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1985-04-11 第102回国会 衆議院 決算委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
六十年四月十一日(木曜日) 午前九時
開議
出席委員
委員長
安井
吉典
君
理事
糸山英太郎君
理事
白川
勝彦
君
理事
東家 嘉幸君
理事
森下
元晴
君
理事
井上 一成君
理事
新村
勝雄
君
理事
貝沼
次郎君
理事
玉置 一弥君
小坂徳三郎
君 小山
長規
君 桜井 新君
金子
みつ
君
島田
琢郎
君
中村
重光君 斉藤 節君
春田
重昭
君
中川利三郎
君
阿部
昭吾
君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣
竹下
登君 厚 生 大 臣 増岡 博之君 運 輸 大 臣 山下 徳夫君 国 務 大 臣 (
環境庁長官
) 石本 茂君
出席政府委員
環境庁長官官房
長 岡崎 洋君
環境庁長官官房
会計課長
八木 規夫君
環境庁企画調整
局環境保健部長
長谷川慧重
君
環境庁自然保護
局長
加藤
陸美
君
環境庁大気保全
局長
林部 弘君
環境庁水質保全
局長
佐竹 五六君
大蔵省主計局次
長 的場 順三君
大蔵省理財局次
長 中田 一男君
厚生省保健医療
局長
大池 眞澄君
厚生省生活衛生
局長
竹中
浩治
君
厚生省薬務局長
小林
功典
君
運輸省地域交通
局長
服部 経治君
海上保安庁次長
岡田 專治君
委員外
の
出席者
警察庁刑事局保
安部公害課長
上野 治男君
総務庁行政監察
局調整課長
塩路
耕次
君
環境庁長官官房
参事官 杉戸 大作君
大蔵省主税局司
計
課長
西澤 裕君
厚生省生活衛生
局水道環境部環
境整備課長
加藤
三郎君
農林水産省農蚕
園芸局農産課長
管原 敏夫君
林野長指導部林
道課長
田代 太志君
林野庁指導部研
究普及課長
蔵持 武夫君
林野庁業務部経
営企画課長
小沢 普照君
水産庁振興部沖
合課長
中村
晃次
君
水産庁海洋漁業
部国際課長
草野 英治君
通商産業省機械
情報産業局電子
機器課長
島 弘志君
工業技術院総務
部産業公害研究
調整官
中島 邦雄君
郵政省電気通信
局電気通信事業
部業務課長
品川
萬里
君
会計検査院長
鎌田
英夫君
会計検査院事務
総局次長
西川 和行君
会計検査院事務
総局人事課長
小川 幸作君
会計検査院事務
総局会計課長
山口 豊君
会計検査院事務
総局
第一
局長
竹尾 勉君
会計検査院事務
総局
第二
局長
天野
基巳
君
会計検査院事務
総局
第五
局長
秋本
勝彦
君
決算委員会調査
室長 大谷 強君
—————————————
委員
の
異動
三月二十七日
辞任
補欠選任
中川利三郎
君
中林
佳子
君
阿部
昭吾
君
江田
五月君 同日
辞任
補欠選任
中林
佳子
君
中川利三郎
君
江田
五月君
阿部
昭吾
君 四月十日
辞任
補欠選任
金子
みつ
君
島田
琢郎
君
春田
重昭
君
伏木
和雄
君 同日
辞任
補欠選任
伏木
和雄
君
春田
重昭
君 同月十一日
辞任
補欠選任
島田
琢郎
君
金子
みつ
君 同日
理事金子みつ
君同月十日
委員辞任
につき、その
補欠
として
新村勝雄
君が
理事
に当選した。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
理事
の
補欠選任
昭和
五十七
年度
一般会計歳入歳出決算
昭和
五十七
年度
特別会計歳入歳出決算
昭和
五十七
年度
国税収納金整理資金受払計算書
昭和
五十七
年度
政府関係機関決算書
昭和
五十七
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算
書
昭和
五十七
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
〔全
所管
、
総理府所管
(
環境庁
)、
会計検査院
所管
〕 ————◇—————
安井吉典
1
○
安井委員長
これより
会議
を開きます。 この際、
理事
の
補欠選任
についてお諮りいたします。
委員
の
異動
に伴い、現在
理事
が一名欠員になっております。これよりその
補欠選任
を行いたいと存じますが、これは、先例によりまして、
委員長
において指名することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
安井吉典
2
○
安井委員長
御
異議
なしと認めます。よって、
新村勝雄
君を
理事
に指名いたします。 ————◇—————
安井吉典
3
○
安井委員長
次に、
昭和
五十七
年度
一般会計歳入歳出決算
、
昭和
五十七
年度
特別会計歳入歳出決算
、
昭和
五十七
年度
国税収納金整理資金受払計算書
、
昭和
五十七
年度
政府関係機関決算書並び
に
昭和
五十七
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算書
、
昭和
五十七
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
の各件を一括して議題といたします。
大蔵大臣
から各件について
概要
の
説明
を求めます。
竹下大蔵大臣
。
竹下登
4
○
竹下国務大臣
おはようございます。
昭和
五十七
年度
の
一般会計歳入歳出決算
、
特別会計歳入歳出決算
、
国税収納金整理資金受払計算書
及び
政府関係機関決算書
を
会計検査院
の
検査報告
とともに
国会
に提出し、また、
昭和
五十七
年度
の国の
債権
の現在額並びに
物品
の
増減
及び現在額につきましても
国会
に
報告
いたしましたので、その
概要
を御
説明
申し上げます。
昭和
五十七
年度
予算
は、
昭和
五十七年四月五日に成立いたしました。 この
予算
は、
臨時行政調査会
の
行政改革
に関する第一次答申を最大限に尊重し、
歳出面
においては、
経費
の徹底した
節減合理化
によりその規模を厳しく抑制しつつ、限られた
財源
の中で
各種施策
について
優先順位
の厳しい選択を行い、
質的内容
の充実と景気の
維持拡大
に配慮するとともに、
歳入面
においても極力見直しを行い、これにより
公債発行額
を着実に縮減することを
基本方針
として編成されたものであります。 さらに、
補正予算
が編成され、
昭和
五十七年十二月二十五日その成立を見ました。 この
補正予算
では、
税収不足
に伴う
歳入不足
に対処するとともに、
災害復旧費
の
追加
、
義務的経費
の
追加等
の措置を行うため、
地方交付税交付金
の
減額
、
給与改善費
の
不用
を含む
既定経費
の
節減等
を行うほか、
定率繰り入れ等
の停止による
国債費
の
減額
を行い、なお不足する
歳入
については、
公債
の
追加発行
によることといたしました。 この
補正
によりまして、
昭和
五十七
年度
一般会計予算
は、
歳入歳出
とも四十七兆五千六百二十一億三千九百九十六万八千円となりました。 以下、
昭和
五十七
年度
決算
につきまして、その
内容
を御
説明
申し上げます。 まず、
一般会計
におきまして、
歳入
の
決算額
は四十八兆十二億八千九十二万円余、
歳出
の
決算額
は四十七兆二千四百五十億六千三百七十万円余でありまして、
差し引き
七千五百六十二億千七百二十二万円余の
剰余
を生じました。 この
剰余金
は、
昭和
五十八
年度
へ繰り越しました
歳出予算
の
財源等
に充てるものでありまして、
財政法
第四十一条の
規定
によりまして、
一般会計
の
昭和
五十八
年度
の
歳入
に
繰り入れ済み
であります。 なお、
昭和
五十七
年度
における
財政法
第六条の純
剰余金
は千四百七十一億九千五百四十九万円余となりますが、この純
剰余金
につきましては、
昭和
五十八年分の
所得税
の
臨時特例等
に関する法律第八条の
規定
により
財政法
第六条第一項の
規定
は適用されないこととなっております。 以上の
決算額
を
予算額
と比較いたしますと、
歳入
につきましては、
予算額
四十七兆五千六百二十一億三千九百九十六万円余に比べて四千三百九十一億四千九十六万円余の
増加
となるのでありますが、この
増加額
には、前
年度
剰余金受け入れ
が
予算額
に比べて
増加
した額四千八百九億三千三百三十七万円余が含まれておりますので、これを
差し引き
ますと、
昭和
五十七
年度
の
歳入
の純
減少額
は四百十七億九千二百四十万円余となるのであります。その
内訳
は、
租税
及び
印紙収入
における
増加額
三百三十一億二千四百七十一万円余、
専売納付金
における
増加額
七十四億八千百四十四万円余、
官業益金
及び
官業収入
における
増加額
十四億四千九百四十七万円余、
政府資産整理収入
における
増加額
五十八億五千四百四十七万円余、雑
収入
における
増加額
二千百五億五千九十一万円余、
公債金
における
減少額
三千二億五千三百四十三万円余となっております。 一方、
歳出
につきましては、
予算額
四十七兆五千六百二十一億三千九百九十六万円余に、
昭和
五十六
年度
からの
繰越額
四千七百九十二億二千八百六十三万円余を加えました
歳出予算
現額四十八兆四百十三億六千八百六十万円余に対しまして、
支出済み歳出額
は四十七兆二千四百五十億六千三百七十万円余でありまして、その差額七千九百六十三億四百八十九万円余のうち、
昭和
五十八
年度
に繰り越しました額は五千五百四十億五千七百九十八万円余となっており、
不用
となりました額は二千四百二十二億四千六百九十一万円余となっております。 次に、
予備費
でありますが、
昭和
五十七
年度
一般会計
における
予備費
の
予算額
は二千三百億円であります。その
使用額
は千二百二十五億八百四十三万円余でありまして、その
使用
の
内容
につきましては、別途
国会
に提出いたしました
予備費使用
総
調書等
によって御了承願いたいと存じます。 次に、
一般会計
の
国庫債務負担行為
につきまして申し上げます。
財政法
第十五条第一項の
規定
に基づき国が
債務
を負担することができる
金額
は二兆五百二十八億三千八百三十三万円余でありますが、
契約等
による本
年度
の
債務負担額
は二兆百六十二億九千四百八十八万円余でありますので、これに
既往年度
からの
繰越債務額
二兆三千四百億四千四百二十二万円余を加え、
昭和
五十七
年度
中の
支出等
による本
年度
の
債務消滅額
一兆五千三百四億六千百八十七万円余を差し引いた額二兆八千二百五十八億七千七百二十二万円余が翌
年度
以降への
繰越債務額
となります。
財政法
第十五条第二項の
規定
に基づき国が
債務
を負担することができる
金額
は一千億円でありますが、
契約等
による本
年度
の
債務負担額
はありません。また、
既往年度
からの
繰越債務額
百五十五億三千七百三万円余は、
昭和
五十七
年度
中の
支出等
によって全額消滅いたしましたので、翌
年度
以降への
繰越債務額
はありません。 次に、
昭和
五十七
年度
の
特別会計
の
決算
でありますが、同
年度
における
特別会計
の数は三十八でありまして、これらの
決算
の
内容
につきましては、
特別会計歳入歳出決算
によって御了承願いたいと存じます。 次に、
昭和
五十七
年度
における
国税収納金整理資金
の
受け入れ
及び
支払い
でありますが、同
資金
への
収納済み額
は三十一兆二千四百五十九億五千二十一万円余でありまして、この
資金
からの
一般会計等
の
歳入
への組み入れ
額等
は三十一兆二千二百五億九千五百九十五万円余でありますので、
差し引き
二百五十三億五千四百二十五万円余が
昭和
五十七
年度
末の
資金残額
となります。これは、主として
国税
に係る
還付金
として
支払い決定済み
のもので、
年度
内に
支払い
を終わらなかったものであります。 次に、
昭和
五十七
年度
の
政府関係機関
の
決算
の
内容
につきましては、それぞれの
決算書
によって御了承願いたいと存じます。 次に、国の
債権
の現在額でありますが、
昭和
五十七
年度
末における国の
債権
の
総額
は百二兆四千四百六十六億七千百六十七万円余でありまして、前
年度
末現在額九十二兆二千十九億四千五百五十七万円余に比べて十兆二千四百四十七億二千六百十万円余の
増加
となります。 その
内容
の詳細につきましては、
昭和
五十七
年度
国の
債権
の現在額総
報告
によって御了承願いたいと存じます。 次に、
物品
の
増減
及び現在額でありますが、
昭和
五十七
年度
中における純
増加額
は三千九百八十一億七千九百五十五万円余でありますので、これに前
年度
末現在額三兆四百七十七億千三百五十万円余を加えますと、
昭和
五十七
年度
末における
物品
の
総額
は三兆四千四百五十八億九千三百六万円余となります。その
内訳
の詳細につきましては、
昭和
五十七
年度
物品増減
及び現在額総
報告
によって御了承願いたいと存じます。 以上が、
昭和
五十七
年度
の
一般会計歳入歳出決算
、
特別会計歳入歳出決算
、
国税収納金整理資金受払計算書
、
政府関係機関決算書等
の
概要
であります。 なお。
昭和
五十七
年度
の
予算
の
執行
につきましては、
予算
の効率的な
使用
、
経理
の適正な運営に極力意を用いてまいったところでありますが、なお
会計検査院
から、百八十一件の
不当事項等
について指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。
予算
の
執行
につきましては、今後一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。 何とぞ御
審議
のほどお願い申し上げます。 次に、
昭和
五十七
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算書並び
に
昭和
五十七
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
を、
会計検査院
の
検査報告
とともに第百一回
国会
に
報告
いたしましたので、その
概要
を御
説明
申し上げます。 まず、
昭和
五十七
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算書
の
概要
について御
説明
いたします。
昭和
五十七
年度
中に
増加
しました
国有財産
は、
行政財産
一兆三千三百九十一億二千七百三十万円余、
普通財産
一兆四千七百十九億五千四十一万円余、
総額
二兆八千百十億七千七百七十二万円余であり、また、同
年度
中に
減少
しました
国有財産
は、
行政財産
三千四十二億六千百九万円余、
普通財産
三千五百四十二億二千八百三十四万円余、
総額
六千五百八十四億八千九百四十三万円余でありまして、
差し引き
二兆千五百二十五億八千八百二十八万円余の純
増加
となっております。これを
昭和
五十六
年度
末現在額三十五兆六千九十七億二千四百十四万円余に加算いたしますと三十七兆七千六百二十三億千二百四十三万円余となり、これが
昭和
五十七
年度
末現在における
国有財産
の
総額
であります。 この
総額
の
内訳
を
分類別
に申し上げますと、
行政財産
二十二兆二千六百四十九億七千八百七十五万円余、
普通財産
十五兆四千九百七十二億三千三百六十八万円余となっております。 なお、
行政財産
の
内訳
を
種類別
に申し上げますと、
公用財産
十四兆三千四百二億五千四百六十万円余、
公共用財産
三千七百二十四億二千六百五十三万円余、
皇室用財産
五千四百七十億四千百十八万円余、
企業用財産
七兆五十二億五千六百四十二万円余となっております。 また、
国有財産
の
総額
の
内訳
を
区分別
に申し上げますと、
土地
十兆六千三百四十四億五千三百四十九万円余、
立木竹
四兆千四百三十七億九千九十万円余、
建物
四兆八千五百十四億千九百三十四万円余、
工作物
四兆千九十億八千七百七十四万円余、
機械器具
八億五千四百八十七万円余、船舶八千七百二十三億六千六百三十八万円余、航空機六千七百二十五億三千二百四十五万円余、
地上権等
十四億七千六百八十九万円余、
特許権等
三十九億四百二十一万円余、
政府出資等
十二兆四千七百二十四億二千六百十二万円余となっております。 次に、
国有財産
の
増減
の
内容
について、その
概要
を申し上げます。 まず、
昭和
五十七
年度
中における
増加額
を申し上げますと、前述のとおりその
総額
は二兆八千百十億七千七百七十二万円余であります。この
内訳
を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の
異動
によって
増加
しました
財産
は二兆四千百三億六百三万円余、第二に、国の
内部
における
異動
によって
増加
しました
財産
は四千七億七千百六十八万円余であります、 次に、
減少額
について申し上げますと、その
総額
は六千五百八十四億八千九百四十三万円余であります。この
内訳
を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の
異動
によって
減少
しました
財産
は三千二百七十四億三千四百四十三万円余、第二に、国の
内部
における
異動
によって
減少
しました
財産
は三千三百十億五千五百万円余であります。 以上が
昭和
五十七
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算書
の
概要
であります。 次に、
昭和
五十七
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
の
概要
について御
説明
いたします。
昭和
五十七
年度
中に
増加
しました
無償貸付財産
の
総額
は六百六十三億九千三百八十万円余であり、また、同
年度
中に
減少
しました
無償貸付財産
の
総額
は四百八十七億九千七百九十二万円余でありまして、
差し引き
百七十五億九千五百八十八万円余の純
増加
となっております。これを
昭和
五十六
年度
末現在額六千六十五億七百四十三万円余に加算いたしますと六千二百四十一億三百三十一万円余となり、これが
昭和
五十七
年度
末現在において
無償貸付
をしている
国有財産
の
総額
であります。 以上が
昭和
五十七
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
の
概要
であります。 なお、これらの
国有財産
の各総
計算書
には、それぞれ
説明書
が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。 何とぞ御
審議
のほどお願い申し上げます。
安井吉典
5
○
安井委員長
次に、
会計検査院当局
から各件の
検査報告
に関する
概要説明
を求めます。
鎌田会計検査院長
。
鎌田英夫
6
○
鎌田会計検査院長
昭和
五十七
年度
決算検査報告
につきまして、その
概要
を
説明
いたします。
会計検査院
は、五十八年十月十四日、
内閣
から
昭和
五十七
年度
歳入歳出決算
の送付を受け、その
検査
を終えて、
昭和
五十七
年度
決算検査報告
とともに、五十八年十二月二十一日、
内閣
に回付いたしました。
昭和
五十七
年度
の
一般会計決算額
は、
歳入
四十八兆十二億八千九十二万余円、
歳出
四十七兆二千四百五十億六千三百七十万余円でありまして、前
年度
に比べますと、
歳入
において、五千五百七十九億四千三百四十一万余円、
歳出
において、三千二百三十九億九百六十六万余円の
増加
になっており、各
特別会計
の
決算額
の
合計額
は、
歳入
百十一兆七千三百七十三億七千百十万余円、
歳出
九十七兆八千七百九十六億七千百三十六万余円でありまして、前
年度
に比べますと、
歳入
において五兆七千七百七十七億七千六百五十七万余円、
歳出
において五兆五千五百八十六億九千十三万余円の
増加
になっております。 また、
国税収納金整理資金
は、
収納済み額
三十一兆二千四百五十九億五千二十一万余円、
歳入
組み入れ額三十兆千七百四十億七千三十万余円であります。
政府関係機関
の
昭和
五十七
年度
の
決算額
の総計は、
収入
二十三兆四千七百八十三億八千七百二万余円、
支出
二十三兆二千五百八十二億二千七百七十一万余円でありまして、前
年度
に比べますと、
収入
において一兆三千八百九十六億六千六百七万余円、
支出
において一兆八百六十七億二千五百七十三万余円の
増加
になっております。
昭和
五十七
年度
の
歳入
、
歳出等
に関し、
会計検査院
が、国、
政府関係機関
、国の
出資団体等
の
検査対象機関
について
検査
した実績を申し上げますと、
書面検査
は、
計算書
二十三万八千余冊及び
証拠書類
六千五百二万余枚について行い、また、
実地検査
は、
検査対象機関
の官署、
事務所等
四万千六百余カ所のうち、その八・五%に当たる三千五百余カ所について
実施
いたしました。そして、
検査
の進行に伴い、
関係者
に対して千二百
余事項
の質問を発しております、 このようにして
検査
いたしました結果、
検査報告
に掲記した
不当事項等
について、その
概要
を
説明
いたします。 まず、
不当事項
について申し上げます。
不当事項
として
検査報告
に掲記いたしましたものは、
合計
百八十一件であります。 このうち、
収入
に関するものは、五件、二十一億七千二百七十九万余円でありまして、その
内訳
は、
租税
の
徴収額
に
過不足
があったものが一件、十四億二千百四十万余円、
保険料
の
徴収額
に
過不足
があったものが三件、七億四千七百三十三万余円、
職員
の
不正行為
による
損害
を生じたものが一件、四百五万余円。 また、
支出
に関するものは、百四十六件、三十五億三千六百九十五万余円でありまして、その
内訳
は、
工事
に関するものとして、計画、
設計
が適切でなかったため不経済になったもの、
予定価格
の積算が適切でなかったため
契約額
が割高になったもの、監督、
検査
が適切でなかったため
設計
と相違して施工したものが七件、二億三千四百八十四万余円、役務に関するものとして、
委託費
の精算が適切でなかったため
支払い額
が過大となったものが二件、千四百八十五万余円、
保険
に関するものとして、
傷病手当金等
や
保険給付金
の支給が適正でなかったものが三件、二億三千四百六十三万余円、
補助金
に関するものとして、
補助事業
の
実施
及び
経理
が適切でなかったものが百十一件、二十五億四百三十六万余円、
貸付金
に関するものとして、
貸し付け
の
対象
とならないものに
貸し付け
ていたもの、
共同利用施設
として
貸し付け
た
対象施設
が、
貸し付け
の目的を達していないものなどが二十一件、五億千二百八十五万余円、
職員
の
不正行為
による
損害
を生じたものが一件、百九十九万余円、その他、
公共下水道工事
に伴う
負担金
について、
負担額
の
算定
が適切でなかったため過大となっていたもの一件、三千三百四十万余円であります。 以上の
収入
、
支出
に関するもののほか、
民事執行予納金
などの
保管金
や、
郵便貯金
の
預入金
、
出納官吏
の
保管
に係る
資金等
について
職員
の
不正行為
による
損害
を生じたものが三十件、五億五千七百九十九万余円ありまして、これらの
合計
は、百八十一件、六十二億六千七百七十二万余円となっております。これを前
年度
の百八十四件、四十二億五千九十三万余円と比べますと一件数において三件の
減少
、
金額
において二十億千六百八十万余円の
増加
となっております。 次に、
意見
を表示しまたは
処置
を要求した
事項
について
説明
いたします。 五十八年中におきまして、
会計検査院法
第三十四条または第三十六条の
規定
により
意見
を表示しまたは
処置
を要求いたしましたものは十四件でありまして、その
内訳
は、同法第三十四条の
規定
により
是正改善
の
処置
を要求いたしましたものが九件、同法第三十四条及び第三十六条の
規定
により
改善
の
処置
を要求いたしましたものが一件、同法第三十六条の
規定
により、
意見
を表示いたしましたものが三件、
改善
の
処置
を要求いたしましたものが一件であります。 このうち、
会計検査院法
第三十四条の
規定
により
是正改善
の
処置
を要求いたしましたものは、
農林水産省
の国営及びこれに附帯する
道府県営
の
かんがい排水事業
によって生じた
農業用用排水施設
の管理に関するもの、
林業改善資金
の
貸し付け
に関するもの、
沿岸漁業改善資金
の
貸し付け
に関するもの、
郵政省
の郵便物取
集業務
の
委託契約
に関するもの、建設省の
公営住宅関係国庫補助事業
の
実施
及び
経理
の
適正化
に関するもの、
地方公共団体
が
実施
している
住宅新築資金等貸付事業
に対する
国庫補助金
の
経理
に関するもの、
日本国有鉄道
の
固定資産
の
貸し付け等
に関するもの、
日本電信電話公社
の
各種システムサービス
の
センタ設備使用料算定基準
に関するもの、住宅金融公庫の
土地担保中高層建築物貸し付け
の
対象建物
の
無断用
途変更の防止に関するものであります。
会計検査院法
第三十四条及び第三十六条の
規定
により
改善
の
処置
を要求いたしましたものは、厚生省の国民健康
保険
助成費に関するものであります。
会計検査院法
第三十六条の
規定
により
意見
を表示いたしましたものは、労働省の福祉施設の設置及び管理運営に関するもの、日本専売公社の国内産葉たばこの在庫量に関するもの、
日本電信電話公社
の電報事業の運営に関するものであり、
会計検査院法
第三十六条の
規定
により
改善
の
処置
を要求いたしましたものは、
農林水産省
の水田利用再編対策事業の
実施
及び効果に関するものであります。 次に、本院の指摘に基づき当局において
