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宮川政府委員 技術革新の
進展、
高齢化社会の到来あるいは
女子の
職場進出、どれ
一つをとりましても産業・就業構造の変革をもたらすものでございますが、その中で技術立国、資源の乏しい
我が国が世界に伍して高い生活水準を維持していくためには、
国民一人一人の
能力を目いっぱい引き出すということが大変大事である。これはもう釈迦に説法で申し上げるまでもないことでございます。
そうした観点から、単に
工場労働者、二次産業の
労働者だけでなくて全方位の
労働者についてその
職業生涯の全域にわたって適時適切な
教育訓練を受けられるような
社会的なシステムを確立したい、これが今回のねらいでございますが、残念ながら、現行の
職業訓練法はその手段といたしましていわゆる
職業訓練あるいは
技能検定、この
二つを両輪としてやっております。
職業訓練自体は
職業に関する
教育訓練ということでございますから大変幅広いものだと思いますが、現実にはそのイメージといたしましては、長年の間今日に至るまで二次産業、
工場労働者の、それもいわゆる
技能労働者に手に職をつける、腕に職をつけるというような観点からイメージされてきたことは否めないところだろうと思います。
現に昨年十一月に
企業内
教育研究会、私
どもの方の
職業訓練研究センターにそうした勉強会がございまして、学者
先生とかかなり有力な
企業のそちらの専門家のお集まりでございますが、そこでのお話でもいろいろな御
意見をいただきましたが、
職業訓練というのはこれからも大変大事な手段ではあるが、今申し上げたような形で非常に狭くイメージされてきてしまっている、これを打破してもっと学習
社会、
社会全体として学習するような
社会をつくらなければならない、そういうことを大変強く言われているわけでございます。
これだけではございませんで、
職業訓練あるいは
技能検定だけでなくて、これからは特に
有給教育訓練休暇を積極的に活用するとか、
各種学校を使うとか、その他もろもろの
民間の
教育機関もございますし、あるいは公共
訓練校から
企業へ、特に新しい事業をやっておられる
企業へ受講生を派遣してそこで一時勉強してもらうとか、従来の
職業訓練という概念ではなかなか捕捉できないことまで含めて幅広く
能力開発をやりたい。それが今回のもろもろの考え方でございます。
昨年七月、政府中央省庁一斉に機構改編がございました。そのとき私
どもも
職業訓練局から
職業能力開発局と名称を変えましたが、今申し上げたようなことを全部勘案して、
法律もぜひ変えたい、
公共職業訓練あるいは
民間の
教育訓練の仕組みもすべて幅広く転換したいということで名前も機構も
法律も打って一丸となったものでございます。ただ、組織の改編につきましては政府全体の都合がありましていささか先行いたしましたが、今申し上げましたように、本来は打って一丸となって行われるものであり、単に
法律の名称だけを変えるとか、局の名称を変えれば済むというものではございません。ただ、そう申し上げましても、御
指摘ございましたが、
公共職業訓練にせよ
民間のそれにせよ、まだまだ十分とは言えない
状況にございます。御
質問におこたえする道はそうしたものをもっともっとしっかりさせることだろうと思います。
具体例で申し上げますと、例えば
公共職業訓練につきましてはその
活性化を図るために補助金の問題もございます。それから
訓練基準あるいは指導員資格の見直し等による
活性化、これも
法律に手をつけなければなかなかしにくいことでございます。それから
民間の
教育訓練の
活性化あるいは有効化につきましても
推進者を設けてもらう、あるいは
法律上は単なる施設と書いてございますが、サービスセンターを設けて積極的に指導、相談に乗りたい、これもやはり
法律に手を加えなければできないことでございます。
一つ一つはあるいは小さいかもしれませんが、たくさんの事象を取り上げまして、全体として
能力開発を
段階的体系的に進めていきたい。例えば、新しく考えておりますこの
法律では
労働者の自主的な
努力を助長する、これも大変大事な考えだと思いますが、今まで
法律的には欠落していたものでございます。
それから国、
都道府県がいろいろ指導する場合には、
事業主の
自主性というものを十分尊重しなければいけない。これも当然言われており、実行されてこなかったわけではございませんが、
法律上それを明言し、
制度として、仕組みとしてそれを内外に宣明するというのは今回が初めてでございます。そういうことで
職業能力の
開発、すべて一連のものでございまして、一部を直したから平仄合わせにやるというものではございません。そのところは十分御
理解を賜りたいところでございます。