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1985-04-16 第102回国会 衆議院 環境委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年四月十六日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 辻  英雄君    理事 柿澤 弘治君 理事 國場 幸昌君    理事 戸塚 進也君 理事 福島 譲二君    理事 岩垂寿喜男君 理事 和田 貞夫君    理事 大野  潔君 理事 中井  洽君      稻村佐近四郎君    竹内  猛君       中村  茂君    馬場  昇君       岡本 富夫君    草川 昭三君       永末 英一君    藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石本  茂君  出席政府委員         環境庁長官官房          長       岡崎  洋君         環境庁企画調整          局長      山崎  圭君         環境庁自然保護         局長      加藤 陸美君         環境庁大気保全          局長      林部  弘君         環境庁水質保全         局長      佐竹 五六君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   越智 俊典君         防衛施設庁施設         部首席連絡調整          官       富田  修君         科学技術庁計画         局国際科学技術         博覧会企画管理         官       沖村 憲樹君         外務大臣官房外         務参事官    瀬崎 克己君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   加藤 三郎君         厚生省薬務局経         済課長     大西 孝夫君         農林水産省食品         流通局市場課長 米田 博正君         通商産業省貿易         局輸入課長   奈須 俊和君         通商産業省立地         公害局鉱山課長 久賀 俊正君         運輸大臣官房国         有鉄道部施設課         長       廣田 良輔君         運輸省地域交通         局交通計画課長 圓藤 壽穂君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部保安車両課         長       松波 正壽君         運輸省港湾局建         設課長     森平 倫生君         海上保安庁警備         救難部航行安全         課長      玉置 佑介君         気象庁総務部企         画課長     新田  尚君         気象庁予報部業         務課長     門脇俊一郎君         気象庁観測部管         理課長     高谷  悟君         気象庁地震火山         部地震津波監視         課長      勝又  護君         気象庁地震火山         部地震予知情報         課長      津村建四朗君         建設省都市局下         水道部流域下水         道課長     斉藤健次郎君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道総         裁室法務課長  本間 達三君         日本国有鉄道施         設局環境対策室         長       神谷 牧夫君         日本国有鉄道施         設局環境対策室         次長      鬼澤  淳君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十六日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     串原 義直君   馬場  昇君     渡辺 嘉藏君 同日  辞任         補欠選任   串原 義直君     竹内  猛君   渡辺 嘉藏君     馬場  昇君     ――――――――――――― 三月二十九日  環境保全等に関する請願岩垂寿喜男紹介)  (第二四六〇号)  同(簑輪幸代紹介)(第二五二四号)  同(松本善明紹介)(第二五三二号) 四月四日  環境保全等に関する請願梅田勝紹介)(第  二七〇六号) 同月十日  環境保全等に関する請願佐藤祐弘紹介)(  第二七九六号)  同(竹内猛紹介)(第二七九七号) 同月十二日  環境保全等に関する請願不破哲三紹介)(  第三〇五八号)  同(山原健二郎紹介)(第三〇五九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関  する件      ――――◇―――――
  2. 辻英雄

    辻委員長 これより会議を開きます。  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
  3. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、現在筑波研究学園で開かれている科学博覧会、ちょうど一カ月過ぎまして、これを中心として関連する諸問題に対して質問をしたいと思います。  まず、科学博覧会は、生活、居住、そして環境というように非常に美しい出発をしたわけですが、これについて、研究学園がまだ熟成まで行っていない、完成の段階からさらに熟成に向かう方向にあるときに、いまだ陸の孤島と言われるような学園の中に、多くの立候補があったにもかかわらず、科学博覧会がここに決定をして、そして六十年三月十七日から六カ月間開かれるということになった。そのために努力をされたそれぞれの機関の皆さんには敬意を表したいと思います。  しかしながら、ちょうど一カ月を経た現在、当初目的としていたように果たして実態が運営されているのかいないのか、あるいはまた一般の方々の期待にこたえるような状態にあるのかないのかという点については、この一カ月間の状況の中でこれをぜひ確かめなければいけない。そして、改めるべきものはこの際大胆に改めるし、伸ばすべきものは大いに伸ばさなければならないと考えるわけですが、担当の科学技術庁はこの一カ月間を顧みて、これが本当に成功しつつあるのか、それともまだ問題があるのかという点について、まず最初にお答えをいただきたいと思います。
  4. 沖村憲樹

    沖村説明員 御説明申し上げます。  先生お話しございましたように、いろいろな地元の方々、それから各省庁の御協力をいただきまして、先月十七日から一カ月間博覧会運営させていただいております。いろいろ御努力をいただきまして、国際科学技術博覧会として恥ずかしくない準備が一応できたと考えております。  ただ、運営につきましては、いろいろ新聞等にも御指摘がありましたが、開会直後、入場者計測システムふぐあいでありますとか、あるいは物価が多少高いという話でありますとか、それから一部の人気館の周りで非常に待ち時間が長くなってしまったとか、そういういろいろな問題の御指摘をいただいておりまして、現在、協会の方でそれらの問題一つ一つにつきまして鋭意措置を講じることで検討しているところでございます。  入場者数につきましては、非常に天候が悪かったのでございますけれども、現在までのところ二百八十四万人御入場いただいておりまして、私どもとしましては順調な滑り出しをさせていただいたのじゃないかと考えております。  今後とも、いろいろ問題があると思いますけれども、鋭意努力いたしまして立派な科学技術博覧会運営していきたいと考えておりますので、ひとつ御協力お願いしたいと思います。
  5. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ちょうどきのうで、約一カ月の間に二百八十四万ということでありますが、一日十万を割っている形になっている。大阪万博の場合には一カ月の間には予定よりもはるかに多かったし、沖縄の場合にははるかに減っていた。それで、筑波があれだけ宣伝したにもかかわらず、一時十数万というときがあったけれども、最近は、ついこの間のあの天気のいい日曜日においても八万をちょっと超えたぐらいであるということは、いろいろなところに問題がないとは言えない、まず、その点を指摘しておきたいと思います。  そこで、財政的な面から考えてみて、施設をつくるのに関連事業やあるいは内部工事やその他で約五千億ぐらいの金がかかっていると思うのですけれども、これを運営していくために、今度は運営費に対して当初予定したような形での資金のやりくりができているのかいないのかという点についてはどういうことになりますか。大体二千万人を見込んでいる。それで大人が二千七百円の入場料中人が千四百円ですか、それから小人が七百円でしょう。それで平均してみると千五、六百円になるとしたときに、現在のようなテンポでいったときに果たしてこれが本当にうまくいくのかいかないのかという点は、まだ見通しが早いかもしれませんが、どうですか。
  6. 沖村憲樹

    沖村説明員 入場者数でございますが、先生今御指摘いただきましたとおり、今のところ一日平均九万五千人ということでございまして、これを単純に百八十四日に引き直しますと二千万人を切れるということになるわけでございますけれども、どの博覧会も実は当初は若干お客入りが悪うございまして、現在までの二百八十四万人という数字を、大阪万国博覧会の比率で科学技術博覧会を引き直しますと、大体二千百万人近くが入場していただけるのじゃないかというように予測しているわけでございます。  開会直後、御承知のように天候不順で非常に悪うございました。春休みには入場者が非常に順調に入っていただきましたが、新学期に入って若干また落ち込んでおりまして、確かに現在のところお客入りがこのままで行くと悪くなるのじゃないかという御心配もあるかと思うのですけれども、今後は、ゴールデンウイークでありますとか夏休みでありますとか非常に多数の入場者が予想される期間もございまして、平均いたしますと、今申し上げましたように二千万人強は入っていただけるのじゃないかというふうに考えております。  ということで、運営につきまして入場料を充てることになっておりますが、当初予定どおり資金面におきましても収入が入るのじゃないかというふうに期待しております。
  7. 竹内猛

    竹内(猛)委員 結構なお答えだからそのとおりにやってもらえば非常にいいと思うけれども、そういうふうにならなかったときには、またこれからもしばしばこの場所で質問しなければならない。遺憾なくやってもらわないとそういきませんよ。  そこで、現在の中で一番問題になっているのは何かというと、出店した店と協会との間の、それからまた入場者との間のトラブルと不信なんです。現在の状況からいうと、私たちも当初行ってみましたが、チャーシューメンが非常にまずいのが七百円もする、あるいは飯のかわりをすると五百円取るという。物がまずくて高くて待遇が悪いといったら、これはやりようがない。そこで今度は持ち込みをする。今旅行社に要請をして、持ち込まないようにということを協会は言っているようだけれども、しかし、そうは言ってもあの状態では持ち込まざるを得ない。  そういうような問題が引き続いております上に、大阪万博よりも場所が狭い割に出店が多過ぎる。現在三百余のお店が出ていますね。大阪の場合にはその半分ぐらいだったと思うのです。しかも一平米について十四万九千円が最低で、七十五万というような施設費を取っている、その上に売り上げの中から七%から一〇%また徴収をする、こういう形になっている。しかもその上に、施設費というものは、内部改造費は店を出す者が持たなければならない。この三重の負担というものがあるから、どうしても物を高く売らなければならないという形になるのではないか。  一体、この負担というものは何を基準に割り出しをしたのか。本当に、そこに三百余の店が入ってきて、それがコンスタントに商売ができて、しかもその負担に耐えられるような状態なのかどうなのか。その基礎がはっきりしないから、これからトラブルがますます起こりますよ。これに対してどういうふうに対応されるか。
  8. 沖村憲樹

    沖村説明員 御説明申し上げます。  確かに、今先生指摘いただきましたように、一部の営業施設につきまして、非常に高いというようなお話が大分ございます。実は協会は、営業者に御参加いただく前に、一応営業品目につきまして品物と値段をお見せいただきまして、適正な価格であるかどうかということを審査した上で御参加いただいているわけでございますが、現実に博覧会が始まってみますと、その価格とかなり外れた価格で営業されている方がいらっしゃるということで、非常に御批判を仰いでいるところでございますけれども、現在、協会といたしましては、営業指導員というものを巡回させまして、適正な価格が守られているかどうかというようなことを確認して、問題があるところにつきましては協会の方から厳しく指導したいということで指導しているところでございます。  また、そういうような不評が出てまいりますと博覧会全体の評価につながるということで、営業者で組織しております営業参加者協議会という協議会におきまして監視委員会を設けまして、不当に高い価格につきましては自主規制を行っていただいているところであります。  今、先生、どういう基準でそういう納付金等を決めたかというようなお話でございましたが、納付金につきましては、過去の博覧会の例、それからその後の物価上昇建設費上昇等を参考にいたしまして、お入りいただいた施設建設費等は回収させていただくというような考え方で一応そういう納付金を決めているところでございます。  それから、店舗数につきまして、大阪万博より非常に多いのじゃないかというようなお話がございましたのですけれども、例えば、食堂とかそういうものの席数等で見ますと、むしろ大阪万博よりは多少低い、十万人に対しまして店舗数は少ないというようなことで、全体につきましては、そういうことで、過去の博覧会例等に見合いまして、全体として営業いただけるのじゃないかというような店舗数席数を一応考えてお入りいただいたものでございます。  ただ、いろいろ御指摘ございますので、今後とも協会の方でいろいろな問題を個別に吸収するように検討してまいりたいと考えております。
  9. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで、大阪万博の場合には三千万を予定をして六千五百万も入って、倍以上入っていますね。だから、店が出てもあふれるように繁盛をしたと思うのです。ところが筑波の場合には、一カ月にして既に出店をしたものがもうやめて帰る、こういう店が幾つか出てきている。そのときに、その帰る場合に、負担をした金を返すのか、それともそれはもう取ってしまうのか。初めからやめるということで出たわけじゃないのだけれども、このままではやり切れない、あるいは店員の何人かをやめさせざるを得ない、あるいはまた、パートの賃金にしても、当初一時間千三百円ぐらいのものが今は八百円からもっと下がるようになってきて、いろいろな点で、当初の意気込みがだんだん下火になってきた。  こういう状態の中で、一つの問題は、納めた金ですね、施設費というのかな、それを返すか返さないかという問題で、今これから裁判をしようというところもある。これに対して一体どういうふうに対応されるか。
  10. 沖村憲樹

    沖村説明員 御説明申し上げます。  契約上は、お納めいただいた納付金は、途中でおやめいただいた場合もそのままいただくというふうに聞いております。その場合、個別におやめいただいた場合のそういう要求があった場合に協会はどう対処するかということは、法律上の問題としまして、個別の問題として協会が対応することになるかと思います。
  11. 竹内猛

    竹内(猛)委員 協会が対応すると言うけれども協会を指導するのは科学技術庁だから、その協会に逃げないで、やはり指導官庁としては責任を持ってこの問題について対応してもらわなければ、ますますこの数はふえますよ。これは減るということはないですね。きのうあたりからもそういう動きがもう具体的に出てきている。  ついでに、問題は、持ち込みを禁止する、持ち込んでくれるな、こう言われるけれども、ディズニーランドの場合には、食事は内部でとってください、持ち込んでくれるな、こういうふうに言っていますよね。ところが、筑波科学博覧会の場合には、持ち込んではならないという規定もないし決めもないんでしょう。それだから、高くてまずくて待遇が悪いとなったら、これは持ち込まざるを得ないですね。それと、持ち込んではいけないということとの関係は一体どういうふうになるのか。  それで、協会須賀事業第一課長はここにきて、事態は非常に深刻だ、具体的な方策を考えなければならないと、今そういう発言をしていますね。だから状態というものはそれほど甘くはないですね。この問題について、本来科学博覧会というのは物を売るのが趣旨じゃないでしょう。もっと高い理想があるわけでしょう。ところが、今現在起こっている問題は、その問題が一つの問題として起こっている、これはどうしますか。
  12. 沖村憲樹

    沖村説明員 御説明申し上げます。  今先生からお話がありましたお弁当持ち込みの問題でございますけれども、いろいろな問題がございまして、一つは、実は協会ごみ処理する場合に、プラスチックでありますとか発泡スチロールでありますとか、そういういわゆる合成樹脂ごみをなるべく減らさなければいけないということがございまして、お弁当につきましてはそういう容器を使う場合が多いわけでございます。そういうことで、協会としましては、家庭でおつくりになるようないわゆるお手製のお弁当はそういうごみが出ませんものですから、それは結構なのでございますけれども、そういうごみを含みますような市販のお弁当につきましてはなるべく自粛していただきたいということで、いろいろな観光会社等お願いしているところでございます。  もう一つは、衛生上の問題がございまして、現在のところ寒い季節でありますからよろしいわけでございますけれども、これから暖かくなりますと、途中でお買いになったお弁当を会場の中で召し上がるまでの間には半日ぐらいたつわけでございますが、そのときに衛生上の手当てをどうするかというような問題もございまして、そういうお弁当等につきましては、なるべく市販のお弁当等は持ち込まないで、場内で召し上がっていただくようにお願いしているところでございます。
  13. 竹内猛

    竹内(猛)委員 結局、それは決め手がないから入場者の自由という形になって、これを抑えるすべはないということでしょう。  その中で、次はごみの問題が出てくるわけですね。これは、ごみの問題の中で三つの形に分かれると思うんです。一つは、今話があったプラスチック処理の問題、もう一つは生ごみの問題、もう一つは、やがて今から五カ月後にはあれを壊して工業団地に切りかえていくという。そうすると、アスファルトとかセメントとか木材とか、いろいろなもののくずが出てくる。こういうものの処理。  そこで、現在一番問題になっているのはプラスチックの問題なんです。日清食品協会との間でかなり険しい状態の問題も起きている。本来、日清食品プラスチックにそばを入れて売るということが生命だ。ところが、三月十五日、開会の一日前に協会が通達を出して、そのプラスチック容器を使ってもらっては困る、紙に変えてもらいたい、こういうことであった。それで、日清食品は他の仲間と一緒になってビスタライナーに一億円の金を出している。さらに四百万円の金も出して、言うとおりに努力をしてきたけれどもプラスチックの問題で、処理をするのに非常に困るからこれをやめてもらいたい、こういう話ですね。  仮に日清食品が紙に変えたとしても、今言うように内部食品店の取り扱いが余りよろしくないから、持ち込む者はやはりプラスチックを使うわけなんだから、日清食品だけを抑えてもだめなんだ。そういう点で、このプラスチック問題というものはどう処理をされるのか。県南広域事務組合にそれを頼んでいる。ところが、県南広域事務組合は、プラスチックは一切お断りだというふうに断っていますね。そうすると、一体どういうふうにして山積みにされるプラスチックの問題を始末をしようとするのか。これはどうです。
  14. 沖村憲樹

    沖村説明員 御説明申し上げます。  プラスチックごみの問題につきましては、今、日清食品お話が出ましたが、いろいろ経緯がございまして、まず博覧会ごみを現在お願いしておりますのは、先生お話がございましたように筑南地方広域行政事務組合学園都市の六カ町村で構成しております事務組合ごみ処理お願いしておるところでございます。  ここにごみ処理お願いする過程で、プラスチック発泡スチロール、そういう合成樹脂系ごみ焼却炉の機能を阻害するということでなるべく入れないようにというお話がございまして、協会ごみ処理基本方針、これは五十九年に定めたものでございますが、ここの中でも、博覧会に参加していただく営業者の方に、そこで出すごみはこういう合成樹脂系のものを排除していただくようにお願いしておりまして、日清食品につきましてもそういうようなお願いはずっとしてきているところでございます。  実は、日清食品は昨年の十二月ごろから、今お話がございましたビスタライナーに参加するということと、それからビスタライナーの下の駅舎でいわゆるカップヌードルを販売されるということでお話がございまして、その当初から、こういう発泡スチロール系容器は困りますということで協会の方からずっと申し上げてきたところでございます。いずれにしましても、今先生お話しございましたように、いろいろな営業者がこういう発泡スチロールプラスチックを含んだ合成樹脂容器を使いつつあるわけでございまして、筑南地方広域行政事務組合とのお約束もございまして、私ども非常に苦慮しているところでございます。  私どもとしましては、今後とも、日清食品に対しましてもなるべく紙の容器を使っていただきたいということでお願いいたしまして、引き続き、ほかの業者につきましても同様なお願いをしておるところでございまして、極力そういう発泡スチロールを含んだ合成樹脂系ごみを排出しないというような努力をして、筑南地方広域行政事務組合に引き続きこみの処理お願いしていきたいと考えております。
  15. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それは無理なんだ。筑南地方事務組合ではプラスチックは一切受けない、はっきり言っている。百八十トンのごみ処理の能力を持っているけれども、既に周辺の市町村でも百二十トンの処理をしなければならぬ。生ごみはだんだんふえてきたんですね。それはどうしてふえるかといえば、先ほど言うように、まずくて高くて待遇がよくないから、そこへ入らないで、内部からは店をやめようという動きがある、したがって外部から持ち込んでくる。ますます持ち込む量が多くなってきた。そうなればごみはふえるに決まっている。この問題をうまく調整をしない限りにおいては、これは万博全体に影響しますよ。万博の中で、楽しくそこで物を食べていこうという状況があそこで打ち壊されてしまっている。  だから、この問題を処理するには今のようなことでは処理できない。例えば、穴を掘ってその中に埋めるとかなんとかすれば、今度は厚生省から問題が出るし、環境庁も黙っているわけではないだろう。だからこの問題は、単に科学技術庁の問題だけじゃなしに、厚生省の問題でもあり、環境庁の問題でもあるわけだ。  そこで、厚生省の方ではこの問題についてどのようなことを聞いているのか。今の科学技術庁の答弁ではこれは処理できないのです。これは環境庁厚生省に関係のあることですから、その点をうまくやらなければこれからゆゆしい形になってきますね。
  16. 加藤三郎

    加藤説明員 万博から排出されますごみは、私どもから見ますと事業活動に伴う廃棄物ということでございますので、基本的には同万博協会の責任において対処されるべきものであり、また現に、先ほど来科学技術庁の方から御説明がございますように、協会といたしましては、ごみにつきまして例えば衛生及び清掃に関する特別規則というものをつくったり、また、その規則に基づきまして会場内清掃及びこみ処理基本計画といったものをつくって、例えばプラスチックにつきましては、プラスチックス、発泡スチロール等の合成樹脂系容器焼却炉の機能を阻害するおそれがあるものについては使用しないといった申し合わせをするとか、そういうことになっているわけでございます。そういうわけで、現在万博協会において処理対策が講じられているところでございます。  ただ、先生指摘のように、このプラスチックスの使用をめぐりまして一部の参加業者の間にトラブルがあることは承知いたしておりますが、プラスチックごみ等の不燃ごみにつきましては、万博協会は当初より極力排出を抑制する等の対策を一応実施してきておりまして、筑前組合として今のところ特別に対応すべきものはないというふうに私どもは聞いているわけでございます。
  17. 竹内猛

    竹内(猛)委員 このごみの問題も、ごみを取り扱う原因者負担という形になっているわけだから、博覧会協会が基本的には処理すべきものであることは間違いない。だから、それの指導官庁である科学技術庁は、厚生省環境庁と十分に連絡をとってこのごみの問題については前向きに処理をしなくてはならない。  九月十七日にこれは終了する。終了した後は工業団地にそこはなっていくわけだ。そうなると、工業団地からだって同じようなごみが出たりいろいろな問題が出るわけだから、引き続いて問題は残るわけです。こういう点を考えてみると、単に博覧会の間だけに問題があるわけじゃなくて、将来にわたってもなお引き続いて問題があるということを考えると、このプラスチック問題の処理については、十分に公害等を配慮しながら処理をしていくということを要望をしておきたいと思うのです。  そこで、生ごみに関しては今のところは大体処理ができているけれども、それでは、今度終わった後、五カ月後には終わるのですが、アスファルトとかコンクリートとか木材とかいろいろなものがたくさん出ますね。約八十万トンに近いと言われている。これをどう始末するかという計画がありますか。
  18. 沖村憲樹

    沖村説明員 博覧会の終了後につきましては、今先生お話がありましたように、博覧会のそれぞれの施設整備をした者がそれぞれの責任で撤去するということになっております。例えば、博覧会協会につきましては、そういうことで会場の基礎施設でありますとかあるいは政府が出展しました政府出展施設、こういうものは博覧会協会の責任において撤去を進めるということになるわけでございます。  ただ、この撤去の具体的な方法につきましては、今後それぞれの機関が具体的やり方を検討することになると思いますが、その具体的方法につきましては、今後県あるいは地元と十分相談をいたしまして方法を詰めていきたいというふうに考えております。
  19. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは県の責任で始末することにはなっている。だから、県と十分に連絡をとって今のうちに決めておかないと、その場になってからでは甚だ遅いということで、県に任せっ切りではなしに、これもまた十分に事前から対策を立ててもらいたい。  そこで次の問題は、交通問題です。交通問題については当初非常に心配をしておりました。ところが、割合に交通はスムーズにいっているようです。  ところで、交通事故というものが、これは万博があるからということだけではないかもしれませんが、やはり通常の時点よりもかなりふえている。交通の事情についてちょっと説明してもらいたい。
  20. 越智俊典

    ○越智説明員 交通の状態でございますけれども、予想したよりも自動車交通量が少ないこともありまして、万博への来場車両につきましては、現在までのところ極めてスムーズに流れております。  交通事故の問題でございますけれども、会場を管轄いたします筑波学園署管内の事故で、開幕の十七日から四月十四日までの二十九日間の数字で申し上げますと、この間に発生いたしました人身事故が四十四件でございます。これは、昨年の同期間に比べますと二十四件ふえております。この二十四件の増加は、開幕当初の十日間ぐらいにたくさん発生いたしました。だんだん落ちついてはおりますけれども、現在までのところは若干事故がふえておるという状況でございます。
  21. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ちょうど事故が倍になっているという状況ですね。だから、この問題についても、中心道路の時間の規制をしている、八時半から十一時までというような規制もしているしいろいろなことをしておりますけれども、そのことがかえってむしろ災いをしている面があるかもしれない、そういう点で、交通問題についてはもう一度この段階で整理をしてもらいたい、これを要望しておきたいと思います。  そこで、この辺の総括を少ししてみたいと思うのですが、科学技術庁は、この段階で、一カ月たって、万博について一体何点ぐらいの点がつけられるか、ちょっと点をつけてみてくれないか。及第しているのか、そうでないのか。
  22. 沖村憲樹

    沖村説明員 確かに、一カ月たちまして、今先生いろいろ御指摘いただきましたようないろいろな問題があります。それで、協会の方におきましても、全体的な問題を洗うというようなそういう場も設けまして、総合的な検討を少しこれからに向けてやっていきたいというふうに考えております。  これまでの点数は、非常に難しいのでございますが、辛うじて及第点はいただけたのじゃないかというふうに考えますが、どうも失礼いたしました。
  23. 竹内猛

    竹内(猛)委員 中心の役所としては、辛うじてという形になっている。じゃ、それは五十一点か。僕はそういうふうに点をつけないんだな。やはり三十点から四十点の間というところで、あとの六十点ぐらいのところは大いに踏ん張ってもらわなければますます点が落ちますよ。  それで、入場者も減るし、さらに、これから心配なのは、三時間も並ばせておく。それで、六時に門があけば飛び込んでいく。なぜ駆け足をするかと言えば、先に並んでいるやつがいるんだ、四時ごろからそこに頑張っているのが。これは何だというわけなんだ。そうするとそれは、そこの従業員がそこへ頑張っている。席をとっている。おもしろいところはそうなんだ。ところが、がらんとあいたところは、だれも見向きもしない。これが夏になると、三時間も並んでいたら、これは日射病になるんだよ。日射病になって倒れる。もう既に日射病がいますからね。ある人が言っているんだね、緑を全部取っ払っちゃって木もない、そんなところで楽しい家族が飯を食えるか、こういう強い、これはある国会議員からの指摘なんだ。これをつけ加えていくと、三十点か四十点のものを、まあせめて八十点ぐらいにしなければな。これは強く要望して、この点については一応おさめるけれども、またいずれの日にか、会います。(「環境問題を抜かしている」と呼ぶ者あり)居住も環境も人間も粗末にされちゃっている。これでは趣旨に反するから、これはいけない。  続いて農林水産省にお尋ねをしますが、本来、この科学技術博覧会に間に合うように、長い間練りに練って、土浦に公設市場をつくることになっていた。ところが、いまだにこの公設市場がオープンできない。魚の問題についてはいろいろなトラブルがあって圧力を加えられながら何とか進めてきたけれども、本来卸売になるべきものが仲卸になり、そして、その問題でも問題はあるけれども、今度は青果の問題が、四つの青果の団体が、二つが入ってあと二つが今トラブルを起こしている。こういう状態が続くとすれば、三十一億も金を出したその青果市場というか流通市場の意味がなくなってしまう。一体、これはどういうわけでこんなにおくれているのか、それについて農林水産省から。
  24. 米田博正

