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1985-06-14 第102回国会 衆議院 環境委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年六月十四日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 辻  英雄君    理事 柿澤 弘治君 理事 國場 幸昌君    理事 戸塚 進也君 理事 福島 譲二君    理事 岩垂寿喜男君 理事 和田 貞夫君    理事 大野  潔君 理事 中井  洽君       田村  元君    上野 建一君       竹村 泰子君    中村  茂君       岡本 富夫君    草川 昭三君       永末 英一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石本  茂君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       岡崎  洋君         環境庁企画調整         局長      山崎  圭君         環境庁自然保護         局長      加藤 陸美君         環境庁大気保全         局長      林部  弘君         環境庁水質保全         局長      佐竹 五六君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   安藤 忠夫君         警察庁交通局交         通規制課長   越智 俊典君         環境庁長官官房         参事官     杉戸 大作君         沖縄開発庁振興         局振興第三課長 西田 幸男君         厚生省生活衛生         局水道環境部計         画課長     楠本 欣史君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   加藤 三郎君         厚生省生活衛生         局水道環境部産         業廃棄物対策室         長       伊原 正躬君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    石田  寛君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      松井  司君         通商産業省機械         情報産業局電子         機器課長    島  弘志君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     黒田 直樹君         運輸省運輸政策         局環境課長   染谷 昭夫君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部技術企画課長 福田 安孝君         運輸省貨物流通         局陸上貨物課長 植村 武雄君         運輸省港湾局管         理課長     小池 公隆君         運輸省港湾局建         設課長     森平 倫生君         運輸省航空局飛         行場部長    松村 義弘君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 堀井 修身君         海上保安庁警備         救難部海上公害         課長      栗山 昂久君         海上保安庁警備         救難部航行安全         課長      玉置 佑介君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     長谷川 正君         労働省労働基準         局安全衛生部化         学物質調査課長 冨田 達夫君         建設大臣官房技         術審議官    和田 祐之君         建設省道路局有         料道路課長   駒田 敬一君         建設省道路局国         道第一課長   岡田 哲夫君         建設省道路局道         路防災対策室長 寺田 章次君         建設省道路局道         路環境対策室長 玉田 博亮君         自治大臣官房地         域政策課長   今泉 浩紀君         自治省行政局行         政課長     柳  克樹君         自治省財政局交         付税課長    遠藤 安彦君         消防庁地域防災         課長      石橋 忠雄君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十二日  辞任         補欠選任   草川 昭三君     石田幸四郎君 同日  辞任         補欠選任   石田幸四郎君     草川 昭三君 同月十四日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     上野 建一君   馬場  昇君     竹村 泰子君 同日  辞任         補欠選任   上野建一君      竹内  猛君   竹村 泰子君     馬場  昇君     ――――――――――――― 六月十四日  湖沼環境保全対策の推進に関する陳情書  (第四九七号)  公害健康被害補償法見直し反対に関する陳情  書(第四九八号)  水俣病対策等に関する陳情書  (第四九九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関  する件      ――――◇―――――
  2. 辻英雄

    辻委員長 これより会議を開きます。  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
  3. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 百二国会環境委員会、きょうが最後だそうでございますので、国会を通して私自身も主張をしたり、質問をしたり、提案をしたことなどについて、いわば締めくくるような気持ちを込めて質問をしたいと思うのです。  その前に、例えばナショナルトラストの税制問題とか、あるいはまた私ども要請してきたワシントン条約の国内法問題などを含めて、環境庁として積極的なお取り組みをいただいたことに、この機会をかりてお礼を申し上げたいと思います。  ただ、まだまだたくさん残された問題がございますので、その中から絞って、これは環境庁だけじゃなしに、厚生省からもお越しをいただいておりますが、質問をさせていただきたいと思います。  最初に、厚生省関係になりますが、環境庁にも深いかかわりを持っております乾電池の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  昨年来国会乾電池公害問題というものが取り上げられ、国民的な関心を呼んだことは御存じのとおりでございます。厚生省が、この対策検討するために生活環境審議会の中に適正処理専門委員会というものを設置してこの夏までに検討結果を示すということを公約されてこられました。もう夏です。そういう意味では、さまざまな御努力を積み重ねられる中で一つ方向が出ているというふうに私ども考えますので、この際、検討の経過、そして厚生省としての取り組み状況について、できるだけ詳細にお示しをいただきたいと思います。
  4. 加藤三郎

    加藤説明員 先生お尋ねのように、この廃乾電池によります水銀汚染懸念といいますか、この問題は昭和五十八年の秋ぐらいから出てまいりまして、確かに水銀汚染というものについての懸念はいろいろ出てまいったわけでございます。しかし、現時点で実際に水銀によります環境汚染の問題があるかということについて見てみますと、私どもが得ておりますデータ、あるいは環境庁が得ておるデータ、いずれをとりましても現時点環境汚染による問題はないというふうに理解はいたしておるわけでございます。  しかしながら、将来におきます乾電池使用量の増大、そういったものを考え、さらに環境汚染を未然に防止するというのは非常に重要なことだという観点から、厚生省といたしましては、昨年の一月でございますけれども業界に対しまして水銀使用量の削減あるいは水銀乾電池回収強化といったような措置要請をしてまいったわけでございます。  それと同時に、先生先ほどお触れになりましたように、厚生省にございます生活環境審議会の中に廃棄物部会がありますが、その中のさらに適正処理専門委員会というところにおきまして、使用済み乾電池処理基本的あり方に関する検討を行ってきているわけでございます。この専門委員会は昨年の六月、ちょうど今から一年前に設置をいたしまして、以来鋭意検討を重ねてきておりまして、実は昨日も第十二回目の検討会が開かれてございます。一年に十二回ということでございますので、ほぼ月に一回のペースで、特に最近ではかなり速いペース検討を進めております。  この検討の成果がいつごろまとまるかという点につきましては、実は昨年来この夏にはまとめたいということを申し上げてまいってきているわけでございますが、私、今見ます限りかなり順調に取りまとめが進んでおりまして、大体お約束どおり夏じゅうには専門委員会から答えが出、またそれに基づいて厚生省として必要な対策がとれるものというふうに今考えでございます。
  5. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 答申の前に細かいことまで伺うつもりはございませんが、ポイントを二、三質問しておきたいと思うのです。  広域的回収処理センター構想というものが厚生省の頭の中にあったように思いますし、私どもも非常に緊急を要するという意味を含めて必要性があるというふうに考えていますが、そういう考え方で進んでいると考えてよろしゅうございますか。
  6. 加藤三郎

    加藤説明員 実は、全国三千三百ほどの自治体のうちの大体七割ぐらいが何らかの格好で廃乾電池分別収集というのを行ってございます。そのうちの大部分、私の調べではそのうちの九割ぐらいの自治体が現在乾電池を保管しております。残りの一割は、例えば北海道にありますイトムカ鉱業所に送って処理をしたりあるいはコンクリートで固めたり、そういうようなことをやっておりますが、多くの自治体では保管をいたしております。  このたまってしまった乾電池環境上支障のないような方法で安全に処理することは非常に重要でございますが、そうかといいまして、個々の自治体にこのたまっております乾電池をそれぞれに処理させるというのも、これまた技術的あるいは財政的、いろいろな面で適当でないということで、こういったものを何カ所かに集めて処理したらどうだろうかという考え方は前からございまして、その問題も含めまして、先ほど申し上げました専門委員会検討が行われているわけでございます。
  7. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 立ち入って質問をするのですが、今加藤さんおっしゃったようにイトムカでやっておるわけですね。地方自治体にしてみれば、頼もうと思ってもそれがなかなか順調にはけない、現実には野積みになっているという状態が続いているわけですけれども、やはり早急に施設をつくっていくということをはっきりさせるべきだと私は思うのです。  そういう意味で、何カ所か知りませんけれども、つくっていきたいという意向だけはこの辺で示していただきたいと私は思うのです。そうしませんと、さまざまな意味で、後ほども申し上げますけれども地方自治体出口がなくて非常に心配しておるという状況でございますので、その点に触れて御答弁をいただきたいと思います。
  8. 加藤三郎

    加藤説明員 先ほども触れましたように、使用済み乾電池処理方法としていろいろな方法考えられるわけでございます。水銀回収する、例えばイトムカ回収するといったようなことのほかに、コンクリートで固めるとか、いろいろな方法がございまして、先ほど言いました適正処理専門委員会その他でどれが最もいいかということを考えているわけでございます。  先生おっしゃいますように、そういったものを一カ所ではなくて、広域的な処理ができますセンターのようなものをつくって、そういったところで処理すべきじゃないかということで、私どもとしても、今まさに先生がおっしゃった点を含めまして検討いたしておりまして、先ほど言いましたようにこの夏に答えを出しますときには、その構想も含めて明らかにしたいというふうに思っております。
  9. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 厚生省通産省が昨年工業会要請を行っていますが、市町村としては、やはり市民の不安というものが片方にある、業界の対応がどうなっているのかということの板ばさみの条件のもとで、先ほど加藤さんが御指摘になったように、分別ということを考えざるを得ない。  実は、川崎なんかも、こういうふうな形の袋を全部に配りまして、これに電池を入れておいて、そして透明な袋に移しかえて、毎週第三水曜日に普通ごみのわきに出してくださいということでやっているわけです。やっているのですが、実は今度は清掃工場の、私も現場を見ましたけれども、周りに、ドラム缶にたくさんたまっています。川崎回収率は二割くらいまでもいっていないのですけれども、それにしても百万本に近い電池が山積みになっているわけであります。  そういう状況を踏まえて、問題は出口をきちんと示すことだと思います。だから、広域的な処理センターというものを数カ所つくるということを明らかにしていただきたいと思いますし、今大体その方向が出ましたけれども業界はどういう取り組みをなさってこられたのか、その辺について御答弁をいただきたいと思います。
  10. 加藤三郎

    加藤説明員 先ほど申しましたように、厚生省通産省が昨年の一月に業界に、水銀の総量を減らせ、あるいは水銀乾電池回収をしてほしいという要請をいたしたわけでございますが、その要請を受けまして、電池工業会の方も大変努力をされてきております。  その主なものを御紹介申し上げますと、まず使用済み水銀電池回収強化ということでございますが、これは従来の写真業界ルートのほかに、補聴器取扱店でありますとか電気店でありますとか、大型店、チェーンストア、雑貨、文具、一般玩具ルート、そういったところに回収ルートを拡大いたしまして回収強化を図ってきております。回収箱も、当初十一万箱くらいを配布する予定だったのをふやしまして、二十二万箱くらいを全国に設置してやってきているわけでございます。  ただ、そういった努力にもかかわりませず、必ずしも回収率は期待したほどではなくて、約一五%くらいになってございますので、業界といたしましては、再度協力要請するなり、あるいはPRを強化するなり、そういったことで回収率を上げたいという意向でございます。  一方、先ほど先生お触れになりました、公害問題の基本はもとで断つということでございまして、要するに乾電池の中の水銀量を大幅に減らすということが最も基本でございます。これにつきましては、業界の中にアルカリ乾電池技術研究組合というのを昨年の九月に設立いたしまして、鋭意技術開発に努めてきました結果、五十九年十二月末の時点で、問題になりました時点に比べましてアルカリ乾電池水銀量というのは既に半分に減ってございます。さらにことしの六月に、問題になりました時点に比べますと三分の一のレベルにまで下がった電池が既にマーケットに出始めております。まだ、今出ておりますアルカリ電池がすべて三分の一のレベルにまでなったというほどではないようでございますが、しばらく前から三分の一のものが既に出始めてきておりますので、これは大変な減少ではないかというふうに評価をいたしておるわけでございます。  さらに、工業会の方の技術的な見通しといたしましては、いろいろと難しい問題があるようでございますが、その三分の一のさらに半分、つまり問題となった時点に比べますと六分の一にまで下がったレベル、逆な言い方をすれば、六分の五を削減するという目標を立てて鋭意技術開発をいたしております。そのようなわけで、アルカリ乾電池に含まれております水銀の量の低下というものはかなり急速に進んでいるというふうに評価をいたしております。  そのほか、水銀を使用しない乾電池等代替製品開発につきましても、例えば空気亜鉛電池でありますとか、あるいはリチウム電池その他、そういったものについていろいろと努力しているというふうに聞いており、評価をいたしておるわけでございます。
  11. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 業界は、この前の国会でいろいろ問題になったときには、回収率は、ちょっと数字は正確には忘れましたが、五〇%ぐらいは回収しますと発言をしていたように私は思うのですけれども、実際には一五%ですから、その間にはかなり乖離がございます。その意味では、業界がたんかを切ったという言葉を使うつもりはございませんが、それに近い国民に対する約束を含めた答弁をしているわけですから、そのとおりにはいってないということは率直に確認をいただかなければならぬというふうに私は思うのです。  それから、電池を改めて私昨晩も見たわけですが、プラス・マイナスの使い方を間違ったときには云々というようなことで、取りかえをいたしますというような細かい字が書いてございます。水銀含有量が減少するというふうにあなたはおっしゃったが、できれば水銀含有量みたいなものを表示するような、表示の仕方はいろいろあると思うのですけれども、そういう指導をなさることが、協力をいただくことが重要ではないかという感じがするのです。つまり、いつからどういうふうに減ったのかということがわからぬわけでしょう。今あなたがおっしゃったように、五十九年の十二月とことしの六月と、そしてまた将来ということになるわけですから、昔の電池と今の電池を区別する意味を含めて、決して印刷のお金がそれほどかかることはないし、現にシールは張っているわけですから、その中に少し文字を入れればという感じもするわけです。国民の不安を解消するためにこういうような工夫を、これは私の思いつきですから必ずしもそれにこだわるつもりはございませんけれども、その種の指導というものと、業界に対して協力を呼びかけるということはできないものでしょうか。
  12. 加藤三郎

    加藤説明員 乾電池といいましても、確かに先生指摘のようにいろいろな乾電池がございます。実は私も比較的最近まではそう乾電池に強うございませんでした。アルカリ乾電池とかマンガン乾電池とかいろいろなものがあって、それによって入っております水銀の量というものも大幅に異なっているわけでございます。一般消費者、  一般使用者が、これがアルカリです、これがマンガンです、これが水銀です、これがリチウムです、これが酸化銀ですというのを区別するのは至難のわざでございます。ですから、確かにわかりやすい、なるほどこれは水銀が入っているものかとか、これは入ってはいてもごく微量のものかとか、そういったことがわかるようにするというのは、この問題をわかりやすくする一つの手段だというふうに思っております。繰り返して恐縮でございますが、先ほど専門委員会で、まさにそういう問題も含めまして検討はいたしております。  ただ、先生が今具体的におっしゃられました、例えば水銀の量を表示できないかという点につきましては、ひとつ検討課題とさせていただきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、いろいろ多岐にわたります乾電池の種類が素人にもよくわかるような何か措置はぜひしたいものだというふうに考えております。
  13. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この問題というのは、やはり廃棄物処理法第三条第二項の規定の趣旨を中心にして、つまり工業会取り組みというものを基本に据えた形で解決することが必要だ、これはずっと各党とも指摘をしてきたことだし、私もそのように思います。しかし、やりとりを聞いていますと、これらの点に多くの議論があるということも私、承ってきました。私はそういう立場で解決することが望ましいと思うのですが、今申し上げました広域処理センターその他を含めたものについて、業界がある程度の責任を持っていくということはどうしても必要だと思うのです。  業界は従来は全く負担をしないような言い方をしてきましたけれども、全く負担をしないという立場は今でも貫かれているのですか。それでいいというふうに厚生省はお感じになっていらっしゃるのか、その辺をちょっと御答弁をいただきたいと思います。
  14. 加藤三郎

    加藤説明員 先生指摘廃棄物処理法三条二項は、製造業者等が、その製品等廃棄物となった場合に処理が困難となることのないようにしなければならない旨を定めた大変重要な規定だと思います。いわばこういう規定があればこそ、先ほど御紹介させていただきましたように、業界としても回収強化するとか、あるいは乾電池の中に含まれております水銀の量を鋭意下げていくとか、そういった努力をいたしてきたと思います。  今お尋ねの、そういったたまってしまっている乾電池について何か業界として協力ができないのかということでございますけれども、これもまさにその点も含めまして専門委員会検討いたしておりまして、結論を待っているところでございます。
  15. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 待っているということも結構なんですが、やはり厚生省自身一つの意思を持たないと、この問題というのはピンポンみたいなことになってしまうと思うのですよ。だから、専門委員会の中で議論されて結論が出てということで、工業会に何か渋々のませるというようなやり方じゃなしに、やはり工業会自身も積極的な姿勢を示すべきだと思うし、また、私はその辺については厚生省自身の態度というものも重要だというふうに思いますが、厚生省としてはどうお考えになっていらっしゃるのか、その辺の歯切れのいい答弁をお願いしたいと思います。
  16. 加藤三郎

    加藤説明員 余り歯切れがよくなくて大変恐縮でございます。まさにその点、専門委員会で今検討している途上でございまして、そういう観点から、結論めいたことがまだ見えない段階で申し上げかねるのでございますが、業界として先ほど言いましたようにいろいろな努力をしてきておりますが、さらにそれに付加した努力といったものも含めまして、まさにそういったことを含めて鋭意検討いたしております。
  17. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 先ほどから申し上げましたように、地方自治体はそれを抱え込んでいる、出口は示されていない、どんどんたまってくる、こういう状態でございます。私は大体私なりに判断をしましたが、出口というのは、一つ処理の機能を、イトムカだけでは不十分だ、数カ所ぐらいは必要だ。それから、その負担関係を含めて工業会協力をさせていくということが非常に重要だろう、そういうことが見えてきましたから、それはそれなりに私も承っておきますが、いずれにしても非常に大きな社会問題になったわけですね。  これも私は思うのですけれども、放射能と言えばやはり広島、長崎を思い出しますよね。水銀といったら水俣病を思い出すんですよ。つまり、そういう素朴な国民感情を逆なでするだけでは済まないと思うのです。その意味では、文字どおり業界行政と、それからもう一つ国民ですよ、それが力を合わせてこの問題に取り組んでいかなければならぬのではないだろうか、私はこんなふうに思います。そういう意味では、専門委員会結論が出て、そして厚生省としてこういたしますという形を発表するだけでなしに、今申し上げた消費者やメーカーやあるいは地方自治体人たちや何かを含めて、御理解と同時に協力をいただく、こういう筋道の国民的なコンセンサスの場をつくっていく必要がどうしてもあるように私は思うのです。  これから、水銀に限らずさまざまな問題が出てきます。率直に言って私も素人ですから、特にケミカルなんて弱いですから、細かいことを言われてもわかりません。一般皆さんにとってもそうだろうと私は思うのです。そういう解決の出口というものを常に準備する、そしてそれに対応して国民皆さんの御理解と御協力をいただく、こういう謙虚な姿勢が、同時にそういう開かれた行政というものが私は環境行政には必要だというふうに思いますので、その点についても、加藤さんの御答弁とあわせて、環境庁長官にもし御答弁をいただく機会があるならばいただきたいというふうに思います。
  18. 石本茂

    ○石本国務大臣 ただいま先生のお話をじっと聞いておりましたが、厚生省でも目下専門委員会検討中だと聞いておりますけれども、一番困りますのはやはり地方自治体、どこへどう始末していいかわからぬということでございますから、私はお話を聞いておりまして、いろいろな種類の電池があるということがきょうわかったわけでございますが、やはり業界はその表示といいますか、これはどういう種類のものであるというようなことをまず明確に明示してほしいし、国民協力といいますか、川崎でもまだ半分にいっていない、日本にはもっと少ないと思うのですが、国民がこのことに関心を持つということは重要でございますし、行政がそれらを全部総括しまして、早い時期にこの問題が解消できる方向づけをするべきであるというふうに考えました。
  19. 加藤三郎

    加藤説明員 今、環境庁長官から御答弁いただきましたとおりでございます。私ども厚生省といたしましても、先生先ほどお触れになりましたように、関係者の協力を求めるように一生懸命しなさいという点は全く同感でございまして、今後ともそういうふうに努力してまいりたいと思っております。
  20. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 続いて、これも国会でこの前私取り上げてまいりましたが、PCBの処理の問題をお尋ねしたいというふうに思います。  地元なり、あるいは漏れ承るところによればという言い方をしますが、高砂市との間でPCBの高熱分解テストについて、国によるというか、国の委員会ということになりましょうか、発足について協議が行われてきて、そしてきのうですか、協議がまとまったというふうな話もちょっと承っているのですが、その辺の経過について御答弁をいただきたいと思います。
  21. 林部弘

    ○林部政府委員 御説明いたします。  昨日、高砂市それから兵庫県より私どもの方に文書が参っております。  経過をかいつまんで申し上げますと、もう先生御案内のように、高砂市には液状の廃PCBが五千数百トン保管をされた状況が十年余も続いているわけでございます。液状の廃PCBの保管の場所が海岸からわずか二十メートル程度のところというふうに承っておりますが、あの地域は時々地震がございますので、PCBが瀬戸内の方へ流れ出るのではないかという不安が常に地元民につきまとってきていたわけでございまして、高砂市の市民の切実な願いとしては、液状の廃PCBの早期安全処理ということが言われてきていたわけでございます。  近年に至りまして、有機系の化合物に対しましての高熱分解という方式、これはいわゆる焼却というよりは超高温で分解をする、そういう方法が非常に進んでまいりました。それから、この地域の鐘化の敷地内にもかなり性能のいい有機物の超高温による熱分解施設も現在設置されているというような状況がございまして、その施設を用いてテストができないだろうかというようなことについて四月の上旬に私どもの方に御相談がございまして、地元での合意ができれば、テストそのものを、私ども環境庁、特にこれは大気中への影響ということをとらまえてということになりますので、処理の問題ということでは従来水質保全局が対応してきておりますけれども、これはあくまでそういったテストである、調査であるということでございますので、私ども大気保全局が責任を持って専門家を集めて検討するということにしてもよいということで、御相談が始まりました。  地元の兵庫県と高砂市が非常に強力に地元でコンセンサスを得べくいろいろと根回しをされまして、六月の一日に高砂市議会の全員協議会においてテストに踏み切ろうというような合意が形成されましたし、それから、地元のその施設を持っております鐘化の方でも必要な設備への改善、それから私どもこれは過去の経緯がございますから、やはり公開テストのような形にならないとだめだ、そういうようなことで四月の時点で話し合いを地元といたしておりますが、おおむねその方向でやれるという形が整ってまいりまして、昨日文書が参りまして、具体化に向けて進めてもらいたいということになりましたので、私どもも具体化に向かって早急に進めてまいりたい。今のところは一年以内に答えを出す、できれば来年の三月ぐらいまでに答えを出すということで取り組み。たい。  まだ検討会のメンバーが決まっておりませんので、一切私ども立場ではマスコミその他にも発表までいたしておりませんが、昨日要望書が参りまして、前に一部地元の記事ということで中央でも載りましたが、ようやく地元の方でかなり条件が整ったということが確認できましたので、具体化に向かって進めていきたいと考えております。
  22. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 林部さんは専門家ですから私が言うまでもないのですけれども、イギリスなんかで人の奇形や家畜が死亡したというようなことが問題になったこともございますし、科学的に見てもダイオキシンやジベンゾフランやあるいはクロルベンゼン類などというものが人体あるいは家畜に影響を及ぼすという危険性というものもかねてから指摘をされております。それだけに私は慎重な対応をお願いしたいという気持ちを申し上げたいのです。率直に言って、西ドイツなんかでも、いろいろまさにあわてて泥縄式に勉強してみますと、二千度の温度をずっと維持することが大変だということなども聞いておりますし、それから、塩ビの炉自身もダイオキシンが出る可能性等があるということなどについても、私はよく知りませんけれども指摘をする人もいます。そういうことをきちんとチェックした上で、ぜひ慎重に、しかし熱意を込めてやっていただきたいと思うのです。  私はこの問題というのは、言うまでもありませんけれども、この前の国会でも指摘をしてまいりましたが、カーボン紙の問題だとかあるいはトランスの問題だとか、やがてはダイオキシン問題その他含めて、そういう全体の問題に非常に大きな影響を及ぼすということが一つと、同時に、国際的にも日本の科学のレベルが問われていることにならざるを得ない、そんな意味で、ぜひ慎重の上にも慎重にということをお願いしたいわけです。  これは私が申し上げるのはちょっとおこがましい言い方ですけれども、市民の代表の立ち入りはもちろんのこと、ある種の地元の監視委員会というふうなものをやはり公認をしていただく、そしてさっき局長が言われたテストの公開という形で、地元の安全の問題については念には念を入れて、地元の人たちが不安を持たないように、これはテストでございますからここで失敗してしまうと困るのですけれども、それだけの万全の体制を望みたいと思いますが、そのことはよろしゅうございますか。
  23. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  先ほど先生から水銀の問題についても御指摘ございましたように、これも出口のない問題になっておりまして、過去にいろいろな経緯がございます。それだけに、私はずばり申し上げて、このテストというのは我が国の高温熱分解処理の技術が世界的に問われる問題にきっと発展していくのではないかと思っております。また、分析の技術も相当進んでおりますし、それから炉そのものについてのコンピューター制御の技術も非常に進んできているというようなことをかなり確認をいたしておりますから、その性能の範囲内で、無理な負荷をやりますと相当いろいろなものが出てまいりますから、そういう無理のない形でテストを行う。  そういうことによって、現在ある施設よりもより進歩したと申しましょうか、改善されたと申しましょうか、そういうものによって将来の方向が確立できるかどうか、そういう意味でのテストでございますから、率直に申し上げまして地元も私どもも、非常に思い詰めた言い方をすれば失敗は許されないテストじゃないかというようにまで思っておりますので、現在まで非常に慎重に運んできたということでございますが、一たん着手をいたしましたらば、先ほど先生おっしゃいますようないわゆる公害監視と申しますか、監視委員会的なものは全部県と市にお任せをして、それで地元の方でそれは納得のいく形でつくっていただくということで、その辺も四月以来お話が進んできておるようでございますので、私どもはあくまでそういう状態。  それから、実験を受け入れてくれる相手の工場側が、こちらから出しました二つの条件についてめどがたちますということで正式に文書が来たということでございますので、あとはできるだけ早く専門家の検討会を編成をいたしまして実験に着手したい。  具体的に着手するまでに、若干現在持っています施設に対する改善とか、その公開ということになりますとある程度炉の状況が外から見てわかるように改良もしなければならない部分もございますから、恐らく具体的な実験が始まるにはまだ数カ月要ると思いますが、実験そのものは年内に終わらせたい、来年に入りまして三カ月ぐらいで結果をまとめるというようなことで現在考えておりますので、その点は万全を期してやっていきたいと思っております。
  24. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私もっと早い機会に質問をしようと思っていたんですけれども、やはり地元と住民のコンセンサスがないと、それを壊すような質問をしてはいけないと思ってきょうまで私も触れないできたわけですけれども、今ようやくそこまでこぎつけたということの報告をいただいて、あえて公開の原則というものを貫いていただきたいという気持ちを込めて質問を申し上げました。  次の質問、ちょっと私林部さんだけいじめる形になるわけですが、NOxのことを少しお尋ねしたいと思うのです。  この前から私がお願いをしてまいりましたように、NOxの対策検討をどう進めるかということについてやはり英知を結集しなければいかぬということを申し上げました。検討委員会が発足になったそうですが、検討委員会のスケジュールではかなり長くかかるのじゃないかという感じがするんですけれども、長くかかっている間、新しい施策を打ち出さないということはないんでしょうね。その点御答弁をいただきたい。
  25. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  もう再三御指摘をいただいておりますように、達成期限がもう来ている問題でございますので、検討を進めつつ具体的に対策も進めていかなければいけない、こういうふうに考えております。御案内のように、四月二十六日に大気保全局長の諮問機関としての検討会を設置いたしまして、技術的な観点から検討を始めております。五月に入りまして、具体的な作業、特にいろいろと計数的な作業がありますので、計数、計量化の問題は下に作業委員会を設けまして作業委員会で細かい作業をやるということになっております。  作業委員会は、私ども先生の方からも宿題になっております環境基準が達成が非常に難しいということに至った理由と申しましょうか、そこら辺をひとつ調べなければいけない、それから環境の濃度の推移というものを過去から将来に向かってある程度分析もし展望もしなければいけない、それから、総量削減計画の中にいろいろな施策が予定されてきておりますし、現実に進んでおるものもたくさんあるわけでございますが、そういった施策、これから新たに追加しようというふうな問題につきましてはその施策の効果を定量化する必要があるわけでございまして、そこらについて作業をいたしております。  ただ、今御指摘のように、何もかも全部できてからということではやはり御指摘のような問題がございますので、当面取り組む問題については、必ずしも精密に定量的にというふうにはいかないかもしれませんが、定性的に、若干半定量的な考察を加えて、できるだけ早く、近いうちに取りまとめを行う必要があるじゃないかということで、それはそれで作業を急いでおります。  さらに、作業委員会でのいろいろな定量的な作業を踏まえまして、前にも申し上げましたように、ことしの秋、秋といってもやや深い秋になるかもしれませんが、秋をめどにいたしまして、今後の窒素酸化物対策についての、長期的な展望ではなくて中期的な展望をまとめて世の中にお示しをしなければいかぬのじゃないか、およそのスケジュールとしてはそういう考えでございます。
  26. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 環境基準がクリアできないことはもはや明確になっていますが、お尋ねをすると、どうやら地方自治体の資料がまだ集まってきていないというふうな形を含めてなかなか歯切れが悪いわけですけれども、その辺について、私は環境庁がクリアできないと言ったということだけで何も鬼の首をとった気持ちになるつもりはございません。ただしかし、深くぼつぼつお考えになった方がいいのじゃないかということだけは申し上げておきまして、その辺についてどんな認識を持っておられるかということを、もし御答弁いただければ御答弁をいただきたいと思うのです。  問題は、やはりどうやって進めていくかという手順を、これも国民の前に示す義務があると思うのです。今、林部さんおっしゃったのですけれども環境庁の意思はそこで体現されるわけだけれども、これは大気保全局の一つの諮問機関でしょう。肝心な運輸省だとか通産省だとか警察庁だとか、そういうさまざまな総合的な議論をする場所がなければどうもならぬと私は思うので、その点どうお考えになっているかということが二点。  まとめて御質問申し上げますが、三番目は、これから対策を示して、それを具体化させて、その上で環境基準のクリアということになると、どうも昭和六十年がもう二、三年ぐらい環境基準の達成自身はずれ込むことにならざるを得ないと思うのですが、その辺は実務を担当しておられる立場から率直に御答弁をいただきたいと思います。
  27. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  先ほど検討会には関係自治体の担当局長あるいは担当部長が参加をしておりますので、従来行っておりました私ども自治体とのいろいろな調整という点ではかなり密度の濃いものにはなってきております。  それから、具体化に伴う他の省庁との連携の問題でございますけれども対策の一層の推進を図るということで、従来の対策に加えまして、関係自治体それから他省庁とも連係プレーで、例えば低公害車への転換をどういうふうに進めるかとか物流の合理化をどういう形で実現していくか、さらに進めていくかといったような総合的な対策を講じていくということで、かなり具体的な接触は始まっております。  ただ、外部にこうこうこういう手順でやりますというところには、まだもう少し時間が要るわけでございます。具体的なプロジェクトというところまでまだ煮詰まっておりませんけれども、かなりプロジェクト的な形で幾つかのものが実現する可能性はあると思うし、また、そうしなければ、今先生がおっしゃるように二年後なり三年後といったような短いスタンスで少しでも現状を改善するための有力な手だてが加えられることになりませんので、そういう意味では今申しましたようなこと。  それから、従来から自治体が進めてきておりますものをさらに念を入れてやるといったようなことをしていけば、六十年ということは難しくても、先ほど申しましたように中期的な展望の中で実現できるものはかなり実現できるという形になっていくであろうし、またそうしなければならないというふうに考えて作業を進めております。
  28. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最後に一言だけ。  中期的というのですけれども、中期的というとやはり三年くらいの見当になりますか、短期的とは言っていらっしゃらないわけですから。
  29. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  達成までに七年も時間をいただいていたわけでございますので、この先十年もということはとてもできませんので、中期的というのは二、三年、長くても五年以内には相当なところまでいかなければいかぬということで取り組んでまいるということでございます。
  30. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 時間がありませんから、ほかの質問がございますのでその点はもうこれでやめますが、六十年三月三十一日という目標で頑張ってきた、結局できない。しかも、率直なところを言って、私みたいな素人考えても、さまざまな手だてを尽くしても三年ないし五年は環境基準の達成は延びると考えていたわけで、この前も私はそういう質問をしましたけれども、そのときは林部さんは必ずしも歯切れはよくなかったけれども、やはりそうだろうと思うのです。そうだとすれば一体どういうことをやっていくんだ、そしてそこに到達するためにどんな努力をするのだ。同時に、そこに至る経過の中で政治の責任がどういう形で国民に問われているのかについても、やはり方向を示すべきだと私は思うのです。その点についてもぜひ長官の御答弁をいただきたいと思います。一言で結構です。
  31. 石本茂

