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1985-03-25 第102回国会 衆議院 安全保障特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年三月二十五日(月曜日)     午後零時九分開議 出席委員   委員長 森下 元晴君    理事 小渕 恵三君 理事 椎名 素夫君    理事 玉沢徳一郎君 理事 三原 朝雄君    理事 上田  哲君 理事 前川  旦君    理事 渡部 一郎君 理事 吉田 之久君       大村 襄治君    奥野 一雄君       加藤 万吉君    神崎 武法君       山田 英介君    東中 光雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 加藤 紘一君  出席政府委員         防衛政務次官  村上 正邦君         防衛庁長官官房         長       西廣 整輝君         防衛庁防衛局長 矢崎 新二君         防衛施設庁長官 佐々 淳行君         防衛施設庁総務         部長      梅岡  弘君         外務政務次官  森山 眞弓君         外務省北米局長 栗山 尚一君         外務省情報調査         局長      渡辺 幸治君  委員外出席者         特別委員会第三         調査室長    鎌田  昇君     ————————————— 委員の異動 昭和五十九年十二月十三日  辞任         補欠選任   関  晴正君     奥野 一雄君   安井 吉典君     加藤 万吉君 同月十八日  辞任         補欠選任   中川 嘉美君     神崎 武法君   橋本 文彦君     山田 英介昭和六十年一月二十四日  辞任         補欠選任   坂田 道太君     綿貫 民輔君 二月十五日  辞任         補欠選任   綿貫 民輔君     大村 襄治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国の安全保障に関する件      ————◇—————
  2. 森下元晴

    森下委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  外務大臣から、我が国安全保障問題について、また防衛庁長官から、最近の国際軍事情勢及び我が国防衛政策について、それぞれ説明を求めます。安倍外務大臣
  3. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 衆議院安全保障特別委員会開会に当たりまして、我が国安全保障問題につきまして、所信一端を申し述べたいと思います。  まず、今日の国際社会においては、各国間の相互依存性が高まってきており、我が国の平和と繁栄は、世界の平和と安定と切り離して考えられないものとなってきております。我が国安全保障考えますとき、第一に必要なことは、我が国を取り巻く国際環境を平和で落ちついたものにすることであります。そして、そのために我が国が果たすべき役割は、近年、我が国国際的地位が向上するに伴いますます増大してきており、また、国際的な期待もますます高まっております。  このような状況認識もとに、私は、この二年間、外務大臣として、世界の平和と繁栄を積極的につくり出すことに貢献するための外交、すなわち「創造的外交」を展開してまいりました。私としては、この「創造的外交」の推進は、私自身の重大な使命であると考えており、今後とも引き続き、このため全力を尽くしてまいりたいと考えております。かかる観点より、インドシナ中米等地域における紛争につきましては、関係諸国との話し合いを通じて、その平和的解決を図るための環境づくりに今後とも努めてまいりたいと思います。また、イラン・イラク紛争につきましては、我が国としては、湾岸地域の安定が世界の平和と安定に重要であるとの認識から、航行安全確保等重要性を強調した昨年の国連演説趣旨を踏まえ、引き続き紛争の拡大の防止及び和平への環境づくりに忍耐強く努力していく所存であります。  我が国がその国際的役割を担っていくためには、政府開発援助の一層の拡充が必要であります。我が国としては、その経済力に見合った政府開発援助計画的拡充に対する国際社会期待にこたえるべく、今後とも最大限努力を続ける考えであります。さらに、我が国は、食糧不足等の深刻な経済困難に直面しているアフリカに対し、経済協力を初めとした幅広い支援活動を展開するとともに、インドシナ難民受け入れ等を通じ、世界の各地で発生している難民問題解決のために貢献していく考えであります。  我が国安全保障政策は、このような積極的な外交推進とともに、日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用必要最小限度防衛力整備を三つの主たる柱としております。  今日、世界の平和は、核を含む力の均衡により維持されているというのが現実であります。自由民主主義諸国としては、基本的姿勢として、今後とも平和を確保していくための十分な抑止力維持するとともに、ソ連を初めとする東側諸国との対話交渉を進めていくことが重要であります。かかる観点より、故チェルネンコ前書記長の葬儀に参列するため総理と私が訪ソしました際に、ゴルバチョフ書記長との間で、日ソ首脳会談が十二年ぶりに開催されましたことは極めて有意義であったと思われます。東西関係には引き続き厳しいものがありますが、他方米ソ両国間において、今般新たな軍備管理軍縮交渉が開始されましたように、対話を求める動きも看取されます。今般の米ソ交渉開始は第一歩にすぎず、今後、交渉は困難かつ息の長いものとなることが予想され、西側内での緊密な協議、結束の維持がこれまでにも増して重要になると思います。米ソ両国関係動向は、改めて申し上げるまでもなく、世界の平和と安定に深くかかわるものであり、我が国としては、両国間の話し合い実質的な成果につながるものになることを強く期待しております。我が国といたしましては、今後ともかかる米ソ間の動きを初めとする国際情勢動きを注意深く見守っていくとともに、既に述べた三本の柱を軸とする努力を続けていくことが肝要であると考えます。  以上、我が国安全保障政策あり方につき所信一端を申し上げました。  最後に、この委員会に御出席皆様方は、安全保障問題に精通され、多年にわたってこれに真剣に取り組んでこられた方々であります。今後とも、皆様のよき御指導と御鞭撻を賜り、引き続き外務大臣の重責を無事果たせますよう、皆様の御協力をお願い申し上げる次第であります。(拍手
  4. 森下元晴

