○
武藤(山)
委員 大臣の約束時間ですが、
河本さんへいま二分時間をいただけますか。
対外経済対策の責任
大臣として、今の開放
経済あるいは自由化――
市場開放、
金融の自由化、いろいろな問題が押し寄せてきている。第三の黒船到来、開国だと言う学者もいる。
日本は
アメリカ人のペリーによって開国をされ、大変だと大騒ぎしたが、開国してみたらかえって
日本に力がついて、
日本が
経済発展した。
経済発展したら、うぬぼれて日清戦争をやり日露戦争をやって、また少々鎖国的な
政策が
昭和になって入った。第二の開国は、結局第二次世界大戦で敗れたことによって
日本は門戸を聞かされた。門戸を聞かされてみたら、また
日本の
経済活力が発展をし、今四十年の歴史を経過した。第三の門戸開放、この開国が中長期的に見て
日本にどういう影響を与えるかというのが、我々の今一番興味のあるところなんであります。
その結果が出るのは僕らがもう政治家をやめた後だと思いますけれ
ども、この第三の開国と言われる今の自由化の道を誤ったら大変なことになるし、また、この中でどういうところに落ちついていくのかということを事前に
国民に知らしむるのが、
政府の責任でもあると私は思うのであります。特に総理
大臣の責任だと思うのであります。お二人ともやがてひょっとすると総理
大臣になるかもしれない二人だからこういう話をするのでありますが、どっちが先になるかは別として、これは
自民党が決めるのですが、いずれにしてもこれから
自民党だけで決めることのできない時代が来るかもしれない。野党の力も、応援する方が勝つ場合があるかもしれない。今やそういう時代がやってきたのですね。
そういう時代に、国際行動原理というのはいかなるものであるべきか、問題はここです。国際
経済に対する行動原理というようなものを
政府はきちっと
国民の前に示す責任があると思うのですよ。今のように世界各国から、あるいは世界
会議でいろいろ言われると、今までは外圧への対処の
姿勢がまことに無定見、低
姿勢的な態度、無原則そして没主体的な
姿勢、これが
日本の
対外外交の特徴だったと私は思うのです。だから
アメリカは、少し言ってもやらなければ、すぐまた次の新しい攻撃をかけてくるのですね。次から次に際限なくやってくる。これはいかぬですね。やはり
日本という国として、国際
経済行動原理というようなものがきちっと、ある程度へそが据わってなければいかぬと思うのです。そして
アメリカに言うべきものは言う、ECに言うべきものは言える、これは
国民の総意なんだ、そういうものをやはり
一つつくっておく必要がある。
例えば、私がこの間大変感心した論文で、篠原三代平
先生の「小国の論理を捨てよ
経済大国の国際的使命を考える」という今週号のやはり「エコノミスト」ですね。これを読んで大変示唆を受けたのであります。私は篠原
先生は好きで、もう何回か会って、迷ったときには長期的な
経済論を聞けるすばらしい学者だと私は今でも思っております。そしてこの篠原さんはコンドラチェフの長期波動説な
どもかなり分析をして、
経済がおかしくなったときに、政治は今まで三つの手法をやってきた。
一つは戦争という手段によってそれを解決しようとする指導者が出る。あるいはインフレーションによってそれらの危機を乗り切ろうとする手法をやった。しかし、この二つとも現代では通用しない。これからは
技術革新、技術革命によってその道を切り開いていく以外にないという発想を持つべきだ。なかなか示唆に富んだ篠原さんの説に、私はかなり賛成する部分が多いのであります。
その篠原さんが言っている中を私なりに集約をしてみると、
一つは、
現状の自由
貿易とはどういうものであるべきなのか。口で自由
貿易と言うけれ
ども、自主規制をさせたり、あるいは波際でいろいろな制限を加える
アメリカの態度を見たり、フランスの態度を見て、一体自由
貿易という限界、範疇はどこまでなのか。
国民はそれも知りたい。自由という言葉だけで、中身が漠然としておってわからぬ。そういうものをやはり
政府が、我々が考える自由
貿易とはこういう姿なのであるということを示す。
二番目は、国際化とは何か。
アメリカの言いなりに
アメリカの
経済に統合することが国際化なのか、それとももっと大きな国々との平均値のところを見て、国際化はこういうもの、この程度のものであり、限界はここにある。そういうようなものがもっともっと具体的に検討されなければいけない。
世界インフレに対処するためにはどうしたらいいか。
アメリカの言いなりに
内需拡大、
内需拡大と言って、今の
政府、
企画庁の
経済見通しよりも
経済成長を何%高くするんだ。五%前後の
経済成長で当分いこうと決めた
政府の
方針を、
アメリカの圧力が来たからといってこれを七だ、八だと上げていったら、これは完全な調整インフレ
政策ですよ。これはとどのつまりはインフレにつながる道ですよ。したがって
内需拡大と言っても、しからば何%まで拡大するのか。五、六までならインフレにならない、安心度の
経済拡大なのか。その辺のめどは、
政府は一体どこへ置いているのか。これも知りたい。ただむやみに
内需拡大と言っても、その限度はどこなのか。この点の中身がさっぱりわからない。
経済協力の問題、あり方についても、
開発途上国あるいはもっと最貧国、いろいろな国がある。世界にすべて友達を持ちたいという
日本として、
日本が困ったときに世界の友が
日本に協力をしてくれる体制を世界につくっていく、それが文化国家
日本の立場だと私は考える。しからば、その
経済協力はいかなる姿であるべきなのか、そして到達
目標はどこに行くのが好ましいという考えなのか。
国家を経営し、
国民を統合する政治、それは
政府が握っているのであります。この力を発揮して、
国民の前に、こういう国際
経済行動原理たるようなものを策定する必要があると思うのです。
河本大臣、
対外経済政策の担当
大臣として、いかがお感じになりますか。