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1985-04-19 第102回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年四月十九日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 安井 吉典君    理事 糸山英太郎君 理事 白川 勝彦君    理事 東家 嘉幸君 理事 森下 元晴君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 貝沼 次郎君 理事 玉置 一弥君       小山 長規君    桜井  新君       渡部 恒三君    上原 康助君       金子 みつ君    中村 重光君       斉藤  節君    玉城 栄一君       春田 重昭君    中川利三郎君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 後藤田正晴君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 加藤 紘一君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         総務庁長官官房         会計課長    鈴木 昭雄君         総務庁行政監察         局長      竹村  晟君         防衛庁参事官  古川  清君         防衛庁参事官  古川 武温君         防衛庁参事官  池田 久克君         防衛庁参事官  筒井 良三君         防衛庁長官官房         長       西廣 整輝君         防衛庁防衛局長 矢崎 新二君         防衛庁教育訓練         局長      大高 時男君         防衛庁人事局長 友藤 一隆君         防衛庁経理局長 宍倉 宗夫君         防衛庁装備局長 山田 勝久君         防衛施設庁長官 佐々 淳行君         防衛施設庁総務         部長      平   晃君         防衛施設庁施設         部長      宇都 信義君         防衛施設庁建設         部長      大原 舜世君         防衛施設庁労務         部長      大内 雄二君         沖縄開発庁総務         局長      関  通彰君         沖縄開発庁総務         局会計課長   大岩  武君         沖縄開発庁振興         局長      小林 悦夫君         外務省北米局長 栗山 尚一君         中小企業庁小規         模企業部長   井上  正君  委員外出席者         環境庁企画調整         局環境影響審査         課長      加治  隆君         外務省北米局安         全保障課長   沼田 貞昭君         大蔵省主計局司         計課長     西澤  裕君         厚生省保健医療         局管理局長   羽毛田信吾君         厚生省援護局庶         務課長     熊代 昭彦君         社会保険庁年金         保険部厚生年金         保険課長    小林 康夫君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     川田 洋輝君         運輸省地域交通         局自動車業務課         長       永井 隆男君         自治大臣官房地         域政策課長   今泉 浩紀君         会計検査院事務         総局事務長官         房審議官    立石 一雄君         会計検査院事務         総局第一局長  竹尾  勉君         会計検査院事務         総局第二局長  天野 基巳君         会計検査院事務         総局第三局長  小川 一哉君         会計検査院事務         総局第五局長  秋本 勝彦君         沖縄振興開発金         融公庫理事長  岩瀬 義郎君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   中村 重光君     上原 康助君   斉藤  節君     玉城 栄一君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     中村 重光君   玉城 栄一君     斉藤  節君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和五十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十七年度政府関係機関決算書  昭和五十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十七年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管行政管理庁防衛庁沖縄開発  庁)、沖縄振興開発金融公庫〕      ――――◇―――――
  2. 安井吉典

    安井委員長 これより会議を開きます。  昭和五十七年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管行政管理庁防衛庁沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。  それでは、順次概要説明を求めます。  まず、総務庁長官から概要説明を求めます。後藤田総務庁長官
  3. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 昭和五十七年度における行政管理庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  行政管理庁歳出予算現額は二百九億四千三百四十二万円余でありまして、支出済み歳出額は二百八億千百五十六万円余、不用額は一億三千百八十五万円余であります。  支出済み歳出額の内訳は、人件費八十二億九千百三十六万円余、事務費等二十七億四千八百十五万円余、統計調査事務地方公共団体委託費九十七億七千二百四万円余であります。  不用額を生じました主な理由は、退職者が少なかったので、退職手当を要することが少なかったためであります。  以上をもちまして、行政管理庁関係歳出決算概要説明を終わります。
  4. 安井吉典

  5. 竹尾勉

    竹尾会計検査院説明員 昭和五十七年度行政管理庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  6. 安井吉典

    安井委員長 次に、防衛庁長官から概要説明を求めます。加藤防衛庁長官
  7. 加藤紘一

    加藤国務大臣 昭和五十七年度における防衛庁関係歳出決算につきましてその概要を御説明いたします。  まず、(組織防衛本庁経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は二兆二千九百三十一億五千三百万円余でありまして、これに高空における放射能塵調査研究等のため、科学技術庁から移しかえを受けた額一千九百万円余、震災対策総合訓練調査のため、国土庁から移しかえを受けた額六百万円余、科学的財務管理調査のため、大蔵省所管大蔵本省から移しかえを受けた額二百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移しかえを受けた額九十四億七千九百万円余、前年度からの繰越額三十五億一千八百万円余、退職者増加に伴い、退職手当予算の不足を補うために必要な経費として予備費を使用した額五十一億九千九百万円余及び(組織防衛施設庁から三億三百万円余の移用増加額を加え、既定予算不用等による予算補正修正減少額百八十八億六千五百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は二兆二千九百二十八億一千六百万円余となります。  この歳出予算現額に対して支出済み歳出額は二兆二千八百六十八億八千三百万円余、翌年度へ繰り越した額は五十一億五千九百万円余でありまして、差し引き不用額は七億七千四百万円余であります。  昭和五十七年度予算執行に当たっては、「防衛計画の大綱」に従って計上された予算を効率的に使用して計画を着実に実施し、実質的な防衛力整備を進めることを主眼といたしました。  以下、陸海空各自衛隊別にその主な内容を申し上げます。  一、陸上自衛隊につきましては、七四式戦車六十両、七三式装甲車九両を取得し、新たに昭和五十八年度以降取得予定の七四式戦車七十二両、七三式装甲車九両の購入契約をいたしました。  また、航空機は、連絡偵察機一機、観測ヘリコプター八機、多用途ヘリコプター五機、合わせて十四機を取得し、新たに昭和五十八年度以降取得予定連絡偵察機一機、観測ヘリコプター六機、多用途ヘリコプター六機、対戦車ヘリコプター十二機、合わせて二十五機の購入契約をいたしました。  二、海上自衛隊につきましては、昭和五十三年度計画護衛艦二隻、昭和五十四年度計画護衛艦一隻、潜水艦一隻、昭和五十五年度計画中型掃海艇二隻、昭和五十六年度計画支援船一隻、昭和五十七年度計画調達に係る支援船二隻、合わせて九隻を取得し、新たに昭和五十八年度以降に竣工予定護衛艦三隻、潜水艦一隻、中型掃海艇二隻、深海救難艇一隻、支援船一隻、合わせて八隻の建造契約をいたしました。  また、航空機は、対潜哨戒機五機、救難飛行艇一機、練習機一機、計器飛行練習機四機、対潜ヘリコプター一機、合わせて十三機を取得し、新たに昭和五十八年度以降取得予定の対潜哨戒機七機、練習機二機、計器飛行練習機三機、対潜ヘリコプター八機、救難ヘリコプター四機、初級操縦練習ヘリコプター一機、合わせて二十六機の購入契約をいたしました。  三、航空自衛隊につきましては、要撃戦闘機十三機、支援戦闘機七機、早期警戒機二機、高等練習機三機、救難捜索機一機、救難ヘリコプター二機、合わせて二十八機を取得し、新たに昭和五十八年度以降取得予定要撃戦闘機二十三機、支援戦闘機二機、輸送機二機、高等練習機五機、救難ヘリコプター一機、合わせて三十三機の購入契約をいたしました。  昭和五十七年度防衛本庁職員定員は、自衛官二十七万百八十四人、自衛官以外の職員二万三千八百八十八人、計二十九万四千七十二人でありまして、これを前年度職員定員に比べますと、自衛官については同数であり、自衛官以外の職員について百五十五人の減員となっております。  また、予備自衛官の員数は、前年度同数の四万一千六百人であります。  次に、翌年度への繰越額五十一億五千九百万円余は、計画または設計に関する諸条件等のため、工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額七億七千四百万円余は、外国為替相場の変動があったこと等により弾薬購入費を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。  続いて、(組織防衛施設庁経費につきまして御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は二千九百二十八億五千万円余でありまして、これに前年度からの繰越額二百五十九億一千五百万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額七億七百万円余、防衛施設周辺障害防止事業等に要する経費として移しかえをした額、農林水産省所管農林水産本省へ十億四千八百万円余、建設省所管建設本省へ十八億九千九百万円余、(組織防衛本庁への移用額三億三百万円余を差し引きますと、歳出予算理額は三千百四十八億六百万円余となります。  この歳出予算理額に対して支出済み歳出額は二千九百十二億七千七百万円余、翌年度へ繰り越した額は二百二十五億二百万円余でありまして、差し引き不用額は十億二千七百万円余であります。  支出済み歳出額の主なものは、調達労務管理費につきましては、アメリカ合衆国軍隊等が使用する駐留軍従業員労務管理離職者対策福祉対策等に要した経費百八十二億七千八百万円余、施設運営等関連諸費につきましては、防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律等に基づき、自衛隊施設及び日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定に基づく提供施設維持運営等に関連し必要な土地の購入及び借り上げ、施設整備、各種の補償障害及び騒音の防止措置飛行場周辺移転措置民生安定施設助成措置等に要した経費二千三百九十六億八千五百万円余、提供施設移設整備費につきましては、日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定による日米間の合意に基づき、現在提供中の施設及び区域の返還を受けるため、当該施設及び区域を集約移転するのに要した経費百二十八億六千五百万円余等であります。  昭和五十七年度防衛施設庁職員定員は、三千四百七十二人でありまして、これを前年度職員定員に比べますと、十四人の減員となっております。  次に、翌年度への繰越額二百二十五億二百万円余は、計画または設計に関する諸条件用地関係アメリカ合衆国軍隊等事情等のため工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額十億二千七百万円余は、用地取得面積が少なかったこと等により不動産購入費を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。  以上をもって、昭和五十七年度における防衛庁関係歳出決算概要説明を終わります。  なお、予算執行については、諸法規を遵守することはもちろん、最も効果的に運用するよう戒め、また綱紀の粛正にも留意し、国民の信頼にこたえるよう努力してまいったところでありますが、昭和五十七年度決算検査報告におきまして(組織防衛施設庁給油所設備工事工費積算及び防衛施設周辺整備関係補助事業経理について不当事項との指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  これらについてはよく各関係者に徹底させ、将来このような事態を繰り返すことのないよう適切な措置を講じますとともに、改善または検討を要するものについては、速やかにそのための諸施策を推進する所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  8. 安井吉典

  9. 天野基巳

    天野会計検査院説明員 昭和五十七年度防衛庁決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項五件であります。  検査報告番号三号は、給油所設備工事施行当たり防水モルタル工費積算を誤ったため、契約額が割高になったものであります。  本件工事は、那覇防衛施設局におきまして、沖縄県浦添市にあります米軍牧港補給地区給油所鋼製燃料タンク三基とこれを収容する地下構造鉄筋コンクリートタンク室を新設するなどの工事で、工事費は三千五十万円であります。  この工事費のうち、タンク室の内壁などに施工する厚さ一・五センチメートル、面積二百九十三・九平方メートルの防水モルタル工費積算に際し、面積一平方メートル当たり単価二千百二十円を採用すべきところ誤ってモルタルの体積一立方メートル当たり単価二万六千六百八十円を使用し、施工面積に乗じてしまったため、工事費が約七百十万円割高となっていたものであります。  また、検査報告番号四号から七号までの四件は、防衛施設周辺整備関係補助事業経理が不当と認められるものであります。  これらの事業は、防衛施設周辺生活環境等整備を図るため、地方公共団体等補助事業として実施するものでありますが、工事契約に際しまして、いずれも資力、信用、能力等審査の上契約内容に適合した履行を十分に期待できる業者を選定して指名競争入札によっているにもかかわらず、予定価格に対して約九〇%ないしそれ以上という著しく高率の最低制限価格を設定したため、契約の適正な履行が確保できると認められる価格で入札した業者を排除して割高な契約を締結したもので、工事契約処置が適切でなかったため国庫補助金約千九百二十万円が不当と認められるものであります。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  10. 安井吉典

  11. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 昭和五十七年度における沖縄開発庁歳出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  沖縄開発庁歳出予算現額は一千二百四十六億四千百五十四万円余でありまして、このうち、支出済み歳出額は一千二百八億六千五百三十五万円余、翌年度へ繰り越した額は三十六億五千四十二万円余、不用となった額は一億二千五百七十六万円余であります。  まず、歳出予算現額につきましては、当初予算額二千百四十六億七千六百九十二万円余、予算補正修正減少額三億七千四百九十二万円余、予算移しかえ増加額二千七万円余、予算移しかえ減少額九百四十三億三千五百七十五万円余、前年度繰越額四十六億五千五百二十三万円余を増減しまして一千二百四十六億四千百五十四万円余となったものであります。  支出済み歳出額の主なものは、沖縄振興開発のための財源として、治水特別会計国有林野事業特別会計道路整備特別会計港湾整備特別会計及び空港整備特別会計へ繰り入れた経費一千三十二億四千百六十二万円余であります。  次に、翌年度へ繰り越した額三十六億五千四十二万円余は、道路整備特別会計において、計画及び設計に関する諸条件、気象及び用地関係補償処理の困難により事業の実施に不測の日数を要したため、同特別会計への繰り入れが年度内に完了しなかったこと等によるものであります。  また、不用となった一億二千五百七十六万円余は、道路運送車両法等の一部を改正する法律が成立しなかったこと等により生じたものであります。  以上をもちまして、昭和五十七年度沖縄開発庁決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  12. 安井吉典

  13. 小川一哉

    小川会計検査院説明員 昭和五十七年度沖縄開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  14. 安井吉典

  15. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 昭和五十七年度沖縄振興開発金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  16. 安井吉典

  17. 岩瀬義郎

    岩瀬説明員 昭和五十七年度沖縄振興開発金融公庫業務概況  沖縄振興開発金融公庫昭和五十七年度業務概況につきまして御説明申し上げます。  沖縄振興開発金融公庫は、沖縄における産業の開発を促進するため、長期資金を供給すること等により、一般金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、または奨励するとともに、沖縄国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係営業者等に対する資金で、一般金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって沖縄における経済の振興及び社会の開発に資することを目的とするものであります。  昭和五十七年度事業計画は、当初貸し付けとして千四百億円、出資として四億円、合計千四百四億円を予定しておりました。  この計画に対する実績は、出資については実績がなく、貸付契約額が千百七十億三千万円余となっております。  次に、貸付残高について御説明申し上げます。  昭和五十六年度末の貸付残高は六千三百八十七億一千万円余でありましたが、昭和五十七年度中に貸し付けを千百二十二億六千万円余行い、回収が六百二十二億二千万円余ありましたので、昭和五十七年度末においては六千八百八十七億五千万円余となっております。  なお、貸付金延滞状況につきましては、昭和五十七年度末におきまして弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は六十七億五千万円余でありまして、このうち一年以上のものは五十四億五千万円余となっております。  次に、昭和五十七年度収入支出決算について御説明申し上げます。  収入済み額は四百六十一億四千万円余でありまして、これを収入予算額四百六十九億四千万円余に比較いたしますと、八億円余の減少となっております。この減少いたしました主な理由は、貸付金利息収入等予定より少なかったためであります。  支出済み額は四百七十九億五千万円余でありまして、これを支出予算額四百九十六億一千万円余に比較いたしますと、十六億五千万円余の減少となっております。これは借入金利息等予定より少なかったためであります。  最後に、昭和五十七年度における損益計算について御説明申し上げます。  貸付金利息等の総利益は五百四十五億八千万円余、借入金利息等の総損失は五百四十一億五千万円余となり、差し引き四億二千万円余の利益金を生じました。  この利益金は、本土産米穀資金特別勘定利益金でありますので、沖縄振興開発金融公庫法施行令附則第四条第二項の規定により同勘定積立金として積み立てることとし、国庫納付金は生じませんでした。  以上が昭和五十七年度における沖縄振興開発金融公庫業務概況であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  18. 安井吉典

    安井委員長 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  19. 安井吉典

    安井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  20. 井上一成

    井上(一)委員 私は、最初に外務省に特に聞いておきたいのですけれども、先日、中国の胡総書記とオーストラリア、ニュージーランドの記者団との会見で、米艦船中国寄港についての一問一答での報道があったわけであります。それは、とりわけ寄港艦船については、核兵器を積載していない艦船と理解してよいのかという質問に対して、そのように理解すべきである。さらには、艦船には核兵器を積載しないよう要求したのか、こういう質問に対して、これは双方が合意を見たことだ。さらに、中国領海に入るなら同意しなければ、これは主権の問題としてとらえるべきである。  こういう報道に対してアメリカ側は、中国寄港する米艦船非核武装艦であるとの保証を一切与えていない、さらには、あらゆる米艦船はいわゆるアメリカ核兵器の存在を肯定も否定もしないという政策を変えないし、その政策の適用を除外すれば世界じゅうのいかなる場所にも寄港できなくなる、こういうコメントがなされているわけであります。  それで、我が国とは事前協議の申し合わせがあって、核積載については事前に通告をする。しかし、このアメリカ報道によれば、そういうことは一切あり得ないということになるわけでありますが、これはワインバーガー氏もそのようなコメントを出しておりますし、国務省のジャレジャン副報道官もそういう発言をしておりますし、あらゆる機会を通してアメリカ核積載艦に対する政策が明らかになっているわけであります。このことは、我が国との事前協議取り決めに矛盾することは明らかなわけであります。この矛盾を一体どう説明なさるのか。むしろ、一時寄港事前協議対象としないという秘密の約束、取り決めがあるのではないだろうか。  我々も含めて国民の大多数が、核積載艦我が国への一時寄港は既に現実の問題として政府自身が受け入れているという、そういう認識であるわけでありますけれども、一時寄港は認めて、むしろ母港化することを事前協議対象としてとらえているのではないだろうか、こういう危惧を持つわけでありますので、この点について外務省から明確な見解を示していただきたい、こういうふうに思います。
  21. 栗山尚一

    栗山政府委員 御答弁申し上げます。  まず第一点の米中間の問題につきましては、胡耀邦総書記記者会見等につきましては、委員指摘のようなやりとりが行われたという事実がございます。  ただ、その後アメリカ側は、これも委員指摘のとおり、個々の艦船についての核の存否を否定も肯定もしないというアメリカ政策については、これは中国を含めて一切変更がないということを国務省のスポークスマンが確認をしております。  他方、中国側におきましては、その後、十五日の新華社電が、在豪州の中国大使館のスポークスマンの声明といたしまして、「アメリカの通常推進型の軍艦が中国を非公式かつ儀礼的な訪問をする可能性がある」ということを申した上で、「右は専ら中国と米国の間の事柄であって、双方の間には解決すべき問題が残っていることを述べる権限を与えられている。」こういうふうな声明を発表いたしまして、さらに十六日、豪州訪問中の胡耀邦総書記がキャンベラのナショナル・プレス・クラブの昼食会で、質問に答えまして、今私が申し上げました在キャンベラ中国大使館の声明につけ加えることは何もない、こういうふうなことを答えだということが確認されております。  米中間の問題についてのやりとりについては、これまでのところ、私どもの方で確認いたしました事実関係は以上のとおりでございます。  次に、委員質問の、我が国日米安保条約に基づく事前協議制度の問題につきましては、従来から政府が繰り返し御答弁申し上げているとおりでございまして、事前協議制度のもとにおきましては、一時寄港といえども我が国への核の持ち込みについては事前協議対象になるということで、事前協議があればこれは拒否するというのが日本政府の非核三原則に基づく確固たる方針であるということは、累次申し上げているとおりでございます。  この点につきましては、アメリカ側も安保条約及び関連取り決めに基づく義務はこれまでも守ってきたし、今後も誠実に守る所存であるということは、累次アメリカ側の責任者が述べておるところでございまして、先般ニュージーランドにおきます核艦船寄港問題が出ました場合におきましても、アメリカの政府はこの点について、日本との関係において累次アメリカ政府が明らかにしている見解、立場についてはいささかも変更がないということを我が方に確認しておりますので、この点につきましては、従来政府が累次御答弁申し上げていることに加えまして何ら変更がないということを申し上げておきたいと思います。
  22. 井上一成

    井上(一)委員 いかに言いわけをしても、アメリカの国務省の核積載艦に対する政策というものは、我が国との事前協議の約束とは相矛盾していく、これはきっちりと説明をしなければいけない。むしろ、除外された艦船は世界じゅうにどこにも見当たらないんだ、そういうことも言われているわけでありまして、こういうアメリカ側報道があるわけでありますから、我が国は、日本は、その政策は不変だと言われているアメリカは日本については例外である、核の積載については事前に通告をするという取り決めがあるんだということを、むしろアメリカ側に言わしめるべきではないだろうか。そのことが我が国国民に対しても明らかに、核積載艦の一時寄港も含めて日本はそれを拒否しているんだ、それは可能でないんだということが保障されていくと思うのです。  だから、こういう折でありますので、我が国の見解というか、日本は例外である、そういうことをアメリカは明らかに、核積載艦政策に対して不変であるというその後にそれぐらいのコメントはして当然ではないだろうか。そのことにおいて矛盾がむしろ矛盾でなく、整合性のある論理になっていく、こういうふうに思うのです。このことについて、外務省アメリカに対してそういう見解を申し入れる、それぐらいの強い姿勢を持っているのかどうか、このことについても聞いておきたいと思います。
  23. 栗山尚一

    栗山政府委員 個々の艦船について核の存在を否定も肯定もしないというアメリカ一般的な政策は、これは委員御承知のように、もう昔から存在しておるアメリカ政策でございまして、他方におきまして、我が国の安保条約に基づきます核の持ち込みに関する立場というものも昔から、安保条約成立以来存在しておる立場でございます。そういう状況のもとにおきまして、委員御承知のようにいわゆるラロック発言でございますとかライシャワー発言でございますとかいうものが過去においてございまして、そのほかの機会におきましても累次日本政府の立場というものはアメリカ側に明らかにしておるところでございます。  そういう日本側の立場を踏まえて、アメリカ側は従来から一貫して安保条約及び関連取り決めに基づくアメリカの義務というものは遵守をする、これまでも遵守をしてきたし今後も遵守をする、こういうことを明言しておるわけでございますので、今回の中国の問題等を契機にして、改めてアメリカ側委員指摘のような申し入れを行う、あるいは要求をするということは、政府としてはその必要があるというふうには全く考えておりません。
  24. 井上一成

    井上(一)委員 私は、さらにそれは強く申し入れをすべきである、我が国アメリカとの事前協議制度の理解をきっちりと世界に公言すべきである、そのことを申し入れるのが外交だと思っております。  さらにもう一点、SDIについてアメリカから専門家が来日して、その説明を聞く、そして検討するということが言われているわけでありますが、具体的にどういう人がいつごろやってきて、だれに会うのか、外務省から聞いておきたいと思います。
  25. 栗山尚一

    栗山政府委員 アメリカ側からは、専門家といたしましてアメリカの国防省のSDIオフィスの局次長代行という役にありますヨーナスという者以下、国防省の専門家、それから国務省の担当官を含めまして、一行五名が来週の二十二日に日本に参ることになりました。政府との間におきましては、二十三日と二十四日の二日間にわたりまして説明を聴取する、こういう予定になっております。説明を受けるに当たりましては、外務省防衛庁、通産省、それから科学技術庁、それぞれ事務レベルにおいてアメリカ側説明を聴取する、こういう予定にいたしております。
  26. 井上一成

    井上(一)委員 きょうの報道にあったのですが、このSDIの研究参加については、いわゆる本体部分への研究参加は、一九七二年の米ソ弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約にアメリカが違反することになるという見解を外務省筋は示されたということなんです。そして、我が国に研究参加を求めているのは、本体部分ではなく、識別・追尾部分であるということで、これは汎用技術になり得る部分だ、こういう苦しい弁解をしているわけであります。  私は、軍縮等が今まさに取り組まれている中で、我が国の研究参加が果たして正当であり、かつ可能であるのか、あるいは国際法との関係等も含めて大きな問題があるのではないか、むしろアメリカ側にそういうことをきっちりと説明をして了解をとるべきではないか、具体的な我が国の意思を表明すべきではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでございますか。
  27. 栗山尚一

    栗山政府委員 理行のABM条約におきましては、ABM条約の本文の九条におきまして、米ソ双方はこの条約によって制限されているABMシステムまたはその構成部分を第三国に移譲しないということを約束しておる規定がございます。この第九条の意味につきまして、さらに米ソ間での合意声明がございまして、九条の意味しているところは、米ソがこの条約で制限されているABMシステム及びその構成部品を特に製造するために作成された技術的なデータまたはそのブループリントを提供しないという義務を含んでいるんだ、こういう合意声明がございます。したがいまして、アメリカはSDIの研究を行うにつきまして、当然、ABM条約の第九条及びそれに基づきます米ソ間の合意声明というものを念頭に置いておるだろうと思います。  ただ、その具体的な解釈がどういうものであるか、何がここで言うところのABMシステムまたはその構成部分というものに当たるかということにつきましては、私ども第三者といたしましてよくわかりません。したがいまして、そういう点につきましても、今回アメリカの専門家が来ました場合に、こういう条約の規定、それからその合意声明の中身に照らして、一体何が米ソの間で第三国との関係において許容されていることであり、何が許容されていないものであるかということについては、十分確認をしたいと考えております。
  28. 井上一成

    井上(一)委員 本体部分については条約違反という理解をしてよろしいですか。
  29. 栗山尚一

    栗山政府委員 ごく常識的に考えますと、今委員のおっしゃられたようなことになろうかと思います。  ただ、何が本体であり、何が本体でないかということについては、これは私ども、正直なところよくわかりません。したがいまして、そういうところについては十分アメリカ側の考え方を聴取したいと考えております。
  30. 井上一成

    井上(一)委員 もちろん、説明を聞くということになるわけですが、現状では本体部分に対する研究参加は拒否する、こういうふうに受けとめてよろしいですね。
  31. 栗山尚一

    栗山政府委員 結果的にアメリカが条約違反になるような形での研究参加ということは、これは当然のことながらあり得ないだろうと思います。
  32. 井上一成

    井上(一)委員 防衛庁長官に引き続いてSDIについて尋ねておきたいのです。  今、外務省から本体部分については、もちろんその研究参加の詳細はまだ十分詰めておられないわけでありますけれども、条約違反だ、そういうところへの参加は防衛庁としても十分配慮して慎むべきであるということと、さらに、専門家がやってくるのですが、防衛庁はどういうような接触をしようとしているのか、制服組がその協議に加わるのか、加わらないのか、この点についても聞いておきたいと思います。
  33. 加藤紘一

    加藤国務大臣 SDIにつきましてのアメリカ国防省のブリーフィングチームが参ったときに、防衛庁としても関心のあるところですから、そのブリーフィングを外務省とともに聞きたいと思っておりますけれども、その中心は技術参事官等内局でございまして、制服の参加は今のところ考えておりません。
  34. 井上一成

