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1985-05-14 第102回国会 衆議院 社会労働委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年五月十四日(火曜日)     午後一時四分開議 出席委員   委員長 戸井田三郎君    理事 稲垣 実男君 理事 丹羽 雄哉君    理事 浜田卓二郎君 理事 池端 清一君    理事 村山 富市君 理事 大橋 敏雄君    理事 塩田  晋君       愛知 和男君    伊吹 文明君       稲村 利幸君    古賀  誠君       斉藤滋与史君    自見庄三郎君       島村 宜伸君    谷垣 禎一君       友納 武人君    長野 祐也君       西山敬次郎君    野呂 昭彦君       林  大幹君    林  義郎君       藤本 孝雄君    箕輪  登君       湯川  宏君    網岡  雄君       河野  正君    多賀谷眞稔君       竹村 泰子君    永井 孝信君       森井 忠良君    沼川 洋一君       橋本 文彦君    森田 景一君       森本 晃司君    小渕 正義君       塚田 延充君    浦井  洋君       小沢 和秋君    菅  直人君  出席国務大臣         労 働 大 臣 山口 敏夫君  出席政府委員         労働大臣官房審         議官      中村  正君         労働大臣官房審         議官      野見山眞之君         労働省婦人局長 赤松 良子君         労働省職業安定         局長      加藤  孝君  委員外出席者         参議院議員   佐々木 満君         法務省刑事局公         案課長     原田 明夫君         労働省労働基準         局監督課長   菊地 好司君         社会労働委員会         調査室長    石黒 善一君     ————————————— 委員の異動 五月十四日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     島村 宜伸君   中野 四郎君     林  大幹君 同日  辞任         補欠選任   島村 宜伸君     小沢 辰男君   林  大幹君     中野 四郎君     ————————————— 五月十日  雇用分野における男女の均等な機会及び待遇  の確保を促進するための労働省関係法律整備  等に関する法律案(第百一回国会閣法第八三号  )(参議院送付) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労  働者就業条件整備等に関する法律案内閣  提出第五九号)  労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労  働者就業条件整備等に関する法律施行に  伴う関係法律整備等に関する法律案内閣提  出第六〇号)  職業安定法の一部を改正する法律案多賀谷眞  稔君外五名提出衆法第二一号)  情報処理業務に係る労働者派遣事業規制及び  派遣労働者就業条件整備等に関する臨時措  置法案(多賀谷眞稔君外五名提出衆法第二二  号)  雇用分野における男女の均等な機会及び待遇  の確保を促進するための労働省関係法律整備  等に関する法律案(第百一回国会閣法第八三号  )(参議院送付)      ————◇—————
  2. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案並び多賀谷眞稔君外五名提出職業安定法の一部を改正する法律案及び情報処理業務に係る労働者派遣事業規制及び派遣労働者就業条件整備等に関する臨時措置法案の各案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。多賀谷眞稔君。
  3. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 労働者供給事業について、昭和二十七年二月に職業安定法施行規則改正がありました。その際、その及ぼす影響が極めて大というので、いよいよ施行になりました当時、私ども、当時は労働委員会と言いましたが、労働委員会審議をしたわけであります。  久しぶりに昭和二十九年二月十九日の労働委員会議録を見ますると、ここには丹羽喬四郎君、雄哉君のお父さんであります。それからかつて内務省神社局長北海道長官をしておりました池田清さん、これは鹿児島の我々は大池田と言っておりました。それから、今、社会保険庁長官持永君のお父さんが、これも北海道長官でありましたが持永義夫さん、これらが皆理事でありまして、委員戦前からの代議士の田中伊三次さん、こういう方が委員でありました。そこで、この顔ぶれを見ると、自民党は大幹部が労働委員のメンバーです。逆に言うと、若い人は余り興味を持たなかったという、そういう中で厚生と労働を一本にするという話ができたわけであります。  それはさておきまして、当労働委員会論議になったのは、昭和二十七年二月の規則改正、この規則改正によって日本雇用情勢が一変したわけです。要するに、戦前にありました下請というのは、戦後、職業安定法施行されましてから、全部直用になった。でありますから、昭和二十七年の二月までは、日本には社外工というものがほとんどいなかった。下請というのがいない。同じ工場に働く者は皆直用労働者である。ところが、この二十七年二月一日の施行規則を契機にがらっと、今日の社外工下請という制度ができてきたわけです。でありますから、ここに日本の二重構造が、他国に見ないような状態が現出したわけです。そしてまた、今日、労働者派遣事業というものが公的認可を受けるわけでありまして、私は、これは大きな変革をもたらす危険性がある、こういうことを指摘をしたいわけであります。  そこで、二十七年の改正はどういうものであったか、これをお聞かせ願いたい。
  4. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 それまで施行規則で定めておりましたこの要件につきまして、これまでは「専門的な企画技術」を必要とする作業を行う者というものは、これは請負なんだ、こういうことでございましたものが、二十七年の改正におきまして、「企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験」、こういうふうに改正になったわけでございます。  その改正理由といたしまして、当時の施行通達によりますと、我が国の経済の「後進性産業将来の伸長を考慮するとき、本規制の運用を企業運営実情に適合するよう、合理的な調整を図る必要が認められるに至ったので、現在の企業運営が、専門的な経験を重視することの実態に鑑み」てこういうふうに改正をしたんだ、しかし、この「改正はあくまでも法律の精神と企業運営実情とを合理的に調整する意図に基くものであって、今後においても労働民主化を阻害するいわゆる人夫供給業等の典型的な労働者供給事業並びに請負の名目の下に偽装せる労働者供給事業については、従来どおり規制を加えるものである。」こういうような説明がなされておるということでございます。
  5. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 表面上の施行規則改正はそれほど大きな意義がなかったのです。問題は、通達解釈の大変革があったわけです。これが今日の社外工を生んだのです。  どういうふうにあったかというと、二十七年まではみずから提供をする機械器具自分で持たなければならなかったのです。所有権を持たなければ下請というものはできなかったのです。そこで、日本ではそういう戦前の二重構造は一掃されたのですね。それを鉄鋼造船業界が圧力を加えてこの改正を迫った。問題は解釈なんですよ。ですから、みずから提供する機械器具というものは、注文側、言うならば親企業から賃貸借でもよろしいし使用貸借でもよろしい、すなわち無償でもいいということになった。これで下請がざっと出たんですよ。  この施行規則の表の文章はそれほどでないのです。問題は解釈ががらっと変わったのですよ。そこで、八幡製鉄あたりをとりましても、今どこの製鉄所でもそうですけれども、本工員よりも下請が多いのですよ。君津だってそうですよ。本工員よりも下請の方が多いというこの状態は異常ですよ。それを許したところに問題が非常に多い。これが日本の二重構造をつくった原因ですよ。  一体外国下請というのがありますか。同じ企業の中で同じ仕事をして、そうして帽子の線だけが違うというのがありますか、一体下請企業なんという……。同じ工場で同じ仕事をしているんですよ。
  6. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 当然外国におきましても、それぞれの分業形態の進化の中で業務をいろいろ請負に出すあるいはまた専門の分野に任せるというような場面というのはあると思いますが、それが同じ工場の中のある分野で行われておるというような関係については、私ども詳細は存じておりません。
  7. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それはこの前、野見山審議官塩田さんの質問に答えられておっしゃっていましたけれども、要するに外国のは職種別賃金が確立しておるのですよ。ですから、大きな企業、例えば朝日新聞のようなところの印刷工町工場印刷工賃金が変わらないのです。ですから、この下請という、いわば中間マージンを取るうまみもないからそういう企業も入らない。ですから、そういう企業そのものがないのですよ。それは中間マージンを取るような仕組みになっていない、どこでも同じような賃金を払わなければならぬから。日本はそうでないでしょう。日本では残念ながら職種別賃金というのは確立してないのです。ごく低い最低賃金しかないでしょう。ここに日本の二重構造があるわけです。  ですから、この前私が我が党の提案理由説明の中で言ったように、OECDの日本労働事情調査団が来たときに、「日本にはセカンド・シチズンがおる、第二市民がおりますね。」そういうことを労働省の高官に言ったでしょう。これはぜひ日本としては払拭をしなければならない問題なんですよ。そういう土壌の中に今置かれておるというのですね。ですから、中間搾取のような下請企業とか社外工という制度外国にはほとんどない。それは余地がないのですから、賃金が一緒ですから。そうでしょう。  一体労働大臣、あなたが労働時間短縮に熱心なことには非常に敬意を表しますけれども日本のような二重構造をどうして縮めるかという問題はどういうふうにお考えですか。
  8. 山口敏夫

