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1985-06-07 第102回国会 衆議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年六月七日(金曜日)     午後一時三十分開議 出席委員   委員長 三ツ林弥太郎君    理事 鹿野 道彦君 理事 久間 章生君    理事 津島 雄二君 理事 三塚  博君    理事 小林 恒人君 理事 吉原 米治君    理事 近江巳記夫君 理事 河村  勝君       加藤 六月君    関谷 勝嗣君       田中 直紀君    近岡理一郎君       福家 俊一君    堀内 光雄君       山村新治郎君    若林 正俊君       兒玉 末男君    左近 正男君       関山 信之君    富塚 三夫君       浅井 美幸君    中村 正雄君       梅田  勝君    辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山下 徳夫君  出席政府委係員         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君  委員外出席者         参  考  人         (日本国有鉄道         再建監理委員会         委員長)    亀井 正夫君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 委員の異動 六月四日  辞任         補欠選任   加藤 六月君     塩川正十郎君   関谷 勝嗣君     鯨岡 兵輔君   田中 直紀君     佐藤 一郎君   堀内 光雄君     藤井 勝志君   若林 正俊君     大島 理森君   関山 信之君     伊藤  茂君   田並 胤明君     五十嵐広三君 同日  辞任        補欠選任   大島 理森君     若林 正俊君   鯨岡 兵輔君     関谷 勝嗣君   佐藤 一郎君     田中 直紀君   塩川正十郎君     加藤 六月君   藤井 勝志君     堀内 光雄君   五十嵐広三君     田並 胤明君   伊藤  茂君     関山 信之君     ————————————— 六月三日  脊髄損傷者に対する運輸行政改善に関する請願  (奥田敬和紹介)(第五一二九号)  同(橋本龍太郎紹介)(第五一三〇号)  同(小平忠紹介)(第五二二八号)  同(横手文雄紹介)(第五二二九号)  ユーザー車検代行行為是正に関する請願外四件  (宇野宗佑紹介)(第五一七七号)  同(上村千一郎紹介)(第五一七八号)  同(臼井日出男紹介)(第五一七九号)  同(奥野誠亮紹介)(第五一八〇号)  同(中野四郎紹介)(第五一八一号)  同(箕輪登紹介)(第五一八二号)  同(森清紹介)(第五一八三号)  同(奥野誠亮紹介〉(第五二三六号)  同(横手文雄紹介)(第五二三七号)  同(渡辺省一紹介)(第五二三八号)  運転代行業タクシー類似行為撲滅に関する請  願(臼井日出男紹介)(第五一八四号)  同(住栄作紹介)(第五一八五号)  同外四件(堀内光雄紹介)(第五二三九号) 同月六日  ユーザー車検代行行為是正に関する請願(浦野  烋興君紹介)(第五二七〇号)  同(奥野誠亮紹介)(第五二七一号)  同(宮崎茂一紹介)(第五二七二号)  同(山本幸雄紹介)(第五二七三号)  同(佐藤文生紹介)(第五三三六号)  同(山本幸雄紹介)(第五三三七号)  同(小渕恵三紹介)(第五四〇五号)  同(國場幸昌紹介)(第五四〇六号)  同(中村正三郎紹介)(第五四〇七号)  同(仲村正治紹介)(第五四〇八号)  同(野田毅紹介)(第五四〇九号)  同(三池信紹介)(第五四一〇号)  運転代行業タクシー類似行為撲滅に関する請  願(田中秀征紹介)(第五二七四号)  同(戸井田三郎紹介)(第五二七五号)  同(平林鴻三君紹介)(第五三三八号)  同(小渕恵三紹介)(第五四一一号)  同(中村正三郎紹介)(第五四一二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。  日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国有鉄道経営に関する件について、本日、参考人として日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  4. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 この際、一言ごあいさつを申し上げます。  亀井参考人には、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  なお、御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願いたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。兒玉末男君。
  5. 兒玉末男

    兒玉委員 運輸大臣が所用のため退席されるそうでございますので、まず大臣一言だけお聞きしたいと思いますが、第一点は、去る五月十六日の新聞報道によりますと、亀井委員長が、今回の監理委員会方針についていけないような人はこの際やめてもらう、こういう意味発言新聞を通じて報道されましたが、少なくとも監理委員長の使命は、そういう国鉄当局人事更迭までの権限は与えられてないはずであるということが第一点。  第二点は、一昨日の朝日新聞に、監理委員会の名前ではないけれども、詳細な内容報道されているわけであります。少なくとも我々国会議員にもその内容が全然周知されてない段階において、こういうような行為がなされたことは極めてその責任は重大であるという点から、私は、所管大臣として、この二点について大臣の御所見を承りたい。
  6. 山下徳夫

    山下国務大臣 お答えをいたします。  第一点の亀井委員長の御発言の問題でございますが、これまでたびたび衆参両院委員会等におきましても私から御答弁申し上げましたように、亀井委員長から決してあのような言い方はしておらないという回答が私の方にございましたので、私はそれを信じております、  ただ、あのときの状況は、むしろ記者団から設問されまして、そういうやめるというようなことについてどう思うかというような、そういう設問があったということが前提でございましょう。そこで、亀井委員長とされましては、——委員長がいらっしゃるのに、私がここで一々されましてはと言うこともないのでございますが、ただ、委員会において御説明申し上げたことを、さらに私からここでまた繰り返して申し上げるわけでございますが、一月十日の国鉄中間答申総裁談話にもありますように、政府が決定した以上は従うよという趣旨の総裁談話もあそこに出ております。したがって、亀井委員長とされましても、政府が決定されて、従うというにもかかわらず、実際にはそのような結果にならない、従わないというような事態が起きたら、それはそういうこともあり得るかもしれませんという、そういった一つの御意見として申されたのであって、自分の権限でどうとかいうようなことは断じてないということはそのとおりでございまして、私はそのように理解をいたしております。  なお、一昨日の新聞報道でございますが、一昨日に限らず、最近は毎日いろいろな新聞がいろいろなことをお書きになっているということでございまして、これは私にもわからないではありません。監理委員会から答申をちょうだいする日にちがだんだん迫ってまいりましたので、昼となく夜となく非常に詰めて御議論をいただいておることは私も十分承知をいたしております。そういった連日連夜の議論の中で、いろいろな想定とかいろいろな問題がそこで討議されておることは、私ども容易にわかるわけでございますが、ただ、あの新聞報道に出ておったようなことは、私どもは全く関知をいたしておりません。  ただ、私ども政府立場といたしましては、これも従来からしばしば申し上げておりますように、監理委員会に対して私ども全面的に御協力する、内閣としてそういう立場をとっておるということから、今後もできるだけ協力を惜しまずやりまして、適切なる御答申をいただくようにお願いをいたしたいと存じておる次第でございます。
  7. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣、結構でございます。  亀井委員長、きょうは御苦労さんでございます。  一応質問事項をあらかじめ通告してありますが、なかなか多岐にわたりますので、まず第一点、財政問題についてお伺いしたいわけでございますが、問題のポイントは、現在二十三兆五千億という膨大な赤字を抱えておる国鉄ですが、同じ公共交通機関として港湾空港道路という機関があるわけでございますが、これらの予算内容を見ておりますと、港湾関係が約二兆九千五百五十億、これは過去十年間であります。同じように空港が二兆六千三百億、道路は総事業費が七十六兆二千三十五億、うち国費が四十九兆五千億。ですから、大体総事業費の八〇%近くが地方公共団体等によるものでありますから、おおむね七十兆円前後を国が負担する結果になっておりますが、そういうような公共交通である他の部門はほとんど全部国が面倒を見ている。国鉄だけが既に二十二兆五千億という膨大な累積債務を抱え、しかもこの中には一兆円近い公共割引とかあるいは納付金とかいろいろな要素があるわけでございますが、なぜ公共交通である国鉄だけがこのような膨大な負担を残さなければならなかったのか。  同時にまた、西ドイツフランスあるいはイギリス等は、国内の健康保険とかあるいは食管制度と同じように、単年度決算によって、そして国家的支出による問題を含めて、翌年にすべての赤字を解消し繰り越しはしない、こういう点についてどうしても我々は理解に苦しむところであります。  それから、特に国鉄の場合、公共施設を管理するためにレール、まくら木コンクリートまくら木を含め、セメント、車両あるいは電気、通信、変電器ケーブル等この二十年間に実に二十二兆五千四百十九億という膨大な資材購入のために経費を使っておるわけであります。そういう点等から考えても、やはり他の公共機関との権衡も十分考えてしかるべきではないのかということ。  それから、御存じのとおり国鉄財閥解体によりまして、終戦後のいわゆる外地引き揚げあるいは満鉄、鮮鉄、台湾など約六十万人の人を雇用しているわけであります。それがすべて今日まで年金退職金等を含め莫大な国鉄支出増になっておるわけでございます。しかも、恐らく成熟度というのが現在は一〇〇%ぐらいですが、六十五年からは百人の職員が百二十五人の人の年金部門を賄っていかなければいけない、こういう深刻な状況にあるわけであります。そういう点からこれの対応は一体どう考えておるのか。  それから、長期債務の二十三兆五千億でございますけれども新聞報道によりますと、それぞれ地域分担とかいろいろ考えておりますけれども、分割された場合に、一体どの機関がどの程度の金額を負担するのか、全体の収支関係のバランスを含めた長期債務計画内容というものについて御見解を承りたい。  以上、四点について御所見をお願いいたします。
  8. 亀井正夫

    亀井参考人 ただいま国鉄財政について御質問がございました。私ども、ただいま兒玉先生の御指摘のとおりに、公共事業道路とか空港とか港湾とかというふうなものと、それから国鉄の投資のあり方というものが政治的な仕組みあるいは行政的な仕組みにおいて違うということ、それがいろいろ原因一つになっておるということも十分認識をしておりますけれども、現在ただいままではそういう仕組みで来たということでございます。  それから、満鉄あるいは植民地の方々をお引き受けした、そういうことによるいろいろ負担もあった、こういうことも事実でありますが、しかし私どもの任務は、ただいま二十三兆五千億とおっしゃいましたけれども、私どもはこの三月末で長期累積債務というのは二十二兆というふうに了解をしておりまして、ことしまた二兆ぐらいふえていくというようなことでございますので、そういう債務が現在の国鉄経営というものに非常に大きな負担になっておる。したがいまして、これを背負ってはどういう新しい経営もできないじゃないか。したがってこの際、それの荷を軽くする方法につきまして鋭意検討しておるという状況でございます。
  9. 兒玉末男

    兒玉委員 今のお答えは極めて抽象的でございますが、問題の会計制度について、イギリスフランスドイツ等考えておるように、単年度決算ということをやっておれば、今日このような膨大な赤字はなかったであろうと十分に察せられます。しかも六十万人の処理については、当然日本国有鉄道から公社制度に切りかえた二十四年の時点で検討すべきではなかったのか。そういうような歴史的背景ということについてもやはり亀井委員長としても検討されておると思うのですが、これらの点についてどういうふうな御見解をお持ちなのか、お伺いしたい。
  10. 亀井正夫

    亀井参考人 まず、ヨーロッパ各国のそういう仕組みというものが今まで日本と違うということも、私ども海外調査によって十分承知をしております。ただし、例えばドイツ国鉄は単年度負担であったけれども、数年前からとても財政で持てないということで、現在やはり日本と同じようにドイツ国鉄赤字累積させておる。私どものチームが行きましたときに、日本国鉄よりは、それは程度は軽うございますけれども、大変な問題になるので、日本先進国としてこの国鉄問題を解決されれば、ぜひその手法を学びたいということを言われておるそうでございまして、私どもといたしましては、過去のこぼれたミルクのことを言ってもどうしようもない、現実をどう対処するかということが問題ではないか、こういうふうに思っております。  それから、在外の人を引き受けたとかいろいろなことがございますけれども、これは国鉄だけが引き受けたのではなくて、民間企業においても、例えば紡績会社なんかは海外からもいろいろ引き受けまして、その人たちを食わすために苦労してきたということであって、やはりそのときそのときに対処をするという経営方策をいろいろ適切にやっておればできたということもあろうかというふうに思いますので、過去のいろいろの原因、結果というものは、もちろん私ども対策考える上において参考としなければいかないと思いますけれども、現在ただいま時点は、この大きな事実というものをどう解決するかということが重大問題である、こういう認識を持っておる次第でございます。
  11. 兒玉末男

    兒玉委員 長期債務負担計画等新聞報道されておりますが、その内容について一々細かくは御答弁できないでしょうけれども、大まかとしての対応委員長としても十分御理解していると思うのですが、それはいかがでございますか。
  12. 亀井正夫

    亀井参考人 長期債務処理については、今まで予算委員会あるいはその他の委員会出席をいたしまして、考え方は今までも申してきたことでございまして、これの繰り返しになるかと存じますけれども、現在までの累積債務が二十二兆、それからこれからまだ新しい体制になるまで二年間ございますので、これが三兆ないし四兆ふえていくであろう。そうすると、表面に出たのが大体二十五、六兆でございますけれども累積の潜在的な債務といたしまして年金の問題がございます。これもほっておくわけにはいかぬ。これが現価に直しますと、やはり大体六兆ぐらいに相当するであろうと言われております。それから退職金の問題がございます。これも残念ながら国鉄にその積み立てがございません。これもやはり二兆、合わせて八兆ぐらいになろうか。それから六十三年四月から発足いたします青函トンネルと、それから同じく本四架橋の資本費負担というのが一兆八千億ございますので、大体三十五、六兆という債務をここで整理をしなければ、新しい体制というものが健全な形でスタートはできないであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。  それの大体大まかな仕分けの考えといたしましては、新しく幾つかに分割される新体制会社がその引き受ける資産に見合う借金というものは背負ってもいいではないだろうか。第二には、現在遊休土地とかいろいろ資産がございますから、こういう遊休的なものを、資産処分することによってこれを埋める。なお新体制会社は、後にも御質問ございましたら申し上げますが、当初は政府あるいは旧国鉄所有会社として発足をいたしますから、これが収益が上がり、一般に売却ができるということになれば、その株の売却によって充てるという方法で、残りの十兆以上のものにつきましては、やはり政府において財政あるいは金融あるいは経済に大きな負担といいますか、混乱を来さない限度において長期的にソフトランディングでこれを解決をしていく、こういう方策しかないのではないかということで、これについていろいろ具体的に現在詰めておるということでございます。
  13. 兒玉末男

