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1985-03-28 第102回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年三月二十八日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 大内 啓伍君    理事 國場 幸昌君 理事 仲村 正治君    理事 深谷 隆司君 理事 町村 信孝君    理事 川崎 寛治君 理事 島田 琢郎君    理事 玉城 栄一君       大島 理森君    田邉 國男君       月原 茂皓君    東家 嘉幸君       中川 昭一君    野中 広務君       上原 康助君    佐藤 徳雄君       新村 源雄君    有島 重武君       小沢 貞孝君    瀬長亀次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         沖縄開発政務次         官       大城 眞順君         沖縄開発庁総務         局長      関  通彰君         沖縄開発庁総務         局会計課長   大岩  武君         沖縄開発庁振興         局長      小林 悦夫君         文部大臣官房会         計課長     坂元 弘直君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局海洋開発         課長      宇都宮 誠君         外務省北米局安         全保障課長   沼田 貞昭君         外務省経済協力         局技術協力課長 黒川 祐次君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 川嶋  烈君         文化庁長官官房         総務課長    上野 保之君         水産庁研究部資         源課長     菊地 徳弥君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     川田 洋輝君         運輸省地域交通         局自動車業務課         長       永井 隆男君         運輸省航空局監         理部航空事業課 黒野 匡彦君         長         運輸省航空局飛         行場部計画課長 坂井 順行君         郵政省通信政策         局政策課長   江川 晃正君         郵政省放送行政         局技術課長   大井田 清君         建設省道路局道         路交通管理課長 横内 正明君         日本電信電話公         社営業局次長  井上 秀一君         特別委員第一         調査室長    内野 林郎君     ————————————— 委員の異動 三月二十八日  辞任         補欠選任   青山  丘君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     青山  丘君     ————————————— 三月六日  北方領土返還に関する請願(山中貞則君紹介)(第一八四一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 大内啓伍

    大内委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。國場幸昌君。
  3. 國場幸昌

    國場委員 御苦労さまでございます。長官にお伺いいたします。  河本長官におかれましては、御就任以来沖縄振興開発格差是正のために大いなる熱情を持ってのお取り組みに対し、沖縄県民ひとしく感謝しつつ、御就任以来の沖縄振興開発予算にいたしましてもやはり経済に明るい長官であるということで誇りを持ち、期待感もまた大きいわけであります。  そこで、御案内のとおり、沖縄復帰いたしまして十三カ年を迎えております。自来沖縄振興格差是正は目覚ましい発展をなしつつあるといえども、御案内のとおり十カ年計画においての達成率そのものは七〇%そこそこであるし、本土との格差はまだ約二七、八%ありまして、十カ年の第二次振計策定がなされて、閣議決定政府承認のもとで今第二次に入っております。私が長官に期待し、そしてお伺いしたいのは、二十七カ年にわたるところの異民族支配軍事優先の中でなされた立ちおくれ、格差是正県民はひとしく期待しておりますが、今後における沖縄の二次振計に対しましての大臣の所感、並びに迎え来る国体あるいはまたその他特別措置高率補助といろいろございますが、それに対する姿勢をお伺いしたいのであります。
  4. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 沖縄は、復帰以来、地元県民方々政府、県もいろいろ協力いたしまして、ある程度本土との格差は縮まってまいったと思います。しかし、今お述べになりましたように本土とはまた相当大きな格差が残っておる、これは事実でございます。県民所得もなお低い水準にございます。失業率もまだ高い。こういう状態を見ますと、解決をしなければならぬ課題はたくさんあると思うのですが、これを二言で申しますと、本土との格差を縮める、一刻も早く本土並み所得水準にするということだと思います。そこで、今第二次振興計画が進んでおりまして、明後年国体を目指して幾つかのプロジェクトが進行中でございます。明後年国体までの大体のスケジュールはほぼ決まっておりますけれども、第二次振興計画の後半の計画が未確定な部分が若干残っております。  今大事なことは、残された第二次振興計画七カ年の間に最大限どこまで本土水準に近づけるかということでございまして、特にこの第二次振計の後半の進め方につきまして今開発庁と県の方で具体的な相談を進めておるところでございますが、来年の夏ごろまでを目標にいたしまして具体的な内容を確定する、そういう目安を置きまして作業が進んでおります。
  5. 國場幸昌

    國場委員 今後の取り組みに対しましての、また迎え来る国体に対しましての弁明を賜って、承知しました。  そこで長官沖縄の十カ年計画に対しては、私は何回と言わず本委員会においても、また行政府の折衝にしましても、十カ年計画目標とすべきは本土並みにする、または追い越せということだと言ってきました。今さっきも御案内のとおり、所得にしましてもあるいはまた振興開発計画にしましても、十カ年計画といえども、十三カ年たって今日七三・六%、七〇%そこそこしかない。こういうことでございますと、復帰の当時、格差そのものは六二%でした。本土一〇〇に対して六二。十カ年計画において、十カ年でもって年間一%の平均でしか進んでおりません。それで、我が国縦割り行政でありますので、各省からの予算範囲内においての格差是正達成沖縄特措法に従うところの、開発法に従うところの達成は不可能である、よってこれは単独会計をもって達成率基準にして年次計画を立てるべきだというようなことは、私は何回も言ってきたのです。ところが予算範囲内、またそれに経済の、国家予算都合、殊に今日みたいに予算が厳しくなってくると、各省に与えられた縦割り行政予算の中から、わけて沖縄高率補助とかまた格差是正というようなことになると、これはなかなか計画どおり達成はできないのだということであります。今後にしてもしかりだと思うのです。  でありますと、十カ年計画であると一〇%ずつであるものが、達成率から見まして一%、その十分の一しか達成しておりません。であると、二次振計にいたしましてもまだ約三〇%近くの格差があるわけでありますので、事業計画目標に対して少なくとも年間において三%くらい縮めるというような達成率を実現させるためには、沖縄開発振興に対して特別なる開発予算の立て方によらなければ、その実現は難しいと思うのです。高率補助をもってというようなことで特別措置をもってやっておりましたが、これも御案内のとおり事業費の一〇%カットというもので五%にして、それで沖縄財政が脆弱であるので特別地方債を発行して、国が元利等返還は責任を持ち、その五%は自治省を通じて補てんするからと、こういう話し合いで六十年度予算承認をした、また話し合いもそういうことでやったという経緯を私は覚えておりますが、そのとおりで間違いありませんか。それと同時に、年次計画というのは達成率をもって基準にするというような行き方はどうでありましょうか。それをお伺いしたいのであります。
  6. 関通彰

    ○関(通)政府委員 先生指摘の、第二次振興開発計画目標達成は可能かという御質問でございますが、先生案内のように第二次振興開発計画で基本的な目標として掲げておりますのは、沖縄各般にわたります本土との格差是正、それから自立的発展のための基礎条件整備、これが基本的な目標でございます。  基盤整備につきましては、第一次振興開発計画以来、計画に沿いまして各般基盤整備を着実に進めてきておりますので、今後さらに第二次振興開発計画期間中、これを推進することによりまして、目標達成は可能であるというぐあいに考えておるわけでございます。しかし、先生指摘のように、県民所得の面でまだ全国平均の七三%ではないかという御指摘の点でございます。振興開発計画では十年間年平均実質五・八%の経済成長達成することによりまして、本土との格差是正を図っていこうという考え方をしているわけでございます。確かに第二次振興計画に入りまして二年ちょっとたったわけでございますが、五十七年、五十八年の県の経済目標成長率を下回っております。全国的な景気の停滞もあったかと存じますが、ただ五十八年度、五十九年度と景気は着実に回復基調をたどっておりまして、先般県が発表いたしました五十九年度の成長率の見通しは実質で五・五%と五%台に乗る成長が見込まれておるところでございます。  また、国の予算におきましても、先生心配のように、財政再建開発庁予算伸びないけれどもという御心配であろうかと存じますが、ただこれも先生御存じのように、六十年度予算におきましても開発庁一括計上分予算は対前年ほぼ同額という伸び率でございますが、ただ石川火力あるいは高速道路南伸等財投関連事業も含めますと対前年比約一〇%の伸びという予算が組まれておるわけでございます。このように振興開発事業を推進することにより、また地元経済活性化を図ることによりまして、所得格差是正達成できるのではないか、そのように努力いたしたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  7. 國場幸昌

    國場委員 局長単独会計でやって、達成率基準にしての計画は考えておりませんか。
  8. 関通彰

    ○関(通)政府委員 国の財政制度から申しまして、やはり先生おっしゃいますような制度を特に沖縄のために取り入れることが大変難しいと存じますし、また、現在の制度沖縄に特に重点的な配分をすることによりまして目標達成を図ってまいりたい、かように考えております。
  9. 國場幸昌

    國場委員 私がそういうことをしつこく申し上げるのは、いつでも努力、最善を尽くすと言いながらも、結果的においては達成率においてもまだ三〇%も格差があるということからすると、やはり私は経済国家予算のそのいかんを問わず、予算範囲内ということから外しまして、達成率目標にして何年次になったらこういう姿になるんだ、これであれば計画は実施できるじゃないか、計画倒れというようなことを言っては語弊があるかもしれませんが、しかし十カ年計画というのがまたあと十カ年伸ばして二次振計というようなことでやっておって、また当局といたしましては、長官を初め努力されておるこの労に対しては多とするものであるが、しかし理屈からいいまして、予算範囲内というのであれば予算がないからしようがないじゃないか、こういうことになると計画倒れということで、今言うような十カ年でもってこの達成率というのを計画したのが、今のような立ちおくれを来しておるというようなことであると、確実に達成率を実現させるためにおいては今言うような独立会計をもって、金額じゃなくして事業達成率に対してのグラフをもって年次計画そういうようなことであれば達成するのではないかというようなことで私はお願いをし、できたらそうしていただきたいということでありますが、政府政府都合、これありでありましょう。  ところが、地元としましては、やはり二十七カ年の国家に対する貢献度といいましょうか、佐藤元総理の言葉をかりて言えば、今日の日本の発展沖縄の犠牲によるものである、こういうようなことをおっしゃったのですね。その言葉がとにかく沖縄県民に与えたところの感覚からすると、今のような行き方ではなまぬるいじゃないか、こういうことを考えるわけです。参考までに言っておいたのですが、そういう都合があるということも私も重々知っておりますから、それは理解のもとで、今のようにひとつ大いなる努力をされまして、格差是正のためには今後は二次振計においての目的達成、これはぜひひとつ期限内において実現さしていただきますよう。  といいますのは、特措法にしましても期限が来まして——私は、この特措法にしましても、本土との格差是正水準に達するためには十カ年間特措法もやってしかるべきじゃないかということでありましたが、五年、五年で切ってやったものですから、今度また再来年にはもう一回来るのです。そうすると、今度は三回目の特措法更新になるわけなんですよ。だから、そういうことをしないためには今言うような目的達成については達成率をもってということはそこに意義があるわけでありますので、それじゃまた、この特措法に対してのあと二カ年も控えてまだ早いじゃないかというようなことであるが、しかし置き忘れて、ややもすれば期限が切れたから省令とか政令でもって内々に変えて内閣承認を得てそのとおりやってやるんだということになると困るので、その方に対しての取っ組みを、六十二年度に特措法はまた三回目が切れるわけですから、その点に対しても腹構え、私が今言っていることを忘れないように、更新期になったらぜひ政府行政の方でも忘れぬようにして、この委員会委員にもひとつ諮っていただくようお願いします。その件に対して。
  10. 関通彰

    ○関(通)政府委員 先生指摘復帰特別措置でございますが、これは沖縄復帰いたしましたとき本土制度に移行しますのに、移行が円滑に行われるように税制あるいは関税等措置を講じたものでございまして、かなりの多くのものは五年の期限であったように存じております。五年の期限が来ました五十二年にそれを延長し、さらに五十七年に再度延長されているわけでございますが、現在特別措置として行われておりますのが私ども調査で二十九項目あろうかと存じます。その多くは六十二年に再度期限が来るということかと存じます。  現在この特別措置につきましては、実は私どもも県と相談をいたしまして、現在残っております措置がかなり重要なものでございますので、それの県経済あるいは関係方面に及びます影響等につきまして、現在残っております特別措置影響調査に着手したところでございます。今年そういう諸般の調査をいたしまして、所要の対応をしてまいりたいというぐあいに考えております。
  11. 國場幸昌

    國場委員 沖縄本島におきましては、復帰後においての振興は目覚ましい発展を来しておるのは感謝しますと同時に、皆さんに対してお礼を申し上げる次第なんですが、離島ですね。沖縄は御承知のとおり、有人島が今三十九ですかあるわけなんですが、離島本島との格差本土沖縄との格差、それは沖縄本島のみに限らず離島を持って沖縄県と称しての群島があるわけですから、この離島振興に対しまして、皆さん沖縄振興調査に行かれるときにぜひ私はお願いしたいのは、離島をよく図られまして、特措法によって県道というものが市町村道から格上げもされておるけれども、その整備そのものはまだまだ今のようでは、例えば県道でありますと、一キロ必要とするものに百メーターくらいを区切って、予算都合だとかいうようなことでやっておりますが、砂糖の製糖期にもなりますと、自動車のすれ違いもできないという格好が今の離島県道の姿なのです。  でありますので、本島本土との格差是正に対しては感謝しつつも、離島の方に対してはまだまだ随分おくれておりますので、これは離島振興に対して殊にお気をつけて、優先して、今の細切れの百メーターというのは一キロぐらいでも延ばしてやれば、一キロのものが百メーターで今のとおりで予算を割っていったらあと十カ年かかって完成ということになる。五十メーターであったら二十年かかるのですよ。二キロのところであったら、百メーターずつやったらその倍だから二十年かかるのです。だから、そういうような都合ですので、殊に離島振興に対してひとつ気をつけて、優先してでも離島道路整備あるいはその他の環境整備に対しては気をつけてやっていただきたい。それに対する取り組み、それから六十年度、六十一年と今後の第二次振興において特措法のあるうちにこれはやらなければいけないわけですよ、高率補助のあるうちに。その取り組みに対しての姿勢を聞かせてください。
  12. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先生おっしゃいますとおり、離島振興というのは沖縄振興事業の中の大きな柱でございまして、毎年度の予算におきましても、離島については格段の配慮をいたしておるつもりでございます。  ちなみに申し上げますと、離島に関する事業費はほぼ四百六十億円、総事業費の四分の一を計上しておるわけでございまして、離島の人口が約一二%でございますので、できるだけの配慮はしておるつもりでございます。しかしながら、先生おっしゃいますように、道路それから港湾、農業、それぞれの面でまだまだ振興すべきものがございますので、先生の御趣旨に沿いまして、今後できるだけ努力をさせていただきたいと考えております。
  13. 國場幸昌

    國場委員 沖縄復帰措置においてローカル線は南西航空ということで決まっておりまして、宮古の方からの陳情なんですが、これは運輸省、だれか来ていますね。——この宮古直行便というのは、地元の人としては全日空であろうが日航であろうがどこでも構わないから入れてくれ、こういうようなことで、切なる嘆願のある、申請のある問題ですが、それに対して、今日どういうような考え方でどういうような状態にあるのか、これをちょっと聞かせていただきたい。
  14. 黒野匡彦

    黒野説明員 ただいま先生の御指摘のとおり、宮古地区の方を中心にいたしまして非常に強い御要望があることは私もよく承知いたしております。  本件につきましては、基本的にはそのような路線を維持するだけの需要がまずあるかどうか、これが第一番目のポイントかと思います。  二番目は、ここに新たに路線を敷くことが宮古地区だけではなくて沖縄県民全体にとってどのような影響を与えるか、この辺をよく考えなければいけない、これが二番目のポイントかと思います。  三番目は、実はこれが一番難しい問題でありますが、残念ながら現在の羽田空港能力の限界まで使っておりまして、一便の増便もできないという状況にございます。中長期的には羽田空港沖合展開等によりましてこの能力を拡大する方向で今工事を進めておりますが、この羽田空港能力から見ますと、現状では宮古地区方々の御要望にこたえるのがなかなか難しいというのが実情でございます。
  15. 國場幸昌

    國場委員 もっと突っ込んでもそう簡単には答えられない問題だと思いますが、こういう問題に対して陳情陳情として受けて、地元の強い要望があるということだけはひとつ、それででき得れば早く促進して実現させていただきたい、これを希望して、次の質問に移ります。  琉大跡地の利用の計画なんですが、文部省はおられますね。——この琉球大学は旧首里城から今度西原に移転しましたが、旧首里城跡琉大時代に、復帰前に保健学部附属病院としまして那覇病院というのがございまして、それが琉大が西原に移転して後つい最近、昨年ですか閉鎖して、医学部向こうに設置したものですから向こうに全部なにして、県は強くこの無償払い下げ要望しているわけなんです。これは復帰前に、琉球政府時代琉球大学、そこの附属財産でありましたが、それは復帰したら琉球大学国立になったから国立財産だということでこれは有償でなくてはいけないということで、沖縄復帰に伴う法律では、これは省令になっておるのですかね、国有財産払い下げ問題に対しての条項を見ますと、学校義務教育という場合には無償払い下げはやらないというようなことの条項があるのですが、省令政令というのは政府行政府でつくるものですから内閣の各大臣方は御承知か知りませんが、普通からしまして、あるいは琉球政府時代につくったところの、曲がりなりにも一政府を持っての時の財産であったところの琉球大学保健学部附属病院、これが今生き家になって閉鎖されておるのですよ。それを強く県としては県病院に移管するのにおいて払い下げしていただきたい、こういうことでありますが、我が文部省としましては、これはただではいけませんよということだそうですが、どういうような都合ただではできないというのか。我が国は、文部省復帰したときにあれに金を出して買い取ったわけではないはずなんですが、管轄になったからといって、無償でもらったんだから県が必要とあるのであれば何らかの方法でも無償ではできないものですかどうか、これを聞きたいわけなんです。
  16. 坂元弘直

    坂元政府委員 お答えいたします。  単に琉球大学だけではなくて、戦後私ども文部省、国が県立大学をかなり多く国に移管しております。その際も土地、建物をそのままそっくり無償で国が引き継いで、そして国の財産として引き継いで今日まで来ている。そういう財産を処分する場合も私ども有償原則として今日まで処理してきているわけでございます。御承知のとおりに国立学校特別会計というのは自己収入をなるたけ確保するという観点でそういう特別会計制度ができております関係上、原則として時価有償で処分するという考え方をとっておりますし、先生も御承知だと思いますが、琉球大学移転統合するために私どもとして大体五百億くらい施設設備で投資をいたしております。  それから、現在先生が今話題にしました与儀地区医学部病院が移りました上原団地県有地でございまして、私どもこれはいずれ買わなければならないと思っております。これにも四十数億の金が必要となってまいります。そういうような関係もございますので、移転統合あるいは私ども国か引き継いだ経緯というのは十分理解いたしておりますし、県の御要望も十分わかっているつもりでございますが、私ども国立場十分県の方に御理解をいただきながら、県が琉大跡地あるいは琉大跡施設を活用したいということについては、相手の立場も十分に理解しつつ、それと同時に私ども立場理解していただきながら話し合いを進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  17. 國場幸昌

    國場委員 もう一点ですが、旧首里城の一角、琉球大学跡地沖縄独特の芸術大学をというようなことで——琉球大学首里城跡に、復帰のときに国立になったものですからあれも今全部国有地になっているわけなんです。しかし、あれは琉球王朝時代から琉球国固有財産であったわけなんです。戦前は国指定文化財になっておったのです。文化財といいましても個人の持つ文化財もあれば、これは依然として所有権個人にあるわけです。そうしますと、これも保健学部病院と一緒で今この跡地払い下げを受けてそこに芸術大字をということで計画しておるが、文部省としましてもまた有償がなんかでどうも行き詰まってしまっておるということですが、それも同じような解釈ですか。
  18. 坂元弘直

    坂元政府委員 首里地区跡地沖縄県が県立芸術大学を設置するという計画を持っておることは私ども十分承知いたしておりますし、その計画自体については私ども別に異存はございません。大変結構な計画じゃないかと思っております。ただ、その跡地の処分につきましては、先ほど申し上げましたような事情がございますので、これも県側と十分協議して進めてまいりたいと考えております。
  19. 國場幸昌

    國場委員 沖縄経済事情から見ましても、また経緯から考えましても、行政範囲においてできるだけ沖縄県の財政事情とかいうものから勘案しまして——行政府にそんなこと言ったって行政配慮というのは限度がありますよと言えばそれまでのことでありますが、今の沖縄の持つ事情を参酌されまして、さっきの答弁のような気持ちを持って特段の配慮をしていただきたい、これを希望しておきます。  それではっぶれ地問題ですが、これはタブーであると思うでしょうが、しかし、問題解決は戦後処理の一つとしてでもやらなければいけない問題でありますので見解をお伺いするわけですが、この国道、県道は大体何%ぐらい今解決を見ておりますか。
  20. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 つぶれ地の国県道の五十九年度までの達成率でございますが、面積で八八・七%、金額にして九〇%でございます。
  21. 國場幸昌

    國場委員 これはもう計画の中に入っておりますから遅かれ早かれ決済になると思うのですが、問題は市町村道のつぶれ地の補償問題です。御案内のとおりあれはA、B、Cに分かれておったか甲、乙、丙に分かれておったか——A、Bであったのですね。A級、B級は一〇〇%。それでその他というのがあるのですが、その他というのも格上げすればというようなことでいろいろと指導もいただいてやったのですが、それにも限度がありまして、まだ相当補償のできないようなものがあります。市としての財政からするとそれを払う力もない。さりとて甲、乙という同じ固有の財産でありながら、片や補償はできた、片やまだ何もできない、見通しもきかないということであれば、これは同じ権利を持つ地主の間でとても不公平な問題だ。さりとて市の財政ではどうにもできないということですが、これは市町村の方も強い要請を受けて、前の井上さんが事務次官のときですか、私と知事にA、Bは一〇〇%補償になるので、まずそれを解決しつつ、それからその他の問題に対しては話し合いをまたまとめていこうじゃないかということで、おかげさまをもちましてA、Bの方は大体見通しがきいておるようです。支払いもまた全部ではないはずですが、その見通しが立っておればそれでいいのですが、その他というものはまだ何ら行方が決まってないということなんです。その件に対しましてはいかがな考え方であるか。またこれは県からまだ要請を受けておりませんか。市町村や県としてもさりとてこれは補償するだけのなにがないのでということで、それじゃ井上さんがA、Bは補償を支払いつつCの方に入ってまたやろうじゃないかということでありました。御案内のとおり事務次官というのは二カ年くらい、総務局長もかわりますし後消えになっておる。私は引き続き議員でおるわけですから、発言の手前からしてお伺いするわけです。
  22. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 つぶれ地のその他市町村道についてでございますが、先生ただいま御指摘になりましたように、幹線市町村道につきましては、改築の場合の例に倣いまして国庫補助十分の八ということで行ってきておるわけでございます。また、その他市町村道でもそれの見直しによりまして補助対象となる県道また幹線市町村道への格上げという措置がなされてきたところでございます。  ところで、この幹線市町村道のつぶれ地買収のための予算でございますが、買収に着手いたしました五十四年度から毎年重点的に予算配分を行いましてその促進に努めてきたわけでございますが、買収着手より六年を経過いたしました五十九年度末までそれの達成率はいまだ六〇・五%、これは面積比でございますけれども、その程度にとどまる見込みでございます。昭和六十年度におきましても対前年比二六・九%の増、金額にいたしまして百二億三千二百万円を計上するように今回お願いいたしておるところでございますが、地元市町村における事業の執行体制を勘案いたしますと、残余の事業を完了するまでにはまだ期間を要するものと考えられます。先生指摘のその他市町村道に係る国庫補助の件でございますが、先生も御承知のように現行補助体系の中ではいろいろの問題がございます。そのような状況から、従来の幹線市町村道の買収の執行状況、これから見ましてまだ重要度の高い幹線市町村道の処理になお期間を要しますので、当面は幹線の処理に全力を挙げたいと考えているところでございます。  なお、県からの相談の件でございますが、事実上いろいろ県とも話し合いをしているところでございますし、また私も総合事務局長以来この話は十分承知いたしているところでございますが、以上のような状況でございますので、とりあえず幹線市町村道に全力を挙げたいと存ずる次第でございます。
  23. 國場幸昌

