運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1985-04-12 第102回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年四月十二日(金曜日)     午前十時十二分開議 出席委員   委員長 三ツ林弥太郎君    理事 鹿野 道彦君 理事 久間 章生君    理事 津島 雄二君 理事 三塚  博君    理事 小林 恒人君 理事 吉原 米治君    理事 近江巳記夫君 理事 河村  勝君       加藤 六月君    佐藤 文生君       関谷 勝嗣君    田中 直紀君       近岡理一郎君    林  大幹君       福家 俊一君    吹田  愰君       堀内 光雄君    箕輪  登君       山村新治郎君    若林 正俊君       井上 普方君    兒玉 末男君       左近 正男君    関山 信之君       富塚 三夫君    渡辺 嘉藏君       薮仲 義彦君    中村 正雄君       梅田  勝君    辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山下 徳夫君  出席政府委員         運輸大臣官房長 永光 洋一君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸省国際運         輸・観光局長  仲田豊一郎君         運輸省国際運         輸・観光局観光         部長      丹羽  晟君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省海上技術         安全局船員部長 武石  章君         運輸省航空局長 西村 康雄君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局宇宙企画         課長      石井 敏弘君         環境庁大気保全         局交通公害対策         室長      浜田 康敬君         運輸省航空局審         議官      増田 信雄君         運輸省航空局飛         行場部長    松村 義弘君         運輸省航空局飛         行場部環境整備         課長      川崎 正信君         運輸省航空局技         術部長     大島 士郎君         運輸省航空局管         制保安部長   平井磨磋夫君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十二日  辞任         補欠選任   加藤 六月君     吹田  愰君   田並 胤明君     井上 普方君   富塚 三夫君     渡辺 嘉藏君 同日  辞任         補欠選任   吹田  愰君     加藤 六月君   井上 普方君     田並 胤明君   渡辺 嘉藏君     富塚 三夫君     ――――――――――――― 四月四日  国鉄運賃値上げ分割民営化反対等に関する  請願網岡雄紹介)(第二五八三号)  同(井上一成紹介)(第二五八四号)  同(池端清一紹介)(第二五八五号)  同(稲葉誠一紹介)(第二五八六号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第二五八七号)  同(小澤克介紹介)(第二五八八号)  同(金子みつ紹介)(第二五八九号)  同(上西和郎紹介)(第二五九〇号)  同(木島喜兵衛紹介)(第二五九一号)  同(木間章紹介)(第二五九二号)  同(小林進紹介)(第二五九三号)  同(佐藤観樹紹介)(第二五九四号)  同(佐藤徳雄紹介)(第二五九五号)  同(田中恒利紹介)(第二五九六号)  同(多賀谷眞稔紹介)(第二五九七号)  同(武部文紹介)(第二五九八号)  同(辻一彦紹介)(第二五九九号)  同(土井たか子紹介)(第二六〇〇号)  同(中村茂紹介)(第二六〇一号)  同(永井孝信紹介)(第二六〇二号)  同(馬場昇紹介)(第二六〇三号)  同(浜西鉄雄紹介)(第二六〇四号)  同(細谷治嘉紹介)(第二六〇五号)  同(山中末治紹介)(第二六〇六号)  同(横江金夫紹介)(第二六〇七号)  同(吉原米治紹介)(第二六〇八号)  同(井上泉紹介)(第二六二三号)  同(伊藤茂紹介)(第二六二四号)  同(串原義直紹介)(第二六二五号)  同(兒玉末男紹介)(第二六二六号)  同(上坂昇紹介)(第二六二七号)  同(左近正男紹介)(第二六二八号)  同(沢田広紹介)(第二六二九号)  同(島田琢郎紹介)(第二六三〇号)  同(関晴正紹介)(第二六三一号)  同(関山信之紹介)(第二六三二号)  同(田並胤明君紹介)(第二六三三号)  同(中村正男紹介)(第二六三四号)  同(野口幸一紹介)第二六三五号)  同(前川旦紹介)(第二六三六号)  同(渡部行雄紹介)(第二六三七号)  同(天野等紹介)(第二六六八号)  同(五十嵐広三紹介)(第二六六九号)  同(上田卓三紹介)(第二六七〇号)  同(上田哲紹介)(第二六七一号)  同(上野建一紹介)(第二六七二号)  同(奥野一雄紹介)(第二六七三号)  同(川俣健二郎紹介)(第二六七四号)  同(河上民雄紹介)(第二六七五号)  同(小林恒人紹介)(第二六七六号)  同(佐藤敬治紹介)(第二六七七号)  同(新村源雄紹介)(第二六七八号)  同(鈴木強紹介)(第二六七九号)  同(田中克彦紹介)(第二六八〇号)  同(竹内猛紹介)(第二六八一号)  同(堀昌雄紹介)(第二六八二号)  同(水田稔紹介)(第二六八三号)  同(村山富市紹介)(第二六八四号)  同(元信堯君紹介)(第二六八五号)  同(矢山有作紹介)(第二六八六号)  同(山口鶴男紹介)(第二六八七号)  同(山下洲夫君紹介)(第二六八八号)  同(山本政弘紹介)(第二六八九号)  同(横山利秋紹介)(第二六九〇号)  同(阿部未喜男君紹介)(第二七一九号)  同(小川国彦紹介)(第二七二〇号)  同(小川仁一紹介)(第二七二一号)  同(大原亨紹介)(第二七二二号)  同(岡田利春紹介)(第二七二三号)  同(岡田春夫君)(第二七二四号)  同(加藤万吉紹介)(第二七二五号)  同(川崎寛治紹介)(第二七二六号)  同(河野正紹介)(第二七二七号)  同(後藤茂紹介)(第二七二八号)  同(渋沢利久紹介)(第二七二九号)  同(嶋崎譲紹介)(第二七三〇号)  同(城地豊司紹介)(第二七三一号)  同(松沢俊昭紹介)(第二七三二号)  同(八木昇紹介)(第二七三三号)  同(山花貞夫紹介)(第二七三四号)  同(和田貞夫紹介)(第二七三五号)  公共交通充実に関する請願井上泉紹介)  (第二六一九号)  同(梅田勝紹介)(第二七〇三号)  静岡県内気象事業整備拡充に関する請願(松  前仰君紹介)(第二六二〇号)  滋賀県内気象事業整備拡充に関する請願(西  田八郎紹介)(第二六二一号)  千葉県内気象事業整備拡充に関する請願(小  川国彦紹介)(第二六二二号)  国鉄分割民営化反対等に関する請願木間章  君紹介)(第二六六五号)  兵庫県内気象事業整備拡充に関する請願外三  件(河上民雄紹介)(第二六六六号)  山梨県内気象事業整備拡充に関する請願(鈴  木強紹介)(第二六六七号)  北海道内の気象事業整備拡充に関する請願(斎  藤実紹介)(第二七〇二号)  ユーザー車検代行行為是正に関する請願(粕谷  茂君紹介)(第二七一八号) 同月十日  運転代行業等の規制に関する請願吉原米治君  紹介)(第二七七四号)  首都圏気象事業整備拡充に関する請願金子  みつ紹介)(第二七七五号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二七七六号)  公共交通充実に関する請願佐藤祐弘君紹  介)(第二七七七号)  国鉄運賃値上げ分割民営化反対等に関する  請願井上泉紹介)(第二七七八号)  同(伊藤忠治紹介)(第二七七九号)  同(川俣健二郎紹介)(第二七八〇号)  同(佐藤誼紹介)(第二七八一号)  同(中西績介紹介)(第二七八二号)  同(中村重光紹介)(第二七八三号)  同(野口幸一紹介)(第二七八四号)  同(細谷昭雄紹介)(第二七八五号)  同(松浦利尚君紹介)(第二七八六号)  同(武藤山治紹介)(第二七八七号)  同(村山喜一紹介)(第二七八八号)  同(森中守義紹介)(第二七八九号)  同(安田修三紹介)(第二七九〇号)  同(吉原米治紹介)(第二七九一号)  同(佐藤誼紹介)(第二八二〇号)  同(多賀谷眞稔紹介)(第二八二一号)  同(高沢寅男君)(第二八二二号)  同(広瀬秀吉紹介)(第二八二三号)  同(細谷昭雄紹介)(第二八二四号)  同(村山喜一紹介)(第二八二五号)  同(渡辺嘉藏紹介)(第二八二六号)  同(渡辺三郎紹介)(第二八二七号)  同(上原康助紹介)(第二八六三号)  同(新村勝雄紹介)(第二八六四号)  同(藤田高敏紹介)(第二八六五号)  千葉県内気象事業整備拡充に関する請願(鳥  居一雄紹介)(第二八一七号)  和歌山県内気象事業整備拡充に関する請願  (坂井弘一紹介)(第二八一八号)  岐阜県内気象事業整備拡充に関する請願(渡  辺嘉藏紹介)(第二八一九号)  福井県内気象事業整備拡充に関する請願(横  手文雄紹介)(第二八六一号)  宮崎県内気象事業整備拡充に関する請願(松  浦和尚紹介)(第二八六二号) 同月十二日  脊髄損傷者に対する運輸行政改善に関する請願  (石橋政嗣君紹介)(第二九九四号)  同(上野建一紹介)(第二九九五号)  同(岡田利春着紹介)(第二九九六号)  同(田邉國男紹介)(第二九九七号)  同(多賀谷眞稔紹介)(第二九九八号)  同(保利耕輔君紹介)(第二九九九号)  高知県内気象事業整備拡充に関する請願(山  原健二郎紹介)(第三〇五〇号)  京都府内気象事業整備拡充に関する請願外二  件(西中清紹介)(第三〇五一号)  三重県内気象事業整備拡充に関する請願(坂  口力紹介)(第三〇五二号)  岐阜県内気象事業整備拡充に関する請願(伏  屋修治紹介)(第三〇五三号)  公共交通充実に関する請願不破哲三君紹  介)(第三〇五四号)  同(山原健二郎紹介)(第三〇五五号)  東北新幹線東京乗り入れ等に関する請願(玉  沢徳一郎紹介)(第三〇七〇号)  花巻空港東京線現状維持に関する請願(玉沢  徳一郎紹介)(第三〇七一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公共用飛行場周辺における航空機騒音による障  害の防止等に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出第五四号)  国際観光振興会法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五五号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ  き、九州運輸局福岡陸運支局自動車検査登録  事務所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提  出、承認第二号)      ――――◇―――――
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近江巳記夫君。
  3. 近江巳記夫

    近江委員 大阪福岡整備機構統合する、こういうことでございますが、それぞれの周辺の皆さんに聞いてみますと、今まで周辺整備にそれぞれ努力はしてもらっているわけですが、まだまだ至らない点が多々ある、そういう中でこれを統合した場合実際によくなるのか、あるいはまた逆に散漫になってしまうのじゃないか、こういう心配が非常に強いわけです。しかも、十六の特定空港がございますが、そこの緑地部門等、それぞれ委託があれば、一つ機構がそちらの方の作業にかかる。そうなってくると、一つ空港大阪なり福岡なりそれぞれの整備機構全力を集中しておってもそういうようにまだまだ至らない点が山積しておる中で、一体本当に深刻なそういう問題を解決する機能を果たすことができるのか、そういう懸念があるわけでございます。この点に対してどのようにおこたえになりますか。
  4. 西村康雄

    西村政府委員 このたび大阪福岡空港周辺整備機構統合されますが、統合後ももちろん両空港周辺対策をできる限り推し進めていくということには変わりないわけでございます。ただ、今回の法律改正案では、他の特定飛行場緑地の受託もできるというようにしております。  この趣旨は二つあると思います。その一つは、新しくできます。辺整備機構というものが緑地整備についてこれまで多年にわたりまして経験をしておりますので、そういう意味でのノーハウを持っておるということです。全国的に緑地整備が急がれている今日、もし機構余裕があれば、その余力を生かしてぜひこれを活用するということが非常に望ましいということでございますが、今おっしゃったように、そのことが主になって本来の事業がおろそかになるということがあってはいけないのは当然でございます。そういう点から申しますと、今回の周辺整備機構が新しい段階に入ってまいりまして、民家の防音工事というのがある程度終わるという段階になってまいりますと、周辺整備機構自身業務も今後は非常に繁閑が出てくるということでございますので、そういう余力ができましたときにはぜひこれを活用したい、こういう趣旨で今後仕事をさせていただこうと考えております。
  5. 近江巳記夫

    近江委員 余力が出るか出ないかはあくまで推定の域を出ないわけでありまして、現地が抱える諸問題というものは、そんな生易しいものじゃないわけですね。そういう点で、この機構が統一されて、その点はどういう形に展開するのかということ、これは言葉でいろいろ表現をなさっても、実際に今後の運営を見てみなければわからないということになるわけでございますが、そういう気持ちが非常に強いということを重ねてお伝えしておきたいと思います。  そういう支障は一切ないということですね。これは大臣、どうですか。統合されたことによって、現在の大阪なり福岡に対する作業、そういうものが一歩も後退しない、むしろ充実する方向に進むのかどうか、大臣に重ねてお伺いしたいと思います。
  6. 山下徳夫

    山下国務大臣 御心配の点につきましては、統合した後も事業遂行等支障を来すことは絶対ないと確信をいたしております。
  7. 近江巳記夫

    近江委員 大臣も非常に自信を持ってそういう御答弁があったわけですから、今までの態勢から一歩も後退をしないように、むしろこの法案が成立をして歩み出した場合は、充実できた、そういう声が聞かれるような今後の運営をやっていただきたいとまず冒頭に申し上げておきたいと思います。  それで、新しい業務内容といたしまして、四十四条の二項「緑地帯その他の緩衝地帯の造成」を加える。先ほども話を出したわけでございますが、それじゃ具体的に十六特定空港の中でどういうような空港からそういう話が来ておるのですか。
  8. 西村康雄

    西村政府委員 現在、国が緑地整備を一生懸命やっておりますのは、大阪福岡空港でございますが、なお国の直轄として、今、函館、仙台というところを実施しているわけでございます。こういった必要性は各空港に及んでまいりますが、今の空港周辺移転跡地状況、また今後の移転状況等を勘案いたしますと、候補としますと、松山、高知宮崎というあたりがまとまった緑地整備に取りかかる段階がやってくる、そのときにこの機構の活力を使いたいということが期待されるわけでございます。
  9. 近江巳記夫

    近江委員 そうなってきますと、これは財源根拠というのはどうなるのですか。福岡なり大阪、主としてそちらに予算も組んで運輸省としては投入をしてこられたわけですね。そうしますと、統合することによって、そういうような予算が他の空港にまた分散をしていくことになるのか。そうなってきますと、必然的に裏づけが少なくなるということは、大阪福岡の今後さらに力を注がなきゃならないところが一体どうなるのかという、これまた心配が非常に出てきているのです。この点現地の人々にどのように説明するのですか。財源根拠はどうなっているのですか。
  10. 西村康雄

    西村政府委員 従来とも、空港周辺対策環境対策につきましては、空港整備特別会計の中での極めて大きな対策でございます。先生御承知のように、四割以上の金が使われてきたということでございますが、もちろん大阪福岡の両空港につきましては、従来と同様に必要な対策全力を挙げてやっていくつもりでございますが、なお他の空港もいろいろと問題が出てまいりますので、これらの事業についても、あわせて全体の環境対策の中で予算を計上してやっていくというふうになろうかと思います。
  11. 近江巳記夫

    近江委員 だから、そうなってくると、今まで福岡大阪にこの整備機構があり、主として力を注いでいたわけでしょう。それがいわゆる特定空港全部になってくるわけですから、しかも機構が一本になってくる。そうすると、予算面の上においても、今までは大阪なり福岡機構があって、常時そこに全神経を注いでやってくれておった。一本化されることによって一点集中主義というものが分散する。しかも、裏づけとなる予算も十六の空港に分散していく。そうすると、今、前よりもよくなるのですと言っている裏づけというものは説得力がないのですよ。だから、いわゆるみんなが心配しておる、それに対してどうこたえるかということを答えてくださいと言っているのですよ。
  12. 西村康雄

    西村政府委員 大阪福岡空港につきましては、周辺整備計画基づきまして、緑地化計画を、これから新しい都市計画等の手法も導入しながら、積極的に大阪空港、特に地元と連携をとりつつやっていこうということでございますが、他の空港につきましては、それぞれこれまで国がみずから直接にやってきたものでございます。国がみずからやってきたものを、もし周辺整備機構余力があれば、その力を活用したいということでございますので、他の空港大阪福岡の両空港の分を食ってやるという趣旨ではないわけでございます。それは大阪福岡全力投球をして、その結果、その余力がなければ国がみずから直轄でそこの部分をやるということでございまして、大阪福岡空港周辺整備をなおざりにするというおそれは全くございません。
  13. 近江巳記夫

    近江委員 今の答弁ですとかなりの説得力があるのです。ひとつそういう答弁、やはりある程度理解できる、抽象論じゃなくして、今も決して一〇〇%じゃないけれども一歩前進しているのですね、そういう答弁の仕方をしてください。  それから、この整備機構が統一されるわけですが、本社はどこになるのですか。
  14. 西村康雄

    西村政府委員 統合後の機構本社の所在地はまだ決めておりません。大阪福岡両方地元機構同士でお互いに話し合って、納得のいくような形で、この新機構発足までの間に決めていきたいと考えております。
  15. 近江巳記夫

    近江委員 運輸省の意思といいますか、空港のそういう乗降客の多さ、そしてまた周辺に抱える人家あるいは人口、いろんなバランスを考えて、ほぼ常識的にはどうあるべきだとお考えですか。
  16. 西村康雄

    西村政府委員 今お話しになったような事項は、当然両地域お話し合いの際に勘案されるべきことだと思いますが、私ども最終的には両方地元の意向が合致したところに従いたいと考えております。
  17. 近江巳記夫

    近江委員 そういうことが非常に大きな要素になるという答弁でありましたので、調整をしっかりされて、常識的なそういうところになるように努力をしていただきたい、このように思います。  それから、人事構成の問題でございますが、これは非常に難しい問題だと思うのですけれども、三名減少して九名の構成で出発するということです。しかし理事の枠が七名になって一名欠員ということですが、これは一名欠員ということじゃなくして六名という線でいけばいいのじゃないですか。この点についてはどのようにお考えですか。
  18. 西村康雄

    西村政府委員 おっしゃるように、当面は新機構理事は六人で発足させたいということでございます。具体的な仕事は、これからさらに展開されていくのに応じて、必要に応じて理事を埋めていきたい、その余裕を持っておきたいというのが本当の気持ちでございまして、例えば福岡では、再開発整備事業共同住宅建設事業というのは、現在まだ実施しておりません。あるいは将来大阪福岡のほかにも仕事が展開するかもしれないということを考えますと、今から理事を全部張りつけてやっていくということでは弾力的な運用が将来期待できないということで、非常に忙しいだろうけれども、とりあえずは六人で頑張ってもらいたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  19. 近江巳記夫

    近江委員 私は別にそれにこだわりませんけれども、例えば住宅金融公庫は理事が六名、日本道路公団理事が七名、労働福祉事業団が理事が四名、鉄建公団が理事が六名、新東京国際空港公団が理事が五名、公害防止事業団理事が三名、阪神高速道路公団理事が四名、こうなっていますね。そういうことで、少数精鋭主義ということもあるわけでございますし、いたずらに役員をふやせばそれでよくなるかというと必ずしもそうじゃないと思うのです。そういう点、中身が問題でありますから、十分検討されるよう要望いたしておきます。  それから、財団法人航空公害防止協会人事の面でちょっと関連していますのでお聞きしますけれども、ここは非常に専門の方もいらっしゃるわけでございまして、研究熱心であるということも私も評価いたしているわけでございますが、全職員二百七十九名中約四分の一、六十六名が運輸省さんのOBなんです。この辺についてはどういうようにお考えですか。
  20. 西村康雄

    西村政府委員 今お話しのように、この協会運輸省OBが非常に多いのも事実でございますが、これはこの協会業務空港における公害防止というようなことが中心になっておりますので、そういった意味では、それまでの経験を生かした仕事という意味役所から出ている者が多いというのは極めて自然なことだと考えております。
  21. 近江巳記夫

    近江委員 役所OBが多いということは、現代にありましていろいろその辺の効率、能率、そういう点については非常にシビアな見方があるわけなんです。そういう点約四分の一が運輸OBで占められておるわけですから、充実した今後の仕事を展開していただくよう、特に運輸省監督官庁でございますし、要請をいたしておきます。  それから、経理の問題でございますけれども、大阪の場合は三億八千万の赤字、福岡が一億九千万の黒字、こういうことになっておるわけでございますが、この辺の調整をどのようにするか。これはどういうようにやるのですか。
  22. 西村康雄

    西村政府委員 おっしゃるように、両機構の現在の財務状況かなり差がございます。ただ大阪財務状況が悪化してますのは、土地の取得、整備につきましていろいろな費用の償却というのをしていないというようなこともございますし、実際にこれから代替地を売り渡す等のことになりますと、そのための収益というのがふえてまいりまして、これが将来評価されるということで、実質的には大阪福岡財務状況にはそう差がないということをまず考えているわけでございます。     〔委員長退席鹿野委員長代理着席〕 また現在福岡におきましていろいろな利益も出ている分につきまして、両機構地元の御納得ということもございますので、今後は経理両方で区分して整理していきたいということで、それぞれの地元固有事業で出てきた損益というのは、やはりその部分で解決していくというようにしていきたいと思っております。
  23. 近江巳記夫

    近江委員 そういう区分経理というのは、ほかの特殊法人で例はあるんですか。あったらちょっと参考のために聞かしてください。
  24. 西村康雄

    西村政府委員 海上災害防止センターとか製品安全協会とかというようなところでそれぞれ区分経理をしていると聞いております。
  25. 近江巳記夫

    近江委員 この周辺整備債券ですけれども、現在この発行につきまして、どういう企業がそれを入手しておるか、その内容についてお聞きしたいと思います。
  26. 松村義弘

    ○松村説明員 空港周辺整備債券の現在までの発行総額は、大阪機構につきましては七十二億七千三百万円、福岡につきましては三億三千百八十万円でございます。これらの債券の引き受けにつきましては、大阪におきましては銀行が入行、全額引き受けております。また福岡におきましても銀行が七行で全額引き受けております。一般の方々にお引き受けいただいている分はございません。
  27. 近江巳記夫

    近江委員 それはどういうような運用をなさっているのですか。その辺についてお聞きします。
  28. 松村義弘

    ○松村説明員 周辺整備機構のいわゆる固有事業と申す分野に充てられております。例えば代替地の造成、それから周辺再開発の財源としてこれらは使われておるわけでございます。
  29. 近江巳記夫

    近江委員 基本的なことについてちょっとあとお伺いしていきたいと思いますが、まず一つは、環境基準の目標達成の問題なんです。  御承知のように、航空機騒音に関する環境基準というものは、「十年をこえる期間内に可及的速やかに」達成するということなんでございますが、御承知のように、もう既に十年を突破して、十二年目ということになっておるわけでございますが、現在の大阪空港また福岡空港の達成につきまして状況報告を受けたいと思います。
  30. 西村康雄

    西村政府委員 大阪国際空港の環境基準は、御承知のように、年々改善をされてきているわけでございます。当初設定しました騒音コンターもだんだん縮小していくということになっているわけでございますが、今お話しの四十八年に告示された環境基準の達成につきましては、まだその目標値には、七十WECPNLの住宅地付近というような環境基準に到達する状況には至っておりません。お話のように、既に十年を超えているわけですが、「十年をこえる期間内に可及的速やかに」という状況でございますので、できるだけ早くそのような目標に達したいというふうには考えておりまして、そのための施策に努力している状況でございます。
  31. 近江巳記夫

    近江委員 十二年目に入っておるわけでございますが、「十年をこえる期間内に可及的速やかに」達成、これがいつも問題になるのですよ。  環境庁さんも来られているのですけれども、これはどういう意味ですか、ちょっとお伺いします。
  32. 浜田康敬

