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1985-03-25 第102回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年三月二十五日(月曜日)     午後一時一分開議 出席委員   委員長 保岡 興治君    理事 亀井 静香君 理事 北口  博君    理事 桜井  新君 理事 中島  衛君    理事 井上  泉君 理事 新井 彬之君    理事 小沢 貞孝君       池田 行彦君    榎本 和平君       金子原二郎君    唐沢俊二郎君       國場 幸昌君    鈴木 宗男君       谷垣 禎一君    東家 嘉幸君       野中 広務君    村岡 兼造君       森田  一君    上野 建一君       清水  勇君    関  晴正君       前川  旦君    山中 末治君       坂井 弘一君    伏木 和雄君       藤原哲太郎君    岡崎万寿秀君       瀬崎 博義君  出席国務大臣         建 設 大 臣 木部 佳昭君  出席政府委員         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房総         務審議官    松原 青美君         建設省建設経済         局長      高橋  進君         建設省都市局長 梶原  拓君         建設省住宅局長 吉沢 奎介君  委員外出席者         国土庁土地局土         地政策課長   斉藤  衛君         国土庁土地局地         価調査課長   鎌田精一郎君         大蔵省主税局税         制第一課長   濱本 英輔君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 川嶋  烈君         国税庁直税部資         産税課長    庄島  修君         農林水産省構造         改善局計画部地         域計画課長   湊  清和君         建設省道路局次         長       牧野  徹君         自治省税務局固         定資産税課長  鶴岡 啓一君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     北村 照喜君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  救仁郷 斉君         建設委員会調査         室長      井之上俊一君     ――――――――――――― 委員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   清水  勇君     堀  昌雄君   関  晴正君     佐藤 観樹君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 観樹君     関  晴正君   堀  昌雄君     清水  勇君 同月八日  辞任         補欠選任   清水  勇君     大出  俊君   関  晴正君     川俣健二郎君   山中 末治君     藤田 高敏君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     清水  勇君   川俣健二郎君     関  晴正君   藤田 高敏君     山中 末治君 同月十二日  辞任         補欠選任   山中 末治君     嶋崎  譲君 同日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     山中 末治君 同月二十五日  辞任         補欠選任   浜田 幸一君     鈴木 宗男君   東   力君     谷垣 禎一君   伊藤 英成君     藤原哲太郎君   中島 武敏君     岡崎万寿秀君 同日  辞任         補欠選任   鈴木 宗男君     浜田 幸一君   谷垣 禎一君     東   力君   藤原哲太郎君     伊藤 英成君   岡崎万寿秀君     中島 武敏君     ――――――――――――― 三月十九日  住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進  法の一部を改正する法律案内閣提出第三七号  ) 同月十三日  国民生活関連公共事業に関する請願井上普方  君紹介)(第二一六二号)  同(伊藤茂紹介)(第二一六三号)  同(石橋政嗣君紹介)(第二一六四号)  同(上田哲紹介)(第二一六五号)  同(浦井洋紹介)(第二一六六号)  同(小沢和秋紹介)(第二一六七号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二一六八号)  同(上西和郎紹介)(第二一六九号)  同(木内良明紹介)(第二一七〇号)  同(後藤茂紹介)(第二一七一号)  同(佐藤敬治紹介)(第二一七二号)  同(瀬崎博義紹介)(第二一七三号)  同(武田一夫紹介)(第二一七四号)  同(中川利三郎紹介)(第二一七五号)  同(中村茂紹介)(第二一七六号)  同(中村正男紹介)(第二一七七号)  同(野間友一紹介)(第二一七八号)  同(林百郎君紹介)(第二一七九号)  同(藤田スミ紹介)(第二一八〇号)  同(藤田高敏紹介)(第二一八一号)  同(二見伸明紹介)(第二一八二号)  同(古川雅司紹介)(第二一八三号)  同(正森成二君紹介)(第二一八四号)  同(三浦久紹介)(第二一八五号)  同(宮地正介紹介)(第二一八六号)  同(山下八洲夫君紹介)(第二一八七号)  同(吉原米治紹介)(第二一八八号)  同(渡部行雄紹介)(第二一八九号)  国民生活関連公共事業拡大に関する請願(近江  巳記夫君紹介)(第二一九〇号)  同(経塚幸夫紹介)(第二一九一号)  同(田中美智子紹介)(第二一九二号)  同(辻第一君紹介)(第二一九三号)  同(東中光雄紹介)(第二一九四号)  同(藤木洋子紹介)(第二一九五号)  同(堀昌雄紹介)(第二一九六号)  同(和田貞夫紹介)(第二一九七号)  国民生活関連公共事業促進に関する請願(小林  恒人君紹介)(第二一九八号)  公営住宅建設促進等に関する請願浜西鉄雄  君紹介)(第二一九九号) 同月十九日  国民生活関連公共事業に関する請願木間章君  紹介)(第二二八八号)  同(田邊誠紹介)(第二二八九号)  同(馬場昇紹介)(第二二九〇号)  同(阿部昭吾紹介)(第二三六三号)  同(江田五月紹介)(第二三六四号)  同(遠藤和良紹介)(第二三六五号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二三六六号)  同(玉城栄一紹介)(第二三六七号)  同(福岡康夫紹介)(第二三六八号)  同(佐藤徳雄紹介)(第二四〇九号)  同(橋本文彦紹介)(第二四一〇号)  同(森中守義紹介)(第二四一一号)  同(渡辺三郎紹介)(第二四一二号)  国民生活関連公共事業拡大に関する請願(工藤  晃君紹介)(第二二九一号)  同(柴田睦夫紹介)(第二二九二号)  同(山花貞夫紹介)(第二二九三号)  同(網岡雄紹介)(第二三六九号)  同(菅直人紹介)(第二三七〇号)  同(沢田広紹介)(第二三七一号)  同(山本政弘紹介)(第二四一三号)  国民生活関連公共事業促進に関する請願(竹村  泰子君紹介)(第二三七二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十二日  山村振興施策拡充推進に関する陳情書外一件  (第八五号)  山村振興法期限延長に関する陳情書外五件  (第二五二  号) は農林水産委員会に送付替えされた。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  参考人出頭要求に関する件  農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措  置法の一部を改正する法律案内閣提出第三四  号)  特定市街化区域農地固定資産税課税適正  化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第三五号)  道路整備緊急措置法及び道路整備特別会計法の  一部を改正する法律案内閣提出第三六号)      ――――◇―――――
  2. 保岡興治

    保岡委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  大蔵委員会において審査中の内閣提出、国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案について、同委員会に対し、連合審査会開会申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 保岡興治

    保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会を開きます場合の開会日時等につきましては、大蔵委員長協議の上、追って公報をもってお知らせすることといたします。      ————◇—————
  4. 保岡興治

    保岡委員長 内閣提出農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案及び特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として、日本道路公団理事北村照喜君及び住宅都市整備公団理事救仁郷斉君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 保岡興治

    保岡委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。     —————————————
  6. 保岡興治

    保岡委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山中末治君。
  7. 山中末治

    山中(末)委員 私は、ただいま議題となりました農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、若干御質問を申し上げたいと存じます。  まず最初に、いわゆるこの農住法昭和四十六年四月一日から六十年三月三十一日まで十五年間、法としてその効力を発揮してきたわけでありますが、今回さらに三年延長の案が提出されています。その可否は内容は別として、一般的に臨時措置法という法の中の臨時というものの時期的な解釈、これは今のような状況の中でも臨時措置法として大手を振って通れるような範囲のものなのかどうか、まずこの疑問点お尋ね申し上げたいと思います。
  8. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げます。  こんな長い臨時があるかという御趣旨ではないかと思うわけでございますが、臨時措置法という言葉は、一般的に法律に定められている措置臨時措置である、言いかえるならば恒久的な措置でないという場合に法律の名称として使われるわけでございます。そういった意味で、この農住法につきましては、先生御指摘ございますように四十六年に五年間の時限法として制定されまして、その後五十一年、五十四年、五十七年にそれぞれ三年間ずつ期限延長が行われたわけでございます。  農住法目的というのが、住宅不足の著しい都市地域におきまして農地所有者の手によって良質な賃貸住宅供給を図るということが一つ。また一つには、水田宅地化に資するということにされております。したがいまして、この法律目的を達成するためには、住宅需要動向を見計らうと同時に、市街化区域内の農地、特に水田賦存状況宅地化状況というものを勘案しながら事業推進を図る必要がございます。  こういう意味で、恒久法でなく時限法でやるのがいいということで立法され、その後もこういった趣旨延長がなされてきたわけでございまして、そういう恒久法でないというところから臨時措置法ということになっている、わけでございます。
  9. 山中末治

    山中(末)委員 それでは大手を振って通れる範囲だというふうに理解をいたしまして、質問を続けたいと思います。  今度の法案につきましては都市計画法と非常に大きなかかわりがあるわけでございまして、都市計画法施行後十七年を経過いたしました。そのとき私も非常に大きな経験を持っておるわけでございますが、いわゆる市街化区域あるいは市街化調整区域という線引きが当時行われまして、当該地域においては非常に大きな問題となったことを覚えております。その中で一定の時期が経過すれば見直していくのだという方針が出されましてようやくおさまったというように私は考えております。そういう中で、市街化区域内の農地宅地化賃貸住宅建設促進するための本法案が出されてきた。  そこで、まずお尋ね申し上げたいのは、線引きについての効果建設省当局としてはどういう御判断をされているのか。非常に効果があったとおっしゃるのかどうなのか。線引き所期目的を果たしているとお考えになるのかどうか。一部では線引き所期目的を果たさずに地価の高騰を招いたのではないかという声もあるのでございますが、そのあたりの御見解をお聞かせいただきたいと思います。  もう一つは、昭和五十七年三月二十三日の建設委員会で我が党の中村茂委員質問に答えて、当時の都市局長さんから「調整区域内における保全あるいはしかるべき開発は許されてもよろしかろうと思いますので、そういったもののあり方につきまして、現在建設大臣から都市計画中央審議会にもお願いをいたしまして、どういうふうにあるべきかということの検討をしている段階でございます。」という御答弁がありました。あわせて、この御答弁のその後につきましても説明お願い申し上げたい、このように思うわけであります。
  10. 木部佳昭

    木部国務大臣 いわゆる線引きの問題につきましては、今山中先生御承知のとおり十数年を経て五年ごとに見直しということで今日に及んでおるわけでございますが、急速な人口都市への集中化とか産業集中化とかというふうなものに対して無秩序な開発はしないという意味市街化防止に大きく貢献をしているのじゃないかな、私はそういう感じを持っておるわけでございます。  後段につきましては局長から答弁いたさせます。
  11. 梶原拓

    梶原政府委員 お尋ねのような都市局長答弁があったわけでございますが、その後、線引きの問題につきまして都市計画中央審議会で御議論をいただいたわけでございます。その際、線引き制度につきましては「都市への人口産業集中に対応して無秩序な市街化防止に少なからず寄与してきた」というふうに、この審議会の五十八年五月十日の中間答申においても評価されておるところでございます。  しかしながら、施行後いろいろな問題がございまして、新市街地のうち面整備が行われた地域の占める面積が非常に少ないとか等々問題が指摘されまして、線引き制度運用方針改善をしたわけでございます。  その後、各都道府県見直しが進みまして、六十年の一月三十一日現在でございますが、見直しを完了し告示した都市計画区域を含む都道府県が二十二、それから見直し事前協議を下した都市計画区域を含む都道府県、これが二、既に法手続を開始した都道府県が四、作業中の都道府県が十五ということでございまして、第一回目の見直しが最近行われましたためにこの二回目の見直しを当面行わない都道府県が四つございますが、それを除きまして六十年度中に見直しは完了するという予定でございます。
  12. 山中末治

    山中(末)委員 この機会農水省当局の方の御意見もお聞きしておきたいと思いますが、この線引きの結果市街化区域調整区域の関係で、建設省もそうですけれども農水省の方も非常にデリケートな立場に立たされておられるということが多いのではないかと推察するわけですが、この線引き見直しについて、農水省とされては今日までどのようにお取り組みいただいてまいったのか、これから見直しについてどう進めようとしておられるのか等、いわゆる国民食糧を、安全な食糧を継続的安定供給するという任務を持っていられる側の立場として見解をこの機会にお聞かせいただきたいと思います。
  13. 湊清和

    湊説明員 お答え申し上げます。  お尋ね線引き見直し当たりましては、農林水産省といたしましては、建設省からの協議がございました際には基本的には次のような考え方で対応してきておりますし、今後もそうやっていきたいと考えているところでございます。  先生御指摘のように、我が国は非常に限られた国土でございまして、食糧自給力維持強化を図っていくことが必要でございますので、そういったために団地性のある農地でありますとかあるいは土地改良投資のあった土地、そういった重要な優良な農地はできるだけ食糧生産のために保全確保する、こういうことを基本的な姿勢としております。  しかしながら一方、近年国民住宅宅地などに対する根強い要望も踏まえまして、人口あるいは都市交通等都市発展動向等を考慮いたしました宅地化の確実な区域市街化区域への編入についての要請につきましては、土地水利用のスプロールの防止のため必要な調整を行うというようなことを前提としつつ、現実的に対応してきてい分ところであります。  以上であります。
  14. 山中末治

    山中(末)委員 非常にやりにくい問題があろうかと思いますけれども、今おっしゃったようなことで、ひとつ今後も努力を続けていただきたい、このように考えております。  そこで、実はもう一つ線引きの問題にかかわるわけでありますが、宅地並み課税について、これも新しい現行の都市計画法施行されてから当該地域の中では非常に大きな問題となったものでありまして、まあ過程的にはA農地B農地等から宅地並み課税徴収はしたけれども、何らかの形でまたそれを返していかざるを得ないというような地方自治体も相当出てきたような経過もございます。  それで数年前に、十年間営農を続けていくということについての意思表示があり、それが了解されれば、その最初の五年間営農を続けてきた場合は税は農地並み課税固定資産税ですか、これを徴収をしていくということでどうやら落ちついてきたような感じがいたしますけれども、全くこれでおさまるとお考えなのか、その辺をお聞かせいただきたいのと、もう一つは、現在市街化区域内の農地面積はまだ幾らくらい残っているのか、あわせて御質問を申し上げたいと思います。
  15. 鶴岡啓一

    鶴岡説明員 お答え申し上げます。  市街化区域農地課税適正化措置、まあ俗に宅地並み課税と申しておりますが、これにつきましては、先生お話がありましたいろいろな経緯がありましたが、五十七年に土地税制を全般的に見直す中でこの課税適正化措置についても改正が行われたわけでございます。  私どもとしてこの制度をどう見ているかということでございますが、これにつきましては、一方では市街化区域内の農地については、特に三大都市圏市街化区域内の農地については宅地化必要性も非常に高い、宅地需要も多いので、やはり宅地化すべき点はできるだけした方がいいのではないかという御議論一つあると思います。それからもう一方には、やはり三大都市圏の中の特定の市の市街化区域農地といえども、やっぱりそこで現に農業を続けようというそういう人たち意思への配慮もすべきだろう、そういうことがございまして、五十七年の改正では、一つは従来課税適正化措置対象になっておりませんでしたいわゆる旧C農地につきまして、評価額が三万以上のものは適正化措置対象にする。これで約六割の農地が新たに適正化措置対象になったわけでございます。  一方、新たに長期営農継続農地という制度をつくりまして、一定規模以上の農地を持っていて引き続き農業を継続する、それが適当だと認められるものについては、いわば農地並み税負担で実質上とめる措置をつくってきております。これで見てまいりますと六割程度のものがそういうことで対象になりまして、そのうち長期営農継続農地認定を受けております土地は、三大都市圏で五十八年度ですが、今特定市街化区域農地が約四万一千ヘクタールございます。そのうちの三万五千ヘクタールは長期営農継続農地認定を受けておりまして、八割強でございます。  これは数字として高いと見るのか低いと見るのかということはあると思いますが、そういう制度一つそういうふうに円滑に動いていることと、他方、新たに課税適正化措置対象となりました農地を見ましても、五十七年と五十八年を対比しますと約千ヘクタールというものは宅地に転用、少なくとも市街化区域農地から他の地目に変わってきておりまして、それなりの宅地化促進効果も出ているのではないか、そういうことで、私どもとすれば当分の間は現在の制度適正運用に努めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  16. 山中末治

    山中(末)委員 ありがとうございました。当分の間これでいきたいということでありますが、また状況がどういうふうに変わってくるかわかりませんので、柔軟に対応していただくということでお願いを申し上げていきたいと思います。  さてそこで今度の一部改正法案内容に入らしていただくわけでございますが、法の目的のところに「居住環境が良好で家賃適正賃貸住宅供給促進する」ということがうたわれているわけであります。私は非常に判断が難しいのじゃないかと思いますが、賃貸料適正に保たれているのかどうか、適正賃貸料基準とは一体どんなものなのか、一般住宅と比べてどうなのか、こういうことについてひとつお教えをいただきたい、このように思うわけでございます。  なお、この法が示す十年間の利子補給は、結果的に住宅を建設する場合利子補給総額は一戸当たり幾らくらいになっているのか、これも参考のためにお聞かせをいただきたいと思います。
  17. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げます。  利子補給によりまして家賃がどのくらい差があるかということでございます。家賃限度額について申し上げますと、これも一定の仮定のもとに試算いたしませんといろいろなケースがございまして一概に申し上げられませんが、利子補給をしない場合には月額が約九万四千五百円くらいだというふうに試算されますものが、利子補給した場合には約八万一千六百円に引き下げられて、大体一四%くらい安くなるのではないかというふうに考えております。また農住賃貸住宅が実際に徴収しております家賃というのは、周辺の家賃水準に影響される場合がいろいろ多く見受けられまして、昭和五十八年度に新たに建設された農住賃貸住宅家賃の平均衡は約五万三千円でございます。これは先ほど申し上げました家賃限度額九万四千五百円というものの大体六〇%程度にとどまっているわけでございます。  それから、一般賃貸住宅家賃とどうかという御質問でございますが、農住賃貸住宅規模とか構造とかあるいは設備の面でそれぞれ基準が決まっておりますので、一般賃貸住宅に比べて相当程度レベルが高い住宅になっているだろうと思います。したがいまして、同一条件での比較というのがなかなか困難な面がございますが、ちなみに総務庁が小売物価統計調査年報ということで昭和五十八年十二月末の民間借家の一平方メートル当たり家賃を出しております。これと昭和五十八年度に新たに建設されました農住賃貸住宅の一平方メートル当たり家賃と比べてみますと、一般民間借家の方は全国平均で一平方メートル当たり千二十七円という結果が出ておりますが、農住の方は九百五円ということでございまして、農住の方が設備その他がいいにもかかわらず一二%程度安くなっているという結果がございます。  それからいま一つの御質問で、一戸当たり補給金の合計はどのくらいになるのかということでございます。利子補給金につきましては、これも建設する規模とか融資の額によりまして違ってまいりますので一概に申し上げられませんが、仮に中層耐火建築でつくった場合の標準的なもので計算してみますと、建設費は八百七万九千円ということになります。この八百七万九千円の住宅を建てるという場合、この全額について融資を受けた場合に十年間の利子補給金総額がどうなるかということでございますが、利子補給率が従来三%でございましたが、この三%の場合は二百十三万二千円でございます。それから、今回六十年度から利子補給率を二・五%に引き下げるということを予定いたしておりますが、それで計算いたしますと百七十七万七千円ということになりまして、今回の引き下げによりまして一戸当たり三十五万五千円ほど国の負担が軽減されることになるわけでございます。また、融資利率を八・五%から八%に今度引き下げるということを予定しておりますが、引き下げますと、これは二十五年間お貸しするということで十一年目以降十五年間における事業者が返すお金の総額は、八・五%の場合は千百二十八万三千円、年八%に下げました場合には千九十四万九千円となりまして、一戸当たり三十三万四千円ほど事業者負担が軽減されるということに相なります。
  18. 山中末治