改善
の
処置
を講じた
事項
について
説明
いたします。 これは、
検査
の過程で
会計検査院法
第三十四条または第三十六条の
規定
により
意見
を表示しまたは
処置
を要求すべく質問を発遣するなど検討しておりましたところ、当局において、本院の指摘を契機として直ちに
改善
の
処置
をとったものでありまして、
検査報告
に掲記しましたものは十四件であります。すなわち、
農林水産省
の輸入小麦の買い入れに当たっての国内港間の海上運送
経費
を政府の負担としていることに関するもの、通商産業省の
委託費
により受託者が取得した
物品
の不適切な管理に関するもの、運輸省の東京国際空港における
土地
使用
料の
算定
方法に関するもの、防波堤築造
工事
における上部コンクリートの海上運搬費の積算に関するもの、航空照明用の受配電機器等の設置
工事
における一般管理費等の積算に関するもの、
日本国有鉄道
の踏切事故に係る
損害
賠償金
債権
の不適切な管理に関するもの、重軌条更換
工事
等に
使用
するレールの材質の
使用
区分に関するもの、軌道整備
工事
におけるバラストかき込み工費の積算に関するもの、日本道路公団の橋梁
工事
におけるプレストレストコンクリート単純けたの
設計
方法に関するもの、トンネル
工事
における火薬取扱労務費の積算に関するもの、首都高速道路公団のコンクリート床版補強
工事
における増けた架設費の積算に関するもの、本州四国連絡橋公団の自己昇降式作業足場で
使用
するディーゼルエンジン発電機の燃料費の積算に関するもの、宇宙開発事業団の種子島宇宙センターにおける自家用電力と購入電力の調整に関するもの、帝都高速度交通営団の地下鉄道施設を保守管理する
工事
の労務費の積算に関するものであります。 最後に、特に掲記を要すると認めた
事項
について
説明
いたします。 この
事項
は、事業効果等の見地から問題を提起して事態の進展を図るために掲記しているものでありまして、
昭和
五十七
年度
決算検査報告
には、次の四件を掲げてございます。 すなわち、建設省の国が補助した
土地
区画整
理事
業の施行に伴って整備された宅地の利用の現状に関するもの、
日本国有鉄道
の旅客営業の収支等に関するもの、日本鉄道建設公団の成田新幹線の建設
工事
に関するもの、日本原子力船研究開発事業団の原子力船「むつ」の開発に関するものであります。 以上をもって
概要
の
説明
を終わります。
会計検査院
といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して、適正な会計
経理
の
執行
について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう、望んでいる次第であります。 引き続きまして、
昭和
五十七
年度
国有財産
検査報告
につきまして、その
概要
を
説明
いたします。
会計検査院
は、五十八年十月十八日、
内閣
から
昭和
五十七
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算書
及び
昭和
五十七
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
の送付を受け、その
検査
を終えて、
昭和
五十七
年度
国有財産
検査報告
とともに五十八年十二月二十一日
内閣
に回付いたしました。 五十六
年度
末の
国有財産
現在額は、三十五兆六千九十七億二千四百十四万余円でありましたが、五十七
年度
中の増が二兆八千百十億七千七百七十二万余円、同
年度
中の減が六千五百八十四億八千九百四十二万余円ありましたので、
差し引き
五十七
年度
末の現在額は三十七兆七千六百二十三億千二百四十三万余円になり、前
年度
に比べますと二兆千五百二十五億八千八百二十八万余円の
増加
になっております。 また、
国有財産
の
無償貸付
状況につきましては、五十六
年度
末には、六千六十五億七百四十三万余円でありましたが、五十七
年度
中の増が六百六十三億九十二百八十万余円、同年中の減が四百八十七億九千七百九十二万余円ありましたので、
差し引き
百七十五億九千五百八十八万余円の
増加
を見まして、五十七
年度
末の
無償貸付財産
の
総額
は六千二百四十一億三百三十一万余円になっております。
検査
の結果、
昭和
五十七
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算書
及び
昭和
五十七
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
に掲載されている
国有財産
の管理及び処分に関しまして、
昭和
五十七
年度
決算検査報告
に掲記いたしましたものは、
不当事項
といたしましては、総理府の給油所設備
工事
の施行に当たり、タンク室の防水モルタル工の単価を誤ったため、
契約額
が割高になったもの、文部省の中高層大気観測施設の敷地造成等の
工事
の施行に当たり、電波障害防止フェンスの支柱の
設計
が適切でなかったため、フェンスの強度が著しく低下していたものの二件であり、また、本院の指摘に基づき当局において
改善
の
処置
を講じた
事項
といたしましては、運輸省の東京国際空港における
土地
使用
料の
算定
が適切でないため、
徴収額
が低額となっていたので、
算定
方法を
改善
させたものの一件でございます。 以上をもって
概要
の
説明
を終わります。
安井吉典
7
○
安井委員長
これにて
昭和
五十七
年度
決算
外二件の
概要説明
聴取を終わります。
—————————————
安井吉典
8
○
安井委員長
この際、資料要求についてお諮りいたします。 例年、大蔵省当局に対して提出を求めております
決算
の
検査報告
に掲記された
会計検査院
の指摘
事項
に対する関係責任者の処分状況調べについて、
昭和
五十七
年度
決算
につきましてもその提出を求めたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
安井吉典
9
○
安井委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
安井吉典
10
○
安井委員長
引き続き、本日は、
総理府所管
中
環境庁
及び
会計検査院
所管
について審査を行います。 それでは、順次
概要説明
を求めます。 まず、
環境庁長官
から
概要
の
説明
を求めます。石本
環境庁長官
。
石本茂
11
○石本国務大臣
環境庁
の
昭和
五十七
年度
歳出
決算
につきましてその
概要
を御
説明
申し上げます。 まず、
昭和
五十七
年度
の当初
歳出予算
額は、四百六十一億一千九百八十一万円余でありましたが、これに
予算
補正
修正
減少額
十一億三千三百五十七万円余、
予算
移しかえ
増加額
七千七百十八万円余、
予算
移しかえ
減少額
三十億六千三百九十四万円余、前
年度
からの
繰越額
一億三千八百三十八万円余を
増減
いたしますと、
昭和
五十七
年度
歳出予算
現額は、四百二十一億三千七百八十七万円余となります。この
予算
現額に対し、
支出済み歳出額
四百十六億五千四百九十三万円余、翌
年度
への
繰越額
五千六百四十八万円余、
不用
額四億二千六百四十五万円余となっております。 次に、
支出済み歳出額
の主なる費途につきまして、その大略を御
説明
申し上げます。 第一に、公害防止等調査研究関係
経費
といたしまして、五十九億九千八百十三万円余を
支出
いたしました。これは、化学物質実態調査等を
実施
するための
経費
及び国立公害研究所、国立水俣病研究センターの運営等の
経費
として
支出
したものであります。 第二に、自然公園関係
経費
といたしまして、四十九億百三十一万円余を
支出
いたしました。これは、自然公園等における管理及び園地、博物展示施設、長距離自然歩道等の整備並びに渡り鳥の観測、絶滅のおそれのある鳥獣の保護対策等の
経費
として
支出
したものであります。 第三に、
環境庁
の一般事務
経費
といたしまして、三百七億五千五百四十八万円余を
支出
いたしました。これは、公害防止を図るための施策推進に必要な調査費、
地方公共団体
に対する各種
補助金
、公害防止事業団及び公害健康被害補償協会に対する交付金、環境行政に従事する
職員
の資質向上のための研修所の運営費並びに
環境庁
一般行政事務等の
経費
として
支出
したものであります。 最後に、翌
年度
繰越額
と
不用
額について主なるものを御
説明
いたしますと、翌
年度
繰越額
は、自然公園等施設整備費において、異常気象等によって事業の
実施
に不測の日時を要したこと等により
年度
内に完了しなかったものであります。 また、
不用
額は、退職手当等の人件費を要することが少なかったこと等のためであります。 以上簡単でありますが、
昭和
五十七
年度
の
決算
の
概要
を御
説明
申し上げました。 よろしく御
審議
のほどお願いいたします。
安井吉典
12
○
安井委員長
次に、
会計検査院当局
から
検査
の
概要説明
を求めます。天野
会計検査院
第二
局長
。
天野基巳
13
○天野
会計検査院
説明
員
昭和
五十七
年度
環境庁
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果、特に違法または不当と認めた
事項
はございません。
安井吉典
14
○
安井委員長
次に、
会計検査院長
から
概要
の
説明
を求めます。
鎌田会計検査院長
。
鎌田英夫
15
○
鎌田会計検査院長
昭和
五十七
年度
会計検査院
主管
一般会計
歳入
決算
並びに
会計検査院
所管
一般会計
歳出
決算
につきまして、その大要を
説明
申し上げます。
会計検査院
主管の
歳入
につきましては、
予算額
二千二百八十七万余円に対しましては、収納済み
歳入
額は、二千二百五十万余円であり、
差し引き
三十六万余円の
減少
となっております。 収納済み
歳入
額の主なものは、公務員宿舎貸付料等の
国有財産
貸付
収入
二千百四十五万余円であります。 次に、
会計検査院
所管
の
歳出
につきましては、当初
予算額
八十七億二千二百五十万余円から、
補正予算
額一億五百十七万余円を
差し引き
、
予備費
二億七千四百二十六万余円を加えた
予算
現額八十八億九千百五十九万余円に対まして、
支出済み歳出額
は八十八億九千九十八万余円でありますので、その差額六十万余円を
不用
額といたしました。
支出済み歳出額
のうち主なものは、人件費七十九億二千四百五十四万余円、
検査
旅費五億五千四百三十七万余円、施設整備費五千百二十四万余円となっております。 以上、甚だ簡単でございますが、
昭和
五十七
年度
における
会計検査院
関係の
決算
の
説明
を終わります。 よろしく御
審議
のほどお願いいたします。
安井吉典
16
○
安井委員長
次に、
会計検査院当局
から
検査
の
概要説明
を求めます。竹尾
会計検査院
第一
局長
。
竹尾勉
17
○竹尾
会計検査院
説明
員
昭和
五十七
年度
会計検査院
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果、特に違法または不当と認めた
事項
はございません。
安井吉典
18
○
安井委員長
これにて
説明
は終わりました。
—————————————
安井吉典
19
○
安井委員長
これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
島田
琢郎
君。
島田琢郎
20
○
島田
委員
最初に
会計検査院
にお尋ねをいたします。
実地検査
の施行状況についてでありますが、過去五カ年間の
実地検査
施行率は約八%、こういう状況になっているようでございますが、五十七
年度
、ただいま
報告
のございました
年度
で言えば、八・五%の施行で二百十八億円余と御
報告
がございます。五十八
年度
が八・四%の施行で百七十一億円余のむだ遣いがあったと指摘をされております。
予算
の
執行
の
適正化
のためにも
検査
機能を充実強化せよというのは、私も昨年ここで
検査
院の皆さんと大変深い議論をした経過がございます。
実地検査
施行率の向上を図る必要があるという主張は、私は現在もまだ持っておるわけでありますが、お考えをお聞かせいただきたい。
鎌田英夫
21
○
鎌田会計検査院長
お答え申し上げます。
会計検査院
の
実地検査
の施行率と申しますのは、今先生が御指摘のとおり、大体八%から八・五%程度に推移しているわけでございます。これは大体四万一千二百ぐらいの各官署、公団、事業団、そういったところの
検査対象機関
というものに対しまして
実地検査
をやった箇所が大体三千五百カ所というような数字でございますので、そういうパーセンテージが出るわけでございます。 しかしながら、これが施行率というものが八%ないし八・五%程度ということが
金額
的ではどうかという面から考えますと、これはかなり
検査
をいたしております。つまり、八・五%と申しますのは、我々の方で決めております重要な
事項
、それからそれに準ずる
事項
、あるいはその他の
検査
箇所というように分けておりまして、五十八
年度
で申し上げますと、重要な箇所につきましては四一・三%、これに準ずるものは九・四%、その他のものが一%というようなことになっております、つまり、その他の余り重要でないというところは、特定郵便局、登記所あるいは国鉄の駅などというものが二万四千ぐらいあるわけでございまして、こういった数字を分母といたしますために八・四というような数字が出てくるわけでございます。 しかし、先生が御指摘になりますとおり、この
検査
の施行率をもって我々がこれで満足であるというわけではございませんで、私どもといたしましては、せめて一〇%ぐらいの施行率にいたしたい、これはかねがね願っているわけでございます。しかしながら、現下の財政状況というようなものを考えまして、そして各省庁人員が削減というような時代の中で、
検査
院のみが増員するということはなかなか困難なことでございます。もちろん、施行率を上げるためには人員と
検査
旅費の増額というものを見て初めて達成されるわけでございますが、今申し上げましたような事情でなかなか思うに任せないというのが実情でございます。 したがいまして、私どもといたしましては、発想の転換と申しますか、いかにしてこのパーセンテージで全体の財政
執行
の状況を把握するか、こういういろいろな方策を検討いたしまして、一を見て十を知る、そこまではまいらないかもわかりませんが、そういう気構えを持って
検査
方法に工夫を凝らしているわけでございます。そのほか、例えば今まで管理的な仕事に非常に人員を要しておりましたのを、コンピューターシステムを導入いたしまして、そっちの面の人員を削減して
検査
の方に重点的に充てる、こういうようなことも考えております。また、
職員
の研修も十分行う、こういうような方途をもって足らざるところを補う、こういう考え方でやっております。いずれにいたしましてもなお工夫を凝らしまして、八・何%であらわされるそういう施行率の表現を、もう少し一〇%に近づけるように今後努力していきたい、こういうふうに考えております。
島田琢郎
22
○
島田
委員
丁寧に
説明
をいただきましたが、私は
検査
院の実態、御苦労のほど、また一生懸命工夫を凝らしてやろうと考えておられる、少ない人員で頑張ろう、こういう
内容
、お気持ちについてはよくわかっているつもりでございます。残念ながら
予算
でぎゅうぎゅう縮められてまいりますから、八%を一〇%に上げるというのは容易なことではない。しかし、八%の
検査
施行率でも百七十億円ものむだ遣いが指摘されるというほど問題をたくさん持っているということも浮き彫りになっているのではないか。ここは指摘だけにとどめ、今あなたがおっしゃった努力に一層の期待をかけたい、こう思います。 さて、
環境庁
の関係で長官にまずお尋ねします。 長官、農、林、漁業、この三つに基本法があるのとないのがございます。御存じでしょうか。
石本茂
23
○石本国務大臣 お答えいたします。 漁業についてはついていないというふうに承知しております。
島田琢郎
24
○
島田
委員
よく御存じでございます。漁業の関係で言いますと、佐竹水質保全
局長
は水産庁にもおられたのでありますが、残念ながら、漁業に対しては基本法がないのです。しかし、それにかわるべきものとして、沿岸漁業等振興法という法律がこれをフォローしているわけであります。しかし極めて不十分。きょうはそこのところをお尋ねするわけではございません。この法律の中に、実は石本長官がしっかりと目をみはっていただかなければならない条文がございます。御存じでしょうか。
石本茂
25
○石本国務大臣 専門家ではございませんので大変もたもたしておりますが、水質汚濁防止法という法律があることを知っております。
島田琢郎
26
○
島田
委員
意地悪いと思わぬでください。ぜひこれはあなたにきょうは御認識をいただいておきたいと思って、あえてこういう質問をいたしました。しかし、時間が限られておりますから、私の方でひとつ
説明
をいたします、 この沿岸漁業等振興法の第三条、私はここが石本長官御
所管
の項目であるというふうにぜひお考えを願いたいので、ここを
説明
いたします。 その第三条というのは、国の施策としての項目が十一項目掲げられておりまして、その第一番目に、「水産資源の適正な利用、水産動植物の増殖、漁場の効用の低下及び喪失の防止等によって、水産資源の維持増大を図ること。」まさにこれは
環境庁
の
所管
になるのでございます。 もちろん、
環境庁
だけでできることではございません。しかし、ここのところをしっかりと目をみはっていていただきたいという点では、あなたのところに大変責任を重く感じていただかなければならない
規定
でございます。細かな
内容
につきましては、きょうは水産庁から
関係者
が参っておるはずでございますから、後ほどこの
内容
については詰めてまいりますが、漁場の効用の低下、最近沿岸漁業が振興を必要とされるという、新しい二百海里時代を迎えてこれが我が国の水産の最も大事な視点とされているのでございます。 したがいまして、この海域なりあるいは前浜を汚す。汚染をいたしますと、当然のことながら大事な魚族のいわゆる生息が不可能になってまいります。したがって、内陸から流れる水がきれいでなくてはいけない、また海そのものが魚のすめる条件をきちっと持ってもらわなければならない、そういう状態で、この水質汚濁、水質汚染、これは非常に最近心配される状況にあるのではないか。その点についてはあなたのところで調査がなされているはずでございます。 そこで、私はお尋ねしたいのでありますが、漁業関係の被害で、五十九
年度
はまだ出ていないと思いますが、五十八
年度
にはどのような被害が出ていて、そしてその
改善
策についてはどのように
環境庁
としては関係省庁に対して指摘をしているのか、あるいは協議といいますか、指導というほどはできないでありましょうけれども、その点について肝心なところをまずお尋ねをしておきたい。
佐竹五六
27
○佐竹政府
委員
最近、沿岸漁業で一番問題になっておりますのは赤潮の問題でございますが、赤潮につきましては、特に閉鎖性水域、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海等でございますが、そのうちかねてより一番問題になっております瀬戸内海につきましては、年間発生件数二百回程度でございます。これにつきましては水産庁とよく連絡をとりまして、その発生の予察、それから事後的な対策——対策につきましては特に水産庁の方にお願いしておるわけでございますが、等をやっているところでございます。 その他海洋の汚染によりまして、漁業の被害として一時問題になりましたPCB、水銀等につきましては、現在それらについてはすべて環境基準を達成しておりまして、したがって、被害等も出ていないわけでございます。
島田琢郎
28
○
島田
委員
佐竹さん、きょうですか、漁業白書が出てきますね。あなたの方の
環境庁
の公害白書はいつ出すのですか。
岡崎洋
29
○岡崎政府
委員
現在作成中でございまして、今
国会
が終わるまでには
国会
に御
報告
できるような形で作業を進めております。
島田琢郎
30
○
島田
委員
今の佐竹さんのお話は、ぜひ漁業白書、ここを見て——もちろん見て十分白書の中にも取り込まれるだろうと思いますが、私は、今お話にありましたような状況よりももっと深刻になっているのではないかというふうに思うのです。ですから、多分きょうかあす漁業白書が出てまいりますから、私もそこを注目しているのでありますが、それはもう水質の関係はあなたのところでありますから、ぜひこれは環境を守るという立場で、ひとつどんどん農水省なり関係省庁に文句をつけていただきませんと、案外ルーズになりがちで、そっちの方は
環境庁
だと任せてしまって自分の方の努力は案外しないものでありますから、ぜひここのところは整合性のある白書にしていただきますよう期待をいたしておきたいと思います。 ところで、そういう環境をちゃんとしておかなければならない漁業の今日的実態にあるという点で、きょうは、水産庁にこれから尋ねてまいりたいと思うのです。 残念ながら、先日、我が国の漁業の大変重要な漁場と言われております北洋、遠洋漁業の締め出しの一つだと私は位置づけておりますが、これに鯨が絡まりまして、鯨を放棄せざるを得ないという窮地に現在追い込まれておるのは、御承知いただいているとおりだと思うのであります。事ほどさように、二百海里からどんどんUターンをして沿岸に船が帰ってくるという事態がこれから深刻に出てくると思うのです。 そういう大きな問題は限られた時間ではとてもこなし切れませんから、私はきょうは限定したお話にさせてもらいますが、先般、長い間の懸案が昨年実りまして、日ソ漁業協定が成立をいたしましたが、それに伴いまして日ソ漁業交渉が行われました。その交渉結果は大変厳しゅうございまして、最も大きく影響を受けましたのが大陸棚資源の関係漁業を除くということでありまして、従来の日本海水域の七海区と言われております沿海州水域を操業区域とする沖合底びき漁業は、沿海州を喪失せざるを得ないという格好になってしまいました。しかし、その一部の代替として新たに樺太西海域の第五水域を取得したわけでありますが、この代替水域の漁場価値というのは水産庁としてはどのように評価をしているのでしょうか。 そして、一緒に答えてもらいます。本年二月中旬か二月の上旬から操業が開始されているはずでありますが、その漁獲実績は現在どれぐらいになっているのだろうか、それは五十二年の北洋減船以前のデータに比べますとどういう比較になるのか、ここのところをお尋ねしたいと思います。
中村晃次
31
○
中村
説明
員 ソ連の二百海里水域が制定される前は、我が国の底びき網漁業が樺太の西水域、今度新しく開放された水域で操業ができたわけでございまして、当時この水域で、大ざっぱな数字ではございますが、七、八万トンの漁獲を上げていたという実績もございまして、そういう意味からいいますと、この水域自体はかなり優良な漁場だというふうに考えられるわけであります。しかしながら、この水域に割り当てられましたクォータというようなこと、あるいはこの水域にございます魚種別の組成というようなことから考えますと、現実的な問題としての漁場価値というものは、かなり限られてくるのではないかというふうに思うわけでございます。 それから、現在わかっております漁獲実績でございますが、これは二月の中旬から三月の中旬までの数字だけでございまして、今のところは一千トン弱、九百三十九トンというような数字でございます。これに絡みます。その以前の数字というのは、月別の数字がございませんのでちょっと不明でございますが、ちなみに申しますと、前年、沿海州でとっておりました時代でございますが、同じ時期にほぼ二千八百トン程度の漁獲を上げていたということでございます。
島田琢郎
32
○
島田
委員
委員長
にお願いいたしますが、五十二年の前ということになりますと五十一年と五十年、二年ぐらいで結構でありますが、今手元にデータがないというお話でございますので、後ほど私あてに、比較をぜひしてみたいと思いますので、ひとつ資料提出をお願いしたいと思うのですが、
委員長
からお願いしていただけますか。
安井吉典
33
○
安井委員長
それはよろしゅうございましょうか。
中村晃次
34
○
中村
説明
員 今の御指摘は、五十一年における樺太西水域での月別漁獲量ということでございましょうか。(
島田
委員
「はい」と呼ぶ)わかりました。
島田琢郎
35
○
島田
委員
昨年の同期に比べましても一千八百トン減、三分の一に減っている、こういうことでございますから、この分をどこかで取り返さなければならないか、もしくは減船せざるを得ない、こういうことになると思うのです。 時間がなくなりましたから細かな
内容
に触れることはできませんが、今、先ほど申し上げましたこの海域なりあるいはクォータによって操業しております隻数は、許可隻数が九十隻ございますね。これは今の見通しで、どれぐらい減らせばこのクォータとかあるいは漁獲区域に合う操業ができるのか、この辺はどうお考えになっていますか。
中村晃次
36
○
中村
説明
員 現在、どの程度の船が操業できるかということにつきましては、関係業界、それから北海道庁というようなところが検討を続けておるわけでございますが、現状のままの体制ではいずれにしても不可能であるということでございまして、業界としては、一応今の段階では、九十隻の現在の隻数のうち十二隻程度の減船が必要ではないかというふうに言っておるわけでございます。水産庁といたしましても、いずれにしても今のままではやはりかなり苦しいということでございまして、何らかの操業対策の変換というようなものは必要ではないかと考えておりますが、具体的に何隻減船する必要があるというようなことについては、まだ検討中でございます。
島田琢郎
37
○
島田
委員
そんな甘い数字では、私は最終的に大変問題を残すのじゃないかと思っております。私が