    ○石本国務大臣 同じようなことばかりお答えすることになるのでお許しいただきたいと思いますが、今後の窒素酸化物対策の推進に当たりましては、先ほど来話が出ておりますが、関係省庁、関係地方自治体との連携が不可欠であると私は考えておる一人でございます。有効な対策の推進に向けましては、より一層の連携強化を図りながら、一日も早い結論が出る方向に向かって頑張っていきたい、そういうふうな気持ちでおります。
  32. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 林部さん、御苦労さまでした。  今度は白保の空港の問題を最後にお尋ねをしたいと思うのですが、運輸省、沖縄開発庁、お見えでしょうか。  運輸省には沖縄県からその後、何か動き、働きかけがございましたか。
  33. 堀井修身

    ○堀井説明員 お答えいたします。  新石垣空港の設置管理者は沖縄県ということでございまして、ただいま御指摘がございました沖縄県から何か接触があったかということでございますが、現在の状況でございますが、随時沖縄県から現地の状況等に関しまして説明なり報告なりを運輸省として受けておるところでございます。  新空港の建設につきましてさまざまな御意見があるということにつきまして、私どもよく承知をしておるところでございます。運輸省といたしましては、従来からでございますが、住民のコンセンサスの上に立って、この問題、空港の建設に取り組んでいくことが非常に重要であるという観点から、できるだけ早く関係者の理解協力を得るように沖縄県に対しまして要請をしてきたところでございます。
  34. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 関係者の理解協力がなければこのことは強行しないということは約束できますね。
  35. 堀井修身

    ○堀井説明員 お答えをいたします。  これからの最終的な手続等につきましては、公有水面埋立法の諸手続があるということでございますし、これに基づきまして告示、縦覧あるいは意見の聴取等が行われる。これの免許権者は沖縄県知事でございます。また、地域の総合行政に携わっておられるのも沖縄県知事でございます。また一方で、本事業につきまして三回にわたって地元審議会の建設推進の決議もあるというようなこともございまして、最終的な取り組み方につきましては空港の設置管理者であります沖縄県知事が御判断をされるであろう、私どもはそれを尊重してまいりたい、その上で考えていきたい、こう考えておるわけでございます。
  36. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 尊重するのは結構なんですが、あなたも御存じのように、今地元では非常に強い反対運動が、しかも国際的な輪が広がっているわけでしょう。そういうものについての配慮は指導官庁としては当然なすべきだと思いますので、その点は当然のことだと考えてよろしゅうございますか。
  37. 堀井修身

    ○堀井説明員 お答えいたします。  私ども、世界的な観点からいろいろな御議論があるということも、先ほど申しましたように承知をしておるところでございます。一方でそのようなことがございますし、一方でまたそのサンゴ礁につきましていろいろな評価があるということも承知をしておるところでございます。  したがいまして、最終的には、先ほど申しましたように沖縄県知事が御判断をされていくであろうということで、その判断を尊重していくというのが私ども立場でございます。
  38. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは沖縄県知事が管理者ということでございますから、それはそれでいいとしても、やはり三百億円近い国費を使うわけですよ。その国費がどういうふうに使われるかということについて、運輸省が監督官庁として、あるいは指導官庁として、全体的な状況を見ないで、県知事がそう言ったから結構ですというわけにはいかぬだろうと私は思うのです。  前の課長も、地元のコンセンサスということについてははっきり申してこられました。その点は、私がもう一遍申し上げておきたいと思いますけれども、私は現場を見ました。この前——いや私は見ましたと言っているのです。例えば史跡の問題がありました。騒音の問題がありました。だから、現空港を拡張するということや、あるいはまた角度を振りかえるというようなことは不可能だという御答弁を、正確に言えば不可能に近いという言葉でございますけれども、使われております。  現空港は滑走路を拡張したり延長したり、あるいは方角を振りかえるということは全く不可能だと私は思わないのです。その辺の判断は全く不可能だとお考えですか。
  39. 堀井修身

    ○堀井説明員 お答えをいたします。  この新空港の建設計画に当たりまして、沖縄県の方で、石垣島の空港整備計画の検討ということで、いろいろな代替案を考え検討されたわけでございます。当然その代替案の中に、現空港の拡張という案も含めて検討をされたところでございます。  この結果、現空港の拡張、整備ということになりますと、現空港そのものが市街地に隣接をしておって、騒音問題が顕在化をし、空港の移転の問題が出されておるというようなことで、なかなか周辺住民の同意を得ることが不可能に近いのではなかろうかということ、それからまた、拡張に伴いまして周辺の貴重な農用地がつぶされてしまうというようなこと、さらには、滑走路の延長上に先生指摘の国指定の文化財でありますフルストバル貝塚がある、これを埋めてしまうというようなことは極めて困難であるというようなことから、現空港の拡張というのは非常に難しいということから、その現空港の拡張案については断念をしたということでございます。
  40. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その懸案の現空港を拡張するということについて、沖縄県は最初五つの候補地の中では、拡張という方式あるいは角度をかえればこれが一番実現性が強いということを言ってきたわけです。そのデータを私のところへ公開していただけますね。今あなたがそれを言う以上は、そういう判断の基準になる資料を私に示してください。約束してくれますか。
  41. 堀井修身

    ○堀井説明員 お答えをいたします。  おやりになりましたのは沖縄県でございますので、そのような先生の御要望ということでございますので、縦覧をしたいということでございますと、その旨お話しを申し上げまして、御説明をしたいと思っております。
  42. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この前もちょっと私お伺いしたのですけれども、旅客、貨物などの輸送増強のためだというふうに言っていますけれども、見込み数というのはもう結論を出しましたか、下方修正だということだけおっしゃっていたのですけれども
  43. 堀井修身

    ○堀井説明員 お答えいたします。  この新空港の建設計画は五十五年でございますので、それまでの実績推移を踏まえて将来の旅客需要について推計をしておったわけでございますが、その後いろいろな経済の変化等を踏まえまして、前にも私どもの方でお答えしたかと思いますが、下方修正をしていく必要があるのではなかろうかというふうに考えておるということを意思表示をさせていただいたと思っております。  現在、先生御存じのように、第四次の空港整備五カ年計画というのが実は今年度で終了をいたします。したがいまして、私どもといたしましては六十一年度から新たに第五次空港整備五カ年計画を策定をしてまいりたいということで、その作業に着手をしたところでございます。今後この作業の中で全国的に将来の航空需要の予測を行っていく予定にしておるということで、現在作業中ということでございます。
  44. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 旅客ということを考えたときに、私が承知しておる限りでは、羽田も大阪空港も、言ってしまえば国内線は満杯だということを伺っておりますが、それは事実ですか。
  45. 堀井修身

    ○堀井説明員 お答えをいたします。  羽田につきましても大阪国際空港につきましても、現段階では満杯という状況でございます。
  46. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私はこの前も、飛行場ができることによってどんな欠陥があらわれてくるかという、いわゆる経済的なアセスをやるべきだということも申し上げてきましたけれども、これは沖縄開発庁に御答弁をいただきたいと思ったんですが、時間がありませんから、それについてはできていないということで、私も承知していますからそれ以上の答弁は求めませんが、少なくともやはり石垣島の経済に対してどんな影響をもたらすだろうかということなどについては、沖縄開発庁としてはきちんとした資料を持つべきだ、それを国民に示すべきだと私は思うのです。  一例といたしまして、例えば貨物のことがございまして、農産物は直行便でやった方が石垣の農業は万々歳だというふうな形での発言を背景にして空港計画があるわけですね。ところが、肝心な石垣島には二つの農協があるんですが、その大きい方の農協、しかもこれは白保の地域が含まれるのですけれども、その資料によると、これは大浜農協というのですけれども、その地域農業振興計画書というのを見ますと、「予冷庫建設により、」冷蔵庫のことですね、「これまでの航空輸送を船舶輸送に移行し、輸送コストの軽減と鮮度の保持を図る」ということが計画に盛られているのですよ。これは県知事さんも、八三年かな、県会で、宮古、八重山地方の農産物の輸送については船舶を中心としていくという方針を示されているのです。だから、今度の計画と農協や県知事の答えている農業振興計画というものとは完全に食い違っちゃっているのですよ。そういう点は沖縄開発庁きちんと押さえておいていただきたいと思いますが、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  47. 西田幸男

    ○西田説明員 お答えいたします。  現在八重山群島から島の外へ航空便を利用して輸送されております農産物は、昭和五十八年度で約二千四百トン程度ございます。(岩垂委員「いや、数字を聞いているんじゃないよ。質問答えて」と呼ぶ)もちろん先生指摘のように、船舶で送る方が適切な貨物もございます。我々の承知しておる範囲では、石垣島を中心とする八重山地域から出ます貨物の中には航空に適したものもある程度含んでいるということを理解いたしておりますが、現在の輸送の実態を考えますと、そういう適した貨物が石垣空港から出まして、那覇で積みかえが行われ、場合によっては一日いろいろな都合で待たされるというようなことがございまして、なかなか適した貨物でもスムーズに輸送できないというふうなことを一方では聞いておるわけでございます。  そういう点を踏まえまして、絶対量からいいますと、輸送の形態上、船舶の輸送の方が多くなることはあるいはあるかもしれませんが、適したものにつきましては、それなりに流通の経路を整備いたしましてコストの軽減等を図れるのではないか、このように考えておるわけでございます。
  48. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 もう時間が来てしまいましたから余り長く質問をすることはできませんけれども、沖縄で、特に石垣島の白保の地域で、サンゴの調査をWWFJの協力で初めて現地の専門家がやってまいりました。まだ調査は序の日なんですけれども、予定地海域の南側にアオサンゴ、北側に行くにつれてハマサンゴ、エダサンゴのゾーンが広がっている。白保の礁原は、沖縄で唯一残された礁原と見ていい。特にアオサンゴについては、これだけボリュームがあるのはここだけ。アオサンゴというのは熱帯性の地域のものらしいのですけれども、亜熱帯と言われる沖縄にあるのは文字どおり珍しいということを指摘されました。  長官、これは沖縄タイムスですけれども、アオサンゴというのを見ていただきたい。これだけの群落があるのは全く珍しいだけでなしに、国際的にも注目に値するということが指摘されています。残念ながら、私何遍か環境庁にサンゴの調査をやってほしいと言うのですけれども、なかなかやってくれないわけです。不作為の作為という言葉がありますけれども、何もやらないでいるうちに結局サンゴが死滅していくことにお手伝いをすることになりかねない、そのことを私は恐れるのです。  現に、私資料を持っておりますけれども、沖縄の白保の周辺の海中公園だとか、あるいはまたそのほかのサンゴ礁というのは、ほとんど死滅しています。例えば、環境庁自身が若干のかかわりを持っている「海中公園情報」、これを見ますとほとんど死滅している、十分の一になってしまっているということが、これは石西礁湖海域におけるサンゴ礁の実態です。もうないのですよ。環境庁自然環境保全地域に指定したところのサンゴ礁も、指定してから一年足らずにオニヒトデで全滅になっています。残っているのはここだけなんです。私は、きょうもっとたくさんのことを資料を挙げて質問をしたいと思いましたが、時間がなくなってしまいましたからこの辺でやめますが、あの地域のサンゴ礁を見ていただけば、やはり当然自然環境保全地域があるいは今の自然公園地域の拡大のどちらかになる、ならざるを得ないと私は思うのです。しかも天然記念物というふうな考え方も現地からは出されています。何としても、成り行きに任せるのではなしに、環境庁自身がサンゴ礁の価値を、かけがえのない自然を守る、サンゴ礁はつくるわけにいきませんから、そういうことをひとつ道を開いていただきたい。  私が今言った意味は、調査をするためのいわば道筋ですということを含めて、いきなりぽつっと調査はできないとすれば、私なりにさんざん知恵を絞ってみて、そういう道筋なら調査の糸口はあると思いますので、長官にぜひその辺の歯切れのいい答弁をいただきたいと思います。
  49. 石本茂

    ○石本国務大臣 見せていただきましたし、地元からも再度陳情をいただいておるところでございますが、今先生申されますように、環境庁がいきなりここはいけませんと、海底公園にでも指定しておりましたら言えるわけでございますが、それが言えない現状でございますので、私どもとしましては、事業者である県が十分の調査を行ったのかどうか、行われたと思うのでございますが、そのことと、それから十分に地元の調整といいますか、これが非常に重要な問題ではないかというふうに考えておりますので、この上で建設計画が具体化して埋立免許の出願がなされれば、公有水面埋立法の手続に基づきまして主務大臣から私どもの方に申し入れがある。そうした観点に立ちまして、意見が求められますならば、その際には慎重に審査し適切に対処していくということでございますが、今先生申されました事柄を含めまして担当局長と十分に慎重に相談をしたいと思います。ありがとうございました。
  50. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最後にしますけれども、沖縄県は進めようとしているわけです。ですから価値がないということを言いたがっているわけです。そのときに、客観的に見て、私はきょういろいろな人の名前は言いませんけれども、国際的な専門家の見解を含めてそういうのがあるわけですから、環境庁が積極的な姿勢を示していただきたい。このことをお願いして、終わりたいと思います。
  51. 辻英雄

  52. 竹村泰子

    竹村委員 私の地元であります札幌、仙台などで特に著しいスパイクタイヤの粉じんについてお伺いをいたします。  現在、二十三都道府県では何らかの形でスパイクタイヤの粉じんの被害に悩まされている現状があるわけでありますけれども、人体の影響被害についてまずお尋ねしたいと思います。  環境庁も昨年度から動物実験による生体影響調査を行っておられるわけですけれども、札幌鉄道病院の平賀洋明呼吸器内科医長、北里大学医学部の山科俊郎教授、そして仙台市医師会などがこれまでそれぞれの研究から生体への影響を明らかにしておられます。  私、ここに写真を持っておりますけれども、普通の犬はきれいな肺の色をしていますけれども、札幌や仙台の犬は肺が真っ黒です。こういう車粉じんの影響が証明されています。人体への影響は十年二十年単位で調査しなければわかりませんけれども、ぜんそく患者などの増大との関係は出るかもしれないと警告しています。山科先生はラットの実験によって、車粉じんを長期間吸うと肺機能の障害が予想されると報告しておられます。初期じん肺症状もラットの実験で出ているわけであります。また仙台の医師会は、道路の粉じんの気管支ぜんそく、児童に対する健康影響調査において、冬季間の仙台市の中心部における浮遊粉じんは、少なくとも同時に測定されたNOやSO2よりも気管支ぜんそく患者にとってはより有害であると考えられたとして発表しております。これは東北大学医学部の第一内科の先生方が発表しておられる資料がございます。  札幌市で去年の十二月一日から十四日にわたって行いました道路清掃では、一日平均二百トンの粉じんが収集されているわけであります。一般的に冬季の浮遊粉じんの七〇%が車粉と言われて、これは大変な大気汚染を引き起こしている。私なんか札幌の住民ですけれども、何かの都合で一日車に乗っていたりしますと、髪の毛はもうべたべたになりますし顔もすすで汚れる、雪も真っ黒になります。  生体への影響という点から見ますと、具体的な影響が出てからでは遅過ぎるのではないかと思いますけれども環境庁長官はどうお思いになりますか。また、これまでどんな施策をしてこられたか、お聞きしたいと思います。
  53. 石本茂

    ○石本国務大臣 お答えいたします。  スパイクタイヤの粉じんによります健康影響につきまして、五十九年度、前年度からでございますが調査を進めているところでございます。今はその最中でございます。  今後とも、国民の健康を保護するという対策のためには今申しました調査を進めるということを考えておりますし、また、この問題につきまして私どもといたしましては関係省庁とも連携を図りながら対策を進めてきたところでございますし、現在ただいまも進めておるところでございます。それからまた、六月四日でございましたか自民党からスパイクタイヤ問題への提言というものもちょうだいしておるところでございまして、さらに関係省庁とも連携を深めていきたいと考えております。  先生申されますように、生体に影響がある、人間の健康に影響を及ぼすということであればこれは大変な問題でございますので、今後真剣に取り組んでまいるつもりでございます。ありがとうございました。
  54. 竹村泰子

    竹村委員 先ほど一日平均二百トンと申しましたけれども、越冬汚泥、つまり冬を越した汚泥は五十九年度で二万六千六百トンという大変な量であります。もちろんこれは泥も入っておりますけれども、その中の七〇%が車粉、スパイクタイヤがアスファルトを削った粉だと言われている。これが体に悪くないわけはない、だれが考えてもわかるわけですけれども、世界の状況はどんなになっておりますでしょうか。
  55. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  ヨーロッパ、アメリカそれぞれ取り組み方はさまざまでございます。  ヨーロッパの例で申しますと、全面的に禁止をしている国もございますし全く自由に使用させている国、一部制限している国、いろいろございます。全面禁止の例は、東西両ドイツ、チェコスロバキア、ルーマニア、ユーゴスラビアといったところが全面禁止の形をとっております。私ども日本国内と同じように使用期間の制限といった形でやっております国がかなりございまして、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドといった北欧三国、それからフランス、イタリア、オーストリア、ハンガリー、スペインもそういう部類に入ります。全く自由に使用させている例としては、イギリスが全く自由に使用させているようでございます。  アメリカでございますが、これはアメリカ合衆国並びにカナダの例でございますが、アメリカも全面禁止の例がかなりございます。オンタリオ州、ミネソタ、ウィスコンシン、イリノイ、ミシガン、南の方ではテキサスが全面禁止、ミシシッピ、ルイジアナも全面禁止、フロリダも全面禁止という形になっておりますが、あと東側、西側はおおむね使用期間の制限という形になっております。カナダでは、ケベック、ラブラドルでございましょうか、これは一部制限、こういうような状況でございます。
  56. 竹村泰子

    竹村委員 今世界の状況をお聞きしましたけれども、全面禁止にしているところがかなりある。それから使用期間、スパイクを使う期間を短くする、その制限をしているところがかなりある。ヨーロッパで全く自由に制限なし、規制なしというところはイギリスとポーランドくらいのものなんですね。日本のように野放しで、どうぞ、どうぞ、幾らでもというふうにほうりっ放しにしてあるところは余り先進国ではないわけです。いただいた資料によりますと、アメリカでも幾つかの州、四つか五つの州を残すだけで、あとはほとんどが全面禁止あるいは使用制限をしているわけですね。西ドイツのスパイク全面禁止はもう十年も前に始まっている。スパイクタイヤが使用され始めた翌年の一九六四年にはもう期間制限が行われ始めているわけです。  その西ドイツの調査によりますと、日本ではスパイクタイヤの害は道路の補修と環境汚染だけがクローズアップされているわけですけれども、シュルツ教授のグループがやった調査によりますと、例えば車粉じん中に含まれているアスファルトの成分、水、砂が道路表面を覆いますと、ちょうどアイスバーンのように滑りやすくなる、このためにスリップ事故が続出した。あるいは夜間の見通しが悪くなるばかりではなくて、きょうは警察の方もお見えいただいていますけれども、ライトを上向きにしたような効果が生じて対向車を眩惑させる、このようなこともきちんと出されている。また、スパイクピンはその当時は日本で使用しているみたいな大きなピンで、これでは丈夫なアスファルトの舗装法を開発して、これに削られない道路をつくるということは不可能であるという結論を出しているわけです。そのようなことがありますけれども、日本は今までのところ、調査はされているけれども、これといった対策も拘束力もないというのが現状であるわけであります。  建設省と自治省にスパイクタイヤによる道路舗装の摩耗についてお伺いいたします。  建設省の「スパイクタイヤ対策調査報告書」によりますと、冬季間のスパイクタイヤによる舗装道路の損失額は金額にしてどのぐらいですか。
  57. 寺田章次

    ○寺田説明員 お答えいたします。  舗装の摩耗と申しますのはスパイクタイヤだけではございませんで、重車両の通行でございますとか夏の間の流動などいろいろな要因が複雑に組み合わさって発生しているものでございまして、スパイクタイヤによる舗装の摩耗に対する補修費用ということは特定することは困難でございますけれども、直轄国道での舗装摩耗の実態調査をいたしました結果を利用いたしまして、雪寒地域内の直轄国道約一万一千キロメートルございますが、その摩耗量を推計いたしまして、これを単純にアスファルト合材で補てんするという考えに基づきまして計算を行いますと、スパイクタイヤによります舗装損傷額は直轄国道でおおむね九十億円というふうに推定いたしております。  以上でございます。
  58. 竹村泰子

    竹村委員 九十億円ですね。これはスパイクタイヤによるばかりではないというお答えでしたけれども、夏のタイヤが削る量なんというのは知れているわけです。  この九十億円という金額は、建設省の道路維持修繕費の何%に当たりますか。
  59. 寺田章次

    ○寺田説明員 お答えいたします。  直轄国道全体の舗装補修事業費でございますが、これは昭和五十九年度約八百二十三億でございます。それで約九十億でございますから約一一%ぐらいかと思います。  以上でございます。
  60. 竹村泰子

    竹村委員 これに地方自治体管理の地方道損失分を含めますと、札幌市の場合は昨年だけで約四十億四千百十三万二千円を出しております。これを加えますと、さきに参議院でお答えがありましたように二百億円近くになりますね。違いますか、いいですか。
  61. 寺田章次