    ○浜田説明員 お答えいたします。  先生御指摘の航空機騒音に係る環境基準におきまして、東京国際空港大阪国際空港並びに福岡空港におきましては、「十年をこえる期間内に可及的速やかに」環境基準の達成を図るということが定めてございますが、これは当時定められましたときの考え方ということで承知しておりますのは、これら空港におきましては、十年間でできるだけ努力をしても環境基準の最終達成は困難であろうということを想定しつつも、できるだけ十年に近い期間で達成していただくようというふうな趣旨から定められたものというふうに理解をいたしております。
  33. 近江巳記夫

    近江委員 そうすると、十年を超える比較的近い期間というお話があったわけでございますが、もう十二年なんですね、これは。十二年なんですよ。そうすると、環境庁さんがおっしゃっているその言葉と、現実にまだこれだけの達成しかできていないわけですね。十年に近い、今もう十二年ですよね。運輸省としてはどのように受けとめていますか、今の環境庁の答弁を。
  34. 西村康雄

    西村政府委員 先ほど申し上げましたように、まず十年間で七十五WECPNLということは到達しておりますが、今後さらに騒音低下を大幅にいたしませんと、七十というような状況を達成するのは非常に難しいわけですが、正直申しまして、現在の技術見通しからいたしますと、急速にそのような期間内で騒音の低下をできるということは非常に難しいというのが偽らないところでございます。  と申しますのは、民家防音等をするということとは違いまして、現実に野外で七十WECPNLにするということは、航空機自身から出る騒音が極端に減るかあるいは飛行機の交通量を減らすか、いずれかによらなければその目標には達しないわけでございます。現在の航空機は極めて低騒音化をしてまいりまして、非常に努力はされております。例えば大阪空港におきますジェット機二百便のうち既に九割は低騒音機が使われております。あと一割の低騒音化が実行されましても、七十WECPNLに下がることは現在期待できないということもはっきりしております。そうすれば、今後航空機の革命が行われるかあるいは大阪空港の使用を極端に縮減するか、どちらかの道を選ばなければならないわけですが、これらもいずれも非常に困難な問題でございます。  ただ私どもは、さしあたりは七十WECPNLという目標にできるだけ近づくために、大阪空港の使用する航空機の低騒音化ということを当面の課題といたしていきたいというふうに考えておりますし、さらにそのほかできるだけ運航方式の改善ということもこれに付加しまして、できるだけ騒音の総量を減らしていきたいということは切実に考えているわけですが、七十がいつできるかというふうに厳しく言われますと、これは非常に難しいということを申し上げざるを得ないわけでございます。
  35. 近江巳記夫

    近江委員 現実の厳しさというものはわかるわけですけれども、そうすると、環境庁さんにお伺いしますけれども、いわゆる「十年をこえる期間内に可及的速やかに」、それは十年に近い期間であるというお話があったわけでございますが、一応のめどとして、このことはまさか二十年を超えるという意味ではないですね。これは要するに以内という意味ですね。それはどういうように思われますか。巷間よくそういうことを言うわけですね。
  36. 浜田康敬

    ○浜田説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたが、「可及的速やかに」ということにつきまして、具体的に何年までということを想定したものではございません。二十年以内かどうかという御質問でございますが、先ほど運輸省からもお答えがございましたように、それは今の時点でどれくらいの期間で達成できるかということを十分踏まえた上で、できるだけ早く御努力をいただくというふうな趣旨考えておるわけでございます。したがいまして、何年までかということにつきましては、少しでも早く達成していただくという状況に来ているというようなお答えになろうかと思います。
  37. 近江巳記夫

    近江委員 そういう非常に厳しい面はわかるわけでございますが、これはしかし、現地に住む人の立場からいけば、そんな同情なんかすることはできないわけですよ。そうでしょう。環境庁はそれだけの指針を出し、運輸省はそれに向かって努力しなければならぬわけです。だから、そういう厳しさだけはわかってくださいという答弁であれば、これは納得することはできないわけです。そうでしょう。だから、そういう環境庁からの指針にこたえてかく運輸省努力をするという、住民に対してこたえる、そういう答弁が必要なんです。もう一度お伺いします。
  38. 西村康雄

    西村政府委員 ただいま申し上げましたように、非常に航空機の運航量を縮減するか、あるいは航空機の機材の飛躍的な改良があるか、いずれかをしないと、WECPNL七十を達成することが可能だということを申し上げるわけにはいかないわけでございます。  私どもが今できますことは、少なくとも全部のジェット機を低騒音機に切りかえるということをできるだけ速やかにやるということでおこたえする、それからもう一つは、運航方式の改善の余地があるかどうか、これも徹底的に研究するというようなことで対処していくしか私どもとしては許されていないわけで、機材の改良を運輸省が今責任を持ってするわけにはまいりません。  実際のところ、WECPNL七十という数字は一つの目標値であって、現実にいつできるかということを、環境庁が四十八年にお決めになったときも考えておやりになったとも必ずしも思えない、むしろ行政の一つの長期的な課題というふうに掲げられた趣旨だと私どもは理解しております。現在におきましては、できる限りの努力をしていくということで、地元の皆様のお気持ちにこたえていきたいというふうに考えております。
  39. 近江巳記夫

    近江委員 低騒音機に切りかえる、これは非常にいいことだと思うのですね。ところが、現在これを見てみますと、音の高いボーイング727が一日平均八・九回、年間にしますと五千八百四十七回、ボーイング737は六回、二千二百三十一回、ボーイング747は一・七回、六百二回、DC8は二回、九百三回、合計九千五百八十三回行われていますね。これは各航空会社に対してどういう指導をするかということなんです。  DC8、これなどはやはり非常に音が高いわけですね。航空会社によりましては、かなり努力をしているところもあるわけです。東亜国内航空のA300、DC9-81型、これは低騒音機としては非常に有名な飛行機ですが、やはりこういうものを購入しているのですね。こういう点は非常に熱心であり、こういう姿勢はいいのじゃないかと私は思うのですが、この点、各航空会社また乗り入れの外国航空会社に対してどういう要請をしているか、その現状についてお伺いしたいと思います。
  40. 西村康雄

    西村政府委員 低騒音機の導入につきましては、これまで国内の関係各社に対して強く要請しております。実際の航空機の保有状況から申しますと、六割程度のところ、実際に大阪空港につきましては、非常に低騒音機の利用率が高いということも、大阪空港の問題についての理解が各社にあるということのあらわれでございますが、国内的には、税制上もあるいは財政投融資上も低騒音機についてはいろいろな優遇措置を講じております。そういうことで低騒音機を促進しております。  日本航空も逐次DC8をリタイアさせるということをやっておりますが、なおまた各社によりまして、財政力、営業の能力ということから、直ちに低騒音機化ができない部分もございますので、これらの社に対しましては、特に大阪国際空港については十分に意を用いるよう、これからも強く訴えていきたいというふうに思っております。
  41. 近江巳記夫

    近江委員 それはよく指導をしていただきたいと思います。  それから、航空機の発着回数の制限、あるいは現行のジェット機の便数枠を厳守する、あるいは減少の方向に向かわせる、また機材についても低騒音機の導入を図る、現地としてはいろいろなそういう希望もたくさん出ておるわけでございますね。  ところが、このジェット枠につきましては、一日二百回以内とこれは国と約束しておるわけでございますが、日によりますと二百回を超える日もあるわけですね。この激甚地におきましては、現在でも九十を超えている、こういうような状況でございますし、そういう点、二百回と決めておりながらそういうようなオーバーをしておる、この現状についてはどう反省していますか。
  42. 西村康雄

    西村政府委員 お話しのように、一日二百回というのにつきましては、確かに日によって超える分がございますが、騒音の問題というのは、一回一回の問題というよりは、やはり長期の問題でございます。現在やっていますのは、年間を通じて一日平均二百回を超えないということでやっておりまして、その点については十分に守られているというふうに考えております。
  43. 近江巳記夫

    近江委員 年にならすということは、それは勝手に運輸省、あなた方が言っているだけであって、それは自己解釈なんですよ。一日二百回ということで約束して決めているわけなんですね。住んでいる住民にすれば、それだけ騒音に悩まされて、決めてある二百回を突破するということについては、これはもう大変な苦痛なんですね。ですから、そういう一年のならしじゃなくして、一日二百回というその線は守らせるように、やはりきちっと努力すべきだと思うんですね。そういう方向に指導すべきだと思うのです。いかがですか。
  44. 西村康雄

    西村政府委員 二百回をお約束したときから今日まで見ますと、航空機の低騒音化も進んでおります。そういう点では、当時のレベルから申しますと、一日二百五十あるいは三百というような数字になっても同じような総量になろうかと思うのでございますが、現在の低騒音機の導入によりまして、実質的にはかなり低くなっているということだろうと思っております。私ども、二百回につきましては、一つの平均的な値として考え、厳密に一日二百一回になってはいけないというふうには考えておりません。実際に交通というのは生き物でございます。一年間の中で忙しいときもありますし、暇なときもあるということであれば、住民の生活も航空交通にかかっているわけで、そういう点から申しますと、二百を二百一回にしてはいけないというふうに厳密にするのも一つ考えでございましょうけれども、そこはトータルとして住民の騒音問題に対して大きな影響がなければ、二百一回、二百二回というような運用もし、あるいは少ないときは百九十八、百九十七というような運用をさせていただくということの方がむしろ住民の福祉に適合しているのではないかということで、こういう運用をさせていただいているわけで、二百回という線を今後とも大きく超えるようなことを考えているわけではございません。平均といえども二百という線はできるだけ守っていくつもりでございます。
  45. 近江巳記夫

    近江委員 大阪空港については午前七時から午後九時ということになっておるわけでございますが、九時を過ぎてから離着陸をする遅延便というのが後を絶たないわけでございます。昨年におきましても二十二回出ているんですね。これについては各航空会社を調べておると思いますが、どういう指導をしているのですか。
  46. 西村康雄

    西村政府委員 遅延が起きましたときは、その都度具体的にどういう理由で遅延したか、詳細に報告を求めておりますし、その結果、こういったことが二度とないように厳重な注意をして、再び遅延をすることがないように諸対策を打つように要請はしております。今後とも時間の厳守ということを各会社に対しては厳しく指導していきたいと思います。
  47. 近江巳記夫

    近江委員 指導していると言っていましても、結局こういう結果が続いているわけでしょう。ですから、こういう点については、現地は、運輸省の指導は一体どうなっているんだ、毎回、現地からも申し入れをしたりなにしているけれども、一向に改善されないという不信感を持っているんですね。そういう点で約束したことはきちっと、運航上のそういうことは、聞けばなるほどと思うかもしれませんが、しかしあれだけの密集地域空港があるわけですから、やはり決めたことは守る、そういう厳とした運輸省の姿勢がない限りは後を絶たないわけですよ。要するに、航空局長大臣を初めとしてあなた方のそういう姿勢がにじみ出てきた結果ではないか、そう思うのです。それをもう一遍お聞きします。
  48. 西村康雄

    西村政府委員 遅延につきまして実際に理由を聞いてみますと、機材が故障したとか、これは五十九年の例でございますが、冬場の大雪のために飛行機の上に積雪があって、これを除去するのにいろいろと時間がかかったために運航が遅延したとか、それぞれ営業上の事由もございますし、時としましていろいろな管制上のトラブルが起きたり、そういうこともございます。そんなことでそれぞれの遅延理由というのはあるわけですが、私ども、機材故障等につきましては、そういった不安定な運航ができるだけないように、整備について万全の注意をするように、さらに厳しく指導していくということで、細々とそれぞれの理由につきまして再発をしないように注意をしていく所存でございます。
  49. 近江巳記夫

    近江委員 先ほどの騒音の発生源の問題でございますが、騒音が大きくても大臣がこの機種を認定しているのですね。ボーイング式707あるいはボーイング式720系列、ダグラス式DC8系列、BAC式VC10系列、ツポレフ式TU154系列、イリューシン式I2系列、ゼネラル・ダイナミックス式880系列、こういうものを認めておるわけなんです。この騒音の高い機種については、我が国のこういう現状からして、運輸省としては煮詰めてないのですか。これは国際的な問題もあろうかと思いますけれども、できるだけ遠慮をしてもらいたいとか、何らかの要請なり、表現の仕方によっていろいろなことができるのじゃないかと思うのですけれども、その辺についてはどういう検討をされましたですか。
  50. 松村義弘

    ○松村説明員 先生御指摘の、例えばボーイング707、またDC8の取り扱いにつきましてはいろいろ御議論がございます。しかしながら、一方的に空港内立入禁止というのもまたドラスチック過ぎるという意見で、例えば五十五年の十月に開催されましたICAO総会におきましては、六十三住一月一日より前にはICAO騒音証明基準に適合しない外国籍のジェット機の運航を禁止すべきではないといったような決議もなされてしまっているわけでございます。我が国としては騒音問題を非常に重視しておりますので、そのような決議は決して歓迎すべきではないかもしれませんけれども、しかし、国際機関の決議でございますので尊重してまいる。尊重してまいりながらも、深刻な騒音問題を一刻も早く解決するために、できるだけ航空会社にお願いして、こういった高騒音機の導入を御遠慮願っているというのが実態でございます。一遍に高騒音機を低騒音機にかえるのが一番いいのでございますけれども、航空機の値段、非常に高こうございますので、また航空会社の経営もなかなか苦しゅうございます。そういった観点から、一遍に切りかえるというのはなかなか難しい点もございまして、現在に至っておるわけでございます。しかし、決して望ましい状態ではないと考えておりますので、できるだけ早くこういった機材が飛ばないように行政指導してまいりたいと思っております。
  51. 近江巳記夫

    近江委員 今、環境問題ということでやっておりまして、後ずっと続くわけでございますけれども、きょう朝のニュースでも伝えられておるわけでございますが、名古屋の新幹線公害訴訟、この裁判の判決があったようでございますが、これについて大臣としてはどういう感想をお持ちか、今後運輸省としてはどうしていかれるか、飛行機と新幹線という立場において違いはありますが、同じ公害で苦しむ住民の立場という点においては全く共通した問題でございますので、関連問題としてちょっとお聞きしておきたいと思います。     〔鹿野委員長代理退席、委員長着席〕
  52. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほど名古屋高等裁判所におきまして東海道新幹線騒音・振動侵入禁止等請求控訴事件についての判決が言い渡されました。その内容は、差しとめ請求については棄却され、損害賠償請求については一部認容されたものでございます。  現時点におきましては、この判決を明確に評価できる段階ではございませんが、差しとめ請求が棄却されたことは、新幹線の公共的使命、国鉄における騒音、振動防止の諸施策の努力が認められたものであり、損害賠償請求については、一審判決の認容額が変更され、減額されているが、その内容もつまびらかでないのでコメントは差し控えたいと思います。  運輸省といたしましては、訴訟の進展のいかんにかかわらず、新幹線の騒音、振動対策につきまして万全を期するようなお一層国鉄を指導してまいる所存でございます。
  53. 近江巳記夫

    近江委員 今後ひとつ航空機、新幹線にかかわらず、運輸省所管のそうした騒音問題につきましては、真摯な態度をもって努力をしていただきたい、これを強く要望いたしておきます。  次に、また飛行機に戻ります。  現在、大阪国際空港の将来のあり方につきまして、これは従来、空港の欠陥性が解消されない限り撤去することを基本としておるわけでございますが、国は関係地方公共団体の意思を十分に尊重してこれを決定するということになっておるわけでございます。五十六年十二月の最高裁判決におきましても、大阪空港の欠陥性が指摘されておりまして、現在におきましても、環境基準の未達成などその欠陥性は除去されておらないわけでございます。  そこで、いろいろと運輸省としては五十九年度から調査をされておるわけでございますが、具体的に、調査のやり方、これは運輸省当局、整備機構あるいは地方自治体がかんでおるのか、その辺、どういう調査をやっておられるか、少しお聞きしたいと思います。
  54. 松村義弘

    ○松村説明員 大阪国際空港の存廃につきましては、五十八年度から調査に着手しております。五十九年度におきましては、大阪国際空港の航空輸送需要がどのように伸びていくか、また大阪国際空港の運用によってどのような利益が出ているかといった両点につきましての調査を現在進めておるわけでございます。  航空輸送需要がどうなるかということについてはいろいろな意見がございまして、いまだに結論を得ていない状態でございます。しかし、この点につきましては、できるだけ調査を急ぎまして、六十年度中には何とか結論を得て、地元の皆様方にお示ししてまいりたいと思っております。  第二の評価の点につきましては、これはいろいろな議論がありまして、まだ手法が確立していない段階でございますので、六十年度中結論を得て、皆様方に結果をお示しするというのは非常に難しいと考えております。  この二つが終わりますと、次の段階としまして、大阪国際空港をもし存続するとした場合にはどのような環境面でのマイナスまた利用によってのプラスが出てくるか、はっきりした格好で地元の方々にお示しして、また存廃についての御意見を伺う段階が来ると思っております。しかし、それはもうちょっと先の話であると御理解いただきたいと思っております。
  55. 近江巳記夫

    近江委員 この航空機騒音の調査あるいはまた監視を拡充強化するということは、地元からも非常に何回も要望が出ておるわけでございます。運輸省の騒音測定点というものが空港周辺におきましては十カ所設けておられるわけでございますが、こういう十カ所ぐらいでは十分な測定ができない、これをぜひふやしてもらいたいという強い声があるわけでございますが、これに対してはどうお答えになりますか。
  56. 松村義弘

    ○松村説明員 騒音の測定の定点をふやすということにつきましてもいろいろ考えております。しかしながら、現在我々が一番問題を重視しておりますのは、逆発進の騒音をいかにして調査をするかという点に今重点を置いて施策を進めております。逆発進といいますのは、その日その日の気象状況によって急に変わりますので、定点を設けて騒音測定してもなかなか結果を得ることはできません。そこで自動計測装置の開発を今まで急いできたわけでございますけれども、そういった自動計測装置の実用化にめどがつきましたので、今年度中には五カ所ほど自動計測装置を設けて逆発進の調査に入りたいと考えております。その結果を見まして、また次の手を打ってまいりたいと考えております。
  57. 近江巳記夫

    近江委員 この逆発進の問題でございますが、御承知のように、五十八年におきましては三千八百三十七回、五十九年で六千六百四十五回やっているのですね。年間総発着回数に比較しまして五・四%、日数にいたしますと五十八日。これは逆発進地域の住民の苦痛というのは大変なものですよ。通常飛行コースのそちらのあれについては民家防音を初め対策はある。ところが何ら対策のないところ、頭から雷が落ちるような衝撃を受けるのですね。何ら対策はとられてない。放置されたままなんです。これはもうひどいものでございます。  だから私は、これは提案でございますが、運輸大臣、それから局長さんに逆発進地域に一遍視察に来ていただく、時間があるならそこにお泊まりいただければ、一日おってもらえば一番いいのじゃないかと思うのですけれども、一度ぜひこの視察に来てもらいたいと思うのですよ。そのくらい大変なところなんです。ひとつ局長大臣、この逆発進を初め日本最大の被害が出ております大阪空港の実情につきましてぜひ視察をしてもらいたい、こう思うのです。いかがですか。
  58. 山下徳夫

    山下国務大臣 私どもも毎週飛行機に乗っておりまして、逆発進のおおよその轟音というものは承知をいたしておりますが、御指摘の大阪において一定の時刻にそれをきちんと確認しろ、こういうことでございますので、機会を見て、また事務当局にそのようにさせたいと思います。
  59. 近江巳記夫

    近江委員 機会を見でぜひ一遍、大臣、日程をとっていただきまして、私もお供さしていただきますから、ぜひひとつ視察してください。  今、逆発進のことについて自動計測装置をもって調査する、そういう御答弁がございまして、これは非常に結構だと思うのです。いずれにいたしましても、この逆発進地域については何らの対策もないのですね。飛行コースにしたって定めてないものですから、右回りがあれば左回りがある。そのたびに全くそういう指定されてない区域外におきまして大変な被害が出ておる。私が今申し上げましたように、五十九年度で六千六百四十五回、こういう逆発進があるのですね。これはもう大変なことですよ。  ですから、できるようなことはもうどんどんと逆発進地域についてもやっていく。例えばテレビ受信料の減免であるとかいうようなことについては、もう迷惑をかけておることは間違いないわけですから、そういうような、できそうなところからどんどん手をつけて、そうしていわゆる通常飛行コースにおきます二種、三種、第一種等いろいろな対策がございますが、逆発進地域の基本計画というものを定めて、そして対策を定めて早急にかかってもらいたい、このように思うのです。そういうことをやっていこうという意図を持って今回の調査に踏み切られたと思うのですが、そういうお考えのもとに調査されておるのですね。もう一遍聞いておきます。
  60. 松村義弘

    ○松村説明員 テレビ受信料に対する補助金というお話がございましたけれども、このテレビ受信料の補助金の対象にしております地域は、第一種区域よりも相当広うございます。したがいまして、現段階におきましては、助成区域を変更して補助金額を引き上げる等の措置は特に必要ではないと我々考えておりますけれども、しかし、これは調査しないでそういうことを申し上げましても説得力がないと思っております。それで、先ほど申しましたように、自動計測装置を開発しまして、今年度調査に踏み切るわけでございます。調査の結果を見て検討してまいりたいと思っております。  それから、逆発進の問題、これで地元の方に非常に御迷惑をおかけしているのは我々非常に心苦しく思っているわけでございます。去年は特にその被害が多うございました。そこで部内でもって現在検討しておりますのは、やはり何らかの対策を根本的に講じなくちゃいかぬだろう、それには飛行ルートを変更することも含めて検討しようというところまで結論が出ております。  逆発進で問題になりますのは、南側から飛行機が進入してまいります、そして飛行場を見た後、左の方に旋回して、今度は北側から着陸するというパターンをとるわけでございます、そうしますと、着陸する飛行機は、飛行場を見るために相当南から飛行場に近づくわけでございます。一方離陸する飛行機は風向きの関係で南に向かって出発します。そうしますと、離陸と着陸の飛行機が正面衝突するような格好で飛行するわけでございます。もし事故が起きますと大変なことになりますので、離陸する飛行機は、高度をとったらばすぐ右か左に旋回してもらうというふうにとっております。右か左に旋回しましたときに、まだ十分高度をとっていないために、その下にいらっしゃる方々に非常に御迷惑をかけているというのが実態であると我々よく認識しております。そこで現在考えております飛行パターンの変更と申しますのは、南から入ってくる場合には、飛行場を見るまで近づくことをやめさせる、むしろ北側の着陸するのに便利なポイントまで直接飛行機を誘導するということを考えております。これを可能にするためにはVOR等の航空標識が必要でございます。また航空灯火の整備も必要でございます。そういった点がございますので、我々の検討を急ぎまして、結論を得次第地元の方々とよく御協議をしまして、飛行経路の変更を含めて何らかの抜本的な対策を講ずるように努めてまいりたいと考えております。
  61. 近江巳記夫

    近江委員 今いみじくも部長さんから、もしも事故が発生すると大変なことになる、こういうお話がありまして、聞いておられる皆さんも、あの密集地域においてと冷たいものが流れたと思うのです。まさしくそのとおりでありまして、大阪空港というのは、人家の密集地に隣接して、しかも空港面積が非常に狭小でございまして、事故が起きましたら大惨事になるわけでございます。そういう万一の事故、こういう場合の地上の損害に対する補償制度もまだ確立されておりません。例えば昭和五十九年六月十日に発生いたしました大韓航空機A300、このエンジンカバー、テールコーンの落下事故があったわけでございます。この原因は速やかに究明すべきなんですが、やっておられるかどうか。また今後こういう事故が絶対に起こらないような必要な措置をとらなければいかぬ、このように思うのです。これについてはどうですか。
  62. 川崎正信