    山中(末)委員 わかりました。  今少し局長さんおっしゃいましたけれども、五十七年の三月末に第一回目といいますか、制度が始まって初めて利子補給期間が終わった住宅がございますね。これは、先ほどのような額で利子補給をされておったのがなされなくなった。その後事業主はうまく続けて、あと十五年残っておりますから、十五年間ペイできるのかどうかという問題とあわせて、ペイするために賃貸料が上がってきていはしないか、あるいはその間にトラブルが事業主と借り主との間で起こっておらないかどうか、賃貸料が上がってもなおかつ適正家賃と言えるのかどうか、その範囲内におさまっているのかどうか、これが一つの心配でございますので、御質問を申し上げておきたいと存じます。
  19. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げます。  利子補給が終了した場合ペイするかどうかということでございますが、ちょっと今数字を調べておりますので、その前に、利子補給が終了した住宅について、賃貸料の変更などがあってトラブルが生じないかというような御質問でございますが、利子補給が終了する際家賃改定が行われて入居者とのトラブルが起こるということは、一般的には予想されるわけでございます。  ただ、私どもこの終了時点に限って調査したものはございませんけれども、既に利子補給が終了した事業者九百八十八人につきまして、利子補給終了後の期間を含めた全期間についてトラブルの発生状況昭和五十九年八月に調査を実施しております。それで、その調査の結果を申し上げますと、大部分は何の問題もないということでございますが、入居者との間で調整ができなくて値上げを見送らざるを得なかったとか、そういったトラブルが生じたのが全体で三・九%ほど見受けられております。このトラブルの発生状況は、一般民間借家と比較いたしますと、民間借家については私ども別途調査をしたものがございますが、それに比べるとかなり少ないトラブルであるというふうに考えております。  また利子補給期間が終わった後におきましても、利子補給期間中の家賃改定と大体同じ程度の改定幅で家賃改定が実施されているという結果も得ております。利子補給期間中に家賃が大体どのくらい上がるかというのは、大体一年間に二・六%ぐらいずつ上がっているというのが実情でございますが、では利子補給期間終了後どのくらい上がっているかというのを別途調べますと、これが二・四%ぐらいだということで、結局利子補給の前後を通じて年間の家賃の改定は大体同じぐらい上がっているということでございます。  それから、恐縮でございますが、利子補給期間が過ぎた後の経営実態はどうかということで、これも調査をしてみたわけでございますが、利子補給が終了した百三十二件、二千八百六十戸というものの収支状況を見てみますと、十一年目に総収入の二二・四%、十二年目には二三%の収益を上げているということでございます。利子補給期間の収益率が大体二三・一%ぐらいでございまして、これも利子補給期間の前後を通じて大体同じぐらいの利益をおさめているという状況でございます。
  20. 山中末治

    山中(末)委員 わかりました。  事業者の収益率が割合高いですね。これは、利子補給をしているから収益率が高かった。利子補給がなくなっても、今おっしゃったような二・四%ぐらいの年間の家賃改定でトラブルも三%ぐらいしか起こっておらずにスムーズにいっているということになると、この利子補給制度というのは良質な賃貸住宅を建てるための事業者に対する利子補給ではあるけれども、そこへ入居する人の賃貸料にも微妙な影響を与えているというふうに理解もできるなというふうに今の説明で受けたのですが……。  その次に、利子補給の率ですね。年三・五%以内で建設大臣が定める率となっていますが、今おっしゃったように、金融機関の融資の利率が〇・五%下げられるという見通しで八%になっていく、そして補給率も三%が二・五%に下げられる、今回以降はこういうことのように聞いておるわけですが、これは年々変わるものですか、それとも、この法案の指定している三カ年間はそれを踏襲していかれるのかが一つ。  もう一つは、八%で融資をしていくという金融機関が、もう話が済んでいるのかどうか、この点お聞かせいただきたい、このように思います。
  21. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げます。  最近、先生も御存じのように、市場金利というのが引き下げの傾向にあったわけでございます。長期プライムレートを見てまいりますと、昭和五十八年一月が八・四%、五十八年十月が八・二%、五十九年三月が七・九%、五十九年十月は七・六%、六十年一月が七・四%と、このところずっと下降気配にあったわけでございます。また最近、わずかではございますが上がるのではないかということも予測されておりますけれども、この二年間ぐらい見てまいりましたときに、そういうふうに引き下げの傾向がございまして、こういうことで、利子補給対象となる融資の利率につきましても、昭和五十九年度に九%から八・五%に引き下げ、今回、市場金利の実勢にかんがみましてまた引き続き〇・五%引き下げるということにいたしたわけでございます。  それで、このことにつきましては、主たる融資機関でございます農協などとは話が済んでおりまして、御理解をいただいているものというふうに考えているわけでございます。  今後どうなるのかということについて、今の段階でちょっと申し上げかねますが、今後多少上がることがありましても、今のこの金融の状況から見て、この八%にしたのをまた八・五に上げるとかということは、今のところちょっと考えていない状態でございます。
  22. 山中末治

    山中(末)委員 それでは、今の御答弁趣旨の基本は、事業者が借り入れる年間の利率、これは五・五%というものは動かない、その上に立っていわゆる融資の利率、補給利率が決まってくる、こういう考えでよろしゅうございますか。
  23. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 おっしゃるとおりでございまして、事業主の負担金利の五・五%というのは住宅政策上の最優遇金利であるというふうに考えておりますので、これをさらに下げるというようなことは考えておりません。ただ、この融資利率を引き下げることによりまして、補給期間が終了した後の金利というものが八・五から八に下がるということになりますので、事業者にとっては極めて有利なことになろうというふうに考えております。
  24. 山中末治

    山中(末)委員 わかりました。  その場合、融資を受ける場合に往々にあることですが、融資のための手数料、償還のための手数料というのがあります。これは農業協同組合では取っておられるかどうか。それから、市中銀行等は必ずこの融資手数料、償還手数料がついてくる、この場合、そういうものはらち外に置かれているのか、そういうものはないのか、あるとすればそういうものも含まれているのか、御質問申し上げます。
  25. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 農協はいわゆる融資手数料あるいは債権確保のための手数料、こういったものについては徴収していないというふうに伺っております。また、市中銀行もこれはすべて金利の中に含まれているというふうに理解いたしております。
  26. 山中末治

    山中(末)委員 農協関係の系統資金の場合は含まれておらないということで、それで結構だと思いますが、市中銀行、都市銀行、地方銀行の場合、この場合は必ず取られます。そういうことがあるので、今ここでどうだということは申し上げませんけれども、ひとつお調べいただいて、そういうものがあれば、そういうものも事業費の中に含んでいるというふうな格好で処置していただく方がいいのじゃなかろうか、これは要望として申し入れておきたいと思います。  その次は、この融資対象の一団地の規模等の問題についてでございますね。これは、土地面積については一ヘクタール以上または住宅の戸数は五十戸以上であって、そのうち、面積の二分の一以上または〇・五ヘクタール以上の水田宅地化したものを融資対象とすると、ほかにも条件がありますけれども、一応面積、戸数だけを考えていくとそういうふうに理解できるわけですが、この場合、面積で二分の一以上または〇・五ヘクタール以上で、建設住宅戸数のうち二分の一以上または二十五戸以上が賃貸住宅であれば利子補給対象になる、こういうふうに理解しますと、この法の目的は、適正な価格の良好なる賃貸住宅を建てることが目的なんだということになっていますから、これは〇・五ヘクタール以上の土地または賃貸住宅二十五戸以上を建設するということであれば、必ずしも一ヘクタール以上、五十戸以上ということを規定しなくとも、そのものずばりでも対象事業に認められていくのではないかなという素朴な疑問を持ちましたので、この点について、それでいいのかどうか、まずお尋ね申し上げたいと思います。  それから、もう一つあわせて。なぜそういうことを聞くかと申しますと、実は、農業団体等が発行している最近の資料を読んでみますと、いわゆる今申し上げた水田要件がございますね。土地の二分の一以上または〇・五ヘクタール以上が水田であるということが今までの法律の中でうたわれておりましたが、これを、この水田要件を満たさないものに対しても適用していくというふうに変わっていくのだという資料が出ておるのです。  これと、先ほどのこととあわせてお尋ねを申し上げたいと思います。
  27. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 農住法が、先生今御指摘のような一ヘクタール以上あるいは住宅戸数五十戸以上、この半分が賃貸住宅であることという要件を設けておるわけでございますが、この要件と申しますのは、要するに農住法でねらっておりますのは、確かにこういう都市地域において賃貸住宅農地を転換することによってふやしていこうということにねらいがあることには間違いございませんが、これと同時に、良好な住宅団地というものを形成していきたいということでございます。市街化区域農地はまだ広く残っておりまして、そこのところを宅地化して住宅を建てていく場合に、やはり相当規模の団地を良好な形でつくっていきたいという希望があわせてあるわけでございまして、こういう良好な団地形成を図るという意味から申しますと、賃貸住宅要件だけではなくて、賃貸住宅とあわせて分譲住宅的なものもできるということが必要ではないかというふうに考えておりまして、団地全体としてまとまりを持った規模開発を確保して、周辺と調和のとれた計画的な団地形成を図ろうという趣旨に出ていることでございます。  団地の規模要件につきまして先生から御指摘がございました点につきましては、昭和四十七年に二ヘクタール、二百五十戸以上という要件がございましたのを、現行の一ヘクタール、五十戸というふうに緩和しているわけでございまして、こういう申し上げましたような団地形成の観点からいくと、今の段階でこれをさらに緩和していくということはちょっと考えていないという状態でございます。
  28. 山中末治

    山中(末)委員 私自身も、水田要件を緩和した方がいいのじゃないかというふうに実は思っているのです。過去のこの法律によるところの年度別の建設戸数が計画戸数を下回っている理由の一つに、そういうものがあるのじゃないかというふうに実は思っております。  この農業団体から出ている資料といいますのは、全国農業協同組合中央会の資料なんです。それで水田要件を満たさないものに対しても適用するというふうに言い切っていますので、ちょっと疑問を感じたのですが、これは表現が間違いか、向こうさんの要望なのかと思いますけれども、私も大体この趣旨に賛同するものなんです。過去の建設戸数等を考えてみると、余り水田要件にこだわり過ぎてきたのではないか、もう少し適切な方法で、水田ではなくても緩和をした方がこの法律趣旨に沿うのではないかというふうに思いますので……(「そうだ、そうだ、賛成」と呼ぶ者あり)ちょっと横の方からも賛成という御意見がありますが、見通しについてひとつお尋ね申し上げたいと思います。
  29. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げます。  水田要件の緩和の問題につきましては、先生御存じのように、これまでも緩和をいろいろと図ってまいりました。一団地の面積の二分の一以上または一ヘクタール以上とあったものを、一団地の面積の二分の一以上または〇・五ヘクタール以上という緩和も五十六年四月に行ったわけでございます。  それから、今の農協の方の要望の中のことはちょっと私わかりかねますが、あるいはあめ法の話ではないかとも思うのですが、あめ法等ほかの法律によりますと水田要件を撤廃しているというふうなところもあるわけでございまして、最近、現状の要件のもとにおきましても相当要望もたくさん出てきておる状況でございますので、当面、現行制度で対処してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  30. 山中末治

    山中(末)委員 大体私の疑問を御質問の中で申し上げたわけでございますが、局長さんの方から丁寧な答弁を受けましたけれども、先ほど申し上げた一ヘクタール以上にこだわらずに〇・五ヘクタールまたは賃貸住宅二十五戸以上ということで将来ぜひともこれを進めていただくように要望をいたしたいのと、水田要件にこだわり過ぎているような感がありますので、まあ水田をできるだけ早く市街化していく、宅地化していくということはよくわかりますけれども水田以外の土地も含めて、条件のよい賃貸住宅を少しでも早く建設をしていくということの方にお考えをいただくように、これは要望にとどめておきます。ひとつ御検討を賜りたいと思います。  後になりましたが、最後に、この事業住宅は低層、中層、高層、こういう住宅対象になるというふうに理解をしておりまして、その住宅規模構造設備等が建設省令で定める基準に適合するものに限る、こういうふうに書かれております。この場合、非木造の場合ですが、中高層住宅の省令等で定める基準に適合しているものでも、その中高層住宅の上の方の住宅で火災が発生した場合、これは消火活動が必要でございます。  その場合に、例えば五階の部屋で火災が発生して消火活動をするために水をかけますと、その横の部屋は水浸しになりませんけれども、下と向かい側の四階から下、例えば一列で十戸建てでしたら、一戸の家が燃えたために八戸が水浸しになってしまう。被害が非常に大きい。これは私は今日までたびたびそういう目に遭っておるわけです。まあ消す側でございましたけれども。  これは住宅設備等の中で、建築基準法には、消防消火関係の水防ということはあるのですけれども、主として類焼をしていかないための規定、距離をこれだけあけろとかいうことはあるのですけれども、中層住宅の上で火災が起こった場合に下までずぶぬれになって、家財道具から服から何から何までどうにもこうにもならぬ状態の被害まで及んでいないというふうに私は建築基準法の中では読んだのですが、そうすると、火災が出たのが災難やから下も皆その被害を平等にこうむってもいいじゃないかというふうな感じに、結果的ですが、ちょっと詭弁もありますけれども、そういう感じになってくるのではないか。あるいはまた、五階あるいはそれ以上の高いところで火災が起きても水をかけて消してもらっちゃ困る、もうそこの家が燃えてしまうまで待ってくれやというふうな極端なこともささやかれているのじゃないかというふうな感じが実はします。  これは消防技術の問題も一つあります。ざっと大量の水を流さずに、私どもの方では噴霧器のようなものを考案しまして霧状にしてそれを消していくということもやったのですけれども、やはり大量の水で火災を冷却をしていくということが非常に大きな効果があるのです。ですから、ぼやとかそういうときには噴霧状のものでもいけますけれども、一戸の家、一部屋がぼんぼん燃えているというときには噴霧状態のノズルを活用してもなかなか消えていかない、やっぱり大量の水だということになります。そうすると、今質問申し上げているように、一戸の家で火災が発生したために、その下の家が全部水浸しでどうにもこうにもならない。  中高層建築がどんどん建てられていく状況の中でございます。そして、これは賃貸住宅ももちろんそうですが、自分の財産をはたいて、公庫の融資を受けて自前の家を持ちたいという方も相当多い。そういう時代になってきているのにかかわらず、そういう消防の面で建築基準法あるいは省令等の扱いが、ただ建築費が高いからそれはそういうふうに決められないんだということのないように、何らかの形で、筑波の研究学園都市の中で建設省の方も非常に立派な研究もされておりますので、そういう中で、中高層住宅が火災を起こしてもほかの住宅にそれと匹敵するような被害を与えない、水損を与えないような方法をお考え願わなければならないような時期に来ているのではないか、このように思いますので、本法案の審議の中でひとつ触れておきたい、こういうように思いますが、建設省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  31. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 大変難しい御質問でございまして、一つには、先生もおっしゃったように消防技術の問題も大きく絡んでくるのではないかなとは思うわけでございます。おっしゃるような高い階で火事が起きた場合に、その消防活動によって上にたまった水が下に浸透する、あるいは水をかけるときに下の階の開口部、窓を破ったり、あるいはほかのところから室内に水が入るというようなことで、火を出しているところ以外のところに水による大きな損害、水損被害と俗に呼んでいるようでございます、これを生ずるということが多くございまして、これを防止する対策をどうすればいいかということでございます。  考えられる方法としましては、開口部というか恵みたいなところの防水性を高めるというか、水をかけてもなかなか割れないようにするとか、水が入らないようにするというのが一つ。それから室内の床、壁の防水性を高めるということが一つ。もう一つは、室内にたまった水を排水するための設備を設けるということなどが考えられるわけでございます。おっしゃるように、これらの技術というものを今後考えていかなくちゃならない段階ではないかという御指摘はそのとおりであろうと思います。また、特に今の室内にたまった水を排水する方法などというものについては、確かに今後研究する必要があろうかと思うわけでございます。  ただ、今の段階でこれを基準法というような面で規制して、こういうものでなければ認めないという形をとりますと、これは先生もおっしゃったように逆にこれから建てる建物が非常に高いものについてしまうということもございまして、すべてのマンション等にこれを義務づけていくということは現実の問題として難しかろうと思っているわけでございます。御指摘の点については今後十分研究させていただきたいと思うわけでございます。  ちなみに、火災保険に入っておりますと水損被害も保険の対象になるわけでございますので、これは御質問趣旨とはちょっと違いますけれども、カバーする道もないわけではないということを申し上げておきたいと思います。
  32. 山中末治

    山中(末)委員 局長、良心的に苦悩されているというような気持ちはよく伝わってくるのですけれども、それはよくわかりますが、なるべく土地の有効利用から考えていきますと、中高層住宅というのも場所によってはやはり建てていかなければならない。そのときに、建築基準法で「建築設備 建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙、若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針」、こういうものまでちゃんと掲げておられて、そして今のような状況が起こってきている。昔は、私はこれでよかったと思うんですよ、二階程度のものなら。しかし中高層になってきましたから、構造的に非常に難しいというのなら、例えばそういう場合は壁もしくは階段等を伝って主とした水が流れていく構造とか何かの方法でこれは対応していくべきだ、こう考えます。  それで大臣、一番後になりまして申しわけございませんが、今申し上げているような問題が現にございますので、こういう中高層住宅で火災が発生した場合、建築基準法で規定をするということでなくとも実質的に下の方の住宅が水損をこうむらないように努力をお願い申し上げたいと思いますが、大臣としての御意向もあわせてお聞きいたしたいと思います。
  33. 木部佳昭

    木部国務大臣 山中先生の非常に貴重な御指摘でございまして、また同時に大変難しい問題もございますが、建設省の方でも真剣に検討してまいりたい、こういうふうに考えます。
  34. 山中末治

