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安倍国務大臣 先ほども申し上げましたように、これからの我が国の役割というのは、我が国
自身の繁栄と発展を図ることは当然のことでありますが、同時に
世界の繁栄あるいはまた平和、安全そういうものに積極的に貢献していくということでなければならないと思いますし、これは先進国との関係だけではなくて、むしろ弱い
立場にあるところの開発途上国に向けての積極的な貢献が必要じゃないか、こういうふうに思うわけであります。
人権問題とか
男女の
差別の問題が起こるというのは、いずれにいたしましてもその社会的な基盤の弱さあるいは貧困、階級的な対立、貧富の間隔、そういうものが結局人権問題あるいはまた
男女差別というものにつながっておるという事態を見るときに、そうした国々の経済を再建せしめる、それに対して
日本が、これだけ大きな力を持っておるのですから役割を果たしていくということが大事なことではないだろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。
日本もこれまでの戦後の
日本人のあのたくましい
努力によりまして、今日の経済的な発展をもたらしたわけでございます。この際
日本自身が
世界の水準以上のいろいろな面での体制を整えることが必要だと思います。例えば経済の問題でも、今貿易摩擦が起こっておりますけれども、貿易摩擦で一番問題は
世界からアンフェアだと言われることではないかと思います。そうしたアンフェアだと言われることを積極的に改革していくということでなければならない、あるいはまた開発途上国、第三
世界、そういう国々に対して貢献していく、あるいはまた人権を求めるという場合においては
日本みずからそうした社会を開いていく、国を開いていく、そういう
姿勢がなければならないし、現実にそれを行っておるという国になっていかなければならない、こういうふうに思うわけで、
日本が昔のような
一つの殻に閉じこもっておる時代では完全になくなった、
世界の中の国家としての相互依存関係を踏まえた
努力と役割を果たしていく、そういうふうな時代に入ったという感じを強く持っています。そういう意味では、こうした
女子差別撤廃条約を
批准するということは、まさに画期的なことであろうと思います。
これによって、すべての
日本の
国内体制ができるということでもないでしょう。まだ残っている問題もあると思いますし、
国民の意識の中でもいろいろな慣習とか慣行があって、今直ちに改革というところまで行かないかもしれません。しかし、
条約を
批准するということは、
世界のこれからの新しい歴史に向かって
一つのページを開くことになるのじゃないか。理想は高く掲げて、そのもとに着々と体制をつくっていくということも同時に必要である。そういう意味においてもこの
条約の
批准は、これからの新しい
日本の将来を
考えるときに、非常に意義の深い役割を果たすことになっていくのじゃないか、こういうふうに
考えております。