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中村(重)
委員 今総理から、情報化時代――犯人の方が情報化時代にマスコミを利用している。警察側はむしろこれを利用していない。それから、完全に犯人は的確
判断、この犯罪を楽しんでいるという感じがしてならないですね。だから、最初申し上げましたように、異常な決意を持って一日も早く犯人逮捕ができるようにやってほしい。同時に、警察官の資質の検査、教育ということは、お答えのとおり対処してもらいたいということを強く要請しておきます。
それから、
委員長から決算
委員会の端的に言えば軽視に対する
指摘があり、総理からもそれぞれお答えがありましたが、官房
長官や総理から、特に閣議等の場合に全閣僚に対して注意を喚起してもらいたい。決算
委員会を盲腸的存在のように考えているのではないか。
委員会がなかなか開けないですよ、
各省大臣だって出てこないのだから。法律がかかっていないのだからということで、なるべく先延ばしばかりしていこうとしている。大体、決算の結果によって
予算の計上ということになっていくのでしょう。こんなでたらめなことではだめなんです。これまた総理は言うまでもなく、官房
長官も
各省大臣に強く注意を喚起するという姿勢を強く望んでおきます。
次に、
予算の計上、また
予算執行の面について何としても不可解なことは、具体的なこととして申し上げなければわかりませんが、例えば諌早湾防災総合干拓
事業、これは
昭和二十八年から国営長崎干拓
事業ということで始まった、二十八年から四十四年まで。当時大蔵
大臣は水田さんだった。三年間も
予算計上しながら
事業の執行ができない。四年目の
予算を計上するなんてことはおかしいからこれは打ち切りなさい。水田さんもそのとおりだというので打ち切ったことがあります。今度は多目的ということで長崎南部総合開発
事業、四十五年から五十七年度です。これも執行できないものだから、今度は諌早湾防災総合干拓
事業ということに変えた。
これは、この前の大水害等から当該地域は水位が高いのですよ。ですから、集中豪雨なんかになると冠水してしまう。これは塩害という形になるのです。そういうことですが、数字を言うと、国営長崎干拓
事業ということで計画をし、南部総合開発
事業ということで多目的に衣がえをしたときに一万ヘクタール、今度防災総合干拓
事業になりましてから三千九百ヘクタールということに農水省は
検討委員会の
検討を待って縮めたのです。それを今度はまた反対があるからといって三千六百八十ヘクタールに変えたのです。
この間、
事業の執行はできないのに国費を幾ら使っているかというと、三十一億四千万円使っているのです。もちろん県が使っているのです。それから、漁民に対しても補償費は幾らということまで決めてしまった。だから、その補償費が入るというので漁民は撤退作戦をとって、別の
事業に変わらなければなりません。漁業ができなくなるわけですから、当然そうせざるを得なかった。ところが、なかなか執行ができないということですね。こんなふざけた話があっていいのだろうかと私は思う。
しかし、これはやめられるかというと、やめられないです。これはやめたらいけないです。これは防災干拓
事業ですから、どうしてもやらなければならない。今三池、稲富両長老代議士が間に入ってあっせんをしているわけです。ところが、どうしても国の方も譲ってもらわなければ、あるいは漁民の方も譲ってもらわなければなかなか調整がつかないだろうというような考え方もあるのです。
微妙な段階ですから、私はその点慎重にこの問題は
質疑をしなければならないのですが、基本的な問題として申し上げるわけです。こういう姿であってはいけないのではないか。だから、総理もそういう基本的な問題としてこれを受けとめてもらわなければならない。これも両代議士があっせんをして、仮に三千六百八十ヘクタールを三千五百くらいでできるのかといったら、これは池をつくらなければなりませんから、水をためなければならないのですから、ぎりぎりのところにあるわけです。そういうような事情も考えなければなりません。
もう
一つ基本的な問題として、私は総理にこの際十分
検討される必要があるのではないかということで申し上げるわけですが、漁業権というのは財産権になっていますね。そうすると、もちろん当該の干拓をする地域の漁民の同意が必要であることは言うまでもありません、漁業権を放棄するのだから。ところが、周辺はどこまで影響があるのかわかりませんけれ
ども、影響があると影響補償というものを出すことになるのでしょうね。ところが、同意を必要とするというところがおかしい。法律的に同意を必要とする根拠があるかといえば、ないのです。ましてや有明海は干拓の歴史ですから、有明海に面するのは、御
承知のとおり佐賀県であり、福岡県であり、熊本県である。干拓をするところとははるかに遠い距離にある。しかし、海はずっとつながっているから影響があるのだ。だから同意を受けなければならないのだ。
そうすると、同意をしなければ、こんなに国費を使い、三十数年間も
調査費をつけ、
事業予算をつけても
事業の執行ができない、こういう姿が適当であるのかどうか。例えば都市計画
事業等は、
承諾をしなくても強制執行をする道があるのです。やっています。ところが、この件については強制執行なんというのはできないのでしょう。そういうことが法律的に明らかではない。そうした基本的な問題、矛盾といったようなものがいろいろあるということをこの際総理は十分考えてもらわなければいけないのではないかと私は思います。
ですからこの件は、国費も三十一億も使い、そしてそういう当該地域の漁民はもう既に撤退している、撤退作戦をとっている、どうにもならぬところまで追い込まれておるという事実があるのにこれができないということになってくると、国政、県政に対する不信感が非常に強くなることは言うまでもありません。今度六十年度は二十億
予算をつけているのですよ。ですから、年度末までにぜひひとつ決着をつけるということはそれを着工できるようにやられる必要があるということで、基本的な問題を含めてひとつ総理の見解を伺ってみたいと思います。