-
-
-
-
-
-
-
○
志苫裕君
田川さん、きのう、あなた、私の
質問時間が切れたところで言いたいこと言ったみたいですけれ
ども、要は
社会党も変わっておるんだからおれのところでも変わったというような
意味なんだろうね。私が問題にしておるのは、
新自由クラブが雄図むなしく
自民党の
補完勢力になったのかということを聞いたわけ。
社会党を引き合いにして変わりましたということなんですか。
-
-
-
○
国務大臣(
田川誠一君) それでは違います。といいますのは、数の上からしますと
宇野党が伯仲したとか与
野党が逆転したというふうになるかもしれません。しかし、それでは
野党が全部結束しておられるか、
考え方が皆同じかといいますれば、必ずしもそうではない。
議員定数の問題
一つとりましても、共産党は違う。その他おたくの
政党と民社党と、いろんな
政策の問題で違う。数は
野党が総体的に全部合わせれば
自民党の
勢力と接近するけれ
ども、しかし
内容は違う。だから、そういう面を考えますと、私
どもが
野党の中に仮にいたとしても、実際的にはばらばらの
野党の中で
新自由クラブという小さな世帯を持っている
政党は、我々の
政策を
野党の
政策の中に、
野党全体の中に生かすことができない。それよりも
自民党と
連合の状態が成り立ては
自民党と
連合した方がより私
どもの意見を反映することができる。ですから、私
どもが
自民党と
連合をしたということは決して
野党勢力を裏切ったものじゃない。
野党が鉄の団結で全部まとまっておればそういうことが言えるでしょうけれ
ども、現にまとまっていらっしゃらないんですから。そういうことで私
どもは
連合をした、こういうことでございます。
-
○
志苫裕君 これ、長くやったってしようがないので、
自主性を確保するということもおっしゃっておりますが、
一般論でいきますと、大きい
政党にごく小さい
政党が連立をすると小さい
政党は滅びてしまう。俗に死の接吻と言われるわけだ。その点いかがですか。
-
○
国務大臣(
田川誠一君) それはそういうことはないんです。あなたの属している
社会党を見てもおわかりでしょう。あなたが属していらっしゃった旧三月会とか、あるいはまた
協会派と言われる方は、今の
社会党の
勢力から見れば非常に微々たるものですね。その微々たる
勢力がやっぱり
社会党の中で
相当ウエートを占めているわけですよ。だから、
道論にしてもあるいは
自衛隊論にしてもあなた方の主張が相当生かされて
違憲合法が
違憲、法律上存在するというようなことになっているじゃありませんか。そういうことを見れば数だけでどうこうと言うことはできないんです。
-
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 私は
けさアメリカの短波を聞いていまして、VOAの放送でそれを言っているので非常に驚いて、また秘書官からもとりあえず、そういう
事故があったらしい、そういう
報告を受けました。それで、まず真相を徹底的に究明するように、それからそれに
対応する
考え方を
外務省としても至急検討するようにと、そういうことを言っておきました。
いずれにせよ、
日本の近辺におきましてこのような不幸な事件が起きたことは甚だ遺憾であり、かつまたこのことが
国際緊張をさらに増すような事態に発展しないように我々はいろいろ細心の注意をしてまいりたいと思っております。
-
-
-
○
志苫裕君 目と鼻の先のことですし、後にトラブルが残らないような、
日本の立場もあると思うんですが。
ところで、今度の
チームスピリット84はどうもこれまでにない大がかりなものだというふうに言われておりますが、
参加兵力とか
演習の
目標とか、あるいはまた
自衛隊がどんな
対応をしておるのか、その辺の
情報を提供してくれませんか。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
○
政府委員(
佐々淳行君) お答えいたします。
刊行の
目的につきましては、恐らく一番最初のころにはそういう
趣旨を御説明する、と申しますのは、
防衛庁、
自衛隊が設置されたのは
昭和二十九年でございますが、第一回が四十五年であったということからそういうことであったと思いますが、今日ではこの
趣旨につきましては十分周知徹底したものと考えまして、特に
刊行の辞はその中には挿入しない、こういうことで編集しております。
-
○
志苫裕君 今もちょっとお話ありました、これもちょっと従来のものはいろいろ変遷があるんですが、
防衛問題について事実を
国民に伝えて大いに議論をしてもらって
防衛に関する
国民コンセンサスを形成する、こうなってはいるんですが、これ、
真実を伝えた
文書でありましょうか。
-
-
-
○
政府委員(
佐々淳行君) お答えいたします。
防衛白書の
編集方針でございますが、第一部の
国際軍事情勢につきましては、毎年
情勢の
変化に応じて若干の
修正、
数字の
修正等がございます。第二部の
防衛政策、これにつきましては実は五十三年度の
白書編集参事官会議で決定をいたしました
編集方針がございまして、
国民に周知徹底すべき問題、御
