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1985-05-21 第102回国会 衆議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年五月二十一日(火曜日)     午前九時三十七分開議 出席委員   委員長 粕谷  茂君    理事 浦野 烋興君 理事 田原  隆君    理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君    理事 後藤  茂君 理事 城地 豊司君    理事 長田 武士君 理事 宮田 早苗君       甘利  明君    尾身 幸次君       奥田 幹生君    加藤 卓二君       梶山 静六君    久間 章生君       高村 正彦君    佐藤 信二君       椎名 素夫君    仲村 正治君       長野 祐也君    野上  徹君       林  大幹君    原田昇左右君       松野 幸泰君    水野  清君       奥野 一雄君    上坂  昇君       浜西 鉄雄君    水田  稔君       横江 金夫君    和田 貞夫君       渡辺 嘉藏君    木内 良明君       草野  威君    西中  清君       福岡 康夫君    青山  丘君       横手 文雄君    工藤  晃君       野間 友一君  出席国務大臣         通商産業大臣  村田敬次郎君  出席政府委員         通商産業大臣官         房長      杉山  弘君         通商産業大臣官         房総務審議官  児玉 幸治君         通商産業大臣官         房審議官    山本 雅司君         通商産業省立地         公害局長    平河喜美男君         通商産業省機械         情報産業局長  木下 博生君         資源エネルギー         庁長官     柴田 益男君         資源エネルギー         庁石炭部長   高橋 達直君         特許庁長官   志賀  学君         特許庁特許技監 梅田  勝君         特許庁総務部長 小川 邦夫君         特許庁審査第一         部長      廣重 博一君  委員外出席者         特許庁審査第五         部長      竹内 英人君         特許庁審判部長 小花 弘路君         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十一日  辞任         補欠選任   奥田 敬和君     久間 章生君   野田  毅君     長野 祐也君 同日  辞任         補欠選任   久間 章生君     奥田 敬和君   長野 祐也君     野田  毅君     ――――――――――――― 五月二十日  中小企業行政の一元化に関する陳情書  (第四〇四号)  中小企業対策充実に関する陳情書外一件  (第四〇五号)  産業廃棄物対策に関する陳情書  (第四〇六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  特許法等の一部を改正する法律案内閣提出第  四六号)(参議院送付)  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、関東東北鉱山保安監督部及び同部東京支部  の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承  認第三号)  通商産業基本施策に関する件(三菱石炭鉱業  株式会社南大夕張炭鉱災害)      ――――◇―――――
  2. 粕谷茂

    粕谷委員長 これより会議を開きます。  議事に先立ちまして申し上げます。  去る十七日の三菱石炭鉱業株式会社南大夕張炭鉱災害により多数の犠牲者が出ましたことは、まことに痛恨のきわみであります。心からお悔やみ申し上げます。  この際、殉職者の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと存じますので、御起立をお願い申し上げます。——黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 粕谷茂

    粕谷委員長 直れ。御着席願います。     —————————————
  4. 粕谷茂

    粕谷委員長 通商産業基本施策に関する件について調査を進めます。  水災害について、政府から説明を聴取いたします。村田通産大臣
  5. 村田敬次郎

    村田国務大臣 昨年一月の三池炭鉱坑内火災事故、先月の高島炭鉱ガス爆発事故に引き続き、今月十七日の南大夕張炭鉱事故と、ほぼ一年半の間に三たび重大な災害が発生し、多数の罹災者が出ましたことは極めて遺憾でございます。鉱山保安行政を担当してい各通商産業大臣といたしまして、この事態を極めて深刻に受けとめているところでございます。  政府といたしましては、今次災害の甚大さにかんがみ、災害の発生した翌日の十八日、災害対策関係省庁連絡会議を開催するとともに、閣議決定を得て私を本部長とする南大夕張炭鉱災害対策本部設置いたしました。また同日、私は政府調査団団長として関係省庁職員とともに現地に急行し、事故状況をつぶさに調査いたしました。  さらに、同日の第一回災害対策本部会合において、一、罹災者方々対策に万全を期すこと、二、徹底した原因究明のため、専門家で構成された事故調査委員会を速やかに派遣することを決定しております。  通商産業省としては、既に同日付で事故調査委員会設置し、同調査委員会は本日、現地調査に赴いたところであります。  政府は、以上の決定基づ関係省庁間の密接な連絡のもとに施策を講ずることとしていますが、通商産業省としても、今後再びかかる事故が起こることのないよう適切な鉱山保安対策を講ずるべく全力を挙げてまいる所存でございます。
  6. 粕谷茂

    粕谷委員長 続きまして、山本通産大臣官房審議官
  7. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 南大夕張炭鉱事故につきまして、その概要報告申し上げます。  今月十七日午後、三菱石炭鉱業株式会社南大夕張炭鉱において、大規模災害が発生しました。  災害原因等については、現在調査中でありますが、とりあえず事故概要政府対応等について、簡単に御説明申し上げます。  まず、事故概要を申し上げます。  十七日午後三時三十五分ごろ、坑口より約四キロメートルほど入った一卸六片ないし八片付近において、ガス爆発可能性が高いと思われる事故が発生したものであります。同時刻は、折から一番方、二番方交代時であったため、約千二百八十名が入坑していました。このうち、一卸八片の二つの採炭切り羽に就業していた方々等中心として六十二名が死亡し、十名が入院する事態に至ったものであります。  事故発見の端緒は、同時刻ごろ、坑内において圧風が生じるとともに集中監視センターにおいても異常を検出したことであります。その後直ちに、すなわち三時四十分から四十三分ごろにかけて、全坑退避命令が発せられました。  救護隊は、三時五十分に招集され、五時から逐次入坑し、罹災者の救出に当たり、その結果、翌朝八時までに死亡者全員坑口収容が完了しました。  次に、事故原因等について申し上げます。  坑内状況は、一部の戸門が完全に破損しており、また、横転した炭車があることや、罹災者方々の死因及び負傷状況等から見てガス爆発が発生したことはほぼ疑いのないところでありますが、なぜ、ガスがあったのか、また、ガス突出異常湧出があったのかどうか、また、着火源は何か等については、今後の調査を待たなければなりません。  次に、政府対応等について御説明申し上げます。  まず、通商産業省としては、十七日直ちに札幌鉱山保安監督局から鉱務監督官等現地に急行させるとともに、同局に対策本部設置し、さらに当日中に本省から保安担当参事官を急行させたところであります。  また、災害が大規模であることにかんがみ、翌十八日朝、国土庁において、災害対策関係省庁連絡会議が開催されるとともに、総合的な災害対策を速やかに実施するため、持ち回りの閣議決定によって通商産業大臣本部長とする南大夕張炭鉱災害対策本部設置されました。  さらに同日、通商産業大臣団長とし、通商産業省国土庁、労働省の職員から成る政府調査団が現場に赴き、関係者からの事情聴取等を行いました。  同日夕刻には、その調査結果も踏まえ、第一回の災害対策本部会合が開催され、罹災者及び遺族について、医療対策遺族援護対策等に遺漏なきを期すこと、原因究明について、これを徹底的に行うため、通商産業省設置した専門家による事故調査委員会を速やかに派遣することが決定されております。  今後、この政府対策本部を中核とし、関係省庁間の密接な連携を図りつつ、所要の対策に万全を期すことといたしています。  なお、通商産業省は既に、房村早稲田大学教授委員長とし、学識経験者等から成る南大夕張炭鉱事故調査委員会設置し、調査活動を開始しているところであります。  以上、簡単ではございますが、御報告を終わります。
  8. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて政府説明は終わりました。      ————◇—————
  9. 粕谷茂

    粕谷委員長 次に、参議院送付内閣提出特許法等の一部を改正する法律案並びに内閣提出地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、関東東北鉱山保安監督部及び同部東京支部設置に関し承認を求めるの件の両案件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  10. 和田貞夫

    和田(貞)委員 法案の審議に入る前に、今、政府対策本部長村田通産大臣の方から、南大夕張炭鉱事故の問題について詳細な報告を受けました。内容は、これからなお事故調査を本格的にやられるわけでございますが、これから以降、政府としての抜本的な対策を講じられることであろうと思います。  私は、この機会に、国民皆さんはまたかという、こういう悲惨な大規模炭鉱事故が相次ぐ中で、関係者だけじゃなくて多くの国民皆さんが、政府対応の仕方について非常に深い関心を持っておられるのではなかろうかと思うわけであります。  私は端的に言いまして、確かにこの鉱山保安法改正を含めて対策を立てていかなくちゃならないと思う。しかし企業でございますから、どうしてもできるだけ安上がりということを考える向きがあると私は思うのです。これは、そういうことはなるならぬにかかわらず、いわば鉱山経営者社長さんなりあるいは重役さんなり、直接その鉱山の奥底に、採炭される労働者皆さんと毎日同じように入って、そしておれが入っておるんだから大丈夫だというくらいの心構えで、抜本的な対策をこれ以降立ててもらわないと、自後自後ということを何回も繰り返してまいりましても、やはり相次ぐ事故国民信頼度というものは、まして鉱山で働く多くの労働者の不安あるいはその家族を含めた皆さん方の不安というものが、非常に解消しないというように思うわけであります。  また、これを通じまして、逆に国内エネルギー資源を、この機会にこれを方向転換をして、外にまた石炭を求めるというような安易な、そういう政策に肩がわりされるということは、これまた炭鉱に従事されている多くの労働者家族皆さんが非常に心を配っておられると思うのです。速やかに再開ができるようにやってもらわなくちゃならぬし、これを逆用して、炭鉱関係する皆さん方の不安を一掃するということを含めて、政府対策本部として金輪際こういう大規模な大事故が起こらない、そういう対策をぜひとも講じてもらいたい、こういうように私は思うわけですが、改めてもう一度、本部長である通産大臣の方から、ひとつ決意のほどを述べてもらいたいと思います。
  11. 村田敬次郎

    村田国務大臣 和田委員にお答えを申し上げます。  先ほども報告申し上げましたように、長崎県の高島炭鉱事故に引き続きまして、北海道南大夕張炭鉱におきまして非常に大きな災害が発生いたしましたことにつきまして、極めて遺憾に存じておるところでございます。  現在、極力原因究明調査を急いでおりますので、一日も早くそれについての結果が出ますことを期待いたしておるわけでございます。  今、和田委員が御指摘になりました石炭政策の問題でございますが、現在は、御承知のように、第七次石炭政策昭和六十一年度末までということで、二千万トン体制をとっておるわけでございます。  私は早速十八日に現地に赴きまして、先ほど御報告のように、現地三菱石炭鉱業株式会社森本社長、また保安統括者である神谷所長、さらに労働組合の代表の方々関係当局等からつぶさに被害の状況を聴取いたしまして、また坑口に赴いて、罹災をなさいました方々に対しまして献花をして心からの御冥福をお祈りし、御遺族方々に対するお見舞いの意を表明した次第でございます。  原因究明がまだはっきりいたしておりませんので、この段階南大夕張炭鉱の今後の再開時期等について、それを申し上げることは適切でないと思いますが、現地のいろいろな声を聞き、そしてまた現地の雇用の情勢、さらにこの夕張市におきまして南大夕張炭鉱の占めておる大きな位置を考えてみますと、閉山というような事態を起こさないという前提に立ってひとつ調査を進め、今委員指摘のように、再開の問題につきましても調査の結果を待って検討すべきではないか、このように考えておるのでございます。  第七次石炭政策全体につきましては、六十一年度末まででございますから、第八次石炭政策についての諮問、そしてまた答申を待つということになりますが、現在の段階におきましては、今引き続いて行われております二千万トン体制というものを前提として考えるべきではないか、このように私は感じております。
  12. 和田貞夫

    和田(貞)委員 この問題につきましては、石炭対策特別委員会なり災害対策特別委員会で議論がされることであろうと思いますので、そう深く言う必要はないと私は思いますが、関係遺族皆さん、あるいは従事される労働者皆さん家族皆さんの安心が持たれるようなきょう以降の対策、さらには国民皆さん政府鉱山保安対策についての信頼度をこの大事故を契機に回復できるような政府対策というものをぜひとも立てていただきたいということを強くこの機会に要望しておきたいと思います。  それでは、特許法改正案につきまして質問をいたしたいと思います。  工業所有権制度につきましては、既に百年という長い歴史があるわけでございます。このことは我が国産業の発展あるいは工業技術の水準の向上に大きな役割を果たしてまいったことは紛れもない事実であろうと思うのであります。特許庁におきましてもこの制度の百年史の刊行も行われたらしいのでありますが、私、まだ拝見しておらないわけでございますが、恐らく立派なものが編さんされたことだと思います。  いよいよこの工業所有権行政国際化に伴って、これに対応した国際出願制度の利用の促進を図るための今回のこの改正案であるわけでございますから、この内容につきまして私は何ら異論を差し挟むものではございません。しかし、このことを通じまして、あるいは今この百周年の事業としてペーパーレス化あるいはその他いろいろな出願者に対するサービス向上等を考えておられることであるのですが、さきに特許料値上げ、恐らくまた来年度あたりにも再度の値上げ等が予測されるわけであります。     〔委員長退席田原委員長代理着席〕  特にこのペーパーレスシステム化によって出願者に対しまして、特許料値上げがどのようにサービスとして還元されることになるのか、あるいは、特に今、国内的にも国際的にも、日本の特許庁における審査期間が極めて長いという問題が議論されておるわけでありますので、それに対する解消、あるいは国内特許情報国際特許情報提供体制というものが、確かに中央資料館充実が図られることは聞いておりますけれども、いわゆる全国的に百八カ所に網羅されております情報提供体制というものを、このままでいいのか、あるいはそれを、これを機会にもっとサービス充実サービス還元という意味で、そのような地方における情報提供体制充実ということが考えられておるのか、こういうような点につきまして、ひとつお答え願いたいと思います。
  13. 志賀学