計算
をしてみましたところ、ほぼその倍の二十四、五隻減船せざるを得ないのじゃないか、こう思っているのです。この二十四隻についております乗組員その他家族などを入れますと、これはほっておけない数字だと私は思っています。十二隻なんというような甘い数字がどこから出たのか、私は理解に苦しむのでありますが、いずれにせよ、大変な船が減船を余儀なくされるという実態に追い込まれることは間違いない。それを他の水域に入れさせたり、沿岸に戻ってきて沿岸で操業させたり、いろいろなことをこれからお考えいただかなければ生き残っていけないわけであります。 しかし、沿岸は御承知のように、どんどん領域といいますか漁獲量も減っており、また、先ほど長官に私は、ぜひ目をしっかりとここに向けて海水汚染その他を守っていただきたい、こういうことを申し上げましたが、魚族の生息状態も、あるいは漁業の振興についても、沿岸におきます手当ではいま一つ適切さを欠いている、こういう状況のもとにあると私は思いますので、ここにUターンしてなだれ込んでくるなんということになりましたら、これは大変なことになってしまう。したがって私は、減船という方向で処理せざるを得ないのではないだろうか、こういうふうに思うのです。 特に、これは沖合底びき漁船でございますから、なかなかほかのところの調整といったって難しい。しかも、その仲間同士の調整ということになりますれば、特に沿岸との操業調整の必要性がまた出てくる。これは実態としては
課長
おわかりのとおりです。ですから、最終的には減船せざるを得ない、こうなってくると私は思うのです。ですから、減船に対する補償の適切なる手を打っていかないと、生活を持っております皆さんはたちどころに苦境に追い込まれてしまうという事態に相なります。物すごく深刻な問題であるわけです。対策として私のようなお考えで臨まれる、そういうお気持ちがありますか。
中村晃次
38
○
中村
説明
員 私どもは業界の方からも、先ほど申しましたように十二隻、これは日ソ交渉に絡んだ減船だけでございますが、十二隻を減船したいので、国としてもしかるべき援助をしてほしいというような陳情は受けておるところでございます。ただ、現在まだ種々検討している段階ということでございまして、その減船についての対応につきましても、現在検討しているというような段階でございまして、今の段階ではまだ結論めいたものは出ていないということでございます。
島田琢郎
39
○
島田
委員
ただ、この北海道の機船連は、去る二月の
理事
会で、樺太西水域におけるクォータの大幅な削減、これは一年きりだというお話もありますけれども、とにかく厳しくなっているという状況がある中で、現状の操業実績数を維持することができない、したがって減船せざるを得ない、その場合には、五十二年に大減船が行われましたが、このときに国は責任を持って補償するという措置をおとりになりましたが、私はそれに準じた措置というのが当然必要ではないか、またこの
理事
会もそういう結論で、国の救済措置を求めている。こういうことですから、これから検討するということも、もちろん検討の経過としてはわかりますけれども、しかし早急にこの問題に対処していただきませんと、もう生活が陸に揚がっても干上がっている人がいるわけでありますから、こういう状況をほうっておくということになりますとこれは大変でありますので、救済措置は特に急を要すると私は思います。ぜひ急いでこの問題に対処していただくようお願いをしたい。重ねて答弁を求めておきたいと思います。
中村晃次
40
○
中村
説明
員 現在の検討をさらに早急に進めてまいりたいと思います。
島田琢郎
41
○
島田
委員
そのほか、新しい水域において問題が起こりがちなのは、タラバガニとかケガニなどの甲殻類やニシンなどが混獲される、こういうことが予想される水域でもございます。ここのところは対策をぜひ組んでいただかなければならぬと思います。 それからもう一つは、ツブとかズワイガニ、エビ、これがいわゆる政府間の交渉の中から外れまして、民間交渉に移るということでありますが、大変先行きが暗い、こういうことになっておりますが、その点についてのお考えを聞かせてください。
草野英治
42
○草野
説明
員 カニ、ツブ、エビの民間交渉につきまして、お答えいたします。 この民間交渉につきましては、その早期開始につきまして、政府といたしましても外交ルートを通じまして、また現在日ソ漁業協力協定交渉のために訪ソしております担当部長を通じまして、その早期開始につきまして要請をしておるところでございます。 先般、四月十五日からの予定で協議を開始するということでございましたが、実は昨日に至りまして、ソ連側の都合によりまして早くても四月二十日以降になるというソ連からの通報がございましたが、我が方といたしましては、さらに早期開始を強く働きかけていきますとともに、水産庁から専門家をオブザーバーとして派遣させる等によりまして、できるだけの援助を図っていきたいというふうに考えております。
島田琢郎
43
○
島田
委員
時間が参りましたので、十分な詰めが行えないまま終わらざるを得ませんが、いずれにせよ、水産庁としては、この問題について真剣に取り組まなければならないという責任感は十分お持ちになっているのでしょうな。先ほど、五十二年当時の減船補償の資料も私のところに届いてまいりました、このときのお考えに立って補償する、ひとつこういう確約を私はいただきたいと思っているぐらいでありますが、いかがですか。
中村晃次
44
○
中村
説明
員 残念ながら、先ほども申しましたように現在検討中ということでございますので、五十二年当時と全く同じ方式でやれるということをただいま確約するわけにはまいりませんけれども、そういうものも含めまして十分検討させていただきたいと思っております。
島田琢郎
45
○
島田
委員
ところで、
環境庁長官
、私は減船しておかに船を揚げてしまうということを求めているのではなくて、本当はやはり沿岸の漁業を振興させ、そしてそういう中でUターンしてきても十分それにたえ得るだけの環境をつくっておきたい。特に佐竹さんはこの間まで水産庁にいた人ですから、特に沿岸の関係については、あなたは一定の見識を持っておると私は思って見ている一人でございます。その方が
環境庁
に来られているわけで、しかも水質保全という一番大事なところの
局長
さんですから、それは国内の陸地におきます水をきれいにする、そしてそれをきれいにすることによって沿岸も汚濁、汚染されずに済む、こういうことでありますが、しかし私をして言わしめれば、必ずしもその効果が上がっているとは思えない。現に、今前浜で魚をとっている漁師の皆さんが、だんだん海も魚がすみづらくなってきているという事実を、毎日毎日の操業なり生活の中から訴えておられるわけでありますから、この訴えをしっかり受けとめていただいて、まずは日本の周辺の海に魚が十分すめるような環境を責任を持っておつくりをいただく。そしてそのことによって、よそから減船で戻らざるを得ない船も全く陸に揚がって甲羅干しするようなことではなくて、そこで操業して魚をとることのできるそういう条件を望んでいるということもあわせて、
環境庁
の持つ責任は極めて大きいと私は思うのです。 きょうはわずかな時間でしかございませんから、私の申し上げていることのすべてを十分御理解いただけなかったかもしれません、でも、その気持ちは通じていただけたと思います。後ほどまた時を改めまして環境問題、特に魚がすめるような条件をつくる、そういう条件づくりのお話を引き続きさせてもらいたいと思っておりますが、私の持ち時間がもう二分ほど過ぎましたので、ここでとりあえずのところ終わらざるを得ません。御協力いただいたことを感謝しながら、ぜひそこに力を入れていただくことを重ねて強調して、私の質問を終わりたいと思います。
安井吉典
46
○
安井委員長
次に、井上一成君。
井上一成
47
○井上(一)
委員
私は、まず最初に
検査
院に一つお尋ねをしておきたい。むしろ、私からもぜひこのことについては充実をしてほしいという期待も含めて、お尋ねをしたいと思います。 御承知のように、我が国の外交指針、外交の一つの大きな柱として、開発途上国に対する経済援助の問題があります。国際協力事業団が中心になってその
予算
執行
等に当たっているわけですけれども、相手国の民生安定、生活向上に大いに役立っためにも効果ある
予算
執行
が望まれるわけでありまして、もちろん相手国に入って主権を侵害することはまかりなりませんが、協力を得ながら、我が国の
予算
が効果ある事業
執行
になるように、
実地検査
等も含めたより充実した
会計検査院
の対応が必要であろう、こういうふうに思うわけでありますが、この点についての
検査
院からの御所見を承っておきたい、こういうふうに思います。
鎌田英夫
48
○
鎌田会計検査院長
お答え申し上げます。 先生仰せられますとおり、海外援助、経済協力あるいは技術援助協力、そういったものが最近非常に多くなってまいりまして、これらに対する
会計検査院
としての
検査
あるいは調査は非常に緊要なことであるということは、以前から私どもも認識いたしております。したがいまして、実情を申し上げますと、既に
昭和
三十年代から、ただいまのJICAの前身である海外移住事業団、そういったものの南米における事業の
実施
状況、そういったものも現地について
検査
といいますか調査をいたしておりますし、四十年代に至りましては、毎年発展途上国に赴きまして、そこにおける技術協力あるいは海外援助の実態を、相手の協力を得ながら調査いたしておる次第でございます。 最近で言いますと、去年でございますが、アフリカのエジプト、ケニア、スーダン、そういったところにおける技術協力、そういったものの実態を拝見して、国民の税金であるそういう援助の
資金
が現地において有効に生きているか、現地の人のためになっているかというのを拝見してきているわけでございます。当初私ども、主権が及ばない国の調査でございますので、協力が得られるかどうかということを非常に危惧していたわけでございますけれども、案ずるより産むがやすしと申しますか、行ってみますと現地の当事国の官憲の協力が非常に得られまして、あるいはまたJICAならJICAの派遣員の
意見
も聞き、またその案内を得ながら、場合によっては向こうの官憲といいますか当局者が帳簿まで見せてくれるというような協力も得られるような状態でございまして、非常に調査がしやすいと申しますか、そういう実効を上げております。 ただ、外国旅費の
予算
の関係がございます。それと、国内における
検査
も十分でないという現状にかんがみまして、なかなかこれを徹底的にやるというわけにはまいりませんが、御趣旨を体しまして、今後も外国旅費の
予算
をふやし、また、当局が毎年出しております海外援助、技術協力のフォローの白書がございますが、そういったものを参考にしながら、なお意欲的に
検査
と申しますか調査を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
井上一成
49
○井上(一)
委員
さて、私は
予算
委員
会でも我が国の武器輸出三原則に抵触する問題、またその企業姿勢をただしてまいりました京セラの企業の実態について若干危惧を持って、さらに詳しく私なりに調査に入ったわけであります、武器輸出の
予算
委員
会でも指摘したわけでありますけれども、法に、あるいは我が国の政府の方針に逆らって企業の繁栄は到底あり得ないし、そういうことをしてはいけないし、当然深い反省に立って、さらなる経済の進展を自力で、あるいは多くの
関係者
の努力でなし遂げてほしい、こういう思いであったわけでありますけれども、私が指摘をすれば早速、うわさで大変迷惑をしている、日ごろ私は稲盛社長というのは立派な方だということをお聞きしておって、まさかその社長がそういうことを発言なさるとは思っていなかったのですが、そういう発言があり、通産省が上西副社長を呼んで事情聴取をすれば、取引の事実、まあ不利になることは言わないでしょうけれども、うわさでないということがだんだん明らかになってきたわけですけれども、なおかつまだ企業の経営の体質に疑問を抱いたので、きょうは、私なりに二、三、京セラの企業がどのようなことをしているかということを私の調査によって明らかにし、それについて政府の対応を尋ねていきたい、こういうふうに思います。 第一点は、京セラがバイオセラムというのですか、人工骨を製造している。このことについては、厚生省は御承知なんでしょうか。
小林功典
50
○小林(功)政府
委員
京セラが人工骨を製造し、販売しているという事実は承知しております。
井上一成
51
○井上(一)
委員
いつ厚生省はそういう事実を承知されましたか。これは私が若干質問を事前通告もいたしましたし、厚生省にもこのことについては認識を深めてもらうために、少し情報というのでしょうか、私なりの指摘
事項
は前もって通告はしてありますが、いつごろこのことについては御承知になったのでしょうか。
小林功典
52
○小林(功)政府
委員
この京セラの人工骨の問題は以前からあるのでございますが、それが承認前に販売されたじゃないかということは、実はことしの一月ごろに状況を把握しております。ただ、先生からもお話ございましたので、その点もあわせてさらに調査をしておる段階でございます。
井上一成
53
○井上(一)
委員
実は、私はここに京セラがパンフレットをつくって広告をし、販売をしている、その京セラの一つの広告を持っています。これは生体に埋め込むわけでありますし、こういうものは通常、その材質なりあるいはそれが及ぼすところのいろいろな弊害も含めて事前に厚生省に承認申請をして、承認をとってそれから販売をするわけでありますけれども、この人工ひざ関節、バイオセラム人工骨については、時間がありませんので私の方から若干指摘しますからそれについて答えてもらったらいいですが、
昭和
五十五年から販売をいたしております。大阪のある国立病院で、五十五年に三千万円、五十六年六千五百万円、五十七年に一億一千七百万円、五十八年に一億二千三百万円、五十九年一億三千万円、ざっと五億円弱、一病院にそれだけの販売をしております。そして、これがいろいろと被害を受けたり、あるいは責任問題でいろいろなことがひょっとして起こるかもわかりませんし、そういうことは大変であろうし、あるいはいろいろと良心のとがめがあったのか、五十八年の十一月二十一日に厚生省に承認申請を出しています、五十九年の十二月二十八日に、ひじ、ひざ、肩等の関節用のバイオセラム、人工骨の承認を初めて得たわけなんです。 まず、承認前に販売をしていた事実、これはお認めになりますね。そして、承認をされたのは五十九年十二月二十八日である、このこともお認めになられますね。 さらに、今指摘をしました国立病院が
昭和
五十五年以降購入している事実、これは調査をしなければわからぬと思うのですけれども、私の調査では、大阪のある国立病院がそれだけ購入をしている、こういうことを把握しています。厚生省はいかがでございましょうか。
小林功典
54
○小林(功)政府
委員
第一点の承認前に売っていたという事実でございますが、現在、その詳細につきましては関係の県に調査を頼んでいるところでありますが、ただ、承認前に広告宣伝をし、かつ、メーカーに販売したという事実は承知しております。 それから、承認の日付でございますが、全人工ひざ関節、これは現在、承認申請の準備中と聞いています。今のお話は人工骨だと思いますが、これはおっしゃるとおり、五十九年十二月二十八日に承認されています。
井上一成
55
○井上(一)
委員
それでは、人工骨が五十九年十二月二十八日に承認を受けたわけですね。
小林功典
56
○小林(功)政府
委員
そのとおりでございます。
井上一成
57
○井上(一)
委員
それ以外のものはまだ承認は、申請も出てないし、承認の
対象
にもなっていないということでございますか。
小林功典
58
○小林(功)政府
委員
それ以外と申しますか、京セラは随分いろいろ種類がございますが、その中で、今おっしゃったセラミック人工骨、これはおっしゃるとおり五十九年十二月二十八日承認、それから全人工ひざ関節、先生のお言葉にもあったと思いますが、これはまだ承認がおりておりません。申請準備中であります、
井上一成
59
○井上(一)
委員
私はここにひざ関節のパンフ、これはまだ承認がおりてない。やっと人工骨だけがおりたということ。 それじゃ、いま一点聞いておきたいのですが、承認を得ずに販売広告をし、かつ、販売をすることは薬事法に違反しますね。
小林功典
60
○小林(功)政府
委員
薬事法上の承認を受けないで販売した場合は、当然薬事法違反になります。薬事法の第六十四条違反でございます。
井上一成
61
○井上(一)
委員
今回の京セラのこの私が指摘したことは、明らかに薬事法第六十四条に抵触するわけですね。
小林功典
62
○小林(功)政府
委員
詳細調査中の箇所もございますが、承認前に販売した事実はあると思いますので、そうであれば薬事法違反になります。
井上一成
63
○井上(一)
委員
そうであればなのか。そうであればといって私は今指摘をして、あなたも承認前にこういうのを出して販売をしている事実が、全体は掌握できないけれども部分掌握はしているはずなんだから、そうであればなのか。京セラの行為は薬事法違反であると……。
小林功典
64
○小林(功)政府
委員
薬事法第六十四条違反になります。
井上一成
65
○井上(一)
委員
その六十四条の違反に対しての罰則は、第何条が適用されるのでしょうか。
小林功典
66
○小林(功)政府
委員
第八十四条に
規定
がございまして、無許可品の販売につきましては「三年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金」という
規定
がございます。
井上一成
67
○井上(一)
委員
私は冒頭に、その武器輸出のときに京セラの企業姿勢というものに非常に疑問を感じました。それで一体、京セラという会社はどういうことをやっているんだろうかということを私なりに調査をしました。そうしたらこれが出てきて、薬事法違反だ。通産省で事情聴取を受けて、いろいろ
説明
を、弁解これ努めたそうでございますけれども、全くもってこういう行為をする会社の
報告
なんというのは信用できないこと、私はそのこともやっぱりこれは考えなければならない。こんなこともやっているんですよと、厚生省の
所管
だけれども、通産省にも申し上げておきたいわけであります。 さらに、この薬事法の違反をしてまで京セラがバイオセラム、人工骨を販売をしていたという事実、あるいはそれが罰則八十四条に適応する、薬事法六十四条に反していく、非常にまことにもってけしからぬ話だと思いますし、もう一つ、さっき私が指摘をした、これはまあ一病院のことでございますが、国立てございますので、厚生省がそういう事実関係を知っていらっしゃるのかどうか、そういう情報を得ていらっしゃるのかどうか、このことについてもお答えがなかったので、ひとつ聞いておきたいと思います。
大池眞澄
68
○大池政府
委員
御指摘の件につきましては、京セラの人工骨の購入、
使用
等の状況を早速当該施設に照会いたしましたところ、人工股関節等購入、
使用
している実態があることを承知しているところでございます。
井上一成
69
○井上(一)
委員
私は、これは売り込む京セラの企業姿勢に問題があるんだ、そういう認識、もちろん承認を得ずに売り込むなんというのは薬事法に違反だし、これはもう罰則があるわけなんですが、きょうは厚生大臣も大蔵の連合審査のお忙しい中お越しをいただきましたので、厚生大臣、今お聞きのように、京セラが行っている行為そのものは、あなたの主管で、全くもって法に抵触し、薬事法違反である。そして条文は、先ほどお答えがあったように六十四条に抵触し、罰則八十四条に該当をする。人工関節の品名とかタイプ、単価等、これだけでも四十種類あるのです。こんなことは許せない。こんなあくどい商売というか、こういう法を無視して、生体にかかわる問題ですよ。 そういうことで、京セラの薬事法違反事件について厚生大臣はどうなさるのか。告発をするのか。この薬事法違反について厚生大臣の所見を、京セラのこの行為に対して、今短い時間での質疑ですけれども、どう受けとめてどう対応されようとしていらっしゃるのか、このことだけを大臣からお答えをいただきたい。
増岡博之
70
○増岡国務大臣 ただいまお話を承っておりまして、時代の先端を行く企業がなぜそのような事態になっておるかということを不思議に思うぐらいでございまして、先ほど業務
局長
から
説明
をいたしましたように、現在各県に依頼をいたしまして調査いたしておりますので、その結果を踏まえまして、告発も含め適切な措置をとってまいりたいと思います。
井上一成
71
○井上(一)
委員
念を押すようでございますが、薬事法違反に対しては告発を含めて適切な
処置
をとるということでございますね。
増岡博之
72
○増岡国務大臣 そのとおりでございます。
井上一成
73
○井上(一)
委員
大臣、ありがとうございました。大蔵
委員
会にどうぞ御出席をいただいて結構です。 ここで、警察庁にお聞きしておきたいと思うのです。 今お聞きのように、私と政府
関係者
、大臣との質疑応答でも、薬事法違反に対して告発を含めて適切な
処置
をとる、これはもう大変な問題だと私は思っております。今聞いていただいた短い質疑の間に状況が若干把握していただけたと思いますので、警察庁の対応をここで私は聞いておきたい、こう思います。
上野治男
74
○上野
説明
員 お答えします。 お尋ねの件は、事実関係をまだ十分に承知してないことでございますが、今後強い関心を持って実態の解明に努めてみたいと思います。そして、ただいまも厚生省の大臣等からお話がありましたように、告発があれば当然のこと速やかに捜査をすることはもちろんでございますが、そのほかにも、実態を見て、法令に違反することがあれば厳正に対処してまいりたいと考える次第でございます。
井上一成
75
○井上(一)
委員
さらに二点目に、今度は、京セラがコードレステレホンを生産しているわけなんです。 これは通産省に聞きたいのですが、いつごろから、京セラのどこの工場で生産をして、どういうような販売をいつからしているのか。さらには、その生産をしているのはいわゆる正規の認定を受けたものであるのか、部外品という認定外のものであるのか、そういうこともあわせて聞いておきたいと思います。
島弘志
76
○島
説明
員 お答え申し上げます。 取り急ぎ京セラから事情を聴取いたしましたところ、まず、国内向けに京セラがコードレスボンを生産販売しているということは、御指摘のとおり事実であるということを確認いたしました。 生産開始は五十八年の四月からと聞いておりまして、販売は五十八年の五月、翌月から販売を開始しているようでございます。 販売の台数は、今現在までで約三万一千五百台というふうに申しております。高級機、普及機、標準機等三、四種類のものをつくって販売をしているようでございます。 工場でございますが、神奈川県にございますようですが、玉川事業所、それから北海道の北見工場、この二カ所で生産をしているようでございます。 それから、認定を受けているかどうかということでございますが、電電公社の認定外商品ということを明記して販売をしておるということのようでございます。
井上一成
77
○井上(一)
委員
認定外の商品を売っているわけなんです。 それで、今度は
郵政省
に聞きたいのです。 御承知のように、三月三十一日までは公衆電気通信法、さらには電気通信事業法という法律があって、この法律は私も十分詳細に条文までは把握はいたしておりませんけれども、売る側の責任よりも、あるいは
使用
者側に対する牽制というか、そういうことでこの法律があるわけでありますが、ここに一つ重要な、京セラの「コードレステレホンを販売していく方策」というものが、一九八三年一月十九日に
内部
でつくられているわけなんです。私は全文を申し上げることは時間がありませんが、販売方法として、まずは「訪問販売を主体とする。」さらに「電電公社対策のために機敏な顧客との対応が必要である。」いわゆる電電公社よりも機敏なお客さんに対する対応。さらには、代理店で機器の設置だとか、お客さんからの苦情に対しては対応していかなきゃいけない日その対応のできるメンバーを営業所に置くべきである。特にその中で
使用
法の指導、使い方の指導書、回収、修理の必要性の判断、そういうことのできるメンバーを代理店に置こう。さらに、セールスポイントは、電電公社のプッシュホンを増設するよりも低コストであるのだ。これはもう電電公社のプッシュホン以外のものをそこに接続するということは抵触する、法に反するわけなんですけれども、いわゆる電電公社の電話機で得られない機能が京セラのコードレステレホンにはあるのだ。さらに、電電公社は、こういうことをしたら詐欺まがいの商法で、厳しいようだけれども、
使用
者をだまして、自分は、売った方に法的な責任はない。これはもちろんその中に、機器のトラブルに関しては京セラが絶対責任を持つんだということを明確にしようということも書いてはある、そういうこともはっきりしているんですけれども。だから、そういうことを、いわば
使用
者側が責任をかぶる、あるいは法に抵触するということをわかりながら販売をしている。 このことは、私から言えば、まさに悪徳な商法に入る、いわゆる商業道徳の問題である。あるいは問題としてこんなことがいわゆる郵政事業、電信電話事業の中に入ってくるということは、むしろ正しい、公正な、公平な競争にもならないし、公平、公正あるいは情報の秘密保持、いわば企業経営の姿勢として大変ゆゆしき問題であると私は思うのです。これは、こういうことをやろうとして考えて、こういうことを計画して、そして生産に入って販売をしてきた。 さらに、私は特にこれは申し上げておきたいのは、
内部
でも、こういうことをすれば公衆電気通信法に抵触するであろうということをちゃんとわかっておったので、「電電公社、通産省のトップレベルに当たり、公衆電気通信法の問題の政治的解決を図る。」こういうことが明記されているわけなんです。いわば、そういう問題が起こったら電電公社だとか通産省だとか、これは製品については通産省の
所管