    山中(末)委員 もう少し、例えば筑波研究学園都市の中で建設省の研究所がございますね、私もあれを一日がかりで見せていただきまして、なかなか難かしいことで内容までわかりませんけれども非常にいい研究をたくさんしておられるような印象を受けたのですが、ああいうところでこの一年なら一年かかって十分に研究をして、そして研究し次第そういうものをこれから建っていく新しい住宅については適用していきたいというふうにお答えをいただきたいと思いますが、局長、重ねてどうでございますか。
  35. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 ただいまの件につきましては、実は私どもそういう問題があることは承知しておりましたけれども、それを今後建物の中でどういうふうにやっていくか、おっしゃったような階段を伝って水がおりるとか、いろいろな方法があろうかと思います。そういうことを具体的に研究するということについての意識が今までなかったわけでございますが、御指摘いただきましたので、これは建築研究所がいいのかどこがいいのか研究主体は別といたしまして、今後十分に研究させていただきたいと思います。
  36. 山中末治

    山中(末)委員 どうもありがとうございました。私が予定しました質問を申し上げ答弁いただきましたので、これで終わらせていただきます。
  37. 保岡興治

    保岡委員長 上野建一君。
  38. 上野建一

    ○上野委員 大臣が多忙で、よそに行かなければならぬというお話があるようですから、最初建設大臣集中的に質問をしたいと思います。  まず第一に、民間活力で内需拡大ということで昨年の十月三十日に経済政策研究会、中曽根総理の私的な諮問機関のようでありますけれども、ここで報告書が出されています。これは御承知のとおりだろうと思いますが、この中で大変気になりますのは、民間活力で内需を拡大すると言っておるのですけれども、実際は建設国債も出した方がいいということも勧めているのですね。そして、その内容は、東京湾湾岸道路、横断道、あるいは青森の原子力のサイクル、こういうものを含めて大規模開発計画に建設国債も検討の要があるからというふうに勧めておられる。  そこで、建設大臣も中曽根総理と大変親しい関係にあるし、事実この問題では建設省が大変重要な役割を果たさざるを得ないと思いますが、実際そういうものに対して建設国債というものを考えておるのかどうか。  それから、民間活力ということを盛んに言われるが、前回の委員会でも私質問いたしましたが、民間活力という場合に、この前は抽象的なお話になりましたが、一体この具体的な問題になると、どうも建設国債を出すということと民間活力ということとは矛盾するんじゃないだろうか、こう考えられますので、これについて大臣の意見をまず第一にお伺いいたしておきたい。  それから、国有地等における民間活力活用の一方式として、公的機関の活用についてということで、国有財産の払い下げについて、これを住宅整備公団にその払い下げの作業をやらせる、こういう新聞が出て、実は前回も私は質問したのですが、それはまだ検討中だということでありますが、その後さらに詳しく確定的、大体建設省もその線で進めているという新聞報道がありましたし、整備公団に聞きましたら、内々だけれどもそういうことについては準備をしておるというような趣旨のお話がございましたので、これは事実上もう始まっていると私は判断をいたします。  そこで、住宅整備公団に国有地の払い下げの仕事をやらせるということであるとすれば、一体住宅整備公団はその能力があるのかどうか、これをまず明確にお伺いしておきたい。  というのは、住宅整備公団も大変多くの土地を抱えておると聞いております。自分のところが抱えている土地も売れない公団が、あるいは活用できない公団が、国有地を新たに事実上取得するわけですけれども、委託されてその仕事をやる、これはそう簡単な仕事じゃないと思いますが、その点について、大臣はこれを推進してきた立場で、一体どういう意味住宅整備公団にこういうことをやらせようとするのか、これらの点についてまずお伺いをいたします。
  39. 松原青美

    ○松原(青)政府委員 大臣がお答えする前に、ちょっと事務的に簡単に御説明申し上げます。  最初に御質問ございました昨年十月三十日の経済政策研究会の報告書で、その報告書の作成に当たります研究会の審議過程で、建設国債の発行問題が議論されたことは聞いておるわけでございます。ただ、この報告書の中で、御指摘の幾つかの大規模プロジェクトの推進ということが取り上げられておりますが、建設国債との発行の関係で申し上げますと、いわゆる公共事業による民間活力を引き出すための引き金的な措置として公共投資が必要であるということを研究会で御提言になっております。特に建設国債と大規模プロジェクトを結びつけた報告書ではないと私ども理解しているわけでございます。  なお、第二点の御質問の住都公団を活用することによる国有地の有効活用の問題につきましては、何と申しましても、都市内の国有地は良好な町づくりを進める上で重要な空間資源である場合が多いわけでございます。いろいろな活用方式はあろうと思いますが、その活用するための一つの方式として、町づくりについて技術、経験等を持っております住都公団を活用して、地方公共団体と十分調整された整備計画を立て、それに基づいて町づくり、基盤整備を行う、こういうことが一つの貴重な空間資源を活用する上で有効な方法ではないかということで検討しているところでございます。
  40. 木部佳昭

    木部国務大臣 先生御指摘になりましたとおり、我が国の場合には社会資本が御承知のとおり大変立ちおくれておるわけでありますけれども、この公共事業の財源を確保するということは、基本的にはやはり特定財源というものを確保するということが一番大事だろうと思うのです。同時にまた、一般財源の公共事業への充当ということももちろん必要でございます。また、お話がございましたように、建設国債の増発というようなものも有力な方策であることは御承知のとおりでございます。  いずれにいたしましても、私は、この建設国債の増発というものにつきましては、御承知のとおり今財政再建というような大きな課題を私どもは抱えておるときでございますから、そうした問題等全般にかかわる大変重要な問題でございますので、そういう点をよくこれからの経済の動向や、またそういうあり方というものを慎重に見きわめながら対処していかなければならない、そう基本的に考えておる次第でございます。  それから今、松原審議官からも多少答えさせていただきましたが、いわゆる国公有地の払い下げの問題でございますけれども、今審議官も申し上げましたように、国公有地というものは非常に大切な国民の財産であり、また空間資源でございまして、これを進めるということは、我々建設行政を進める上においても、また同時に、民活と取り組んでいく場合でも一番大きな基本的な課題であるわけでございます。  そういう意味で、今一つの方策として住宅整備公団、私は率直に申し上げて、住宅整備公団というものは今までのように充足の時代から質の時代に大きく変わっておる。同時にまた、住宅公団と宅地公団というものが合併するときなんかでも、そういうふうな今御指摘のあったような点について、もう使命というものがある意味では大きく変化しておる。そういう中において、恐らく私は住宅公団と宅地開発公団ですか、これが合併したゆえんというものもそこにあると思うのです。  そういう意味で、この住宅整備公団が、貴重な空間資源というものを確保しながらいかにして、今申し上げますように国民的資産でありますから、それを大切にして、そして良好な町づくりというようなものに役立つかということが一つの方策でございますので、民活の導入に当たって関係省庁とよく調整を図りながら、この案を検討するようにということで命じておるわけでございます。
  41. 上野建一

    ○上野委員 それじゃ、建設国債の増発も必要だ、そうすると、今のいろんな経済情勢の中で、例えば一兆円以上の、あるいは一兆円内外の大型プロジェクトの仕事をやる場合に、建設国債は公共投資として民間の活力も導入する場合にその引き金として必要だというなら、一体どのくらいのことを考えているのですか。その一兆円内外のプロジェクトの場合に、今のような経済状態も十分考慮した上で、現段階ではどのくらいなら建設国債が発行できる、そういうことについてひとつお伺いします。  それから住宅整備公団については、私の質問したのは、この住宅整備公団はそういう意味では一体能力があるのかとお聞きしたのですが、技術、経験その他からはそれはあるというお話のようですが、問題は、土地をいっぱい抱えておるというのですけれども土地を一体幾ら抱えておるのですか。その土地の中で活用できるやつはどのくらいあって、とても無理だというのはどのくらいあるのですか。その数字だけ、はっきりさせておいてもらいたい。
  42. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 私ども、デベロッパーでございますので、やはり土地なしには仕事ができません。したがいまして、土地は当然持っておるわけでございますが、先生の今のお尋ねの、全体として今幾ら持っているかということは、ちょっと手元に資料がございませんので、後でお届けいたしますが、会計検査院で、いわゆる長期未利用地として二十一地区の指摘がございました。それにつきましては、建設省の御指導も仰ぎながら地方公共団体といろいろ開発調整をいたしまして、既に十八地区につきましては開発に着手し、あるいは開発の基本計画がまとまっております。残り三地区につきまして、現在地方公共団体と鋭意開発の計画について協議を重ねているという状態でございます。
  43. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいまの先生の、プロジェクトと建設国債という関係についての御質問でございますが、私どもが今後進めてまいります公共投資につきましては、一般的な公共事業特定財源あるいは建設国債それから一般財源といったようなものによるわけでございますが、ただ、プロジェクトによりましては財政投融資を活用するといったものもございますので、プロジェクトと建設国債が必ずしも結びつくわけではないかと存じます。  先ほど松原総務審議官からお答え申し上げた趣旨は、今後民間活力というものを活用して日本の経済をさらに発展させていく、そういうようなことを考えます中に、例えば都市整備ということを考えた場合、民間活力が生きる前には都市の公共施設の整備が必要である、そういったような公共投資が民間活力を引き出す役割も果たす、そんなようなことからの建設国債についての言及があったものと思いますので、今後プロジェクトによりけりで、そのプロジェクトの内容及び性質によりましていろいろな財源対策が考えられるのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  44. 上野建一

    ○上野委員 それじゃ具体的に聞きますが、東京湾横断道の場合はどの程度のことを考えておるのですか。それから、青森の原子力のサイクルの場合はどの程度のことを考えておるのか。
  45. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 東京湾横断道路につきましては、御案内のとおり現在日本道路公団におきまして調査を継続しておりますので、現段階でどのような事業主体あるいはどのような財源構成になるかはまだ今後の課題として検討されるべきことであろうかと存じております。  また、青森の件につきましては私どもの方の所管ではございませんので、ちょっとここでお答えいたしかねると存じます。
  46. 上野建一

    ○上野委員 余りはっきり答えてくれないので弱るのですけれども、それじゃ、例えば東京湾横断道なんか、もうあれだけ長い間調査をやっておって、大体大枠でこのくらいの金は集められるということはもうわかっているはずですよ。そんなものもわからないで調査費ばかり使って何をやっているのですか、それなら。もう百二億使うのですよ、この三月末で。さらに来年度は十五億、そういうあれをしているわけだから、例えば資金計画というのは一番先に出てこなきゃおかしいでしょう。やるところは道路公団ともう決まっているじゃないですか、事実上は。道路公団でやるとすれば新しい道路公団法をつくってやるんでしょうけれども、もう見当がついているわけだ。おおよそどのくらいということぐらいは言わなきゃしようがないでしょう。  それから青森の原子力サイクルについてはもう断固としてやるという話で今やっているのですけれども、これは国土庁の関係でしょうが、それは後でいいでしょう。それが一つ、もうちょっとはっきりしてください。  ああいう大型のプロジェクトでやる場合には、一兆円あるいは八千億というような巨大な金がかかるとか、この程度までなら何とかなるとか、この程度まではやはり公共投資でやらなきゃしようがないとか、何かの基準は当然大幹部の皆さんにないはずないんですよ。そこら辺はやはりはっきりさせなさいよ。  それから、整備公団の理事にお伺いしたらこれは十八地区とか三地区とか言ったって、我々わからないのですよ。どれだけの面積を持っておってどれだけの面積は可能だ、あとはどうなるんだというようなことを、もうちょっとはっきりさしてもらいたい。  それで、整備公団についでにお伺いしますが、それではあなたの方は、この国有地の払い下げの仕事を建設省から話かあればこれには十分対処できる、こういうことで受けとめてよろしゅうございますか。
  47. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 土地の保有面積につきましては今調べておりますので、後で御報告申し上げます。  国有地の問題につきましては、現在、建設省初め政府の方でいろいろ案をお立てになっているようでございますし、私どもを利用して国有地の活用を図るというのも一つの手段としてお考えになっているようでございます。私どもとしましては、先ほど大臣からお話がございましたように、私ども住宅都市整備公団はやはり住宅宅地供給すると同時に町づくりをやるというのが使命でございます。したがいまして、お話があれば私ども喜んでお手伝いさせていただきたいというように考えております。
  48. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先ほどお話しの東京湾横断道路につきましては、日本道路公団におきまして調査を続けておりますが、現段階におきましてどの程度の投資規模になるかということにつきましては、基本的には、もし六車線で建設をいたしました場合約一兆円程度かかるであろう。これをもしいわゆる段階施工といいますか、四車線で当面供用開始をする程度で建設を進めると約八千億円程度かかるであろうという程度のことは私ども承知しておりますが、この問題につきましては環境の問題あるいは航行船舶の問題等々なお調査を継続する必要がございますので、その段階でございまして、事業主体論につきましてはさらにその上でどのようにするかを検討することといたしております。
  49. 上野建一

    ○上野委員 ちょっと大臣、この間僕も聞いたときに、ちゃんと道路局長は、三千円でやれる、最初四車線でやるんだと言っているのですよ。そして資金は外部から導入もできますと、そういうところまで答弁があったわけだから、それなら公共投資としては、建設国債になるのかどういう形か知らぬけれども、どのくらいのことを考えているんだ、あるいはもっと言うなら地元負担というようなものも考えているのかどうか聞きたいところだけれども、きょうはいいです、後で。いいけれども、そういう公共投資の大枠くらいは、具体的に三千円という交通料金の値段まで出しているんだから、出しているとすれば裏づけがなきゃいかぬでしょう。それから、低利のものをちゃんと確保できますと、道路局長はこう言ったよ。そこら辺からちゃんと大臣、やはりはっきりしてくれませんか。
  50. 木部佳昭

    木部国務大臣 今の、通行料金が恐らく三千円ぐらいだろうということも、それから、今官房長からお答えしましたように約八千億から一兆円ぐらいの間だろうというようなこの間のお答えのことも、私もちゃんと記憶いたしております。  そのときにも私、たしか申し上げたと思いますが、大変大きな事業でございまして、例えば民活が導入できるのかできないのか、また政府の方が今こういう財政の厳しい中でございますから、どの程度までの面倒を見れるかどうかというような問題について、それから環境問題、そういう総合的な面で鋭意調査を進めて検討しておるさなかでございます。
  51. 上野建一

    ○上野委員 どうもはっきりしないので困るんだけれども、やはり国会ですからもうちょっと具体的な点まで入れて、それについては、いや皆さんはどう考えますか、こういうお互いに検討するものを出さなければ、しかも僕はきのうから調査を始めだというような問題を取り上げているわけじゃないのですよ。調査費を百二億も使っている、もう十年来調査しているわけでしょう。そういう中で、今までの材料がそういう出し方では、今のままでいきますと、東京湾横断道にしたって、内容を何も明らかにしないうちに、これでやります、こういう話になるだろうと思うのです。これではこれからの、二十一世紀という言葉が好きなようですけれども、将来の大きなプロジェクトをやる場合には、そういう形では住民の賛成を得られませんよ。こういう金を出すからいいじゃないかとか、あるいはこういうやり方をするから納得してくれとか、そういうのを中央官庁が打ち出さない限り話にならぬと思うのです。きょうはその問題はこの程度にしておきますが、この次の段階ではちょっとそういうわけにいきませんから。  そこで、きょうの本題であります特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案、要綱がここに出ていますが、これについて私ども多くの疑問を持っているのです。その中でも、いわゆる民間の大きな不動産会社のためにつくられた法律のような感じがするのですね、もともとは。そして、農地を手放せば税金まけてやる、こういうのが含まれているし、そういう意味での問題があるような気がするのですけれども、その点は今までの経過の中ではどういうふうになっているのか。今までこういう土地を、この法律に基づいて対処した農地というのは全体の中でどのくらいの面積ですか。
  52. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 最初の、この法律案目的でございますけれども、大企業の開発者の利益のためではないかということでございますが、この制度は決してそういったものに限られたものではございませんでして、むしろ税制の問題にいたしましても、また住宅金融公庫の貸し付けの特例の問題にいたしましても、大企業に譲渡した場合に働くとか、そういうものではございません。一般的に宅地供給促進につながるものについての優遇措置を講じているものでございます。  後段の、今までどういった面積の、どれだけ現在あるかということでございますが、先ほども答弁ございましたように、現在この特定市街化区域農地というのは全体で約四万一千ヘクタールございます。
  53. 上野建一

    ○上野委員 いや、それでどれだけこれに対処したか、この法律で。
  54. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 先生の御質問趣旨、これによってどれだけ効果があったかという……(上野委員「対処した面積はどのくらいあるの」と呼ぶ)  それぞれ具体的な内容といたしましては、先ほどの住宅金融公庫の賃貸住宅の貸付優遇措置とか要請土地区画整理事業とか税制、それぞれございますので、ちょっと分けてお答え……(上野委員「いや、分けなくていいから、合計するとどれだけの面積になるかということです、この法律によって対処したのが」と呼ぶ)  この法律によってどれだけ宅地供給につながる面積があったかという御質問といたしますと、宅地供給量というものは各種の社会的、経済的要因によって影響されるものでございますのと、それからいろいろな各般の宅地供給政策の総合的な結果として把握することになりますものですから、これによってどの程度効果があったかというのは、なかなか数量的に把握することは困難でございます。  ただ、あえて言いますならば、宅地並み課税とこれに伴う本法による宅地化促進措置の適用対象とされました特定市街化区域農地というのは、昭和四十八年から昭和五十八年の十年間に年平均減少率五・七%で減少しております。一方、全国の市街化区域農地はこの間に年平均三・三%で減少しているということがございまして、この措置だけでもってこの効果があったということはなかなか言いがたいのでございますけれども、そういったこの対象地域の中での宅地供給面積がほかの地域よりも多いということは、それなりの宅地化に寄与したものと考えている次第でございます。
  55. 上野建一

    ○上野委員 そうすると、これをさらに延長しようということですけれども、これからさらにその効果は上がると考えているのですか。そしてこれから三年間にはどの程度のことを考えられますか。もう三年間やれば全部終わってしまいますか。
  56. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 先ほど申し上げましたように、対象面積は一応四万一千ヘクタールございます。それがあと三年間延長した場合、どれだけ宅地化されるかということは、正直言ってなかなか予測しがとうございます。今までの年々の宅地化面積というのは約一千ないし二千ヘクタール程度でございます。
  57. 上野建一

    ○上野委員 先ほどちょっと民間デベロッパーの場合を申し上げましたが、これに対して切り売りされているんだ、切り売りの役に立っているということも言われているのですね。例えば農地よりも、このことによって、これは宅地並み課税だから、それをやめて今度宅地化するということの方が効果というか、所有者は得だ、こういうことから、これは決して公団や国が、あるいは地方自治体が必ずしも買っているわけじゃないわけですから、そうするとこれはそういう民間の不動産業の方に宅地化のために提供された方が多いわけでしょう。その提供された、完全に宅地になったところ、この法律ができてから宅地になって、その宅地の中で、例えば市営住宅とか公共的な住宅整備公団とか、そういうところに売ったのと、それよりも民間に売った分との比率はどうですか。
  58. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 ちょっとそこまでの詳細な調査をいたしておりませんので、わかりかねます。
  59. 上野建一

