運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1985-02-21 第102回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年二月二十一日(木曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 糸山英太郎君 理事 臼井日出男君    理事 平林 鴻三君 理事 加藤 万吉君    理事 安田 修三君 理事 柴田  弘君    理事 岡田 正勝君       石原健太郎君    大村 襄治君       工藤  巖君    小杉  隆君       坂本三十次君    中川 昭一君       長谷川 峻君    細田 吉藏君       松田 九郎君    山岡 謙蔵君       五十嵐広三君    小川 省吾君       佐藤 敬治君    細谷 治嘉君       山下八洲夫君    小谷 輝二君       宮崎 角治君    吉井 光照君       藤原哲太郎君    経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     古屋  亨君  出席政府委員         警察庁長官   鈴木 貞敏君         警察庁長官官房         長       鈴木 良一君         警察庁刑事局長 金澤 昭雄君         警察庁刑事局保         安部長     中山 好雄君         警察庁交通局長 太田 壽郎君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君         自治大臣官房長 津田  正君         自治大臣官房審         議官      石山  努君         自治大臣官房審         議官      土田 栄作君         自治大臣官房審         議官      井上 孝男君         自治大臣官房審         議官      吉住 俊彦君         自治大臣官房会         計課長     大島  満君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君         自治省財政局長 花岡 圭三君         自治省税務局長 矢野浩一郎君         消防庁長官   関根 則之君         消防庁次長   坂  弘二君  委員外出席者         法務省矯正局参         事官      長谷川 永君         大蔵省主計局主         計企画官    藤井 誠人君         大蔵省主税局税         制第一課長   濱本 英輔君         文部省教育助成         局財務課長   菴谷 利夫君         文部省体育局学         校給食課長   小西  亘君         厚生省社会局保         護課長     清水 康之君         建設省道路局道         路防災対策室長 寺田 章次君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ――――――――――――― 委員異動 二月九日  辞任         補欠選任   伊藤 公介君     小杉  隆君 同日  辞任         補欠選任   小杉  隆君     伊藤 公介君 同月二十一日  辞任         補欠選任   伊藤 公介君     石原健太郎君   河野 洋平君     小杉  隆君 同日  辞任         補欠選任   石原健太郎君     伊藤 公介君   小杉  隆君     河野 洋平君 同日  理事安田修三君同月八日委員辞任につき、その  補欠として安田修三君が理事に当選した。     ――――――――――――― 二月十四日  市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第三二号)(予) 同月十九日  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二一号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二四号) 同日  固定資産税増税反対等に関する請願伊藤茂紹介)(第一六五六号)  地方財政拡充等に関する請願中野寛成紹介)(第一六六八号)  保存樹木の土地に対する固定資産税軽減等に関する請願鯨岡兵輔紹介)(第一六八七号)  個人事業税にみなし法人課税制度適用に関する請願深谷隆司紹介)(第一六八八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二一号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二四号)  地方財政に関する件(昭和六十年度地方財政計画)  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。  それでは、安田修三君を理事に指名いたします。      ――――◇―――――
  4. 高鳥修

    高鳥委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  この際、古屋国務大臣から、所管行政の当面する諸問題について説明を聴取いたします。古屋国務大臣
  5. 古屋亨

    古屋国務大臣 委員各位には、平素から地方行政及び警察行政推進に格段の御尽力をいただきましてありがとうございます。厚く御礼申し上げます。  この機会に所管行政の当面する諸問題につきまして所信一端を申し上げ、各位の深い御理解と御協力を賜りたいと存じます。  今日、我が国社会経済は、さまざまな面で成熟化が進み、人生八十年時代の到来や国際化情報化進展等、その姿を大きく変えつつあります。国民のニーズはますます多様化し、単に経済的、物質的豊かさだけではなく、生活の質的な向上、心の豊かさを求めるようになってきております。このような中で住民と最も身近に接している地方公共団体役割は、ますます重要になってくるとともに、社会経済変化に対応した個性豊かな地域社会を実現することが、地方自治行政の大きな課題となってきております。  一方、地方公共団体を取り巻く環境は、依然として厳しいものがあり、多様化する行政需要に対応しつつ、地域社会活性化及び住民福祉の増進を進めていくには、引き続き行政減量化及び簡素効率化を強力に推進していく必要があります。  この昭和六十年という節目の年に当たり、私といたしましても、地方行財政が新しい時代に的確に対応し得るよう、その基盤づくりを積極的に進めるとともに、所要地方行財政施策を講じて、真の地方自治確立のため最大限の努力をしてまいる所存であります。  以下、その概要について申し述べます。  まず、地域振興の問題でありますが、地方公共団体住民期待にこたえて活力と潤いのある地域づくり推進していくためには、中長期的観点に立って、それぞれの地域の特性を生かしつつ、その総合的、計画的な整備を図る必要があります。  このため、地域における生活環境都市基盤等計画的整備を進めるまちづくり特別対策事業推進するとともに、地域社会の均衡ある発展を図るため、地域経済活性化対策推進してまいりたいと考えております。  また、住民日常社会生活圏広域化等に伴う市町村行政広域化の要請に対処して、広域行政推進のための所要措置を講じてまいる所存であります。  さらには、今後における高度情報化進展に即応して、地方公共団体等が有する地域情報を一元的に蓄積管理する総合的な情報のシステムを検討してまいりたいと考えております。  さて、我が国を取り巻く厳しい環境の中で、内外社会経済情勢変化に対応しつつ住民福祉を増進し、活力ある地域社会を実現していくためには、行政改革推進が当面の最重要課題となっております。このため政府におきましては、去る十二月二十九日に「行政改革推進に関する当面の実施方針について」を閣議決定し、その着実な推進を図ることとしておりますが、行政改革は国と地方が相互の信頼のもとに相協力して初めてその実効を上げることができるものであり、国、地方を通ずる行財政簡素効率化を図るとともに、国民に身近な行政国民に身近な地方公共団体において自主的、自律的に処理することのできる体制強化し、地方分権を一層推進することが必要であると考えております。  地方公共団体における行財政運営につきましては、地方行革推進のための体制整備し、今後さらに自主的、総合的な減量化効率化に取り組むことが求められているところであり、去る一月二十二日に示した「地方公共団体における行政改革推進方針」(地方行革大綱)に沿って事務事業見直し組織、機構の簡素合理化給与及び定員管理適正化等行政改革が積極的、計画的に推進されるよう強力に指導してまいりたいと考えております。  また、かねてより、国と地方公共団体の間の事務、権限の再配分、地方公共団体に対する国の関与や地方公共団体組織職員等に関する必置規制整理機関委任事務見直し地方財政基盤確立などに努めてきたところでありますが、今後ともに国と地方の間の機能分担適正化し、地方行政充実させるためにさらに努力したいと考えております。  次に地方財政に係る施策について申し上げます。  まず、昭和六十年度の国の予算編成上最重要課題でありました国庫補助負担率引き下げ問題につきましては、国の財政事情が極めて深刻な状況にあることにかんがみ、暫定措置として国庫補助負担率引き下げが実施されることとなりましたが、この措置は一年度限りとし、国庫補助負担率については、昭和六十年度において社会保障関係について国と地方役割分担費用負担あり方等とともに、検討することとしております。また、これに伴い増加する地方負担五千八百億円に相当する額につきましては、地方交付税増額建設地方債増発により完全に補てんし、地方公共団体の円滑な財政運営が図られるよう、万全の措置を講ずることとしたところであります。  明年度地方財政計画につきましては、以上のような問題等に対処しつつ、国と同一基調による歳出の抑制を図るとともに、節度ある財政運営を行うことを基本とし、次のような方針に基づき策定いたしたところであります。  その第一は、歳出面において、経費全般について徹底した節減合理化を行いつつ、限られた財源地域住民福祉確保住民生活に直結した社会資本整備住民生活安全確保等重点的に配分することであります。  第二は、歳入面において、地方税制改正受益者負担適正化等により収入確保を図るほか、地方交付税特例措置建設地方債増発等により必要な地方財源確保することであります。  この結果、明年度地方財政計画規模は、歳入歳出とも五十兆五千二百七十一億町となり、前年度に比べて、四・六%の増加となっております。  また、地方公営企業につきましては、住民生活に必要なサービスの安定的供給と経営の健全化を図るため、引き続き交通及び病院事業再建促進するとともに、上下水道等事業に必要な地方債資金確保する等所要財源措置を講ずることとしております。  次に、地方税について申し上げます。  昭和六十年度の地方税制改正につきましては、地方税負担の現状と地方財政の実状にかんがみ、その負担公平適正化を図るため、個人住民税均等割税率見直し及び事業税における新聞業等七事業に係る非課税措置廃止等地方税における非課税等特別措置整理合理化を行うとともに、住民負担軽減及び合理化を図るため、個人事業税事業主控除額引き上げ不動産取得税新築住宅に係る課税標準特例控除額引き上げ等を行い、固定資産税及び都市計画税評価がえに伴う負担調整措置を講ずるほか、自動車取得税及び軽油引取税税率等特例措置適用期限を延長することといたしております。  また、基地交付金及び調整交付金につきましては、基地所在市町村の実情にかんがみ、所要の額を確保することといたしております。  次に地方公務員行政について申し述べます。  かねてより、公務員秩序確立公務の公正かつ効率的な遂行の推進に努めてまいったところでありますが、今後ともこの方針に基づき、公務能率向上、厳正な服務規律確立、正常な労使関係樹立等を図るとともに、地方公務員給与及び退職手当について適正化を強力に進めることとし、また、定員管理につきましても、その適正化を一層推進し、もって住民期待信頼にこたえるようさらに積極的に取り組む所存であります。  特に、給与水準が著しく高い団体等に対しましては、計画的に是正措置を講ずるよう引き続き個別に助言指導を行うことといたしております。  また、地方公務員共済年金制度につきましては、その長期的安定と他の公的年金制度との整合性確保するため、公務員制度の一環としての特質にも留意しつつ所要改革を進めてまいる所存であります。  次に消防行政についてでありますが、我が国消防は、戦後自治体消防として発足して以来、住民生活の安全の確保を目指して、消防力充実強化が図られてまいりました。しかしながら、近年、災害はますます複雑多様化、大規模化するとともに、世田谷電話局洞道火災等のように国民生活に重大な支陣を及ぼす新しいタイプの災害も発生するなど、消防を取り巻く環境はますます厳しいものとなっております。  私はこのような状況にかんがみ、何よりもまず人命の尊重を基本とし、安全な地域社会を実現するため、消防力充実強化はもとより、住民事業所及び消防機関が一体となった地域ぐるみ消防防災体制確立することが重要であると考えております。  このため、まず、消防機関施設装備重点的な整備消防職団員教育訓練充実等を通じ、消防機関機能強化を図るとともに、ホテル、百貨店等多数の者の出入りする建築物における防災安全対策を一層推進してまいる所存であります。  また、地震、風水害、林野火災等の大規模災害に備えるため、国、都道府県、市町村を通ずる消防防災無線整備を進め、全国的な消防防災通信ネットワーク強化するとともに、消防団活性化自主防災組織育成強化等推進してまいりたいと存じます。  次に警察行政について申し上げます。  申すまでもなく、治安確保は、法治国家の根幹であり、国民の豊かで平穏な生活基盤をなすものであります。  我が国治安は高い評価を受けているものの、内外情勢はまことに厳しく、現在の治安水準を維持するためには、一層努力を重ねる必要があります。私は、流動する社会情勢に的確に対応する警察運営推進を図り、引き続き治安確保に努めてまいる所存であります。  まず、警察の最重点課題となっておりますいわゆるグリコ・森永事件及び極左暴力集団によるテロゲリラ事件についてでありますが、現在、関係都府県警察が鋭意捜査を行っているところであり、今後とも、警察がその総力を挙げて捜査推進し、犯人の早期検挙を図るよう対処してまいる所存であります。  最近の犯罪情勢について見ますと、刑法犯認知件数は、逐年増加傾向を示しており、昨年も一昨年をさらに上回り、百五十八万件に達しております。  内容的にも、身の代金目的誘拐事件保険金目的殺人事件、金融機関対象強盗事件等悪質な犯罪の発生が目立っているところでありますが、犯罪質量とも変化するこうした状況にもかかわらず、検挙率は、ここ二十年間の最高である六三・一%という高率を実現したところであり、一部未解決事件を残しつつも、全体的には高い治安水準を保っているところであります。  しかしながら、捜査を取り巻く環境は、今後、ますます厳しさを増すものと思われますので、今後とも、広域犯罪捜査体制充実強化科学技術導入等施策を一層推進してまいる所存であります。さらに、民事介入暴力銃器発砲事件等を引き起こし、国民生活の平穏を脅かす暴力団に対しては、組織の根絶を目指し、集中取り締まりを強力に推進してまいる所存であります。  また、最近の目に余る風俗環境の悪化に対処するため、昨年の国会において風俗営業等取締法改正され、去る二月十三日から施行されておりますので、法の的確な運用を図ることにより風俗環境の浄化を図ってまいる所存であります。  少年非行は、昨年八年ぶりにわずかながら減少したものの、依然として高い水準で推移し、さらに、少年間でのいじめに関連する悪質粗暴な事案規範意識の欠如に起因する悪質な非行が多発するなど楽観を許さない状況にあります。このため、少年補導活動を初め、これら非行の実態や傾向に対応した諸対策を鋭意推進してまいる所存であります。  覚せい刑事犯については、昨年は検挙件数検挙人員及び押収量が第二の覚せい剤乱用時代が始まった昭和四十五年以来最高を記録するとともに、その乱用も女性を中心一般市民層へ拡大するなど、依然として厳しい情勢が続いているところであります。このため、関係静国との情報交換を一層強化するなどにより、密輸入事犯水際検挙に努めるとともに、暴力団中心とする密売組織の摘発を推進し、あわせて覚せい剤を拒絶する社会環境づくりに取り組んでまいる所存であります。  また、都市化進展新興住宅地開発等地域社会の変貌に対応した警戒、警ら活動強化を図るとともに、強く、そして親切な執行務に徹し、国民とともにある警察活動を一層充実してまいる所存であります。  次に道路交通問題について申し上げます。  昭和五十九年中の交通事故による死者数は、九千二百六十二人で、前年に比べわずかながらも減少いたしました。  しかしながら、現下の交通情勢運転免許保有者数車両保有台数増加などにより一段と過密混合化しており、交通事故についても、このような情勢を背景に今後とも楽観視できない状況にあります。  警察としては、かかる状況に対処するため、道路交通環境整備運転者対策充実、効果的な交通指導取り締まり活動等、従来の施策をさらに強化していくとともに、シートベルト、ヘルメットの着用強化等交通情勢変化に対応して必要となる新たな施策についても積極的に取り組み、また、長期的な視点に立った計画的な施策推進により、交通事故抑止実効を期してまいる所存であります。  次に当面の治安情勢でありますが、極左暴力集団は、本年も新東京国際空港に対する反対闘争主要課題としながら、テロゲリラ志向を一段と強めており、引き続き凶悪な事件を敢行するおそれがあります。警察としては、こうした動向に対処するために強靱な体制確立し、法と秩序を破壊する暴力行為取り締まり徹底を期する所存であります。また、多様化する災害に適切に対応し得る災害警備体制充実強化にも積極的に取り組んでまいる所存であります。  以上、警察当面の諸問題について申し述べたのでありますが、流動する社会情勢に的確に対処し、治安の万全を期するためには、当面、警察装備食器材近代化促進を初めとする警察体制整備充実を図るとともに、警察職員資質向上を図ってまいることが肝要であります。  このため、昭和六十年度においては、厳しい財政事情のもとではありますが、第一線警察活動が的確に推進されるための緊急課題であります警察無線ディジタル化を最重点として、装備食器材整備を行うこととしたいのであります。  また、最近における警察職員不祥事案を踏まえ、警察職員資質向上を図るための警察教養徹底と処遇の改善に配意するとともに、職業倫理確立規律の保持並びに士気の高揚についても一層努力をいたし、もって国民期待信頼にこたえてまいる所存であります。  以上、所管行政の当面の諸問題について、所信一端を申し述べましたが、委員各位の格別の御協力によりまして、その実を上げることができますよう一層の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。(拍手)
  6. 高鳥修

    高鳥委員長 引き続き、昭和六十年度自治省関係予算概要について説明を聴取いたします。津
  7. 津田正

    津田政府委員 昭和六十年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、一般会計予算でありますが、歳入は二千二百万円、歳出は九兆七千七百十九億八千七百万円を計上いたしております。  歳出予算額は、前年度の予算額九兆一千五百五十七億一千七百万円と比較し、六千百六十二億七千万円の増額となっております。  また、この歳出予算額組織別の額を申し上げますと、自治本省九兆七千五百四十億八千九百万円、消防庁百七十八億九千八百万円となっております。  以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。  最初に、自治本省につきまして、御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費でありますが、九兆六千九百億八千万円を計上いたしております。  これは、昭和六十年度の所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額九兆五千九百億八千万円と昭和六十年度の特例措置額一千億円を合算した額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるためのものであります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、百九十九億五千万円を計上いたしております。  これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金交付するためのものであります。  次に、施設等所在市町村調整交付金に必要な経費でありますが、五十二億円を計上いたしております。  これは、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金交付するためのものであります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分利子補給に必要な経費として、九十五億七千八百万円を計上いたしております。  これは、新産業都市工業整備特別地域等建設整備促進を図るため、建設事業債特別調整分について利子補給金交付するためのものであります。  次に、地方公営交通事業再建債利子補給に必要な経費でありますが、七億六千三百万円を計上いたしております。  これは、地方公営交通事業再建促進するため、再建事業を経営する地方公共団体が起こした再建債について利子補給金交付するためのものであります。  次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、七十二億八千三百万円を計上いたしております。  これは、公営地下高速鉄道事業債支払い利子に相当するものとして発行を認めた特例債利子の一部について、地方公共団体助成金交付するためのものであります。  次に、公営企業金融公庫補給金に必要な経費でありますが、百五十五億九千二百万円を計上いたしております。  これは、公営企業金融公庫上水道事業下水道事業工業用水道事業交通事業市場事業電気事業及びガス事業に係る貸付利率引き下げのための補給金を同公庫交付するためのものであります。  なお、このほか、同公庫につきましては、出資金増額するための経費七億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  次に、広域市町村圏等整備推進に必要な経費でありますが、九億一千七百万円を計上いたしております。  これは、田園都市構想に即し、地域社会の総合的な振興を図るため、広域市町村圏等における田園都市中核施設整備計画の策定に対する補助及び当該施設整備に対する助成交付金交付に必要な経費であります。  次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、八億二千五百万円を計上いたしております。  これは、選挙人の政治常識の向上を図り、選挙をきれいにする国民運動等を推進するために要する経費について、都道府県に対し補助する等のために必要な経費であります。  以上が自治本省についてであります。  次に、消防庁について、御説明申し上げます。  まず、大震火災対策施設整備に必要な経費として、三十六億九千五百万円を計上いたしております。これは、震災等大規模災害に備えるため、消防防災無線通信施設整備及び耐震性貯水槽、コミュニティー防災センターなど震災対策のための諸施設充実を図るために必要な経費であります。  次に、消防施設整備補助に必要な経費として、百二十四億一千百万円を計上いたしております。  これは、市町村消防力充実強化を図るため、消防車、防火水槽などの消防施設地域の実情に応じて重点的に整備するとともに、林野火災等に対する防災対策推進を図るために必要な経費であります。  第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。  自治省関係の特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計があり、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定があります。  まず、交付税及び譲与税配付金勘定の歳入予定額は、十五兆八千九百三十八億四千八百万円、歳出予定額は、十五兆八千四百九十二億四千八百万円となっております。  歳入は、交付税及び譲与税配付金特別会計法に基づく一般会計からの受け入れ見込み額、地方道路税の収入見込み額、石油ガス税の収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税の収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税の収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、地方交付税交付金、地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。  次に、交通安全対策特別交付金勘定の歳入予定額は、七百五十六億九百万円、歳出予定額は、七百億三千二百万円となっております。  歳入は、交通反則者納金の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、交通安全対策特別交付金等に必要な経費であります。  以上、昭和六十年度の自治省関係の一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。
  8. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、昭和六十年度警察庁関係予算の概要について説明を聴取いたします。鈴木官房長。
  9. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 昭和六十年度の警察庁予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  昭和六十年度の警察庁予算総額は、一千六百九億二千五百余万円でありまして、前年度予算額(当初)一千五百六十二億九千五百余万円に比較しまして、四十六億二千九百余万円の増額となっております。  次に、その内容の主なものにつきまして御説明申し上げます。  第一は、警察庁一般行政に必要な経費六百四億九千七百余万円であります。  この経費は、警察庁、警察大学校及び地方機関の職員並びに都道府県警察の警視正以上の警察官の職員俸給等の人件費のほか、警察庁、警察大学校及び地方機関の一般事務経費であります。  第二は、電子計算機運営に必要な経費四十五億二百余万円であります。  この経費は、全国的情報管理システムその他のために設置した電子計算機組織運営に必要な電子計算機の借料とそれに付随する消耗品購入費等であります。  第三は、警察機動力の整備に必要な経費百六十四億八千三百余万円であります。  この経費は、災害対策の一環ともなりますヘリコプター、警察車両の購入、警察装備品の整備及び警察通信施設整備並びにその維持管理等の経費であります。先ほどの大臣の所信表明の中にございました警察無線ディジタル化は、この項目に約五十三億円余含まれております。  第四は、警察教養に必要な経費三十一億二千百余万円であります。  この経費は、警察学校入校生の旅費と警察学校における教養のための講師謝金、教材の整備費等であります。  第五は、刑事警察に必要な経費七億七千三百余万円であります。  この経費は、暴力団犯罪及び一般犯罪捜査取り締まり指導、連絡等に必要な旅費、物件費並びに犯罪鑑識に必要な法医理化学機材等の整備費、消耗品費、死体の検案解剖の経費のほか、犯罪統計の事務等に必要な経費であります。  第六は、保安警察に必要な経費一億七百余万円であります。  この経費は、青少年非行化防止、風俗取り締まり、麻薬、覚せい剤、密貿易、けん銃等銃砲危険物、公害等に関する犯罪捜査取り締まり指導、連絡等に必要な旅費、物件費等であります。  第七は、交通警察に必要な経費一億九千百余万円であります。  この経費は、交通安全に関する広報及び運転者対策等に必要な物件費並びに交通取り締まり指導のための旅費等であります。  第八は、警備警察に必要な経費六億七百余万円であります。  この経費は、警備警察運営に関する会議指導、連絡等の旅費、機材類の整備等に必要な経費であります。  第九は、警察活動に必要な経費百四十九億四千余万円であります。  この経費は、犯罪捜査取り締まり警察活動に必要な旅費及び捜査費であります。  第十は、警察電話専用回線の維持に必要な経費三十八億八千三百余万円であります。  この経費は、警察電話専用回線を維持するためのいわゆる警察電話専用料であります。  第十一は、犯罪被害給付に必要な経費五億六千二百余万円であります。  この経費は、殺人、傷害等の犯罪により死亡しまたは重障害を受けた場合、その遺族または被害者に対し国が一定の給付をするために必要な給付金及び事務費であります。  第十二は、千葉県警察東京国際空港警備隊に必要な経費六十二億七千余万円であります。  この経費は、千葉県警察東京国際空港警備隊の維持、運営に必要な旅費、物件費及び空港警備隊員の人件費等の補助金であります。  第十三は、船舶の建造に必要な経費二億一千百余万円であります。  この経費は、警察用船舶の建造に必要な経費であります。  第十四は、科学警察研究所に必要な経費八億四千七百余万円であります。  この経費は、警察庁の附属機関として設置されています科学警察研究所職員の職員俸給等人件費と鑑定、検査、研究に必要な機械、器具類の購入費、維持費、その他一般事務経費であります。  第十五は、皇宮警察本部の一般行政に必要な経費四十九億四千四百余万円であります。  この経費は、皇宮警察本部職員の職員俸給等人件費のほか、その他一般事務経費であります。  第十六は、皇宮警察本部の護衛、警備に必要な経費一億六千八百余万円であります。  この経費は、皇居の警備及び行幸啓の護衛に必要な経費であります。  第十七は、警察庁の施設整備に必要な経費二十九億四千三百余万円であります。  この経費は、直接国庫の支弁対象となっております都道府県警察学校等の施設整備に必要な経費であります。  第十八は、都道府県警察補助に必要な経費二百二十四億四千七百余万円であります。  この経費は、警察法第三十七条第三項の規定による都道府県警察の一般の犯罪捜査交通指導取り締まり、外勤警察活動、防犯活動等の一般行政費の補助に必要な経費であります。  第十九は、都道府県警察施設整備補助に必要な経費百七十四億二千余万円であります。  この経費は、警察法第三十七条第三項の規定による都道府県警察警察署、派出所、駐在所、待機宿舎等及び交通安全施設整備費の補助に必要な経費であります。  以上、昭和六十年度の警察庁予算の内容につきましてその概要を御説明申し上げました。
  10. 高鳥修

    高鳥委員長 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  11. 高鳥修

    高鳥委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平林鴻三君。
  12. 平林鴻三

    ○平林委員 先ほど大臣の所信を拝聴いたしまして、どうか地方自治の発展のため、また国民の安全のために一層の御尽力をお願い申し上げます。  大臣がおっしゃいましたように、我が国社会経済はどんどんと変わってまいります。地方自治行政も、従来の仕事を見直しながら次々と新しい仕事に取り組んでいかなければならないと思います。自治省としましても、行政改革に当たって時代に即して地方自治が伸びていくように、またその新しい仕事の裏づけが財政的にしっかりとなされるように御尽力を願わなければならないと思うのであります。全国的に全体的にとらえてきちんとした制度をつくっていかなければなりませんけれども、同時に、三千余りに上る地方公共団体でありますから、個々の地方公共団体の行財政運営がそれぞれ適正に行われて、住民生活向上発展していくようにということを心がけていかなければならない、こういうことが大切なわけであります。でありますから、自治省の仕事、地方自治の全体の取り仕切りもマクロの取り扱いに間違いがないようにということと同時に、それぞれの団体の仕事が地域の特性に応じてきちんと行われ、また正しく行われていくようにということの配慮がこれからますます必要になっていくと思いますので、その点特に御注意を願いたいと思っておるようなことであります。  特に昭和六十年度でありますが、国の財政危機が非常に深刻であるということからいたしまして、暫定的に国庫補助負担率引き下げるという措置が行われることになりまして、これは当然のことながら地方負担増加を伴うということになったわけであります。昨年、私が質問を申し上げましたときにも、こういうことが仮に行われたときに、各団体において補てんが完全に行われるのかどうか懸念を表明したところであります。確かに、このたびの地方財政対策におきまして、全体としては完全補てんが行われる、地方交付税増額され、また特別な起債措置も行われることによって財源の補てんは行われた、これは認めることができますけれども、各団体においてそういうことがきちんと行われるかどうか、このことについては、やはりまだ心配が残るわけであります。今後の課題であると思いますが、その点につきましても、今後誤りなきを期していただきたい。このことをまず要望を申し上げておきたいと思います。  さて、さようなことに関連いたしまして数点御質問を申し上げたいと思いますが、実は、地方経済における地方公共団体の果たす役割ということがいろいろございます。我が国経済は全体的には上昇基調にある、これはだれしも認めるところでありますが、もちろん産業別に見ますとばらつきがありますし、業種的にも非常にいい薬種もあれば悪い業種もある。したがって、地域によって上昇の著しい地域と依然として停滞をしておる地域というものは確かにあるわけであります。そのようなことからいたしますと、経済の停滞の著しい地域におきます府県や市町村におきましては、今日も、公共部門において地域経済を支えてほしい、そういう要請というものがこの地域には強くある、そういうことでございます。  自治省でも、町づくりというようなことに力を入れられるとともに、地域経済活性化対策というようなことを推進すると大臣の所信表明にもおっしゃっておられるところでございますが、地域経済の実情に応じましてそれぞれの地方団体の活動が行われるように、これからも御努力を願いたいと思うのであります。そのためには、やはり財源措置に配慮が必要だと思うわけであります。経済の停滞をしておりますところは、それだけ財源的にも苦しいわけでありますが、これを地方交付税とかあるいは起債とか、そういう方面において特に配慮をしていかなければいかぬ、そのような気がいたします。その点につきまして、自治省の御見解を伺いたいと思うわけであります。
  13. 古屋亨

    古屋国務大臣 ただいま平林委員から要望を承りました。この点は、私も御趣旨に沿いまして一生懸命に努力をしてまいる決意でございます。  お話しのように、景気の思わしくないような地域において公共部門の経済を支える役割期待されるが、やはり地方団体の財源対策充実を図っていくことが必要ではないかという御意見でございます。私どもも全くそういうように考えておりまして、現在地方財政は巨額の借入金を抱えて厳しい状況でありますが、こういう厳しい財政環境におきましても、地方団体が、地域社会が求める財政需要に対応して国民生活に直結いたします内政の担い手として役割を果たすためには、やはり地方税地方交付税等の一般財源充実強化が必要でございまして、このためには特段の努力をいたす決意でございます。  昭和六十年度の地方財政計画におきましては、経費全般を通じて徹底した節減合理化を図る一方で、地域経済活性化、あるいはお話しのような潤いのある地域経済というような意味におきまして、地方単独事業の総額を確保するように努めますとともに、まちづくり特別対策事業等につきましても、地域の特質を考慮しながら、この地域対策特別事業などの推進を図ったところでございます。今後とも、限られた財源の中で、地方公共団体がいろいろのニーズに応じた施策を講じ得るように、地方財源充実強化を図りますとともに、地方の声を十分よく聞きながら、個々の地方団体の実情に配意した財源措置をいたしますように十分努力をいたしてまいります。
  14. 平林鴻三