    國場委員 市町村の行政を担当する地方自治の建前からしましても、A、Bの方は補償して金も払いつつある、これの補償も決まった。ところが同じ固有財産であって、片や何の補償も何の目先もきかないということに不安を持ち、さりとて国に頼らなければ今の我が沖縄県の市町村ではこれはどうにもできない。  そこでまた、開発庁長官にもお願いしたいのは、沖縄は人口割にして逆の面積、延長そのものは本土の約半分だ、二分の一である。よくそれで整備達成率は、道路に化すると沖縄は七十何%だ、どうだこうだ、本土より進んでいるとかと言われるのですが、私に言わせれば、あの交通渋滞とかそういうものから見て、鉄軌道がない沖縄において、しかも本土道路面積からしても延長からしましても人口割にすると約半分しかないということであれば、道路整備達成率からしましても本土が六〇%であってアスファルト舗装であったら、今度沖縄の方は七〇%であった場合には三五%だという理論にしかならないのです。今の道路公団の総裁をされておる高橋さん、我々が復帰したときに道路局長をされていた方が、沖縄県道を国道に格上げするとか、あるいはまた県道から国道に、市町村道から県道にという特措法をもって、特別なる振興法によってやるんだから今のうちだと言って、あの人から教えてもらったのですがね。だからそういうようなことで沖縄振興に対しての御配慮をいただいた先輩方のなにに対しては随分感謝しておるのですが、しかし今私が言いたいことは、道路の面積からしましても、銭軌道もないのに本土道路の半分しかないというようなこともその点もよく配慮されて、法律においてはともあれ、何かの方法でそういうようなこの道も必要があれば、アメリカが強制的にあけておるのをそのまま生活道路として利用されて、閉鎖することは今ごろできないというようなやむを得ない立場にあっての補償できないような、今のその他にしましても道路ですから、だから私はそれに対しては何らかの配慮をすることなくしてはいかないじゃないか、こういうことも考えるわけですが、ひとつお聞きしたいのは、これをもし、それじゃA、B級のような扱いはできないよといった場合に、その道路を、今市町村道に登録をしてないはずだ、金を払ってないからね。地主の承認も得てない固有財産において、これは自然にというかアメリカが強制的に地主を無視したところの独占権をもってやったのですが、だからそれが自然の道に、今は欠くことのできないような必要性を持つような生活道路になっておるのです。であるとすれば、これを整備せんとするには、一〇〇%と言わずして八〇%ぐらいの、道路整備法に従うところの地方道路整備ですね、沖縄は八〇%だと記憶するのですが、それは適用を受けるわけですか。
  24. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 現在十分の八の事業としておりますのは、いわゆる幹線市町村道でございまして、いわゆるその他市町村道を幹線市町村道に格上げをいたせば十分の八事業になるということになってございます。
  25. 國場幸昌

    國場委員 そこが問題ですね。その方もいろいろ御教示もいただき、また意見を申し上げようと思ったんですが、時間がありませんので、そういうような事情で、格上げと言ってもこれはまたなかなか難しい問題で、交付税との関係があるとかなんとかといって、なかなか市町村はまた今のような苦しい財政の中でというようなことであるが、しかし今登録してないのだからこれは交付税の対象にもなってないはずですよ。その他というのはなっていないはずですよ。なぜならこれは地主が承認をして公道として、地方道路だろうが、認めてないんだから。それも論じたいわけなんですが、時間がありませんので……。  それから郵政省に難聴地域について。沖縄本島の北部、ラジオが海外電波の障害によって全然聞かれないで、教育放送に対しての問題でも本当にそこに切ない陳情も来ておるのを、時間がありませんから読みませんが、私は受けておるわけなんですが、この難聴地域に対しての、あれはNHKですかね。この解消に対してどうお考えでありますか。その方の陳情、また政府の方も、担当省、主務省もわかっておるはずですが、それに対する対処策。その経緯に対しては、私が言うまでもなく、これは今中国からの電波障害で随分困って、地域住民はなにしておりますが、それに対する措置、今後ぜひこれを解消すべくの措置を講ずるということの答弁を私はいただいて、それで地域住民を喜ばしたいというような考え方なんですが、いかがですか、それは。
  26. 大井田清

    ○大井田説明員 ただいまの沖縄の北部のラジオの混信の問題でございますけれども、郵政省におきましては、沖縄のNHK第一放送に混信を与えております外国の放送局の位置、出力等を確認するための調査を昨年の七月に行っております。その結果、その混信源をほぼ確定いたしましたので、昨年の十月、当該国に対しまして混信の排除の要請をいたしております。しかしながら、なお混信の問題が解消しない状況でございますので、これを国内的に解消するためには中継局の建設が有効な措置と考えられます。したがいまして、郵政省におきましてはそのための使用予定周波数の選定を行っておりまして、できるだけ早期に国際周波数登録委員会に中継局の使用予定周波数を通告し、使用周波数を決定するための国際調整を始めたいというふうに思っております。また放送事業者とも相談しながら、中継局の早期建設が実現するように努力してまいりたいというふうに考えております。
  27. 國場幸昌

    國場委員 よろしくお願いします。考えておりますでなくして、やりますというようなことに解していいんですね。
  28. 大井田清

    ○大井田説明員 私どもの作業もほぼ終わっておりまして、あとは国際調整の作業を行いまして、その結果が出次第、中継局の早期建設が可能になるように取り運んでいきたいというふうに考えております。
  29. 國場幸昌

    國場委員 最後の問題は沖縄の電力問題ですが、通産省は来ておりますね。これはたびたびなにして、この旨陳情も受けます。それで沖縄側から県知事も出てこられまして、この沖縄電力に対しての民営移行に対しまして、閣議は四カ年前ですか決定しまして、三カ年以内にということが延び延びになりまして、受け入れ態勢がそろわないのでまだそのままになって、今度はぜひやらなければいけないというようなことの通産省からの連絡もこれありということで、陳情もあったわけです。  御案内のとおり、沖縄における電力の民営移行に対しましての措置としましては、その推進委員会か審議会かを結成しまして、その要望事項といたしまして、まだ通産省には行ってないはずですが、五つか六つかの要件がございました。今度電源開発の石川の埋立地に造成されるところの電力の購入原価に対しては特段の措置をしていただきたいとか、特別措置法においての租税措置に対しては継続していただきたいとか、一番問題はこれはガリオア資金でできておるということでありまして、このガリオア資金というのは二十七カ年の統治権者としての責任からして民生安定のために——ガリオア資金というのは、本土においてはガリオア・エロア資金と言いまして、二十八億ドルであったと記憶しますが、無償でやっておるのですね。沖縄においても統治者として、施政権者としての責任からして、電力公社、開発金融公庫、水道公社、琉球銀行の株の五一%、それから県庁舎ですね、元の琉球政府庁舎、これには銅板で、この庁舎を琉球住民のために献呈するということまでもぴしゃっと張りつけてあったのです。それを三億二百万ドルというもので安保条約の条件に従って、要するに設備提供というものからしましてそれにひっくるめて三億二百万ドルの金を我が政府沖縄復帰を促進ぜんがために払ったのですよ。  その当時私は随分、本委員会におきましても、買い取ってはいけない、買い取りじゃなくして、これは日本もおかけをもってこれだけの繁栄をしたのだから謝礼金として払うのだということで、依然として沖縄住民の財産だよということでやったのです。ところが、ガリオア資金にも払ったのだから、ガリオア資金にまつわったところの設備は全部本土政府のものだということで、大蔵省はこれを全部国有財産に登記してしまった。そうでありますが、私はもう今さらほかのものを返せとは言いません。本当ならば開発金融公庫の資金も沖縄住民の財産なんですよ。  時間がございませんから、この問題は論じても一、二時間もかかりますが、私は記録も全部持っておりまして、これは自分で書いたものですが、「世替りの歳時記」、国会図書館から写したものが多いですようそも隠しも申しません。アメリカの議会においての証言も全部記録を書いております。アメリカ議会においても、これは沖縄住民の財産で、帰属するものは沖縄住民が主人公であって、委託管理財産であるのだということをはっきり言っている。それだから同本が謝礼金としてやっても、その金を沖縄住民に負担させてはいけないということも、アメリカの議会においてはっきり記録に残っているのです。でありながらも、百四十七億という沖縄電力に対しての投資、それもガリオア資金、復帰のときに三億二百万ドルの中にはめて払ったのだから、これは国の財産だと言って登記してしまっておるのですね。まことに遺憾である。ところが、今復帰した沖縄皆さん承知のとおり離島、三十九を控え、本島宮古、八重山、こういうようなところに対しても電力料金はプール制ということになっているのです。プール制になるとコンスタントに、これは石油と電力料金は沖縄本島におる人が全部負担しておるのですよ。それだけコスト高になるのです。例えば電力であったら、電力会社を経営しておる人に聞いたら、実費に対して年間約三十億円ぐらいの赤字が出ますということもはっきり言っておる。それだけ負担過剰である、プール制ですから。コスト高になるということですよ。それはそれと見て、離島苦解消、そのために離島振興法があるのだからそれをもって、電力会社は民営化するのはいいけれども、今は黒字であるということであるが、これもまた私は、与党ですからということで、記録にはないのですが当時通産省と話し合ったことは、石油ショックのときに一回値上げするのだからという電力料金を年二回やったのですよ。それから復帰のときにエッソとの十カ年契約というもの、石油の価格に対して、原油が四ドル八十セントぐらいから五ドルぐらいするとき、あのときの契約があったにもかかわらず、復帰のためにこれも全部パアになったのですよ。  そういうような立場からしまして、私は強いて言えば今でも、山中さんはあの当時の九電が吸収するか合併するかという段階になると、これは無償ではいかないよという記録がちゃんとあるのです。どれが沖縄県民財産であるということだけは認めておるのですよ、記録を見ても。ところが、今言うような謝礼金としたものを、ツケは沖縄県民につけたということになると、沖縄県民としてもこれは承服できないのです。でありますので、その方面も参酌してひとつ今度、あれはコストにおいても、私は費用を持っておりますが、生産コストと配電、需要は実際離島までも抱えておるものですから、高くつくのは当たり前ですよ。でも本土の中ぐらい行っておるんだよという返事を聞いたのですが、皆さん所得は七〇%あって、公共料金というのは、タクシー運賃にしましてもバス運賃にしましても、地域経済に見合ったところの公共料金を決めるというのが建前です。県民所得本土平均以下の七三%そこそこしかないのに、料金だけは真ん中ぐらいだ、これは理屈が通りません。二回も上げたのですよ。だから沖縄経済の今の条件の中で負担し切るのは、やはり本土の料金の七〇%が普通通例です。これは常識です。にもかかわらず本土並み、真ん中以上に行っておりますというのは理屈が通りません。でありますから、今度復帰のときには、まだ皆さんの方には来ておりませんが、七つぐらいの条件を沖縄県から持ってきておりますから、それをよく参酌されて善処していただきたい。それで、今の国家管理から引き離しても、独立して成り立つような条件のもとでひとつやっていただきたい。でき得れば、ガリオア資金の投資に対しての百四十七億円、これは全部減資してもらいたい、私はこう希望するわけです。  これに対しまして、まああなたは課長さんでしょう、課長さんでは責任あるところの答弁はできないのですが、これは長官長官もひとつお力をかして、今言うような経緯を持つところのガリオア資金でできた電力会社の百四十七億円という、いわゆる買い取りみたいな格好で謝礼金として国はやったものを、沖縄にツケをしてはならないよというようなことまでも、アメリカの国会においてもこれは記録に残っておるのですよ。だから、そういうものが有償になってしまって、それで、これを今沖縄地域の電力を消費する一般県民が負担しなければいけないということに対して、私はどうも解せない、こういうことでありますので、お力をかしてください。どうぞひとつその点、あなた、ちゃんと課長であったら何か意見を出して……。
  30. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答えさせていただきます。  まず、現在の状況を若干説明をさせていただきたいと存じますが、特殊法人形態をとっております沖縄電力株式会社につきまして、できる限り早期に民営移行するというのは、政府の確立した方針でございます。  ただ、その際、民営化の形式、内容をどうするかということについてはいろいろな検討が必要であるということでございまして、そのためには、まず地元の意見をよく聞く必要があるということで、沖縄県に地元意見の取りまとめ方をお願いをいたしておるところでございます。承りますところでは、このほど意見の取りまとめを終えられたようでございまして、近々、県知事から当省に対してそれをお持ち越しいただくという運びになっておるところでございます。  したがって、現時点では、まだ地元の御要請も詳細には承っておらない段階でございますが、私どもといたしましては、一方で行財政改革という流れの中での民営化でございますので、そういう視点は踏まえながらも、先生指摘のような、沖縄におきます電気の安定的かつ適正な供給ということを図る見地から検討を進めてまいりたいというふうに思っております用地元から出されますいろいろな要望先生が先ほど述べられましたいろいろな点につきましては、その過程の中で十分勉強させていただきたいというふうに思っております。
  31. 國場幸昌

    國場委員 お願いします。  終わります。
  32. 大内啓伍

    大内委員長 これにて國場幸昌君の質疑は終了いたしました。  次に、仲村正治君。
  33. 仲村正治

    ○仲村委員 まず、河本大臣にお尋ねをしたいと思うのでございますけれども、御承知のように、二次振計も前期五カ年の総仕上げの段階に入ったところでございます。この二次振計を成功させるためには、前期事業のチェック、点検をし、そして後期五カ年に対する課題は何なのか、その課題にどういうふうな取り組みをすべきかということについてお尋ねをしたいのでありますけれども、私はその前に、昨年暮れの昭和六十年度予算編成に当たって、沖縄開発庁長官を初め役職員の皆さんから振興開発関係事業費の確保に特段の御配慮、御尽力を賜ったことに対して、深甚なる敬意を表する次第でございます。  振興開発計画でございますけれども、確かに、新石垣空港、羽地ダムのように、一部には足踏みをしているのもありますけれども、全般的に順調な進捗状況であると考えております。長官も所信表明でお述べになられたように、復帰十三年間政府の施策の展開というものは実に目覚ましいものがございまして、県政の各般にわたって大きな成果をおさめつつあるわけでございますけれども、しかし、戦後二十七年間のひずみを取り返すためには、一次振計の十年というのは期間的に非常に短かった。そこで、二次振計で今いろいろその足らない部分を補って、どうしても昭和六十六年までにはすべての点において本土並みを確保しようということで、皆さんが二次振計策定に当たっていろいろ経済財政フレームをつくられたわけでございます  それは、昭和五十六年の県一般会計予算を土台にいたしまして、二千九百五十二億円をベースにして、これからの十年間年間五・八%ずつの予算の積み上げをしていく、こういう計画を出されたわけでございますけれども、過去四カ年間の実績を見てみますと、五十七年が六・七、五十八年が三・二、五十九年が一・九、六十年が三・二というふうに、極めてその予算伸びが厳しい状況にあるのでございます。それに加えて、県民所得の面でも、昭和五十五年の百十五万六千円を昭和六十六年までには百九十五万九千円にしよう、こういうことでございます。しかし、昭和六十六年には、国の想定は二百五十一万円になる予定であります。八〇%を見ても二百万八千円ということでございますけれども、県はそれよりも低く見積もって百九十五万九千円ということでございます。しかし、この過去の実績を見てみる場合に、五十五−五十六年の伸び率が七・五六、五十六−五十七が五・一一、五十七−五十八の伸び率が三・六五、これまた非常に厳しい結果になっているわけでございます。  そういうことからいたしまして、果たして今のテンポで二次振計の達成ができるのか、こういう気持ちを持つものでございますけれども、これを達成するためには、何としてもその事業量を拡大して、予算の総枠拡大を図っていかなければこの達成はできないのじゃないか、私はこういうことを考えているわけでございますけれども、これに対する後期の課題は一体何なのか、それにどういう形で取り組んでいくのかということについて、大臣の御決意をお伺いしたいのであります。
  34. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 第二次振興計画の後期をどのように進めるかということについては、今、開発庁と県の方で十分連絡をしながら作業を進めております。過去十年ある程度沖縄振興計画については成果を上げておりますが、私は、必ずしも十分でなかった、こう思っております。  それはなぜかといいますと、過去十年の間に、昭和四十九年と五十五年に、二回にわたりまして石油危機が起こっております。そこで、我が国経済が二回にわたって大混乱に陥ったのであります。特に、その危機の発生をいたしました直後の税収などを見ますと、およそ二割見当税収が減って大赤字を出したのでございまして、また経済成長ども、第一次計画の直後にはマイナス成長になっておりますし、第二次計画の直後には、マイナスにはなりませんでしたけれども成長が大幅に落ち込んでしまいました。そういうことで、財政にも経済にも非常に大きな影響、悪い影響が出てまいりまして、その中でのいろいろな計画の推進でございましたので、残念ながら、先ほど来御指摘もございましたが、本土との格差の是正も、ある程度進みましたけれども、なお十分ではなかった、こういうことであろうと思います。  幸いにいたしまして、一昨年の後半から、まずアメリカ経済が立ち直りまして、その影響もございまして、日本経済も、ようやく昨年来方向転換をいたしましていい方向に向かい始めました。しかし、なお財政事情が厳しいものですから、六十年度の予算におきましても思うように成果が上がっておりません。他と比べますと沖縄の厳しさについては認識をしていただきまして若干の配慮はございますけれども、それでも、私どもから見ますと十分な予算ではない、このように思います。  そこで、何といたしましても、沖縄振興計画を軌道に乗せるためには、まず、国の財政力、国の経済力を拡大をする、それを軌道に乗せていく、その過程の中で沖縄問題も解決できるような、やはりそういう全般的な考え方が必要でなかろうかと思います。いずれにいたしましても、今、二次振興計画の前半がようやく終わろうとし、国体以降の新しい計画等も進めなければなりませんので、現在の沖縄の事情を正確に認識をいたしまして、万全の措置を県と十分打ち合わせをしながら進めてまいりたいと考えております。
  35. 仲村正治

    ○仲村委員 今大臣から第二次振計後半に対する取り組みの御決意をいただいたところでございますが、確かに国家財政環境が非常に厳しいこともよく理解をいたしておりますけれども、一次振計期間中に二回のオイルショック等々もございまして、一次振計が予定どおり進んでないこともよく承知しておるわけでございますけれども、私たちは何としてもこの後期五カ年の中で目標達成して、いつまでも格差があるんだ、格差があるんだとそのおくれたことを強調することはこの二次振計期間内で終わってもらいたい。いつまでもこういうことを言っておるのは県民立場としても余り好ましいことではございませんので、それを達成するためには何があるかというと、やはり事業量を拡大して、予算をふやして、先ほど御指摘申し上げましたように年度年度の予算の積み上げ、そして県民所得を積み上げていくことこそ格差是正目標達成になる、こういうふうに考えます。したがいまして、この五カ年間は二次振計を成功させる大きな正念場だと思っておりますけれども、いま一度それに対する御決意をお願い申し上げたいわけでございます。
  36. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 お考えのとおりでございまして、その御趣旨に沿ってやっていくつもりでございます。
  37. 仲村正治

    ○仲村委員 それから、後期五カ年のプロジェクト策定についてでございますけれども、これはさきの新聞報道からいたしますと、開発庁沖縄県が一緒になっていろいろ実行可能なメニューづくりをしているということでございます。新聞報道を見る限りにおきましては、今の事業の継続あるいは計画中のものとかそういったものでございます。これは結構なことだと思います。私は、今の延長を十分やっていけばこれこそ二次振計の成功だというふうに考えますけれども、御承知のように、もう常時五%から七%の失業者がいる。これを解消するためには、今皆さんが項目に挙げている農漁業関係基盤整備だけでは達成できない、何としても二次産業、三次産業関係の生産基盤をつくっていかなければならない、こういう感じを持つものでございます。この前期をやってみて、もうこれでは後期に目標達成はできないんじゃないか、軌道修正をやらなくちゃならぬのじゃないか、こういう考え方があってはならないと思います。やはり何としても当初目標達成していくんだというお気持ちを含めて、その二次振計の後期の課題に取り組んでいくのかどうか、これについてお答えをいただきたいと思います。
  38. 関通彰

    ○関(通)政府委員 二次振計後期のプロジェクトでございますが、先生指摘のように、後期におきましても前期に引き続き継続していかなければならない大きな港湾等のプロジェクトがございます。後期におきましても港湾、空港、道路あるいは下水道、農業基盤等の事業は引き続き推進していかなければならないと考えております。  しかし、先生指摘のように、基盤整備だけではなく、基盤整備沖縄経済振興に直接結びついていく方向で振興を図っていかなければならない、これが後期の大きな課題ではないかと私どもは考えております。沖縄の地域特性を生かした産業の振興を図り、それに結びつく公共投資、さらには民間投資を誘発するようなプロジェクトを後期に考えていきたいというぐあいに考えておるわけでございます。  しからば、戦略的に後期にどういう地場産業を中心に考えていくのか、どういう方向で振興を図っていくかということにつきまして、先ほど國場先生大臣から御答弁がございましたが、開発庁におきましても、県と協力いたしまして、第二次振興開発計画後期の展望作業に今着手いたしております。今年から明年の夏にかけまして、開発庁、県でこれらの展望作業をいたしますと同時に、また県におきましても県内の民間の方々、また国におきましては審議会の御意見等もお伺いしながら、後期の展望作業を進めたいと考えておる次第でございます。
  39. 仲村正治

    ○仲村委員 ただいま総務局長から後期課題に取り組む姿勢について御説明いただいたわけでございますが、新聞報道を見て、まああれを完成するならばこれは非常に結構なことだと思うわけですが、先ほども申し上げましたように、非常に失業者が多い。この雇用吸収は一次産業だけではどうすることもできないわけです。したがって、やはり雇用吸収力の強い二次産業、三次産業、これは非常に難しいかもしれないけれども、後期の課題の中でそれへ取り組む姿勢がなければならないと思います。例えば那覇空港あるいは那覇港を輸送拠点とした臨空港開発、これはもう一次振計のうちから取り上げられておりながら全く手がつけられていないというような状況でございますので、その臨空港型産業開発に私は真剣に取り組むべきだと思います。  それと、第三次産業関連では、やはり夏のレジャーを利用しての産業開発ということは非常に重要な問題でございます。今も夏場になると飛行機にも乗れないぐらいみんな来ていただいているわけでございますけれども、しかし、どこのビーチへ行っても全くお粗末なんです。それを開発庁も県も市町村も一緒になって海洋レジャーセンターというものをきちっと整備をしていく、これも今の後期の課題の中に入れるべきではないかというふうに考えます。例えば恩納村海岸一帯を海水浴ゾーンにするとか、これを計画的にやってもらいたい。今は自然のままやっているわけですから、あれでは本当にお粗末なんです。ゴルフ場もつくって、どんどんゴルフに来てもらう。そしてまた、冬場の暖かさを利用しての避寒保養基地、これも今一つは計画されているようでございますけれども、一つと言わず、全国の避寒基地だというような視点からこれを後期の課題の中に入れるべきではないか、こういうことを考えているわけでございますけれども、その点について御意見を承りたいと思います。
  40. 関通彰