    山口国務大臣 私も、労働経済分野のみならず、日本の二十一世紀的展望の中に立ちましたときに、大企業中小零細企業あるいは小規模企業のいろいろな面における格差の問題、これをこれ以上広げるような状況というものは大きな社会問題にもなりかねない、何としても労働条件、あるいは賃金、また生産性、あらゆる面の中小企業における地方をつける、そのための政府としての施策というものはどうあるべきかということは真剣に考えなきゃならない問題だ、こういう考えでございまして、今多賀谷先生の御指摘大変説得力といいますか、傾聴して伺っておったわけでもございます。  しかし、今加藤安定局長からも御答弁もございましたけれども、あの改正の時点において、いろいろ改正趣旨を私も読んでみますると、「特に吾が国経済資本主義的後進性産業将来の伸長を考慮するとき、」これは幾ら昭和二十七年、九年の時代といいながらも、政府改正趣旨の中にこういう文言が入っているということは、労働省という役所は相当な役所だなという印象を持って読んだわけでございます。  したがって、先生の御指摘のように、それが二重構造への起点になってしまったんだ、こういう御指摘も、大変なるほどそういう御判断もあるかなという感じでも聞いておると同時に、労働省政府としての改正趣旨というのは、そういう将来的な産業の、あるいは雇用拡大、こういう立場で非常に真剣に公平に取り組んでいた、こういう経過も、趣旨を読んでおりますとそういう決意も十分御理解もいただけるという点もあったのではないかというふうに思うわけでございます。いずれにいたしましても、ひとつこうした中に今日の経済社会における雇用の安定と拡大を図るために、こうした問題にも十分留意しながら行政の責任を果たしていかなければならないというふうに考えておるものでございます。
  9. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 労働基準局長にお尋ねしますけれども一体日本下請企業災害率というのはどのくらいですか。答弁できる人でいいです。下請企業災害率はどのくらいですか。統計があるでしょう。
  10. 菊地好司

    菊地説明員 監督課長ですが、手元に詳細な資料を持ち合わせておりませんので、後ほど御説明に上がりたいと思いますが、一般的に規模が小さいほど災害率は高いということは承知しているところでございます。
  11. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 どうも失礼しましたが、労働省からなかなか資料をよこさないんです、これは。ところが、もとはパンフレットを毎年出しておったんですよ、下請企業災害率の小さなパンフレット。要するに下請企業災害率とか言っているのじゃなくて、安全衛生のしおりというのを出しておった。それにずっと下請災害率が書いてあったんですよ。近ごろはさっぱり出さないんだよ。それで統計を持ってこい、こう言いましたら、いや、そんなのはありませんと言うから、ないことはない、今までずっと毎年データが出ておったじゃないかということを言いましたら、やっと持ってきていただいたわけです。  例えば昭和五十八年度ですが、造船業について見ると、親企業下請とを分けている。親企業は六十九事業場下請は千六百六十八事業場。そうして度数率は、親は二・八七、これに対して下請は六・九三ですよ。それからさらに強度率は、親は〇・三〇に対して下請は〇・七〇です。化学工業鉄鋼業もありますけれども、もう時間もありませんから申し上げませんが、上から順番に読んだのですけれどもこういう状態です。  要するに、下請は二倍ないし三倍危ないところにいるんですよ。賃金は、ボーナスを入れると大体七割くらいですよ。仕事は、塗装であるとか末端の組み立てであるとか、大体同じような仕事をしている。山口さんは教育問題に熱心でしたけれども日本学歴社会というのもこういうところにもあるんですよ。ただ学校だけの問題じゃないんです。下請だってやはり大学の卒業生を入れているんですよ。本工員下請労働者これだけ差があるのです。ですから、こういういびつな形をそのまま存続きすわけにいかない。  そこで、危ないところは下請に、親組合組合大会でそういうことを言っている。あそこは危ないじゃないかという質問に対して、書記長が、いや、そういうところは今度は下請に出すように相談したりしていると言っている。ある製鉄所で炉から出た何千度の鉄の湯を動かした、ちょっと傾いたので下で修理しておる者は全部死んだ。そこで、その工場に私が行って、これは大変なことでしたと言ったら、しんとしてだれも何の葬式をする慌てるような風がない。葬式一体どこでやっているんだと言ったら、いや産炭地炭鉱ですよ、こう言っている。炭鉱から行った連中はみんな下請に行って、そうして犠牲を負うているわけですよ。昔は炭鉱なんかには組夫というのはいなかったですよ、昭和三十五、六年までは。ところが、今日、災害が起こると必ず組夫が出るでしょう。こういう状態日本雇用構造というのはつくっておるわけです。  そこで、法務省も来ておると思うのですけれども、今日、一体請負というのが、これは施行規則の四条で、とにかく作業に従事する労働者指揮監督するものでなければならぬとある。そういうことでありますが、現実派遣事業と言っても派遣先では派遣元事業主指揮監督していない。ですから、この状態が今日派遣事業と言われるものですよ。一体、なぜこれが取り締まれぬのか、今日まで放置しておったのはどういう理由であるか、どちらでもいいですけれども、これをひとつお聞かせ願いたい。
  12. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 この労働者供給事業に該当するおそれのある事案につきましては、私ども安定所を通じまして立入検査とか関係者への質問あるいはまた事業実態把握をいたしまして、特に強制労働あるいは中間搾取が行われるような悪質なものについては、これを適正に事業が遂行されるような是正指導というものはやってきたわけでございまして、最近の違反指導件数で申しますと、昭和五十五年で六十六件、五十六年で三十三件あるいは五十七年で五十九件、五十八年で六十七件というものをやっておるわけでございます。  ただ、実際にこうした派遣的な形で行われております人材派遣業的なもの、これが現実には高齢者であるとかあるいはまた主婦の業務というような形の中で労使双方需給ニーズに合致するというような面も一面あるわけでございまして、そういったようなものをこの職安法の規定に形式的に疑いがあるからということですべて反社会性のあるものとして取り締まることが妥当かどうか、こういう問題が現実にいろいろ進んでおりまして、そういう中で昭和五十三年以来研究会とか審議会等にもまたいろいろ御論議を賜ってきた、こういう経過の中の問題でございます。  そういう意味におきまして、特にこういう悪質なものについては是正指導、取り締まりというものをやってきましたけれども、いわゆるそのすれすれといいますか、疑いがあるものについて、実態としてそれが労使、あるいは事業主労働者の新しいテンポラリーワークといいますか、そういったものの需給にかなうものを取り締まって絶滅させるということには一概に至っていない、こういうことでございます。
  13. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この法律は極めて明快ですよ。「この法律労働者供給とは、供給契約に基いて労働者他人に使用させること」である。要するに、他人に使用させれば一応労働者供給になるのですよ。  そういう中であなたの方は請負というのは別ですよという請負条件を書いておる。その請負条件の中に一番簡単なのは、直接指揮監督をする。ところが、指揮監督してない業態がいっぱいできておるわけでしょう。これがなぜ取り締まれなかったのか。形式的には簡単ですよ。紛らわしいとかなんとかということはない。それが罪になるかどうかは別として、形式的には極めて簡単ですよ。雇用をしておる人が別の他人に使用させておる、この事実は明らかです。そうして自分指揮監督してないのです。こんな簡単な事実がなぜ告発できなかったのか。
  14. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 ここは私ども、実際にそういうケースに当たりましたときには、はっきり請負の形として業務指揮命令をやる形にそれは是正してくださいという形の是正指導というものは現にやっておるわけでございます。ただ、それを違法として摘発するというところまで踏み込んでいないということでございまして、そういう業務処理請負業の名において現実にそれが請負実態に合わないものは、そういう請負実態先生のおっしゃる指揮命令をちゃんとやるような形式にしっかり整えろ、あるいはそういう形態にしろ、私どもこういう指導はやっておるということでございます。
  15. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これは法務省はどういう考え方ですか。
  16. 原田明夫

    原田説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘は、職業安定法四十四条違反ということで余り活発に法執行が行われてないのじゃないかという御指摘だろうと思うわけでございますが、私ども、件数的に申し上げますと、これは毎年数十件この条項に基づいて訴追をいたしております。  ただ問題は、先生のただいまの御質問の御趣旨は、いわゆる人材派遣的な現実に行われている業種職業安定法四十四条に違反する場合があるのではないか、それが請負的な色彩を帯びるから、そこで訴追あるいは捜査という厳重な法執行をちゅうちょしておるのではないかという御指摘だろうと思うわけでございます。  この点につきましては、私どもも、いろいろ民事判例もあるところでございますけれども職業安定法の基本的な物の考え方、その立法の趣旨、またそれを現実に行政指導しておられる規則における考え方等を総合的に判断してまいりますと、これは必ずしも法が予定している供給事業とは言いがたいのではないかということで、法執行を見合わせているという場合は確かにございます。  その点につきまして、ここまでお答え申し上げていいのかどうかわかりませんけれども、今回御審議いただいております法律案におきまして、明確な形で労働者供給というような一つの実態の中から労働者派遣事業というものを取り出しまして明確に位置づけまして、これにつきまして一定条件のもとに監督を及ぼしながら規制していき、かつまた事業実態について適正な措置を図っていこうということでございますので、私どもといたしましてもぜひそのように実現さしていただきたい。  そうした上で、労働者派遣事業というものにつきましては、それぞれの新しい法律における規制措置につきましても、違反があれば適正にこれを法執行していくということに考えておりますし、また、その際につきまして、現行法でもそうでございますけれども、新たな法律、でき上がる法律につきまして、労働者派遣ということと、あるいは現行でも問題になる請負との関係についてなお不明確ではないかという考えも確かにあろうかと思いますが、それにつきましても、私ども承るところによりますと、今後のいろいろ検討過程でその点について明確な認定基準をつくり上げていって業界における秩序を維持していきたいというお考えのように聞いておりますので、私どもとしてはそれを期待しているということでございますので、御了解いただきたいと思います。
  17. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 要するに、施行規則の四条というのは労働省の役人の施行規則であって、法律としてはそれで立件をするわけにいかない、こういうことなんでしょう。いろいろ言われたけれども、言うならばそうでしょう。結局そういうことを言っておるわけです。ですから、明確にしてください、こう言っておる。  そこで、それなら今度は十四なら十四業種指定するとしますね。それから請負というのがある。十四業種でないもので請負に紛らわしいものは立件できますか。今までできなかったのが、その点については全然触れてないのにできますか。
  18. 原田明夫