    ○米田説明員 農林水産省におきましては、各地方にあります零細多数な地方卸売市場を統合して卸売市場の整備を進めるということでやっておりまして、茨城県におきましても、茨城県が都道府県の卸売市場整備計画ということで茨城県卸売市場整備計画をつくりまして、土浦市あるいはその周辺にある地方市場を整備いたしまして土浦市公設卸売市場をつくろうということで、今整備を進めてまいっております。五十八年度、五十九年度の二カ年間で整備を進めるということで、私ども国といたしましても、その整備計画に則しているということで、補助も行ってまいっております。  現在の進捗状況でございますけれども、今先生おっしゃられましたように、水産の関係につきましては関係者間で合意を見まして、あと開設までのいろいろな準備を進めております。  それから青果につきましては、四社あるものを二社ずつそれぞれ統合して二社にしようという計画のもとで進められておりまして、片方の二社につきましては、二月に出資比率なり役員構成等について合意を見まして、これも新しい会社設立に向けて準備が進められております。あと残りの二社につきましては、現在、出資比率なり役員構成等につきまして、当の当事者はもちろんでございますけれども、開設者が土浦市でございますので、開設者である土浦市あるいは地方卸売市場を直接指導監督いたします茨城県におきまして調整が進められているというようなことで、まだ残念ながら合意に至っていないようでございますけれども、私ども農林水産省といたしましても、整備計画に則しまして計画的に整備が終わり、そして早期開場されるように県なりを指導しておりますけれども、引き続き指導してまいりたいというような現状でございます。
  25. 竹内猛

    竹内(猛)委員 なぜこんなにおくれるかということをいろいろ調べてみると、不必要な人間が中に入って、魚にしても青果市場にしても余りにも物を言って行政をチェックし過ぎる、こういうことを認めていたら行政がやりにくくてしようがない。不必要な人間というのは、あちこちの実力者と称する顔だな、その顔を排除しなければだめだ。そういうものを排除できないというところに、今日こうやっておくれている。けさもここへ来るときにその後どうなったんだと聞くと、いや、あれとこれが中に入ってどうだの、こうだの。何でそんなものが入るのか。そして、金も出さないで口だけ出すやつがいっぱいいる。口を出すなら金でも持ってこいというのだ。口だけ出して金は持ってこない。そして利権ばかりあさっている。こういう連中は排除して、市が主体にやっているのだから、市とそれから県と、関東農政局並びに農林水産省が主体になって問題を進めなければ、いつまでたってもこの問題が解決できない。解決できなければますます目的に沿わなくなる。  だから課長の方に要求したいことは、いつごろまでにこれをまとめようとするのか、まとまらなかった場合どうなるのかということについて、もう一度答えてもらいたい。
  26. 米田博正

    ○米田説明員 今、茨城県なり土浦市におきましては、五月下旬開場に向けて着々準備を進めております。その一環といたしまして、今もめております、まだ合意に達してない業者につきましても、それを目途に当然調整を進めていると思いますし、私どももとにかく早期開場できるように、円満に関係者で早急に解決してもらいたいということを強力に県なりに指導していきたいということでございます。
  27. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この点についても国と県から十四億ぐらいの金が出ているのですがね。そういうことを考えてみると、この目的に沿うようにしていかなければいけないから、しばらく行政の誠意を見守っておりますが、いずれまた物を言う時期がどこかであるということをひとつ覚悟しておいてもらいたい。  次に、運輸省にお伺いをしますけれども、先般予算委員会の分科会の中で、せっかく電留基地を土浦につくって、そして地磁気観測所というものが茨城県の柿岡にあって、交流、直流の話をしてきて、それが長・短の関係で、あそこにあっても努力をすれば土浦の電留基地を活用してあの常磐線を複々線にできる、こういうような回答がありました。難しいけれどもそれはできる。これは気象庁の方からもそういう話があるし、国鉄もそういう話になる。運輸省としてこれに対してどのように考えられておるかということが一つ。  もう一つは、第二常磐線のことが問題になっていたわけなんだ。第二常磐線をつくるということは、筑波研究学園都市の人口がいまだに二十万に達しない、十四万台であります。移るべきものはほとんど移ってしまった。けれども、人口が二十万にならないために未処理の問題がたくさんある。そこで、やはり都心との交通をよくして、そして交流を活発にする中でさらにこれを完成から熟成に持っていきたい、こういう見通しで進めてきて、国土庁も二十年たったからもう一遍これを見直そうというようなことになっているし、運輸省も国鉄も努力をして常磐線を少なくとも学園の中心地までは入れようということであったと思うけれども、最近の発表によると守谷でとまってしまう。これでは目的は達しない。  この二点について、今どういうふうになっているかについて答えてもらいたい。
  28. 廣田良輔

    ○廣田説明員 お答え申し上げます。  まず最初に、常磐線の取手-土浦間の複々線化のお話でございます。  先生も御案内のように、鉄道の複々線化というのは非常に莫大な工事費がかかります。一方、国鉄の投資につきましては、御案内のとおり五十七年九月の閣議決定あるいは五十八年八月の国鉄再建監理委員会の緊急提言がございまして、それに基づきまして厳しく抑制をしておるところでございます。現在やっておりますのは、主として安全確保並びにそのほか緊急やむを得ない投資に限らせていただいているところでございます。したがいまして、取手以遠の複々線化につきましては、当面のところ非常に困難であるというぐあいに申し上げざるを得ない状況でございます。  それから、後段の方の第二常磐線の話でございますが、これも先生御案内であると思いますけれども、ただいま、東京圏におきます高速鉄道網を昭和七十五年を目途といたしましてどのようにして整備を図っていくべきかという諮問を運輸政策審議会にお願いして、審議を進めていただいております。近く結論が出る予定になっておりますが、その中で、常磐線方面の混雑の現況あるいは沿線の各地方自治体の強い要請、開発の進み方等を勘案しますと、やはりかなりのウエートで当然そういった抜本的な輸送力の増強が必要であるという議論が展開といいますか、認識が深まりつつありますので、私どもといたしましては、恐らく何らかの新線あるいはそれにかわるような対策が、その答申が得られるであろうと期待しているところでありまして、それまでしばらくお待ちを願いたいと思います。  それにつきまして、今途中でとまるというようなお話しございましたけれども、まだ結論は得ておりませんので、どのようなところからそのような情報が出されたのか私ども承知しておりませんが、現在のところまだ審議途中でありますということだけ申し上げさせていただきたいと思います。
  29. 竹内猛

    竹内(猛)委員 前段の方の問題は、電留基地をつくったんだからあれをあのままつぶしてしまうことのないようにしてもらいたいということと、土浦を中心にしてあそこを業務核都市の中心地としていくためには、都心との交通の問題はやはり大事だから、これは余り機械的に考えないで努力をしてもらいたいということは要望しなきゃならない。  それから、後の方の問題はまだ途中だということだから、少なくとも学園まで届くようにしなければ意味がないから、やめるなら初めからやめた方がいい。途中で打ち切るなんということでは目的を達したことにならないから、やるなら学園の中心地につなげることを強く要望しておきます。  次いで、気象庁及び運輸省に対して。  私は前から、地震、火山、雷、こういう天変地異に関する問題について強い関心を持ってきた。そこで、最近科学博覧会をやっている最中にも筑波で地震が起きている。常磐線がとまるという事故も起きているわけですね。にもかかわらず、国土地理院の地震予知連絡会の話を聞くと、これは学問的には余り心配ないんだと。世の中にはみんなそれほど学者ばかりいるのじゃないから、学問的に心配ないといっても、現実に起きたときに、あのときに何とかすればよかった、次には何とか考える、そんなことじゃ困るわけですね。だから、予想し得ないときに常に大きな被害が起こっている。  よく新聞の論説を見てもわかるように、事故が起こったときには必ずあるべきところに機械がない、それからいるべきところに人がいない、突然予期しないことが起こったということが、これは秋田の地震のときでも長野県西部のときにもそういうことが言われていた。  同じように、今、茨城県の筑波研究学園を中心として、あの地域に何回か震度二ないし三くらいの地震が起きている。地震が決して安心できる状態ではないのに、行政の中ではあそこは大丈夫だ、こういつも言っているけれども、これはおかしいじゃないか、こういうふうに思うのですよ。この点についてどのように考えておられるのか。
  30. 勝又護

    ○勝又説明員 先生指摘のように、茨城県の南西部というのは比較的地震活動の多いところではございます。しかし、一般にここで発生します地震は規模が比較的小さいこと、それから震源の深さがやや深いというようなことで、これらの地域が特に地震災害の面で危険な地域とは考えられません。  御参考までに最近の観測結果を申し上げますと、最近十年間で平均いたしますと、毎年有感地震は七十回、これはかなり数が多いのでございますが、このうち震度三を超えるというようなものは年間平均して五、六回でございます。
  31. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この問題は、確かに震源が深いし、多発性ではあるが危険がない、こう言われるけれども、茨城県議会でも長い間議論をしてきた。八つの重要指定地域から茨城県は、隣の栃木県も外れているけれども、すぽっと外れている。もし地震災害が起こった場合に、起こらないという保証がないわけだから、その責任はだれがとりますか。
  32. 津村建四朗

    ○津村説明員 御指摘のとおり、茨城県は地震予知連絡会が指定しております特定観測地域には含まれておりません。特定観測地域は現在全国八カ所でございますが、もちろん日本は地震国でございまして、全国至るところに地震の危険性はございます。ですから、全国を対象として地震予知はもちろんやっておるわけでございますが、その中で特に注目すべきところを限らせていただいて、そこを特定地域あるいは観測強化地域として指定しているわけでございます。ですから、それに漏れている地域が地震予知について努力を特に怠っているということではございません。私どもは責任を持って地震予知を進めている、そう考えております。
  33. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この話はまた引き続いて問題にしていって、ここで別に議論してもしようがないから。  次の問題は、この間高層気象台の台長がかわったわけですね。地元の茨城の新聞を見ると、「学園都市の高層気象台 高度情報持ちぐされ 万博天気も予報権なし」、こういうわけですね。筑波には国の研究機関の大体六割くらいが集まっているのですね。そういうところで高層気象台、測器工場、それから気象研究所というものがあって、毎日何回か電話での気象の問い合わせがあっても、それに対して発言をする権利が与えられていない、茨城県の場合には水戸でなければそれができない、こういうことではおかしいのではないかというのが一般の声なんです。せっかくそこに人間が二百何十人もいて責任者もいるのに、気象に関しては何にも答えができないというばかな話はないじゃないか、こういうことに人は見ていますね。そこで、こういうような新聞が出されて、その新聞の中で今私が言ったようなことが問題になっているわけです。これに対してどういうふうに考えられますか。
  34. 門脇俊一郎

    ○門脇説明員 お答えいたします。  まず、御指摘いただきました高層気象台でございますが、先生も御指摘のとおり、高層気象観測、これは地球の空気の非常に高いところの観測でございますけれども、これを世界じゅうの観測点の一つとして実施しております非常に重要な観測点でございます。それから、高層気象台は日本全国で二十カ所余りの高層観測を行っておりますけれども、そのために非常に精度のよい測器を開発いたしますとかあるいは高層観測の方法を改良する、そういう技術開発、研究も行っている、高層観測とその技術開発のための専門機関でございます。そのために、施設も職員も必要な専門的なものが配備されている、こういうふうに御承知おきをいただきたいと存じます。そのために、一般の天気予報あるいはその解説に必要な情報は高層気象台には流されてはおりません。  御承知のように、茨城県の天気予報は、水戸にございます地方気象台で行っております。水戸の地方気象台では、茨城県内の天気の状況を、茨城県内二十二カ所にアメダスの観測所がございまして、ここから一時間ごと、必要な場合には十分置きに即時に茨城県内の状況をつかめる、そういうシステムがございます。そのほかに、例えば雨でございますと富士山の気象レーダーの情報でございますとか、そういう茨城県内の天気の状況を把握するために必要な資料と天気予報を行うために必要なデータはすべて水戸の気象台に集中的に送られておりまして、茨城県の天気予報はここで行っているということでございます。  なお、新聞にもございましたように、茨城県の水戸と学園都市のございます南部とはかなり気象状況も違うではないかという指摘もございますが、気象庁では去る四月一日から茨城県を南部と北部に分けまして、それぞれについて天気予報を発表するというシステムをとっております。  以上でございます。
  35. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この新聞の記事は不必要な記事なのか、それとも傾聴に値する記事なのか、その点についてどうですか。
  36. 門脇俊一郎

    ○門脇説明員 お答えいたします。  茨城県の天気予報サービスについて多少理解の行き届かない点があるためにこういった新聞記事になったかというふうに考えております。  以上でございます。
  37. 竹内猛

    竹内(猛)委員 時間が来たからこれで終わりますけれども環境庁長官もここへお見えですが、科学博覧会というのは国の法律に基づいて進めているところですね。人間、環境生活、科学技術というようなすべて環境に関する問題を取り扱っているところの中で、今言うように幾つかのひずみと思わざる事態が内部にあって、ある意味においては不愉快な問題もあります。こういうものを一日も早く取り除いて、みんなで気持ちよく万博に対して参加していくということをしていかなければいけない。私どもも議員連盟をつくってできるだけこういうものを事前に除去しながらやっていこうということで努力をしてきたけれども、依然としてこれがまだ終わっておりません。  だから、この点については閣僚の一人として、今のやりとりの中でお考えになることがあれば感想を述べていただいて、私の質問を終わりたいと思いますが、いかがですか。
  38. 石本茂

    ○石本国務大臣 お答えいたします。  今先生お話をじっと聞いておりまして、この博覧会に関連する問題がたくさんあるのだなということを痛感いたしましたが、どうかこれらの問題が上手に運営されまして、そして博覧会が成功裏に終わりますことを心から祈る気持ちでございます。また、関係する問題が出てまいりました場合には、関係省庁と関連いたしまして、きちっとそれが運営されるように努力してまいります。  ありがとうございました。
  39. 竹内猛

    竹内(猛)委員 以上で終わります。
  40. 辻英雄

    辻委員長 中村茂君。
  41. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私は、名古屋の新幹線公害訴訟の問題について取り上げたいと思いますが、明快な御答弁を心からお願いを申し上げます。  名古屋高裁の四月十二日の判決について、まず私は、長い間騒音、振動、こういうものに悩まされながら第一審、第二審というふうに裁判を続けてこられました十一年間にわたるこの悩み、労苦、こういうものに対しまして、原告の皆さんに御苦労さまでしたという敬意を表したいというふうに思います。  私が敬意を表したいという意味は、この問題は、環境行政の中できちっとしていればこんな問題にもならなかったのではないか。例えて言えば、環境アセスの体制がきちっとできていて、こういうこれまでの騒音または振動、それ以上出るものについては、もう新幹線であろうと何であろうと建設も設置もできない、こういう体制があってこそ公害なり環境が守られていくのではないか。そういう立場で考えてみると、公害なり環境に携わる我々としては、その責任を痛感するわけであります。そういう意味で、大変御苦労さまでしたというふうに私は申し上げたい気持ちでいっぱいであります。  新幹線が、特に東海道新幹線が建設された時代というのは三十年代で、高度成長、高度成長、もう公害とか環境などということは頭の中になくて、横へ寄せて、ただ速度だけ求めて建設されてきた。その結果、公害訴訟というような、騒音、振動の人体の健康に影響の出るような問題が起きてきてしまった。  ですから、そういう後追いの公害環境対策、それが示すように、この裁判なり運動が進められた後、御存じのように四十七年の十二月には騒音問題に関する勧告を皆さんの方から出した。五十年の七月には騒音環境基準を告示した。そして、五十年の十月には環境基準の地域指定が行われ、五十一年の三月には振動問題に関する緊急指針が発表された。これは後追いになっているわけですね。しかも、このそれぞれ示してきたものが、まだその目標が完全に達成されていない、こういう事情にあるわけであります。  そういう中で判決が出ました。この判決の中身も、私は、この公害環境に携わる者から見ますと、勝ったとか負けたとかいうこと以上に非常に重要な示唆と教訓を示しているのではないか、こういうふうに思うわけであります。例えて言えば、公害環境の問題、そういうものに対置したいわゆる公共福祉、こういうものを調和をとりながら接点をどこに求めていくか、非常に重要な内容が含まれておるというふうに思うわけであります。そういう意味で、環境庁長官の今回の判決に対しての責任ある御見解を承りたいというふうに思います。
  42. 石本茂

    ○石本国務大臣 ただいま先生も申されましたように、ここに来るまでの沿線住民の方々の御苦労されておりますことは、私、胸を痛くしながら受けとめておるところでございますし、まず、私自身といたしましては、先生のお言葉もございますが、現地をとにかく早くに行って見たい。見るといいますか、私なりに受けとめてみたいという考えを持っておるわけでございます。  それから、後追い、後追いになっておりまして、これは本当に沿線の住民の皆さんにも申しわけないことでございますが、先生今お言葉もございましたように、東海道と山陽の新幹線につきましては、本年の七月に環境基準の達成目標という期限が到来いたしますので、そうした調査の結果を見まして、関係機関に対し必要な働きかけをしていかなければならない。  なお、期限到来以前におきましても、環境基準の達成、維持に向けまして関係機関と連携を強めるよう、現在ただいま事務当局に私なりに指示しているところでございます。本当に、先生のお言葉の一つ一つ、しっかり私の胸に受けとめておるところでございます。ありがとうございました。
  43. 中村茂

    ○中村(茂)委員 今長官が所見の中で申されました、一日も早く現地を見たい、これはまさに一日も早く現地を見ると同時に、悩んでいる現地の皆さんとよく懇談されて、その実態をまず把握していただきたいというふうに思います。  それから、二点目に言われました環境基準の達成の問題でありますが、これは東海道それから山陽の新幹線、この指定されているところが環境基準に達するかどうか、これは七月までという十年の期限があるわけですが、それと同時に、特に今回の名古屋地域における判決の問題があるわけでありますから、全国的というか、そういう面と、それから、今回の判決に合わせて特にこの名古屋地域についてはその達成に懸命な努力をしていただきたいというふうに思うわけであります。  ですから、その順序というか、達成についての考え方をもう少し細かく御見解を承りたいというふうに思います。
  44. 林部弘

    ○林部政府委員 手順にわたりますことかと受けとめましたので、私からちょっと御説明をさせていただきます。  今大臣からお答えございましたことでおわかりかと思いますが、大臣のお気持ちとしては、ともかく御自分の目で現地の状況をよくごらんになり、お話も伺って、現状の把握というものをより自分なりに正確にとらえたいというのが大臣のお気持ちでございます。それで、そういうような現状の把握ということがまずございます。大臣は原告団と既に判決の翌日お会いになっておりますから、アウトラインはもう既に伺っているわけでありますが、それを現地においてまず確認したい。  それから、次の問題といたしましては、帰りましてから、私も大臣に同行いたすわけでございますが、いろいろと技術的な問題がございますし、判決そのものについても、率直に申し上げましてまだ日にちが余りたっておりませんので、判決の内容と私ども所管いたします環境基準との関係等につきましてはまだ検討が終わっておりません。そういうようなこともございますので、そういったことをすべて踏まえまして、私ども現地視察が終わりましたら、国鉄当局の技術陣と私のレベルでいろいろと意見交換と申しましょうか、話し合いというものをまず持って、その状況を踏まえて私から大臣に御説明をいたしまして、それでまた御指示をいただくというのが名古屋問題についての取り組みでございます。  それから、環境基準の達成は、これは名古屋だけでございませんで全国にわたることでございますから、一口で申しますと、やはり達成期限が参りましてから一斉に調査をして、その調査に基づいて私どもとしての考え方を運輸省なり国鉄なりといった関係当局の方に申し上げる、こういう手順を考えているわけでございまして、いわゆる環境基準の全国達成の議論と、裁判が長い間続いている名古屋問題についての取り組みとは、一応環境基準の達成ということについては同じ問題にはなるんだけれども、アプローチの仕方としては、局地的な問題、原告団とお会いしたときに私は名古屋問題は一つの切り口であるというふうに申し上げたわけでございますが、そういう観点で、解決に向かって分けて取り組み方を組み立てていきたいというように考えているところでございます。
  45. 中村茂

    ○中村(茂)委員 分けて考えるのも結構です。その中で、特にもう二審まで進んできて判決が出たわけですから、切り口という言葉を今言われたのですが、優先的に、他のところに対して模範になるような詰めをやはりしていただきたいというふうに思うわけであります。  それから、この環境基準の達成作業をしていただくわけですが、先ほど大臣からも、それを待つで必要な働きかけをしたい、こういう表現で言われましたけれども、達成されていればそれで結構です。達成されていないところ、これをどういうふうに措置していくかということが残された非常に重要な問題だというふうに私は思うわけであります。  一つの例で申し上げますと、今回の判決について見ましても、被害については、早朝、深夜の走行で睡眠妨害を生じ、精神的被害が認められる、そういうふうに、早朝、深夜の問題は特に被害が認められるというふうに判決でも言っているわけですね。片方、減速という問題については、公共性が高いということ、それから二番目には、一地域を減速してもそれは他の地域にも波及するという全線波及論をとったということ、三番目には、国鉄の振動騒音に対しての障害対策が進んでいる中で、まあ受忍範囲だ。  しかし、我慢できる範囲ということは、全体的にいけば被害はありますよ。しかし、こんな程度だから我慢できます、この一部分については被害はあるけれども、しかし、ここのところを減速すれば全般的にやっていかなければならないので、全線に波及するからということは、裏返しで言えばやはり被害はそこに存在している。しかし、それをよけて通った。そして損害賠償の方で、その瑕疵を認めて損害賠償は適用する、言えばよけていると私は思うのですね。よけて、それでその被害について損害賠償の方でカバーするということですから、厳然として一定の被害状況はそこに存在する。  そういうことを考えてみた場合に、先ほど申し上げましたいわゆる基準の達成について、そこまで達成されていないという事象があったとすれば、環境庁とすればそこをどのように措置していくか、対応していくか、極めて重要な問題だというふうに思うわけです。例えて言えばというふうに申し上げたのは、裁判では確かに今言ったような減速の問題がそういうふうに出ていますけれども、その基準が達成するまでは、名古屋についても早朝、深夜の走行については減速させて被害を一定程度なくさせるという措置はとれると思うのです。  ですから、やはり現実にそこから住民の被害がなくなるというような措置をとっていく、こういう言葉は使っていいかどうかわかりませんけれども、勇気ある措置をこの際お願いしておきたいというふうに思うのです。その点についてはどんな程度に考えておりますか。
  46. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  結局は、判決の内容とそれから私ども環境基準達成のためにどのような対策を選択するかという問題に最後は行き着くわけでございます。  先ほど申しましたように、判決とのかかわりの中身については、まだ十分に詰めが終わっておりませんので確定したことはなかなか申し上げづらいのでございますけれども、ただ、減速という問題につきましては、確かに住民のお考え、また住民の訴えが、どういう背景でどういうことで言っておられるかということも我々はそれはそれなりに十分理解をしておるつもりでございます。  ただ、十年法廷で争って、一度ならず二度まで公共性ということを掲げて裁判所が減速の問題を退けたということの社会的な重みというものは、私ども、それは否定できないわけでございまして、環境基準達成という全国的な問題でございますから、そういう場合に減速という手段が、今先生は勇気を持ってとおっしゃったわけでございますが、そういう裁判所での二度にわたる判決があったにもかかわらず、一般的な手段としてとることができるかということについては、やはり相当これは慎重に考えなければいけないのではないか。  ただ、切り口の問題ということにつきましては、これから当事者間がどういう形で、最後まで法廷で争われるのかあるいはテーブルに着いて話し合いをされるのかというようなことは、まだ現在の段階では確たる見通しがはっきりしておりませんので、私どもといたしましては、二度の判決の重みというものを踏まえながら、名古屋問題について、今後どういうふうに取り組んでいくかという意味では非常に難しい選択の問題でございますから、今、そこら辺、勇気を持って御決断をというふうに大臣にお問いかけになっておるというふうには思うのでございますが、大臣は先ほど、ともかくまず現地を見て、技術的な問題について事務方の私どもと国鉄側とでよく話し合った上で御判断をしたいというふうに言っておられるわけでございます。
  47. 中村茂

    ○中村(茂)委員 ですから私もそういう点については、減速をしますということの確約を今大臣に迫っているわけではありません。私の申し上げているのは、早朝、深夜という一部分、それは確かにこの判決の中でも被害が存在するということを認めている、その基準の達成されていないところが達成されるまでの間いろいろな手だてをしていくけれども、どうしてもやることができない場合には、一部分でもそういう手だてというものを考えていく必要があるのではないかということなんです。ですからそういう点も、狭く考えないで、広く考えてこれから対応していただきたいということで申し上げたわけであります。  そこで、今いろいろ私の考え方を申し上げてきましたけれども、当事者である国鉄としては、今回の判決についてどういう御所見をお持ちでしょうか。
  48. 岡田宏

    ○岡田説明員 先生からもお話がございましたように、今回の名古屋高等裁判所における第二審の判決におきましては、差しとめ請求につきましては、新幹線の持つ公共性の内容、程度、あるいは差しとめによって生ずる影響との関連において比較検討されました結果、減速、いわゆる差しとめ請求については棄却されたものの、損害賠償請求につきましては、国賠法二条一項の瑕疵に基づいて一部認容されたということにつきましては、大変厳粛に受けとめているところでございます。
  49. 中村茂

    ○中村(茂)委員 判決について一通り言えばそういう見解でしょうね。  厳粛というふうに言われた意味ですけれども、やはり国鉄とすれば、一審、二審というふうに進んできて十一年間この裁判が続けられてきたわけですけれども、今見解が表明されたような立場に立って上告する意思がおありでしょうか。上告について今どういうふうにお考えでしょうか。
  50. 岡田宏

    ○岡田説明員 上告の点につきましては、現在判決内容を詳細に検討しているところでございまして、現時点では上告するともしないとも決めている段階ではございません。四月二十六日が上告期限だったように思いますが、それまでの間十分に判決の内容を検討させていただいて態度を決めたいというふうに考えております。
  51. 中村茂