    ○関(通)政府委員 先生指摘のように、後期のプロジェクトを推進していくためには戦略的に沖縄経済をどういう分野を軸に、どういう産業の振興を軸に図っていくかということの展望を持つことが重要であろうかと考えております。  この展望につきましては、先ほど申し上げましたとおり、ただいま開発庁、県等で取り組んでおるところでございますが、先生が例示に挙げられました観光にいたしましても、まさに御指摘のとおり、昨年観光客が二百万人を超えまして、現在沖縄経済がやや明るい方向に動いております重要な役割を果たしていると思います。しかも、観光産業一つとりましても、これはホテルだけではございませんで、道路あるいは上下水道等の環境設備、もろもろの基盤整備の総合的な成果ではないかというぐあいに考えております。こういう観点から、沖縄の産業振興とそれにつながります基盤整備ということを十分念頭に置いて今後取り組んでいきたいと考えております。
  41. 仲村正治

    ○仲村委員 ぜひそういう方向で精力的に取り組んでいただきたいということを御希望申し上げたいわけであります。  次に三次振計、これはあくまでも仮称でありますけれども、この策定についてももうそろそろ念頭に置くべき時期に来ていると考えているわけでございます。二次振計もどうなるかという時点で三次振計なんてこれは冷笑に付されるかもしれませんけれども、しかし国の立場においても、今三全総もまだ終わらないうちに、これは新全総のときのやり残しもまだある中で、やはり四全総というものを昭和五十八年から取り組んで六十一年にはスタートさせようという計画を持っているわけです。したがいまして、格差是正はまず二次振計の以内で終わる、その次は本当に同等の立場に立って沖縄の地域特性を生かした開発を図っていくのだという視点から、この三次振計の作業にそろそろ手をつけるべきではないか、こういうふうに私は思うわけでございますけれども、それについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  42. 関通彰

    ○関(通)政府委員 沖縄振興開発を図ってまいります上で、また諸般の計画等を検討していきます上で、常に中長期的な見地から検討しなければならない、常に中長期的な展望を持たなければならないということはまさに先生指摘のとおりであろうかと存じております。今政府におきましては国土庁を中心に第四次の全国総合開発計画の策定に入っております。目標年次を昭和七十五年に置いている長期計画でございます。国土庁では、関係省庁あるいは地方公共団体の意見等も聴取いたしております。私ども沖縄振興開発につきまして、こういう長期的な計画との整合性も十分保っていくつもりでございます。しかし何分まだ第二次振興開発計画に入って二年ちょっと過ぎたところでございます。端的に申し上げまして、第三次振興開発計画というものの策定についてはまだ私ども具体的に考えていない状況でございます。
  43. 仲村正治

    ○仲村委員 これは将来のために念頭に置いて、二次振計後期の課題として取り組んでいただきたいという立場から質問をしたわけでございます。  次に、高速交通時代への対応でございます。  沖縄県は県全体が離島、島嶼といういわゆる地理的な不利性、それから全国の南の玄関口という交通通信網の拠点形成、こういう立場から今後とも積極的にこれに対応していくべきだということでございます。特に那覇空港は三全総の中でも国内四大拠点空港としての位置づけがあるわけでございますけれども、そのターミナル地区の整備、これは御承知のように国際線があって国内線があってそしてまた県内線があるというようなことで、ああいう形ではどうかと思いますけれども、それがまず一点。また、将来の航空機需要度増加に対応する沖合展開も七十年代に向けて作業は引き続き進めていくべきでおるということ。三点目は自衛隊との共同使用。これについても今のままでいつまでもやっていくということでは困る、こういうふうに考えておりますのでこの分離の問題。  こういったものを含めて、この五次空整の中で空港問題について積極的な取り組みを何としてもしていただきたい、こういうふうに思うわけでございますけれども、これに対する運輸省の御見解を承りたいと思います。
  44. 坂井順行

    ○坂井説明員 お答えいたします。  三点ございましたが、まず、先生指摘のように、那覇空港は国内の拠点空港でございます。御案内のターミナル地区の整備につきましては、恐らく先生の御指摘は、暫定計画ではなくて本格的にもう少しちゃんとしたマスタープランをつくってやれという御指示かと思いますが、御案内のように現ターミナル地域というのは五十年度の海洋博を機に空港の北端部につくっております。確かに御指摘のように使い勝手がいいというものではございません。その後航空需要もかなり増加しておりますので、客線ターミナルビルだとか貨物取り扱い施設というのはかなり狭隘になっておりますし、それから駐車場の諸施設も狭いということでございます。六十二年には国体があるということでございます。本土線、島内線、国際線の各ビルとの距離関係等も非常に離れておりますのでかなり不便を生じておるということも事実でございますので、とりあえず私どもとしては、県当局とも協議の上国際線ターミナルビルの新設、それから現国際線ターミナルビルの島内線ビルへの転用、それから中継エプロンの増設、整備、それから道路、駐車場の増設ということを考えておりまして、これは次の五カ年ということで若干かかりますけれども、少なくとも国体までに間に合わせるようにいたしております。  それから、二点目の沖合展開を図るべきではないか、それを次期空港整備の中に入れるべきではないかという御指摘でございますが、沖合展開の構想につきましては関係地元経済団体等から強い要望が出ております。それはいわゆる那覇空港整備というような形で我々も十分承知をしておりますが、一方翻ってみますと、現滑走路の処理能力というのはまだまだ余裕がございますし、現在のターミナルビル、今拡張しておりますが、それをいたしますと能力が大体倍になりまして、六十五年を越してもなおかつ十分対応できるというような状況でございますので、現在におきましては防衛庁の使用も含めましてまだ十分な余裕があるというふうな認識をしております。(仲村委員「七十年代に向けてという質問をしたわけです」と呼ぶ)  それで、今先生のおっしゃいました次の五カ年計画という段階になりますとまだ若干余裕があるというふうに考えておりますので、今地元でいろいろ議論されております那覇空港構想につきましては、今後の需要の動向を勘案しながら長期的な課題として検討させていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  45. 仲村正治

    ○仲村委員 時間がありませんので順序を少し変更いたしまして、交通通信体系の中のテレトピアモデル地区指定を受けてのことでございます。  御承知のように沖縄県は東西一千キロ、南北七百キロという広い海域に島が点在しておりまして、何としても行政事務の簡素化あるいは医療サービスあるいは県民生活の情報化を迅速に行うという点から大変時宜を得たことだと考えて感謝をいたしておるわけでございますけれども、郵政省としてこの事業にいつから、どういう形で、どういう事業を予定しているのか、また開発庁として、この事業に対してどのように取り組んで支援をしていかれるのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  46. 江川晃正

    ○江川説明員 沖縄県につきましては、全県を対象といたしましたテレトピア計画というものが提案されておりまして、三月五日にテレトピア地域として指定いたしたところでございます。全国で二十カ所の中の一つでございます。この指定というのは、実はこれから本当の仕事の始まりでして、本日ただいまこの時間なんですけれども沖縄からもたくさんの方、おいでいただいておりますし全国からもおいでいただきまして、これから指定されたテレトピア地域での具体的仕事の進め方をどうしていくかということを今打ち合わせしているところでございます。私もそこに出ておりましたが、この委員会のために抜けてきたところでございます。  沖縄のテレトピアにつきましては、沖縄県の計画によりますと六十二年から三年にサービスイン、実際にサービスを受けられる形にしようと考えているところでございます。その六十二年から六十三年の計画に向かって、具体的にはどうしようかというのがきょう以降始まっている具体的な相談事になっておりますが、郵政省といたしましては、そういう計画の実施に対して支援する仕組みを四つ用意してございます。一つは開銀を通す財政投融資、低利融資をしていこうということが一つ。もう一つは、実はただいま法案を御審議いただいているところでございますが、基盤技術研究促進センターという特殊法人をつくりまして、そこを通してのテレトピア法人への出資、融資を行っていこうということが一つ。それからもう一つは税金でございます。そういう団体、公益法人でございますが、そこへ出捐いたしました場合にそれを損金算入にしてもらうという仕組みを六十年度税制で認められております。それから四つ目は、これは電電会社になるわけですが、電電会社において沖縄全県に対するINSといっておりますが、それの先行的、優先的敷設をしていこうという施策などでございます。この四つを通しまして、地元計画をこれから熟成させていくに当たりまして、いろいろと地元の業者の方々あるいは電電会社との間に立ちましてその計画を実行できるようにしていこうと考えているところです。  最後に、沖縄開発庁との関係でございますが、テレトピア関係省庁会議というものを従来から設けておりまして、その中に沖縄開発庁の方にもおいでいただいておりますので、十分連絡をとりながら進めておりますが、今後ともその計画の熟度に合わせて、また御相談、御連絡しながら進めてまいりたいと考えております。
  47. 大城眞順

    ○大城政府委員 仲村議員の質問にお答えいたしたいと思います。  沖縄県が、先ほど御説明がありましたように、テレトピアモデル都市に指定されました。この件につきまして、開発庁としてどう受けとめておるかという御質問でございますが、御案内のとおり、また御説明がありましたように、テレトピアモデル都市構想というものは、全国にいろいろ異なったタイプのテレトピア都市というものを指定いたしまして、そこにいろいろなニューメディアを優先的に構築をいたしまして、情報通信の基盤を高度化していきまして、地域の振興を図っていくというのが大きなこのテレトピアの目的だと思っております。  沖縄はどういったタイプのテレトピアになるかと申しますと、沖縄離島性で大変不利なところがございまして、それを克服していくとともに、さらにまた有利な点といたしまして自然的な条件、歴史的な条件がございますので、こういったところをまた逆に積極的に生かすために、全沖縄にまたがるいわゆる離島振興型としてのテレトピアになるのではないか、このように考えております。  そういった中で特に考えられることは、まず先ほど来お話がありましたように、その自然的条件を生かしたところの観光性、観光情報システム、さらにまたおくれております保健医療システム、そしてまた、いろいろ離島が散らばっておりますので離島情報システム、さらにはまた農業振興のための農業情報施設とか、こういったものを骨格としてこれから進めていくわけでございますけれども、この件につきましては、郵政省と綿密な連絡をとりながら進めていきたい、このように考えておるところでございます。  開発庁といたしまして、この構想を受けとめるに当たりまして、もちろん民間活力や資金の活用等もいろいろ期待されておりますけれども、今後情報化社会におきまして、沖縄の産業振興に大いに寄与していくということは火を見るより明らかであります。このテレトピアが、むしろ先生がおっしゃるとおり、二十一世紀に向けて大きないわゆるユートピアへの一段階ではなかろうか、私はこのように考えておるところでございます。沖縄の社会経済の今後の発展に大きく寄与し、また大きなインパクトを与えていくのではないか、このように考えておりまして、今後とも積極的に郵政省との間で詰めながら進めていきたい、こういうことでございます。
  48. 仲村正治

    ○仲村委員 どうもありがとうございました。  次に、たくさん項目ありますけれども、時間がないようでございますので、はしょっていきたいと思います。  戦時中、旧日本軍による陣地構築のために接収された土地の権利回復の問題、これはもう古くて新しい問題だと思います。何回も国会でも議論され、そして関係地主からも何としても権利回復を図ってほしいというようなことでやっておりますが、これは私が今ここで説明するまでもございません。本当に戦場さながらのようなところで強制的に有無を言わさず取り上げて、そしてそれもしかも国債しか渡してない、戦後終わってみたら金も取れない、土地も取れない、こういう状況ですね。これを司法上の手続によって国有地にしたんだ、こんなことが言えるのかということなんですね。  一九五二年に米軍の布告によって、個人の申告によって公図をつくり公簿をつくったわけです。一体、政府はそのときに、ここは国有地でありますという申告をしたのか、こういうことを私は言いたいわけですね、どうでしょうか、その問題について。本当にこれは年月も経過しておりまして、関係地主も死んだ人もいるし、非常に難しい問題ではあるけれども、私はこれは何としても何らかの形で補償していただかなければならない、こういうことを強く指摘したいわけであります。  これは私の近くの字大嶺の地図でありますけれども、これは戦後編さんした地図なんです。ここは接収してない地域、ここは接収された地域、こんな土地なんてありますか。昔はこういう土地なんです。土地にも戸籍があるはずですから、もし司法上の手続で国有地にしたということをおっしゃるのでしたら、何年何月にだれそれがしから何番地の土地を買って、そしてこういう形に合筆をしたんだという説明ができるかということなんです。私は、これを皆さんが説明できない限り、これは皆さんが主張している司法上の手続によって国有地にしたということは全く当たらない、これはもう戦時中のことですからいろいろあると思います。  したがいまして私は、これは戦後処理の一環として、何としてもこの処理をしてやっていただかなければ、今、中曽根総理が言っている戦後四十年の戦後政治の総決算だということにはならない、こういう立場から大蔵省の御意見を聞きたいと思います。
  49. 川嶋烈

    ○川嶋説明員 お答えいたします。  先生指摘のこの問題につきましては、御指摘のとおり、国会等でも古くから議論されておりまして、私たちといたしましても、そういうことにかんがみて、五十年前から調査をいたしました。その結果、確かに直接的な資料がある部分、ない部分とありましたけれども、総合勘案いたしますと、沖縄で戦時中旧軍が取得いたしました土地は、司法上の売買契約により正当な手続を経て国有財産になったものと判断したわけでございまして、現時点もこういうことで、その上に乗っかって作業をするという状況にございます。
  50. 仲村正治

    ○仲村委員 それはもう皆さんの答弁としてはやむを得ないところだと思いますけれども、先ほど私が言ったような形で、これは何も国がここは国有地でありますというふうに戦後図面編さんをしたわけじゃないのですよ。米軍が、ここは国が買ってあったから申告はさせない、こういうふうに強権的に抑えてこういう形になった。そして皆さんが司法上の手続によって国有地にしたということであれば、浦添市の仲西飛行場の跡、これはどうなっていますか。これは米軍の命令をはねのけて所有権を主張した。あれだけの飛行場がみんなもとの地主に返ったわけです。これと同じ問題なんですよ。  ですから、そういうことがあるので、私はお答えをいただこうとは思いません。したがいまして、これについては本当に戦後処理という気持ちで、今、平得飛行場からも払い下げの要請が出ているわけです。これについても、その地主のこうむった犠牲に対して報いるという気持ちで対処していただきたい。これは要望にとどめます。  それから、あと軍用地の問題でございますけれども沖縄の軍用地は、復帰のときに核抜き、本土並みということで無理やりアメリカが勝手につくった基地を、安保の枠に無理にはめたわけですね。本土のどこに、民間地域で実弾射撃演習する、降下訓練をする、上陸演習をする、射爆訓練をする、海も空もそういう訓練空域の制限を受けて手も足も出ない、こういうことで頻繁に事故が起こるわけですね、人身事故。殺人も、この前も起こりましたよね。漁民が網を張っておれば、それも突き破る、こういうことで、毎度皆さんのところに抗議に来る。またもかというお気持ちだと思う。軽くあしらわれているような感じです。私たちとしてもやり切れないところ。ですから、何が平和のためだ、何が安保のためだ、こういう気持ちでおりますので、これに対して徹底的にこの事故防止を図る、こういうことを政府がやっていただかないと、アメリカもなめてかかって、この前なんか県議会の議長が司令官に会おうとしても会ってもくれない、こういう調子なんですよ。これに対してもう安保を破棄する以外にないと私たちも言わざるを得ないですよ。どうなんですか、これに対して。
  51. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 ただいま先生が御指摘になりましたように、沖縄におきまして米軍の施設、区域の密度が非常に高いということに伴いましていろいろ難しい問題が生じているということは私ども十分承知しております。  他方、私ども、日米安保条約に基づいてみずからの国の安全を確保するための手段として施設、区域を提供しているわけでございますが、それに伴う演習等を含めましての米軍の活動というものも、米軍の駐留目的達成のために必要なものでございますので、そういう安保条約上の必要性と、それと同時に施設、区域が存在すること、それからそれを使って米軍が演習等のいろいろな活動を行うことによって生じる周辺住民の方々への影響を最小限に食いとめて、日米安保条約が円滑に運用されていくように私どもとしても可能な限りの努力を払っていき、地元の住民の方々の御理解と御協力を得ていきたいと考えておるわけでございます。  今先生から幾つか具体的な事故等についての御言及がございましたが、私ども外務省といたしましても、できる限りこういう事故等の不幸な事態が起きないようにということを累次アメリカ側に注意喚起しているわけでございます。例えば昨年の十月でございますが、安倍外務大臣沖縄に行きましたときにも、現地の沖縄の四軍の調整官をやっておりますデイ少将ほか米軍の関係者に対して、地元の住民の方々との円滑な関係というのが非常に重要であるので、事故それからそのほかの不祥事が起きることのないようにくれぐれも注意してほしいということを言ったわけでございま  私ども今後とも、先ほど申し上げましたその施設、区域の提供ということと、それによって生ずる県民生活への影響を最小限にとどめるよう努力するという二つの組み合わせで、何とかよい結果が得られるように引き続き努力していきたいと考えております。
  52. 仲村正治

    ○仲村委員 私もついつい、日ごろこういう基地問題に対する積もり積もった気持ちがあるものですから皆さんをしかりつけるような感じで質問をいたしておりますけれども、これは本当に県民立場からするとああいう気持ちにならざるを得ないですね。なぜ僕らだけこういうふうにされなくちゃならぬのか。それで、この基地問題の整理縮小、これも復帰当時は五三%、今四四・二と私は聞いているけれども、きのうの説明を聞くとまあ三〇%だと言う。県土は国土全体の〇・六%しかないところに全体の三〇%も基地がある、これこそ異常なんです。これはもう本当に振興開発計画を阻害しておる大きな要因になっていますので、今後、日米合同委員会で決めたその返還の促進、そしてそれ以外についても地域開発に必要な分は返すということを前提に持って取り組んでいただきたい、こういうように思うわけでございます。  最後に、先ほど國場先生からもお話がありましたが、芸大用地の払い下げについて、これは去年の百一国会でも私は申し上げましたけれども、御承知のように、復帰前に琉球政府の金で琉大をつくるために買った土地、これが、琉大が移転したわけです。琉大があそこにあればこれを返せというようなことは言いません。今移って、そこに県立芸術大学をつくろうと。したがいまして、その四万平米のうち二万平米はもともと県のもの、あと二万平米は琉大をつくるために県が買ったもの、だからこれを返してほしい、譲渡してほしいということを言っているわけでございます。これは、ただもうあいているからもらおうということではございません。県の振興開発計画に基づいて芸術大学をつくろう、こういうことでございまして、しかもその開学は六十一年四月なんですよ。土地の確保ができないと、文部省はその学校設置についての認可をおろさないと思うのです。したがいまして、県はもう泣く泣く、借地でもいいですよという感じになっておりますけれども、これは、その土地が国有地になったという経緯からいたしまして、幾ら国有財産の処分についての法律あるいは政令省令があろうと、それを政治的に配慮していくというのが生きた政治でなかろうかという立場から、これに対して今どういうふうに話し合いが持たれ、そしていつごろ結論をお出しになるつもりなのか。私は、ぜひ県の要請どおり、当初の要請どおり、今はもう借地でもいいというような感じになっておりますけれども、これは無債の払い下げをやっていただきたい、こういうことを含めて皆さんの御説明をお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  53. 坂元弘直

    坂元政府委員 琉大の跡地の問題につきましては、先ほどの御質問にも答弁申し上げたとおりでございまして、単に琉大だけではなくて、戦後かなり多くの県立大学国立大学に移管されてきております。その場合に、私ども、土地、建物も無償で移管をし、そしてその後、かつて県立大学であったところを統合移転するということでほかの地域に移転した場合の跡地処分をどうするかという場合も、国有財産法上の考え方あるいは国立学校特別会計制度の趣旨というようなことから、原則としては時価有償ということで、各地方公共団体に払い下げる場合には交渉を持って今日まで来ております。  したがって、琉球大学についても原則的なスタンスはそういうことで私どもいかざるを得ない。しかも、先ほども申し上げましたとおりに、私ども、統合移転のために施設設備だけで五百億の投資をしておりますし、さらに、先ほども申し上げましたが、現在医学部がおります上原団地県有地でございます。これも早晩県から買わなきゃならない。これにも四十数億の経費を要するというようなこともございますので、私どもの基本的なスタンスは変えるわけにいかないと私ども考えております。  しかし、先生が御指摘になっております趣旨あるいは県の御要望の趣旨も私ども十分理解しているつもりでございます。現在、県の方では、借地、有償でいいから貸してくれないかということで知事から私どもの方に正式に要望書が提出されておりますので、琉球大学事務局を窓口といたしまして現在鋭意県と折衝している最中でございます。可及的速やかに協議をまとめまして、県が設置認可を申請する期限が本年六月でございますので、その六月の期限には間に合うように解決したいということで取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  54. 仲村正治

    ○仲村委員 ほかにも通告をいたしましてお待ちいただいたと思いますけれども、時間がありませんので、ひとつお許しをいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  55. 大内啓伍

    大内委員長 これにて仲村正治君の質疑は終了いたしました。  本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十八分休憩      ————◇—————     午後一時五十四分開議
  56. 大内啓伍

    大内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上原康助君。
  57. 上原康助

    上原委員 午前中のお二人の御質問とも若干重複する面もあるかと思うのですが、きょうは、せんだって行われました河本開発庁長官の所信に対しての質問でございますので、まず沖縄振興開発というか、経済、産業問題について主にお尋ねをさしていただきたいわけです。久々に経済に強い大物長官が御就任なさったということで我々も意を強くしておりますし、また県民の期待も大なるものがあると思うのです。  そこで、長官は、所信表明でも、産業振興の問題を初めとして雇用失業問題あるいは水資源の確保などまだ解決を要する多くの課題を抱えている、このように御指摘をなさっております。いわば産業振興とか雇用の拡大とか水資源問題というのは歴代長官指摘をしてきたし、この二、三年をとらえて見ても、前中西長官あるいは丹羽長官ども同様な御指摘をなさっておるわけですね。しかし、いまだにこれが所信表明の中に出てきて、なかなか根本問題が解決できないという現状にあることは間違いない。もちろん、開発庁初め政府全体の御熱意、御努力によって一次振計、二次振計、三年目に入り、四年目を迎えようとする段階で相当改善されてきたことは否定いたしませんが、こういう実情に対して河本長官としては、長官御在任中にこれだけは何としてもめどづけしたい、また、現在の沖縄の産業経済状況というものを診断するとすれば、特に御専門でもありますので、そういう面を、問題点を含めて長官の所信というか決意のほどを改めてお伺いさせていただきたいと思います。
  58. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 沖縄の一番大きな問題は、やはり県民所得本土に比べまして相当低い水準にある、こういうことだと思います。どうすれば本土並み所得水準に引き上げられるか、このために何をなすべきかということでありますが、一つは、今お述べになりました第二次振興計画を軌道に乗せるということだと思います。第二次振興計画では、一次振計を受けまして、ある程度社会資本投資も進んでおります。ただ、産業の分野ではなお幾つかの問題が残っておりますし、第二次振計の後半の具体的なスケジュール、プロジェクト等がまだ決まっておりませんので、それらを含めましてこれから昭和六十六年度までの具体的な計画を練り上げる、これが当面の急務だと思います。それを通じて本土との所得格差をできるだけ縮めていく、これに全力を挙げたい、このように思っております。
  59. 上原康助