    ○上野委員 法律延長するならそこら辺の大ざっぱな調査だけはやっておくべきじゃないでしょうか。それであなた方の立場法律効果がどれだけ上がっているんだ、それは見方によって大分違ってきますけれども、そのくらいのことはやっておかなければ、ただ延長しろといっても、効果がないなら何も延長する必要はないわけで、そういう点、これはやはりなるべく安い宅地一般庶民に提供するというのがこの法律目的でなければならぬと思うのですよ、ところがどうもそうはなっていないと思います。したがって、そこら辺のところは調査をして、後日またこの問題でやる場合がありますので、明確にしておいていただきたい、こう思います。  そこで、これとも関連するので先ほど大臣がいる間にお聞きしたのでさらに続けますが、国有地の払い下げをする、これが民間活力の活用の一方式だ、こう言うのですけれども、これはどういう理由なんですか。国有地を払い下げすると民間活力が出てくる、そこら辺、明確にしてくれませんか。
  60. 松原青美

    ○松原(青)政府委員 御承知のように都市内の国有地はいろいろな用途に使われております。例えば筑波研究学園都市に移転した跡地の利用につきましては、避難地あるいは公園用地、学校その他いろいろ使われているわけでございます。  現在、政府の国有財産活用推進本部で決めております施策は、十分に使われていない、あるいは遊休の国有地につきましてこれを積極的に活用しよう。その際、従来からの方針でありますが、公共団体に対して利用要望をまず聞く。公共公益的な施設として活用するものをまず優先するわけでございますが、公共団体の方にその意思がないものにつきましては早くこれを処分いたしまして、町づくりのための有効な活用をしよう。その際いろいろな建築活動などが行われるわけでありまして、そういう民間の建築活動が行われますことによる内需の振興に資してまいりたい、こういうことでございます。
  61. 上野建一

    ○上野委員 これは大蔵省にお聞きしますが、建設省は、住宅整備公団を中心にして払い下げをしよう、そしてそれは、今も答弁がありましたが、まず第一には公共団体、地方自治体などになるべくなら払い下げをしたい、それがだめなものだけ今度は民間にやるんだ、こういうお話でございます。そうだとすると、大蔵省はどういう土地までは住宅整備公団に任せようとするのか、この範囲、それからその場合の条件としては大蔵省はどのように考えているのか、それをお伺いします。
  62. 川嶋烈

    ○川嶋説明員 お答えいたします。  ただいま建設省の方から原則論の方も多少お答えがありましたけれども、まさに我々としまして国有財産の処分につきましては公用公共用優先ということで従来やっていたわけでございますが、最近の財政事情もありまして財政収入の確保も必要ということで、その公用公共用優先の原則を維持しながら、それを損なわない範囲で売り払うということもやっているわけです。この場合、国が利用しない国有地につきましては、先ほどもありましたとおりに、地方公共団体にまず買い受け等の勧奨を行いまして必要な調整を行う、地方公共団体が特に利用予定のない国有地につきましては、これを民間に売り払うことによりまして都市開発とか住宅建設の促進というものに資するということでやっております。  なお、この民間への処分に当たりましては、国有地は国民の共有の財産で非常に貴重なものであるという観点から、適正かつ公平を期そうということで一般競争入札を原則としております。  引き続きまして、住都公団等公的機関が国有地を取得して整備を行った上に民間事業者に売却するという今の御質問の構想ですけれども、これにつきましては、大蔵省といたしましても大規模な国有地の有効利用を図るという観点からは一つの方式であると考えております。     〔委員長退席、中島(衛)委員長代理着席〕  なお、これにつきましては建設省と今鋭意詰めている段階でございまして、どの国有地をとか、その条件というところまでにはまだ至っておりません。しかしいずれにせよ、我々としましてはこの方式につきましても、先ほど申し上げましたとおりで、処分の適正公平ということは絶対欠かせないと考えておりまして、慎重に検討していきたい、このように考えております。
  63. 上野建一

    ○上野委員 そこで今の再開発の場合を考えますと、場所によって大変成功しているところもありますね。ただ、中小の都市の場合には、再開発といっても結局は今までそこにおった中小の商店は大体結果的には追い出されている格好になっているのです。非常に高いものになりますから入り切れない。土地を持っている、建物を持っていてそこにいるという商店は数少ないのですよ。どちらかといえば建物だけ借りているというのもあるし、土地は借りている上に自分の建物を建ててやっている、こういうのがあるのです。  そういうことを考えますと、再開発という形で特に駅に近いところが多いのですが、あるいは盛り場的なことになるようなところが多いのですけれども、そういう場合に民間活力というふうに言われているのですが、そういう中小のものは民間には入らないのでしょうか。そこに入れないとすれば、事実問題としてこれは結果的に排除されたことになりますね。そういう場合はどういうふうに考えてこういう事業の場合に対処されようとするのか、その辺のところをお伺いします。
  64. 松原青美

    ○松原(青)政府委員 都市の再開発を進めます一つの形態としまして市街地再開発事業がございますが、御指摘のように、市街地再開発事業施行の一番重要なポイントは従来の権利者との調整問題でございます。特に小さい権利と言われておりますが、土地建物を所有している方は相当な権利をお持ちでありますが、借地人であるとか、土地を持たない人たちとの権利調整ということが非常に重要になるわけでございます。中小都市におきましても、そういう場合に国有地あるいは公有地のようなものがあれば、それを種地として使うことによりまして、その人たちの権利なり今後の生活、営業の安定ということに非常に有効に使われる場合が多いわけでございます。各公共団体が行っております市街地再開発事業におきましても、そういう小さい権利者対策として一番効果的なのは種地でございます。  そういう意味から、国有地等の活用におきましても、公共団体におきます再開発事業施行予定がある、そういうところではその土地が種地として有効に機能される、あるいは必要だ、こういうことになればそれを優先して活用させていただくことになる、かように考えております。
  65. 上野建一

    ○上野委員 そこら辺のところは特に要望しておきたいと思います。特にこれはこれからの仕事の上では住宅整備公団の仕事になるだろうと思うのですけれども、そういう場合に十分中小の商店の人たち、それから地元の住民の人たちのプラスになるようなやり方をやるように特に要望しておきたい。  それから、住宅整備公団は量から質の時代だと言われているようですけれども、やはりそうはいっても決して質だけの問題ではないのですね。まだ入りたい人はいっぱいいるのですから、そんなに立派なものでなくてもいいから安くしてくれという要望が非常に強いのですよ。それにはこたえ切れていない、最近の公団住宅というのは。かなり小さい土地住宅を建てていますけれども、それなんか非常に高いものになっていますね。これは地価が高いからと言えばそれまでなんだけれども。したがって、住宅整備公団は、やはりこういう場合こそ国有地などを使いながら安い住宅をどう建てるかということをもっと真剣に考えるべきじゃないでしょうか。だから、そう簡単に量から質なんて言ってもらっては困るのです。  それから、先ほど申し上げた住宅整備公団が抱えている土地の問題、そこら辺の問題は後でひとつ文書で出していただきたい、こう思います。  時間がありませんので、最後の問題に移りますが、実は私どもの千葉県で大変自動車、車の公害がひどくて困っているところがございます。これはすべて国道であり、それから道路公団のつくられた道路、そういう道路が集中しているところがどうしてもひどい状態になっています。そして、これは環境基準をオーバーしている日が何日がもう既に出てきている。現在の環境基準は御承知のとおり引き下げた——引き上げたと言った方がいいのでしょうか、とにかく基準を甘くしたわけですね、その甘くした基準をも超えている、こういう状態がございます。  それは、一つは千葉の東関道、国道、湾岸道路の集中する地域、それから習志野の地域、こういうところがございます。これはもう何とかしなければならぬのは当然のことで、既にこの道路を建設する際に地域人たちとの間に調停条項というのをつくっています。これによると「居住地における騒音及び二酸化窒素について環境基準が維持されるよう努めるものとする。」そして、それを超えた場合には直ちにいろいろな対策を講ずるということになっている。  ところが、今道路公団とか建設省とかそれから地元の市とか県が、協議はしていますけれども、さっぱり具体的な対策はやられていない。この一つは千葉の真砂地区ですね。真砂・検見川地区それから習志野の地域、そういうところについてどのような対策をしようとしているのか、この点を都市開発とも関連をしてお伺いいたしたいと思います。
  66. 牧野徹

    ○牧野説明員 御指摘の千葉市真砂・検見川地区でございますが、先生お話しのとおり、ここには東関東自動車道が入っておりまして、それを挟むような格好で一般国道の十四号あるいは三百五十七号が併設されております。もう先生御案内でございますが、建設の当時から環境の問題もございましたので、沿道環境の保全を図ろう。これは、東関東自動車道は五十七年四月、それから三百五十七号の方は一年後の五十八年四月に供用開始されたわけでございますが、その際に沿道環境保全を図るために、通常は路側でございますが、東関東の場合、中央分離帯へも遮音壁をつくる、あるいはさらにその両サイドを並行しております国道につきましては、住宅地との境界付近に築堤をしまして、その上にさらに植樹とか遮音壁をつくって、我々としては十分に対策を講じてきたつもりでございます。  ただ、先ほど先生お話ございましたような、また詳しく御質問があれば数値も申し上げたいと思いますが、若干騒音につきまして一部で要請基準を上回る。二酸化窒素は私どもなどでは環境基準以下だと思っておりますが。それから浮遊粒子状物質につきましては、環境基準を年間約三十日上回る程度でございます。  この対策でございますが、先ほど先生の方からもお話がございましたが、いろいろ難しい点はございますが、関係者でございます私どもと日本道路公団、それから地元の県、市、市はもちろん環境御当局も入っておられますが、そこで十分調査検討を進めております。正式の協議会と申しますか、それは昨年の秋、十一月ごろ開いたわけでございますが、既に六回ほど開いて検討を進めておるというふうな状況でございます。
  67. 上野建一

    ○上野委員 二酸化窒素について基準は超えてないと言うけれども、十一月七日にも超えているし、それから八日、二日連続して〇・〇六ppmを超えているわけです。その超えた超えないの議論は、あなたの方は一年分の中から七日ばかり抜いたり何かいろいろなことをやっているようですけれども、そんなこそくな点はやらなくていい問題で、いずれにせよ、超えるとか超えないと言ったって、もうぎりぎりに来ていることは間違いないでしょう、現実に超えた日があるんだから。何か変な計算をするから超えないという発表になるけれども、これは機械の誤差を考えているのです。そんな機械の誤差をそういうとき持ち出す必要はないだろうと思う。これは環境委員会じゃないからそんなことじゃなくて、問題は既に超えている日もあるということを前提にしてこれに対処するのが本当だろうと思うのです。それが第一点。  したがって、この超えているというその対処の仕方が、今あなたが答弁されたのは既にやっているのですよ。仕事としてはもう終わっているのだ、道路としては。築堤もやったし、防音壁もやったし、それでもなお、これだけ集中さしているわけですから、東関道とか何かを。だからまずその計画自体におかしい点がありますよ。どう考えたって、あれだけ国道を含めて集中さしておいて公害が出ないはずがないので、そして防音壁をつくればまた別の公害が出てくるのですね。それが別の形であらわれてくる。そういういろいろな問題点があります。  千葉の方から言うと、騒音も六十ホンの基準を超えている。それから特に、住民との間に協定したこの協定は、習志野において既に超えています。習志野では公害白書の中で「環境基準との比較では、環境基準値をすべての時間帯区分を満足したのは、秋津四丁目の湾岸道路より百メートル地点の一カ所のみで、他の八地点については、いずれかの時間帯が環境基準を超えた結果となった。」こうちゃんと公的な文書で報告しているわけです。  だからそういうことであるなら、今みたいな協議を六回やったというのは我々も知っていますよ。協議したと言ったって、結果が出てこなければどうしようもないじゃないですか。また夏が来ますよ、これは。それまでに間に合わせるような対策をどんなふうに考えているのですか。
  68. 牧野徹

    ○牧野説明員 まず冒頭の二酸化窒素の点でございますが、これは先生御指摘のとおり、ただいままでのところで十月に一日、十一月に二日、十二月に二日、五日数値が〇・〇六ppmを超えているのは事実でございます。これも先生からお話がございましたが、私どももそういうことは承知しておりますが、一年のうち二%、すなわちおっしゃった七日程度までは許されるといいますか、科学的な判定をする際にそれをオミットしていいということで、私どもは今までのところ五日間でございますから、まあ先ほどのような御答弁を申し上げたということでございます。  それから、協議会をつくって会議をやるのはいいけれどもそれで何が出てくるかという御質問でございますが、実際問題、抜本的に対策を講じるのはなかなか難しいところであることもまた御理解いただきたいと思います。  どういう状況かといいますと、音について申し上げれば、高速道路と一般国道が併設をされておりますし、あそこのところにおりできますとクロスする、交差点がございます。だからどうしてもあそこのところは完全に覆ってしまうというわけにも構造上いかないのではないか、いろいろ難しい点があろうかと思います。  ただ、それでは何にもやらないのかという、これは私どもも大いに関係機関の協議を早急に結論を得るように指導していきたいと思いますが、当面例えば考えられるのは、海側の遮音壁に植樹を検討するとかそういうことは今のところ検討できるのではないかと考えております。  それから、浮遊粒子状物質の方は、これはまことに残念ながら、自然発生するものと固定発生源とそれから自動車から発生するもの、それぞれがミックスされて一定の濃度になるわけで、たしかこれは十ミクロン以下のものだと思いますが、これはなかなか今現在の科学のあれでも発生源と濃度との関係が解明されておらないようでございますので、ただこれもそうとばかり言っておられませんので、私どもの土木研究所を中心に基礎的な勉強を始めているところでございます。その結果をまっていきたいと思っております。
  69. 上野建一

    ○上野委員 建設省協議ばかりしてなかなかやらないものですから、地元ではいろいろなこうしろああしろという意見が出ているのですよ、これについてはやる気があるのでしょうか、ないのでしょうか。  一つは、これは何といったって車を規制しなければいかぬと思うのですよ。特に夜間の大型車の規制ですね、交通規制、そういうことについてどう考えているのか。  それから環境庁から出されている方針の中にはバイパスをつくれと書いてあるのですね、いよいよどうにもならないときには。このこともちゃんと検討しなさいと書いてある。そういう点についてはどう考えておられるのか。  それから浮遊粒子状物質というのは、これは肺がんのもとになるものが含まれていると言われていますね。そういう調査はどういうふうにしようとしているのか。  あなた、研究所と言われたけれども、研究所というよりもどこか何か機材を据えなければだめでしょう。大体、車から出るのはどういうものなのか。地元ではハイボリュームサンプラーとかという調査をする機械があるのだそうですね。そういう提案がされているわけですよ、私もどういうものか知りませんけれども。そうして走査電子顕微鏡などの検査をやればはっきりすると言っているのです。これはここまで出されているならやったらどうですか。もちろんほかの機関との協議をしても結構ですけれども、そういうものをやってもらいたい。  それから、道路構造の変更を含めた抜本的対策もやはり必要ですね。これは今のままでいいと思っていないでしょう。何とかしなければだめなのじゃないですか。その点はどうお考えか、お願いします。
  70. 牧野徹

    ○牧野説明員 住民の方との間で確認書というものがございますから、その内容を守っていく点についてはこれはいささかも、そのとおりでございます。  それから、抜本的なバイパス計画というふうになりますと、私もここでにわかに即答はちょっといたしかねる面もございますが、いずれにしても私どもは、日本の大都市の通常の例でもございますが、環状自動車道路の立派なものをつくって交通分散を図っていくというのが基本になるのじゃないかと思いますので、当該あの地区についてのバイパス計画というものでしたら私もただいまのところちょっとお答えいたしかねます。  それから、先生おっしゃった浮遊粒子状物質の機械、私不勉強で存じ上げませんが、いずれにしてもこれはだれが原因でどうなるかというのはなかなか難しいものだと聞いておりますので、その辺はただいまのところ土木研究所を中心に基礎勉強を始めたところでございますので御猶予を願いたいと思います。  それから最後に、いずれにしても抜本的にあの道路を改造するかとかいう御質問がございましたが、現時点では、私どもは先ほど申し上げましたように東関東自動車道は五十七年四月、三百五十七号線は五十八年四月、最終的には皆さんの御理解も得ながらつくっていったわけでございますから、いろいろ県、市あるいは公団、私ども入れた先ほど申し上げた協議会で検討していくことがまず先決かなと考えている次第でございます。(上野委員「大型車の規制」と呼ぶ)失礼いたしました。  おっしゃるとおり、大型車の規制というのは、現在たしかあそこは一応四十キロ規制になっておりますが、これは全部はかったわけではございませんが、六十キロ、場合によるとそれを超す程度の走行もかなりあるようでございますので、私どもと道路管理者といたしましても、これは交通管理者の方に対しまして、車両の適正な走行をしていただくようにより強烈に指導していただくように既に依頼をしておるところでございます。
  71. 上野建一

    ○上野委員 結局何にもやらないということじゃないですか。何にもやろうとしてないじゃないですか。ただ相談をしてという話。もう相談は何回もやっているのだ。問題は今言ったような機械を積極的に据えるか。というのは、あなたに今言っている基準というのは、県は〇・〇四ppmになっているのですから、県の基準が違うのですよ。今言ったのは私は高い方を言っているのです。環境庁で通産省から圧力をかけられて改定したその方を言っているのです。それでも超えているのだから何とかしなさいと言っているのですよ。あなたの話を聞くと何にもやらないということじゃないですか、これは。  そこで、道路公団の理事さん、きょう来ていますね。——そうなると実際の管理者は道路公団がやらなければいかぬだろうと思うのですね。道路公団はどう考えているのですか、今の問題についてちょっと答弁いただきます。
  72. 北村照喜

    北村参考人 北村でございます。お答えいたします。  道路公団といたしましては、公団独自の道路だけが通っておりますとそれなりの対策はやってございますけれども、先ほど建設省から御答弁ございましたように一般国道十四号、三百五十七号、高速道路という併用の区間でございますので、道路公団だけが特定な形でどうのこうのということはできないわけでございます。先生御承知のとおりでございまして、一番初め、五十七年十一月三十日、開通後約半年たちまして当方の自治会と確認書を結びまして、東関東道の両側、中央分離帯に高さ五メートルの直壁の上にさらに長さ三メートルの先折れの防音壁をつくりまして、さらにまた周辺には植樹帯等を設置いたしまして、それでいいということで自治会の御了解もいただいて、現実にそれを実行したわけでございます。  先ほどいろいろな形で数値的に若干オーバーという点もございますけれども、公団独自として対策ということはなかなかできませんので、昨年末でき上がりました対策協議会のいろいろの協議の経過を踏まえて、我々建設省の御指導をいただきながら対策を講じたいというふうに考えております。
  73. 上野建一