    ○寺田説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたのは直轄国道の調査に基づくものでございまして、補助国道でございますとか一般県道、市町村道等につきましては直接そういった推計はやっていないわけでございますが、直轄国道におきます舗装の補修費用等いろいろ勘案いたしまして推計いたしますと、地方道関係それから補助国道関係、約百八十億程度というふうに推計いたしております。  以上でございます。
  62. 竹村泰子

    竹村委員 二百億円近いお金が道路の補修費、維持修繕費のために使われているという。これは国の経費もそうですけれども、各自治体管理の地方道の区画線の書き直しやら補修費など、大変な費用分担と思いますけれども、自治省はどう思われているのでしょうか。率直な御意見をお聞かせください。
  63. 遠藤安彦

    ○遠藤説明員 お答えを申し上げます。  私どもも、積雪寒冷地帯のスパイクタイヤによる粉じんの対策というものが地方団体で非常に大きな問題となっている、特に委員おっしゃられましたように、白線が消えたり路面の補修をしなければいけないというようなことで問題になっていることは承知しているわけでありますが、このスパイクタイヤの問題につきましては、自治省として、地方団体だけですべてが解決できる問題ではないというように考えております。国のレベルで何らかの具体的な防止策を検討すべきであると考えておりまして、地方団体に対する財源措置につきましては、そういった具体的な防止策が国の段階で決まったときに、自治省としても具体的な財源措置対策考えていきたいというように考えております。
  64. 竹村泰子

    竹村委員 札幌市からは昨年十二月に「スパイクタイヤ対策にかかる財源措置等について」という要望書が出ています。「積雪寒冷地におけるスパイクタイヤによる影響は、環境悪化及び道路摩耗に伴う補修費の増嵩等重大な行財政問題となっていることから、その使用制限や新たな財源措置について抜本的な制度化を図られるよう特段の御配慮をお願いいたします。」こういう要望書が出ているんですけれども、スパイクタイヤによる地方自治体負担分に国の経費支出について、建設省の今後の対応策をお伺いします。
  65. 寺田章次

    ○寺田説明員 お答えいたします。  道路の維持管理に要します費用と申しますのは、それぞれその道路の管理者が負担するということが原則になっているわけでございますけれども、補助国道及び県道の舗装、補修につきましては、大規模であるなど一定の基準以上のものに限りまして国庫補助の対象といたしているわけでございます。スパイクタイヤによりまして損傷を受けている道路につきましても同様の取り扱いをいたしておりまして、今後ともこの基準に基づきまして舗装、補修事業をやってまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  66. 竹村泰子

    竹村委員 スパイクタイヤを禁止できたらかなり国の経費が節減できるはずなんですけれども、その辺のところ、率直に御討議いただきたいと思います。  通産省お尋ねしたいのですが、車粉じんの被害で悩んでいる地域住民は、どこも同じですけれども、例えば札幌市民などは、アンケート調査によれば圧倒的多数が車粉じんによる不快感そして不安感、またしかし、安全走行のためにはスパイクタイヤに依存せざるを得ないという非常な矛盾、悩みを持っているわけです。どんどん車はふえ続けているということにも一つ問題点があるわけですけれども、このままスパイクタイヤによる車粉じん問題をほっておけば、年を追って悪くなることは十分考えられます。  私は、この車粉じんの問題は、市民も行政もまず車粉じんをなくしていくという、そういう観点から解決に当たらなければならないと思っているのですけれども関係省庁としての明確な対応策を今示さなければならないのではないでしょうか。  日本タイヤ協会が進めている第二次規制基準づくりの試案では、当初の、性能を一〇%ダウン、道路摩耗三〇%軽減が後退して、それぞれ八%、二〇%に下方修正されたと聞いておりますけれども、どうなんでしょうか。この第二次基準試案、なぜか通産省のところで凍結されているというふうにも聞くのですけれども、これは現在どうなっているのでしょうか。
  67. 松井司

    ○松井説明員 御説明申し上げます。  今先生がおっしゃいましたように、現在タイヤ業界は第一基準ということでその生産をやっているわけでございますが、当初この問題につきまして、先生がおっしゃいましたように二〇%程度の道路損耗の案を検討中でございましたが、スパイクタイヤ問題が非常に重要だというようなことでございまして、現在は道路損傷を三〇%程度軽減することを目的として、その試案を検討中でございます。
  68. 竹村泰子

    竹村委員 もっと前にこれは本当は出るはずだったんですね。基準が下方修正され、それも新基準として今すぐ打ち出されない、検討検討中と言ってかなりもう長いわけですけれども、これはいつごろお出しになるつもりですか。
  69. 松井司

    ○松井説明員 現在検討中でございまして、三〇%程度の道路損耗の検討中でございますが、この二次基準につきましては近々その成案ができ上がる、こう聞いております。
  70. 竹村泰子

    竹村委員 近々というのはどのくらいの近々ですか。
  71. 松井司

    ○松井説明員 この一、二カ月ぐらいにということで私ども指導しております。
  72. 竹村泰子

    竹村委員 出ますのを期待しております。  それでは次に警察にお伺いしたいのですが、警察は交通安全の立場から、この間も参議院の予算委員会で、三月二十五日に太田交通局長が、スパイクタイヤは冬の交通安全に役立っており、現在それにかわるものはない、直ちに法的規制をするには問題があり、慎重に対処せざるを得ないとおっしゃっておりますけれども、まず車粉じんをなくすことが先決という視点に立ては、警察は交通安全をされるのが命を守ることである、しかし車粉じんで肺を侵され、やがてはがんの発生も見られるかもしれないという、これもやはり命の問題なんですね。  そういう段階的な規制をすることもできるのではないかと思いますけれども、ここに私持っておりますが、カナダのオンタリオ州でスパイクタイヤの禁止前後における交通事故の状況を示した興味深いデータがあります。  これを見ますと、オンタリオ州では一九七一年四月三十日以降スパイクタイヤを全面禁止しました。オンタリオ州情報運輸省の報告によりますと、禁止後、氷、雪、圧雪、そういう路面での事故はむしろ減少したということがこの数字に出ております。確かにスタッドレスタイヤというタイヤは、あるいはほかのスノータイヤでは制動距離はスパイクタイヤにはかなわないかもしれない、しかしそれはアイスバーンの路面であって、このカナダの例は、いわゆる安全性が制動距離だけにおいて決定される、それだけではないのだということを示しているのではないでしょうか。どうでしょうか。警察庁、どう思われますか。
  73. 安藤忠夫

    ○安藤説明員 第一点目の法的規制の問題ですが、前回局長答弁いたしましたように、大変難しい問題でございます。ただ、道交法では、道路の交通に起因する障害という点で、安全性とそれから起因する公害その他の問題についても対応できる、していかなければならないわけでございますが、現時点、スパイクタイヤなしで走れるような道路条件、除雪とかタイヤの改善とか冬季の自動車利用のあり方とか、その県民、市民の自動車についてのコンセンサス等が得られるかどうかという大きな問題もございます。そういう点も含めて今検討中でございます。  二点目のカナダの例でございますが、お示しのようなデータから見ますと確かに減っておりますが、その場合の道路の条件であるとか凍結日がどうだったのか、あるいはそれにかわる安全運転の知識の普及対策とか、そういうのをどの程度やったのか等との関係で判断すべき問題かというふうに考えます。
  74. 竹村泰子

    竹村委員 時間の関係もありますので、スパイクタイヤの段階的規制に関連して幾つかお伺いしたいと思います。  最初にスタッドレスタイヤについて、例えば札幌市ではスタッドレスタイヤのモニター制度を取り入れております。スタッドレスタイヤの普及について力を入れているわけですけれども、このスタッドレスタイヤの品質向上努力に対する通産省姿勢についてお伺いしたいと思います。
  75. 松井司

    ○松井説明員 スタッドレスタイヤというのはいわゆるスパイクのピンをつけなくても若干そういう冬の時期に走れるというタイヤでございますが、御承知のように、スタッドレスタイヤというのは温度が下がっても柔軟性を損なわないようなゴム質を使ったり、あるいはトレッドパターンと言っておりますが、そういうものを工夫してそういう制動性を上げているわけでございますが、やはり凍結路面と申しますかそういうところでは、どうしても性能がスパイクタイヤに比べますと六割ぐらいということでございまして、限度がございます。  現在、業界におきましてそういうゴム質の改良、こういうことに努力しておりまして、通産省としましてもその辺をバックアップしているところでございます。
  76. 竹村泰子

    竹村委員 もう少しお聞きしたいところですが、余り深く追及できませんが、次に運輸省にお伺いいたします。  大型車の問題としては、スパイクタイヤの全面禁止、スタッドレスタイヤの開発が早急に無理とすれば、現実的な対応策としてスパイクの装着期間制限、これをさらに短縮する必要が急務と考えますけれども、これは一地方自治体レベルではなかなか難しい、国のリーダーシップが発揮されなければ難しいのですね。装着期間制限について現実にどう対応しようとしておられるか、お聞かせいただけますか。
  77. 福田安孝

    ○福田説明員 御説明いたします。  運輸省といたしましてもスパイクタイヤの粉じん問題というものは十分認識しているところでございますが、去る五十八年九月に環境庁の方よりスパイクタイヤの使用の自粛等につきまして通達を運輸省は受けでございます。  したがいまして、運輸省といたしましても、バス、トラック等の運輸関係団体に対しましてスパイクタイヤの使用の自粛について協力するように指導しておりまして、今後も使用期間の自粛等につきまして関係業界指導していくように考えておる次第でございます。
  78. 竹村泰子

    竹村委員 札幌市ではスパイクタイヤ対策協議会というのを設立しまして使用制限を五十八年四月から施行しています。六十年一月から条例化の研究のため建設局内にスパイク主査というのを新設しています。また、北海道はスパイク問題対策協議会を設立して、あるいは車粉じん健康調査検討委員会を発足させ、知事も全面禁止の条例化の検討に入ると答弁をしているわけですけれども、こういったことを踏まえて、装着期間制限についても段階的規制という視点でぜひ国の指導をいただきたいと私は非常に強く思うわけでございます。  大型車のみでなく、普通車も含めたスパイクタイヤの装着期間の規制を強めることとか、スパイクタイヤのピンの規格の小型化ですね、これは通産省の方かもしれません、あるいは本数の減少、それから新車を買うときにスタッドレスタイヤの売り込みに関する行政上の指導など、関係各省庁これはいろいろなところに広くまたがっている問題なんですけれども、各省庁が車粉じん追放のために、命を守るためにということで協力をしてくださればすぐにでもできることが幾つもあると思うのです。  そこで関係省庁にお伺いいたしますが、これらのことを前提にして、三年後ぐらいをめどにスパイクタイヤの販売、使用の全面禁止と取り組んでいただきたいと思います。この三年というのはなぜ三年かといいますと、現在新しくスパイクタイヤを買って、その寿命、更新期を考えた年数ですけれども、三年の間にスパイクタイヤのピンの本数削減を含む使用基準の明示ですとかスタッドレスタイヤの普及の拡大を図っていくこと、行政の条例化に必要な関係法の検討、市民の合意など、これは三年あれば十分できることではないかと思います。  もう時間がありませんので一つ一つ各省にお聞きすることはできませんけれども、動物実験などで明らかなように、被害が認められる車粉じんをこのまま放置しておいて人体への影響が顕著になってからでは遅過ぎるわけです。じん肺、そしてがんにという読売新聞の記事もあります。車粉じんが、長い目で見た場合、呼吸器系だけではなく全身のがんの増加に何らかの要因を及ぼす可能性がある。じん肺というのは、粉じんが肺に吸入されて沈着して、息切れ、ぜんそく、心臓障害などを引き起こす炭鉱などに多い職業病ですけれども、この粉じんが非常に低濃度だからといって無視すれば大変なことになりかねない。イタイイタイ病などが何十年も後になって大問題になったように、今私たちが車粉の人体実験をさせられているかもしれない、私は北海道民として札幌市民としてこういうことを思うわけでございます。  またある実験では、車の中に乗っていても車外の微小粉じんが五六%流入してくる、車の窓を締め切って乗っていても、こういう実験の結果が出ているわけです。締め切った部屋にいても、車の中に乗っていても五六%のものを吸い込んでしまう。タクシーの運転手さんなんか、この時期には、春先になるとのどが痛む、長時間運転していると服が真っ黒くなってしまう、頭がざらざらになるなどの苦情を訴えておられます。  また、先ほどの野犬の調査のときにも申し上げましたけれども、なぜ野犬がそんなに影響を受けてしまうかというと、低いところで呼吸しているからです。そうすると、子供たち、これは一番の被害者になってしまうわけです。北海道の道路は広いですから、北海道では長い道のりを歩いて通う子供たちもたくさんおります。  人体へのこれらのこと、我が国の幾つもの公害病の事例をここにあえて言うことはありませんけれども環境庁初め関係各省庁は、十分な経験の蓄積と具体的な対策を講じていただきたい。長官、いかがお思いでしょうか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  79. 石本茂

    ○石本国務大臣 お答えいたします。  先生が言われますように、健康の被害が起きてからどんなに騒いでも、非常に長い年月を要しなければそれは解消できるかどうかもわかりません。そうした意味におきまして、これほど大きな問題になってきているスパイクタイヤ問題でございますから、きょうは関係省庁が全部ここに来ておられますけれども、私個人の考えを申し上げますならば、全面禁止ができないものだろうかという気持ちを持っております。
  80. 竹村泰子

    竹村委員 大変うれしいお返事をいただきましたけれども、道路で一日じゅうずっと工事をしている人たち、あるいはさっき申し上げましたような子供、それから非常に交通量の激しいところにお店を構えていらっしゃる方たち、タクシーの運転手さん、そういった方たちは、本当にもろにこの被害者なわけですね。  私、勝手に三年後という基準をお出ししましたけれども、三年後のスパイクタイヤの全面禁止に向けて国の条例制定の推進、これは罰則つきでないと困ります。努力義務では困るわけです。罰則つきの条例制定について前向きに検討することを約束していただけますでしょうか。環境庁長官、代表でいかがでしょうか。
  81. 林部弘

    ○林部政府委員 私からちょっと御説明させていただきます。  スパイクタイヤ問題は、環境庁のみで取り組める問題でございませんで、関係省庁が集まって五十八年以来連絡会議を持ちまして、定期的に集まりながらいろいろな施策を進めてきているという経緯がございます。そういうような経緯の中で、冒頭に大臣からも御説明ございましたように、各省庁がそれぞれ分担しながら取り組んできておりましたところに、本年の六月に自民党の方からも提言をいただいておりまして、さらにその問題の具体化についても私ども連携をとりながら前向きに進んでいくということでございます。  それから、条例問題につきましては、それぞれの自治体のお立場での条例に対する取り組みが行われておりますし、全国的なベースの問題につきましては、先ほど警察庁の方からお答えがございましたように、慎重な取り扱いが必要であるというようなことで検討が続けられておる、こういう状況になっておりまして、各省庁が連絡会議の中で調整をしながら連携を保ってやっている形になっております。  先ほど運輸省の方で援用されましたが、五十八年の秋に、私ども環境庁の大気保全局長名で二十数カ所の関係道県に通達を出しまして、行政指導で使用自粛その他の措置をとっていただくようにお願いいたしておりまして、その後、十カ所の自治体で要綱によりまして行政指導による使用自粛というようなことが行われているという現状でございます。
  82. 竹村泰子

    竹村委員 私は、三年ぐらいをめどに全面禁止に向けて何とか努力をしていただけますでしょうかとお聞きしたんですけれども、そのお答えはどうですか。
  83. 林部弘

    ○林部政府委員 率直に申し上げまして、三年以内に全面禁止というようなことは非常に困難であろうと思います。
  84. 竹村泰子

    竹村委員 どうして困難なんですか。
  85. 林部弘

    ○林部政府委員 これは私だけの立場ではなかなかお答えし切れないわけでございますが、各省庁からいろいろと御説明ございましたように、ヨーロッパあるいはアメリカとは日本の気象の状態も違いますし、それから、国内的に申しましても、北海道からその他の地域まで降雪量あるいは気象条件も非常に違っておりますので、一元的にそういう措置をとることは非常に難しいんではないかということで、簡単に全面禁止という方向のコンセンサスが得られない。したがって、地域地域の特性に応じ事情に応じて、弾力的に、しかしながらできるだけ効果のある方法をとりたい。  先生からの御発言もございましたが、私どもも、現実にスパイクタイヤのピンを減らすということによって降下はいじんの量をもっと大幅に減らすことができないかというようなことを中心に、これから具体的な方策についてさらに前向きに進んでいくというような状況にあるというのが現状でございます。
  86. 竹村泰子

    竹村委員 大変官僚的なお答えでして、三年で努力いたしますなんて言っちゃったら、後、大変ですからわかりますけれども、しかし、不可能でございますと言ってしまうことはないんじゃないかと思います。  環境庁長官、いかがお考えでしょうか。
  87. 石本茂

    ○石本国務大臣 今局長が申しておりますように、いろんな状況があろうかと思います。先日、新聞に出ていたんですが、仙台市は何か全面禁止しますというような声が出てきたようでございますし、国の法律をつくって、そしてそれをかぶせることももちろん必要でございますが、できますことなら、北海道の知事さんもそういう意向をお持ちでございますので、地域ごとにそういう条例をまずおつくりできないものだろうかというように考えますが、三年以内というお言葉を真に受けまして、そのとおりにできるかどうかわかりませんけれども、その方向に向かって努力をするということを全部で検討してもらいたいと思っております。
  88. 竹村泰子

    竹村委員 結構です。これは多くの省庁にまたがることですので、命にかかわる問題ですから、各省庁の御努力を私ここで御期待して、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  89. 辻英雄

  90. 上野建一

    上野委員 私は、お許しをいただきまして、先端技術の公害についてお伺いをし、その総合的な対策をぜひやっていただきたい、こう考えるところであります。  実は、きょう地下鉄をおりましたら、偶然にもチラシを配っておりまして、その中に、石本環境庁長官が、我が国の大気汚染公害は改善されていない、特に自動車の公害などを中心にして依然として深刻であるという認識を公にお話をされたということが書かれていました。公害関係の団体のようですけれども、きょう雨の中でチラシを配っていました。  そういうことで、取り巻く情勢としては、民活なり行革なり、規制を緩和する方向に行っておる中で、石本長官が人間を大事にするという立場から大変奮闘されている、まずこのことに敬意を表しておきたいと思います。石本長官の在任中にいろいろな公害問題が大きく前進するように、冒頭まず要望をしておきたいと思います。  そこで、私がきょう質問したい第一の問題は、既に問題になっておりますけれども、ICの工場でアメリカにおいても日本においても大変大きな被害を出しておるという問題です。アメリカなどではシリコンバレーの猛毒の廃液によって十三人死亡している、あるいは日本でも東芝の姫路の工場でやはりそういうことがある、日本でも八人死亡している、そういう状態が半導体の工場から出ております。ところが、工場は、ここにもその事故を起こした工場のパンフレットがございます。宮崎の沖電気のパンフレットなんですけれども、極めてきれいな緑の真ん中に工場がある、そしてクリーンな工場だということであります。このパンフレットからは、人間が死亡するような事故が起こるとはちょっと考えられない。したがって、半導体の工場はきれいな環境を要求するけれども、その工場自体は非常にクリーンじゃないんだ、いろいろな公害を出しておる、こういうことでございます。  したがって、こういう状態の中で、もう今までのことは時間の関係もありますから結構ですから、今後暫定措置などを含めて、環境庁としてはどのような対策を予定をされておるのか、これから進められようとしておるのか、この点をまず冒頭にお伺いしたいと思います。
  91. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答え申し上げます。  先端産業の立地に伴います環境問題という観点から、環境庁におきましては昭和五十九年度にIC工場についてのケーススタディーを行ったところでございます。その内容といたしましては、ICの製造工程につきまして、取扱物質とかあるいは排出の形態などにつきまして把握をいたしまして、環境保全上配慮されるべき事項を検討いたしたところでございます。今後、その結果を整理いたしまして、都道府県などの指導に際して活用してまいりたいと考えております。  また、その半導体工場などにおいて使用されております有機塩素系の化学物質、例えば溶剤とか脱脂洗浄剤などに使われております。そういう物質に関しましては、これは地下水の汚染を防止するという観点から、排出の抑制に関します暫定指導指針を設定いたしまして、地方自治体を通じての指導を行っておるところでございます。  また、このような物質に関しまして、公共用水域の汚染の実態とか工場、事業場からの排水実態につきまして緊急的な調査を実施するなど一所要の対策を講じているところでございます。
  92. 上野建一

    上野委員 そこで通産省お尋ねしますが、いろいろな薬剤を使っておられる。それから材料、ICの工場の特殊な材料、それからガス、こういうものがいろいろ出てきておるわけですけれども、これについて実情はどのような把握をされているか、通産省の現状の把握の状態についてお伺いします。
  93. 島弘志

    ○島説明員 お答えいたします、  IC集積回路等の半導体工場では、ガス状、液状の化学物質が多種類使われておりまして、大まかに大別をすれば四つぐらいのカテゴリーに分けられるのではないかと思っております。  一つは、シリコンのウエハーに半導体の単結晶を成長させるというようなことに使いますシリコン系のガスでございまして、代表的なものはモノシランと言われております。それから二つ目は、トランジスタなどの半導体素子をつくり込む工程等々で用います、アルシンとかホスフィンと呼ばれておりますけれども、そういったガス類があるわけでございます。それから三つ目は、いろいろな酸化膜なんかを取り除きますときに使います、いわゆるエチンガスと言っておりますが、その中では三塩化硼素等が代表的なものではないかと思われます。最後に、ウエハーを洗浄いたしますけれども、そういう工程で有機溶剤としてトリクロロエチレン等が使用されている、このように承知をいたしております。
  94. 上野建一

    上野委員 それで、実は私の方の千葉県でも新しく先端技術の工場を誘致しているのですけれども、それが二百四十五社あるのです。そのうちの一〇%はICの工場なんです。  それで、主要な半導体の工場、全国的には百六十社あるそうですけれども、その中でも特に重要だと思われるのを図面に入れてみたんです。そうしましたら、まさに全国ずっと半導体の工場で覆われるのです。百六十分部入れると真っ黒になってしまう。そのくらい数多くなっています。ですから、それが一斉に公害を発生をしているという状態になりますと、これはもう、後で申しますが、大気汚染なども含めて大変な事態になるのじゃないか、こう思われるわけで、その観点から特にお伺いをしておるわけなんです。  そこで、通産省は、それではそういう把握をされているシリコン系ガスを初めとして四種類ばかりあるそういうものに対して、その処理というものについてはどのように対策をとられているのか、その点をお伺いします。
  95. 石田寛

    石田説明員 御説明申し上げます。  先生のただいまのお話にもございましたような特殊材料ガスでございますとかある種の有機溶剤でございますとかというようなものが環境に影響を与えるようなことがあってはならないということの重要性につきましては、深く認識をいたしております。  したがいまして、既に、まず特殊材料ガスについてでございますが、現在、高圧ガス保安協会におきまして、都道府県の取り締まり担当部局の方それから学識経験者などから成ります委員会を持ちまして、情報の収集に始まりまして、特殊材料ガスを取り扱う事業者が守りますべき技術基準を作成いたしているところでございます。  もう一つ、有機溶剤に関連するものでございますが、今もございましたように、トリクロロエチレンでございますとかテトラクロロエチレンなどというような有機溶剤につきましては、既に昭和五十九年の二月に、関係業界の方に対しましてその生産から使用、貯蔵に関しまして漏出が防止されるよう徹底を図るように通知いたしたところでございますし、さらに同年八月には、有機溶剤に係る暫定排水濃度の目標を定めまして、これを同じく関係業界などへ通知いたしたところでございます。
  96. 上野建一

    上野委員 ちょっと明確じゃないのですけれども、その委員会をつくって技術基準をつくっているというのですか、それとももうつくって出したというのですか。
  97. 石田寛

    石田説明員 ただいま委員会におきまして鋭意基準の作成の作業中でございます。
  98. 上野建一

    上野委員 いつごろできるのだ。
  99. 石田寛

    石田説明員 基準の作成それから関係業界への周知徹底まで含めまして今年中に行いたい、かように考えております。
  100. 上野建一

    上野委員 次に、労働者の関係で、働く人たちの健康の問題。これは極めて重要な問題でありますので、労働省は特にこれに対して対策をとられておるとは思いますが、しかし、やはり死亡事故まで起こっておる、こういうことでありますので、今までの事故の件数、これは労働基準局が掌握をしておるのだと思いますけれども、ここで働く人たちの健康を守るという意味では、どのような対策、例えば作業保安基準とかそういうものをつくられておるのか、これを現状の実態をお伺いしたいと思います。
  101. 冨田達夫

    ○冨田説明員 半導体製造工場におきまして有機溶剤とか材料ガス等により発生したと思われます労働災害は、昭和五十六年から五十八年までの三年間については五件発生したことを把握しております。その被災の程度は、死亡三名、中毒六名、その他五名の計十四名でございます。  これらの有機溶剤、材料ガス等による被害を防止するために、労働安全衛生法に基づきましてそれぞれの取扱基準の設定あるいは取扱労働者の健康管理等を関係事業者に義務づけておりまして、これらの遵守について指導を行っているところでございます。具体的には、有機溶剤については有機溶剤中毒予防規則あるいはアルゴン、ヘリウム、フロン等の不活性ガス等によって起こる酸素欠乏等については酸素欠乏症等防止規則がございます。
  102. 上野建一

    上野委員 すると、労働省は具体的に各工場の保安基準とかいろいろその実態を、工場に立ち入って労働者の実態を調べたというようなことはあるのですが。事故が起こってから−事故が起きたところではわかりますよ。報告があった分だけはここに出ている。しかし、この報告のないのもあるでしょうし、今の労働基準局では把握し切れないのじゃないですか。
  103. 冨田達夫

    ○冨田説明員 労働災害あるいは職業性疾病等の発生状況につきましては、労働安全衛生法によりまして事業者にその発生状況等を報告するように義務づけてございます。労働省では従来よりその把握に努めておりまして、その結果に基づく具体的な措置をとってきているところでございます。  ただ、この半導体製造工程における問題点につきましては、まだ法規制ができていない部分もございます。あるいは人体に対する影響のはっきりしないようなガス等もございます。それを受けまして、本年度から専門家による実態調査を含む研究調査を行う予定でございまして、現在その準備段階に入っております。
  104. 上野建一

    上野委員 その実態調査をいつからやるのですか。今年度中にやるというのは、もう大分なっているんだけれども、今年度中ですか。それは今年度中に終わるのですか。
  105. 冨田達夫

    ○冨田説明員 この実態調査を含む調査研究の実施予定は、今年度と来年度二カ年を予定しております。今年度につきましては、既に関係専門家の内諾を得まして、具体的に調査項目等をどうするかなどの検討をこれから始めようとしているところでございます。
  106. 上野建一

    上野委員 僕はそれがいやにのんびりしているんじゃないかと思うのですよ。そのガスとかなんかの関係はほかの省庁でやるわけですから、あなたの方はその労働者の実態を、企業を調べるわけですね。例えば、全国で今百六十、それを考えますと、いかに労働省予算が少ないからといったって、そのくらいのこと一年でできないということはないでしょう。二年もかかるというのは一体どういうわけですか。
  107. 冨田達夫