    原田説明員 先生お尋ねのとおり、今度の労働者派遣事業のカテゴリーで賄えないものにつきましては、いずれにしても現行法法執行してまいるわけでございます。その中で、今回さまざま御審議いただいておりますような形で労働者派遣事業実態というものもおのずから明らかになってまいりましょうし、それにつきまして、正式な形で認定して、その規制の中で処理していくというものの実態も明らかになってこようと思いますし、かつまた、その過程労働者派遣事業請負というものの差異が、基準が次第に明確になっていくと思いますので、新しい労働者派遣事業に当たらないものでそれが労働者供給事業に当たるということになりますならば、当然明確な形できちんとした適正な法執行が行われるべきものであるというふうに考えております。
  19. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 十四業種なら十四業種、いわば派遣事業として認めますね。そうして、一方には請負という制度が規定してある。その中間で従来紛らわしいというので全然手をつけなかった層というものは、的確にいわゆる違反として告発なり処分ができますか。要するに、送検なり注意なりいろいろあるでしょうが、できますか。今までできなかったことができるのですか。
  20. 原田明夫

    原田説明員 その点につきましては、今回の大変な御努力で御審議いただいております過程でも、いわば法律をもって規制すべきものと、それを認知して一定監督、許可なり届け出のもとでこれから発展といいますか、法律違反にならない形で行われるべきものと、そうでないものというものはおのずから明らかになってくると思いますし、また、現行におきましても、請負労働者派遣事業というものの関係と申しますのは、必ずしも役所側考え方というよりもむしろ民法あるいは労働法を含めました法律解釈の一般的な物の考え方、それを裁判所がどう考えるかということも絡めて考えていくべきものでございますので、それらにつきましては、今後定められていきます認定基準につきまして、私どもも十分それを尊重しながら適正な法執行を行っていくべきであるというふうに考えております。
  21. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 まず第一に、日本雇用の土壌というのと欧州における土壌というのが全然違うという認識ですよ。マンパワージャパンがいわばアメリカから上陸してきたですね。そうして、この本によりますと、大規模な調査をしたけれども告発するに至らなかった、こういうことを書いておるわけであります。日本雇用の基盤というものとアメリカとは違う。そうして欧州とも違うのですね。欧州は大体において職業紹介というのは国のいわば独占的な権利、ドイツのようにはっきりしているところだけじゃありませんけれども。でありますから、派遣事業というのはなるほどあるけれども、この前野見山審議官がここで発言なさったように、ごく人数が少ないですね。西ドイツで二万人ですか、それからフランス十一万、それからベルギーで一万人。そうしてその多くの分は製造業だ。そして、ベルギーは建設業を禁じておりますけれども、そういうことですよ。  今度の派遣事業と全然違うのだ。異質のものだ。言うならばこれは日本で言う請負なんですよ、外国で認めているのは。それも一時的なものであって、補てん的なものですよ。ですから、平均派遣日数も極めてわずかであるということをおっしゃっておるわけでありますけれども、全然異質なものが入ってきておる。  そこで、大臣、どこが違うかということをよく考えなければ……。アメリカは御存じのように規制法も何もない。しかし、欧州の賃金というのは職業別の賃金が確立しておるだけではなくて、一週間なら一週間、あるいは月給なら月給の中に、ボーナスも入っているのですよ。退職金も入っているのですよ。企業年金も入っているのですよ。いいですか。日本では、短期雇用の中にはボーナスも入らなければ、それから退職金も入らなければ、企業年金も入ってないのですよ。日本はこういう仕組みの中にあるのですよ。  それから、短期雇用とか臨時工とかあるいは派遣の労働者は、同じ賃金だといっても、日々定期的にもらう賃金が同じであってもだめなんです。非常に差があるのです。そういう中に、今、日本労働者は置かれておる。ですから、そういう点を十分考えないで、言うならばアメリカ型の人材派遣法をぽんと日本に入れてくるならば、欧州よりもずっと後進性日本がもう一方は先走ってしまう。それは人材派遣業で、いわば経済同友会が言っておる中間労働市場なんというのがもしできるとすれば、それは月給なら月給の中に完全に生涯を見通した賃金でなければならぬのに、そういう整備が全然行われないでおいて、これだけがぽんと走っておるのです。  そこで、そのはざまにある労働者、それは五十年たってなるか百年たってかわからないけれども、どういう方向に行くかわからぬけれども、そのはざまにある労働者が一番みじめだ。というのは、あなた方は今日の日本の労務管理は非常に世界に冠たるものだ、終身雇用制というものを崩すことはない、こうおっしゃっておる。だから、また危険なんです。結局、低賃金になってしまうのです。そのはざまの労働者は低賃金になる。ですから、経済同友会が今からは労務コストを下げなければならぬということを言っておるでしょう。でありますから、そういう流れに沿って、結局その間の労働者が大変苦痛を見る、基幹労働者だけを本工員として扱うという状態になるわけでしょう。こういう基盤の違うのをどういうように考えておるか、労働大臣
  22. 山口敏夫

    山口国務大臣 今多賀谷先生から御指摘いただいたような、非常に十分心しておかなければならないいろいろな問題点も率直にあろうと思います。しかし、高齢化時代を迎えてこれから非常に雇用市場が大きく膨張する、こういう見通しにありながらも、今春闘におきましてもいろいろ皆さん方の御努力、労働側の熱意等の中で、前年に上回る一つの春闘相場というものも形成された経緯等もございますし、また、ボーナス面その他で配慮しようというような企業もあるやに聞いてもおるわけでございます。  私は、多賀谷先生の御指摘いただくような御論議は御論議として、十分職場環境、条件の中にこれを巧みに取り入れながら、しかし、基本的にはこうした終身雇用をひとつ守りながら、これは使用者側のニーズだけでなくて労働側のニーズも含めてこういう産業がひとつ社会的に認知されて、そしてまた、派遣業といいながらも、我々、中央職業安定審議会の論議なんかを聞いておりましても、やはりいい人が大勢来ていただきをせんと、常用雇用や終身雇用企業以上にいわば一日一日がやはり闘いだという部分も含めて、いい人を入れなければならない、こういう決意に使用者側も労働側も立っておる、こういう点もあるわけでございまして、いろいろな問題がございますけれども、我々としては労働者の保護と雇用の安定というものを十分配慮しながら、先生指摘いただいたような問題も十分考えながら、この法案の整備によって労働条件の前進をより図っていきたいというのが基本的な考え方であるということも御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  23. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私どもは、率直に言いますと、いろいろ考えました。将来展望を見て、全く私どもは白紙で臨んだわけです、この法案の問題については。いろいろ考えました。  そこで、まず今お話がありましたように、あいまいである、そして、形式的には全部違反しておるのに送検もできないあるいは告発もできないという。これは単なる施行規則の中に置いておるから、本則の中には何もそういうものが明確でないというので、むしろ施行規則そのものにはかなり不満があるのですけれども、それを本則に入れたわけです。そして明快にいたしました。これなら法務省も積極的にやってくれるだろうと思って明確にしたわけです。ですから、安定法の強化を図ったのです。  第二は、今お話がありましたように、女子の職場進出、それから高齢者の就職、こういう問題を踏まえて、率直に言って、僕は、国も府県も、それから市町村も、大体この安定法に書いておるとおりやっておらぬですよね。雇用については市町村長まで義務があるのですよ。知事にも義務があるのですよ。国も義務があるのですよ。一体、町村なんかに行って就職の話をしたら、皆何だろうかというような顔をするでしょう。人生で労働者にとっては失業という事態が一番重要な事態ですよ。それがどこにも頼りになるところがないのですよ。  今、安定所に行って、安定所が職業紹介する率は幾らぐらいですか。——まあいいですよ。大体二〇%前後でしょう。そういうような状態は怠慢ですよ。労働省の怠慢だ。こんな重要な問題を、隣の奥さんにどこかパートありませんかなんて相談するような代物じゃないのですよ、これは。みんな、何のために役所があるのか、労働者のサービスは市役所へ行き、あるいは県にも行き、国もやるという総動員体制というのが——そして国が責任者ですよ。そういう体制ができていない。ですから、そういう営利事業が出てくるのですよ。ですから、私は、どの窓口も、高齢者のあるいは女子職場進出のテンポラリー・ワーク・バンクを設けて、何もこういうことで営利事業にする必要ないのです。それが我々が主張した第二です。  第三は、そうは言っても、私は、かつて政府が港湾労働法昭和四十年につくりましたけれども、その九年前に、昭和三十一年に港湾労働法をこの委員会に提案しました。それはなぜかというと、港湾労働者の常用化といっても、港の状態は港湾労働者には非常に波動性がある。波動性があるから、どうしても普通の常用化だけではいかないという、こういうのをとらえて港湾労働法というのはできたんです。その後、政府は九年後に今の港湾労働法をつくったのです。  そこで、今日我々がそういうものを必要があると考えるならば、ソフトに従事する労働者、これは今日のように、言うならば同時発注があるでしょう、その同時発注がある中に企業、例えば銀行なら銀行がオンラインシステムをやろうという。ところが、もう間に合わぬ、企業競争ですから。そうして養成する暇もない。だから、借りてくるのですね。派遣者を集める。しかし、一応オンラインが整備されてしまえば、そんな人間は要らない。だから、私は、それはやはりやむを得ぬのじゃないか。しかし、それなのに女子とか高齢者が望んでいるなんというのは役所の怠慢ですよ。それをみずから言いおるのですよ。それなら労働省は要らぬと言っているのです。ですから、その区別をはっきりして、我々は五年なら五年、技術革新がどういうようにおさまるかという、五年なら五年というものを限ってやはり物を考えるべきじゃないかという法案を出したわけです。  そこで私は聞きたい。あなた方の法案と我々の法案、今採決をするわけですけれども、私どもの法案に欠陥があったらお示しを願いたい。一体どこが悪いのか、あなたの方よりもどこが劣っておるのか、これをお示し願いたい。
  24. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 社会党の対案になっておりますのは、そういうコンピューター関係業務に限って五年と、こういう形で立案をされておるわけでございますが、政府案の方は、基本的にそういう業務については必ずしもその一業務に限定するわけではなくて、例えば今例示という形で出ておりますが、そういう十四業務というものを一応例示的には掲げながら、こういったような関係業務についてやっていこう、こういうことでございます。  やはりこういう高齢化あるいはまた女子の職場進出ということで、いわゆるテンポラリーワーカーというような方々もいいろふえてくる。またそういうような労働者を必要とする企業の波動性というようなものもあるという中で、必ずそういう一つの業務に限定してやるということについては、今後のそういう全体の動きの中での仕組みとしてはいかがなものであろうかということで、政府案ではそういう業務範囲を幅広くしておるというところが、一つ基本的に違う点であろうかと思うわけでございまして、そういった点について、私どもとしては公労使委員も交えまして審議会の議論、あるいはまたその前として、五十三年以来いろいろ研究会等の議論も踏まえた上で現在の政府案というものを御提案申し上げておる、こういうことであるわけでございます。
  25. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これも、一般法にしたら私は二重構造がますます拡大すると思うのですよ。あなた方は、どの提案理由を見ましても、高梨さんのお話を聞いても、まず最初に出るのは技術革新でしょう。ですから、技術革新なら技術革新の面だけとらえればいいのですよ。確かにミスマッチ、需給関係のアンバランスですよ。ですから、それならそれをとらえて、まずそれを五年なら五年やってみればいい。一般に、そこのワープロだってそうでしょう。少し訓練すればできるのですよ。そういうものまで全部派遣事業として入れてしまって、もう日本の終身雇用制は古いんだ、もうそういうものは一てきするのだという方針ならまた話は別ですよ。そうじゃないでしょう。  ですから、はざまにおる労働者が大変迷惑をしますよ。それで、十四業種入れたって、なぜだ、おれらをどうして入れてくれない——必ず出ますよ。そうなれば、もうどうにもならなくなるんだ、あなた方の手では。もう既にならなくなってきているのですから。今までもならないのが今からなるという保証はない。だから、我々はこの法案については非常に疑心暗鬼を持っている。しかし、後戻りがきかないのですよ。こういう経済の動きというのは後戻りがきかない。だから、私は十分慎重にやってもらいたい、こういうように思って、私どももない知恵を絞って、いろいろな経験から、技術革新の面だけをとらえればやむを得ぬけれども、ほかはむしろ安定法を強化する、あるいは今の職業あっせんというものを国も県も市も、あるいはまた労働組合も積極的にやるべきではないか、こういうように考えるのですが、あなたの方はみそもくそも一緒にしてぼんとほうり出したというところは、どうも役人らしからぬ発想ではないか。  最後にそれだけ言って終わりたいと思います。
  26. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 村山富市君。
  27. 村山富市