理解を賜るべき問題、例えばシビリアンコントロールの問題であるとか
我が国の基本的な
防衛政策、
専守防衛等の問題については繰り返し
記述をする、こういうことで、第二部は比較的例年同じような
記述になっておる。第三部でございますが、
防衛の
問題点ということで毎年
一つずつ何か新しいテーマを選んで訴えていく、こういう
編集方針をとっております。
国民の
支持獲得の
目標は何かという
お尋ねでございますが、私
どもが
国民に御
理解をいただきたいと思ってことし
重点を置きましたことは、
日米安全保障体制の
信頼性の確保、これを強調をし、自由陣営における西側の一員として私
どもの努力がアジアの平和、ひいては世界の平和につながるという点に力点を置きまして、具体的な事実といたしましては、過去一年間で問題になりましたシーレーン
防衛の日米共同研究の開始、対米武器技術供与の政府決定、F16の三沢配備、日米共同訓練の進展等に力点を置いて書きました。それから第三部での新しいテーマといたしましては、
防衛の装備品の調達の問題が
国民に十分御
理解をいただいておりませんでしたので、装備品と
防衛生産、こういう項を新たに設けまして書いた点特徴がございます。なお、国防関係費の国際比較もことしはその中に掲げてございます。形式的な問題ではございますが、昨年からグラフその他を四色カラー刷りといたしまして好評でございましたので、ことしはさらに写真版もカラーといたしました点特徴がございます。
-
○
志苫裕君 漫画、イラスト、まさに目で見る
白書、ビジュアル
防衛読本というものが出てくれば、まあ随分これはカラーを盛り込んでイメージムードで納得させようという工夫があるようですが、その箇所はなぜか
ソ連の脅威か有事の際の
作戦に関するものが多いですね。これは何か特別の
意味がありますか。
-
○
政府委員(
佐々淳行君) 特にそういう部分がカラーが多かったようにも思いませんが、いわゆる陸海空
自衛隊の存在意義、これが実際にどういうふうに運用されるかという問題を、それぞれの機能をとらえまして運用面、これを御紹介したという点はございます。
防衛白書の性格上、どうしてもやはり軍事上のいろいろな問題がグラフになったり写真になったりいたしますので、それでカラーが多い。
ソ連の脅威だけではないと思いますが、軍事問題をなるべく見やすくカラーにした、こういうことでございます。
-
○
志苫裕君 特に
自衛隊は遠い洋上の前方で
作戦行動をするという部分のいわばシーレーン
防衛に意欲を見せたところにカラーが多いですね。
-
○
政府委員(
佐々淳行君) お答えいたします。
ただいまお答えいたしましたように、シーレーン
防衛、それに関する日米の共同研究開始、これが第二部から第三部にかけまして
一つの五十八年度
白書のポイントでございましたので、そういう現象もあろうかと存じます。
-
○
志苫裕君 だから、突き詰めて言うと、ことしの
白書の特徴は、
自衛隊が保有すべき
防衛能力、もっと突き詰めて言えばシーレーンの
防衛能力というところに絞っているのじゃないんですか、焦点を。
-
○
政府委員(
佐々淳行君) お答えいたします。
シーレーン
防衛は、先ほど申し上げました
日米安全保障体制の
信頼性の確保、こういう大きな柱のそれを支える何本かの支柱の
一つということで五十八年度で取り上げたことは事実でございますが、それだけに絞ったというふうには私
ども考えておりません。
-
○
志苫裕君 少し
白書の
内容に入ります。
私は、
真実を伝えているかどうか。実は今日
防衛の問題で我々が当面をしておる困難というのは、我々のような軍事問題についての素人、門外漢にはハードな
データに直接接する能力がないということなんです。じゃ、一体玄人ぶっている諸君にはあるのかというと、これだってないわけだ。実際、偵察衛星とか諜報機関とか膨大な
データを整理する能力を持っておるCIAとか、大体その辺から出てくるものの整理に違いがないと思うんですが、多分にそういう
意味では宣伝めいている。ですから、本当と言えば本当のような気もする、これ。うそだと言えばうそのような気もする。だから、私は
防衛庁のプロパガンダと言うのでありますが、
一つ一つ聞きましょう。
文言のところで、第二次大戦後今日まで大
規模な軍事
衝突に至らなかったのは西側諸国が信頼し得る抑止力の維持強化に努めてきたからだと。具体的な事実を挙げてください。
-
○
政府委員(古川清君) お答えいたします。
事実問題といたしましても世界的に大
規模な戦争が起こっていないということがそのことを証明しておるものと私
ども判断しております。
-
○
志苫裕君 それは西側の抑止力の維持強化のせいだという具体的な根拠を挙げてくださいと言っているんですよ。
-
○
政府委員(古川清君) お答え申し上げます。
ソ連側の軍事力の増強というものは目をみはるものがあるわけでございまして、これに対しまして西側の方は一貫して抑止
政策をとりまして軍事バランスを常に保つように今まで大変な努力をしてまいったわけでございまして、この抑止戦略、その根底にございますところの必要な
防衛力の強化ということに裏づけられまして戦後今日まで大
