういう場合におきましては、
地方自治
、
地方
の自律性ということを
中心
にいたしまして、それを理念に置きまして私どもは
措置
をしてまいりたいと思うのでありまして、国も厳しいが
地方
も厳しいという実態を踏まえましてこういう検討問題を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
柴田(弘)委員(柴田弘)
176
○柴田(弘)
委員
では、終わります。
高鳥委員長(高鳥修)
177
○
高鳥委員長
次に、岡田正勝君。
岡田(正)委員(岡田正勝)
178
○岡田(正)
委員
自治省の方と
警察
庁の方に両方お尋ねをいたします。先に
警察
庁の方にお尋ねしますけれども、長官はのっぴきならぬ所用があるというお申し出がございましたので、了解をいたしましたから、
政府
委員
の方で対応していただきたいと思います。 今
国民
が何といっても一番腹立たしい問題は何だといって投票させたら、恐らくグリコ・
森永事件
じゃないかと思うのであります。もう何とも言えない、いら立たしい、どうかならぬのかという気持ちではないかと思うのであります。 そういう気持ちを持ちながらここで質問をさせていただくのでありますが、質問をする反面で、国会の
地方行政委員会
で、
警察
庁に対して、各党の議員が口をそろえて怪人二十一面相の問題を取り上げておるげなということで、これまたマスコミさんに書いてもらうと、怪人二十一面相が本当にイッヒッヒと言って喜ぶんじゃないかと思うのです。だから私は、これはもう記事にしないでいただきたいと思っておるんですよ。記事にすることによって、何かしら新聞には書かれる、週刊誌には書かれる、テレビではじゃんじゃん放送するものですから、一躍
時代
の英雄になったような気分に、錯覚を起こしているんじゃないかというぐらいに私は思っておるんでありまして、憎んでも飽き足らない連中であると憤慨を込めて実は質問をするのであります。 去る二月十二日から十三日にかけまして、東京、名
古屋
に計十三個、これは回収されたのが十三個ですが、シールつきのチョコが路上だ、デパートだ、あるいは公衆便所等に無差別に散布をされておりました。これは従来の店頭や新聞社から、場所を無差別に拡大いたしました。またチョコも、今までのグリコ、森永、不二家に加えて、新たに明治、ロッテ、この五社になりました。しかも昨年十二月の予告状のとおり、バレンタインデーをねらってのものであったと思います。戦術のエスカレートではないかと受け取っておるのでありますが、昨年三月十八日の
事件
発生以来早くも十一カ月でございます。 また、関西を
中心
として全国四万五千人の
警察
官を動員しての警戒も実に十九週目に入っております。それはもう正月休みまで返上して、まさに家を忘れての、寝食を忘れての懸命な
捜査
にかかわらず、いまだ犯人逮捕に至っておりません。
警察
官の諸君の御心痛というものは本当に察しても余りあるものがありますが、市民のいら立ちと、業界のこの種
犯罪
に対抗しようと思ってもどうしたらいいのかやりようがない無力感、不安感というものは実に大きなものがあります。 そこでお尋ねをいたしますが、最近の犯人の動きをどう判断しておられるのですか。いま一つは、犯人
捜査
の現況は一体どうなっておるのでありましょうか。 今からお尋ねをする
警察
庁関係のこの質問は、
捜査
の機密に属するような問題もあるかと思いますので、そういう際には答弁がややつっけんどんな返事になることがあるかもしれませんが、それは私は
捜査
に
協力
する立場にありますから決して腹を立てませんので、木で鼻をくくったような返事でも構いません。これは異例のこととして私は了承いたしますから、そのおつもりで御返答願います。
金澤政府委員(金澤昭雄)
179
○金澤
政府
委員
できるだけ詳しく答弁をさせていただきます。 まず、最近の犯人の動きをどう見ておるのかという御質問でございますが、既に一年近くを経過いたしておるわけでございますが、きのう送ってまいりました二十一通目の挑戦状ということで、最近になりましても挑戦状を送りつけて、企業と
警察
の両方の
協力
体制
、少しでもその中にひびを入れよう、こういう意図が見受けられるわけでございます。 それと、この挑戦状はマスコミ各社の方に送られてくるわけでございますが、そのマスコミがその挑戦状を報道するということによりまして、
社会
に対する犯人の影響力といいますか、
社会
に与える動揺といいますか、そういうものを今後の脅迫に利用しておる、こういうことだと思います。したがいまして、きのう送られてまいりました挑戦状から見ても察することができる点は、やはり依然として挑戦状を送りつけ、企業と
警察
の間にひびを入れ、世間を動揺させて裏取引をねらっておるというのが今現在での犯人側の
状況
だと思います。 それともう一つ、
捜査
の現況はどうかという御質問でございますが、現在の
捜査
の
状況
と申しますと、大きく分けて二つございます。 一つは、
基本
的な
捜査
ということでございまして、これはいろいろと入ってまいります人に関する
情報
、これは公開をいたしました似顔絵その他の関係から入ってまいります
情報
でございますが、その
情報
の
捜査
、それといろいろと残っております物からの
捜査
、この二つの面。それに特別巡回連絡ということで、広く
地域
からの
情報
収集ということをやっておりますので、その面からの
情報
収集、これが
基本
的な
捜査
でございます。 もう一つの面といたしましては、犯人側が現金受け渡しを要求してくる場合、その現場において犯人を捕捉する、そういった面での
捜査
でございまして、これは過去のいろいろな例にかんがみまして、私どもの方もできるだけの対応、十分な訓練ということで今いろいろと準備をやっておる、こういう
状況
でございます。 いずれにしましても、
捜査
の量、人手、時間というものが非常に大量に必要でございますので、一年という長い月日を要しておるというのが現状でございます。 以上でございます。
岡田(正)委員(岡田正勝)
180
○岡田(正)
委員
今後の見通し。
金澤政府委員(金澤昭雄)
181
○金澤
政府
委員
この見通しが一番難しいわけでございますが、何回もお答えをしておりますように、一日も早くというのが私たちの気持ちでございますし、これはまた
国民
の気持ちであろうと思います。そういうことを外しまして現在懸命に
努力
をしておるということで、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
岡田(正)委員(岡田正勝)
182
○岡田(正)
委員
ありがとうございました。余り木で鼻くくっておらぬですね。非常に丁寧でございました。 続いて今の問題でお尋ねしますが、
警察
がこのように追い込められたということは今までその例はないんじゃないかというふうに私は思うのであります。自民党さんにおきまして毒物混入防止法案を議員立法で出したらどうかという動きがあることに見られますように、この
事件
は政治問題化しようとしているのであります。現在までの
捜査
の
体制
、方法につきまして市民の中から、
国民
の中からいろいろな批判が出ております。その批判の中には、これはまともには受け入れられぬものでありますけれども、ひょっとしたら
警察
の中におるんと違うかというような批判もあります。しかし、これは質問としては適当でありませんから除外いたします。 そこで、人事の面でお尋ねをいたしますが、ベテラン刑事の方々がちょうど代がわりをしていくときに当たっておるようであります。そのベテラン刑事の退職による新旧交代期の能力不足ということがあるんじゃないのだろうか。 それから、
教育訓練
の不足、これは先ほども出ておりましたが、
教育訓練
の不足があるんじゃないか。なぜなら、例えば局面での初歩的なミス。極端なことを言うならば、うん、あれはね、わざと泳がしたのよなんてなことを言って、あら、どこへ行っちゃったの言うたらわからぬのです、こういうことがある。 それから、
警察
人事管理の現代
社会
への不適応な面があるんじゃなかろうか、これが人事面における
国民
の批判でございます。 第二の批判は、
体制
や
組織
面における批判でございまして、公安、警備を優先することによって刑事部門が弱体化しているんじゃないのだろうかという批判があります。 それから、広域
捜査
を行うにつきまして、府県警間の対立が大きな原因になっておるんではないのだろうか。 それから、
警察
といえば、とかくそれは
捜査
上の機密でございます、こういうふうになるわけでございまして、今からの答えもそれで結構でありますが、とかく独善的、秘密主義に陥り過ぎておるのではないだろうか。外部の意見というものを意外に採用しない、消極的であるというふうな批判があります。 さらに、民間
協力
の
確保
に消極的なんじゃないかなという批判がございます。こういう民間
協力
が消極的になるという一つの原因の中にも、これも言うも恥ずかしいことでございますが、現職の警官あるいは元
警察
官の数々の不祥事犯が起きております。こういうものを根絶しなければ市民に対する
信頼
は回復しないんじゃないかなという批判があるのであります。 第三の批判は
捜査
技術面の問題でございまして、個人の精神主義、それから口伝、口伝えに依存をいたしまして、科学的、合理的、
組織
的
捜査
技術が弱いんじゃないだろうか。これはマニュアルの作成が必要ではないかなということが批判されております。 それから、
情報
社会
の
犯罪
に対応した
捜査
技術の開発というのがおくれておるんじゃないかなということが言われております。パトカーによる職務質問の方法とその追跡技術の開発、これもおくれておるんではないかなというふうに思うのであります。これは具体的には滋賀県下の犯人の見逃しの問題であります。 第四は、
装備
面の問題であります。
装備
面につきましては、最近
警察無線
の盗聴や妨害が頻繁に行われ、
事件
発生時の緊急配備や現場での
捜査
活動に支障を来しておるということは大変な問題であります。大臣の
所信
表明におきましても、緊急事態として
警察無線
の傍受、妨害を防止するために、
警察無線
の
ディジタル化
を最
重点
に、
装備
、資器材の
整備
を行いたいと述べていらっしゃいますが、そこでお伺いしたいのは、現在の
警察無線
は年間どのくらい傍受をされたり妨害されておるのでありましょうか。また、そうした傍受、妨害の防止のための予算その他の
対策
は一体どうなっているんだろうかというような
国民
、市民の批判がございますが、お答えください。
金澤政府委員(金澤昭雄)
183
○金澤
政府
委員
それではお答えをいたします。 まず、刑事の、ベテラン
捜査
員の大量退職の問題から申し上げますと、確かに、
昭和
五十六年から現在に至りまして大量退職、大量交代の時期に当たっております。したがいまして、それを見越しまして
昭和
五十五年から私どももベテラン刑事の交代に伴います新たな
捜査
員の育成、養成ということを努めておりまして、新しく刑事に任用する場合には、その
資質
であるとか体力であるとか、勤務の成績、そういったものを勘案してまず任用候補者名簿に登載をいたしまして、それから任用をいたします。そうしますと、一定期間
警察
学校に入れまして、もう一遍基礎的な知識から訓練をし直します。また、第一線に配置をいたしました後も、ベテランの刑事とマンツーマンの
体制
を組みまして、実際の実務を見習わせるということで教養をやっておるわけでございます。また、その後も専門の教養を各段階の学校におきまして実施をしておる、こういうことで大量退職期に対します
対策
と教養訓練ということをやっておるわけでございます。 また、初歩的なミスが、確かにお話しのように散見をされるわけでございましてまことに残念なわけでございますが、わざとやって泳がすというようなことは毛頭ないわけでございまして、やはりそういう場面もこれは訓練の不足という点もあるかと思いますが、残念な場面で残念なミスということで、今後一層こういう教養訓練は
徹底
していかなければいけないというふうに考えております。 それから、人事管理
体制
の面ということでお話がありましたが、公安優先で刑事が弱体化しておるのではないかというようなお話がございましたが、これは私、今刑事を担当いたしまして感じますのは、そういうことはないというふうに確信をいたしております。 一つ例をとって申し上げますと、去年の
捜査
本部設置件数ですが、一年間で百五十二件
捜査
本部を設置いたしました。これは過去十年来の
最高
の設置件数でございまして、世の中がそういう意味では物騒になっておるということの一つのあらわれかと思いますが、これの解決が百八件でございまして、七一%ちょっと超えております。この七一%の解決率と申しますのは、過去十年閥の
最高
の解決率でございます。全般の
検挙率
等も上がっておりますが、これはさておきまして、全力投球でやっております
捜査
本部の解決が過去十年の
最高
ということ一つだけでも、例でございますが、刑事
警察
は弱体化していない。ただ、グリコ・森永が非常に難航しているというのがそういう印象を強く
国民
に与えておるのではないかというふうに反省をしております。 それから、広域
捜査
の問題で各県の対立ということがございました。これは競争意識がないと言うとうそになりますし、競争意識はもちろんあるわけでございますが、その競争意識を少しでもいい方向に向けるべく
警察
庁管区が間に入りまして
事件
の調整を行っているというのが現状でございますし、今後もそういった面で大いにやっていきたいと思います。 それから、独善的、秘密主義というようなことで外部の意見を余り聞かないのじゃないかということがございましたが、
捜査
と申しますのは秘密で行うというのが原則でございます。しかし、その中で私どもも一般
国民