でありますから、そういうところと政治的な話し合いをして問題の解決に当たっていこう、そういうことを言って善良な消費者に対する販売をしてきた。 このことについて
郵政省
はどう受けとめ、どのようにこれを認識し、対応していこうとされるのか。法の問題でいけば、法の運用からいけば
使用
者側に法が適用されるということは私は承知しております。モラルの問題として、あるいは道義的な問題として、あるいは電信電話、そういう事業の問題としてどのようにこれを受けとめられるのか、ひとつ聞いておきたいと思います。
品川萬里
78
○品川
説明
員 お答え申し上げます。 ただいま先生から御指摘のございましたいわゆるコードレス電話につきましては、従来の公衆電気通信法令下においては、利用者がいわゆる自営機器として設置して電話として使うことはできない体制になっておりました。また、四月一日
実施
されました電気通信事業法下におきましても、技術的ないろいろなまだ未開発というところもございまして、いわゆる利用者による自営設置ということは、まだできる状態になっておりません。電電公社あるいは新しいNTTは、そうした設置を断ることができるわけでございます。端的に申し上げまして、自営設置というのができない機器でございます。 したがいまして、今先生がお挙げになったような販売方法ということからしますと、利用者が安心して通信を行うということからしますと、前の公衆電気通信法につきましても、また新しい電気通信事業法につきましても、願うところは、利用者が安心して、そして自由な通信ができるということを願っておるわけでございますから、そういう観点からいたしますと、そのような販売方法は大変いかがなものか、好ましくないというふうに考えるところでございます。 以上でございます。
井上一成
79
○井上(一)
委員
こんないかがわしい商法を私はこのまま放置してはいけない。それでそれぞれ、いわゆる企業の生産等については通産省の
所管
でございますし、今指摘をした
郵政省
の
所管
は
所管
、私は、速やかにその実態調査をし、かつ、公平、公正な行政指導を含めて正しい対応を通産省も
郵政省
もとるべきではないだろうか、こういうふうに思うのです。それぞれの
所管
から決意等を聞かせていただきたい、こう思います。
島弘志
80
○島
説明
員 私どもといたしましても、なお十分な調査をいたしまして、先生の御指摘も踏まえて適切に対処することといたしたい、かように考えます。
品川萬里
81
○品川
説明
員 お答え申し上げます。 私どもといたしましても、利用者の皆さんが安心して通信できるという立場からどのような対処をとるべきか、事実を踏まえまして適切に対処してまいる所存でございます。 以上でございます。
井上一成
82
○井上(一)
委員
私は、まだ続いて質問をいたしますが、運輸大臣の予定で同僚の
中村
先輩にその部分だけ質問を先にしていただくようにいたしまか。
安井吉典
83
○
安井委員長
それでは、井上君の質問は一たん打ち切りまして、次に、
中村
重光君。
中村重光
84
○
中村
(重)
委員
それじゃ、運輸大臣にお尋ねをします。 大臣も御承知のとおりですが、例の軽タク、これは時間の制約があるようですから
意見
は申し上げません。どうも我々としても、法治国家においてでたらめなことは見逃せない、いら立ちもあって、当然と言えば当然だけれども、議員立法でもって、道路運送法の改正で軽タクの違法行為を取り締まるべきである、そういうことで法律案は成立をし、公布されるわけですが、今後の取り締まりの方針、これは警察庁もお見えですから、一応大臣のお答えをまとめてやっていただく意味で、続いてお尋ねをするのです。 陸だけではなくて、海も同じなんです。貨物船で旅客運送をやっているのです、これは十二名以下は荷物について人が乗っていくことはよろしいということになっているんだけれども、十二名や二十名じゃないのです。貨物船に機械も何もづいていない船を引っ張っていく、しかも時間表まで書いてあるんだね。こういったことが長崎県だけではなく、あちらこちらと軽タクと同じようにふえてきている。これをどう取り締まりをするのかということについて、あわせてひとつお答えをいただきたい。 もう一つは、例の瀬渡し船開洋丸の遭難。これも御承知のとおりに客船という取り扱いをしていないわけですから、救命具なんかにいたしましても形式だけですね。もう使い物にならないようなものを積んでいる。これは先ほど申し上げた貨物船の場合も同じなんです。それから、発信装置のSOSの設備ももちろん義務づけられていない。開洋丸がどうして遭難をしたかということについては、これは荒海に、しかも定員をオーバーして無謀な出港をしたということにあるのでしょうけれども、その原因はやはり運輸省の、あるいは海上保安庁の取り締まりが非常に緩慢であるということ。人命というものは一人であっても地球より重いと言われている。だから、小型の遊漁船であるからというようなことで取り締まりを緩やかにしておくということが、今回のような事故が起こったということであります。 したがいまして、大臣も胸を痛めているのだろうと思うんだけれども、今後の取り締まりの方針等について、法整備も必要でありましょうし、それから、申し上げましたように、いろいろと現行法の中においてもやればやれること、それをやっていないということだから、今後はどうするのか、これらの点についてまとめて大臣のお答えをいただきたい。
山下徳夫
85
○山下国務大臣 まず、軽貨物のタクシーの問題でございますけれども、基本的な私どもの理念といたしましては、こういう違法行為を見過ごしておくということは、ますます違法活動がエスカレートいたしまして、基本的に社会秩序を破壊していくという考え方に立っているわけでございます。したがいまして、そういう観点から今回は立法化をお願いしたということでございます。そのことによって、具体的に申し上げますと自動車の
使用
を停止するとか、あるいは従来できなかった一回だけではという問題、反復してこの行為をしなければといったそういう問題を、一回でも取り締まるということでございまして、具体的には、私の不十分な点はまた政府
委員
から御答弁いたしますけれども、とにかく基本的にここできちんとしておかなければますますエスカレートする、そのためにはどうしてもこういう措置をとらなければならぬ、そして、こういう立法措置をとる以上は、法に基づいてびしびしやっていくということでございます。 それから、海の方でございますが、このことにつきましては、先生御指摘のとおり十三人未満、つまり十二人以下はおっしゃるとおりでございます。が、これは既にきちんとした法律があるわけです、船舶安全法によって、これは海の方が非常に人命の危険性が多いということでございまして、むしろおかの場合よりも厳しい罰則になっておりまして、違反した場合には一年以下の懲役あるいは三十万円以下の罰金ということになっておりますので、問題は、これらの法律に基づいて取り締まりを厳格にやるかどうかという問題でございますが、警察等にもお願いいたしまして、おか以上にこれは法に基づいてやっていかなければならぬと思っております。 それから開洋丸の問題、大変どうも痛ましい事故で、御冥福を祈る気持ちでいっぱいでございますが、このことにつきましては、むしろこの実態につきましては政府
委員
の方が適当かと思いますので、政府
委員
から答弁いたさせます。
中村重光
86
○
中村
(重)
委員
政府
委員
には後でお答えいただきます。 今大臣が言われたように海上運送法が適用されるということであれば、これは客船もそういうことになっているんだから。ところが、貨物船は船舶安全法、これでは罰則も問題にならないし、それから、装備の面において海上運送法と船舶安全法では
内容
が違うのです。私が法の整備を含めてということを申し上げたのは、ここに問題があるわけだから法改正も必要になってくるだろうし、現行法の中においてもっと厳しくその取り締まりをやればできる面がある。大臣も、今までは反復であったけれども一発でもやるんだ、そのとおりだと思うのです。それから、タクシーに積めない荷物とは何かという問題等も当然出てくるわけだから、どんなに法律を強化しても、やる気を持ってやらないとこれは問題にならない、こういうことになろうかと思います。その点もひとつ十分お考えおきをいただきたいということを申し上げて、あとは政府
委員
で結構です。
山下徳夫
87
○山下国務大臣 貨物運送法につきましては、実は私も甚だ勉強不足で、政府
委員
から答弁いたさせますが、今の貨物のカテゴリーにつきましては私どもいろいろ論議いたしまして、警察御当局にも、法できちんとしてもらわなければ御迷惑をかけるだろう。御承知のとおり、トランクは貨物であるけれどもハンドバッグはどうだ、男はハンドバッグがなければ万年筆はどうだということになりますと、非常に難しい問題でございますので、法の解釈についてはきちんとしてまいりたいと思っております。
中村重光
88
○
中村
(重)
委員
大臣、結構です。 政府
委員
の答弁は、恐縮ですけれども、井上
委員
の質疑が終わってからにしてください。
安井吉典
89
○
安井委員長
それでは引き続いて、井上一成君。
井上一成
90
○井上(一)
委員
環境庁長官
、さっき私は、日本の先端企業である京セラの行っていること、あるいは企業の
内部
というのでしょうか、体質の一部を指摘して政府にその対応を迫ったわけです。
環境庁長官
は人の健康を守るためにその人生を生き抜かれてきたことについて、これは本当に立派だなと私は思う。今立場は変わって、政治家としてあるいは
環境庁
の長官として、人の健康、そのために何をなすべきかという深い意をさらに固めていらっしゃる、そういうふうに私は受けとめていますし、これからも、あなたの今まで取り組んでこられたその目標、信念を曲げないでぜひひとつ頑張ってほしい、こういうことを最初にお願いをしておきたいと思うのです。 それで、ややもすると企業は利益優先というのでしょうか、そういうことに走って、環境の整備あるいは公害の発生のおそれのあることについて事前予防を十分にしない。このことを
環境庁長官
が行政指導の中で強く指摘をし、またその公害発生源をなくすための努力をしてほしい。特に先端技術、IC関連産業等については、いろいろな薬剤を使っていくわけであります。そういうことについて公害が新しい問題として持ち上がってくるわけであります。 そこで、京セラの工場が公害問題についていかにむとんちゃくであり、いかに放置をし、いかに公害をまき散らしているか、そういう実態を
環境庁
は御存じなんでしょうか、こういうことなんです。私は、京セラのすべての工場を
環境庁
が掌握しているとは思いません。どこかの地域で問題が起こり、そしてそれが
環境庁
と公害問題で強いかかわりがある、京セラの工場の問題で、何か自治体からの相談なりあるいは市民からの訴えなり、
環境庁
に対するそういう声は受けとめていらっしゃるのかどうか、このことをまず聞いておきたいと思います。
佐竹五六
91
○佐竹政府
委員
京セラは本社ほか全国に十一、主要工場を持っておるわけでございますが、これに対して私どもは、水濁法に基づく規制、それから先生から御指摘のございましたような先端産業として特に有機溶剤を多量に
使用
する、かようなことから行政指導をやっておりますが、この二つの面で工場の操業態様について深い関心を持っているわけでございます。ただいま御指摘の点で言えば、特に有機溶剤を多量に
使用
されると想定される九州の三工場、その中でも特に鹿児島県の川内工場については若干問題があるというような
報告
を昨日徴したところでございます。
井上一成
92
○井上(一)
委員
今、川内工場についての話が出ました。京セラの鹿児島川内工場で公害が発生し、居住市民がいろいろと迷惑を受けている、地下水の汚染等影響が出ているのではないだろうか、そういうことなんでございます。 さらに、川内市の公害対策
審議
会が市長に
意見
として具申した中には、京セラの工場の施設の拡充なりあるいは従業員の
増加
に対する宿舎等のこともあるのでしょう、汚水処理施設の
改善
とかあるいは県、市の排水測定結果の水質基準あるいは協定値を上回る値が測定されている、こういうことが書いてある。川内市長から京セラの鹿児島川内工場に公害防止対策についての要請がなされているのです。排水処理体制の早期確立と有機溶剤の悪臭防止対策、こういうことについて私はさっき二点、許可を取らぬ、薬事法に違反をしておる、あるいは電波法、電気通信事業法等にも抵触することがわかりながら販売をしている、こんなことを具体的に事例として出したわけで、厚生大臣は告発を含めて対処したい、こういうことをおっしゃっているのです、 京都の山科にも工場があるわけなんです、ここでは何を生産しているかということは私が申し上げる必要はないわけなんですけれども、京セラは人工宝石も製造しているわけなんです。人工宝石を製造する過程で
使用
するいわゆる溶剤というのでしょうか、酸化クロムを含めてそういう化学物質がどういう反応を起こして、どういう悪影響を及ぼすかということを、私は、やはり
環境庁
はしっかりと把握しなければいけない、こういうふうに思うわけです。 それで、今鹿児島の川内工場についての
報告
なり実情を把握しているか、
環境庁長官
、いかがでしょうか。京セラの工場についての公害発生状況を今日的な取り組みではなく、操業時から含めて徹底的な調査をする必要があるのではないだろうか。川内市でもまだ完全でない。ことし六十年一月にそういう施設を完備しますという約束があったらしいのですけれども、それまでに、本当言えばそれができるまでは、工場の拡充も従業員の宿舎等も含めてやはり汚水処理についてはちゃんと整備してからでないと、操業というか会社の生産を開始してはいけないわけなんです。 だから、山科の工場も含めて、これは大変なことがあるかもわからない。ということは、そういう企業であるということを私はさっきから申し上げているわけなんです。だから、今は完全であったとしてもある時期、本当にそういう処理が完全であったであろうか、そのために下水道が汚染されてはいないだろうか、そのために今発がん性の物質がそこにありはせぬだろうか、私は、やはりそれくらいの危惧を持って、徹底的に京セラのこの各工場についての公害発生源及びその対応を操業時にさかのぼって調査をし、適切な行政指導が必要になるのではないだろうか、こういうふうに思うのですが、長官から、このことについてどのように取り組もうとなさるのか、どういう強い決意を持っていらっしゃるのか、お聞きをしたいと思います。
石本茂
93
○石本国務大臣 お答えをいたしますが、先刻政府
委員
が申しましたように、私どもの序としましては、トリクロロエチレンのような有機溶剤を
使用
しなければできない製品もこの工場の背景の中にあるということは承知をしております。そうした時点におきまして、この問題は監督権といいますか、監督権限を有しております。その地域の県知事とも十分に連携を保ちながら、今後適正に措置してまいりたいというふうに考えております。
井上一成
94
○井上(一)
委員
ということは、
環境庁長官
、私が指摘したように、何も京セラだけという意味ではないのです。すべての企業にそういうことを周知徹底させなければいけないのです。それは誤解のないようにしておいてもらわないと。私は何も京セラだけという——今、京セラの鹿児島の川内工場でも問題が起こっているし、山科でも起こり得る可能性がある。ただ、付近住民は知らなかったかもわからない。そういうことを含めて、私はやはり調査をその各権限を持っている府県段階も含めて、それは協力をいただかなければいけないわけですけれども、やはり行政指導という
環境庁
という立場から、あるいは健康を守るというあなたの生きてこられたその人生観からも、
環境庁長官
、ひとつ私はすべての企業にそうあってほしいのだけれども、とりわけ京セラの企業体質に疑いを持っているので、特に名指しをさしてもらってどうでしょうかと、いろいろたくさん工場がありますから、皆公共下水の完備したところでなく、地下水をやはり飲料水にしているところ、あるいは地下水を何らかの形で生活用水に使っているところが多うございますので、そういう意味でもひとつ十分な調査をすべきではないだろうか、こういうふうに私は思うのですが、いかがでございましょうか。
石本茂
95
○石本国務大臣 先生のお言葉のようにあらゆる事業体につきましてのことになりますが、有機体を使っておりますすべての事業所等につきまして従来もやってきたつもりでございますが、今後精いっぱいに気をつけながら努力をしてまいりたいというふうに思っております。
井上一成
96
○井上(一)
委員
ということは、京セラの各工場に対しての公害問題についての調査に取り組む、こういうことでございますか。
石本茂
97
○石本国務大臣 京セラを含めまして、すべてのそうした工場について十分調査をして、対策をしてまいりたいというふうに考えております。
井上一成
98
○井上(一)
委員
私はもっといろいろと指摘をしたいのでありますけれども、何をおいても京セラの企業体質がこういうことである。だから、
予算
委員
会で指摘をした武器輸出三原則に抵触するあの問題についても、私が指摘をしたことに対する京セラのその反省のない姿勢というのでしょうか、あるいはこれからの企業に対する取り組みというものにきょうもまた私は警鐘を鳴らしたわけであります。関係省庁、通産も郵政も警察庁も厚生省も
環境庁
も、すべてそういう面ではいま一度原点に立ち戻って、先端企業の優秀な大手大企業だという認識でほっておくのではなく、原点に立ち戻って、法の精神、政府の取り組む姿勢、そして通常な社会通念というものを理解をしてもらうようにぜひ今後一層の努力をお願いをして、私の質問を終えたいと思います。
安井吉典
99
○
安井委員長
次に、
中村
重光君。 お約束の時間から先ほどの発言時間を除いた時間、発言を許します。どうぞ。
中村重光
100
○
中村
(重)
委員
政府
委員
のお答えを伺いたいのですが、
委員長
から大分厳しく時間に制約を受けたのですが、きょうは海上保安庁お見えでしょう。十管本部が五十八
年度
中に検挙した海上犯罪数は二千百三十件、その中で二十トン未満、いわゆる瀬渡し船のような船は十九件にすぎない。この数字を見ても、いかに少人数乗って——瀬渡し船なんというのは大概七、八人乗りますから、今回のように二十三人の定員で二十六人、三人オーバー、こういうことはまれです。大型船であれば関心を持つのだろうけれども、小型、少人数乗船ということだから軽く扱ってきたということのあらわれだということも言えるだろうと私は思います。このことも含めて海上保安庁、警察庁、それぞれひとつ取り締まり方針、法の整備の問題を含めてお答えください。
岡田專治
101
○岡田政府
委員
開洋丸事件にかんがみまして、瀬渡し船に対する私どもの安全指導をどのように徹底するかということが重大な問題になっておるわけでございますが、私どもは海上安全の確保ということを任務としておりますことから、当然のことながら、これまでも瀬渡し船事業者に対しましては、いわゆるそれの安全対策連絡協議会というようなものを事実上つくらせまして、その協議会を通じて安全思想の徹底を図る、かような対策を講じてきたところでございます。瀬渡し船の数につきましては、極めて概数でございますが、全国約二千三百隻ほどあるのではないかと思われますが、そのうち約六割につきましてはこのような協議会に参加しておるところでございます。 協議会におきましては、今回の事件の背景になりましたようないわゆる中止基準をどういうふうにつくるか、そしてその中止基準をどうやって守るか、あるいは緊急の場合の通信の連絡方法、あるいはその大前提としての気象、海象状況の的確な把握、このようなことについて、それぞれの地域地域の海象、気象の実情に合わせましたきめの細かいいわゆる安全規約みたいなものを我々が指導しながらつくらせる、かような方途を講じてきたところでございます。 残念ながら、今回の開洋丸は、当該串木野周辺におきまして約十四隻ほど既にこの協議会に参加しておるものがありますが、八隻ほど参加していない船もございまして、実は八隻の中の一つに入っていたわけでございます。何分にも任意の加入でございますので、私どもも今後ますます大いに努力はしなければならないと思いますが、何とかこの四月四日にも再度管区に、関係の部署に通達を出しまして、とにかく一〇〇%を目指して瀬渡し船業者の組織化を図る、こういうことによりまして安全指導を徹底させてまいりたい、かように考えておるところでございます。
中村重光
102
○
中村
(重)
委員
それでは、警察庁もお見えでしょう。それから、先ほど大臣がお答えになったことで、運輸省としてももっと取り締まりの方針等、これは警察が直接は取り締まりをするのだけれども、今度改正になりました法案と従来の法律との取り締まり上の相違といったものを含めてお答えをいただきたいのです。時間の制約があるので、要点をひとつぴしっとお答えを願いたいのです。
服部経治
103
○服部政府
委員
ただいまの先生のお尋ねは、軽貨物タクシー法案の問題であろうかと思いますので、御
説明
をさせていただきますが、御案内のように、軽貨物自動車で旅客を運送する行為というのは明らかに旅客運送行為に当たるわけでございます。これを反復継続いたしまして有償で行いました場合には、無免許でもって旅客運送事業を行ったという形になるわけでございまして、明らかに道路運送法第四条違反ということになるわけでございます。 ところで、従前の道路運送法の体系の中ではそういう行為はどういうふうにとらえられておったかということでございますが、まず、一回限りそういう行為を行いました場合には、それに対する行政処分も罰則の適用もない。それから、四条違反、無免許でやったという反復継続の立証をなし得た場合におきましても、行政処分でこれに対応するという方法がなくて、私どもがその事実を確認いたしまして告発して裁判にかけて罰則の適用を図る、そういう取り締まりの方法しかなかったわけでございます。 そういうことでございますので、非常に取り締まりの実効を欠く実態があったわけでございますが、そういう点にかんがみまして、今回議員立法という形で道路運送法の一部を改正していただきまして、一回限りの違反行為でありましても車両の
使用
停止処分をかけられるし、また罰則の適用もある、さらに無免許でもって四条違反という形で反復継続して行いました場合につきましても重い行政処分がかけられる、こういうふうな対応ができることになりました。 したがいまして、そういう新法の考え方を踏まえまして、軽貨物問題につきましては、私どもこれまで以上に警察当局との連携を密にいたしまして、取り締まり体制の充実を図り、強い姿勢で厳正な対応を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
中村重光
104
○
中村
(重)
委員
船の方もお答えください。貨物船がお客を有償で運んでいる図これは事実だ。時間表までぴしっと書いて、まさに定期船の扱いになっている。なぜ取り締まりをしないのか。
服部経治
105
○服部政府
委員
御指摘のような事態がありますことはまことに残念に思うわけでございますが、今先生御指摘のようなケース、すなわち内航貨物船がその持っております定められました定員の数を超えまして旅客を運送したことが確認された場合につきましては、仮にそれが一回限りの行為でありましても、船舶安全法の
規定
によりまして、これは先ほど大臣も御答弁申し上げましたが、一年以下の懲役または三十万円以下の罰金の適用があるということになっておるところでもございますので、私どもといたしましては、先生御指摘のような実態面の把握にさらに努めまして、今後とも海上保安官署等との連携のもとに取り締まりの厳正を期してまいりたいと考えるものでございます。
中村重光
106
○
中村
(重)
委員
船舶安全法、これも今のような法律の
内容
だから、取り締まりをしようとすればできるのだね。しかし、やはり海上運送法の適用がないと、装備なんかの面において厳しい取り締まりがなかなかできないのではないかと思うのです。しかし、それはできるということであればいいわけだから、それはやってもらいたい、やるべきだということを申し上げておきます。 時間の関係がありますから
環境庁
の関係に移ります。 長崎県の対馬に東邦亜鉛対州鉱山というのがあるのです。これは佐須川と椎根川の流域でカドミウム汚染対策地域として五十八ヘクタール、土壌改良と公害防止事業を
実施
している。五十九年には五・二三ヘクタール解除した。六十年の四月には十九・四五ヘクタール解除している。残りは三十一・二七ヘクタール。これは六十一
年度
末でもって調査を終わり、安全であれば解除するという方針であるわけです。これは安全であればこれでよろしい。それには
異議
はないのです。そこで、安全であるのかどうかということが一点。 もう一つは、人的被害ということです。被害者は、イタイイタイ病として公害病の指定をしてくれと言っている。私は
委員
会で随分質疑をやったし、
環境庁
あるいは厚生省に行って患者の諸君と一緒に話し合いをし、さらにまた、現地まで政府の方で出かけていっていろいろと患者と接触するといったような積極姿勢も見受けられた。ところが、実際はなかなか指定にはならないということなんです。これは腎臓機能障害があることは厚生省も
環境庁
も認めているわけですが、これでは被害者組合も納得しないのですから、今後これらの点についてどう対処していこうとお考えになっておられるのかという点です、
佐竹五六
107
○佐竹政府
委員
前段の対州鉱山の件についてお答えいたします。 御指摘のとおりでございまして、六十一
年度
における解除につきましては、現在のところまず間違いないであろう、かように私ども判断しておるわけでございます。つまり、安全であるという判断が得られるであろうというふうに判断しておるわけでございます。
長谷川慧重
108
○長谷川政府
委員
お答えいたします。 カドミウムの汚染地域におきます健康被害といいますか、健康影響という問題でございますが、これにつきましては、先生御案内のとおり、長崎県におきましても五十一年以降におきまして住民健康調査が行われたわけでございますが、そのときにおきます研究班の調査
報告