    ○村山(富)委員 今も多賀谷委員から本法案についての厳しい問題点の指摘がございましたが、これまでも各党から、そうした問題点についてそれぞれ指摘がございました。時間の制約もございますから、私は、これまでの質疑応答の中で問題点となりそうな点について絞って大臣の明確な御答弁をいただいて、確認をしておきたい、こういう意味でこれから質問を申し上げますので、よろしくお願い申し上げます。  第一に、法律上、港湾運送業務は六大港に限り適用対象業務から除外することになっておりますが、それ以外の九十二港湾についても同様に対象にされないと解してよいかどうか、まず承りたいと思います。
  28. 山口敏夫

    山口国務大臣 港湾運送業務については、港湾労働法において特別の雇用調整制度が設けられているため、法律上、適用対象業務から除外することとしているが、その業務の特性は他の九十二港についても同様であるので、そのような業務を適用対象業務にすることは考えておりません。
  29. 村山富市

    ○村山(富)委員 次に、法案第七条の許可基準は抽象的でその内容が明らかではありませんが、民営職業紹介事業の取り扱い等々も参考にして、具体的基準について明確に定めておく必要があるのではないかと思いますが、見解を明らかにしていただきたいと思います。
  30. 山口敏夫

    山口国務大臣 法案第七条第一項の規定は、一般労働者派遣事業を許可するに当たっての基本的な要件を定めたものでございます。  この基準は、労働者派遣事業が適正に行われることを確保するため、一定の組織的基礎や資産を有する者に限って行わせようとするものでございますが、その内容が必ずしも明らかでない面もございますので、今後民営職業紹介事業についての取り扱いも参考にしつつ、中央職業安定審議会の意見を聞きまして具体的基準を定めることとしてまいりたい、さように考えております。
  31. 村山富市

    ○村山(富)委員 次に、法案第二十三条の事業報告書及び収支決算書については、労働省令で定めるところにより提出させると規定されていますが、定期的に提出する義務があるものと解してよいかどうか、明らかにしていただきたい。
  32. 山口敏夫

    山口国務大臣 法案第二十三条の事業報告書及び収支決算書につきましては、毎年一回定期的に提出させるよう労働省令において措置してまいりたいと考えております。
  33. 村山富市

    ○村山(富)委員 次に、法案第二十四条において争議行為の不介入について職業安定法第二十条を準用しているが、現に派遣先で争議行為が行われていなくとも、その蓋然性が高い場合には労働者派遣をしてはならないとするのが立法趣旨だと思いますが、どのように運用していくつもりかお考えを承りたいと思います。
  34. 山口敏夫

    山口国務大臣 法案第二十四条は、労働者派遣事業についても他の労働需給調整システムと同様に争議行為不介入の原則を担保しようとするものであり、御指摘のように脱法的行為によってこの規定の趣旨が損なわれることのないよう、関係者に対する指導に努めてまいりたいと思います。
  35. 村山富市

    ○村山(富)委員 次にまた、派遣労働者派遣先において労働組合を結成しようとする、あるいは派遣先労働組合に援助、協力を求めた場合などについても、労働者派遣契約の解除禁止事由に当然該当するものと思うが、そう理解してよいかどうか、見解を明らかにしていただきたいと思います。
  36. 山口敏夫

    山口国務大臣 御指摘の事項は、いずれも労働者の団結権の行使に関する事項であり、公序としてこれを保護する必要性の高いものと考えられますので、法案第二十七条により労働者派遣契約の解除が禁止される理由に該当するものと考えております。
  37. 村山富市

    ○村山(富)委員 さらに、就業条件をめぐってトラブルが起こるようなことを避けるためにも、派遣就業の特性にかんがみて、派遣される労働者に対してあらかじめその内容を書面で明示させることとすべきであると思いますが、その点についての見解を明確にしておいていただきたいと思います。
  38. 山口敏夫

    山口国務大臣 派遣元派遣先及び派遣労働者の三者間において就業条件の内容を明確にしてトラブルの発生を防止するという観点から、就業条件の明示の方法については、例えば緊急に労働者派遣をする必要がある場合等実質的に事前に書面によらしめることが困難である場合を除き、御指摘のように、原則としてあらかじめ書面により行わせることが適当であると考えており、関係労働省令を定める際、その旨を明確にすることといたしたいと存じます。
  39. 村山富市

    ○村山(富)委員 次に、労働組合の行う労働者供給事業については、今後その活動を促進させることが必要であると思いますが、具体的にどのような措置を講ずるつもりであるか見解を承っておきたいと思います。
  40. 山口敏夫

    山口国務大臣 労働組合が行う労働者供給事業につきましては、その活動を促進するという観点から、次の点について改善を図ることとしております。  一、現行労働組合法上の労働組合のほかに、職員団体及び地域レベルの労働団体も行うことができるようにすること。  二、産業別または職業別の全国組合に加入している旨の要件を撤廃すること。  三、組合費につきましては、組合の自主的決定を尊重して、定率制でもよいこととすること。  四、許可の有効期間を二年から三年に延長するとともに、有効期間の更新制度を導入すること。  五、許可申請の際の添付書類を簡略化すること。
  41. 村山富市

    ○村山(富)委員 さらに、今後、労働者供給事業あるいは適用対象業務以外について行われる労働者派遣事業等違法な労働者派遣事業については厳格な取り締まりを行う必要があると思いますが、そのためにどのような措置を講ずるおつもりか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
  42. 山口敏夫

    山口国務大臣 御指摘のような違法な事業活動が行われることのないよう指導監督体制の整備を図り、厳正な指導に努めるとともに、労働者派遣事業労働者供給事業請負との区分に関する具体的な認定基準を法施行までの間に中央職業安定審議会の意見を聞いて定めることとしており、これらを通じて適切な法の運用に努めてまいりたいと存じます。
  43. 村山富市

    ○村山(富)委員 次に、労働者派遣事業によって、労働組合が進めてきております使用者概念拡大闘争に水を差されることになるのではないかとの危惧が非常に強い。せめて労働基準法等の責任を負っている事項については、派遣先に交渉応諾義務を認めるべきであるという意見が強いのでありますが、この点について行政としてどのようにお考えになっておるか、見解を承りたいと思います。
  44. 山口敏夫