    志賀政府委員 お答え申し上げます。  大変広範な御質問であったわけでございますが、私ども、最近の工業所有権関係出願が非常にふえてきている。それから内容も、特に特実関係中心にして非常に難しくなってきている。そんなことを背景にいたしまして、審査処理期間長期化方向に向かいつつあるというようなこと、そんなことを踏まえまして、それに対する対策といたしましてペーパーレス計画実施等、総合的な工業所有権政策を転換しなければいけない。そのためには安定した財源が必要である。こんな考え方から、国会の先生方の御支援もいただきまして、昨年特許特別会計をつくっていただいたわけでございます。  特許特別会計を御審議いただきます際に、私ども、今後十年ぐらいの間の特許特別会計歳入あるいは歳出両面からいろいろ検討いたしました。歳出として当然大きな項目としては、ペーパーレス計画関係の費用がございます。あるいはそのペーパーレス計画をさらに有効なものにするために、特許庁の庁舎の新設もしなければいけない。そういったような歳出が大きな項目としてあるわけでありますけれども、そういった歳入歳出両面からいろいろ検討しました結果、五十九年度においてやはり値上げが必要であろうということで、実は昨年の八月に五割の値上げをしていただいたわけであります。ただ、同時に、その後の歳出増加等を勘案いたしますと、当時の私どもの推定といたしまして、昭和六十二年度にもう一度五割程度値上げが必要ではないか、そのような見方をしておったわけでありまして、現在もそのような見方でおるわけでございます。したがって、次の値上げはいつかというお尋ねでございますけれども、現時点においては、私ども、六十二年度において五割程度値上げが必要ではないかという判断をしているわけでございます。  そこで、次の問題でございますが、そのように値上げをする以上はサービス改善をすべきではないか、このようなお尋ねでございます。お説のとおりでございます。私ども特許特別会計をつくり、料金の値上げもさせていただいた、それの最大の理由というのはペーパーレス計画を実現していかなければいけない、そこにあるわけでありますけれども、その場合に、ペーパーレス計画というのは、出願から特許庁の中での審査あるいは公報類の打ち出し、一貫してエレクトロニクス化を図っていこう、こういう計画であるわけでございますが、そのペーパーレス計画のねらいは、当然のことながら、一つ特許庁の中の審査事務効率化ということがございます。それによって審査処理期間の、もちろん、それ以外にも適正化指導だとかいろいろな施策を絡ませるわけでありますけれども審査処理期間長期化を抑えていこう、こういうことが大きなねらいであるわけであります。  私どもの見通してございますと、何もしなければ恐らく十年後ぐらいには七年ぐらいになってしまうのではないか、このようなおそれもあるわけでございまして、そういったことを防いでいこうというのが一つ大きなねらいであるわけですが、同時に、ペーパーレス計画を構築してまいりますと、そこにいろいろデータが蓄積されるわけであります、電子化されたデータが蓄積されるわけでございます。そこにペーパーレス計画によってできますデータベース、これを民間の方々にできるだけ迅速に的確に流していく、これが私どもペーパーレス計画のもう一つの大きなねらいであるわけでございます。  それは企業にとってみますと、出願人にとってみますと、大変大きなサービスというのか、フェイバーになるわけでございます。特許情報というのは重要な技術情報として会社経営上の判断等々に大いに役に立つ、そういうものでございます。したがって、そういう面でサービスのリターンということが可能になってくるというふうに思います。ただ、同時に、その特許情報会社に、出願人に流していくこと自身、これは出願人特許出願をする際に自己審査がやりやすくなるわけでありまして、そのことはまた適正化にもつながってくるということで、それはまた特許庁としても大変ありがたいことであるというふうに思っているわけでございます。  いずれにいたしましても、情報提供ということが、これは工業所有権制度一つの大きなねらい、目的の一つでございまして、ペーパーレス計画によってそれが充実されるということでございます。  ただ、さらに先生からのお尋ねでございますが、地方閲覧所もあるではないか、その面でのサービス情報提供サービスについてどうするんだというお尋ねが次のお尋ねであるわけでありますけれども、これは、現在地方閲覧所と申しますのは百八ございます。この百八と申しますのは、地方通産局であるとか、あるいは公立の図書館、公立試験所商工会議所発明協会支部、そういったところでございまして、合わせて百八あるわけでございます。  申し上げるまでもなく、この地方閲覧所地方方々にとって特許情報の重要な入手源になるわけでございます。私どもとして、この地方閲覧所充実させていこうということで、実は地方通産局におきまして、今年度におきましては福岡、広島、名古屋、その三カ所の通産局閲覧所について、スペースの拡充であるとか、あるいは施設の改善であるとか、そういったことで充実を図ることにいたしております。なお、この各通産局閲覧所充実につきましては、今後も引き続いて必要に応じてやってまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  14. 和田貞夫

    和田(貞)委員 ここ最近の我が国特許実用新案出願件数というのは急激に増加しているわけですね。聞くところによりますと、全世界の出願件数の四二%程度を占めているというぐらい出願件数が非常に増加している。五十七年に四十四万件が五十九年では四十八万件というように増加しております。確かに今御説明がございましたペーパーレスシステム化によって事務処理等がスムーズにいくということが考えられるわけですが、しかし、最終的にはやはり審査官審査をするわけで、機械審査してくれないのです。そのことを見てまいりますと、特許実用新案関係審査官の定員というものは、特に五十五年には九百六人おったのが、五十八年には八百七十四人、五十七年と比べましても十二人の審査官が減少しておる。これでは幾らコンピューター化して事務簡素化合理化というものを図られても、肝心かなめ審査官がこれだけ減少していくというような傾向の中では、やはり審査期間が極めて長期化し過ぎる、こういう面についてのサービス還元するということ、すなわち審査期間を短縮するということ、これにはなかなか応じ切れないのじゃないかと思うのです。  私はやはりここにあると思うのです。これが根本的に解決をしない限りは、出願率増加によりまして未処理件数がだんだんと積み重なっていってしまう、処理件数が少なくなっていくというようなことになるわけです。ここらあたりをやはり真剣に考えてもらわないと、せっかく出願者皆さんから特許料の、今もおっしゃいましたように六十二年度ではさらに値上げをお願いしたいということを言っておるのですから、いわば出願手数料というのは倍になるのです。倍になって、特許庁の建物がよくなった、そして東京における、中央における資料室というものは充実された、そしてコンピューター化によりまして資料が十分に企業の方にサービスができるんだ、これだけでは出願者の、もっと審査期間を短縮してほしいという望みにこたえるような根本的なサービス還元にはならないのではないか、こういうふうに私は率直に考えるわけであります。  特に今後の問題といたしまして、これだけたくさんの審査官が減少しておるような傾向の中で、行政改革というような言葉をすぐに頭にちらつかせて、それに逆行するようなことになるのではないかというようなことで遠慮なさらないで、せっかく特別会計に移行したんですから、その経費は特許料値上げによって、出願者の負担によって賄っていくのですから、おのずから審査官の増員ということをこの際考えるべきだ、こういうように思いますが、どうですか。
  15. 志賀学

    志賀政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、工業所有権制度の場合に最終的に判断をするのはやはり審査官ないし審判官、要するに人間でございます。ペーパーレス計画を実施することによりまして、エレクトロニクス化を推進して効率化を図ることは可能でございます。ただ同時に、おっしゃいますように、最終的な判断をするのは人である。そういう意味で、審査官、審判官の人員の確保というのは私も大変大切なことだというふうに思っております。量の確保とそれから質の確保ということは大変重要なことだと思っております。  ただいま先生から御指摘ございましたように、審査官の数が最近減少してまいっております。審査、審判官両方あわせて考えますと、五十九年度、六十年度というのは横ばいということにとどまっておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、過去の多かったときに比べますと減少してまいっておるわけであります。これは御案内のような非常に厳しい財政事情の中での話であるわけでございます。  ただ、私どもとしてはその厳しい条件の中で最大限審査、審判官の定員を確保するように努力をしてまいっておるところでございまして、相対的に言えば、通産省の中で特許庁の人員、審査、審判官の定員については特段の配慮が払われていると思っているわけであります。ただ、いずれにいたしましても、私どもといたしまして今後この定員確保の問題につきましては最大限の努力を払ってまいりたいと思っておる次第でございます。
  16. 和田貞夫

    和田(貞)委員 現在の要処理期間が二年五カ月ないし二年六カ月ですが、サービスを強めるということでこの要処理期間を大体どの程度まで短縮していこうと考えておられるのですか。
  17. 志賀学

    志賀政府委員 五十八年度におきまして平均要処理期間は二年五カ月程度でございます。今後対策を何にも講じませんとどのくらいになるかということでございますけれども、これはいろいろな想定があるわけでありますが、私どもの想定としては十年後に七年ぐらいになってしまうのではないか、こういう見通しを持っているわけでございます。七年ぐらいに延びてしまうということはやはり大きな問題であるわけでありまして、私どもとしては、十年後において現時点程度の要処理期間にとどめることをめどにして対策を講じてまいりたいと思っているわけでございます。
  18. 和田貞夫

    和田(貞)委員 十年後には七年くらいになりかねない、だからペーパーレス化を考えているんだということでありましたら、それじゃ具体的に、三年後にはどうなるんだ、四年後にはどうなるんだ、六年後にはどうなるんだ、七年後にはどうなるんだ、その間ずっとペーパーレス化計画が進んでいくのですけれども、その間とうなるんだということになるわけです。今のままであれば二年五カ月というのが三年になり、四年になり、五年になり、六年になり、そしてペーパーレスシステム化が完了したときにはまた二年五カ月になるんだということなんですか。
  19. 梅田勝

    ○梅田政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、このままの形で放置いたしますと六十八年で七年ということでございますけれども、それじゃ中間はどうなるのかという御質問だと思いますので、それについてお答えさせていただきます。  例えば六十五年、ちょうど真ん中ぐらいでございますけれども、このまま放置いたしますと、この辺でこれが大体四年台ということになってまいりまして、同じく六十八年で七年台になるというカーブになります。ただ、今申し上げましたような諸施策を講じていきますと、それが例えば六十五年で三年台になりましていこの辺がピークでございますけれども、それからやや減少いたしまして、六十八年には二年台になるということでございます。  その施策といたしましては、先ほどペーパーレスの話が出ておりますが、私どもといたしましては、ペーパーレスが完了するまでの段階も含めまして、出願適正化の指導の強化あるいは審査の周辺業務に対する民間の力の利用というような総合的な施策を織りまぜながらやっていくということを考えておりまして、先ほど先生指摘のような増員問題というのも、もちろん大きな問題であろうかと存じております。  以上でございます。
  20. 和田貞夫

    和田(貞)委員 審査期間を短縮していかなくちやならぬということは、あなた方も御案内のとおり、特にハイテク産業の場合は非常に進歩が速いわけですから、設備が新しく改善されてもすぐに役に立たぬというような問題が出てくるわけですね。だから急を要するわけなんです。だから、コンピューター化によりまして十年後もやはり現状の二年五カ月を維持できるのだというような消極的なことじゃなくて、審査期間を短縮してほしいという出願者の願望を十分に聞き入れた、そういうサービス還元というのがなされなければ、特許料を倍にしてなお現在の審査期間状況を保ち得るだけだ、こういうことでは何にもサービス還元にはならないじゃないですか。今、長官も部長も言われましたように、審査官充実が必要であるということは現実に認められておるわけです。約三十人以上の審査官が減少しておるわけですが、それじゃ具体的に何年計画で今まで減少した審査官をもう一度充足していくことを考えておられるのか、お答え願いたい。
  21. 志賀学

    志賀政府委員 お答え申し上げます。  私ども審査、審判官の定員の確保の重要性については重々認識をしているわけでございまして、私どもとしては特段の努力を払って今後も定員の確保に努めてまいりたいと思っております。  処理期間の問題でございますけれども、一応十年後ぐらいにおいて現状ぐらいの要処理期間を維持したいと申し上げたわけでございますけれども、私どもの気持ちとしては、先生おっしゃるように、これは当然短ければ短いほどよろしいわけでございまして、さらにそれを短縮できないかということで努力をしてまいりたいと思っているわけでございます。  それからもう一つサービスの問題について若干申し上げますと、要処理期間の問題については今申し上げたとおりでありますけれども、ただ同時に、これは実際の出願人サイドからの特許庁に対するニーズでございますけれども、例えば審査にばらつきがあるとか、あるいは審査基準を明確にしてほしいとか、あるいは審査向上を図ってくれとか、いろいろな要望がございます。あるいは特に急ぐものについては早くやってくれとかいろいろな要望があるわけでございます。私どもはそういった審査処理の早期化ということのほかに、いろいろ出願人サイドが持っておりますニーズ、そういうものについても積極的にそれにこたえていくように努力をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  22. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これはひとつ、抽象的なことではなくて、せっかく大臣おられるわけでございますので、これは最終的には、幾ら機械化してもやはり人が審査するのですから、人が審判するのですから、だから六十二年度以降になればこれは特許料が倍になるのですから、それではサービス還元という意味で、まず第一のサービス還元としてこの審査期間を短縮していくという方向で、審査官あるいは審判官の充実というものをぜひとも行うべきであるというように思うのですが、大臣がおられるので特許庁長官あたりどうも遠慮ぎみでお答えになると思うのですが、ひとつ大臣の方から審査官充実についての決意を述べてもらいたいと思います。
  23. 村田敬次郎

    村田国務大臣 お答え申し上げます。  工業所有権行政というのは、ことしで百周年に至りまして新たな世紀に入ったということでございますが、現在、一つの大きな転換期を迎えている、このように理解をいたしております。  御指摘のとおり、出願件数の増大に対し、迅速的確な処理の要請が高まっておりまして、また国際化情報化などの時代のニーズヘの対応が求められている一方で、審査官など特許庁の定員は減少しているという極めて厳しい事情にあることは私も十分承知をいたしております。  かかる状況に対しまして、ペーパーレス計画の推進を中心とする工業所有権行政の総合的展開を図っていく上で、可能な限りの民間能力の活用を図るといたしましても、所要の定員を確保することが極めて重要と考えておりまして、委員指摘の増員要求など最大限の努力を傾注してまいりたいと存じております。
  24. 和田貞夫

