運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-12-12 第102回国会 衆議院 社会労働委員会内閣委員会地方行政委員会大蔵委員会文教委員会農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十二月十二日(水曜日)     午前十時開議 出席委員  社会労働委員会   委員長 戸井田三郎君    理事 愛知 和男君 理事 稲垣 実男君    理事 小沢 辰男君 理事 丹羽 雄哉君    理事 池端 清一君 理事 村山 富市君    理事 大橋 敏雄君 理事 塩田  晋君       古賀  誠君    自見庄三郎君       谷垣 禎一君    友納 武人君       長野 祐也君    西山敬次郎君       野呂 昭彦君    浜田卓二郎君       林  義郎君    網岡  雄君       河野  正君    多賀谷眞稔君       竹村 泰子君    森井 忠良君       新井 彬之君    沼川 洋一君       森本 晃司君    小渕 正義君       塚田 延充君    梅田  勝君       小沢 和秋君    菅  直人君  内閣委員会    理事 石川 要三君 理事 松浦 利尚君    理事 和田 一仁君       石原健太郎君    内海 英男君       鍵田忠三郎君    月原 茂皓君       二階 俊博君    角屋堅次郎君       渡部 行雄君    鈴切 康雄君       山田 英介君    三浦  久君   地方行政委員会   委員長 高鳥  修君    理事 愛知 和男君 理事 糸山英太郎君    理事 臼井日出男君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 岡田 正勝君       伊藤 公介君    大村 襄治君       坂本三十次君    中川 昭一君       細田 吉藏君    松田 九郎君       山岡 謙蔵君    五十嵐広三君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       細谷 治嘉君    山下八洲夫君       吉井 光照君    経塚 幸夫君   大蔵委員会   委員長 越智 伊平君    理事 熊谷  弘君 理事 中川 秀直君    理事 野口 幸一君 理事 坂口  力君    理事 米沢  隆君       糸山英太郎君    大島 理森君       瓦   力君    塩島  大君       中川 昭一君    山岡 謙蔵君       上田 卓三君    沢田  広君       戸田 菊雄君    矢追 秀彦君       安倍 基雄君    正森 成二君       箕輪 幸代君   文教委員会   委員長代理理事 大塚 雄司君    理事 石橋 一弥君 理事 白川 勝彦君    理事 佐藤  誼君 理事 馬場  昇君    理事 有島 重武君 理事 中野 寛成君       青木 正久君    稻葉  修君       臼井日出男君    榎本 和平君       北川 正恭君    坂田 道太君       田川 誠一君    二階 俊博君       木島喜兵衛君    佐藤 徳雄君       田中 克彦君    中西 績介君       池田 克也君    伏屋 修治君       藤木 洋子君    山原健二郎君       江田 五月君   農林水産委員会   委員長 今井  勇君    理事 衛藤征士郎君 理事 吉浦 忠治君       大石 千八君    鍵田忠三郎君       鈴木 宗男君    月原 茂皓君       松田 九郎君    若林 正俊君       上西 和郎君    串原 義直君       島田 琢郎君    田中 恒利君       細谷 昭雄君    松沢 俊昭君       駒谷  明君    斎藤  実君       武田 一夫君    水谷  弘君       中林 佳子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         厚 生 大 臣 増岡 博之君         自 治 大 臣 古屋  亨君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      工藤 敦夫君         総務庁行政管理         局長      古橋源六郎君         総務庁恩給局長 藤江 弘一君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         大蔵省理財局長 宮本 保孝君         厚生省社会局長 正木  馨君         厚生省年金局長 吉原 健二君         社会保険庁年金         保険部長    長尾 立子君         農林水産省経済         局長      後藤 康夫君  委員外出席者         総務庁長官官房         老人対策室長  吉田  勇君         総務庁恩給局恩         給問題審議室長 鳥山 郁男君         経済企画庁総合         計画局計画官  佐藤 隆三君         大蔵大臣官房審         議官      門田  実君         大蔵大臣官房審         議官      角谷 正彦君         文部大臣官房審         議官      菱村 幸彦君         厚生大臣官房総         務審議官    長門 保明君         厚生省保健医療         局老人保健部長 水田  努君         通商産業省機械         情報産業局産業         機械課長    田辺 俊彦君         労働省婦人局婦         人政策課長   松原 亘子君         労働省職業安定         局雇用政策課長 齋藤 邦彦君         労働省職業安定         局高齢者対策部         職業対策課長  長勢 甚遠君         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君         内閣委員会調査         室長      石川 健一君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君         社会労働委員会         調査室長    石黒 善一君         農林水産委員会         調査室長    矢崎 市朗君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国民年金法等の一部を改正する法律案内閣提  出、第百一回国会閣法第三六号)  国民年金法及び特別児童扶養手当等支給に関  する法律の一部を改正する法律案多賀谷眞稔  君外四名提出、第百一回国会衆法第四四号)      ――――◇―――――
  2. 戸井田三郎

    戸井田委員長 これより社会労働委員会内閣委員会地方行政委員会大蔵委員会文教委員会農水林産委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  第百一国会内閣提出国民年金法等の一部を改正する法律案及び第百一国会多賀谷眞稔君外四名提出国民年金法及び特別児童扶養手当等支給に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  両案の趣旨説明聴取につきましては、お手元に配付してあります資料により御了承願うこととし、直ちに質疑を行います。     ―――――――――――――  国民年金法等の一部を改正する法律案  国民年金法及び特別児童扶養手当等支給に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 戸井田三郎

    戸井田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  4. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 私も年金問題は素人でありまして、十分にポイントを押さえた質問ができかねるかと思いますけれども地方公務員共済、そういう制度の窓から見た今回の改正法案について若干の質問といいますか、あるいは提言を行いたいと思います。  まず、最初にお尋ねいたしたいことは、今回のこの国民年金法等の一部を改正する法律案、これは五十九年二月二十四日の閣議決定に基づいてこういう法案が出たと思いますけれども、そう了承してよろしいのですか。
  5. 増岡博之

    増岡国務大臣 そのとおりでございます。
  6. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 そこでお尋ねいたしたいわけでありますけれども、五十九年に今審議しておる国民年金厚生年金保険等改正法案が出ているわけでありますが、六十年には共済年金についての基礎年金導入を図る等の改革趣旨に沿った制度改正を行う、こういうことになっております。六十年というのはもう間もないことでありますから、どういうことになっておるのか、まずお尋ねしたいと思います。
  7. 増岡博之

    増岡国務大臣 おっしゃいました共済法案につきましては、今、審議会その他で御審議をいただいて、法案の準備をいたしておるところでございます。
  8. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 今、審議会といいますか、共済年金制度をどういうふうにやるかという方向について、一応の答申といいますか、あれが出ております。そういたしますと、もう目の前に六十年は来ておりまして、かなりの骨格が明らかになっておるだろうと思います。その辺の議論は、詳しいことはここではいたしませんけれども、まずお尋ねしたいことは、この共済年金というのは今幾つかに分かれております。地方共済なり、あるいは市町村共済なり、あるいは公立学校共済なり、あるいは警察職員共済なり、こういうふうに分かれております。この辺はどういうふうにまとめるのか。この閣議決定内容にも関連いたしますから、まず基本的な考えをお尋ねしておきたいと思います。
  9. 門田実

    門田説明員 お答え申し上げます。  今お話にございましたように、各共済制度、それぞれ所管省がございまして、今後の進め方にもいろいろ手続があるわけでございます。  私どもとしましては国共済を担当しておるわけでございますが、全体を取りまとめてお答え申し上げますと、国共済の場合には国共審という審議会がございます。それから地方共済の場合には地共審地方公務員共済組合審議会というのがございます。また、私学、農林審議会はございませんけれども、それぞれの関係団体、そういうところの御意見を十分に拝聴いたしまして、そうして、これらの関係省庁でよく意見を交換いたしまして、相互に連絡を密にしながら、共通する部分については整合性のある改革案を得るように検討いたしまして、一番上に社会保障制度審議会というのがございます、その審議会の議を経まして国会改正法案提出する、こういう運びになろうかと思います。
  10. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 この閣議決定改革についてのスケジュールの基本をお尋ねしたいわけでありますけれども、その前に、この閣議決定の二項にあります共済年金、そのうちの地方公務員共済幾つにも分かれているわけですね。確かに幾つにも分かれている中で、おととしですか、地共済なり市町村共済なり都市共済については連合会等ができまして、いろいろな問題解決一つの局面を開いたわけでありますけれども、しかし、例えば警察関係共済あるいは公立学校共済というのはそれに入っていないのです。外れているのですよ。言ってみますと、連合会、それから二つの共済というのが存続しているわけです。この辺はどういうふうに整理するつもりですか。
  11. 中島忠能

    中島説明員 お答え申し上げます。  今仰せのように、地方公務員関係共済組合につきましては連合会というものを発足いたしましたけれども学校共済警察共済がまだそれぞれその共済に入っておりません。そこで、私たちといたしましては、とりあえず教職員共済警察共済がその連合会に入っていただくように進めていかなければならない、そうして地方公務員全体として一つ連合会というものを構成しなければならないというふうに考えておりますが、それとは別に、現在御審議願っております国民年金法等の一部改正というものを五十九年度に成立させていただきまして、そして、六十年度になりましたら公務員共済につきまして基礎年金導入というものを図っていきたい、そして二月二十四日の閣議決定にございますように、七十年になりましたら公的年金一元化というものを図っていきたい、そういう方向で、現在、関係省庁の間でいろいろ意見を交換しておるということでございます。
  12. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 その辺になると五里霧中のようですね。地方公務員共済についてもきちんと今後やっていくのだということだけで、それだけならもうきちんとしているのですよ、これは。「昭和六十年においては、共済年金について、上記基礎年金導入を図る等の改革趣旨に沿った制度改正を行う。」こう言っているのです。ところが、その共済の中の地方公務員共済でも分かれているわけですね。まだめどが立たない。今開かれておる国会にこの法案が出ようとしておるのでしょう、閣議決定の線で。大臣、どうなんですか。しかも、警察官の場合ですとこれは公務員と始まる年齢が違うのです。そうなるとどうなりますか、六十年というのは目の前に来ているのですから。
  13. 中島忠能

    中島説明員 もう一度御説明させていただきます。  地方公務員共済につきましては、一般の地方公務員につきましては連合会というものをつくっていただきまして、そして財政調整をできるようにしたわけでございますが、学校共済警察共済もその連合会に加入いたしまして財政調整をやっていかなければならない、それは地方公務員の世界における一つ財政調整の手法としてそういうことを考えていかなければならないということでございます。  それとは別に、公務員共済というものは公的年金一つでございますし、公的年金制度というものを全体としてどういうふうに考えていくかということの一環といたしまして、私が先ほど申し上げましたように、六十年度には、今国会には公務員共済関係法案というものを提出させていただきまして基礎年金というものを導入させていただければというふうに考えておりまして、両者は、制度改正の基本的なねらいというのがそれぞれ別なところにあるというふうに御理解願えないかと思います。
  14. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 そうしますと、わかりやすく言いますと、その辺の幾つかに分かれておる地方公務員共済ということについてはきちんと整理統合というのをやらないで、現状のままでいわゆる今度の国年厚年の合併の法律の線に乗せていく、こういうことなんですね。そして、いずれそういう問題について手をつける、こういうことなんですか。そういう一元化ですか。これは行き当たりばったりじゃないですか。
  15. 中島忠能

    中島説明員 先生よく御存じのように、地方公務員関係共済組合については現在たくさん財政単位が分かれております。その分かれております財政単位というものにつきまして一元化いたしまして、財政調整というものを全部でやっていくような仕組みというものを考えていかなければならないということを我々は現在考えておりますが、将来の方向として、現在分かれておる財政単位というものをどのように持っていくかということにつきましては、地方公務員組合員皆さん方意見とかいろいろな意見を承りながら将来の方向というものを考えていかなければならないというふうに考えておりますし、これは制度方向というものをどういうふうに持っていくかということは地方公務員全体の福利に非常に関係のあるものでございますので、そう軽々に私たち結論を出すべきものではないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、広く関係者意見を承りながら将来の方向というものを考えていかなければならないというふうに考えております。
  16. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 そう軽々結論を出すべきじゃない、これはそのとおりですよ。私は直接は知りませんけれども、今議論しておる国民年金厚生年金統合法案一元化法律案にしても、これはやはりすべての基礎出発点でしょう。閣議決定の第一項ですよ。これに乗せようとしているわけでしょう。そして給付内容等も改めて、その線に乗せていこうというわけでしょう。そうしますと、後で質問しますけれども制度間調整をやる、こう言っていますけれども制度間調整の前に、そういう個々の問題があるわけでしょう。そういう問題に手を触れないで、ただ今度の基礎年金のあの線に乗せていく、こういうことはいささか逆じゃないでしょうか。自治大臣、どうお考えですか。
  17. 中島忠能

    中島説明員 先ほど共済年金基礎年金というものを導入して制度改革を行いたいというふうに申し上げましたのは、公務員共済というものも公的年金一つでございますので、その公的年金というものの将来の方向として、少なくとも基礎年金というものの導入を図る改正というのは、私たちは非常に多くの人たちの御賛同が得られるのじゃないかというふうに考えておりますし、国会で十分御議論いただいていいのじゃないかというふうに考えております。  先生の御指摘のいろいろな問題というのはございます。そういう問題というのもあわせて検討していかなければならないと思いますが、公的年金制度一環としての公務員共済というものの将来の方向としては、とりあえず基礎年金というものを導入するための改正考えても許されるんじゃないかというふうなことを先ほど御答弁申し上げたわけでございます。
  18. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 そうしますと、念のために聞いておきますけれども、この閣議決定の三項に「上記1及び2の改革は、昭和六十一年度から実施する。」こういうふうになっております。言ってみますと、六十年に公務員共済、こういうものを今度の基礎年金というタイプに乗せていって、そして六十一年度からやるというのですから、今のそういう中で割れておるような制度問題というのも、制度間調整という形に含めて六十一年度にやるつもりですか。それはずっと延ばすつもりなんですか。どうなんですか。
  19. 中島忠能

    中島説明員 今国会には基礎年金導入するための事項中心にして改正法案というものを作成し、御審議願いたいというふうに考えておりますが、先生がどのようなことを具体的に御指摘なさるか、これからまたいろいろ意見を承り、教えていただかなければならないと思いますけれども、そういう事項の中で、基礎年金導入というものに関係しまして同時に解決するのが、共済制度整合性のためによりベターだというふうに考えられるものについては、改正案の中に含めていかなければならないというふうに考えます。
  20. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 公務員部長、とぼけちゃいかぬですよ。私は極めて具体的に聞いているわけです。私がどういう質問をするかに応じてこれから答えていきますなんていうのは、ばかにしているよ、あなた。失礼ですよ。私は現に質問しているわけですよ。今度の一部改正と、それから共済年金を変えていく、そして六十一年度から実施する、こうおっしゃっているわけですから、それは少し逆じゃないですか、まず手元の問題から片づけて、地方公務員一元化、こういう問題を考えた上で乗せないと、ばらばらになってしまうじゃないか。しかも、私は多くは申し上げませんけれども共済制度の中では警察官五十五歳、自衛隊が五十歳でしょう。そういうことになりますと、これは大変な基本的な違いが出てくるわけで、これは容易ならぬことなんです。簡単に乗せる、そして六十一年度から実施すると言っても、制度間、それと同時に、そういう個々関係というのはどういうふうに処理していくのか。これは大変重要な問題ですからお聞きしているわけです。極めて具体的ですよ。それを、私がどう質問するかによって答えていきます。だめですよ。大臣、答えてください。
  21. 古屋亨

    古屋国務大臣 細谷先生の御質問でございますが、結局、厚生年金と同様、六十年度におきましては基礎年金導入を図るということ、そのための整合性をどういうふうに持っていくかということでございまして、六十年度から行うのでありますから、(村山(富)委員「六十年度じゃない、六十一年度だよ」と呼ぶ)今国会においては法案提出しなければならぬと思います。そのときの警察関係防衛庁関係その他につきましては、私どもは、地方公務員労働権の問題とか政治活動の制限、そういうような点を十分考えまして、ひとつ慎重に、地方公務員制度審議会等におきまして相談をして、話を進めてまいりたい、進行の過程はそういうように考えております。
  22. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 ちょっと納得できませんけれども、それでは、これは今まで自治大臣にお尋ねをしたのですけれども、この二月二十四日の閣議決定公的年金制度改革についてのスケジュールというのは、1、2、3、4とあるのですが、4のところでは、六十一年度以降については制度間の調整をする。「これらの進展に対応して年金現業業務一元化等の整備を推進するものとし、昭和七十年を目途公的年金制度全体の一元化」を図る。大変文章としてはいいのですけれども、これはなかなか難しいのですよ。それでお尋ねしますが、七十年を目途にして公的年金制度全体の一元化を図るというスケジュールを、少し具体的にお答えいただきたい。
  23. 吉原健二

    吉原政府委員 まず、年金制度統合一元化スケジュールといたしまして、今年度、今御審議をお願いしております厚生年金国民年金改革を行う、明六十年に共済法改正を行う、同時に六十一年度から実施するということでございまして、その後具体的にどういうふうに進めるかは、六十一年の基礎年金導入中心にした制度の発足後、そこの閣議決定に書いてございます制度間調整の具体的な進め方についての成案を得て、七十年までに一元化を完了させたい、こういうことを考えているわけでございます。
  24. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 例えば制度間といっても、この地方公務員共済制度を検討した委員会のあれにも、とりあえず国公公企体共済でやりくりするようにしましたが、六十四年度にはもう国鉄共済はパンクしてしまう、どうにもならぬようになると書いてあるのですよ。七十年までは六十四年を起さなければいけませんよ。これはどうするのですか。これは後でまた専門家質問するでしょうけれども、ちょっと参考までに聞いておきたい。
  25. 吉原健二

    吉原政府委員 年金制度改革統合一元化というのは、段階的にスケジュールを追って進めていくという考え方をとっておりまして、いわばその第一段階として、今回各制度に共通の給付として基礎年金を設ける、それを中心にした改革を行うわけでございます。  その後、今ちょうどまさに御指摘のございましたような国鉄の問題などがあるわけでございますが、そういった問題についての成案を得て、その解決を図るための措置を六十一年度以降七十年に向けて解決を図っていく、まさしく御指摘のような問題が一つ私は大きな問題としてあろうかというふうに思っております。
  26. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 今まで、ちょっと時間をかけて質問したこの閣議決定の具体的な構想、これから先十年の間、その十年の間における重要な社会保障の大黒柱の年金問題について、何ら具体的なものを明らかにしていない。  地方公務員共済について、これとこれはどうなるんだ、そういうものについても後でゆっくりやりますが、ゆっくりしたら十年が来ますよ。そうしたらめちゃくちゃやる、そういうことにならざるを得ないでしょう。そういう点で、私は、どうもこの公的年金制度改革という名に値しないような、その場限りの、財政の問題があるかもしれませんけれども、その場限りで押し切ってしまう、こういうやり方だと言わざるを得ないと思う。  そこでお尋ねしますが、給付と負担の両面において制度間調整を進める、こう言っております。さっき警察共済とかあるいは自衛隊共済とか、これは制度が違うのですから、出発点が違うのですから、これはどうするのか。こういう問題と同時に、もう一つは、聖域と思われる恩給制度について調整は必要ないのですか。これは一つも書いてないのです。これはどうするのですか。お答えいただきたい。
  27. 吉原健二

    吉原政府委員 六十一年度以降の制度間調整の主たる問題というのは、恐らく共済制度の問題になろうかと思います。先ほども申し上げましたように国鉄の問題、現在とられている措置で十分でないということは明らかであるわけでございまして、恐らくそういったことを中心にした共済制度間の調整、負担と給付の面の調整というのが大きな一つの問題テーマになってくるだろうと私は思いますし、恩給については、この閣議決定の中では恩給まで含めて統合を進めるということは書いておりませんが、共済制度につきまして所要の調整が進められますときに、それにバランスのとれた形といいますか、見合った形での恩給への影響、調整というものは当然出てくるだろうというふうに思います。
  28. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 閣議決定には「共済年金」と書いてあって「恩給」というのはありません。そうしますと、第四項の「制度間調整」という言葉の中には、当然なこととして恩給も含まれる、こういうことですか。
  29. 吉原健二

    吉原政府委員 この文章の中には恩給そのものは含まれないわけでございます。
  30. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 さっきの言葉と違うじゃないですか。今の公務員共済年金制度というのはそもそも恩給制度からできたわけですよ。いまだに密接不可分の関係を持っておるわけです。そうだとするなら、共済年金基礎年金の上に乗せていくということは根本的な改革ですよ。改革か改悪か知りませんよ。改革であることは間違いない。そうしますと必然的に、制度間調整というのは、共済が変わってくるとすれば恩給が変わってくる、手をつけなければならぬ。それがあなた方が言う公平性の貫徹でしょう。どうなんですか。
  31. 吉原健二

    吉原政府委員 繰り返し申し上げますけれども閣議決定制度間調整の中には共済制度のことだけを言っておるわけでございまして、恩給は含まれないわけでございます。しかし、共済制度調整を進める結果、その結果として恐らく恩給制度との調整というものも当然出てくるだろうと思います。影響を受ける、そういった意味で、最終的な姿としては共済、さらに恩給までも、調整のとれた姿というものを念頭に置いた年金制度改革というものを考えているわけでございます。
  32. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 そうでしょう。それなら、先ほどの言葉は、あなたが二度目に答えたのはおかしいのです。制度間調整というものは、好むと好まざるとにかかわらず必然的に、公務員共済制度と密接不可分の関係を持っておる恩給制度に及ばざるを得ない、こういうふうに確認してよろしいですね。どうですか。
  33. 吉原健二

    吉原政府委員 影響が当然出てくるだろうというふうに思っております。
  34. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 影響が当然出てくるということは、やはりその辺に手をつけざるを得ない、こういうことを確認したと理解いたしますよ。  ところで、お尋ねいたしますが、厚生大臣、最近、官民格差そして官尊民卑の今までの政治は改めなければならぬ、こういうふうな趨勢が非常に多いですよ。私は別に官から出たわけでありませんで、共済年金関係ないです。むしろ厚生年金の方に関係がある、民間から出てきているので関係ないんですが、ずばり言いますと、官尊民卑という名において、民と官との間の格差是正という意味において、どうも下手をすると行き過ぎるのではないか。恩給制度を存続しろと言っているんじゃないですよ。恩給制度と密接不可分のものを持っておる共済制度というものと、厚生年金制度というものと、国民年金制度というのは、将来は公平性を貫かなければなりませんけれども、生い立ちなり歴史なりを考えてみますと、その公平性というものは何でもかんでも同じにしちゃえ、金額も掛金もみんな同じにしちゃえ、こういうことでは公平性を貫いたということにならないんじゃないか、こう思います。  私は官との利害関係がありませんから、議員年金には関係するようになるかもしれませんけれども、何もないんですが、そういうやはり揺れをやりますと行き過ぎがありますから、どうもその行き過ぎが、マスコミを通じて、とにかく官が悪いんだ、政治が悪いんだ、そういうことで、抑えろ抑えろ、これが行革の名をかりてまかり通っているんではないかという感じがいたします。これについて大臣、公平性とはそういうものなのか。今度の閣議決定をやっていく場合にその辺が非常に重要な一つの姿勢になるんじゃないか、こう思いますから、あえてお尋ねしたいと思います。
  35. 門田実

    門田説明員 共済制度を担当している立場からお答えいたします。  共済年金制度は、御承知のように公的年金制度としての性格と、それから公務員制度等の一環としての年金制度であるという側面と、両面をあわせ持っておると思うわけでございます。したがいまして、公的年金制度の側面からしますと、給付水準等含めまして、ほかの公的年金制度との均衡あるいは整合性、こういうものを保つことが必要である、こういう御議論が確かにあるわけでございます。しかしまた、ただいま御指摘ございましたように、共済年金公務員等の職域年金としての側面もあるわけでございまして、このような配慮も必要であると私どもは思っております。  したがいまして、今後の共済年金制度改革の検討に当たりましては、給付と負担のバランスということを考慮しながら、やはり公務員制度等の一環としての職域部分というものがあるんだということに十分配慮しまして、単純に同一であればいいということではなくて、そういった特殊性も織り込みながら年金設計を行っていきたい、かように考えております。
  36. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 やはり、こういう制度間調整あるいは制度の問題を検討する場合にはえてして行き過ぎとかあるいは不公平というのが、不公平を直そうとして不公平がかえって生まれる、こういうことがあり得るわけでありますから、この閣議決定の線を推進するに当たって十分にひとつ主管省として御配慮いただかなければならぬと思いますが、大臣、一言……。
  37. 増岡博之

    増岡国務大臣 御指摘のとおり、それぞれの制度ができました沿革、歴史というものもございましょうし、また特殊性もあると思います。したがって、少なくともこういう大改革を行う過渡期の時期においてはそのことには着目せざるを得ない、私はそう思います。
  38. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 そこで、閣議決定の線に基本的な点について極めて不明な部分が多いことは残念に思いますけれども、次に進めさしていただきます。  この社労委員会で、十二月六日に、池端委員質問に対して厚生省の吉原年金局長は、今度の新制度がスタートいたしますと、六十一年度では三百億円程度余計出さなければならぬけれども、六十五年度では国の負担額は一千億円減る、七十年度には四千億円減る、こういうふうに答えておると新聞で報道しております。これは確認してよろしいですか。
  39. 吉原健二

    吉原政府委員 十二月六日の衆議院社会労働委員会の御質疑の中で、現行制度をそのままにしておいた場合の六十一年度、あるいはその五年後、十年後の国庫負担がどうなるのか、それから新制度改革をした場合の国庫負担がどうなるのか、大ざっぱでいいから推計を示せという御質問がございまして、それにお答えする形で、今御質問の中にございました六十一年度の国庫負担は、現行制度のままでございますと二兆六千六百億、これは推計でございますが、新制度発足では二兆六千九百億というふうに申し上げたわけでございます。それから六十五年には、現行制度の場合では三兆四千億、新制度の場合ですと三兆三千億、七十年におきましては、現行制度の場合には四兆四千億、新制度の場合には約四兆円というふうに申し上げたわけでございます。
  40. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 いずれにいたしましても、新制度によって国の負担額は、七十年度になりますと現行制度よりもかなり大きく減るということになっております。ところが、この厚生省の「年金改革考える」、これになりますと、掛金というのは、どんどん保険料率は上がっていっているんですよ。まだ、あなたが言う七十年度より、八十年ぐらいまで上がっていくわけですよ。そうすると、掛金率がどんどん上がっていくのに国の負担だけはどんどん下がる。八十年はどうなりますか。それは計算もしておらぬと言うけれども専門家ですから、恐らくあなた方は当たらずといえども遠からずという数字はつかんでいると思うのですよ。どんどん保険料率は上がっていくんですよ、七十年から八十年。七十年には四千億の黒字になる。八十年になりますとさらに保険料率は上がるんですよ。国の負担の方は四千億より減るのですか、ふえるのですか。どうなんです。
  41. 吉原健二

    吉原政府委員 実は今度の年金改正、年金改革のねらいでございますけれども、現行制度のままにしておきますと、大変給付がふえていく。給付がふえていくこと自体は、給付水準も上がる、受給者がふえるということで当然なんでございますけれども、現行制度のままですと保険料負担が大変な負担になるわけでございます。厚生年金でいいますと現在の約四倍近い負担になります。国民年金の場合にも三倍を超えるような負担増になる。国民の負担能力を超えてしまうという心配がある。そういった国民の負担の適正化を図る、抑制を図る、それが実は今度の年金改革の大きなねらいの一つでございます。  したがいまして、私ども、基本的に、現行制度の場合と新制度の場合では、年金給付に対する国庫負担の水準というものは同程度を維持したいという考え方を持っているわけでございます。国庫負担のやり方は変わりますけれども、年金給付に対する国庫負担の水準は、現行制度におきましても、それから新制度におきましても同程度の水準を維持したい、そういう考え方で今度の改革案ができているわけでございます。したがいまして、将来の給付費の増加も抑制をされるということに伴いまして、国庫負担も制度改革をいたしますと減ることになる。つまり、保険料のピークも下がる、国庫負担も下がる、そういう関係にあるわけでございまして、今度の改革が国庫負担の軽減をねらいにしたというような御意見、御批判は私ども当たらないというふうに思っているわけでございます。
  42. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 私が質問しているのは、それはだんだん成熟度は高くなっていきますから、それにどう対応するかということを検討するのが当たり前ですよ。私はそれを是認している。けれども、あなた方が示したように、これのように、七十年になりますと保険料はどんどん上がっていきます。それを今度の制度改正調整しよう。国民年金の方は六千八百円が八十二年ぐらいになりますと一万三千円になっていく。今でも大変未納があるのに、一万三千円になったら大体納められるのか納められないのかということが心配されております。ところが、そのときには国庫負担はどんどん減っていってしまう。一体こういうことで社会保障の大黒柱としての年金制度がいいものだろうか。言ってみますと、少なくともあなたがおっしゃる現状維持の、現状のレベルの国庫負担をもっていくのならばもっと考え方がありそうなものだ、絵のかき方がありそうなものだと思います。  あなたとは意見が平行線かもしれないが、一言ありますか。
  43. 吉原健二

    吉原政府委員 年金改革をいたしましても、国庫負担は今後相当な勢いで伸びていくわけでございます。先ほども申し上げましたように、国庫負担の水準はあくまでも現行制度と同じものを維持していく。国庫負担も当然伸びていく。しかし、現行制度のままにしておきますと、保険料の負担が先ほども申し上げましたように大変な負担になる。同時にそれは、国の負担も大変になるということでございます。それを適正なものにしていこう、後代の国民の方々に余りにも過大な負担をかけないようにしていこう。これは、保険料負担であろうと税の負担であろうと国民の負担であることに間違いはございませんので、それを適正な、過大でないものにしていこうということが考え方の基本にあるわけでございます。
  44. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 これから主管委員会社会労働委員会で検討するようでありますけれども、新聞等では、例えば基礎年金、それから比例報酬部分、何で国民年金にはそれがなくて厚生年金にあるんだ、しかも一律に国民年金を納めさせるのは問題があるんじゃないか、所得に応じて段階を設けたらどうだ、こういう意見が多いようでありますが、それはひとつ主管委員会で検討していただくことにして、時間がありませんから、最後に質問したいことは、昭和五十六年に、行政改革一環として臨時特例に補助金がカットされております。それは五十七年、五十八年、五十九年の三カ年間カットする、そして六十年度以降にそのカットした分は利子をつけて返しますというのが約束になっているわけですよ。もう五十九年度は終わります。来年は六十年であります。この約束はどうなるんでしょうか、お答えいただきたい。
  45. 保田博

    ○保田政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、行革関連特例法におきまして、五十九年度までの特例措置としまして国庫負担率の四分の一カットという措置をお願いしたわけでございます。法律を制定していただきました際には、特例公債への依存体質からの脱却を昭和五十九年度というふうに考えておりましたので、この特例適用期間を五十九年度までというふうにいたしたわけでございます。  その後、財政再建に一生懸命努力をしたわけでございますが、御承知おきのような財政状況にあるわけでございます。そのような財政状況を踏まえまして、現在、昭和六十年度予算編成の一環としまして、この厚生年金の国庫負担の繰り延べを含めまして行革関連特例法全体の取り扱いを検討中ということでございまして、いましばらくこの結論を得るまでには時間をちょうだいいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。(大原委員「また延ばすのか」と呼ぶ)
  46. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 この特例措置によりまして、厚生年金の四分の一カット分が三カ年間で六千四百二十億円と言われております。六十年度は二千九百億円だ、こう言われております。三年間でたまった六千四百二十億円の利子は幾らか、それをどうするのか。六十年度の二千九百億は、もう来年の予算編成は目の前にあるのですから、これをどうするのか。きちんと答えていただきたい。  そして、これは五十九年度を目標にしておったけれども、六十五年度に変わったから、では六十六年度に返すつもりなのか。いや、全く財政事情が悪いから、いつの間にか皆さん忘れてしまうだろう、こういうようにお思いになっているのか。  法律の中にきちんと書いてあるのですよ。自民党与党の中でも、約束は破ってはいかぬよ、守れということは議論になったと新聞で報道されております。大蔵省だけは約束を守らないのですか。どうですか。
  47. 保田博

    ○保田政府委員 繰り延べ額の数字は先生指摘のとおりでございます。この金額につきましては、この行革特例法の規定にございますように、減額分につきましては、その運用利息を失った分も含めまして、将来にわたる厚生年金保険事業の財政の安定が損なわれることのないように、特例の適用期間経過後におきまして、国の財政状況を勘案しつつお返しをしていくということでございまして、政府の利子をつけて返すという基本的な態度はぜひとも守ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  48. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 制度の運用に困らないように措置をしていきます、この問題もしかりであります、そうあなたはお答えなんであります。大蔵省の言葉というのは常にそれなんですよ。あなた方は、制度の運用に困らないようにやります、この場合についてはそういう意味において六十五年度以降において考えます。六十五年度以降になればどうするのですか。これも約束違反ですよ。困った、計画が変わったんだからしようがないということで仮に認めたとしても、六十五年度になったら、またあなた方は、困らないようにやってやるから我慢しろということになって、これは七十五年度まで延ばすかもしれませんね。その辺の問題ですよ。これははっきりしておいていただきたい。  それから自治大臣、国家公務員のことについては国公済があるでしょうけれども地方公務員共済でも五十七、五十八、五十九の三カ年間で千三百七十億円カットされているのですよね。これは大変大きな金ですよ。地方の方は裕福だ裕福だと、大臣は言わぬけれども、言う人がいらっしゃるのですが、大臣はそのことを知っているんでしょう。これもやはり今の問題ですよ。これもきちんと対応してもらわなくてはいかぬ、こう思います。  二点についてお答えいただきたい。
  49. 竹下登

    ○竹下国務大臣 先ほどの御質問に対しまして、我が方の保田次長から、特例適用期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ、可能な限り速やかに繰り入れに着手するという答弁を、五十六年もいたしておりますが、その基本的考え方は変更はございません。ただ、その前段と、それから仮定の上に立っての御議論もございましたが、さればこれをどうするかということでありますが、五十六年、本第一委員室におきまして長丁場の行革国会が開かれて、私も委員の一人でございました。そのとき、政府当局の念頭にあったのは、当時ある種の御理解をいただいておった五十九年というものに財政再建の第一目標を設定しておったということが、あの法律の前提であったと思うのであります。その後、世界同時不況等からいたしまして、残念ながら、国会で何度がお願いをして、その目標は取り下げざるを得なくなった。したがって、これが、赤字国債を財源とする財政から脱却するのが六十五年と定めたという既定の事実もございますので、私どもとしては全く、今、仮定の論理の上に立っての御議論がわからないわけではございません。が、この問題は国会で何度も、これは時限立法であります、こういう答弁をした課題でありますだけに、それこそ、ここのところ短い数週間の間でとことん議論を詰めて対応して、あるいは国会へまたお願いをしなければならぬ問題ではないかというふうに考えます。  そして、六十五年が過ぎて七十五年ということになりますと、二十一世紀も間もなくというときになるわけでありますので、そこまで私どもが本院に在職するかどうか、その問題は別といたしましても、やはり後々へずっとツケを回すわけでございますから、細谷さんも私も、二十一世紀の国民に対して共通の責任を抱きながら、うそをついたという結果にならないようにやらなければならぬと思っております。
  50. 細谷治嘉

    細谷(治)委員 時間が来ましたけれども、私は二十一世紀のことを言っているのじゃないのです。ただ、私はずばり、少しおしかりいただくかもしれませんけれども、最近国民の信を失う事件というのがありますので、これは五十九年まで財政再建をやりますと言ったのが六十五年、じゃ六十五年にできるかというと、大蔵大臣はそう思っているかもしらぬけれども、とてもじゃないが現状のままでは難しい、こう思っている人が多いと私は思うのです。現に自民党の中でも、やはり増税ということを考えなければならないのじゃないかという声が非常に強くあるでしょう。ちょうどグリコ事件が、これは今まで営々として高めてきた日本の警察のその権威というのが、今国民の信をかなり大きく崩していることは間違いない。(「地に落ちた」と呼ぶ者あり)地に落ちた。そういう意味において、大蔵の、財政当局の権威なり、あるいは今言ったように警察にもその例はありますけれども、とにかくそういう権威を保ってきたことは守っていく、そのために最善を尽くすということが必要ではないか、こう思います。このことを強く申し上げて、私の質問を終わります。
  51. 戸井田三郎

    戸井田委員長 沢田広君。
  52. 沢田広

    ○沢田委員 今、細谷委員から質問をされました恩給との関係の中で、影響は考えられる、こういう答弁をされました。そこで、その影響の中身を、どういう影響が出てくるのか。具体的に五つくらいでいいですが、長過ぎたら三つでも結構ですが、具体的な影響とは何ぞや。その点についてひとつ御明示をいただきたい、このように思います。
  53. 吉原健二