によりますれば、カドミウム汚染の有無と腎機能異常との間に関連性が認められた県、長崎県は認められておるわけでございますが、そういう県と認められなかった県があるというぐあいに
報告
されておるところでございます。このように県によりましてカドミウム汚染と腎機能異常との間に関連性があるかないかという点が分かれているところもあるわけでございますので、
環境庁
といたしましては、まずこの腎機能異常がカドミウムと特異的な関係があるのかどうか、この腎機能異常が疾病であるのかどうかという二点について検討する必要があるというぐあいに考えておるところでございまして、こういう面において現在必要な調査研究が行われておる段階でございます。
中村重光
109
○
中村
(重)
委員
これ以上この問題を議論しても、ここでは進展がないだろうと思うのです。随分長い期間を経ているわけだから、私は全くイタイイタイ病との関連なしというようには考えられないのです。しかし、研究班をおつくりになって、地元の大学からも参加してやっているわけですから、それを疑うものではないのですけれども、人の健康と生命に関することですから、被害者組合が十分納得できるような対処の仕方が必要であろうと思いますから、この土壌改良の問題を含めて、大臣も十分関心を持って対処してもらいたいと思います。まだ盛りだくさん申し上げたい、ただしたいこともあるのですが、時間の関係から多く言えないのです。 この下水道
工事
については、環境対策という面から
環境庁
も十分関心を持って対処しておられるのだろうと思うのですが、長崎県の雲仙で特別下水事業というのをやっているのです。もう供用開始をしていい段階になっているのだけれども、地元負担、受益者負担が大きいものだから供用開始が難しい、危ぶまれているという実態にあるのです。このことをお聞きになっていらっしゃるかどうかということと、下水道事業については
環境庁
も十分な関心を持って対処していくということでないと、雲仙のような莫大な金をかけて供用開始ができないというようなことでは、話になりません。そういう点をお答えができればお答えいただきたい。 それから、市町村長なんかからいつも言われることですが、有毒性のある水銀の乾電池が相当放置されている、空き缶もそうなんだけれども、これは自治体に任せておけばいい、いわゆるボランタリー活動というものに任せておけばよろしいのだというように
環境庁
はお考えになっていらっしゃるのかどうか、これらの考え方についてお答えをいただきたい。 それから、合成洗剤の発がんが非常に促進されていますから、これによる環境破壊に対してどう対応していこうとお考えになっておられるのか、その点をただしておきたいと思います。 それから、時間の関係がありますから、難しいことじゃなく常識的なことですから、続いてお尋ねしますからそれぞれお答えください。 食品添加物は子供の健康をむしばむと言ってもいいぐらい健康阻害になっているのです。いわゆる無添加加工食品の生産、加工ということにもっと指導性を持って取り組んでいかなければならないのではなかろうかという感じがいたします。 これらの点についてどうお考えになっていらっしゃるのか、考え方をお聞かせいただきたい。
佐竹五六
110
○佐竹政府
委員
第一点の特環下水道でございますが、先生御指摘の具体的地区については私ども承知しておりませんが、湖沼を初めいわゆる閉鎖性水域の水質浄化のためには、この下水道、特に既成市街地以外のところでやられる下水道については私ども深い関心を持っておるわけでございまして、これが円滑にいくように建設省にもよくお願いしているところでございます。 それから、第二点の水銀の問題でございますが、これは私ども現在非常に危険であるとは判断しておりませんけれども、市町村の長、自治体の皆さんが大変危険性を感じて分別収集等をやり、現在
保管
してお困りになっておるという事実はよく承知しております。これについては廃棄物行政一般と非常に深い関係がございますので、一次的には直接
執行
の責任を持っておる厚生省に対して、できるだけ早く
保管
しておるものの処理方針等も指示すべきではないかということを御相談いたしましたところ、厚生省ではことしの夏ごろまでには生活環境
審議
会で
審議
してそれについて結論を出す、かようなことを聞いておりますので、それを見守りたいと考えております。 それから、合成洗剤の危険性につきましては、これは既に厚生省の方で一応の結論を出しておられ、現在安全であるというふうに私どもは承知しておるわけでございますが、なおその環境影響等につきましては国公研を中心に現在勉強しておるところでございます。 食品添加物の問題につきましては……。
竹中浩治
111
○竹中政府
委員
食品添加物の問題でございますが、私どもこれにつきましては国民が大変大きな関心をお持ちであるということを背景にいたしまして、添加物の指定に当たりましては極めて厳正に、十分安全性について検討いたしました上で指定をし、かつまた、過去に指定しております添加物につきましても、その安全性等について科学の進歩に応じて再点検するという作業を続けておりますので、現在、私どもが指定しておる食品添加物は、定めております
使用
基準の範囲内でお使いいただく限りにおいては人の健康に全く心配がない、私どもそのように考えております。
中村重光
112
○
中村
(重)
委員
話にならない答弁だけれども、科学の進歩というようなことで実際は健康阻害。特に
環境庁長官
は御婦人で、こういう問題には一層の関心をお持ちだろうと思います。したがって、びしびしとこういう問題については対処してもらいたいということを強く求めておきます。 それから、厚生省にカネミ油症裁判のことについて考え方をお聞かせいただきたいのですが、御承知のとおり敗訴することになった。そこで、訴訟に参加をしていない人たち。六百数十名いると思うのです。この参加をしていない人たちは、厚生省が立会人になって協定を結んでいるのです。そして、一時金として百五十万円が交付されているわけです。ところが、今度控訴をすることになった。また相当に時間がかかるだろうと思います。したがって、争いをやめて話し合いによって解決する。これは勝訴した側は七百五十万円ですか、これが仮
執行
によって配分されるという形になっているわけです。ですから、これは控訴をしましても結果は明らかであろうと私は思います、これらの点を基礎にして積極的に話し合いによって解決をする、こういうことで対応されることが国の責任を果たすことにつながっていくのではないかと思います。これをひとつお聞かせいただきたい。
竹中浩治
113
○竹中政府
委員
カネミ油症の患者さんにつきましては、長年にわたって大変御苦労いただいておるわけでございまして、その点につきましては深く御同情を申し上げる次第でございます。 今先生お話しのように、カネミ油症事件の被害者千八百三十三名でございますが、そのうち約三分の一に相当する七百二名の方につきましては裁判に参加をしておられない、このうちの六百五十九名がいわゆる未訴訟派ということでございまして、
昭和
五十三年七月に、鐘淵化学工業、それからカネミ倉庫、その間で確認書並びに覚書が調印をされまして、一時金が支給されておるということでございます。 今先生お話しの国に責任ありという判決が、一陣の二審、三陣の一審と出たわけでございますが、私ども政府といたしましては、裁判所の御判断に不服である、政府部内でいろいろ検討いたしました結果、いずれも上告をいたしておるわけでございます。したがいまして、今の時点で和解をして患者さんの方々にそういった補償金、賠償金といった性格のものをどうこうするということについては、現在私どもといたしましては考えていないわけでございます。 ただ、そういった訴訟の問題、裁判上の問題とは別にいたしまして、例えば油症の治療研究の推進でございますとか、あるいは健康管理の拡充、世帯更生
資金
の特例
貸し付け等
々私ども行政上とり得る措置につきましては、今後とも積極的に講じていきたいというふうに考えているわけでございます。
中村重光
114
○
中村
(重)
委員
また改めてお尋ねをすることにいたします。
会計検査院
にお尋ねをいたしますが、先般の
委員
会で
安井委員長
から指摘がありましたように、この
会計検査院
の
決算
検査
をされるその結果というものが
予算
に反映されなければならない、これは当然なことです。それが、五十六
年度
の
決算
をようやく先般終わった、こんなことでは
予算
に反映するも何もあったものじゃない。
会計検査院
としてももどかしいお気持ちであろうことはよくわかる。総理にそのことを強く指摘しているわけですから、閣議等において十分そのことの趣旨が徹底されるであろうことを私は信ずるものであります。 そこで、
会計検査院
は会計
検査
の結果を
予算
に反映をさせるためにどのような努力をしておられるかという点が一点であります。それから、その
予算
に反映させるためにどのような方法を講じておられるのか、この二点をひとつお聞かせいただきたい。 それから次は、政府関係金融機関、この
貸し付け
に対する
会計検査院
の
検査
、いわゆる肩越し
検査
というものが行われることになる。これに対する翁通達であるとか、あるいは藤森官房副長官のこれに対する通達等も出ているわけですが、ところが、金融機関がこの
検査
に協力をしないというようなことも言われているわけです。これらは詳しく私が承知いたしていることを申し上げたいのですが、もう質疑の時間が終わったということですから、
委員長
からしかられても困りますから改めてお尋ねすることにしますが、ひとつ以上の二点についてお答えをいただきたい。
鎌田英夫
115
○
鎌田会計検査院長
お答え申し上げます。 まず第一点の、
検査
結果が
予算
に反映しているかどうか、どういうふうにしているか、こういうことでございますが、今先生おっしゃいましたように、五十七
年度
決算検査報告
はただいま
審議
が始まるということは、おっしゃるとおり私どもといたしましてはまことにもどかしいと申しますか、そういう意識を持っております。五十七
年度
の
決算検査報告
は、五十八年の十二月には既に
国会
へ提出しているわけでございます。なるべく速やかに御
審議
賜ることが、やはり指摘された官公署、そういったものに対する反省あるいは是正の手段を早くとらせる、こういうことになるかと思います。 反面、私どもといたしましてはそれではどういうふうな努力をしているかと申しますと、やはり一刻も速やかに
検査報告
を
国会
に提出するような努力をするということが第一点でございますと同時に、この
検査
の進行過程において、年に二回大蔵省主計局とは打合会を毎年開催いたしておりまして、気のついた点につきましては大蔵省の見解を聞き、連絡し合って
予算
の編成の資料にしてもらう、こういうような措置を講じているわけでございます。いずれにいたしましても、我々の努力した
検査
の結果というものが
予算
編成に大きな援助といいますか、参考になるということを願っていることは変わりございません。 それから、第二点の肩越し
検査
でございますが、おっしゃいますとおり五十六年の翁通達、そしてことしの二月
内閣
官房から通達が出たわけでございます。本質的に申し上げますと、我々といたしましては、
検査
を完全に行うということのためにはやはり院法改正が必要である。また、五十二年以来十数度にわたる衆参両院の御決議がありました以上は、私どもはこの院法改正をしたいという考え方を変える気は毛頭ないわけでございます。しかし反面、
内閣
の方では、現段階においては院法改正は困難である、こういう御判断に基づきまして、しかし行政指導で協力していきたいということでこういう通達が出たわけでございます。 この通達の効果というものがどの程度であるかということでございますが、二月の通達で、この四月、そろそろ
検査
も始まるわけでございます。その中で必要あらば問題の金融機関に対しましても
検査
に参りまして、そして必要があれば肩越し
検査
に行きたい、こういう考えもあるわけでございます。そのときの協力の度合いというものは、私どもといたしましては、総理大臣、
大蔵大臣
、閣議のお話もございましたように、相当の効果があるというふうに期待しているわけでございます。なければ、また私どもとしては考えを変えていかなければならない、かたい決意を持って対処していくつもりでございます。
中村重光
116
○
中村
(重)
委員
これで終わります。
安井吉典
117
○
安井委員長
次に、
貝沼
次郎君。
貝沼次郎
118
○
貝沼
委員
私は、会計
検査
の強化ということで、二点ばかりお尋ねしたいと思います。 その一点は、
会計検査院
の立場でございますけれども、これは憲法第九十条によって保障されておるわけでありますが、この
会計検査院
の独立性の問題について
検査
院としてはどのように受けとめておられるのか、この点をまず伺っておきたいと思います。
鎌田英夫
119
○
鎌田会計検査院長
会計検査院
の独立性という御質問でございますが、もとより
会計検査院
は、憲法九十条にございますとおり憲法上の機関でございます、そして国の
歳入歳出
の
決算
を
検査
すべしということでございまして、
会計検査院法
によりましてその権限、組織とか、そういったものが
規定
されておるわけでございます。 そして特に特記すべきことは、
会計検査院
は
内閣
に対して独立の地位を有する、こういうことでございます。また、
検査
官以下の人事の問題についても、これは
内閣
の下にない。つまり、任命その地については、
検査
官については
国会
の御同意を得た上で
内閣
が形の上では発令いたしますけれども、一応人事の独立権ということは
検査
官以下確保されているわけでございます。また
財政法
上、
予算
上の問題につきましても独立ということが
規定
されております、そういうようなことで、私どもといたしましては、
検査
院は
内閣
に対して独立、行政府に対して独立、行政機関の一つではあると考えますけれども、行政の
執行
機関たる
内閣
に対しての独立性というものを非常に尊重いたしまして、これは世界各国もそういう形のものが会計
検査
機構としてあるわけでございますが、そういう地位を重大視しながら
検査
に臨んで
検査
院の
意見
を述べる、これは
内閣
に遠慮することなくその
意見
を判断して述べていく、こういう立場でございます。
貝沼次郎
120
○
貝沼
委員
その
内閣
に対しての独立性が、ややもすれば疑われるような事態があるわけでございます。と申しますのは、
決算
の
検査報告
書の提出でございます。これは毎年
会計検査院
の方から提出をしておるわけでありますが、例えば五十二年とか五十三年、五十四年、五十五年、五十六年、五十七年、五十八年とずっと見てまいりますと、例年大体十二月の十日から十四日ぐらいの間に提出がされております。ちなみに五十三年は十四日、五十四年は十日、五十五年は十五日、五十六年は十三日、五十八年は十日、こうなっております。五十七年だけがなぜか十二月二十一日になっております。二十一日で、ずっとおくれております。 なぜこれがおくれたかということにつきましていろいろ言われておるわけでございますけれども、これは衆議院の総選挙のあった年でございます。そしてその衆議院の総選挙のときに、この場合十二月六日の閣議で当時後藤田官房長官は、「「政府に不利な調査結果を選挙中に公表するのは避けてほしい」と各省庁にクギを刺した。」と括弧がついて報道されておりますから、そのままの言葉だろうと思います。こういう影響を受けたのか、十八日の投票でありますから選挙が終わるまでこれが延ばされた、もしこれが事実であるとすれば、
内閣
の意向によって
会計検査院
の
報告
が動かされた。これはただいま御答弁のありました独立性という問題に大きく抵触してくると思いますが、この点はいかがですか。
鎌田英夫
121
○
鎌田会計検査院長
お答え申し上げます。 五十七
年度
の
決算検査報告
が十二月二十一日に総理を経て
国会
へ提出されたというのは事実でございます。これはなぜおくれたかということでございますが、今先生が仰せられましたように
内閣
からの要請があったのか、あるいは官房長官のそういう言明があったからそうしたのかということでございますが、これは我々といたしましてはまことに意外なふうに感ずるわけでございます。独立官庁でございますので、当時
内閣
からはそういう
意見
は聞いておりませんし、またそういう
内閣
官房長官の話があったということは、たしか
検査報告
の
内容
について一斉に新聞記事が出た、その日の新聞で私はそれを見たような記憶がございます。なるほどこういうふうにもとられたのかなと思ったわけでございます。 実は、五十七
年度
がなぜ二十一日になったかということでございますが、これはたまたま、
国会
その他の方から
検査報告
がどうも読みにくいというような御示唆がございまして、では五十七
年度
分からひとつ徹底的にこれを改編していこうという作業をやりまして、五十七
年度
につきましては相当手をかけまして、読みやすく、しかも
説明
を非常に加えたというような作業がございました。事実、ここに五十六
年度
と五十七
年度
、これが五十七
年度
でございます。五十六
年度
はこれでございます。五十六
年度
は三百八十ページぐらいでございます。五十七
年度
が五百四十ページ、約四割の増ページになっております。増ページになったのは、
内容
的にもいろんな指摘
事項
があったわけでございますけれども、それ以上に
内部
を、
検査報告
の
説明
を詳しくしたというようなことがございまして、事務総長官房の当局で作業に非常に時間を要した、こういう事実がございます。 逆に申しますと、私は後で考えたのでございますが、おくれたのが選挙のおかげで提出がおくれてもそうおかしくなかったというふうに
説明
できるかな、こういうふうに感じたぐらいでございまして、決して先生が先ほどおっしゃいましたような、外部的な要因によって操作した、こういうことではないということを御了解いただきたいと思います。
貝沼次郎
122
○
貝沼
委員
時間がもうなくなっちゃって、私は今のはどうも余り納得いかないのですけれども、それならそれで、
検査
院というのは権威を保つことは非常に大事なわけでありますから、そういう記事に触れておりながらなぜ沈黙をしておったのかということです。そうでないならそうでないように、そこではっきりと何か物を言うべきではなかったのですか。ただ言われっ放しというのは、これはある意味では認めたのかなというふうに勘ぐられてもいたし方ないわけであります。これは
検査
院の権威という問題になると重大でありますから、やはりそういうときには何か発言をすべきであったと考えます。ところが、それがなかったということは、今の
説明
では納得いかない面がありますので、今後はそういうことのないようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
鎌田英夫
123
○
鎌田会計検査院長
お答え申し上げます。 先ほども申し上げましたように、
検査報告
の
内容
が新聞に出たときに、たしか一つだけの新聞で私、見たように思います。したがいまして、これが一般的にそうとられているというような意識は当時全然持っておらなかったので、むしろこういう見方もあるのかなという程度にしか感じなかったわけでございます。したがいまして、あえて外へ弁明するとか抗議するというようなことはしなかったわけでございます。 どちらかといいますと、
会計検査院
というのは沈黙を守る方が多い役所でございまして、余り積極的にPRする立場にないのではないか、何かお尋ねがあれば
説明
をする、こういう立場で終始してきたわけでございますが、どうも先生のおっしゃるようなことも考えますと、これから少し声明といいますか、PRといいますか、そういうような機会も持った方がいいような感じもいたします。
貝沼次郎
124
○
貝沼
委員
予鈴が鳴ってきましたけれども、もう一点だけ。 本日のこの
概要説明
でも、ずっと見ていきますと
不当事項
というのが出てきます。これは条文のよりどころは記載されておりません。それで、ほかのものは全部院法第何条によりというふうにちゃんと記載されております。ところが、この
不当事項
は、私が言うまでもなく院法第二十九条の問題ですね。そうしてこの中には、「法律、政令若しくは
予算
に違反し」、ここの部分が一つと、「又は不当と認めた
事項
」、こういうふうになっておるわけでございます。 ところが、この条文にある不当という言葉と
不当事項
の不当という言葉は意味が違ってきております。この点を明らかにしない
概要説明
というものは、非常に紛らわしいものになってくると私は思います。不当というのは、法律あるいは政令に違反しないまでもいろいろ問題があるという部分が多いでしょうから、その不当という言葉を中心にして
不当事項
でまとめてしまっておるということは、各省庁に対してちょっと遠慮した形の表示になっておるのではないかという気がいたしますが、これはなぜこういうふうにしなければならないのですか、その点をお伺いいたします。
鎌田英夫
125
○
鎌田会計検査院長
院法第二十九条の
規定
でございますが、確かに先生のおっしゃるとおり、「法律、政令若しくは
予算
に違反し又は不当と認めた
事項
」、こういうことになっております。 ただ、これは今先生に御質問をいただきましてなるほどとちょっと考えたわけでございますが、従来
会計検査院
は、違法であれ
予算
違反であれ、あるいは経済性あるいは効率性、そういった見方から問題を取り上げた場合に、帰結するところは、その額が幾らであるかというところに非常にとらわれる役所でございます。また、その
金額
がちゃんと出なければ批判、指摘しないという、まあ習性と申しますか、そういうならわしになっているわけでございます。我々といたしましては、その不当と言われたことが各官庁にとって一番痛い言葉であるというふうに考えておったわけでございますが、先生のおっしゃるとおり、
予算
違反あるいは法令違反ということをうたって、それに基づいてこうした不当な
金額
であるというような表示をした方がいいのかなというような感じもいたします。 いずれにいたしましても、
昭和
二十年代以降ずっとこういう形で何十年とやってきたわけでございまして、
検査
院の
職員
といたしましては別に不思議に感じてこない、それぞれの指摘
事項
の中でこれこれの法令違反ということが
説明
してあるので、これでいいのだろうと考えておったわけでございますが、そういう御見解もおありということでございますので、来年から、そういうふうにできるものかどうか、前広にひとつ検討させていただきたいと思います。
貝沼次郎
126
○
貝沼
委員
時間が来ましたので終わります。
安井吉典
127
○
安井委員長
この際、休憩いたします。 午前十一時五十四分休憩 ————◇————— 午後二時七分
開議
安井吉典
128
○
安井委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 質疑を続行いたします。斉藤節君。
斉藤節
129
○斉藤(節)
委員
私、公明党の斉藤節でございます。 まず最初に、農耕土壌について、
環境庁
初め厚生省の方々に御答弁願いたいと思っております。 まず最初に、昨年の十一月八日に
環境庁水質保全
局長
名で各都道府県知事にあて、「農用地における土壌中の重金属等の蓄積防止に係る管理基準について」というのが出されております。これは間違いございませんね。
岡崎洋
130
○岡崎政府
委員
大変恐縮でございますが、今、
局長
がこちらに参っている途次でございますので、私は正確に承知しておりませんが、そういう形で各都道府県に連絡を出したことは私も承知しております。
斉藤節
131
○斉藤(節)
委員
この中で、「近年、農用地における地方の増進及び資源の有効利用の観点から、有機性副生物を再生し原料とした資材」というのがございます。この中の「有機性副生物を再生し原料とした資材」、このものは一体どういうものなのか、その辺、定義をしていただきたいと思うのでございますけれども、まだいらしていませんか。——では、来られるまで保留します、これの答弁をいただかないと次の質問ができないものですから。
安井吉典
132
○
安井委員長
ちょっとお待ちください。あと一分ぐらいで参ります。 それでは、再開します。 政府
委員
に申し上げますが、本
会議
が終わったら直ちにというふうに
委員長
は申し上げておりました。本
会議
は予定よりも少し早目に終わりましたけれども、
会議
後直ちにということですから、おくれないように願いたいと思います。 それでは斉藤君、もう一度質問をし直してください。
斉藤節
133
○斉藤(節)
委員
昨年十一月八日付で
環境庁水質保全
局長
名で各都道府県知事あてに、「農用地における土壌中の重金属等の蓄積防止に係る管理基準について」という通達が出されておりますけれども、間違いございませんですね。
佐竹五六
134
○佐竹政府
委員
間違いございません。
斉藤節
135
○斉藤(節)
委員
この文面の最初のところに、「近年、農用地における地方の増進及び資源の有効利用の観点から、有機性副生物を再生し原料とした資材」という文言がございます、この「有機性副生物を再生し原料とした資材」というものについての定義をまず明らかにしていただきたいと思います。どんなものなのか。
佐竹五六
136
○佐竹政府
委員
定義ではございませんが、具体的に私どもが考えている物質を申し上げますと、一つは下水道汚泥、それから都市ごみコンポスト、それからし尿汚泥などを具体的に
対象
として考えているわけでございます。
斉藤節
137
○斉藤(節)
委員
そういうことでありますと、し尿汚泥を中心としたものであるということでございますけれども、同じ十一月に土壌農薬課の「汚泥等の農用地等における利用実態調査結果の
概要
」というのがまた出されております。これによると、汚泥を中心にしたものであるというふうに考えてよろしいわけでございますね。
佐竹五六
138
○佐竹政府
委員
正確な数字自体を今手元に持っておりませんが、下水道汚泥のウエートが非常に高くなるということは間違いございません。 今お話しのございました土壌農薬課の資料によれば利用量の数字も出ておりますけれども、この数字は間違いないと思います。