    ○冨田説明員 既に事故の発生した現場には立入調査等を行っております。  ただ、基本的に具体的な効果的施策を講ずるために必要な調査が要るわけでございまして、そのために一年、二年の期間をかけて抜本的なものをつくろうということで現在進めておるわけでございます。
  108. 上野建一

    上野委員 労働省、それは少し怠慢ですよ。というのは、その実態のこと、それから対策などを含めてはあなたのところだけでやれるわけじゃないのですから、あなたのところは、やはり保安上の問題を含めて労働者の実態をもっと、どういう労働条件で働いているのか、それをやはり明らかにすることなんじゃないでしょうか。むしろあなたのところが早くやらないと、ほかのところでも対策が立たないようなところもあるんじゃないですか。それを二年もかけなきゃできないなんて、しかももう六月でしょう。六月も間もなく終わるわけですから、それでまだ準備中というのは、どうも労働省というのは何か動きが鈍いような気がするんですがね。
  109. 冨田達夫

    ○冨田説明員 ただいま私が準備中と申し上げましたのは、シリコンバレーその他、諸外国の文献等を取り寄せまして、内部でその検討をしているわけでございます。冒頭にお答えしましたように、既に現在の法令で施行されている部分もございます。それらについては監督指導等を通じて同種災害の防止に努めているわけでございます。
  110. 上野建一

    上野委員 実は今度の「朝日ジャーナル」を見ましたら、ちょうど死亡した小木曽哲夫さんという方のことが書いてあるんです。これは何が原因でどうなったかということがわからないんですね。それで、死亡する直前になってもこの人は企業秘密だからといって、肝心のことになると親にも事実を語っていない、そのことが出ているのです。  これは企業の今みたいな状態の中ではなかなか企業は明らかにしない。そして事故があってもなお明らかにしないのですから、そうだとすると、やはり役所が積極的に労働者の命と権利を守るその立場でやらなければいかぬわけで、だから、こういう真相がわからないものですから、すべて企業秘密だということになってしまう。それで死亡事故が起こってからじゃこれは遅いわけですよ、もう既に死亡者が出ているわけですから。そうだとすれば、もっとこれらの問題を、その亡くなった方を無にしないためにも積極性があっていいんじゃないでしょうか。  外国の文献など、私どもはこうやっていろいろ持っていますよ。そんな何日もかかりゃしない。今もう既に通産省に聞いたらちゃんとわかっているでしょう。とりあえず四種類だと言っているでしょう。まだ何百とあるらしいけれども、とりあえず危険なのは四種類だ、しかもそれは大量に使われている。そこまでわかっているんだから、外国の文献なんか、何も何カ月もかけなくたってわかるじゃないですか。やはり労働省はもっとちゃんとしてもらわなければ困りますよ、こういう問題は。
  111. 冨田達夫

    ○冨田説明員 通産省さんのお答えになった四種類は、物質の分類だと承知しております。実際に半導体製造工程で使っている有害物質等は、数十種類に及んでいるはずでございます。  我々は、先ほど先生指摘の宮崎の件につきましては、既に労働安全衛生法でその規制がなされておるガスでございます。それ等についても具体的な調査を行いまして、再発防止に努めているわけでございます。
  112. 上野建一

    上野委員 労働省、言いわけはいいけれども、アメリカでは六十種やっています。六十種あると言っている。それは発がん性から含めて大変な状態にあります。時間がありませんから、あなたのところだけやっているわけにいきませんので申し上げておきますが、ただ、やはり労働省はもっとそういうことで、これだけのことは、人命にかかわることなんだからということでもっと予算要求なども積極的にやって、そしてこれに対処してもらいたい、この点を要望いたしておきます。  次に、消防庁にお伺いします。  特に消防庁には災害や防災の観点からお伺いするわけですけれども、この宮崎の沖電気の例を見られてわかりますように、大変消火が立ちおくれているわけですね。というのは、何が原因がわからない、そういうところからどうもきているようでありますけれども、そうしますと、消防庁はこの宮崎の沖電気の例に倣って−このときは鎮火が大変おくれている。理由は企業秘密で、水をかけたらいいのか何をやったらいいのかわからないということでおくれたと言われているのですね。そして、その中では使っているものも燃えやすいものを使っている。それは安くするために塩化ビニールかなんかの管を使っている。ちゃんとしたほかの機材を使えば安全なものを、燃えやすいものを使っている。  こんなようなこともあるわけで、そういうことをあらかじめ予防させ、チェックするのが消防庁の大きな任務だと思います。もちろん、個々の問題になりますと市町村の消防がやるわけですけれども、やはり消防庁はこういう全国的な問題、特に先端技術という今までなかったようないろいろな問題に対しては、積極的に全国行政指導をする必要があると思いますが、今後どのような形でこの防災、消火体制の強化を図ろうとするのか、この点をお伺いしておきます。
  113. 石橋忠雄

    ○石橋説明員 半導体製造工場におきます火災発生につきまして消防庁の立場から考えますと、半導体製造工場の場合は、まず取扱物質に危険性の高い有害ガスを発生するおそれがある物質があるというようなこと、あるいは工場の設備あるいは建物そのものにつきまして特殊な部分がある。具体的には、工場そのものが密閉構造であるとか窓がないとか、あるいは内部の装置がかなり密集している、そういうことで消火活動上は非常に困難を伴うという事例が少なくないわけでございます。  御指摘の宮崎の昭和五十七年十月の火災につきましても、いろいろ消火のおくれた原因等につきまして報告を得ておりますが、推定されるおくれた原因といたしましては、工場内で用いられております化学物質の注水等によります反応が当初予想できなかったというようなことが一つ。それから、高圧電流が使われているため感電の危険があるというようなことで注水開始をおくらせて、結果的に消火に時間がかかったというふうに聞いているわけでございます。  こういった半導体工場における火災の特性にかんがみまして、IC工場では火災などの災害事故を未然に防ぐことを第一に考えまして、さらには発生した異常現象を早期に感知し、災害の初期対応を図ってその拡大を防ぐシステムづくりが必要でございます。そのためには、防災設備の万全を期することはもとより、企業内の防災組織による非常時の即応体制の整備、あるいは災害予防、緊急時対応のための教育訓練、これが重要な意味を持っているわけでございまして、消防といたしましては、宮崎におきます火災の後、その火災の実態や問題点につきまして全国消防長会等におきまして検討いたしまして、今後この種の火災が発生した場合の対応とか、あるいは工場の実態の把握等について各消防機関において鋭意対処しているところでございます。  すなわち、一般的には、工場等一定の防火対象物につきましては防火管理者を定めまして、工場等に係る消防計画を作成し、当該計画に基づく消火訓練等を実施すべきこととされておりますが、IC工場におけるこのような実態を踏まえまして、消防機関としては、この種の対象物に対し、消防計画の届け出、防火管理者の講習等の機会を通じまして特に防火管理の徹底を図っているところでございます。  今後とも、特に消火に当たっての困難性を伴う点を踏まえまして、市町村消防に対しまして立入検査の強化、工場の実態の把握といった点を指導し、防火管理体制の充実を図ってまいりたい、そういうふうに考えております。
  114. 上野建一

    上野委員 消防庁、今言われた後半の部分ですね、特に実態を把握してないといかぬと思いますので、その実態の把握を防災、消防の観点からぜひ積極的にやっていただきたいと思います。  ただここで問題なのは、市町村の消防体制、特に化学消防車などがこれから必要になってくると思うのですけれども、ここら辺の対応。ICの工場はどんどん各地に環境のいいところに進出しておりますから、今、日本で環境がいいというと、消防車とかいうそういう体制は大体弱いところで、特に化学消防車となりますと大変なことなんですが、そういう関係では消防庁はどうお考えでしょうか。必要な消防車と現状との比率などについて…。
  115. 石橋忠雄

    ○石橋説明員 御指摘のように、IC工場の立地につきましては都市部から比較的離れた地域等にも立地されておるわけでございまして、現有消防力との関係で問題がなきにしもあらずという問題もございますけれども、今後、消防力の基準等の検討の中で、そのあり方といいますか、その辺を検討してまいりたいというふうに考えております。  御質問の率につきましては、ただいま数値を持ち合わせておりませんので御勘弁いただきたいと思います。
  116. 上野建一

    上野委員 今、関係する省庁に一通り対策、現状をお聞きしたわけですけれども、石本長官、お聞きになってもわかりますように、これは大変新しい問題でもありますけれども対策は極めて不十分、すべてこれからの面が多いわけです。  ところが、それについて各自治体では公害防止協定を締結をし始めております。私ども地元の千葉県でも、館山に来ております工場と締結をいたしました。それからもう一つ、ほかのところでもございます。これは岩手県だと思いましたが、そういう形で協定がなされております。  そうすると、館山の例で結構ですけれども、この公害防止協定について環境庁としてはどう評価されるのか。まずこの協定についての考え方、実際にできた千葉県、岩手県のこの努力、一定の努力があったわけですから評価をされると思いますが、この協定でよろしいのかどうか、明確な御答弁をいただきたい。
  117. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 先生御案内のように、最近館山市とか北上市の方で協定締結あるいは協定締結の準備などが進んでおるところでございます。この公害防止協定は、自治体が地域の特殊性等を勘案いたしまして独自の判断に基づいて企業と締結するものでございますが、先端産業に係ります環境汚染に関しまして、このように企業と自治体協力してその汚染の未然防止を図っていく、そのような努力を行っているということは、これは環境庁としても大変意義のあることだというように考えております。  なお、環境庁といたしましては、このような先端産業に関します環境問題についての情報収集をいたしまして、そしてこのような成果につきまして地方自治体等に情報提供に努めてまいりたい、かように存じております。
  118. 上野建一

    上野委員 千葉県の場合でも、私は実情を知っておりますが、最初は、きれいな工場だから公害は何もない、水も使わないし非常にクリーンな工場だ、こういうことで来たわけなんですね。それで、私どもの市会議員を初め、これはちょっとおかしいぞという話になって問題が出てきてこの協定までいった、こういうことなんですね。ですから、この協定を見ますと、やはりここには大変な努力がかかっています。その努力がなければ先ほどのような事故も起こりかねないようなものがあるわけです。  そこで、そういう状態ですから、環境庁全国的に、いろいろ特殊事情と言われますが、環境についてはいろいろ違いがありますが、一定の全国に及ぼしていける普遍的なものがあるはずなんですね。その公害防止協定、例えば基準をどこに置くのか、館山の場合にはアメリカの基準を援用してやられていますが、そういうことについてはどうお考えでしょうか。環境庁としてはこれらの公害防止協定についてこれから各自治体に対して具体的にはどのような指導をなさろうとしておるのか、お尋ねします。
  119. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  この公害防止協定と申しますのは、あくまでも自治体が自主的にその地域地域における特殊性を考慮して定めるものでございます。先ほど申しましたように、環境庁といたしまして、そういう努力をしておられるということは大変意義があるというように考えておるところでございます。  普遍的にこのような指導ということにつきましては、環境庁として、化学物質のうちで、半導体工場も含めまして全国で広く使用されております有機溶剤などにつきましては、既に五十七年度から五十八年度にかけまして全国で地下水汚染の実態調査を行ったところでございます。その結果、トリクロロエチレンとかテトラクロロエチレン、1・1・1トリクロロエタン、この三物質については特に全国的にちょっと汚染の実態もございました。その物質につきましては暫定的な管理指針などを都道府県に通知をいたして指導しておるところでございますし、さらに今後も、五十九年度から新たに地下水の汚染機構の解明の調査などをいたしておりますので、その結果がまとまりましたら所要の措置を講じてまいりたいというように考えております。  また、半導体工場では、御案内かと存じますが、ウエハーの洗浄とかエッチングの工程でいろいろな物質が使われておるわけでございます。そのような半導体工場の使用されます化学物質の使用実態などにつきましてはいろいろ情報収集などに努めておるところでございますが、必要なそのような資料を自治体に提供するなり対策を進めてまいりたい、かように存じております。
  120. 上野建一

    上野委員 環境庁、ちょっと逃げ腰な感じがするのですよ。情報を集めてやるというのですけれども、情報はあちこちで集めているようですが、そういうことだけじゃなくて、自治体が協定を結ぶときには、これは全国的な問題ですから、やはりアメリカのように学会の基準があったりいろいろなものがあるわけで、そういうものが何を基準にしたらいいかというぐらいの指導はやれないのですか、やる気ないのですか、その点はどうなんでしょう。各自治体に任せっ放していいのですか。こういう公害というのは決して部分的な問題じゃないのですよ。それは調査してからゆっくりやるのでしょうか。
  121. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 調査してからゆっくりやるというような、そのような性質のものでもございませんし、非常に緊急を要する部分もございます。そこで、先ほど申しました重複になりますが、地下水につきましては、緊急を要する物質としまして暫定的な管理指針を出したところでございます。  IC工場、先端産業関係では、そのような既に使われております物質と、それから今後まだ新しい未規制のそういう物質、いろいろあるわけでございます。その後者の方、これが非常に不安のあるところかと存じますが、そのような点につきましては、先ほど各省からいろいろ御検討の説明がございましたが、環境庁といたしましても、必要な、例えばIC工場につきましてのケーススタディーを五十九年度において行ったところでございます。そのような情報をもとにいたしまして私どももこのIC工場に関します環境問題に対応してまいりたい、かように考えております。
  122. 上野建一

    上野委員 そこで、これからの問題についてお尋ねしておきたいのですが、どうもこれからIC工場を初め新たな先端技術といわれるようなものがどんどんふえてくも。例えば光ファイバーとかニューセラミックスとか、こういう新たな材料によっていろいろなものがつくられる。丈夫で軽いとかいろいろな理由でさらに広がっていく。その製造に使われるガスというものはいよいよ大きくなるだろうと思うのですね。そうすると、これはどう考えても大気汚染につながる状態にまでなる危険性がございます。  そういうことなど含めて、こういう新しい予想される先端技術産業の環境問題について環境庁はどう対応しようとしておるのか。事故が起こってから対応するというのが今までの経過ですけれども、それじゃならぬというのが現状だろうと思うのです。もう既に先端技術については多くの問題が出されていますから、それを踏まえて環境庁はこれにどういうふうに対処するのか、この際、少し方向を明確にしていただきたいと思います。
  123. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 先端産業に対する環境庁としての当面の対応策は先ほどちょっと御説明申したとおりでございますが、このような新しい有害化学物質の対策といたしまして、環境庁は特に昭和六十年度の最重点施策と考えておりまして、そのための予算措置とかあるいは機構上これを充実するというようなことで積極的に取り組んでおるところでございます。
  124. 上野建一

    上野委員 時間がありません。最後に長官にお尋ねをいたします。  長官お聞きのとおり、先端技術の公害の問題、他のこともそうなんですけれども、大変問題が多くて、これから対応しなければならぬというのが随分多くあります。そういう中で、先ほどもちょっと申し上げましたが、行政改革という現状を進めている中では、基準を緩めたり、民活と称して企業の立場に立った問題がどうも多いように感じます。  そういう中で環境行政というのは大変厳しいと思いますけれども、ぜひ予算もどんどんとってもらって、こういう新たな問題については行革も何も関係ないと思いますから、人間を大事にするという立場で予算を大いに要求していただきたい。今お聞きになってもわかりますように、調査に時間がかかっているのは大体金がないからなんですよ、第一の理由は。ほかの理由もあるでしょうけれども、第一は予算がないということがいつも言われますから、ぜひ環境庁長官としてそういう観点でこれからの御指導を、それから長官自体の御活躍もお願いしたいと思いますが、感想をお伺いしておきたいと思います。
  125. 石本茂

    ○石本国務大臣 いろいろな先生の御提言を承りました。先端産業の場合、特に有害化学物質がどこまでどうなるか、これはわかりませんけれども環境汚染を非常にしていくということは考えられるわけでございますので、これを防止するということが、これは先ほど来お話もありましたし、私もいつも申しております国民の健康を守るんだということが優先するわけでございますから、この問題につきましては、関係省庁におかれてもそれぞれ吟味し、検討し、研究されておることは先ほど来の御答弁でわかりましたけれども、これは緊密に連携をとりながら環境庁としてはそれに対応していかなければならない。  今先生申されましたように、本年度、わずかな予算でございますが、この研究のためにもらいました。人員も増加してもらいました。しかし、それで足りるものではございませんので、将来に向かいまして、先生方のお力添えをいただきながら頑張っていかなければいけない、努力しなければならないということは、今身につまされて、私、受けとめました。  ありがとうございます。
  126. 上野建一

    上野委員 終わります。
  127. 辻英雄

    辻委員長 この際、休憩いたします。     午後零時三十分休憩      ————◇—————     午後一時三十五分開議
  128. 福島譲二

    ○福島委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡本富夫君。
  129. 岡本富夫

    ○岡本委員 私は、きょうは主に交通公害対策について御質問をいたします。その後で、時間があれば航空機の騒音について御質問をいたしたいと思います。  そこで、東京の環状七号線、環七、それから関西の四十三号線、この二つが公害の発生する被害を一番受けていると言われておる二つの線でございますが、そのうちの四十三号線につきましてきょうは御質問したいと思います。  最初には国道四十三号線の車線削減についての検討、二つ目は阪神道路公団の高架構造物による反響音の対策について、三つ目は沿道整備法促進のための施策の充実、四つ目は週末通行規制の実施と阪神高速道路への乗り上げの推進、その他健康調査、それから沿道の民家防音工事の早期達成及び助成制度、その他もう二件ほどありますけれども、御質問したいと思います。  まず、代々の長官は、長官に就任されますと必ず視察されるのが東京の環七、環状七号線の現状、続いて四十三号線の現状を視察されておるわけでありますけれども、石本長官が長官になられましてからまだ四十二号線においでになっていらっしゃらない。それは、変な話ですけれども一つは、そう環境行政について御熱心でないのじゃないかというようなうわさ、同時にまた、これは事務当局の方からそうお伝えをしなかったのかどうか、こういう二点についてなんでございますが、いずれにいたしましても、一度長官みずから肌で感じていただく。そうでないと、周辺の被害を受けている人たちが非常に待っておるわけですので、大体いつごろおいでいただけるか、まずそれだけを先に聞いておきたいと思います。
  130. 石本茂

    ○石本国務大臣 お言葉ありがとうございました。  兵庫県それから地元からもたびたび要請されておりますので、私といたしましてはできるだけ早い時期に行ってみたいみたいと思いながら、きょうまで行く機会がございませんでしたけれども、できるだけ早い時期に必ず寄せていただきます。それをお約束いたします。
  131. 岡本富夫

    ○岡本委員 それで、大体七月の終わりくらいに瀬戸内海の環境保全の会議が兵庫県を中心にして行われるわけでありますけれども、そこに御出席をなされると聞いておるのです。そうかどうか知りませんが、その前後にできればおいでいただけるかどうか、ひとつお約束を願います。
  132. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 長官から、かねてからあちこち現場を見てというお話を私どもも十分承っておりまして、できるだけ機会をとらえてあちこちを見ていただいております。今先生おっしゃいましたように、瀬戸内海での会議もございますので、いつどういうふうに具体的に行っていただくかということにつきましては、そういうようなスケジュールも頭に置きまして、今大臣がおっしゃいましたようなお考えをできるだけ取り入れながら、具体的な作成を急ぐようにいたします。
  133. 岡本富夫

    ○岡本委員 そんないいかげんなことじゃ話になりませんよ。代々の長官は環七へ行った次は必ず四十三号線にお見えになっておるわけですから。大体長官よりも事務当局の方が後ろから引っ張っておるんだからね。  長官、そういうことですから、じゃ瀬戸内海の環境保全の会議の前後には必ずおいでいただけるか、ちょっと長官の独自の意見を伺います。
  134. 石本茂

    ○石本国務大臣 ただいま官房長が申されましたように、瀬戸内の方の視察のスケジュールは決まっておりませんが、それを別にいたしましても四十三号線の視察には参りたいと思っております。
  135. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官になるとなかなか自分勝手に動けないのですかな。大体瀬戸内海のその会議の前後にぜひおいでいただくことをお願いいたします。お約束していただいた、こうとってよろしゅうございますね。−首を振ったからそれでいいでしょう。  次に、私も当委員会に四十二年から約十八年間籍を置いておるわけですけれども、今までたびたび環境アセスメントを鯨岡長官のときから熱心に出してくるわけですけれども、一部の反対や、特に産業界の反対というようなことで皆流れて、とうとう今国会にはお出しになれなかった、これについて石本長官の御決意あるいはまた御感想を承りたい。
  136. 石本茂

    ○石本国務大臣 今申されますように、環境アセスメント法につきましては成立を見ることもできませんで、本当に残念だったと思っておりますが、御承知いただいておりますように、昨年八月の閣議決定の線に沿いまして、現在その実施の方向に向かっておるというよりも、もう実施の段階に入っております。そうしたことを踏まえながら、これは必ず法案として出していかなければならないという決意は持っております。
  137. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、今国会はもうあと余すところ幾らもありませんが、次の国会には必ず閣法として提案をするというように受け取ってよろしゅうございますか。
  138. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 今、大臣が申されましたように、今、閣議決定に基づきまして行政的に実施の具体的な細目を詰めておるところでございますので、それがほぼ年内には全部でき上がってまいると思います。  そういたしますと実際の閣議決定に基づくアセスメントというのは来年から行われるような形になると思いますので、その実施状況を少し見ながら法案の提出等につきましては判断してまいりたい、こんなふうに思っております。
  139. 岡本富夫

    ○岡本委員 大平内閣のときには閣議決定をしてちゃんと提出したわけです。今度は、それがまた後退したものが出てくるのかどうかわかりませんが、もう一度閣議決定をしなければならぬというような状態の話でございますけれども、しからば先国会で提出されたアセスメント法よりも若干変わるのか、あるいはまた後退するのか前進するのか。今部内で取りまとめておるということですが、これについてひとつ簡単に御説明願いたい。
  140. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 現在行政的な形で進めておりますアセスメントの実質的な内容は、ほぼ法律案に基づきまして進めておりますので、主要な点については先般国会で御審議をお願いいたそうと私どもが努めておりました法律案に即したものでございますけれども、何分にも法律と行政措置では法的な性格が違いますから、その限界等はございます。  したがいまして、その限界等につきまして実際に運営してまいった段階で私どもが頭にあるような問題点等が出てくるかどうか、あるいは行政措置でどの程度まで実態的な問題が確保されるのかというようなことはよく見定めて、その上でさらに法律をお願いすべき点はどういう点があるかということは詰めてまいりたいと思います。
  141. 岡本富夫

    ○岡本委員 官房長の話を聞いていると、アセスメント法案、この前出して流れたわけですけれども、どうも必要ないような、どこが必要なんだろうかというような、前国会でそれを必要でないのに出したのかというような感じがするわけですね、逆に考えますと。そうでなくして、石本長官になったわけですから、国民皆さんが、特にいろいろ事業をやるについてはアセスメントが大切であるということですから、ひとつもう一度しっかりした考えのもとに提出をするように要求いたしておきます。  そこで、この六月六日の新聞報道によりますと、「建設省は環境アセスメントの法制化が断念されたことに伴い、都市計画事業のアセスメントのあり方について環境庁と協議していたが、具体的な実施方法がまとまり六日、都道府県や地方建設局長関係公団に通達する。」というような報道でありますけれども、これは建設省いかがですか。
  142. 和田祐之

    和田説明員 六月六日付で都市局長通達で「都市計画における環境影響評価の実施について」という通達を出しておるわけでございます。都市計画は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るとともに、良好な都市環境の形成をその目的としておりまして、また都市計画決定の手続には、案の公告、縦覧、住民意見書の提出等の住民参加の手続が定められているところでございます。そのために、従来から都市計画決定に係る建設省所管の直轄あるいは公団の事業で、一定規模以上のもので都市計画決定を必要とするものにつきましては、都市計画決定に当たり環境影響評価を行ってきたところでございます。  今般、五十九年八月に「環境影響評価の実施について」という閣議決定がなされましたことによりまして、これを受けて、都市計画に係る建設省所管の対象事業並びに都市計画事業以外の所管でありましても、環境影響評価を行う場合にありましては、都市計画を定める者が都市計画を定めるに際し環境影響評価を行うということにいたしまして、この旨、四月一日付で建設事務次官通知並びに六月六日付で都市局長通達によりまして措置をしたものでございます。
  143. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、従来からもこういった道路あるいはまた都市計画ということについてはアセスメントを行う、また実施してきた、こうとっていいわけですか。いかがですか。
  144. 和田祐之

    和田説明員 そのとおりでございます。
  145. 岡本富夫

    ○岡本委員 しからば、実は四十三号線の公害問題につきまして、その措置のために大阪湾岸道路を今もう随分着手しておる。まだ残っておるのが尼崎の一部と西宮、芦屋付近、それから神戸、まだ海の中になっていますが、そういう計画がされておるわけでありますが、それもアセスメントが行われておるということであれば、この大阪湾岸道路ができた暁には四十三号線のもう一車線を削減してもらいたいということで、付近の住民の皆さんから大阪建設局ですか——大阪建設局の答えとしてはもう一車線減らすことを勉強してくるとか、あるいはまた今まで建設省は大阪湾岸道路ができた上で検討するとか、こういうような答えであったわけであります。  既にアセスメントができておるということになりますと、大阪湾岸道路が完成した暁にはもう一車線を削減してもいい、あるいはぐあいが悪い、こういう大体の見当がつくのではないか。したがって、この点について、現在アセスメントを行った上においての結果としての御答弁をいただきたい。
  146. 玉田博亮

    ○玉田説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のアセスメントに関してでございますが、やや経緯がございまして、御説明申し上げますと大変長くなろうかと存じますので、簡単に御説明申し上げます。  大阪−神戸間の大阪湾岸道路につきましては、昭和四十三年ごろから経済、環境あるいは設計等の諸調査を行いまして、実は昭和五十三年六月に近畿地方建設局から関係する自治体の方に大阪湾岸道路の計画原案をおつくりして提示申し上げたわけでございます。それを受けまして、自治体におかれましてはこの原案をもとに五十五年七月八日に都市計画決定を行ったものでございます。  先生指摘のとおり、アセスメントの中におきましては、当然当該道路の将来交通量、それに伴う大気汚染、騒音その他の将来予測を行っておるわけでございますが、御指摘の点につきましては、特に交通量の配分の問題であると理解させていただきたいと思います。  この原案を取りまとめる際に、一般国道四十三号等周辺道路網も含めた交通量の検討が行われております。その検討の結果は、これは昭和五十二年の検討結果でございますが、簡潔に申し上げますと、神戸、芦屋の市境で見ますと、第一点といたしまして、全車種の交通量につきましては、将来の四十三号交通量は、当時、昭和五十二年時点程度とほぼ同じであろう。これは大阪湾岸道路が開通した場合の推定値でございます。すなわち、全車種の交通量については五十二年当時とほぼ同程度のものである。しかし、第二点といたしまして、大型車の交通量について見れば五十二年時点に比べて三五%程度減少するであろう、こういう予測が行われております。したがいまして、大阪湾岸道路の整備によりまして現在の四十三号線の環境の改善が大いに期待されるところでございます。  しかしながら、車線の削減に関しましては、以上申し上げましたとおり全車種交通量においてそれほどの変化がないという予測もございます。したがいまして、大阪湾岸道路が供用された時点におきまして、四十三号線の交通の状況あるいは沿道の土地利用状況の変化、これらを総合的に見きわめた上で車線の削減について改めて検討をさせていただきたいと考えている次第でございます。
  147. 岡本富夫