    井上(一)委員 さらにSDIについては後でまた尋ねていきます。  せんだって参議院の外務委員会で、海上自衛隊練習艦隊の中国寄港、訪問について、計画はないと言いながらも、夏目次官が訪中の際にそういう要望を中国側に出すか、それを含めて検討している。申し入れることを検討しているのか、全くそういうことは、現在検討も含めて逆にそんな考えは持ってないということなのか。検討中であれば実現の見通しについてはどうなのか。このことについて防衛庁長官に聞いておきます。
  35. 加藤紘一

    加藤国務大臣 現在、私たちの海上自衛隊の練習艦隊等が中国に行くことを検討はいたしておりません。先方から来てみないかという招請も受けておりませんので、今のところ全く検討してないということでございます。
  36. 井上一成

    井上(一)委員 韓国の艦船我が国寄港を要請したというんでしょうか、寄港したいというような申し入れがいつぞやあったように私は記憶しているのですが、現時点でそういうことについての何らかの接触があったのかどうか、このことについても聞いておきたいと思います。
  37. 加藤紘一

    加藤国務大臣 かつて数年前、韓国の方から寄港してみたいという申し出がありましたことは、委員指摘のとおり、事実でございます。ただ、そのとき私たちの方から、今適当な時期ではないのではないか、慎重に判断したいということを申し上げて、実現の運びにはなっておりませんでした。  現在、韓国側の方からそういう申し出があるかと申しますと、今のところはございません。
  38. 井上一成

    井上(一)委員 申し入れがあれば受け入れるべく検討をしていくのかどうか、このことについても聞いておきましょう。
  39. 大高時男

    ○大高政府委員 練習艦隊等の外国訪問でございますが、これは本来的に相互に友好親善もしくは相互理解を目的とするものでございますので、もし具体的な申し入れがありました場合においては、ただいま申し上げました見地から検討すべきものであろうと考えております。
  40. 井上一成

    井上(一)委員 私は、できるだけ防衛庁長官の見解というかお考えをきょうは聞きたい、こう思っていますので、防衛庁長官からお答えをいただきたい、こういうふうに思っています。  日中友好は、私は、さらに深めていきたいし、子々孫々に至るまでの友好を求め、かつ願っているわけであります。中国の四つの近代化に我が国は全面的に協力していく、ただし、国防についてはこれは別枠である、例外だというような認識を持っているわけなんです。私自身は、どういうことまでがその国防についての協力のでき得ない部分なのか、そのことについてちょっと防衛庁長官の見解を聞いておきたい、こう思います。
  41. 加藤紘一

    加藤国務大臣 このたび中国側からの招請を受けまして、私たちの夏目事務次官が近々中国を訪問いたすことになりました。この件に関しまして先般他の委員会でも、これは日中の軍事交流、軍事協力につながるものかというような御質問も受けました。軍事協力という言葉がなかなか定義のはっきりしない言葉だと思いますので、直接それについてはお答えいたしませんでしたけれども、私たちとしては、日中間は友好関係を保っている国でございますので、それぞれの国の間で、井上委員指摘のとおり、文化交流、経済交流等がいろいろあるわけですね、その一つとして、国の防衛についての基本的な考え方をお互いに防衛政策の責任者が話し合っておくことはいいことなのではないかな、こう思って、今度夏目次官に行ってもらうつもりでございます。したがいまして、その範囲というのはケース・バイ・ケースで判断していかなければならないと思いますが、防衛についての考え、国際軍事情勢についてのお互いの認識を交換し合うこと等は、私たちは有意義なことだと思っております。
  42. 井上一成

    井上(一)委員 私は、中国あるいは韓国との友好も深めていくことは当然否定するものでもないわけなんです。片面、そのことがASEAN諸国あるいは朝鮮民主主義人民共和国も含めて朝鮮半島への緊張をより深める結果になってはいけない。そういうことで、むしろ北東アジア、さらに朝鮮半島等も含めたアジアにおける外交のスタンスというんですか、外交認識というんですか、そういうものを我が国は特に十分配慮していかなければいけない。そういう点を十分配慮して対応していかなければいけないのではないか。このことについて、むしろそういう親善友好がエスカレートして集団安保への道を開くような結果になってしまうとこれは大変なことになってしまうので、あえて私は長官に、そういう点についてはどうとらえ、どういう主体性を示そうとされているのか、ASEANにおける外交への配慮という、そういうことについて少し聞いておきたい、こういうふうに思います。
  43. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私たちの外交政策、それから防衛政策がどういう形をとり、どういうような変化をするかということは、委員指摘のとおり、私たち日本を取り巻く諸国にとりましては、大変関心のあることとして受けとめられているということは、私たち真剣に考えて注意していかなければならない部分だと思います。その意味で、私たちはアジアの中の重大な影響を及ぼす中国と私たち日本が防衛面で話し合っておくことは非常に重要であると同時に、それがどういう受けとめられ方をするかということも常に神経を払っていかなければならないということは、御指摘のとおりだと思います。  そこで、我が国中国と話し合うときに、ケース・バイ・ケースといってもどういう原則に立つのかというようなことは、まず第一に日本の防衛の基本政策に背馳しないようにその点をしっかりしなければならない。それはもちろんのこと、これは韓国との話し合いにおいても同じことであろうと思います。  それからもう一つは、やはり私たち日本と安全保障条約を結んでおりますアメリカ、このアメリカと私たちの関係というものは、防衛面において日本にとっては特筆すべき立場にある国でありまして、その国との交流というものと、例えば中国、例えば韓国との交流におきましてはそれなりに差があるということは当然のことなんではないかなというふうに思っております。
  44. 井上一成

    井上(一)委員 ASEAN諸国、さらには我が国とのかかわりを持つ持たないは別にしても、世界各国への十分な気配りを当然持つべきである、こういうふうに私は思うわけです。  次に、防衛問題というのでしょうか、防衛のあり方というのでしょうか、そういうことについて防衛庁長官に尋ねておきたいのですが、その質問をする前の段階で、特に防衛庁長官の認識というのでしょうか、念のために私は聞いておきたい。  私たちは、第二次大戦であの悲惨な戦争を、人類滅亡の危機に瀕して、戦争は絶対してはいけない、戦争の恐ろしさ、悲惨さを知り、あえて平和への願いを込めて平和憲法を持ったわけです。そして、平和憲法の中で私も含めて長官も育ってきたわけです。学んできたわけです、平和憲法の中で。ということは、それこそ被爆の悲惨さを経験し、戦争の放棄あるいは平和への強い志向、そういう中で憲法九条の持つ重みあるいは理念、哲学を私たちは選択をした、こういうことになろうかと思うのです。条文の解釈をここで私は聞くわけでもありませんし、いわゆる精神、その新憲法、平和憲法の持っている哲学、そういうことを十分防衛庁長官はお持ちだと私は信じていますし、当然平和憲法の中でお互いに生きてきたわけであり、育ってきたわけであり、学んできたわけでありますから、そのことについて十分御認識を持っていただいていると思いますが、あえて念のためにこのことはまず一等最初に聞いておきたかったわけです。強い御認識をお持ちでしょうねと、こういうことです。
  45. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私たちは戦後の憲法の中で教育された世代でございますし、私たちはその憲法の精神、そしてそれは平和憲法と呼ばれるものでございますけれども、その精神というのは私たちの頭の中、体の中に抜きがたい、しっかりとしたものとして定着いたしておると思っております。  現在、私たちの防衛政策は、憲法の精神に従い、専守防衛の原則にのっとりと、こうあるわけでございますけれども、まさにその言葉どおり私たちはしっかり守りながら、この国の独立と自由と平和を守っていかなければならない、そう考えております。
  46. 井上一成

    井上(一)委員 専守防衛ということ、それは憲法第九条だと思うのですね。そうでございましょう。
  47. 加藤紘一

    加藤国務大臣 その憲法の精神から来るのが専守防衛、そしてこの防衛について憲法の中で一番明確にあらわしているのが前文と九条だと思っております。
  48. 井上一成

    井上(一)委員 そのことは、世界の他の国に例を見ない国家の基本法、憲法を私たちはあえて選択をした、こういうことでございますね。
  49. 加藤紘一

    加藤国務大臣 確かに我が国の憲法というものは、これほど大きな重要な世界の自由主義国の中で明確に武力の不行使、戦力の不保持、そういう平和宣言をしたというのは、特色のある国家であろうと私は思っております。
  50. 井上一成

    井上(一)委員 念を押して恐縮なんですけれども、私たちは他の国とは違う選択をした、これはもう確認をしたし、それを選んだわけですね。そのことをやはり私たちは今忘れてはいけない、こういうことなんです。他の国と違う選択をした、そのことが、国を守る基本的な対応についても、やはりこれを忘れてはいけませんよということであるわけなんです。  世界のいろいろな国家があるわけです、国があるわけですけれども、その国々によっての基本法、いわゆる憲法ともいうべきものをそれぞれの国が持っているわけでありますけれども、私たちが、我が国が選んだ九条という、その九条の土俵は他の国とは違った選択、違った土俵である、そういう立場、その違った土俵を選択したという意義をやはり我が国の防衛の中で示していかなければいけない、こういうふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
  51. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私たちの国はそういう憲法を持ちましたし、そういう精神で戦前のようなことが再び起こらないようにという決意のもと、戦後の防衛政策を運営してきたわけであります。これほど防衛政策が多岐にわたり論争された戦後を持った国は、恐らく世界の中で余りないのではないだろうかな、こう思っております。したがって。私たちは特別の歴史的な経過を経たわけですから、そういった精神をしっかり守りながらやらなければならないということは事実だと思います。
  52. 井上一成

    井上(一)委員 まさにそのとおりだと私は思うのです。いろんな議論が今あるわけなんです。もちろん、政治家も含め軍事評論家あるいはいろいろな人がいろいろな見解を示されるときに、この私たちの選んだ土俵、違った土俵を十分認識されずに、例えばアメリカの土俵、NATOの土俵、私たちの選んだ土俵と違う土俵の上に乗って日本の防衛を論じるから、防衛費あるいは戦略、戦術も含めてそういう問題にいろいろな意見が飛び出してくる。むしろ私は、選択した土俵が違うのだから、方向は、防衛という一つの目標は一緒であっても、中身は違って当然である。だから、防衛予算が少ないとか多いとか、かくあるべきだ、もっと努力せよとかもっとふやせとか、いろいろな意見がありますけれども、そうおっしゃっている方は、戦後私たちの選んだ九条の土俵を十分御認識でないと私は思うのです。そういうことを防衛庁長官もお忘れにならないように、政治家加藤先生として、私たちの選んだ九条をベースに置いて、その土俵の上に立って我が国の防衛を考えていくべきである。  それじゃ、憲法九条の中での日本の防衛力は一体どうあるべきなのか、このことについて長官の見解を聞いておきたいと思うのです。
  53. 加藤紘一

    加藤国務大臣 これは国会における一%論議のときにもよく言われたことでございますけれども、私たちの国の防衛費は、世界諸国に比べて格段に低いと思います。あえて言わせていただければ、アメリカが今六・五%ぐらいでしょうし、イギリスが五・三、たしかフランスが四・二、西ドイツが四・一、これが私たちの手に入る最近の数字だろうと思います。これに対し日本が〇・九九七、私はかなり低いと思っています。  この低いGNP比で来られた理由は何かということを考えますと、一つは、軍事大国になりたくないという国民の一つの大きな意思、これは憲法の精神にもつながる部分です。二番目に、ここは多分井上委員と私たちの考えは違うのでしょうけれども、日米安保条約の存在というものが日本が軍事費を大きくしなかった理由なのではないか。もしこれがなかったならば、この厳しい国際情勢の中で、私はかなりのGNP比の増大になっていたのではないだろうかなと思います。したがって、この二つについての評価をどう考えるか、私はこれからみんなで論議していかなければならない部分ではないかなと思っております。
  54. 井上一成

    井上(一)委員 前段のNATO、アメリカに比べて低い数字だというのは、さっきあなたが言った認識、専守防衛に徹するといういわゆる九条の土俵を選んだから低くて当然なんです、交戦力を持たないのですから。交戦力を持つ国と防衛予算を比較すること自体、比較の対象が間違っているわけです。それを私はきっちり先に念を押したわけです。その認識があるから少なかったと僕は思う。  今、防衛庁長官から私と安保の認識が違うというお答えがあったので、安保条約の問題についての議論じゃなく、安保条約の占める位置については議論していけばあるいは同しかもわかりませんが、さっきから言っている防衛力は一体どうあるべきかという中で安保条約が出たので、後は安保の問題について……。  例えば独立国家であるから自分の国は自分たちで守るのだ、安保条約は補完的なものである、主と従があれば、主は自衛隊であり、従は安保条約であるという考え方に立つのか、あるいは何か起こったとしてどうしても自衛隊だけではやっていけないからアメリカに安保条約で守ってもらうのだということで、主が自衛隊であり、従が安保条約なんだという見解なのか。安保条約で守ってもらっているのだ、九条があるから自衛隊はできるだけ小さくして、むしろ主は安保条約であり、従が自衛隊であるのだという認識を持っていらっしゃるのか。安保条約が主で自衛隊が従である、西側の一員である我が国が困ったとき、急迫したときには安保条約という一つの取り決めによってアメリカがそれに対処してくれるという見解を持っていらっしゃるのか、これはどちらなんですか。
  55. 加藤紘一

    加藤国務大臣 安保が主か自衛隊が主かというのは、かつて国会でも大変論議されたところだと聞いておりますけれども、それは今、安保と自衛隊の二つは我が国防衛の二つの柱である、どちらがどちらというべきことではない二つの柱だと思っております。
  56. 井上一成

    井上(一)委員 防衛庁長官、それは本当はおかしいのですよ。安保条約を締結したときの経緯を踏まえてもそれはおかしい。それなら安保条約に対して、あなたはアメリカに対して安保条約の効果というのでしょうか、もう半分でもいいんだ、自衛隊がそれ以上に力を持っているんだからということになってしまうわけです。  むしろ、保守本流という人たちは、安保を主に置いて、自衛隊を従に置かれたと私は思っておるわけです。中曽根さんが出てきて、自分たちの国は自分たちで守るんだといういわゆる自衛隊増強諭の発言があって、いわゆるタカ派だ、保守本流から外れた違った見解である。あれはたしか七〇年だったか、防衛庁長官になったときです。ごく最近は、アメリカへ行って、いやそうじゃございません、安保条約の方が主でありますと言う。言葉はただだといったって、不沈空母、運命共同体という発言は、まさにそれを象徴しているわけです。そういうことをアメリカへ行って言っているわけなんです。  だから、防衛庁長官、ここらはきっちりしておかないと、あなたは半々だと言うが、どうなんですか。安保の下に自衛隊があるのか、自衛隊の下に安保があるのか、これはどっちなんだ。これは非常に大事なことなんです、これからの議論を展開していく上において。あなたはうまく、どっちも二つの柱にしている。そんなことをアメリカに行って言えるのですか。そういうことになれば、今後アメリカと安保条約についてのいわゆる効果縮小の話をしていかなければいけない。いかがですか。
  57. 加藤紘一

    加藤国務大臣 やはり安保条約と我が国防衛力整備は、我が国の防衛についての二つの柱だと思います。それが安保条約が結ばれた時期から現在まで変わっているのではないか、現内閣がその点をまた変えようとしているのではないかという御指摘でございましたが、私たちはそうは思いません。昭和三十二年に岸内閣のときにつくられました「国防の基本方針」という文書がございます。これは憲法に次ぎまして私たち防衛庁が防衛政策を考えるときの基本文書になっておるわけですけれども、昭和三十二年というと今から二十八年前ですが、今それを読み返し、私たちがそれを心に入れてみましても、かなり古典的な意味を持つ文書じゃないかと思うのです。  そこにどういうことが書いてあるかというと、第一に、防衛を考えるためには諸外国とけんかしないようにしましょう。二番目に、自分たちの国が守るに値するだけのしっかりとした国内社会体制をつくりましょう。また、そういう整備をしていきましょう。三番目に、どうしてもそれでも紛争になった場合には、自分たちの防衛力を必要最小限度持ちましょう。四番目に、これで対処し得ない場合には、本来ならば国連なんですけれども、それが機能を果たすまでは日米安保条約によって支援を仰ぎましょう。要旨こんな順番で書いてあるわけです。  これはよく考えられた今日でも意味のある防衛政策なのではないかなということで、私は感心して今でもときどき読んでおるのですけれども、私たちはそれを頭に入れて、それに従ってやっていって間違いないのではないだろうかなと考えております。
  58. 井上一成

    井上(一)委員 このことはまたいろいろ、政府も安保の効果的運用によって我が国の平和が維持されるように努力していこう、そしてそれが自衛隊も含めて、安保の効果的運用という発言を、何かあればしきりと答弁されているわけなんですよ、効果的運用というのは漠然とした抽象論ですけれども。だからむしろ、安保条約が現存するわけでありますから、私は答弁をされてきているその流れというものは無視できない。いや、そうじゃないんだ、今言われるようにだんだんと自衛隊の柱が安保と同じくらいな柱になってきたんだ。ひょっとしたらそれを太くしていこう。  今私は、安保の方が上であったのではないか、安保の中で自衛隊というものがあったと。ところが今のあなたの答弁では、だんだん自衛隊が上に上がってきた。今一緒に、二本の柱だ。これがさらに自衛隊が上に上がっていく。私はこういう懸念、まさに今私たちが懸念すべきことはそのことなんです。まさか加藤防衛庁長官が安保の上に自衛隊を持ってこようとはお考えではないと思いますが、先ほども言ったように我が国は世界の唯一の国として平和憲法を選択した。非常に単純な質問ですけれども、その土俵に我が国が立つことがいいのか悪いのか。今の国際情勢も含め、あなたは長い歴史の古典的な云々と言われたけれども、九条を選択したその土俵の上に我が国が立つことがいいのか悪いのか、これはどうなんですか。
  59. 加藤紘一

    加藤国務大臣 土俵という意味でどういうことを先生が御指摘なさっているのか、若干食い違いがあるかと思いますが、私たちは戦後の憲法を評価いたしておりますし、その基準の上に立って私たちが防衛政策を考えることは、従来もそうでありましたし、今後もそれに従ってやっていくことは間違いないことだと思っております。
  60. 井上一成

    井上(一)委員 私は、戦後の平和憲法を今言う九条の土俵――交戦権を持たない、戦争を放棄した我が国の平和憲法、これを九条の土俵と言っているわけです。我が国の憲法の土俵です。その選択した我が国の憲法の土俵を忘れてはいけない。その土俵の上におることがよいのか、あるいは従前の憲法、帝国憲法あるいは交戦権を持つ憲法、戦争は放棄しないのだという憲法、そういうところに乗らなければいけないのか、もっと手っ取り早く言えば、憲法を改正しなければいかぬということになるわけです。だから、自衛隊の軍備拡大、防衛について際限のない、エスカレートするそのことについて私は危惧を持つので、今申し上げたように九条の土俵というのは平和憲法を指しているわけですね。その立場に立つということが当然であると私は思うのです。よいのか悪いのかと言ったけれども、立つ。どうなんですか、平和憲法の九条の土俵。九条だけじゃありませんよ。すべて戦後選択した平和憲法の上に立つ、そのことは当然であり、今後もその上に立って防衛を考えていくべきである、私はそう思っているわけです。それで防衛庁長官はどういうお考えでしょうか。
  61. 加藤紘一

    加藤国務大臣 憲法九条の精神というのは、私たちはしっかり守ってきたと思いますし、それからそのもとで許される自衛権ということで私たちの防衛庁は、自衛隊は防衛力整備をやってきたわけでございますし、それで私は間違いないことだと思っております。また、九条に限らず憲法の全体の精神の中で、国力の伸長のため、または自分たちの国家のエゴを主張するために軍備を使わないという精神を宣言しているものだと私は思っておりますけれども、そういう意味での精神は今後ともしっかり守っていき、そして憲法九条の解釈の中で許される自衛権のために私たちは防衛力整備をやっていく、そういう考えで進めていくべきであろうと思っております。  いずれにいたしましても自衛隊は、この間ちょっと調べてみましたら、戦後生まれの隊員が実にもう七〇%になっております。昨年度を前後いたしまして、戦争前に軍の経験を持った人たちがほとんどゼロになったような年に、昨年度は自衛隊三十周年を迎えたわけでございます。いろんな意味で私たちは、現在の防衛政策の基本におきましても、それから隊員の意識の中においても、憲法の精神は十分に根づいているものだ、こんなふうに思っております。
  62. 井上一成

    井上(一)委員 私はあえて、我が国の選択をした平和憲法をベースにして防衛も考えていくべきである、こういう認識に立って議論をしているわけです。  防衛計画については「防衛大綱」の達成という、三次防、四次防があって、五次防が「防衛大綱」になったわけでありますが、「防衛大綱」が達成したらそれで満足をするのかどうか。いや、そうではないんだ、そうではなくして、さらに国際情勢あるいはいろんな状況を判断しながら、六次防、七次防あるいは新しい防衛計画をさらに際限もなく目標を設定していく、こういうことなのか。満足をしたということになると、いわゆる私たちの選んだ平和憲法の土俵の上に立った場合に、これで満足である。いや、そうじゃないんだ、六次防、七次防、さらに目標を設定していくということになると、別の土俵、いわゆる平和憲法の土俵でない別の土俵に足を踏み込んだことになるのではないか。それはNATOが持っている土俵、NATOが立っている、アメリカが立っている土俵、交戦権を持つ土俵ですね。専守防衛という平和憲法の土俵から足を踏み外したことになるのではないか、こういうふうに私は思っているのです。その点は防衛庁長官、いかがでしょうか。
  63. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私たちは「防衛計画の大綱」の防衛力水準にできるだけ早く到達したい、こう考え保ております。  その先どうするのかという御議論でございますが、その先につきましては、私たち今考えておりません。とにかく現在のこの「防衛計画の大綱」というのは、一%論議との絡みで私たちがよく、とにかく「防衛計画の大綱」の水準達成が中心でございますというような発言を予算委員会なんかでしておるものですから、「計画大綱」そのものが何かおどろおどろしい膨大な軍備のようなイメージを、最近ここ二、三カ月、国会論争をテレビで見ている人、新聞の報道を読まれる方がお持ちになったのではないかな、こう思っているのです。  しかし、井上委員重々御案内のように、この「防衛計画の大綱」というものは、三次防、四次防、ずっと進んでまいりました防衛力整備、それが金額が上がっていく際に、一体最終点ほどこなんだということの国民の不安にこたえるためにも生まれてきたという経緯があると思います。それから、節度ある日本の防衛力というのはどういうものかということにこたえる意味もあったと思います。またもう一つ、日本はどの程度まで現実に国内情勢等からやればできるのかという意味があったと思うので、そういった意味の節度のある国民のコンセンサスづくりの土台としての「防衛計画の大綱」だったのではないでしょうか。  ですから、「防衛計画の大綱」の水準では高過ぎる、その達成を目指すことは軍国主義になると言われる御議論もあるかと思えば、逆にその程度のもので国を守れるのかという、左右両方から言われるような筋合いに今なっているわけです。したがって、コンセンサスを求める一つの議論のたたき台として、この「防衛計画の大綱」は大切にしていきたいと思いますし、そういう観点で、まずそれを達成することを先に考えたい、こう私は思っております。
  64. 井上一成

    井上(一)委員 私は、憲法九条を持つ平和憲法の土俵の上に立つ人の見解とそうでない人の見解は、おのずから違うと思うのです。私は、憲法九条を持つ平和憲法の上に立っています。そして、それを認識して防衛という今の議論をしています。長官も、当初に選択をしたその重みをしっかりと認識をしていることを僕に披瀝されたわけです。九条の平和憲法の土俵の中であれば、もう「防衛大綱」が達成したら満足なんだ。それ以上際限もなく六次防、七次防、八次防、ずっと目標を先に延ばしていく、いわば「防衛大綱」はプロセスである、過程である、そういう位置づけをされたら大変なことです。それはおのずから土俵が変わった立場に立つ人です。だから、いわゆる平和憲法の上に立って論理を展開する人とそうでない人とは、意見が違って当然なんです。もっともっと防衛予算をふやしなさい、それは、こっちの土俵にいらっしゃる方はそういうことを言いますよ。私たちは、今言っているように、平和憲法の上に立って議論をする場合には、際限なく防衛予算を拡大していくことはこれは大変なことになる、九条を持った平和憲法の土俵を踏み外したことになる、こういうふうに思うのです。  それで、九条があるから、平和憲法があるから軍事大国にならない、あるいは核に対する、つくらない、持たない、持ち込ませないという非核三原則が遵守されていく。さらに、最近問題になっている一%枠を守るというのも、これはむしろ軍事的な合理性から説明したものではない、政治哲学から一%という枠は生まれてきたんだ、こういうふうに私は思っているのです。少なくとも九条の土俵に立つ人たちはすべて、軍事大国にならない、非核三原則を遵守し、かつ一%の枠を守っていく、そういう立場に立つべきである。それはむしろ九条があるためにそれを守る、こういう政治哲学がそこにあるわけです。  だから、いわば国民の大多数が今のままでいい、そして今の平和憲法の中で私たちは国の防衛を考えるべきであり、そのために自衛隊に対する認識も合意的に大多数の人が置かれているわけです。いわば政治的な妥当性を踏まえたもの、そして自衛隊を是認するという国民合意の大きなよりどころ、これはやはり一%枠だ、この政治哲学を放棄して国民的な合意は得られません。国民の支持というものはそういうものではない。それほど九条の精神を持った平和憲法の土俵というものは意味があり、重みがあり、かつまた大変崇高な、他国に例を見ない、世界に誇るべき我が国の財産ではないだろうか。そういうことを私は加藤防衛庁長官にしっかりと受けとめてほしいし、その認識を最初にしっかりと聞いておきたい、こういうことなのです。  憲法九条の枠というか、その土俵を踏み外さずに防衛庁長官として防衛問題を考えていきますというのか、そうじゃないんだ、アメリカやNATOやその他世界の交戦権を持った国の土俵に足を踏み入れてまで日本の防衛を考えていくんだ、そういう考え方に立つのか、どちらですか。
  65. 加藤紘一

    加藤国務大臣 もちろん、私たちは憲法の精神に従って防衛政策を考えていかなければならない、これは当然のことだと思います。そこで、問題は、では議論がみんな一致するはずではないか、どうして私たちの中で防衛論争がいろいろあるのかなということを考えてみますと、一つは、今井上委員がNATO諸国のような考え方、NATO諸国のような防衛政策、こうおっしゃいましたけれども、その中には幾つかの論点があると思うのです。一つは、例えばNATO諸国の場合には集団的自衛権というものの存在を認めていくであろうと思います。これは私たちは認めない、認められてない、それが憲法だと思います。しかし、NATO諸国のようなその防衛理論の基本的な現状における発想として、抑止の理論というのがあると思います。私たち現在の自民党政府は、防衛政策は抑止の理論のもとに立っている。そこの辺はやはり大きな違いなのではないか。  もしかしたら、井上委員がどうお考えになっておるかそんたくするのは失礼でございますけれども、この抑止の点につきましては、私たちと意見が異なるところがあるのではないか。したがって、最終的にはこの問題をどう考えるのかが日本における防衛論争の一番のポイントになっているのではないか。それ以外のところは、軍事大国になりたくないとか、近隣諸国に脅威を与えたくないとか、軍部独裁になりたくないとか、シビリアンコントロールをしっかり守りたいとか、そういうところはもうほとんどコンセンサスがある状況になってきたのではないかな、こう思っております。
  66. 井上一成