    和田(貞)委員 大臣、ぜひともひとつ頑張ってもらいたいと思います。  そこでもう一つ、これもサービス還元でございますが、医薬品の権利所有期間が実質的には、厚生省の関係もこれあり、市販で販売をするというそういう時期までにはかなり、毒物性の問題とかあるいは安全性の問題だとか、無害性の問題だとかということが、これはどうしても医薬品ですから必要であるわけです。これは厚生省の責任じゃない。画一的に、そういうような経緯があるにもかかわらず、医薬品を含めて特許の所有期間が同じ十五年であるというところにやはり私は問題があると思いますが、これは明らかに厚生省、政府の規制によって工業所有期間が侵食される、こういうことになるわけですが、この点はやはり配慮した考え方というものがぜひ必要ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、この点について何か考えておられるのかどうか、お答え願いたいと思います。
  25. 志賀学

    志賀政府委員 お答え申し上げます。  厚生省の調べによりますと、最近臨床試験期間あるいは薬事法によります審査期間、これが延びてまいっておりまして、その結果といたしまして、これは業界の調査でありますけれども特許の平均残存期間というのがかなり短くなってまいっております。業界の資料によりますと、五十八年に売り出された薬の平均で六年二カ月が平均残存期間であるというような資料も出ているようであります。いずれにいたしましても、この医薬品につきましてこういった問題が出てきているということ、これは私どもよく承知をしております、  この点につきまして薬品業界の方から、そういうことで権利の保護が十分でないと今後の開発にも支障が出るということで、権利期間の回復をしてほしいという御要望を私どもも何度か承ったことがございます。また他方、先生御案内のように、アメリカにおいても同じような問題がございまして、昨年アメリカにおきまして、この失われた特許の権利期間の回復というものが一部認められる、認める法律ができたわけでございます。私どもといたしまして、そういったような業界の動き、あるいは海外の動きなどをいろいろ検討しているところでございまして、現在私どもといたしましては、東京医薬品工業協会、大阪医薬品協会、そういった業界団体からいろいろ事情を聴取いたしております。     〔田原委員長代理退席、委員長着席〕  同時に、特許協会という出願人の団体がございます。特許協会というところにおきまして、いろいろこの問題についての検討をしていただいているところでございます。私どもといたしまして、そういった一連のいろいろな各方面での検討結果というものが出てまいりました段階において、これは厚生省ともいろいろ打ち合わせをしなければいけないわけでありますけれども関係者のコンセンサスができた場合には、それに応じて私どもとしても必要な対応対策をとってまいりたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、現時点について言えば、この問題について、要するに薬だけではなくて同じような問題を抱えているほかの問題もあるわけでございまして、それとのバランスをどう考えるかとか、あるいは失われた期間について全部回復するのか、あるいは一部にするのか、その場合どういう考え方にするのか、いろいろな考え方があるわけでございまして、そういったことについて慎重に考えていきたいというふうに思っております。
  26. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これはやはり発売までに要した期間というのは発売後に権利を積み上げていくということは私は至当だと思うわけです。そうでなければ企業企業として開発の利益を損なうことになりますし、また、そこで働いておる、研究をしておる労働者、研究員の研究意欲というのを極めて損なうことになるわけですから、これはぜひとも、当然のこと、当たり前のことですから、積極的にこの問題の解決についてひとつ努力をしてもらいたいということをつけ加えておきたいと思うわけであります。  さて、新庁舎の建設がペーパーレスシステム化の導入のために必要であるということは、これは認めるわけでございますけれども、例えば、別の行政機関というよりも、これは司法機関でございますが、大阪の地方裁判所の中に大阪弁護士会に一定の部屋を貸し与えて、そして法律相談者のためにサービスをされておるという、そういうこともこれあり、またこの間、私、大阪の特許分室に行ってきました。この特別分室でもやはり、大阪の弁理士会の皆さんによって、交代で出願者の相談サービス、簡単な事務処理のサービスというのが行われておるわけなんですが、この新しい庁舎ができる計画の中に、これまたせっかく立派な庁舎ができるのですから、出願者サービスのために、出願者の相談あるいは出願者の簡単な書類作成等がそこでできるような、そういう相談室といいますか、そういうようなスペースというのを新しい庁舎計画の中に考えられておるのかどうか、お答え願いたいと思います。
  27. 小川邦夫

    ○小川政府委員 御質問の点につきましては、先日の御審議でも御指摘のあったところでございますが、裁判所の場合と特許庁の場合と若干仕組みの違いという点は一つ御理解いただきたい点がございます。裁判所の場合は、訴訟につきましては口頭審理ということで、原告なり被告なり当事者と弁護人が裁判所に出頭して審理を受けるという建前になっておりますのに対しまして、特許庁特許審査というものは書面審理を原則にしておる。つまり書面だけが特許庁に送られておれば、それを審査官あるいは審判官が審査をするのを原則としておって、例外的に特許庁に弁理士あるいは出願人本人が出てくることがある。そこの仕組みの違いというものが実はございますものですから、裁判所は必ず弁護士及び当人が出るという仕組みを前提として、裁判所内にそういうための下打ち合わせ的な部屋を持つというのとはやや必然性において仕組み上違いはあると思います。そういう意味で、必ずしも同じようなものをつくるという考え方はとりにくいと考えております。  しかし、御質問の御真意が、そうは言っても弁理士と出願人に不便があってはならぬではないか、仮に例外的にしろ特許庁に出てくることがあった場合に不便であってはならぬではないかということかと理解いたしまして、私ども、裁判所と同じかどうかというとそこは同じというわけにはまいりませんけれども、何らかのそういう便宜のためのスペースというものを持つということで考えていきたい。現実に設計はことし四月から取りかかったところでございまして、今年度内にその設計を完了するプロセスでそういった問題は検討してまいりたいと考えております。
  28. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは弁理士さんのサービスじゃなくて出願者サービスのために、今も言われましたように弁理士が交代でそこに駐在をするということで代理業務をやっておられるわけでございますから、やはり相談や簡単な事務処理ができるような、そういうスペースをぜひともひとつ確保してもらいたいということを要望しておきたいと思うのであります。  そこで、いわゆる情報提供体制でありますけれども特許庁内における資料館というのは、先ほどから言われているように充実した資料提供場所にはなるわけでございますが、問題は地方であります。  特許庁公報に載っておりますけれども、先ほど御説明がございましたように百八カ所の地方通産局あるいは商工会議所あるいは公立の図書館等々を利用されておるわけですが、現実にはこれは全く資料が寝ております。寝かされておる。十分に閲覧場所を確保して資料室充実して、飛び込んでいっても出願者に利便を与えるというようなことにはなり切っておらないと私は思うのです。  比較的進んでおる大阪の分室を見てまいりましても、通産局へ行って分室はどこにあるんだと言ったら知らぬと言うのです。それは特許庁の分室じゃなくて、大阪通産局の大阪特許分室、こういうことになっておるわけです。だから特許行政、工業所有権行政という、そういう支流の分室じゃないわけですから、本流の通産局に行ったらそんなものどこにあるのかなというふうな、私が行った窓口でそういうことです。あなた方はここに全国に百八カ所の情報提供箇所があるということを言われておるけれども、比較的充実しておる大阪でさえもそんなことです。何とかそこへ行きました。そこへ行きましたら、分室長、確かにあなたの方から派遣されておる特許庁職員一人、あと大阪通産局からそこへ手伝わせに行っている事務職員二人、あとは隣にあります発明協会の大方のお世話になっておる、そういう程度の分室です。これが百八カ所の中で一番進んだ分室の実態なんです。  そこで、私はもう一つの大阪の情報提供場所に行きました。府立の夕陽丘図書館です。あなたの方の出店でもなければ通産局の出店でも何でもない、大阪府立夕陽丘図書館。ここに参りましたら、この夕陽丘図書館の予算総額というのは五十九年度で一億七千四百六十五万円。このわずかなそういう予算規模の中で、府民、住民に対しまして貸付図書の閲覧、そういう社会教育の場所になっておる。そういう限られた予算の中で、実は特許庁から一文の補助金もない中で、大阪特許分室よりもはるかに充実した資料提供場所になっておる。その予算の中で十人の人たちがサービスに従事しておる。事特許の問題について、工業所有権の問題だけで十人がかってこのサービス行政をやっておるのです。この図書館の司書の数は三十九人。三十九人の中で七人が工業所有権行政に協力する立場に立たされておるわけです。  そしてまた閲覧室あるいは書庫、この全体の中で特許関係資料が四分の一を占めておる。図書館の三分の一までをこの特許関係資料提供の場所に使っておる。一文の補助金もないのですよ。片方では行革、行革ということで、全くあなた方の方から一文の補助金もないので、地方に押しつけてそういうことをさせておる、そんなことでいいのかどうか。そういうことに甘んじて、百八カ所の地方資料提供場所がありますが、これで出願者に十分なサービスをやっているのですということが言えますか。
  29. 小川邦夫

    ○小川政府委員 お答えいたします。  百八カ所ある中で地域、地域で工業所有権情報に対する需要の強いところ、それほどでもないところ、いろいろございます。そういうことで東京のほかに、先生指摘のとおり大阪が非常にそういったニーズの強いところでございますので、例えば百八カ所の中でも御指摘のような大阪府立夕陽丘図書館とか通産局特許室閲覧室、大阪商工会議所図書館等がそれぞれ閲覧サービスをするということで、全体として何とか大阪なら大阪地域でのそういった需要に対応しようということできておるわけでございます。  そして、それぞれの充実度にはいろいろ差がありまして、まさに御指摘ございましたように、夕陽丘図書館は全国的にも非常にすぐれた整備体制だということで知られておるところでございまして、通産局の場合、八通産局の中では大阪通産局が一番整っておる、それでも今御指摘のような規模じゃないかというお話でございます。ただそこは、通産局が主たる工業所有権情報提供者であるというふうに集中管理的にするよりは、各閲覧所がそれぞれの特徴あるいは地理的条件等を踏まえて、より充実していく、そして、その全体がその地域での工業所有権情報需要に対応するということかと思います。  大阪の夕陽丘図書館につきまして、私ども確かに余り補助金等といった支援はできておりませんが、ただ資料提供につきましては予算計上しておりまして、夕陽丘図書館を含みます全国の地方閲覧所には特許関係資料を送っておるということで資料関係の支援はやってきております。ただ、現状で満足しておるかということでございますが、それは率直に申し上げて、私ども地方閲覧所充実度はまだ非常に不十分だと思っておりまして、今年度、六十年度の予算におきましても、例えばスペースが狭隘であるという観点からは特に狭いと言われておりました福岡、広島、名古屋といったところをまずスペースの拡充に努めるということを始めておりますし、また資料につきましては、予算も昨年度の予算に対して大幅増をすることによって各閲覧所への資料提供もより厚みを増そうということをしております。  そういうふうに資料充実もやっておりますのに加えて、マイクロフィルムの整備もまだまだ十分でないというおしかりはあろうかと思いますが、手がけたところでございまして、これもさらに充実していこう。確かに不十分な実態にございますことは私どもも自覚しておりますので、その充実に六十年度予算も努めてまいりましたし、今後もその努力を払っていきたいと考えております。
  30. 和田貞夫

    和田(貞)委員 大阪特許分室では閲覧の件数が五十八年度で八万二千三百五十八件です。夕陽丘図書館では七十八万三千四百三十二件。問題にならぬです。資料提供しているから勝手にやったらいいんだというのは無責任じゃないですか。出願のための特許料を上げているのですよ。また上げるのですよ。府立の図書館は大阪府の自治体の施設ですよ。特許庁の施設じゃない。特別会計として約六千万円の地方に対する助成、補助は予算化されておるけれども、これはみんな発明協会の方に行くのでしょう。そして、発明協会の方にいろいろ業務を委託したりサービスを要請しているわけでしょう。府立図書館には一文の金も行ってないのですよ。片方では行革で人減らせ、何減らせということを自治体は別の官庁から押しつけられているのですよ。資料提供したところで、出願者サービスのために、検索を十分にしてもらうために資料の編さん等はだれがやるのですか。先ほど申し上げた十人の方々がやっているんじゃないですか。一文の補助金もないじゃないですか。そんなことで十分に資料提供しておるんだと言えますか。これは考える必要がある。日本一の夕陽丘図書館ということを認めている。あなた方は一文の金も出しておらぬ。それを出して初めて日本一の資料提供場所だと言いなさい。このことをやはり考えなければいかぬ。これが一つ。  もう一つは、その出願者の全体の三〇%が大阪で占めておる。中小企業です。このことを言いますと、あなた方は必ず、いや、今の特許の申請は国際出願の場合は到達主義であるが、国内出願の場合は発信主義だから、別段東京に一カ所そういう申請の受付場所があっていいんだというように言うかもわからぬ。しかし、これだけたくさんの出願者が、自治体がこれだけ頑張って出願者のためのサービスをやっておる。せめて西の大阪に今のような形式的な大阪特許分室じゃなくて、特許庁の出店として特許庁の大阪分室あるいは特許庁の出店としての大阪特許局というものをつくって、そして何回も言いますけれども、せっかく特許料値上げして、これを還元して出願者サービスを強めていくというのであれば、ぜひともそのような方向で努力し、この際大阪特許局をつくるというような考え方に立ってもらいたいと私は思うわけですが、大臣、どうですか。
  31. 村田敬次郎

    村田国務大臣 和田委員にお答え申し上げます。  御指摘のように特許等工業所有権の出願件数で非常に多い、全国の約四分の一を占めております関西地区の重要性につきましては十分認識しておるところでございます。したがって、これまで大阪通産局特許室の拡充強化でございますとか、PCT出願のファックスによる受理の開始など、関西地区出願人の要望にこたえて種々の施策を行ってきておるところでございます。ただ、和田委員指摘の大阪特許局の創設につきましては、行政改革などの状況から現在の状況では極めて困難でございますが、今後とも関西地区における工業所有権行政サービスの拡充に努めてまいる所存でございます。
  32. 和田貞夫

