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1985-06-19 第102回国会 衆議院 大蔵委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年六月十九日(水曜日)     午後二時十九分開議 出席委員   委員長 越智 伊平君    理事 熊谷  弘君 理事 熊川 次男君    理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君    理事 上田 卓三君 理事 沢田  広君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       糸山英太郎君    大島 理森君       金子原二郎君    瓦   力君       笹山 登生君    塩島  大君       田中 秀征君    中川 昭一君       東   力君    平沼 赳夫君       山岡 謙蔵君    伊藤  茂君       川崎 寛治君    関  晴正君       戸田 菊雄君    武藤 山治君       石田幸四郎君    古川 雅司君       宮地 正介君    安倍 基雄君       玉置 一弥君    正森 成二君       簑輪 幸代君   出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         厚 生 大 臣 増岡 博之君   出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    鹿兒島重治君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房審         議官      門田  實君         大蔵大臣官房審         議官      大橋 宗夫君         大蔵省主計局次          長       保田  博君         大蔵省主税局長 梅澤 節男君         大蔵省理財局次         長       亀井 敬之君         国税庁税部長         兼国税庁次長心         得       冨尾 一郎君         厚生大臣官房審         議官      古賀 章介君  委員外出席者         人事院事務総局         職員局職員課長 北村  勇君         総務庁恩給局恩         給問題審議室長 鳥山 郁男君         防衛庁人事局厚         生課長     荻野 貴一君         厚生省年金局企         画課長     渡辺  修君         厚生省年金局年         金課長     山口 剛彦君         厚生省年金局数         理課長     坪野 剛司君         社会保険庁年金保         険部国民年金課長植西 常郎君         労働省労働基準         局監督課長   菊地 好司君         日本国有鉄道共         済事務局長   小玉 俊一君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十九日  辞任         補欠選任   野口 幸一君     関  晴正君 同日  辞任         補欠選任   関晴  正君     野口 幸一君 六月十八日  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出第八一号) 同月十三日  不公平税制是正大型間接税導入反対に関する  請願伊藤茂紹介)(第五五九五号)  同(伊藤茂紹介)(第五七〇二号)  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案反対等に関する請願天野等紹介)(第  五五九六号)  同(井上一成紹介)(第五五九七号)  同(井上普方紹介)(第五五九八号)  同(石橋政嗣君紹介)(第五五九九号)  同(上田卓三紹介)(第五六〇〇号)  同(遠藤和良紹介)(第五六〇一号)  同(岡田春夫紹介)(第五六〇二号)  同(角屋堅次郎紹介)(第五六〇三号)  同(川崎寛治紹介)(第五六〇四号)  同(河上民雄紹介)(第五六〇五号)  同(木間章紹介)(第五六〇六号)  同(串原義直紹介)(第五六〇七号)  同(小林恒人紹介)(第五六〇八号)  同(左近正男紹介)(第五六〇九号)  同(佐藤観樹紹介)(第五六一〇号)  同(佐藤敬治紹介)(第五六一一号)  同(佐藤徳雄紹介)(第五六一二号)  同(城地豊司紹介)(第五六一三号)  同(関晴正紹介)(第五六一四号)  同(関山信之紹介)(第五六一五号)  同(田中克彦紹介)(第五六一六号)  同(田中恒利紹介)(第五六一七号)  同(多賀谷眞稔紹介)(第五六一八号)  同(竹内猛紹介)(第五六一九号)  同(武部文紹介)(第五六二〇号)  同(辻一彦紹介)(第五六二一号)  同(中西績介紹介)(第五六二二号)  同(中村正男紹介)(第五六二三号)  同(馬場昇紹介)(第五六二四号)  同(藤田高敏紹介)(第五六二五号)  同(細谷治嘉紹介)(第五六二六号)  同(堀昌雄紹介)(第五六二七号)  同(松沢俊昭紹介)(第五六二八号)  同(村山喜一紹介)(第五六二九号)  同(森中守義紹介)(第五六三〇号)  同(八木昇紹介)(第五六三一号)  同(安田修三紹介)(第五六三二号)  同(山中末治紹介)(第五六三三号)  同(横山利秋紹介)(第五六三四号)  同(和田貞夫紹介)(第五六三五号)  同(渡辺三郎紹介)(第五六三六号)  同(網岡雄紹介)(第五七〇三号)  同(五十嵐広三紹介)(第五七〇四号)  同(角屋堅次郎紹介)(第五七〇五号)  同(川崎寛治紹介)(第五七〇六号)  同(河上民雄紹介)(第五七〇七号)  同(木島喜兵衞紹介)(第五七〇八号)  同(島田琢郎紹介)(第五七〇九号)  同(関山信之紹介)(第五七一〇号)  毛皮製品に対する物品税課税廃止に関する訪  願(熊川次男紹介)(第五七〇〇号)  同(佐藤一郎紹介)(第五七〇一号) 同月十四日  所得税課税最低限度額引き上げ等に関する請  願(加藤万吉紹介)(第五八三三号)  同(伊藤茂紹介)(第五九〇二号)  同外一件(小沢和秋紹介)(第五九〇三号)  同外六件(工藤晃紹介)(第五九〇四号)  同(瀬崎博義紹介)(第五九〇五号)  同外六件(津川武一紹介)(第五九〇六号)  同(林百郎君紹介)(第五九〇七号)  同(不破哲三紹介)(第五九〇八号)  同(藤田スミ紹介)(第五九〇九号)  同外四件(正森成二君紹介)(第五九一〇号)  同(三浦久紹介)(第五九一一号)  毛皮製品に対する物品税課税廃止に関する請  願(鯨岡兵輔紹介)(第五八三四号)  同(石原慎太郎紹介)(第五九一二号)  同(上草義輝紹介)(第五九二二号)  同(佐藤一郎紹介)(第五九一四号)  同(佐々木義武紹介)(第五九一五号)  同(砂田重民紹介)(第五九一六号)  同(西山敬次郎紹介)(第五九一七号)  同(平沼赳夫紹介)(第五九一八号)  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案反対等に関する請願関山信之紹介)(  第五八三五号)  同(辻一彦紹介)(第五八三六号)  同(日野市朗紹介)(第五八三七号)  同(津川武一紹介)(第五九二〇号)  同(藤田スミ紹介)(第五九二一号)  共済年金掛金引き上げ反対等に関する請願  (正森成二君紹介)(第五九一九号) 同月十七日  大型間接税反対等に関する請願野口幸一君紹  介)(第六〇〇八号)  所得税課税最低限度額引き上げ等に関する請  願(伊藤茂紹介)(第六〇〇九号)  同(浦井洋紹介)(第六三三七号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第六三三八号)  毛皮製品に対する物品税課税廃止に関する請  願(天野光晴紹介)(第六〇一〇号)  同(池田行彦紹介)(第六〇一一号)  同外四件(倉成正紹介)(第六〇一二号)  同(深谷隆司紹介)(第六〇一三号)  同(太田誠一紹介)(第六一一四号)  同(奥野誠亮紹介)(第六一一五号)  同(小宮山重四郎紹介)(第六一一六号)  同(野上徹紹介)(第六一一七号)  同(三木武夫紹介)(第六一一八号)  同(森山欽司紹介)(第六一一九号)  同(与謝野馨紹介)(第六一二〇号)  同外五件(石川要三紹介)(第六二〇八号)  同(戸井田三郎紹介)(第六二〇九号)  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案反対等に関する請願岡田利春紹介)(  第六〇一四号)  同(鈴木強紹介)(第六〇一五号)  同(関山信之紹介)(第六一二一号)  同(中村茂紹介)(第六一二二号)  同(安井吉典紹介)(第六一二三号)  同(神崎武法紹介)(第六二一〇号)  同外二件(伊藤茂紹介)(第六三四二号)  同(正森成二君紹介)(第六三四三号)  同(簑輪幸代紹介)(第六三四四号)  所得税減税等に関する請願小沢和秋紹介)  (第六一一三号)  大型間接税導入反対等に関する請願中村茂  君紹介)(第六三三九号)  同(正森成二君紹介)(第六三四〇号)  同(簑輪幸代紹介)(第六三四一号) 同月十八日  毛皮製品に対する物品税課税廃止に関する請  願(阿部文男紹介)(第六四八七号)  同(小沢一郎紹介)(第六四八八号)  同(小沢辰男紹介)(第六四八九号)  同(奥田幹生紹介)(第六四九〇号)  同外一件(粕谷茂紹介)(第六四九一号)  同(熊谷弘紹介)(第六四九二号)  同(谷洋一紹介)(第六四九三号)  同(津島雄二紹介)(第六四九四号)  同(中川昭一紹介)(第六四九五号)  同(福家俊一紹介)(第六四九六号)  同(湯川宏紹介)(第六四九七号)  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案反対等に関する請願外一件(伊藤茂紹介  )(第六四九八号)  同外九件(大原亨紹介)(第六四九九号) 同月十九日  不公平税制是正所得税減税に関する請願  (中林佳子紹介)(第六六五七号)  不公平税制是正等に関する請願不破哲三君紹  介)(第六六五八号)  同(山原健二郎紹介)(第六六五九号)  所得税課税最低限度額引き上げ等に関する請  願(不破哲三紹介)(第六六六〇号)  同(藤木洋子紹介)(第六六六一号)  同(松本善明紹介)(第六六六二号)  同(簑輪幸代紹介)(第六六六三号)  毛皮製品に対する物品税課税廃止に関する請  願(相沢英之紹介)(第六六六四号)  同(愛知和男紹介)(第六六六五号)  同(小此木彦三郎紹介)(第六六六六号)  同(工藤巖紹介)(第六六六七号)  同(坂本三十次君紹介)(第六六六八号)  同(自見庄三郎君紹介)(第六六六九号)  同(額賀福志郎紹介)(第六六七〇号)  同(浜田卓二郎紹介)(第六六七一号)  同(町村信孝紹介)(第六六七二号)  同(山崎拓紹介)(第六六七三号)  同外二件(小泉純一郎紹介)(第六八三二号  )  同(小坂徳三郎紹介)(第六八三三号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第六九二五号)  共済年金掛金引き上げ反対等に関する請願  (津川武一紹介)(第六六七四号)  同(藤木洋子紹介)(第六六七五号)  同(松本善明紹介)(第六六七六号)  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案反対等に関する請願藤木洋子紹介)(  第六六七七号)  同(簑輪幸代紹介)(第六六七八号)  同(村山富市紹介)(第六六七九号)  同(竹村泰子紹介)(第六八九八号)  不公平税制是正大型間接税導入反対に関する  請願外四件(富塚三夫紹介)(第六六八〇号  )  大型間接税反対等に関する請願瀬崎博義君紹  介)(第六六八一号)  身体障害者使用自動車に対する地方道路税、揮  発油税免除等に関する請願米沢隆紹介)(  第六七六八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月十四日  共済年金制度改悪反対に関する陳情書外八件  (  第四四一号)  大型間接税導入に関する陳情書外一件  (第四四二号)  豪雪地帯所得税等減税に関する陳情書  (  第四四三号)  単身赴任手当非課税に関する陳情書  (第四四四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出第八一号)  金融機関の週休二日制に関する件      ――――◇―――――
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより会議を開きます。  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府より趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。     —————————————  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法   律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいま議題となりました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  御承知のように我が国は、近年、人口構造高齢化進行等により年金制度のよって立つ基盤そのものに大きな変化が生じており、このような社会経済情勢変化に対応しつつ、長期的に安定した年金制度の維持されるよう公的年金制度全般にわたる見直しが迫られております。  このような状況にかんがみ、政府は、昭和七十年を目途に、高齢化社会到来等社会経済情勢変化に対応し、公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度の一元化を展望しつつ、その改革を推進することといたしたところであります。  今回提出いたしました改正案は、このような趣旨に基づき、国民年金厚生年金保険等制度改正と同様、国家公務員等共済組合組合員等についても国民年金基礎年金制度を適用することとし、同時に、共済年金制度における給付負担長期的均衡を確保するため、給付水準適正化を図る等の措置を計画的に講ずることとするものであります。  また、共済年金制度は、公務員制度等一環としての性格をも有しているので、この面にも配慮を行っているところであります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一点は、共済年金制度に基づく給付は、原則として基礎年金に上乗せして支給する報酬比例年金とし、給付の種類としては、退職共済年金障害共済年金及び遺族共済年金等といたしております。  第二点は、共済年金給付内容でありますが、共済年金年金額は、厚生年金相当部分年金額公務員制度等一環としての職域年金相当部分年金額を加えたものをもって年金額とすることといたしております。  厚生年金相当部分年金額は、その算定基礎となる基礎俸給につきましては全期間平均標準報酬月額とするほか、その他の年金額算定方式についても厚生年金と同様のものとし、給付水準内容について相互に均衡のとれたものとして設計いたしております。  また、職域年金相当部分年金額については、その水準厚生年金相当部分の二割相当といたしております。  なお、支給開始年齢については、経過措置を短縮し、昭和七十年から六十歳となるようにいたしております。  第三点は、各年金給付の個別の改正であります。退職共済年金については配偶者等に対する加給年金制度及び低所得者に対する在職老齢年金制度を設け、障害共済年金については事後重症制限期間を撤廃し、遺族共済年金については給付率を二分の一から四分の三に引き上げる等の措置を講ずることといたしております。  第四点は、公的年金併給調整実施所得制限強化等給付合理化を図ることといたしております。  第五点は、既裁定年金取り扱いにつきまして、改正後の年金額算定方式に類似している、いわゆる通年方式により算定した額に改定することといたしておりますが、従前の年金額は、これを保障することといたしております。  第六点は、費用負担についてであります。共済年金給付に要する費用については、使用者としての国または公共企業体等組合員との折半負担とすることとし、いわゆる公経済の主体としての国庫等負担については、基礎年金拠出金の三分の一とすることといたしております。  第七点は、その他の事項についての改正であります。  まず、年金額改定方式でありますが、厚生年金等と同様、消費者物価による自動スライド制を採用することといたしております。  次に、国鉄共済年金については、財政調整事業実施により他の組合から財政援助を受けている状況等にかんがみ、財政調整事業実施している間、職域年金相当部分についての給付は行わないこととしております。  また、共済組合組合員等に対して基礎年金制度を適用するため国民年金法等について所要の改正を行うこととしております。  最後に、今回の制度改正についての施行期日でありますが、国民年金厚生年金保険制度改正と同様、昭和六十一年四月一日といたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
  4. 越智伊平

    越智委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 越智伊平

    越智委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
  6. 沢田広

    沢田委員 大変重要な法案審議に入ることになったわけでありますが、野党としては、社会党、公明党、民社党からの要請もありまして、先にひとつ質問させていただきます。  大蔵委員会の諸論議を踏まえ、大蔵委員長から検討要請があった非常勤消防団員手当に対する非課税限度額引き上げ及び創業記念品非課税限度額引き上げについての検討状況についていかん、以上の問いに対して回答を賜りたいと思います。
  7. 竹下登

    竹下国務大臣 本委員会委員長から検討の申し越しのありました非常勤消防団員手当に対する非課税限度額引き上げ及び創業記念品非課税限度額引き上げの問題につきましては、本委員会における諸論議を踏まえ、その見直しについて事務当局検討させたところでございます。その検討状況につきましては、事務当局から説明をいたさせます。
  8. 冨尾一郎

    冨尾政府委員 ただいまの大臣の御答弁を補足して説明をさせていただきます。  まず、非常勤消防団員が受ける手当についてでございますが、これには出動回数に応じて支給されるものと出動回数関係なく定額支給されるものとございますが、前者出動回数に応じて支給されるものにつきましては、出動のための旅費等支給がなく、そのための実費弁償的な性格であること、その金額は低額であることから現行非課税といたしております。一方、出動回数関係なく定額支給される手当につきましては、出動の際の旅費等支給されていないこと、前者手当とのバランス等を考慮いたしまして、月額三千円程度までは実費弁償的なものとして非課税取り扱いをしておるところでございます。これにつきましては、本委員会での御議論を踏まえ、最近の平均的な支給状況などを考慮いたしまして、年額五万円までは追及しないということで考えております。  二番目の創業記念品でございますが、創業記念増資記念工事完成記念などに際しまして、役員または従業員が現物で支給を受ける記念品につきましては、一定の要件のもとでその処分見込み価格が五千円以下のものを現在非課税扱いとしておりますが、数年に一度生ずるような問題でもございますので、このようなものは儀礼的な要素が強く、また使用人に限らず、株主や取引先などにも支給をされることなどを考慮いたしまして、非課税限度額処分見込み価格一万円に引き上げることといたしたいというふうに思っております。
  9. 沢田広