    ○平林委員 ただいま大臣もおっしゃいましたが、やはり単独事業財源確保というのが、特に財源に乏しい団体では非常に難しいわけであります。その辺のところを、やはり自治省で財源措置を考えられる場合にいろいろな工夫をしていただきたい、この点を特に要望をいたしておきたいと存じます。  質問時間が余りございませんので次に移らしていただきます。  次は、地方財政全体とそれぞれの地方公共団体財政運営との違いという点でございますが、昭和六十年度の地方財政計画をざっと見ますと、地方税あるいは地方交付税は一〇%以上伸びておる。最近こういう伸びは珍しいわけでありますから、まことに結構なことだと思うわけであります。また、地方債が一七%減少という見込みで計画が立っておるわけであります。今日まで増加が続いております地方債が減少ということで、これまた結構なことでございますけれども、こういうことで歳入構成がよくなってきた。今後もこういう一般財源がふえていくという格好で地方財政が改善されることが望ましいわけであります。けれども、個々の府県や市町村で実際に各年度に予算を組むということになりますと、毎年地方債、一般財源、よく変わるわけであります。去年は地方債で充当しておった事業が、ことしは地方債から今度は一般財源充当に変わる、こういうことになりますと、予算を組んで財政を運営をするときに非常に見込みを立てにくい。  地方財政全体としては確かに税が伸びるということが見込まれましても、先ほどちょっと述べましたように、地域によりまして税の伸び方は非常に違うわけであります。ある地方では税がどんと伸びても、この地方ではほとんど伸びないというようなことも出てまいる。地方交付税でそれが相当カバーできるとしても、完全にカバーできるかどうかということになりますと、それは、たくさんある地方団体でありますから、完全にカバーできるところもあればなかなかできないというところも出てくるということで、予算を組んでそれを執行するときには非常に苦労をするというのが各団体の実情であります。これは実は毎年のことであります。私なんかも長年そういうことで苦労をし続けてきた経験がありますから、特にことしのような地方財政計画の大きな変化が起こった場合には、そういう懸念を実は持っております。  そこで、個々の団体におきまして地方財政計画で見込んでおるほどの税収増が期待できない。財源の手当てというものが、従来起債に頼っておったものが起債も期待できないというようなことで、実際問題として継続事業でやっておる事業をやめるわけにはいかない、どうにも困ってしまうということが起こってまいるわけでありますから、そこら辺のことをよく見ていただかなければいかぬと思うのであります。最近もそういう声をあちこちの地方団体から聞かされております。このようなことにつきまして、自治省はどのようなことをお考えであるか、特別にそういうことについての財源を自治省で用意しておられるのか、私も余りよく承知しておりませんので、財政局長の方からその辺を聞かしていただきたいと思うのであります。
  15. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 御指摘のように、六十年度の地方財政の計画におきましては、地方税が一〇・六%の伸び、また交付税は一〇・九%というふうに一般財源が大きく伸びておるわけでございます。これはおっしゃいますように全国的な伸びでございますけれども、個々の団体について見ますと、例えば五十九年度の税収の伸びを見ておりましても、団体によりまして非情な格差がある、こういった税収のばらつきというものが近年特にひどくなったのではないかというふうな感じも受けておるところでございます。  したがいまして、六十年度におきましても、税収につきまして、全国的な伸びの期待できない団体というのはいろいろと出てくるのじゃないかということを私ども心配しておりまして、こういう団体につきましては、地方交付税の算定におきましてもちろん適切な対処をいたしますが、さらに新年度に入りましての財政運営につきましては、個々の団体の実情等をよくお聞きしながら、地方債の配分等におきまして、適切にそれぞれの団体の運営ができますような措置を講じてまいりたい、このように考えております。
  16. 平林鴻三

    ○平林委員 結局、地方債で処置をするということになるわけですか。
  17. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 結局はそういう形になろうかと思います。
  18. 平林鴻三

    ○平林委員 地方債計画というものが決まっておるわけですけれども、地方債計画の中で始末ができるものでしょうか。
  19. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 地方債計画でできるだけ措置をしてまいりますけれども、どうしてもやむを得ないような事情がありますときには枠外の起債も認めてまいりたいというふうに考えております。
  20. 平林鴻三

    ○平林委員 個々の地方団体の財政運営ができるように、仕事がやっていけるように、今おっしゃったような御配慮を望んでおきたいと思っております。  次は、地方財政計画歳出面を見た場合のことでありますが、公債費が九・八%伸びておるという点が気になるわけであります。人件費もことしはベースアップがございましたから伸びておりますし、また後でちょっと触れたいと思いますけれども、扶助費も地方負担が伸びましたから伸びておるというようなことで、いわゆる義務的経費が伸び続けておる。先ほど歳入構成は、地方税交付税が伸びたからよくなったけれども、この歳出構成の方を見ますと、これは公債費の累増ということを中心にして悪くなってきておる、このことが非箱に心配なわけであります。  実際に個々の地方団体について見てまいりました場合に、例の公債費比率が二〇%を超えるというような団体がだんだんとふえてきておるように実は聞いておりまして心配をしております。これらの団体の中には、もちろん放漫財政をやってその報いというようなことも中にはあるかもしれませんが、よく聞いてみますと、どうしてもやらなければいかぬ仕事をやりまして、起債でやって、その結果公債費がふえてということで公債費比率が大きくなってきた。今日、一般財源の伸びが昔に比べて少ないものですから、起債で仕事をやりますと、どうしても公債費比率がぐんとはね上がってくる、こういう傾向が強いわけであります。したがいまして、歳出の中で義務的経費の占める割合が伸びてくるというのは、これはある程度やむを得ない面があるような気がいたします。  そこで、私が最近、地方団体の財政運営について感じておりますことは、確かに公債費比率が伸びてきて、財政の面から考えますと注意信号、ですから、歳出の抑制も大いに気をつけてやらなければいかぬという気がいたします。始末をしながら財政運営をしなければいかぬと思いますけれども、他方で見直しをしながら新しい仕事もしなければいかぬわけでありますから、歳出の構成に気をつけながら、公債費比率が相当上がってきてもある程度仕事ができるような配慮もしてやらなければいかぬ、そこに非常に苦心が必要なわけであります。  これも財政局長にお尋ねをしておきたいわけでありますけれども、公債費比率がある程度上がる、注意はしなければいかぬ、冗費も節約しなければいかぬけれども、どうしても必要な仕事の財源というものはやはりつけてやる、そういうような考え方でこれからも臨んでほしいと思うのでありますが、その点はいかがなものでありましょうか。
  21. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 御指摘のように、地方財政は五十年度以降、巨額の財源の不足に対処するために財源対策債等の発行をいたしておりまして、公債費の負担が大幅に伸びていっておるわけでございまして、この公債費負担比率が二〇%を超える団体というのも、五十八年度の決算では八百二十団体に上っているという状況でございます。もちろんこういった公債費はできるだけ抑えるという考え方のもとに、本年度におきましても、地方債の発行額を八千億円程度減らしたわけでございますけれども、やはり過去の累積した地方債の償還費というものは地方財政をかなり圧迫しておるわけでございます。これらの団体が発行いたします財源対策償等につきましては、その元利償還費を地方交付税に算入いたしております。また、この公債費負担比率の高い団体の中には過疎団体がかなりありまして、これらは過疎債による公債費の増というふうなことでもございますから、これらにつきましても、地方交付税措置をされるという状況でございます。  全般的には、しかし、公債費負担あるいは義務的経費の圧迫というものが大きくなっておるわけでございますので、今後とも行財政簡素効率化、あるいは財政構造の健全化促進されるようにいろいろ指導してまいらなければならないと思いますし、また都道府県の関係部局ともその辺はよく相談をしながら適切な財政運営に努めていきたいと思うわけでございますけれども、やはり何と申しましても、地域の仕事ということは現在の市町村あるいは都道府県、どのような財政状況のもとにありましても、どうしても仕事ということはやっていかなければいかぬわけでございますので、その辺につきましては、個々の団体の実情をよくお聞きしながら、とにかく地域住民福祉向上が図られますように、私どもも十分に相談に乗ってまいりたいと存じております。
  22. 平林鴻三

    ○平林委員 その点のきめ細かい御検討、御配慮を要望をいたしておきたいと思います。  次は、補助率の一律引き下げ問題に関連しまして、例の生活保護費の問題であります。  昭和六十年度の生活保護費補助引き下げ、十分の八を十分の七に下げるということに伴いまして、市の財政に大きな影響が及ぶところが相当出てくるんではないかと心配をいたしております。補助金をカットした、その額に見合う財源措置は国が責任を持って行うということでありますが、問題は責任を持って行われたかどうか、個々の団体が、なるほどこうなったかということが納得できるように、ちゃんと説明がつくような、そういう形をつくってもらわなければいかぬだろうと私は思うのであります。もちろん交付税の算定におきましてもそういうことを十分に考えた算定方法をやってもらいたいと思うわけでありますが、その点、どのようなことを現在考えておられるか、伺っておきたいと思います。  また、交付税の不交付団体につきまして、結局どういう財源措置になるかと言えば、自分の税金で負担増を賄うということにならざるを得ないわけてありますから、どういう計算になっておるかということは特にはっきりとわかるようにしておかなければいかぬ。その点は一体どういうお考えなのか。不交付団体についてはどういう御説明を一なさるのか、そこら辺のところもはっきりと聞かせておいていただきたいと思うわけであります。  また、厚生省が来ていらっしゃると思いますが、生活保護の臨時財政調整補助金二百億円というものが計上されておるわけでありますが、これはどのような配分をなさるのか、現在御検討中かとも思いますけれども、聞かせておいていただきたいと思います。
  23. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 生活保護費に係る地方負担額につきましては、従来から普通交付税の基準財政需要額に所要額を算入しておるところでございます。その算入に当たりましては、市部人口を測定単位として、生活保護者数の多寡によって密度補正を併用するというふうな措置を講じておるわけでございまして、これによりまして各地方団体の実態に応じた算定をするということにしておるわけでございます。今回の補助率カットに伴います地方負担増加につきましても、従来と同様の方法によりまして基準財政需要額に算入いたしまして、きちんとカット分につきましては措置をするという形を講じたところでございます。  それから不交付団体につきましては、もとよりこういった交付税の需要額にも算入されるわけでございますが、算入した結果、税収の額が多いということで交付税はもらえない形になるわけでございますので、一応所要額の算定ということはなされております。ただ、形の上では交付税をもらえないということにはなってくるわけでございますが、その辺は、本来そういった交付税制度の建前からいきまして税収等におきましても十分賄えるということでございますけれども、個々の地方団体の運営につきまして、不交付団体であしてもいろいろ問題のあるようなところがあるかもしれません。例えば財源超過額が減ってくるとかいうふうな団体も出てこようかと思いますので、そういった点につきましては、地方債の配分につきまして十分配慮してまいりたいと考えております。
  24. 清水康之

    ○清水説明員 お答えをいたします。  生活保護費に係る国庫負担率の引き下げの問題につきましては、昨年の夏以来特に本委員会委員の皆様方には大変御心配をおかけしまして恐縮に存じておるところでございますけれども、御案内のような経過と内容をもちまして六十年度における措置というものが決定したわけでございますので、私どもとしましては、まず地方負担増加分については、地方財政計画の作成を通じて全体として所要措置はとられているというふうに考えているわけでございます。  ただ、平林委員が先ほど御指摘のとおり、全体としての措置もさることながら、個々の団体ごとに見てどのように財源措置をされるかということが重要であるという点については全く同感でございます。生活保護の経費支弁といいますのは、四十七の都道府県と、六百五十一の市と、二十二の区等で七百二十五の団体がその対象といいますか単位になるわけでございます。御案内のとおり、保護率に大変地域的な差等がございますので、団体によりましては歳出規模に占める生活保護費の割合が非常に高いという団体がございます。例えば福岡県などで見ますと、歳出規模の一〇%を超える生活保護費になっているという団体が、山田市とか大牟田市とか飯塚市、中間市などかなりございまして、私どもとしては、そういう団体についての財政運営に支障が生じないような配慮がぜひ必要だということを考えているわけでございます。  そして、基本的には先ほど財政局長さんから御答弁がありましたように、この負担増につきましては、地方交付税の算定というふうなものを通じて基本的な措置はなされると考えておりますけれども、交付税算定上の技術的制約などもあるかと思いますので、負担増加状況を見ながら負担の激変緩和措置ということも考えて、先ほど御指摘の生活保護臨時財政調整補助金二百億円というものをお願いしているわけであります。この補助金の配分については、まだ具体的な方針は確定をしておりません。予算の成立をまちまして財政当局ともいろいろ協議しながらできるだけ速やかに決定したいと考えているわけでございます。  ただ、先ほどお話しのありました不交付団体はどうなるのかということでございますけれども、この補助金創設の経緯あるいは趣旨というものから考えますれば、財政力の脆弱な普通交付税交付団体をまずもって対象とすることが妥当だと考えておるわけでございます。しかし、六百五十一市のうち五十九年度ベースで見ましても八十二、三の市が不交付団体のようでございますので、これらの団体につきまして全く対象にしないかどうかということにつきましては、その財源超過の状態がどうであるかとか、地方債による措置がどのようにとられるかとか、あるいは適正実施に向けてどのような状態になっているかという行政的要素、そういうものをいろいろ勘案しまして、個別的に見た影響と、生活保護制度の円滑適正な実施の確保というようなことを総合的に勘案しながら最終的な結論を今後得てまいりたい、そういうふうに考えております。
  25. 平林鴻三

    ○平林委員 補助率の一律引き下げ問題というのは、これの完全な補てん措置が行われておるということを各団体がわかるようにということをしてあげなければいかぬと思いますし、同時にこのことによりまして各団体が財政運営が困難に陥らないようにという配慮を全体として行わなければいかぬ、両方の観点からひとつ遺憾なきを期していただきたいと思うわけであります。  質問の時間がなくなりましたので、警察に対しましての質問は取りやめにさせていただきますが、どうかひとつグリコ・森永事件等の解決には一層の努力をお願いをいたしておきます。以上で終わらせていただきます。
  26. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、安田修三君。
  27. 安田修三

    安田委員 それでは、大臣の所信表明に関連いたしまして質問したいと存じます。  まず、来年度の予算編成に際しまして、地方の立場を、大臣は自治大臣という立場からいろいろと補助金の削減問題に対しまして強力に反対されてきたことは、昨年末の新聞報道その他でもその発言の内容は承知しているところであります。しかし、政府部内のやりとりの結果補助金の削減が行われたわけでありまして、同じ政府の中の閣僚として、大臣はどういう経緯がありましょうとも、その結果に対しては重大なことになったということで当然責任を感じておられなければならぬと存じておるところでありますが、まずその点、大臣の考えをひとつお聞きしたいと思います。
  28. 古屋亨

    古屋国務大臣 補助率の一割カットの問題、私もしばしば、地方の事情からしてこれにはどうしても賛成できないという立場は本委員会でも申し上げたところでございまして、この問題は、予算編成の最後のぎりぎりの線まで大蔵省と対峙しておったところでございます。そうして十二月二十一日になりましてこの調整の問題が起こりまして、私どもも方策としては、例えば生活保護関係の予算を十一カ月組めとかいろいろ大蔵大臣と折衝いたしました。しかし、結論的にはああいうような事態に一至ったのでございます。  私といたしましては、何とかしてこういうことがなきことを希望したのでございますが、私の力の足らぬと申しますか、国の余りにも厳しい財政事情のために、私どもは、これは一年限り、その補てんは完全に国で見てもらう、特に社会保障の問題につきましてはいろいろ問題もありますので、この一年間に自治省、厚生省、大蔵省において十分協議をするという条件のもとでこの問題の解決を図ったところであります。  私は、そういうような地方自治体の期待に反したということはまことに残念でございますが、ただ、これによりまして、この影響を一年間は完全に財政的にも食いとめ、検討機関を置き、そうして一年限りのものとしたということで、また金額も、その補助の減りました分については交付税地方建設債で完全に補てんするというように話を詰めまして、そういう意味で、ぜひそのいきさつを御承知の上、御了解をいただきたいと思っております。
  29. 安田修三

    安田委員 地方財政計画の自治省の文書を見ても、カットされた財源分については完全に補てんした、「完全に補てん」という言葉が出るのですが、大臣の所信には「万全の措置」、いろいろな関係ではかなり名を捨てて実をとったというような評価があるように言われております。しかし、十二月二十三日の朝日新聞に報道されておりますように、「既成事実化を警戒」という中に、「「今度は地方側が完敗です」というのは全国市長会。」「ショックを隠し切れない。」まさに各自治体においては、これは決して今おっしゃったような甘いものではない。ましてや大臣が所信でも言っておられるように、国と地方との信頼関係、これは保たれたところか、私は逆に今度は非常に阻害されたのではないかと思います。その点、大臣はどう考えておられますか。
  30. 古屋亨

    古屋国務大臣 お話しの点でございますが、確かに国と地方信頼関係というのは、今度の問題につきましては先生のお話しのような点はあったし、また、そういう点はこの補てんによりまして、しかも一年間の検討ということによりまして、今後ますます信頼関係の回復に私もぜひ一生懸命に努めてまいるつもりでございます。
  31. 安田修三

    安田委員 大臣の所信表明にも、それから一月に出た行革方針地方行車の大綱にも、盛んに行政減量化、簡素化という言葉が出るのですが、私は大臣はどういうぐあいに考えておられるか知りませんが、お隣にお座りの花岡財政局長は、そういう点ではずばりおっしゃっているわけです。  雑誌「地方財政」の一月号の「地方の自立について」という中でもおっしゃっておりますが、「国の負担地方に転嫁して、総体で眺めれば一般財源比率が高まっていたというのでは、地方の自主性が高まるどころか、少なくなった補助金等に拠って、地方行政運営に関与する余地を残すもので、むしろ地方の自立の妨げになると考えるのが自然ではないだろうか。申請の手続と交付の手数というのは一向に減らないで、行政の簡素化ところか、合理化行政改革にはつながらない。」こう言って、地方へのこの種の転嫁は反対という趣旨を極めて明快に述べてあるのですけれども、大臣のいろいろな所信表明その他を見ますと、そこらあたりに対する反省はさらさらない。その点、大臣は少しお考え違いしておられるんじゃなかろうかと私は思うのですが、どうでしょうか。
  32. 古屋亨

    古屋国務大臣 私は皆さんとともに地方行政を長くやってまいりまして、何でも身近な地域の問題は地方の自律性ということを考えていかなければなりませんが、厳しい財政状況のもとにおきまして、特に地方行政の簡素化といいますか、そういう点を中心にいたしまして、身近なことは地方でやるということを基本方針に進めたいと私は思っております。今度のいろいろの問題からいたしまして、私の真意が徹底しないところもあると思いますので、今後とも十分地方の意見を聞きながら、また私どもの意向を申し述べながら、その信頼関係の回復と申しますか、地域の自律性、簡素化ということに向かいまして一生懸命に努力をしてまいりたいと思っております。
  33. 安田修三

    安田委員 地方財政審議会が十二月に答申を出しましたが、これはどうでしょう。地方制度調査会が十二月四日に答申を出し、そして十八日に今度は地方財政審議会が出す。大蔵省の財政制度審議会とは真っ向から意見が対立するようなことになりましたが、しかし、この種の立派な審議会から、まさに補助金カット問題については強い地方の立場の意見が盛られておるわけでありますけれども、一体、この審議会答申というのは政府部内ではどういう取り扱いなんでしょうか。その点、お聞かせいただきたいと思います。
  34. 古屋亨

    古屋国務大臣 地方財政審議会、十二月十八日に答申が出ましたことは御承知のとおりであります。地方財政対策に対しまして極めて貴重な御意見を承りまして、私どもといたしましては、地方財政の自律性という観点から誠心誠意その意見の趣旨を実現するように努力してまいったところでございます。  ただ、まことに遺憾ながら、国庫補助負担率の一律引き下げにつきましては、御意見の趣旨に反しまして、厳しい財政状況のもとで六十年に限るという暫定措置で行われることになりましたが、これに対しましては、地方財政対策に対しまして万全の措置を講じ、地方財政運営に支障ないように私どもも一生懸命に努力をしてまいる決意でございます。
  35. 安田修三

    安田委員 私、審議会答申は、全部皆さんの方で主張されたが通らなかった、そういうことも実はあり得ることですが、しかし、例えば社会保障関係については後ほどちょっと触れますが、機能分担見直し、この審議会答申には、「現行の国と地方との負担割合は堅持されなければならないものである。」というのは、特に、生活保護等の社会保障にかかわる事務は、基本的な国の責務に基づくものであるので、国と地方との負担割合は堅持しなければならぬとぴしっと出しておるわけですね。いろいろなやり方はあっても、こういうものの見直しについて、安易に大臣が妥協してこられるというのはおかしいじゃないですか。  そういう点、金に困るから単年度だけやむなかった、しかし、こういう基本的なものについてまで――社会保障制度審議会あり、社会保険審議会、いろいろな諸制度がまたがって、基本的に社会保障の役割、それからそれに基づく機能分担というものが出て初めて財政サイドの問題が出なければならぬのに、どうして予算編成から出発しなければならぬのか、非常に国民にとってわかりにくい。この点、大臣はどういうぐあいに見られたのでしょう。
  36. 古屋亨

    古屋国務大臣 私は、社会保障関係は憲法上極めて重要な国の仕事であると考えております。したがいまして、こういうような問題につきましては、話し合いの時間がもっとなければどうしても結論は出ない。ところが予算編成を目の前にいたしまして、この問題は検討する機関をつくるからぜひ今回は一年限りの措置で、その間に十分検討するということで厚生大臣と大蔵大臣と私との覚書が交わされたような次第でございまして、本当に緊急的な、緊急避難というと私の責任を逃がれることになりますが、あのときにおいては予算編成上厳しい財政下においてのやむを得ない措置として、暫定的と申しますか一年限りの措置で、しかもその間に十分検討し直すという約束のもとに実施したものでありますので、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  37. 安田修三

    安田委員 来年度限り、暫定的と盛んにおっしゃる、そういうことにも発表されておりますが、これは大臣、本当に来年度だけ、一年だけで終わると断言できるんですね。
  38. 古屋亨

    古屋国務大臣 私の決意は、一年のうちに新たな施策を考えて決めるという決意でございまして、その当時の交渉を見ましても、例えば十一カ月の予算を組んだらどうかとか、いろいろな提案も内部的には私したところでございます。したがいまして、これはとにかく一年限りで、この間に対策をつくり上げるという決意で進んでおりますので、私の今の立場としては、今年限りというふうに考えさせていただいています。
  39. 安田修三

    安田委員 私は、大臣の決意は、補助金は削らせぬという決意を十二月にもお聞きしたのです。決意はわかるのですが、決意が通らないから困るのですよ。だから、これは覚書が政府部内で取り交わされている。絶対一年でこの措置は終わるのだということ、これは予算編成に際して皆さんの取り決めがあったのだから、絶対変わりませんよということを断言できるかと言っておるのです。決意であるとか思うとかということ、そういう予測を私は聞いているのではない。
  40. 古屋亨

    古屋国務大臣 この覚書があります以上、それによって一年ということで、その間に対策を考えます。
  41. 安田修三

    安田委員 そこで、いろいろな暫定措置がたくさんあるわけですけれども、特に今度の場合に、国の歳出の抑制のやりくりのために削ったり、足したり、こういうまさにわかりにくい金のやりとりになってしまったわけですね。これは大臣だって認めざるを得ないと思うのです。そこで、経常経費系統の補助金削減のうち、建設地方債で手当てをする一千六百億円のうち一千億円は、当面の暫定措置として昭和六十六年度以降に精算すべき地方交付税の総額に加算する、こういうことになっておるわけですが、これは確実に加算されますか。
  42. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 経常経費系統に係る二千六百億円のうち、六百億円を除きました二分の一、そしてその二分の一について千億円は六十年度に加算するわけでございますが、残りの一千億円につきましては六十六年度以降に加算するという建前にいたしております。これは先ほどから大臣がお答えいたしておりますように、国庫補助負担率引き下げというものが一年間という形になっておりまして、この間にいろいろ検討をするということになっておりますので、一応とりあえず六十六年度以降加算するものは今年度におきましては国が持つということにしておりますが、この一年間の検討の結果を踏まえて、もし動くようなことがあるならば、これは大蔵省と自治省の間で改めて協議をしようということになっております。
  43. 安田修三

    安田委員 そうしますと、これは動く可能性があるということですね。
  44. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 そのとおりでございます。
  45. 安田修三

    安田委員 要するに動くというのは、総額が加算されることは間違いないけれども、処置方法については動くという意味ですか。
  46. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 具体的に、どういう話し合いをするかというところまで話を詰めておるわけじゃございませんで、今回の措置を論ずるに当たりまして、とにかく一千億円は六十年度に加算をする、あと一千億円も本来国が持つべきではないかという私どもの主張に対しまして、大蔵省の方も、そこは何とかしてくれないかという話がございました。私どもは、それでは地方団体は納得できない、とにかく将来であっても国が持てというふうな語をしたわけでございまして、その結果、とにかく将来において国が持とう、しかし一年間検討するということになっておるのだから、国の方といたしましても、そのときにどう動くかまだわからぬではないか、それについては一応一年後に検討するような余地を残しておいてくれということがございまして、これに合意したものでございますので、検討の結果、両省間でどうするかということは改めて話し合いをするということでございます。
  47. 安田修三

    安田委員 極めてこれは不安定要素の一千億円だということがわかりました。  さてそこで、先ほどの社会保障関係役割分担費用負担のあり方の方ですが、検討は一年かけてということなんですが、予算の概算要求基準が、もう何カ月かたちますといよいよ算定されたなという時期に来るのですが、この点大臣は、この見直しということについていつまでに決着をつける考えですか。
  48. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 三相合意は「一年以内」ということにいたしておりますので、長い場合には一年かかって、いわゆる予算編成のときまでかかる可能性はございます。
  49. 安田修三

    安田委員 うちの党、あるいは他の党の方も一緒かも存じません、その点もし違っていたら失礼いたしますが、自民党藤尾政調会長との話では、八月までに決着をつける、こういうことになっているのですけれども、政府部内ではそういうことになっていないのですか。
  50. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 三大臣が合意いたしましたときには「一年以内に結論を得る」ということになっておりまして、早ければ早い方がいいわけでございましょうけれども、問題が問題なだけに昨年の夏からいろいろ問題が議論されておったわけでございまして、かなり重要な内容の検討でございますので、概算要求時までに本当に決着ができるのかどうか、なかなか難しいのではなかろうかと考えております。
  51. 安田修三

    安田委員 そうしますと、六十年度予算の場合には既に昨年の八月に補助金の一律カット等がそれぞれ整理されて、経常経費系統の関係は既に出たわけですけれども、再来年度、六十一年度の概算要求基準のときには、それでは皆さんは一体今のままの暫定措置で予算を組むということになるのか、あるいは旧に戻して、従前どおりの方法で概算要求をするということになるのか。もし八月までに決着がつかなければですよ。その点、どういうことになるのでしょう。
  52. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 概算要求時点でどのような概算要求を各省に求めるかということにつきましては、それまでに大蔵省と話をしたいと思っております。私どもといたしましては、大蔵省の方では、今回の中期展望を作成いたしますときにも補助率はもとに戻して作成しておると承知いたしておりますので、今後概算要求を出しますときにどういう形で出すように大蔵省が求めるのか、それまでに大蔵省とその点を十分に詰めてまいりたいと思っております。
  53. 安田修三

    安田委員 そこで、大臣の所信表明の中に「広域行政推進のための所要措置を講じてまいる」とあるのですが、いろいろな広域化の要請に対処してどういうぐあいな措置を考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  54. 大林勝臣

    ○大林政府委員 御案内のように、社会経済進展に伴いまして昭和四十年代から広域行政施策を進めてまいっておるところでありますが、事務の共同処理を初めといたしまして中核施設建設あるいはその間のソフトの面の利用関係、こういったものの進展をお願いしてきたわけであります。同時に、そうやってそれぞれの市町村が手をつないで協力して仕事を進めるうちに条件が整いましたところにつきましては合併するのも適当であろう、こういうことで合併の特例法というのも設けて運用してまいったところであります。  こういった施策につきましては引き続き今後とも積極的に推進してまいるつもりでございますが、たまたま合併特例法がことしの三月末をもって期限が切れますので、あわせましてその特例法の延長も今国会においてお願いいたしたい。そういった特例法の問題、従来やってまいりました広域市町村行政、今後とも積極的に続けていくという趣旨でございます。
  55. 安田修三

    安田委員 次に、公務給与の問題で皆さんの方も触れられておりますので、少しお聞きしたいと思います。  「地方公務員給与及び退職手当について適正化を強力に進める」、こういうことが大臣の所信表明に載っております。いろいろな自治省の文書を私読んでみますと、これは意味があるのかないのかわかりませんが、いろいろな使い分けがなされておるわけでありますけれども、この場合に「適正化」というのはどういう意味を指すのか。例えば「給与水準」という使い方、「給与」という使い方、いろいろあるのです。それから、適正化という場合にも、私たちが考える適正化というのは、妥当な線に上は抑え下は持ち上げるという意味に通常考えるのですが、何か見ておりますと、その後に「高い」が来たり、いろいろなのが文章としては続きます。まず「適正化」、大臣はどういう意味でおっしゃっておるのか、お聞きしたいと思います。
  56. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 地方公務員の現在の給与水準につきましては、各方面から非常に厳しい批判が寄せられております。したがいまして、現在私たちが念頭に置いております適正化といいますのは、国民から非常に厳しい批判が寄せられておる給与水準というものを妥当な線に持っていくというふうにお考えいただいて結構だと思います。
  57. 安田修三

    安田委員 その点、今の中島部長のお話ですと高いものを抑えるという意味。ところがいろいろな文章の続きを見ますと使い分けが、例えば地方制度調査会の地方行財政の答申の場合には、「給与水準の不適正な地方公共団体又は国の支給基準を上回る退職手当」についてはこれこれだ、こういう言い方。続いてまたその次に、「「また、給与水準が国を著しく上回る地方公共団体退職手当が国の支給率を上回っている地方公共団体」に対しては個別に指導せよ。」要するに使い分けが二つになっているわけです。ところが、自治省の文書を見ますと一本になってしまう。ですから私は、皆さんの方では何か都合のいいものだけをつまみ食いしておるのじゃないだろうかと思うのです。  例えば今、部長は、公務給与が高い高いと各方面からと言う。私は、各方面というよりも、各文書を見ますと、大体同じ文章で出ておるわけでありますが、自治省の方が公務給与の実態について国民に余り知らしてないのじゃなかろうかと思うのですが、どうでしょう。
  58. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 私たちは、地方公務員給与というのはそれぞれの住民の税金で賄われておりますので、その実態を議会及び住民にできるだけ正確に知らせた方がいいだろうというふうに考えております。そういう趣旨から、一つはそれぞれの議会が予算を審議される場合に予算説明書というのを出しますけれども、その中に給与費明細書というのがございます。その給与費明細書というものをより議員さんにわかっていただけるように私たちは工夫をこらしまして、各地方団体の方にそれに基づいて議会に正確にお知らせするように現在指導しておるところでございます。  もう一つは、住民に対してもそれぞれの地方団体の給与というものを正確に知っていただく必要があるというので、私たち通達を出しまして、基準を示しまして住民に公表するように指導しております。私たちはこの給与の実態というものを、高かろうが低かろうがそれを地方議会、住民に正確に知っていただくようにそれぞれの地方団体に現在指導しておるところでございますので御了解いただきたいと思います。
  59. 安田修三

    安田委員 ラスパイレスの指数の用い方そのものについて、私たちもいろいろなとらえ方という観点からしますと問題点を持っておるのでありますけれども、しかし皆さんがラスパイレスをもって高い、低いを論じておられますので、そこで一応ラスパイレス化しまして、ラスパイレスを用いて皆さんの資料からした場合に、よく標準として出てまいる一〇〇以上、それから特に皆さんがこれは高いぞと言ってやり玉に上げて、そして起債制限その他、私たちとすれば報復措置だと言っている一一五以上の団体、こういう点の分布について一体どういう実態かひとつ公表していただきたいと思います。
  60. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 お答え申し上げます。  五十八年四月一日現在ですが、ラスパイレス指数が一二〇を超える団体が二十四ございます。それから一一五から一二〇までが六十九団体でございます。一一〇から一一五までが二百四十五団体、一〇五から一一〇までが四百五十二団体、一〇〇から一〇五までが八百四十九団体、一〇〇未満が一千六百八十六団体でございます。
  61. 安田修三