    ○岡本委員 西宮から尼崎を通って大阪に通ずる阪神高速を開通させるとき、その工事に当たって建設省は、付近の住民に対して、もう一車線削減できるかどうか、こういうことも勉強してみますと約束をしているわけですよ。今の話を聞いているととてもできそうにない。大型車は向こうに行くけれども一般車はこっちだ、私はそんないいかげんなことはないと思うのです。しかも、各市で調査をしておりますけれども、最近の経済状態から見てどんどんふえているというほどではない。  なぜ私がこんなことを言うかといいますと、御承知のようにこの道路は住宅地域をぶち抜いて急に大きな道路を通した四十三号線なんです。そういうことで、毎日毎日の被害にこの付近の沿線の人たちは非常に困っておる。同時に、沿線の人たちの健康調査を若干見ますと、市で見ると、やはり呼吸器疾患あるいはノイローゼ、いろいろな病気がほかの道路よりも非常に多い。また、芦屋においては、その隣接しておるところに精道小学校というのがあります。ここの小学校の生徒が非常に骨折が多い、こういったデータが全部出ておる。しかも、毛利長官のときにも芦屋の精道小学校に視察をしてもらったことがある。したがって、そういったことについては環境庁も把握されておるだろうし、建設省も運輸省も寄って、この四十二号線についての検討課題の中にはいろいろとそういったものも出ておるはずなんです。  したがって、大阪湾岸道路ができたときには非常に緩和しますよ、大阪の御堂筋のように一車線を生活道路にして、やるようにしますよ、だからもうしばらく辛抱してください。こういうことであれば皆さんも辛抱していく、また明るい見通しがつくわけですから。今のような建設省の態度ではちょっと困るわけですね。  そこで、石本長官にお願いをしたいことは、そういった面で、もう一度建設省の方で、五十二年ですか、その当時のアセスじゃなしに、一日も早くアセスをもう一遍やり直して、そして一車線の削減を確約していく、こういう方法考えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。石本長官の御所見を承りましょう。
  148. 石本茂

    ○石本国務大臣 どういうふうにお答えしていいのかちょっと見当がつかないのでございますが、建設省当局のお考えがあってこういう経過が出ているのだろうと思いますけれども、私どもの庁といたしましては、環境アセスを守って、そしてそこに住む人々の幸せあるいはまたそこを利用する人々の幸せを考えていかなければならない問題ではないかというふうに考えます。
  149. 岡本富夫

    ○岡本委員 全然答えになっていません。そんなことでは話にならぬ。  なぜかといいますと、湾岸道路ができたときはもう一車線削って大阪の御堂筋のようにしますよ、もうしばらく辛抱してください、これなら話がわかるのですよ。そういうことも建設省としては、あとやらない。要するに、できたときにおいてもう一遍検討します。先ほど申しましたように、その前に西宮から尼崎にバイパスを通すときには、もう一遍勉強してみますから、こういうような、非常に説得をしておきながら後はもう知らぬ顔しておるということではお話にならぬということをきょうは申し上げておきたい。あなたも一遍おいでになって、そして四十二号の付近の住民の皆さんの意見を聞かれるともっとはっきりすると思うのです。  そこで、時間が余りありませんから、次に、騒音対策として緩衝建築物が非常に効果があるということで、沿道整備法を五十五年に制定したわけですね。幹線道路の沿道の整備に関する法律、この沿道整備法をつくりながら、建設省、もう法律ができてから五年たつが、今までこれがどこかで実証がありますか。こういうようになりました、あるいはこうなって付近の住民に対して喜んでいただいたとか、あるいは騒音が減ったとか、この実証結果をひとつ教えていただきたい。
  150. 玉田博亮

    ○玉田説明員 お答え申し上げます。  沿道整備法に該当いたします事業の指定の状況であるとかあるいは進捗、一言で実績ということでございます。ただいま先生の御質問にありますとおり、幹線道路の沿道の整備に関する法律は昭和五十五年に制定されたわけでございます。その間でいかなる実績を上げたか、こういう御指摘でございます。先生指摘のとおり、相当数の実績を上げたという状態ではございません。  それで、実は具体的に申し上げますと、昨年、環状八号線の練馬区北町におきまして、初の沿道整備計画が策定されてございます。それから、本年六月三日に至りまして、環状七号線の中野区内、延長で約一・九キロメーターでございますが、これにつきまして沿道整備計画が都市計画決定されております。事業の方でございますが、今年度におきまして、環状八号線におきましては、緩衝建築物の建築及びその建築費の一部に対する道路管理者の負担が行われる予定でございます。また、環状七号線につきましては、中野区内におきまして防音工事の助成が本年から開始されるのではないかというふうに考えております。  このように、法制定以来若干時日を経過したわけでございますが、沿道の皆様方と御協議を重ねて、やっと沿道整備事業がその緒についたという段階でございます。  以上でございます。
  151. 岡本富夫

    ○岡本委員 五十五年に法律ができましてから、やっとこれも計画決定だけですよ。しかも、四十三号線においては何の計画決定もない。近畿地建から、各市に対して、ひとつ早くやってもらいたいというように言ってくるわけですけれども、なぜできないのか。民間活力を少しでも応用してやろうというようなことを考えるけれども、各市でもどうも手がつかない。その原因としては、もうあなたはよくわかっているけれども、余りにも助成金もない。いろんな施策が非常に微々たるものである。しかも騒音対策についての助成といいますか、そういったものに対しても、六メーター以下、普通の民家で二階半ぐらいですね。騒音というのはもっと高いところからもどんどん入ってくるんですよね。だから、これをやってもとても騒音を防ぐことはできない、これが一つ。  同時にまた、助成金が余りにもないし、いろいろな、整備法を適用するにしても、民間の人たちが乗ってこれない。余りにも貧弱過ぎるというところに原因がある。これはよく知っているはずなんです。大蔵省とも折衝してとよくお話しになるわけですけれども、もう少し実行力あるところの沿道整備法の細則、規則を決めてもらわなければならぬと私は思うのです。この検討はいかがですか。
  152. 玉田博亮

    ○玉田説明員 沿道整備事業を何らかの方法で推進するという必要性は、先生の御指摘のとおり、私どもも痛切に感じております。  御承知のとおり、幹線道路の沿道で緩衝建築物を建築することは、沿道の環境の改善にとりまして非常に有効な施策であるというふうに考えております。すなわち、緩衝建築物は、建築物それ自身が防音構造になっておるということと、もう一点は遮音効果を有しておるということでございます。それによって背面の住宅地が守られるという性格があるわけでございます。  一方、道路管理者が行います緩衝建築物の建築費の負担につきましては、道路管理者が設置をいたします遮音壁の設置と同様の効果を有するとの観点から行っているものでございます。やや具体的に申し上げますと、高さが約六メートルの遮音壁を設置し、その設置及び管理に要する費用に相当する費用を道路管理者が負担していこうという考え方なんでございます。したがいまして、その負担の対象範囲あるいは負担の額には、道路管理者といたしましてはおのずと限度が存在するのでございます。  ところで、いかにこの促進を図っていくかということでございますが、昭和六十年度予算におきまして道路特会の中に道路開発資金貸付金という新しい制度が創設されております。この制度は、道路に関連いたしまして、公共性のある関連プロジェクトに対しまして比較的低利な資金を融資していこうではないか、こういう性格を有する制度でございます。沿道整備の促進のために、私どもは沿道整備事業にもこの融資制度を活用することを目下検討中でございます。この面から沿道整備事業を推進してまいりたいというのが、私どもの今検討している重要な課題でございます。
  153. 岡本富夫

    ○岡本委員 高さ六メートルぐらいまでしか防音のそういった助成がない。それ以上はこれはないわけでしょう。しかも、いろいろな一つ一つについてまできょうは申しませんけれども、この沿道整備法が動くためには、もっときめの細かい、同時にまた思い切った政策をやらなければだれも乗ってこないわけですね。だから各市においても、地方自治体でも困っておるわけですから、きょうは細かく詰めませんが、再検討して、ひとつ次の大蔵省に対するところの予算要求はやってもらいたい、これを要求をいたしておきます。  そこで、今話がありました民家の防音工事、これが五十九年から六十七年までの九カ年間でやろうということになっておるわけですけれども、この中に入っていないのが天井なんですよ。御承知のように、古いおうちはいかにこちらの方で防音工事をやりましても、天井からみんな入ってくるわけです。皆しり抜けということなんですね。飛行場の場合は全部やることになっているわけですが、天井も一緒に含めた工事をひとつ要請したいと思うのですが、この点について建設省いかがですか。
  154. 玉田博亮

    ○玉田説明員 建設省は、昭和五十一年以来、高速自動車国道等の沿道におきましてある一定の要件を備えた家屋に対して防音工事助成を行ってきているわけでございます。問題の四十三号の沿道におきましては、現在までに約五千七百戸に対しまして防音工事助成を講じております。従前、六十五ホン以上で対策を講じておりましたが、先生御承知のとおり昨年からこれを、六十五ホンはほぼ終了いたしましたので六十ホンに引き下げまして、新たにまた防音工事を行う措置をとっております。  御指摘の天井の問題につきましては、新幹線あるいは空港の助成制度との関連もあるわけでございますが、道路としては現在天井は考えないということで行っております。それは、やはり防音工事は、高速自動車国道、首都高速も含めましてまだ相当量の残事業を抱えているというふうなことから、当面緊急を要するということで、現在の通達の範囲内でできるだけ早く全般を仕上げてしまうことに力を注いでまいりたいと思います。先生指摘の点につきましては今後の勉強の課題にさせていただきたいと感じております。従前から沿線の自治体の方からもそういう御要望をいただいております。今後の課題にさせていただきたいと思う次第でございます。
  155. 岡本富夫

    ○岡本委員 大分毎年、尼崎、西宮、芦屋の市長さんが来まして、この問題を絶えず要望しておるわけです。現実に住民の皆さんのおうちへ行ってみますと、結局横の防音だけやったって、上からどんどん入ってくるわけですから、これでは話にならぬということで天井も含めてもらいたい。これは勉強しておるだけでは話にならぬのです。だからひとつ今度は大蔵省に言って、天井も必ず入れていく、本当の防音効果があるようにしてもらいたいと私は思うのです。それが一点。  それから、今お話があったように、六十五ホン以上のところには大体終わったから今度は六十ホン以上をやるのだ。これが終わってから考えますということになりますと、恐らくここのうちが、六十五ホン以上のところをやった、あと天井をと言ったときに、これはもうやりません、これで泣き寝入り、こうなるのですよ。だからあなたがおっしゃるような、後でもう一度これをやるというわけにはいかないわけですから、しかもせっかく民家の防音工事の助成についてこういった施策があるわけですから、ぜひひとつこの点は次の機会から、来年からでもこれを入れられるように要望をいたしたい。  もう一つは、阪神道路公団の道路の下に吸音板、要するに高架構造物ですね、尼崎の方では模型の実験を行って三から四の低下が見られた、こういう答えが出ておるわけです。それによって全線をやっていこうということですが、この吸音板の取りつけ、要するに高架構造物に対する反響音の対策、これはどうするのか、お答え願いたい。
  156. 玉田博亮

    ○玉田説明員 御承知のとおり、昨年十月に大阪−西宮線の尼崎市武庫川地区で阪神高速道路公団が吸音板の試験的施工を実施しております。その結果、先生ただいま御指摘になりましたように、三ないし四ホン、大きなところでは五ホン程度の低減効果が見られております。この区間は、上り車線と下り車線が、ダブルデッキと申しまして上下に重なっている区間でございます。したがいまして下の車道から出てくる騒音が上部のけたに反射して周辺に影響を及ぼしているという区間でございます。こういった区間では試験設置の結果一定の効果は得られているのではないかと私ども考えております。  それでは、一般的な断面と申しますと、通常国道四十二号線があります上に四車線の阪神高速道路が乗っている区間でございますが、この点については、効果があるのか否か技術的によくわからないというのが実情でございます。これからその辺も含めまして内部で技術的な検討はいたしたいと考えております。したがいまして試験施工の結果、あるいは一般断面における予測その他詳細に行った上でなければ、これを広く適用できるかどうか、にわかに判断しがたいというのが実情でございます。
  157. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、一般の高架物にこの吸音板を取りつけたらどんな効果があるかという検討をしようということですね。その実施はいつごろやるのですか。これはただ机上の計算だけでは話になりませんよ。もう既にこうして実施して、それだけ減っているということですから、効果があるということははっきりしておるわけですから、勉強だけでは話にならぬ。いつごろからやるか、ちょっと…。     〔福島委員長代理退席、委員長着席〕
  158. 玉田博亮

    ○玉田説明員 お答え申し上げます。  実は現在の段階では、一般の断面の上では吸音板をつけても余り効果はないのではないかという感じを持っているわけでございます。こういう試験をやります場合には事前に計算あるいは模型実験で見当をつけまして、それから実物試験をするわけでございます。土木研究所におきます計算あるいは模型実験の結果では、一般の断面の上では、今のところまだ結論まで行っておりませんが、さしたる効果が出てこないのではないかという研究の成果もございます。したがいましていつごろという先生の御指摘でございましたが、いついつ、どこで、どういう形でというのはまだ具体化していないというのが実情でございます。率直に申し上げまして、一般断面ではそれほどの効果はないのではないかというのが今のところの私ども考え方になっております。しかしながらこれは確定した結論ではございません。
  159. 岡本富夫

    ○岡本委員 公団に言って何ぼかつけて、そして実際の吸音の効果を見なければ、これはあなたのように、そこで模型をつくってやったと言いますけれども、机上だけでは話にならないと私は思うのです。今ちゃんと机上でなくして、もう既に上に阪神高速が乗っておるわけですから、そこへ幾らかつけて、それでどうなったかということはやっているわけですから、同じように一遍実験をして、そして付近の人たちがこんなに困っておる、毎日毎日の振動と騒音に大変、訴訟も起きているというところまで来ておるわけですから、できるだけの手を打っていくという考え方が建設省になければならないと私は思う。時間がありませんから、それを強く要求しておきます。  次に、夜間あるいは週末だけでも付近の人たちは大型車が通るのを規制してもらいたい、そして安眠できるようにしてもらいたいというのがせめてもの御要求なんです。私もその近所にいたわけですけれども。それで、一つ方法として、夜間、大型車を上の阪神道路公団の方に乗り上げをするようにする、週末や深夜、早朝にかけて大型車を下の四十三号ではなしに上の阪神道路公団へ上げていくという措置がとれないか、この点について、これも建設省にお聞きしておきたい。
  160. 越智俊典

    ○越智説明員 交通規制の問題でございますので私の方からお答えさせていただきたいと思います。  四十二号線は神戸と大阪を結ぶ主要幹線でございます。代替ルートとしましては国道二号片側二車線、それから四十三号の上に乗っておる阪神高速道路片側二車線の二本でございます。この道路で四十三号線の夜間あるいは週末の大型車の通行規制を実施するとしますと、当然阪神高速とか国道二号に回すということになるわけです。そうしますと、阪神地域の社会経済に対する大きな影響を及ぼす。代替ルート、乗せた方の道路の負担がかなり大きくなりまして、道路交通の混乱を招くおそれがあると思います、  具体的に申し上げますと、阪神高速の場合は既に交通量が相当多くなっておりますし、しかもこれは有料道路でございますので、強制的に有料道路に大型車を追い込むことには問題がございます。また、国道二号線の方も交通量がかなり多く、沿道条件から見まして、大型車を迂回させますと、今度は国道二号の方の騒音が著しく高くなるとかえって問題になるということは、過去に四十三号線の道路工事をやりまして部分的に一時的に迂回措置を講じた場合に経験済みでございます。これらの状況から見まして、夜間及び週末における大型車を四十三号線から強制的に迂回させるという規制につきましては、難しいというふうに考えております。
  161. 岡本富夫

    ○岡本委員 今日本の中のバイパスで夜間の通行料金を割引しておる、そういうところがありますね。例えば藤枝バイパスあるいは浜名バイパス、ここは使用する人が少ないからといって料金を引き下げて夜間通しているわけです。ところが阪神道路公団だけは付近の住民がこんなに困っておるのにそういった誘導措置はとれない。私は何遍もこの問題を当委員会でも建設委員会でもお話ししたことがありますが、料金体系がおかしくなるから、こういう答弁であったわけですけれども、現在も同じような考え方ですか。いかがですか。
  162. 駒田敬一

    ○駒田説明員 お答えをいたします。  ただいま先生指摘のように、夜間料金の割引措置は日本道路公団の一般有料道路である藤枝バイパス及び浜名バイパスにおいて実施いたしております。これは、昭和五十八年十二月より試行的に実施しているものでございます。昭和五十八年六月二十四日になされた道路審議会の「一般有料道路の今後の整備方向と採算性の確保についての答申」、これを受けて、建設途上の大規模幹線バイパスの全線が供用されていない段階において、既設のバイパスの有効利用を促進するという趣旨で導入されたものでございます。阪神高速道路は既に成熟したネットワークとして整備されておりまして、藤枝バイパス及び浜名バイパスとは基本的に状況が異なっておると考えております。  さらに、阪神高速道路において同様の措置を導入することにつきましては、前々から御説明をしておるところでございますが、特定の区間または時間帯について料金の引き下げを行うことは均一料金制を原則とする都市高速道路の料金体系を崩すことになり、通行車の料金負担の公平の見地から問題がある。それから、大型車を阪神高速道路に転換させる結果、騒音の影響範囲が変化し、新たな騒音問題が生ずる懸念があるということ。さらに、本路線の料金の引き下げを実施すれば、均一料金制をとっておりますことから阪神高速道路全般に波及する可能性があり償還計画に大きな影響を及ぼす。このような理由で現在のところ当該の措置先生がおっしゃるようなそういう措置を実施することは困難であると考えております。
  163. 岡本富夫

    ○岡本委員 要するに建設省としてはやる気がないのです。これだけこの付近の住民が長年にわたって困っておる。料金体系が壊れる、こう言うけれども、藤枝や浜名バイパスでは夜間料金を下げておる、こっちの阪神道路公団はできない、こういう矛盾した答弁がありますか。阪神であれ日本道路公団であれ、料金体系は決まっておるわけでしょう。片一方の藤枝や浜名は大丈夫です、この中に入りません、阪神道路公団は下げるわけにいきません、いつもこういう矛盾した答弁を毎年重ねていらっしゃるのです。こういうことでは本当に困っておる住民のことを考えない非情な行政と言わざるを得ないと私は思います。建設委員会に出ていって一遍かっちりやらなければいかぬと思いますけれども、この点をもう一度検討しておいてください。  そこで、もしも割引ができなければ、夜間あるいは週末や、深夜あるいは早朝にかけての高速道路への誘導策について、これは警察庁ですか、お聞きしたい。
  164. 越智俊典

    ○越智説明員 私ども交通規制を担当している立場としましては、先生御承知のように四十三号線につきましては、夜間、交通規制によって二車線に絞っております。さらに速度も四十に下げておりまして、信号制御も四十キロの系統速度ということで、できるだけ四十三号線の車を全体的に抑える方向の規制を実施しておるわけです。その反射的効果として阪神高速ないしは他の道路への誘導ということをやっておるわけですけれども、この誘導が限界でございまして、これを強制的に交通規制で他の道路に転換させるということは、先ほど答弁しましたけれども、他の道路への被害の転換ということになりまして、現段階では難しいものと考えております。
  165. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなた現場を全然見ずにそういうようなことを言っているのですよ。他の道路に何の影響がありますか。四十三号の上、バイパスの上ですよ。大型車を上へ上げただけでどこに影響が出てくるのですか。そういうインチキな答弁をして逃げたって話にならないわけです。一番困るのはそこの付近の住民です。あそこはもともと住宅地域だった。私は、三木さんが環境庁長官のときに、何とかして一車線つぶしてもらいたい、そして緩衝地帯をつくってもらいたいということで、やっと一車線、あれは全国で初めてか知りませんけれどもできておる。やろうとすればこういうふうにできるのです。今建設省の態度も、絶対やらないという態度であなた方は臨んでおるわけですよ。こういうことではお話にならない。立場でありましょうからそういう答弁しかできないと思いますけれども、一遍これは建設委員会でがっちりやらなければならぬと私は考えておる。  その他何項目がありますが、もう時間も参りましたので、ここでこれと同じようなことにならないように、四十三号線のように被害を受ける道路にならないように、今阪神道路公団の大阪池田線、これが計画をされておるわけでありますけれども、これもこの四十三号と同じような被害を将来起こさないようにしていただきたいということで、阪神道路公団とそれから建設省の近畿地方建設局猪名川工事事務所あるいは川西市と、それからこの対策協議会というのができておりまして、住民でつくっておりますが、これとの協定ができておるわけです。  これは、できてから今のようにやかましく言っても建設省はなかなかうんと言わないわけですから、つくる前にきょうは申し上げておきたいわけでありますけれども、住民の皆さんのおっしゃるように、高架方式でなくして掘り割り方式といいますか地下ですね、こういうような状態にしてもらいたいというような意見があるわけですけれども、これについてはどういうふうにお考えになっておるのか、ひとつお聞きしておきたい。
  166. 和田祐之

    和田説明員 お答えいたします。  阪神高速の大阪池田線でございますが、これは大阪−神戸間の北部の池田市あるいは箕面市、豊能町、川西市、猪名川町といったような地域から大阪都心部を直結することによりまして、国道百七十三号線、百七十六号線等の既設の幹線道路の交通を緩和するために、大阪府域につきましては昭和五十六年二月、兵庫県域につきましては同年の三月に都市計画決定された路線でございます。この路線につきましては、川西市の周辺におきまして猪名川右岸に沿いまして可能な限り市街地を避けるという位置を通っております。  路面の高さについてでございますが、これに非常に大きな影響を与えるものといたしまして、猪名川を渡ります第一橋、第二橋で渡河する部分と、それから交差いたします阪急電鉄、国道百七十六号線、都市計画街路美園線及び国道百七十三号線というものがございます。これらのものの高さの制約から、本地区で掘り割り構造を採用しようといたしますと、川の部分を非常に高い位置で来ておる関係上、阪急電鉄及び国道百七十六号線はいずれもその下をくぐらなければならぬことになるわけでございますが、そういたしますと、道路の勾配が道路構造令違反となるように、抵触しかねない非常に急な勾配をとらなければならなくなってしまうということ、それから河川の堤防のすぐ内側を掘り割るということで、特に堤防の本体の安全上という治水上の大きな問題を抱えてくるということ、それからまた高速道路といたしましても、逆に非常に急な板となった部分を上りおりするということから、交通安全上の問題、それからさらには逆に騒音レベルが増大するといったような環境上の問題も出てきます。それからまた高架から掘り割りに斜めにずっとおりてまいりますと、非常に、かなり長い区間で地域分断という問題が出てきます。  これらの要素を総合的に勘案いたしまして、現在の高架構造の現計画が最良の案ということで、大阪府、兵庫県が高架構造の現計画につきまして環境アセスメントを実施した上で都市計画決定を行ったものでございます。
  167. 岡本富夫

    ○岡本委員 いずれにいたしましても、こういう掘り割り式構造というのはこのすぐ近所でも、首都高速に入るところでやっているわけでしょう。ですから、やる気になったら私はできると思うのですよ。  もう一つは、この付近の住民の皆さんが特に要求しておりますのは、今までの地域を四十三号のような公害だらけのようなところにしないで、住民参加の上でひとついろいろと検討してつくってもらいたいというのが皆さん方の要求なんです。普通のように、絶対通さぬとかあるいは絶対反対だとか、そういう考えで言っておるのではないわけですから、もう時間がありませんから要求だけしておきますけれども、ぜひひとつ住民の皆さんの納得のいく方法でやっていただきたい。これを要求してきょうは終わります。  飛行場部長、次の機会にまたやりますから、きょうはひとつ…。
  168. 辻英雄

  169. 草川昭三

    草川委員 草川であります。私は、まず最初に、大気汚染防止法逃れの小型ボイラーの多缶設置に関する問題を取り上げます。  私はこの問題につきましては、五十八年の十月の科学技術委員会、あるいは昨年の三月の予算の分科会等で取り上げてまいりまして、またさらに五月に入りまして質問主意書でこの問題に関する政府に対する問題提起をしてきておるわけです。  そこで、政府の方も五月の三十一日に、閣議決定で政令を改正する、こういうことが発表されまして、一応私どもの問題提起について前進があるわけでございますが、さらにその内容をつぶさに私どもが分析をしていきますと、なお問題点があるのではないか、こういう立場からフォローアップの意味で問題提起をしたい、こう思います。  そこで、私が五月の二十九日に質問主意書を出しておりますけれども、その中で小型ボイラーの設置状況について、問題を、どのように分布をされているのか、こういうことがあるわけです。  それで、新聞等におきましても、環境庁はボイラーの規模要件を改めるに当たって、昨年から小型ボイラーの構造、ばい煙低減技術、自治体での規制状況などに関する資料を収集、自治体協力を得てやっておる、こういうことになっておるわけでございますが、ひとつ十平米未満の地方自治体における規制対象のボイラーの設置状況はいかがなものになっておるのか、その実態を明らかにしてもらいたいと思います。
  170. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  実態調査調査対象地方自治体は十都県二十八市でございますが、そこでの伝熱面積十平米未満の条例規制対象ボイラー数は約一万二千六百施設ございまして、このうち燃料使用量の五十未満のものと五十リットル以上のものに分けますと、五十リットルを超えるものは約四千施設というような状況でございます。
  171. 草川昭三

    草川委員 それによると、ボイラーの全国の推定設置数は幾らぐらいになりますか。
  172. 林部弘

    ○林部政府委員 伝熱面積が十平米以上の大気汚染防止法の規制対象ボイラーが、ただいまお答えいたしました実態調査を行いました対象自治体関係分で約二万五千施設ございますので、全国ベースで申しますとそのほぼ四倍の約十万施設ということになりますので、その比率をそのまま小型ボイラーに対して適用して算定いたしますと、現在全国に設置されている五十リットル以上のものが約一万六千施設程度になるというような推定になっております。
  173. 草川昭三

    草川委員 今もお答えがございましたように、ボイラーの中にも、今非常にふえておりますのは小型貫流ボイラー、こういうことでございまして、この出荷台数等をメーカーの方で調べてまいりましても、これも新聞報道でございますけれどもかなりふえておるわけでございまして、非常に位置づけが大きいわけであります。そういう意味で過日も長官の方がNOxというのですか、あるいは二酸化窒素の基準の問題等についていろいろな意見が出ておりまして、きょうの午前中もこの問題で議論が出ておると思うのでございますが、大気汚染防止法というものをきちっと守っていく、そしてそういうものを逃れようとする小型ボイラーの規制ということは明確にしなければいかぬ、こう思うわけでございます。  それで、過日五月三十一日に閣議決定をされましたこの改正政令で、私どもが主張しております小型ボイラーと従来型の許可型のボイラーとの間で規制の不公平というものがこれで完全になくなったと思われるかどうか、不公平というのは残るのか残らないのか、お伺いしたいと思います。
  174. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  従来の大防法によりますばい煙発生施設のすそ切りの問題でございますが、現行では伝熱面積十平米以上という要件になっております。今回、排ガス量がおおむねそれに見合う量ということで、バーナーの燃料の燃焼能力が重油換算で一時間当たり五十リットル以上という要件を追加いたしました。これによって、現在設置されております規制から外れていると言われているものの問題はかなり解消されると思いますし、特に多缶設置の問題についてはさきに先生から御指摘をいただいておるわけでございますが、そういうようなケースにつきましては大部分不公平は解消されることになるのではないかというように予想をいたしております。
  175. 草川昭三