    上原委員 格差の是正、自立経済基盤の確立ということが、一次振計、二次振計の基調というか基本になっているわけですね。それは理念としては私は、おっしゃるとおり、そのとおりだと思うのです。しかし、単なる格差の是正といっても、絶えず我々も指摘をし言ってきたことなんですが、本土の各都道府県だってこれで年々向上するわけですよ。格差はなかなか埋まらない。だから、その埋まらない原因というものを究明して、埋めるためにはどうしていくかということをもっと——二次振計の場合だって従来の一次振計の延長線上ではこれはいけないと思うのです。その面の解明が、私はまだなされていないような感じがしてならないわけです。  といいますのは、製造業のウエートというのが依然として低い産業構造になっている、これも復帰当初から指摘されてきたことなんですね。したがって経常的に輸入が輸出を上回って、いわゆる財政依存型の経済構造、仕組みになってしまっている、これが恒常化しつつあるわけです。これをどう二次振計なりこれからの産業経済開発に当たってやっていくか、この視点というか解明というものが沖縄側も、また開発庁としても必要ではなかろうかと思うわけですが、今、所得向上を目指して二次振計を着実に推進をしていきたい、それだけではどうも、これまでやってみても物足りないわけですよ。したがって、今私が申し上げたようなことなどと、二次振計で、特にポスト国体と言われている中でどういうものを目玉としてやっていかれようとするのか、こういうことを一つ一つ具体化をしていかないと、単に、あれも有望だ、これも有望だというような形で終わってはいけないと思うのです。改めてこのあたりをお聞かせいただきたいと思います。
  60. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 今お述べになりましたが、本土の方でも所得がどんどん伸びていっておるわけだからそれに追いつくことはなかなか大変だ、まさにそのとおりでありまして、今ほぼ十年で所得が倍増いたしておりますから、沖縄所得本土並みにしようということのためには十年で三倍にしなければいかぬという大きな問題がございますが、これはなかなか難しい問題だと私は思うのです。なお相当の時間がかかろうか、このように思います。  それから、私は先ほど簡単に、産業の分野に問題ありということを申し上げましたが、それはまさに御指摘の製造業を中心とする二次産業の分野が立ちおくれておるということでございます。雇用問題等を解決するためにはこの分野での展望が開けないとできませんし、この分野での展望を開こうと思えば社会資本の整備がその前提条件になります。社会資本の整備、交通の便、少なくともこういう前提条件が整いませんと二次産業の振興ということはなかなか難しい、こう思います。そこで、先ほどもちょっと触れましたが、国体以降昭和六十六年度までの二次振計の最終仕上がりをどうするかということにつきまして、現に沖縄県側と開発庁でずっと作業を進めております。ことしじゅうにはなかなか結論は出ないそうでありますが、ほぼ来年の夏ごろまでにはその方向を明らかにして結論を出したい、こう言っておりますので、そのころまでには二次振計の後半、六十六年までの沖縄振興計画が具体的にプロジェクトを中心に出てくるであろう、このように考えております。
  61. 上原康助

    上原委員 これもいろいろ報道されている向きもありますが、今、長官がおっしゃったように六十二年以降六十六年度までの後期のプロジェクトというか計画案というものは、もちろん現段階ではまだ県側との相談なりいろいろ研究しなければいけない課題になっていると思うのですが、おおよそどういうものを想定しておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  62. 関通彰

    ○関(通)政府委員 二次振計の後期の具体的なプロジェクトでございますが、第一次振計以来基盤整備が進んではおりますが、先生も御案内のように水資源の開発あるいは港湾、幹線道路等の大型プロジェクトは後期にも引き続きさらに推進しなければならないと考えております。したがいまして、まずこういう基盤整備の事業が後期におきましても引き続いてあるわけでございます。しかし、それだけではなくて、さらに経済自立的発展に直接結びつきます公共投資、産業の発展に伴いまして民間投資をも誘発するような公共投資を考えていかなければならないと考えているわけでございます。  それでは、それはどういうような投資かということになりますと、戦略的に後期の沖縄経済発展の軸にどういう産業を考えていくかということをこれから十分勉強いたしまして、その産業の発展を促すようなプロジェクトを後期にはつけ加えていきたいというぐあいに考えているわけでございます。
  63. 上原康助

    上原委員 少し抽象的なんですが、私の方からも具体的に提起をしたりあるいはお尋ねしますので、お答えいただきたいと思いますが、二次産業の問題というのは沖縄復帰の当初から大変議論をされてきた課題なんですよ。しかし、我々が見て、例えば石油基地であるとかそういうものは比較的国策として進められてきたわけですね。だが沖縄経済発展の起爆剤たり得なかった。とりわけ私たちが注意しておかなければいけないことは糸満の工業団地の造成ですね。あれなんかも当初相当夢を持たしたわけですよ。しかし、現にそこへの工業団地とか企業の誘致というものは全くなされていない状況なんですね。水産加工品工業団地にする、あるいは九州一連の漁港にしていくという考え方もあったようですが、これは福岡にしても大分、宮崎にしても、そう簡単に沖縄にそういう部門を移すわけにはいかぬということで、地域の利害も絡むわけで実行されていない。  そういう中で今また中城湾開発。反対じゃありませんけれども、これも現在の那覇周辺の企業の再配置とか県内企業の再配置という面では効果を上げるかもしれませんが、果たして新規の企業の誘致、そういった工業団地として可能性があるのかどうか。そういう面の診断がなされずに単に土地造成をやってきた。そういう面でしか国の公共投資の巨大なプロジェクトというものがなされなかった。ある面では那覇空港を国際空港に格上げしながら、沖合展開の是非は別としても、そういうものをやってもらいたいと言うと、それは今の段階では手控える。あるいは道路網の改善にしても、主要幹線道路は確かに舗装されているいろできているけれども、交通渋滞の緩和にはなっていない。長官、この際、あなたが御専門ですから、そういったことについて一つ一つこれまでの経過なり実態というものを検証して二次振計後期というものをお立てになり、おつくりになっていただかないと、また抽象論で終わってしまうと思うのですね。こういう面に対する御認識なり御見解は一体どうなのか、改めてお聞かせいただきたいと思います。
  64. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 私も中城湾の埋立地を見学に行ってまいりました。着々工事が進んでおりまして、数年のうちには百万坪を超える土地造成が完成すると思います。それから松下電器の企業誘致問題についても前後の事情を詳細に調査いたしました。そういうことで幾つかの基礎的な問題点がございますので、御指摘のように大変難しい問題だと思います。この基礎的な問題を解決いたしますと同時に、さっき申し上げました基盤整備、社会資本投資の整備、それと交通網の整備、第二次産業が沖縄に立地し得るようなそういう条件とは何ぞや、それを整えるためにはどうすればいいか、まずこの問題からやはり詰めていかなければいかぬ、こう思っておりますが、今のところはまだ検討、開発庁でいろいろ作業をしておる段階でございます。
  65. 上原康助

    上原委員 意欲的な御発言に敬意を表しますが、冒頭申し上げましたように、せっかく経済に明るい、また強い長官の御就任ですから、ぜひそういったこれまでの計画推進に当たって思うようにいかなかった点は率直に出し合っていただいて検証なさって、その上で本当に単なる格差というだけじゃなくして、沖縄の産業構造を健全化して県民生活がゆとりと安らぎがないといかないと思うのですね。そういう方向に持っていくように特段の御努力を強くお願いをしておきたいと思うのです。  そこで、そういう問題を推進をしていくに当たっても、問題は沖縄の県の財政状況などというのは、私が申し上げるまでもなく、残念ながら大変硬直化の方向に向かいつつある、これは地方自治体ほとんどそうかもしれませんが。一方、そういう中で国の財政状況も行財政改革等々で大変抑制をされてきている。沖縄関係予算というものは年々よく確保されているという評価がある反面、しかし先行き非常に不安な問題があるわけですね。現に六十年度予算では十分の十の公共事業の補助率というのが十分の九・五にカットされた。私たちは、これは特措法で一応向こう十年という計画期間があるにもかかわらず、国の財政事情が厳しいということでこのような形で補助率というものが削減をされる、あるいは全般的な開発庁関係予算というものが抑制をされていくことになりますと、今後格差是正がなかなか埋まらぬ、あるいはまた新しい後期のプロジェクトをどうするかという面で大変心配をする面があるわけですが、この補助金カットの問題と今後の計画推進との関連で、果たしてこのような状況でうまくいけるのかどうか、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  66. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先生指摘のように、沖縄県の財政状況は全国に比べても相当厳しいものがございます。  ただいま、明年度の補助率のカット、これに伴う質問を受けたわけでございますが、明年度行おうとしておりますのは、現在法案として国会で審議をされておるところでございます。一年限りの法案と我々は承知をいたしておるところでございます。  今回、この引き下げ措置に伴いまして沖縄をどうするか、こういうことでいろいろ各省と折衝をいたしたわけでありますが、全国一律一〇%を削減するという中で沖縄の場合には対象を公共事業の十分の十のものに限る、さらにこの十分の十のものであっても、つぶれ地であるとか、不発弾探査のような沖縄の特殊事情によるものを除外する、さらに引き下げ幅を全国の二分の一である五%にする、さらに非公共事業につきましては、現行補助率を維持する、このような緩和措置を講じておるところでございまして、沖縄の現在の経済社会の状況、財政基盤の脆弱さ、こういうものを考慮していただきましたほか、県民感情についても十分配慮された内容になっておると考えておるところでございます。  ところで、これが今後の沖縄振興開発影響を与えるのではないかということでございますが、先生承知のように、今回の措置につきましては、五%カット分については全額地方交付税並びに起債、具体的に申し上げますと、一応地方債で見て、その元利償還金を交付税で見る、こういう措置でございまして、また国費につきましても、それを引き下げるのではなくて、国費は一応従前のものといたしまして、それをカット分を事業費として上乗せをする、このような措置もとられておりますので、振興計画に支障はないと考えておるところでございます。
  67. 上原康助

    上原委員 お答えはそうならざるを得ないと思うのですがね。じゃ十分の十を十分の九・五にカットされた、削減したトータルはどのくらいだったですか。
  68. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 約四十億円でございます。
  69. 上原康助

    上原委員 ですから、それは地方交付税あるいは起債で元利償還をやると言ってみたって、起債をすればそれだけ県のあれが実質的には市町村には負担になっていくわけです。また、この法案は一年限りと言うけれども、これが一年で十分の十に戻るという夢には恐らくならぬですね。どうなんですか、本当に一年限りでまた戻しますか。これはむしろ大臣からの御見解を聞きたいわけですが、いかがでしょう。
  70. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 一応一年になっておりますが、それじゃそのとおり間違いなくいくかと言われますと、私から今答弁する立場にはございませんので、差し控えたいと思います。
  71. 上原康助

    上原委員 今大蔵委員会で審議されている法案、一括一〇%の問題にしても、だれでもそれは一年限りでまたもとに戻るとか——行政改革の特別委員会で時限立法で定めたものがみんな延長になっているわけでしょう。そういう面では先行き非常に不安であるということだけは指摘しておきたいと思いますし、また今振興局長がお述べになったような御努力をぜひ強力にやっていただきたいと思うのですね。  なぜこのことを申し上げるかといいますと、沖縄県あるいは市町村を含めて起債というのはまだそれほど多くはないという見方もあるようですが、きょうはそこまでは触れませんが、例えば海洋博会場になった本部町、これなんかも一昨年は赤字団体でしたよ。去年は町有地を売って何とかつじつま合わせをして赤字団体から脱却している。あるいは今の沖縄市だって国体主会場で、さっき長官がおっしゃったように中城湾開発を含めていろいろやっているようですが、これだって財政状況というのは大変厳しいですよ。赤字団体に転落しないという保証はないと非常に懸念されていますね。  だから、国のそういった主要プロジェクトを投入することによって確かに全体的なメリットもあったかもしれないが、その当てられた市町村というものはむしろ財政的には窮迫になっていくというデメリットも大きいということ。なぜそうなるかもこれはやはりいろいろ検討すると、市町村の持ち出しが多い、あるいは終了後のいろいろな施設の管理、維持というものが市町村負担になっている面が多いわけですね。それはいずれ、私は今ちょっと調査しておりますので取り上げてみたいわけですが、この五十八年度普通会計の決算規模で見ましても、沖縄県の財政というのは歳入が三千四百七十六億六千九百万円、歳出が三千四百二十四億一千万円と五十七年度よりは若干伸びてはいるようですが、歳入面に占める自主財源の割合というのはどのくらいですか。自治省いらしているでしょう。
  72. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 五十八年度の普通会計で御説明申し上げますが、自主財源の歳入に占める割合は、沖縄県二一%、全国四八・二%でございます。
  73. 上原康助

    上原委員 そのとおりなんですね。歳入面に占める自主財源は三割自治どころか二割自治だ。全国は四八・二%。財政指数にしても、三カ年平均で全国の約二分の一ですよ、河本長官。これは沖縄が〇・二四九で全国は〇・四八二。ですから、歳入に占める国庫支出金の割合というのも全国の約一・七倍。構成比にしますと沖縄が四一・六%、全国が二五・一%、この数字は間違いないですか、振興局長
  74. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 普通建設事業費に対する投資的経費の割合は、沖縄三八・一%、全国二九・三%、また、普通建設事業のうちの補助事業の割合が、沖縄八四・五%、全国六四・四%、このようになっております。
  75. 上原康助

    上原委員 若干私のと数字が違いますが、しかし約五割近くあるいはそれ以上は、こういった国庫支出ということに依存をしているわけですね。財政指数からしても間違いない。ですから、こういう状況というものがこれからますます地方行革とかいろんな面で地方への負担というもの、割合というのは間違いなく多くなっていくわけですよ。したがって財政は、国もこれだけの赤字公債を抱えているわけで、これは大変であることはわかるわけですが、やはり弱者とかそういう面に、より負担がかかっていく傾向にあることは間違いないと思うのですね。したがって、こういうことなども考えた場合には二次振計後半の計画立案というものは、より厳しいと見なければいかないわけですね。  こういう県なり市町村財政含めての硬直化に対しての開発庁としての対策あるいは改善策というものはどのようにお持ちなのか、これもお聞かせをいただきたいと思うのです。
  76. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先生おっしゃいますとおり、今後行政改革が進むとすれば、国も地方も相当厳しくなってくるわけでございまして、それだけに地方としても行政改革の必要があろうと存じます。  ただ、将来にわたりまして貧乏県という表現は悪いかとも存じますけれども沖縄県の場合には、先ほど先生指摘のように、財政力指数も非常に弱い、こういう点があるわけでございまして、これらにつきましては自治省にもお願いをいたしまして、一般財源を増強するという形で普通交付税の増額等もお願いをしておりますし、またさらに基本的には、やはり税収が少ないということが基本であろうと思います。先ほど大臣も申し上げましたように、今後の沖縄の自主的発展に向けての第二次産業の整備、こういうことをしますと税収等も上がってまいりますので、基本的には沖縄の産業を振興する、こういうことが一つの基本であろうと考えるところでございます。
  77. 上原康助

    上原委員 今申し上げたことは自治省とも十分連携をとり合ってやっていただきたいと思います。  次に、財政状況が大変硬直化というか抑制をされていく中で、先ほど申し上げたような二次振計後期の計画を立ててそれを具体化していかなければならないわけですが、このこれまでの一次振計なりあるいは先ほども総務局長あるいは振興局長長官考え方というか構想はお述べになっているわけですが、具体的な中身についてはお触れにならなかった。確かに公共部門における基盤整備というかそういうものは継続して推進を図らなければいかないわけですが、同時によく言われるハードの面もまだまだ残っている。同時に、そのソフトの面というものもいわゆる県民生活、沖縄に住んでいる百十六万の人々、市民、県民がどう生活環境というものに、ある面では幸福感あるいは安定感というもの、それを感覚的に受けるかというものが本当の産業開発であり、基盤整備であり、生活環境の整備でなければいかないと私は思うのだ。残念ながらきょうは基地問題は、さっき仲村先生も安保廃棄まで言ったから、取り上げませんが、経済の面だけに中心を置きます。そういった県民の幸福感というか安定感というものを持つものが今少ないわけです、持てるような環境というものが。これのぜひ推進を図らなければいかない、こう私は思うわけです。  その中では何かと言うと、沖縄の文化施設の問題というのは、我々も努力が足りなかったといえば足りなかったかもしれませんが、一次振計、二次振計の中で沖縄の伝統文化あるいは文化の振興というものがどう位置づけられてきたのであろうか、あれだけ沖縄は歌の国、夢の国、舞踊にしても非常に立派なものがある、それを保存しあるいはさらに県民の生活全体の中にそういった憩いを入れていく施設とか、そういうものの整備がほとんど欠けているわけです。この文化施設の位置づけというものは今後どうなさろうとするのか、まずその基本的なお考えから聞かせてください。
  78. 関通彰

    ○関(通)政府委員 先生案内のように第一次及び第二次の振興開発計画、いずれの計画沖縄経済、社会各般にわたります振興の基本方針を示すいわゆる経済、社会、文化も含めました総合的なマスタープランでございます。したがいまして、計画の中では文化の振興というのを一つ大きなテーマとして取り入れているところでございます。  振興計画でうたっておりますのはやや基本的な考え方でございますが、沖縄の文化の特性を考慮いたしまして、特に当沖縄の文化は、日本の古い伝統の上に中国、東南アジア等の影響も受けた独得の文化圏を形成している。したがいましてこういう文化遺産を守ってなおかつ文化活動の充実と文化施設整備を図る、基本的にはこういう考え方をしているわけでございます。  ただ、これまで一次振興開発計画等の成果を見て文化面の整備がおくれているではないかという御指摘でございますが、私どもも端的に申しまして文化面での整備は他の分野に比べましておくれているというぐあいに理解いたしております。復帰後、道路とか港湾とかいう事業にどうしても国も県もあるいは市町村等も重点が置かれまして、そちらの整備が先行してきたというぐあいに申し上げられるかと存じますが、ただ、御案内のように、例えば教育施設等はもうほとんど本土水準に達しております。第二次振興開発計画に入りましてまだ三年目でございますが、これから第二次振興開発計画の期間中、特に文化面、福祉面等の充実に従来以上に重点を置いて推進してまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  79. 上原康助

    上原委員 文化庁来ておられると思うのですが、沖縄の文化といっても幅広いのですが、文化庁の所管でどういうものをこれまでやってこられたのか、御説明いただきたいと思います。
  80. 上野保之

    ○上野説明員 お答えさせていただきます。  沖縄関係は今総務局長からお答えありましたように、法律、計画等で特別措置がなされております。それで具体的な中身といたしましては、この計画にのっとりまして、一つは文化財保護の面といたしましては史跡とか名勝、さらに重要文化財等の保存、整備を文化庁として行ってきております。二番目としまして、現在の現代芸術文化についてでございますが、沖縄等におきましては中央といいますか東京等の芸術を見る機会がなかなかないというようなことから、文化庁でいろいろ行っております子供芸術劇場とか青少年芸術劇場、さらに移動芸術祭というような事業等がございますが、この三つにつきまして沖縄分については特別枠を設けた予算措置を、もちろん五十九年度もそうでございますが、特段の配慮を行ってきております。
  81. 上原康助

    上原委員 文化財の指定をしたり保護、保存をするというのは沖縄だけじゃなくして日本全国なされておるわけで、私もいろいろ調べてみたわけですが、後で数字を申し上げますが、実際に予算面から見てもあるいは政策面から、もちろんそれは政策がないから予算がつかないのは当たり前の話なんです。微々たるものです、文化庁関係から出ているものも。本当にこんなにひどいのかと思うほどこの点は欠落をしている。  そこで一つ一つお尋ねしますが、確かに一次振計、二次振計にも「文化財の保護及び芸術文化の振興」という項目があります。それはまた当然でしょう。また、一次振計では歴史民俗資料館の建設推進、県立総合文化会館の建設あるいは国際会議場のコンベンションホールとかいうものが具体的な文化施設として挙げられているわけですが、今こういうものは一次、二次でどのぐらい整備されているのですか。二次はまだ緒についたばかりですが、具体的にこれまでできたものは何と何か挙げてみてください。
  82. 上野保之

    ○上野説明員 先ほどのそういう演劇等をやるような舞台芸術のための席が三百席以上のホールを持つ公立の文化施設が現在沖縄県に七館ございます。具体的に名称等を挙げますと、例えば那覇市民会館、平良市民会館、浦添市民会館、沖縄市民会館、あと三つほどございます。  先ほどに関連しますが、それでは五十九年度の予算でどのくらいつぎ込んだか申し上げますと、文化財関係で一億八千五百万ほどでございます。それから先ほどの芸術劇場等の文化関係が五千二百万でございます。  以上でございます。
  83. 上原康助

    上原委員 確かに沖縄市にも、那覇市にも市民会館はありますよ。それは開発庁やいろいろなところの補助事業であったかもしれない。これはそれぞれの市のつくった文化会館であって、それがあるから文化施設ができたということにはならないと思うのです。それでは開発庁、今後はどういうものをお考えになっているのですか。
  84. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 文化関係につきましては市町村の申請に基づいてやっておるわけでございまして、従来から社会教育施設、公民館等相当つくっておるわけでございますが、今後つくられる可能性のあるものとして考えられますのは、歴史民俗資料館といいますか博物館といいますかそういうものを県が構想として持っておるということを聞いております。
  85. 上原康助

    上原委員 確かにそれは市町村なり県なりから具体的にこういうものをつくりたいという計画が上がってこないとなかなか進まないとは思うのです。その点は私も否定はいたしませんが、問題は振興開発計画の中で沖縄の伝統芸能を含めての文化の振興という国の位置づけももう少し積極性を出してもらいたいということなんです。あれだけ南の玄関だとか国際交流センター、来月オープンすると思うのですが、そういうものとの連動性を持たせた文化施設の立地あるいは沖縄の伝統文化を、単に県なり市町村が要望したらできる範囲でやろうということでなくしてやらなければいかないと思うのですね。この点が非常に欠けているわけですよ。したがって、今振興局長おっしゃったように歴史民俗資料館なんというのは、あれだけの戦争被災を受けた、現にまだいろいろな資料も収集しなければいかない、県立の博物館があるといったって博物館はパンクしているわけでしょう。そういうものに対してもっと積極的に二次振計の中に位置づけて沖縄の伝統文化をどうしていくかということをやらないといかないと思うのです。その点はぜひ我々ももっとこの面に力を入れていきたいと思うのです。  もう一つは、最近にわかに文化施設の総合的な整備が必要だということでいろいろ言われているわけですが、首里城跡地の公園化ということは二次振計後半に入るのですか。それとも、まだ開発庁としてはこのことについてはどうということはないのか。首里城公園整備計画ではどういうふうに復元するのか。こういうものを具体的に二次振計後期のプロジェクトとして今県と詰めているというわけなんだが、開発庁としてはこういう面はどう思うのか。あわせて、この文化施設との関係で御見解を聞かせていただきたいと思うのです。
  86. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 首里城の復元は沖縄のいわゆる戦後処理の問題としても極めて重要な問題だと考えております。沖縄県等におきましても今までいろいろの調査や構想を出しているところでございますし、また沖縄開発庁におきましても、明年度の予算といたしまして、首里城の正殿位置確認の調査等をお願いいたしておるところでございます。今後これらの調査結果を見ながら首里城周辺の整備方向についても検討していきたい、こういうことでございますけれども、当然後期プロジェクトの中に含めるという考え方で進めさせていただきたいと考えております。
  87. 上原康助