のいろいろな御意見なり外部の意見というものはできるだけそれに耳を傾けまして、取り入れられる点はできるだけ
捜査
の実行面に取り入れていくということで考えております。 民間
協力
の
確保
という点について消極的ではないかというようなお話がございましたが、これもいろいろな公開、似顔絵とかビデオとかの公開ということによりまして、ケース・バイ・ケースでございますけれども、早く解決して
国民
に安心感を与える。こういう
事件
につきましてはできるだけ公開できるものは公開して
国民
の御
協力
を得ていこう、こういうつもりでございます。 〔
委員長
退席、臼井
委員長
代理着席〕 それから、
捜査
技術上の点でいろいろお話がございました。これは全くお話しのとおり私どもも考えております。昔ながらの個人のいろいろな技術の伝承ということも重要でございますけれども、最近のコンピューターを使いました
科学技術
をできるだけ
捜査
の新しい手法として取り入れていくということは当然必要でございますので、コンピューターを利用したいろいろな
情報
の処理の問題から、また自動車のナンバーの自動読み取りシステムということも今開発中でございますし、こういう問題を常に考えながら今後もやっていきたいというふうに考えております。 最後に、
装備
面で無線の
ディジタル化
ということがありましたが、無線が盗聴されておるというのはこの前の滋賀の例ではっきりいたしまして、去年の、五十九年度の予備費でもその
ディジタル化
の
推進
が一歩進みましたし、また、現在提出をいたしております予算案につきましてもその面のお願いがしてございます。そういうことで、今後もできるだけ早い機会にこういう面での
充実
整備
を図ってまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。
岡田(正)委員(岡田正勝)
184
○岡田(正)
委員
お答えにならぬところもありますが、あれは木で鼻をくくったんだと思いまして、了承いたします。
警察
庁に対する第二の問題といたしましては、広域
暴力団
。私はおかしいと思うのですよね。 八九三番といったら何かいなと言われて、はあ、と言ってびっくりしたのですがね。大臣、わかりますか、八九三といったら。
古屋国務大臣(古屋亨)
185
○
古屋国務大臣
今のお話のやくざです。
岡田(正)委員(岡田正勝)
186
○岡田(正)
委員
そうそう。さすがは大臣ですね。八九三というのはやくざのことを言うのだそうでありますが、文明開化ももう随分の時間がたった今日において、なおかつ日本の中では
暴力団
、やくざ、こういうようなものがまだまだ大威張りで歩いている。お城のような、御殿のような家を建てておるかと思えば、大勢の部下を従えて、そこのけそこのけお馬が通ると言わんばかりの、まことに市民のひんしゅくを買うような
暴力団
が存在をしておること自体がどうもよくわからぬ。どうしてあれがなくならぬのだろうかというのが
国民
の素朴な疑いじゃないかと思うのであります。 市民の諸君がちょっとスピード違反をした、あるいは十キロオーバーした、あるいは十五キロオーバーしたといっても一々随分御親切な、丁重きわまる御
指導
を受けるのでありますけれども、しかしながら八九三番の人には余り
指導
がないのじゃないか、野放しになっておるのじゃないか、自分がやられたからそう思うんでしょうけれども、実はそういうような批判が多いのですよ。 御承知のとおり、去る一月二十六日、山口組の四代目組長が、対立する一和会の方から狙撃をされまして殺害をされました。その報復、抗争激化はもう必至であろうと見られておりまして、機動隊の人たちは御丁寧に我か一般市民を守ってくれておるのかどうか。いや、そういうことを言ったらいけませんね、守ってくださっておるのでしょうが、しかし現実にSPの人がついてまわっておるのは大臣くらいですわな。我々国
会議
員でもそんなについて歩いておるものじゃない。 ところが、その八九三番は機動隊の人が盾を持って守ってくれますから、これは何とまあ結構な御身分だなというのが
国民
の声ですよ。あれは市民に累を及ぼさないためという配慮でやっていらっしゃると私は理解をしておりますが、テレビなんかを見てひょいと子供たちが言葉に出して言うのは、やくざというのはすごいんだね、こう言います。ああやって
警察
が守ってくれるのと言って、おもしろい理解の仕方があるものだと思うのであります。 既に兵庫、福井、石川、高知等においては、早くも小競り合いが始まっておると聞いておりますが、今までのこの問題に対する
取り締まり
の
状況
はいかがなものでありますか。 そして、こういう抗争
事件
にあってはならぬことでありますが、
昭和
五十年に大阪戦争というのがありましたね。これも山口組と松田組との対抗でありますが、その際に三名の市民が巻き添えを食っておる事実があります。今回はまだ幸いでございますが、市民を抗争
事件
に巻き込んではならないと思うのでありますが、その
対策
はいかようにされておりますか。 以上、二点であります。
金澤政府委員(金澤昭雄)
187
○金澤
政府
委員
まず、山口組と一和会の対立抗争についての
捜査
状況
でございますが、一月二十六日に発生をいたしました山口組四代日組長の射殺
事件
に端を発しまして、現在までに福井、石川、兵庫、高知、大阪等で十四件の関連
事件
が発生をいたしておりますが、この十四件につきましては、いずれも小競り合い的な
事件
でございまして、本格的な抗争は現在のところ発生をいたしておりません。
警察
庁におきましては、この一月二十六日
事件
発生直後、庁内に山口組の組長狙撃
事件
対策
室というものをつくりまして、それと同時に二月一日に大阪に全国の
暴力団
担当、特に山口組、一和会、これを管内に持っております府県警の
暴力団
担当
課長
を集めまして、ここで全国に指示をいたしております。 その内容は、山口組、一和会の構成員、これはできるだけ幹部を含めましての構成員、これを大量に検挙するということが一つ。それとあわせましてけん銃を
徹底
的に摘発するということ。それにもう一つ、これは最も大きい問題でございますが、
徹底
した市民の保護ということで、今お話がありました市民を絶対に巻き添えにしないということで、市民保護の
徹底
、これを全国に指示いたしたわけでございます。現在までに山口組、一和会両方で六百三十一名を検挙、逮捕いたしておりまして、けん銃四十一丁を押収いたしております。 また、十四件対立抗争
事件
が発生をいたしたわけですが、そのうち六件につきましては犯人を現場で逮捕いたしております。今お話いたしました現場といいますのは、対立しておる組の
事務
所、これに張りつけ警戒をしております機動隊、制服の部隊員が現場で逮捕したというのが六件、けん銃を十丁現場で押収をしておるという
状況
でございます。そのほか職務質問によりまして六人を逮捕し、けん銃を六丁押収しております。 こういう
状況
でございまして、できるだけといいますか、最大の力を持ちまして市民を保護する。現在組の
事務
所その他対立抗争の起こりやすい場所に張りつけをいたしておりますのは、三十一都府県下で約二百カ所、これに約二千名の
警察
官を動員する。これは絶対に
暴力団
員を守るという思想でやっておるのではなくて、市民を保護し、
事件
が起きた場合には現場で検挙する、今言いました十四件中の六件が現場で検挙されておりますが、そういうために機動隊その他の警戒員を配置しておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
岡田(正)委員(岡田正勝)
188
○岡田(正)
委員
よくわかりました。今伺ってみますと、六件で実に三十一都府県で二百カ所、しかも二千名の方が市民を守るために張りついておる。しかも着々とその
実効
を上げていらっしゃるということを聞きまして、市民保護の
対策
も万全であるということをお聞きしまして、本当に力強く思いました。兵庫県警、大阪、そういうところはグリコ・森永と一緒になってしまって、本当に大変なことだろうと思うのであります。疲れを出さぬように、一人も倒れることがないように、元気で頑張っていただきたいと思います。 さて、山口組は次の五代目と目されるような人が見当たらない、幹部が見当たらないという現在の
状況
だと言われておりますが、こういうときにこそ
警察
は
徹底
した
取り締まり
と分断作戦と、そして壊滅に持っていく絶好のチャンスが来ておるのじゃないかというふうに私どもは思っております。ぜひともひとつ元気を出して平和な日本、市民
生活
を守ることができますように、ここに
警察
があるということを
国民
に見てもらうためにも、ぜひ頑張っていただきたいと思うのであります。 さて、
警察
庁に対する質問は以上の二問でございましたが、この機会に国家公安
委員長
であります大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
古屋国務大臣(古屋亨)
189
○
古屋国務大臣
森永・グリコ
事件
につきましては一日も早く検挙する、そういう態勢で全力を上げるように
警察
庁に指示をしておるところでございます。
暴力団
の問題は、山口組等のこういう
暴力団
は、今回の
事件
を契機として壊滅するまで
徹底
的に
取り締まり
を続けるということで、私ども強くこれを
警察
に要請し、やらせておるところでございます。
岡田(正)委員(岡田正勝)
190
○岡田(正)
委員
委員長
ありがとうございました。大変気合いの入った御見解でありまして、本当に頼もしいですね。とにかく何をするよりグリコ・森永は一日も早く犯人を挙げることである、強く強く指示をしておる、そしてこの機会にこの山口組を
徹底
的に壊滅するまでやっつけろと言っているのだ、すばらしい進軍ラッパが鳴りまして、私も本当に喜んでおるところであります。 さて、そこで最後に私は要望を、大臣として国家公安
委員長
として申し上げたいと思うのでありますが、
警察
というものは自衛隊に対比をいたしますと、自衛隊というのは
国民
の生命と財産と国土を守るために外敵に対して備えてあるわけですね。これがいわゆる防衛力でございますよ。その防衛力に対してはほとんど聖域扱いですね。それでGNP一%の枠が、あと八十九億でしたかで突破するかせぬかというようなことを論じているぐらいでしょう。一番珍重されて予算もたっぷりとつけてもらっておるのですね。ところが、
国民
の皆さんには、今外敵は来ておらぬですから、まだ一発も弾を撃たれておらぬですから、よくわからぬ、ありがたみがわかりません。ところが
警察
というのは、外部に対する自衛隊に比べて、中で
国民
の
生活
と生命と財産を守るために二十四時間じゆう働いている
組織
でございましょう。言うならばこれは日本の内部の自衛力ですよね。 私は聞いていませんでしたけれども、とにかく今いろいろと予算の関係も出てきておりますけれども、
警察
庁の方では、これがあればな、これがありさえすればなというものがあると私は思うのですよ。それが、こういう緊縮財政なものですから、ゼロシーリングだ、マイナスシーリングだなんてやるものですから大蔵省から締めつけを食っちゃって、それで初めから予算を出していくのにある程度あきらめているところがあるのではないのか。 私は、むしろ
国民
の諸君からいったら、
警察
は、
国民
には優しく犯人にはすばらしく凶暴なくらいにやってもらいたいと思う。恐ろしいトラくらいにやってもらいたいと思う。
国民
には羊のようにやってもらいたい。そして、そのために要るべき金があったら幾らでも出してやろうじゃないか。我々の税金だ。我々は何のために税金を出しているんだ。何といっても一番大事なのは自分たちの生命と財産と平和ではないですか。それを崩されたら何にもならぬじゃないですか。きょうの晩、血が垂れるようなビフテキを食ったって、あしたの朝冷たくなっておったら何にもならぬですよ。 だからそのことを考えたら、大臣は、
警察
庁が予算をおつくりになるときには思う存分要求をしてこい、担当大臣としてそういう御指示を願いたいと思います。そして大蔵省とかけ合って、大蔵省が防衛力の問題については一指も触れないのに、
警察
力の予算については遠慮会釈なく削り込んでくるということがあったら、
国民
の前に大臣が明らかにしたらどうですか。私はやり方がなまぬるいと思う。大蔵省の圧力に負けないように、大臣、元気を出して頑張っていただきたいということを要望いたしまして、
警察
庁に対する質問は終わります。ありがとうございました。 それでは次に、今度は本番でありまして、自治省の方をやらせていただきます。 大臣には、長い長い予算
委員会
でずっとあそこにくくりつけに遭っておりまして、本当に御苦労千万だと思います。きょうぐらいは一日お休みがとれればいいのに、続いてまた
地方行政
がこうやって朝から晩までやるのですから、これはまあ
委員長
に文句を言ってください。 さて、そこでお尋ねをするのでありますが、大臣はこの
所信
表明の中におきまして、
我が国
の
社会
経済
はさまざまな面で
成熟化
が進み、
国民
のニーズはますます多様化する中で、
住民
と最も身近に接している
地方公共団体
の
役割
はますます重要になってくると述べていらっしゃいますね。そこで、
昭和
六十年代を迎えまして、今後の自治
行政
の進むべき道、取り組むべき
課題
は一体何だと考えていらっしゃるか、大臣の所見を伺います。
古屋国務大臣(古屋亨)
191
○
古屋国務大臣
最近の非常な
科学技術
の進歩という点が一面、他面におきましては人口の老齢化が非常に進んでおるというのが今の大きな二つの現象ではないかと私は考えております。 その中におきまして
経済
がある程度の伸展はしておりますけれども、しかしまだひずみが完全に是正されていないといいますか、そういうような分野が相当ございます。
地方自治
といたしましては、
地方
住民
の手によって、潤いのある心豊かな
社会
生活
ができるような