    安田委員 今の部長の発表からしますと、これを率にいたしますとこういうことになります。大臣、聞いてくださいよ。全国で三千三百二十五ある自治体のうちに、今おっしゃった、皆さんがいつも目のかたきにしておる一一五以上の団体は二・八%。この中身を申し上げますとよくわかるのですが、東京、大阪、名古屋のいわゆる大企業のある周辺都市であります。ですから札幌市といえどもラスパイレスは高くはございません。なぜかというと、それは産業の状況によって違うからでしょう。  さて、それでは一〇〇以下は一体幾らあるのか。高い高いと言うが、公務員は何も昔と違って官尊民卑じゃないですから、国家公務員が上で地方が下でなければならぬということはないのだ、ただ、いろいろの社会の妥当な観念というものがあるから、それをおおよそ行ったり来たりしなさいというのが私は国民の大方の考えだろうと思うのです。だから、国家公務員の上へ行ってはいかぬ。では、公務員の下の者はどうするのか。同じ公務員という肩書きで、地方のついた下の人はどうするのか。大臣、聞いてくださいよ、九五未満の自治体が八百六十五、二四・八%、それから九五から一〇〇までが八百二十一、二四。七%、合わせて四九・五%、約五〇%は一〇〇以下の自治体なんです。これをどうしてくれるのですか、まず適正化という場合。これを大臣、聞かせてください。
  62. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 ラスパイレス指数が一〇〇未満の地方団体というのは、主として小規模市町村でございます。この小規模市町村公務員の給与をどう考えるかということにつきましては、先生がおっしゃるような御議論もありますし、考え方もあり得るだろうと私は思います。ただその場合私たちが見捨ててならないのは、一つは、そういう町村においては民間の給与というのは非常に低い。例えて言いますと、労働省がおつくりになっております民間賃金の統計というものを見てみますと、民間賃金の地域差指数というのがございます。全国平均を一〇〇にいたしましてそれぞれの地域の指数というのをとっておるわけでございますけれども、これは県全体でとっておりますので、市町村ごとには現在私たち手元に持っておりませんが、県全体で見ましても、全国平均を一〇〇にいたしまして八〇を割っておるようなところがあるわけですね。そういたしますと、やはり当該地域における民間賃金の実態というものを無視するわけにはいかぬというふうにそれぞれの町村長はおっしゃいます。私たちも先生がおっしゃるような問題意識を持ちまして低いところについて聞いたこともございます。それが一つでございます。  もう一つは、国家公務員の給料表というのは八等級制というのをとっておりますが、規模の小さい町村におきましてはやはり組織も小さいので、八等級制の給料表というのは採用されておりません。四等級制とか五等級制の給料表が採用されておる。国家公務員の給料表にいたしますと、四等級から八等級までを使って五等級制の給料表を使っておる、そういうような実態でございます。  そういたしますと、仮に回しように大学を卒業して、片方の人は国家公務員の上級職試験に合格して中央官庁に勤めた。ところが片方の方はその試験を受けずに田舎に帰って町村役場にお勤めになったというときに、二十二、三年後どうなるかといいますと、二十二、三年後は国家公務員の方は恐らく本庁の課長になっておるだろう、片方の、町村の役場にお勤めになった方は町村役場の恐らく課長ぐらいになっておられるだろうけれども、そのときにどちらも同じ給与であるべきかどうかという議論というのがやはりあるのじゃないかというふうに思うわけです。  私は、それぞれの地方団体の規模に応じて給料表というものが決まり、国家公務員の給与の制度、運用と同じものを地方団体が施行した場合に、給与水準というのはそこに若干の差が出てくるというのは国民が納得されるのじゃないかというふうに思います。そういうことで、ラスパイレス指数が一〇〇未満の地方団体というものが小規模市町村で出てきても、それは国民が納得される線というものがおのずからあるだろうというふうに考えておる次第でございます。
  63. 安田修三

    安田委員 それは部長だめです。そういうことになれば、私の方は最低賃金審議会から皆さんそういうことをよく議論してきたので、とてもじゃないがあなたの言う理屈は通らない。なぜかというと、大都会周辺の方は賃金が高いのは当然じゃないか、そうでしょう。地域対応制でいくならそのとおりにしなさい。そうしたら山村の人が低くてもいいということなんだ。そうしたら東京や大阪は高くてもいいということになるんでしょう。全国最賃でも五段階になっておるのはあなた知っておるでしょう。  それからもう一つ。山村の方は確かに業種別最賃というのは経営者がなかなかうんと言わないのです、ついていけないということで。それはなぜかというと、郵便局と役場と農協さんの賃金が標準になっておるのです。いわゆる昔からそこに勤めただんなさんとうちと、それが標準になっておるのですね。  それからもう一つ。役場では今おっしゃったように数が少ないから人の異動がなかなかないので、年配の人がおると大学を出ていてもなかなか上がらない。だから、それを皆さんが指導しなければならぬのでしょう。地方交付税だってそういうことはちゃんと算定指標に入っているんだから、そういうのをうっちゃっておいて、低いことをいいことにしているということは、役場の賃金が低いということは、その地域の賃金が総体的に上がらない。いわゆる全国一律最低賃金制というのがなかなかできがたいのは、そこに一つの難問を抱えておるからです。ですから私は、そういう御都合主義はおかしいと思います。一〇〇以下のところをうっちゃって適正化と言うなら、この実態を自治省は発表すべきである、そして適正化を言ってもらいたい。これを隠しておいて、皆さんが適正化というのは当てはまらない。  大臣、私は、これは率直に言いますよ。二・八%の団体は極めて高い。これを一生懸命直しておるのです。事実毎年下がっておるのです。だがこういう低いのがまだ半分あるのですよということを、あらゆるところにアピールしてもらいたいと私は思うのです。農村、山村に行けばやはり財政力指数は小さいでしょう。そのためにこそ自治省は地域特性化あるいは活性化等、広域圏をつくってやっておるのですと大臣もきょうちゃんと述べておるんだから、言ってもらいたいと思うのですよ。大臣、どうでしょうか。
  64. 古屋亨

    古屋国務大臣 私の方は、今の話の高いところがとにかく目立ちますと、数字的には少なくても地方財政が豊かであるというような印象をいろいろの方面――わかっておる人はわかるのですが、そういうことを意欲的にまた使おうという人もあることは御承知のとおりでございます。でございますので、高い方のことは言っておりますが、低い方のことは先生がお話しのように余り言ってないので、やはりそういうことが十分徹底されるということは、先生の御意見に賛成したいと思います。
  65. 安田修三

    安田委員 大臣、そういうことでお願いします。  次に、行革推進問題で皆さんが方針を出されました。そこでは議会の定数問題は実は触れてはいないが、「地方議会の議員定数の減少については、既にかなりの自主的な努力が行われているところであるが、地方議会においてはその機能に十分留意しつつ、」云々と書いてあるのです。これも実はつまみ食いのところがありまして、地方制度調査会では「地方議会においても、その機能に十分留意しつつ、」と、自治省と一緒の文章になっているのですよ。自治省の方は、その先に地方議会の議員定数の減少という問題について、減少せよとは言っていないんだけれども、減少してきたという実績について評価しているのです。自治省が地方議会のことまでこういうぐあいに「大綱」に言うのはおかしいんじゃないでしょうか。長年議会政治に大きな貢献をしてこられた大臣の所見を聞きたいと私は思います。
  66. 古屋亨

    古屋国務大臣 今のお話ですが、私ども基準を出して全国的に右へ倣え、統一しろというようなことは考えておりませんで、これは一つの基準でございます。ただ、統一的に言っておるのは、そういう組織をつくってもらいたい、いつごろまでにやってもらいたいというお願いをしておりますけれども、内容につきましては地域の自主性を中心にしてやってもらうというような気持ちでおりますし、それから先生御承知のように議員の数につきましても、むしろ地方では率先してもう今までにやっておる、相当やっているな、国と比べても地方の方がそういう点は進んでいるところもあることは事実だと私は考えております。そういうような意味で、これは地方の自主性。ということで、私ども出しておるのは基準というふうに考えればいいんじゃないかと思っております。
  67. 安田修三

    安田委員 大臣、ちょっとあなた答弁を変えて、先に飛ばして言われたんじゃないですか、質問通告したのを。私が聞いたのは、今地方議会のことを地方行革推進方針の中に書いてあるので、それを聞いたのであって、それを大臣は、行革推進のために皆さんからいろいろな要綱とかモデルを出してあることについて先に答弁を何かいただいてしまったような感じですが、よく聞いておってくださいよ、大臣。今言ったこともちょっと言ってあったのだけれども、それはまくら言葉みたいなことですからね。よく聞いておってください。  そこで大臣、今先に答弁をいただきましたが、皆さんが行革推進のためにいろいろなモデルを出してやっているのですけれども、ただ、その中にも皆さんが、例えば給与問題でも○○カ月の昇給延伸を行うとか、あるいは○○%の定員を削減するとか、あるいは何々の会館を何々業に委託するとか、こういう例示事項がずっと出て、そして行革推進大綱とか、あるいは既に各県、これは去年ですか、自治省から発表された前の資料にもあるのですが、各県とも、あるいは各市町村、非常に行革は多彩にわたってもう十年ほどの間やってきているわけですね。国より、どちらかというと自治省自身認めたより進んでいるんですよ。  それを皆さんがいろいろまたヒアリングをやって、進められるために改めてやる。行政減量化、簡素化ところか、逆に肥大化しているところがある。それはなぜか。そんなものやらぬでもいいじゃないか、皆さんからすればそういう言葉だと思うのですが、日本の役所の癖で、皆さんがやると、それに合わせてやらぬとおしかりをこうむるかと思って、御丁寧にまたやり直しをするところがある。こういうことをしておったら、行政の簡素化ところか、逆に手間暇かけておるようなことになってしまうんですよ。ですから、今大臣がおっしゃったようなサンプルをつくってやっているが、それはあくまで基準だとおっしゃるんだけれども、その基準が地方にとってはもう神様を見るようなことになるわけですね。  したがって、そうであれば、もう皆さんの方で強制しないというようなことを再三おっしゃらぬとだめです。五月にまたヒアリングをやるからとおっしゃれば、これは皆さん黙って通れますか。皆さん、大臣の意向がそうであれば、部内によく言ってくださいよ、地方に出たら気をつけなさいって。どうでしょうか。
  68. 大林勝臣

    ○大林政府委員 今後の地方行革の一つの指針として地方行革大綱というものを定めまして、行革目標の典型的な項目をそこに盛り込んで、その地方の自主的な努力によって、あるいは自主的な選択によって、今後足並みをそろえていただくというのが今回の行革大綱を出しました趣旨でございます。  御案内のように私ども自身も、国よりも地方の行革の方が先行しておる、それなりの実績を上げておるということは十分認識しておるわけでありますけれども、しかしながら三千三百の団体の中では、やはり行革努力が非常に不足しておる団体があることもまたこれは事実でありまして、最近の世の中の動きというのは、そういった行革努力が足らない、不足しておる団体が地方の全体の足を引っ張るような傾向もなきにしもあらず、これでは困るというので、今後は従来努力をしていただいておるところは従来どおりまた努力を続けていただく、従来努力をしていただかないところがひとつ足並みをそろえて努力をしていただきたいというのが私どもの念願であります。  そういった意味でございますので、行革の推進方策につきましては、あくまで地方の自主的な努力というものを尊重してまいるつもりでありますけれども、同時にやはりこの際、足並みはそろえていただきたいということは強く希望をしておるところであります。
  69. 安田修三

    安田委員 それでは、次に、雪害対策の方で少しお聞きしたいと思います。  まず、まとめて少しお聞きしますが、地方交付税のうち、ことしの雪害によって特別交付税の配分は、豪雪地帯はどういうことになるか。  それから、交付税関係の方で地方交付税の寒冷補正のうちのまた積雪補正について、その費目の拡大、例えば除雪、排雪というものについてなお費目拡大できないだろうかという点、まず、交付税の関係からひとつ聞きたいと思います。
  70. 土田栄作

    ○土田政府委員 お答えいたします。  まず、特別交付税の関係でございますけれども、ことしの特別交付税で除雪経費を幾ら見るかということにつきましては、普通交付税算入額に比べて幾ら余計かかっているかという調査を現在やっております。それで、二月二十日現在でどうなっているか、二月二十日まで幾らかかった、それからそれ以降三月中に幾らかかるかという見込み額を両方とっておりまして、その係数に基づきまして特別交付税を算定し、三月中に配分したい、こういうふうに存じております。  それから、寒冷補正の中の積雪補正でございます。順次お尋ねがあるのかと存じますけれども、私どもとしましては、除排雪経費というのは、昔はスコップでやるような雪おろしの経費でございましたけれども、最近では道路をブルドーザーで除雪する経費、さらに住民ニーズが高まってまいりましたので、そのほかに融雪とかそれから消雪施設、そういうふうなものに対します経費というものもトータル計算としては入れて、積雪補正というものを算入するということにいたしております。
  71. 安田修三

    安田委員 建設省の方にお尋ねしますが、市町村道に対する除雪費の国庫補助、これはことしは出していただけるものと思うのですけれども、どういう算定になりますか。
  72. 寺田章次

    ○寺田説明員 お答えいたします。  市町村道の除雪費につきましては、通常は普通交付税に算入されておりまして、それを超えるものにつきましては、特別交付税により措置されているものであります。しかし、異常豪雪となりました五十一年度、五十五年度、五十八年度におきましては、除雪費の増高の実情にかんがみまして、特に積雪の多い市町村に対しまして、幹線市町村道の除雪費につきまして、臨時に特別の助成措置を講じたところであります。  昭和五十九年度につきましては、一部の地域につきまして、平年の積雪量を大きく上回っているため、関係省庁と協議いたしまして、二月十五日、降雪状況等の調査を行うことといたしまして、関係道府県に通知したところでございます。今後、関係省庁とその調査結果を検討いたしまして対応を協議してまいりたいと考えております。  以上であります。
  73. 安田修三

    安田委員 大蔵省にお尋ねいたしますけれども、この雪関係の除雪、雪囲いあるいは屋根欠損、こういうことの所得税の雑損控除等についての対象範囲の拡大ということについて検討しておられませんでしょうか。
  74. 濱本英輔

    ○濱本説明員 お答え申し上げます。  どのような家計でも、災害でございますとかあるいは病気でございますとかそういった特別支出というのが多かれ少なかれあろうかと存じますけれども、通常の場合、通常の日常経費に随伴します程度のものにつきましては、これを基礎控除額あるいは課税最低限によってカバーするという考え方を所得税法上とっておるわけでございますが、この額が相当の規模に達しました場合には、やはり担税力を減殺すると考えられるわけでございまして、その限りにおける配慮が必要だということから、所得税法上、御指摘がございました雑損控除制度というのが設けられているわけでございます。  雑損控除制度を設けておる趣旨というのは、あくまでもそういった通常の経費に比べますと異常と言えるようなもの、そういうものに対する対応でございますので、この制度ができました昭和二十五年からこの方、一応年間所得の一〇%を超えるような特別な支出がございました場合、その超えた分につきまして控除を認めるという考え方でございました。それが、去る五十六年にいろいろな御議論がございまして、この雪おろしの費用につきましても災害関連経費ということでこれに加えてさらに配慮するということに相なりまして、その足切り限度額を五万円まで実質的に引き下げしたところでございます。  この五万円という水準でございますけれども、同じくその家計の避けがたい特別な支出に病気、つまり医療支出があろうかと存じますけれども、この場合適用されます医療控除、これも五万円で仕切られておりまして、そういったバランスから見ましてこれが一応ぎりぎりの限度か、かように考えております。
  75. 安田修三

    安田委員 それでは、警察関係について最後にお尋ねいたします。  まず大臣には、最近非常に、きょうも所信表明に入っておりますが、部内の不祥事が続くわけですけれども、その原因は一体何か。私は、いろいろな管理体制の問題もあるのではないかと思います。その点、どうでしょうか。
  76. 古屋亨

    古屋国務大臣 警察官の不祥事件につきましては、私も自身の身をつねられるような、非常に痛さを感じながら反省をしておるのでございますが、やはり教養訓練の徹底、士気の高揚というほかに、特に最近のいろいろの社会事情とか経済事情、若い者の考え方、こういうものにつきまして、警察官としての精神的訓練、処遇も入っております。こういう点もうんと考えていかなければならないというように感じておりまして、とにかく、特にどこの期に固まっておるということはございませんけれども、不祥事件が目立っておりますことはまことに残念、申しわけない至極でございます。  こういう問題につきましては、常に警察庁長官に対しまして、その士気の振作あるいは不祥事件の排除につきましては十分何回も注意しているところでありますが、今後ともそういうような気持ちでこの問題には対処してまいりたいと思っております。
  77. 安田修三

    安田委員 時間が来ましたので、最後にもう何分間まとめて申し上げます。  まず、グリコ・森永事件ですけれども、きのう「国会ぎいんの みなさん え」ということで、早朝、在阪の報道機関に文書が届いた。全文を見ました。そこで大阪、神戸に五個置いてあるという。皆さんの方では、それは向こうの誘導作戦ではないか、私たちも決して向こうに振り回される必要もございませんで、そういう点では要らざらぬことには乗る必要はないと思っております。皆さんの方で厳正にひとつ捜査を一生懸命やっていただきたいと思います。  そこで、向こうがそう言っておるので、皆さんの方で、捜査当局ではそれに対してどうであったか、それから、これらは十三日は東京、名古屋に十八個置いて、あとまだ五個は見つかっていないのだ、十三個だけ警察が挙げたんじゃないかということ至言っております。それらについてどうかということ。  さらに、実はこういうぐあいに人が、まあ一億一千七百万人おりますけれども、東京、大阪、名古屋にほぼ限定されて、人の居住しているところということになれば、例えばこんな官庁街にはだれも住んでいないわけですから、もう範囲が限定される。それから人が生活する以上は、何か勤めているか商売しているか、あるいは人が動けば、必ず最近は車か何かがあれば皆さんの網にかからない人はいないわけです。そういう非常にわかりやすい構図があるにもかかわらず、しかも犯人は絶えず手紙を出しておる。物を置いておる。それにもかかわらず、なおかつ今日、いよいよ一年になろうとするにもかかわらず挙がらないという極めて大きな焦りが国民の中にあります。  この点皆さんも一生懸命やっておられるが、一体どうしたら解決に向かっていくのか。金がないから出せ、こうおっしゃって予算を積み上げろということもあるのでしょうが、一体何がどうなっておるのか、そういうもどかしさに対してぜひひとつ警察当局の答えをお聞きしたいと思います。
  78. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 それではまとめてお答えをいたします。  まず、きのう参りました挑戦状によります個数と、警察側でつかんでおります個数との差の問題でございますが、挑戦状によりますと、東京、名古屋に十八個、大阪、神戸に五個置いたというふうに記載されておりますが、十二日以降、バレンタインの前でございますが、それ以降警察に届け出がありますこの種のチョコレートは、東京、名古屋で十三個でございます。それ以上は届け出がございません。それと神戸、大阪からは全くこの種のチョコレートの届け出はございません。きのうこの挑戦状が参りましたので、改めてこの両府県警には調査を指示いたしました結果、そういった届け出は全然ない、こういうことでございますので、やはりこれは犯人側の捜査を攪乱する一つの目的でもってなされたものというふうに考えております。  それから捜査が現在難航いたしております。その原因は何だ、こういうお尋ねでございますが、これは二つの面があろうかと思います。  一つは、犯人グループ側の状況だと思います。これは何といいましても、このグループは統制が非常にとれたグループでありまして、それぞれの任務分担がきちっととれておるという面があります。それと、計画が非常に緻密でありまして、例えば距離を、車で何分かかるかというようなことは、ストップウォッチではかったというような状況もございますし、そういった、非常に計画が緻密であるということも言えると思います。  またもう一つは、危険を絶対に冒さない。無理をしないで、ちょっとでも警察が関与しているというような節があれば現金受け渡しの機会を次回に延ばす、こういった非常に用心深い性格がございます。この辺が捜査を難航させておる一つの原因だと思います。  もう一つ、我が方の捜査側にとっての状況から申しますと、非常に物が残っておりますけれども、これは大量生産の中の物でございまして、この物から犯人に到達するというのが非常に時間と人手がかかる。  それからもう一つ、人に関する情報国民各層の御協力によりまして非常に多く参っております。この人に関する情報に対してのつぶしの捜査、これもまた人手と時間がかかるということで、現在、捜査は時間が非常にかかっております。こういう状況でございますが、一生懸命やりまして、できるだけ早い機会に検挙したいという考えでございます。
  79. 安田修三

    安田委員 これで終わりますが、そこでもう一つだけ。  皆さんこの間指紋を新たに東京の日本橋の場合とったと言っておるのですが、犯人は何人ぐらいだと思っておられるのでしょうか。
  80. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 断定的に申し上げるのは難しいわけでございますが、少なくとも男四人は入っておる。それに女一人、これは間違いないと思いますが、子供はグループであるかどうかは別にいたしまして、そういった数は今推定をされるわけでございます。
  81. 安田修三

    安田委員 一生懸命お願いします。  では、終わります。
  82. 高鳥修

    高鳥委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時九分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  83. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川省吾君。
  84. 小川省吾

    ○小川(省)委員 まず最初に大臣にお伺いをいたしたいと思います。  昭和六十年度の予算編成をめぐって、厚生省の社会保障関係費等を中心にして補助金の一律カットが行われ、地方自治体に大きな打撃を与えております。交付税に一千億を加算をしたり、あるいは建設地方債増発等を言っておられるわけでありますが、自治体の不満を解消するものでないことは明らかでございます。大臣の前任者の段階で決められたことでありますが、実施は古屋自治大臣になってからでございます。  そこで、昨年の十二月二十二日、大蔵、自治、厚生の三大臣で覚書を交わし、この措置を一年限りの暫定措置であるとされておるわけでございます。先ほどの安田委員の質問に対しても、大臣は大変力強く一年限りだということを主張されて心強く思っておるわけでありますが、何も担保がないわけでありまして、必ず一年が守られるとは限らないわけでございます。  そこで私どもは、従来の政府のとってきた措置から見て、この措置が半永久化することをおそれておるわけでありますが、一年限りということが守られない場合に自治大臣はどんな責任をとられるわけでありますか。
  85. 古屋亨

    古屋国務大臣 お答えいたします。  国庫負担率の引き下げの問題は、昨年の予算編成ぎりぎりのときまで大蔵省と自治省の意見が違いまして、私どももそれで頑張ってきたのでございますが、非常に厳しい国の財政のもとにおいて一年限りの措置であるということ、そうして今のお話の、特に社会保障費につきましては三大臣の覚書というものによりまして、これを一年のうちに検討をし直すという覚書を交換しておるところであり、また今回の補助率カットによりまして地方が影響を受ける金額は国で全部補てんするということで、地方交付税建設地方債で補うことになったのでございまして、まあ先生のお話、これが一隻限りでなかったらどういう責任があるかというお話でございます。  私は、竹下大蔵大臣もああいう地位の方でありますから、正式に覚書を交換し、それに自民党の政調会長もサインしておりますから間違いはないというふうに自分も信じておりますし、今度出るように聞いております法案も一年限りということで出されるように承っておりますので、どうしてもこれは一年限りのものであるという信念のもとに進み、これに間違うようなことはないように、自分も政治的な判断で解決した問題でございますから、そういう問題はバックの三千余の地方団体の御意見にも必ず沿うように、この措置は一年限りということで頑張ってまいります心
  86. 小川省吾

    ○小川(省)委員 まず大臣が責任を持ってそう言われるわけでありますから私どもは信じていかなければならないわけでありますが、私どもは実際に従来の政府がとってきた態度からすると、どうもこれが半永久化をされるおそれがあるというふうに考えております。しかし、そこまで言い切られる大臣でありますから、ぜひひとつ責任を持って一年限りで済ませるように頑張ってください。このことを強く要請をしておきたいと思います。  そこで、二月二十二日の行政改革大綱について若干お尋ねをいたしたいのであります。  まず、行政改革推進委員会を設置したり行政改革懇談会を設けたり、あるいは推進本部を設置するような指導をいろいろしておるわけであります。臨調のお声がかりで閣議の決定があり、取り組みを進めるのであろうと思いますが、行革、行革という渦に全自治体を巻き込んでいきたいというふうな意図を自治省が持っているように見えるわけでありますが、これは組織組織倒れになるような感じもしないわけではございません。自治省の真のねらいというのは、この中で言っておりますように、給与の高い自治体の給与適正化を図るとか、あるいは定員や退職金の引き下げを図るということに真のねらいがあるのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  87. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 先生よく御存じのように、地方行革大綱というのは、現下の非常に厳しい行財政環境のもとにおきまして、すべての地方公共団体が足並みをそろえてひとつ行政改革に取り組んでくださいということを要請するものでございます。先生が今お話しになられました給与とかあるいは退職金、定員管理というものもその中の一つの重要な要素ではございますけれども、それのみを目的として地方行革大綱をつくれというような考えのもとに要請しているものではございません。
  88. 小川省吾

    ○小川(省)委員 でも、恐らくその辺のところが中核となって行革大綱が進められていくことになるのであろうというふうに思っておるわけであります。給与が高いところばかりが目のかたきにされておるようでありますが、先ほどの安田委員の質問にいたしましても、ラスの一〇〇%以下のところが大変多いわけでございまして、これらの実態に対する指導というものが何らなされていない。これは私は完全な片手落ちであろうというふうに思っておるわけでございまして、いわゆる公務給与が高いなどというふうに言われておるのは、自治省が現実に一〇〇以下のところがたくさんある実情というのをPRしないところに原因があるだろうというふうに思っております。  先ほど中島公務員部長が、大学を出ていわゆる中央の官庁に入った場合と村役場の職員に入った場合の例を挙げられて、違いがあっても当然だというふうなお話をなさいましたけれども、そうであるとするならば、いわゆる大都市近郊、東京や大阪近郊の民間給与の高い地域にある公務員の給与が高いことは当然だということに、あなたの言われる理論を展開していくとそういうことになるだろうと思いますが、いかがですか。
  89. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 たびたび先生にも御説明申し上げたと思いますが、地方公務員給与が高いというふうに言われますのは、全体といたしまして一〇五・九というその数字を念頭に置きまして言われておるんだというふうに思います。それともう一つは、先ほども数字を挙げて御説明させていただきましたけれども、非常に高いところ、ごく少数でございますけれども、非常に高いところがあるということは事実でございますので、そのことを言われておるんだというふうに御理解いただければと思います。  なお、ラスパイレス指数が一〇〇未満のところにつきましてはどうだ、こういう話でございますが、先ほども安田先生に御説明させていただきましたけれども、そういう小規模市町村というのは、概して申し上げますと民間賃金も非常に低い。県単位でございますけれども、労働省が統計をおとりになったのを見せていただきますと、全国平均の民間賃金を一〇〇といたしますと八〇を割っているところもあるという実態がやはりございますし、これを個々の小規模の町村に落としますとさらに低いところが出てくるんじゃないかというふうに私は思います。  そういうことを各町村が考慮されておるということだと思いますし、また、先ほども御説明させていただきましたけれども、小規模の町村というのは、ラスパイレス指数が非常に低いところは大体人口が千人とか二千人というところが多うございますけれども、そういうところの町村の職員数というのも大体五、六十人未満だというようなところでございますし、組織も非常に小さい。したがって、給料表も非常にこじんまりした給料表になるということでございますので、国と同じ給料の制度、運用というものを仮におやりになりましても、やはり若干国家公務員より低い給料になっていくというふうに私たちは見ております。  私は、国家公務員も地方公務員も同じ公務員でございますから、やはり非常に重要な勤務条件である給与というのは、国家公務員というものを念頭に置いてそれぞれの地方団体で決めていただかなければならないと思いますけれども、今申し上げました民間賃金の状況とがそれぞれの団体の規模とか組織、それに見合う給料表というものも考慮に入れてそれぞれの議会で決めていただく。そのことによって現在の給与水準があると思いますが、先ほども申し上げましたように、そのことを住民に公表し、議会にお示しして、そこで関係者が納得してお決めいただいておる現在の状況というのはそれなりに私たちも認めていいんじゃないかというふうに現在考えております。
  90. 小川省吾

    ○小川(省)委員 御説明のように、いわゆるへんぴな町村部における低い賃金ということはわかります。学校か郵便局か農協しかないようなところではそういう実態があるんだろうと思いますが、それならば、いわゆる周辺の民間給与の高いところの市部である程度賃金が高いこともそれはまたやむを得ないのではないかと思いますが、いかがですか。
  91. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 民間賃金というものを基準にして給与を議論するというのも一つの考え方でございますが、先ほども申し上げましたように、同じ公務員であってみれば、基本的な勤務条件である給与というものは、やはり国家公務員の給与のあり方を念頭に置いて、町村においてもあるいは大都市近辺においても考えていかなければならないだろうというふうに思います。  現在の給与水準というものを見ました場合に、非常に給与水準が高いと言われておるところ、例えて言いますと大阪の府下の市がその一つでございますけれども、大阪府の民間賃金の地域差指数というのは、全国平均を一〇〇にいたしますと一一〇にも達しておりません。したがいまして、現在の状況のもとにおきましては、私は、まだまだ給与というものが大都市近辺においては高過ぎるというふうに判断して、民間賃金との関係においても国家公務員との関係においても、そういうことを考えてもいいんじゃないかというふうに思います。
  92. 小川省吾

    ○小川(省)委員 今の説明ですが、だとするならば、町村部で公務員であるということで低いところの指導をされないということも問題でございます。そういう意味で、ひとつ自治省は心して賃金については取り扱っていただきたい、このことだけを申し上げておきます。幾らやってもこれは水かけ論でございますから、以上でとどめます。  そこで、公営ギャンブルといいますか公営競技についてお伺いをしていきたいと思うのでありますが、現在公営競技をやっておる団体は何団体ですか。公営競技の種目別に明らかにしていただきたいと思います。
  93. 土田栄作

    ○土田政府委員 お答え申し上げます。  公営競技を施行しております地方団体の数は、昭和五十九年度で申しますと、純計ベースで都道府県が二十一団体、市町村が四百二十一団体、合計四百四十二団体ということになっております。この中では二種目以上の公営競技を行っている団体というものがございますので、種目別に数える場合は延べでカウントする必要がございます。延べの団体で数えますと、都道府県は三十団体、市町村は四百五十六団体ということで、合計四百八十六団体ということになっております。この四百八十六団体の種目別の内訳でございますけれども、競馬が七十一団体、競輪が二百五十八団体、オートレースが八団体、競艇が百四十九団体ということになっております。
  94. 小川省吾

