○
安井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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通商産業省所管昭和五十七
年度歳入歳出決算概要説明について
昭和五十七
年度通商産業省所管の
歳入歳出決算につきまして、その
概要を御
説明申し上げます。
まず、
一般会計歳入歳出決算につきまして、御
説明いたします。
通商産業省主管の
歳入につきましては、
歳入予算額は五十八億二千四百九十七万円余であります。
これに対しまして、
収納済歳入額は百四十二億七千五百三十八万円余でありまして、これを
歳入予算額と比較いたしますと、八十四億五千四十一万円余の
増加となっております。
これは、
補助事業に係る財産の
処分収入が予定より多かったこと等の理由によるものであります。
次に、
通商産業省所管の
歳出につきましては、当初
予算額は七千九百十一億六千九百五十五万円余でありますが、
予算補正追加額七千五百六十四万円余、
予算補正修正減少額百十一億七千六百十六万円余、
総理府等他
省庁所管から
移し替えを受けた額百六億二千九百十三万円余、前
年度からの
繰越額六十三億四千百一万円余の増減がありましたので、
歳出予算現額は七千九百七十億三千九百十八万円余となっております。
これに対しまして、
支出済歳出額は七千八百八億五千八百三十四万円余でありまして、その主なものといたしまして、
エネルギー対策費三千九百五十六億二千百九十一万円余、
中小企業対策費一千七百十四億六千八十三万円余、
科学技術振興費六百五十億七百五万円余、
公共事業費百九十六億九千七百六十三万円余、
経済協力費百三十二億六千七百八十五万円余等となっております。
この
支出済歳出額と
歳出予算現額との差額は百六十一億八千八十四万円余となっております。その差額のうち、翌
年度へ繰り越しました額は八十三億七千二百六十九万円余でありまして、不用となりました額は七十八億八百十四万円余となっております。
次に、
通商産業省所管の各
特別会計の
決算について御
説明いたします。
第一に、
電源開発促進対策特別会計であります。まず、
電源立地勘定であります。
収納済歳入額は九百四十一億一千四百九万円余、
支出済歳出額は六百二十億九千四百五十一万円余であります。
収納済歳入額と
支出済歳出額との差額は三百二十億一千九百五十七万円余でありまして、翌
年度へ繰り越しました額は百九十四億一千三百八十一万円余、
剰余金は百二十六億五百七十六万円余となっております。
次に、
電源多様化勘定であります。
収納済歳入額は一千四百五億六千七百四十五万円余、
支出済歳出額は九百七十六億三千百十五万円余であります。
収納済歳入額と
支出済歳出額との差額は四百二十九億三千六百二十九万円余でありまして、翌
年度へ繰り越しました額は三百四十二億一千五百七十一万円余、
剰余金は八十七億二千五十八万円余となっております。
第二に、石炭並びに
石油及び
石油代替エネルギー対策特別会計であります。まず、
石炭勘定であります。
収納済歳入額は一千四百七十六億九千六百八万円余、
支出済歳出額は一千百九十九億九千六百十九万円余であります。
収納済歳入額と
支出済歳出額との差額は二百七十六億九千九百八十九万円余でありまして、翌
年度へ繰り越しました額は百二十六億六千五百九十四万円余、
剰余金は百五十億三千三百九十四万円余となっております。
次に、
石油及び
石油代替エネルギー勘定であります。
収納済歳入額は四千二百九十七億九千四百九十四万円余、
支出済歳出額は三千七百三十五億五千三百四十一万円余であります。
収納済歳入額と
支出済歳出額との差額は五百六十二億四千百五十二万円余でありまして、翌
年度へ繰り越しました額は四百七億三千七百七十五万円余、
剰余金は百五十五億三百七十六万円余となっております。
第三に、
アルコール専売事業特別会計であります。
収納済歳入額は三百八十六億六千三百万円余、
支出済歳出額は三百四十七億四千五百七十七万円余であります。
この
会計の
損益計算上の利益は百四十一億四千五百九十九万円余でありまして、
期末資産の
増加相当額九十九億五千五十二万円余を控除した残額四十一億九千五百四十七万円余を
一般会計に納付いたしました。
第四に、
輸出保険特別会計であります。
収納済歳入額は二千四十七億八千四百二十四万円余、
支出済歳出額は六百五十一億七千四百二十万円余であります。
第五に、
機械類信用保険特別会計であります。
収納済歳入額は百三億四千五百三十万円余、
支出済歳出額は三十二億八千六百五十六万円余であります。
なお、