    兒玉委員 再度くどいようでございますけれども、結局全体の流れを見て国鉄自体処理をしていくべき問題と、それから国家的政策に基づく赤字の要因と、この二点に大別して分かれようと思うのですが、この点は大体全体の枠の中においてどの程度国鉄自体処理すべき問題か、あるいは国家的要請による問題がどの程度か、それについてお聞かせいただきたいと思います。
  14. 亀井正夫

    亀井参考人 今まだはっきりした確定数字になっておりませんのですが、例えば国鉄がこの一月に出されました「基本方策」においては、その資産に見合う分といたしまして九兆六千億を背負う。ただし三兆円は土地処分によって浮かして、結局六兆六千億を背負うという考えになっておりますが、私はやはりこの九兆六千億あるいは十兆程度のものは、新しい体制というものでは借金で引き受けてくれる、いわゆる国民に迷惑はかけない。それから三兆と言っておりますけれども、これをやはりもっとふくらませて、遊休土地処分することによってこの負担を軽減をしていって、財政あるいは国民負担をかけるのはできるだけ少なくするという努力をする。そして残りは、その中で現在五兆円の棚上げ分がございますけれども、そういうものを合わせまして、やはり国の財政、結局は間接的には国民負担ということになろうかと思いますが、これは長期的に処理をしていくということが肝要ではないか、こういうふうに思っております。
  15. 兒玉末男

    兒玉委員 たまたま監理委員長からお話がありましたが、国鉄が所有する財産処理という問題がございますけれども、やはり我々の先輩が長年培ってきた国民共有財産であります。でありますから、これが特定の企業等に利用されるということは厳に慎むべきではないかと思っていますが、もちろん亀井さんも厳正中立立場から処理されるでありましょうが、問題は、やはり一定の財産国鉄が持っておることによって、いわゆる担保としての条件を十分活用するということが極めて大事ではなかろうか。そういう意味においては、できるだけ売却は少な目にして、これからのそれぞれの地域における全体の問題も含めて、やはり長期に活用するということが極めて大事ではなかろうか。今までは法的な規制がありまして、関連企業への進出等もなかなかできない、またホテル業にしても不動産関係にしても、その他各種の制約があったのでございます。よく言われているように、民鉄並み民営並みということが盛んに新聞にも書かれておりますが、そういう手法でいくならば、やはり国鉄のこれからの借金の返済の担保物件としての国有鉄道の用地の活用ということが最大限に生かされてしかるべきではなかろうか、このように私は考えるわけですが、その点いかがでございますか。
  16. 亀井正夫

    亀井参考人 国鉄遊休資産といいますか、これはやはり国鉄あるいは国民が営々として持ってきた貴重なものであるという認識は、全く兒玉先生と同感でございます。ただ、やはり借金というものをなさなければ国民負担が重くなる、そういう意味において整理をすべきではないだろうか。例えば新鶴見の操車場というものをごらんになりますと、もう貨物の扱いが変わりまして、二十万坪の土地が全く遊休になっておる。そうすると、これは国民財産としても、国鉄がやるか、民間がやるか、あるいは自治体がやるか、あのあいた東京圏に近いところのものを本当の意味で活用するということが、やはり二十一世紀に向かっての国民のためではないかと存ずる次第でございまして、一部の方の利益のために処分がやられてはいけないと思いますし、今回はこれが衆人環視の中で慎重に行われるということでありますから、私は万々間違いのない処理が行われるものであろう、こういうふうに思っております、
  17. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいまの御発言を十分注意深く見守っていくことにしたいと存じますが、どうしてもこの財産処分ということが非常に注目を浴びるであろうということを考える場合、監理委員会としても、かなりきめの細かい対策長期展望ということについて確たる方針を確立されることを私は強く申し上げておきたいと思うのです。  もう一つの問題として考えることは、年金受給者の問題でございまして、六十五年度以降はどういうふうな方策をとるべきかということで大変な苦労をされておるようでございます。監理委員会としてのこれからの方針として、各地域に分割するという方針でございますが、この年全体系というのは、やはり集中的に一貫した体系でなければ可能ではないのではないかというふうに考えますが、この年金処理についてどういうような御見解をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  18. 亀井正夫

    亀井参考人 年金の問題というのは、長年国鉄で働いてこられた方の一つ期待権ということであろう。でありますから、これを軽々に処理するということは非常に大きな問題でございますし、老後の生活保障という観点からも十分考えなければいかぬ。  国鉄年金の問題と全体の日本国民年金制度という問題、これからの年金をどうされるかということについては、国会で現在慎重に御審議をされておるようでございますけれども国鉄の今の年金あり方は、六十四年までは共済年金で何とかカバーする、六十五年から先はどうもわからないということのようでございますし、七十年以降はまた国民年金を基盤にした新しい年金制度に移行するという構想も聞いておる次第でございますが、当面我々が考えるのは、やはり国鉄として、国鉄に勤めた人の年金についての何らかの対策でこれを保障していくということが大事ではないか。これが、先ほど申し上げましたように、ファンドに直しますと六兆円くらいに相当するというふうに試算をしております。したがいまして、これは潜在債務といいますか、やはり債務の中の一環といたしまして、これをもとにして、そして新しい大きな枠組みができればそれに入っていく。持参金なしで年金だけを下さいというわけにはいかないと思いますから、そういうところは十分配慮をした案を関係省庁といろいろ相談しながらつくっていきたい、こういうふうに思っております。
  19. 兒玉末男

    兒玉委員 当初申し上げたわけですが、年金というのは、仮に分割した形態にあっても、集中的な加入の中でやらなければ処理ができないのではないかというふうに考えるわけですが、その点はいかがですか。
  20. 亀井正夫

    亀井参考人 新しい分割体の組織においては、やはりそこから新規雇用ということになるわけでございますから、新規雇用から先の年金分については応分の負担をしていく、こういうことになろうかというふうに思います。
  21. 兒玉末男

    兒玉委員 後、同僚議員がやりますけれども、特に私は長年国鉄におった経験者でもございます。現在、北海道、四国、九州が監理委員会の構想の中では一応分割されるということになっておるようでございますけれども、今、北海道から約二百三十万、四国から四百五十万、それから九州から約二千三百万人という人間が本土との間を往来をしております。それから貨物が大体八千万トン、そのうち石油とか化成品とか工業製品、こういうものが全体で大体四百万トンという数字が出ております。さらにまた、運行するダイヤの問題については、九州から本州へというのが特急、急行、普適合わせて五十二本、それから新幹線関係を入れて結局八十九本の列車が実は運行しておるわけであります。そういう中で、言われているような分割の形態ということになりますと、大変な混乱が起きるんじゃないかというように私は思うわけであります。  それは管理体制と調整対策とありますけれども、結局各局別の主体によって運賃のあり方あるいは旅客の運送のあり方、こういうような、今までの一体化の中では出ないところの問題が必ず派生的に起きるであろう。それは運賃の問題であり、ダイヤの問題である。しかもダイヤの編成にしても、それぞれの地区の主体性ということが前面に出されて、全体的な調整機能というのがなかなか困難ではないのかという私なりの判断を持つわけでございます。また、それぞれの地区の旅客の扱い方についても、結局はその地区の局の単位で物事を考えて、よその局からの受け入れあるいは通行あるいは全体的なバランス、そういうこと等極めて困難なことが十分予想されるわけでございます。また、運賃制度にしても、かつては私鉄なり満鉄なりは全部併算制でありましたが、そういう事態が当然来るというふうに私は判断をするわけでございます。そうなれば大変な混乱をもたらすのではないのか。また、貨物の問題でも、先ほど申し上げたような状態から判断して、同じレールの上を旅客ダイヤと貨物ダイヤがふくそうするわけでございまして、当然ここでは高品質の貨物を運ぶ別会社と利害が相対立をします。そうするならば、そのような全体的な一貫輸送でなくして、各個ばらばらの輸送体系から、しょせんは貨物の分野というものがだんだん消えていくんじゃないか。そういうことを想定する場合、今でも貨物のトラック輸送というのは相当混雑しておりますが、先ほど申し上げた八千万トン、十トンで八百万台のトラック輸送ということに相なりますならば、四百万トン近い工業製品なり石油なりあるいは危険物等で大変な混乱が生じる。そういう総合的な問題について委員長の御答弁をいただきたいと思います。
  22. 亀井正夫

    亀井参考人 私ども検討しておりますのは、昨年の八月の第二次答申におきまして分割・民営化という基本路線を出した次第でございます。そこで、その場合に、ただいま兒玉先生御指摘のように、例えば旅客につきまして、そこが分割をされた場合の線の相互乗り入れの問題あるいは運賃の問題、いろいろ障害が出るのではないかという御心配だと思うのでございますけれども、これにつきましては、現在既に運行をされておるシステムを受け継いで、そして官僚の悪口ばかり言ってもいけないのですが、国鉄という今の硬直したシステムでやった場合は、分かれたらまた非常に縄張りで争うというようなことがあり得る。ところが、私どもは民営化ということをうたっておるわけでございまして、民営の知恵が入れば、やはり相乗効果でさらによくするという努力というものが非常に報われる。したがいまして、私どもは分割・民営化によりまして、現在の鉄道というものが国民にとってさらに便利であり、負担が重くならないものであるというふうな経営努力がなされるものである。また、そういうものは現在のコンピューターその他非常なハイテクノロジーの進歩がございますから、そういうものを導入することによって十分対応していけるのではないかということで、現在慎重にこれの検討を続けておる次第でございます。
  23. 兒玉末男

    兒玉委員 時間が参りましたが、いずれにしましても、世紀の大事業であります。年間何十億という民族の移動であります。そのことが簡単にそういうような手法でできるという、なかなか可能性は相当厳しい情勢分析と判断をしなければ簡単にはいかないであろう。そういう点から、後の質問者が聞きますけれども、今後はやはり監理委員会答申さえすればいいという問題ではなくして、再建なり分割なりは後世に絶対間違いなかったか、こういうような確固とした方針を私は強く要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  24. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 富塚三夫君。
  25. 富塚三夫

    ○富塚委員 毎日、新聞を見ていますと、本州を四つに割るとか三つに割るとか、あるいは二つに割るとか、毎日いろんな、新聞によって違ったりしているのですが、実はさきの予算委員会の際にも亀井先生にお願いしたのですが、一体監理委員会審議している内容がいろいろな形で漏れて、しかもそれが統一的に対処されてないから、ある新聞は幹線中心に本州を四つに割る、ある新聞は三つだ、いや、二つの議論もしているとか、一体本州の分割、どんなふうに監理委員長考えておられるのか、お聞かせをいただきたい。
  26. 亀井正夫

    亀井参考人 連日新聞報道されまして、私も読んで半ばびっくりし、半ば感心をしておるということでございまして、まだはっきり申し上げて結論に達しておらないのでございます。ただ、幾つかのパターンに分けて、それのメリット・デメリットというものをいろいろ真剣に議論をしておる。そしてもちろん委員会がありました後、事務局がマスコミの方々にこういう点が論点になっている、こういうブリーフィングをしておるわけでございまして、記者諸君も非常に熱心でございまして、私を初め委員の家にしょっちゅう夜討ち朝駆けで来られて、こうですかと言う。我々は決めないことは返事できない。しかし、顔色で読んで、非常に勉強もされておりますから、ああいういろいろなことを出されておるのでございまして、現在まだ極めて流動的であるということをまず御認識をいただきたい。とにかく答申までぎりぎり詰めて悔いのない案をつくりたいということで検討しておる次第でございます。  そこで、本州を一体幾つに割るのかという話の考え方につきましては、前から申し上げましたように、鉄道というものについては、かつては完全なる輸送手段としての独占手段であった。しかし、モータリゼーションが発達をし、航空機が発達をし、そうすると中距離都市間の輸送あるいは都市の通勤、通学、通院というようなものの足として、そういうものでの大量安全輸送というのが非常にすばらしい手段でございますから、これを活性化して残していくということの重点は、やはり旅客流動という形に合わせて、そして経営者が責任を持てる範囲という格好に割っていくのがいいのではないか。こういうことで二つの案あり、三つの案あり、四つの案あり、五つの案あり、こういうことで現在極めて流動的に議論をしている、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  27. 富塚三夫

    ○富塚委員 いつごろまでに監理委員会の内部としては結論を出される予定なんですか。北海道、四国、九州は既に切り離すみたいなことは言われているのですが、本州つまり内地の方はいつごろまでにその分割問題などの結論を出されようとしているのでしょうか。
  28. 亀井正夫

    亀井参考人 北海道、四国、九州が先に割る案で決めたいというわけではなくて、ただいま申し上げましたような考え方でやっていくと、結局三島というのは、大体九十数%までがその地域においての完結型で十分旅客流動をカバーしておる。したがって、本州もそういう同じ考え方でいくということで、全国を一つ考え方によって分けていこうということで詰めております。しかし、もう七月には答申を出すということでございますから、少なくとも今月中には結論を出さなければ納期的には間に合わないということで、私も気が気じゃないわけでございますが、日夜ああでもないこうでもないということで悩みながら考えておるというのが現実でございます。
  29. 富塚三夫