地域
にするということが私は一番の目標ではないかと思っております。ただ、これは私の理念でございます。 それを実現するためには、やはり厳しい財政下におきましても金も必要でございます。同時に、例えば公共
事業
費等が減りますと、
地方
でやりたい仕事もできない、こういうのは単独
事業
等でやる場合に、ある程度の財政的なバックアップをしていくことが私は必要だろうと考えております。 だから、先ほどもどなたか先生のお話のように、
地方
の
行政改革
といっても
地方
では相当進めております。進めておることは事実でございます。ただ私が言っておりますのは、それが非常にアンバランスであるからもっと
組織
的にやってもらうとありがたいという気持ちでございますけれども、何といっても本当の
地方自治
を阻害しているのは国の
必置規制
だ。何人人を置けとか国の関与だとか、さっきも申し上げました国の権限をなかなか
地方
に譲らない。あるいは許認可も、必要なものもあるでしょうが、もっと改めてもいいようなものもあります。 幸い臨調関係の審議会で今いろいろ審議をされておりまして、
必置規制
と国の関与は暮れに答申が出ました。これは今
法律
化されて近く国会へ提出されることと聞いております。権限移譲の方は今審議されておる、やっておる真っ最中でございます。だから、これは答申が出るのは恐らく六月になりますか、できるだけ早く出してもらいたい。ということにならぬと、本当の
地方自治
、自分たちの手で自分をやる、国が邪魔しておるというようなことは思わしくない
状況
である。 そういう意味におきまして
地方
の
活性化
を図る。本当の町づくりを、自治省としては起債、
交付税
等によって
地域
で本当にやりたいこと、そうしてそれが本当の
地域住民
の気持ちでありますならば、公共
事業
の方は予算が減っておりますが、そういうものも単独
事業
としてやり、それをバックアップするような費用といいますかそういう
措置
は、潤いのある
地域
のための
行政
としてぜひ頑張ってやっていくように
努力
をしておるわけでございます。
岡田(正)委員(岡田正勝)
192
○岡田(正)
委員
なかなか結構でございます。本当に潤いのある、しかも心豊かな町づくりをモットーに大臣が非常に苦心していらっしゃるお気持ちがよくわかりまして、ありがとうございます。 次に質問の第二でありますが、
地方行政
を見る
国民
の目は大変厳しいものがありますね。特に
昭和
六十年度の
地方財政
は、
国庫補助負担率
の
引き下げ
がなかったとしたら、その収支はバランスがとれて、
地方財政
は国の財政に先駆けて財政
再建
に向けて着実な一歩を踏み出してきたかのような感が見受けられるのであります。 このため
昭和
六十年度の
国庫補助負担率
の
引き下げ
、これは逆に、そういうふうにバランスシートがとれたものですから、
地方
は豊かだなという感覚にとらわれたのか
負担
率を
引き下げ
まして、一割カット、それで五千八百億円を
地方
へ転嫁、そのうち一千億円だけは、文句をつけられますから
交付税
で
措置
しよう、あと四千八百億は借金になって残るけれども我慢せいや、おまえたちは豊かなんだから、こういうことで無理やり押しつけられた。 この三大臣の覚書を書くときには、私は、恐らく大臣は宿に帰って泣いたのではないかと思いますよ。本当に苦しかったと思う。それほどまでに大蔵省が力を持って押してくる、今後この風圧はますます強くなるであろうと私は思うのであります。大臣のお役目も大変でありますが、国と
地方
の
経費
負担
区分の
見直し
のみならず
交付税
率の
引き下げ
など、国と
地方
の間の
財源
配分の変更に飛び火してくるのじゃないか、
補助
率のカットに成功しましたから、今度は
交付税
の
税率
の
引き下げ
にまで飛び火をしてくるのじゃないかということを私は本当に真剣に危惧をしておるのであります。 先ほど来大臣が各議員の質問に対しまして、
補助
率の一割カットというのは一年限りの
措置
だ、ことしだけだ、来年から戻るんだと私は
期待
をしておると口を酸っぱくしておっしゃいますが、各議員が座っておって隣同士で大臣の答弁を聞きながらお互いに話をするのは、大臣がああ言ってもそれは戻りはせんぞ、大蔵の方の力で押しまくられてこれはずっとそのままになってしまうおそれが強い、心配だなあとみんな言っているのです。議員の心配も大臣の心配も一緒だと思うのでありますが、
地方財政
の
確立
は
地方自治
の根幹にあるのでありますが、今後の
地方財政
のあり方、こういう風圧の強くなっているところで、特に国と
地方財政
のあり方について大臣はどのような
基本
的な姿勢で臨んでいかれますか、
所信
を伺います。
古屋国務大臣(古屋亨)
193
○
古屋国務大臣
岡田先生のお話でございますが、私は、
地方財政
で一番問題なのは
財源
の問題であり、税の問題だと考えております。
国庫補助負担率
の一割カットということは私にはまことに残念なことでございましたけれども、一年限りというのは覚書できちっと書いて、政調会長もそばに判を押しておりますので、変な言葉で言いますとだまされることはない、私はそういう気持ちを持っておりますし、まただまされてはかなわぬ、こういう決意でおります。その証人の党の方もおりましたので、私はとにかくこの間にどういう分担でやるか、どういうふうにするかということを十分検討いたしまして、皆さんの
地方自治
の立場、その上にのっとりまして進んでいきたいと思うのです。 ただ、非常に大蔵省が強いというお話でございます。まあ私ども国務大臣としては同じだし、竹下先生は、私も副幹事長で、彼は筆頭で私は下の方だったけれども一緒にやっておりますし、お気持ちもわかっておりますから、ああいうふうにうまい答弁はできませんけれども、誠心誠意込めまして、私は覚書の趣旨をとにかく実行していくということで必ずやってまいりたいと思っておりますので、よろしく御
指導
をお願いしたいと思います。 〔臼井
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
岡田(正)委員(岡田正勝)
194
○岡田(正)
委員
大臣の本当に素直な決意を承りまして、私も本当にうれしいのです。しかしながら、小学校の生徒に、世の中で一番悪いやつはだれじゃ、言ってみいと言うたら、政治家だ、こう言うのですね。いや大臣、本当にびっくりしましたよ。私はバッジを外しておったからよかったです、そのときは。上着を脱いで仲間に入っておったらそう言うのですよ。子供に至るまで政治家というのはろくなやつじゃない、こう思われておる。だが、今お話の出た方々、○○さん、某さん、某さんはこんなことはないと思います。大臣と同じように私もその覚書を守ってもらえるものと信じておりますが、三年間ちょっと金を貸してくださいといった健保初めのあの金ですね、あれもとうとう三年過ぎたですけれども、またずるずるっといきましたね。 ああいうふうに、そのときになったら舞台へ出てくる役者が変わっているわけですから、この前のあれはシナリオが違うんですと言われればそれまでかもわかりませんが、どうも政治家というのはえてしてそういうことをやりがちである。だから、先生のような素直な気持ちを持ったきれいな心の政治家、しかも大先輩で実力があるんですから、もしこの覚書と違うことをやったら、おのれ金丸って言ってグサッと刺し違えるほどのお気持ちを持っておいていただきたいと思います。その決意は伺えません、そんなことを聞いたら人格を軽視したことになりますから聞きませんが、そのつもりでやってくださいよ。金丸さんというのは義理と人情に非常に厚い人だそうですから、恐らく中曽根さんが何と言おうとその約束は守るであろう、私も信じたいと思います。 次に、問いの三番であります。 大臣は去る一月二十二日にいわゆる
地方行革大綱
を策定されました。
地方
団体における
事務事業
の
見直し
、
組織
、機構の
簡素合理化
、
給与
及び
定員管理
の
適正化等
の
行政改革
を強力に
指導
していきたいとの
所信
を明らかにしていらっしゃいます。もとより我が民社党は
行政改革
の重要性をつとに強調をしてきたところでございまして、大臣の
所信
には賛意を表するものでありますが、問題は国の側において、ややもすると行革は済んだよ、国は行革が済んだから今度は
地方
だというような、そういう気持ちが先に立ってくると、これから先どうなるのかなという心配があるのであります。 そこで、
地方
の行革を真に
実効
あるものにするために、既に繰り返し指摘をされておるように国の
機関委任事務
、国の関与、
必置規制
、さらには国庫
補助
制度のあり方、許認可制度の
あり方等
に踏み込んだ国と
地方
の関係の幅広い
見直し
が必要だと私どもは考えておりますが、こうした問題についてどのように取り組んでいかれるおつもりか、またその実現の見通しは一体どうなんであるか、具体的に大臣の御所見を伺います。
古屋国務大臣(古屋亨)
195
○
古屋国務大臣
地方
行革の問題でございますが、私は
地方
行革は二つの方面から見ている。一つは
地方
団体がみずからの意思に基づきまして、みずから
地方
の
行政
を
住民
の立場に立って
改革
していくこと。もう一つは、
地方
がやろうと思っても、今言ったような先生のお話の国の
必置規制
とか国の関与とか、あるいは権限を移譲しないとか許認可を保留しておくというようなことで、
地方
が幾ら自分で行革をやろうと思ってもこれを妨げている要因、この二つが私はあると思うわけでございます。 前者の
地方
行革の問題は、自律的には今までも相当行われておりますが、先ほどから申し上げていますようにその基準をお示しして、ぜひその基準というものによって
地方
の特色を残しながらやっていただきたい。それから国の方は、国の関与と
必置規制
の方は、恐らく三月ごろ法案になって出てきて皆様に御審議をいただくことになると私は思っております。ただ、大きい権限移譲の方は、聞くところによりますと行革審で今審議中とのことであり、
地方
の
行政
団体もいろいろの意見を申し出るチャンスを持っているようでございますが、恐らく六月ごろには私は出てくると思います。許認可の分も出てくると思いますし、そういうものを踏まえましてもう一段階そういうものを進めて、この両方、
必置規制
や関与の問題で今度法案が出るものと、その次に出る権限移譲とかそういうもの、時期的に数カ月ずれますが、私はこれをやらぬと
地方
の行革というものは本当の姿ではないと思っております。 だからその二つの点を
中心
にしまして私はこれからも行革をとにかく進めていきますが、ただ総花的にやるというのじゃなくて、いつまでにこういう審議会をつくりなさいとか機構をおつくりくださいということは、これは歩調をそろえる意味でお願いをしていることでございますから、内容につきましては、あくまでも示しておるのは基準でございまして、
地方
の
状況
によりまして、定員の問題なり
給与
の問題なり民間委託の問題なり、あるいは議員の定数の問題なり、これはもう
地方
が自発的に
住民
の意向を十分考えてやってもらうことを
期待
しておりますし、またそうしなければならぬ。だから、本当言うと、私は国の
必置規制
とか関与とか権限移譲、こういうことを早くやってもらいたいのです。そういうように、権限移譲の問題が五、六月ごろになるという見通してございますから、法案になるのは恐らく夏ぐらいになると思いますが、私は、その両方が相まっていかぬと、本当に
地方
が自分でやろうと思っても、国の
施策
が邪魔になってできないのじゃないかということを心配しております。 いずれにしろ、そういう点も一生懸命頑張りまして、本当の
地方
行革が
住民
の気持ちに合うような、それぞれの
地域
の特性によってできますことを私どもは要望いたしますし、またそういうように
期待
しております。また、先生方にも差し支えない限り御
協力
、御
指導
賜りますようにお願いをしたいと思います。
岡田(正)委員(岡田正勝)
196
○岡田(正)
委員
非常にはっきりした行革の進め方をお伺いしまして、ありがとうございました。 次に、四番目にお尋ねをしたいのは、
地方行政
の
効率化
、
減量化
を図るために、先ほど来からちょっと問題になっておりましたが、
行政
事務
の民間委託など、
行政
の守備範囲の抜本的な
見直し
がこの際必要ではないかと私は考えておるのでありますが、行革大綱においても
事務事業
の
見直し
、民間委託等について積極的に進めると述べてありますけれども、当面、民間委託を進めるべき
事業
というものはどういうものがありますか。民間委託を進める手段としてどのような方法を考えていらっしゃるか、一、二の例でも結構であります、大臣に具体的にお伺いしたいと思います。
古屋国務大臣(古屋亨)
197
○
古屋国務大臣
何を民間委託にした方がいいだろうというような見地に立って考えますと、清掃の問題あるいはし尿処理というような問題、あるいは病院等の掃除だとか、あるいは先ほどちょっと話が出されましたが給食の問題、
国民
の健康ということを前提としての給食の問題、私はそういうようないろいろの
調査
を今やっておりますけれども、費用的にも、
地方
がそういうものを民間に委託しますと自治体の費用も少なくなります。ただ、費用だけ少なくなっても目的が達成されなければだめでございますから、そういう方はやはり
地方自治
団体が監督責任を持ってそういうものを実施していただけるように持っていきたい、大体そんな考えでございますが、とにかく効率的な、身軽い
地方自治
体にするということが一番の目標でございます。
岡田(正)委員(岡田正勝)
198
○岡田(正)
委員
時間が迫りましたので、これを最後の質問にさせていただきます。
地方自治
の着実な
進展
を図るためには、今後とも
地方財源
の
充実
に努めることが必要でございますね。そこで、特に今後財政
再建
を図るために国、
政府