斉藤節
139
○斉藤(節)
委員
では、まず農水省の方にお伺いしたいのでありますけれども、農水省としてはこの通達についてどのように考えておられるか、お聞きしたいと思います。
管原敏夫
140
○管原
説明
員 お答えいたします。 有機物の適正な施用というものは、農用地の保全、それから農用地の利用という面で非常に重要でございまして、このために下水汚泥等の利用につきましては非常に関心は持っておるわけでございますが、下水汚泥につきましては、肥料効果がある反面、また土壌蓄積性の重金属を含むおそれもございまして、作物生育に対する安全性の面で、無条件でその利用を図っていくということには問題があるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
環境庁
のただいまの通達につきましては、
環境庁
が農用地の土壌の汚染を未然に防ぐという立場から都道府県あてに通達されたものというふうに承知しておりまして、その趣旨については私ども異存ございません。
斉藤節
141
○斉藤(節)
委員
では、厚生省の方にお伺いしたいと思いますけれども、厚生省として、コンポストの
使用
についてはどのように考えておられるか。
加藤三郎
142
○
加藤
説明
員 厚生省といたしましては、し尿汚泥、ごみなどをコンポストなどといたしまして農地に還元いたすことにつきましては、ごみの減量に役立つとか、その結果として処分場の寿命が延びるとか、あるいはごみ等の資源化、有効利用といった観点から、基本的には望ましいものというふうに考えておるわけでございます。 ただ、し尿汚泥等の農地還元は廃棄物処理の一形態でございますので、その
実施
に際しましては、例えば雨による流出でありますとか、愚息の発生でありますとか、あるいは地下水、公共用水系の汚染でありますとか、あるいは作業者の健康影響、それから周辺住民、地域の衛生、そういったものに留意しながら、生活環境の保全に支障のないようにやっていただきたい、こんなふうに考えているわけでございます。
斉藤節
143
○斉藤(節)
委員
これで農水省と厚生省の御
意見
は大体わかったわけでありますが、もし土壌中にそのような重金属などが蓄積するようなことであれば、やはり汚染するという問題がありますので、その辺は私は考えていかなければならぬと思います。 この通達を読んでいきますと、亜鉛について管理基準として出されているわけでありますけれども、これを決定したのはなぜなのか、その辺、明らかにしていただきたいと思います、
佐竹五六
144
○佐竹政府
委員
実は、既に先生御案内のように、最近、特に下水道汚泥等の発生量が増大してまいりまして、これを有効利用するという観点から農地に還元する都道府県等がふえてまいっているわけでございますが、私どもも、ある意味ではこれは非常に望ましいことであるというふうに判断するわけでございますけれども、一方、各都道府県で、重金属等が農用地に蓄積されると、一度蓄積されればこれを取り除くことは非常に大変であるというところから、何らかの施用のメルクマールをつくってほしいという要望がかねて出されていたわけでございます、私どもはそのような要望を受けて、五十六年以降汚泥の農用地等還元問題研究会という私的な諮問機関を設けまして御検討いただいて、五十八年六月に
報告
をいただいたわけでございます、その際、現在の下水道汚泥等の成分、それから自然の土壌における重金属等の自然の賦存量等から見て、亜鉛及び銅を
対象
として当面その施用をコントロールすることが必要であるという御
報告
をいただいておるわけでございます。その
報告
をもとに私ども各省といろいろ検討を進めてまいりまして、その結果、現在の汚泥等の成分の構成、さらに土壌中の自然の賦存量等から見ますと、亜鉛が施用によって最も自然賦存量をオーバーする可能性が高いというようなところから、特に亜鉛を取り上げることとしたわけでございます。
斉藤節
145
○斉藤(節)
委員
今のお話はよくわからないわけでありますけれども、亜鉛を賦存量から決めたということでございますが、このガイドラインによると、亜鉛の量が一二〇ppmだというふうに
規定
しておるわけです。一二〇ppmという値は非常に小さいんじゃないか、小さ過ぎるんじゃないか。自然界でさえも普通三〇から三〇〇ppmぐらいありまして、一二〇ppmといったら相当低い部類に入ると私は思うわけです。一二〇ppmということであれば、それを土壌にコンポストなどで施肥していいというのは、これは使うなということと同じことじゃないかと私は思うわけでございます。そういうことで、この際管理基準を見直していく必要があると思うのでございますが、いかがでございますか。
佐竹五六
146
○佐竹政府
委員
この管理基準を決めるに当たりましては、実際に生育障害等が出る発生値の限界値をとるべきだというようなお考えも確かにあったわけでございまして、私どももいろいろ検討してみたわけでございますけれども、それについては非常にばらつきが多い。またその他のいろいろな条件に左右されるというようなところから、自然賦存量による、つまり天然自然界に現に存在している亜鉛の量程度までは施用していいというようなことを一つのメルクマールにしたわけでございまして、このような場合に、自然賦存量、いわゆるバックグラウンド値を使うというのは一つの考え方であることは、先生もよく御承知いただけるかと思います。 この自然賦存量につきましては、私ども数年間調査をいたしまして、土壌の総体累積度数九五%値をとりまして、それが大体一二〇ppmにおさまったわけでございます。仮に投入量を十アール当たり〇・五トンというふうにいたしますと、現在の平均的な汚泥の中の亜鉛の含有量から
計算
いたしますと年負荷が三・二七%ぐらいになるということでございまして、一二〇ppmという値は自然の賦存量に比べてちょっと低過ぎるのではないか、要するに自然の賦存量と限界値との間の幅が狭いからほとんどやることができないのではないかという御指摘であろうというふうに理解するわけでございますが、今のような
計算
をしていきますと、決してこれが禁止的機能を持つものではないというふうに考えておるわけでございます。 ただ、いずれにいたしましても、これは一応の緩やかな指針でございまして、私どもも今後なお引き続き研究し、勉強していこうという気持ちを持っておることは、ここで申し上げておきたいと思います。
斉藤節
147
○斉藤(節)
委員
では、農水省の方にお伺いしますけれども、この亜鉛の一二〇ppmというガイドラインについてはどのように考えておられますか。
管原敏夫
148
○管原
説明
員 農用地の活用利用という面から、私どもこれで差し支えないだろうというふうに考えております。
斉藤節
149
○斉藤(節)
委員
差し支えないじゃなくて、もっと多くてもいいのじゃないかと思うかどうか、その辺どうですか。
管原敏夫
150
○管原
説明
員 ちょっと言葉が適当でございませんでしたので訂正させていただきますけれども、この程度のところが妥当ではないかというふうに考えております。
斉藤節
151
○斉藤(節)
委員
では、
環境庁
の方にお聞きします。 亜鉛というのは私どもの作物に吸収されて果たして害があるのかないのか、その辺をいろいろ明らかにしていきたいと思うわけでございますけれども、亜鉛というのは申すまでもなく私たちの体になくてはならない金属でございまして、しかも植物も亜鉛がなければ成長しないのですね。例えばここに国立公衆衛生院の山県登さんの「微量元素」という本がありますけれども、これに植物の亜鉛欠乏症ということについて出ております。 土壌中の亜鉛はふつうなら十分のはずであるが、
土地
によって溶脱を激しく受ける場合、あるいは人為的にはリン酸塩および窒素肥料の施用が多すぎる場合に作物の亜鉛欠乏を生ずることがあり、トウモロコシの白芽病、リンゴやナシの小葉病、柑橘類の斑葉病などを起こし、収穫が
減少
したり種子の生育が貧弱になったりする。欠乏のおもな影響はRNAしたがってDNAの生産の妨害にあると考えられている。 こういうことで、植物にも亜鉛はなくてはならないわけです。そういう意味で、亜鉛は多くても害にならないのですね。 いろいろ論文がありますが、農林水産技術
会議
事務局から出された「研究成果92」というのがございます。畑作物に対する亜鉛の吸収、これは私も随分調べたのですけれども、これによりますと、亜鉛では生育障害は見られない、むしろなければ困るということなんです。例えば畑作物のカドミウムと亜鉛の吸収について研究されているわけでありますが、「Cd、Znの添加による生育障害はみられなかった。」ただし「なすのみは、生育が著しく抑制され、畸形果がみられた。」あるいは「ホウレンソウはCd、Zn無添加の場合にもCd、Zn濃度が他の作物より高かった。」しかし成長には影響がなかったということなんでございます。そのほかにも、水稲に対する亜鉛の影響も随分
報告
されております。それによりましても、亜鉛の量というのはそれほど問題にする必要がないと私は思うわけです。 しかし、ここでガイドラインとして亜鉛一二〇ミリグラム・パー・キログラム、つまり一二〇ppmというように決められて、これを受けた都道府県並びに市町村は、亜鉛が悪い金属であるというふうに強く受け取っているわけですね。それで、し尿を改良してつくった堆肥あるいはコンポストといったものを一切
使用
してはならないんだという厳しいあれが出まして、これが非常に使いにくくなっておるという現象が起こっているわけです。そういう点で、亜鉛を指標イオンとして使うということについては非常に誤解を招きやすい。同じ重金属といいましても、亜鉛のような我々の体になくてはならないものもありますし、カドミウム、水銀のようにあってはならないものもあるわけでございますから、このガイドラインはそういう点で適切でなかったのではないかと私は思うのです。改めて質問をいたします。
佐竹五六
152
○佐竹政府
委員
先生はこういう重金属類の分析、その機能等については十分な御認識をお持ちでございまして、私ども、お言葉を返すだけの知識もないわけでございますけれども、ただ、一応私どもの検討の過程では、亜鉛による土壌汚染の事例といたしまして現実に被害が発生している例が、例えば鉱山の周辺でございますと長崎県の対州鉱山周辺あるいは富山県神通川流域、兵庫県生野鉱山周辺等で亜鉛による土壌汚染の例がございます。また製錬所では、群馬県安中、福島県磐梯等で亜鉛の障害が出ておるわけでございます。 さらに私ども、この検討の過程で文献調査等をやったわけでございますけれども、亜鉛濃度と作物の減収量についての相関を調べますと、例えば麦の場合でございましても七七ppmから一〇〇〇ppmの間で非常にばらつきがあるわけでございまして、その点は確かにもうちょっといろいろ調べなければいけないかもしれませんが、コカブ等では三二ppmから一六八ppm、葉菜では七二ppmから三二〇ppmの間で二〇%の減収が生じているというデータがあるわけでございます。もちろん、これは実験条件によって大きな幅があるわけでございますが、このようなところから一応亜鉛濃度一二〇ppmという値を決めたわけでございます。 これを決めるに当たりましては、先ほど申し上げましたように、五十八年六月に先生方から御答申、この一二〇ppmという数字をいただいたわけでございますけれども、さらに
農林水産省
、建設省あるいは都道府県等とも協議いたしまして、通達は昨年の十一月に出したわけでございますが、その間一年以上かけてやったわけでございます。したがいまして、現在、下水道汚泥等の有効利用にこれが非常に支障を及ぼしているということはないのではないかというふうには私どもとしては考えたわけでございますけれども、先生が今御指摘のような事実があるとすれば、我々としてもそのような実態をよく調べて研究してみたい。 いずれにしても、さまざまな条件によっていろいろ変わってくる。確かにおっしゃるように、一二〇ppmをちょっとでも超したらすぐに害が出るというものではございませんので、万一これが画一的な一種の規制値のような形で末端で利用され、汚泥等の有効利用に支障となるということは私どもの本意ではございませんので、その辺の実態を都道府県等を通じてよく調べてみたい、かように考える次第でございます。
斉藤節
153
○斉藤(節)
委員
大変意地悪い言い方になるかもしれませんけれども、そのガイドラインの亜鉛の一二〇ppmをクリアしておればほかの重金属が何ぼあってもいいのだというような解釈をした場合、困るのじゃないかなと私は思うわけです。そのいい例としまして家畜の堆肥、こういったものもかなり農耕土壌に肥料としてまかれているわけでありますけれども、この中に含まれているいろいろの重金属類というのは非常に多いのです。 ここに分析した結果がございますけれども、例えば堆肥の中でも豚のふんをもとにしてつくった堆肥でありますが、これなどは銅が五三四ppmあるのです。亜鉛も五七三ppmです。このように豚のふんでつくった堆肥は、銅とか亜鉛が大変多いわけです。そのほか鉄なども、七六六〇ppmというように非常に高い値を持っております。また、油かすも結構高い値の重金属を含んでおりますけれども、こういうものを規制されないで、ここに出されております、去年十一月に出されましたこのガイドラインというのは、し尿といったものだけを
対象
にしているということは少し問題があるのじゃないかなと私は思うわけです。それだったら、豚のふんからつくった堆肥だとか生ふんをもとにしてつくった堆肥だとか、こういうものも当然規制されなければならないのじゃないか。確かに使う量が違いますよと言われるかもしれませんけれども、しかし使う量はそんなに変わらないと私は思っているわけです。その辺どのようにお考えになりますか。
佐竹五六
154
○佐竹政府
委員
基本的な問題といたしまして、下水道汚泥等の場合には、これは終末処理場の性格にもよるんだろうと思いますけれども、工場排水等のウエートが高い場合には施用にかなり注意しなければならない。それから一般の家畜のし尿等による堆肥等について言えば、従来農家がその由来等についても経験的にある程度知識を持っているわけでございまして、そういうところから肥料としても特殊肥料というような扱いを受けている場合もかなりあるわけでございます。 ただし、最近は豚ぶん等につきましても、飼料の中にその生育を促進というような意味で硫酸銅等を入れている例があるようでございまして、この点が実は私どもがこの通達を出すに当たっての一つの問題点でございまして、御指摘のように汚泥だけを差別する、規制するというのは基本的におかしいわけでございます。この点は私どもも農水省に対して申し入れ、畜産局から五十九年十一月十三日付で、「銅、亜鉛等を含有する飼料の取扱いについて」ということで、指導通達を出していただいているわけでございます。 そのような意味で、私ども決して汚泥だけを何か特別に規制しようなどということを考えているわけではございませんので、今後も、御指摘の家畜ふん尿の農地への施用についても、それによる重金属等の蓄積が果たしてあるのかないのかというようなこともチェックしてまいりたい、かように考えているわけでございます。
斉藤節
155
○斉藤(節)
委員
時間もだんだんなくなってきましたし、次のテーマがありますので、これは余り突っ込んでいけないわけでありますからまた別な機会にやりたいと思いますけれども、この通達の中でちょっと御検討願いたいと思うことがあるので、これは提案なんでございますけれども、やっていただきたいと思うわけです。 このガイドラインの三番目に、「管理基準に係る亜鉛の測定の方法は、表層土壌について強酸分解法により分解し、原子吸光光度法によるものとする。」こう書いてあるのですね。強酸分解というと、私たち常識的に考えて過塩素酸分解をやるのだと思うのです。 私がここでちょっと疑問に思いますのは、作物はいろいろありますから種類によりますけれども、亜鉛を吸収、あるいは水銀でも何でも同じでありますけれども、根から重金属を吸い上げる、その場合は化学形が随分大きく問題になるだろうと思うのです。いわゆる根から吸いやすい状態のものと吸い上げられにくい形があるわけです。試験の論文なんかを見ますと、ポット試験では、例えば亜鉛でしたら塩化亜鉛というような形で水溶液で加えているわけです。こういうような場合には非常に根から吸い上げられやすいと思うのです。しかし、土壌中における亜鉛の化学形態というのはいろいろあると思うのです。過塩素酸という強酸でもって分解しますと、いわゆるトータル亜鉛が出るわけです。亜鉛が全部溶けてしまうわけです。しかし、根から吸い上げられる亜鉛かどうか、わからないわけです。 そういう意味で、分析法にもいろいろあります。例えば酢酸ソーダでもって溶出するとか、いろいろな方法があるわけでありますけれども、どのような形の亜鉛が根から吸収されやすいのか、その辺を公害研究所あたりでぜひやってもらいたいと思うわけです。公害研究所のこの論文を見ますと、そういったことをやっておりませんし、また何かあいまいな、例えば重金属の影響も、砒素が存在する場合についてのみやっているというようなことで、砒素は土壌にそんなに多く存在するというようなことは余りないわけでありますから、そういう点でこの試験法もひとつ考えていただきたい、これは私の提案でありますけれども、ぜひやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
佐竹五六
156
○佐竹政府
委員
率直に申し上げして、先生の今の御質問に的確に答えるだけの知識がございませんものでございますから……。ただ、この分析方法についても、先ほど申し上げました汚泥の農用地等還元問題研究会の
報告
としていただいた方法を使っておるわけでございまして、それなりの理由はあると思いますので、別途の機会、
国会
の場あるいは別途先生に御
説明
に上がりたいと考えております。
斉藤節
157
○斉藤(節)
委員
私は、公害研究所あたりで、亜鉛とかカドミ、水銀、銅だとか、どういうものが根から吸収されやすいのか、そういう化学形態の研究をやっていただきたいということを要望したいと思いますけれども、よろしくお願いします。 大体、これで堆肥関係の方は終わりまして、残りの時間は酸性雨について御質問申し上げたいと思います。 最近、先進諸国の間では酸性雨の問題だとかあるいは地球的規模の環境問題等に対する関心が非常に高まってきております。このようなことを背景にしてサミットでも環境問題が取り上げられるようになってきております。サミット宣言に環境問題が最初に盛り込まれましたのは、一九八一年のオタワ・サミットからであるわけでありますけれども、その後、ベルサイユ、ウィリアムズバーグ、それからロンドン・サミットなどを通じて、宣言文の中に何らかの形で環境問題について記述がなされておるわけでございます。ことしの六月に行われる予定になっております西ドイツのボン・サミットでは、我が国として環境問題についてはどのような態度で臨むのか、その辺、長官にお尋ねしたいと思います。
石本茂
158
○石本国務大臣 お答えいたします。 ただいま先生申されましたように、近年、オタワ・サミットですとかベルサイユ・サミットとかあるいはロンドン・サミットなどで環境問題が取り上げられるようになってきました。ボン・サミットで何を検討するかにつきましては、現在西ドイツを中心に各国首脳の意向を受けた個人代表が検討しているところでございまして、現時点では決まっていないと聞いております。 環境問題は非常に重要な問題でございますし、国際的なレベルでその取り組みが検討されることは大変望ましいことでございますし、今先生の申しておられます酸性雨の問題、これはヨーロッパでは大きな問題になっております。アメリカでも問題になっております。多分取り上げられて検討されるものだと考えております。
斉藤節
159
○斉藤(節)
委員
我が国として、このサミットに環境問題について積極的に提案か何かされる予定ですか。
石本茂
160
○石本国務大臣 さっき申しましたように、我が国としてはどれとどれというふうに今まだそこまでいっておりませんが、検討中でございますので、いずれ御
報告
できると思います。
斉藤節
161
○斉藤(節)
委員
酸性雨問題についてこれから質問いたしますけれども、これは我が国は余り顕著ではない、顕現されておりませんけれども、ヨーロッパなどでは非常に大きな問題になっております。そういう点で、酸性雨問題についてぜひともサミットで取り上げられるような方向にやっていただきたいと思うのですけれども、いかがでございますか。
岡崎洋
162
○岡崎政府
委員
先生おっしゃいますように、酸性雨は各国で大変大きな問題になっておりまして、サミットという場のみならずOECDあるいは国連、いろいろな国際的な場で勉強しております。サミットでどういう形でこの問題に取り組むかは、まだ私どもも十分その議論に参加しておりませんけれども、そういった問題意識も踏まえまして私どもとしては対応してまいりたい、かように思っております。
斉藤節
163
○斉藤(節)
委員
酸性雨という言葉は最近使われている。アシッドレーンというわけですけれども、雨水の酸性化を決めるものは何であるか、その辺、どのように
環境庁
では考えておられるのでしょうか。
杉戸大作
164
○杉戸
説明
員 お答え申し上げます。 酸性雨の生成のメカニズムと申しますと、これは定性的には、火山活動を除きますと主として工場とか自動車、航空機、そういったところから排出されます二酸化硫黄あるいは二酸化窒素などが大気中で移送、拡散される間に、オゾンなどによりまして酸化反応いたしまして、硫酸イオンだとか硝酸イオンといったものに変換されまして、そしてそれが雲とか霧の粒子中に捕捉され溶解されて、あるいは直接雨水の中へ溶解、捕捉された結果雨水が酸性化される、そのようなことかと存じておりますが、先生御指摘のように、この生成のメカニズムにつきましては世界的にもまだ十分に解明されていない、そのようなことでございます。
斉藤節
165
○斉藤(節)
委員
私どもが蒸留水をつくる場合、空気中の炭酸ガスがありますから、普通関が大体五・七、pH七が中性でありますから、当然水というのは中性であるはずですけれども、空気中の炭酸ガスを吸って普通そのくらいの酸性度を持っているわけですが、さらにそれ以下になると酸性雨だと言われているようでありますけれども、今お聞きいたしましたら、例えば火山活動でも亜硫酸ガスなどが発生します。しかし、そういったものを考慮してもさらに酸性の雨が降るというようなことがあって、これは我々人間の活動によって起こるものだと思うわけです。そういう点では、SOxのほかにNOxなんか相当問題になっているのじゃないかなと私は思うわけでありますけれども、そのほかアルデヒドなどがあるかと思います。そういう意味でいろいろなものが含まれているわけでありますけれども、最近の酸性化の特徴、昔と大分変わってきているのじゃないかと思うのですが、その辺、御認識があるかどうか、お聞きしたいのです。
杉戸大作
166
○杉戸
説明
員 これはアメリカでの文献でございますが、その一つの測定例といたしまして、最近米国では硫酸イオンがだんだんと
減少
傾向にある、そして硝酸イオンが逆に増大している、そのような
報告
もございます。
環境庁
におきましても、現在国内についての長期モニタリング等を
実施
しておりまして、そのような点についても解明してまいりたいと考えております。
斉藤節
167
○斉藤(節)
委員
確かに、最近アメリカでは硫酸イオンによる酸性よりも硝酸イオンによる酸性の割合がだんだん多くなってきているという
報告
があるようです。私が読んだ論文でも、化石燃料の
使用
によってNOxが
増加
しているからだろうというようなことも書いているわけでございまして、最近の論文では五〇%ぐらい多くなってきているという例が
報告
されております。 我が国での状況はどんなことでございましょうか、今まで起こった事象について御
説明
願いたいと思うのです。
杉戸大作
168
○杉戸
説明
員 我が国におきましては、
昭和
五十
年度
から五十四
年度
にかけまして、関東地方の一都六県で調査を行いました。その結果、初期降雨から三ミリメートルまでの雨水につきましては、pHが三から五というかなり高い酸性度の雨が記録されております。また、
昭和
五十六年の六月には、これは群馬県でございますが、pHが二二八六という高い酸性度を示す雨が観測されております。
斉藤節
169
○斉藤(節)
委員
今御
説明
いただきましたように、我が国ではそういったことでありまして、大体欧米諸国におけるようなそういう湖沼だとかあるいは森林等の生態系に及ぼすような影響は今のところあらわれていないようでありますけれども、しかし、今後被害が顕在化しないという保証はないと私は思うわけでございます。そういう点で、欧米諸国などで問題になっておりますのは森林だとか何かだと私は聞いているわけでありますが、林野庁の方に質問いたしますけれども、酸性雨対策についてはどのように現在考えておられるのか、御
説明
願いたいと思います。
蔵持武夫
170
○蔵持
説明
員 ただいま先生お話がございましたように、我が国におきまして酸性雨による森林被害と思われますものは、現在のところ
報告
がございません。しかしながら、諸外国の被害の状況にかんがみまして、林野庁といたしましては酸性雨につきまして十分関心を払って、それを見守ってまいりたいと考えております。
斉藤節
171
○斉藤(節)
委員
さらに質問申し上げたいのですけれども、酸性雨に対して弱いと考えられる樹木はどういった種類のものがあるのか、その辺、林野庁の方で調べておられるかどうか、
説明
願いたいと思います。
蔵持武夫
172
○蔵持
説明
員 外国の資料によりますと、例えば西ドイツではドイツトウヒ、ヨーロッパモミ、それから広葉樹のブナとかナラ、こういうものに被害が出ておるようでございます。また、アメリカでも一部酸性雨によると思われる被害が出ておりますけれども、これは主にトウヒでございます。そういう樹種が被害を多く受けているという
報告
を受けております。
斉藤節
173
○斉藤(節)
委員
では、そういうブナとかナラという闊葉樹、それからドイツトウヒといえばこれは針葉樹ですけれども、それ以外の針葉樹は大丈夫なんでしょうか。例えば我が国に非常に多い杉だとかヒノキあるいは北海道のエゾマツ、トドマツ、そういったものはどうなんでしょうか。