    ○富塚委員 御案内のように、電電、専売は民営化しましたけれども、全国一社制で、なぜ国鉄だけ分割しなければならないのか。一体経済的な効果はどういうふうに出てくるのかといった点で、実は監理委員会の側にぜひ考えていただきたい。いわゆる分割はすべきでないという観点から、大事な点を二、三申し上げて、監理委員長見解をひとつぜひいただきたいと思うのです。  一つは、やはりダイヤの編成の問題で、出発地とそれから到着地との間の利害が対立するのじゃないか。自分の会社がもうかるようなダイヤ編成だけをやったら、これはうまくいかなくなるのじゃないか。また、御案内のように、早朝とか夕方は通勤通学輸送、これはどの地域でも都市間を中心に行われている。長距離輸送、長距離列車と寝台列車なんかどんどん入ってくるのですが、今はうまくミックスして入れているわけですね。ところが分割すると、通勤通学輸送に集中化して、そこにウエートがいってしまって、長距離列車が犠牲になってしまうのじゃないか。またダイヤの管理、指令ですね、事故処理が本当にうまくいかなくなる。一体責任指導体制がどうなっていくのか。この事故が起きたときの処理、こういったものでお客さんに対する迷惑が大きくなることは、分割をいたしますと避けられないというふうに考えるわけです。また乗務員の運用なども大きなロスが出るのじゃないかというふうに考えるわけです。  また、車両の製作ですね、車両をつくることがどこが受け持つようになるのか。あるいは回帰キロなどによる車両の修理とか点検ですね、あるいは車両の運用ですね、その地域と乗客のニーズによって長い列車の編成、短い列車の編成という問題が恐らく出てくると、隣の会社は長い編成、こっちは短くいって収益を上げるみたいな形になってしまうのじゃないか。  あるいは大きな問題としては、運賃の併算が極めて困難になるのじゃないか。販売方針そのものにもいろいろな矛盾ができて対立が生まれてくるのじゃないか。御案内のように、初乗り運賃や遠距離逓減法が現在は採用されていますが、地域内の輸送量中心、どうしても地域の中は輸送量が中心になる。ところが運賃は長い足のものは収入が多くなるわけですね。地域内は輸送量を考える、運賃は長距離の方がもうかるといったときに、実際の輸送量と運賃収入の量の違いをどういうふうに考えていくことになるのか。つまり実際の輸送量と運賃収入の割合というものをどう考えるのか。あるいは収入と経費の精算、ルールの設定が非常に困難でむだが多くなるんじゃないか。コンピューターを入れてもそんな簡単なものでないんじゃないか。あるいはマルス機構、現在はほとんど中央の販売センターでやっているのがどうなっていくのかといったようなこと。あるいは自動券売機なども、今度は方向性を全部明記することになると、これは全部やりかえなくちゃいけないといった問題など、自分の地域と隊との関係を一体どういうふうにしていくのか。亀井委員長、これは大変なことなんじゃないかというふうに実は思います。  さらに、大きな問題では、工事なんかをやるときに、今は集中的に東北地方とかあるいは日本海地方とかやっていますけれども、施設あるいは電気、保守作業、あらゆる面を含めて、やはり国民経済的な立場から考えても、こういった集中的な工事ということが今度はできなくなってしまうということの問題をどうお考えになるのか。あるいは通信設備の問題なども、今全国一本の中で電話指令などが行われているが、これも分断される形になりはしないかというふうに思うのです。  こういったことのほかに、デメリットの問題を挙げますとたくさんありまして、経理とか資材の問題とかあるいは労務対策、さまざまあります。あるいは技術開発体制の問題などもありますが、監理委員会として具体的にこういったものを取り上げて、一体議論をされているのかどうかということについてお聞かせを願いたいと思います。
  30. 亀井正夫

    亀井参考人 ただいま先生からこの分割に伴うデメリットの非常に御心配な点をいろいろ御指摘がございました。先ほど兒玉先生にもお答えをしたように、基本において、鉄道というものを乗せてやる、運んでやるという考え方から脱却するということが、国民のためにサービスをする、これが一番根本精神ではなかろうかというふうに私は思うわけでございます。そういった場合に、私どもが一年検討をいたしまして、今の分割・民営化よりないという結論を出したのは、組織の巨大性であるとか全国一元的運営によるデメリットとかるるいろいろ指摘をいたしまして結論を出した次第でございます。もちろん大きな改革をやるわけでございますから、メリットもありデメリットも出てくる。しかし、一番の根本は、民営化ということになった場合に、お互いの縄張りで突っ張り合うというのではなくて、共同をしていかにお客さんをふやして、いかにサービスをよくするかということの方へ、いわゆるポジティブの方角へみんなの経営精神が変わっていくということが私は非常に大きいと思います。  御指摘のようなダイヤ編成などについても、現在は全国一律的でありますから、中央も田舎も同じような標準で考えるというのではなくて、やはり地域流動に合わせて便利なような体制にやっていく。それから相互乗り入れのいろいろ問題もありますけれども、全国的に流通をする相互乗り入れの数というのは数%にしかすぎないということで、大部分、九十数%はある特定の、分け方にもよりますけれども地域の流動というものが主体になっておるということでございます。あと運賃の精算というふうなものは、今までのとおりのやり方というのは割合に簡単にできていくのではないだろうか。これは分けたために高くなったというのでは国民も納得しませんから、当然の常識として、やはり長距離通算方式というようなもののやり方ができてくる。あるいは車両の修理とかいろいろにつきましても、いろいろなやり方でこういうものはできるのではないかということでございまして、工事について集中といいますけれども、これはやはり分け方の問題で、鏡を割るように小さく割った場合には問題がありますけれども、分け方によっては、やはりその地域地域の集中工事方式というようなことがあると思いますから、そういう面は十分詰めていきたいと思います。  案ができた場合には具体的な問題というのは、やはり国鉄当局が一番よく知っておるわけでございますから、そういうところとそういう方角でのデメリットの出ないような方策というものを前向きに考えてもらうということで解決をしていきたい、こういうふうに思っております。
  31. 富塚三夫

    ○富塚委員 第二臨調答申、つまりマンモス企業を分割して、あるいは民営化して、今亀井先生がおっしゃるように、乗せてやるのだということではなく、サービス精神を旺盛にするのだといったようなことで経営形態を変えたい、いろいろなことの議論があったと思うのですけれども、やはりずっと一貫して監理委員会、先生の御意見を聞くと、何か精神的な面でサービス精神、民営化的、民間的な機能の勤労意欲を持たせるといったような、そこにウエートが——それも大事だと思うのですけれども、しかし、どうでしょう、この時期に来たら、もっと国民的な観点、つまり経済的な視点とか地域経済開発、いろいろなそういった観点から、やはり問題のメリット・デメリットというものを考えていただくようにしなければならないのじゃないか。何かそういう側面が欠けているから、四つとか二つとか三つとか、そういうふうな問題に、何か技術的にだけ分割すればいいみたいな感じにとられるのですが、そこのところはぜひ御一考願って、やはりもっと現実に一体どういうふうに国民に影響を及ぼすのかということについて御一考願いたい、そういうふうに私はお願いをしておきたいと思います。  それから、いわゆる余剰人員といわれますが、国鉄の最終的な要員は二十一万人でやると監理委員会は決めたとある新聞報道しており、国鉄経営者は十八万八千人でいくとかあるいは二十万前後とかと、こう言われているのですが、一体どの程度の規模で、それは何か私鉄の要員構成などとの規模を考えながらとか、あるいはそういう尺度を求めながらとか言われていますけれども、最終的には一体どの程度の要員に考えておられるのでしょうか。
  32. 亀井正夫

    亀井参考人 ある新聞に二十一万人が適正人員であるというのが発表されましたけれども、私もこれを見て、我々そういうふうなことはまだ決めてないわけでございます。これは慎重に審議しております。前に予算委員会でも申し上げましたとおり、国鉄が五十九年度で二万四千五百人という余剰人員があるということがあったようでありますが、私鉄並みあるいは民鉄並みあるいは民間並みの生産性ということを考えた場合には、それに数倍する余剰人員が出るであろうということを第二次答申でも申し上げておりますが、その数倍が一体どのくらいの規模になるかというのは、今は鋭意検討しておるのでございますが、とにかく相当の数になるということで、これの対策をどうしようかということを現在検討しておるという状況でございます。
  33. 富塚三夫

    ○富塚委員 民間の規模なりあるいは私鉄並みの規模ということの尺度があって、さらに国鉄という一つの特殊事情、系統的にも職能的にもあるし、地域的にもある、そういう点の要員の増の幅というのは頭の中に考えておられるということでいいのですね。
  34. 亀井正夫

    亀井参考人 私鉄の場合は割合短うございますね。ところが国鉄の場合は五百キロとか千キロとかというふうな列車もございますし、長距離運転とかいろいろな場合がございますから、そういうものももちろん計数に入れるということで、いろいろそれの計数をどうするかというふうなことも現在議論をしておるのでございます。
  35. 富塚三夫

    ○富塚委員 結局要員問題は、どういう経営形態のものになっていくのか、落ちつく先がどうなるのかということを見ないうちに総枠の問題というのは、国鉄に関しては問題があるのじゃないか。その辺はやはり幅を持って監理委員会として考えていただくのが一番適当なのじゃないかという点で、私はひとつお願いをして、見解を承っておきたいと思うのです。  同時に、八万人減るとか六万人減るとか、いろいろ新聞報道によっても違いますが、やはり労働者の生首を切るようなこと、路頭に迷うようなことはしないと委員長もおっしゃっている。指名解雇など、そんなことも考えていない。三十四年の炭鉱の離職者のときには、高度成長期に向けておったからかなりスムーズにいったのですけれども、現実にはなかなか大変な雇用問題。そこで、雇用問題として、六十年度、六十一年度の二年間で二、三万人の雇用対策を先行させたい、どういう形で先行されようとしているのか。それから、何か離職後三年間は本給に見合う生活手当を支給をして、再就職を円滑に進める職業訓練やあるいは受け入れ側の企業に奨励金など九千億から一兆円の金を考えている、総枠一兆円という金を雇用問題で考えておるというふうに言われているのですが、その辺の雇用の問題について、ひとつ現在の委員長としての考えておられることについてお答えをいただきたいと思います。
  36. 亀井正夫

    亀井参考人 ただいまどの新聞か知りませんけれども、雇用問題についていろいろ詳細に書いておられますが、そういうようなことが議論の論点であるということで、いろいろなケースについて当たっておるのでございますけれども、根本におきまして、今回の国鉄の再建をやるのに、やはり余剰人員対策、裏返せば労働対策、こういうものをスムーズに、国民の御納得、御理解を得てやるということが一番大きなかぎになるというふうに私は信じております。そこで大きなトラブルを起こさない、しかも長年国鉄で御苦労になった方を不幸な目には遣わさない、路頭に迷わさない方策はとりたい、こういうことは前から申しております。  そういう精神で立案をしていきたいと思っておりますが、考え方としましては、前から予算委員会でも御説明を申し上げましたように、まず第一は、新しい体制というものは、今のような日鉄法といいますか、そういうものに縛られたものなどではなくて、民営になりますから、新しい関連の事業というものが相当できる。そういうところにやはり吸収をしていただくというのがまず一つではないだろうか。それから第二は、やはりシステムが変わり、今までの働きぶりとは違う格好ということになろうかと思います。それから、仮に分割をするとすれば、今までは全国どこでも勤務できたのが、ある地域ということに、その会社に行けば限定される。ですから、その際はかの職に転身しようかということがあれば、そういう方には退職金というものに配慮を加えて、それぞれ自立をやっていただく。そして残った方々については、やはりこれは国、地方自治体、あるいは民間企業というものが総力を挙げて協力をして、その方々の就職転換ということを配慮をする、こういう手だてをしたらどうか。その間におきまして、若い方でコンピューターの勉強をしたいとか、あるいは情報システムの勉強をしたいということであれば、もちろんそういう教育施設なり費用も要るということでありまして、それの人数がどのぐらいになるか、あるいはその場合にどういう手だてが要るかというようなことで、いろいろなケースの概算を研究しておるのでございまして、まだ幾らというふうに確定をしたわけではございません。そういう状況でございます。
  37. 富塚三夫

    ○富塚委員 ぜひ亀井委員長に約束していただきたいのですが、結局、法律をつくって雇用問題を考えていただくことになると思うのですけれども、指名解雇とかそういう問題がいわゆる企業の中で起きるのではないか。つまり新しい形態がどうなりますか、起きてくるのではないかということに対する労働者の不安、懸念というのは非常に強くあるわけですね。したがって、法律で大きな枠で決めても、実際にそれぞれの国鉄の内部に行くと、指名解雇的におまえとか、あるいはいやがらせをやって配置転換みたいな形、そういうふうになるのではないかという不安が非常に強いのですね。だから、そういう点で、指名解雇などをするなんということは、まず絶対にさせない、そういう立場をぜひひとつ貫いていただくように考えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  38. 亀井正夫

    亀井参考人 ただいまの人員をどういうふうに対処していくかという問題は、やはり状況が変われば、それに応じて、それぞれの方がそれぞれの新しい道を求めていく、ここで大改革が行われるわけですから。その場合に、不幸のないようにという十分の配慮をする。私は、基本において公共企業体において欠けておるのは、労使の関係あるいは対従業員関係のぬくもりが少ない、血の通いが少ないということですね。今回の処理に当たっては、肌にぬくもりを感ずるような、しかも血の通った処理ができるような、そういう方策を私どもはぜひとも答申に盛り込んでいきたい、こういうふうに考えております。
  39. 富塚三夫