    川崎説明員 昨年伊丹市上空で起こりました大韓航空機A300のテールコーンが落下した件につきましては、直ちに機材の調査を行いますほか、大韓航空に対しまして原因の究明を申しつけたところでございます。その結果につきましては、既に昨年の段階で、エンジン部分につきましての原因究明までを含めての原因究明と、その対策を含めての報告をいただいておるところでございます。これに伴いまして、同種のA300機につきまして、国内線でも利用されてございますので、そういった部分につきましても、関係の製造メーカーにおきまして対策がとられたという状況でございます。
  63. 近江巳記夫

    近江委員 そういうことで、一つの事故が発生しますと大変なことになる。逆発進のことからそういう問題が出て、今ここで質疑をやったわけでございますけれども、そういう点十分対策をとっていただきたい、このように思うのです。  それから、航空機公害が人体に及ぼす影響調査の実施と健康被害者救済制度の確立を図ってもらいたいということであります。航空機の公害と人体被害との因果関係が完全に究明されていない、また被害者救済制度もないというのが実情でございまして、鼻出血医療対策、これは四十九年十一月から大阪府が二分の一、豊中市が二分の一補助をして実施しておるわけでございますが、何で国が調査も負担もしないのですか。なぜ迷惑を受けておる大阪府や豊中市が金を出してしなければいけないのですか。もう少し国はそういうことに対して力を入れていく、これによって心に響くのじゃないですか。いかがですか。
  64. 松村義弘

    ○松村説明員 先生御指摘のとおり、国の予算にはそういった対策費は計上されておりません。そのかわりといっては申しわけないのですけれども、財団法人の航空公害防止協会というものがございますけれども、そこに命じまして、巡回健康診断の実施をさせておるというのが実態でございます。
  65. 近江巳記夫

    近江委員 それは本当に運輸省が意識をして、きちっと明確な意思を持って充実させてきておるのか、たまたまその防止協会がやっておるから、今言われたので答弁をしたのか、これはどっちなんですか。
  66. 川崎正信

    川崎説明員 航空機騒音等の健康に対する影響につきましては、国会におきます附帯決議等におきましても、その研究を行うようにという点について御指摘いただいておるところでございますし、私どもといたしましては、先生おっしゃいますとおり、国の予算そのものとしては計上いたしてございませんが、昭和四十八年には航空公害防止協会の中に研究センターで環境衛生部というものを設置いたしてございます。その後、研究センターを中心といたしまして、専門の先生方のもとで聴覚に対する影響、また聴覚以外の生体に対する各種の障害はないかという点を専門的な見地から研究いただいておるところでございます。その中には当然実態の調査も含めておるわけでございます。  また、あわせまして、先ほど申し上げましたとおり、周辺の方々の健康診断等も行いまして、常に聴覚また生理的な機能、そういった点に変化はないかということを監視いたしておるところでございます。
  67. 近江巳記夫

    近江委員 航空機による大気汚染監視システムの問題なんですけれども、政府としては空港内及び隣接地の三カ所で航空機排出ガスの測定を行っているわけでございますが、この隣接住民からの悪臭等の訴えにつきまして、有効な対策というものが何らなされていないのですね。措置されてない。形だけ測定しているだけなんだ。この悪臭に対してはどうするのですか。ただデータをとっている。臭いと文句を言っていったって、ああ、そうですかと何ら措置されていない。これに対してはどうするのですか。
  68. 松村義弘

    ○松村説明員 大気汚染測定ステーションを三カ所設けて測定しているわけでございますけれども、この測定結果を数字的に見ますと、環境がだんだん改善されているというのが実態でございます。したがいまして、悪臭の点につきましては、地元の方々からいろいろ御指摘を受けましても、それを客観的に評価する手段がないために、まだ十分我々の方で対策をとるといった段階まで至ってないのは、先生御指摘のとおりでございます。何か悪臭につきまして客観的に評価するようないい方法を検討してまいりたいと考えております。
  69. 近江巳記夫

    近江委員 まことに自信のない答弁でございまして、困っていらっしゃることもよくわかるわけでございますが、これは現実に、私至言われて測定点に行きました。もう臭いというものではないのです。息が詰まるのです。特に大臣などは敏感な方ですから息が本当に詰まると思うのですよ。ぜひ一遍、局長さんもそこの地域をごらんになってもらいたいと思う。それはひとつ技術集団の人ともよく相談されて、何らかの対策を今後立てていただくように強く要望いたしておきます。  それから次に、周辺整備対策等の問題について何点がお聞きしたいと思いますが、この指定地域の見直しをするんだということで、近くその作業を検討するということをおっしゃっているのですが、これは何の目的のために見直しされるのですか。
  70. 西村康雄

    西村政府委員 もう既に先ほどから申し上げておりますように、発生源対策が非常に進んでいるために、騒音レベルが下がっているということで、客観的な状況にあわせて区域の検討をしているわけですが、実際にこの区域の見直しができまして、特に第二種区域の見直しができますと、これが縮小されますと、これまでの二種区域内にあった移転跡地につきましては、これを積極的に地元緑地整備のために活用するということも可能でございます。そういったことのねらいもございます。実際にそういう区域見直しができますと、いろいろな地元の御要望にもまた新たな展開ということができるようになるんじゃないだろうかと考えているわけでございます。
  71. 近江巳記夫

    近江委員 そういういい面のための見直しということであれば結構でございますけれども、いわゆる地域を狭めて、そして結局講ずべき対策地域を縮小していくという意図があるとするならば、これは逆だと思うのです。そういう点、十分心得て、住民の皆さん方の深刻な悩みにこたえる、常にそういう精神を持って進めていただきたい、このように思うのです。  それから、航空機騒音障害防止法五条、六条関係におきまして、学校、病院または共同利用施設の補助事業ということでございますけれども、地元といたしましては、児童館や身体障害者授産施設の新設についても認めてほしいと言っておるわけでございますが、今年度、六十年度予算では認める計画になっているのですか。
  72. 松村義弘

    ○松村説明員 六十年度予算におきまして、新たに対象といたしましたのは、身体障害者授産施設を一つ加えたのでございます。
  73. 近江巳記夫

    近江委員 これはあなた方運輸省でできるわけですから、児童館なんてそんな何カ所もあるわけじゃないのですから、そういうことは当然入れていただきたいと思うのです。これは政令でいけるのでしょう、省内の話し合いでいけるのですよ。それはどうなんですか。
  74. 松村義弘

    ○松村説明員 御質問のありました児童館につきましては、六十年度の予算要求の段階で我々要求いたしたのでございますけれども、六十年度予算政府原案には、身体障害者の関係一つだけということで入ってまいりました。六十一年度予算要求にも引き続き要求を続けてまいりたいと考えております。
  75. 近江巳記夫

    近江委員 わかりました。大蔵省の壁があったと思うのですけれども、ひとつ引き続き努力をしていただきたいと思います。  特に六条におきまして、共同利用施設の中で、現在でも公民館の改造につきましては補助対象となっているのですけれども、集会所や学習等のための併施設の改造につきましても認めていただく考えがあるかどうか、これにつきましてお伺いします。
  76. 松村義弘

    ○松村説明員 これらの施設の改造につきましては、五十九年度に公民館の改造を追加したわけでございます。今後も実態に応じて考えなくてはいけないと考えております用地元の方々の意見をよくお聞きしてまいりたいと考えております。
  77. 近江巳記夫

    近江委員 こういう併施設というものにつきましては、ぜひひとつまた今後検討していただきたいと思います。  それで、騒音に限って申し上げますと、自衛隊の飛行場におきましては、周辺生活環境整備法の八条「民生安定施設の助成」と航空機騒音障害防止法の六条「共同利用施設の助成」、これを比較いたしますと、補助対象事業内容に相当の違いがあるわけです。例えば自衛隊の場合ですと、市町村の庁舎についても助成がされる、市町村の消防署の庁舎、商工業者の集会に要する施設、織物業の振興のために展示する施設、添加工するための共同利用施設など地場産業振興施設等にもこれがあるのです。ところが民間空港の場合はこういうのがないのです。これは非常におくれているわけです。差があるのです。この点について今後どう努力していただけますか。
  78. 西村康雄

    西村政府委員 民間航空のために用いられる公共用飛行場と自衛隊の飛行場との間では、地元との関係ではおのずからある差があっても、これはやむを得ないことだと思っています。私ども航空機騒音防止法では、教育施設あるいは地元の公共用施設ということで、これが一つの基本的な同辺対策考え方でございますが、自衛隊の場合には、地元に自衛隊の飛行場があることによって、本質的には利用に供されているものでない、いわば全く異質なものでございます。  そういう点から申しますと、自衛隊の飛行場につきましては、地元対策としてあらゆる面で言ってみれば地元に見返りをするというような必要が出てくるわけでございますが、民間航空のために用いられている公共用飛行場は、その点はある面では地元の利益にも資している面もあるわけでございますので、そこら辺はむしろ飛行場を使うということのプラス面も法律の全体の体系としては評価するということで、おのずから周辺対策につきましては差が出てくるというふうに考えているわけでございます。
  79. 近江巳記夫

    近江委員 それも今後の対象項目として十分ひとつ運輸省内で検討していただきたいと思うのですね。強く要望いたしておきます。それを一言局長から、努力するかどうか。
  80. 西村康雄

    西村政府委員 騒音防止法の精神にのっとりまして、教育施設あるいは共同利用施設というものにつきましてのあり方については、さらに法の趣旨に沿うように体制を整備していきたいと思います。
  81. 近江巳記夫

    近江委員 それで、この移転跡地の問題なんですけれども、移転跡地につきましては、行政財産とされまして処分は原則的に禁止されておるということから、町づくりに活用するなどの有効利用が図られておらないのですね。状況でいきますと、虫食い状態となっているのです。土地の交換分合によりまして、移転跡地等の有効利用を図るということは非常に大事なことじゃないか、このように思うのです。これについて、この虫食い状態についてはどうするのですか。
  82. 西村康雄

    西村政府委員 おっしゃるように、移転跡地そのままでございますと虫食い状態で、これの活用ということが非常に迫られてくるわけですが、今後の周辺対策の展開におきましては、虫食い地のさらに周辺の問題につきましては、都市計画的な手法等も考えまして、緑地整備計画的にやっていきたい、あるいは工場、倉庫等の騒音に対して適合するような施設の用地を買収してやっていくというようなことも考えていきたいと思っております。
  83. 近江巳記夫

    近江委員 この移転に伴ういわゆる環境悪化が非常にふえているんですね。特に移転跡地の管理の徹底をしてもらいたい、こういう非常に強い要望があるんです。この移転跡地の散在によりまして、町の環境というものが一段と悪化しておる。特に跡地の除草、排水等の管理も十分でない。航空公害防止協会が実施しているようでございますが、なかなか目が届いていないというのが現状でございます。この点どういうように運輸省としては監督官庁として反省をして、今後どういう反省に基づいて行動に出られるか、お伺いをしたいと思います。
  84. 西村康雄

    西村政府委員 今御指摘のような問題も移転跡地については生じているわけでございますので、私どもも管理の強化につきましては、お話しのように十分意を用いていきたいというふうに思います。  ただ、今申し上げましたように、管理強化だけでなくて、積極的に移転跡地緑地化するということで、そういった問題を基本的になくしていくという施策もあわせて推進してまいりたいと思います。
  85. 近江巳記夫

    近江委員 この移転跡地を利用して公園等の整備を行う環境基盤施設整備事業というのは、国庫の補助率が二分の一、防火水槽が三分の一、対象区域は二種区域内と限定されて、しかもその補助対象施設も公園、緑道等に限られているわけです。また補助対象も第三種区域で一万平米以下、第二種区域で五百平米以下と制限されておりまして、一体的な整備が制約されております。そういうことで、これをスポーツ、レクリエーション施設等にも拡大するとともに、補助対象の面積や国庫補助率についても拡大してもらいたい。これは何回も重ねて運輸当局にも来ているわけですね。私ども議員のところへも来ている。これについてはどう検討していますか。
  86. 西村康雄

    西村政府委員 現在のお話しのような運動施設等の要望というのを承っておりますので、今後補助対象施設の拡大という問題につきましては、具体的な地元計画というものをお見せいただきまして、全体の空港周辺の環境の改善ということに貸すように十分協議してまいりたいと思います。
  87. 近江巳記夫

    近江委員 次に、補償対策の点について付点がお伺いしたいと思います。  この二種区域は騒音等の影響によりまして地価が低く、第二種区域の移転補償価格は周辺の地価よりも坪で十万円以上も低いわけであります。また税法上も二千万円の特別控除しか認められておらないというのが現状でございまして、そういう点から、この移転補償によります土地の買い取り価格につきましては、騒音等公害による土地の評価の減額を補てんずるとともに、税法上の優遇措置、これをぜひ講ずべきである、このように思うのですが、いかがでございますか。
  88. 松村義弘

    ○松村説明員 移転補償におきます土地の買い上げ価格につきましては、公共用地の取得に伴う損失補償基準にのっとりまして行っております。それの八条では「正常な取引価格をもって補償する」また八条の三項では「当該事業の影響がないものとしての当該土地の正常な取引価格によるものとする。」というふうに書いております。したがいまして、移転補償をする際の基準につきましては、近傍類似価格を厳正に参考にしながら、またその参考にするには不動産鑑定士の方にやっていただいて公正な価格で買い取るようにしております。したがいまして、時価は反映されているものと考えております。  また、移転補償した場合に税法上認められております譲渡所得の特例控除額現行二千万円でございますけれども、これは五十一年以来我々その引き上げを要求しているわけでございます。なかなか税務当局の壁は厚うございましてうまくいかない。土地税制全体の問題として検討すべきであるということを我々回答としてもらっております。財政困難な上から、また非常に壁は厚いんですけれども、これは継続して要求してまいりたいと考えております。
  89. 近江巳記夫

    近江委員 その点は大蔵省の壁も厚いと思いますけれども、これはひとつ運輸大臣運輸省としても非常に大事な問題でございますので、十分努力をしていただきたいと思います。  あとまとめて大臣に答えてもらいますけれども、極めて大事なことばかり私は今言っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  この代替地につきましては、比較的遠隔地が多く、近接の代替地につきましては、移転補償金よりも単価が高くなる、これが現実であります。代替地造成事業の国庫補助率は事業費の二〇%、公共部門の八〇%を限度としておるにすぎないわけでございまして、移転代替地につきましては、近接地に設けて、事業量に見合った代替地を確保し、移転補償金に見合った価格で提供を行う、また代替地造成に伴う関連公共施設整備についての補助制度を拡充する、これも従来から強く言われてきておることでございますが、遅々として進歩がない。これについてどういうように反省をして今後取り組むか、お伺いしたいと思います。
  90. 松村義弘

    ○松村説明員 代替地の価格につきましては、その代替地の取得した原価、それから造成に要した費用、それからそれの原価から補助金を控除しました額で分譲しておるということにしております。したがいまして、時価よりも安くなっていると我々は考えておりますけれども、なおまた十分ではないという御指摘をたびたび受けております。現在の財政状況下では、補助率の引き上げについては非常に難しゅうございますけれども、それ以外の方法、例えば地元の地方公共団体の御協力を得まして、安価な土地の入手、これは空港からちょっと離れますけれども、調整区域の入手、開発がこの機構ではできますので、そういった方法を使いまして、何とか安い代替地の提供に努めてまいりたいと考えております。
  91. 近江巳記夫

    近江委員 それも強く今後努力していただくことを要望します。  それから、移転補償制度は土地所有者と建物所有者の合意が必要でありまして、建物のみは現行はできない。または借家人のための共同住宅も確保されておるわけですが、家賃が相当高額になるわけであります。例えば五十八年八月入居の利倉西第三住宅、初年度四万五千三百円が十年傾斜で七万一千六百円、これが実情であります。借地借家人の円滑な移転を図るために、建物のみの移転補償制度の確立を図って、現行制度を可能な限り弾力的に運用して、また近接地に低家賃共同住宅の建設戸数の増大を図る、これも非常に大事な問題であります。この点についてお伺いしたいと思います。
  92. 松村義弘

    ○松村説明員 借家人の方々の移転につきましては、共同住宅を建設して対応していくというのは現在進められている施策でございますけれども、その共同住宅の家賃をできるだけ低くするために、事業費の六〇%を無利子で二十年間融資するという方法をとっております。こういった方法でなるべく移転者の利用しやすい水準を確保したいと考えております。しかしながら、地方公共団体の行っております住宅、アパートの供給事業を見ますと、相当程度の補助金が投入されて、我々の提供しております共同住宅より安い家賃水準で提供されております。移転者の方々、移転する場合には、そういった安い家賃のものを選択する方もいらっしゃいますけれども、それはそれで所得制限がございまして、それに該当しない方もいらっしゃる。我々できるだけ安い家賃の共同住宅を提供しまして、地方公共団体の行っております施策に対応できない方の便宜を図ってまいりたいと考えております。
  93. 近江巳記夫

    近江委員 移転者の代替住宅等の取得費に対する融資制度として大阪国際空港周辺整備促進資金、これがあるわけですが、融資額は一千万円以下で利率は五・五八%、このようになっておるわけでございますが、移転者の代替住宅等の取得費に対する融資及び助成措置制度の充実を図るということ、これは非常に希望が強いわけでございます。この点についてお伺いします。
  94. 松村義弘

    ○松村説明員 移転補償に伴います融資の限度額は五十三年当時から一千万円となっております。現在、一件一件平均的に見ますと、大体八百万円ぐらいの融資になっておりますので、一千万円という限度額はまだ十分かとも思っておりますけれども、物価の上昇、それから生活水準の向上に伴いまして、よりよい家に移転していきたいという御希望も強いと思いますので、そういった実情を勘案しまして、融資額の限度額の枠引き上げにつきましては、前向きに取り組んでまいりたいと考えております。
  95. 近江巳記夫

    近江委員 ぜひそうしていただきたいと思います。  それで、激甚地域及びその影響を受ける地域の商売をやっている人たち、営業者に対する救済対策、これの充実が非常に大事なんです。移転補償制度による顧客の減少によりまして、空港周辺の小規模営業者はその救済措置というものを非常に求めておるわけでございますが、国は対策があるのですか。国はこういう大事なことを手を抜いている。どうするのですか。
  96. 川崎正信

    川崎説明員 御指摘のとおり、移転補償の進行等によりまして、当該地域で営業されている方々にかなりの影響があるというお声は前々からよくお聞きしておるところでございます。そういった実情を踏まえまして、大阪府なりまた地元豊中市、いわゆる公共団体レベルにおきまして経営改善のための低利融資等の施策がとられておるところでございます。国において対策はないのかという御指摘でございますけれども、個別の事業経営に対する援助という問題につきましては、やはり地元の公共団体の御協力のもとに進めるのが適当ではないかと考えております。またそのための財源といたしまして、航空機燃料譲与税も交付されているところでございまして、今後緑地整備構想等を進める段階におきましても、地元の公共団体と緊密な連携をとりまして、そういった点についても十分な配慮がなされるよう協議してまいりたいと考えております。
  97. 近江巳記夫

    近江委員 その点は十分協議するということでございますし、実の上がるようにお願いしておきたいと思います。  それから、これは非常に難しい問題とあなた方は受けとめておられるわけでございますが、指定区域が段階的に外へ拡大され、その区域指定日が補償の基準となっているために、より騒音のうるさい地域でも、移転補償の対象とならないといった不合理があるわけなんです。この補償区域の指定日による不合理の是正ということにつきまして、どういうように検討されておりますか。
  98. 西村康雄

    西村政府委員 一種区域の告示日後この区域に来られました方々に対する民家防音工事の実施ということにつきましては、騒音防止法の考えておりますところは、これは助成の対象にしないということでございまして、私どももこの問題につきましてはいろいろ要望を承っておりますが、やはり現にこの区域内は騒音が厳しいということをあらかじめ告示しており、現にいる方には助成するということを国の施策として公表しておるわけでございまして、それ以後、その区域に来られた方というのに対しまして助成するということは、法の考え方としてとらないところでもございますので、今後ともそれを助成対象に加えるということは考えておりません。
  99. 近江巳記夫

    近江委員 これも先ほど申し上げたように、あなた方としては一番の難しい問題としてとらえておられると思うわけでございますが、よく検討していただきたい、このように思います。  それから、防音工事後の電気代等の維持管理費、これは個人負担ということになっておるわけでございますが、特に生活保護を受けておられる方であるとか要援護世帯の方々に対する対策、これについてはどういうようになっておりますか。
  100. 西村康雄

    西村政府委員 空調機の維持費まで助成するということをいたしますことは、大変望ましいことですが、一方、現在のこういった空調機の普及というような実態もあわせ考えますと、財政的にも非常に制限がある折から、ひとつここはそこら辺で助成の限度を設けさせていただきたいと考えているわけでございます。  ただ、生活保護世帯に対します電気代の補助ということにつきましては、五十四年度以降毎年予算要求をしているわけでございますが、現在まで認められていないわけで、これは今後とも引き続き予算化するように努力してまいりたいと思っております。
  101. 近江巳記夫

    近江委員 大臣は何か採決があるということで退席したいということでございますので、いいと思いますが、退席される前に、今私が何点がお聞きしましたことにつきまして、大臣としての推進への熱意といいますか、その辺の決意を聞かせていただきたいと思います。
  102. 山下徳夫

    山下国務大臣 先生から長時間にわたって大阪空港における現実の問題をお取り上げになってのお訴え、私にとってもよくわかることばかりでございます。  特に、騒音とかあるいは悪臭等につきましては、これは現代社会における一つの人災、広い意味における人災ともいうべきものであって、これは政治が解決しなければならぬ問題であることは私も承知をいたしております。  同時に、これらだけではなくて、環境整備とか各種の補償まで含めて、地元の御要望ということは、やはりこれらの被害を受けた方のお気持ちというのは、住んでいなければわからない面もたくさんあると思いますし、それをそのまま先生が代弁しておられる、そのお気持ちのとおりだと思いますので、これらの問題すべてを含めて、いわゆる心身両面における一つの苦痛、それに基づくところの被害、こういう問題は、行政の場においでできるだけのことを誠意を持ってやるということは当然のことでございますので、今後そのように心がけてまいりたいと思います。
  103. 近江巳記夫

    近江委員 教育施設等の防音工事対策でございますが、この補助対象というものは、法五条、六条の施設ということになっておるわけでございますが、この対象施設を拡大して、また実施に当たっては弾力的な運用を図るということが非常に大事だと思うのですね。その点についてどういうように考えておられて、具体的にどういうところまでそれが伸びてきておるかということ。またこの維持管理費につきまして、これはぜひ国が持ってほしいという、常にそういう要望があるわけでございます。これは施設設置者の負担ということになっておるわけでございますが、非常に維持管理費というものが大きい負担になってきております。この点どのように考えていただいておりますか。非常に財政的な点、政府の苦慮されることもわかるわけでございますが、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  104. 西村康雄

    西村政府委員 航空機騒音防止法の五条、六条で地元のいろいろな施設に対しての助成をしているわけですが、これは地元周辺対策としては非常に重要な柱でございますので、私どもも実際に地元必要性に応じて適宜対処するというのが基本の方針でございます。そういう点からは、毎年少しずつ実情に応じて共同利用施設等の範囲も広がっていっているわけで、今後とも地元のいろいろな要望にこたえていきたいというようには考えております。  それから、学校の空調等の維持費でございますが、これらは地元の公共施設として設けられているものでございます。地元市町村には航空機燃料譲与税等が付与されているわけでございますので、ひとつこれらを財源として十分に運用して、地元におかれて航空機の騒音のための周辺対策というものを充実していっていただきたいと考えております。
  105. 近江巳記夫