    ○中村(茂)委員 きょうは総裁はお見えではないわけですけれども、岡田常務理事さん、上告については双方まだ検討中だと思うのですが、私は上告の有無にかかわらず、この事件の全面解決のために話し合いのテーブルに直ちに着くべきではないかというふうに思います。原告の皆さんと国鉄との話し合いの中でもそういう要請が出て、話し合いの方向が進んでいるようですけれども、全面解決のための話し合いという点については今どういうふうにお考えでしょうか。
  52. 岡田宏

    ○岡田説明員 判決が出ました直後の十二日、それから十三日、十五日と、三回にわたりまして原告団の方々とひざを交えていろいろお話をいたしておるところでございます。これから話し合いを進めていくことにつきまして、お話し合いによって解決できる事柄とそうでない事柄といろいろあると思います。今まで十何年間にわたって裁判が続行されてきたという長い経緯もございます。また、第一審の判決あるいは第二審の判決が出たということの重みもございます。  そういったことで、すべての事柄が話し合いによって全面的に直ちに解決するかどうかということの予断はできないわけでございますが、そういう問題はさておきまして、いずれにいたしましても、当事者同士が少しでも事柄の解決を図っていくためにお話し合いの場を持つということにつきましては、私どもも十分受け入れられると申しますか、考えられるところでございまして、そのような形で進めてまいりたいということで、具体的な会議の持ち方でございますとかいった問題についてお話を進めているところでございます。
  53. 中村茂

    ○中村(茂)委員 お聞きしますと、話し合いということを前提にして、その話し合いの場を月一回ということで持とうではないかということで今話が進んでおるようでございますけれども、そこまで話が進んでおるわけでございますか。
  54. 岡田宏

    ○岡田説明員 昨日事務レベルにおきまして、今後のお話し合いの場の持ち方についていろいろ議論をさせていただきましたけれども、開催頻度につきましてはおおむね月一回程度とするということでございます。それから、場所につきましては、東京あるいは名古屋ということで、そのときどきの都合によりまして交互に行ったらどうか、あるいは出席メンバーはどうしたらいいかというような、かなり具体的なことについても内容的に詰めさせていただいたところでございます。
  55. 中村茂

    ○中村(茂)委員 まず話し合いを進めていただきたいというふうに強く要望しておきたいと思います。  そこで、今も、解決できるものとできないものがある、二回の判決の重みがあるというお話がありましたが、この裁判が進んでいるときに、前の高木総裁のときだったと思いますけれども、やはり話し合いということがありました。減速の問題とか二件ほど除外するという話が出ましたのでそのまま中断になっているということも私ども聞いているわけですが、何々は除外するとかどうとかではなく、条件なしでとにかく話し合いはする、そして十分話し合った結果、それが両方一致するのかしないのか、いずれにしても答えが出てくるわけでありますから、条件なしの話し合いということでまず進めるようにしていただきたいと思います。その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  56. 岡田宏

    ○岡田説明員 第一審の判決が出ました後で高木前総裁と原告団の方々といろいろお話がございまして、その結果に基づきまして、名古屋テーブルと称しておりますが、話し合いの場を持とうではないかということで、第二審の判決が出るまでの間、計三回にわたりましてお話し合いの場を持ったわけでございますが、そのときのお話し合いについては、結果的に裁判が続行中でもあるということで実りがなかったわけでございます。  これは、原告団の方々の話し合いの前提条件というのが、いわゆる全面解決を目指す要求書、このすべてについて、これを基本的なスタンスとして話し合いの解決に入ることを求めるというお話でございまして、その中には今問題になっております減速の問題でございますとかあるいは振動、騒音の差しとめの問題とか、そういうことが大前提として掲げてございましたので、そういった意味でのお話し合いの内容について少し整理するというようなことで、お話し合いのテーブルに着く入り口の議論に終始いたしまして、実質的には実りあるお話し合いにはならなかったと考えております。  今回のお話し合いについては、一応原告団の方々も、話し合ってみて解決できない問題があることは百も承知をしている、そういったスタンスでともかくまず話し合いを始めようじゃないか、話し合いを始める前からこれはだめだ、あれはできないということを結論づけてしまうのではなくて、まず話し合ってみようではないか、そういうような趣旨でのお持ちかけがございましたので、そういった意味でございますならば私どもも話し合いのテーブルに着くことにいたしたいということで、さように決めたわけでございます。
  57. 中村茂

    ○中村(茂)委員 全面解決のために双方がこれから話し合いに入るということになったわけですが、その際、環境庁と運輸省に強くお願いしておきたいと思うわけですが、この種の問題は、どうしても監督官庁の姿勢が話し合いの中身を成功させるかさせないかという大きなウエートを占めているのではないか、私はこういうふうに思います。出先の国鉄にしても、運輸省がどういうふうに考えているだろうか、環境庁がどういうふうに考えているだろうか、そういう点で非常に変わってまいりますので、運輸省にしても環境庁にしても、この話し合いを成功させるという強い意思でそれぞれ指導していただきたいと思うわけであります。  そこで、参考になるかどうか知りませんけれども、こういう問題がございました。住宅・都市整備公団と全国公団住宅自治協との紛争解決に関するあっせん、これは住宅公団とそこに住んでおります自治協との紛争、いわゆる裁判を解決するためにあっせんを建設大臣が出したわけであります。そして円満に解決された。そう遠くない、六十年三月十九日、一月ほど前です。  これには原告の方は原告の方でそれぞれ言い分があるし、被告の方は被告の方でそれぞれ言い分があるわけですね。それを政策的な問題や、今度の判決が出たのや、それぞれの中で話を一致させていくには、監督官庁のそれを成功させようという強い意思がない限り、経験上、こういうものを成功させることは難しい。そこで今この例を申し上げたわけですけれども、これについても、双方から十分意見を聞いたり両方調整したりしながらこのあっせん案に建設大臣も到達したわけなのです。ですから、全面解決という問題について今申し上げた趣旨でそれぞれ対応していただきたいと思うわけであります。  まず環境庁長官から、その次に運輸省から、それぞれ今私が申し上げたことについての御見解を承りたいと思います。
  58. 石本茂

    ○石本国務大臣 先生の御提言でございますが、私といたしましては、係争中の民事訴訟事件でございますので介入することはなかなか困難なこともあろうと思いますけれども、これは慎重に、真剣に対処してまいりたいと考えております。
  59. 廣田良輔

    ○廣田説明員 ごあっせんに関して運輸省どうだというお話でございますが、ただいま先生もおっしゃっておられましたとおり、判決が出た直後でございまして、これをどのような評価をすべきかという点もありますし、それから、話し合いも今準備が進められている状況であります。  したがいまして、私どもとしては当面両当事者間の話し合いがどのように進捗していくかということを十分見きわめながら、適切に対処させていただきたいと考えております。
  60. 中村茂

    ○中村(茂)委員 運輸省に申し上げますけれども、そういうことを私は聞いているのじゃないのです。適切なんということを聞いているわけじゃない。話し合いを成功させるような意思を十分持ってもらいたいということを言っているわけです。成功しない方がいいのですか。
  61. 廣田良輔

    ○廣田説明員 そのような意味で私は申し上げているのではなくて、当事者である国鉄がまず住民の方々と真剣な話し合いを重ねて、その成果を見た上で判断させていただきたい、こう申し上げているわけであります。話し合いを否定するものでは決してございません。
  62. 中村茂

    ○中村(茂)委員 どうも私の言っていることとあなたの言っていることが合ってこない。というのは、話し合いを成功させよう、それには皆さんの方の成功させようという強い意思が動かなければ、出先の国鉄でどんなにいろいろやっても最終的にはうまくいかないのですよ。こういうものは監督官庁なのだ。そういうことはだめだよ、こういうことはだめだよ、そういうことではだめなのだ。ですから、誠意を持って当事者間で話し合いを続けていく、それを何とか成功させようという意思を持つように大臣に伝えておいてください。いいですね。
  63. 廣田良輔

    ○廣田説明員 大臣にしっかりとお伝えいたします。
  64. 中村茂

    ○中村(茂)委員 新幹線の公害訴訟についてはこれで終わりたいと思いますが、いずれにしても、十一年間それぞれ苦しんできたわけですから、話し合いを成功させるように御努力お願いしておきたいと思います。  次は、環境アセスの問題に入りたいと思います。  百一回、前回の国会で長官の所信表明が行われましたが、そこでは、まず第一として取り上げたのが環境影響評価法の制定についてということなのですね。これは強い意思で表明されているのですよ。「第一に、環境影響評価法の制定等による環境汚染の未然防止の徹底であります。このことは、環境行政の根幹であり、環境影響評価法の早期制定は、現下の環境行政の最重要課題であります。このため、同法案を、各方面の御理解を得つつ、今国会に再提出し、早期に成立させていただけるよう全力を尽くす所存であります。」まず、強い意思ですね。  私も先ほども申し上げましたけれども公害なり環境のいろいろな事件が起きた、それに対しての対応というのはそれぞれ曲がりなりにもやってきたと思うのです。しかし、ここでも言っておりますように、環境アセスというのは環境の汚染の未然防止の徹底なんですね。ですから、どうしてこれだけの強い意思を持って環境庁がやっても法制定ができないのでしょうか。どうしてもそこのところが私はわからない。  先般の国会は会期延長になりました。そして、会期延長の中で、一番最終の環境委員会でその点について私も質問をいたしました。五十九年八月七日の本委員会です。国会が開かれている間、冒頭の所信表明の第一でそれだけの強い意思があって、その間にも委員会ごとに、これは重要な問題ですよ、長官の責任問題にも発展しますよと言い、我が党はそれに対する議員立法としての法案を出しました。継続審議になってこの国会にもあります。そして、最後ぎりぎりのときにやはり同じような質問をしたら、いや、まだ調整中で、非常に苦労しているけれども、出すように努力したいと思いますと。  国会終わったらどうなったんですか。もうその法案はどこかへ行ってしまって、そして今回、百二回国会の長官のいわゆる所信表明では、これは一から二に移ってしまって、前段に「環境保全長期構想の策定」を入れて、今度は「と環境汚染の未然防止の徹底であります。」というふうに言って、そして「二十一世紀に向けてより質の高い環境保全型社会を形成」したいということを言って、ここで「また、」になって、「また、環境影響評価につきましては、昨年八月、当面の事態に対応するため、閣議決定という形で実施することとされ、現在、その実施に向けて所要の準備を進めているところであります。」と、えらく後退してしまった。「また、」になって、今度は「閣議決定」になって、閣議決定も、私は文書をもらったけれども、こんなものでいいのかなという感じを持っているのですけれども、どうしてこういうふうに後退してしまったのか、その理由。それから、環境庁の態度というものが私は不可解であるし、全然わかりません。明快な答弁をお願いいたします。
  65. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 ただいま先生指摘のような経過をもちまして前国会に提出する運びにならなかったわけでございまして、いずれも私ども努力が不足しているのかもしれませんが、関係方面の御理解が得られなかった、この一言に尽きるのではないかと思っております。まことに遺憾であると思っております。
  66. 中村茂

    ○中村(茂)委員 とにかく一回国会に出た法案なんです。廃案になって、それでまた出すというふうになってきた。  そうすると、今度の長官の意思表示というのはどういうことを意味しているのですか。どういうことを意味しているかというのは、「当面の事態に対応するため、」となっている。そうすると、法案はどうなるのか。その辺のところをどういうふうにお考えですか。
  67. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 前国会あるいはもっと前からの経緯を踏まえまして、法案が提出できないというような当面の事態に当たりまして、私どもの選択としましては、さらに頑張って次の国会を目指しまして法案提出に努力を重ねる、これはもちろん一つの選択でもあるわけであります。  また、翻って考えてみますると、さらに一つの選択肢としましては、法律という形は当面無理なのかもしれないけれども、しかし法律にかわる次善の策として、私どものとり得る道として閣議決定方式というものもあるのではないかというようなことで、当面の事態に対応するために閣議決定という形式をもちまして環境影響評価の実施についての要綱を決めていただきました。そして、関係各省庁が足並みをそろえまして実のあるアセスの実施をしていこう、こういう申し合わせを行ったわけでございます。そのような意味で当面の事態に対応するということでございます。
  68. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そうすると、昭和五十四年四月十日の中央公害対策審議会の「環境影響評価制度のあり方について(答申)」との関係はどうなるのですか。
  69. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 五十四年四月に中央公害対策審議会から「環境影響評価制度のあり方について」の御答申をいただきましたが、環境影響評価法の制定を図るべきであるという御答申の内容になっているわけであります。もちろん、その内容につきましても詳しく答申内容として盛り込まれているところでございます。  そこで、五十四年の答申を受けまして、先生十分御案内のように、一度は国会に法案として提出いたしましたが成立の運びに至らなかった。さらにまた前国会においてチャレンジをいたしまして、提出したいということで頑張りましたが、関係方面の御理解を得られなかったというようなことでございまして、法案を出すべきであるという中央公害対策審議会の答申につきましてはいまだその実現の運びになっていない、こういうことであろうと思っております。
  70. 中村茂

    ○中村(茂)委員 これは長いのですけれども、この答申というのは、結局地方公共団体の位置づけと国の環境アセスのあり方というものとの関連で、一つは、法制化しなければばらばらになってなかなか無理ですよ、こういう点を大きく取り上げているわけですね。業者とのかかわり合いもそういう中から出てくる。そうして、最終的にここで言っているのは、「以上が、環境庁長官からの諮問に対する意見である。ここに述べたことは、現在の環境影響評価に関する実績その他我が国の実情を踏まえたものであり、実現可能なものと考える。したがって、付属資料の「審議結果のまとめ」を勘案しながら、速やかに環境影響評価の法制度化を図られたい。」こういうふうに結んでいるわけですよ。答申も、それから「審議結果のまとめ」というものについても、ここで言っているように「実現可能なものと考える。」こういうふうに明確に言っているわけなんです。そして、それは法制化しなければさまざまな問題が出てきますよということで、法制化について答申がされているわけなんです。  それで、なお今度の閣議決定でも、これは閣議決定だから、法律がないんだから、結局国の所管にかかわるものしか指針は出せませんよね。そして地方公共団体については「この要綱との整合性に配意するよう要請するものとする。」ということで、これは「要請」になっているわけですね。要請で、僕の方はだめだよ言えばこれは――それだからこれは、先ほど申し上げた百一回国会の最終ぎりぎりのときにこの問題について取り上げたということを私は申し上げましたけれども、そのときの長官の答弁は、地域によってさまざまな別なものができてきている、また地域によって、各階層によっていろいろな意見がある、それを一定のものにするのはなかなか難しい、言えばこういう意見なんですよ。ところが答申は、特に地方公共団体については法律で一定の方向を定めなさい、そうでなければこれからの環境行政、特にそのもとになるアセスについてはうまくいきませんよ、こういうふうになっておる。それで今度こういうものが出たって、もうこれはどうにもならぬのですよ。要請しかできないのですよ。確かに行政の中で、建設省なら建設省、運輸省なら運輸省、通産省なら通産省、所管のところは一定の基準でもやれる、これは閣議決定であるわけです。それだから、この答申に基づくいわゆる環境アセスというものをきちっとしていくには、一定の法制化というものがやはり必要だと私は思っているのです。ところが、今言っているように、こういうもので逃げたりいろいろしている。そういう考え方は全然わからぬ。  それで、二つの行き方があるとあなたは言った、法制について十分検討していく行き方とこの閣議決定の行き方があるということで。言っているように、それは一年や二年ぐらいのことはそうかもしらぬ、これで行けるかもしれぬけれども、将来の環境行政なりそういうことを考えたら、これでは行き切れないのですよ。やはり答申で出ている法制化ということについて、これは真剣に考えてもらわなくちゃならない。二つあるのじゃないですよ。どうですか。
  71. 石本茂

    ○石本国務大臣 今先生申しておられますように、前国会に環境影響評価法案を提出できなかったことは本当に残念きわまりないことだと考えておるところでございますが、昨年の八月の閣議決定に基づきまして、ただいまお話がありました法律ではございませんけれども、現在、関係省庁と十分な行き交いをしながら実施に踏み込む体制づくりが大体できてきたところでございます。こうした経過を私どもは見守りながら、この法制化をすることはあきらめておりません、その経過、結果を見ながら、必ず引き続きこの法案は提出するという心構えで目下進めておることを御理解いただきたいと思います。
  72. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そこで、先ほど申し上げましたけれども、社会党が提出しております、岩垂先生外二名で議員立法で出して継続審議になっているのですけれども環境影響事前評価による開発事業の規制に関する法律案、これは委員長にひとつお願いしておきたいというふうに思いますが、いずれにしても継続でこの国会に法案が出ているわけでありますから、先ほど長官が言われましたし、いろいろやりとりの中でも、これは法制化はどうしても必要だ、答申もその必要性を訴えて答申となって出てきた。ですから、そう難しい問題じゃないのですよ。この法案をこの委員会で直ちに審議していただきたい。そのことについて理事会で十分御論議いただきたいということを委員長に強く御要請申し上げたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
  73. 辻英雄

    辻委員長 お申し出の環境影響事前評価による開発事業の規制に関する法律案につきましては、その取り扱いについて理事会で協議をいたします。
  74. 中村茂

    ○中村(茂)委員 それでは、終わります。
  75. 辻英雄

  76. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最初に、恐縮ですが、地元のことを二つほど御質問を申し上げながら御答弁を煩わせて、その後、四月二十二日から開かれるワシントン条約の締約国会議の開催に関連をいたしまして質問を申し上げたいというふうに思います。  最初の質問は、神奈川県の逗子市の池子弾薬庫跡地の米軍住宅の建設問題が地元の住民を初めとして大きな社会問題となっていることは御存じのとおりであります。私自身もこの委員会で反対の立場を明らかにしてきたことも御承知のとおりだろうと思います。にもかかわらず、防衛施設庁は神奈川県に対して環境アセスメントの申請を行うなど、住宅建設を強行する姿勢をとっていることは、大変遺憾だろうと思います。三浦半島に残されたかけがえのない緑や自然というものがそこなわれてしまうことについて非常に強い危惧の念を持たざるを得ないわけでありますけれども、その市民の気持ちが市長選の結果にあらわれたように、米軍の住宅建設に反対するという世論の方が強い、皆さんの方向というものは市民の理解を得られたものにはなっていない、このことは言うまでもございません。そのことを前提にして、私はアセスメントの提出というものに対して強く反省を求めたいというふうに思います。  ところが、去る四月の九日でございますけれども、突然アメリカの海兵隊が池子弾薬庫の中で訓練をするという事態が起こりました。この経過について若干地元の新聞、神奈川新聞の記事がございますから、マスコミの気持ちをも含めた疑問についてぜひ率直に答えていただきたいと思うのです。   米軍住宅建設問題で揺れる逗子・池子弾薬庫内に九日、米海軍横須賀基地の海兵隊二十数人が入り、約四時間にわたり、〝訓練〟を行った。同弾薬庫は五十三年七月、米軍人や日本人従業員が引き揚げ、事実上、遊休化している施設。補給品置き場として使用されているだけで、米軍当局の立ち入り、訓練実施は極めて珍しい。  目撃した住民の話によると、米海兵隊員らはこの日午前十時ごろから午後二時ごろまで、弾薬庫の正面ゲート約百メートル先で立ち入り訓練を実施。迷彩服の隊員たちが、元の消防詰め所の建物に向かい、自動小銃を持ち、索敵(?)訓練や、ほふく前進訓練を行った。訓練の目的について米軍当局は、「警備のため」としかコメントしていないが、十日に予定されていた加藤防衛庁長官の視察や、現在問題になっている同弾薬庫内への米軍住宅問題と絡めたデモンストレーション、との見方も地元にはある。 というふうに記されています。率直に言ってどういう理由なのかということもほとんど住民には明らかにされていない。地方自治体にも連絡がない。こんな形で住民の不安が非常に大きくなっていることは、もう皆さんも御存じのとおりだと思うのです。しかも、間接的な話ですけれども、演習場がなかったものだからあそこで演習をしたのだというようなことも話題として伝えられています。  そこで、私は、こういう訓練のやり方というもの自身も重大な問題をはらんでいるように思われてなりません。ですから第一に質問したいのは、この訓練はどんな理由で行われたかということをはっきり示してもらいたい。
  77. 富田修

    ○富田説明員 お答え申し上げます。  大体今先生が新聞の記事でお読みになりましたような事実がいろいろございましたが、私どもが承知している限りでは、おっしゃるとおり四月九日の池子弾薬庫における訓練というのは、横須賀の基地に所属する海兵隊約二十名ほどが警備の訓練を行った、このように承知しております。
  78. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 何のための警備の訓練ですか。
  79. 富田修

    ○富田説明員 この訓練は、実は四月十日に防衛庁長官が池子弾薬庫を視察するということが計画としてございました。その視察には米海軍の高官などが同行いたしますとか報道関係の方が多数この施設に出入するということが予想されておりました。そんな関係で、また同弾薬庫は、今先生がおっしゃいましたように長い間にわたって米軍が常駐していない、そういうような状態でございましたので、要人側の身辺警護というような必要がございましたし、それから、改めて施設内の危険な箇所でありますとか危険物がないかというような事前の検索を行うことが必要だったのではなかろうかと思われまして、そういうような万一に備えての警備の要領について訓練をしたというふうに私どもは承知しております。
  80. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 地方自治体にも連絡なしに突然海兵隊が、迷彩服をつけてしかも銃を持って訓練をするというようなことが常識で考えられるかどうかということですよ。少なくとも、そういうことが必要だとすればあらかじめ連絡をとって、そういうことだよと市民の皆さんにも理解を得て行動をとるということが常識でなければならぬと私は思うのです。したがって、その市民の――特にその賛成はないのですよ、米軍住宅の建設は、条件をつけてという問題はあるけれども。しかも非常に根強い反対の気持ちがある。だから市長選挙が反対派が勝つということになる。そういう状況のもとで、市民感情を逆なでするような訓練になっているということだけはお認めになりますか。
  81. 富田修

    ○富田説明員 現在の池子弾薬庫の状況からいたしますと、そういう突発的な問題であったかもしれませんけれども、なるべく周りの住民の御理解を得られるような形で実施すべきであったのではないかと思っております。
  82. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 あったのではないかではなしに、こういうことを遺憾だとは思いませんか、あなた方は住民との接点に立つ立場において。
  83. 富田修

    ○富田説明員 なるべく米軍の方にはそういうことのないように私どもとして申し入れておきたいと思っております。
  84. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私の言いたいのは、それは結果について申し入れるということは当然のことですけれども、何の断りもなしに、迷彩服でカービン銃を持って飛び込んで演習する、そういうことは地方自治体なんかに連絡をとってやるということが当たり前であって、そういうことをとらなかったことについて日本の立場で遺憾の意を表明すべきです。そう思いませんか、あなたは。
  85. 富田修

    ○富田説明員 今先生のおっしゃったことにつきましては、申し上げましたように、池子弾薬庫の現在の状況からしますと、やり方として適当なものではなかったと思っております。
  86. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もっと素直に言ったらどうなんですか。あなた方、これからずっと市民との接点に立って苦労するのでしょう。市民の率直な感情があるわけですよ。感情だけでなしに、どう考えたって遺憾の意を表明することくらいは当たり前じゃないですか。常識じゃないですか、これは。はっきりしなさいよ。それが言えないというなら、あなた方の姿勢を私は疑うよ。  環境庁長官、一人の政治家としてあなたに答弁をいただきたいと私は思うのです。何も連絡なしに迷彩服をつけた海兵隊が飛び込んできて、索敵訓練みたいな匍匐前進をしてカービン銃を構えて、そんなことが行われていいのですか。日本の国内でですよ。しかも、外から見て百メートルほどですから目の前ですよ。せめて連絡をしてやるぐらいなことがあっていいと思うのです。私はその点について、遺憾だと思わないか、遺憾の意を表明すべきではないか。長官、答えてください。
  87. 石本茂

    ○石本国務大臣 私は、防衛庁の問題はよくわかっておりませんけれども、通告があった方がよかったのにという気はいたします。
  88. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 施設庁、答えなさいよ。遺憾の意をここできちんと示しなさい。当たり前ですよ、そんなことは。
  89. 富田修

    ○富田説明員 できる限り事前に、池子の弾薬庫の状況からいたしますと、前もって関係の市町村なり住民の方の御理解を得られるような状態にならなかったということは遺憾だと思っております。
  90. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 やはりもっと素直に答えるべきですよ。お互いに立場があるということはわかりますよ。わかりますけれども、何もアメリカのやったことをすべて正しいと是認してやることはないのです。そうでないと、防衛施設庁などという役所は米軍と国民との接点に立って仕事ができませんよ。悪いことは悪い。やはりはっきり言うべきです。その点は遺憾の意を表明されましたから、それはそれで結構ですが、今後、今遺憾の意を表明されたわけですから、こういう演習や訓練を繰り返すことはないということを約束していただきたいと思います。
  91. 富田修

    ○富田説明員 今回のような、警備がぜひ必要であるというような場合には、あるいはそれも全くあり得ないというわけにはまいらないと思うのですが、それ以外の訓練というようなものを米軍が実施する、そういうふうには私どもは聞いておりません。
  92. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 聞いておりませんということじゃなしに、私が言ったから答えたのかもしれぬけれども、遺憾の意を表明されたわけでしょう。こういうケースをあなたが全部排除するというわけにはいかないということもそれなりにわかりますよ。だとすれば、きちんと遺憾だということを明らかにしながら、そうでないときは使わないと言うから、そういう場合でも事前にちゃんと連絡を受けるようにしたい、米軍に申し入れたい、そのくらいの態度があってもいいのじゃないでしょうか。
  93. 富田修

    ○富田説明員 今必要最小限度どうしてもやむを得ない場合にそういう警備訓練を行うというようなことがございました場合には、先生のおっしゃるように事前に関係の市町村なり住民の御理解を得られるように、事前に御連絡申し上げることができるように、米側の方には申し入れたい、そう思っております。
  94. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 弾薬庫として施設を提供しているわけですよね。だから演習、訓練などの目的外使用を私ども認めるわけにいかない。それは、私の立場じゃなく、日本の政府の立場だと思うのです。その点ははっきりしていますね。
  95. 富田修