    ○富塚委員 新しく国鉄を再建するには、やはり当該労働者に協力してもらうということが基本でなければならぬというときに、労働者が不安を持つというふうになったのでは——従来もいわゆる過剰人員の処理問題などをめぐって監理委員会にもいろいろな問題を提起してお願いをして、あるいは政府にもお願いをしてきた経過はありますけれども、ぜひひとつ労使関係というものは大事に考えていただくように、雇用の面でぜひ検討をしていただきたい。お約束をお願いいたします。  それから、時間もありませんが、ローカル線問題です。  第一次線の廃止、三十七全線の転換が決まったのですけれども、二次線、三次線ですね。いわゆる国鉄当局案があって七十線、経営方式とかいろいろ出ているのですが、監理委員会は基本的にローカル線を残したいというふうに、この前も予算委員会で明らかにされているのですが、二次線以降の問題は、もっとじっくりと地域考えるとか自治体に協力してもらうとか、いろいろな点を考えるから、やはりローカル線は一次線だけでとめておいて、私たちは、五年間の時限立法の中で国鉄の具体的な、地域住民のニーズに合ったあるいはこれからの再建の展望に立ったことを含めて検討をすべきだという提案をしたいと思っているのですが、その点についてもっと前向きにローカル線問題を考えていただきたい。余り急激に廃止するとかどうとか、あるいはその対応策に戸惑うようなことのないように。その点について一体どうお考えでしょうか。
  40. 亀井正夫

    亀井参考人 特定地方交通線の問題につきましては、既に一次交通線、二次交通線というのが大体線路も決まり、これは数年前の政府方針により、そして法律もその裏づけができて進めるということになっております。それから三次の地方交通線については十二線程度ということがいわれておりまして、これはまだ確定されておりませんけれども、そういうものは、従来の政府の基本方針が変わらない限り、当然六十二年の新体制の発足までには整理できるものという前提において私ども国鉄の再建を考えておるという立場にあるということをひとつ御理解をいただきたいと思います。
  41. 富塚三夫

    ○富塚委員 北海道知事の横路さんに会ったら、何の相談も受けてないし、問い合わせもない、監理委員会側から何もない、だから協力しろと言われても何を協力していいのかさっぱりわからない、今は何も考える余地がない、こうおっしゃっておったのです。それが事実のように思うのですね。特定地方交通線問題は、やはり自治体に協力を求めなければならない。どうも従来は、一次線の廃止は縦だけで、どっちかというと自治体の方は余り協力——また一部にはそうでないところもありますけれども、どっちかというと縦にばかりやった、押しつけたみたいな感じですが、そういうことを含めて、どうなんでしょう委員長、教育の臨調のように、いわゆる公聴会、当該住民の意見を聞くとか、自治体の意見を聞くということをやられたらどうか。やられないままに監理委員会答申をする、何の相談もしないで答申をするということは、答申後にそれを生かしていく上で果たして実効性があるかどうか、いろいろな問題が私は出てくるのじゃないかという点で、ぜひひとつ公聴会を開いてもらうということをこの答申前にお願いできないでしょうか。どうでしょうか。
  42. 亀井正夫

    亀井参考人 御承知のように、七月までもう納期が切迫をしておりまして、作業だけで手いっぱいという状況でございますので、ただいま御指摘のように、広く意見を聞けというのは、この二年間いろいろな形で聞いてまいりました。また、北海道につきましても、表面には出ておりませんけれども、間接的あるいはいろいろなことで御意見は聞いております。しかし、北海道では一次、二次の特定地方交通線の問題が主体でありまして、これは現在の方針に基づいて国鉄国鉄の責任において作業しておるのでございます。そういうことでございますから、私どものいわゆる検討範囲外の問題ということをひとつ御理解いただきたいと思います。
  43. 富塚三夫

    ○富塚委員 国鉄開業百十三年で、これからまさに国家百年の大計をどう考えるかというときに、やはりもっと住民なり自治体なりあるいは当該労働者の意見を大事にしていただくということについてぜひ御検討いただきたい、ぜひ公聴会を開いていただきたいということを重ねて要請して終わりたいと思います。ありがとうございました。
  44. 三ツ林弥太郎

  45. 近江巳記夫

    ○近江委員 監理委員会が発足をいたしまして、今日まで委員長を中心に御努力をされてこられました。その御努力に対しまして多とするものでございます。  いよいよ大詰めに近づいたわけでございまして、先ほどからのお話の中でも、今月いっぱいぐらいで結論を得たい。そうなってまいりますと、この答申につきましてはいつお出しになるわけでございますか。
  46. 亀井正夫

    亀井参考人 なるべく早くと努力をしてまいったのでございますけれども、問題が多いのでございまして、大体七月下旬というものを目安に置きまして、現在鋭意勉強をしておるところでございます。
  47. 近江巳記夫

    ○近江委員 この二年間というものは関係の方々にいろいろとお聞きになってこられた、このように思うわけでございますが、先ほどからも意見が出ておりますように、いよいよ答申を出される前、いろいろな形で意見を聞くということは極めて大事じゃないか、このように思うわけでございます。その点どのようにお考えでございますか。
  48. 亀井正夫

    亀井参考人 近江先生御指摘のとおり、これは国民すべての方々に利害がございます。そういう面でいろいろな立場のいろいろな御意見がある。これを私どもは結局、この案もいい、この案もいいということではできませんので、一つの案に絞り込まなければいけませんけれども、その場合にできるだけの御意見を直接間接あるいはプライベートにいろいろな方法で情報を集めていきたい、こういうふうに考えております。
  49. 近江巳記夫

    ○近江委員 これはぜひ強い要望といたしまして申し上げておきたいと思いますので、十分ひとつ考えていただきたい、このように思います。  答申をお出しになって、政府がそれを決定するわけでございまして、そして後、法案の作業に入るわけでございます。そうなってきますと、やはりそれを受けてやっていくのは国鉄当局であり運輸省であるわけでございまして、そういう点からいきますと、監理委員会国鉄当局との関係性というものが極めて大事なんじゃないか、このように思っておるわけです。ところがいろいろな点でちょっとぎくしゃくがはたから見ておりましても非常に感じるわけでございます。そういう点を非常に危惧いたしておるわけでございますけれども、そこで国鉄の今までの協力の度合いといいますか、これに対してはどういう感触をお持ちでございますか。
  50. 亀井正夫

    亀井参考人 巷間、この監理委員会国鉄が対立しておるようなことが伝えられておるわけでございます。私どもの意図しておるところと違うのが一月に「基本方策」というので出された。こういうことから、どうも一般に劇画的にこちらが善玉こちらが悪玉というふうになっておるようでございますけれども、我々としては決して感情的に対立をしているわけでもございませんし、仁杉総裁初め各個の幹部の方にもお会いして話をしておりますと、監理委員会にはできるだけ協力をします、何でも言ってくださいということでございますから、私はフランクに話し合いをしておるのでございます。  ただ、度合いといいましても、これはそういう対立ということではなくて、前から申し上げておるように、国鉄というもののずうたいが非常に大きくてスローモーションである。我々は納期が迫って切迫感があるのに、それはこっちも調べなければこっちはといって時間がかかりますとか、それで早くここまでやったら待ってくれとか、そういうふうなスローモーションによって私どもは歯がゆく思うということはあることは事実でございますけれども、決してぎくしゃくしたり対立をしておる事実はない。各個の管理者の方々は我々に対して極めて協力的な態度、これはもちろん政府機関の一員として努力をしておられるということは認識をしている次第でございます。
  51. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうはたから見るほどぎくしゃくしていない、こういう御答弁でございますが、その点は非常に皆心配しておるわけでございまして、十分ひとつそうした意見の交換というものにつきましてはお願いしたい、このように思うわけでございます。  それから、国鉄が一月に発表しました「基本方策」でございますが、それを発表しましたときに、相当監理委員長としては、委員会考えておるのとほど遠いという、そうしたかなり厳しいお話があったわけでございます。その後国鉄は、その監理委員会の意向を受けてどういうような態度変更といいますか、やっておるか、それについてお聞かせいただきたいと思います。
  52. 亀井正夫

    亀井参考人 国鉄といろいろ話をしておりますが、あの「基本方策」が出ましたときは、私予算委員会でも申し上げましたように、あの案は従来何回か繰り返してきた改善計画の延長線上のもので、その考え方から全然変わっていない、言うなれば、悪い言い方をしたら、オオカミ少年ではないかという印象を一つ持ちました。  それから、六十年でうまくいかないから六十五年までもう五年時間をくれ、そういう悠長なことを言える現在国鉄状況にあるかどうか、危機感の不足ということを問題にいたしました。  それから、経営責任という面も極めて不明確である。長期債務なり年金処理なりあるいは余剰人員対策なり全部自分の手に負えないから政府によろしくと、こういう言い方は、やはり自分が極力努力をこういうふうに具体的にします、した後で、ここは国へお願いするという、この態度の基本的違いがある。  それから、労働基本権の問題にしても、当面スト権は禁止する、これは後に言うようなことを言っておるようでございまして、こういう点を非常に問題にしておる。  労使ともが経営責任を明確にして、本当に国鉄というものを活性化するという意気込みが見られないというところに、私どもは飽き足らなさを感じて批判をしたわけでございますが、その後国鉄といろいろ話をいたしますと、例えばバスというものにつきましては、やはり分離独立も具体案をいろいろ検討しておるようでございますし、また労働基本権の問題につきましては、あれは文字の解釈の違いだと言ってきまして、やはりスト権を与えるような方角で、しかし、あれでは読めないじゃないかというようなことも話をしておりまして、だんだんと私ども考え方にすり寄ってくるといいますか、彼らは真剣に経営の問題について度合いを増してきたというふうに認識をしております。
  53. 近江巳記夫

    ○近江委員 今バスの問題が出たわけでございますが、この国鉄案に対しましてはどういうように受けとめていらっしゃいますか。
  54. 亀井正夫

    亀井参考人 現在バスの拠点が全国で大体八十ございますけれども報道されましたように、国鉄は十二のブロックに分けて、経営形態を少なくともまず民営バス並みの生産性を上げさせる、そういうことで十二に分ければ半分くらいは黒が出るということでございますが、我々から見ればまだもっと改善ができると思いますが、とにかく分離独立させて経営責任を明確にするという考え方においては非常な進歩であり、高く評価をしておるということでございます。
  55. 近江巳記夫

    ○近江委員 いろいろと新聞報道がされておるわけでございますけれども、分割案についてはほぼ固まってきたわけですか。
  56. 亀井正夫

    亀井参考人 これを聞かれると非常につらいので、本当に近江先生、これは今必死になってどういう案がいいか、そして先ほど富塚先生から御指摘があったように、分けたために不便が出たりデメリットができては申しわけない。分けたから国民に喜ばれるという体制にどう持っていくかということで、ぎりぎり詰めておるわけでございまして、その中には旅客流動に適合する、経営責任が明確になる、そしてその一つ地域的な集団でまとまれば本当に目標が非常に明確になる、そういうことで、一つの新しい企業体が労使ともが新しい目標によって燃え上がってサービスがよくなる、こういうことを願ってつくられるということで、まだ二つの案、三つの案、四つの案、五つの案というふうに、新聞報道によってもいろいろございますけれども、現在まだ非常に流動的である。しかし、これをA案、B案というふうなことで御答申を申し上げるわけにはいかぬ。最後は衆知を集めてベストの案というものに結論を至りたいということで、現在努力をしておるという状況でございます。
  57. 近江巳記夫

    ○近江委員 北海道、四国、九州につきましては、先ほどからの御答弁を聞いておりますと、どうも分離の方向でほぼ固まってきておるように思うわけでございますが、実際それを分離した場合、実際上経営が成り立つのかどうか、これは皆非常に危惧しておるところでございまして、この点についてはどのように考えておりますか。
  58. 亀井正夫

    亀井参考人 三つの島の問題につきましては、私ども前提は、御承知のように、経営状況が非常に悪い、旅客も非常に逓減傾向にあるという実態を踏まえまして、あそこについては長期債務負担をできるだけ軽減をさせる、あるいはこの中に年金負担も入っておりますが、そういうものはできるだけ軽くする、それから生産性を私鉄並みに上げるということによってどれだけいくか。しかし、やはり数年は赤字が出るという格好でございますが、これにつきましては、何かのある期間を定めた助成をするかあるいは助成にかわる一時金といいますか、そういうものを与えて、その利息によって赤を埋めていく。企業というのは、やはり赤字になったら実際はだめなんです。モラールが下がりやる気がなくなってくる。ですから、少なくともそういういろいろなハンディをつけてあげて、努力すればその効果が出てくるという体制に持っていきたいと考えております。
  59. 近江巳記夫

    ○近江委員 民営・分割化につきましては、そういう方向でもう変わらない、御答弁からこのように思われるわけでございますけれども、民営化と一口に言いましてもいろいろあろうかと思うのです。特殊会社としてNTTあるいは日本航空、国際電電、電源開発等いろいろあるわけでございますが、今国鉄というのは、自身では何も経営能力といいますか、実際手足をもぎ取られておる。したがって、そういう能力を与えなければならぬということから民営という発想が出てきておるわけでございます。民営化していくという点におきまして、どういう形態をお考えになっていらっしゃるわけですか。
  60. 亀井正夫

    亀井参考人 民営化というのは、自由主義諸国においての一つの大きな傾向だと思います。電電公社、専売公社も今般株式会社組織になりましたが、国鉄につきましても同様に株式会社にする。しかし、これは現在国有財産でございますから、当面は国あるいは国鉄が一〇〇%所有する株式会社という形で、そしてその株に市場性が出てくれば、逐次民間にその株を譲渡していく、こういう形の経営形態を想定しております。
  61. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう自主性という点でやはり心配があるわけですが、考えていらっしゃる民営というのは、十分な自主性を確立されるわけですか。
  62. 亀井正夫