規模な戦争というものは惹起していない。このことが何よりも抑止戦略の正しさ、西側の
防衛体制の正しさということを証明しているものでございます。
-
○
志苫裕君 ですから、第二次大戦後核戦争及びそれに至るほどの大
規模な紛争がなかったということは事実ですよ。それが西側の専ら抑止力によるものであるという根拠を示してくれと言っているんですよ。
-
○
政府委員(古川清君)
ソ連が世界の抑止力の十分にきかないところに軍事力を背景といたしましてその影響力の浸透を図っておるということは、いろいろな面で証明をされておるわけでございます。例えばアフガニスタンがそうでございますし、それ以外のところにもいろいろ、過去の戦後の歴史は
ソ連のそういった
一つの姿勢というものをはっきりと証明をしておるわけでございまして、西側が仮に今日まで
防衛力の強化ということを放置しておりましたならば、私は今日までのような平和というものは守られなかったであろう、維持されなかったであろうと信じておりますし、かような判断をしておる者は世界的に非常にたくさんおる。この正しさというものは世界的にも私は証明されておる、歴史的にも証明されておるものと、そういうふうに感じておるわけでございます。
-
○
志苫裕君 あなたの信念の問題を聞いているのじゃないんだ。そういう事実があったかと聞いているんだ。
-
○
政府委員(古川清君) 事実は今日
日本がこのようにエンジョイしておる平和、豊かさ、これが私は事実そのものの証明であると考えております。
-
○
志苫裕君 全然問題にならない。
じゃ、五十六年までの
記述はどうなっていますか。
-
○
政府委員(古川清君) 五十六年版までの
記述も大差はございません。基本的に同じラインでございます。
-
○
志苫裕君 五十六年の
白書、十四ページ、下から四行目から読んでください。
-
○
政府委員(古川清君) お読みいたします。
五十六年八月に
刊行されました
防衛白書でございます。「以上のように、自由主義諸国と
ソ連圏は、広範な地域で共に大きな軍事力をもって対峙しているが、この両者が直接武力
衝突した場合には、米ソ全面核戦争につながりかねないとの考えから、それを引き起こすおそれのある東西間の大
規模な武力紛争は抑止されてきている。」、かように
記述してございます。
〔
委員長退席、理事初
村滝一郎君着席〕
-
○
志苫裕君 大差がないじゃなく、全然違うじゃないですか。
-
○
政府委員(古川清君) 私は、先ほど申し上げた私のラインと同じことがここに記載されると解釈をしております。すなわち、広範な地域で軍事力をもって対峙しておる、つまり直接武力
衝突した場合には全面核戦争につながりかねないと。つまり、向こうが仮に手を出した場合には大変な痛手を向こう側はこうむるということを知っておると、したがって戦争が抑止されておる。この抑止戦略の正しさがここの
記述に書かれておるわけでございます。
-
○
志苫裕君 詭弁ですよ。五十六年は米ソがそれぞれ核を持っておってお互いにぷつかったらひどい目に遭うからというので抑止されていると言っているんでしょう。今度の
記述はそうじゃないでしょう。ソビエトは何かやるようにしておるが、西側が抑止力をきかしておるので戦後一貫して戦争がないという言い方でしょう。まるきり違っているじゃないですか。
-
○
政府委員(古川清君) 私は基本的に違っているという点がどうしても見出せないわけでございまして、この両方の
記述とも基本的には抑止戦略の正しさということをここで証明しておるわけでございます。仮に先生のおっしゃいますとおり違っている点がないかという点につきましては、「このまま放置すれば東西間の軍事バランスは、東側優位に傾くすう勢にある。」と、こういうことは昨年の
防衛白書に書いてある。仮に若干でも違っておる点があるとすれば、まさしくこの点ではないかと感じております。
-
○
志苫裕君 これは明らかに
記述が違う。というのは、皆さんの方が見方が変わったということだ。いずれ、これは後でまた総まとめしますが、今、後ろにあった「一貫した軍事力増強による蓄積効果は」「このまま放置すれば東西間の軍事バランスは、東側優位に傾くすう勢にある。」、これのちょっと根拠を聞かしてください。
-
○
政府委員(古川清君) お答え申し上げます。
まず戦略核戦力、これについて見ますると、
ソ連の方は既に一九六〇年代の後半には、数からいいましてICBM、大陸間弾道弾が数の上では
アメリカを凌駕する趨勢になったわけでございます。さらに、
潜水艦から発射いたしますSLBM、これにつきましても一九七〇年代の前半にはすでに発射基数におきまして
アメリカを上回るに至っておる。そういいました戦略核戦力の数的な量的な優勢に加えまして、最近に至りまして
ソ連の大陸間弾道弾及び
潜水艦から発射されるSLBMの命中精度が非常に改善された。質的な面においても
アメリカに迫るに至っておる、数が多いのみならず質的な面において非常に進歩を遂げておる、これが
一つでございます。さらには、中距離核戦力、この中距離核戦力といいますものは最近とみに有名になっております例えばSS20のような射程が五千五百キロに満たない弾道弾でございますけれ