    山口国務大臣 労働者派遣事業の場合、派遣元事業主派遣労働者雇用し、派遣労働者労働条件については、派遣元事業主が決定するものでございます。  したがって、一般的には派遣元が団体交渉に応ずべき立場にございますが、個々具体的な事案についてだれが団体交渉に応ずべき立場にあるかは、労働委員会あるいは裁判所において判断されることになろうと存じます。
  45. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは最後になりますが、新法であるだけにいろいろな事案が想定されますけれども、そうした具体的に想定される事例について、例えば、派遣先において労働者派遣契約に定める就業条件に反して派遣労働者が就業させられたような場合に、労働者の保護を図るためにどのような措置を講じていくつもりであるか、見解をお聞きしておきたいと思うのです。
  46. 山口敏夫

    山口国務大臣 派遣労働者の適正な就業を確保するため、派遣先労働者派遣契約の定めに反することのないように適切な措置を講ずべきことは当然でございます。御指摘のような場合には、公共職業安定所における指導監督体制を整備し、具体的事案に応じて労働者の保護に欠けることのないよう派遣先に対しましても適切な指導をすることといたしたいと考えております。
  47. 村山富市

    ○村山(富)委員 以上で質問を終わりますけれども、冒頭に申し上げましたように、新しい法律であるだけにいろいろ危惧を持たれる面がたくさんあるわけです。そうした問題についても、遺憾のないような措置を十分講ずるということを強く要請をしておきまして、私の質問を終わります。
  48. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 小沢和秋君。
  49. 小沢和秋

    小沢(和)委員 政府部内で労働者派遣事業が問題になってから既に七年以上たつわけであります。戦後の労働法制の根本的な転換を含むこの法案が、今日まで、形の上ではきょうを含めますと四回審議されたことになりますけれども、実際には十数時間、その中には関連質問ども相当あって、まだまだいろんな問題が解明されないままにきょう大詰めというような事態を迎えていることは、私は甚だ残念に思うわけであります。  質問を具体的に申し上げますが、まず第一は、職安法の四十四条でこれまで労働者供給事業が禁止されてまいりましたが、その一部を派遣事業として公認することになるわけであります。  その正当化のために、戦前のような非人間的な労働が復活することはもうないというようなことが言われているわけでありますけれども、果たして、今日の日本にはもうそういうような問題がないのか。例えば私の地元などでは、今でも労働下宿というのがありまして、手配師がおって労働者を供給しておるというような実態もあります。そうまでなくても、新日鉄などの職場では、本工と並んで下請関連の労働者がどんどんふえていっているというようなのが現実でありますし、今度の派遣法によって、私は、事務や附帯部門にまでそういうような労働者が広がっていくのではないかと危惧するわけであります。  こういうような無権利、低賃金労働者がどんどん広がっていくようなことを放置しておいてよいのかどうか、むしろこういうようなことを促進するようなことにならないのか、今度の法律について私たちが一番危惧しているわけでありますが、その点どうでしょうか。
  50. 山口敏夫

    山口国務大臣 小沢先生も御理解いただいておりますように、高齢化時代を迎え、あるいは女子の職場進出あるいは省力化の問題、いろいろ考えますと、先ほど多賀谷先生の御論議にもございましたけれども、やはり国民の権利として十分正当な職を得るということが何よりも大事なことでございます。我々は、そういう意味におきまして、今日及びあすの雇用問題という立場から、あらゆる面における雇用拡大を図るということを基本的に最重要課題と存じておりますし、また、それは単なる雇用拡大ではなくて、労働基準法その他いろいろな労働法の保護のもとの雇用環境でなければならないというふうにも考えておるわけでございます。  したがって、政府案、社会党案いろいろ論議ございますけれども、私は、やはり労働法案というものはどっちが正しいとかどっちが間違いだということではなくて、問題点を積み上げながら労働者の保護また生活権を守っていくということが大事であろうと思いますし、今先生の御指摘のような御心配も、国会でもいろいろお取り上げいただくような場合も含めて、また労働者自身の意識の変化、前進等々の中から一層よりよい雇用環境、条件整備していくということの中にこの法案の一つの大きな意味と責任があろうというふうに考えておるものでございます。
  51. 小沢和秋

    小沢(和)委員 派遣事業を新しい労働需給システムというふうに位置づけで、これが今後どんどん広がっていけば、ただ不安定で劣悪な労働条件労働者がふえていくというだけでなく、職業安定所もその役割がどんどん後退していくのではないかということを私は心配するわけであります。今でも敗戦直後に比べますと職安を通じての就職率は下がるばかりというふうに認識しておりますが、一体、今後労働行政の中でこの職業安定所をどう位置づけていく考え方なのか、このこともこの機会に明確にしておいていただきたいと思います。
  52. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 公共職業安定所はやはり雇用失業情勢におきます各地域での責任ある官庁でございます。そういう意味におきまして、それぞれの地域での総合的な雇用サービスセンターとしての位置づけをし、そして雇用問題に責任を負っていく組織、機関としての充実を図っていくものであるというふうに考えておるわけでございまして、そのために、この安定所を中心にいたしまして、例えば新しいニーズに対してはパートバンクを設置するとか、あるいはまた高齢者対策といたしまして関係の市町村に高齢者職業相談室を設けるというようなことなども図りながら、さらにまた、今後はこの公共職業安定所を全国ネットワークで結びまして求人求職情報のオンライン化というような形でのその整備充実を考えておるところでございます。  そういう意味におきまして、御指摘ございましたように、あくまでこの職業紹介の問題、雇用対策の問題は安定所を中心にやっていきたい。しかし、安定所でやることが必ずしも適当でないものについて、あるいはまた安定所の補助的な形のものを民間等にお願いするというようなこともやはりそういう安定行政の一環として、一定規制のもとに、一定監督のもとにそういったものを補助的な機関として活用していくということもまた大切なことではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  53. 小沢和秋

    小沢(和)委員 次に、労働組合による労働者供給事業についてお尋ねをいたします。  これについては、労働組合が大変な苦労をして労働者雇用を守り労働条件を維持して今日まで頑張ってきたものであります。ところが、その多くは労働組合を使用者とみなす措置がとられていないために、いまだに社会保険、労働保険の適用を受けられないでおります。また、これらの労働組合は、派遣事業が認められることによってそれと競合させられることで存立の危機感を深めております。  そこでお伺いをしたいわけでありますが、一つは、現在労働者供給事業の認められている業務については派遣事業の対象業務から外すということをここで確認をいただけるか。  もう一つは、労働者供給事業を行える範囲を広げる措置が盛り込まれておりますけれども、例えば業界でつくる社団法人などにも広げられることになると、実際上これまで労働者供給事業を行っていた労働組合は大変な打撃をこうむることになりますが、そうしないということをここで明言できるでしょうか。
  54. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 今後業務指定をいたします際に、関連する業務についてのいろいろ実態調査を行い、そしてまた関係者のヒアリングを行う、さらにまた審議会の場におきまして審議を重ねて社会的な合意が得られるものを派遣事業の対象業務にしていく、こういう手順で進めることを考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、現在労働者供給事業について行われております業務とのその辺については、調和ある措置というものも当然頭に置いてやっていかなければならぬ。そういう意味において、そういう御指摘の点については地域的にもいろいろ検討をして混乱のないようにしていく必要があるであろう、こう考えるわけでございます。  それから第二の点につきましては、これは実態としてどういう仕組みのものを御提案なのか詳細わかりませんが、いずれにいたしましても、労働組合組合員を雇用しておるという雇用者の立場にないことは事実でございます。そういう意味で、そういう雇用者責任をかわって何か適当にとらせ得るようなものが考えられるかどうか、その辺について私どもまだ名案がありませんが、私ども労働者の保護という面でのいろいろ仕組みを考えていくことは、常に検討しなければならぬ問題であると基本的に考えます。
  55. 小沢和秋

    小沢(和)委員 次に、派遣元雇用主として労働者に対してすっきりした責任を負うようにしたというふうなことが言われるわけですが、私はそういう責任をすっきり負えるはずがないのではないかと思うのです。ここでも、これまでも私たち問題にしてまいりましたが、いわゆる三六協定ですね、休日、時間外の労働について派遣元と協定をするというわけでありますけれども、例えばマンパワー社の場合などはいまだに就業規則をつくることができない。だから、協定もなしで実際には残業をやっておるわけですね。あるいはコンピューター関係のある派遣労働者の話を聞いたところでは、一日に十三時間というから、二十一時間までの労働ができるような協定を結べということが派遣先から指示をされてそういう協定が結ばれている、こういうようなこともあるわけですね。  何とかして派遣元で協定を結べるようにしようというので、派遣元事業所にするというような便法を講じたり、あるいは労働者の代表ということでお互いに全く顔見知りでも何でもないような人たちのグループを無理やりつくって、そして代表を選ばせてというようなことをいろいろやろうとしているわけですが、こういう二重三重の無理を重ねて形式的に結んだといっても、これであなた方が長時間労働を少しでも抑えていこうというようなことには、これでは全く役に立たないのじゃないでしょうか。やはり派遣先と実際こういうような労働時間などについて話し合いをすることができてこそ、そして協定を結ぶことができるような道が開かれておってこそ、実際に意味のある長時間労働規制というようなこともできていくのじゃないのでしょうか。
  56. 菊地好司