    亀井参考人 現在、公社という仕組みにおきまして、まず年度事業計画は全部国会の承認が要るということになっておりますが、そういうのではなくて、その社長以下の執行部において年度事業計画を責任を持って決めていくということが大事だと思います。それから労働基本権の問題を自由化する、民間並みにするということにおいては、賃金の決定その他は労使の自主性を持って決定をされていくということになろうかと思います。運賃につきましては、私鉄並み、運輸省の監督下に置かれる、こういうことになろうかと思っています。
  63. 近江巳記夫

    ○近江委員 この分割の問題でございますけれども、今国鉄が三十万七千ですか、非常に大き過ぎるという中で、なかなか機敏な対処もできないというお話もあるわけでございます。しかし、世界的に見ましても、いつも話になっておりますが、三十万人以上の国際企業が現実にあるわけでございますし、そういうスケールメリットを生かして非常に収益も上げておる、これは御承知のとおりでございます。  そういうことで、この分割に対しまして本当にそれがいいのかあるいはスケールメリットを生かしてもっと何らかの改革をしていく中で蘇生の道はないのかという論議がいよいよ答申を前にいたしまして非常に高まってきておるわけでございます。そういう中で、委員長としてもそうしたメリットについていろいろ挙げていらっしゃるわけでございますけれども国鉄の分割に対して、ここがメリットなんだ、その辺につきましてもう一度お伺いしたいと思います。
  64. 亀井正夫

    亀井参考人 世界的企業において三十万の会社がある、これは事実でございますけれども、IBMとかいろいろそういうところをとってみましても、大体がやはり事業部制で、しかも会社組織という独立性を持っているシステムになっているわけです、ある面からは分権制という議論もございます。しかし、日本においての分権制というのは事業部制でございますから、これは営業と製造、そういうものを責任を持つということで、人事管理面とか何かは、そこの事業部長には、別会社にしない限り持たせられない。それから日本の風習としては、分権であってもトップがおる限りは、その分権の支社長とかでは納得できずにやはりトップまでいくということで、実際上の理想的な分権は日本の国情においては行われがたい、こういうふうに思っております。  そこで、分割をするかしないかということを私ども相当議論をいたしました。結論として私どもが得ましたのは、鉄道というものは労働集約型の産業であり、極めて地域と密着をしておる。広域的な地域と密着しておる性格のものであれば、旅客流動を大きく妨げない範囲においては、やはり分割をした方が一般国民の足としてもっと活性化され、国民もそれを本当に愛する、こういうことになっていくという確信の結果、分割するという結論に達しておる次第でございます。
  65. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう分割をした場合、すぐに国民が非常に端的に心配するのは、やはり運賃の問題もあるのですね、日常のことでございますから。急激な上昇であるとか、どうしても効率を追う中でそういう傾向に走りがちである、こういう点についての心配はどうなんですか。
  66. 亀井正夫

    亀井参考人 運賃の問題につきましては、基本的に現在の国鉄においても、国有鉄道運賃法によって、運賃は「原価を償うものである」ということが明記されておるわけですね。それが実際上は行われなかったことが、やはり赤字の一因であったということでございまして、コストが上がれば運賃が上がる傾向というのはやむを得ない。しかし、分割によって運賃が上がるということはない。というのは、やはり先ほど富塚先生からも言われましたように、今まではAという一本であったのが、Aという会社とBという会社を回って、それを併算して、こっちが五百キロでこっちが三百キロ乗る場合に、五百と三百それぞれ初めの運賃から足し算すれば高くなります。しかし、これは一つのルールを設定することによって、今まで以上に不利にならないということは当然のことでございますし、民営化されれば経営者としては当然そういう発想によって運賃は決めていくということになろうかと思っています。
  67. 近江巳記夫

    ○近江委員 貨物輸送の問題でございますけれども、今まで赤字の七割は貨物である、このように言われてきたわけでございますが、分割に際して貨物部門についてはどのようにお考えでございますか。
  68. 亀井正夫

    亀井参考人 貨物につきましては、基本的に、これはもとから申しますと、地域分割だけが今まで議論になっておりますけれども、機能的な分野におきまして旅客と貨物、そしてバスと船というものは違いますから、それぞれは分立させるという考え方に立っております。そこで貨物につきましては、残念ながら現在需要が非常に逓減傾向にある。しかし、これを活性化するのにどうしたらいいかということで、やはり貨物について責任を持っておる体制で、しかし貨物というものは、コンテナを中心にして考えるときには全国的に動きますから、コンテナを中心にする貨物会社は一本の方がよかろう。しかしセメントとか化学製品とかはそれぞれの部分的な動きでございますから、むしろそういう業界が輸送会社をこしらえて国鉄に運行を委託するとか、あるいはレールを借りて、その会社が運行するとか、いろいろそういう案が考えられるのではないか。そういうアイデアを示しまして、現在国鉄に具体的にその肉づけを宿題として出しておりますが、まだ回答が来ておりません。そういう路線でやっていきたい。これは国鉄当局とも相談しながら、貨物のあり方について活性化を図るという方角で案をつくりたいと思っております。
  69. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうした機能的な点からいくと、分割経営の方向でいく、大体そうしたお話があったわけでございます。そうしますと、鉄道技術研究所であるとか、そうした研究部門はどうなるんですか。
  70. 亀井正夫

    亀井参考人 鉄道につきまして、やはり技術研究所というようなところは今まで非常に大きな功績がございます。これからもさらにこういう鉄道についての技術進歩、技術の改革というのは大いに進めていかなければいかぬと思いますから、これは大事にやる。ただ、会社が分割された場合にどうなるかというと、そういうものが共同に寄っていく財団法人的なものというようなこと、あるいは会社組織にして各社がそれに参画をするという形で活性化をして残していく。ATTが分割をされましても、ベル・ラボラトリーという大きい研究施設は、今まで以上に、七つに分割された会社がそれぞれコントリビューションをやりながら、さらに研究所を発展させていこうということになっております。それから電力会社の場合も分かれましたけれども、中央電力研究所ですか、こういうことで九電力がこれを盛り立てていく体制になっておりますから、そういう点は抜かりなく配慮したいと思っております、
  71. 近江巳記夫

    ○近江委員 病院であるとかそういうものはどうなりますか。
  72. 亀井正夫

    亀井参考人 病院は大体地域密着型で、病院が動くわけではありませんから、分割会社が一番近いところの病院の経営を持つ、あるいは病院として非常にはやっておって、独立させた方がいいところは独立させることも考えられると思いますが、当面は分割会社地域にある病院は、厚生施設として新しい会社で引き継いでいく格好でいいのではないかと思っております。
  73. 近江巳記夫

    ○近江委員 いつも民営化のモデルとしまして三陸鉄道が挙がるわけでございます。御承知のように、これは設備が非常に新しいわけでございますし、経営基盤は根本的に違うと思うのです。安全投資というものは今後非常に大きな問題になってくるのですけれども国鉄全体としては非常に老朽化しておる。こういう中で、今後収支改善に直接つながらない投資につきまして、実際にどこまで精力的にやるかということなんです。これは安全性という点で非常に心配な問題でございますが、この点についてはどのようにお考えでございますか。
  74. 亀井正夫

    亀井参考人 やはり鉄道は安全というものが一番大事です。人の命を預かっておると言ってもいいわけでございますから、これについては万全の対策を講じていく配慮をし、新しい経営形態になって、それがなおざりになることは毛頭ないと確信をしております、
  75. 近江巳記夫

    ○近江委員 長期債務の問題は最大の大きな問題であろうかと思うわけでございます。合計いたしますと、三十五、六兆円になるということでございまして、一部新聞でも、新幹線を残る国鉄というか清算会社がリースにして分割会社へ貸し付けて、そういう中で累積したものを返済していくというようなことも報道されておるわけでございますが、そういう案は考えていらっしゃるわけですか。     〔委員長退席、鹿野委員長代理着席〕
  76. 亀井正夫

    亀井参考人 先ほども御説明しましたように、長期累積債務処理につきまして、新しい会社資産に見合った分の借金を背負う、これが国鉄案では九兆六千億という数字になっておりましたけれども、これをどう配分するか。これが幾つかに分かれる会社状況が一緒でございましたら、簿価並みですっとやったらいくわけでございますけれども、ある部門は非常に悪い、あるいは東海道新幹線のように非常に乗客が多くて利益性が高いというアンバランスがございますので、これについての資産の配分を、電力を分けたときのような収益還元法によって資産を配分するという案も考えております。こういうのが一つの筋として考えられる、第二の点は、それで非常に幅が大きくてやりにくい場合には、結局新幹線の収益性の格差が現状非常に大きいわけでございますので、新幹線については別途の保有機関を設けて、リース形式によって各社の利益調整をある期間やっていく、こういう格好で借金を背負ったのをなしていくという方法はどうか。この両方についてどちらもいろいろメリットもございますし、欠陥もあるということで、その辺を現在比較考量しながら最終の詰めを行っておるということが現実でございます。
  77. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどもお話がございましたように、答申まで本当に時間的には詰まってきておると思うのです。そういう中で、結局発表され、政府がそれを受け、実施していくということですね。そうなってきますと、長期債務累積債務、いわゆるこれの処理ですね、これにつきましては、これはもう今や我が国は、御承知のように百二十二兆の累積国債があるわけでございまして、これはただ単に答申を発表した、実際それじゃ政府がそれを実行する、これは裏づけは金ですから、大蔵との折衝といいますか、それは大変な今努力をなさっておると思うのですけれども、大蔵の感触はどうなんですか。
  78. 亀井正夫

    亀井参考人 大蔵省、私直接当たっておるわけではございませんけれども、今事務的ないろいろな検討もお願いしておりますけれども一言で言えば大変な問題だなということでございます。しかし、今これを処理せなければ、また次々と雪だるま式にふえていくということですね。そういう大きなこれは政治判断の問題、単にできるできないの問題ではなくて、後代に大きな災害をもたらすような負担をするのか、今苦しくても処置をするのか、こういう大きな私は最高政策的な判断問題に属しておるのではないかと思います。  その場合に、できるだけそれが経済界にあるいは金融界に大きな波乱を起こさないように、ある時間をかけて、やはり軟着陸をさせていくというところに英知を絞るということが必要かと思いまして、これは大蔵当局だけではなくて、国会の先生方も知恵を絞って、大きな意味での経済的に言えば、私はやはり国難であるというふうに思っております。これは政府本来の百二十兆を超える累積債務という問題と国鉄の問題とは、経済的には非常に国難である。やはり大蔵当局だけの問題ではなくて、大きな高度の政治的問題であるということで、賢明な先生方の衆知も集めて、これを軟着陸させる方法をひとつ御検討いただきたいというふうに思っております。
  79. 近江巳記夫

    ○近江委員 軟着陸させるいい方法というのは、これは当然答申の中でその姿というものはおのずとやはりあらわさなければならぬわけですね。そうなってきますと、今その作業というのは僕は大変だと思うのですよ。ですから、そういう政府の完全なバックアップの態勢がない限り、絵にかいたもちになったんじゃどうしようもないわけですね。その点を危惧しておるわけでございますけれども、その辺の感触はかなり強いものを得ていらっしゃるわけですか。
  80. 亀井正夫

    亀井参考人 私は、先に問題を延ばすほど悪い、したがってこの際やる。やはり決意の問題であろうと思いまして、私どもは何とかそれができる方法ということをひとつ政府にサゼスチョンができる態勢をつくりたい、こういうふうに思っております。
  81. 近江巳記夫

    ○近江委員 新たな債務返済財源を見出す、そういう困難さということはわかるのですけれども、新税の創設とかそういうことは毛頭、それは政府考えることだとおっしゃるかもしらぬけれども監理委員会としてはそういうことはありませんね。ちょっと念のために聞いておきますけれども
  82. 亀井正夫

    亀井参考人 新税とか具体的に我々が税制をとやかくという立場にはございません。しかし御承知のとおり、日本国有鉄道というものは現在国民財産である。そうすると、負債というマイナスも結局は国民の負債なんですね。ですから、これをどういう方法でどういうふうに処理するかということだけにかかっておるというふうに御認識をいただいて、税の問題を書くかどうかということは私ども権限外、そういうことを言うと、前にも国会で御指摘がありましたように、権限以上のことを発言したというふうなおしかりをこうむらなければなりませんが、慎重に、しかしこういう方角の解決方法はどうでしょうかという一つのサゼスチョンだけはやはり出す責任はある、こういうふうに思っております。     〔鹿野委員長代理退席、委員長着席〕
  83. 近江巳記夫

    ○近江委員 整備新幹線の問題でございますが、私が前に委員長に御質問しましたときに、国鉄再建監理委員会の枠外の問題として考えていきたい、こういう御答弁があったわけでございます。これはどうするかという選択、あるいは負担方法というのは政府の決断事項である、こういうふうにおっしゃっているわけでございますが、この整備新幹線のことは、この七月の最終答申では一切お触れにならない、内容に入れないということでございますか。
  84. 亀井正夫

    亀井参考人 整備新幹線の考え方につきましては、私どもの任務は現在ある姿あるいは六十二年までに想定される新設線というものを含めたところを再建をするということが任務でございますので、整備新幹線の問題は恐らくこれから十年、二十年、工事能力とかいろいろいいましてかかる問題でございましょう。そういう問題でございますので、私どもは枠外という格好のつもりでおるのであります。
  85. 近江巳記夫