は大幅な増税を持ち出してくる可能性があります。いわゆる大型間接税、EC型の付加価値税というようなものを持ち出してくる可能性が濃厚でありますが、税制度の
改正
に当たりまして、
国民
の租税
負担
の公平ということを実現することが何よりも必要ではないかと私は思うのです。総理が口癖のように言う公正、公平、簡素、選択、こういう言葉だけじゃだめですよ。書いただけじゃだめ。やはり実行していただきたいのであります。 いずれにいたしましても、今後の
地方税制
を考える場合に、全体といたしまして
地方財源
を
確保
するということが一番、そして
住民
の税
負担
の公平化を図るということが第二番、第三番目は
地方
団体間の財政の格差に配慮していただくということ、いわゆる弱い団体がつぶれてしまわないように、真っ青にならないように配慮していただくということが必要であるというふうに考えておるのでありますが、
昭和
六十年代の
地方税制
はどうあるべきか、今後税制
改正
がスケジュールに上ってきた場合、
地方税制
としてどのように対応するのか、大臣のお考えを承りまして質問を終わります。
古屋国務大臣(古屋亨)
199
○
古屋国務大臣
地方財源
の
確保
ということは、申し上げるまでもなく一番大事なことでございます。この一つの方法は
交付税
の増強の問題でありまして、
地域
間のバランスというようなことはこれによって図っていかなければならぬと思っております。 税制
改正
の問題は、お話しのように公正であり、また適正なものでなければならないし、
住民
の
負担
ということも考えて、そうしなければならぬと思っております。 今、予算
委員会
に先生御承知のように私も出ておりまして、大型間接税の問題で偉い方が随分議論をされております。私は、うんと議論してもらって、これを税制
調査
会やあるいは党の税調に反映さしていただきまして、適正な、また身軽い
地方
としての税がどうあるべきかということも私どもあわせて慎重に検討をいたしまして、国税と
地方税
との関連ということも考えながら、独立の
地方財源
の
確保
ということは一生懸命で
努力
してまいりたいと思っております。
岡田(正)委員(岡田正勝)
200
○岡田(正)
委員
ありがとうございました。質問はこれをもって終わらしていただきますが、特に一番最後の
地方財源
の
確保
という問題について、私はことしが一番大事なときじゃないかと思っておるのであります。 首脳部の人に特に考えていただかなければならぬことは、もしあの大型間接税が、もしというよりは確実にやると思いますが、EC型の付加価値税にせよあるいは形を変えた変形型の付加価値税をつくるにいたしましても、いずれにしてもこれは国税でございますね。その国税を取るということは、大幅な何兆という台のものを取るのでありますから、その見返りとしては
所得税
の減税、
法人税
の減税、これはもうどうしてもやらざるを得ない。これは総理も大蔵大臣もそう言明をしております。小倉税調会長もそう言っております。ということになれば、国の
財源
は大型間接税でぐっと太りますけれども、
所得税
の減税、
法人税
の減税ということになってきますから、
地方
の方はがたんと落ち込んで、
地方
の
財源
がひどく目減りをしてくるなという
時代
がことしの年末か来年の春にはやってきやせぬか、それが字の上ではっきりと出てきやせぬかという心配をしておりますので、何とぞひとつ
地方自治
を愛する大臣、それこそもう自分の命をなくするんだと思うくらいの気持ちで
地方自治
の
確立
のために頑張っていただきますようお願いを申し上げまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
高鳥委員長(高鳥修)
201
○
高鳥委員長
次に、経塚幸夫君。
経塚委員(経塚幸夫)
202
○経塚
委員
まず最初に、
地方
債の問題について、起債の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。 財政局長にお尋ねしますが、自治法の二百三十条の見解でありますが、御承知のように「予算の定めるところにより、
地方
債を起こすことができる。」これは法制定の経過からいいまして、起債については
地方
団体、原則これは自由だ、この条項についてはそう判断をしてよろしいか。
花岡政府委員(花岡圭三)
203
○花岡
政府
委員
そのとおりでございます。
経塚委員(経塚幸夫)
204
○経塚
委員
それじゃ二百五十条の解釈についてお尋ねをいたしますが、「当分の間、」「許可を受けなければならない。」こうなっておりますが、これも法
改正
のときの
政府
側の答弁を読んでみますと、これは「
地方財政
の見地を主たる観点として行われる」、これが第一点ですね。それから二つ目には「起債が当該
地方
団体の財政状態からみて適当であるかどうかが主たる見地となって定まる」、こういうふうに答弁されているのですが、この点はどうですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
205
○花岡
政府
委員
当時の答弁、そのとおりでございます。
経塚委員(経塚幸夫)
206
○経塚
委員
これは自治大臣にお尋ねしたいところでありますが、局長でも結構です。同じく自治法の二百四十五条の解釈でございますが、これは国の方から
指導
助言ができる、こういうことでありますが、二十七年のこの条項制定に当たりまして、その二年前の
昭和
二十五年、
行政
調査
委員会
の勧告が基礎になった、こう言われております。この二十五年の勧告ではこういうふうに述べられておるわけですね。「
地方公共団体
の
事務
とされたものであっても、なんらかの意味で国家的な影響をもち、又は
国民
的関心の対象となっているものが少なくないから、国が主として
情報
を公開し、援助若しくは助言又は勧告を与え、著しい不均衡を調整し、最低
水準
の
確保
を図る等のことを必要とする場合も考えられる。但しこの機能は」、ここからが大事でありますが、国がいわゆる
指導
する場合に、「あくまで好意ある援助であり、サービスであって、権力的な監督であってはならない」、こういう二十五年の勧告がその前提になっておる、こういうふうに述べられているのですが、この条項の解釈はこれでよろしいわけですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
207
○花岡
政府
委員
その勧告自体はよく存じませんけれども、精神はそういうことでございます。
経塚委員(経塚幸夫)
208
○経塚
委員
次にちょっと大臣にお尋ねをしたいわけですが、自治六法などを開きますと、いわゆる
地方自治
の本旨とは何かということにつきまして
最高
裁の判例を引用して述べておられますから大臣もよく御承知だろうと思いますが、
昭和
三十八年三月二十七日、
最高
裁の判例といたしましてこういう判例があるのですね。
地方自治
の本旨について、「現実の
行政
の上においても、相当程度の自主立法権、自主
行政
権、自主財政権等
地方自治
の
基本
的機能を附与された
地域
団体であることを必要とするものというべきである。そして、」ここからでありますが、「かかる実体を備えた団体である以上、その実体を無視して、憲法で保障した
地方自治
の機能を
法律
を以て奪うことは、許されないものと解するを相当とする。」こういう判例が出ております。「自主立法権、自主
行政
権、自主財政権等」こういう「
基本
的機能を附与された
地域
団体であることを必要とする」、この機能につきましては「憲法で保障した
地方自治
の機能を
法律
を以て奪うことは、許されないものと解する」、この解釈についてはいかがですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
209
○花岡
政府
委員
地方自治
の本旨につきましては、憲法の規定に従いまして
法律
で定めるということになっておるわけでございます。
経塚委員(経塚幸夫)
210
○経塚
委員
私がお尋ねしたのは、今の
最高
裁の判例についてどうお考えですか。そのとおりとお考えですか、あるいは別の見解をお持ちですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
211
○花岡
政府
委員
どういう内容でその判例が出ておるのか、どういう
事案
で出ておるのかつまびらかにわかりませんけれども、憲法に基づきます規定は、現在の
地方自治
の本旨に基づいて、
地方財政
あるいは
行政
の
運営
についてその
基本
を
法律
で定めるというふうになっておると思います。
経塚委員(経塚幸夫)
212
○経塚
委員
それは局長、ちょっと答弁が私のお尋ねしておることと外れておりはしませんか。それで私はわざわざ重要なところを二回読み上げたわけですよ。 その憲法で定める
地方自治
の本旨とは何かということについて
最高
裁が判例を例示しておるのですよ。それが何の
事件
での判例があったのかは別問題として、
地方自治
の本旨とはかくかぐしかじかなんだ、こういう判例なんですよ。だから、この自治六法の
地方自治
の本旨とはどういうことかという
説明
の中にわざわざこの判例が引用されておるのです。私もそれを見て、ははあなるほど、
最高
裁でこういう判例が出ておったのかということを気づいたので、お尋ねしておりまんのや。それですから、憲法で定められた
地方自治
の本旨なるものの中身は、いわゆる
最高
裁の判例としてこう言っておるのですからそのとおりなのか、いや、また別な見解がありまんのや、こういうことなのか。その辺はどないですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
213
○花岡
政府
委員
地方自治
の本旨というのは、先生御承知のように、
住民
自治、団体自治というものがあるわけでございまして、その中で
基本
をなしますものは財政自主権というものもございます。しかし、そういう
基本
につきましては
法律
で定めるということになっておりまして、財政の
基本
につきましては
地方財政
法によって定められておると思っております。
経塚委員(経塚幸夫)
214
○経塚
委員
それはまた後でお尋ねをしていくといたしまして、そこで、ちょっと具体的な数字をお尋ねいたします。 起債の留保、これは団体数はどれぐらいになっておるのですか。それから、留保された総額は幾らぐらいですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
215
○花岡
政府
委員
現時点におきまして、高
給与
団体あるいは五十八年度において国を上回る
給与
改定を行った団体に対します起債を留保しておる団体は、数において約八十、額において約六百億円でございます。
経塚委員(経塚幸夫)
216
○経塚
委員
そうしますと、あくまでも留保している理由といいますのは、今高
給与
あるいは国を上回るということでラスパイレスを基準にされておるわけですね。指数としては幾らを基準にして留保されておるわけですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
217
○花岡
政府
委員
今自治省において高
給与
団体としてその是正の
指導
をいたしておる団体、その中で起債の申請のあったものでございますが、そういった個別
指導
団体でありながら十分な是正の
努力
をしていない団体ということでございます。
経塚委員(経塚幸夫)
218
○経塚
委員
そうしますと、いわゆるラスパイレス一一五とか一二〇とか、そういう指数じゃない、
努力
をしていないということの判断でこれは留保しておるのですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
219
○花岡
政府
委員
個別
指導
団体の中で、そのような団体について留保しておるわけでございます。
経塚委員(経塚幸夫)
220
○経塚
委員
いやいや、私がお尋ねしておりますのは、一一五以上とかあるいは一二〇以上とか、そういう指数を根拠にしておるのじゃない、是正をしておらないということを根拠にしておるのか、こう聞いておるのですよ。これはどないですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
221
○花岡
政府
委員
個別
指導
団体はそれぞれ是正計画を出しております。その是正計画を十分に実施しているかしてないかということでございます。
経塚委員(経塚幸夫)
222
○経塚
委員
そうしますと、その個別団体に是正計画を出させるそもそもの出発は、ラスパイの指数に置いているんじゃなかったのですか。違うのですか。
中島(忠)政府委員(中島忠能)
223
○中島(忠)
政府
委員
お答え申し上げます。 たびたび国会でも議論されましたけれども、ラスパイレス指数を基準にしてというよりも、むしろ私たちの方で非常に
給与
の高い団体を個別
指導
しようじゃないか、私たちの方の
事務
能力を考えますと、まあ百五十団体ぐらいだろうということで上から百五十団体を選んだ、そうするとラスパイレース指数が二五・三になった、そういうことでございます。 なお、その一一五・三以上の団体につきましては五十七年度からの是正計画というのを出していただきまして、その是正計画に従って是正をしていただくというふうに私たちは
期待
をしておるわけでございますが、その是正がはかばかしく進んでない団体が相当ございます。
経塚委員(経塚幸夫)
224
○経塚
委員
私は起債のことについてお尋ねしているのに公
務員部長
がひょこひょこ出てきて、いつの間に自治省の中の
事務
分掌が変わったのですか刀
公務
員部が起債のことについてこれからいいとか悪いとかお決めになるのですか。では財政局鼻ぺしゃじゃないですか。これは財政局の権限じゃないですか。どうも起債の問題の話になりますと公