  5. 加藤紘一

    加藤国務大臣 先般防衛庁長官を拝命いたしました加藤紘一でございます。  内外情勢の厳しいときに防衛行政の責任を負うこととなり、身の引き締まる思いであります。私は、委員長を初めとして委員の諸先生方の御指導、御鞭撻もとに、政治の基本ともいうべき国の防衛政策を誠実に遂行し、誤りなきを期してまいる所存であります。  どうぞ委員各位の御理解と御協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。  続きまして、最近の国際軍事情勢及び我が国防衛政策につきまして、私の所信一端を申し上げたいと思います。  今日の国際軍事情勢は、米ソ中心とする東西両陣営の軍事的対峙基本的枠組みとしております。この中にあって第二次世界大戦後今日まで多くの紛争が生起し、今なお幾つかの紛争が続いておりますが、米国を初めとする自由主義諸国が信頼し得る抑止力維持強化に努めてきたこともあり、核戦争及びそれに至るような大規模軍事衝突は回避されてきました。  しかしながら、ソ連は、一九六〇年代から一貫して軍事力増強を図っており、その蓄積効果には、近年顕著なものがあります。ソ連は、強力な戦略核及び中距離核戦力等を保持し、膨大な地上戦力及び航空戦力を配備し、また、その海上戦力は、自国周辺海域のみならず、遠隔地への展開を可能とするまでになっています。このような軍事力背景に、アフガニスタンへの軍事介入あるいはベトナムのカムラン湾軍事拠点化に見られるように周辺諸国及び第三世界への勢力拡張を図っております。  ソ連軍事力増強は、従来、欧州方面中心として行われてきましたが、近年は、極東方面においても顕著になってきており、グローバルな規模となっております。今日ではソ連邦全体の四分の一から三分の一に相当する核及び通常戦力極東に配備され、引き続き増強されており、これに伴って艦艇及び航空機の外洋進出我が国周辺における活動が活発となっております。また我が国固有の領土である北方領土においても約四十機のミグ23を配備したように、軍事力増強していることは遺憾であります。このようなソ連動向は、我が国安全保障にとって潜在的脅威の増大であると受けとめざるを得ません。  このほか混迷を深める中東情勢、緊張を続けるインドシナ半島及び朝鮮半島情勢など最近の国際軍事情勢には依然厳しくかつ流動的なものがあります。  以上のような国際軍事情勢もとにあって、米国を初めとする自由主義諸国は、抑止力信頼性維持強化を図るため、国防努力を継続し、その効果も徐々にあらわれつつあります。  米国は、ソ連軍事力増強に対応して抑止力信頼性維持強化することを目的として、核戦力及び通常戦力の全般的な整備近代化を進めております。先日、米議会に提出されました八六会計年度連邦予算案も、厳しい財政事情もと、歳出全体の伸び実質マイナスに抑える中にあって、国防省費支出額ベース実質約八%増の二千七百七十五億ドルを充当しております。  このような国防努力背景に、米国は、より低いレベルでの軍事力均衡達成するため、ソ連に対し、実質的かつ公正な軍備管理軍縮に応ずるよう求めてきたところであります。これまで中断されていた戦略兵器削減交渉及び中距離核戦力交渉にかわって、今般新たに核兵器及び宇宙兵器に関する包括的な交渉米ソ間で開始されたことは歓迎すべきことと考えております。  他方米国自国国防努力のみでは十分でないとの認識から、我が国を含む同盟諸国に対しても一層の防衛努力を強く期待しているところであります。  日米安保条約によって我が国防衛する立場にある米国が、我が国防衛関心を有し、期待を表明することは当然のことと存じますが、我が国といたしましては、かねてから米国期待を念頭に置きつつ、自主的に防衛力整備を進めることとしているところであります。  既に申し上げましたような依然として厳しい国際軍事情勢もとにあって平和と安全を確保するためには、あらゆる施策を、総合的な安全保障立場から推進していく必要があることは、改めて申し上げるまでもありません。我が国が自衛のために必要な限度において質の高い防衛力整備に努め、日米安全保障体制の円滑な運用に努めているのも、総合安全保障の一環として、我が国の平和と独立を確かなものとするためのものであります。  政府はこのような考え方もとに、かねてから昭和五十一年度に策定した「防衛計画大綱」に従ってそのときどきにおける経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、防衛力整備を進めてきているところでありますが、いまだ同大綱に定める防衛力水準に達しておりません。  このため最近の厳しい国際軍事情勢にもかんがみ、平時における基盤的なものとして、必要最小限防衛力である「防衛計画大綱」に定める防衛力水準を可及的速やかに達成する必要があるとの考えもと防衛力整備を進めることとしております。昭和六十年度の防衛予算についても、このような考えもとに、現下の厳しい財政事情を踏まえ、国の他の諸施策との調和を図りつつ、経費効率化合理化に極力配意し、ぎりぎり必要最小限経費を計上いたしたものであります。  