    上原委員 そういうことをひとつ具体的に進めていただきたいと思います。私は、これは五十七年の三月にもこの委員会で、読谷村は歴史民俗資料館という村立のがあるわけですね、それをやったときに文化問題をちょっと取り上げたことがありますがね。それと、今はそういう計画をお持ちだということなんで、一方首里城を考える学者、文化人の方々の会があるようですが、ここで指摘されていることは、公園化を急ぐ余り安易に史跡整備をして将来に悔いの残すことのないようにという御指摘もあるという点もひとつ十分御念頭に置いてこの種のものは推進をしていただきたいということも要望しておきたいと思うのです。  そこで、さっき児童館とか、文化庁いろいろおっしゃっていましたが、確かにそういうのは沖縄には少ないですね。子供を対象にした演劇をやるとかあるいは音楽会というかオーケストラ、そういうものを招いてやっていくということは、設備の問題あるいは距離の問題等で非常に欠けている。それは今地元の新聞等に、二次振計をどう推進をしていくかということでも専門家の皆さん指摘をしていることなのですね。例えば、琉球大学教授の阿部先生なんかは、他県に比べ極端に劣っているのは、子供のための施設が皆無に近いこと。児童館、科学博物館がない、児童図書館が貧弱だ、こういう指摘をしているわけです。したがって、この種の文化施設あるいは子供を対象にした、沖縄の将来を背負っていく児童生徒にこういった沖縄の文化あるいはまた日本全体の文化というものをどう理解をさせ、はぐくませていくかというものが皆無に等しい。こういうものを二次振計後半の中では県も国も積極的に取り上げてもらいたいという指摘をしているわけで、私はこういう角度から申し上げているわけですよ。一方また、歴史博物館のことにしましても、沖縄県社会教育委員会委員会議というのがありまして、新城紀秀先生がこの座長のようですが、要するに生涯教育の観点から見た社会教育施設の設置をもっと二次振計後期においては県も国も推進してもらいたい。例えば、県立の社会教育総合センターであるとか県立歴史博物館であるとか、こういうものを整備をして、沖縄の歴史資料というものが焼失、散失しているものについて復元をするようなあるいは再収集するような、と同時にそういう保存というか展示のできる施設を確保していかなければいかぬということがあるわけで、私は何もすべて市立とか県立——今那覇市もそれを進めているのです、博物館というものを、資料館というものを。そういうことも大事であるけれども、一つぐらい沖縄国立のそういった歴史資料館であるとか博物館であるとか立派な文化施設をつくるとか、こういう計画を立ててもらいたいということなんです、私の結論として言わんとすることは。これが、県なり市町村から要望されたら離島センターつくろうとか、それでは余りにも消極的過ぎるんじゃないですか。基地問題だけは国の予算をとかすか注ぎ込んでやるのに、こういった本当に県民の幸福感というか安定感というか生活感、生活の喜びを与える施設というものが欠けているのですよ。だから余計沖縄というものは基地のイメージがいつも先入観として強く出ている。これも直さなければいけませんが、同時にこの種のものにもっと力を入れていくことが本当の沖縄振興開発沖縄県民の求めている県づくり、国づくり、島づくりというものにつながっていると思うのですね。今はもうその時期だと思うのです。これまでのことはある程度やむを得なかった面もあったでしょう、それは基盤整備、表のものをやらなければいかぬということについて。この点について長官、結論としてどうですか。
  88. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 文化と生活に直結したいろんな施設をもっと積極的に考えろ、こういうお話でございますが、もっともな御意見でございますから十分検討させていただきます。
  89. 上原康助

    上原委員 これは単に聞きっ放し、言いっ放しということではいけませんので、ぜひひとつ二次振計の中で、今申し上げたようなことを御参考にできる点は取り入れていただいて、実の上がるようにひとつ御努力をお願いしておきたいと思います。  次は、これとのかかわりもあるわけですが、やっぱり二次振計の中では離島振興ということもあわせて進めていただきたいと思うのですね。これまでも何度か取り上げてまいりましたが、離島振興という場合も、この振興計画によると、産業の振興であるとか交通通信施設整備であるとか社会生活環境施設等の整備であるとか自然環境及び国土の保全、こういう四つを柱にして離島振興を推進をしていく、ごもっともだと思うのですね。しかし同時に、離島振興を図るという場合は何としても交通通信施設整備というのが重点だと思うのですね、ある意味では。したがって、まあこの間瀬底大橋が完成したわけですが、八重山の場合、石垣市を基点にしての竹富であるとか、あるいはその離島周辺への架橋の問題ですね。同時にまた宮古は池間島とか来間とか、そういうところへの架橋計画が着実に進んでいる面あるいはこれから計画されている面もあるようですがね。やっぱりこれは二次振計後期の段階だけですべてやるというわけにはいかないでしょうが、継続してやっぱり——もう四国にあれだけの橋をかける、あるいは本土ですと新幹線も、東北新幹線にしても一キロに何百億の金を注いで、これはもちろん国の投資だけじゃないでしょうが、そういうふうに交通網の整備というものはやっているわけですね。その恩恵を国民は受けているわけだよ、大なり小なり。だが沖縄離島県であるがゆえに、そういうものは全く、ここに来れば別だが、沖縄という生活圏では受けない。そういう面からしても私はこの種のものについてももっと、みんな一緒にというわけにはいきませんが、継続してそういった架橋の問題なり離島振興というものはもっともっと力を入れるべきだと思うのですがね。この点についての二次振計後期におけるお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  90. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先生おっしゃいますように、離島振興の中で交通手段の確保ということは極めて重要なことであろうと存じます。先生御存じのとおりでございまして、最近瀬底大橋が完成をいたしましたし、以前にも野市大橋それから奥武橋、伊計大橋、これらが既に完成をいたしておるところでございます。私の方も第二次振計の後半の一つの大きなプロジェクトといたしましてこの離島架橋は検討をしているところでございまして、先生おっしゃいますように、具体的には名前を申し上げませんけれども、いろいろな橋の要望がございます。こういうものを計画的に進めさせていただきたいと存ずるところでございます。
  91. 上原康助

    上原委員 これは優先順位もいろいろあるでしょうが、ぜひ継続的に進めていただきたいと思います。  それともう一つ、具体的な課題としてこの離島の村から出ているのは、那覇市内に離島総合センターをぜひ設置をしてもらいたいという強い要望が出ているわけです。といいますのは、南北両大東村あるいは、久米島は高等学校があるわけですからある面では幾分条件はいいかと思うのですが、粟国村であるとか渡嘉敷村であるとか座間味村、渡名喜、こういう八村から離島総合センターの那覇市内の設置をぜひやってもらいたい。理由としては、例えば那覇あたりの高校に子弟を入学させれば一月七万円近くかかるというのですね。沖縄から東京の大学なり学校に出すのに匹敵するくらいにかかる、またかかるでしょう。一人の場合ならそれで何とかなるが、兄弟二人も重なるとその家族全部、子供が高校を卒業するまでは那覇市か浦添市か中部都市圏に移らなければいけない。だから、ますます離島から離島してくるわけですね。こういう過疎化現象にも拍車をかけている。したがって、そういった総合センターをつくってそこで共回生活をさせるとか、いろいろな面でまた経費が安くできるような宿泊等共、勉強を兼ねてのことができる、こういうものなども、これは県段階のことであるかもしれないが、離島振興ということを真剣にお考えになるならばこの種のことについても国としても積極的に助言をするとか、あるいはある意味においてはこうしたらできるだろう、これは開発庁だけのことではないと思うのです。文部省あるいは政府全体の考えとしてやらなければいかぬ問題だと思うのですが、この種の要求についてもぜひ実現をしていただきたい。また政府としてどうお考えか、御見解を聞いておきたいと思います。
  92. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 ただいまの御指摘の件は私も新聞で読ませていただきましたし、先生おっしゃいますように高等学校が那覇等にある、そのために過疎化が進んでいるという事実もそのとおりであろうと存じます。離島総合センターを沖縄本島につくるという制度はちょっと難しいだろうと思いますが、そのほか現在文部省制度といたしまして、学校の中に寄宿舎を附置する、こういう制度がございます。現在沖縄で十二校がこれをつくっているわけでございます。それからさらに学校に附置しない場合におきましても三分の一補助がなされる。先ほど申しました附置する場合には、本土は三分の一であり沖縄は三分の二の補助でありますけれども学校外につくる場合には全国的に三分の一の補助、こういう制度がございます。もちろんこのような制度によるものであれば、県からまた具体的な要望がありますならば検討いたしたいと存じますけれども、今考えているのは、若干これになじまない部分もあるのではないかという感じがいたします。この宿泊センターの具体的な構想を我々まだ承っておりませんので、県それから関係市町村の構想を聞きながら、県も含めましてどのような措置がとり得るか、研究をさせていただきたいと考えておるところでございます。
  93. 上原康助

    上原委員 なじまないものをなじますのが政策であり、政治じゃないですか。すぐ本土制度はこうだとか何だとか言わぬで、御賢明な小林さんだからおわかりだと思うのだが。これは近々具体的に挙がってくると思いますので、十分御配慮をお願いしたいと思います。  きょう質問が広範にわたって大変はしょらざるを得ませんが、また雑務に追われて準備も十分できていませんので、せっかく政府委員皆さん来ていただいてお尋ねできない向きもあるかもしれませんが、その点はあしからず御了解賜りたいと思います。  離島の問題が出ましたので、四月一日から電電株式会社になるわけなんですが、離島の電話料金の問題、私はこれを何回か取り上げて、かなり改善をされてきていますが、民営になったら安くなるのか高くなるのか、まずこれから聞きましょう。
  94. 井上秀一

    ○井上説明員 お答えいたします。  今先生質問のいわゆる電話の遠近格差という問題で、従来からいろいろ御論議されておる話でございますが、これにつきましては従来からも公社は非常に力を入れておりまして、御存じのように五十五年から三回にわたりまして遠距離を中心に値下げをしておりますし、五十九年度、今年度でございますが、今年度も中距離を中心に値下げを行いまして、この結果いわゆる遠近格差と言われているものは、昔の一対七二というのから一対四〇まで改善されております。それで、経営形態変更後どうなるのかというお話でございますが、経営形態変更後競争原理が導入されるという形になるわけでございますが、公社としましては、新電電になりましても今後の情報化の進展というのはますますスピードアップされてくるというふうに考えておりますし、これらについて対応していくためにはさらに遠近格差の是正、それから、いわゆる近近格差と言われております区域内と臨接区域とのいわゆる近距離通話制度の問題、こういうもの全般を改善していくということで、利用しやすい料金というものについて努力していきたいと考えております。
  95. 上原康助

    上原委員 きょうは時間が余りありませんので、細かいことは、触れたいものもあるのですが、省きますが、私は依然として遠距離は高いと思うのですよね。今ごろ十円玉でぼんぼん電話をかけるのは日本ぐらいのものだといって怒られたこともあるのですが、そのことは別として那覇−宮古間は三分間通話で二百六十円ですよね。これは東京−名古屋に等しい。那覇−八重山間は四百円、那覇−南北両大東は四百円、これは東京−大阪以遠に等しいですよね。だから公務にしようが私にしようが、やはり電話料金というものは離島を抱えているとばかにならない。これはもちろん本土離島村もそうでしょうが。したがって、電電株式会社になっていろいろ利潤追求だけでなくして、そういったものが悪くなりはしないかという不安も一面あるわけです。ぜひそういう面を継続して改善をなさるという方向で御努力ただきたいのですが、それはいいですか。  それと、ついでに郵政省も来ていらっしゃると思うのですが、前にも取り上げた北部地域のラジオの難聴、電波障害、これも奥田郵政大臣は私に約束をいたしましたので、この問題は今どう改善策を進めているのか、あわせて御答弁を賜りたいと思います。
  96. 井上秀一

    ○井上説明員 電話料の方につきましては、従来以上に技術革新等の合理化、こういうものを積極的に行いまして、経営基盤の強化を図っていく中で、具体的に生み出した財務の余裕を持って当面遠距離通話料を引き下げる努力を続けていく、こういう中で遠近格差の是正をしていきたいと考えております。
  97. 大井田清

    ○大井田説明員 沖縄の北部のラジオの混信の問題につきましては、郵政省におきまして沖縄のNHK第一放送に混信を与えている外国の放送局の位置、規模等を確認するための調査を昨年の七月に行いました。その結果、混信源をほぼ確認いたしましたので昨年の十月、当該国に対しまして混信の排除の要請を行ってまいりました。しかしながら、なお混信の問題が解消しない状況でありますので、これを国内的に解決いたしますために、中継局の建設が有効な措置と考えられるわけでございますが、そのための使用する周波数の選定を行っているところでございます。現在ほぼその選定作業も終わりまして、近く国際周波数登録委員会に中継局の使用予定周波数を通告し、使用周波数を決定するための国際調整を始めたいというように考えております。また、放送事業者とも相談しながら、中継局の早期建設が実現いたしますよう努力してまいりたいというふうに考えております。  以上です。
  98. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつ、早急に改善できるように、解決できるように、特段の御努力要望しておきたいと思います。  次に、バス問題です。これは、あと一つお尋ねすることがありますので、簡潔に申し上げたいのですが、たびたび意見を交えてお尋ねするなり、また要望もしてきたわけですが、去る三月十六日に、琉球バス、那覇交通二社の合併委員会から、労組側に対して合併計画案というものが正式に提案をされたようですが、この案については、開発庁運輸省あるいは労働省は事前に説明か何か受けたのか、またこのことについての御見解があれば、まず賜りたいと思います。
  99. 永井隆男

    ○永井説明員 ただいま御指摘ございましたように、昨年の暮れの、今年の七月三十日を期して両バス会社の合併に合意をし、十一月三十日までに合併を図るという基本的な合意に基づきまして、合併委員会で具体的な合併案につきまして検討がなされていたようでございますが、三月十六日に、この具体的な計画案が労使交渉の場に持ち出されまして、十六日の午後、組合交渉の場に持ち出されたわけでございますが、その直前、午前中に合併委員会委員長から、本日午後労使交渉にかけるという旨の報告を受けております。
  100. 上原康助

    上原委員 開発庁、どうですか。
  101. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 ただいま運輸省の方から述べたとおりでございます。  ただ、この問題は、沖縄の交通体系を守る上で非常に重要な問題でございますし、十二月以来のいろいろの経緯がございますので、運輸省、労働省、開発庁で、課長クラスの会議を開きましてこの問題に今後対処していく、こういうことでやるようにいたしております。
  102. 上原康助

    上原委員 そこで、もう再三ですので余り申し上げないでも御理解ただいていると思うのですが、問題含みなんですね、この合併計画案というのは。車両台数四百七十七台から三百五十三台、百二十四台削減、乗務員千百十二人から八百二十九人、二百八十三人削減、その他路線の廃止や統合再編など含まれているわけです。このことについては関係者でこれから話し合いがなされていくでしょうが、この乗務員の削減二百八十三人に加えて、整備員であるとかあるいはその他の非乗務員であるとかいうところの四百二十六人の大量解雇ということに計画案としてなっているわけですね。このことについては十分な配慮をしていただきたいということ。  もう一つ、路線変更といいましても、これはもちろん競合面は私も再編するのに異存というか——慎重に進めなければいけないと思うのですが、路線再編、変更はやらなければいけないとは思いますけれども、そのことによって交通弱者の方々が不便にならないように、やはり運輸省なり開発庁で十分——単なる会社側の都合のいいような形でこの種のものが案として具体化していってはいけないということを念を押しておきたいと思います、きょうのところは。  そこで長官、最初にも要望をしたわけですが、私は、せっかくの大物長官、大物大臣ですから、実力者だから、この沖縄のバス問題については、ぜひ河本長官が御在任中に、単なる合併を実現するということでなくして、どうすれば沖縄の陸上交通、公共交通というものが健全化し、県民の足の便が図られ、確保できて、そして沖縄の観光や産業や経済部門に好影響を与えていくかという、この基本の方向づけをあなたの政治力で実現をしていただきたいと思うのです。これはできないことじゃないと思う。そういうことでないと、単に事務レベルで詰めるあるいは労使間で話すといったって、これはなかなか進まない、多額の借金というのがあるわけだから。  このことについての大臣の決意をここでぜひ明らかにして、やはり我々もある程度犠牲もやむを得ない、政府もそこまでお考えになるなら協力しようという雰囲気を今みんなに持たすことだと私は思うのですね。それをできるのは、やはり政治家である、大臣であるあなたの御判断が大事だと思いますので、その点ひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  103. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 バス事業は、沖縄の産業、交通にとりまして非常に大きな役割を果たしておると思います。  そこで、これからの再建計画につきまして、これは労使双方でもう少し突っ込んだ話し合いをしていただく必要があろうと思うのです。労使双方で、こういうことをやろうというその基本路線を自主的にもう少し模索されるべきである、私はこのように思います。そういう方向が明らかになりましたならば、政府といたしましても何らかの対応策を考えていかなければならぬ、こう思っております。
  104. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつ、そのことはもう出つつあるわけですから、出口が、十一月三十日でしたか、決まっているわけで、その間にいろいろな要望なり具体的な要請、要求というものが出てくると思いますので、今申し上げましたような方向で政府としても、特に開発庁として御努力を賜りたいと思います。  次に、きょうは、防衛施設庁とか外務省にはどこかでまとめていろいろお尋ねしておきたいと思って、主に二次振計とのかかわり合いを聞いてきたわけですが、どうしても聞いておかなげればいけない厄介な問題が起きているわけですね。  けさも同僚委員の方からも御指摘がありましたが、相次ぐ米軍の無許可特殊車両の運行によって、交通渋滞あるいは県民への被害、事故等が相次いでいるわけですが、この点について一体政府はどういう御認識をしていますか。
  105. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 けさほど仲村先生の御質問に対して御答弁申し上げましたように、私ども、一方において日米安保条約の目的の達成のために米軍に対して施設、区域を提供する必要があり、かつ、訓練等の例えば米軍の練度を維持するために必要な活動はそれをさせていく必要があると思っているわけでございますが、それと同時に、沖縄のように大変に施設、区域の密度が高いところにおきまして、周辺の住民の方々との関係でいろいろな問題が生ずる、そのような問題を最小限にとどめていくべく、私どもとしても最大限の努力をしていきたいと考えておるわけでございます。  今先生の御質問にございました特殊車両の問題につきましては、最近、三月になりましてから幾つか具体的なケースがあったようでございまして、私どもも、その事実関係等を建設省ほか関係当局の方々のお話も伺いつつ調査してきているところでございます。  具体的には、恐らく先生が今御指摘になりましたのは、三月に入りましてから、三月六日に米軍のパワーシャベルを搭載したトレーラーが陸橋にぶつかったという事故、それからもっと最近でございますが、米軍の大型トラックが信号待ちの乗用車に衝突した事故等を指しておられるのかと思います。  このような事故につきましては、私ども外務省としても、知るに至りました段階で事実関係を調べまして、特殊車両の通行につきましては、一言で申し上げますれば、昭和四十七年に相模補給廠の戦車輸送問題が起きましたときに官房長官談話を出しておりまして、米軍の車両について車両制限令の適用を除外するということを決めたわけでございますが、それと同時に、米軍車両の適用を除外するからといってその通行を全く野放しに自由にするというものではなく、道路の保全上必要な措置を講じた上で通行する義務を課すという観点から、一定の限度以上の規模の車両については日米合同委員会を通じて所要の話し合いを行っていく仕組みを設けたわけでございます。  これは日米合同委員会の場におきまして、そういう日米間で連絡をとり合い、話し合いをしていく仕組みを設けたわけでございますが、今回の三月六日の事故につきまして詳細を調べましたところ、その話し合いの仕組みというか協議の手続にアメリカ側のやり方が一部欠けていた点があるということが判明いたしましたので、そこは私どもの方から日米合同委員会の事務局を通じまして、この道路保全の観点からの所要の協議をぜひ徹底するようにということを申し入れたわけでございます。それに対しまして、米側からも、所要の協議が必ずしも十分でなかった面があったということに遺憾の意を表明いたしますとともに、今後はこのような協議を遺漏なく行うように米側の部内の関係者に周知徹底したところであるという回答を得ております。
  106. 上原康助

    上原委員 何か事が起きて遺憾の意を表明するとかわびるとか、まあわびないよりはいいわけなんだが、それでは済まないわけです。すぐ外務省の安保課が出てくるというのもおかしいので、建設省は、一体合衆国軍隊の特殊車両の通行についてはどういう対策というか、どういうふうに認識をし、また実際に道路管理者として米軍車両についてどういう対応をやってこられたのか。
  107. 横内正明

    ○横内説明員 御説明申し上げます。  道路法によりまして、道路を通行できる車両につきましては一定の限度がございます。高さにつきましては三・八メートル、幅につきましては二・五メートル、長さは十二メートル、重さは二十トン以下というふうにされておりまして、これ以内の車両の通行につきましては自由に行えるわけでございますが、この限度を超える大型の車両につきましては、個々に道路管理者の許可を受けて通行するということになっております。これを特殊車両の通行許可制度と我々は呼んでおります。  ただ、米軍の特殊車両につきましては、車両制限令という政令の十四条によりまして、パトカーのような緊急車とか自衛隊車両といったものと同様に、この許可制度の適用除外になっております。しかしながら、完全に自由に通行できるというものではございませんで、道路の構造の保全のために必要な措置を構じて通行するということでございまして、構造保全のために必要な措置を講ずる必要があるわけでございます。  そこで、こういった構造保全のための措置を米軍が講ずることを担保いたしますために、米軍自身は道路の構造についての情報を持っておりませんので、日米合同委員会の車両通行分科会というところで協議をいたしまして、一定の手続を決めております。これは四十七年十二月にそういう手続を申し合わせているわけでございますが、米軍が特殊車両を通行させようとするときには、その通行のルート、それから個々の車両の諸元、車両の高さとか長さとか重量というものにつきましてあらかじめ建設省に提出をしていただきます。建設省といたしましては、これを個々の道路管理者に流しまして、当該車両が個々の道路について通行が可能かどうか、仮に可能な場合にもどういう条件のもとに可能かというチェックをいたしまして、そういう技術的な検討を行いました後、その検討の結果について米軍の方に通知をしているわけでございます。米軍の方は、それに基づきまして所要の保全措置をとって通行しているという手続になっているわけでございます。  今回の三月六日の事故につきましては、この当該車両についてこのような手続から漏れておりまして、この点につきましては、まことに遺憾に思っているわけでございます。既に沖縄総合事務局におきまして、現地の米軍に対して、今後そういった手続をとるよう、その他の改善措置を申し入れたというふうに聞いておりますけれども、建設省といたしましても、詳細調査の上、在日米軍の担当部局に対して、こういった措置をしっかりとるように、そういう申し入れをしてまいりたいと考えております。
  108. 上原康助