    ○小川(省)委員 公営競技の入場者や収益金が落ちてきているようでありますが、いかがでございますか。競技の種目によって特徴づけられる点があるようでございましたら、その辺についてもコメントしていただきたいと思います。
  95. 土田栄作

    ○土田政府委員 五十八年度の決算及び経営状況について申し上げますと、これら四種目全体での入場者数は八千五百二十一万人、収益金は二千二百七十六億円ということになっておりまして、入場者数は五十七年度に比べまして八・二%、収益金は九・七%減少いたしております。  競技種目別に見ますと、同じ年度におきまして入場者数について申しますと、競馬が千四百四十二万人、競輪が二千八百七十五万人、オートレースが六百二十三万人、競艇が三千五百八十一万人でございます。  収益金で申しますと、競馬が百八十七億円、競輪が六百五十一億円、オートレースが百十八億円、競艇が千三百十九億円ということでございまして、種目別に申しますと、特に地方競馬、続きまして競輪の収益率の低下というものが目立ってまいっております。
  96. 小川省吾

    ○小川(省)委員 年々売り上げが減少しているようでありますが、競技内容をもっと改善するとか、場外チケットの売り場をふやすとか、売上増に対する考え方をもっと広げていく必要があるのではないかというふうに思います。  競技種目によって開催日数が違っておるようでありますが、この辺はいかがですか。
  97. 土田栄作

    ○土田政府委員 まず公営競技の開催日数でございますが、これは公営競技関係の政省令に基づきまして主務官庁が定めておりますけれども、現在一回の開催日数について見ますと、競馬、競輪は六日、オートレースは九日、競艇は十二日というふうになっております。  それから、ただいま御指摘がございましたように、公営競技の売上高と申しますのは逐年減少いたしてきております。そういうことから自治省といたしましても、公営競技の健全経営の確保ということのためにはファンサービスの改善、そういうことによりまして売り上げというものの落ち込みをなくし、さらには売り上げをふやすという努力が必要であり、そのことが地方財源の安定的な確保に資するというふうに考えております。そういうことから、関係各省と協力いたしまして、できるだけ経営改善の努力をするように、経営改善のためのファンサービスの向上でございますとか、施行内容の改善というものを行いますように、各施行団体に対しまして助言指導を行っているところでございます。  各省自体もいろいろおやりになっているようでございまして、私ども聞くところによりますと、例えば競馬につきましては、農林省は場外馬券の売り場の制限の緩和をいたしますとか、それから連勝複式というのが普通の当たりでございますけれども、それを連勝単式を採用できるというようにいたしますとか、あるいは通産省におきましては、場外車券につきましてミニの場外売り場の設置規制といったものの緩和をする、つまり二つないし三つの窓のミニ場外を設置できるというようなことの改善とかいろいろやっているというふうに聞いております。
  98. 小川省吾

    ○小川(省)委員 大体人が休む日曜なり祝祭日を中心に行われておるのでありまして、競技場に働く従業員の賃金やボーナス等が普通考えられているよりも高いことは当然なんだと思うのでありますが、自治省は経費を切り詰めるということなのか、これらの賃金の抑制ばかりを指導していると言われます。そんなことはないんだろうと思いますが、いかがなんですか。
  99. 土田栄作

    ○土田政府委員 ただいままでお答え申し上げてまいりましたように、公営競技の経営は近年非常に悪化する傾向にございますので、各施行者におきましても、一つは売り上げの向上に努めるとともに、ただいま委員御指摘のございました賃金も含めました開催経費の抑制等に努力しておるところでございまして、私たちといたしましても、これら施行者の相談に応じまして一般的な経営改善のための指導助言を行うことが必要だと考えまして、そういうふうに対応いたしているところでございます。
  100. 小川省吾

    ○小川(省)委員 経営改善の指導をやられるのは当然でありますが、特に賃金抑制を日当でのような改善はぜひ慎んでいただきたいというふうに思っています。  また、公営企業金融公庫納付金の納付率が、一・〇%から一・一、一・二%に引き上げられる案が出ておるわけでありますが、今考えられるのは売り上げを維持拡大というか、売上増を図ることが先だと思うのですが、その辺のところはどうなんですか。いわゆる納付率を上げることよりも、むしろ売上増を図ることが先だろうというふうに思っています。  それから納付金の基礎控除を八億から十億円にしていくようでありますが、納付を要しない団体が激増していくんではないかというふうに思いますが、その辺のところはいかがですか。
  101. 土田栄作

    ○土田政府委員 公営競技の経営が悪くなっていくという傾向に対処いたしますためには、委員御指摘のとおりまず売り上げを伸ばすための努力をする、そのことによりまして健全経営を確保していくということが大事だろうと思います。そういうことで、私どもはそちらの方の指導も今後発力してまいるつもりでございますが、同時に現在の厳しい地方財政状況のもとにおきまして公営競技の収益金は二千億以上あるわけでございまして、一部の施行団体にこれらの財源が偏在しているということも事実でございます。  そういうことから臨時行政改革推進審議会、それから地方制度調査会の答申の趣旨に沿いまして、私どもといたしましては収益金の一層の均てん化を推進するということを考えて今後法案の審議をお願いいたす次第でございます。ただ、これも激変を避ける意味から、納付率を一遍に上げないで段階的に上げるとか、それから納付率の引き上げに伴いまして、売上額の少ない、収益率の低い団体につきましては政令段階で激変緩和の措置をとりたいというふうに考えている次第でございます。  それから、控除額が八億円で現在幾つの団体が収益金の納付を要しないかというお尋ねでございますが、この足切りによりまして現在納付を要しない団体は百三十四団体でございます。  それから、八億円から十億円に上げますことによって何団体ふえるかということ、これは将来の売り上げの問題がありますのでやや流動的でございますけれども、仮に現在の売り上げを五十八年度の売り上げで横ばいというふうに考えますと、十三団体ほどふえるのではないかという一応の推計をいたしているところでございます。
  102. 小川省吾

    ○小川(省)委員 売り上げ等の状況をよく勘案、配慮しながら進めていっていただきたい、このことを要請をいたしておきたいと思います。  そこで、当せん金附証票法の一部を改正するようでありますが、収益金の使途の弾力化を図るということは大変結構なことだと思いますが、一点だけ伺いたいわけです。  最高賞金の倍率の制限の緩和ということであります。恐らく年末ジャンボかサマージャンボの賞金をふやしていくのだろうと思いますが、賞金をふやせという声と同時に、一方にもっと倍率を低くして当たりくじをふやしたらどうかという声もあることは事実であります。だれがどう判断してこういうふうにしたのかわかりませんが、これと同時に倍率を低くして当たりくじをふやすような宝くじを発売していったらどうかと思いますが、そういうおつもりはございませんか。
  103. 土田栄作

    ○土田政府委員 私ども宝くじの購買者の動向というものにつきましては常に情報を集め、どういうふうに対応すればいいかということを検討している次第でございまして、私どもの得ております情報によりますれば、一般的には最高賞金額を上げてもらいたいというファン層と、最高賞金というのはなかなか当たらないから、もっと一等賞金を低くして当たる率を多くした方がいいという二つの層があると承知いたしております。  現在の当たる確率で申しますと、最高賞金一等三千万円が当たりますのは百万分の一の確率でございます。それから、例えば二百万円で申しますと、これは現在二十万分の一の倍率ということになっております。それから、百万円ではもっと率のいいのがございまして、十万本で六本当たる、一万七千本に一本当たるくじもございます。そういうふうな要するに高額賞金化と、それから一等賞金が余計当たる方がいいという二つの要請に今後私どもこたえてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございまして、昭和五十九年度におきましても、一等賞金二百万円以下の宝くじを、昭和五十八年度は三十二回売っておりまして売上額百八十四億でございましたけれども、五十九年度は四十回にふやしまして三百十四億発売することにいたしているわけでございまして、宝くじにつきましては絶えずファンの動向をとらえまして、高額化を一部年末ジャンボ等について図りますとともに、あわせてレジャーくじとかインスタントくじとかいろいろな方に希望のある、魅力のある低額賞金の宝くじも発売してまいりたい、両建てでまいりたい、このように存じております。
  104. 小川省吾

    ○小川(省)委員 今お答えのように倍率を高くする、多くするのは結構でありますが、ぜひ低い方も心をしながらひとつ指導をしていっていただきたい、このように思っております。  そこで、文部省にお伺いをいたしたいと思います。  文部省は一月二十一日に、各県教育委員会教育長に対して体育局長名の通知として、「学校給食業務の運営合理化について」という通知を発しました。これは自治大臣もこのような通知が出たことを御存じだと思いますが、この通知には、臨時行政調査会、臨時行政改革推進審議会及び総務庁から合理化の必要性が指摘されて出したのだというふうに言っておるわけであります。臨調や総務庁はなぜ合理化の必要性を指摘したのだと思いますか、この点だけは大臣にお伺いします。
  105. 大林勝臣

    ○大林政府委員 この数年間の臨調、行革審の論議を見てみますと、まず行政の責任領域という議論が相当高まってきたと思います。行政が、本来民間がやるべきものまでも背負ってきたというような議論が展開され、この際行革を進めるためには、本来民間が行ってしかるべきものはできるだけ民間の手で行うべきだという考え方のもとに、役所がやっております仕事の中でも、必ずしも公務員がみずからやらなくとも民間の技術と経験、こういったものを活用して運用した方が効果的である、こういうものの一つの例として民間委託というものが持ち出されまして、そこにいろいろ、先ほど御指摘の学校給食などが一つの典型である、こういう御指摘になったのであろうと理解しております。
  106. 小川省吾

    ○小川(省)委員 文部省、この局長通知の真意といいますか、ねらいはどこにあるのですか。
  107. 小西亘

    ○小西説明員 お答え申し上げます。  今回の通知は、各設置者、つまり市町村の教育委員会等が、学校給食は学校教育活動の一環であるといういわゆる学校教育の意義を踏まえつつ、地域の実情等に応じた適切な方法によりまして学校教育業務の運営合理化を図るよう要請するとともに、その場合の留意点について注意を喚起することにより、学校給食業務が円滑に実施されるように求めたものでございます。
  108. 小川省吾

    ○小川(省)委員 きれいな答弁なんですね。この通知にもあるように、学校給食は学校教育活動の一環であり、給食の質の低下を招くことのないようにというふうに冒頭に述べております。しかし、この通知の後半に述べられているようなことを設置者が実施をしたとするならば、給食業務が円滑に行われなくなったり、給食の質の低下を招いていくことは明らかだと思いますので、以下、順を追って質問をいたしたいと思います。  そもそも学校給食は、児童及び生徒の心身の健全な発達に資し、かつ、国民の食生活の改善に資することを目的にすると言われております。学校給食は、一、バランスのとれた栄養豊かな食事を提供することにより、児童生徒の健康の増進、体位の向上及び正しい食習慣の形成。二、学校で食事をともにすることによって、教師と児童生徒、児童生徒相互間の心の触れ合いの場をつくり、好ましい人間関係の育成をしていく。三、学校給食の事前の準備、後片づけを通して、協力、責任、清潔、決まりを守ること等共回生活における協同、協調の精神を身につけさせる。四、給食調理従事者に対する感謝、労働の精神を学ばせるなど、教科学習では得にくい貴重な教育上の意義を有していると言われておるわけでありますが、文部省は、学校給食の意義や役割についてどのように考えておられますか。
  109. 小西亘

    ○小西説明員 今先生がお示しになりましたことが学校給食の目的でございます。
  110. 小川省吾

    ○小川(省)委員 そうですね。これは私は文部省の指導のとおりに申し上げたわけですから、恐らくそうだろうというふうに思っております。ところが、この通知のようなことを実施するとこれにもとるようなことになるから実は問題なのでございます。  今回の局長通知でありますが、従来文部省は直営方式が望ましいという指導をしてきたはずであります。この方針を変更されたわけですか。
  111. 小西亘

    ○小西説明員 今回の通知の中にその具体的な例として三つばかり挙げてございますけれども、その一つに民間委託の実施についても述べているところでございます。先生これでよく御存じかと思いますけれども、今回の通知は、この民間委託につきましても、幾つかの条件といいますか、留意事項をつけておりまして、これを守っていただくことによりましていわゆる設置者の責任というものが十分達成される、そういうように私どもここで希望、期待しているわけでございまして、従来の方針と大きな変わりはないかと思います。
  112. 小川省吾

    ○小川(省)委員 しかし、この三つの条件を実施すれば、従来の直営方式を指導してきた文部省とは大変変わると思うのですね。私も、学校給食の実施の形態については、その実施責任を有する設置者が、その円滑な実施を基本にして地域の実情等を十分踏まえて実施をすればよいとは思っておりますが、直営方式は、設置者が学校給食業務の運営を直接実施をするために、安全、衛生、食事内容等について設置者としての責任がとりやすいということが第一に挙げられると思うのであります。従来直営方式を指導してきたのはそういう理由からなんでしょう。
  113. 小西亘

    ○小西説明員 文部省が従来直営方式というものが望ましいということで指導してきたことは事実でございまして、先生今おっしゃるように、そういう形態がいわゆる設置者としての責任を一番とりやすいということであったことは、これは事実でございます。
  114. 小川省吾

    ○小川(省)委員 そうなんでしょうね。何よりも設置者の責任が果たせる運営確保できるということが基本になるのだと思うのであります。しかし文部省は、今回の通知で、合理化の具体的方法については最終的に設置者の判断に任せるとしておるわけでありますが、文部省が責任逃れをしていると指摘されてもやむを得ないと思うのであります。  そこで、学校給食が実施をされ始めてから一貫した文部省の指導を眺めてまいりますと、文部省は、やはり学校給食は一番望ましいのは自校直営方式である、今回の通知は臨調に指摘をされたので出さざるを得なかった通知であると私は受けとめておるわけでありますが、こういう受けとめ方が最も正しい受けとめ方ではないかというふうに思うのであります。一応合理化に配慮をしながら、経費を適正に、いわゆる自粛できるように配慮しながらやりなさいというのがどうも真意であると思われますが、そのように受けとめてよろしいわけでありますか。
  115. 小西亘

    ○小西説明員 先生御指摘のように、今回の通知が臨時行政調査会等の答申に基づいて行われたことは事実でございますけれども、やはり現在の国及び市町村の財政状況を十分勘案し、かつまた、学校給食におきましても経営の合理化というものを考えなければいけないことは現下の大きな課題でございまして、そういう視点から、やはりこういう民間委託等の問題につきましても、幾つかの留意事項は十分示しつつやっていくのも一つの方法であるというように考えている次第でございます。
  116. 小川省吾

    ○小川(省)委員 今回の通知内容を実践していくと、学校教育活動としての学校給食ということがないがしろにされて、給食が教育の一環ではなく、ただ単なる食事の提供ということになってしまうおそれはありませんか。
  117. 小西亘

    ○小西説明員 学校給食は、従来もそうでございましたが、今後も学校教育の一環として行うことは変わりないことでございまして、このことによってそのことに変更があってはならないというふうに考えております。
  118. 小川省吾

    ○小川(省)委員 給食の質の低下を来さないようにという表現がありますけれども、質の低下を来さないということはどういうことですか。
  119. 小西亘

    ○小西説明員 その一つは、例えば栄養のバランスというものについての配慮が欠けてはならないというようなことでございます。
  120. 小川省吾

    ○小川(省)委員 職員のパートタイムということについてお伺いをいたしますが、このパートタイム化をするというのは、もちろん現行給食調理従事者を解雇してパートタイマーにするということでないことは当然だと理解をしておりますが、そういう理解でよろしいわけですね。
  121. 小西亘

    ○小西説明員 現在の給食調理員の解雇というものを前提にしてないことは事実でございます。
  122. 小川省吾

    ○小川(省)委員 また、パートタイム職員は常勤職員とは異なるのはもちろんなんでしょうが、パートタイム職員とはどういう職員で、常勤職員とはどのように異なるわけですか。
  123. 小西亘

    ○小西説明員 この通知で示しておりますパートタイム職員といいますのは市町村等に任用される職員でございまして、一つは、従事する業務が調理等の一般の学校給食業務であること、二つは、一日の勤務時間が常勤の学校給食業務従事員よりも短く、かつ一週間の勤務時間は常勤職員の四分の三以下であること、三つ目は、主として学校給食が実施される期間のみ職務に従事すること、四番目は、給与は職務に従事した日または時間に応じて支払われる、このような条件を満たしている職員のことでございます。
  124. 小川省吾

    ○小川(省)委員 恐らく地公法の十七条の非常勤の職員になるんだろうと思うのですが、その雇用に当たって期限は付せられますか。
  125. 小西亘

    ○小西説明員 先生今御指摘のように、このパートタイム職員というのは、地方公務員法上の一般職に属する非常勤の職員でございます。この場合、定年制の規定でございます二十八条の二の適用を受けないことになっておりますから、そういう関係で任期というものはつけるべきであろうというふうに考えております。
  126. 小川省吾

    ○小川(省)委員 そうすると、常勤職員が退職をした後の補充をパートタイムの職員で埋めたいということになるわけですか。
  127. 小西亘

    ○小西説明員 現実的な処理としては、そのような方法が考えられるんじゃないかと思っております。
  128. 小川省吾

    ○小川(省)委員 パートの職員が将来は増加をしていくことになるんだろうというふうに思われるわけでありますが。そうすると、給食調理関係の職員は常勤職員は要らない、パートだけでいいんだというふうにもむしろ考えておるわけですか。
  129. 小西亘

    ○小西説明員 私どもは全員がパートタイム職員である必要があるとは考えていないわけでございまして、その中にはやはり責任ある立場の方も必要で、そのような方は常勤の職員が当たる必要があるのではないか、このように考えております。
  130. 小川省吾

    ○小川(省)委員 まあそうなんでしょうね。昭和三十五年の体育局長の通知は、学校給食調理員の人件費負担適正化を求めて、学校給食調理員を市町村立学校の常勤職員として発令をするように指導をしておるわけであります。教育活動の一環として学校給食をとらえていくとするならば、常勤職員ということは当然であり、今回の通知は、この三十五年通知に反するものであるというふうに思いますが、反しないんだということであるならば、その理由をひとつ例証をして説明していただきたいと思います。
  131. 小西亘

    ○小西説明員 昭和三十五年の文部省体育局長通知は、実はその当時、学校給食の調理員はPTAの雇用とかあるいはまたPTAが給与負担する、そういうことが非常に多く行われておりまして、義務教育における父兄負担軽減という観点からかなり大きな社会問題になっていたわけでございます。この文部省の通知はそういった実態を解消するための指導通知でございまして、今回のこの合理化の問題とは全然別な事柄であるというふうに私どもは理解しております、
  132. 小川省吾

    ○小川(省)委員 次に、共同調理場方式について伺いたいと思います。  今回の通知の三本柱の一つになっておるわけでありますが、共同調理場というのは労働安全衛生面で単独枚方式よりは若干すぐれているのではないかと思います。あるいは物資の大量購入で安い材料が確保できるというようなメリットがあるんだろうというふうに思いますが、細かいところに目が届くというような面は失われていくだろうと思うのです。単独枚方式と比べてメリットはどこにあるのですか。
  133. 小西亘

    ○小西説明員 今先生も御指摘になりましたけれども、共同調理場の長所といたしまして、一つには、大量調理を行いますために近代的な施設設備の効率的な導入を図られる、あるいはまた人件費等の経費節約というものが可能である、また、衛生管理や労働安全衛生面ですぐれているということがございます。さらに、施設設備の整備により献立の多様化に対応しやすいというメリットがございます。さらに、物資の大量購入によりまして安価な食材料の確保が可能であるというようなことが、この共同調理場のいわゆるメリットとして考えられるんじゃないかというように考えております。
  134. 小川省吾

    ○小川(省)委員 そこで、仮にある市町村が共同調理場方式に変えたとした場合には調理員をパート化しろということではないと思うのであります。今回の通知の趣旨は、三つの方式を示して合理化の方式を検討してみたらいかがかという通知なんだろうと思うのです。地域の実情に合えば、適切な方法をとっていけばよいということを言っているんで、設置者の責任に任せるということで設置者が検討してみて、こういうことはやりたいが、こういうことは地域の実情にそぐわないので実施をしない。地域の実情にそぐえばやっていけばよろしいんで、地域の実情にそぐわない場合にはやむを得ずできない、こういうふうな形になってもやむを得ないというふうに文部省は思っておられるわけですか。
  135. 小西亘

    ○小西説明員 今回の通知は、先ほどから御説明申しておりますように、それぞれの地域の実情等に応じまして適切な方法で学校給食の運営合理化推進するようにお願いしたものでございます。したがって、どのような方法で合理化を行うかということは設置者である市町村の御判断にお任せしている、これがこの通知の内容でございます。
  136. 小川省吾

    ○小川(省)委員 共同調理場方式は、単独校調理方式でも現在残食が少なくないという実情から、共同調理場方式になればさらに残念が出てくるんではないかというふうに思われます。また、細かい献立の作成が難しいのではないかと思いますが、いかがですか。
  137. 小西亘

    ○小西説明員 学校給食における残念の問題は、単独調理場であるとか共同調理場であるとか、そういった調理場の形態とは別のところに原因があるように思いまして、共同調理場にしたからそれで残念が多くなるということはあり得ないんじゃないか、このように思っております。
  138. 小川省吾

    ○小川(省)委員 また、三本柱の一つに民間委託ということが出てきているわけで、全く恐ろしいことだと思っておるわけでありますが、民間委託方式になれば採算性を基本として、いわゆる民間の論理によって学校給食が扱われることになり、いかにうたってみても質の低下を来すことは明らかだと思います。この民間委託だけは何としても、百歩譲っても撤回をされたらいかがかというふうに思っておりますが、いかがですか。
  139. 小西亘

    ○小西説明員 今回のこの通知の中にもございますように、合理化の実施に当たりましては、「学校給食の質の低下を招くことのないよう十分配慮すること。」このように述べておりまして、民間委託を実施する場合にもこの点は十分配慮すべき点であろうかと思っております。その方法として、ここに書いてございます民間委託の実施の場合の留意事項というのはぜひとも御留意いただきたい、このように考えるわけでございます。
  140. 小川省吾

    ○小川(省)委員 いみじくも言われるわけですね。民間委託をするにしても献立だけは直営と言っておるわけでありますが、これは献立の作成まで民間委託をすれば間違いなく質が低下をするということを文部省は認めているんだというふうに思いますが、いかがですか。
  141. 小西亘

    ○小西説明員 学校給食は、先ほどから御説明申し上げておりますように学校教育の一環でございまして、そういう観点から、いわゆる設置者の責任というものが非常に大きいというふうに理解いたしております。今回の、この民間委託を実施する場合にも献立は委託の対象としないというふうに決めましたのも、やはり設置者としての責任というものを全うするための一つの方法としてそのようなことを提示したわけでございます。
  142. 小川省吾

    ○小川(省)委員 そうですよね、設置者の責任というのが大変重要なわけでありますから。  そこで、物資の購入をめぐってもいろいろ煩わしいことが随伴をしてまいってきておるのがこういうところの実情でございます。物資の購入も献立の作成と同様に、委託をしないで直営でやることが望ましいというふうに思っておりますが、いかがでございましょう。
  143. 小西亘

    ○小西説明員 まず献立は委託の対象としないということをはっきり書かせていただきました。したがって、献立どおりに実施していただければいいわけでございますが、さらにそれを念を入れまして、物資の購入についても、正確にその献立どおりであるかどうかということについてチェックすることも必要じゃないかと考えておりまして、このように管理体制というものを整備するということをお願いしたわけでございます。
  144. 小川省吾

    ○小川(省)委員 いずれにいたしましても、この一月二十一日の学校給食の通知は問題でございまして、小西課長がよく承知をしておるところだろうというふうに思っていますから、私は、折に触れてこの問題は取り上げてまいりたい、こう思っておるわけでございます。十分な注意を設置者に喚起をすることは大事でありますが、あくまでも教育の一環である学校給食というものをぜひひとつ十分に配慮をしながら運営をしていっていただきたい、こう思っておるわけでございまして、時間も参ったようでありますから、以上で質問を終わります。
  145. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、柴田弘君。
  146. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 私は、きょうは大臣の所信表明に対しまして、特に高率補助金の一律削減の問題あるいは地方税改正の問題、そして減税問題を中心にして議論をさせていただこう、こういうふうに思っておるわけでありますが、その前に、今緊急課題である警察関係の諸問題について数点にわたってお尋ねをしておきたいと思います。  そこでまず第一に、監獄法改正の問題に関連をいたしまして、日弁連の方から私どもの方に要請書が参っております。つまり、今国会に法務省関係の刑事施設法案あるいはまた警察庁の留置施設法案、これを同時に再上程しようとしている。こういった法案は、虚偽自白の温床となった代用監獄制を永続化し、弁護人との接見交通にも不当な制限を加えるなど多くの問題を含んでおる。だから日弁連は、刑事施設法案は抜本的な修正を求める、留置施設法案については撤回を主張してきた。でありますから、どうかひとつ今国会にこれらの法案の上程を見合わせ、さらに十分な検討を加えるように勧告をしていただきたい、これをお願いいたします。  仮に国会に上程された場合には審議を開始されないようにお願いをしたい、こういう要旨であるわけでありますが、こういった反対の強いこれらの二法案を、あえてそれを押し切って再上程をされるその必要性、理由というのは一体どこにあるのか、ひとつ法務、警察、両省に対しまして簡潔に、法案の中身は結構でございますので、きょうはそういった問題じゃありませんので、あえて再上程される必要性というものを簡潔にひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  147. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 先生御存じのとおり法制審議会の答申が行われまして、受刑者を収容しないこととするほかは、ほぼ現行の代用監獄制度を踏襲することとされた答申が出ておるわけでございます。  監獄法が制定された当時とは違いまして、現在では都道府県の施設であります留置場は、当然のことながら国の施設である拘置所、刑事施設とは、行政組織なりあるいは指揮監督系統なり、費用負担の問題なりということが異なっておるわけでございます。したがいまして、法制審議会の答申を実現するためには、被勾留者の収容施設としての都道府県の施設である留置場、これを用いる法律的な仕組み、手当てをきちっとしなければならないということでございます。  そういうことで、留置場を用いることにつきまして、刑事施設法案に国が都道府県に委任する規定を設けるのに加えまして、さらに現行の地方自治の制度に沿いまして、別個の法律で都道府県がこれを受ける根拠等所要の規定を整備する必要がある、こういうことでございます。しかもその法律は、当然のことながら公安委員会制度を基盤といたします現行警察法の体系に合ったものでなければならないということでございまして、そういう角度から、刑事施設法案と一体のものとして、現在、留置施設法案を検討しておる、こういうことでございます。
  148. 長谷川永

    長谷川説明員 刑事施設法案は、現行の監獄法を全面的に改正しようとするものでございます。  現在の監獄法は、先生も御存じのとおり明治四十一年につくられたものでございまして、既に七十七年たっております。その間、二つの大戦等もございまして、日本の社会も随分変わってまいりましたが、監獄法の方はこの七十七年間にほとんど改正されないで現在に至っております。したがいまして、当然のことでございますけれども、その内容も形式も大変古くて、現在の社会に合わないものになっております。例えば、形式面で申しますと、もう通常国民が理解できないような文字や表現が使われておりますし、内容的に見ますと、現行の憲法のもとではとても許されないような規定も残っているわけでございます。  刑事施設法案はこれらの点を改めようとするものでございます。例えば、被収容者の権利を拡大いたしまして、それを法律上明らかにするとか、被収容者の生活水準法律上保障しようとするとか、あるいは受刑者の改善更生を図るための制度を整備充実する等、処遇の近代化国際化を図っているわけでございます。それからまた、警察庁から提出される予定でございます留置施設法案ともども代用監獄制度にも改善を加えよう、こんなふうに図っているわけでございます。  このように、現行憲法の理念に合致するような近代的な、そして国際的にも恥ずかしくないような被収容者の処遇を実現するためには、どうしてもこの監獄法を全面的に改正する刑事施設法案が必要だ、このように考えておる次第でございます。
  149. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこで、きょうはこの法案の中身云々の問題じゃないわけでありまして、日弁連との話し合いは、お聞きいたしますと法務省ではもう何回となくなされた。それでずっと調整をされてきておるわけであります。いろいろ修正もなされてきたと思いますが、法務省の感じとしては、もうきちっと日弁連の方と今回のこの刑事施設法案については合意がなされたと感じていらっしゃるのか、あるいはまた修正の余地なり話し合いの余地というのはもうないのか、この辺のところをもう一つお尋ねしておきたい。  それから、警察庁、昨年の末にわずか一回しかやられなかった。お聞きしていると、話し合いは平行線だった、それで、もうこれ以上話し合いには応じない、ただ法案の中身についての話だけであった、もう日弁連の要求を一つとして受け入れない、もう話し合いの余地はないんだ、こういった姿勢であるやに私は聞いております。もう話し合いの余地はないのか、これは大事なところでありますので、簡潔にひとつお伺いをしたい。法務省と警察庁。
  150. 長谷川永

    長谷川説明員 先生御指摘のとおり、法務省といたしましては、五十八年の二月から五十九年の十一月まで、前後二十二因にわたりまして日本弁護士連合会と意見交換会を行いました。その結果、今度提出を予定しております法案は、日弁連の御主張を随分受け入れまして、幾つかの修正を施す考えでございます。それで、これ以上に話し合いを続ける余地は私どもは今の段階ではない、このように考えております。
  151. 鈴木良一

    鈴木(良)政府委員 留置施設法案は、御存じのとおり被収容者の権利や義務あるいは処遇の内容につきまして、法務省が作成をしております刑事施設法案と合わせて作成をしているものでございます。そういうことで、法務省と日弁連の意見交換会が行われておるわけでございまして、その内容は、ほとんど留置施設法案とも共通する部分が大変多いわけでございます。法務省が意見交換会をやられます。その内容は、逐次私の方にも御連絡がありまして、私どもの方もそれに合わせて検討を進めてきておるということでございます。  そういうことで、ほとんどが共通部分になるわけでございますが、留置施設法案のプロパーな部分もございます。その部分につきましては、日弁連の方もそういう面につきまして説明を聞きたい、こういうことでございましたので、昨年十二月にそういう会議を持ちまして、十分御説明をしたというふうに考えておるわけでございます。  この修正の余地がないのかというお話でございますが、先ほど法務省からお話がありましたように、法務省が日弁連といろいろ意見交換会をやってまいりまして、それでかなりの部分につきまして修正を法務省の方も検討される、私の方にも関連部分がございます。その部分は合わせて修正を私の方も検討しておるということでございまして、それ以上に修正をするということは現在は困難ではなかろうか、かように考えております。
  152. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 この問題はこの程度で終わりますが、いずれにいたしましても、今後の話し合いの余地はない、修正の余地はない、こういうはっきりした答弁をいただきました。これは国民基本的な人権にかかわる大事な問題である、このように思います。慎重な対応を要望してまいります。  それから、続きましてグリコ・森永事件でありますが、これは、最初に国家公安委員長並びにお忙しいところを来ていただきました警察庁長官にお尋ねしていきたいわけであります。  昨年の三月、江崎グリコ社長が誘拐をされました。この事件に端を発して、もう既に一年を迎えようといたしておる。この間、犯人グループはグリコ製品への青酸混入の予告あるいは毒入りチョコレートの店頭配置、森永、ハウス食品、不二家への脅迫、そして去る二月十三日はバレンタインデーに照準を合わせて、大手五社製品への青酸混合商品の店頭配置、そして昨日はまた脅迫文ということで、ますますエスカレートしてきているわけでございます。  一方捜査当局は、犯人と接触をしておきながら取り逃がすという大失態を演じた。この点は国民警察不信というものにつながってくるのではないかと思いますし、また同時に、犯人を捕らえずに後手に回った。やはりそういった感を今国民に与えているようであります。この事件の解決が長引けば長引くほど、国民警察に対する不信感も高まってくるであろう、こういうように私は思います。同時に、これがまた政治不信というものに必ずつながってくるわけであります。  こういった一年近くたった今日の時点に立ちまして、まず、公安委員長としては、今日のこの捜査の現状というものについてどういった御認識を持っていらっしゃるか、あるいはまた、あわせて警察庁長官はどのようにお考えになっているのか、基本的なお考えについて、まずお伺いをしておきたい、このように思います。
  153. 古屋亨

