○
浜西委員 私は、
日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、
基盤技術研究円滑化法案に対する反対理由を五つに絞って述べることにいたします。
まず
一つ、
基盤技術研究を円滑化するという発想についてはいささかも反対するものではありません。特に、
技術立国を目指す
我が国においては重要な課題であると
考えます。
重要な課題であるがゆえに、長期
展望と多角的分析を行い、この際、
我が国の
基盤技術とは何かについてできるだけ明確にし、総合的な見地から
技術開発に取り組む
立場をとるべきであり、その条件整理ができていないと判断するので反対するものであります。
二つ目。本
法案は、この
定義において
通産省または
郵政省の所掌に係るものに限定されているが、この際、総合的に各
省庁が連携して
技術開発を進めるべきであると
考えます。
また、今回の
定義についてははなはだあいまいな点があります。
郵政省の所掌に係るものは、おおむね通信
技術、ネットワークなど、そのガイドラインはおよそわかるが、
通産省の所掌に係るものは複雑多岐にわたっており、どの分野まで及ぶのか整理が困難であるが、これはいずれ整理をすべきであります。
三つ目。
日本が
技術立国として生きていくためには、ハイテク時代になくてはならない新素材の
開発を含めた
先端技術の
研究開発に向けての
基盤づくりが必要となります。このことは、三月二十九日、本
委員会に出席された四名の
参考人の見解も、多少の差異はあるにしても、工学、化学などの
基礎研究の
必要性を述べておられるのは納得できます。ところが、
現状は研究の
内容と所掌がはっきりしていない、そういった問題がいろいろあるわけです。例えば、
シリコン半導体にかわって、
ジョセフソン素子、
HEMT半導体素子、
ガリウム砒素半導体素子の
集積化の
研究開発が進めば
コンピューターの
計算速度は数十倍アップすると言われているが、このような金属と言われない元素までが含まれる
レアメタルの抽国
技術、応用についても所掌があいまいであります。
四つ目。本日、四月三日来日するアメリカ国防省の
調査団が強い関心を持っているといわれるミリ波とオプトエレクトロニクス、これはもともとアメリカの産軍複合体が
日本の
技術をねらっている十六分野の中の
二つてあります。前に述べたガリウム砒素素子やミリ波、マイクロウェーブ集積回路、これなどの
先端技術は従来からスターウオーズ
計画に参画させられているのではないかと取りざたされていたものが、今回の国防省
調査団の来日によっていよいよその感を強くせざるを得ないのであります。
基盤研究が
我が国の運命にかかわるような問題あるいは国際競争、国益にかかる場合、その安全対策、対応の機能が発揮でき、責任の所在を明らかにできる
所管庁をつくるべきであり、そのための基本法をつくる前提で本
法案を
審議すべきであ
ると思います。
五つ目。通産、郵政のみの
所管にとどまらず、科技庁、建設、農水、運輸、厚生などの
所管のものを含め、
我が国の総合的な
基盤技術の
研究開発は今後ともさらに重要となってくると思いますが、本
法案がその前提に立っているとしたら、
事業費は余りにも少額であります。現在でも既に七兆円の
研究費が主として
民間大手企業の手によって支出されており、アメリカIBM一社だけでも年間五千億円の
研究費であります。しかるに、本
法案では年間
事業費はわずか四十億円という小規模であります。やはり何といっても
基礎、応用の研究分野にウエートを占める
大学とのタイアップを重視した、いわゆる
産学官一体となった
研究開発に大幅な
予算の裏づけを行って、国を挙げて取り組むべきであると思います。しかも、
民間の
意見の反映に最大限努力することはもちろん、新
電電の
株式が
産投会計に
帰属することに十分に留意した運営にすべきであります。
以上、五項目の
問題点の解決について今後とも検討改善すべき事項を留保し、このままの
内容では賛成するわけにはいかないことを表明して、反対の討論といたします。
なお、貿易
センター法を廃止する等の
法案に対する修正案についても反対するものであります。
以上であります。(拍手)