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1985-03-29 第102回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年三月二十九日(金曜日)     午前九時三十六分開議 出席委員   委員長 小川 省吾君    理事 北口  博君 理事 野田  毅君    理事 山崎平八郎君 理事 渡辺 省一君    理事 多賀谷眞稔君 理事 中西 績介君    理事 斎藤  実君 理事 小渕 正義君       金子原二郎君    古賀  誠君       自見庄三郎君    松田 九郎君       岡田 利春君    岡田 春夫君       細谷 治嘉君    宮崎 角治君       滝沢 幸助君    小沢 和秋君  出席国務大臣         通商産業大臣  村田敬次郎君         労 働 大 臣 山口 敏夫君  出席政府委員         通商産業省立地         公害局長    平河喜美男君         資源エネルギー         庁長官     柴田 益男君         資源エネルギー         庁石炭部長   高橋 達直君         労働大臣官房審         議官      白井晋太郎君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       小野 進一君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   藤原  享君         資源エネルギー         庁石炭部鉱害課         長       井上  毅君         労働省労働基準         局安全衛生部長 小田切博文君         労働省労働基準         局賃金福祉部長 高橋 伸治君         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 小川省吾

    小川委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。
  3. 岡田利春

    岡田(利)委員 昭和五十九年度のエネルギー情勢は、五十八年度と違って環境変化が伴っているだろうと私は思うのです。しかし、原油価格は引き続きまた一ドル値下げが行われる、そういう非常に望ましい条件もあるわけですけれども、為替レートは依然として二百六十円台を低迷をした、そのために輸入原油価格は実質上高くなる、こういう現象が続いてまいりましたし、また、昨年に比べて異常渇水の事態が発生をしている。このこともやはり五十九年度の環境変化ではなかろうかと思います。ただ、原油価格と同様に、原子力の運転が五十九年度は非常に好調に推移している。こういう状況判断をされますから、恐らく計画よりも七%程度運転率が高まるだろうと判断されるわけです。  しかし、昭和六十年度のエネルギー情勢は、もちろん五十九年度を引き継ぐ面もございますけれども、あながち五十九年度の重点政策を受け継ぐものだけではないのではないのか。やはり環境変化というものがあって、それにどう対応するかということが当然望まれてくるのではないか、このように私は思うのでありますけれども、昭和六十年度における総合エネルギー政策重点についての考え方をこの機会に承っておきたいと思います。     〔委員長退席中西(績)委員長代理着席
  4. 村田敬次郎

    村田国務大臣 お答え申し上げます。  最近の国際石油情勢は、石油代替エネルギー開発導入省エネルギー推進等を反映いたしまして、緩和基調で推移をしておりますものの、中東情勢は御承知のように依然として不安定でありますし、また、国際的な石油需給は中長期的には逼迫化するとの見方が一般的でございます。また、我が国エネルギー供給構造は他の先進国と比較いたしましても極めて脆弱であります。このような情勢は、昭和六十年度におきましても基本的には変わらないものと認識をしております。  このため、昭和六十年度におきましても石油安定供給基盤の整備、石油代替エネルギー開発導入及び省エネルギー推進を中心とする総合エネルギー政策を引き続き積極的に推進してまいる所存でございます。
  5. 岡田利春

    岡田(利)委員 今大臣が触れられた中東情勢の問題でありますけれども、今日の中東情勢を我々はどう認識をするのか。今までのイ・イ戦争の経過から考えれば、そう簡単に短期的にイ・イ戦争終結がなされるという期待は少し甘いのではないか、こういう感じがするのであります。しかし、双方の都市攻撃のエスカレートした状況は長く続かないということもまた常識ではなかろうか。だがしかし、戦争終結がないとすれば、カーグ島に対するイラク攻撃あるいはまたタンカーに対する攻撃などがやはり散発的にずっと長期的に続いていくのではないか、私はこう判断せざるを得ないと思うわけであります。もし中東情勢イ・イ戦争終結によって完全に終結をしたとすれば、またこれはイランイラクの戦後の復興問題がかかって、別な情勢が出てまいりますけれども、そうは簡単にまいらぬだろう、こう私は思うのであります。  そういう状況を一体我々がどう判断をするのか、そしてそのことは、引き続き原油価格は弱含みで推移するという方向で我々は今日の情勢認識していいのかどうか、これらの点について見解を承っておきたいと考えます。
  6. 村田敬次郎

    村田国務大臣 今岡田委員から御指摘のございました最近の中東情勢でございますが、イランイラク紛争において、イラン側陸上攻撃及びイランイラク両国による都市攻撃が伝えられておりまして、また、海上においても両国によるタンカー攻撃が行われるなど、情勢は緊迫化しているものの、戦局を大きく左右するには至っておりません。政府としては、中曽根総理、また安倍外務大臣もこの問題に非常に深く思いをいたし、いろいろと配慮をされておるところでございますが、今のところ、このようなイランイラク紛争の展開により国際石油情勢に大きな影響は出ていないというのが実情であろうかと思っております。  しかし、中長期的には石油市場は逼迫化すると考えられます。また、常に中東政治情勢には不安定要因が存在をしておるわけでありまして、我が国のいわゆる中東依存度ホルムズ海峡依存度というものが非常に石油において高いわけでございます。  こうしたいろいろな情勢を勘案いたしまして、今後ともエネルギー政策を着実に推進していくということが必要と考えておるところでございます。
  7. 岡田利春

    岡田(利)委員 そこで、こういう状況の中で、既に政府方針を決めて、国家備蓄推進を行う、これはまた今年度のエネルギー政策重点一つでもあるわけであります。  しかし、我が国石油備蓄水準を分析をしてみますと、昨年十一月現在で百二十九日分、民間が九十八日分、国家備蓄が三十一日分となっておるわけであります。国家備蓄については、既に昭和六十三年度までには三千万キロリッター備蓄をするという目標設定をされて、そして六十年度も三百万キロリッター積み増しをするという予算の内容が今年度予算に組まれておるわけであります。     〔中西(績)委員長代理退席委員長着席〕  ところが、この前提は何であったかというと、昭和五十三年に昭和六十三年三千万キロリッター目標設定したときには、大体一日百万キロリッター石油消費するだろうということが見込まれて、この三十日分がすなわち三千万キロリッター、こう設定をされたと記憶をいたしておるわけであります。ところが、現在の消費量はどうなっているかといいますと、もちろん石油からの転換も行われ、予想以上の省エネルギーが進んだ、こういう面もありますし、産業構造転換もあって、今一日当たり五十四万キロリッター消費にとどまっておるわけです。いわば三年間の時間のずれがありますけれども、大体六割水準にとどまっている。しかしながら、三千万キロリッターという量でもって目標値を決めたものですから、関係なく三千万キロリッターに向かって今備蓄政策が進められて、今年も、先ほど言ったようにその一割の三百万キロリッター積み増しをするということに実はなっておるわけです。  しかし、今日の石油備蓄の量というのは、高ければ高いほどいいんだというのは、一時そう言われたときもありますけれども、そうでもないと思うわけであります。西ドイツあたり水準を見ても我が国とほぼ同じような水準で、アメリカのようになればもう一年分ぐらいの備蓄をやりますけれども、大体今の政策バランスから考えれば、国家備蓄が三十日分、そして民間備蓄最低九十日分とすれば、百二十日分が最低になるわけでありますから、ほぼこの水準には妥当性があるのではないか、こう思うのであります。そしてまた、総合的なエネルギー政策を進めていく場合の財源バランスをいろいろ考えた場合においても、この備蓄政策は、そういう意味では、品質で決めたのではなくて、量的に決めたわけでありますから、見直しされて極めて当然ではないか、こう私は思うのでありますけれども、この点についてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
  8. 柴田益男

    柴田(益)政府委員 ただいまの岡田先生日本備蓄についてのお考え方につきましては、我々もほぼ同様に見ているところではございます。  御指摘のように、三千万キロリッター国家備蓄を算定したときには、六十四年度の我が国消費量が一日百万キロリッターと見たわけでございますけれども、現在の消費水準から言いますと、約半分の五十四万キロリッターになっておるわけでございます。  ただ、先生お話しございましたように、この三千万キロリッター達成しても、日本備蓄水準IEA方式でまいりますと百三十日分でございます。民間備蓄国家備蓄合わせましても百三十日分。ところが、現在のIEA平均でまいりますと、これは一月段階でございますけれども、百六十九日になっておりまして、三千万キロリッター達成しても、なおかつIEA平均百六十九日は達成し得ないということでございまして、我々といたしましては、六十三年度までにこの三千万キロリッター達成するという当面の目標は、これはやはり必要最小限度ぜひ実施してまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。
  9. 岡田利春

    岡田(利)委員 今長官から説明がありましたけれども、もちろんIEAの場合には、日本だけが加盟しているのではなくて、OECD関係の諸国が加盟しておるわけでありますから、それぞれの国とのバランスの問題を考えていいんだと思います。先ほど言いましたように、アメリカの場合には一年ぐらいの備蓄があるけれども、他のドイツのような場合は現行水準が大体日本とそう変わってはいないのではないか。そういう面では、IEA方式による備蓄水準というものは、それほど厳格な達成の義務というものが一体国際的にあるのかどうかという問題についても、最近どうも疑問の点がなきにしもあらずという感じを私自身はするのであります。  なぜ私はこの点についていろいろ心配をするかといいますと、この備蓄についても物すごくお金がかかるわけであります。原油購入資金だけでも、昭和五十八年度までに既に五千八百九億円の支出が行われている。そしてこれを達成するためには、五十九年以降今年を含めて七千九百億円の資金が必要で、合計一兆三千七百億円になるわけであります。もちろんこれを備蓄するためには、備蓄基地建設をしなければなりません。既に五十八年度までに三千六百六十二億円の支出が行われて、五十九年度以降の備蓄基地を完成させるためには一兆七百億円の資金が必要で、トータル一兆四千三百億円になるわけであります。この購入した油とできた備蓄基地そのものを、今度は維持をしてまいらなければならぬわけでありますから、当然借入金に対する利子備蓄基地借入料などについて支払いが行われる。これらをざっと計算してまいりますと、この維持費は大体四千億近いのではないだろうか。石油及び石油代替エネルギー勘定、この予算総額は本年度は四千七百億円ですね。そうすると、この三千万キロリッター備蓄をしていく維持費が将来約四千億円弱かかるということになりますと、昭和六十年度のいわば石油代替エネルギー勘定総額は四千七百億ですから、これからのエネルギー対策資金を我々が生み出す意味においても大変なことではなかろうか、こう思うのです。  そういう点について、今長官が言われておりますけれども、やるならば、今度はもうちょっと発想を変えてやるというような方法を考えたらどうなのか。このままの前提条件を置いて、当面の計画をそのまま実行に移していくという点については問題点があるのではないか、こういう気がするのですが、いかがでしょうか。
  10. 柴田益男

    柴田(益)政府委員 ただいまの岡田先生のお話の中で、IEA全体の備蓄水準が百六十九日と私申しましたけれども、西ドイツあたり日本並みではないかという御指摘があったわけでございます。  確かにおっしゃるように、西ドイツあたり日本より若干多い程度の百二十日でございます。ただ、先ほど大臣もお答え申し上げましたように、日本ホルムズ依存度は異常に高いわけでございまして、現在でも六四%。西ドイツあるいはアメリカイギリス、いずれも五割を割っておりまして、アメリカは一二%でございますし、西ドイツも三、四割程度かと思います。そういう意味での日本エネルギー構造、特に石油輸入構造は非常にバルネラビリティーが高いという事実がございまして、そういう意味でも当面の三千万キロリットルはぜひやっていく必要がある、こういうふうに考えておるわけでございます。  ただ、この三千万キロリッター達成につきまして、今先生が数字を挙げて御指摘なされましたけれども、確かに非常に金がかかる。この三千万キロリッター達成するためには、設備で一兆五千億、油代で一兆五千億、トータルざっと三兆円程度の金がかかりますので、その後を維持するのには、先生、今、年四千億程度かかるという御指摘でございましたが、十分我々試算しておりませんけれども、三千億円程度維持費が確かに三千万キロリットル維持するのにかかるわけでございます。ただ、我々の見通しとしましては、現段階における財源見通し等からいたしまして、この程度のものは今後も十分支出に耐えるというふうに見ておりまして、当面これを変えるという、方式を変えるということは考えていない次第でございます。
  11. 岡田利春

    岡田(利)委員 石油の需要が低迷しているということは、これは今民間石油会社においても再編成方向を目指して漸次そういう方向が具体化されておるわけです。ヨーロッパでは既に大幅なスクラップ・アンド・ビルド方式施設を買い上げるという方向をとりながら再編成を進めているという実態もあるわけであります。日本の場合にはまだそこまではいってないのですけれども、いく可能性は、これはあるわけであります。  そうしますと、民間施設というのは当然あるわけですね。ですから、民間タンクの場合でも、現在若干活用しているのでしょうけれども、遊休タンクだけでも最低一千万キロリッター、大体一千五百万キロリッター遊休タンクがあるのではないか、こう言われておるわけです。そうすると、これは三千万キロリッターの半分、五〇%に相当するわけです。しかし、一方においては七地点において政府備蓄基地建設が進められている。もちろん既にむつ小川原さんのような進んでいるところもある、あるいは苫小牧とか。それから、これから本格的にかかる、例えば上五島、白島、志布志湾、これらの方はこれからがかる。また、これ以外に地下備蓄候補地点も三地点あるということなんですね。  こう考えてまいりますと、政府備蓄するに当たっても民間のいわば設備活用するという方が国民経済的に見ていいのではないか、景気対策上はどうかわかりませんけれども、国民経済の面から見ればその方がプラスではないかというような気がするわけです。あるいはまた、地下備蓄というのは物すごく金がかかるわけですね。そういう点から見ると、もう少し期間を延ばしていく、そういう方向バランスをとっていく、財政運用投資を考えていく、こういう点は当然考えてもいいのではないか。  一方では石油タンカーなんというのは大変な状況にあって、ことしもこれを活用するという、依然として活用を続けようということで、国家備蓄体制の中でタンカー活用も図るわけでありますから、そういう総合的な政策を見ながら、いずれ、例えば国家備蓄は国の設備によって備蓄されるとしても、それを実現していく一つのタイムラグ、時間的な面については十分判断をしていった方がむしろ国民経済的であり、実態的ではないのかという気もするのですけれども、この点はいかがですか。
  12. 柴田益男

    柴田(益)政府委員 国家備蓄をやる場合にも、民間施設をできるだけ利用して経費のかからないようにやっていくということは当然御指摘のとおりでございます。六十年度におきましては、現在タンカー備蓄を九隻やっておりますけれども、一応このタンカー備蓄から民間タンクの借り上げの方向に移すという方向予算も計上しております。そういうことで、民間空きタンクが千五百万キロリッター程度ございますけれども、六十年度末では一千万キロリッターを超えるタンクが借り入れできるのではないか、そういうふうに見越しております。  それからまた、三千万キロリッター六十三年度に達成するということでございますけれども、やはり施設関係はいろいろな情勢をにらみ合わせまして六十五年度と、若干時期がずれてまいります。そういうことで、コストがいかにかかってもまず基地をつくるということじゃなくて、その辺の民間施設活用していくということも十分考え合わせてやってまいりたいと思いますし、また、御指摘のありました地下備蓄でございますけれども、これは先生も御発言の中で高いのではないかという御指摘ございましたが、どちらかといえばやはり陸上備蓄よりも安いような方法でございまして、少なくとも陸上備蓄並み経費ではできる、あるいはそれを下回るかというような試算もございまして、これもまた有用なものであろうと我々は認識いたしております。そういうことで、民間タンク等民間の余力を十分活用しながら、財政収入を見合わせながら漸次国家備蓄を進めていくという方向をとってまいりたいと思っております。
  13. 岡田利春

    岡田(利)委員 北海道初め、大体この備蓄基地候補過疎地域が多いのです。だから、そこに石油備蓄基地をつくる、投資が行われる、そこに雇用もある、地域経済にもプラスになる、こういう側面があって、何かがんじがらめになっているような感じすら私はするのであります。しかし、今長官から答弁もありましたけれども、問題は、これからの石油情勢変化もないとは言えませんし、価格の問題が出てまいりますと財源の問題がまた出てまいるわけですから、そういう点十分ひとつ慎重に対処してほしい、こう思います。  それからもう一つ、我々が石油備蓄の問題を議論したときには、これは石油公団石油備蓄を業務として行うということになっておったわけですね。ところが、いつの間にか備蓄会社七つ会社ですね。ですから、一つプロジェクト一つ会社をつくる、七つ会社をつくる、したがって本社は全部東京にある、そしてこの管理をする、こういうシステムになるわけですね。私は、このことは当初の基本的な方針に基づいてなぜ一体石油公団備蓄を――事業本部をつくればいいわけですから、一元化してこれを管理していくという方が得策ではないのか、こういう判断をするわけであります。そういう点について、どうしてもプロジェクトごとに組織を分けなければならぬという理由が何か特段あるのか、この点の見解はいかがでしょうか。
  14. 柴田益男

    柴田(益)政府委員 確かに先生指摘のように、国家備蓄会社はそれぞれの地点ごとに現在七会社でやっているわけでございますけれども、これを石油公団なり一元的にやったらどうかというのは一つの御意見だろうかとは思いますが、この備蓄基地をつくるとき我々も検討いたしまして、仮に石油公団がやる場合には、特殊法人である石油公団機構定員が一挙に膨張するわけでございまして、やはり特殊法人のあり方からいっても、一時的な仕事のために非常に大きな機構定員が必要であるということは問題ではないだろうか。あるいはまた、この基地をつくるためにいろいろ技術者が必要でございます。公団ではなかなかこういう技術者を確保しがたいというようなこともございまして、地区ごと会社をつくりまして民間企業のノーハウをここで活用してまいりたい。あるいはまた、地元の協力を得る必要がある。やはり中央で一括してやるのではなくて、地元企業もできるだけ利用していきたいというようなこともございまして、現在のような第三セクターをとりまして、全体百億円の資本金のうち、公団が七十億円、民間が三十億円出資しておりますが、民間側がこの出資の利子をもって一般管理費等も負担しているわけでございまして、国の財政上も助かるという面もございまして、そういう観点から各基地ごと会社をつくるという方向をとってきたわけでございます。そういうことで、当面この方式で進めさしていただきたい、そういうふうに考えているところでございます。
  15. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、極めて常識的に考えて七つも必要なんだろうか、七つあるということは七人の社長がおるわけでありますから、そういう点で疑問に思ったわけであります。きょうはこれは本論ではありませんから、特に私自身やはりこの問題についてそういう形で固定化していくというのはどうもいかがなものか、こういう考え方を率直に述べておきたいと思います。  そこでもう一点、エネルギー問題で聞いておきたいのですが、いわゆる新エネルギーの問題であります。  長期需給見通しを見ても、どうも日本の場合には新エネルギー開発に対する熱意が足りないのではないか。新エネルギー開発機構、NEDOをつくっておりますけれども、どうもその分野においても、代替石炭分野はいろいろありますが、本当の火力とか風力とかあるいはまた太陽熱とか、そういう分野になると他国に比べてもおくれをとっているのではないのか。イギリスでは風力発電所で三千万キロワットの発電をする。これはもう今大々的に進んでいるわけです。やる気ならできるわけですよ。私は、一体何がネックかと考えると、これは電力会社ではなかろうかという感じがするのですね。九社、そして電発の十社体制、沖縄を入れて十一社体制、今の電力会社はもう既に集中的であって、新幹線方式ですべての地域、テリトリーに対応していこうという考え方を続ける限り、これは根本的に誤っているわけですよ。電源はむしろ分散されていく。これに抵抗するのは極めて意味のないことだと思うのですね。そういう時代認識が欠けているのではないのかなという感じが私はするわけであります。  ですから、そういう意味で、その点涙ぐましい努力をして、ある町ではローカルエネルギーと新エネルギーを組み合わせる。北海道の小平なんというところは、波力もあれば風力もあるし、太陽熱もある、そしてエネルギーの町をつくる、多様なエネルギーを組み合わせた町をつくる、こういう構想なども進めておるわけです。これはローカルエネルギーと結びついているわけですね。ですから、そういう点で考えていくと、やはり電力会社考え方を変えないとだめだと思うのですね。ですから、今の電力政策一つの流れというものは電源分散化には抵抗できない状況になってきているという認識をしないと、電力会社もいろいろな大きな問題に今直面するのではなかろうかという感じが私はするのです。  そういう点で私も非常に心配しているのですが、そういう意味で、新エネルギー分野について他の国々の水準に比べて一体我が国の新エネルギー開発分野は順調に進んでいると言われるのか、そしてまたローカルエネルギーなどと組み合わせて、そういう分野をむしろ活用していくという政策をとったらどうなのか、あるいはまたそういう新エネルギー的なモデル町村をつくるとか、そういうユニークな発想でこれから取り組まれてはどうか、こんな感じがするのですが、こういう点についての見解を承っておきたいと思います。
  16. 柴田益男