蔵持武夫
174
○蔵持
説明
員 これはあくまでも推定でございますけれども、例えばドイツトウヒでございますと、同じ属で日本ではエゾマツなどがございます。これはピセアというトウヒ属でございます。それからヨーロッパモミでは、日本で言いますと例えば北海道のトドマツなんかも同じ属でございます。ヨーロッパのブナ、日本のブナ、それほど大差はございません。したがいまして、もし日本に酸性雨によると思われる被害が起きるとすれば、こういうものが懸念の
対象
になるのじゃなかろうかというふうに推定はいたしております。
斉藤節
175
○斉藤(節)
委員
私の時間がなくなってしまったのでちょっと残念なんですけれども、また別な機会に
環境庁
さん初め関係各省庁の方に質問したいと思っておりますけれども、量後に
予算
、これは
決算
の
委員
会でございますのでお聞きしますけれども、公害防止基準設定等対策費というのですか、これは大気汚染防止対策、水質汚濁防止対策、土壌汚染防止及び農薬対策という対策費をずっと見ていきますと、五十六
年度
から六十
年度
まで見ますと一様に
減少
してきているわけですね。 きょうの
報告
を見ますと、何か
予算
案が最初よりもかなりの額が削減されてきているような、
補正
するたびに減ってきているような感じがするわけですけれども、このようなことであっては困るのじゃないかと私は思うのです。大いに獲得していただきまして、今の酸性雨に対しましても、地形によってどんなふうに影響があるのか。例えば奥羽地方とか奈良盆地だとか、そのほかいろいろ場所によって、風の方向あるいは気象条件だとかそういうものによって酸性雨の森林に対する影響もいろいろ違うと思うわけでありますので、今後
環境庁
さんが大いに
予算
を獲得していただいてその辺の調査をやっていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
安井吉典
176
○
安井委員長
次に、玉置一弥君。
玉置一弥
177
○玉置(一)
委員
ようやく
決算
は五十七
年度
に入りまして、我々も
決算
委員
として一生懸命早くやっていきたいと思うので、御答弁の方々もそれぞれ十分なる御答弁をいただきたいと思います。 今回は、
環境庁
並びに
会計検査院
ということでございますけれども、まず、今まで
決算
でいろいろ
意見
が出されまして、また決議を出されたりということがございましたけれども、こういうものがそれぞれ
予算
の中にどういうふうに反映されているのか。そして五十六年から
行政改革
が推進されておりますけれども、我々の目から見て、
行政改革
そのものの効果がどうも余り出てないのではないか、逆に言えば
予算
に生かされていないのではないか、こういうふうな気持ちを持っておりまして、そういう観点からの質問をしていきたいと思います。
会計検査院
、そしてきょうお呼びをいたしております総務庁、それぞれ各省にまたがった監査あるいは
検査
を行うという点で共通点があるわけでございます。そして私たちも、例えば
内閣
委員
会で視察に行った場合に、出先の方々と懇談をする話の中で具体的ないろいろな提言を聞くわけでございます。しかし、ただ聞きおくということに終わってしまっている。こういうことから考えていきますと、それぞれ
会計検査院
の
決算
の
報告
あるいは総務庁が出しております
報告
、こういうものがまさに生かされるルートができていないのではないかと思うわけでございまして、これをより具体的に御
説明
をいただきたいと思います、 まず、横の関連ということで総務庁にお伺いをいたしたいと思います。 今まで各省を横断的に見られ、そして特に行政機能あるいは行政機構というものに対するチェック、監査を行ってきたということでございますけれども、これをどういうふうに
報告
され、また今までどういうふうにそれぞれの分野で生かされてきたか、これについてお伺いしたいと思います。
塩路耕次
178
○塩路
説明
員 御
説明
申し上げます。 先生からお話ございましたように、私ども
行政改革
ということに特に最近力を入れて行政監察を
実施
いたしてきております。その成果を上げるように一生懸命努力をいたしておるところでございますが、私ども監察をいたしました後勧告をどのように実現するかということでございますが、通常、勧告をいたしました後三カ月後に、その勧告に対する回答というものを相手省庁からとっております。そこでかなりの
改善
を見る場合も多いのでございますが、さらに、その回答をもらいました後六カ月後に二度目の回答をとる、こういうふうな仕組みにいたしております。これにつきましては、私ども総務庁設置法の
規定
がございまして、それを根拠としていたしております。 その二回だけでは必ずしも全部が実現するというわけにはまいらないわけでございますが、一応手続的にはその二回をいたしておりまして、さらに必要な場合には、事実上相手省庁からその
実施
状況を聞くというような形でプッシュをする。さらに不足の場合には、推進監察という次の監察を
実施
する。こういうことでもって
内容
実現を期しておるわけでございます。 なお、勧告を
実施
した際の話でございますが、勧告の結果を長官が閣議で発言をされまして、各省庁に御実現方をお願い申し上げるというような形を、特に横割り的なテーマにつきましては
実施
いたしております、 以上でございます。
玉置一弥
179
○玉置(一)
委員
今はまさに法令、省令、政令に定められた範囲のものということに受け取ったわけでございますけれども、私が申しました中で、確かに各省庁に対するいろいろな
意見
、調査結果というものも具体的にいろいろ聞きましたけれども、特にその中で私たちが感じましたのは、自分たちの権限外のことに関しての横断的な目というもので比較をされる、そういうことから、非常にそのものに染まり切ってない
意見
が出てきている。言い方をかえれば、非常に公平な見方で見た
意見
というものが出てきている。これは、ただ権限外ということでございまして、確かに役所の一つのセクションとして発言することはできないというふうに思いますけれども、これについて何らかの形で政府が吸い上げていって、それを今の
行政改革
なりあるいは
予算
の中に生かしていくということをやらなければいけないと思うのですけれども、具体的にそういう動き、今の省令、政令、法律以外の部分の
意見
、これについて、もしそういう話が出てきたときの処理としては、今までどういうふうにされていましたですか。
塩路耕次
180
○塩路
説明
員 御
説明
申し上げます。 先生の今のお話のような直の形で私どもが
実施
しているというふうに申し上げられるかどうかという疑問がございますけれども、私どもといたしましても、監察局が中の監察を担当する者だけの考え方で仕事を進めていっては決していけないだろうというふうに思っておりまして、幾つかの仕事のいたし方をしておるわけでございます。監察テーマを選ぶ場合、あるいは
実施
する場合に、当然学識経験者の方あるいは各省庁の実務家の方に対しまして御
意見
を伺う、これは各省庁の場合もいわゆる行政監察の
対象
というようなことではございませんで、いわゆる一種の有識者のような形でお話を伺うというようなことは随時
実施
いたしております。 それから、これも直のお答えになるかどうかでございますが、例えば私ども、昨年特殊法人の会計基準の標準化という問題に取り組んで勧告をいたしておりますが、その勧告をつくります過程で研究会を開催さしていただきまして、そこには学者あるいは公認会計士の方以外に、必ずしも監査
対象
でない特殊法人の
経理
の担当の責任の方に御参加をいただいて研究会をいたしまして、私どもは勉強さしていただくというようなことをいたしております。 それからまた、やや違う側面でございますが、各省庁の
内部
監察監査機関と連携をいたしていかなければいけない、私どもの見方を広げていかなきゃいけないという意味合いにおきまして、連携をとるというようなことも努力をいたしておりまして、一つの小さな努力かもわかりませんが、そういった関係の方々にお集まりいただいて、私どもが主催いたしまして研修をいたすというようなこともございます。 三つ目のやり方といたしましては、私どもの監察を
実施
するに当たりまして、その前に、各省庁自体の方で問題の見直しをされるというような仕組みが、最近閣議決定をベースにいたしましてとられております。附属機関あるいは特殊法人の問題につきまして各省庁みずから、組織なり事業のあり方の見直しをされまして、それをむしろベースにして私どもが横から
改善
を促進するというような監察を
実施
するというようないたし方をいたしておるわけでございます。 先生のお話の直の形ではございませんけれども、今申し上げましたようなことは、今までに
実施
いたしておるわけでございます、先生のお話を私どもといたしましても謙虚にお伺いさしていただきまして、今後のやり方を考えていきたいと思っております。
玉置一弥
181
○玉置(一)
委員
きょうは余り時間がございませんので、ついでに呼んだと言っては変な形ですけれども、
予算
に反映させる、あるいは行政機構の推進という意味で五十六年から行われておりまして、それがそれぞれなかなか効果が出てこない。そして、私たちの目から見て行管庁の
内部
にも非常にいい
意見
があるということ、これが権限外ということでなかなか上に上がってこない。それを、行革推進の責任の省庁としてぜひそういう形をとってほしい、こういう気持ちから申し上げたわけでございます。確かに、学識経験者とかいろいろな
意見
を聞くということは必要でございますけれども、まさに実務をやっておられる方、そして自分の部署のことは言いにくいけれども、やはり横断的に見た公平な
意見
というのがあるわけでございますから、これをぜひ吸収していただくようにお願いを申し上げたいと思います。 一応、総務庁についてはこれで終わりますので、どうぞお帰りください。
会計検査院
にお伺いをしたいと思います。同じような
内容
でございますけれども、
会計検査院
の
報告
がいかに
予算
に生かされていくか、これについての一つのルールといいますか、これをお伺いしたいと思います。
鎌田英夫
182
○
鎌田会計検査院長
会計
検査
の結果がいかに
予算
に生かされるかということでございますが、これは毎年、十一月の末かあるいは十二月に、
決算検査報告
を
内閣
を経由して
国会
へ提出するということでございまして、一年間の成果をその中におさめまして、各省庁あるいは公社、公団、事業団、そういったものに対して指摘したものは、それを申し上げているわけでございます。しかし、これがなかなか、提出いたしまして、また各省庁に配付いたしましても、各省庁では自分の責任分野のものしかごらんにならないというようなこともございまして、同じような問題が各省庁の
所管
の中で出てくるということも過去にございました。私どもといたしましては、そういうことがないように広く、この
検査報告
に盛られたものを他山の石として参考にしていただきたいということを常々申し上げているわけでございまして、
検査
院におきましては、各省庁の監査の分野の人たちを集めまして研修会をやる、あるいは講師を派遣して普及といいますか、そういったことを申し上げてお願いしている、こういうようなことでございます。 それともう一つ、直接的に
予算
に反映するという方法といたしましては、これは毎年大蔵省主計局と年二回
意見
の交換会と申しますか、そういう会合を持っておりまして、私の方は各
所管
の担当の
課長
、主計局の方も各担当の主計官以下の方が来られまして、こういう問題がある、これについて大蔵省はどう思うか、また大蔵省の方では、こういう問題はひとつ
検査
院でじっくり見てほしい、こういうような
意見
の交換がありまして、これがまた
予算
編成のときには大いに役立つ、こういうふうに考えているわけでございます。 卑近な例で申し上げますと、昨年、五十八
年度
の
決算検査報告
で申し上げた例でございますが、これは
農林水産省
の集団育成事業に対する
補助金
、
金額
的にはそう大きな
予算
ではございませんけれども、これを徹底的に見ましたところ、非常にふぐあいがございまして、
検査報告
に載せましたところ、直ちに六十
年度
の
予算
にはこれが計上されなくなった、こういうような事実もあるわけでございます。 なお、私どもといたしましては、そういうふうに直ちに
予算
に反映されるという効果をお願いしつつ、またそれを目途として今後も努力するつもりでおります。
玉置一弥
183
○玉置(一)
委員
今回を見てもわかりますように、
決算
の
審議
というのは非常に遅くなってしまっている。ところが、一向に差し支えないように毎年毎年
予算
は組まれておりまして、確かに
報告
は出ておりますけれども、中身としてまだ承認されたものでもないということになるわけです。 ただ、事務的ないろいろな指摘は早く処理をし、またそれを反映するということも大変必要でございますし、逆に、各省ともにそれを受けとめて姿勢を正すということも必要だと思います。しかし、不正以外のことについてやはりもっと突っ込んだ論議がなされ、そして
検査
だけではなく、いろいろな面からのいわゆる
会計検査院
としての持ち味を出していただかなければならないのではないかと思うわけです。というのは、この会計
検査報告
書にもございましたように、いわゆる
検査
の観点というところに書いてありますけれども、適正処理、経済性、効率性、所期の目的との比較、こういう観点で物を見ていこうということ、こういうものから見ていきますと、なかなか
予算
に間に合っていないんじゃないか。というのは、まだまだ目に余るというか、我々がいろいろなところを歩いておりまして、まず
建物
あるいは道路、河川も山へ行くほどかなりぜいたくなものになっているということもありますし、こういう面で見ていきますと、本当にもっと具体的な前向きな
意見
を出された方がいいんじゃないかと思うわけです。 きょう、大蔵省も来ていただいておりますので、大蔵省として、
会計検査院
報告
とまたそれ以外のいろいろな
意見
が出たときに、
予算
にどういう処理をされているのか、あるいはどういう手法で
予算
に組み込まれていくのか、この辺についてお伺いしたいと思います、
西澤裕
184
○西澤
説明
員 御
説明
させていただきます。
決算
の結果を反映するということになりますと、
会計検査院
の指摘
事項
、これはもちろんでございます。これだけではなくて、
国会
の
決算
審査の決議も、それから
決算
の
内容
を見まして
不用
額が出た
経費
、これについては削り込むということもしなければなりません。 これをどのように具体的に反映しているかということを申し上げますと、まず指摘
事項
と
国会
の決議につきましては、その中で
予算
編成に関連する
事項
につきましては関係省庁の御協力を得なければなりませんものですから、協力を得ながらできる限りその
予算
に反映できるように努力をしているわけでございます。 まず、今
検査
院長からもお話がございましたように、
会計検査院
との連絡
会議
は年二回なんですが、最初に八月に
予算
の査定作業に入る前に、四月から
検査
をしてきておられる
検査
院の方々のお話を聞く形で行います。それから、新しい
予算
ができました後、三月には新しい
予算
について反映できたもの、さらには四月からの
検査
のために
予算
の中身を主計局の方から御
説明
申し上げるという形でやらせていただいております。 それから、
会計検査院
の指摘
事項
の周知徹底については、再発防止ということを十分考えながら、しかもそれを
予算
の編成に反映することをお願いする形になりますので、各省庁の
予算
決算
担当者
会議
というものを開きまして、これには実際に実務に携わっている方々に出ていただきまして、これは
会計検査院
の
検査報告
をもう一度大蔵省の方で類例別に編集をし直して、それを各省庁にお渡しをいたしまして、
決算
の事例の起きなかったところについても、同じようなことが起きないように徹底いたしております。 それから、
不用
額が出た
経費
につきましては、これは主計局の
内部
のことになりますが、査定の段階でチェックできますように主計官、主査にその表をお渡しして徹底を図っております。
決算
結果の
予算
への反映というものについては、関係の各省庁に
予算
要求の段階から反映していただくことになると思いますので、これからも工夫を凝らしながらやってまいりたいと思います。
玉置一弥
185
○玉置(一)
委員
大蔵省にいろいろ言いたいことはあるのですけれども、大蔵
委員
会でいろいろ言えると思うので一言だけ……。
不用
額について今までいつも思うのですけれども、
不用
額が出てきたら、今もお話にございましたようにばっさり切るのだということです。ただ、
不用
額というのは逆に言えば、
不用
額を捻出する省庁ほど翌年は優遇すべきだというような見方もあるのじゃないかと思うのです。というのは、本当にいろいろやってみたけれども、やらなくて済んだという見方が一つあります。そういうなぜ
不用
額が出たのかということをよく調査されて、そしてそれこそ翌
年度
の子算に回していただいて、せめて半分くらいはその省庁が自由に使える、そのくらい思い切ったことを大蔵省がやっていただければ、省内での
行政改革
というのはかなり進むのじゃないか。ただ、祭らせたら切られるから今期中に何とか使わなければいけないというのが現状でございますから、それをできるだけ方向転換していただいて、新しい
予算
編成の一つの手法としてぜひ取り入れていただきたい、さように思うわけでございます。それだけ申し上げて、大蔵省についてはこれで終わります。 先ほどもちょっとお話し申し上げましたように、今国の
補助金
が大蔵
委員
会で論議されておりますけれども、この
補助金
を使ってつくられたいろいろな施設が年々非常に豪華になってきている。聞くところによりますと、そのいろいろな施設の利用度がかなり低いということも言われております。先ほどの
検査
のいろいろな観点の中に、経済性、効率性等という話がございましたけれども、これから見ていくと、ただ単に物がうまく条件どおり建てられている、あるいはいろいろな基準に合っているということだけではなくて、本当に要求されたものが活用されているかという状況についてもフォローしていく、こういうことが必要かと思います。そして、場合によっては年々項目を決めてそういう横断的な目で調査をしていくということも必要かと思いますけれども、これについて
会計検査院
はどのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
鎌田英夫
186
○
鎌田会計検査院長
お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、各省庁
所管
のいろいろな施設がございます。そして、これが有効に利用されているかされていないかという問題があるわけでございます。
会計検査院
も、もちろん経済性、効率性あるいは合規性、正確性というような
検査
をすると同時に、やはり費用対効果と申しますか、お金をかけたものが実際に目的どおり有効に使われているかどうか、これは当然見ていかなくてはなりませんし、従来もいろいろな面で見てきて、あるものは
検査報告
にも載せているわけでございます。 ただ、これが各省庁にわたるものを一括して申し上げるということは、なかなか難しい問題がございます。と申しますのも、
検査
の方が各省庁の縦割になって
検査
しているものでございますので、なかなかその点が徹底いたしません。しかし、近時におきましては官房の中にそういう特別のチームを編成いたしまして、各省庁の同じようなものを横断的に見ていく、こういうチームをつくりましていろいろな分野のものを見ております。 先ほどおっしゃいました
補助金
による地方における各種の各省の
所管
に基づく施設が豪華になっていっているのも、
検査
もいたしまして承知いたしております。これも集中的に
検査
したこともあるわけでございますけれども、建設の時期がいろいろずれておりましたり、利用の度合いというものもやはりある程度建設されてからの期間的な猶予を持って見ていかなければならないということで、見た段階で直ちにこれがむだであるというような結論もなかなか出しかねるという現状がございます。しかし、何年か前にありましたもののフォローはもうそろそろやってもいいのじゃないかということでございます。そういう面で、今先生御指摘の各市町村などにおける
補助金
による施設、こういうものは見ていく時期であろうか、こういうふうに存じております。
玉置一弥
187
○玉置(一)
委員
きょうも本
会議
がございましたように、貿易摩擦が最近非常に華やかになってきている。中曽根総理も、海外協力にやはり力を入れていきたいし、また連帯を深めなければ国の安全にもつながらない、こういうふうな姿勢を今打ち出されております。私も、昨年の六月だったと思いますけれども、オーストラリア、ニュージーランド、南太平洋諸国、いろいろ海外援助協力の実態調査ということで行ってまいりまして、そのときに感じましたのは、今
予算
の中でウエートが非常に高まってきて、これからますますその分野が大きくなってくる。まさに数日間でございましたけれども、しかしこの調査をしてみた結果、物は買われているけれども使われていない、こういうものがたくさんある。場合によっては、船からおろされたまま、こん包されて既に半年以上寝てしまっているというものもある。これは冗談がもわかりませんけれども、オペレーターのいない地域にトラクターを出したり、あるいは整備工場の全くないところに自動車を出したりあるいは機械類を出したり、そしてひどい話ですけれども、電気のないところに電気冷蔵庫がある、こんなことがあるということが具体的な例で示されました。 それを見たときに、日本国内のいろいろな会計
検査
については
会計検査院
が行われておりますけれども、海外に出された部分についてどこが責任を持って調査をし、そしていわゆる監査をするかということをちょっと疑問に感じたわけです。この辺について今までどうされていたのか、また、これからどういう対応をしなければいけないのか。 今
国税
庁でもやっておりますように、
国税
庁は、それぞれの大使館に大使館員がおりまして、これは大蔵省から出ておりますけれども、そういう方々が協力をしながら、まさに権限はないけれども調査をするということを具体的にやっております。しかし、
会計検査院
から海外に行かれたと今まで聞いたことはないわけでございますし、また、年間に何回かしか行かれない。そのくらいの回数で本当にそういう
検査
ができるのかという心配もしておりまして、これから新しい対応を考えていかなければいけないと思いますけれども、これについてのお答えをいただきたいと思います。
鎌田英夫
188
○
鎌田会計検査院長
先生御指摘のとおり、海外経済協力あるいは海外援助あるいは技術協力、そういった面で相当の
金額
のものが海外に融資あるいは投下されているわけでございます。これは原資はすべて国民の税金であったり国民の貯金であったりするわけでございます。したがいまして、私どもとしましてもこれに無関心でいるというわけにはいかないわけでございます。したがいまして、これも例えばJICA、国際協力事業団、これの前身である海外移住事業団、こういったものが海外に投資したものについて
昭和
三十数年ごろから現地に行って見るというようなことは始めておるわけでございます。 ただ、これは主権の問題があります。国内の
検査
ということをうたっております
会計検査院法
で、海外の国、外国、主権の及ばない範囲に
検査
という態度で臨むというわけにはやはりまいりません。ただ、海外技術協力にいたしましても援助にいたしましてもいろいろな態様がございまして、政府借款とかそういったものはもうほとんど
検査
という立場はあり得ないだろうというような見解でいたわけですけれども、
昭和
四十年以降数次にわたりまして海外へ行って、直接そういう投資あるいは輸銀の融資あるいは海外経済協力基金の融資、それからJICAの技術援助の実態、こういうようなものを見ておりました。そして、相手国へ行って、こちらの出先の
説明
を聞きながら現場へ行ってみますと、案外十分協力してくれまして、帳簿
検査
というまでにはまいりませんけれども、いかにこちらから出たものが、品物あるいは
建物
あるいは施設、そういったものができているか、有効に使われているかということが
検査
できるわけでございます。 ちなみに、
昭和
五十一年ぐらいから十年ぐらいの調査に参りましたことを申し上げてみますと、五十二年にはインドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、五十三年にはトルコ、イラン、イラク、五十三年にはフィリピン、ビルマ、五十四年にはインドネシア、スリランカ、マレーシア、五十五年にはインドネシア、五十六年にはタイ、マレーシア、シンガポール、五十七年にはインド、スリランカ、インドネシア、五十七年にはブラジル、ペルー、パラグアイ、五十九年、これは去年でございますが、エジプト、ケニア、スーダン、こういったところへ行っていろいろ拝見しているわけでございます。 その結果、やはり先生が先ほどおっしゃいましたような事例がなきにしもあらずということでございます。しかし、これも海外のことで、現地の発展途上国の国柄あるいは技術の程度、そういったような要素もございまして、直接法的に国内におけると同じような論法で是非を言うわけにいかず、それぞれの
所管
の銀行なり事業団あるいは外務省にいろいろ所見を御注意として申し上げている、こういう状況でございます。 かたがた、外務省の方におきましても、外務省の直接借款であるとかJICAあるいは海外経済協力基金の
実施
したものを集大成した経済協力評価
報告
書というようなものが、ことし三月にも第三次分が出ております。私どもはこういうものも参考にして、まだこれからの
検査