    ○富田説明員 その点につきましては、実は外務省の所管の問題かと思いますが、あえて私から申し上げますと、おっしゃるとおり施設の使用実態に即さないような訓練というものはあるべきでない、そう思っております。
  96. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 神奈川県のアセスメント条例に基づいて申請を行った以上は、住宅建設などの問題は私は反対ですけれども、あなた方としても県が示す条件には従うということは言うまでもございませんね。お答えいただきたいと思います。
  97. 富田修

    ○富田説明員 そのとおりでございます。
  98. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 防衛施設庁、結構です。どうぞこれからもそういうことはきちんとやっていただきたい、このことをお願い申し上げたいと思います。  それから気象庁おられますか。――簡単な質問なのですが、この間から新聞を拝見していまして、特に、去る四月七日の東京大学で開かれました地震学会春季大会の際に、実は地震問題では権威だと言われる二人の学者が、小田原付近の神奈川県西部地域に江戸時代以降約七十年周期でマグニチュード七クラスの大地震が繰り返し発生しており、次は十数年後の一九九〇年代に起きそうだという研究成果を発表になったことが新聞で報道されています。  お一人は建設省の建築研究所の有名な石橋克彦第二耐震工学室長。この人の発表のテーマは「小田原付近の大地震の繰り返し性に関する問題点」これは、簡単に言いますと、今から十年ないし十六年後にそういう規模の地震が起きる可能性があるということを予言、予言というか問題提起をされております。もう一人は国立防災科学技術センター地震防災研究室の笠原敬司主任研究官。この方の「関東地方南部の大地震再来周期について」という御報告がございます。実はここでも、小田原地区のABの両地域に分けて、一九九〇年代に地震が発生するということを発表されておられます。ほかのテーマもございますが、きょうはこれは触れません。実はこれに関連するような報告がございますけれども、時間がございませんから。  これは、お二方とも地震の問題については大変権威のある学者さんだろうと私は思いますけれども、気象庁はこの報告、どういう認識を持っておられるか、簡単に御答弁いただきたいと思います。
  99. 津村建四朗

    ○津村説明員 先生御質問のとおり、この春の地震学会におきまして、小田原付近の大地震発生の周期性についての学会発表がございました。小田原付近では、一六三三年、一七〇三年、一七八二年、一八五三年、それから一九二三年に地震によりまして大きい被害を受けております。これらの間隔が七十年、七十九年、七十一年、七十年と、約七十年であるということを指摘した発表でございました。防災的立場から申しますと、そのような周期的発生の可能性があるということについては考慮していく必要がございますが、指摘された、この発生した地震の規模を調べてみますと、あるものはマグニチュード七クラスでございますし、あるものはマグニチュード八クラスというふうに大きな違いもございます。そういう点についてさらに学問的に検討を要する仮説であるというふうに考えております。
  100. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 学問的仮説というふうにおっしゃられる気持ちはわかります。というのは、いたずらに確実にそうだというようなことになるとパニック状態が起きますから、その慎重な物の言い方というのは私も理解できないわけではございませんが、これだけじゃないのですね。実は、御存じのように、南関東地震の問題、これとの関連性も指摘されているわけでございまして、その意味では、やはり備えあれば憂いなしという体制が必要だというふうに思いませんか。
  101. 津村建四朗

    ○津村説明員 南関東地域は一般的に申しまして地震活動の高い地域でございまして、地震予知連絡会によりまして観測強化地域に指定されております。測地学審議会による地震予知計画の建議の趣旨に沿いまして、関係機関が協力して地震予知観測体制の整備にこれまでも努めてまいっております。気象庁は、これまでの地震観測及び埋め込み式体積ひずみ計による観測に加えまして、房総沖の海底地震常時観測システムの整備を進めております。また、気象庁にテレメーターで集中されております各種観測データを迅速かつ総合的に処理し、監視を強化するための地震活動等総合監視システムというものの整備にも着手しております。今後も関係機関と緊密に協力しながら観測体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
  102. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 東海地震が重大視されて、そのための対策が進められていることには文句はありません。重要なこと、必要なことだと思いますが、それと比べてみて、今の小田原地域を含めて広い意味で申し上げますが、南関東との関連も含めて、どうも必ずしも対策が十分ではないように思います。  実は関東の六都県市のサミットがございまして、その機会にも「南関東地域の地震予知等の観測体制の強化確立を図ること。」という申し入れを行っているところでございますが、同時に、実は私、大規模地震対策特別措置法の審議に当たって、やはり南関東地域を地震防災対策強化地域に指定すべきだということも申し上げました。きょう実は気象庁の津村さんにそのことの御答弁をいただくことはできないかもしれませんが、しかしあなたの立場で、今御指摘いただいたような経過があるとすれば、やはり関係省庁と連絡を密にしながら、今私がお願い申し上げたことなどについて鋭意御提言をいただきたいというふうにお願いをいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  103. 津村建四朗

    ○津村説明員 今後ともこの地域の地震予知体制の強化等、防災の強化整備を図っていく必要があるというふうに理解しております。
  104. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そのサミットの申し入れは「津波防災施設整備・強化等、津波対策の推進を図ること。」あるいは「土木施設、建築物等における液状化対策を推進すること。」ということも提起をされておられます。御答弁要りませんけれども、どうぞそういうことも含めて関係省庁の中で――特に小田原というふうに特定をされますと、私の選挙区じゃございませんけれども、それはそれとして、やはり市民の不安というものは非常に高くなっています。同時に、南関東の場合にはやはり首都圏全体が重大な影響が出る危険性がございますので、その辺についても十分な対応、備えあれば憂いなしの体制をつくっていただくように要望いたしておきたいと思います。お忙しいところ、どうもありがとうございました。  ちょっと時間をとってしまったのですが、ワシントン条約に関連をして御質問を申し上げたいと思います。  四月二十二日から五月三日までアルゼンチンのブエノスアイレスで開催される第五回ワシントン条約締約国会議の日本代表団のメンバーは決まりましたか。決まったら御答弁いただきたいと思います。
  105. 瀬崎克己

    ○瀬崎説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の国際会議でございますが、今回はアルゼンチンで開催されるということでございまして、アルゼンチンの斎木大使を団長といたしまして、東京から八名、現地で大使を含めまして四名、合計十二名が参加する予定になっております。
  106. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この前の第四回の会議のメンバーというのは、水産庁、外務省、通産省から三人行かれたそうですけれども課長補佐クラスの方でしょうか。それと比べますと今度の第五回の会議に派遣する代表団のメンバーというのはかなり大型になる。     〔委員長退席、柿澤委員長代理着席〕 そしてまた、別に課長補佐だからどうということはないのですけれども、それぞれの地位の方々が行かれるというふうに承っておりますが、その理由は一体何ですか。
  107. 瀬崎克己

    ○瀬崎説明員 前回の会議はボツワナという非常に不便なところで行われたということもございまして、参加の数は四名ということで非常に少なかったわけでございます。ただ、そういった開催地の物理的な問題は別途といたしまして、日本政府といたしましては、この条約で目指しておりますいわゆる動植物の保護ということを重視いたしまして諸般の措置をとったわけでございますが、今回の会議では、特にこの会議を重視いたしまして、関係省庁に広く御参加を呼びかけまして、関係省庁からも御参加願ったということでございます。したがいまして、会議の参加では従来よりも数が多いわけでございますが、いろいろな問題につきまして、日本政府のとった措置を積極的に御説明すると同時に、また、今後会議でもたらされます問題につきまして、関係省庁の御理解を得て、帰国いたしましてそれを踏まえて今後いろいろ考えていきたいということでございます。
  108. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 先日、私は「ワシントン条約関係省庁連絡会議検討結果報告」というものをちょうだいいたしました。それに関連して一つだけちょっと前もって御質問申し上げておきますが、輸入通関官署の限定の数字が実は出ていませんね。今までたしか二百二十二カ所あったものを、港、空港、郵便局などを含めて三十五カ所に集約するという決定は事実ですか。
  109. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 事実でございます。
  110. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今の輸入通関官署の制限の問題、限定というふうに言っていいのかもしれませんが、それから税関職員の研修の問題、それから私がかねてから強く主張してまいりました輸出国の管理当局の発行する輸出許可書を示さなければ輸入を認めないということなど、大変大きな改革をしていただいたことに、関係各位の御努力に敬意を表したいと思います。いいことは率直に言っていいことでございますから、率直にお礼を申し上げたいと思います。  ただ、私は、揚げ足を取る議論をするつもりはございませんけれども、これだけで第五回の締約国会議で日本政府が関係諸国から感謝されるというわけにはなかなかいかぬだろうと思うのです。特に、この報告をいただいて、私ちょっと苦笑したのですけれども、前文にこう書いてあるのですよ。前文がございまして「今般、昭和六十年四月開催予定の第五回ワシントン条約締約国会議を前にして検討結果を次のとおり取りまとめた。」確かに事実はそのとおりでございますけれども、しかし、これでは余り正直で、間に合わせるためにやったのだというふうに受け取る人もいないではないというふうに思うのです。間に合わせ仕事じゃなくて、日本が積極的にワシントン条約の精神を支えていくという姿勢が必要ではないだろうか。この間、加藤さんとの間に、日本はワシントン条約のフィロソフィーが欠けておるという指摘をした経過からいうならば、やはり問題のあるとらえ方だなと言わざるを得ませんが、この点はいかがですか。
  111. 瀬崎克己

    ○瀬崎説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、確かに第五回締約国会議を目途として今いろいろな措置を考えておるわけでございますが、その背景といたしましては、昨年十月クアラルンプールで開催されましたアジア・太平洋地域におきます専門家会議におきまして、日本政府不在のままに決議案が通ってしまったということでございまして、その際に、第五回締約国会議までに日本政府としていろいろな措置をとってほしいという要望がございまして、それにこたえた形で今回いろいろな措置を考え、また、実施することになったわけでございます。したがいまして、泥縄式に何かやったということではなくて、一応国際的な要望にこたえましてこういった措置を検討したということでございます。
  112. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 泥縄式でなければ結構です。しかし、私はこの前申し上げました。そうおっしゃるならば申し上げたいことがございます。昨年の十月の、今御指摘のクアラルンプールで開かれたワシントン条約アジア・オセアニア地域セミナー、日本は最初は出席しないと言ったのですよ。でも、ぜひ出ていただきたいということで、そして請われて出たわけですね。それは出たことはいいことだと思うのです。しかし、この前申し上げましたように、欠席が目立ちましたね。そして、実はこの決議が行われたときには確かに日本の代表はそこにいませんでした。その決議は、記憶を新たにしていただく意味で申し上げますが、      日本に対する決議  条約の前文に「絶滅のおそれのある野生動植物の種を国際取引による過度の利用から保護するためには国際協力が不可欠」と述べられていることをふまえ、  また、「そのような国際協力は、各また全締約国の基本的かつ根本的義務である」と考え、日本政府が条約の規定および締約国会議で採択された決議に従わず、一貫してこの義務を果していないと認めていることを知っており、  日本が野生生物およびその製品の国際取引における主要な位置をしめていることに心をとめ、  複雑な国内的事情により、しばしば締約国が条約を完全に施行することが困難であることを承知しており、  しかしながら、それらの要因が締約国が一貫して条約の定める義務を果さないことに対する正当な理由とは認められないことをふまえた上で、  ワシントン条約アジア・オセアニア地域セミナーは、日本政府がワシントン条約を効果的に施行するための改善策を至急とることを求め、  条約事務局に、日本政府に対し直接この訴えを伝えるよう要請する。という文章になっています。  ところが、この決議が採択された後、日本の代表が、日本がいないところで決議したのはけしからぬあるいは撤回すべきであるという意見を事務局に伝えています。そればかりではございません。本国の関係者の、私は名前を言いませんけれども、セミナーでそんな決議をするのはけしからぬという発言も行われています。私はこういうことが問題だと思うのです。日本が言いたいことがあるならば、出席して堂々と主張すればいいじゃないですか。それを出席しないでおいて、決議をされたらそういう形でいちゃもんをつけるということであるとすれば、これは日本のワシントン条約に対する態度が問われているというふうに思わざるを得ません。このやりとりというものは、私はきょうは名前を言いません、しかし、重要な反省の必要のあるやりとりであったことだけは申し上げておきたいと思いますが、いかがですか。
  113. 瀬崎克己

    ○瀬崎説明員 私どもといたしましては、クアラルンプールの専門家会議で日本政府が非難されたということは深刻に受けとめている次第でございます。  それから第二点、不在のままで採択されたということにつきましては、私どもとしては若干遺憾に感じておる。これはクアラルンプールの大使館の者が、決議案等、何か文書を採択するのであれば、日本政府としてその立場を十分説明したいということを事前に先方に通告したわけでございますけれども、事務局側からは、全くそういうことは考えていないということを、その文書が採択される二時間ほど前に通告があったわけでございます。したがいまして不在のままにそういう文書が採択されたということでございまして、こういった手続問題については、国際会議の通例といたしまして若干問題があるのじゃないかという指摘をした次第でございます。  ただ、やはりその条約の趣旨に照らしまして、輸出許可書にかえて原産地証明でやっていたというような面は、私どもとして十分反省すべき点がございますので、この点については改めたということでございますので、できる限りそういった国際的な非難をこうむらないように今後は前向きに対応していきたいということでございます。
  114. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この前も私申し上げました、ジャパン・アズ・ナンバーワンと。保留品目が十四品目で世界で一番多い。ほかの国はどんどん減らしているのに日本だけはふえているといういきさつから見て考えれば、そのことの理解をむしろ積極的に国際舞台でなさることの方が重要でございまして、文句を言われたから開き直るという態度は、これはワシントン条約の精神というものを尊重する道筋ではない。こんなことは言うまでもないことだと私は思いますのでそれ以上申しませんけれども、ずっと出席していれば同時にそんなこともなかったはずであります。そういうことも含めて、そのこと自身に対する反省の態度がないとすれば、やはり国際的にひんしゅくを買わざるを得ないことだけは事実であります。この点は私は強調しておきたいものだと思います。  実は私もお目にかかりましたが、去年、エジンバラさんがWWFの会長として中曽根総理とお会いになりまして、その席上で総理が、特別の立法措置が必要ではないかというふうなことを言われた後、罰則規定を含む国内立法を検討するために作業グループをつくるということを発言されていることは知っていますね。これはワシントン条約の関係者にしてみれば、日本は国内立法をしていくのだというふうにお約束してくださったというふうにさえ受け取っている面もあります。     〔柿澤委員長代理退席、福島委員長代理着席〕  そこで私、一つ一つ質問をしていきたいというふうに思っております。  ワシントン条約の第八条には「締約国のとる措置」というふうに書いてありまして、  1 締約国は、この条約を実施するため及びこの条約に違反して行われる標本の取引を防止するため、適当な措置をとる。この措置には、次のことを含む。  (a) 違反に係る標本の取引若しくは所持又はこれらの双方について処罰すること。  (b) 違反に係る標本の没収又はその輸出国への返送に関する規定を設けること。  1 締約国は、1の措置に加え、必要と認めるときは、この条約を適用するためにとられた措置に違反して行われた取引に係る標本の没収の結果負うこととなった費用の国内における求償方法について定めることができる。 以下いろいろありますが、と書いてございます。これは、ワシントン条約を正しく施行し、違法な取引をなくすためには特定の国内法が必要だということを前提にして決められている条文でございます。  そうなりますと、取得、所有、売買、具体的な例を申し上げますと、実はWWFやトラフィックの諸君に集まっていただきまして、私いろいろ聞きまして、また実態を調べさせていただきました。例えば、熱帯魚店でアロワナという附属書Iの商業取引禁止の種が売られている。ペットショップで同じく附属書Iのシロテテナガザルが売られている。現行の輸入貿易管理令及び関税法は輸入業者が判明しないと適用されません。シロテテナガザルを売っていたペットショップのオーナーは、見ず知らずの人から買ったと言って言い逃れているというのです。また、事実、そう言われてしまうと、あとはもう手がない。これが実態だと思いますが、通産省、その点はどうですか。
  115. 奈須俊和

    ○奈須説明員 先生指摘のように、私ども輸入貿易管理令で管理しておりまして、輸入されたその動物が国内で善意の第三者の手に渡った場合には、この法律の範囲はそこまで及ばないということでございます。
  116. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ここには「処罰すること。」というふうに書いてあるわけですから、当然のことながら、適当な措置をとるということの中には処罰を前提にしていろいろなことをやっていただかなければならない。それには取り締まりが必要であります。取り締まりということになりますと、例えばアメリカなどでは、管理当局である内務省の魚類・野生生物局に法執行部というものがあって、専門の捜査官が取り締まりに当たっています。ところが日本では、これはトラフィックが調べたのですが、今申し上げたような違法な取引について捜査をお願いしても、通産省は、今御答弁いただいたように、今の輸入貿易管理令あるいは関税法では事実上手だてがないわけです。そういう状態が続いているということは私は問題だというふうに思うのです。  それだけではございません。例えば、「処罰」ということが載っているわけですけれども、これも、これまで輸入されまして、密輸ですけれども、税関で発覚し、ほとんどの場合はそこで任意放棄しなさいということになるわけですね。これは一つの例でございますが、一九八三年九月七日、成田で、タイから帰国した日本人の手荷物の中からシロテテナガザルを含む十一頭の猿が見つかった。そのうち五頭は既に死んでいた。この場合も任意放棄で済んでしまった。現在トラフィックで知る範囲では、一九八三年十一月七日にシンガポールから帰国した二人の男性が、ウイスキーの瓶に七十四匹のアロワナを隠し持っていた。それは関税法百十条違反、虚偽申告に問われて五十万円の罰金を取られたわけです。これは罰金を取られた唯一の例なんです。ところが、私もよくは知らなかったのですけれども、このアロワナというのは小売価格が一匹三万円から五万円なんです。七十四匹の小売価格は最低でも二百二十二万円であります。発覚しないでうまくいけば大変利益が大きいわけですので、何回も虚偽記載をやっている業者もいる。これが実態なんです。こういう状態というものが現実にあることをぜひ頭に置いていただきたい。さらにつけ加えれば、小売価格に相当する金額を罰金として科するようにしなければ、罰金覚悟でやってしまうという意味もありますので、その点も頭に置いていただきたいと思うのです。  そこでもう一つ、先ほど申し上げた返還に関する規定でございます。第八条四項(b)、没収した国の管理当局は輸出国との協議の後、当該標本を輸出国の負担する費用で輸出国に返送する、つまり輸出した国の費用でそこへ送り返すというのがこの規定なんですが、その後、その実態を踏まえた上で、それだけでは十分でないということで、ボツワナの締約国会議で、一九八三年附属書Iの生きた標本の没収、収容及び返還にかかる費用を業者及び輸送会社に負担させるという決議が採択されているのです。日本の場合、これまでに生きた標本が返送されたケースというのは、日本人の船員が持ち帰ったオランウータン一頭が一九八四年三月にインドネシア政府の負担でインドネシアに返還されたというのが一つだけあるそうです。     〔福島委員長代理退席、委員長着席〕 附属書Ⅱの没収されたものについては業者が飼育及び返送にかかる費用を負担したケースというのは全くないそうであります。しかし、ボツワナの会議で決議をされているわけですから、その業者に返送する費用を負担させるということも必要であります。これも実は法律が必要なんであります。  それから、この条約の締約国のとるべき措置ということの中には、生きた動物を一時的に保護するためのレスキューセンターを規定してございます。十分に世話がされるようなレスキューセンターの基準まで決めてあるわけであります。こういう点も、日本には国内法がございませんから何もないわけであります。  先ほど申し上げた検討結果報告を拝見いたしますと、最後のところの「中長期的課題」の中で「国内法制については、当面の対応策による効果を踏まえつつ、引き続きワシントン条約関係省庁連絡会議において検討する。」と書いてございます。しかし、私は率直に申しますけれども、「当面の対応策による効果を踏まえつつ、」では、今私が一つ一つ指摘したことはどうにもならぬわけです。どうにも手だてがないわけです。「締約国のとる措置」ということの中に明確に規定されている、つまり条約を批准した国はそういう措置をとらなければいかぬというふうになっている条件から考えて、ぜひ国内法の制定を急ぐべきだと私は考えますけれども環境庁長官のその点に関する御答弁をいただきたいと思います。
  117. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 お答えいたします。  まず、先生から御指摘がありましたように、ワシントン条約を実施するための措置はいろいろな種類のものが要請もされるし、また先ほど先生も御引用になりましたように、現在までとってきている方法で直ちに是正すべき分があるということも事実でございまして、その辺を踏まえまして関係省庁が集まりまして対策をいろいろと検討してきたというところは、先生指摘のとおりでございます。  国内法制についてどういうことをやっていくべきか、先生の御指摘の問題も含めましてでございますが、従来いろいろな研究をした上で進んできたものでございますけれども、不十分な点があった。そこで、関係省庁連絡会議におきまして、まずさしあたってできることをということで、通関時のチェック体制の強化等を中心といたしまして当面の対応策をとったわけでございますが、この「効果を踏まえつつ、」ということをベースに置いておりますけれども、引き続き検討ということでございますので、その辺は今後の検討において努力してまいりたいという御答弁をさせていただきたいと思います。
  118. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 検討していくのじゃなしに、条約を批准すれば、この条約の中に書いてある項目の中にとるべき措置が決まっています。つまり、国内法の制定が必要であります。その意味で、条約との関連で必要だとお考えになりますか、それとも必要でないとお考えになりますか。
  119. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 案件によるかと存じますけれども、国内での体制をとれということでございまして、法制を要する事項、行政措置による事項あるいは現行法制を活用する事項と、各種あるかと存じます。
  120. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私が先ほど例示を申し上げたのは、現行法令で十分でないからそれを特筆して申し上げたわけです。それでは問題は済みませんよ、だから国内法の準備をなさることが必要ですよと。とりわけ、中曽根さんがエジンバラさんにも作業グループをつくって検討すると言った意味は、ワシントン条約の精神を前提にしておっしゃっているわけですから、その前提は締約国のとるべき措置ということの中に明らかになっているとおりなんですから、国内法の整備のために多少時間がかかるかもしらぬけれども、これは実現をしてもらわなければ困るのです。だから、国内法が必要だとお考えかどうかと言ったら、必要だとお考えにならなかったらおかしいのじゃないですか。
  121. 石本茂

    ○石本国務大臣 先生の御提言のとおりに、当然国内法の制定は必要だというふうに考えますので、今お言葉がございましたように、時間はちょっとかかるかもわかりませんけれども、その方向に向かって真剣に検討してまいります。
  122. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大変明確な御答弁、やはり大臣でなければだめだと思います。  私は、留保の問題についても減らしていこうじゃないかとこの間申し上げました。一つの例としてジャコウジカのことについて具体的なこともかなりしつこく触れました。国内の状況もありますから、急に全部やってしまえと言っても、業界との関係もあるでしょう、皆さん御苦労なさる。しかし、国際的な目というものは、そんなことはいわば日本の甘えみたいにしかとらないと思うのです。厚生省がお見えになっていらっしゃると思いますから、済みませんが、ジャコウジカの問題について厚生省は-実はこの前通産省を随分批判したわけですが、考えてみたらおたくが担当だそうですから、その辺についてどんな取り組みをなさってきたのか、どうなさろうとしているのか、御答弁をいただきたいと思います。
  123. 大西孝夫

    ○大西説明員 お答えを申し上げます。  ジャコウジカにつきましては、御承知のとおり我が国におきましては小児の五疳薬でございますとか強心薬等、古来から薬に使われておりまして、この薬製造に現在も百八十社ほどのメーカーが参画しておりまして、いずれも零細な企業が多いわけでございます。そういうことで、ワシントン条約の精神は十分理解させていただいているのでありますが、これを、その精神にのっとって直ちに天然のジャコウジカの輸入をストップするということはその方々の死活問題にもなるものですから、私どもとしましては、でき得れば天然のジャコウジカの輸入に頼らないで、かつその古来の医薬品の生産が続けられるような体制が一番望ましいというふうに考えておりまして、現在留保させていただいておりますのは、その体制が整うまで少し時間をかしてほしいという趣旨でございます。  そうは申しましても、人工飼育でありますとか代替物の開発ということにつきましてはもう少し時間がかかるものですから、当面の対策としましては、風邪薬でございますとか滋養強壮薬というように、必須成分ということではなくて従たる成分に使われている分は、これはもう即刻やめましょうということで、本年中には必要な手続をすべて終えて中止にさせるということで、業界とも今準備を進めておるわけでございます。これによってかなりの使用量の削減が可能かと期待しているわけでありますが、さらに小児五疳薬とか強心薬というものにつきましても、でき得る限りの使用量の削減といいますか、必要最小限度の範囲内でその輸入をするということをしばらく続けるつもりでございまして、その間に先ほど申しました代替の手段を何とか確立して、天然ジャコウジカの輸入に頼らなくてもいい体制に持っていきたい、かように考えているわけでございます。
  124. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 何か中国に代表団を派遣したというようなお話を伺いましたが…。
  125. 大西孝夫

    ○大西説明員 業界の方では、人工飼育の問題につきまして、御承知のとおり国内での人工飼育は不可能でございますので、中国において人工飼育を始めておるという情報がございまして、この三月に初めて中国に渡りまして関係者とも接触を持ったようでございますが、今後その方の話し合いの進展も私ども大いに期待しているところでございます。
  126. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いろいろな品目があるわけです。これは長官にお願いしたいのですけれども、ワシントン条約の事務当局が、南米でワニの養殖を行うために日本やイタリア、アメリカ、フランスなどに資金の拠出を要請しています。それで実は全日本爬虫類皮革産業連合会という業界団体が、WWFのJを通して、一万五千ドルですから大した金額じゃないのかもしれませんが、しかしそういう形で業界自身も養殖などについて全力を挙げていくということで取り組んでいるわけです。これは政府が出した国もございます。アメリカなども出していますので、政府もそのことも含めてぜひ考えていただきたいと思うのです。  と申しますのは、この前私、外務省にトカゲの養殖の問題、バングラデシュの問題で御質問を申し上げたことがございますけれども、国際自然保護連合、IUCNには種の保存委員会、SSCというのがありまして、それが例えばワニだとかウミガメだとか、そういうもののスペシャルグループというものをつくっておりまして、世界でも権威のある人たちが、そこで効果的な、世界に認められる人工繁殖事業というものに助言を与えたり指導したりしています。今度フィリピンで無償援助でおやりになるということも聞いていますけれども、こういったところと相談する、そういう御努力をぜひお願いしたいのですけれども、いかがですか。
  127. 石本茂