    柴田(益)政府委員 新エネルギーあるいはローカルエネルギー活用については積極的に取り組むべきだという御指摘は、まことにそのとおりでございます。  欧米各国に比べてどうかということでございますが、詳細な比較はしておりませんけれども、相対的には日本はそうおくれているわけではないというふうに認識しております。ただ、地熱発電等では地理的な条件もございまして、アメリカとかあるいはニュージーランドは非常に進んでおりますけれども、日本におきましても東北あるいは九州は既にやっておりまして、欧米に近い線まで今努力しているということが言えようかと思います。  この新エネルギーにつきましては、長期需給見通し、五十八年の十一月に策定いたしましたけれども、これは今一%以下のシェアでございますが、七十年度には四%程度に持っていくという基本的方向で今進めているわけでございまして、先生指摘のような太陽光発電とかあるいは燃料電池とか風力発電、ソーラーシステム、こういうものを中心に今新エネルギーについての導入を鋭意進めているところでございます。  ただ、この中で風力発電等はもう既に一部実用化されておりまして、使い方によってはもう普及しているわけでございますけれども、問題はコストの点でございまして、一般的な普及度を高めるというのはなかなか難しいのではないかというふうに考えているわけでございます。  こういう新エネルギーあるいはローカルエネルギー活用に際して電力会社考え方をある程度変えさせる必要があるのじゃないかという御指摘でございますけれども、電力会社も最近の技術進歩あるいはローカルエネルギーというものの発展に対応いたしまして考え方を徐々に変えておりまして、我々の今研究しております新エネルギー導入ビジョン研究会等におきましても、最近新しく出てまいります燃料電池等につきましては、これは分散型電源でございまして、こういうものの導入をどうすべきかと今検討していただいておるところでございますし、あるいはローカルエネルギー、例えば地熱等につきましても、価格等が非常に競争し得るものであれば購入するという態度でございまして、電力会社ローカルエネルギー活用あるいは新しい電源、分散電源の導入というものについても前向きに進んできているところでございますし、我々もそういうように指導しているところでございまして、新エネルギーローカルエネルギーが今後ともますます導入の促進が図られるよう努力してまいりたいと考えております。
  17. 岡田利春

    岡田(利)委員 今の常識では、ガスパイプだけ通っていればそこで必ず自家発電ができてむしろ発電コストが安いというのは常識ですから、そういう一つの流れには逆らえないのだと思うのですね。そういう点で、もう少しユニークな発想をも期待をしたいという点で私はこの点を申し上げたわけであります。  次に、エネルギー関係の特別会計の問題についてお伺いをいたしたい、かように思います。  まず昭和六十年度のエネルギー特別会計でありますけれども、石油税、これが一般会計で石油代替エネルギー勘定、そして原重油関税、これが石炭勘定と石油代替勘定に入る、そして他に電源開発促進税がある、こういう構成になっておるわけであります。この六十年度予算がもうすぐ成立をするわけですけれども、既に石油価格が一ドル下がっておるわけですね。これは織り込み済みじゃないわけです、その前に予算編成されたわけでありますから。そういう点から見ても、既にこの石油税については当初見込みよりも、予算よりも減るということは間違いがないのじゃないですか。減るとすればどれくらい減るでしょうか。
  18. 柴田益男

    柴田(益)政府委員 石油税収入についての御指摘でございますけれども、御案内のように、石油税収入は基本的には原油の輸入数量とそれからドルベースでの原油価格、それから為替レート、これによって算出されるわけでございます。  確かに御指摘のように、ことし一月末、OPECの臨時総会によりまして原油価格が引き下げられました。アラビアン・ライトにつきましては二十九ドルから二十八ドルと、一ドル引き下げられたわけでございますし、あるいはディファレンシャル調整が従来の四ドル幅から二・四ドル幅に縮小されたわけでございますけれども、この原油価格そのものの日本に対する影響は従来の油種構成からいいますと大体〇・五ドル程度と言われておりまして、そう大きな響きはないわけでございます。むしろ、今我々心配しておりますのは為替レートでございまして、御案内のように為替レートは円安になっております。そういうことから勘案いたしまして、我々としましては六十年度の石油税収入は予算要求時に算定したものとそう大きく変わらない、それを大きく下回るものではない、そういう見通してはございます。
  19. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうしますと、為替レートの場合には一ドル二百四十円という前提を置いて計算するのか、それとも今度の予算と同じように一定の期間の為替レートをもってするのか、この前提が問題だと思いますけれども、一円為替レートが違えば百二十億違う、こういう理解でいいのでしょうか。  それから、とにかく原油価格が一ドル下がったという場合に、日本の場合に今年度の計画からいって大体九百三十億円程度浮く、こういう計算でいいのでしょうか。この点はいかがでしょうか。
  20. 柴田益男

    柴田(益)政府委員 今先生、数字の御指摘がございましたけれども、日本の原油輸入量はドルにいたしまして年間約四百億ドルでございますので、為替レート一ドルについて一円変動いたしますと、石油全体につきましては四百億円の変動になるわけでございます。それで、その辺が計算の一つのベースになろうかと思います。
  21. 岡田利春

    岡田(利)委員 私が言ったのは、百二十億円というのは電力分ですね。全体で四百億ということですね。ありがとうございました。  そこで、大枠として、財源の問題について考え方を聞きたいと思うのですけれども、今のエネルギーの大宗をなすものは油であって、昭和七十年に五〇%弱にウエートが下がる。しかし、いずれにしても我が国エネルギーの大宗を占めていくことは間違いがないのであります。そして、そういう油を中心にしてエネルギーの会計が組まれている。電源勘定は別途、電力会社関係で四十四銭五厘の促進税がかけられているという立て方になっているわけですね。  そうしますと、短中期的に見ますと、エネルギー政策を進めるに当たっての財源の大枠としてはこの基本は維持しなければならない、こう言わざるを得ないと思うのですね、エネルギーの大宗が油なんですから。十年たってもまだ半分は油ですから。それ以外の財源といつでも微々たるものでしょうし、なかなか難しいし、また、新しい代替エネルギーに対して関税をかけるとか消費税をかけるということは、IEA関係の問題も恐らく出てくるだろうと思うのですね。  そうしますと、大枠としては、エネルギー政策を進める財源は、財務の手法というものは現行の流れ、こういうものをやはり短中期的には踏襲していかざるを得ない、こう言わざるを得ないと思うのですが、この認識はいかがでしょうか。
  22. 柴田益男

    柴田(益)政府委員 エネルギー対策に係る費用は、基本的にはエネルギー消費者が負担すべきであるという基本的認識に立っているわけでございまして、御指摘のように、エネルギー対策に係る特別会計の財源につきましては、当面特段の事情の変更のない限り、現行の財源以外にその対象を求めることは困難である、そういうふうに認識しております。
  23. 岡田利春

    岡田(利)委員 そこで、石炭勘定の分野でお聞きしますけれども、今の石炭合理化臨時措置法は六十二年三月で期限が失効する。したがって、それまでに第八次政策を立てなければならないという状況でありますが、しかし、これと並行して進められている鉱害対策及び産炭地振興対策、これは現行法律はいつまで有効でしょうか。
  24. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 今御指摘の鉱害関係の法律の期限でございますが、昭和六十七年七月三十一日までとなっております。それから産炭地域振興法関係でございますが、これは昭和六十六年十一月十二日までとなっております。
  25. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうしますと、昭和六十年度を含んでまだ七、八年間の有効期限があるわけですね、この法律は。そうしますと、例えば六十二年の四月一日から第八次政策が始まる。政策は大体常識で五年間だと考えれば、六十七年度が五年目になるわけですね。第八次政策の五年度目になる。そうしますと、そこで終わるのが、ちょうど鉱害がその年の七月三十一日に期限が失効だというわけですから、ダブるわけですよ。  そこで、石炭勘定の中における予算費目のウエートをもう一回検討してみますと、石炭合理化安定対策費は、昨年は三一・五五%、今年は三〇・七五%です。そして鉱害対策は、昨年は四〇・〇九%が今年は四〇・八四%、産炭地が六・六一%が六・五九%、通産省のこのトータルが昨年は八五・六三%、今年は八五・五三%、そして労働省が一四・一六%、今年は一四・二四%、こういうウエートに実はなって、これ以外に国債整理基金の繰り入れと予備費があるわけですね。それで一〇〇%になるわけであります。  そうすると、石炭勘定の七割を占めるものは法律の定めに従って昭和六十七年、六十六年度までやらなければならぬわけですね。その裏づけとして必要なわけですよ。あとの三〇・七五%、これがいわゆる第八次政策の中の前向きの関係予算であるわけですから。そして、そのうち第三次肩がわり、これは二・六九%のウエートがあるわけです、第三次肩がわりは。これは今度は第七次政策で終わるわけですね。  こう考えていきますと、第八次政策を進めるための財源として今日の石炭勘定、いわゆる特別会計というものがその根底になければ政策の展開はできない。むしろ大混乱してしまう、まだ七年も八年も法律の期限があるものがむしろ大宗なんでありますから。労働省と通産省の前向きの関係は今度は失効するわけですからね、法律が。ですから、五割以上のものは継続的に支出をしなければならぬという判断に立ては、そういう石炭勘定というものは維持をするという前提がなければ今後の政策展開は難しいと私は認識するのでありますけれども、この点はいかがでしょうか。
  26. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 石炭対策財源問題についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、鉱害関係あるいは産炭地域振興関係につきましては、六十七年度まで現行法律でやる構えになっておるわけでございます。一方、財源の方の石炭並びに石油及び石油代替エネルギー特別会計でございますが、これは六十一年度までになっておるわけでございまして、法律上の期限につきましては、財源あるいは対策面では区々でございますが、私どもといたしましては、石炭鉱業審議会の第七次の答申にもございますように、今次の石炭対策財源のあり方については引き続き石炭特会に求めていくという指摘に沿いまして、今後とも原重油関税の財源に依存するという構えでございますが、その後の事態につきましては、これまでの例によりますと、おおむねことしの夏ごろに石炭鉱業審議会に御諮問する運びになると思うのでございますが、新しい石炭対策の検討の中でそういった財源問題も考えていくということになろうかと思っております。
  27. 岡田利春

    岡田(利)委員 第一次政策から第七次政策までやって、そしてその間石炭特別会計がつくられて今日に至っておるわけですね。なぜ一体鉱害問題というのはこう起こってくるのか。なぜ産炭地振興をしなければならぬのか。なぜ一体雇用対策をしなければならぬのか。集中閉山をやって、極めて短時間の間に固体から流体エネルギーに大転換を図ったからなんですよ。それがやっぱり主たる理由でしょう。ですから、そういう点で石油財源を求めてやってきたというのが現状であり、それが続いておるというのが今日の現状なんですね。  かつて松尾鉱山というのがあったのです。これは中川理一郎さんが局長のときに、閉山するともうどうしようもないわけですよ。退職金も払えない。なぜ閉山しなければならぬのか。それは今度は、高サルファですから硫黄分を回収するわけですね。そのために硫化鉱の山がどんどんつぶれるわけですよ。そして東洋一の松尾鉱山がつぶれる。どうしようもなくなって、そして石油各社にお願いをして、退職金を、そのときは一〇〇%というわけにはまいりませんでしたけれども、五〇%で、何というか、私も保証人で判を押しまして、そして松尾鉱山を処理したという経過もあるわけなんですね。  しかし、きょうは部長はこれ以上前進的答弁をすることは難しいでしょう。しかし、私の今こう述べている点も十分理解ができるのではないかなあと思うのですが、その点はやっぱり理解できるでしょう。
  28. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 新しい石炭対策を検討していただく石炭鉱業審議会の事務局としての私どもとして、先生の御趣旨も十分体しまして、原案づくりに邁進したいと思う所存でございます。
  29. 岡田利春

    岡田(利)委員 そこで通産大臣、近く、恐らく六月か七月に諮問されると思うのですが、第八次政策を諮問するに当たって、第七次政策の策定時、これは昭和五十六年から五十七年にかけてつくり上げて五十七年四月一日からスタートしたわけであります。その策定時の情勢と今日の情勢については、やはりいろんな変化があるのだと思うのです。したがって、大臣として諮問される場合にはそういう変化を踏まえて諮問されると思うのですが、その御認識についてきょうは承っておきたいと思います。
  30. 村田敬次郎

    村田国務大臣 岡田委員指摘の第八次石炭政策についての考え方でございますが、第七次石炭政策策定時に比べまして内外炭価格差が拡大しておるということはよく承知をしております。国内炭の生産状況はおおむね安定的に推移をしておりまして、また生産能率も着実に上昇しているということから、合理化は進展をしてきているものだ、こういう認識を持っております。このために、政府といたしましては、六十一年度末まで第七次答申の基本的な考え方に沿った政策の展開を引き続き図ってまいる所存でございまして、第八次は委員指摘のように恐らくことしの夏諮問、来年答申というような運びになるであろう、ごういつたことを考えておるところでございます。
  31. 岡田利春

    岡田(利)委員 そこで、私はこの機会に「長期エネルギー需給見通し」の中における石炭の位置という問題について承っておきたいと思うのですが、昭和六十五年度、総体的な石炭は一億八百トンと予定されておるわけであります。五年後の昭和七十年には一億二千八百万トンですね。そして、そのうち六十五年は国内炭が一千八百万トン。一億八百万トンの国内炭、輸入炭という位置づけがあるわけですね。この位置づけはむしろウエートが高まっても下回ることはないんじゃないか、こう私は思うのであります。  今度は、そういう面から見たこの石炭の位置づけの中における国内炭の位置づけということが問題になってくるわけであります。この位置づけについては、当面一千七百万トン、あるいはまた昨年は一千七百万トンを切った、しかし雑炭が百七十万トン程度ありますから、供給量としては一千八百万トンを超える、こういう水準にあるわけですね。したがって、今の政策は一千八百万トンないし二千万トンと書いてあるわけですから、その枠内に供給能力が入っている。したがって、現状ペースはそういう認識をすることが正しいのではないかと思いますが、特に何か変更しなければならぬことがありますか。
  32. 柴田益男

    柴田(益)政府委員 「長期エネルギー需給見通し」における石炭の位置づけにつきましては、先生今御指摘のとおりでございまして、六十五年度に石炭は一七・五%で約一億トン、七十年度で一八%で一億二千万トンということが見込まれております。  この石炭の基本的評価につきましては現時点において変わってない、妥当なものだ、そういうように考えております。五十八年度の実績と突き合わせてみましても、計画では石炭について一・七%増を予想したわけでございますけれども、それを若干上回る一・八%という実績も出ておりまして、そういう意味におきまして、長期計画における石炭の位置づけは基本的には変わってない、そういうふうに認識しております。
  33. 岡田利春

    岡田(利)委員 昨年の末に日本エネルギー経済研究所が経団連においてエネルギー経済シンポジウムを開いて、「ポスト石油危機時代のエネルギー情勢」、しかもそれを短中期的にどう見るかというシンポジウムがあって、そのときに「石炭需給の予測」というのが出されておるのです。最近報告書が出されております。これを見ますと、私どうも理解できないのですが、こういうものは政府の資料がなければなかなかつくれぬのじゃないかなという感じもするのですが、一九八四年度は国内炭が一千六百三十万となっているのです。そして一九八五年度は一千五百五十七万となっているのです。これは今年度ですね。八六年度が一千五百三十三万トン、八七年度が一千五百二十九万トン、八八年度が一千四百九十八万トン、こうなっているわけです。私は、日本エネルギー経済研究所の、しかもこういう題名に基づくシンポジウムの石炭需給の予測ですから、わあっと見てちょっと驚いたのですけれども、こういう数字は御存じですか。
  34. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 今岡田先生の御指摘になられました数値につきましては、私どもとしてもその結果は承知しております。  ただ、その評価となりますと、私どもが総合エネルギー調査会にお願いをいたしましてつくりました需給見通しとは対象期間も異なりますし、あるいは前提条件あるいは予測の手法の詳細も不明な点もございますので、何とも申し上げかねる状態でございます。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、第七次政策では、政策に出ない目玉と政策上特に中心になる目玉と、二つの目玉があったと思うのです。何かというと、見えない方は、当時の国際的な石炭情勢下において、いわば出発に当たって二年間炭価の値上げという発射台をつくったというのが第七次政策の表面に出ない目玉なんですね。これはぴしっとは政策には出てないのです。これは基礎になっているわけですよ。そしてもう一つの表面に出ている目玉は、第六次もあったけれども、具体化しなかった企業間の格差の是正という問題なんですね。これは現実に是正されてきたわけであります。  そこで、企業、炭鉱間の格差の是正の政策というものはこれから強める考えなのか、もう格差という問題については考えないということなのか。格差問題があるからやはり今後の政策検討課題としては企業の合同とか一元化とか、あるいは販売の一社化とか、いわゆる体制的な問題についても改めて検討するという方向で考えるのか。この点は今ここではっきりとは言いづらいでしょうけれども、範囲として、そういう問題についても含めて検討して勉強していきたい、こういうおつもりか、承っておきたいと思うのです。
  36. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 先生指摘のとおり、第七次対策における目玉でございます炭鉱間格差の是正の問題でございますが、これは御承知のとおりでございますけれども、五十七年度の予算あるいは五十九年度の予算におきまして安定補給金の傾斜配分によりまして企業間格差の是正を行うべくねらってきたわけでございます。  そこで今後でございますけれども、基本的にはやはり企業の自助努力を期待するわけでございまして、政府として石炭鉱業の動向を見きわめつつ施策を検討していく考えであるわけでございます。しかしながら、新しい対策の検討の範囲に入っておるかという点につきましては、当然にその問題についても検討していくという考えでございます。
  37. 岡田利春

    岡田(利)委員 結局、日本石炭政策というのは個別企業対策でずっと来たわけなんです。これは、ドイツとかほかとは違うところであります。だから無理がある、格差ができる、格差の是正をやった、不十分だ、さらに格差の是正をしなければならぬとすれば体制問題を考えるか、でなければ政策手法になじみのある第四次肩がわりをやるか、なんてことが過去の政策手法からいえば当然その延長線上に出てくる問題なんですね。この点が非常に問題だと思うのです。山の数が少なくなってきちゃうわけですから、それを安定化させるということなんですから、それを避けて通るわけにはいかぬという点で、部長もまだここでは言いづらいでしょうから、これは一応その程度にとどめておきたい、こう思います。  そしてもう一つ大事なことは、何といっても最近の内外炭の炭価の格差の状況から判断すれば、需要の安定確保が非常に重要であります。そこで、この需要の確保についても、ドイツのようにルール一社化、そして炭鉄共同体、電力と石炭との協調体制、そういうものではなくして、日本の場合には個別企業対策が中心でありましたから、その延長線上として政策需要の確保。政策需要には三つの柱があって、電力と鉄鋼、また一般的には一般炭のIQ制度の運用、そして炭価決定のルールの一つとして基準炭価制度という、いわば三つの柱の上に立って現在の需要の安定確保を図ってきたわけであります。それでもあるときには原料炭の貯炭が大幅にふえる。最近でも、原料炭の貯炭という問題もあるわけであります。しかし、その具体的な内容は別にして、この三つの原則というものは今の体制、今の一つの私企業個別対策を進めていくという場合には欠くことのできない柱だということだけは間違いがないのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。
  38. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 私どもも先生と同じ認識でございまして、現下の石炭対策におきまして輸入割り当て制度によります国内炭需要の確保及び基準炭価制度が大きな役割を果たしているという認識を持っているところでございます。
  39. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、第八次石炭政策を展望しながら、当面の政策と密接不可分の関係にある問題について若干質問をしてまいったわけであります。その中でも幌内炭鉱の実態というものは非常に心配をいたしておるわけですが、先般石炭鉱業審議会経理審査小委員会において御意見が出されて、また、通産省としても所要の措置をとって六十年度の計画達成に向かって新しくスタートしていくという基盤固めができたことを非常に歩といたしております。  ただ、この文章の中で経理審査小委員会はそれぞれ改善された点について触れつつも、いわば収支面における計画がそのとおりいかなかったという点について極めて遺憾であるというきついおしかりがこの文章の中に含まれておるのですが、通産省としてその後アフターケアもされて、そして五年間も賃金が上がらなかったという面についても体系を是正しながら、何とか六十年度の計画達成できる基盤固めをするという措置もとられておるわけでありますから、そういう意味で通産省としてこの幌内炭鉱についてどういう判断なのか、承っておきたいと思います。
  40. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御案内のとおり、北炭幌内炭鉱につきましては昨年度末に至りかなり厳しい経営の危機に直面したわけでございますが、その後労使の努力によりまして先生指摘のとおり生産面あるいは保安面では計画を上回る実績を上げてきているわけでございますが、これも先生から御指摘ございましたように損益面でコストの増高等ございまして計画の未達が出たということで、経営の状況は依然として厳しいわけでございます。私どもといたしましては、事業計画、再建計画というものは最終的には会社の損益という面にあらわれてくるということでございますので、その計画達成ができなかったという点についてはやはりいまだ再建に向けての労使の努力が不十分だということを指摘せざるを得ないわけでございます。  御指摘のとおり、この三月二十日に石炭鉱業審議会の経理審査小委員会を開催していただきまして御検討いただいたわけでございますが、その際にも同様の意見が出されたわけでございます。同社につきましては、労使とも今後さらに経営改善努力を行っていくという決意を固めているように報告を受けておりますので、私どもとしてはその努力が結実いたしまして会社再建が進められることを期待しているところでございます。
  41. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間もなくなってまいりましたから、保安の問題についてひとつお聞きしておきたいと思います。  昨年一月十八日の三池有明災害の経験にかんがみて、その後いろいろ諸対策を進めておるわけですが、三池有明災害後のこれらの火災に対する所要の規則の改正というものはもう終わったのかどうかという点と、昭和六十年度、新年度の炭鉱保安の重点目標は一体何に置いてやられるのか、この機会に承っておきたいと思います。
  42. 平河喜美男