一般会計及び
特別会計の
事業の詳細につきましては、お手もとにお配りいたしております「
通商産業省所管昭和五十七
年度歳入歳出決算概要説明書」に記述してありますので、御覧いただきたいと存じます。
最後に、五十七
年度通商産業省所管の
決算につきまして、
会計検査院から
不当事項として十七件の指摘を受けたものがありますことは、誠に遺憾に存じております。
これらの指摘された
事項につきましては、直ちに
指摘金額の全額を返還させる等、その是正、改善の措置を講じたところであります。
今後は、この種の事態の発生を未然に防止するため、より一層の指導、監督を行いかかる事態の絶滅に努力いたす所存でございます。
以上をもちまして、
昭和五十七
年度における
通商産業省所管の
一般会計及び
特別会計の
決算に関する御
説明を終わります。
何とぞ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
…………………………………
昭和五十七
年度決算通商産業省、
中小企業金融公庫及び
中小企業信用保険公庫についての検査の
概要に関する
主管局長の
説明
会計検査院
昭和五十七
年度通商産業省の
決算につきまして検査いたしました結果の
概要を
説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、
不当事項一七件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた
事項一件でございます。
まず、
不当事項について
説明いたします。
これらは、
中小企業設備近代化資金の
貸付けが不当と認められるものであります。
この
資金は、都道府県が、国から交付を受けた
中小企業設備近代化補助金を財源として、
中小企業者に設備の
近代化に貸すもため無利子で貸し付けるものでありますが、その
貸付けの
適否等について調査しましたところ、
貸付対象設備を
貸付対象事業費より低額で設置している者に対して
貸付対象事業費どおり設置したとして貸し付けていたり、
貸付対象設備を
貸付対象にならない
既往年度に設置するなどしている者に対して貸し付けていたり、本
資金の
貸付けを受ける以前に
中小企業金融公庫から
資金を借り入れている者に対して重複して貸し付けていたりしていたものでありまして、いずれも
貸付けが補助の目的に沿わない結果になっていると認められたものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた
事項について
説明いたします。これは、
委託費により
受託者が取得した物品の不適切な管理に関するものであります。
工業技術院では、毎
年度大型工業技術、
エネルギー関連技術等の
研究開発を
民間企業等に委託しておりまして、この
委託研究の実施に伴い
受託者に多数の
機械装置等の物品を取得させております。このたびこれらの物品の
管理状況を調査しましたところ、
受託者において紛失していたり国に無断で処分又は使用していたりしているものや、
受託者に長期間保管させていたため
老朽化又は陳腐化して使用不能となっていたものなど、その管理が適切でないと認められるものが多数見受けられました。
このような事態となりましたのは、
工業技術院におきまして、
委託費で取得した物品の
利活用等を速やかに行えるような
管理体制が十分でなかったことによるものと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、
工業技術院では、五十八年十月、
委託契約に基づき取得する物品の管理及び処分に係る
事務処理要領を定めまして、
委託費で取得する物品を、国の機関や
払下げ希望のある
受託者において、
委託研究完了のつど早期に
利活用等が図れるようにするとともに、
受託者において紛失していたり、無断で処分又は使用していた物品につきましては
弁償金等を徴収する処置を講じたものであります。
次に、
昭和五十七
年度中小企業金融公庫及び
中小企業信用保険公庫の
決算につきまして検査いたしました結果を
説明いたします。
検査の結果、特に違法又は不当と認めた
事項はございません。
以上をもって
概要の
説明を終わります。
…………………………………
昭和五十七
年度の
業務の概況について
中小企業金融公庫
昭和五十七
年度における
中小企業金融公庫の
業務について御
説明申し上げます。
一、当
公庫の
昭和五十七
年度貸付計画は、二兆千七十八億円と定められました。
これに対し、
中小企業者に対しては、一兆九千五百二十七億五千三百三万円余の
貸付を行ったほか、