と申しますか、調査に対応していかなければならないと思っております。 ただ、結論的に申し上げますと、当初、私どもが海外におけるそういう調査を始めましたころと比べまして、最近は目的がかなり達成されている、こういう印象を持っているということを申し添えまして、答弁を終わります。
玉置一弥
189
○玉置(一)
委員
余り長いので、今後の話を詰めるまでなかなかいけなかったのですけれども、やはり時代が大分変わってきておりまして、海外とのつながりというのはだんだん深くなってくると思うので、それなりの対応をとっていただくようにお願い申し上げたいと思います。 時間があと五分三十秒しかございませんので、一問だけ
環境庁
にお伺いして、終わりたいと思います。 スパイクタイヤの問題がここ一、二年大変話題になったわけでございます。特に寒冷地におきましては、スパイクタイヤ並びにチェーンがなければ車は走ってはいけない、こういう条例がございます。こういう条例を的確に守っておりましたならば、スパイクタイヤによります道路の破損、そこから生じます粉じん、これが公害となってあらわれてきている、こういうことが今社会問題になっております。
環境庁
の方では、
昭和
五十七年、五十八年、五十九年の三年間、スパイクタイヤの公害問題ということで調査をされたということを聞いております。また
環境庁
以外、特に通産省におきましては、スパイクタイヤの低公害化技術に関する研究というものを行っておられるというような話を聞いております。端的に、この問題はこれからどのくらいかかって、これからどうするのかということをお聞きしたい。 片方では、今技術開発をやっておられますけれども、技術開発としてまさに経済性に見合ったものができるのか、また、そのためにはどういう体制をとらなければいけないのか。今までの問題を全部集約してそういう形になるのですけれども、この二点だけお答えをいただいて、終わりたいと思います。
林部弘
190
○林部政府
委員
お答えいたします。 非常に広範な、関係省庁の多い問題でございまして、端的にお答え申し上げるのはなかなか難しいわけでございますが、今までの経緯を申し上げますと、五十八年三月に関係省庁の連絡
会議
というのが発足をいたしております。そして六カ月後の五十八年九月に、私ども
環境庁
から大気保全
局長
名で、関係道府県知事に対しまして、スパイクタイヤの
使用
自粛を中心としました当面の対策をとるように要請をいたしました。その当時は、このような方策を具体的に要綱等に定めておとりになっていたところは、札幌市だけでございましたけれども、現在は、北海道、宮城県など十道県でこの
使用
自粛に関する要綱が制定されまして、具体的な措置がとられております。 また、この要請に続きまして、運輸省、警察庁、建設省の方からも、それぞれ関係機関あるいは関係団体にスパイクタイヤの
使用
自粛に関する協力要請をする旨の通達が出されておる状況でございます。 今の先生の御質問に直接お答えできるような具体的なものとなりますと、これはなかなか難しいのでございますが、技術開発の問題は後ほどそれぞれの関係省の方からお答えがあると思いますが、連絡
会議
の事務局を担当しております
環境庁
といたしましては、各省が十分に連携を保ちながら、現状を少しでも
改善
する方向に進んでまいりたいということで、かなり広範な問題を取り上げていかなければならないのではないかと考えております。
中島邦雄
191
○中島
説明
員 御
説明
申し上げます。 通産省工業技術院といたしましては、五十九
年度
からスパイクタイヤの粉じん公害防止ということで研究を進めておりますが、その
内容
につきましては、水とか雪がないところでスパイクが作動しない、タイヤの中に引っ込む、氷や雪があるようなところでスパイクが作動するような、そういった研究を開始しております。形状記憶合金ですとか温度に敏感な高分子材料、こういったものを使っていこうということでございますが、今先生がおっしゃいましたような経済性の問題、それからその可能性ということについては、現時点ではまだ明確なことはお話しできませんが、一応四年計画ということで研究を進めております。こういった問題については関係省庁の御
意見
等を反映しながら進めていきたい、かように考えております。
玉置一弥
192
○玉置(一)
委員
時間がありませんからもう終わりますが、今のタイヤなんかでも非常に時間がかかるというか、車が発達をしてからこれだけの年数がたっているわけで、ここでまた結論が出ないというのは、これから十年、二十年たっても出ないのじゃないか。今の話でも、雨が降ったときに、水にぬれたら温度が下がりますから、そのときにつめを出して同じ結果になるのじゃないか、そういう心配もするわけです。 ただ、言えることは、
環境庁
の問題ということで、一番
予算
の少ないところがメーンになってやっているわけでございます。他省庁の応援をいただくような形でやっていかないと、いろいろな公害問題というのはなかなかうまくいかないと思いますし、きょう質問しようと思った琵琶湖の問題とか、こういう問題も
環境庁
以外、通産省、建設省あるいは農林省とそれぞれ絡んでくる問題でございまして、そういう面で、
予算
がないかわりによそが動くようなことでやっていただきたい、ぜひそういうふうなことで、これからの
環境庁
の活躍を期待いたしまして、終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
安井吉典
193
○
安井委員長
次に、
中川利三郎
君。
中川利三郎
194
○中川(利)
委員
まず初めに
環境庁長官
にお聞きいたします。 ことしは国際森林年でございますが、担当省庁は林野庁だということは承知しておってお聞きするのでありますが、地球的規模で森林の消滅と荒廃がどんどん進んでいることに対しまして、国連食糧農業機関。つまりFAOの
理事
会が昨年十一月に、人間社会は、世界の森林資源に対するこれ以上の
損害
とその荒廃を容認することはできない、こういう趣旨で国際森林年が設定されたものだというふうに聞いているわけでありますが、あなたは自然環境保全についての最高の責任者でございますので、本年のこの国際森林年に対する御所見を、簡単で結構ですからひとつお話しいただきたいと思うのです。
石本茂
195
○石本国務大臣 お答えをいたします。 お話のありました昨年十一月のFAOの
理事
会におきまして、すべての加盟国に対しまして、一九八五年には森林というものについて特に注意を払うこと、それぞれの森林資源の保全を国家的、世界的な問題としてとらえることなどを要請するとの決議があったことは承知いたしております。
中川利三郎
196
○中川(利)
委員
続いて林野庁にお聞きするのでありますが、坂田道太衆議院議長を会長とする国土緑化推進
委員
会が、先ごろ、国民共通の
財産
である森林が危機に直面しているとして、二十一世紀森林
委員
会、みどり
委員
会を発足させました。また同時に、林野庁の方でも、この四月二十六日には、東京の高尾山の国有林野の中で、駐日外交官だとか在日外国人留学生、児童らを参加させまして、国際森林年記念の森造成記念植樹祭を行うなどということが計画されています。結局こうしたことは、森林自然をその環境とともに守っていこうという実践、PRの一環であると思いますが、いかがですか。一言でお答えください。
田代太志
197
○田代
説明
員 国際森林年の関係につきましては、先生のおっしゃるような趣旨でやっております。
中川利三郎
198
○中川(利)
委員
それでは、以上を踏まえまして本題に入らせていただきたいのであります。 御承知かと思いますが、秋田県の八森町と青森県の西目屋村を結ぶ県境、白神山系の尾根、約千メートルの高い地帯、そこを走る山岳道路、つまり秋田と青森をつなぐ青秋林道は
昭和
五十七年から
工事
が始まり、現在総延長二十九キロのうち五・六キロの進捗状態となっております。 問題のブナの原生林のある国有林
工事
はいよいよこれから始まる、こういう段階でございますが、この林道沿線は、我が国では面としては最大の、しかも唯一と言われる一万三千ヘクタールにも及ぶブナ原生林地帯でございまして、貴重な動植物の豊庫であり、かつ、周りの町村の水源地であり、山菜等の生活林としても大きな役割を果たしているわけであります。このため、青秋林道をめぐる問題につきましては、衆議院でも参議院でもしばしば取り上げられまして、参議院では中曽根総理も答弁をしておる事実もございます。また、林野庁や
環境庁
も、さらには事業主体となる秋田県、青森県もこれまでそれぞれ独自に調査を行っておりますし、また日本の自然保護団体でも当面する最大の関心事としてその成り行きを見守っているわけであります。また、五月のゴールデンウイークには、朝日新聞の本多勝一さんなんかも現地を見にいくという情報も入っておるわけであります。 ところで、私は昨年の六月六日でございましたが、現地の営林局や著や、あるいは町村の方々、県の林務部長さん、皆さんの御協力を得ながら、秋田県側である藤里町側と八森側の両方から現地視察をしたのでございますが、初めの藤里側を入ったとき、大滝林道というところから奥深く入っていきましたら、いきなりがけのところからべろっと、秋田弁ではべろっとというのですが、カモシカが二頭ばったり目の前に出くわしまして、私もびっくりしたが向こうもびっくりして、やはり自然だなと思ったのですね。ちょうど連れの方がはっとしてすぐそれを写真に写して、私にとっては貴重な自然のカモシカの写真を振らせていただくことができましたし、また、これからお話しする白神山地の原生林、まさにすばらしい風景でありまして、後ほど皆さんに見せてやっていただきたいと思います。 そういうことで、まず
環境庁
にお聞きしたいのでありますが、この問題では秋田県でも、先ほど申し上げましたとおり五十九、六十
年度
、まず地質だとか動物、植物の専門的な一流の学者、研究家、そういう皆さん方に依頼しまして自然環境調査をやっているわけでありまして、今月中にもその結論が出る予定だ、こういうふうに言われておりますが、昨年の八月ですか、とりあえずの中間
報告
というものが出されておるわけであります。せんだって私、県の自然保護課の責任者のところに行っていろいろお話ししたのですが、今度出る最終のまとめの
報告
もおよそ去年発表された中間
報告
とほとんど違いはない、こういうことをおっしゃっていたわけであります。 「粕毛川源流部自然環境保全調査及び青秋林道に係る自然環境調査の
概要
」という、いろいろな角度から学者、研究家が県の依頼でまとめた最後の「総括」のところに何と書いてあるかというと、時間がございませんからその最後だけ読ませていただきます。「自然は精緻なバランスの上に成り立っており、特に本地域のように自然のままの生態が保たれているところは、できるだけその改変を避けるか、止むを得ない場合であっても自然の保全に十分な配慮のなされることが望まれる。」こういうことで結んでいるのです。このことを
環境庁
は承知していますか。承知しているかいないかで結構ですから、お話しください。
加藤陸美
199
○
加藤
(陸)政府
委員
お答えいたします。 ただいま先生がお読み上げになりました秋田県の行っております調査の中間
報告
ではございますけれども、承知いたしております。
中川利三郎
200
○中川(利)
委員
それでは林野庁にお聞きします。 今申し上げましたように、それぞれの専門家の長期にわたる調査結果は、中間
報告
でもそうなっているのです。最終
報告
も同様の視点に立っているとしたならば、青秋林道のルートなど計画変更ということは当然あり得るものだと思うのですけれども、あり得るのかどうか。望ましくないとか自然をそのままにしてほしいとか、それが結論になっているわけですから。それとも、調査結果がどういう格好で出ても、初めに林道ありきということで、林道を通していくことはそうした調査の影響から全く領域外の問題になっているのかどうか、この点について林野庁からはっきりお答えいただきたいと思うのです。
田代太志
201
○田代
説明
員 青秋林道の開設に当たりましては、
昭和
五十六
年度
に秋田県あるいは青森県が両方で行いました林道のための全体計画調査というものに基づいてやっておるところでございます。その後、今先生おっしゃいましたように県の行っております諸調査があるというふうに聞いておりまして、その結果がわかり、その結果を踏まえまして、施行主体である秋田県あるいは青森県の方が、工種あるいは工法というようなものの重要な
事項
につきまして変更を要するという判断をなさいまして、その結果もし林野庁に対して変更協議を出してこられた場合には、その御意向を尊重しながら検討して適切に対処してまいりたい、このように考えております。
中川利三郎
202
○中川(利)
委員
そうすると、最終的なものが出た場合は十分計画変更もあり得る、こういうことに理解してよろしいですね。
田代太志
203
○田代
説明
員 県が判断して申請してきた場合には、適切に対処してまいりたいと考えております。
中川利三郎
204
○中川(利)
委員
県の林務部では、この問題の重要性にかんがみて、場合によれば路線の工程、工種、工法をこの学術調査の結果を十分考慮に入れるというようなことを言っていますから、そのとおりだろうと思うのです。 そこで、また二、三お聞きしたいことは、今お話ししましたように標高千メートル台の山岳林道を通すということは大きな問題でありますが、林道を通すということは、ただ通すわけじゃありませんね。その後に必ずブナの原生林の伐採という問題が出てくるわけでありまして、それでなければ林道を通した経済的メリットがないということになるわけです。 ところが、御承知かと思いますが、あそこの粕毛川上流一帯あるいはその周辺部は、秋田県の中でも最大の多雨地帯、長雨地帯だ。この前、藤里の町長さん、八森の町長さんと私、現地視察の際お会いしましていろいろ御
意見
を聞いたわけでありますが、藤里の町長さんは、実は自分の町が今の林道計画から除外されておってほっとしておった、ところが、一部が自分の町に入っちゃったというので困ったなと言っているのです。なぜそうなのかというと、この町の上流である今言った粕毛川の源流部、ここで大変なブナの伐採で、
昭和
三十八年大災害に遭っているからなんです。その教訓から、その源流部に素波里ダムというすばらしい景色のいいところでありますが、ここに大きなダムをつくったのですけれども、それでも
昭和
四十七年の大洪水で機能が麻痺になって、現在ダムの半分以上がもう埋没というか山土で埋まってしまって、ダムの寿命さえも半分以上縮まった、こう言って嘆いていらっしゃいました。 また、八森町の町長さんは、今までで最大の水害がこの八森町を三十九年襲った。これは当時皆伐も真っ盛りであったというのですね。それで流域の家が一軒流されちゃった、こういうことを言っておりましたが、今までさえもこういう問題がそういう地域の特性としてあるわけであります。 それに、まさに全国に冠たるというか、もう大変なあの白神山系の高峻な山岳を林道を通すという。しかもその後伐採なんということになった場合、災害の場合の水の問題、山土がどんどんはげていく問題、こういうことに対して当然被害が想定されると思うわけでありますが、そうした面の予測、そうした面での検討が、つまりそのアセスがどのようにやられているか、これは林野庁の方にお聞きしたいと思うわけであります。
田代太志
205
○田代
説明
員 一般に、大きな林道、事業規模が非常に大きいとか、あるいはそのルートが制限林のように自然環境の保全に留意する必要のあるところを通る林道につきましては、あらかじめ環境アセスメントを含みます全体計画というのを立てております。それから、当然関係機関、例えば自然保護の問題でありますと自然保護というようなところの関係部局と調整を図りながら、自然保護、環境保全には十分注意しながら
設計
、施行を行っておるところでございます。 青秋林道につきましても、今お話ございましたように大規模な林道でございますので、事業主体でございます秋田県あるいは青森県側は青森県の両県が地形あるいは地質、それから気象、植生、動物、それから崩壊地とか
土地
の利用状況というようなことにつきましてあらかじめ調査をいたしまして、この林道を開設することによりまして自然環境の保持だとかあるいは国土の保全にどのような影響を与えるかということについて、調査をして行っているところでございます。
中川利三郎
206
○中川(利)
委員
私は一般的なそういうことを聞いているのじゃなしに、ここは長雨、多雨地帯で、当然のことながらその部分に限って、気象という問題も入っておりましたけれども、山土がどう流れるとか雨がどう流れていくとか、災害が起こった場合だれも責任とる人がいないわけですから、そういう点で、あなたはいろいろな面で環境アセスをやった、調整を図っているというようなことを言いますけれども、ついせんだって、あなた方何やってきたかといいますと、秋田県には森吉山というすばらしい山があるのですが、これが今皆さんの手で国有林丸裸になっているのです。鳥海山という山が秋田県と山形県の県境にあるのですが、同じ丸裸です。きょう写真持ってくればよかったのですが、これはあなた方ちゃんとわかっているでしょう。やるときはみんな立派なことを言うのです。 二十年前までは森吉山は、富士山のあの大樹海青木ケ原とまでは言わないけれども、まさに大樹海であったのです。 今は全く赤茶けて、写真見れば何か紅葉の季節を見ているような感じなんですが、紅葉じゃないんだ。赤茶けているのです。そういう状態になっているということです。どうせ裸になったのなら今度は国土計画で会社を引っ張ってきて、そこにスキー場をつくろうかなんということまで言い出してきているのです。だから私はこういうことを念を押すのであって、そういうことを皆さんおっしゃるならば、鳥海山でも森吉山でもこのとおりちゃんとしていますよという一つのものがあるならば僕も納得するのですけれども、そういう一遍のやり方については、私は非常に遺憾だと思うわけであります。後は野となれ山となれというようなやり方ですからね。 結局、おたくは独立採算制ですから、だからやればやりっ放しだ。何でも新しいところへ行って切らなければいけないという格好になっていくわけですね。だから山の林の林野の仕事もなくなって、労働者がともかく大変だということであって、プチの原生林だって、ブナの更新だって本気になってやればちゃんとできるわけです。私は仕事はいっぱいあると思うのです、松でも杉でも手入れがやられていないのが国有林。私のような素人でも秋田へ帰って田舎の方へ行けば、ここが国有林、ここが民有林、すぐわかるのです。手入れが行き届いたのが民有林。ですから、本当にあなた方が真剣に山をやろうとするならば、もっともっと雇用もふえるし、地場の労働もふえていくということを私、確信しているんです。 まあ、そのことを言ってもしようがないわけでありますので、次へ進めさせていただきます。
環境庁
に今度お伺いしますが、御案内だと思いますが、ここには植生だけでもブナを主体にして四百種、今後の調査では五百種になろうという、そういういろいろな植生があるわけですが、とりわけその全体の約二五%が貴重種、遺伝子上も非常に大事なものです。そういう立場から、あの学者の学術調査の中でも、「現状の保全が望ましい。」と。同時に、動物相を見ましても、特殊鳥類、天然記念物のクマゲラの生息だとかイヌワシだとか、いろいろな生息が確認されているわけでありますが、一回破壊されればもう返ってこない自然でありまして、そういう立場から
環境庁
では、どうしてもそこを自然環境保全地域に指定するということは、かねがね、去年の六月二十七日の
国会
でも、その候補地として研究、検討する、こういう答弁をしていらっしゃるのですね。 そこで、もう今月末にも最終
報告
が出ようとしているわけでありますので、当然私は自然環境保全地域指定について早速でも林野と協議すべきだと思うのです。去年の六月段階でもそういう答弁が来ているわけでありますから、その後も含めて、今の現状も含めて、地域指定についてぜひ近々にひとつ林野庁と協議する、この責任ある答弁を、これは
環境庁長官
からお伺いしなければならないと私は思うのですが、お答えいただきたいと思います。
石本茂
207
○石本国務大臣 お答えいたします。 先生のお話をお聞きいたしましたし、また地元などにも、私、全国区でございますものですから行ったこともございますが、この自神山地一帯は我が国固有のブナの原生林でありますし、また貴重な野生動物の生息地としても重要な地域でございます。したがいまして、
環境庁
といたしましては当該地域を自然環境保全地域の検討
対象
地と考えているところでございますが、今後、青森、秋田両県及び関係機関と十分調整を図りながら検討してまいりたいというふうに目下考えているところでございます。
中川利三郎
208
○中川(利)
委員
いや長官、去年の六月二十七日も同じ答弁をしていらっしゃるわけです、候補地として研究、検討すると、今月末には当然のことながら結論が出るんです。ですから、去年も言い、ことしも検討、研究を考えているということ、同じような答弁じゃ私、非常に不満足でありまして、ぜひひとつおやりになっていただきたい、やるべきだ、こう思っているわけでありますが、研究、検討の
対象
とさせてということは、やるということですね。このことをひとつ確認したいと思います。
石本茂
209
○石本国務大臣 ただいま申しましたように、これは
環境庁
だけで決めるわけにまいりませんので、関係当局と積極的な交渉を展開しながら前向きで努力してまいります。
中川利三郎
210
○中川(利)
委員
じゃ、林野庁にお伺いします。 今、
環境庁長官
は前向きに、積極的にやりたい、しかし相手がある。つまり林野庁との協議が調わなければだめですね。そこで考えるならば、林野庁は単に木を伐採するだけが仕事じゃありませんね。治山治水、山を守る、これも林野庁の基本的なお仕事でありますし、やはりこういう国民の世論というと大げさでありますが、今どうなるかというのは大きな問題です。これを一つの行政分野だけの裁量で、おれの方にはこれだけの任務があるから、その中で全部やればそんな自然保護の指定なんて要らないんだというのじゃなくて、やはりチェック・アンド・バランスの機能のためにも、全国民が納得するためにも、当然そういう幅広いチェックのきくやり方をしなければならない。したがって、
環境庁
から積極的にそういう働きかけがあった場合、おたくはそれに対して積極的にこたえていく御意思が今あるかどうか、このことにかかっているんです。皆さんの今までの言い方ややり方が本物がうそなのか、私は一種のリトマス試験紙だと思うのです。そう言えば言い過ぎですけれども、どうかその点について誠意ある回答をいただきたいと思うのです。
小沢普照
211
○小沢
説明
員 ただいま先生おっしゃいましたように、白神山地につきましては、林野庁といたしましてもここの地域につきましては、ブナを主とする広葉樹の天然林でございますけれども、この天然林をめぐりまして地域の林業あるいは林産業の振興の観点からの御要請もございますし、また一方におきましてこのブナの天然林の保護を図れという非常に強い社会的な関心も高まっているということは、私どもよく承知をしているところでございます。そこで、私どもはこの地域につきまして、この森林の取り扱い、今後どのようにすべきであるかということを総合的に考察をしなければならない、こう考えておりまして、この地域につきましては、林野庁といたしましても五十九
年度
から二カ年の計画で調査を
実施
してございます。 ただいまの
環境庁
の方とのお話につきましては、私どもこの総合調査の結果を踏まえる必要もございますけれども、この自然環境保全地域の指定について
環境庁
から具体的な御協議がまたございました時点でこの問題につきまして対応してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
中川利三郎
212
○中川(利)
委員
最後になりますけれども、
環境庁
というのは全く、今こう思っても口出しできない。権限がないのです。自然環境保全整備指定になっていませんから、チェックきかそうったってきかせられないのです。それで、痛しかゆしで
環境庁
は皆さん非常に悩んでいらっしゃると私は思うのです。ですからあなたの方も、基本任務に山を守る問題もある、しかし伐採の問題もある、その矛盾した二つの側面を持ちながら我々の子孫のためにどうしていいものを残していくかということになると思うのです。私は、一本も木を切るななんて、そんなやぼなことを言っているのじゃないのです。そういう点でぜひとも林野庁は
環境庁
の要請にこたえるべきだ、重ねてそのことを申し上げておきます。 時間が参りましたので最後に、六月の十五日と十六日に、日本自然保護協会がブナ原生林の保護基金という、あの先ほどお見せしましたポスター、あれを千円で売って、それで日本のブナを守ろうという運動が今起こっているのです。それで、この六月の十五、十六日、秋田県の文化センターというところで、全国からたくさんのそういう皆さん方が集まってシンポジウムを開くことになっているのです。これについて
環境庁
、林野庁、何かお力添えいただけるかということで皆さん関心をお持ちになっていらっしゃるので、一言ずつお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
加藤陸美
213
○
加藤
(陸)政府
委員
私どもの方から先にお答えさせていただきますが、先生のお話しになりましたシンポジウムの件、承知いたしております。関係の計画を立てておられる方々とも打ち合わせをさせていただいておりますが、前向きに出席の方向でさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
小沢普照
214
○小沢
説明
員 このシンポジウムにつきましては、私ども正式な御要請があった段階で、どのような御協力ができますかどうか、そういうことも含めまして考えさせていただきたいと思っております。
中川利三郎
215
○中川(利)
委員
終わります。
安井吉典
216
○
安井委員長
次回は、来る十九日金曜日午前九時五十分
理事
会、午前十時から
委員
会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時六分散会