    ○平河政府委員 お答えいたします。  最初の火災対策に関しての保安規則の改正の問題でございますけれども、今坑内火災対策部会でいろいろ勉強していただいておりまして、その結果が出てくるのを待って必要があれば改正をいたしたい、かように考えております。  それから次の昭和六十年度の保安の重点項目でございますけれども、昨年の三池の事故等にかんがみまして、私どもも保安の確保を最優先ということでやっております。特に最近におきます採掘区域の深部化、奥部化、こういう条件変化を念頭に置きつつ重大災害の根絶を期すということが最大の目標でございます。そのため、ガス突出、山はね、自然発火等にかかる予知、防止対策の強化及びその技術の向上を図るということを考えております。  また、落盤並びに運搬取り扱い中の機材等いわゆる頻発災害につきましても、作業手順の順守及び作業環境の整備等の強化に努めさせることにいたしております。  さらに、このため各鉱山保安監督局におきまして各鉱山の保安確保対策の見直しを行い、的確な監督指導を行わせるということにいたしております。
  43. 岡田利春

    岡田(利)委員 今局長が言われた点で大体いいんだと思うのですね。ただしかし、やはり私は物足りない点があるのじゃないかと思うのです。第一にガス突出を挙げられ、山はね防止を挙げられた、極めて的確であると思うのですね。第二、自然発火。自然発火だけでなく、坑内火災という問題。三池災害はどちらかといえば自然発火ではなくて坑内火災ですから、坑内火災という問題を新たに自然発火と並列して考えるべきだという点。それから頻発災害の面でも、落盤や器具取り扱いの問題や運搬の問題に触れられたという点について的確だと思うのですが、ガスの問題を忘れてはいかぬと思う。ガスと水の制御ということは忘れてはならないと思うのです。特に北海道はガスが多いわけですね。そういう点で、炭鉱にはガスがつきものであり、ガスに火があれば爆発するのでありますから、そういう意味で深部化に伴った新たな面が強調されたらいいのですけれども、基本的にはガス、水の制御、そして坑道がよくなければ空気が通らぬのでありますから、深部坑道の維持という問題、これは保安上非常に重要だと思うのですね。その点が二つつけ加えられれば、私は今の局長答弁でいいのではないかと思うのであります。特にガス、水の制御というものは依然として重要な柱に据えてほしいということを述べておきたいと思います。  そこで、時間がありませんから労働大臣にちょっと質問しますけれども、これは事務的な問題になると思うのですが、炭鉱労働者の現在の給与水準というのは時間当たりで見て一体どういう水準にあるのか。退職手当制度というものがつくられておりますけれども、一体他産業と比較したら地下労働である炭鉱労働者の退職手当の制度というものはどういう水準にあるのか、しばらく伺っておりませんので、きょう承っておきたいと思います。
  44. 高橋伸治

    高橋説明員 お答え申し上げます。  労働省が行っております毎月勤労統計調査によりますと、男子生産労働者の昭和五十九年の一カ月平均の現金給与総額は、石炭鉱業の場合約三十三万六千円でございます。これに対しまして、金属鉱業は三十万六千円と、石炭鉱業の約九一%、製造業は三十一万八千円と、石炭鉱業の約九五%ということになっております。これらの産業に比べて石炭鉱業の賃金が若干高いというのが現状でございます。  それから退職金についてでございますが、中央労働委員会が昭和五十八年にいたしました調査によりますと、定年退職金の平均支給額は、石炭鉱業では九百五十四万円でございまして、これに対しまして、鉱業全体では千八十一万円、製造業では一千二十二万円でございまして、調査産業計では千百八十七万円ということになっております。
  45. 岡田利春

    岡田(利)委員 こういう形で給与を出すとこういう数字になるのですね。時間当たりで出したら変わるでしょう。きょうはもう時間がないからいいですよ。時間当たりで出したら違うのですね。時間が長いですから、基準外労働時間が多いわけですから違うんだと思うのですね。それはいいでしょう。  そこで労働大臣、労働大臣は労働時間の問題について一生懸命努力されておることについては私は敬意を表しておるのですが、大体ヨーロッパの労働者の労働時間の短縮というのは、坑内労働者とか重筋労働者から時間短縮が始まって、それが事務系、それから公務員とか銀行とか、そういうものに及んでいくわけですね。日本の場合にはそうならぬものですから、逆転の発想で、もうしようがないから、ここへ来たら公務員とか銀行をとにかく週休二日にさせて、これに右へ倣えさせていく、こういう手法をとっておるわけですね。この点が、時間短縮の歴史的な流れから見れば外国と非常に違うところであります。  そこで、炭鉱労働に関する週休二日制という問題を離れて週休二日の問題が終わることはないわけでありますから、特に炭鉱、金属鉱業の地下労働者の週休二日を一体どうするのか。これは中小企業と同じく脆弱ですから、すぐやれと言ったってできないですね。これが実態だと思うのですよ。一つの炭鉱で退職金の未払いが六十億もあって、基準法違反で払え払えと命令しても、払えないからどうしようもなくて、そういった状態がそのまま長く続いているというのが現状なんですね。しかし、これは国際的に見ても炭鉱の、あるいはメタルマインの週休二日対策、このことを進めないというわけにはいかぬと思うのですね。これには相当な準備とそして当事者の意欲と、それから対応策の進め方の慎重さというものが要請されてくると思うのですね。  労働省は、そういう国際的な時間短縮の流れからいっても、今日置かれておる日本の炭鉱やメタルマインの現状からいって、週休二日、時間短縮の問題を一体どのように指導、対応しようというお考えか、承っておきたいと思うのです。
  46. 山口敏夫

    ○山口国務大臣 岡田先生の御指摘で、改めていろいろ実情を調べてみますと、石炭等に勤労する方々の総労働時間が二千四百六十五時間、一般の製造業が二千二百三十四時間、こういうことで、石炭産業、石炭坑内労働者等においてむしろ非常に長時間労働の実情にある。それも所定内、所定外という形で分類してみますと、率直に言って、所定外労働が炭鉱労働者の場合非常に多い、こういう現状にあるわけですね。これは労使双方の就業規則あるいは協約という問題もさることながら、その経営者側の姿勢ばかりでなくて、炭鉱労働者のいわゆる炭鉱マンとしての、炭鉱労働者としてのプライドといいますか、働き手としての一つの意欲という部分も、石炭産業の部分においては非常にあったと思うわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、この労働福祉あるいは労働条件の改善、さらには高齢化時代というものは健康な高齢化時代という形に推移していかなければならないわけでありますから、そのためには時間短縮の問題、わけても岡田先生指摘の週休二日制の問題は、制度的にもこれを取り入れていかなければならない、かように考えておるわけでございます。  労働省といたしましては、特に炭鉱という枠組みでなく、全体の問題として、金融機関等の週休二日制の拡大を通じて、全産業、特に中小、小規模企業等にも週休二日制の普及、拡大を進めていきたいと考えておるわけでございますが、この石炭産業の実情は先ほど御説明したとおりの現状でもございますので、岡田先生の御指摘もございますが、労使双方にその改善方への取り組みを、労働省としても積極的にこれを努めていきたい、かように考えておるところでございます。
  47. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  48. 小川省吾

    小川委員長 中西績介君。
  49. 中西績介

    中西(績)委員 私は、通商産業大臣の所信表明なりをお聞きしておりまして、一般的に鉱害対策なりあるいは産炭地域振興対策費を中心にして質問をと思っておりましたけれども、時間の関係から、昨年来問題になりました鉱害復旧に一応的を絞りまして質問を申し上げたいと思います。特に鉱害復旧対策にかかわっては、昨年あのような不祥事件が発生をいたしまして、国民の鉱害復旧業務に対する疑念を強めてきただけに、今後この鉱害行政、なかんずく六十年度の具体的対応措置いかんによって決定的なものになる可能性があると思われるわけであります。したがって、こうした状況の中にありますだけに、六十年度予算で五百八十億五千二百万円鉱害対策費を組んだわけでありますが、鉱害復旧事業資金補助五百十四億でありますが、昨年並みに組んだということの意味は、それぞれ担当の皆さんの努力に対しまして私は大変敬意を表する次第です。  そこで、こうした状況でありますだけに、このような事件が発生をした、その遠因を手繰っていきますと、そこには被害者心理を利用していろいろな事件が起こっておったということが言えるわけでありますから、先ほど岡田委員も言っておりました、この法期限内、この間にどう処理をするかという、このことが大変重要な課題になってまいります。  ということになってまいりますと、残存鉱害量というものが絶えず被害者の中では問題になり、これがどのように処置をされていくであろうかということを皆関心深く見守っておるわけであります。したがって、この残存鉱害量というものが今どういう状況にまでなっておるのか、特にこの点については具体的にお示しいただければと思っておりますけれども、ぜひお答えいただきたいと思います。
  50. 村田敬次郎

    村田国務大臣 鉱害二法の法期限内に残存鉱害量の処理終了ということをぜひ目標とすべきであるという御質問でございます。  臨時石炭鉱害復旧法に基づく鉱害復旧長期計画に示されておりますように、昭和五十七年度を初年度といたしまして十年間で処理すべき鉱害量は、これは五十七年度価格でございますが、約五千九百億円と承知をしております。これを鉱害二法の期限内に円滑に処理するために、従来から所要資金の確保に努めてきておるわけでございまして、六十年度予算におきましても委員指摘のように約七百二億円の復旧事業規模を確保いたしました。今後とも法期限内に残存鉱害の復旧を終えるべく必要な予算の確保に努めますとともに、計画的かつ効率的な復旧に努力をしてまいりたい、このように存じております。
  51. 中西績介

    中西(績)委員 この残存鉱害量については、具体的な中身でなくて、今言うように五十七年十一月を一つのめどにして十年間五千九百億という指定をしておるようであります。この分については、被害者心理を利用する不祥事件、こうしたことが次々に起こっていくという状況があるわけでありますから、今申し上げたように大変重要なだけに基本的に大きな変更をせずにこれを続けていきたいということはあるにいたしましても、さらに残る期限内で予算措置なりをどのようにしていくのか、先ほどの予算財源とのかかわり等もあるわけでありますから、この点について石炭部長なり、これからどう対応していくのか、お答えいただければと思います。
  52. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 鉱害復旧事業の財源をどう確保していくかというお尋ねでございますが、これまでの実績につきまして最初に申し上げます。  五十七年度は六百五十七億を実績として残しておるわけでございまして、五十八年度以降につきましては繰り越し等の関係もありましてまだ確定しておりませんが、おおむね七百億の予算を毎年確保し、また、六十年度予算においても七百億を政府原案において計上をさせていただいておるという状況でございます。これまでのところ、先ほど大臣から御答弁申し上げました残存鉱害量の関係で見ますと、おおむね良好なベースでやっておるのではないかという評価ができるかと思うわけでございます。  今後の問題でございますが、私どもとしてはいずれにしても残存鉱害を計画的、効率的に復旧していくということで努力をするつもりでございまして、そのための財源をできるだけ確保していく努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  53. 中西績介

    中西(績)委員 ぜひ鉱害被害者の皆さんに、その点が将来的に心配要らぬのだということがある程度浸透しておらないと、依然として競争心をあおり立てるわけです。こうしたことについて、やはり何かの機会にでもその地域の方にそうした理解がいくように大臣なり担当の皆さんが、現場の皆さんが具体的に答え得るように措置をする、あるいは安心してやれというくらい言っていただかぬと、この点はなかなか不安を解消することにならぬわけです。この点は要望しておきますので、十分御検討いただいて今後の課題としていただきたいと思うのです。  そこで、昨年来この種事件が起こらぬよう各種の改善措置を講じたということを当委員会でも御答弁いただいたし、さらにまた、具体的には私たち石炭調査に参りましたときに委員会の調査でも明らかになっておりますけれども、実際に業務を開始した、停滞してしまっておったわけですが、開始した時期はいつごろになったのかということを考えてまいりますと、三、四カ月おくれで進められておると思うのですけれども、そういうことになりますと、十月か十一月ごろになると思います。そうすると、この十月か十一月ごろ以降鉱害認定あるいは事業を推進するに当たって、従前のような、あるいはその後のトラブルなどは起こらなかったのかどうか、この点お答えください。
  54. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のような各方面からの問題が指摘をされたこともございまして、当省として昨年六月に、福岡通産局及び石炭鉱害事業団に対しまして業務運営のあり方についての見直し、それからその結果を踏まえて適切な対応措置の実施を指示したわけでございます。これを受けまして、通産局、事業団におきましては昨年八月三十一日に鉱害復旧業務の改善計画概要を取りまとめをいたしまして、これに基づきまして鉱害復旧業務の適正な運用を行ってきているということで、具体的には九月から新しい改善計画概要に基づいて業務を行っているということでございます。  その後の状況でございますけれども、現在までに半年余り経過しておるわけでございますが、陳情のルールの遵守あるいは復旧対象物件の秩序ある選定、査定の体制、業者の選定体制等、着実にその成果を上げておるというふうに私どもとして判断いたしておりまして、事業団と被害者等との間にこの改善措置の実施によりまして何らかのトラブルが生じているという事態は一切聞いてないという状況でございます。
  55. 中西績介

    中西(績)委員 今お聞きすると、その後そうしたトラブルなどは起こっておらないということですが、そのことが全く信頼できるということになれば一定の前進だろうと私は思います。しかし、この種事件につきましては、先般の委員会でも原因は何だということを指摘した際に、陳情のルールとかの不明確さ、組織的な各種手続のチェック機能の欠陥、警察当局とのかかわり、あるいは被害者の心理を巧みに利用するなど、こうしたことが原因となってこのことが出てきたということを言われておるわけであります。  ですから、私は先ほどの一点目の予算とのかかわりで大変深い内容を持つわけでありますけれども、私たち主張してまいりました点で、石炭鉱業審議会あたりが鉱害復旧を行うに際して限定された個別的なものをやるのではなくて、面的な復旧をということを言っておるわけであります。この点がこうした問題を引き起こすことを改めさせる大きな力になっていくと私は思っています。したがって、地域的な総合計画、その中におきまして被害者を納得させるという長期的な計画というものが私は大事だと思っておるわけであります。このことが割り込みを防いだり、説得しやすいし、効率的、経済的にもすべての面で有効な方策だと私は思うのですけれども、これに向けて、今回この機会をとらえて御討議なりがあったのかどうか、この点どうでしょう。
  56. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 総合的な計画に基づいて鉱害復旧を行えという御質問でございます。  この点は、石炭鉱業審議会の従来の論議、答申の中にもうたわれている点でございますが、現在復旧基本計画及び実施計画の立案に際しまして、鉱害復旧が必要である地域を広域的にとらえまして、他の公共事業との調整に留意いたしまして、整合性、効率性に配慮して進めているところでございます。こうした計画に基づきまして家屋等の復旧が行われることになるわけでございますが、その地区内の復旧の順序の問題でございますけれども、五十九年度の場合を見てみますと、認定物件についての被害者の事情をしんしゃくしつつ、認定年次それから他の公共事業との関連、被害の危険度、工法上の経済性等の要素を総合的に考慮しつつ、事業団の新たに設けられました予算会議におきまして決定するように事業団を指導してきているところでございます。  その結果、各年次の復旧対象家屋が地区内で点在することになりましても、全体としては一つの基本計画に基づいて復旧が進められているため、ある程度効率性が確保されているというふうに思うわけでございまして、今後とも工法上の経済性の観点から可能な限り全体として復旧をとらえる、地域としてとらえるというように実行できるように、六十年度の復旧対象の選定に際しましても事業団を指導していきたいというふうに考えております。
  57. 中西績介

    中西(績)委員 今部長がお答えいただいた点、認定する際の総合的な判断、そのことはわかるといたしましても、私は総合的な計画をということを申し上げておるのは、こうした総合的な計画を基礎にして行政措置をしていくということが中心に据わっていって、今まで先を競ったりいろいろなことをしたことに対する説得、一定の計画性の中で説得をしていくということがないと、これはどうしたってさっき言った工法の経済性だとかを取り入れるということでなくて、一番基盤にそのことを据えていただいて発想していく、こういうふうに考えていただかなければ私は全部壊れていくような気がするわけですね。ですから、被害の危険度などということを除けば大体全般的にそこが中心になっていくのではないかという気がするのです。ですから、この点は十分勘案していただきたいと思うのですが、もう一度お答えいただけますか。
  58. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 先ほど申し上げましたように、総合的な計画あるいは他の公共事業との整合性を保ちつつやるということにつきましては今後ともそのように事業団を指導してまいりたいと思うわけでございますけれども、実際の復旧事業ということになりますと、予算の執行という観点から毎年度の事業になるという点につきましては御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  59. 中西績介

    中西(績)委員 毎年度の事業になることはわかり切った話なんです。ですから、基本計画を作成するに当たっての中長期的な計画、こういうことを考えておいて、これは何年次ぐらいということの皆さんを説得するぐらいの素材を持っておかぬと皆さんの説得はなかなか効かぬと思うのです。  そこで、もう一つ問題は陳情ルールの問題であります。  陳情ルールが確立されたということを言っておりますが、この点は確かに文書なり何なり出されまして、受け付け場所、その方法、複数でやれとか、いろいろなことは守られたということを聞いております。資料をもらったところでは、数の上でも相当確立されてきたということは言われておるようであります。ただ、大体一割程度がそれに違反するような、違反と言ったらおかしいのですけれども、沿わなかったという状況等がある。十一月以降のこれを見ましてもあるようでありますけれども、しかし、ただ単に一応形式的なものだけでなくて、個別対応という問題で、今までありましたように事務あるいは仕事をしておるところに入ってきたり、あるいはそうした場所がまだ徹底しておらなかったりとか、それに対応する職員が確立されておらなかった、こういうことが依然として残っておると私は思うのです。  したがって、職員との接触方法、内容、こうしたものについてもう一度再検討していただきまして、そういうことが本当に――これは余り強化していきますと、今度はどうなるかといいますと、ガードする側だけが強くなってしまって、陳情しよう、あるいは意見を申し上げたい、こういうのが非常に拘束されるということになるわけです。したがって、前回委員会でも私は非常に積極的に相談室ぐらい置いたらどうだ、こういう提案をしておったわけでありますけれども、それくらいの積極性と申しますか、それを前面に出しながらこの被害者の皆さんに安心を与える、あるいは信頼を取り戻す。というのは、今までは力のある者、特別の者が先に割り込んでしまってやれるという実績を見ているわけですから、そうでなくて、物言えぬ人たちがちゃんと処置されるという実績ができるためには、今ここで切りかえるときですから、大事ですから、その信頼を取り戻す手だてというのをどうしたら一番いいのか、ガードを固めることだけでなくて、ここをどのように措置するかということが今一番大事ではないかと思うわけであります。したがって、この前、相談室の設定ということを提案しましたけれども、この点について十分なお答えをいただけなかったのですが、この何カ月かの経験の中でそうしたことはお考えできないかどうか、この点どうでしょう。
  60. 井上毅