    ○石本国務大臣 関係各方面と十分に連携を保ちながら、前を向いて努力してまいります。
  128. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もう時間が来てしまって事務局から催促されているからぼつぼつやめますけれども、この養殖というのも本当のことを言うと難しいのです。難しいというのは、技術的な難しさだけではなしに、例えばランキングといいまして、あるいは飼育下で繁殖したものの販売をしてもいい段取りが決まっておりまして、基本世代、第一世代、第二世代、第二世代になってから初めて取引ができるのだという厳しい条件があるわけです。これらのことも頭に置いていただきたい。そうでないとワシントン条約の精神を尊重したことにはならないと私は思います。いろいろな困難があろうと思います。  それから、二十二日からの会議予定されているわけでございますが、願わくは日本政府が今までの経過を反省して、謙虚な態度でこの会議に臨んでいただきたい、そして国際的な信頼をかち取るように努力を願いたい、このことを申し上げまして、予鈴が鳴ってしまいましたから以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
  129. 辻英雄

    辻委員長 この際、休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ――――◇―――――     午後三時二十五分開議
  130. 辻英雄

    辻委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草川昭三君。
  131. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。  きょうは、新幹線の公害訴訟の問題と、それから伊勢湾の埋め立てに関する浄化問題、それから流域下水道の問題の三つを質問させていただきたいと思います。なお、流域下水道の問題は本日とそれからまた次の委員会にまたがって質問をしたい、こう思います。  まず最初に、名古屋に起きました新幹線公害訴訟の控訴審判決が去る四月十二日に行われたことは私どもも承知をしておるところでございますが、まず、きょうも午前中に国鉄の方からの御答弁もあったようでございますが、運輸省の方からこの判決に対する対応についてお伺いをしたい、こう思います。
  132. 廣田良輔

    ○廣田説明員 お答え申し上げます。  判決が先日出たばかりでございますので、その詳しい評価をまだ行っておりませんので一般的な話しか申し上げられませんが、まず、差しとめが棄却されましたことは、新幹線の公共性並びに国鉄の環境保全に対する努力が認められたということであると思っておりますが、一方、損害賠償の請求につきましては、減額されたとはいえそれが認められましたことにつきましては、非常に厳粛に受けとめてまいっておるところでございます。  私どもとしましては、判決のいかんにかかわらず、従来からもその立場でありますが、新幹線に関する環境保全対策につきましては従来にも増して精力的に進めるよう国鉄を指導してまいる所存でございます。
  133. 草川昭三

    ○草川委員 判決がおりましたときに国鉄の総裁は、損害賠償請求についてでございますけれども、国鉄の主張が十分理解されなかった点があるように見受けられるのは残念に思う、こういう言い方でございましたが、ただいま、運輸省としては厳粛にこれを受けとめる、こういうことでございますから、その言葉は今後どのように展開していくのか、非常に私どもも注目するところでございます。減速は認められなかったけれども、いわゆる国鉄の賠償責任というのはこの判決あるいは前回の判決でも認められているわけでございます。新幹線を走行させる限り、これは永久に損害賠償金を支払わなければならないということにも通じていくことになると思うのでございますけれども、国鉄として、新幹線の環境保全対策を今後一層推進をしていかなければいけないと思いますし、あるいはまた住民の方々との和解ということも考えなければいけないと思うのでございますが、その点、国鉄と運輸省それぞれに御意見をお伺いをしたい、こう思います。
  134. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 裁判上の和解ということでございますと、現段階では詳細に検討中でございますので何とも申し上げられないわけでございますが、総裁申し上げておりますように話し合いで解決できるものがあればということで、話し合いを始めるように現在段取りをしております。そういったことで、話し合いによって解決できるものがあればそれによっていきたい、そのように考えております。
  135. 廣田良輔

    ○廣田説明員 先ほども申し上げましたように判決が出たばかりでありますが、いずれにしましても差しとめの方は棄却されましたけれども先生指摘のとおり損害賠償の責任は認められたわけでありますので、大変重大なことであると十分認識しております。  今国鉄からも御答弁がありましたように話し合いの道も開かれつつあるようでございますし、非常に長い経過を経た事柄でございますが、両当事者の間で真剣な話し合いが持たれ、しかるべき解決が図られるということを当面私ども運輸省としては見守りたいと考えております。
  136. 草川昭三

    ○草川委員 今度は環境庁にお伺いをいたします。  新幹線騒音の環境基準と振動の緊急指針の達成期限というのが七月に参ると思っておりますけれども環境庁として発生源対策等でどのように国鉄に指導ができるのか、具体的な方針についてお伺いをしたい、こう思います。
  137. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  御指摘環境基準の達成期限が東海道・山陽新幹線につきましては七月に参りますので、私どもといたしましてはその時点を踏まえまして調査をいたしまして、その調査の結果を見て必要な問題につきましては関係当局の方に申し上げる、こういうような運びになろうかというふうに考えております。
  138. 草川昭三

    ○草川委員 もう少し具体的にお答え願いたいのでございますが、全国で何ポイントぐらいを調査し、あるいはその結果を踏まえていつごろ国鉄に申し入れをするのか、指導をするのか、答弁をしていただきたいと思います。
  139. 林部弘

    ○林部政府委員 新年度の予算で九百数十万円の予算をお認めいただいておりますので、測定ポイントの数としては百ポイントぐらいはできるのじゃないだろうかと思っております。それだけの調査をいたしました後、その結果を取りまとめ、必要な措置について申し上げるということになりますので、二、三カ月ぐらいはお時間をいただかなければいかぬのではないか、一応十月ごろをめどに作業を急ぎたい、こういうふうに考えております。
  140. 草川昭三

    ○草川委員 十月ごろまでの調査結果を踏まえたい、こういうことでございますが、これは仮定の議論をしても始まりませんけれども、その百ポイントぐらいで調査をし、もし基準を達成していないということになった場合、どのような措置をとられるのかお伺いをします。
  141. 林部弘

    ○林部政府委員 これは仮定の議論でございますから今の時点では確たることを申し上げることはできないわけでありますが、新幹線の騒音、振動につきましての対策と申しますのは、発生源対策はもとより、障害防止対策あるいは土地利用対策といったような総合的な対策の組み立てによって対処してまいる、こういうことになるわけでございます。そういうような対策の組み合わせによって少しでも現状が改善されなければなりませんし、環境基準の達成も図らなければいかぬ、こういうことでございますので、いろいろな施策を組み合わせた形で達成を図っていただくように申し入れるといったようなことが行われるのではないかと思っております。
  142. 草川昭三

    ○草川委員 今、総合的な組み合わせが必要だと答弁しておられますが、確かにそうだと思うのですが、その中には減速ということは考えられるのですか、どうですか。
  143. 林部弘

    ○林部政府委員 ずばり申し上げまして、過去十年間法廷で争われてまいりました問題でもございますし、裁判所の判断として、公共性という観点から減速という問題につきましては非常に慎重な判断が示されているというようなことがございますので、全国の環境基準達成のための方策としてそういう事態を考えますと、減速という問題を取り上げる場合にはよほど慎重に考えなければいけないということで、一般的な方策として減速を勧告するということはなかなか難しいのではないかというようにも考えられます。
  144. 草川昭三

    ○草川委員 私がお伺いしたいのは、それも含めてのお話になりますけれども、裁判と切り離して、環境庁の騒音に関する指導という立場で聞いておるわけでございます。仮定の議論ではございますけれども、もしその基準に到達しないということになれば、今回の判決の公共性云々とは別に、環境庁として踏み込む決意があるのかないのかを聞いておるわけです。だから、判決にある公共性云々ではなくて、純粋な立場の騒音指導に減速ということがあり得るのかないのか、今は非常に難しいという御答弁でございましたけれども、判決と切り離しての質問に対してどのように答えられるのか、もう一回お伺いをします。
  145. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  環境基準の達成というのは一名古屋だけの問題ではないわけでございますから、そういうような見地から申しますと、環境基準の達成ということは私ども環境庁の行政の目標ではありますけれども、社会的に非常に影響の大きな問題として法廷で長い間争われてきた、その過程で二度にわたってあのような法廷の判断が下されているということは、やはり非常に重いものとして受けとめざるを得ないだろう。  ただ、私どもの基本的な解決の考え方としては、全国についての環境基準達成ということと、それから、先ほど来運輸省、国鉄の方からも御答弁がございましたが、私は午前中の御答弁の中で、名古屋問題というのは一つの切り口であるというふうに私どもは受けとめておりますというふうにお答えをしたわけであります。そういう意味では、今後当事者同士が、上告をされるのか、あるいは話し合いのテーブルにお着きになるのか、そのような準備も今や整えられつつあるというふうにも伺っておりますから、そういう場の中でそういうような問題がどのように話し合われていくのかということもございますので、私どもは、名古屋問題イコール環境基準達成問題ということではなくて、全国的な環境基準達成の議論というのはやはり総合的な見地から組み立てていく必要があるのではないか。  その場合の選択肢として減速の問題についてどうかというお尋ねに対しては、二度の決定は社会的に非常に重いものとして受けとめざるを得ないということで、一般的な対策の中に減速という問題はそう簡単に取り上げるわけにはいかないのではないか。ただ、現場において当事者がどのように話し合っていかれるのかということについては全く未知数でございますから、その意味においては、私どもとしては判決の重みは重みとしてあるということを現在の時点では申し上げるしかないわけであります。そういうようなことでお答えをしたわけでございます。
  146. 草川昭三

    ○草川委員 環境庁の現在の御心境というのはそれでわかったわけでございますが、環境庁長官にお伺いしたいわけでございます。  訴訟原告団の方々が長官に面会されたときに、長官は、機会を見て現地を訪れて十分に話し合ってみたい、こういうように御答弁をなすっておみえになるようでございます。また局長は、現地を見るならできたら一泊をして、朝あるいは夜間の現状を見るということも必要だというようなニュアンスの御答弁を会見でなすっておみえになるようでございますが、そのように理解していいのかどうか。長官と局長にお伺いしたいと思います。
  147. 石本茂

    ○石本国務大臣 私といたしましては、日程のやりくりをいたしまして、できるだけ早い時期に行きたい、そして、今先生申されましたように夜の状態、朝の状態、そういうものも私なりにしっかり受けとめて帰ってきたいというふうに思っております。
  148. 林部弘

    ○林部政府委員 今大臣から御答弁がございましたので、私から特につけ加えることはないわけでございますが、私は大臣が今お答えになりましたような御意向を体して申し上げたということでございます。
  149. 草川昭三

    ○草川委員 これは環境庁にも国鉄にもお伺いをしたいわけでございますが、今、判決の重みということを受けとめれば減速という問題は非常に軽々しく取り上げるわけにはいかない、こういうことになるわけです。ではどうしたらいいのかということになりますと、当然その他の処置が、さまざまな問題が出てくると思うのですね。防音壁の問題とか技術的な問題とかさまざまな問題も出てくるわけでございますし、あるいはまた一面、別な形で、原告団との間でいろいろな話し合いのテーブルに着かなければいけない、こう思うのです。その場合に、原告団の方からはどういう要求が出るかまだ全くわかりませんけれども、少なくとも国鉄当局としてはどういうつもりでこのテーブルに着かれるのか。テーブルづくりについて合意をしたという当局の真意をこの際お伺いをしておきたい、こう思います。
  150. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 総裁が住民の方とお会いしたときにもお話ししたことでございますけれども、国鉄といたしましては、話し合って解決できるものと解決できないものと両方あると考えております。しかしながら、今回住民の方々から、そういったことは抜きにしてとにかく話し合うことが大事である、こういうふうなお申し出がございましたので、私どもといたしましてもまず話し合うことが大事であるということで、とにかくその話し合いの内容いかんにかかわらずまずテーブルに着こうということで、現在その段取りを行っておるところでございます。
  151. 草川昭三

    ○草川委員 本来ならばどういう問題をどういうように話し合いをするのかお伺いをしたいところでございますが、現在のところそれは具体化していない状況で問題があると思いますので、それはさておきまして、国鉄としては当然のことながら話し合いがうまく進むことを願っておると思うのですね。今環境庁長官もできたら現地へ行きたい、こうおっしゃっておられるわけですが、総裁も現地の生の声を聞くために現地の方においでになる、こういう覚悟があるのかどうかをお伺いしたいと思います。
  152. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 四月十二日に総裁が住民の方々とお会いしたときに、その点についてははっきりお約束をいたしております。現地に出かけまして住民の方々と話し合いをしたいし、また状況を見たい、そのようにはっきり申し上げております。それで、現在行程等につきまして関係者間で調整中でございまして、まだ具体的には決まっておりません。
  153. 草川昭三

    ○草川委員 運輸省の方にお伺いをします。運輸省の方にも住民の方々が、ぜひ大臣も現地の方に来てもらいたいという要望をなすっておみえになるようでございますが、運輸省としては大臣が現地の方に行かれる計画があるのかないのかお伺いをしたいと思います。
  154. 廣田良輔

    ○廣田説明員 昨日、原告団の方々が運輸大臣のところに参られまして、運輸大臣と原告団の方が会われました。その席上で今の先生のお申し越しと同じような趣旨の御要望がありまして、大臣は機会を得てぜひ現地を訪れたいというぐあいに申しております。
  155. 草川昭三

    ○草川委員 それでは、関係者の方々がそういうふうに積極的に現地の方にもおいでになるということでございますから、私としましては、当局あるいは監督官庁である運輸省あるいはまた環境庁それぞれの立場から、法廷外での和解ということが一日も早く進むように、一つの契機でございますからぜひ積極的に進められることを要望して、この国鉄問題を終わりたいと思います。関係者の方、これで結構でございますから御退席を願いたいと思います。  続いて、伊勢湾におきますポートアイランド構想についての環境問題あるいはまた安全性問題を取り上げてみたい、こう思います。  伊勢湾の奥に名古屋港があることは関係者の方々は御存じのとおりだと思いますが、名古屋港における第二ポートアイランド計画というのがあるわけであります。名古屋港の港湾整備に伴いまして発生いたしますところの土砂の処分は、従来埠頭用地あるいは工業用地等の大規模な埋立地への埋立用土として利用をされてきていました。しかし、これらの用地造成も昭和四十年代にはほとんど終わりまして、従来方式では対応ができなくなってきておる。そこで、国の直轄工事といたしまして、土砂の処分場として昭和五十年ころより第一ポートアイランド、これはもう既にほとんど完成をしておるわけでございますが、百十三・九ヘクタールでございますか、かなり膨大な島をつくったわけでございます。まず、この第一次ポートアイランド計画の事業規模あるいは今後の展望等について港湾局の方からお伺いをしたいと思います。
  156. 森平倫生

    ○森平説明員 お答えいたします。  名古屋港の南四区の地先、ここで中部電力と東邦瓦斯が六万五千トン級のLNG船を対象としたドルフィンの桟橋を一バース整備することに対応しまして、エネルギー港湾の事業としてその前面の航路泊地九十ヘクタールをマイナス十四メートルの水深に整備するということにいたしております。  このしゅんせつは、主として自航式のドラッグしゅんせつ船とポンプしゅんせつ船を使用して行うことになるわけでございます。自航ドラッグサクション式のしゅんせつ船によります工事は、しゅんせつ土砂を同船の船倉に収容いたしまして土砂処分場まで運搬するというものでございます。また、ポンプ式しゅんせつ船によります工事は、しゅんせつ土砂を排砂管によりまして排送いたしまして土砂処分場に投棄するものでございます。これらエネルギー港湾の事業といたしまして、このしゅんせつ工事に要する費用は約百七十億円強と見込まれております。  なお、現在土砂処分場の工事を実施しておるわけでございまして、本格的なしゅんせつ工事は六十一年度から実施する予定となっております。企業といたしましては六十四年度に供用いたしたいという意向を有していると私ども聞いておりますので、これに間に合うよう企業の申請に基づきましてしゅんせつ工事を実施することとなると考えております。
  157. 草川昭三

    ○草川委員 ちょっと、私の質問のとおりに答えてもらいたいのですよ。私は、まず第一のポートアイランドから質問をして第二ポートアイランドの質問をするつもりでおるのです。今の答弁は第二ですからね。先走って答弁をしていただくと私の方が質問の仕方をやり直さなければいかぬのでございます。第一ポートアイランドは既に埋め立てをした、まずそれの計画はどうかということを聞きたかったのですが、それはいいです、もう済んだことですから。  では第二に、今御説明がございました第二ポートアイランド構想でございますが、これは次期の港湾整備五カ年計画の中にあるのかどうか、まず、最初からお伺いします。
  158. 森平倫生

    ○森平説明員 現在私ども、港湾整備第六次五カ年計画に基づきまして港湾整備を行っておるわけでございますけれども、この期限が昭和六十年、ことしで切れます。この中に入っております。これで完了するわけではございませんけれども
  159. 草川昭三

    ○草川委員 第六次港湾整備五カ年計画がことしで終わる、その中に入っておる。エネルギー港湾というお話が先ほどございましたけれども、これは企業合理化促進法に基づくいわゆるエネルギー港湾整備、すなわちLNG船の受け入れのための特定港湾施設整備事業、こういうことになると思うのですが、この点も間違いございませんか。
  160. 森平倫生

    ○森平説明員 先生おっしゃるとおりでございます。
  161. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、この申請は、当然のことながら国がやられると思うのでございますけれども、現在公有水面の埋立免許の手続中ではないかと思うのでございますが、これはいわゆる五港建ですか、第五港湾建設局がどこに埋立申請をされるのか、あるいはまた国の費用百七十数億とおっしゃっておられますけれども、これは全額国なのかあるいはまた関連する企業が一部負担をするのか、あるいは負担割合はどの程度か、お伺いをします。
  162. 森平倫生

    ○森平説明員 企業合理化促進法に基づいてこの事業を実施するわけでございますけれども、この事業者、先ほど申しました中部電力あるいは東邦瓦斯でございますが、これは主務省令の定めるところによりまして申請をするということになっております。それを受けまして港湾管理者あるいは国が、それぞれ予算の範囲内で受益者の負担を持ちながら事業を実施するということになっておるわけでございますけれども、ここでは受益者の負担が六割ということになっております。あとの四割が国と地元の港湾管理者ということになっております。
  163. 草川昭三

    ○草川委員 地元の管理者というと愛知県と名古屋市、管理組合ということになると思うのですが、これの事業内容をいま少し、もう一度お伺いをいたします。埋立面積がどの程度になるのか、あるいは泊地というのですけれども、船が着くところが浅いと困るわけでございますからそれを掘るわけでございますが、どの程度の面積か、それからしゅんせつの土量ですね、掘る量はどのくらいになるのかお伺いをします。
  164. 森平倫生

    ○森平説明員 しゅんせつ区域の面積は約九十ヘクタールでございます。そこをマイナス十四メートルまで掘り下げます。これに必要なしゅんせつ土量は約三百七十万立米ということになっております。
  165. 草川昭三

    ○草川委員 この三百七十万立米の土砂をとにかく掘るわけでございますが、それを掘って第二ポートアイランドに自走船あるいは排土管というのですか、パイプで送るということになると思うのですが、事業年度は、年度計画は何年ぐらいでそれをやられることになりますか。
  166. 森平倫生

    ○森平説明員 先ほど申しましたように、既に一部開始しておりますけれども、六十三年度末までに完成させたいと考えております。
  167. 草川昭三

    ○草川委員 今は六十年度ですから、六十三年度末ということになりますとかなり長期間になります。  さてそこで、私がきょう指摘をしたいのは、三百七十万立米を約四年でございますか、非常に長期間かかって掘って、その土を名古屋港のちょうど真ん中のところに埋め立てをするという大規模な工事をやられるわけでございます。  それで、環境庁にちょっとお伺いをいたしますが、この計画があることを環境庁は承知をしておると思うのでございますが、環境庁はこの計画についてどのような意見を述べたのか、まずお伺いをしたいと思います。
  168. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、この埋立計画につきましては、公有水面埋立法に基づきまして運輸大臣から環境庁長官の意見を求められております。その時点が昨年の十月九日のことでございます。一般のほかの例でも同じように、私どもではその計画の内容を慎重に審査いたしまして、環境上の問題がどうであるかということを考える、審査する立場にあるわけでございまして、先生のお尋ねの点につきましては、私どもの意見といたしまして、埋立工事中の水質汚濁防止に十分配慮する、と同時に、工事区域周辺の水質監視に万全を期する必要がある、こういう意見をこの水質問題については申し述べております。それを昨年の十二月二十一日付で回答をいたした次第でございます。
  169. 草川昭三

    ○草川委員 今環境庁の方から、環境問題についての十分な配慮あるいは監視についての対応をしろ、こういうことを言っておみえになる工事でございますね。  それと同じように、今度は海上保安庁の方にお伺いをいたします。これは今からまた少し詳しく説明を求めますけれども、工事については港則法というのがあると思うのでございますが、いわゆる工事件業の許可というのは保安庁の関係になると思うのでございます。その点どのように埋立免許の許可というのですか、埋め立てについての対応をなすっておみえになるのか、お伺いをします。
  170. 玉置佑介

    ○玉置説明員 お答えいたします。  港内におきまして埋立工事が行われる場合には、船舶交通の安全を確保するために、工事件業区域の明示のための標識の設置でございますとかあるいは埋立土砂等の流出を防止する等の措置が必要でございまして、このため、これらの工事につきまして港則法に基づく港長の許可を行う際には、海上保安庁といたしましてもこれらの措置を講じるよう指導しておるところでございます。御指摘の埋立工事につきましても、具体的な状況を踏まえまして所要の措置を講ずるよう指導してまいりたいと考えております。
  171. 草川昭三

    ○草川委員 もう一回運輸省の港湾局の方にお伺いしますが、この公有水面埋立免許はもう許可になったのですかどうですか、お伺いします。
  172. 森平倫生

    ○森平説明員 昭和五十九年の十二月二十五日に埋立承認を得ております。
  173. 草川昭三

    ○草川委員 では、これでもう進むことになると思うのでございますけれども、三百七十万立米の土砂をどのような経路で名古屋港の真ん中にございます第一ポートアイランドの隣、すなわち北部の第二ポートアイランドの方に運ぶのか、搬入経路についてお伺いをしたいと思います。これは港湾局ですね。
  174. 森平倫生

    ○森平説明員 搬入経路は二つございます。先ほど申しましたように、自航式のドラッグサクション船、これは第一ポートアイランドの前面に中央防波堤がございますけれども、そこの前を横切りまして、西側の航路を利用いたしまして土砂を第二ポートアイランドヘ搬入いたします。もう一方の、ポンプしゅんせつ船によります土砂につきましては、航路を横切る形で排砂管を埋設いたしまして、東側の、ただいま申しました第一防波堤の東側に航路がございますけれども、その航路を北上する形で排砂管を施設いたしまして第二ポートアイランドヘ搬送いたします。
  175. 草川昭三

    ○草川委員 これで明らかになったわけでございますけれども、名古屋港に入る第一航路、外航船の通路を横断をする、しかも排砂管は、埋設をする、海の中に埋めるわけですね。非常に外航船、内航船さまざまな船が通るわけですが、それを横断するということが私の本来指摘したい点でございます。非常に危険ではないか、こういうことですね。  そこで、この名古屋港に年間第一航路を通航する船舶量は何隻あるか、お伺いをしたいと思います。
  176. 森平倫生

    ○森平説明員 年間の数につきましては今直ちに持っておりませんけれども、一日大体二百六十隻から七十隻という数に上っております。
  177. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひ、この第一航路を通過する船舶量を、後で結構でございますから教えていただきたいわけでございますが、入港、出港、今のお話だと一日に約二百六十隻、これは私ども、年間の入港船舶数しか五十八年、五十九年の実績を持っておりませんけれども、年間四万九千二百七十一隻が入港の実績であります。当然のことながら、これは戻るということになります。五万トン以上の船が随分――これは管理組合が発表いたしておりますトン数でございますが、五十八年でも五万トン以上が年間二百八十八隻、三万トンでは四百六十二隻、こういうふうに大型船が非常に出入りするわけでございますし、たまたまポートアイランドの防潮堤の南の方に、私も名古屋港に長い間関連をいたしておりますから承知をしておりますけれども、いわゆる沖待ちの船が非常に大量に、いつも数十隻待機をしておるわけであります。そこを排砂管が横断をするということになりますけれども、本当に横断できるのかどうか、三百七十万立米のものを運ぶという場合に。  しかも排砂管というのは、いわゆる土をパイプの中に入れて、高圧をかけて土砂を非常に長く送るということになるわけでございますが、技術的にそれは極めて安全なのか。私の質問は、長期間にわたって高圧で土砂を送るということになれば、当然のことながら修理もしなければいけない、あるいはジョイントのところが高圧に耐え得るかどうか、あるいは水面の下の、海底から何メーター下へ掘ってその排砂管を据えつけるのか。それが、一日二百六十隻も通航するところをとめながらやることができるのかどうか、自信があるのかないのか、お伺いしたいと思います。
  178. 森平倫生

    ○森平説明員 お答えいたします。  三百七十万立米の土砂を第二ポートアイランド、へ入れるわけでございますけれども、先ほど申しましたように、このうちの百万立米、これは自航式ドラッグサクション船で運びますので、今先生のおっしゃいました排砂管による、ポンプしゅんせつ船による土砂の運搬、これは二百七十万立米程度になろうかと思います。この排砂管が一日に二百六十隻を超える船が通航する航路を横切るわけでございます。この六十一年度に、この航路を横断して排砂管を施設しようというふうに考えているところでございますけれども、航行船舶の安全を確保するという観点から、施設の施工方法を含めまして検討をいたしますとともに、今後実施に当たりまして港長等と十分協議をすることにいたしておりますので、私どもとしては、船舶航行の安全を確保するという観点から十分意を払って工事を実施してまいりたい、かように存じている次第でございます。
  179. 草川昭三