設備貸与機関に対しては、百七十四億三千五百八十八万円、また、
中小企業投資育成株式会社に対しては、二十五億円の
貸付を行い、総額では一兆九千七百二十六億八千八百九十一万円余の
貸付実績となりました。
中小企業者に対する
貸付契約額のうち、
設備資金は三十七・三パーセントに相当する七千二百十六億九千九百三十九万円余、
運転資金は六十二・七パーセントに相当すゑ一兆二千百三十二億七千四百三十二万円余となっており、また、直接
貸付は五十一・九パーセントに相当する一兆三十五億七千八百六十万円(二万四千六百十六件)、
代理貸付は四十八・一パーセントに相当する九千三百十三億九千五百十二万円(六万三百九十一件)となっております。
年度末総
貸付残高は、五兆二千三百三十億九千六百十五万円余でありまして、前
年度末に比較して、二千六百十八億七百三万円余、五・三パーセントの
増加となっております。
貸付金の
延滞状況につきましては、
昭和五十七
年度末におきまして
弁済期限を六カ月以上経過した
元金延滞額は、六百二十億三千六百二十八万円余でありまして、このうち一年以上のものは、五百六十四億六千四百八十三万円余、総
貸付残高の一・一パーセントとなっております。
二、
昭和五十七
年度の融資に当たりましては、輸出の減少及び
国内需要の低迷を反映して景気が
停滞気味に推移するなど厳しい
経営環境の中におかれている
中小企業者に対し、その
事業基盤の強化に資する
資金について積極的に対処してまいりました。特に、
特定不況地域において
売上減少等の影響を受けている
中小企業者の経営安定を図るため第二次
特定不況地域中小企業対策緊急融資を実施し、また、
液化石油ガス転換促進貸付制度、
市街地等整備貸付制度を新設したほか、
事業転換貸付制度、
石油代替エネルギー貸付制度等の拡充を図るなど
中小企業者の経営の維持、安定のための
資金についてきめ細かい配慮を払ってまいりました。
また、
中小企業近代化促進法に基づく
構造改善事業に必要な
資金、
流通機構の
近代化、
合理化のために必要な
資金及び
産業公害の防止、産業安全の
確保等のために必要な
資金についても配慮してまいりました。
なお、
昭和五十七
年度におきましては、
中小企業者の一層の利便に資するため、大阪市西区に
大阪西出張所を新設いたしました。
三、次に、当
公庫の
昭和五十七
年度の
収入、
支出の
決算及び
損益計算について申し上げます。
収入、
支出の
決算について申し上げますと、
貸付金利息等収入済額は、四千一億三千万円余、
支払利息等支出済額は、四千四十四億二千八百四十万円余となりました。
損益計算について申し上げますと、
貸付金利息収入等の総益金は、四千七百九十八億六千四百九十八万円余、
借入金利息、
事務費、
業務委託費等の総損金は、四千七百九十八億六千四百九十八万円余となりました。この結果、
利益金は生じなかったので、
国庫納付はいたしませんでした。
以上をもちまして、
昭和五十七
年度における
中小企業金融公庫の
業務の概況について、御
説明を終わります。
以上
…………………………………
昭和五十七
年度の
業務概況について
中小企業信用保険公庫
中小企業信用保険公庫の
昭和五十七
年度の
業務の概況につきまして、御
説明申し上げます。
昭和五十七
年度におきましては、
中小企業信用保険法の改正により
エネルギー対策保険が新設されるとともに、国の
一般会計から
保険事業の円滑な運営を図るための原資として、
保険準備基金三百八十億円、
信用保証協会の
保証活動の
円滑化を図るための原資として、
融資基金二百四十五億円、合計六百二十五億円の出資が行われました。
まず、
保険事業についてみますと、
公庫が全国五十二の
信用保証協会との間に締結いたしました
保険契約に基づく
保険引受は、件数で九十九万七千件余、金額で五兆二千二百五十五億一千五十二万円余になっており、これを前
年度に比較いたしますと、金額で一パーセントの
増加になっております。
この結果、
昭和五十七
年度末の
保険引受残高は、件数で二百七万二千件余、金額で十兆八千二百七億一千八百六十八万円余となっております。
なお、
保険金の支払いは一千四百十三億三千二百七万円余になりまして、これを前
年度に比較いたしますと、五パーセントの
増加になっております。
一方、
信用保証協会に対する
融資事業につきましては、
昭和五十七
年度に国の
一般会計から新たに出資されました二百四十五億円及び既往の
貸付にかかる
回収金等一千七百十五億六千七百万円、合計一千九百六十億六千七百万円をもちまして、一千八百四十八億四百万円の
貸付を行いました。
この結果、
昭和五十七
年度末における