    草川委員 ではちょっと細かい点になってまいりますが、例えば時間当たり千キログラム、これを従来型ボイラーと小型ボイラーとの比較をしてみたいと思うのですけれども、例えばこれはB重油を使うという条件で考えてみたいと思います、A重油は関係ないわけですから。それで、SOxの方の公害規制は従来型ボイラーの場合は当然のことながらK値の規制というのがあります。小型ボイラーの場合はどういう規制になるのかお伺いいたします。
  176. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  規制基準の問題でございますが、お尋ねの硫黄酸化物の問題につきましては、新設の場合の基準を比較いたしますと、従来型のボイラーと規制の対象になります小型ボイラーは現在定められている基準、いわゆるK値規制がそのまま適用されるということになっております。
  177. 草川昭三

    草川委員 ただ施行の日から三年間猶予という条件になっておるわけですが、この三年間の猶予ということについては少し甘過ぎるのじゃないか。私どもがいろいろと調べている範囲内では、二年でもいい、十分できるというような意見が業界の中にもあったやに聞くわけでありますけれども、それがどうして三年になったのかお伺いします。
  178. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  新設の小型ボイラーに対する硫黄酸化物の排出基準を適用するということになりますと、煙突の建てかえが必要になる場合が出てくるというようなことで、その準備に必要な期間として三年間適用猶予ということにいたしました。この適用猶予期間についてはもっと厳しく短くすべきではないかというような御意見もあるわけではございますが、実際にこの小型のボイラーを使っております事業場と押しますものは、その中に非常に多くの業態、業種が含まれておりますし、また比較的規模の小さいものがかなり含まれておりますので、そういうような点も勘案をいたしまして、確実に規制の内容が実行に移されるようにという点を配慮いたしましてこのような期間を定めたということでございます。
  179. 草川昭三

    草川委員 これは私の質問主意書の中にもあるのですけれども、私どもは、今答弁がありましたように、一つ、二つ小さなボイラーを使っている、例えばクリーニング屋さんだとか町のお菓子屋さんだとかというものを規制を強化しろと言っているわけではないのです。  それで、例えば今答弁がありましたように、小さなクリーニング屋さんはほとんどA重油を使っているわけです。油屋さんに聞くと、C重油を使う企業というのはかなり大きな事業場ですよ、小さな一つ、二つ使う、一缶、二缶を使う店舗というのはほとんどA重油しか私ども売っておりません、こういうことになるわけです。だから、今の答弁は中小企業という立場を逆に甘く使われているのではないか、ここらあたりがいわゆるSOxの規制あるいはNOxの規制等についてもなかなかうまく進んでいかないという環境庁姿勢の弱さがあるのではないか、こう思います。  そこで、その次にNOxの方へいきます。  従来型ボイラーの場合は言うまでもなく一八〇ppmということです。ところが、今度の小型ボイラーの新しい法令というのですか、政令改正では二六〇ppmということになっておりまして、ただし、施行の日から五年間は三〇〇ppmということになります。これは明らかに従来型ボイラーに比べて不公平ではないか、こう思うのですが、その点はどうですか。
  180. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  NOxの問題につきましては、従来型に比べれば数値が若干甘いのではないか、こういう御指摘でございますが、御案内のようにNOxの問題につきましては、この小型ボイラーの構造上の問題ということになろうかと思うのでございますけれども、小型の割に大量の燃料を燃焼させるという構造となっておるために燃焼室内の熱負荷が相対的に高くなってくる、それで技術的にも構造的にもNOxの対策が簡単にいかないような技術開発の面がございますので、低NOxバーナーあるいは水蒸気噴射といったような技術開発の見通しということも踏まえながら施行の日からかなりの期限を置いた、こういうような問題がございます。
  181. 草川昭三

    草川委員 これも施行の日から五年間猶予するというのは、こういう改正については余り例がないと思うのです。通常は一年なり二年なり、よく認めても三年じゃないでしょうか。五年間というのは、環境庁の原案は五年間だったのですか。各省庁との相談の中の原案は最初から五年間であったのか、三年間なのか、お伺いします。
  182. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  私どもの当初からの考え方基本にありますものは、できるだけ早く不公平の是正をしなければいけないということが一点ございます。それから、技術的な問題がこういった小型のボイラーについて十分伴っていくかどうかというような問題が初めからあったわけでございますし、先ほど私が申しました、一般に小さい割に燃焼室の熱負荷が高い、いわゆるサーマルNOxが発生しやすい構造になっているというようなことがございますので、やはり技術的に無理のない形でいく必要があるのではないか。  と申しますのは、小型のボイラーをつくっているメーカーサイドも、やはり大きいところ、小さいところがいろいろあるわけでございますので、そういう問題も勘案をいたしまして、基準の設定に当たりましては、そういった点でできる限り無理のないところを初めから予想しておったわけでございまして、各省折衝の過程で予定していたものが大幅に延びた、そういうような事情はございません。
  183. 草川昭三

    草川委員 そういう答弁だと、やはり私は、環境行政姿勢が弱過ぎる、こういうことを言わざるを得ないと思うのです。  従来型ボイラーが一八〇ppmとすれば、対比は一・六七倍ということが五年間は認められる、こういうことになります。これは私は一トンボイラーの場合を言っておるわけですが、ちなみに今度は十トンボイラーで比較をします。従来型ボイラーは十トンのが一個、それから今度は小型ボイラーを多缶設置をする、すなわち一トンを十個集めてくる、こういう例で比較をいたしますと、NOxの場合は、多缶設置の場合は三〇〇ppmということになるわけですから、これは一五〇ppmに比べますと二倍の甘さということになるわけでして、従来型ボイラーに比べまして一対二の甘さというのは問題ではないか、こう思うのですが、この点はどのように反映をされているのかお伺いします。
  184. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  私ども姿勢にかかわる問題ではないかという御指摘でございますが、私ども、大防法につきまして逐次規制の強化をしてきている歴史があるわけでございます。率直に申し上げまして、今回の小型ボイラーの規制のように、規模の小さいところに対して規制を行ったというのは今回が初めてではないかというふうに私は思っておるわけでございます。  確かに先生指摘のように、小型ボイラーということで規制の網から外れているものを多缶設置をするというような問題が出てきたということで、この規制を非常に急がなければいけないという御指摘、御要望もございまして、私どもはこの問題に取り組んでまいりました。ただ、先ほど来るる申し上げておりますように、この小型のボイラーを実際に設置いたしております事業所の中には規模の小さいものが非常に多く含まれているということ、また、小型のボイラーのメーカーにつきましてもかなり規模の小さいメーカーが含まれている、そういうような状況下でございますので、やはり技術の開発というものをにらみながらこのような形をとってまいった、こういうことでございます。  ただ、長いではないかという御指摘も確かにございますが、私どもはこの中で、硫黄酸化物あるいはばいじんの規制につきましては、NOxと違いまして現行の基準と同じようなレベルでやっていくわけでございますので、長い目で見れば、私ども考えるところでは、適用になる施設の数も現在把握しているよりははるかに多い数に将来ふえるわけでございますので、全体の中での効果というものは無視し得ないだけのものは十分出てくるのではないかというように現在考えているということでございます。
  185. 草川昭三

    草川委員 私は前向きに決めたことは評価する立場で物を言っておるわけですから、それは間違いのないようにしてもらいたいのです。  例えば今はいじんの話も、〇・三グラムというので、これは最小規模の基準も同じだ、こうおっしゃっていますけれども、ただしこれも、施行の日から五年間は〇・五グラムでいい、こういうことですよね。だから、それも五年間というのは少し甘過ぎるのではないのか。先ほどからメーカーも小さいところがあるから無理だとおっしゃっていますけれども、今のボイラーメーカーの現状は、私ども二、三当たってきましたけれども、十分適応できますよ。三年間の余裕があれば私どももやれますよ、こういう意見を聞いてきておるわけですよ。だったらそれでいいじゃないか、別にそう遠慮することないじゃないか、それで行政指導をなされればいい、こう思うのでございますが、五年間は〇・五でいこう、その際に、大防法を免れる小型ボイラーの多缶設置の方が大いにメリットがあるよというのがあるわけでございます。  環境庁の方は時間の関係もございますのでこれでとどめまして、労働省にお伺いをしますが、私が昨年の三月に労安法に関連して質問をしましたら、労働省も検討を約しましょう、こういう考え方答弁が出ておるわけでございますし、その労働省も、日本ボイラ協会主宰のボイラーの安全対策委員会等をやっておみえになって、いろいろと議論をなすっているようでございますが、どういうような処置になっておるのですかお伺いをします。
  186. 長谷川正

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  小型ボイラーの多缶設置は、全体として伝熱面積がふえることになり、潜在的な危険性が増加することが考えられますので、一定数以上の小型ボイラーを設置した場合には、ボイラー技士の選任、定期自主検査の適切な実施等の安全対策強化考えております。このために、先ほど先生もおっしゃいましたが、現在、社団法人の日本ボイラ協会に委託したボイラー安全対策委員会において、多缶設置におけるボイラー技士の選任の範囲、それから定期自主検査のあり方等について検討をお願いし、その結果をまって処置したいと考えております。
  187. 草川昭三

    草川委員 それで、同一事業場に複数の設置をするということが言われておりますが、それは例えば何基以上を頭に置いて御相談なすっているのですか。
  188. 長谷川正

    ○長谷川説明員 基数としては複数ということで二つ以上ということを考えておりますが、具体的な数字とかその辺のところも検討をお願いしているところでございます。
  189. 草川昭三

    草川委員 これは取扱作業主任者等のことにも影響してくるわけでありますし、これはボイラー技士としても職業を確保するという立場から、また大気汚染防止とは違う立場から非常に重大な関心があるわけであります。  ですから私は、同一事業場に複数の設置をする場合は、なるべく二基とかあるいは三基とか非常に厳しい設置をして安全を確保するということが大切だ、こう思うわけでございます。技術が進んだ、だから安全上も必要がない、コストを低減するために、こういうこともとかくいろいろと言われておりますけれども、事は安全であります。ボイラーの爆発等というような事故がなきにしもあらずでありますし、多缶設置ということになりますと、それがまた誘爆することも予想されるわけでありますから、厳重な対応を労働省の方に要望しておきたい、こういうように思います。この多缶設置の問題はこれで終わります。  続いて、これも私、前回四月十六日だったですか、この委員会で取り上げました名古屋港における第二ポートアイランド計画に伴う埋立工事でございますが、環境上の問題と、港湾の航路の安全の問題について質問をしたい、こう思います。  名古屋港の中の公有水面の埋め立てということについて、国すなわち第五港湾建設局が名古屋港の地先を埋め立てをするわけでございますが、それはエネルギー港湾ということで、特定港湾施設整備事業として行われる工事でございます。総工費百七十三億円、六十三年を目標に整備化するわけでございまして、三百七十万立米の土砂を名古屋港の地先に埋め立てる工事でございますが、その問題につきまして、前回も運輸省あるいは環境庁あるいは海上保安庁、こういうところで意見を聞いたわけでございます。  その後、私も現地へ行っていろいろと調べてきたわけでございますけれども、まず運輸省にその後の状況は一体どうなっているか、あるいは現状はどういうことになっておるのか、お伺いをします。
  190. 森平倫生

    ○森平説明員 お答えいたします。  この名古屋港の第二ポートアイランドの建設の件でございますけれども、五十九年度の末から工事を始めております。正確に申しますと六十年の一月から始めているわけでございますけれども、現在ポートアイランドを囲みます護岸の下部の地盤改良、これを始めております。
  191. 草川昭三

    草川委員 それで、これは環境庁に、もう一回前に戻りますけれども、五十九年の五月十四日に名古屋港管理組合は愛知県の環境部に意見照会をしております。その後、五十九年の十月九日に運輸省から環境庁へ意見照会、環境庁は五十九年の十二月二十一日に回答しておるわけですが、それは一つの条件をつけての回答をしておるわけです。その場合に、環境庁は、地元で名古屋港の港湾整備に伴う調査ということをやっておられたのかどうか、お伺いします。
  192. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 お答え申し上げます。  私どもがみずから調査をしたことはございません。
  193. 草川昭三

    草川委員 それで私どももこれは県の方にもいろいろと聞いておるわけでございますが、現場の調査ということがやられないまま、一つの意見照会というのですか、回答がなされているわけであります。  そこで、あわせて五十九年の五月に、地元の市町村に意見照会を、これは国というのですか、第五港湾建設局がやっておるわけでございますが、五十九年の六月に四市町村からは異議のないという回答が出ておる、こういうことを言われておりますが、具体的に東海市の市議会でこの埋立工事の工法について疑念の質問があり、市が直接答えることができませんので、港湾局の方がいろいろとアドバイスをする、そして了解を求めた、こういう事実があるかないか、お伺いします。
  194. 小池公隆

    ○小池説明員 ただいま先生おっしゃられましたように、五十九年の五月九日、これは名古屋港の管理組合の方から地元市町社長あて照会、意見聴取がなされております。  それで、私ども、公有水面埋立法の規定によりまして、地元の市町村長からは議会の議決を経て意見をいただく、こういうことになっているわけでございます。それで、その議会の議決等につきましても、その議事録等を拝見いたしておりますけれども、ちょっとそのような、先生おっしゃられるようなところまでの議論は把握しておりません。
  195. 草川昭三

    草川委員 私、これは地元の方の港ですから、見に行こうというわけで、運輸省の政府委員を通じて現地を見たい、こう言ったら、国会議員一人一人が港を見たいというので船を出しておっては切りがない、調べたければ、党が党として調査団を出すなら協力をしよう、こういう答弁があったのです。それでは仕方がないので、私自分で行って見てきたのでございますけれども、それから現地の港湾局の出先の機関にも、私、五月一日に行って聞いてまいりました。そうしましたら、東海市でそういう質問があったから、私の方から説明に行きましたよ、こういう答弁が現地で出ておるのです。私が直接聞いてきたのですから。そういうことは承知しておられませんか。
  196. 小池公隆

    ○小池説明員 恐縮ですが、ちょっと承知しておりません。
  197. 草川昭三

    草川委員 それで、私は特にこの問題をこれからもずっと取り上げていくつもりでございますけれども、少なくとも非常に大きな国の予算を投入してやる港の埋め立てであります。しかも、埋め立てのやり方によっては港湾汚濁ということになりまして、既に私どもの地元の知多半島では、貝が死滅をしておるような状況にもあります、オオアサリでございますけれども。これはきょうは呼んでおりませんけれども、水産庁の方からも正式な答弁が出ております。五十九年の二月ぐらいからオオアサリガイ、これは正式にはウチムラサキガイというのですけれども、これがへい死をするというような状況がございまして、地元の方は、港で非常に大がかりなしゅんせつ工事が行われることの影響を恐れているわけです。  そこで、きょうは、今度はもう少し具体的な工法についてお伺いをいたしますけれども、このエネルギー港湾をつくるためにしゅんせつをする土砂の約三百七十万立米でございましたか、それを送土管によって現地まで持っていくという答弁がこの前この席上で行われました。ところが、いわゆる第一航路というのは、港の底面を掘ってあるわけです。のり面というのがあるわけですが、そののり面を一メーターなり二メーターなり送土管を埋めるということは、まず技術的に無理ではないか。しかも三百五十メーター幅の航路の船舶本船の通航というのは、膨大な量の船舶が通航するわけですから、その船舶をとめて、海底を二メーターなり三メーターなり掘って、パイプを埋めて、さらにその上に被覆用の土を捨てるということが果たして技術的に可能かどうか。しかも、それは船舶の安全上認められるかどうか、このことを私、大変疑問に思って帰ってきたわけですが、その点はどうお答えになられますか。
  198. 森平倫生

    ○森平説明員 お答えいたします。  私ども昭和六十一年度に排砂管を今先生おっしゃいましたような形で、第一航路を横切るような形で敷設しようというふうに思っているわけでございます。私どもは、航路を横断いたしまして排砂管を敷設した事例をたくさん持っております。その中で特段の支障を全く生じていないわけでございまして、現在航行船舶の安全、これを確保する観点から敷設の施工方法を含めまして鋭意検討中でございます。今後実施に当たりましては港長等と十分協議をすることといたしております。また、敷設工事中の濁りにつきましても、施工方法を事前に十分検討するとともに、工事中に水質を監視いたしまして、必要に応じまして対策を講じることといたしたいと思っております。
  199. 草川昭三

    草川委員 じゃ具体的にお伺いをしますが、その航路の中ののり面という斜めになったところがあるわけですが、それはどういう工法で掘ってそれで送土管を埋めるのか、あるいは埋めた場合の被覆用の土はどこから持っておみえになるのですか。
  200. 森平倫生

    ○森平説明員 現在第五港湾建設局の方でこれから具体的にどうするのかということを委員会をつくりまして検討していくわけでございますけれども一般論的に申しますと、のり面にこういった排砂管等を埋設する場合、ポンプしゅんせつ船というしゅんせつ船がございますけれども、これを使いますかあるいはグラブ船を使用するということが事例としては多うございます。
  201. 草川昭三

    草川委員 そこら辺を、そのあたりを一番——たまたま東海市の市議会で船舶の航行安全、前回も申し上げましたけれども、埋めた排砂管が急浮上する、そのために非常に危険ではないかというようなことが言われておるわけでございまして、地元では余りそれに対する詳しいことがわかりませんから、何となく〇Kのサインをした、こういう意見が今あるわけです。ですから、私がその問題を前回も繰り返し説明を求めておるわけです。  また、私もその話を現地の工事事務所というのですか、五港建の工事事務所へお話を聞きに行ったわけでございますけれども、余り明確な回答はなかったのですね。しかもその航路を果たして横断できるのですか、こう聞いたら、正月にやるのでしょう、こういう話だったのですよ。正月の間に船がとまるのかどうか、それから正月であろうと港の航行というのはあるわけですから、一日や三が日休むだけで三百五十メーターの航路をしゅんせつするということは並み大抵のごとではないと思うのです。  しかも、こののり面を簡単に今しゅんせつできるとおっしゃいましたけれども、技術的にはちょっと無理じゃないだろうかというような方も多いわけです。しかも、その排砂管は約四キロでございますか、この前は八キロと言われたですかね、その距離は別といたしまして、南北にずっと二メーターぐらいか三メーター掘って埋設ということが実際上できるのかどうかですね。もちろんできないことはないのですけれども、それならば相当な費用がかかるということになると思うのです。そういう費用をかけてあくまでもやれるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  202. 森平倫生

    ○森平説明員 お答えいたします。  航路を横切って排砂管を埋設する、これは先ほど申しましたように、私どもいろんな経験を持っておりますのでこれは簡単にできます。  それと、今その航路を横切った後、排砂管を第二ポートアイランドまで、約三キロから四キロぐらいあろうかと思いますけれども、ここまで海底に沿わして持っていくわけでございますけれども、これを埋設するかどうかにつきましてはこれから第五港湾建設局の方で検討するということでございまして、これは第一航路から外れておりますので、そこを航行する船舶等の状態等を調べまして、埋設する必要があるということであれば埋設に踏み切るということになろうか、かように思っております。
  203. 草川昭三

    草川委員 確かに、第一航路に沿うかどうかということでございますけれども、ここには高潮防潮堤というのがあるのですよ、ポートアイランドのところには。第一航路と高潮防潮堤というのはぎりぎりになっているわけですよ。だから、当然のことながら埋設をせざるを得ない。そういうところだけ埋設をしなくていいというわけにまいらないと私は思うのですね。  きょうは海上保安庁の方にもお伺いをいたしますけれども、港則法第三十一条の工事件業の許可というのはもうおりているのかどうか、お伺いします。
  204. 玉置佑介

    ○玉置説明員 お答えいたします。  今先生が御質問なさっております海域をしゅんせついたしまして、そのしゅんせつした土砂を送泥管によりまして埋立地まで運んでいく、このような工事につきましては海上保安庁の現地においてもまだ具体的なお話を聞いておりません。
  205. 草川昭三

    草川委員 ということになりますと、一番最初の公有水面の埋め立ての申請という出願人は第五港湾建設局ですね。私ども一番聞きたいところは、まだ決まってないのですね、工法が。にもかかわらず、非常に簡単に地先の市町村に問い合わせをしてみえる。私はそれはおかしいと思うのですね。しかもシミュレーションからいきますと、名古屋港の中にも当然汚濁の影響があるわけです。ところが、名古屋市に対してはこの意見を求めていないのですよ。これは名古屋港と言えば名古屋市でございますし、一番基本的なことなんですけれども、どうして地元の市町村に対する意見照会の中に名古屋市を外しているのか、これも念のために聞いておきたいと思います。
  206. 小池公隆

    ○小池説明員 ただいま先生おっしゃられましたように、確かに名古屋港は名古屋市を含みまして三市一町一村にまたがる港になろうかと思います。しかしながら、埋立法でいきますと、その地元市町村ということになっておりまして、この地元市町村と申しますのは、出願されました埋立区域につきまして最短距離にありまして、通常その埋立区域が将来その市町村の行政区域に編入される、そういうことが予定される市町村、このように理解しているわけでございます。  それで、そう考えますと、この埋立地につきまして、名古屋市につきましては他の二市一町一村、これと比較して距離が離れておりまして、かつ、現在の市町村境界、これの延長線、こういうものを考慮いたしましても名古屋市に編入されることは考えられないということから除いたものでございます。
  207. 草川昭三

    草川委員 これは将来どういうことになるかわかりませんけれども、きょうは私は議事録を将来のために残すために質問しておるわけですから、くれぐれも気をつけて答弁をしておいていただきたいと思うのですよ。市に対する発言についても、僕は今けしからぬと思っているのです、そういう態度は。  それから、さっき建設課長おっしゃいました、非常に簡単にできると言いますが、簡単にできっこないですよ。しかも南北は、今の答弁からいうと埋設しないという印象の方が強いですよ、今のあなたの答弁は。そんな都合のいいことは地元としては認められませんし、その周辺というのは船舶の泊まり地がたくさんあるわけですから、しかもポンプアップするのは全部ワイヤーを張るわけですから、海上保安庁しっかりと、同じ運輸省ですけれども、身内でなあなあにならぬように厳重な対応をとっておいていただきたいと思うのです。  特に、港湾局というのは余りこういう問題についてぎゃあぎゃあ言う人はいませんからね。簡単にいけると思って皆さんやってみえるのですが、これは将来非常に問題が起きます。もう私はきょうは何にも言っていませんけれども、実は非常に重大な問題が中に隠されているのですよ。だから、これはいずれ私どもはその問題を取り上げる機会があると思いますけれども、これは愛知県にとりましても非常に大きいプロジェクトでございますから、港湾局は十分承知をして対応をしていただきたいということだけ、非常に厳しく申し上げておいて、私はきょうの質問を終わります。  以上です。
  208. 辻英雄

    辻委員長 中井 君。
  209. 中井洽

    ○中井委員 きょうは、し尿の海上投棄の問題についてお尋ねをしたいと考えます。  最初に、環境庁は、し尿の海上投棄そのものをどういうふうに御判断をなさっていらっしゃるか、あるいは現在どういう調査研究を行われているか、お答えをいただきます。
  210. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 現在、し尿の海洋投棄による海洋汚染は生じていないものというふうに承知しておりますけれども廃棄物の海洋投入処分は、海洋環境保全の立場から、埋立処分を行うのに特に支障がないと認められる場合には行わないようにする、これは政令でそのように定められているわけでございまして、そのような点から見ましても、し尿の海洋投棄はあくまで暫定的措置であって、漸次陸上処理に移行されていくべきものであろう、かように考えているわけでございます。
  211. 中井洽

    ○中井委員 どういう科学的な判断に立ってなぜ漸次陸上処理に移行させるべきだとお考えになっていらっしゃるのですか。あるいは現在行われておるし尿の海洋投棄によってどこかの海峡あるいは海流において何か有害な反応事例というようなものが出ておるのでありますか。あるいは、いろいろな学説、研究が行われているやに聞いておりますが、どういう方向で今学界等の議論が進んでいるのか、そういったところをどういうふうに環境庁理解されているのですか。
  212. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 先ほど申し上げましたように、し尿の海洋投棄によって問題が生じている例は現在のところ特段ないというふうに承知しておるわけでございます。ただ、もちろん中間処理はいたすわけでございますが、生じ尿を海洋に投棄するということにつきましては、現在距岸五十海里以遠のいわゆるC海域に投入させておるということはございますけれども、やはり好ましくないという風潮がございます。  そのことが、ただいま先生指摘ございましたように果たして科学的に見ていかがかということになりますと、これは黒潮等においては特に貧栄養であるから、し尿等を生じ尿であっても投入してもよろしいということをおっしゃっておられます先生方もいらっしゃることは事実でございますし、そういう研究を進められている先生方がおることも承知しておりますが、私ども漸次云々と申し上げましたのは、かつて中公審におきましても、もちろんこれは廃棄物の海洋投入を非常に限定して「内湾、内海等への投入は原則として禁止するように」という点と、それからもう一つ、「し尿の海洋投入は、あくまでも暫定的措置であって、これを禁止する方向で対処すべきものであり、埋立処分のためのし尿処理施設の充実整備には、特段の配慮をすること。」という附帯決議をいただいているわけでございまして、このような中公審の附帯決議があることから、先ほどのようなお答えをいたしたわけでございます。
  213. 中井洽

    ○中井委員 現在し尿の処理を海上投棄に頼っておる市町村の数というのはどのくらいありますか、あるいはまた去年の処理された量というのはおおよそどのくらいでありますか。厚生省環境庁ですか、どっちですか。
  214. 加藤三郎

    加藤説明員 市町村の数は今ちょっと正確に把握いたしておりませんが、海洋投入量で申し上げますと、年間で申し上げますと約四百七十三万六千キロリットルというふうに承知いたしております。
  215. 中井洽

    ○中井委員 市町村の数あるいは年間のそういう処理量というものは、ここ数年間御努力によって漸次減っているわけですか、それとも横ばいの状況でございますか。
  216. 加藤三郎

    加藤説明員 し尿は先生御案内のとおりいろいろな方法処理をされているわけでございますが、海洋投棄について大ざっぱな傾向を申し上げれば、大体横ばい、傾向としては少しずつ減っておりますが、そう急激な変化、減少ということではない状態でございます。
  217. 中井洽

    ○中井委員 厚生大臣もあるいは厚生省も、先ほど環境庁がお答えになったように、し尿の処理基本的には陸上で処理をすべきだ、海上投棄というのは便宜的なものである、こういうふうに御判断をなさっておると考えてもいいですか。
  218. 加藤三郎