ども、ここにつきましてはもう
ソ連の方が圧倒的に有利な立場に立っておるわけでございます。SS20に匹敵するようなものは今もって西側は持っていない。射程五千キロ、しかも三つの弾道弾を抱えておりまして、非常に命中精度がいい。しかも動き回れるという点におきましては圧倒的に
ソ連の方が有利でございます。さらに、これに加えまして通常戦力、これはもうだれしも御承知のところでございまして、陸上戦力、海上戦力、航空戦力いずれをとりましても
ソ連の方が圧倒的に優位を保っておるわけでございます。
こういった点から全体をバランスをしてみますると、現状におきましては東西間の軍事
情勢、軍事バランスというものは大体において均衡を保っておるということが言えるかと思うのでございますし、また多くの世界の学者等々もこれを是認しておるという点でございますけれ
ども、注目すべきは
ソ連が現在までの大変な努力をして今日の軍事力を築いた軍事力増強のこのペース、これを緩和する兆候が全然
ソ連側にはないということでございまして、それから見ますると、
アメリカ並びに西側の国々が対抗上の
防衛措置をとるという努力を怠るならば東西間の軍事バランスというものは東側に有利になるというような
情勢に傾くことはまず明白である、そういう判断からかような
記述をしたわけでございます。
-
○
志苫裕君 それでは、レーガン大統領の一般教書、「我々はより安定した安全な世界にいる」、八四年
国防報告、「
ソ連の軍事費の伸びがここ数年間、鈍化した可能性を示す兆候がある。」、一九八三年、CIAの議会に送った
報告書、「
ソ連は、一九七六年以降実質的に兵器調達費がほとんどふえず、国防費の伸び率はそれ以前の岬、五%から年率約二%に低下した」、こういう
報告とはどういう関係があるんですか。
-
○
政府委員(古川清君) お答えをいたします。
確かに前に考えられていたよりも
ソ連の軍事力の伸びのペースというものが低かったというのは最近いろんなところから言われて、また
報道されておるのは事実でございます。しかし、これは伸び率でございまして、実際問題として
ソ連の今日までの軍事力に対する資源振り分け、つまりGNPのどれだけを振り分けておるか、これはこういったペースが低かったという人ですら同じでございます。すなわち一一%から一四%ぐらいまでの比率で、
ソ連はGNP、いわば国家の資源でございますけれ
ども、それを軍事力の増強に振り分けておる。伸び率が低かったということを言う方々も、この点については同じ意見でございます。
-
-
-
○
志苫裕君 五五%は約半分というんだ、そういうのを。
それでは、あなたのところでこういう、それ出しているでしょう、こういう宣伝ね。こういうのは
防衛白書にも載っていますよ。核弾頭数はどうなっているんですか。
-
○
政府委員(古川清君) この点につきましては、実は軍事上の機密ということもございまして、必ずしもはっきりとした絶対にこれで間違いがないという数は実はないわけでございますけれ
ども、一般的に言われておりますのは、戦略核、先ほど申し上げましたICBMとかSLBM等が持っておりますところの弾頭の数は
ソ連が約九千個、それから
アメリカが約八千個、こういうふうに大体言われているところでございます。
-
○
志苫裕君 いや、戦略核、戦術核、言ってください。今のあなたの
数字はどこの
数字ですか。
-
○
政府委員(古川清君) 全体の数は先ほど申し上げたとおりはっきりしていない点もあるわけでございますけれ
ども、ミリタリー・バランスという、先生御承知のイギリスから出しておる
一つの軍事関係の
データの本がございます。かなり信頼度が高いと一般的に、言われておるわけでございますけれ
ども、
アメリカの方は、八二—八三のミリバラでは九千二百六十八発という非常にはっきりした
数字が出ております。それから
ソ連の方は七千三百という
数字が出ておるわけでございます。
ところが、ついでにお答えしてしまいますと、弾頭の威力、これは
アメリカの方がメガトン数にいたしまして三千七百五二、
ソ連の方が六千百、いずれもメガトンでございますが、つまり結論的に
アメリカの方が弾頭の数は多いけれ
ども、威力は小さい、
ソ連の方は数からいいまして弾頭の数は少ないけれ
ども、一個当たりの威力が極めて高い、これも大体世界的に常識として言われておるところでございます。
-
-
○
政府委員(古川清君) これもまたなかなか難しい分野なんでございますけれ
ども、
一つ資料がございますから御披露いたします。ここに来ますと緊張するものですからなかなか出てまいりませんが、大ざっぱに申し上げますと、国連で実は数年前に
報告書を事務総長が要求いたしまして出してまいりまして、その中ではトータルで、これは一九八〇年でございますけれ
ども、「核兵器の包括的な研究」ということで事務総長が委嘱をして出した
一つの
データがございます。これによりますと、世界全体の核保有数というものは、したがって先生の御
質問の戦術、戦略という区分けが非常に難しいわけでございますけれ
ども、世界全体で四万九千五百発ある。それで
アメリカは二万五千から三万三千、
ソ連が一万一千から一万五千、英国が二百から一千、中国が三百以下、フランスが二百以下というふうな