    ○近江委員 地方交通線の問題でございますけれども委員長は、国鉄の「基本方策」では、七十線を切り離す、そしてそれに国家助成を求めるという案であるけれども、私としては特定地方交通線を除いて九十線は可能な限り残したい、前回こういう御発言があったわけでございます。分割した会社が今後九十線をいわゆる維持したまま黒字経営を行って自立していくということが果たして可能であるかどうか、これをどのように考えておられるか。また、この七月の答申にその点を明確に盛り込まれるかどうか、お伺いしたいと思います。
  86. 亀井正夫

    亀井参考人 いわゆる地方交通線というのが総括して百七十五線ございます。特定地方交通線が第一次が四十第二次が三十三ということで、このうち六つが現在保留になっておりますが、あと十二の第三次特定地方交通線、これまでは法律で決まって進行するということになっておりますから、その八十五線をマイナスしますと九十線というものが残る。その九十線の中で、国鉄は七十線を切り離す、こういう案になっておるのでございますけれども、私どもといたしましては、せっかくこしらえたものをできるだけ私鉄並みの経営によりみんながやる気を起こして残すという格好になってもらいたい。そういうことで、私ども計画では、この九十線、これをそれぞれの分割会社が抱えて、そして活性化をしていくという案をつくる予定でございます。
  87. 近江巳記夫

    ○近江委員 最後に、余剰人員問題についてお伺いしたいと思いますけれども、これは何らかの立法措置というものにつきまして考えておられるかどうか、もう一度明確にお伺いしたい。これが一点でございます。  今国鉄当局が行っております余剰人員対策、これにつきましてはどのように評価をされておるか。これが二点目であります。  それから、特にこの余剰人員、地域的に言いますと北海道、東北、四国、九州等が非常に多いわけでございます。ところがその地域というものは、それを受け入れる余裕のない地域でもあるんですね。それで非常にそういう雇用の安定の面で不安視されておるわけでございます。地域的なそういう問題等も含めてどのように対処されるか。  以上、三点お伺いします。
  88. 亀井正夫

    亀井参考人 余剰人員問題、非常に頭の痛い問題でございますが、特別立法が要るかどうかという点は、第三の御質問の、北海道とか九州とか、そこで吸収し切れない者を転換をさせる。石炭の場合にも、御承知のように、九州の炭鉱の人を北海道へ転換させるとかいろいろやった。この場合には雇用保険があったわけでございますね。雇用保険に特別立法でさらにプラスをしてその移転の促進を図った。でありますから、今回も余剰人員対策についてはもちろん国鉄が当面当たる。しかし、足らず前のところのそういう転換資金であるとかあるいは教育資金であるというふうなものは、やはり特別立法によって予算を出していただかなければ不可能ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。したがいまして、北海道、四国、非常に問題でございますが、でき得ればそこの地域で吸収していければ結構でございますが、できないところはやはり内地の方へ——内地といいますか、本州の方へも吸収する転換をやる、こういうことでございます。  それから、現在国鉄当局の余剰人員対策、非常に熱心に進めておる。ただ問題が非常に難しいことと、御指摘のように、経済が高度経済成長時代から変わってきた。しかし、現実に新聞なんかで見ましても、自動車会社とかいろいろそういう忙しいところへ派遣をしてやるとか、一つ一つ足で稼ぐということで非常な努力をしておられる。あるいは国鉄の中でも、コーヒーをやるとかホテルをやるとかということで吸収しようとか、非常にまじめに努力をしておられる。しかし、我々が想定しておるものは、答申の後の実行はさらに数倍の努力が要る性格の大変なものであるというふうに認識をしております。
  89. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、以上で終わります。
  90. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 河村勝君。
  91. 河村勝

    ○河村委員 亀井参考人、どうも御苦労さまです。  今もお話が出ましたが、国鉄の持っている長期債務の棚上げ、政府に肩がわりしてもらうというのが、金額は別にして最大の問題で、もしこれができなければ、いかに分割しようが民営にしようが、それはもう決して自立できるものではございません。それはよく御認識いただいていると思います。  先ほど、自分では大蔵省とやっておらぬけれども、感触としては大変だというお話がありましたが、それはもう当たり前の話であって、事務当局同士の話でこんなものはまとまるわけはないのです。ですから、亀井委員長自身が乗り出すべき時期だと思うのです。これは通常の大臣同士の話し合いだってできるはずがない。ですから、中曽根総理にあなたが事前に話をして、それで今度の答申のかなめになるこの長期債務の棚上げというものは、とにかくあなたに実行してもらわなければ答申は出せぬというぐらいのことを当然話されるべきだと私は思いますが、どういうおつもりですか。
  92. 亀井正夫

    亀井参考人 大変貴重なアドバイスをちょうだいいたしまして、御趣旨を体しまして努力をしていきたいというふうに思っております、
  93. 河村勝

    ○河村委員 努力ではなくて、これができなければほかの方が全部だめになってしまうというくらいのウエートがあるのですから、ぜひともそれをやっていただきたい。大臣にも同様。今大臣同士で話がつかないなんて失礼なことを言いましたが、そういう性格のものだと思いますから、これだけは答申を出す以前にはっきりけじめをつけてほしいと思います。いかがですか。
  94. 山下徳夫

    山下国務大臣 大変貴重な御意見で、御意見は十分尊重しながら対処してまいりたいと思います。
  95. 河村勝

    ○河村委員 御意見は尊重しながらじゃどうも心細いんで、尊重というのは大体尊重されたためしがないのであって、今度はひとつ間違いなく、それを監理委員長ともども責任を持ってやっていただきたい。お願いをいたします。  ところで、長期債務の中身でありますけれども、さっき国鉄資産となっている借金が九兆六千億とおっしゃいましたね。それを別にしますと、私どもの計算で十五、六兆円、委員長がおっしゃるように、年金の追加費用をファンドで賄う六兆円というものを入れますと二十兆円以上になる。そうしますと、将来新しくできた株が値上がりした場合に売却をして返すものもありましょうけれども、それも一年や二年ですぐ値上がりするものじゃありませんから、当面は当然国の肩がわりが必要だと思いますが、大体どのくらいの額になると想定をして話し合いをしておられますか。
  96. 亀井正夫

    亀井参考人 先ほども申し上げましたように、年金退職金、それから本四架橋、それから青函トンネル、合わせて三十五、六兆ということになる。それから国鉄がといいますか、新しい形態が背負う資産というのは国鉄案では九兆六千億ということになっておりまして、その内外ということでもう少し背負えれば背負ってもらうということになりますと、残りが二十五兆ぐらいになります。そのうち五兆三千億は棚上げになっておるわけでございます。そうすると、残りは二十兆くらいで、それを遊休土地処分、それから株式の処分、株もすぐ売れぬではないかと言いますが、そういう莫大な借金というものを一挙になすわけにはいきませんから、何年間か、十年とか二十年かけて返済していくというような格好になろうかと思います。そうしますと、十数兆のものは政府が責任を持って処理をしていく、国民にかわって処理をしていくということでございますか、そういう格好になろうというふうに思っております。
  97. 河村勝

    ○河村委員 遊休土地売却して借金の穴埋めをするという額について、どうも国鉄当局監理委員会との間で開きがあるようですが、監理委員会の第二次答申においても、国鉄の線路のそばにあって、将来関連事業を経営して、それでもうけた方が得だというようなものは残すんだ、そういうことを書いてありますが、その基本方針が変わらないとすれば、国鉄が三兆と言っているのがそんなにべらぼうにふえる可能性はないんだと私は思いますが、監理委員会としては一体どの程度のことをお考えになっておりますか。
  98. 亀井正夫

    亀井参考人 売るというその当事者になると、やはりできるだけ置いておきたいんだという心理が働くというのが通常だと思うのです。しかし今度は、清算をするという立場の見方からすると、できるだけ多くすべきじゃないか、こういう考え方になりまして、国鉄では当面三兆円、こう言っていますが、努力すればふえるし、また地価も現在上がる傾向に、特に大都市周辺は上がる傾向にございます。そういうことと、もっと探せば幾らもあるということで、まあ数倍と申し上げたいのですが、そうはいきませんで、私どもは全部を当たったわけではございませんが、いろんなところのボーリングをやってみれば、大体倍以上のものは出るはずだという一つの前提で作業を進めております。
  99. 河村勝

    ○河村委員 これはここで議論しても結論が出る問題じゃございませんけれども、これは本当に現実に即して計算をしないと、とらぬタヌキの皮算用になるであろうと思います。私も経験がないわけじゃないので、どう考えても倍以上なんというのはできるはずがない、そう考えておりますが、一言申し上げておきます。  分割問題でありますが、さっきお話の経過で出てまいりました地方交通線の問題を先に伺います。  特定地方交通線、これは従前どおりの計画のままでやってもらう。ただ、それ以外の七千キロに上る地方交通線というものは、これについてもあなたのところの第二次答申では、「第一次提言の方向に沿って国鉄からの分離を積極的に推進すべきである」というふうにはっきり書いてあります。これが昨年の八月十日。一年を経ずしてこの方針は全く変わって、分離はしないで新しい会社で抱えていくという方向に変わったんですか。
  100. 亀井正夫

    亀井参考人 昨年八月においては、国鉄の力によってそういうものがもっともっと推進できると思ったのでございますけれども、案外そういうことができないということになりましたら、今ここで七十を分割するというような大きな混乱を起こさずして残す、そういう方角で当初やって、そして新しい企業経営体がそういうものについての合理的な経営考えていく。これは新しい組織による新しい経営者の見方ということでやっていく方がいいというふうに考えております。現実を踏まえてそういうふうな結論になっておるというふうに御理解いただきたいと思います。
  101. 河村勝

    ○河村委員 しかし、国鉄の手によってさっぱり分離独立が進まないとおっしゃるけれども、特定地方交通線すら難航しているのに、一遍にその他の地方交通線に及ぶわけはないので、それぐらいのことは昨年からわかっていたはずです。ですから、情勢が変わったということは全く理由がない。ですから、今あなたのお話を伺うと、必ずしも変わったわけではなくて、経営形態変更の際には残しておく、国鉄の中に抱えておく、その後新しくできた会社がこれを独立の会社にする、自分の子会社にして分離をするということはむしろ積極的に慫慂すべきである、こういうお考えですか。
  102. 亀井正夫

    亀井参考人 積極的に慫慂するかどうかということではなくて、新しい経営形態が、またその経営者あるいは地域の方々が、それが望ましいという場合にはそういう方角に行くであろうということでありまして、これは将来の問題でございます。私どもは六十二年四月、当面において新しい分割・民営化という組織に変えるという具体策を現在議論をしておる。その場合には、七十地方交通線については——七十プラス二十ですね、九十。国鉄のは二十を残して七十は切るということでありましたけれども、そうではなくて七十も残しておく、そういうことが具体策である、こういうふうに現在確信をしておるということでございます。
  103. 河村勝

    ○河村委員 しかし、去年の答申には「国鉄からの分離を積極的に推進すべきである」と書いてあるんですよ。それが一年にしてそう変わっちゃうのですか。どうもそれを国鉄の責めのようなさっきの御答弁でしたが、どうもその辺はちょっと私には理解できませんが、本当はどうなんですか。
  104. 亀井正夫

    亀井参考人 去年はこういうことも可能である、あるいは一次、二次の交通線ももっとやります、どんどん進みますという報告もございました。しかし、実情はなかなか進みにくいという格好でございますから、そういう事実を踏まえて、現実的対策というものは、やはり九十地方交通線をそれぞれの分割会社が抱えるということがベターであるという判断になったということでございます。
  105. 河村勝

    ○河村委員 分割を考える場合に、一括的な広域の管理体制のもとでは地域に密着した仕事はできない、運賃も別の運賃にはできないし、それから働く者の勤務体系等も機動的に運用するようにはできない、だから分割をするんだというのが分割の大きな理由になっているんですね、そうであれば、本当は本州を幾つかに分けても、そこの運賃は州立てにすることはできませんし、それから勤務体系、労働条件も大きなブロックで分けてもそう変えるわけにはまいらないものです。ですから、むしろ本線、幹線から分かれた地方交通線こそ本当に独立運営にすれば、それこそ三陸鉄道の例ではないけれども、もっときめの細かなものができる、そういうものじゃないのでしょうか。その点、あなたはこの前の答申にも「合理的な範囲を超えた内部補助」の弊害というものが、これが一括運営の欠陥であると言っていますね。これは明らかに「合理的な範囲を超えた内部補助」をこれからも続けようということになるわけでしょう、こういうものを抱えていくということは。ですから、分割の趣旨からいったら、高分割は別として、とにかくこういう地方交通線というものは、本当の子会社にして、きめの細かい運営ができれば、地域でもその方がよろしいということじゃないかと思いますが、いかがですか。
  106. 亀井正夫

    亀井参考人 先生のお考えは、やはり国鉄に長らくおられた方で、きめ細かい案をつくろうというお考えのようでございまして、分割はできるだけ多い方がいいというふうに私印象を受けたのでございますが、私どもといたしましては、この大きな大改革をやるというのには、やはりマクロの面の視点から実行可能ということをやるということが非常に大事ではないか、こういう視点に立って案を立てたわけでございます。  「合理的範囲の内部補助」という解釈は、大きく言えば、東海道でもうかったものが北海道へ行く。これはやはりそういう意味のこれが合理的かというと別である。しかし、東北線の幹線の支線であるところは、やはり東北新幹線へのお客を集めるフィーダー作業をやっておる。そういう連結をしておるところは、やはり合理的と考えてもいいんではないだろうか。そういう意味で、これは合理的というのはどの範囲かということをびしっと切るわけにはいきませんが、現在ただいま大きな分割・民営化をするという基本路線においては、合理的な内部補助、内部補助というものは合理的範囲にとどめるという考え方で、それをどの辺にするかというのは政策的判断、こういうことによる、こういうふうに考えております。
  107. 河村勝