    加藤説明員 先ほども申し上げましたように、し尿処理にはいろいろな方法がございます。例えばし尿処理施設によります処理、それから下水道に投入するとか、あるいは農村に還元いたしますとか、海洋投入処分など、いろいろな方法がございますが、厚生省といたしまして、し尿は原則としてし尿処理施設によるなど陸上処理によるべきごとというふうに考えておりまして、その観点からし尿処理施設の整備を図っており、また海洋投入処分の削減を図ってきているところでございます。  ただ、基準にのっとって適正に処分が行われるものであれば海洋環境保全上支障が生じないものというふうに考えておりまして、厚生省といたしまして海洋投入処分がし尿処理として必ずしも不適切な処理方法であるというふうに考えているわけではございません。しかし、先ほどもちょっと触れましたように、海洋投入処分と陸上処分とを比較いたしますと、陸上処分の方が環境に与える負荷の総量を削減でき、また適正処理のための監視等、管理体制の充実が図られることから、陸上処理の方が好ましいというふうに私ども考えております。
  219. 中井洽

    ○中井委員 陸上処理の方が好ましいけれども海上処理の数が横ばいでなかなか減っていかない、こういうことは一つには、先ほど環境庁のお答えにもあったように、またあなたのお答えにもあったように、海上処理がそう大して海洋汚染という形にはつながっていない、あるいは逆に、貧栄養なんかに関してはプラスじゃないか、こういう意見の学者さんもおる。しかも陸上施設の充実が、予算の関係もあり、厚生省にも五カ年計画等があるようですがなかなか進まない。進んだだけ実は現実にある施設が老朽化をしたりあるいは人口がふえたりして、海上投棄がここ目先十年あるいは十五年の間になくなるという方向にはなかなかいかない、こういうことだと考えでいいですか。
  220. 加藤三郎

    加藤説明員 まさに先生がおっしゃったことがおおむねの方向ではないかというふうに思っております。ただ、私どもとしては、基本的な姿勢といたしましては陸上処分によるという方向で打ち出しておるわけでございます。
  221. 中井洽

    ○中井委員 そうすると、年間約五百万キロリットルぐらいに及ぶその処理が、五十海里以遠で捨てられて、それで大体安全だろう、こういうお話でありますが、それを確認をする調査とかあるいは研究というのはどこかが担当して、環境庁なら環境庁で系統的に、あるいは厚生省なら厚生省で系統的におやりになっていらっしゃいますか。
  222. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、私ども四十六年九月十八日の「廃棄物の最終処分に関する基準の基本的な考え方について」という中公審答申におきまして、附帯決議として、し尿の海洋投入処分はあくまで暫定措置で、これを禁止する方向で対処せよ、こういう附帯決議をいただいているものでございますので、環境庁として特段にその是非についてさらに研究するということは現在いたしておりません。(中井委員「それは何年ですか」と呼ぶ)四十六年九月十八日でございます。  先ほど申し上げましたように、ただ、一部学者の、海洋関係先生方の中に、特に黒潮等非常に貧栄養のところには投入することは一向に問題がなくて、むしろプラスであるという御意見があることは私ども承知しておりますが、ただいま申し上げましたような事情から、特に現在研究していることはございません。
  223. 中井洽

    ○中井委員 海上処理の場合、船に積んで、五十海里以遠、特に黒潮に乗せてしまうようでありますが、そのまま直接捨てているわけじゃないと思うのですね。何か一次的な処理をされるというお話でありましたが、どういう処理の仕方になっていますか。
  224. 加藤三郎

    加藤説明員 し尿の海洋投入処分に関しましては、廃棄物処理及び清掃に関する法律、廃棄物処理法、それから海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律、いわゆる海洋汚染防止法によりまして、処分方法、処分場所等が規定されておるわけでございます。  それで、昭和五十一年に海洋汚染防止法が改正されまして、現在は、し尿の海洋投入処分に当たりましては、海洋環境保全の観点から、広範な海域の浄化能力を利用できるよう、海洋投入場所が領海基線より五十海里を超える海域と定められておりまして、また、し尿は船舶の航行中に海面下に拡散排出する、それから、これは生じ尿ではございませんで、薬品で中間的に処理したもので拡散排出すること、それからさらに、航行状況とかあるいは排出日時、位置等を自動的に記録する装置を備えつけること等が義務づけられているわけでございます。
  225. 中井洽

    ○中井委員 それが二、三百あります町村で安全に正確に行われておるという調査をどこがやっていらっしゃるのですか。
  226. 加藤三郎

    加藤説明員 先ほど環境庁局長さんから御答弁いただきましたように、私どもも、少なくとも海洋投入処分によりまして海洋環境上何か問題が生じているというふうには承知いたしてないわけでございます。それから、海洋投入に至ります陸上の附帯のものにつきましては、当然廃棄物処理法によって適正な処理が行われるよう規制をいたしておるわけでございます。
  227. 中井洽

    ○中井委員 簡単なことを聞いておるわけでありまして、五十海里というのはかなり遠いですから、薬で処理をして、走っている最中に船底からきちっと捨てろ、こういうことですね。それならほぼ汚濁に関係がない、こういうことをおっしゃるわけであります。しかし、この方法はだめだから廃止をしなさいよと今から十四、五年前に答申が出たけれども、全然量は変わらない。そうするとどこで大丈夫だというチェックをするのか、こういうことを申し上げている。どこの省庁がチェックをされておるのだ、あるいは研究をされておるのだ。十四年間ほっておいて、これからもそんなに一遍に陸上の処理場はできないでしょう。これからもやるのだったらやるで、もっと科学技術的に、黒潮に乗せてそういう薬でやれば十分大丈夫だという形を逆にどんどん研究した方が早くないですか。そういうことを申し上げているのです。  かつてここの委員会でも他党の議員さんからそういう形での質疑があって、厚生省ですか環境庁ですか、研究するとお約束をされているやにこの会議録で見ておるところですが、違いますか。そんなことはありませんか。昭和五十三年で山田国務大臣のころでござい封じて、私もまた環境委員会委員の一人であった。「ひとつ研究さしていただきたいと思います。」と、こう答えていらっしゃるわけでありまして、自民党の林先生の御質疑でございます。  これは、海上投棄ということがだめだということだけじゃなしに、今お話があったように、貧栄養に対して効果があるとか黒潮の場合はいいのだとか、いろいろな学者の御意見を水産庁と議論をなさっているわけであります。それを環境庁に、海上投棄というイメージだけでだめだだめだと言わずに一遍いろいろな多様面を研究されたらどうですかという、非常に落ちついた立派な御質問をなさっておりまして、環境庁約束をされておるわけでありますし、野党との約束なら時々破られることがありますが、自民党さんとの約束を破られるというのはめったにないことじゃないか、このようにも考えたりするわけでありますが、今のお話を聞くと全然、要するに五十三年質問された当時と何にも変わっておらぬ、こういうことだと考えますが、いかがですか。
  228. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 大変不勉強で申しわけございませんが、そのような事実については、少なくとも私がちょっと不勉強で承知しておりませんものでございますから、帰りまして、少し詳細調査してみたいとは思いますが、一応申し上げますと、やはり中公審で先ほどのような附帯決議が特に出されたことの意味というのはかなり重いわけでございますので、そういう附帯決議をいただきながらそのような御答弁を申し上げました経緯も調べまして善処いたしたいと思います。
  229. 中井洽

    ○中井委員 海上保安庁来ていらっしゃると思いますが、これらの海上投棄の船の違反というものをチェックなさるのは海上保安庁であろうかと思うのであります。そうしますと、一年間にどのくらい、どういう形でチェックをやられておるのか、あるいは去年一年間でどんな違反があったという形で検挙されたことがあるのか、御報告いただきます。
  230. 栗山昂久

    ○栗山説明員 お答えいたします。  私ども海上保安庁といたしまして、し尿の排出船の海域違反で検挙した事例は昨年はございませんでした。過去六年間に二件ございます。四十七マイル程度のほぼぎりぎりの線上で排出していたというのが一件と、もう一件は日本海でございました違反で、二十数マイルの地点で排出していたというもので、過去に我々が検挙したのは、過去六年間の実績ですが、その二件だけでございます。  事実、これらの船には自動航行記録装置というものがつけられているということで、海域違反は非常にしづらい。自動的に記録されますので、その記録を見ることによって違反が直ちにわかるということでございます。したがいまして、我々としてはこういう違反防止について、廃棄物排出船については事前に保安部の方に航海計画などを届けさせる、同時に帰港時にはこれらの記録の写しを保安部の方に提出させ、保安部の方でチェックをすると同時に、また廃棄物処理記録簿などにもこの記録を添付させているということで違反防止には努めているところでございます。
  231. 中井洽

    ○中井委員 保安庁の方にお尋ねをいたします。  今のお答えの中で、自動装置というのは、これは必ずつけなければいけない義務のものでしょうか。これが一つであります。それからもう一つは、自動装置の記録されたものを海上保安庁へ提出させておるとおっしゃいましたけれども、これは義務として必ずすべての船から一航海ごとに出させているのですか。私が聞いている範囲では、その船の中へ二年なら二年残しておくということで法的にはいい、こういうふうにされておると聞いておるのですが、すべての海上保安部で、幾ら船があるのかわかりませんけれども、全部提出をさせておるのか。こういうことをあなたお答えになったように思うのですが、それは本当ですか。
  232. 栗山昂久

    ○栗山説明員 第一の点についてお答えいたします。  これは法律上、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律並びにその施行令等で、一応法律上の、技術上の基準として設備することが義務づけられてございます。ただこれは、いわゆる五十海里以遠に排出する場合の排出船については義務づけられているということでございます。  第二点ですが、これは先生が今おっしゃられましたように、法律上は、処理記録簿を二年間船内に置くということは法律上義務づけられております。保安部に航海計画を提出するとか、あるいは事前に届け出さすとか、あるいは事後、記録の写しを保安部に出すというのは、すべてではございません。あくまでも指導で、可能な限り実施させているということでございます。
  233. 中井洽

    ○中井委員 今ちょっと、もう一遍…。五十海里以内に捨てる業者は記録装置をつけるのですか。今そうお答えになったように思うのですけれども。(栗山説明員「以遠に捨てる…」と呼ぶ)以遠に捨てる人はつけるわけですね。はい、わかりました。  そうしますと、莫大な量のし尿の海上投棄というものが、実際は科学的にはどこも見ていない。環境庁厚生省も減らすということは言うけれども、陸上施設が追いつかないからまあいいじゃないかという形でおいてある。海上保安庁だって忙しいから、義務でも何でもありませんから、記録も何も届けさせない、こういうことでありますから、海上投棄の信頼性、五十海里以遠で必ず捨てておる、暴風雨のときやら、ばかっと途中で捨てて帰ってこないかとかいう、そういう信頼というものは、業者を市町村が信頼をする、もうこれ以外にないのじゃないか、そういう制度の中にこれが成り立っているのだと私は判断をいたしますが、厚生省、いかがですか。     〔委員長退席、柿澤委員長代理着席〕
  234. 加藤三郎

    加藤説明員 廃棄物処理法の建前では、やはり適正な処理ということを、諸法令に従いまして、特に廃棄物処理法のいろいろな基準に従ってさせるというふうに指導いたしているわけでございます。
  235. 中井洽

    ○中井委員 全国でどのくらいの業者がし尿の海上投棄をやっていますか。
  236. 加藤三郎

    加藤説明員 ちょっと今資料を持ち合わせておりませんで、今すぐはわかりかねます。まことに申しわけございません。
  237. 中井洽

    ○中井委員 僕は随分説明をしてあれしたわけですから、市町村の数や船の数、あるいは業者の数ぐらい調べてきてくださいよ。別にどうということないですけれどもね。そうすると、厚生省さんはもう業者の数もつかんでいない、こういう格好で監督をなさっておると私は判断をして、先に行きます。  海上保安庁は、どのくらいの船が廃棄船として登録されておるか、数字、わかりますか。
  238. 栗山昂久

    ○栗山説明員 お答えいたします。  我々が把握している数字は、昨年末現在の数字でございますが、し尿の排出船としての隻数は六十三隻ございます。このうち産業廃棄物の排出船を兼務しているものもございますが、一応、五十九年十二月三十一日現在で六十二隻在籍しているということでございます。
  239. 中井洽

    ○中井委員 これらの、六十三隻船を持って、現実に三百市町村ぐらいのところで海上投棄をおやりになっておる業者の資格、こういったものについての基準が厚生省には定められておりますか。
  240. 加藤三郎

    加藤説明員 廃棄物処理法によりまして、一般廃棄物の運搬、処分、そういったものを扱う委託の基準といったものは定めてございます。
  241. 中井洽

    ○中井委員 どういうのですか。
  242. 加藤三郎

    加藤説明員 廃棄物処理法の施行令四条というところでございますが「一般廃棄物の収集、運搬及び処分の委託の基準」ということで、実は全部で八項目定めてございます。  多少長くなりますが、ちょっと申し上げますと、まず第一項目といたしまして、「受託者が受託業務を遂行するに足りる施設、人員及び財政的基礎を有し、かつ、受託しようとする業務の実施に関し相当の経験を有する者であること。」第二番目といたしまして、「受託者が、」法の七条二項に欠格条項というのがございますが、その「いずれにも該当しない者であること。」三番目といたしまして、「受託者が自ら受託業務を実施する者であること。」それから四番目といたしまして、「一般廃棄物の収集、運搬又は処分に関する基本的な計画の作成を委託しないこと。」五番目に、「委託料が受託業務を遂行するに足りる額であること。」六番目に、「一般廃棄物の収集とこれに係る手数料の徴収を併せて委託するときは、一般廃棄物の収集業務に直接従事する者がその収集に係る手数料を徴収しないようにすること。」七番目に、「一般廃棄物の処分を委託するときは、市町村において処分の場所及び方法を指定すること。」最後になりましたけれども、「委託契約には、受託者が」、先ほどの第一番目から第三番目「までに定める基準に適合しなくなったときは、市町村において当該委託契約を解除することができる旨の条項が含まれていること。」大変長くて恐縮でございましたが、この八つの条件を付してございます。
  243. 中井洽

    ○中井委員 自治省の方が来ておられると思うのでありますが、自治法の二百三十四条ですか、地方公共団体が競争入札等をするときの条件を定めてあると思うのです。その中に、競争入札する場合には地方公共団体に有利な条件で契約を結ぶ、こういうことが書かれておるように判断をいたします。これと、今お話のございました、委託料が受託業務遂行に足りる額であること、こういう条件との関連性をどのように御判断をなさるか、これは厚生省の側と自治省の側とお聞かせをいただければありがたいと思います。
  244. 柳克樹

    ○柳説明員 先生もう既に御承知のとおり、契約のやり方につきましては地方自治法で決めておりますが、具体の運用についてはそれぞれの地方公共団体において、客観的な事情を見ながら契約をするということになっております。したがいまして、今おっしゃいましたような具体的なことについては、ちょっと私どもとしてすぐこうだというふうに申し上げにくいわけでございますけれども一般論で申し上げますけれども、自治法のただいま御指摘の条文を受けまして、政令の方で一般競争入札に参加する者についての必要な資格、それから指名競争入札に参加する者に必要な資格ということを決めてございます。  一般競争入札の場合を例として申し上げますと、「一般競争入札に参加する者に必要な資格として、あらかじめ、契約の種類及び金額に応じ、工事、製造又は販売等の実績、従業員の数、資本の額その他の経営の規模及び状況を要件とする資格を定めることができる。」というような規定がございます。なおそのほかに、当然でございますけれども、既に過去において不正な行為をしたという者については参加させてはいけないという規定もございます。
  245. 加藤三郎

    加藤説明員 一般廃棄物の委託をどういう方法で受託するかということでございますけれども廃棄物処理法におきましては、一般廃棄物処理業務を委託する場合の基準といたしまして、先ほど申し上げましたような…
  246. 中井洽

    ○中井委員 いや、違います。もう一遍聞き直します。  業者の委託の基準のところに、「委託料が受託業務を遂行するに足りる額であること。」とわざわざ入れてあるわけです。これは、普通の契約とかそういうときには、なかなかこういうことは入ってこない。さっきも申しましたように、契約するときにやはり地方自治体が有利なように契約しなさい、こういうことであろうかと思いますし、私どもも、今各地の地方自治体で、民間委託を進めるとか、あるいは行政改革の一環として、民間の方が安いのだからそっちでやらせろとか、いろいろなことを言っているわけであります。にもかかわらず、廃棄物処理ということに関して、十分委託に足りるだけの額でやれということを入れた経過というのはどういうことだということを、自治省の人も含めて聞いているわけです。
  247. 加藤三郎

    加藤説明員 それは処理が適正に行われるということが大眼目でございますので、そういう趣旨から入っているということを申し上げます。
  248. 中井洽

    ○中井委員 大体基本的なことを聞かせていただきましたので、過般、三重県の尾鷲市で起こりました事件を例にとりまして、業者に対する国側の判断、こういったものを少しお尋ねをして、今後地方自治体に混乱が起こらないようにやっていきたい、このように考えます。  ことし、三重県の尾鷲市で、過去十年以上随意契約でやられておりました海上投棄業者を、市長さん並びに市議会の御議論の中で競争入札に変えるということになりました結果、新規の業者が契約をなさって既に始めておられるわけであります。  初めにお断りいたしますが、こういう契約に関しては、先ほど自治省の方が言われたように地方自治体の権限であるということは十分承知をしてお尋ねをすることでございます。誤解のないようにお願いを申し上げます。  この間、市議会あるいは県当局は大変混乱をいたしまして、厚生省行政指導を受けた、このように聞いておるところでありますが、事実ですか。
  249. 加藤三郎

    加藤説明員 先生が今御指摘になりました問題につきまして、県等を通じまして私どもに相談があったことは事実でございます。
  250. 中井洽

    ○中井委員 その後、市当局並びに県当局は、この問題に関して議会等あるいは地域でいろいろ質問が出ても、厚生省行政指導を受けてこれでいいということになっているのだから間違いがない、このように言い切って問題を処した、このことは御承知ですか。
  251. 加藤三郎

    加藤説明員 議会等での詳細な議論につきましては、私ども逐一は存じておりません。ですから、どういう言いぶりなり、どういう議論が議会等であったかということは、詳細は存じておりません。
  252. 中井洽

    ○中井委員 後でまた、地方の新聞等の資料もございますから。  市長さんがそこで言われていることが正しいかどうかは別にしまして、議会等でも厚生省行政指導ということをかなり明確にされて反対論等を押し切っておる、このことを御認識を賜りたいと思います。  この決定をされました新しい業者の、特に資格についていろいろな議論が行われておりまして、先ほどからるるお話がありましたのとかなり違うのではないか、厚生省の示された基準等をよっぽど拡大解釈してねじ曲げないとこれを合法と判断をすることはできないのじゃないか、こんな感じを私どもは持つわけでございます。  委託をする場合の基準は次のとおりであるということで先ほど答弁をいただきました。その一は「受託者が受託業務を遂行するに足りる施設、人員及び財政的基礎を有し、かつ、受託しようとする業務の実施に関し相当の経験を有する者であること。」こうなっておるわけでございます。ところが、競争入札に参加をいたしました新規の業者は、まず施設たる船を持っていなかったわけであります、入札に参加した時点で全然船を持っていなかったわけであります。会社の代表者並びに役員、だれ一人し尿の処理あるいは海上投棄に経験を有していないのであります。あるいは、競争入札に参加する一月前に会社の定款を変えて、初めて会社の定款の中にし尿処理、海上投棄、こういったことを入れ込んでいるわけでございます。  厚生省側としては、本当にこういった業者が、先ほどから私がるる御質問いたしました中で一貫してお答えいただいた責任ある施設というものをお持ちの業者だと判断をされるのでしょうか、お答えをいただきます。
  253. 加藤三郎

    加藤説明員 入札時におきまして、当該業務の実施に当たり、先ほど申し上げました委託基準を満たすことが確実であることが必要であるというふうに考えております。ただ、委託基準を満たすことが確実であるかどうかといった判断は市町村において行われるというのが原則でございます。  今先生お尋ねの尾鷲市の場合について申し上げますと、まず遂行するに足る施設というものにつきましては、新規の業者は、先生指摘のように、確かに従前し尿の取り扱い業務を行ってはいなかったわけでございますけれども、船の購入が確実であったということ、それからまた、相当の経験につきましては、確かに役員の中にはそういうし尿の投棄とかそういったものの経験がございませんけれども、職員の中にそういう経験のある人が業務に従事し得る見込みがあったといったことを勘案いたしますと、当該業務の実施に当たり、委託基準を満たすことが確実である、そういうふうに尾鷲市が判断したというふうに考えております。
  254. 中井洽

    ○中井委員 あなた、大変なことをおっしゃっておると僕は思うのです。先ほど、委託基準を満たされることが確実でありさえすればいいと、尾鷲市が判断をすればいい、このように言われましたけれども、法律というのはそんなふうに解釈できるのですか。将来満たされればいいのだ、こういうことで入札参加資格というのが出てくるのであれば、ありとあらゆる国の入札参加資格基準というものは、将来、いつか、こういうことで、書類を申し込んだ時点で何にもそろってなくてもいい、こういうことに私どもは判断をせざるを得なくなります。尾鷲市がやったことをどうだこうだと挙げているわけじゃありません。この法律、この施行令というのはそんなふうにあなたが勝手に解釈をして読めるのですか、こういうふうに重ねて問いたいと思います。  またもう一つは、あなたは会社の社長や役員に経験者がだれもいなかったと、こうお認めになりました。それなのに「人員及び財政的基礎を有し、かつ、受託しようとする業務の実施に関し相当の経験を有する者であること。」というのに反しない、このようにお考えですか。私どもは通常、受託者というのは社長である、あるいは会社の役員の中にそういう者がおるということが受託者という形の資格に入ると考えておりますが、厚生省の御判断は違いますか。
  255. 加藤三郎

    加藤説明員 先生二点お尋ねになられたわけですが、まず最初の点の、入札時において確実だ、そういう見込みでいいのかという趣旨だったというふうに理解いたしますが、私ども、これまでの法の運用におきまして、実施に当たっては委託基準を満たすことが確実だということを、これはもう以後、判断し得ればこれは…
  256. 中井洽

    ○中井委員 構いません、そんな答弁ありますか。実施の日にちを言ってください。新規ですから四月一日ですね。声を出して答えてください。
  257. 加藤三郎

    加藤説明員 そのとおり四月一日からの実施でございます。
  258. 中井洽

    ○中井委員 それでは、順番を変えて聞きます。  海上保安庁にお尋ねをいたします。この尾鷲市の新規業者が新しく船を買われて、海上保安部に廃棄船としての登録申請をなすったのはいつですか。そして許可を出されたのはいつですか。日にちだけを言ってください。
  259. 栗山昂久

    ○栗山説明員 お答えいたします。  業者から保安部の方に登録申請書が提出されたのは、三月二十九日に出されてはおりましたが、不備なため受理しておりません。実際に受理いたしましたのは四月十六日、十八日に登録をしているということでございます。
  260. 中井洽

    ○中井委員 厚生省課長さん、三月二十九日から四月一日まで何日間あるのですか、答えてください。
  261. 加藤三郎

    加藤説明員 三日でございます。
  262. 中井洽

    ○中井委員 海上保安庁は申請が出されてから登録を受け付けられるまで、通常の船で大体何日間かかるのですか。私、業者の方から大体一カ月と聞いております。
  263. 栗山昂久

    ○栗山説明員 お答えいたします。  登録手続におきましては、通常大体のところ一週間ぐらいあれば可能ではないかというふうに思いますが、書類など完備している場合には数日の間に登録をすることも可能ではございます。まあそういう事例もございます。
  264. 中井洽

    ○中井委員 私は、何も尾鷲市の邪魔をしようとか、海上投棄、し尿の処理をやめさそうとか、そんなことを考えておりませんが、この業者に関しては実は、海上保安庁は検閲だと称して、事前に、書類申請してない前に船へ入って調査をやっておるわけであります。そして三月二十九日に書類が、出てきたら、その場で、これが足りませんよ、だからこれを早く備えなさいと親切に、普通のお役所では考えられないことで、アドバイスをされて、その新しい装置を四月十六日につけたら、もう十八日に申請を認めておるわけであります。こんなことは、ふだんありますなんておっしゃるけれども、ありません。ほかの業者の方がこんな優遇措置を、くぐり抜けた措置を受けたことは一回もありません。こういう形をやっておる業者が、なぜあなたは契約時に確実だ、こう考えるのですか。どこが確実なんですか、全然確実じゃないです。
  265. 加藤三郎

    加藤説明員 先生も冒頭触れられましたように、こういった委託契約を結ぶ当事者は市町村でございます。清掃事業はまさに市町村の固有業務でございまして、最終的に委託をその者と結ぶかどうかという判断は市町村が持っております。もちろん国としては総括的なフレームワークを、先ほども御紹介いたしましたような、例えば「相当な経験を有する」とか、そういったことを決めておりますが、具体的に相当な経験とは何か、そういったものの最終的な判断は市でございます。それで、先ほど御紹介しましたような判断に基づいて、市としては確実に実施時においてできるというふうに判断したと理解をいたしております。
  266. 中井洽

    ○中井委員 実施時に確実にできなかったことに対して、厚生省は御承知なんですか。どういう形で県や尾鷲市に行政指導なり連絡をされましたか。何もされておりませんか。
  267. 加藤三郎

    加藤説明員 先ほど先生お触れになりました登録につきましては、これは海洋汚染防止法上の要件でございますが、廃棄物処理法上の要件ではございません。ですから、私どもとしては、本件の場合に四月一日からし尿積み込みを始めたようでございますけれども、そういったものが適正に、例えばし尿が海洋に流れるとか、不法投棄がないとか、そういったような状況を見ておりました。
  268. 中井洽

    ○中井委員 何をお答えいただいているのかさっぱりわかりませんから、ほかの観点からお尋ねをいたします。  自治省の方にお尋ねをいたしますが、先ほど答えの中で、地方自治体が競争入札をやるときにはいろいろな条件を公示することができるというお答えがございました。大体、地方自治体の競争入札ということについては、より厳正に、より経費を安くという形でやるがために、かなり市議会あるいは市民等の監視の目がきつく、厳正に資格等を審査すると私ども考えます。現実に尾鷲市等の他の競争入札に関してはかなりいろいろな条件をつけて指名業者の募集等がなされているわけでございます。  ところが、本年一月七日より五日間行われました尾鷲市し尿海洋投入処分業者募集、この公告は、たった一行「尾鷲市在住の業者」これを書いてあるだけであります。このようなことは、通常地方自治体で行われておる競争入札にまれに、あるいは多くあることでございましょうか。
  269. 柳克樹

    ○柳説明員 先ほどもお答えいたしましたように、契約といいますのは、先生も御指摘のとおりでございますが、本来公正でなければなりませんし、また物品購入等について言えば、良質で廉価なものを入れるという観点基本になるわけでございます。その観点から申しますと、地方自治法上では、やはり一般競争入札というものが基本的な仕組みだというふうに想定しておるところでございまして、そのほかに場合により随意契約あるいは指名競争入札というものがあるわけでございます。先ほど申しましたように、一般競争入札の場合にはいろいろな資格要件を定めることができるという規定になっておりまして、さらに指名競争入札の場合を申しますと、先ほど申しましたようなそういう基準を定めなければならないということになっております。  ただいま御指摘の尾鷲市の例につきましては、先ほど来申し上げまして恐縮でございますが、私どもとしては具体的にその詳細を存じておりませんものですから、その点について直ちにこうだというふうになかなか申し上げにくうございますけれども、政令の規定といたしましては、そういうふうな指名競争入札の場合ならこういう要件を定めなければいけないという規定はございます。
  270. 中井洽

