○河野(正)
委員 実は、今
お答えになった
内容は現実と違うわけですよ。非常に違うのです。
政府委員といろいろ連絡し合っていますから、そういうような連絡の不手際もあったかどうか知りませんけれ
ども、今せっかく
お答えいただきましたけれ
ども、実は実情と違います。
というのは、前年と比較して女性はわずかに伸びています。男性は落ち込んでいるわけです。それに対して
政府は何とおっしゃっているかといったら、男性の自殺が多かった、こうおっしゃっているでしょう。これは
審議官がおっしゃったかどうか知りませんよ。私が承知している範囲ではそうだ。
だから、私がなぜそう言うかというと、女性は平均寿命が上がった、男性は落ち込んでいる、そしてその
理由の
一つに自殺が多かった。だから、ここが私が言う老後の保障ですよね。自殺するのは老後生活の安定と関係があって、そして結局とうとい命を絶たなきゃならぬというようなことになったのではなかろうか。そういうことで男性の平均寿命の伸びというものが落ち込んだら大変ですよ。ここが言いたいから実は私、あえて取り上げたわけです。全然無関係なことを言っているわけじゃないのです。
ほかの細かいことは既に
皆さんがそれぞれおっしゃっておりますから、ひとつできるだけ角度を変えてやろうということで、いろいろ随分あれこれして、きょうこういう御質問を申し上げているわけです。これは全部、
年金といいますか老後保障と関係のあることを申し上げているのです。
自慢じゃないけれ
ども、そういうことをいろいろまとめるのに大変な時間をかけてまとめたのですが、今申し上げましたように、今
審議官が
お答えになったことと私
どもが聞いておることとは全然違う。それは
政府委員との連携に何かいろいろあって、おたくの方が十分調査できなかったんだと思うのですが、昨年に比べて実は、女性は若干平均寿命が伸びたけれ
ども、男性は若干ですけれ
ども落ち込んでいるのですね。初めてですよ。その
理由は何かと言ったら、まず男性の自殺が多かった、こういうふうに言われておるわけですよ。
政府が言われているわけです。だから、男性が年とって自殺するなら、やはり老後の生活というものが不安定じゃないだろうか、そういう感想を持つものですからあえて私は取り上げておるわけです。
残念ながら、今の
審議官の
お答えでは、
厚生省が今まで言われたことと若干食い違うておる。それでは困るんで、これはもう今さらここでいろいろ言ったっていたし方ございませんから、もし私が申し上げたように、男性のお年寄りの自殺率が高くなってそれのために今日の平均寿命というものが落ち込むというようなことだったら、これはもう大変です。だから、
年金を含めて老後保障、これはまたひとつぜひお考えいただかなければならぬですよ。
これは非常に細かいことですけれ
ども、それがやはり人生の機微に触れた政治じゃないでしょうか。そういう意味であえて取り上げたわけでございますので、
大臣、これはひとつ十分耳にお取り入れいただきたいというふうに
思います。ただ、
厚生省の御
答弁がちょっと私の聞いたことと違っていた点は非常に残念だと
思いますが、それはここでとやかく言っても始まらぬことですから、その点ひとつ、
大臣、
お答えは必要ございませんから、ぜひ耳に入れておいていただきたい、こう
思います。
そこで、いま
一つ年寄りの問題で非常に深刻な問題は、老人性痴呆ですね。私も「ぼけ」という言葉は差別用語じゃなかろうかということで実は随分遠慮してきたわけですけれ
ども、今「ぼけ」という言葉は当たり前のようになってしまいましたので申し上げるわけですけれ
ども、私もできるだけ注意しようということで、できるだけ「ぼけ」という言葉は使わぬで、老人性痴呆というふうに申し上げたいと思うわけです。
高齢化が進んで、いろいろな問題がありますね。そこで、今深刻な問題になっております