データを出しておる。この
データと先ほど申し上げましたミリバラと大変に相違しておるわけでございまして、かように核の実際の数、世界における核弾頭及び核戦略、戦術等々の仕分けというものは極めて軍事的機密度が高い。したがってなかなかはっきりしたものはつかめない、推測の域を出ないという点も十分考えられるわけでございます。
-
○
志苫裕君 では、ここで一々細かい
数字の突き合わせは余り
意味がないのですが、私
どもの手元にある
数字では、なるほど戦略ミサイルの数だけで見ますと、
ソ連の方が三割から四割上だと、しかし弾頭数では圧倒的に米国が多いわけですね。そのほかいろんな戦略爆撃機の比率であるとか、あるいは燃料に何を使っておるとか、命中精度がどうであるとか、あるいは戦略基地の所在、補給の体制等々から軍事力というものは判断をしていくのでありますが、私は、あなたが余り
数字も言わぬけれ
ども、非常にこれが一方的だと。しかも同じ
アメリカから出ておる
データでも違う。何が何でもソビエトが巨大になって
アメリカも
日本も軍事力をふやさなければならぬという、そういう基調で貫かれるようにしておることを問題にしておる。見出しからごらんなさい、この見出し。「
ソ連の軍事力増強と
勢力拡張」、「米国の
対応努力」、「WPOの軍事力増強」、「NATOの
対応努力」、
朝鮮半島に至っては、北の方は、「外国の支援を受けなくとも単独で一定期間戦争を遂行し得る能力」がある、
韓国の方は、北朝鮮のそのような軍事力増強を深刻な脅威と受けとめてせっせと努力をしておる、こういう
記述でしょう。
朝鮮半島のことを聞きましょう。「外国の支援を受けなくとも単独で一定期間戦争を遂行し得る能力」を持った。どこへ一体戦争をしかけるというんですか。
-
○
政府委員(古川清君) これは一九五〇年に一遍もうやっておるわけでございまして、北から南に入ってきて大変な大戦争になったことは御承知のとおりでございますが、人口の数は北が南の半分でございます。南の方が約三千八百万、北の方は千九百万と言われておって、一対二の関係でございますけれ
ども、トータルな軍事力の数は、北朝鮮側が兵力全体といたしまして七十八万四千人、大変な数でございます。それから
韓国側の方が六十二万二千人、つまり人口が半分のところの方が総兵力におきましては三割も高く持っておる、倍以上の数を持っている、こういった点が北が依然としていろいろと考えておるという点の裏づけではございますけれ
ども、どこへ攻めるかという御
質問に対しては、やはりこれは南北の対峙ということから考えまして、果たして北がそういうことを今
一つの方針として考えておるかどうか、これは全く別問題でございますけれ
ども、軍事力的に、軍事バランスから見まするならば、DMZ、非武装地帯ラインに非常に両側とも兵力を対峙させておるのが事実でございますので、仮に何かがあるとしたらあの返ではなかろうか。しかし、今あるということじゃございません。これは軍事力から見れば、そういうことが言えるかということでございます。
-
○
志苫裕君
総理ね、
防衛庁長官も聞いてくださいよ。軍事
情勢の分析を非常に客観的に
記述をする、戦力を
記述するのはあり得ることだ。しかし、一国をとらえて、単独で一定期間戦争を遂行する能力を持ったと。今話を聞けば、昔あったことであるからそれは南に向かってだと、こういう
記述はおよそ
日本の
防衛白書としては望ましくない、いかがです。
-
○
国務大臣(
栗原祐幸君) 今、
政府委員からいろいろお話をいたしましたが、
志苫さんの御指摘では、一方的にある種の主観を持って
記述をしているんじゃないか、こういうような御
質問がございました。これは読む人たちによっていろいろの見方ができると思いますが、我々の方といたしましても内外のいろいろの資料を収集をし、調査をし、しかも専門家によって長年にわたってやっておりますので、客観的な事実に基づいて我々の考える
真実を
国民の皆さんに一応御参考までに御提示をする、そういうことできておるわけでございます。ただいまの北の方に関する
記述につきましていろいろの
考え方、御見解があろうかと思いますが、それは御見解として承っておきます。
-
-
-
○
志苫裕君 承知していないのですか、ないのですか。
-
○
政府委員(古川清君) 私も今日までいろいろ研究しておりますけれ
ども、北の方に核があるという
情報も、あるいはないという
情報も目にとまったことは一度もございません。
-
○
志苫裕君 したがって、ある可能性もあるということですか。
-
○
政府委員(古川清君) それについても全くわからないわけでございます。
-
-
○
政府委員(古川清君) これも全く承知しておりません。
-
-
○
政府委員(古川清君) その点も全く承知しておりません。
-
○
志苫裕君 在
韓米軍が
韓国に核を配備しておるというのは常識的である。にもかかわらず、北は南に対して一定期間戦争を遂行し得る能力がある、こう
日本の
防衛庁は政府
文書で断定するんですか、
長官。
-
○
国務大臣(