務員部長
がひょこひょこ出てきて、これは自治省の
事務
分掌上の問題からいったって問題がありますよ。これは財政局長の所管なんでしょう。
花岡政府委員(花岡圭三)
225
○花岡
政府
委員
自治省は、常に省内の各局連絡を密にして
行政
を行っているところでございます。
経塚委員(経塚幸夫)
226
○経塚
委員
密にしているということと、それぞれの局なり部の所管
事務
とは、あなた、おのずから連携は連携、分離は分離ですよ。だからこそ
事務
分掌をつくられておるのと違いますか。今さらそんなことを、小学生に言うようなことを言う必要はないと私は思いますけれども、そこはきっちりしておいてくださいよ。 そこで、公
務員部長
の御答弁でもなおわからないわけですが、一一五とか一二〇とか、一定の基準を設けて、それでその団体については是正計画を出しなさい、それでその出てきた是正計画に基づいてどうなのか、こういうことを起債の許可に当たって財政の方はやっているんじゃないですか。違うのですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
227
○花岡
政府
委員
その是正計画についての進みぐあいというものを、
公務
員部等からの連絡を受けて起債の許可をしておるわけでございます。
経塚委員(経塚幸夫)
228
○経塚
委員
何にしましても、起債を許可するか留保するかというのはいわゆる
給与
、ラスパイを基準にしてお決めになっておる、これはわかりました。 そこでお尋ねしますけれども、私はこれは問題だと思うのですよ。最初にわざわざ原理原則についてお尋ねをいたしましたのは、起債は二百三十条によって、原則としては
地方
団体の自由なんだ、これはあくまでも原則なんだ。ただし、二百五十条によって当分の間は許可制にした。その
法律
を
改正
するに当たって私が読み上げました
政府
側の答弁の趣旨は、そのとおりでありますとあなたは答えましたね。そのとおりでありますという中身が、言いましたように一つは
地方財政
の見地を主たる観点とする、それからもう一つは、当該
地方
団体の財政状態から見て適当であるかどうかが主たる見地。これは言ってみますと、もう何回も論議されていることなんですが、起債を認めるか認めぬかは、一つはそれが適債
事業
であるかどうか、これでしょう。もう一つは、起債を許可するに当たって償還能力がないのか、あるいはあるのか、これでしょう。それ以外の基準を持ってきて許可する、許可しないというようなこと自体が変則じゃないですか。それはどうですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
229
○花岡
政府
委員
御承知のように
地方
債は借金でございますから、これの返済ということはもちろん十分に考えていかなければなりません。
給与
というものも義務的
経費
でございまして、これが非常に高くなってまいりますと、義務的に積み上がって返済能力というふうな問題にも響いてくるわけでございます。財政の健全性を
確保
するという意味におきましては、非常に大きなウエートを占めておる
給与
問題でございまして、この辺は起債の許可権の範囲内に入っておるというふうに考えております。
経塚委員(経塚幸夫)
230
○経塚
委員
私は、
給与
の問題と償還能力の問題と全く関係ないとは言っておりません。それは関係あるでしょう。しかし、ラスパイが高いところが必ずしもその
地方
の財政
状況
が豊かであるかというとそうでもない。それじゃ逆に、ラスパイがうんと低いところは財政状態が貧しい
市町村
だと断定できるかというと、そうじゃありません。財政が豊かであるかないかというのは、
給与
の問題だけで決まるのと違うでしょう。自治省はそんな判断はしておりませんでしょう。いろいろな指数を出すのでしょう。経常収支比率も出せば、財政力指数も出しますし公債費比率も出しますし、いろいろなことを総合判断してお決めになるのでしょう。これが立法のときの精神じゃないのですか。いわゆる財政力の見地、
地方財政
の見地というのはここなんでしょう。それがいつの間にか
給与
だけがひとり歩きして、
給与
だけが起債の許可の最大の基準、もう今日では唯一の基準になってきておるのと違いますか。 そうしますと、局長、こんな結論が出てきますよ。結局何のことはない、財政力がどんなにあろうともラスパイレス指数が高ければ起債は認めませんよといって、
給与
を抑えるための唯一の手段として起債の許可権が使われておる。二百五十条の許可権が制定をされました趣旨とは全く外れてきておる。
給与
を抑えることだけが目的であって、起債の許可権はその手段、
地方財政
の見地も許可に当たっての財政力の見地も、どこか横へ寄ってしまっておるじゃありませんか。立法の趣旨と反しておりはしませんか。どうなんです、それは。
花岡政府委員(花岡圭三)
231
○花岡
政府
委員
地方
債の許可ということは、もとより
地方財政
の
運営
を
確保
するということでございまして、適債
事業
についてこれを認めていく。これに関する制限は、先生御承知のように公債費比率の問題とか
地方税
率の問題とかいろいろございますが、特に最近におきまして
国民
的関心の非常に高い
給与
問題が出てまいったわけでございます。もちろん
給与
というものは義務的
経費
の最たるものでございまして、できるだけ義務的
経費
の比率を抑制していくということで財政の
健全化
を図っていく、また、起債の償還といいますか、後年度の
住民
の
負担
の増高を避けていくということも必要であろうということで、これを一つ取り入れておるわけでございます。
経塚委員(経塚幸夫)
232
○経塚
委員
それは通りません、そんな理由は。
国民
的な批判が高い、あるいは後年度の財政
負担
の問題を考えれば、
給与
の高いところについて起債を許可することがいいのか悪いのか、こんなことは私が今さらここまで言う必要はないとは思いますけれども、そのために
地方
の議会があるのと違いますか。その
地域
の
住民
に対して面接権限を負うべきものは、直接選挙で選ばれた長でしょう。その長が議会に提案をして、長が出してきたものがいいか悪いか、これを審議して決めるのは、これまた
住民
から直接選ばれた
地方
議会でしょう。それを
国民
の批判があるから、そして後年度
負担
の問題を考えると、これは原則自由とされておるものについても認めないということは、言うたら、お前のところは長が提案して
地方
議会で決めてきたけれども、そんなものは自治省は認められぬ。議会の決定をノーと言うことになりますよ。 そこで私が最初にお尋ねしたのは、ここの問題なのです。
最高
裁の判例では、
地方
の自主財政権、自主
行政
権、自主立法権、これは
法律
の
改正
によって侵してはならない、はっきり言っております。今の
地方
議会は信用ならぬとおっしゃるのですか。選挙で選ばれた長の提案は信用ならぬとおっしゃるのですか。その点はどうですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
233
○花岡
政府
委員
地方
議会の問題と若干話が違うのじゃないかと私は考えるわけでございますけれども、自治省といたしましては、
地方財政
の
運営
の健全性を図る見地から、起債を許可するに当たっていろいろな判断をしておるわけでございまして、そういった機能の一つとしてやっておるわけでございます。 もとより自治省としてこういったことをやりたくてやっておるわけではございません。とにかく現在のような
地方財政
が非常に窮迫している中で
財源
対策
をやっていかなければならぬ、こういうときに、一部の
地方
団体ではありますけれども、非常に問題のある
運営
をされているところがある。これでは他の団体が非常に迷惑するということもございます。そういった意味合いもございまして、私どもとしましては、
地方
団体の
財政運営
の
健全化
という見地からこれを見ておるわけでございます。
経塚委員(経塚幸夫)
234
○経塚
委員
これは一つ例を挙げておきましょう。鎌倉市大船西地区
行政
センター、それから鎌倉文学館、これは一億四千万の起債を自治省の方で留保しておりますね。二百五十条の許可権の問題が制定された見地がちこれを見てみましょう。財政力指数は全国第六位、県下第一位ですね。五十七年一・三五五、五十八年一・四〇二、五十六、五十七、五十八は平均しまして一・四四八、公債費比率は、五十七年金国一二・六%、鎌倉市は九・八でしょう。市民税の
収入
にいたしましても県下で一、二ということですね。これは財政的に非常に力があるところですよ。こんなところまで留保しているのでしょう。 そうすると、考えられることはラスしかないわけですよ。ラスだって、
努力
しているから認めてやりなさいというようなことは私は言いません、介入、干渉自体けしからぬと思っておりますから。しかし例を挙げて言えば、
昭和
五十年一二五であったのが五十八年は一一九、随分頑張っておりますわ。ここの
給与
が非常に高いということについて、物価の資料もいろいろ持ってきておりますよ。それは先ほど公
務員部長
は質問に対しまして、低いところは民間の
給与
あるいはその団体の大小というものが影響しておるから、全国的に見て、
地方
地方
によって
給与
に格差があるのは
国民
が納得するところであります、こうおっしゃった。逆のところを言えば、高いところは高いところなりの過去の経緯、
状況
があってそうなっておるのであって、低いところだけ正当化して、高いところについては論は別だということにはなりません。しかしこの論議はきょうはするつもりはありません。 財政力の観点から見ても、何で鎌倉のようなところを起債を留保しなければならぬのですか。先ほど局長は
地方
議会の問題とは関連ないとおっしゃいましたけれども、鎌倉から自治省へ陳情に来られた。そのとき市民がこうおっしゃった。私は印象に残っております。鎌倉の有権者というのはうるさいところです、あいまいなことは見過ごしゃしません、長や議会が市民のためにならぬようなことをやっておるんだったら我々の手でかえますよ、こう言っておりましたね。全くそのとおりですよ。 償還能力があるのかないのか、その
事業
が必要であるのかないのか、必要ならば一般会計で賄うのかあるいは起債を仰ぐのか、起債を仰ぐ以上は、その償還能力が将来にわたってあるのかないのか、これを論議するために議会があるのでしょう。それで議会でいろいろ論議して、ああ結構だ、長の提案どおり認めましょう。議会を通ったものだから、
事業
に着手しよう、こうすると、自治省で、おい、ちょっと待った。何で待たないかんねん。ラスパイが高いじゃないか。ラスパイが高い言うたかて、ちゃんと長が提案して議会で認めておるやおまへんか。市民が騒いでおりますか。市民は、むしろ早くこの
事業
が完成することを待ち望んでいる。これを自治省がとめておりまんねん。予算は通っておりまんねん、議会を。これを介入でない、干渉でない、いや議会とは関係おまへんと言えますか。これは明らかに介入でしょう。明らかに干渉でしょう。 大臣どうですか。干渉でない、介入でないと言えるのですか。そこで私がわざわざ言いましたように、いわゆる
指導
助言というのは権力的であってはならない。
調査
会の勧告に基づいて二十七年にわざわざ二百四十五条が設けられたのでしょう。だから、議会で決定したものまで自治省が留保する、あるいは場合によっては認めないというようなことになってきますと、明らかにこれは権力的介入でしょう。私は、
給与
が高ければ高いで幾らでも
指導
したらよろしい、助言したらよろしいと言うのですよ。前国会で直言いましたよ。やるななんて言ってません。しかし、原則自由だという起債の、しかも許可権を与えても当分の間と定めたようなものを振りかざして、言うこと聞くのか聞かぬのか、こう言って、議会の決定したことにまでくちばしを入れるというのはどういうことなんですかと、これを聞いております。これは大臣どうですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
235
○花岡
政府
委員
現在、
行政改革
を進めていくということは国、
地方
を通じて最大の
課題
でございます。こういう中にあって各
地方
団体の健全性を図っていく、またいわゆる資金の効率的な運用を図っていく、こういったことは、特に
地方
団体の現在置かれている
状況
からは、先ほど申しましたところから非常に重要な問題でございます。こういったことにつきまして私どもも、先ほどから申し上げておりますように、特に権力的に介入したいとかやらなければならぬとか、そういったことを考えておるわけではありませんけれども、これが余りに目立つわけでございまして、そのために他の
地方
団体に迷惑がかかる、他の通常の
運営
をやっている団体におきましても、この
地方財源
対策
をきちんとやっていかなければ成り立っていかないわけでございます。そういったことについて非常に支障になる問題でもございます。 また、個々の団体、現在では先ほど申されました鎌倉などは財政力があるかもしれませんが、しかしこういったふうなことが積み重なってまいりますと、その団体の今後の
運営
ということ、将来のことを考えていきますとやはり問題があるのじゃないか。私どもは、そういった
財政運営
の健全性の見地からやむを得ずこういった
措置
をとっておるわけでございます。
古屋国務大臣(古屋亨)
236
○
古屋国務大臣
権力的介入、私はそういう気持ちは全然ありません。大体
指導
的な、全国的立場に立っての関与といいますか
指導
でございまして、権力的介入をするという意思は一つもございません。
経塚委員(経塚幸夫)
237
○経塚
委員