    沢田委員 続いて、年金関係について質問をいたします。  第一は、この法案審議に当たって、必要な資料といいますか、当然伴って提案されなければならないものもあります。第一は恩給関係であります。これは五十八年度の数字を申し上げましても、文官恩給の人も十四万人、それから旧軍人の遺族等恩給、二百十九万人、金額は一兆六千百九十億円くらい。この中で普通恩給が百十四万人等々おるわけでありますが、これらの人たちのいわゆる老後の問題というものと、今回の国民年金厚生年金共済年金法律とは極めて密接不可分のものであります。恩給がそのまま存置をするということは、総理答弁にもないわけであります。また、先般の年金スライドの際の附帯決議においても、同時に検討——同時にというよりも並行的に審議をしていかなければならない課題である、こういうことにはなったと思うのであります。よって、今回の改正で後はそのままに据え置くということは、六十千年の四月一日にもし施行をすると考えれば、当然今日段階において準備に入らなければ間に合わなくなるのではないか。もし間に合わせるとすれば、同時にこの国会もしくは次の国会には遅くとも提案しなければならない、こういうふうに、これは時間的に、物理的にそうなるものと考えるわけであります。  その点、これは大蔵大臣恩給局でありますが、それぞれ政府責任者から、この法案審議の前提の条件として質問をする次第でありますし、また、それが出されなければこの法案審議は何にもならない、砂上の楼閣をつくるようなものである、こういうふうに言わざるを得ないわけでありますから、どのようにこの審議に間に合うように対応するか、お伺いをいたしておきたいと思います。
  10. 鳥山郁男

    鳥山説明員 このたびの年金改革に当たりまして恩給は一体どういう位置づけになるのかということでございますが、恩給制度先生承知のとおり非常に特殊な性格を持っておりますために、このたびの年金改革の直接の対象とはされていないわけでございます。したがいまして、私どもも恩給制度の基本的な枠組みを変えていくという考えは持っていないところでございますけれども、しかしながら、年金老後所得保障として具体的に機能する面におきましては恩給年金も非常に類似した面がございますので、したがいまして、臨調答申等に言われておりますように年金改革とのバランスをとるための必要な見直しをやれという御指摘の線に沿って、検討を続けているわけでございます。しかしながら、恩給受給者も相当高齢化いたしておりますし、かつ全員が既裁定者であるという特殊性を持っております。したがいまして、そのバランスをとるための見直しと申しましても非常に限定された面にわたるんじゃなかろうか、このように考えております。  ただいま先生指摘スライドのあり方、これは私ども最も大きな課題であるというふうに考えまして検討を続けておるわけでございますが、まだ現時点におきまして、恩給の従来からの給与スライドを変えていくのかどうか、これは非常に重要な問題でございますので、もう少し国会の御論議その他、各方面の御意見を聞きながら検討を続けたい、このように考えているところでございます。
  11. 沢田広

    沢田委員 あと、答弁要らないと思いますが、先ほども言ったように、今のようなスライド検討だけの問題でなくて、基礎年金については少なくとも全国民が平等の原理に立たなければ基礎年金の論理はなくなってしまうわけであります。でありますから、この基礎年金条件の範囲内に含まれるものが当然存置をする、特に遺族年金等においては重複支給の中に該当するわけでありますから、基礎年金部分は当然それに含まれてくるものだと思うのであります。それを今言ったような答弁では了解をいたしかねます。  だから、少なくともこの法案審議に正常な状態で入る以前において適切な措置、また少なくとも基礎年金部分については全国民平等の原則に立っての法改正というものは必然的に同時に生まれてくるものだ、こういうふうに思いますから、もし出す気がないのならば、それは間に合わせる気がないのならば間に合わないという答えで結構でありますが、そうなければこの審議には応じられない、こういうことになることを念のために申し上げて、もしもその点について何らかの対応をする意思があるかどうか、回答をしていただきたいと思います。
  12. 鳥山郁男

    鳥山説明員 ただいま先生指摘基礎年金の問題は、これは年金の統合一元化の方法といたしまして導入されるわけでございますが、私ども、普通恩給受給者ないし一番若いと言われております軍人恩給の遺族につきましても、現在既に平均年齢が六十七歳になっておりまして、したがいまして、恩給制度の中に基本的に恩給制度の枠組みを変えまして基礎年金導入するというようなことはとても考えられないのじゃなかろうか、このように考えているところでございます。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
  13. 沢田広

    沢田委員 いずれにしてもこれから具体的に求めて、きょうはその中身に入りませんが、軍人恩給だけが野放しにそのまま放置をされて共済年金改正を進めることは認められがたい、こういうことと思いますから、そういう情勢というもの、それから特に臨調も言い、我々大蔵委員会でも附帯決議を付した経緯を考えてそれに対応した措置を講じなければ、大蔵委員会審議にも重大な影響を及ぼすことを予告をしておきまして、これはもう答弁は要りませんが、ちゃんとそれに対応した措置を講じられることを求めておきたいと思います。あとはもう回答要りません。どうぞひとつそれで対応してください。  それから第二の問題は、これは大蔵大臣関係になりますが、前回も若干触れでありますが、国民年金法律の第一条、厚生年金法律の第一条及び共済年金法の第一条、この第一条が——いわゆる職域年金制度の発足に伴って基礎年金の一階部分及び報酬比例の二階部分、その三階までにはいかないが、三階の職域年金部分、こういうふうに通称言われておりますが、この第一条の法律趣旨は今日まで職域年金のみに該当すると言われてまいりました。それが今度この職域年金部分以下の報酬、基礎年金については厚生年金と同じ条件、こういうふうになるわけでありますから、その点について、それぞれの第一条の目的が今回の改正によって異なってきているものと思います。よって、第一条の法文の変更が提案されることが必要である、このように思いますので、次の審議までにこの点の準備をされ提出されることを求めるものでありますが、いかがでしょう。
  14. 門田實

    ○門田政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの論点は前回にも委員お触れになったわけでございまして、私どももその後よく勉強してみました。今回の改正では、御承知のように、共済年金のうち基礎年金に見合う部分は共済年金から分離されまして基礎年金制度に移行する。そうして、共済年金基礎年金の上乗せ年金としての報酬比例年金となり、改正後の新年金厚生年金相当部分職域年金相当部分に区分されるわけでございますが、この両者は本来一体のものを構成要素として区分しているだけのことでありまして、公的年金相当部分のほかに職域年金相当部分が含まれているという点では現行と全く同じなわけでございます。  ただいまおっしゃいました第一条でございますが、これは共済年金給付を行いますところの長期給付事業だけではございませんで、医療保険給付を行います短期給付事業あるいは組合員に対する貸し付け等を行います福祉事業、こういったものを総合的に実施することによって国家公務員等の生活の安定、職務の能率的な運営に資するという目的を達成しよう、こういう規定でございます。ですから、確かに共済年金のうち厚生年金相当部分と職域部分と今回区分しておるわけでございますが、そのことがこの第一条の国共法の目的の趣旨を変更するものではございませんので、私どもとしては十分勉強いたしましたが、この規定の変更の必要はないもの、こういうふうに考えております。
  15. 沢田広

    沢田委員 その回答も不満足なんでありますが、いわゆる厚生年金の方は、極端に言えば、刑務所に行ってでも年金がつくという仕組みになっていますね。これは、後の問題になるのですが、そういう内容になっております。公務員は、刑事事件に関係すればそうはいかなくなるわけです。あなたの今の答弁では、報酬比例部分についても職務の運営能率は影響するという、あるいは懲戒によって減給される、あるいは支給停止になり得る、こういう解釈をあなたはされていると考えてよろしゅうございますか。——首を縦に振っていますね。  首を縦に振っているということは、大蔵大臣厚生年金は前にも言ったとおり雇用と掛金が基本原則なんであります。そこは職場でどうなろうとなるまいと、それが基本原則であります。だから、先ほども言ったように、刑務所に行ってでも雇用関係にあり掛金を掛けていれば、その期間は通算となって年金支給されるということになるわけであります。ところが、共済年金は、今回は国鉄の例もありますけれども、これは赤字だからということもあるかもしれませんが、いわゆる懲戒処分その他に該当する場合は職域年金部分を減額すると言われているわけですね。報酬比例部分は労使折半で負担をするものであって、国庫の補助もないわけです。国家公務員といえどもこれは国からの援助は一切受けていないわけであります。基礎年金部分は三分の一ですからこれは別であります。少なくとも報酬比例部分は国から一切の補助も受けていない。それを公務員法に違反したから、あるいは刑事事件に関係したからといって減給の対象にするなんていうことを答弁するというのは、甚だけしからぬ話なんだ。厚生年金の方とは横並びにするといいながら、それは全然違っているのです。だから今の答弁は話にならぬ、大蔵大臣。それまでもし公務員の遵守すべき要項であると仮定すれば、例えばお歳暮ももらっちゃいけないよ、お中元ももらっちゃいけないよ、あるいはごちそうになってもいけないよという幾つかのそういう条件のもとに暮らしている人たちと、そうでない者との違いというものは存在するわけです。  だから、私はきょうは質問といっても一つの要望をするわけですが、今言ったように、もしも厚生年金並びの報酬比例部分を置くとすれば、第一条の職務の能率、円満な運営に寄与したという条項は厚生年金にはないのです、成績が悪くても、刑務所へ行っていても、雇用契約と掛金があれば年金支給されるのが報酬比例部分に該当する分野なんです。それを共済年金だけについては、今の答弁ではその部分にも含めて減額があるいは全然支給しないか、その辺は不明確でありますけれども、そういう措置まで講じようという意図がうかがえる回答であります。これはいわゆるさきに成立した厚生年金並びの法律ではない。異質のものなんです。完全に異質の性格を持っているものと思わざるを得ない。  もしそういう方向でいくならば、来年の四月一日の施行も当然異質なものでなければならない、同じに並べるということは不適当だ、こういうことになるわけであって、先ほど述べたように、もしそうならば第三階の職域年金の部分にだけ影響するということでなければ筋が通らないと私は思わざるを得ないのでありますが、これはもうあなたに聞いたってだめだ。大臣からこれは第一条の法律解釈としてひとつお聞かせをいただきたい。
  16. 門田實

    ○門田政府委員 私の説明がちょっと不十分でございまして、あるいは先生に誤解を与えておるかと存じます。  ただいま議論にございましたように、今回の共済年金制度改正で、いわば二階は厚生年金並び、そして公務の特殊性ということでその上にプラスアルファとして、いわば三階に職域年金というものを設けるわけでございます。  ただいまお話のありました禁錮以上の刑に処せられたとき、こういう場合の給付制限、これは職域年金部分だけでございます。プラスアルファの三階部分だけでございまして、厚年見合いの二階にはそれは適用しない、こういうことでございますので、あるいは私の説明が悪かったかと存じますが……。
  17. 竹下登

    竹下国務大臣 私も今承っておりまして、私の勉強した限りにおいては、沢田さんのおっしゃるとおりだと思っております。
  18. 沢田広

    沢田委員 そうすると、一階なり二階については、どういう犯罪を犯しても、破廉恥罪を犯しても影響ない、こういうふうに解釈していいわけですね。——これは首を縦に振っておりますから、いわゆる厚生年金並みの支給である、こういうふうに解釈していいわけですね。
  19. 門田實

    ○門田政府委員 大事な点でございますので、そのとおりでございます。
  20. 沢田広

    沢田委員 だから、法律第一条は直してもらわなければ困るということなんであります。法律第一条は、大臣、そこにお持ちになっているのだろうと思うのですが、全文にかかっているわけですね。第三階だけだとは書いてないのであります。  先般自転車の方で、私たち自転車置き場法をつくるときに、相当の期間をたった自転車は放置とする、こういう解釈で、そのときの申し合わせでは六カ月と、こう実は決めたのです。ところが、この間の内閣法制局は、時間になってしまっているのです。相当の期間という日本語が、何時間かそこにあっても放置である、こういう解釈がこの間の答弁の中には出てきた。それを放置自転車と、こう名称づけているのであります。だから、法律はひとりで歩き出すのです。あるいは時の権力によってねじ曲げられることも、今のようにあるわけです。相当の期間と言ったら、時間だなんてだれも思わないですよ。相当の期間という言葉が出てきて、これが三時間だなんて解釈する人は、もし答案にそう書いたらバッテンつけられるだろうと思うのですね。それを内閣法制局はいけずうずうしく、それは時間も含むのだなんということを言っているわけです。総理府もそう、時間も含むのだなんということを言っているくらいです。だから、法律の解釈というものはそれぞれひとり歩きをしていく。  そこで、この第一条の業務の円満な運営、この条項は三階だけに限定するという今の解釈ならば、それは第一条の第二項を置いて、そして三階の職域年金のみにこの項目は該当すると書かないと、一階にまで影響するとは思いませんが、二階には後で影響してくるおそれは多分にある。そういう危険性がありますから、それを防止するためにも、これは不安の除去にも通ずるわけでありますが、法改正は当然必要である。よって、職域年金に該当する部分のみが公務員の業務の能率に影響する分である、こういう分離を求めるわけであります。これも回答はもらいますけれども、次の正常な審議に入る以前において適切な対応を求めておきたいと思います。もしそれが不十分であれば、これまた審議に重大な支障のあることを申し添えておきたいと思います。
  21. 門田實

    ○門田政府委員 今先生おっしゃいました第一条でございますが、これは先ほど御説明申し上げましたように、長期の給付、短期の給付、福祉の事業等々いろいろなものを総合して規定しておりますので、第一条でそういうことを区分した規定を設けるというのはなかなか難しいかと思うわけでございますが、御心配の点は、決してそういうことがあってはならないので、これは法律の中で明確に、特定の条項をもちまして三階部分だけであるということを明記いたしております。ですから、その御懸念は要らないと思います。
  22. 沢田広

    沢田委員 その対応を求めておきたいと思います。  続いてもう一つ要望しておきますが、懲戒処分に当たっては職域年金のみが該当するということでありますが、防衛庁、国鉄、それから厚生、この場合、いかなる罪を犯しても、これは本人の掛金分と、憲法で保障されたいわゆる最小限度の生活、健康にして文化的な生活を営む権利の保障、こういうことであるから、一階、二階には影響を及ぼすものではない、こういうふうに解釈してよろしいですか。これは防衛、国鉄、大蔵、厚生、簡単に一言ずつお答えいただきたいと思います。
  23. 荻野貴一

    ○荻野説明員 自衛官につきましての一階と二階の取り扱いについては、先生のお説のとおりでございます。
  24. 小玉俊一

    ○小玉説明員 お答えいたします。  私どもも先生のおっしゃるとおりと理解しております。
  25. 山口剛彦

    ○山口説明員 国民年金厚生年金につきましては、刑に処せられた場合、あるいは懲戒処分を受けた場合に支給を停止するという規定は現在もございませんし、新法におきましてもその考え方を踏襲しております。
  26. 沢田広

    沢田委員 人事院においでをいただいておりますが、職域年金を除くと仮定をすれば、その間においては公務員の専念の義務その他は当然なくなっている。兼業しても構わないし、あるいは職務専念の義務も外れる。該当するのは職域年金の分だけである、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  27. 北村勇

    ○北村説明員 お答え申し上げます。  公務員としましては、一般的に職務に専念する義務を負っているわけでございまして、在職中はいずれも職務に一生懸命従事しなければいかぬということになっております。一部、職務上の義務といたしまして、退職後も営利企業に就職してはいかぬというようなことになってございますけれども、そのことと年金が制限されるということとは全く別の話でございますので、そこのところは切り離してお考えいただいた方がよろしいかと思っております。
  28. 沢田広