    井上(一)委員 抑止と均衡という言葉が出たのですが、この抑止と均衡、よく使われるんですよ。僕はGNP一%についても後で若干聞きますが、抑止と均衡という言葉のためにすべてを肯定してきた、あるいは肯定しようとしているのが、私は中曽根さんの姿勢だと思うのです。  それではお伺いしますが、抑止と均衡とは一体何なんですか、教えてください。
  67. 加藤紘一

    加藤国務大臣 やはりお互いに相手の力の存在を知ることによってあえて武力行使に至らない、また、ある種の防衛の真空の状態があれば、そこにおいてまたそこを埋めようとする力が働くかもしれない、そのためにはしっかりと抑止をしておかなければならない、そういうことでなかろうかと思っております。
  68. 井上一成

    井上(一)委員 それは、東西対立の中に抑止と均衡があるのでしょう。
  69. 加藤紘一

    加藤国務大臣 東西の場合にも抑止力の均衡の作用が働くと思いますし、それぞれのローカルな、局地的な部分についてもそういうことがあり得ると思います。
  70. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、我が国は抑止と均衡の中にどのような位置づけをされているのですか。
  71. 加藤紘一

    加藤国務大臣 簡単に言いますならば、グローバルな核の抑止につきましては、私たちはアメリカの核抑止力に頼っておりますし、それから、それ以外の通常兵力につきましては、私たちみずからの自衛力及び日米安保の抑止力に依存しているということでなかろうかと思います。
  72. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、グローバルに、東西対立の中における抑止と均衡の中に我が国は参画をしているんだ、こういうことですね。
  73. 加藤紘一

    加藤国務大臣 核の抑止力につきましては、アメリカの抑止力に依存しているということは事実だと思います。
  74. 井上一成

    井上(一)委員 では、我が国は核の最前線に位置づけられていると見るのですか、どうなんですか。
  75. 加藤紘一

    加藤国務大臣 核の最前線という意味がちょっとわかりませんけれども、アメリカの全世界的な、グローバルな核の抑止力の傘の下にいるということは事実だと思います。
  76. 井上一成

    井上(一)委員 では、三沢のF16配備も含めて、いわゆる東西対立の中の抑止と均衡ということになれば、おのずからソ連の国に一番近いアメリカの基地と言えば三沢でしょう、核戦略の中で。そうでしょう。それだから最前線に位置づけられている、そういうふうに私は理解をするのだけれども、そして抑止と均衡というのは、その戦術、戦略の中には核戦略というものが常に、今あなたもアメリカの核の傘の中にと言われたが、核を抜きにした抑止と均衡はないわけでしょう。いかがですか。
  77. 加藤紘一

    加藤国務大臣 現在の世界戦略の中で、核の抑止というのが一番重要な働きを果たしていることは事実でございますけれども、しかしそれぞれの地域において、通常戦力による抑止の作用も非常に大きく働いていることは事実だと思います。また、戦後幾つかの紛争が世界の各地に勃発いたしておりますけれども、その紛争はすべて通常兵力による武力衝突であるということも事実だと思います。
  78. 井上一成

    井上(一)委員 もう一度お尋ねしますが、我が国はさっき言った、私は三沢の核基地を例に出しましたが、核の最前線に位置づけられているという認識はお持ちでしょうか、お持ちでないでしょうか。そうじゃないんだとおっしゃるのか。
  79. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私たちは非核三原則を持っておりまして、三沢基地に核が持ち込まれているというようなふうには思っておりません。
  80. 井上一成

    井上(一)委員 いや、私は今三沢に核が持ち込まれていると言っているんじゃないわけですね。いわゆる抑止と均衡という言葉が出てきたから、みんなそれで逃げているわけなんです。じゃ、抑止と均衡とは一体どうなのかということから議論が出てきたわけであって、だから核戦略を含めた戦略、戦術の中に、それは同盟軍の普通の通常兵器もあるわけですよ。核戦略だけではない。しかし、核戦略を抜きにした抑止と均衡はあり得ないわけでありまして、そういう意味で私は、核の最前線に我が国は位置づけられているのではないでしょうかと。今三沢に核があるとかないとか、核の有無を言っているのではなくして、そういう意味で抑止と均衡の議論の中で、核の最前線に我が国は位置づけられているのではないでしょうか、これをちょっと私は聞いておかなければならない。
  81. 加藤紘一

    加藤国務大臣 どこが核の最前線とかという種類のものではなく、また先ほど外務省栗山局長が答弁申しましたように、個別戦艦の中における核の存在等は明示しないわけでございますし、アメリカの核抑止力というのはそういったすべてを含めて、どこどこの地域にどうという話ではなく、全体の力として核の抑止力が働いているものだと思っております。
  82. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ、抑止と均衡の中で我が国は非常に重要な位置を占めている、こう理解してよろしいでしょうか。
  83. 加藤紘一

    加藤国務大臣 アメリカの核の抑止力がどの部分が重要でどの部分が比較的重要でないとか、そういう話でなくて、全体的なものが核の抑止力となっているのだと思っております。
  84. 井上一成

    井上(一)委員 じゃ、それは全体的に重要であるのか、重要でないのか。
  85. 加藤紘一

    加藤国務大臣 全体的に重要である、ないというのはどういう御指摘なのか、もう一度お願いできれば……。
  86. 井上一成

    井上(一)委員 我が国が核と抑止の中での参画をして一定の位置づけがされているということですから、私は重要な役割なのかどうかということを今聞いたのですけれども、もう一度ということですから。  重要であれば、それが抜けたら大変なことになりますね。バランスが崩れてしまうわけですし、重要でなければ、抜けたって大したことはない。だから、抑止と均衡の中における我が国の位置づけは重要なのでしょうか。逆に言ったら、それから抜けても、参画から外れてもいいんでしょうか、よくないんでしょうか、こういうことです。
  87. 加藤紘一

    加藤国務大臣 核につきましては、私たちの国内に米軍の核があるわけではございませんし、それは当然のことながら非核三原則であり、事前協議であればノーということになると思います。したがって、そういう状況の我が国が、アメリカの核戦略についてどういう意味を持つのかということは私がコメントする問題ではなくて、アメリカ政府がどう考えるかということであろうと思います。  それで、私たちにとりまして重要なのは、日本にとって核の傘が十分かかっているか、それの抑止力が信頼性の持てるものかということなんでございますが、そういう側面から見ますと、アメリカの方はしっかりとコミットメントをいたしておりまして、これは外務省が答えることかと思いますが、例えば昭和五十年の三木・フォード首脳会談後の共同コミュニケの中には、核の抑止力も含めて日本に抑止力を提供することをアメリカ政府は明言いたしておるということが言えるのではないかと思います。
  88. 井上一成

    井上(一)委員 防衛庁長官、今言われる抑止と均衡の中で、日本が抜けたらその抑止と均衡が崩れるのかどうか。あなたは抑止と均衡ということを言っておるのだから、日本が参画しているのですが、僕はそれはよくないと思っているんだけれども、抑止と均衡が日本が抜けたら崩れるのですか。崩れると思われるのですか。
  89. 加藤紘一

    加藤国務大臣 繰り返しますけれども、アメリカ全体の核抑止力は、総合的に判断され、その中で日本をどう位置づけられるのかは、それはアメリカ政府の判断されることであろうと思います。しかし、はっきりといたしておることは、日米の間で核につきましては非核三原則がしっかり守られておるということは明確だと思います。  それから一方、核の問題を外しまして日米安保条約の位置づけがどうなるのかということになりますと、これはアメリカにとりまして日本は重要なコーナーストーンという表現が使われていることでありまして、自由主義諸国の防衛にとりまして、アメリカにとりましても日本は重要なパートナーであることは事実だと思います。
  90. 井上一成

    井上(一)委員 核戦略も通常戦略も含めて抑止と均衡というものが言われているわけなんですよ。私はここで、もう時間がありませんので、やはり我が国の選択した九条を持った平和憲法の土俵というものを、あなた方は忘れたらいけませんよということです。抑止と均衡というその言葉の中で、すべてが肯定されていく今の防衛論議に、私は危惧を持つわけです。あなたも今はそういうことに流れているわけです。あなたの哲学をもって、やはり防衛庁長官としての職責を果たしてもらわなければいけないし、繰り返すようでありますが、九条を持つ平和憲法の土俵を忘れてはいけない。その土俵の上を踏み出してはいけない。そういうことになれば、その土俵の上に立ては、防衛予算が多いとか少ないとか、そういう議論についてもおのずから正論が生まれてくるのではないだろうか、私はそういうふうに思っているわけであります。  アメリカやNATOやあるいはその他の国から比べれば、防衛予算我が国が少ないというのは当然である。九条の選択をしている、立っているところの土俵が違うのでありますから、だから防衛庁長官は、あなた方は防衛予算を一%枠を突破するかもわからないと、何かごく最近も少しそういうことを示唆されたらしいのですけれども、私は数字的にその一%を破った場合、そこに何を国民に示そうとするのか、いわゆる未来像というものを示さなければならないし、何を見せようとしているのか。あるいは、憲法九条という我が国だけしか持たない平和憲法の土俵を、そのときは既に逸脱をした、いわゆる憲法を変えていかなければいけないと、オーバーな表現をすればそこまで踏み込んだことになりますよ。十分その点は留意して防衛問題を論じていかなければいけないし、防衛庁長官として防衛の問題に対応していかなければ大変なことになる。九条の土俵を忘れてはいけませんよ。  ただ、平和主義に徹していきたいとする国民の願いと厳しい国際情勢、これも私は否定はしません。だから、その現実的な要請というものをいかに調和させていくかということが大事だと私は思うのです。その調和さすということも九条を持った平和憲法の土俵の上で考えていかなければいけないので、最後に、このことについては九条を持つ我が国の平和憲法の土俵を踏み外しません、その上に立って防衛を論じていきますという強い御意思があれば表明してほしいし、もしそういうことでなく、今の憲法ではどうも防衛の議論はできないし、私の、私のというのは加藤防衛庁長官の考えは、井上一成指摘した平和憲法の土俵に立つ考え方と相入れなければ相入れないで、あなたの毅然とした明確な基本姿勢をここで示してほしい、こう思います。
  91. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私たちは憲法を守っていきたいと思います。そして、私個人といたしましてもそれは守っていきたいと思いますし、現在の憲法を変える必要はないし、また変えることによって諸外国、特に近隣諸外国に与える影響も十分計算しなければならない、そう考えたら変える必要はないのではないだろうか、こう思っております。私たちはそういう憲法の精神に従って防衛力整備を進めていき、自衛隊の存在を考えていきたいと思います。  抑止の理論について、それがすべてを肯定するものとなるおそれがあるという御議論がありますが、その点は私たちも常に心していかなければならないと思っております。したがって、現在の国際軍事情勢、国際政治情勢等を見ますと、残念ながら抑止力の存在を認めざるを得ないというふうに、残念ながらと思いつつ抑止の理論を考えるか考えないかということだと思います。そして、厳しい国際情勢の中で残念ながらそういう事態になっていると思いますが、やはり一刻でも早くすべての軍縮が達成されることを私たちは望むものであります。
  92. 井上一成

    井上(一)委員 私は今、抑止と均衡の上から議論を展開したわけです。ここで一、二点どうしても尋ねておきたい点があるので、私の方から先にまとめて質問をします。  一つは、御承知のように、我が国は一九七〇年、NPT、核防条約を批准しました。これは、我が国は核を持たないことは当然でありますが、将来にわたっても核を持たないことを選択したわけであります。アメリカやソ連については、六条で、核をなくすために核軍縮に努力するという約束をしているわけです。しかしその後、核はなくなるどころか、ずっとふえ続けておるわけです。このことは、アメリカとソ連は、NPT、いわゆる核防条約の六条にむしろ違反している。あなた方は、いや違反していない、ジュネーブで今軍縮交渉が行われているんだと言うかもわかりませんが、軍縮交渉が行われているということは、ふえているから減らそうという話だから、明らかに核防条約の六条違反である、そういうとらえ方をしておるわけですが、防衛庁長官はどうでしょうか。  さらに、核を持たない国が相集まって核の脅威から逃れようとする、そのことは当然であろう、一つの非核地帯というゾーンをつくろうとする、そのことはよいことなのか、望まれることなのかどうか。あるいは、我が国はいわゆる非核三原則を持っているから非核地帯だ、当然そうだとおっしゃると思うのですが、非核地帯だと受けとめられるのでしょうか。そうなれば、今言ったように非核地帯が世界の各地にどんどんふえていくことは防衛庁長官として歓迎をするのか、望ましいことなのかどうか。  さらに、そういうことができることが抑止と均衡の上からマイナスになるのか、抑止と均衡の上にプラスに作用するのか、こういうことを私は聞いておきたい、こう思うのです。国連の第二回総会だったと思いますが、時の総理鈴木さんが、この非核地帯の問題、軍縮の問題について演説をなさいました。非常に立派だったと私は思っているわけです。そういうことも含めて今申し上げたことにお答えをいただきたい、こう思います。
  93. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私たちは、できるだけ早く、そして実質的な効果を伴って、ジュネーブにおきます米ソの核軍縮交渉が実質的な合意に至ることを希望いたしたいと思います。核の廃絶と申しますのは全世界の人々の希望でありますし、特に本当に核の災害を受けた唯一の国民としてそれを最も希望する国は日本であろう、こう思っております。  具体的な交渉の内容の、今の三点の問題につきましてどう認識するかというのは、担当の外務大臣でないとちょっとお答えすべきことではないのではないかと思いますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  94. 井上一成

    井上(一)委員 いや、そうじゃないですよ。あなたも外交官をされたなにがあるのだから、こんなものは別に外務省の見解は外務省の見解として、私は防衛庁長官としての見解を聞きたいわけ。むしろそれをあなたから答えていただかなければ、あなたは私の質問に誠意を示したことにならないですよ。そうでしょう。我が国が非核地帯であるのかどうか、もう時間がないからあえて質問しません。NPT条約に違反する、ふえ続けているのだから。減らすという努力をしているのだから、今のジュネーブでの軍縮交渉の努力は認めますよ。評価して理解したい。しかし、七〇年以来ずっとふえてきた。そのことは条約に反するのじゃないか。非核地帯の問題、あるいはそういうものがふえ続けることが抑止と均衡の中でマイナスになるのかプラスになるのか、あなたはそういう地帯が、ゾーンができることを願うのか。歓迎するのかどうか。それは外務省に尋ねているのじゃないのです。防衛庁長官に尋ねているのだから、お答えいただかないと困りますよ。
  95. 加藤紘一

    加藤国務大臣 軍縮交渉の具体的な内容と、それからそれに対する日本の立場の問題になろうかと思いますので、申しわけございませんけれども、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  96. 井上一成

    井上(一)委員 じゃ、非核地帯の問題についてはいかがですか。
  97. 加藤紘一

    加藤国務大臣 外務大臣にお聞きいただければありがたいと思います。
  98. 井上一成

    井上(一)委員 いや、防衛庁長官、私はあなたにすごい期待をしているわけ。今ニューリーダーでいろいろなことを言われているけれども、私は十年を待たずして、むしろあなたあたりが日本の将来をリードしてくれるということを心ひそかに、これはお世辞抜きで考えているから、私自身は憲法九条の問題を含めてこういう議論をしたわけなんです。もうこれ以上申し上げませんけれども、親分である鈴木さんはそこらをきっちり演説をされているわけです。もうちょっと歯切れのよいというか、期待をしているだけに、申しわけないけれども、私にとっては、最後、満足ではございません。満足ではございませんが、いずれかの機会にこのことはまた続いて質問というか議論をしよう。きょうはこれで……。どうぞお答えください、手を挙げたのだから。
  99. 加藤紘一

    加藤国務大臣 全く予想外に防衛庁長官になりましたものですから、防衛政策の勉強、本当に擬問擬答だけでも一千件を超えるものをしっかりと勉強してまいったわけですが、その部分についてはまだ勉強不足でございますので、この次にさせていただければありがたいと思います。
  100. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、私はこれで質問を終えます。  ありがとうございました。
  101. 安井吉典

    安井委員長 次に、金子みつ君。
  102. 金子みつ

    ○金子(み)委員 私は、まず会計検査院にお尋ねしたいことがございます。  私は、今回決算委員会に初めて所属をいたしました。それで、会計検査院からいろいろな資料を届けていただきましたものを勉強をいたしましたが、中でも「会計検査のあらまし」という報告書ですが、これは大変にいろいろのことがわかって、貴重な資料だと思っております。  ところで、これを拝見いたしておりまして、私は非常に驚いたと申しますか、言葉をかえますと嘆かわしいとでも申しますか、慨嘆をしたわけでございます。     〔委員長退席、井上(一)委員長代理着席〕  それは何かと申しますと、この報告書の中に一番私の目を引きましたのは、「指摘した事項概要」の中でトップに出てまいります不当事項という問題がありますね。それで、国家公務員の人たちがやっている仕事なんだけれども、その中身に不当事項というのが出てくるというのはちょっとびっくりしたわけでございます。そしてさらに報告書を拝見してみますと、例外なくどこの省庁も不当事項というのがあるのですね、本当に驚きました。それで、どうしてこういうことになるんだろうということが私の偽らない関心なのでございます。  私がいただきました資料は、五十六年度、五十七年度、五十八年度と三カ年の資料でございますが、三カ年の資料を比較して眺めてみておりましても、必ずどの年にでも同じ役所が出てくるのです。そしてもう一つ気になりましたことは、私が拝見しておりませんその前の五十一年、その五十一年度における調査の結果なんだと思いますが、こういうふうに書いてあるのですね。会計検査院は五十一年にも同じ趣旨の指摘をしておる、にもかかわらず依然としてこういう問題が起こっている、同じ問題があるから今回再度指摘したものであるというのが五十六年度に書いてある。ですから、私は五十六年からしか拝見しておりませんけれども、それ以前の各年度にあったんだなということがこれでわかりまして、いよいよ何ということなんだろうというふうに思うわけでございます。  そこで、私がお尋ねしたいと思いますのは、こういうふうに毎年不当事項が報告されなければならないということ、しかも同一事項が改善されないで続けて実施されているというようなことにつきましては、会計検査院の責任だとはもちろん思いませんけれども、どこに原因があるのだろうかということを会計検査院では考えていらっしゃるのか。それで、そのことは絶対に改めなければならないことだと思っておりますが、これを改めさせるためには会計検査院としてはどのように努力を払ってきておられるか、そのことについて教えていただきたいと思います。
  103. 竹尾勉

    竹尾会計検査院説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、不当な事態が後を絶たないというのはまことに遺憾に存じております。  このように毎年度不当な事態が発生する原因として考えられますことは、一つには、各省庁等あるいは補助金等の交付を受けまして事務事業執行する関係者におかれまして必要な知識が不足していること、注意力の不足していること、あるいは公金が国民からの血税によるものである、こういう認識が不足していることというふうなことにあろうかと思っておるわけでございます。  そしていま一つには、検査報告指摘の趣旨が、各省庁等におきまして十分生かされていないということでございます。制度的な問題といたしましては、各省庁等におきます審査、指導監督、管理等が有効に働いていないというふうなことや、内部監査体制が有効に機能していない面もあるということが考えられるわけでございます。  したがいまして、各省庁等におかれましては、検査報告指摘を契機といたしまして、あるいは各種事例を他山の石といたしましてみずから制度面の改善を図っていただき、また職員の研修等を充実するなどなさいまして、今後の予算執行において不適切な事態が招来しないよう工夫していただきたい、このように思うわけでございます。  また、会計検査院といたしましても、検査報告指摘事項につきまして当局の改善策を見きわめることはもちろんのことでございますが、再発防止を図る意味から、検査対象機関の経理担当職員に対する研修を定期的に私ども本院で実施しておりますほか、機会あるごとに本院職員を各省庁等が実施しておられます研修会に講師として派遣いたしまして、検査報告指摘の趣旨の徹底化を図っている次第でございます。  以上のとおりでございます。
  104. 金子みつ

    ○金子(み)委員 今御答弁になりましたように、私もそういうふうに思います。と申しますのは、この問題は会計検査院の直接の問題ではなくて、むしろ指摘を受けた省庁がみずから自粛自戒して、そして改善をするということがなければ解決しない問題だというふうに考えております。  この報告書を拝見しますと、先ほど申し上げた三年間を比較してみますと、大体百八十一とか百五十七とかと件数は少なくなっているにもかかわらず、不当事項として取り扱われた金額は八十三億円にもなっているということで、むしろふえている。これは本当に問題だと思います。これからこの次多分五十九年度という決算報告書をいただくことになるのだと思いますが、その五十九年度においても同じようなことがもし起こるのだとすれば、よほど何か思い切ったことが考えられなければいけないのじゃないかと考えます。  検査院では今後も具体的にどうするということは今御答弁がありましたが、この御答弁のとおりでいいんだと思うのですけれども、そのことが実効をあらわしていない、効果があらわれてこないというのは非常に問題だと思うわけです。ですから、効果が必ずあらわれてくるように今後もなお厳重に検査を行って、そして、一つ一つ問題のある省庁に対しては厳しく指摘をしていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  続きまして、沖縄の問題について二つのテーマでお尋ねをしたいと思います。  その一つは、厚生省の所管になる問題と思いますが、沖縄の戦没者の遺骨収集の問題でございます。  申し上げるまでもございませんけれども、第二次世界戦争のときに戦場になったのは、我が国では沖縄だけだと考えます。その沖縄がどんなに大変な体験をしたかということを、今私がここで申し上げる必要はない。どなたも御存じの問題だと思います。しかも沖縄は、戦争が終わりました昭和二十年から二十七年間も日本に復帰してこなかった。アメリカの占領下にあった、領土のような形になっていて日本に復帰してこなかった。その間の生活の苦しみというものも、私ども本土で生活する者にとっては想像することができないような悲惨な生活であったということを聞いております。  沖縄の県民の方々にとって、幾つも幾つも日本を守るために大変な犠牲を払ってきたわけでございます。沖縄に上陸して直接戦った戦力である軍隊はもちろんですけれども、非戦闘力である県民も総員で参加して戦いをした。その結果が非常に大きな犠牲者を出したということは皆様よく御存じのはずです。  厚生省の資料によりますと、その犠牲者の概数は十八万六千五百人というふうに考えております。十八万六千五百人の戦没者、犠牲者。沖縄の大きな犠牲の中の最も大きな犠牲でございますけれども、これを何とかして戦没者の方々の遺骨を収集することこそが、政府の沖縄県民に対する最も大きな思いやりと申しますか、謝罪と申しますか、補償と申しますか、そういうことだろうと私は思っております。  同じ厚生省の資料で見ますと、収集された遺骨の数は十八万一千六百十柱。ですから、まだ収集されていない遺骨は四千八百九十柱ある、こういうことになるわけです。収集された十八万一千六百十柱のうち、政府自身が、琉球政府も含めてでございますが、収集いたしましたのは四万六千五百六十柱でございますから、そのほかの十三万何がしという膨大な数は、政府がやったんじゃなくて、県民が自主的に遺骨を収集しているというその努力があるわけです。大変な努力だと思います。しかし、県民はこの遺骨を収集することが一番犠牲者に対するねぎらいだというふうに信じておりますし、そのことは日本的感覚から申しましても一番重要な問題だと思うわけです。  そこで、私が政府にお尋ねしたいと思いますのは、残っている四千八百九十柱を、いっ、どのようにして収集する計画がおありになるかということが知りたいわけです。お話を伺ってみましたら、従来も毎年一回収集をしておりました。一年に一カ月間作業をいたしまして、四十五ないし五十柱が収集できるという話です。そうしますと、四千八百九十柱を収集するためには、そのスピードでいけば百年かかるんですね。話のほかです。そんなことでは私たちは、沖縄の戦没された方々の大きな犠牲で今平和に生活している立場からは許されないと思うのです。ですから、できるだけ早く、これをせめて十年ぐらいにでも短縮できるほどに努力してほしいと思いますけれども、そのことに対する将来計画はどのように立てていらっしゃるか、教えていただきたい。
  105. 熊代昭彦

    熊代説明員 沖縄戦没者の遺骨収集促進につきましては、先生からも御指摘ございましたように、遺族団体及び沖縄県からも大変強い要望が出されておりまして、厚生省といたしましても、できるだけのことをしましてできるだけ早く終了したい、完了したいというふうに基本的に考えているわけでございます。  御承知のとおり現在、先ほど先生が数字をおっしゃいましたとおりでございますが、約九七%の収集が終わっております。しかし、残ります残存遺骨というものの大部分は、入り口が閉鎖されております埋没地下ごうにあるわけであります。機械力を用いてごう口を掘削するほかに、不発弾や有毒ガスを処理するなど、収集には非常に難作業を伴っておりまして、かなりの日時を要しているというのが現状でございます。  沖縄本島南部地区が、現在最も多く御遺骨が残存していると考えられるところでございますけれども、こういう状況でございますけれども、沖縄県、それから防衛庁、それから日本国有鉄道のトンネル技術者の方の御協力を得まして進めておるわけでございますけれども、現在、既発見で未処理のごうが三十一カ所ございます。それにつきまして、同地区の遺骨収集を沖縄復帰十五周年に当たります昭和六十二年までには何とか終了できるようにといいますか、その未処理ごうにつきまして終了できるように全力を挙げたい、かように考えております。
  106. 金子みつ

    ○金子(み)委員 私は、この問題はやってやり過ぎるということはないと思うのですね。ですから、これはもうできるだけ全力投球をしていただきたい。県民の方たちが、遺族会の方も含めてだと思いますけれども、自分たちでもやりたいと言っているんですね。努力をしていこう。  そこで、それに対する援助が欲しいという御要望があるようでございますが、国は沖縄県にこの遺骨収集の問題について委託費も出していらっしゃるはずですね。その委託費を大幅に増額をして、そしてこの問題を処理できるようにしていただきたいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。今、六十二年が復帰十五年だというお話ですが、それまでに全部やりたいというお話なんで、これは三十一カ所だけの問題ですから、遺骨としてどれだけのものが収集できるかわかりませんけれども、最低それだけは実現できるようにしていただきたいんですが、そのために沖縄県に委託費を増額するということを考えられますか。
  107. 熊代昭彦

    熊代説明員 沖縄県に対します委託費につきましては、年額四百九十五万円ということでお願いいたしているわけでございますけれども、この額は、沖縄県とも相談いたしまして大蔵省に要求して裁定された額ということでございます。  先ほど申し上げましたように、基本的に最も困難なところは未処理ごうを掘削してやるものでございますので、最も困難なところは国がみずから沖縄県の協力を得ながらやるというところでございまして、あと地表の遺骨は沖縄県にこの金額でお願いいたしているということでございますが、六十年度につきましては四百九十五万円でお願いいたしたいと考えているところでございます。
  108. 金子みつ