    和田(貞)委員 答弁は不十分でございまして、これは行政改革という言葉が必ずつけ加えられるような答弁じゃなくて、先ほどの審査官の増員も行政改革に向かない問題であると私は思いますし、私が今要請しております関西における出願者サービスの拡大という意味で大阪特許局、仮称でございますが、つくれというようなことはこれまた同じことであろうと思う。しかし、せっかく出願の手数料を上げてこれを還元するのですから、これだけのウエートを占める関西における三〇%の出願者、しかも、それは中小企業です。これからの中小企業皆さんにもっともっと技術の革新、技術の開発というものをやってもらうためには、この関西におけるところの特許行政の充実というのはぜひとも必要であろうかと思いますが、ひとつ前向きになっていただきまして、この問題、ぜひとも通産大臣そして特許庁長官、ひとつ形式的な答弁じゃなくて、性根を入れてこの問題に取り組んでほしいと思います。  きょうは時間がありませんので、これ以上言いませんけれども、強く要望しておきます。この点はまた自後にさらに、うんと言うまでひとつ質問さしてもらいますので、この件についての質問は留保しておきます。強く要望しておきます。  時間の関係もありますので、次に移ります。  五十九年版の特許庁公報を拝見させていただいたわけでございますけれども、その中で「出願種別、代理人有無別出願件数表」の欄を見てみましたら、代理人の出願あるいは代理人によらない出願等の区分がされておるのですが、「代理人付出願」で、法に定められました弁理士によるところの代理人出願というのは、これは当然のことでありますけれども、弁理士によらない代理人出願、これがかなり多いんですね。特に商標の登録申請については年々ふえてきておる。いわゆる無権代理行為です。  これが、何か聞きますと、特許管理士というのがあるらしい。特許管理士というのは法律に何も認められておらない。この資料の中で、あなた方の関係の団体にも特許管理士会というようなものはありませんよ。発明協会だとかいろいろありますけれども、ありません。特許行政に無関係。そういう特許管理士が特許を管理するんだ。特許を管理するとはどういうことですか。こういう紛らわしい名前をつけること自体が、これは法律で禁止されておるんでしょう。特許管理士というもの、その特許管理士の団体が試験をやって、合格した者は特許管理士だ。それが、特許庁の方で申請を受け付けるというようなこと。これは弁理士の職域を侵食することにもなりますし、工業所有権行政として好ましいやり方であるというように思っておるのか、そうでないというように思っておるのか、どうですか、お答え願いたい。
  33. 小川邦夫

    ○小川政府委員 まず、公報におきます分類で「その他」という欄に何が入っておるかという点でございますが、これは必ずしも「その他」の大半が特許管理士とかそういうことではございませんで、「その他」には実は弁護士、弁護士は弁護士法上弁理士と同様に出願その他の特許関係手続ができることになっておりますが、弁護士、あるいは企業出願の場合に、その企業特許部長といった社員が企業の名において出願するとか、そういったものがほとんどを占めておるということと承知しております。  しかしながら「その他」の統計はともかくとして、特許管理士についてはどうかということになるわけですが、特許管理士につきましては、私どもといたしましては、弁理士法二十二条ノ二の、弁理士にあらざる者が報酬を目的として、業として特許庁に対する手続行為をしてはならないという、先生指摘の条項があるわけでございますので、特許管理士がまさにその条項に反することをやってはならないということであります。  特許管理士の試験制度、これは任意団体でございますので、私ども監督をしておらないのでつぶさには承知しておりませんが、この団体の特許管理士の性格づけについては、企業内での発明についての指導あるいはいろいろな工業所有権情報を勉強して、それを発明指導に役立てるとか、そういった機能を目的としておる。したがって、弁理士法の規定に反するようなことをやってはならないということになっていると承知しております。なっておるにもかかわらず、そういう違反があったということであれば、当然特許庁といたしましても、それは問題であるわけで、これはそういう実態が出てまいりますれば、そういったものを取り締まるということは当然していく必要があると考えております。
  34. 和田貞夫

    和田(貞)委員 資格のある者が、弁護士さんが弁理士以外にやっているということをけしからぬと言っておるんじゃない。現実に受けておるじゃないですか。証拠持ってきましょうか。そういうようなでたらめな答弁しなさんな。証拠持ってきましょうか。あなたのところは受け付けておるじゃないか、弁理士の資格のない者を。それがいかぬと言っておるんです。まして、この法律というのはまだ片仮名の法律です。大正十年法。刑法、民法。恐らくこのほかの士族の弁護士法にしても、司法書士法にしても、行政書士法にしても、社会保険労務士法にしても、土地家屋調査士法にしても、みんな平仮名の法律です。片仮名の法律というのはこれだけです。その法律を盾にとってどうこうというんではなくて、この法律はもう古い法律です。  しかも今指摘いたしましたことに対する答弁があったように、第二十二条ノ二では「弁理士ニ非ザル者ハ報酬ヲ得ル目的ヲ以テ」云々、二十二条ノ三では、「弁理士二非ザル者ハ利益ヲ得ル目的ヲ以テ」、それでなかったら弁理士法違反じゃないんだというようなところに問題があると私は思う。特許管理士は何をして食っているんですか。仕事しているんですよ。当然あなた方の方に代理申請をして、「報酬」かわからぬけれども、手数料をもらっておる。謝礼をもらっておる。「報酬」という言葉の金じゃなくてお礼という言葉、手数料という言葉でもらっておるはずです。そうでないと食っていけない。これはやっぱり弁理士という、せっかく予備試験をやって本試験をやって、長い間の期間を費やして国家試験を受けて、そしてようやく弁理士になって資格をもらって、そしてその業をしておる方々のこれは業務の侵害じゃないですか。これはきちっとやられるべきであると思います。  そしてこの機会に、このような報酬を得てとか利益を得る目的でというような、他の士族の法律にうたわれておらないような非近代的なこういう条文があるために、いわゆるこの潜り弁理士というのが生まれてくるわけでありますから、法のもとに行政をしておる限りにおきましては、これは近い将来この法律を根本的に改めるということが私は好ましいと思います。  ついでに、よく官尊民卑という言葉があるように、例えば司法書士の国家試験と、そして裁判所その他に勤務しておった者が試験を経ないで司法書士の資格を得られる、あるいは行政書士につきましても、国家試験で資格を得る以外に、行政に携わる者が何年かたったら資格を試験なしで得られるというような条文がそれぞれの士族の中にあります。弁理士の場合は、審査官あるいは審判官を七年以上やられておれば国家試験を受ける必要なく資格が与えられるということとの中で、国家試験を受けて弁理士になられておる方々との間の格差というものが、これでいいのかどうかというようなことも含めて、先ほどの潜り弁理士を排除していく、なくしていく、こういう立場に立って法の改正というものを私は求めたいわけでございますが、これらにつきましてひとつお答え願いたいと思います。
  35. 志賀学

    志賀政府委員 お答え申し上げます。  まず総務部長からお答えした問題について若干コメントさせていただきます。  年報に出ております「その他」の件数、これは約四千四百件くらいであるわけでございますが、その内容につきましては先ほど総務部長からお答えしたとおりでありまして、大体その大部分は弁護士さんによる代理あるいは社員の代理あるいは法人代理等々ではないかというふうに私ども思っておるわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、先生から御指摘がございましたような弁理士法に触れるような、そういう問題がもしあったとすれば、それは私どもとしても極めて遺憾でありまして、厳重に取り締まってまいりたいというふうに思っております。  そこで、弁理士法の改正問題でございますが、これは弁理士法、おっしゃるように片仮名法でございまして、前からこの弁理士法の改正をすべきでないかという御指摘があるわけであります。私どもといたしましては、昨年の二月以来弁理士会と特許庁との間で弁理士制度検討懇談会というものをつくっておりまして、現在までに十回ばかり会合を開いてまいっております。最近、弁理士会の役員の方の交代などがありましてちょっと中断しておりますけれども、またいずれこの懇談会を再開して検討を続けてまいりたいと思っております。  いろいろな多面的な検討を行っているわけでありますけれども、その中で現在の弁理士法の二十二条ノ二の問題をどう考えるか、これを強化する必要がないか、こういった問題が一つあるわけであります。この問題につきましては、現在の弁理士法の二十二条ノ二というのは、先生から御指摘がございましたように、報酬を得る目的でもって、かつ業として特許庁に対する代理業務等をやってはいけない、こういう規制であるわけでありますけれども、これをさらに強化して、およそその代理行為というものはいけないというふうにすべきでないか、こういう問題であるわけであります。本件につきましては、私どもといたしまして、やはり他方において憲法の職業選択の自由等とのかかわり合いがございます。あるいはほかの法体系との関係もございます。ということで、そういった問題を含めまして検討していかなければいけない問題だというふうに思っているわけでございます。  いずれにいたしましても、弁理士法の改正問題につきましては、先ほど申し上げましたように懇談会を開いて、その結論が出たところで対応してまいりたいというふうに思っているわけでございます。  それから最後に、審査官、審判官の七年以上の経験のある人間について弁理士となる資格を与えているということについて問題ではないかという御指摘でございます。率直に申しまして、審査官、審判官の七年以上の経験のある人間について弁理士の資格を与えるというのは、昭和三十五年に設けられた規定でございます。当時の記録を読みますと、審判官、審査官というのは法律的あるいは技術的に専門的な経験を必要とする、そういう仕事をやってまいっているわけでございまして、そこに七年以上在職した場合には、それは十分高度の能力を持つ、したがって、弁理士の資格を与えるのが適当である、こういう判断のもとに昭和三十五年に設けられたということでございます。  いずれにいたしましても、最近十年間におきまして、特許庁の退職職員のうち弁理士登録を受けた者というのが約百七十八人でございます。このうちのほとんどはかなり長期の経験を積んでおるわけでございまして、十年以内の経験者というのはこのうち十八人程度、したがって約一〇%程度でございます。全体として見ますと、ごくわずかであるわけであります。いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、弁理士会との間でいろいろ懇談を続けているわけでありますので……。
  36. 粕谷茂

    粕谷委員長 志賀長官にちょっと御注意します。  本会議の時間との関係もありますので、答弁は簡略にお願いします。
  37. 志賀学

    志賀政府委員 わかりました。  懇談会におきます検討におきましても、この点についての問題の指摘というのは弁理士会の方からはないわけでございます。
  38. 和田貞夫

    和田(貞)委員 時間が参りましたのでやめますけれども、大臣、この法案で、我が商工委員会の法律審議は最後の法律であります。時間がありませんのでこれ以上言いませんけれども、これからの大企業と中小企業の格差というものが、このまま放置すれば、技術面で非常に格差が生ずる。特許行政というのは中小企業の技術開発のためにも非常に大事な問題でありますから、中小企業の技術開発というところに工業所有権行政についても的を当てて、そして出願者のためのサービス還元サービス向上ということにつきまして、いろんな面にわたって取り組んでもらいたいと思います。また、せっかく困難な中で資格を得られた弁理士の皆さんの職域を、法に違反をした者たちが侵食をしていくというようなことのないように、職業選択権の自由だというのは、これは法があってのことであって、法に違反して職業選択権の自由というのはそぐわないわけですから、こういうような点につきましても十分に配慮していただきまして、弁理士の皆さん特許庁の方で、双方が相談をしながら、この古い片仮名の、まだ今残っておる弁理士法という法律ですから、その法律の改正に向けてひとつぜひとも取り組んでもらいたいということを最後に申し上げ、大臣の方からお答え願って、終わりたいと思います。
  39. 村田敬次郎

    村田国務大臣 和田委員の御指摘の点、よく拝聴いたしました。細目につきましては志賀特許庁長官からお答え申し上げたとおりでございますが、よく御質問の意思を体して検討してまいりたいと存じます。
  40. 和田貞夫

    和田(貞)委員 終わります。
  41. 粕谷茂

    粕谷委員長 和田貞夫君の質疑は終わりました。  続いて、工藤晃君の質疑に入ります。工藤君。
  42. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 きょうは南大夕張災害につきまして報告を受けました。我が党も早速調査団を派遣しておりまして、その見解は改めて必要な場所で発表することとしまして、私は、今報告を受けながら一つ感想があったのは、こういう災害機会に、徹底的に調査するというようなことを政府として毎度言われるわけでありますが、四年前の夕張の大災害のときも、総点検するとか徹底的に原因調査するとか言いましたけれども、その後有明が起こり、そして高島が起こり、今日また南大夕張で起きているということを見ますと、いわゆる四年前の、徹底的に調査するとか総点検するということが、いかにむなしい言葉としてしか残っていないと考えざるを得ないわけであります。  きょうここで私は質問するわけでありませんが、私の意見としてはっきり申し上げなければならないのは、やはり第七次石炭政策につきまして、当時から、日本の石炭を生かすのか殺すのかわからない政策だと言われました。そして、そのもとでの各企業の、毎度こういうことを繰り返すところに見られる人命軽視、そしてまた、通産省としての保安の対策、それらが根本的に大きな欠陥があってこういうことを繰り返すということはまことに遺憾であるということを私は申し上げ、そして、ただいま出されております特許法改正質問に入ります。この私の意見は、大臣、ぜひ受けとめていただきたいと思います。  さて、最初の工業所有権の問題でありますが、特許制度がちょうど百年というとき、先ほど大臣も曲がり角と言われましたが、ごく単純な質問ですが、工業所有権は十五年間保護するという、十五年間の意味は一体どこにあるのかということです。  それからまた、先般コンピューターのプログラム保護をどうするかということが問題になったときに、八三年十二月、産構審情報産業部会では、仮称でありますがプログラム権法、これをつくろうという案がありまして、そのときはたしか十五年ぐらいの保護にしようとしたのではないかと思いますが、その事実も一応確認しておきたいと思います。お答え願います。
  43. 小花弘路

    ○小花説明員 先生質問の最初の点でございます、特許法における権利期間が十五年になっている考え方という点について、最初に御説明させていただきます。  存続期間は現在公告から十五年ということになっておりますが、出願の日から二十年を超えられないという一つの考え方に立ってございます。この十五年という点に関しましては、特許法が明治十八年に設定されて以来ほぼ一貫して考えられている年限でございますし、諸外国の例も、出願から二十年、あるいはそういう権利設定から十五年ないし二十年という点で一致しておるところでございます。これは発明の保護及び利用を図る特許法の目的を踏まえつつ、世界的な情勢との整合を図って決められているものと考えでございます。
  44. 木下博生