    沢田委員 これも次回までに、影響しないというのであるなら影響しないということを明らかにしていただくことを要望しておきます。  次に、雇用契約なのでありますが、大臣、人を採用する場合に、就業規則もありますれば、あなたの場合給料を幾らにします、こういう給料表で給料を決めます、そして退職後についてはどれだけの退職金を払い、年金を払いますというのが普通の雇用条件であると思うのです。  そこで、もしこの年金を変えていく場合、少なくとも雇用者の過半数を代表するものあるいは雇用者の同意、それをいわゆる国家権力によって無視していけるものかどうか。いわゆる既得権者の権利というものは、採用時において、あなたにはこれだけの年金を支払います、あるいはこれだけの退職金を払います、こういうことで期待を与えている、あるいはそのことを保証をして採用している、そういうものだと思うのです。それが一方的に切り下げられたりすれば、当然労働争議の対象になるのが通常です。  ですから、公務員といえども、いわゆる共済年金の従来の既得権利、期待権、これは保護されなければならない。だから保護されない場合には特別の事情が必要になってくる、こういうふうに思いますが、今度、標準報酬切りかえ等においては、退職者の人々、それから現職の人々も、みずからやめるときの年金が下がるわけでありますから、その期待権を裏切る行為ということになるわけであります。  その意味において、この法案が正常な審議に入る前に、それぞれ該当する職員の同意を得る、あるいは理解を求めるという言葉が必要かもしれませんが、期待権の侵害である、あるいはOBの人には既得権の侵害になるわけでありますから、当然同意を求める措置を講ずるべきであると思います。法律でこれを律すれば断罪に処すと同じように減額することもあえて辞せずという姿勢は、許されるものではないと思います。  よって、以上の点について大蔵、国鉄、厚生、特に国鉄の年金問題は重大な事態を迎えるわけでありますけれども、それぞれそういう意味においての回答を求め、また、次の正常な審議前に適切な対応を求め、もしそれが不十分であった場合はこれまた大蔵委員会において正常な審議に重大な影響を与えることを予告し、労働、大蔵、国鉄、厚生のお答えをいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  29. 門田實

    ○門田政府委員 先生おっしゃいましたように、職員の身分あるいは勤労者のそういった勤務条件にかかわること、これは非常に大事なわけでございまして、願わくは制度として安定していって、余り改変はないというのが望ましいのだろうと思いますが、ただ、何分四囲の環境の変化といいますか、高齢化社会が非常に急ピッチで進んでいっておるものですから、今のうちから手を打たなくてはならぬという非常に苦しい実情があるわけでございます。  制度としましても安定が望ましいとはいいましても、やはり年金の歴史の上におきましても、昭和三十四年に恩給から共済年金制度へ切りかわったとか、あるいは昭和四十九年に、これはむしろ厚生年金とのバランスを考えまして、通年方式というようなものを従来の一般方式に加えまして設計して選択を認めたとか、そういった制度改正もやってまいっておるわけでございます。  したがいまして、このたびも改正はやむを得ないということでありますが、ただその場合にも、やはり今までの人に不安を与えてはいかぬということで、従前額はこれを保証していく、あるいは二十年かけてなだらかな着地を図る、こういった経過措置等に実はいろいろ心を砕いておるわけでございまして、これが十分かどうかという点は非常に議論があろうかと思いますが、何とぞ御理解をいただきたいと思います。
  30. 菊地好司

    ○菊地説明員 労働省は民間労働者の労働条件について所管しているわけですが、公的年金などの社会保障制度は政策決定にゆだねるといたしまして、それ以外の労使が自主的に定める労働条件につきましては、労働基準法あるいは最低賃金法などに違反しない限り、決定されたものは原則として維持されるべきもの、守られるべきものであるということで指導をしております。一方的に不利益に変更するという場合については、よほど厳格に判断し、合理的な理由がない限り適当でないというふうに対処しているところでございます。
  31. 小玉俊一

    ○小玉説明員 お答えいたします。  基本的な考え方につきましては、大蔵省のお答えなさったとおりに私ども考えております。ただ国鉄につきましては、職域部分が財調期間中は停止とか幾つかの問題がございますが、これは私どもとしましては、財政調整で他の共済組合から御援助をいただくというときにありましてはやむを得ないものというふうに考えております。
  32. 山口剛彦

    ○山口説明員 年金制度は、その性格からいたしまして連帯を基礎にした制度でございますので、先生おっしゃるように、その改革を進めるに当たっては関係者のコンセンサスを得るということが非常に重要だというのは、御指摘のとおりだと思います。  そういう観点から、私どもも今回の改正を進めるに当たりましては、三者構成になっております審議会で相当長期にわたって御議論をいただいた上、改正案も諮問をいたしまして、基本的には今度の改正というのは長期的な展望に立った対応をするためには欠くことのできない措置なので、基本的に了承するから早くやれというような御答申もいただいているということで、私どもといたしましては関係者のコンセンサスを得るための最大限の努力をさせていただいたつもりでございます。
  33. 沢田広

    沢田委員 大蔵大臣からまとめてひとつお答えいただくことと、国鉄の共済年金が大変他年金のお世話になっていっているわけでありますが、これまた次の正常な審議に入る前に、その具体的な計画を提示されることを、これはそれぞれの担当でありますが、担当に求めておきたいと思います。  大臣には、今言った雇用契約、期待権、それから同時に、それを受給されている既得権、これは最大限に確保されなければならないというふうに理解をするわけでありますが、まさか年金切り下げ大臣の異名をもらいながらやめていくということでもちょっと寂しい気がするわけでありますから、せめて年金の最低限は確保して、大蔵大臣の任務を果たした、次は総理大臣だ、こういうふうに言われるような立場でお答えをいただきたいと思います。
  34. 竹下登

    竹下国務大臣 大要は門田審議官からお答え申し上げました筋だと思っておりますが、今の既得権というものは、これは一つの物の考え方としていろいろ法案を見ましても尊重された姿になっております。  そこで、期待権というのは、やはり法律的にもいろいろな議論があるところでございますので、私も勉強してみたいと思いますが、例えば提案している法律を通していただきたいという、期待権という言葉をよく使いますので、私にもそういう期待権と、また今沢田さんのおっしゃった雇用契約上における期待権というものは法律的にどのような性格を持つものかということについては、次回審議までに私も十分勉強してお答えをしたいと思っております。
  35. 沢田広

    沢田委員 以上で終わります。
  36. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 坂口力君。
  37. 坂口力

    ○坂口委員 国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、二、三重立ったところだけきょうはお聞きをさせていただきたいと思います。  私ども公明党といたしましては、年金一元化の方向というのは望ましいというふうに考えておりますし、今まで私どもも年金一元化ということを再三実は申してきたところでございます。今回のこの定額相当部分、それから報酬比例部分、職域部分、こういう三部構成からこの共済年金は成り立っているわけでございますが、おおむねこの骨格につきましても、私たちはこれ以外に方法はないだろう、一つの妥当な結果ではないだろうか、こう思っているわけであります。しかし、細部について見ますと、いろいろ実は問題を含んでいるわけでありまして、細部につきましてはいろいろ私たちも意見のあるところ、賛成しがたいところもあるわけでございます。きょうは、しかしそうした細部につきまして質問をさせていただくだけのゆとりがございませんので、きょうはそうした中で大枠の話だけ二、三ひとつお取り上げさせていただいて、お伺いをしておきたいと思います。  今回の国民年金厚生年金、それから共済年金と、この一連の法案の中で、既にもう法案じゃなしに法律として通ったものもございますが、この一連の法律の中で一番残念だと思うのは、定額部分がもう少し何とかならなかったのだろうか、この定額部分のところがもう少しこれは天井が高くできなかったのであろうか、これが我々の偽らざる心境でございます。  この定額部分の掛金につきましては、例えば国民年金のときにいろいろ議論が出ましたが、国民年金の場合には五十九年度価格で六千八百円、それでこれがだんだんと高くしていかないことにはもたないので二十年先には一万三千円になるだろう、こういう話でございました。  そうすると、例えば、わかりやすく仮に二十年間六千八百円、二十年間一万三千円というふうにいたしますと、その掛金の額は四百七十五万ぐらいになると思うのです。そして六十五歳から五万円年金支給されるわけでありますが、五万円の中には三分の一国庫補助が含まれておりますから、年金としましては三分の二ということでございます。そうしますと、三万三千三百円ということになりますか。その三万三千三百円を一年分に直しますと十七万七千六百円になるわけですが、平均寿命、女の方八十歳、男の方七十五歳としてその真ん中をとりましても六十五歳から十三年間あるかないかですね。この十三年間をこれに掛けますと二百三十万八千八百円になるわけであります。掛金の方が四百七十五万、そして受け取る方は二百三十万八千八百円。掛金の割にするとどうもいかんともしがたい。額が少な過ぎる。この部分違っていますか。違っていたら御指摘をいただきたいと思いますが、もう少し何とかならないのだろうかという気がするわけであります。これは厚生年金共済年金、合わせてこの定額部分があるわけでありまして、この定額部分にもう少し工夫が必要ではないだろうかという気がしているわけであります。  そこできょうは、これを何とかできないかということにおいて二、三お聞きをしたいと思います。  国民年金の場合には五十九年度価格大体六千八百円、これはそう長くはもたないだろう、二十年したら少なくとも一万三千円にはなるだろう、こういう話であります。共済年金の方はその辺について余り触れられておりませんが、共済年金定額部分については大体国民年金並みのお考えになっているのか、まずひとつお伺いをしたい。
  38. 門田實

    ○門田政府委員 ちょっと技術的でございますので私からお答えさせていただきますが、被用者年金の各制度基礎年金拠出金を出すわけでございますが、その金額は、保険料拠出金算定対象額というものがございまして、それを基礎年金の被保険者総数に対して各制度が持っておる被保険者の割合でもって案分して出していく、こういう仕組みでございます。  共済年金厚生年金もそういう形で出していくわけでございますが、そういう各制度を通じての全体的なものでございますから、共済だけを取り出して一人当たりについての拠出額、今先生おっしゃいました国民年金の掛金に見合う額が幾らになるかということはちょっと算出できないわけでございまして、この点につきまして、もう少し突っ込んだことを厚生省の方がお答えできるかと思います。
  39. 坂口力

    ○坂口委員 質問は、実はまだそこまで行っていないのです。今聞いたのは、国民年金の方は五十九年度価格で掛金は六千八百円でスタートいたします、しかし、二十年後にはこれが一万三千円にはなります、こう言っていらっしゃるわけですね。共済年金の方も、掛金の方はそれと同じようにふえていくということですか、こういうことをまずお聞きをしておきます。
  40. 門田實

    ○門田政府委員 これは一種の賦課方式的な、つまり当年度に必要な給付額をみんなで出し合っていこうということでございまして、国民年金のそれがだんだんふえていくということは共済とか各制度の方の一人当たり出し分もやはりふえていく、同じような傾向にあるわけでございます。
  41. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、定額部分につきましての掛金率はかなりなスピードで上昇していくと思わざるを得ないわけです。国民年金の方は全額自己負担でございますが、共済の方は半額は使用者、半額は自己負担です。これを先ほどお答えいただいたわけですね、どれだけになるかわからないというのは。しかし、厚生年金はたしか出ていたと思います。厚生年金は、お一人分の額は二千八百円くらいだとお聞きしたと思いますが、違いますか。
  42. 山口剛彦

    ○山口説明員 お答えいたします。  基礎年金給付に要する費用、各制度から一人当たり幾らということで持ち寄ることにいたしているわけですが、その一人当たりの拠出額が、粗い計算でございますけれども、六十一年度で五千五百円程度と見込んでおります。厚生年金の場合は労使折半ということになっておりますので、先生指摘のように大体二千七、八百円ではなかろうかと想定をいたしております。
  43. 坂口力

    ○坂口委員 ですから、共済年金の方もそれと同じようなことで出るのではないですか。一人大体幾らずつ出すということだから、これは出ないことはないのですね。
  44. 門田實

    ○門田政府委員 各制度の持ち寄りでございますから、全く同じ事情にあるわけでございまして、実はそこらの計算はもう厚生省の方にお願いしているということなのでございます。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕
  45. 坂口力

    ○坂口委員 大蔵省にしては人任せでございまして、そういうことで将来この部分は上がっていく可能性がある。そして、国鉄の話は今回正面切って出ていないわけでありますけれども、国鉄の共済を初めといたしまして、どうしても共済年金は将来行き詰まってくる。先日もここで質問をさせていただきましたが、共済年金といたしましても、今から十五年ないし二十年先には全体に維持できなくなってくるという話を聞いたわけでございます。全体に行き詰まってくる。  そういうことになりますと、年金といたしましては官の方が民の方に助けてもらわなければならない、全体としてはそういう形にならざるを得ないと思うわけです。ほかの共済も含めまして共通部分をつくってやっていくというこの姿は、一つは、国鉄だけではなく、全体から見まして官の方が民の方に手助けをしてもらわなければならないという形になっていくだろうと思います。逆に医療の方は今度は国保あたりが非常に行き詰まってまいりまして、将来の問題として、民の方が官の方に手伝ってもらわなければならないことになってくるだろうと思うのです。この問題はもう少し後に回すといたしまして、こういうふうな状態の中で、日本の社会保障制度はいよいよ一元化の方向に向かっていると言っても私は過言ではないと考えておる一人であります。  そこで、初めに申しましたように、この定額部分のところをもう少し何とか上げていきますためには、一工夫も二工夫もここに必要に、なってくる。一つは、共済年金を初めこれは厚生年金国民年金全体で結構ですが、やはりこれを取り扱う事務的な経費を極力少なくしていく必要がある。そういう意味で、年金が一元化をされてまいりましたら、制度そのもの、そしてそれを取り扱います省庁そのものも本当は一元化をされて、厚生省なら厚生省が年金についてはすべてこれを担当する。先ほど、厚生省に計算は任せてあるというふうにおっしゃいましたけれども、任せるだけではなくて、すべてもう窓口は一本化していくというふうにして、できる限り事務的な経費は少なくして、そこから浮いたものは極力年金受給者のためにその金は使っていく、こういう全体としての方向でなければならないと私は考えている一人であります。  しかし、今回の年金の一元化は、共済年金共済年金厚生年金厚生年金国民年金国民年金と、今までの制度はそのままにいたしまして、そしてただ一番下の定額部分だけを共通部分としてつくっていくという、制度の上ではそういうふうになりましたけれども、事務的な面におきましては何らそこに変化が起こっていない。行政改革の面からいきましても、ここに一元化が実行されるに当たりまして、やはりこれはもっと将来考えていくべき問題ではないかと思っております。このことにつきまして大臣に一言だけお聞きをして、そして次の自主運用の問題に進みたいと思います。——答えにくいようでございましたら、結構でございます。
  46. 竹下登

    竹下国務大臣 基礎年金については厚生省の社会保険庁が一元的にやるという意味においては、今坂口さんのおっしゃった方向ではないか、私はお話を聞きながらそういう認識を持ったわけであります。
  47. 坂口力

    ○坂口委員 それはそのとおりなんです。そのことを私は言っているわけではなくて、年金が一元化をされていくということになるのであれば、やはり制度そのものもできる限り一元化をして、事務的な経費は極力少なくしていく。例えば共済年金なら共済年金にいたしましても、大蔵省でも行っている、文部省でも行っている、農林省でも行っている、あるいは自治省でも行っている、こういうことでありますから、年金の一元化が進んでいくのであるならば、やはりその辺の行政改革もあわせて行われてしかるべきではないか。そうでなくとも年金の資金は足らないわけですから、そういうところでぜひとも、少しずつでも年金の額をふやしていくことにやはり回すべきではないかというのが私の意見でございます。
  48. 竹下登

    竹下国務大臣 今、実際問題を見ますと、国家公務員共済というのは、国家公務員共済の連合会がありましてそれなりに機能しておる。農林年金、そして私学年金、今私どもが感じておりますのは、とりあえず給付の一元化、負担の一元化、それから制度の一元化。  制度の一元化につきましては、いわゆる今日の時点で大変議論のあるのは——私はおっしゃる意味はわかりますし、そういう方向で今後努力しなければならぬ課題でありますが、地方公務員共済の方には、地方公務員共済関係者と言った方がいいかもしれません、の方では大変異論の出ておることも私も承知しておりますが、これは行政改革の建前からも、また一面給付の一元化、負担の一元化、制度の一元化が進む中で当然私どもとしてはそういう方向を目指して進めなければいかぬことだと思っております。
  49. 坂口力

    ○坂口委員 自主運用の問題は再三私ここで取り上げさせていただきましたし、大蔵大臣にももう既に理解をしてもらっているところだと思います。  最初に共済年金の方から聞いておきますが、共済年金の方は、資金のうちでどれぐらい自主運用して、利回りはどれぐらいになっておりますか。
  50. 門田實