    ○河村委員 この前、予算委員会でこうした場があったときに、私は、分割・民営というのは、あくまでもこれは国鉄再建の手段であって目的じゃないんだ、だから分割したものは必ず民営、あるいは臨調の基本答申に全国が七ブロックとなっておった、だから七ブロックでなければならぬというような、そうしたことにとらわれずに、分割したから民営でなければならぬ、あるいは七ブロックと言ったから七ブロックでなければならぬというようなことにはとらわれずに考えるべきだということを申し上げたつもりですが、御記憶でしょうか、
  108. 亀井正夫

    亀井参考人 河村先生からそういう御意見がありましたことは記憶をしておりますし、私どもは、臨調の答申が出て、そして新しくこの再建監理委員会の設置の法律が出ましたときは、効率的経営形態の確立、長期債務処理、こういうものをテーマに包括しておりますから、また一から勉強し直したわけでございます。したがいまして、現在でも臨調が七つを言ったから七つということにはとらわれずにいろいろな案を検討しておるということは、先ほどいろいろな先生方に御説明をしたところでございまして、全くとらわれずに、これから二十一世紀に向けてのせっかく国民財産である国鉄というものがさらに活性化され、国民が喜び、国民の足になるという方策は何が一番ベストであるかということを現在検討しておるというふうに御理解いただきたいと思います。
  109. 河村勝

    ○河村委員 そこで、本州を三ブロックとか四ブロックとかいろいろな案が新聞に出ております。これもあなたのお話では幾つかの検討材料の一つであるというようなお話がございました。大ざっぱに言ってああいうようなことが検討されているんだと理解しておりますが、あれを見ましても、こういう支線区、地方交通線の場合と違いまして、仮に三ブロックにいたしましても、大体、日本の旅客の流れというのは、首都圏と近畿圏を中心にして流動しているわけですね。ですから、名古屋というのは通過点ですよね、幹線の。ですから、こういうのを並べますと、ダイヤの調整大変なものですね。さっきあなたは、今国鉄は官僚がやっておるから縄張り争いがきついので、これが民営になれば全然違うんだということをお話しになりましたけれども、民営になりますと、今度は逆にそれぞれの会社の利益を上げるために、自分のところに一番有利な時間帯に列車が通過するということには今まで以上に頑張るわけですよ。これはもう国鉄の中で各局に分かれているダイヤをこしらえるときだって大変なことがあるのですけれども、それはまあ一つだからできる。  それから運賃調整、それに新幹線をリース方式にするというような債務の調整ですね、そういうことまでやらにゃならぬとしますと、どうしてもそれを調整する機関が要るんですね。旧国鉄にやらせるのかどうか。それはまあやりようがありましょうけれども、何かの調整機能を持つ機関が必要になってくる。だから無理な分割をしますと、結局調整機関がかなりの支配権を持って、それで介入するようになる。そうなると、民営独立といいながら実際は従来と——従来ほどではないけれども、かなりの介入を受けるというようなことになったら、それはせっかく民営にした意味をかなり大きく減殺をする。だからそういうことがないようなことを考えるべきだと私は考えますが、いかがですか。
  110. 亀井正夫

    亀井参考人 河村先生の御指摘の点、いろいろ問題があろうかと思いますから、そういう点も踏まえて現在検討しておるということでございます。
  111. 河村勝

    ○河村委員 そうしますと、調整機関をつくるといっても、そう大きな機能を持ったものにはしないということでございますか。それを必要としないような程度の形の分割をするというのか。どっちでしょうか。
  112. 亀井正夫

    亀井参考人 調整機能はもちろん要ると思いますが、それが強大な機構であり、権限を振り回すものではなくて、共同をして、そしてお互いに伸びていくという、共存共栄という実が上がるような調和機関、例えば電力事業で言えば電気事業連合会というふうなところで電気の需給配分、いろいろなものについての調整をやる、あるいは設備更新、共用に使うとかいろいろやっておられますが、そういうものを例としてやることが望ましい、こういうふうに考えております。
  113. 河村勝

    ○河村委員 島分割というのは簡単ですから、答申と同時に翌年これを分割しろといっても私はできるだろうと思うのです。だけれども、本州を分割するというのは、あの新聞に出たものだけ見ても非常に複雑です。それでやりようによっては随分大きな間違いを生じます。ですから、私はむしろ二段階方式にして、それで分割については——民営はもちろん結構です。それから島分割もよろしいでしょう。だけれども、本州の分割については第二段階の措置にして、さっきあなたが地方交通線の問題でおっしゃったように、まず本州は一本でスタートをしておいて、そしてその上で合理的な分割を考えるというふうにした方が私ははるかに現実的だと思いますが、どうお考えですか。
  114. 亀井正夫

    亀井参考人 そういう見地の有力な意見もございます。しかし、三島だけができるからといって、果たしてそういうことが可能であるかどうか。やはり日本は一本で、一つ考え方によって割るということでないと国民的なコンセンサス、御納得は得られないという点の判断もいたしまして、あえて本州につきましても、やはり同じルールによって割り切っていくということが必要という結論に達しております。
  115. 河村勝

    ○河村委員 それは本質論とちょっと食い違うのであって、三島と本州とは分割するといっても性質が違うのですね。ですから、区別してもよろしいが、もしあなたのような全部を同じに扱わなければいけないというのであれば、逆に民営で一本でスタートをしておいて、分割は二段階、一段階置いてやるというふうに、そっちに三島も合わせるという方が本当であって、三島だけ別にして先にやってから本州をやるのじゃ納得ができぬというのは、これはちょっと形式的な物のお考えだと私は思うのです。だからどっちかにしたらよろしいのですね。ですから、もしあなたがそういうお考えであるならば、全部分割だけは第二段階にするといった方が合理的であると私は思う。それはお考えになっていませんか。
  116. 亀井正夫

    亀井参考人 今回の国鉄については、今までの延長線上の改革では絶対だめだ、これは諸先生方も全部御同意をしておられたのです。  それから、あわせまして大きな負担を——政府というのは間接的には国民に御負担を願う、こういうことも必要である。そのためには大手術でこういうふうにしますから、これはこうということでなければ国民の御納得は得られないという意味のいろいろ余剰人員対策長期債務処理、そしてこれからの活性化された組織と、総合判断の上で私どもはほぼある結論に達しておるわけでございまして、先生の御意見も尊重はいたしますけれども、全体総合判断の上で私どもは最終答申に向かってこれから努力をしたい、こういうふうに思っております。
  117. 河村勝

    ○河村委員 はっきりさせることが必要だということは私もよく理解をいたします。が、私は現実論を言っているのであって、だからこそ三島分離は、これはもう線引きの必要がないのですから。海で分かれている。九州はトンネルがありますけれども、事実上分かれていると言ってもいいでしょう。ですけれども、本州の分割というのはメリット・デメリットが非常に絡み合っておりますから、ただ机の上でちょいちょいとやっていいことばかりではございません。ですから、本州だけを別扱いにしたからといって、決してそれによって総合性が失われるものじゃないと私は思う。だから私は冒頭に本州だけを別にしたらどうだということを言ったわけですよ。それは全然念頭にはございませんか。
  118. 亀井正夫

    亀井参考人 先生の貴重な御意見として伺っておきます。
  119. 河村勝

    ○河村委員 それから、これも繰り返しになりますけれども、北海道あるいは四国の問題であります。分割したら民営だという原則にとらわれますと、北海道も民営になります。ですけれども、北海道は現在の職員をゼロにしても、少なくとも今の形態でやっている限り二千億ぐらいの赤字になる。監理委員会の計算では何かもう少し減るような計算になっておりますが、それにしても黒字にはならない。あなたはさっき数年間で黒字になるというお話でございましたが、どうもそういうことになる可能性は少なくとも北海道ではないと私は思う。だから前から私は、民営といったら全部民営でなければならぬということはないのであって、北海道のごときは、むしろその特殊性にかんがみて官営の開発鉄道にしたらどうだということを申し上げたはずであります。私の考えを押しつけるとかなんとかということではございませんが、そう一律に考えずに——補助金をもらう民営の会社なんというのは、これはナンセンスでしょう。ですから、そこのところは弾力的に考えられるべきだと思いますが、いかがでございます。
  120. 亀井正夫

    亀井参考人 北海道の問題は非常に深刻でございまして、河村先生の御意見の官営会社というものは一つ方法でございますけれども、やはり民活といいますか、民間活力的な発想というものが入らないと、事業というものはこれからうまくいかない。したがいまして、私どもは、数年間とは申し上げましたが、やはり最初に何かある期間助成金というものを約束するか——これも助成金という以上とめどもなく出せない。そうすると、やはりもう一つ考え方は、ある基金といいますか、持参金を与えて、その金利によって赤をペイしていって、後は努力によってその会社が黒字ができる体制経営努力の目標を明示する、こういう格好がいいのではないかということで、そういう案の路線でいろいろ現在検討を続けておるということでございます。
  121. 河村勝

    ○河村委員 時間がなくなりましたけれども、余剰人員のことを一つだけお尋ねをいたします。  国鉄では六十五年までに十八万八千人にするというのに対して、この前の予算委員会ではあなたは、私のところは六十二年の段階で十八万八千人にするのだというふうなことをおっしゃいましたが、さっきの質問に対しましては、まだそこのところははっきりどれを目標にするのか決めてないというお話でございました。これは実際はどうなっていますか。
  122. 亀井正夫

    亀井参考人 前回も申し上げましたのは、国鉄の「基本方策」の中にも数字の資料がございます。旅客あるいは貨物は六十二年から六十五年に対して減っていくのに、そうすると、六十五年を十八万八千人と適正人員で考えておられるけれども、私どもは六十二年、民鉄並みといいますか、生産性を上げるのであれば、六十五年を六十二年に引き戻しても同じではないかという想定で御返答を申し上げておるのでございまして、私どもは別途の計算をいろいろやっておりますが、まだ確定の数字というものには至っておりませんので、国鉄の「基本方策」についての認識ということで前は申し上げたというふうに御理解いただきたいと思います、
  123. 河村勝

    ○河村委員 余剰人員対策で立法化を考えているかということについて、明確な御答弁がさっきなかったようでございますが、一体立法化を目標にやっておいでになるのか、立法化する場合に、余剰人員の、簡単に申せば出向先の仕向け等について法律的な拘束力のあるようなものをおつくりになるのですか。その辺、ただ幅広く企業あるいは自治体等に国の立場から要請するというようなものをお考えになっておるのか、そこら辺のところはどういうことになっておりますか。それを最後にお尋ねをいたします。
  124. 亀井正夫

    亀井参考人 結局、新しい形態において適正人員を配置するとすれば余剰が出てくる。この人々について転換を容易にするための援助、これについて政府においていろいろおやりになろうとすると、やはり予算が要るわけでございますから、そういうものを裏づけするような立法措置ということを考えております。
  125. 河村勝

    ○河村委員 どうもありがとうございました。
  126. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 梅田勝君。
  127. 梅田勝

    ○梅田委員 私、昨年の七月に監理委員長に来ていただきまして一この委員会で集中審議をやりました際に、分割をやりましても、逆に国の負担がふえるのではないかということで批判したわけでございますが、この五日に朝日新聞が「国鉄六ブロックに分割」というのを出したわけでございます。これによりますと、北海道、それから四国、九州、この三会社は年間七百億から八百億ぐらいの赤字が出てくるだろう、それを補助しなければならぬから、国鉄資産を売って一兆円くらいの基金をつくって、そして利息、運用資金で補助していこう、こういう考え方が再建監理委員会のその筋の話として出ているわけです。先ほどからずっと御議論がありまして、これはまだ最終的に固まったものではないとおっしゃっておるわけでございますが、こういう考え方が出てきているのは事実だと思うのですね。  それから、きょうの日本経済新聞によりますと、「新幹線はリース方式に」ということで、「最終答申固まる」というように書かれておるのを見ますというと、分割した場合に新幹線のもうかるところと、それからごっつい赤字を出しているところがある。それをどうしても調整しなければならないために、新幹線は旧国鉄が握ってリースでいく。それで調節する。この考え方は結局内部補助の考え方なんですね。  だから、いずれにしても、分割いたしましても、そういうやり方をやらないとうまくいかないということでございまして、国鉄の危機の本当の原因がどこにあるか、それに対して長期債務なら長期債務に対して国が責任を持つということできちっとした方針ができれば、全国的に効率的な運営というのは、現在の国鉄でも十分に可能だというふうに私ども考えているわけであります。したがって、分割・民営という問題は、結局は国鉄の解体につながるものであり、また公共性の放棄だということを一貫して申し上げておるわけでありますが、いよいよ答申の寸前に来たという時点に立ちまして、この基本点につきましての考え方をこの際ただしておきたい。
  128. 亀井正夫

    亀井参考人 国鉄が分割・民営化すれば、さらに負担が大きくなるのではないかという御意見もございますけれども、基本は、現在の国鉄状況というのは、日々病状があつくなっておるのが現実でありまして、これは梅田先生も御認識であろうと思います。果たして来年の予算が組めるのかどうか。年々二兆数千億の借金というものを繰り返されるのかどうか。どうしてもこういうシステムはある時期行き詰まってしまう、したがって、ここで大きな改革をやる、今先生がおっしゃるように、長期債務をだれかが肩がわりをする、あるいは余剰人員をどこかへやるといえば、今のままでも安泰でしょう。しかし、そういうことはだれかの負担においてやらざるを得ない。それにはやはり国鉄自身がこれだけ大手術をやるから国民の方々は納得して、それを援助しよう、こういう態勢でなければ大きな改革はできない。私どもはそういう信念と認識に基づいて作業をしておるということでございます。
  129. 梅田勝