    ○井上説明員 お答えいたします。  ただいまの陳情ルールの遵守状況に始まります先生の御質問でございますが、現在まで半年余りの業務改善の実施状況を見てみますと、陳情のルールにつきましては、私ども考えましたところをほぼ完全に守られておる、こういう実態でございまして、時間、人数、テーマ、そういったものにつきましてはほぼ遵守されておるという状況でございますし、また、陳情件数につきましても前年度の同じ時期に比べますと半減しておるという状況でございまして、これによりまして、従来陳情にとられておった時間を正常な業務の執行に振り向けることによりまして職員の実質的な仕事をする時間がかなりふえてきておるという状況でございます。ただ、一部に先生指摘のように本来複数で対応すべきところを一人の担当者が対応したというような事例が見受けられたわけでございますが、今後そういった点についてはさらに改めていくよう事業団を指導してまいりたいと思います。  次に、善良な被害者の救済のための相談窓口を事業団の事務所等に設けるべきではないかという御提案でございますが、昨年の六月に定めました陳情ルールに基づきまして、事業団及び福岡通産局は他の業務に支障がない範囲でできるだけ被害者の声に耳を傾けるように努めてまいっているところでございまして、個人であれ団体であれ、あらかじめ御連絡さえいただければ一定のルールを守っていただくというルールの中で御相談、御要望をお聞きするという体制をとっておるところでございます。  また、陳情の日時等の連絡調整の窓口は各事業所に庶務室という課が置かれてございまして、そちらが受けることになっておるわけでございますが、初めての方にはわかりにくいという御指摘につきましては、事業団に対しましてさらに改善の方策の検討を指示したいと思います。  なお、一元的に特定の担当者がすべての内容にわたって御相談に応じるという体制をとるべきではないかという先生の御提案の内容の一部につきまして、私どもとしては、相談の内容に応じて、地域の複雑な事情を十分承知しておる担当者がそれぞれ対応するのが適切な対応ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  61. 中西績介

    中西(績)委員 私は、そこの職員を固定化するとかなんとかいうこと、それだけに絞っておるわけでなくて、行政側の、あるいは事業団のそうした積極面がそういうところに端的に出ている、だから皆さん安心しておいでなさいという、こういう姿勢というものが、今までの受付に確かにある、行っても。どこだってありますよね。しかし、それが十分でない。だから、この辺はやはり相談室ということでなくとも、私は言葉にこだわらぬけれども、そうした積極面がどう出るかということをつまびらかにしていきたいと思っています。したがって、私は、このことはこれから後さらに地域でもう一度検討し直すなり何なりして、やはりそうした積極性を表に出していくという、このことをしていきたいと思っていますから、これはまだ私はあきらめませんから、この点はさらに具体的に指摘をしていきたいと思っています。  そこで、このようになってきたけれども、組織的に対応ができてないという原因の大きな理由の中に入っておるわけでありますが、その組織的な対応の中で、特に私は問題になりますのは、基本計画を作成するにしても、あるいはそれぞれの事業に対応するにしても、構成しておる人員配置、こういうのが非常にまた重要になってくると思うのですね。これはもう先般も私申し上げましたから、ここでは詳しくは申し上げませんけれども、その各事業所を構成しておる人員からいたしますと、嘱託あるいは臨時職員、アルバイトと称する人たちが非常に多いということです。正規の職員が少ない。したがって、正規の職員が少なくて、これはもうあと七年しか法律の期限がありませんから、身分的には非常に不安定。加えて今度は、このような臨職の人たちが多いわけですから、そうなると、これはこのような責任ある体制にはなかなかなり得ない、単純作業などをやるわけですから。これでは、これだけの予算を執行し、そして皆さんの負託にこたえ、そして民生の安定をということにはなかなかなりにくい状況があるわけですね。特に、技術面での不足というのが大変重要だと思っています。  ですから、このことに関して、まず基本は、被害者の不安をなくしていくということと、ここで働いておられる人たちがそうした不安がなくなるということと、そして三つ目に、この事業自体が効率的、経済的になっていかなくてはならぬという、こうしたことを踏まえなくちゃならぬわけでありますから、この点、組織、機構そのものをもう少しやはり強化をするその手だてが必要ではないか。ただ研修をするとか、あるいは内容的に個人のあれをどんどん高める。しかし、これは一定のところまで来ているのですよ、今までの状況からしますと。ですから、ここいらをもう少し検討する必要があろうと思うのですが、どうでしょう。
  62. 井上毅

    ○井上説明員 お答えいたします。  事業団の職員の構成の中で、約三分の一の者が嘱託あるいは臨時職員というもので占められておるということは御指摘のとおりでございまして、これらの中には、技術的な能力を十分に有しているというふうには言えないという方が一部いらっしゃるのも御指摘のとおりでございまして、技術レベルの一層の向上につきましては、こういった補助職員としての嘱託等はもとより、職員全体についてかねがね望まれておるところでございます。  これに対する対応策といたしましては、これまでのところ、政府あるいは地方公共団体からの出向者の受け入れ活用、あるいはさらに先生から御批判がありましたが、職員の研修の充実、さらにはOA化と申しますか、事務機械の導入等によります省力化、こういった対応のほかに、特殊な物件、特殊な技術を要する復旧対象につきましては、外部の専門家の能力を積極的に活用するということによりましてその不足を補っていこうということにしておるわけでございまして、嘱託と正規の職員との間に有機的な一体的な体制というものを確保いたしまして、新年度におきましては、担当者のチームごとに年間業務のスケジュールを詳細に点検調整させることによりまして、本年度一部に見られましたような、年度末に業務が集中するといったような体制にならないように公害事業団を現在指導しておるところでございまして、これらの措置を講ずることによりまして、職員及び嘱託等を含めた業務の繁忙状況というものは著しく改善するとともに、御指摘のような被害者からの不安というものもかなり改善していくものと期待をしておる次第でございます。
  63. 中西績介

    中西(績)委員 私は、その点で、外部からのそれを強化をするという、例えば嘱託であっても臨職であっても、一たん人を採用すると、これをやめさせるというのはなかなか困難なんですよ。例えばここで、私はある事業所で見ますと、これは自衛隊が悪いというわけじゃありませんけれども、自衛隊からこの臨職三十何名のうち五名入れているのですよ。そして、各事業所ほとんど自衛隊から入っていますよ。ところが、入った人が技術だといって入っていて、実際に技術的にどうか。対応できずに困ってトラブルが出てくるという状況等だってあるわけですね。  だから、こうしたことを考えてまいりますと、今課長言われたように、外部からのいろいろなチームを組むに当たっての強化策として入れていくというこの問題は、もう少し内容的に責任ある体制ということになれば、行革だ、だから人員をふやしちゃならぬというなら、私は、さっき出てきておったように、例えば県職なら県職の出向だとかあるいは国家公務員からの出向という、こういう措置をたくさんとることによって、そこでの本格的に組織的にできる人たちをどう強化していくかという、本当にこの点を考えなければだめだと思いますね。もちろん臨職でなしに、正規の職員を可能な限り――今の体制では、これだけの財源を措置してこれを消化し、しかもあと残る七年以内にこれを完全にしなくちゃならぬという課題があるわけですから、ぜひ将来的なことも考えてこうした措置をしていただきたいと思うわけであります。  この点、答弁もらうと長くなるからもうやめにしますけれども、何としてもこれから後、私は、今チームごとの事業量なりいろいろなことで研究をしていくと言うから、それを見守りながら、この点についてもずっと追及をしていきたいと思っております。ぜひこの点も、ひとつこの時期だから、見直す一つの契機にしてもらうということが一番大事だろうと思います。ぜひこの点は皆さん方のお考えの中にとどめておいて、どうするかということを具体化していただきたいと思うのです。きょうまだそういう答弁はもらえぬと思いますから。  そこで、前回たくさん問題が出ました。大体これが措置できておるということを聞いておりますけれども、一つ、委任措置の問題であります。これが一番問題になっておったのですけれども、その後これについての問題はないと言っておるが、事前にお答えいただいておるのですけれども、この点も、まだ依然としてそういう考え方に立つ人たちがいるということ、その人たちがやはり受付も通さずに部屋の中に入ってくるというような状況がまだ皆無だとは言い得ない、こう私は考えております。ですから、この点は再度調査するなり、あるいはそうしたことがなくなるような措置を考えるべきではないか、こう思っています。後でまとめて答弁をもらいます。  それから二つ目に、価格の査定だとかあるいは完了検査だとかの問題でありますけれども、この問題につきましては、私たちが期待をするような権威のあるものになっただろうか。それがなかったら絶えず後にトラブルを残していく。ですから、言いますと例えば専門官の配置をするとか、確かに県から二名通産局に、そして最終の検査のときあたりに云々ということでしておるようだけれども、しかし、私はそれくらいで足りるだろうかという気がしてなりません。合議制の審査制度というものもあるようでありますけれども、もう少し深く私たちが信頼できる、あるいは権威あるものになり得たかどうか、その点者さん確信が持てるかどうか、この点ひとつお答えください。
  64. 井上毅

    ○井上説明員 お答えいたします。  第一の委任状の取扱方針が徹底しているかどうかという点でございますが、これにつきましては、御承知のとおり、昨年六月、資源エネルギー庁長官名をもちまして事業団理事長に対して、職員に対してこの趣旨の徹底方を図るよう要請をしたところでございまして、事業団におきましては、早速職員全員に対しまして業務研修を二度にわたり行う等によりまして趣旨の徹底を図っているところと承知しております。かつて被害者の委任を受けた代理人が陳情を申し入れてくる場合はその後もございますが、この陳情の申し入れにつきましては、事業団も政府機関の一つであるという観点から、委任状の有無にかかわらずルールを守っていただく限りいかなる立場の人からのものであれ受けるということを基本にしておりまして、御指摘の委任をかって受けた人が事業所に立ち入ってくるということそれ自体は、委任状の趣旨が徹底しているかどうかとは別の問題であろうというふうに考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、先生指摘のような事実が過去にあったのは私どもも承知をしているわけでございます。  今なおそういった事実があるということは聞いてはおりませんけれども、事実といたしますれば職員の業務の妨げにもなりますし、また、公正な業務運営に対する疑いを持たれる原因ともなりかねないわけでございますので、早速実情を調査の上、外来者の事務室内への立ち入りが行われないような体制を講ずるよう事業団を指導をしてまいりたいというふうに考えております。  それから第二の、業務改善方針が打ち出されて以来被害者の皆様の信頼を得るに足る仕事のやり方がなされておるかということでございますが、特に当委員会におきましても御指摘をいただきました査定の関係につきまして、私どもも注意をして現地の仕事ぶりを見守っておるわけでございますが、現在までのところ、五十九年度の十月以降に査定を行いました物件につきましては査定の見直しという現象は皆無に近いということでございまして、今後とも、この当初の査定を厳正に行うことによりまして先生指摘の被害者の信頼の回復にさらに努めてまいりたいと考えております。
  65. 中西績介

    中西(績)委員 時間がありませんからできるだけ簡単にお答えいただきたいと思うのですが、今言うような皆無に近いということが、さっきから言っているようにただこっちのガードがかたくなったから皆無に近くなったか、それとも権威あるものでそれがある程度浸透したかという、その評価によっては問題が出てくると私は思うのですね。ですから、この点はこれから後ずっとこの一年間なり十分見守っていきたいとは思っておりますけれども、この点はひとつ、先ほどから私が申し上げる側で、いわゆる皆さんが十分信頼できるような体制というのをいち早くつくるべきだと思いますし、そう措置をしていただきたいと思うのです。  それからもう一つは、見直し工事は今言われておりますようにほとんどないということですから、大変よかったと私は思うし、これはさっきの関係との問題も出てまいりますけれども、こうしたことが将来事件にならないようにするためにも大変重要ですから、ぜひ措置をしていただきたいと思います。  そこで、あと鉱害復旧費の問題ですけれども、復旧費を通知をするかせぬかというのは大変問題になったのですね。この点については先般から本人に通知をするということで約束してあるのですけれども、そうした点でのトラブルなり落ちはないかどうか。簡単にやってください。  それからもう一つは、縦割り工事の問題でありますけれども、縦割り工事が従来から割り込みによって物すごくふえてきたという経過があるわけですね。そして順番を狂わせてしまった。こういう状況で、来年度に向けての予算計画性なりが非常に立ちにくいというところまで来ておったわけですから、この点は段階的にでもいいからぜひこれを少なくしていくということ、縮小するということを確認をしておったのですが、今これは来年度に向けてどの程度見通しなりが立ちそうになったのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。  そして三つ目に、認定業務あるいは被害者へのサービス、こうしたことを考えるときには、やはり先ほど出ておった事務の機械化だとかあるいは内容的な判断をする材料なり、そういうようなものを十分整備し得る体制、こういうようなものがどれくらい進んだか、この点を答えてください。
  66. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 第一のお尋ねの被害者に対する復旧費の通知の点でございますけれども、従来口頭で被害者または被害者の代理人に問い合わせがあれば答えていたわけでございますが、五十九年九月からは、被害者からの解体新築工事の申し出があり、事業団から所有者心得を交付する際に書面で工事費を記入して通知することとしておりまして、その後トラブルがあるというふうには聞いておりません。  それから第二のいわゆる家屋の縦割り工事の問題でございますが、当委員会におきましても五十八年度に増加したという御指摘を受けたところではございますけれども、五十九年度におきましては事業団の支部に予算会議を設けまして復旧予算を厳格に統制する措置をとっておりまして、実は五十八年度もその前の年に比べますと減っているわけでございますが、さらにそれを五十九年度におきましては約三割程度に縮小をする見込みにしております。  それから、認定の点につきましては鉱害課長から答弁させます。
  67. 井上毅

    ○井上説明員 本年度の認定の処理状況でございますが、通産局及び事業団におきまして内規の整備をいたしましてそれぞれ審査会を設置しまして、合議制による公正な判断を行っているわけでございますが、原則として復旧申し出の古い順に処理をするということで、申し出のある未処理の書類が約一万五千件事件が起こる前にはあったわけでございますが、これを受理年月別に整理を行うとともに、既に現地調査を終了した約五千件につきまして、つまり全体の三分の一につきましては、既に結果の判定作業を終了しております。残るものにつきましては、今後審査会の判断に基づきまして、逐次新たな現地調査の上結論を出してまいります。  以上でございます。
  68. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、五十九年度の分のおくれというのは、今の答弁の中にも明らかになってきたわけでありますけれども、一つは職員の能力の限界というのがあるのですね。今度の場合には三カ月も四カ月もおくれているわけですから、それを完成させていく手だてというのは大変でありますけれども、その点で通産局なりあるいは事業団の上部機構あたりでは、やはりその現場の実態を踏まえた上で、どのように人員を配置するかということを、特にこれから後、今度は具体的に、発注するだけでなしに業務が出てくるわけですから、これからが大変ですよね。そして今度、来年度に向けての問題が  くるわけですから、この点をぜひ、今の人員なり陣容で、さっき私が申し上げた全体的な組織構成、そのこととのかかわりの中で考えなければならぬということとあわせて、これは特にこれから後の課題として御検討いただきたいと思います。これはもう答弁要りません。  そこで、有資力の問題で、依然としてちょっと残っておりますから、この問題をこれから後処理するに当たって、今大きなところは三井石炭鉱業、それから古河鉱業ですね。これを見ますと、資料をいただいておりますが、それぞれこの十年を目指してということで、五十七年度から具体的な復旧工事を進めておるわけでありますけれども、残存鉱害量からいたしますと、このままで果たしていいだろうかという感じがします。無資力の方はこのようにして国が大変な努力をし、そしてやっておるわけでありますけれども、有資力の場合には各企業側がこれからどうするかということが大変重要です。ですから、この点についてどのようにこれから指導していくのか、この点だけ一言お答えください。
  69. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘石炭会社のうち、古河鉱業につきましては、私どもとしてはおおむね順調に鉱害復旧事業を行っているというふうに考えておるわけでございますが、三井石炭鉱業の鉱害復旧につきましては、おくれぎみであるということは事実でございます。ただ、その原因としまして、調べてみますと、企業資金面の制約や、あるいは国の補助の関係というよりは、むしろ農地の鉱害復旧につきまして、被害者の同意を得るための意見調整に長い時間を要しているというのが主たる原因のようでございます。  いずれにいたしましても、有資力の場合の鉱害復旧も順調に進むように、私どもとしても今後とも注視をしてまいりたいと思っております。
  70. 中西績介

    中西(績)委員 被害者の方との合意がなかなか取りつけにくいと言ってはおりますが、そのことも一つの理由にはなろうと思うけれども、結局、鉱害復旧をするに当たっての合意が得られないというのは、条件が整わないわけですから、値切ってやりさえすれば条件が整わないことははっきりしているわけですから、そこいらをどの程度これから指導するかということが私は一つの課題だろうと思いますね。ですから、この点について、ただ一方的に企業側の言い分だけを聞いていて対処するのでなくて、被害者側はどういうあれにあるのかということあたりを含んである程度皆さんが考えておかないと、それについての促進をしてほしいと言っても、いや、それはこうですよと言われたらもうそれで終わりになっちゃう。ですから、この点はひとつ十分今後の課題として、ぜひ大体並行して終わるように措置をしていただきたいと思います。  そこで、労働省お見えのようですから、一つお聞きしますけれども、いただいた資料を見ますと、求人倍率はここでは私は特別取り上げては言いません。ただ、求人倍率の場合には、これは制度事業がございますから、これはこの後の問題にかかわるわけでございますけれども、ただ問題は、いただいた資料の中で、鉱害復旧が停滞した時期に建設業がものすごく失業者が増大をし、そしてある程度今度は事業が始まったところが相当吸収したというデータが、これを見ると出ていますね。その点は、私が申し上げるようなことで理解をしてよろしいかどうか。どうでしょう。
  71. 小野進一

    ○小野政府委員 お答え申し上げます。  離職者を雇用保険の受給資格喪失数で見てまいりますと、田川、飯塚、直方地区の四月-六月、七月-九月は離職者はふえておりますが、特に田川地区の八月、直方地区の九月においては著しく離職者がふえ、その中での解雇者が多い状況にございました。ところが十月に入りますと、田川の十月、それから直方の十月、同じく著しく離職者が減じてまいりまして、十月から十二月期を通じまして、三地区で二八%前年に比べて建設業からの離職者が減っている。一月からこの三月二十五日までの推移を見ましても、昨年に比べまして建設業の離職者が減り、現在も昨年度と比べて減り方は、十-十二期に比べますと減少の傾向が続いているということでございます。
  72. 中西績介

    中西(績)委員 今もお答えいただきましたように、またこの資料を見ましても、こうして残念ながら旧産炭地域における実態というのは、失業対策なり鉱害対策なりあるいは同和対策なり、こうした事業が一つの底支えになっておるという実態があるわけですね。したがって、こうしたことが出てまいりますと、鉱害復旧事業なりこういうものがなくなってくると大変な状況が出てくるということは、こうした資料からも明らかですね。  ですから、私は大臣にお願いですけれども、こうした不祥事が起こらないようにするために、私、さっき原因を幾つか申し上げました。それとあわせまして、産炭地域を本格的に再生させるというその下支えになっているこうした問題等につきましても、これからもぜひこの法期限内にそれが措置されるように、財政的にもあるいは事業面におきましても多くの皆さんに安心できる措置をぜひ継続していただきたいと思うわけでありますけれども、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
  73. 村田敬次郎

    村田国務大臣 先ほど来、委員の非常に各般にわたる御質問、御質疑承っておりました。  鉱害復旧業務につきましては、各方面からさまざまな問題の指摘が行われましたために、通産省としては、昨年の六月、福岡通商産業局及び石炭鉱害事業団に業務運営のあり方についての見直し、その結果を踏まえた適切な対応措置の実施を指示したところでございます。これを受けまして、福岡通産局及び石炭鉱害事業団は、昨年八月三十一日に鉱害復旧業務の改善計画概要を公表いたしました。そして、現在これに基づき鉱害復旧業務の適正な運用に努めておるところでございます。今後、これらの改善措置の実施によりまして、鉱害復旧業務の公正な実施に対する国民の信頼を回復するとともに、臨時石炭鉱害復旧法の期限である昭和六十七年七月末までに残存鉱害の計画的かつ効率的な復旧に努力をしてまいりたいと存じております。
  74. 中西績介

    中西(績)委員 ですから、ぜひ私は担当者の皆さんにこれから後の問題としても、先ほど来何回となく私が申し上げておりますように、この問題については被害者の立場というものも、その上に立ってどう対応していくかという、この点をもう少しこれから行政を進めていく上に御配慮をいただくように、ぜひお願いをしたいと思います。  時間が参りますので、最後に私は労働省に、これはある新聞に、失対事業の問題で一定の方向性を労働省が出しておるかのごとく、決定したかのごとく出されておりますけれども、この点でお聞きをしたいと思うのです。  私は、むしろこれから失業対策制度を調査研究する委員の皆さんが決定されて、恐らくこうした問題について論議が進んでいくのだろうと考えていました。特に先ほど労働省からいただいた具体的なこの資料を見ましても、筑豊地区における求人倍率は、今ここでは申し上げませんけれども、どれだけ低いかということが十分おわかりいただける中身でありますだけに、この中で、今後日程的にどういう進展をしていくのか、またお考えなのか、この点どうでしょう。
  75. 小野進一