貸付残高は二千七百十二億三千七百万円になっております。
次に、
収入支出及び損益の概況について申し上げます。
まず、
収入、
支出について申し上げますと、
収入済額は一千百十七億一千七百五十六万円余、
支出済額は一千四百四十四億二千七百十一万円余でありまして、
差し引き三百二十七億九百五十四万円余の
支出超過になっております。
損益計算につきましては、さらに
支払備金等の整理を行いました結果、総利益は一千二百九十四億八千九百万円余、総損失は一千六百四十六億二千二百七十二万円余となり、
差し引き三百五十一億三千三百七十一万円余の
損失金を生じました。
この
損失金は、
中小企業信用保険公庫法及び同
法施行令の規定に基づき、
保険準備基金を減額して整理いたしております。
以上、簡単でございますが、
昭和五十七
年度の
業務の概況につきまして、御
説明申し上げた次第です
…………………………………
昭和五十七
年度決算の大要
運輸省
昭和五十七
年度の
運輸省所管一般会計及び
特別会計の
決算につきまして、その大要を御
説明申し上げます。
まず、
一般会計について申し上げます。
第一に、
運輸省主管の
歳入でありますが、
歳入予算額二十三億四百二万円余に対し、
収納済歳入額は四十六億四千四百九十九万円余であり、差引き二十三億四千九十六万円余の
増加となっております。
第二に、
運輸省所管一般会計の
歳出でありますが、
歳出予算現額一兆四千六百九十億五千二百十六万円余に対し、
支出済歳出額は一兆四千三百十四億二千八百三十七万円余でありまして、その差額三百七十六億二千三百七十九万円余のうち、翌
年度へ繰り越しました額は三百十六億二十四万円余であり、不用となりました額は六十億二千三百五十五万円余であります。
次に、
特別会計について申し上げます。
まず、第一に、
自動車損害賠償責任再
保険特別会計でありますが、
保険、保障及び
業務の三勘定を合わせて申し上げますと、
収納済歳入額は一兆七千三十二億八千九百五十一万円余であり、
支出済歳出額は三千九百十七億八千六十一万円余でありまして、差引き一兆三千百十五億八百八十九万円余の
剰余を生じ、この
剰余金は、翌
年度の
歳入に繰り入れました。
第二に、
港湾整備特別会計でありますが、
港湾整備及び
特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、
収納済歳入額は三千二百九十億七千四百六十万円余であり、
支出済歳出額は三千二百六十三億一千三百七万円余でありまして、差引き二十七億六千百五十三万円余の
剰余を生じ、この
剰余金は、翌
年度の
歳入に繰り入れました。
第三に、
自動車検査登録特別会計でありますが、
収納済歳入額は三百七十一億二千三百七十四万円余であり、
支出済歳出額は二百五十三億三千四百十六万円余でありまして、差引き百十七億八千九百五十八万円余の
剰余を生じ、この
剰余金は、翌
年度の
歳入に繰り入れました。
第四に、
空港整備特別会計でありますが、
収納済歳入額は二千四百六十六億百七十二万円余であり、
支出済歳出額は二千二百七十二億三千三百四十九万円余でありまして、差引き百九十三億六千八百二十二万円余の
剰余を生じ、この
剰余金は、翌
年度の
歳入に繰り入れました。
以上が、
昭和五十七
年度の
運輸省所管一般会計及び
特別会計の
決算の大要でありまして、このうち
重点施策につきましては、お手許に配布いたしました
昭和五十七
年度決算概要説明書を御覧いただきたいと存じます。
最後に、
昭和五十七
年度の予算の執行につきまして
会計検査院から
不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、誠に遺憾に堪えないところであります。
指摘を受けた
事項につきましては、直ちに是正措置を講じましたが、今後、この種の事例の発生を未然に防止すをため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。
何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
…………………………………
昭和五十七
年度日本国有鉄道決算の大要
運輸省
昭和五十七
年度日本国有鉄道の
決算の大要を御
説明申し上げます。
昭和五十七
年度における
日本国有鉄道の運輸成績は前
年度に比し、旅客
収入は約六パーセントの
増加となりましたが、貨物
収入は約十パーセントの減少となりました。
決算の内容を勘定別に申し上げますと、まず、損益勘定におきましては、
収入済額は四兆二千九百二十四億二千六百八十七万円余、
支出済額は四兆三千百四十四億六千八百七十七万円余となり、