    古屋国務大臣 今先生のお話しのとおり、グリコ・森永事件が、ほとんど十一カ月たちました現在解決を見ていないということはまことに私も残念であり、申しわけないことだと考えております。特に毒物を食品の中へ入れ、国民生活を人質にするようなこういう悪質な事犯は、一日も早く検挙しなければならぬと思っております。  お話しのように、国民信頼がなければ警察の仕事というのは十分に完遂することはできないのでありまして、この事件は検挙によって国民信頼警察が回復する一番大事な問題である、一一四号事件といたしまして全国の警察官を挙げまして一生懸命にやらしておりまして、必ずやこれは検挙されるものと私は考えております。
  154. 鈴木貞敏

    鈴木(貞)政府委員 この事件は、国民を人質にしたまことに卑劣な犯行、そしてまた食品流通の秩序を乱す極めて悪質な事件であるという基本的な考えを持っておりまして、国民的にも大変な関心を持たれている事犯でございます。  警察としましては、まさにこういう時節でございますので、日々これ戦場といいますか、いろいろ事犯が起きます。それを真摯に解決していくということはもとよりでございますが、今現在におきまして、何といいましても警察としての最重要課題は本件の解決である、こういうふうな認識を持っております。そのために、被害が国民に及ばないということを考慮しながら、一日も早く国民協力のもとにこれを検挙することこそ今警察に課せられた一番大きな課題であろう、こういうことでございまして、全国警察力を挙げましてそういう面に向かって邁進していくという気持ちでこれからもまいりたい、こういう気持ちでございます。
  155. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 早期検挙に向けてやっていく、これは非常に心強い御答弁をいただいたわけでありますが、一年近くたって私考えるのですけれども、ビデオの公開捜査もなされている、あるいはモンタージュ写真を作成してこれの公開捜査もなされている、しかも犯人と接触をしておる、こういった中で今日なお検挙されないというのは一体どこに問題点があるのか、今日の警察捜査体制というものに非常に問題があろうか、私はこういうふうに思ってあと何点か指摘します。  総体的に言って、長官どうですか、はっきり聞かしていただきたいのですが、早期検挙とおっしゃるには、また、国民協力を得て全力を挙げていく、他のいろいろな事件もあるのだがこのグリコ・森永事件の解決が第一である、こうおっしゃるならば、一つは犯人検挙の見通しというのは近いのかどうなのか、国民に安心感を与えるためにひとつはっきりとお聞かせいただきたいし、また、これだけの遺留品等の証拠がありながら今日まで一年近くも検挙されないのは、警察捜査体制に何か大きな原因があるのか、この二点をしかとお伺いをしたい、こう思います。
  156. 鈴木貞敏

    鈴木(貞)政府委員 この事件はまことに特異な事件であるという認識を持っております。事件発生と同時に、兵庫、大阪の共同捜査本部ということで発足したわけでございますが、長い年月の間にいろいろの経緯がございました。当方としましても、あらゆる知恵を絞ってそのフェーズ、フェーズにいろいろな手だてをしてきたわけでございますけれども、この事件の検挙が非常におくれているという理由は、これはいろいろのことが挙げられると思いますが、何といいましても、一つはやはり犯人が極めて周到緻密であるということが挙げられると思います。また、二つ目には顔をあらわさない、現場その他におきましても顔をあらわさない、警察の姿、動きを十分偵察した上で動く、そういった周到緻密な犯人側の作戦、これがあろうと思います。  さらにまた、警察が現在行っております基礎捜査でございますが、これは物の面、あるいは今まで先生おっしゃったようにビデオの男とか、声の問題とか、あるいはキツネ目の男とか、いろいろのものを公開いたしまして、国民協力を得ながら、今それをシラミつぶしにつぶしておるというふうな段階でございますけれども、そういうこととあわせて、物、いわゆる遺留物でございますが、いろいろ残しております。しかし、これがいずれも現在の大量生産、大量消費社会の中におきまして、相当の人をかけ、日時をかけながらなかなかつぶし切れない、すなわち途中で断絶する、こういうふうな格好で大変苦慮しておるというふうなことがございます。  まあいろいろの理由が挙げられますが、これはセービング、こちらの言いわけになりますので申し上げませんけれども、しかし我々としてはそういういろいろの新しい問題、今の制度の中に広域体制強化とかというものを含め、また緊急配備の問題あるいはコンピューターを捜査といかに結びつけるかという問題、こういったいろいろのものを積み上げまして、必ずや犯人検挙に到達するという自信でひとつこれからもやってまいりたい、こう思っておるわけでございます。(柴田(弘)委員「犯人逮捕はいつごろですか」と呼ぶ)これはあらゆる手だてを尽くして日々やっていくということで、いつつかまるということは残念ながら申し上げられないことを御理解願いたいと思います。
  157. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 長官、どうも御苦労さまでした。どうぞ御退席ください、あとは刑事局長にお聞きしますから。  私は素人だから、いろいろなうわさを聞いてお尋ねして申しわけないのだが、一つは、企業側が犯人と裏取引しているのじゃないかといううわさがある。うわさだけだと私は思いますが、この辺、警察庁の方から一遍きちっと否定するなら否定してもらいたい。  それから、犯人の中に警察関係者がいるからなかなか警察はつかまえられぬだろう、そういううわさもある。この辺についても、ひとつ否定するなら否定していただきたい。  それから、午前中の答弁の中で刑事局長が、男が四人で女が一人だ、こうおっしゃった。子供もいるだろうと私は思うのですが、犯人像というのはサラリーマンか暴力団関係者か、あるいはどういった人か、あらあらの犯人像というのは警察の方ではもう既につかんでいらっしゃると思いますが、ひとつ差し支えない程度でこの三点について御答弁をいただきたいと思います。
  158. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 お答えをいたします。  まず、裏取引の問題でございますが、これまでのところ、警察と被害に遭っております会社との間では緊密に連絡をとっております。その会社側と今まで連絡をとってきた状況、それと私どもの捜査状況から考えまして、裏取引はないというふうに我々は確信をいたしております。  それから二点目の、犯人グループの中に元警察官がいるんではないかというようなお話でございますが、これは犯人グループからの挑戦状の中に警察官がおるということが何回か出てきておりますのでそういう御懸念が出てまいるのだと思いますが、これも今までいろいろと捜査をやってまいりました経過から見まして、そういうことはないというふうに確信をいたしております。  それから三点目の犯人像でございますが、これを絞るのは今の段階では非常に難しいという状況でございます。数の点は先ほども答弁申し上げましたが、これはある事実と推理を含めまして四人プラスアルファというようなことで申し上げましたが、それから一体どういう犯人像かというのを絞り出すのは、今までやりました捜査の過程からしては非常に絞りが難しい、今後できるだけこの面についての情報整理いたしまして犯人を絞り、検挙に結びつけていきたい、こういうふうに思います。
  159. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこで捜査状況ですが、山場に来ているのか、まだ二合目か三合目のところかということですね。きのうの脅迫状によれば、「わしら らい年  まで つかまらへん」とか「国会ぎいんの みなさん え」なんて言ってきておるのですね。そんなにかかるのか。その辺の確たる見通し、これはどうですか。
  160. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 ただいまも長官がお答えをいたしましたとおり、その見通しはこれもなかなか難しい問題でございます。ただ、現在までのところは各般の捜査、いろいろな面での捜査を強力に推し進めておりますので、できるだけ近い将来に、早い機会に検挙したい、するということを申し上げたいのですが、現在では早い機会に検挙したいということでやっておりますので、その辺のところを御理解いただきたいと思います。
  161. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それで、私も素人ですから、素人考えに何点か今日の捜査体制の問題につきまして考えました。間違っている点もあるかと思いますので、それだったら遠慮なく御指摘いただきたいのですが、いずれにしましても、警察幹部の皆さんや捜査員の皆さんが、日夜寝食を忘れて一生懸命に早期解決に向けて頑張っていらっしゃる、私はこういったお姿には本当に心から敬意を表しているわけです。その上に立った質問であるということもひとつ御理解をいただきたいわけであります。  こういった新しいタイプの犯罪捜査体制が本当に確立されているのか、いろいろと述べてみますと、第一点は、一連の事件の発生当初、グリコ社長の拉致事件というふうに警察は見ておって初動捜査に誤りがあったのではないかと考えられる。  二つ目には、先ほど来おっしゃっておりますように広域事件だ。三県警本部に捜査本部を設けた。しかし、こういった各県警の縄張り意識が捜査の支障になっているのではないかというような懸念もなきにしもあらずである。  第三点目は、事件発生から既に一年近く経過し、多くの遺留品等があるにもかかわらず、あるいはモンタージュ写真あるいはビデオ等があるにもかかわらず犯人を詰められない。これは捜査指揮能力の問題、捜査力の問題、例えばベテラン刑事の退職による新旧交代、教育訓練の不足の問題、こういった問題があるのではないか、こういうふうに私は感ぜられてならないわけでありますが、この辺はどのように警察庁としては考えていらっしゃるでしょうか。
  162. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 まず第一点の初動捜査に誤りはなかったかという御質問でございますが、去年の三月、事件が発生をいたしました際は、兵庫県警が誘拐事件ということで緊急配備を含めまして初動の態勢をとったわけでございます。その後、事案がだんだんわかってまいりまして、大阪府警の方と合同の捜査本部を置きまして捜査をやっておるわけでございますが、三月十八日発生をいたしましたその当時の初動態勢、初動捜査というものは、今から考えましても特に誤りがあったというふうには考えていないわけでございます。  それともう一点、第二点目の縄張り意識の点が捜査に支障を及ぼしているのではないかというような御質問でございますが、確かに現在の警察法で都道府県警察が単位となっておりますので、主たる管轄区域、活動の区域が都道府県であるということは間違いございません。しかし、このような各府県にまたがります重要事件、こういう大きな事件につきましては、警察庁ないしは管区警察局が捜査指導調整ということで間に入りまして、事件捜査の調整を行うということにしております。今回の事件も、警察庁指定一一四号ということで警察庁の方が主として調整に当たっておるわけでございます。確かに競争意識は各都道府県警察ともあると思います。もちろんこれはあることはあるわけですが、その競争意識をできるだけいい方向に向けながら捜査の調整を行っていくというのが現在の私どもの考え方でございます。  それから第三点目ですが、長期間かかっておるのは捜査力、特にベテラン刑事の退職の問題があるのではないかという御質問でございますが、確かに五十六年ごろから現在にかけましてベテラン刑事の大量退職、交代の時期にあることは事実でございます。したがいまして、それを予想しまして五十五年から要綱をつくりましてすぐれた捜査官の育成、捜査指揮能力の向上、こういうことをテーマにして現在まで取り組んでおるわけでございます。  刑事の任用の問題につきましても、また任用しました刑事の教育の問題、それから後専門的な教育ということで警察学校から――一番専門的なのは警察大学校に特別捜査幹部研修所もございますが、各段階に至るまでの専門教育ということで、捜査力が現在のいろいろな問題にマッチして低下しないように、むしろ向上するようにということでいろいろと配慮しておるわけでございます。ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  163. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 捜査体制整備の問題であります。  大臣も所信表明の中で、今日の厳しさを増す情勢にかんがみて、広域犯罪捜査体制充実強化、あるいは科学技術導入等施策推進、あるいはまた流動する社会情勢に的確に対処し、治安の万全を期すために、当面警察装備、資器材の近代化促進を初めとする警察体制整備充実、あるいはまた警察職員資質向上、こういうことをおっしゃっているわけでありまして、犯人が幾ら用意周到であるからといって、緻密だからといって、顔を見せないからといって、今日まで一年近くもこのような検挙されないという状態では、私はやはり捜査体制にも問題があったのではないか、こういうふうに率直な見解を持っております。昨年の十一月には滋賀県で職務尋問したが結局逃げられている。この職務尋問のあり方にも問題がある。あるいはまた警察無線が犯人側に傍受されておったというようなお話も聞いておるわけでありますが、こういった問題がやはりあると私は思います。  そこで、これから下部の捜査員への状況の周知徹底の問題とか刑事部門の強化の問題、あるいは無線のディジタル化の問題、コンピューターによる捜査情報の処理、そして民間協力確保、こういった問題を今以上のより一層の充実強化を図って犯人の早期逮捕に向けていかなければならないのじゃないか、こんな感想を抱いているわけでありますが、この辺の捜査体制整備充実という問題についてはどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  164. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 捜査体制充実強化という点についてお答えを申し上げます。  今お話がありました滋賀県警のパトカーの問題、そういった問題もありまして、当時警察無線が傍受されておるということで、それを前提として捜査体制を組んだわけでございますが、結果的に犯人に逃走されるということで非常に残念な思いを現在までもしておるわけでございます。  そういうことも含めまして、捜査体制としましては、まずすぐれた捜査官、先ほど申しました捜査員自体の能力を高める。それとその捜査員に近代的ないろいろな装備、資器材を十分に使いこなせるような教育訓練を行うということが一つでございます。  捜査員の質の強化という点、それと各府県警の協力体制の問題、都道府県の枠を超えました広域捜査体制、これは管区警察局と警察庁が中心となりまして捜査の調整を行っていくという体制の問題。それにもう一つは、科学捜査力ということでコンピューターを十分に取り入れましたいろいろな捜査用の資器材をできるだけ使いまして今後の体制強化していきたい。  そういう人の問題、広域捜査体制の問題、それとコンピューターを使った科学捜査力という問題、この三つを含めまして今後も十分充実さしていきたいというふうに考えております。
  165. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 いろいろありがとうございました。グリコ・森永事件、ひとつ早期解決を心から要望してまいりたいと思いますし、私ども国会といたしましても、我が党におきましても、こういった対策特別委員会を設置いたしまして、一日も早い解決を心から願っているわけであります。日ごろの御労苦に心から感謝をいたしておる次第でございます。どうぞひとつよろしくお願いいたします。  続きまして、時間がだんだん迫ってまいりましたので、まとめて新風営法の問題についてちょっとお聞きしていきます。  一つは、二月十三日から新しく施行されましてまだ一週間余りでありますが、この成果はどのように考えていらっしゃるか。  それから二つ目には、こういったセックス産業が地下潜行するおそれがあるのじゃないか、やはりそういった対策というものはきちっと立てていかなければならない、こういうことがよく言われております。  三つ目には、立ち入り等、警察権限の過剰介入があってはいけない、必要以上の拡大というものを心配する向きもあるわけであります。簡潔で結構でございますが、この三点について御答弁をいただきたいと思います。
  166. 中山好雄

    ○中山政府委員 御指摘の新風営法、長い題名でございますので風営適正化法というふうに私ども略称するようにしております。これが二月十三日に施行になりまして、法の施行の直後でございまして、まだ必ずしも十分に把握できているわけではないのでございますが、施行当日には全国で警察官約三万人を動員いたしまして、特別指導取り締まりを実施いたしております。現在に至るまで各都道府県警察におきまして新法の周知徹底指導取り締まり徹底を図っているところでございます。  例えば、マスコミなどにも報道されておりますように、悪質な看板が撤去されたり、深夜における個室つき浴場あるいはのぞき劇場、個室マッサージなど、そういうのを営む者がなくなる、あるいは悪質な客引きがほとんど見受けられなくなるなど、少年を有害な環境から守り、風俗環境を浄化するという法改正の目的はかなり期待どおり実効が上がりつつある、こういうふうに見ておるところでございます。  次に、規制を免れて地下に潜行するおそれがあるのではないかという点につきましては、どういった新手の業態が出てくるかということは私どもにわかに予測できないところでございますが、いわゆるセックス産業につきまして今後の推移を十分に見守ってまいりたいと思います。善良な風俗の観点から問題のある業態が出てきた場合には、それが法令違反となるようなものであれば厳正な取り締まりを行い、機先を制してそういうことをやってまいりたいと思っておるところでございます。またその時点で法規制の必要性についても検討して、必要があれば風俗関連営業の規制対象とする等の措置も講ずることを検討してまいりたいと考えておるところでございます。  それから三つ目でございます。風営適正化法は警察権限の過剰介入等と言われているがという御指摘でございますが、この法律は、先生御承知のことと存じますが、現下の少年をめぐる問題の深刻化や風俗環境の悪化等の問題に対処することが行政の緊急の課題であったということにかんがみまして、必要な最小限度の措置を講ずることとしたものでございまして、警察権限の過剰な介入であるとか、そういった御懸念のないように十分留意して運用してまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
  167. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 新風営法の問題、その他接待の基準等につきましても、解釈基準ですか、お尋ねしたいと思いましたが、時間の関係でやめてまいりますので、警察庁はこれで結構であります。  それから、一割カットの問題でありますが、大臣、私、本会議でも申しましたが、今回の六十年度予算というのは、財政再建を放棄した、国民生活無視、増税押しつけ予算と言わざるを得ないのじゃないかと私は判断する。国民待望の所得税減税を見送ったり、防衛費を突出させ、福祉、文教予算を後退させている。しかも一番関係のある地方自治体に対する高率補助金の一律削減が行われている、そして地方への負担転嫁をしている、こういった事実は、大臣も地方分権が大事だ、あるいは地方自治確立が大事だ、こうおっしゃっていますが、その分権と自治の精神に反した、いかに予算編成上の問題であるといっても、財政措置と言わざるを得ない、こういうふうに断定をいたしたいと思います。分権と自治の精神ということからいって、今回のこの一律カットは大臣はどう考えていらっしゃいますか。
  168. 古屋亨

    古屋国務大臣 ただいまのお話でございますが、補助金の一割カットというのは、私どもも予算編成の最後の場面まで私どもとしての立場を賢いてまいったのでございますが、厳しい国の財政事情下におきまして、これをやるのは私としてはどうしても納得できませんのでいろいろの案を出しましたが、それもできないということで、最終的に、では暫定的に一年を限度とする、特に経常的経費で一番問題になりました社会保障等は一年間三大臣、三省におきまして協議をして、必ずそれによって今後に備えていく、対処していく、この間の費用は全部国において補てんするということで、交付税地方債によって処理をすることにいたしました。一般的には地方には迷惑をかけないということでいたしましたが、やはり補助金の一割カットというのは私もなかなか納得できない問題でございます。  ただ、補助金の見直しということは、私は地方自治の立場からも賛成というような考え方でございました。そういう意味におきまして、この一年間にそういう問題を検討して、私どもは一年限りというような考え方で進んでおるのであります。  地方分権ということから考えますと、補助金は、地方にもう定着化したようなものは、今度もその減った四百億ばかりのうちに学校の教材費とかいろいろございまして、これはもう地方に定着しておるものでございますから、地方の費用のうちから出していくということで、それは完全に起債、交付税によって処理をするということを考えております。  しかし、先生お話しのように、本当の地方分権からいいますと、今度法案が三月に出ると言われておりますが、国の必置規制や国の関与、それに一番問題の国の権限移譲というような問題が、行革審の答申がおくれているということでこの六月か七月になるということは大変残念でございますが、これはもう何といっても地方の自治、自律性ということから考えて、これを邪魔しているのは――私は地方は相当進めておる、むしろ国の関与とか必置規制だとかあるいは権限の問題とか、こういうものが本当の地方自治を阻害しているというような考え方でございまして、何としても今度の地方行革大綱の一環としてこういうものは、権限移譲の問題が夏になりましても、ぜひそういう法案を早く出して、地方の分権といいますか、本当に身近なことは身近で処理することができるように財政的にも措置をしてまいりたいと考えている次第でございます。
  169. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 ただいまの問題は地方税制改正のところでお考えをお伺いいたします。  いずれにいたしましても、国の財政難だけを理由にいたしまして制度、施策見直しを行わないで、国と地方との負担割合を一方的に変えるということは、これは単なる地方への負担転嫁である、こういうふうに思います。  財政措置に問題がない、こうきちっと大臣も、「地方交付税増額建設地方債増発により完全に補填し、地方公共団体の円滑な財政運営が図られるよう、万全の措置を講ずる」、こういうふうにおっしゃっているわけでありますが、私もこの辺のところをひとつお聞かせいただきたいのですが、今回のこの補助負担率の引き下げに伴う交付税の増強は一千億だけてあります。残額は建設地方債四千八百億円を増発して、後年度の財政措置で対応しておるわけですね。  二つ目に、経常経費分の一千億については、六十六年度以降交付税で精算するとして、国の財政措置を先送りしている、これもそうですね。  それから三つ日は、投資的経費分の二千億については臨時財政特例債を発行し、その元利償還金の二分の一のみ国庫が負担することとし、残りの元利償還金の二分の一は交付税を増強することなく、現行交付税総額の枠内で対応する仕組みをとろうとしているが、これは交付税総額の実質減につながるおそれはないかという心配が一つあるわけです。  それから四つ目には、投資的経費分の一千二百億円については建設地方横を増発し、その元利償還金については現行交付税総額の枠内で対応する仕組みをとろうとしている。やはりこれも交付税総額の実質減につながるのではないかという問題が出てくる心配がないのかということです。  それから五つ目には、経常経費分の六百億円は、不交付団体が増発する建設地方債で、結果的にはこの元利償還金は当該団体の一般財源負担することになっており、不交付団体に対する国の負担転嫁が直接及んでいる、こういう心配がないかということ。  それから六つ目には、教員の旅費と教材費については負担金対象からは外され、地方一般財源化を図る、これについても交付税の増強は行われないわけでありまして、現行の交付税総額の枠内で行われるということは、やはり交付税の実質減につながる心配があるのではないかということ。  こういう各点につきまして憂慮しているわけであります。完全に補てんされる、こうおっしゃっているのですけれども、本当にこういった点は大丈夫か、簡潔で結構ですからひとつお考えをお聞かせいただきたい。
  170. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 今回の地方財政対策におきまして、五千八百億円の補助負担率の引き下げに伴う地方負担増加が出たわけでございますが、その中の経常経費系統の二千六百億円につきましては、御指摘のように、千億円は交付税で加算、それから不交付団体分を除きます一千億円につきましては、当面起債で措置をいたしますけれども、建設地方債増発によって財源を浮かしてそれで措置をする。建前としましては、六十六年度以降国の方で交付税に加算するという措置をとったわけでございます。  この一千億円につきまして、六十六年度以降大丈夫かという問題でございますけれども、この点につきましては、補助負担率の引き下げが一応暫定的なものであって、一年間検討するということとの関連におきまして、一年後に自治、大蔵でこれを検討しよう、話し合いをしようという形になっておるものでございます。  それから公共事業に係る三千二百億円でございますが、うち二千億円につきましては補助率の引き下げに伴う部分でございます。これにつきましては、かつて例がございますような、いわゆる行革関連特例法に基づく地域財政特例債と同様の措置を講ずる、これも前例に従いましてこのような措置を講じたわけでございますが、具体的には、これにつきまして臨時財政特例債を起こし、そしてその元利償還金につきましては交付税で算定する、そして元利償還金に要する経費の二分の一は交付税で加算をするという措置をとっておるわけでございます。  それから残りの千二百億円と申しますのは、事業量拡大に伴う地方負担の増でございまして、これにつきましては地方債で措置をする。これらすべて地方債で措置をいたしましたものにつきましては、いわゆる財対債と同様な措置を講ずることにいたしまして、その元利償還金につきましては交付税に算入をするということをやるわけでございます。  それから旅費、教材費等一般財源化したものについて、これは交付税の実質減でないかという御指摘でございますが、この旅費、教材費等につきましては、かねてから地方自治体も我々も主張しておったわけでございますけれども、既に地方団体の事務事業として定着しているような補助金については、これを整理すべきであるというような考え方に沿ったものであるということで今回これを受け入れたわけでございますけれども、六十年度の地方財政収支の見通しの段階におきまして所要財源確保できましたので、これにつきましては別途財源措置をする対象の外に置いたものでございます。  こういった問題につきまして、いわゆる一般財源を食うのではないかということでございますが、六十年度におきましては、例えば法人税制の改正による増収あるいは電電公社等の民営化に伴う法人税の増収、こういったものに伴います交付税増加額が大体四百億円程度もございます。そういったこともございまして、今回これを特に財源対策をしなければならないというふうな中にはカウントしなかったわけでございます。
  171. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そうおっしゃいますけれども、この一年間かかって大蔵、自治両省で検討する、六十六年度以降交付税で精算するということ、これも国の財政難、これがまかり通っていくのじゃないか、こういう懸念を持っていますし、やはり交付税総額の実質減につながる。これは交付税措置する、枠内で対応する、こう言っても、交付税そのものの全体から言えば、地方自治体にとってはやはり実質的につながってくるものである、こういう点を憂慮し、指摘をしていきたいと思います。  それで、今回の国庫補助率の引き下げの問題、これは再三再四言われておりますように、大臣もおっしゃっていましたように、これを一律削減をする前に、国と地方間の機能分担のあり方や費用負担のあり方をきちっと見なければならない。順序があべこべだ。これはもうはっきり言えますよ。これは理由がないわけですね。あるいはまた、今回厚生省の社会保障関係費が削減のほとんどを占めている。約九〇%を占めている。こういった不当性の問題、あるいは行政改革の理念に反した補助負担率の引き下げ、やはりこれは問題である。  それから第四番目としては、やはり地方財政法第二条二項に違反をするのではないか、こういった疑問点もありますし、あるいは生活保護費の削減は、生活保護世帯の多い地方団体の財政運営を困難にする。一割削減による地方団体の影響額を見てまいりましても、そういった生活保護世帯の多い地方団体の財政運営に非常に支障を来してくるであろう。あるいはこういった生活保護費、社会保障関係に対する国の負担、これは国民の最低限度の生活を保障することをうたった憲法第二十五条の規定に基づくものであり、みだりに国の負担割合を引き下げるということは国の行政責任の放棄につながる。  そして最後に、地方への負担転嫁というのは、国と地方の正滝な財政秩序を乱し、国と地方との信頼協力関係を失わせる、こういうことになるわけであります。でありますから、私は、本会議でもこの撤回を要求いたしました。ところが中曽根総理は撤回をしない、こういう御答弁であったわけでありますね。今後予算修正に絡んでこの問題が大きくクローズアップされてくるわけでありますが、とにかく我が党の主張は撤回であります。  そこで百歩譲って、今度の覚書の問題についていろいろお聞かせをいただきたいのですが、大臣は先ほどから、この措置昭和六十年度一年限りだ、こうおっしゃっているんですね。ところが二番目に、この覚書を見てみると、「国と地方の間の役割分担費用負担見直し等とともに、政府部内において検討を進め、今後一年以内に結論を得る」、こうなっておるわけなんですね。「六十年度における暫定措置」、こうなってはおるのですが、六十一年度においては五十九年度並みに戻すとはっきり書いていないわけです。大臣が心の中で思っていらっしゃるだけであって、私はこの辺は弱いと思うのです。  大事なことは、この後に一体何があるかということなんですね。こういった役割分担費用負担のあり方を検討する中に、一割カットが正しかったなというような結論が出るかもしれません。あるいは一割じゃ足らぬから一割五分なり二割なりやれ、こういう結論が出るかもわかりませんし、また元へ戻すという結論が出るかもしれませんが、いずれにいたしましても、自治大臣がそのようにおっしゃっておっても、六十一年度は元に戻すというわけじゃない、こういうふうに私は考えているわけ。であります。  そこで大蔵省、どうなんですか。今回の、法律上はこれは経常経費分だけでなくて、社会保障費だけでなくて、一年間の措置となっているわけですが、これは何も六十一年度に五十九年度並みに戻す、こういうことじゃないでしょう。大蔵省どうですか。この辺をひとつ聞かしてもらいたい。
  172. 藤井誠人

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生がおっしゃいましたように、覚書につきましてはまさにそのとおりでございまして、自治、厚生、大蔵大臣、それに政調会長も入られたところで一応合意を見ておるわけでございます。したがいまして、六十一年度以降の問題というものにつきましては、まさにこの覚書の文言に書いてございますように、今後政府部内において検討を進めて一年以内に結論を得るということでございます。現時点におきましては、政府部内での検討の具体的方法等につきまして、関係省庁間で鋭意検討しておる段階でございます。  いずれにしましても、今後関係方面と相談した上で、六十一年度以降の取り扱いについての結論が得られますれば、そういうものをしんしゃくしまして対応させていただきたいというように考えております。
  173. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 大臣、私は大蔵委員会に長くいて、大蔵省のやり方はよくわかっておるわけです。行革関連の特例法案、三年間の暫定措置、あれだって、あのときの議論も同じような議論だった。三年間だった。今日、先日国会で大蔵省が提出をいたしました「財政の中期展望」を見ましても、もう六十一年度以降大幅な赤字、要調整額が出ているわけですよね。今回の六十年度の一割カット、一律削減は、国の財政上の問題だけで何の理屈もなくばっさりとやられたということがあるならば、六十一年度に元へ戻すというのであれば、自治省としてもよほどの正当性を持った議論をして、理論的にも現実的にもこうなんだからこの一割カットはけしからぬのだ、地方と国とのあり方はこうなんだというものをきちっとしていかないと、また大蔵省にやり込められてしまうだろう、こういう心配を私はしています。  その上、国の財政に比べて地方の財政はだんだん明るさが見えてきた。今地方行革の問題もおっしゃった。なるほど地方行革をやらなければならない。しかし、一生懸命地方地方行革をやっても、仮に余裕財源ができた場合、それを地方住民福祉のために使おうと思っても、今回のような一律カットで取られてしまったら、一生懸命地方行革をやりなさいと幾ら国が言ったって地方はやりませんよ。そういった問題もあります。  私は、地方が財政豊かになるのは結構なことだと思うのです。大蔵省に言わせれば、我々は「財政の中期展望」を出している、ところが自治省は地方の財政の中期展望は出さぬ、これは地方の財政がだんだん明るくなってくるから出さぬのでしょう、こんなことを、まあだれとは言いませんが言う方もある。やはり大蔵大臣と話していくには一筋縄ではいかない。私は警告を与えておきますけれども、どうかひとつ正当性ある理論づけ、現実的な理論づけを持って対応していただきたい、こういうことを思いますが、具体的にどうですか。
  174. 古屋亨