    ○梅田委員 電電も民営にしたわけですよ。今度その株式を順次放出するということで国債整理基金勘定に入れたい。私は、これは結局、考え方として、電電の場合は黒字経営だ、外国企業が参入できるように法律を変えた、同時に民営にした。しかし考え方の根底に、赤字財政をどうするかということで国有財産売却一つのねらいを置いておるのではないか、こういう気がするのですよ。ちょうどどら息子がばくちですって膨大な借金ができた、先祖代々の家屋敷、田畑を全部売り払ってしまう式に、今や自民党・政府が国有財産売却に乗り出してきたという感を深くするのです。結果としてそうですね、結局は売り払うわけですから。そして北海道その他独立させてやるにしても金が要る。それは国鉄の若干の部門を売り払って、そして基金をつくり手当てをしていこう。発想は一緒ですよ。  問題は、私どもが一貫して言っておりますように、国鉄危機の真の原因というものを明確にして、その責任を問う。その上に立った根本的な再建策を示す必要があるのではないか。  そういう点で、第一に、従来の国鉄経営のすべてを高度成長政策に従属させ、大企業の急速な資本蓄積に奉仕してきた、こういうやり方、二つには、国鉄の官僚的な体質によって非常にむだ遣いが多い、この是正の問題、第三に、道路のように税金をふんだんに使って整備するというのと違って、鉄道、国鉄はすべて自己資金でやれ、借金でやれということで、今日のような過大な設備投資によって借金を積み重ねてきた、その元利払いてもう首をつらねばならぬような状態になっている、そういう従来の政府の、国鉄を基幹とした公共交通輸送体制、これをないがしろにしてきたところに根本問題があるのではないか。  そういう点で政府、与党・自民党、それから財界、この三つの責任を問い、その上で抜本対策を立てるということに戻るべきじゃないかと思うのでありますが、その点についてのお考えを示していただきたい。
  130. 亀井正夫

    亀井参考人 今、梅田先生から貴重な御意見ございましたけれども国鉄が現状悪いというのは、先生が挙げられた以外にいろいろな複合の原因によって現在ただいまに至った。船は沈没しかかっておるわけです、穴があいて。したがって、そのときに、船長が悪い、機関士が悪いという議論をする時期よりは、どうやってその穴をふさぐか、あるいは重荷になっているものを捨てて船を軽くするか、そういう時期に来ておるということで、その点の認識の深刻さというものを先生も改めてひとつ御勉強をいただきたいというふうに思います。
  131. 梅田勝

    ○梅田委員 とんでもない話で、国鉄を沈没寸前にまで陥れた責任をはっきりさせないでそんなことを言うのは極めて無責任だと思うのですよ。  あなたの「改革への道経営と行革」というこの御本も続ませていただきました。いわゆる国鉄症候群ということで六点ほど挙げておられます。競争意識の欠如でありますとか組織の非効率性、人事管理上の問題、労使関係、政治の過剰な介入、地方公共団体や国民地域エゴ、こういった六点をお挙げになっているわけでありますが、田中角榮の列島改造論じゃないけれども、全国的な新幹線網をつくれ、とにかく設備投資をどんどんやれという形で、そしてそれに乗っかって経済界もいろいろ工事をやって、あるいは商品を売ってもうけてきた、こういう仕組み。財界が国鉄を食い物にしてきたということについては、これを読みましても残念ながら一言もお触れになっていないのです。だからあなたの姿勢というのは、私ども十分に理解しておりますし、国鉄の現状は極めて深刻であるということも知っております。しかし、問題はそういう政府や自民党や財界の放漫的な国鉄運営によって生まれた長期債務、こういった問題についてどうするかということ。それから仕事も機械的にどんどん打ち切るわけですね。いわゆる激変ということが起こってきて、今まで仕事をしていた人がいきなり明くる日から仕事がない、普通の経営者だったら、廃止するなら廃止するで次にどうするかということを考えてやりますよ。そういうことをやらないで、余剰人員を意識的につくり出したようなやり方、こういったものについて何ら具体的な対策が出てない、  これを読みますと、今後の再建策のところも読ませていただきました。そうしたら「第四に検討すべきは、青函トンネル、本四架橋という二大プロジェクトの問題です。」ということで、非常に金がかかったということを書いてございますね。そしてその資本費も今後大変だ。「しかし、いずれにせよこのビッグプロジェクトは、いわば国民の永年の悲願であり、出来た以上は適正な費用負担仕組みとともに、最大限の活用方法考えなければなりませんこと書いてあるけれども、これは財源的にどうするか、相当の金がかかる、それについて何ら書いてない。これではまさにああいう大プロジェクトを組んで、そして日本の財界というものがそれに寄ってたかって食い物にしてきたということについての反省は一つもないと思うのですね。ですから、それでは本当の再建というものはできないのじゃないか。一体、余剰人員対策も含めて、先ほど来議論がありますが、本当に真剣にどのようにしようとしているのか、お尋ねしたいと思います、
  132. 亀井正夫

    亀井参考人 私のまずい著書までお読みをいただきまして本当にありがとうございます。先生の御議論というのは、物はやはり眼鏡をかけて見るといろいろな色に見えるという認識を深くいたしたわけでありまして、何も財界、自民党ぐるになって悪くしたというだけではない。そういう傾向もあったかもしれませんけれども、それはある部分であって、全体としては交通情勢の大きな変革というものは大きな世界的な流れで、これはソ連、中国でも悩んでおられるということを聞いております。そういう基本的な現実の動きの上に立って深刻にこれをやろう、それに従いまして、私はもちろん経済界の出身でございますけれども、何もその立場ではなくて、広く国民的視野、しかも二十一世紀に向けてせっかく我々の祖先、先輩がつくってきたこの鉄道というものをどう活性化するかという信念と情熱で現在やっておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  133. 梅田勝

    ○梅田委員 トラックとか運輸業界、貨物は鉄道はあかぬといって今やどんどんと打ち切っておりますけれども、しかし、かなり重要な大企業の輸送というのは引き続きやっているのです。今回分割したら、再建監理委員会が検討ということで、四月二日に日経新聞が載せたわけでございますけれども、トラックもどんどん労働強化で長時間労働をやっているから事故が多い、交通渋滞もあってそうそう行けるわけではないということで、鉄道輸送の魅力を再認識し始めて、もし貨物会社をつくればこれに参加意欲が強いというのが出ているわけです。将来運輸労働者が団結して、こんな過酷な労働条件はだめだというようになってきたら、一番いいのはやはり鉄道輸送あるいは海運ということになりますよ。そういう点なんかを考えたら、今日の国有鉄道の形態、いわゆる公共性によって全体の利益を確保していく、こういう国鉄あり方というものを、現状の諸欠陥をどう是正してやっていくかということで提言を出していくことが私は大事ではないかと思うんです、  ところが、監理委員会ができまして、強力な権限を持って、その出した意見というものは事実上内閣を拘束する、内閣の上に君臨するような格好で出てきておるわけでございますが、緊急提言も出た、それで国鉄はもう四苦八苦して仕事をやっている。ところが監理委員長は将来の大手術に備えて体力を蓄えていくための方策とおっしゃっておりますけれども、しかし、職場規律の確立ということで実際どういう状況が現場で起こってきたかというと、先般国鉄労働組合の門司地方本部の要請に基づきまして、これは社会党さんも入られたようでありますが、私ども調査団を編成いたしまして、実際に現場へ行きまして見てまいりますと、職場規律の確立で真っ先にやったことは、現場協議制の廃止、いろいろな仕事があるのに質問したら、おまえ質問した、その間は仕事しとらぬから、これは労務不提供だということで否認なんですね。それで賃金カットやるんですよ。これはえらいことなんですね。それで非常にとげとげしい状態が職場に起こっておるというのを発見いたしまして、私はこんなことで処分されて賃金カットされたらたまったものじゃない、果たして監理委員長は知っているんだろうかというように思ったわけです。ですから、非常に強力な権限をお持ちですから、自分の出した提言が末端にいったらこんな大きなハレーションを起こしておるということにつきましては、早速、きょうは運輸大臣もお見えでございますから、内閣総理大臣を通じて、また運輸大臣を通じて国鉄に対して、そのようなことでは本当に全労働者が士気を燃やして国鉄再建をやるということにならないのじゃないかというように御指示をいただくようにお願いをしたい、どうですか。
  134. 亀井正夫

    亀井参考人 重点が職場規律の確立問題におありになるようでございますから、時間もあれですからそれだけにお答えをいたしますが、どんな企業体においても、職場規律が確立をする、そしてみんなが本当の目標に向かっていくということが一番根本であります。そういう意味で、私どもは一次提言、二次提言において、職場規律というものが世評なりあるいは総点検をやってもよくない、よろしくしなさいということを言ったわけで、厳罰に処せろとかいろいろなことを言った覚えは毛頭ない。しかし、現状においてもまだ飲酒運転とかいろいろな事実がある、あるいは無断欠勤がある、こういうものは国鉄でおやりになることで、そのやり方とかいうものについて私ども委員会はとやかく言う立場にはないということでございます。
  135. 梅田勝

    ○梅田委員 国鉄総裁も言うことを聞かなんだら首にするぞぐらいまで言われる人だからね。私はこんな状態が起こっておるということにつきましては、運輸大臣にも聞いていただいたので、国鉄を呼んで実態はどうだ、こんなことで賃金カットをやったり果ては戒告、減給処分あるいは停職処分とか、ざらに首を切られた人が二人います。全くひどい状態が起こっています。  この間、監理委員会はどうしているんだというように聞いたら、審議状況を持ってきていただきまして、発足以来百十六回の会議を開きました。視察は十四回やりました。それからフリートーキングは三十七回やっております。これは全委員が参加しているのかと聞いたら、おくれてくる人もあるし、早く帰る人もあるし、欠勤する人もいる。おくれてくる人にちゃんと丸々日当を払っておるのかと聞いたら、委員長は一万九千円、普通の委員は一万七千円払っています、時間給にしてみたら約六千円、最低賃金の十倍以上ですよ。これは全然カットされない。ところが末端ではこんなことが起こっておる。私は全くひどい状態だと思いますので、ひとつ運輸大臣、これはぜひ善処してください。  それから最後に、国鉄再建監理委員長としての適格性についてお尋ねをしたいわけでございます。  参議院でも随分議論になりましたように、国鉄の受注企業だ、住友電工五カ年で七十億、日本電気で百八十億ということが出たわけでございますが、審議会の設置及び運営についての閣議了解からいたしましても、公平の確保ということが審議会の設置において非常に必要な要件でございます。ところが利害関係、まして我々に言わせると国鉄を食い物にしてきた企業、財界の代表がこれをやるというのは、財界の財界による財界のための国鉄改革じゃないかというように私は思います。だから、小笠原委員質問の最後に、これを持ってきましたが、「十分胸に畳んで善処したいと思います。」こうお述べになっておりますけれども、善処とはおやめになるということでございますか。いかがでしょう。
  136. 亀井正夫

    亀井参考人 どうも国鉄再建問題で私の一身上の問題を極めて懇切に御質問をいただきまして、二、三お答えをいたします。  まず第一に、私は新聞社の人に、国鉄答申が出て政府方針が決まったら、言うことを聞かなきゃ首にしろというようなことを言ったことは毛頭ございません。これは新聞記者から聞かれたときに、私は、監理委員会という立場は、国鉄の首脳大事についてとやかく言ったり干渉する立場には全くないということをはっきり申しました。しかし、当日の新聞に、木曜会で国鉄幹部が話をしたということで、反対の運動をしておるじゃないかということだったので、一月の「基本方策」を出したときに国鉄総裁は、国の機関が決めればそれに従いますと言っておるのだから従うはずだ。従わなかったらどうなるのですかと言うから、それは二枚舌だから本人が進退を考えるかあるいは政府機関政府方針が……(梅田委員「それは行き過ぎだ」と呼ぶ)いや、本人が進退を考える、言ったことと違うことなら考えなければいかぬ。それから、もし政府方針に従わない国家機関は、国としては更迭を考えなければいかぬだろうという時事解説をしたのです。私の意見ではないのです。それが、そこにいろいろなところを省かれてああいう刺激的になって国会議論をされたということでございます。  それから、今の善処するという意味でございますが、これはあの参議院の運輸委員会でも申し上げましたけれども国鉄再建監理委員長になれと時の運輸大臣、運輸次官から私が懇請を受けたときに、私どもは取引がこれだけありますからできませんと固辞をした。そうしたら、それは法制上あるいはいろいろの観点から検討して全然問題がないからやってくれということでございました。そこで、その後の共産党の御意見によって、状況が変わったのかと再び運輸大臣初め関係筋に聞きましたら、全然問題はない、しっかりやってくださいということでございますから、善処というのは、そういう任務を自覚をして、国鉄再建のために誠心誠意の努力を続けるということが私の善処と理解をしております。
  137. 梅田勝

    ○梅田委員 時間が来ましたので、納得いきませんがやめますが、もともときょうも二時間半しかない。忙しい忙しいと言われますけれども、昭和二十三年に行政改革の問題で、芦田さんが首相をしているときに、能力はあっても多忙な人は審議会の委員には避けるべきだというのが出ているのです。そういう点で運輸大臣、おやめになった方が適切じゃないですか。
  138. 亀井正夫

    亀井参考人 量後にもう一つ、先ほど出席回数とか日当の問題にお触れになりましたけれども、私は百十何回のうち全部出席をしております。それから一回だけ早退をいたしました。これは国会に呼び出しを受けて、その時間、三時から出たということでございまして、決してただ食いはやってないということを私の名誉のために御理解をいただきたいと思います。
  139. 梅田勝

    ○梅田委員 終わります。
  140. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 この際、参考人一言御礼を申し上げます。  亀井参考人には御多用中のところ御出席いただき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五分散会