    ○木下政府委員 コンピュータープログラムを通産省が独自立法で保護することを検討いたしましたときには、一定の期間の独占的な権利を認めて投資回収を確保するとともに、それによって産業の発展に資するということで期間を考えたわけでございまして、その当時、産業構造審議会ソフトウエア基盤整備小委員会でこの問題を検討していただきましたときには、その中間答申では、「本来十五年程度が適当である。しかし、国際的合意により短縮を図ることを前提に、」「ある程度長期間として制度を発足させることも検討する。」ということになっておりまして、一応十五年程度を考えておりましたけれども、コンピュータープログラムの保護は国際的な合意に基づいてやった方が妥当だという考え方に立っておりましたので、それでなくてはいけないということにはなっていなかったわけでございます。
  45. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 今のような御説明でありますが、要するに、新しく発明されたものが社会に役立たされるようにしなければいけないということと、同時に、発明者に対してその無体財産を保護しなければいけない、その調和点として大体十五年ぐらいという考えだったと思うわけです。  しかし私は、今、大変この問題でいろいろ混乱が起きていると思うのです。それがICの回路のデザイン、そういう単独の工業製品について特別な保護を与えるような形が出てきたり、それから、今回政府としては、著作権法の中にコンピュータープログラムの保護を入れて、五十年間もこれを保護するというようなのは、まことにこれはおかしなことでありまして、コンピュータープログラムというのは、やはりコンピューター本体と一緒にある目的に使わせるためのものであって、むしろ工業所有権に近い考えに立った方がいい点もあるわけなんで、そういう点で一つの混乱が起きているということを指摘せざるを得ないわけであります。  この混乱というのは、もちろん非常に速い科学技術の進歩に今までの制度がついていかなかったということから起きているのかもしれませんけれども、同時に、さっき言った五十年と十五年のこういう大きな違いとか、それから、単独の工業製品のために特別の立法がされるというようなことだとか、いろいろあるということを私は意見として述べまして、次に移りたいと思います。  さて、今大変問題になっているのは、非常に出願が多い。先ほどもお話がありましたように、全世界の四二%を占めているとか非常に急速にふえているということで、その理由の説明については、これは特許庁の公報にも書いてあるように、いろいろありますけれども、その中の一つに、企業が先行技術の調査が不十分である、それからまた、企業間の競争が激しくて、他社牽制、防衛目的のため、いわば乱用しているという面もあるという指摘があります。  この実態そのものはそれでもっと調査しなければならないと私は思いますけれども、しかし、大きな企業にとって言えば、先行技術の調査ができないなんということは言わせられないことでありまして、みんな立派な調査機関、研究機関を持っているのですから、それは言わせる口実にはならないということだけ言っておきたいと思うのです。  さて、今何が起きているか。私が申し上げたいのは、この公報の十六ページの中にもあります。一九七五年から八四年にかけて、上位三十社の出願が、七五年に二九・五%だったのが、八四年には四〇・八%になった。それから、百社について言うと四二・二%から五五・一%になったということで、こういう大企業が急速に伸ばして、その比重がふえているということであります。  そうしますと、同じ年に、七五年、特許実用新案審査官が八百八十名でありますから、そのとき、八百八十名のうち二百六十名の方はこの三十社のための仕事をやらざるを得なかったというのが、昨年は八百七十一名の審査官のうち三百五十五名が専ら三十社のための仕事をせざるを得なくなった。これは、客観的にそういうことになっているということをやはりまず見ておかなければならないと思うわけであります。  それからもう一つ、この間三十四万件から四十八万件へとふえたわけでありますが、その間にふえた十四万三千八百三十一のうち、三十社がふやした分というのは九万六千八百三十二でありますから六七・三%、百社がふやしたものは十二万三千三百十八でありますから八五・七%ということであります。今滞貨問題、滞貨問題と言っているのは、専らこの三十社とか百社が猛烈にふやして、この間ふえたものの約九割は百社なんですから、そして今いろいろ問題が出ている、この事態もはっきりさせなければいけない。  しかも、これは特許庁自身も認めているように、大企業が他社を牽制するためにどんどんどんどん出願をするという、こういう事態があるというときに、今の滞貨問題ということを考えるときに、次の二つの点を押さえる以外にない。一つは、今行政改革と言っておりますけれども、やはり国民のニーズに合った、国民の要求に合った行政ということを考えるならば、当然審査官や審判官をもっとふやすべきではないか、特許庁職員をふやすべきではないか。これは先ほど大臣も大いにやると答弁なさいましたから、その約束だと思います。もう一つは、やはりこういう大企業に対し何らかのもっと鋭い方法で過剰出願を抑えさせるようなことも考える必要があるのではないかということであります。その点についてまず伺いたいと思います。
  46. 梅田勝

    ○梅田政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、確かに比較的上位の企業に偏っているという出願傾向は否めません。したがいまして、我々といたしましては、出願適正化指導ということで強力に指導してまいっておるわけでございます。特に上位の企業につきましては、事前調査を十分徹底的にやるように、はたまた、少なくとも審査請求の時点においては十分厳選するようにということで指導してまいっておるわけでございます。  その結果といたしまして、上位の例えば五十社をとってみますと、審査請求率で見ますと、特許の場合ですと一般が七〇%ぐらいでございますけれども、それに対しまして六〇%ということで、一〇%ぐらいのダウンといいましょうか低さを示してきております。実用新案につきましても、ほぼ同じような傾向がございまして、一般と比べまして二〇%ぐらいのダウンを示しております。したがいまして、こういうことを通しまして強力に今後とも指導していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  47. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 だから、大企業出願ラッシュ、こういう乱用みたいなことに対し、もう少しはっきりした対策をとらなければいけないということは明らかであります。同時に、定員を減らしながらこういう事態を迎えているというのは一番根本的な矛盾でありまして、この私の質問全体を通じまして、そのことを私の主張として述べておきます。  そこで、ペーパーレスシステムについて一つの問題点があります。それはFタームシステムの位置づけの問題であります。  Fタームシステムは、ICIREPATのタームシステムが原型になって、その変種であるということはそのとおりでありますけれども、ICIREPATの方が実際それこそあらゆる分野を網羅した、そういう検索のシステムとして成功したかというと、これは決してそうではないわけで、合金、ステロイド化合物、触媒の三分野で終わっているわけであります。そのほか、電気リレーや通信、機械のカメラなど多くの面では失敗しているということでありますが、それはそれなりの事情があって、そもそもこのICIREPATのタームシステムというのは、まだペーパーファイルでの検索が主で、補助的にコンピューターを使うという段階に工夫された、そういうそのときの歴史的な背景もあります。  ですから、あらゆる科学の情報をそれこそペーパーレスにするというときの検索のあり方いかんということとしてスタートしてないから、そういうことになったのはよくわかるわけでありますが、Fタームの場合、本当にすべての特許情報を一〇〇%覆い尽くすような検索を目指しているのか、それができると考えているのか、そしてまた、ICIREPATのそういう失敗といいますか、ある限界ですね、ある分野では成功しておりますから単純に私は失敗というわけじゃありませんが、ある限界というのを認識の上で進めているのかどうか、これもごく簡単に御答弁願いたいと思います。
  48. 竹内英人

    ○竹内説明員 お答えいたします。  最初の御質問でございますが、Fターム検索システムが全技術分野に適用するのにふさわしいかどうかという点でございますけれども、Fターム検索システムというのは、現在我々が利用しております国際特許分類、IPCというのがございますけれども、これをペースにいたしまして、さらに文献量等々に応じまして細かく展開をする、あるいは別観点の検索が可能になるようなものを追加したシステムでございまして、基本的には全分野に適用していって差し支えないというふうに考えております。  それから次に、ICIREPATシステムがうまくいかなかったではないかという点でございます。これは先生指摘のように、当時といたしましては非常にシステムとして精緻なものを目指したという点が一点ございまして、そのためにロードがかなりかかってしまった。それからコンピューターも余り十分に今ほど発達してない時代だったものでございますから、検索した結果一次文献にアクセスするという方法が十分でなかったとか、それから国際協力のもとでやりましたために、タームを変更するというときにいろいろ国際的にやり合わなければならないというようなこと等で、いろいろ煩雑だったこともございまして、当時としてはうまくいかなかったわけでございます。  ただ、ICIREPATも、先生指摘のように三つの分野につきまして、すなわち、合金、ステロイド、触媒は、現在特許庁のシステムとしても動かしているわけでございまして、この中で比較的うまくいっている分野でございますけれども、これは割合、組成を問題にしている分野でございまして、そういった部分の組み合わせ、要素の組み合わせ的なものでやったところは比較的うまくいっている、こんなふうに考えております。
  49. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 私が大変疑問なのは、この問題で専門家が非常にいろいろな疑問を呈している事実があります。私自身も職業柄非常に多くの資料を使うものですから、検索の難しさというのはわかっておりますが、私自身の検索のいろいろなあれも客観的なものになるにはなかなか大変なんで、人にそのように分類してくれといったってなかなかできないし、符号もつけられない、こういう問題があるのです。  これはさっきのICIREPATマニュアルの七九年二月のでも、こういう大事な指摘をしているのです。技術情報の特徴というのは三つレベルがある。非常に単純なものから高度なものがあるということですね。それでFタームのタームリストというと、主題記号と意味記号を組み合わせるのだろうけれども、単純なものというのは意味記号の数が一つとか二つとか三つぐらいで大体済むけれども、もっと複雑なものになってくると五十を超える、非常に多くの数で、一つ一つの技術の価値はそう高くないけれども、これが非常に複雑に組み合わさったところで、それで全体として新しい技術だというような意味が出てくるという、こういう性質のものがありまして、これは理論的に言えばマトリックスだとかなんとか大型コンピューターを使えば解決できないことではないと思うけれども、しかし実際に言えば検索というのはやはり一番簡便にやらなければいけないので、それに合うかどうかという問題は当然疑問として出てくるし、ICIREPATが行き詰まったのもここらにも一つ問題があるということはうかがえるわけです。  ただ、私が一つここで伺いたいことは、アメリカの特許庁は明細書全文を対象としたキーワード方式、それから欧州特許機構もキーワード方式で進めているというとき、日本は日本語だからしようがないのだというようなことでFタームにあくまでしがみつくか、あるいはFタームをもちろん研究するとしても、もっと全文のキーワード方式の検討もするのか、もうFタームで何でもやるのかどうか、その辺についてはっきりした答弁を伺いたいと思います。
  50. 梅田勝

    ○梅田政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、アメリカ特許庁はいわゆるフルテキストサーチ・システムという方向をとっております。我々といたしましても、フルテキストサーチ・システムという問題に対して全く興味がないわけではなくて、大いに興味がありまして、いろいろ研究を重ねておるところでございます。ただ問題は、日本語のプロセッシングの難しさというところに基本的な問題がございます。我々はアメリカとも常にそういう技術的な問題につきましてもいろいろディスカッションしておるのですが、彼らもフルテキストサーチとは言いながら、ある程度の分類分けというものをベースにして考えております。  今我々が開発しておりますFタームというものも、非常にラフな意味で申し上げますと一種の分類記号でございます。したがいまして、全文献をフルテキストで探すのは今の技術ではなかなか難しいということを彼らも認めておりまして、ある程度小分けした中をフルテキストで考えていくということが彼らの手法であります。我々はFタームから入っておるのですけれども、それと同時に、並行的にフルテキストの問題というものも片目ににらみながら開発していくということを考えております。したがいまして、Fターム開発というものは決してフルテキストサーチという問題と矛盾したものではないと我々は考えておりまして、相並んで両方使うサーチキーであるというふうに考えておる次第でございます。  以上でございます。
  51. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 この問題では、それこそ審査官の検索に役立つだけでなしに、社会的に使えるとかあるいは国際的に使えるとか、そういう展望を持ってやってもらわなければ困る、やって、あるところへ来たらどうもうまくいかないということでは困るわけなので、あえてこの問題を提起したわけであります。  さて、その次に、特許庁の「今後の特許実用新案審査処理方針」というのが五月十四日に出されましたので、その中で二つばかり問題を出して伺いたいわけであります。  この中で「実施関連出願等の早期審査」ということが出されております。このことにつきまして、七〇年に特許法改正があったとき、その内容について、特許庁編の「工業所有権法逐条解説」によりますと、これまでは審査出願順に行われた。今度、新法によると順番が出願審査請求順に変わった。それからもう一つ言っているのは、このとき同時に出願の公開という制度があったので、公開されたことに伴う出願者のある不利を除去するために審査の順位を繰り上げることができることを明確にしたというので、四十八条の六ですか、そういう内容がつけ加わったというふうに書いてあるわけですが、今度の早期審査というのは、一つはこの順位を乱すのではないか。出願審査請求順、それでさっき言った四十八条の六の優先審査というのは、その中で特殊なケースとして繰り上げる、こういう話なんだけれども、今度の早期審査というのは、のべつ早期審査にしてしまうということになると、これまでの順位を乱すのではないかという問題。  それからもう一つ、先ほども私、今の現状を申し上げましたけれども、三十社で四割も出願を占めているということ、百社になると五割以上である。そこがうんとふやしている。そこが一番特許庁にも早く審査をやってくれということになっているということがわかるわけなんです。またアメリカの方からも、特にエレクトロニクス関係では特許審査期間の短縮をということを次官級協議で出されたということも聞いておりますけれども、やり方が、さっき言ったように順位を乱すというだけではなしに、対話型といいますか、書面審査というのではなしに、特許庁と相手の大きな企業とが話し合って、そして何をおたくは急ぐのだ、そのかわりにこれはおろしてくれよ、こういう取引的なことをやる姿になっていくのではないか、そうだとすると、本来、公平であるべき特許行政というのが非常にゆがめられるという心配をしているのですが、その辺、どうなんでしょうか。はっきりさせていただきたいと思います。
  52. 志賀学