    古屋国務大臣 地方自治の立場から柴田先生の御意見、まことに私も傾聴いたしました。今言われるように、そういう大蔵省との折衝の経験とかいろいろの点につきましては先生の方が御経験が多いかと思いますけれども、私も率直に申しまして、党の最高幹部による調整でございましたのでこの問題は条件つきで今のようなお話にしたのでございますけれども、今後が問題でございます。御意見の点は十分よくわかりました。  ただ、地方財政も御承知のように、五十六、七兆の赤字、借金を抱えておりまして、まことに厳しいものがありますのでそんな余裕はないはずでございますが、数字の魔術というようなものもまた世間にはないでもないと思いますので、ひとつそういう点はよく勉強いたしまして、理論的にも私どもも対抗できるような勉強をさせていただくつもりでございますから、よろしく御指導願います。
  175. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それでは、ちょっとあと一つだけ簡潔に答弁をいただきたいのです。  これは先日の本会議の質問の関連になってきますが、中曽根総理は、地方税制についても、国と地方との税源配分のあり方などを含めて抜本的な見直しを行う、こうおっしゃっておる。それを受けて自治大臣も、地方交付税については交付税率の引き上げあるいは対象税目の拡大、こういったものが検討対象になってくるだろうとおっしゃっているのですね。やはり地方行革あるいは国と地方間の権限移譲、今相当意欲を持っていらっしゃるわけであります。当然これに財源が伴っていかなければなりませんよね、地方に。その辺の具体的なお考え方、スケジュール、例えば六十一年度以降に大幅な税制改正をやっていくのか、そこら辺簡潔で結構ですからお伺いして、時間が参りましたので質問を終わります。どうでしょうか。
  176. 古屋亨

    古屋国務大臣 この間本会議で先生からもお話がございました。地方税制の問題につきましては国とも関係がございます、また税調等の関係もございますので、あくまでもそういう場合におきましては、地方自治地方の自律性ということを中心にいたしまして、それを理念に置きまして私どもは措置をしてまいりたいと思うのでありまして、国も厳しいが地方も厳しいという実態を踏まえましてこういう検討問題を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  177. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 では、終わります。
  178. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、岡田正勝君。
  179. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 自治省の方と警察庁の方に両方お尋ねをいたします。先に警察庁の方にお尋ねしますけれども、長官はのっぴきならぬ所用があるというお申し出がございましたので、了解をいたしましたから、政府委員の方で対応していただきたいと思います。  今国民が何といっても一番腹立たしい問題は何だといって投票させたら、恐らくグリコ・森永事件じゃないかと思うのであります。もう何とも言えない、いら立たしい、どうかならぬのかという気持ちではないかと思うのであります。  そういう気持ちを持ちながらここで質問をさせていただくのでありますが、質問をする反面で、国会の地方行政委員会で、警察庁に対して、各党の議員が口をそろえて怪人二十一面相の問題を取り上げておるげなということで、これまたマスコミさんに書いてもらうと、怪人二十一面相が本当にイッヒッヒと言って喜ぶんじゃないかと思うのです。だから私は、これはもう記事にしないでいただきたいと思っておるんですよ。記事にすることによって、何かしら新聞には書かれる、週刊誌には書かれる、テレビではじゃんじゃん放送するものですから、一躍時代の英雄になったような気分に、錯覚を起こしているんじゃないかというぐらいに私は思っておるんでありまして、憎んでも飽き足らない連中であると憤慨を込めて実は質問をするのであります。  去る二月十二日から十三日にかけまして、東京、名古屋に計十三個、これは回収されたのが十三個ですが、シールつきのチョコが路上だ、デパートだ、あるいは公衆便所等に無差別に散布をされておりました。これは従来の店頭や新聞社から、場所を無差別に拡大いたしました。またチョコも、今までのグリコ、森永、不二家に加えて、新たに明治、ロッテ、この五社になりました。しかも昨年十二月の予告状のとおり、バレンタインデーをねらってのものであったと思います。戦術のエスカレートではないかと受け取っておるのでありますが、昨年三月十八日の事件発生以来早くも十一カ月でございます。  また、関西を中心として全国四万五千人の警察官を動員しての警戒も実に十九週目に入っております。それはもう正月休みまで返上して、まさに家を忘れての、寝食を忘れての懸命な捜査にかかわらず、いまだ犯人逮捕に至っておりません。警察官の諸君の御心痛というものは本当に察しても余りあるものがありますが、市民のいら立ちと、業界のこの種犯罪に対抗しようと思ってもどうしたらいいのかやりようがない無力感、不安感というものは実に大きなものがあります。  そこでお尋ねをいたしますが、最近の犯人の動きをどう判断しておられるのですか。いま一つは、犯人捜査の現況は一体どうなっておるのでありましょうか。  今からお尋ねをする警察庁関係のこの質問は、捜査の機密に属するような問題もあるかと思いますので、そういう際には答弁がややつっけんどんな返事になることがあるかもしれませんが、それは私は捜査協力する立場にありますから決して腹を立てませんので、木で鼻をくくったような返事でも構いません。これは異例のこととして私は了承いたしますから、そのおつもりで御返答願います。
  180. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 できるだけ詳しく答弁をさせていただきます。  まず、最近の犯人の動きをどう見ておるのかという御質問でございますが、既に一年近くを経過いたしておるわけでございますが、きのう送ってまいりました二十一通目の挑戦状ということで、最近になりましても挑戦状を送りつけて、企業と警察の両方の協力体制、少しでもその中にひびを入れよう、こういう意図が見受けられるわけでございます。  それと、この挑戦状はマスコミ各社の方に送られてくるわけでございますが、そのマスコミがその挑戦状を報道するということによりまして、社会に対する犯人の影響力といいますか、社会に与える動揺といいますか、そういうものを今後の脅迫に利用しておる、こういうことだと思います。したがいまして、きのう送られてまいりました挑戦状から見ても察することができる点は、やはり依然として挑戦状を送りつけ、企業と警察の間にひびを入れ、世間を動揺させて裏取引をねらっておるというのが今現在での犯人側の状況だと思います。  それともう一つ、捜査の現況はどうかという御質問でございますが、現在の捜査状況と申しますと、大きく分けて二つございます。  一つは、基本的な捜査ということでございまして、これはいろいろと入ってまいります人に関する情報、これは公開をいたしました似顔絵その他の関係から入ってまいります情報でございますが、その情報捜査、それといろいろと残っております物からの捜査、この二つの面。それに特別巡回連絡ということで、広く地域からの情報収集ということをやっておりますので、その面からの情報収集、これが基本的な捜査でございます。  もう一つの面といたしましては、犯人側が現金受け渡しを要求してくる場合、その現場において犯人を捕捉する、そういった面での捜査でございまして、これは過去のいろいろな例にかんがみまして、私どもの方もできるだけの対応、十分な訓練ということで今いろいろと準備をやっておる、こういう状況でございます。  いずれにしましても、捜査の量、人手、時間というものが非常に大量に必要でございますので、一年という長い月日を要しておるというのが現状でございます。  以上でございます。
  181. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今後の見通し。
  182. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 この見通しが一番難しいわけでございますが、何回もお答えをしておりますように、一日も早くというのが私たちの気持ちでございますし、これはまた国民の気持ちであろうと思います。そういうことを外しまして現在懸命に努力をしておるということで、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  183. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。余り木で鼻くくっておらぬですね。非常に丁寧でございました。  続いて今の問題でお尋ねしますが、警察がこのように追い込められたということは今までその例はないんじゃないかというふうに私は思うのであります。自民党さんにおきまして毒物混入防止法案を議員立法で出したらどうかという動きがあることに見られますように、この事件は政治問題化しようとしているのであります。現在までの捜査体制、方法につきまして市民の中から、国民の中からいろいろな批判が出ております。その批判の中には、これはまともには受け入れられぬものでありますけれども、ひょっとしたら警察の中におるんと違うかというような批判もあります。しかし、これは質問としては適当でありませんから除外いたします。  そこで、人事の面でお尋ねをいたしますが、ベテラン刑事の方々がちょうど代がわりをしていくときに当たっておるようであります。そのベテラン刑事の退職による新旧交代期の能力不足ということがあるんじゃないのだろうか。  それから、教育訓練の不足、これは先ほども出ておりましたが、教育訓練の不足があるんじゃないか。なぜなら、例えば局面での初歩的なミス。極端なことを言うならば、うん、あれはね、わざと泳がしたのよなんてなことを言って、あら、どこへ行っちゃったの言うたらわからぬのです、こういうことがある。  それから、警察人事管理の現代社会への不適応な面があるんじゃなかろうか、これが人事面における国民の批判でございます。  第二の批判は、体制組織面における批判でございまして、公安、警備を優先することによって刑事部門が弱体化しているんじゃないのだろうかという批判があります。  それから、広域捜査を行うにつきまして、府県警間の対立が大きな原因になっておるんではないのだろうか。  それから、警察といえば、とかくそれは捜査上の機密でございます、こういうふうになるわけでございまして、今からの答えもそれで結構でありますが、とかく独善的、秘密主義に陥り過ぎておるのではないだろうか。外部の意見というものを意外に採用しない、消極的であるというふうな批判があります。  さらに、民間協力確保に消極的なんじゃないかなという批判がございます。こういう民間協力が消極的になるという一つの原因の中にも、これも言うも恥ずかしいことでございますが、現職の警官あるいは元警察官の数々の不祥事犯が起きております。こういうものを根絶しなければ市民に対する信頼は回復しないんじゃないかなという批判があるのであります。  第三の批判は捜査技術面の問題でございまして、個人の精神主義、それから口伝、口伝えに依存をいたしまして、科学的、合理的、組織捜査技術が弱いんじゃないだろうか。これはマニュアルの作成が必要ではないかなということが批判されております。  それから、情報社会犯罪に対応した捜査技術の開発というのがおくれておるんじゃないかなということが言われております。パトカーによる職務質問の方法とその追跡技術の開発、これもおくれておるんではないかなというふうに思うのであります。これは具体的には滋賀県下の犯人の見逃しの問題であります。  第四は、装備面の問題であります。  装備面につきましては、最近警察無線の盗聴や妨害が頻繁に行われ、事件発生時の緊急配備や現場での捜査活動に支障を来しておるということは大変な問題であります。大臣の所信表明におきましても、緊急事態として警察無線の傍受、妨害を防止するために、警察無線ディジタル化を最重点に、装備、資器材の整備を行いたいと述べていらっしゃいますが、そこでお伺いしたいのは、現在の警察無線は年間どのくらい傍受をされたり妨害されておるのでありましょうか。また、そうした傍受、妨害の防止のための予算その他の対策は一体どうなっているんだろうかというような国民、市民の批判がございますが、お答えください。
  184. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 それではお答えをいたします。  まず、刑事の、ベテラン捜査員の大量退職の問題から申し上げますと、確かに、昭和五十六年から現在に至りまして大量退職、大量交代の時期に当たっております。したがいまして、それを見越しまして昭和五十五年から私どももベテラン刑事の交代に伴います新たな捜査員の育成、養成ということを努めておりまして、新しく刑事に任用する場合には、その資質であるとか体力であるとか、勤務の成績、そういったものを勘案してまず任用候補者名簿に登載をいたしまして、それから任用をいたします。そうしますと、一定期間警察学校に入れまして、もう一遍基礎的な知識から訓練をし直します。また、第一線に配置をいたしました後も、ベテランの刑事とマンツーマンの体制を組みまして、実際の実務を見習わせるということで教養をやっておるわけでございます。また、その後も専門の教養を各段階の学校におきまして実施をしておる、こういうことで大量退職期に対します対策と教養訓練ということをやっておるわけでございます。  また、初歩的なミスが、確かにお話しのように散見をされるわけでございましてまことに残念なわけでございますが、わざとやって泳がすというようなことは毛頭ないわけでございまして、やはりそういう場面もこれは訓練の不足という点もあるかと思いますが、残念な場面で残念なミスということで、今後一層こういう教養訓練は徹底していかなければいけないというふうに考えております。  それから、人事管理体制の面ということでお話がありましたが、公安優先で刑事が弱体化しておるのではないかというようなお話がございましたが、これは私、今刑事を担当いたしまして感じますのは、そういうことはないというふうに確信をいたしております。  一つ例をとって申し上げますと、去年の捜査本部設置件数ですが、一年間で百五十二件捜査本部を設置いたしました。これは過去十年来の最高の設置件数でございまして、世の中がそういう意味では物騒になっておるということの一つのあらわれかと思いますが、これの解決が百八件でございまして、七一%ちょっと超えております。この七一%の解決率と申しますのは、過去十年閥の最高の解決率でございます。全般の検挙率等も上がっておりますが、これはさておきまして、全力投球でやっております捜査本部の解決が過去十年の最高ということ一つだけでも、例でございますが、刑事警察は弱体化していない。ただ、グリコ・森永が非常に難航しているというのがそういう印象を強く国民に与えておるのではないかというふうに反省をしております。  それから、広域捜査の問題で各県の対立ということがございました。これは競争意識がないと言うとうそになりますし、競争意識はもちろんあるわけでございますが、その競争意識を少しでもいい方向に向けるべく警察庁管区が間に入りまして事件の調整を行っているというのが現状でございますし、今後もそういった面で大いにやっていきたいと思います。  それから、独善的、秘密主義というようなことで外部の意見を余り聞かないのじゃないかということがございましたが、捜査と申しますのは秘密で行うというのが原則でございます。しかし、その中で私どもも一般国民のいろいろな御意見なり外部の意見というものはできるだけそれに耳を傾けまして、取り入れられる点はできるだけ捜査の実行面に取り入れていくということで考えております。  民間協力確保という点について消極的ではないかというようなお話がございましたが、これもいろいろな公開、似顔絵とかビデオとかの公開ということによりまして、ケース・バイ・ケースでございますけれども、早く解決して国民に安心感を与える。こういう事件につきましてはできるだけ公開できるものは公開して国民の御協力を得ていこう、こういうつもりでございます。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕  それから、捜査技術上の点でいろいろお話がございました。これは全くお話しのとおり私どもも考えております。昔ながらの個人のいろいろな技術の伝承ということも重要でございますけれども、最近のコンピューターを使いました科学技術をできるだけ捜査の新しい手法として取り入れていくということは当然必要でございますので、コンピューターを利用したいろいろな情報の処理の問題から、また自動車のナンバーの自動読み取りシステムということも今開発中でございますし、こういう問題を常に考えながら今後もやっていきたいというふうに考えております。  最後に、装備面で無線のディジタル化ということがありましたが、無線が盗聴されておるというのはこの前の滋賀の例ではっきりいたしまして、去年の、五十九年度の予備費でもそのディジタル化推進が一歩進みましたし、また、現在提出をいたしております予算案につきましてもその面のお願いがしてございます。そういうことで、今後もできるだけ早い機会にこういう面での充実整備を図ってまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  185. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 お答えにならぬところもありますが、あれは木で鼻をくくったんだと思いまして、了承いたします。  警察庁に対する第二の問題といたしましては、広域暴力団。私はおかしいと思うのですよね。  八九三番といったら何かいなと言われて、はあ、と言ってびっくりしたのですがね。大臣、わかりますか、八九三といったら。
  186. 古屋亨

    古屋国務大臣 今のお話のやくざです。
  187. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員  そうそう。さすがは大臣ですね。八九三というのはやくざのことを言うのだそうでありますが、文明開化ももう随分の時間がたった今日において、なおかつ日本の中では暴力団、やくざ、こういうようなものがまだまだ大威張りで歩いている。お城のような、御殿のような家を建てておるかと思えば、大勢の部下を従えて、そこのけそこのけお馬が通ると言わんばかりの、まことに市民のひんしゅくを買うような暴力団が存在をしておること自体がどうもよくわからぬ。どうしてあれがなくならぬのだろうかというのが国民の素朴な疑いじゃないかと思うのであります。  市民の諸君がちょっとスピード違反をした、あるいは十キロオーバーした、あるいは十五キロオーバーしたといっても一々随分御親切な、丁重きわまる御指導を受けるのでありますけれども、しかしながら八九三番の人には余り指導がないのじゃないか、野放しになっておるのじゃないか、自分がやられたからそう思うんでしょうけれども、実はそういうような批判が多いのですよ。  御承知のとおり、去る一月二十六日、山口組の四代目組長が、対立する一和会の方から狙撃をされまして殺害をされました。その報復、抗争激化はもう必至であろうと見られておりまして、機動隊の人たちは御丁寧に我か一般市民を守ってくれておるのかどうか。いや、そういうことを言ったらいけませんね、守ってくださっておるのでしょうが、しかし現実にSPの人がついてまわっておるのは大臣くらいですわな。我々国会議員でもそんなについて歩いておるものじゃない。  ところが、その八九三番は機動隊の人が盾を持って守ってくれますから、これは何とまあ結構な御身分だなというのが国民の声ですよ。あれは市民に累を及ぼさないためという配慮でやっていらっしゃると私は理解をしておりますが、テレビなんかを見てひょいと子供たちが言葉に出して言うのは、やくざというのはすごいんだね、こう言います。ああやって警察が守ってくれるのと言って、おもしろい理解の仕方があるものだと思うのであります。  既に兵庫、福井、石川、高知等においては、早くも小競り合いが始まっておると聞いておりますが、今までのこの問題に対する取り締まり状況はいかがなものでありますか。  そして、こういう抗争事件にあってはならぬことでありますが、昭和五十年に大阪戦争というのがありましたね。これも山口組と松田組との対抗でありますが、その際に三名の市民が巻き添えを食っておる事実があります。今回はまだ幸いでございますが、市民を抗争事件に巻き込んではならないと思うのでありますが、その対策はいかようにされておりますか。  以上、二点であります。
  188. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 まず、山口組と一和会の対立抗争についての捜査状況でございますが、一月二十六日に発生をいたしました山口組四代日組長の射殺事件に端を発しまして、現在までに福井、石川、兵庫、高知、大阪等で十四件の関連事件が発生をいたしておりますが、この十四件につきましては、いずれも小競り合い的な事件でございまして、本格的な抗争は現在のところ発生をいたしておりません。警察庁におきましては、この一月二十六日事件発生直後、庁内に山口組の組長狙撃事件対策室というものをつくりまして、それと同時に二月一日に大阪に全国の暴力団担当、特に山口組、一和会、これを管内に持っております府県警の暴力団担当課長を集めまして、ここで全国に指示をいたしております。  その内容は、山口組、一和会の構成員、これはできるだけ幹部を含めましての構成員、これを大量に検挙するということが一つ。それとあわせましてけん銃を徹底的に摘発するということ。それにもう一つ、これは最も大きい問題でございますが、徹底した市民の保護ということで、今お話がありました市民を絶対に巻き添えにしないということで、市民保護の徹底、これを全国に指示いたしたわけでございます。現在までに山口組、一和会両方で六百三十一名を検挙、逮捕いたしておりまして、けん銃四十一丁を押収いたしております。  また、十四件対立抗争事件が発生をいたしたわけですが、そのうち六件につきましては犯人を現場で逮捕いたしております。今お話いたしました現場といいますのは、対立しておる組の事務所、これに張りつけ警戒をしております機動隊、制服の部隊員が現場で逮捕したというのが六件、けん銃を十丁現場で押収をしておるという状況でございます。そのほか職務質問によりまして六人を逮捕し、けん銃を六丁押収しております。  こういう状況でございまして、できるだけといいますか、最大の力を持ちまして市民を保護する。現在組の事務所その他対立抗争の起こりやすい場所に張りつけをいたしておりますのは、三十一都府県下で約二百カ所、これに約二千名の警察官を動員する。これは絶対に暴力団員を守るという思想でやっておるのではなくて、市民を保護し、事件が起きた場合には現場で検挙する、今言いました十四件中の六件が現場で検挙されておりますが、そういうために機動隊その他の警戒員を配置しておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  189. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 よくわかりました。今伺ってみますと、六件で実に三十一都府県で二百カ所、しかも二千名の方が市民を守るために張りついておる。しかも着々とその実効を上げていらっしゃるということを聞きまして、市民保護の対策も万全であるということをお聞きしまして、本当に力強く思いました。兵庫県警、大阪、そういうところはグリコ・森永と一緒になってしまって、本当に大変なことだろうと思うのであります。疲れを出さぬように、一人も倒れることがないように、元気で頑張っていただきたいと思います。  さて、山口組は次の五代目と目されるような人が見当たらない、幹部が見当たらないという現在の状況だと言われておりますが、こういうときにこそ警察徹底した取り締まりと分断作戦と、そして壊滅に持っていく絶好のチャンスが来ておるのじゃないかというふうに私どもは思っております。ぜひともひとつ元気を出して平和な日本、市民生活を守ることができますように、ここに警察があるということを国民に見てもらうためにも、ぜひ頑張っていただきたいと思うのであります。  さて、警察庁に対する質問は以上の二問でございましたが、この機会に国家公安委員長であります大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
  190. 古屋亨

    古屋国務大臣 森永・グリコ事件につきましては一日も早く検挙する、そういう態勢で全力を上げるように警察庁に指示をしておるところでございます。  暴力団の問題は、山口組等のこういう暴力団は、今回の事件を契機として壊滅するまで徹底的に取り締まりを続けるということで、私ども強くこれを警察に要請し、やらせておるところでございます。
  191. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 委員長ありがとうございました。大変気合いの入った御見解でありまして、本当に頼もしいですね。とにかく何をするよりグリコ・森永は一日も早く犯人を挙げることである、強く強く指示をしておる、そしてこの機会にこの山口組を徹底的に壊滅するまでやっつけろと言っているのだ、すばらしい進軍ラッパが鳴りまして、私も本当に喜んでおるところであります。  さて、そこで最後に私は要望を、大臣として国家公安委員長として申し上げたいと思うのでありますが、警察というものは自衛隊に対比をいたしますと、自衛隊というのは国民の生命と財産と国土を守るために外敵に対して備えてあるわけですね。これがいわゆる防衛力でございますよ。その防衛力に対してはほとんど聖域扱いですね。それでGNP一%の枠が、あと八十九億でしたかで突破するかせぬかというようなことを論じているぐらいでしょう。一番珍重されて予算もたっぷりとつけてもらっておるのですね。ところが、国民の皆さんには、今外敵は来ておらぬですから、まだ一発も弾を撃たれておらぬですから、よくわからぬ、ありがたみがわかりません。ところが警察というのは、外部に対する自衛隊に比べて、中で国民生活と生命と財産を守るために二十四時間じゆう働いている組織でございましょう。言うならばこれは日本の内部の自衛力ですよね。  私は聞いていませんでしたけれども、とにかく今いろいろと予算の関係も出てきておりますけれども、警察庁の方では、これがあればな、これがありさえすればなというものがあると私は思うのですよ。それが、こういう緊縮財政なものですから、ゼロシーリングだ、マイナスシーリングだなんてやるものですから大蔵省から締めつけを食っちゃって、それで初めから予算を出していくのにある程度あきらめているところがあるのではないのか。  私は、むしろ国民の諸君からいったら、警察は、国民には優しく犯人にはすばらしく凶暴なくらいにやってもらいたいと思う。恐ろしいトラくらいにやってもらいたいと思う。国民には羊のようにやってもらいたい。そして、そのために要るべき金があったら幾らでも出してやろうじゃないか。我々の税金だ。我々は何のために税金を出しているんだ。何といっても一番大事なのは自分たちの生命と財産と平和ではないですか。それを崩されたら何にもならぬじゃないですか。きょうの晩、血が垂れるようなビフテキを食ったって、あしたの朝冷たくなっておったら何にもならぬですよ。  だからそのことを考えたら、大臣は、警察庁が予算をおつくりになるときには思う存分要求をしてこい、担当大臣としてそういう御指示を願いたいと思います。そして大蔵省とかけ合って、大蔵省が防衛力の問題については一指も触れないのに、警察力の予算については遠慮会釈なく削り込んでくるということがあったら、国民の前に大臣が明らかにしたらどうですか。私はやり方がなまぬるいと思う。大蔵省の圧力に負けないように、大臣、元気を出して頑張っていただきたいということを要望いたしまして、警察庁に対する質問は終わります。ありがとうございました。  それでは次に、今度は本番でありまして、自治省の方をやらせていただきます。  大臣には、長い長い予算委員会でずっとあそこにくくりつけに遭っておりまして、本当に御苦労千万だと思います。きょうぐらいは一日お休みがとれればいいのに、続いてまた地方行政がこうやって朝から晩までやるのですから、これはまあ委員長に文句を言ってください。  さて、そこでお尋ねをするのでありますが、大臣はこの所信表明の中におきまして、我が国社会経済はさまざまな面で成熟化が進み、国民のニーズはますます多様化する中で、住民と最も身近に接している地方公共団体役割はますます重要になってくると述べていらっしゃいますね。そこで、昭和六十年代を迎えまして、今後の自治行政の進むべき道、取り組むべき課題は一体何だと考えていらっしゃるか、大臣の所見を伺います。
  192. 古屋亨

    古屋国務大臣 最近の非常な科学技術の進歩という点が一面、他面におきましては人口の老齢化が非常に進んでおるというのが今の大きな二つの現象ではないかと私は考えております。  その中におきまして経済がある程度の伸展はしておりますけれども、しかしまだひずみが完全に是正されていないといいますか、そういうような分野が相当ございます。地方自治といたしましては、地方住民の手によって、潤いのある心豊かな社会生活ができるような地域にするということが私は一番の目標ではないかと思っております。ただ、これは私の理念でございます。  それを実現するためには、やはり厳しい財政下におきましても金も必要でございます。同時に、例えば公共事業費等が減りますと、地方でやりたい仕事もできない、こういうのは単独事業等でやる場合に、ある程度の財政的なバックアップをしていくことが私は必要だろうと考えております。  だから、先ほどもどなたか先生のお話のように、地方行政改革といっても地方では相当進めております。進めておることは事実でございます。ただ私が言っておりますのは、それが非常にアンバランスであるからもっと組織的にやってもらうとありがたいという気持ちでございますけれども、何といっても本当の地方自治を阻害しているのは国の必置規制だ。何人人を置けとか国の関与だとか、さっきも申し上げました国の権限をなかなか地方に譲らない。あるいは許認可も、必要なものもあるでしょうが、もっと改めてもいいようなものもあります。  幸い臨調関係の審議会で今いろいろ審議をされておりまして、必置規制と国の関与は暮れに答申が出ました。これは今法律化されて近く国会へ提出されることと聞いております。権限移譲の方は今審議されておる、やっておる真っ最中でございます。だから、これは答申が出るのは恐らく六月になりますか、できるだけ早く出してもらいたい。ということにならぬと、本当の地方自治、自分たちの手で自分をやる、国が邪魔しておるというようなことは思わしくない状況である。  そういう意味におきまして地方活性化を図る。本当の町づくりを、自治省としては起債、交付税等によって地域で本当にやりたいこと、そうしてそれが本当の地域住民の気持ちでありますならば、公共事業の方は予算が減っておりますが、そういうものも単独事業としてやり、それをバックアップするような費用といいますかそういう措置は、潤いのある地域のための行政としてぜひ頑張ってやっていくように努力をしておるわけでございます。
  193. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 なかなか結構でございます。本当に潤いのある、しかも心豊かな町づくりをモットーに大臣が非常に苦心していらっしゃるお気持ちがよくわかりまして、ありがとうございます。  次に質問の第二でありますが、地方行政を見る国民の目は大変厳しいものがありますね。特に昭和六十年度の地方財政は、国庫補助負担率引き下げがなかったとしたら、その収支はバランスがとれて、地方財政は国の財政に先駆けて財政再建に向けて着実な一歩を踏み出してきたかのような感が見受けられるのであります。  このため昭和六十年度の国庫補助負担率引き下げ、これは逆に、そういうふうにバランスシートがとれたものですから、地方は豊かだなという感覚にとらわれたのか負担率を引き下げまして、一割カット、それで五千八百億円を地方へ転嫁、そのうち一千億円だけは、文句をつけられますから交付税措置しよう、あと四千八百億は借金になって残るけれども我慢せいや、おまえたちは豊かなんだから、こういうことで無理やり押しつけられた。  この三大臣の覚書を書くときには、私は、恐らく大臣は宿に帰って泣いたのではないかと思いますよ。本当に苦しかったと思う。それほどまでに大蔵省が力を持って押してくる、今後この風圧はますます強くなるであろうと私は思うのであります。大臣のお役目も大変でありますが、国と地方経費負担区分の見直しのみならず交付税率の引き下げなど、国と地方の間の財源配分の変更に飛び火してくるのじゃないか、補助率のカットに成功しましたから、今度は交付税税率引き下げにまで飛び火をしてくるのじゃないかということを私は本当に真剣に危惧をしておるのであります。  先ほど来大臣が各議員の質問に対しまして、補助率の一割カットというのは一年限りの措置だ、ことしだけだ、来年から戻るんだと私は期待をしておると口を酸っぱくしておっしゃいますが、各議員が座っておって隣同士で大臣の答弁を聞きながらお互いに話をするのは、大臣がああ言ってもそれは戻りはせんぞ、大蔵の方の力で押しまくられてこれはずっとそのままになってしまうおそれが強い、心配だなあとみんな言っているのです。議員の心配も大臣の心配も一緒だと思うのでありますが、地方財政確立地方自治の根幹にあるのでありますが、今後の地方財政のあり方、こういう風圧の強くなっているところで、特に国と地方財政のあり方について大臣はどのような基本的な姿勢で臨んでいかれますか、所信を伺います。
  194. 古屋亨

