○奥野(一)委員 本来、この種の
対策というのは、私は
中小企業庁の皆さん方が仮に一生懸命やられたにしても、
倒産件数を減らしていくということは非常に難しいだろうと思っているわけでありまして、これはやはり
経済運営全体の中で、全般的に協力をし合っていかなければならない問題というのが相当大きな要素を占めていると思うのですね。
例えば、今
景気がある程度上向きになってきているんだ、きているんだといったって、全国的にそういう感じがしないということは、
倒産件数が一向に減ってないということがそういうことの
一つの証左になっているわけですね。しかし日本全体の
景気を見ますと、確かに上向いているような
状態だ。これは数字の上でそういうふうに出てくるということになるわけでありますが、実際の業者にしてみますと、とんでもない、それならなぜ
倒産をしていくのだ、こうなっていくと思うのです。ですから、そのためには
経済運営全体的な中から
対応しなければならないと思うわけでありまして、そういう面については、これからまた私どもの方でもいろいろ
調査をさせていただきまして、また機会を見て
質問させていただきたいと思います。この問題ばかりやっているわけにいきませんので、次の方にまた入らしてもらいます。
これは経企庁の方にお伺いをしたい。あるいはまた
関係する部分では、通産の方も若干出てくるかと思いますが、先日も
質問いたしまして、この
倒産がふえてきているという中で、
先ほどもちょっと触れましたけれども、輸出主導型の
景気上昇のために内需型の業種というものの中で
倒産が出てきているんだ、こういうふうに申し上げたわけでございます。今も申し上げましたように、不況型
倒産の大部分というのが売り上げ不振あるいは売
掛金の回収困難、こういうことというのは、
考えてみますと、結局は国民の皆さん方に物を買う力がなくなってきていることだ、そう思うのですね。決して国民の皆さん方というのは、収入はあったけれども全部貯金をしてしまって物を買わない、そういうことではないと思うのですよ。そうすると、そこのところを何とかしなければ、このたくさん出ている
倒産件数を減らすという力にはなっていかないのじゃないか、これは私はそういうふうに思うわけであります。
先日の
委員会の中でも、私や他の委員の皆さん方に対しまして、経企庁長官の方から、いやしかし、そう言うけれども個人の
消費支出というのはふえ出してきているんだ、こういう
意味の御答弁をされているわけでありますけれども、私はどうもその点については率直にうなずけないという点があるわけであります。例えば、最近厚生省が発表いたしました五十九年の国民生活実態
調査、これによりますというと、五十八年の一世帯当たりの年収の伸び率は過去最低だ、しかも老人だけの世帯では年収は初めて昨年を下回った、こういう
報告が出ているわけであります。
一世帯当たりの平均所得は四百五十七万五千円でありますが、これは五十七年より十三万一千円
増加したとなっているわけです。しかし、この
増加率はわずか二・九%、過去今までの最低でありました五十七年の三・四%すら下回っておるという
状況にあるわけです。
増加率の推移については省略をいたしますが、五十一年までというのは一〇%くらいの所得の
増加があったのですが、五十二年からは一〇%を割って、ここ二、三年というのは
消費者物価の
上昇率をわずかに上回る程度の所得の伸びということになっているわけです。そういうことを
考えますというと、物価の
上昇率、それに加えて医療費の今度は一割負担というのが出てくるし、あるいは公共料金などが値上がりをしていくし、それからまた、日本の税の刻みというのは幅が小さいわけですから、名目賃金がちょっと上がったら税収の方も一ランク上がって税金を取られていく、そういう
状態を
考えてみますと、果たして今年度さらに
消費支出というのがふえるという要素がその中から出てくるのだろうか、こう
考えますと、ここら辺のところも非常に疑問があるというふうに思っているわけでございます。
しかも、この収入の動きというのを見ておりますと、稼働所得、仕事をして働いて所得を得るという人力は年々低下をしてきているわけですね。五十四年には四四%であったのが五十八年には三五%にまで下がってしまっているわけです。その反面、年金とか恩給によって収入を得ている人方というのは五十四年の三七・三%から五十八年には半分以上になってしまっている。これは五〇・四%まで上がっていっているわけであります。
こういう点を
考えてみた場合に、この前経企庁長官が言われましたように、これからそういう
個人消費支出がふえるんだ、だから内需型の
景気浮揚というのですか、こういうようなことが達成されるのかどうか、私は今の
状況から見ますと、今まで述べてきたような
状況から、今年度例えば大幅減税をやるとか、あるいは大幅賃金引き上げをやるというなら別ですけれども、まだそういう見通しのない中では、恐らくそういう
状況になっていかないのではないか。そうすれば、
個人消費支出というものがある程度ふえていかないというと、この不況型
倒産の中で一番大きな比率を占めております販売不振というものは解消されないということになっていくだろうと思うのですね。
ですから、
先ほども言いましたように
中小企業庁の方がただ単に、ただ単にというのは語弊がありますが、一生懸命基盤整備とかなんとかということをやられておっても、片方で買う力をつけるということをやってやらない限りにおいては、こういう
倒産件数も減っていかない。こういうことになると思うのですよ。そういう
経済見通しの
関係について経企庁の方からぜひもう一遍見解をお示しをいただきたいと思うのです。