意思がなくてもやっていることが権力的な介入になっておるじゃおまへんか。この許可権を使っているんでしょう。それで認めるか認めぬかはおれの胸三寸だ、文句あったらラスパイ下げてこいと。 鎌倉の例を挙げましょうか、自治省が何回どんな
指導
をしているか。財政力が豊かなのかそうでないのかというような
調査
は一つもやっておりはしまへん。ラスパイ下げい、下げい、まだ下げぬのか、何をもたもたしているか、そんなことばかりです。だから起債の質問したら公
務員部長
が出てくるのですよ。これ自体が筋道曲がっとりますがな。本当に大臣、
地方財政
の見地から考えるのだったら、起債を許可して償還能力があるのかないのか、償還能力がないのに許可したら、それこそ自治省の親心がありがたいものになってくるのですよ。償還能力があると議会も認め、市民も
事業
の着手を待っておる。それで市民が署名を持ってわざわざ自治省にたくさん来られて、何でこんなことが許可されぬのですか、市が妙なことをやっていたら私らの手で直しますと、こう言っております。要らぬところに口出さぬでよろしいがな。それで他の自治体との関係上とか、あるいは
国民
の世論とかどうとを言いますけれども、そんなこと言うのだったら私ども言いたいこと何ぼでもあります。 いわゆる国庫
負担
金、
補助
金のカットの問題について全国の都道府県全部反対の決議したのでしょう。
市町村
の八割が反対の決議したのでしょう。これこそ天の声、
国民
の世論です。それに対してはこの
委員会
で、十一月のときには大臣も絶対頑張ってまいりますと歓呼の声に送られてじゃないですけれども、そうやるものだから、まあそれは一回は信用してみようなかなか大臣も気骨のあるところあるぜと言っていたら、何のことはない、大みそかを前にころっとひっくり返ってしまって、それで大臣も答弁されたように、これは国と
地方
の
信頼
関係にえらいひびが入った、これからこの回復に努めるとおっしゃったばかりです。
国民
の世論だ、
地方
の声だといって、本当にそれで
地方
の財政が大事だというのだったら、言うべきところへ、対決すべきところへもっとはっきりした姿勢をとって初めて、いや、自治省もよくやっている、我々もひとつ
協力
しましょうということになるのですけれども、譲ってはならないところで譲っている、言ってはならぬところへやかましく口出しをする、しかも権力的に。これで
信頼
関係の回復に道が開けますか。ますます不信感が出るばかりですよ。これも全国の都道府県議会が全部決議をしておる、全国
市町村
の八割を超える自治体が決議をしている。そうしてラスパイ一〇〇以上のところはもう起債はみんな切ってしまえ、特交も認めてはならぬ。あらしのごとき、怒濤のごとき世論が沸き立っているのならいざ知らず、これはどこが決議を持ってきてますか。力入れるところと入れてならぬところと混同していやしませんか。どうです、大臣、その点は。
古屋国務大臣(古屋亨)
238
○
古屋国務大臣
自治省としては
法律
を
中心
にやっておりますが、先生もいろいろの例を言っておられますけれども、私もまたその反対の例をよく知っております。おりますけれども、やはり
法律
を動かすのは人間でございます。先生から見ますと権力的介入、こう言われるかもしれませんが、私どもは
指導
的な関与、こう言っております。具体的問題につきましては、私も心と心で、会えば通ずるというような気持ちでひとつ対処していきたいと思っております。
経塚委員(経塚幸夫)
239
○経塚
委員
大臣、何回もお言葉返すようですが、これはやはり権力的介入になるのですよ。だからこの二百五十条、それから二百四十五条はやはりよく勉強していただいて、そして何をやるについても自治体と納得ずくの上でやらないとあきまへん。そうじゃないと、
信頼
関係というものは
確立
てきやしません。総合的に判断すること、そして経緯もよく総合的に見ること。その上に立ってやらないと、
国民
的世論だとかなんとか言うけれども、考えようによっては、自治省のどこからラッパを吹いたのか知りませんけれども、今度は
給与
だ、ラスパイだといって意識的にやっておるととれる節もありますよ、実際は。世論をあおっていろいろ書き立てさせておいてここヘメスを入れる、これは明らかに権力的関与ですから、ここで口を開けば後はいろいろなことについても口出しができる、私はひねくれているからそんなことを言うのじゃありませんけれども、そう受け取られてもしようがありません。
地方行革大綱
の問題についてはまだ次の機会に改めて申し上げますけれども、あれだって大臣が先ほど答弁されたとおり、
地方
が自律的に、自発的にやることなんですよ。その方がよほど効果があるのです。花岡さんは大阪におられた。私はかつて黒田さんが知事のときに与党の幹事長をやっておりましたが、あのときは五十年のオイルショック、大変だった。小谷先生もいらっしゃいますけれども、本当に三つの蛍光灯を一つに減らそう、二つに減らそう、便所の水も三分の一に減らそうとかいって、血の出るような
努力
をみんな自発的にやったんですよ、職員組合も
協力
して。本当の
地方
の行革というのはこうしたみずからの自覚的な発想に基づいて、長も議会も職員も一体になって、どうすれば効率的に
住民
に行き届いたサービスを保障しながら進められるかという観点に立って初めて
実効
が上がるのですよ。一々あれもやりなさい、これもやりなさいというような事細かな指図、口出しをやって進むようなものじゃないのですよ。 ですから、この許可権の問題につきましては原則自由、そして許可条項につきましては法制定の経緯から見まして、先ほど言ったような経過もあるわけですから、
乱用
するようなことは厳に戒めて、十分自治体と納得ずくの上でやってもらいたい、このことを申し上げておきます。 次の問題に入りますけれども、けさほど来から国庫
負担
金、
補助
金のカット問題について各党が御質問された、大臣も決意のほどを披瀝されました。くどいようですがちょっと触れておきたいと思うのです。 大臣、六十一年度以降は絶対にこういうことを恒久化させないように重大な決意で臨みますとおっしゃいますが、それなら何でこんな覚書を認めたのか、私は改めて問いたいのです。これは局長も御答弁になりましたけれども、いわゆる覚書が二つあって、二つ目の自治、大蔵両大臣の覚書、一千億は
交付税
に
特例
加算をする、そして一千億は六十六年度以降に加算をする、それでこれは動く可能性がある。「暫定的に、
昭和
六十六年度以降に精算すべき
地方交付税
交付
金の額に加算されるものとし、検討の結果を踏まえ、その取扱いについて両省間で調整する」、何でこんなものに調印したのですか。加算は暫定的だ、検討の結果これはチャラにする、パァにする、こういうことを認めるような覚書に判をついておいて、六十一年度以降は恒久化させません、継続はさせません、六十年度ぼっきりでもとへ戻しますと言ったところで、言ってる口の下から恒久化もあり得るという覚書にサインしているのでしょう。 一年かかって検討の結果、六十年度と同じように十分の八が十分の七になる、こういうふうになりますと一千億の
特例
加算はありません、それから六十六年度以降の一千億の加算もなかったことにする、そして削減額二千六百億、六百億は不
交付
団体分、二千億はこういう処理をするということに暗黙のうちに道を開いたことになります。何でこんなものに判をついたのですか。もう一つの覚書どおり六十年度限りとする、あとは一年かけて論議をするということだけだったら、今までの大臣の答弁は丸々そのとおり信用できなくても、あそこまで言っているのだからと、こうなりますけれども、この覚書に判をついておるということは、口でどうおっしゃろうと片一方で道を開いていることになりはしませんか、どうですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
240
○花岡
政府
委員
補助
率カットのいきさつにつきましては、御承知のように自治省の方、いわゆる
地方
団体側としての意見は、
補助
金、
補助
率を見直すということについては、その前に国と
地方
との
機能分担
、
役割分担
の
見直し
をすべきであるという主張であったわけでございます。自治省としましても、そういった
見直し
があって、そして率が変えられるならばそれはとやかく言うこともないわけでございますけれども、どうもそういった
見直し
かないというのは
負担
の転嫁にすぎないではないかという考え方を申しておったわけでございます。 一方、国の方の主張というのは、高率の
補助
というのはむしろ自主性を損なっておるからこれを
引き下げ
るべきだ、むしろ
引き下げ
を行う暫定期間中においてそういった国と
地方
との
役割分担
の
見直し
を行うのが有効である、こういうふうな考え方であったわけでございまして、したがって最後のところまで平行線でたどっていった。この決着がつくに当たりまして、先ほどの御指摘の覚書の締結があったわけでございますが、そういったことから私どもといたしましては、この
事務事業
の
見直し
、いわゆる国と
地方
との
機能分担
の
見直し
というのが後先になってどうもおかしいわけではございますが、ともかくそれを議論しようという形になった。これを一年間をかけて、一年以内に結論を出すということになっておるわけでございますので、いわゆる今後三省間でどのような検討会を設けるか現在議論しておりますけれども、そういった
見直し
をする中でどういう議論を行うのか、もちろん自治省といたしましては、
地方財政
の
健全化
、
地方
団体の自主性尊重の見地から物を申すことは明らかでございますけれども、これは今後検討するということになっておるわけでございます。 したがいまして、先ほど御質問の六十六年度以降に加算するという問題につきましても、一応現在の段階では国が持つと約束しておりますが、一応この一年たった結果、その議論の結果を見た上でもう一度話し合いをしようという形になっておるわけでございます。
経塚委員(経塚幸夫)
241
○経塚
委員
ははあ、花岡さん、これはちょっとわかってきたわ。ようわかってきた、あなた方の考え方。これはやはりそこに問題があったのだな。今の答弁の中で二つ問題がある。 一つは、これはやはり一年かけて論議をしましょう。それで、その結果でいろいろ考えましょうというのならこんなものは入れる必要はなかったのですよ。一年かけて論議するというもう一つの覚書だけで事は済みます。だけれども、わざわざ論議をしなければわからないことについてまで、検討の結果これが動くこともあり得るとあなた答弁されましたように、六十六年度以降の一千億の加算も、これは固定したものじゃございませんという道を開いたところにこれは一つ問題がある。 それからもう一つ、私がわかりましたと言ったのは、国と
地方
の
機能分担
、これを先に決めていけば十分の八が十分の七になってもええ、あるいはそういうこともあり得るし、それもやむを得ない、こういうふうにお考えなんでしょう。その点はどうなんですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
242
○花岡
政府
委員
先ほどの一千億円の問題につきまして、ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんですけれども、要するに議論が平行線のままで終わったわけでございますので、これを一年間の
暫定措置
としてこの間に議論をしようということでございます。 私どもとしましては、
地方財政
対策
を講ずるについて、とにかく
交付
団体分の残りの一千億についても何とかしろ、金がないと言うだけでは済まぬということで、とにかく後年度でもいいから持てという約束をさせたわけでございます。 国の方としましては、とにかく先のことは勘弁してくれということでございましたけれども、しかし、ここまで
地方
団体もいろいろ問題視して大きな論争点のあった問題でございますから、
地方財政
対策
を行うに当たりましては、やはり将来であってもこれは国が持つという約束をしていただきたいということで、結論としてはそうなったわけでございます。ただ、一年間検討するということになったものですから、その検討の結果はそれはわからぬじゃないかというのも理解できないわけでもございません。したがって、そう言うならば一年先、じゃ話し合いを拒むこともなかろうということでその覚書ができたわけでございます。 それからもう一点でございますが、
機能分担
の
見直し
をすれば変えてもいいのじゃないか、これはやはり国と
地方
との問題という観点から見ましたときに、私どもの主張というものは先生も申し上げなくてもわかっておると思いますが、やはり
見直し
をするということは、それは
経済
情勢
あるいは
社会
の
情勢
の
変化
によって
見直し
をしていくことについて私どももやぶさかではございません。この二十一年にこういった
負担
制度が決まったわけでございまして、私どもはその経緯を踏まえて十分の八だといって頑張っておったわけでございます。 しかし、これをどういうふうに考えていくのか。その率についての考え方も別の考え方をなされる方もおるわけでございます。そういったことについて検討をしようというわけでございますから、私どももフランクに考えますれば、その検討の結果が本当に正しい、みんなが納得できるというものであるならばこれを拒むものではございませんが、私どもの立場というものはもうあえて申し上げるわけもないと思いますので、この辺で御了解をいただきたいと思います。
経塚委員(経塚幸夫)
243
○経塚
委員
もう一回ちょっと尋ねますけれども、それでは検討の結果十分の八が十分の七になってもいいと受け取れる発言なんですが、検討の結果仮にそうなってもやむを得ないという考えを持っているのですな。
花岡政府委員(花岡圭三)
244
○花岡
政府
委員
