○塩田
委員 私は、民社党・
国民連合を代表して、ただいま議題となっております
国民年金法等の一部を
改正する
法律案に対する修正案及び修正部分を除く政府原案に、賛成の討論を行うものであります。
御承知のとおり、我が国の平均寿命は予測を上回る伸びを示し、いわゆる人生五十年時代から人生八十年時代へと大きく移行しつつあります。老後は平均で二十年以上となり、今日、長くなる老後をいかに過ごすかが
国民各層の重大な関心事となっております。老後
生活を第二の人生にふさわしく豊かに、生きがいに満ちた
生活とするには、その経済的基盤が万全でなければなりません。
老後
生活を支える所得保障の最大の柱は、何といっても
公的年金制度であります。しかし、
公的年金制度は、いわゆる官民格差、給付と負担の不均衡など多くの問題点を抱えていると同時に、
制度が多岐に分立しているがゆえに、国鉄共済の例のごとく個別
制度ごとに財政が破綻することにもなりかねず、苦労して
保険料を納めても、
年金が本当にもらえるのかという不安を
国民に与えていることは否めない事実であります。それゆえ、老後の給付を支える現役の働く人々の
保険料負担がたえがたいものにならないようにするとともに、給付内容については、
生活の基盤を支える適正なものとすることにより、将来にわたり財政の破綻を招かないようにする必要があります。かくて、
国民が信頼できる
年金制度確立に向けての抜本
改正が急がれてきたのであります。
民社党は他党に先駆け、
基礎年金の創設と所得比例型
年金の二階建て
年金制度体系に改めるナショナルミニマム・プランを提唱してまいりました。
基礎年金構想は、
社会保険
審議会や
社会保障制度審議会でも論議され、その創設は
国民合意となり、臨時行政調査会においても、五十七年七上の答申で、「全
国民を
基礎とする統一的
制度により、
基礎的
年金を公平に
国民に保障することを目標」としながら、段階的に
制度を統合することを明記しております。
今回の
政府案は、こうした論議や答申を踏まえ、世代間の給付と負担の適正化を通じ、長期的
制度運営の安定強化を確保するため、
基礎年金制度の
確立とそれによる
女性の
年金権の
確立、
障害者に対する
障害年金の大幅改善等を中核とし、激変緩和の措置を含んで
制度の抜本
改正を行うものであり、その
改正の骨格について我が党は基本的に評価するものであります。
しかし、今回の
改正は、まさに
制度の抜本
改正であるため、個別には多くの問題点もあり、その修正を求めてまいりました。特に老齢、遺族、
障害の三つの
年金給付水準について重点的に
法案修正の実現に
努力してまいりましたが、このいずれもが修正されることになったのであります。
まず、老齢
厚生年金については、政府原案は、
基礎年金を六十五歳から
支給することになっており、
夫婦ともに六十五歳に達していれば、
夫婦合算して成熟期に月額十万円の
基礎年金が受給できます。しかし、夫が六十五歳に達しても妻は平均で六十歳前後であり、その場合、
厚生年金の加給
年金として月額一万五千円の
年金しか受け取れないことになります。我々はこの段差を是正するよう強く求めてまいりましたが、その結果、妻が六十五歳になるまでの老齢
年金は、加給
年金月額一万五千円に加え月額一万円の特別加算を行い、妻が六十五歳になるまでは
夫婦で月額七万五千円となるよう修正されました。
第二は、厚生遺族
年金であります。政府原案は、子持ち寡婦に対しては手厚い給付を行うことにしており、この点は評価いたします。問題は子なし寡婦であります。政府原案によれば、手なし寡婦の場合、四十歳以上と四十歳
未満に大幅な段差をつけておりました。例えば、
標準報酬月額が二十万円の場合、四十歳以上の寡婦の
年金額は月額六万五千円であるが、四十歳
未満の者の
年金額は月額二万八千百円となり、このような大幅な格差を設けることは極めて不合理であります。これについては、我々の修正要求によって、夫の死亡時に三十五歳以上であった寡婦に対しては、四十歳以降月額三万七千五百円を加算するよう修正されたことは、大いなる前進であると
考えます。
第三は、三級
障害厚生年金の給付水準であります。政府原案によれば、
障害三級の給付水準は、
標準報酬月額が十万円の場合、現行が月額五万一千円であるのに対し、政府原案では急激に
年金水準が低下することになります。急激な給付水準の低下は可能な限り避けようとの民社党の修正要求によりまして、三級
障害厚生年金については月額三万七千五百円の最低保障
制度が設けられ、かなり改善されることになりました。私としては、最低保障額の水準になお不満が残りますが、政府原案より改善したことは事実でありますので、これを受け入れる立場をとるものであります。
以上のとおり、我が党の修正要求のうち特に重点とした三項目につき
法案修正が明確になされましたので、今後の参議院の
審議において、第三種の
期間計算の特例廃止における緩和措置、女子の
保険料率の引き上げ幅の経過措置についても修正されることを期待いたします。
さらに、附帯決議において、今後の検討課題とされます
基礎年金の水準、無
年金者対策、老齢福祉
年金等の引き上げ、五人
未満事業所の適用拡大、在職老齢
年金のあり方、
年金の毎月払い、国際
年金通算、
年金積立金の管理運用について、
国民の期待にこたえた改善検討がなされるよう強く要求いたします。
最後に、本
法案は
年金統合化の第一段階であり、共済
年金の
改正なくして統合一元化は実現できません。したがって、いわゆる官民格差の是正、激変緩和の措置を基調として、本
法案で創設される
基礎年金を共済
年金にも創設することを核とした共済
年金法の
改正を早急に
国会に
提出するよう特に強調いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)