なおこの予算には、海上自衛隊米国派遣訓練の際に所要の情報フリートサット衛星から受信するための装置を計上しております。政府は、宇宙開発利用に関する国会決議趣旨について、自衛隊衛星を直接、殺傷力破壊力として利用することは認められないが、その利用が一般化しているような衛星利用は認められるものであると理解しており、今回のフリートサット衛星利用は、この観点から国会決議趣旨に反するものではないと考えております。よろしく御理解をいただきたいと思います。  さらにこの予算においては、技術力防衛力質的水準維持向上にとって極めて重要であるとの認識に立って、各種の技術開発推進することとしております。  また、今後とも日米共同訓練を積極的に実施するとともに、「日米防衛協力のための指針」に基づく共同作戦計画等の研究の継続、在日米軍施設整備努力等日米防衛協力の充実に努めてまいります。  我が国のこのような防衛努力は、結果的に東西軍事バランス面において自由主義諸国安全保障維持にも寄与し、アジアひいては世界の平和と安全に貢献するものと考えております。  最近広く国民関心を呼んでいる「防衛計画大綱」やGNP一%問題について政府考えを申し上げたいと思います。  「防衛計画大綱」は、先に述べたように平時における基盤的なものとして必要最小限防衛力水準を定め、節度ある防衛力整備方針を示すとともに、防衛力がどこまで増強されるのかといった国民の不安にもこたえているものであります。現在の内外情勢等を考慮すれば、「防衛計画大綱」の考え方に従い、防衛力整備等を進めるのが最も妥当であると考えますので、現在、これを見直すことは考えておりません。  したがって、昭和六十一年度から昭和六十五年度までの防衛力整備主要内容を示すこととなる五九中業も、「防衛計画大綱」に定める防衛力水準達成を期して作成作業を続けているところであります。  その際、四面環海我が国地理的特性等を踏まえ、かつ、諸外国の技術的水準動向にも十分配慮して、質の高い効率的、重点的な防衛力整備に努めるべきは当然であると考えております。  なお、「防衛計画大綱」についていろいろの意見があることは承知いたしております。私としては当安全保障特別委員会を初めとして国会等において日本の国情にふさわしい節度ある防衛力あり方防衛戦略体系といった高い視点から御論議いただき、防衛問題についての国民理解が深められることを願うものであります。  また、昭和五十一年の三木内閣防衛費に関する閣議決定は、「大綱」に従い、防衛力整備を進めるに当たり、当時の政府GNPの推移についての見通し等を踏まえ、当面のめどとして決定されたものと承知しております。  歴代内閣はこの閣議決定を守りつつ、「防衛計画大綱」の早期達成最大限努力をしてきたところでありますが、対GNP比は逐年上昇し、昭和六十年度予算においては一%枠との差は八十九億円にまで縮まっております。  この問題に対する政府考え方は、今国会で累次申し上げているところであります。すなわち  (一) 昭和五十一年の三木内閣防衛関係費に関する閣議決定方針については、これを守ることとして、昭和六十年度予算編成に際しても、GNP比一%枠内を堅持したところであります。  (二) 政府としては、この閣議決定方針を今後とも守りたいと考えております。  (三) 一方防衛力整備については、なるべく早く「防衛計画大綱」の水準達成するよう努力する必要があります。  (四) 今後の見通しにつては、六十年度の人勧GNP伸び等現時点では不確定な要素が多く、確たることを述べることは困難であります。  (五) 現時点においては、たとえ仮定の問題としても一%を超えた時点でいかなる措置をとるか決めておらず、仮にそのような状況になった場合には、その時点において、国会における各般の御論議や過去の政府答弁等を踏まえ慎重に対処いたしたいと存じます。  いずれにしましても、我が国防衛平和憲法もと、専守防衛に徹し、非核三原則を堅持し、近隣諸国軍事的脅威を与えるような軍事大国にならない等厳格な制約もとにあります。我が国各般防衛政策は、かかる制約を厳守し、かつまた、厳しい文民統制もとにおいて実施されるものであります。  私は、引き続き、この基本的考え方を踏まえ、我が国防衛に対する国民理解協力を求めていくことが、私に課せられた責務であると自覚いたしております。  最後防衛施設の問題について一言申し上げたいと思います。  自衛隊在日米軍施設安定的使用は、我が国防衛にとって必要不可欠のものであり、従来から関係地方公共団体住民等理解協力を得て維持してきたのでありますが、今後とも防衛施設設置運用周辺地域の民生の安定との調和を保つべく、防衛施設周辺生活環境整備等に関する諸施策を適切に講じてまいりたいと存じます。  以上、防衛政策に関する私の所信を申し上げましたが、私は、国民一人一人の理解と支持のもと我が国安全確保のために全力を尽くしてまいる覚悟でありますので、森下委員長を初め委員各位の一層の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。(拍手
  6. 森下元晴