    菊地説明員 労働条件の決定は、雇用主である派遣元事業主との間で的確に設定されるべきものであると考えておりますし、この法律施行された暁には、法律の目的が達成されますように指導監督を図っていきたいと思っております。御指摘のマンパワージャパンの就業規則、三六協定の問題につきましても、的確なものが締結されますよう目下鋭意指導を進めておるところでございます。
  57. 小沢和秋

    小沢(和)委員 鋭意指導をしていると言うけれども、実際に今までマンパワー社は八年もかかってもこういうような状態だったわけであります。  時間も参りましたから最後に申し上げたいのは、少なくとも労働基準法やあるいは労安法などで、これは派遣先の責任だというふうに使用者責任の振り分けをした部分がありますが、この部分については派遣先と交渉ができるような道を開かなければ、そういうような部分については全く宙に浮いて問題の解決が何一つできないということになりはしませんか。この部分についても依然として全く交渉を必要としないという見解でしょうか。それで終わります。
  58. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 基本的に派遣元雇用主としての責任を負わせる、そして派遣先につきましては安全衛生あるいは労働時間の問題等について基準法上の使用者とみなしてその使用者責任を負わせる、こういう仕組みであるわけでございます。したがいまして、労働条件の問題につきまして、これは派遣元に原則としてこの団体交渉の応諾義務というものもあるということでございます。  ただ、具体的な個々の事案について見た場合に、これはいろいろなケースもあり得ると思います。そういう場合についてあるいは労働委員会なり裁判所の判断において、その派遣先に交渉応諾義務があるというような場合もそれはあり得ることも考えられないわけではない、こう考えております。
  59. 小沢和秋

    小沢(和)委員 終わります。     —————————————
  60. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 この際、内閣提出に係る労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の両案について議事を進めます。  これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  61. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 この際、労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律案に対し、稲垣実男君外二名から修正案が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。大橋敏雄君。     —————————————  労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労   働者就業条件整備等に関する法律案に対   する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  62. 大橋敏雄

    ○大橋委員 ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党・新自由国民連合、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  修正の要旨は、第一に、一般労働者派遣事業の許可の申請または特定労働者派遣事業に係る届出書の提出に際し添付する事業計画書及び定期的に提出する事業報告書には、労働者派遣に関する料金等の事項を記載して提出しなければならないものとすること。  第二に、派遣元事業主は、海外派遣をしようとするときは、あらかじめ労働大臣に届け出るとともに、労働者派遣契約の締結に際し、派遣先が、派遣先責任者の選任、派遣先管理台帳の作成、記載及び通知その他派遣就業が適正に行われるために必要な措置を講ずべき旨を定めなければならないものとすること。  第三に、新たに労働者派遣の対象としようとするときには、労働者派遣の対象となる旨の労働協約または就業規則の定めの適用を受ける労働者についてもあらかじめその旨を明示し、その同意を得ることを要するものとすること。  第四に、労働大臣は、労働省令で定める場合を除き、専ら特定の者に対し役務を提供することを目的として労働者派遣事業が行われていると認めるときは、当該事業の目的及び内容を変更するように勧告することができるものとすること。  第五に、この法律施行後三年を経過した場合において、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、必要な措置を講ずるものとすること。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  63. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  64. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 これより両案及びただいま提出されました修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。谷垣禎一君。
  65. 谷垣禎一

    ○谷垣委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、内閣提出労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について、自由民主党・新自由国民連合、公明党・国民会議及び民社党・国民連合提出の修正案並びにその修正部分を除く原案に賛成するものであります。  御承知のように、最近における経済社会の進展に伴い、労働力の需要及び供給の両面においては、本格的な高齢化の進展、女子の職場進出のほか、マイクロエレクトロニクスを中心とする新たな技術革新の進展、サービス経済化等の産業構造の変化といった、まさしく構造的な変化が生じております。  このような構造的変化に対応して、多様なニーズにこたえて、労働力の需給の結合を促進し、就業機会の増大を図っていくためには、単に現行職業安定法における民間の需給調整機能はできるだけ抑制するという硬直的な制度の運用のみでは十分ではなく、労働者派遣事業を法制化する等新たな観点からの法的整備が必要になってきているものと考えております。  もとより、この場合においても、職業安定法がその排除を目指した弊害が発生することのないよう十分な配慮が必要であるとともに、労働者の保護と雇用の安定に欠けることがあってはならないものと考えております。  また、我が国におきましては、長年にわたり形成されてきた終身雇用慣行を基礎として、労使関係の安定、経済の発展を図ってきたこと、さらに、常用雇用雇用の基本であることにも十分留意することが必要と考えます。  今回の政府案においては、労働者派遣事業について、その事業の開始を原則許可制によることとし、ただし雇用の安定の図られている常用雇用労働者のみて行う場合を届け出制としており、欠格事由の定め、許可基準、許可の取り消し、事業廃止命令、事業停止命令、改善命令等事業の適正な運営確保するための措置が講じられており、弊害の発生防止のため十分配慮されているところであります。  また、派遣元事業主及び派遣先に、就業条件の明示、責任者の選任、台帳の整備等雇用・就業管理体制を整備し、派遣労働者の苦情等を的確に処理し得るようにしているとともに、労働基準法等の適用の特例等を設けることにより、労働者の保護に欠けることのないようにしており、さらに、派遣元事業主に、派遣労働者の希望及び能力に応じた就業機会及び教育訓練の機会確保させること等により、労働者雇用の安定、就業機会拡大に資することとしております。  さらに、労働者派遣事業を行うことのできる対象業務について限定することとし、具体的に対象業務を定めるに当たっては、労使の代表の参加する中央職業安定審議会の意見を聞くこととし、また、制度の運用に当たっては、雇用慣行との調和等を考慮することとしております。  また、あわせて、民営職業紹介事業労働組合の行う労働者供給事業等についても所要の改善措置が講じられております。  これらの措置は、これまでの検討の経緯を踏まえ、各層の意見を反映したものでありまして、しかも、多様なニーズにこたえた需給調整を図ることを可能とし、労働者の保護と雇用の安定を図り、雇用慣行にも配慮したものであり、また、時宜にかなったものとして適切なものと考えております。  以上の理由により、私は、自由民主党・新自由国民連合、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の修正部分を除く政府案に賛成するものであります。  なお、政府案に対する自由民主党・新自由国民連合、公明党・国民会議及び民社党・国民連合提出の修正案は、労働者の保護と雇用の安定をさらに一層推進するために講ずる措置であり、妥当であると考えます。  以上であります。(拍手)
  66. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 永井孝信君。
  67. 永井孝信

    ○永井委員 ただいま議題となっています政府提案の労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案並びに修正案の採決に当たりまして、私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、反対討論を行うものであります。  私は、まず第一に、この問題をめぐる歴代自民党政府の姿勢、すなわち労働者保護立法の施行に消極的で、現状を容認しあるいは追認しようとする姿勢を問題点として指摘したいと思うのであります。  戦後我が国では、中間搾取の排除を定めた労働基準法や労働者供給事業の禁止を定めた職業安定法等の制定により労働関係の民主化が行われ、実際の使用者と労働者との間に第三者が介在することは原則的に禁止されることになったことは御承知のとおりであります。  しかしながら、これらの法律施行されてそう間もない一九五二年、昭和二十七年には早くも独立した請負事業としての実態を有しないものを労働者供給事業として禁止するための労働省令、つまり職業安定法施行規則の第四条が改悪され、労働行政の指導方針も大きく転換したため、社外工等の事業場下請事業が公然と復活、増大する結果を招きました。それでも当時はなお請負業者には、作業の完成について法律上の責任を負うこと、労働者指揮監督すること、労働者に対し使用者としての法律上のすべての義務を負うことが求められておりました。  ところがその後、これらの条件を満たさず、請負形式をとってはいても明らかに労働者供給事業に該当するものがふえてまいったわけでありますが、これに対しても政府は積極的に取り締まろうとせず、むしろ逆にこれらの事業についても新たに労働者派遣という概念を持ち出してこれを民間の新たな労働需給調整システムとして法制度化しようと今回の法案を提出するに至ったわけであります。  これによって労働者供給事業の禁止を定めた職安法第四十四条はほとんど形骸化することは必至であります。今政府に求められていることは、従来の姿勢を改め、労供禁止規定を厳格に施行することなのであります。  第二の問題点は対象業務についてであります。政府案では、港湾運送業務や建設業務などは除外されるものの、適用対象業務の指定は政令、つまり政府にゆだねられており、したがって法律上は実に広範な業務が対象とされる可能性を残している点であります。政府が労供禁止の原則に変更はないというならば、対象業務法律上明確にし、しかもできるだけ限定するべきであります。我が党といたしましては、対象業務として考えられるのは、技術革新の進展状況から見てやむを得ないと考えられるソフトウエア業務ぐらいではないかと考えておるわけであります。  第三の問題点は、政府案がいわゆる登録型をも認めようとしている点であります。現象的に見るならば、女性労働者を中心にテンポラリーワーク、つまり随時就業に対する希望があることは事実でありますが、これに対してはテンポラリー・ワーク・バンクを設置するなど公共職業安定機関こそこたえるべきであるのに、現実にはその組織体制も機能も極めて不十分であります。そこにも民間において違法な労働者派遣事業が生まれてくる要因があるのでありまして、それには目をつぶったまま安易に民間の営利事業を活用しようとする姿勢は認めるわけにはまいりません。  第四に、仮に一定労働者派遣事業を認めるといたしましても、その場合には、派遣労働者についてはその性格上労働組合活動にはどうしても困難さがつきまとうわけでありますから、その保護及び権利保障の立場に立った有効な措置が必要であります。しかし、政府案では、いわゆる常用雇用型は届け出制とされた上、中間搾取の排除を定めた労働基準法の立場に立った規制措置が極めて不十分であります。さらに、派遣先に対する規制措置についても、安上がりな常用雇用代替としての派遣労働者の利用規制が不十分であり、実際の使用者としての団体交渉応諾義務も認められておりません。昨今の雇用情勢を考慮するならば、その結果は、派遣労働者を保護するというよりも、むしろ雇用の不安定性や賃金を初めとする労働条件の劣悪さ等の悪条件のもとで働く労働者を増大させることになるおそれが十分にあります。  特にこの際触れておきたいことは、欧米諸国との事情の違いであります。欧米諸国の中に労働者派遣事業を認めている国が確かにありますが、その内容を見ると、派遣期間は極めて短く、むしろ製造業が大半を占め、派遣労働者数も極めて少数であります。賃金についても職種ごとの統一賃金がほぼ確立されているので、派遣先の同種の労働者との賃金格差がほとんどないことは労働省も認めておられるところであります。欧米諸国には我が国のような事業場下請企業がないのでありまして、したがって、あえて言えば、これを補うような形でわずかに労働者派遣が認められているのであります。政府案は、我が国の雇用構造のもとではいわゆる二重構造を一層拡大する結果を招くことは必至であります。  第五の問題は、実効確保についてであります。これは第一の点とも関連するわけでありますが、不十分とはいえ政府案に盛り込まれている派遣労働者の保護を実際に確保するための公共職業安定機関等の職員は、増員されるどころか年を追って減員されている現状が改善される保障は残念ながら政府の答弁によっても明らかではないのであります。認められる派遣事業以外の労働者派遣あるいは労働者供給事業の取り締まりについても同様であります。  最後になりますが、修正案については、我が党が指摘した問題点について若干の改善を行うものとして一定の評価はいたしますが、それでもなお政府案の基本的な問題点は残されており、賛成するわけにはまいりません。  また、我が党は既に対案を提出しているわけでありますが、私は、この対案で示されている考え方、対処の方向こそが派遣労働問題で求められているものであることを確信し、政府はむしろ二法案を撤回し、我が党の対案を十分検討した上で、改めて労働団体がこぞって賛成できるような法案を提出し直すべきであることを申し添えて、私の反対討論を終わります。(拍手)
  68. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 沼川洋一君。
  69. 沼川洋一