栗原祐幸君) 核があるとかないとかという問題は、我々の立場で有権的にそれを言明するわけにいかないと思います。したがいまして、今のお話の中で北の方はどうだと、南の方はどうだという発言の延長線上の問題といたしまして、この
文書についてのいろいろの御
質問があったわけでございますが、この点につきましては先ほど申し上げましたとおり、そういう御意見があったということを私
どもは留意をいたしたいと思います。
-
○
志苫裕君 いや、それは納得できぬですよ、あなた。米ソの軍事バランスは、専ら核を持ってきてやるんでしょう。在
韓米軍は核を配備しておる、北にはないというのが一般的ですよ。この軍事バランスは核を除いてやっているじゃないか。どういうことですか。
-
○
政府委員(古川清君) この
防衛白書の中に、一定期間北の方が戦争を行う能力を持っておるというのは、あくまでもこれは通常戦力、それを考えて、その
データからそういう結論を出しておるわけでございます。
-
○
志苫裕君 だから、
防衛庁は自分の都合のいい
データばかり持ってきて書いていると言っているんですよ。
ならば聞きましょう。しかも、
記述の仕方が全く人の国を侮辱しているんじゃないかと思うがね。北朝鮮は「極めて厳しい経済事情にもかかわらず、引き続き軍事建設を重視し、GNPの二〇—二五%」云々、貧乏のくせにようやっておるということだな、一口に言うと。
それで
防衛庁、北朝鮮のGNPは幾らですか。
-
○
政府委員(橋本恕君) 北朝鮮、つまり朝鮮民主主義人民共和国が公式に発表した
数字を私
どもは持っておりません。そこで、
韓国の国土統一院が一九八四年の一月五日に発表した
数字を御参考までに御
報告いたしますと、北朝鮮の一九八二年のGNPは百三十六億ドルと推計しているようでございます。
-
○
志苫裕君 百三十六億ドルの二〇ないし二五%というのは幾らですか。
-
○
政府委員(橋本恕君) 二十七億ドルから三十六億ドルの間だと承知しております。
-
○
志苫裕君
外務省、あなたの方にお伺いします。
朝鮮民主主義人民共和国のGNPと国家予算額と国防費を述べてください。
-
○
政府委員(橋本恕君) 御承知のとおりにウォンで出されておりますので、これを仮に公定レートに基づきまして算出いたしますと、北朝鮮の国防費は八三年度予算で三十五億ドル、正確には三十五・三でございますが、一九八四年度予算では三十七・六と、こういう
数字が出ております。
-
○
志苫裕君 あなたたち、うそを言っちゃいけませんよ。百三十六億ドルのレートの換算と今言う三十五億ドル、三十七億ドルのレートの換算が全然違っているじゃないですか。実勢レートで幾らになりますか。
-
○
政府委員(橋本恕君) 先ほど申し上げました
数字は公定レートでございますが、いわゆる実勢レートに基づいて計算いたしますと、一九八三年度予算で十六・四億ドル、それから一九八四年度予算で十七・五億ドルでございます。
-
○
志苫裕君 では、念のために聞きましょう。さっき公定レートでいきましたね。公定レートでいきますと歳出は幾らですか。
-
○
政府委員(橋本恕君) 公定レートで算出いたしました歳出は、一九八四年予算で二百五十七・二億ドルでございます。
-
○
志苫裕君
防衛庁長官、
総理も聞いてください。GNPは幾らかと聞いたら百三十六億ドルだ、国家予算は幾らかと聞いたら二百五十七億ドルだ。GNPの倍の国家予算があるかな。どういうことなんだ、これ一体。
-
○
政府委員(橋本恕君)
数字の食い違いは確かに先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、先ほど申し上げましたとおりに、冒頭に申し上げました
数字は、つまり百三十六億ドルというこのGNPの
数字は、これは北朝鮮でございますが、これは
韓国側が一方的に出した推計でございます。それから私が申し上げました後の方の
数字、これは北朝鮮が北朝鮮最高人民
会議における財政
報告ということでウォンの形で出しました
数字が一九八四年予算におきまして歳出が二百五十七・五億ドル、これは実勢レートでは百十九・六億ドルでございますが、こういうことで比較のもとになるところが片や推定、片や北朝鮮の公式の財政
報告からの
数字と、こういうことで食い違いが生じるということでございます。
-
○
志苫裕君
防衛庁、GNPの二〇ないし二五%を投入して軍事力の増強を図っておるという
記述がありますが、このもとになっておるGNP、国家予算、国防費を言ってください。
-
○
政府委員(古川清君) その点につきましては、これは私
どもが入手しておりますいろいろな
情報を、公開
情報もあれば非公開
情報もございますけれ
ども、総合的に判断をし計算をしてそういう結論をつけているわけでございまして、今ここで詳細をちょっと申し上げるわけにはまいりませんので、お許しいただきたいと思います。
-
○
志苫裕君 それでは、あなたのところで出しておる資料の二百三十五ページをごらんください。上位二十カ国の国防費、北朝鮮はGNPの八・九%となっているじゃないですか。これはどういうことですか。
-
○
政府委員(古川清君) この点も、私