検討と申しますのは、結局意見が合わないから両方でそういうふうな検討をしようということになったわけでございますから、それはお互いの主張があるわけでございまして、どうなっていいとかいうふうな、今からそういうことを申し上げるわけではございませんで、とにかく我々の立場は御承知のとおりでございまして、今さらるる申し上げるまでもないわけでございます。ただ、それがどういうふうな結論になりますやら、これはいろいろな議論が、そこで学識経験者等も交えて行われる問題になるわけでございます。したがいまして、そういったいろいろな御意見を承りながらこういった問題というものを議論するということになったわけでございますので、これを初めから否定してしまう、結論がいかになってもそれは否定だというわけにはやはりまいらないのではないかと私は考えます。
経塚委員(経塚幸夫)
245
○経塚
委員
はっきりしないですね、大臣、ここが大事なところだと思うのですよ。公明党さんの方の質問もありましたけれども、自治省としてはっきり理論づけという質問がございました。いわゆる
社会
保障制度の国と
地方
の
負担
割合の問題について自治省はどういう見解を持って臨むのか、私は焦点はここだと思うのですよ。ここをあいまいな考え方を持っておると、これは何ぼ重大な決意で臨んだところで金の話として押しまくられてしまう。金の話で押しまくられたら、これは局長の今の姿勢、答弁からもうかがえますけれども、押し切られますよ。中期試算、六十年度の枠組みで六十一年度予算を組むとすれば三兆七千億円調整
財源
が必要だ、こうなってくるのでしょう。これはまた出てきますよ。大型間接税、間接税と言っておりますけれども、こんなものそんな簡単にいきますかいな。そうすると、これは六十一年度引き続きカットですよ。 私は大臣の答弁を聞いて、ははあ、これはちょっと困ったなと思ったのは、大臣は一生懸命頑張ったけれども、最終段階で国の
財政事情
でもうやむを得ずこれは認めざるを得なかった、これが認めた理由ですね。そして今度認めてきたら、皆さんに納得してほしいという理由としては、財政上諸般の
措置
が講じられて支障のないように手当てをしてもらったから、これはやむを得ずのんだけれども、のんだ理由はこういうことだから納得してくれという理由です。だから、入り口も財政問題、出口も財政問題、全部財政が理由でのんだけれども、財政が理由で手当てをしてもらったからもう納得をしてくれ、こういうことです。これはあきません、こんな論でいっておったら。絶対あきません。何であかんのか。金の話になったら大蔵の方が強うおまんがな。今から一年かかって一生懸命勉強したかて太刀打ちできやしませんがな。向こうはどんどん数字出してきよるわけです。 そうすると、何が問題かと言えば、こういう
社会
保障制度、公的扶助について一体国がどんな責任を負わされておるのか、その中での
地方
の
役割分担
はどういうことなのか、ここを理論的にはっきりさせることやおまへんか。
生活
保護法第一条には、憲法二十五条の理念に基づき、国が
生活
困窮者に必要な保護を行い、ちゃんとこうなっているのです。これがあとの児童保護、身体障害者保護、婦人保護、老人保護、
地方財政
法十条で定める国庫
負担
金の根幹になっておるわけでしょう。そして憲法二十五条は、
社会
福祉
、
社会
保障について国がその
向上
に努めなければならない、こうなっているのでしょう。これは、戦後憲法が制定されたときの経緯がそうだったのですね。 これは、もうずっと戦前から、内務省
時代
からこられております大臣は、私よりもはるかにこの間のいきさつについては、もう百も御承知だと思うのです。国会に出されました憲法のこのくだりの案はどうだったのですか。健康で文化的な
生活
の
向上
に努めなければならないということだけだったのですよ。これが
国民
の権利だという条項もなかったのです。そして「国は、」という、国の義務もなかったのです。これが国会で論議されました結果、単に
向上
に努めなければならないというだけでは、だれが責任を負うのか、
向上
に努めることを求める権利はだれにあるのかはっきりせぬじゃないか、こういうことになりまして
国民
の権利として文化的な
生活
の保障が明文化され、一方国の義務として「国は、」という言葉が入ったのでしょう。これに基づいて
生活
保護法第一条が生まれ、先ほど言いましたようにこれに基づいて各種の立法での
負担
割合が高率
補助
――私は高率だとは思っておりやしません。何でかといいますと、御承知のとおり
生活
保護も戦後一時期は国が十割給付だったのですよ。そして国が八割、
地方
が二割となりましたときに、
社会
保障制度審議会から、
地方
が二割では重過ぎる、もっと国の
負担
割合を高めなさいという答申が出たのでしょう。これもいろいろ論議になったのでしょう。だから本来からいえば、憲法第二十五条、
生活
保護法第一条からいえば、十割
負担
が建前なんですよ。 これは大臣、
地方
制度の方から見て、全額いわゆる一般
財源
化して、そして
事務
も権限も完全に
地方
に移譲させなさいといったときに、厚生省が大反論やったのですね。そのときの理由がこういうことでしょう。
地方
には任せられぬ、何でかといえぱ、
地方
の財政というものはときの景気不景気によって
財源
が左右される、公的扶助というものは景気不景気、財政によって左右されてはならないものなんだ、たかる憲法で明記され、
生活
保護法第一条で国の責任、義務が明確化されておるんだ、どんなことがあっても
地方
に渡すわけにはいかぬ、また
機関委任事務
にも問題があるといって、英国の例を挙げたのです。英国は国直轄でやっておるのでしょう、予算も
事務
も。この例を挙げて厚生省は反論をしてきたのです。そういう経過があるのですよ。 だから、どんな経過があろうとも、財政を理由にして公的扶助に対する国の責任を放棄してはならない。建前は十割給付でも当然なんだ。もしこの国の責任があいまいにされるということになりますと、そして金の都合で十分の八を十分の七に
引き下げ
てもええということになりますと、財政は当分好転をする展望が開かれませんから、後退に歯どめがかけられなくなるのですよ。十分の八が十分の七になり、十分の七が十分の六になり、こういうことになりかねぬわけですね。だから、これは最低限度の
生活
を保障するためにとられた公的扶助に対する国の責任問題でありますから、金の都合によって左右されてはならないという確固とした不動の見解を自治省が持つかどうかです。私はここがかなめだと思うのですよ。どうなんでしょう。
花岡政府委員(花岡圭三)
246
○花岡
政府
委員
社会
保障に関する経緯は先生御指摘のとおりでございます。
生活
保護法の一条を見ましても、憲法の精神からきたものであるということは御承知のとおりでございます。私どもも、
生活
保護につきましては、これは
社会
保障の根幹をなすものであって、二十一年以来この十分の八の
負担
をしておるということは十分踏まえて議論をしてきたわけでございますし、また検討するに当たりましても、イギリスのようないわゆる一〇〇%国が持っておるという事例等もあるわけでございます。こういったことで本来一〇〇%持つべきではないかという議論も行われるものだろうと思いますけれども、この辺につきましては、今後設けます検討会におきまして、
地方
団体の代表の方々も入っていただきまして十分な議論をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
古屋国務大臣(古屋亨)
247
○
古屋国務大臣
今の
社会保障関係
の分野につきましては、国の
基本
的な責務が貫徹されることを
基本
として検討が行わるべきものであると考え、そういう意味で、これからの検討にそういう見地をもちまして進んでまいりたいと思います。
経塚委員(経塚幸夫)
248
○経塚
委員
最後にもう一点ちょっとお尋ねしておきます。 時間がございませんので簡単にお答えをいただきたいと思うのですが、今回四百二十八億円一般
財源
化されるということでありますが、この一般
財源
化につきまして、これは十月三十日の新聞の記事を見ますと、自治省の方では大蔵に対して案を出された、
補助
金カットの対案として。そしてこうすれば二千億節減ができるじゃないかとこの中で幾つか挙げておるわけであります。花岡さん、あなたの書かれました論文もちょっと見ましたらこれに近いようなことが触れられておりますが、これは一般
財源
化等を含めまして、そして二千億というのは、新聞に報道されたのは事実ですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
249
○花岡
政府
委員
これは私も国会でも答弁いたしておりますが、この資料につきましては国会にお配りをしたはずでございます。どのぐらいになるのかということでございましたので、たしか人件費
補助
だけをとりましても一千億は超えるので、恐らく二千億円程度に上るのではないかという推測は申し上げたことがございます。
経塚委員(経塚幸夫)
250
○経塚
委員
そうしますと、この
地方
六団体の案として出ておる一般
財源
化、これとはまた別個なんですね。
花岡政府委員(花岡圭三)
251
○花岡
政府
委員
異なるようでございます。
経塚委員(経塚幸夫)
252
○経塚
委員
この一般
財源
化の問題については、きょうは文部省に来ていただいておりまして、私お尋ねしようと思っておったのですが、時間がございませんので大変申しわけないと思っているのです。予算
委員会
でもお尋ねをしましたその続きをちょっとお尋ねしようと思っていたのですが、これは無原則的に何もかも一般
財源
化すればいいというものではないと私は思うのですよ。 例えば教材費などは、これは私、文部大臣にもお尋ねをいたしましたけれども、十カ年計画で七年たってまだ四八%しか達成をしておらない。そして一クラス当たりの単価が年々減ってきておる。これを一般
財源
化すると言うけれども、十カ年計画を計画どおり達成するということになりますと、従来の予算の倍必要になる。しかし、
地方
が二分の一、国が二分の一だったのが廃止されるということになりますと、四倍の
負担
を
地方
が持たなければならないことになる。それだけの分を一体
地方
で見るのかどうなのかという問題が出てきますし、もしこれが計画どおり達成されないと、父母
負担
に転嫁する問題だとか、教育上重大な支障が出てくる、こういうことで、先ほどの国の責任論と同じことでありますが、少なくとも国の責任に係るようなものにつきましては、単純に
地方
に権限が移るから、そういうようなことで一般
財源
化すべきではないと思います。したがって一般
財源
化の根拠、基準というものを明確にすべきだと私は思うのですが、その点はいかがですか。
花岡政府委員(花岡圭三)
253
○花岡
政府
委員
私どもも、この一般
財源
化につきましては、あのメモにも書いてございますように、
地方
団体の自主性、自律性を尊重する観点から行うべきであるということでございまして、もちろんどのようなものでも全部ということを考えているわけでもございません。しかも、あのときに出しました考え方も、全部
地方
がそのまま引き受けるというわけではございませんで、応分の
協力
はするという考え方でやったわけでございます。 もちろん今後の教材費の問題につきまして御意見はあろうかと思います。余り時間もないようでございますので特に申し上げませんけれども、私どもも、とにかく無原則にすべてのものを引き受けようという考え方は毛頭ございません。はっきりと
地方
団体の自主性尊重という観点から、国庫
補助
金の
整理合理化
を進めていくべきものであると考えております。
経塚委員(経塚幸夫)
254
○経塚
委員
終わりますが、大臣、最後に、国庫
負担
金、
補助
金の削減問題は今始まった問題じゃない。
昭和
二十九年にMSA協定を受け入れるに当たって二百億の
財源
をどうするかということで、
生活
保護などいわゆる十分の八を十分の五に切り下げるという案が出たわけでしょう。このときの厚生大臣が山縣さん、この方は厚生省をひっ提げて、全国の自治体もバックにして職を賭して頑張る、銭金によって制度は左右されてはならぬ、こう言ってとうとう辞職をされて内閣改造、その結果、七年間続きました吉田内閣がその暮れには退陣せざるを得ぬというような事態にまで発展した経緯を持った問題なんです。そういう経過の中で守られてきた戦後の制度なんですから、これはやはり自治省としても重大な決意を固めて、
地方
に
負担
転嫁、公的扶助に対する国の責任を放棄させないように、このことを申し述べまして質問を終わらせていただきます。 どうも長時間ありがとうございました。 ――
―――――――――――
高鳥委員長(高鳥修)
255
○
高鳥委員長
次に、
地方行政
に関する件について
調査
を続けます。 この際、
昭和
六十年度
地方財政計画
について
説明
を聴取いたします。
古屋
自治大臣。
古屋国務大臣(古屋亨)
256
○
古屋国務大臣
昭和
六十年度の
地方財政計画
の
概要
について御
説明
申し上げます。
昭和
六十年度の
地方財政
は、累積した巨額の借入金を抱え引き続き厳しい
状況
にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により、
歳入面
においては、
地方
債依存度の抑制に努めるとともに、
地方税負担
の
公平適正化
を
推進
しつつ
地方税
源の
充実
と
地方交付税
の
所要
額の
確保
を図り、
歳出面
においては、
経費全般
について
徹底
した
節減合理化
を図るとともに、限られた
財源
の
重点
的配分と
経費
支出の
効率化
に徹し、節度ある行
財政運営
を行うことを
基本
としております。
昭和
六十年度の
地方財政計画
は、このような考え方を
基本
として策定いたしておりますが、以下その策定
方針
について御
説明
申し上げます。 第一に、
地方税負担
の現状と
地方財政
の実情にかんがみ、その
負担
の
公平適正化
を図るため、
個人住民税均等割
の
税率
の
見直し