    志賀政府委員 お答え申し上げます。  特許庁といたしまして、各分野におきます出願を処理していく場合に、できるだけそれぞれの分野における社会的なニーズにこたえる形で処理していくということを考えていくべきではないか、こういう考え方に基づきまして、先生から御指摘ございましたように五月十四日に一つの新しい審査処理方針を出したわけでございます。  その中で特許実用新案の分野について申し上げますと、例えば出願人のサイドから審査基準を明確にしてくれ、あるいは審査の着手時期を統一してほしい、あるいは審査のレベルアップを図ってほしい等々いろいろな要望があるわけでございます。そういうものにいかにしてこたえていくかということを出していったわけでありますけれども、その中の一つとして早期審査というような政策的な課題があるわけでございます。  そこで、早期審査の問題につきましては、現在具体的なやり方につきまして細目を庁内で検討中でございます。実際にそれを実施していく場合に公平に、客観的に行われるようにPRをよくしてから実施すべきである、こういう考え方のもとに事務を進めているわけでございます。その場合に、順番の点で、審査の順番を変えるものではないかという御指摘でございますけれども、この点につきましては、先生から御指摘がございましたように、例えば七〇年の法改正のときの国会答弁等々ございます。ただ、いずれにいたしましても、どういう順番で審査をするのかということにつきましては、特許庁の裁量の問題というふうに考えているわけでございまして、四十八条の六というのが確かにありますけれども、これは一つの例示であるというふうに考えているわけでございまして、別にそれしかできないというものではない。現に、公害関係の技術につきまして昭和四十六年からその優先的な審査をやっているわけでございます。  そういうことでございまして、法律的な問題はないというふうに思っているわけでございます。むしろ今のように非常に滞貨があるという状況のもとにおきましては、出願から二十年間という権利期間の制約がございますから、そういう面から言えばむしろ出願順に審査をしていくという方が適当ではないかというような感じがしているわけでございます。  それから、あわせて請求の取り下げ指導をするのではないかという御指摘でございますけれども、私どもといたしまして、五十一年から適正化指導の一環として、余り必要のない審査請求は取り下げていただくように指導しているわけでありますが、これは一般的な指導としてやっているわけでございます。私どもは、今後も取り下げの問題につきましては一般的な指導の中でやっていくというふうに考えているわけでございまして、この優先審査とリンクさせてやるつもりはございません。
  53. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 長官、長過ぎますね。早期審査だから早期答弁でお願いしたいものであります。  さて、今の答弁はいろいろ問題があったと思うのです。少なくとも政府の答弁で、優先順位は今度は審査請求の順位になったということが書いてあっていろいろ説明しているのに、これは特許庁の長官の裁量で幾らでもできるというようなことを言い出したら、法律を委員会審議する意味もだんだん薄くなってくるわけで、政府答弁で勝手に解釈するのは私は許せないことだと思います。  それからまた、公害分野というのはなるほど社会的にある程度コンセンサスが得られるかもしれないけれども、今問題になっているのは、さっき言ったように七五年から八四年の間ふやしたうちの九割までが大手百社である。そういうところがふやして、実際滞貨で迷惑しているのは個人の発明家や中小企業である、そういう実態の中で、今度やるのは専ら大企業との対話型で解決しようと言うからますます公平さが失われるということで私は鋭くその点を指摘したわけであります。  時間も限られておりますので、次の問題としまして、特許庁審査官などの小グループ化ということを今始めているわけなんですが、これでいろいろ能率を上げるということなんです。これはもう端的に言って、民間の会社がやっているQC運動を特許庁に入れる、そういうことですね。しかし、そういうことは非常に大きな問題があるということを指摘せざるを得ないわけであります。もともとQCというのは、営利目的事業の会社労働者職員に、よく売れる商品を、より低いコストでつくるために、このQC運動を通じて徹底させ、協力させるということであります。  しかし、特許審査官の仕事は、これは有斐閣法律学全集、豊崎光衛著「工業所有権法」にも説明されておりますが、「審査官出願事件について審査をし許否の査定をする権限をもつ単独制の審理機関で、その権限の行使については内部的には長官に対して独立の地位にある。」こういう審理機関であります。そういう単独制の審理機関を、何か民間でやっているようなQCサークルみたいにやって、早く審理をやれだとか、おまえさん能率が悪いからこっちにやらせようかとか、こういうことをやったら、まさに公平であるべき特許審査の行政、これを根底から覆すという疑問を持たざるを得ないわけであります。  それからもう一つ、民間でやっているQCの問題、それによく使われているような本を私何冊か持ってきております。これを見れば書いてありますが、結局労務管理で使うわけですね。ですから、日本の労働組合がストライキをやらないというので、世界でもびっくりされている一つの根にはQC運動というのがあると私は見ているわけであります。例えば、結局、職場でもこのQCサークルをつくるときには、組長がサークルの責任者になって、作業員を含めてそれでサークルをつくるというように、まさに労務組織と事実上変わらない形でつくるということに加えて、例えば石川さん、小浦さんが書いた本にありますけれども、「QCは教育に始まって教育に終わる」そのとき「人事・勤労部門などとの協力によってすすめ、組織・昇進・適性配置・給与との連繋を保ち」といって、昇進とか給与とも連携を保ってやるというのが民間じゃごく当たり前でやられているわけなんですね。上から教育していくというやり方なんです。  これもまた審査官の機能を甚だしく侵すと考えざるを得ないわけでありますので、私はやはり、今特許庁でこういう民間でやっているQC運動的なものを持ち込むということは間違っているという意見とともに、この審査官の機能を侵すようなやり方になってはならないということにつきまして、これは大臣からも答弁を伺いたいと思います。
  54. 梅田勝

    ○梅田政府委員 ちょっと先にお答えさしていただきますけれども先生御心配のように、労務管理に使う、あるいはQCに使うという気持ちはございません。むしろ非常に技術がいっぱいある、小さな技術分野にたくさん出てくるという状況では、複数の審査官、多数の審査官が同じ分野を担当しているというような問題がございまして、そのためにやはり審査基準の統一だとか、あるいは着手時期の統一の問題だとか、あるいは出願のニーズの把握だとかということをまとめてグループでいろいろやった方が便利がいいという発想のもとにグループを組んだらどうかということを言っておるわけでございます。  それから独立権限の問題でございますが、これは個別の案件につきましては、あくまで審査官が独自に判断するということを保っていきたいというふうに思っておりまして、その点でも独立権限を侵すということはないと思っておりますし、そういうふうな注意は十分していきたいというふうに考えております。
  55. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 QCを持ち込まない、労務管理にしないということをはっきり答弁されたのは、それはそれでいいと思うのですが、例えばそれこそケーススタディーみたいになって、審査の個別の案件について、QCみたいな格好で、あのやり方がいいとか悪いとか、そういうことは絶対にやらないわけですか。
  56. 梅田勝

    ○梅田政府委員 ケーススタディー、いろいろなケースがございます。ですけれども、いろいろな審査事例について、これはこういうふうな判断をした方がいい、あるいはまた別の判断をした方がいいという、そういう意味での勉強というのは、自己研さんという観点からも必要だと思っております。
  57. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 だから、そういうことになりますと、それこそ審査官の人たちが自主的にいろいろ事例を研究するということを踏み越えて、それで何か職場の行政管理組織が入ってきて、おまえの審査したのはおかしいとか、いいとか悪いとか、こういうことをやり出したら、さっき言った独立性というのは極めて問題が出てくるわけでありますから、そういうことで言いますと、さっきQCは入れないということに私は反すると思います。  しかし、時間も少ないので、最後の問題に移りたいと思います。  いろいろ特許庁関係団体の統合ということで、発明協会と日本特許情報センターJAPATICとの間でいろいろな仕事の統合だとか、あるいは整理をやっていくということと含めて、もう一つ先般の質疑を伺っておりますと、協力協会というのをつくりたいというようなことで進められておりますが、やはり私ども日本共産党も、行政改革というときは国民へのサービスに応じて簡素な姿にしていくべきであるということで、幾つも団体をつくっていくということには賛成ではありません。  それで、特殊法人じゃまずいから認可法人、認可法人じゃ格好がちょっと悪いから今度は財団法人というような格好で、だけれどもやっていることは同じじゃないかと思うわけであります。  今度、歴史ある発明協会の三つの仕事、発明の奨励と、二つ目に工業所有権制度の普及と、三つ目に特許情報提供という三つの仕事のうちの前の二つを新しい発明協会に残して、特許情報提供の方は、JAPATICと統合した格好でNIFという新しい団体をつくろう、こういう構想で進んでいるわけであります。  そこで、私はこの行き方は相当慎重に検討していただきたいと思うわけですが、疑問の一つは、特許情報サービスを統合するという考え方に、私たち反対するわけではありません、賛成でありますけれども、それなら、じゃ、発明協会にJAPATICを統合するという形でやれることではないだろうか、そうすれば数が一つになって、より簡素な姿になるのではないか。そうでなしに、そこを切り離してしまうと、発明奨励とか特許制度の普及という最も地味で大事な仕事の方が軽視されることになるのではないか、これが一つの疑問であります。  それから二つ目に、そうはいっても発明協会の方の財政基盤が弱くなるだろうということから、この新しい発明協会に対して、公報などの発売元であることや、NIFの売上金の回収の業務とか、それから売上金の一部の取得とかいろいろありますが、そうやってNIFが財政を、一部分であるけれども支えましょうというのですが、こういう複雑なことをするなら、なぜ一つにしないのかということなんですね。それで聞くところによると、発明協会の方は、皇族もおられるから余り金もうけの仕事は恐れ多いんじゃないかというようなことなんだけれども、そんなこといったって、発明協会はNIFの売上金の回収業務という、こういうお金にかかわる仕事をやるわけでありますから、なぜこれを統合しないのかということですね。それが二つ目の疑問です。  三つ目は、Fタームの付与のために新しい協力協会をつくるということなんでありますが、さっき言いましたように、ペーパーレス計画の中でFタームをどう位置づけるかという問題と絡みまして、また同時に、Fタームが審査官と別の人あるいは特許庁の外で簡単につけて、問題が解決していくだろうかということも含めて、かなり全般的にこのやり方は慎重に検討しなければならないと思います。ですから、慎重な検討を求めて、それに対する大臣の答弁で私の質問は終わりたいと思います。
  58. 小川邦夫

    ○小川政府委員 特許情報の一元化ということとFターム付与のための団体づくりということ、まあ同じようなものじゃないかという御指摘でございますが、その点につきましては……工藤(晃)委員「同じようなものと言ってないよ」と呼ぶ)失礼しました。団体をまた新たにつくるということの問題指摘でございましたが、実は情報事業の一元化というのは、特許庁ペーパーレス化対応しまして膨大なオンライン特許情報ができる、これに対する民間の需要はさまざまな形で出てくるものですから、これにいかに的確、効率的に提供をしていくかというには、やはり特許情報提供事業の総力を結集する必要があるという観点から、JAPATICと発明協会情報部門とを統合することにしたわけでございます。それに対してFターム付与のための、私ども略称しておりますJPCCは、主としてFターム付与事業を行うわけでございまして、このFターム付与事業というのは、年間三百万件の処理、専門家の動員が五百人に上るという非常に運営管理の大変な仕事でございますのて、それを一元的に的確運営をするためにやはり新団体が必要ということでこの設立を考えております。  なお、次に御質問の、発明協会とJAPATICはなぜ完全統合しないかという点でございますけれども、これはやはり発明協会の抱えております発明奨励事業とか特許制度普及事業、こういった事業は極めて公益性の高い事業で、先ほど先生指摘のように、その事業も非常に重要なものであるわけですが、公益性も極めて高い。他方、この特許情報事業というものはどんどん企業性を帯びて将来極めて民間のライバルも出てくるでありましょう。そういった中で、いろいろな収支面の苦労、ニーズの即応ということに対応していかなければいけない企業性の強い仕事になってくる。しかも、その事業は膨大になってくる。そうなりますと、大きな組織ですべて今言いましたような異質な事業を抱えるということは無理がある、こういうことで、今のような考え方をとっております。  以上でございます。
  59. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 じゃ、私の言ったこと、大臣よく考えてやってください。
  60. 粕谷茂

    粕谷委員長 工藤君の質疑はこれをもちまして終わります。  続いて、野間友一君の質疑に入ります。
  61. 野間友一

    ○野間委員 三菱石炭鉱業の長崎の高島炭鉱に続いて今回また南大夕張の大きな災害が起こりました。  私は、亡くなりました六十二名の方々に心から哀悼の意を表しながら、また同時に、重軽傷を負われた被害者の方々の一日も早い回復を祈りながら質問をさせていただきたいと思います。  最初に、大臣に決意をお伺いしたいのは、今申し上げました亡くなられた方々に対する補償の問題について、政府としてもひとつ万全の協力なり措置をとられたい。同時に、傷害を受けられた方々の、完全に治癒するまで、同時にまた補償の問題についても、通産省も積極的に会社に対して万全の措置をとるようにぜひひとつお願いしたい、このことを思いますが、いかがですか。
  62. 村田敬次郎

    村田国務大臣 野間委員にお答え申し上げます。  先ほど御報告申し上げましたように、高島炭鉱事故に引き続いて、非常に設備がいいと言われた三菱南大夕張炭鉱におきまして今回かかる災害が発生しましたことについて、非常に心を痛めております。  今御指摘になられました、お亡くなりになられた方、御遺族への弔慰金その他の問題につきましては、ぜひ万全を期してまいりたいと思っておりますし、また、負傷された方々が一日も早く回復されますことを心から祈っております。
  63. 野間友一