    近江委員 それはわかっているわけでございますが、航空機燃料税で措置するというのではなくして、ひとつこれはさらにまた別枠でしていただくということについて要望しておきますので、検討をお願いしたいと思います。  それから、テレビ受信料対策でございますが、この受信料につきましては、国の補助が、二分の一助成区域、四分の一助成区域、こういうようになっておるわけでございますが、対象区境は基準として七十五WECPNLの地域なんですね。ということでございまして、やはり国が全額負担してもらう、制度の改善を含めて対象区域の拡大を図る、これは地元の非常に強い要望でございます。この点についての見解を伺いたいと思います。
  106. 松村義弘

    ○松村説明員 テレビ受信料の補助金につきましては、先生のおっしゃったような制度になっております。ただ、その地域の範囲につきましては、一種区域、これは七十五WECPNLを基準にして設定しておりますけれども、現在の第一種区域よりもさらに広い範囲で対策を講じております。したがいまして、今の段階では現在の制度でまだ十分ではないかと考えております。
  107. 近江巳記夫

    近江委員 非常にいろいろと要望も踏まえてお聞きしてきたわけでございますが、皆さんがお聞きになっておられて、非常に細かい点まで踏み込んだなという印象をお持ちかと思いますが、それはいわゆるこの整備機構というものがいかにきめ細かな対策をしていかなければいけないかということを十分皆さんにも再度わかっていただきたいということで、私はここに提起したわけでございます。  そういうことで、この整備機構の果たす役割というものは非常に大なるものがございます。今ここで統一、統合されようといたしておるわけでございまして、その点周辺の多くの市民は、ここで手が緩まるんじゃないかとか、非常にそういう心配をいたしております。冒頭に私が質問申し上げましたように、統合によって弱まることはないかということに対しまして、絶対に弱まることはない、むしろ強化をいたしますという答弁をいただいておるわけでございます。これは単に言葉だけで終わらせてはならない。我々といたしましても、これが統合されて、今後の行方というものにつきましては十分注目をしていきたい、このように思っております。そして一層運輸省が示された各種の対策充実に向かって努力されますように、また環境庁からもそうした指針も出されておるわけでございますから、単なる努力目標としてとらえるというような、若干そういうニュアンスのある答弁があったわけでございますが、これは了承するわけにはまいりません。本当に真摯な努力をしていただきまして、そしてよりよい環境づくりを目指して努力していただきたい、これを特に強く要望いたします。  まだ若干の時間も残っておりますが、たまには若干の時間も残して質問を終わりたいと思いますが、最後にひとつ局長から、一連のこの質問を通じまして、担当局長としての決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  108. 西村康雄

    西村政府委員 きょうは先生から非常に具体的に地元が抱えている問題の御指摘をいただきまして、一々強く感じるところがございました。  私どもも、これまで大阪福岡空港周辺対策は、特に航空行政上重要な問題として取り組んでまいったわけでございますが、今回、両周辺整備機構統合するに当たりまして、実際にこれからの環境行政、環境対策が大きく展開していく中で、今まで以上に具体的な地元に即した対策をきめ細かくやっていくということで、両機構統合して新しく発足していく際に、これからの方針として、そういうきめ細かい地に足のついた対策をやっていくということを強く考えております。きょうの御質問の御趣旨に沿うように努力してまいるつもりでございます。
  109. 近江巳記夫

    近江委員 では、終わります。
  110. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時四分開議
  111. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。河村勝君。
  112. 河村勝

    ○河村委員 今度の法改正によって大阪福岡空港周辺整備機構二つを一つにするということでございますが、これは一つにすることによって一体どんなメリットがあるのか一向にわからない。一体何のためにこれはやるのですか。
  113. 西村康雄

    西村政府委員 二つの周辺整備機構は、それぞれ大阪福岡と二つの空港周辺整備をやるという目的を持っていますから、その点ではそれぞれ別途のものでございます。しかし、これが一本化することで、また新たな展開があるというふうに考えているわけでございます。  それは、一つは御承知のように、民家防音工事は昭和六十年度に希望の世帯に対してはほぼ完了するというようなことになりまして、これからこれまで十分にできなかった周辺緑地化等の環境整備をやっていくという段階に入ってくるわけですが、こういった仕事は、その仕事の性質上業務量の変動ということも間々あるわけでございます。そういう点では、両機構がそれぞれ上がったり下がったりするのを一緒にするということで、多少なりとも業務量の平準化ということもあろうかと思うわけでございますし、さらに両方の管理部門が一本化するということで、それはそれなりの合理化があるということでございまして、今回も役員の三名削減ということなり職員の減ということもいたしまして、効率化を図るということもございます。  またさらに、これから他の空港でも周辺対策というのがだんだん航空交通量の増加に従いまして必要性が増してくるわけでございますが、そういったときに、新たにまた周辺整備機構をつくるというのは非常に不経済だということも言えようかと思うわけで、これからの周辺整備を一生懸命やるにしましても、大阪福岡ほどの大きなものは出てこないということでございますので、そういった場合でも、この新しい統合後の機構が全国的な必要性にその都度応じていくということも可能になるわけでございます。  そういった将来のあり方ということも考えますと、この段階統合するということは、全体の効率化、合理化という見地からぜひやっておくべきことだろうと思うわけでございます。
  114. 河村勝

    ○河村委員 今三つ理由をお述べになったけれども、どれも余り根拠はないように思われるのです。  第一に、仕事量の平準化というお話であるけれども、緑地造成なんというものは計画的に行われるべきものであって、騒音防止工事のような緊急を要するものではないのです。ですから、やろうと思えばこんなものは計画的にできるので、そのために仕事の波動が起きるというようなことは全くないはずであると思うのですが、いかがですか。
  115. 西村康雄

    西村政府委員 緑地その他周辺の再開発というような業務につきましては、できるだけ計画的にこれを推進していく、特に事業量においてもできるだけ平準化してやっていくことが理想でございますが、土地を買いあるいは施設を造成して売るというようなことになりますと、これはこれで取引でございますので、民家防音工事のように一定の割合で処理していくというわけにはいかない。どうしても実際の予算の消化その他業務量というのはやはり繁閑が出ることは避けられないと思います。それがどの程度の大きさのものかはよくわかりませんが、多少のそういう今までよりは予期し得ない要因というのが出てくるおそれもある、そういうふうに考えております。
  116. 河村勝

    ○河村委員 いろいろな土地の造成処理なんというのは土地会社その他すべてやっていることであって、そんなものが計画的にできないなんというのは私は全く理由がないと思う。  それから、合理化の効果がある、しかしこれは当たり前でしょう。これは何も二つを一つにしなくたって、業務量が減ってくるのですからね。現在、福岡にせよ大阪にせよ、仕事量の中であるいは予算の中で防音工事の占めるウエートは一体どれくらいなんですか。
  117. 松村義弘

    ○松村説明員 六十年度予算について申しますと、大阪周辺整備機構において、民家防音事業に投じます予算が百九十億円でございます。これは事業費総計二百八十億円を予定しておりますので、六八%に当たります。また福岡周辺整備機構におきましては、民家防音工事に百二十五億円を予定しております。これは事業費全体が百八十二億円でございますので、同じく六八%になります。
  118. 河村勝

    ○河村委員 どんな会社であれ、事業体であれ、六八%の仕事がなくなってしまったら、それによって、そこに使っている人間、幹部を含め末端に至るまで人間の数が減るのは当たり前であって、これは何も二つを一つにするから減るというようなものじゃなくて、当然やるべきことでしょう。いかがですか。
  119. 松村義弘

    ○松村説明員 現在、御審議いただいております法案が通りました場合には、十月一日に新機構を発足させたいと我々は考えておりますけれども、十月一日現在では、まだ民家防音関係の工事は最盛期で全然少なくなっておりません。しかし、我々としましては、統合した時点において職員の方十四名を削減することを予定しております。これは統合によりまして中央の管理組織、総務系統の仕事のダブりが生じますので、それを削減するという考えでございます。  なお、六十一年度以降につきましては、民家防音工事が六十年度で一段落しますので、六十一年度以降は民家防音工事事業量、それからその新機構に占めます事業費の中でのウエートは大幅に下がります。その場合には、それに従事してきた方々については出身母体の方にお帰りいただいて、また新たな方々の派遣をお願いしてまいりたいと考えております。
  120. 河村勝

    ○河村委員 ですから、一番大きなウエートを占める民家防音工事が減れば、人が減るのは当たり前な話であって、これは大阪福岡が合併したから出る効果でも何でもない。そうでしょう。  それから、他の空港仕事をやるというのが一つの効果だとおっしゃるけれども、なぜほかの特定空港仕事までやらなければいけないのですか。
  121. 松村義弘

    ○松村説明員 現在緑地整備をやっております特定空港は函館と仙台でございます。これらの空港におきまして緑地整備を実際に行うためには、東京局が所管しておりまして、東京から出張して事業の監督をしているというのが実態でございます。そのために十分な監督ができない面もあろうかと思います。もし法案を通していただきますれば、この新機構の人にそういった事業の執行を委託すれば、そういう新機構は当然委託費の中に事務費が入っておりますので、長期にわたって出張して十分な事業執行の監督をしていただく、そしてよい仕事ができるのではないかと考えております。
  122. 河村勝

    ○河村委員 それは単なる仕事上のやりくりだけのことであって、函館で仕事をするのに大阪から行った方が東京から行くより能率的だなんていう理屈は全く成り立たないのであって、それは何も整備機構がやらなくたって、地方の自治体の力をかりてやれば当然できる仕事であって、空港周辺整備対策をやることが必要であるということと空港周辺整備機構をつくらなければならぬということとは全く別のことであって、仕事がやれればよろしいんであって、そのために機構を新しくつくったりふやしたりする必要は毛頭ない。運輸大臣、今申し上げたように、これは二つを一つにしたって、仕事の平準化だと言うけれども、新しい仕事が――今度は急がない仕事ですよ。騒音防止対策というのは緊急な仕事ですね。だから空港周辺整備機構というようなものをつくってやる必要があった。大阪の四十九年当時の非常な緊急事態に備えて空港周辺整備機構というものはつくったわけですから、それなりの意味があったけれども、防音工事が終わって、後は緑地帯整備ということになれば、普通の不動産会社と仕事は変わらないんですよ。それが平準化できないなんてことは一つもないでしょう。合理化に非常に役立ったと言うけれども、全体の仕事の七〇%ぐらいを占める防音工事が終わってしまったら、どんな会社だって人を七割ぐらい減らすのは当たり前ですわね。ですから、これでも少な過ぎるぐらい。何も二つを一つにするから減るというものでもない。他の空港仕事を新しくやると言うけれども、わざわざ新しい仕事を見つけることはないんですよ。それぞれその土地の力を活用して、国が直轄でやったらよろしいので、何も大阪福岡から出かけていってやる必要は全くない。そうでしょう。そうすると、何のためこういう機構改革をやるのかさっぱりわからない。運輸大臣、感想はいかがですか。
  123. 山下徳夫

    山下国務大臣 先生もよく御承知のとおり、今、福岡の方は住宅関係はもう七割終わったというようなことでございますので、ここらあたりで一つ支店をやめて本社直轄にするかな、会社でいえばそういうことで、機構改革と申しましょうか、そういうことで一元化していきたいということでございます。大阪から何も遠くまでやることはないじゃないかということでございますが、従来から事業の主たる場所が大阪でございますから、便宜ここに本部を置いて、会社でも大阪本社が北海道まで指令を下すこともあると思うのでございますけれども、とにかく一カ所に絞った場合にはここらあたりが一番適当かな、大まかな私の言い方でございますけれども、そういう意味も手伝い、また人員の合理化につきましては、こういった一つの過渡期におきましては、若干不合理な面があるかと思いますが、これは適宜合理化の方向に向かって努力をしてまいりたいと思います。
  124. 河村勝

    ○河村委員 余り御答弁になっていないんです。何か福岡本社直轄にしたい、今大臣はそうおっしゃったわけでありますが……
  125. 山下徳夫

    山下国務大臣 いやいや、ちょっと違うのでございます。今までは整備機構福岡大阪と二つにございましたが、福岡事業量が極端に減りましたので、二つの本社一つでいいではないかと、そういう意味で会社に例えて申し上げたのでございまして、おわかりいただけるでしょうか。
  126. 河村勝

    ○河村委員 福岡仕事が大変減ったから、だから二つの会社を一つにするということになると、大阪統合する、そういうことになりますね、そうでしょう。
  127. 西村康雄

    西村政府委員 総体的には減っておりますが、そう極端に減っておるわけでもございませんし、もう少し正確に申し上げたいのですが、何もわざわざ出かけていってやることはないじゃないか、地元にやらせればいいじゃないか、こういうことで例えば函館の例を言われているわけでございますが、私ども今の時点で直ちに函館をやる必要があるということを申し上げているわけではないのです。従来周辺整備機構のない特定飛行場では国が移転補償をやるわけです。そしてその移転補償につきましては、空港の事務所がこれを実際に実施するというようなことになりますし、また緩衝緑地整備というものも細々やっているということでございます。あるいは周辺の民家の住宅防音工事というものは国が地元の公共団体にお願いしてやる。今後空港周辺の騒音問題が生じてきた場合に、そういうやり方で十分に地元の要請にこたえられるような態勢がとれるかと申しますと、御承知のように、国の職員は簡単にはふやせないということも一つでございます。  それから、仕事の性質から申しまして、今私どもがやはり有機的に地元緑地化その他の環境対策をやっていく必要があると思っておるわけで、先生と若干考え方を異にするのかもしれませんが、緑地化その他のものはゆっくりやればいいじゃないかというようなお考えがあるいはおありなのかもしれませんが、私ども移転跡地が虫食いになって非常に周辺の環境を悪くしているという事実もよく大阪等で見て知っているわけでございます。そういうことで、地元がぜひ周辺整備を急げということでございますので、これは国がでは合理的な整備ができるかと申しますと、移転補償をぽつぽつやっていくということよりは、やはり計画的な整備ということでないとどうしても虫食いの問題が解消していかない。あるいはそもそも移転補償をする場合に、これを積極的にやるには、代替地の造成あるいは共同住宅の建設ということを有機的にやっていく必要があるのですが、国ですと代替地の造成や共同住宅の建設というのはなかなかやっていきにくい。それから移転跡地を積極的に計画的に整備するということですと、地方公共団体の都市計画事業としてやるというようなことも必要になってくるわけですが、そういったことは国が直轄ではできないので、これは地方公共団体にやってもらわなければなりませんが、やはりこの原因をつくっているのは国の飛行場だということでございますと、できるだけ国側も積極的な姿勢を示す必要がある。そういった意味で、全体の業務量がふえてきたときに、こういった関連問題をあわせて一本でやるようなシステムというのがあった方が全体として能率的だろうし、また地元の人々の気持ちも一元的に受けとめて、納得のいく仕事をやってもらえるということにもなろうかと思うわけで、そういった点ではこれからも周辺整備機構が働いてもらう分野というのは十分あるだろうと思うのです。  先ほども民家防音がなくなったんだから仕事がないのは当たり前だと言われるわけですが、これからの重点の大半は、七割、八割の仕事移転跡地整備周辺の都市計画手法等による緑地化あるいは騒音適合施設の整備というようなことになっていくわけで、これはやはり今後の周辺整備機構の非常に大きなメーンの仕事になってくると思います。ただ、全体としての業務量は従来より減るということですが、先ほど統合のメリットと申し上げたのは、共通部門が合理化されるということを申し上げたので、全体の人員減は業務量減に伴うものだということは当然でございます。
  128. 河村勝

    ○河村委員 あなた方は一遍こういう特殊法人をつくると、とにかく何でもかんでもそれを残して、仕事がなくなったら新しい仕事をつくらなければならぬ、そういう発想に基づいて何でも考えるからこういうことになるのですよ。今あなたも言ったでしょう。緑地造成その他都市計画事業になる場合が多い。それは国では直接やれないからとおっしゃった。そのとおりなんだ。これからの仕事というのは都市計画と一体ですよ。それなら国が地方公共団体に委託したらよろしいのであって、何も空港周辺整備機構なんというものを間に介在させる必要は一つもない。それが一番能率的なやり方だと思うが、大臣、いかがです。
  129. 西村康雄

    西村政府委員 都市計画事業で、地方公共団体が国のそういった意向を受けてみずから事業を実施してくれれば、それはそれでもちろん結構でございますが、実際に各府県とも、現実にはやはり周辺整備機構というようなものを介在させて、そこに責任をとらせてやらせるということが、空港の設置者である国との関係では適当だという判断をしているわけでございます。そういう点では、一方的に国が地方に押しつけてそういうことをさせるというわけにもまいりません。そこで国と地方がお互いに力を合わせるための仕組みとして、地方の要望に基づいてこういう仕組みができているということでございます。
  130. 河村勝

    ○河村委員 それは空港周辺整備機構は、さっきも言ったように、航空機騒音というものが非常な社会問題になって、緊急な対応が必要であった、そのためにこれをつくったのですよ。ですから、整備機構の主たる仕事は、騒音によって起こる障害を防止するというのが主たる仕事であって、それとあわせて生活環境の整備に資するということであって、騒音防止というのはこの整備機構の目的になっているのですよ。そのほかは附帯的なものだ。主たるものがなくなったら、今度はそのあわせての方だけでさらに仕事を全国的に拡大してやっていこうというのは本末転倒ですよ。だから、地方の公共団体はお金がないからなかなかできないというのであれば、整備機構に国がお金を出してやるわけでしょう、委託を受けてやるというなら、地方公共団体にすれば、お金に不足はないわけで、結局その土地、土地に立脚した仕事を都市計画事業とあわせてやるのがより合理的なんです。そうじゃないですか、大臣。いかがです。
  131. 西村康雄

    西村政府委員 今お話しでございますが、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の立法の精神は、一つは、特定飛行場の設置者たる国の責任、これは民家防音工事等の実施でございますが、空港周辺整備機構をこの法律によりまして昭和四十九年に設けました理由は、まさに緑地化周辺整備をさせるためでございます。現在、民家防音工事をやっていますのは、国の委託を受けてたまたま周辺整備機構がやっている、その業務が緊急であったから、また多いというだけでございまして、ようやく本来の業務をやれるという段階に入って来ているわけです。そういうことですから、これから本当の仕事の展開をやるので、それをもともと都市計画として地方にやらせればいいということでは、四十九年の法律改正の趣旨が徹底されないわけでございます。この法律改正の趣旨をようやくこれから貫徹するために十分な整備に取り組みたい、こういうことでお願いしているわけでございます。
  132. 河村勝

    ○河村委員 私もその当時この運輸委員会にいて法案を審議いたしましたが、しかしこれは騒音というものが大変な社会問題になって、それが動機になってできたものですよ。文句はどうなっていたかはっきり覚えてないから、今そんなことは書いてないと私は言うだけの自信はないけれども、本来そういうものですよ。ですから、今後委託を受けて方々の仕事をやるなんというのは、もう一遍お考えください。これはせっかくつくった機構だから将来も温存しようというのじゃ何にもならないのですから。それだけ申し上げておきましょう。  実際、これは二つを一つにするけれども、それぞれ完結的な事業をやらせる、それで事業執行の権限も責任も両方に持たして代表権のある役員を置く、こういうことですね。そうなると、何も二つを一つにした意味というのは、やはり余りないのじゃないですか。それはどうお考えです。
  133. 西村康雄

    西村政府委員 おっしゃるように、もともと大阪福岡両方空港周辺対策を行わせるためにそれぞれつくったものでございますから、その事業実施の面では、従前どおりのやり方というのはかなり多く踏襲されていかざるを得ないことも事実でございます。しかし、先ほど申し上げましたように、統合すれば統合したなりで、共通の管理部門なり全体の事業管理というものが合理化されるということにもなろうと思いますし、両方の間で職員等の機動的な運用ということも可能になるわけで、そういった点では合理化のメリットは十分あると思います。
  134. 河村勝

    ○河村委員 しかし、わざわざ独立して仕事ができるような体制にしておいて、やはり判こをとりに、最高責任者はどっちかにあるわけだから、そこまで片一方は出かけなければならぬということで、むしろ仕事は煩雑になりこそすれ簡素化には何もならぬ。そういうことになるんですよ。さっき大臣大阪本社を置くとおっしゃいましたね。それで決定ですね。
  135. 山下徳夫

    山下国務大臣 私は一つの例として申し上げたので、最終的に大阪ということはまだ決めておりません。  先ほどからの先生の御質問は、私も勉強不十分のところがありますけれども、航空局長から御説明申し上げましたように、まず立法の趣旨一つございます。それから先生とお話ししておれば、先生の御意見もごもっともだと思います。仕事の量に応じて機構というものは私は定められるべきであると思いますが、ある程度の段階において組織を一元化していくということも必要であろうかと思います。先生のおっしゃるとおり、しからば最後の、もう本当にゼロになるまでこの機構をやるべきかということについては、さらに縮小するならば、地方自治体にまた委託することもある段階においてはあり得るということは私も思っております。
  136. 河村勝

    ○河村委員 さっきの航空局長答弁を聞いておりましたら、本社の所在地は決めていない、両地域の合意によって決める、これは随分不見識な話だと思うのだけれども、両地域の合意というのは、一体だれとだれが合意するのですか。
  137. 西村康雄

    西村政府委員 現在、両方周辺整備機構には、大阪府、兵庫県及び福岡県、福岡市というのがそれぞれ出資して、この機構の運用をやっているわけでございますので、これらの四府県市の御意向を十分お伺いする。と同時に、両方周辺整備機構理事者から意見を聞いた上で最終的に決めていきたい、こういうことでございます。
  138. 河村勝

    ○河村委員 さっきは両地域の合意によって決めると言われたようだったけれども、そうではなくて、両方の意見を聞いて運輸省で決める、こういうことですか。
  139. 西村康雄

    西村政府委員 多少申し上げ方が不正確だったかもしれませんが、両方の意見を聞いて、それが合致したところで政府が政府として正式に決める、こういう趣旨でございます。
  140. 河村勝

    ○河村委員 では、両方の意見が合致しなかったらどうするのですか。
  141. 西村康雄

    西村政府委員 合致させるように十分お話し合いを進めていきたいと思います。
  142. 河村勝

    ○河村委員 すると、合致しなければいつまでも待つということですか。
  143. 西村康雄

    西村政府委員 必ず合致することがあると思っております。
  144. 河村勝

    ○河村委員 しかし、法律でその機構をつくって、所在地を決めないというのは、私は余り聞いたことがないのだけれども、何かいろいろ事情があるでしょうから、それ以上は聞かないことにしましょう。  ところで、大阪空港でありますが、これからも緑地帯整備を進めて環境的にも立派な空港をつくっていこうということでありますが、ということは、この大阪空港は将来ともに存続させるという前提のもとに資本を投下していかれるわけですね。
  145. 西村康雄

    西村政府委員 現在、大阪空港の置かれている状況に即して大阪空港周辺整備をしているわけでございまして、このことをもって直ちに大阪国際空港を将来ともに存続させるという方針を前提にしているというわけではございません。
  146. 河村勝

    ○河村委員 現在置かれている状況とおっしゃるけれども、緑地帯造成をして環境整備をするというのは長期計画ですね。その投資というものは、これはむだになるようなら見合わせるべきものだ。だから、その長期的な目標に向かって投資を続けていくからには、空港として当然今後も生かされていく、そういう前提がなければ国として大事なお金を投下すべきではない。大体そういうつもりでやっておる、こういうことですか。
  147. 西村康雄

    西村政府委員 大阪国際空港を将来とも存続させるか、あるいは将来のある時点で廃止するかは、これから決めることでございます。
  148. 河村勝

    ○河村委員 関西新空港はようやくその仕事が緒につきかけているところだと思いますが、関西新空港株式会社の収支計算は、大阪空港の乗降人員が丸々移ることを前提に計算をしているのですか、それともある部分残すようなことで計算しているのか、どっちですか。
  149. 松村義弘