    ○中井委員 済みません、そこでこれをちょっと見てくれますか。たった一行だけ「尾鷲市在住の業者」と書いてあるわけです。そういうのは極めてまれだ。私も見たことがないです。こういう資格だけ、一行だけというのは見たことがありません。あなたはそれの御専門として、地方自治体でこのような例があったことをごらんになったことありますか、あるいはお答えにくいかもしれませんが、これで参加資格要件というのはもう十分だとお考えになりますか。
  271. 柳克樹

    ○柳説明員 先ほどのお話し申し上げましたところに、さらにその次に、実は政令におきましても、事業によって事業者の住所というものも要件に入れてもいいという規定があることは事実でございます。ただいま御指摘の尾鷲市の例が、そういう指名競争入札あるいは一般競争入札として考えておられるのか、それとも随意契約として考えておられるのか、そこのところがもう一つはっきりいたしませんけれども…(中井委員「競争入札です」と呼ぶ)競争入札ということになりますれば、たくさんの例を知っているわけではございませんけれども、比較的珍しい例ではなかろうかと存じます。
  272. 中井洽

    ○中井委員 厚生省答えください。それじゃ、し尿海洋投入処分業者というのは、その地域に住んでいる業者であれば、何の業者とも書いていないのです、何でもいいという公告であります。これで十分だというお答えですか。——見せましょうか。見ていますか。
  273. 加藤三郎

    加藤説明員 見ておりません。(中井委員、資料を示す)たびたび繰り返しで恐縮でございますけれども、結局…(中井委員答えてくださいよ、そういう資格だけで十分ですかと言っているのです」と呼ぶ)その資格の判断は、契約を結びます市当局、この場合は尾鷲市でございますけれども、尾鷲市が判断をする。もちろん、先ほど言いました全体のフレームワークがございます。
  274. 中井洽

    ○中井委員 だからそこから答えてくださいよ。そこに住んでいる業者というだけでフレームワークに合いますか、こう言っているのです。
  275. 加藤三郎

    加藤説明員 先ほど言いましたように、委託するときの基準が決めてございます。相当な経験を有するとか、いろいろ申し上げました。当然それを前提とした上だというふうに私は理解いたしております。いずれにいたしましても、契約を結ぶ当事者である市が判断をいたすものというふうに考えております。
  276. 中井洽

    ○中井委員 あなたをしかるつもりもなければ、三重県をしかるつもりもなければ、尾鷲市をしかるつもりはないのです。こういうことをやってどんどこどんどこいろいろな契約とか指名を変えていけるのなら、何も要らぬじゃないですか。建設省のものも何も要らなくなる。それを厚生省のあなたの側から始めようかと、こう言うのですかと僕はさっきからお尋ねをしているわけであります。  あなたは当然のごとく、法律のフレームワークはわかっておるのだ、こういう解釈でこれを拡大解釈されますが、読んだ者からすれば「尾鷲市在住の業者」これだけであります。そんなばかなことはないので、尾鷲のほかの指名業者の募集なんか全部細かく書いてあります。こういうことでいいのかと、これが一つ、もう一度お尋ねをいたします。  同時に、これに基づいて従来の業者と新規の業者が参加を申し込まれたわけでございます。さすがに尾鷲市も、この二つの業者について関係書類の提出を求めているわけでございます。  一は、先ほどからお話のございました海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第十一条の写し、これはいわゆる廃棄物排出船の登録の写しということでございます。二が海洋投棄処分を行う従業員氏名、資格書の写し及び従業員経験年数。三が定款及び登録簿の謄本。四、最近事業年度の貸借対照表。五、これから先は書類提出と期限、こうなっております。この尾鷲市の書類で初めから出されて、あるいはこの書類どおり審査が行われておるなら、先ほど課長がお答えになっているようなフレームに入っておる。私はそのとおりだろうと思います。  ところが、現実にこの書類を一月の三十日までに出しなさい、こう言うた時点では、一番の廃棄物排出船の登録の写しというものは、新規参入をしたいと言ってきた業者にはないわけであります。わかりますか。それを厚生省行政指導をいただいて大丈夫だという名のもとに競争入札させたのです。あなたはこれを知っておってどうしてそんなことを認めたのですかと、さっきから盛んに言っておるのであります。やっちゃったことを仕方ないとか、そんなことじゃないですよ。わかりますか。将来変えます、将来何々を約束しますと、こう言えば国のいろいろな指名に入るあるいは地方自治体の指名に入るという基準の設備に全部当てはまるというのなら、本当に今いらっしゃる業者さん、助かりますよ。いろいろな競争入札に参加しようと思ったら、大変な資格があったり設備を持っていたり要るのですよ。わかっていますか。それをあなたは全部ええと、こう言うのです。ええというのはわかりますか。あなた余りわからないから、僕はばかばかしくなっているんだ。こんなことありますか。  自治省の方にこんなのを聞くのはいいのか悪いのかわかりませんけれども、これは自治省の方、御判断になられますか。ちょっと判断しにくいですか。それじゃ一度お調べいただけますか。契約の中身ということについては自治省も関係されるのじゃないか、このように判断します。  まず先に答えてください。
  277. 加藤三郎

    加藤説明員 言うまでもないことであるわけですが、尾鷲市は、し尿処理をするということは市にとって大変重要なことでございます。当然ながら重要なことで、それをだれに委託するかというのは、市にとっても大変重要な問題だというふうに考えます。先ほど言いましたように、国として一般的なフレームをつくり、当然そのフレームにのっとって、そのフレームの中で市が選ぶということで、しかもその市の選び方といたしましても単に担当者がずっと選んだというのではなくて、市の議会でも問題になり、委員会でも議論し本会議でも決議した、そういう経過を経て市としてこういう方法でいくという判断をいたしておるわけでございまして、私どもとしては委託の方法をどういうふうにするか、だれを選ぶかということにつきましてはまさに市の裁量にゆだねておるわけでございます。
  278. 中井洽

    ○中井委員 さっきからそんなこと聞いてないでしょう。僕は冒頭から断っているじゃないですか。だれを選んだからけしからぬという話をしているのじゃないでしょう。選ぶ過程の話、基準の話。あなたの言い方であるならば、市議会も議論してそして決めちゃったんだから国も県も国会も口を入れるな、こういうことを言っているじゃないですか。そんなことないでしょう、国の行政は。地方議会で決めようと何で決めようといろいろなことをおっしゃるじゃないですか。また、私どもだって国の法律あるいは法律施行令の枠組みからはみ出したことを地方自治体がお決めになったら、それはやはり国会で議論するのは当然のことじゃないですか。はみ出したのを全部正しい正しいとあなたはおっしゃっているんだ。はみ出しているのじゃないんだ。必要条件が全然足りないんだ。  先ほどから言っているようにどこも規制してないんだ。信頼関係だけじゃないですか。し尿投棄がきちっと行われているかどうかだれも調べてないのですよ。業者をきちっと調べる、市町村が責任を持つ、これ以外規制は何もないのです。その業者の選定に関して肝心かなめの、一番の基本のものがめちゃくちゃになっておるのでしょう。それをあなたは全部地元が決めたから、地元が決めたから。それじゃあなたは行政指導も何も、あるいは厚生省全体も地方自治体のことに口出ししなければいいんだ。そんなことないでしょう。すべてのことを法律に基づいて、世界に冠たる行政指導も含めておやりになっておる、それに誇りを持っていらっしゃるはずだ。こんな勝手ほうだいなことをやらしておいて事後承認みたいなことを言ってどうするのです。  私は、この結果業者をかえろとか、今の業者はだめだ、そんなこと何も言ってないですよ。こういうやり方をどうして認めるんだ、このことだけなんだ。これを認めるなら、それじゃ私の住んでおる隣の町にだって海洋投棄をやっている市があるんですよ。私そこへ申し込みますよ、幾らでもいいんですから。経験なかろうと、船を持ってなかろうと、書類がなかろうと、厚生省と海上保安庁で便宜はからってくれるのだから。そんなばかなことはないじゃないですか。もう一度考え答えてください。
  279. 加藤三郎

    加藤説明員 先ほど来繰り返して本当に恐縮でございますけれども、国として総括的に例えば相当な経験とか施設とかというふうに申し上げておるわけですが、具体的に例えば重役の中にいるとかいないとか、何人いればいいとかいうのは実は決めてないわけでございます。確かに常識的に見まして役員とか社長さんが非常に経験があればまさにそれはそれにこしたことはない、望ましいことだと思いますけれども先ほど御紹介いたしました私どもの委託の基準の中では、何も今回のケースだけではございませんで、これまでの運用といたしまして役員が経験がなければならないとか何人以上いなくてはいかぬとかいうことは決めてなくて、結局そういったものの判断は委託をする者、この場合には尾鷲市でございますけれども、その判断にゆだねるというのがまさに法律の趣旨でございます。
  280. 中井洽

    ○中井委員 法律のどこに書いてあるのですか。
  281. 加藤三郎

    加藤説明員 廃棄物処理法の施行令の四条に「市町村が一般廃棄物の収集、運搬又は処分を市町村以外の者に委託する場合の基準」というのを決めておりまして、この法律の体系全体が、先ほど言いましたように清掃事業というのが自治体の固有事務という位置づけでございますので、そういうことになっているわけでございます。
  282. 中井洽

    ○中井委員 そうすると、尾鷲市に行政指導をしたのは、あなた方は何を教えたのですか。要するに船を持ってなくてもいい、従業員の経験がなくてもいい、書類は足りなくても構わない、資産はなくても全然大丈夫、こういうふうにお教えになったのですか、それ以外考えられないですよ。
  283. 加藤三郎

    加藤説明員 私ども当然、厚生省として、海洋投棄であれあるいは何であれ、清掃事業が適正に行われるというふうに望んでおり、またそのためにいろいろなことをいたしておるわけでございまして、その観点で、例えば尾鷲市から具体的な問い合わせがあった場合、今までの法の運用はどうなっているか、先ほども申しました例えば相当な経験とかそういったものの運用ということはどういう考え方で今まで実施してきたか、そういうことを御指導してきておるわけでございます。
  284. 中井洽

    ○中井委員 いや、そんなことを聞いてないですよ。あなたは加藤さんとおっしゃるの。ちゃんと僕の聞いたことに答えてくださいよ。尾鷲市が聞いてきたときに何を答えたんですか。具体的に答えてください。  この事件を知っておるのでしょう。どうしてこの業者がそういうふうに判断できるか。船がなくても施設はあるんだと判断する。社長以下重役五人いらっしゃる、喫茶店の店主とか何やらで社長さんは表具師さんだ、そういう人がずっといらっしゃる。その人らは経験者だと判断なすった理由を聞かしていただきたい。それから船があなたの大拡大解釈によって施行日までに手に入るという確約だった、こう言うけれども、その船はどんな船がその当時わかっておったのですか。そういったことも含めて、いつ来て、あなたらはどういう答えをして帰したんだ、そのことを答えてください。
  285. 加藤三郎

    加藤説明員 今何月何日ということまで正確ではございませんが、私の記憶では昨年の十月ごろだったというふうに記憶いたしておりますが、参って相談を受けております。私が直接受けたわけではございませんが、担当が受けております。  そしてそのときに申し上げましたのは、先ほど来言っておりますように委託の基準がこういうふうな基準があって、この基準についてはこういう運用をしてきた、そのときに例えば今現在船を持ってないときにはどうなんだろうかという相談もあったろうと思います。そのときには契約の発効時に委託基準に適合するように、そういう委託契約をするよう指導いたしておるはずでございます。
  286. 中井洽

    ○中井委員 それじゃ他の観点からお尋ねをいたします。  先ほどもフレームの、枠の中で自治省の方にもお尋ねをしました特異な項目に、委託業務を支えるのに十分必要な委託料を、「遂行するに足りる額であること。」こういうのがございます。今回の尾鷲市の契約は三年契約という形になっておるように聞いております。年間四千三百万余りでございます。この四千三百万余りの契約で委託を遂行できると厚生省はお考えでございますか。これまた尾鷲市の判断でございますか。
  287. 加藤三郎

    加藤説明員 判断の最終的な責任は尾鷲市でございますが、ただ私ども聞いておりますのは、先ほど先生がおっしゃいました年間四千三百万という委託の決定に当たりましては、例えば財団法人三重県廃棄物処理公社の基準価格あるいは県内七市町村の処理価格等を参考にして決定されたと聞いてございます。  ちなみに、先ほど申しました三重県廃棄物処理公社での金額はキロリットル当たり三千二百円と聞いておりまして、これは尾鷲市と同じとなってございます。それからまた三重県内の海洋投棄を行っていると市町村の平均価格が、もちろん場所によって少し違いますし、陸送分を含むかどうかという点でも若干違っているようでございますが、キロリットル当たり三千六百円から五千六百円ぐらいになっている。ただし、これは陸送を含んでございます。したがいまして、尾鷲市とは直接あれはできません。
  288. 中井洽

    ○中井委員 この条項が格別に加えられておるのは、こういう業務ですから赤字を出したり業者が倒産したら直ちに後を引き継ぐ業者がいない、したがって、ぼろもうけしなくても、ずっと委託あるいは業務をやれるだけのお金を払いなさいよということであるのは間違いのないことでございます。業者があわてて手に入れたこの船は六千万円かかっているのです。十四年物であります。これは来年、二年に一遍の中間の検査があります。これぐらいのぼろい船だと、検査を通るのは大変でございます。大体三千万から四千万ぐらいかかるだろうというのが私が電話で問い合わせた船業者の答えでございます。  しかも、この六千万円以外に、自動装置がついてなかったということで海上保安庁から三月二十九日に御忠告を受けまして、こんなことは初めからわかっておったのですけれども、二十九日に期日に間に合うように申請を出したわけです。出したら、忠告して、その間待ってくれたわけでありますが、その間お金が数百万円かかっておるわけでございます。そうしますと、何やかや、船員の月給も含めますと、三年間、一億二千万ぐらいのお金では到底採算に合わないのであります。  そういうことをあなたはどう考えるのだ、こう私は聞いているのです。皆さんのおつくりになったフレームはそういうフレームじゃないでしょうか。税金でありますから、そういう中でできる限り切り詰めた契約をしていく、これは当然のことであります。しかし、これは余りにも採算を度外視して、とにかく前の業者を追っ払う、自分だけが入るために無理やりやったような感じのある指名じゃないですか。     〔柿澤委員長代理退席、委員長着席〕  これはお聞きになっていない方、初めての大臣以下おわかりにならないと思いますが、この新しい業者のお兄さんというのが市議会の、この問題の委員会を担当している委員長なんです。要するにこの市議会、僕らから拝察すれば、大変失礼だけれども、無理やり、書類がなかろうが資格がなかろうが、尾鷲市の判断だ、それは厚生省がいいと言ったのだと言ってねじ込んじゃった。ねじ込んだけれども、つじつまを合わせるのは大変だ。海上保安庁にも、し尿が捨てられないから何とかしろと言って、無理やり期日を超えて超スピードで登録をしてもらった。厚生省も、もうやっちゃっているものだから仕方がない。何ぼ言っても、これは尾鷲市が悪かったと言ったら大変なことになるということで、汗かきかき全然通らぬ理屈を言っておるだけであります。  そういうことをやると、これからほかの市町村でも幾らでもこういうものが出てきますよ。海上だけではなしに陸上もいっぱい出てきますよ。それでいいのですか。このことを心配の余りお尋ねをしているわけであります。  まだ後から細かいこと幾らでも質問させていただきますが、冒頭申し上げたように海洋投棄はなかなか一遍に減らせられないし、なくせられない。やっておってもそう大して、大丈夫じゃないかという考えもある。その中で、それじゃそれをチェックしているのはどこだと言ったら、何もない。業者に対する信頼関係、これだけだ。しかも、一隻の船を新造しようと思えば三億円くらいのお金がかかる。実は大変な投資も要る業界でございます。それを勝手にぼこぼこと市当局の恣意的な判断によって、法の網をくぐりまくって業者をかえていったのでは、長期的に信頼して海洋投棄を任せられるような業者は育ってこない、私はそのように考えます。  そういう意味で、この六千万の船を買われて四千三百万のあれであって、三年間、この会社の経営が黒字になると思いますか。あなたの御判断をお聞かせください。
  289. 加藤三郎

    加藤説明員 先生から新規に入ってきた業者につきましてのいろいろの数字をお聞かせいただきまして、そのうちの幾つかは私も初めて聞いた数字でございます。しかし、先ほどから申しておりますように、私どもといたしましては、市はこれまでの経験なり先ほど御紹介いたしましたような周辺の市の経験等からかんがみて、この価格でやっていけると判断したものと考えております。  確かに、先生るる御指摘のように、いろいろな条件がそろっていることはもちろん望ましいことでございますし必要なことでありますが、先ほど申し上げましたような解釈は尾鷲市に特別にしているわけではございませんで、これまで法の運用に当たってきた解釈でございます。
  290. 中井洽

    ○中井委員 それじゃまたぼちぼちと、あなたをいじめるわけじゃないけれども、海上保安庁に聞きますが、大体船というのは四年に一遍検査をする、二年に一遍中間検査があるわけであります。新しい尾鷲の業者の急遽買い入れた船はもう十四年たっておって、来年が期限だと私どもは聞いております。先ほど、海洋し尿投棄の六十数隻あると言いました船に対して、海上保安庁は平均寿命はどのくらいあるとお考えでございますか。
  291. 栗山昂久

    ○栗山説明員 お答えいたします。  私ども、そういうことに関して専門的知識を有してはないもので、わかりません。ただ私、船に乗った経験で、十年ないし十五年というのが法定の耐用年数と聞いておりますし、巡視船ではどうかということになりますと、鋼船の場合は大体二十五年を代替建造の時期と考えております。それぞれ船の用途その他によって多少違うのではないかと思います。
  292. 中井洽

    ○中井委員 それじゃ厚生省と海上保安庁、これは覚えておいてください。  今お話のあったように大体十年から十五年なんです。し尿の海洋投棄をやっておる船は、十二年を超えますと、海上保安庁で次は買いかえてこいよと検査のときに大体言われているのです。だから、大体十四年くらいで買いかえているのです。この新規業者の船は、新しく買われるまでもう三年間、だれも使う者がなしに業者の間を転々として大阪湾につながれておったのです。だから、本当に今度の尾鷲市のやり方は−私は三重県ですから、日本じゅうで海洋投棄が一番多い県なんです、残念ながら。黒潮が一番近く流れていますから。しかも、現在の知事が必死でやっておりますが、陸上の施設をつくるの、失敗ばかりいたしておりまして、海洋投棄がなかなか減らないのです。その中で起こった特異的な例なんですね。  よその市町村で、ここ十年間で業者をかえたところなんてないのです。やはり信頼というものがあるわけです。これの場合には、僕らから見れば法的に何ものっとらずに強引にやってしまった。何か一つプラスがあったか。値段が安くなった、これは確かに認めましょう。しかしその値段では到底採算がとれません。採算がとれないということは、業者は必ず法律を守らない、ここへ行かざるを得ないのであります。この業者は三年の間に必ずもう違法な投棄をする。それ以外にやりくりのしようがないのであります。私はこのことを心配をいたします。お答えください。
  293. 加藤三郎

    加藤説明員 この新規の業者の船の場合、前の業者に比べまして、船の大きさがかなり大きいというふうに私説明を受けております。そんな関係で、一度にたくさん積み込むことができるとか、あるいは行って帰ってくる回数が半分ぐらいで済むとか、そういったことによりまして、前の業者に比べて金額が多少安くても採算がとれるというふうに聞いております。いずれにいたしましても、採算がとれるかどうかの判断は、この本件につきまして私どもが直接判断する立場ではないわけでございますが、市として、先ほど申しましたように、これでいけるというふうに判断をしたものというふうに理解いたしております。  そして、先生が御心配のような、何か海上公害の事例とか、あるいは海上に行かないまでの途中の間での事例とか、そういった汚染がないように厳に指導監督するように、関係のところによく申し伝えたいというふうに思っております。
  294. 中井洽

    ○中井委員 海上保安庁、お願いがございます。  そういうことでありますから、日本じゅう全部なかなか監督はできないのでありますが、この新規の業者の信用性ということに関して、私は大いなる疑義があると考えております。したがって、異例なことではありますけれども、厳重に記録装置、記録の用紙を届け出するように指導していただけますか。
  295. 栗山昂久

    ○栗山説明員 お答えいたします。  実は、尾鷲海上保安部の方では、現実に本船について、事前に航海計画を届けさせるということ、帰港後に自動航行記録の写しを提出するよう指導し、違反の防止に努めているということ、またそれ以外にも通常の立入検査によって廃棄物処理記録簿を精査するなり、あるいは巡視船艇、航空機による海上での監視に努めてまいりたいというふうに考えております。
  296. 中井洽

    ○中井委員 お答えのとおりであれば結構でありますし、私も海上保安庁全体の職員の方々のまじめさ、レベルの高さ、何も疑うわけではございません。しかし、今回のこの事件に関しての海上保安庁の処理の仕方というのは極めて異例であります。  例えば、新しくし尿の海上投棄の登録を申請した船、この船の検査に当たっては、新船であれ老朽船であれ、し尿みたいなものが入ってない状態調査されるのが当然のことでございます。にもかかわりませず、尾鷲市はこの業者が三月二十九日に申請を出して、あなたのおっしゃるように四月一日に到底許可がおりないものですから、その間し尿をどこへとめるんだ、この船へとめておったわけであります。検査は十六日から十八日の間行われたのであります。こんなことは今までかつてなかったことのはずであります。こんな検査の仕方はあり得ないのです。それをあえて海上保安庁はなすったわけであります。  あるいはまた、三月の二十何日に、大阪湾から回航されてきたこの船を、事前にわざわざ御親切にも、先ほど申し上げたように審査しているのであります。三月二十九日に書類を持ってきたら、見てもいないのに自動装置が壊れているからだめだ、早く取りつける。見ないのにどうしてわかるのですか。それをわざわざアドバイスして早めてやっていらっしゃる。厚生省とどこの管轄になるかわかりませんが、これは十何日間、船の上へし尿というのは勝手にとめておけるのですか。し尿というのは二週間も三週間もどこへでも無許可で置いておいていいのですか。そういうことも全部わかっておって、あなた方は特例特例で認めているのじゃないですか。  そういうことでありますから、こういうばかばかしいことは二度と起きないように、市町村のいろいろなことはやり方がありましょう、その独自性を尊重するのは当然であります。そんなことにまで関与いたしません。しかし、それを監督する厚生省としてもっときちっとした姿勢を貫いてほしい。海上保安庁も、こういう特殊な形で許可をとった業者でありますから、ほかの六年間に二件しか起こさなかった業界はともかく、三年間の契約ですから、この船だけは約束どおりきちっと自動装置等、記録装置等を提出あるいはその他の法律厳守をさしてください、尾鷲保安部に。その二つのことを約束してください。
  297. 加藤三郎

    加藤説明員 海洋へのし尿投棄であれ陸上でのいろいろな廃棄物の処分であれ、これはもう公衆衛生の保護とか環境保全上しっかりとやるというのは当然でございます。それで、私ども関係の部長会議なり課長会議なり、担当者会議等を通じまして、これまでも趣旨の徹底を図ってきておるわけでございます。  特に契約問題等につきましては、時々、今先生が挙げられましたようないろいろな疑義の問題が生じることがございますので、そういった注意をいたしておりますが、引き続きそういう点につきまして、そういう場を通じまして自治体の注意を促してまいりたいと思っております。
  298. 栗山昂久

    ○栗山説明員 お答えいたします。  先生の趣旨を十分尾鷲海上保安部の方にはお伝えいたします。
  299. 中井洽

    ○中井委員 最後に、こういう海洋投棄の業界というのがあるやに聞いております。この新規業者に関して、こういうやり方が行われるなら海洋投棄の業界としてはおつき合いできない、大変な混乱を来してしまう、まじめにやっている者がばかばかしい、こういう形で、もしこの船が故障しても、尾鷲市のし尿投棄について普通なら仲間同士でやりくりをする、あるいは検査のときにも代替船を出す、こういうふうにしておりますが、出さない、こういうことを決めたし、協会にも加入させない、こういうふうに決めたやに聞いております。こういうことは、やはり本当に、尾鷲市民が実際迷惑な話であります。あるいはまた私が心配をしますように、こういうことがどんどん出たのでは、海洋投棄に頼っておる市町村は本当に困るわけであります。  厚生省は、国会答弁ですから、意地を張っていろいろなことを言わなければならぬ面もあるでしょう。それはよくわかります。しかし、率直にこの協会と話し合いをされて、あるいはまた尾鷲市も呼ばれて、ひとつスムーズに海洋投棄の業務が行われるように御指導いただきたい、このように思いますが、お答えいただきます。
  300. 加藤三郎

    加藤説明員 海洋投棄がスムーズにいきますことは私どもでも願いでございます。尾鷲市に県を通じましてよく指導いたしたいと思っております。先生指摘の協会、存じております。協会の方にもよく協力していただきますよう、お願いをいたしたいと思っております。
  301. 中井洽

    ○中井委員 最後に大臣、おつき合いいただきましてありがとうございました。冒頭、海洋投棄の問題で研究をするというお答えについてどうだという質問を申し上げました。環境庁の方からお考えを聞き、大臣の方からそういう研究も従来の約束どおりやる、こういうお答えをいただければありがたいと考えます。
  302. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 先ほどは大変不勉強で失礼いたしました。  五十四年に海洋投入処分基準設定調査という調査を実施しております。恐らくこれは先ほど先生指摘国会質疑を前提にしたものであろうと思うわけでございます。この目的は、し尿の海洋投入処分後の挙動の基礎的資料を得るため、物理化学的特性、生物影響を調査する、こういうことでございます。  その結果でございますけれども、二十四時間後にLC50、要するに半数致死量と申しますか、これは〇・五%のレベルで、非常に影響がないということでございますが、ただ、魚類の心拍数、呼吸運動の不規則性が認められるというようなことがございまして、結論といたしまして、し尿の投棄は海洋への影響はやはりあるという判断がなされているようでございます。かようなところから、私どもその後中公審の答申の線で行政を運営している、かようなことでございます。
  303. 石本茂

    ○石本国務大臣 先生の具体的な事例をお挙げになりましての御提言、聞いておりまして、数多くの反省させられることがございます。行政運営のあり方などにつきましても、良識に基づいて、適正であるにはどうあればよいのか、どうすればよいのかなとなど、みずから厳しく戒めていかなければならないのだということを痛感いたしました。  なお、山田長官のときに申されておりますことにつきましては、今後担当局長とともにしっかり検討してまいります。どうもありがとうございました。
  304. 中井洽

    ○中井委員 終わります。
  305. 辻英雄

    辻委員長 次回は、来る二十一日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十三分散会