    ○草川委員 今、私の質問にまだ全部答えていただいておりませんが、伊勢湾でこういうことが過去にあったというのですがね。これは名前を挙げては悪いのですが、私どもの同僚の市会議員が、かつて、今の新日鉄でございますけれども、南の四区でございますか、あるいは南の二区ですか、ここで埋め立てをやっておるときに、エアが入って海底に埋めてある排砂管が飛び上がってくるというのですね。急に浮上するというわけですね。非常に危険な状況を本人が目の前に見ておるというので、非常に危険ではないかというので地元の市議会でこの問題を取り上げまして、航路を横断する工事は非常に危ないから工法について見直すべきではないだろうか、海底より何メーター下に埋設をするのか、それもぜひ中央で聞いてきてもらいたい、こういう要望もありまして私、今質問をしておるわけでございますが、かつて排砂管が急浮上して飛び上がった例があるということを港湾局は承知をしておるかどうか、それから海底の下に何メーターの深さで埋設をするのか、お伺いしたいと思います。
  180. 森平倫生

    ○森平説明員 先生今御指摘の排砂管が急浮上したということでございますけれども、私どもが実施しております直轄事業におきまして、排砂管が飛び上がったという例は全くございません。ただし、先ほど先生指摘の新日鉄ですか、伊勢湾でそういう事実関係があったということにつきましては私どもも聞いております。その原因等について調査しているところでございまして、私どもは、そういうことが起こらないように港湾工事安全施工指針というものをつくっておりまして、この排砂管の浮上の原因といたしましては、排砂管の中にございます空気、これが圧力をかけることによりまして悪影響を及ぼすということによるわけでございますので、運転の前でありますとかあるいは休止時に、空気抜きのバルブを厳密に点検をいたしまして、異状のないことを確かめて工事を実施するというふうに、万全を期すように指導をしているところでございます。  それと、第二点の埋設の厚さでございますけれども、私どもこれから名古屋の工事につきましてはどのようにするか関係方面とも連絡を密にしながら検討したいと考えておりますけれども、大体他のところで行っております排砂管の埋設は大きいところで土かぶりが一メートルから二メートル、あるいは必要のないところがございますけれども、そういったところは船の航行の安全に支障のない範囲内で海底を掘りましてそこにパイプを敷設する、埋設じゃなくて敷設をするというふうな措置をとっております。
  181. 草川昭三

    ○草川委員 私は海底から三メーター下に掘るというふうに聞いておったのでありますけれども、今は一メーターから二メーター。海底から一メーターから二メーターぐらいのところにパイプを、排砂管というのか、砂を送り出すものを入れるわけでございますが、その程度なら余計に、事故があった場合、例えばエアが入ったときに急浮上することだってあり得るのではないだろうか、こういう心配がありますね。同時に、一日に二百六十隻から二百七、八十隻通航するのをとめてそのパイプをやることができるかどうか。三百メーターぐらいでしょう、航路幅というのは。三百五十メーターですか、非常に幅が狭いのですよ。その幅の狭い通路にラッシュのごとくダンプカーが往復をするわけですよ、陸上で言うならば。それをちょっと待ってくれと言って海底を三メーターぐらい掘って、それでパイプを敷いて、また穴埋めをするという仮設工事ですか、その工事自体ができるのかどうかが非常に心配ですね。これがまず一つあると思うのです。  それからもう一つは、今私が申し上げましたように、南の四区というところでございますか、そこから航路を横断するところに沖待ちというのですか、荷役を待つ船がいつも十数隻いるわけですけれども、船ですから当然のことながらアンカーを張るわけですね。そのアンカーというのは砂の中に潜っていくわけですから、どこでどのように排砂管にひっかかるかもわからぬということは十分予想されるわけです、非常に狭い港でありますから。これが第二番目。  それから第三番目に、ただいまのところまだ答弁はございませんけれども、私の聞き方が悪かったのですが、排砂管というのは非常に長い距離を走るわけですね。これは何キロになるかわかりませんから、五キロから六キロだと思いますがこれは改めて答弁していただきたいのですが、掘った土を第二ポートアイランドまで航路を横断して持っていくのに非常に長い距離がかかりますから、当然のことながら圧力を、ポンプアップというのですか、専門用語で言うと中継ポンプと言うのでしょうけれども、そういうポンプ船を一台真ん中に置いて、圧力を加え直して持っていかないと埋め立てのところまで行きませんね。当然のことながらその船にも同じようにアンカーを張る、チェーンを張らなければなりません。それが航路にぶつかるのではないか。あるいは、航路にぶつからないところに張ったといたしましても沖待ちの船と接触する危険がある。しかも、この名古屋港には高潮防潮堤という大きな堤防がございまして、その堤防のところが目いっぱい第一航路になっているわけですから、その第一航路ぎりぎりのところに排砂管を埋設しなければならぬことも地図の上からは明らかなんですね。非常に危険な状況になるのでございますが、その点、海上保安庁の方は今私が申し上げた点を御承知なすっておみえになるのか、あるいはまた、申請が出ていないので今後対応されるのか。今私が申し上げた問題点についてどのような感じを持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  182. 玉置佑介

    ○玉置説明員 お答えいたします。  今先生が御指摘になりましたまず第二点目のアンカーの問題でございますが、排砂管の埋設によって船舶交通の安全に問題が生じないようにする必要があるわけでございます。このため、海上保安庁といたしましても錨泊地を避けて排砂管を敷設するように指導いたしますほか、船舶関係者への周知あるいは排砂管の十分な埋設及び位置の標示等の措置を講ずるよう今後指導していきたいと考えております。  それから第一点目と第三点目でございますが、具体的にどのような方法で工事を施工するか、まだ私ども十分聞いておる段階ではございませんので、具体的な計画が出てきました段階で船舶交通の安全を確保しつつ工事を施工するやり方につきまして十分検討していきたいと考えております。
  183. 草川昭三

    ○草川委員 運輸省の方で距離の長さを答弁してください。
  184. 森平倫生

    ○森平説明員 排送距離でございますけれども、約八千メートル強ございます。先ほど先生、真ん中あたりに圧力を増す装置が要るのではないかという御指摘でございますけれども、大体四キロに一カ所、これは専門用語で申しますとブースターと言っておりますけれども、それをつければ十分に排送が可能でございます。
  185. 草川昭三

    ○草川委員 そういうことになりますと、途中の中継の圧力を加えるブースターを四キロに一カ所、すなわち八キロですから一カ所になるのか二カ所になるのかわかりませんけれども、その分だけ港が狭くなるわけでございまして、第一航路を通る船舶約二百六十隻というものの安全は非常に不安定な要因、いわゆる災害ポテンシャルは増大をすることになります。ですから私どもは、安全対策というのはポテンシャルを除去するところに本質的な問題があるわけです。何もポテンシャルをたくさんふやす工事をしなくてもいいのではないか、もっとほかのことを考えることが必要ではないのか、こう思います。  それから環境庁に、先ほど水質汚濁についての十分な配慮が必要だということを言っておるわけでございますが、三メーターなり二メーターなり海底を掘るわけですから、何で掘るか知りませんけれども、当然その場合に汚濁が出てまいりますね。これは事前にお伺いをしたわけでございますけれども、かつてさる港で、やはり掘る場合に非常に港が汚れるために沈降剤という薬剤を散布するのだそうですね。アクリルアミド系というのですか、そういう沈降剤をまくのだそうです。私ども当然のことながら、沈降剤をまきますと二次公害を心配するわけであります。特に私が本来これを持ち上げてまいりました最大の理由は、南五区の南の方にはたくさんのノリ漁場があるわけでありまして、私どもの選挙区でもあります。でありますから、二次公害のおそれもノリ業者は心配をすることになりますが、今回もこの工事では沈降剤をまくのかどうか、港湾局にお伺いをしたいと思います。
  186. 森平倫生

    ○森平説明員 沈降剤をまくかどうかにつきましては、これから検討しようとしているところでございます。ただ、当該工事におきましていろいろな安全対策をするわけでございますけれども、私どもといたしましては埋立地内にまず沈殿池をつくりまして、そこで浮遊粒子を沈降させる。また余水吐きを設置いたしまして、埋立地内の上水、澄んだ水でございますけれども、この上水を排水する。また、その余水吐きの前面には汚濁防止膜、これを設置いたしまして、浮遊粒子の流出を防止する、またさらに、工事中は水質の監視点を設けまして汚濁を監視することによりまして、異常が認められた場合には、工事工程の再検討、あるいは場合によりますれば、その沈降剤の使用の検討を行うということになろうかと考えております。
  187. 草川昭三

    ○草川委員 最終的に、その砂を埋める場所で沈降剤をまく場合、それから私が今問題提起をいたしました埋設工事のためにまく場合、やってみなければわからぬと思いますけれども、やり方によっては伊勢湾全体の二次公害が発生することにもなりかねません。特にあそこは、漁場ではございませんが、魚を釣る方も最近随分ふえてまいりまして、市民の方々の愛好の釣り場にもなっているわけでございまして、私はそういう点では非常に心配をする者の一人でございます。  これは海上保安庁にもう一回要望として聞いていただきたいのでありますが、まだ細かい港則法に基づく許可は出していないと思いますし、保安庁の方もまだ検討なすっておみえにならぬと思うのでございますが、何回か申し上げますように、工法とかやり方を考え直す。八キロにわたる排砂管を埋設しなければならない理由は一体どこにあるのか。また、この問題については私どもいずれフォローアップをしていくつもりでございますけれども、十分、船舶の航行の安全ということを前提に、しかも第一航路といいますのはほとんどの内航船、外航船の大型船舶が通るところでございますし、名古屋港というのは非常に重要な港でもあります。その港で不安全な行為をするということは国際的にも問題が出てくることでございますので、十分な対応を考えていただきながらこの工事の許可を与えていただきたいというように思うわけでありますし、私もこの港に長い間かかわってきておりますから、名古屋港の現状というのは十分承知をしておるつもりでございますから、今私が問題提起をしたことを港湾局の方も十分考えていただいて、工法の選定については、とにかく安全ということを前提に取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  これでこの問題は終わりまして、本来はここで流域下水道の質問に入らなければいけないのでありますが、時間が来てしまいましたので、きょうはこの程度で終わりたいと思います。  それで、先ほど申し上げましたように、港の汚濁ということについて環境庁も責任を持って答申に署名をなすっておみえになるわけでございますから、先ほどの局長の答弁が遵守されるように、十分環境庁長官は港湾汚濁についてのフォローアップをお願いしたいということを申し上げまして、時間が来ましたので以上で終わりたいと思います。
  188. 辻英雄

    辻委員長 中井洽君。
  189. 中井洽

    ○中井委員 私も同じく、過般出されました新幹線騒音公害訴訟の判決について、重複の部分もあるかもしれませんが、党という立場もございますのでお許しをいただいて、国鉄あるいは運輸省等にお尋ねをいたします。  まず最初に、今回出されました判決を国鉄並びに運輸省は大体どういうニュアンスでお受けとめになっていらっしゃるのか。また、この判決をもとに、騒音、振動あるいは患者さんに対してそれぞれどういう対応策を今後講じられようとしておるのか、御説明をいただきます。
  190. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 今回の判決につきましては、差しとめ請求が棄却されたということについては、私どもの日ごろの主張をお認めいただいたということで非常にうれしく思っております。一方、損害賠償の面につきましては、一審、二審を通じまして賠償の責任ありという裁決でございますので、その結果は非常に重く、十分に認識しておるつもりでおります。まだ詳細は検討中でございますけれども、損害賠償の内容につきまして一部まだよくわからない点がございますので、もう少し時間をかけて詳しく検討してみたいと考えております。  それから、今後の対策でございますが、従来からも東海道・山陽両新幹線の全線にわたりまして、工事費で申し上げまして千三百六十億の巨額の音源対策ないし障害防止対策を講じてきておりますが、その結果として、ある一応の成果は得たものと考えておりますし、判決でもそのような評価がなされております。なお十分でない点もございますので、今後とも、技術開発を含め、さらに立派な環境ができ上がるように努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  191. 廣田良輔

    ○廣田説明員 運輸省といたしましても、先ほど国鉄から御答弁がございましたように、差しとめ請求は棄却されましたが、損害賠償につきましては、減額されたとはいえ認められたわけでございますので、この事実を厳粛に受けとめております。  今後の進め方につきましては、これは従来からも同様でございますが、この判決は判決といたしまして、例えば、国鉄財政が非常に苦しい中、設備投資も抑制はしておりますが、この対策についての投資については重点的に配分するなど、早急に新幹線の環境汚染対策が実現されますよう極力国鉄を指導していく所存でございます。
  192. 中井洽

    ○中井委員 これも重複になるかもしれませんが、ほぼ国鉄側はこの判決を受け入れていく方向、このように考えてよろしゅうございますか。
  193. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 先ほどもお答えいたしましたが、現在法律家によって詳細検討中でございますので、まだ結論を出すに至っておりません。
  194. 中井洽

    ○中井委員 環境庁にお尋ねをいたします。  環境庁は、昭和五十年に「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」というものを出されております。これは、言うまでもなく、二つの地域に分けて、住宅地域は七十ホン以下、商業地域は七十五ホン以下、こういう基準をつくり、そして達成目標期間というものを設けておられるわけであります。しかし、今回の出されました判決では、準商業地域だということで、私も判決を詳しく読んでいるわけではありませんが、中間値というのですか、七十三ホン、こういう数値を取り上げて、これでもって損害賠償の基準に裁判所はなさって、いるわけであります。こういう数値自体を環境庁はどういうふうに御判断をなさっておるか、あるいはこういう形で環境基準そのものが損害賠償の基準となっていく、こういった方向というものをどのように受けとめておられるか、お考えをお聞かせいただきます。
  195. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  率直に申し上げまして、まだ内容を検討し尽くしたというふうには少し間がございます。今先生指摘の準商業地域というのですが、私どもの分類にはそういうところはないわけでございまして、裁判所が地域性ということについて独自の御判断を下された、この地域は私どもの分類ではⅠ類型、Ⅱ類型に相当するところがかなり入り乱れているような地域でございますから、その点につきましては、判決について見ました限り、まだ十分検討はしておりませんけれども、その地域について裁判所が独自の御判断をされたというふうに受けとめております。  それから、環境基準との関係につきましては、環境基準というのは、これは別に受忍限度を想定してつくっているものでないということは先生御案内のとおりでございますから、その辺の問題については、実はまだ今日の段階では十分に検討がされておりませんので、その辺のところはきょうの段階ではまだ正確にお答えはできません。ただ、裁判所はあくまで一人一人の原告の方の被害というものを判断するに当たって、総合的な見地からああいうような御判断をされたという理解に現在の段階ではとどまっているというふうに申し上げることしか、今の段階ではまだ申し上げられません。
  196. 中井洽

    ○中井委員 今の段階での御判断で結構です。私もお教えをいただきたいわけでありますが、環境基準と受忍限度というものが一緒になってこういう判決が出されたというような感じが一見するとあるわけであります。しかし、環境庁の出されました環境基準というものは、達成目標期間というものを置いているわけですね。そうすると、これからまだもう少し先でもいいよ、それまでに達成しなさいよ、こういう形で既設の路線については出してあります。しかしそれに対して判決の方は、これが限度ですよ、これを今まで超えてきた分については国鉄さん損害賠償を払う義務がありますよ、こういう判決を出されているような感じがするわけです。  そうしますと、ちょっと何か私どもも、この環境庁の期間というものの置き方、何かこの間はだめだけれどもお金払えばいいんだよというような、逆にとればとれるような発想も出てくるんじゃないか、こんなことをこの判決をざっと読みながらちょっと思ったわけでありますが、そういう点について環境庁いかが御判断なさいますか。
  197. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  今先生おっしゃる期間とのかかわりがどうなるのかというあたりは、まだ今はっきりお答えできる状況にございません。  ただ、先ほども申しましたように、判決の中では、私ども環境基準あるいは振動の指針値についておおむね妥当なものであるというふうに評価をされておられるような記述が、一審にも二審にもあるようでございます。そういうところを見ますと、これは、先ほどもお答えをいたしましたが、そういう損害賠償というものの額を裁判所のお立場で判断する場合に、やはり独自の立場で総合的に判断をされてああいう形のものをお出しになったということではないか。特に先ほど先生が御指摘になったあたりなどは、何遍読み返してみても、率直に申し上げましてよくわからないところがございます。
  198. 中井洽

    ○中井委員 それでは、こういう観点から聞いてどうなのか僕もわかりませんが、国鉄や運輸省の方々は、こういう準商業地域、七十三ホン、騒音でいくならそういう形で切られて、これを超えてきた分について国鉄は損害賠償をする義務がありますよと判決が出たわけですね。そうすると、今の東海道・山陽新幹線あるいは東北・上越新幹線の中で、そういう地域あるいはそういう戸数というものはどのぐらいの範囲になるか、計算をなすっていらっしゃいますか。わかっているのでしたら、大体このくらいの区域がかかる、どれくらいの金額になるという形でお示しをいただければありがたいと思います。
  199. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 現在七十五ホン対策ということで対策を講じておる対象家屋は約四万戸でございます。判決の中に七十二ホンという値がございましたけれども、そのものずばりでなくて恐縮でございますが、七十五ホンということで約四万戸ということでございます。
  200. 中井洽

    ○中井委員 現時点の判断で結構でございますけれども、国鉄さんは、環境庁なら環境庁の達成目標期間という形で七十五ホン対策で四万戸に対して騒音対策をやっていらっしゃる。しかし、万一この判決を受け入れられて損害賠償をお払いになった場合に、今現在七十五ホン以上の騒音に悩まされている人たちが、それじゃ国鉄さん今までの分払ってください、こうなったときに、やはり払うことになるのでしょうかと、こういう質問なんです。仮定の話で恐縮です。
  201. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 私どもの解釈では、名古屋の当該の七キロ区間における列車の走行条件、それからその被害状況との比較考量の上にあの値が示されたと考えておりますので、その他の区間についてはまだ別問題であると、そのように考えております。
  202. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、東海道・山陽新幹線でそういう地域はどのぐらいあるのかわかりませんけれども、東北・上越等新しくできたところも含めて、国鉄としてはこの期間内に誠心誠意七十五ホンあるいは七十ホンという対策をやっていけば、ほとんど話し合いで、あるいはこういう争いなしで解決ができる、このようにお考えになっているということでしょうか。
  203. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 今先生のおっしゃったような趣旨で考えております。
  204. 中井洽

    ○中井委員 国鉄には、そうすると新幹線関係には現在もう八十ホン以上の地域というのは測定をされていないわけですね。
  205. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 東海道・山陽につきましては、今まで八十五ホン対策、八十ホン対策、七十五ホン対策と三段階に分けて実施してまいりましたので、現在七十五ホン対策で一部まだ未完了の区域がございますが、八十ホン以上のものについてはすべて措置を終えております。
  206. 中井洽

    ○中井委員 現在までには千三百六十億円お金をかけられた、こういう話でありますが、これらの対策、いわゆる七十五ホンあるいは七十ホン対策というものが既設の新幹線に関して全部行われるまでにどのぐらいのお金がかかる予定ですか。それと、どのくらいの期間がかかる予定ですか。
  207. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 今お話ししましたように、七十五ホン対策についてはあと数十億の投資で解決できるのではないかと考えておりますが、今後の七十ホン対策ということになりますと、現在の技術開発を含め、まだいろいろ不確定なところがございますので、工事費についてはまだ算出をいたしておりません。
  208. 中井洽

    ○中井委員 環境庁は、この五十年に出された環境基準の達成目標期間、七十ホンを超えて七十五ホン以下の区域を開業してから五年以内に環境基準の数値にしなさいという設定が、今の状態でいって達成されるとお考えですか。
  209. 林部弘

    ○林部政府委員 御案内のように、期限が七月に来るということになっておるわけでございますが、今まだ、最終の段階で国鉄当局がどのような技術の組み合わせをもって努力をされていくかという段階に差しかかっている状況でございますので、現在の時点での見込みというようなことで、私どもは今の段階で達成できるとかできないとかいうことは申し上げておりません。  今の私どもの考えとしては、達成期限を踏まえて、新年度の予算で九百数十億の予算を取っておりますので、その予算をもって東海道・山陽新幹線の沿線地域百ポイント程度について調査いたしまして、その結果に基づいて必要な措置について申し上げるという予定にしておるところでございます。
  210. 中井洽

    ○中井委員 私個人としては、ほとんど通勤のように新幹線を利用させていただいております。大変便利でありがたいと考えております。     〔委員長退席、柿澤委員長代理着席〕 しかもこういう大変な、裁判でも認められた公共の用に立っておるものが、騒音公害あるいは振動公害といったものをうまくクリアをして国民の利用にさらに有効性を添えていただく、こういったことを熱望するものであります。私どもも、誘致する場合につくれつくればかり言って、騒音公害等国鉄にとっては余り利益を生み出さない問題については触れない、お互い悪い癖もあるわけでありますが、そういったことの反省も含めながら、国鉄当局あるいは運輸省側が一刻も早く騒音対策をとられて、この新幹線が利用者にとってもあるいは沿線の人たちにとっても歓迎されるもの、こういうふうになるよう御努力をいただきたいと考えております。運輸省の御意見を最後にもう一度だけ聞きます。
  211. 廣田良輔

    ○廣田説明員 先ほどから申し上げておりますように、減速という差しとめ請求は棄却されたものの、一部とはいえ損害賠償の義務があるという御判決でございますから、この御判決は非常に厳粛に受けとめておるわけでございます。  したがいまして、一朝一夕には解決できない問題かと思いますが、国鉄の方も精力的な技術開発を複数にわたって進めておりますので、可及的速やかにその対策が具体化し、一刻も早く沿線の方々が安心して暮らせるようにしてほしいということで、国鉄をさらに強力に指導する所存でございます。
  212. 中井洽

    ○中井委員 それじゃ国鉄問題、新幹線の騒音公害問題はこれで終わります。  次に移らせていただきます。  昨今の日米経済摩擦あるいは対外貿易摩擦問題に端を発しまして、政府はいろんな対応策をおとりになっていらっしゃいます。これについてはまだ別の委員会で論じることでありますが、この中で、昨今各省庁で、いろいろな規制を緩和して民間活力を導入することによって、日本の経済を活性化をしてひいては内需を拡大し、そのことによって貿易摩擦を少しでも減らしていく、こういう発想の議論が盛んに行われているように私どもは聞いております。  私どもの党も、もともとびほう策的な外国製品の買い入れあるいは一時的な糊塗ということではなしに、もっともっと国内景気を拡大をすればいい、このように主張し続けてきたことでありますから、内需拡大政策ということについては大いに賛成であります。また、行政改革という面から考えましても、意味のない規制あるいは二重、三重に網を打ってある重なり合った規制、そういったものは思い切って見直して、身軽に民間活力を生み出していく方法を考えればいい、このようにも主張してまいりました。そういう意味では、こういう政府あるいは各省庁間のいろいろな話し合いに大変期待をするものでございます。  しかし、環境という面に関しますとなかなか難しいものがございます。私、二年ほど前でしたか三年ほど前でしたか、この委員会で簡単に質問したことがあるわけでありますが、当時、レーガン・アメリカ大統領は、景気対策の一環として三十幾つの公害規制を一遍に撤廃をする、こういうことを実行なさったことがあるわけでございます。いつも申し上げることですが、環境行政を科学技術の進歩に基づいて適宜直していくというのは私どもは賛成でありますが、こういう民間活力を生むというような形の中で、どさくさに紛れて環境公害規制というものが見直される、こういったことがあってはならない、こんなふうにも考えているわけでありますが、このような話し合いなり会合なりあるいはお考えなりが政府間で持たれたことがあるのか、あるいは現在お持ちになっておられるのか、そういった点についてお尋ねをいたします。
  213. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 民間活力の推進につきましては、政府部内で二つのところで現在検討が進められておりまして、一つは、河本特命相のもとの部屋でいろいろ勉強をしております。もう一つは、ただいま先生がおっしゃいました臨時行政改革推進審議会におきまして、特別に分科会を設けていろいろ勉強が進められております。  ただ、これらにつきましては、主として経済的な規制の緩和を中心にいろいろ議論が進められておりまして、いわば社会的規制でございます環境保全の規制の緩和というものについて具体的に話題になっているということではないように私ども承知しておりますし、私どもにもそういうアプローチはございません。
  214. 中井洽

    ○中井委員 三月二十七日付の日経新聞に、アメリカ議会予算局の「環境規制と経済効果」という報告書の一文が載っております。私も新聞の切り抜きだけしかわかりませんのでどのような形でお答えをいただくかわかりませんが、アメリカと日本の産業間の競争力の格差の一因というものは、公害規制に対する日本の運用面での柔軟性あるいはここ数年間の公害技術あるいは公害防止に対する投資額の絶対量の違い、こういったものにあるんだ、こう述べていると報じられているわけであります。これについて環境庁の所見をお尋ねをいたします。
  215. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 私ども仰せの記事を拝見いたしまして、早速どういうものかにつきまして取り寄せ方を依頼しておきました。ごく最近手に入りまして、実は二百ページそこそこのものでございまして、全体はまだ目を通し切れておりませんが、これは、米国の議会予算局の「環境規制と経済効率」というタイトルのいわば研究のようなものの報告書でございます。  それによりますと、今仰せのとおりの記事がレジュメとして日本経済新聞に載っておりましたが、私どもちょっと目を通した限りにおきましても、日本の環境規制の現状につきましてやや不正解あるいは誤解に基づくような記事等もございまして、現在チェックをしておるところでございまして、実はとりあえずのところ在米の日本大使館からも、こういう点は違ってますよということは何かインフォームをしたというようなことになっておるようでございます。  なお、公害投資の数字等につきましては、数字自体はともかくといたしまして、おっしゃるような傾向に日本ではあるように思いますが、それはそれなりの原因がございまして、一つは、全般的に公害防止投資が一巡しておるということもございます。それから、大規模の公害防止投資を必要とする業種の投資が比較的不活発になっておりますので、それでウエートが落ちておるというようなことであろうと推定をいたしておりまして、決して公害防止投資に対する意欲あるいは必要性を認めないで下がっておるということではないというふうに考えております。
  216. 中井洽