    ○松村説明員 関西国際空港株式会社の収支採算を計算する前提としまして、現大阪国際空港に国内線が一日二百便残るものという前提を置いて収支計算をいたしました。これはより厳しい条件を課して収支計算をし、それでなおかつ収支採算がとれるということでプロジェクトを発足させるために置いた条件でございます。大阪国際空港がもし廃止となりますと、その輸送需要はすべて関西国際空港で取り扱うわけでございます。そうしますと、当然飛行機の離発着、通過旅客、通過貨物はふえます。そうしますと、収支採算は非常に有利になるわけでございます。そういった有利な条件でプロジェクトの可否を判断するのではなく、現在の大阪国際空港に二百便国内線を離発着させるという条件を置いて、なおかつ――そういう条件を置きますと、関西国際空港の輸送需要は減るわけでございます。減ってもなおかつプロジェクトとして成り立つということで採算をとったわけでございます。
  150. 河村勝

    ○河村委員 この二百便というのは、国内線の全部ですか、一部ですか。
  151. 松村義弘

    ○松村説明員 六十八年開港ということを考えておりますけれども、その時点におきましては、大阪国際空港に国内線一日二百便、年間七万回でございますけれども、その七万回以外に関西国際空港に発着しますのは、国際線と国内線を合わせまして十万回発着するというふうに想定しております。したがいまして、六十八年時点におきましては、国内線の離発着は七万回を優に超えているという想定でございます。
  152. 河村勝

    ○河村委員 もし、この大阪空港が全部廃止になるとした場合に、関西新空港としての処理能力はどういうことになるのですか。これは間に合うわけですか。
  153. 松村義弘

    ○松村説明員 六十八年時点で関西地区全体でもって、航空旅客、航空貨物を扱うために航空機の離発着回数を推計してみますと、十七万回と想定されます。現在の関西国際空港第一期計画は滑走路一本でございまして、その最大発着能力は十六万回でございます。したがいまして、もし現大阪国際空港が開港時点で廃止ということになれば、計算上は、関西地区の航空輸送需要すべてを賄うことは、関西国際空港一つだけではできないということになろうかと思います。
  154. 河村勝

    ○河村委員 そうしますと、物理的に大阪空港というのは存続をしなければならないという条件のもとに新しい空港をつくっている、そういうことになるわけですね。
  155. 西村康雄

    西村政府委員 現在の大阪国際空港も非常に多くの輸送需要に対して十分こたえていないということでございます。実際にこの新関西国際空港が供用される時点になってどういう輸送需要があるかというと、今のような想定をしておりますが、それは現在大阪国際空港が受けている状況よりははるかに改善された状況で開港にこぎつけるということにはなろうかと思います。そういった大阪国際空港廃止というような事態であれば、直ちに関西国際空港は第二期工事へ入っていくということが考えられるわけでございます。
  156. 河村勝

    ○河村委員 足りなくなった段階で第二期工事に入ったって間に合わないでしょう。六十八年開業の際にもし大阪空港がなくなって関西新空港の処理能力をオーバーすれば、その分だけ便数の制限がなければならぬわけでしょう。さっき大阪が完全になくなれば、六十八年度開業時点で処理能力を超えるという答弁だったでしょう、そうじゃありませんでしたか。
  157. 西村康雄

    西村政府委員 幾つかの問題点がありますが、まず大阪国際空港を仮に廃止するとしましても、その廃止を決定するのは一体いつの時点か、そういうことで、廃止の決定がある程度早ければ、その時点で第二期工事の準備を始めるということですから、第二期の完成の時点が早まるということが一つ考えられるわけです。それから仮に廃止をして、第二期が十分早くならないというような場合には、なお大阪国際空港が若干の期間併存するということも選択肢としてはあり得ることでございます。いずれにしましても、大阪国際空港が廃止ということになれば、それを前提に関西国際空港整備の方針を速やかに立てて対処する、こういうことになろうかと思います。
  158. 河村勝

    ○河村委員 いずれにしても、新空港開業までにと言っていますけれども、それじゃ間に合わないということになるわけですね。もちろん残すということになれば問題ないのですけれども、なくすとすれば。そうすれば、関西新空港の処理能力をオーバーするわけですから、もういいかげんに大阪空港を存続するかしないかというのは決める方が本当なんでしょう。それでなければ不安定な状態がいつまでも続くわけですから、この辺で存否を決める、結局存続をしなければならない、むだが多過ぎるという結論になるのでしょうから、存続するとして、現在それに対する障害というのは一体あるのでしょうか。
  159. 西村康雄

    西村政府委員 大阪国際空港を存続してまいりますと、まず一つ大きな問題は、やはり現在大阪国際空港が持っております。辺の環境対策、これを今後とも引き続きやるということですが、御承知のように、空港整備予算の極めて多くを大阪国際空港周辺対策に用いてきているわけで、今後ともこの大きな費用をどういう形で財源を調達していくかということは極めて重要な制約条件になりますし、また地元にとっても引き続きこの環境問題に直面していくという重荷を背負うわけでございますから、存続するにしてもなかなか難しい問題があろうかと思います。
  160. 河村勝

    ○河村委員 大臣、問題もありましょうけれども、いつまでも引っ張っていくというのは余りいいことじゃおりませんね。廃止をするのなら、今までの説明で、新空港の第二期工事を早く始めなければならぬということに相なるわけでしょう。突然間際になってやめましたと言えば、関西新空港は処理能力をオーバーしてしまうわけですから。こうした存否にかかわる問題というのは、三年たったら変わるというようなものでもないのですね。現在も五年先も余り変わったことはないのです。ですから、早急に結論を出すのが合理的なやり方だと思いますが、いかがでしょう。
  161. 山下徳夫

    山下国務大臣 今局長からも御説明申し上げましたように、私からもう一回申し上げてみますと、とにかく少なくとも関西新空港が一番機を飛ばすまでには決めなければならぬ、逆に言いますと、そういう言い方でもよろしいのじゃないかと思いますが、その時点までには少なくとも決めなければならぬ。しかし、今先生も御指摘のように、大阪の今の空港が継続して一定期間補足的にも必要であるとするならば、それは後でもいいわけでございますけれども、そうでなくて廃止する場合のことを先生はいろいろ御心配いただいておるわけでございますから、その御心配趣旨からいうならば、早い方がいいということは私どももわかります。したがって、既にいろいろ調査にかかっておりますし、今局長が申しましたように、問題は、現在でも相当の金が必要となっておりますいわゆる周辺整備という問題、公害補償とか、そんな問題の財源をどうするかということが一番大きな問題と思いますが、いずれにいたしましても、そこの問題まで含めてなるたけ早く決めることがいいということは私どももわかっておりますので、冒頭に申し上げましたように、タイムリミットとしては、昭和六十七年度ですかの一番機を飛ばすまでには決着をつけなければならぬけれども、できればそれよりも少しでも早く決めたいな、こういうことでございます。
  162. 河村勝

    ○河村委員 次に、羽田の方の話を伺いますが、羽田空港の沖合展開は順調に進んでいるやに聞いていますが、大体どういう経過でどういう要領のものができるのですか。
  163. 増田信雄

    ○増田説明員 お答え申し上げます。  羽田の沖合展開は、東京都との協定その他も順調に進んでおりまして、最終的には千六十五ヘクタールの、三本の滑走路を持った空港を完成させる予定でございます。私どもはこれを三つに分割して工事を進める予定にいたしております。ただいまは第一期工事、つまり新しい滑走路を一本つくる工事に取りかかっておりまして、これは予定どおり六十三年の七月までには完成をさせるつもりでございます。第二期及び第三期につきましては、湾岸道路あるいは東京都の埋め立ての進捗状況を見ながら工事を進めてまいりたいと思っております。予定では、第三期、即ち完成するのは六十八年の七月を考えております。
  164. 河村勝

    ○河村委員 六十八年完成で、離発着能力はどのくらいになるのですか。
  165. 増田信雄

    ○増田説明員 いろいろな条件がございますが、ただいまの私どもの算定では、二十三万回ぐらいが定期便として有効に使える限界だと考えております。
  166. 河村勝

    ○河村委員 二十三万回といいますと、現在の羽田空港の能力と比較するとどういうことになりますか。
  167. 増田信雄

    ○増田説明員 ただいまの羽田空港の能力の限界は約十六万回と思っておりますので、七万回の増になります。
  168. 河村勝

    ○河村委員 成田空港の方の処理能力がだんだん限界に近づきつつあるようでありますが、これは旅客、貨物に分けて、一体現状でいつまでもつのですか。
  169. 増田信雄

    ○増田説明員 成田国際空港は、御承知のとおり未完成の空港でございまして、滑走路が一本だけでございます。国際線として、需要家というか航空会社の要望にこたえるためには、約九万回ぐらいが限界だと思っております。しかしながら、ダイヤの調整その他御不便をかけますと、年間十一万回ぐらいまでは使えるというふうに承知しております。  なお、旅客と貨物についてということでございますが、ただいまのは旅客、貨物を含めた発着回数でございます。そのほか旅客だけの固有の問題としては、ターミナル部分が非常に込み合っております。国際線のターミナルとして恥ずかしくないというか迷惑をかけない限度は千百万人ぐらいが限度だと思っております。さらに改装を加え、あるいはいろいろ御不便をかけながら使える現在のターミナルの限界は千五百万人ぐらいというふうに私どもは考えております。
  170. 河村勝

    ○河村委員 離発着だけについて議論をするとして、通常の処理能力が限界が九万回、限界処理能力が十一万回ですか。そうすると、これがその限界に到達してしまうのは一体昭和何年ごろになるのですか。
  171. 増田信雄

    ○増田説明員 ただいま使われております発着回教が約七万回でございますから、この後の需要の伸びその他を考えましても、六十年代の半ばごろまでには限界に達するというふうに私どもは考えております。
  172. 河村勝

    ○河村委員 そうしますと、第二期工事は当然進めていかなければならないことになるわけですね。第二期工事は前回ほどの難しい条件はないかもしれないけれども、現在でもなお非常な障害がありますね。第二期工事をこれから進めていって、これが実際に有効に使われる時期というのは一体いつごろを想定していますか。
  173. 西村康雄

    西村政府委員 二期工事の実施というのは非常に難しい問題がございます。御承知のように、これまで地元との話し合い、特に空港の用地内の農家と話し合いをして、その土地を取得して二期工事を進めるということでやってきておりますが、なかなかいろいろな難しい問題があって、今の段階でいつから十分な工事を始めていつ完了するということを申し上げられないのは非常に残念でございます。  ただ、私どもできるだけ公団とともに地元対策を進めながら、一刻も早く着工の態勢に入っていきたいということで、今努力している次第でございます。
  174. 河村勝

    ○河村委員 もし順調に進めば六十年代の半ばに成田空港の能力が限界を突破するという時期に、これに間に合うようにできるのですか。それの検討はどう考えているのですか。
  175. 増田信雄

    ○増田説明員 いろいろな条件はございますが、第一期工事を実施しました経験から申し上げますなら、着工後五年ないし六年あれば完成ができると考えております。そういう意味ではぎりぎりのタイムリミットであると思っております。
  176. 河村勝

    ○河村委員 着工後五年というと、もう今明年には着工しなければ、成田の能力を突破する時期には間に合わないということになるわけですね。その辺の見通しは一体どうなっておりますか。
  177. 西村康雄

    西村政府委員 今明年にできるだけ着工したいと思っておりますし、着工が一年おくれればそれだけ成田の将来の問題が非常にシリアスなことになるというふうに考えております。
  178. 河村勝

    ○河村委員 さっき羽田の沖合展開を先にお尋ねをしたのは、これにも関連があるのですが、先ほどのお話で羽田の容量が沖合展開によって七万回ぐらいふえるのですか。その場合、第二期工事がいろいろな障害でもし延びている場合に羽田を活用するということは考えておられますか。
  179. 増田信雄

    ○増田説明員 多少補足をさしていただきたいのでございますが、七万回ふえますのは第三期まで完全に完成した時点でございます。それでいわゆる第一期、滑走路が一本ふえます段階では約一万回ぐらいの増便ということでございますので、国内便の増加要求に対応するだけで手いっぱいでございまして、そういう意味では成田と羽田の使い方の問題については議論ができるような余裕はないと考えております。
  180. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、成田の第二期工事が順調にスタートすることができなければ、六十年代の半ばには羽田も使えない、結局容量いっぱいのままで離発着回数の制限をやらなければならない、そういうことになるのでしょうか。その辺をどういうふうに打開するつもりで運輸省としては現在おりますか。
  181. 西村康雄

    西村政府委員 御指摘のように、成田の着工がおくれますと、全体としての滑走路の能力は羽田、成田を通じて大変窮屈なことになってまいります。羽田自身は既に国内線の需要で手いっぱいになることは目に見えておりますし、現在非常に多くの便が制限を受けているということでございますので、そういう点から成田の着工もあわせて非常に急がれる、政府として全力を挙げて取り組むということが強く要請されているわけでございます。
  182. 河村勝

    ○河村委員 それで大臣、前回、成田の開港時には政府を挙げての大変な体制をつくって、ある意味では強行突破したような格好でありましたね。今回はまだそれほどの体制はつくらぬでも、まあまあこのままでやっていけるだろう、そういう判断なんでしょうか。
  183. 山下徳夫

    山下国務大臣 今事務当局からいろいろ御説明申し上げましたとおり、だんだんタイムリミットが近づきつつあるという感じを私も持っております。  そこで、今まずやらなければならぬことは民有地の買収でございますが、これに先立って周辺の市町村の一日も早くつくれというムードが非常に高まって、市町村の議会等からも満場一致で御決議をいただいているということは、私ども非常に意を強うしている次第でございますが、この民有地の買収、最も急がなければならぬ問題につきましても、関係の市町村長から積極的に協力する態勢がだんだん整いつつありますので、私は非常にいい方向に向かっていると思っております。したがいまして、いわゆる強権と申しますか、法律的な強行手段等はなるたけ見合わせて、ひとつ平和的に話し合いで解決したいという努力を目下続けておるわけでございます。これらの法律的な強行手段をやらないで若干おくれました場合には、現在でも相当外国からの希望があるのをまだ認可していない面もございます。三十数社あるかと思いますが、これは何も全部が飛行場のキャパシティーだけの問題ではございませんけれども、やはりある程度の外国からの希望もしばらくお待ちいただくような措置をとってでも、なるたけひとつ平和的に解決をしたい、そういう努力を目下さらに強力に進めておる段階でございます。
  184. 河村勝

    ○河村委員 万全の体制で臨むことを希望をいたします。  これで私は質問を終わりますけれども、最後に、ちょっと関係ありませんが、例の日本貨物航空のアメリカ乗り入れに伴って日米航空交渉が行われておるわけですね。四月一日就航というのはだめになったようでありますが、現段階で一体どういう状況になっているのですか。見通しはいかがですか。
  185. 山下徳夫

    山下国務大臣 この問題につきましては、まず何よりも政府が認可した会社であるということに対して、政府の責任であるという責任感を明らかにして、全力を傾倒してこの問題は解決すべきである、こういう気持ちで最初から私は事務当局にも督励をしてやってきた次第でございます。ことしに入りましてから、かなり過密的に交渉も持たれて、東京における二月の会談では、あと一歩というところまで来たのでございますが、時たまたま、先生御案内のとおり、日米におけるいろいろな問題がございまして、アメリカの世論というものが新聞、テレビ等を通じて毎日毎日非常に険悪な報道がされている現状でございますから、やはりこういう時点においてとにかくそれだけ一つ解決することはいかがなものかという、率直に申し上げまして、そういう感情もあったことは否定できないと私は思っております。しかしながら、御案内のとおり、九日に、総理を中心として新しい政府の施策、態度というものを決定いたしました。おとといは外務大臣もそれを体してアメリカに行かれました。私は、アメリカに行かれる十分前まで外務大臣のお車にこちらの方からカーテレホンに再三電話をかけまして、本来これは筋を通してやるべきもので、何もそれらの経済摩擦にとらわれるべきではない、日米航空交渉の条文に照らしてやるべきであるということを外務大臣にも訴えまして、外務大臣も行かれる寸前まで、そのことはよく体して自分としても努力をするということでございました。したがいまして、今いつまでという見通しは非常につけにくうございますが、今回、外務大臣がおいでになって、御承知の四本の柱だけで向こうが全面的に了解というところまでいくかどうかは別といたしましても、いいムードに変わりつつあることは、私ども容易に推測できるわけでございますから、そういった全般的な好転するムードの中で一日も早く解決をいたしたい、かように思っておる次第でございます。
  186. 河村勝

    ○河村委員 終わります。
  187. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 辻第一君。
  188. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、ちょうど一週間前、大阪国際空港へ参りまして、大阪航空局のお世話もいただいて空港周辺を見せていただきました。また豊中市の住民の方ともお会いをしていろいろお話を聞いてまいりました。空港周辺騒音対策事業についてのなにを振り返ってみたいと思うのですが、とにかくこの間見てきた現状は、大変だなというのが私の偽らざる心境でありました。憲法二十五条を思い出したのですが、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」国民の権利と義務が定義をされているわけでありますが、これに照らしてみて大変な事態だということを痛感をしてまいりました。この騒音対策、どんなことがあっても後退をさせてはならない、もっともっと充実させなくてはならないというのが私の気持ちでありました。  振り返ってみますと、昭和三十年代の末ごろからジェット化時代に入り、大阪空港周辺を初め各地で住民が騒音被害に苦しみ、昭和四十四年十二月に大阪空港第一次訴訟が始まった。このような住民運動の高まりの中で、昭和四十八年から四十九年にかけて空港周辺騒音防止法の改正案周辺整備機構の設立などが行われてきた。これまでの十年間、騒音源対策や住宅の防音工事あるいは移転補償、緑地帯、新しい町づくりの問題など政府がいろいろと一定の努力をされてきた。にもかかわらず、今なお各地の空港周辺住民は依然として騒音の被害に苦しんでいるというのが実態であります。私は、運輸行政というのは安全性の確保というのが非常に大事な問題、最優先の課題であると思いますが、この交通公害と言われる騒音の対策を本当に充実をさせて、国民の健康を守り生活環境を守っていくということも本当に重要な課題であるということを痛感しているわけであります。こういう立場で、どんなことがあっても騒音対策を後退させてはならない、もっともっと充実させてほしいという立場から質問をしてまいりたい、このように思います。  まず最初に、機構統合されるということになるようでありますが、本社というのですか本部というのはどこに設置をされるのか明らかにされておりませんが、いかがですか。
  189. 西村康雄

    西村政府委員 新しく統合後の周辺整備機構本社の所在地というのは、形式的には定款で決めることになっております。定款の認可の際にこれを明らかにするということになるわけでございますが、その時期までに関係の人々と話し合いをして決めていきたいということでございます。
  190. 辻第一

    ○辻(第)委員 法案が提出されている時点で、それがまた話し合われているというのはどうも問題だと思うのですね。先ほどいろいろ議論がありましたので、これくらいでおきますが、問題があるということだけは指摘をしておきたいと思います。  それから、統合され、再編されるということになりますと、事業を進める上でもまた住民サービスの面でも、これは後退につながると私は言わざるを得ないと思うのであります。殊に福岡の方は、本部がどこかへ行くのではないかというような御懸念も強いということで、特に機能の低下、住民サービスの低下、また言いかえれば不便や非能率、こういうことになるのではないか、このように考えるのですが、いかがですか。
  191. 西村康雄

    西村政府委員 まだどこに本社と申しますか、本部を置くかを決めてないわけでございますから、福岡の方が本社福岡からなくなるということを前提にいろいろな御心配をするのも多少早まっている感じがしないわけでもございませんが、仮にそういうことになりましたにしても、また大阪の方から福岡に本部が行くというような事態になりましても、いずれにしましても、両方空港では、それぞれそこの所在地に事業執行の責任を持つ人を置いて、そこで従前と同様に能率的に処理させるということをまず基本にしていきたいというふうに思いますし、またその地元の意見の吸い上げという点からも、評議員会というのをそれぞれに置いて十分反映させていきたいというふうに考えるわけでございます。またいろいろな点で自分の方が不利益になるのじゃないか、自分の方の貢献したものをほかの空港へ持っていかれるのじゃないかというような御懸念についても、それぞれ区分経理をするということで、それぞれの土地の固有事業はそれぞれの対策に反映させるということでやっていきたいと考えております。
  192. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、現在両機構には給与体系に違いがありますね。これが統合されるということになるとどのようになるのか。私は、労働条件の切り下げになってはならない、低い方へ統一をされるということがあってはならない、このように考えるのですが、いかがですか。
  193. 西村康雄

    西村政府委員 両機構統合されますと、それぞれの機構の現在の職員の雇用条件というのは、当然そのままで今後の機構に引き継がれるということになるわけでございます。そして現在の職員の給与等の勤務条件というのは、確かに違いがあるわけでございます。それほど大きな差はございませんが、若干の差があるということでございます。こういった問題は、今後とも当然当面は引き継いでいかざるを得ないが、しかし長期的には両者の差を詰めて、全体として一本のものに計画的に移していくということになろうかと思います。
  194. 辻第一

    ○辻(第)委員 重ねて申し上げますが、低い方へ統合する、統一をするということのないように、労働条件の切り下げにならないようにぜひ配慮をされたい、こう思うわけであります。  次に、環境庁お越しいただいていると思うのですが、四十八年十二月二十七日の環境庁告示の航空機騒音に係る環境基準というのは、I類型、この基準値は七十WECPNL以下とされていますね。ところが今運輸省が進めておられる中間改善目標は、七十五W未満または七十五W以上の地域の屋内六十W以下、このようにされておりますね。屋内の方はもう六十年度概成される、こういうふうに聞いているわけでありますが、本来は、環境庁の最終目標としては、I類型のところは七十Wということだと思うのですね。その中間の目標である七十五W未満というところ、これについては十年を超えた期間の、ちょっと正確に言いかねますが、「可及的速やかに」ですか、こういうところがあるのですね。そういう点から見てまいりますと、現実はまだまだほど遠いという実態だと思うのですね。こういう点で、環境庁としても、運輸省にまず最初に中間改善目標を達成するようにもっと厳しく申し入れをされるべきである、私はこのように考えます。  さらに、今七十五W以上の地域の屋内六十W以下、これはかなりできているのですね。こういうことをさらに一歩進めて、今の地域をさらに拡大をして、七十W以上のところの方も民家防音工事ができる、そのようなことまで運輸省に求めるべきではないか、このように考えるのですが、いかがですか。
  195. 浜田康敬

    ○浜田説明員 お答えいたします。  まず第一点目の、現状の改善状況を踏まえて運輸省に申し入れるべきではないかという点でございますけれども、先生御案内のことと思いますが、五十八年十二月に一応環境基準が定められまして十年目という期限が参りました。その際に、達成期限の来た空港あるいは中間改善目標の来た空港につきまして、私どもなりに航空機騒音状況を把握いたしまして、その結果、各方面の御努力によりまして、かなり改善された空港もございましたけれども、全般的にはまだなかなか十分でないというふうな認識に立ちまして、当時、五十九年の四月でございますけれども、関係方面にさらに努力をいただくようにという要請を行っているところでございます。  それから第二点目の、七十WECPNL以下という基準の当てはめられている地域につきましてでございますが、今もお話をいたしましたように、例えば大阪国際空港におきましては、中間改善目標もまだ十分ではない状況下では、中間改善目標の達成にとりあえず御努力をいただくことが先決であろうかと思っております。  さらに、七十五以下の地域における対策については、その後、これは環境基準におきましては、基本的には屋外で七十Wあるいは七十五Wを達成していただくということでございますから、低騒音機の導入等の発生源対策あるいは土地利用対策といったようなことを基本的により進めていただく、そういう中で屋内の環境保全というものをどう考えていくか、どういう範囲でそのための防音工事等を実施していくかという点につきましては、運輸省等関係の方とお話をさせていただきたいと考えておる次第でございます。
  196. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、大臣にお尋ねをいたしますが、今、中間改善目標というのは、民家防音工事などについては一定の成果といいましょうか、六十年度で概成をされるというようなところへ到達をしたということでありますが、基本的に見てみますと、まだまだ達成にほど遠い。先ほどの議論がありましたけれども、局長は大分苦しんだ答弁をしておったと思うのですが、その中間改善目標にぜひ十分な対応をやっていただきたいということが一つ。  それから、今環境庁にもお尋ねをしたわけでありますが、民家防音工事では、七十五W以上のところをやっているわけですね。これを拡大して、七十Wから七十五W以下、そこのところまで広げるべきではないかと考えるのですが、御答弁をいただきたい。
  197. 山下徳夫

