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安倍国務大臣 日ソ関係については、いろいろ問題がまだ横たわっていることは事実です。
領土問題が
基本的ですけれども、例えば
極東における
ソ連の軍事力の増強というのも依然として続いておるという事態は我々も決して無視しているわけではありませんし、アフガニスタンへの侵入というものは、我々はこれを今日も非難し続けておるわけでございます。大韓
航空機撃墜事件というものがありましたが、これは今日時間がたつに従って鎮静化をいたしておるわけでありますが、
基本的には
日ソ間にはそうしたなかなか越えがたい
主張の差というものが横たわっておるわけです。しかし、何といいましても隣国でありますし、特に
ソ連は隣国の大国でありますし、そして
日ソ間は、いろいろ問題はあっても隣国として
友好関係を進めたいという
国民の感情というものもあります。
日本外交としてもそういういろいろな問題はあり、言うべきことはちゃんと言わなければなりませんけれども、しかしやはり
日ソ間の
関係を
友好的なものに持っていきたい、こういう
姿勢で今日まで来ておるわけで、幸いにいたしまして
米ソの間が
緊張緩和という
状況が生まれておりますし、そして
日ソ両
首脳の
会談も行われた。そして新しい
書記長も
日ソの改善に意欲を持っておる、こういうことであるならば、やはり大きな問題を片づけなければならぬ、そういう一つの大前提はありながらも、できる限りのいろいろの
対話というものはこの際、厳しければ厳しいだけに進めていく必要があるのではないか。ですから、
日本が先に飛び出してどうだこうだということではありませんで、やはり
日本外交の
基本的な
方針の一つとして取り組んでおるわけであります。幸いにして
ソ連側と
対話がうまく進んでおるじゃないか。ただグロムイコさんの
訪日というものはまだ確定していない。私も指示を出していろいろと日時等について、できれば詰めたいということでやっておりますが、まだ詰まっておりません。
アブラシモフ大使の演説の内容について実は私はまだよく
承知しておりませんが、
実りがなければ来れないということは、これは私としてはちょっと納得のできないことであって、
グロムイコ外相が
日本に来るということはそれなりに大きな意義がある。これは、そもそも
日ソ間では定期外相
会談ということで出発したわけでありますから、そうして今度はグロムイコさんが
日本へ来る番だということを私に対してもはっきり明言をしておるわけでありますから、
日本を訪問するというところに大きい意義があるわけでございます。グロムイコさんが
日本を訪問するということになれば私も
ソ連を訪問ができるわけでありますし、さらにまたグロムイコさんが
訪日をするための一つの
状況づくりというものはしなければなりませんので、その点で今いろいろと話もしでおるわけでありますから、私は
訪日された結果は
実りが出てくることは間違いない、そういうふうに思っております。そういうことで、これはぜひとも来られるべきであるということを私は強く言っておるわけでございます。