    ○中井委員 私どもアメリカとのいろいろな話し合いやあるいは議員間同士の交流の場におきましても、言葉も違いますし風習も違いますから、当然意見の相違なり誤解があることは承知をしておりますけれども、余りにも短絡的な議論あるいは決めつけ、こういったものにしばしばあ不快の念を実は抱くわけでございます。  十年ぐらい前の日本の環境のあり方であるならば、あるいはいろいろ言われる面もあったかもしれませんが、逆に、私どもは今世界の中で一番環境行政をきちっとやってきておると判断をいたしております。また、狭い国土に一億数千万の国民がおって大変活発な経済活動をやっているがゆえに大変厳しい規制も行われておるし、それに対する技術進歩もかなりのものがある、このように私どもはひそかにプライドも持っておるわけでありまして、これは環境庁方々も本当にそのようにお思いになっておる。それをアメリカから、適当に手抜きでやっておるとか公害防止に対する投資が少ないとか、そういうことでもって製品競争に日本は勝っておるのだ、こういう難癖をつけられておるのは大変不愉快だ、こういうように思うのであります。  過般この委員会で、逆に中国やらヨーロッパやら韓国やら、そういうところにもっと公害投資をせいということを言いなさいということを僕は申し上げたところであります。アメリカがそういうことを本当に思っておるならば、これは徹底的に訂正をいただきたい、こういったことをお願いをしたいと思いますが、大臣、いかがでございますか。
  217. 石本茂

    ○石本国務大臣 先生が申してくださいましたように、私どもは、環境の問題につきましては、先進国といいますかどう言いますかわかりませんが、決して劣るものではないという誇りは持っておるつもりでございますが、あれこれ問題もまだたくさんあるものでございますから、それらにつきましては、今後一層公害防止施策ということで頑張ってまいらなければいけない、そのためにいろいろとまた先生方の御指導、御鞭撻を賜りたいというふうに考えております。
  218. 中井洽

    ○中井委員 違っている点あるいは誤解のある点、認識不足の点を、環境庁からでもいいし外務省を通じてでもいいですが、きちっとアメリカへ訂正を申し入れていただけますか。
  219. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 ただいまその報告書に目を通しておるところでございますので、事実に基づきまして言うべきことは言い、的確な理解を求めるように努力をいたしたいと思っております。
  220. 中井洽

    ○中井委員 それでは、次の問題で大臣にお尋ねをいたします。  私も知りませんで、人に言われて気がついたわけでございますが、過般、四月の初め、環境庁長官は、私の郷里の三重県知事を含めて十ほどの県の知事さんと、環境問題について、環境行政について御懇談をなすった、このように報じられております。初めてのことのように承知をいたします。特定の問題でお集めになったことは何回かおありかもしれませんが、環境行政全般で御懇談をなさるというのは初めてのことだと思います。どういう御趣旨で、あるいはまたどういう選択でこの十県の知事さんを、まあそういったことも含めてお答えをちょうだいいたします。
  221. 石本茂

    ○石本国務大臣 今先生からお言葉がありましたように、初めて十の県の知事さんがお集まりくださいまして、それぞれの持っておられます問題とか、また、私どもの方で御理解いただきたいことなどを話し合ったわけでございますが、残念なことに私は小一時間の時間も割くことができませんでしたので、この問題についてよく承知をしておられます局長の方からお答えさせていただきます。
  222. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 大臣と知事さんが緊密な意思の疎通を図る、こういうことでございましたが、大臣は結局国会の都合で、本当にお昼だけが一緒になった、こういうことでございます。  それで、この開いた趣旨は、先生も十分常日ごろ御指摘いただいておりますように、従来の産業公害型の対策だけではなかなかうまくいかない、いろいろ生活公害型の問題が生じてきている。そういうことを考えますと、地域に密着した行政の最高責任者、そういう方々との意思の疎通、あるいは感触をいただくとか、こういうことで忌憚のない御意見をちょうだいすることが従来にも増して私どもにとって大変大事なことだという認識でございます。とりわけて、先生も御案内のように、私どもは直接的な手足を持っていないわけでございますから、挙げて都道府県の組織あるいは市町村の組織にお願いしてこの環境問題を考えていかなければならぬ。しかも、近年は地域性の極めて高い問題が生じてきている、こういうようなことでございます。  従来からこの努力は続けてまいりました。ただ、本年に入りまして、知事さんとの会合も含め、あるいは部長クラスの会も定期的にやるような計画もしておりますし、あるいはブロック会議にも積極的にできる限り私ども幹部が出るように考えておる、こういうようなことで考えておるところでございます。
  223. 中井洽

    ○中井委員 おっしゃるとおり、中央で行政といいますとどうしても省庁間の調整あるいは省庁間の縄張り争いなどというのが出てまいります。一つ法案をつくろうとしても大変難しい状況にあるわけでございます。しかし、地方の知事さんといいますのは大変権力を、と言うのもおかしいのでありますがお持ちでございまして、私ども帰りましても、会合の席では知事さんが先にあいさつするに決まっております、どっちがいいのか悪いのかは別でありますが。また、市長さん等も、それぞれ自分の役所に縄張りはあっても、知事さんがこうだといけばかなりのところへまとめてやれる、このように判断をいたしております。  そういった意味で、大臣があるいは環境庁の幹部が、一年に一遍、今までのように担当部長だけじゃなしに、知事を招かれて、そして大体環境庁の考えておられるところあるいは方向、こういったものを話し合われて、そして日本全体で大体均質的な、方向性の同じような環境行政を目指していただく、私は大変結構なことだ、このように考えております。  そこでお尋ねを申し上げたいのは、そういう中で各県の知事さんからも当然環境庁に対して注文があったであろう、このように思います。どういった注文であり、それを環境庁はどのように受けとめておられますか、お答えをいただきます。
  224. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 知事さんとの御懇談会におきましては、私どもに対する要望なり注文、あるいは忌憚のない御意見などが随分と出されました。  結論的に申し上げますれば、私どもがこうあってほしい、あるいは、こういう進め方をしているけれども現場の知事さんは果たしてそういうものに乗っていただけるのだろうか、あるいは全然別の御感触を持っておられるのだろうか、そういうことについては私どもと全く同じような御感覚、方向で物事を進めていただいておる、しかも、先生先ほど御指摘のように、知事さんというのはいわば総合行政の首長であられるわけでありますから、そういう点も踏まえまして私どもは大変心強く感じたわけでございます。  それで、話題になった点は各般にわたっておりますが、今の時代背景もございまして、中心的なことが何であったかを集約して申し上げれば、一つはやはり自然保護の問題が相当多かったと思います。それから湖沼の水の汚濁の問題、またさらに、今までの公害というよりも積極的なアメニティーの増進というような問題、こうした問題が比較的多かったかなと感じておるところでございます。
  225. 中井洽

    ○中井委員 その会合でも出されました、アメニティーの構想に対して環境庁が去年から始めた補助金に対する要望というのはどういうことであったのか私もわかりませんが、多分、構想づくりにお金を出すだけではなしに、でき上がった構想に対して環境庁は予算的な応援もしてくれ、あるいは環境庁ということでなしに国全部で予算的な措置がとられるようにしてほしい、こういう要望が必ずあったと考えておりますけれども、その点、あったかなかったかということ、どうですか。
  226. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 当然のことでございますが、計画に対する補助だけではなくて、事業に対する補助も検討してほしいという御要望がございました。
  227. 中井洽

    ○中井委員 環境庁の問題になりますと、私ども委員会で視察をいたしますと、湖沼の問題でも瀬戸内の規制の問題でも、とにかくありとあらゆる規制から計画からみんなありがたい、しかしそれに要するお金をどうしてくれるんだ、これがいつも議論の中心になるわけであります。  このアメニティータウンの構想も、去年私どもの郷里の三重県でも一つ割り当てをちょうだいいたしまして、その地域は児童公園だとか遊歩道だとか大変立派な計画をつくっているように聞いておるわけでありますが、いざそれを実施しようと思ったら、その町にも県にもなかなか予算的な措置がないということでございます。本当に快適な環境をつくっていく、自然を守るということだけでなしに、これからどんどんよい自然というものを環境庁が中心になってつくっていくんだ、こういう発想に立つならば、環境庁も一歩踏み込んで、各省庁との間におけるこういう事業に対する予算的な措置にも口出しをしていくべきじゃないか、あるいはお手伝いをしていくべきじゃないかと私は考えますが、環境庁としてはいかがお考えですか。
  228. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおりだと私ども考えております。ただ、環境庁というのは、発足以来、何といいますか事業官庁ではなくて計画あるいは規制というものが中心の調整官庁、こういう一つのカラーができておるわけでございますが、御指摘のアメニティータウン計画につきましては、市町村がいろいろと工夫をしております。例えば、関係各省庁でもこの事業化に当たって、これが吸い上げられるような、つまり該当事業になるようなものも決して少なくはないと私どもは考えております。そういう場合には、建設省とかいろいろな省庁に対しまして私どもができるだけ橋渡しをしてあげるといいますか、そういうことをぜひやってみたいと思っております。  五十九年度、六十年度、六十一年度と計画が一応ございまして、この三年計画で各県にモデル的な市町村を選んでこういうものをやってみたいと思っております。ただ、五十九年度は既に一応計画ができ上がっているわけでございますから、それについてどういうふうに事業に結びつけていくかが今後の課題だと思っておりまして、苦しい中ではございますけれども、私どもは各省庁の既存の事業の中でくみ上げられないようなものに焦点を合わせまして、この事業についてのあり方をせっかく勉強させていただきたいと思っております。
  229. 中井洽

    ○中井委員 余談でありますが、この事業のあり方の勉強ということにひっかけて重ねてお尋ねいたします。  経済同友会が、都市のアメニティーづくりのために民間業者が建設費の一%ぐらいを出したらどうだ、それでもってより快適な環境をつくる、その一%については損金扱いをしていけばできるではないか、こういうことを提言しているように私どもは承知いたしております。このことは、今委員長席にお座りの柿澤先生なんかも、かつて新自由クラブにおられましたころに、私どもの党もともども、公共物をつくるときには一%ぐらい絵画を買ったらどうだとか彫刻をつくったらどうだとかいうことを提言をしたこともございます。  こういう発想はそれぞれの地域で生かされている面もかなりあるかと思いますが、この税金の損金という面も含めて、例えば過般、ど忘れしておりますけれども、お金をみんなが出し合って地域の環境を守るために買い上げ制度をやっていく、それについて控除していこうではないかということも、何か自治省でもかなりお認めをいただいてさらに前進する、こんなことも聞いております。そういった意味で、一遍にいかなくても、新しく出てきた発想あるいは民間の活力をどんどん利用して環境庁の政策を進めていくことは大変結構なことだと私は思いますが、そういう方向性についてどのようにお考えをなさっておられますか。
  230. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 経済同友会の記事は私どもも拝見しております。  一%分の支出を当該年度の損金として落とせるかどうかという問題は、私どもは税金の方が詳しくありませんので直ちにはお答えしかねるところがございますけれども、ただ、そういう発想、特に民間においてもアメニティーの向上をというために一%なり何%という所定のものを振り向けるという提言は、確かに一つの高い見識であると考えておりまして、そういう方向性については大いに評価すべきことであろうと私どもは考えております。  最近、私どもアメニティーと言い出しましてから、関係各省においてもこういうものに相当目が向いていっているように考えております。あちこち言いますが、一%問題についても、石川県とか兵庫県というところでも既に芽としては出ているように受けとめておりますし、そういうものは大事にしていきたいと考えております。
  231. 中井洽

    ○中井委員 次に、過般環境庁は「名水百選」を御発表なさった。大変おもしろいことをやるものだなと感心しながら見させていただきました。どういうことをねらい、どういう基準であれを選ばれたのか、ざっくばらんにお聞かせをいただきます。
  232. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 今後の私どもの水質保全行政の一つの大きな柱として、身近な水環境の改善ということが大きな課題になってきているわけでございます。このような身近な水環境につきましては、二十年前、三十年前は我々の周辺で身近に見られたところでございますけれども、現在の社会経済条件のもとでは、そのような水環境を維持することについては関係者が大変な御努力を払っておられるというふうに私どもは見ているわけでございます。そのような御努力を検証することを通じて国民の皆さん方の水に対する関心を深め、それの維持改善の御協力を期待する、かようなところから今回の試みをいたしたわけでございます。  したがいまして、その選定の条件も、ただいま申し上げましたような見地から学識経験者の諸先生方にもお集まりをいただきまして決めたわけでございますけれども、条件といたしましては、まず、水質、水量、周辺環境、親水性の観点から見て保全条件が良好であること、もう一点、地域住民等による保全活動があること、この二つを必須条件としまして、そのほか規模とか故事来歴等も参酌して選ぶことといたしたわけでございます。
  233. 中井洽

    ○中井委員 実につまらぬことですが、反響はどんなものですか。全国から、ここはどうだ、あれはどうだとかなり寄せられたというようなことはありますか。
  234. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 私どもは都道府県を通じてその候補地を順番をつけて提出していただいたわけでございますけれども、大体八百弱の候補地が挙げられたわけでございまして、そのほかいろいろな機会に関係者からも問い合わせ等がございまして、私どももその反響が予想以上に大きいことに驚いているというのが実情でございます。
  235. 中井洽

    ○中井委員 これまた余談でありますが、私、造り酒屋の孫でございまして、水がうまい、まずいというのは大変気になるところでございます。しかし、水のおいしい、まずいというのと、きれいというのといろいろあろうかと思うのです。水質、水量と幾つかお述べになりましたけれども環境庁としてはこういうことを決めることによってどういうことをねらっていらっしゃるのだろうか。要するに、自然にわき出ているような水を大切にしようということなのか、あるいはおいしい水というものを生み出していこうとされておるのか、ちょっと御説明をいただきたいなという感じがいたします。
  236. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 確かにおいしい水ということと先ほど申し上げました判定条件というのは、一致している部分ももちろんあるわけでございますけれども、微妙に食い違っている点もあるわけでございます。私どもとしましては、いわゆるおいしい水という観点から今回そのことのみを特段に取り上げて選定したわけではございません。例えば、東では仙台市の広瀬川、西では広島市の太田川、中部圏では長良川等も区間を限定して取り上げているわけでございまして、水そのものももちろん判断の材料にはなりますが、要はそれを維持するための保全活動ということを非常に重視しているわけでございます。
  237. 中井洽

    ○中井委員 今までは、議論をしてくると、水というとCOD問題とか数値ばかりが出てくるものですから、逆にこういう発想での国民的啓蒙というのですか、こういうことはある意味ではほっとする思いもあるわけでございますが、今後ともこういうアイデアがあるならどんどんお進めをいただきたい、このように思います。  そういうアイデアの一つで、「緑の国勢調査」ということをおやりいただきました。あちこちで、意外な身近な動物の分布等あるいは植物の分布等、随分見直しが行われたということでありますが、どのくらいの方々が参加をなすったのか。あるいは、例えば国立公園等でボランティアが清掃とか空き缶に対するいろいろなことを行われております。今の「名水百選」なんというのも含めて、環境庁がこのごろおやりになっていることは、そういう意味で何かやわらかく、フィーリングよく、参加しやすい形でおやりになっていると思うのであります。  またさらに、いろいろなアイデアで、環境行政というものを幅広く、しかもお金をかけずに進めていこうとされているのか、こんなふうに考えるわけでありますが、「緑の国勢調査」というのを二、三年やられて、どんな感想をお持ちになっていらっしゃるのか、局長にお尋ねをいたします。
  238. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 お答えいたします。  まず、先生ただいま御指摘いただきましたのは、「緑の国勢調査」の中の私どもが身近な生き物調査というふうに名づけておるものの件であると存じますが、これの企画は実はここ一年ぐらいの間続けてきたものでございますが、まず参加していただけた数などをちょっとお答えいたしたいと思います。  これはボランティア参加でございまして、主として中学生あるいは高校生、場合によると相当年配の御老人の方々まで御参加いただいたわけでございますが、約十万人の参加を得ております。その皆様方からカードで寄せていただいておるわけでございますけれども、その中に盛り込まれた情報は、情報数として百九十万件に及んでおります。先生もおっしゃいましたように、もちろんこれは身近な動物、植物でございますので、そう専門的な特殊なものというわけではございません。しかしそれなりに、今度は逆に、自然というもの、ちょっと難しい表現になりますが自然の生態系というものに対する関心を、特に子供さん方に関心を持っていただけたという点については非常にありがたいことであるし、それは今後さらに伸ばしていきたいと思っておるわけでございます。  この経験から今後どういうようなことをやっていく考えがあるかということでございますが、私どもとしては、これは毎年というわけにはなかなかまいりませんけれども、しかるべき期間を置きながらにはなりますが、続けて、つまりせっかく芽生えさせていただいたものをさらに広めていきたい。それから、ボランティア参加の気持ちといいますか、こういうものが自然を愛する気持ちをさらに深め、広めていただけるきっかけになればと思って、今後さらにいろいろ工夫を凝らしていきたいと思っております。
  239. 中井洽

    ○中井委員 こういう形で十万人にも及ぶ方に御参加いただいてやった調査、後で整理をするのも大変だと思いますが、その十万人の人たちに、こういう結果でしたよというような形で知らせたりする方法というのは何かあるのかどうか。  あるいは各地で国立公園等をボランティアで絶えず清掃していただいている団体の人たち、あるいはこういう「緑の国勢調査」に率先協力してくれている人たちに対しての感謝の気持ちというのは、例えば大臣からちょっと表彰状を出すとか、そういうことがボランティアの士気を非常に高めていくし、またいろいろな意味で広げていくものだ、このように思います。厚生省関係、特に養護老人ホームだとかそういった関係の形でのボランティア、そして環境面でのボランティアを大事にして広げていただければありがたい。そういった意味で、環境庁はこれらの人たちに対して士気を鼓舞する意味で何かお考えになっていらっしゃるか、そういったことを含めて御答弁をいただいて、質問を終わります。     〔柿澤委員長代理退席、委員長着席〕
  240. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 先生のおっしゃるとおりだと考えております。  ちょっと具体的に答えさせていただきますと、身近な動物、植物の調査、先ほど申し上げましたとおりの数の方々から情報をいただくことができたわけでございますが、これを現在コンピューターも利用いたしまして、集計、分析、分布図の作成、これを見やすい図表のような形にする作業を鋭意進めておりますが、これがまとまりましたならば、専門学術調査ではございませんけれども、参加していただいた方々へのリターンといいますか、QアンドAみたいな形で、対話を続けるという意味で、簡単な冊子にとどまることはやむを得ないと御理解いただきたいとは思いますが、皆様が参加していただいた調査の結果はこういうことになっておりますよというのをぜひお返ししていきたいと思います。そうすることが今後のつながりをつけていくよすがかと思っております。  それから、最後におっしゃっていただきました表彰等でございますが、これらについてはおっしゃるとおりだと思います。いろいろと工夫させていただきたいと思います。
  241. 中井洽

    ○中井委員 終わります。
  242. 辻英雄

    辻委員長 藤田スミ君。
  243. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 きょうは新幹線の判決の問題について随分質問がございましたが、私もまず最初にこの訴訟の判決についてお尋ねをしていきたいと思います。  新幹線開業以来二十年、そして裁判が始まってから十一年目にして控訴審の判決となったわけですが、今日も、防音工事だとか防振工事だとか行われておりましてもなお住民が振動、騒音による深刻な被害を受けていることが判決の中でも示されました。  私は昨日、この質問をするに当たって一度現地に行ってみようということで、実は被害者のお家を訪ねました。本当に、自分で日ごろ想像していたのとは全く違う、これは大変だなと思いました。話をしている最中に何度も自分で、音がしてきたから新幹線が近づいてきたのだなと納得はさせているのに、横を通過するときには地震じゃないかとか、何か非常に怖いなという気分がありまして、そしてまた間を置いて、これは新幹線が走って子供をなだめると、やっと子供が納得する、そというような場面がしばしば繰り返されたのです。  そこのお家にお孫さんが来られて喜んで遊んでおりましても、新幹線が通るとおびえて、怖いと言ってしがみつきに来る。そして、怖がらせまいとして、あれは新幹線だよ、ほれ見てごらんと言って子供をなだめると、やっと子供が納得する、そういうことを聞かせてもらいましたが、私は自分自身でまことにそのとおりだと思ったのです。天井につってある蛍光灯が夜中に振動でねじが緩んで落ちてきたとか、電気がまが棚から落ちたとか、地震が起こってもわからない、震度三の地震でもわからないというようなお話を聞いて、改めて事の深刻さを体験いたしました。きょうは、大臣はぜひ現地にというお話でございましたが、ぜひとも現地に行ってそういう実感を味わってもらいたいと思います。  いずれにしても、今日なおこうした被害が解消されていない、そして住民が裁判を続けざるを得ないということについては、それは直接の当事者は国鉄でしょうが、私は環境庁にも大きな責任があると思うわけです。環境庁長官、このことについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  244. 石本茂

    ○石本国務大臣 沿線住民の皆さんが十年、いや二十年だと思いますが、非常に御苦労なさっているということは私は胸にしっかり受けとめているところでございますが、先生今申されましたように、近日中に私もぜひ現地に参りまして、お話し合いもいたしますし、また実際に新幹線の通過していく状況、その時点で何をか自分なりに受けとめて考える、そういうものを観察し、よく見て聞いて帰ってきたいと思っております。  それから、環境庁の責任だと言われておりますが、環境庁は、先ほど来局長も申しておりますように、東海道線と山陽線の実態につきましての基準調査を目下しているところでございますので、その結果が出る時点におきまして、また私どもがどういう態度をとるか、これを決めていかなければならないと考えております。I
  245. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 環境庁の責任ということでは環境基準の問題。東海道新幹線の環境基準の達成期限というのが七月に来るということで、環境庁の方もその達成状況調査をするということなのですが、新幹線の環境基準を決めるときの問題、私は今そこを振り返って環境庁の責任というものを考えるわけなのです。  というのは、当初「達成目標」となっていたのを「達成目標期間」というふうに期間という言葉を入れまして、その環境基準を告示されるときには中公審答申にもなかった「達成目標期間内にその達成ができなかった区域が生じた場合においても、可及的速やかに環境基準が達成されるよう努めるものとする。」というふうに、事実上期間中に間に合わなくてもいいのだというような一つの逃げ道がそこでつくられていったわけです。これは昭和五十年、十年前のことなのですが、当時の報道を調べてみましても、環境庁が、これは朝日新聞ですが「自民・運輸省に譲歩」「達成期を一部緩和 骨抜き告示へ」という大見出しがつけられております。そういうふうに環境庁の弱腰が今日いまだに問題が解決しない原因の一つになっているのだと私は言わざるを得ないわけです。そういう意味で環境庁に大きな責任があると考えますが、この点はどういうふうにお考えでしょうか。
  246. 林部弘

    ○林部政府委員 御指摘の点は、環境基準というのは一定のレベルのものを目標の期間内に達成するということで定められておるわけでございますから、先生指摘のように、その基準以内に環境が維持されるようにするというのは当然期間と関連を持った形で位置づけられているわけでありますので、その期間の中に達成しなければならないものという位置づけであるという点は、私はおっしゃるとおりだと思います。
  247. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 答えになっているのかどうか…。要するに、そうは言っても環境基準は達成の目標期間内にやらなければならないものだということには変わりはないというふうに解釈をしていいわけですね。――首を振られましたので、そういうふうに聞いておきます。  そうしますと、次に問われるべき環境庁の態度なんですが、長官もきょうの御答弁の中でも、円満に解決するように、そのために和解も希望しておられるというふうに私は受けとめましたけれども、問題は単なるけんかの仲裁的な立場をとるのだというふうなことでは困るわけでして、環境庁としては公害被害者の立場に立つのだ、ここが非常に大事なわけですね。きょう国鉄の御答弁を聞いておりましても、判決を厳粛に受けとめるということは繰り返し言われるわけですが、どうも被害を認めるということはなかなかおっしゃっておられないわけです。しかし、私はそういう国鉄の態度を環境庁としては改めさせることが大事だ、そしてそういう立場に立って国鉄が被害者と話し合いをしていくのだ、そういうことで国鉄が努力をなさらなければならないというふうに考えるわけですが、これは長官にお答えいただきたいわけです。
  248. 石本茂

    ○石本国務大臣 今お話もありましたように、これは当事者間において十分話し合いをされて、円満に解決できるものであれば非常に望ましいことだというふうに私は考えます。しかしながら、きょう現在、ただいまこの場でございますと、これは係争中の民事訴訟事件でございますので、それに介入するということは大変困難な事態ではないかというふうに考えておるところでございます。
  249. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 話し合いをする国鉄の姿勢が本当に誠意を持ってやられるということならば、全部認めるのかは別としましても、被害を認めて、そうして話し合いに応ずるということが大事じゃないか。そういう点では環境庁としてもそういうふうに国鉄に対して働きかけをしていく。話し合いというのは一つのスケジュールで進めていこうということにはなっているわけです。したがって、係争中だということではなしに、その話し合いの中ではあくまでも国鉄の誠意というのはそこにあるのだということを長官としてもはっきりと言っていただきたいわけです。
  250. 石本茂

    ○石本国務大臣 お話し合いの経過というものを少しは承知いたしませんと、ただ軽々しくあれはどうだ、これはどうだということを私が今この場で申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
  251. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 あくまでも環境庁は被害者の立場に立って事を進めるべきだと私は考えます。その点だけで結構です。
  252. 石本茂

    ○石本国務大臣 環境庁の置かれております条件というのは、公害被害を受けた人々の幸せを願う立場の条件を持っておりますので、そのことは忘れておりません。
  253. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 同時に、今回の判決で非常に重要な点は、防音工事、防振工事をやった後でもなお受忍限度を上回って被害があったということなんですね。判決の細かい点はまだ検討中だというふうにおっしゃるでしょうが、この点は非常にはっきりしております。そういう点で、国鉄だけではなしに、私は何度も言いますが、環境庁としても態度を問われているのだというふうに言いたいわけです。  その一つの理由は、この防音工事は、環境基準の告示の中で、「環境基準を達成することが困難と考えられる区域においては、家屋の防音工事等を行うことにより環境基準が達成された場合と同等の屋内環境が保持されるようにするものとする。」とあることに基づいてやられていた。そうであるにもかかわらず、なお受忍限度を上回るということであれば、この点ではその環境基準の告示そのものにかかわる問題になるのではないかと考えますが、どうでしょうか。
  254. 林部弘