    上原委員 まだ申し入れしてないわけね。  そこで、これはいろいろ調べてみますと、今さっき安保課長がおっしゃったように四十七年十月に官房長官談話、これはもちろん日米合同委員会の車両通行分科委員会でいろいろ取り決めたことを受けてのことでしょうが、わざわざ車両制限令の一部を改正をして、この制限令の適用除外をするということになっている、それが問題の一つです。しかし、除外するに当たっても、特殊車両と同様、道路の構造の保全上必要な措置を講じた上で通行する義務が課せられる。道路の構造の保全上必要な措置を講じた上でという枠ははめられてはいるわけです。制限適用除外ではあるけれども道路の歩道橋であるとか、幅員であるとか、あるいは重量に耐え得るかどうか。それは当然でしょう。もう常識なんです。しかし、今回の場合は、アメリカ側がやっていることは明らかに、仮に百歩譲ってこの適用除外であるにしても、保全上必要な措置がとられていないわけです。この点に対して、単に遺憾であるとか、それで済まされる問題じゃないのですよ。これは罰則規定はあるのですか。そこはどうなっているのですか。  それともう一つは、絶えず問題になることは、車両通行分科委員会で日米間の取り決めがある、協議事項があるということだが、その中身を明らかにしてくださいよ。米側にどういう特権を与えているのですか。
  109. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 幾つか御質問の点がございますが、まず第一に、先ほど先生がお触れになりました官房長官談話と日米合同委員会との関係について申し上げますれば、官房長官談話では明らかにしておりますように、先ほど建設省の答弁にもございましたけれども、車両制限令のもとで国内において自衛隊の教育訓練あるいは警察活動の訓練、あるいは消防訓練に使用される車両など公共の利益に重大な関係がある車両を適用除外していたということがございます。それから米軍の車両につきましては、我が国は安保条約上、米軍に対し国内における移動の権利を地位協定のもとで認めております。今申し上げましたような国内において車両制限令の特例として認められているものとの比較におきましても米軍車両を適用除外するということは自然なことであろうという観点から、昭和四十七年に適用除外を決めたわけでございます、  他方、先ほど来私からも御答弁申し上げておりますし、また建設省からも御説明がございましたように、だからといって全く自由に動けるということではなくて、道路の構造の保全上必要な措置を講じるということになっておりますし、この官房長官談話で言っておりますように、一定の限度以上の規模の車両が道路の保全等を損なわないようにどういうふうに通るかという仕組みを合同委員会を通じて定めようということであったわけでございます。それを受けまして、先ほど建設省からも御答弁がございましたように、昭和四十七年十二月に日米合同委員会において仕組みが決められたわけでございますが、その仕組みは、先ほど建設省の方からかなり詳細に御説明いたしましたように、あらかじめどういうふうな車が、その車の諸元等、それからルート等を日本側に知らせまして、そういうことで通った場合にどういう問題があり得るかということについて日本側の関係当局が技術的検討を加え、その技術的検討の結果をアメリカ側に伝える。その結果、アメリカ側にとってとることが必要な措置があればそれを日本側からも伝える。そういう仕組みのもとで米軍の特殊車両が行動するということになっているわけでございます。合同委員会で決めておりますことはいわばそういう仕組みの大枠でございまして、それをさらに、現地の関係当局等が米軍の関係者等との間でさらに細かくいろいろな形で話し合われているということによって担保しているわけでございます。  それから、次に御質問がございました罰則云々のことでございますが、これは法律論になるのでございますけれども、一般国際法から申し上げますれば、外国軍隊には接受国の法令の適用がないわけでございます。それから米軍の車両が我が国内を移動する際には、米軍車両一般でございますれば地位協定第五条及び合意議事録で……(上原委員「もういい、それは」と呼ぶ)はい、省略いたしますが、要するに交通法令等が適用されることになっておりますが、車両制限令については、先ほど申し上げましたように適用除外にしておるわけでございます。  この米軍による法令違反、罰則等々の問題につきましては、これは通常の私人に対する法令の適用とはおのずから異なるわけでございまして、米軍に対して法令上の罰則、例えば罰金というようなものが科せられるということはございませんし、また法令違反の行動に従事した米軍人等に対しても我が国が直ちに裁判権を行使するということにはならないわけでございます。これは地位協定の十七条のもとにおいて米軍が第一次裁判権を有するということから、我が国が直ちに裁判権を行使するということにはならないわけでございます。  ただ、先ほど私、三月六日の事故について申し上げましたけれども、その後の二つの事故についても事実関係を調べました上で、三月六日の事故につきましては全く合同委員会の仕組みのもとでの連絡がなかったということではなくて、パワーシャベルが通るということで連絡があったようでございますが、パワーシャベルをトレーラーに載っけて通るという意味での連絡が欠けていたということは遺憾であるということから、先ほど申し上げました申し入れをしたわけでございます。それに対してアメリカは遺憾の意を表しているということでございます。それと同時に、その後二つくらいございました事故につきましても重々に気をつけるようにということを申し入れた次第でございまして、今後ともこのような問題につきましては合同委員会等の場を通じてアメリカ側の注意を喚起していきたいと考えております。
  110. 上原康助

    上原委員 ここは要領よく質問しようと思ったのに、あなたの答弁が長いからもう時間がなくなった。外務省が答弁すると恐らくそうなるだろうと僕は思っていた。それじゃだめですよ、あなた。  それで建設省、五十八年、五十九年、アメリカ側からどれだけの申請があったのか、それを後で資料として出してください。それと建設省が五十九年一月二十三日、在沖米軍司令官に出したこの中身は政府全体として最小限度遵守させるようにやってください。その点についてのお答えをいただきたいと思うのです。
  111. 横内正明

    ○横内説明員 先生の御指摘のように事実関係について十分調査いたしまして、私ども在日米軍の輸送担当部局とはふだん連絡がございますので、その辺について十分手続の徹底、それから米軍の内部での運行管理の徹底、そういった点を申し入れて万全を期してまいりたいと思います。
  112. 大内啓伍

    大内委員長 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、玉城栄一君。
  113. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官には長い時間、大変お疲れだと思いますが、もうしばらく私の質疑もさせていただきたいと思います。  最初に、河本長官ももう既に御案内のとおりでございますが、このたび沖縄の金城次郎さんが琉球陶器で人間国宝に認定をされることになっておるわけであります。はえある人間国宝ということは沖縄県民にとりましても本当に喜ばしいことでもありますし、また沖縄の大きな誇りでもあるわけであります。また同時に、これからの若い人々に対して大きな希望を与えるものだと私は思うわけであります。初めて沖縄からこのように人間国宝の認定をされるということであります。金城次郎さんの作品につきましては非常に素朴であり、おおらかであり、魚を絵柄としてまた非常に安らぎといいますか優しさといいますか、あるいは力強さといいますか、そういうものが特徴だと言われておるわけです。実は長官、壷屋焼については側存じだと思いますが、改めて人間国宝に認定されるということで私、今週沖縄から帰ってきますときに茶わんを買ってまいりましたので、私が注駅を加えるよりは茶わんをごらんになっていただきたいと思います。この茶わんが人間国宝金城次郎さんの茶わんであります。いろいろな特徴があると言われておりますが、その御感想も含めて、沖縄で伝統的な工芸品がそのように指定されているということについて長官の御所見をひとつお伺いをいたします。
  114. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 大変おめでたいことだと思います。今政務次官に聞きますと、日本で笑っている魚をかけるのはこの人だけだ、こういうことであります。お喜び申し上げます。
  115. 玉城栄一

    ○玉城委員 それで、沖縄振興開発で伝統産業育成ということは当然大きな柱にもなっているわけでありますし、実は我が国は、長官御存じのとおり、自動車とかICとかビデオとかカメラとか、非常にすぐれた近代産業が非常に発達をしておるわけですが、他方、このようなすぐれた伝統工芸品というものもあるわけですし、特に沖縄の場合は観光立県ということで、今回このように人間国宝という認定がされるということ、したがいまして、その沖縄の伝統工芸品の育成ということについて、先ほど茶わんについてのお考えがありましたけれども、そういう産業育成ということについての長官の御所見をお伺いいたします。
  116. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 私は、二次産業を盛んにするということはもちろん非常に大事な課題でございますが、これには幾つかの難しい条件がございまして、なかなか思うようには進まないのが現状でございます。  そこで、一次産業はもちろんでありますが、三次産業、あらゆる分野での産業の振興を進めていく必要があろう、このように思います。そういう意味で、今お話しになったことに対しては全く賛成でございます。
  117. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官は通産大臣も御経験しておられるわけですが、伝産法、全国に伝統産業会館というのが十五カ所建設されております。今すぐ沖縄でどうのこうのというわけじゃありませんが、やはり将来の問題としまして、そういう国の補助による伝統産業会館ということについてもやはり検討することもあるいは必要ではないかと思いますが、長官いかがでしょうか。
  118. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 県の方ともよく相談をいたします。
  119. 玉城栄一

    ○玉城委員 ひとつ沖縄のこういうすぐれた独特な文化、そしてそういう伝統工芸品、長官とされましても、ひとつ大事に守り育てていただきたい、このことは要望申し上げておきます。  次に、外務省の方に伺いたいのですが、来月、例の沖縄国際センターがオープンするわけですね。そのことについて、私非常に沖縄のこれから東南アジア諸国、ASEAN諸国、太平洋諸地域あるいは環東シナ海等々、そういう意味で、今回国際センターがオープンするという意義、非常にまたこれから期待しておるわけです。そのセンターの機能、役割について、管轄していらっしゃる外務省、どのような認識を持っているのかお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、深谷委員長代理着席〕
  120. 黒川祐次

    ○黒川説明員 沖縄国際センターについて御説明いたします。  昭和五十六年一月、鈴木前総理がASEAN諸国を歴訪されました際にASEAN人づくりプロジェクト構想を提案されました。その構想は、開発の担い手を育成する人づくりを推進するために、ASEAN諸国に人づくりのためのセンターを一つずつ設置する、それとともに、同センターで技術協力を実施するというものでございます。  御指摘沖縄センターは、同構想の一環としてASEAN諸国に設置される人づくりセンターから研修員を受け入れるとともに、コンピューター、視聴覚技術といった面での研修、シンポジウムの開催、こういうものを実施する目的で、国際協力事業団、JICAの附属機関として、沖縄県の浦添市に沖縄県の方の御協力も得て設置されるというものでございます。  本センターは、先生指摘のように昭和五十八年十月に建設工事が開始され、本年四月十七日に開所式を行うというものでございます。同センターの主要施設としては、研修、管理、寄宿舎、厚生用の各棟、体育館等がございまして、延べ床面積は約一万平方メートルということでございます。
  121. 玉城栄一

    ○玉城委員 その経過と現状の建物、いろんなことについてはまあ……。外務省としては、このセンターをJICAが管理していくわけですが、どういうふうにこの役割を持たそうというふうに考えているのですか。
  122. 黒川祐次

    ○黒川説明員 外務省としては、先ほど御説明いたしましたように、東南アジア、特にASEANを含めた世界各国との技術協力、それから交流の拠点ということで考えております。特に沖縄というところは国際交流の経験もいろいろございますので、立地条件としても非常によろしいというふうに考えております。
  123. 玉城栄一

    ○玉城委員 ちょっと今その研修センターに外国の研修員の方々、いらっしゃいますね。何名か、それと国をちょっと教えてください。
  124. 黒川祐次

    ○黒川説明員 研修は、来年度、六十年度の予定といたしましては、十四コース百六十一名を考えておりまして、主としてASEAN六カ国から、その他海外の、アジア、アフリカ、中近東、中南米の国からも研修員を呼び寄せるということを考えております。
  125. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官、今度を立っていらっしゃいますので、政務次官の方からひとつ。  ですから、沖縄は御存じのとおり自然的条件からしましても、いろんな意味でASEANだとか太平洋諸地域といろんな似通った条件があるわけですね。ですから、これから我が国、日本が二十一世紀に向けて、やはりASEAN諸国、東南アジア諸国とか太平洋諸地域、そういう国々との関係は非常にこれから重要になってくると思いますし、重要にしていかなくてはならないと思うのですね。  そういう意味で、日本列島の中で沖縄が非常に南にその拠点、いわゆるかけ橋の拠点的な役割は沖縄にあると思うのですね。その沖縄にこういう国際センターが今回開所する、その意義について大城政務次官はどのようにお考えですか。
  126. 大城眞順

    ○大城政府委員 来る四月十七日にオープンいたします国際センターにつきましては、沖縄にとっては未来に向けて大変画期的な事業だと意義づけております。何と申しましても、沖縄は日本の南の玄関口と言われ、そしてまた国際化時代、地方の時代と言われる中で、沖縄の位置づけというものが、私はこの国際センターの設置によって少し先んじたのではないかということで大変喜んでおるところであります。  問題は、この中身をこれからどうしていくかということでございまして、ASEAN諸国を中心にしてという言葉がありますけれども、もちろんASEAN諸国でもございますけれども、太平洋の島嶼国全部を網羅したところの新しい太平洋時代に向けて、この国際センターが日本の顔になるように、今後ともその運営において意義づけていかなければならないと私は思います。  過般、読売新聞でしたか、総理の構想といたしまして、沖縄の国際センター、それからフィジーの南太平洋大学にある技術センターとか、名前はちょっと忘れましたけれども、それとハワイにつくられるというそういった類似のセンター三つをタイアップさせまして、非常に身近な連絡をとりながら、これからのASEAN、太平洋の時代をどういうふうにして開いていくか、まずは人づくり、ヒューマンリソーシスの問題と、それからテクニカルノーハウというものを維持するための大きなメッカにしていこうではないかという記事も読んだことがございます。  そういったもろもろのことで、沖縄にとってはこの国際センターというものは大変な、将来に向けてもすばらしい意義づけができた、こういうふうに考えておりまして、県民挙げて、そしてまた国も、これからこの国際センターの本当に効果ある運営について御協力を願っていきたい、このように考えておるところでございます。
  127. 玉城栄一

    ○玉城委員 政務次官は地元でもありますし、また御自身非常に国際的な感覚を持っていらっしゃるわけですから、熱意のある意義づけをしていただきました。  長官、先ほどからの国際センターが来月開所するわけです。これから日米関係というのは、貿易問題は今大変な状況にあるわけですが、非常に大事ですが、二十一世紀に向けてやはり我が国、東南アジアとかASEANとか、太平洋諸地域との関係はさらに重要視していかなくてはならない。そういう意味では、いろいろな自然的な条件、ほかの面でも沖縄というのは似通ったものがあるという中で、そういう沖縄国際センターという、向こう方々は研修、あるいはこちらからも向こうに送る、そういう場が設定されるわけでありますが、長官、どのように認識していらっしゃるのでしょうか。
  128. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 私も昨年末に見学に行きましたが、完成間際でありましたけれども、大変立派な充実した内容で、あれだけ立派なものができますとそれにふさわしい内容を充実いたしまして、それなりの大きな役割を果たすべきだ、こういうことを私は痛感いたしました。  あのセンターを沖縄に立地したということにはそれなりの経過、目的があるわけでございますから、十分その機能が発揮できるように、そして大きな成果がもたらされますように私どもも期待をいたし、その方向に行かなければならぬと思っております。
  129. 玉城栄一

    ○玉城委員 国際化という時代の流れの中で我が国が世界に果たしていくという中で、沖縄は地政学的にも大きな拠点として、そういう中でこういうセンターが今回開所していくということについては、期待もし、それなりの力を発揮さしていかなくてはならない、このように思います。  次に、水産庁の方にお伺いをいたしたいわけであります。  水産庁は、今回「活力ある漁村の形成」についての一環として、六十年度から沿岸域計画営為推進事業が行われることになっているようでありますけれども、その概要について御説明をいただきたいし、その際、沖縄については当初どの程度実施が見込まれているのかお伺いをいたします。
  130. 菊地徳弥

    ○菊地説明員 お答えいたします。  近年、二百海里体制が定着してまいりまして、我が国の周辺水域におきます水産資源の高度利用の必要性が従来にも増して高まってきておりますことは、先生御高承のとおりでございます。一方、沿岸漁業は、一般的に申しまして、漁船の大型化それから装備の高度化等によりまして漁獲努力というものが増大してきておりまして、資源の水準あるいは漁場の条件に見合った操業が図られてきていないという多くの問題を抱えているところでございます。  それで、先生案内の沿岸域計画営為推進事業というものは、ねらいといたしましては、沿岸域の資源の水準に見合った適正な操業、こういうものを維持する必要があるだろうということ、それからさらに、とられた水産物の地元におきます地場加工といいますか、そういったことによりまして地域漁業者の就業機会の拡大を図ること、また省エネ、省力化の推進等沿岸漁業の緊急な課題に対処するために、漁協の地区を単位といたしまして地域の漁業者集団の自主的な話し合いに基づく営為計画づくりというものを、六十年度から五カ年計画によりまして全国六百地域を対象として水産庁といたしましては実施しようと考えているところでございます。  沖縄県につきましては、県当局と接触は持っておるところでございます。若干の県の意向も出てきておりますけれども、まだ十分煮詰まっていないという段階ではございますが、私どもといたしましては、県当局の御意向を十分配慮しながら地域の実態に応じまして、本事業を適切に実施してまいりたいと考えております。
  131. 玉城栄一

    ○玉城委員 大変難しい説明をされますが、極めて簡単に、こういうことですよ、六百漁協のうち今年度はどう、そして沖縄についてもどうするんですよとおっしゃっていただけばいい。何か活字を並べたものがだらだら出るものですから、よく理解しにくいわけです。  いずれにしましても、二百海里という中でも、私は、沖縄の場合、こういう沿岸漁業資源というものはこれから抜本的に見直しをしていく非常に大事な時期に来ていると思うのです。ぜひ沖縄も含めて、むしろ時宜に適した計画を水産庁としてされていると私は思うわけですから、大いにこの事業計画を推進していただきたい、このことを要望いたします。どうもありがとうございました。  次は、科学技術庁の方にもお伺いしたいのですが、今回科技庁の方でも、海域総合利用技術開発の推進、いわゆるアクアマリン計画を明らかにしておられるわけですが、その計画の概要と、また、沖縄県からもそういう申請が出ているのかどうかをお伺いいたします。
  132. 宇都宮誠

    ○宇都宮説明員 ただいま御質問のありましたアクアマリン計画でございますが、二百海里時代に対応した我が国沿岸域の総合的利用を推進するために、その基礎となる海域総合利用技術の開発を推進するということを目的にしております。  具体的には、昭和六十年度から三年間にわたって全国的に地方自治体に対するアンケート調査等を実施いたしますとともに、毎年三地域を選定いたしまして、当該地域の特性を踏まえた技術課題の抽出を行うということにしております。抽出されました技術課題につきまして、科学技術振興調整費等の予算を活用いたしまして技術開発を推進することを予定しております。  各都道府県に対しましてその調査計画書案の提出を求めましたところ、現在、沖縄県を含めまして十一県からの申請がございます。これにつきまして慎重に審査をいたしまして、四月中には三地域を選定いたしたいと考えております。
  133. 玉城栄一

    ○玉城委員 今の件は、十一県からの申請で、今年は、新年度ですね、三カ所ということ。これは来年も再来年もということに当然なっていくわけですね。先ほどの御説明、ちょっと聞き漏らしたのですが、その今年の三カ所というのはいつごろ指定されるのですか。
  134. 宇都宮誠

    ○宇都宮説明員 六十年度から三年間、毎年三地域を指定したいというふうに考えております。そしてその十一県につきましては、四月中には三地域を選定いたしたいと考えております。
  135. 玉城栄一

    ○玉城委員 どうもありがとうございました。  これは開発庁の方に伺いたいのですけれども、先ほど上原先生からも御質疑があったのですが、いわゆる本島離島の七つの島の八つの村の方々が、本島の方で学生宿泊のセンターをぜひつくりたいが、その建設あるいは用地確保に相当の資金がかかる、したがって財政力が乏しい八つの村ではとてもこれはできないので、国を含めて、もちろん県も含めて援助してもらいたい、こういう趣旨ですね。これは非常に深刻な問題なんですね。これは前から、例えば南大東なんかで、局長さんなんかもよく御存じだと思いますけれども、よくそういう要望地元から強く出るわけですね。それはもう、やはり何とか子供だけは立派に教育を受けさせておきたいというのが親の願いですから。ところが、先ほどお話がありましたけれども、一人当たり七万ぐらいかかるということですね。これは親の負担というのは大変なものですから、それを二人も三大もということになると、だから家族全部で島を離れるということも、この方方の言っているとおりなんです。悪循環、過疎過密の繰り返しということなんです。  したがいまして、私、実は、きのうですか、大蔵省の管財関係の方とも、もし幸いに適地に国有地があれば何とか便宜を図ってくれるのかという話をしましたら、それはそういう適当なところにうまく国有地があって、うまく坪数があれば、それは当然考えられますよということはおっしゃっておったわけであります。ですから、いろいろな形で、今の制度の仕組みの中でも資金的なあるいは用地の問題とか——ただ、さっき小林さん、研究するとおっしゃったが、研究じゃない、検討ですね、検討していただいて、これは前からそういうものがあって、今回表に出て、八つの村がお互いに何とかしていこうじゃないかということで負担を軽減しようじゃないかということですから、それは沖縄開発庁という立派なお役所がある以上、研究とか無関心ということでなくて、少し積極的にやっていただきたいと思うのですよ。どうですか、小林さん先ほどお話がありましたけれども
  136. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先ほど上原先生学校の寄宿舎等について御説明申し上げましたので省略いたしますが、我々も新聞報道でしかこの構想は聞いておりませんけれども、これから恐らく市町村を通して県からもいろいろ相談があろうと存じます。先生今申し述べられましたような制度のいろいろのことを含めまして、これから研究し、検討させていただきたいと思います。
  137. 玉城栄一

    ○玉城委員 小林さんは総合事務局長もしておられてよく御存じですから、ぜひひとつ親身になって考えていただきたいと思います。  次は不発弾の問題なんですけれども、この間も大きなものでそのたびに関係地域の住民の方は避難をされる、その地域の方々には寝たきり老人もおれば学校も保育所もある。それは大変なんですね。鉄の暴風があのとき吹き荒れたわけですから、今もって相当の不発弾がある、こう言われているわけですね。そこで、これは開発庁の方が担当しておられるようですが、防衛庁の方には処理班の処理の作業の実態については二、三日前に伺いましたけれども、一つは、開発庁の方にお伺いしたいのですが、不発弾が一体どれくらいまだ残っているのか。そして、ことしに入ってどれぐらい大きな不発弾の対応をしたのか、その二つをちょっとお伺いします。
  138. 関通彰

    ○関(通)政府委員 最近の処理の状況を申し上げますと、不発弾は工事現場等で発見されますと、その都度緊急処理を行っておりまして、また、住民の方から埋まっているという情報がございますと、探査、発掘をして処理をしているという状況でございますが、両方合わせまして昭和五十八年度に件数にしまして六百七十八件、これは全国の処理件数の二三・三%でございます。重量にしまして四十・二トン、全国の四三・二%でございます。年間、大体各年見まして、この件数、このトン数前後の処理をいたしております。そのうち、特に大型のものという御質問ございましたが、二百五十キロとかいう大型の爆弾になりますと、住民の方の避難をお願いいたしておりますが、そういう避難を伴ったような大型の処理件数は五十八年度十五件でございます。  あとどのぐらい埋まっているかということでございますが、沖縄は申し上げるまでもなく戦場になったところでございまして、いろいろ話はございますが、具体的に推定したとか、あるいは信頼できる推定数というものはなかなか的確な数字はないのじゃないかというぐあいに考えております。
  139. 玉城栄一

    ○玉城委員 防衛庁の方は大体三千トンないし四千トンぐらいあるのじゃないか、開発庁の方も、向こうがそう言うならそのくらいあるんじゃないですかというようなことですね。これは当然正確にわかるわけはないのですけれどもただ、これまでの皆さん方の処理の状況、年間大体四十トンないし五十トンですか、五十トンとして、三千トンとしますと五、六、三十ですから、やはり今の調子でいきますと六十年。ところが、予算を見ますと、これは私、きのう伺いましたから皆さんから言っていただいた方がいいのですが、五十七年度は六千二百二十万七千円、ところが今度五十八年度になりますと四千八百万も減になりまして一千三百四十三万、そしてまた五十九年、現年度一千二百三十六万とさらに減って、今度新年度は、六十年度予算には一千二百万、これも減ってきている。これまで三千トンぐらいあるとして、年間大体四十トンくらい対応している、ところが予算は減っていく、こういう現象なんですが、これでいいのかどうか、ちょっとお伺いいたします。
  140. 関通彰

    ○関(通)政府委員 一つは五十七年度、それ以降の年に比べまして予算の額が多いわけでございますが、これは特に五十七年度、新しく保管庫を建設いたしまして、その経費が含まれるために金額が多いわけでございます。五十八年度以降は千三百万円前後で推移いたしております。  先ほど、五十八年度六百七十八件の処理をしたと申し上げましたが、実はこの大部分は工事現場等で発見されまして、自衛隊の不発弾処理隊が処理されるというケースでございます。経費がかかっておりますのは、住民等の方の情報によりまして特に探査をして発掘する、そして埋め戻しをするというような発掘をいたしますと経費がかかるわけでございますが、五十八年度に探査、発掘をした件数は十七件でございまして、予算のほとんどはその十七件の件数に使われているという状況でございます。
  141. 玉城栄一