    ○沼川委員 私は、公明党・国民会議を代表して、内閣提出労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について、自由民主党・新自由国民連合、公明党・国民会議及び民社党・国民連合提出の修正案並びにその修正部分を除く原案に賛成するものであります。  経済社会の発展の基礎を形成するものは労働であり、労働者がその希望にかなった就業機会確保し、安んじて働くことができるよう条件整備を図っていくことこそ国政の基本であると考えます。  ところで、近年における経済社会の発展の過程労働者側の就業ニーズに大きな変化が見られるのであります。すなわち、自分の都合のよい時間や期間あるいは場所で就業したい、企業内の人間関係に煩わされることなく就業したい、あるいは自分の有する専門的な知識、技術経験を生かして就業したいとする労働者が増加していることは今さら指摘するまでもありません。  我が党も実際に人材派遣会社を視察したのでありますが、そこにはこのようなニーズを有する労働者が多数登録されており、派遣形態であるがゆえにその希望にかなった就業機会確保できるというのが現実であります。しかしながら、派遣労働については十分な保護措置が図られておらず、いわば法の谷間に置かれていると言えるのであります。  これらの事業は、現行法のもとで形式的には請負形態をとらざるを得ないため、労働者の就業実態に照らしてみると、派遣元派遣先のいずれが使用者としての責任を負うのか不明確であり、労働者の保護に欠ける事態が生ずるおそれがあるのであります。したがって、今日派遣労働者の多くが低賃金と無権利状態に置かれ、何らかの保護を必要としている点についてはだれ人も異論のないところでありましょう。  今回の政府提出の法案は、派遣労働者の保護を図ることを目的としている点においては一応妥当なものと考えております。すなわち、労働者が安んじて働けるための措置を講ずることが必要であるとの認識に立って、長年にわたる審議会等における検討を経て取りまとめられたことについては敬意を表するものであります。  しかしながら、政府案は必ずしもそのすべてにおいて妥当なものとは言えないと考えております。すなわち、次に述べる幾つかの基本的な問題を内包していると考えるのであります。  その一つが、労働者全体の雇用の安定を図るという点に欠ける嫌いが見受けられるということであります。すなわち、特定企業のみへの派遣を目的とする労働者派遣事業については、派遣先企業の常用雇用の代替するおそれがあるので、これに適切に対応できる措置を講ずることが必要であります。  第二には、労働者の派遣に関する料金の問題であります。すなわち、派遣労働者が不当な低賃金に甘んずることのないような措置を講ずること、また、中間搾取を防止する意味での措置に欠ける点であります。  第三には、海外における派遣就業が適正に行われるための措置に欠ける面があるということであります。  このほか、正規の従業員をその同意なしに労働者派遣事業の対象にできるなどの点で問題があり、我が党としても指摘してきたところであります。  しかしながら、先ほど説明がなされました三党提出の修正案では、これらの点での内容が改善され、さらにこの法律施行後三年を経過した後、見直しを行うことが明記されたことにより、より適切な内容になったと考えるものであります。  また、この法律の運用に当たっては、幾つかの留意しなければならない点があると考えております。  第一は、雇用慣行との調和、常用雇用労働者の代替の防止であります。このためには、対象業務の決定に当たり慎重な手続と配慮が必要であります。  第二は、労働者の保護と福祉の向上を図るため、制度に基づく措置が的確に講ぜられることを確保することであります。  第三は、制度の実効確保労働需給調整の中核である公共職業安定機関の充実強化を図ること等々であります。  本法案を絵にかいたもちとしないためにも、このような措置が不可欠であると考え、これらのことを附帯決議として記録し、強く実効を促すものであります。  以上、私は三党提案による修正を行った上で本法案に賛成するとともに、法の運用に当たり、政府においてただいま申し述べた措置が的確に講ぜられることを強く要望し、私の討論を終わります。(拍手)
  70. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 塩田晋君。
  71. 塩田晋

    塩田委員 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律案に対する修正案に賛成、及び修正部分を除く政府原案並びに同法施行整備法案に賛成の立場から討論を行うものであります。  労働者派遣事業、いわゆる人材派遣業は、我が国の高度経済成長下における労働力不足を背景に昭和四十年代の前半に出現し、第一次石油ショック後の昭和五十年代から急速に成長を遂げてきたと言われております。このような事業が急成長した理由としては、技術革新の進展に伴う我が国経済社会構造変化、専門的な職業群の増加、婦人労働力の増加などによる雇用形態の流動、多様化、職場での人間関係労働意識の変化などがあり、今後もこのような労働形態業種、規模ともに拡大していく傾向があると認めるものであります。  一方、現行職業安定法第四十四条、四十五条では、労働者供給事業を原則的に禁止しており、派遣事業請負という形で営業いたしておりますが、それらの中には事実上の指揮命令と従属の関係派遣先派遣労働者の間に存在し、請負と言い切れない実態となっているものがあるのが現実であります。  また、使用者責任の不明確さによる就業条件などの雇用契約の不備、事故や災害時の補償をめぐるトラブルの発生など、労働者保護の観点からも大きな問題が存在していると言われているのであります。  こうしたいわゆる人材派遣業は、その法的位置づけが不明確な上に、労働者はその実態をなかなか把握しがたい状況にあり、早急に何らかの対策を行わなければならないことは異論の余地がありません。  我が党は、さきに述べたような背景で成長し、現在多数の派遣労働者雇用機会を得ている労働者派遣事業について、これをすべて法律違反として禁止することは現実的でなく、労働者派遣事業労働者サイドからの希望もあり、労働力の需給調整機能など、時代の変化に対応した一定の役割を果たしていることを認識し、常用雇用を中心とした我が国特有の雇用形態の根幹を堅持しつつ、近年の急速な情報化の進展に対応するとともに、派遣労働者の保護を図るためにこれを法制度として明確化することが必要と考えるものであり、この見地から、政府案に対して賛意を表明するものであります。  ただ、政府原案の創設する制度の運用いかんによっては、労働市場の変化に伴う日本雇用慣行等に深刻な影響を及ぼしかねないので、一定の時期に制度の見直しをすること、また、労働者派遣の料金は何らかの措置がなされなければ不当な利益をもたらしかねないこと、特定企業へ恒常的に反復して労働者の派遣を行うことを目的とする事業活動は、常用雇用を原則とする雇用形態を崩すおそれのあること、特定の労働者について新たな派遣の際に同意を要しないのは労働者の立場から容認できないこと、さらに、海外へ労働者の派遣を認めることは労働者の保護を十分に図り得ない可能性のあること等の問題がありますので、これらを解決するため、我が党はただいま議題となっております修正案を提出いたしたのであります。  最後に、政府に対し、現行職業安定法労働者供給事業の原則禁止規定を今後とも堅持すること、派遣事業の対象業務の指定については、常用雇用労働者の代替を促すことのないよう配慮し、特に製造業の直接生産業務を対象としないなど厳重に限定すること、派遣事業と民営職業紹介事業との均衡に十分配慮すること、労働者派遣事業労働組合の行う労働者供給事業については、社会保険、労働保険の適用、中退金制度の活用などに積極的な施策を行うこと、派遣料金、教育訓練については、労働者雇用安定と福祉の観点から、その適正な指導に努めるとともに、労働時間、休日等の特例について周知指導に努めること、並びに、いわゆる派遣店員について、その適正な就業を確保するため業界に対し適切な指導を行うこと等、追って提案される附帯決議の各事項を誠実に履行することを強く求めて、賛成の討論を終わります。(拍手)
  72. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 小沢和秋君。
  73. 小沢和秋