    ○門田政府委員 共済年金は、その積立金につきまして国家公務員共済組合法の規定によりまして厚生年金との実質的な均衡を図っていくということでございまして、毎年三四%の比率のものを資金運用部に預託して運用する。したがいまして残りが自主運用、こういうことになっております。  それから利回りの方でございますが、そうしますと、自主運用が多いから非常に高利回りで回っているのではないかとよく言われるのでございますが、実は約七割弱が自主運用ですが、そのうちの半分近くを組合員への福祉貸し付け、例えば住宅ローンとかそういったものに回しておりまして、職員のために低利で貸し付けておる、こういうことでございますので、総体の利回りは高くございませんで、七%ないし七・一%、こういう姿でございます。
  51. 坂口力

    ○坂口委員 これはことしの一月に聞きましたもので、あるいは若干最近もう数字が違っているかもしれませんが、今御指摘のように、三四%が資金運用部に渡っておるわけです。そして、今おっしゃいましたように、住宅あるいは福祉その他に利用されておりまして、それが五・七六%とことしの一月にはお聞きをいたしました。そして資金運用部以外に有利にこれを運用しておりますものは八%ぐらいになっている。五・七六と八%で、合計いたしまして七・一%、これぐらいに最終的にはなっているという話でございました。今確かに半分は福祉だとかそっちの方に回してあるので全体としてはそう高くないとおっしゃいましたが、そちらの方は五・七六%、これが七・一に落ちついておりますのは八・〇%という、一部ではありましても自主運用されておりますから全体として七・一%になっているわけです。もしもこれができなければ、これは七・一%になかなかならないわけでございます。  そこで、これは何度も大蔵大臣に申し上げているわけでございますけれども、これは今度は共済年金審議でございますが、しかし、定額部分は厚生も国民年金もこれからは関係してくるわけでございまして、関係してくるということになってまいりますと、とりわけ厚生年金の今まで貯蓄されました資金の運用をどうするかということと非常に大きなかかわりを持ってくるわけであります。それによってこれからの定額部分の掛金を上げるか上げないかということも決まってくるわけでありますから、これは共済年金にも非常に大きな影響を与えてくるわけでありますね。  厚生年金国民年金の今までの積立金残額は約五十二兆円と言われておりますが、現在のところ資金運用部資金にこれは使用されているわけであります。これはなぜかここでも出ておりますように七・一%でありまして、そしてさらにそこから貸し出されておりますのが七・〇九%とおっしゃったですかね、ほとんど変わらないような、むしろ資金運用部の方は損をしながら貸しているというような状態になっている。金利の自由化の問題もこれありということで、どうしてもこの問題を避けて通れない。年金のたにめも、それから資金運用部全体の問題といたしましても、これは今までのままではいかない状態になってきた。少しずつでもここに風穴をあけて、そして少しずつでも年金の資金として国民に有利にそれが還元されるように考えていかなければ、定額部分一つをとりましてもなかなかこれが上げられない。この運用をよりうまくすることができればもう少しこの定額部分をふやすこともできる、こういうことになってくるわけで、再三和、この問題を取り上げさせていただいておりますが、大蔵省としては非常にかたくなに今までの方針を進めようというふうに言われるわけであります。  ほかに法律改正をしなければならないことも十分に存じております。しかし、そうした法律改正等の問題は抜きにしまして、物の考え方としてその方向にどうしても一歩を踏み出さなければならないときに来ているのではないだろうか、そう思いますが、もう一度改めて大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  52. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる三〇%を三四%にしまして、これは資金運用部に対しては厚年とのバランスをとったということになるわけであります。  今までお答えしておりますのは、とにかく国の信用において集めたものは、安全、確実、有利、そして公共性ということで運用しなければならぬ。そうすると、諸般の金融の今いろいろな商品が出回ってきておりますが、金融情勢全体を見てやった場合に、やはり一元化運用の方が妥当である、こういう答弁をかたくなといいますか、ずっとし続けてきておるわけです。  それは、もう一つは、申すまでもなくいわゆる財政投融資計画というものが第二の予算として存在しておる。そこで若干の変化を考えてみるといたしますならば、この間、金問調、金融問題調査会ですかの答申をいただきましたが、今は大口からの金利の自由化を進めてきておりますが、いずれにせよ金利自由化の問題というのは避けて通れない問題であるということになりますと、財投のあり方から含めて総合的に考える時期はまたあるんじゃないか。ただ、有利運用だけを考えてみますと、これは本当はだんだん変化していきますから、今までのプロが必ずしもプロだとは言えなくなるかもしれませんけれども、非常にリスクもありますので、私は将来の展望として考えた場合、有利運用ということが念頭に置かれた場合においても、やはり一元化しておいて非常に多くの資金を保有しながら対応していった方が有利という面から見てもいいんじゃないかなという感じも時にはするわけであります。  したがって、この問題は、財投計画のあり方からみんな総合的な問題を勘案しながらやっていかなければなりませんので、これから金融の自由化等の進みぐあいを見ながら、これは坂口さん、一緒に勉強してみたいな、こういう感じで受けとめております。
  53. 坂口力

    ○坂口委員 理財局長さんのところに理財局長さんの私的研究グループですか、財投研究会というのが設けられまして、そこで昨年の十月六日に初会合を持たれて、以来そのことを詰めておみえになるお話も実はお聞きをしておるわけでありますが、年金を中心に考えましても、今申しましたように、どうしてももう少し有利な運用ができないか。  と申しますのは、これは共済年金だけではなくてとりわけ国民年金との関係が深いわけですが、国民年金の場合はお一人六千八百円、これももっと上がってくるだろうと思いますけれども、これは丸々掛金として出さなければならない。保険料として出さなければならない。そうしますと、なかなか掛けられない人もたくさん出てきていることも事実であります。これからこれが高くなっていけばだんだんふえてくる。  いつか比較対照のために生命保険のお話をいたしましたけれども、生命保険の方がむしろ、物価上昇が現在ぐらいな程度であるならば、かえって有利だという結論も一つ出るわけであります、同じような掛金をしていって。そして、いつか申しましたけれども、物価の上昇が三%ぐらいずつでずっとおさまっていくと仮定しましたら、四十年掛金をして五年据え置いて、そして二十歳の人が六十五歳からもらいますときに、今の貨幣価値に直しましても六十五万ぐらいずつ受け取ることができるようになるわけであります。現在の国民年金でいきますと、そこは五万円ですから年間六十万ということになりますけれども、その中に三分の一は国庫負担が入っておりますから、それをのけますとうんと少なくなってしまう。むしろそちらの方がいいじゃないかというようなことで、せっかく皆年金という形をとりましてもそこから抜けていく人がたくさん出てくるというようなことにもこれはなりかねないし、現にまたそういう風潮もあるわけであります。  ですから。どうしてもこの年金の資金というのはよりよく運用をしなければならない。ですから、これを五十二兆円全部が全部どうこうしろといったってこれはなかなか無理な話だということは私もよくわかっておりますけれども、しかし先ほど申しましたように、これをかたくなにすべて資金運用部資金であり財政投融資であるというふうに大蔵省ががんじがらめに持って放さないという態度もいかがなものか、こういうことを申し上げているわけでありまして、先ほど大蔵大臣の御答弁は、今までの御答弁のことを思いますと若干ニュアンスの違いはあるようにも感じられるわけであります。しかし、この辺のところはもう少し、ただひとり理財局長さんの私的研究グループとしてそこで研究をなさるだけではなくて、少なくとも大蔵大臣の私的諮問機関ぐらいにはして、もう少し幅広くして、そこでやはりこの問題を大きく取り上げていく必要がありはしないか。きょうは厚生大臣御出席をいただいておりますが、むしろ厚生省等と十分話をしていただいて、そしてその中で、大蔵省だけではない、厚生省とあわせた内閣としての、総理大臣としての一つの研究グループ、諮問機関というようなものをつくってでもそこで検討をしていただいて、そして対応をしてもらわないとこれは大変なことになりはしないか、せっかくできた皆保険制度が崩壊することに結びつきはしないか、大変危惧する一人であります。もう一度御答弁いただきたい。
  54. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに今おっしゃいましたように、若い人の中で、基礎年金だけはちゃんとやろうじゃないか、二階建て、三階建ではお互いが固まりをつくって、より大きな固まりをつくることによって生保会社等と相談して自主的にやった方が、自主自立の精神もさることながらその方がより有利ではないか、こういう議論をなさる人が、これは審議会等でも出てきておる意見であります。だから、世の中変わったなという感じを持ったことも事実でありますが、その議論が出た背景には、一つは、一昨年お願いしましたいわゆる国鉄救済というわけでもございませんが、国家公務員等として電電さん、専売さん、国鉄さん、入っていただいたときの統合の際の審議会の懇談会等でそんな議論が出ておったことを私もよく承知しております。  それから、私が若干違った表現をとおっしゃいましたが、国の信用において集めたものは、公共性もありますから、安くて住宅資金を出したりそういうこともございますので、可能な限り国が公共性を持って有利、安全な方向で運用すべきだという考え方は今一貫しておるわけでありますが、最近の金融制度調査会なんかで議論を聞いておりますと、今度はまた別の角度から生保自体を考えて、もうこれは死んだときということではなしに年金的な物の考え方で新しい商品の開発をすべきじゃないか、こんな議論があって、先般も国会の中の議論でも、イタリーの学者のトンチさんというのですかがお立てになりましたトンチン年金というのがありまして、御案内のように、みんなが出して、そしてその利回りを生きている人だけが受け取っていくという思想ですから、最後だった一人で生きておれば全部もらえるという多少射幸心のある、そんな——その制度がなくなりましたのは、人を殺して自分だけが生きておりたいということの悪影響なんかも出てなくなったそうでございますが、そんな議論が今もう一遍出るような状態でございますので、金融商品がそういういわば老後保障的な物の考え方の中でいろいろ多様化してまいりますと、私は考え方というのをいろいろ変えていかなければならぬという面は出てくると思っております。  そこで一つございますのは、総理府に資金運用審議会というのがあるわけでございます。あそこはどうかなと思って見ましたら、もう肩書のついた偉い人の名前ばかり書いてありまして、書いてあるのではない、そういう人ばかりがなっておりまして、今までは余り回数を開いたことがないようですが、ここの議論というのはどうかなと思って見ましたが、これは総理の諮問機関でございますけれども、少しこれはでか過ぎるなという感じがしました。したがって、理財局長の私的懇談会の形で学者の方を集めたりしておる、その辺から徐々にこの議論が実っていくのではないかな、こんな感じを持っておりますが、ただ、財投のあり方そのものとやはり並行して議論は進めていかなければならぬ課題だというふうには一面思っておることも事実でございます。
  55. 坂口力

    ○坂口委員 今おっしゃいました総理府のその審議会、ここでひとつやろうじゃないかということをこの春の予算委員会でもお答えをいただいたわけなんですが、実際問題、後でいろいろとお聞きをいたしてみますと、今大蔵大臣がおっしゃったように、現実問題としてそれがうまく動くものなのかどうかどうも疑わしい、と申し上げるとそのメンバーの皆さん方に大変申しわけないわけでありますけれども、正直言ってどうも疑わざるを得ない面もあるわけです。しかし、年金の問題はそれほど悠長な問題ではありませんで、今この改革期にきちっとしておかなければならない。そういう意味で、もう少し別なものでおやりいただくのが一番いいんじゃないだろうか。総理府の方がそれで十分に機能を果たしていただければ、全体として財投の問題を含めてやっていただいてよろしいわけですけれども、その辺が多少私は疑いの目をもって見ているわけです。その辺のところがうまくいくものならそれでよし、いかないのならば別途の真剣に取り組んでいただくところをぜひ早急に決めていただいて、そしてこの問題にお取り組みをいただきたい、そういうふうに思います。厚生大臣はちょっとこの問題、なかなか物が言いにくそうな顔をして座っておみえになりますのであえてお聞きいたしませんが、御意見がありましたらあわせて厚生大臣からもお聞きをしたいと思います。
  56. 竹下登

    竹下国務大臣 実際問題、理財局の勉強会がございますが、本来ならば厚年は厚年、それぞれの審議会とかそうしたたぐいのものがいろいろございますので、したがって、総合的に勘案するためには総理府というようなのも一つの考え方かと思いますけれども、今坂口さんもおっしゃいましたように、僕も名簿を見て、この先輩たちが集まって本当にどんな議論ができるかなと思いまして、思いっきじゃございませんが、その方々に一人ずつ自分の好む人を特別委員として出して議論してみたらどうだ、これはほんの冗談みたいな話ですけれども、そんなことも考えてみましたので、今理財局の研究会の進みぐあいを見ながらどういう取り上げ方をした方が一番いいのか、大蔵省だけでやるのもいかがかという感じもしないわけでもございませんので、政府部内でいま少し勉強の時間をお与えいただきたいというふうに思います。     〔委員長退席、中川(秀)委員長代理着席〕
  57. 坂口力

    ○坂口委員 それではこの問題はこのぐらいにしておきますが、厚生大臣、お見えいただきましてありがとうございました。  厚生大臣にひとつお聞きをしたいと思いますのは、先ほどから議論をいたしておりますように、年金の問題は、国民年金厚生年金の方が先にスタートし、今回共済年金がここにまた法案としてかけられたわけであります。少なくとも一元化の方向に進んでまいりまして、内容的には我々賛成しがたい面もいろいろあるわけでありますけれども、しかし、大枠としての行き方としては我々は実は賛成をしているわけでございます。  その内容が、実は最初ごろ触れたわけでありますが、この年金といたしましては、どちらかと申しますと、国鉄共済に象徴されますように官の方が民の方に向かって少し手助けをしていただかなければならないような形になっているわけであります。この次その国鉄共済のこれをお助けする受け皿を一体どことどこにするのがというのはこの法律の中には出てないわけでありますが、そうしたことも含めて考えますと、どうしましてもこれは厚生年金の方にも負担のかかってくる問題ではないかというふうに私自身は考えているわけであります。そういうふうになりますと、年金の方は官の方から民の方に手伝ってもらわなければならない形になる。片や医療の方は、今度は国保あたりを見ますと非常に行き詰まり、そして新しい制度ができましてもなおかつまた行き詰まってきている。こういったことで、今度は民の方が官の方に手伝ってもらわなければならないような形になりつつある。  そういうふうな意味で、年金の一元化がここに曲がりなりにもスタートをし、そしてこの後に続くものとして、やはり医療保険の方も一元化をどうしてもやらざるを得ない状況に来ている。むしろ年金をこうした形で一元化をしていくという背景には、やはり医療保険の方もせざるを得ないというものがあって、これはその背後に隠れて今は見えないけれども、その両方を完成して初めて日本の福祉というものの一つの基本的な姿ができ上がるのではないか、そういうふうに私は考えているわけでございますが、もう一つの医療の側の一元化の話というのは一体現在どこまで進んで、今後どのようなスケジュールで進もうとしておるのでしょうか、ひとつお聞きをしたいと思います。
  58. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 年金も医療の方も、保険制度でありますからにはできるだけ多数の人でこれを支えるというのが原則であろうと思います。したがいまして、医療保険につきましても、全国民給付負担の両面において公平であることがあるべき姿であることは、年金制度と同じであろうと御指摘のように思います。  そこで、厚生省といたしましては、実は老人保健法あるいは退職者医療制度等である程度の保険間の財政調整をやってきたつもりでおるわけでございます。したがいまして、それを一歩進めるためには計画的にやらなくてはならないわけでございまして、昭和六十年代の後半できるだけ早い時期に、医療保険全体の給付負担の公平化を図るという意味での一元化を図りたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、この保険制度のそれぞれの間に、年金よりももっと大きな隔たりがあるのではないかというふうにも考えられます。医療及び保険の関係者はもちろん、経済界、労働界などいろいろ御意見があるわけでございますので、そういう幅広い観点から検討を進めながら、先ほど申し上げました昭和六十年代後半のできるだけ早い時期という目標で鋭意検討いたしておるところでございます。
  59. 坂口力

