○関
委員 私は、竹内長官に御
質問を申し上げたいと思います。
電事連が青森県に対して再処理工場を含むいわゆる三点セットの立地の要請を申し入れまして、一年
足らずで青森県の知事がその要請を受け入れる、そういう回答を昨日なされたようであります。私は、青森県の知事がどういう見解のもとにこれを受け入れるようにしたのかはつまびらかに承知するところではありませんけれ
ども、少なくとも
世界における問題として、再処理工場の安全性が確立されておらない。一田舎の知事が自分の地域の発展策だと称してみたり、あるいはまたこれは国家の要請である、
日本国のためにしなければならないことなんだということに力み過ぎて、どうにもこうにもならなくなった
むつ小川原
開発の後の次善の策としてこれを
考えたようであります。
むつ小川原
開発というのは、長官のお父さんが知事の時代に
考えられた
一つの大
プロジェクトであります。あの地域一帯に石油コンビナートを
実現する、それが
むつ小川原
開発というものの大きな命題でありました。そのためにはあの地域における農民の土地も、またあの地域において漁業をされておるその対象の海も何とかひとつ渡してくれ、何とかひとつ譲ってくれ、こういうことで三千二百ヘクタールに近い土地が購入され、その土地をいわゆる石油コンビナートの一大発展地、将来は三十二万人の人口も抱える大工業都市、そうして
むつ小川原にかかわる重大な水の問題はあの小川原湖から取ろう、こういうことで出発されたわけでありますが、この
計画は今や完全に破綻した、こう言ってもいいでありましょう。そういう意味において、言うなれば、土地の取得に当たつてもその
目標とするものが完全に挫折しておる。土地の取得の条件が目的を果たさなくなって、今度は
核燃料のサイクル基地にするのだ、こういうことであります。この方向そのこと自体、住民を欺く重大な詐欺行為ではないだろうか。羊頭を掲げて狗肉を売るという言葉がありますが、文字どおり掲げたものは少しも
実現されない。そうして掲げもしない、住民の望みもしない、望まないところか、それには問題があると言ってあらゆる階層の諸君たちがこの問題についての回答は待ってくれ、知らない諸君は、やがてだんだん覚えるに従って、そんなにそれは怖いものであるのかということを知るに至っては、漁民の諸君も農民の諸君も、また青森県における良識のある人たちも、知事にこびを売る者以外のほとんどの諸君たちが偽らざる言葉として、厄介なものが来る、これは大変なものだ、こう言っているわけであります。青森県の知事が、新幹線に早く来てもらうためにもこの電事連の要請を受けることによって国の覚えをよくしてもらおうとか、あるいはまた
むつ小川原
開発株式会社というものが今日一千五百億も借金を背負っておる、この借金のためにもう倒産必至である、その倒産を防がなければならないということから、そこにある空地を供するから、この空地を買ってもらうことが唯一の会社延命の策であるので入れていただけないだろうか、こうした諸条件がありまして青森県の知事が受け入れ方針を出したもの、こう思っているわけであります。
さらにまた、受け入れに当たっては専門家
会議というものが持たれました。全部御用学者と言っていいでありましょう。これらの専門家
会議の諸君のまとめたレポート、報告書というものを読みますときに、何で六ケ所村にしなければならないのかということが
一つも書かれておりません。言うなれば、
我が国の
原子力政策から言ってとられるべき方途、そういうものが掲げられているというだけであって、あの青森県の六ケ所村になぜそれが必要であるかということについてはほとんど書いていない。恐らく
大臣も専門家
会議のレポートくらいはお読みになっただろうと思う。
そういう意味において、私はまず第一に、北村知事が昨日あなたのところにもおいでだっただろうと思うし、所管の
通産省も訪ねたようでありますし、国土庁をも回ってごあいさつをしてきたようであります。情けなくでしょうがありません。全国のどこの知事も、こんなものを置かれては困るといって
反対の運動をしているときに、ひとり青森県の知事だけが、特別どれだけの知見がありどれだけの先見があってそういうことをしておるのかわかりませんけれ
ども、少なくとも民主主義というものを中心にして物を
考えるときに、ああした行為は早計だと私は思うわけであります。
六ケ所村の村長もしゃにむに、とにかくこれ以外におれの村の行き方はないのだ、こう言っておる。金の落ちることが何としても大事だと言っている。しかしあの場所は、御承知のように
アメリカの戦闘機、爆撃機が毎日射爆場を
利用しての訓練の空域であります。そうしたところに金が落ちるかもしれないけれ