支出が
収入を上回ること二百二十億四千百九十万円余となりました。これは予算上の区分による収支
決算の結果でありまして、いわゆる
損益計算上では一兆三千七百七十七億八千九百二十三万円余の純損失となっております。
次に、資本勘定におきましては、
収入済額は二兆六千五十三億二百六十七万円余、
支出済額は二兆六千百五十八億五千八百十二万円余であり、工事勘定におきましては、
収入済額は一兆一千四百七十一億三千三百十六万円余、
支出済額は一兆七百七十四億六千八百八十六万円余となっております。
また、特定債務整理特別勘定におきましては、
収入済額は三千四百五十六億七千百九十九万円余、
支出済額は三千四百五十六億七千百九十九万円余となっております。
最後に、
昭和五十七
年度の予算の執行につきまして、
会計検査院から
不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、誠に遺憾に存じております。今後は、この種の事例の発生を未然に防止し、予算の効率的運用を図るべく、より一層の努力をいたすよう指導監督してまいる所存であります。
なお、詳細につきましては、お手元に配布いたしました「
昭和五十七
年度日本国有鉄道決算概要説明書」を御覧いただきたいと存じます。
なにとそよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
…………………………………
昭和五十七
年度決算運輸省についての検査の
概要に関する
主管局長の
説明
会計検査院
昭和五十七
年度運輸省の
決算につきまして検査いたしました結果の
概要を
説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、
不当事項三件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた
事項三件であります。
まず、
不当事項について
説明いたします。
これらは、
補助事業の実施及び経理が不当と認められるものでありまして、
検査報告番号八七号は、地下高速鉄道の用地の取得に当たって補助の対象とは認められないものを
事業費に含めていたものであります。
また、
検査報告番号八八号及び八九号は、トンネル工事及び護岸工事においていずれも工事の施工が設計と相違していたものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた
事項。について
説明いたします。
その一は、東京国際空港における土地使用料の算定方法に関するものであります。
運輸省におきましては、東京国際空港の土地の一部を民間会社等に使用許可しておりますが、その土地使用料は相続税課税標準価格に一定の率を乗じて算定することとしております。
そして、この相続税課税標準価格は、従来空港内の路線価をそのまま単純平均して求めておりましたため、徴収した土地使用料総額が、路線価を土地の位置、形状により正しく補正して個別に相続税課税標準価格を算定した場合の土地使用料総額に比べて低額となっていると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、
運輸省では、五十八年十一月、相続税課税標準価格を個別に算定する扱いに改め、五十九
年度以降徴収する土地使用料から適用するよう処置を講じたものであります。
その二は、防波堤築造工事における上部コンクリートの海上運搬費の積算に関するものであります。
防波堤の本体とするケーソンの上部にコンクリートを打設いたします場合、生コンクリートを台船上に置き並べたバケット内に積み込み、引船により現場まで海上運搬して投入する方法がございまして、
運輸省では、その歩掛かりを積算基準において定めております。しかし、志布志港の防波堤のようにケーソンが大型化しコンクリートの打設量が増大している大型防波堤の場合は、使用される作業船及びバケットの規格が著しく大型化して作業能力が向上しておりまして、積算基準の内容が施工の実態に即応したものとなっていないと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、
運輸省では、五十八年十一月に大型の作業船、バケットを使用する場合の歩掛かりを新たに定め、同月以降契約する同種工事から適用するよう処置を講じたものであります。
その三は、航空照明用の受配電機器等の設置工事における一般管理費等の積算に関するものであります。