、
事業税
における新聞業等七
事業
に係る
非課税措置
の廃止など
非課税等特別措置
の
整理合理化
等を行うとともに、
住民負担
の
軽減
及び
合理化
を図るため、
個人事業税
の
事業主控除額
の
引き上げ
、
不動産取得税
の
新築住宅
に係る
課税標準
の
特例控除額
の
引き上げ
、
固定資産税
及び
都市計画税
の土地の
評価
がえに伴う
負担
の調整等の
措置
を講ずるほか、
自動車取得税
及び
軽油引取税
の
税率等
の
特例措置
の
適用期限
を延長することとしております。 第二に、現下の厳しい財政
環境
のもとで、
昭和
六十年度に限り暫定的に実施されることとなりました
国庫補助負担率
の
引き下げ
に伴う
地方負担
の
増加
額五千八百億円に相当する額について、
所要
の
財源措置
が必要となりましたので、
地方交付税
の
増額
と
地方
債の
増発
により完全に補てんすることとし、
地方財政
の
運営
に支障が生ずることのないようにいたしております。 第三に、抑制的基調のもとにおいても、
地域
経済
の
振興
や雇用の安定を図りつつ、その特性を生かした
地域社会
の形成を進めますとともに、
生活
関連
施設
の
整備
を図るなど
住民生活
に直結する諸
施策
を実施することといたしております。このため、個性的で魅力ある町づくり、
地域づくり
をより一層積極的に
推進
すべく、
住民生活
に身近な
社会資本
の計画的な
整備
と
まちづくり特別対策事業
の
充実
に努めるとともに、
福祉
施策
及び教育、文化
振興
対策
等の
推進
を図ることとし、これに必要な
財源
を
確保
し、また、過疎
地域
等に対する財政
措置
を引き続き講ずることとしております。 第四に、
地方行財政
運営
の
合理化
と財政
秩序
の
確立
を図るため、
定員管理
の
合理化
及び一般
行政
経費
の抑制を行うとともに、国庫
補助
負担
金について一般
財源
化、
補助
単価の
適正化等
その改善
合理化
を進め、さらに、年度途中における事情の
変化
に弾力的に対応できるよう必要な
措置
を講ずることとしております。 以上の
方針
のもとに、
昭和
六十年度の
地方財政計画
を策定いたしました結果、
歳入歳出
の
規模
は五十兆五千二百七十一億円となり、前年度に対し二兆二千三百七十九億円、四・六%の
増加
となっております。 以上が
昭和
六十年度の
地方財政計画
の
概要
であります。
高鳥委員長(高鳥修)
257
○
高鳥委員長
以上で
説明
は終わりました。 ――――◇―――――
高鳥委員長(高鳥修)
258
○
高鳥委員長
内閣提出
、
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
及び
内閣提出
、
地方交付税法等
の一部を
改正
する
法律案
の両案を議題とし、順次趣旨の
説明
を聴取いたします。
古屋
自治大臣。 ――
―――――――――――
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
地方交付税法等
の一部を
改正
する
法律案
〔本号末尾に掲載〕 ――
―――――――――――
古屋国務大臣(古屋亨)
259
○
古屋国務大臣
ただいま議題となりました
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
の提案理由とその要旨につきまして御
説明
申し上げます。
明年度
の
地方税制
につきましては、最近における
地方税負担
の
状況
及び
地方財政
の実情にかんがみ、その
負担
の
公平適正化
を図るため、
個人住民税均等割
の
税率
の
見直し
、
事業税
における新聞業等七
事業
に係る
非課税措置
の
廃止等地方税
における
非課税等特別措置
の
整理合理化
等を行うとともに、
住民負担
の
軽減
及び
合理化
を図るため、
個人事業税
の
事業主控除額
の
引き上げ
、
不動産取得税
の
新築住宅
に係る
課税標準
の
特例控除額
の
引き上げ等
を行い、並びに
固定資産税
及び
都市計画税
の
評価
がえに伴う
負担調整措置
を講じ、あわせて
自動車取得税
及び
軽油引取税
の
税率等
の
特例措置
の
適用期限
を延長するほか、日本国有鉄道の納付する
市町村
納付金の
特例措置
の
適用期限
を延長する等
所要
の
改正
を行う必要があります。 以上が、この
法律案
を提案いたしました理由であります。 次に、この
法律案
の要旨につきまして御
説明
申し上げます。 第一は、
地方税
法の
改正
に関する事項であります。 その一は、道府県民税及び
市町村
民税についての
改正
であります。 まず、個人の道府県民税及び
市町村
民税につきましては、
昭和
五十五年度以来据え置かれてきた均等割の
税率
について、その後の物価
水準
の推移等を勘案し、その
見直し
を行うとともに、
住民負担
の
軽減
を図るため、控除対象配偶者等の所得要件の緩和等の
措置
を講ずることといたしております。 次に、法人の道府県民税及び
市町村
民税につきましては、民間における試験研究の
促進
を図ることにより、
地域振興
に資するため、
法人税
割の
課税標準
である
法人税
額について、
基盤
技術開発研究用資産の取得価額等に係る
法人税
額の控除後の額とすることといたしております。 その二は、
事業税
についての
改正
であります。
事業税
につきましては、新聞業等七
事業
に係る
非課税措置
について、創設以来長期間を経て
社会経済情勢
が著しく
変化
していること等にかんがみ、これらを廃止することといたしております。なお、これらの
事業
については、長期間にわたり
非課税措置
が講じられていた経緯を考慮して、その廃止に伴う税
負担
の激変緩和を図るため、三年度間、従来の非課税
事業
に係る所得金額から、その二分の一に相当する額または年三百五十万円のいずれか多い額を控除することといたしております。 また、個人
事業
者の
負担
の
軽減
を図るため、
事業主控除額
の
引き上げ等
を行うことといたしております。 その三は、
不動産取得税
についての
改正
であります。
不動産取得税
につきましては、住宅
建設
の
促進
を図るため、新築
特例
適用
住宅の取得に係る
課税標準
の
特例控除額
の
引き上げ
を行うことといたしております。 また、外国人留学生の寄宿舎の設置及び
運営
を目的とする公益法人が取得する外国人留学生の寄宿舎の用に供する不動産について、一定の要件のもとにその納税義務を免除する等の
措置
を講ずるとともに、
地方
住宅供給公社が譲渡する土地または住宅に係る課税の
特例
を廃止する等
特例措置
の
整理合理化
を行うことといたしております。 その四は、自動車税及び軽自動車税についての
改正
であります。自動車税及び軽自動車税につきましては、電気自動車に係る
軽減
税率
を、現行の
昭和
五十四年度
改正
前の本則
税率
から
昭和
五十九年度
改正
前の本則
税率
に改めるとともに、ミニカーに係る軽自動車税の標準
税率
を改めることといたしております。 その五は、
固定資産税
及び
都市計画税
についての
改正
であります。 まず、宅地等及び一般農地に係る
昭和
六十年度から
昭和
六十二年度までの各年度分の
固定資産税
及び
都市計画税
の額につきましては、
評価
がえに伴う税
負担
の調整を図るため、
昭和
六十年度
評価
額の
昭和
五十九年度分の
課税標準
額に対する上昇率の区分に応じて定める
負担
調整率を前年度の税額に乗じて求めた額を限度とすることといたしております。 その他、自動車事故
対策
センターが自動車事故の後遺障害者の治療及び養護の用に供する一定の固定資産について非課税とする等の
措置
を講ずるとともに、
新築住宅
に係る税額の減額
措置
等の
適用期限
を延長する一方、通信、放送衛星機構の業務用償却資産に係る
課税標準
の
特例措置
について、
所要
の経過
措置
を講じた上、これを廃止する等
特例措置
の
整理合理化
を行うことといたしております。 その六は、特別土地保有税についての
改正
であります。 まず、
昭和
四十四年一月一日から
昭和
五十七年三月三十一日までの間に取得された土地のうち、未線引きの都市計画区域内に所在する土地及び都市計画区域外に所在する土地で、その保有期間が十年を超えるものにつきましては、市街化調整区域内に所在する土地と同様に特別土地保有税を課さないことといたしております。 また、三大都市圏の特定の都市の市街化区域内において取得される一定
規模
以上の土地に係る特別土地保有税の課税の
特例措置
の
適用期限
を三年間延長することといたしております。 その七は、
自動車取得税
についての
改正
であります。
自動車取得税
につきましては、
地方
道路
財源
の
確保
を図るため、軽自動車以外の自家用自動車に係る
税率
の
特例措置
等の
適用期限
を三年延長することといたしております。 その八は、
軽油引取税
についての
改正
であります。
軽油引取税
につきましても、
地方
道路
財源
の
確保
を図るため、
税率
の
特例措置
の
適用期限
を三年延長することといたしております。 第二は、国有資産等所在
市町村
交付
金及び納付金に関する
法律
の
改正
に関する事項であります。 日本国有鉄道の
市町村
納付金につきましては、納付金算定標準額の
特例措置
の
適用期限
を二年延長すること等の
改正
を行うことといたしております。 このほか
所要
の
改正
を行うことといたしております。 以上の
改正
の結果、
明年度
におきましては、個人の
事業税
の
事業主控除額
の
引き上げ等
により三百五十七億円の減収となる一方、
個人住民税均等割
の
税率
の
見直し
等により六百八十四億円の増収が見込まれ、差し引き三百二十七億円の増収となる見込みであります。 以上が、
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、
地方交付税法等
の一部を
改正
する
法律案
の提案理由とその要旨について御
説明
申し上げます。
地方財政
の
状況
にかんがみ、
地方
団体の
財源
の
充実
、
確保
を図る等のため、
昭和
六十年度分の
地方交付税
の総額について、
所要
の加算を行うとともに、各種の制度
改正
等に伴って必要となる
行政
経費
の
財源
を
措置
するため
地方交付税
の単位費用を
改正
し、あわせて、当せん金付証票の収益金の使途の弾力化等並びに公営競技を行う
地方
団体の
公営企業金融公庫
に対する納付金制度の延長及び
拡充等
を図る必要があります。 以上が、この
法律案
を提出いたしました理由であります。 次に、この
法律案
の内容につきまして御
説明
申し上げます。 第一は、
地方交付税
法の一部
改正
に関する事項であります。 まず、
昭和
六十年度分の
地方交付税
の総額につきましては、
地方交付税
法第六条第二項の額から同年度分の
利子
の支払いに充てるため必要な額三千六百九十四億円を減額した額に、
地方交付税
の総額の
特例措置額
千億円を加算した額としております。 また、
昭和
六十六年度分から
昭和
六十八年度分までの
地方交付税
の総額について千三百五十五億円を加算することとし、当該額から現行法の規定により
昭和
六十六年度分及び
昭和
六十七年度分の
地方交付税
の総額から減額することとされている額三百億円を控除した後の額千五十五億円について、
昭和
六十六年度及び
昭和
六十七年度にあってはそれぞれ三百五十億円を、
昭和
六十八年度にあっては三百五十五億円を、各年度分の
地方交付税
の総額に加算することとしております。 次に、
昭和
六十年度の普通
交付税
の算定については、経常
経費
に係る
国庫補助負担率
の同年度における
引き下げ
及び国庫
補助
負担
金の廃止に伴い
増加
する
経費
に対し
所要
の
財源
を
措置
し、あわせて、
生活
保護基準の
引き上げ
、老人保健制度の
充実等
福祉
施策
に要する
経費
、教職員定数の改善及び私学助成等教育
施策
に要する
経費
、公園、清掃
施設
、
市町村
道、下水道等
住民
の
生活
に直結する公共
施設
の維持管理に要する
経費
並びに過密過疎
対策
、
消防
救急
対策
、公害
対策
等に要する
経費
の
財源
を
措置
することとしております。 また、
昭和
六十年度において、
地方
債による
措置
を縮減することに伴い、これに対応する投資的
経費
を基準財政需要額に算入するほか、
昭和
五十九年度において発行を許可された
財源
対策
債等の元利償還金を基準財政需要額に算入することとしております。 第二は、
地方財政
法、当せん金附証票法及び
公営企業金融公庫
法の一部
改正
に関する事項であります。 まず、当せん金付証票の収益金の使途の弾力化、
最高
賞金の倍率制限の緩和を図るとともに、受託銀行が当せん金付証票の売得金を確実かつ有利な方法で管理することができることとする等の
改正
を行うこととしております。 次に、公営競技を施行する
地方
団体の
公営企業金融公庫
に対する納付金の納付期間の延長と納付率の上限の
引き上げ
を行うとともに、同
公庫
が発行した債券を失った者に
交付
するための債券の発行に関する規定を
整備
することとし、良質な
地方債資金
の
確保
に資することといたしております。 以上が、
地方交付税法等
の一部を
改正
する
法律案
の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
高鳥委員長(高鳥修)
260
○
高鳥委員長
以上で両案についての趣旨の
説明
は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十九分散会 ――――◇―――――