    山下国務大臣 全御質問の前段の民家の防音工事でございますが、これはなるたけ早くやることにいたしたいと思います。  なお、後段のW七十対策でございますけれども、これは騒音の影響区域の縮小が見込まれるところでございますので、その推移なども十分見きわめながら、何分これは財源が相当必要でございますので、そこらの問題も含めて慎重に検討する必要があると思っております。
  198. 辻第一

    ○辻(第)委員 私の言い方がちょっとまずかったのかもわかりませんけれども、中間改善目標、それは住宅防音工事もありますけれども、七十五W以下にというところ、その点についてはまだまだ大変な事態だ、そういう点について十分な対応をしていただきたいということもお願いをしたわけであります。この点について局長から簡単にお答えをいただきたい。
  199. 西村康雄

    西村政府委員 あの中間目標は、御指摘のように、一つは、戸外を七十五WECPNL未満にすること、そして七十五WECPNL以上の地域では、屋内で六十WECPNL以下とすることとなっておりまして、これは書き方は選択でございます。ということで、この後の方の七十五以上の地域におきます屋内での六十WECPNL以下というのは、今年度の民家防音工事の実施によって中間目標を一応達成できるということで、若干おくれたわけですが、これはどうにかハードルを越えるということになろうかと思っておるわけですが、最終目標の方は、先ほどもいろいろとおしかりを受けたわけですが、「十年を超える期間内に可及的速やかに」ということでございます。できるだけやりたい気持ちはいっぱいでございますが、できるだけの手段を尽くしましてもなかなか難しいというのが実情でございます。しかし、できる範囲でともかく一生懸命やるということをお答えにさせていただきたいと思います。
  200. 辻第一

    ○辻(第)委員 それから、同じようなことを何度も言うのですが、民家防音工事のW七十対策というのは、運輸省が出された「八〇年代の交通政策のあり方をさぐる」、運政審答申の報告書の中に、参考資料の二百七十五ページというところに検討課題として入っているのですね。こういうこともありますので、この問題は、第I類型の七十Wから七十五Wのところ、その間の対策を十分やっていただくという方針でやっていただきたいということを重ねて要望して、次へ進みます。  被害住民の切実な要望についていろいろ要望したいと思います。  まず、教育施設等防音工事の中で現在対象外になっている学童保育施設、これも防音工事の対象に追加すべきだと考えますが、いかがですか。
  201. 西村康雄

    西村政府委員 民家防音工事外の防音工事の施設は、国が航空機騒音防止法の五条、六条で決めておりまして、これのいずれかに合致するものが対象になるわけでございます。御承知のように、第五条の施設は、学校教育法に規定する施設というふうに書いてございます。その他これに類するものということでございますし、六条の共同利用施設ということは、一般住民の共同利用に供する施設というふうになっているわけでございます。  それで、学童保育という施設につきましては、学校教育法に言うような施設に直ちになるかどうか多少問題があるわけで、あそこに並んでいるのは、みんな極めて明確なそれぞれの国の施策によって位置づけられている施設だけが取り上げられております。そうでありますと、これは第六条の一般住民の共同利用に供する施設というような分野でこれを取り上げていったらどうかなということを考えるわけですが、具体的に学童保育が一般の共同利用施設といった実態を持ったような場所で行われておりますれば、六条の共同利用施設の一つとして取り上げていくことも可能かと思いますが、実際の状況に即して考えないと、どういうふうにしたらいいか何とも言えないので、具体的な施設を地元から、地方公共団体からお話がございましたら、それに応じて対処していきたいと考えます。
  202. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ防音工事の対象に追加をしていただきたい、要望をしておきます。  それから、そろそろクーラーとか空調機器が耐用年数に来ているところがあるのですね。こういう機器の更新については、当然国に手当てをしていただきたいという要望が非常に強いのであります。またクーラーや空調機器の電気代が非常に高いそうですね。それでお年寄りだとか母子家庭だとかそういう弱い立場の方々にとっては大変御苦労いただいているということでありますが、そういう点でも手当を出してくれないか、そういう費用を国が負担をしてくれないかという要望があるのですが、いかがですか。
  203. 西村康雄

    西村政府委員 民家防音工事の助成を始めましてから、確かに長い時間がだんだんたち始めてきました。初期のものがだんだん老朽化してくるという時代に差しかかってくるわけですが、今後いずれかの時点になりますと、そういった空調機を更新するというような問題に直面してくるわけでございます。地元の皆様からいろいろな要望が出ているわけでございますが、この問題に取り組むに当たりまして、どういうふうに老朽化しているかという実態も調べてみないとならない、これにまず最初に着手していきたいと思います。一律に何年たったらだめになるというものでもございませんし、上手に使いますと二十年も使えるということでございますから、ここら辺はどんなふうか実態に応じて考えていきたいということでございます。またこう申しては何ですが、空調機もだんだん一般の文化水準が上がりますと、負担の問題もありますので、そこら辺も考えて、今後どうするかということで対処していきたいと思います。  電気代の費用の負担というのは、実際にこれを考えてみますと、大変な費用負担の問題でございます。なかなか今の状況では直ちにこれに応ずるというわけにはまいらないのですが、ただ実際に生活保護等お困りの世帯については何とか対処していきたいということで、ひとつここは研究していきたいと思っております。
  204. 辻第一

    ○辻(第)委員 お年寄りの家庭などぜひ考慮していただきたいと思います。  それから、大阪空港は朝の七時から夜の九時までですか、それが福岡空港になりますと、最終便が夜の十時近いということですね。ですから、これはぜひ大阪並みにという声が非常に強い。本当にそう思いますね。晩九時過ぎてからの騒音というのは、それこそ大変な苦痛だと思うのですね。ことに子供の場合なんか大きな問題があろうと思うのですが、そういう点で、東京から札幌の最終便が札幌へ着くのが二十一時二十五分ですね。せめてこれ並みに福岡も九時半までに最終便が到着するようにという要望が強いのですが、いかがですか。
  205. 西村康雄

    西村政府委員 夜間の騒音というのは昼間より非常に気になるということも事実ですが、福岡がこの時間であることの結果、逆に申しますと、東京を八時に出ていくということが可能になるわけで、こうなりますと、福岡におられる方が東京と密接に連絡できる、一日交通圏として往復できるということなので、ある面では非常に福岡の方々の輿望を担ってやっているということでございます。ですから、その点では、夜間便をやめますと、福岡の方がかえって非常につらい思いをするということにもなるので、若干早くしたらどうだということの御要望もあろうかと思いますが、実は千歳行きと同じ時間に出ているわけで、たまたま千歳の方が風のぐあい等で十五分ですか早く着いてしまうということなので、今度逆に千歳と同じ終着時間にしますと、それだけ福岡行きが早く出なければならないということになります。  いずれにしましても、何時がいいかというのは、地元の利益ということをどう考えるかということで、今確かに周辺の方はもう少し早くならないかという声があろうかと思いますが、福岡の多くの方は、今の便で満足している方もまた非常におられるものですから、私どもこれはもう少しいろいろな声を聞いてやっていきたいと思います。
  206. 辻第一

    ○辻(第)委員 飛行機に乗られる方は遅い方がいいと思っていらっしゃるかもしれませんけれども、そこに住んでおられる方にとっては本当に大変なことなんですね。ですから、そういう論理だけではなしに、少しでも短くしていくという努力をしていただきたい。東京から札幌へ行くのは二十時に出るのですね。それから東京から福岡へ出るのは二十時十分です。十分違うのです。そういうこともありますので、ぜひ実現をしていただきたいと思います。  それから、大阪空港周辺対策であります。本当に移転をした跡地は虫食いみたいな状態になっておりますね。そしてさくが立てられて、野良犬が多いとか、私も見てまいったのですが、これでは大変だなと思いました。一刻も早く新しい町づくりをしなくちゃならないと痛感をしてきたわけであります。既に緩衝緑地帯にするなど新しい町づくりの計画案がつくられて、住民にも示されておると聞いておるわけでございますが、この新しい町づくりという仕事は、住民の手による住民のための新しい町づくりといった性格の強い仕事であるというふうに思うわけであります。どうか住民の皆さんと十二分に話し合って、合意と納得の上に進めていただきたい、このように思います。また地域の商売をなさっている方は、そういう状況の中で営業の面で大変厳しい状況になっておられるわけであります。そのような補償や救済ということについても十分な対応をしていただきたい。このことについてひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。
  207. 山下徳夫

    山下国務大臣 大阪国際空港周辺の町づくりは、移転跡地の増大とともに大きな問題となってきたところであります。このため運輸省といたしましても、大阪府と共同いたしまして計画的な緑地整備を推進するなどといたしておるところでございます。その推進に当たりましては、関係地方公共団体と密接な連携のもとに、住民等の意見も十分配慮してまいる所存でございます。
  208. 辻第一

    ○辻(第)委員 住民の方々と十分話し合って、その合意と納得の上に進めていただきたい。重ねて強調しておきます。  次に、羽田を中心とした空域の問題でお尋ねしたいと思います。  局長、全運輸省労働組合の季刊であります「航空ふぉーらむ」八四年第二十三号、御存じですか。
  209. 西村康雄

    西村政府委員 存じております。
  210. 辻第一

    ○辻(第)委員 その中に一九八三年五月三日の状況が記されているわけであります。  少し読んでみますと、   東京管制部から送られてきた進入機の情報によると、十九時三十四分から四十三分の十分間に、大島からの航空機が十一機(低い高度を飛行するYS11が二機だけで、あとはすべてジェット機)、阿見からは三機(すべてジェット機)の合計十四機が集中している。さらに、少し間隔をおいて、十九時五十分から二十時までの十分間に六機(大島から三機、阿見から三機)が入ってくる。 こういう状況なんですね。さらにこの十九時三十六分あたりからわずか五分間に十二機が進入してくる、こういう状況があるんですね。  羽田空港の処理機数というのは、成田空港が開業したときに一度減ったのが、また前と同じぐらいの状態に現在戻ってきている。非常に多いというのを私はこの中ではっきり感じたわけであります。  さらに、こういう状況の中で、この「ふぉーらむ」の中に載っておりますのは、五十九年八月の時点の調査で、管制官の通信時間率、これが平均四〇%以上、短時間平均六〇%、最高力〇%というような状況があるわけですね。そして管制官の同時取り扱い機数というのは、東京管制部で十六機、羽田で七から十機ということで、非常に混雑をしており忙しいという仕事ぶりなんですね。ちなみにこういう通信時間率が四〇%になりますと心博数がふえる、六〇%を超えますと余裕がなくなってくる、物を考え余裕が非常に減ってくるという状況になるというふうに言われているのですね。このように羽田空港が過密の状態になっていると私は認識しているのですが、局長、いかがお考えですか。
  211. 西村康雄

    西村政府委員 「航空ふぉーらむ」で言っておりますように、東京羽田周辺の航空交通の混雑状況というのは大変厳しいものがあると思っております。日によりましては、今お話しになったような非常なラッシュ状況も出てまいります。これらをさばく航空交通管制官の苦労というのは大変なものでございます。また実際に、お話しのような通信負荷率が非常に高くなるという時間がときどき出てくる状態のあることも事実でございます。この辺の問題につきましては、これから何とか合理的な管制の仕方を考えて対処していくということが基本的な課題だと理解しております。
  212. 辻第一

    ○辻(第)委員 解決の仕方については、合理的な管制だけ言われたので、その点ではどうも納得できないのですが、また後でお話をしたいと思います。  もう一つ、もう少し広げた関東空域ですが、これは非常に複雑な空域になっているのではないか。羽田、成田、米軍の横田、それから航空自衛隊の百里、このような空域が複雑に絡んでいる。関東複雑空域と呼んでもいいような状態だと認識しているのですが、局長のお考えはいかがですか。
  213. 西村康雄

    西村政府委員 今お話しのように、関東の上空というのは非常に難しい空域でございます。横田、羽田、成田、百里、それぞれ大きな空港の進入管制が互いに接しておりまして、管制誘導についてはそれぞれ特別な技術が要るところだろうと思います。
  214. 辻第一

    ○辻(第)委員 そういうふうに羽田の空域自身、それから空港の実態、そして関東の複雑な空域、このような関係の中で羽田空域が過密な状態になっている原因は、一つは航空交通量が増加したということだと思うのですね。それから羽田空域が縮小されたこと、成田開港に伴う関東空域の再編というようなことも含めて非常に狭いということです。そういう状況の中で羽田空域が非常に過密な状況になってきている。過密ということは当然危険を伴うということだと思うのです。幸いにこれまではなかったようですが、ニアミスであるとかコンフリクションが増加しておる。せんだっての同僚議員の質問に対しては、当局はそんなにふえていないという御答弁でしたけれども、この「ふぉーらむ」によりますと、ニアミスやコンフリクションが近年とみにふえておるのです。五十五年が二件、五十六年が三件、五十七年が八件、五十八年が九件、五十九年が十三件、労働組合の調査ではそういう実態があるわけであります。このことで当局の数字と食い違いはあるわけでありますが、私は、現地の方がいろいろ調べた実態でありますので、当たらずといえども遠からず、こういうことだと思うのですが、そういう非常に過密な状態は、安全上ゆゆしき事態になっているというふうに言って過言でないというふうに思うわけであります。  それを解決をするためにはどうするのか。私は空域をもっと広げるということが一つだと思いますね。それで交通量を規制する、これはニーズがいっぱいありますので、減らすわけにもまいらないというふうに思いますし、そういうことだと思うのです。そうしますと、もう一つは、先ほど局長が言われた管制の技術の問題、体制の問題、こういうことにもなろうかと思うのですが、その空域の問題ですね。どう言っても狭いですね。しかも周辺が複雑だということであります。その中でも西側にあります横田の米軍の基地というのが、やはりいろいろな大きな問題点を持っているというふうに思うわけであります。殊に羽田空域に大きな制限を与える、そして交通量の増加により危険な過密が発生する、こういうことです。  ところがこの羽田空域は、一日大体二百機程度と聞いているわけでありますが、そのうちで軍用機が三五%で民間機が六五%通過をしている、こういう実態だというふうに聞いているわけであります。この横田空域、これも含めて今米軍が管制を行っているのは横田とそれから岩国と嘉手納、三つあるんですね。釈迦に説法みたいな話ですが、航空管制は運輸省が一元的に行っておられて、一部自衛隊が委任をされているということですね。ところがこの米軍の管制というのは、安保条約による超法規的な措置でこの進入管制区がつくられている。そういう状況の中でそれぞれの空域は、先ほど少し指摘をしたと思うのですが、横田の空域における羽田、成田、あるいは岩国における松山、広島、嘉手納における那覇というように、いろいろな影響を与えて複雑にし、あるいはそれが危険につながるという状況だと思うわけであります。このような認識についてはいかがですか。
  215. 西村康雄

    西村政府委員 空域の管理というのが一元的に行われることが望ましいのは当然でございます。ただ、今の空域の管理の仕方は、航空路管制は運輸省が全国一元的にやっております。それから航空路管制から受けた進入管制、さらにそれを一番飛行場のところで受けとめる飛行場管制につきましては、お話のように、部分的に米軍あるいは自衛隊がやるということで、それはその限りで一応は体系化されてはいるわけでございます。一応の秩序にのっとってやっているわけでございます。  ただ、実際に関東空域のように、横田の空域というものを合理的に全体の中でコントロールして使うということをする余地をもう少し広げることが、関東空域全体の有効利用につながっていくということもまた事実でございます。そういった点で、これまでも横田の空域の削減という問題にはいろいろと取り組んでまいった次第でございますし、横田空域の中を通って西の方へ行くことにつきましては、一応支障なく現在行われております。そういう点ではいいわけですが、しかし、やはり管制の受け渡しなり何なりというものをできるだけ少なくするとか合理化するという見地からも、横田空域をさらに削減していくという必要性は感じておるわけで、それについては今後とも米軍と折衝していくということも考えていきたいと思いますし、また一方、特に関東の空域については、どういう進入、出発経路をとって上へ上がっていくかということを含めまして、空域の調整というものを考えてみる。これは一つの管制技術の改良ともなるわけですが、そういった見地から調整をやっていくということでございますし、その一環として広域進入管制という手法もあろうかと思いますし、また技術革新としてのMLSというものによる管制、出発、進入というものが出てくるわけでございますので、そういったことも含めまして、何とかこの混雑した関東空域というものをひとつ合理的な管制に移していきたい。そういうことが冒頭に先生お話しのような管制官の負荷を減らすということにもつながっていくことでございますので、これはぜひ一生懸命取り組んでいきたいと考えております。
  216. 辻第一

    ○辻(第)委員 私はきょうは短い時間で横田空域を中心に話をしたのですが、五十八年の十二月に日米合同委員会の民間航空分科委員会において、米軍管制空域の日本への返還を申し入れたということですね。そうですね。
  217. 西村康雄

    西村政府委員 事務的な打ち合わせのときに、向こうどの関係で申し入れております。
  218. 辻第一

    ○辻(第)委員 これはぜひさらに実現をするように御努力をいただきたい。強く要望をしておくわけであります。  それから、横田空域で言えば、返還をしてもらうというのが一番あれなのですが、労働組合などの考え方では、さしずめ八千から一万フィート以上、これを返還をさせるということはぜひやるべきではないか、横田空域の八千から一万フィート以上は日本の運輸省で管制業務を行うべきである、こういう考え方があるわけでありますが、いかがですか。
  219. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 横田の上限の削減につきましては、過去にもいろいろ削減を求めまして、無限であったものを四万一千まで減らし、さらに五十八年には二万三千まで減らしたということで、徐々に削減をしてきておるわけでございます。確かに西向きに飛んでいく飛行機のためにもう少し低ければということはございますので、いろいろ話し合いはしておるわけでございますが、それを一万というふうにするのか、八千というふうにするのか、あるいはもう少し上に抑えるのか、その辺については十分検討して詰めていきたいと考えております。
  220. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ実現の方向で努力をしていただきたいというふうに思います。  それから、この管制業務の問題でありますが、先ほど少し触れましたが、いわゆるラッシュのとき、過密の極のときは大変な状況だと思うんですね。私はもうお盆だとかそういうラッシュの時間は羽田空港は御免こうむりたいというような気持ちになるような事態ですね。その中でお仕事をなさっている方というのは大変な御苦労があると思うのですね。ですから、その中でもしちょっと間違いでも起こせば、それこそ大変なことでありますから、十分な休養というのですか、いつでも最高の状態で仕事ができる――例えば二時間ごとに十五分の休憩、こういうような体制を考えていただく。あるいはその点では間違いないと思いますが、さらに二重にも三重にもチェックができる、そういう体制でやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  221. 平井磨磋夫

    ○平井説明員 確かにピーク時には相当なロードがかかるわけでございます。そのことをも踏まえて今後いろいろ考えていかなければならないと思っております。労働組合あたりからもいろいろと御要望は承っておる次第でございます。
  222. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に大臣の御所見を承りたいのですが、羽田空域を中心に岩国だとかあるいは嘉手納など大変な事態であります。ぜひこの空域の返還ということを実現をするために御努力をいただきたい、そして何としても安全な確保していただきたい、このことを要望するわけでありますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  223. 山下徳夫

    山下国務大臣 両空域の管制の問題につきましては、先ほど来政府委員から御説明を申し上げておりますように、今日までずっと数次にわたって空域をこちらの方に移譲するように話をし、また漸次その方向に向かってきたわけで、一応今のところ支障なくやっていると私は理解いたしておりますが、今後ともその点はよく気をつけながら、我が方の航空に支障なきように常に心がけて、必要とあらばまた漸次そういう交渉を続けながら拡大していく方針であります。
  224. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  225. 三ツ林弥太郎

  226. 関山信之

    関山委員 私、過般同僚の左近議員がかなり全般的な御質問を申し上げておりますので、重複しないように御質問申し上げていきたいと思います。  先ほど来いろいろとお話がございましたように、空港の騒音防止ということについては一つの区切りが来ているのだろうと思うのですが、何といっても発生源の対策というものが一番基本に据えられなければならないだろうと思いますし、そのことにかかわって若干お尋ねをしたいのです。  まず最初に、環境基準がどこまで達成されたかという資料のことなんですけれども、七十五WECPNL以上の減少率というのは、この委員会でも資料の御提供があるのですけれども、民防にかかわって言えばそういう数字も結構なんでしょうけれども、しかし、あくまでも環境基準の目標値としては七十Wというものが、「専ら住居の用に供される地域」については、こういう数字があるわけでございますから、ここでどの程度歩いてきているのか、先ほどの御議論の中では、これはなかなか面倒だ、いずれにいたしましても目標値だというお話はそれなりに承るにしても、やはり屋外での達成状況というものの数値のとり方は七十でとっていただきませんといかぬのじゃないか、こう思うのですが、いかがでございますか。
  227. 西村康雄

    西村政府委員 今お話しのように、私ども一応七十五でどれだけ騒音コンターが縮んできたか、発生源対策の効果があったかということで、具体的な面積を計算して、この十年間でどれだけ下がったかということを計算して見ておりましたが、今お話しのように、七十でどう狭くなったかということについては、今手元にまだ資料を作成しておりませんので、この場でお答えできないわけでございます。
  228. 関山信之

    関山委員 ですから、私の申し上げたのは、そこに恣意的なものを多少感ずるものですから、別に悪く勘ぐるわけじゃないのですけれども、基本的に七十でどのくらいいっているのかという御認識は絶えず持っていただくということが大事じゃないかと思うのですけれどもね。
  229. 西村康雄

    西村政府委員 ちょうどこれまでにやりましたのが十年間ということで、中間目標の達成がどうかということでやったわけで、七十ということを忘念しているわけではございませんので、今後は七十がどうかということに問題を据えて検討してまいりたいと思います。
  230. 関山信之

    関山委員 へ理屈を言って頑張るわけじゃないのですけれども、いわゆる第一種空港、東京国際、大阪国際、福岡についてはそれでいいでしょうけれども、しかし、その他の特定空港についてはそういう理屈にもならないわけじゃないのでしょうかね。この表の見方、私が間違っているのなら仕方がないのですけれども、この中間改善目標というのは、あくまでも東京、大阪国際空港福岡に限って言っているわけであって、五年の中間改善目標というのは、もちろん八十五でありますけれども、ですから、そういう意味では、十年たった以上は七十で見ていく、もちろん七十五で見ていただくのも結構だしといういわば環境基準に向けての、ただ民防をやっていればそれで終わりだという感じになってしまっても困るわけですから、押さえ方としては、今手元に資料がないというのであれば、いずれかの時期にきちっとそういうものをお調べになって、その達成状況を押さえることがまず基本的に大事なんじゃないだろうか、こう思いますがね。
  231. 松村義弘

    ○松村説明員 先生のおっしゃるのはまことにごもっともであると思います。七十について我々決して等閑視しているわけではございません。ただ七十になりますと、周辺の暗騒音との関係が非常に難しいことになりまして、相当測定装置を改良しないと厳密な線を引きにくいという状態がございます。したがいまして、測定装置の開発を進めると同時に、そういった問題を研究してまいりたいと思っております。また七十というのは、飛行場中心にある一定の区域というのじゃなくて、飛行場の周辺で住居のための地域という点もございますので、その辺も考慮に入れて検討してまいりたいと思っております。
  232. 関山信之