    吉原政府委員 恩給への影響につきましては、恩給局の方からお答えをさしていただきます。
  54. 沢田広

    ○沢田委員 いや、影響があると思われるという見解をあなたは述べた。あなたが影響があると思われたその影響とは、中身は何なのかはっきりしてくれと言っているのです。あなたの考え方を今聞いている。恩給局の意見を聞いているのではないのです。あなたが、影響を当然与えるでしょう、そう答弁なさったでしょう。では、影響とはどんな影響を与えるのですかということを私は聞いているのですから、あなたのお答えを今求めているわけです。
  55. 吉原健二

    吉原政府委員 具体的などんな影響を与えるかにつきましては、私がお答えするよりか、所管の恩給局からお答えするのが適当だと思いますので、お許しいただきたいと思います。
  56. 沢田広

    ○沢田委員 それは冷やかしみたいなものなんです。影響を与えるでしょう、中身はわかりません。そんな権威のない答弁をこういう公の席、しかも国会という権威のある場所で、影響を多分――多分とは言わなかったけれども、影響を与えるでしょう、こう言っておいて、影響の中身はわかりません。それは極めて見識のない発言じゃないですか。わからないならわからないと答えた方が、まだあなたの立場としては正しいのだろうと思うのです。それは恩給局は恩給局の立場で考えていると思うのです。しかし、あなたはあなたの立場で、この法案提出するに当たって、恩給にどういう影響を与えるのだろうかということは検討されたはずなんです。だから、当然影響を与えるだろうということを想定しなかったのか、したのか、その辺、一番初歩から聞き直しますから。しかし影響を与える、こう言ったのですから、その影響を与える中身は、あなたの今の考えている中身として表示してください。こんなことで時間をとられたのじゃ、この分だけはマイナスしてもらわなければ困ってしまう。
  57. 吉原健二

    吉原政府委員 共済制度間の給付と負担の公平を進めるということになりますと、当然、その共済制度の水準をどうするか、あるいは保険料負担をどうするか、共済掛金をどうするか、その制度間調整の問題が出てくるわけでございます。それの結論次第によりましては、例えば具体的に、現在の恩給の水準が現行のままでいいのかどうかというようなことにも議論は恐らく発展してくるだろうと思います。そういった意味におきまして、共済給付の水準の考え方次第によっては現行制度の恩給の水準にも見直すべき点が出てくるのではなかろうか、そういうことを頭に置いて申し上げたわけでございます。
  58. 沢田広

    ○沢田委員 給付水準ということを言われました。では、今あなたの念頭にあるものは、給付水準が下がるということだけに影響を与えるというふうに考えたということ以外はないのですか。それだけが影響のいわゆる度合いといいますか、影響を与える分野はそれだけだ、こういうふうに考えておられる、こういうふうに考えてよろしいですか。
  59. 吉原健二

    吉原政府委員 給付の水準の問題、先ほど申し上げましたが、水準の高い低い、あるいは上げる下げるという問題、それから例えば、現在もよく問題になるわけでございますが、年々の改定を物価に見合った改定をするかあるいは賃金に見合った改定をするか、そういう問題もあるわけでございます。そういった問題を含めて当然恩給への影響が出てくるのではなかろうか、こういうことを申し上げたわけであります。
  60. 沢田広

    ○沢田委員 それでは不十分ですが、後でまたするとして、これは大臣にお伺いしたいのですが、今、年金を担当している大臣は厚生大臣というふうに――首を縦に振っているからそうだという意味だと思います。そこでひとつ、見識のある大臣考え方でお答えいただきたいのですが、現在、年金の一元化、それから一本化、それから統合化、こういう言葉でいろいろ表現されております。政府として統一した考え方としては、この一元化、一本化、統合化のどれが政府の今意図している年金の将来像ということになるのですか、それをひとつ。またこれ以外に言葉があれば、新しい言葉を使われても結構です。
  61. 増岡博之

    増岡国務大臣 政府といたしましては、一元化という用語を使っておるわけでありますけれども、その一元化がどこまでのものであるか、本当に負担も給付も同じ額にするのか、事務も一緒にやるのか、そういう点になりましては、まだ詰まっておりません。
  62. 沢田広

    ○沢田委員 一元化ということを統一の言葉と政府としては言っておる。一元化というものの内容というのは、結論的に言うと何も決まってないということか。決まっておるものがあれば、じゃ決まっているものだけ言ってくれませんか。
  63. 増岡博之

    増岡国務大臣 今日の年金法案改正案に御提案申し上げております基礎年金導入というものが、七つの年金制度の基本になり、これがある意味では各種制度の共通項になるものと私どもは思っております。
  64. 沢田広

    ○沢田委員 この共通項になるのが一元化の基本であり、大体これで一つ一元化はできた、もしこれが全部に徹底をしたならば、それによって一元化は完成した、こういうふうに考えておられるわけですか。
  65. 吉原健二

    吉原政府委員 基礎年金導入というものが、我が国の年金制度全体の統合一元化に向けての一番重要な第一段階、一番大変意味を持つ第一段階だというふうに考えております。
  66. 沢田広

    ○沢田委員 そういうことを聞いているんじゃないのです。あなたは大体、割合チャランポランな答弁が多いよ、事務屋さんじゃないみたいで。  恩給局の方で、さっきの質問で、恩給に与える影響は何だ、こういうふうに聞きましたけれども、こっちが考えていることは、給付水準が下がるだろう……(「上がる場合もある」と呼ぶ者あり)上がる場合もあると後ろの方で言っているが、まあ希望は薄いだろうと思う。まあ上下はいい、アップダウンはいい。いずれにしても水準が下がるか上がるか。だけれども、この共同項のことは触れなかった。だから、例えば恩給の方にもじゃ基礎年金というものが導入されるのか、されないのかということについては今触れてない。これは厚生省としては触れるつもりですか、つもりでないのですか。それは共同項としては恩給にも入ると考えるのですか、考えないのですか。その点大臣から、それから恩給局からひとつお答えください。
  67. 鳥山郁男

    ○鳥山説明員 ただいま御指摘の点につきましては、確かに、さきの臨時行政調査会の答申におきましても、年金制度改革とのバランスをとるための見直しをやれというような御指摘を受けております。  しかしながら、恩給制度の実態と申しますのは、先生御承知のとおり、その受給者の大半が軍人というような非常に特殊な職務に従事した人々である、さらに、その全員が実質的にはもう既に既裁定者であって、新しく加わってくる者は一人もいない、さらに、もう七十歳に手が届くような高齢者であるというような、他の年金制度とは非常に違った実態を持っております。また、その性格の点におきましても、保険数理に基づく年金というような体系をとっておりません。  したがいまして、そういう実態あるいは性格の相違というものを前提としながら、私どももこれから検討を進めてまいりたいとは存じておりますけれども、当面は、同じ公務員年金でございますところの国家公務員共済年金の改革の姿というものを見きわめつつ、真剣に検討してまいりたい、このように考えております。したがって、まだ具体的にはこういう項目というようなことは考えていないわけでございます。
  68. 沢田広

    ○沢田委員 じゃ、どうぞ大臣の方で……。
  69. 増岡博之

    増岡国務大臣 年金の方は基礎年金で最大公約数のようなものをつくるわけでありますけれども、おっしゃいました恩給のことにつきましては、その制度が成熟いたしましたときに恩給そのものがどうなっているかということにもよろうかと思います。恩給の方は私の担当でございませんので、お答えいたしかねると思います。
  70. 沢田広

    ○沢田委員 それは答弁としては、年金と恩給とは違うのだ、こういう形でいくとすれば、一元化と言われている言葉の中身は、ただし恩給を除く他の年金の一元化があなたの所管事項である、こういうふうに規定づけをしてよろしいですか。
  71. 増岡博之

    増岡国務大臣 そのとおりでございます。
  72. 沢田広

    ○沢田委員 じゃ、これから年金という表現による担当大臣は、厚生大臣は恩給を除く部分の担当大臣の任務分掌である、こういうふうに位置づけていいわけですね。じゃ、それは首を縦に振っているようですからそのことでいきますが、ただ、恩給と分離をして議論していくということに矛盾を感じませんか。その点、あなたのところ、厚生年金を扱う者の立場としての感想をお聞かせください。
  73. 増岡博之

    増岡国務大臣 将来の問題としては、その両者のすり合わせのことが出てくるかと思いますけれども、今の時点では別に、別建てで考えておるわけでございます。
  74. 沢田広

    ○沢田委員 今というのは、これもしつこいようですが、大体これからの年金受給、今掛けている人がもらう段階を考え、先ほども話が出ました二十一世紀を目指しての展望、その間は恩給は別建てだ、こういう意味ですか。今考えている考え方の別建てということはそういう意味ですね。
  75. 増岡博之

    増岡国務大臣 一応一元化の目標を昭和七十年ということにいたしておりますから、その間のようにお考えいただきたい、これは別だというのは。
  76. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、昭和七十年までは別建てでいく、こういうことだというふうに確認いたします。そうですね。
  77. 増岡博之

    増岡国務大臣 かっちり七十年ということになるかどうかわからないと思います。それは、そのときの年金の負担と給付あるいは恩給の給付水準というものがそのときの話題になってくると思います。
  78. 沢田広

    ○沢田委員 七十年ではないとすれば、当然この計画の中にそれも含まれるから、別建てでいくという期限は、じゃいつごろまでということになるのですか。――自分で言ったことに対して僕は聞いているのですよ。あなた方が言ったことについて聞いているのだから……。
  79. 増岡博之

    増岡国務大臣 そのような急激に改善しなければならない時期が来たときと思っております。
  80. 沢田広

    ○沢田委員 少しくるくる、くるくる回っちゃって、まことに見識のない答弁が続いている。別建てでいきます、ではいつまでですか、この案は七十年度を目標にしております、そうすると当然七十年に対して別建てという言葉が出たのだと思うのです。そうしたら、そうではなく中に入るかもしれぬ。こんなめちゃくちゃな答弁がされているのでは審議の進めようがないですよ、時間だけ浪費していて、たまったものじゃない。もう少し勉強して出てきてもらわなくては、厚生大臣だったら。これでは困りますよ。
  81. 増岡博之

    増岡国務大臣 私どもの仕事は年金改革であります。それに対応して恩給をどういうふうになさるかということは、恩給局の仕事であろうと思います。ただし、私、厚生大臣として、将来のことについて先生がお尋ねでございますので、お答えしたわけでございます。
  82. 沢田広

    ○沢田委員 これもなっていない答弁だね。私は所管でないと言ったから、もし年金を扱う者の立場でどう考えるのですかと聞いたわけだ。そうしたら、別建てですと言ったわけでしょう。この法案は七十年までのことを考えているのだから、そうすると七十年までは別建てということになりますよ。そうしたらそうじゃないと言うのだ。そういういいかけんな答弁は、委員長、少ししかってくださいよ。委員長はもっと権威があるのだから、しかも連合審査という各委員会を兼ねての大委員長なんだから。こういうドジョウみたいな答弁をしているようではしようがない。もう少ししっかり答弁してください。
  83. 鳥山郁男

    ○鳥山説明員 先ほどお答え申し上げましたとおり、今回の年金制度改革とのバランスをとるための検討ということにつきましては、恩給制度を所掌しております立場として責任を持って今後検討してまいりたい、このように思っております。
  84. 沢田広

    ○沢田委員 なっていないじゃないか。この年金改正法案、今審議している法案とそれがどういうかかわり合いを持っているのかということを聞いているわけだ。最初は影響のことを聞いた。その次には、ではその間はどうなるのですと言ったら、別建てだ、こう言うのです。別建てだとすれば、では七十年までは関係なしということでいいのかと言ったら、そうじゃないと言うのだ。しかも、厚生大臣にその見解を聞いてみたら、あなたはとんでもないことをまた答えている。あなたの方の立場ではこの法案とのかかわり合いはどうなんですか、こういうことを聞いているわけだよ。
  85. 鳥山郁男

    ○鳥山説明員 今回の年金改革とのバランスと申しますか影響、これが私どもの方にどういう影響をもたらすかということが問題でございますが、その点につきましては、やはり先ほど申しましたような制度の性格の相違とか実態の相違とかを前提としながら検討してまいる。ではいつからやるのかということになりますと、何か見直すべき点がございますれば、六十一年四月実施というこの年金制度の発足と歩調を合わせてやっていかなければならないのではないかというふうに考えております。
  86. 沢田広

    ○沢田委員 今また微妙なことを言ったけれども、六十一年四月から発足するものとの関係について考えていくという意味はどういう意味ですか。
  87. 鳥山郁男

    ○鳥山説明員 どういう点についてどういうふうに直すかというようなことはまだ具体的に頭にございませんが、何かバランスについて見直すべき点がございますれば、今回の公的年金と時期の点につきましてもバランスをとりながら改めてまいらなければならないのではないか、このような意味でございます。
  88. 沢田広

    ○沢田委員 あなた、法案をまだ全然見ていないというのか。今日まであなたの方は全然法案も見ていなければ検討もしていないのか。大体、六十一年四月、出発してみてから考えますなんて、そんな答弁が公務員としての答弁で通ると思いますか。国会に出されている法案について聞いているのですよ。あなたの方だって、当然かかわり合いがどうなっているのかというのは事前に検討されているのでしょう。  委員長、そんな答弁を許しておいていいのですか。私の方は知らぬというなら知らぬでいいのですよ。しかし、六十一年四月から出る法案について、それから考えますという答弁は、随分失礼な答弁じゃないですか、我々にこれだけ審議をさせておいて。総理府との関係はないのならないでいいですよ。これから検討します、六十一年にスタートしてから、ぶつかるところがあるかどうか考えてみます。そんなことは、法律案が出ているのだからわかるでしょう。こういう無責任なことを言っていて、行ったり来たりしていれば、時間が過ぎるなんて思っていたのじゃ大間違いだよ。それは随分不見識な答弁だと私は思いますよ。そういうことで議事を進めていこうということ自身、これは時間切れを待っていて、何とか日がたてばいいなんて思っている以外の何物でもない。そうでなければ、きちっと答えてもらわなければ困る。  では、しようがない、時間がないからもう一回……。
  89. 鳥山郁男

    ○鳥山説明員 冒頭に申し上げましたとおり、私どもの年金に一番関連がございますのは、同じ公務員の年金を取り扱っております国家公務員共済年金でございます。これが今国会提出を目指して鋭意検討をされておるやに聞いておりますので、その内容を見きわめた上で私どもも真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
  90. 沢田広

    ○沢田委員 恩給局はそれでわかりました。  では、最後に大臣、確認のためです。  共同項をつくるのは年金関係である、そしてどうしても必要があれば恩給の分野にも入るかもしれぬが、それは七十年めどまでの法案とは当面かかわり合いはない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  91. 増岡博之

    増岡国務大臣 ただいまでは基礎年金導入考えております。先ほど恩給の問題に言及いたしましたのは、そういうふうな社会的な要請があるいはあるかもしれない、出るかもしれないという意味で申し上げたのでございまして、法律そのものに関連して申し上げたわけではございません。
  92. 沢田広

    ○沢田委員 法律とは関係ないということでありますから、今の年金を扱う大臣としては、先ほど述べたように、所管でもなければ、いわゆる世論といいますかそういうものが起きてくれば別として、それ以外はかかわり合いはない、こういうことのようです。それはそれで確認して先に進ませていただきます。今後の答弁は、簡単でしかも明確にお答えいただきたいと思います。  せっかくおいでいただいております法制局に――最初はやはり厚生省から聞くのが筋だと思いますが、この共同項をつくる場合に、今つくっているわけでありますが、これは毎回というか、一回言っていることなんでありますが、厚生年金の第一条と国民年金の第一条、言うならば恩給法の第一条――恩給法は関係ないとすれば一応外していいです。それから共済組合法の第一条については、厚生大臣はどのような位置づけで考えておられるのですか。まずそれを聞いてから法制局の方へ伺います。
  93. 吉原健二

    吉原政府委員 厚生年金国民年金につきましては、老後あるいは障害、生計中心者の死亡、そういった事故が起きた際の生活の安定、保障を目的にした制度であるわけでございます。  共済につきましては、国家公務員共済所管の方からお答えをさせていただきたいと思います。
  94. 門田実

    門田説明員 国家公務員共済年金でございますが、これは先ほど答弁にありました一般的な老齢、障害、死亡を事由とする事故に対する救済と、あわせまして公務員制度という職域的な、公務の能率の増進といいますか、そういう側面もあわせ持った制度である、こういうことが規定されておるわけでございます。
  95. 沢田広

    ○沢田委員 これは別に答えられたのでは意味がないので、年金を担当している大臣のところで、この年金の目的の第一条はどういうふうなあるべき状態として考えているのか。あなたは年金の担当大臣で、国共済関係については何にも知らないのだね。第一条の目的すら知らないで年金を語ることができるかということなんだ。それを今度は国家公務員の方で答えてもらいますなんといって、よく年金担当となっておられるなと思うのだ。だから、その点は当然、年金の総トータルを押さえているところなんですから、少なくとも年金問題についてはあなた方が責任を持って答弁できるということでなければこれはおかしい話だ。大臣、そうでしょう。あなたが年金の担当大臣だとさっき答えたばかりでしょう。あなたの所管でしょう。その中の所管の第一条の目的についてどうだと聞いたら、ほかの省に聞かなければわからぬというのが年金担当省の大臣の所管ですか。どこから見たって不勉強もこれ以上きわまるところはない。大臣、答えられるのなら答えてください。――いいよ、あなたは。思い返してまた言わなくたってもう言われた後だから。
  96. 吉原健二

    吉原政府委員 それぞれの法律制度の目的はただいま申し上げましたとおりでございますが、国民年金厚生年金、それから共済組合、共通をいたしました目的として、国民のあるいは公務員の老後なり退職後の生活の安定という目的があるわけでございますが、共済組合につきましては、先ほども御答弁ございましたように、そのほかに公務の、職務の能率的な運営に資する、こういう目的が共済制度にはあわせてあるわけでございます。
  97. 沢田広

    ○沢田委員 だから、最初からそういうことで、それを年金の制度の中で考えていく場合に、その第一条の文章を同一にして、内容を同一にしていくという方法が一つある。それから、第一条はそれぞれの特徴を生かしながら、その内容もそれぞれの特徴を生かしていくという方法もある。下の方だけ全部同じ形にして、上の目的は別だというわけにはいかない。そうでしょう。まず、その点確認しておきたいと思うのです。
  98. 吉原健二

    吉原政府委員 そういうお考え方は当然あると思います。
  99. 沢田広

    ○沢田委員 いや、当然そうあるでしょうじゃない。あなたが年金担当としてどう考えているかということです。片っ方は、極端に言えば厚生年金は、雇用契約と掛金が存在をすればほぼこれは条件一〇〇%である、そういうことですね。あの文章の中ではそういうことです。これは資格要件である。それから……。首をひねっているようですから、じゃどういうことが厚生年金の条件ですか、言ってみてください。厚生年金の条件。厚生年金のいわゆる被保険者の資格要件、それは雇用契約とまず掛金を納入していることである、こういうふうに私が言ったわけだ。それ以外に何か違っていることがあったら言ってください。
  100. 吉原健二

    吉原政府委員 厚生年金の適用者、加入者は、常時五人以上の事業所に勤務する被用者ということになっておりまして、給付を受けるためには、今おっしゃいましたような一定の保険料の納付、それから一定の年齢への到達、障害、遺族というような要件が必要となっているわけでございます。
  101. 沢田広

    ○沢田委員 では、例えば、あなたの言っている雇用契約はあります、しかし留置場に入っておりました、この期間も当然算入に入るでしょう。どうですか。
  102. 吉原健二

    吉原政府委員 入ります。
  103. 沢田広

    ○沢田委員 そうでしょう。だから、厚生年金というのは結論的に言えば、年齢とかそういうものは別としても、雇用契約が存在をし、そして掛金が納入をされている、これが厚生年金を受給していくための最低限度の条件。それ以外に年齢とか併給とかいろいろの問題はありますよ。しかし最小限度の条件はそういうことだ。ところが今度は、公務員の方の条件は、これはあなたに聞いてわかるのかなという気もするけれども、じゃ公務員の方のいわゆる年金をもらうための最小限度の条件は何と何と何ですか、言ってください。
  104. 門田実

    門田説明員 公務員の場合は、常時勤務しておるというそれだけでございます。
  105. 沢田広

    ○沢田委員 それだけじゃないでしょう。だったら何も、減給支給とかあるいは懲戒免職なんということが特別起きて年金が断絶したりなんかすることはあり得ないはずですね。ですから、やはり業務の円満な運営あるいは能率的な運営、そういう条件が伴うでしょう。そういうことを、あなた自分でやっておって、何かダラ幹だなんて言われたりダラ勤だなんて言われたりしているところもあるけれども、そういうのはみんないいということかね、あなたの答弁は。舌足らずはいいです、しようがない。いいけれども、法制局として考えた場合に、統一的な共同項というものをつくっていく場合の、健康にして文化的な生活を営むという憲法に定められた条項による国民年金法の第一条、そういう位置づけで法制局も考えておられるのかどうか。健康にして文化的な生活を営む権利、いわゆる国民の固有の権利のものとして国民年金が生まれているわけですが、その国民年金が今の状況の中においてはすべてに適用することが望ましい、あるいはそれぞれの年金には歴史があるんだからそれは別であっても差し支えはない、法制局としてはどちらを考えておられますか、お答えをいただきたい。
  106. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 お答え申し上げます。  目的規定につきましては、沢田委員御案内のとおりに、その法令の立法目的、こういうものを簡潔に表現したものでございます。したがいまして、その法令の達成しようとする目的、これの理解を容易にする、あるいはその法令の他の条項、これの解釈にも役立たせる、こういうふうなことで目的規定が置かれているわけでございます。  ところで、現在の各年金制度につきましては、その制度がカバーいたします対象者の範囲が先ほど委員指摘のとおり異なるとか、あるいは制度の沿革、こういったものから、各法の目的規定の表現ぶり、これは当然異なっております。ただ、そこの基本にございますところといたしまして、いずれも生活の安定を損なうというような、老齢ですとか障害ですとか、そういったものに対して給付を行っていく、この点では各制度共通のものがあろうかと思います。相違がありながらかつ共通のものもある、そういうことでございます。  そこで、お尋ねの問題でございますが、各年金制度、今後の目的規定のあり方といったようなものにつきましては、その各制度が、今申し上げましたような目的規定の本来の意味というものからいたしまして、各法令の今後の位置づけですとかあるいは仕組み、こういったものを十分に反映していく、こういうものであることが当然であり、またそういう書きぶりをすべきであろう、こういうふうに考えております。
  107. 沢田広

    ○沢田委員 今後、厚生省の方でやっておりますが、法制局の方においても十分目を光らせて、今までの答弁ではどこへ行ってしまうかわからぬようなことになりかねませんから、十分配慮していただくことを要望して、次の問題に移ります。  次に、経済企画庁においでをいただいておりますが、経済企画庁として、「二〇〇〇年の日本」というのが出ております。現在のGNP二百九十六兆、約三百兆、こう言っておるのでありますが、大体五%程度の経済成長率は、いろいろとこれからの経済摩擦その他もありますけれども、野党が天下をとる場合もあるでしょうから野党の言うことも聞きながら、大体五%ぐらいの成長率は見込むことは可能であろう。アフリカや難民やその他もありますけれども、五%ぐらいの経済の成長率は見ていくことが可能である。  その場合に、まず厚生大臣として伺うのですが、例えば、社会保障給付と負担と両方ありますけれども給付としたならばどの程度がGNPの中に占める役割を果たす程度であろうか。いわゆる三百兆であるとすれば、一般の国民の所得は大体百八十兆ぐらいでありますから、社会保障が占める割合というものは大体どの程度を限界としているのであろうか。――ゆっくり二回言っているのだよ、あなたが答弁する間の考える時間を与えて。そこでひとつ、給付と負担についてお答えをいただきたい。
  108. 吉原健二

    吉原政府委員 現在の国民所得に対する社会保障負担というのは、大体一四%ぐらいまでに既に来ております。当然、私ども、将来相当な勢いでふえていくというふうに考えておりますが、現状のままですとふえ方がなかなか大変なものになるという予想がつくわけでございまして、恐らく相当早い時期に、国民所得に対して二〇%を超えるようなことになるのではないかというふうに思っているわけでございます。  当然、そういった社会保障を賄うためには一定の財源、国民の負担が必要でございますから、その負担ということを考えますと、今のような状態のままにしておきますと、恐らく国民の負担限度を超えるような社会保障の伸びになってしまうのではないかということを懸念をいたしているわけでございます。  どの程度が適当かということは、人によっていろいろな御意見なりお考えがあると思いますけれども、少なくとも現状のままでは、国民の負担能力をはるかに超える社会保障の大きさになってしまうのではないかということを心配をしておるわけでございます。
  109. 沢田広

    ○沢田委員 これは大臣の見識をというか、やはり年金の問題ですから、お伺いしたかったのでありますが、経済企画庁が来ておりますから、経済企画庁、お答えいただきます。
  110. 佐藤隆三

    佐藤説明員 ただいまの社会保障負担の問題でございますが、昨年策定されました「展望と指針」がございます。その「展望と指針」につきましては、昭和六十五年度までの姿を展望いたしまして、基本的な経済社会の展望、それから経済運営の指針について定めたものでございます。その中で、社会保障についても今後のあるべき方向について示唆しているわけでございますが、数量的な展望は行っていないのが実際でございます。  ただ、その中で、社会保障の負担につきましては、今後高齢化の進展等によりまして現状よりは社会保障負担が上昇することにならざるを得ないわけでございますが、これが無制限に上昇することは適当でないわけでございまして、国民の負担率といたしましては、「ヨーロッパ諸国の水準よりはかなり低い水準にとどめることが望ましい。」このように「展望と指針」では述べているところでございます。
  111. 沢田広

    ○沢田委員 これも余りなってないような答弁でありますが、経済企画庁の総合計画局の「二〇〇〇年の日本-長期展望テクニカル・レポート」によって見ると、二〇〇〇年で考えると、年金で給付の場合、現在は十八兆でGNP比でいきますと六・四%くらいであります。六・四%はGNPとの割合を言っている。現在は二百八十四兆を基準にして計算しておる。それから二〇〇〇年には、さっき言った経済の成長率を五ないしその程度に見ていくわけでありますが、八百四十六兆になる。その中で年金は一三・五%の割合になるだろう、こういうふうに「二〇〇〇年の日本」では指摘をしているわけです。  そして問題は、今度はその次の負担の方なんです。負担の方では、二〇〇〇年では、現在が五・四%でありますが、八百四十六兆になったGNPにおいては九%である、こういうふうに指摘をしておる。そうすると倍にはいっていない。GNPが八百四十六兆になったとこれは推定がされるわけでありますが、その中での社会保障負担は、全体ではありませんよ、年金の分を言っているのですが、年金の分で占めるのは九%、一割。だとすれば、この中に変動要素はたくさんありますけれども、現行制度をもってしても、またあなたの方の資料をもってしても、何もこんな無理をした、いいところはいいとしても、年金額を急に下げたりあるいは負担の急激な増加を図ったりしなくとも、もっと緩やかなもので十分に目的が達成されるのではないか、こういう推定ができるわけであります。杞憂という言葉があるが、天がおっこちることを心配するということなんで、あなた方のやっていることでは確かにその点がある。  昭和三十六年に国民年金ができたときに我々は反対した。もしこんなことでやったならば、国民年金はただ国の財源になるだけでだめになってしまうであろうということで、昭和三十四年、五年の時代は反対をしたわけであります。その後、国民年金が成熟して、ようやく二十五年の掛金の終了する六十一年を前にして、要すれば現在はパンクするという状況だ。我々の予言が当たったということにもなるのかもわからぬですが、結果的には、三十六年に国民年金が出発したその当時には、国民の皆さんに、二十五年掛金を納めてもらえば老後の不安は一切ありませんよ、そういうことでこの国民年金制度がスタートをしたわけです。そういうことですね。ところが、ちょうど成熟した二十五年たって掛金が終了した時点になったら、おっとどっこい、そうはいかないよ、これはパンクなんだから、今度は基礎年金に変わるんですよ。基礎年金制度そのものは我々反対しませんよ。しませんけれども国民年金そのものについてはそういう状況に至らざるを得なかったということなんで、その点は極めて残念なことでありますから、今出しておる案について、少し杞憂過ぎるというか、考え方が余り極端過ぎるのではないかというふうに我々は考えるわけです。  例えば、あなたの方で出されている表でいきますと、果たして昭和がそんなに長く続くのかなという気がしないではないのでありますが、昭和百二十年まであなたの方の表では書いてあります。昭和百二十年といったら我々も墓場の中にいるわけでありますけれども、その計算でいくと、昭和八十年には現行のままでいっても一八%の負担率で済んでいる。だからこれを折半でいけば九%です。あなたの「保険料率の見通し」でいっても、昭和八十年まではこの体系でやっていける。ただ、八十年からその後が、急激に老齢化社会を迎えて、現行法でいくと二四なり二五まで急激に上がっていく危険性を持っておる。しかし、ここは予測しがたい条件があると思うのであります。ですから、もしこれをやるならば、このとおりで考えるのではなくて、私もこのまま主張するわけじゃない、もっと緩やかなカーブというものが描けるはずであるし、描いていくべきではないか。改正案のような形で今からばさっとやっていくのではなくて、もう少し緩やかな傾斜をとっていくことが、当面保険料率の問題にしてもあるいは給付の問題にしてみても必要な条件ではないのか。  これは皆さんのところに配られているものでありますから、ごらんになっていると思うが、国民年金にしてもしかりであります。今は六千二百二十円、この保険料は、厚生年金にしてみれば、今回の改正で十万円で六千二百円ですから、十万円の収入にすれば六・二ということになります。それで現行の国年の保険料の六千二百二十円、これは現在の厚生年金の五・三よりも掛金は確かに高い。だから、そういう考え方からすれば、確かに一回で納めるか四回で納めるか毎月納めるかによって違いますが、負担の重さを感じます。これをもっと、今の法律改定のような厳しさをしなくてもいいように、ぜひ、あなたの方で配られたこの三十五ページにあります表のとり方、それから将来の展望、今は基金がこれだけあるという、こういう形で法案を出しておりますけれども、もう少し将来展望というものをきちんと決めて、そしてこの負担というものをやはりもっと考えていく必要があるのではないか、こういう気がいたします。これは、もう時間の関係で、後は社労の皆さん方にお任せをしながら、要望だけにとめておきたいと思うのです。  それからもう一つ、まとめてもしお答えをいただくならいただきますが、これは経済企画庁の「国民経済計算年報」、それから国民所得に対する比率、それから現行制度を維持した場合の数字、これも経済企画庁「二〇〇〇年の日本」から抽出をいたしましたが、二〇〇〇年の場合に年金は一二%、給付はこういうことになります。それから負担の方は九%、現在は五%。やはりこういうことで、二〇〇〇年に対する社会保障の場合の負担の割合から見れば、急いで今のような改正案をつくらなくとも、もっと緩やかな傾斜によって、二〇二五年の最高のピーク時を展望しながら、十分数値を描けるはずである。確かにピークの二〇二五年になれば年金は一九%、それから負担の方においても一六%、こういうふうに膨大に膨れ上がることは事実であります。しかしながら、今からこの急激な変動を必要とするかどうかということについては、こういういろいろな指標を考えてみても若干問題がある、こういうふうに思います。これは時間の関係がありますから、もうまとめて厚生大臣から――どうも厚生大臣じゃ頼りないような気がするのでありますが、本当に厚生大臣になったばかりだから無理もないと思うのですが、大臣を前にやっていればもう自信を持って答えられるでしょうけれども、急に任命されて急に答えるということはお気の毒だと思います、その点は同情しますが、しかし我々も真剣ですから、そういう意味において、これはどういう省であってもいいです、しっかりした答弁を、将来展望に立っての考え方としてお答えをいただきたい、こういうふうに思うのです。
  112. 吉原健二

    吉原政府委員 私ども、まさに今おっしゃいました年金改革というものをできるだけ緩やかにやりたい、長い時間をかけてやりたい、こういう考え方から今度の年金改正案審議をお願いしているわけでございます。もしこの改革の実施がおくれればおくれるほど、着手がおくれればおくれるほどその改革が困難になりますし、例えば具体的には後世代に急激な負担増を招くことになる、そういうことになってはなりませんので、時間をかけて段階的にゆっくりとやりたい、そのためには一日も早く改革に着手をする必要がある、まさしく今おっしゃいましたような考え方で、今度の年金改革案をお願いしているわけでございます。
  113. 沢田広

    ○沢田委員 そういうことを言うから、なお時間をかけて審議をする必要がある。第一、政府は汚いんですよ。健康保険法という一番飲みにくい苦い薬を先に出しておいて、まあ幾らかこっちの方が甘いかなと思う方の法案は後に出しておいて、そしておくれたら、今度は野党が協力しないからだというような言い方をする人もいるかもしれぬ。そういう態勢をとることは、これはやはり国民に対する挑戦ですよ。我々も真剣に審議をしていこうという態勢は持っておる。しかし、一番苦い薬を先に出して、それを飲んでからでなければその次のことは考えませんよというのは、提案権の乱用ですよ。そういう形をとって、今日に来たら、今月中に何とか上げなければだめだなんて言う。それだったらば、なぜこれを先に出さなかったのかと私は言いたい。これは大蔵の方にもなくはないのです、減税するのに増税の方を先に出してきますからね。このことは何もあなた方ばかりじゃなくて、政府の体質なのかもしれぬ。そういうことでありますから、慎重に審議をする必要がある。私の言っている数字もあなたの方から出ている数字をもとにして言っているのですから、それが合致すれば合致したでいいじゃないですか。もし合致しなかったら是正することもやぶさかでない。お互いが謙虚な立場で、国民のためになるような法案づくりのために努力する、そういう姿勢が必要だろうと私は思うのです。だから私も、具体的に、こういうことになるんだから、二〇二五年を見るか二〇〇〇年を見るかはあるけれども、もっと緩やかな傾斜はとり得るはずだと言っているわけですから、これから野党の社労の皆さんやその他を中心にして進めていくわけですが、その点を大臣が十分に謙虚に聞きながら、そして、もし取り入れられるなら取り入れて、まさに二十一世紀の国民に不安を与えない、こういう条件づくりを今は必要とするのだろうと思うのです。ひとつ大臣、どうかその点簡単にお答えをいただきたいと思うのです。
  114. 増岡博之

    増岡国務大臣 ただいまのお話でございますけれども、紀元二〇〇〇年であるのか紀元二〇二五年であるのかは別といたしまして、いずれ財政が破綻をするということは明らかでございますので、私どもといたしましては、一日も早く将来の安定に備えて改善をしておきたいというのが、今回御提案申し上げた年金法案趣旨でございます。
  115. 沢田広

    ○沢田委員 二〇〇〇年とかなんとかと言うときには西暦に決まっておるのですから、そのほかのときには昭和とか大正とか明治とかつけますから、これは常識ですから、大臣も、ただ黙って二〇〇〇年と言ったら西暦だ、そういうふうにこれから心得て答弁してください。  そういう意味で、二〇〇〇年の場合を考えてみてもそういうことが言えるというふうに、答弁は極めて不十分でありますけれども、後は社労の皆さんに譲らざるを得ないと思っております。  あと大蔵大臣、大変恐縮なんでありますが、現在の税制の中では寡婦控除もあり、身障者控除もあり、特別措置法に基づき、あるいは税法に基づいてそれぞれ措置しているものもあります。  一つ極端な例を申し上げますと、厚生年金の遺族年金は課税されない。共済年金の遺族年金も課税はされない。しかし、だんなさんが遺族年金よりも低い年金をもらっておっても課税の対象となる。片方は二分の一になった場合でも、あるいは普通の正常な男子と言うとおかしいが、女子の場合もあるかもしれませんが、正常に勤めている場合に、今のままの体制でいって二分の一を遺族年金としてもらった場合に、結果的にはお父さん、だんなさんが亡くなった方が課税されないで、生きていると課税される、こういう矛盾もあります。  それから、身障者の障害、母子年金の問題等々について、税と給付整合性、こういうものが極めて重要な段階を迎えていると思います。これは大蔵委員会の中で私は申し上げますけれども、ぜひ大蔵と厚生がそういうものを調整しつつ、この改正案を出すときにはそういう点を見つつ提案をしてもらいたい。  極端な例が、今は男子でも例えば百三十万、百四十万以下の年金については課税しない。だから、少なくとも今遺族年金で最高で課税されない人の分程度は課税されない、こういう仕組みは最低限度の条件としてやはり必要だと思うのですね。これは大臣、いかがですか。そういうことで、遺族年金については今課税されてない状況と、今それ以下で課税されているものとの矛盾をひとつ是正をしていただくような方向で御検討いただきたい、こういうふうに思うのでありますが、いかがでしょうか。
  116. 竹下登