    ○金子(み)委員 大変な御苦労だということはよくわかります。埋没しているごうを掘らなければならない問題、あるいは何かハブがいるから暖かいときはできないとか、冬でなければできないとか、いろいろな条件があるようでございますから大変だということもよくわかりますけれども、それでもなおかつお願いを申し上げたいと思うのは、沖縄県民の人たちの気持ちを酌んで、少しでも早い機会に解決がつくような方向を今後とも続けていただきたいと強く要望したいと思います。  それからいま一つは、長官には最後にあわせてお考えを聞かせていただきますので続けますが、もう一つの問題は沖縄の電力の問題でございます。従来沖縄の電力は、特殊法人の沖縄電力会社がやっていたわけでありますが、この会社を民営に移行するという問題についてでございます。  長い間、大変に長い間、県内ではいろいろな関係機関あるいはエネルギー対策協議会などが検討を加えて、そしてどういうふうにするかということ、いわゆる沖縄電力会社のあり方について検討を加えてこられたということも承知いたしました。そして、本土にある九電力会社のどれかと合併するという問題についても、やはり検討課題としてかなり強い意見があったようでございますが、最終的には合併することはやめて、そして沖縄としては、沖縄県のみを供給区域とする独立の民営会社にするという結論を出したというふうに聞いております。  そこで、この民営に移行するということについて、同時に考えなければならない大きな課題があります。それは、この民営移行になったために電気料金が高くなるのではないだろうかという心配が県民にあるわけでございます。電気料金が高くなったのでは何の意味もありません。ですから、電気料金は本土並みの料金水準でなければならないということが大きな課題としてあるわけでして、先般、沖縄の西銘知事が政府に申し入れに来られたということも承知いたしましたが、そのときの知事の要請の中にも、そのことは非常にはっきりとうたい出されております。時間がございませんから一々申しませんけれども、このことが一番大きな前提課題として存在しているということでございます。  私から申し上げるまでもありませんけれども、沖縄県の県民の生活水準というのは、大変大ざっぱに申しましても、全国平均に比べればその所得の水準は七三%程度でしかない。この七三%も最近の二、三年のことであって、それ以前はもっとひどかった、五〇%、六〇%というような水準であったということも既に報告が出ております。それからまた、日常生活必需物資は、沖縄が島であるという特殊条件がございますために、輸送費その他が物価の中に入ってきておりまして、日常生活必需品の物価が大変に高い。もちろん、沖縄でとれる物につきましては安い物もありましょうけれども、一般的に高いですね。私どもが先般隣の奄美大島に物価問題特別委員会で調査に参りましたときにもそのことはよくわかりましたから、私は同じことだと思っております。  ですから、そういうような沖縄の県民の生活状態の中で、電力会社が特殊法人から民営に変わったからといって、電力料金が高くなったのでは我慢ならないと申しますか、県民としては承服できないというふうに考えます。ですから、どこまでも本土並み料金水準の確保ということは、料金で言えば最高の料金だというふうに考えて、これよりも高くならないように、むしろこれよりも低い水準でできればそれにこしたことはないわけですけれども、絶対にこれより高くならないようにということを実現していかなければならないと考えます。  そこで、そのことを実現させるために、独立民営になった電力会社が単独で運営していくわけでありますから、それが本土の九電力と同じように運営されることにならないと、同じ水準の電力料金を確保するということは難しいというふうに考えます。そこで、独立して努力しようとしているこの会社に対して、政府が従来大変に、まあ特殊法人ですからほとんど政府がやっていたようなものでございますので、いろいろな形で援助が行われております。例えば財政投融資の問題でも、あるいは関税の問題でも、あるいは税制の問題でも特別措置が図られてこれを助成してきたという事実がございますが、このことをさらに続けていただかないと同水準の料金を確保することは難しいのではないだろうか。だから、西銘知事の申し出の中にも、このことは非常にしつこく、詳しく強く要求されていたと思います。  だから、独立民営というのは、言うなればもともと行政改革の絡みであって、特殊法人を整理する政策の一環なんですから、このことを受けとめて沖縄電力が独立になろうということを決意したわけなんですから、その意思、県の意向を酌み取って――その点はいいけれどもとそこだけ酌み取られて、後の援助の方は手放しになんかなりますと大変なことになると思います。ですから、このことを国が十分考えて、従来どおりの支援をしてくださるということをぜひ要請したいと思いますけれども、国はどういう考えを持っていらっしゃるか、そのことについてお考えを聞かせてください。
  109. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答え申し上げます。  沖縄電力会社の民営移行につきましては、先ほど先生お話しのとおり、去る四月十日に西銘知事が上京されまして、私どもに、県としての地元意見はこうであるということで、御報告、要請がございました。  そのポイントは、御指摘のとおり、沖縄県のみを供給区域とする独立の民営会社ということで民営化してもらいたいということか主たるポイントでございますが、あわせて、民営移行に当たって、本土並み料金水準の確保が非常に重要な課題であるので、これにかんがみて適切な援助、助成措置等特段の御配慮をお願いをいたしたいということが、強くお話しがございました。  現時点では、沖縄電力の料金水準というのは、表面は高うございますが、民生用需要が高いこともありまして、本土並み料金水準と言い得る水準にございます。西銘知事からも、沖縄は離島を非常に多く抱えており、これが構造的な不利になっておるので、この点に対して現在なされておる政府の助成はぜひとも延長をお願いしたいというお話がございました。沖縄振興開発金融公庫の非常に低利な融資とか、石油関税の免除とか、いろいろな措置があるわけでございますが、これらにつきましては、従来からも私どもとしては、沖縄における電気の安定的かつ適正な供給という観点から講じてきておる措置でございますので、民営移行に際しましてもできるだけ延長を図っていきたいというのが私どもの考えでございます。  ただ、これにつきまして、いろいろ沖縄開発庁さん、財政当局さん、それぞれ関係者もいらっしゃることでございますので、これから一つずつ具体的な措置を検討いたしまして、できるだけ先ほど申しました沖縄における電気の安定的かつ適正な供給の確保ということに努めてまいりたいというふうに考えております。
  110. 金子みつ

    ○金子(み)委員 ぜひしっかりとその点は考慮していただきたいと思います。  なお、民営化に伴って、今まで政府の所有株だった九九・九九%ですか、ほとんどですね、これをどうするかという問題もあるわけですね。     〔井上(一)委員長代理退席、委員長着席〕 この財政問題は今の助成の問題と並行していかなければならない重要な問題だと思いますので、今これをどうするか、こうするかと私は質問するつもりはございません。まだ時期ではないと思いますので申し上げませんけれども、そのことをあわせて考慮を払っていただきたいということを申し入れておきますので、その点は考慮しておいていただきたいと思います。  なお、このことが実現していくことのためには、沖縄振興開発特別措置法という法律の改正をしなければならないというふうに考えるわけですが、そのことの見通しはどうなんでしょうか。
  111. 川田洋輝

    ○川田説明員 沖縄電力株式会社というのは、先生御指摘沖縄振興開発特別措置法の中で特殊法人として位置づけられている法人でございますので、これの民営化を図りますためには、その法律の改正が必要になるわけでございます。  先ほどお話もございましたように、知事から地元意見を取りまとめたものの御報告もございましたので、これらも踏まえましてこれから、これも先ほど先生御指摘のように、資本金をどう扱っていくかとか、今後の電気事業を運営していくためにどういう手だてが必要であるかとか、そういうようなことを検討してまいるということになるわけでございます。  極めて順調にいきますならば、次の通常国会にその法律改正案を御提出をするということになるわけでございますけれども、関係者間の意見調整あるいは手続等ということで時間がかかりますれば先に延びる可能性もありますが、いずれにいたしましても、私どもは、早期民営移行というのが方針でございますので、その方向で努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  112. 金子みつ

    ○金子(み)委員 わかりました。その点はぜひ進めていただきたいと思います。  最後になりますので、長官から一言御意見をいただきたいと思います。  お聞き及びいただきましたように、戦没者の遺骨収集の問題にいたしましても、それからまた今の電力会社の民営移行につきましても、これは政府の意向に沿って民営移行に踏み切った沖縄の電力会社でございますから、その料金を初めとして、運営するためには、今まで政府が支援をしてきたのと同じように、さらにそれ以上に格段の配慮を加えなくてはならないのではないかと思いますが、長官としてはどのようにお考えでしょうか、伺わせていただいて、質問を終わります。
  113. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 お話の第一点は遺骨の収集の問題でございますが、これまでの経過、現状、将来の計画等につきましては、今厚生省から詳細お話がございました。その計画の方向に沿いまして政府も全力を挙げなければと思いますが、同時に、県並びに県民の方々の御協力も引き続いてお願いしたい、このように思っております。遺骨の収集が一刻も早く終わることを期待しております。  第二点は電力会社の問題でありますが、沖縄電力は、最近二年間ばかり石油価格が大分下がりましたので、経営はある程度よくなりました。しかし、民営化に伴いまして幾つかの問題がございます。その問題点は先ほど通産省から御説明があったとおりでございますが、地元知事からもいろいろ要請を受けておりますので、沖縄の現状を十分踏まえまして、地元の要請等も勘案しつつ善処してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  114. 金子みつ

    ○金子(み)委員 質問を終わります。  ありがとうございました。
  115. 安井吉典

    安井委員長 この際、休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ――――◇―――――     午後二時一分開議
  116. 安井吉典

    安井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新村勝雄君。
  117. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 いわゆるNLP、夜間離着陸訓練場の決定について、いよいよ最後的な段階にあるように感じておるわけでありますけれども、そしてまた、長官が近く訪米をされるという予定も聞いておりますけれども、この問題については現在どういう状況であるのか、それからまた、長官としてはどういう考えで対処されるおつもりであるか、まず伺います。
  118. 加藤紘一

    加藤国務大臣 NLPの問題は、現在、私たち防衛庁が取り組まなければならない最も重要な課題の一つだと思っております。従来から三つの考え方を持ってやっておりまして、一つは、既存飛行場の中で利用できるところがないか、それから、新規に建設できるところはないか、そして浮体工法の方法はないのか、この三つの可能性の中で、選択肢の中でやってきておりますけれども、どちらかと言えば浮体工法というのはなかなか難しい話ではなかろうかな、こう考えております。そして、既存飛行場の中でもそれをやり得るところは、最終的な結論としてはなかなか難しいことではなかろうかな、こう思っておりますが、いずれにいたしましても、最終的な解決というのは、どこか適当な場所を決めて、その中の新たなNLPに適した飛行場というものを建設できないか、こんなことを考えながら今やっておるわけでございます。今委員おっしゃいますように最終的な段階に来たというところまで至ってはおりません。
  119. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 この問題は、ことしの初めの首脳会談でも話が出たというふうに伝えられておるわけであります。また、近いうちに訪米をされるということでありますけれども、現在の長官の考えとしてはどうであるのか、それを伺います。
  120. 加藤紘一

    加藤国務大臣 本年初頭の中曽根総理大臣とレーガン大統領との会談でこの問題が取り上げられたと承知いたしておりまして、その他のいろいろな私たちとアメリカ側の話し合いを通じましても、この問題がアメリカ側にとりましても大変大きな関心事であるということは、私たちも承知いたしております。  一方、現在実際の訓練をいたしております厚木飛行場を中心に、騒音の問題等で地元の皆様からかなりの御意見をいただいていることも私たちは承知しておりますので、できるだけ早くこの問題を解決しなければならぬと思っております。  また、私が仮に今後アメリカに行った場合に、アメリカの国防当局からこの問題の進捗状況についていろいろ尋ねられるということも当然だろうし、また、当然そういうことになるだろう、こう私は思っておりますが、私がいつアメリカに行くということは、現在まだ最終的には決定いたしておりません。
  121. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 この問題は、アメリカ軍の練度の維持というようなことを聞いておりますけれども、新しい訓練場をつくらずに現状のままでやることができないのかどうか。これはどこへ決めるにしても大変な住民に対する負担を強いるということになりますし、どこへ持っていくにしても相当の混乱が予想されるわけでありますけれども、これは訓練場を新設しないでやっていける方法は何かないのですか。
  122. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします、  御承知のように、現在厚木で五十七年以来NLPの訓練が行われているわけでございますけれども、騒音の状況がそろそろ受忍の限度に来ておる、こういうことから、地元から非常に強い陳情がございまして、今のままでとおっしゃいますと厚木でそのまま続けることになってしまうものでございますから、これは私どもいろいろ状況判断をいたしますと、厚木はこの種の訓練には不適切であると考えております。  その周辺の騒音の及ぶ人口が、約四十万世帯の百二十万人ぐらいございます。騒音が直接その環境基準によるところの基準値を超えておるところで防音工事をしなければならぬのが、約十万世帯の三十二万人ということでございまして、現状のまま厚木で続けるということにつきましては、抜本的な解決をしてこの騒音の厚木に対する集中的な負担というものは何とかしなければいけないだろう、かように考えております。
  123. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 いや、それは厚木の現状をそのままにしておくということではなくて、全体として国民に新しい負担をかけない、新しい迷惑をかけないという形で解決はできないのか、こういうことです。したがって、その言い方の中には、この厚木の現状を改善するということも当然含まれるわけです。
  124. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私たちは、NLPというのは、日米安全保障条約に基づきますいろいろな信頼性を確保するためにもぜひ必要なことだ、こう思っております。そのためにも、しっかりとした訓練の場を私たちは提供しなければならない、まずこういう前提がございます。  そうしますと、現在行われている訓練を新しいところでやるか、現在ある幾つかの飛行場の中でお願いするかということになるわけですけれども、私たちは、やはり比較的この種訓練に適した飛行場をどこかにつくるということが最終的な解決だと思いますけれども、それまでの間、できるならば、厚木飛行場またその周辺の人たちだけに御迷惑をかける形ではなくて、比較的適したところにどこかお願いできれば、分散することができればというふうに考えるのは当然だろうと思います。したがって、厚木近辺の人たちだけに受忍していただくという形ではなくて、どこか、みんなでこの必要なことは犠牲を払っても受忍していただくということではなかろうか、その面は私たちもしっかりいろいろなところで可能性を探ってみなければいかぬ、こう思っております。
  125. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 安保条約の可否についてはしばらくおくとして、現状のこの当面の問題についてどう解決をするかという問題でありますけれども、米軍の要請は要請として、その要請を全面的に受けなければいけないということでもないと思うのですね。これは戦術的な要請あるいはすべての政治、軍事の問題において、一方の要求がそのまま全面的に受け入れられるということは、なかなか期待できないのが普通でございます。相手があるわけですから、アメリカさんが要求してきたって日本の事情があるわけですから、それを考えて、練度の維持という要請はあるにしても、できる限り日本国民に迷惑を及ぼさない範囲での練度維持でなければいけないわけですね。そういった意味からいうと、この問題について一〇〇%相手さんの要求を受けなければいけないのかどうか、その点ですね。
  126. 加藤紘一

    加藤国務大臣 詳しくは政府委員から申しますけれども、私たちも米側に、できる限り一般市民に対する影響が少なくなるように、回数及びその訓練の時間、タイミング、そういうことについては要請し、米側も私たちの要望にはこたえられる限り調整してくれている状況でございます。したがって、米側の言うとおり全部というわけではございません。その点は御理解いただきたいと思います。しかし、最小限の訓練は私たちもできるように便宜を図らなければならない、こう思っております。
  127. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  ただいま防衛庁長官が御答弁したことに若干補足させていただきますと、この訓練のやり方につきましても、実はアメリカも非常に気を使っております。土曜、日曜はやめてもらいたい、祝祭日、お盆、年末年始の休暇、こういう日本のいろいろな行事とか休みの日は御遠慮願いたい、あるいは訓練機数は一回、一周、二機にしてもらいたい、午後十時以後はやらないでもらいたい、あるいはなるべくほかのところへ分散して厚木に集中的にこの訓練が集まるようなことのないようにしてもらいたい、あるいはミッドウェーのアメリカの戦略運用にかかわる問題でございますので私ども口を出せる問題ではないのですけれども、真夏に、お盆の時期に日本に寄港してあそこで訓練をするというのが、五十九年度の例では最悪の結果になったわけでございまして、こういう日本への回航の時期等も配慮願いたい、こういうこともお願いしておるわけでございます。  しかしながら、必要性の問題でございますが、ミッドウェーは日本の安全保障のためにアメリカが前方展開しておる軍事力、抑止力の中核をなすものでございまして、その修理、補給、休養、これがいつも横須賀で行われておるわけでございます。その関係で、どこかよその国でやってくれと言うわけにはいかないので、やはり安保条約六条の義務によりまして日本が訓練の機会を与えなければいけない、この訓練はさせなければいけない、しかも騒音はできるだけ小さくしなければいけない、この両者をどう調和させていくか、こういうところで私ども苦悩しておるわけでございます。
  128. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 その点については十分了解できませんけれども、先へ進みます。  そこで、この訓練場を選定する場合に、どこかにはつくらなければいけないという長官のお話でありますけれども、具体的にはどういう範囲でやるのか、範囲を伺いたい。
  129. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  今御説明をいたしましたように、ミッドウェーの入港いたしますのは横須賀でございまして、これは乗組員の休養、家族と一緒に暮らすための士気高揚策、こういうものもございまして、訓練場の範囲は、横須賀から百海里以内の関東平野もしくはその周辺にしかるべき訓練場を提供してもらいたいというのが、アメリカの終始一貫して主張している要請でございます。
  130. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうすると、場所については百海里以内、こういうことですね。その範囲の中で米軍が場所を指定して、どこを使わしてもらいたい、どこを使うということを言ってきた、そういう事実がありますか。
  131. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  この百海里以内ないし百五十キロの範囲内の空港については、当方といたしましていろいろ検討させていただいておりますが、アメリカ側はこの条件を満たすところの訓練場を提供してくれればそれでよいということで、特に具体的な、これをしてくれ、あれをしてくれ、こういうことはアメリカの立場上言いにくいことでございまして、私ども政府が判断をすべきことかと思っております。
  132. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうすると、米軍では場所を指定してどこということはないわけですね。伝えられるところによりますと、木更津を名指しで米軍が要請してきたということでありますけれども、事実ですか。
  133. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  私どもの検討の範囲には、今お挙げになった空港も入っていたことは事実でございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、これは日本政府が決めることでございまして、アメリカ側は、例えば先ほどからお話の出てまいります首脳会談あるいは日米防衛首脳会談、ハワイ事務次官レベル協議、その他日米合同委員会で具体名を挙げたことはございません。
  134. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 これに対処する態度として三つの段階があるというようなことも言われておりますね。それは短期的な観点から、中期的な観点から、あるいは長期的な観点から、この三つの段階があると言われておりますけれども、その三つの段階の構想について伺いたいと思います。
  135. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  この点も累次御答弁申し上げていることでございますが、繰り返させていただきますと、政府といたしましては三つの選択肢、すなわち既存飛行場の活用ができないかどうか、新設飛行場の適当な候補地はないだろうか、浮体滑走路の建設というのはどうであろうか、この三つを選択肢として現在考えておるわけでございますが、特に第二番目と三番目、新設と浮体工法でございますが、これが言うなれば先生御質問の長期的な解決策、抜本的な解決策になろうかと思います。  それから、仮にそういう新設飛行場予定地が決まり、建設工事が始まりましても、どうしても相当年月を必要といたしますので、その間どうやって特定の一部の方にだけ負担がかからないようにするかという対策、これが中期的な施策、すなわち厚木にだけ騒音問題が集中していくということをどうやって緩和するかということであろうかと思います。  短期的な対策と申しますのは、先ほど申し上げましたように、ミッドウェーが入港してくるたびにアメリカ側もいろいろな要求をお出しになりますが、先ほど大臣お答えしましたように一〇〇%向こうの言うとおりしておるわけではございませんで、騒音軽減のため必要最小限にとどめてもらいたいということ、あるいは周辺十万世帯のうちまだ三万世帯くらいしか防音工事が進んでおりませんが、この住宅防音工事を毎年最重点施策としてやっていく、こういうようなことが短期施策に相なろうかと考えております。
  136. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうすると、短期施策については着々やっておられる、中期的な対策というのは、長期の目標が定まらなければ中期の対策は立たないわけですけれども、そうしますと、最終的にはどこかに場所を決めて的を絞っていかなければならないわけでありますけれども、現在百海里以内の地域の中で候補地がどのくらいあるのか、また、その候補地すべてに同じようなウエートをかけて選定をしておられるのか、あるいはどこかに絞っておられるのか、その辺の事情はどうですか。
  137. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  内陸部及び島嶼部について複数の候補地についていろいろ調査研究をいたしております。しかしながら、まだ現時点においては、これ一つしかないという絞られた最終的な段階ではないということは、先ほど大臣御答弁のとおりでございます。複数の既存の飛行場について検討はいたしておりますが、この具体名を、一体今どこを考えておるかということは、そういう御答弁を申し上げますと、すぐその地元の余計な御心配、問題が起こりますので、この席では答弁は差し控えさせていただいておりますけれども、やはり内陸部には適切な新設予定地はないであろう。したがいまして、海上に訓練旋回コースをとることのできる島嶼部の方がいいんではないだろうか、重点がどっちに指向されておるかというお尋ねにお答えするとすれば、現在そういう考え方で検討いたしております。
  138. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、今のお答えでは、内陸部はもう断念した、内陸部はもうとてもだめだということで、次に考えられるのは海上だ、こういうことですか。
  139. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私たち申しておりますように、最終的にある飛行場をつくりたいという意味では、やはり島嶼部の方がいいだろうと思っております。具体的に言いますと、三宅島が一番条件等でいいものですから、何とかそこにお願いできないのかな、こう思っております。仮にどこかの島嶼部、三宅も含めてどこかでつくらせていただけることになったとしましても、施設長官申しましたように、これは大分時間がかかります。最小限五、六年かかるのじゃないかと思いますが、それまでの間、厚木飛行場周辺の皆さんにすべての犠牲を払っていただくことはどうかな。したがって、でき上がるまでの間お互いに犠牲を分かち合うという意味では、そういう意味では関東地方全体を考えておる。どこかないのかなということで、御理解いただけるところないのかなという形で考えておるというふうに整理いたしております。
  140. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、今までのお答えを整理しますと、米軍の要請にはこたえざるを得ない。しかし、内陸部はとても困難が多くてこれは非常に難しい、断念せざるを得ない。残るのは海上地域である。その中で三宅島にお願いをしたい、これは総理も長官も言っておられますね。  それで、そのお願いしたいということでありますけれども、これはやはり地元の住民の意向を最大限に尊重すべきだと思いますし、もちろんそういうことはできませんけれども、絶対に強行すべきではないと思います。その方向は現在どの程度定まっているのか。また、島民の了解が円満のうちに得られる見通しがあるのかどうか、これはいかがですか。
  141. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  三宅島という具体名が出ましたので、この関係、御説明申し上げますと、実は五十七年九月、三宅の村議会におきまして三宅島空港ジェット化促進特別委員会というのができました。人口がどんどん減少しておる。昭和三十五年には七千三百人いたのが、現在では四千三百人、観光客も十一万人ぐらいいたのが、去年あたりが九万人、そういうことで過疎化現象、観光客の減少等がございました。今飛行場が千二百メーターのプロペラ機のがあるのでございますけれども、西風のあるときは欠航というようなことで、欠航率が高こうございます。この非常に強い要望があったところで噴火がございました。  この五十八年十月三日の噴火の際に、やはり複数の飛行場を持ってないと何かのときに島民の安全対策上困るではないかという議論が出まして、そうしてたまたま政府がNLP用の新設飛行場の予定地を探しておるということと合致しまして、村議会が誘致決議、これを全部国費でやってくれという決議を持ってきたわけでございます。ところが、このやり方が、島民に対する十分な理解を求めないまま村議会決議となった手続に問題がございまして、反対運動が起こり、これは再び否定された反対決議になってしまいまして、村長選でも反対派の村長さんがお勝ちになった、こういうことでございます。  三宅島の飛行場、三宅島にジェット飛行場をつくってもらいたいというのは村民の御希望であると私ども理解をいたしております。ただ、このNLPの実態についての理解が十分ではなくて、この過程においていろいろな憶測だとか誤解が生じました。例えば米軍が常駐をするのじゃないか、そうすると軍事基地ができて、沖縄の金武町みたいな犯罪も起これば交通事故も起こる、こういうのは困る。それから実は、旋回半径は海上にとるので、騒音問題もあるいは墜落事故の危険も少ないわけでございます。また、米軍はあそこに駐留するわけじゃございませんで、厚木から飛んでいって、夜、年間七十日間ぐらい訓練をしてまた厚木へ帰ってきまして、横須賀の家族のところに帰る、こういう生活なんでございまして、こういう点についての御理解が十分いただいておりません。  もちろん、この負担をお受けいただいた場合には、周辺整備法によりましていろいろな民生安定、産業振興の施策ができるのでございますが、こういう説明の機会を得たいと今考えておりますけれども、島ではまだ誤解が相当根強く残っておる。こういうことでまだ、先ほど大臣御答弁のように、最終段階に来たとは私ども考えておりません。まだこれから一生懸命説明をする機会を持たしていただきたいと考えております。
  142. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 最終の目標がどこに決まるかわかりませんけれども、それが決まったにしてもこの中期的な対策は必要である。そうしますと、これは騒音被害を厚木の人たちにだけ受忍をお願いすることは無理だということはよくわかるのですけれども、同時にまた、そのために各地に騒音被害を拡散するという結果にもなるわけです。そういう意味では、この中期的な対策、関東の各地の飛行場が分担するという考え方は、これは一面ではいいんですけれども、一面では被害を拡散するという結果になりますね。そういう意味で、やはり分散使用ということは納得できないのですけれども、どうなんですか。分散使用は被害を拡散するわけですから納得できないし、それはその各地の飛行場の周辺の住民も納得できないと思いますね。この点はどうなんですか。これはいい考えのようですけれども、必ずしもいい考えじゃないと思いますね。
  143. 加藤紘一

    加藤国務大臣 そこが難しいところでございますが、そういうことで分散しない場合には厚木に集中しちゃうということになって、厚木の皆さんに対する御迷惑もいつまでも続き、いつまでも集中しちゃう。その辺が私たちの悩みでございます。
  144. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 目標が決まって、大体いつごろから開港できるということであれば、その間できる限りアメリカさんに練習の時間を制限するなりあるいは総量を規制するなりということで、我慢してもらうというわけにいかないですか。
  145. 加藤紘一