    関山委員 私ども技術的に詳しいわけじゃありませんし、七十と七十五の間でどのくらいの違いがあるかなんというのも実態としてもなかなかつかめないわけですが、環境庁と、こういう関係、前提が変われば別ですけれども、その辺はひとつ押さえていっていただきたいと思います。  そこで、機材改良なんですが、これも先ほど来の御論議を聞いておりますと、一生懸命やっておるけれども、なかなか限界があるというような感じもするのです。  そこで、発生源としての機材改良という面では二つの側面があると思うのですけれども、一つはお話のございました機種転換ということで、これはいろいろと行政指導で進めているというお答えが先般もあったのですけれども、具体的にはどういう形でこの機種転換については行われているのか、改めてお伺いしておきたいと存じます。
  233. 西村康雄

    西村政府委員 先ほども申し上げましたように、一般的な促進策としては、財投なり税制というようなことを通じて低騒音機の採用ということでございますが、個別には各航空会社に対して低騒音機の導入を強く指導しておりますし、また各航空会社も特に大阪等への乗り入れに当たりましては、低騒音機を使うということに意を用いてきておりますし、そういう点ではこれからの機材は低騒音機へ進むということで、かなりの指導の効果もあるし、各社ともそういう自覚を持ってやっております。
  234. 関山信之

    関山委員 私もこれがわからないのですが、747というのは、これは低騒音機に入るのですか、高騒音機に入るのでしょうかね。
  235. 西村康雄

    西村政府委員 一応低騒音機ということで考えております。
  236. 関山信之

    関山委員 わかりました。  数字の面からもそれなりの前進があることは私も拝見をいたしておりますので、御努力をいただきたいと思うのですが、もう一つ、きょう科学技術庁からもおいでをいただいておるのですが、この間進めていらっしゃる国内の低騒音機の開発、STOL「飛鳥」の問題なのですけれども、これの進捗状況を一応御説明いただけませんか。
  237. 石井敏弘

    ○石井説明員 先生ただいま御質問の科学技術庁の航空宇宙技術研究所で開発を進めておりますファンジェットSTOLの研究開発の現状ということでございますが、このファンジェットSTOL機は短距離離着陸性と低騒音性にすぐれておる、そういったことから、短い滑走路でのジェット機の就航とかあるいはジェット機の大型化にあっても滑走路の延長を必要としない、こういったような特徴を有しておるわけでございます。これとともに空港周辺の騒音問題の軽減にも資するといったような特徴がある、このような点に着眼いたしまして、現在その技術開発を目的といたしまして、STOL実験機「飛鳥」の開発を進めているということでございます。  このSTOL実験機「飛鳥」は、STOL技術の実証と合わせまして、安全性の向上でありますとか、省力化あるいは飛行特性の向上、こういったことを目指したコンピューター飛行制御技術でございますとか、あるいは軽量化、精度の高い操縦を可能とする電気式の操縦システムといった新技術の実証をもあわせ行うということで、昭和五十二年度から基礎設計を行いまして、実験機の製作につきましては昭和五十四年度から開始しておりまして、現在、機体の全体組み立て作業の最終段階、このような段階に至っております。  なお、本年秋にはメーカーによる飛行試験を行い、その後、航空宇宙技術研究所におきまして飛行実験を行っていく、このような状況にございます。
  238. 関山信之

    関山委員 六十年度の実験機初飛行というのは、これは間違いなく可能ですか。
  239. 石井敏弘

    ○石井説明員 お答えいたします。  現在、この三月から四月にかけましてエンジン四基の組み立てということも済みまして、今後地上試験を行い、その後、先ほど申しましたメーカーによる飛行試験を、現在のところ本年秋に行うということで、現在は全体が順調に進んでおるという状況でございます。
  240. 関山信之

    関山委員 そこで、問題はこれの実用化のめどがどうなるのかということだと思うのですけれども、この辺についてはいかがでございますか。
  241. 石井敏弘

    ○石井説明員 お答えいたします。  ファンジェットSTOL機の開発ということにつきましては、先ほどお答えいたしましたように、STOL技術、その他の技術の実証ということを目的として現在開発を進めておる。このようにSTOL「飛鳥」はあくまでも実験用航空機であるということでございまして、これによって得られましたデータあるいは技術というものが、将来の実用機の開発というものに当たっての基本的な技術として有効に活用される、そのような認識を持って我々は考えております。  ただいま言いましたように、STOL実験機「飛鳥」の今後の研究開発は、本年秋の初飛行、その後に航空宇宙技術研究所におきまして二年ないし三年の開発技術の実証評価とか、あるいは各種データの取得蓄積ということを行いまして、我が国の航空技術基盤の向上に努めてまいる、このようなことを考えておる次第でございます。
  242. 関山信之

    関山委員 そうしますと、ここではいわば基礎的な技術の開発というところにとどまるわけであって、それから先はまた別な舞台でやってもらうのだということになるわけですか。
  243. 石井敏弘

    ○石井説明員 基本的な路線としては、先生御指摘のとおりでございまして、このSTOL機の具体的な実用化の見通しということにつきましては、あくまでも現在進めております研究開発の成果、こういったものの見きわめといったようなことも今後十分行って、そういったことを踏まえて、その先は考えられなければならないということで、具体的な見通しということにつきましては、今後の問題であろう。加えて研究開発を担当し、進めております一科学技術庁だけですべて対応できるわけでは決してないというように認識いたしております。
  244. 関山信之

    関山委員 つまり今までは科学技術庁独自の立場で、独自の発想でこの技術開発をやってきたということになるわけですね。
  245. 石井敏弘

    ○石井説明員 本件のSTOL機の研究開発というものにつきましては、現在、航空・電子等技術審議会という名前に変わっておりますが、昭和四十年代の後半に航空技術審議会というのがございまして、この審議会から建議を受けまして、そしてこのSTOL研究開発というものに着手した。もちろんこの研究開発に着手するに当たりましては、通産省とかあるいは運輸省等関係方面とも、それなりに事務的には話はしながらやっておるというような現状にございます。
  246. 関山信之

    関山委員 そこで、運輸省の方にお伺いをしたいのですが、航空技術何とか審議会というのですか、これはどこの所管の審議会なのかわかりませんが、一応基礎実験の予定のスケジュールが目の前に迫っているわけでありまして、これが物になるのか物にならぬのかという判断も、これはなかなか面倒なのだと思うのですけれども、運輸省としては、これから先は、さっき申し上げた科学技術庁任せだけではこの問題は進展をしないということになるのじゃなかろうか。素人考えで今のやりとりを聞いておりますと、そういう感じもするわけなのです。  そこで、このSTOLの問題というのは、低騒音機というだけではなくて、最近いろいろと話題になってきておりますコミューター空港の問題なんかともかかわって、実は私選挙区に佐渡島などがございまして、ここは八百メートルしか滑走路がないというような関係があって、騒音とは関係なしに、この「飛鳥」の存在なんかに目をつけたり何かしておるような関心の側面もあるのですが、これはどうなのですか。航空局長からお答えをいただいて、場合によっては大臣からも御決意のほどを伺わなければいかぬと思うのだが、この技術開発の今日までの状況を踏まえて、運輸省としてはどのようにお考えになっているのかお聞かせをいただきたい。
  247. 西村康雄

    西村政府委員 「飛鳥」等の低騒音のSTOL機の開発ということ自身は、私どもも大いに期待しているわけでございますが、さしあたり今各地で問題にされておりますコミューター空港というものあるいはローカルの空港の開発という観点から申しますと、正直申しまして、このSTOLのジェット機というのは非常に高価なものにどうしてもなりがちでございますし、そういう点では在来型のプロペラ型の航空機でコミューター航空をやる、これは八百メートルの滑走路でも十分飛べる機種でございますから、そういった航空機を活用していくということになろうかと思うわけでございます。STOLの低騒音機というのは、それはそれなりの一つのジャンルでございますが、また大量輸送の航空機という点から申しますと、このSTOLというよりはやはり在来の二千メートル、二千五百メートルの滑走路で飛ぶ航空機の低騒音型ということがまた要求されてくるということで、実際にこれからSTOLのジェット機が使えるという段階は、かなり開発の結果安く一般に使えるという状況が現出しないと、現実のものにはなりにくいということも事実でございます。そういう点では、まず技術開発があって、それを次にどうやって実用化していくかということを関係者で大いに研究していくということになるのではないかと思います。
  248. 関山信之

    関山委員 これは技術的なことですから、私も本当にわからぬで質問しているのですが、軍用機なんかかなり大きな機種もアメリカやソビエトあたりでは使っているようですが、この軍用機というのは銭金言わずにつくるわけですから、問題の外といえばそれまでなんですが、小さいものは確かに相対的に勘定に合わないかもしれませんけれども、つまりそういうことも含めて、この問題へのアプローチはまだしていないわけですか。
  249. 西村康雄

    西村政府委員 正直なところ、今開発をやっておられるSTOL機の将来の使い方の位置づけと申しますか、そういったものについては、まだ私どもも適当なビジョンというものを持っていないわけで、現在の航空の利用という点から申しますと、既に開発されている大型の低騒音型のジェット旅客機なり、あるいはプロペラの小型の飛行機というものを組み合わせながら使っていくという交通体系で考えている次第でございます。
  250. 関山信之

    関山委員 既に二百五十億ぐらい銭かけてこれは開発をやっておるそうですから、基礎技術の開発というのは軍事目的もあるのかもしれぬが、そっちの方に行っては困るのでありまして、いたずらに銭かけて先行き見通しがないというのではまたどうしょうもない話になるのです。しかし、事騒音に関しては、かなりSTOLというのは在来の機種よりも下がるんじゃないかなというような、数字を見ておりますと、若干そんな感じもするものですから、やはりかなり先のことではあるにしても、この問題は在来の機種転換だけではもう限界だというようなニュアンスの御答弁もあったものですから、そうだとすれば、やはり積極的に関心をお持ちになるべき事柄じゃないかな、こんな感じもするものですから。しかし、持ってみたってとても商売にならないし将来見通しがないのだという御判断があれば、それはそれなりにまたお聞かせをいただいた方がいいと思うのです。これは、私飛行機の専門家じゃないのですから、そういう意味でしかとこの時点での御判断を伺っておきたいと思うのですよ。
  251. 大島士郎

    ○大島説明員 ただいまお話ありました科学技術庁の実験機につきましては、私ども航空局といたしましても、実験の初期の段階から審議会等を通じましてお話は伺っておりまして、大変意欲的な、革新的な技術の研究だと承知いたしておるところでございます。その研究成果の動向につきましては、引き続いて私ども重大な興味と関心を持ってまいりたいと思っておりますが、一般的に申し上げますと、ある革新的な技術というものは、研究段階において成果を得ましてから実用化までには、コストの問題でありますとか、あるいは安全性の問題とか、かなり長い実用化の実験期間が必要かと思います。そういうことを考えますと、これを実用化するということについては、もう少し先の見当ではないかと考えておりまして、当面私どもも実用化については引き続き関心を持って見ていきたい、こう思っております。
  252. 関山信之

    関山委員 この問題は最後にしますが、いずれにせよ、さっきちょっと申し上げましたように、基礎技術としての段階と実用化へ向けての検討とはまた別な次元の問題だ。そこで、科学技術庁がある一定の段階まで来ているわけでしょうから、これは予定でいけばもう二、三年で一つの区切りが出てくるわけでしょうから、そういうものに備えて、後の受け皿をやはり運輸省としても積極的に対応をするということがあっていいのではないか。そこのところで今技術部長に聞いているのだけれども、強い関心を持ってということでありますから、大臣、どうでしょう、この問題について科技庁から先の部分について、運輸省としてはどうかかわっていくのか、お聞かせをいただければと思います。
  253. 西村康雄

    西村政府委員 お話しのように、開発がかなりの段階まで来つつあるということですが、これから現実の実用化という問題と取り組むという段階、実際に私どももこれを使うという立場からこの問題に取り組んでいくわけですが、現実の問題としますと、これもまず生産という段階に入るので、その点では今度は通産省が中心となって開発をするということになります。先ほど技術部長も申し上げましたように、開発の初期から運輸省もいろいろとお話に一緒になって入ってきておるわけでございますので、そういう点では今後ともよく連携をしながら見守っていきたいということですし、必要であれば、その都度私どもからいろいろな意見も申し上げて、どうかすぐれた成果をつくっていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
  254. 関山信之

    関山委員 私もそうだと思います。通産がいずれかんでくるんでしょうが、ただ、ここで申し上げている意味は、騒音問題で一番苦しんでいるのが運輸省なんだから、したがって、そこでは積極的な役割を果たしたらどうか、こう申し上げておるわけでありまして、どうかひとつそういうふうに御理解をいただいてフォローしていただければと思います。  それから、時間オーバーの問題についてもいろいろと御質問がありましたし、それなりのお答えもあってのことなんで、さらに加えてということもないのですけれども、昨年ちょっと新聞記事を読んでおりまして、大阪空港のことで大変横暴なパンアメリカン機という記事が、これは「運輸と交通政策検証」というシリーズの中で書かれておりましたものですから、先ほど御答弁が。さいました中では、機材故障だとか雪のための運航遅延だとか管制上のトラブルだとか具体的に挙げられて再発防止というようなお話がございました。国内機についてはそういうことだろうと思うのです。外国の飛行機はまことに始末の悪いものだと思うのですけれども、これについてはどんな対応をなさっているのでしょうか。  この記事の中でも書かれておりますように、「パンナムの言い分は「国際空港は二十四時間空港が当たり前」というものだ。」「大阪空港の騒音裁判も最高裁の和解調停で時間規制もフリーになったと聞いている。どだい、夜の九時で離着陸を禁止するなど、世界の航空界の常識からみてもおかしい」つまり向こう側の理屈だけで飛んでくるわけでして、先ほどこれもお話がございました航空交渉を見ておりましても、貿易摩擦の話を聞いておりましても、あちら様はあちら様の随分勝手な理屈でいろいろ物を言っているという感じが強いのですが、外国航空会社への対応というのは事務レベルだけでは決まりがつかぬのじゃないかという感じもするのですけれども、この辺はどんな対応になっているのでしょうか。
  255. 西村康雄

    西村政府委員 今お話しのような、外国航空機からすると、日本の環境問題についての理解が多少不十分だということがあるわけでございますが、実際にパンアメリカンに対しましては、この遅延の問題を取り上げまして、当方から強く指示をいたしまして、その結果、パンアメリカンの到着の時間帯を変更する、ダイヤの変更ということをしております。そういうような具体的な改善は見られております。
  256. 関山信之

    関山委員 そうすると、この新聞記事などで指摘されたようなことは問題解決済み、こう理解してよろしゅうございますね。
  257. 西村康雄

    西村政府委員 パンアメリカンの問題については解決済みということでございます。
  258. 関山信之

    関山委員 わかりました。それじゃ、発生源の問題はそのくらいにいたしまして、周辺対策の現状についてなお触れでまいりたいと思うのです。  一つは、民家防音の関係で、告示後住宅建設をされたものにはこれは適用されないということなんです。それはそうだろうと思いますが、ただこれは法律で「現に所在する住宅」となっていることなんですけれども、土地所有者については、告示以前から土地を持っていた人が告示後に家を建てたというケースなどは具体的にあるのじゃないですか。その辺の具体的な数字があれば教えていただきたいと思いますし、また土地は持っているけれども、うるさいから建てられないというような問題について、これは建物が建っておったか建ってなかったかという問題とは少し次元の違う問題として課題になるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  259. 西村康雄

    西村政府委員 告示前から土地を所有している方が、告示後に家を建てたというようなケースについては調べていないので、どれだけあるかちょっと今この場でお答えするわけにはまいらないと思います。  それから、土地の所有者としての利用が十分でなくなるということの問題というのは、御指摘のようにあろうかと思います。この法律考え方は、実際にその結果、御本人として十分な利用ができないという考え方であれば、移転をされれば、移転の意思を持たれれば、それは補償します、そういうことでこの法律としては一つの体系をつくっているわけでございます。
  260. 関山信之

    関山委員 周辺整備機構の対象の大阪福岡などでありますと、土地を買って代替地へ移ってもらうということも可能なんですが、その他の特定空港については、今の段階ではそういうことはないわけです。そうしますと、この対策ができてからそこへ土地を買い家を建てるというのは、理屈からいけば除外されてもやむを得ないということがあっても、あらかじめ将来家を建てようと思っていて家が建てられなかった、建てたということくらいは、現実にあるかどうかは私持っているわけじゃありませんけれども、そういう救済措置があってしかるべきじゃないかと思うのです。私は、今民防が一段落ついて、新たな段階に移る節目でもあるように思うものですから、この時期にあえてこの問題も取り上げているわけですけれども、いかがでございましょうか。
  261. 西村康雄

    西村政府委員 確かに御指摘の問題は研究すべきことかもしれませんが、現在の考え方は、騒音の著しい二種区域の区域円では、既にあれば、それは買い取りをするということで、不十分かもしれませんが、そういう形で処理をすることが法の考え方でございます。
  262. 関山信之

    関山委員 二種区域のことを聞いていません。一種区域のことを聞いているのです。民防というのは一種区域をやっているのでしょう。
  263. 西村康雄

    西村政府委員 一種区域につきましてはそういう対策がとられておりません。
  264. 関山信之

    関山委員 ですから、今ここで直ちにわかりましたということにもならないのかもしれませんけれども、告示前からその地域に土地を持っていた人については、先日来御議論があったように、当時そこに現に住宅を持っていなかった人と同じに切って捨てられても問題が残るのじゃないかと思いますので、これについては御検討いただいて何らかの対応をされる必要があるのじゃないですか。たまたまそういう具体的な例が今下から上がってないとすれば、それはそれでいいですけれども、しかし、そういうものが絶対ないとは言えないと思うのです、全国まさに何万戸かの人たちがいるわけですからね。
  265. 西村康雄

    西村政府委員 今御指摘いただきました問題点につきましては、今後研究させていただきたいと思います。
  266. 関山信之

    関山委員 設備の更新の関係についても、これまた御議論がありまして、いろいろな観点から慎重に見直していきたいということなんですが、ただこれもやはり御答弁にありましたように、事情はさまざまでありまして、私、新潟なものですから、特にそういう感じがあったりして、ときどきそういう問題を持ち込まれるのですけれども、海岸周辺なんかですと、塩害の関係がありまして非常に腐食が早くて、結局責められるのは地方自治体なんですよ。市役所なんですよ。これはどこの自治体でもそうだろうと思うのです。ですから、私も先ほど来の御答弁の中身を全面的に否定するつもりもないのですけれども、それなりの事情の勘案というものはあってしかるべきじゃないかと思うのです。この点はいかがでしょうか。
  267. 西村康雄

    西村政府委員 新潟等の塩害というのは、実は私ども余り意識しておりませんで、今御指摘でなるほどと思いました。実際に、周辺整備機構のないところでは、民防工事の問題等地方公共団体にいろいろとお世請願っております。その接触面ではいろいろな問題を聞いておられると思いますが、そういう問題等を含めまして、具体的、個別的な対応ということが騒音対策周辺対策として非常に重要だという理解をしております。今後、今お話しのようなことも含めまして、きめ細かな対策をするということでやってまいりたいと思います。
  268. 関山信之

    関山委員 生活保護世帯の維持費の関係もこれまた出ておりましたが、五十四年以来大蔵に要求している、こういう時世ですからなかなかうんと言わないのでしょうが、この折衝の中身といいますか、過程といいますか、この辺は、理屈はわかった、だけれども銭がないというのか、まるきり門前払いなのか、どんなことになっているのでしょうか、差し支えなければお聞かせいただきたいと思うのです。
  269. 西村康雄

    西村政府委員 全体の財源の問題等の見地が主で、なかなかそこまで手が回らないというのが実情でございます。
  270. 関山信之

    関山委員 これは金額的にはそう大きなものじゃないと思うのですが、全国の数字を集めていらっしゃいますか。
  271. 西村康雄

    西村政府委員 金額自身としては六千万円ぐらいでございますが、正直申しますと、いろいろな対策のバランスということがあって、これを認めるとあれはどうだというようなこと、いろいろと連鎖反応があるものですから、そういう点で、細かいものでもある程度後回しというものが出てくるということでございます。
  272. 関山信之

    関山委員 今それぞれの自治体がどういう対応をしているか、私もきちっと調べておりませんが、それぞれの自治体単独で措置しているところなんかもかなりあるのじゃないかと思うのですけれども、財源の国と地方の分担の問題が今まさにいろいろ議論になっているところですから、そこはそれとして、せめて生活保護世帯ぐらいは、やはり原因者負担の原則を貫いてほしいということを申し上げておきたいと思います。  それから、周辺対策の今後の課題についてなんですけれども、法改正のねらいですね。意味があるじゃないかないじゃないかという議論もあるのですけれども、一応二つの機構を統一して一元化することによって合理化するのだ、これが一つと、もう一つ、全国的な展開をにらんだ新しい体制づくりだ、こういう御発言があって、私は、これから進めていく仕事の中身からいえば、必ずしも直接お役所がやることがいいかどうか、例えば用地買収でありますとか代替地の造成だとか移転とかというようなことも含むとすれば、かなり民間的な手法というものが役に立つことではなかろうかと思ったりもするのですけれども、まずは何が一番最重要課題かということについての御認識をお聞かせをいただきたいと思うのですが、大臣、いかがですか。
  273. 西村康雄

    西村政府委員 まず、今後の環境対策としますと、緊急対策である民家防音工事というのをともかく完成するという第一の課題。この課題の次にまいりますのが、やはり移転跡地を含みます。辺対策ということで、空港周辺整備機構が四十九年に設立されたのもそういう趣旨からでございます。本来の周辺整備対策というものをこれから一生懸命取り組んでいくということが今の当面の課題になろうかと思います。
  274. 関山信之

    関山委員 そこで、周辺対策といいましても、いろいろと事業そのものはあるわけなんですけれども、補償と土地利用、皆さん方がお出しになっている参考資料に即して言えば、空港周辺対策は大きく分けて土地利用と補償などに分けられるということになっておるわけなんですけれども、私は、やはり基本的に、計画的な空港周辺の土地利用というものが将来に向けて進められなければならないのじゃないかなという感じもするのです。     〔委員長退席、津島委員長代理着席〕 そこで大阪福岡、そしてこの間の御議論では名古屋というのが周辺整備空港に、これは大阪福岡周辺整備空港になっているわけですが、これに名古屋も近い将来追加をする可能性があるというようなお話でもあるのですけれども、これは言うなれば、特定空港全体についても、これはもう周辺整備計画を持ってきちっと将来に向けて空港周辺というものを整備をしていくということが基本的な対策じゃないか。民防工事なんというのは、これは後始末の行政なわけですから。  そこで、まず伺いたいのは、法的に、この法律では、この周辺整備空港を拡大をしていく法律的な制約というのは、私の読む限りではないのじゃないか、こう思うのですが、この点はいかがでしょうか。法律上は「市街化されているため、」こうなっておりますが、資料などを拝見いたしますと、市街化されており、また市街化すると予想されるためといいますか、市街化が予想される地域というものがいわば政策判断としてこれにつけ加えられていくということになっているわけですけれども、法律的な制約はないというふうに考えてよろしゅうございますか。
  275. 西村康雄

    西村政府委員 周辺整備空港の指定ということは、今回の法律改正では特別に改正しておりませんので、従前どおりの考え方でやるわけでございます。具体的には、九条の三の第一項で指定要件が書いてございます。そこでは運輸大臣の管理する一種空港、二種空港ということでございますし、また一種区域が既に指定されているということでありますし、それからさらに「第一種区域が市街化されているため、その区域について、新たに航空機の騒音による障害が発生することを防止し、あわせて生活環境の改善に資するための計画的な整備を促進する必要があると認められるもの」となっております。こういった点で、「生活環境の改善に資するための計画的な整備」というのがこの指定の要件でございまして、それは今お話しのように、これから航空交通の量がふえでまいりますと、そういうことを必要とする空港は出てくるものと思います。
  276. 関山信之

