○山原
委員 納得はいたしませんけれ
ども、先へ進みたいと思います。
今回の
補助金カットの
一括法の
審議をしているわけですが、教育の面における旅費、教材費の地方
交付税化の問題ですけれ
ども、これにつきまして、先般我が党の蓑輪
委員が、教材費、旅費の地方
交付税化というのは国庫
負担制度の大きな改悪ではないのか、根本を崩すものではないのかという質問をされております。それに対して
総理は、
負担区分を変えただけであって精神は変わらない、こういうふうに述べておるわけでございますけれ
ども、私はそうではないと思うのです。
国庫
負担法の第一条を見ますと、これは憲法、教育基本法にのっとりまして、「
義務教育無償の原則に則り、」「国が必要な経費を
負担することにより、教育の機会均等とその水準の維持向上とを図ることを
目的とする。」こういうふうになっておりまして、「国が必要な経費を
負担することにより、」これが原則なんですね。これが国庫
負担法の精神でありまして、金勘定の問題ではないわけであります。金の
区分を、どちらが
負担するかという問題ではなくて、国がこの支出をしていくという原則、これが国庫
負担法の第一条に書かれました原則であり、最大の精神であります。
この問題について、
総理は覚えておられると思いますけれ
ども、昭和二十七年にこの
法案が出ましたときに、あなたは改進党に所属されておりました。そのとき、当時の政権党である自由党がこの
法案を出されましたときの討論の経過を、ちょっと私は参考のために読み上げてみたいと思うのです。これは坂田道太現議長が賛成討論をやっておりますね。
憲法上重要な国民の権利であり、
義務であるのみならず、わが国
文教政策の根幹でございます
義務教育について、国が明確に
財政上の
責任を
負担することにより、
義務教育の基礎を確立し、わが国
文教の振興をはかりますことは、日本教育史上画期的な
措置であります。さらに学校教育上、教職員の給与費と相並びまして最も重要でございます教材費につきましても、新たに国が一部を
負担する原則をここに明らかにしましたことは、
義務教育無償の原則を実現し、あわせて
義務教育の振興をはかる上から、まさに画期的な
法案であり、わが国全教育界の要望であると思うのでございます。従いまして、将来国家
財政及び地方税制の改革等とにらみ合せまして、早急にわれわれの抱いておりますところの、また野党諸君の考えておられますところの理想的
義務教育費国庫
負担制度が、一日も早く確立されることをここに要望いたしまして、賛成の意を表する次第でございます。これですね。
このときに中曽根首相が何をされておったかと調べてみますと、恐らく政策副
委員長かあるいは改進党の常任
委員ではなかったかと思いますけれ
ども、重要な役割をされておりまして、その改進党の出されました修正案というのは、
義務教育費国庫
負担法の自由党の案は一部
負担です、それに対して五分の四を
負担せよ。すばらしいことですよ。すばらしい計画を持っておられたわけですね。それがだんだん
文教行政の努力によって
改善をされてきて、今度の
行政改革を迎えて一〇%、一〇%、一五%減、そして今度の
予算では何と地方
交付税に
負担をさせるという。ゼロどころじゃない、制度まで変えるということですね。
随分政治家も考え方が変わるものだと、私は今昔の感にたえない次第でございますけれ
ども、問題はどこにあるかというと、教育に対する気構えの違いですね、気構えの違いですよ。本当に子供たちを大事にしよう、五分の四の
負担金を出そうというあの当時の中曽根さんのお考えと、今これを切って地方
交付税に回して、三二%の枠をつけていますから大丈夫だなどというちゃちなものではない。これは教育に対する考え方として私は大変な後退、
義務教育費国庫
負担法に対するまさに、大後退でなく大改悪である、精神のじゅうりんであると思わざるを得ません。この点について
総理の御
見解をぜひ伺っておきたいのです。
二十一世紀に向かって教育大改革をやるというならば、今日育ちつつある子供に対してどう撤かい手を差し伸べていくか。国連憲章にはどうなっていますか。児童の権利に関する決議の中には、民族は持てる最高のものを子供たちに用意しなければならぬ。これだけの気持ちで教育改革をやるならば、私は信用します。そうではなくて、次々打ち切っていって、何が教育大改革ですか。これはもう私の気持ちは変わりませんが、このことについて、一言でいいですから
お答えをいただきたいと思います。どうですか。