    加藤国務大臣 それにつきましては、先ほど施設長官が申しましたように、アメリカ側も大変気を使って、そして大変な努力をしてくれていると思います。ただ、この数を余り減らしますと、当然のことながら、空母のあの短い甲板にジェット機が瞬間的に飛びおりるという、神わざにも近いような大変難しいわざをやるわけですけれども、その腕が落ちて、そしてちょっと〇・何秒の腕の狂いでアメリカの若い青年が完全に死んでしまうわけでございます。ごく最近もそういう事故があったわけでございます。したがって、そういう意味から、有事のときに我が国の防衛をともに共同対処してくれる、そして抑止力の存在となってくれる米軍の青年がそういうふうに練度が落ちることによって命を落とすということは、私たちもとてもそういう必要以下の数字まで落としてくれとも言いにくい。これはおわかりいただきたい、こう思う次第でございます。
  146. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 それは、長官の今のお話、わからないわけじゃありません。ありませんけれども、少し遠くへ行けばそういう場所もあるわけですね、そういうことで協力が願えないかということでありますけれども、時間がありませんので……。  そうしますと、この問題はいろいろな方面に関係がありますね。地方自治の問題にも関係あります。それから環境庁さんも関係があるでしょう。空域の問題で運輸省も関係があるということでありますけれども、環境庁さんいらっしゃっていますか。この問題について防衛庁から相談がありましたか。もし相談があった場合にはどういう態度でお臨みになりますか。
  147. 加治隆

    ○加治説明員 お答えいたします。  今の厚木の代替基地の問題でございますけれども、代替基地の計画については、まだ具体化されたと聞いておりません。また将来、計画が具体化する場合、当環境庁の意見でございますが、意見を求められることになりますれば、環境保全の観点から適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  148. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 時間でありますが、自治省お見えでありますか。これは長官もお聞きを願いたいのですが、何よりも基本的な問題は、住民との関係をどうするかということですね。ですから、これが今後どういう展開を見せるかわかりませんけれども、少なくとも地元住民の意向を無視しない、強行しないということをぜひここでお約束をいただきたい。それから、自治省のお立場からこの問題はどうお考えになるか、簡単にお願いします。
  149. 今泉浩紀

    ○今泉説明員 お答えいたします。  米軍の夜間着陸訓練場所の選定問題につきましては、先生御指摘のとおり、地方自治体にとっても重要な関心事でございます。こういった問題についてでございますが、これは防衛施設庁の所管事項ということでございますけれども、自治省といたしましても、この夜間訓練場所の選定に当たりましては、防衛施設庁が地元の理解を得る努力を重ねまして、適切に対処していただくことが望ましいというふうに考えております。
  150. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 最後に、長官にお願いしますけれども、今申し上げたように、これは基本的には、そして最終的には住民の意向をどうするか、住民とのかかわり合いにおいて最終的な結論を出していただくということだと思います。そこで、ぜひ住民の立場を全面的に尊重して、強行しない、やる場合でも完全な了解のもとにやっていただきたいということをお約束をいただきたいわけですが、いかがですか。
  151. 加藤紘一

    加藤国務大臣 もちろんこの種のことは、それぞれの地元の皆さんと十分に話し合い、その御理解を得られないで進められるものではないと思っております。十分御理解いただけるように、私たちも精いっぱいの努力をしながらいろいろな対策を考えていきたいと思っております。  その際、一番重要なのは、仮に中期的な手段としてやむを得ずどこかに分散をお願いする場合も、将来これがいつまでも続くという感じではなかなか御理解いただけないと思うのですね。ですから、どこかの島に、例えば私たちはできれば三宅にお願いしたいと思っておりますが、あと五年後にはしっかりできるからその五年の間だけ、厚木の皆さんの苦しみをちょっと分かち合っていただけないでしょうかという感じで、期限が切られているものであるとするならばより御理解を得やすいのではないかな、そういう意味で、私たちは最終的な空港建設にめどをつけるということがまず一番重要なんではないだろうかな、このように考えております。  いずれにいたしましても、新しい空港にしましても既存飛行場を中期的に御利用させていただく場合につきましても、地元の皆さんと十分に話し合いができずにやれるものだとは思っておりません。
  152. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 終わります。  それから、外務、運輸からもおいでいただいておりましたけれども、時間がありませんので別の機会にお願いすることにします。ありがとうございました。
  153. 安井吉典

    安井委員長 次に、上原康助君。
  154. 上原康助

    上原委員 できれば、せっかくの機会ですので、五九中業や「防衛計画の大綱」について、長官に少しお考えなりいろいろ議論をしたかったわけですが、わずかの時間しかいただけませんので、きょうは一、二点だけお尋ねをして、もし余裕がありましたら、若干五九中業についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  今も新村先生が基地問題をいろいろお話をしておったわけですが、防衛庁は一体、最近の沖縄の基地の現状についてどういう御認識を持っておられるか、まず両長官の御見解を聞いておきたいと思います。
  155. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  近年、大変不運なことでございますけれども、沖縄の金武町キャンプ・ハンセンの周辺でございますが、ここで殺人事件あるいは車両によるところの農地損壊といいますか、そういう事件、漁網切断事件、さらには訓練中の小銃弾が訓練場外の民家の水槽タンクに命中したらしい、今この弾丸の鑑定をいたしております。まずアメリカ軍のに間違いないと思いますけれども、そういう事故が多発をしており、周辺住民の御理解と御協力を得なければならない防衛施設行政上は大変残念なことだと思っております。
  156. 上原康助

    上原委員 加藤長官はどういう御認識ですか。
  157. 加藤紘一

    加藤国務大臣 施設長官が申しましたように、金武町における殺人事件を初め幾つかの事件、事故が起きておりますことを大変遺憾に思っております。今後こういうことがないように米側に十分申し入れておりますし、従来からも申し入れておりますけれども、今後とも一層その点注意してくれるように申し入れるとともに、私たちとしてもできる限りの注意を払っていかなければならぬと思っております。
  158. 上原康助

    上原委員 そういう事件、事故が起きた場合の政府の関係者の答弁というのは、再発防止をする、あるいはアメリカ側に申し入れるというようなことは絶えず繰り返されてきたわけなんだが、しかし事件はますます凶暴化する一方ですね。なぜそういう事態が起きるのか、その背景なり原因はどのように受けとめておられますか。
  159. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、その都度、防衛施設庁あるいは外務省は、アメリカに対して事件再発防止のいろいろな施策を講じるようにという申し入れをしてまいりましたし、アメリカ側もその都度、再発防止の万全の措置をとり、こういうことのないようにするというお答えをいただいておったのでございますが、今回また金武町において小銃弾が民家のタンクに当たったという事件が起こったわけでございます。  この件につきまして、従来のような、ただ何となく抽象的に再発防止、万全を尽くされたい、甚だ遺憾である、向こうもまことに申しわけない、何とかする、こういうやりとりを行っておったのでは本件の解決になりませんので、まず金武町の小銃弾が民家に被害を与えた事件につきましては、去る十二日、那覇防衛施設局長から在日米沖縄地区調整官に対しまして、何となく再発防止というのでなくて、今度は物理的な具体的な再発防止の策を講ぜられたい、こういう申し入れをし、精神的な教育訓練の問題もあわせて申し入れをいたしました。  米軍の高級将校たち、司令官たちは問題をよく認識しておりまして一生懸命やっておられるのでございますけれども、それが果たして末端の兵士全部にまで及んでいるかどうか、こういう点について事故防止についての規律の維持と教育訓練を徹底されたい旨、今回さらに申し入れをしたところでございます。
  160. 上原康助

    上原委員 それに対して米側からどういう反応があったのですか。
  161. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  誠意を持って具体的かつ物理的な施策、さらに末端の将兵に至るまでの教育の再徹底を図る、そういう具体的な方策を早速検討する、例えば金武町キャンプ・ハンセンにおけるトランスレンジの射撃訓練については解決策が講ぜられるまでは中止、こういう具体的な返事をいただきました。
  162. 上原康助

    上原委員 そこで、きょうは時間がありませんので細かいことまで触れられませんが、加藤長官あるいは佐々長官、国は常に日米安保条約を最優先して、基地の安定的確保を沖縄施策の核心としてきたわけなんだ。そこに問題があるのです。  復帰後、既にこの種の事件はキャンプ・ハンセンをめぐって七十二件起きている。復帰前を入れると八十八件です。復帰前のものは米側が詳細な資料を出さなかったという向きもありますが、件数にしては復帰後が多いのです。しかも、今おっしゃいましたように一月十六日米兵による住民殺害事件、二月六日大型定置網とロープを切断する、三月二十八日米軍大型車両の民家への突っ込み、今回四月九日の民家の給水タンクの被害。どこの県ならどこの町村なら、平和な社会においてこういう米軍基地からの事件が続発して何が民生の安定ですか、何が平和ですか。したがって、今キャンプ・ハンセン周辺というものは、そういう実弾射撃演習をするには不適当な基地であるということを政府自体がもう一度認識してもらわなければ困るのだ。具体的、物理的に誠意を持って解決をすると言ったって、次から次へと起きているじゃありませんか。  この際、長官、あなたも若い世代でタカ派じゃないと私は思う。もう少しこういう問題について抜本的に外務省を入れてアメリカ側と対策を講ずるということをここでお約束いただきたい。
  163. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 まず、事務レベルからお答えさせていただきます。  キャンプ・ハンセンは、確かに御指摘のように実弾訓練をやっております。訓練場を使用するに当たりましては、私ども十分注意をいたしまして、広さとか地形とか周囲の状況、あるいはそこにおける訓練の種類、用いられる火器、射撃の方向とか着弾区域の範囲、安全係将校の監督のもとに、セキュリティーがおりますのでこういうしっかりした監督官のもとに安全確保を期してやるようにということを申し合わせをし、アメリカはまたそれを非常に忠実にやってくれておるわけでございます。  しかしながら、現実にこういう問題が起こっておりますので、これは甚だ遺憾であるということで、この訓練場の諸条件につきましては、物理的、具体的にと申しましたのは、そういう事故が実際に起こらないように、場所の選定とか射撃の方向とかというものがはっきりするまでは少なくともトランスレンジはやめていただく、それから、そういう事故がございましたので米の県道越えの砲撃訓練につきましても夜間は中止してもらう、十分な安全が確認できる夕方の六時までだったと記憶しておりますが、この間に実施するというようなことでアメリカ側も協力を惜しまないということを言っておりますので、日米安保条約の運用上訓練をするなと言うわけにいきませんので、安全を確保しつつこの訓練ができるよう、我々としては御指摘の趣旨を体しましてアメリカ側と真剣に再検討いたしてみたいと考えております。
  164. 加藤紘一

    加藤国務大臣 非常に難しい問題でございますけれども、基地があるから仕方がない、また訓練をせざるを得ないから仕方がないという考えではなく、基地があっても、訓練することがあっても、そういう事故が起こらないで済むように最善の措置を考えるというふうに全力を挙げさせたいと思っております。
  165. 上原康助

    上原委員 弾は前に向かって撃つのでしょう。もちろん、中には後ろに向かって撃つ者もいるかもしれぬけれども、今度のM16というのは、標的と九十度変わっている。九十度変わって飛んでいっているのです。一体そんなばかげたことがありますか。  今、最善を尽くすとおっしゃるのだが、アメリカ側とはいつ具体的にどういう話し合いをなさるのですか。それまでは少なくともこの種の演習は中止してもらいたい、このことはお約束できますね。いつどのように具体的に話し合いをするのか、はっきりさせてください。
  166. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 アメリカ側とのやりとりのことでございますので、私どもの方から答弁させていただきます。  今回の金武町における飛弾事故につきましては、事故の発生直後から、私どもの方から在京米大ないしは日米合同委員会の事務局等に対しまして、私どもがこれを非常に深刻に受けとめているということと事故の原因の究明、それからそれに対する是正策等を講ずるよう話してきたわけでございます。より具体的には、昨日行われた日米合同委員会の場におきまして、私ども北米局長も出席しておりましたが、佐々長官もおられましたけれども、先方の合同委員会の代表に対して、今申し上げましたようなこと、それから佐々長官から御答弁のありましたようなことを申し上げたような次第でございます。
  167. 上原康助

    上原委員 ですから、長官、これは早急になさいますね。施設庁も結局は防衛庁長官の監督管下なんで、この種の事故が二度と起こらないようにこの際抜本的な対策を講じていただきたい。我々はやめなさいと言うのだが、やめろやめないの話ではかみ合いませんから。少なくともこの種の事故でうんざりしていますよ。だから、金武町だって全面的に基地を撤去せよという決議をやっているじゃありませんか。本当に皆さんが地域住民の意向を尊重するというなら、そうしてくださいよ。お約束できますね。
  168. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  訓練の中止を全面的に申し入れるわけにいきませんが、私どもは、少なくともトランスレンジ射撃訓練につきましては、物理的な安全策が講ぜられるまでは中止してほしいという申し入れをいたしております。この再発防止のための具体的な措置といたしましては、現在行われている場所の再検討も含めて、例えば防弾障壁の設置その他具体的な物理的な施設日米両方で、私ども防衛施設庁でございますので、この施設面につきまして検討いたしたいと考えております。
  169. 上原康助

    上原委員 ぜひ早目にこの対策を講じていただきたいと思う。また推移を見ながらもう少し政府の考えを聞いていきたいと思うのです。  次に、せっかく河本長官もおいでですので、もう一点だけ。  最近の沖縄経済の実情ですが、一応景気が回復されつつあるとはいえ、公共事業費の削減なりその他で、余りぱっとしない環境に今あるように思うのです。そこで、もう既に御案内と思うのですが、四月十日に県内大手の建設機械の販売業であった沖縄玉城TCMというのが和議申請をした。負債総額百六十億円にも達すると言われているわけです。これは一九七六年の琉球海運の倒産に次ぐ大きなショックを県民に与えている。連鎖反応も大きいようで、宮古なり八重山両先島入れて県経済に与える影響は深刻なものがあるということで、今非常に憂慮しているわけです、  もちろん、一企業のこの種の倒産を行政なり政府がすぐどうのこうのということではありませんが、これは沖縄にとっては看過できない事態なんです。これに対して開発庁としてどのような対処策をお考えなのか。また、いろいろ行政としても県なり関係者と協議をして、連鎖倒産が起きないような措置というものは当然やるべきだと私は思うのですが、御見解を聞いておきたいと思います。
  170. 関通彰

    ○関(通)政府委員 先生御指摘玉城TCMの倒産につきましては、先週の四月十日に和議の申し立てが行われております。御指摘のように、県内の建設業者に与えます連鎖倒産の心配が当面大きな問題でございますが、これにつきましては、既に総合事務局の通産部から中小企業庁に当面の連鎖倒産の防止に関します施策の協議をいたしておりまして、近くその措置がとられるものというぐあいに理解いたしております。  沖縄開発庁といたしましては、基本的には沖縄の中小企業は経営基盤が脆弱であるというところにあるというぐあいに理解いたしておりまして、今後とも地元企業の経営基盤の充実、さらには沖縄の経済の振興全般について一層の努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  171. 上原康助

    上原委員 ちょっと抽象的なお答えですが、これは連鎖反応が起きますと、雇用問題にも深刻な状況を与えるわけですよ。ただでさえ非常に失業率が高い。既に丸清建設というのが従業員四十八人、あるいは宮古建設は従業員八十五人、一説には五十一社くらい影響していくんじゃないか、少なくとも二十社は関連倒産をしかねないという深刻な状況なんですね。それは単なる企業というだけじゃなく、そこで雇用されている人々の問題に深刻に発展していく可能性があるわけです。  そこで、中小企業庁もおいでいただいたのですが、時間がありませんので、倒産関連特例保証制度とか中小企業倒産防止共済制度、中小企業体質強化資金等について、沖縄の場合一体どうなっているのか、後で御説明をいただきたいと思います。そういう手だてもやらなければいけないと思うのですね、ある制度をどう生かすかということO  そこで、河本長官は経済専門ですから、時間がありませんから、どういうお考えでどういう対策をおとりになるか、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  172. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 今の問題につきましては、開発庁と中小企業庁が十分連絡をとりまして、連鎖倒産の起きないような、現行制度でのいろいろな意味での対応策を今進めております。順次具体化しつつあると思います。ただ根本的には、沖縄の中小企業、経営の基盤が大変弱い。それからソフトの面でもなお不十分な点がございますので、やはり私は経営基盤を抜本的に強化する、こういうことが必要だと思います。それから、国全体の景気は回復の過程にあると言いながらもばらつきが方々にございまして、特に沖縄県の経済は不十分である、こういうこともございますので、沖縄県の経済全般の振興計画ももちろん考えていかなければならぬ、このように思いますので、万般の対策を進めたいと思っております。
  173. 上原康助

    上原委員 もう約束の時間が来ましたので、ぜひ特段の御配慮をいただきたいと思います。中小企業庁、いいですね、さっきのことについて一言お答えを。
  174. 井上正

    井上(正)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の倒産関連特例保証の件でございますけれども、現在大口倒産事業者の指定の手続中でございまして、四月二十二日には官報告示になると思いますので、まずこの制度を御利用いただけるかと思っております。  それから、お話にございました中小企業の倒産防止共済でございますけれども、これは御案内のとおり共済制度に加入していなければいけないわけでございますが、昨年の実績で言いましても、沖縄県内かなりこの制度を御利用の気味もございますので、本件につきましても、ちょっと今のところまだ何社が入っているというのがつかめておりませんけれども、御利用いただけるところがあるのではないかと思っております。  それから、県でやっております倒産防止のための体質強化資金の融資でございますけれども、これにつきましては沖縄県の商工会連合会、それから那覇の商工会議所でございますが、ここに倒産防止のための特別対策室というのを設けておりまして、ここに来ていただきますと商工調停士というのがおりまして、そこで金融あっせんとか仕事のあっせんとかいろいろやっているわけでございますので、そこを窓口にしていただきまして県の体質強化融資につなげるという仕組みになっております。したがいまして、今回もまたこの制度の御利用が考えられるのではないかと思います。  中小企業庁といたしましては、いろいろな制度を活用いたしまして連鎖倒産の防止に努めてまいりたい、そう思っております。
  175. 上原康助

    上原委員 ひとつよろしくお願いいたします。終わります。
  176. 安井吉典

    安井委員長 次に、玉城栄一君。
  177. 玉城栄一

    玉城委員 私の立場から河本長官にお伺いいたしたいのですが、沖縄電力についてであります。  去る十日に沖縄県の方から正式に長官にも、現在の特殊法人沖縄電力について、独立民営形態に移行してもらいたいという要請が出されていると思うわけであります。その前提としまして、やはり本土並み料全体制を確保してもらいたい。したがって、そういう体制でこの問題、特別措置の問題であるとかいろんな条件をつけて政府に正式に要請がされているわけでありますが、長官の基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  178. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 沖縄電力の民営化の問題につきましては、先般も知事がお見えになりまして幾つかの要望がございました。通産省とよく打ち合わせをしながらどのようにその要望にこたえていくか、今調整中でございます。ただ、基本的に申し上げますと、ここ二年ばかり石油価格が相当下がりましたので、沖縄電力の経営は相当よくなってまいりました。そういう背景もございますので、いろいろな御希望も比較的やりやすくなった、このように思いますので、幾つかの課題につきましてはこれから前向きにいろいろ工夫をしてみたい、このように考えておるところでございます。
  179. 玉城栄一

    玉城委員 そこで、通産省の方にちょっと伺いたいのですけれども、この沖縄の電力料金というのは全国一高いですね。例えばキロワットアワー単価ですね、全国平均が二十二円三十七銭、沖縄が二十七円二十銭で四円八十三銭高い。九州電力の平均キロワット単価、これが二十二円三十四銭で沖縄が二十七円二十銭、したがって沖縄が四円八十六銭高い。これが今の実態です。ですから、そういう中で移行して本土並み料金を確保するということ、非常に具体的な手当てが必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
  180. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答え申し上げます。  沖縄電力株式会社の料金水準を料金改定時におきます認可単価ペースで比較をされた数字は、先生御指摘のとおりでございます。キロワットアワー当たりでございますが、沖縄電力が二十七円二十銭、九電力会社の平均が二十二円三十四銭と相なっております。  ただ、これは中身を見てみますと、沖縄電力におきましては、民生用需要、家庭用の電灯需要とか業務用の需要、これは最終の配電とかいろいろなコストが高くかかります関係から原価も高くつき、料金も高いという関係になっておるものでございますが、このウエートが、沖縄については五十八年度実績で見ますと六七・四%、これに対して九電力は三九・二%ということでございまして、仮に沖縄の需要構成と九電力の需要構成をあわせて見ますと、沖縄の料金水準は本土並み料金水準の範囲内にあると言い得る水準でございます。決して高いということではないわけでございます。  ただ、沖縄における原単位が本土よりはかなり高いとかいろいろございますので、料金水準をできるだけ本土並みにするということは、先ほど先生御指摘のように、この前知事がお見えになりました際も、今後の課題であるので国として格別の配慮をということが強く出ておりますので、我々は、今後民営化を検討する中で、十分この問題についても配慮を払って検討を進めてまいりたいと思っております。
  181. 玉城栄一

    玉城委員 いずれにしましても、いろいろなお考え方もあると思いますが、数字的に見ても、則らかに沖縄のキロワットアワー単価が九電の平均よりも四円八十六銭高いという事実はもうどうしようもないわけですから、沖縄電力の独立民営化ということについては、これから地元の方から具体的にこれこれについてはこういうふうにしてもらいたいという要望が出てくると思うわけでありますが、そういうことに伴って沖振法の法律改正という問題も当然出てこようかと思うわけであります。見通しとして、法律改正はいつごろ御予定でしょうか。
  182. 川田洋輝

    ○川田説明員 先生今御指摘のとおり、沖縄県の地元の御意見も承った段階でございますので、これからその民営化の方式をどうするか、それから今後の沖縄の電気の安定的かつ適正な供給の確保という見地からどういう措置が必要であるか、そういうことを逐次検討してまいりたいと思っております。  民営化の具体的な形といたしましては、沖縄電力は沖縄振興開発特別措置法の中で位置づけられている法人でございますので、その改正ということに相なるわけでございますが、これから鋭意検討を急ぎまして、早期民営移行という政府の方針でございますので、できるだけ早く具体的な措置が固まるように努力をしたいと思っておるところでございます。
  183. 玉城栄一

    玉城委員 これからいろいろ私たちも議論をさせていただきたいわけでありますが、これは長官に御要望させていただくわけでありますが、沖縄電力の持つ構造的ないろいろな不利な点があるわけですし、地域性、離島を抱えているとか等々の問題がある中で、独立民営ということで、しかも本土並み料全体制を確保していくということになりますと、当然政府としての恒久的な助成体制というものが必要だ、そうしないと果たしてそういう要望どおりいけるかどうかという感じもなきにしもあらずでありまして、県側としましても、政府のそういう恒久的な助成体制がつくられるならば独立民営でやっていけるという考え方だろうと思うわけであります。長官、いかがでしょうか。
  184. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 民営化になりましてもやっていけるように、数項目の申し入れがございますので、一つ一つ十分検討いたします。
  185. 玉城栄一

    玉城委員 それでは次に、実はこの間国会で道路運送法の一部改正が可決されたわけでありますが、その際に参議院の運輸委員会の方では附帯決議が付され、あるいは衆議院の段階でも政府の考え方として、沖縄、奄美地区については従来のいろいろな特殊な経過がこれあって、沖縄、奄美地区の軽貨物運送事業関係者の方々の生業対策については、早急かつ強力に実効ある措置をとるために万全の体制をとりたいということを述べておるわけであります。したがって、その生業対策についてどういうふうに具体的に考えていらっしゃるか、これは運輸省の方ですね、お答えいただきたいと思います。
  186. 永井隆男

    ○永井説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘がありました沖縄の軽貨物運送事業者に対する生業対策の問題でございますが、沖縄県あるいは鹿児島県の奄美地区におきまして従前より軽貨物運送事業を経営している人に対しましては、御指摘のようにさきの参議院運輸委員会における附帯決議がございますが、これを踏まえまして、改正法律施行後、これは五月九日から施行される予定になっておりますが、施行後適切な指導期間を設けるとともに、その間におきまして、関係地方公共団体などの協力を得まして、適切な生業対策を早急に推進する必要があるというふうに考えておるわけでございます。  具体的な生業対策の進め方でございますが、この点につきましては、改正法律施行後速やかに国、関係地方公共団体、あるいは既存の事業協同組合の方々、あるいは既存の軽貨物運送事業者の代表の方々などを構成メンバーとします軽貨物運送事業生業対策懇談会というものをできるだけ早く設けまして、この場におきまして、これらのメンバーが同じテーブルに着いて、率直かつ真剣な意見交換を重ねる中で実現性のある各種の方策を見出して、それを強力に実施していくということにしたいと考えておるわけでございます。その方向で私どもとしましても最大限の努力を払っていきたいと考えております。
  187. 玉城栄一

    玉城委員 軽貨物運送事業生業対策懇談会を持っていろいろな意見を聴取して、それからやっていきたいということですが、関係業者の方々は今非常に不安が高まっていますし、これは早急かつということですが、いつごろそういう懇談会を持たれる御予定ですか。
  188. 永井隆男

    ○永井説明員 先ほど申し上げましたように、四月九日に法律が公布されておりまして、一月後の五月九日から施行ということが予定されておりますので、私どもは現在この法律施行のための準備をいろいろな形で進めております。この生業対策懇談会につきましては、できるだけ早急にまずメンバーの確定をいたしまして、でき得るならば五月中にでも第一回の懇談会を開催したいということで、今準備を進めておるところでございます。
  189. 玉城栄一

    玉城委員 そういう関係者の方々の懇談会で、いろいろな御意見あるいは要望等があると思いますので、それをぜひ早い機会に持っていただきたいと思うのです。この前もちょっとお伺いしたのですが、運輸省自体が具体的なものは今何もない、これから話を聞いてそれからやっていこうということですね。ですから、実効ある強力な生業対策ということで、例えば沖縄あるいは奄美につきましてもタクシーを増車するという場合が考えられると思うのですが、そういう場合については、今までの軽貨物の方々が受け皿としてきちっとそういう体制ができ上がっているという場合は、当然そういう方々に生業という立場から優先的に増車を配分するというようなことも一つは考えられると思います。  もう一つは、やはり現在の軽貨物運送事業者の方々が、沖縄の場合、組合組織でやっていますね、そういう組合組織から一つの会社組織に切りかえて、本来の本当に適切な軽貨物運送事業ができるような状況をつくってあげるというようなことも一つは考えられると思うのですね。いかがでしょうか。
  190. 永井隆男

    ○永井説明員 生業対策の具体的な中身につきましては、まさに軽貨物運送事業でございまして、貨物運送が本来の目的でございますから、そういう本来の事業に専念していただけるような環境を整備するというようなことが一方策として考えられます。そのほかにも、他事業への転換あるいは転職、具体的には運送事業の運転手になっていただくとか、いろいろな形が考えられるかと思います。いずれにしましても、具体的な対策の中身につきましては、先ほど申し上げました懇談会に関係者が集まっていただいて、そこの場で率直に意見交換をしていただく中で、おのずから明らかになっていくだろうというふうに考えております。  タクシーの免許の話が出ましたが、現在沖縄におきますタクシー車両数の現状からいきますと、非常に車両数が多うございまして、全国平均の倍くらいあるような状況になっておりますので、なかなか難しい問題だと思いますが、いずれにしても、この生業化対策、幅広い角度から考えられるもの、いろいろな角度から総合的に考えて具体的な対策を考えていく必要があるというふうには認識しております。
  191. 玉城栄一