    ○野間委員 真相の究明について調査委員会を設けてこれからずっとやられるわけです。私ども共産党も、第一次の調査団を派遣しましていろいろと調査したわけですけれども、聞いてみますと、あそこは比較的炭層が厚いと申しますか、したがって、坑道が約四メートルというふうに聞いたわけです。そのガスセンサー、メタンセンサーですね、ここは最新鋭の構造というか設備のようですけれども、これがなぜ作動しなかったのかということについていろいろ言われておりますが、中で作業しておられる方々に聞きますと、この事故現場周辺については何でも十ばかりのセンサーがついておる。ところが、それが一メートル二十センチあるいは三十センチの高さのところについておるんだ。炭層が厚い坑道に、メタンというのは軽いですから上からずっと充満してくるわけですね。だから、センサーにこれが接触というか当たる、そのときにもう直ちに爆発をして、センサーが稼働しなかったのじゃないか、こういうことまで言われておるわけです。  こうだとすれば、これは設置そのものについて大変な問題があると私は思うのですけれども、そういう点も含めて徹底した真相の究明をぜひお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  64. 村田敬次郎

    村田国務大臣 先ほど御報告いたしましたように、早速、房村信雄早稲田大学教授委員長といたします南大夕張炭鉱事故調査委員会を発足いたさせまして、きょうその調査に行っております。また、私自身も今まで、関係機関それからまた会社側その他からいろいろ事情を聴取しておりますが、御指摘のように、原因を徹底的に究明いたしたいと存じます。
  65. 野間友一

    ○野間委員 それについて言いましても、人命尊重という点から、この保安行政については人も物も非常に重視しなければならぬ、こう思うのですね。  そこで、通産省からいろいろ資料を取り寄せました。これによりますと、例えば鉱山保安監督検査等の予算の推移を見ますと、五十七年度をピークとしてずっと減っておるわけです。しかも、その総額についても、六十年度わずか三億三千七百七十万円、こういうことですね。一方、鉱山保安監督局、部の定員の推移を見ましても、これはずっと減っておる。これまた、昭和四十五年度がピーク、四百四十名、五十年度になりますと、那覇の七名が新しくできたわけですけれども、これを加えましても年々減りまして、昭和六十年度は三百四十六名、ずっと減っておるわけです。これでは、保安重視の行政とは私は言いにくいと思うのですね。  この点について、人も会もぜひ充実をするということを、今度の災害を教訓にしてぜひ政府も決意してほしいと私は思いますが、いかがですか。
  66. 平河喜美男

    ○平河政府委員 御指摘鉱山保安関係の予算と人員でございますが、まず予算に関しましては、保安の重要性にかんがみまして、鉱山保安確保事業費補助金、ぼた山災害防止工事費補助金等を初めとしまして、厳しい財政状況のもとでございますけれども、毎年微増となっておりまして、予算の確保に努めているところでございます。  また、鉱山保安関係の人員につきましては、事業規模の変化あるいは鉱山労働者数の減少等によりまして、先生指摘のように多少減少となっておりますけれども鉱山に対する巡回検査等の監督に支障を来さないように、主として管理関係の一般の行政事務簡素化効率化ということで対処するように配慮しているところでございます。
  67. 野間友一

    ○野間委員 もう時間が参りましたので終わりますが、今度の承認案件についても、結局仙台と東京を合わすわけでしょう、それで東京支部にするわけですからね。私は、保安重視を言うなら、これは昨年の八月三日、私も当委員会でやりましたけれども、これは縮小なり力を落とすということになると思うのです。  この点について、私は、再度これを検討し直すということを今回の災害事故を契機にして、ひとつぜひ政府に要望したいということをつけ加えまして、終わりたいと思います。
  68. 粕谷茂

    粕谷委員長 野間君の質疑は終わりました。  続きまして、後藤茂君の質疑に入ります。
  69. 後藤茂

    ○後藤委員 各同僚議員から三菱のガス爆発につきまして質問なり要望がございましたが、六十二名もの殉職者を出した、まことに痛ましい事故でございます。私もまた、心から深く哀悼の意を表したいと思います。  同僚議員からも指摘がありましたが、最近の可燃性ガスを制御していく、あるいは災害の事前予知をしていくという技術水準というものが大変高くなっていることは確かだと思うのです。えてしてそういった技術にどうしても私たちは頼っていく、依存をしていくということになりますので、今回の南大夕張事故を見ましても、これから調査をされるわけですから、いずれその原因なりがわかると思いますけれども、どうもやはり優良炭鉱の中で技術過信という面がありはしないだろうかということを私も大変危惧をいたしております。  同時に、きょうこれから御質問申し上げるわけでありますけれども鉱山保安監督部の統合案件についての承認を本委員会に求めてきているわけです。私は、大変いい時期でありますだけに、鉱山保安に対して、特に自然条件が我が国の場合は非常に悪くなってきている、しかも石炭につきましては第一次エネルギー供給の中に占める割合はわずか三%程度でありますけれども、非常に重要な資源であります。多くの労働者がそこで働いている、あるいはその地域社会を長い間つくり上げてきている、歴史的な地域形成をしているわけでありますから、何としても、この有用な資源をさらに開発をしていく、その保安の確保のために大臣もいち早く行ってこられたわけでありますけれども、これに対する見解をまずお聞かせいただいて審議に入りたい。
  70. 村田敬次郎

    村田国務大臣 今回六十二名の方が死亡され、十名の方が負傷されるという非常に大岩な災害を、後藤委員指摘のように非常に設備がいいと言われる夕張炭鉱で発生をした、非常に遺憾のきわみだと思っております。早速、災害の日の翌日、早朝の飛行機で行ってまいりまして、現地に飛んで行政関係の責任者、そしてまた会社社長あるいは現地の責任者、労働組合の代表者の方々から事情を聴取いたしました。そして、先ほども申し上げましたように、設備がいいと言われておるこの鉱山でどうしてこういった事故が起こったのか、ひとつぜひこれは徹底的に原因究明いたしまして、事故の絶滅を期して対応をしなければならないという決意を新たにしてまいった次第でございます。  きょう閣議におきましてもこの状況報告申し上げまして、そして、さらにきょうは事故調査団が現地に赴いておるわけでございまして、今後その結果を待って早急に対応をいたしてまいりたい、万全の措置をいろいろな意味でとってまいりたい、このように考えております。
  71. 後藤茂

    ○後藤委員 それでは、承認案件について御質問をしてまいりたいと思いますが、第二臨調の答申では、こうした鉱山保安行政は重視の立場に立って対処しろ、行革の中でも特にそのことが指摘されておったわけであります。もう既に大阪と名古屋及び広島と四国の鉱山保安監督部の統合が行われてまいりました。その際に、仙台と東京の統合は当時見送られているわけでありますね。本来ならこの大阪、名古屋、広島、四国、この際に仙台、東京も今回と同じように承認を求める、統合されることであったのだろうと思うのですが、それがされなかったというのは背景がやはりあっただろうと思うのです。東京と仙台についてはそうした政策上の大きな重要性を持っておったからであろうと私は思います。しかし、今回統合されていくというその理由が一体どうなっているのか、このことをまずお聞きをしておきたいと思うのです。
  72. 平河喜美男

    ○平河政府委員 今回お願いしております仙台及び東京両監督部の統合は、行政の合理化簡素化の一層の推進のため、臨調最終答申の指摘を踏まえて行うものでございます。  両監督部の業務といたしましては、ほかの監督部と違いますところは、石油、天然ガス鉱山が多く存在するという特殊な性格を持っております。それから鉱害防止対策の必要な休廃止鉱山が両監督部とも多く存在する、こういうふうに二つの監督部の間で非常に関連性がございます。こういうことから、この両監督部を統合することによりまして鉱務監督官の機動的な動員態勢がとれるなど、広域的な保安行政を実施できるのではないかということと、共通問題に対しまして、より一体的かつ効率的な対処ができるということ等を考えまして、効率的展開を可能にしたいと思っております。  なお、今回の機構改革の一環といたしまして、東京支部に石油、天然ガス関係の保安業務を担当します石油保安課を設置することにしておりまして、今後とも行政需要の変化に対応するような行政体制を整えていくというふうに考えております。
  73. 後藤茂

    ○後藤委員 札幌の鉱山保安監督局と福岡鉱山保安監督局をそれぞれ通産局に今度は附置させる形になるというように聞いているわけですが、そういたしますと、鉱山行政における生産と保安のチェック・アンド・バランスというのが崩れはしないだろうかと大変心配をするわけであります。この点は、本会議もあるので詰めていきたいと思いますので、答弁を短くひとつお願いします。
  74. 平河喜美男

    ○平河政府委員 ただいま御指摘の両監督局の附置問題につきましては、一緒にいたします業務は会計業務だけでございまして、その他の監督業務等は従来どおりちゃんとやってまいります。
  75. 後藤茂

    ○後藤委員 どうしても生産優先的になりやすいので、保安というのはどうしても後追いになって、災害が起こった場合にあわてふためくということになる危険性がありますので、特に保安監督行政というものは、保安重視というものを臨調の答申でも言っておるわけですから、根底に据えて取り組んでいただきたい。私は、やはりこういった保安監督の行政の仕事というのはなるべく現地により近いところに出先があることが機動的だろうと思うのです。ところが、今度関東、東北の鉱山保安監督部が統合されていくというふうになってまいりますと、青森から静岡までの大変大きな広域圏を管轄区域にしていくということになってまいりまして、保安監督行政あるいはこれからの事前の巡回検査等についても支障を来しはしないかという心配をこれまたいたしております。この点はいかがでしょうか。
  76. 平河喜美男

    ○平河政府委員 鉱山保安行政は現場に直結したものでなくてはならないという御指摘はそのとおりでございまして、私どもとしても十分認識しておるところでございます。  具体的には、東京部長東京管内の鉱山保安に関する各種施策を担当させるとともに、鉱務監督管理官一名を東京支部担当として東京に常駐させることにいたしておりまして、今後とも現場に直結した鉱山保安行政を維持していくつもりでございます。
  77. 後藤茂

    ○後藤委員 さらに、保安監督というのは、大変な技能といいますか専門的な知識が要るわけでありまして、ただ人員を配置すれば済むという性格のものではないと思うのです。そうした人員の配置なり、あるいは先ほども指摘をいたしました巡回検査というのは十分に行われていくべきであろう。むしろ逆に、予算措置によって巡回検査の回数を減らしていかなければ劣らぬことに最近なり始めてきているのではないか。特にこうやって重大災害が頻発することを考えていきますと、やはり事前の検査なりが十分にできておることが必要だろう。それが予算に縛られて回数を減らすということがないようにぜひしてもらいたい。その辺の、非常にすぐれた知識と技能を持っている人を配置しなければならない人員配置の問題なり、あるいは財政的、予算的な措置等についてどのように考えられているのか。あるいは、こうした重大災害が頻発しておりますだけに、来年、再来年と、これからの予算措置についても十分に対処していただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  78. 平河喜美男

    ○平河政府委員 鉱山保安関係の人員につきましては、事業規模の変化あるいは鉱山労働者数の減少等によりまして全体としては多少減少となっておりますけれども、ただいま先生の御指摘にございましたような、鉱山に対する巡回検査等の監督には支障を来さないように、主として管理関係の一般行政事務簡素化効率化ということで対応しているつもりでございます。  なお、旅費等の関係で検査が難しいのじゃないかという御指摘でございますけれども、検査監督旅費につきましては優先的に確保するということによってこれに対応することにいたしております。
  79. 後藤茂

    ○後藤委員 特に大臣に要望しておきたいのですが、消防と同じことで、鉱山保安監督部というものは仕事がない方かと言ったら大変失礼ですけれども、出動するとか、そういう機会のない方がむしろいいわけです。それほど保安がより安全に確保されているということになるわけです。それほど災害が起こらないとか、あるいは保安が完備されてくるということになりますと、どうしても、そういう予算は要らないじゃないか、あるいは人員が過剰な配置になっているのじゃないか、そういう形にとられがちなわけです。だれでもすぐに、緊急に人を配置すればこれに対応できるという性格のものではない、先ほど言いましたように、大変専門的な知識と能力を持っていなければならぬわけでありますから。そして、なおかつ災害が起こらないような体制をとっていく、そのためには事前の保安のための検査なり、あるいは巡回指導なりというものが大切でありますから、この点はひとつ大臣に強く、答弁は結構でございますから、要望しておきたいと思います。  そこで、この機会でございますので、時間が余りございませんが、金属鉱山関係のことにつきまして、従来も本委員会でしばしば指摘をいたしておりますけれども、二、三点、重要な問題だけについて大臣とエネルギー庁長官の方からお答えをいただきたいと思うのです。  毎年度の予算を見ておりましても、最近はマイナスシーリング等でその犠牲が金属鉱山関係にも年々黒い影を落としてきているわけでありまして、五十六年度から連続して減少してきておりますけれども、六十年度予算は八五%にまで下がってきているわけです。物価の上昇あるいは人件費等を入れていくと、もっと落ち込んでいるのではないだろうかという気がいたしてなりません。何といいましても国内鉱山というのをこれからも維持存続していかなければならないということを考えてみますと、ぜひそういった予算措置について積極的な対応をとってもらいたい。  昨日も、何か金属鉱業事業団が創立二十二周年を迎えたそうであります。私も質問のためにちょっと資料を求めようといたしましたら、二十二年たっている、長い歴史を持ってきているなと思うのですが、業務内容等もまた非常に多岐にわたってきているわけです。ただ、その資料を見ておりますと、二十年前には約七百を超える鉱山があったのですね。これが今は一割ぐらい、七十余りしか鉱山がなくなってしまっている。資源が大変少ない我が国でありますけれども、こういった有用な非鉄金属の資源が賦存をしているわけでありますから、どうしても国内鉱山というものを大切にしていく支えが必要であろう、こういうように考えておりますので、こういった国内鉱山のこれからの育成振興策というものを長官、簡単で結構でございますから、まずお聞かせをいただきたい。
  80. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 後藤先生指摘のとおり、国内資源の確保、開発は非常に重要なことでございまして、予算の中では補助金、委託費が一般的に削られてい分中ではございますけれども、国内資源開発のためのいわゆる三段階の予算は、我々一生懸命知恵を絞りましてどうやら減少幅を小さくしてきたわけでございます。苦しい財政事情の中ではございますけれども、今後とも予算の確保に全力を傾けてまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
  81. 後藤茂

