○渡辺
説明員 お答え申し上げます。
まず第一点の今回の事故に対する
認識並びに外務省としてどういう措置をとったかという点でございますが、私
どもといたしましても、公海の海上で労務提供という形で日本人の乗組員が乗った船が攻撃されて日本人に死者が出たということは極めて遺憾なことだと思っておりますし、また事故の起こり方が起こり方でございますので、極めて重大な関心を持って本件を受けとめております。
外務省がとった措置につきましては、幾つかございますけれ
ども、一昨日外務省の三宅中近東アフリカ
局長が在京のイラン大使を外務省に招致いたしました。そして、まだ現時点ではイランがやったということについて断定的に確認はできておりませんけれ
ども、諸般の情勢から判断するとイランがやった可能性が大きい、ついてはその事実
関係について早急に
調査して、かつ早急に誠意ある回答を
示してほしいという申し入れを行いました。それからあと、現地の我が方の在イラン大使及びイラクの大使を通じましても、それぞれイラン
政府、イラク
政府に対して同様の申し入れを行っており、目下先方の回答待ちという
状況でございます。
それから、他方アラブ首長国連邦におきましては、我が方の野見山大使が事故直後直ちにアブダビから船が入港いたしますドバイに向かいまして、そこで船に乗り込んで事情聴取するとともに、野見山大使がアラブ首長国連邦のモハメドという国防
大臣と会見いたしました。そしてその会見の場で、アラブ首長国連邦の
政府が今回の事故が発生した後の事後処理について極めて好意的、
協力的な措置をとってくれていることについて謝意を表明いたしますとともに、こういう事故が今後とも起こることも予想されるので、ひとつ安全
対策についてよろしく配慮願いたいという申し入れを行った次第でございます。
それから、第二番目の労務提供船の問題でございますけれ
ども、私
どももこういう形で日本の
船員が外国籍の船に乗り組んでいることはもちろん
承知いたしておりました。
それから、第三番目の外交
関係に関するところでございますけれ
ども、まず日本とイランとの
関係、これは御
承知のとおりイランはイラン革命後、あるいはアメリカ大使館の人質事件というようなことがありまして、国際的にどちらかというと孤立している傾向が強い。特にいわゆる西側諸国といわれるような国とは余り
関係は強くないのでございますけれ
ども、そういう中にありまして、日本は一昨年安倍
大臣がイランを訪問されましたことからもわかりますように、極めて強いバイの、二国間の話し合いのパイプを持っているということでございます。それから
経済関係もそれなりに緊密であるということでございます。
それから、他方イラクにつきましても、もちろん外交
関係もございますし、それから
経済関係も、最近はちょっと縮小したような面はございますけれ
ども、依然として重要な
関係がございます。
それから、戦争の問題の中でイランとイラクの間の
関係をどう保っていくかというのは非常に難しい問題があるわけでございますけれ
ども、日本としては、戦争については中立の
立場を維持しつつ、かつイラン、イラクとの話し合いのパイプというものを活用して、何とかイラン・イラク紛争が早期に平和的に解決されないものか、側面的に、平和のための環境づくりと称しておりますけれ
ども、できるだけの
努力をしているということでございます。
それから、イランとクウェートの
関係につきましては、もちろんいわゆる交戦国ではございません。ただ、御
承知のとおりクウェートはアラブ陣営の一員としてアラブの連帯という観点から、少なくとも道義的な支援をイラク側に与えている。ただし、クウェートといたしましても、イランという国に対する配慮もございますので、イランとの
関係でも非常に気を使っているというのが実情かと思います。