    ○竹下国務大臣 確かに、今御指摘なさったような事情はございます。厚年国年公的年金制度に基づきます障害者年金、遺族年金等は、これは各年金法に公課の禁止規定というものを置いて、したがって非課税になっておる。そこで一方、公的老齢年金につきましては課税対象となっておりますが、これが課税に当たっての給与所得控除のほか老年者年金特別控除が一応認められ、そしてその結果、公的年金だけしか所得のない老齢年金者夫婦の場合は、その年金収入がいわゆる課税最低限の二百四十一万八千円とこの以下の場合、つまり月額二十万円程度の場合は、所得税は結果としては課税されていない。そういう税法上の措置と年金法上の措置が両方あるわけです。  それで、これはかねて沢田委員も御指摘でございますが、この問題についてはたびたび、税制調査会にも正確にこれを伝えてまいりますが、一番近いところの結論から申しますと、「我が国の公的老齢年金制度自体について、給付開始年齢、給付の水準、受給者の単位等が様々である状況等を考慮すれば、新たな課税の仕組みについて早急に成案をうるのは困難と思われることから、公的老齢年金制度自体の見直しと並行して検討していくべき」ものである、こういう中期答申を一応ちょうだいしたわけです。したがって、当面は、現行の公的老齢年金制度を前提として、現行の課税の仕組みの枠内で課税制度の合理化によってこれに対処していく、当面はこれをお答えするのが答弁の限界かな、こういう感じでございます。
  117. 沢田広

    ○沢田委員 不十分でありますけれども、これで終わります。  差額の二%余の早急支給を望んでいる国民の既裁定年金受給者の立場を考えながら、委員長委員会ですか、社労の委員会が賢明なる判断をもって処理し、同時に、この法案は十分な慎重な審議をされる実態が今明らかになったわけでありますから、ぜひ慎重審議をされるよう望んで、私の質問を終わりたいと思います。
  118. 戸井田三郎

  119. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 連合審査は初めてでありますし、文教委員という立場でこのたびの改正案について初めて質問するわけでございますので、今まで社会労働常任委員会質問、議論もされたかとは思いますが、そういう経過に立って質問いたしますので、国民の立場に立ち、このたびの改正案についてやや基本的な問題について、まず厚生大臣に一、二お尋ねをしたいというふうに思います。  端的に言いますと、このたびの改正案を国民がどう受けとめていると思うか、まずその点を厚生大臣から聞きたいのですけれども、御承知のとおりで、このたびの改正案を端的に述べれば、負担する保険料については国民年金厚生年金とも二倍ないし三倍、支給される額は大体三五%から三七%くらいカットされる、しかも支給される年齢は六十五歳の方向に引っ張っていこうとしている、大体これが、私たちもそう認めておりますし、国民の皆さんもそう受けとめていると思うのですが、つまり、保険料を負担し年金を受給する立場の国民の皆さんが、この内容を改善と受けとめていると思うか、改悪と受けとめていると思うか。大臣は、国民がどう受けとめていると思うか、このことが一つ。  それからまた、国民はこの改正案を早く通してほしいと思っていると思うか、もう少し与野党とも知恵を出し合って慎重に審議をして、国民の期待にこたえてほしいというふうに思っていると思うか。  厚生大臣の所感を聞きたいと思います。
  120. 増岡博之

    増岡国務大臣 おっしゃいましたような、給付と負担の関係につきましては仰せのとおりでございますけれども、もともと、この年金法を改正しなくてはならないということは、将来の財政破綻が目に見えておるということから、それをそこに至る前に改善していこうということでございます。その将来に対する不安というものが、国民の皆様方の中には私は大変大きいものがあるというふうに思っておるわけでございます。特に三十歳代の働く方々は、自分たちが定年になった後、年金が果たしてもらえるのかという御不安もお持ちでございますから、このような措置をとることに決めたわけでございますので、その間の事情を説明いたしましたならば御理解いただけるものと考えております。
  121. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 確かに、これから高齢化社会に向かいますし、今大臣が言われるように、若い方々が掛金を掛けて将来もらえるかどうかという不安のあることも事実です。しかし、実際に掛金を負担して、もらう人の立場ということを今度は考えますと、今私が指摘したような少なくとも三つの点で、簡単なことですね、改善ではなく改悪だということは、私は国民の大多数がそう思っていると思う。そこで、出す方は、あるいは提案する方は、悪いけれどもこれを出しますとは言ってないと思う。しかし受けとめる国民から言えば、これ以外に方法がないのか、もっと考えれば国民の立場に立ったいい案ができるのじゃないか、こういう期待が国民の中に一面あると思うのです。  その中で、先ほども質問されましたけれども、何でこんなに将来にわたる国民年金法等改正案を急いでいるのか。一部報道等によれば、何とか年内に衆議院を通したいというような報道もされている。こういう国民の期待なり将来に対する重要な問題をなぜそんなに急ごうとするのか。その点どうなんですか。
  122. 吉原健二

    吉原政府委員 先ほども申し上げましたように、年金制度改革はできるだけ早く着手をしたい。改革はおくれればおくれるほど困難になるということがあるわけでございます。  私ども、この具体案につきましては実は五十六年、約三年以上も前から検討をしてまいったわけでございまして、社会保障制度審議会でありますとかあるいは社会保険審議会などでも十分御議論、御審議を尽くして、今度の改革案をまとめさせていただいたわけでございます。  実施の手順でございますが、これも先ほどの御審議にもございましたように、ことしじゅうに、五十九年に厚生年金国民年金改革をし、その後共済がそれに合わせた改革をする、実施は六十一年四月ということを政府の基本的な年金改革の大きなスケジュールとして決めておりますので、ぜひそのスケジュールどおり実施をさせていただきたいということで、御無理なお願いをしているわけでございます。
  123. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 御無理なお願いということなんですけれども、私は皆さんの心づもりを聞いているのじゃないですよ。保険料を支払い、そして一定の年齢に達すれば年金を支給されるという、この方々の立場で言っているわけです。ですから、今答弁されるように、水面下でいろいろな努力をされてきたということはそれはそうだと思うのです。これから我々はこういうスケジュールで進みたい、これがないのもおかしいわけです。しかし、国民の立場から言えば、年金改正法案として出てきたのはそんなに遠い話じゃないのですよ。しかも、今までも社会労働常任委員会その他でいろいろ御議論されているように、たくさんの問題があると思う。まだ未消化の問題もあるし、今の既裁定年金者の二%の問題だってある。我々は切り離すべきだということを言っているのだけれども、それを切り離しながら、たくさん問題があるということをあなた方だってわかるし、各党からいろいろな――各党は国民の代表の一部ですから、その人たちが案を出しているわけですよ。それを、この年末の慌ただしい中で一気かせいにやってしまえという、これは国民の側から言えば、内容の賛否両論は別にしても、納得のいかない扱い方だと思うのですが、この点重ねて一言どうですか。大臣、どうです、考え方はありませんか。
  124. 増岡博之

    増岡国務大臣 この年金の改正問題は、やはり将来の財政破綻ということが目に見えておるわけでございますので、そのスタートがおくれるということはそれだけ改革が難しくなろう、そういう考えでございますので、一日も早い御審議をお願いいたしたいと思います。
  125. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 レールを敷いてその上をどう走るかという議論だけのようでありますから、それじゃ、少し中身について私、質問したいのですけれども、具体的な問題で聞きたいのです。  現在の拠出制国民年金の場合に、その全体の対象者のうち、この国民年金に加入している方は何人ぐらいで、何%ぐらいですか。
  126. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  国民年金の適用対象者数でございますが、国民年金の被保険者のうち、保険料を納入いたしておる者の数ということでお答えをさせていただきます。  保険料を納入している者の数ということでございますが、私どもでは、保険料を納付すべき延べ月数に対しまして保険料はどれくらい納入されているかということで数字を申し上げさせていただきたいと思いますが、こういったいわゆる検認率から申しますと、現在のところ九四・六%という方が納入をされているということになっているわけでございます。これは、現実に免除を受けておられます方、現在の被保険者の方から免除を受けておられます方を差し引きまして、こういうような数字になっておるということでございます。
  127. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 どうもはっきりしないのですが、直接対象になっている自営業者、それからサラリーマンの妻等の任意加入、これらが全部一応対象とまず考えたときに、この任意加入の方を除いて、本来加入すべき、その対象となる総体のうちでどのくらいの方が年金に加入しているか。今私が言うこの母集団は大体わかるのですか。
  128. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  国民年金の場合には、各被用者年金制度に加入をしておられます方、また各被用者年金から年金給付を受けることができる方、それから各被用者年金の年金給付を受けるための期間を満たしているという方々は、被保険者から外れるわけでございます。市町村におきましては、こういった方々以外の方につきまして適用していくということになるわけでございます。法律的には今申し上げましたような対象者は限定されておりますので、自営業者のすべての方が被保険者としては法律上は対象になるわけでございますが、具体的には、その保険料を納入するという形で被保険者としての登録が行われておるということでございます。  先ほど私が申し上げました数字は、被保険者としての保険料を納入していただいているという意味での数字を申し上げたわけでございます。
  129. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 つまり被保険者として納入している人、これを母集団にした場合に、納めている人が九四・六%、こういうことですね。そうすると、それだけでも私は百万近いのじゃないかと思うのです、おおよその数字。さらに、当然これは、今あなたが言うような被保険者として加入しなければならぬ対象者の母集団が、私から言うとはっきりしないと思うのです、率直に言って。とすれば、どのくらいの人が納めていないのかがわからぬわけですよ。というのは、なぜ聞いたかというと、今国民年金の保険料は六千二百二十円でしょう。今申し上げたように五%弱の人は納めていない。ましてや初めから入っていない人もいるわけです。これがこのたびの改正案によれば、今後年々上がっていって、最終的には一万三千円程度ですか、大体二倍ぐらいになりますね。そういう状況を想定していったときに、全員が強制加入だと言っても、今の状態をずっと推計していったときに、この改正案である二十五年を満たさなければならぬということを前提にしますと、加入二十五年未満のために、つまり保険料を納めないためにこの基礎年金の対象にならない、つまり今日で言えば、改正案では国民年金の対象にならない方が相当出るのじゃないかということがまず想定されるわけですよ。この点が心配ないのかどうか。これが一つ。  それからもう一つは、関連して、今の制度を仮に前提にしても、二十歳の人が六十歳まで、六十歳定年と公務員はなっていますから、この四十年間まるまる掛けて、しかも単身五万円というのは余りにも寂しいのではないかということですね。しかも、それは、みずからの保険料を掛けて、国も若干は出しますよ、これで果たして公的年金として十分に国民の期待にこたえるものになるのかどうか。今までも社会労働常任委員会等でいろいろ質問されたと思うけれども、ここが国民の非常に不安な点で、なお慎重に議論してほしい問題だと私は思うのです。その点どうですか。
  130. 吉原健二

    吉原政府委員 今、国民の年金制度に対する心配といいますか不安というのは、先ほども大臣からお答えをいたしましたように、果たして自分が老後になったときに年金がもらえるのだろうかということだろうと思います。言いかえますと、年金制度というのは、もらう年金の額が高ければ高いほどもちろんいいということはございますけれども、それ以上に、制度として果たして確実なものかどうか、安定性があるかどうかということが一番大事だと思いますし、今度の年金改革は、給付の水準というものはもう、いろいろ福祉年金その他ございますけれども、大体、今の年金制度給付水準というのは欧米諸外国の水準に比べて劣らないところまで来ております。むしろこれから考えるべきことは給付と負担との関係でございまして、負担は非常に低い、これからどうしてもある程度負担というのは上げていかざるを得ない、しかし今のままにしておきますと、負担が国民の能力を超える、限度を超えてしまうという心配があるわけでございまして、給付と負担をバランスのとれたものにしていく、十分調整をしていくという考え方を入れているわけでございます。  そういった意味におきまして、二十一世紀におきましてもその年金制度というものを国民の不安、心配のないものにしていこうということがねらいであるわけでございまして、私は、国民の最大の心配、不安におこたえしたいという気持ちで今度の改革案をまとめたわけでございます。
  131. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 今答弁された、年金は将来のことですから、どなたも平等にひとしく受けなければなりませんから、安定確実ということは当然だと思う。これは私も否定しません。しかし、同時に、もらう側からいえばそれだけであって、例えば年金の保険料であるとかもらう額であるとか年齢であるとか、これは無関心というわけにはいかないと思うのです。当然それは基本的には保険料の負担ともらう額というのはありますよ。それはあなたの物の考え方を枠組みとしては全面的に否定するわけではないですけれども、しかし、それにこたえるのが、今政府が出している国民年金法等の一部を改正する法律案のこれ以外に方法と知恵がないのかということなんです、私たちが言うのは。あなた方の場合には、簡単に言えば、今のような観点に立って、保険料でもって納めてそして国が若干持つ、そういう形で基礎年金だ、五万円だ、こう言っていますね。こういう公的な年金を国民にひとしくとなったならば、先ほども質問がありましたけれども、憲法で保障する健康で文化的な最低生活、これを基本に据えたならば、少なくとも、過去にどのような履歴を歩んできた人であろうとも、六十云々一定の年齢になったならばやはり国が公的な形で保障する。財源の出し方はいろいろありますよ。税金もあるでしょうし、目的税の立て方もあるでしょうし、いろいろあると思う。こういう考え方があってしかるべきではないか。また、こういう考え方は十分に検討に値する考え方ではないか。あなた方の発想だけがすべてではないと私は思う。そういう観点に立って他の政党もいろいろ提案されておると思いますが、我が日本社会党も御承知のとおりで、当然それに対して、国民に最低生活を保障するための公的年金制度を国の責任でということで出しているわけです。こういうものが具体的に出されて、しかも国民は、今のような各党の動きなりこういう点をすべて見ているわけです。もっと慎重に折り合わせてみたならば、まだまだ国民全体の期待できる知恵のあるそういう案が出てくるのではないかと期待している。そのときにあなた方は、このレールは敷かれているし、我々の案が将来にわたって確実で安定であって、しかも国民の期待にこたえるんだ、これだけで進むことが果たして当を得ているのかどうか、このことを言っているわけだ。  しかも、再三言っているように、年内なんというのは大体むちゃですよ。どう見たってむちゃだ。皆さんも全国各地を回っているかもしれません。我々は直接負担する国民、もらう国民に会っているわけだ、こういう審議が終わりますと国に帰るわけですから。たくさんの意見が出ている。その中で、二%の既裁定年金権者に対する引き上げ部分をセットにして、毒もうまい部分も一緒だなんて、こういうやり方は国民は納得できない問題状況にあるのじゃないかと私は思うので、その点は大臣、どうなんですか。
  132. 吉原健二

    吉原政府委員 今おっしゃいましたように、税金を財源にして、六十あるいは六十五歳になればだれでも一定の年金がもらえるようにする、これは年金制度一つ考え方でございます。  私ども、将来の日本の年金制度をどうするかということを検討するに当たりましても、簡単に言いますと、そういった税方式の年金制度というものを十分検討もし、関係審議会で御議論をいただいたわけでございます。  なぜそういったやり方がとれないか、いろいろ御議論ございましたけれども一つには、仮に全部税金を財源にして、いわば無拠出で六十なり六十五になれば年金がもらえる、その年金も恐らくそれなりに相当意味のある高い年金のことをお考えだろうと思いますけれども、そういうことにいたしますと、実は大変な財源が要るわけでございます。今度の政府案で、仮に基礎年金だけを全部税金でやるにいたしましても、六兆を超えるような財源が要ることになるわけでございます。社会党案を拝見させていただきましたけれども、仮に六十一年から基本年金部分を全部税金でやるということにいたしますと、八兆を超えるような財源が要るわけでございます。現実問題として、果たして今、八兆を超える財源を調達して新しい制度を発足させ得るかということを考えますと、現実的になかなか難しい問題があると思いますし、税方式で年金をやることについては、なかなか国民的な合意も得られない難しい問題があるわけでございます。社会保険審議会におきましてもいろいろ両方の御議論がございましたが、日本の今までの年金制度の沿革からいいましても税方式はいろいろ問題がある、やはり社会保険方式を堅持すべきである、こういう結論になったわけでございます。  そういったこともございますし、一定の拠出をした者が給付を受ける、こういう拠出方式が、今後の年金制度を安定的で確実なものとして将来とも維持していくためにはどうしても必要だ、こういう考え方に立って今度の改革案をお願いしているわけでございます。
  133. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 税方式のことについてはいろいろ議論のあるところだと思いますから、それは先の話としておくとしても、今、特に、大蔵大臣もおいでですけれども、税の問題で議論されていますから、将来にわたった財源を、国民から何らかの形の、負担ですからいろいろ方法はあると思いますが、今増税なきという形が底流にありますから、今すぐ国民の納得といってもなかなか困難だと思うのです。ですから、社会党案でも、将来にわたって国民のコンセンサスが得られるようなことをレールに敷きながら提案しているわけです。  ただ、当面のことを考えますと、今の改正案では、例えば共済年金にしろ厚生年金にしろ、私が得た資料の限りでは、国が負担しておったものを引き揚げるみたいな形になって、その一部は国民年金基礎年金の方に回るかもしらぬけれども、そういうことや、あるいはこれは各政党の政策の問題でしょうけれども、全体の中でどう予算を国民生活その他の政策に振り向けるかということになりますと、例えばよく引き合いに出されるのが防衛費の問題でしょう。これはきょうの議論ではなんでございますけれども、例えば来年の七%増となれば、それだけで二千億相当と言われますね。この辺、国民の皆さんがよく見ているわけです。はて、それはいかがなものか、こういう議論まであるわけですから、その辺はきょう全部私の方で質問し尽くすわけにいきませんけれども、当然、社会党としてもそういう案なり考え方を出しているわけですから、その点については今後十分検討されると思いますから、私はそこまででとどめておきたいと思うのです。  なお、公務員にかかわる共済年金の問題に関連して質問していきます。  ことしの十月十二日、共済年金制度改革検討委員会から「共済年金制度改革方向」という報告書が出されていますね。そこで、大蔵省と文部省になりますが、この報告書は今どのような扱いにされているのか。それから、これから共済年金制度改正も言われていますから、これはどのようなかかわり合いを持っていくのか。端的に、ひとつ扱いの問題として答弁願いたいと思います。時間がありませんから、大蔵省の方で結構です。
  134. 竹下登

    ○竹下国務大臣 たびたび御議論もありますように、本年二月二十四日の閣議決定を受けて、そこで一元化を展望して改革を進める、そういうことから、今おっしゃいましたように、関係各省の間における検討の場として、共済年金制度改革検討委員会、これを設けて共同して議論をしまして、それで今おっしゃった「共済年金制度改革方向」という報告がまとめられた。これは端的に言って、専門家ではございますが、事務当局の議論の集約でございます。  したがって、いわばそれをどう認識するかというと、たたき台ができたな、こういう一つの認識を持つわけであります。そのたたき台をどこで一番議論してもらう方がいいかというと、幸い私の方で見れば国共審がございます。あそこで御議論をしていただいて、その間我々の考え方の位置づけともしていきたい。今日は、国共審で御議論等をいただくたたき台だ、こういうふうに御理解をいただいた方が適切かな、このように考えます。
  135. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 たたき台だという話なんですが、これからいろいろ検討されると思いますが、今までも既に質問もされたと思いますが、一、二その報告書、たたき台について質問をしたいなというふうに思うわけです。幾つかありますが、二点だけ私、質問したいのです。  その第一点は、(3)の「老齢共済年金」、そしてそのイ、ロとありまして、ロの「支給額」、これはつまり共済年金の例の所得比例部分だと思うのですね。それで、その所得比例部分を見ると、この共済年金の場合は職域年金相当部分として上積みされております。これは民間企業に、厚生年金支給のほか、厚生年金基金などの企業年金制度があることを考えての提案ではないのかというふうに私は思うわけです。したがって、その辺はどうなのか。  それから、もしそうだとすれば、この企業年金に、現在、厚生年金対象者のうちどのくらい加入といいますか属しているのか、その辺の数字をひとつお知らせいただきたい。
  136. 門田実

    門田説明員 先生お話しのとおりでございまして、先ほどのたたき台の中に、共済年金の中に職域年金相当部分として千分の一・五の設計を行っておるということでございます。これは共済年金が、公的年金としての性格のほかに、公務員制度等の一環としての職域年金としての性格も持っておる、こういうことから認められるのではないか、こういうふうに考えております。  お話しのように、この職域年金相当部分の水準の話でございますが、これにつきましては、やはり民間における企業年金の態様、これがまたいろいろございまして、厚生年金基金、税制適格年金あるいは自社年金等いろいろございます。また、その水準もいろいろでございます。費用負担の割合等もまたいろいろでございますが、そういった実態が千差万別でございまして、それとの比較ではなかなか一様の結論を得ることは困難であるというのが率直な感想でございます。しかし、民間企業につきましても、いわゆる企業年金が相当数普及しておるわけでございますから、今回の案では、職域年金相当部分については、費用負担をする現役公務員等の負担の限度といいますかそういった点、それから年金受給者と費用負担者の世代間のバランスの維持、そういったことを考えまして、給付水準にはおのずと限度があるわけでございますが、厚生年金相当部分の二割程度、基礎年金を含めますと年金額全体の八%程度、これが限度であろう、こういう考え方をいたしたわけでございます。  それから、お尋ねの民間における加入者数でございますが、今手元の資料によりますと、五十九年三月末で厚生年金基金の加入員数が六百五十六万三千人、それから適格退職年金の加入員数が六百八十六万八千人、こういう数字を得てございます。
  137. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 それは大体何%ぐらいですか。
  138. 門田実

    門田説明員 民間の厚生年金加入者は大体二千六百万人でございますから、今の数字を足しますと大体半数近くになっておる、こういう感じでございます。
  139. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 約半数の方が企業年金の受給の対象になっている、こういうことですね。  そこで、もう一つは、この報告書の「老齢共済年金」のイ「支給要件」というのがありまして、そこに「老齢共済年金は、六十五歳以上であり、かつ、退職している者に支給する。」こう書いてあるのですね。それで、私が知り得る今の提案されている改正案では、厚生年金の場合には六十五歳以上であれば在職者であっても支給される。そうすると、なぜ老齢共済年金とそういうように差があるのか、このことが一つ。これは私の受けとめ方が間違っておったら指摘してください。  それから、もう一つの問題は、「老齢共済年金は、六十五歳以上であり、かつ、退職している者」というふうになった場合に、普通の公務員の場合には六十歳定年というのがありますから、六十五歳であればほとんど退職しているというふうに考えていいですね。ところが、その中で、私学共済なんかの対象になる私学に勤めている方は、六十五歳以上になっても在職している方が非常に多いのですね。そうすると、この方々は、公務員であるか私学であるかは別にしても、非常に不利な扱いを受けるのじゃないか。つまり、簡単に言うと、私学の方は六十五歳以上で退職しなければもらえぬ、こういう問題が実際場面において出てくるのじゃないか。  後の方の私学共済にかかわる部分については文部省の方からお答えいただきたいと思いますが、その辺どうなんですか。
  140. 門田実

    門田説明員 最初に、一般的な方をお答えいたします。  厚生年金と国家公務員共済といいますか公務員共済等で違うではないかという御指摘でございますが、ここがまさにそういった制度それぞれの特色のある点ではないか、こういうふうに考えております。御指摘のように、一般的には公務員も六十歳ぐらいで退職いたしますから、実情そう違いがあるわけではございませんが、六十五歳以上でかつ公務員をやっておる人といいますと、最高裁の判事さんでありますとか、あるいは知事さん、市町村長さんという方々がおられるわけでございまして、こういう方々にまで在職中に年金を差し上げる、掛金はもう徴収しないということが妥当かどうか、こういうことを考えまして、こういう場合には引き続いて組合員として共済年金制度の中にとどまっていただいた方が妥当なんじゃなかろうか、こういうのがこの点につきましての一般的考え方でございます。
  141. 菱村幸彦

    ○菱村説明員 私学共済につきましては、先生御承知のように、教育基本法等の精神から、国家公務員公立学校公務員、教員と同じようなやり方で基本的にはやるということになっております。したがいまして、この六十五歳以上でかつ退職している者ということも、基本的にはそのやり方でやることになると思いますが、ただ、先ほどお話がありましたように、これはたたき台であって、まだ成案ではございませんので、今後の検討にまつべきところがございますが、基本的には国公立と同じようなやり方でやりたいと思っております。  ただ、御指摘のように、私立学校の場合には、国公立をやめてから私学に行くという先生もかなりいらっしゃいます。その率も公務員の場合に比べますと高くなっておりますので、その辺につきましては、実態をよく調べまして、どういうふうにしていくか、今後の一つの課題であろうというふうに考えております。
  142. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私学に勤めている方の実態は、確かに今審議官が言われたような状況もあります。ありますが、しかし、やはり制度上、六十五歳でしかも退職ということになりますと、現実にそういう方が私学の場合にはたくさん出てくるわけですから、当然これがたたき台になってこれから検討されていくと思いますし、その辺の全体の整合性をよくとるように、ひとつ十分なる配慮と検討をしていただきたいものだと、これはこれから先のことになると思いますけれども。  それから、厚生年金共済年金の今の六十五歳退職云々ということも、これも今一応の説明はありましたけれども、果たしてこれですべて尽くしていいのかどうかという疑問もやはり残りますので、これはこれからの問題であると思いますから、十分に検討していただきたい。  そこで、時間がないので、私は今共済年金のことについて端的に二つだけ申し上げましたけれども、このことについてもまだまだ多くの問題があるわけですし、また一方において既にこういったたき台が出ているわけです。しかも、今度は国民年金法等の一部を改正する法律案、中身は国民年金厚生年金ですね。これは繰り返しませんけれども、先ほどから幾多の問題点が法案自体の中にあるし、考え方自体もいろいろな違いがあるし、具体的な提案も出されているし、国民も疑問を持っている。しかも、早く二%部分については分離してほしい、こういう問題があるわけです。ですから、私は、今一番重要なことは、今慌てて年内に通さなければならぬなどということは、基本的に、最低限国民のコンセンサスを得られる条件にはないと思う。このことが私は一番重要だと思う。そういう点と、どうせこれは、今申し上げたように共済年金もたたき台が出ている、追っかけやっていって最後は一緒になるんだから、出口と出発は一緒になるんだから、今これだけ大きな問題を抱えている国民年金厚生年金を、がたがたで一瀉千里に持っていこうなどということは、私は、内容の是非は別にしても、やり方がちょっとむちゃだと思う。したがって、この辺については、あと時間がありませんから、厚生大臣の見解を聞きたいと思うのです。
  143. 増岡博之

    増岡国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、財政破綻は目に見えておるわけでございますので、一日も早く改正を行いたいところでございます。もちろん、私どもが提案しております改正法案以外にも、いろいろな御意見もお持ちであることはよく承知いたしておるわけでございます。私どもは、現在の保険制度を維持しようとするものでございますけれども、そのようなお考えがあることは念頭に置いてまいらなければならないと思います。
  144. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 あと時間が二、三分しかありません。どうも急いでほしい、急いでほしいというだけははっきりしているのだけれども、しかし中身がどうもはっきりせぬです、我々の意見をどう取り入れてくれるのか。しかも、とにかく同じようなことを厚生大臣は繰り返し述べられるので、きょうここは連合審査ですから、私は文教の立場で終わりますけれども、十分これからまた社労などで話をされると思いますから、その辺の意を十分酌みながら、この問題については慎重に扱ってほしいということを最後にくれぐれも御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  145. 戸井田三郎

    戸井田委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十六分開議
  146. 戸井田三郎

    戸井田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上西和郎君。
  147. 上西和郎

    ○上西委員 私は、今次年金改定法案に関し、率直に申し上げて、なぜこれほどの改悪内容を含む、ごく一部には改善されるところがありますが、これだけの改定法案をお急ぎになるのかという、素朴な疑問を抱いておる一人であります。かつ、よくマスコミで言われます官民格差、私はこの表現は余り好きではありませんので、制度間の不公平、矛盾と申し上げているのでありますが、その大部分を、故意か偶然か意識的かわかりませんが大きく積み残したまま、六十一年四月一日見切り発車に近い方法で、年金の改定法案審議をお急ぎになる政府・与党並びに厚生省のやり方に若干の疑念を覚えながら、本日、改定法案内容について若干、並びに積み残しされている幾つかの矛盾、不公平な点について、限られた時間でありますが、順次御質問をさせていただきたい、このように考える次第です。  まず冒頭、総務庁がお見えと思いますので、軍人恩給について参考までにお尋ねをしたいと思います。  軍人恩給の戦務加算年制度はいつ完全に復活をし、かつ、戦前なかった抑留加算は何年から施行されたのか、法律制度化されたのか。  あわせまして、高齢者優遇措置はいつスタートをし、現在どのようになっているか。  この二点について簡潔にお答えいただきたいと思います。
  148. 藤江弘一

    ○藤江政府委員 ただいま御指摘の旧軍人の加算年につきましては、戦前におきましては、実在職年と同様に金額計算の基礎に入っていたところでございます。ところが、御承知のように、軍人恩給は二十一年に廃止されまして二十八年に復活いたしたわけでございますけれども、この際は金額算定の基礎にはなりませんで、恩給の受給資格を取得するための要件としてのみ算定されたということでございます。  しかし、このような加算年につきましての制限は戦前にはございませんし、文官の加算年につきましても原則としてこのような制限はないということでございますので、これを撤廃するということについての強い要望がございまして、ただいま御指摘がありましたように、老齢者の優遇という見地から、昭和四十八年にまず七十歳からこれを外す、逐次これを外してまいりまして、五十四年には、六十歳以上の者につきましてこれらの措置を及ぼすという形のものになったわけでございます。  次に、抑留加算の点でございますが、この点につきましては本来の恩給制度にはございませんでした。しかし、戦後の海外等で抑留されました旧軍人等の特殊事情等を考慮いたしまして、恩給制度の特例措置として、昭和四十年から、海外において抑留された方々につきまして加算年の制度を設けたわけでございます。  なお、四十五年には、南西諸島等において抑留された方々、それから海外拘禁者の方々につきましても、それぞれ一月の加算を認めるということになったわけでございます。
  149. 上西和郎

    ○上西委員 重ねてお尋ねいたします。  戦前の軍人恩給制度になかった抑留加算、言うなれば東條英機首相のときでき上がった「戦陣訓」の中に、帝国陸海軍軍人は、生きて虜囚の辱めを受くるなかれ、こういう厳しい教えのもと、捕虜になることは全然なく、抑留加算などということは制度として一顧だにされていなかった、そうしたものをつけ加えてまで、軍人恩給は今完成をされ、運用されております。  私は、赤紙一枚で引っ張り出され、日本国のため日本人のため弾丸雨飛の中を御苦労なさった方方に対する一種の社会保障制度として、軍人恩給がこういう制度をとっていることは、いささかも反論するものではありません。  ただ、総務庁に一言だけお聞きしたいのです。この抑留加算を含む戦務加算年制度並びに高齢者優遇制度に、今後マイナス、改悪をさせるようなメスを入れるお考えありや否や、むしろこの制度を堅持されるのかどうか、このことについて簡潔にお尋ねしたいと思います。
  150. 藤江弘一

    ○藤江政府委員 お答えいたします。  これらの加算等につきましては、既に既裁定でございます。また、裁定いたしておりませんでも権利としては発生いたしておるわけでございますので、私どもとしましては、これにつきまして手を加える所存は毛頭ございません。
  151. 上西和郎

    ○上西委員 わかりました。  それでは厚生省当局にお尋ねしますが、第三種被保険者の期間計算の特例措置を、なぜ今度の年金改定法案の中で撤廃をされようとしておるのか、その本旨を率直にお答えいただきたいと思います。
  152. 吉原健二

    吉原政府委員 現在の第三種被保険者、つまり坑内夫の方々につきまして、一般の被保険者に対しまして実はさまざまな特典が認められているわけでございます。支給開始年齢につきましても五歳早い五十五歳となっておりますし、期間計算につきましても一年を三分の四倍する、十五年を二十年に計算するという特例措置があるわけでございますが、やはりこういった特例措置は、年金制度の通算ができない、まだ通算制度というものがなかった時点におきまして、できるだけこういった方々を年金に結びつけるためということで設けられた措置でございまして、現在の一般被保険者とのバランスにおきましては、非常に特別の優遇された措置がなお現在においても続いているという状況にあるわけでございます。  これからの年金制度のあり方といたしましては、制度間の格差もさることながら、同じ厚生年金の中で第一種被保険者と第三種被保険者、つまり一般の労働者の方と坑内夫との間に、そんなに支給要件にしてもあるいは期間計算にしても特例措置を残しておいていいのかどうか、存続をすべきかどうかという点についての議論、検討が行われたわけでございますが、関係審議会においてさまざまな議論がございましたけれども、時間がかかりますので結論だけ申し上げますと、「第三種被保険者の取扱いについては、再検討すべき時期に来ているものと考えられる。少なくとも期間計算については、他の被保険者との均衡上からも問題があり、所要の経過措置にも配慮しながら見直すべきである。」という御答申をいただいたわけでございます。つまり、最初に申し上げました支給開始年齢と期間計算、両方特例措置があるわけだけれども、少なくとも期間計算については見直すように、つまりやめてはどうかというような御意見をいただいたわけでございますので、それに基づいて、今度の改正案でもそういう措置をとらせていただいたわけでございます。
  153. 上西和郎

    ○上西委員 局長の御説明になったその経過は、それなりに理解をいたします。  大変突っ込んだことをお尋ねするようでありますが、大臣局長、あなた方は、金、銀、銅、石炭を問いませんが、坑底までお入りになったことがおありですか。その審議会のメンバーのどなたが地下産業労働者の直接の実態を見ておられるか。おられるなら、具体的に御氏名を挙げていただきたいと思います。まず、大臣局長の体験からおっしゃってください。
  154. 吉原健二

    吉原政府委員 私自身はございませんが、審議会で労働団体からの代表として入っておられる委員は、そういった作業の現場等も視察をされたというふうに聞いております。
  155. 上西和郎

    ○上西委員 私は若いころ実際、金山でありますが、坑底奥深く入った体験を持っております。昔の言葉で言えば、ふんどし一丁に着かえさせられて、キャップライトをつけてずっと回ってみました。あの厳しい作業条件の中で働いている地下産業労働者の実態を、大臣局長も直接ごらんになってない。それでいて、実に安易に、審議会で答申が出たと言われる。中曽根さんがあれだけあっちこっちお回りになるなら、たまには地下に入ったらどうですか、私はそう訴えたいのです。数は少ないかもしれない、しかし本当に日本のために第一線で働いている地下産業労働者が戦前からずっと持ってきたこの優遇措置を、いとも簡単に切り離す、こういうことをやるから、私は、年金改定法案審議を今急ぐべきではないという考えに到達せざるを得ないのであります。大臣、この点について明確にあなたの御見解をお示しください。
  156. 増岡博之

    増岡国務大臣 先ほどお尋ねのありました坑内に入った経験は、一度だけでございますが、あります。そのような環境のもとで働いておられることは十分承知しておるわけでありますけれども、今や年金制度間の公平ということも言われておるわけでありますし、制度内でのそういう調整もやむを得ざることだろうというふうに思っております。
  157. 上西和郎

    ○上西委員 大臣、あなたは極めて消極的なお答えですが、私が冒頭軍人恩給を聞いたのは、軍人恩給が戦前の制度を完全に復活し、かつ、捕虜収容所の抑留期間まで計算基礎の中に入れる、ここまで片一方でやっているのです。赤紙一枚で引っ張り出された人たちと、地下産業のあの過酷な労働条件の中で働いてきた方々と、やはり等しく考えるべきではないか。単なる、年金制度の中で通算ができたからこの優遇を消してしまえという発想では、年金制度社会保障制度としてこれから生き延びていけるのかと、素朴な疑問を持つがゆえに、重ねてこのことについて局長の見解をお聞かせください。
  158. 吉原健二

    吉原政府委員 実は、この問題は、今度の改革案をつくるに当たりましても大変議論がございました。昭和三十六年に国民年金ができたときにその通算制度ができたわけでございますが、通算制度ができるときに、この制度は廃止をすべきであるという考え方が実は強かったわけでございます。しかし、通算制度が発足と同時にそこまで、期間計算の特例まで一挙に廃止するのはどうかということで、経緯を申し上げますと、いわば二十有余年、恐らく今先生が御指摘になられたような考え方もあったのでございましょう、存続をしてきたわけでございます。  しかし、これからもなおかつ、そういった特例措置をいわば特殊の被保険者グループにだけ二十年、三十年続けていくかどうかということになりますと、一般の被保険者の側から見ると、実はまたいろいろ別な角度からの議論があるわけでございまして、その両方の御議論をいろいろお伺いした上で、またいろいろ議論をしていただきまして、審議会でああいう結論をいただいたわけでございます。  私どもは、簡単に審議会結論が出た、そういうことではございませんで、そういった議論が十分なされた上でのいわば合意ということで、年齢は残しておく、期間計算はやめるという措置をとらせていただいたわけでございます。
  159. 上西和郎