    ○林部政府委員 今先生もちょっとおっしゃったのですが、私どもといたしましては、まだ判決と私ども環境基準とのかかわりについて検討が終わっていない段階でございますので、そこら辺を余り明確に申し上げることはできないわけでありますが、今先生指摘の点につきまして私が今の段階でお答えできます限りで申し上げますならば、環境基準の告示におきましては、防音工事等は環境基準が屋外で達成されるまでの間の措置というふうに位置づけられているということは御指摘のとおりでございます。しかしながら、今回の判決におきます損害賠償に係ります受忍限度の判断というのは、私どもはまだ十分に検討はいたしておりませんが、判決文を見ました限りでは、被告、原告双方のもろもろの事情を総合的に判断をいたしまして行われているというふうに受けとめているわけでございまして、私どもの行政指針である環境基準につきましては、十分妥当なものであるというコメントはしておられますけれども、この個々の被害者の損害賠償に関して裁判所が判断をいたしました一つの総合的な判断というものと私ども環境基準というのは観点が違う立場で設定されているものというふうに私どもは理解をしておる、こういうことでございます。
  255. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それでは、これだけは聞いておきましょう。今の御答弁の中で、達成されるまでの措置、つまり防音工事はとりあえずの措置であって、防音、防振工事のすべて完了した後であっても、最終的には屋外で七十ホン、七十五ホンという環境基準を目指す、これはそういうことなんですね。
  256. 林部弘

    ○林部政府委員 環境基準につきましては、建前は屋外での達成ということになっておるわけでございますから、おっしゃるとおりでございます。
  257. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 将来その七十ホン、七十五ホンを目指すと言っても、今のままでは相当の期間を要することは明らかであります。  私は五十年六月二十八日に出されました中公審の「新幹線鉄道騒音に係る環境基準の設定について」というものを改めて出してまいりまして、それの「別紙」の「環境基準の設定に伴う課題について」というのも読んでみました。この中にはこんなことを書いているのですね。「環境基準を達成目標期間内に達成することができない場合は、」「運行方法の改善によって騒音の影響の軽減を図ること。」こう書いているのです。さっき私が環境基準の期間の達成の問題について言いましたら、それはあくまでも目標期間内に達成するということなんだとおっしゃいましたが、ここでもそういうことで、達成できない場合は「運行方法の改善によって騒音の影響の軽減を図ること。」こういうふうに書いていますから、こういうふうな提言に基づきましたら、「運行方法の改善」というのは当然スピードダウンをということしか考えられませんけれども、これは当然国鉄に対してもそういう点を環境庁としては検討を求めていくべきじゃないか、私はそういうふうに考えるのです。裁判所の方も公共性のことはいろいろ言っておりますけれども、決してスピードダウンをやったらいかぬということは言っておりません。したがって、こういう点について国鉄に対して環境庁は検討をするように言うべきではないかと考えますが、どうでしょうか。
  258. 林部弘

    ○林部政府委員 先生は、減速すべしと言うべきである、こういう御主張であるように伺いました。けさほどから再三同じようなお尋ねがございまして、私がお答えしておりますことを要約いたしますと、環境基準の達成問題というのは全国レベルで考える問題でございますから、その意味では、環境基準の達成のための手段がいかにあるべきであるかということになりますと、先生指摘のように、中公審の答申の「課題」というところに相当する部分に、運行方法の改善という問題についてコメントがされていることは御指摘のとおりでございます。ただ、この御指摘の点は、別にスピードダウンのことだけを言っているというふうには私ども理解はしておらないわけでございまして、速度の問題、あるいはそのほかにも当然、運行回数であるとか運行の時間であるとか編成車両の数とか、いろいろなものが含まれていると理解をしておるわけでございます。  そのような点から申しますと、先生指摘のように、この中に減速の問題も含まれているのではないかということについては私どもは別に否定はいたしません。しかしながら、言うべきではないかということにつきましては、過去十年間法廷において争われてきましたこの問題につきまして、一審、二審と二度にわたって減速の問題については裁判所が退けられたという手だてでございますので、環境基準達成のための対策の一般的なあり方というものを考えた場合には、その中に減速の問題を取り上げることについては、裁判所の判断等も考えますとかなり慎重に受けとめていかなければいけないのではないかというようなことを朝から申し上げているわけでございます。  したがいまして、中公審の答申の「課題」の中に減速の問題に絡みのあるコメントがあるではないかという御指摘でございますが、現在まで少なくとも対策の中でこれが非常に主要なものとして位置づけてやってきたということはないわけでもございますし、二度にわたる裁判所の判断というものも社会的には非常に重みを持っておるものでございますから、先生は言うべきであるという御指摘ではございますが、我々としては対策の考え方の中で減速すべきだということは軽々には申し上げるわけにはいかないのではないだろうかと現在考えておるわけでございます。
  259. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 さっきから大変気になっていたのです。その二度にわたる判決の社会的重み――私はさっきから、被害者の立場に立ってもらいたい、立つべきだと主張しているのはそういうことなんです。社会的重み、二度にわたる判決の重みと言うなら、二十年間、十一年間裁判を続けてきた沿道住民の被害に対してこそその重みを感ずるべきじゃないですか。私は、環境庁がこの減速の問題でしきりに社会的重み、社会的重みとおっしゃること、判決の重みとおっしゃることは大変心外なんです。それは立場が違いますよ。しかも永久に減速せいと住民は言っておるのと違うのです。次の手だてがとられるまで減速という方法をとって、手だてをとってまた回復していけばいいじゃないか、そういうふうに住民の方も言っているわけです。しかも、こういうふうに中公審ももう十年も前からちゃんとこのことを指摘しているのに、運行方法が、車両を減らすとか本数を減らすなんて、それこそまたややこしい話になってきますよ。私はその点では大変心外なんです。  長官、そう思われませんか。本当に判決の重みを受けとめるなら、それは新幹線の公共性を言うところの部分じゃなしに、まさに住民の被害、それを認めた判決の重みだというふうに思うわけです。どうなんでしょう。
  260. 石本茂

    ○石本国務大臣 私は余り勉強しておりませんので何もかも承知しておりませんけれども、運行方法と一口に言いますけれども、減速も運行方法かもしれませんし、また音が大きく響かないようにするのも一つの方法だろうと思うのですが、いずれにいたしましてもこれは非常に慎重に考えなければならない問題だと私は思います。さっき局長が申しておりますように、どう言いますか、公共性という意味を含めても非常に重たい条件があるのだというふうに言っておられますように、私もこれは非常に重い、そして重要な大切な条件を抱えている問題でございますので、慎重に考えていきたいと思うわけでございます。
  261. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう一点。振動は今回の判決で六十デシベル以上が睡眠妨害、そして六十四デシベル、防振工事が行われた場合は六十九デシベルがその受忍限度である、こういうふうに言っているわけですね。これに対して環境庁は当面の措置として五十一年に七十デシベルという数値を決めておられるわけです。これは判決との関連では非常に大きな違いがあるわけですね。この点で、一つは七十デシベルという数値の見直し、及び当面の措置などということではなしに、これをもっと明確な規制基準ないしは環境基準にしていくべきではないかと考えますが、その点はどうでしょうか。
  262. 林部弘

    ○林部政府委員 振動について環境基準を設定することにつきましては、従来から、振動の影響の特性からできるだけ発生源対策をストレートに有効に進めるという意味で、現在のような考え方で進めてきているわけでございますから、環境基準という形で振動の問題についての一定のレベルを定めるということは現在全く予定はしていないわけでございます。  それから御指摘の点でございますが、控訴審判決での受忍限度の判断というのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、個別具体的な被害の発生に対しまして、判決の文章の中の表現をかりますれば、侵害行為の能様・程度、被侵害利益の性質・内容あるいは発生源対策、それから行政指針、地域性といったようなものを総合的に検討した上で示された値であるというように私ども理解をいたしております。まだ内容について十分検討はいたしておりませんが、私ども環境行政上の目的から設定されましたものとは性質の違うものではないかという理解でございます。  なお、もう御承知かと思いますが、今回の判決におきましても、私どもの行政指針たる指針値が妥当なものというふうに言及されていたかに記憶もいたしておりますので、今直ちに手直しをしなければいけないのではないかというようには現在の時点では考えておりません。
  263. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 最後にこれだけ念を押しておきます。  名古屋の問題については一つの切り口だと先ほどから何遍もおっしゃっておられますが、その一つの切り口という言葉の意味は、名古屋については、発生源対策について少なくとも環境庁としては事務レベルで国鉄当局と話し合いを詰めていく、こういうふうに聞いておいていいですか。
  264. 林部弘

    ○林部政府委員 先ほどは全国的な環境基準達成の問題について私は申し上げましたが、先生が今御指摘の点については先ほど申し上げておりませんでしたので、はっきり申し上げまして、大臣が原告団の方々とお会いになった日、私も同席をいたしました。私と原告団の方々とのお話もいろいろございましたが、私はそのときに、おっしゃるように名古屋の問題は一つの切り口であるということを申し上げました。それはやはり、先ほどから先生が私どもに申しておられますように、二十年にわたる社会的な、また被害者のお立場での重みというものを私はそういう意味で表現をしたつもりでございます。ただ、環境基準達成問題イコール名古屋問題という形のアプローチは我々は考えない。そういう形ではなくて、名古屋問題というのは、けさからのいろいろな御討論を承っておりましても、国鉄当局もやはりテーブルに着いて話し合うという方向を明確に打ち出しておられますし、当事者間での話し合いというものが遠からず始まるというふうにも受け取れる情勢でございますので、私どももそういうような情勢を踏まえつつ、大臣もけさから御答弁しておられますように、できるだけ早い機会に現地に行って自分の目で見、自分の耳で皆さん方のアピールされることも承っていきたい。その上で、私、大臣からも御指示もいただいておるわけでございまして、国鉄当局の方の技術陣と私のレベルでいろいろと話し合うこともやってまいりたい、こういうように考えておるということでございます。
  265. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 改めて言うまでもありませんが、今度の判決でも国鉄の責任というものが指摘されたわけです。国鉄の方に来ていただいておりますが、国鉄はもうこれ以上争うということではなしに、まず第一に被害を認められて被害者に率直に謝罪をされる。そして同時に、この被害をなくすためには今の防音、防振工事だけではだめだということが判決でも言われているわけです。しかも、その環境基準の告示では、もともと防音工事というのは一時的なものであって、あくまでも屋外では七十ホン、七十五ホンという数値を目指すということが必要なんですから、先ほどの答弁を聞いておられてもおわかりだと思いますが、そういうことが必要なんですから、発生源対策というものについてどうやったら屋外で七十ホン、七十五ホンというものが実現できるか、こういう点については真剣に、環境庁とはもちろんですが、原告側とも話し合う必要があるのじゃないかというふうに考えますが、国鉄の御答弁をお願いします。
  266. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 先生の御指摘のように、今回の判決におきまして損害賠償が認められたわけでございますけれども、家屋の防音工と防振工というものは環境基準の達成の一つの手段として、暫定的であるにしろ認められておるわけでございます。また、五十一年三月の閣議了解でも御了承いただいたといった経緯もございますので、私どもとしては公式の対策として位置づけております。そういったことで、その効果につきましても、判決の中にも触れられてございますけれども、一応の評価はいただいておるわけでございます。そういった経緯を踏まえまして今回の判決を眺めてみますと、国鉄のそういった主張が十分に理解されてないという点で非常に残念に思っております。  それはそれといたしまして、先生指摘のように環境保全、屋外における暴露値の基準達成ということにつきましては、従来からも努力しておりますけれども、今後とも新しい技術開発を含めて万全の努力をしてまいりたいと考えております。
  267. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 判決は防音工事については評価もしていますが、しかし、厳粛にそれこそ被害を認めているわけなんですから、発生源対策についてはぜひとも原告団とも、また環境庁とも十分話し合いをし、努力をしていただきたいと思います。この問題はこれで終わります。  それでは次に、鹿児島県の菱刈町の湯之尾温泉というところで昨年来発生している温泉枯渇の問題について、そして、それに引き続いて地盤沈下が起こっておりまして、この問題についてお伺いをしておきたいと思います。  私は先月質問主意書を出しました。またそれに対する御答弁もいただいているわけなんですが、政府の方もそういうことで実情については大体つかんでおられると思うのです。しかし、時間がありませんから、簡単に私の方で経過を少し大臣にも聞いておいていただきたいと思うのです。  この湯之尾温泉というのは、鹿児島県の北部でして、非常に山間の中の豊富な湯に恵まれた百七十年も昔から続いてきた古い温泉であります。ところが、最近、三年前からこの温泉地の四キロほど離れたところに金の鉱脈が見つかったわけです。そこで住友金属鉱山が五十七年の十二月から掘削を始めました。その金を掘り出すためには温泉水を抜かなければいけないというようなことがありまして、毎分六トンから七トンの温泉水をくみ上げ始めたわけです。そうしたところ、昨年の五月ごろに、その百七十年続いてきた、それまで何の変化もなかった温泉の水位が低下し始めて、ついに枯渇して自噴が停止したわけです。  この菱刈町では新しい井戸を掘って急場をしのいでいたわけですが、九月に入って、この町を流れている川内川を挟んで急激な地盤沈下が右岸、左岸で起こってまいりました。左岸では毎日一センチという沈下で四戸が全壊状態です。私もそこに参りましたのですが、それはもう物すごいものです。平面のフロアのところがぼこっとへこんでしまって、真ん中に階段をつけて、もちろん危険でとても人が入れるような状態じゃありませんが、その家の人は恐る恐る、階段をにわかにつくって一つのフロアを向こうへ行かなければいけないというような全壊状態なんです。右岸の方でも、この一月現在で相当の被害が及びまして、右岸、左岸両方合わせて三十六戸の被害が出ているわけです。だから、自分の家がいつつぶれるかという心配と、同時に、温泉客が減ってしまって、百七十年続いた温泉がだめになってしまうのじゃないかという深刻な不安が起こっております。  何でこんなことになったのかということについて、菱刈町は昨年の十一月に専門家を集めて、湯之尾地区地盤沈下調査検討委員会というのを設置して原因究明に乗り出したのですが、その中間報告が出されてまいりました。私それを見てみましたら、これは後で確認してもらったらいいのですが、要するにその中間報告は、菱刈町の地盤が特殊なんだ、その特殊な地盤という条件のもとで温泉の水位が低下して地盤沈下が起こったのだ、こういうことが書いてあったと思うのです。私は、環境庁として、何でこんなふうな温泉水位が低下し、かつ枯渇現象が起こってきたのかという点について、どういうふうに考えておられるか、お答えをいただきたいわけです。
  268. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生お話しいただきました鹿児島県の菱刈町湯之尾地区、温泉でございますが、このいろいろな状況につきましては、私ども、県並びに新聞報道等である程度は承知をいたしておりますので、それを前提にお答え申し上げるわけでございますが、お話の中でございました温泉水位の低下の問題につきまして環境庁がどう考えるかということでございます。  温泉水位の低下の問題につきましては、先生がおっしゃいました調査委員会におきまして専門の学者が参加されて検討されていると承っております。中間的な報告といいますか、レポートがなされたようでございますが、その中を拝見しましたところ、水位低下の原因については余り触れておられなかったといいますか、今の段階では不明ということなのかと存じておりますが、温泉の水位の問題はなかなか難しい問題だそうでございまして、この専門委員会調査検討、そこで何か教えていただけるものが出るのではないかと期待しておるわけでございまして、環境庁直接には見解というものは、申し上げる内容は現在持っておりません。
  269. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 この検討委員会の最終報告を見てというふうにおっしゃったわけなんですが、問題はこの検討委員会が、私さっき大分はしょって言いましたので言葉が少しわかりにくかったと思うのですが、要するに地盤沈下をしたのはその温泉水位の低下によって起こったのだ、しかし、何で温泉水位が下がったのかということについては原因が明らかにされていないというこの検討委員会の段階でして、そういうところで私は現地を見て、これはやはり住友金属鉱山の金山というものが極めて疑わしいなというふうに思わざるを得なかったわけですね。五十七年の十二月に掘り始めて、現在毎分六トンから七トン、それは今までの温泉のくみ上げてきた量の六倍から七倍に値する大量なくみ上げをやっている。だから、湯之尾温泉よりもまだ金山に近い山田温泉というところは、もうまず真っ先に枯渇をしたのですね。それから今度湯之尾温泉の方に枯渇が出てきて地盤沈下、こういうふうになってきているわけですから、そういう点ではもう金山以外に考えられないなと。検討委員会の結果ということがありますので、環境庁、今の段階で非常にお答えにくいと思いますけれども、私が言っていることは非常に非常識なんでしょうか。
  270. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、温泉の仕組みといいますか、機序といいますか、なかなか難しい地下の問題がございます。いわんや、いろいろな要素があり得る地盤沈下全体の問題となりますとなおのことでございますが、先生御自身もおっしゃいましたわけでございますが、私どもが軽々に推測を含めてお答えするべき段階ではないと思いますので、ひとつ御勘弁願いたいと存じます。
  271. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大変答弁を渋られるわけなんですが、それじゃ五月に出ると言われるその検討委員会の最終報告が期待できるかというと、これは地元の人も、水位の低下の原因については触れないのではないか、こういうふうに言っているわけです。それは大きな理由がありまして、菱刈町の設置した検討委員会に、その問題の住友金属の菱刈鉱山の鉱山長が参加をしておられるわけです。だから言ってみたら、あんた犯人かもよと言われているその犯人が裁判官になって座っているわけですから、菱刈町の当局の御苦労というのは私わからないではないですけれども、しかし、検討結果を期待するということになると、これはなかなかしんどい。それで、そこのところをあいまいにしていると犠牲は住民の方にいくばかりだ。こういう点を考えますと、この検討委員会ではその原因が明らかにされないかもしれない。だったら、そういう場合には環境庁あるいはまた県、こういうところがその原因の究明に当たっていくべき必要があると思います。温泉保護を目的とした温泉法の各条文から照らしても、町で解明できない、また解明しないということであれば、これは県なり国なりがこれを解明するのが当然だと思いますが、どうなんでしょう。
  272. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 なかなか難しい問題であると存じておりますが、ただ、今先生が、温泉の関係についてのお話が特にあったわけでございますが、湯之尾温泉の温泉異変につきましては、先ほど来先生もおっしゃっておりますし、私もそうお答えしておりますが、現在のところその原因が不明であります。  ただ、温泉の保護あるいは温泉の利用という面については、現在こういう状況になっております。温泉のある泉源は自噴がとまるというような状況がございましたが、逆に鉱山の方で掘ったお湯から必要量が現在確保されておる、あるいは将来配湯をする、集中管理による配湯と聞いておりますが、そういう形で温泉の湯量は確保できるというふうに伺っております。
  273. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ちょっと私の言っていることにちゃんと答えていただきたい。私は、町が解明できないということになれば、それは環境庁なり県なりが当然その解明をする、これは温泉法に基づいてそういう必要があるのだなということを一つお尋ねをしているわけなんですね。その点、私の言っていることは間違っているのですか。
  274. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 原因究明につきましては大変難しい問題でございますし、現在検討中のところでございますので、その結果を待つということで前から申し上げておるわけでございますが、ただ、温泉の保護あるいは温泉の利用という面につきましてのお話を申し上げたわけでございます。  温泉の状況がいろいろ変化する例はほかにもないわけではございませんが、その際、原因不明というままのケースも間々ございます。それがなかなかわからないという状況のままであったときにどうなるかということでございますが、その調査も専門家の先生方がやっておられるものでございますので、その解明の仕方、御報告、御意見を伺った上で、必要な場合にはまたその時点で考えるということかと存じますので、今の時点では何とも申し上げられないわけでございます。
  275. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 その集中管理ということなんですが、つまり金山から出るお湯を温泉に回していく、これも毎分六、七トンずつくみ上げていって、そのうちの半分ぐらい菱刈町の方にも回していくのだということなんですが、そんなことで大量くみ上げをずっと続けていって一体いつまでもつんだという心配が当然出てきますよね。とにかく百七十年間続いた伝統ある温泉がひょっとしたらこの金山で、それはいっときはお湯を回してもらって事はいくかもしれませんよ、しかしそれでもう終わってしまうのと違うかという心配があるわけです。この問題についてはどうなんですか。温泉は終わってしまうかもしれませんよ。
  276. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 全体といたしましては、全体の原因究明等が明確になりますとまたはっきりした姿が出るのかとは思いますけれども、温泉のことについての問題でございますので、これにつきましては、現在、湯の量がどのように変化していくかとかいう点につきましてはいろいろ推移もあろうかと存じますが、恒久的な温泉確保を図るために今のシステムを考えておられると伺っておりますので、これは先のことでございますので断言を申し上げるわけにはいかぬ問題ではございますけれども、ある程度の温泉量の確保というのは期待できるのではないかと思っております。
  277. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そんな、調査もしないで、さっきから私が調査をすべきだと言ったら検討委員会の結果を待ってということを言いながら、そんないいかげんなことを言ったら本当に困るのです。これは菱刈町というような小さな小さなかわいらしい鹿児島の温泉ですから世の中そんなに騒ぎになりませんよ。これがもしかその辺の温泉地だったらどういうことになりますか。そんな無責任なことを言うから、本当に環境庁情けないなと私は思うのですよ。もっと責任を持ってください。  大体環境庁は、温泉保護のために、温泉の枯渇現象と適正採取量に関する研究といって、予算までつくってこんなのやっているんでしょう。そうしたら、金山からのくみ上げが続いた場合に温泉は将来どうなるか、そういうことを予測していくというのは環境庁としての責任じゃないですか。  それから、本当に枯れてしまうことになるのかならないのか、将来、本当にこれで大丈夫なのかという点については、これはとても環境庁断言できないでしょう。大丈夫でしょうなんというような天気予報みたいな話ではあかんわけです。だから、環境庁は責任を持って今の態度をはっきりしてほしいわけです。責任のある態度を示してほしいわけです。
  278. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 先の話のことはどうも申し上げるわけにもまいりませんという前提で、ただどうであろうかということでお答え申し上げまして失礼いたしましたが、実は非常に難しい問題だと存じます。  それから、個々の温泉の一つ一つにつきまして、そこの状況がどうであるかということを環境庁が全部勉強というのは、これは実は無理でございます。しかし、温泉の仕組みといいますか、機序といいますか、こういう勉強は先生指摘のとおり続けておりますし、先生おっしゃるとおり非常に重要な資源でもございますし、その大小にかかわらず温泉は保護していかなければならないものと存じておりますので、その勉強は今後とも進めさせていただきたいと思います。
  279. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたので、通産省にお願いしていますから、二間続けてお伺いをして終わりたいと思います、恐れ入りますが。  鉱業法では二十二条で、鉱業権の出願に際しては、予想される鉱害の範囲及び態様について記述したものを通産局長に提出することになっていまして、そして三十五条で、通産局長は温泉資源の保護など公共の福祉に反すると認めるときはこの出願を許可してはならないというふうになっているわけですね。ここの場合は、住友は既にあった鉱業権を買い取って、そして施業案については通産局の認可を受けているはずなんですが、この段階で温泉との関連はどういうふうに検討されたのか。また、検討されたとすればどういう内容なのか。これが一問です。  もう一つは、鉱業法の今述べた二十二条または三十五条、そして施業案さらに鉱業権を許可した後についても、五十三条で、著しく公共の福祉に反するような場合は鉱業権の取り消しもできるようになっているわけです。こうした鉱業法の規定から言いましたら、通産省としてもこの点を解明して、もし菱刈鉱山が原因であるとすれば、鉱業法の百九条に基づいて、この温泉枯渇と地盤沈下についてはきちんとした損害賠償を行うように住友を指導する責任があるというふうに思います。この被害は、県の資料を見ましたら、地盤沈下による被害総額一億一千万というふうに計算をしておられます。金山の方は間もなく金が出てくるわけですが、この計算では、今から始まったら年間八十億もうかるんや、こういうことになっているわけです。そうしたら、一億一千万の住民の被害、その額が妥当かどうかは私はわかりません。しかし、住友金属鉱山はこの問題に対して十分誠実に対応できる余裕はあるということぐらいは常識として判断できるわけです。そういう点では通産省は会社側を十分指導していくべきだというふうに考えます。いかがでしょう。
  280. 久賀俊正

    ○久賀説明員 ただいま先生御質問いただきました鉱業法の二十二条、三十五条関係でございますが、私、立地公害局の鉱山課長をしておりまして、出願に際しましての審査とか手続に関しましては所管でございませんので、まことに申しわけございませんけれども、その点につきましてはお答えしかねるわけでございます。  ただ、施業案の認可の段階で鉱害に関してどのような検討がなされたかということでございますが、先生御承知のように鉱業法におきまして、多分六十三条だったと思いますけれども、「採掘権者は、事業に着手する前に、」「施業案を定め、通商産業局長の認可を受けなければならない。」となっております。そして、この施業案の審査の段階におきまして、通商産業局長は鉱山保安監督局長または鉱山保安監督部長に協議を行うシステムになっております。このようにいたしまして、鉱害防止その他保安の確保に十分な審査、万全を期しておるわけでございます。菱刈鉱山につきましても、これに基づきまして施業案の認可申請が行われまして、福岡通商産業局及び福岡鉱山保安監督局の厳重な審査の結果、認可が行われたものでございます。  それから第二点でございますか、百九条のことでございまして、これは無過失賠償責任のことをお伺いになっていると思いますが、菱刈町湯之尾地区の地盤沈下につきまして、先ほどから環境庁の方も御答弁になっていらっしゃいますけれども、現在、湯之尾地区の地盤沈下調査検討委員会におきまして検討が行われておりまして、五月末には最終レポートが取りまとめられると聞いているところでございます。このため、現段階では通産省としての見解を申し上げることは差し控えさせていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  281. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 今の段階ではっきりとしたことをお答えいただけないということではあっても、百九条に基づいて当然住民側に対してしかるべき損害賠償を行うべき立場に住友側が、その原因が明らかになった場合にはあるわけです。  そこで、どうしてもポイントになってくるのが、やはり今の原因調査なんです。そういう点では、先ほどから念を押しておりますけれども、やはり環境庁としてはこういう問題、何にも問題のないところにやみくもにいけと言っているわけではありませんで、これは菱刈だけではなくて、その周辺の温泉にもかかわる問題ですので、今後、温泉保護の立場からひとつ十分取り組んでいっていただきたい、そのことを最後に大臣からお答えいただいて、終わりたいと思います。
  282. 石本茂

    ○石本国務大臣 温泉に関します点につきましては、鹿児島県あるいは地元と十分に連携をとりまして、枯渇するかしないかはわかりませんけれども、この問題は検討してまいります。  地盤沈下の問題もあわせてあるようでございますので、これはまた別の視点で検討事項だというふうに考えております。
  283. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 終わります。
  284. 辻英雄

    辻委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十分散会