○大倉
説明員 まず第一段の御質問でございますが、私どもの役割からいたしまして、貿易摩擦あるいはその背後に場合によって存在しております文化的な摩擦、それを幾らかでも解消するために、私どもとしてできるだけのことはやってまいりたいというのがまず
基本的な考え方なのでございますけれども、と申しましても、さて、なかなか具体的な即効薬のようなものは残念ながらございません。むしろ、ある
程度長い時間がかかりながら、将来に向かってそういう貿易不均衡あるいは文化的摩擦を解消するために多少でも役に立つようなものを大事にしてまいりたいというふうに考えます。
具体的にはまず輸入金融でございますが、けさほど伊藤委員にもお答えいたしましたように、私どもの輸入金融のほとんど大部分はいわゆる資源
開発輸入でございます。これにつきましては、こういうことを一生懸命支援いたします結果として、例えばオーストラリアとの二国間のバランスとかあるいはカナダとの二国間のバランスとかというもので、もしこういうことがなければそれなりに起こっていたであろう問題がかなり大幅に解消されるという面は確かにあろうかと思います。あるいはまた、武藤委員御
指摘のように、もし双方の
事情が許しますれば、米国のエネルギーなり資源というものの
開発輸入が具体化することができますれば、これまたそういう
意味でのお役に立ち方はあるのではなかろうか、そう思います。
輸入金融の中の製品輸入金融というのは、一昨年からやらしていただいておりますのですが、実績は残念ながらはなはだ微々たるものでございます。もう少し何とかならないかということで、今回の総合対策の
機会に適用金利を引き下げることにいたしました。従来七・二から七・五五という金利幅でございましたものを、
原則として七・一、特に摩擦が目立っている品目については六・八という金利も適用できるといふうにいたしまして、ひとつぜひこの意のあるところを酌んで、買えるものがあればぜひ買ってくれませんかねということをこれから関係の方々と御相談してまいりたいと思っております。
それから、
海外投資の分野につきましては、これは従来は比較的
開発途上国向けの投資が多かったわけでございますけれども、貿易摩擦の根本にございます問題を長い
期間かかってでも解決するためには、やはり先進工業諸国に日本企業が出ていきまして、先方での雇用の創出に協力する、あるいは場合によって経営
技術の移転にも貢献するということは、非常に長い目で見て大事なことだと思っておりまして、私どもできるだけそういうプロジェクトを支援するように、従来も一生懸命やってまいっておりますが、今後なお一生懸命やってまいりたい。
なお、この点に関連しまして、輸出ではそういう問題に関係ないかと申しますと、けさほど伊藤委員にお答えいたしましたように、私どもの担当は実は貿易摩擦が現に起こっている分野とは違う分野でございまして、いわゆるプラント輸出であり、受け入れ先は
開発途上国が多いわけでございます。今後とも私どもの大事な仕事の
一つであるはずでございます。
この面で今の御質問にお答えする側面があるとしますと、これは先進工業諸国と、単に競争相手としてだけ物を考えるのじゃなくて、やはり一緒に仕事をしていく。フランスでもドイツでもアメリカでもそれぞれ得意な分野があるわけでございますから、それぞれの得意な分野を持ち寄って、日本の企業と一緒になって
開発途上国のために仕事をしていく、具体的に申しますと、国際コンソーシアムというものをつくって仕事をしていく、そういう傾向はぜひ進めていただきたいし、私どももできるだけ支援をいたしたい。それは長い目で見て、お互いの間のぎすぎすした関係を少しでも解いていくのに役に立つのではなかろうかと思っております。
同様の
意味で、国際機関を軸にしていわゆるコファイテンスという、協調融資でございますが、こういうことも大いに考えてまいりたい。この点につきましては、世界銀行を初め各地域金融機関とも具体的な話を進めさせていただいております。
以上、第一点に対するお答えでございます。
第二点につきましては、実績的にごらんいただきますと、まさしくおっしゃったような姿が出ております。この点につきまして率直に申しますと、実は私どもは政策金融機関として市中金融を補完し、日本の経済政策に役に立つ分野に注力して仕事をしてまいる機関ではございますが、何としてもやはりプロジェクトが先でございますから、その
意味では受け身なわけでございます。その受け身な姿が如実に出ておりますのが、資源
開発輸入でございます。
資源
開発輸入というのは、ある時期に非常に大型のものが幾つか出てまいりまして、その結果、私どもの貸付
計画でも実際の貸出残でもかなりの伸びを示した時期がございますが、現在は高原で一服状態になっております。と申しますのは、やはり一応エネルギー資源あるいは鉄鉱石、石炭というようなものが、日本の国内需要の伸び方を頭に置きました場合に、例外もないわけじゃございませんけれども、大体九〇年度の前半ぐらいまではいわば手当て済みということで、私どもの仕事としては一服状態に入っておるわけであります。
その先をねらったものというのはこれから出てまいります。実際に手がけてから具体的に私どもの融資承諾になり、貸し出しになるのには相当長い時間がかかりますので、何年か後に現に今話題になっておりますもので申し上げれば、例えば西豪州のLNGの
開発とか、あるいはいろいろ難しい問題がございますがカナダのLNGの
開発とか、これはいわば九〇年代の終わりごろから先へ向かって、その時点での長期供給の安定化、供給先の分散化ということをねらったプロジェクトになります。それが具体的に貸付
計画、運用
資金計画に反映してまいるのにはまだもう少し時間がかかります。
そういう
意味で、当面どこに一番ウエートを置いたらいいのだろうかという物の考え方はもちろん持っておりますけれども、くどくて恐縮ですが、やはりある
程度受け身でございますから、その考え方がいきなり数字の上に出てくるというふうにはなかなかなりませんで、その点は御
理解いただきたいと思います。
なお、
海外投資につきましては着実に
増加をしておりますし、今後とも一生懸命お手伝いいたしたいと思っております。