どもが非常に重要な参考資料として使っておりますところの先ほど申し上げましたイギリスで発行されておりますミリタリー・バランス、この本の一九八二—八三年版を基礎にしてこれをつくったものでございます。
-
○
志苫裕君 だから、それなら八・九で、皆さんの
記述は二〇ないし二五%。もとの
数字を言えと言ったら言わない。
外務省から出た
数字でも八・九%より上へ行かない。何で
防衛庁だけが二〇ないし二五%になるんだね。はっきりしなさい。
-
○
政府委員(古川清君) お答え申し上げます。
これは、世界全体の上位二十カ国の世界の国防費というものの趨勢を見るためにつくった資料として、このミリタリー・バランスを使ったということでございまして、北朝鮮が二〇ないし二五%のGNPを軍事費に振り向けておるという点は、これも参考にし、その他もろもろの資料、
情報等を参考にいたしまして、大体間違いのないところであろうということで結論づけたものでございます。
-
○
志苫裕君 だから根拠を示せと言っているんだ。私の手元にあらゆる
数字がある。絶対二〇ないし二五%にならない。
数字の根拠を示しなさい。
-
○
政府委員(古川清君) 繰り返してお答えするのは大変恐縮でございますけれ
ども、いろいろな
情報、資料等を総合的に判断をいたしまして、また実際問題として北朝鮮が現在持っております大変な数の兵力数、そういった点を考慮いたしまして結論づけておるわけでございます。
参考までに申し上げますと、ことし
アメリカが出しております米
軍事態勢報告、これはこの二月一日に
アメリカの上院の軍事
委員会に出しました米国の統合参謀本部の
報告書でございますけれ
ども、例えばその中には、北朝鮮は毎年そのGNPの二〇%を軍事力増強に費やしておると、こういう
記述をしております。
-
-
-
○
政府委員(古川清君) これはいろいろな資料を総合的にきめ細かく分析し判断をしておるわけでございますので、資料提出ということは御勘弁いただきたいと思います。
-
-
-
-
○
政府委員(古川清君) お答え申し上げます。
先ほど来から先生が御
質問の根拠と申しますのは、いろんな
情報、公開、非公開等々の
情報を総合的に判断してきめ細かく分析をしての結論でございますけれ
ども、その中には、先ほど申し上げたとおり、人口が半分でありながら兵力の数が
韓国の一・三倍になりますけれ
ども、一三〇%ぐらい多い兵力を持っていると。それから戦車の数も多い。航空機の数も多い。そういった点、これを維持するにはそれ相応のお金が当然かかるわけでございます。それから軍人一人を一年間軍役に服務せしめるためにもそれ相応のお金が当然かかるわけでございます。そういった点からの一種の逆算といいますか、そういう点も考慮いたしまして、そういうふうな私が先ほど来申し上げておりますようなGNPの二〇ないし二五%というふうな
数字を結論として出しておる次第でございます。
-
○
志苫裕君 あるときにはミリバラを使い、あるときにはさまざまな資料を使って、この問題になりますといかにも余計使っているように見せるためにさまざまの判断だと言うんだ。納得できませんよ。現に
外務省が出しておる去年の五十八年の十月の
数字ともまるっきり違っているじゃないか、納得できませんよ。
防衛白書というのはそういう性格なんだ。
-
○
説明員(岡崎
久彦君)
外務省の
数字とおっしゃるのは具体的にどういう
数字か存じませんけれ
ども、共産圏の軍事費の計算方法というものは、過去十数年間、これは非常に専門家の間で議論がございまして、
アメリカでも大体決まった手法がございます。今まさに
防衛庁の参事官から申し上げたとおり、共産圏の軍事費というものはほとんど公表されておりませんで、公表されている
数字ではとてもできないような軍備を持っておりますので、したがいまして、武器その他を計算いたしまして、それをつくるにはどのくらいのことをしたらいいかというふうに逆算いたします。例えば
ソ連がGNPの十数%を使っているという計算でございますけれ
ども、
ソ連と
日本はGNPが大体同じくらいと、そう考えまして、海軍で申しますと、
日本が二十万トン、
ソ連五百万トン、二十数倍でございます。それから戦車の数なら数十倍。それから飛行機の数でございますと、
日本が四百で
ソ連が八千とすれば二十倍。しかし、人件費その他は安いだろうという計算もございまして、いろいろ考えますと、十数%という
数字もそう間違いじゃないと、そういうふうに計算するのが大体常識でございます。
ただいま
防衛庁の国際参事官が申しました
数字も、北朝鮮が現在持っております軍事力、それからまた経済力、それを計算しまして、そう的の外れた
数字ではないと。いずれにしてもはっきりした
数字が出たはずじゃございませんけれ
ども、全体として間違った印象を与えない、これが正しいところであろうと。そういう
数字でございますれば、それは通用する
数字であると、そういうふうに判断されます。
-
○
志苫裕君 間違った印象を与えておるから私は言っているんです。北朝鮮のGNPに対する軍事費は、あらゆる
データをとってみて、私は
外務省のものも、いろいろ年鑑も全部大体七、八%から一〇%以内です。どうして二割五分増しになるんですか、納得できぬ。
-
○
説明員(岡崎
久彦君) もう一度