    ○上西委員 局長の見解はわかりました。極めて不満でありますが、我が党の修正要求の中にこれは必ず入れて、改めての御検討を強く要望し、次の質問に移らせていただきます。  次は、厚生年金の障害手当金と労働者災害補償保険の障害補償一時金の併給問題であります。  御承知のように、厚生年金の障害年金が、業務上による場合厚生年金の障害年金は一〇〇%出て、労働者災害補償保険の障害補償年金は併給調整七六%支給、こうなっていることは御承知のとおりであります。ところが、その年金に到達しないが障害が残った。厚生年金の障害手当金の支給条項と、労働者災害補償保険の障害補償一時金に該当する八級から十四級の間の条項は重複する部面がたくさんあるのです。ところが厚生年金の方は、障害を理由とする労働者災害補償保険の補償一時金の支給があればびた一文出さないと書いてある。こんな不公平がどこにありますか。年金なら併給をする、一時金なら片一方しか出さない。こんな積み残しをやっているから私は急ぐべきではないと申し上げたのです。局長、このことについて明快なお答えをいただきたいと思います。納得できるお答えを。
  160. 吉原健二

    吉原政府委員 いろいろな制度間の同種の事故に対する給付調整というのは、おっしゃるようにいろいろな難しい問題があるわけでございますが、考え方としては、制度は違っても同じような事故に対して一定の給付が出る場合には調整をして、他は出さないというのが基本的な考え方なのでございます。  それで、確かに現在の制度におきましては、障害の重い方につきましては厚生年金と労災の障害補償給付原則併給、ただ一部金額の調整、向こう側の労災の方の給付調整されるということになっておりますが、障害手当金の対象となる障害というのは、障害の程度が比較的軽いということもあったのだろうと思いますけれども、向こう側の労災の給付が出る場合にはこちらは支給をとめる、こういうことになっているわけでございます。  考え方としまして、年金の方が今両方出ているから手当金も両方出すべきだ、それは一つのバランス論でございますけれども、これからの考え方の方向としては、逆に、むしろ一方が出れば一方を調整するという考え方でないと、これからの年金制度、いろいろな給付が大変大きくなっていく、負担も大変になっていくというときに、これからの考え方の方向としては両方の併給ということはどうだろうかということで、当面現行どおりの措置にさせていただいているわけでございます。
  161. 上西和郎

    ○上西委員 そういう見解が、民間の中小零細企業で働く労働者の安全衛生対策を大きく減殺させているんですよ。緑十字の旗が欲しい――私、きょうは労働省を呼んでおりませんが、これが取り消されるから、おまえが自分のへまでやったのだ、私傷病で行ってこい、これは全国津々浦々で現にあることですよ。大企業の中だってゼロではない。実例を挙げるといったら挙げても構いませんが。そういうことをやる一つの原因に、軽いけがだったら厚生年金から何も出ないんだよ、これが業務上でぴしゃっとしていれば両方出るんだよということで、いろいろまた変わってくると思う。それを、年金は併給をしていて一時金なら出さないということをそれこそぬけぬけとおっしゃったら、民間の労働者はどんな思いをしますか。  共済年金のことを僕はここで比較しませんよ。共済年金は、共済側の遺族年金、障害年金にさえ公務の場合は優遇措置があるんですよ。そして、公務員災害補償法の優遇がそれにあるわけです。それをマスコミの皆さんは官民格差と言う。私は何もここで共済と一緒にしろとは言いません。しかし、厚生年金と労災補償保険の年金が併給調整されているのなら一時金も併給調整していいじゃないか、極めて素朴な意見であります。  大臣、このあたりは、新任早々でありますが、よし、わかった、ツルの一声で決めよう、こういう格好いいお答えを大臣からいただきたい。大臣、どうぞ。
  162. 吉原健二

    吉原政府委員 先ほどのお答えの繰り返しになりますけれども、これからのバランスといいますか、どういった形で公平をとるか。確かに形式的には、今、年金は両方出ているのだから手当金も出したらどうだという御議論でございますけれども、残念ながら、これからの方向として考えなければならないのは、できるだけ調整をしていく、重複給付をなくして本当に必要なところへ給付を厚くしていくという方向で、年金にしろあるいは労災の給付にしろ考えなければならない時期にございますので、今おっしゃるようなことで、お気持ちはよくわかりますけれども、手当金も併給という方向を私どもとしてはとれないわけでございます。
  163. 上西和郎

    ○上西委員 大臣がお答えになりませんから残念ですけれども、まあ、しかし、少なくとも中小零細を含む民間労働者の中には、労使双方挙げてこのことについては強い要望がある。これはどの政党の方々も十二分に御理解をいただいておると思いますので、最終的なこの法案の修正段階では十二分に御検討をいただきたい。このことを強く要望しておきたいと思います。  三つ目は、遺族年金の問題であります。  年金改定法案の中で、遺族年金が著しく改悪されようとしております。そのこと自体大変な問題でありまして、これは各政党からそれぞれ修正要求その他が出ておりますので、それについては私はあえて触れようとしません。  ただ、問題なのは、厚生年金の遺族年金は、受給権者が配偶者、妻の場合ですね。妻と子供、胎児だった子供が生まれた場合を含めて、妻と子は即時受給できます。ただし、受給権者が夫、父母、祖父母である場合、被保険者、加入者が死亡した時点でその受給権者が六十歳未満なら未来永劫に遺族年金は一円も支給しません、これが厚生年金の現行の規定であります。片や共済年金は、遺族年金の妻と子供は全く一緒でありますが、受給権者が夫、父母、祖父母である場合、現在法律改定で五十六になっておりますが、五十六歳以上なら直ちに支給をし、かつ、五十六歳未満である場合は五十六歳に到達するまで支給を停止し、五十六歳になった時点で、大変お気の毒でした、遅くなりましたがと言って遺族年金を支給する。この支給停止措置が設けられている。まさにこれこそ、制度間の不公平の最たるものではないかと私は鋭く指摘をしたいのであります。このことについて改善される意思ありや否や、明確にお答えいただきたいと思います。
  164. 吉原健二

    吉原政府委員 この遺族年金の支給要件、支給対象は、配偶者で子のある方につきましては相当の改善を図っている面もあるわけでございます。ただ、配偶者で子供のない方につきましては今までよりも若干御遠慮いただくというような面もあるわけでございますが、この父母に対する遺族年金でございますけれども、父母に対しては、父母の年齢を問わないで出すというのは、やはり遺族年金の考え方からいいましていろいろ議論のあるところだろうと思います。一定の年齢を要件にして、つまり老父母が残された場合に一もちろん配偶者がおられるときは配偶者にまず出す。それから配偶者がいないときに、いわば父母に対しては、老父母が残されたときに、遺族の生活の安定ということで老父母に遺族年金が出る。その年齢が、厚生年金ができたときから六十歳ということになっているわけでございます。  ですから、この点につきましては、六十歳前で死亡されたときには全くすっと出ないわけでございますけれども共済との間に要件の違いがある、これは御指摘のとおりであります。将来、共済との関係をどういうふうにバランスをとっていくか、あるいは合わせていくか、確かに御議論があるところだと思います。  この点につきましては、実は共済方向づけがはっきりしないとどちらにどうするか、我々としても最終的に結論を出しにくい問題でございますけれども、おっしゃるような御議論、私ども十分わかるつもりでございます。現行法は従来どおりの扱いになっておるわけでございます。
  165. 上西和郎

    ○上西委員 局長のお答えを聞いていますと、きょうは計算その他のことまで触れようと思いませんけれども、改悪すること、まあ改正とおっしゃっていますけれども、僕たちに言わせれば改悪だ。ざっくばらんに言って、私は高校を出てから厚生年金に三十五年入っている、十八で就職していますからね。私が今ここでやめて六十になってもらう年金の方が、今から七年掛け続けて六十まで厚生年金に加入してもらう年金よりか高いのですよ。高くなるのですよ。そんな改悪を大胆におやりになるあなた方厚生省の皆さん方が、なぜ夫、両親、祖父母に対する遺族年金を、六十歳未満なら一銭も出しませんという現在の不公平、矛盾点を解消しようとしないのか、私はどうしても合点がいかない。  大臣、こんなことを野放しに積み残しておいて、年金改定を急いでくださいなんということは、私が大臣だったら口が裂けても言えませんよ。おれは渡部君の後に来たが、君、これはいかぬ、これだけはせめて改正をして、そうして年金改定に取り組もう、それくらいの手土産を持って大臣就任のごあいさつをいただきたい、こう思っておるのでありますが、このことについて大臣の御所見を承りたい。
  166. 吉原健二

    吉原政府委員 父母の年齢を四十、五十、全く問わずに遺族年金を支給をする、これはなかなか難しいと思いますけれども、一定年齢以上の死亡の場合に、場合によっては六十歳になられたときから遺族年金の対象にするという考え方につきましては、共済との関係も見ながら検討しなければならないかなというふうに思っております。
  167. 上西和郎

    ○上西委員 おっしゃることはわかるのですよ。それはやはり御自分たちでつくった法律だし、やはりいろいろ守備もしたいでしょう。しかし、今の問題は、委員長、あなただって問題点はおわかりでしょう。それは意見は別ですよ。少なくとも共済年金は、年齢未達の方には支給停止をし、年齢が到達したら遺族年金を差し上げます。民間は六十歳未満、私は本当を言えば五十六に下げてほしいのです、しかしそこまでは言わない。六十歳現行でやむを得ぬでしょう。百歩譲って支給停止措置を設けて、六十になったら、お気の毒でした、遅くなりましたが遺族年金を。この温かい気持ち、それがなくして何の社会保障、福祉、年金ですか。今のような通り一遍のお答えは結構です。  大臣、ずばりお答えくださいよ。大臣の御決断ですよ。文字どおりツルの一声ですよ。
  168. 増岡博之

    増岡国務大臣 私どもは、ただいま御指摘のような点を含んだまま法案提出しておることは事実でございます。ただ、この制度改革の未来の年金の安定のために、ぜひとも一日も早く御可決をいただきたいと思っておりますので、その実施後に検討をさしていただきたいと思います。
  169. 上西和郎

    ○上西委員 そんな大臣の姿勢なら、審議を急ぐ必要は何もありませんよ。きょうは時間がないから、私は具体的に極めて特徴的な積み残し部分を拾い上げているのですが、今のような考えで、施行だけを急いでくれ、積み残しはそれから検討だ、これじゃつまみ食いじゃありませんか。全国数千万の受給者、加入者のすべてにかかわる百年に一回の大改定と、前の渡部厚生大臣はおっしゃった。それだけのことをおやりになろうとするならば、これだけ明々白々な不公平、矛盾点を積み残したまま急がれることについて、私は断じて納得できません。このことの解決なくして年金改定法の施行は、私は絶対に容認できない。改めて皆様方が深く反省をし、せめてこのことだけでも解消して年金改定法の実施に移してほしい、こういうことをぜひ御検討いただきたい。  局長、何かありますか。大臣はああ言いましたが、局長としてはこう考える、やりますとおっしゃってください。やりますとおっしゃれば一言ですよ。
  170. 吉原健二

    吉原政府委員 よく、できるだけ早く検討さして、結論を出さしていただきたいと思います。
  171. 上西和郎

    ○上西委員 私は局長の人柄を知っていますけれども、自信のあることはやはり大きな声でおっしゃってください。後ろは聞こえなかったと言う。もう一遍明確に、今のことをはっきりおっしゃってください。
  172. 吉原健二

    吉原政府委員 よく検討さしていただきます。
  173. 上西和郎

    ○上西委員 今のはちょっとさっきのと違うよ。あなたは急いでとおっしゃったよ、さっきは早急にと。大事なことを落としちゃいかぬ。
  174. 吉原健二

    吉原政府委員 早急に検討さしていただきます。
  175. 上西和郎

    ○上西委員 きょうは後々ありますので、この程度でここは終わらせていただきますが、委員長さんもこのことについては、本当に、今日の日本国の経済的な発展を支えたのは、昼夜を分かたず御健聞いただいている国家公務員地方公務員の方方の御努力、それはもちろんありますが、本当に産業の第一線で頑張り抜いてきた民間労働者の功績もまた多大なものがあるということを御理解の上、この程度のことは大臣委員長でしっかり話し合って、一発、社労で決めよう、これくらいの御決断を委員長にもお願いをして、これでこの点は終わらしていただきます。  次に、国民年金の問題で、従前から私、長いこと田舎におりましていろいろな相談を受けたのでありますが、その中でぜひこの場で、それこそ大臣局長の段階で明快に解決していただきたいことがあるのです。  それは御承知のように、国民年金発足時点で、大正五年四月一日以前生まれの方々は、加入が二十五年、到底不可能だ、十年でよろしい、こうなってスタートをした。ところが、いろいろありまして、落ちこぼれがあって、それを後二回にわたって十年年金で救済した。ところが、それでもさらに未加入があったので、特例中の特例で五年年金を設けた。これは皆さん方周知の事実。  ところが、問題なのは、先ほど来第三種の優遇措置を取っ払うのに通算制度ができたからと、局長があれだけおっしゃっているのだから、そのあなたたちは何をしているか。十年年金は単独年金権を認め、他の公的年金の加入期間を通算する、こうなっていますね。ところが五年年金は、これは昔の言葉で言えば私生子である、認知できない、よって、通算年金の対象としての資格を与えない、これが今まかり通っている。十年年金、五年年金、合わせて百八十万人しかおりませんよ。数はごくわずかなんです。五年年金の方々にも他の公的年金加入期間を通算する、このことをこの場で即決していただきたい。
  176. 吉原健二

    吉原政府委員 ただいまの御質問はなかなか難しい問題でございまして、通算制度のいわば根幹といいますか、本質にかかわる問題なんでございます。  通算制度というのは、各制度を渡り歩いて合計で二十五年とか三十年とか、一定期間以上ということが基本的な要件でございまして、その最短の期間を経過措置で十年まで短縮しているわけでございます。十年が最低の期間になっているわけでございます。したがって、そういうこととの関係で、実は十年年金以上でないと、十年年金を受けている人が仮にほかの制度へ移った場合には、そのほかの制度へ移った期間が一年でも二年でも、一年分、二年分の通算年金を出すということになっているわけでございまして、十年という最短の通算期間、これが実はその十年年金以上にしている背景といいますか、根本的な理由であるわけでございます。  五年年金というのは、今もいみじくもおっしゃいましたように、本来の年金は十年年金以上でございますけれども、いろいろなことで五年年金の特例的な年金を設けたわけでございまして、十年年金を設けたら、もう五年年金も通算の対象にすべきであるという御意見については、申しわけございませんが、なかなかこの場で、わかりましたという御返事がしにくいわけでございます。
  177. 上西和郎

    ○上西委員 はい、わかりましたという返事ができない、それはそれなりにわかります。ただ問題なのは、十年年金と五年年金を二つ並べて国民に選択を迫ったんじゃないでしょう、厚生省は。十年年金でいった。しかし結果的に、市町村末端までの周知徹底にアンバランスもあり、強い国民の要望にこたえて特例中の特例、五年年金を設けた。そうであるならば、五年年金を通算対象にして何が悪いのですか。私は極めて素朴な国民の立場からの疑問をぶつけているのです。しかし、ここで即答できないというなら結構です。十二分に御検討いただきたい、このことを強く要望をしておきたいと思います。  次は、今度新設される特別障害者手当、現在、例えば身体障害者の一級程度の方あるいは療育手帳のA1に相当する方々が、特別児童扶養手当の一級あるいは障害福祉年金の一級と福祉手当の併給は当然ありますね。ところが、今度この特別障害者手当が出る、そうすると障害福祉年金、特別児童扶養手当の一級ないしA1該当の方々はこれで救われると皆喜んでおった。ところが特別障害手当二万円、結構なんだが、何か給付に制限があるというのでありますが、支給を受けられない方方は一体どういう方なんですか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  178. 正木馨

    ○正木政府委員 ただいまお尋ねの特別障害者手当でございますが、今回の国年法等の改正の中で、特別児童扶養手当法の一部改正をやっております。福祉手当制度というものをなくしまして、新たに特別障害者手当というものを創設するわけでございますが、先生御案内のように、現在の福祉手当というのは主として障害福祉年金の受給者に出されておるわけでございます。現在の障害福祉年金の一級の給付水準というのは三万七千七百円でございます。その上に福祉手当一万五百五十円を出すということで、合わせまして四万八千二百五十円ということになるわけでございます。  この福祉手当の性格についてはいろいろの議論があるわけでございますが、現在の障害福祉年金と拠出制年金との間に、率直に申しまして格差がございます。そういう意味で若干の格差解消の働きもしておったわけでございますが、今回の年金法の改正によりまして、障害基礎年金というものが導入される。この障害基礎年金は、一級で申しますと六万二千五百円ということでございます。そこで、六万二千五百円ということで、福祉手当をプラスした水準を上回るわけでございます。  そこで議論がございまして、ここで福祉手当の使命は終わったのだという考え方もあったわけでございますが、障害者の専門家会議の議論の中で、福祉手当というものはなくなるのだけれども、日常生活において常時特別な介護を要するような重度障害者に絞って手当を出すべきではないかということで、特別障害者手当というものが出されたわけでございます。  そこで、くどくど申し上げましたが、特別障害者手当というのは現在の福祉手当を再編構築したもので、対象は絞りまして、そして重点的な給付を行うということと、それから、これまでは拠出制年金の受給者には出てなかったわけでございますが、これも常時特別な介護を要する方々には出そうということで編成をしておるということでございます。
  179. 上西和郎

    ○上西委員 じゃ、少し具体的にお聞きします。  私のところに再三文書で要請が来るのでありますが、国立療養所、これはハンセン氏病の療養所でありますが、そこの入所者の方々の中に一級障害、全盲、視力ゼロという方々が全国では数百名いらっしゃる。ところが、この方々が、伝え聞くところでは、現在の障害福祉年金一級プラス福祉手当が障害基礎年金の六万二千五百円になるけれども、特別障害者手当の支給対象にならない、こんなことはないと言って、涙ながらの手紙を僕は数十通今もらっているのでありますが、その辺はどうなんですか。
  180. 正木馨

    ○正木政府委員 先生の御質問趣旨はよくわかるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、今の福祉手当というのは、率直に申し上げまして、障害福祉年金の水準が低い、と言うと語弊があるかもしれませんが、拠出制年金と比べて水準が低い、その格差解消ということでございますが、今度の障害基礎年金というものは水準自体がずっと上がるわけでございます。そういう意味で福祉手当の使命を一つ果たしたわけでございますが、しかし、常時介護を要するような重度の障害者、重複障害者等はいろいろな介護を必要とします、そういった方々については、福祉手当が使命を終わったわけだけれども、特別障害者手当として措置をとりたいということでございます。  そこで、現在、長期入院されている方々とか施設に入っている方々につきましては、いわゆる介護の措置というものがなされるわけでございますので、これはあくまでも特別な重度の障害者に対する介護的な手当でございますので、従来よりも対象範囲は絞られるということは御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。
  181. 上西和郎

    ○上西委員 御説明はそれなりにわかります。  ただ、問題は、厚生省の所管なんでありますが、国立ハンセン氏病の療養所は医者が足りません、看護婦がどんどん減っています。定員は削られっ放し。いわゆる賃金職員がぐんぐんふえている。介護されているとあなたは簡単におっしゃるが、介護されてない患者がたくさん出ているんですよ、人が足りないから。正規の公務員で身分保障されている方々が減っていっているから。安易にそうお答えになると僕は怒りたくなるんですよ。国立療養所、とりわけハンセン氏病のそうした療養所の実態を社会局はもっときめ細かく確認をしてください。安易に、あそこは介護を受けているから外すなんておっしゃらずに、担当の皆さんもおいででありますが、ハンセン氏病の方々は終身退院できないのですよ。伝染も何もしない、治癒するとわかっていても、現実の社会の実態は、彼らは社会復帰不可能なんだ。現実にその大きなハンディがあるのに特別障害者手当を取っ外す。それは冷酷非情ですよ、局長。これは十二分に再検討いただきたい、このことを強くお願いしておきます。  次は、限られた時間でありますので、農林年金について少しくお尋ねしたいと思います。  農林年金は共済年金でありますが、兵役期間、陸海軍の軍人として戦った期間は通算される意思ありや否や、お尋ねします。
  182. 後藤康夫

    ○後藤(康)政府委員 お答え申し上げます。  この問題はかねてから上西先生御関心のあるところだと承っておりますが、兵役期間は恩給期間でございますので、国家公務員共済あるいは地方公務員共済、こういった制度におきましてはそれぞれの制度の期間に算入をする、そしてまた、その負担につきましても、恩給期間でございますので全額国庫が負担をしているということでございます。  先生のお尋ねは、農林年金の中で、兵役につかれた後、農協その他の農林関係団体につかれた方方で、かつ、恩給最短期間に満たないという方々について年金の通算の対象にならないというのは、砲煙弾雨のもとをくぐってきた方々の老後の保障という点でおかしいではないか、こういう御意見であろうと思いますけれども厚生年金、私学共済農林年金、いずれもその対象が民間でございまして、保険料なり掛金に応じた給付を行う社会保険制度といたしましては、こういった恩給期間たる兵役期間を通算して給付を行うということは、なかなか制度としては難しいというふうに私ども考えております。  したがいまして、この問題は、農林年金等の期間と通算するかどうかという問題として扱うことは難しいと存じますので、恩給の最短年限に達しない兵役の取り扱いにつきまして、戦後処理問題の一環として、所管大臣のもとで検討していただくべき問題ではないか。また、現在官房長官の私的諮問機関でございます戦後処理問題懇談会で検討されているというふうに伺っておりまして、先般御質問がありました後も、その御質問趣旨もお伝えをしているところでございます。
  183. 上西和郎

    ○上西委員 現在の局長のお答えは、現状の説明としては理解できます。  問題は、ここにおいての方々も御理解いただいていると思いますが、何か事がある、ずばり言って参議院選挙があるたびに、軍人恩給欠格者連盟なるものが組織され、千五百円から三千円の会費を全国津々浦々から徴収をしている。その繰り返しじゃありませんか。戦後は終わってないんです。最新鋭のジェット戦闘機を買うくらいなら、赤紙一枚で戦地で苦労なさった方々がどう救われているかということに目を向けるべきじゃありませんか。国家公務員地方公務員の職についた方だけは全部つないで国庫が保障する。民間の方は、国民年金厚生年金、私学共済農林年金を含めて一切ぶった切っている。こんな不公平が今日本の社会に大きく残されている。このことを御列席の皆さん、基本的に御理解ください。  まずこのことを厳しく申し上げて、私が訴えたいのは、大蔵大臣もお見えでありますが、農林漁業の年金に兵役期間三年か五年をつないで、その三年、五年の部分は総務庁の軍恩の予算の中から出しなさいと僕は言いたい。ジェット戦闘機を三機や十機削れば軽く出てくるお金です。厚生年金国民年金を含む民間に従業した方々、自営業の方々、難儀苦労し一命をなげうって戦った方々です。理由はどうあれ、日本のために、日本国民のために本当に生死をかけて戦い抜いた方々が、ついたのが民間だったからだめだ、これがまかり通っている。  先ほど来言いますように、国家公務員の方、地方公務員の方が立派にお仕事なさっていることは百も承知の上で私は申し上げている。そして三年に一回、欠格者連盟という幻のような動きがあって、言うならば妖怪が日本国土をはいずり回って金を集めている。そして失望している。戦後処理、どうなっているんですか。私は大蔵大臣にあえて質問しようとは思いませんけれども、私は、こうしたことを中曽根内閣がばっちりと全体的な視野で取り上げて、そうして改善されることを強く要求しておきたいと思います。  あわせて、局長、もう一点お尋ねしますが、障害年金の給付をなぜ在職中からなさろうとしないのか、このことです。
  184. 後藤康夫

    ○後藤(康)政府委員 お答え申し上げます。  農林年金制度は、農林漁業団体の役職員を対象にいたしました相互扶助事業でございますので、この給付につきましては、障害年金も含めまして、従来から、その職域から離脱することを要件としているということで制度が仕組まれているわけでございます。  厚生年金の障害年金と違うではないか、恐らくこういうお尋ねだと存じますが、確かに厚生年金の場合は、障害のまま在職をしているあるいは障害のために退職をしてまたほかの会社に就職をする、そういった場合も支給されることになっておりますけれども、これはいずれの場合にも、こういった場合に、特に民間の場合でございますと、障害のために給与が相当低位なものになると考えられるということが実質的な理由なり背景になっているというふうに承知をいたしております。  農林年金制度の場合には、先ほど申し上げましたように、各共済制度共通の仕組みとしまして退職を給付の要件といたしておりますので、障害年金に限らず、退職年金についても在職中の給付は行われないということになっているわけでございます。そういう制度の仕組みということで御理解をいただきたいと思います。したがいまして、この障害給付のような共済独自の問題につきましては、やはり各共済制度共通の課題として検討すべきものではないかというふうに考えておりまして、今後の検討の中でまた考えてまいりたいと思います。
  185. 上西和郎

    ○上西委員 局長の実情の御説明はそれで正しいし、わかるのです。  問題は、兵役期間は通算されぬのでしょう、同じ共済年金でありながら。悪い方はそんなものを押しつけられておいて、片一方をやろうとすれば、それは共済年金だからだめだ、こんなむちゃな話はないですよ。農林漁業団体で働いている全国四十八万人の役職員の方々。僕はこの一年間でも、農協一人、酪農一人、農業共済一人、三人のお世話をしましたよ。倒れた、人工透析だという方々を。これが完全な厚生年金なら障害年金をもらえるのにと、気の毒なんですね。農林年金はかつて厚生年金だったのだ。そうした特徴を生かしながら、兵役をつながないなら、障害年金を在職中から払うぞ、これくらいの毅然とした態度で、農林水産省は大蔵省その他とけんかしてくださいよ。そして加入者の利益を守っていただきたい。こういう要望を付しておきます。  最後に一つ、遺族年金の給付に当たっての所得制限について、御説明いただきたいと思います。
  186. 後藤康夫

    ○後藤(康)政府委員 御説明を申し上げます。  遺族年金につきましては、生計維持認定基準というものがございまして、これによりまして、配偶者は、死亡した組合員であった者の収入によって主として生計が維持されていた者であって、次のような条件を満たしている者ということになっておりまして、一つは健康保険等において被扶養者として登録されていること、それから勤務先から支給する扶養手当の支給対象者になっていること、三番目には納税申告上扶養家族として申告をされている、それから死亡した組合員の所得の額以下の所得である場合、それからまた、死亡いたしました配偶者たる組合員の所得の額以上の所得であっても、その額が二百四十万円以下である者につきましては対象になる、こういうふうになっております。
  187. 上西和郎

    ○上西委員 問題は、その最後の二百四十万なんです。年収二百四十万以上あれば遺族年金の給付は今されないのですよ。こんなばかなことがありますか。厚生大臣以下おいでだが、児童扶養手当法の改悪がさきの国会でありました。継続審議になりましたが、あんな悪い法案は廃案になった方がいい。しかし、あの児童扶養手当でさえと、あえて言いましょう。現行の無拠出の児童扶養手当、年収三百六十一万以下なら支給されるのです。それを、拠出してきた農林年金の遺族年金は二百四十万以下でなければ支給されない。こんな矛盾がどこにありますか。まさに、今の公的年金制度における目に見えない隠された一つのハンディではないでしょうか。こうしたことは、他の共済等もいろいろあるでしょうが、大蔵大臣もお見えでありますから、国家公務員地方公務員、私学、それらと十二分に連携をとりながら、きちっとした社会的レベルに改善をされるように。私の調査したところ、とりわけ公立学校は年間所得五百四十万以下なら遺族年金支給、こうなっておるはずです。だから、全体を見きわめてこうしたことをやっていただきたい。  このことを私があえて申し上げましたのは、冒頭申し上げたように、七つある公的年金制度間では今私が挙げただけでも幾つか出てくる。時間がないのできょうは随分カットしましたが、まだまだ幾つかの大きな矛盾、不公平が隠されている、残されているのです。賢明な局長以下は皆知っている。それを故意か偶然が、審議会で議論されなかったからほっぽっておいて、改定法案だけ急ぐから、私はここで質問に立たざるを得なかったわけであります。  本日、私が申し上げたことを十二分に御検討いただき、そうして、国民すべてが納得をし理解をし、それに協力できる年金改定法案の施行、そのことを目指し、大臣以下の皆さん方の奮励努力を心から期待をし、御質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  188. 戸井田三郎

    戸井田委員長 坂口力君。
  189. 坂口力

    ○坂口委員 まず最初に、厚生大臣には初めて質問をさせていただきますので、大臣の御就任を心からお祝いを申し上げたいと思います。初めがよいと後ほどだんだん悪くなりますので、ひとつ慎重にお答えいただきたいと思います。  けさからのいろいろの討議を聞いておりまして、まだなお、はっきりわかり切らない基本的な問題がございます。それは、今回発表になりました法案、これは各種年金の統合化へ向けての第一歩なのか、それとも統合化するかどうかはわからないけれども一とにかく第一歩を踏み出したものなのか、それともこれは今度の一元化のままで、将来このままで進むというものなのか。この三つに分けて私、申し上げましたが、大臣のお考えは一体この一、二、三のうちのどちらにおありになるのかということをまずお聞きをしてから、質問を開始したいと思います。
  190. 吉原健二

    吉原政府委員 端的に申し上げますと、私ども年金制度統合一元化に向けての第一歩だというふうに思っておるわけでございます。
  191. 坂口力

    ○坂口委員 大臣もお考えは全く同じでございますか。
  192. 増岡博之

    増岡国務大臣 ただいま御説明申し上げたことと同様でございます。
  193. 坂口力

    ○坂口委員 今さら私が申し上げるまでもなく、昭和五十年の八月でございましたか、厚生大臣の私的諮問機関でございます社会保障長期計画懇談会、ここがこの年金制度の問題を取り上げまして、「今後の社会保障のあり方について」ということで、「制度間の不合理な不均衡を縮小、是正する方途を考える必要がある。」こういう提言をいたしまして以来、多くの提言がなされてきたわけでございます。  この最初の提言にもございますし、また以後の提言におきましても、既存の制度の枠組みの中で実施するには限界がある、枠組みの改革についても検討すべき時期に来ているということを再三提言をされてきたわけでございまして、そうしたものを踏まえて、今回のこの法案に結びついてきたのではないかというふうに私も考えております。  しかし、今回の法案を見ます限り、確かに基礎年金という一都共通した部分はでき得ましたけれども、年金支給年齢は六十歳と六十五歳というふうに、依然として格差が存在をする。あるいはまた所得比例部分も、今までの厚生年金のところとそれが存在しない国民年金のところとが依然としてこのままに残っている。それから基礎年金に対する保険料を見ましても、ここにもまた格差がある。こうした点を見ますと、悪く言いますと、やはり今までの制度の格差はそのままに温存をしながら、表面的に一元化したふりを見せた法案であるという感じもなきにしもあらずでございまして、したがって、私は、今このことを一番最初にお聞きをしたわけでございます。だから、これは統合化への改革の一里塚であって、第一歩であって、これからいよいよ本格的な統合化に入っていくのだ、こういうお考えならば、私はそれなりにこの法案をいただくことができるわけでございますけれども、いや、これはその先のことは非常にもうあいまいもことしていて、霧の中であるというお考えならば、私はこの法案にいろいろの注文をつけなければならない、そういうことを実はまず最初にお聞きをしたいわけでございます。  今申し上げましたことにもしもコメントしていただくことがありましたら、お願いをいたします。
  194. 吉原健二

    吉原政府委員 今回の改革は、年金制度全体の統合一元化に向けての重要な第一歩でございまして、私ども、各制度共通のあるいは言いかえますと全国民共通の基礎年金を設ける。その基礎年金につきましては、支給要件、支給開始年齢、拠出要件、それから負担、すべて公平になるわけでございまして、基礎年金につきましては全く一律の同じ制度が、等しい制度ができる、こういうことになるわけでございまして、年金制度全体が完全に一元統合化されたということは、率直に申し上げましてまだ言えないわけでございますが、これは今回の改革というものを第一段階としまして、第二段階、第三段階の統合一元化に向けての措置、努力をいたしました上で、昭和七十年度までに完成をさせたいという大きなスケジュールを持っておるわけでございます。
  195. 坂口力

    ○坂口委員 今回の法案を拝見いたしますと、二階建てになっております中で、一階部分が非常に低くて、そして厚生年金の方はどちらかと申しますと、二階の方が今のところは大きくなっているわけであります。私ども昭和五十年あるいは五十二年にかけまして年金問題をいろいろと検討いたしましたときにも、この二階建て年金制度というものを考えたわけでございますが、それは先ほども指摘をいたしましたように、これは統合化をいたします一つの過程として、一時期にそうせざるを得ないということで、その二階建て制というものを考えたわけでございます。そしてそのときにもいろいろと問題になったわけでございますが、できる限り一階を高くして、二階はプラスアルファ、小さなものにしなければならないであろう、そのことを一生懸命考えたわけでございますけれども、今回のこの案を拝見をいたしますと、とにかく一階は非常に低くて、二階の部分が非常に大きくなっている。一階と二階のこの関係も、将来におきましては、一階部分をより大きくしていくという努力をしようというふうに思っておみえになるのか、それとも、一階と二階の関係はまあこんなものだ、これ以上一階部分は大きくはできないのだというふうにお考えになっているのか、その辺をもう一度ひとつお答えをいただきたいと思います。  それから年金の支給開始年齢、六十歳と六十五歳でございますが、これは願わくは六十歳からに統一をしていただきたいと私は思いますし、その日が一日も早いことを期待するわけでございますけれども、これもやはり統合しなければならない一つの問題でございます。  それから、基礎年金に対します保険料でございますけれども、これは国民年金の方は、五十九年度価格で六十一年の四月から六千八百円ということでスタートするわけでございます。それから厚生年金の方は、平均のとり方はいろいろございますが、現在厚生年金を受けておみえになります被保険者の平均標準報酬月額が二十万七千七百円、これは厚生省の方からいただきました数字でございます。もしこれが正しいというふうに仮定をいたしますと、その三・三%、これがいわゆる基礎年金部分になるわけでありますから、そういたしますと、これの三・三%ということになりますと、これが六千八百五十四円ということになります。その半分は、労使折半でありますから使用者が負担をいたしますので、その半分ということになりますと、三千四百二十七円ということになるわけでございます。  数字の出し方はいろいろあろうかと思いますから若干の違いはあるといたしましても、実際に個人が払わなければならない金額からいたしますと、今まで国民年金でありました方は六千八百円、そして厚生年金の方でありました部分は三千四百二十七円と一応なるわけでございます。  制度間のいろいろの問題がございますし、私は決してこの厚生年金の方がもっと出すべきだということを申し上げているわけではなくて、それなりに大変でございますが、それ以上に国民年金の側は、出す個人としてはより大変になるということがございます。この格差についてどのようにお考えになっているか。これはあわせてひとつ御答弁をお願いしたい。
  196. 吉原健二

    吉原政府委員 まず、基礎年金部分と上の二階建ての報酬比例部分の関係でございますけれども、今御質問の中で、基礎年金部分の割合が小さくて、二階建て部分の割合が大変大きくなっているではないかというお話でございましたけれども、私ども必ずしもそうは考えておりませんで、サラリーマンについて申し上げますと、将来、標準報酬月額の、つまり賃金の六九%の年金を出す。具体的には、現在の貨幣価値で十七万程度の厚生年金の年金額になるわけでございますが、そのうちの十万円を基礎年金として出そう、七万円を報酬比例部分として乗せようということなんでございます。サラリーマンでない、農業をやっておられる方とか自営業者については夫婦で十万円という水準になるわけでございまして、必ずしも基礎年金部分が報酬比例部分に比べて低いとか小さいというふうには私は今考えておらないわけでございます。  それから、第二番目の支給開始年齢の違いの問題がございましたけれども、私どもとしては、将来の年金の支給開始年齢は、考え方としていろいろございますけれども、大体考え方としては六十五歳に統一していく方向があり得るのじゃないかというふうに思っております。ただ、現在の時点において、定年制の状況でありますとかあるいは雇用の動向、現在の時点で一挙に六十を六十五にすることについてはいろいろ御議論もございますので、時期尚早であるというような考え方から、厚生年金については、六十から六十五までは厚生年金独自の給付として残すことにしている。基礎年金についてはあくまでも六十五から各制度通じて出す、そういった意味において私は統一性がとれているというふうに思っております。  それから、保険料負担につきましては、厚生年金の被保険者の保険料負担とそれから自営業者等の方の保険料負担、これはどちらが重いか軽いか、保険料の負担の仕方が違いますから、健保の場合でもそうでございますが、なかなか比較が難しいと私は思うのですけれども、今のこの新しい制度では基礎年金に必要な部分、必要なお金というものを、各制度の財源を拠出できる人、拠出対象者といいますか、拠出対象者の数に応じて負担をしていただくということになっておりますので、各制度間で見れば、いわば頭割りの負担、頭割りの基礎年金の財源負担ということになっておりますので、現時点で考えられる一番公平な負担なのではないかというふうに私は思っているわけでございます。
  197. 坂口力

