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小林(恒)委員
質問に先立ちまして、
委員長に一つ要望を申し上げておきたいと思います。
これは、とりもなおさず本日の運輸
委員会、たまたま
日航の大
惨事がございましたから、午前中は
日本航空の問題を取り上げましたけれ
ども、本来計画をした段階では、国鉄再建問題を
中心にして、過般
提出をされた「国鉄改革に関する意見鉄道の未来を拓くために」といういわゆる再建監理
委員会の答申に基づいて
委員会を開催をしよう、こういうことでございます。そういった趣旨に基づいて開催をされた運輸
委員会にもかかわらず、答申を出した当事者である再建監理
委員長の
出席が実現をしないということについては、極めて遺憾の意を表さざるを得ません。
加えて、再建監理
委員会法に基づく監理
委員会の任務というのは、答申を出してそれで終了するものではなく、以降それな力の任務があるわけでありますし、総理に答申を出したからそれて関係
大臣である
運輸大臣が
出席をすればよいという、そういう性格のものではなかろうと思います。
加えて、八月の二日に開かれました参議院での運輸
委員会の中では、冒頭参議院の運輸
委員長から再建監理
委員長に対して、「その際の監理
委員会の当運輸
委員会に対する対応が不十分で遺憾であります。この旨当
委員会として注意いたします。」という御意見を付されて参議院の運輸
委員会は開催をされました。いわんや衆議院の場合は
出席もしないということなんですから、注意をするところの騒ぎではない。一体何を中軸にしてこれから
委員会審議を進めていくのか、こういうことにもなりかねないわけでありまして、その意味では、冒頭申し上げた極めて遺憾だということの重みを
委員長としても十分かみしめていただいて、今後の
委員会運営をぜひつかさどっていただきたい、このように要望申し上げて、
質問に入りたいと思います。
まず最初に、先ほ
ども申し上げましたが、去る七月二十六日、国鉄再建監理
委員会が「国鉄改革に関する意見」なる答申を総理に
提出をされました。今後
政府はこの改革案を軸にして動き出すことになるのだと思われますけれ
ども、私もこの改革案を何度となく読ませていただきました。その内容は、民営はよくて公営ではだめだ、したがって、民営・分割のみが国鉄を改革する案である、こういったことに集約をされるかと思います。
二年余りの間に随分多くの議論が、実に百三十回を超える審議を重ねたと伝えられているわけでありますが、その
努力そのものについては敬意を表したいと思います。ただ、その間の内容は、参議院の運輸
委員長が、答申を受けて開催をした
委員会冒頭でもいみじくも指摘をされておりますように、国民にも
国会にも全く公開されることなく、その結論が民営・分割化という国民不在の改革案であることは、まことに残念であると言わなければなりません。
また、分割の案に賛成しなければ、国鉄総裁も首だというこういった事象に象徴されるように、テレビの水戸黄門の御印籠を取り出すと民営、そしてはっと国民がそれにひれ伏すパターンであると言わなければならないわけであります。果たしてそのようにうまくいくのだろうか。分割といっても、ただ東京の山手線の切り分けのような妙な案で、「鉄道の未来を拓くために」といういわゆる副題にも合うのかという疑問を持たざるを得ません。分割・民営化という前提の前にもっと議論がなされるべきではなかろうかと考えるわけであります。
誠意を持った哲学を示してほしいと思うのでありますが、ただ、公社制がこのような赤字をつくり出したという以前に、
政府の交通政策は一体どうであったのか、どうしてここまで債務が累積したのか、なぜ破綻したと言い切れるような
状況にまで立ち至ったのか、その
責任の所在をもっとまじめに示すべきではなかったのだろうか、こんな考え方も成り立つわけであります。その上に立ってこそ、将来はこのようにしたいという答申であるべきでありまして、国鉄の公社制制度のみが悪く、そのツケをなぜ国民が支払わねばいけないのかわからない、こう考えるのであります。
こういったいわゆる総論的な部分でまず
運輸大臣、さらに
運輸省の中にあって、少なくとも再建法の
時点であるいはその後の監理
委員会法の
時点で鉄監
局長並びに事務次官の要職にあった現国鉄総裁ですから、みずからが立ち来った立場を十分踏まえた御見解を示していただきたいと思います。