    ○坂口委員 確かに医療保険の方につきましてはいろいろ格差がございますし、いろいろの御意見もございます。それで、今までもこの一元化のお話を申し上げますと、これは年金も同じであったわけでありますけれども、それぞれの制度、それぞれの歴史があるために一元化は難しゅうございます、これはもう判でついたような御答弁でございまして、年金の問題も、昭和五十一、二年ごろから私何度か一元化の問題を取り上げさせていただきましたが、なかなかこの方向には進んでこなかった。非常に行き詰まるところがたくさん出てきて、ようやくにして腰を上げた。しかし、いささか遅きに失した感もあるわけであります。医療保険の方も、余りほっておきますとどうも遅きに失する感がある。  それで、六十年代後半、それもできるだけ早い時期に、こういうことでございますが、年金もこういうふうな方向に進んだことでございますし、これはもう少し、できる限りテンポを速めなければならない時期に来ているのではないだろうか。いろいろ議論をしなければならない問題、いろいろの意見のあることもわかりますが、私はそんな感じがしてなりません。それに対する御意見もお聞きをさせていただきたいと思いますし、それから、その一元化の方に進んでいきますのに、まず何を整理しなければならないというふうにお考えになっているのか、その点もあわせてひとつお聞きをしたいと思います。
  60. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 御指摘のように、漫然と昭和六十年代後半ということを待っておってはいけないと思います。したがいまして、これまでも、先ほど申し上げましたような老人保健法その他の制度をやっておるわけでございますから、その間におきましてもできる限りの財政調整を行っていかなければならない。  最終的な目標についてのお尋ねでございますが、私は、そういう財政調整と、それから個人負担の一割、二割、三割というのがございますが、そういうものがある程度統一される、この両者をやらなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  61. 坂口力

    ○坂口委員 この問題はなかなか限りがございませんので、一応このくらいにさせていただきますが、最後にもう一問だけお聞きをしておきたいと思います。  これは大蔵大臣の方にお聞きをしたいと思いますが、共済年金の方の既得権者ですね、もう既に卒業されて年金を受けておみえになるこの既得権者に対しましても、今回のこの法改正は影響が及びまして、中には一部スライド等を停止をせざるを得ない人たちも含まれるわけでございます。しかし、考えてみまするに、この年金制度というのは、将来に対してその保険者が、必ずこのことは守ります、したがって、これこれの掛金をしてくださいということをお願いをして、お願いと申しますか約束をしてでき上がっているものでありますから、財政的に苦しくなったからという理由でみだりにそれを変更するということは国民に非常に大きな疑惑を招くことになる、私は、年金制度全体に対してこれは大きなマイナスになると考える一人であります。  したがって、既に年金を受給をしておみえになる方、それから、現在はまだ現役ではありますけれども間もなく年金生活に入られようとされる皆さん方に対しては、やはり何らかの道を考えてあげなければならない。この現職の人、現役の人と、それから既に年金をもらっておみえになる皆さんとの間のバランスということだけでは済まされないのではないか。この人たちにはそれだけのお約束をして今日を迎えたわけでありますから、このお約束をほごにするということになりますと、これから先の年金制度に対しましても、いつほごにされるかわからない、そういう年金にはついていけないという大きな反発の出ることもやはり必至だと私は思うわけであります。そういう意味で、このいわゆる既得権者に対しましてはこれからの人とかなり明確に区別をして、多少そこにバランスが崩れたといたしましても、しかし、それはやはり約束は約束として守っていくということが大事ではないだろうか、このことを最後にひとつお聞きをしておきたいと思います。
  62. 竹下登

    竹下国務大臣 これは本会議でも申し述べましたが、いわゆる通年方式によって算定されておる年金については従前どおりである。退職時の俸給が高い人たちが選んでおるところの、一般方式によって算定されたものにつきましては改定をいたします。しかし、この場合においても現に受けている年金額は保障する。したがって、年金額は下がらない。が、しかし、今おっしゃいましたように、追いつくまでのスライド停止、こういうものがあることは事実でございますが、この問題については、やはり掛金負担が大幅に増加せざるを得ない状況にあるということからいたしますと、私も当時審議会を見ておりまして、つくづく感ずるのは、世代間バランスといいますか、世代間の不公平感というようなものが意見の中でも相当に感じ取られるということになると、やはりそれらのバランスをとった措置としてこれは適切な対応の仕方ではないかなというふうな、まあそう思ったから法律を出しているわけですが、そういうふうな印象を受けたことも事実でございます。  いわゆる既裁定者に限っての御質問でございますから、その議論は当然出る議論だと私も思いますけれども、それが今度、既裁定者でなく期待権に至るまでの議論に延べてくる要因もまたないわけじゃございませんが、世代間バランス等を考えてみますと、私は今度お願いしておるのが適切な措置ではないかというふうな判断で、今後、御議論、問答の中で一層御理解をいただかなきゃならぬであろうというふうに考えております。
  63. 坂口力

    ○坂口委員 最後にもう一言だけつけ加えさしていただきますが、確かに若い世代の皆さん方に負担をかけなければならないことはこれは事実でありますけれども、しかし、本会議でも議論がありましたように、今急にこういう事態になってきたわけではなくて、以前からこういう年齢構成でありますから、今日の事態を迎えることは今までもこれはわかっていたわけであります。再三それに対して早急に手をつけるべきだという意見があるにもかかわらず、この年金問題が今日まで捨てられてきた。これはやはり一にかかって政府の側に責任があると私は思うのです。このことはもう不確定要素じゃないのです。確定要素なのですね、年齢構成というのは。もう十年も二十年も前から、少なくともこの十年、十五年前から今日を迎えることはもうわかっていたわけでありますから、だからそれを今日までそのままにしておいて、そして今この期に及んで、財政事情がこうなってきているからあなた方も元に戻してこうしますぞというのは、これはやはり酷な話ではないだろうか。ただ単に人情論ではなくて、年金の理論の上からいきましてもこれはそうすべきではないのではないだろうか、あえて私は一言申し上げたいと思うわけであります。もう一度御意見ございましたらお聞きをして、終わりたいと思います。
  64. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる既裁定者の中で高い人は、どちらかと言えば相当な給与を取っておやめになった人。だから、一般の人、一般という表現が適切かどうかは別としまして、これには影響のないところであるということになりますと、この辺でやっぱり世代間バランス等を考えると我慢していただかなきゃならないのかな、こういう印象を強くしたことは事実であります。  ただ、おっしゃいますように大体こういう傾向になるというのは、それは二十五年前ですと今とは平均寿命が男女ともに十一歳違いますからちょっと推定が難しかったかもしれませんが、十五年前、確かに私はある程度推定ができたと思うのであります。結局、臨調というのができて年金の一元化という答申が出て、それともう一つは、やっぱりはしりになったのは、これは余りいい例じゃございませんが、国鉄共済がどうにもしようがないようになったというのが、労働者連帯、いい言葉で言えばそれを刺激して第一段階ができた。それで今第二段階、こういう感じがいたしますので、長い間腕をこまねいておったと言われれば、その批判は甘んじて受けなきゃならぬ。しかし、やっぱり政策というものは国民の理解と協力が総合的に得られる環境にならぬとなかなかできないものだなという印象は、殊のほか私も強くしているところであります。
  65. 坂口力

    ○坂口委員 どうもありがとうございました。
  66. 中川秀直

    中川(秀)委員長代理 玉置一弥君。
  67. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ようやく年金制度の改定の最後が出そろったという感じでございますけれども、いろいろ論議がある中で進められていることは事実でございまして、これからかなりの十分な煮詰めをやっていかなければ十分なものができない、こういう感じで受けとめておりまして、昨日も本会議質問させていただきましたけれども、やはり長期的な安定化を図るということでございまして、我々が最も心配いたしますのは、将来どういうレベルでの給付が受けられるのか、そして負担がどこまで上がっていくのか、こういう心配がございます。  その中でも、昨日も申し上げましたように、税負担と社会保障負担、この辺のバランスの問題がありまして、いずれにしても国民負担という形になって残るわけでございまして、総理の答弁では、欧米よりも低いところでいきたいというお話でございましたけれども、低いところでいくにしても、向こうが上がれば、それに応じて上がってしまう。そして北欧の例のように、五〇%を超えますと、これまた社会の活力がなくなってしまう。こういう問題もございまして、給付は受けたいけれども、まさにこれから負担していく者と給付を受ける者とのバランスの問題もございまして、十分先を見た制度改革にお願いをしたい、かように思うわけでございます。  きのうは大筋の質問をいたしましたから、きょうは時間も短くしろということでございまして、大体三十五分間ぐらいで終わりたいと思いますけれども、ちょっと細かい内容についていろいろお伺いをしていきたいと思います。  まず、今回の共済組合法の改定で、今まで官民格差のうちの一つというふうに見られておりました算出方法の違い、これが一応同一の算出方法によるいわゆる通年方式に、改められてまいりました。そして今までの期間の合計のいわゆる支払い給与、そこから年金額を算出をする、こういう形になったわけでございますけれども、その中身が基礎報酬、これは従来までの共済年金のいわゆる標準報酬というような形でございますけれども、今回からいろいろな手当が含まれるようになった。開くところによりますと、期末手当、勤勉手当、調整手当、その他のいろいろな手当がございますけれども、いろいろ含まれておるということでございまして、まずどういう手当が含まれてきたのか、そしてなぜ含まれたのか、この辺についてお聞きをしたいと思います。大蔵省ですか、どっちですか。
  68. 門田實

    ○門田政府委員 先生指摘のように、今回、共済年金につきましても標準報酬でいくということを考えておるわけでございますが、本俸プラス諸手当ということでございまして、今おっしゃいました期末、勤勉手当、こういうものは入っておりません。恒常的な諸手当ということでございまして、あくまで臨時的なものは入っていないということでございますが、内容的には、大体現在の厚生年金がとっております諸手当、それと同じ考え方で臨んでおるわけでございます。
  69. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ちゃんとした名前で言ってほしいのですけれどもね。
  70. 門田實

    ○門田政府委員 ちょっと数が多くございまして恐縮でございますが、俸給のほかに俸給の調整額というのがございます。それから俸給の特別調整額、初任給調整手当、それから、これからなじみの多いものでございます。扶養手当、調整手当、住居手当、通勤手当、特殊勤務手当、特地勤務手当、特地勤務手当に準ずる手当、筑波研究学園都市移転手当、超過勤務手当、休日給、夜勤手当、宿日直手当、義務教育等教員特別手当、定時制通信教育手当、産業教育手当、教職調整額、医師暫定手当。  手当の中で含められていないものを申し上げますと、期末手当、勤勉手当、育児休業給、寒冷地手当、以上でございます。
  71. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今いろいろな手当が出てまいりましたけれども、人事院にお伺いしたいと思いますが、来ておられますか。——人事院では八月ごろに人事院勧告を出されるということでございまして、今まさにいろいろな調査をしておられるところだと思いますけれども、我々の方ていつも感じますのは、地域によって賃金較差というものがあるということ、そして企業の規模によってこれまた賃金較差があるということでございまして、その辺で、現段階あるいはその前の資料になるかと思いますけれども、大都市周辺とその他の地域においてどういう較差があるのか、お調べでございましたらお答えをいただきたいと思うのです。
  72. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 お答えいたします。  私どもが官民比較を現在実施している最中でございますけれども、御案内のように、基本的には企業の規模あるいは事業所の規模というものを基本にいたしまして、全国一本で集計をいたします。そういう関係で、地域別にどの程度の較差があるか、そういう集計は行っていないわけでございますけれども、そういう地域の指標を示すものとしまして、私どもの民間調査の結果から幾つか拾って申し上げてみたいと思います。  一つは、大都市地域におきます民間企業における地域関連手当とでも申しましょうか、そういう手当支給状況でございますが、民間企業におきましては、京浜地区につきましては手当として一〇・五%程度の手当支給している。名古屋におきましては九・五%、京阪神におきましては九・八%、北九州が五・六%、それから福岡が六・九%、こういう結果を民調の中から私どもは拾い上げておるわけでございます。
  73. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 これは今回手当ということでお取り上げいただいたわけでございますけれども、実質的な総額からいうと賃金の較差ということになるわけですね。そういう意味で考えていきますと、確かに報酬比例ということで年金の受給額が決まってまいりますけれども、本人の努力にもかかわらず給与のレベルが違う、自分がどこに勤めておるかということで差がついてしまう、こういうことがございます。  今回いろいろな手当が含まれたということで、その含まれた理由についていろいろ聞いてみますと、厚生年金と合わせたのだ、一口で言うとこういうことらしいですけれども、よく考えてみたら厚生年金もちょっとおかしいのではないか、そういうような感じがします。  と申しますのは、例えば通勤手当あるいは住宅手当そして扶養手当、こういうものがございました。扶養手当がありますけれども、その第一被扶養者であります配偶者、こういう方々が今度は国民年金基礎年金としてカウントされるということになっておりますと、報酬比例部分の分というのはダブりではないかというふうな感じがするわけです。それから通勤手当が出されておりますけれども、この通勤手当がそもそも税額控除の対象になっておるわけでございますから、やはり国も必要経費であるというふうに認めているわけでございまして、必要経費をたくさん使えば年金がふえるのかということが考えられる。そして住宅手当でございますけれども、これはまさにとてもこれで足りる、ほとんどが埋められるほど出ているということは考えられないわけでございまして、だれもが負担をしている状況でございます。  そういうようなことを考えていきますと、今現にある手当がまさに、生活の補てんという意味では役立っておりますけれども、実質はそれ以上のいろいろな経費が発生をしている。そして場合によってはダブりのようなものがある。先ほどもありましたように筑波の移転の手当、これは移転の一時期しか発生しないわけでございますから、こういうものが年金の額のいわゆる標準額の中の通算の中に入ってしまうというのはおかしいわけでございます。そういう意味でいきますと、かなりのいろいろな手当が、本当はもっと省かれていかなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけでございまして、今回の本俸以外の手当を算出基準の中に入れたということに対して、おかしいというように私は指摘をしたいわけでございますけれども、まず大臣のお考えを聞いていいですか。
  74. 竹下登

    竹下国務大臣 すべて厚年並みにしたという以上の知識の持ち合わせが私にありませんので、詳しくは事務当局からお答えをした方が適切かと思います。
  75. 門田實

    ○門田政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、ここのところは確かにいろいろ議論があるところだとは思いますが、本俸でいくか標準報酬でいくか、標準報酬でいくとなりますと、その中で一つ一つの手当を吟味して、これは妥当である、これはいかぬということをやりまして、それをまた事務の上へ移していくというのも非常に大変なことでございまして、非常に不合理なものだけを大きく除いておく、こういうことで処理したわけでございまして、考え方の基本は、ただいま大臣から申しましたように、これも厚生年金に合わせていく、こういうことでございます。  この内容は、今後政令の内容ということで取り運んでいくわけでございまして、その辺よく考えながらやっていきたいというふうに思っております。
  76. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 では、先ほど申し上げましたように、筑波の移転の話とかそれから通勤手当、これは要するに遠くに住むほど年金が高くなる、こういうことになるわけですね。これでいいのかどうか、その辺についてどういうふうにお考えになるか、お聞きしたいと思います。
  77. 門田實

    ○門田政府委員 個別の議論、非常に難しいのでございますが、これは国共審、国家公務員等共済組合審議会でも議論を重ねた上でこういう結論的なものになった、こういう事情も一つございます。
  78. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 審議会で決められたら、中身を十分に詰めないで全部そのまま採用するということですか。
  79. 門田實

    ○門田政府委員 なおよく考えてみたいと思います。
  80. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 一つ考えられるのは、現在、例えば東京に勤めておられる方が将来ともに、老後東京に住むということはまず確定的じゃないのですね。ところが九州におられる方が、たまには京都に住んでみたい、で、京都へ来る、あるいは東京へ来る、こういうことも考えられるわけですね。そういうふうに考えていきますと、働いたところで給与レベルが当然違いますけれども、いろいろな手当が違う、こういうこと。あるいは、今まで例えば八王子とか、あるいは場合によっては小田原とか、遠くから通っておられる方が、老後東京都内に住むというのはまず考えられないですね。逆に、八王子に近いところ、あるいは小田原に近いところにそのまま自分の家として維持される、こういうことになるわけです。今現在、通勤手当として含まれている、いわゆる所得の上乗せ分というふうに計算上は考えていいと思いますけれども、この部分が、今度年金受給の標準額に、本給にかなり上乗せされるわけですから、そういう面で考えますと、要するに、働いた報酬としての部分じゃなくて、勤めるためのいわゆる経費になるわけですね。そういうふうに考えていきますと、そういうものが将来どうなるかわからない状況の中で、基準の中に含まれるのはおかしいというふうに思います。  じゃ、通勤手当だけに限定してお聞きしますけれども、これについて、今私が申し上げましたけれども、こういう状況があるという予測をするわけです。これについてどういうふうにお考えになりますか。
  81. 門田實

