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竹下国務大臣 サミットで税制論議をするというのは、これは税に対してどう
考えるかというお互いの相互
理解と、それから、サーべーランスと言っておりますが、サーべーランスという
言葉は、人によってはサーベルつきで監視するような感じがしますけれ
ども、
現実、相互監視を行うわけであります。したがって、中曽根総理は、
国会でおっしゃっているようなこと、税制改正をしたいと、こういう
発言が首脳
会議であったであろうと思います。私は、私のカウンターパートは
大蔵大臣ばかりでございますから、
大蔵大臣会議で双方の現在置かれておる立場を話し合った。
総じて言えることは、ヨーロッパの人は、減税をしよう、そして減税する
財源はどうかなと思って関心を持っておると、何分
日本と比べれば
国民負担率にすれば一五%あるいは二〇%近く高くなっておるわけですから、いや、減税をした分だけ、極端に言えば福祉をいかにするかというのが政治課題だ。だから増減税という感覚はございません。
それからアメリカの場合は、きょう発表になりまして、今分析を頼んでおりますけれ
ども、現地時間の夜八時、きょうの午前九時ですか、レーガン大統領がアメリカ
政府の税制改正案を発表した。これは
考え方は増減税ゼロでございますが、我々としてちょっと
考えられないこと、我々の従来の
考え方からすると相当なものだなと。フラット税制でございますけれ
ども、いずれにしても所得税を三段階にするというわけでございますから、それは相当なものだなと思います。しかも、その累進税率、一番高いところで三五%というのですから、
日本の七〇%から見れば大変なことだな。それから、法人税を三三%をトップレートとする段階税率というようなことを言っております。それから投資減税は廃止、加速償却制度は圧縮するというような
考え方でございます。それで、総じて個人所得税が七%減、法人所得税は九%増、結果としてそういうふうになるのではないか。だから、どっちかといえば
財政に対しては中立的な立場をとった
考え方。
日本も、率直に言って、
財政にとっては中立的な
考え方の税制改正の話を私
どももいたしております。減税した分だけ歳出を切るという
考え方には立っておりません。しかし、総じて言えるのは、サミット参加国の諸君が
日本に減税を要求するということはありません。これはなぜかというと、比べてみて租税
負担率も
国民負担率もはるかに
日本が低いから、
財政赤字がそんなに多ければ増税すればいいじゃないかという感じはあっても、減税しろという感じは、みんな
数字が並べてありますから、出てこない、こういうことになるというふうに
考えます。
それで、中曽根さんの提案したのは、平素言っておることでございますので、私も非常に気を合わせて言っておりますのは、予見めいたことを言った場合に、これが税制調査会の
審議に影響を与えるのじゃないか。だから、可能な限り予見めいたことは言わないで、
お答えするにしましても、今日までの税調の検討では大体こういうふうな中間的意見がございますという第三者の意見を紹介するような形で今日に至っておるわけであります。したがって、先ほど来の
議論ではございませんが、
国会の
議論というのを正確に報告して、今もおっしゃいました、確かにヨーロッパは小選挙区でございまして、その足らざるところを比例代表で補っておる、イギリスは単純小選挙区でございますけれ
ども。が、
日本の場合は中選挙区でございますから、
日本社会党は今二十一選挙区しか複数の選挙をお立てにならないのでございますけれ
ども、私
どもは百二十一でございましたか、複数候補者を出してせめぎ合いますから、それは派閥もできますし、その中で増税とかあるいは現体制におけるサービスを少しでも削減するような演説はできにくい環境にありますが、その辺は世界で一番賢い
国民でございますから、将来はそういう勇気ある人をまた支持する
国民がふえていくであろう。また、我々もそういう努力をしなければいかぬ。耳ざわりの悪いことを言ってもなお支持されていくような見識を持たなければならぬ。
話が横道にそれましたが、そういうことを
考えますと、今日は可能な限り予見を与えないような
議論をして、そして
国会の論議を正確に伝え、税調でこれを消化してもらうという点においては、中曽根総理と私との
考えは一致しておるというふうに御
理解いただいてよくはないかと思います。