    ○坂口委員 十七万の中で十万円が基礎年金だとおっしゃいますが、これは局長、今回の法律案は今までの法律案とは違いまして、一人一年金という基本的な物の考え方に立った今回のこの法案なんです。よろしゅうございますか。局長は今十七万で十万とおっしゃった。それは夫婦で十万の話でありまして、今回は一人一年金の法案なんです。局長の頭の中が今までの年金制度で凝り固まっておって、まだ一人一年金に戻ってないんじゃないか、戻ってないというよりも変わってないんじゃないだろうか、そんなふうに私は思いますが、これは一人、したがいまして、五万円なんです。十七万円の中で五万円を引くとしますと十二万円です。十二万円の中でこれは五万円。だから、これは決して一階の分が多いとは言えない。あえて指摘をしておきたいと思います。  それから、厚生年金の方の被保険者の平均標準報酬月額は先ほど申しましたように二十万七千七百円、それから国民年金の加入者の平均所得金額は二十万三千九百円、いずれも五十七年十月の調査のものでございます。したがいまして、現在は若干の違いがあろうかと思いますけれども、この両者の間でそう大きな隔たりはございません。中には非常に高いところと低いところ、それは山あり谷あり、それぞれございましょう。しかし、平均いたしますと、大体こうしてよく似た額になるわけでございます。  そこで、国民年金の加入者の方は、先ほど申しましたように六千八百円という金額になっていって、これは五年の間、三百円ずつ上がっていく。これは五十九年度で見まして六十一年四月に実施するわけですから、その六十一年、スタートするときに六千八百円かというとそうではなくて、六十一年度の貨幣価値に直しますと多分これよりは上がるんでしょう。そういたしますと、基礎年金部分に出しますところの公平さということがかなり違いがあると私は指摘をせざるを得ないわけでございます。確かに今までの制度の違いはございました。そして所得のいろいろの種類も違っておりますけれども、しかしながら、こうして一元化をしていこうという限りにおきましては、この辺のところもやはりもう少し一義的に考えていく必要があるのではないだろうか、そういうふうに今考えるわけでございますが、再度この点につきまして答弁を求めたいと思います。
  198. 吉原健二

    吉原政府委員 少し正確にお答え申し上げなければならないと反省しているわけですけれども国民年金の保険料、制度発足時、現在価格で約六千八百円でございますが、それ全部が基礎年金に充てられる金額ではございませんで、基礎年金に充てられる金額は初年度におきましては約五千五百円程度でございまして、残りは国民年金の独自の給付、寡婦年金とか死亡一時金という独自の給付があるわけでございますが、それに充てられるのと、いわば積立金にされて将来の給付に充てられるということでございます。厚生年金につきましては、厚生年金加入者に対する基礎年金給付、それを厚生年金の加入者でもって持つ、その金額が、保険料の中の、按分計算をいたしますと、今おっしゃいました現在の保険料率のうち、約三・四%が平均してそれに充てられるような計算結果になる、こういうことになっているわけでございます。  それからもう一つ、やはり自営業者に対する保険料の負担とサラリーマンに対する保険料負担を比較する場合に、いろいろ所得の把握、そういう根本的な難しさがあるわけでございます。所得の態様の違いあるいは把握の難しさ、それからもう一つ、社会保険の保険料につきましては、事業主負担があるかないかというようなことが、そういった最終的な保険料の金額に違いが出てくる一つの要素だろうと私は思います。その点も考えて、どちらの保険料負担が重い、軽いというのはなかなか一概に言えない問題があるように思っております。
  199. 坂口力

    ○坂口委員 寡婦年金等の問題は、国民年金の方も厚生年金の方もこれは同じでございまして、両方ともやはりそうした問題は含まれているわけでありますから、それをどう配分するかだけの問題ではないかというふうに思います。  それから、所得把握の問題が出ましたが、これはそれだけにかかわりましたら切りがないわけでありまして、一度また後で大蔵大臣から答弁していただきますが、今の自営業者の所得の把握が十分できていない、だから少々高くても当たり前だという議論が国会でまかり通るということになりますと、これは大蔵省あるいは国税庁は一体何をしているのかということになるわけであります。そこまで議論を発展させますとこれは大変重大な問題になってまいりますので、そこまではちょっと考えずに事は解決をしなければならないのではないだろうか、そんなふうに思うわけでございます。  この問題だけやっておりますと時間をとってしまいますので次に進みますが、私のきょうの質問のメーンになるところでございますけれども、そういうふうにして、今御指摘のように現在の法案だけを見ますと、所得比例部分が存在する部分と存在しない部分、これはある。そして、これは将来この辺も解決ができるのかできないのかということについて明確な御答弁はございませんけれども、もしも解決ができないということであるならば、国民年金に今まで入っておみえになりました皆さん方は、これは何らかの形で、例えば私的年金なら私的年金、それに自分で入るというような計画を立てていかないと、生涯計画というものは立たないわけでございます。  そこで、最近では、よく言われますように、生命保険会社の皆さん方が、国民年金に入っておったら将来どうなるかどうかわかりませんよ、それよりも私の会社の生命保険にどうぞお入りください、こちらの方が確かですよ、こういう話をするということがよく言われます。この私的年金を私、ずっと一覧表を見てみまして比較をしてみました。  その中で一番国民年金に近いものはないかと思って探してみましたら、これは別に第一生命からもらっているわけじゃございませんけれども、第一生命の長寿年金というのが実はございます。これは、一番わかりやすい例で申しますと、四十歳で掛金をいたしまして、六十歳まで二十年間掛金をするわけであります。そして、月々の払いますところの保険料は二万一千二百円、二十年間合計いたしましてこれが払込総額は約五百八万円になります。それで、国民年金の方は二十歳から六十歳まで四十年掛けるわけでありますが、その月払いの保険料が、先ほど申しましたように六千八百円でスタートをするのか、三百円足した七千百円でスタートするのか、よくわかりませんが、とにかく将来は一万三千円までいくということを言われているわけでありますから、ちょうど真ん中の平均のところをとりまして、一万円ずっと四十年間掛金をした、こう仮定をいたしますと、これで四百八十万円でございます。先ほど申しました第一生命の長寿年金の方が五百八万円でこちらは四百八十万、若干こちらは少のうございますけれども、大体よく似た枠取りでございます。  これで支払い額を見ますと、第一生命の長寿年金の方が年間六十万円、やはりこれは五万円ずつでございます。これに加えまして増額年金がございますが、これが聞きますと三十七万九千三百二十円、約三十八万円増額年金としてつく。さらに配当金といたしまして二十一万円つきます。合計をいたしますと百十九万円ぐらいになるわけですね。これが六十歳、六十二歳というふうに若干の違いはございますけれども、大体百二十万前後あるわけでございまして、大体これだけの数になるわけであります。  それで、片や国民年金の方でございますが、同じような四百八十万という枠組みの中で支払い額は六十万、しかし六十万の中で三分の一は国庫補助、税金が入るわけでありますから、そうすると、この預けました年金のお金そのものは四十万ということになるわけであります。そう考えられますね。まあ四十万ということになりますね。そういたしますと、片や四十万、片や百二十万ということになる。全部入れまして、この国庫補助も入れまして六十万、片や百二十万、こういうふうになるわけでございます。  これはあくまでも物価上昇率を無視した話でございますので、物価上昇がどれだけあるかということでございますが、例えば三%ずつずっと上がっていくといたしますと、二十年たちますと一・八倍になるわけでございます。その辺のところを勘定いたしましても、第一生命の二十年を掛金をいたしましたものの支払いと国民年金とを比較いたしまして、どうも国民年金の方が見劣りがしてならないと私は思うわけであります。これは運用の仕方にもかかわってまいります。まさか国の方は、利息が高いからといってサラ金に預けるわけにはまいりません。その辺は十分にわかっておりますけれども、しかし、どうもこの両方の間の差があるように思えてならないわけでございます。  したがいまして、この資金の運用面において、十分これがなされているかどうか、もう少し一考を要するところはないのかどうか。あるいはまた、この私的年金の方におきましても、私はこれは運用その他でもっと検討すべき問題があるんだろうと思います。そのことにつきましてはひとつ大蔵省の方から、現在のあり方、そして今後の改革の仕方、そうした面についてお答えをいただくとして、国民年金、あるいはこれは厚生年金も含めても結構でございますけれども、その資金の運用の仕方に問題がありはしないかどうか、この辺をひとつお聞きをしたいと思います。
  200. 吉原健二

    吉原政府委員 資金の運用についてお答えする前に、よく私保険と比較をされるわけでございますが、社会保障としての公的年金と、いわば貯蓄の形態、自分の積み立てしたものを二十年あるいは三十年後に受け取るという形の私保険では、社会保障の方は世代間の扶養という関係で、そのときどきの老後の生活というものを保障していこうということで、考え方が違いますし、それから、何といいましても、今五万円と言っておりますのは実は四十年後にどのくらいになるかといいますと、その間の四十年間の物価あるいは賃金、生活水準がどのくらいになるかによって大きく違ってくるわけでございますけれども、仮に賃金や何かが五%ずつ上がるとしましたら、四十年後あるいは四十五年後には五十万近い名目の価値になるわけでございます。  いわば公的年金というのは、大体今の実質五万円というのは四十年後、五十年後には四十万、五十万の金額を保障する。それははっきりその金額は言えませんから今の貨幣価値で申し上げておるわけですけれども、そういう性格のものと、私保険のように二十年後でも五万円あるいは十万円というものとは、もともと考え方からいって比較になじみませんし、私は比較をするのがどうかなという感じがしているわけでございます。  それから、御質問の資金運用の問題でございますけれども、御案内のとおり、現在の厚生年金国民年金の資金は積立金として資金運用部に預託をされているわけでございまして、その預託利子が、現時点におきましては年七・一%という預託利子で資金運用部にお預けして利子をいただいておるわけでございます。この資金運用のあり方につきましては、年金制度発足以来と言っても大げさでないと思いますけれども、できるだけ有利に運用するということと、拠出者の意向の反映、保険料を拠出した国民の意向をできるだけ反映した運営の仕方というものをお願いしてきているわけでございます。同時に、積立金でございますから、有利と同時に、国民の福祉に直接還元されるような分野への運用という、いわばその三つの基本的な考え方につきましてできるだけ実現を図りたいということで、大蔵省とも協議を進めてきているわけでございます。  今後とも、今後の年金財政の将来というものを考えますと、年金の積立金そのものの大きさというものはだんだん給付が大きくなってまいりますから減ってまいりますけれども、やはり将来の保険料負担が大変ということを考えますと、多少でもそれを緩和するためには積立金をできるだけ有利に回すということは、私どもの立場からいうと当然の要求でございまして、そういった有利運用と、それから被保険者の意向をできるだけ反映した運用ということにつきまして、現在もなお大蔵省と、できるだけそういった私ども考え方が入れられますように協議をしているわけでございます。
  201. 宮本保孝

    ○宮本政府委員 今、厚生省の方からお答えがあったわけでございますが、この年金のお金、これは実は郵便貯金とともに、国の制度であるとかあるいは信用を通じて集められてきました公的資金でございまして、これは現在、制度的には資金運用部資金に統合いたしまして運用しているわけでございます。  私どもといたしましても、資金運用部資金のあり方といたしまして、一つは、やはり財投という役目を果たさなくてはいけない。住宅であるとかあるいは中小企業であるとかいろいろな公的な運用を考える。これはできるだけ安く資金を運用したいという面がございますが、一方で、年金、郵貯等預託者の方の利益も十分考えなくてはいけないわけでございまして、この辺のバランスをどこでとっていくかということを考えながら、厚生省等とも御相談しながらこの預託金利を決めてまいってきたわけでございますけれども、臨調答申にもございますし、私どもといたしまして世、預託者の方の利益にも十分配意しながら、有利運用という点につきましては、公共性とのバランスをとりながら今後とも最大限の努力をしてまいりたい、こう思っております。
  202. 坂口力

    ○坂口委員 私的年金と公的年金との比較というものが非常に難しいことはよくわかっております。それは大変無理なことを承知をして実は私、比較をしているわけです。それは、私的年金ですらこれだけのことをやっておるじゃないですか、だからひとつ公的年金はもう少し頑張らなければいかぬということを申し上げておるわけです。  だから、物価上昇の問題も私は三%の上昇を仮定して先ほど申し上げたわけで、その物価上昇を見込んでも、なおかつ、私的年金の方に何となく軍配を上げたいようなところがある。そのほか、私的年金は、例えば掛金をしておりますうちに亡くなったりいたしますと、掛金をした分だけは全部返しますとか、あるいはまた給付を受けるようになりまして亡くなりました場合には、残りの分を一括して渡すとかいうようなこともいたしますけれども。片や公的年金の方は、ほんのお涙金だけというようなことになるわけでありまして、だから、その辺のところを比較いたしましても、決して公的年金がすぐれているとは言いがたいような現状ではないか。だから、生命保険の外交員の皆さん方がたまにそういうことをおっしゃったとしても、まんざら外れていることではないとも思えるような感じを私も受けたものでございますから、あえて申し上げたわけです。  私がこれを申し上げた理由は何かと申しますと、今回のこの五万円、いわゆる基礎年金額の算出根拠なるものを厚生省がお示しになりました。その中で一カ月に対します四万七千六百一円という厚生省の試算が出ております。これを見ますと、保健医療費、それから交通通信費というものはゼロになっているわけなんですね。これは、あるいは私の方の議員が既に指摘をしたかもわかりませんが、大蔵省がお出しになった試算でありましたら、大蔵省またごまかしたな、こう思うわけであります。しかし、厚生省がお出しになったものに保健医療費もゼロ、交通通信費もゼロ。また、この一、二年医療保険の改定その他がありまして、一部負担をしなければならないということが通ったやさきであるにもかかわらず、保健医療費はゼロ、厚かましくもゼロ、こうなっておるわけです。もしその辺が、七十歳以上はこれは医療費は見ております、大体それで見ておりますということをもう百歩譲ったといたしましても、交通通信費はかかるわけでございます。この辺の算出根拠というものに非常に大きな誤りがあるということを一つ指摘をしたいわけでございます。そうしたことをまずひとつお答えをいただきながら、次の質問に移りたいと思います。
  203. 吉原健二

    吉原政府委員 よく御質問を受けるわけでございますが、私どもの答弁もあるいは説明不足の面もあるのかもしれませんが、基礎年金考え方というのは、私ども考え方ですと、老後の生活費を一切賄えるものじゃないといかぬ、何もかもあらゆる費用を一切賄えるものでないと年金とは言えないのだ、あるいは基礎年金に値しないのだという考え方は実はとっておりませんで、基礎年金というのはあくまでも老後生活の基礎的な部分を保障するという考え方をとっております。  その一つの参考といたしまして、全国消費実態調査から、六十歳あるいは六十五歳以上のお年寄りの方が一月にどのくらいな生活費を支出しておられるかということを調べまして、いわば衣食住を中心にした、その統計では保健衛生費というのは雑費の分類に入っているわけでございますが、衣食住を中心に、光熱費なんかを含みますけれども、そういった基礎的な生活費はどのくらいかかっているだろうか、それをもとにして五万円というのを考えたということと、それからよく比較されます生活保護の基準、この生活保護の基準といいますのも、級地によって、あるいは世帯員構成、それから年齢、それから住宅扶助をどうするかあるいは教育扶助をどうするかによってかなりの違いがあるわけでございますけれども、そういった生活扶助の基準なども勘案をして、大体五万円なら生活保護の基準に見合う、まあ計算によっては生活扶助の方がもっと高いというのが確かに出てくるわけでございますけれども、大体五万円程度でしたら生活扶助の基準ともまあまあバランスのとれた金額ではなかろうかということを考えまして、基礎年金の金額としては五万円ということを考えたわけでございます。あくまでも年金というのは、生活費一切ということじゃない、その基礎的な部分ということでございます。
  204. 坂口力

    ○坂口委員 算出根拠も大ざっぱなら、答弁も大ざっぱでございます。まことに大ざっぱ。  大臣、我々は、基礎年金部分としまして五万円というのは、いろいろ根拠を今おっしゃいましたけれども、しかし、少なくとも厚生省が出されたものにさらにプラスをして、保健医療費並びに交通通信費ぐらいはこれに加えなければならないだろう。先ほど局長さんのお話にもありましたように、私たちも、年金というものがすべてを賄い得るものであるならばそれにこしたことはございませんけれども、現在の財政事情その他から考えましたときに、それは不可能であろうということは十分にわかっているつもりであります。そのことをわかった上で、なおかつ、この五万円というのは私たちには異議があるというふうな意味で、若干ではありますけれども、五万五千円、何とかその辺のところまではスタートでいかないだろうか、こういう案を修正案として出しているわけでございます。  それに対して私は大臣のお考えをひとつお聞きをしたいわけでありますが、大臣としては、どうしてもその辺のところまでいきたいと思うけれどもやはり大蔵省がうんと言ってくれぬと、遠慮なしに、ひとつその辺がございましたらはっきりと物を申していただきたい。あとは竹下大蔵大臣が控えておりますのでそちらの方に質問をいたしますから、どうぞひとつ、その辺のところのお考えをお聞かせをいただきたい。まずお聞きしておきましょう。
  205. 増岡博之

    増岡国務大臣 先生御承知のとおり、年金は給付と負担と両面から考えていかなくてはならないわけでございます。したがって、給付は多い方がいい、負担は少ない方がいいということは世間の情としてはわかりますけれども、しかし、私どもは、これから先かなり長期にわたって安定をさしていかなければならないという観点から、現在の金額の算定に落ちついたわけでございますけれども、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  206. 坂口力

    ○坂口委員 先ほどちょっと落としましたが、厚生省の方へ、国民年金をお受けになっている皆さん方の医療費の問題をお聞きしようと思いましたが、お越しになっておりますか。
  207. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  一番新しい公表されたデータとしましては、五十七年度の国民医療費、これをもとに申し上げるのが一番正しいかと思います。  七十歳以上、一年間で四十二万円でございます。七十歳未満の方は八万一千円ということになっております。(坂口委員「それは自己負担分ですか」と呼ぶ)いや、医療費でございます。自己負担分は、五十七年度はまだ老人医療費の無料化の時代でございますのでこれはわからないわけでございますが、七十歳未満の方の一年間の医療費が八万一千円でございまして、各制度これは込み込みになっておりましてその内訳はわからないわけでございますが、その当時の各制度の平均給付率が八三%でございますので、その残りの一七%が平均的な自己負担額ということになるわけでございまして、八万一千円掛けることの一七%というのは年間一万三千七百円、こういうことになろうかと思います。  なお、現在老人保健の一部負担金は、御承知のとおり、外来一月四百円、入院が二カ月に限り一日三百円、こういうことに相なっております。
  208. 坂口力

    ○坂口委員 今の数字はよくわかりませんけれども、とにかくゼロでないことは確かでありまして、それだけお年寄りの皆さん方に、衣食住のほかにはっきりとした数字があることは事実でございます。だから、この医療費なんというのは、衣食住と同じものあるいはそれ以上のものでございまして、まあ、基礎年金といいます場合に、少なくとも医療費ぐらいは積算基礎の中に入れておくのがしかるべきではないだろうか。まあ、しかし、幾ら言っておりましても、これはなかなからちが明きませんので、時間が迫ってまいりましたので、大蔵大臣、大変お待たせをして申しわけございません。  それで、年金間格差と先ほどから言っておりますが、いわゆる国民年金の側の人たちが将来の設計といたしまして、現状の原案でございますと、その基礎年金プラス個人年金という形で将来設計をこれから立てざるを得ない状況にあるわけでございます。そこで、でき得る限りこの個人年金の育成ということについて、これは大蔵省としてはやはり考えていただかざるを得ないだろう。個人年金につきましても、いろいろの税制問題等がございまして、そして所得税あるいは相続税、いろいろな形のものが実はあるわけでございますが、これはいろいろの商品によりまして一概に申せません。申せませんが、このプラスアルファの個人年金、少なくともいわゆる現在の厚生年金側のこの二階建ての部分に当たるぐらいの私的年金、その辺につきましては、税制上の問題等について、これは多分の配慮が必要ではないだろうかと大枠の問題といたしまして考えておりますが、ひとつ大臣のお考えをまずお聞きをしておきたいと思うのです。
  209. 角谷正彦

    ○角谷説明員 個人年金につきましては、五十九年度税制改正におきまして、今御指摘の老後の自助努力とか、あるいは老後生活におきますところの相互扶助、そういった問題から、新たに一定の要件に該当します個人年金等につきまして、従来の生命保険料控除とは別枠で、年五千円という所得控除を認めたわけでございます。  そこで、今御指摘の問題でございますが、午前中も大臣から御答弁ございましたように、税調の中期答申におきましては、我が国の公的老齢年金自体につきまして、現在の段階におきましては、給付開始年齢であるとか、あるいは給付の水準でございますとか、あるいは受給者の単位がそれぞればらばらである状況等から見ますと、現在の段階で新たな課税の仕組みについて検討する状況にはないわけでございますけれども、今後公的老齢年金制度全体の見直しと並行しましてさらにこれを検討すべきである、こういう御指摘を税制調査会からもいただいておるところでございます。そういった公的年金の見直しに当たりましては、今御指摘の個人年金あるいは企業年金、そういったものにつきましても、公的年金とバランスも図りながら、また、個人年金等につきましては、他の貯蓄手段とのバランスというものも考える必要があるかと思いますけれども、そういった点を含めまして年金税制のあり方を幅広く勉強してまいりたい、こういうように思っております。
  210. 坂口力

    ○坂口委員 多少前向きな御答弁だというふうに思いますが、ぜひひとつその辺の整理というものをしていただいて、全体の政策として見ました場合に、今までの国民年金厚生年金の両方の受給者の間のバランスがとれるように、この辺のところの配慮をぜひお願いをしたいと思うわけでございます。  大臣から何かございましたら、ひとつ……。
  211. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今、税制の問題につきましては、従来生命保険控除五万円、それに今年度税制、今歩いておるところから、いわゆる個人年金等の問題、いろんな議論の末五千円――五千円の額は少ないじゃないか、こういう議論もございますが、私は、初めてとった制度であって、この問題は今後の推移を見なければならぬ課題だと思います。  それからいま一つは、いわば公的年金と貯蓄性を前提にした私的年金との性格の差はございますものの、国民の受ける感覚の中で、それが非常に公平感を与えるような感じでもって物を運んでいけという御趣旨そのものは、私も否定いたしません。
  212. 坂口力

    ○坂口委員 最後に、税制に絡みまして、最近では一時払い養老保険と申しますか、一時払いのものがございます。これは詳しくやっております時間的ゆとりがございませんが、今回、税調等でもこの問題に対する課税が検討されているというようなニュースも流れてくるわけでございますけれども、先ほどから申しましたような背景もこれあり、特に年金生活者と申しますか、いわゆる公的国民年金プラスアルファにこういったものを使用するというようなところにつきましては、この一時払い養老保険といったような商品につきましてはひとつ格段の配慮をお願いを申し上げたい。こういったところにまで課税が及んでまいりますと、それこそ生きがいをなくしてしまうということになりかねませんので、あわせてこの件をつけ加えておきますので、大臣の所見をお伺いしまして最後としたいと思います。
  213. 角谷正彦

    ○角谷説明員 今御指摘の一時払い養老保険でございますが、これは現在、要するに、加入するときに保険金を全額払い込むということで、期間五年のものから実はあるわけでございまして、この課税上の扱いは、現在では一時所得ということで五十万円を特別控除することになっておるわけでございます。ただ、実際問題としての形態は、今御指摘の年金というよりはむしろ貯蓄性ということを売り物にしていろいろ売られているという状況でございまして、死んだ場合にはもちろんもらえるわけですし、死ななくても、満期になりますとその一定金額をもらえる。しかも、それが五年とか七年とか、非常に長期の年金性というよりはむしろ貯蓄性の形態をとっているケースが多いというふうなことから、これをいわゆる一時所得として五十万控除の対象にしたらいいかどうか、それが他の貯蓄手段との課税上のバランスからいって妥当であるかどうか、そういった問題につきましては現在税制調査会において検討している最中でございます。そういった商品の実態等をにらみながら、この課税問題について決着をつけるべき問題と考えております。
  214. 坂口力

    ○坂口委員 ぜひ、この一時所得から雑所得にしないようにお願いを申し上げたいわけでございまして、時間が参りましたのでこれで終わりますが、どうかひとつ、そうしたあらゆる角度から、全体としてのバランスが崩れないような総合的な政策に取り組んでいただきますことをお願いをいたしまして、きょうの質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  215. 戸井田三郎

    戸井田委員長 武田一夫君。
  216. 武田一夫

    ○武田委員 まず最初に、大臣にお尋ねをいたします。  この年金法の改正、非常に国民の注目するところでございまして、よりよき内容で早くこれはひとつ実現してほしいというわけでございます。私たちは、この問題につきまして、党としまして政府が提案されました法案についての修正を求めまして提示してありますが、お読みになっていただけましたか。
  217. 増岡博之

    増岡国務大臣 拝見いたしました。
  218. 武田一夫

    ○武田委員 御見解、御所見、読んでどうお考えになられたか。その点ひとつお聞かせ願いたい。
  219. 増岡博之

    増岡国務大臣 私どもは、従来からこの法案提出に際しましては各方面の意見を聞き、最良のものであると思って御提案申し上げておるわけでございますけれども、現在その問題につきまして与野党の間でいろいろ折衝をお持ちのようでございますから、その結果を踏まえて判断をさせていただきたいと思います。
  220. 武田一夫

    ○武田委員 我が党としましては、従来この年金の一元化、そして二階建て年金の導入ということを主張してきましたし、そういう方向への形として政府も踏み切ってきたということは、それなりに評価するわけであります。昭和五十一年、我が党が福祉社会トータルプランでこれは既に提唱しておる問題でありますし、その構想に歩み寄ってきたような気がしているわけであります。  しかし、私たちが修正を求めた内容、十六項目でございますか、あったわけでありますが、私たちは、この政府案の中に、無年金者をなくして、そして国民がひとしく、老後において健康で文化的な最低生活を営むための恒久的な年金制度を確立するという基本年金導入の基本理念が十分に反映されていないということを申し上げて、それはどういうところにあるかということを提示したわけです。これもよく読んでいただいておわかりだと思うわけであります。  そこで、その修正の要求をしているわけでありますが、やはり大きな、大事な改定のときでございますから、これから何回もかけていろいろと手を加えていくなどという、そんな面倒で、また悠長なこともできない。それほど日本はもう高齢化社会です、文字どおり。こうなりますと、国民が本当に望む方向での法案として提示をしてほしいという願いを込めて、二、三、大臣にまずお尋ねをいたします。  一つは、私たちは、この基礎年金の額五万円はこれはとても最低生活も維持できない水準である、せめて五万五千円程度はという一つ内容を提示しております。この点について大臣はどういうふうに考えていますか。
  221. 吉原健二

    吉原政府委員 基礎年金の額の水準についてのお尋ねでございますけれども、先ほども申し上げましたように、私どもとしては、老後生活の一切ではないけれども基礎的部分、基本的な部分はこの基礎年金で十分賄える額である、こういうふうに思っているわけでございます。  生活扶助の基準とよく比較をされますけれども、それと比較をいたしましても、老人単身者の生活扶助基準が四万五千円ないし五万円ちょっとという金額、級地によって、年齢によって違いはございますけれども、大体そういった額になっておりますので、それと大体見合う金額ではなかろうか、私どもはそういうふうに考えているわけでございますし、これからの年金の水準、額を考える場合に、負担との関係、そういった年金を将来とも維持していくために必要な保険料負担との関係考えますと、仮にもっと年金を上げるということになりますと現在予定している保険料負担をさらに上げなくてはならない、こういうことになるわけでございます。今の国民年金の保険料、六千八百円で出発をし将来一万三千円ぐらいまでになるというこの保険料負担を、もし年金の額を上げるということになりますとさらに上げる、むしろ無年金者が出る心配がある、むしろそちらの方を私どもは心配をしておるわけでございます。
  222. 武田一夫

    ○武田委員 基礎的部分を賄える、こういうことを何回も言っています。具体的にはどういうものをこの中に含んでいるのか、ひとつこの際、細かに提示してもらえればありがたいのですが……。
  223. 吉原健二

    吉原政府委員 老後生活の基礎的部分というのは具体的にどういうものをとったのか、参考にしたのかという御質問でございますが、総務庁、当時の総理府でやっております全国消費実態調査によりますと、生活費というものを大体次のような大きな五項目に分けているわけでございます。食料費、住居費、光熱費、被服費、雑費、それで合計ということになっておるわけでございまして、そのうち生活の基礎的部分ということになりますと、食料費はむろん入ります。食料費、住居費、光熱費、被服費、いわゆる衣食住が基本とよく言われますけれども、その衣食住に光熱費を加えたもの、それを私どもは拾いまして、それに充てられている金額が、全体で大体七万二千円でございますけれども、雑費の分が三万一千円になっておりますので、それを除いて、現在水準に換算すると、四万七千円程度という金額を念頭に置いて五万円というものを決めたわけでございます。
  224. 武田一夫

    ○武田委員 年金というもの、特にこの基礎年金ですね。私は、国民の最低生活を保障するという中には、老後の保障として大事なのは、やはり文化的で健康な生活を営むということがあるわけですね。  最近のお年寄りの実態、御存じでしょうか。私はかつて中国へ行きました。万里の長城で、年金をいただいて六十五歳の方と六十七歳の方が夫婦で元気に、楽しみに毎年のように来て老後を楽しんでいるという話。年金はありがたいと言っていました。最近、ゲートボールをやりまして、皆健康で本当に長生きを謳歌している。こういう方々が、今はうちにじっとしていないで、あっちこっちに行くような時代なんです、一例を挙げると。  先ほどうちの坂口議員が、おたくの方の試算の中には保健医療費も交通通信費も入ってないという指摘をしましたね。特に交通通信費というようなものは、やはり活動範囲が広くなっているし、また、健康であればそういう状況の中で人生を楽しませてあげたいということを考えれば、当然必要なものの一つの要素ですね。何でこういうのがこの中に入れられないのかということです。家にじっといてテレビでも見てなさい、食って、立って、寝て、これがそういう中身なのかどうかということなんです、問題は。その点はどうなんですか。
  225. 吉原健二

    吉原政府委員 老人の方の実際の生活の中に、今お話しのございました保健医療費だとか交通通信費、それから雑費の中にはそのほかにも交際費だとか教育費だとか教養娯楽費、いろいろございますけれども、そういった経費というものが要るということは、私どももそれは当然でございます。  ただ、これは一般の老人の方は平均してどのくらいを生活費全体に使っているか、そういう中の内訳でございまして、では、年金としての金額はそういったもの全部を年金として出すようにしなければ一体年金と言えないのかということになりますと、私ども考え方はそうではございませんで、その辺がまた生活保護と違うわけでございます。生活保護の基準というのは、一切のものがそれで賄える、少なくとも最低の生活ができる、こういうものでないと、生活保護というものは生活保護たる役目といいますか、機能を果たせないわけでございますけれども、年金の場合には必ずしもそうじゃございませんで、やはり一般の生活費の大部分、基礎的なかなりの部分をこの年金で賄える、そういったものでよろしいんじゃなかろうか。特に、これからの年金水準を考える場合に、生活費にどのくらいかかるかということ以外に、保険料は一体どのくらい必要なのか、そういったものを長期的に考えない限り給付水準というのは決められない。それから、よその国で基礎年金、それから報酬比例年金という二階建ての、ちょうど今度の年金改革と同じような構想を持った年金を持っている国がございますけれども、そういった年金のいわば基礎的な年金、基本年金の水準と比べましても、月額五万円、夫婦で十万円という水準は、私ども実は決して低いと思っておりませんで、むしろ、よその国に比べてもどちらかというとまだ高いというのが実際の姿なんでございます。
  226. 武田一夫

    ○武田委員 随分確信のある堂々たる答弁で恐れ入るのですが、民間の研究機関の調査などを見ましても、例えば世帯主が六十歳以上の夫婦の老後に必要な生活費というのは、月額二十一万円というふうに調査の中から出ているわけです。そのほかに趣味とか不時の出費が大体十万円くらい、それで三十一万円だ。これは私はちょっと高いと思うけれども、そういう生活必要費というのは二十一万円要るというようなことを考えると、これからどんどん生活水準というのは上がっていくはずだと私は思うのですよ。現実には上がっていますよ、いろいろ身の回りを見ましても。そういうことを考えますと、今のようなことでは私はちょっと納得いかない。そういう実態をもっと調べた上での対応が必要だと思う。  それじゃひとつお尋ねしますが、今、全くの無年金者というのは日本に何人くらいいるのか、その実態をちょっと聞かしてもらいたい。
  227. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  無年金者でございますが、これはそれぞれの各公的年金から年金給付を受けられない方々ということになるかと思うのでございますが、国民年金の第一線の仕事をいたしております市町村におきましては、他の公的年金共済等の加入の状況等につきまして、公簿等によりまして確認する手段を持っておらないわけでございます。したがいまして、市町村から全体として調査をいたしますと、現在のところ、先生質問の年金権に結びつかない者がどれほどおるかということについては、確実な数字は得られないという状況でございます。
  228. 武田一夫

    ○武田委員 それは問題でしょう。無年金者を救済するという一つの大きな問題を抱えているのでしょう。それなのに、どのくらいいるかわからぬということで、こういうような重要問題をいろいろとそちらなりのお考えでやるというのは、ちょっとどんぶり勘定みたいな感じですな。今、確認する手段がないと言われたが、ないはずはありませんよ。もっと手を、時間をかけて、市町村等々にお願いをしながら、できないはずがないと私は思うのですが、できないでしょうか。どうですか、大臣
  229. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  無年金者という概念でございますと、現在の老齢年金の受給年齢に達しておられない方も含めまして、将来年金権に結びつかないようなおそれのある方はどれくらいおられるかということになりますので、ただいま申し上げましたように、全体といたしましては先生に正確な数字を申し上げられないということを申し上げたわけでございます。  もちろん、私どもとしまして無年金者が出ていいというふうに考えているわけではございませんで、現在国民年金の被保険者である方々につきましてはできる限り保険料の納入をお願いいたしておるわけでございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、現在被保険者の中の五%程度の方が保険料の滞納ということになっておりまして、そういう意味では、これらの方々につきまして将来年金権が得られないケースが出てくるということは十分考えられるわけでございます。この点につきましては、年金権に結びついていただけるような環境づくりといいますか、そういうものを努力いたしたいと思っておるわけでございます。
  230. 武田一夫

    ○武田委員 私は、時間をかけて協力をいただいてやればわかると思うのです。市町村に行ったって、特に農村、私は農林水産業の仕事を担当する委員会に所属していますが、年金に対する関心度の一番高いのは農村地帯です。その周辺の商工業、いわゆるそういう地域が特にこの問題については関心を持って深刻に考えておるのですよ。そういうところでさえつかまえようとするのに、全体がわからぬというのでは、ちょっとこれはいいかげんな考えで出しているということにならざるを得ない。  それじゃ、二十歳以上の大学生で任意加入のものがありますね、あるでしょう。これは今どのくらいなんですか。
  231. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  任意加入者の年齢別の数字をちょっと持っておりませんが、現在任意加入者は七百二十万ほどおりますが、そのうち六百八十万が女子の加入者でございます。任意加入のそのほかの方々、つまり三十七万人程度の方はこれは男子の方でございますが、これらの方々の大部分が、今先生質問の学生さんで任意加入されておられる方ということではないかと思います。
  232. 武田一夫

    ○武田委員 サラリーマンの妻で任意加入の数というのは、どのくらいなんですか。
  233. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  現在の被保険者の任意加入のうち女子の方が六百八十万人というふうに申し上げましたが、この方々が大部分はサラリーマンの奥様と言われている方々だと思います。全体のサラリーマンの奥様の数、これも私も正確に存じませんが、大体六割強の人数になっておるのではないかと思います。
  234. 武田一夫

