○関山
委員 私は最初申し上げましたように、これはやはり段階的に進めるべきだ。今回全
道路適用になっているのですけれ
ども、やはり一挙に
一般道まで持ち込むことは時期尚早なんじゃないだろうか。ここはやはりドライバーの理解を深めながら順次進めていくのがいい
方法じゃないのか。これは、ただ単に面倒くさいことはなるべく先へ送れというつもりで言っておるのではないのでありまして、
一つは、四十六年のときに皆さんの方も
高速道だけに限ったということも、それなりの根拠がおありになったのだろうと思うのですね。
それから、実は国際
交通安全学会というところから、五十九年三月に「
シートベルト着用推進に関する
調査研究」の報告書というのがございまして、どういう経緯でつくられた資料かはあれですが、
交通安全対策室が
委託者になっているわけですね。
これなどを拝見しておりますと、ヨーロッパの例を見ますと、
法制化の手続を進めることが、
義務化を進めることが、
着用率を上げる場合と上げない場合といいますか、必ずしもストレートに結びついていない。全体的に言えばこれはやはり上げていることは間違いないのですから、それ自体はいいのです。しかし、やりようによっては、ここでは二つのことを挙げているのですが、その国の
法制化の手続の違いですね。それからもう
一つは
国民性、メンタリティーの違いというようなことを挙げて、せっかくの
法制化もやり方を間違うと当初の意図が思うように展開をしませんよという
指摘がありまして、なるほどなと思って読んでおりました。
ここでは、
法制化によって
着用率が余り上がっていないフランスでは、政府主導型といういわば頭からのやり方だった。スイスでは
国民投票によって決定し、あるいはイギリスでは
議会で長いこと
議論をしてやってきた。イギリスは今国際的には一番高い
着用率を上げておるようなんですけれ
ども、こういう例を引きながら「
着用の実態、
国民の意識を無視したものは大きな
効果が期待できない」というふうに書いておりますのはおおむね妥当な
指摘ではないか、こうも思いますし、また
国民性、メンタリティーの違いというのは、日本人をどう判断するかという問題もあります。この際、
交通局長の御判断があればお伺いもしておきたいのですが、いずれにせよ、イギリスの
交通省の
道路安全局長なんでしょうか、安全局のロビンスさんという人が、「とかく政策立案者は、性急になりがちである。しかし立案が実現するまで焦らずに、経験的、科学的証拠に基づく
普及を重ねつつ、
世論の意識・態度がその
方向を向くまでまつ。そして、ついに案が成立したら、その施行まで十分な準備期間をおいて、法が法としての
効果をもつようなキャンペーンを強化する。」これが今まで私
どものたどった経過だということがございまして、私も本当にそうだなという感じがいたします。
それから、各新聞の論調も拝見をいたしまして、おおむね今回の措置が妥当だとしながらも、
一般道路の問題については、これは読売の論説でありますが、「
一般道路での違反者に対する処分実施は、当面猶予されることになっているが、こちらはあまり急ぐべきでない。」とか、あるいは朝日新聞では、「現在、二割そこそこという低い
着用率をどう上げていくか、大都市の渋滞
道路などの走行の実態にあわせて、
除外例を設ける必要はないか」などの
指摘もこれあるわけですね。
したがいまして、
先ほどおおむね一年としていることについての局長のお
考えは私伺いましたから、五〇%ぐらいを目安にということであれば、それはそれなりに理解もできるのですけれ
ども、しかし、
先ほど安藤さんから
着用率の地域別の
数字がございましたが、確かに大阪とか東京だとかが極端に低いわけですね。そういう
数字などを押さえてみますと、これはやり方については、ひとつ極めて慎重にかからなければいかぬのではないかと思いまして、その辺のことについてお
考えをお聞かせをいただきたいと思うのです。