ども、飛行機も落ちてくる。飛行機が落ちるばかりじゃない、人の命も落ちるのです。これがどれだけ危険なものであるのかということについての詳しいデータ、そういうものは少しも示されておらない。言っている言葉は安全であるということであります。安全であるなら、だれも問題にするはずがないじゃありませんか。危険なればこそこの問題についていろいろと心配をし、またこの問題の行く末を
考えているわけであります。
竹内長官は、我が青森県出身の長官であります。あなたもまた北村知事の願いを受けてそれに従属する方向をとるのか、あるいはまた、あなたはやはり危険なものは置くわけにはいかない、そういうようなものについては何としても簡単にこれを引き受けるわけにはいかない、たとえ権力者である知事が何と返事しようと、そこに住まいしておるところの住民、特に農民、漁民――青森県の農民や漁民の運動において自主的にこれほど高まった実態はございません。青森県の農協に所属するところの青年部、婦人部の諸君たちが、我々の農業の未来がこれによって失われるのではないかという心配。漁民の諸君たちも、石油コンビナートの時代と違ってこうした
核燃料のサイクル基地ということになるならば、その影響というものはけだし甚大なものがある、よしんばコンビナートのために我々は土地も海も売ったことはあったにしろ、
核燃料サイクル基地には売った覚えがない、こう言ってその訴訟もしなければならないという段階にも今は来ております。
これについては、
むつ小川原
開発株式会社の方の諸君に対してもまたお尋ねしておかなければならないと思うわけでありますが、まず青森県の知事が初めて立地の要請を受けて、そうしてきょう開かれるこの
科学技術委員会において何としてもしっかりしてもらわなければならないのは、私は
科学技術庁長官だと思う。しかも長官は青森県出身であるから、何もかも事情を承知していると思う。北村知事に私は会いました。二、三時間でも話をしてゆっくりこの問題を討議しようじゃないかと言ったら、知事いわく、君は
反対派でおれは推進者だ、君と話をするくらいは五分でたくさんだ、こう言うのであります。
アメリカとソビエトといえ
ども、今新しいテーブルに着いて核戦争を防ぐために協議しないわけにはいかないという
世界の情勢を知らない人はありません。同じ青森県の中で、社会党の代議士だから五分でたくさんだなどというような高慢な姿勢、聞く耳持たないというようなかっての東条主義が我が青森県に今あると言ってもいいでありましょう。四百人近い諸君からこれについての
意見を聞く、四百人の諸君というのは、全部知事から補助金なり交付金なり事業上のお世話になっている団体の代表だと言ってもいいでありましょう。それよりも、もっとじかに純粋に
反対している諸君たちの話を聞け。それらの諸君の中には、知事に回答を求めている者もあります。電事連に
質問書を発しておる者もあります。それについては、回答する要はないと一言の返事もしない。
また、働く労働者の諸君たちは今、こうした重要な問題は県民の意思に問うて方針を出したらいかがでございましょうかということで署名運動をやっております。二カ月間の署名運動の期間も終わりまして、そうして五十分の一あればできる条例改正の署名運動の実数は、その必要とする数の四倍に至っております。やがて県会が開かれるでありましょう。開かれてみたところで、協議会の方向があるものですからそれを受け入れるということにはならないかもしれません。しかし、ここに住民の運動があって、これは大変なものだ、こういうことの意思表示だけは示されている、こう思うわけであります。六ケ所の村長は言っておる、あるいは北村青森県知事は言っておる。だが、多くのこれを心配している青森県民の率直な感情、そういうものを私は、よその長官なら受け取る力も
余り強くはないだろうが、あなたであれば受け取る力がある、こう思っております。
そういう意味において、
むつ小川原の
開発が失敗したからといって、これの代替物に
核燃料サイクル基地を位置づけるなんというのは当を得ないことだ、私はそう思っているわけであります。次々と私は当を得ない問題についてお尋ねをしてまいりますが、とにかくこの問題については
科学技術庁に大きな責任があると思っております。電事連から立地あるいは
計画の申請が上がったときに、単に許認可のことだけで態度を決めればいいだろう、こう思っているとすれば
余りにも安易に過ぎる、共同作戦をとられておるのだとするならば大変なことにもなる。そういうことから
考えますときに、この問題について長官はどれほどのお
考えを持って向こう一年間対処しようと思っておられるのか、今日までの経緯を見ながら率直に長官のお
考えになっている点、御感想、それを第一にお尋ねしておきたい、こう思います。