    ○小野政府委員 失業対策事業につきましては、緊急失業対策法に基づきまして、少なくとも五年ごとにその制度の検討を行うことになっております。前回は五十五年に行いましたので、六十年度にまた失業対策制度の検討を行う。したがって、六十年度に入りましたら、従来の例に倣いまして、雇用失業問題に造詣の深い学識経験者に調査研究をお願いいたしまして、私どもといたしましては、少なくとも年内にお答えをいただくということを期待しております。それを待ちまして、今後の失対制度の運営、あり方について検討していくということに相なります。そういう予定になっております。
  76. 中西績介

    中西(績)委員 いずれにしましても、こうした失対事業につきましても、あるいは鉱害復旧事業等につきましても、すべてただ単にその地域の特定なものとしてのとらえ方でなくて、やはり全体の行政の中におけるひずみあるいは問題点があるということの認識を今後ともいただきますよう、ぜひお願いを申し上げまして、終わります。  以上です。
  77. 小川省吾

    小川委員長 斎藤実君。
  78. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 最初に、石炭の需給見通しについてお尋ねをいたします。  御承知のように、石炭は量的にも価格的にも安定したエネルギー源でありますが、昭和五十八年十一月十六日に改定されました我が国総合エネルギー政策の指針となっております「長期エネルギー需給見通し」では、石炭につきましては、五十七年度の実績九千四百五十万トンが昭和六十五年度見通しで一億八百万トン、七十年度見通し一億二千八百万トン、こういうふうになっておりますが、五十八年度実績はどうなっておるのか、今後の見通しについて狂いはあるのかないのかをお尋ねいたしたいと思います。
  79. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘の「長期エネルギー需給見通し」におきまして一般炭を中心にしまして石炭の需要は増加する想定がなされているとおりでございますが、五十八年度につきましては実績が九千六百四十万トンということでございまして、前年度比二百万トン程度の増加になっておりまして、これはおおむね「長期エネルギー需給見通し」のラインに乗ったものと想定されますし、また、今後の石炭需給につきましても大体この長期需給見通しの線に沿って推移するものと私どもは考えておるわけでございます。
  80. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ぜひひとつこの見通しが狂わないように、十分配慮していただきたいと思うのです。  次に、石炭需要の理二家と言われております鉄鋼、電力、セメント、この石炭需要状況はどうなっておるのか。落ち込んでいるのか、横ばいなのか。そこでまた、最近急速に石炭転換を進めているように聞いておるのですが、紙パルプあるいは繊維の石炭需要の状況がどういうふうになっているのか、お尋ねいたしたいと思います。
  81. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 鉄鋼、電力、セメントでございますが、これは石炭需要の大宗を占める業種でございますけれども、五十九年度の石炭納入実績見込みでございますが、鉄鋼につきましては六千六百二十万トン程度、これは前年度対比でまいりますと九%増ぐらいになるわけでございます。また、電力でございますが、二千百万トン程度でございまして、前年度比二一%増ということでございます。セメント等窯業土石関係全般を見てみますと七百二十万トン程度でございまして、これは前年度比八%の減になる見込みでございます。鉄鋼、電力につきましては増加が期待されるところでございます。  また、御指摘石炭転換が進みつつあります紙パルプでございますが、五十九年度百十万トン程度の見込みでございまして、前年度比を見ますと二一%増ということで、これもかなりの増加になる見込みでございます。また、繊維でございますが、四十万トン程度が見通されておりまして、これも前年度比六〇%増となる見通してございます。
  82. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 今御説明ございましたように、国内炭の需要を見ますと、今以上に原料炭は伸びない状況下にあると思うのです。今後、減ることはあっても増加するということはなかなか難しいだろうと思うのですね。こういう状況のもとで、必然的に原料炭で出荷していたのを一般炭に転換するという事態になってくるのではないかと思うのですが、現在の国内炭の一般炭の在庫は昭和五十九年三月で五十六万トン、六十年二月で七十八万トンと、徐々でございますが増加をしておるわけですね。こうした状況の中で、一般炭の最大の需要家であります石炭火力の建設には大きな期待を寄せているわけでございます。  そこで、石炭火力が混焼のものも含めると現在四十五基あるのではないかと思うのですが、さらにこれが近い将来相当数増設されると聞いておるのですが、今後の設置計画とこの中に占める国内炭の利用計画は一体どうなっているのか、伺いたいと思います。
  83. 柴田益男

    柴田(益)政府委員 石炭火力の今後の計画でございますが、昭和五十八年十一月の電気事業審議会需給部会の中間報告によりますと、石炭火力は昭和六十五年度末で千四百万キロワット、昭和七十年度末で二千百万キロワットというふうに見込んでおります。この数字は昭和五十八年度末の八百二十三万キロワットに対しましてそれぞれ六百万キロワットあるいは千三百万キロワットの石炭火力の増ということに相なるわけでございます。こういう長期需給見通しに対応しまして、電力会社は五十九年度の施設計画におきまして二十三基、千五百八十一万二千キロワットの計画を組んでおります。     〔委員長退席、多賀谷委員長代理着席〕  しかしながら、この新規に計画を組んでおります石炭火力につきましては、電気事業者としては海外炭を燃料として用いることを前提としているわけでございますけれども、具体的にはこれらの将来の発電所が運転される時点におきまして需給状況等を勘案して国内炭をどうするか決定されることになるだろう、そういうふうに判断しております。
  84. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 北海道の内陸炭鉱の一般炭の相当量は、内陸に設置されている石炭専焼火力、十基と言われているのですが、そこへ供給されているわけでございますが、石炭火力の一部は老朽化をしていまして昭和六十年半ばころには建てかえ時期が来ると聞いているわけで、これが円滑に実施されないことになると内陸炭鉱にとっても大変なことになると私は思うわけです。  そこで、北海道での一般炭の需要は北電の石炭火力が約六〇%を占めていまして、昭和五十八年度の産出量が七百八十万トンで北電が使用しているのは四百八十万トンですか、約六割。したがいまして、大半は内陸にある炭鉱の周辺にあるわけですね。したがいまして、国内炭の需要確保という観点から見ますと、これはぜひ建てかえを円滑に実施されるように、需要拡大という意味も含めて強力に行政指導をすべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  85. 柴田益男

    柴田(益)政府委員 電源開発計画は、石炭火力を含めまして基本的には電気事業者の判断に基づくものでございまして、それを尊重せざるを得ないと思います。御指摘のように、北海道内での内陸火力は現在十基ございまして、相当部分が三十年代に運転開始した古いものでございますけれども、我々が北海道電力から聞いているところによりますと、北海道電力といたしましてはこういう古い設備設備更新をしながら昭和六十年代においては廃止する計画はないと聞いておりまして、当面六十年代にこれを廃止するということはない、そういうふうに考えております。
  86. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 今長官から海外炭の話が出ましたが、海外炭の価格につきましては昭和四十年代から五十年代前半までは石油価格に連動した形で変動していましたが、昭和五十四年ごろから石油がぐっと上がりまして、石油石炭の格差が非常に大きくなりました。石炭価格が低位でも安定したものとなっているわけでございますが、ほかのエネルギーコストとのバランスを考えますと、いつまでもこういうような状態が続くのか、疑問に思うわけです。もちろんこれは為替との関係もありますが、むしろ現在が一番底じゃないか、これ以上はなかなか下がらないだろうと思うわけですが、石炭価格について通産省がどういう見通しを持っているのか、伺いたいと思います。
  87. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 海外炭の今後の値段の見通しの点についてお答え申し上げます。  御指摘のとおり、海外炭は原油価格の値上がりとともに五十五、五十六年度あたりかなり高くなったわけでございますが、その後世界的なエネルギー需給の緩和の状況を反映いたしまして、五十八年度あたりからかなり安くなっているわけでございます。五十九年度に入りますと、六十年の二月までの平均では一般炭で四十八ドル八十セント、原料炭で六十二ドル九十セントというような状況で、一時の六十ドル、七十ドルという時代から見るとかなりの値下がりであるわけでございます。  今後の海外炭の価格見通してございますが、六十年度につきましては価格交渉がもう既に進められているというところもございまして、全体はまだ予見しがたいわけでございますけれども、前年度に比してそう大幅な変化はないのではないかというふうに考えております。中長期的な見通しになりますとかなり動向が不透明なところもございますので、正確な見通しは立てにくいわけでございますが、総合エネルギー調査会の前の報告にもございますように、石油価格の動向にもよりますけれども、実質価格は基本的には石炭価格も横ばいで推移をしていくのではないかと言われておりまして、今後そう値下がりが期待できる状況にはないということでございます。
  88. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 今までの実績を見ますと徐々に上向いておる、したがいまして石炭利用拡大は徐々に進展していくだろうと思うのですが、「長期エネルギー需給見通し」では昭和六十五年度あるいは昭和七十年度、いずれもシェアが一八%になっているわけですが、今までの実績を見ましてこれを上回るような時代になるのかならないのか、横ばいでいくのか、あるいは需要の拡大等に努力して上回るようになるのか。その辺、見通しはどうでしょうか。
  89. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 今後の石炭需要につきましては、五十八年の「長期エネルギー需給見通し」におきまして電力用を中心にいたしまして一般炭の着実な需要が見込まれているという反面におきまして、現在の石炭需要の七割を占めております原料炭の大幅な増加が見込めないというところから、石炭需要全体としましては、絶対量では増加しつつも、六十五年度、七十年度とも一次エネルギー供給全体に占めるシェアは一八%程度になって横ばいと見込んでおるわけでございます。今後の動向につきましてその後の状況を織り込んだ見通してございますけれども、最近の石炭需要の動向を勘案しても、基本的にはこの方向については変化がないと考えられておりまして、「長期エネルギー需給見通し」における石炭需要のシェアが大幅に変化する要因は今のところないものと考えております。  なお、五十八年度におきまして石炭需要は一・八%の増加を見たわけでございますが、「長期エネルギー需給見通し」において見込んだ伸び率が年率一・七%でございますので、おおむねその線に沿っているものということが言えるかと思います。
  90. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 昭和五十九年度の国内炭の生産量につきましては、合理化実施計画では一千七百万トンとなっているわけでございますが、果たしてこれは下回るのかどうなのか、現在どういう見通しを持っているのか、伺いたいと思うのです。また、下がるとすれば、その原因が需要の面あるいは生産面のいずれに原因があるのか、そしてまた、年度末の貯炭の見込みはどれぐらいあるのか、今後とも国内炭の優先引き取りについて適切な指導というものが必要だろうと私は思うのですが、この三点についてお尋ねいたします。
  91. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 五十九年度の国内炭の生産量の見込みでございますが、御指摘のとおり、合理化実施計画では五十九年度千七百万トンと見込んでおったわけでございますが、私どもで把握しているこれまでの数字によりますと、現時点では、五十九年度千六百八十万トン程度になるものと承知をしているわけでございます。若干実施計画を下回ることとなるわけでございますけれども、これは需要面というよりはむしろ生産面で、特に三井三池の計画を若干下回る実績が出たことを主因とするものでございまして、生産面での原因がこの計画を下回る理由というふうに見ております。  また、貯炭でございますけれども、本年二月末現在におきまして百二十七万トンになっておるわけでございます。ただ、これは年度末には百十二万トン程度になる見込みでございまして、実施計画におきましては百二万トンということで見込んでいたわけでございますので、おおむね計画の範囲というふうに考えておるわけでございます。
  92. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 この石炭産業の経営基盤の安定ということは極めて重要な問題でございますが、昭和五十九年度の基準炭価の決定については大変御苦労され、心から敬意を表するわけでございますが、昭和五十八年度の石炭五社の経常損益がトン当たり七百四十五円、こういう赤字になっておるわけですが、昭和五十九年度の炭価アップはトン当たり約五百円で、五社の借入金は若干でもよくなるだろうと思うのですが、昭和五十八年度の石炭五社の借入金が二千三十三億、こういうふうに言われておるのですが、経営基盤が弱体化しているという問題は今後もまた引き続いて残っていくだろうと思うのですね。  また一方で、国内炭を取り巻く環境も一昨年以来大きく変化をしてきていますし、国内炭の安定した生産確保という観点から、石炭企業の経営基盤の安定強化について極めて大きな関心を持っていらっしゃるだろうと思うのですが、通産省としては、この国内炭の安定ということについてどう取り組んでいくのか、大臣、お答えいただきたいと思います。
  93. 村田敬次郎

    村田国務大臣 国内炭の石炭企業の経営基盤の安定という問題についての斎藤委員の御質問でございまして、大変重要な基本的な問題であると認識をしております。  今御指摘になりましたように、近年における石炭鉱業を取り巻く環境は、内外炭価格差が拡大をしていっております。そういったようないろいろな原因がございまして、厳しい状況にある。したがって、石炭企業は全体としては依然赤字経営となっております。     〔多賀谷委員長代理退席委員長着席〕 これは御指摘のとおりでございまして、企業みずからの合理化努力、それから政府の施策、需要業界の協力、いわゆる三本立てと申しますが、この三本立てのいろいろな努力によりまして中長期的には徐々に改善の方向に向かうもの、こういうように思料しておるわけでございます。  政府方針といたしましては、今後とも石炭企業の自己努力を側面から支援をするために、第七次答申に沿った施策を行うこととしておりまして、需要業界の協力等と相まって石炭企業の経営の改善が進み、自立への展望が開かれるということを期待をしておるところでございます。
  94. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 先般石炭協会を中心といたしまして調査団がヨーロッパに派遣された、イギリス、フランス、西ドイツを歴訪したというふうに聞いておるわけですが、我が国エネルギー政策の中で極めて重要な石炭政策でございますので、今後第八次石炭政策の検討の過程で外国の石炭政策というものを十分参考にして対処すべきではないかと私は思うのです。そういう意味で、これは石炭協会だけじゃなくて、やはり石炭政策の中心が通産省でございますので、これは政府調査団を派遣して十分に調査をし、第八次石炭政策の中に反映をさせるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  95. 村田敬次郎

    村田国務大臣 政府調査団派遣についての御質問でございます。  第八次石炭政策につきましては、過去のスケジュールを考えてみますと、大体ことしの夏ごろ石炭鉱業審議会に諮問をする、そしてまた来年夏ごろ前後に答申をいただくというようなことの日程になるんじゃないかという見込みでございます。これは非常に重要な問題でございますから、政府調査団の派遣につきましても、今後必要に応じて考慮してまいりたいと思います。
  96. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣、ぜひひとつ重要な問題でございますので、諸般の状況判断の上お考えいただきたい、御要望申し上げておきます。  それからイギリス、フランス、続いて西ドイツ、この各国においては、エネルギー政策の中におきまして国内炭をどういう位置づけをしているのか。言ってみれば石炭政策の基本理念といいますか、基本方針というもの、これについてどう位置づけているのか、お伺いしたいと思います。
  97. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 イギリス、フランス、西ドイツにおける一次エネルギー消費に占める国内炭のシェアは、それぞれイギリスが三四%、フランスが七%、西ドイツが三〇%と、かなりウエートを占めておるわけでございまして、各国とも一次エネルギーの中で国内炭は重要な地位を占めておると私ども承知しておるわけでございます。こうした状況の中で、各国ともエネルギーの自給率の維持向上を図るとのエネルギー政策上の目的を達成いたしますために、国内炭を重要な国内エネルギー資源と位置づけまして諸般の政策を実施していると承知しております。
  98. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 今、イギリス、フランス、西ドイツについては国の重要な産業として石炭政策を位置づけておるという答弁がございました。我が国も同じような位置づけをしているわけでございますが、この三カ国においては我が国以上にコスト高の石炭を掘っていると承知しているわけです。コストが非常に高い。国内炭と海外炭との格差はもっと大きいと私は思うのですが、この貴重な国産エネルギーとしての国内炭に対してどういう補てん措置をとっているのか、参考にお尋ねしたいと思います。
  99. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘の三カ国におきましては高能率炭鉱も存在するわけでございますが、全体としてはやはり生産コストが高水準のものとなっておりまして、海外の石炭との価格差がかなり存在していると私どもとしても承知しておるわけでございます。各国政府はこのような状況を踏まえまして、国内の石炭鉱業を海外炭との競争力を有する産業とするべく、非効率炭鉱の閉山を含む合理化を進めますとともに、一方におきましてこのような価格格差に対しましていろいろな補てん措置を各国で講じておるものと承知しております。  具体的には、イギリスでございますが、政府石炭庁の赤字を補てんするために助成金を交付していることでございます。フランスでございますが、政府石炭公社の赤字を補てんするために助成金を交付しております。西ドイツにおきましては、海外炭との価格差につきまして電力の最終需要家が石炭調整税の形で負担してこれを補てんするという格好でございます。  これが電力用の一般炭でございますが、原料炭につきましても政府が一部を補てんするための助成金を交付するということで助成措置を講じている状況でございます。
  100. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 太平洋地域協力の一環といたしまして環太平洋石炭協力構想というものがあるようでございますが、これはどういう目的また意義を持つ構想なのか、具体的内容についてお伺いいたしたいと思います。
  101. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘の環太平洋石炭協力構想でございますが、これは太平洋協力構想全体の検討の中で、協力分野の候補の一つとしてエネルギー協力の一環として検討を進めておるところでございます。  御案内のとおり、太平洋地域におきましては豊富な石炭資源がございますし、一方におきまして広範かつ高度な石炭利用技術がございます。また、石炭の需要につきましても潜在的な需要がかなりあって、大幅な増加が期待できるという状況にあるわけでございます。そういった状況の中で、適切な国際協力を通じまして石炭貿易と申しますか、コールフローの安定的、効率的な拡大を図るということによりまして、環太平洋諸国におけるエネルギーの安定供給、関係各国の経済発展等に寄与し得れば有意義であると考えておるわけでございます。  なお、協力の具体的な内容でございますけれども、今後太平洋協力構想を検討していく中で、関係各国との十分な意見交換も踏まえアイデアを煮詰めていくことが適切と考えているわけでございます。
  102. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣、これはたびたび当委員会でエネルギー政策の中での石炭の位置づけとか健全な発展とかが論議されてきたのです。これから第八次政策を準備する段階に入ったわけですが、何といっても保安の強化とか石炭の需要の拡大、石炭産業の安定的な経営、いろいろ問題を抱えているわけでございますので、ぜひこういった炭鉱の健全な発展、維持ということも踏まえて、これらを大前提として第八次政策を検討していただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。
  103. 村田敬次郎

    村田国務大臣 斎藤委員から非常に広範にわたってエネルギー、特に石炭の問題で御質問いただきまして、先ほどからずっと拝聴しておったところでございます。  私からもお答え申し上げましたように第八次の計画はこれからでございまして、一番大事なところだと思いますし、また、日本エネルギーの供給を受ける基盤が非常に脆弱でありまして、特に石油依存度、さらに中東依存度が高過ぎる。そういった意味で、石炭エネルギーの今後というものは日本の国の政策としても非常に重要でございますし、また、御指摘になりましたヨーロッパヘの視察団とか太平洋協力の問題でございますとか、いろいろ世界的な立場でも考えていかなければならない問題がたくさんあるように思います。私は一月の中旬に中曽根総理のお供をして日豪首脳会談にも出席をしたのでありますが、そのときにも石炭の問題等出ました。したがいまして、今委員の御指摘になった点をお伺いしておって、心から同感する面が非常に多いわけでございます。対外国の問題、第八次計画の問題を含めて真剣に対処して努力を続けてまいりたいと存じます。
  104. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣の極めて積極的な御答弁でございましたので、ぜひその姿勢でこの石炭産業の発展のために取り組んでいただきたいということを御要望申し上げて、私の質問を終わります。
  105. 小川省吾