    ○武田委員 そういうふうに一つ一つ聞いていくと、そういうものを集大成して計算したら出てくるわけじゃないですか。そういう細かい調査というのをやらないというかつかめないというのは、私は納得いかないですね。そういうことでこういう大事な年金の問題が進んでいくということは、非常に問題だと思うのです。大臣、どうですか。これは実態をはっきりしなければならないのじゃないですか。どうなんですか。大臣に聞きたいのですが。――もういいです、そちらはいいですから。大臣のお考えです。このままでいいのかということです。
  235. 長尾立子

    ○長尾政府委員 技術的な問題についてお答えをさせていただきます。  先ほど先生指摘になりましたように、農村部等ではこういった具体的なそれぞれの加入者数を把握していくことによって年金権に結びつかない無年金者がわかるのではないかという御指摘がございましたが、現実問題といたしまして、例えば検認率が低いところは大都市でございまして、人口の移動が非常に激しい、かつ、移動の実態がつかみにくい地域におきましてこういった問題が起こるわけでございまして、そこの部分につきましての把握が正確にできないということを申し上げたわけでございます。  私どもとしましては、先生指摘のように、無年金者というような形で、皆年金のこの時期におきまして年金権に結びつかない方々が出ますということは大変遺憾に思うわけでございまして、その点の業務上の努力は一層させていただきたいと思います。
  236. 武田一夫

    ○武田委員 これはこのくらいにしておきます。でも、余り粗っぽい考えで進まれることは戒めてほしいと私は思うのです。  負担面でも問題があるということを指摘しておりますね。政府の基礎年金の定額保険料月額六千八百円、これは五十九年度価格ですな。二十年かけて一万三千円に引き上げる。これは二十年間になりますと、物価上昇なんか考えるともっと大きな金額ですね。そう思っても間違いないと思うのです。現在、国民年金の場合、五十八年度の五千八百三十円ですか、こういう月額保険料の中でも、さっきあった滞納者とか免除者ですかがかなりいる。聞くところによると、両方合わせて四百四十万ぐらいというような数字が出ているわけですが、それを考えると、これがますますそういうような方々をつくってしまうのではないか。そうしますと、新しく出発した制度の基盤が崩れていくような心配がないかというおそれですな。この点についてはその心配はない、こうお考えですか。どうですか、その点。
  237. 吉原健二

    吉原政府委員 現行のままにしておきますと、現在の国民年金の保険料が一万九千円程度まで上がる。そういうまさしく御指摘のような問題があるからこそ、給付についても見直し、保険料負担水準についても見直して、今度の改革案を御審議をお願いしているわけでございます。  先ほどから給付のお話もございましたけれども、まさしく私ども、どちらかといいますと保険粋負担、果たして国民の方に負担できる保険料は一体どのくらいだろうか、一万九千円なんというのはとても将来とも御負担を願える金額でないということで、実は今回の改革では、国民年金はピークで一万三千円というような制度の設計にしたわけでございます。いわばその結果として、給付の金額ももう少し上げたいという気持ちはございますけれども、月額五万円、夫婦で十万円という金額の設定になっているわけでございます。
  238. 武田一夫

    ○武田委員 そこを強調するのはわかるけれども、それでも大変な状況にならないかということなんです。だから私たちは、現在でさえもそういう四百万人にも及ぶような方々が出ているということを考えたときに、何かもっと知恵を絞って――厚生省というと優秀な官僚の集まりだというふうに聞いているのです。私の先輩にもおりまして、局長さん、もう有名な方です。その方は、厚生省は最高に優秀な人間を集めていると我々の前で言ったのです。国会を目指して出馬して、残念ながらその夢が崩れましたけれども、私は耳の中にちゃんと入っている、先輩ですから。私はそれを信じています。その伝統というのはいまだにずっと続いているはずでございます。もっと知恵を絞ってやればもっといい策がないか。  私たちは、それがないようであるならば、我々の本当にささやかな知恵ではあるけれどもといって、こういう方向でやったらいいのではないでしょうかというものを出しましたね。それをごらんになっていただきましたか。大臣、どういう中身のことを言ったか御記憶ございますか、失礼ですが。
  239. 吉原健二

    吉原政府委員 所得の高い人からは高い保険料を取って、所得の低い人の保険料を低くするようなことを考えたらどうか、いわば所得比例保険料についてのお考えだと思います。
  240. 武田一夫

    ○武田委員 それも一つですね。こういうような考えについて、大臣としてどうでしょうか。これはいいものだな、これを入れれば開けてくるなというようなことを考えませんでしたか。
  241. 増岡博之

    増岡国務大臣 私ども、国民の皆さんが本当に所得比例に按分した方式がとれておるという御理解がいただけるような、要するに、現在、国民一般の間では所得の把握にばらつきがあるではないかということか言われております。そのことを説明できるようなものが考えつくならば、将来はそれらのことを考えるべきではないかというふうに思っております。
  242. 武田一夫

    ○武田委員 そんな悠長なことを言わぬで、大臣、将来のことではなくて、今が大事。じっくりともう一度衆知を集めて検討して、これはいいと思ったら、それを、次善のよきものを取り入れながら国民のためにという、そういう姿勢でやっていくのが大臣ではないのですか。私はそう思うのです。どうでしょうか。
  243. 増岡博之

    増岡国務大臣 私ども、なるべく早くそういう制度を取り入れたいと思いますけれども、何分それまでの客観情勢が整いますまではやむを得ないと考えております。
  244. 武田一夫

    ○武田委員 客観情勢とかいろいろ言ったのですが、これ以上余りこの問題は攻めませんけれども、私はずっと見てみますと、やはり国民の老後のことを心配して掛金のことをいろいろ心配する、若い世代の負担が高くならないかとか、そういう配慮はないとは言わない。ただ、全体を一〇〇とすると三〇%ぐらいなんじゃないですか。あとの七〇%というのは、要するに国庫負担が大きくならないように何とかして削っていこう、ここのところが大事なんだという方が皆さん方の頭のほとんどを占めているのではないかという気がしてならぬ。  ですから、この四十年加入の場合、厚生、国民の両年金を平均した現行の国庫負担額一人月額四千八百円、政府案はそれを三千三百円に抑えようとしている。三割を超す削減です。聞くところによりますと、六十五年に一千億、七十年に四千億の国庫負担の削減を見込んでおる、そのためにこういうふうな方向でいっているんだということを聞くにつけ、私はこれは邪道だと思うのです。この点大臣、どうです。
  245. 吉原健二

    吉原政府委員 国庫負担につきまして大変誤解を受けやすいのでございますけれども、決して国庫負担の削減をねらいとして今度の改革年金制度改正をお願いしているわけではございませんで、保険料にしろ国の負担にしろ、このままにしておきますと国民の負担能力、負担限度を超えるおそれがある、そのことによって年金制度の安定的な維持、年金としての将来の役割というものが本当に果たせなくなる、そういう心配があるからこそ、今度の改革をお願いしているわけでございます。  現状のままにしておきますと、国庫負担もさることながら、それ以上に保険料負担が大変になる、これは先ほどから繰り返し申し上げたとおりでございまして、その保険料負担を適正なものに抑制をしたい。それと同時に、国の負担といいましてもそれは国民の税の形による負担でございまして、当然国の負担も、もちろん絶対額としては相当な勢いで上がっていくわけでございますけれども、現行制度をそのままにしておくよりかは相対的に低くなる。それは保険料負担もそうなるわけでございます。国の負担だけではございません。
  246. 武田一夫

    ○武田委員 私たちは修正の中で、負担の応能、そして給付の公平という社会保障の大原則にのっとって、皆さん方に十六項目の中身を提示したわけです。基礎年金を五万五千円に上げても、また国庫負担を今よりふやしたとしても、それでも国庫負担は現状より少なくて済むし、そしてよりよき内容のものができるから、この点を十分に検討して、そしてそれを勇気を持って実現するような方向を期待するということで要求をしたわけなんです。この問題については、今後ひとつ当局で十分な検討をしていただきたいと思います。  そこで、きょうは労働省に来ていただいておりますが、年金と関係して、老後の問題として大事なのはやはり雇用と定年制の問題ですね。  老後の生活の収入源として何を考えているかという各種のアンケートを見ますと、三十歳代の方、五十歳代の方は、六十代の前半くらいまでは就労収入、働いて生活をしたい、後半からは年金によって安心して生活をしたいというのが大体七割ですね。そういう意味で、定年制の問題が現状どうなっていて、今後どうなっていくのか、雇用の問題、再就職の問題等も含めて、労働省の方からひとつ答弁をいただきたいと思うのです。
  247. 長勢甚遠

    ○長勢説明員 お答えを申し上げます。  定年延長につきましては、六十年度に六十歳定年を一般化するということで、ここ十年来努力をしてまいりました。ことしの一月一日の調査では、六十歳以上の定年を持っている企業の割合が五二%、また、近い将来六十歳以上の定年にする予定にしている企業を含めますと六五%ということで、六十歳定年は着実に定着を見ておる、このように私ども思っております。  ただ、規模別に見ますと、百人から千人くらいの規模のいわゆる中堅、中小企業においてはなお四割程度の普及でございますので、私どもといたしましては、この三百人前後の企業に重点を絞って定年延長指導に努めております。  また、いろいろお悩みもございますので、定年延長アドバイザー制度を設けます等、いろいろ相談、援助、指導を進めておるわけでございます。  来年が六十歳定年の目標年度でございますので、この方向でさらに一層努力する所存でおりますので、よろしくお願いを申し上げます。
  248. 武田一夫

    ○武田委員 一つのデータを見ると、中小企業の方々はまだかなり水準が低い、この点でいろいろと御苦労があると私は思うわけですが、いろいろとバックアップしながらそういう方向に持っていくように力を入れてほしいと思うのです。  そこで、時間の関係農林省にちょっとお尋ねしますが、政府は、公的年金制度を将来とも安定した制度にするために、五十九年の二月二十四日に、公的年金制度改革の具体的手順というのを閣議決定しましたね。この中で、共済年金は六十年に制度改正を行う、そして六十一年からは実施するというようなことが書いてあるのですが、こんなに早く準備その他ができるのかなという率直な心配が私はあるのですが、その点どうでしょうか。慎重にやらなければならぬ問題がいっぱいあると思うのです。
  249. 後藤康夫

    ○後藤(康)政府委員 共済年金制度改革につきましては、去る二月の閣議決定におきまして、先生御案内のとおり、今回の国民年金厚生年金改革趣旨に沿った改革昭和六十年に行って、六十一年度から現在御審議いただいております国民年金厚生年金改革と同時に実施をするということが政府の方針として決定をされているわけでございます。  このため、現在、昭和六十年の共済年金制度改正に向けまして鋭意検討、準備を進めているところでございまして、六十一年度からの実施を目指しているところでございます。  確かに年金給付の電算機システムの変更等々、制度改正にはかなり膨大な作業が伴い、相当の日時を要することは御指摘のとおりでございますけれども、私どもはこの閣議決定の線に沿いまして準備を進めてまいらなければいけないと考えております。
  250. 武田一夫

    ○武田委員 私は、農林年金制度の目的や経営、財政状況を踏まえて十分に対処しなければ、不測なことがいろいろ出てくるような気がしてならない。そういう意味で、これは職域年金としての独自性とかメリットが失われれば、そういう団体の皆さん方はまた大変な不満と不安を感ずるわけです。ですから、定年制の問題にせよ、あるいは業務体制にせよ、これが一つ決まれば今度はそちらにいくわけですね。そういうときに、準備おさおさ怠りなく、万全を期すような努力をしてもらいたいと思うのです。  聞くところによると、いまだ勉強をしている最中であるということで、今からまた勉強していくというような、何かそういう状況のような気がいたします。その点、勉強はじっくりと慌てずにしっかりとやって、さっき私が指摘したように、無年金者がどのくらいいるのかわからないとかと言われないように、せめて農林水産省だけでもちゃんとしたものができるのだというものを示して、厚生省さん、こうですよと、これくらいのことをやってほしい、私はこう思うのです。お願いしますよ。  それから、大蔵大臣に来ていただいているので、二つばかりお伺いします。  これはお願いということになると思うのですが、国庫補助の問題について、改革案では国庫補助は基礎年金の三分の一として、被用者年金の制度の行う給付については補助しないというようなふうに聞いているわけでありますが、財源調整費補助のような農林年金独自の補助については、これは農林団体という一つの特殊性を考えて存続してほしい、しなければそのメリットがずっとなくなってしまうというふうに心配しているわけですね。この点についてひとつ大臣から御見解、御所見を伺いたい、こう思うのです。
  251. 保田博

    ○保田政府委員 お答えいたします。  今回の年金制度の大改革は、国庫負担を共通の基礎年金の三分の一に統一して行う、そうすることが、税負担による年金に対する助成の公平という観点から最も望ましいことであるという観点に立った改正を行っておるわけでございまして、先生の御要望は御要望として承っておりますけれども、なかなか御要望に沿うことは難しいことではないか、こういうふうに考えております。
  252. 武田一夫

    ○武田委員 そこをまげて御検討していただいて、やはりこういう方々は零細な規模のものが多い。それで独自に福祉、厚生等々それなりに効果を上げまして、農業、漁業、林業というものが非常に厳しい環境の中で辛うじて頑張っている。それを支えている一つの職員の方々の集まり、これは日本の、一国の農林水産業の発展という問題ともかかわり、そういう方々の重要性というものをむだにしてはならない、私はこう思うわけで、あえてこの問題、今のような答えが出るのがわかっていながら私は大臣にお願いするわけで、今後の一つの検討課題として十分に討議、御議論願いたいと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  253. 竹下登

    ○竹下国務大臣 武田委員、お願いとかいうお言葉でございましたが、そうではなくて、貴重な国権の最高機関である国会における発言であります。したがって、財政当局の立場、これはそれなりに明確に申し上げたわけでありますが、そもそもは、原局の考え方と私ども財政当局が最終的にはどういう調和ある措置をとるかというのが予算全体の運びでございますので、武田委員の御意見があったということは、それがこの連合審査会の場であるだけに、十分テークノートしていかなければならぬ課題だという事実認識はいたしております。
  254. 武田一夫

    ○武田委員 ひとつよろしくお願いします。  もう一つ大臣にお聞きしたいのですが、行革特例法によって各種年金制度の補助率が四分の一削減された。そのまま国が借金した形で借りているのが、ことしで切れて、六十年からお支払いをいただけることになるわけでありますが、これは十分そのお約束を御履行願えるものかどうか、この点確認しておきたい。いかがでしょうか。
  255. 保田博

    ○保田政府委員 行革関連特例法によりまして、年金とかあるいは共済の国庫負担額の減額が行われておるわけであります。この減額分につきましては、従来からもたびたびお答えをいたしておりますが、積立金の運用収入の減額分を含めまして、将来の年金財政の安定が損なわれるということがないように、特例適用期間が過ぎました後に、国の財政事情といったようなことを勘案しながら、なるべく速やかに繰り戻しをいたしますという姿勢には変わりはないわけでございます。  問題は、その特例の適用期間がいつまでかということでございます。御承知おきのように、現行の特例法が制定されました五十六年当時は、財政再建の目標、特例公債依存体質からの脱却というものを昭和五十九年度に置いていたといったようなことから、現行法では特例の適用期間を五十九年度までといたしておったわけでございます。懸命の財政再建努力にもかかわりませず、世界経済の停滞といったようなことから、この再建の目標が六十五年度に延びざるを得なかったわけでございます。  それで、財政事情はますます厳しさを加えておるといったような状況のもとで、この特例法による措置を全般的にどうするかといったようなことは、御指摘のこの厚年の補助率特例の問題を含めましてどうするか、目下六十年度予算編成の一環として検討を重ねておるわけでございまして、その結論を得るまでにはいましばらく時間をちょうだいいたしたいと考えておるわけでございます。したがいまして、この席におきまして、六十年度から直ちにどのような内容において繰り戻しをするかという点につきましては、御答弁をお許しいただきたい、こういうことでございます。
  256. 武田一夫

    ○武田委員 それはまずいのじゃないですか。やはり一つは、約束をきちっと守らぬとね。信頼関係というものはやはり非常に大事なことですな。  これは時間がないから、大臣、いつになるかわからぬようなことを言っていますけれども、そんなことではなくて、例えば農林年金の場合なんかは金利込みで百七十億くらいになるわけですよ。やはりこれはいろいろな運用面で支障を来す、小さなところなんかも抱えておるようなことを考えると。そんないつになるかわからぬという今の話だと、六十五年か七十何年か、何だかずっと先の方にいくようなことではこれは困りますよ。その点、どうでしょうか。大臣からもしかと、この方向結論を出してもらえないと困るのですが、どうでしょう。
  257. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今の御質問の問題につきましては、まずは、一番最初は昭和五十八年九月三十日にさかのぼるわけでありますが、このときに林国務大臣、厚生大臣であります、それと大蔵大臣同意の上で、まず発言をいたしております。それは、第九十五回臨時国会における政府答弁を踏まえて、とにかく特例適用期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ、できる限り速やかに繰り入れに着手するという趣旨のことを申し上げたわけであります。そして、さらに念を押しまして、その特例適用期間経過後は本則に戻ります、こういうことまで正確に申し上げておることも事実であります。  そこで、先ほど申し上げましたように、その特例期間とは、当時念頭にあったのは、申すまでもなく、私も行革特別委員会委員の一人でございましたが、昭和五十九年いわゆる特例公債脱却ということを第一義に掲げた目標の中で行われた。それが残念ながら五十六年、五十七年世界同時不況の中でギブアップせざるを得なくなった。したがって、新しく六十五年という第一義的な目標年度を設定をした。しかし、それならば、その適用年度に自動的に延ばすべき性格のものでは必ずしもない。そうなると、やっぱりぎりぎりの議論をしていかなければならぬ。それがここのところ短い、数週間と申しましたが、沖縄返還のときのア・フュー・イヤーズと同じように、ア・フュー・ウイークスぐらいの間にやはりこれは結論を出して、そしてまたいろいろ鞭撻やおしかりを受けなければならぬことかな、こういうふうに考えております。
  258. 武田一夫

    ○武田委員 時間が来ましたので、最後に、私立学校共済組合の問題で一つだけ文部省にお尋ねします。  定年制がない私学の特殊性から考えて、今回の改正が妥当なものかどうか、ひとつ御見解を伺いたい。文部省にお願いしたいと思います。
  259. 菱村幸彦

    ○菱村説明員 共済年金制度改革につきましては、「共済年金制度改革方向」という、関係各省のたたき台は一応ございますが、まだ成案を得ているわけでございませんので、今後関係各省と協議をしながら対応していきたいと思います。  ただ、私学共済先生御存じのように、教育基本法等の精神にのっとりまして国公立と同じの待遇をするということで従来来ておりますので、基本的には国立学校、公立学校先生たちと同じような処遇になると思います。  ただ、私学に関しましては、国立をやめてから私学に行くというような先生もかなりいらっしゃいますし、六十五歳を超してからの組合員という方もいらっしゃいますので、その処遇等につきましては、実態をよく調べまして、今後の課題として受けとめていきたいと考えております。
  260. 武田一夫

    ○武田委員 今後成案を得ましていろいろと検討なさるわけですが、私学というものは今後ますます重要になりまして、人材をもっともっと確保しなければならないという重要な教育機関の中の分野を占める、しかもそういう私学の特殊性というものを考えたときに、ひとつ十分にそういう方々が納得のいくような方向で御検討をお願いしたい、このことを要望しまして、ちょうど時間になりましたので質問を終わります。
  261. 戸井田三郎

    戸井田委員長 米沢隆君。
  262. 米沢隆

    ○米沢委員 この法律は、本格的な高齢化社会の到来に備えて、我が国の年金制度の将来にわたる基盤を揺るぎないものにする、そして我が国の分立した年金制度の間の給付、負担両面にわたる不公平ないしは制度間格差を是正し、最終的には年金の一元化を図っていこうとするための昨年の共済年金統合法案地方公務員共済年金の改正法案に次ぐ、第二弾の改正案であると理解をいたしております。  私どもは、多年にわたりナショナルミニマム年金、いわゆる基礎年金制度の確立と、所得比例年金との二階建て年金の実現、妻の年金権の確立、制度間格差の是正、遺族年金、障害年金水準の引き上げ、年金制度一元化等々、公的年金制度の抜本改正を強く主張してきました立場からいいますと、今回の改正は、基礎年金導入制度体系を再編成するとか、給付を適正化するとか、婦人の年金権を確立するとか、障害年金、遺族年金を一部改善するとか、これらは我々の主張に沿うものであり、それなりに評価したいと思っております。しかし、個々の点について検討いたしますと、いまだ問題を残しておるということで、十六項目にわたって問題点を抽出し、それを最終的には六つの問題に絞り込んで法案修正を図るべく、今我が党の社会労働委員会のメンバーと各党の先生方との間で折衝されておる最中でありますが、この年金法案も衆議院の審議は既に山場に差しかかってきておるということでもありますので、この際、既に我が党の委員からそれぞれ質問はいたしておると思いますし、また新聞紙上等ではアングラ放送も含めて、修正折衝の経緯や、自民党はこれはのむ、これはのまないなどの話の内容等が数々出ておりますが、私はこの際、詰めの段階での我々の修正要求に対する諾否を含めた厚生大臣の所見を求めるべく、質問をさせていただくわけであります。  政府としてはこれが最善だと提案された法案でありますから、これを変える、これはできない等等の質問には、当局としては大変答えにくいことは重々承知をいたしておりますが、物価スライド分を切り離し年内支給を実現しようとか、この法案の重要性にかんがみ本年中に制度改革部分を含めてすべて衆議院段階で通すとか通さないとか、極めて難しい段階に来ておりますので、我々が早期成立を目指して動けますように、率直に、簡明にそれぞれの修正に応じるつもりがあるのかないのか、その諾否を含めて大臣の明白な答弁を求めたいと思います。  質問に入ります前に、まず、この法案の成り行きについて大臣はどういうふうなお考えを持っておられますか。
  263. 増岡博之

    増岡国務大臣 この法案につきまして、提出以来、社労委員会において非常に熱心に御審議をいただいておることは感謝いたしております。
  264. 米沢隆

    ○米沢委員 お答えにはなりませんが、本来の質問に入ります。  まず第一に、老齢年金の給付水準の問題であります。  給付水準は高ければ高い方がいいというのが年金をもらう人の立場でありましょうが、後世代の負担の問題もありますし、後世代とのバランスの関係もありますから、そうむちゃくちゃは言えないということは我々も十分承知をいたしております。しかし、そのことをのみ込んでも、この給付水準に関して問題があると指摘せざるを得ませんのは、いわゆる妻が六十五歳になるまでの給付水準の問題であります。  この問題は、既に何回も取り上げられておりますのでくどくど申し上げる必要もありませんが、今回の改正で個人単位の基礎年金導入され、それが男女を問わず六十五歳から支給されることになったために、改正前では支給開始時六十歳の時点でいわば妻の基礎年金相当分まで包含されていた夫の老齢厚生年金、いわゆる報酬比例部分が、改正後徐々に経過的に減額されていくにもかかわらず、妻には加給年金一万五千円しか支給されないということになるために、妻が六十五歳到達時と比べて三万五千円程度の差が生ずることになる、すなわち妻が六十五歳にならないと従前水準に相当する年金がもらえないという問題であります。厚生省としては、二十年間の経過措置があるため当面大きな変化はないのだというような御見解であるやに聞いておりますが、将来制度が成熟段階になりますと確実にこの三万五千円の差が出ることは明白なのでありまして、このような格差は大きな問題であろうと思います。そういう意味ではこの際、制度の大改革をやる際に、先のことだからほったらかしていいというものではなくて、しっかりとこの段階で是正方を盛り込むのは当然の姿勢ではないかと我々は考えておるわけであります。  方法論としては、この妻の加給年金を段階的に六十歳以降六十五歳までふやしていく方法もありましょうし、私どもが主張しておりますように、六十五歳未満の妻に対しても基礎年金に相当する額を支給する方法もあろうと思いますが、この格差是正につき大臣の前向きの御見解を承りたいと思います。
  265. 吉原健二

    吉原政府委員 そういう御指摘を合いただいておりまして、私どもとしては、従来、加給年金というのは年金が単身化する場合には残すのはどうだという考え方もあったわけでありますが、一万五千円の加給金を残した。  しかし、なおかつ、基礎年金の五万円との差があることは確かでございまして、何とかその差額を適切、妥当な方法で埋めるという方法につきましてどんなやり方があるだろうかということを現在真剣に検討をしているところでございます。
  266. 米沢隆

    ○米沢委員 基礎年金導入は、基礎年金に関してはあらゆる年金制度を平等にしようということでございますから、六十歳から厚生年金だけ基礎年金を出すということは無理でしょう。そういう意味では加給の部分、このあたりをいじる以外に方法論はないと私は思います。  そういう意味で、今どういう方法があるか検討しておるということでございますが、やるつもりでやっておるのか、やらぬつもりでやっておるのか、これをはっきりしてもらいたい。
  267. 増岡博之

    増岡国務大臣 御指摘の問題につきまして、今その取り扱いを与野党お話し合い中でございますから、その結果を踏まえて十分尊重してまいりたいと思います。
  268. 米沢隆

    ○米沢委員 与野党の協議の最中でありますが、私はその渦中にはおりませんのでわかりませんが、当局としてはやってもいいと思っておるのかどうか、やりたいと思っておるのかどうか、そのあたりはどうですか。
  269. 増岡博之

    増岡国務大臣 私どもは原案を提出した立場でございますので、お話し合いの場にお任せ申し上げたいと思います。
  270. 米沢隆

    ○米沢委員 でき得れば、加給年金を段階的に引き上げていく、そういう形で妻が六十五歳になるまでの給付水準の格差是正をやるという御答弁をいただいたと思って、次に進みたいと思います。  次は、同じく給付水準に関係する問題でありますが、御承知のとおり、定額単価及び乗率に関する経過措置の問題点も指摘をされております。今回、定額単価は現行の二千四百円を千二百五十円にし、乗率も千分の十を千分の七・五に改正するということになっておりますが、この経過措置は、六十一年四月一日時点で五十九歳から対象となることになっておるわけでありますが、その年齢を五十五歳からにすべきであるという意見を我我は持っておりますが、どうお考えでしょうか。
  271. 吉原健二

    吉原政府委員 私ども、今回の年金改革というのは、将来に向けて給付水準を適正なものにするあるいは負担を適正なものにするという考え方をとっておりまして、現在既に年金を受けておられる方あるいは六十歳以上の方については、もう現行制度での年金額を現に受け取っておられる方でございますから、そのままにしておくという考え方をとっておるわけでございます。そういった意味におきまして、現在の厚生年金支給開始年齢、もう六十歳でございますので、六十歳未満の人から経過措置を講じまして、約二十年ほどの期間をかけて、定額単価並びに乗率を徐々に逓減をさせていくという方法をとっておるわけでございます。(米沢委員「だから」と呼ぶ)ですから、仮に五十五歳というようなことにいたしますと、今回の改革も、私どものあれからいいますと、できるだけ早くやりたい、着手をしたい、あるいはやるべきであったということも踏まえまして、現行の受給権者でまだ年金を受けておられない方については、既に少しずつ新制度の適用を始めていくという考え方をとっておりますので、六十歳未満の方から新しい制度に徐々に適用を移していくという考え方でやらしていただきたいというふうに思います。
  272. 米沢隆

    ○米沢委員 次に、給付水準との関係の問題でありますが、現在、サラリーマン世帯の年金は、支給が開始される二十年加入者の場合、現役男子の平均賃金の四五%、これが、政府案が実施された場合には将来的には三五%程度に下がるために、労働組合四団体等が、ILO百二十八号条約が定める年金の最低水準は、日本流に直すとボーナスを除く平均賃金の六〇%になるという理由から、最低ラインとして、二十年加入者の給付水準を現役男子の平均賃金の六〇%とすべきではないかというような修正要求をなさっておるやに聞いております。この見解に対して、厚生省はどういうような御見解を持たれるのか。特に、ILO百二十八号との関連では、この改正法案が目指す年金水準とはどういうバランスがとれておるのか、その点について御見解をお示しいただきたい。
  273. 吉原健二

    吉原政府委員 今労働四団体のこの法案に対する態度、二十年以上加入期間を有する老齢年金の給付水準というものを「直近の男子の平均標準報酬の六〇%とすること。」と書いてあるわけでございます。私どもの政府案の考え方は、六〇%じゃなしに六九%、現在六八%になっておりますが、将来とも四十年で六九%。これは「二十年以上」と書いてございますので、我々の四十年とどう比較していいのか、その辺もはっきりわからないわけでございますけれども、我々は、通常のサラリーマンの厚生年金の加入期間、働く期間が将来は四十年になろうという前提で、現在の平均標準報酬の六八を大体維持する、六九%程度という考え方でやっておるわけでございますから、当然、文面ではここに書いてある六〇%を上回る給付水準になっておりますので問題ないように思っておりますけれども、何かILOとの関係でどうこうという御議論もあったやに聞きますが、その辺のことは正確に承知をいたしておりませんので、考え方としては、ここに書いてあります給付水準以上のものをこの政府案では考えているということでございます。
  274. 米沢隆

    ○米沢委員 今回の改正の場合四十年加入で六九%ですね。それじゃ三十年とか二十年ぐらいはどういうふうになっておりますか。
  275. 吉原健二

    吉原政府委員 三十年加入の場合の計算、これはILOの場合は特にボーナス込みで通常の場合計算するわけでございますが、ボーナス込みでやりますと――三十年加入の場合の給付水準は、所定内給与の二十五万四千円の――失礼いたしました。所定内給与の七一%……。三十年の場合に所定内給与の……(発言する者あり)
  276. 米沢隆

    ○米沢委員 今の問題はもたもたしておりますから、私の質問が終わるまでに整理して答弁できるようにしてください。  次に、第二の問題は、四十歳未満の手なし寡婦に対する遺族年金の水準についてであります。  本改正法案では、子供を有する寡婦や子供の遺族年金水準は、遺族基礎年金プラス遺族厚生年金ということで、現行制度より改善が図られておりますので、その点については評価をいたしておりますが、問題は、子供のいない寡婦の遺族年金の水準であります。本改正法案では、四十歳を基点として、四十歳以上で夫と死別した子のない妻には、中高齢の妻として遺族厚生年金に月額三万七千五百円、年間四十五万円の加算が行われるようになっておりますが、四十歳以下はそれがない。したがって、平均標準報酬が二十万円の加入期間二十年のモデル計算の場合を見ますと、子なし四十歳以上は月額六万五千六百円であるのに比べて、子なし四十歳未満は二万八千百円にすぎない。そこに、年齢が一歳異なるだけで月額三万七千五百円の差を六十五歳になるまで受け続けることになるわけでありまして、これは不合理というものであります。  したがって、この際、夫の死亡特例えば三十歳以上の子なし寡婦に対しては、四十歳に達したら加算措置を同様に認めるか、または三十歳から四十歳に至るまでの加算額をつくって、せめて三十歳以上で未亡人になった子なし妻の給付水準をかさ上げするか、いずれかの給付改善措置をとるべきだと我々は申し上げておるわけでありますが、この点に対して厚生省の御見解はいかがなものでございましょうか。
  277. 吉原健二

    吉原政府委員 その点につきましても大変問題であるという強い御指摘をいただいておりますので、改善のやり方等について、今早急にいろいろ内部で議論をいたしております。
  278. 増岡博之

    増岡国務大臣 ただいまの問題につきましては、御審議の過程でも私もそのような対策を講じる必要があるように思いますので、与野党の折衝の場にゆだねたいと思います。
  279. 米沢隆

    ○米沢委員 次は、障害等級三級の給付水準についてであります。  現行の国民年金では、加入中、つまり二十歳以降の傷病によって障害者になった場合にしか障害年金は支給されず、二十歳未満の障害については二十歳に達したときから障害福祉年金が支給されることになっておるわけでありますが、改正案では、初診日において二十歳未満であった人についても二十歳に達したら障害基礎年金支給されるなど、現行の障害福祉年金受給者はすべて障害基礎年金の受給権者となるわけで、障害者にとりましては何よりの朗報でありまして、かかる改正は高く評価していいと思います。  ただ、問題は、障害厚生年金の障害三級者の問題であります。平均標準報酬が二十万円、二十年加入のモデル計算の場合、現行の年金額は月額六万六千円であるのに対して改正案では三万七千五百円と、急激に水準が下がるという点でございます。現行の最低保障額をも下回るという結果になります。  これは、従来の計算によれば基本年金額の七五%であったものが、上乗せの報酬比例部分だけとなって、平均標準報酬月額の低い人については現行から比べて相当なレベルダウンにつながる問題でございまして、早急にこれは是正をしていくという方針がとられねばならない。今度の法改正を修正しなければならない問題ではないかと思っておりますが、厚生省の御見解はいかがですか。
  280. 吉原健二

    吉原政府委員 今度、障害年金につきましては、一級、二級、それから二十歳前の障害者の方に対する年金を手厚くするという考え方をとっておりまして、三級の障害の方については、今の受給者はそのままでございますけれども、これから三級障害になる方については今までよりもそういった面で低い年金額になるということは確かでございますが、この御指摘につきましても、何かもう少しいい方法といいますか、これほど下がらないような方法がないかということは、私ども今いろいろ検討さしていただいております。
  281. 米沢隆

    ○米沢委員 次は第四の問題でございますが、これも先ほどから議論になっておりました第三種の期間計算の特例の廃止でございます。  第三種の坑内員、船員の期間計算の特例が、今回一定の経過措置をもって廃止されることになっておりますが、今日までの経緯、労働環境等を十分配慮されて、一挙にではなくて、穏やかな経過措置を設けて廃止すべきであると我々は考えておりますが、その点をどうお考えになっているのか。できれば具体的経過措置方針等を示してほしいと思います。
  282. 吉原健二

    吉原政府委員 この点につきましてはもう既にいろいろ御議論が出ておりましたが、審議会結論も、期間計算の特例についてはもう見直すべきである、これから将来に向かっては見直すべきであるというような御意見、御答申でございましたので、関係者の方には大変なにでございますけれども支給開始年齢はそのままにしておきますが、期間計算については、将来に向けてはもうそういった特例はすっきりと廃止するという考え方にしておるわけでございます。これを何かこれからも残しておくということにつきましては、一般被保険者とのバランス、公平という点でなかなか難しいというふうに私どもは今考えております。
  283. 米沢隆

    ○米沢委員 審議会の経緯等もあり、何が何でもそのまま期間計算を残せとは言っておりません。最終的には期間計算の特例も直すべきものであろうと思います、他との関係で。そういう意味で、まあ一挙になくすというのではなくて、それぞれ期待権等もありますので、徐々に経過措置を踏まえてなくしてもらいたい、こう言っておるんですが、それもだめですか。
  284. 吉原健二

    吉原政府委員 よく検討さしてもらいます。
  285. 米沢隆

    ○米沢委員 大きな声で……。
  286. 吉原健二

    吉原政府委員 検討をさしていただきます。
  287. 米沢隆

    ○米沢委員 次の問題は、女子の支給開始年齢の引き上げ、女子の保険料率の引き上げについて穏やかな経過措置を講ずべきであるという問題であります。  女子の支給開始年齢は現在五十五歳でありまして、男子の六十歳に比べて恵まれているといえば恵まれているとは言えますが、今回の改正は、昭和七十五年までに六十歳に改めて、男女とも六十歳にするという提案になっております。その方針は理解できないわけではありませんが、問題は、民間の勤労婦人の労働環境、現に早期定年退職が慣習化されている事実は否めないのでありまして、したがって、男女雇用機会均等法の早期成立を図って、現実的に支給開始年齢の引き上げが混乱のもとにならないよう努めていかねばならないと我々は考えるのであります。  昭和七十五年までに十五年かけて五十五歳支給から六十歳支給にという提案であります。  労働省に聞きたいのであります。女子の支給開始年齢を男子より五歳早く設定した経緯を振り返ってみましたときに、これは昭和二十九年の改正で、当時は男女五十五歳でありましたが、その際男の方を六十歳にし、女性の方を五十五歳にとどめたという経緯があるわけですから、今の議論を聞いておわかりのとおり、これから十五年かけて女子の場合にも六十歳支給に変更しようというわけでありますが、本当に民間の女子の労働環境みたいなものは、このような支給開始年齢を延ばすぐらいにうまく環境が変化しておるのかどうか、あるいは、十五年かけてでございますから、十五年たったぐらいのときには男女ともに六十歳支給開始年齢オーケーだというような労働環境にあるものだろうかどうか、そのあたり、労働省の専門家的な立場で御答弁をいただければと思います。
  288. 松原亘子