    関山委員 少なくともこの法律の条文に関する限りは、民防工事などをやっている特定空港についても、これは法律的な制約はないというふうに理解してよろしいのかどうか。それから逆に自治体などが周辺整備計画というものを持って、自治体独自にそういう計画を持って、運輸省に指定を求めるというようなことがあった場合の対応などはどういうことになりますか。
  277. 西村康雄

    西村政府委員 法律のあり方としますと、従来と同様でございますので、今後とも周辺整備空港として必要なものがあれば指定していくということでございますし、具体的にそういう客観的な必要があって地方公共団体が積極的な周辺整備計画をお持ちのところがあれば、それは国も積極的に対策に取り組んでいきたいというふうに思います。
  278. 関山信之

    関山委員 わかりました。  そこで、今回の法律特定空港について緑地帯の造成だけ入れているのですね。これはどういうことだったのでしょうか。やはりそこまでしか目下のところは――これは委託を受けた場合というのですから、別に委託を受けなければそれぞれがやってもいいということになるのでしょうけれども、特にこの事業だけを入れたねらいというのは何なのか。それから各自治体が直接的に対応するときと機構に委託をした場合と、どういう違いが出てくるのか。自治体の側からいえば一体メリットはあるのかないのかということについてお聞かせ願いたい。
  279. 西村康雄

    西村政府委員 民家防音工事等はこれで大体終わりますので、特に受託の問題というのは、他の特定飛行場からの受託の問題というのは大体必要性がなくなってくるということで、先ほど申しましたように、これからの各飛行場の問題というのは、やはり緑地帯整備ということが中心になっていこうかと思います。それで、特にこういうものを受託の事業にいたしましたのは、周辺整備機構が既に緑地帯整備というのを長年手がけてまいりまして非常なノーハウを持っているわけでございますから、そういうノーハウを活用するということは、各地方公共団体、地元におきましても非常に有利なことでございますので、そういったものについては周辺整備機構の能力を活用する道を開いておこうということで、恐らく各地方公共団体もかなり面倒くさいような仕事につきましては、この周辺整備機構に委託するというような事例が出てくるものと思います。
  280. 関山信之

    関山委員 さらに言えば、周辺環境基盤施設整備事業ですね、こういうものだって取り入れていったらいいんじゃないですか。財源問題は別ですよ。別ですけれども、物の考え方として、今こういうふうに機構を一元化をしていこうということの中に積極的な意味合いがあるとすれば、この種のものも取り入れていってもよかったのじゃないか。今後むしろそういう問題についても積極的に対応していくべきじゃないか、こう思うものですからお尋ねをしておるわけです。
  281. 西村康雄

    西村政府委員 確かに立法のあり方としては、周辺環境基盤施設のようなものも含めまして受託の道を開くということもあろうかと思いますが、これらの施設の整備というのは、実は地方公共団体が固有の業務としてやっている分野でございますので、とりあえずは、どちらかと申しますと、空港設置者サイドの緑地化の問題というのをまず周辺整備機構業務にしたわけでございます。もう少し地方公共団体からの要望がそういうところに具体的に出てまいりますれば、将来の問題として検討することもあろうかと思います。
  282. 関山信之

    関山委員 先ほど申し上げましたように、後追いの政策からどこかで一つめどがついたところで積極的な対応へ転換をしていくということがなければ、この空港騒音問題というのは、まことに非生産的な話はかりじゃ困る、こういうことなんでありまして、そういう点で、土地規制まではなかなか容易にいかぬでしょうけれども、せめて計画的な土地利用というものについては、これは皆さん方が諮問をされた何とか懇談会ですか、そこらあたりでも都市計画的な手法も取り入れてというような指摘もあるわけでして、この周辺対策の体系の中で言えば、もう一つランクを上げて計画的土地利用というところまでは、これはそれに対応する空港周辺整備計画の実施というものとのかかわりで、いわゆる特定空港あたりを、全体をカバーしながら前向きにひとつ積極的に取り組んでいく必要があるんじゃないだろうか、こんなふうにも思うものですから、ぜひひとつそういう観点からこの問題について改めての御決意のほどをいただきたいと思うのです。  あわせて本社機能、本社をどこにするのか決まらないという話がずっとありましたが、本社機能というのは出発時に一体どんなものが予想されているんでしょうか。これはちょっと事務的なことですが、質問し忘れたものですから、お伺いしておきたいと思います。
  283. 松村義弘

    ○松村説明員 新機構本社機能といたしましては、予算事業計画の策定、決算の調製、職員の人事、勤務条件及び服務の基本に関する事項、理事会及び評議員会の庶務等の事業の執行が考えられます。
  284. 西村康雄

    西村政府委員 周辺の土地の計画的利用という手法は、御指摘のように、大変今後の周辺整備におきまして基本的な問題だと思います。そういう意味では周辺整備機構のございます空港につきましては、都道府県知事が周辺整備計画を決めるということになっておりますので、その中でさらに都市計画等の手法の活用によりまして、これまで移転跡地をただ管理していく……(関山委員特定空港のことを聞いているのです」と呼ぶ)周辺整備空港につきましてはそういうことでございます。  ただ、特定飛行場につきましては、まだ計画整備という形の枠組みができておりません。ただ事実上、地方公共団体が都市計画等によりまして、そういう形で整備するということは考えられるわけでございますので、私どもも周辺整備空港に至らない特定飛行場につきましても、各府県にそういう体制をとっていただけるものはぜひそういう形でやっていただくようお願いしてまいりたいと思います。
  285. 関山信之

    関山委員 私が今一連の指摘を申し上げていることは、周辺整備空港にとどまらず、この騒音対策の対象となる空港については全体的な対応をしていくべきではないですかということですから、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。  時間も過ぎていきますが、これは大臣にお伺いいたしますが、今回の機構の法案もそうなんですが、この国会の、運輸委員会の法案というのは、全部が全部と言っていいほど臨調行革絡みで、何でこの法律を成立させなければならないんだろうかと時には考えたくなるような法律ばかりぞろぞろ出てくるわけですよ。日タにしても、これはいずれもう一つターミナルをつくってから民営化しなさいよといっただし書きまでもついていたのが、これがすっと乗ってくる。あるいはこの後出てくる観光振興会法なんというのも、これ一体どこに何の目的があって――それは法律改正をする側からすれば、それなりに理屈はつけますよ。だけれども、その理屈のつけ方がいかにも無理なんだな。言ってみれば、臨調行革であるいは行革審で指摘をされたからしょうがないから法律改正するほかないや、こんな感じさえするわけですね。もちろん内閣は臨調答申を最大限尊重するという立場がおありになることはわかりますが、しかし、そうかといってこうやたらとその種の法律が重なってきますと、一体どういうことなんだ、こういう感じが正直な話するんですよ。この点については、行革指摘事項というのはこのほかにもたくさんあるわけですが、後でお伺いもしますけれども、これは一方的な追随の感が非常に強いのです。あるいはまた数合わせです。今回の関西空港に伴う日タの問題なんというのは、明らかにそういう関係に立つわけでして、こういうものについて一体運輸省独自の行革方針はあるのか。私どもだって政府が出している行革臨調反対と言ってみたって、本当の意味で行革臨調というのは、また別なサイドで必要だと考えているわけですから。しかもこれが運輸省やあるいはこの運輸委員会、国会の場の議論をそっちのけにしてどんどん外側から持ち込まれてくる。このありようというのは非常に私どもにとっては許しがたいことだ、こういう感じもするわけですけれども、大臣、いかがでございますか。     〔津島委員長代理退席、委員長着席〕
  286. 山下徳夫

    山下国務大臣 先生のおっしゃるような気持ちが私全くないわけではございません。正直なところ、やはり伸び伸びとやらしてみたいなという気持ち、私はあるんでございますよ。しかし、これは会社だって家庭だって貧乏なときにはどこか始末しなければならぬなというのと同じような原理ではなかろうかと思いまするが、特に特殊法人等に対する臨調の答申の趣旨というものが、社会経済情勢の変化に対応して的確な改革を進めていくため、その廃止、民営化、事業の縮小等を提言した、こういうことでございますので、政府といたしましては、この臨調の答申を最大限に尊重するというのが現内閣の建前でもございますので、私どもやむを得ないところかなと思っております。同時にまた、政府機構というものは国民の税金で成り立っているわけでございますから、もしもむだなものがあるとするならば、当然むだなものは切り捨てていかなければなりませんし、合理化という面でも推進していかなければならないと思います。したがいまして、そういう観点から運輸省としてもさらに独自のそういう一つの案というものがないかとおっしゃる、その点については、私ども最初から、許認可官庁から政策官庁へと脱皮していろいろと機構改革をやった矢先でもございますし、さらにひとついろいろな面から検討してまいりたいと思います。
  287. 関山信之

    関山委員 よくもおっしゃったんで、私もそのことを言おうと思ったんですよ。政策官庁に脱皮したんですからね。ですから、大臣、そういうお気持ちであれば、運輸省だって、行革やるなら、あるいは事務事業の見直しをやるなら、こっちはこっちで一つ考え方を持ちますよぐらいのことで、きちっと省内でそういう問題の整理をやってごらんになったらいかがですか。もしやっていらっしゃるならお聞かせをいただきたいのですけれども、行革審指摘事項は一体どのくらいありますか。そして今後法律改正を伴うもの、伴わないもの含めて、今後のこの種の問題の処理の日程はどういうぐあいに展開していくのですか。これは大臣でなくて結構ですけれども、官房長ですか。
  288. 永光洋一

    ○永光政府委員 臨時行政調査会の運輸省関係でどういう指摘があるかということ、あるいは今後の処理の方針のお尋ねでございますが、大きく分けまして、指摘事項の中で、運輸省の内部部局の再編成、それから地方支分部局等の整理合理化、それから特殊法人等の整理合理化、さらに陸運関係の地方事務官制度の廃止、許認可の整理合理化あるいは許認可権限の移譲問題、こういうものが大きく分けられると思います。  この中でもう相当のものを処理いたしておりまして、御案内のように、本省内部組織あるいは陸運局、海運局の統合の地方支分部局につきましての再編成につきましては、去年の七月に機構改革を行いましたし、それから陸運関係の地方事務官制度につきましては、これを六十年の今月から、四月から廃止されております。また許認可の整理合理化あるいは権限の地方移譲につきましても、臨調で指摘されました事項につきましてはほとんど措置をいたしております。さらに特殊法人等の整理合理化につきましては、今国会でお願いをいたしておりますこともございますが、軽自動車検査協会あるいは日本小型船舶検査機構につきましての民営化という問題が提起されておりまして、これらにつきましては、それぞれ条件等を検討いたしまして、また今後六十年度末お願いをいたしたいということで、現在検討をいたしておりますし、さらに地方支分部局等の末端の支所、出張所等の整理につきましても、逐次これを行っているところでございます。
  289. 関山信之

    関山委員 どうしても抽象的になってしまうのでしょうが、これは六〇行革大綱とでも言うのでしょうか、具体的になっている問題についてそれぞれ個別にお尋ねいたしたいと思います。  五十九年十二月二十九日の閣議決定に従って、一つは海員学校の縮小の問題があります。これは六十年三月末ですから、もう既に御方針が固まっているはずなんですが、どういうところまでいっているのか、ちょっと御説明いただきたいと思うのです。
  290. 武石章

    ○武石政府委員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、昨年の暮れの閣議決定で、三月末までに具体的な結論をということになっておったわけでございますが、政府部内でのいろいろな検討の過程で、一つは海員学校の行政監察が実は昨年度じゅうかかって行われておりまして、その結論が、報告書が近々出るということになっておるわけでございます。その絡みがございまして、細かいところまでの検討は、その出た結果を踏まえて結論を出したいということになっております。ただ、それだけでは閣議決定の趣旨に必ずしも沿うものではございませんので、現段階で関係省庁の間で話し合いをいたしまして、一応決定している内容がございます。  その一つは、養成規模につきましては、中長期的な船員需給の見通しとかあるいは近年における定員の充足状況あるいは就職の状況というようなことを総合的に勘案しまして、その縮減を行う、行革の方向である程度の改革を進めるという基本的なことを再確認したということが第一点でございます。  それから第二点は、学校制度につきましては、船舶の高度技術化あるいは船内職務体制の変化、高校進学率の向上というようないろいろな社会的な情勢の変化、そのほかの状況の変化がございますので、それに対応して修業年限の見直しとか入学資格を変えるとか、そのほか教育内容の見直しを行うということで前向きの改革を行うことを決めております。  それからもう一つ、これらのことを踏まえまして、少なくとも海員学校については二校を廃止するということにいたしまして、当該校については六十一年度の生徒募集は行わないというような内容の決定を行っております。  このためには、もちろん整理再編に伴いまして、要員の縮減その他の必要な措置があるわけでございまして、それについても実施する。ただし、この決定に基づきまして、具体的に廃止されることになる学校はどの学校であるかということにつきましては、まだ結論を出すに至っておりません。ただ、六十一年度の入学生というものについて生徒募集その他の事前にやらなければならないことがたくさんございます。それから施設の整備についての計画だとかカリキュラムの変更等についてのいろいろな具体的な詰めがございます。そういうものをやりながら来年、六十一年度の入学生にかかわる生徒募集に支障がないように、できるだけ早く基本的な内容を固めるということで関係省庁との間で合意を見ておるところでございます。  以上でございます。
  291. 関山信之

    関山委員 ちょっといま何校とおっしゃったのですか。
  292. 武石章

    ○武石政府委員 少なくとも二校と申しました。
  293. 関山信之

    関山委員 少なくとも二校。  この海員学校の問題は、海運関係の今日的な状況もあってなかなか入学者が満杯にならないとか、卒業しても就職が思うようにいかないという問題があるようです。しかし、海運国日本として将来に向けてのことを考えますと、ただ人の集まりが悪いからというだけで切って捨てられるものじゃないんじゃないかという感じもいたしますし、これはまだ最終的な結論が出ておらぬようでありますが、学校の問題というのは、きょう足らないからあす間に合わせようといったって、そういうわけにいかないわけでありまして、慎重な対処をぜひとも強く要望しておきたいのです。  それから、港湾建設局はどうですか。
  294. 永光洋一

    ○永光政府委員 港湾建設局の工事事務所につきましては、これも地方支分部局の整理合理化の一環としまして、閣議決定に基づきまして、五十九年末までに一カ所整理統合し、それからさらに六十三年までに四カ所を整理統合するということになっておりまして、まず五十九年度でございますが、横須賀の工事事務所を整理統合いたしましたし、さらに昭和六十年度においても一カ所を整理統合いたしたいということで、現在第一港湾建設局の七尾港の工事事務所を整理統合するということにいたしております。
  295. 関山信之

    関山委員 それからもう一つ、これは五九大綱からの引っ張りなんですけれども、運輸局の九ブロックを八ブロックにという話があるのですが、これは五九大綱には書かれておりますけれども、六〇大綱には落ちているのですね。これで大体落ちついたのかというふうに私どもは思うのですが、なおしかし、五九大綱の問題は残っておるよということになるのかどうか。これは私どもも多少地元にかかわることであったものですから関心も強かったのですけれども、運輸省としても何としても九ブロックを守ってほしいということも含めて、ひとつどういう状況になっておりますか、お答えをいただきたいと思うのです。
  296. 永光洋一

    ○永光政府委員 地方の運輸局の問題でございますが、確かに五九大綱で触れておりますが、六十年度には触れておりません。五十九年度にそういう閣議決定をいたしまして、九ブロックであるが、なお八ブロックについては六十年度末までをめどにして検討するというふうになっておりまして、その閣議決定自体は、まだそういう考え方はあるわけです。政府部内に統一的に考え方はあるわけでございます。ただ、我々としましては、昨年九ブロックで地方の交通行政をやっていきたいということで発足したばかりでもございますし、確かに先生と御関係のある地区におきましての拠点である新潟地区につきましても、それぞれの地区の特殊事情もございまして、やはりあそこに地方運輸行政の中核となる局が必要だということで設置をいたしたわけであります。  ブロック制の問題につきましては、五十九年の大綱で閣議決定があり、今後検討するということになっておりますので、さらに引き続きその検討はいたしたいと思いますけれども、慎重に検討いたしたいということで、気持ちとしましては、先生の気持ちも十分御理解できますし、我々としても、今後検討の段階で、それぞれの地域の特性等を勘案しながら検討してまいりたい、かように思っております。
  297. 関山信之

    関山委員 なお、ちょっとつけ加えて、これは六十年度中に検討すると言っておりますが、廃止せいとは言ってないのですから。そうですね。そういうふうに理解をしていらっしゃるのでしょうね、五九大綱。
  298. 永光洋一

    ○永光政府委員 そういうふうに理解をしておるとまではちょっと申しかねますけれども、そういうものも含めての検討だというふうには考えられないこともないと思います。
  299. 関山信之

    関山委員 大臣、最後に具体的に少し生臭いテーマも挙げましたけれども、いずれにいたしましても、さっきの御答弁にありましたように、言われっ放しで、はい、はいじゃこれは困るわけでして、ぜひとも改めて大臣のさっきの御答弁の前段の部分でひとつ御決意をいただいて、少し時間も残りますが、私の質問を終わりたいと思いますので、最後にひとつ運輸省としての強い御決意をいただきたいと思います。
  300. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほど答弁いたしましたものとの重複を避けて申し上げたいと存じますが、何といったって私どもやはり今の内閣というものは臨調の答申を最大限に尊重するという大前提に立っております。したがって、なかなか私どもとしても、これを尊重するという建前から、思うに任せない点が全くないわけじゃございません。しかしながら、今御指摘ございました幾つかの整理統合等につきましては、あくまで合理性というものを尊重しながら、ひとつ公正無私にやってまいりたい。  特に、海員学校につきましては、連日陳情を受けまして、実は私の頭の痛い一つの問題でございますが、こういう専門職業課程というものはつぶしが――つぶしがきかぬと言うとちょっと言葉が悪うございますが、いわゆる卒業した生徒たちの汎用性が比較的少ないということから、需要ということを第一に考えていかなければなりません。そういう意味におきまして、今七千万トンも船が余っている時期に、今後の需要は一体どうなのかということを考えますと、せっかく習得した専門課程を生かせる、そういう就職をさせるための一つの需要に見合ったものという立場からやらなければなりませんが、二校の廃止については、今行政監察をやっておりますので、そういうものに基づいてひとつ公正無私にこれは決めなきゃならぬ、かように思っておる次第でございます。  全般的に、行監の答申にもかかわらず、私どもは行政サービスが低下することがあってはいけない、これは言い聞かせながらこれらに対応してまいりたいと思っております。
  301. 関山信之

    関山委員 終わります。
  302. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  303. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  304. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  305. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 この際、本案に対し、久間章生君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。久間章生君。
  306. 久間章生

    ○久間委員 ただいま議題となりました公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項につき、適切な措置を講すべきである。  一 機構統合によって大阪国際空港及び福岡空港周辺地域における空港周辺対策が後退することのないよう新機構の組織、経営等について適切な配慮がなされるよう新機構を指導すること。  二 未利用の移転補償跡地等の用地について積極的に有効活用を図ること。  三 空港周辺地域の調和ある発展を図るため、緑地帯整備、再開発等の空港周辺整備事業の一層の推進を図ること。  四 航空機騒音に係る環境基準の達成を図るべく、今後とも空港周辺対策、発生源対策等の航空機騒音対策の一層の推進を図ること。  五 航空機騒音対策の実施に要する経費について、原因者負担の原則に基づ財源の確保を図ること。   右決議する。 以上であります。  本附帯決議は、当委員会における法案審査の過程におきまして、委員各位からの御意見及び御指摘のありました問題点を取りまとめたものでありまして、本法の実施に当たり、政府において特に留意して措置すべきところを明らかにし、今後の航空機騒音対策の実施に遺憾なきを期そうとするものであります。  以上をもって本動議の趣旨の説明を終わります。(拍手)
  307. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  久間章生君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  308. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。運輸大臣山下徳夫君。
  309. 山下徳夫

    山下国務大臣 ただいま公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、慎重な御審議の結果、御可決いただきまして、まことにありがとうございました。  また、決議されました附帯決議の内容につきましても、その御趣旨を十分尊重し、誠意を持って実施に当たる所存でございます。     ―――――――――――――
  310. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  311. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  312. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 内閣提出国際観光振興会法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、九州運輸局福岡陸運支局自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件の両案件を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。運輸大臣山下徳夫君。     ―――――――――――――  国際観光振興会法の一部を改正する法律案  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ   き、九州運輸局福岡陸運支局の自動車検査登   録事務所の設置に関し承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  313. 山下徳夫

    山下国務大臣 二案を一括して、その提案理由の説明を申し上げたいと存じます。  ただいま議題となりました国際観光振興会法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  国際観光振興会は、外国人観光旅客の来訪の促進及び日本人海外観光旅客の旅行の円滑化に必要な業務を効率的に行うことにより、過去二十数年にわたり国際観光の振興に大きな役割を果たしてまいりました。  近年の我が国をめぐる国際観光は、訪日外国人数及び出国日本人数の増加という量的な面のほかに、質的にも旅行者のニーズの多様化等種々の変化があらわれてきているところであります。  このような状況の変化のもとにあって、国際観光振興会が、その与えられた使命を十分に果たし、今後とも国際観光の振興に寄与していくためには、常に国際観光事情の変化に対応して、組織、経営の活性化、効率化を図っていく必要があります。  このため、政府といたしましても、これらの状況、先般の臨時行政調査会の答申等を踏まえ、今回、国際観光振興会法の改正を行い、役員の任命方法及び任期を変更し、日本人海外観光旅客に対する業務について国民への行政サービスの低下を来すことのないよう配慮しつつ整理合理化する等の措置を講ずることとするものであります。  以上がこのたびこの法律案を提案することといたした趣旨でありますが、これにより、国際観光振興会の効率化、活性化が図られ、もって国際観光の振興に資することとなると信ずるものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、副会長及び理事の任命及び解任についてであります。現在は、運輸大臣がこれらを任命及び解任することとされておりますが、これを運輸大臣の認可を受けて、会長が任命及び解任することといたしております。  第二に、理事の任期を現在の三年から二年に変更することといたしております。  第三に、日本人海外観光旅客に対する業務を、旅行の安全に関する情報の提供等の業務に整理合理化することといたしております。  第四に、運輸大臣承認を受けた財務諸表を各事務所に備えておかなければならないこととすることといたしております。  第五に、日本人海外観光旅客に対する業務を整理合理化することに伴い、目的条項に所要の改正を加えることとしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、九州運輸局福岡陸運支局自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件の提案理由につきまして御説明申し上げます。  この案件は、福岡県の筑豊地域における自動車の検査及び登録に関する事務の円滑化を図り、あわせて当該地域の住民の利便を増進するため、福岡県嘉穂郡庄内町に、九州運輸局福岡陸運支局の下部組織として、筑豊自動車検査登録事務所を設置しようとするものであります。  自動車の検査及び登録に関する事務につきましては、従前は都道府県の組織であります陸運事務所並びに陸運事務所の支所及び出張所において行われてまいりましたが、昨年八月に成立いたしました道路運送法等の一部を改正する法律が本年四月一日から施行されたことに伴いまして、これらの組織は、それぞれ運輸省の地方支分部局である地方運輸局の陸運支局及び陸運支局の自動車検査登録事務所に衣がえし、事務もそのまま引き継がれております。  このため、本年四月一日以降新たに設置される自動車検査登録事務所等につきましては、その設置について国会の御承認をいただく必要が生じてまいったわけであります。  以上の理由によりまして、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、九州運輸局福岡陸運支局自動車検査登録事務所の設置に関し国会の御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
  314. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十六日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会