    ○上野委員 そんな答弁じゃしようがないよ。それじゃ対策会議で何をやっているの、対策会議で出した方針を出してください。何か出ているの。道路局次長、それじゃ対策会議で何をやっているか聞きましょう。対策会議、対策会議って何もやっていないじゃないか。明確にしなさいよ。
  74. 北村照喜

    北村参考人 お答えいたします。  会議内容はいずれかということの御質問でございますけれども、昨年十一月六日に第一回の……(上野委員内容じゃないよ、何をやろうとしているかということですよ、何を改善しようとするのか、その改善の問題点だけ言ってください、時間がないんだから」と呼ぶ)  先ほど申し上げましたように、具体的な検討ということで終わってございます。内容は今後検討するということで第六回は終わっております。
  75. 上野建一

    ○上野委員 こんなのじゃちょっと納得できません。委員長だってわかるでしょう、幾ら何だって。対策会議をやっていると言ったって、内容は具体的にはこれからだと言う。六回もやっているじゃないですか。しかも、具体的にこういうことはどうですかと言ったら、それをやらないような話ばかりでしょう。機械をつくれと言ったら難しい話だという。機械は金があればちゃんとやれるじゃないですか、誠意があるなら。しかも、住民との間には対策をやると言って協定しているじゃないですか。そういうことをいいかげんにしておいたら、これから東関道だって木更津まで延ばすといったってどんどん反対が起きますよ。
  76. 北村照喜

    北村参考人 お答えいたします。  でき上がりましてから約三カ月ぐらいでございまして、いろいろ中で検討もいたしておりますし、第五回におきまして、例えば騒音対策につきましては、公安委員会に対して再度走行速度、重量規制などに関することを要請する、また防音壁の外側の植樹を密にする等、一応いろいろの検討をいたしております。  以上でございます。
  77. 上野建一

    ○上野委員 それじゃ時間がないから最後に要望だけしておきますから、やっていなければこの次の機会にまた質問します。  まず、たとえまだできてから間もないにしたって、もう既に協定が破られているということは明らかですから、協定に沿って直ちに具体的な対策をやること、今あなたは少し具体的なことを言ったけれども、それは実際はまだそうなっていないんだ。要請したらあなた、同じ役所の中だもの、警察であろうと公安委員会であろうと何であろうと、そのぐらいは後でちゃんとやらせるようにしなければいかぬと思う。  それから習志野地域では今空地をつくろうとしているでしょう、いろいろな関連の公害対策の環境庁の予算で仕事をやろうとしているのです。これを促進することを考えたらいいと思うのですよ、空間をつくる仕事をやろうとしていますから。  それから先ほど言ったハイボリュームサンプラーという機械はやられたらどうですか。それで浮遊粒子状物質というのは肺がん物質を含んでいると言われているのです、そういうことも含めて大変大事なことですからぜひやってもらいたい。  そのほか、先ほどの大型車の規制の問題は、ただ大型車の走る速度だけを規制したってしようがないんで、夜間大型車の規制をもうちょっと何とかできないか、ここも検討していただきたい。したがって、僕の言うのは千葉県の環境基準は〇・〇四ppmですからその点を忘れないようにしてもらいたい。決して〇・〇六じゃないですから、そのことを頭に入れた上でお願いしたいと思います。  いずれにせよ、私はきょうの答弁では納得いきません。いきませんが、今後努力をしてこれらの問題を解決していく必要があるだろうと思いますので、その点を強く要求いたしておきます。  終わります。
  78. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 新井彬之君。
  79. 新井彬之

    ○新井委員 ただいま議題になっております二法案につきまして順次質問させていただきます。  初めに、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案について御質問いたします。  住宅政策の中でこの農住制度をどのように位置づけておられるのか、まず初めにお伺いいたします。     〔中島(衛)委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答え申し上げます。  現在、住宅政策の目標というのは住宅の質の改善でございます。また居住水準の向上でございます。このため持ち家対策とか賃貸住宅の対策とかといったものを地域の実情に応じましてそれぞれバランスよく展開していくということをやっているわけでございますが、この農住制度と申しますのは、このうち都市地域におきます賃貸住宅対策の一環として設けられているものでございます。  都市地域におきまして標準世帯、四人家族程度あるいはそれ以上の人たちが入居できる規模あるいは性能、設備を備えた賃貸住宅に対する需要は極めて大きいわけでございます。最近、賃貸住宅の建設が、先生御存じのように非常にブームになっているわけでございます。ただ、この場合、性能、設備の面での改善は見られますが、規模の面では適切なものを備えた賃貸住宅供給がなお不足していると我々は理解している状態でございます。  このような良質な賃貸住宅供給する施策としましては、公的住宅におきましては公営住宅あるいは公団賃貸住宅等の供給促進しているわけでございますが、民間住宅につきましても各種の施策民賃制度を実施しているところでございまして、農住制度と申しますのはこの施策民賃制度一つということで、特に都市地域農地の活用をねらいとしたものとして位置づけておるわけでございまして、あわせて水田宅地化に資するという目的を持っているものでございます。
  81. 新井彬之

    ○新井委員 今規模の話がございましたけれども、各戸が床面積三十平方メートル以上百二十平方メートル以下、二以上の居住室を有するというぐあいになっておりますけれども、三十平方メートルというのはえらい狭いように思うのですけれども、どういうことを想定されて三十平方メートルになっているか、それをお伺いしたいと思います。
  82. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 確かに三十平方メートルというのは単位として小さいのは御指摘のとおりでございますが、入居者の中には単身者もございます。夫婦だけというものもございます。そういう都市近郊地域にお住まいになる方々の世帯の状態に対応したものにしてまいりたいということで、多少小さいものも含めて考えているようなわけでございます。
  83. 新井彬之

    ○新井委員 資料をいただいているのですけれども、前回の改正まではこの事業の実績は余りよくなかったように思うのですが、昭和五十年度以降三年間の実績は伸びてきておるわけでございますが、これはどういう理由で伸びてまいったか、お伺いいたします。
  84. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 前回の改正昭和五十六年度までにつきましては、制度の浸透の度合いが低かったというようなことのほかに、やはりこれはいろいろ理由があろうかと思いますけれども地域土地の使い方といいますか、これを賃貸住宅として利用するのがその地域としていいのかどうか、あるいは賃貸住宅に対する地域の要望がどの程度あるかといったような動向等によっても、いろいろ従来実績が少なかった面がございます。しかし、最近農住建設の実績が伸びてきております理由といたしましては、建設費が安定してきたこととか、あるいは国民賃貸住宅に対する需要が増加傾向にあるということ、あるいは農業協同組合が農家の経営安定に力を注ぎまして、こういう賃貸住宅経営というものに対してその促進を図っているといったようなことなどが理由になろうかと思っております。
  85. 新井彬之

    ○新井委員 今の理由、そのとおりだと思いますけれども昭和六十年度に今まで二千戸の予算を三千戸という、五〇%も増加させているわけでございますが、その三千戸にした、五〇%増にしたという、それで十分消化できると思いますけれども、その辺はいかがでございますか。
  86. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 昭和五十九年度を見ますと、二千戸ということで予算上用意しておったのでございますが、この二千戸が一〇〇%達成できるという見込みになっております。それどころか、若干といいますか千戸近いものを切っておるというか、御要望を後回しにしているというものがございまして、三千戸は十分達成できるというふうに考えております。
  87. 新井彬之

    ○新井委員 私は、先ほども局長お話しになりましたように、持ち家制度、それからこの賃貸制度、いろいろございますが、賃貸制度というものも非常に大事ではないかというぐあいに思います。  というのは、御承知のように今まで持ち家制度で、住宅ローンでお金を借りましても、非常に景気が悪い、こういうふうなことから途中でこれを売らなきゃいけない、そういうときには比較的赤字が出るわけでございまして、二千万を八%で借りましても百六十万の金利というものを払わなければならないわけですね。十何万円のよしんば家賃を払いましても、もしも出ようと思えばすぐ出られる。しかし、持ち家の場合は処分しなければいけませんし、非常にリスクを背負っている場合もあるわけでございます。  そういうことで、どんどん農住政策で伸ばしていただきたい、こういう意味で言っているわけでございますが、その上に一定規模水田宅地への転用条件というのを緩和すればさらにその進捗を図れるのじゃないか。やはりもっと図らなければいけないという立場でお伺いしているわけでございますが、いかがでございますか。
  88. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 おっしゃるように水田要件を緩和すればなお農賃の実績が進むのではないかということはある程度確かに期待できる面もあろうかと思います。今、市街化区域内に水田賦存状況もまだかなりございます。それから、先ほども申し上げましたけれども、その水田要件というのも若干今まで緩和してまいっております。それから、この法律自体がその目的としまして、農賃住宅の建設の促進を図るということのほかに、やはり水田というものを減らしていくということも目的一つに入っているわけでございまして、そういう意味から見まして、今までやってまいりました条件の緩和という程度でしばらくはやっていけるといいますか今の段階では十分ではないかというふうに考えているわけでございます。
  89. 新井彬之

    ○新井委員 宅地化促進法と大都市法によりまして、土地区画整理促進区域または住宅街区整備促進区域内の農地特定賃貸住宅を建設する場合及び農住組合法により農住組合が市街化区域農地特定賃貸住宅を建設する場合には水田条件が除外されておりますが、これらの特定措置の適用実績は必ずしも順調に促進されているようには思えませんが、その理由はいかがでございますか。
  90. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 宅地化促進法、いわゆるあめ法によりますこの特例措置を適用してまいりましたのが、これまで戸数として九百六十一戸ございます。これは建設しました農住の相当数が特例を適用するまでもなく水田要件を充足しているということによるものと考えております。ちなみに水田要件を充足して建設した農住は二千四百八十戸あるわけでございます。  また大都市法によります農住専業の特例措置を適用しましたものは戸数として二百三十二戸ございますが、これはやはり建設した農住の相当数が特例を利用するまでもなく水田要件を満たしているということでございまして、同じように申しますと、水田要件を満たして建設したものは五百五十戸あるわけでございます。  農住につきましては国土庁の方から……。
  91. 斉藤衛

    ○斉藤説明員 農住組合制度との関係でございますが、御案内のように制度そのものは五十六年の五月にスタートいたしまして、現在までのところ組合が五組合設立されて稼動しているところでございます。しかしながら本特例措置の適用につきましては今のところまだ実績がございませんが、これからこの制度のPR等もまたどんどんしてまいりたいと思っておるところでございます。
  92. 新井彬之

    ○新井委員 賃貸住宅の経営については農地所有者は採算面で不安を持っていると思いますし、その経営実態はどのようになっているか、お伺いをしたいと思います。     〔委員長退席、中島(衛)委員長代理着席〕
  93. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 利子補給が完了いたしました百三十二件二千八百六十戸の農住につきまして、過去利子補給期間十年間の収支状況を見てみますと、総収入の約二三%の収益を上げているわけでございまして、一事業当たりの、平均二十二戸でございますが、この経営規模で年平均約二百二万円の収益を上げているという調査結果が出ております。利子補給期間終了後につきましては、十一年目が総収入の二二%、十二年目が約二三%という収益を上げているわけでございまして、利子補給期間中の収益率とほぼ同様でございます。  以上のように、農住の経営につきましてはかなり順調に行われているものというふうに理解をいたしております。
  94. 新井彬之

    ○新井委員 そうしますと非常に収益もいいということであるわけでございますので、農地所有者は賃貸経営についてはほとんどの方が素人の方だと思いますが、そういう方々にもっと助言とか指導をしてあげればもっと充実していきますし拡大されるのではないかと思います。その指導助言等についてはどのようになっておりますか。
  95. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 この農住制度によりまして賃貸住宅を建設しようとする方々、まあ農家の方々でございますが、これは住宅団地の開発だとか管理、経営に関してはしかるべき経験を有していない素人の方でございます。したがいまして、都道府県知事に、団地の建設計画策定とかあるいは団地造成とかあるいは住宅の設計でございますとかあるいは施工管理あるいは団地の管理とか、いろいろな面につきまして必要な技術のあっせんあるいは設計、工事管理の受託その他の方法で技術的援助を行うように指導しているところでございまして、この指導監督に要する費用につきまして国は全額援助を行っている次第でございます。  また国は施行通達による指導を行っておりますが、その間毎年事業実施説明会などを開催いたしまして、こういったものを通じまして、都道府県の担当者でございますとかあるいは農協の関係者に直接指導を行っているわけでございます。  一方、これを受けまして農業関係団体は農住都市建設構想の推進というものを重点施策に掲げまして、昭和四十九年に御存じの社団法人地域社会計画センターというものを設立いたしております。そして全国的にこの制度の普及活動を行っているわけでございます。この成果もございまして、農協は組織的にも農住事業の建設、経営指導を専門に行う部署あるいは職員を配置して事業者の各種相談に応じておるわけでございまして、こういうことで多面的に積極的な指導、援助を行っているところでございます。
  96. 新井彬之

    ○新井委員 多面的に、そして力を入れていただいて指導されているわけでございます。その中で都道府県別の実績を見ますと、非常に実績のあるところとないところとがあるわけでございますが、これは各都道府県全体的にそういう指導が行き届いているわけでございますか。
  97. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 私どもとしては、各都道府県漏れなくこういう指導を実施しているところでございますが、確かにその地域によりましては農協等の指導で力の入れ方の多いところ、少ないところといったばらつきはあろうかと存じます。
  98. 新井彬之

    ○新井委員 家賃の改定の状況がどういうぐあいになっているのか、またその家賃改定のときに入居者とのトラブルとかそういう問題はないのか、お伺いしたいと思います、
  99. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 家賃の改定につきましては、利子補給が終了した農住対象区画について調べてまいりますと、利子補給期間のあります。その十年の間に約九七%の人たちが一回以上家賃の値上げをいたしております。値上げをいたしましたもののうち約七五%が三回以上家賃の値上げをしておる。十年間に三回以上家賃の値上げをしておるのが多いということでございまして、平均的には二、三年に一回、その一回千三百円程度、引き上げ率にしますと四%、十年間にしますと当初家賃から約二四%ぐらい引き上げを行っているという調査結果が出ております。また、利子補給期間を終わりました後におきましては年平均二・六%の引き上げを行っておりまして、これは利子補給がなされている期間の改定幅、先ほど二、三年に一回で四%と申し上げましたが、年平均にしますと二・四%になるわけでございますが、これと比べましてほとんど変わらない状況になっているわけでございます。  それから、家賃改定に当たりましての入居者とのトラブルにつきましては、制度創設以来五十八年までに建設された農住事業者九百八十八人について実態調査を実施しております。その結果は、家賃改定につきまして大部分が余り問題がない、トラブルがないということでございますが、入居者との調整ができないで値上げを見送らざるを得なかったものが三十九件、約三・数%でございます。それからまた家賃滞納についても十三件ほど見受けられております。
  100. 新井彬之

    ○新井委員 農地の所有者の方々は、ほかに何とか財産を運用したいといいましてもなかなかできませんし、どうしても農地で置いておこう、こういうことで、先祖伝来の土地でもあるとかいろいろな理由でなかなか活用ということは図れないわけでございますが、この制度によりまして、先ほどもお話がありましたように、所得もある程度見込まれますし、それからまた自分の財産としての土地も保全される、そしてまたこの市街地の住宅の非常に必要な地域におきましてはそれが確保できる、いろいろの面でいいわけでございます。また民間活力という形で建設的な資金も導入されるわけでございまして、六十年度はこの三千戸でございますが、今後この需給関係を見ながら、今後の方針としてこれを推進された方がいい、このように思うわけでございますが、今後の見通しについてお聞きしておきたいと思います。
  101. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 おっしゃるように五十九年度二千戸を今度三千戸にしようということでございまして、これは今までの事業実績を見てこういうふうに千戸ふやすという措置を講じたところでございますけれども、今後我が国の賃貸住宅制度というものが、入居者の意識の変化あるいは単身者とかあるいは家族の少ない世帯がふえていくとかいうようなことで、この賃貸住宅に対する需要がふえていくことも見込まれているわけでございまして、今後動向を見つつ適切に対処してまいりたいと考えております。     〔中島(衛)委員長代理退席、委員長着席〕
  102. 新井彬之

    ○新井委員 次に、特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案についてお伺いをいたします。  今後の宅地供給促進のための施策及びその中におけるこの法律案の位置づけはどのようになっているのか、お伺いをいたします。
  103. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 建設省といたしまして、今後の宅地供給促進を図るためには、市街化区域農地宅地化促進住宅都市整備公団等による計画的宅地開発推進と政策金融の拡充による民間の優良な宅地開発推進、それから関連公共公益施設の整備の推進都市計画法線引き見直し開発許可制度の適切な運用都市開発による土地の有効利用の推進といった施策を図っていかなければならないと思っております。  特に、宅地需要の根強い三大都市圏におきます宅地供給源としまして、特定市街化区域農地につきましてその宅地化促進することは極めて重要なものと考えておりまして、この場合当面の農業土地利用との調整を図りながら計画的に良好な宅地への利用転換を図ることが必要であると考えておるわけであります。このために昭和五十七年度から、長期にわたって営農を継続する意思を有する人に対する配慮を講じながら課税適正化対象となる農地範囲を拡大する等の措置を講じてまいっているところでございますけれども、これとあわせて本臨時措置法の適用期限を三年間延長し、市街化区域農地宅地化をさらに一層強力に進めてまいる必要があると考えておるところであります。
  104. 新井彬之

    ○新井委員 本制度の実績と、どの程度宅地供給促進に資したと言えるか、それについてお伺いをいたします。
  105. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 本宅地化促進法のこれまでの実績でございますが、個別に分けて申し上げますと、土地区画整理事業の施行の要請の実績は現在まで一件でございます。これに基づく土地区画整理事業は埼玉県新座市の志木駅前で施行されております。  それから、住宅金融公庫の貸し付けの特例のうち賃貸住宅の建設につきましては、昭和五十八年度までに戸数一万五千四十七戸の貸付実績がありますが、分譲住宅については現在のところございません。  それから三番目に、特定市街化区域農地における農地所有者賃貸住宅建設につきましては、昭和五十八年度までに団地数七十五団地、戸数二千五百九十三戸の実績がございます。このうち本法の特例措置の適用に係るものは団地数二十八団地、戸数、五十九年の見込みによりますと九百六十戸でございます。  これらのほかに、特定市街化区域農地の譲渡に係る所得税の軽減措置その他の税制措置についても相当の実績があると考えております。  それから、これによってどれだけの宅地供給促進が図られたかということにつきましては、先ほど御答弁いたしましたように、いろいろな社会的、経済的な要因に絡む問題でございまますので、ずばりこれだけということを申し上げるのは困難でございますけれども、当該区域内における宅地化の年々の推移の率というものが一般市街化区域におきます農地におきますものよりも多いというようなことから考えまして、それなりに相当の効果があるものと考えております。
  106. 新井彬之