    森下委員長 以上で説明は終わりました。  この際、外務政務次官及び防衛政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。森山外務政務次官
  7. 森山眞弓

    森山政府委員 先ごろ外務政務次官に就任いたしました森山眞弓でございます。安全保障特別委員会開会の機会に当たり、一言ごあいさつを申し上げます。  我が国は、第二次大戦後、この戦争の悲惨な体験を踏まえ、自由民主主義を擁する平和国家としての道を歩んでまいりました。この選択が正しかったことは、我が国が、その後、明治以来初めて四十年間の平和を享受し、その中で先進工業諸国の中の指導的国家の一つとなって、かつてない高い生活水準を持つに至ったことから見ても明らかであります。  しかしながら、今日の国際情勢には依然として厳しいものがあります。今後とも我が国が自由と民主主義もとに、国民生活の安定と繁栄を確保していくためには、我が国を取り巻く国際環境をよりよいものにするための積極的な外交努力が必要であり、また適切な安全保障政策が不可欠であることは、申し上げるまでもありません。私も、この目的のため、安倍大臣を補佐いたしまして、国民理解を得つつ、最善を尽くしてまいりたいと考えております。  安全保障特別委員会の諸先生方の御指導と御鞭撻をお願い申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手
  8. 森下元晴

  9. 村上正邦

    村上(正)政府委員 先般防衛政務次官を拝命いたしました村上正邦でございます。  加藤長官を補佐し、最善を尽くして職務を合うさせていただきます所存でございますので、何とぞ委員長初め委員の各先生方の御指導、御鞭撻をお願い申し上げて、ごあいさつにかえさせていただきます。  よろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  10. 森下元晴

    森下委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  国の安全保障に関する件、特に核軍縮問題について調査のため、来る二十七日、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 森下元晴

    森下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る二十七日水曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十一分散会