    ○玉城委員 いずれにしましても、二月十六同の昼の避難なんか二万人近い方々が避難しているわけです。そういうことがことしに入ってからも出てきているわけです。それで、これもお伺いしましたら、避難させて、それだけですよね。食事時間なんかは避けているということのようですけれども、それは市町村がやればいいんじゃないでしょうかというだけでなく、せめて温かいコーヒーの一杯ぐらいでも県と相談しながら出す、そのくらいの配慮をやっても当然いいと思うのですけれども、この予算を見ますとだんだん減ってきているものですから、いよいよ大丈夫かなと危惧するわけであります。ひとつぜひ、六十年なんて言わずに、こういう問題が一日も早く解決するように要望しておきます。  次に、外務省の沼田さんにぜひ伺いたいのですが、この委員会でなく、おととい外務委員会で伺いましたけれども、ペンディングになっていますね、あの地位協定の十七条5の(c)ですか、この改正問題、これはおっしゃるとおり、これが改正されるということは非常に難しいことはよくわかります。あるいはできないかもしれません。それはよく理解しておるわけです。ところが、米兵が住民を殺人という凶悪犯が、身柄も拘束されないままに取り調べるというようなことがあっていいのかという非常にいら立ちが当然あるわけですね。ですから、そういう背景がありまして執拗にこの間からこの問題を取り上げているわけですが、沼田さん、米兵の軍人軍属及びその家族の犯罪件数、せめて五十六年あたりからでもおっしゃってください。全部となりますとなにでしょうから、凶悪犯ですね。
  142. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 お答えいたします。  まず、外務省としてどこまで把握しているかという点について申し上げますと、実際の具体的な犯罪のケースにつきましては、例えば沖縄県警当局であるとか、あるいは検察当局、裁判所当局等がそれぞれ厳正な法の執行を行っているということでございますので、私どもとして必ずしも個々の犯罪の細かい数字を、あるいはそれについての刑事手続の進行状況とか裁判の結果等の詳細を承知する立場にはございませんけれども、例えば沖縄県警の発表されております数字の中で、五十五年でいわゆる米軍人による凶悪犯罪検挙人数が四十三人、五十六年で三十六名、五十七年で二十四名、五十八年で二十名という統計が出されているということは承知しております。  ただ、その統計数字のとり方の問題がございます。凶悪犯罪というものをどういうふうに定義するかという問題がございますので、それ以上の詳細は私どもから申し上げる立場には必ずしもないわけでございます。他方、今先生がおっしゃいました米軍人による殺人事件ということでありますれば、これは法務省当局などから私どもただいている数字でございますけれども沖縄本土復帰以来七件の殺人事件があったというふうに承知しております。
  143. 玉城栄一

    ○玉城委員 凶悪犯というのは、分類はいろいろあるわけです。沖縄県警の発表ですと、昭和四十七年の沖縄復帰から五十八年までの犯罪件数、検挙人数は、件数が三千二百二十三で、人員で三千三百六十六。そのうち凶悪犯の件数が四百三十、人員が五百三十四。凶悪犯ですから、もちろん殺人もあれば暴行もあれば強盗もある、いろいろあるわけです。これの凶悪犯に限って、有罪、懲役になった年数、平均的なものはどれくらいなんでしょうか。
  144. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 お答えいたします。まず第一に、今私七件と申し上げましたのはこの前の金武町の殺人事件は入れていない数字でございますので、その点をお断りしておきます。金鳳町の殺人事件につきましては、御承知のとおり起訴されまして、今、司法手続のもとにあるところでございますので、それを入れてない数字でございます。先ほどお答えいたしましたように、凶悪犯罪、家人、強盗等を含めたケースの詳細について私ども把握しているわけではございませんけれども、例えば今申し上げました殺人事件の七件の例で申し上げますと、私ども承知しておりますところでは、これは今計算をして平均するところまでいっておりませんけれども、無期懲役が三件、懲役十五年というケースが一件、懲役十三年というケースが一件、懲役十年というケースが一件、それから心神喪失を理由に無罪になっているケースか一件というふうに承知しております。
  145. 玉城栄一

    ○玉城委員 殺人を犯した犯人について、刑務所はどこの刑務所ですか。
  146. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 私が今手元に持っております資料では、具体的にどこの刑務所がということはあいにく持ち合わせておりませんが、いずれにしても日本の刑務所であることは確かでございます。
  147. 玉城栄一

    ○玉城委員 これはおとといもペンディングになっておりましたけれども、いずれにしても有罪か確定して今服役している米軍関係の犯人、この身分はどうなっておりますか。兵隊なのか、あるいは軍籍はもうなくなっているのか、その辺がそのままですから、答えてください。
  148. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 お答えいたします。  一昨日の外務委員会の後私ども調査したわけでございますが、一昨日の外務委員会において北米局長からもお答えいたしましたように、このようなケースについて米側の内部において、あるいは米軍の中において具体的にいかなる処分等が行われるか、取り扱いがなされるかということの非常に詳細にまで立ち入って我が国として承知する立場には必ずしもございませんけれども、一般的にどういうふうになっているかということでアメリカ側からも聞いている結果を申し上げます。  一般的にということで申し上げますと、外国に駐留する米軍に属する米軍人が接受国において凶悪犯罪を犯し、接受国の裁判所により実刑判決を受け、刑の執行に服することとなった場合には、刑の執行の終了等により当該接受国当局より釈放され、身柄が米側に引き渡された後、直ちに同人は米本国に送還された上で一定の手続を経て軍籍が剥奪されるということになっております。これはNATO諸国、NATOの上でも、安保条約及び地位協定に基づいて我が国におります米軍人についてと同様の取り扱いを行っているものと承知しております。すなわち、我が国において刑に服すこととなった米軍人は、刑に服している間は引き続き米軍人としての身分を保持しているということでございます。     〔深谷委員長代理退席、委員長着席〕
  149. 玉城栄一

    ○玉城委員 今おっしゃることは、簡単に言いますと、日本の刑務所に服役しているときのアメリカの兵隊はちゃんと兵隊の身分を持っているということですね。ということで、例えば凶悪犯といったら十五年、死刑なんということもあり得るでしょう。そういう場合はどうなるのですか。アメリカの身分を持った兵隊を死刑にするのですか。
  150. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 先ほど申し上げましたように、今までのケースをとりますと、無期懲役という例がございますけれども、死刑という例は私、ちょっと今承知していないのでございまして、(玉城委員「いや、死刑だってあり得るのですよ」と呼ぶ)理論的にはあり得るわけでございますけれども、今私が御紹介しましたのは、日本国の刑務所で服役して刑の執行が終わって後でどうなるかということについての一般的なプラクティスを申し上げたわけでございまして、死刑の場合については、申しわけございませんが、ちょっと今お答えできる状況ではございません。
  151. 玉城栄一

    ○玉城委員 沼田さん、そういうことになりますと、アメリカの軍人並びに軍属、その家族は日本においてどんな犯罪を犯しても死刑にはなり得ないということですね。
  152. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 私が申し上げましたのは、そういう趣旨ではございません。
  153. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖縄の金武町で死刑という、これはいろいろ異論がありますけれども、米兵が住民を殺害した、そういうことで地位協定によって身柄が拘束できないまま取り調べが非常に難しい。今起訴されている。そこで、逮捕のときあるいは起訴のとき、あるいは判決のとき、あるいは有罪確定のとき、全部米軍の軍籍をちゃんと持っているということになるわけですね。これは非常にアンフェアということで、おとといもそういう話があったわけですけれども、日本では公務員にしても自衛隊にしても、あるいは今どきどき警察がいろいろな犯罪を犯している、あれは逮捕のときですよ、首になるのは。これはもう有罪確定してもちゃんとアメリカの軍籍を持っている。そんなことがあり得るということですね。
  154. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 先ほど来お答えいたしておりますとおり、我が国裁判所による判決に従い、我が国において刑を受ける米軍人はその期間、受刑中にも軍籍を保持しているわけでございますが、他方これらの米軍人が刑を受けている間、受刑に当たってほかの者と何ら異なる取り扱いを受けるわけではございませんので、そこは特にその問題があるということではないのではないかというふうに考えます。
  155. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間がありませんので……。そうしますと、日本の刑務所に服役して満期で釈放されるときの、いわゆるアメリカの関係する犯罪の犯人はどこに釈放されるのですか。日本の刑務所を出るとどこに釈放されるのですか。
  156. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 刑の執行の終了等によりまして、当該米軍人が接受国当局、この場合には日本国当局から釈放されました場合には、身柄は米軍当局に引き渡されるということでございます。そこで、そこから後が先ほど申し上げました米側の内部の手続になるわけでございますけれども、米側に引き渡された同人は米本国に送還されて、そこで内部的な手続を経て軍籍剥奪、こういうことになるわけでございます。
  157. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間がございませんので、ひとつその点、この際もう少し整理して、後でまた理解できるように、部屋にでも来ていただいて御説明をいただきたいと思います。  以上です。どうもありがとうございました。
  158. 大内啓伍

    大内委員長 以上で玉城栄一君の質疑は終了いたしました。  次に、小沢貞孝君。
  159. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 第二次沖縄振興開発計画の後期を迎えるに当たって、私は沖縄振興について、例えば六十二年国体後どうするかとか、あるいは先ほど来質問のあったように第二次産業の振興がどうなるとか、前々から問題になっておる北部のダム開発、水資源のことはどうなるとか、いろいろ重要なこともありますが、第二次沖振の後期に当たって一つの重要な問題たることを失わないのは電力問題ではないか、こういうようにも考えますので、大変申しわけありませんが質問の順序を変えさせていただいて、沖縄電力の問題、電源開発のその後の状況等々について、まずお尋ねをいたしたいと思います。  具体的に、我々が委員長をやっておったときは沖縄電力の資本金は百四十七億、それに相当するもの、またはそれ以上の赤字があったわけであります。五十五年は累積赤字が百六十七億、こういう状況にありました。したがってこの石油の事情から、これは石炭火力でなければならない、こういうことで石川火力の建設計画が始まった、こういうように考えておりますが、その後の沖縄電力の経営状況、ごく簡単でよろしゅうございます、お知らせをいただきたいと思います。
  160. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答えを申し上げます。  沖縄電力の経営の状況でございますが、先生指摘のとおり、五十五年度末で百六十七億六千三百万円という累積赤字を計上いたしておりました。その後、五十六年、五十七年と料金改定の効果もありまして若干黒字に転向いたしまして、五十八年には異常に猛暑で需要が伸びましたことと、五十八年三月に御承知のような石油の価格の低下がございまして、現時点では九十一億八千二百万円の累積赤字となっております。五十八年度末がそうなっております。  五十九年度も非常に石油価格、安定をいたしておりまして、順調に推移をいたしておりますので、かなりの黒字計上ができる、このまま順調に推移して石油の価格も安定し、ほかにいろいろな条件も驚くような事態が起こらないとすれば、現在のところでは六十年度末には累積赤字を解消することができるのではないかというふうに見ております。
  161. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私の手元の資料も、毎年約五十億ぐらいずつの黒字になって、六十年度末は累積赤字ゼロ、六十一年度もそのような状況が続けば五十億の黒字、六十二年度には今の情勢そのままでいくと百億の黒字、こういうようなぐあいに大変好転をしていくのではないか、当時と比べればまさにさま変わりの状態だ、こういうように考えます。  ここでお尋ねをしたいのは、その赤字の真っ最中のころに沖縄電力民営化、こういう論議がありました。たびたび閣議で決定しても、この赤字を我が沖縄で抱き込んでは困る、こういうようなことからいろいろの紆余曲折を経てきたわけでありますが、最近のこの沖縄電力民営化の問題について、長い経過はいいわけですが、一言だけ、状況だけお尋ねをしたいと思うのです。
  162. 川田洋輝

    ○川田説明員 沖縄電力の民営化の問題につきましては、御指摘のとおりいろんな論議が今まであってきたわけでございますが、やはり民営化をするという場合にどういう形式、内容でやっていくかということでいろいろな議論があるわけでございます。現在のところでは、まずそれらについて地元の意見をよく聞く必要があるだろうということで、県御当局にお願いをいたしまして地元意見の取りまとめ方を願っておるところでございます。  承るところでは、大体県内の意見をほぼ集約されたというふうに聞いておりますので、近々私どもの方に、県内大体こういうことで進みたいというようなお申し越しがあるのではないかというふうに承知をいたしておりますが、それを受けまして私どもとしてこれから検討を進める、こんな段階でございます。
  163. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 赤字のときは民営化は困る、どうも最近はもうかりそうになったから今度は民営化でも結構ですというような方向で恐らく沖縄地元においても論議されているのではなかろうか、こういうように思います。情勢が違うならばそれを御答弁いただきたいと思いますが、そういう前提の上に立って、次に大切なことは、あの当時石油が高いということで始まった電源開発石川火力は、あの当時の計画から見ると工期はおくれているのかどうか、それが第一点、稼働の状況は、稼働はいつごろからになるかということが一点と、いま一つは、工期がおくれていくということになると、したがって建設費も高騰をする、こういうことになろうと思いますので、この数字が正しいかどうか、総工費千百六十八億、こういうことで始まったのではないかと私は思います。そしてこの発電原価を高くしないために三〇%国庫補助、こういうことで始まったわけですが、それがずっとどのくらい補助になるのか、そのとおりにいっているのか、こういう前提の上に立って、この発電原価、これは売電のことを言っているわけじゃありませんから、沖縄電力にどうせ卸で出さなければなりませんが、今の建設費の状況、建設が延びたから建設費は高くなるというようなことや、今の石炭事情、海外からの輸入炭てやろう、こういう構想でやったけれども、時代が変わり、建設費は恐らく延びたから高くなるかもしれません。それで、いつの稼働で、発電原価はどのくらいになるだろうか。
  164. 川田洋輝

    ○川田説明員 電源開発株式会社が今沖縄県の石川市で建設中の火力発電所の件でございますが、十五万六千キロワットを二基ということで計画を進めておりまして、一号機につきましては六十一年の十一月、二号機につきましては六十二年三月に完成をするという計画で現在建設工事が順調に進んでいると聞いております。当初の計画どおりの進み方になっておるそうでございます。  現在、沖縄電力は一〇〇%石油火力ということでございますので、やはり石油価格の上下によりまして、先ほども指摘ございましたように、経営の安定性という点からはいろいろな困難な面があるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、石炭火力を予定どおり導入するということは沖縄電力の安定のために必要なことではないかと考えております。  それから、建設工事費あるいはコストの問題でございますが、建設工事費につきましては、先生今お述べになりました一千百六十億円強の予定のままで現在進んでおりまして、私どもできるだけこの範囲でひとつ進めてもらいたいと考えております。コストをできるだけ安くするという見地から、私どもとしては、建設費の三〇%、総額にいたしますと三百四十数億円に該当いたしますが、これを補助をするということでコストの低減に資したいと考えております。  それから、これが仕上がりで大体どのぐらいのことになるであろうかということでございますが、これにつきましては、今工事がまさに順調に進んで、それぐらいの金額でおさまり得るかどうか、我々おさめたいと考えておるわけでございますが、そういったこと、それからその時点におきます石炭の価格の問題、こういうのがございまして、一般的に申しますならば、経営の安定に非常に資するようなコストということになろうかというふうに言えるかと思いますけれども、幾らで仕上がるかというのは現時点ではちょっと申し上げかねる状況でございます。
  165. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私の資料には、六十一年六月一号機を運転、二号機は十二月運転、こういうふうに、これはどこから出てきた資料がよくわかりませんが、今聞くと、一号機は十一月になり、二号機は翌年、六十二年三月になる。それだけでも工期は延びていますから発電原価が高くなる要因になっているのではないかと私は思いますし、建設費もどうも、これでできますという確たる話は今ないから、こういうように延びていけばそれだけでコストは高くなる。それから建設費も追加があるとするならば、一つはそれに対しても三割の補助は出るか。出たと仮定をして、現在の時点において発電原価というものはだれだって計算できるわけですから、私は売る単価を言っているわけじゃないわけで、現在の石炭の価格、現在の時点において発電原価どのくらいになるかということで、これは発電所の建設にとっては常識ですから、今の予想原価でいいわけですから言っていただきたい、こう思います。  もう一つ、聞くところによると、今沖縄火力はキロワットアワー二十七円だ、こう言っているのだが、それと比べてどうなるかということを、私きょうはどうしても聞きたいわけです。
  166. 川田洋輝

    ○川田説明員 運転開始の時期でございますけれども先生お述べになりました数字と私の数字、ちょっと違ったような御指摘ございましたが、私は、営業運転を開始する時点、もう完成をしてしまってまさにこれから本格的な発電所として出発をするという時点を申し上げました。動き始めるのはもっと前からでございまして、試運転期間中もかなりな操業をいたす予定でございます。大体予定どおりというふうに聞いておりますので、工期は基本的に変わっていないのではないかと思っております。  それから、工事資金につきましても大体今の金額の範囲内で今仕事は進んでいると聞いておりますし、今が一番ピークの時期になっておりますから、今の時点で余り変更がないということは大丈夫かなという印象は持っておるところでございます。ただここは不確定要素が全くないということではございません。  それからコストの面でございますけれども、先ほど申し上げたように若干あれですが、電源開発株式会社から提出されている計画値によれば十六円台の中ごろ、十六円数十銭というオーダーが発電の原価であると我々は聞いております。これは先ほど申しましたように、最終的な工事費の仕上がりとかその時点における石炭価格の状況によって変化があることは先ほど述べたとおりであります。
  167. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は、今沖縄電力の総平均の発電原価というか売電価格というか、それが二十七円とか聞いておりました。それに対して今十六円で発電原価ができるということになれば、これは電力事情から沖縄に寄与するところ極めて大きいのだ、こういうように楽観すみことができるのではないか、こう思います。私はまた逆になるのではないかと考えたわけです。建設の工期が延びるあるいは工事費というものはふえがちである。したがって計画したときの値段よりは、実際に建設が終わって稼働するときの発電原価が高くなるのが常識なんだけれども、その心配がないということを聞いて、実は安心をしたわけです。  とは言いながら、計画したときの輸入炭の単価と当時の石油価格と今日の時点で比較してみれば、石炭の方は当時よりは下がっているのか、石油はさま変わりするほど下がっているわけですからこれはいいわけですが、当時と事情を比べてみて石炭、石油価格はどのようになっているか。  というのは、これで海外炭が高くなる、石油はさらに下がっていく、こういう事情であるならば、技術的に私はよくわからぬけれども、場合によっては石炭から石油に燃焼方法を変えるようなことも考えながらやっていかなければならないのではないか、こうちょっと心配したものですから、技術的にそういうことができるかどうか私にはよくわかりませんが、石炭が当時より非常に上がってしまった、石油は相変わらず今のペースで下がっていく、こういうことになれば建設計画を変えて、一号か二号かどっちかくらいは、石炭でやるか石油でやるかを、どっちでも転換できるようなことをやらなければならないのではないか、これは老婆心ながらちょっとその心配があったものですから、どうでしょうかね、石油、石炭の事情、今後の見通し。
  168. 川田洋輝

    ○川田説明員 この石川火力発電所計画が出されました時点と現在とで比べますと、石油はかなり大きく下がっておりますが、石炭も下がっておるということでございます。その関係は今ちょっと手元に数字を持っておりませんが、両方とも下がっておる。これからそれがどう動いていくかというのはなかなか難しいことでございます。先ほど私ちょっと触れましたが、現在沖縄電力は一〇〇%石油でやっておる。そうすると、そこへ価格の急激な動きがありますと大きな赤字が出てきたりするわけでございまして、そういう点で言うと、石炭火力ということで脱石油電源が入るというのは安定化効果としてははかり知れないものがあるのではないかというふうには思います。ただし、その際にコストがどうかという、非常に違うならば、そういう安定化効果よりもコストの方を優先させるべき事態もあるかもしれません。そういう事態では沖縄電力は全体として石油火力をたくさん持っておるわけでございますから、そこのどういう発電所をどういうふうに動かしたらいいのか、そういうことで運用をしていくことになるのではないだろうか。石川火力発電所につきましては現在のままの計画で石炭火力として建設を進めていって、それをどういうふうに動かすかというところであるいは運用の弾力性ということが出てくるのではないか、こういうふうに思います。
  169. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 発電原価は今十六円前後、当然多少の違いは出てくるでしょうが、これを沖縄電力に幾らで卸売するかということはどういう機関で決めるのでしょうか。事務的なことだけで結構です。
  170. 川田洋輝

    ○川田説明員 電源開発株式会社は電気事業法上卸電気事業者という位置づけになっております。したがって、それを一般電気事業者である沖縄電力に販売する、両者間の価格の問題については、両者の話し合いとともに私どもに認可申請が行われて我々も入った上でそういうのを決めてもらう、こういう仕組みでございますが、その際の考え方は原価主義、適正な原価に適正な利潤を加えたものというのが基本的考え方になっております。
  171. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 わかりました。  今度は大臣に、ちょっと唐突な質問で大変申しわけございません。御案内のように沖振法に基づいて特殊法人として沖縄電力がてきたわけで、昭和四十七年五月であります。その後民営化するかどうか臨調から何からさんざんいろいろな問題があって紆余曲折を経てまいりましたが、先ほどの答弁でもはっきりはしておりませんでしたが、沖縄県としても今民営でやっていきたいということで、恐らくそういう結論になるのではなかろうかと思います。そうした場合に百四十七億の九九・九九%は国からの金、国からの出資であります。これは株を売る場合には出資した金だけで売るのか、これは大変もうかりそうだから少し高い値段で売るかどうか。そういう問題は検討しなければならないかもしれませんが、私が質問したいことは、沖振法に基づいてこの電力会社はできたわけですから、今百四十七億以上の沖縄電力の株を国が売ったとするならば、その金はどうぞ沖縄の電力事情を好転させるために使っていただきたい、こういうように私は希望するわけです。例えば、沖縄においては離島型電力、小さい島へ行ってそれぞれ電力を起こしてやることは非常にコストがかかるわけで、そのためには燃料電池というようなことも今盛んに研究しているようですが、将来そういうことのためには大変なコストがかかるのではないか、こういうように思います。唐突な質問大臣大変お困りかもしれませんが、前提は民営化されるものだ、そのとき国で持っている百四十七億の株を将来沖縄の電力事情を好転させるための原資として沖縄振興計画がさらに進むように使ってもらいたい、私はこういう希望を持っているわけです。
  172. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 この問題は第一には大蔵省、通産省の関係省庁がございますので、関係する役所と十分協議する必要があろうと思います。  それから第二点は、沖縄振興発展のためにお金が出ればできるだけ使っていくということも当然考えなければならぬと思いますが、国有財産の処理ということになりますと大蔵省の意見も十分聞かなければならぬと思います。
  173. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大蔵省やいろいろあるでしょうが、これは沖縄振興のためにはぜひ私が申し上げるような主張をしていただいて、できるだけその線に沿うように御努力ただきたいことを希望申し上げます。  次に、沖縄における第二次産業の育成のために従来から工業開発地区が指定されてきたにもかかわらず、先ほど来質問があったように企業の進出はほとんど進まないというように聞いております。企業誘致のために今後どのような対策を進めていったらよいか、どういう計画を持っているか、まずそこからお尋ねしたいと思います。
  174. 関通彰