運輸省制定の航空照明用の電気工事の積算基準においては、一般管理費等の算出の対象とする受配電機器等の範囲が明確にされていなかったため、この積算基準を適用してした地方公共団体では大容量で高額な受配電機器等の製造費も対象としていて、一般管理費等が著しく多額に積算されていたと認められましたので、当局の見解をただしましたところ、
運輸省では五十八年十月にこれらの機器は設置工事における一般管理費等算出の対象とはならないことを明確にするとともに、その旨関係地方公共団体に通達を発し、十一月以降契約する同種工事から適用するよう処置を講じたものであります。
以上をもって
概要の
説明を終わります。
…………………………………
昭和五十七
年度決算日本国有鉄道についての検査の
概要に関する
主管局長の
説明
会計検査院
昭和五十七
年度日本国有鉄道の
決算につきまして検査いたしました結果の
概要を
説明いたします。
検査報告に掲記いたしましたものは、
不当事項三件、意見を表示し又は処置を要求した
事項一件、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた
事項三件及び特に掲記を要すると認めた
事項一件であります。
まず、
不当事項について
説明いたします。
検査報告番号一五七号は、貨物設備改良工事の施行に当たり、貨物輸送
合理化計画を考慮しなかったため、工事費が不経済と認められるものであります。
これは、熊本鉄道管理局で、豊肥本線肥後大津駅の貨物積卸施設の高床ホームや貨物上屋を撤去し、積卸場を舗装し、軌道や貨物上屋を新設するなどの改良工事を、五十七年九月、工事費四千四百二十万円で契約し、施行しているものでありますが、本社では、五十九年二月から貨物輸送について大幅な
合理化を行うこととし、その際肥後大津駅は、貨物取扱数量が減少してきたことから、貨物取扱
業務を廃止することが本件工事を発注する以前の五十七年二月から三月の間に示されていたのに工事を実施したため、この工事費が不経済になったものであります。
また、
検査報告番号一五八号は、軌道工事の施行に当たり、在来路盤のすき取り等を設計と相違して施工したものであります。
これは、東京第二工事局で契約し、東京西鉄道管理局が監督、検査した南武線武蔵小杉駅構内上り線の軌道延長二百六十メートル区間の軌道工事でありまして、道床厚さを増すため、在来路盤をすき取り、道床、バラストの交換を行うものでありますが、その施工についてみますと、中央部百六十メートル区間ですき取り不足やすき取り過ぎがあり、すき取り後の仕上り面に凹凸が生じていて、排水こう配がついていなかったり、逆になっていたりしている箇所があり、その結果、この区間の路盤に雨水が溜まって路盤が泥のような状態になっているなどのため、軌道が沈下し、狂いが生じるなどしていて、工事の目的を達していないものであります。
また、
検査報告番号一五九号は、公共下水道工事に伴う負担金の支払が適切でなかったものであります。
これは、大阪工事局で、福知山電車基地新設に伴い発生する列車汚物等の汚水処理を福知山市と協議して同市が施行する公共下水道に排水することとし、その
事業費の一部を負担する協定を締結したものでありますが、公共下水道
事業は協定締結前に国庫補助対象
事業として実施されることとなっていたのでありますから、負担金の算定に当たっては、
事業費から国庫補助金相当額を控除すべきであるのに、これを考慮しなかったため、負担金が過大に支払われていると認められるものであります。
次に、意見を表示し又は処置を要求した
事項について
説明いたします。
これは、固定資産の
貸付け等に関するものであります。
国鉄では、
業務に支障のない範囲において、土地等の固定資産の一部を部外者に貸し付けたり、使用させたりしておりますが、仙台鉄道管理局ほか九鉄道管理局についてこれら固定資産の
貸付け等の状況を検査しましたところ、使用承認という方式で貸し付けた資産又は暫定利用として貸し付けた資産について、
貸付けに関する基準の適用方が明確でなかったなどのため、使用料が低額となっていたり、ほとんど管理に手数を要しない簡易自動車駐車場を部外者に管理させて経費を要していたり、
業務に関連があるため無償で貸し付けた施設が目的外に使用されていたりなどしていて、使用料が四百六十三件七億余円低額となっておりました。
つきましては、国鉄において、用地等の
管理体制を整備したり、
貸付け等に関する基準の適用方を明確にしたりするなどの措置を講じるとともに、各鉄道管理局等に対する指導の徹底を図るなどして、固定資産の効率的な利活用を図るよう求めたものであります。
次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた
事項について
説明いたします。