    玉城委員 長官に御要望申し上げ、お考えをお聞かせいただきたいわけですが、沖縄、奄美地区についてもそうでありますけれども、沖縄の場合、軽貨物事業者は復帰前から存在していまして、沖縄には御存じのとおり、輸送機関というのはバスとタクシーしかない。そしていろいろな離島がある。地域的ないろいろなニーズもありまして現在まで存在しておったわけでありますが、御存じのとおり、道路運送法の一部改正によって、一年間の指導期間は置いてあるとはいえ、それが認められなくなるということで、沖縄の場合、失業率は非常に高いわけでありますから、しかも中高年という方でもありますし、そういう立場から、参議院においても、あるいは政府自体が今お話のあったとおり、生業対策については強力かつ実効あると、大変力強い文言ではありますけれども、そういうことをしていきたいということであります。  沖縄担当の長官とされて、沖縄の置かれた立場から、そういう方々のいわゆる雇用不安というようなことも含めて、長官のお考えをお伺いいたします。
  192. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 この仕事に携わっておられる方は、一時から見ますと随分減ったのですけれども、それでも約千人おられます。家族を入れますと数千人の方々がこの職業で生活をしておられるわけでありますから、これはもうなかなか大変な問題だと思うのです。  そこで、今職業転換の場合のこの方々の生業を一体どうするかということについての御心配の御質問だと思いますが、今運輸省からもいろいろ御答弁になりましたが、県と運輸省と、それから私どもと十分相談をいたしまして最大限の手当てをしていきたい、対策を立てていきたい、このように考えております。
  193. 玉城栄一

    玉城委員 ひとつぜひよろしくお願いしたいと思います。  それでは質問を変えるわけでありますが、沖縄公庫について開発庁の方に伺いたいと思うのです。  他の公庫に比べて沖縄公庫の延滞率が非常に高いですね。その原因をちょっと御説明いただきたいのです。
  194. 関通彰

    ○関(通)政府委員 沖縄公庫の延滞率につきましては、先生御指摘のように、昭和五十一年、五十二年ごろは、実はかなり高かったのでございますが、その後、公庫におきましても各種の改善措置を講ぜられまして、現在は、率で申しますと当時の半分以下に下がっております。本土の他公庫に比べまして一概に高いとは言えない水準に来ているかと存じます。沖縄公庫、先生御案内のようにいろいろな資金を扱っておりますので、本土公庫との比較が非常に難しいのでございますが、全般的に見ましてかなり低水準にまで改善されてきたというぐあいに考えております。  しかし、まだ本土公庫に比べますとやや高こうございますし、この改善にはさらに努力しなければいけないと思いますが、基本的には沖縄の地元の中小企業の経営基盤の弱さもあろうかと思いますし、またさらには、経済の動向全般が延滞率等にも影響してくるかと存じております。開発庁としましては、地元企業の体質の強化、さらに経済の振興に努力したいというぐあいに考えておるわけでございます。
  195. 玉城栄一

    玉城委員 中小企業庁の方に伺いたいのですけれども、先ほども御質問がありましたけれども、沖縄の最近の中小企業の倒産の状況をちょっと簡単に御説明いただきたいのです。
  196. 井上正

    井上(正)政府委員 まず、昨年、全国ベースの倒産の状況でございますけれども、負債金額一千万以上の倒産件数は、昨五十九暦年で二万件を超えまして、いわゆる史上最高という状態でございました。ただ、本年に入りましてからは、一月、二月、三月とも前年同月に比べますとマイナスということになってきておりまして、レベル自体は高水準ではございますけれども、倒産動向にはやや落ちつきといいますか、減少傾向が出てきているというのが実態でございます。  そのような中で沖縄でございますが、ほぼやはり全国と同じような状況でございまして、昨五十九年の沖縄県の負債金額一千万以上の倒産件数は三百三十一件ということでございまして、前年に比べまして二一%の増加でございます。これもやはり過去最高記録ということでございます。ただ、これは月別に動向を見てまいりますと、昨年の五月までは前年同月に比べましてかなり多かったわけでございますけれども、六月以降はむしろ前年同月に比べまして減少ということになっております。本年に入りましてからもかなり減っておりまして、前年同月に比べまして、一-三月平均で前年対比半分ぐらいという状況でございます。
  197. 玉城栄一

    玉城委員 実は、さっきの延滞率の問題を公庫に伺ったわけでありますが、先ほども質問に出ましたが、ごく最近大型企業が沖縄で倒産して、関連倒産も県の経済界に非常に大きな衝撃を与えているわけです。この公庫融資は、この関連企業に、いわゆる今回倒産した一連の企業に公庫融資として入っているのも当然あろうかと思うのですが、いかがでしょう。
  198. 関通彰

    ○関(通)政府委員 公庫も金融機関でございますので、個々の企業名を挙げて申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、今回和議申し立てをいたしましたTCMを含めまして、融資をいたしております。
  199. 玉城栄一

    玉城委員 やはりそういう経営基盤が非常に弱いということ等もありまして、先ほどからお述べになっていらっしゃるとおりであります。したがって、その対策につきましては万全の対応をしていただきたい、このことを要望いたします。  それから、今の件で非常に大きな衝撃を沖縄の経済界に与えているわけでありますが、その現在の沖縄の経済界に与える影響は、開発庁はどのように見ていらっしゃいますか、今回の倒産劇において。
  200. 関通彰

    ○関(通)政府委員 現在、連鎖倒産のおそれのあります企業の把握につきまして、総合事務局の通産部中心あるいは県当局等でその実情把握に努めているところでございます。私ども報告を受けておりますが、端的に申し上げまして、なかなか明確に把握できない面もございます。ただ、連鎖倒産の防止につきましては、先ほども中小企業庁等から御答弁ございましたように、防止の措置を近くとられることになっております。私どももできるだけ倒産防止の効果が上がるようにというぐあいに期待しております。  当面影響がありますのは建設業界でございますが、幸いと申しますか、年度当初でございまして、現在、公共事業等の発注等の比較的行われない時期でございます。一日も早く業界の体制を立て直して、経済に影響のないように万全の措置を講じたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  201. 玉城栄一

    玉城委員 時間もございませんので、ちょっと最後に、沖縄公庫の資金の状況の一つなんですが、五十八年から政令を改正しまして、沖縄公庫のいわゆる本土産米穀資金特別勘定積立金を取り崩して一般勘定に入れているわけです。その理由と本土産米穀資金特別勘定、その経緯をちょっと簡単に御説明いただきたいのです。
  202. 関通彰

    ○関(通)政府委員 沖縄公庫の水資金特別勘定の経緯を先に述べさせていただきますと、復帰前、日本政府から琉球政府に対しまして、援助の形で本土産米が送られております。琉球政府がそれを県内に販売いたしましたその売上金、当時で約五十五億円でございますが、これを日本政府から二十年間無利息で貸し付けられることになっております。復帰しました当時、沖縄公庫がこの五十五億を原資にいたしまして米資金の特別勘定をつくったわけでございます。その後、年約三億円ずつ返済いたしておりまして、二十年間でございますから最終返済時期は昭和六十七年でございます。現在の貸付残高の総額は約二十七億でございます。この貸し付けは、米資金でございますので、農業関係に非常に特別な低利で貸し付けを行っているものでございます。  先生御質問一般勘定への繰り入れでございますが、五十八年に政令の改正をいたしまして、五十八年度に七億二千万円一般勘定に繰り入れております。五十九年度に五億三千万円、六十年度は八千万円の予定でございます。  この理由でございますが、これも先生御案内のように、沖縄公庫は非常に低利の融資をいたしておりまして、貸付残高がふえるに従いまして逆ざやになっているものでございますから、収支が非常に悪化いたしまして、沖縄開発庁一般会計から公庫に繰り入れております補給金、逆ざやの分を結局一般会計から補給金で入れるわけでございますが、これが昭和五十年当時は十二億程度であったのでございますが、六十年度予算では百二十億一般会計から繰り入れることにしておるわけでございます。やはりこのような繰り入れをいたしませんと、低利の融資が続けられないという状況でございます。かような一般勘定の収支の悪化の背景もございまして、先ほどもおっしゃいました米勘定貸し付け、これは原資が無利息でございますので利益が生じるわけでございますが、その積立金一般会計に繰り入れまして、沖縄の諸般の経済振興のための融資の原資として活用したいというのが趣旨でございます。
  203. 玉城栄一

    玉城委員 私は、時間がございませんので要望だけしておきたいのですが、これはそういうふうな形になっておりますから、やはりこの米資金の趣旨からいいまして、その積立金というものを一般勘定に繰り入れるということをしないで、むしろ米資金の融資対象の枠を広げて、その方に融資の資金として回す。これは一般勘定にぶち込んでしまえば、米資金という性格からして私は生かされないと思いますし、その融資対象を拡大することによって沖縄公庫の基盤強化にずっとつながっていくのではないか、こう思うわけであります。  以上です。
  204. 安井吉典

    安井委員長 次に、春田重昭君。
  205. 春田重昭

    ○春田委員 私は、午前中同僚議員が質問したと同じ課題があると思いますけれども、重複する部分があると思いますが、御了解いただきたいと思います。  最初にSDI構想、戦略防衛構想、この問題につきましては今国会で何回も質疑をされまして、種々論議されているところでございますが、本日の報道によりますと、米国の国防省のメンバーが来日するやになっているわけでございますけれども、どういうメンバーがいつごろ来るのか、明らかにしていただきたいと思います。
  206. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 お答えいたします。  SDIの研究計画に関しましてアメリカのブリーフィングチームと申しますか、一行が来週の二十二日に東京に参りまして、二十四日出発いたしますが、二十三、二十四の両日、私ども政府関係者の方でブリーフィングを受ける予定でございます。  このメンバーは、国防省の中にSDI局というのがございますが、そこの次長代行と申しますか、いわばナンバーツーのような地位にありますヨーナスという人を団長といたしまして、国防省のそのほかの関係部局、それから国務省の担当者等、団長を含めて合計五名の一行でございます。
  207. 春田重昭

    ○春田委員 アメリカ側のワインバーガーさんは、なるだけ早急にということで、六十日以内に返事してほしい、これは取り消されたみたいでございますが、いずれにしても早急に返事をいただきたいということでございます。この四月二十三、二十四日、説明を受けるわけでございますが、我が国の対応は、この説明を受けてSDIに対する参加、そういう研究参加についての御返事を出すのかどうか、お伺いしたいと思うのです。
  208. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 我が国といたしましてSDIの計画についていかなる対応をするかという点については、累次の国会審議でも御説明してきているとおりでございます。すなわち、ことしの初めにロサンゼルスにおいて日米首脳会談が行われました際に、レーガン大統領からこのSDIの構想について説明がございまして、中曽根総理の方から、アメリカが研究をするということは理解するということを言われたわけでございますが、アメリカが研究をすることを理解すると言われると同時に、今後このSDIの問題、非常に長期にわたる構想でもございますので、必要な情報をアメリカから提供してもらい、また、必要に応じ協議を受けつつ、我が国としていかなる対応をしていくかということについては、我が国自身の立場を踏まえて検討していくということになっております。  この研究について理解すると申しました時点におきましては、この研究計画自体に我が国が参加するか、あるいは協力するかという問題につきましては予断していないわけでございまして、今回アメリカ側のチームの説明をも受けまして、その説明をも踏まえて、今後我が国としていかなる対応をしていくか、今先生の御質問にもございましたワインバーガー長官から外務大臣あての書簡というのが来ておりますけれども、それに対する回答ぶりというのもどういうふうにするかというようなことを検討していく、そういう状況でございます。
  209. 春田重昭

    ○春田委員 ということは、四月二十三、二十四日の説明だけで我が国は対応していく、こう考えていいのですか。
  210. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 SDIの計画自体、今研究段階ということでございますが、先ほども申し上げましたとおり非常に長期にわたる構想でございます。それから、SDIの問題につきまして我々が考慮すべき問題というのは、いろいろな側面がございます。そのようないろいろな側面について、我が方としても十分な検討をしていきたいと考えているわけでございますが、その検討をする一環として、まずアメリカ側のブリーフィングチームから、SDIの全般的な考え方はいかなるものであるかというような問題、技術の問題もある程度含まれると思いますが、そういう説明をまず一環として受けた上で我が国の対応を検討していくというわけでございまして、逆に申しますれば、アメリカ側のブリーフィングチームの説明だけを頼りとして、そこで直ちにその答えを出すというものでも必ずしもないのではないかというふうに考えております。
  211. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、大体SDIの構想なるものの全体像は、この説明でわかると思うのです。  そこで、昨日の新聞報道によりますと、五月二日ですか、サミットにおける日米首脳会談が行われる予定になっておると報道されておるわけでございます。当然、日米首脳会談だけではなくして、総理としては欧州各国の首脳との会談も、恐らく機会があればあると思うのですが、当然SDIの問題は恐らくテーマになると思うわけでございますけれども、どんなものでしょう。
  212. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 来るボンのサミットにおきましては、各国首脳が集まりまして、世界の平和と繁栄に向けて現下の諸問題をいかに解決していくか、あるいは将来に向けてどのような政策方向をとっていくべきかというような問題について、忌憚のない意見交換を行うということでございます。  今、このSDIという問題は今度のサミットにおける政治問題の討議の中に含まれるのか否かという点でございますが、今度のサミットにおいて政治問題のトピックスとしていかなる問題を取り上げるかというようなことについては、現在主催国であります西ドイツを中心に検討中でございまして、今のところ、SDIが取り上げられるかどうか、何が議題となるかというようなことについては未定でございます。したがいまして、今の状況におきまして、このサミットの議題となるか否かについては申し上げかねる状況でございます。
  213. 春田重昭

    ○春田委員 もし日米首脳会談でこのSDIの問題が出た場合、このSDIに対する参加の表明でございますけれども、これは研究開発への指示程度の賛否については出すおつもりなのかどうか。
  214. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 先ほど申し上げましたように、我が国としての対応をいかにしていくかということにつきましては、まずアメリカ側のブリーフィングチームの説明を聞きつつ、SDI全般についてのアメリカの考え方等をよりよく把握した上で我が国として考えていくという状況でございますので、サミットの場において先生が言われたようなことになるかどうかというような点は、今なかなかお答え申し上げにくいわけでございますけれども、一般論として申し上げますれば、このSDI問題についての対応というのは、我が国として十分な情報を得つつ、また十分な検討を加えつつ考えていく問題ではないかというふうに考えております。
  215. 春田重昭

    ○春田委員 このSDIは我が国だけではなくして、NATO、欧州諸国にもアメリカは呼びかけているわけでございますが、この欧州各国の反応をどうおつかみになっているのか、簡潔にひとつ御説明をいただきたいと思うのです。
  216. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 SDIの構想自体に対する欧州諸国を含めた各国の反応、あるいはより具体的に今回のワインバーガー書簡で行われております参加招請に対する反応というものは、必ずしもきちっと出そろっているわけではございませんが、おおむね申し上げますれば、西欧諸国は、アメリカがSDIの研究を進めるということを支持する、あるいは理解する、あるいはこれに異議を唱えないというような立場を表明しております。それと同時に、研究から先の段階についての対応につきましては、今後米国と密接に連絡協議を行いつつ検討していくという立場をとっております。
  217. 春田重昭

    ○春田委員 これは仮定の問題でございますけれども、我が国がもし研究開発に参加する方針が決まった場合、技術の面や資金の面等があろうかと思いますが、この場合政府のみで行うのか、また民間も巻き込んだ中の協力なのか、この辺、これから検討するわけでございますからなかなかお答えにくいと思いますが、民間の参加のことはあり得るかどうか、お答えできればお答えいただきたいと思います。
  218. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 ワインバーガー書簡で各国に研究計画についての参加を呼びかけているわけでございますが、具体的にどのような形での参加が考えられるのかというような点につきましては、まだアメリカ側の考え方も必ずしもはっきり固まっていない面もあるやに思われますので、その点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、今後米側から提供される情報、あるいは米側からさらに説明を聞きつつ我が国として自主的に検討していくということでございまして、今の段階におきまして具体的に、例えば民間の役割がどうなるかというようなことについて申し上げることは、仮定の問題になりますので差し控えさしていただきたいと思います。
  219. 春田重昭

    ○春田委員 我が国は、言うまでもなく憲法や非核三原則、武器輸出三原則、宇宙平和に関する国会決議と、さまざまな制約があるのは御存じのとおりであると思います。外務省としては、防衛庁も含んででございますが、一応このSDIについての説明を受けるという以上、基本的にはこれらに抵触しないという自信といいますか、確信とかがおありの上で御説明を受けに行かれると思うのですが、その点どうですか。
  220. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 ロサンゼルスにおきまして中曽根総理とレーガン大統領の会談が行われましたときに総理も明らかにされておりますように、我が国としてこの問題についていかなる対応をしていくかということを考えますに当たっては、いわば平和国家としての我が国の基本的な理念というものを踏まえて自主的に検討していくということでございますので、先ほど来申し上げておりますように、具体的な研究への参加とかあるいは協力の態様がどういうものであるかということが今はっきりしない時点で、具体的にどことどこが抵触するのかしないのかというようなことを申し上げることはなかなか難しいわけでございますけれども、私どもとしては、今申し上げましたような我が国の基本的理念というものを踏まえて今後の対応ぶりを考えていきたいというふうに考えております。
  221. 春田重昭

    ○春田委員 長官、このSDIに関しまして、防衛庁長官は対ソ戦略上必要であろうと思うかどうか、長官の御感触をいただきたいと思います。
  222. 加藤紘一

    加藤国務大臣 対ソ戦略上いかなる位置づけを我が政府としてすべきかということは、基本的には外務省コメントすべきものであろうと思っております。いずれにいたしましても、SDIというのは非核であり、防御であり、そして核廃絶を最終的に目指すものというまだコンセプトの段階と承知いたしておりますし、ブリーフィングを私たちの庁でもよく聞くようにさせてみたいと思っております。
  223. 春田重昭

    ○春田委員 確かに額面どおり受け取れば、そのようにSDIというものは非常に核廃絶を目指すものであるという形になるわけでございますけれども、この問題につきましては米国の内部でも反対の声が強いわけでございます。一つは、膨大な資金と時間がかかる、また、完全性への疑問とか、また、地球上の温度が二十度以上も下がるのではなかろうかという「核の冬」という恐ろしい現象を起こすおそれがある、こういった論議があるわけでございます。また、欧州諸国におきましても、首相と外務大臣の見解が違う、さまざまな賛否が出ているわけでございます。  いずれにいたしましても、今後のアメリカ側説明によろうかと思いますが、武器技術供与というものが、日米安保条約や日米相互防衛援助協定を考慮してああいう形で締結されたわけでございますから、私はSDIの問題につきましてはいろいろな問題があろうと思いますので、そういった非常に問題をはらんだこのSDIに対して安易に臨むということは大変なことである。そういったことから、私は第一回の会談が非常に重要になってくると思うのです。そういう面でわが国は慎重の上にも慎重に、厳しい態度で臨むべきであろうと要望して、この問題につきましては終わりたいと思います。  それから長官、これは午前中にも質問が出たと思うのですが、訪中の問題でございます。夏目防衛次官が五月、長官は今秋訪中されるやに伺っているわけでございますが、具体的にいつごろなのか、訪中の目的について簡単に述べていただきたいと思うのです。
  224. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私自身の訪中につきましては、まだ何も決まっておりません。ただ、私たちの役所の夏目事務次官に中国国防部の方から招待が参りましたので、私は夏目次官に近々中国に行ってもらいたいと思っております。時期につきましては、双方がお互いに今話し合っている段階でございますので、まだ決定しておりませんが、そう遠くない時期に行われることだろうと思っております。  日本と中国というのは友好関係を樹立しておる国でございまして、経済面や文化面でいろいろな交流がございます。その中の一つとして、防衛面についてお互いに話し合うということは、考え方をお互いに知り合うということは、アジアの平和と安定のためにいいことなのではないかなと私は思って、積極的に夏目事務次官に行ってもらいたいと思っております。夏目事務次官は内局、事務当局のトップでございまして、防衛庁設置以来ずっと来て事務次官にまでなった生え抜きの人物でございますので、言うなれば、戦後の防衛政策を本当に現場で目の当たりに見て事務のトップに来た人間でございますので、そういう人間が中国に行って話し合うということは、双方にとって非常に有益だと思っております。
  225. 春田重昭

    ○春田委員 次官の方は大体五月の上旬じゃなかろうかという報道がされておるわけでございますので大体そこら辺なのかどうか、また長官の方は大体今秋と載っておるわけでございますが、時期はまだはっきりしないとしても、長官としてはことしじゅうに訪中する意思があるのかどうか、その点もう一回。
  226. 加藤紘一

    加藤国務大臣 夏目次官は近々であろうと思っております。私自身はまだ検討いたしておりません。私自身に中国の方から非公式に防衛庁長官としておいでくださいという招請は一、二度ございました。まだ非公式のものではございますが、ございました。私自身がどうするかにつきましては、夏目事務次官の訪中の成果、結果を見てから判断したいと思っております。
  227. 春田重昭

    ○春田委員 それから、防衛庁が自衛艦を上海に寄港させる計画云々が同じく報道されておるわけでございますが、この辺はどうなっていますか。
  228. 加藤紘一

    加藤国務大臣 そういう報道がありましたけれども、私たちの方に中国側から、自衛艦をよこしてみませんか、練習艦隊とか友好訪問に来てみませんかというような招待も一つもございません。したがって、私たちもまた全く検討いたしておりません。
  229. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、日中友好条約が結ばれてたしか十三年だと思うのですが、今回の次官の訪中は、内局のトップだけに非常に関心を呼んでいるところであります。うがった見方かもしれませんけれども、防衛庁中国との軍事協力をするのではなかろうかということが一部でうわさされているわけでございます。また、昨年五月、米国のワインバーガー長官が日本のあるところで講演した中で、今後米国を軸にしながら日本と中国ないし韓国を含んだ三カ国ないし四カ国のアジア地域での防衛の連携強化の必要性を述べている、こういうことで、今回の次官の訪中はこの構想に非常に合致するのではなかろうか、こういうことでいたずらにソ連を刺激するのではなかろうかという見方もあるわけでございますが、この点どうでしょうか。
  230. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私たちの事務次官が訪中いたしますことは、全く私たち日本の独自の判断で決めたものでございます。それで、軍事協力になるのではないかという御疑問が一部にございますけれども、軍事協力という言葉はどういう意味を定義されるのか、なかなかわからないところがあります。私たちとしては、今後防衛面についての意見交換、情報交換、国際情勢についての見方の交換なんかをやってまいりたいと思っておりますけれども、私たちと中国との関係はいろいろな意味において深まっても、防衛面については私たちと安保条約を持っているアメリカとの密接さまではいかない、それは当然将来につきましても差のあるものであろうと思っております。それほど日米安保条約は日本にとっては重い存在であろうと思っております。  それから、ワインバーガー氏が言った対ソ包囲網をつくるのではないかというような御指摘でございますけれども、繰り返しますが、私たちは友好関係にある中国と意見交換することが必要だと思う観点から自主的に判断したものであって、対ソ包囲網をつくるとか、考えているとかということは一切ございません。
  231. 春田重昭

    ○春田委員 きょうの主題は防衛大学、防衛医科大学の問題について詳しく聞くつもりだったわけでございますが、時間がございませんので、一方的になりますけれども、私の方から話させていただきたいと思います。  三月十七日は防衛大学の卒業式が行われまして、総理も長官も御出席して激励されたと思うのでございますが、自衛隊の将来の幹部養成の大学である防衛大学及び防衛医大のいわゆる中途退学者及び非任官者が、年々ふえておるわけでございます。特に防衛大学につきましては、昭和二十八年第一期生から始まりまして、昭和六十年三十三期生までなっておるわけでございますが、防衛庁から出された資料を見ますと、大体昭和四十二年まで、いわゆる第十五期生までは中途退学者も三十名から四十名、非任官者はわずか二名とか四名とか五名だったわけでございますけれども、昭和四十五年を境にいたしまして、中途退学者が百名前後、非任官者は二十名から三十名、多いときで四十名、昭和五十六年度の二十九期生のメンバーに至っては、三百九十名の卒業者の中で約一割、三十八名の方が非任官になっているわけですね。採用者全体から見れば、中途退学者と非任官者数を合計すれば約二五%、したがって全体の四分の一がいわゆる採用された者が任官されていない、脱落している、こういう状況になっているわけでございます。  いろいろな社会的な風潮といいますか、状況等もあろうかと思いますが、これらにつきましては、防衛大学につきましては一人当たり国の費用が約四百万円ぐらい投資されているわけでございますから、四年間で一千六百万、また防衛医大の方については年間八百五十万ですか、つぎ込まれていると聞いているわけでございます。こういった点で、特に防衛大学につきましては償還制度がない。ペナルティー制度がない。防衛医科大学は医師の免許を取るからということで償還制度をとっているみたいでございますが、防衛大学はとっていない。しかし、同じ目的である。まして今言ったように国費を使っているという点から考えて、今行革が叫ばれている段階の中で、何といいますか、一割ぐらいだったらまだまだ数が少ないのです、四分の一ぐらいだったらまだまだ少ないのです、防衛庁としては一生懸命いわゆるアンケートを配ったり、また面接や何かで厳しくやったり、また入ってくれば指導等もやっているとおっしゃるかもしれませんけれども、そうした精神訓話だけではこのいわゆる脱落者の歯どめはできないのじゃないか。そういった面で、防大生につきましても防衛医大と同じように、全額でなくても一部くらいの償還制度をとったらどうかという声もあるわけでございます。そういった点で長官、どうお考えになっていますか。  それからもう一点、時間がございませんので。  防衛医大については、ことし初めて女性の入校者があったわけでございまして、最終的に八名の方が入校されたと報道されているわけでございます。全国の女性の自衛官が三千四百名おられると聞いているわけでございますが、残念ながら、防衛大学については女性の門戸は開放されていない。こういう点で将来、女性自衛官が三千数百名おられるわけでございますから、そうした幹部を養成する意味においても防衛大学の女性の門戸も開放していいのではなかろうか、この二点につきまして防衛庁ないし長官の御答弁をいただきたいと思うわけでございます。
  232. 加藤紘一

