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伊藤(英)
委員 私はシグール特使にも向こうでもお会いいたしましたけれ
ども、何度も何度も同じことを、三月末に言って、不満を云々というようなことは多分私はされないだろうという気もいたします。それから、その二百七十万台云々、こう言われますけれ
ども、つい最近も自工会の会長も、新聞の対談を私は読んだのでありますけれ
ども、現実にほそういうふうにはいかないという話もいろいろされたりしております。私もそれはそうだろうという、これはアメリカの現在の市場はそんなふうに動いていると思うのです。今月、四月ですね、今月に入りましてもあそこの生産はずっと落ちたりしておりますけれ
ども、そんなふうにアメリカの
需要は動いてはいないだろう、こう思います。
この問題についではもうこれでおきますけれ
ども、いずれにいたしましても、総理自身、先ほど言われた言われ方もありますが、総理自身もそれなりの表現の仕方はしております。私もこれは
大臣にも既に前にちょっと
お話もしたこともありますけれ
ども、他の閣僚の方にもお会いして
お話ししたことがございます。その方々も、ある
意味では率直に御自分の意見を話してくださったんだ、私はこう思いますけれ
ども、それなりのいろいろな意見をお持ちでございました。それはやはりそれぐらいの
意味が今回の問題はあるからだ、私はこう思うのですね。そういう
意味で、ぜひそんなことも踏まえて進めていただきたいな、こう思います。
今の問題にちょっと
関連いたしますけれ
ども、いわゆる情勢分析をするときにという
意味で、あるいは現在の日米おるいはアメリカを
中心とした世界というものを見るときの
一つの見方としてちょっと私はこんなふうに思うのです。また御意見を伺いたいのですが、御
承知のとおりにアメリカの八四年の貿易収支の赤字というのは、アメリカの統計で見ますと千二百三十億ドルの赤字であります。その赤字のうちで対日本でいきますと、日本の占める割合が二九・八%でありました。非OPEC発展途上国が三三・一%を占めておりました。そして、八一年から八四年まで、三百九十七億ドルから千二百三十三億ドルにアメリカの赤字がふえました。そして、その赤字幅の拡大
状況を見ますと、御
承知のとおりに非OPEC発展途上国が三百七十七億ドルと、最大であります。ECが二百二十億ドルふえました。そして、日本が百八十九億ドルでありました。なぜこういうふうになったんだろうかという赤字の拡大の要因ですね。こういうものはやはりよく考えなきゃいけないんじゃないんだろうか。もちろんこれは十分に認識されているというふうに思います。
さらに、これをもうちょっと
産業別というか品目別に見てみるといたしましょう。私はこう思うのですね。アメリカの
産業上、いわゆる外貨を稼ぐ、競争力のあった
産業というのはそれなりに幾つかあった。エレクトロニクスにしてもコンピューターにしても航空機にしても、あるいは農産物にいたしましても化学にしても機械にしても、そういうものがアメリカの強さを示してドルを稼いでおりました。それはここ数年を見てみますと、あるものはずっと黒字幅が減ってまいりました。本当にここ数年でずっと減ってまいりました。あるものは赤字にまで転落いたしました。そういう
状況になっているんです。
なぜそうなったんだろうか。これは私つい最近見ましたビジネスウイークにずっと物すごく細かく書いてある。特集号を組んでおる。このビジネスウイークに、三月十一日号「アメリカズ・ハイテク・クライシス」、こう書いてあります。ここにずっとアメリカの
状況が書いてある。ハイテク分野におきましてもアメリカの対外収支が、本当にここ三、四年間で赤字に転落をいたしました。大来
先生の書いてあるあの中にも出ておりますけれ
ども、ドル高が、この三、四年間に六〇%から六五%ぐらい上がったんですね。
そういう
意味で、さっきのビジネスウイークにもはっきりと書いてありますけれ
ども、なぜそういうふうになってきたんだろうか。アメリカの個別の
産業の変化を、この理由としてドル高の影響が一番大きいんだ。そしてアメリカの
産業の
生産性が低くなってきたんだ。だから、さっきのビジネスウイークの中にも
一つの例として出ております。世界最大のIBMがそのパーソナルコンピューターの生産コストが八百六十ドルする。そのうちの八〇%、六百二十五ドルが海外に依存をしております。
内容は韓国、シンガポール、日本から入っていくことによって八百六十ドルを形成をしておる、こういうふうに書いてあります。
そういうふうにいたしますと、米国の現在の貿易収支の赤字の主な要因というのは何なんだろう。それは私は三つだと思うのです。
一つはドル高であり、ドル高によって輸出競争力が急激に低下をしてきたということでしょうし、そして、それによってあるいは他の要因によって米国
企業の多国籍
企業化及びそこからの部品の調達ということであるでしょうし、第三には諸外国への米国の輸出努力不足ということが効いている、私はこれが最大のものだと思うのです。だから米国自身もそれを知っているからこそ、自由貿易主義の
立場から日本に対しては日本市場の開放策を求めていると私は思うのです。そして日本には輸入品を受け入れやすくするためにどうしてください、あるいはまた日本の輸出マインドを弱めるために
内需拡大策を求めているんだ、こう思うのです。
そういう
意味で今、私の理解が正しいのかどうか、そしてその上に立って、米国が日本に求めている真の対応策というのは何なんだろうかということをまず外務省にお伺いいたします。