○正森
委員 それでは、財政危機を招いた要因等に絡む問題はこのぐらいにしまして、理財
局長に資金運用部資金や財投について伺おうと思っておったのですが、横に
野尻さんとおっしゃいますか、わざわざ
証券取引所からおいでいただいておりますので、質問の順番を変えて、
野尻さん、この問題だけお答えになれば帰れるわけで、
最後まで残っていただくのはお気の毒ですから、
局長はいいという意味ではございませんけれ
ども、これは役目ですから仕方がない。
東京証券取引所は突如呼び出されたわけですから。
大蔵大臣、この前二月二十日にたしか財政経済の集中審議がございました。そのときに私が質問させていただきまして、この問題を短い時間でございましたが、速記録を見ますと議論しております。そのときに私が一番関心がございましたのは、電電、NTTの株をいかに公正な価格で円滑に売却をしていくか、そこにいささかも
疑惑を招くようなことがあってはならないという
観点から若干質問しておりますが、ごく短く引用いたしますと、KDDのときの例を挙げて、相当
利益を上げているのに
株価が五百円に対してわずか六百二十四円とか五百九十六円ぐらいで落札されておる。それがあのときの、あの日の
株価で三万七千円であるというようなことも申しまして、「ですから私は、売却に当たってはやはり、最初はそれはまだ上場しておりませんけれ
ども、できるだけ早く、最初は二部か一部かわかりませんが上場して、公開の株の値段を国民の前に何人にでもわかるようにして、そしてゆっくり時間をかけてその値段に近い線で売っていくということであれば国民は納得するでしょう」
云々ということを言っております。
これに対して竹下
大蔵大臣が、「私とまさに今、考え方、正森さんとそう違っていないと思うのであります。」光栄の至りでありますが、そういう御答弁をいただきまして、「今の正森
委員の
意見も、私
どもとして聞かしていただいた
意見の
一つであると受けとめて、やらなければならぬと思っております。」という意味の御答弁をいただいております。
それで、きょう同僚
委員も私以外にいろいろ御質問があったようであります。それに対して、私が
調査室等から承りましたところでは、大臣の基本的な答弁のスタンスは、今審議しておる、これを通していただいて、そして慎重に検討して、いやしくも公正を欠くような、そういうことのないようにしたい、具体的な方法はまだこれからであるという答弁を続けられたように聞いております。それで、公式的にはそういう御答弁であろうと思いますが、しかし何となくそれではこの法案が審議をされるのにいささかコクがないというような感じもいたしますので、
証券取引所の方にも来ていただいて、私の方からいろいろ例えば、多少はまたおっしゃることもあるかもしれない。どうなさるかと聞けば、それはまだ決まっておりませんというお答えにならざるを得ないかと思いますので、議論をしていきたいと思います。
そこで伺いますが、これは三月十九日の日経であります。「英電電上場に道」という見出しで、英電電というのはBTのことですね。それで、「十二月には発行済み
株式数の五〇%強を英、米、日などで売り出し、
日本では最終的に一億八千万株が売られた。」ということを申しまして、「こうした
日本国内にある大量のBT株の流通をうながすため、BTは
東証に上場を希望、引受
証券会社を通じ
東証に打診中」こういうことを言っているのですね。
その同じ
記事の中で「
東京証券取引所は十八日、昨年発足した英国電電の民営後の新
会社であるBT(ブリティッシュ・テレコム)の
東証上場について、弾力的な措置を講じる方針を固めた。従来、上場の条件となっていた過去三年間の収益力・配当基準について、基準を改正、BTの上場に道を開こうというもの。
東証では同時に四月から発足する
日本電信電話会社(新電電)のケースも同様に対応するとしており、六十一年度前半に予想される新電電の政府株放出と前後して、上場が実現することは確実となった。」こう書いてある。確実であるかどうかはわかりませんが、これは注目すべき
記事であるというように思うのですね。
それで、ここに「上場
関係規則集」というのがございます。ありがとうございました。これは
東京証券取引所の
昭和五十九年十一月のものでございまして、これを見ますと、「上場規程等」とか「
審査基準等」とかそういうものがずっと載っているんですね。私は、株はあなたから見れば素人、だれから見ても素人かもしれません。学校で習ったことぐらいしかよく存じませんが、
東証では上場というのは一応二部上場のことを言われて、二部上場から一部上場になるにはこういう条件が必要であるというようなことで、大阪
証券取引所とか名古屋とかいうところに上場しておったとか、あるいは二部に上場した後こういう条件が備わったものということが書いてありますね。そういうことであろうと思いますが、何分にもNTTは、いろいろな比較のとり方、指標のとり方にもよりますが、トヨタ、東京電力に劣らない我が国一の規模の企業であると言ってもいい。ということになれば、通常の上場と言えば二部だというのでなしに、一部上場もできるようにした方がいいのではないかという声が
一つあります。
それからもう
一つは、これを少し見てみたのですが、読み方が間違っているかもしれませんが、BTのときに言われたように、過去三年間の
利益がどうとか配当がどうとか、そういうことになりますと、
株式会社になったばかりですから、厳密に言えばそれには合致しないということにもなりますし、それから、私が見た中でこれは一番問題だなと思いましたのは、第四条一項(2)のaですか、「
株式の分布
状況」というところがありますね。「大株主上位十名及び特別利害
関係者が所有する
株式の総数(以下「少数特定者持株数」という。)が、上場のときまでに、上場
株式数の七〇%以下になる見込みのあること。」という規定がありますね。
これはずっと見ておると例外規定があって、私も
東証に勤めているわけじゃないから、あるいは間違っているかもしれませんが、「付則」のところに「第四条第一項第二号aの規定にかかわらず、当分の間、少数特定者持株数については、上場のときまでに上場
株式数の八〇%以下になる見込みがあり、かつ、上場後最初に終了する事業年度の末日までに上場
株式数の七〇%以下になる見込みがあること」。それからさらに附則の3には、「上場
株式数が六千万株以上の場合における前項の規定の適用については、同項中「上場
株式数の七〇%」とあるのは、上場
株式数が六千万株以上一億二千万株未満の場合にあっては、「上場
株式数の九〇%に当たる
株式数から千二百万株を減じて得た数」とし、上場
株式数が一億二千万株以上の場合にあっては、「上場
株式数の八〇%」とする。」というような例外規定もあるようであります。
そこで、そういうことを前提に置いて、これは
審査基準でありますが、もしこの
審査基準を文字どおり守るということになりましたら、
日本電電は大株主十名どころか、大株主は竹下登
大蔵大臣を代表とする
日本政府一人なんですね。これを上場するのに適用させようと思えば、二〇%なり三〇%なり売って、それで株主をふやしてからでないと上場できないというようなことになれば、そんなことをしているうちに政府が売る予定の半分の大部分は売ってしまうということになって、公正な
株価を決めるために
東証を利用するというようなことは事実上できないということになりかねないのですね。ですから、私はこの
審査基準については何らかの御配慮が必要ではないかというように思いますが、お答えをいただいてから私の考えもさらに述べたいと思います。