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安倍国務大臣 中曽根総理とコール首相との
首脳会談におきまして、SDIに関しまして、一月の日米
首脳会談においてレーガン大統領から、非核の防御兵器であり、究極的に核兵器の廃絶を目指すものとの
説明を受けて、その道義的な正当性を認めてSDI研究を理解するとの
立場を
表明した経緯を
中曽根総理からコール首相に
説明されたものでありまして、この点につきましては、私は政府の
立場においては何らの変更はなかった、こういうふうに
考えております。
なお、右の点につきましては、また今回の中曽根・レーガン
会談におきましても、これは私自身も立ち会っておりましたが、同大統領に対して改めて確認をされたところでございます。
なお、
ミッテラン大統領のSDI研究
参加に対する
姿勢というものは、私は、
フランス政府としてまだ正式に決まっておるのではないように思っております。確かに、我々が
ミッテラン大統領の
発言を聞き、さらにまたデュマ・
フランス外相との
議論の中で、
フランスとしては、今おっしゃるようなこのSDIというものについてはまだまだ疑問は存在している、今お話しのようにSDIそのものが、場合によってはさらに軍拡を助長する
可能性も出てこないとも言えない、あるいはまた、ヨーロッパの技術がアメリカにみんな持っていかれてしまう、とられっ放しになってしまう、そういう
可能性も、今我々の知る限りにおいてはなかなか否定はできない点もある、しかし、この点については、なお十分アメリカとの間の
意見の交換もしてみなければならない、こういうことも言っておられました。
また同時にアメリカも、これは
総理が五原則ということで示されたわけでありますが、そうしたいろいろの疑問に対して、このSDIはソ連に対する一方的な優位を追求するものであってはならない、一方的にソ連に対して優位ということになれば、これはまた、ソ連がそれに追いついてまた強化をしていくということになるわけですから、優位を追求するものであってはならない、あるいはまた、このSDIがアメリカそのものの防御であってヨーロッパに益するものではないということについては、西側全体の抑止力の一部としてその
維持強化に資するものでなければならない、そういうことも言っておるわけであります。これは
中曽根総理の
発言でもありますが、アメリカの
発言でもあります。
あるいはまた、SDIの研究そうして開発配備というものが、結局攻撃核兵器の大幅削減を目指す。SDIを研究開発することによって、いわゆる
軍縮が進んでいくものでなければならない、これも
一つの条件でなければならぬということであります。あるいは、ABM条約には違反してはならない。あるいは、さらにSDIの開発配備については、同盟国との間で十分な
協議が行われなければならぬし、あるいはまたソ連との
交渉が先行されなければならぬということも言っております。これは
総理が五つの原則として述べたわけでございますけれども、同時にまたアメリカがこれまで
説明をした、その
説明の内容等も踏まえたSDIに対する
日本側の
立場として述べたものであるわけでございます。
いずれにしても、私も実はSDIの
外相会議の
議論を聞いておりましたけれども、お話のようにまだまだSDIそのものについて
議論が熟しておらないといいますか、SDIそのものがまだ十分
各国の間に理解といいますか、SDIの実態そのものが一体これからどうなっていくかということについて、
各国のまだまだ判断が熟してないというのが私は現実の姿じゃないだろうか、こういうふうに思っておるわけであります。