    ○門田政府委員 まず一般論をちょっと申し上げたいのですが、今の年金の仕組み、特に報酬比例の方の仕組みは、収入に応じまして掛金を負担していく、その負担した掛金に応じて年金給付が受けられる、こういう仕組みでございますので、一般的な場合ですが、やはり都会におきましてある程度稼ぎもいいというようなことがありました場合には、やはりその収入に見合って負担しているわけですから、給付額も大きくなる、こういう事情がございます。  また一方で、収入が多く見積もられました場合には、短期の掛金、いわゆる医療、健康保険等のあれでございますが、短期の掛金の方もそれに一定の掛金率でかかりますから、負担が大きくなるということで、一概にどちらがプラスかマイナスかということは言えない、こういう状況があるわけでございます。  それから通勤手当の問題につきましては、これはいろいろの議論がございましたが、厚生年金相当部分というものは、計算方式あるいは標準報酬のとり方を厚生年金に合わせようというのが最後の結論でございまして、こういうことにしたということでございます。
  82. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 余りあれすると、四十分で終われというのが終わらなくなりますのでやめますけれども、まあ掛金を払っている部分に、ある相当額が今度国からの補助という形で出ていますよね。そういうことも含めて、自分の負担が丸々通勤手当そのものに対する負担じゃないということですから、それ以上の部分が国——共済の場合国でございますけれども、国または企業体から出ているということになるわけでございまして、その部分が将来不公平に結びついてくるというふうな感じがするわけでございます。  あと企業規模別にもいろんな格差があるわけでございますけれども、ちょっと時間がないので省略いたします。  そこで人事院にお伺いしたいのですが、今回の共済年金法の改正案につきまして、きのう御答弁が本会議でございました。何となく余り歯切れがよくないような感じを受けたのですけれども、今回の共済法改正についての御見解をお伺いしたいと思います。
  83. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 昨日総裁から本会議で御答弁申し上げているところでございますけれども、御承知のように、現在の国家公務員の共済年金という制度は、社会保障制度一環でありますと同時に、やはり公務員制度の一部としての機能を持っているわけでございます。私どもといたしましては、公務員制度としての機能が今回の改正によって果たされるかどうかということに重大な関心を持っておりまして、内容的に見ますと、きのうも総裁が答弁申し上げたところでございますが、公務員にとりまして厳しい側面を持っていることは事実でございます。しかしながら、今回の改正案の中には、いわゆる三階建ての部分の三階部分と申しますか、職域年金の部分等におきまして公務員としての特殊性が配慮されているということで、基本的には、今回の年金制度改正というものが高齢化社会に向けての年金の一元化という基本的な立場に立っておりますことを前提といたしまして、やむを得ない措置である、かように考えておるわけでございます。
  84. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 国家公務員法の百八条によりますと、意見の申し出をするというようなことが決められておりますけれども、今もちょっとお話がございましたが、具外的な意見がまとまっているのか、あるいはまた申し出をするのかどうか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  85. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 御承知のように、沿革的には昭和二十八年に、国家公務員法に基づきまして意見の申し出をいたしまして、それが三十四年の、現在の共済制度をつくる際の基本になった、このように理解をしているわけでございますが、その後、人事院として正式にいわゆる国家公務員法に基づく意見の申し出ということをしたことはございません。  で、今回の場合におきましても、過去数回そういう例がございますけれども、口頭で大蔵省に対しまして、先ほど申し上げましたとおり、公務員の特殊性に配慮した形の年金制度改正にしていただきたいということは申し上げておるわけでございます。  私ども、今後この共済制度の成り行きにつきましては、先ほど来申し上げておりますような理由で重大な関心を持っておりますので、その成り行きいかんによりましては、あるいは意見を申し上げる機会もあるのではなかろうか、かように考えております。
  86. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 それでは職域年金についてお伺いしたいと思います。  今の人事院のお話では、公務員制度一環としての一つの目玉だというようなことでございます。今までのいわゆる格差問題を論議していく中で、かなり解消してきたという気持ちを持っておりましたけれども、どうもこの部分が考えてもわからない。確かに立派な仕事をしていただくのですから、後の立派な保障ということは必要でございますけれども、ただ何となく、公務員であるからついたというような感じであるとなかなか納得できないわけでございます。  聞いてみると、企業年金のようなものだという話がございます。企業年金の今の状況をいろいろ調べてみますと、そう必ずしもほとんどの企業で、民間で実施をされているわけじゃないということでございます。退職年金、企業年金の普及状況、これはちょっと古いのですけれども、昭和五十六年の状況で見た場合、全産業で、年金制度と退職金の一時払いと両方ありますけれども、退職年金だけで見ますと一八・五%しかないという非常に少ない状況になっております。こういうことから見ると、なかなか、まだ二〇%前後しかない状況でございますから、それが大いに普及したから職域年金をくっつけたのだという理由にはならないと思うわけです。  そして企業格差。まあ民間の中では企業格差がたくさんありまして、年金をつけられるほど余裕のある企業、そうでない企業、いろいろあるわけでして、ますます規模的な面での格差がついてくるのではないか。そういう状況でございますから、そこにまた共済制度の方で職域年金というような形でやられてきたということについて、我々も若干疑問を感じるわけです。ただ、悪い方向じゃないわけですから、何としても、今度は逆に、せっかく職域年金をつけていただいたんだから、これに民間のレベルを合わせていきたいという気持ちがございますので、そういう面で若干御質問をしていきたいというふうに思います。  財源の話でございますけれども、企業年金の場合には、退職一時金のいわゆる延べ払いのような形で払われておりますけれども、共済制度の場合には国が負担をするというような形になって、いわゆる保険の積立金の中にプールをされるということになるわけですから、財源が違うんじゃないかというように思いますが、これについてどういう判断をされておりますか。
  87. 門田實

    ○門田政府委員 共済年金としまして職域年金部分を設けたという場合の考え方は、やはり何といいましても公務の特殊性ということを中心に考えたわけでございます。民間における企業年金の実情でありますとか幾つかの要素も頭の中にはありますが、やはり公務の特殊性というものが中心になっておるわけでございまして、職務専念義務でありますとか私企業からの隔離でありますとか信用失墜行為の禁止でありますとか、やはり公務員個々にとりましてはなかなか厳しい状況があるわけでございます。そのために労使折半という形で財源を考えました。したがいまして、これは職員の掛金負担にもやはりはね返るわけでございまして、おのずからそこには限度があるであろうという感じがいたすわけでございます。  退職金を財源とする考えがあるかないかというような話になりますと、これは総務庁の所管でもございまして、私どもの方ではなかなか答えにくい事柄でございます。
  88. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 労使折半でおのずから限度があるだろうという感じですけれども、全体労使折半ですね。そういうふうに考えていきますと、上積みされた部分も本体も変わらないのじゃないかというような感じがするわけです。ただ、やはり片方が退職金の延べ払いであれば、当然同じようなことも考えていかなければいけないし、逆に厚生年金の方に、あるいは企業年金の方に問題があるということであれば、そちらの改善を図るというのがいいんではないかと思いますけれども、管轄が違いますね。大蔵省じゃないですね。  そこで、厚生省来ておられますね。今企業年金のお話を申し上げました。企業年金が普及されたという話を聞いておりますけれども、実態で見ると、まだそうは普及されてない。しかし、退職金と併用という形ではかなりの分野に広まってきているというのは事実でございますし、今回のように職域年金が共済制度でできますと、また新たにかなりの企業年金の普及というものが考えられるわけでございます。  これについていろいろな問題点が従来言われておりますけれども、特に年金積立金のいわゆる受給権の確保、保全という面から見て、積立金そのものをある程度守っていかなければならないだろう、こういう時期に来ているんじゃないかというふうに考えるわけです。今ですと、企業の中に準備金として置かれている場合あるいは外部に預け入れの場合あるいは預託、いろいろな方法をとられている場合がございますけれども、ほとんどの場合、企業のいわゆる資金の中に組み込まれてしまっているという状況であると思います。余りにも普及してまいりますと、例の退職金の問題のように一、企業が倒れてしまった場合に、自分たちの、いわゆる企業年金として退職金の全額を引き出さないで残しておいたものがなくなってしまう、こういう心配があるわけでございまして、そこで我々の方は、この保全のために再保険の制度をつくったり、あるいは外部預託という形で基金を守るということをやるべきだというふうに考えますけれども、厚生省として何らかの検討をされているのか、またどういうふうにされていくのか、それについてお伺いしたいと思います。
  89. 渡辺修

    渡辺説明員 お尋ねの企業年金の積立金の保全の件でございますが、私ども厚生省として直接所管をしておりますのは厚生年金基金でございます。このほかに税制上の適格退職年金あるいは先生おっしゃいました各企業が独自にやっております自社年金、大きく三種類あろうかと思いますが、私どもの厚生年金基金につきましては、適格退職年金の場合と同じように所要の費用をあらかじめ積み立てる事前積立方式、そして、先生御心配の加入者の受給権を確保する見地から、基金をつくりました企業から独立した外部に積み立てをする、こういう仕組みをとっております。  企業の倒産などによりまして基金が解散をしました場合、この基金の給付内容は、厚生年金の一部を代行する代行給付部分と、企業独自に上乗せする給付の部分と二通りございますが、前者につきましては厚生年金本体がこれを受け継ぎまして、基金加入人への給付を保証するということにしております。また、後者の企業独自の上乗せ給付部分につきましても、冒頭申し上げましたとおり、外部に事前に積み立てる方式をとっておりますので、基本的には受給権は保全をされるわけでございますけれども、中に、過去勤務債務がなお未償却である、あるいは発足後給付改善をいたしまして、そのための費用の積み立てが不十分である、こういうケースがございますが、その場合には、倒産などによって基金が解散いたしますと、御心配の積み立て不足を生ずるケースがあるわけでございます。このような場合に、年金給付をどう確保していくかということにつきましては、自社年金におきます御懸念とあわせまして、再保険制度の創設等を含めて今後の検討課題だというふうに私ども認識をしております。
  90. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 約束した時間に一分しかありませんので終わりますけれども、今回の共済年金の改定はいろいろな問題点が残っているわけです。  あと余り時間がございませんのでまとめて申し上げますけれども、日本たばこ産業、国鉄それから日本電信電話株式会社、それぞれの職域年金の決め方について、国鉄の場合は六十五年まではとりあえず留保されておりますけれども、それ以降の問題も含めてやはり考えていかなきゃいけない。そして、ことし初めて昇給について、NTTとたばこについてはそれぞれが独自で決めてきたという経緯がございますから、その辺も踏まえて、これはきのうも若干申し上げましたけれども、職域年金の部分についても独自の設定ができるようにしていかなければいけないのではないか。  それから、国鉄共済の職域部分については、六十五年までは、今の状況からいくとかなり苦しいからしようがないだろう、ほかの企業体あるいは国家公務員の方にかなりの負担を持っていっているわけでございますから、多少の問題はあるとして、六十五年以降どうなるのかということがございました。この辺についての一応の方向を確認したいと思います。
  91. 門田實

    ○門田政府委員 お話しのございましたたばこ産業、それから電信電話でございますが、これは現在国共法の適用を受けておりまして職域年金部分はあるわけでございますが、民間企業としてなお自主的なものをつくりたいというお話もあるやに聞いております。それは結局は税制適格年金という制度がございますが、そういった税制上の要件を満たせるかどうかということで創設の自由度はあるんだ、こういうふうに思います。  それから国鉄でございますが、国鉄共済は残念ながら財政状態が非常に悪化しておりまして、六十五年度以降というお話でございますが、今の見通してはさらに悪化するということでございます。そういった国鉄共済の状況あるいは国鉄そのものの状況から見まして、先行きとも非常に困難ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  92. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 終わります。
  93. 中川秀直

    中川(秀)委員長代理 正森成二君。
  94. 正森成二

    ○正森委員 後の日程の関係で時間が少し短くなるようでございますが、共済年金法案について若干の質問をさせていただきます。  国民年金について少し伺いたいと思いますが、現在保険料を払っておられない方が相当数に上ると思います。私の方から申しますと、保険料の免除申請ということで、法定免除の方が四・七%で約八十七万人、申請による免除が一二・〇%で約二百二十二万人、合わせて一六・七%というように言われておりますが、これは大体合っておりましょうか。
  95. 植西常郎

    ○植西説明員 お答え申し上げます。  ただいまおっしゃいましたとおりの数字になっております。
  96. 正森成二

    ○正森委員 そのほかに公的年金を受けていない無年金者が、五十九年度で六十五歳以上の老人の七・七%に当たる九十二万人、新制度が行き渡る三十年後には百五十万人前後になるということが、参議院の社会労働委員会答弁されたようですが、それも間違いございませんか。
  97. 古賀章介

    ○古賀政府委員 先般成立をいたしました年金法の審議の過程におきまして、先生指摘のような質疑がございまして、政府側よりそのような答弁をいたしております。
  98. 正森成二

    ○正森委員 そこで伺いたいのですが、いろいろ資料を見ますと、国民年金の積み立ては支給に要する金額の大体三%ぐらいであるというようにも言われておりますが、現在積立金がどうなって、その将来の財政収支は、もし今回の改正がなければどうなる予定だったか、簡単に御説明願いたいと思います。
  99. 古賀章介

    ○古賀政府委員 お答え申し上げます。  五十八年度末現在におきますところの国民年金の積立金は二兆九千億円でございます。現行法のまま推移いたしますと、国民年金の保険料は昭和五十九年度価格で昭和六十一年度六千八百円から成熟時におきましては一万九千五百円まで段階的に引き上げざるを得ない、またそうすることによって制度を運営していくことができる、こういうふうに推定をいたしたわけでございます。
  100. 正森成二

    ○正森委員 それを聞いているんじゃなしに、制度改正がなければいつ積立金がなくなるのかと聞いているんです。
  101. 古賀章介

    ○古賀政府委員 現在の国民年金の保険料が六千七百四十円でございますので、これを据え置くといたしました場合にこの国民年金の積立金がどのくらいもつか、こういう御指摘かと思いますけれども、六十七年度までということでございますから、ほぼ五、六年で積立金がなくなる、こういうことに相なるわけでございます。
  102. 正森成二

    ○正森委員 そこで、いろいろ資料を見させていただきますと、伺いますが、今井一男さんという方がおられますが、この方はどういう役職をしておられる方ですか。
  103. 門田實