    古屋国務大臣 岡田先生のお話でございますが、私は、地方財政で一番問題なのは財源の問題であり、税の問題だと考えております。国庫補助負担率の一割カットということは私にはまことに残念なことでございましたけれども、一年限りというのは覚書できちっと書いて、政調会長もそばに判を押しておりますので、変な言葉で言いますとだまされることはない、私はそういう気持ちを持っておりますし、まただまされてはかなわぬ、こういう決意でおります。その証人の党の方もおりましたので、私はとにかくこの間にどういう分担でやるか、どういうふうにするかということを十分検討いたしまして、皆さんの地方自治の立場、その上にのっとりまして進んでいきたいと思うのです。  ただ、非常に大蔵省が強いというお話でございます。まあ私ども国務大臣としては同じだし、竹下先生は、私も副幹事長で、彼は筆頭で私は下の方だったけれども一緒にやっておりますし、お気持ちもわかっておりますから、ああいうふうにうまい答弁はできませんけれども、誠心誠意込めまして、私は覚書の趣旨をとにかく実行していくということで必ずやってまいりたいと思っておりますので、よろしく御指導をお願いしたいと思います。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
  195. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣の本当に素直な決意を承りまして、私も本当にうれしいのです。しかしながら、小学校の生徒に、世の中で一番悪いやつはだれじゃ、言ってみいと言うたら、政治家だ、こう言うのですね。いや大臣、本当にびっくりしましたよ。私はバッジを外しておったからよかったです、そのときは。上着を脱いで仲間に入っておったらそう言うのですよ。子供に至るまで政治家というのはろくなやつじゃない、こう思われておる。だが、今お話の出た方々、○○さん、某さん、某さんはこんなことはないと思います。大臣と同じように私もその覚書を守ってもらえるものと信じておりますが、三年間ちょっと金を貸してくださいといった健保初めのあの金ですね、あれもとうとう三年過ぎたですけれども、またずるずるっといきましたね。  ああいうふうに、そのときになったら舞台へ出てくる役者が変わっているわけですから、この前のあれはシナリオが違うんですと言われればそれまでかもわかりませんが、どうも政治家というのはえてしてそういうことをやりがちである。だから、先生のような素直な気持ちを持ったきれいな心の政治家、しかも大先輩で実力があるんですから、もしこの覚書と違うことをやったら、おのれ金丸って言ってグサッと刺し違えるほどのお気持ちを持っておいていただきたいと思います。その決意は伺えません、そんなことを聞いたら人格を軽視したことになりますから聞きませんが、そのつもりでやってくださいよ。金丸さんというのは義理と人情に非常に厚い人だそうですから、恐らく中曽根さんが何と言おうとその約束は守るであろう、私も信じたいと思います。  次に、問いの三番であります。  大臣は去る一月二十二日にいわゆる地方行革大綱を策定されました。地方団体における事務事業見直し組織、機構の簡素合理化給与及び定員管理適正化等行政改革を強力に指導していきたいとの所信を明らかにしていらっしゃいます。もとより我が民社党は行政改革の重要性をつとに強調をしてきたところでございまして、大臣の所信には賛意を表するものでありますが、問題は国の側において、ややもすると行革は済んだよ、国は行革が済んだから今度は地方だというような、そういう気持ちが先に立ってくると、これから先どうなるのかなという心配があるのであります。  そこで、地方の行革を真に実効あるものにするために、既に繰り返し指摘をされておるように国の機関委任事務、国の関与、必置規制、さらには国庫補助制度のあり方、許認可制度のあり方等に踏み込んだ国と地方の関係の幅広い見直しが必要だと私どもは考えておりますが、こうした問題についてどのように取り組んでいかれるおつもりか、またその実現の見通しは一体どうなんであるか、具体的に大臣の御所見を伺います。
  196. 古屋亨

    古屋国務大臣 地方行革の問題でございますが、私は地方行革は二つの方面から見ている。一つは地方団体がみずからの意思に基づきまして、みずから地方行政住民の立場に立って改革していくこと。もう一つは、地方がやろうと思っても、今言ったような先生のお話の国の必置規制とか国の関与とか、あるいは権限を移譲しないとか許認可を保留しておくというようなことで、地方が幾ら自分で行革をやろうと思ってもこれを妨げている要因、この二つが私はあると思うわけでございます。  前者の地方行革の問題は、自律的には今までも相当行われておりますが、先ほどから申し上げていますようにその基準をお示しして、ぜひその基準というものによって地方の特色を残しながらやっていただきたい。それから国の方は、国の関与と必置規制の方は、恐らく三月ごろ法案になって出てきて皆様に御審議をいただくことになると私は思っております。ただ、大きい権限移譲の方は、聞くところによりますと行革審で今審議中とのことであり、地方行政団体もいろいろの意見を申し出るチャンスを持っているようでございますが、恐らく六月ごろには私は出てくると思います。許認可の分も出てくると思いますし、そういうものを踏まえましてもう一段階そういうものを進めて、この両方、必置規制や関与の問題で今度法案が出るものと、その次に出る権限移譲とかそういうもの、時期的に数カ月ずれますが、私はこれをやらぬと地方の行革というものは本当の姿ではないと思っております。  だからその二つの点を中心にしまして私はこれからも行革をとにかく進めていきますが、ただ総花的にやるというのじゃなくて、いつまでにこういう審議会をつくりなさいとか機構をおつくりくださいということは、これは歩調をそろえる意味でお願いをしていることでございますから、内容につきましては、あくまでも示しておるのは基準でございまして、地方状況によりまして、定員の問題なり給与の問題なり民間委託の問題なり、あるいは議員の定数の問題なり、これはもう地方が自発的に住民の意向を十分考えてやってもらうことを期待しておりますし、またそうしなければならぬ。だから、本当言うと、私は国の必置規制とか関与とか権限移譲、こういうことを早くやってもらいたいのです。そういうように、権限移譲の問題が五、六月ごろになるという見通してございますから、法案になるのは恐らく夏ぐらいになると思いますが、私は、その両方が相まっていかぬと、本当に地方が自分でやろうと思っても、国の施策が邪魔になってできないのじゃないかということを心配しております。  いずれにしろ、そういう点も一生懸命頑張りまして、本当の地方行革が住民の気持ちに合うような、それぞれの地域の特性によってできますことを私どもは要望いたしますし、またそういうように期待しております。また、先生方にも差し支えない限り御協力、御指導賜りますようにお願いをしたいと思います。
  197. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 非常にはっきりした行革の進め方をお伺いしまして、ありがとうございました。  次に、四番目にお尋ねをしたいのは、地方行政効率化減量化を図るために、先ほど来からちょっと問題になっておりましたが、行政事務の民間委託など、行政の守備範囲の抜本的な見直しがこの際必要ではないかと私は考えておるのでありますが、行革大綱においても事務事業見直し、民間委託等について積極的に進めると述べてありますけれども、当面、民間委託を進めるべき事業というものはどういうものがありますか。民間委託を進める手段としてどのような方法を考えていらっしゃるか、一、二の例でも結構であります、大臣に具体的にお伺いしたいと思います。
  198. 古屋亨

    古屋国務大臣 何を民間委託にした方がいいだろうというような見地に立って考えますと、清掃の問題あるいはし尿処理というような問題、あるいは病院等の掃除だとか、あるいは先ほどちょっと話が出されましたが給食の問題、国民の健康ということを前提としての給食の問題、私はそういうようないろいろの調査を今やっておりますけれども、費用的にも、地方がそういうものを民間に委託しますと自治体の費用も少なくなります。ただ、費用だけ少なくなっても目的が達成されなければだめでございますから、そういう方はやはり地方自治団体が監督責任を持ってそういうものを実施していただけるように持っていきたい、大体そんな考えでございますが、とにかく効率的な、身軽い地方自治体にするということが一番の目標でございます。
  199. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間が迫りましたので、これを最後の質問にさせていただきます。  地方自治の着実な進展を図るためには、今後とも地方財源充実に努めることが必要でございますね。そこで、特に今後財政再建を図るために国、政府は大幅な増税を持ち出してくる可能性があります。いわゆる大型間接税、EC型の付加価値税というようなものを持ち出してくる可能性が濃厚でありますが、税制度の改正に当たりまして、国民の租税負担の公平ということを実現することが何よりも必要ではないかと私は思うのです。総理が口癖のように言う公正、公平、簡素、選択、こういう言葉だけじゃだめですよ。書いただけじゃだめ。やはり実行していただきたいのであります。  いずれにいたしましても、今後の地方税制を考える場合に、全体といたしまして地方財源確保するということが一番、そして住民の税負担の公平化を図るということが第二番、第三番目は地方団体間の財政の格差に配慮していただくということ、いわゆる弱い団体がつぶれてしまわないように、真っ青にならないように配慮していただくということが必要であるというふうに考えておるのでありますが、昭和六十年代の地方税制はどうあるべきか、今後税制改正がスケジュールに上ってきた場合、地方税制としてどのように対応するのか、大臣のお考えを承りまして質問を終わります。
  200. 古屋亨

    古屋国務大臣 地方財源確保ということは、申し上げるまでもなく一番大事なことでございます。この一つの方法は交付税の増強の問題でありまして、地域間のバランスというようなことはこれによって図っていかなければならぬと思っております。  税制改正の問題は、お話しのように公正であり、また適正なものでなければならないし、住民負担ということも考えて、そうしなければならぬと思っております。  今、予算委員会に先生御承知のように私も出ておりまして、大型間接税の問題で偉い方が随分議論をされております。私は、うんと議論してもらって、これを税制調査会やあるいは党の税調に反映さしていただきまして、適正な、また身軽い地方としての税がどうあるべきかということも私どもあわせて慎重に検討をいたしまして、国税と地方税との関連ということも考えながら、独立の地方財源確保ということは一生懸命で努力してまいりたいと思っております。
  201. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。質問はこれをもって終わらしていただきますが、特に一番最後の地方財源確保という問題について、私はことしが一番大事なときじゃないかと思っておるのであります。  首脳部の人に特に考えていただかなければならぬことは、もしあの大型間接税が、もしというよりは確実にやると思いますが、EC型の付加価値税にせよあるいは形を変えた変形型の付加価値税をつくるにいたしましても、いずれにしてもこれは国税でございますね。その国税を取るということは、大幅な何兆という台のものを取るのでありますから、その見返りとしては所得税の減税、法人税の減税、これはもうどうしてもやらざるを得ない。これは総理も大蔵大臣もそう言明をしております。小倉税調会長もそう言っております。ということになれば、国の財源は大型間接税でぐっと太りますけれども、所得税の減税、法人税の減税ということになってきますから、地方の方はがたんと落ち込んで、地方財源がひどく目減りをしてくるなという時代がことしの年末か来年の春にはやってきやせぬか、それが字の上ではっきりと出てきやせぬかという心配をしておりますので、何とぞひとつ地方自治を愛する大臣、それこそもう自分の命をなくするんだと思うくらいの気持ちで地方自治確立のために頑張っていただきますようお願いを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  202. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、経塚幸夫君。
  203. 経塚幸夫

    ○経塚委員 まず最初に、地方債の問題について、起債の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。  財政局長にお尋ねしますが、自治法の二百三十条の見解でありますが、御承知のように「予算の定めるところにより、地方債を起こすことができる。」これは法制定の経過からいいまして、起債については地方団体、原則これは自由だ、この条項についてはそう判断をしてよろしいか。
  204. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 そのとおりでございます。
  205. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それじゃ二百五十条の解釈についてお尋ねをいたしますが、「当分の間、」「許可を受けなければならない。」こうなっておりますが、これも法改正のときの政府側の答弁を読んでみますと、これは「地方財政の見地を主たる観点として行われる」、これが第一点ですね。それから二つ目には「起債が当該地方団体の財政状態からみて適当であるかどうかが主たる見地となって定まる」、こういうふうに答弁されているのですが、この点はどうですか。
  206. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 当時の答弁、そのとおりでございます。
  207. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これは自治大臣にお尋ねしたいところでありますが、局長でも結構です。同じく自治法の二百四十五条の解釈でございますが、これは国の方から指導助言ができる、こういうことでありますが、二十七年のこの条項制定に当たりまして、その二年前の昭和二十五年、行政調査委員会の勧告が基礎になった、こう言われております。この二十五年の勧告ではこういうふうに述べられておるわけですね。「地方公共団体事務とされたものであっても、なんらかの意味で国家的な影響をもち、又は国民的関心の対象となっているものが少なくないから、国が主として情報を公開し、援助若しくは助言又は勧告を与え、著しい不均衡を調整し、最低水準確保を図る等のことを必要とする場合も考えられる。但しこの機能は」、ここからが大事でありますが、国がいわゆる指導する場合に、「あくまで好意ある援助であり、サービスであって、権力的な監督であってはならない」、こういう二十五年の勧告がその前提になっておる、こういうふうに述べられているのですが、この条項の解釈はこれでよろしいわけですか。
  208. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 その勧告自体はよく存じませんけれども、精神はそういうことでございます。
  209. 経塚幸夫

    ○経塚委員 次にちょっと大臣にお尋ねをしたいわけですが、自治六法などを開きますと、いわゆる地方自治の本旨とは何かということにつきまして最高裁の判例を引用して述べておられますから大臣もよく御承知だろうと思いますが、昭和三十八年三月二十七日、最高裁の判例といたしましてこういう判例があるのですね。地方自治の本旨について、「現実の行政の上においても、相当程度の自主立法権、自主行政権、自主財政権等地方自治基本的機能を附与された地域団体であることを必要とするものというべきである。そして、」ここからでありますが、「かかる実体を備えた団体である以上、その実体を無視して、憲法で保障した地方自治の機能を法律を以て奪うことは、許されないものと解するを相当とする。」こういう判例が出ております。「自主立法権、自主行政権、自主財政権等」こういう「基本的機能を附与された地域団体であることを必要とする」、この機能につきましては「憲法で保障した地方自治の機能を法律を以て奪うことは、許されないものと解する」、この解釈についてはいかがですか。
  210. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 地方自治の本旨につきましては、憲法の規定に従いまして法律で定めるということになっておるわけでございます。
  211. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私がお尋ねしたのは、今の最高裁の判例についてどうお考えですか。そのとおりとお考えですか、あるいは別の見解をお持ちですか。
  212. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 どういう内容でその判例が出ておるのか、どういう事案で出ておるのかつまびらかにわかりませんけれども、憲法に基づきます規定は、現在の地方自治の本旨に基づいて、地方財政あるいは行政運営についてその基本法律で定めるというふうになっておると思います。
  213. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それは局長、ちょっと答弁が私のお尋ねしておることと外れておりはしませんか。それで私はわざわざ重要なところを二回読み上げたわけですよ。  その憲法で定める地方自治の本旨とは何かということについて最高裁が判例を例示しておるのですよ。それが何の事件での判例があったのかは別問題として、地方自治の本旨とはかくかぐしかじかなんだ、こういう判例なんですよ。だから、この自治六法の地方自治の本旨とはどういうことかという説明の中にわざわざこの判例が引用されておるのです。私もそれを見て、ははあなるほど、最高裁でこういう判例が出ておったのかということを気づいたので、お尋ねしておりまんのや。それですから、憲法で定められた地方自治の本旨なるものの中身は、いわゆる最高裁の判例としてこう言っておるのですからそのとおりなのか、いや、また別な見解がありまんのや、こういうことなのか。その辺はどないですか。
  214. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 地方自治の本旨というのは、先生御承知のように、住民自治、団体自治というものがあるわけでございまして、その中で基本をなしますものは財政自主権というものもございます。しかし、そういう基本につきましては法律で定めるということになっておりまして、財政の基本につきましては地方財政法によって定められておると思っております。
  215. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それはまた後でお尋ねをしていくといたしまして、そこで、ちょっと具体的な数字をお尋ねいたします。  起債の留保、これは団体数はどれぐらいになっておるのですか。それから、留保された総額は幾らぐらいですか。
  216. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 現時点におきまして、高給与団体あるいは五十八年度において国を上回る給与改定を行った団体に対します起債を留保しておる団体は、数において約八十、額において約六百億円でございます。
  217. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、あくまでも留保している理由といいますのは、今高給与あるいは国を上回るということでラスパイレスを基準にされておるわけですね。指数としては幾らを基準にして留保されておるわけですか。
  218. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 今自治省において高給与団体としてその是正の指導をいたしておる団体、その中で起債の申請のあったものでございますが、そういった個別指導団体でありながら十分な是正の努力をしていない団体ということでございます。
  219. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、いわゆるラスパイレス一一五とか一二〇とか、そういう指数じゃない、努力をしていないということの判断でこれは留保しておるのですか。
  220. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 個別指導団体の中で、そのような団体について留保しておるわけでございます。
  221. 経塚幸夫

    ○経塚委員 いやいや、私がお尋ねしておりますのは、一一五以上とかあるいは一二〇以上とか、そういう指数を根拠にしておるのじゃない、是正をしておらないということを根拠にしておるのか、こう聞いておるのですよ。これはどないですか。
  222. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 個別指導団体はそれぞれ是正計画を出しております。その是正計画を十分に実施しているかしてないかということでございます。
  223. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、その個別団体に是正計画を出させるそもそもの出発は、ラスパイの指数に置いているんじゃなかったのですか。違うのですか。
  224. 中島忠能

    ○中島(忠)政府委員 お答え申し上げます。  たびたび国会でも議論されましたけれども、ラスパイレス指数を基準にしてというよりも、むしろ私たちの方で非常に給与の高い団体を個別指導しようじゃないか、私たちの方の事務能力を考えますと、まあ百五十団体ぐらいだろうということで上から百五十団体を選んだ、そうするとラスパイレース指数が二五・三になった、そういうことでございます。  なお、その一一五・三以上の団体につきましては五十七年度からの是正計画というのを出していただきまして、その是正計画に従って是正をしていただくというふうに私たちは期待をしておるわけでございますが、その是正がはかばかしく進んでない団体が相当ございます。
  225. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私は起債のことについてお尋ねしているのに公務員部長がひょこひょこ出てきて、いつの間に自治省の中の事務分掌が変わったのですか刀公務員部が起債のことについてこれからいいとか悪いとかお決めになるのですか。では財政局鼻ぺしゃじゃないですか。これは財政局の権限じゃないですか。どうも起債の問題の話になりますと公務員部長がひょこひょこ出てきて、これは自治省の事務分掌上の問題からいったって問題がありますよ。これは財政局長の所管なんでしょう。
  226. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 自治省は、常に省内の各局連絡を密にして行政を行っているところでございます。
  227. 経塚幸夫

    ○経塚委員 密にしているということと、それぞれの局なり部の所管事務とは、あなた、おのずから連携は連携、分離は分離ですよ。だからこそ事務分掌をつくられておるのと違いますか。今さらそんなことを、小学生に言うようなことを言う必要はないと私は思いますけれども、そこはきっちりしておいてくださいよ。  そこで、公務員部長の御答弁でもなおわからないわけですが、一一五とか一二〇とか、一定の基準を設けて、それでその団体については是正計画を出しなさい、それでその出てきた是正計画に基づいてどうなのか、こういうことを起債の許可に当たって財政の方はやっているんじゃないですか。違うのですか。
  228. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 その是正計画についての進みぐあいというものを、公務員部等からの連絡を受けて起債の許可をしておるわけでございます。
  229. 経塚幸夫

    ○経塚委員 何にしましても、起債を許可するか留保するかというのはいわゆる給与、ラスパイを基準にしてお決めになっておる、これはわかりました。  そこでお尋ねしますけれども、私はこれは問題だと思うのですよ。最初にわざわざ原理原則についてお尋ねをいたしましたのは、起債は二百三十条によって、原則としては地方団体の自由なんだ、これはあくまでも原則なんだ。ただし、二百五十条によって当分の間は許可制にした。その法律改正するに当たって私が読み上げました政府側の答弁の趣旨は、そのとおりでありますとあなたは答えましたね。そのとおりでありますという中身が、言いましたように一つは地方財政の見地を主たる観点とする、それからもう一つは、当該地方団体の財政状態から見て適当であるかどうかが主たる見地。これは言ってみますと、もう何回も論議されていることなんですが、起債を認めるか認めぬかは、一つはそれが適債事業であるかどうか、これでしょう。もう一つは、起債を許可するに当たって償還能力がないのか、あるいはあるのか、これでしょう。それ以外の基準を持ってきて許可する、許可しないというようなこと自体が変則じゃないですか。それはどうですか。
  230. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 御承知のように地方債は借金でございますから、これの返済ということはもちろん十分に考えていかなければなりません。給与というものも義務的経費でございまして、これが非常に高くなってまいりますと、義務的に積み上がって返済能力というふうな問題にも響いてくるわけでございます。財政の健全性を確保するという意味におきましては、非常に大きなウエートを占めておる給与問題でございまして、この辺は起債の許可権の範囲内に入っておるというふうに考えております。
  231. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私は、給与の問題と償還能力の問題と全く関係ないとは言っておりません。それは関係あるでしょう。しかし、ラスパイが高いところが必ずしもその地方の財政状況が豊かであるかというとそうでもない。それじゃ逆に、ラスパイがうんと低いところは財政状態が貧しい市町村だと断定できるかというと、そうじゃありません。財政が豊かであるかないかというのは、給与の問題だけで決まるのと違うでしょう。自治省はそんな判断はしておりませんでしょう。いろいろな指数を出すのでしょう。経常収支比率も出せば、財政力指数も出しますし公債費比率も出しますし、いろいろなことを総合判断してお決めになるのでしょう。これが立法のときの精神じゃないのですか。いわゆる財政力の見地、地方財政の見地というのはここなんでしょう。それがいつの間にか給与だけがひとり歩きして、給与だけが起債の許可の最大の基準、もう今日では唯一の基準になってきておるのと違いますか。  そうしますと、局長、こんな結論が出てきますよ。結局何のことはない、財政力がどんなにあろうともラスパイレス指数が高ければ起債は認めませんよといって、給与を抑えるための唯一の手段として起債の許可権が使われておる。二百五十条の許可権が制定をされました趣旨とは全く外れてきておる。給与を抑えることだけが目的であって、起債の許可権はその手段、地方財政の見地も許可に当たっての財政力の見地も、どこか横へ寄ってしまっておるじゃありませんか。立法の趣旨と反しておりはしませんか。どうなんです、それは。
  232. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 地方債の許可ということは、もとより地方財政運営確保するということでございまして、適債事業についてこれを認めていく。これに関する制限は、先生御承知のように公債費比率の問題とか地方税率の問題とかいろいろございますが、特に最近におきまして国民的関心の非常に高い給与問題が出てまいったわけでございます。もちろん給与というものは義務的経費の最たるものでございまして、できるだけ義務的経費の比率を抑制していくということで財政の健全化を図っていく、また、起債の償還といいますか、後年度の住民負担の増高を避けていくということも必要であろうということで、これを一つ取り入れておるわけでございます。
  233. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それは通りません、そんな理由は。国民的な批判が高い、あるいは後年度の財政負担の問題を考えれば、給与の高いところについて起債を許可することがいいのか悪いのか、こんなことは私が今さらここまで言う必要はないとは思いますけれども、そのために地方の議会があるのと違いますか。その地域住民に対して面接権限を負うべきものは、直接選挙で選ばれた長でしょう。その長が議会に提案をして、長が出してきたものがいいか悪いか、これを審議して決めるのは、これまた住民から直接選ばれた地方議会でしょう。それを国民の批判があるから、そして後年度負担の問題を考えると、これは原則自由とされておるものについても認めないということは、言うたら、お前のところは長が提案して地方議会で決めてきたけれども、そんなものは自治省は認められぬ。議会の決定をノーと言うことになりますよ。  そこで私が最初にお尋ねしたのは、ここの問題なのです。最高裁の判例では、地方の自主財政権、自主行政権、自主立法権、これは法律改正によって侵してはならない、はっきり言っております。今の地方議会は信用ならぬとおっしゃるのですか。選挙で選ばれた長の提案は信用ならぬとおっしゃるのですか。その点はどうですか。
  234. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 地方議会の問題と若干話が違うのじゃないかと私は考えるわけでございますけれども、自治省といたしましては、地方財政運営の健全性を図る見地から、起債を許可するに当たっていろいろな判断をしておるわけでございまして、そういった機能の一つとしてやっておるわけでございます。  もとより自治省としてこういったことをやりたくてやっておるわけではございません。とにかく現在のような地方財政が非常に窮迫している中で財源対策をやっていかなければならぬ、こういうときに、一部の地方団体ではありますけれども、非常に問題のある運営をされているところがある。これでは他の団体が非常に迷惑するということもございます。そういった意味合いもございまして、私どもとしましては、地方団体の財政運営健全化という見地からこれを見ておるわけでございます。
  235. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これは一つ例を挙げておきましょう。鎌倉市大船西地区行政センター、それから鎌倉文学館、これは一億四千万の起債を自治省の方で留保しておりますね。二百五十条の許可権の問題が制定された見地がちこれを見てみましょう。財政力指数は全国第六位、県下第一位ですね。五十七年一・三五五、五十八年一・四〇二、五十六、五十七、五十八は平均しまして一・四四八、公債費比率は、五十七年金国一二・六%、鎌倉市は九・八でしょう。市民税の収入にいたしましても県下で一、二ということですね。これは財政的に非常に力があるところですよ。こんなところまで留保しているのでしょう。  そうすると、考えられることはラスしかないわけですよ。ラスだって、努力しているから認めてやりなさいというようなことは私は言いません、介入、干渉自体けしからぬと思っておりますから。しかし例を挙げて言えば、昭和五十年一二五であったのが五十八年は一一九、随分頑張っておりますわ。ここの給与が非常に高いということについて、物価の資料もいろいろ持ってきておりますよ。それは先ほど公務員部長は質問に対しまして、低いところは民間の給与あるいはその団体の大小というものが影響しておるから、全国的に見て、地方地方によって給与に格差があるのは国民が納得するところであります、こうおっしゃった。逆のところを言えば、高いところは高いところなりの過去の経緯、状況があってそうなっておるのであって、低いところだけ正当化して、高いところについては論は別だということにはなりません。しかしこの論議はきょうはするつもりはありません。  財政力の観点から見ても、何で鎌倉のようなところを起債を留保しなければならぬのですか。先ほど局長は地方議会の問題とは関連ないとおっしゃいましたけれども、鎌倉から自治省へ陳情に来られた。そのとき市民がこうおっしゃった。私は印象に残っております。鎌倉の有権者というのはうるさいところです、あいまいなことは見過ごしゃしません、長や議会が市民のためにならぬようなことをやっておるんだったら我々の手でかえますよ、こう言っておりましたね。全くそのとおりですよ。  償還能力があるのかないのか、その事業が必要であるのかないのか、必要ならば一般会計で賄うのかあるいは起債を仰ぐのか、起債を仰ぐ以上は、その償還能力が将来にわたってあるのかないのか、これを論議するために議会があるのでしょう。それで議会でいろいろ論議して、ああ結構だ、長の提案どおり認めましょう。議会を通ったものだから、事業に着手しよう、こうすると、自治省で、おい、ちょっと待った。何で待たないかんねん。ラスパイが高いじゃないか。ラスパイが高い言うたかて、ちゃんと長が提案して議会で認めておるやおまへんか。市民が騒いでおりますか。市民は、むしろ早くこの事業が完成することを待ち望んでいる。これを自治省がとめておりまんねん。予算は通っておりまんねん、議会を。これを介入でない、干渉でない、いや議会とは関係おまへんと言えますか。これは明らかに介入でしょう。明らかに干渉でしょう。  大臣どうですか。干渉でない、介入でないと言えるのですか。そこで私がわざわざ言いましたように、いわゆる指導助言というのは権力的であってはならない。調査会の勧告に基づいて二十七年にわざわざ二百四十五条が設けられたのでしょう。だから、議会で決定したものまで自治省が留保する、あるいは場合によっては認めないというようなことになってきますと、明らかにこれは権力的介入でしょう。私は、給与が高ければ高いで幾らでも指導したらよろしい、助言したらよろしいと言うのですよ。前国会で直言いましたよ。やるななんて言ってません。しかし、原則自由だという起債の、しかも許可権を与えても当分の間と定めたようなものを振りかざして、言うこと聞くのか聞かぬのか、こう言って、議会の決定したことにまでくちばしを入れるというのはどういうことなんですかと、これを聞いております。これは大臣どうですか。
  236. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 現在、行政改革を進めていくということは国、地方を通じて最大の課題でございます。こういう中にあって各地方団体の健全性を図っていく、またいわゆる資金の効率的な運用を図っていく、こういったことは、特に地方団体の現在置かれている状況からは、先ほど申しましたところから非常に重要な問題でございます。こういったことにつきまして私どもも、先ほどから申し上げておりますように、特に権力的に介入したいとかやらなければならぬとか、そういったことを考えておるわけではありませんけれども、これが余りに目立つわけでございまして、そのために他の地方団体に迷惑がかかる、他の通常の運営をやっている団体におきましても、この地方財源対策をきちんとやっていかなければ成り立っていかないわけでございます。そういったことについて非常に支障になる問題でもございます。  また、個々の団体、現在では先ほど申されました鎌倉などは財政力があるかもしれませんが、しかしこういったふうなことが積み重なってまいりますと、その団体の今後の運営ということ、将来のことを考えていきますとやはり問題があるのじゃないか。私どもは、そういった財政運営の健全性の見地からやむを得ずこういった措置をとっておるわけでございます。
  237. 古屋亨

    古屋国務大臣 権力的介入、私はそういう気持ちは全然ありません。大体指導的な、全国的立場に立っての関与といいますか指導でございまして、権力的介入をするという意思は一つもございません。
  238. 経塚幸夫

    ○経塚委員 意思がなくてもやっていることが権力的な介入になっておるじゃおまへんか。この許可権を使っているんでしょう。それで認めるか認めぬかはおれの胸三寸だ、文句あったらラスパイ下げてこいと。  鎌倉の例を挙げましょうか、自治省が何回どんな指導をしているか。財政力が豊かなのかそうでないのかというような調査は一つもやっておりはしまへん。ラスパイ下げい、下げい、まだ下げぬのか、何をもたもたしているか、そんなことばかりです。だから起債の質問したら公務員部長が出てくるのですよ。これ自体が筋道曲がっとりますがな。本当に大臣、地方財政の見地から考えるのだったら、起債を許可して償還能力があるのかないのか、償還能力がないのに許可したら、それこそ自治省の親心がありがたいものになってくるのですよ。償還能力があると議会も認め、市民も事業の着手を待っておる。それで市民が署名を持ってわざわざ自治省にたくさん来られて、何でこんなことが許可されぬのですか、市が妙なことをやっていたら私らの手で直しますと、こう言っております。要らぬところに口出さぬでよろしいがな。それで他の自治体との関係上とか、あるいは国民の世論とかどうとを言いますけれども、そんなこと言うのだったら私ども言いたいこと何ぼでもあります。  いわゆる国庫負担金、補助金のカットの問題について全国の都道府県全部反対の決議したのでしょう。市町村の八割が反対の決議したのでしょう。これこそ天の声、国民の世論です。それに対してはこの委員会で、十一月のときには大臣も絶対頑張ってまいりますと歓呼の声に送られてじゃないですけれども、そうやるものだから、まあそれは一回は信用してみようなかなか大臣も気骨のあるところあるぜと言っていたら、何のことはない、大みそかを前にころっとひっくり返ってしまって、それで大臣も答弁されたように、これは国と地方信頼関係にえらいひびが入った、これからこの回復に努めるとおっしゃったばかりです。  国民の世論だ、地方の声だといって、本当にそれで地方の財政が大事だというのだったら、言うべきところへ、対決すべきところへもっとはっきりした姿勢をとって初めて、いや、自治省もよくやっている、我々もひとつ協力しましょうということになるのですけれども、譲ってはならないところで譲っている、言ってはならぬところへやかましく口出しをする、しかも権力的に。これで信頼関係の回復に道が開けますか。ますます不信感が出るばかりですよ。これも全国の都道府県議会が全部決議をしておる、全国市町村の八割を超える自治体が決議をしている。そうしてラスパイ一〇〇以上のところはもう起債はみんな切ってしまえ、特交も認めてはならぬ。あらしのごとき、怒濤のごとき世論が沸き立っているのならいざ知らず、これはどこが決議を持ってきてますか。力入れるところと入れてならぬところと混同していやしませんか。どうです、大臣、その点は。
  239. 古屋亨