    加藤国務大臣 防衛大学の途中退学及び任官拒否の事態についてでございますけれども、いろいろ御議論いただいております。確かに最初、入学するときに大分意思も聞くわけでございますけれども、しっかりとした意識ということではなく、何となく防衛、国防のことをやってみたいなという程度の意思で入ってくる学生も多いのでございます。仰せまだ高等学校を上がったばっかりの十八歳の青年が入学するわけですから、なかなかそういうしっかりとした意図を明確に持っているかということも難しいところであろうと思います。訓練のときには、学生の場合でも三十キロ、三十五キロぐらい背負わせまして、四十キロ行軍か何かの訓練もいたしたりするものですから、途中で、ついていけないと言って一年生のときに脱落してしまうのも多いようであります。でも、二、三、四といますと最後までいるのですけれども、その最後まで残った中で、残念ながら三十八人いたことも事実でございます。  これについてどう考えるかでございますが、やはり指揮官になる人間でございますので、いやいや残って、そしてかかった費用を返させられるのは困るからいやいや指揮官になられても、それの指揮に従う曹士の方の士気にも影響しますので、やはり私たちとしては、強制的な方法で残ってもらうということはかえって禍根を残すものではないだろうかな、こう考えます。それで、費用を返してもらうという点につきましては、ちょっと防衛医大と違うのではないだろうかな、こんなふうに思っております。  それから、防衛大学に女性をどうするのかというのは、今実は最近の国際婦人年等の絡みで、男女雇用平等の問題で若干私たちも頭を痛めておるところでございますが、やはり一線の指揮官になりまして実際に戦闘行動に入るという前提を持っておりますのが防衛大学の卒業生なものですから、ちょっとどうかなと思ったりして、いやそれは逆に頭が古いのかなと思ったり、内部でも正直のところ言っていろいろ議論いたしておるところでございます。  いずれにしても、本年度とりあえず防衛医大の方に女性への門戸を開いてみて、八人でございますから、正直のところ言うと合格者の中で八人、予想以上に残ってくれたという感じでございますので、まず防衛医大の様子を見ながら防衛大学の方は考えてみたいな、こういう考えでおります。
  233. 春田重昭

    ○春田委員 時間が来ましたので終わりたいと思いますが、防衛大学と防衛医大の中途退学者、また非任官者の問題ですが、要するに、約一万名の応募者の中から五百名が選ばれるわけですよ。約二十倍の熾烈な難しい中で入校してきているわけでしょう。私は強制的にとどめるべきであると言っているのではないのですよ。当然それだけの選抜された者が来るわけですから、四年の期間の中で十分そういった指導訓練をやって、それは体が悪くなったとか家庭の事情、こういうのはやむを得ないとしても、他の企業に就職するとか、はっきりわからないままでやめていくというのは、やはり四年間の指導にも若干の問題があるのではなかろうか、こう思っているわけです。  したがって、選抜する中で十分、要するにあなたは将来幹部になるのだぞ、そういうアンケートをとったり面接で厳しくやったりしながらいけば、私はいけると思う。実際、第一期から今言ったように昭和四十二年まで脱落者は少なかったわけなのに、最近はふえてきている。その辺の問題も含めて、同じく海上保安大学校はほとんどやめる人はいないわけです。非任官者もほとんどいないわけです。同じ国のそういう学校でありながら、防衛大学、また医大では非常に多い。保安大学校では少ない。これは通らないと思うのですね。その辺もお考えいただいて、一生懸命努力されているのはわかりますけれども、もう一歩その歯どめの対策を講じていただきたいと要望して、終わります。
  234. 安井吉典

    安井委員長 次に、貝沼次郎君。
  235. 貝沼次郎

    貝沼委員 防衛庁関係とそれから沖縄開発庁関係は、今二人の同僚議員が質問をさせていただきましたので、私は、総務庁関係について若干の質問、というよりもむしろ要望を申し上げたいと思っております。  と申しますのは、まず初めに、五十八年三月十四日に出されております行政改革に関する第五次答申、最終答申でございますが、この中にも補助金の整合性の確保という問題が指摘されております。これは一々読まないまでも、長官よく御存じのことばかりであります。それからさらに、統合メニュー化の推進ということで、これらにつきましては大蔵委員会その他で随分議論がなされました。私もその議論の内容については、議事録等を読ませていただきまして、大体承知しておるつもりでございます。  そこで、私が今申し上げたい点は、多目的複合施設に対する国の補助金が、国の縦割り行政の弊害によってむだが出ているのではないかという報告書等もありますから、果たしてどうなっておるのかというわけで、今年総務庁はそれを目的にして監察されるわけでありますが、その点につきまして私も地元あたりでいろいろと見てまいりました。そういたしますと、確かにこれはおかしいなというようなものが幾つか見えます。しかし、それは以前にやったものでありまして、これから先果たしてそういうふうになっていくかどうかということを考えると、今の総務庁の取り組みの姿勢等を考えてみまして、まあまあ相当少なくなっていくのではないか、こういうふうに理解はしておりますが、しかし果たして完璧にいくのかなという心配もないではありません。  そこで、先般の長官の答弁を読ませていただきまして、幾つか問題として聞いておきたいところがございました。それは大蔵委員会の質問でありましたが、多目的複合施設の問題でるる同じようなことを述べられております。例えば児童館と老人福祉センターをつくると図書室をおのおのつくらなければならないとか、あるいは働く婦人の家と勤労青少年ホームをつくると事務室と談話室を重複してつくれとか、入り口が二つでトイレが両方なければならぬとか、近くのものであっても廊下で結ばなければならぬとか、いろいろなことがある。この廊下で結んでいるのは私も事実見てまいりましたけれども、実際あるのです。そういうようなことに対して後藤田長官は、「これは改めましたから、私はこれから先そんなべらぼうなものができるとは考えておりません。」こういうふうに答弁なさっております。  そこで、「改めましたから、」というところでありますが、改めましたというのはどういう点をどのように改めたということなのでしょうか。
  236. 竹村晟

    ○竹村政府委員 ただいまの御質問にもございましたように、以前よりは改善ができているというふうに思われます。具体的に申しますと、いろいろな補助金の交付要綱を見ますと、例えば廊下でありますとか階段でありますとかあるいは研修室、こういったものは複合的な施設をつく谷場合には共用ができるということで、かつて指摘されたように、入り口を別につくるとかあるいは研修室を幾つもつくらなくてはいけない、こういうふうなことは改善が進みつつあるのではないかと考えられます。
  237. 貝沼次郎

    貝沼委員 ですから、今度はそういうことにはならない、改善したんだ、こういうふうに言っておるわけですから、ただ改善したというだけでは、どこが変わったのか私はわからないわけです。そこでお尋ねしておるわけですが、どこが一体変わったのですか、今までのルールとここが変わったというところがあれば教えていただきたい。
  238. 竹村晟

    ○竹村政府委員 従来は、それぞれの施設ごとに例えば研修室が必要であるとかあるいは図書館が必要であるとか、そういった補助要綱であったわけです。それがそうでなくて、複合的な施設をつくる場合には、例えば廊下の問題でありますれば、廊下を別々につくる必要はないわけですから、それを案分して両方でつくったことにするとか、そういった点で改善ができたのだろうということなんですが、ただいまの御質問もそういうお考えでされていると思うのですけれども、まだまだ改善が十分であるかどうか問題でございますので、我々が六十年度調査したいというのもそういう点があるからでございます。
  239. 貝沼次郎

    貝沼委員 くどいようですけれども、改善したと言っているわけですよ。私も恐らく効き目は出ているのだろうと思うのです。だけど、法的にどこを改善したのですか。例えば、おのおの補助金を出す場合の交付要綱というのが各省にあるわけですね。それは改善されたのかどうか。これは改善されてないわけでしょう。  それからもう一つは、補助金等に係る予算執行の適正化に関する法律、いわゆる適正化法律ですが、この法律では二十二条で「財産の処分の制限」ということがありまして、一たんつくったものは勝手に何かに使ったりはできないようになっていますね。これは会計検査院がやかましいところですよ。さらにもう一つは、二十四条では「不当干渉等の防止」、不当に干渉してはいけませんというふうにちゃんと歯どめがかかっておる。例えば、うちの方でトイレをつくるからあなたの方はやめておきなさいよとか、そう勝手なことはできないようになっている。ですからこの辺は変えたのか。もしこれが変わっていないとすれば、それはいいようにやりなさいといっても、当局としてはそう簡単に変えることはできないわけです。変えることができないというのは、申請のときに出てきたとおりのものをつくらざるを得ないわけですから、どこが一体変わったのでしょうかということをお尋ねしておるわけであります。もう一度答弁願います。
  240. 竹村晟

    ○竹村政府委員 個別の問題は担当省にお聞きいただいた方があるいは的確かもしれませんが、例で申しますと、公立社会教育施設整備費補助金交付要綱を見ますと、「単独で持つことが合理的でないと思われる廊下、階段、機械室、玄関、事務室等を共用にすることができる。」こういうのが入っております。ですから、これは多分前にはなかったのだろうというふうに考えられます。  それから同じように、勤労青少年ホーム設置運営基準でございますけれども、これにつきましても、ホールでありますとか図書館あるいは娯楽談話室、こういったものは専用のものとしなくとも差し支えない、こういっただし書きが入っております。いずれもこれは五十六年ころの改正でございます。
  241. 貝沼次郎

    貝沼委員 そのただし書きがあっても、この条文とはどういう関係になるのですか。これを守ろうとすると、そのただし書きで判断していいかどうかというのは非常に難しくなりますね。その辺はだれが判断をされるのですか。
  242. 竹村晟

    ○竹村政府委員 判断をするところでありますが、それは法律の主管省が最終的に判断することになろうかと思いますけれども、実は今度の監察をするのもその辺に問題があるのかないのか、この辺を含めて見たいというふうに考えております。
  243. 貝沼次郎

    貝沼委員 私も実はこの辺がポイントじゃないかと思って、きょうは質問させていただいているわけでございます。  そこで、中央の方では補助金が決定した段階で、いわゆる中央から地方に向かっての方向で判断する場合ですが、この場合は、同じものをつくってはいけないとかそういうことが問題になってくるのですね。今あなたがおっしゃったように、共用するものは一つでいい。一つでいいといっても、厚生省と文部省の両方が関係しておるときに、一つでいいということはわかっても、どっちにするのかというのは、これは非常に問題になってくるわけです。これは実際官庁は大変な問題です。  さらにもう一方は、地方自治体の方から申請する場合です。これは例えば文部省と厚生省が関係するのだから、両方一緒に集まってください、我々ちゃんと申請をいたしますから、そういうことにはならない。やはり文部省には文部省で申請をし、厚生省は厚生省で申請するわけですね。そのときはおのおのの省の要綱に従ってやはり判断されるわけでありますから、だから補助金の交付がある程度決まれば、お互いに何とかしようじゃありませんかという話は出てくるけれども、それまで地方自治体としては膨大な資料を整えて、やはり入り口も要ればトイレも要るというぐあいに全部やらなければならないわけですね。それが解決されておらないと、実態としては余り解決はしておらない、こうなるわけでありますが、そっちの方の関係はどうなんです。
  244. 竹村晟

    ○竹村政府委員 実は、私どもこれから調査をしてその辺を見たいと思っておるのですけれども、交付要綱が変わりましても、ただいま申されました補助金の配分の仕方でありますとか、あるいは交付申請の手続の問題、こういったものを含めまして、複合化を進めるに当たりまして国の方としてどういうところに阻害要因があるか、こういう点を実態を調査してみたいというふうに考えております。
  245. 貝沼次郎

    貝沼委員 ぜひひとつお願いしたいと思います。これは地方自治体からやんやと言われておることでありますし、本当にむだだと思うのですね。  そこで、むだに関係してちょっと会計検査院の方に質問をいたしますが、こういう実態というのは我々が見てすらわかることです。まして専門家である会計検査院が、従来このことがわからないはずがありません。このことについて、従来何らかの意見を述べたことがあるのか、あるいはこの実態を見てどのように感じておったのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  246. 立石一雄

    ○立石会計検査説明員 今までの検査におきましてそのような事例がわかった場合に、検査のときに申し上げているわけでございます。検査報告に提出するまでに至ったものについては、ちょっと記憶がございません。  ただ、この施設の複合化につきましては、施設相互間の性格に相互補完性がある場合には、敷地であるとか建物の効率的な使用が図られる、あるいは維持管理経費その他の経費の節減が可能であるということから、この施設の複合化、特に合築を推進すべきであるというふうに考えております。  このような観点から、私どもは、昨年からでございますけれども、この複合化をされた施設の経済性あるいは効率性というものの実態につきまして、各省庁にまたがります横断的検査というものも、部分的でございますけれども実施しております。
  247. 貝沼次郎

    貝沼委員 私は、会計検査院はもっとそういう意見は強力に言うべきだと思います。今回、時が来て総務庁の方でこれを徹底的に洗うようでありますから、私は大いに期待をするわけであります。  そこで、長官にぜひひとつこれはお願いしたいと思いますが、一つは、今問題になっております条文の関係で、この補助金等に係る予算執行の適正化に関する法律、これは二十二条、二十四条、ほかにも関係するかもしれませんが、この辺の法的な手当て、これが一つ必要ではないかと考えます。それからもう一点は、いわゆる補助金の交付要綱の弾力的な運用をどうするのかということが一つの問題ではないかと思います。それからもう一点は、ただお互いに話し合いというのは非常に官庁と官庁は難しいということでありますから、その中で何らかの調整を図る、そういう機能を持つ、これは総務庁が関係しなければできないことでしょうけれども、そういう一つの調整機関といいますか、機能を果たすものが考えられる必要があるのではなかろうか、私、率直にそういう考えを持っておるわけでありますが、この解決策として長官はどのようなお考えをお持ちなのか、お聞かせ願いたい。
  248. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 行政官庁は、やはり法令に従って仕事をやる、こういうことなものですから、常識的に見ましてしゃくし定規にやるという欠点があったと思います。それが端的にこういう複合施設に出てきていると思うのです。従来からこの点、いろいろ御指摘がありまして、先ほど私の方の局長が言いましたように、そこらは合理的に処理をするようにということで、私はだんだんよくなってきておると思うのです。同時に、やはり各役所は会計検査を受けるものですから、そうした会計検査はなおさら法令に従って適切にやっているかどうかということになりますと、法令による行政ですから、この補助金はどこへどういうように使ったんだ、こうなるわけですから、そうすると、会計検査にもお考えいただかなければならないというようなことがございまして、それでこれまた今検査院の御当局からお話がありましたように、そこらは最近は合理的に弾力的にお考え願うようになっていると思いますけれども、まだそれだけでは私も足らぬと思います。  そういうような観点でいま一度、第二臨調等からの御指摘もございまして、ことし一遍監察をしよう、そしてその結果によりまして法令を見直さなければならぬかどうか、これが一つ。それから同時に、現在ある補助金交付要領、これらについても見直しをお願いしなければならぬかどうか。さらに最後の、どうしても各省やはり縦割り行政は前提でございますから、そうすると、それをつくりたいという市町村はともかく一つにする。だからこれをどこの省、これはみんなそれぞれ持っていかなければいかぬわけですね。そこらをどう調整するが、実際はそこが一番難しいな、こう考えているのです。しかし、これを調整する役所は一体どこだろう。予算のときだろうか、それとも予算ができ上がってから執行の段階で調整するのか、そこらはこれはよほど勉強しませんと、今ここでこれはどうしますと言うことはなかなか難しいと思います。いずれにいたしましても、監察をいたしまして、その結果、これはやはりともかく今までのやり方はおかしいのですから、これは是正をしたい、かように考えております。
  249. 貝沼次郎

    貝沼委員 今の長官の答弁を聞きまして私、意を強くいたしましたが、ぜひともそう実現できるようにお願いしたいと思います。  さらに、この補助金の問題では大きな声となっておりますのは、手続の簡素化、これがもう監察局のこの中にもありますから私は一々言いませんでしたけれども、これもつけ加えていただきたい。  さらに、補助金の内示の時期がその省によってまちまちであり、特に遅いということですね。建設省や農林水産省は概して四月ごろ内示がありまして、そうすると着工が大体九月ごろになりますから支払いは完成後、こういうことになっておるわけであります。ところが、文部省とか厚生省は、話によりますと六月ごろ内示があるらしい。地方では六月の定例で大体いろいろなことをやるものですから、六月に出てきたんじゃ非常にぐあいが悪くて、八月までずれ込んじゃうわけですね。そういうことで、どういう事情があるのかわかりませんが、何とかそれを少し早くしていただきたいというのが地方自治体の希望でございますので、そうなるように総務庁の方からもひとつ督励をお願いしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  それから、季節に関係した工事、例えばプールをつくるとか、こういうものは季節が外れてしまいますと余り意味ありませんので、そういうものの内示は早くしていただきたい、こういう要望でございますので、その辺のところもあわせて御監察をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  250. 竹村晟

    ○竹村政府委員 補助金の手続につきましては、昭和五十三年に事務次官等の会議の申し合わせがありまして、ただいま御質問になられました内示の時期、これを事業の実態に合わせて早める、その辺の点検をしております。それでその後、もう一度五十六年度に監察の方でその辺の改善状況を見ておりますけれども、昭和六十年度の補助金手続の監察でさらにその辺をもう一度見でみて、内示の時期等の適、不適、この辺を含めて、前のいろいろな申し合わせのフォローをしてみたいというふうに考えております。
  251. 貝沼次郎

    貝沼委員 次に、効率のよい建物をつくらなくちゃいかぬということで申し上げたいわけでありますが、これは時代がだんだん変わってまいりまして、今は俗に言うアリギリスの時代、こう言われます。要するに、働くだけでなく、やはりいろいろな、音楽とかそういうものも必要な時代になってまいりました。ところが、勤労青年のいろいろな建物とかそういうのを見ますと、運動するところや会議するところや、あるいは泊まるところや食事するところはあるのですけれども、音楽のできるところが割とありません。だれかが入って楽器でも鳴らせば、ほかのところが全然使えないというようなところから、利用率が下がってまいります。時代に適合しないという面があると思います。若い人たちからは、ぜひともそういう若い人たちの意見も聞いていただきたいということがたくさんあります。  そこで私は、すべてにそうというわけにはいかないでしょうから具体的に申し上げますが、今度倉敷市の方に厚生保険特別会計によるいわゆるサンピア厚生年金施設の健康福祉センターというのができる話になっておるわけでありますが、こういうときに地元の青年の声を聞いて、そしてレイアウトに加えていただきたい、これも先ほどの交付要綱に関係してくる問題でありますので、その辺を加味して弾力性を持たせていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございますが、これは直接厚生省の方に答弁をお願いしたいと思う。
  252. 小林康夫

    小林説明員 お答えを申し上げます。  厚生年金の福祉施設についてのお尋ねでございます。  厚生年金の福祉施設は、年金受給者の方々あるいは被保険者の方々の福祉を増進するための施設でございます。私ども、施設をつくっていく、あるいは計画をしてまいりますに当たりましては、施設の種類に応じまして、それぞれの規模あるいは内容等標準的なものがあるわけでございますけれども、私どもそういう標準的なものをベースにしつつ、立地の条件でございますとか、地域のニードでございますとか、あるいは経営採算の面でございますとか、そういったことを考えますことは当然のことでございますが、これに加えまして、実際に御利用なさる方々の御意見をできるだけ生かしてまいりたいというふうに考えております。  お尋ねの、年金受給者、いわゆるお年寄りの方々の御要望はもとよりでございますが、現に保険料を負担していらっしゃる現役被保険者の若い方々のお声も十分に尊重しつつ、一定の要件があるわけでございますが、その中におきまして先生の趣旨を生かしまして、私ども努力をしてまいりたいと考えております。
  253. 貝沼次郎

    貝沼委員 ちょっとだけ確認しておきたいと思いますが、要するに、地元の若い人たちの意見を聞けるような一つの場というものを地方自治体がつくるならつくるでいいわけですが、そういうものは加味していくという答弁ですね。
  254. 小林康夫

    小林説明員 これから計画を進めていくに当たりまして、地元の意見というものを十分に尊重してまいりたいと思います。
  255. 貝沼次郎

    貝沼委員 だんだん時間がなくなってまいりましたけれども、これはやはり行革の一環なのでありますが、国立病院の統廃合の問題でございます。  国立病院、全国一本で考えますとこれは非常に難しいので、私は岡山県だけでちょっと話をさせていただきたいと思います。  岡山県には国立病院というのは、国立岡山病院、国立療養所南岡山病院、これは昔早島療養所と言ったところであります。それから国立療養所長島愛生園、これは有名なところでございます。それから国立療養所邑久光明園、これもそうです。それから国立療養所津山病院、これだけ五つあるわけでございます。ところが、この五つに対して存続並びに充実を求める声が非常に多いわけでございまして、おのおのそれぞれ歴史があるわけでございます。  そして、先般三月二十八日に厚生省が発表いたしました「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」というものがありますが、これによりますと、国立病院、療養所の再編成の指標というものがありまして、統廃合の対象とする国立病院、療養所は、「病床数三〇〇床を下廻る程度の規模の施設を検討の対象とする。」というふうになっております。  今、岡山県のこれを見てみますと、全部これは三百を上回っております。例えば岡山病院であれば六百六十一とか、あるいは六百八十とか、さらに千七百二十八とか九百七十二とか三百三十五というふうに、上回っております。それから、岡山県下の市町村においての議会の請願採択の状況でありますが、この存続と充実を求めるという採択が七六・六%になっております。こういうところから、岡山県下では強くこの存続と充実を求めておるということがわかると思いますけれども、私は地元の議員といたしまして、これから六十年度中に各施設名を挙げた計画をおつくりになるそうでありますが、そのときはこの五つの国立病院は存続できるようにぜひともお考え願いたいと陳情したいわけでございます。この点、いかがでしょう。
  256. 羽毛田信吾

    ○羽毛田説明員 お答えをさせていただきます。  先生今お話しのございましたとおり、岡山県下に五つの国立病院、療養所がございます。  まず、国立病院、療養所全体につきまして、現在全国各地の地方議会等からいろいろ御要請をいただいておることはお話のとおりでございまして、それ自体は、それぞれの地域におきまして地域の医療とのかかわり等におきましてぜひ存続してほしい、こういうお気持ちのあらわれとして、それはそれとして重要なことであるというふうには考えております。  しかしながら、この現在のような厳しい状況下におきまして、時代の要請にこたえて、やはり今後国立病院、療養所を今まで以上により機能の充実したものにして、国立医療機関としてふさわしい機能を備えた病院として育てていくといいますか、充実をいたしていきますためには、今まで経営をしてきたからそのまま経営をしていくというような姿勢だけではだめであるということで、現在その担います役割といったようなものを明確にいたしました上で、一方におきまして統廃合して、より効率的な医療供給体制をつくるべきものはし、また、他の経営主体において経営をいただくことが適当だというふうに考えられるものについては、経営移譲というようなものも考えるといった再編成を行おうとしておるわけでございまして、厚生省としては、このことは国立病院、療養所の今後の充実発展ということからも不可欠の命題であるというふうに考えておることでございます。  このようなことから、新行政改革大綱、いわゆる閣議決定に基づきます決定した方針に基づきまして、おおよそ十カ年計画でこの命題と取り組もう、こういうことでやっておるわけでございます。そうした中で、やはり一つの考え方として、余りに小さい療養所あるいは病院等につきましては、機能の面からもあるいは経営上の面からもいろいろ問題があるということで、一つのおおよその目安として三百床というような基準を出しておるわけでございますし、また、三百床という基準だけではございませんで、そのほかにも、今申し上げたようなことで、他の経営主体で経営をいただくことが適当なというようなものについての基準等々もいろいろ定めておるわけでございます。そうしたことで、やはり国立は今後国立にふさわしい役割を一方で果たしていくということのためにも再編成というものはぜひやっていかなければならない、こんなふうに考えてやっております。  ただ、今お話のございましたように、個々の施設の統廃合でございますとか、あるいは経営移譲の問題につきましては、昭和六十年度にその具体的な取り扱いを決める、こういうことにいたしておりますので、六十年度中に先生お話のございました具体論を決定するわけでございます。したがいまして、今岡山県下の各施設についてどうこうするということをここで申し上げることは避けさせていただきたいと思います。  それから、ちょっと先ほど先生のお話のございました病床数等につきましては、私どもの方のあれしております、今先生のお話のあったのは、ちょっと技術的になって恐縮でございますけれども、いわゆる医療法上の許可病床という形でお話がございましたけれども、実際に運営をいたしております病床はそれぞれ若干もう少し小さい病床になってございますので、そこは今申し上げましたように、まだ具体論のところは六十年度の作業になっておりますから、これ以上申し上げる必要はないと思いますけれども、六十年度中にこの決定をいたすことになるわけでございますが、今後十カ年をかけてこの実施をしていくということで、その際には当然、国立病院、療養所といえども、現在まで地域の医療体制の中でいろいろその地域医療とのかかわりにおいてやってきた部分もあるわけでございますので、そういう意味では地元とはよく協議をしながらやっていきたいというふうに考えておりますので、よろしく御了解を賜りたいというふうに思います。
  257. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間がなくなりましたので以上で終わりたいと思いますが、ただいまの答弁、大変いろいろなことをおっしゃいましたが、要するに、地元の意見を聞くということだけは言ったようですね。それだけ承っておきたいと思います。終わります。
  258. 安井吉典