    ○門田政府委員 ことしの一月末まで国家公務員等共済組合審議会の会長をされておりました。現在はされておりません。
  104. 正森成二

    ○正森委員 この方は共済組合連盟の会長もされており、社会保障制度審議会の委員も現在しておられる方ではありませんか。
  105. 門田實

    ○門田政府委員 そのとおりでございます。
  106. 正森成二

    ○正森委員 その方がある座談会でこういうことを言っておられるんですね。前の方は省略いたしますが、  国年は何とかして追いつけというんで、人為的成熟化を図った。ですから、国年の方は一番最初にパンクする。今の任意加入の問題もどうにもうまいこと解決できない。妻の任意加入はどうしても強制でいくしかない。また事業主の負担がなければ損だということで、被用者の妻は全部こちらの方に強制加入しちゃうという手を使って、婦人の年金権の名のもとに、ああいう制度を考えた。一人ずつが年金持ちというのは、どこの国でも生活はすべて世帯単位で行われるという原則の無視です。名前を基礎年金とかえで、社会保障制度審の基本年金とマギらわしい名前を活用したわけです。 今度の改正国民年金救済法といっていいと思う。基礎年金との改名で世間をごまかしている点にむしろ国民的反感さえ感ずる。 こう言っておられます。つまり、こういうように専門家が、国民年金は今のままだと遅かれ早かれパンクせざるを得ない。そこで基礎年金という名前で今度の制度導入して、サラリーマンの妻などは全部強制加入にして、そしてその保険料は御主人の方から払わせるという格好で基礎を広げることによって、国民年金の破綻を救ったものであるというのがこういう方々の指摘であります。  現在、年金の中で一番財政規模が弱いのは言うまでもなく国鉄でありますが、その次が国民年金だ。この国民年金を救うためにこういう制度をつくったんだけれども、それを政府は余り言わないで、国民共通の基礎年金ということを言っておるが、そういう言い方には「国民的反感さえ感ずる。」というのを、これは今井一男という相当責任のある人が言っているんですね。これはある意味では当たっているのではないですか。そして、救うために、先ほど坂口委員からも指摘がございましたが、非常に高い保険料を払わせて、国の負担というのは非常に少なくしているということが言えると思います。  委員部、資料を配っていただきましたか。大臣関係の方、その資料を見てください。この資料は、我々が一定の前提のもとにインプットしたものでありますが、まず、数字の方を見ていただきますと、これは左側のは、月の保険料が六千八百円で、毎年三百円ずつ上げていくという政府の考えで、それがどれぐらいたまっていくかというのを見たものであります。年齢は二十一歳から始まって六十歳までずっと積み立てる。六十五歳までは据え置きということでございますから、それを見ていただきますと、単純積み立てで国庫負担がゼロという場合は五百四十三万三千六百円、六十歳になったときには積み立てておる。これは単純な数学であります。それが右の方に行きますと三%の複利計算。これはただで遊ばしていくわけではございませんで、財投の場合には現在七・一%でありますが、物価上昇がございますから、実質金利が三%といたしますと、これは金利がつきますから、六十歳のときに九百六十三万六千七百三十円になります。さらに、据え置き期間も金利はふえてまいります。六十四歳を見ていただきますと、これが一番高くて、複利計算で千八十四万円になります。  右側を見てください。これは制度が成熟したときに、月に一万三千円納めていくという場合であります。これは初年度は一万三千円掛ける十二ですから十五万六千円。それをずっと下へ行っていただきますと、六十歳のときには六百二十四万円、三%の複利計算をいたしますと、千百七十六万円になります。それをさらに下へ下っていただきますと、六十四歳というのがピークになりまして、千三百二十三万八千九百六円であります。ここから六十五歳は月五万円ですから、六十万円ずつもらっていくわけであります。     〔中川(秀)委員長代理退席、熊川委係員長代理着席〕 ここからが減り始めるわけですね。しかし、減り始めますけれども、三%の複利計算で見てみますと、一番最後のところですね。八十歳まで長生きするということで、一万三千円の場合には、十五年余り六十万円ずつもらいましても八百七十八万七千六百五円残ることになります。六千八百円から始める場合には四百九十四万八千五十三円残ることになります。  これは私が昨日本会議で、これはとんでもないことではないか——いいですか、来年から六千八百円ずつ納めて、毎年三百円ずつ上がり、一万三千円まで上がるということになれば、三分の一の国庫負担をいただくどころか、そんなものをもらわなくても、三%の複利計算で運用するとすれば、約四百九十五万円払い過ぎということになる。一万三千円の制度が成熟したときには、八百七十九万円近くも国に寄附したまま死んでいくということになる。これでは三分の一の国庫負担ということは、成熟した段階等で、保険料を納めている人には少しも還元されないではないかという理屈になるわけであります。私の質問に対して、本会議では、厚生大臣はそういうことにはなりませんというような簡単な答弁がございましたが、コンピューターで数字を入れてみるとこういう結果が出てくるのですね。これについてどういうぐあいに御説明いただけますか。お願いいたしま
  107. 古賀章介

    ○古賀政府委員 お答え申し上げます。  先生の今おっしゃいました実質利回り三%という問題でございますけれども、年金の長期的な数理計算をいたします場合には、この実質利回りをどう見るかということがいろいろあろうかと思います。物価上昇率とそれから運用利回り、これの差が実質利回りになろうかと思いますけれども、この物価上昇率それ自体、それからさらには運用利回りそれ自体がどのくらいになるのか。その差が同じ三%でありましても、年金の数理計算では非常に大きな差が出てくるわけでございますので、実質利回り三%と置いて計算することも一つの仮定でございますけれども、それはそれで一つのケースとしての試算があろうかと思います。  しかしながら、過去の実績を申し上げますと、これは既に御承知かと思いますけれども、国民皆年全体制をとります直前の昭和三十五年以来の実績でございますが、年度平均で消費者上昇率が七%弱、賃金上昇率が一一%弱となっているのに対しまして、金利については、例えば民間の生命保険の場合でも八%弱、こういうことでございますので、その差が一%というような実績になっておるわけでございます。そういうようなことから見ましても、この年金の計算というのは長期にわたった見通してございますので、その仮定の置き方にいろいろなケースが出てくるということが第一点でございます。  それから、大臣答弁をいたしました趣旨と申しますのは、やはり何と申しましても公的年金と申しますのは、これは世代間の社会的な扶養のシステムであるということでございます。やはり年金受給者の年金というものを後世代の方々が拠出をする、そういうことによって成り立つわけでございますから、その個々人にとっての損得ということはあったといたしましても、制度それ自体としては世代間の扶養ということで成り立っておるということでございます。のみならず、基礎年金につきましては、今度の新制度では三分の一の国庫負担がつけられておるということでございます。
  108. 正森成二

    ○正森委員 そうすると、三%の実質金利であればこういう結果になるということは認めた上での御答弁ですね。三%の実質金利になるかどうかわからぬ、過去の例では一%ぐらいであるということと、それから世代間の負担だから、個人としてはまさに正森委員の言うとおりだけれども、全体のために辛抱しろ、こういうことですな。今の答弁をちゃんと正当に日本語として聞けばそういうことになる。
  109. 古賀章介

    ○古賀政府委員 先生のお示しになりました数字は、物価上昇率がゼロで実質利回りが三%という場合には、これは当てはまるかと思います。
  110. 正森成二

    ○正森委員 あなた世間を惑わすようなことばかり言っているね。物価上昇率がゼロで実質金利が三%なんて言えば、世間の人は物価上昇率がゼロなんということはないから、正森委員はいかにも無理なことを言っておるな、こうなるけれども、物価上昇率が仮に三%で、そして金利が六%であれば実質金利は三%、こうなるわけでしょう。同じことでしょう。今うなずきましたけれども、それは今の経済状態として大いにあり得ることじゃないですか。  大蔵省に伺いますが、今財投の運用金利は七・一%ですけれども、これは去年は実質金利にしたら幾らになるのですか。——物価上昇率がゼロなんておかしなことを言うから、そこで聞かざるを得ない。
  111. 古賀章介

    ○古賀政府委員 専門家の数理課長答弁をさせたいと思います。
  112. 坪野剛司

    ○坪野説明員 ただいまの御質問の件でございますけれども、この資料は今見て御説明を受けたわけでございます。この計算によりますと実質金利三%というようになっておりますけれども、この計算の仮定といいますのは、先ほど古賀審議官から御答弁ありましたように金利が三%、物価がゼロという場合につきましてはこの計算のとおりになることは私も同感でございます。
  113. 正森成二

    ○正森委員 だから、それは金利が六%で物価上昇が三%でもほぼ同じことでしょう。
  114. 坪野剛司

    ○坪野説明員 ここに計算されております例えば物価が三%で金利が六%というのは実質金利三%であることには間違いございませんけれども、ここの計算ではこのような額にはなりません。あくまでここに計算されているのは金利が三%、物価がゼロという、そういう場合の実質金利の三%で計算されているということでございます。
  115. 正森成二

    ○正森委員 財投が七・一%ということはわかっているのです。その場合に、去年のというように特定して実質金利何%かという非常に単純なことなんですけれども、大蔵省それのお答えがないようです。きょうは質問の頭を出すだけで、厚生省の答弁も非常に何か含みのある、わけのわからぬような答弁ですから、この問題については次回に継続で伺うことにしたいと思います。  しかし、いずれにせよともかく運用益を生み出すということであれば、少なくともその個人にとっては、払ったものだけももらえないという結果になることは非常にはっきりしているのです。ですから、それは決して国民すべてに対する基礎年金ではなしに、私が言いましたように国民すべてからの基礎収奪であるということは、当たらずといえども遠からずということを申しておきたいと思うわけであります。  次に、終わる時間が参りましたので伺いますが、国庫負担、これは国民年金厚生年金の場合には、厚生省が四月九日でございますか参議院で答弁をいたしまして、国庫負担が非常に低くなる、二〇二五年には旧制度だと八兆三千億円なのが五兆六千億円に二兆七千億円減少する、そのほかにも二〇五〇年までの資料を出しております。こういうものが出るのなら、共済年金の場合にもどのくらい国庫負担が削減になるのか、大蔵大臣にお答え願いますと申しましたが、残念ながら大蔵大臣はお答えになりませんでした。私はこの法案審議の前提として極めて重要なことだと思いますので、きょうは委員会質問でございますからぜひお答え願いたいと思います。厚生年金国民年金で厚生省に出せたことが、共済年金について大蔵省に出せないはずはない。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕
  116. 門田實

    ○門田政府委員 御承知のように、今回の改正で国庫負担基礎年金に集中する、こういう形をとっておるわけでございます。従来の国庫負担年金額全体に対してかかっておった、そこのところが違うわけでございます。したがいまして、簡単に比較ができるというわけにもまいらないわけでございますが、さしあたっては経過措置等が講ぜられておりますので、例えば六十一年度、六十二年度と、その辺につきましては大幅な変更は生じないということは言えるわけでございます。その後、将来的に六十五年度、七十年度あるいは八十年度、この辺をぜひ出すようにというお話だと思いますが、その辺は鋭意準備いたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  117. 正森成二

    ○正森委員 厚生年金国民年金につきましても、衆議院段階では似たようなことをおっしゃってお答えにならなかったわけですね。参議院段階で非常に強く要求されて、当然のことながら数字が出てきたわけであります。やはり、審議をするときに、第一院である衆議院での審議の中でそういう結論を出すのがフェアであって、厚生年金国民年金で計算できたものが、共済年金については、数年先は出せるけれども二十年先、三十年先、五十年先は出せないなんということは、国会審議に対する軽視である。大体、三十年先、五十年先、二十一世紀を見込んで、これではやれないからといって改正するのでしょう。それなのに、そのときにはどういう姿になるんだと言えば、それは計算中であるというようなことでは、まじめに衆議院を通過させおるのかと言ってもいいと思うのです。  ちょうどいい切りがございましたから、質問を留保して、これで私の本日の質問は終わります。
  118. 越智伊平

    越智委員長 塩島大君。
  119. 塩島大

    ○塩島委員 国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案外三案につきまして、その概要を本会議におきまして大蔵大臣にお尋ねしたわけでありますが、本日はさらに具体的にお伺いしたいと思います。  そこでまず初めに、共済年金の現状及び将来の見通しにつきまして、幾つかの点をお伺いしたいと思います。  第一は、組合員と退職年金受給者の割合、いわゆる共済年金制度の成熟度の現在と将来、昭和九十年程度までの状況は、国共済の場合についてどうなっているか。  第二は、年金額につきまして、新規退職者の最近の平均退職年金額は国共済の場合どうなっているか。また、この年金額が保険料を負担する現役組合員の月収に対する比率、いわゆる給付水準はおおむねどの程度となっているか。また、現行制度のままでいくと将来この給付水準がどの程度になるか。  第三は、国共済につきまして、年金財政の将来見通しはどうなっているか。また、現在の保険料率及び将来の保険料率がどうなるか。以上の諸点につきましてお伺いしたいと思います。
  120. 門田實

    ○門田政府委員 お答えいたします。  国共済のいわゆる成熟度、組合員数に対しますところの年金受給者の割合でございますが、五十八年度決算で三二・一%でございますが、漸次比率が上がってまいりまして六十年度三四・八%、七十年度四九%、八十年度五三・八%、九十年度五二・四%、こういう数値が見込まれております。  年金額でございますが、五十八年度末現在に省ける平均退職年金額月額約十五万九千円でございます。新規裁定者の年金額は、三十五年勤続が平均になっておりますが、五十八年度退職者で月額十九万二千円とふえてまいっております。それから、現役組合員の月収に対して年金額がどういう比率になるかということでございますが、五十八年度末における現役組合員の平均月収は約二十八万円でございます。これに対しまして十九万二千円の年金額でございますから、六九%という比率になっております。それから、今後加入期間が徐々に伸長して、今の三十五年が四十年ぐらいになるであろうということでございますが、その場合には、現行制度のままでまいりますと二十二万六千円という年金額になりまして、八一%という比率になります。このままではバランスが崩れるということでございます。  国共済の年金財政の将来見通してございますが、これは昨年十月の財政再計算のときに推計いたしたわけでございますが、昭和七十六年ごろ単年度収支で赤字になる、昭和八十六年ごろ積立金も食いつぶしてしまう、その年の給付をその年の拠出で賄わなければいかぬ、賦課方式になってしまう、こういうことでございます。  それから保険料率でございますが、現在の掛金、組合員の掛金率は今は対本俸でやっておりますので七・一二%ということになっておりますが、これは月収に対する割合に直しますと約五・七%でございます。ただし、これは国鉄に対する拠出を含めておりませんので、このための掛金負担を含めますと本俸に対して七・六五%、月収に対しては六・一%ということになります。これに対しまして厚生年金男子の場合は、現在が五・三%で、ことしの十月に引き上げまして六・二%ということで、若干公務員より高い、こういうことになろうかという感じでございます。現行制度のままでまいりますと、将来の保険料率は、月収に対して労使で約三九%ということになるわけでございます。厚生年金も、今のままでいきますとそういう感じになるということがあったわけでございまして、それでは成り立たないということで今回の改正をお願いしておるということでございます。
  121. 塩島大

    ○塩島委員 五十七年七月に出されました共済年金基本問題研究会の意見によりますと、保険料の負担の限界は千分の二百ないし二百五十とされております。ただいまお伺いしました将来の見通しによれば、この領域をはるかに超えており、制度の安定的な運営は困難なものにならざるを得ないと言うことができます。  将来の給付水準は、現役組合員の月収の八〇%を超えるということであります。現役組合員は、平均的には夫婦子供二人の四人世帯であり、教育費や住宅投資等が必要であることを考えれば、老夫婦二人の受給者世帯に比した場合、均衡を失していると思われます。  このように考えてまいりますと、老齢世代の受け取る年金は、現在の制度のままでいきますと、現役世代の生活水準負担とのバランスを損なうほど高いものになると考えられます。共済年金制度を長期的に健全で安定したものとしていくためには、給付水準適正化を図ることが必要不可欠と考えられます。共済年金制度改革に当たっては、負担給付水準について将来を十分に展望し、適正な給付水準とすべく努力すべきであると考えますが、この点についての御見解を賜りたいと思います。  さらにまた、長期的に安定した制度運営を行うためには、公平性のもう一つの側面、すなわち世代内での公平を図る必要があり、そのためには制度間の不均衡や過剰給付、重複給付の調整を行っていく必要があると考えますが、あわせてお考えをお伺いしたいと思います。
  122. 門田實

    ○門田政府委員 ただいま先生からお話がございましたとおりだと思います。高齢化のピッチが非常に急でございますので、私どももやはり今から備えていかないといけないというふうに考えておるわけでございます。  それから、世代内の公平のために制度間の不均衡、過剰給付、重複給付の調整を行う必要があるのではないかという御指摘があったわけでございますが、まさにそういうことも考えまして、国民共通の基礎年金制度というものを導入いたしまして、そうしてその上の報酬比例部分も調整を図っていく、こういう設計を考えているわけでございます。
  123. 塩島大

    ○塩島委員 次に、今回の共済年金改正案の概要についてお伺いしたいと思います。  厚生年金国民年金等の民間の年金制度については、昨年二月の閣議決定に沿って、既に国民年金の適用を厚生年金の被保険者及びその配偶者に拡大し、共通の基礎年金支給する制度改正し、厚生年金基礎年金の上乗せとしての報酬比例の年金支給する制度改正されております。また、これらの年金制度におきます給付負担の長期的な均衡を確保するため、将来の給付水準適正化を図り、婦人の年金権の確立、障害年金の充実等が図られたところであります。  共済年金につきましても、同じ閣議決定の中で、厚生年金国民年金改正趣旨に沿いました改正を行うこととされておりますが、しかし、共済年金制度は、公的年金制度としての性格の他に、公務員制度等一環としての性格を持っており、公務員には、争議行為の禁止や政治的行為の制限等さまざまな身分上の制約が課されているという公務の特殊性を考えるならば、制度の設計に当たり何らかの配慮も必要であろうと思いますが、今回の共済年金改正に当たっての基本的な考え方、その概要につきまして大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
  124. 竹下登