    ○新井委員 特定市街化区域農地宅地化促進するため農住組合等の活用による農家主体の町づくりを積極的に進めるべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
  107. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 おっしゃるとおりでございます。先ほど申し上げましたように、宅地需要の根強い三大都市圏宅地開発の素地として、特定市街化区域農地に期待する部分は大きいわけでございます。今後とも、その宅地化促進することは極めて重要でございます。  この場合、素地所有者の意向を踏まえて、当面の農業土地利用との調整を図りながら、計画的に良好な宅地への利用転換を図ることが必要であると考えております。このための措置といたしまして、三大都市圏特定市街化区域農地についての固定資産税課税適正化を初めといたしまして、今回のこの宅地化促進臨時措置法に基づく諸制度、それからまた農住組合制度等の措置を講じ、また延長お願いしているところでございます。今後とも、これらの制度の積極的な活用を図るとともに、農家に対する宅地供給促進のための助言や指導方策を確立する、これは五十七年度から五十九年度へかけまして調査をいたしまして、そういったためのマニュアルみたいなものを作成いたしまして農協等に配付することによりまして、特定市街化区域農地のより一層の宅地化促進の便宜に図りたいというふうに考えております。
  108. 新井彬之

    ○新井委員 昭和五十七年一月一日現在の長期営農継続農地認定状況は、課税対象農地面積に対し認定面積は、その対比率が八三・五%となっているわけでございます。右の数値について、都市計画の市街化区域の性格、あり方、都市のオープンスペース等の見地から、これをどのように見ているか、お伺いをいたします。
  109. 松原青美

    ○松原(青)政府委員 市街化区域は、本来住宅宅地の整備開発が望ましい適地としてその設定を行ったものでございますから、従来から土地区画整理事業を初めとする都市基盤の整備を進めることによりまして、農地宅地への転換を図っているところでございます。  今御指摘の、長期営農継続農地が非常に多いという現状に対しましては、この農地につきましては当面営農との調和を図る必要もございますし、またこの農地として継続するものがいわゆる都市の、不安定ではありますが、当面オープンスペースとしての機能もあるわけでございます。したがいまして、こういう認定された農地につきまして、その機能は認めながら、今後生産緑地制度の積極的活用あるいは特定土地区画整理事業や農住組合法による交換分合の推進による農地の整序等を進めてまいりまして、将来の計画的な市街化に支障がないように努めてまいりたいと考えております。
  110. 新井彬之

    ○新井委員 本法律における特定市街化区域農地の譲渡に係る所得税の軽減及び特定市街化区域農地を転用して新築した借家住宅に係る不動産取得税及び固定資産税の軽減について、施行の実績はどういうふうになっているか、これは大蔵省、自治省にお伺いをいたします。
  111. 庄島修

    ○庄島説明員 租税特別措置法第三十一条の三の規定にございます特定市街化区域農地等を譲渡した場合の譲渡所得の課税の特例について申し上げますと、この課税の特例を受けましたものは、五十四年から五十八年の五年間で一万一千三百件でございます。また、これを最近、五十七年、五十八年について見ますと、いずれも三千件台でございます。  以上でございます。
  112. 鶴岡啓一

    鶴岡説明員 お答え申し上げます。  特定市街化区域農地を転用して新築されました貸家住宅に係る地方税の関係でございますが、固定資産税の減額措置は、昭和五十八年度で新たに建設されましてこの適用を受けた住宅の戸数は五百十三戸でございます。それから、五十八年まで過去の分を累積してまいりますと、総数は約九千三百戸程度だと見込んでおります。  それからなお、不動産取得税の関係でございますが、不動産取得税につきましては、これはほとんど住宅金融公庫の公庫融資を受けているものでございまして、その課税標準の特例措置があること、あるいは新築住宅につきましては一戸当たり四百二十万円評価額から控除するという、そちらの方の結果としまして、ほとんど不動産取得税の課税対象になっているケースがございませんので、結果的には、件数としますと毎年数件出るか出ない程度でございます。不動産取得税の方はその程度の件数でございます。
  113. 新井彬之

    ○新井委員 国定資産税は三年に一回評価がえをされるわけでございまして、私たちの生活におきましても、税金で払うかあるいは個人で払うか、どっちか払わないと豊かな生活はできないわけでございます。したがいまして、国定資産税が上がることについて決して全部を否認するということではありません。それはそれなりにまた、いろいろな面に使われるわけでございますので必要だと思いますが、事住宅の問題から見ますと、ちょうど昭和三十八年から五十七年、この二十年間でございますけれども固定資産税の上がり方を見ますと、全国平均で、田の場合は二・一一倍、それから畑は二・〇四倍、宅地は五十二・五〇倍、それから山林が六・六六倍上がっているわけでございますね。そうしますと、今後毎年、三カ年で固定資産税を上げていくわけでございますが、今度も一九・九%上がる。これは今、国土庁が出している価格と、それから自治省とそれから大蔵省と、全然違うわけでございますけれども、余り固定資産税が上がるということになりますと、個人の持ち家にも当然影響します。特に借家ということになりますと大変な値上がりになってくる、こういうぐあいに考えるわけでございますけれども、これは住宅局長とそれから自治省の方と両方、どういう見解をお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。
  114. 鶴岡啓一

    鶴岡説明員 先生御案内のように、固定資産税土地と家屋につきましては三年に一回ごとに価格を見直すということになっておりまして、昭和六十年度がその評価がえの年でございます。この評価がえにつきましては、宅地で申し上げますと約四千三百万筆という膨大な課税対象がございまして、それを状況類似ごとにグループをしまして、そこに標準地を選んでおります。これが約四十万地点ございまして、その四十万地点を適正に評価をし、その中からさらに各市町村で基準地という、これは最高地を選んでもらっておりますが、これを全国は各県庁所在市について一カ所ずつ、これは自治大臣が、市町村が評定したものを調整する、それ以外の市町村につきましては県知事が調整をするということで、全体の評価のバランスをとってきております。そういうようなことで、今回も自治大臣が調整します基準地につきましては、お示しのとおり、平均しますと一九・九%の上昇率になるものというふうに考えております。  その税負担との関係でございますが、ですから平均的に言いますと、宅地につきまして二割程度評価アップになりますが、今回、今御審議をお願いしております地方税法の改正で、三年間の負担調整措置お願いしておりまして、平均的な宅地の場合につきますと一・一ということでございますので、五十九年に比べまして土地税負担は一割程度上がるだろうと思っております。  ただ、住宅につきましては、これも評価がえをするわけでございますが、従来からいろいろな経緯がありまして、既に課税されております家屋は、在来分と言っておりますが、基本的に評価額が上がる場合も原則は据え置く、極端に不均衡が生じない限り据え置くという措置をしておりますので、住宅土地を合わせました通常の、これは貸し家住宅を含めまして固定資産税の五十九年と六十年度のアップ率というものは数%、その土地と家屋のウエートによって違いますけれども、五%ぐらいの税負担の増ではないかということで、何とかこのくらいの税負担は地方財政も厳しい折でございますので御理解をいただきたいというふうに考えております。
  115. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 今自治省の方からお答えございましたが、住宅固定資産税、百平米まで三年間二分の一という特例措置を設けていただいておりまして、これを延長していただくことになっております。私ども欲を言いますと、この百平米というのは少し小さいんじゃないか、家もだんだん大型化しておりますのでせめて百二十とかもうちょっと何とかならないかということでいつも自治省の方にはお願いしているところでございます。  確かに先生おっしゃいますように、固定資産税に限らずこういった税制が住宅建設に及ぼす影響というものはかなり大きいものがございます。今後ともいろいろな機会にこういう方での住宅対策も促進するように努力してまいりたいと考えております。
  116. 新井彬之

    ○新井委員 マイホームを持ちましてローンを借りて、そのときに確かに平米の大きさというのがあろうかと思います。だから、相続につきましても固定資産税につきましても建設省推進している基準基準的な土地といいますか、そういうのも大体二百平米、それで建物は百六十五平米、そういうことになっておりますので、やはりそういうものについては安定的に住宅がやれるような形にしなければならないのじゃないかということで、局長にもあるいはまた自治省の方もまたよく検討していただきたい、このようにお願いをしておきたいと思います。  それから、この法律第三条の要請に基づいて施行される土地区画整理事業の実績が一件ということでございますけれども、これの理由はいかがでございますか。
  117. 松原青美

    ○松原(青)政府委員 ただいま御指摘のようにこの区画整理事業の施行の要請は一件しかないわけでございますが、この制度対象地域におきましては昭和四十八年度以降五百六十一件、面積にいたしまして二万一千ヘクタールの区画整理事業が行われております。そのうち公共団体施行は百九、面積約五千四百ヘクタールという大きさになっておるわけでございます。この制度対象地域におきまして農地所有者みずからが区画整理組合を設立いたしまして事業を行うというのが一般的で、先ほど申し上げました数字で五百六十一のうち百九を除きます残りの四百五十二というのは、土地所有者が組合をつくる、あるいは個人数人が集まって個人施行をする、こういうことで区画整理事業が行われているわけでございます、また、公共団体施行、百九のうちにも地元の意向を受けまして公共団体が施行を行っている例も多いわけでございます。  この区画整理事業が組合、また公共団体においてもかなり行われておりますのは、本要請の制度制度として担保されているということが背景になっておりまして、具体的な要請という法律行為までいったものは一件でございますが、こういう制度の仕組みが区画整理を盛んに行う前提ということで、法制度がその面で大きな効果を持っているのではないかと考えておるわけでございます。
  118. 新井彬之

    ○新井委員 施行の条件としての五ヘクタール以上、五〇%以上、これは見直す必要があるのじゃないかと思いますけれども、いかがでございますか。
  119. 松原青美

    ○松原(青)政府委員 五ヘクタール以上という条件にいたしておりますのは、区画整理事業の性格上、ある程度の大きさの面積がございませんと、道路等の公共施設用地を生み出した後に宅地として利用できる土地面積が小さいものになりまして、宅地の利用増進の効果を大きく期待できないおそれがあることから、五ヘクタール以上ということにしたわけでございます。  また、五〇%以上という特定市街化区域農地の要件につきましては、この制度が三大都市圏におきます土地対策として特定市街化区域農地固定資産税課税適正化とあわせた農地宅地化促進目的とするものでございまして、課税適正化対象にならない土地を主とする区域には適用することが不適当ではないかと考えたものでございます。したがいまして、現行でも相当な優遇措置となっておるものと考えておりますので、この条件につきましては引き続いてまいりたいと考えておりますので御了解をお願いいたしたいと存じます。
  120. 新井彬之

    ○新井委員 第四条の土地所有者等の同意についての要件が土地区画整理組合の設立の際の要件と異なっておりますが、これはどういう理由でございますか。
  121. 松原青美

    ○松原(青)政府委員 この土地所有者等の同意要件が区画整理組合の設立の際の要件と異なっておりますのは二点ございます。  第一点は、要請をいたします区域内の土地につきまして所有権あるいは借地権を有する者の三分の二以上の同意とされているわけでございまして、所有者及び借地権者がそれぞれ三分の二以上の同意という区画整理組合の一般のものと違っておるわけでございます。もう一点は、区域内の特定市街化区域農地の総地積に占める同意者の所有する農地の地積の割合が三分の二以上であるという条件でございます。  第一の違っております点を設けました理由は、この法四条によります要件につきまして、要請の区域内の建築物敷地として利用されている土地が極めて少ないことがそもそもの前提要件でございます。したがいまして、その区域内におきましては一般的に農地が多いということでございますので、借地権者はまず少ないのではないかと考えておりまして、借地権者だけを取り出した要件を決めることは事業の実施を非常に困難にする場合もあるということを考えたわけでございます。また第二の違っている点につきましては、この制度特定市街化区域農地宅地化促進目的といたしておるわけでございますので、区域内の農地面積が五〇%以上であるということが要件とされておりまして、特にこれは農地の所有者の意向を尊重するという趣旨から出たものでございます。
  122. 新井彬之

    ○新井委員 今の第四条の土地の所有者等の同意についての要件は、やはり見直していかなければいけないのじゃないかと思うのです。と言いますのは、まだそういう地域がたくさん残っていれば別でございますけれども、だんだん減ってきているように思いますし、面積にしましても、第四条にしましても、ちょっと大変になってきているのじゃないか。やはり実際に適合するようにしなければいけない、このように思うわけです。  特に市に対して要請する場合に、やはりそれだけの説得をして、それからきちっとした事業計画を出さなければいけないわけですから、そういう方が中にだれもいなかったらとてもできるわけございませんし、まただれか一人が反対すればもうとてもじゃないけれどもそんなことでまとめる気はありませんと言って、法律はありますけれどもなかなか実効が出てこない、このように思いますので、また自治体とよくひとつ御勘案を願いたい、このように思うわけでございます。  それから、法第六条の住宅金融公庫貸し付けの特例により家賃及び分譲価格はどの程度引き下げられているのか、これについてお伺いしたいと思います。
  123. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 法六条の規定の金融公庫の資金の貸し付けの特例でございますが、御承知のとおり、賃貸住宅の金利につきまして年五・五%、十一年目以降七・二%の原則のところを一律年四・五%という非常な優遇をいたしております。また、団地住宅建設に関する金利につきましては、一般が年七・三五%のところを年六・八%、これはそれほどではございませんが優遇措置をとっているわけでございます。  この措置による家賃の軽減効果でございますが、これも一律に申し上げつらい面はございますけれども一定の条件で試算してまいりますと、賃貸住宅の方は家賃月額が六千円ぐらい安くなっているというふうに試算されます。また団地住宅の譲渡価格の方は五万円程度の引き下げではないかというふうに試算されております。
  124. 新井彬之

    ○新井委員 最後に大臣に一つだけお伺いをいたしておきます。  やはり全国もそうでございますけれども、特に三大都市圏は今後の宅地供給というものが非常に困難であろうかと思います。そういう中で、やはり値段もそう上がらなくて良好な宅地というものの開発は、今後の住宅問題にとりまして大きな問題であろうかと思います。建設経済局からも今後の宅地の需給見通し等出ておりますし、今かかっておる法律案もまさに建設省各局が英知を集めて出されている法案でございます。そういう中で、今後この宅地供給に対してどのようにやっていかれるか、その大臣の決意をお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  125. 木部佳昭

    木部国務大臣 建設省といたしましては、これからの宅地供給促進ということは、御指摘のように大変大事な、また二十一世紀に向かっていく基本政策と言っても言い過ぎではないと私は思っておるわけです。そこで、今も御質問がありましたように、市街化区域農地宅地化推進であるとか、また住宅整備公団において宅地開発というものを計画的に進めていく、そういう政策を拡大していくとか、また関連公共施設の整備推進であるとか、都市計画法線引き見直し、そういう問題であるとか、また都市の再開発土地の有効利用の問題、そういうふうな問題等を総合的に推進して宅地供給のために最善の努力を積み、また取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。どうぞ今後とも御指導いただきますよう、よろしくお願いいたします。
  126. 新井彬之

    ○新井委員 終わります。
  127. 保岡興治

  128. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 今までの質問とあるいは重複しているかもしれませんが、まず第一に、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案、略称農住法についてお尋ねをいたしたいと思います。  この制度住宅不足の著しい地域において賃貸住宅供給促進することを目的としておりますが、まず第一には、大都市地域における建設実績はどうか、また法の目的から見て今後の見通しはどのようなものであるか、そこからお尋ねをいたします。
  129. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 お答えを申し上げます。  三大都市圏におきまして制度創設以来五十九年度までに一万四千六百六十八戸の建設実績を上げておりまして、これは全国の七四%に該当いたしております。この制度は全国の地方中核都市を含む主要都市対象とするものでございますけれども、特に大都市地域市街化区域内の住宅事情を勘案すれば、今後ともこちらの大都市地域の方にふえていくという傾向で推移するものではないかというふうに考えております。
  130. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 二番目には、県庁所在都市人口二十五万人以上の市における建設実績はどうだろうか。全然実績のないところもあるやに聞いております。その状況を御説明いただきたい。
  131. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 三大都市圏以外の地域における県庁所在都市あるいは人口二十万人以上の都市につきましては、制度創設以来五十九年度までに合計五千百九十一戸の建設実績を上げでございます。また、今最後にお話がございました建設実績のない県が、北海道を含めまして十一道府県ございます。
  132. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 その建設実績のない県、十一道府県ですか、少ない県は何か特別な理由があるのですか。法律のことを知らないでいるのか、需要がないためか。その理由と、今後どういう措置をしようとしているか、それをお尋ねしたいと思います。
  133. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 この制度の普及につきましては、先ほど来御答弁申し上げますように、農業団体等を通じて積極的に推進をしてきているわけでございまして、前回の改正昭和五十六年度に行いまして以来三カ年におきまして、新たに五県が事業を実施しておるわけでございます。しかし、現在十一道府県が実績ゼロとなっております。  この理由でございますが、これはいろいろのものが考えられます。この制度についてのPRが不足しているとか、そういうことで制度の浸透が不足しているというようなところもあろうかと思いますが、そのほかに、地域によりましては賃貸住宅に対する需要というものが他地域に比べてそれほど強くない、少ないというところもありましょうし、また農地の所有者がこういうアパートとかこういう団地をつくるというようなことについて、そういう形で土地経営を行っていくことをちゅうちょされるといいますか、そういうところもございましょうし、あるいは例えば沖縄であるとか北海道のようにまとまった水田が足りないというようなところもございましょうし、また例えば大阪のように、この制度でなくて別に特賞という制度もございまして、そちらの制度の方を余計利用しているというようなところもございまして、こういういろいろな理由によって利用してないところがあるのではないかというふうに考えております。  現在実績ゼロになっておる県におきましても、農住事業実施につきまして今問い合わせなりやりたいという意向を示してきているところもございます。従前にも増しましてその都道府県農業団体その他の関係者を督励いたしまして積極的に働きかけまして、この制度を今後伸ばしてまいりたいというふうに考えております。
  134. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 次に、家賃についてお尋ねをいたします。  まず第一には、利子補給により家賃はどの程度下がることとなるのか、実際に徴収されている家賃は一体どのくらいか、その間に乖離がないか、そのところをひとつ御説明いただきたいと思います。
  135. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 家賃につきましては、建設費あるいは周辺の家賃水準等によって左右される面がございまして単純に比較することが非常に難しいわけでございますが、一定の条件を設定しまして特に家賃限度額の面で比較してまいりますと、利子補給がない年八%の融資を受けた場合には月約九万五千円ぐらいの家賃になろうかと思います。利子補給が二・五で年五・五%の融資を受けた場合には約八万二千円ぐらいの家賃になるということで、家賃は一四%程度引き下げられるのではないかというふうに考えております。  また、実際徴収されている家賃につきましては、昭和五十八年度に新たに建設されたものについて見てまいりますと、平均家賃限度額は約九万一千円でございますが、実際に徴収している家賃は約五万三千円ということで、家賃限度額の六〇%程度にとどまっております。
  136. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは第三番目として、入居者の所得階層、世帯構成等は、公営住宅、公団賃貸住宅等と比較してどうであるか。また、住宅政策上の位置づけはどうなっておるか。そういう点についてお尋ねをいたします。
  137. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 最初に、住宅政策上の位置づけについてでございますけれども農住制度というのは、都市地域におきまして標準世帯などが入居できる規模を持った良質な賃貸住宅の需要に対応するということを目的にしておりまして、こういう意味では、先生お話しございました公営住宅、公団住宅、公社住宅といった公的賃貸住宅制度とも軌を一にするところがあるわけでございます。  この場合、公営住宅につきましては御承知のように低所得者階層を対象にする、公団賃貸住宅につきましては大都市の中所得階層を一応対象として低廉な賃貸住宅供給する、こういう役割を担っているわけでございますが、この農住制度につきましては、対象階層を限定してどの程度の階層をターゲットにするかというようなことを具体的、限定的に考えているわけではございません。ただ、土地所有者の御協力を得まして、それに公的助成を加えて良質な民間賃貸住宅供給を図ろうというところにねらいがあるわけでございます。  入居者の実態につきましては、すべてをカバーする統一的な調査がございません。  それから、それぞれの住宅供給する地域的な範囲が違うということで一律に比較することは困難でございますけれども、所得階層について見ますと、公営住宅、公団賃貸住宅につきましては、住宅統計調査の結果を見てまいりますと、公営住宅では所得が大体二百万円台、公団、公社賃貸住宅では大体三百万円台の所得が最も多いわけでございますが、農住では、余りたくさん調査をしておりませんけれども、一部の調査によりますと、三百万円程度が最も多いということでございます。
  138. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは最後に、本制度は、市街化区域農地を利用して良好な賃貸住宅供給されるよい制度考えられますが、先ほどもどなたかから質問がありましたように、一団地の面積の二分の一以上または〇・五ヘクタール以上の水田宅地化することにとらわれずに、農地を転用して賃貸住宅を建設する場合を対象とすればさらに促進されるのではないか、こう私も考えるわけですが、重複するかもしれませんが、いま一度方針お尋ねしたいと思います。
  139. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 御指摘の水田要件の撤廃ということについてでございますけれども、今回までに二回にわたりまして要件を緩和して現在の要件にしているわけでございます。また三大都市圏につきましては、先ほど来お話がございますように、あめ法等によりまして要件の撤廃などをしているところでございます。  こういう措置を踏まえて、さらに現実に、現在水田要件に該当する事業実施地区がまだたくさん残っておるということもございます。また、この法律水田宅地化ということを一つのねらいとしてできている法律であるということ、これらの状況にかんがみまして、当面現行制度で対処してまいりたいと考えております。
  140. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 意見が多いわけですから、将来はぜひその方向でひとつ御検討いただくようにお願いをいたしたいと思います。  それでは次に特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。  この法案延長の理由についてお尋ねしたいわけですが、特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法、以下宅地化促進法と申し上げますが、これは昭和四十八年に三大都市圏特定の市の市街化区域に所在する農地に対していわゆる宅地並み課税を行うに際し、これとあわせてその宅地化促進するために制定されたものであります。しかし同法律は、過去三回にわたり期限延長が図られた経過がありますが、今回この法律をさらに延長しようとする理由は一体何であろうか。
  141. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 三大都市圏におきます宅地需要は依然として根強いものがあるわけでございまして、一方、本法の対象となる特定市街化区域農地の地積は約四万ヘクタールに及んでいるわけでございます。こういった状況にかんがみますと、いわゆる宅地並み課税とあわせて、引き続き本法に基づく措置を適用して、特定市街化区域農地宅地化促進する必要があると考えた次第でございます。
  142. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 国税庁に質問したいわけですが、国税庁が去る一月二十二日に、ことしの相続税、贈与税の課税基準となる四十七都道府県庁所在地の最高路線価を発表したが、全国平均の引き上げ率は七・五%であって、三年連続一けた台に落ちついております。しかし、東京と大阪が五十年以降では最高の二〇%を超す上昇率を示したほか、大都市では軒並みに急上昇をしておりますが、公示価格との関連においてこの動向をどのように見ておるか、国税庁それから国土庁にお尋ねをします。
  143. 保岡興治