    小沢(和)委員 ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律案並びに同法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案に対し、日本共産党・革新共同を代表して、反対の討論を行います。  私はまず最初に、我が国の戦後労働法制の根幹を揺るがす内容を持つこの法案が、本会議での趣旨説明も行われず、本委員会においても実質十数時間しか審議されないまま採決されることに対し、心からの怒りを込めて抗議をするものであります。  ところで、本法律案は、これまで禁止されてきた労働者供給事業の一部を労働者派遣事業として取り出し、有効な労働需給システムとして法的に認知しようというものであります。労働者派遣事業がみずから雇用するといっても、全く労働者他人指揮命令のもとでだけ働かせて利益を得るものである以上、その利益は、実質的に中間搾取によって得られるものであることは明らかであります。まさに本法律案は、人貸し業合法化法案であり、ピンはね合法化法案と言うべきものであります。  派遣労働者は、みずからが実際に仕事をするその派遣先において何ら労働者としての権利を主張できません。その反面、派遣先は、みずからの使用する労働者に対してほとんど使用者としての責任を問われないのであります。派遣先との団交権の否認がその典型であります。さらに国籍、信条、性別、社会的身分、労働組合活動等を理由として派遣契約の解除は禁止されていますが、労働者の差しかえは禁止しないのでありますから、派遣労働者にとっては何の保障にもなりません。  さらに本法律案は、三六協定を含む労働協約を派遣元との間でだけ結べば事足りるとしております。我が党が質疑の中でも明らかにしたように、派遣元企業の多くはユーザーである派遣先企業に従属し、労働条件は事実上派遣先において決定されているのでありますから、この点でも本法律案は何ら労働者保護に寄与するものではありません。とりわけ登録型と呼ばれる派遣事業においては、労働協約の場である事業場の特定、労働者の過半数を代表する労働者の選出も事実上不可能なのであります。現実に、参考人として本委員会に出席したマンパワージャパン社では、この点に問題ありとして就業規則労働基準監督署において受理されていないことが質疑を通じて明らかになったのであります。これを本法律案では認めていこうというのですから、労働基準法の実質的な改悪とならざるを得ません。同一労働同一賃金の原則についてもしかりであります。  本法律案は、こうした重大な問題点を持つにもかかわらず、事務系労働のほとんどを含む多くの業務を対象としています。この法案の成立によって正規従業員を含むすべての労働者が不安定、無権利の派遣労働者化する危険は極めて大きくなっております。  以上、本法律案は、我が国の雇用慣行をその根本において改変し、戦後労働法制の根幹を崩す希代の悪法と言わなければなりません。  ただいま提案されております修正案も、本法律案の危険な内容をほとんど変更するものではありません。  私は、政府に対し、改めて本法律案を撤回すべきことを強く求めて、反対の討論を終わります。(拍手)
  74. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 菅直人君。
  75. 菅直人

    ○菅委員 ただいま議題となっております労働者派遣事業法案について、社会民主連合を代表し、この法案には賛成しがたく、反対であるという立場から討論を行うものです。  昨今のME化の進展などによって情報サービス関係の職場で派遣形態が生まれつつあり、そうした労働者の保護の必要から何らかの措置が必要なことは十分理解されます。  しかし、こうした労働形態も、多くの場合は在籍出向や請負などによって対応でき、逆に本法のような人材派遣を業として認めた場合には、重大なる副作用が生じるおそれがあります。つまり、政府案では対象業務は政令事項とされていますが、今後、労務管理上の要請などから、情報サービスや女子労働分野以外の分野でも広く業務拡大していくことが予想されます。  我が国では、医師や弁護士など一部の限られた職種を除いて、通常は勤労者の職業とは、職種つまり業務によって認識される以上に所属する企業によって認識されているのが通例です。それが本法により雇用関係を結ぶ企業と実際の職場となる企業とが別々となった場合に、その労働者はどちらの企業に勤務していると言えるのでしょうか。  こうした点を考えると、人材派遣形態拡大した場合、これまでの日本の通常の雇用関係は大きく破壊され、その結果、企業にも、同一業務という形の職業グループにも所属意識を持つことのできない労働者が多数発生することになります。このことは、そうした労働者労働条件においてもあるいは社会的にも極めて不安定な状態に置かれることを意味します。こうした問題点に対して、修正案により業務の歯どめが用意されたことは一定の前進だと考えます。しかし、この修正案によっても、業務で職業を認識する習慣の薄い我が国では、業務解釈を広くとることなどによってほとんどの職場、企業への派遣が可能となり、日本の良好な雇用関係が破壊され、労働者を不安定な状態に陥れるという心配は解消されておりません。  以上のような本質的な問題点が解消されない以上、本法案が部分的に必要性が認められるといえども、賛成することはできず、この法案に対して反対であることを重ねて表明し、討論を終わります。(拍手)
  76. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  77. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 これより採決に入ります。  労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、本案に対する稲垣実男君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  78. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正案の修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  79. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  80. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  81. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 この際、ただいま議決いたしました両案に対し、稲垣実男君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び社会民主連合五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。村山富市君。
  82. 村山富市

    ○村山(富)委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び社会民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一 対象業務を具体的に定めるに当たっては、我が国の雇用慣行との調和に十分留意し、常用雇用労働者の代替を促すこととならないよう、十分配慮すべきであり、中央職業安定審議会の意見を尊重して、慎重に対処すること。特に、製造業の直接生産工程に従事する業務については、労働者派遣事業の対象とはしないこと。  二 いわゆる二重派遣は、労働者供給事業に該当し、禁止されるものであるので、その旨の周知徹底を図るとともに、二重派遣が行われることのないよう、厳格な指導に努めること。  三 派遣元事業主から教育訓練に関する計画を提出させ、これに基づき、派遣労働者雇用の安定その他福祉の増進が図られるよう、適切な指導に努めること。  四 労働時間、休日等の労働基準法等の適用の特例については、労働者の保護に欠けることのないよう、その周知徹底に努めること。  五 労働者派遣事業と有料職業紹介事業とが競合することにより、労働者の保護に欠けることのないよう、適切な調整に努めること。  六 労働者派遣事業労働組合が行う労働者供給事業その他の民間の労働需給調整システムにより就業する労働者について、社会・労働保険の適用の促進その他福祉の向上が図られるよう、適切な指導に努めること。  七 労働者派遣事業が適切に運営され、労働者の保護と雇用の安定が確保されるよう、関係職員の増員をはじめ、行政体制及び民間の協力体制の整備を図るとともに、労働需給の変化に的確に対応するため、公共職業安定機関の機能の充実、強化に努めること。  八 いわゆる派遣店員について、その適正な就業を確保するため、派遣元派遣先両者間の取り決め及び派遣店員の管理の在り方に関し、業界に対し適切な指導に努めること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  83. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  裁決いたします。  稲垣実男君四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  84. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 起立多数。よって、本動議のとおり両案に附帯決議を付することに決しました。  この際、山口労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山口労働大臣
  85. 山口敏夫

    山口国務大臣 ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。
  86. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 次に、第百一回国会内閣提出参議院送付雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保を促進するための労働省関係法律整備等に関する法律案を議題といたします。  本案は、前国会において修正議決の上参議院に送付したものを、参議院において継続審査に付し、このほど修正議決の上、本院に送付されたものであります。  したがいまして、参議院の修正部分を除いてその趣旨説明を省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、参議院における修正部分につきまして、提出者から趣旨説明を求めます。参議院議員佐々木満君。     —————————————  雇用分野における男女の均等な機会及び待遇   の確保を促進するための労働省関係法律の整   備等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  88. 佐々木満

    ○佐々木参議院議員 雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保を促進するための労働省関係法律整備等に関する法律案に対する参議院の修正部分につきまして、その内容を御説明申し上げます。  修正の要旨は、第一に、目的の項、つまり第一条関係でございますが、この法律が法のもとの平等を保障する日本国憲法の理念にのっとるものであることを明確にすることが第一であります。  第二は、基本的理念、第二条関係でありますが、女子労働者の福祉の増進の本旨は二つありまして、一つは、女子労働者が母性を尊重されつつしかも性別により差別されることなくその能力を有効に発揮して充実した職業生活を営み、もう一つは、職業生活と家庭生活との調和を図ることができるようにする、この二点であることを明確にすることであります。  第三は、見直し規定でございますが、この法律による改正後の雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律、それから同じくこの法律によって改正されます労働基準法第六章の二の規定、この二つにつきまして、この法律施行後適当な時期において、その施行状況を勘案して、必要があると認めるときは、検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとするものであります。  以上でございます。  どうぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  89. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本案につきましては、日本共産党・革新共同から質疑及び討論の申し出がありますが、先ほどの理事会において協議の結果、御遠慮願うことといたしましたので、さよう御了承願います。
  90. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 これより採決に入ります。  雇用分野における男女の均等な機会及び待遇確保を促進するための労働省関係法律整備等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  91. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各家に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  93. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 次回は、明後十六日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二分散会      ————◇—————