    小川委員長 宮崎角治君。
  106. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今斎藤委員の質問に対する答弁の中から、第八次へ向かってそれぞれ政府としての努力という方向がうかがえたわけでありますが、高橋石炭部長の答弁でよくのみ込めないところがございましたので、再度確認の意味でお尋ねしたいと思うわけであります。  鉄鋼関係で六千六百二十万トンですか、これはプラス九%、電力関係で二千百万トンでプラス二一%、窯業並びにセメント関係で七百二十万トンのマイナス八%、そういったことでありますが、そうすると、この三部門で平均していきますと七・二%増というふうに考えてよろしいのか、この辺を再確認する意味でまず冒頭お尋ねしておきたいと思います。
  107. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘の鉄鋼、電力、セメントの五十九年度の石炭納入実績見込みでございますが、今先生から御指摘のあったとおりでございまして、これを合計した伸び率はちょっと手元にございませんけれども、それぞれ鉄鋼につきましては九%増、電力につきましては二一%増、セメント等については八%減というふうになっています。
  108. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 そうすると、今後中長期の方向としては極めて改善の方向であるやに先ほどの大臣の御答弁があったわけでありますが、今日本の国内のエネルギーのいわゆる炭鉱の鉱脈といいますか、新たなそういった資源について、物探とかボーリングとか、そのような国内における新鉱脈の発見についてはどの辺を中心にして進められているのか、その辺を定かに答弁を求めたいと思うわけであります。
  109. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 お尋ねのこれまで調査をしてない地域における石炭資源の調査の問題でございますが、第七次の石炭鉱業審議会の答申を受けまして、五十七年度から新エネルギー開発機構におきまして総合的な地質構造の調査あるいは炭層賦存状況調査を行っているわけでございます。  具体的な地域でございますが、海域、陸域に及んでおりますけれども、五十七年度以来これまでのところ、海域につきましては九州の西彼杵沖それから有明海、北海道で釧路沖の調査をしておるわけでございます。それから陸域は北海道で五つの箇所についての調査をしているところでございます。
  110. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 NEDOを中心とした国内の資源の埋蔵についての新たな発見というか開発、そういった方向で鋭意努力されていることに対して大変評価するわけでありますが、その新鉱脈の今やっている、いわゆる七次を受けてなさったその成果なり、あるいはまた今発表できたらその採算ペースの見通しなどはどうなのか、さらには今後八次、九次といくであろうこれからの開発の推進方向についてまたお尋ねしたいと思います。
  111. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 石炭資源開発の基礎調査でございますけれども、海域につきまして三海域、それから陸域について五地域というふうに申し上げたわけでございますが、成果が出ますまでにはかなりの年月を要するわけでございまして、ただいまのところ新エネルギー開発機構による基礎調査がかなり進んでいるところは、例えば西彼杵沖があるわけでございます。  この西彼杵沖について見ますと、現在までのところ、ちょうどこの地域に隣接しております現稼行中の炭層、具体的には池島、高島の炭鉱でございますが、その他島、高島の炭鉱に隣接しております地域での炭層が現稼行中の炭層に引き続いてさらに広い範囲で賦存しているという傾向が得られておるという知見があるわけでございますが、引き続きこの点について調査を継続してまいる所存でございます。  なお、これが経済的に採算が合うかどうかということでございますが、これにつきましてもかなりなお詳細な調査が必要でございまして、今後の調査さらには企業家ベースでの調査等々、総合的な調査が今後続けられる必要があるかと思うわけでございます。
  112. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 まだアイ・エヌ・ジーのようでありますが、早急にその成果あるいはまたデータの公表ができるような希望を要望しておきたいと思うわけであります。  今までの石炭産業の沿革からして、私は、当委員会で昨年行きました福岡とか佐賀とか長崎、現地の踏査をいたしまして感じることは、鉱害というのが非常に浮き彫りされてきたわけで、福岡、佐賀、長崎における鉱害対策あるいはまたボタ山対策に対して、その後担当の所管としてどれくらいの方向で進めてきたのか、あるいは今後鉱害の実情をキャッチした中で、認定の遅延、非常に認定が遅くなるために果たして六十七年七月三十一日の期限までに、この臨鉱法の期限までにこの問題の処理が、解決が済むのかどうなのか、大変な危惧を抱いているわけでございます。  現地の状況をいろいろと調査いたしまして、また現地に行きまして見た中では、被害者の方々の苦痛というものを本当に一身に受けて、私もこれでは大変だと感じてきたわけでありまして、そのボタ山の実情と対策、あるいはまた生ボタを使ったために今日なおあの生ボタの特性が健康面にも非常に影響いたしているという実態、そこで今後庁としてどういう調査体制をし、あるいはまた復旧対策をやっていかれるのか、その辺の見通しなりを定かに見解を求めたいのであります。
  113. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 九州における鉱害の状況についてのお尋ねがまずあったわけでございますが、御案内のとおり五十七年に告示をいたしました鉱害復旧長期計画によりますと、五十七年から十年間に処理すべき全国の鉱害の量は、五十七年度価格にいたしまして約五千九百億円になっているわけでございますが、このうちの九七・五%が九州地方のものであるわけでございます。  これらの鉱害は、計画的かつ効率的に処理するという観点から、政府といたしましても所要の資金の確保に努めてまいりますとともに、また、地域あるいは県別の復旧費についても残存鉱害の分布を念頭に置いて配分するようにしてきているわけでございます。この結果、九州におきましておおむね三年間で、五十七年度からの三年間に約三割程度の鉱害復旧の処理が進められてきておるところでございます。  なお、認定の遅延についての御指摘がございましたが、これについても鋭意その解消に努めるよう努力をしてまいる所存でございます。  次に、生ボタを使用して鉱害復旧した物件について補修工事等の処理を講ずべきではないかということについての御指摘でございますが、過去に生ボタを使用しまして復旧した物件の中には、その後地盤が膨張いたしましたりコンクリートが腐食する等の現象が発生したこともございまして、被害者から補修工事の要請が出されているものがあることは承知しているわけでございまして、この問題について具体的なケースに応じてやってまいらなければいけないわけでございますけれども、技術的、法律的な解明が必要であるわけでございますので、それらを踏まえまして、実情に応じた適正な解決を図るために、関係者を含めて検討を行っておるところでございます。
  114. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 大変実情を掌握されているようでありますが、私の調査では、佐賀県の場合の賠償能力のない有資力炭鉱にかかわる鉱害量、あるいはまた金額にいたしましては、家で百三十七戸とか、あるいは農地で四十三ヘクタールとか、あるいはため池で十一カ所であるとか、これが八十五億五千万円ぐらいはかかる。我が長崎県におきましては、畑に行きますと七十七億ぐらいの残存というものがあります。いわゆる残って、それを解決するための費用というのは、畑であり、公共施設の十八億とか、あるいは家の五十七億とか、本県でもやはり百五十二億。佐賀県でも相当の金額がまだまだ残っているわけであります。果たしてこんなになるとは、恐らく関係者その他は予見できなかったであろうかどうなのかという問題もあるわけでありますが、ともかく今後ひとつしっかりと、前向きの積極的な方向で対処していただくことをお願いするわけであります。  私は、ある本のすばらしい言葉が今脳裏から離れないわけであります。それは、遅延という、おくれているということは、この言葉そのものは拒否に通じ至言葉である、おくれるということは、もうしないんだ、拒否するんだ、そういう言葉がある書物に載っているわけであります。どうかひとつハイペースでよろしく願いたいと思うわけであります。  次は、これはまた後ほど詳しく時間をもらっていたしたいと思うわけでありますが、悪夢にも等しい、悪夢としか考えられない昨年一月十八日の死者八十三名、負傷者十三名を出した有明鉱の大惨事でありますが、今またこれは私の脳裏から離れません。  昨年九月に事故調査委員会の最終報告が出ました。この報告によりますと、出火原因の具体的な究明と、会社側の保安管理に手落ちがあったことが指摘された。そして現在、福岡県において業務上過失致死傷の疑いで会社幹部等の取り調べが行われている。  では、鉱山保安監督局の方の鉱山保安法違反についての司法捜査はどのような状況になっているのですか、ひとつこれを定かに説明願いたい。
  115. 平河喜美男

    ○平河政府委員 お答えいたします。  鉱山保安法違反に関係します司法捜査につきましては、現在、福岡の地方検察庁の指揮のもとに、事故発生以来、福岡鉱山保安監督局において鋭意捜査を実施しているところでございます。  現在の捜査の段階でございますけれども、現場検証が大体終わりまして、その後の証拠固め、被疑者調書の作成といったような段階に現在進んでいるところでございます。
  116. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 こういった独自の調査については、ひとつ鋭意県警の方とも協力しながら、より解決、より真相の解明に努力していただきたい。  さて、この有明鉱という、まことにマンモスのこの企業体の中で、昭和五十九年の労働災害率、これはどういうふうになっていましょうか。一月の事故を除くとどのくらいになるのか、この辺をちょっと教えてください。
  117. 平河喜美男

    ○平河政府委員 昨年の大事故以後の災害状況について御説明いたします。  死亡事故が三件、死亡者が四人でございます。本年に入ってからは、死亡事故は発生しておりません。  昨年の事故を鉱別に見ますと、四山区域で山はねによるもの一件、二名の死亡。有明区域で運搬及び落盤による事故それぞれ一件、一名が死亡しております。  一方、稼働延べ百万人当たりの災害率で見ますと、五十九年は一三四と、五十三年以来の悪い成績でございます。大事故の発生しました一月を除く十一月で今の数字を見ますと八二・一でございまして、五十七年六〇・八及び五十八年五七・八に比べても、少し高い水準になっております。  事故の内容について見ますと、取り扱い中の機材、鉱物運搬、落盤、側壁の崩壊などといったような災害が多くなっております。
  118. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 稼働延べ鉱員百万人当たりの死傷率が出たようでありますが、事故以来、設備の点あるいはまた皆さん方の方でも鋭意指導等々がありまして努力されているわけでありますが、その設備の点で幾らか改善されたと思うのでありますけれども、会社側の安全への意識がまだまだ不足しているのじゃないかというような感じがするわけであります。監督局の厳重な指導と監督を望む次第であります。  さて、次に、私はCOマスクについて、前百一国会より再三取り上げてきました。筑波の公資研に検査機械も導入されて、昨年の十二月七日でしたか、私、視察してまいりました。また、西ドイツへの調査団も派遣された。この中に調査に行かれた方がおられるのですか、ドイツの方は七名でしたね。アメリカ関係は八名行かれたはずでございます。その西ドイツへの調査団も派遣されて、昨年報告を受けたわけであります。  それによりますと、このCOマスクの試験の基準等については、以下の諸点が国際的に見てすぐれている、こう言っているわけです。  例えば、吸気温度の測定法の改正。ピーク温度もあわせて測定するようにする。二つ目には、COマスクのいわゆるCOの除去の能力測定法の改正。片方だけじゃなく、往復通気により測定するようにする。三つ目には、COマスクに関する教育訓練の実施。その他。  さらに、なお書きで、西ドイツ側が行っております「往復通気による我が国のマスクのCO除去能力試験結果については、調査団としてはデータに問題があると判断するので、早急に、我が国の公的試験研究機関において確認のための試験を行う必要がある。」こういうくだりがあります。  私は、このデータから見て、また報告から見て、この報告についてもどうも納得のいかない点が多々あります。データ的にも疑問の点が多々ある。このことについては、また日を改めてぴしゃっとやりたいと思います。本日は、今までの報告の経過の中で確認しておきたい点を何点かお尋ねしたい。  昨年十二月に通産省より報告を受けたときに、JISの改正点を検討中である、こういうことで、ちょうど今月、もうあしたで終わりますが、六十年三月までに結論を出すということになっている。その結論はどうなっているのか、ひとつ定かにお尋ねしたい。
  119. 平河喜美男

    ○平河政府委員 お答えいたします。  海外調査とか公害資源研究所におきます試験研究成果とか、こういうものを参考にいたしましてJISの改正の作業を進めてきたところでございますけれども、三月の二十八日に大体最終の結論が出ておりますので、今後手続を進めまして、七月に改正の運びになろうかと思っております。この間、時間がかかりますのは、現在ガットの方で、こういう基準をつくりますと、そちらに原案を回しまして、向こうが了承をしてから国内の手続をとるということになっておりますのでおくれるだけでございます。  それから、JISの改正につきましての主な内容でございますけれども、先ほど先生指摘いただきましたように、吸気の温度の測定法、これにつきましては熱電対法を使う。これによりましてピーク温度の測定ができることになります。それから持続能力試験につきましても、連続通気から先ほど御指摘ございましたような往復通気による方法に変える、こういうことを含めまして改正する予定になっております。
  120. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 ガットを通し、あるいは公示が大体三カ月じゃないかと思っておりますが、それで七月という、これは鋭意努力されて人命に関係するこういった公的試験、しかもその機械の導入、そしてまたスタッフの熱意、また省の監督といろいろとありまして、今後保安なき出炭はないわけでありますから……。  最後に大臣に二、三点の問題をピックアップしながら、本日は時間の範囲でお尋ねしているわけでありますが、日本石炭業界に少し喜びと意欲と、そしてまた労働者のいろんな生活権の確立のために、国を挙げて今日まで頑張ってきた炭鉱の中に一つ灯消え、二つ灯消えという、しかも二千万トンにも達しない中で千七百万トンを辛うじて維持していこうとする、もう石炭よりも油だ、もしそのような声が出たときに、日本の炭鉱界は山の灯が相当消えていくんじゃないだろうかと思うわけでありますが、この人たちの擁護のためにも、また、申し上げました安全の確保のためにも、十分ひとつ、鋭意省としての強力な指導体制を確立していただきたい、このようなことを思うわけでありますが、最後に大臣のこの点についての御決意なり方途なりお尋ねしておきたいと思うわけであります。
  121. 村田敬次郎

    村田国務大臣 お答え申し上げます。  石炭企業全般について、先生指摘のようないろいろな広範な問題がございます。先ほど来、公害関係の御質問、それからまたCOの関係の御質問、いろいろ承りましたが、非常にごもっともな御指摘だと思います。  先ほども申し上げたところでございますが、石油というものに対する日本の依存度が余りにも高い。そしてまた、国内からはほとんど石油は出ないわけでございまして、外国からの供給に専ら仰いでおる。そして、それを供給をするのは中東地域が最も多い。ホルムズ海峡依存度は六十数%という現状でございまして、エネルギーの安定供給確保ということは、これは私は国の政策として最も重要な問題であると思います。したがって、石油にかわる代替エネルギー、これは原子力であるとかあるいはその他いろいろございますが、石炭もその有力な一つであることは間違いない。しかも、伝統産業として石炭産業は日本に根づいておる重要な産業でございます。非常に苦難の道をたどっておることはよく承知をいたしておりまして、こういったことに対して企業の自助努力、また政府の援助、あるいはユーザー側のいろいろな良心的な対応、こうしたことに期待をしておるわけでございますが、特に石炭企業自体の自助努力というものに心から期待をしておるのでございまして、日本石炭産業がこれから立派にやっていけるかどうか、これは私どもの努力にもかかっており、そしてまた石炭企業に従事される方々の努力にもかかっている、ユーザーの御協力にもかかっておるわけでございまして、こういった三位一体と申しますか、そういう協力の上に委員指摘のような諸般の問題と取り組んでいきたいと思っております。
  122. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 ここにいられる小川委員長委員長に就任されたときに、みずから炭鉱の六百メートル、六百五十メートルの地下に足を運ばれて現地踏査をされてきたという。私はある人からその実態を聞いたときに、私どもは認識して評価しなければいけない。本当に大臣みずから入れともちろん言いませんけれども、その実情をキャッチされた中で、またより強力なこういったエネルギーの方途について御見解が出ることでないかと思うのです。NEDOにいたしましても、火山国である日本はすばらしいニューエネルギーというものを開発するために努力をしている。ほとんどこういったポーリングや物探にいたしましてもNEDOからお金が出ているやに聞いているわけでありますが、いずれにいたしましてもエネルギーの問題につきましてはまたいろいろと論陣を次回に張らしていただきたいと思いますし、今後もさらに強力な指導と方向をひとつお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  123. 小川省吾

    小川委員長 滝沢幸助君。
  124. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 委員長、御苦労さまです。大臣、御苦労さまです。  石炭問題の基本的な二、三について質問さしていただきますが、まず初めに、第七次石炭政策の見直しというようなこと、これは申すまでもなく昭和五十七年から六十一年までの計画、この目玉は、いわば年産二千万トン達成ということを通じまして国内の石炭産業の自立できる体制を目指すということが目玉であると承知をしておりますけれども、最近内外の価格の差が拡大したなどの石炭産業をめぐる情勢変化ないしは状況変化という中で、第七次石炭政策そのものを見直すべきであるという意見もあります。しかし、六十一年度までのこの七次計画でありますが、これを今見直すというようなお考えがあるかどうか。
  125. 柴田益男

    柴田(益)政府委員 第七次石炭対策につきましては、先生指摘のありましたように内外炭格差の拡大等の問題はございますけれども、国内炭の生産はおおむね安定的に推移しておりますし、あるいはまた生産能率も着実に上昇しております。また、合理化も進展しているわけでございまして、政府といたしましては第七次政策につきましてはこれを見直すということはなく、基本的にこの考え方に沿って政策を六十一年度まで展開していくというふうに考えております。
  126. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 七次計画がおおむねよろしく進んでいるというふうなお答えと聞きましたのでありますが、そうでございますならば、次の第八次の石炭政策を策定する時期に移るわけでありまするけれども、これは今年後半から来年にかけ作業をされなくてはならぬと思うのでありますが、この作業の、つまり第八次計画の策定作業の日程、プログラム、そしてこれに対してはどのような基本方針を持って臨まれるのか、承っておきたいと思います。
  127. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のとおり、第七次の石炭政策の期限は六十一年度末でございます。過去のスケジュールにかんがみますれば、その次の石炭政策、第八次石炭政策ということになるわけでございますが、おおむね本年の夏ごろ石炭鉱業審議会に諮問することとなる見込みでございます。過去のスケジュールにかんがみますれば、その後一年ぐらいの検討期間がありまして、一年後ぐらいに御答申をいただくというようなスケジュールになっております。  第八次の石炭政策に臨む基本方針については、今後諸般の要素を十分に検討いたして臨む方針でおるわけでございます。
  128. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 今のお答えに尽きるかもしれませんけれども、諸般の情勢を検討してということですが、そう言えばそれで終わりでございます。  そこで、第八次石炭政策を立案されるに当たりまして、本来の二千万トン体制そのものを見直すのであるかどうか、これをいろいろと危惧する面もございます。このことがどうなのか。七次の政策の根底にありましたこれらの方針が変わるかどうか。これを具体的に二、三申し上げるならば、国内炭は産炭国の輸出政策やストライキなどの条件によって非常に不安定な要素があることは御存じのとおりでございますが、輸入炭に比べましてそのような面では大変困難な業界の状態ではありますが、しかし供給が安定しているというべきでありまして、このようなことを考えますときに、先ほど申し上げました八次の計画を今いろいろな状況を検討しとおっしゃいましたが、具体的にはひとつこのようなことはいかがであるか、承りたいと思います。
  129. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 八次の石炭政策の検討におきましても、七次の場合と同様に、石炭にかかわる種々の問題について検討を行うこととなるわけでございますが、御指摘のいわゆる二千万トン体制の問題あるいは財源問題についても当然検討の対象になるというふうに考えております。
  130. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 もう一つ、具体的な話でありますが、電力事情等を見ますると、原子力発電所の開発には住民等の中でこれをいわばまだなかなか消化し切れないものが多々ありまして、いずれの立地におきましてもこれはいろいろなトラブルを生じているところでありますから、やはり火力の占める比重は今後とも拡大こそすれ後退してはいけない状態と思うのでありますが、そのような面におきましても、電力に対するいわばエネルギー供給という面におきましてのこの八次計画はどのようになりますか。
  131. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 第八次の石炭政策の検討に当たりましては、今先生から御指摘のございましたような国内炭に対する需要の問題、この中には御指摘のございました電力用炭の問題あるいは鉄鋼その他の産業に対する原料炭の問題、そういった問題も含めて需要の問題を各般にわたって検討することになるものと考えております。
  132. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 全部検討ですから。もちろん、検討するためにこれから作業するのですからそれはそのとおりでありまするけれども、しかし、政府としてはこれだけは動かさぬ、これはむしろそれこそ変えるべきではないのかというようなものがあっていいのでありまして、何もかにも検討とおっしゃればそれで尽きるわけでございます。けれども、以上申し上げましたようなことで今後とも石炭産業には大変な力を入れていかなくてはならないというような状況は否定しがたいものでありまするから、もう一度お尋ねいたしまするけれども、二千万トン体制そのものは引き続き第八次計画の中に残っていくというふうに理解していいですか。
  133. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 第八次の石炭政策につきましては今後一年以上かけて検討するわけでございますが、生産目標につきましては、七次のとき以降の需要の動向あるいは生産の状況等も勘案して決めることに相なるわけでございまして、ただいまの時点におきましてどのような姿になるかをにわかに断ずるわけにはまいらないわけでございます。  しかしながら、いずれにいたしましても、七次のときに指摘がありましたように、国内炭の持つ意義、すなわち国内の良質な唯一のエネルギー資源であること、あるいはその安定的な供給性においてすぐれていること等のメリットにつきましては十分考慮してまいらなければいけない。他方、最近内外炭格差の問題が指摘をされているわけでございますが、そういった面での経済性も考慮していかなければいけないということでございまして、基本的には七次のときと同様にそういった安定性と経済性をどのように調和をされていくかということが重要なポイントになろうかと思いますけれども、最近の事情も織り込んで適正な水準に生産目標を持ってまいりたいというふうに考えております。
  134. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 要するにわからぬということになるわけでありますけれども、国の政策というものは、もちろんこれは石炭だけではありません、すべての計画は五年ごと、十年ごと、いろいろとございまするが、たびたび計画を輪切っていくのは当然ですね。しかしこれは、今後自民党政権がどうなるか私は知りませんけれども、大臣、今後とも自民党が政権をとっていく予定だとするならば、八次と七次の間にそのような格段の差があろうはずはない、あってはいけない。つまり、衣は夏服と冬服と違っても、心と体は一つであるのです。その点を思うならば、七次と八次の間に少なくとも二千万トン体制という基本の柱は変えない、これは変えたくないというような意思表示がないならば、すべてを御検討させていただきますだけでは安心できないのではないか、私はこう思うのです。それはお答えにならぬというものです。
  135. 村田敬次郎