    古屋国務大臣 自治省としては法律中心にやっておりますが、先生もいろいろの例を言っておられますけれども、私もまたその反対の例をよく知っております。おりますけれども、やはり法律を動かすのは人間でございます。先生から見ますと権力的介入、こう言われるかもしれませんが、私どもは指導的な関与、こう言っております。具体的問題につきましては、私も心と心で、会えば通ずるというような気持ちでひとつ対処していきたいと思っております。
  240. 経塚幸夫

    ○経塚委員 大臣、何回もお言葉返すようですが、これはやはり権力的介入になるのですよ。だからこの二百五十条、それから二百四十五条はやはりよく勉強していただいて、そして何をやるについても自治体と納得ずくの上でやらないとあきまへん。そうじゃないと、信頼関係というものは確立てきやしません。総合的に判断すること、そして経緯もよく総合的に見ること。その上に立ってやらないと、国民的世論だとかなんとか言うけれども、考えようによっては、自治省のどこからラッパを吹いたのか知りませんけれども、今度は給与だ、ラスパイだといって意識的にやっておるととれる節もありますよ、実際は。世論をあおっていろいろ書き立てさせておいてここヘメスを入れる、これは明らかに権力的関与ですから、ここで口を開けば後はいろいろなことについても口出しができる、私はひねくれているからそんなことを言うのじゃありませんけれども、そう受け取られてもしようがありません。  地方行革大綱の問題についてはまだ次の機会に改めて申し上げますけれども、あれだって大臣が先ほど答弁されたとおり、地方が自律的に、自発的にやることなんですよ。その方がよほど効果があるのです。花岡さんは大阪におられた。私はかつて黒田さんが知事のときに与党の幹事長をやっておりましたが、あのときは五十年のオイルショック、大変だった。小谷先生もいらっしゃいますけれども、本当に三つの蛍光灯を一つに減らそう、二つに減らそう、便所の水も三分の一に減らそうとかいって、血の出るような努力をみんな自発的にやったんですよ、職員組合も協力して。本当の地方の行革というのはこうしたみずからの自覚的な発想に基づいて、長も議会も職員も一体になって、どうすれば効率的に住民に行き届いたサービスを保障しながら進められるかという観点に立って初めて実効が上がるのですよ。一々あれもやりなさい、これもやりなさいというような事細かな指図、口出しをやって進むようなものじゃないのですよ。  ですから、この許可権の問題につきましては原則自由、そして許可条項につきましては法制定の経緯から見まして、先ほど言ったような経過もあるわけですから、乱用するようなことは厳に戒めて、十分自治体と納得ずくの上でやってもらいたい、このことを申し上げておきます。  次の問題に入りますけれども、けさほど来から国庫負担金、補助金のカット問題について各党が御質問された、大臣も決意のほどを披瀝されました。くどいようですがちょっと触れておきたいと思うのです。  大臣、六十一年度以降は絶対にこういうことを恒久化させないように重大な決意で臨みますとおっしゃいますが、それなら何でこんな覚書を認めたのか、私は改めて問いたいのです。これは局長も御答弁になりましたけれども、いわゆる覚書が二つあって、二つ目の自治、大蔵両大臣の覚書、一千億は交付税特例加算をする、そして一千億は六十六年度以降に加算をする、それでこれは動く可能性がある。「暫定的に、昭和六十六年度以降に精算すべき地方交付税交付金の額に加算されるものとし、検討の結果を踏まえ、その取扱いについて両省間で調整する」、何でこんなものに調印したのですか。加算は暫定的だ、検討の結果これはチャラにする、パァにする、こういうことを認めるような覚書に判をついておいて、六十一年度以降は恒久化させません、継続はさせません、六十年度ぼっきりでもとへ戻しますと言ったところで、言ってる口の下から恒久化もあり得るという覚書にサインしているのでしょう。  一年かかって検討の結果、六十年度と同じように十分の八が十分の七になる、こういうふうになりますと一千億の特例加算はありません、それから六十六年度以降の一千億の加算もなかったことにする、そして削減額二千六百億、六百億は不交付団体分、二千億はこういう処理をするということに暗黙のうちに道を開いたことになります。何でこんなものに判をついたのですか。もう一つの覚書どおり六十年度限りとする、あとは一年かけて論議をするということだけだったら、今までの大臣の答弁は丸々そのとおり信用できなくても、あそこまで言っているのだからと、こうなりますけれども、この覚書に判をついておるということは、口でどうおっしゃろうと片一方で道を開いていることになりはしませんか、どうですか。
  241. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 補助率カットのいきさつにつきましては、御承知のように自治省の方、いわゆる地方団体側としての意見は、補助金、補助率を見直すということについては、その前に国と地方との機能分担役割分担見直しをすべきであるという主張であったわけでございます。自治省としましても、そういった見直しがあって、そして率が変えられるならばそれはとやかく言うこともないわけでございますけれども、どうもそういった見直しかないというのは負担の転嫁にすぎないではないかという考え方を申しておったわけでございます。  一方、国の方の主張というのは、高率の補助というのはむしろ自主性を損なっておるからこれを引き下げるべきだ、むしろ引き下げを行う暫定期間中においてそういった国と地方との役割分担見直しを行うのが有効である、こういうふうな考え方であったわけでございまして、したがって最後のところまで平行線でたどっていった。この決着がつくに当たりまして、先ほどの御指摘の覚書の締結があったわけでございますが、そういったことから私どもといたしましては、この事務事業見直し、いわゆる国と地方との機能分担見直しというのが後先になってどうもおかしいわけではございますが、ともかくそれを議論しようという形になった。これを一年間をかけて、一年以内に結論を出すということになっておるわけでございますので、いわゆる今後三省間でどのような検討会を設けるか現在議論しておりますけれども、そういった見直しをする中でどういう議論を行うのか、もちろん自治省といたしましては、地方財政健全化地方団体の自主性尊重の見地から物を申すことは明らかでございますけれども、これは今後検討するということになっておるわけでございます。  したがいまして、先ほど御質問の六十六年度以降に加算するという問題につきましても、一応現在の段階では国が持つと約束しておりますが、一応この一年たった結果、その議論の結果を見た上でもう一度話し合いをしようという形になっておるわけでございます。
  242. 経塚幸夫

    ○経塚委員 ははあ、花岡さん、これはちょっとわかってきたわ。ようわかってきた、あなた方の考え方。これはやはりそこに問題があったのだな。今の答弁の中で二つ問題がある。  一つは、これはやはり一年かけて論議をしましょう。それで、その結果でいろいろ考えましょうというのならこんなものは入れる必要はなかったのですよ。一年かけて論議するというもう一つの覚書だけで事は済みます。だけれども、わざわざ論議をしなければわからないことについてまで、検討の結果これが動くこともあり得るとあなた答弁されましたように、六十六年度以降の一千億の加算も、これは固定したものじゃございませんという道を開いたところにこれは一つ問題がある。  それからもう一つ、私がわかりましたと言ったのは、国と地方機能分担、これを先に決めていけば十分の八が十分の七になってもええ、あるいはそういうこともあり得るし、それもやむを得ない、こういうふうにお考えなんでしょう。その点はどうなんですか。
  243. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 先ほどの一千億円の問題につきまして、ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんですけれども、要するに議論が平行線のままで終わったわけでございますので、これを一年間の暫定措置としてこの間に議論をしようということでございます。  私どもとしましては、地方財政対策を講ずるについて、とにかく交付団体分の残りの一千億についても何とかしろ、金がないと言うだけでは済まぬということで、とにかく後年度でもいいから持てという約束をさせたわけでございます。  国の方としましては、とにかく先のことは勘弁してくれということでございましたけれども、しかし、ここまで地方団体もいろいろ問題視して大きな論争点のあった問題でございますから、地方財政対策を行うに当たりましては、やはり将来であってもこれは国が持つという約束をしていただきたいということで、結論としてはそうなったわけでございます。ただ、一年間検討するということになったものですから、その検討の結果はそれはわからぬじゃないかというのも理解できないわけでもございません。したがって、そう言うならば一年先、じゃ話し合いを拒むこともなかろうということでその覚書ができたわけでございます。  それからもう一点でございますが、機能分担見直しをすれば変えてもいいのじゃないか、これはやはり国と地方との問題という観点から見ましたときに、私どもの主張というものは先生も申し上げなくてもわかっておると思いますが、やはり見直しをするということは、それは経済情勢あるいは社会情勢変化によって見直しをしていくことについて私どももやぶさかではございません。この二十一年にこういった負担制度が決まったわけでございまして、私どもはその経緯を踏まえて十分の八だといって頑張っておったわけでございます。  しかし、これをどういうふうに考えていくのか。その率についての考え方も別の考え方をなされる方もおるわけでございます。そういったことについて検討をしようというわけでございますから、私どももフランクに考えますれば、その検討の結果が本当に正しい、みんなが納得できるというものであるならばこれを拒むものではございませんが、私どもの立場というものはもうあえて申し上げるわけもないと思いますので、この辺で御了解をいただきたいと思います。
  244. 経塚幸夫

    ○経塚委員 もう一回ちょっと尋ねますけれども、それでは検討の結果十分の八が十分の七になってもいいと受け取れる発言なんですが、検討の結果仮にそうなってもやむを得ないという考えを持っているのですな。
  245. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 検討と申しますのは、結局意見が合わないから両方でそういうふうな検討をしようということになったわけでございますから、それはお互いの主張があるわけでございまして、どうなっていいとかいうふうな、今からそういうことを申し上げるわけではございませんで、とにかく我々の立場は御承知のとおりでございまして、今さらるる申し上げるまでもないわけでございます。ただ、それがどういうふうな結論になりますやら、これはいろいろな議論が、そこで学識経験者等も交えて行われる問題になるわけでございます。したがいまして、そういったいろいろな御意見を承りながらこういった問題というものを議論するということになったわけでございますので、これを初めから否定してしまう、結論がいかになってもそれは否定だというわけにはやはりまいらないのではないかと私は考えます。
  246. 経塚幸夫

    ○経塚委員 はっきりしないですね、大臣、ここが大事なところだと思うのですよ。公明党さんの方の質問もありましたけれども、自治省としてはっきり理論づけという質問がございました。いわゆる社会保障制度の国と地方負担割合の問題について自治省はどういう見解を持って臨むのか、私は焦点はここだと思うのですよ。ここをあいまいな考え方を持っておると、これは何ぼ重大な決意で臨んだところで金の話として押しまくられてしまう。金の話で押しまくられたら、これは局長の今の姿勢、答弁からもうかがえますけれども、押し切られますよ。中期試算、六十年度の枠組みで六十一年度予算を組むとすれば三兆七千億円調整財源が必要だ、こうなってくるのでしょう。これはまた出てきますよ。大型間接税、間接税と言っておりますけれども、こんなものそんな簡単にいきますかいな。そうすると、これは六十一年度引き続きカットですよ。  私は大臣の答弁を聞いて、ははあ、これはちょっと困ったなと思ったのは、大臣は一生懸命頑張ったけれども、最終段階で国の財政事情でもうやむを得ずこれは認めざるを得なかった、これが認めた理由ですね。そして今度認めてきたら、皆さんに納得してほしいという理由としては、財政上諸般の措置が講じられて支障のないように手当てをしてもらったから、これはやむを得ずのんだけれども、のんだ理由はこういうことだから納得してくれという理由です。だから、入り口も財政問題、出口も財政問題、全部財政が理由でのんだけれども、財政が理由で手当てをしてもらったからもう納得をしてくれ、こういうことです。これはあきません、こんな論でいっておったら。絶対あきません。何であかんのか。金の話になったら大蔵の方が強うおまんがな。今から一年かかって一生懸命勉強したかて太刀打ちできやしませんがな。向こうはどんどん数字出してきよるわけです。  そうすると、何が問題かと言えば、こういう社会保障制度、公的扶助について一体国がどんな責任を負わされておるのか、その中での地方役割分担はどういうことなのか、ここを理論的にはっきりさせることやおまへんか。生活保護法第一条には、憲法二十五条の理念に基づき、国が生活困窮者に必要な保護を行い、ちゃんとこうなっているのです。これがあとの児童保護、身体障害者保護、婦人保護、老人保護、地方財政法十条で定める国庫負担金の根幹になっておるわけでしょう。そして憲法二十五条は、社会福祉社会保障について国がその向上に努めなければならない、こうなっているのでしょう。これは、戦後憲法が制定されたときの経緯がそうだったのですね。  これは、もうずっと戦前から、内務省時代からこられております大臣は、私よりもはるかにこの間のいきさつについては、もう百も御承知だと思うのです。国会に出されました憲法のこのくだりの案はどうだったのですか。健康で文化的な生活向上に努めなければならないということだけだったのですよ。これが国民の権利だという条項もなかったのです。そして「国は、」という、国の義務もなかったのです。これが国会で論議されました結果、単に向上に努めなければならないというだけでは、だれが責任を負うのか、向上に努めることを求める権利はだれにあるのかはっきりせぬじゃないか、こういうことになりまして国民の権利として文化的な生活の保障が明文化され、一方国の義務として「国は、」という言葉が入ったのでしょう。これに基づいて生活保護法第一条が生まれ、先ほど言いましたようにこれに基づいて各種の立法での負担割合が高率補助――私は高率だとは思っておりやしません。何でかといいますと、御承知のとおり生活保護も戦後一時期は国が十割給付だったのですよ。そして国が八割、地方が二割となりましたときに、社会保障制度審議会から、地方が二割では重過ぎる、もっと国の負担割合を高めなさいという答申が出たのでしょう。これもいろいろ論議になったのでしょう。だから本来からいえば、憲法第二十五条、生活保護法第一条からいえば、十割負担が建前なんですよ。  これは大臣、地方制度の方から見て、全額いわゆる一般財源化して、そして事務も権限も完全に地方に移譲させなさいといったときに、厚生省が大反論やったのですね。そのときの理由がこういうことでしょう。地方には任せられぬ、何でかといえぱ、地方の財政というものはときの景気不景気によって財源が左右される、公的扶助というものは景気不景気、財政によって左右されてはならないものなんだ、たかる憲法で明記され、生活保護法第一条で国の責任、義務が明確化されておるんだ、どんなことがあっても地方に渡すわけにはいかぬ、また機関委任事務にも問題があるといって、英国の例を挙げたのです。英国は国直轄でやっておるのでしょう、予算も事務も。この例を挙げて厚生省は反論をしてきたのです。そういう経過があるのですよ。  だから、どんな経過があろうとも、財政を理由にして公的扶助に対する国の責任を放棄してはならない。建前は十割給付でも当然なんだ。もしこの国の責任があいまいにされるということになりますと、そして金の都合で十分の八を十分の七に引き下げてもええということになりますと、財政は当分好転をする展望が開かれませんから、後退に歯どめがかけられなくなるのですよ。十分の八が十分の七になり、十分の七が十分の六になり、こういうことになりかねぬわけですね。だから、これは最低限度の生活を保障するためにとられた公的扶助に対する国の責任問題でありますから、金の都合によって左右されてはならないという確固とした不動の見解を自治省が持つかどうかです。私はここがかなめだと思うのですよ。どうなんでしょう。
  247. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 社会保障に関する経緯は先生御指摘のとおりでございます。生活保護法の一条を見ましても、憲法の精神からきたものであるということは御承知のとおりでございます。私どもも、生活保護につきましては、これは社会保障の根幹をなすものであって、二十一年以来この十分の八の負担をしておるということは十分踏まえて議論をしてきたわけでございますし、また検討するに当たりましても、イギリスのようないわゆる一〇〇%国が持っておるという事例等もあるわけでございます。こういったことで本来一〇〇%持つべきではないかという議論も行われるものだろうと思いますけれども、この辺につきましては、今後設けます検討会におきまして、地方団体の代表の方々も入っていただきまして十分な議論をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  248. 古屋亨

    古屋国務大臣 今の社会保障関係の分野につきましては、国の基本的な責務が貫徹されることを基本として検討が行わるべきものであると考え、そういう意味で、これからの検討にそういう見地をもちまして進んでまいりたいと思います。
  249. 経塚幸夫

    ○経塚委員 最後にもう一点ちょっとお尋ねしておきます。  時間がございませんので簡単にお答えをいただきたいと思うのですが、今回四百二十八億円一般財源化されるということでありますが、この一般財源化につきまして、これは十月三十日の新聞の記事を見ますと、自治省の方では大蔵に対して案を出された、補助金カットの対案として。そしてこうすれば二千億節減ができるじゃないかとこの中で幾つか挙げておるわけであります。花岡さん、あなたの書かれました論文もちょっと見ましたらこれに近いようなことが触れられておりますが、これは一般財源化等を含めまして、そして二千億というのは、新聞に報道されたのは事実ですか。
  250. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 これは私も国会でも答弁いたしておりますが、この資料につきましては国会にお配りをしたはずでございます。どのぐらいになるのかということでございましたので、たしか人件費補助だけをとりましても一千億は超えるので、恐らく二千億円程度に上るのではないかという推測は申し上げたことがございます。
  251. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、この地方六団体の案として出ておる一般財源化、これとはまた別個なんですね。
  252. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 異なるようでございます。
  253. 経塚幸夫

    ○経塚委員 この一般財源化の問題については、きょうは文部省に来ていただいておりまして、私お尋ねしようと思っておったのですが、時間がございませんので大変申しわけないと思っているのです。予算委員会でもお尋ねをしましたその続きをちょっとお尋ねしようと思っていたのですが、これは無原則的に何もかも一般財源化すればいいというものではないと私は思うのですよ。  例えば教材費などは、これは私、文部大臣にもお尋ねをいたしましたけれども、十カ年計画で七年たってまだ四八%しか達成をしておらない。そして一クラス当たりの単価が年々減ってきておる。これを一般財源化すると言うけれども、十カ年計画を計画どおり達成するということになりますと、従来の予算の倍必要になる。しかし、地方が二分の一、国が二分の一だったのが廃止されるということになりますと、四倍の負担地方が持たなければならないことになる。それだけの分を一体地方で見るのかどうなのかという問題が出てきますし、もしこれが計画どおり達成されないと、父母負担に転嫁する問題だとか、教育上重大な支障が出てくる、こういうことで、先ほどの国の責任論と同じことでありますが、少なくとも国の責任に係るようなものにつきましては、単純に地方に権限が移るから、そういうようなことで一般財源化すべきではないと思います。したがって一般財源化の根拠、基準というものを明確にすべきだと私は思うのですが、その点はいかがですか。
  254. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 私どもも、この一般財源化につきましては、あのメモにも書いてございますように、地方団体の自主性、自律性を尊重する観点から行うべきであるということでございまして、もちろんどのようなものでも全部ということを考えているわけでもございません。しかも、あのときに出しました考え方も、全部地方がそのまま引き受けるというわけではございませんで、応分の協力はするという考え方でやったわけでございます。  もちろん今後の教材費の問題につきまして御意見はあろうかと思います。余り時間もないようでございますので特に申し上げませんけれども、私どもも、とにかく無原則にすべてのものを引き受けようという考え方は毛頭ございません。はっきりと地方団体の自主性尊重という観点から、国庫補助金の整理合理化を進めていくべきものであると考えております。
  255. 経塚幸夫

    ○経塚委員 終わりますが、大臣、最後に、国庫負担金、補助金の削減問題は今始まった問題じゃない。昭和二十九年にMSA協定を受け入れるに当たって二百億の財源をどうするかということで、生活保護などいわゆる十分の八を十分の五に切り下げるという案が出たわけでしょう。このときの厚生大臣が山縣さん、この方は厚生省をひっ提げて、全国の自治体もバックにして職を賭して頑張る、銭金によって制度は左右されてはならぬ、こう言ってとうとう辞職をされて内閣改造、その結果、七年間続きました吉田内閣がその暮れには退陣せざるを得ぬというような事態にまで発展した経緯を持った問題なんです。そういう経過の中で守られてきた戦後の制度なんですから、これはやはり自治省としても重大な決意を固めて、地方負担転嫁、公的扶助に対する国の責任を放棄させないように、このことを申し述べまして質問を終わらせていただきます。  どうも長時間ありがとうございました。     ―――――――――――――
  256. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、地方行政に関する件について調査を続けます。  この際、昭和六十年度地方財政計画について説明を聴取いたします。古屋自治大臣。
  257. 古屋亨

    古屋国務大臣 昭和六十年度の地方財政計画概要について御説明申し上げます。  昭和六十年度の地方財政は、累積した巨額の借入金を抱え引き続き厳しい状況にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により、歳入面においては、地方債依存度の抑制に努めるとともに、地方税負担公平適正化推進しつつ地方税源の充実地方交付税所要額の確保を図り、歳出面においては、経費全般について徹底した節減合理化を図るとともに、限られた財源重点的配分と経費支出の効率化に徹し、節度ある行財政運営を行うことを基本としております。  昭和六十年度の地方財政計画は、このような考え方を基本として策定いたしておりますが、以下その策定方針について御説明申し上げます。  第一に、地方税負担の現状と地方財政の実情にかんがみ、その負担公平適正化を図るため、個人住民税均等割税率見直し事業税における新聞業等七事業に係る非課税措置の廃止など非課税等特別措置整理合理化等を行うとともに、住民負担軽減及び合理化を図るため、個人事業税事業主控除額引き上げ不動産取得税新築住宅に係る課税標準特例控除額引き上げ固定資産税及び都市計画税の土地の評価がえに伴う負担の調整等の措置を講ずるほか、自動車取得税及び軽油引取税税率等特例措置適用期限を延長することとしております。  第二に、現下の厳しい財政環境のもとで、昭和六十年度に限り暫定的に実施されることとなりました国庫補助負担率引き下げに伴う地方負担増加額五千八百億円に相当する額について、所要財源措置が必要となりましたので、地方交付税増額地方債の増発により完全に補てんすることとし、地方財政運営に支障が生ずることのないようにいたしております。  第三に、抑制的基調のもとにおいても、地域経済振興や雇用の安定を図りつつ、その特性を生かした地域社会の形成を進めますとともに、生活関連施設整備を図るなど住民生活に直結する諸施策を実施することといたしております。このため、個性的で魅力ある町づくり、地域づくりをより一層積極的に推進すべく、住民生活に身近な社会資本の計画的な整備まちづくり特別対策事業充実に努めるとともに、福祉施策及び教育、文化振興対策等の推進を図ることとし、これに必要な財源確保し、また、過疎地域等に対する財政措置を引き続き講ずることとしております。  第四に、地方行財政運営合理化と財政秩序確立を図るため、定員管理合理化及び一般行政経費の抑制を行うとともに、国庫補助負担金について一般財源化、補助単価の適正化等その改善合理化を進め、さらに、年度途中における事情の変化に弾力的に対応できるよう必要な措置を講ずることとしております。  以上の方針のもとに、昭和六十年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出規模は五十兆五千二百七十一億円となり、前年度に対し二兆二千三百七十九億円、四・六%の増加となっております。  以上が昭和六十年度の地方財政計画概要であります。
  258. 高鳥修

    高鳥委員長 以上で説明は終わりました。      ――――◇―――――
  259. 高鳥修

    高鳥委員長 内閣提出地方税法等の一部を改正する法律案及び内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。古屋自治大臣。     ―――――――――――――  地方税法等の一部を改正する法律案  地方交付税法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  260. 古屋亨

    古屋国務大臣 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。  明年度地方税制につきましては、最近における地方税負担状況及び地方財政の実情にかんがみ、その負担公平適正化を図るため、個人住民税均等割税率見直し事業税における新聞業等七事業に係る非課税措置廃止等地方税における非課税等特別措置整理合理化等を行うとともに、住民負担軽減及び合理化を図るため、個人事業税事業主控除額引き上げ不動産取得税新築住宅に係る課税標準特例控除額引き上げ等を行い、並びに固定資産税及び都市計画税評価がえに伴う負担調整措置を講じ、あわせて自動車取得税及び軽油引取税税率等特例措置適用期限を延長するほか、日本国有鉄道の納付する市町村納付金の特例措置適用期限を延長する等所要改正を行う必要があります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方税法の改正に関する事項であります。  その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。  まず、個人の道府県民税及び市町村民税につきましては、昭和五十五年度以来据え置かれてきた均等割の税率について、その後の物価水準の推移等を勘案し、その見直しを行うとともに、住民負担軽減を図るため、控除対象配偶者等の所得要件の緩和等の措置を講ずることといたしております。  次に、法人の道府県民税及び市町村民税につきましては、民間における試験研究の促進を図ることにより、地域振興に資するため、法人税割の課税標準である法人税額について、基盤技術開発研究用資産の取得価額等に係る法人税額の控除後の額とすることといたしております。  その二は、事業税についての改正であります。  事業税につきましては、新聞業等七事業に係る非課税措置について、創設以来長期間を経て社会経済情勢が著しく変化していること等にかんがみ、これらを廃止することといたしております。なお、これらの事業については、長期間にわたり非課税措置が講じられていた経緯を考慮して、その廃止に伴う税負担の激変緩和を図るため、三年度間、従来の非課税事業に係る所得金額から、その二分の一に相当する額または年三百五十万円のいずれか多い額を控除することといたしております。  また、個人事業者の負担軽減を図るため、事業主控除額引き上げ等を行うことといたしております。  その三は、不動産取得税についての改正であります。  不動産取得税につきましては、住宅建設促進を図るため、新築特例適用住宅の取得に係る課税標準特例控除額引き上げを行うことといたしております。  また、外国人留学生の寄宿舎の設置及び運営を目的とする公益法人が取得する外国人留学生の寄宿舎の用に供する不動産について、一定の要件のもとにその納税義務を免除する等の措置を講ずるとともに、地方住宅供給公社が譲渡する土地または住宅に係る課税の特例を廃止する等特例措置整理合理化を行うことといたしております。  その四は、自動車税及び軽自動車税についての改正であります。自動車税及び軽自動車税につきましては、電気自動車に係る軽減税率を、現行の昭和五十四年度改正前の本則税率から昭和五十九年度改正前の本則税率に改めるとともに、ミニカーに係る軽自動車税の標準税率を改めることといたしております。  その五は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。  まず、宅地等及び一般農地に係る昭和六十年度から昭和六十二年度までの各年度分の固定資産税及び都市計画税の額につきましては、評価がえに伴う税負担の調整を図るため、昭和六十年度評価額の昭和五十九年度分の課税標準額に対する上昇率の区分に応じて定める負担調整率を前年度の税額に乗じて求めた額を限度とすることといたしております。  その他、自動車事故対策センターが自動車事故の後遺障害者の治療及び養護の用に供する一定の固定資産について非課税とする等の措置を講ずるとともに、新築住宅に係る税額の減額措置等の適用期限を延長する一方、通信、放送衛星機構の業務用償却資産に係る課税標準特例措置について、所要の経過措置を講じた上、これを廃止する等特例措置整理合理化を行うことといたしております。  その六は、特別土地保有税についての改正であります。  まず、昭和四十四年一月一日から昭和五十七年三月三十一日までの間に取得された土地のうち、未線引きの都市計画区域内に所在する土地及び都市計画区域外に所在する土地で、その保有期間が十年を超えるものにつきましては、市街化調整区域内に所在する土地と同様に特別土地保有税を課さないことといたしております。  また、三大都市圏の特定の都市の市街化区域内において取得される一定規模以上の土地に係る特別土地保有税の課税の特例措置適用期限を三年間延長することといたしております。  その七は、自動車取得税についての改正であります。自動車取得税につきましては、地方道路財源確保を図るため、軽自動車以外の自家用自動車に係る税率特例措置等の適用期限を三年延長することといたしております。  その八は、軽油引取税についての改正であります。軽油引取税につきましても、地方道路財源確保を図るため、税率特例措置適用期限を三年延長することといたしております。  第二は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律改正に関する事項であります。  日本国有鉄道の市町村納付金につきましては、納付金算定標準額の特例措置適用期限を二年延長すること等の改正を行うことといたしております。  このほか所要改正を行うことといたしております。  以上の改正の結果、明年度におきましては、個人の事業税事業主控除額引き上げ等により三百五十七億円の減収となる一方、個人住民税均等割税率見直し等により六百八十四億円の増収が見込まれ、差し引き三百二十七億円の増収となる見込みであります。  以上が、地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  地方財政状況にかんがみ、地方団体の財源充実確保を図る等のため、昭和六十年度分の地方交付税の総額について、所要の加算を行うとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費財源措置するため地方交付税の単位費用を改正し、あわせて、当せん金付証票の収益金の使途の弾力化等並びに公営競技を行う地方団体の公営企業金融公庫に対する納付金制度の延長及び拡充等を図る必要があります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方交付税法の一部改正に関する事項であります。  まず、昭和六十年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額から同年度分の利子の支払いに充てるため必要な額三千六百九十四億円を減額した額に、地方交付税の総額の特例措置額千億円を加算した額としております。  また、昭和六十六年度分から昭和六十八年度分までの地方交付税の総額について千三百五十五億円を加算することとし、当該額から現行法の規定により昭和六十六年度分及び昭和六十七年度分の地方交付税の総額から減額することとされている額三百億円を控除した後の額千五十五億円について、昭和六十六年度及び昭和六十七年度にあってはそれぞれ三百五十億円を、昭和六十八年度にあっては三百五十五億円を、各年度分の地方交付税の総額に加算することとしております。  次に、昭和六十年度の普通交付税の算定については、経常経費に係る国庫補助負担率の同年度における引き下げ及び国庫補助負担金の廃止に伴い増加する経費に対し所要財源措置し、あわせて、生活保護基準の引き上げ、老人保健制度の充実等福祉施策に要する経費、教職員定数の改善及び私学助成等教育施策に要する経費、公園、清掃施設市町村道、下水道等住民生活に直結する公共施設の維持管理に要する経費並びに過密過疎対策消防救急対策、公害対策等に要する経費財源措置することとしております。  また、昭和六十年度において、地方債による措置を縮減することに伴い、これに対応する投資的経費を基準財政需要額に算入するほか、昭和五十九年度において発行を許可された財源対策債等の元利償還金を基準財政需要額に算入することとしております。  第二は、地方財政法、当せん金附証票法及び公営企業金融公庫法の一部改正に関する事項であります。  まず、当せん金付証票の収益金の使途の弾力化、最高賞金の倍率制限の緩和を図るとともに、受託銀行が当せん金付証票の売得金を確実かつ有利な方法で管理することができることとする等の改正を行うこととしております。  次に、公営競技を施行する地方団体の公営企業金融公庫に対する納付金の納付期間の延長と納付率の上限の引き上げを行うとともに、同公庫が発行した債券を失った者に交付するための債券の発行に関する規定を整備することとし、良質な地方債資金確保に資することといたしております。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  261. 高鳥修

    高鳥委員長 以上で両案についての趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十九分散会      ――――◇―――――