    ○松原説明員 お答えいたします。  確かに民間企業におきましては定年制が五十五歳というふうに定められているところがかなりございますが、労働省は鋭意指導いたしておりまして、六十年度六十歳定年を目指して指導しました結果、既に六十歳定年を定める企業は五割を超えているわけでございます。ただ、遺憾ながら、定年制を定めております企業のうち、五十九年現在におきまして、一六・七%の企業が定年年齢を男女別に定めておるという実態を私どもは把握しているわけでございます。  そうしまして、その場合の定年年齢を見てみますと、男子につきましては六十歳以上としておるところが五三・二%で、やはり半数を超えているわけでございますが、女子につきましては五十五歳未満というところが四六%、五十五歳から六十歳というところが五〇・七%ということでございまして、六十歳以上で女子の定年を定めておるところは男女別定年制を定めている企業の三・一%ということで、非常に数字としては低い数字でございます。  こういう実態にかんがみまして、定年制について男女別に定め、女子を差別的に解雇するということは、既に四十年代以降数々の裁判例が出ておりまして、こういった行為は公序良俗に反して無効であるという判断が示されております。  こういうことを踏まえまして、先生先ほど御指摘になられましたとおり、今回私どもが、今国会におきましても継続審議をお願いいたしております男女雇用機会均等法案におきましては、定年、退職、解雇について女子についての差別的取り扱いを禁止するという措置を規定いたしているわけでございまして、これが成立をいたしますれば六十一年四月一日から施行をするということにいたしているわけでございます。  したがいまして、今の厚生年金支給開始年齢、七十五年から男女同一にという案でございますけれども、六十一年から七十五年ということになりますと十四、五年、十四年でございますか、ございますので、この法律が施行され、私どももちろん法律が守られるように指導するわけでございますので、そういう意味では、それだけのゆとりがございますれば、民間企業においても十分受け入れられるものであるというふうに考えているところでございます。
  289. 米沢隆

    ○米沢委員 今御答弁いただきましたように、男女雇用機会均等法が通れば、それを軸にして、女子の定年に関する労働環境もよくなるだろうというお見通しのようでございますが、御案内のとおり、あの法律は勧告というのか精神的な規定であって、強制力がないものでございますから、いかがなものかという感じもしないわけではありません。そして現実には、先ほど数字が出てきましたように、女子の定年六十歳というのはわずかなものでございまして、そういう意味では、この点についても経過措置ぐらいはとったらどうだという我々の気持ちもわかってもらえるのじゃないかな、こう思うのでございますが、いかがですか。
  290. 吉原健二

    吉原政府委員 この男女の支給開始年齢の違い、格差というものも、厚生年金の中でおかしいではないかと、十年も二十年も前から実は大分指摘をされておった問題でございますし、いわゆる共済がもう既に男女全く同じ開始年齢になっているということもございまして、実はもっと早く厚生年金も男女同じにすべきでないかという御議論も強かったわけでございます。むしろ十五年という経過期間ではなしに、もう少し短い期間で達成すべきであるという御議論もございましたけれども、やはりこういった問題はそう短い期間の中でやるといろいろ問題が生ずるということも考えまして、私どもは私どもなりに、十分な経過措置として十五年という案にさしていただいておるわけでございます。
  291. 米沢隆

    ○米沢委員 共済年金は確かに男女六十歳になるようになっておりますね。しかし、公務員の場合と民間の場合とは全然違っておりまして、そこらを同列に議論するのはどうかと私は思います。そういう意味で、さらなる御検討を賜りたいと思うわけであります。  それから、同じように女子の保険料率引き上げの問題でありますが、現在御承知のとおり、男女の保険料率が、男は千分の百六、女性は千分の九十三と差異があることは事実でありますが、これを男女同一料率にするということで、五十五年改正時点で毎年千分の一ずつ女子の方を引き上げていこうということが決まっていたわけでありまして、その後そのような経過があります。しかし、本改正では、昭和六十年の料率の引き上げ幅を男子より千分の二高くして千分の二十とすることにより千分の百十三とし、昭和六十一年以降は、昭和六十四年十月まで毎年千分の二ずつ引き上げることが提案されております。社会的な環境や女子のライフサイクル等の変化等もあり、男女差を設ける理由がなくなったという議論もあるわけでありますが、果たして実態はそうなのかどうか。そういう意味で、これももっと緩やかな経過措置をとるべきではないかと我々は考えておるのでございますが、この点は厚生省はどういうふうにお考えですか。
  292. 吉原健二

    吉原政府委員 支給を受ける年金との関係につきましては、男女間、こう言ってはなんでございますけれども、はるかに女子の方が今有利になっておるわけでございまして、平均寿命もはるかに長いわけでございますからそういうことになっておるわけでございますが、この保険料率の格差、そういったこともございまして、できるだけ早く――料率まで格差を残しておくのはおかしいという議論が強かったわけでございます。それで、従来の一年につき〇・一ずつ差を縮めていくというテンポを〇・二と、今度の年金改革案ではさせていただいているわけでございますが、私ども〇・二は、いろいろ御議論はあるかもしれませんが、さほど無理なテンポではないのではなかろうか、こういうことで、従来よりも少し速いテンポで料率を同じくするという方針をとらしていただいているわけでございます。
  293. 米沢隆

    ○米沢委員 次は、積立金の自主運用の問題です。  先ほどからこの問題はるる議論もされておりますし、私もこの席で五回ぐらい質問やら要請をした経緯はありますが、この積立金の自主運用というもの、有利運用というものは、毎年毎年大蔵省との協議だ、協議だということで済まされておるのでございますが、一体どうなっておるのですか。果たして自主運用、積立金の全部とは言いません、一部でもいい、有利に運用しようという議論は、毎年毎年の議論の中でどういうふうにこなされておるのか、一体めどがあるのかないのか、迫力を持って議論しておるのかどうか、厚生省の見解を聞きたいと思います。
  294. 吉原健二

    吉原政府委員 私どもとしては、この積立金というものはできるだけ安全であるということはもちろんでございますが、もっともっと有利に運用をさせていただきたい。具体的に言いますと、預託利子を上げるか、あるいは資金運用部資金の中でそういったことが無理であれば、この年金資金についてはほかの資金と切り離した特別な運用勘定というものができないだろうかということが一つ。それから同時に、やはりこの運用方法につきまして、保険料の拠出者の意向、立場というものをもっと反映できるような仕組みを考えてもらいたいということを、実は先ほども申し上げましたけれども年金制度発足以来、ずっと大蔵省にお願いをし続けてきているところでございます。  これに対しまして、大蔵省の方も見えておりますから、大蔵省のお考えは後からあるいはお尋ねがあるのかもしれませんが、この資金の性質上、年金資金だけ財投から切り離して特別な利率にするなり、あるいは特別にあれすることはなかなか難しい、こういうことで今日まで来ているわけでございますが、将来の年金制度の運用あるいは年金財政の中での積立金の持つ意味というものを考えますと、やはり現状では私どもとしては満足できるものではない。今後とも、私どもの今申し上げました立場というものを大蔵省にさらに強く主張して、今申し上げましたようなことが一歩でも実現できるように努力をしてまいりたいと思っております。
  295. 米沢隆

    ○米沢委員 大蔵大臣、今厚生省の方から、例えば預託金利を上げてもらいたいとか、年金の積立金等については特別勘定をつくってもらいたいとかの議論が、大蔵省との間でるるなされておるというふうにお聞かせいただきましたが、大蔵省としても、ここらで物わかりのいいところも見せてもらわなければならぬ時期ではないかな、こう思うのです。これから年金財政が厳しくなる、被保険者は保険料も上がる、給付は下げられる、そうした中で、現に積み立てておる金というものが、ただ単に財投だけに回されるということはやはり問題ではないか。特に、財投資金そのものは、確かに大変国のためにお役に立つような金の使い方もありますが、使い残しをしてみたり、わけのわからぬところに金が使われたり、そういうむだ遣いもあるわけでございますから、そのむだ遣いするような金があるのだったら、この積立金の運用等について厚生省の意見を聞いてやるのが筋ではないかな、こう思うのでありますが、大蔵大臣の御見解を聞きたいと思います。
  296. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いわゆる年金の自主運用の問題は、古くて新しい問題でもあるし、ある意味においてはエンドレスな問題でもあるかもしらぬなという感じがしております。毎年毎年これを議論をいたします。あるいは年金のみならず郵貯、簡保資金等々もその対象の一つとして、今日までも毎年議論をしてきております。  それで、私どもは、これにて決着ということをつけるほどの最終的な結論を出さないで、言ってみれば、毎年毎年そうした御意見が出てくることを、もう入口で受け付けないというような姿勢はとらないで今日に至っております。いろいろなことを考えてみましても、結局、国の制度と信用を通じて集めた各種の資金は、一元的運用ということになると資金運用部資金に統合して運用されておるというのが現実的ではないか。と同時に、今御指摘もございました財投の問題、これが公共性のあるもろもろの事業に支出されておるということになるわけであります。  したがって、私どもも、この問題、臨調等でも御議論をいただきました。この臨調におきましても、いわば「公共的な性格を有する資金をできるだけ有効かつ整合的に配分するためには、統合運用の現状は維持されるべきである。」とされながらも、「資金運用部を通じた資金の運用においては公共性の観点も重要であるが、原資の性格からくる要請にかんがみ、これまで以上に有利な運用にも配意する。」こういう指摘をいただいておりますので、私どもといたしましては、やはり毎年必ずタイムリミットを予算編成時に置いた話し合いをするわけでございますが、引き続きお互いの意見交換をしていかなければならぬ。ただ、一元的管理運用というものの根幹を変えるという考え方にはくみしがたいというのが、私どものとっておる立場であります。
  297. 米沢隆

    ○米沢委員 お答えいただきましたが、この年金の積立金も全部厚生省で有利運用というのではなくて、一部でもうまく回して年金財源の基盤を強くする方に使いたいということでございますから、今後とも大蔵大臣におかれましてはさらなる御検討をいただいて、にっこり笑って御答弁いただけるようなことがありますように、心から期待をいたしております。  以上、六つの我々の修正要求に関連して御質問をさせていただきましたが、お聞きいただきましたように、決して無理な理屈を言っておるわけではありません。どうかまじめに御検討いただいて、まじめに修正要求をのんでいただくような方向で当局も御努力いただきたいということを付言させていただきます。  先ほどの答えがありますか。ありましたらどうぞ。
  298. 吉原健二

    吉原政府委員 先ほどの四十年加入の場合の年金の給付水準は六九%でございますが、三十年加入の場合には五二%、二十年加入の場合には三五%という水準でございます。
  299. 米沢隆

    ○米沢委員 それはILOの百二十八号条約の水準と比べてどうなんですか。
  300. 吉原健二

    吉原政府委員 十分満たしております。
  301. 米沢隆

    ○米沢委員 私もその種の数字をまだはっきり見ておりませんので、今後検証させていただいた上で、問題があったらまた質問をさせていただきたいと思います。  以上、私どもの六つの修正要求に関連した議論をいたしましたが、このほかにも各党から重要な問題指摘が行われておることは御案内のとおりでございまして、この段階で、今回の制度改正に関連して、今私がお尋ねした以外の問題で前向きに検討していきたいというような課題がありましたら教えてもらいたい。
  302. 吉原健二

    吉原政府委員 今、ここで申し上げるような事項はございません。
  303. 米沢隆

    ○米沢委員 次は、老齢福祉年金等の経過的年金の取り扱いの問題であります。  御案内のとおり、もともと基礎年金構想というのは、本人の年金制度加入期間の有無や多寡とは無関係に、全国民共通にナショナルミニマム年金、すなわち最低保障年金を支給すべきであるとの基本理念に基づいて論議がなされてきた経緯があります。そしてそれに付随した形で、それではその財源をどうするかという議論に発展して、今日に至っておるのではないかと我々は考えております。  しかし、本改正法案で今回導入される基礎年金は、こうした理念とは異なっておりますから、残念ながら老齢福祉年金等経過年金の改善問題は対象外とされておりまして、わずかながら二%の物価スライド分のところで顔を出しているにすぎない状況であります。それもいまだにその実現を見でないことは、まことにもって遺憾きわまりないことだと我々は考えます。  そこで、この際お尋ねしたいことは、この経過的な年金の水準改善について、法案作成の段階でどのような論議がなされて、本法案のらち外に置かれたのか。財源を社会保険方式とする限り、経過的年金の水準アップはどうしても不可能なのか。私どもとしては、この際、経過年金の給付水準を、年次的にも基礎年金に近づける努力を怠ってはならないと考えておりますが、経過年金の水準引き上げについて厚生省はどういうふうな御方針を持っておられるのか、この際お伺いしたいと思います。
  304. 吉原健二

    吉原政府委員 今度の私ども基礎年金というのは、あくまでも保険料四十年拠出を原則にして月額五万円の年金を出すということでございまして、御質問にもございましたように、六十五歳になればだれでもすべての人に年金をという考え方、いわば税方式の考え方でないところに違いがあるわけでございまして、あくまでも拠出制の年金を原則とする。拠出方式を原則としておりますために、現在の福祉年金をそれに見合って上げていく。拠出年金もむしろ、どちらかといいますと、今まではもっと長期間掛けて高い年金が実は受けられたわけでございますが、今回の改正ですと、給付水準をいわば現行の二十五年水準を基準にして決めましたために、拠出との関係におきましては従来よりも相対的に年金水準が低くなった、こういうことがあるわけでございます。  したがいまして、経過的な老齢福祉年金の引き上げということには必ずしも理論的にもつながりませんし、仮に実際問題として老齢福祉年金を上げるということになりますと、当然それとのバランスの関係で、五年年金でありますとかあるいは十年年金でありますとか、それも全部上げなければ、年金制度としてはなかなか公平なバランスのとれたものにならない、こういう問題があるわけでございます。  それで、老齢福祉年金は御案内のとおり全額国庫負担の年金でございますし、今老齢福祉年金だけで六千億ないし七千億の財源をかけておるわけでございますので、これを今五万円に近づけるような形で上げていくということは、実際問題としてもなかなか難しい、こういうことでございます。(米沢委員「経過年金は」と呼ぶ)経過年金も同時に、五年年金、十年年金――老齢福祉年金を上げますと、当然経過年金、十年年金も上げていかなくてはいかぬ。十一年年金、十二年年金、つまり現在の国民年金、拠出制の年金は全部それとのバランスで上げていかなくてはならぬ。こういうことになるわけでございますから、むしろ給付水準を全体として大変上げる結果になってしまう。今度の年金改革のねらいというのは給付水準を適正にしようということなんですが、むしろ逆に上げていくような結果になってしまう。そういったことで、老齢福祉年金まで上げていくということ、五万円に近づけるということは、実際問題としても理論的にも難しい。こういう理由でございますが、ただ福祉年金につきましては、国の財政の許す節風内あるいは国の経済の許す範囲内で、今後とも引き上げに努力したいという気持ちは十分持っております。
  305. 米沢隆

    ○米沢委員 老齢福祉年金と経過年金の水準の引き上げを議論する場合に、福祉年金はすべて国庫である、経過年金もかなり国庫が踏み込んでおる、そういうようなところから、福祉年金等を上げるとかなりまた国庫負担がふえていく、したがって、年金水準を上げることにかなり抵抗があるやに聞いております。  しかしながら、御案内のとおりほかの厚生年金だって、国民年金だって、共済年金だって、いろいろな資料を読んでおりますと、例えば自分が保険料として積み立てた、あるいは事業主が出してくれたその部分を幾らかき集めても、現実にもらうときには本当に一〇%か二〇%にすぎない。結局、おれは保険料を納めておるんだから、それに利子をつけて年金をもらうんだというのは間違いであって、修正積立方式というよりも、実際はほぼ賦課方式に近いような実態であるというふうに聞いておるのですよ。現実的には一体どうなっていますか。
  306. 吉原健二

    吉原政府委員 従来は、歴史的に我が国の年金制度の発足が遅かったということもございまして、いわば意識的に成熟化対策をとったわけでございます。したがって、保険料が低いままで給付水準を上げるというような政策をとってまいりましたために、実際に受け取る年金の額あるいはその総額と、払った保険料の額あるいはその総額との間には大変大きな乖離があるということは事実でございまして、それがどのくらいの割合になるかというのはなかなか難しいのでございますけれども国民年金の場合あるいは厚生年金を通じまして二〇%程度ではなかろうかと思っております。
  307. 米沢隆

    ○米沢委員 現実に年金をもらう場合には、自分の保険料やあるいは事業主負担に利子をつけてトータルしても、自分の納めた分は大体二割、八割は国庫とそして後世の負担に依存するということであれば、経過的な年金は国庫を食うとか保険料も余り払ってない、したがって水準を上げるのは大変だという議論がありますが、普通の厚生年金だって、国民年金だって、共済年金だって、今の段階では、少なくとももらう場合には、自分の金の分はわずか二割、八割はみんな人様に依存しておるのでございますから、そういう意味では、経過年金もほかの厚生年金も大体似たようなところにあるんじゃありませんか。厚生年金国民年金共済年金、例えば十五万円もらうとして、二割だとすれば三万円が、事業主負担も入れて自分の納めたもの、あとの十二万円はまさに福祉年金みたいなものでございますから、厚生年金国民年金共済年金等の水準を議論するときには、経過年金もそのあたりを踏まえて議論すべきであると私は思うのです。その点はっきりしてもらいたい。
  308. 吉原健二

    吉原政府委員 自分の払った保険料と受け取る年金額の関係、先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、今度の年金改正のねらいがそういったことで、今の給付のままにしておきますと後世代の人の保険料の負担あるいは国の負担が非常に過大になり過ぎる、それでは国民の負担能力も大きく超えてしまうということを何とか適正なものにしたいということでございまして、率直に言いまして、今の年金を受けている人の給付水準はできるだけそのままにしておく、これから年金を受ける人については、ひとつ後世代の負担も考えて適正なものにしていこうということでございますので、今度の基礎年金導入に伴って、福祉年金なり、あるいはそれに伴って五年年金、十年年金といった経過年金までも当然に引き上げていくということは、今度の改正方向とむしろ逆になってしまう、財源の問題というよりかむしろ考え方が逆になってしまうということで、私どもとしては、どうしても方向としてはとり得ないわけでございます。
  309. 米沢隆

    ○米沢委員 今回の改正では、例えば国庫負担等を見ますと、従来の国庫負担方式を変えまして、基礎年金給付費の三分の一相当を繰り入れていくという一点集中主義になっております。この処置については、全国民を通じて公平な国庫負担を行うという意味で理解はできますが、問題は、トータルの国庫負担額が、新制度の施行によりまして、従来制度のままの国庫負担方式による国庫負担額よりかなり削減されるというのが、さきの委員会で明らかになりました。すなわち、現行制度そのままを維持されれば、将来は年金は大変なんだという理屈を言いながら、制度改正に便乗して、ちゃっかり国庫負担を削減するという結果がここに出ておるわけでございます。これでは、保険料はアップされる、給付は下げられるというダブルパンチを受ける年金加入者にとっては、納得できないことではないかと思うのです。せめて浮かした分だけは、経過年金等の充実に向けて金を振り向けるというくらいの心があって、初めて厚生省は誠実性のある行政をやっているということになるのではないですか。大臣、どうですか。
  310. 増岡博之

    増岡国務大臣 私どもは保険料、税金、一般会計、両方の負担ということを考えておりますので、トータルとして過大な膨張を続けることは避けてまいりたいと思います。     〔戸井田委員長退席、愛知委員長代理着席〕
  311. 米沢隆

    ○米沢委員 答弁になってないような気がするのですが、時間がありません。  次は、基礎年金の財源問題でございます。基礎年金給付に要する費用は、国民年金の保険料と国庫負担及び拠出金で賄うということになっておりますが、当該年度の基礎年金給付に要する費用、現実に年金をもらっている人々の当該年度の基礎年金部分を、現在の被保険者で案分することには不合理はありませんか。将来の、例えば国民年金の第一号被保険者、厚生年金の第二号と第三号被保険者の受給者になっていく推移いかんによっては、厚生年金財政により多くの負担がかかってくるのではないかと思うのですが、このあたりはどういう計算になっておるのですか。
  312. 吉原健二

    吉原政府委員 基礎年金給付費全体を一体どういうふうに持つのが国民にとって本当に公平な負担なのか、いろいろ大変難しい議論があったところでございますけれども、私ども最終的な考え方として採用いたしましたのが、結局年金というものはそのとき働いている若い人、年金制度の言葉でいいますと各制度ごとのいわば現役の被保険者ということでございますが、被保険者はその財源をもって老齢年金に充てる、老人を扶養する、それが年金制度の仕組みでございますから、その基礎年金の財源負担のあり方、現在の厚生年金国民年金共済制度といういろいろな年金制度が分立している状況での公平な負担としましては、総額を各被保険者の割合で按分をして持つ、これが現時点では一番公平な負担の仕方だ、こういうことで決めたわけでございます。
  313. 米沢隆

    ○米沢委員 本当に合理的な判断をするならば、当該年金をもらわれる方々の数を現在の被保険者が按分して払うというのが一番いいんじゃないですか。現在の被保険者の数の按分ではなくて、国民年金は何人おる、厚生年金は何人おる、もらっておるその人々の数で按分するのが本当じゃないですか。そして国年の財源から払う、厚年の財源から払う、これが合理的じゃないですか。
  314. 吉原健二

    吉原政府委員 実は、そういうことではこれから年金制度がもたないというところから、今回の財政方式を考えたわけでございます。国民年金給付費を国民年金の人だけが払う、あるいは一つ共済制度給付費を一つ共済制度だけで払う、そういったことではもうもたなくなりますから、基礎年金については全国民で持とう、全制度で持とうという考え方にしたわけでございます。
  315. 米沢隆

    ○米沢委員 もたなくなったものを、もたなくなったものともたなくなったものとを合わせて、もつようになるはずがないじゃないですか。そんなのは理屈だよ。よく説明してください。僕は頭が悪いからこれではわからぬ。
  316. 吉原健二

    吉原政府委員 基礎年金に必要な財源というものを厚生年金国民年金、各共済制度にどういうふうに按分するかということでございますけれども、それはやはり、最初に申し上げましたように、それぞれ各制度ごとによって現役の被保険者と受給者の割合が違うわけでございますから、もし先生のような負担の仕方にしますと、特定の制度についての負担が非常に重くなるわけでございます。受給者と被保険者の割合が皆違いますから。それは制度の沿革なり成熟度が違いますから、特定の制度にとっての負担は非常に重くなる。そういったことではなかなか公平な負担ということにならないわけでございますので、全国民に、そういうことではなしに、全給付費というものを各制度ごとに被保険者の数で按分して持っていただく、そういったことが、関係者がいろいろ議論をいたしまして、現時点では一番公平な負担ではなかろうか、こういうことでございます。
  317. 米沢隆

    ○米沢委員 ということは、現時点で、ある年金財政には負担が重くかかる場合もあるということを認めるということですね。
  318. 吉原健二

    吉原政府委員 先生が先ほどおっしゃいましたように、各制度ごとの給付費をそれぞれの被保険者で持つという考え方と、それから今申し上げましたように、今の政府案でとっております総額を全被保険者の数で按分して持つ、そのやり方を比較しますと、特定の制度にとっては負担が重くなる、あるいは負担が軽くなる、そういう違いがあることは確かでございます。
  319. 米沢隆

    ○米沢委員 早くそのことを言えばいいんだ。  次は、厚生年金の適用拡大の問題でございます。  今回、五人未満事業所への適用拡大につき、法人事業所にまで拡大したことは大いに評価できるわけでありますが、同じ被用者の立場から見ますと、個人事業所についても適用拡大を図るべきであると思うのでありますが、今後どういう方針で臨まれるのか。  もう一つは、パートタイマー労働者の間で厚生年金保険の適用があるのは全体の四一%ぐらいです。この際、年金適用をすべてのパートに拡大するという気持ちを持って、適用範囲、適用パートタイマーをふやしてもらいたい、こう思うのですが、それについての御方針はありますか。
  320. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  まず第一の、五人未満事案所の適用拡大の問題でございますが、五人未満事業所につきましては、法人の事業所につきまして今改正案におきまして適用を拡大するということでお願いをいたしておるわけでございます。法人以外の、いわば個人が設置をいたしております五人未満の事業所等についての適用問題につきましては、実は従業員の移動性が非常に高うございます。それから、帳簿類等の保存の状況と申しますか、事務処理能力におきまして事業所に若干の問題があるというようなことから、適用技術上の問題がございます。したがいまして、今回、法人の事業所の適用を三年がかりでやらしていただくわけでございますが、こういった法人の事業所の適用拡大をいたしました上で、この問題が円滑に行われました後に、将来の検討課題として引き続き研究をさせていただきたいと思っておるわけでございます。  もう一つは、パートタイマーの問題でございます。このパートタイマーと言われる方々の就労の実態はいろいろであるかと思うのでございますが、厚生年金の場合には、いわば日々雇用される者といいますものは適用対象から外しておるわけでございますが、常用の方とほぼ同じような実態を持っている方につきましては、適用を促進するという方向で指導を進めておるわけでございます。つまり、労働日数でございますとか、労働時間、就労の形態等から見まして、その地域における常用的な労働者と比べまして、ほぼ同様と考えられる方についての適用を促進いたしておるわけでございます。先生指摘のように、この方々につきまして、実態としまして同様であるという方方につきましては、従来以上にその徹底を図ってまいりたいと思っております。
  321. 米沢隆

    ○米沢委員 最後に、二つお尋ねしたいと思います。  これは六十年度予算編成にかかわる問題でありますが、大蔵大臣、年金給付の引き上げは来年度はどういう格好でなされるのですか。きょうの新聞を読みますと、公務員皆さん方の給料も三・三七でしたか上げるということでございますが、賃金スライドみたいな格好で年金水準を上げていくのか、あるいは物価スライドでやっていくのか。従来の経緯からしますと、同じように三・三七%年金水準を上げるということになろうと思いますが、その点について第一点はお聞かせいただきたい。  それから第二点。これも先ほど議論になっておりましたが、行革特例法、これは延長するのかしないのか。今検討中だというならば、延長する方がニュアンスは強いのか、それとも延長しない方に傾きそうなのか、そこらぐらいは教えてもらってもいいんじゃないかなと思います。  以上の二点。
  322. 保田博

    ○保田政府委員 お答えをいたします。  大変微妙な御質問でございまして、私は私なりの考え方を多少は持っておりますけれども、政府の一員として、その方針をこういう公式の場で申し上げるのは大変難しい時期であるということをまず御理解いただきたいと思うわけであります。  最初の、六十年度予算編成におきまする年金給付額の引き上げについてどう考えるかという点でございますが、年金額の改定につきましては、御承知のように物価スライドが基本でございます。この物価スライドが来年度適用になるかどうかということは、五十九年度の消費者物価がどうなるかという見込みにかかわる問題でございまして、現在大変微妙なところにあるということでございます。  では、これが適用にならない場合にどうするかということでございますが、御承知おきのような財政事情のもとで、恩給とか共済の年金額をどういうふうにするかといったようなこととの兼ね合いも考えながら、目下部内において検討中ということでございます。  それから、行革特例法の適用期間を延長するかどうかという点でございますけれども、この点につきましては、先ほど来たびたび申し上げておるわけでございますが、現在どちらに傾いておるかという御質問でございます。厳しい財政事情のもとで、これを延長しないで済めばいいのですが、それもなかなか難しいのかなと、とつおいつ考えておるというところでございまして、どちらに傾いておるかという微妙な点については御容赦いただきたいということでございます。
  323. 米沢隆

    ○米沢委員 大蔵省は公式の場ではそんな話はしないのだそうでございますから、これ以上議論はできませんが、厚生省としては、年金水準を来年はどういうふうに考えておられますか。  それから、もう一つ行革特例法。あの当時の議事録を見てもらったらおわかりのとおり、当時は竹下大蔵大臣ではなくて渡辺大蔵大臣だったと記憶しておりますが、必ず払います、期間は三年で結構ですということをたびたび言っておられたように私は思うのです。ところが、この段階になって、うまく財政のつじつまが合わないから、一年なのか三年なのかわかりませんが、また行革特例法の延長を考えたいというような動きは、非常に問題だと私は思うのです。約束違反そのものであって、国会審議等あるいは法律審議する際の答弁等々、これからはもう余り信じられませんね。  大蔵省はよく、例えば赤字国債の借りかえだってそうですけれども法律をつくるときは、絶対に借りかえなんかしませんと言いながら、ぽつっとやってきて、赤字借りかえをやらなければいけませんとか、そしてその法律を急ぐのだ急ぐのだと言って、慎重審議やってくれなんて、委員会では法案を成立させるために追い回しながら、実際は決まってしまって、何年かたったらすぐそれをほごにする。そういうやり方は、非常に信用にかかわる問題だと思う。  そういう意味で、この行革特例法等も、厚生年金へ繰り入れる額、かなりの金額を借りておるわけです。これがまた今後も延長されるということになれば、ますますかさが大きくなって、ますます払いにくくなるだろう。そういう意味で、現実の財政状況が厳しいのはよくわかりますけれども、けじめはけじめとして、返すものは返す、そして、もし新たに考えるのなら考えるというような方向ではっきりけじめをつけてもらわないと、幾ら大蔵省が今から法律を出しても、もう信じられませんね。いつ何とき後ろ足でけられるかわからない、そういうものであってはならないと私は思うのです。大蔵大臣、御見解はどういうものでしょうか。
  324. 竹下登

    ○竹下国務大臣 確かにこの行革特例法審議、私も委員の一人でございました。米沢委員が今御指摘のようなお答えがたびたびありました。そしてその後、私はまた大蔵大臣になりましたときにも、その延長線上のお答えをいたしております。その私が今、いわゆる赤字公債、特例公債の体質から脱却するという年度をなにしたという事実、事態を申し上げて、したがって、本当にここのところ、まさに近い数週間の間に結論を出さなければいかぬという立場にあることは事実でございます。  確かに、振り返ってみますと、昭和三十九年まではもとより特例公債も四条公債もございません。そして、五十年からいわゆる特例公債を出して今日に至っております。高度経済成長期におきますところの、いわば国民のサービスに対する要求に対し、十分とは言えなくても絶えず上向きに対応できた時代とは、著しく財政状態が苦しくなっておるわけであります。したがってその都度、米沢委員から御指摘をいただきますように、いろいろな批判をいただきながらも、苦悩し、苦渋に満ちた顔でお願いをしてきておりますので、後ろ足で砂をかけるようなことなく、前向きにお願いをしていきたい、これが偽らざる心境であります。
  325. 米沢隆

    ○米沢委員 水準アップは……
  326. 吉原健二

    吉原政府委員 来年の年金の水準でございますけれども、仮に今年度の消費者物価が相当上がりまして、今までのいわば物価スライドの積み残し分と合わせまして五%を超えたときには、当然五%を超えた率でスライドするということになりますが、今のところそういう状況ではございませんので、共済とか恩給の改定がどうなるか、そういったものを見守りながら、それとバランスのとれた形で、いわば格差、違いの生じないような結論を出したいと思っております。
  327. 米沢隆

    ○米沢委員 終わります。     〔愛知委員長代理退席、戸井田委員長着席〕
  328. 戸井田三郎

    戸井田委員長 正森成二君。
  329. 正森成二

    ○正森委員 私は、時間の関係で、主として年金財政の将来及び展望に絞って、これから質問をさせていただきたいと思います。  まず、話の順序として手元に持ってまいりましたが、「厚生省年金局監修」と銘打ちまして、「年金制度のあらまし」というのが昭和五十七年に発行されました。それを見ますと、「給付費の見通し」というところで、給付費の対国民所得比が五十五年は三・九%だが、昭和八十五年には一六・一%にふえるというように書いてございまして、これは非常に非現実的な前提のもとに出されている数字ではないかということで、あるいは御記憶かもしれませんが、昨年の九月二十七日に大蔵委員会で私自身が、十月四日に連合審査会で我が党の小沢委員が、この席にもおられるかと思いますが、当時の林厚生大臣質問をさせていただいたと思います。そのときに一定の御答弁をいただきましたが、その後五十八年版からこの項目は削除されているようであります。なぜ削除されたか、その理由を正確にお答えください。
  330. 吉原健二

    吉原政府委員 年金給付費の将来見通し、それを国民経済なり国民所得との関係でどういうふうに考えるか、具体的には、年金給付が国民所得に対して将来どういうふうにふえていくかということを推計いたします場合に、二通りの推計の仕方があるわけでございます。率直に言いまして、国民経済も伸びる、年金も伸びるという前提での推計と、それは大体並行して伸びるわけですけれども、そうじゃなしに、その伸びというのは、何%伸びると見るか非常に難しい要素がございますので、一応静態的に、国民所得も一応一定、それから年金給付も、受給者はふえますけれども、年金給付そのものの水準としては一定、そういう前提で計算する場合と二通りの方法、いわば静態的な推計のやり方とあるわけでございます。今御質問にございました資料には、いわば静態的な考え方での将来見通しを載せていたわけでございますけれども、御指摘もございましたし、いろいろ誤解を招く点もございましたので、新しい資料ではそれを除いたわけでございます。
  331. 正森成二

    ○正森委員 ある程度お答えになりましたが、この資料では、「国民所得は、昭和五十五年度の国民所得が総人口増加率と同率で増加するものとした。」つまり一人当たり国民所得が一定と考えてこの数字をつくったというように書かれているんですね。そこで、私自身も含めまして、国民所得というのは国民総生産の大体八割でございますから、国民総生産が今後数十年にわたって全くふえない、そんな経済があるであろうかということで、それは国民に対して非常に誤解を与えるものではないか、それは政府の経済見通しとも完全に異なるではないかということを申したわけであります。  そのときに、林厚生大臣の当時の政府委員が、速記を読みますと、「五十八年版ではここら辺はそういうあらぬ疑いを避けるために削除しております。」とか、「厳密な意味では誤解を招きやすいということでことしは削除したということであります。」こういうぐあいに答えているんです。これは当然のことであります。  ここから言えることは、厚生省の戦略は、昭和五十七年当時は我が国のGNPがふえない、一人当たり国民所得もふえないということを前提にして、年金制度を現行のままにすれば、年金給付額は昭和五十五年の三・九から一六・一%に約四倍ふえるという、そういう鬼面人を驚かすような宣伝をやりまして、年金制度改正――我々の言葉では改悪ですが、してもやむを得ないという宣伝をしたのです。我々はその厚生省の意図を見抜いて、これは我が国の経済のあり方からしてあり得ないことではないか、政府の経済見通しからもう完全に反しているではないか、こう言いましたら、さすがにあの心臓の強い厚生省も、正論の前にはやむを得ず、五十八年からこういう数字は削除せざるを得なかったということであります。  そこで今度は策を変えてやってまいりましたのが、国民総生産や国民所得というのには触れないで、現行制度をそのままにして、その中でこれを賄おうとすれば、保険料が結局国民年金の場合には最高で一万三千円、今が六千二百二十円ですから二倍以上、厚生年金の場合には二八・九%で約三倍ということになるんだというモデルケースを示して、いずれにせよ二倍、三倍になるから大変である、そういう前提でどうしても年金制度を変えなければならないんだ、こう言っているわけであります。  そこで、私は手元に、あなた方がおつくりになった財政再計算と銘打っておられます資料を持ってまいりましたが、この財政再計算では、標準報酬は毎年五%上昇するという前提の数字を基本にされております。そこで伺いたいのですが、それならば毎年GNPは何%伸びるという前提でつくっているのですか。
  332. 吉原健二

    吉原政府委員 年金の将来の財政収支の計算では、国民経済、国民所得の伸びは計算をしておりません。年金の水準あるいは賃金が五%伸びるという前提での計算でございます。
  333. 正森成二

    ○正森委員 それは非常におかしいんじゃないですか。標準報酬あるいは賃金が五%伸びるということは、例えば去年は年金、人勧その他の改定は見送られているのです。ことしは、物価上昇はずっと高いのに二%しか改善されないということになっているのですよ。それがあなた方の場合には、これから毎年毎年、鶏の鳴く日があろうとなかろうと、五%ずつはふえていくという大前提で二〇四〇年、五〇年まで、つまりこの委員会におられる人が、非常に申しわけないことながら全員幽明境を異にして、一人も生き残っておらないことが一〇〇%確実である時代まで、五%ずつ標準報酬が伸びるということを前提につくっているんです。そういう経済というのは、少なくとも今までの我々の年金についての標準報酬の改定の歴史から考えれば、GNPの名目成長率もまた五%以上、相当程度高いときでなければ実現しないということを前提にしているじゃないですか。それについて厚生省は、年金だけを考えておって、国民経済は経企庁に聞いてくれ、大蔵省に聞いてくれというつもりかもしれないけれども、余りにも無責任じゃないですか。そうでなければ、我々は国会として、国の経済からどの程度が保険料として妥当なのか、年金給付として妥当なのか、そんなことは言えないじゃないですか。しかも、静止の状態なら標準報酬も上がらないというならまだ話はわかるけれども、これだけは五%毎年毎年たったかたったか上げておる、GNPはどうだと言えば、それはわからない、そんな無責任なことがありますか。  もし、厚生省がそんなことは全く考えないというのであれば、経企庁こそ、我々の経済がどういうようになるか、マクロで見ておかなければならない経済官庁であります。もし、経企庁と十分の相談なしに、こういう鬼面人を驚かす二〇四〇年、五〇年を出して、将来はこうなるから六十年、七十年先まで規定するような改定をしなければならないということを国会で言うなら、それにふさわしい経済の見通し像を経企庁は当然示すべきじゃないですか。答弁を求めます。
  334. 吉原健二