    村田国務大臣 滝沢委員にお答え申し上げます。  今、第七次の石炭政策というものを推進をしておるわけでございます。六十一年に第八次が答申を受けるということになれば、それまでは第七次石炭計画というものを推進をしていくことになりますが、全般として見てみますと、国内炭の生産状況はおおむね安定的に推移をいたしております。それからまた生産能率も着実に上昇し、合理化も進展をしているものと承知をいたしております。  私は昨年十一月一日に通産大臣に就任をしたわけでございますが、その後石炭業界の幹部の方々と公式にお目にかかりまして、経営状況、そしてまた今後の政府やあるいはユーザー側に対する御要望等つぶさに承りました。そして、政府としては、石炭業界のいろいろな状況も踏まえ、第七次石炭答申の基本的な考え方に沿った政策の展開を引き続き図ってまいりたい。  また、第八次につきましては、ことしの夏に諮問をいたしまして、そして六十一年には答申をいただく、そういったことで具体的に計画を進めていきたい、このように考えております。
  136. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 さっき局長がおっしゃったことを大臣が確認していただいたみたいな話でありまして、続いて八次の政策の立案についてのことでありますが、財源のことも検討するとさっき局長がおっしゃってしまったからでありまするけれども、そういう以心伝心、答弁の方が先走るのは非常にいいことです。それにしましても、財源問題を含めて第八次には再検討されるというふうにとるわけです。その中で、六十年度予算で一千二百五十九億円が石炭産業の振興のために不可欠なものとして出ておりますが、こういうことは前向きに進められるべきものでありまして、さっきこの財源の問題をも含めて検討するというのですから話になりませんけれども、少なくとも前向きに検討する、緩めてはいかぬという立場に立って申し上げておるわけでありまして、この点はいかがですか。
  137. 村田敬次郎

    村田国務大臣 滝沢委員と全く同意見でございまして、財源問題は、今石炭企業が非常に負債等を抱えて苦労しておるわけでございますが、石炭鉱業界の言うなれば自助努力、これをしっかりやっていただいて、また、政府としても国内炭を重要視しなければなりませんから、そういった意味でなすべき施策はしっかりと相談をして打っていきたい。また需要家側、ユーザー側におきましても、そういった大きな観点から御協力をいただく。三本柱と申しますか、三位一体と申しますか、そういった協力の上に第八次計画を組み立てていくわけでございますが、何よりも業界の自主努力というものに私どもは本当に心から期待をしておるところでございます。
  138. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 そこで、今日米の通商摩擦といいますか、貿易摩擦といいますか、何かおたくの政審会長も今度向こうに渡られると聞いておりまするけれども、ゆゆしき課題を背負っておるわけであります。そういう中で、輸入炭、このことも含めてこれは考えていただかなければならぬことであります。ところが、この石炭産業の中で、今ほとおっしゃったように、国内炭と輸入炭との関係は大変に微妙にして大事なことでございます。この輸入炭割り当て制度というものが適切に運用されなければ大変なことになります。  これらのことをも含め、先ほど申し上げましたこの貿易摩擦、これはむしろエネルギー全体というような観点から立ってのことにもなりましょうけれども、この日米間の貿易摩擦の解消という面と、先ほど申しました輸入炭との関係等についての消息を承りたいと思います。
  139. 村田敬次郎

    村田国務大臣 貿易摩擦問題との関連で御指摘をいただきました。大変重要だと思います。  政府としては、従来から国内炭優先使用の原則に立った輸入割り当て制度の運用によって国内炭の引き取りの確保に努めてきたところでございます。石炭鉱業審議会第七次答申の御指摘を踏まえて、今後とも国内炭の安定的な引き取りを確保するために国内炭優先使用の原則に立った輸入割り当て制度の運用に努めていく考えでございます。  なお、今滝沢委員が御指摘になりました貿易摩擦との関連で一例を挙げて申し上げますが、例えば石炭についてはオーストラリアあるいはアメリカ等は非常に豊富な資源を持っておる国であります。私が一月中旬に中曽根総理のお供をして日豪首脳会談に臨みましたときに、オーストラリアのホーク首相が言いましたのは、ひとつ石炭と牛肉のことをくれぐれもよろしく頼みます、オーストラリアの犠牲において他国との取引をしていただくことのないようにくれぐれもお願いをしたい、こう言われました。これはもうまさに石炭のことなどがそれではないかというふうに思い当たるわけでございますが、御承知のように、日本は自由主義経済でございますから、したがって、石炭の輸入にいたしましても、需要家側がオーストラリアなりアメリカなりの石炭を持っている方とうまく話が合わなければ、輸入をしようといってもそれは折れ合わないわけでございます。  そういった実情がございまして、外国炭の輸入は極めて重要である、しかし、それにも増して国内炭を優先使用していかなければならぬ、そういった事情があるわけでございまして、貿易摩擦にならないようにいろいろと配慮をしながら石炭需要についての長期計画を進めてまいりたいと思っておるのであります。
  140. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 大臣から大変温かいお答えをいただきましたけれども、おっしゃるように、日米間の貿易摩擦というのは本当に今の日本、将来の日本にとっての命運を決するほどの大きな課題であります。しかし、その中で、これはひとり石炭だけではありませんけれども、特に石炭のごときいわば弱い産業といいますか、保護されるべき産業にとっては大きな課題でありますので、ひとつ賢明な対策を各省庁通じて推進をちょうだいできますように御要望申し上げたいと存じます。  さて、このことの最後にもう一回、八次の計画におきまして、二千万トン体制、これはいわば堅持されると理解していいか、承ります。
  141. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 七次ができまして以降の生産の状況を見ますると、雑炭等を含めまして大体千八百万トンの水準で推移をしてきているわけでございます。しかしながら、八次の石炭対策を定めます目標は、恐らくこれは石炭鉱業審議会での御審議のいかんにもよるわけでございますが、新しく五カ年間の期間でこれを検討するということに相なるかと思うわけでございますが、その間にまだおおむね七年間の猶予があるわけでございまして、その間どのような生産の状況になるか、あるいは需要の状況になるか、そういったものを十分見きわめた上で、正しい姿で生産の水準を定めたいと思っておるわけでございますので、繰り返すようでございますが、今後あらゆる状況を勘案いたしまして検討を進めてまいりたいというふうに思うわけでございます。
  142. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 その範囲を出ないこともやむを得ないかもしれませんが、大臣よく御存じのとおりの業界の念願でありますので、どうかひとつ八次の計画にも七次を踏襲して、大変な状況の産業に対しての御理解を進めてちょうだいしたいと思います。  さて、保安確保対策についてでありますが、先ほどの三池炭鉱の災害のときにもいろいろと議論されたところでありますが、集中監視システムの整備の問題、そしてその近代化の問題、そして各種センサーの機能の向上の問題ないしは各種救急機器、器具の開発のこと、こういう緊急なものがたくさんありますが、これらは市場のメカニズムによりましていろいろとかかわってくることでありますけれども、国の積極的な助成というものも不可欠な課題でございます。このようなことをも含めて、これはなかなか難しいことではありますけれども、どのようなお考えを持っておいでか、承っておきます。
  143. 平河喜美男

    ○平河政府委員 今先生指摘ございました炭鉱におきます集中監視装置あるいは各種センサー、救急用各種機器等につきましては、坑内の保安確保上極めて重要なものというふうに私どもは理解しております。従来から保安専用機器といたしまして、鉱山保安確保事業費補助金制度によりまして高率の補助金を交付し、その整備拡充を図ってきております。今後ともその整備拡充について指導助成していく所存でございます。  なお、これらの機器につきましては、引き続き技術の向上も必要でございますので、高信頼性センサーあるいは緊急脱出用酸素マスク等につきましては、財団法人石炭技術研究所に対しまして委託をし、所要の技術開発を積極的に進めているところでございます。
  144. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 次に、切り羽の自動化ということもございます。山はね対策、そして今ほどもいろいろと議論があったところでありますけれども、個人の携帯用酸素マスクの開発のこと、これは大変重要な課題でございますけれども、この開発の現状と見通しといいますか、これをもう一度私からもお尋ねさせていただきたいと思います。
  145. 平河喜美男

    ○平河政府委員 山はね対策と酸素用マスクの開発状況について御説明いたします。  山はねの災害防止につきましては、御存じのように最近の炭鉱における深部化傾向が推移しておることから、非常に重要な対策と認識しております。これまでも研究開発を含めまして各種対策を講じてきておりますけれども、なお、昨年三件の山はね事故が発生しているという状況でございます。このため、現行の対策を見直しまして、新たな視点から技術開発への取り組みを強化することといたしたいと思います。そのため専門家グループに今意見を聞いているところでございまして、その意見も踏まえて今後の対策を講じてまいりたいと思っております。  なお、酸素マスクの開発状況でございますけれども、現在がなり研究が進んでおりまして、昨年末にボンベタイプの試作品が既に完成しておりまして、鉱山保安センターでマンテストを実施中でございます。本年四月以降には、各炭鉱で現場で携行試験を実施する段階になっております。今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  146. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 また、御存じのようにだんだん深くなってきまして、奥深くなっていくわけでありますから、こういう条件はだんだんと難しくなってくるわけであります。これに対しまして、保安技術の向上というものがまず大事でございましょう。そのためには、技能者の養成というものが当然必要になってまいります。この保安教育の抜本的な拡充対策というような面ではいかがなお考えを持っておいでか、承らせていただきます。
  147. 平河喜美男

    ○平河政府委員 石炭鉱山の採鉱区域が深部化、奥部化している中にありまして、鉱山労働者に対する保安教育は非常に重要な問題と認識しております。このため、石炭企業におきまして各種教育を実施しているところでございますけれども、国といたしましても、保安教育の徹底を図るという観点から鉱山保安センターにおける保安教育を推進しております。当センターにおきましては、昭和四十三年度の設置以降、救護訓練教育、保安技術職員の養成教育、有資格者の教育、新入者の基礎教育等、逐年新たな教育科目を加えつつ教育内容の拡充強化を図っているところでございます。  また、毎年当該年度の教育内容を決定するに当たりましては、炭鉱の要望しております教育内容等も把握しまして内容を拡充するように努めておるところでございます。
  148. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 次に、炭層の探査の問題でございますが、安定した炭層を求めること、そのための海上ポーリング等が必要なわけでございます。これは企業側の問題でもありますので、何といいますか、大変政府としては対応しにくい課題も多々ありましょうが、このことについて抽象的な御質問だけを申し上げておきます。
  149. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 炭層探査に関するお尋ねでございますが、政府といたしましては新エネルギー総合開発機構に対しまして補助金を交付いたしまして、石炭資源開発基礎調査ということで海域及び陸域について総合的な地質構造調査及び炭層賦存状況調査を実施しているところでございます。海域につきましては海上ポーリングのほかに物理探査も実施しておりまして、今後ともこれらの調査を進めていく考えでございます。  また、企業ペースの炭層探査につきましては補助金制度がございまして、坑内骨格構造整備拡充事業費補助金制度の中におきまして五十六年度から海上ポーリング等の地質調査工事を補助対象として追加をしております。炭鉱が行う炭層探査の促進を図っているところでございまして、今後ともこの制度の活用を図っていきたいというふうに考えております。
  150. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 時間があれですから進ましていただきますが、技術開発の促進ということが一つの課題でございます。これは申すまでもなく、石炭の利用を拡大するためにはいわばクリーンな流体エネルギー、つまりは石炭の液化、石炭のガス化なんというような技術の開発が欠くべからざるものでございます。このような技術の開発という面の現状、そして将来への見通しというようなものはいかがなものであるか、伺います。
  151. 村田敬次郎

    村田国務大臣 政府といたしましては、石炭を初めとする石油代替エネルギー開発導入を促進するために、従来から製造技術、利用技術等の技術開発を推進しておるところでございます。このうち、石炭の利用拡大のため次のような技術開発を実施中であります。  すなわち、当面の石油代替エネルギー技術の開発としては、高効率な新型ボイラーのための流動床燃焼技術、それから石炭の輸送の効率化を図るための石炭スラリー技術等の技術開発を推進しております。また中長期的視点からは、新エネルギー技術開発の一環として、代替燃料の少ない揮発油等の軽質石油製品に直接代替し得る液体燃料の大量安定供給確保のため、歴青炭及び褐炭を対象とした石炭液化技術を着実に実施中であります。また、より高い発電効率の実現のための低カロリーガス化等の石炭ガス化技術開発につきましても、中長期的視点に立脚して取り組んでおるところでございます。  委員指摘のように、技術開発はこれらの時代に対応する最も重要な問題でございまして、今後とも広範な分野における石炭の利用が可能になるよう、各種技術開発を積極的に推進してまいる所存でございます。
  152. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 ありがとうございました。  今おっしゃっていただきましたように、大体石炭は炭質がいろいろございますからこれによって違いまするけれども、総じて積極的ないわゆる研究開発というものがありませんと、近代社会に消費者の要求に沿えないという課題があるわけでありまして、どうぞひとつ対策を緩めずにお願いを申し上げたい。  と申しまするのは、実は石油代替エネルギーの開発ということにつきましても、先ほど国際貿易摩擦の話も申し上げたわけでありまするけれども、最近、御承知のように石油の国際価格がやや安定の方向にあるものでありますから、このことがややもすれば、今ほどお答えもちょうだいしました石炭のいわば近代的利用というのでありましょうか、そのようなことについての技術開発のスピードをダウンし、努力タウンにつながりやすいということを案ずるわけであります。御存じのように、今のところは石油の供給と価格はやや安定の状況でありまするけれども、しかしこれは、三日見ぬ間の桜かなという言葉もありまするが、三日見ぬ間の国際状況でございまして、いつどう変わらぬとも限らぬ大変不透明なものもありまするので、どうかひとつ引き続きこの面をスピードダウンしないような努力を大臣に期待したいと思いますが、いかがなものでしょうか。
  153. 柴田益男

    柴田(益)政府委員 先生指摘のとおりでございまして、石炭利用技術の拡大については大いに努めていきたいと思っています。かつての日本アメリカ、西独の三国共同によるSRCⅡプロジェクトは、数年前一時中止することになったわけでございますけれども、日本の場合にはエネルギー事情も違いますし、技術開発の程度も違っておりますので、石炭利用技術については今後とも努力してまいりたいと考えております。
  154. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 これもまた各企業の責任というようなことでありましょうから、なかなかうまい方途もないわけでありますけれども、ボタといいますか、残滓のことが谷山におきましていろいろと後に残る難しいことになっておるのが今日までの状況であります。これらにつきましてもどうかひとついわば鉱害とつながるというような状況でないように賢明な対策を期待しまして、一言のお答えをいただければありがたいと思います。
  155. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 ボタの有効利用の問題でございますけれども、ボタが低品位炭であるということで、その有効利用をするという観点から、調査検討を財団法人石炭技術研究所を中心にいたしまして行ってきております。五十九年度末までに北海道各炭鉱ボタ山の概況調査を行いまして、また、七つのボタ山からサンプリングを行いまして分析を実施したところでございまして、今後ともそういった調査を続けてまいりたいというふうに考えております。
  156. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 大臣、実は私は会津のしかも山の雪国の出身でございまして、石炭のことは余りわからぬものでありますから、質問がやや抽象的になりましたけれども、実は私のおじが磐城の炭鉱に生涯をささげた技術屋でございまして、石炭委員会に回りましたのも因縁と思うのであります。ところが、私のおじが働いておりました時代、つまり戦前、戦中、戦後を通じまして、日本のあの飛躍とそして破壊とそして再建の三つの時代を貫きまして、石炭が国民生活の基礎を支え、そして日本の産業を支えてきたこの現実は大変なこととして、やはり記憶にとどめなくてはならないと思うのであります。しかし、これは農村の状況と同じでありまして、いわばひのき舞台からおりたというのでありましょうか、そのような産業に対しまして国がいかなる方針で臨むかは大事なことであります。しかも、農業ともどもこの石炭もひのき舞台からおりましても、裏方としてなくてならぬ立場を支えているわけでありますから、どうかこれに対して大きな努力を期待するものであります。  実は昔、石炭は黒いダイヤと言われまして、北海道の小豆は一時これは赤いダイヤ、そして最近は何かマスカットが青いダイヤだそうであります。しかし、私は、雪は大変な水資源、エネルギー資源で、これは白いダイヤだよと。国は雪害をただ単なる後ろ向きな対策としてはいかぬ、積極的なるエネルギー対策としてこれを取り組め、こう申し上げでおるのであります。  いろいろとカラー豊かに申し上げたわけでありまするけれども、どうかひとつそのような意味で、この石炭産業、斜陽産業というのでありましょうか、しかし、必ず石炭がもう一度評価されなければならない時代が来ると私は信じているのでありまするけれども、今後の強力な対策をもう一度望みまして、最後に大臣から一言おっしゃってちょうだいできればありがたいと思います。
  157. 村田敬次郎

    村田国務大臣 石炭産業はかつての日本の花形産業であります。今黒いダイヤ、白いダイヤという比喩をお用いになりましたが、大変おもしろいと思います。花形産業であった石炭産業が今非常に苦悩を秘めた産業になった。これは繊維産業もそうでありますが、かつてはイギリスの花形産業であり、世界をリードした産業、そしてそれが日本をリードする産業になり、今はやはり非常に難しい経営の段階に来ております。  このことは、産業全体のそういう分別というのは私は非常に必要だと思います。そして言うなれば、今やハイテクだとか自動車だとかというものが時代をリードする産業になっておるわけでありますが、国内の産業政策という意味から見れば、石炭産業あるいは繊維産業というような産業こそこれからどういうふうに育成をしていくのか、この技術開発の時代にどういうふうに対応していくのかということは極めて重要だと思うのでございまして、これは委員指摘のとおりだと思います。  したがって、石炭産業の今後の問題につきましては、いろいろと技術開発を導入し、そして第八次に向かっていろいろな計画作業、さらに第七次の推進をしていくわけでありまして、同時に、人命尊重、保安という立場には最大限努力をいたしまして――外国炭に比べれば国内炭は非常に条件が悪いわけであります。なぜなら、先ほどもオーストラリアの例を申し上げましたが、非常に炭質のいい石炭が露天掘りで幾らでも掘れるという外国と、非常に資源そのものの賦存量もわずかであって、そして本当に人力を尽くして掘らなければいけない日本の国内炭の事情と、これを同一に扱うことはできません。国内産業の育成は極めて大事でございますから、これは委員がきょう御質問された趣旨を体してまたいろいろとやっていきたいと思います。
  158. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 大臣初め政府委員の皆さん、どうも御苦労さまでございました。ありがとうございました。終わらせていただきます。
  159. 小川省吾

    小川委員長 小沢和秋君。
  160. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 初めに、警察庁の方にお尋ねをいたします。  三井三池の有明鉱事故のその後の捜査状況についてでありますが、先日の新聞では、当時の有明鉱の鉱長など幹部が事情聴取をされたというふうに報じられておりました。その後どうなっておりましょうか。九大の方に依頼をしておった鑑定がその後出されたかどうか、出されておればその内容についてもあわせて御説明を願いたいと思います。
  161. 藤原享

    ○藤原説明員 お尋ねの坑内火災事故の捜査でございますが、御質問の警察の嘱託の結果につきましては、科学警察研究所、それから九州大学などの専門家に嘱託をいたしておりましたが、先般その回答をいただいたところでございます。  なお、その回答の内容でございますが、これについては、一応先般三池炭鉱の坑内火災事故調査委員会でも御指摘があったような点についてのそういった結果というふうに聞いております。  なお、この関係の捜査でございますが、御指摘のように現在関係者の取り調べを行っておりまして、近々その取りまとめを行いたいと考えております。
  162. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私が新聞などで承知をしているところでは、九大から出された鑑定の中身は、調査団の報告書などよりもさらに会社の責任を明確にするような厳しい内容のものだというふうに伺っております。私今までも言ってきたのですけれども、出火のメカニズムがこれほど明確になった炭鉱の大災害はほとんど例がないと思うのです。出火の原因は極めて初歩的、それだけに基本的な会社の保安サボタージュに原因があるわけでありまして、会社の責任は大きい。この責任を警察が厳正に解明していただくことを、改めてここで私は要求をしておきたいと思います。  次に、石炭鉱山保安規則の改正の問題についても一言お尋ねをしておきたいと思います。  私は、災害後当委員会で、坑内で最近ベルトコンベヤーが非常に活用されるようになってきている、そのベルトコンベヤーが今度の出火源になった、それだけに石炭鉱山保安規則の中にこれをもっとはっきり位置づけて、規制を厳しくしていくべきだということを言っておったわけであります。ところが、それと同じ考え方に立った炭労などの要求もその後出されているというようなことも聞いております。全体としてこういう問題はどう検討されているかもこの機会に御報告願いたいと思います。
  163. 平河喜美男