一つはいわゆる老人性痴呆対策、これが非常に不十分ですね。ですから、極端に言いますと、要するにもっと早く診察をして、早くいわゆるぼけ症状を見つけて治療したならばもっと減るという専門家もいらっしゃる。
厚生省、御承知でしょう。田中多聞君というのがおりますね。これは東京都がいろいろパンフレットや何かで使っておるようですが、彼の著書によりますと、もっと早く痴呆症状を見つけて治療したならば、これだけぼけ老人をふやすことはなかった、そういうふうな専門家の
意見もございますが、残念ながらそういう対策がおくれておる。
今、日本にぼけ老人と言われておるのが大体五十六万、それが実際に施設に収容されておる者は三万しかいないのです。大
部分が家庭におって、要するに家庭の介助で非常に迷惑をかけておるというような実情があるわけです。そこで調べてみました。六十五歳以上でぼけ老人というのが一体どのくらいいらっしゃるのか。東京都で四・六%、横浜市で四・八%、全国的には五十六万。そして施設に収容されておるのが三万ということですから、たくさんな方が家庭に残されておるという実情でございます。
そこで、今、私は医療対策を申し上げたわけですが、今度の
年金改正が二十一
世紀を展望し、
高齢化社会を予測して立案をした、こういうふうに言われておることは御承知のとおりです。そこで、私
ども考えるわけですが、やはり医療対策というものが後退すれば、そういったぼけ老人対策に対して国が特に力を注がなければならぬ、今はこういう時期でもございます。やはり医療対策が今どんどん後退しておると私
どもは言うわけですが、ここもやはり考えていただかなければいかぬ。老人問題の対策というのは
年金と医療ですね。この二つは車の両輪のようなものでしょう。健康な人にはできるだけ
年金を差し上げる、病気になればひとつ治療を差し上げるということですから、老人対策というのは極端に言えばこの二つに尽きる。車の両輪のごとく、
一つは医療対策、
一つは
年金対策、こういうふうに思うわけですが、残念ながら、ぼけ老人を見てまいりましても、やはり医療対策について今後十分考えていただかなければ、
年金とあわせてこれは大変な事態になるんじゃなかろうか。現在五十六万と言われておりますけれ
ども、この五十六万という
数字というものはどんどんふえていくんじゃなかろうか。施設がどんどんできるわけではありませんからね。
施設もとても大変なのですよ。ときどきテレビで放映されていますね。
大臣もごらんになっていると思うのですが、あの実情を見ましても、大変です。そしてレポーターは、放映されぬ
部分の方が大変ですよと言っている。そういうことでございまして、これは私は別に前
大臣のことをとやかく言うわけではございませんけれ
ども、新聞社の対談の中で、どうも
国民は
政府に頼り過ぎると言っておる。しかし、
国民が
政府に頼らなければ、今のぼけ老人対策だってあるいは高齢化の問題だって、先ほど高齢者の自殺の問題を申し上げましたが、これは
政府がきめの細かい行政をやっていただかぬとそういう問題はなかなか解決できぬのじゃなかろうか。何でもかんでも頼みますよ、これもやってください、そんなには財政の問題があるのでできませんよ。それは私
どもわからぬことありません。ですけれ
ども、やはりそれだけ
国民が
政府に
期待しておる。その
期待にはやはり
政府はこたえる必要があるのじゃないか。いろいろ
国民が言うから、
国民が
政府を頼り過ぎておる、もうおまえ
たちは、自分らは自分らでしっかりせいというような言葉も暗にあるようでございます。別にやめられた
大臣のことをとやかく言うわけではございませんが、新
大臣は人格者のようでございますし、そういう
国民のいろいろなニーズに対してはやはり謙虚に耳を傾けてそれらの問題に対応する、そういう行政をぜひひとつ果たしていただきたい。それが私は新
大臣に特に
期待しておるところでございますので、それらについては
大臣の方からお気持ちをお聞かせいただきたい、こう
思います。