    ○関(通)政府委員 沖縄県に企業誘致いたしますために工業開発地区を指定いたしまして企業の導入を図ってきたところでございます。工業開発地区として指定されたのは四地区でございました。しかし、復帰我が国経済情勢の基調の変化等もございまして、本土企業の進出は余り成果が上がらなかったわけでございますが、復帰後最近まで沖縄で新しく工場が立地しました件数を申し上げますと、工場立地動向調査の結果で、県全体で新しく立地したのが百八十件でございます。そのうち県外企業が八件でございます。ほとんどが県内企業でございます。ただ沖縄の産業振興という見地から見ますと、地場産業振興のために地元企業の立地も大変重要な要因ではないかと考えております。  また産業の振興を図りますために、現在、県の申請に基づきましてさらに七カ所工業開発地区の指定をいたす準備を進めております。工業開発地区は税制上あるいはその他の優遇措置がとられておりますので、さらに工業開発地区を指定いたしまして工業誘致の受け皿を広げたいというのがその意図でございます。工業の誘致にはそういう受け皿の整備と、もう一つ重要な要因になりますのが、直接進出する企業への積極的な誘致であろうかと存じます。ここ数年、沖縄県におきましても、知事が先頭に立たれまして積極的に本土の企業に誘致の働きかけをしておられます。なかなか件数として目に見えた成果が上がらないのでございますが、それにいたしましても、ごく最近亜鉛のメッキ工場が地元企業と本土企業との出資によりまして立地することが決まっております。また、ごく最近はエレクトロニクス関係の企業が沖縄に現地法人をつくる、そして工場の進出の準備に入るということを正式に公表しておられます。これらも県あるいは地元市町村等が積極的に誘致を図ってこられた成果であろうかと思いますし、今後ともそのような積極的な誘致を推進してまいりたいと考えております。
  175. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 昭和何年ごろでしたか、沖縄で水の問題が大変な問題になったことを記憶いたしております。沖縄の水資源の確保問題は、その当時以前からの大変な努力が続けられてきたことも承知いたしておりますが、本島北部などを中心としてダム建設をして水の問題を解決しよう、こういうことで進めてきていただいておるわけですが、その現状は計画どおりにいっているかどうか。険路があるとするならば何であろうか。それから、当時も海水の淡水化ということでブラントの建設問題がクローズアップされておりましたが、これについては何か具体的に進んでおるだろうか、その現状についてお尋ねしたいと思います。
  176. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先生指摘のように昭和五十六年七月十日から五十七年六月六日まで三百二十六日にわたる渇水があったわけでございますが、復帰以来多目的ダムを中心に積極的に水資源の開発に取り組んでいるところでございます。通常北部ダムと称しておるものでございますが、昭和四十九年度に福地ダム、五十二年度に新川ダム、それから五十八年度に安波ダム、普久川ダム、これらが完成をいたしまして都市用水の供給を行っておるところでございます。これらの四ダムの完成によりまして、二十六万三千トン、沖縄本島全体の需要は約三十八万トンでございますので、従前に増して相当の改善がなされてきておるところでございます。それからさらに、北部ダムの最後のダムといたしまして辺野喜ダム、これを現在工事を行っておりまして、六十一年度の完成を目途に鋭意工事を進めておるところでございます。さらに、この北部五ダムに続きまして、五十六年度に建設に着手いたしました羽地ダム、それから昭和五十七年度より建設に着手した漢那ダム、それから比謝川総合開発事業の瑞慶山ダム、これらの建設工事を行っておるところでございます。まだ若干地元との調整等を行っておるところでございますけれども、これらが完成いたしますと水の供給は日量約三十三万四千トンということになりまして、沖縄本島における水需給の緩和に大きく貢献するものと考えられます。今後引き続きまして水資源の開発努力をさせていただきたいと考えております。  それから次に、海水の淡水化プラントの建設問題でございますが、五十二年度より海水の淡水化の調査を行っておりまして、蒸発法によるものであるとか逆浸透法によるもの、さらに離島における小規模な海水淡水化、こういうものができるかどうか調査をいたしておるわけでございまして、その結果離島における海水淡水化といたしましては、北大東島におきまして昭和五十八年度から海水淡水化プラントの建設を行っておりまして、六十年度に完成する予定になってございます。さらに、昭和六十年度から新たに渡名喜島というところに二カ年計画で建設に着手する、このような予算をお願いしておるところでございまして、海水淡水化も離島につきましては若干日の目を見ておるわけでございます。さらに、本島におきますところの海水淡水化につきましては、現在省エネルギー型の逆浸透法による海水淡水化プラント、これをまだ調査を行っておるところでございまして、この結果を見てその活用法について今後検討してまいりたいと考えております。
  177. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間ですので最後の質問になってしまうと思いますが、沖縄における農業構造の改善は今後どのように進めていくのか。パインだ、サトウキビだというようなことで大変現地農民は苦闘をしてきておるわけですが、その農業後継者の育成はどうなっているだろうか、これにどのように積極的に取り組んでいこうとしているか、この点について最後に御質問をしたいと思います。
  178. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先生指摘のように、従来はサトウキビ、パイン、これが主体でございましたけれども、最近におきまして、亜熱帯であるという特性を生かしまして、野菜、花卉、それから肉用年等の部門を中心に着実に伸展をしておるところでございます。しかしながら、生産性は全体として依然として低いわけでございますし、また経営規模は零細であることなどの多くの問題を抱えておりまして、農業構造を改善する、これが極めて重要なことになっているわけでございます。このため、本土向けの野菜や花卉等の生産振興を図ることによりまして、均衡のとれました農業構造へと移行させることが肝要でございます。  また先生指摘のように農業従事者の高齢化、これも沖縄もだんだん進んでまいりまして、若い農業後継者の確保、また中核農家を中心として生産組織の育成、こういうことが重要な課題になってきております。このようなことから沖縄開発庁といたしましては、農業基盤整備、また沖縄に多い特殊病害虫の防除等を積極的に進めることによりまして、野菜、花卉等の生産振興を図ると同時に、関係省庁と連絡をとりながら青少年に対する各種の研修や農業後継者の育成資金の貸し付け、こういうものを通じて農業後継者の確保を図るように努めておるところでございます。
  179. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私への割り当ては四十七分、あと三十秒残して終わります。ありがとうございました。
  180. 大内啓伍

    大内委員長 以上で小沢貞孝君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬長亀次郎君。
  181. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、国の補助金カットに関係して質問します。  今回の補助金カットは、第一にその対象が生活保護、保育所、児童保護、老人ホーム、精神衛生、身障者の保護、児童手当、義務教育費など教育、福祉分野だけではなくて、失対事業費への切り込みも行われておる。  さらに第二番目に指摘したいのは、離島僻地の医療に従事する保健婦さんの人件費補助、これを初め、沖縄振興開発に重要な河川、ダム、砂防、道路、農業基盤整備、漁港、空港など各般にわたっております。よくこれほどカットしたものだな、カットというのは切ることだから血が出るのですよ。  それで最初にお伺いしたいのは、このとおり県民に耐えがたい犠牲を強いるものでありますが、こういったカット分は県と市町村に分けて幾らぐらいの金額になるか、これは事務当局からお答え願います。
  182. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先生ただいま御指摘の補助金カットでございますけれども沖縄開発庁で担当いたしておりますのは沖縄振興特別措置法に基づく事業に関係する部分でございますので、先生のおっしゃいました生活保護費等、いわゆる振興法と関係のない分については必ずしも正確に把握をしておるわけではございませんが、沖縄振興特別法に基づく公共事業の部分に関するものにつきましては、ちょっと県と市町村の振り分けは後でまたお示しいたしたいと思いますが、総額で四十億円のカット、このようになっているところでございます。
  183. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは県の試算ですが、福祉、教育などの非公共事業、これが四十五億九千七百四十万円、公共事業は、今おっしゃった四十億八千九百三十三万円、合計して八十六億八千六百七十三万円になっているのですよ。これは大変な金額だな。  そこで問題は、この金額をカットしますね。これに対する手当てをどうするかという問題があるんですよ。ところで古屋自治大臣は二月二十一日の衆議院地方行政委員会で、今回補助金カットによりまして地方が影響を受ける金額は国で全部補てんする、こう答弁しているんですよ。ということは、八十六億余りを国が補てんする。これは古屋さんが言っておる。それから中曽根首相も本年一月二十八日の衆議院本会議で、地方への転嫁分について、万全の措置をとるということを答えておる。  これは大臣に答えてもらいたいんですが、河本大臣経済の専門家であるわけなんで、今古屋大臣が言っているように全額国が補てんするのかあるいは万全の措置というふうに答えられるのか、ちょっと答えてください。
  184. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 私は、その二人の答弁はそんなに間違っていないと思います。大体そういうことであろうと思うのです。と申しますのは、補助金はカットされましたけれども、とりあえずその不足分については地方債等で補い、それに要する将来の利子負担等については交付金等で補てんをしていく、こういう対策をとっておりますので、万全の策がどうかわかりませんが、とにかくそれ相応の対策は立てておる、こういうことでございます。
  185. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 古屋自治大臣の言っていること、補助金カットによりまして地方が影響を受ける金額は国で全部補てんする、そう言っているのですよ。これはどうなんですか。全部補てんしますか。
  186. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 自治大臣のおっしゃっておる正確な意味が私にはよくわかりませんけれども、資金的にはとりあえず足らないお金、カットされたお金を地方債で補てんして、それに要する経費は別に交付金で補っていく、こういうことですと、さしあたり資金的には一応困らないようになっておる、こういうことだと思います。
  187. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは八四年十二月二十二日、大蔵・自治大臣の覚書なんですが、これには実際に政府が約束されているのは、全国で補助金カットによって生じる新たな地方の負担となる五千八百億円のうち国が六十年度に地方交付税交付金に加算して手当てするのは、そのうちわずかに一千億円、これははっきり覚書に書いてあるのですよ。あとは今長官がおっしゃったように、つまり住民の負担になる、地方自治体の借金によって賄う、いわゆる地方債、こういうことでありますが、地方債への借金について長官、どういうふうな措置をとるのか、ここら辺をひとつ答弁してください。
  188. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 昨年、自治・大蔵大臣の間で地方財政対策が決定をされまして、総体で五千八百億円の不足がある、これをどうするかということでいろいろ詰めたわけでございます。経常経費系統で二千六百億円、投資的経費系統で三千二百億円、こういうことになってございまして、それぞれそれを交付税で見たり地方債で見たり、また交付税特別会計の中で国が負担する部分、いろいろのものが決められておるわけでございます。ただいま言われました投資的経費の国庫補助負担率の引き下げに関連する地方費の増三千二百億円でございますけれども、このうち補助率のカットに伴う減額相当分は二千億でございまして、これにつきましては臨時特例地方債を発行いたしまして、その元利償還に要する経費について交付税で措置をする。ただ、国は上記の元利償還に要する額の二分の一に相当する額、一千億でございますが、これを交付税特別会計へ繰り入れる、こういうようになっておるわけでございます。それから建設地方債の増発は、公共事業等の地方債の充当を調整することにより行う、このような仕組みになっておるわけでございます。
  189. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それで長官にお伺いしたいのだが、地方債の元利償還について全額国が見ますか、どうなんですか。これはどうせ沖縄でも百億近く切られるのだから地方債を発行せぬといかぬでしょう。その地方債の元利償還について全額国が見ると約束できますか。国が見ますか。
  190. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 補助率のカット分につきましては全額国で見る、国といいますか地方債で一応処理をして、その元利償還をすべて交付税で見るわけでございますから、カット分については全額補てんされると考えております。
  191. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 長官もそのとおりですか。国が地方債の元利償還、これは全額国が持つと今局長が言いましたが、そうですか。
  192. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 私は具体的な方法は知りませんが、とにかく補助率をカットした際に地方には迷惑をかけない、こういうことでありましたから、多分そういうことになるのではないかと思います。
  193. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは逆に聞きますが、それではカットする必要ないんじゃないの。沖縄は八十億円カットしますよ。カットする場合は地方債でやる。そうすると、その返還は国でやる。一体何のためにカットするのか、これはだれでもそういう反間が出てくるのですよ。カットすれば血が出る。この血は地方債で治してやる。ところが地方債は今局長、全額負担する、おかしいんじゃないでしょうか。だから、カットする必要はない。当然なぜカットするのか。だから、全国の自治体がこぞってカットなんて、うそですよ。私はこのごまかしは許せぬと思うのです。押しつけられた問題は、地方債でやるのですよ。この元利償還を全額国が持つとすれば、なぜカットするのか。カット要らぬじゃないか、この反問が来るのですよ。長官、カット必要ないんじゃないですか。
  194. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 国の財政事情を調べてみますと、一般会計は大変窮屈であります。しかし国全体にはたくさんお金が余っている。我が国は貯蓄過剰、投資不足という状態でありますから、大量の資金が外国へどんどん流れていっておりますけれども、なおそれでも国内で金余りの状態でありまして、銀行が貸し出し競争をしている、こういう状態でございます。また地方財政状態を見ますと、国ほど窮屈な状態ではない。そういうことで、地方債を活用することによって国全体の投資をふやしていこう、一般会計をふやさないで地方債を活用することによって、国全体の仕事の量をふやしていこう、こういう苦心の策だ、私はこのように理解をしております。
  195. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 実際は、軍事費を余り膨大にするからこうなるのですよ。カットせぬとどこからも出ない。だから、我々の軍事費を削って福祉、教育に回せというのは、その意味なんです。  そこで、沖縄財政力の問題、地方債に関連して。沖縄県の財政力を示す指標、財政力指数、これは昭和五十八年度において〇・二四九なんですね。全都道府県の中で高知、島根とともに非常に低いのです。全国の財政力指数は平均〇・四八一、沖縄県の財政力指数はその半分だ。市町村の財政力も同じように〇・二四、そういうような状態で、沖縄における財政力は大変な財政力になっている。  それで今私申し上げたいのは、県財政の大体四分の三以上は国の資金で賄われているのが現状でありますが、県の一般財源に占める地方債の元利返済に充てる公債費の割合、これは七・四%、これは五十八年度なんです。市町村はそれが一一・九%。しかも一〇%を超えたのは五十三市町村のうち実に三十八団体、これがこの状況です。  とりわけ、具体的に挙げますと、具志川市が一三・六、嘉手納町が一九・五、糸満市が一五・二、北谷町が一五・〇、沖縄市が一五・一、渡嘉敷村に至っては二一・〇、本部町が一六・一、粟国村が一七・〇、玉城村が一六・七。まさにこれは、財政力が極めて弱い上に借金が多いということなんです。サラ金財政の上に立っている。私が聞きたいのは、財政力の現状はこういう現状であると、これは長官認めますか。
  196. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 沖縄県の財政事情が非常に窮屈である、こういうことについては十分承知しております。
  197. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それを認められたので、私は再び申し上げますが、今地方債をやりますね、それで元利返済する、これは国が全額持つ。これは二度申し上げますが、約束できますね、長官。これは委員会だから、はっきりさせておかないと……。
  198. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 先ほども申し上げましたように、今回の措置は、地方には迷惑をかけない、こういう約束で始めたわけでありますから、私はその点は安心をしております。
  199. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これで大体確実な答弁ですね、地方には迷惑をかけないと。この意味で、自治大臣も中曽根総理至言った言葉はそういうふうに理解していいのですね。地方には迷惑をかけない、カット分は。いいですね。
  200. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 まあ同じ意味だと思います。
  201. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それで、もう一つはこのカットの関係ですが、これは六十年度限りであるのか、六十一年度からずっと引き続いて恒久化するのか、ここら辺はどう考えるか。  これも古屋自治大臣がことしの地方行政委員会で、これは二月二十一日になっておりますが、補助金カット措置については暫定的に一年を限度とする、こう答えておる。ところが、一方で竹下大蔵大臣は、同年一月三十日の大蔵委員会で、この問題についてもう一年かけて議論をして恒久化した方がいいというふうな意味を言っておるのですよ。政府の統一見解は一体どういうものであるのか、これの補助金カットは一年限りであるのか、竹下大蔵大臣が言うように恒久化するのか、ここら辺を答えてください。統一していないのですよ。
  202. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 これは私のお答えする権限外のことだと思いますけれども、当初からの経過を申し上げますと、一般会計が大変窮屈だからとりあえず六十年度はこうしたいということでスタートしたのですけれども、国の財政事情がよくなれば当然私はそうなると思いますが、引き続いて非常に悪い、しかし仕事の量は拡大をしたい、こういうことになりますと、あるいはまた予算編成時期になりますと、大蔵大臣のような意見が出てくるかもわからぬ、今ここで私は断定しにくい、このように思います。
  203. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは非常に大事な問題で、自治大臣は一年限りと言う、大蔵大臣は、審議してそれで結論としては恒久的なものにしたいと、この二人の大臣が統一していない。きのうの大蔵委員会で、この補助金カットのあれでもまた竹下さんはあいまいなんです。なぜそういった——長官大臣でしょう。だから、国の方針として、一年限りであるならある、いや、これは恒久化していく、国の財政の事情がよくなれば六十一年はやらぬとかという問題ではなくて、見通しがあるはずなんですよ、国だから。六十一年はこうなるんだ、だからやはり六十一年もやらなくてはいかぬという見通しがなければ、ただ経済情勢、財政情勢がよくなれば、あるいは一年ぐらいでやめるんだといったような答弁では国民は納得しませんよ。カットされる、切られると血が出るのですよ。だから、そういう意味で長官大臣ですから、そこら辺あいまいにしないで、自治大臣は一年と言う、竹下大蔵大臣は恒久化すると言う、どっちが政府の答弁なんですか、本物ですか。これは非常にあいまいなんですよ。
  204. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 いずれにいたしましても、この制度で地方には一切迷惑をかけない、こういうことになっておるわけでございますから、地方に多少でも迷惑がかかるということでありますとこれは大ごとでありますけれども、とにかく、一般会計が窮屈なのでそれ以外の方法で国全体としての資金調達を工夫していこう、こういうことでございますから、私は、そういう観点に立ては、今申し上げましたような、あるいは大蔵大臣のような意見もあり得るのではなかろうか、このように思います。
  205. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 振興開発事業が年々減る傾向がありますが、それとまた補助金がカットされる。ところが、補助金カット分は、国で地方債の元利返済は全部持つというので大した影響はないだろうということでありますが、今大臣が言ったこと、局長が言ったことが狂いまして国で手当てができなくなったということになるとひどい目に遭うのですね。今まで、沖縄振興開発する、一次振計、これはだめだった、だから二次振計にいった。二次振計でもこれはどうも見直さぬといかぬなといったようなことで、いわゆる振興開発審議会は小委員会を設けて何か検討しているというふうなことを聞いておるのですが、これは事実ですか。
  206. 関通彰

    ○関(通)政府委員 現在振興開発計画について検討いたしておりますのは、第二次振興開発計画の後期の事業等につきまして、その展望の作業をしておるところでございます。
  207. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは三年過ぎましたね。あと七年あるが、あと七年ではどうも難しそうだということで、そういった枠組みの変更まで考えているのですか。
  208. 関通彰

    ○関(通)政府委員 私どもは、第二次振興開発計画は、計画期間に入りましてまだ三年目でございますが、着実に生活、産業の基盤整備を進めて目標達成できるというぐあいに考えております。  議論になりますのは、沖縄経済の規模全体、いわゆる県民所得の総額の伸びの問題は残るわけでございますが、これは、これから七年間経済の動きにも影響されるところでございます。私どもは、基盤整備を着実に進め、沖縄経済振興を図って、目標達成するように努力したいというぐあいに考えているわけでございます。今検討しておりますのは、その目標達成のためにより効果的な方策、ビジョンを固めておこうという趣旨のものでございます。
  209. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がありませんので、最後に、過大学校の問題についてお伺いします。  沖縄開発庁は教育施設整備は順調に進んでいるといつも言っておりますが、これは実際はそうなっていないんですね。学校教育法施行規則第十七条、第五十五条には、小中学校の学級数は十二学級以上十八学級以下との標準を示しています。これはもちろん御承知のとおりです。これは児童生徒の数で言えば約五百四十人から最大八百十人規模の学校ということになります。これを基準にして調べますと、沖縄県では標準を超す過大校が、小学校で百五枝、全体の四〇%を占めている。中学校では四十一校、全体の二八%という状況である。全国の過大校の比率が小学校で一八%、中学校で一五%であるのに比べて、沖縄県の現状は余りにもひど過ぎるのです。  それで、沖縄の過大校は、那覇、浦添、宜野湾、沖縄、嘉手納、この軍事基地のあるところが過大なんです。一例をとりますと、那覇市で見ると、小学枝三十校のうち標準内のものはたった一校、過大校の比率は九六・六%なんです。中学校では、十四校のうちそういう標準規模の学校は一校もなく、一〇〇%過大校なんです。私も那覇に住んでおりますが、私の家の隣に学校があるのです。そこも過大校の一つです。それでは、高校はどうなっているか。いわゆる公立高枝は、県教育委員会基準に照らしてみますと、五十四校のうち二十二校、四一%が過大校になっている。小学校から中学校、高校と、こんなに過大校が多い県はほかにありません。  この問題の解決を困難にしているのは、学校の校舎建設には国の高率補助制度がありますが、学校用地取得についてはその制度がないことにあるわけです。これは、軍事基地に取られて非常に狭隘になっている関係がもちろんあります。これと今言った市町村における財政力が、河本長官もお認めになったのですが、非常に低いのです。私は、子供にこそ至れり尽くせりの愛惜を持って臨む必要があると思うのです。この問題はもちろん開発庁長官だけでなしに、文部大臣関係するでしょうし、大蔵大臣関係するでしょうが、この学校の用地取得について何らか制度的に補助する、全額補助という形で持っていってもらいたい。私は、その点を関係大臣ともお打ち合わせをされてぜひ検討をお願いしたいと思いますが、担当大臣ですから河本長官の御意見を承りたい、こう考えております。
  210. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 問題点を指摘されましたので、関係各省、大蔵省、文部省、それから県の方ともよく相談をすることにいたします。
  211. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に、補助金カットが今言いました福祉とか教育とか失業対策事業まで、もうきめ細かくいっておるわけです。それで、カットされた分は地方債で賄って、結局全額償還は国が持つと言われましたが、私はこの点に非常に不安を感ずるのは、今私が読みましたが、今度は一千億ぐらいしか国は出さぬと言っておる。もしそういうことであるならば、補助金カットとかということはなくてもよかったのじゃないのか。一応、県、市町村、自治体に金を借りなさいというふうなことをさせておいて——補助金カットするから金を借りますよ。そうしておいて、しかし、それをまた国が出す。こんな手の込んだ補助金カットはしなくてもいいのじゃないのか。河本長官、そう考えないですか。言われたように、手当ては全部国が出すんですよ。国が出すのであれば国の財政から出るわけなんだから、だから補助金カットしない、そうすれば全国の自治体がああよかったということで安心するんですよ。これ、どう思いますか。
  212. 河本敏夫

    河本(敏)国務大臣 これはさっきもちょっと御答弁いたしましたが、一般会計をできるだけ金額をふやさない、こういう基本方針で来ておるわけです。今のお話は、そんなややこしいことをするならば建設国債でも出して仕事をふやせばよろしいじゃないか、こういうことにもなるのだろうと思いますが、しかし、一般会計をできるだけ圧縮していろいろ工夫をしていこう、こういうことですから、地方債の増発によって仕事の量をふやした、こういうことだと思うのです。まあ数千億円の仕事の量が国全体でふえておりますが、私はやり方としては、ややこしいと言えばややこしいのですけれども一つの方法でなかろうか、こう思って評価をいたしております。
  213. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう時間が参りましたので締めますが、最後の過大校の問題は、関係大臣相談して善処すると言われましたが、もうこういう過大校というのは全国にないんですよ。私が言ったのが真実なんだから、これについてはぜひ前向きに勉強されて、関係大臣とお打ち合わせの上、早急にその手当てをしてもらいたいということを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  214. 大内啓伍

    大内委員長 以上をもちまして瀬長亀次郎君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十八分散会