    竹下国務大臣 今回のこの改正というのは、高齢化社会の到来に備えて、公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図ることとする公的年金制度改革一環である、こういうことであります。このような公的年金制度改革の方向に沿って、今回の改正は、今も御意見にもございましたが、公的年金制度の一元化を将来展望しながら、公務員制度等一環としての側面に一方で留意しつつ、給付負担均衡を確保するための給付水準適正化を図る等の措置を講ずるものであります。  このような考え方のもとで、今回の改正では、共済組合組合員等に対しても、全国民共通の基礎年金制度を適用しますとともに、共済年金基礎年金に上乗せするところの報酬比例年金としてこれを設計し、その内容は、大体厚年相当部分に職域年金相当部分を加えたもの、こういうのが概要、ということになろうかと思うわけであります。  いずれにせよ、高齢化社会は確かに急速に参りましたし、仮に一・七人ずつこれから二人で子供を産みますと、この間ある統計で、八百年すると日本人が全部なくなる、こういうことのようでございます。その八百年先まで展望したわけじゃございませんけれども、二十一世紀、そしてその後を展望して負担給付というものを考えていって、そこに従来からの生い立ちに基づく公務員制度の側面を加味するというと、現状において妥当なものとして御審議をお願いしておるということになろうかと思います。
  125. 塩島大

    ○塩島委員 先ほど、現行制度における給付水準がどうなっているかをお伺いしたわけでございますが、改正案ではこれらがどうなるのか、改正によって年金受給者の生活レベルが落ちることにはならないのかどうか。また、現行制度におきますいわゆる官官格差が指摘されているわけでございますが、今回の改正でこの点どのようになったのか。また、年金を世帯全体として見れば、基礎年金すなわち定額部分のウエートが高まりまして、さらには全期間の平均標準報酬を算定基礎とするということで、人によっては改正前後で給付水準がそんなに変わらない者もいると考えられるのでありますが、その点とういうことになるのか、お伺いしたい。  また、遺族年金につきまして、今回どのような改正が行われたか、改正前後で給付水準がどうなったかもお伺いしたいと思います。さらにまた、今回の改正案によりまして、将来の保険料負担がどうなるのか等についてお伺いしたいと思います。
  126. 門田實

    ○門田政府委員 今回の改正によって給付水準がどうなるかという御質問でございますが、現在の組合員の月収に対する年金額の比率が三十五年勤続で約六九%、こう申し上げましたが、今回の改正案によれば、四十年勤続で十九万四千円ということで、四十年勤続で約六九%でほぼ同水準、こういう給付水準になるわけでございます。  それから、官官格差というお話がございました。これは公務員グループの中での年金額の多い、少ないという問題でございますが、今回の改正は、一階部分が基礎年金、二階部分が厚生年金並み、それから三階の職域年金も、所得の違いによって比率が違うというようなことはございませんで、ある一定の比率、こういうことでやっておりますから、いわばこの改正は上薄下厚の改正ということでございまして、そういった官官格差というものは大いに是正されるということでございます。  それから、給仕水準をモデルで示すようにというお話がございましたが、これもいろいろなケースがございます。ごく簡単に二つの場合を申し上げますと、退職時本俸二十五万円、加入期間四十年の者について見ますと、年金額は現行法では十七万五千円ですが、改正案では十八万六千円、逆に現行を上回りまして、完成時でも十七万四千円と、ほぼ変わらないわけでございます。これに対しまして、退職時本俸例えば四十五万円、加入期間三十年、少し短い方、こういう人をとりますと、現在では二十四万八千円という金額になりますが、改正案では、改正直後で二十万三千円、完成時で十七万五千円、約二割から三割の減になる。こういうことでございまして、今回の改正は、一般的に俸給の低い人、そうして加入期間の長い人、こういう人が水準の落ち込みが少ない。逆の方には、逆に厳しい。先ほど上薄下厚と申し上げましたが、そういう傾向が出てございます。  それから、遺族年金についてお尋ねがございました。どういうふうに変わるのかということでございますが、これもいろいろ内容複雑でございます。  ポイントだけ申し上げますと、基礎年金導入ということで、共済年金の遺族年金定額の遺族基礎年金と報酬比例の遺族共済年金、こういう二つに構成することになります。それから、遺族共済年金支給率、現在の二分の一から四分の三というふうになります。  それから、中高齢の寡婦に対しましては、退職共済年金の四分の三に相当する基本的な年金額に、六十五歳に達するまでの間、月額三万七千五百円という加算を行います。  それから短期組合員、いわゆる加入期間の短い組合員でございますが、短期組合員につきましても、いわゆる組合員期間みなしということで、期間が短くてもある年数を与えまして、それで計算していくということで、現在は原則十年、公務上は二十年と、こうなっていますが、今度は公務上、公務外にかかわらず二十五年ということで、有利な計算をすることに。なっております。  それから、今回の改正案で将来の保険料負担はどうなるかということでございますが、保険料率はその増大を極力抑えていこうということでございまして、昭和九十年度に保険料率で二九%強という数字が予測されておるわけでございます。現行のままいきますと四倍ぐらいふえるところを三倍程度に抑制しよう、こういうことでございます。
  127. 塩島大

    ○塩島委員 改正案では、共済年金制度についても、基礎年金導入しまして、共済年金は、その上乗せの報酬比例年金に組みかえられ、その算定方式も、加入全期間の平均標準報酬を算定基礎とするなど、ほとんど厚生年金と同じになっております。閣議決定では、「昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる。」となっておりますが、給付については、今回の改正案によりましてほとんど一元化されたと考えられます。しかしながら、費用負担については、必要な保険料はそれぞれの保険者ごとに決められることになっており、今後の被保険者数や組合員数の動向等によって、その費用負担に差が出てくることが考えられます。この公的年金部分については、給付が同じであるならその負担も同じというのが、全被用者を通じて見た場合公平な扱いであると思いますが、今回の改正によりまして給付の一元化が図られるわけでありますので、今後、負担面についてはどうするのか、お考えをお伺いしたいと思います。
  128. 門田實

    ○門田政府委員 御指摘のように、今度の改正案が成立いたしますれば、公的年金制度間における給付水準の調整というのはほぼ完了するのではないかというふうに考えます。したがいまして、今後は、負担面における制度間の調整ということを進めてまいりまして、公的年金の一元化を図っていく必要がある、こういうふうに考えております。  また、特に国共済の事情といたしましては、国鉄共済に対して財政調整を実施しておりますが、これが昭和六十五年度以降非常にきついということでございまして、その後は、公的年金全体でこれも調整を図っていく必要があるであろう、こういうふうに考えております。     〔委員長退席、熊谷委員長代理着席〕
  129. 塩島大

    ○塩島委員 次に、国鉄共済年金の問題につきましてお伺いしたいと思います。  国鉄共済年金は、既に財政的に破綻し、昭和六十年度からは国共済グループによる財政調整が行われ、年金の支払いが確保されているわけでありますが、そこで、国鉄共済年金の現状について、国鉄にお伺いしたいと思います。  国鉄共済年金に対する財政調整計画は、財政調整事業運営委員会で策定され、さらに国共審で審議されたわけでありますが、財政調整委員会における「計画策定にあたっての基本的考え方」の中で、「今回策定した計画は、あくまでも昭和六十年度から六十四年度の五年間に限った当面の対応策にならざるを得なかった。仮に六十五年度以降も現行の財政支援体制であるとすれば最早支援は不可能であって、支援体制の拡充、強化が是非とも必要である。」と述べておりますし、国共審の答申においても、「国家公務員・電電・専売の三共済による国鉄共済年金に対する財政調整事業は、拠出側組合員負担増等から判断すれば、今回の計画が限度であり、速やかに年金制度の一元化を展望しつつ公的年金全般による調整方策を確立すべきである。」と書かれているわけでありますが、昭和六十五年度以降の国鉄共済年金状況はどうなのか、また、それに対してどう対応していくのか、国鉄及び国鉄問題に精通していらっしゃいます大蔵大臣にお考えをお伺いしたいと思います。
  130. 小玉俊一

    ○小玉説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり、六十四年度までは財政調整というようなことで何らか当面しのいでいけるという感じでございますが、六十五年度以降はいかんともしがたいという事情でございます。六十四年度までですと、年平均約九百数十億の収支が合わないということでございますが、六十五年度以降は、年平均三千億を超えるというようなことになっております。  やはり一番大きな問題は、退職者の急増ということがございまして、戦中戦後採用しました職員が大量に退職するという時代を迎えておる。しかし、一方において掛金を負担する職員は国鉄経営の合理化というようなことでどんどん減ってまいる、これが一番大きな原因でございます。私ども、今後とも経営改善、職員の合理化というのを進めていく所存でございますが、そういう過程におきましては、先生指摘年金の問題がまさに問題になってくるわけでございまして、私どもとしましては、やはり年金全体のより大きい場と申しますか、より大きい単位の中で調整とかあるいは統合とか、こういうことを図っていただく、そういう中で国鉄の年金問題をぜひ解決していっていただきたい、かように考えている次第でございます。
  131. 竹下登

    竹下国務大臣 いささか感想を含めて申し述べますならば、私はとにかく五年間はいわゆる国共済で国鉄を抱えようやということが合意に達しましたのは、国共審等の懇談会等に出ておりますと、まさに労働者連帯、そういう連帯意識というものがそのようなことを許容したというふうに考えられました。しかしながら、さはさりながら、それから先ということになるとこれは大変でございますので、当然の帰結、どうなりますか、これからそれこそ分割・民営、それから要員がどうなるのか、それからベア率がどうなるのかというようなことで、具体的な見通しを必ずしも立てるわけにはまいりませんけれども、総合的に申しますと、公的年金全体を通じてこれは対応していかなきゃならぬ課題だ、また、それはしなければならないことではないかというふうに思っております。  実際、ちょうど我々級の、年齢が大体満鉄から帰りましたりした者でございますが、帰ったときのいわば我が国における大変な雇用の場が国鉄であったと私は思います。そして、それがちょうど我々級の年齢になりますと、本当に当時あごひもを締めまして、ちゃんと軍手をはめて、体で押すようにして乗客を運んでおられた国鉄の姿というのは、私も脳裏にまだ焼きついております。昭和三十九年までは国鉄は赤字じゃございませんでした。ちょうど佐藤内閣ができまして、佐藤さんが総理大臣になられて私、官房副長官のときに、鉄道出身の人が総理大臣になられたが赤字になりますがねということを言ったことを記憶しております。  が、少なくともそうして体を張ってあの戦後の輸送力の増強に挺身された方々が、年金に対して大変な不安を持たれるという状態は正常でないと思います。それが労働者連帯意識の中で少なくとも今六十四年までは支えられたというときに、そういう方々から、あの法律が通ってよかったということを言われたときに、私も何だかいささか感傷めいた気持ちになったこともございました。したがって、あと五年すればその方々も私ぐらいでございますから、かなりお年をお召しになるわけでございますが、全体の中でこれに何とか対応していくということに、国民世論全体も醸成されていかなきゃならぬというふうに考えます。
  132. 塩島大

    ○塩島委員 これに関連しまして、昨年二月の閣議決定の中にある、昭和七十年度を目途に公的年金制度の一元化を完了させるということにつきまして、一元化の目的は何か、また、今後どのようにこの七十年に向けて公的年金の一元化を進めていくのか、お伺いしたいと思います。  今回の共済年金改正は、給付負担均衡という観点から見直しを行い、制度を長期的に健全かつ安定したものとするためにはぜひとも必要であるというように考えているわけでありますが、この改正は閣議決定にある公的年金一元化の過程でどのような位置づけとなるのか、お伺いしたいと思います。これは厚生省、大蔵省にお伺いしたいと思います。
  133. 山口剛彦

    ○山口説明員 先生ただいま御指摘がございますように、我が国の年金制度が分立をしておりますことに伴いまして制度間に格差がある、あるいは国鉄の問題に象徴されますように制度の基盤が非常に不安定になる制度が出てくる、あるいは重複給付というようなものが問題点として指摘されているわけですけれども、これを解決をしていくためには、今の分立をしている年金制度をやはり何らかの形で大きな保険集団にするということも含めて、公平な制度にしていく必要があるだろうということが、私ども今回ねらいにいたしました一番大きなところでございます。そのために、国民共通の基礎年金という考え方を導入いたしまして、基礎年金という共通の給付をつくることによって保険集団も大きくしていく、また共通のルールで併給等の調整もしていくということで、より安定した公平な年金制度が将来に向かって確立できるのじゃないかというのが、今回の改正の非常に大きなポイントでございます。また、政府全体として年金制度を一元化していくという目的も、その辺にあろうかと思います。  今後どうこの一元化を進めていくかということにつきましては、御指摘がありましたように、政府といたしましても閣議決定をいたしておりまして、まず厚生年金国民年金にそういう改正をいたしまして、この趣旨に沿った共済年金改正を六十年にぜひ実現をいたしまして、六十一年の四月には同時実施をするというスケジュールを決めております。そういった観点からも、ぜひ今回の共済年金改正というものを早期に成立をさしていただきたいと思っておりますが、その後につきましては、今回の改正で相当一元化に向かって前進が図られると思いますので、その成果を踏まえましてさらに調整を進め、先ほども負担面の調整が必要ではないかという御指摘もございましたが、そういう問題も含めまして調整を進めまして、政府といたしましては何とか昭和七十年度には一応公的年金制度全体が安定したものになる、全体としても整合性のとれた姿になる、そういう年金制度の確立を目指したいということで努力をしている最中でございます。     〔熊谷委員長代理退席、委員長着席〕
  134. 門田實

    ○門田政府委員 私どもも基本的に全く同じでございます。大変困難もありますけれども、七十年一元化に向かって努力をしてまいりたい、かように思っております。
  135. 塩島大

    ○塩島委員 以上で私の質問を終わらせていただきます。      ————◇—————
  136. 越智伊平

    越智委員長 金融に関する件について調査を進めます。  この際、堀之内久男君外四名より、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同五派共同提案による、金融機関の週休二日制に関する件について本委員会の決議を行うべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。堀之内久男君。
  137. 堀之内久男

    ○堀之内委員 ただいま議題となりました金融機関の週休二日制に関する件についての決議案につきまして、提出者を代表して、提案趣旨を御説明申し上げます。  金融機関の週休二日制につきましては、昭和五十八年八月以来、郵便局を含めました全金融機関が一斉に第二土曜日の閉店制による週休二日制を実施してきており、現在までのところおおむね順調に定着しているものと考えられます。  さらに、本年二月から郵政省は三連休時の機械稼働を実施いたしております。また、民間金融機関の一部では、週休二日制を月二回に拡大しようという機運も出てきているところであります。すなわち、全国銀行協会連合会は、毎土曜休業日の機械稼働と週休二日制の拡大について、月一回週休二日制の実施後三年目に当たる六十一年八月ごろを目途に、あわせて実施する方針であると聞いております。その具体的時期と方法については、機械稼働が試行的に行われる本年九月ごろまでに、関係各方面との協議、調整を行って結論を得たいとのことも決めているということであります。  このような情勢を踏まえ、去る五月三十日、当委員会金融機関の週休二日制に関する小委員会を開会し、関係各省から金融機関の週休二日制実施の現状及びその拡大についての問題の所在、労働時間の短縮についての必要性と政府の考え方等について説明を聴取し、調査を行ったところであります。  金融機関が週休二日制を拡大することは、我が国全体の週休二日制を普及、促進する上で寄与する面が極めて大きいものがあります。そのためには、まずもって中小企業、消費者等金融機関利用者の理解を得るとともに、預貯金業務を行う全金融機関の週休二日制が円滑に実施されること等が必要と考えるものであります。  よって、当委員会といたしまして、金融機関の週休二日制に関し、政府に対し、業界における調整等を積極的に支援するよう要請する必要があると考え、この決議案を提出した次第であります。  以下、案文の朗読により、内容説明にかえさせていただきます。     金融機関の週休二日制に関する件(案)   労働時間の短縮は、世界の趨勢であるばかりでなく、貿易摩擦の軽減にも資するものであり、現在、実施の気運が出てきている金融機関の週休二日制の当面一日の増加について、円滑かつ速やかに実施できるよう、政府は最善の努力を行うべきである。   右決議する。 以上であります。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  138. 越智伊平

    越智委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  お諮りいたします。  本動議のごとく、金融機関の週休二日制に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 越智伊平

    越智委員長 御異議なしと認めます。よって、本件を委員会の決議とするに決しました。  本決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣
  140. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいまの御決議につきましては、政府といたしましてもその趣旨に沿って努力してまいりたいと存じます。ありがとうございました。
  141. 越智伊平

    越智委員長 お諮りいたします。  本決議に関する議長に対する報告及び関係当局への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 越智伊平

    越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る二十一日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十四分散会      ————◇—————