その一は、踏切事故に係る損害賠償金債権の不適切な管理に関するものであります。
国鉄では、踏切において、列車に自動車が衝突するなどの事故によって生じた損害額をその原因者に弁償させることとしておりますが、この債権の管理に当たって準拠すべき具体的な
事務処理要領が整備されていなかったことなどのため、二十一鉄道管理局等においては、発生後相当期間を経過しているのに請求や督促が行われていなかったりするなど、その管理が適切を欠いていると認められるものが多数見受けられ、収納未済額も八百二十七件十二億余円に上っておりましたので、当局の見解をただしましたところ、国鉄では、五十八年十一月に
事務処理要領(案)を定めるなどして、この債権の管理を適正に行うよう処置を講じたものであります。
その二は、重軌条更換工事等に使用するレールの材質の使用区分に関するものであります。
国鉄では、従来の規格のレールより重いものに取り替えたり、摩耗したレールを取り替えたりするに当たっては、レールの材質により使用区分が定められている軌道構造標準に基づき実施しておりますが、施工の実態、標準の内容等について調査したところ、多くの工事においてこの標準と相違したレールが使用されており、その態様も様々であったので、標準自体の妥当性について検討したところ、標準の内容が実態に沿ぐわないものになっていることが認められたので、当局の見解をただしましたところ、国鉄では、五十八年十一月に軌道構造標準を改正するとともに、軌道工事標準示方書、軌道工事監督要領等を整備してその適切な施行を図るよう処置を講じたものであります。
その三は、軌道整備工事におけるバラストかき込み工費の積算に関するものであります。
国鉄では、バラスト軌道保守作業をする場合、マクラギとマクラギとの間にバラストを補充する作業を外注しておりますが、この作業の実態について調査しましたところ、積算上見込んでいた補充バラスト投入量と作業実態の数量とに食い違いが見受けられましたので、当局の見解をただしましたところ、国鉄では、五十八年十月に歩掛かりを改正して、同月以降に契約する工事から適用するよう処置を講じたものであります。
次に、特に掲記を要すると認めた
事項について
説明いたします。
これは、旅客営業の収支等に関するものであります。
旅客営業の五十七
年度の営業成績をみると、四千四百九十七億円の損失(新幹線二千三十億円の利益、在来線六千五百二十七億円の損失)を生じておりまして、特に在来線の損失は国鉄全体の損失一兆三千七百七十八億円の四七・四%を占める多額に上っており、国鉄当局も収支改善のための諸施策を講じておりますものの、本院において、この損失の原因について
収入、原価の両面から分析いたしましたところ、運賃改正による大幅な
収入増を期待することにはおのずから限界があるなどの面がある一方、要員縮減のための施策の実施過程において所要員に対して現在員が大幅に上回るため
業務効率の低下をきたすばかりか、人件費等の固定経費の削減効果に乏しいなどの事態となっております。
国鉄には社会的要因や組織上の問題など困難な事情はありますが、現在のまま推移しますと、六十
年度に幹線の損益で収支均衝を図るという経営改善計画の当面の目標の達成すら困難になると認められます。本院といたしましては、このような問題点を提起することによって旅客営業の収支改善の措置が図られることを期待し、特に掲記したものであります。
以上をもって
概要の
説明を終わります。
…………………………………
昭和五十七
年度日本国有鉄道の
決算の
概要
昭和五十七
年度の
日本国有鉄道の
決算につきまして、只今、
運輸大臣から予算の区分にもとづく
収入支出決算状況の御
説明がございましたが、
日本国有鉄道法第四十条にもとづく財務諸表により、経営成績の
概要を補足して御
説明申し上げます。
日本国有鉄道の計理につきましては、
昭和五十一
年度から「一般勘定」と「特定債務整理特別勘定」の二つに区分して計理いたしております。
まず、一般勘定につきましては、営業
収入は、旅客
収入二兆五千四百十五億三百九十一万円、貨物
収入二千七百九十三億七千百八十万円、雑
収入千二百八十三億九千三百二十八万円、助成金受入三千六百三十七億五千三十六万円、合計三兆三千百三十億千九百三十五万円となっております。
なお、助成金は、工事費補助金、地方交通線特別交付金、地方バス路線運営費補助金、大都市交通施設運営費補助金、
合理化促進特別交付金及び特別退職手当補給金であります。
この営業
収入を前
年度と比較いたしますと、旅客
収入千三百八十億四千八十一万円、率にいたしまして六%の
増加、貨物
収入三百十九億九千三百五十六万円、率にいたしまして十%の減少、雑