    保岡委員長 小沢先生、大蔵省の主税局でいいですか。(小沢(貞)委員「国税庁は呼んではいなかったのですか」と呼ぶ)ええ。主税局でいいですね。  国土庁鎌田地価調査課長
  144. 鎌田精一郎

    ○鎌田説明員 お答え申し上げます。  地価公示から見た最近の地価動向ということでございますが、ちょっと古いわけでございますが、五十九年の地価公示でこの動向を見てみますと、変動率は全国平均で三・〇%ということになっております。現在、六十年地価公示を作業中でございますけれども、この傾向は当分続くのではないかというふうに私どもは見ております。  ただ、こういった中で、大都市の中心部におきます高度商業地におきましてかなりの地価上昇が見られます。例えば東京の都心部の高度商業地を見てみますと、平均の上昇率は二二・〇%のアップということになっておりまして、最高の上昇率は二九・五%ということでございます。また大阪の中心部について見てみますと、平均は七・五%のアップでございますが、最高の地点は一四・六%のアップということになっております。  この背景とかあるいは要因でございますが、やはり大都市の中心部の非常に限られた商業地につきまして、しかも容積率が極めて高いなどのビル用地として有効利用が可能な土地に限られております。それで、これらの土地に対するビル用地としての需要が強まったことがその原因ではないかというふうに私ども考えているわけでございます。
  145. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは質問通告にないわけでだれからでも結構ですが、国税庁の最高路線価というものは何とか税金をたんと取りたいためにやっているのか、国土庁はなるべく価格を抑えるという目標のために公示価格をどうもやっているんじゃないか、こう思うのだが、その間にそういう違いはないでしょうかね。これはだれからでも結構です。
  146. 鎌田精一郎

    ○鎌田説明員 私どもの地価公示についてでございますが、御承知のとおり鑑定評価基準というものがございまして、取引事例に着目した取引事例比較法とか、それからその土地を造成するためにどれだけかかるかという原価法、それからもう一つは、その土地から上がります収益が幾らであるかという収益還元法、こういう三つの方式を中心に私ども土地評価をする場合に使っていくという方針でございまして、これをもとにいたしまして正常価格といいますか、売り手にも買い手にも偏らない土地の客観的な経済価値を数字にあらわす、正常価格というふうに申しておりますが、正常価格を出すことに私どもは努めております。  いろいろ御指摘があるかもしれませんが、私どもは正常価格を出すことに努めているわけでございまして、一般の市場価格と乖離があるのではないかという御指摘も頭にありますけれども、最近は極めて接近したものになっているのではないかというふうに考えております。
  147. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、次に進みます。  宅地化促進法による要請土地区画整理事業と住宅金融公庫の資金の貸し付けの特例による土地担保分譲住宅の貸し付け契約の実績は、期待された効果を上げていないようであります。その理由は何であるか、これは今後は見通しはどうだろうか、お尋ねをしたいと思います。
  148. 梶原拓

    梶原政府委員 要請土地区画整理事業の施行実績でございますが、御指摘のとおり、現在まで実績は一件ではございます。しかしながら、この制度対象地域におきまして、昭和四十八年度以降、件数で五百六十一件、面積で約二万一千ヘクタールの土地区画整理事業が行われてきたわけでございます。このうち地方公共団体施行が百九件、面積で五千四百ヘクタールに達しておるわけでございます。最近の例で申し上げますと、例えば五十八年度地方公共団体施行事業について新たに認可いたしましたのは一年で六百五十六・八ヘクタールに上っております。  この制度対象地域につきましては、農地の所有者がみずから組合施行事業を行うというのが通例ではございますが、同時に地元の意向を受けまして公共団体が施行するということも先ほど申し上げましたように大変多いわけでございます。その背景といたしましては、この要請という制度があるということが、農地所有者サイドあるいは公共団体サイド、いずれにとりましても公共団体施行を行うというインセンティブに強くそういう点が働いているのじゃないかというふうに推察しておる次第でございます。  したがいまして、今後ともこの要請土地区画整理事業の制度趣旨の徹底を図りながら、この制度の活用あるいは実際上はこれに代替する公共団体施行等の事業促進するということに努めてまいりたいと考えております。
  149. 吉沢奎介

    吉沢政府委員 住宅金融公庫の方でございますが、この資金の貸し付けの特例による分譲住宅の実績が上がっておりません。これは理由は余りはっきりいたしませんけれども、察するところ、要するに農地所有者がこういう分譲住宅をつくるといいますと土地ごと手放さなくてはいけなくなるわけでございます。その土地を手放したがらないというところに原因があるのじゃないかというふうに考えております。今後こういう制度の周知を図って、こういう面でも実績を上げてまいりたいというふうに考えております。
  150. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 市街化区域農地宅地化促進を図る事業として、宅地化促進法以外にも、例えば大都市地域における住宅地等の供給促進に関する特別措置法がありますが、同法による特定土地区画整理事業等の施行状況はどのようになっておるか。  それからまた、生産緑地法及び農住組合法における施行の現況、言うならば生産緑地面積の推移、農住組合設立件数及び一件平均面積あるいは総面積等々はどのようになっておるか、住宅局、建設省、国土庁それぞれお尋ねしたいと思います。
  151. 梶原拓

    梶原政府委員 まず特定土地区画整理事業の施行状況でございますが、住宅都市整備公団の事業地区を含めまして、昭和五十九年度末の数字でございますが、奈良県の三郷町立野地区等三十一地区、約千三十ヘクタールが完了いたしております。六十年度では神戸市の池十地区等、継続七十六地区、約五千八百六十ヘクタールを施行いたしまして、新たに六地区、約三百二十ヘクタールに着手する予定でございます、ちなみに五十六年から六十年の見込み、この五カ年の平均をいたしますと、約五百七十ヘクタールというものが新たに補助採択をされているという現状でございます。  それから次に、生産緑地法による生産緑地面積の推移でございますが、昭和五十年度末で三百七十ヘクタール、地区数で五百九十二地区でございまして、五十五年度末で五百五十ヘクタール、千五十四地区ということでございまして、昭和五十八年度末現在で六百三十ヘクタール、千三百五地区ということで、微増というような状況でございますが、線引き制度の弾力的運用と申しますか、逆線引き等をいたしまして、きめ細かな制度運用をしている。それから、あめ法による宅地化の優遇とかいろいろな要素が働きまして、微増という状況で今日まで来ているということでございます。
  152. 斉藤衛

    ○斉藤説明員 農住組合法におきます施行の現況でございますが、農住組合は現在までに五組合設立されております。埼玉県の上尾市あるいは大阪府の箕面市等々でございます。そのほか、今他の地区におきまして設立の手続が準備中というような状況でございます。したがいまして、総面積で見てまいりますと二十二・二ヘクタール、こういう状況でございます。
  153. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 次は、大蔵省に税制のことでお尋ねします。  この国会に提案されておる租税特別措置法の改正案によると、長期譲渡所得課税の特例控除後の譲渡益、四千万円以下の部分については一五%を二〇%に、四千万円超の部分については二〇%を二五%の税率に改める。この理由はどういうところにあるか、単なる増税だけが目的なのか、その辺をお尋ねをします。
  154. 濱本英輔

    ○濱本説明員 お答え申し上げます。  かつて、昭和五十七年でございましたか、長期安定的な土地税制を確保するという見地から、例えば長期、短期の区分を十年で区分するといったような改正措置が講じられました折に、あわせて長期の譲渡所得につきましては、それまで特別控除後の譲渡所得額が八千万円を超えます部分につきましてはその四分の三を他の所得と合わせて総合課税するというルールになっておりましたものを、二分の一に軽減するといった措置がとられました。その際に、あわせましてこの特定市街化区域農地課税の特例につきましても、これを廃止すべきではないかという議論が行われたと記憶いたしております。ただ、その際は宅地並み課税という懸案の問題が新しい解決を見た年でございまして、そういったことにもかんがみまして、これを三年間に限って延長しようということであったと思います。法制上も三年間という期限をつけまして存置されたわけでございます。  その三年が到来するわけでございまして、そういった経緯から申しますと、今回これは当然に廃止されてよいということになろうかと思うのでございますけれども、あわせまして、現在民間活力の活用といったような問題もまた新しく提起されておることでもございまして、そういったことも勘案しまして、これを特にさらに三年間だけ存続するということにさせていただいてはいかがかと考えたわけでございます。ただその場合、税率につきましては、優良住宅地の造成のための特例措置がございますけれども、この場合と同様の水準に合わせることが適当ではないかと考えたわけでございますが、これは政府の税制調査会などにおきましても、土地税制につきましては、これが複雑に過ぎるとか、あるいは課税ベースを非常に大幅に浸食をしているのではないかといったような問題提起もございまして、整理合理化の方向が示唆されております。そういった方向にも沿った措置というふうに考えております。
  155. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 最後に、自治省にお尋ねをいたします。  この国会に提案されている地方税法の改正案における本特例による固定資産税は、新築後十五年に限り賃貸住宅住宅部分に係る固定資産税の三分の二に相当する額を減額することとしているが、これを新築後十年に改める。これもまた単なる増税策ではないか、こう思われるわけですが、自治省どうでしょう。
  156. 鶴岡啓一

    鶴岡説明員 従来から特定市街化区域農地を転用して新築されました貸し家住宅につきましては、一般の新築住宅以上の減額制度をとってきております。これもいわば優遇税制の一つでございまして、その時点、時点で見直しの検討の対象に挙げてきているわけでございます。今回これを十五年から十年にいたしましたのは、通常の中高層の耐火建築物が、制度創設以来いろいろな経緯がありましたが、最近は五年間二分の一ということになっておりまして、その一般の中高層耐火建築物の新築住宅に係る減額期間に比べて、そちらの優遇措置の十五年というのは余りに長期過ぎるのではないかということで、そういう意味で今回十年に是正といいますか縮減をさせていただきたいというように考えております。
  157. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 審議に協力して、これで終わります。
  158. 保岡興治

  159. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は、主として特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法、つまりあめ法について質問をいたします。  都市緑地保全法という法律がありますね。この法律が必要になった理由について、まず改めて聞きたい。——時間の関係もありますから、この法律がつくられた理由、法律自体にうたっていると思うのですよ。第二条で「都市における緑地が住民の健康で文化的な生活に欠くことのできないもの」と明確に規定していますね。この確認が一つと、「都市の住民は、都市における緑地が適正に確保されるよう自ら努め」なければならない、こういうふうにも規定していますね。間違いありませんね。
  160. 梶原拓

    梶原政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  161. 瀬崎博義

    瀬崎委員 都市の緑地の持つ意義をまず明確にしておきたいから、改めて私はその部分を確認してもらったわけです。  この都市緑地保全法は昭和四十八年に制定されているのですが、それに加えて翌四十九年には今度は生産緑地法が制定されるわけですね。それはどういう理由によったんですか。
  162. 梶原拓

    梶原政府委員 御案内のとおり、市街化区域内の農地につきまして、線引き趣旨から申しますと宅地化促進を図るべきでございますが、片やその中での営農の継続といったような意向をお持ちの農民もございまして、そういった点との兼ね合いを図りつつ、都市の中の緑地も保全する、こういう趣旨制度が設けられたというふうに思っております。
  163. 瀬崎博義

    瀬崎委員 四十九年三月二十七日の当委員会で生産緑地法の提案理由説明が行われているのですが、そこにはもっとはっきりと「都市化の進展に伴う緑地の急速な減少により、都市地域における生活環境は悪化する傾向にあります。このような事態に対処するため、」「広く民有緑地についても積極的に活用することがとりわけ市街化区域内においては必要不可欠となっております。」こう述べた上で、そのための都市計画上の施策として生産緑地地区の制度を創設する必要が生まれたんだ、こう言っているんではないのですか、つまり、この都市緑地というのは都市住民が生活していく上で不可欠な貴重な存在なんだ、このことが強調されているんじゃないですか。
  164. 梶原拓

    梶原政府委員 都市緑地の重要性につきましては、御指摘のとおりでございます。
  165. 瀬崎博義

    瀬崎委員 結局つまるところ、都市に残されている緑地というのは、それが樹木の生育地であれ、草地であれ、あるいは神社仏閣の庭園であれ、農地であれ、都市住民の生活に不可欠の貴重な存在なんだ、それは今認められたところですね。したがって、その保全のためには、国、地方自治体はもちろんのこと、住民自身も最大限の努力を払わなければいけないんだよ、これがやはりこの二つの法案趣旨として貫かれていると思うのです。  そこで大臣に伺いたいのですが、そうだとすれば、都市における農地というのは、国民食糧供給する農業生産の役割と、それからもう一つ都市住民に不可欠の緑地の役割と、この二つをあわせ持つ都市に残っている緑地としてはとりわけ貴重な存在、こういうことを十分念頭に置いていろいろな施策を考えなければいけないのじゃないですか、大臣。
  166. 木部佳昭

    木部国務大臣 私はこの間もある人と話したのですが、一年じゅうで一番日本が緑の潤ってきれいな季節はいつだろうか、私は、田植えが済んだ後だと言った。そのくらいこの市街化区域との関係というものは今御指摘のあったような二つの重要な意味がある、そういうふうに、私当時建設大臣じゃなかったですけれども法案の審議で我々もいろいろ議論しました。そういう中にあって、やはり先生の御指摘のようなことが一番大事な骨子である、そういうふうに理解いたしております。
  167. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういう大臣の答弁は大変結構だと思います。  さらに、四十九年四月五日の生産緑地法が審議された本委員会で、当時の亀岡建設大臣はこう言っているのですよ。「市街化地域農業を経営する農家と、また優良農地農業をする農家と、農業をやる面においてはこれは変わりはないわけでありますから、やはり農業者の立場を尊重していくということも無視できないわけであります。」あるいはまた「農業振興地域農業を営む農民も、市街化地域において、生産緑地というように名前は変わりますけれども、その中で農業生産をやる農民も、農民としての同じ待遇を受けるということはもちろんでございます。」こう答えた上で、生産緑地法というのは、都市計画、都市づくりというものと農村の環境整備、営農という面との結び目なんだ、こういう発言なんですよ。ただいまの木部建設大臣の発言、かつての亀岡建設大臣の発言、あわせ考えるならば、少なくとも政府としては市街化地域における農業を大事にする、いささかも厄介者扱いにしたりあるいは都市から農業を追い出そう、こういうことになってはいかぬ、こう思うのですが、重ねて大臣、伺っておきたいと思います。
  168. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 先ほど大臣から答弁がありましたように、市街化区域内におきます農地の持つ機能というものが、食糧の面あるいはオープンスペース、都市景観、都市防災等の見地から必要であるということはそのとおりであります。(瀬崎委員「だから農業を守る姿勢が要るんじゃないかと聞いているのだ」と呼ぶ)一方で市街化区域というのは、十年以内に都市化を図るという区域でもあるわけでございまして、そういった都市的機能とを調整を図りつつ、その中で一定目的のもとでの農地の保全ということも意味があるものと考えます。
  169. 瀬崎博義