    吉原政府委員 先ほどの私の答弁で不十分な点がございましたので補足をさせていただきますが、年金の将来の財政収支の上では、国民経済なり国民所得がどのくらい伸びるかという数字を出すあれがないわけでございますので、そういう計算はしておりませんが、標準報酬が五%伸びるということは、当然それに見合う――全く同じ率がどうかは別にいたしまして、大体そのぐらいな率、見合った率で国民経済なり国民所得も伸びるだろうということは、当然念頭に置いているわけでございます。
  335. 正森成二

    ○正森委員 国民経済が伸びることは当然念頭に置いておると言いました。その前に一つおもしろいことを言ったと思うのです。年金財政考える上では、国民経済なり総生産がどれだけ伸びるかということは関係のないことであると言いました。それはあなた方の立場からすれば関係ないのです。我々の立場からすれば大いに関係があるので、そのことをこれから議論しようとしているのです。  あなた方の議論というのは、例えて言ってみればウサギとカメの議論なのです。ウサギとカメの話を知っていますか。ウサギは、向こうの山のふもとまで、どちらが先に行き着くか、カメさん競争しましょうと言ったのです。カメはこれを受けたのです。たまたまウサギが寝たからカメさんは勝ったけれども、ウサギが寝なければ、向こうの山のふもとまで駆けくらべするのに、ウサギが勝つのは当たり前なのです。私の議論はそうじゃないのです。カメの方が、もしもしウサギさん、池の中にどれだけ長く潜れるか勝負をしましょうという話をするのです。そうしたら、普通だったらウサギが負けてカメが勝つのは当たり前なのです。  だから、前提を制約しておいて、制約した前提しか資料を出さないで国会で議論しろなどというのはもってのほかだと私は言わなければならないのです。厚生省は自分のエゴイズムがあるからやむを得ないとして、経企庁はもっと国全体のことを考えているはずであります。経企庁は、こういう財政再計算をするのにどういう相談を受けたのか、国民総生産が名目でどれだけ伸びると考えておるのか言ってください。二〇五〇年までですよ。
  336. 佐藤隆三

    佐藤説明員 ただいまのGNPの問題でございますが、二〇五〇年までという数値はございませんで、現在ございますのは、昨年策定されました「展望と指針」におきまして、昭和六十五年までの期間につきましての経済成長率、実質で四%程度というのがあるわけでございます。(正森委員「消費者物価上昇は」と呼ぶ)消費者物価上昇率といたしましては、年率三%程度でございます。
  337. 正森成二

    ○正森委員 ですから「展望と指針」では、中曽根総理の指示で数字を極力出さないということになったのです。予算委員会で私もそのことを質問いたしましたが、その前の「新経済社会七カ年計画」では数字はちゃんと出ていますね。結局「展望と指針」でも、名目成長率は大体六ないし七%となっているはずであります。間違いありませんか。そうですね。――今うなずきました。  それで、お手元に資料を差し上げましたが、それはGNPが七%でふえるということを前提に計算してあります。  そこで大蔵大臣にお伺いしたいのですが、資料をごらんになりながらお答えください。その資料を見ますと、GNPは七%ずつ複利で伸びていくのですから、非常に大きな数字になりまして、その数字の終わりの方では、兆では数え切れぬようになっておるのです。わかりますか、一番左の方。九千九百九十九兆を超えると兆では数えられないのです。その次の数字の読み方はどういうぐあいに読むのか、大蔵大臣、お答え願います。
  338. 竹下登

    ○竹下国務大臣 京でございます。
  339. 正森成二

    ○正森委員 さすが大蔵大臣で、京都の「京」と書くのですね。  それで、これを見ますと、二〇四〇年には何と一京三千四百十二兆五千億円になるのです。だから、厚生省も雄大な計画を立てておるもので、国民総生産が兆では数えられないで、一京というような文字を出さなければならないぐらいの将来まで示して、そして保険料を上げなければならないのだ、給付は下げなければならないのだ、こういうように言っているのですね。  そこで伺いたいと思うのですが、こういう将来像をやる場合に、社会保障負担はどのぐらいになりますか。一定の年次をとって言ってください。厚生省でもいい。租税負担率の方は大蔵大臣に伺います。
  340. 長門保明

    ○長門説明員 お答えいたします。  現在、政府におきまして、将来の社会保障負担の限度といたしましては、これは社会保障負担だけではございませんで、租税負担と合わせました国民負担ということで、これにつきまして一昨年出ました臨調の答申、それから昨年出ました「展望と指針」におきまして、ヨーロッパ諸国の水準よりもかなり低い水準にとどめるべきものだというふうな方向が指示されてございます。
  341. 正森成二

    ○正森委員 そんなことはよく知っているんで、ヨーロッパよりも相当低い水準といったって、ヨーロッパは五〇%のところもあれば六〇%のところもあり、いろいろあるのですから。予算委員会でいろいろ我々も質問した中では約四〇%という説もあるし、臨調の瀬島さんなどは四五%というようなことを言っておられるわけですね。そういうことを前提にして、あなた方はこれだけの財政再計算をなさる以上は、社会保障負担がどれぐらいに何年度においてなると思っておるのか、こう聞いているのです。いいですか。随分細かい数字を出しているのですからね。それでGNPの名目成長率は、政府がこれまで出したものでは大体七%だということもわかっているのですから、出るでしょうが。年金局長、あなたは学があるようだから答えてごらんなさい。
  342. 吉原健二

    吉原政府委員 社会保障負担、年金、健康保険その他いろいろございますけれども、現行制度のままにいたしますと、手元の数字、資料で申し上げますと、昭和百年、二〇二五年ごろにおきましては、国民所得に対する比率で二五%程度になるのではないかという推定をいたしております。
  343. 正森成二

    ○正森委員 そうお答えになる以上、これは聞かなければいけませんな。  その数字では、GNPは何%ずつ伸びるのですか。
  344. 吉原健二

    吉原政府委員 今申し上げました数字の前提といたしまして、一九八〇年から二〇〇〇年までの経済成長率、「二〇〇〇年の日本」という経済審議会の長期展望委員会等の考え方も参考にいたしまして、年平均実質四%程度の伸びを前提に試算をいたしております。
  345. 正森成二

    ○正森委員 消費者物価上昇指数は。それをやらないと出てこないでしょう、実質だけじゃ。つまり名目は幾ら伸びるのですか。
  346. 吉原健二

    吉原政府委員 名目は六ないし七%程度を想定をいたしております。
  347. 正森成二

    ○正森委員 それでは伺いますが、今度の改正案を実施したら、社会保障負担はどうなりますか。
  348. 吉原健二

    吉原政府委員 年金が社会保障負担のうちで一番大きなシェアを占めるわけでございますが、現行制度のままですと、年金だけで国民所得に対する割合が一六%ぐらいになるわけでございます。国民所得に対して、年金の保険料だけで一六%ぐらいになると推計されますが、今回の改定案によりまして、これが一一ないし一二%程度になるというふうな考え方をしております。
  349. 正森成二

    ○正森委員 ちょっと今のは、もう一遍言ってください。
  350. 吉原健二

    吉原政府委員 現行制度のままに置いておきますと、国民所得に対する年金保険料の負担が一六%程度になるわけでございます。それで、今回の改正案が実施されますと、この負担が一一ないし一二%に下がるということでございます。
  351. 正森成二

    ○正森委員 そうしますと、大臣答弁と食い違ってきますな。大臣答弁があるから聞いたのですけれども、五十九年三月十五日の参議院の予算委員会の議事録があります。この中で渡部厚生大臣が社会党の高杉委員質問に答弁しておられるのですね。それを見ますと、きっちり答弁しておりまして、こう言っているのですよ。昭和百年ですね、それは合っているのです。できるだけ努力をしていろいろ苦労すると、年金についての負担は一一から一二%になる、こう言っているのですね。しかし、社会保障負担というのはそれだけではありません、医療だとか雇用保険だとかあるのですから。  それで、それはどうなるかということを言いまして、その部分を読みますと、こう言っているのです。「現在、社会保障負担率は五十九年度で一〇・八%、うち年金が五・八%、医療その他が四・九%、こういうことになっております。百年にはどの辺にいくだろうということでありますが、」と言って、ちょっと途中省略しまして、「この改革案を通していただきますと、」というのは、これは健康保険法案のことなんです。そうしますと、「百年になっても医療その他の負担は五%程度でこれはとどめることができる。年金はどうしても、先ほどの人口高齢化の中でどんな工夫をしても、これはある程度の負担はやむを得ませんので、百年になると一一%から一二%程度の御負担をお願いしなければならなくなるのではないか。」こう言っているのです。いいですか。だから、もし年金の改正が行われれば、社会保障負担は年金部分については一一、二%である。それ以外の健康保険、雇用保険等は、健康保険法が通れば大体全体で五%で頭打ちする。そうすると両方で一六、七%だということになるのですね。  そうすると、どういうことになるのですか。あなたの今の答弁では、改正しなければ年金だけで一六%ぐらいになる、こう言ったでしょう。ところが渡部厚生大臣は既にことしの三月の時点で、健康保険法案が通ればその他の社会保障負担は五%でとまると言うのだから、五プラス一六で二一にしかならないはずじゃないですか。それを今のあなたの答弁では、このままほっておけば社会保障負担が二五%になるというのですね。大臣答弁と食い違うじゃないですか。  しかも、もう一つ言っておきましょうか。もしそういうことで二五%になるということなら、大蔵大臣に伺いますが、租税負担率は二四・二ですね。たしか五十九年度で可能性が二四・七になるのですか。そうだとすれば、両方合わせれば五〇になってしまうのですね。四〇や四五じゃないのです。だから、渡部厚生大臣の答弁と年金局長の答弁は微妙に食い違うのですね。だから、えらい申しわけありませんが、厚生大臣、やはり上位の方がお答えいただかないと、大臣と年金局長の答弁が食い違えば、それを現段階で直すのは現大臣以外にないのじゃないですか。
  352. 吉原健二

    吉原政府委員 私が、将来このままにしておきますと二五%と申し上げましたけれども、そのときのいわば前提を詳細に申し上げますと、年金が約一六%強、それから医療その他で大体八%強ということで二五%に近くなる、こういうことを申し上げたわけでございます。健康保険は、もし健康保険法の改正――それは実は正確に申し上げますと、健康保険も現行制度といいますか、十月から実施されたわけでございますが、前の制度を前提にした数字を申し上げまして、健康保険制度改正によりましてこの医療保険その他の負担率も当然、数字は二ないし三だろうと思いますけれども、下がると思いますし、年金につきましても、今回の改正が実現できれば、一六が一一ないし一二になるわけでございますから、かなり下がってくる、こういうことでございます。
  353. 正森成二

    ○正森委員 しかし、今の答弁を聞いていても、厚生省の役人の国民向けの説明は、政治家である渡部厚生大臣よりもはるかに、一言で言えばずるいですね。  渡部厚生大臣は、ことしの三月、まだ健康保険の改正が行われていないときに、健康保険の改正が行われるなら、医療その他は五%でとまります、こう言っておるのですよ。あなたの場合は、もう既に健康保険の改正は十月に行われているんじゃないですか。それなら、改正が行われたことを前提に答弁すべきが当然なのに、今のままほっておけば国民の負担が非常に高くなるという点については、既に改正が行われたものも改正が行われていないかのような答弁をして、二五%になる、だから大変だというのはおかしいじゃないですか。もう少し細かく、私だって、質問する以上は、大臣が前にどう言ったかということを聞いているのだから、きれいに区別して答えなければいけないと思う。  さらに言うならば、あなたは、このままの制度にほっておけば、社会保障負担は、年金についてだけですよ、一六%になると言いましたね。この一六%という数字は、いみじくも五十七年にあなた方が削除した一六・一というのと酷似しているのですね。一方はGNPが全然伸びないと見て一六・一だったのに、今のあなたの答弁を聞けば、GNPは実質四%伸びるというのに同じことである。GNPと国民所得費というのは同じなんですよ。GNPに八掛けたのが国民所得費なんだから、GNPで一六・一なら国民所得費も一六・一なんです、おかしいじゃないですか。だから、あなた、私には経済の名目成長率を考えて計算しましたなんて言っているけれども、実はそうじゃなしに、経済の成長率が人口の増加率だけしかふえないという昭和五十七年の年金についての考え方、つまり我々に国会で追及されて、誤解を招くからと言って削除してしまったその数字を、また今私に対する答弁で使っているのじゃないですか。そうでしょう。そうでなければ数字のつじつまが合わないのですよ。こんなことは政治論じゃないのです。小学校か中学一年の算数ができれば出てくる答えなんです。そんなでたらめな答弁がありますか、あなた。  私はこれでも大蔵委員会で多少は数字を勉強しているのですよ。そんなあなたみたいな数字にごまかされますか。そんなことを言うだろうと思って、ここに資料を借りてきたのです。この資料は、年金の支給や上昇率は財政再計算のあなた方の数字のとおりなんです。そして、国民総生産の伸びと国民所得の伸びを、政府の経企庁などが言っておるように、毎年七%伸びるということで計算しているのです。一六なんかにならないじゃないですか。半分にもならないじゃないか。そんなでたらめなことで審議ができるか。  大蔵大臣が御用のようでございますので、租税負担率がどうなるかだけお聞きいたしまして御退席願っても結構です、これから後は厚生省の問題ですから。
  354. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いつもお答えいたしますように、八〇年代後半の「展望と指針」、「七、六、五抜きの四、三、二、一」と申しておりますが、その「七、六」の中間値をとった六・五%というのをいろいろな数値として使わせていただいていることは事実であります。  そこで租税負担率は、五十九年、おっしゃるとおりの数字でございますが、この「七カ年計画」のときには二十六カ二分の一というのが明瞭に出ておりました。が、五十六年、五十七年の世界同時不況からくる下方修正とでも申しますか、そういうことから、我々は慎重の上にも慎重を期さなければいかぬというので、結局国民負担率として、今おっしゃいました、人によって違いますが、ヨーロッパを下回る、こういうことを申して今日来ているわけであります。したがって、租税負担率がどうなるかということに対して、今明快に将来の見通しについてお答えすることはできません。と同時に、六十年度の問題になりますと、これからどう見るかということ、これもそう長いことかけるわけにいきませんので、いろいろな議論を通じながら我々も勉強させていただいて、その上で予算書としてお出しするものが結局租税負担率ということに結論はなっていくんじゃないか。  したがって、本日のところ、将来の見通し、また最も近い近未来の六十年度の見通しを正確に申し上げることができないことは、御容赦を賜りたいというふうに考えております。
  355. 正森成二

    ○正森委員 どうぞお帰りください。  私は、社労委員会委員長あるいは厚生大臣に申し上げたいと思います。  私が冒頭で申し上げましたように、この法案は二〇四〇年とか五〇年という資料まで出して、国民の将来の年金について重大な関係のあることを議論しているのですね。一年、二年じゃないのです。これが決まれば数十年先のことまで決まるのですよ。それについて年金再計算の資料を出し、それについての根拠を聞いたら、それが、私の議論が正しいとすれば、実にでたらめなんですね。そんなことでは、それを前提としてこれから先の質問を続けることはできないということを申し上げて、もし答えられないなら、私は質問を留保します。
  356. 吉原健二

    吉原政府委員 私どもの推計は、国民経済も国民所得も伸びる、それから年金給付も大体それに見合って伸びるという推計をしております。その率で計算したのが、ただいま申し上げました、現行制度のままでいくと一六%程度になるだろう、こういうことでございまして、それはたまたま前の静態計算の場合と率が一緒でございますけれども、これは誤解のないようにしていただきたいと思いますが、国民所得も一応現在価格で推計をする、年金給付も賃金も物価に合わせてスライドしない、そういう静態の現在価格で推計をする場合と、国民所得に対する年金給付の割合ということで考えますれば、いわば先ほど申し上げました動態的な推計の仕方とで、そんなに率が変わってくるわけはないのでございます。そういった意味で、私ども決して間違った推計、無理な間違ったことを申し上げているつもりはございません。
  357. 正森成二

    ○正森委員 そんなことはないのですよ。あなた方の五十七年度の、「年金制度の将来の見通し」を見れば、いいですか、国民所得あるいはGNPは一人当たり一定で変わらないのですよ。人口の増加率しかふえないのです。一方、年金の給付はどうかといえば、これは確かに静態的に一定していると見ていますよ、給与改定を行わないと。しかし、受給者が増大するとか加入期間が長期化することによってふえるわけでしょう。それはちゃんと計算しているから、五十五年では七兆八千億円ぐらいのが八十五年には三十七兆になるという状況なんです。そして、ふえない国民所得と比較しているから一六・一%になった。ところが、今のあなた方の主張によれば、計算は実質四%ふえている、こう言うのでしょう。そして経企庁が出しているのでは、それに名目三%物価が上がるわけですからね、名目成長率はほぼ七%前後になる。これは俸給の改定は行ってないのですよ。人数が拠出制のがふえるとか加入期間がふえるなどということは考慮しているけれども、俸給の改定は行っていない。俸給の改定を行い、そういう拠出受給者がふえるとか加入期間が長くなるということを全部計算したのがこの財政再計算でしょう。私の資料はその財政再計算の数字をそっくり使っているのですよ。そしてあなた方が言うような、GNPが七%ずつふえたらどうなるかというのを左側に全部入れて割ってみたら、ならないじゃないですか。給付はあなた方の数字を使っているというのはわかるでしょう。  これで強いて言えば、あなた方はまだ財政再計算は厚生年金国民年金だけしか出していないから、そのほかには本当に正確に言えば船員があるのですね。共済があるのですね。福祉年金があるのですね。だからそれをつけ加えなければならないのです。あなた方がそういう反撃をしてくるかと思って、あらかじめもう用意してあるのですよ。この残りの三つの数字は、残念ながら年月によって変わるわけでしょう。福祉年金なんというのは三十年、四十年たてばもう受給者はなくなるのですね。これは無限にゼロに近づくのです。共済の場合には、ある一定の場合までふえるのですね。だから、一律に全体の年金給付の何割が厚生年金国民年金給付であるかということは出ないのです。しかし、アバウトな話ですが、私がおおよそ出しましたら、厚生年金国民年金の合計は、年金給付全体のほぼ八割ですね。将来は無限に九割に近づきます。現在は八割より少ないですね。七割とかそんなくらいだと思いますが、平均八割とすれば、これに〇・八を掛けて計算したって、一六・一になんてどないしたってならないじゃないですか。だから、それを説明してくれなければ、あなたたちの数字を、ああそうですかといって聞くわけにいかないのです。  国民はあなた方のこの財政再計算で、そんなに年金財政が大変になるのなら、これぐらい保険料を上げられても仕方がない、保険金を下げられても仕方がない、六十五歳からになってもやむを得ないというわけにいかないのですよ。当たり前じゃないか。それをちゃんと説明してください。そうでなきゃ、私はそれを是正するためには、今ウサギとカメの話をしましたが、人頭割でこういう計算だけでやっていたのではだめなので、社会的に生産された生産物をどういうぐあいに公平に国民の年金に分配すればいいかという新しい観点を導入しなければ、年金問題の財政解決することができないのです。そのためには、ロボットの問題も言わなければならないし、労働装備率の問題も考えなければならないし、その資料は全部用意して通産省と労働省に来てもらっているけれども、そこへ行く前提が全然間違っているのですよ。質問に入れないじゃないですか。
  358. 吉原健二

    吉原政府委員 どういうふうにお答え申し上げればおわかりいただけるのかわかりませんが、経済も伸びる、年金も上げていくという前提での計算と、それから一応五十九年度価格といいますか、現在価格で国民所得の伸び、それから年金給付の伸び――年金給付の伸びというのは、今おっしゃいました年金受給者の伸びだとか、あるいは加入期間が長くなることによる年金額の一人当たりの単価の伸びでございますけれども、そういったことでやった場合とで、国民所得に対する年金給付のシェアというものが、そんなに違いが出るはずがないのでございます。  むしろ同じでないとおかしいのでございまして、昭和百年なり百二十年の、いわばそのときの価格で推計する場合と、それから現在価格で推計する場合、そういう違いだけでございまして、私ども、当然国民経済も実際は伸びるわけでございますし、年金額も、国民経済あるいは賃金の伸びに従って上げていかなくてはいけない。しかも賃金の伸びと国民所得なり国民経済の伸びは、年によって多少の、どちらが高い、どちらが低いということはございますけれども、長期的にもそれほど大きな差がないわけでございます。そういったことで、私どもの推計は推計として十分理由があるし、御納得のいただけるものではないかと私どもは思っております。
  359. 正森成二

    ○正森委員 そんな、納得もできないし、数学を無視するようなことを言ったらいかぬですよ。あなた方の、誤解を招くから削除しますと言うたのは、国民所得がふえないという前提でやっているのですよ。それで年金の方は、なるほど標準報酬の改定はないけれども、加入期間が長期化したり受給者が増大するということでやっているのですよ。一方、今あなた方が年金計算しているのは、その上にさらに標準報酬は五%伸びるというのをやっているのですよ。だから、そういう違う前提でやっているのに、結果が一致するなんということを合理化しようとすれば、あとはただ一つ、標準報酬は五%伸びる、経済も五%かそれ以下しか伸びないという場合にのみ、これと同じ結果が出てくるのですよ。  だから、いいですか委員長、政府が言っているように、標準報酬が五%も改定されるという場合は、経済の名目成長率と同じだけ変えたら、そんなもの年金財政パンクするのは当たり前じゃないですか。名目成長率というのは、実質成長率にインフレ率も加えて名目成長率になるのですから、そんなものと一緒に年金給付をどんどんふやしていったら、何もそんなもの高等数学を用いなくたって、パンクするのは当たり前なんですよ。物価スライドというのは、インフレ率に対してパラレルにするのでしょう。実質成長率はのけるのでしょう。それを私の計算は、実質は四%で名目は三%だから、標準報酬の改定は三%でもいいんだけれども、政策改定は二%入れて五%にする、そして名目成長率は七%だという、著しく年金財政に厳しい前提をとってさえ、今手元にお配りしたぐらいにしかならないのですよ。それだのに、自分で誤解を招くからといってやめてしまった「年金制度の将来の見通し」というのと同じ結論が出るということは、名目成長率とほぼ同じか、あるいはそれ以上に年金給付がふえると見ているから、そんな数字になるのですよ。  私はここに、こういうのをやるために、コンピューターにははるかに及ばないけれども、計算機で何遍もはじいてやったのですよ。こんなものはじかなくたって、今言うたことぐらいの大まかなことはわかるのですよ。それが社労委員会で何回も審議をし、連合審査の段階になってまだそんなあやふやなことを言っておる。そんなことで、どうやってこんな法案について国民に申し開きができますか。委員長もうなずいて聞いておられますが、おわかりでしょう、私の大まかな理屈は。中学校の三年生を出ておれば、義務教育を受けておれば、私の言っていることはわかるのです。それを年金局長はわからぬで、御理解いただけないのが不思議だというようなことを言っているというのは、厚生省の知能程度を示しているのですよ。(発言する者あり)  社労の人も、我々大蔵委員が真剣にやっているのだから聞いてください。(「聞いていますよ。どっちが本当かだよ。お互いに数字で議論しているのだから。自分の方だけ正しいなんて……」と呼ぶ者あり)そうなるじゃないか。(「こっちを向いて言わないで、政府とやりなさい、まじめになって聞いているのがいるんだから」と呼ぶ者あり)不規則発言を言っておられるから、言っておるのですよ。
  360. 吉原健二

    吉原政府委員 年金は、今までもそうでございましたけれども、何もインフレ率といいますか、物価にだけ見合って上げてきているわけではございませんで、むしろ実質賃金に対する比率の維持、ですから、いわば賃金が上がったことによってそれに見合った形で年金も上げてくる。これは今までもそうしてまいりましたし、これからもそうするという前提での財政計算をしているわけでございまして、先ほどちょっと、あるいはそうでないようなこともおっしゃいましたけれども、その辺も、年金というのはあくまで賃金、報酬のアップ、そういったものに見合った形で今後とも上げていく、これはもう年金の本質でございますので、今後ともそうする、私どもはそういう前提での計算をしているわけでございます。
  361. 正森成二

    ○正森委員 年金局長に申し上げても、あなたと私と見解が違っているようです。ただ、このお手元の資料を見ていただけば、私の方の主張が正しいということはわかると思いますが、念のために申し上げますと、例えば表1の「国民総生産・国民所得に対する年金給付費の割合(現行法)」というのを見ていただきますと、大臣が言いました昭和百年のところをとりますと、年金給付は七・六八なんですね。厚生年金国民年金だけしかあなた方は財政再計算をしていないから、仮に船員だとか福祉年金だとか共済を入れるとすれば、これを〇・八ぐらいで割らなければいけないのですね。それはわかるでしょう。そうしても一〇%にはいかないのですね。だから、年金の国民所得比は、現行の昭和百年をとっても一〇%に達するか達しないで、あなた方の言うような一六%にはならないのです。いいですか。それはわかるでしょう。それで見ますと、昭和六十一年が三・九六に対して、昭和百年は七・六八ですから、二倍にならないのです。一番高いときが昭和九十年ですが、それでも八・六三です。やっと二倍です。改正案によりますと、六十一年が四・〇七ですが、一番高いときが昭和八十五年の六・二九で、昭和百年には五・〇五になり、昭和百十五年には三・四九で、老齢人口はふえるのに、既に現在よりも年金給付費の国民所得に対する割合は減ることになるのです。それは、あなた方の主張する一六・一%になるとかなんとかいうのと、冷厳な数字はそれだけ差があるということを示しているのです。  もしそれが違うというなら、あなた方がGNPの伸び比もしくは国民所得の伸び比を標準報酬の改定の五%と同じじか見ないか、それよりも低く見ているという場合にのみあなた方の前提が成立するのです。しかしながら、そのような標準報酬の改定は少なくともここ数年間行われていないのです、福祉元年と言われたときはいざ知らず。そういう前提で物を言うというのはおかしいじゃないですか。我々は、今財政危機の中で、インフレについてスライドせよということは言っていても、インフレプラス実質成長率も名目成長率も同じであるとか、それを上回るような改定を言っている野党は今のところありません。そういうことを前提にして数字を言うというのは、あなた方は国民に誤解を与え、国民に、年金財政がいかに大変であるかということを言うことにほかならないのではないですか。  委員長、私は今のやりとりで大分時間をとりました。向こうがきちんと勉強してなかったからですが、時間をいただけるのでしょうか。
  362. 戸井田三郎

    戸井田委員長 これは見解の相違だと思います。申し合わせの時間が過ぎましたので、正森委員質疑の時間は終了したものと認めます。
  363. 正森成二

    ○正森委員 それでは、私は大いに異議がありますが、民主主義で委員長の御指示に従わなれけばなりませんので、別の日にいただこうかと思いましたが、質問を締めくくりたいと思います。締めくくりの時間だけ、委員長に御容赦をお願いいたします。  私は、今の議論の中で肝心の質問をしようということができませんでした。えらい申しわけありませんが、労働省、通産省、全部来ていただきましたが、聞いてお答え願うと時間がありませんから、お答え願うことの一部を全部言ってしまいます。  例えば、御承知のようにロボットが多量に導入されております。昨年度は三万台を超えたというように言われております。そして、ロボットが導入されると生産性は著しく上がり、利益も増大するのですが、当然のことながら人間が節約されますから、年金についての保険料の企業負担は減るわけであります。  これは「技術革新と産業社会」という本の二百六十ページに書いてあるのですが、一番導入の激しい自動車関連部門を見ますとこう書いてあります。「車体のアンダーボディー組立工程に溶接用ロボット一〇台を導入、三〇人が一〇人に。」「組立職場、ロボット五〇台、その他自動溶接機の導入や運搬の自動化等により三〇〇人が一五〇人に減少。」「電子制御燃料噴射装置部品の組立工程における電子部品挿入を自動化、七〇人を一〇人に。」こうなっております。時間がございませんので、もう少し引用したかったのですがやめさしていただきます。「金融・保険」の項についても、機械化によって「窓口業務の新端末機の全面入れ換え、三分の一の人員削減。」と書いてあります。こういう状況なんです。  そうしますと、これらの企業は、そういうようなロボットその他のオフィスオートメーションあるいはファクトリーオートメーションを行うことによって労働生産性を高め、利益は非常な率でふえているわけです。そのかわり労働者は減っているのです。そうすると、こういう企業は、利益は莫大にふえるにもかかわらず、社会保険負担は減っているのですね。それは、時間がございませんが、ここに、東洋経済の「統計月報」一九八四年八月に、いかにこの十年間で労働者一人当たりの売り上げがふえ、利益もふえているのに労働者は減っているかということが明らかにされております。これも通産省に答えていただくために事前に言っておきましたが、時間がございませんので全部省略したいと思うのです。  そこで、私が出しました資料は、そういう労働装備率を考慮したとして年金保険料を考慮すればどうなるかというのが、ここに書いてある「労働装備率からみた保険料節約の度合」であります。これは鉄鋼の新日鉄以下五つだけを見たものでありますが、現行の保険料なら三百六十七億五千百万円なのに、節約をした額は二百七十五億三千九百万円、つまりほぼ六、七割が節約されているということになります。こういう点を考慮した新たな年金財政の収入を考えなれけば、人頭割だけで考えている場合には、こういう社会の進展に伴う生産性の発展、あるいは我々の生み出した社会的生産物がどんどん高まっているのに、それを公平に、一生懸命働いた労働者階級やあるいはその家族に反映できないということになるのではないですか。私はそのことを委員長に心から訴えたいと思うのです。  そして最後に……
  364. 戸井田三郎

    戸井田委員長 正森委員に申し上げます。  大分時間が過ぎておりますので、御結論を急いでください。
  365. 正森成二

    ○正森委員 わかりました。  老人対策室がおるでしょう。老人対策室に、高齢者問題世界会議報告書を持ってきてもらうように言いました。その中の六十九ページをあけてください。六十九ページに、Ⅱ原則、(b)と書いてある部分があります。それを読んでください。それで私の質問を終わります。
  366. 吉田勇

    ○吉田説明員 では、お読みいたします。  「高齢者問題国際行動計画」の仮訳でございますが、Ⅱ原則、25の(b)でございます。「高齢者の多様な問題は、平和、安全、軍拡競争の停止及び軍事目的に使われる資源の経済、社会開発のニーズへの転用という状況の下で真に解決され得る。」
  367. 正森成二

    ○正森委員 以上です。私の言いたいことを国連も言っているということを申し上げて、私の質問を終わります。
  368. 戸井田三郎

    戸井田委員長 江田五月君。
  369. 江田五月

    ○江田委員 長丁場ですが、関係委員の御理解をいただきまして、十分間という時間をお与えをいただいておりますので、よろしくお願いします。  今の国民年金法等の一部を改正する法律案、賛否もいろいろ、議論もいろいろありましょうが、いずれにしても今までの年金ではもうどうしようもないところへ来たわけで、年金というものをひとつ大きくつくり直していくという意味で、画期的な法案ということは言えるのだろうと思います。画期的な法案なんですが、しかし年金というのはやはり国民に支えられてでなければ動かしていくことはできないわけで、一体今我が国民の中にどれほど年金思想といいますか、年金というものの物の考え方がきちんと根づいているのだろうか、あるいはこれからどういうふうに年金というものの物の考え方を国民に啓発、教育していこうとされているのだろうか、こういうことを伺いたいと思います。  例えば、二十歳になると何ができますか。成人になって選挙権があります、お酒が飲めるようになる、たばこが吸えるようになる。結婚は幾つですか。女性は十六で、男性は十八でとか、運転免許はどうとか、そういう話はいろいろありますが、年金はというようなときに、そういう二十歳になればというような話が一体今どのくらい普及しているとお考えでしょうか。
  370. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答え申し上げます。  先生から御指摘いただきましたように、年金制度に対します国民の理解を深めていきまして、国民年金を皆さんで支えていただくということのためには、広報というのは大変大切だと思っておるわけでございます。先生がおっしゃっていただきました二十歳という成人の時期は、国民年金の最初の加入の年でございます。したがいまして、二十歳になられました若い方を対象にいたしまして、私どもといたしましては加入促進のための広報を各市町村を通じましてやらせていただいております。  例えば「国民年金から二十歳のあなたへ ゆたかな明日へのスタート」というようなパンフレットをつくりまして、二十歳になられました方すべてにこれをお渡しするという形で、国民年金への関心を高めていただくということをやっております。
  371. 江田五月

    ○江田委員 まあ、おやりなんでしょうけれども、今の状態でもう十分やっておりますとおっしゃるのならば、これはまことにお寒い話だと言わざるを得ないと思うのですね。ヨーロッパにしてもアメリカにしても、年金が社会一般に行き渡っている国々の年金についての物の考え方というのは、とても日本とは比べものにならない。働けるうちはきちんと働いて、老後は年金でと、年金というものが国民の意識の中にしっかり定着をしている。そういうことをもっとやらなければいけないんじゃないですか。学校教育では一体どの程度取り上げられているのでしょうか。
  372. 菱村幸彦

    ○菱村説明員 学校教育では、国民生活の向上、福祉とか、社会保障制度ということを、小中高等学校の社会科の中でそれぞれの発達段階に応じまして指導することになっております。その中で、社会保障についての学習の一環として年金を必要によって取り上げるということになりますが、例えば中学校の教科書などでは、いろいろございますけれども、「社会福祉制度と国民の福祉」というような項目の中で、「年をとって働けなくなった人の生活を維持していくために、国民年金厚生年金などの社会保険制度があります。」ということで、若干の簡単な仕組みの解説を加えるというような取り上げ方をしております。  必ずしもまだ十分ではございませんが、この年金の問題は大変重要でございますので、今後私どもも年金の指導といいますか充実をしていきたいと思いますし、将来、教育課程の基準の改定の際などには十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
  373. 江田五月

    ○江田委員 社会科の教科書の社会保障の仕組みの中で、若干の簡単な仕組みを解説をしておるというようなことでは到底足りない時代が来ている。ですから、社会科だけではなくて、例えば国語であろうがあるいは生活指導であろうが、お年寄りの生活を支えるために年金という制度がありますということではなくて、自分たちが今年金について負担をしているのは将来のためだという、そういうはっきりした年金思想というものを国民的に持つように、もっともっと努力をしてもらわなければどうしようもないと思いますが、そういう年金を自分たちのものと意識をしていくような工夫というものがいろいろあると思うのです。  例えば、今、厚生年金加入者の配偶者が今度一定の条件が整えば五万円の基礎年金の受給資格を持つようになるわけですね。その条件が整うまでの間、つまり潜在的な基礎年金の受給者としてずっと続いている間の厚生年金加入者の配偶者というものに対する年金上の取り扱い、例えば年金手帳は交付をされるのですか、あるいは被保険者番号はつくのですか、こういうことはどうなるのですか。
  374. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  現行の制度におきましては、任意加入をしていただいております奥様につきまして国民年金手帳、年金手帳を交付いたしましてそれぞれの番号を取得していただいておるわけでございますが、今回の改正案につきましても、その点は同様に考えておるわけでございます。いわゆるサラリーマンの奥様、無業の妻という方につきましても、それぞれの被保険者原簿を記録いたしまして、それぞれの奥様個人に対しましては年金手帳を交付するというふうに考えております。
  375. 江田五月

    ○江田委員 年金についての負担をしていない妻についてもきちんと年金の番号を振って手帳を交付する、そう伺っていいのですか。
  376. 長尾立子

    ○長尾政府委員 さようでございます。
  377. 江田五月

    ○江田委員 十分間ですから、もう時間がありません。  最後に、大臣に伺います。  今、私が申し上げたような年金思想というものを国民に広く持ってもらうための活動をこれから政府としても大いにやっていかなければいかぬと思いますが、こういう年金思想の確立ということについての大臣の決意を伺って、私の質問を終わります。
  378. 増岡博之

    増岡国務大臣 年金は、その時代の高齢者が、その時代の若い方々からいろいろな負担をお受けになりながら、また一般会計からの援助も受けながら、相互扶助、連帯の精神でやっていくものでございます。また、おっしゃいますように年金の内容につきましてはかなり複雑な面がありますから、いろいろなPRがこれでもって十分だとは決して考えておりませんので、御趣旨を体してやってまいりたいと思います。
  379. 江田五月

    ○江田委員 終わります。
  380. 戸井田三郎

    戸井田委員長 以上で本連合審査会における質疑は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十分散会      ――――◇―――――