○谷田
政府委員 移住を取り巻く内外の
状況の変化に伴いまして、新しい移住
政策というものが求められているということは、我々も極めて強く
認識いたしておりまして、臨調の答申を待つまでもなく、我々といたしましても、従来からの狭い
意味での移住行政を脱皮いたしまして、広い、今後の二十一世紀を目指してと申しますか、国際化の中における
日本の地位を向上するという
意味での新しい移住
政策というものを考えておるわけでございます。
具体的に申しますと、まず
一つは、移住、海外渡航の形態というものが戦後大幅に変化してきておる。昔はどちらかといいますと、集団農業移住というようなものを中心にしての施策を進められてきたわけでございますけれ
ども、最近の
状況は、技能、技術を備えた人
たちの個人ベースでの移住が行われておりますし、また、長期滞在という形で海外渡航された方々がそのまま移住されるというような、こういった量的、質的な変化が見られてきておるわけです。
それからもう
一つは、渡航者そのものの数は現在減少はいたしておりますけれ
ども、やはりこの百年来行われてきました移住の成果として、海外に形成されてきた日系社会に対する新しい対処というものが
一つあるわけでございまして、今
委員御
指摘のとおり、海外における日系社会に対する総合的な新しい積極的な施策が必要とされている。この二つが大きな基本的な考え方でございます。
それに基づいて、具体的にそれじゃどういう施策が行われているかということを若干御
説明申し上げますと、何分にも現下の厳しいいろいろの財政上の制約のもとにございますので、新しい制度の発足ということは大変困難でございます。我々といたしましても、こういった限られた中におきましてできるだけ
努力はしてまいっておりますが、その
一つとして挙げられるのは、六十年度の
予算から始まります海外開発青年制度というのがございます。
これは、一言で申しますと、日系人としてのアイデンティティーの保持とかあるいは日系人社会に活力を与えるという目的で新しい血を
日本から外に出すということで、後継移住者という形で前途有為な技術、技能を有する若者を海外に送り出しまして、これが
日本人移住者や日系人が多数存在している諸国に渡航して三年間現地活動に従事していただき、そしてその結果、こういった青年
たちが現地の事情やあるいは自己の海外生活への適応性というものを確かめた上で、希望するならばその移住先国にそのまま定着するという、そういった新しい制度でございます。
そのほか、先ほど申し上げました現在既に
向こうに行っている人
たちの自立、安定、発展というものを助成するための措置といたしましては、例えば中堅企業育成の融資制度の新設、それから上級の技術研修の制度を新しくつくる。これは、従来は、普通の
意味での技術研修というものは非常に広く行われているわけですが、今回考えておりますのは、大学卒業以上の学歴を有する移住者子弟を対象といたしまして、我が国におきまして大学院の修士課程を修めるという、二年間の研修期間を持つ新しい制度でございます。
それから、
一般的に日系人社会から非常に強く要望されております
日本語教育の拡充という点につきましても、
日本語教師のコースを延長したり、あるいは派遣する講師の数を増員するということで、これは新しい制度ではございませんが、従来からあるものを一層拡充していきたい、これが具体的な施策の若干でございます。