    ○後藤委員 その予算と関連をいたしまして、先般高率補助の一割カット法案が成立をしていったわけでありますけれども、その際に、高率補助にかかわる、特に三段階探鉱の中での精密地質構造調査等、この補助率もカット対象にしていくべきではないかというような動きがあったと聞いているわけであります。こうした大変リスキーな探鉱調査というものは、探鉱したからというだけで直ちに鉱脈が見つかるという状況ではありません。そういたしますと、どうしても海外鉱等に依存をしていくということで、これまた国内鉱山が疲弊していくことになるわけでありますが、高率補助に対してこれからもしっかりとこれまで同様の態度をとってもらいたいと思うのですが、長官、いかがでしょう。
  82. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 現行の三段階探鉱促進策に対する助成策についての補助率につきましては、できるだけ現行の補助率を維持するよう努力してまいりたいと考えております。
  83. 後藤茂

    ○後藤委員 国内産出の非鉄金属関係というのはだんだんと減少してきておるので、勢い海外から鉱石を仰いでいかなければならない。例えば銅鉱石で見ますと、九七%がもう既に海外鉱山に依存をしているわけであります。ちなみに鉛は八二・五%、それから亜鉛は六二%、こういうような海外への依存になってきている。そのことは二つの問題があると思うのですね。  一つは、これからも海外鉱山を開発していかなければならない。そのための財政的な、資金的な確保というものは一体どのように考えられていくのか。きょうは金属鉱業事業団を呼んでその間の状況等もお聞きをしたかったわけでありますけれども、時間もございませんので、大臣からこういった海外鉱山開発に対する取り組みについての積極的な考えをお聞かせいただきたいということが一つ。  それから、今、長官から御答弁がございましたけれども、海外鉱山を開発していくということになりますと、どうしてもその学校であります国内鉱山を維持存続をしておかないと、そう簡単に海外の鉱山を開発していくということができません。それだけに私は、国内鉱山の開発につきましても、先ほど長官にも御指摘いたしましたように、しっかりした基本的な態度を持っておかなければならぬ。従来私も、金属鉱業基本法的なものを持っていかないと、少ない有用な資源というものを結局なくしてしまって、セキュリティーの観点からいっても重要な金属鉱物でありますから、これをすべて海外に仰ぐということになってまいりますと、セキュリティーの観点からも大変問題になるということで基本法を制定すべきではないかという指摘も実はしておったわけですが、金属鉱業だけの基本法をつくるということはなかなか難しいというのがこれまでの御答弁でございますけれども、ぜひひとつそういう観点で海外鉱山の開発の問題と、それから国内鉱山の維持存続の中でのより国際協力ができる環境を行政としてもつくり上げていただきたい、こういうように考えているわけですが、大臣いかがでしょう。
  84. 村田敬次郎

    村田国務大臣 海外鉱山の開発の問題は、後藤委員指摘のように非常に重要な問題でございます。特に、日本は資源その他で国内に賦存するものが非常に少ないのでありますから、したがって、これは今後前向きに対処していかなければならぬ。現在も融資制度その他いろいろそういった海外鉱山開発についての制度がございますが、そうした制度をひとつ有効に使いまして、委員指摘のような方向で努力をいたしたいと存じます。
  85. 後藤茂

    ○後藤委員 日本の鉱石は、大体銅、鉛、亜鉛というふうに言われている。あとレアメタル関係が若干賦存しているという状況であったわけでありますが、最近特にレアメタルについての関心が非常に高まってきている。先端技術産業の発展に伴ってこうしたレアメタルが注目をされるわけでありまして、その備蓄に対しては既に制度化されてきたわけでありますが、私は本委員会で一度指摘をしたのですけれども、もう既に銅鉱山で閉山になりました北海道の下川の鉱山があった。ここへ私は調査に行ってみました。これはコバルトを随伴しているわけです。もしコバルトが分離抽出ができればこの鉱山は閉山をさせなくてよかったわけです。私は、そういった技術に対して研究投資をしてほしいということを強く指摘をいたしましたが、十分な対応策をとらなかった。しかも、ある程度海外からそういった希少金属というものが購入できるという状況であった。しかし大臣、こういうレアメタルというのはアフリカなり、あるいはソビエトなり、非常に偏在してきているわけですね。しかも今、日本が世界の一割国家になって、こういった先端技術が非常に高い勢いで発展をしてきている。もし、こういったレアメタルの確保に支障を来すということになりますと、経済にも大きな影響を与えていくわけであります。  そこで、これまた二つの問題があると思うわけです。  一つは、金属鉱業事業団等も努力をされているようでありますけれども、海外のレアメタルをどう確保していくかということであります。ただ、先ほども言いましたように、非常に偏在しているということと、それから探鉱に当たっても技術的なリスクが非常に高い、あるいは海外開発においては、ほかでもそうですけれども、カントリーリスクを背負っていかなければならない、こういうリスキーな事業に対してこれまた資金の確保というものが大変難しいわけでありますけれども、こういった問題について行政の側の積極的な取り組みが一つであります。  それからもう一つは、合金に使われたり、いろいろな製品の中にレアメタルというものが使われていくわけであります。これを今度スクラップとして回収していくという場合に、回収して分離していく、あるいは先ほど言いましたように随伴鉱の中に希少金属が含まれている、これを選鉱分離をしていくという技術がもう一つまだ高くはないわけですね。  こういった研究投資、つまり海外の開発、非常にリスキーな産業でありますから、それに対する開発資金の確保ということ、それからもう一つは、国内において産出いたしました鉱石に随伴するレアメタルを選鉱分離する技術の開発、あるいはスクラップからの回収技術の開発、これがこれからは大変重要になってくると私は思うわけです。これはエネ庁長官じゃなしに、ひとつ大臣の考えをお聞かせをいただきたい。
  86. 村田敬次郎

    村田国務大臣 後藤委員指摘の問題、国内に賦存するレアメタル、それからまた海外に依存するレアメタル、この二点についてお答えをしたいと思います。  まず国内の問題でございますが、各産業分野における技術革新に伴いまして、今後レアメタルの需要は急激に増大することが予想されますが、地質鉱床学的に見て国内にレアメタル資源の賦存する可能性は高い。今後増大する需要に対応して最も安定的な供給源である国内レアメタル資源の探鉱開発を推進することが必要である。これは後藤委員の御指摘と全く同感でございます。  こうした観点を踏まえまして、通産省としては、六十年度からレアメタル資源の賦存状況概要を明らかにするための基礎的調査を新たに実施することといたしましたが、今後とも国内のレアメタル資源の探鉱開発促進のために、委員指摘制度等もいろいろと検討いたしまして努力をしてまいりたい、このように思います。  それから海外の問題でございますが、技術立国である我が国といたしましては、海外探鉱開発によるレアメタルの安定供給の確保は必要不可欠であります。特に国内、海外と比較をしてみますと、国内にある程度賦存をすることも事実でありましょうが、これは圧倒的に海外の方が豊富である、これは事実でありまして、海外探鉱開発の推進によるレアメタル供給源の多角化ということが経済安全保障の観点からも必要であると考えます。  レアメタルの海外探鉱は、探鉱開発実績に乏しいとともに、探査技術上のリスク、カントリーリスクなど特段に高いリスクが伴いますために、民間の行う探鉱活動にインセンティブを与えることが必要であると考えております。こうした認識に基づきまして本年度から、民間が行うレアメタル海外探鉱のリスク負担を軽減いたしますために成功払い融資制度、融資比率が原則六割、それから特例七割を創設したところでございまして、レアメタル海外探鉱の促進を図っていく所存でございます。
  87. 後藤茂

    ○後藤委員 あと三点ばかり御質問しておきたいと思いますが、時間が私は五十分いただいておったのですけれども、前任者の方がおくれてきたものですから急いで申し上げておきますが、減耗控除制度、これが来年以降、六十一年三月末で切れるわけであります。世界各国はこの減耗控除制度というのは恒久化しているわけです。我が国においては租税特別措置法の一環でありますから、租税特別措置の対象のものを恒久にしていくということは大変難しいということが本委員会における答弁でもなされているわけですが、六十一年三月末で期限切れとなります減耗控除制度、これについてぜひ恒久化を図っていくべきである、こういうように私も主張いたしているわけでありますが、これは長官いかがでしょうか。
  88. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 減耗控除制度につきましては、御指摘の点、我々も全く同感でございまして、我々もできるだけこれは恒久化の方向で努力したいと思いますし、来年度そういう場合には、臨時的なものでございますけれども、先ほど申しましたように恒久化の方向でひとつ努力してまいりたい、こういうように考えております。
  89. 後藤茂

    ○後藤委員 こういう非鉄金属関係は、国際価格で乱高下の非常に激しい商品でありまして、そのために国内鉱山等もその乱高下の過程で一喜一憂し、あるいは閉山に追い込まれるということであります。  一九六〇年に国連の下部機関で国際鉛・亜鉛研究会ですか、これが設置されているわけであります。そして亜鉛の需給あるいは価格の安定等についても相当な成果を上げていると聞いているわけです。問題は銅でありますけれども、銅は例えばチリ等はアウトサイダー的な形で市況を非常に混乱していると言ってはチリに大変失礼ですけれども、大きな原因になっている。なかなか国際的な価格安定なり需給調整的な会議が開かれていかないということでありますが、カナダ等から最近そうした銅の産銅国際会議を持つべきではないか、こういうような要望等、呼びかけ等もあると聞いているわけですが、私もこうした国際産銅会議等は必要だろう、UNCTAD等で議論をされておりますけれども、こういうものが必要だろうと思うのですけれども、この点、一言でいいです。いかがでございましょうか。
  90. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 我が国も各国と協調いたしまして、積極的にそういう構想については参加していきたい、そういうふうに考えております。
  91. 後藤茂

    ○後藤委員 では最後にもう一点だけ。百一特別国会で、当時の小此木通産大臣に私は質問したわけでありますけれども、国鉄財政再建緊急措置法に絡んで地方線の廃止が提案されてきております。その中に炭鉱地帯とか、あるいは鉱山地帯とかの重要な動脈がその対象になっている。その一つに足尾線もありまして、私も足尾線の現地域あるいは古河鉱山等も見てまいりました。これは世界的に大変すぐれた自溶製錬技術を持っているわけであります。また、そこでやっておりますいろんな製品等は今日の先端技術に重要な役割を果たしている商品もつくっているわけです。硫酸も出てくるわけでありますが、こういったところが廃止になるということになりますと、これまた鉱山なりあるいは炭鉱なりというものに非常に大きな影響を与えていくので大臣にも質問をいたしました。  当時、大臣は与党の交通部会長をされて、あるいはこの法律の審議の際には運輸常任委員長をされておった、そういうことで、大変難しいのだけれども私の質問に対して、国鉄の担当者なりあるいは運輸大臣あるいは運輸の担当者と十分に協議をしていきながら、何とかこの手だてがないかということを検討していきたい、真剣に考えたい、こういうように私には答弁をいただいておったわけであります。非常に難しい問題であろうと思います。が、こうした長い歴史を持ち、そしてそのほかにトラック輸送等が非常に難しいようなこういったところは、産業政策上あるいは冒頭申し上げましたように国内鉱山を維持し、あるいは国内製錬所をさらに発展させていくための動脈でありますこういった足尾線の存続等につきまして、通産行政の立場からひとつ大臣、積極的にこれは取り組んでいただきたいということを要望申し上げておきたいと思うのですが、この御答弁をちょうだいいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  92. 村田敬次郎

    村田国務大臣 昨年六月、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づきまして、特定地方交通線の第二次選定対象路線として足尾線が承認をされたわけでございます。この四月に第一回目の地方協議会が開催されました。その際、六月までの約三カ月間乗車人員の実態調査を行うことが決定されたと承知をしております。  足尾線が仮に廃止されるといたしますと、足尾製錬所の鉱石だとか硫酸の輸送だとか地元経済に種々の問題が生ずるおそれがあることは、通産省としても十分承知をいたしております。地方協議会において十分地元の意見を尊重しながら協議が行われることを期待いたしておりまして、本件について従前から運輸省に対し地元の意見を十分踏まえて対応するよう要請してきたところでありますが、ただいま後藤委員指摘のように、今後とも必要に応じ運輸省と連絡をとりながら本件に対処してまいる所存でございます。
  93. 後藤茂

    ○後藤委員 終わります。
  94. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて後藤茂君の質疑は終わりました。  以上をもちまして両案件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  95. 粕谷茂

    粕谷委員長 これより両案件に対する討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、順次採決いたします。  まず、特許法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  96. 粕谷茂

    粕谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  97. 粕谷茂

    粕谷委員長 この際、本案に対し、渡辺秀央君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。城地豊司君。
  98. 城地豊司

    城地委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     特許法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、最近における工業所有権制度をめぐる内外の諸情勢の進展にかんがみ、工業所有権行政の一層の国際的展開を図るとともに、最近の出願件数の増大、出願内容の高度化等に伴う審査期間長期化に適確に対処するため、ペーパーレス計画を着実に推進し、併せて出願適正化指導、必要な人員の確保及び研修の強化等に努めるべきである。   また、ペーパーレス計画を推進するに際し、激増する特許情報が効率的に利用されるよう、情報提供システムの構築に万全を期するとともに、(財)日本特許情報センターの新規性調査機関としての機能の一層の充実強化を図るべきである。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審議の経過及び案文によって御理解いただけると存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  99. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  渡辺秀央君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  100. 粕谷茂

    粕谷委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村田通産大臣
  101. 村田敬次郎

    村田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、今後行政を進めてまいりたいと存じます。     —————————————
  102. 粕谷茂

    粕谷委員長 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、関東東北鉱山保安監督部及び同部東京支部設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  103. 粕谷茂

    粕谷委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。     —————————————
  104. 粕谷茂

    粕谷委員長 お諮りいたします。  ただいま議決されました両案件委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 粕谷茂

    粕谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  106. 粕谷茂

    粕谷委員長 次回は、来る二十四日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。     午後零時四十分散会