    ○平河政府委員 お答えいたします。  今後の坑内火災対策のあり方につきましては、現在鉱山保安技術検討委員会に設置されております坑内火災防止対策部会におきまして、事故調査委員会の結論等も踏まえまして総合的に検討をお願いしているところでございます。その検討も大体最終の段階に入っているようでございますので、その報告書をいただきましたら、これを踏まえまして所要の措置を講じてまいる所存でございます。必要があれば、その中で保安規則の改正も含めて検討いたしたいと思っております。
  164. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、大臣にこの機会に一言お尋ねをしたいのですが、私は三池あるいは夕張などの災害についてここで議論をしてくる中で、日本石炭産業をこれからどうするかを抜きにしては保安も確立することができないということを痛感させられているわけであります。  先ほどからもいろいろ議論があったと思いますけれども、今我が国石炭産業は、ドル高の中で非常に安くなった海外炭と競争させられております。きのういただいた資料を見て私も改めて驚いたのですが、その一方では、一人当たりの労働生産性といいますか、これは物すごい勢いで伸びていっている。いわゆる深部化、奥部化がこれだけ進んで、全体として条件は悪くなっているんじゃないかと思われる中で、こういうような状況になっているというのは驚異的なことじゃないか。それだけに労働者の皆さん方の苦労も大変なものじゃないかと思うのですが、そういう大変な苦闘もこういうドル高の中でますます厳しい状況に追い込まれていくということでは、さっぱり報われないわけですね。ですから、この際改めて国内炭を、我が国エネルギーの面での自主性の確保、よくエネルギーの安全保障ということも言いますけれども、そういう面からこれは必ず守っていくんだという立場を明確にしていただきたいし、少なくとも二千万トンと前々から言われておりますが、長期的には新鉱の開発も含めてぜひとも第八次石炭政策でさらに積極的な石炭を守る方向をこの際打ち出していただく必要があるのではないかということを私は考えておりますが、大臣の所見をお尋ねいたします。
  165. 村田敬次郎

    村田国務大臣 お答えいたします。  昭和五十六年八月の石炭鉱業審議会第七次答申においても「総合的なエネルギー政策の立場に立って考えた場合、国内炭はエネルギー供給の安定性と安全保障機能を高める役割を果たし得るものと考える。」こういうふうに指摘をされております。政府としても貴重な国産エネルギーである国内炭の重要性を踏まえ、保安の確保に最大限の配慮を払いながら引き続き石炭鉱業審議会第七次答申の基本的な考え方に沿った政策の展開を図ってまいる所存であります。  先ほども申し上げたのでございますが、国内炭と国外炭では条件が圧倒的に違うわけであります。これは日本の置かれた条件が、国土が極めて狭い、そしてまた資源は極めて少ない、その中で世界の一割国家としての使命を果たしていこうというのでありますから、これくらい難しい方程式はないわけであります。しかし、日本国民は見事にそれを果たしておるわけでありまして、この石炭の問題につきましても、委員指摘のように国外炭、国内炭の比較において価格差もございます、いろいろ困難な条件はありますが、今まで石炭に働いておられる方々はそういった大変な困難を克服しながら努力をしてきたわけでありまして、私どもはもちろん国内炭の生産、これを育成するという立場で進んでまいります。
  166. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それでは次に、鉱害復旧の問題についてお尋ねをいたします。  昨年は鉱害ボスの行政への介入の排除あるいは一部の職員の汚職問題の処理などが大きな問題になりまして、その後始末をするために鉱害復旧の工事などが非常におくれたわけであります。私が最近聞いておるのでは、地元では年度内に発注を終わらないのではないかというような不安の声も非常に強かったわけでありますが、最終的にどうなったかということを、今現在の状況を御説明願いたいと思います。
  167. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 五十九年度の鉱害復旧事業の発注の状況についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり例年に比較いたしますとおくれていることは事実でございまして、これは御指摘のようにいろいろな事件等もございまして、昨年九月以降、業務改善策を推進しつつ年度の前半のおくれを取り戻すべく、その後事業団、通産局の組織を挙げて努力をしてまいりまして、その結果、五十九年度の予算を用いて行う工事につきましては、すべて年度内に発注のための必要手続を完了することとなっております。
  168. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 この機会に、先ほどから議論になっている、いわゆる新ルールの問題でお尋ねしておきたいと思うのです。  この新ルールが実施されて、いろいろな点に改善が見られるということは私どもも認めているわけですけれども、しかし、一方ではいろいろな批判があるということも申し上げなければならないと思います。例えば陳情、交渉の問題などにいたしましても、これは事前に連絡をして交渉する中身もはっきりさせてと、いろいろルールがつくられているわけでありますけれども、実際に話し合いに行った人たちの声を聞くと、以前に比べて我々の声を余り聞いてくれない、ただ聞きおくだけで、回答とか、そこでいろいろ話が煮詰まって約束を得られるとか、そういうようなことにさっぱりならないという点で非常に不満の声も強いのですが、こういうような点についてはどうお考えでしょうか。
  169. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 昨年の九月以来、業務の改善ということでいろいろなルールをつくったわけでございますが、これはあくまでも鉱害復旧事業が公正かつ客観的に行われるべきものをより推進するという観点から行われたわけでございますが、他方においてそういった先生指摘のような鉱害の出ておられる被害者の方々にとって、親身になって接するようなことがないという状況が出れば、これは非常な問題でございます。私ども現在事業団等から聞いている話では、そういった事態はないものと承知をしておりますけれども、仮にそういう事態があるとすれば問題でございますので、今後とも事業団を十分監督してまいりたい、かように考えております。
  170. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今申し上げたような、不親切になった、あるいは官僚的な応対になったというような声に加えて、さらに最近は余りガラス張りでもなくなったということも聞くわけです。それはどういう点でかといえば、例えば工事などについても公平に業者にチャンスを与えることが今度の新しい方式一つの面として期待をされているわけでありますけれども、実際には相変わらず我々のところには何の声もかかってこないというような不満もありますし、工事量が自分の地域で減少したというのでそれについて理由などを問いただしても、総合的に勘案して決めたとか、今まで必ず知らせておったのに、従来から公表しておりませんし今後も公表はいたしませんなんというような、事実とも違うような回答をしたりして澄ましておったりするのですよ。これでは新ルールというのはガラス張りじゃないじゃないかというような不満の声もありますが、こういうような点はどうでしょう。
  171. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 私ども、先生が今おっしゃったような点については承知をしていないわけでございますけれども、仮にそういう事態があるとすれば、それは鉱害被害者の方々に対するサービスの点で問題があろうかと思うわけでございまして、なお十分事業団を監督してまいりたいと思っております。
  172. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ここで個別の内容を一々言い出したらもう収拾がつきませんし、そんな場所でもないから私も抽象的に申し上げているのですが、ぜひその点はそういう声があるということで改善に取り組んでいただきたいのです。  それから、こういう声もあるのです。これも新ルールの一つだと思いますが、いわゆる本人到達の原則といいますか、解体新築工事などの場合、家屋の復旧工事等の金額がこれだけだということが本人に示されるのですが、これは、解体新築工事の場合がそうなっているということは確かにどこでもそう守られているのですけれども、例えばその中の地上げがどれぐらいに当たるんだとか、あるいはまた本来の形のいわゆる鉱害復旧ですね、これをやられるようなところではその図面だけ見せられて、これは幾らぐらいの金額の規模の工事だというようなことは聞いても教えてくれない。解体新築工事などについてもちゃんと教えてくれるぐらいだったら、そういうようなことについても教えてもらった方がその人たちは安心できるというか、納得できる話だと思うのですが、何かその辺すっきりしないというような点でも我々はいろいろ不満の声を聞くのです。この辺も、ついでですが、いかがですか。
  173. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 家屋の解体新築工事の場合につきましては、被害者本人が資金の一部を負担することでもございますので、被害者の利益を保護する観点から、特に昨年の九月からは口頭ではなくて書面で通知をすることにしたわけでございますが、それ以外の復旧工事の際には、これは法律で被害者本人に工事の内容を説明して同意を得るということは規定されておりまして、そのとおり実施をしているわけでございますが、復旧費の額につきましては被害者本人には通知をしていないわけでございます。  これは、通知をいたしますと、一方で被害者側で得るメリットは具体的にはないわけでございまして、被害者の立場からすれば、本当にその被害があったところが原状に復することが最大の目的であるわけでございまして、事業団、私ども含めてそれの目的の達成のために努力するわけでございますけれども、そういった意味で被害者の側が得るメリットは具体的にはない反面、一方で被害者相互間で家屋等の構造だとかあるいは被害の度合いを考慮せずに単純に復旧費用の大小が比較されるというようなこと等がございまして、復旧工事の円滑な実施に支障を生ずるおそれがあるために、復旧費を被害者には通知しないこととしておるところでございます。
  174. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いずれにしろこの新ルールによって大きく改善されたという結果になるように、正直者がばかを見たというような結果にはならないように、ひとつお願いをしておきたいと思うのです。  それから、この鉱害復旧に当たる事業団の職員の問題です。これもさっきから議論になっておりましたけれども、いわゆる査定の見直しなどは今後一切やらないというようなことになると、これ自体もなかなか大変な作業になるわけでありますけれども、全体として臨鉱法のこの延長の期限内にやろうとすれば今の体制ではとても片づかないのじゃないかということがしょっちゅう我々の耳に入ってくるわけです。しかも、もう期限切れが目の前にだんだん迫ってきているからということで新しい職員も入れないで、嘱託とかあるいは臨時職員、こういうような人たちばかり入れているわけです。私も実際職員の一覧表をいただいたのですが、これで見ると、石炭鉱害事業団九州支部の職員全部で四百五十二名のうち嘱託が百二十五名、臨時職員が三十四名ということになっている。おおよそ三分の一くらいがそういうような人たち、第一線の職員が大体こういうような人たちだということになりますと、これだけ仕事がたくさんあって、それも複雑だというような仕事が果たして片づけられるのか。ただ頭数だけ嘱託とか臨時職員などというような形で入れてそれで済まされたのでは現場の人はたまらぬと言っているのですが、この辺どうですか。
  175. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 御指摘のように、石炭鉱害事業団でございますが、設立根拠法が限時立法であることや定員の増加が現実問題として制約があるというような事情から、各種の業務を効率的に処理するために役職員のほかに嘱託、臨時職員を相当数採用していることは事実でございます。ただ、本来嘱託等は職員が担当する業務の事務補助的な役割を担うことでございまして、単独では判断業務は行わないという原則になっております。しかしながら、従来職員が多忙の場合に単独で判断業務を行わせたという場合がなかったとは言えないことも事実でございます。これらの事情を踏まえまして、昨年の業務改善策の一環といたしまして職員と嘱託等の職務分担の原則を再確認いたしまして、それぞれが相互に有機的、一体的に業務を行うように事業団に対して指導を行っているところでございます。  なお、昨年九月の業務改善によりまして従来それ以外のところで業務にとられておりました職員の事務が簡素化されたために本来業務に専念できるという面もできまして、その辺を踏まえて事業団の業務に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  176. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 しかし、今もお話があったように嘱託や臨時職員の人たちというのはあくまで補助的な部分しか担当させないということになってくると、期限は迫ってくる、仕事は山のようにあるという中では、これはにっちもさっちもいかないんじゃないですか。だから、私は、やはり必要な職員を正式の職員として大胆に入れるなりして、今いる職員の人たちもこの点非常に不安を持っているのだけれども、これは時限立法で、やがてこの人たちの行き先がどうなるかという問題が起こりますよ。そのときはその人たちを国の責任ではっきりそれぞれ行き先を保証してやるというような措置をとるということで、やはり必要な人たちは入れていくという措置をとらないと、期限が迫るほどますます深刻な事態になってくるのに嘱託や臨時職員ばかりというような形になってきたら、これはますますどうにもならないんじゃないかと私は思うのです。  大臣、うなずいていらっしゃるが、その辺はどうお考えですか。
  177. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 現実問題といたしまして定員の増加には制約があるわけでございまして、今後とも嘱託、臨時職員の採用を維持していかなければいけないと思うわけでございますけれども、御指摘ございましたように、嘱託等はあくまでも補助的な業務につかせるということになりますと本来業務ができるかというお話でございますが、昨年の業務改善によりまして本来業務に専念できる時間が総体的にふえたこと及び計画的、効率的に復旧業務を処理する、特に年度間におきまして従来はややもしますと一時期にその業務が集中しているという状況があったことの反省にかんがみまして、できるだけ年度内の業務を毎月毎月の平準化を行っていくというようなことで、現在同計画の範囲内の達成が可能であるというふうに私どもとしては判断しているわけでございます。
  178. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それでは、時間の関係もありますから、最後の問題であるじん肺の問題についてお尋ねしたいと思います。  三月二十五日に、御存じのように長崎のじん肺裁判で原告である炭鉱労働者であった人たちが勝訴したわけであります。被告である日鉄鉱業に加害者としての責任が認められたということは、私は画期的な判決だと思っております。  基本的な問題などについては、きょうは労働大臣が御出席でありませんので、これはまたの機会にしたいと思うのですが、私は地元にたくさんじん肺の方々がおられる筑豊を持っております。それで、この機会にじん肺患者の方々のことを一言お尋ねする気になったわけでありますけれども、今全国的にじん肺の患者がどれぐらいおられるか、うち、現在療養中で労災年金や休業補償を受けておられる方がどれぐらいおられるか、一年間に新たに認定などによってどれぐらいの方々が労災の患者としてふえていっているか、その辺の状態をちょっと教えてください。
  179. 小田切博文

    ○小田切説明員 じん肺の患者数ということでございますが、まず、私どもじん肺法の体系では、じん肺の症状の程度によりまして管理区分の決定をやっているわけでございますけれども、この管理区分の決定状況の方の数字からお答えいたしますと、昭和五十八暦年中に、有所見者ということでございますが、管理二と決定された者が三万八千五百四十四人、それから管理三と決定された者が八千七百四十五人、一番重い管理四と決定された者が一千十九人でございまして、これらを合わせまして有所見というふうに私ども呼んでおりますが、そういうふうに決定された者の合計は四万八千三百八人ということになっております。  次に、労災保険給付を受けている者の数でございますが、労災保険の給付の対象になります者は、ただいま申し上げましたじん肺の管理区分が管理四である音あるいは管理二または管理三で肺結核等の合併症がございまして療養の必要があるというような者が認定されまして労災保険給付の対象になるわけでございますが、最近の数年の状況を申し上げますと、これは年度でございますが、昭和五十五年度におきましては二千百八人が労災認定されておりますし、五十六年度は二千三十四人、五十七年度は二千百十四人、五十八年度は千八百九十九人というふうな数字になっておりまして、これが新たに労災認定された者の数ということになるわけでございます。  現在療養中で労災保険給付を受けている者の数ということになりますと、私ども正確な数は数字の性質上把握していないわけでございますが、療養開始後一年六カ月を経過しまして、そのときの症状に応じまして傷病補償年金の給付が決定されるわけでございますが、傷病補償年金の受給者につきましては、じん肺であるか脊損であるかというような内訳をとっておりまして、傷病補償年金受給者中のじん肺患者は五十八年度末で一万五千百四十七人というような数字になっております。
  180. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今一応の数字を伺ったわけでありますけれども、じん肺が恐らく歴史的に最も古い、そして職業病としては最大の発生数を持っている職業病だろうと思うのです。私たちは一日も早くこういうようなじん肺の被害が出なくなることを望むものでありますけれども、同時に、もうじん肺になっている方々に対してはさらに万全の補償をしていっていただきたいと思うのです。  それで、時間もありませんからごく端的にお尋ねしたいと思うのですけれども、現在じん肺法の施行規則でじん肺のいわゆる合併症が五種類認められております。しかし、これでは非常に狭い、実態に合わないという声があって、各地で裁判になるというような事態になっていることは御存じのとおりであります。私は、じん肺が全身疾患であって、各種循環器障害、あるいは肺がんを初めとする各臓器のがん、免疫異常疾患、消化器障害などについても、その因果関係などが明らかにされているようなものについては実情に即して認めていくような運用をすべきではないかというふうに考えるわけですが、この点についてどうお考えか、ひとつお尋ねします。  それからもう一つお尋ねしたいのは、今いわゆる労災保険、傷病それから障害補償年金と厚生年金の老齢年金と減額調整を行うということが検討されているというふうに聞くけれども、それが事実かどうか。私どもは前にも、労災とそれから企業に対する民事の責任追及による賠償と、これをいわゆる調整をするというようなことに反対しましたけれども、今度もこういうようなことはけしからぬと思っているのですが、その点について、今の状況をお尋ねしておきたいと思います。
  181. 小田切博文

    ○小田切説明員 じん肺の合併症の問題でございますが、先生御承知のように昭和五十二年にじん肺法の改正がございまして、その時点での最新の医学的な知見に基づきまして、それまでは結核のみがじん肺の合併症として私ども考えていたわけでございますが、四つの疾病を追加いたしまして、現在では都合五つの疾病をじん肺の合併症というふうに規定しているわけでございますが、これ以外の、今規定されております五つの疾病以外の疾病につきましても広げるべきではないかというような御質問でございますが、ただいま御説明しましたように、五十二年の法律改正のときに、最新の医学的知見に基づきまして十分な検討の結果、四つを追加したというような処置をとったわけでございます。その後今日までのところ、それ以外の疾病につきまして医学的なコンセンサスがまだ得られていない状況でございまして、私ども今後とも知見を積み重ねまして、じん肺との密接な関連性がはっきりしてきたものにつきましては検討してまいりたいというふうに考えております。
  182. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 調整の問題についてお答えいたします。  労災年金と厚生年金の関係では、同一事由による労災保険の年金給付と厚生年金の障害年金につきまして同時に支給される場合には、現在、御存じのとおり調整を行っております。ただ、厚生年金の老齢年金を受ける場合には、調整されることなく両年金が現在併給されているわけでございますが、労災年金と厚生年金の老齢年金が無調整であるという点につきましては、かねてより使用者側それから他の年金との並びの問題、それからもう一つ申し上げますれば、障害年金から老齢年金に移る場合に調整されていたものが調整されなくなるというようないろいろな点がございまして、現在、労災保険制度全般について検討いたしております労災保険基本問題懇談会におきまして、検討項目の一つとして検討しているところでございます。我々としましては、その懇談会の審議の経過を踏まえまして、今後の問題としていきたいというふうに思っております。
  183. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 もう時間が来たようですから、あと一言だけで終わりたいと思いますけれども、私の地元の筑豊労災病院に今おられるじん肺患者の方から、最後の職場が長崎だった、それで今この方は筑豊に来て療養しているわけなんですけれども、書類を一々長崎などの遠隔地に出したりするために、連絡や問い合わせも不便で困っている。ところが、この方だけかと思ったら、そこに百人ぐらいグループがおるらしいのですけれども、十何人かは最後の職場は筑豊以外のところだった。  この方の場合、具体的には不便はないのじゃないですかと労働省の方が言うから、もう一遍、何に困っているかと言って聞いてみたら、この方は合併症なんですけれども、今療養期間が長引いて、それでいわゆる休業補償から年金に切りかえるというようなことが問題になっている。これで長崎といろいろとやったりしなければいけないけれども、遠隔地で意思疎通がなかなか思うようにいかないというような問題を抱えていると言うのです。だから、百人の中で十何人もそういうような方がおられるというのだったら、この方だけじゃないと思うのでここで持ち出すわけですが、こういうようなずれがあるような場合、地元の労基署などに行けばわかるような、地元にも労基署があるわけですから、もう少し温かみのあるやり方ができないかということを、私この話を聞いて感じたのですが、その点をお尋ねして終わります。
  184. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  労災保険の給付の場合には、労働基準法上の事業主責任を担保する制度でございますので、当該労働者の所属する事業所の所在地を管轄する監督署で労災の認定その他各種事務の処理を行わなければならないという点がございます。しかし、労働者の利便を図る観点から、請求書が所轄の監督署以外に出ましても、監督署に提出されたものをその所轄の方に移送するという指導を行っておりますし、それから最終職場が離れている場合における給付の事務につきましても、労働者の現住所の最寄りの監督署に調査を依頼するなどの方法をとっております。  個別の問題いろいろあるかと思いますが、労災制度の事業主責任という観点から、管轄を変えるのはなかなか難しいと思いますが、最寄りの監督署で管轄の監督署と連絡が十分とれるように、個別の措置はとらしていただきたいというふうに思っております。
  185. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  186. 小川省吾

    小川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。    午後二時七分散会