    安井委員長 次に、中川利三郎君。
  259. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は、三沢の米軍基地における核疑惑の問題を最初にお聞きしたいと存じます。  ここに写真がございまして、三沢の米軍基地の正面ゲートを入って滑走路へ行く途中、滑走路寄りのところに「ネーバル・エア・ファシリティー・ミサワ」、つまりこういう看板を掲げた米海軍の施設がございます。この施設の正面玄関を入りましてすぐのところに、今度はこういうまた新しい入り口がございまして、その右側に黄色い標識でEOAという看板、看板というか表示が出されております。  このEOAの表示の下には、「エマージェンシー・オペレーション・エリア」、つまりその頭文字がEOAになっておるわけでありますが、これは略して申しますと緊急作戦区域、こういうことになろうかと思いますが、いろいろアメリカの空軍の教範その他を調べてみますと、これは全面作戦、核戦争ですね、そういう場合を支援する際の不可欠の要員または作戦任務要員を配置することが必要とされる構造物、つまりこの前横田基地におけるEWOの問題を我が党の不破委員長質問しておるわけでありますが、あれは緊急戦争作戦シェルターであるわけでありますが、これはそれに準ずる、そこまではいかないけれども、準ずる核シェルターをあらわすものでございまして、いざ核戦争、つまり核攻撃された場合でも、核だとか生物・化学兵器、そういうものから防護するための施設として位置づけられているわけでありまして、防衛庁はこれについてどのように承知しているのか、まず最初にお聞き申し上げます。
  260. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  この御質問がございましてから、防衛施設庁といたしましては、三沢防衛施設事務所の職員を本年の二月十三日現地に派遣をいたしまして、そういう建物が所在するかどうか、確認をいたしました。  その調査の結果によりますと、建物番号九六一、これはドル財産、米側が建てた建物でございますが、延べ面積千百七十二平方メートル、プレハブづくりでございまして、どうも核シェルター、核攻撃に耐えるような構造になっておるとはとても思われない建物でございました。  この建物の目的は何かという当方の問い合わせに対しまして、御指摘のよう。な表示は、確かにEOAというのがあったのでございますが、「エマージェンシー・オペレーション・エリア」でしたか、これは地震、災害、台風、こういう事態があったときに米軍及び米軍の家族に対処要領等を指示するところのセンターである、こういうことでございます。
  261. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 プレハブづくりで到底そういう物々しいものには思えない、私は、だから、その建物の中にそういうあれだというのではなく、大変な膨大なシェルターが準備されておるということを申し上げているわけでありまして、例えば同じ米軍教範の中で、いろいろな資料がございますが、府中の航空基地、六一一四航空基地中隊、ここでは使用部隊EOAとして、第五空軍司令部が使用する部隊、収容人員が二千四百人、そして防護係数(PF)、つまりそこへ入った場合と入らない場合の放射能を浴びる比率が二十分の一だ、二〇・二と書いてあるわけですが、EWOの場合は四一・七ですね。それに次ぐものですから、そういうふうになっているのですね。  ちなみに、EWOの方の、この前不破さんがやったものは防護係数が四一・七ですから、これは最高の、それこそ作戦のためのシェルターということになるわけでありますが、その程度の調査ですね。そういうものじゃないなと、それをうのみにして帰るということは、今F16の配置だとかいろいろな問題もあるだけに、現にそういう建物にそういう表示が今あって、これはおかしいじゃないか、これは早速調査すべきだと私は思いますが、長官、どうですか。
  262. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  プレハブ平家建てと承知をいたしておりまして、既に調査を終えておりますので、再調査の必要はないかと存じます。
  263. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 この前のあれでは、教範そのものが廃止になったとかいうような、したがって何もないというような言い方ですけれども、教範そのものをほかの教範に移しかえるということも当然あり得ることだし、現にその建物、その看板があるわけですね。ですから、そういうことではやはり国民は納得できないと思うのですね。  ついでに私、申しますと、ここにこういうコピーがございます。これは「U・S・フォーセズ・ジャパン・テレホン・ディレクトリー」、つまり米軍全体の一九八四年、つまり去年の電話帳ですね。八四年版の電話帳でございます。この電話帳の三十九ページには「MISAWA39」という表示がございまして、この電話帳の左側の一番下段に「BLDG一四二〇AUW」という表示がございます。これはBLDGですから建物です。一四二〇の建物です。AUWというのは何かといいますと、対潜核爆弾ということになろうかと思うわけであります。つまり、この建物は対潜核爆弾の貯蔵庫。なぜそうかというと、Aというのはアドバンスト、つまり新式開発型という意味です。Uというのはアンダーウオーターで、海中または水中です。Wはウエポンで、爆弾です。どう見ましても、これはそういう恐ろしい、潜水艦に対する核爆弾の貯蔵庫の疑いが濃厚だと私は思うわけであります。そして、この電話番号帳の一つ上には「WEAPONSBLDG 一二八八」という番号が書いてありますが、これは単なる一般の爆弾の貯蔵庫です。ですから、明らかにそれを区別してここに書いてあるということです。このことをどのように承知していらっしゃいますか。
  264. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  AUW、アドバンスト・アンダーウオーター・ウエポンズという御質問も一度出たことがあるように存じます。この問題につきましては防衛施設庁所管ではございませんが、私の承知しておるところで申しますと、今日アンダーウオーター・ウエポンズと申しますのは、魚雷とか爆雷とかいうことでございまして、通常兵器であろうというのが常識的な判断であろう。核のことをおっしゃっておられるのだろうと思いますが、その場合はNというのがつくというふうに、私は一般的な軍事常識として承知いたしております。所管外でございまして専門ではございませんが、お尋ねでございますので、私の知識の範囲内でお答えいたしました。
  265. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 アドバンストは新型、開発型でありますが、アメリカというのは御承知のようにそういうものに対していろいろ隠語を使うわけであります。例えばレディース・ラブ・フライト・オペレーション、いかにも恋人に会いに行くようですが、これは一体何かというと二十四時間のオペレーション。レディース・ラブ・システム・メンテナンスは保守のあれです。いろいろありますけれども、私、何よりも申し上げたいのは、三沢の基地の中に対潜核爆弾の貯蔵庫があることはアメリカの軍事専門家、皆さん御承知だと思いますが、ウィリアム・アーキンスという人、日本にも来たことがありますね、この人が何回にもわたって発言しているのです。具体的に申しますと、例えば岩波の「世界」という月刊誌がございますが、八二年の二月号で、「三沢にはAUWショップ(組み立て作業場)があり、いざとなれば対潜核爆雷を貯蔵し、作戦に備える態勢になっている」と言っているのです。つまり、このことは今申し上げました電話帳の「BLDG一四二〇AUW」をそっくり裏づけるものだと私は思うのであります。  これはあなたは一回調査したと申しますけれども、改めて調査すべきじゃないかと思うのです。なぜならば、当然御承知だと思いますが、この建物のすぐ近くにアメリカのASWOCという例の対潜水艦作戦本部もコンテナ群もずらっとあります。そういう状況を踏まえて考えたときに、何でもなかったじゃ済まないと思うのですが、この点について長官、一回調べてみたらどうですか。
  266. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  これまた防衛施設庁の所管外でございますが、核持ち込みについては事前協議の制度がございまして、担当官庁からお答えすべき問題であろうかと存じます。  再度申し上げますが、アドバンストというのは、例えば昔は魚雷というのは大体一万メーターくらい、爆雷もそんなに深くまで行かなかったのでございますが、近年は非常に深海にまで及ぶ魚雷、爆雷等をアドバンストと呼んでおると私は理解いたしております。先ほど申し上げましたように、一階平屋建てプレハブでございますので、そういう核戦争の司令所だとはちょっと私どもは考えがたいと思っております。
  267. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 住民は、これは何かあるということはみんな言っています。  ついでながら、その隣に自衛隊基地もありますが、自衛隊の問題についてお聞きするわけであります。  イトーキという大手の事務用品、事務機器、金庫、こういうものを販売しておる会社がございますが、これが強力な放射能を遮断するためのドアを自衛隊の方に納めだということを私、聞いておるのでありますが、何の目的で、いつ、どのくらい納入したのか、お答えいただければありがたいと思います。これもあなたの所管違いですか。
  268. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 ほかに適当な方がおられませんので、せっかくのお尋ねでございますのでお答えいたしますが、承知いたしておりません。
  269. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 大臣、承知しておらないということでありますが、そういうことがあなたの足元で、ことに放射能を遮断するために新しく開発した大変立派なものを納めだということです。これはあなた、調査するのは当たり前じゃありませんか。どうですか。
  270. 池田久克

    ○池田政府委員 ただいまの先生のお話は、放射能を防ぐ非常に頑丈なドアに使うのじゃないかと思われるような感じのものを納入したということでございますが、私は細部は承知しておりませんけれども、我々が陸海空自衛隊を運用するに当たりまして、例えば基地のレントゲンの器材とかそういうところでは考えられますけれども、通常の部隊の運営ではそういうことは現在必要と考えておりませんので、ちょっと考えられないことでございます。調査せいということであれば、調べるにやぶさかではございません。
  271. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 レントゲンの器械じゃないかというようなことは、問題の場所が場所ですよ。それだけに調査していただきたいと思います。  それでは、三沢へのF16の配備についてお聞きします。  御承知かと思いますが、八五年二月十八日付、太平洋軍の「スターズ・アンド・ストライプス」という新聞がございますが、そこでM・ライアン三沢基地司令官が、F16の配備はソ連の力を相殺する我々の作戦能力に劇的効果を与えるものであると載っておるわけでありますが、まずお聞きしたいことは、米軍のF16戦闘機の三沢配備の目的は一体何なのか、簡単で結構ですから……。
  272. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 三沢への米空軍のF16の配備につきましては、五十七年六月ごろに在日米軍司令部を通じて説明があったわけでございますが、その目的は、極東における軍事バランスの改善に努め、米国のコミットメントの意思を明確にすることにより、日米安保体制の抑止力の維持向上を図ることとするということでございまして、日本国政府といたしましても、そういったことが我が国日米安保体制の信頼性の維持向上につながるということを考えまして、それに対して協力をしようということを米側に伝えた経緯がございます。
  273. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 朝日新聞の四月二日号によりますと、「米F16戦闘機きょう三沢基地配備 基地攻撃が主任務 千島・サハリンをにらむ」、こういう表題で出ておりますが、抑止力だとかバランスとかと言いますが、私は、この三沢へのF16戦闘機配備が平和を守るどころか、緊張を激化させて、日本をより戦争に巻き込む危険なものだと思うわけであります。この新聞の記事の中でも、「米空軍がF16を三沢に配備した背景には、オホーツク海が米ソの核戦略上の焦点となってきたことがある。」こう書いてあるのですね。それから、「有事の際にP3Cや米の水上艦がここで行動するためには制空権確保が不可欠。このためには千島、サハリンの航空基地攻撃が必要となってくる。」とありますが、やはりそのためのものではありませんか。
  274. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 先ほども申し上げたとおりでございますが、近年におきます極東ソ連軍の増強というものは大変著しいものがあるわけでございます。こういった点はアメリカにとりましても、グローバルな世界の安全保障あるいは全体としての戦争の抑止という観点から見て、大変関心を持っている問題であろうというふうに考えられるわけでございます。そういったようなことから、先ほども申し上げましたように、極東におきます軍事バランスの改善に努め、日米安保体制の信頼性を向上するといったような目的を持ってこれを配備していこうということを決定をしたと承知をしているわけでございます。そういうような性格でございまして、ただいま先生御指摘のように個別のオペレーションがどういうふうになるかという問題につきましては、私どもは具体的には承知をしていないわけでございますが、全体としての抑止力を向上するための米軍の配備の増強であるというふうに理解をいたしております。
  275. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 皆さんの前の統幕議長で竹田五郎さんという人がいますね。この方が「クライシス!」という本を書いています。これは「危機管理なき国家 日本が震える日」、こういう副題がついておりますが、この方が、皆さんの先輩ですね、日本に対する攻撃のケースとして二つあると言っておるのです。どういうことかといいますと、一つは、米国の即応態勢に一時的に陰りが出たとき、あるいは日本側に米軍受け入れに支障を生じたとき、これは今のところ考える必要はありませんね。もう一つは、こう言っているのです。「他地域に発生した紛争が波及してくる場合。」いわば日本の原因によらない、ほかの地域の紛争が波及してくる場合、「この場合は米ソが全面対決しているか、あるいはそれに発展する可能性が大きい場合」、つまり、外国のいろいろなケースの中で日本がそういう問題に出くわす場合があり得るだろうということを、皆さんの先輩の統幕議長さんが言っていらっしゃるわけでありますから、私がお聞きしたいことは、日本の有事というのはこういうケースが最も大きいのじゃないでしょうか。この点はどうなんでしょう。
  276. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 個別の、個人の御著書のことにつきまして私から具体的にコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、現在の国際情勢というものを私どもが見ておりますと、大規模な紛争が起こるということは抑止をされているという状況であるというふうに理解をいたしております。ただ、国際情勢というものは流動的なものでございますから、今後どういったことが起こり得るかということは予断を許さない面がもちろんあるかと思います。  一般的に申し上げまして、日本が武力攻撃を受ける可能性のある事態というものがどういうケースがあり得るかという問題でございますが、これもしばしば申し上げておることでございますけれども、今先生が御指摘になりましたような、他の地域におけるいろいろな武力紛争が波及をしてきて日本に武力攻撃が及んでくるというふうなケースももちろんあり得ることではございましょうが、それ以外にも、日本が単独で攻撃を受けるという可能性ももちろんないわけではないわけでございます。一般的に申し上げまして、どういうふうな対応であるかということは、一概には申し上げられないのではないかというふうに考えております。
  277. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 ソビエトが攻めてくるかこないかもわからない、一概には言われない、こういうことでありますが、一九八二年五月に、アメリカの「下院外交委員会アジア・太平洋小委員会の対日公聴会における防衛論議について」という資料を私は持っておるわけであります。これは御承知かと思いますが、その年の三月一日、三日、九日、十七日、二十四日の五回にわたっていろいろ話し合ったというか、意見を交流し合っだということですが、「「日本に対する脅威」についての発言」は、いろんな方々が発言しておるのですね。  時間がございませんから余り言うことはできませんが、三月一日には当時のウエスト国防次官補は、「日本だけが孤立した形で攻撃されるということはありそうにない。」「そうした事態は起こらないであろう。」こうおっしゃっていらっしゃるのですね。あるいは、三月三日にはスカラピーノ・カリフォルニア大学教授は、「ソ連が日本を直接攻撃する可能性は極めて低い。」こうおっしゃっているわけであります。あるいは、三月十七日にはギン前在日米軍司令官、「日本だけが攻撃され、単独で対応しなくてはならないような事態はあり得ず、日本へのソ連の限定攻撃は、米ソの世界的対決の中だけであり得る。」こう言っていらっしゃるのです。ガイラー元太平洋軍司令官は三月二十四日、「北海道に対する水陸両用強襲攻撃の脅威はないに等しい。」とおっしゃっているのです。  同時に、アメリカ国防総省の「ディフェンス・ガイダンス84-88」、つまり国防の指針、これにはこう書いてあるのです。「中東にソ連が軍事的に進出した際には、太平洋正面でソ連沿岸部に攻撃をかける、」こういうことをはっきり書いてあるわけですね。ですから、日本以外の有事の際、米軍は三沢からF16を出撃させてソ連の基地を攻撃する、これに対してソ連が反撃すれば自衛隊が出動して日本が参加していく、このようなシナリオになるのじゃないかということ。つまり、前統幕議長竹田さんが述べているというのはこういうことではないかと思うのですが、この点、どうお思いになりますか。
  278. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 シナリオの問題につきましては、いろんな方がいろんな見方をされることはあるわけでございますけれども、私どもが考えますのに、我が国の独立と安全を確保するためには、あらゆる事態に備え得るということを常に考えていなければならないわけでございますから、先ほど申し上げましたようないろんな事態を想定して私どもは努力をしていく必要があると考えておるわけでございます。  それからまた、日本は御承知のように専守防衛という基本的な立場を持っておるわけでございますから、武力攻撃を受けないにもかかわらず武力攻撃を日本の方から仕掛けるということはあり得ないわけでございます。  それからまた、日本にある米軍の行動につきましては、日米安保条約等の関連協定に基づきまして適切に、日本側との必要な場合における協議も含めまして運用されていくことになっておるわけでございますから、詳細は外務省の所管の問題ではございますけれども、私どもとしては、日本の安全というものが不当に侵されるということのないように十分に配慮をされているものと考えております。
  279. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 日本の安全が侵されることのないようにと言うけれども、自分からアメリカのため、他国のために火の中に突っ込んで、秋田の言葉で言いますと共連れと言いますが、そういう格好で日本を戦争に導く。そのことを私は申し上げているのです。しかも、個別にこういう方向に行っているのではないかということを聞いているのに対しまして、あなたはあらゆる事態に対応してという抽象論でごまかそうとしていらっしゃるわけですね。  だから、具体的にもう一回突っ込んで聞きますと、竹田前統幕議長は日米共同作戦の中身として、研究は、起こり得る幾つかの侵略のシナリオを想定し、これらに対応できる具体的なものでなければならない、そのシナリオの中には当然中東紛争の発展に起因するもの、韓半島における、韓国ですね、偶発的紛争なども含まれるであろうと述べています。こうしたシナリオは皆さんの共同作戦計画の中に含まれていませんか。
  280. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 日米共同作戦計画の研究は、御承知のように、ガイドラインの基本的な枠組みの中で実施をされているわけでございます。これは日本が有事の場合に、日本防衛のために自衛隊と米軍が有効適切な共同対処行動をとるための研究をしているわけでございます。したがいまして、この内容は大変機密度の高い研究をしているものでございますから、そこでどういったようなシナリオを前提にしているかということにつきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  281. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今指摘したことを当然皆さんがおやりになっていらっしゃると私は思いますが、答弁はできないということでありますから、そこにかかずらっていても大変でありますので、次に移らせていただきます。  三沢基地については、今度こういうおっかないF16核戦闘機が配備されるだけでなくて、この前の国会で問題になりましたとおり、核燃料サイクル基地の建設問題もあります。四月からはF16二個飛行隊四十八機以上が相次いで三沢に参りまして、一方、六ケ所村では核燃料サイクル三施設の建設計画が持ち上がっているわけでありまして、つまり三沢周辺一帯というのは核のたまり場ですね。したがって、一たんこの地域に事故が起これば大変な事態になると思うわけであります。  ことし二月十六日の予算委員会で我が党の工藤発議員が指摘しましたように、三沢の天ケ森射爆場ではいろいろな格好で、誤射爆、誤投下が絶え間なく起こっているということを指摘しておるわけでありますが、この上にF16が配備されたら、もっと深刻になることは避けられないと思います。何しろ、F16は核攻撃を主任務とする飛行機でありまして、しかも政府は、この前の国会でも天ケ森射爆場でのF16の核の模擬爆弾の訓練は認めているわけです。そうであればなおさら、そういう問題を指摘できるのではないかと私は思うのです。  前に、三沢にファントム爆撃機が配備されていた当時は、天ケ森射爆場の訓練コースには南北のナパーム弾の訓練コースがございましたが、F16配備ではこのようなコースは絶対認められないと米軍に対して言うべきであると私は思うのですが、この点、防衛庁長官の見解をお聞きしたいと思うのです。
  282. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、ナパーム弾の南北の投下のコースがございました。ちょうど射爆場の海岸の辺でございます。これにつきましては、四十四年当時問題になりまして、この訓練種目及びコースは現在行われておりません。現在の訓練コースは東西でございまして、これは幅四・五キロ、長さ十二キロ、平均高度六千フィート、左旋回、西から東へ直進しまして、跳弾がその危ない方向に行かないように、海の方向へ出るように、海には保安水域を四十六平方キロとっておりまして、こういう訓練方法でやっておりますので、南北の訓練というのは四十四年以後行っておらないのは御指摘のとおりでございます。
  283. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 防衛施設庁は、この核燃料サイクル基地の安全性について、関係十四省庁の協議の機会があるので、念には念を入れて再検討をいたしたい、こういうふうにことしの三月七日の衆議院の第一分科会で答弁しておるわけですが、この再検討の中には、天ケ森射爆場の特別管制区を削る、見直しする、こういう問題も含まれていると考えてよろしいですか。
  284. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答え申し上げます。  これまた私の所管でございませんが、所管省庁の政府委員がおられませんので、私どもの承知している限りで申し上げますと、防衛施設庁の基本姿勢としては、この安保条約に基づく本州唯一の米軍に提供しておる射爆場における訓練は必要最小限、外務省からこの間御答弁もございましたが、それができるように、しかも核燃料サイクルというエネルギー政策は、これも国の政策で大事な政策でございますので、これと調和を図りながらやっていくということで、御指摘の十四省庁の協議、これには防衛庁も参加をさせていただくことになっております。核燃料サイクルがもし設置されますれば、運輸省の基本方針によってその上空は飛行しない、こういうことでございまして、まだ設置もされていない段階ではございましたが、あそこに貯油タンクができましたものですから、現在訓練の場合には、たびたび御答弁申し上げておりますが、その予定地の上空は飛んでおりません。
  285. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 この問題は深く入るつもりはありませんが、政府は、F16が参りましたならば、これの核模擬爆弾の訓練は認めているわけです、やっても仕方がない、こういう格好でありますので、私は今後大変なそういう事態が予想されますので特に指摘したわけでありますが、時間の関係もございますので、今度は日米共同演習について少しお聞きしたいと思うのです。  これまで自衛隊は、ハワイ沖のリムパック、環太平洋合同演習に参加してまいりましたが、一方、ガイドラインに基づく共同作戦計画案が作成され、さらにシーレーン防衛研究もどんどん進んでいるわけです。  自衛隊の今後のあり方について聞くわけでありますが、リムパックについて、これまで防衛庁は戦技向上のためだ、こういう言い方をしてきたわけであります。しかし今後は、陸海空の日米合同演習に関して、日米共同作戦計画案に基づくものか、あるいはそれを念頭に置いた訓練というものが主流になる、こういうふうに私は考えるわけであります。  永野という元陸幕長もこう言っているのです。「朝雲」新聞という自衛隊の機関紙みたいな新聞でありますが、これの中で、「これからはむしろ、ハワイではなく、日本周辺を舞台にした共同訓練が重要になってくるのではないか」、こう言っていらっしゃいます。ハワイ沖のリムパックのように戦技向上訓練から、一定の作戦想定の上に立ちまして艦隊の統合的運用、共同作戦の効果的遂行に力点を移していく、私はそうなっていると思っているわけであります。  この演習地域に関しまして、昨年米軍のフリーテックス85が行われたわけでありますが、この期間に自衛隊は米軍と共同で三陸沖で対潜訓練をやっております。同時に、アメリカ軍だけでウラジオストクのすぐ目と鼻の先で、かつてないあのクライマックスの大演習を行ったということも、あなた方は御承知だと思います。そこで自衛隊は、フリーテックスのような、秋田沖を含めた日本周辺での米軍の演習に参加する機会がこれからどんどんふえるのではないだろうか、こう思うわけでありまして、その方向がどうだということが一つです。  それから、今年度日本海を舞台にした日米共同演習はどのようなものが予定されているか。この二つだけまずお聞きしたいと思うのです。
  286. 大高時男

    ○大高政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生お尋ねの日米共同訓練でございますが、日米共同訓練につきましては、御承知のように、自衛隊にとりましては、新たな戦術、戦法の導入、それから練度の向上、このために大変役立っておりますし、また有事の際におきまして、日米両軍は、指揮系統は別にいたしますが、共同対処をするわけでございますし、効果的な共同対処を行いますためには、相互理解と意思疎通を日ごろから図っておく必要がございます。このために各種の訓練を行いまして、さらにこのように訓練を行いますことが日米安保体制の信頼性あるいは抑止効果の維持向上に資するというふうに考えておりまして、従来から活発に訓練を行ってきておるわけでございます。  六十年度におきましてどのような訓練を行っていくのか、特に日本海沿岸についてはどうであるのかということでございますけれども、現在のところ、海上自衛隊につきましては対潜特別訓練、それから掃海特別訓練を数回程度実施する予定でございますし、また指揮所演習、あるいは海上自衛隊演習の際の日米共同訓練も行いたいと考えております。  しかしながら、具体的に日本海沿岸についてどうかというお尋ねでございますけれども、四月の上旬に、一日から四日でございますが、小松におきまして航空自衛隊の方で日米共同の戦闘機戦闘訓練を行いましたが、海上自衛隊関係につきましては、先ほど申し上げましたような各種の訓練についてどのような場所でどういうふうに行っていくか、現在検討中でございまして、まだはっきり確定したものはございません。
  287. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 最後に、一まとめにしてお聞きしたいと思うのです。  今でさえ、先ほど言いましたように三沢の上空は満杯なんだ。いろいろな誤爆や誤投下か起こっている。そういう点で危険がいっぱいだ。今のあなたのお話やら先ほどの私の質問の方向にもありましたように、三沢配備のF16戦闘攻撃機がC空域、つまり秋田沖を含むあの空域で訓練することが想定されると思うんですね。そうした場合に、私、地元が秋田なものですから申すわけではありませんが、秋田空港救難隊というものがございますが、あそこに緊急着陸をするということが当然予想されると思うのですが、この点についてどう思うかということが一つであります。  それから、五六中業では救難隊の組織がえが行われ、従来の救難隊は救難・支援隊に名称変更になりますね。秋田空港に設置される救難隊は、いつから救難・支援隊に名称が変わるのか。また、その際でも県当局と結んだ協定書にある救難専用の隊、協定書の第一条の二ですが、そういうことは変わらないと考えるのかどうか、これが二つ目にお聞きする質問であります。最後は、自衛隊の秋田市上空での訓練で、昨年七月二十二日、夜間七時から九時ごろ、秋田市上空を十何機の自衛隊ヘリコプターが飛び交いまして、市民は何が起こったのかということで表へ飛び出したという事件がございまして、新聞なんかでも大々的に報道しておるわけでありますが、この件について、「朝雲」という皆さんの八月三十日付の新聞によりますと、こう書いてあるのです。「夜間に空中収容 東北方航空隊機動力存分に発揮」、その中で、二十二日は「危機の迫った土崎守備隊(D連隊)を夜間機動で空中収容し、D連隊の再編を可能にした。」可能にしたことは結構でありましょうけれども、全然断りもなくこういうものをやるということは、人騒がせもいいところだと思うんですね。やる場合は、市民あるいは市当局に何らか断るとかするのが当然じゃないかと思うのですが、この点はどうかということと、この演習の中身、特に土崎守備隊がだれにどのように攻撃されたと想定してやった演習であったのか、この点をお聞きして質問を終わりたいと思います。
  288. 大高時男

    ○大高政府委員 お答えを申し上げます。  先生の御質問のうちで第一点、第三点及び第四点について私の方からお答え申し上げたいと思います。  三沢配備のF16でございますが、これが訓練中に緊急着陸するようなことが考えられるかどうかという点でございますが、現在まだ米国の方で部隊をつくっておる真っ最中でございまして、いっこういった形の共同訓練が行われるかについては、今のところ全くわかりません。ただ、私どもの方といたしましては、できるだけ航空自衛隊の練度を向上させますために、いろいろタイプの変わった機種との訓練はやりたいというふうに考えております。その場合におきまして、米軍は必要な場合、日本のいかなる飛行場にも着陸することができるというふうに承知をいたしておりますが、いずれにいたしましても、これまでの日米共同訓練の際に米軍の戦闘機が自衛隊が使用しております飛行場、あるいは米軍基地以外の飛行場に着陸したということはございません。  それから第三点でございますけれども、昨年の七月二十二日の夜七時から九時まで秋田上空で訓練を行った、どのような訓練があったのかということでございます。  これは、陸上自衛隊の東北方面ヘリコプター隊のヘリコプターHU1八機が、宮城県の王城寺原演習場から秋田市の新屋演習場を経まして山形県の神町駐屯地に向かう飛行訓練を行っていたわけでございますけれども、天候状況を勘案いたしまして、新屋演習場を経由後、燃料補給のために、御指摘の夜の七時から九時ごろ、秋田市内の秋田駐屯地に急速立ち寄ったということでございます。  従来から、この秋田駐屯地でのヘリコプターの発着、飛行につきましては、周辺住民の方々に与える騒音等の問題に配慮しながら実施してきておったわけでございますが、今後一層そういった点に配慮を払うことにいたしたいと思うわけでございます。  なお、秋田救難隊が設置された場合におきましては、訓練空域への出発、帰投の際は市街地を避けて飛行するということにいたしておりますので、付言いたしたいと思います。
  289. 矢崎新二

    ○矢崎政府委員 第二点について私からお答えを申し上げます。  五六中業におきましては、ただいま御指摘ございましたように、航空救難に係ります指揮系統の合理化を図ると同時に、端末空輸態勢を確立したい、こういうねらいを持ちまして部隊の再編整備計画いたしております。具体的に申し上げますと、航空救難団と航空方面隊司令部支援飛行隊等を廃止いたしまして、航空方面隊及び南西航空混成団に救難・支援航空隊(仮称)を新編することといたしております。  この救難・支援航空隊の編成を具体的にどういうふうにして実施していくかということは現在のところまだ決まっていないわけでございますが、仮にこの救難・支援航空隊が編成された場合におきましても、秋田空港に配備されます部隊につきましては、秋田県との協定で定められております条件の範囲で運用をするというふうに考えておる次第でございます。
  290. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わります。
  291. 安井吉典

    安井委員長 次回は、来る二十三日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十九分散会