○佐藤(徳)
委員 そこで、先ほど
全会一致で採択されました
北方領土問題の
解決促進に関する
決議の終わった後に、外務大臣並びに
長官からそれぞれの決意の一端の表明がございました。それにかかわって若干お尋ねをいたします。
御
承知のとおり中曽根総理は、過般死去されました
ソ連の最高
指導者でありましたチェルネンコ書記長の葬儀に参列をされた際に、そのとき既に後継者として決定されていたゴルバチョフ新書記長と意欲的な弔問外交を展開されました。このことにつきましては
新聞も大々的に報道されましたし、あるいはまた参議院の予算
委員会等でも、総理みずからがそのときの印象なり会話の内容等について報告をされたり発言をされているわけであります。私から言わせれば、
ソ連脅威論を唱えておりました中曽根総理にとっては大変なさま変わりじゃないのかな、こんな驚きもいたしましたし、恐らく
国民も一様に驚いたと思っているわけであります。
その際、総理も外務大臣も、グロムイコ外相の訪日の感触の問題やさらには可能性の問題について、ある意味では期待の持てるような発言がなされてきたのではないかと私は記憶しているわけであります。ところがその後の
状況を見ますと、先ほどの
長官の答弁にもございましたとおり、
ソ連側からの反応というのは余り見られなかったんじゃないか。失礼でありますけれ
ども、何か中曽根総理のはしゃぎ過ぎじゃないかというような印象を私は今も実は受けているわけであります。
実はきょうの朝日の二面であります。朝日
新聞の二面には次のようなことが掲載されています。「グロムイコ外相 具体的成果あれば訪日 駐日大使強調」という見出しで報道されています。ごらんになったかどうかわかりませんが、つまりこの
新聞を読んでみますと、
ソ連のアブラシモフ駐日大使は十六日、
東京内幸町の
日本記者クラブで
日ソ外交全般について講演をされた、その内容が掲載をされているわけであります。特に大使はグロムイコ外相の訪日について次のように言っております。「実りあるものになる前提があるなら、今年中に実現するが、旅行のための旅行ならば、難しい。問題は
日本側いかんだ」と述べております。まあ
新聞でありますから簡単に掲載されたのだとは思いますけれ
ども、さらにその「成果」の内容についても実は具体的に掲載をされています。文化協定の締結の用意の問題であるとかあるいは
日ソ善隣友好条約、極東の信頼醸成
措置、つまり軍事演習の相互通告の問題であります。それから核兵器不使用協定、長期経済協力協定等の実質審議の用意がある、そして
日本側に提案があるならば訪日の際討議の用意があると言っているわけであります。そしてまた「文書を用意して具体的討議に入れるなら、訪日を実現できる。」こう記者クラブで講演をして締めくくっているわけであります。
北方領土返還に関して
日ソ両国が話し合いに入るという重要な条件じゃないのかなと
理解もするわけでありますけれ
ども、これは御
承知のとおり、単に
北方領土問題だけではなくて
日ソ外交にかかわる重要な問題であると思うわけであります。
そこで、この
委員会に
関係あります
北方領土問題等の
解決の
促進のための特別
措置に関する法律の第一条の中にも、御
承知のとおりその第一条の後段に次のように書かれているわけであります。「
北方領土の
早期返還を実現して
我が国とソヴィエト
社会主義共和国連邦との間の
平和条約を締結し、両国の
友好関係を真に安定した基礎の上に発展させることに資することを目的とする。」とあるわけであります。この法の第一条に照らしましても十分
政府がこの問題に対して対応できる問題である、こういうふうに私は
理解をするわけでありますが、外務大臣にも直接お聞きすればよかったのでしょうけれ
ども、後藤田
長官、先ほどの
質問者の話もありましたようにかなり力のある大臣でありますから、この問題、
新聞でありますからその真意はわかりませんが、
政府は真剣に検討すべきじゃないかと思いますけれ
ども、御見解を承りたいと存じます。