収入百三十億千五百二十八万円、率にいたしまして十一%の増加、助成金受入二百九億四千七十二万円、率にいたしまして六%の
増加、合計千四百億三百二十五万円、率にいたしまして四%の
増加となっております。
旅客
収入の
増加は主として
昭和五十七年四月及び九月に実施いたしました運賃改定によるものであります。また、助成金が前
年度より
増加しておりますが、これは主として特別退職手当補給金が増額されたことによるものであります。
輸送量につきましては、旅客輸送量千九百三十五億三千二百九十六万人キロ、貨物輸送量三百七億八千二百八十一万トンキロとそれぞれ前
年度に比べますと旅客は一%の減少、貨物は九%の減少となりました。
営業経費は、極力
合理化の推進並びに経費の節約に努めてまいりましたが、共済組合交付金、利子及び東北・上越新幹線開業による減価償却費等の
増加がありました結果、営業経費の倉計は四兆七千七百四十九億二千八百三十五万円と前
年度に比べまして十%の
増加となりました。
営業経費の内訳は、人件費二兆五百七十三億六千八百万円、動力費二千三百五十七億九千六百三十二万円、修繕費七千四百七十六億四千六十六万円、
業務費三千七百五億九千三百五十三万円、租税及び公課三百五十二億千六百九万円、営業費計三兆四千四百六十六億千四百六十万円。利子及び債務取扱諸費七千九百八十八億六千八百五十四万円、減価償却費四千三百七億八千五百六十五万円、固定資産除却費三百三十七億九千十九万円、繰延資産償却費六面四十八億六千九百三十七万円、資本経費計一兆三千二百八十三億千三百七十五万円。合計四兆七千七百四十九億二千八百三十五万円であります。
以上の結果、営業成績は、営業損失一兆四千六。百十九億九百万円、営業外利益八百四十一億千九百七十七万円、純損失一兆三千七百七十七億八千九百二十三万円となりました。
なお、
昭和五十三
年度から純損失について退職手当の異常
支出相当額を特定退職手当純損失、その他を一般純損失として整理いたしておりますが、これによれば一般純損失一兆八百三十一億三千八百四十一万円、特定退職手当純損失二千九百四十六億五千八十二万円であります。
このため、繰越欠損金は前
年度から繰り越された欠損金二兆二千六百四十七億千六十一万円とあわせて三兆六千四百二十四億九千九百八十四万円となりました。
次に設備投資の
概要を御
説明申し上げます。
昭和五十七
年度は、輸送設備の維持更新、経営の体質改善、輸送力整備並びに新幹線建設の諸工事を実施いたしました結果、設備投資額は一兆七百七十四億六千八百八十七万円となりました。
なお、
昭和五十七
年度の設備投資額の
事項別内訳は、輸送設備の維持更新四千五百三十億五千八百五十三万円、経営の体質改善千六百五十三億六千四百九十万円、輸送力整備千五百四億三千九百九十一万円、新幹線建設二千七十八億七千二百五十九万円、建設関連利子千七億三千二百九十四万円、合計一兆七百七十四億六千八百八十七万円であります。
これらの
設備資金等のために、あらたに長期負債の
増加となる外部
資金調達額は、
資金運用部等からの借入金一兆九百四十九億円、鉄道債券発行額一兆三千四百二十八億二千七百七十万円、合計二兆四千三百七十七億二千七百七十万円であります。一方、長期負債の償還に伴う減少額は五千四百三十五億九千五百九十八万円でありまして、この結果、長期負債は前
年度に比べて一兆八千九百四十一億三千百七十二万円
増加し、
昭和五十七
年度末において十二兆七千二百三十五億四百八十九万円となりました。
なお、工事費の一部補助として受け入れた特別施設整備費補助金八十七億六千六十一万円、防災
事業費補助九十四億六千六百十三万円、整備新幹線建設調査費補助金十一億三百四十九万円、磁気浮上方式鉄道技術開発費補助金六億五千六百九十万円は、その他負債に計上いたしております。
次に、特別勘定につきまして御
説明申し上げます。
昭和五十七
年度末の特別勘定の長期負債残高は、特定長期借入金五兆五百九十九億二百万円、財政再建借入金二千六百二十二億四千七百万円、合計五兆三千二百二十一億四千九百万円でありますが、
昭和五十七
年度は借入及び償還がありませんでしたので同額が
昭和五十七
年度末長期負債残高になっております。
また、特定長期借入金に係る利子につきましては三千四百五十六億七千二百万円でありますが、この利子は同額の財政再建利子補給金の受け入れにより
支出いたしております。
最後に、
昭和五十七
年度の予算執行につきましては、
会計検査院から
不当事項三件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に堪えないところでありまして今後、さらに予算の効率的運用に一段の努力をいたす所存でございます。