    瀬崎委員 農地の保全が大事だと思ったら、やはりそこで農業がやっていけるようにしなければ農地の保全にならないわけですよ、ずっと大臣の方が認識上だね。  ところが、ではその生産緑地法によって今日生産緑地に指定されている箇所、面積は全国で幾らありますか。
  170. 梶原拓

    梶原政府委員 お答えいたします。  生産緑地の推移でございますが、昭和五十年度で、一種、二種込みでございますが、二十八都市、地区数で五百九十二、面積で三百六十九・六ヘクタールでございます。その後、五十五年度でございますが、四十二都市で千五十四地区、五百五十・二ヘクタールということでございます。最近では五十八年度の数字がございますが、四十四都市、千三百五地区、六百三十・二ヘクタールというような状況でございます。
  171. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もちろんそれは全部が全部特定市街化区域内のものではないと思うのですね。それと比べて、宅地並み課税対象農地面積は一体どれだけあるか、これは既に先ほど来答弁が出ておりますように、五十八年一月一日現在では四万九百二十六ヘクタール、約四万一千ヘクタールですね。これに比べても極めて生産緑地というものが少ないということがまず言えると思うのです。  と同時に、いわゆる宅地並み課税対象農地面積を五十七年一月一日現在と比較してみると、千六百四十ヘクタール減っているのです。まず間違いないと思います。そのうち、十年間の長期営農意思確認で宅地並み課税が猶予されている農地を除いた場合、つまり実際に宅地並み課税がかけられている農地の変化は一体どうなっているか。五十七年一月一日現在で七千二十四ヘクタールだったものが五十八年一月一日現在五千九百十六ヘクタール、ここでも千百八ヘクタール減っている。約一五・八%一年間で減っているということではないでしょうか。
  172. 鶴岡啓一

    鶴岡説明員 昭和五十七年度に、新たに宅地並み課税制度が変わりました年度でございますが、この年の三大都市圏におきます特定市街化区域農地は四万二千五百六十六ヘクタールでございます。それが、昭和五十八年度は四万九百二十六ヘクタールということでございまして、特定市街化区域農地全体としますと、一年間での減少は千六百四十ヘクタールでございます。これは既適用と新たに五十七年から新規に適用を受けましたのと合わせた数字でございます。(瀬崎委員「時間がないから、私が言った数字が正しければ正しいと言ってください。それでは、今度は宅地並み課税をかけられている方」と呼ぶ)
  173. 保岡興治

    保岡委員長 ちょっと瀬崎君、発言を求めて。  鶴岡課長
  174. 鶴岡啓一

    鶴岡説明員 宅地並み課税課税されております農地は、五十七年度が七千二百三ヘクタール、五十八年度五千九百十三ヘクタールで、差し引きまして千二百九十ヘクタール減少しております。
  175. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私が言った数字よりやや減少が大きいですね。今課長説明したように、五十七年には新たにC農地対象に加わっているわけです。したがって、宅地並み課税対象農地の四分の三以上はC農地になっているわけです。ただし五十七年度は経過措置が適用されて、宅地並み課税の二割しか実際には課税されない、こういう状況のもとでも、今話があったように一年間で約千二百ヘクタール余りが減っている、つまり農業をやめている、こういうことですね。これは宅地並み課税農業の継続にとっていかに重荷になっているか、このことの一つの指標だと私は思うのです。  そこで、宅地並み課税対象農地の平均的な評価額は三・三平米当たりまたは一平米当たり幾らになっていますか。
  176. 鶴岡啓一

    鶴岡説明員 宅地並み課税が実施されております関係の評価額でございますが、既適用と新適用と分けて申し上げますと……(瀬崎委員「平均でいいです」と呼ぶ)平均は三・三平米当たり昭和五十八年度で四万六千八百三十五円でございます。
  177. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もしその評価額に対して、非適用がありますけれども、まともに課税された場合の十アール当たりの税額そのものは機械的に計算すればどういうことになりますか。
  178. 鶴岡啓一

    鶴岡説明員 今の三・三平米当たり四万六千八百三十五円のものにつきまして、千平方メートルで標準税率の百分の一・四を掛けまして二分の一しますと、約九万八千円程度になると思います。
  179. 瀬崎博義

    瀬崎委員 全国平均においてさえ約十万ぐらいのところへ出てくるのですね。  東京二十三区の場合はどうですか、そちらでわかりますか。わかれば宅地並み課税対象農地の平均評価額並びに十アール当たりの税額、答えていただくといいのですが。
  180. 鶴岡啓一

    鶴岡説明員 申しわけございませんが、東京圏だけは持ってきておりませんので、後ほど資料でお答えさせていただきます。
  181. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私どもが東京都に聞いたところですから、若干の食い違いが出るかもしれませんが、平均評価額は一平米につき三万七千五百四十八円。したがって、まともにこれに宅地並み課税が行われたとした場合の十アール当たりの税額は約二十六万円程度になるわけですね。  そこで五十八年度の農家所得ですが、十アール当たりに直して幾らか、わかりますか。
  182. 鶴岡啓一

    鶴岡説明員 申しわけございませんが、農家所得に関します資料をお持ちしておりませんので……。
  183. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これはいろいろなとり方があると思うのですが、私は、とりあえず政府の答弁がなかったときのことを想定して農林統計で一応調べているのです。だから、あくまで農林統計によればという前提ですが、五十八年度の場合は農家一戸平均の農業所得が九十八万九千六百円と出ております。そして一戸当たりの平均経営耕地面積が百二十二・四アールとなっておりますから、十アール当たりに直すと八万八百五十円ということになるわけですね。そうなりますと、どうでしょうか、先ほど言われた宅地並み課税額の全国平均で約十万円、東京二十三区をとれば二十六万円。はるかに農業所得を宅地並み課税は上回る、こういう状況になっているのではないかと思うのですね。  こういうことで、これは大臣に聞きたいのだけれども、つまり宅地並み課税額が農業所得をはるかに上回る、こういう状況のもとで、先ほど言われた都市の貴重な緑地である農地が守っていけるだろうか。どうお考えになりますか。
  184. 鶴岡啓一

    鶴岡説明員 若干固定資産税の関係につきまして現状を御説明させていただきたいと思います。  まず第一点は、私ども都市緑地の保全なりそういうものの重要性というものは税制としても考えていかなくちゃいけないということで、先ほどお話がありました生産緑地等につきましては固定資産税上は宅地並み課税の適用除外としているわけでございまして、私ども考え方としますと、やはり都市計画上きちっとしたそういうゾーニングをやっていただきたい。やったものにつきましては、固定資産税上もそういうきちっとした配慮をしているつもりでございます。  それから宅地並み課税につきましては、四万一千ヘクタールほどのうちの八五%は長期営農継続農地でございまして、この長期営農継続農地税負担というのは、現在評価額三万円未満の市街化区域農地の場合で言いますと、これはもともと適用が除外になっているケースでございますが、その場合がいわば三・三平米当たりで税額は八円程度でございます。したがいまして、この三大都市圏内で農地を営んでいる人の相当部分というのは長期営農継続農地の適用を受けているわけでございまして、その人たち税負担というものは農業と十分調和のとれた税負担でとどまっていると思っております。  それからなお、長期営農継続農地認定そのものは五十七年から実施してきておりますが、現地におきましては農業サイドの方々も入りました審議会をつくりまして、申請のあったものにつきましてほとんどのケースは長期営農継続農地認定をしておりまして、やはり宅地並み課税課税されている人たちは、土地の所有者の意識として将来とも農業を継続していくという意識が少ないものが結果的に宅地並み課税になっているのではないかというように考えておりまして、税制としては農業なり都市における緑地の保全と、それから他方で宅地供給に対する要請なり税負担の均衡をとるという面で最大限の配慮をしているつもりでございます。
  185. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういうことは私どもも百も承知なんですよ。しかし、今あなたの言われた長期営農意思を持っている人の猶予制度というものも、五年間営農が継続されたことが確認されて初めて猶予額が免除になるわけでしょう。今日の状況のもとでは、たとえ本人に長期営農意思があっても、客観的な条件から営農ができなくなる場合だってありますよ。周辺環境が変わってくる、あるいは価格が保証されない、あるいは後継者がいなくなる、そういうことで例えば五年未満の状態で途中で営農をやめたらどうなるのですか。その時点からの宅地並み課税じゃなしに、さかのぼって宅地並み課税が課せられるし、おまけにそれには延滞金等も全部ついてくるんじゃないですか。
  186. 鶴岡啓一

    鶴岡説明員 長期営農継続農地につきましては、十年営農意思を持っているということを前提に五年間農業を継続した場合に、徴収猶予してきました五年分の税額を免除するということにしております。この五年の間に例えば農業を営んでいた人がお亡くなりになりまして後の人がやらないというような場合、あるいは災害等で農業の継続が困難になった場合、あるいは国や地方公共団体に公共用地として提供した場合、あるいは優良な宅地造成のための用地として提供した場合、さらには土地収用法等の適用を受けて収用した場合、そういうような我々から考えましてやむを得ないと考えられる場合には、免除土地制度そのものは取り消ししますが、その間に猶予されていた徴収税額は課税しないという取り扱いをしております。  ちなみに、昭和五十八年中に件数にしますと約二万二千六百件ほどの認定が取り消されておりまして、それの徴収猶予された税額は約三十八億ございますが、今言ったような規定で三十億は税額を徴収しておりませんで、その点の配慮もいたしておるところでございます。
  187. 瀬崎博義

    瀬崎委員 しかし、今言われた数字からいっても約八億は結局さかのぼって宅地並み課税対象になったということなんですよ。だから、こういう対象農地宅地並み課税が振りかかってくるという重荷を常に背負いながら辛うじて農業をやっていくという形になるので、これは決して本当に積極的に都市農業を守っている状況とは言えませんよ。その上に、今度固定資産税の評価がえを持ってくるわけでしょう。これも既に出ておりますように、基準地の平均で宅地の場合一九・九%、約二〇%上げようという。これはあくまで平均での話ですけれども、全国的に見れば、宅地並み課税額現在十アール当たりで約十万円のものが約十二万円に上がってくる。東京の場合で考えるならば、現在約二十六万のものが約三十一万に上がってくる。これは大変な問題だと思いますね。  しかも、その間の農業所得が国の農業政策が適切であって伸びていく可能性があるなら私もそう心配しませんけれども、これはそういう可能性が現在非常に少ないわけでしょう。農林統計の数字では、十アール当たり農業所得が昭和五十年が十万一千三百二十六円、この十万円台は昭和五十三年まで続きます。ところが昭和五十四年は九万六千七百九十六円、十万円を割ってくる。さらに昭和五十八年は八万八百五十円、八万円台に落ちてきているわけです。  片一方で評価額は二〇%も上げていく、いろいろな経過措置はあるにせよ税金は二〇%上がっていく。片一方で農業所得はこういうように下がっていく。これは緑地として都市農地は本当に大事だと言いながら実際には農業がやりにくく、やりにくくなっていくということのれっきとした証明と言わざるを得ないと思うのです。  そこで農水省に伺っておきたいのだけれども、この前の生産緑地法の審議のときに当時の杉田構造改善局次長は「生産緑地につきましては、」「生鮮食料等の生産基地としての機能を十分持っていけるような手当てもすべきである」「重要な農業生産上の場として農政の中に位置づけをしてまいるべきである」「そのための施策というものも、農林行政の中でとっていくというふうにすべきであると考えておる」と答えているわけです。  さて、それ以後、特別に法律制度として市街化地域農業を守るためにとった施策があればお答えいただきたい。
  188. 湊清和

    湊説明員 市街化区域農地だけを対象に特別の法律をつくったりということはいたしておりませんけれども、各種農業施策の中で市街化区域の性格から見てその投資の効用が長期に及ぶといったものを除きまして、例えば野菜の生産、出荷とか防災対策あるいは稲作の転作に伴います必要な措置といったものについては、それに必要な助成等を行っております。
  189. 瀬崎博義

    瀬崎委員 最後に、大臣に伺っておきたいと思うのです。  まず第一に、都市の緑地として大事な農地を保全していこうと思ったら、展望を持って、都市でも農業をやれるようにしなければならぬ。でなければ結果的には農地は手放さざるを得なくなるわけです。ところが今お聞きのように、農水省としてはこういう特殊な都市農業について特別な対策は立てていないということでしょう。  第二に、それじゃ純粋に都市緑地として残していく上で何か特別な援助を講じているか。生産緑地法はありますけれども、これは要は宅地並み課税対象外になるというだけのことで、そのかわりにまたいろいろな農地の所有者に対する制約が加わるために、これも六百三十ヘクタールほどとなかなか少ないのです。もっと役立つような内容にすればいいのだけれども、これも別段改善もしないでほったらかしでしょう。  それから第三に、それじゃ宅地化した場合の優遇策、つまりあめにしたって、先ほど来言われておりますようにほとんど利用されていないという、死文化した条項がほとんどなんです。それをそのまま無責任にまた延長しようというだけでしょう。  そして、効果を上げているのは一体何だということになれば、悪い方にでありますけれども宅地並み課税、結局むちの方だけが効果を上げているわけです。しかも、そのむちについては今回評価がえをして二〇%ほど上げる。それから猶予制度があるというものの、この猶予制度も五年未満で農業をやめた場合には適用されない、結局さかのぼって宅地並み課税が課せられるという罰則があり、延滞金も取られる。そして今回は地方税法の改悪も行われて、さらに税の軽減措置は縮小されるわけです。結局むちの強化ということだけが前面に出てきておるのではないだろうかと思うのです。そして、肝心の農家の所得は十万円だったものが九万円台になり八万円台に落ちてきている。これは政府として現実をよく見て対処してもらうべきだと思います。  したがって、本来は逆じゃないといけないのではないか。都市部においても営農継続ができていけるようないろいろな助成をまず政府は考えるべきだ。これが第一点。  第二点は、緑地として自分の土地を残していこうという場合には、それができるようないろいろな援助を国が講ずる、そして宅地並み課税については本来全面的に廃止すべきだ、我々はこう考えているのです。現在千平米以上でないと宅地並み課税の猶予制度対象になっていませんが、せめて千平米以下の農地も猶予制度対象になるぐらいの緩和は考えてしかるべきではないかと思うのです。  大臣の答弁を求めて終わりたいと思います。
  190. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 大都市圏におきましての宅地に対する需要というものは一方で非常に根強いものがあるわけでございまして、それに対して必要な宅地供給ということも図らなければならぬ。また先ほど申し上げましたように、市街化区域というのは基本的には十年以内に優先的に市街化を図るべき区域というふうに位置づけられておるわけでございます。ただ一方で、必要な位置づけをされた農地というものは、生産緑地制度なり、あるいはまた宅地並み課税の中でも、先ほど自治省の課長からお話がありましたように営農農地の十年間を認めるというような措置をしておるわけでございまして、先生が今おっしゃったようなことにつきましては、両面からの調整をとった措置としてこういった制度があるものと考えておるところでございます。
  191. 保岡興治

    保岡委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  192. 保岡興治

    保岡委員長 これより農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  193. 保岡興治

    保岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  194. 保岡興治

    保岡委員長 次に、特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。瀬崎博義君。
  195. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  宅地化促進臨時措置法は、大都市とその周辺地域から農業を追い出し、農民に土地を吐き出させることをねらいとした農地宅地並み課税制度と表裏一体の関係にあるものであり、宅地並み課税を強行するための手段として設けられたという性格の強いものであります。  大都市とその周辺の農地は、都市住民に対する新鮮な野菜の供給基地であり、また生活環境を守り、都市災害を防止する上でも、貴重なオープンスペースであります。この貴重な農地は、都市化の進行のもとで失われつつあり、むしろその保全のための施策こそが必要であります。  ところが政府は、農業所得をも上回る理不尽な課税を行い、さらに、固定資産税課税評価額の平均二割アップによって、既に宅地並み課税が課されている農地の税金をさらに重いものにするとともに、新たに宅地並み課税対象農地を拡大しようとさえしています。しかも政府は、都市住民への住宅供給促進を理由にこのような措置を強行しながら、その結果どれだけの住宅が実際に供給されたかという調査も十分にはしていないのであります。農家に過酷な負担を負わせ、貴重な大都市近郊農地を破壊し、その効果も定かでないような宅地並み課税と表裏一体をなす本法の延長には、賛成できません。これが反対の第一の理由です。  反対理由の第二は、本法が、宅地並み課税を受けている農民の大多数にとって役立つものではないということです。  要請土地区画整理事業は、面積要件の緩和後も一件も申請がなく、特定分譲住宅に係る住宅金融公庫貸し付けの特例は、制度創設以来、実績はゼロであります。賃貸住宅貸し付けも、ピークであった五十一年に比べると、対象農地が三・四倍にも拡大されている中で、特例融資を利用する割合は減少しているのであります。このような状況のもとで、従来の制度をそのまま三年間延長するという無責任な改正案には賛成できません。  住宅供給のために政府がやらなければならないことは、大企業が保有する未利用地を吐き出させ、また住宅都市整備公団等の未利用地の有効な活国策を推進するとともに、公団住宅など優良な住宅の大量建設を進めることです。一方では住宅対策予算を削減しながら、都市住民の住宅難の責任を都市近郊農民にしわ寄せすることは本末転倒と言わなければなりません。  以上、反対理由を述べて、討論を終わります。
  196. 保岡興治

    保岡委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  197. 保岡興治

    保岡委員長 これより採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  198. 保岡興治

    保岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 保岡興治

    保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  200. 保岡興治

    保岡委員長 次に、内閣提出道路整備緊急措置法及び道路整備特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。木部建設大臣。     —————————————  道路整備緊急措置法及び道路整備特別会計法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  201. 木部佳昭

    木部国務大臣 ただいま議題となりました道路整備緊急措置法及び道路整備特別会計法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  道路整備につきましては、昭和五十八年度を初年度とする第九次道路整備五カ年計画に基づきその推進を図っているところでありますが、同計画のこれまでの達成状況を見ますと、本法案目的としております地方道路の整備を含む一般道路事業の進捗に特におくれが見られるところであります。  このような状況にかんがみ、道路整備五カ年計画の整合のとれた推進を図るため、新たに地方公共団体に対し、一定の地方道路の整備に要する費用につき、地方道路整備臨時交付金を交付することとし、このため、道路整備緊急措置法及び道路整備特別会計法について所要の改正を行おうとするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、新たに地方公共団体に対し、昭和六十年度以降三カ年間、毎年度、都道府県道、市町村道の整備に関する事業で、二足の地域において一体的に行われるものに要する経費の財源に充てるため、地方道路整備臨時交付金を交付することといたしております。  第二に、これに伴い、この交付金の交付に要する費用の財源に充てるため、揮発油税の収入の一部を道路整備特別会計の歳入に組み入れることといたしております。  その他、これらに関連いたしまして関係規定の整備を行うことといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  202. 保岡興治

    保岡委員長 以上で趣旨説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、来る二十七日水曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時九分散会