一般論で恐縮でございますけれ
ども、
韓国もGNPのたしか七%ぐらいが軍事費であると。それはもう計算できる
数字でございます。
韓国と北朝鮮の経済力、GNP、これはもう明らかに格差がございまして、しかも北朝鮮の方が軍備が大きいと。それだけから考えましても、七%、八%というのは、これは公式の
数字をどこから引用したか存じませんけれ
ども、これはむしろ非常な間違った印象を与える
数字であると、そういうふうに考えます。
-
○
志苫裕君 根拠を示しなさい。
数字を言いなさい。だめです。答弁になっていない。今のあなた、何という係か知らぬが、何が
韓国と北朝鮮のGNPが同じぐらいか。一方は六百億台だろう、一方は百億台じゃないか。全然違っているじゃないか。だめだ、全部うそばかり答弁して。
-
-
-
○
説明員(岡崎
久彦君) 記録をごらんいただければはっきりすると思いますが、北朝鮮と
韓国のGNPが同じたとは申し上げておりません。明らかに経済力に格差があるということを申し上げたので、今、私、正確でございませんで、耳学問でございますけれ
ども、六対一の差があると、そこまで聞いております。
-
○
志苫裕君 何言ってるのあんた。そんなことを聞いているんじゃない。
-
-
-
○
説明員(岡崎
久彦君)
委員がお挙げになった
数字は、これは「アジア諸国要覧」にある
数字と存じますけれ
ども、これはまさにミリバラからとった
数字でございます。これは先ほ
ども防衛庁の参事官から申し上げましたように、これはミリバラということ、これも
一つの判断でございます、判断と申しますよりも公式の
文書からとった、公式と申しますよりも公表された
文書からとりました
一つの
数字でございまして、それを引用いたしました。
ただ、これは
外務省としましては、こういう根拠のある、ある程度権威のある研究所から出たもの、それを使わしていただいたのでございますけれ
ども、これは
防衛庁といたしましては、問題は
日本の安全でございますから、また極東の安全でございますから、やっぱり軍事バランスということに対してもっと独自の判断でもって、それでまた軍事バランスとして納得する
数字を与えるということで、またこれ
防衛白書の立場としては当然のことと存じます。
防衛庁自身、これは非常に難しい問題であるということで、同じ
防衛白書の中にみずからの判断のほかにミリバラの判断も入れていると、そこへ両方掲げまして公正を期していると、そういうことでございます。
-
○
政府委員(橋本恕君) 私が先ほど御
報告申し上げた
数字につきまして、正確を期するためにもう一度申し上げますと、先ほど岡崎
部長が申し上げましたとおりに、先生が御引用なされました昨年十月の
外務省の
数字と申しますのは、確かに今の話にありますとおりに、イギリスのミリタリー・バランスを出典とするところの
数字でございます。これによりますと、一九八二年におきまする、これはミリタリー・バランスでございますが、一九八二年における国防費は十七・〇億ドルとなっております。先ほど私が御答弁申し上げました
数字、これ一年違いの一九八三年でございますが、これは信用できる
数字だと思いますのは、これは北朝鮮最高人民
会議における財政
報告というところから出した
数字で、これによりますと、もちろんウォンで出しておりますが、これを公定レートでは三十五・三億ドルでございますが、しかしながら、これはいわゆる実勢レートで計算いたしますと十六・四億ドルということでございます。したがいまして、ミリタリー・バランスでは十七・〇億ドル、それから実勢レートで計算した北朝鮮最高人民
会議の財政
報告の
数字が十六・四億ドルというところで、国防費そのものの
数字については大体これで合うのではなかろうかと思います。
-
○
志苫裕君 ですから、
外務省の
数字はミリバラのも十七億ドルでしょう。それから最高人民
会議の財政
報告も十六・四億ドル、約十七億ドルで合っているんですよ。
防衛庁ひとり、これで計算すると八・六%にしかならないのが、
防衛庁だけ何で二五になるのかということを聞いているんですよ。
-
○
政府委員(古川清君) 私
どもが、南の方は一般的にGNPの六%が軍事費と、北の方がGNPの二〇ないし二五ということの根拠の
一つとしておりますところの逆算の基礎
データをちょっと申し上げてみたいと思います。
これは既に昨年の八月に出ました
防衛白書よりも若干
数字が違っております。違っておりますのは、私
どもは日夜研究にいそしんでおるわけでございまして、昨年の八月から今日までやはり
数字として変わってきておる。ふえているのもあれば減っているのもございますけれ
ども、かように研究に精進をしておるという証拠がございますので、一応申し上げてみたいと思います。
北の兵力総数は、七十八万四千でございます。大韓民国の兵力総数は六十二万二千でございます。そのうち陸でございますけれ
ども、陸は北の方が四十個師団、これに加えまして三十五の旅団がございます。陸上兵力総数は七十万、北でございます。人口の倍の方の
韓国の方は、師団数が二十二でございます。旅団数が十六、合わせて五十四万、七十万が北におって南の陸上が五十四万ということでございます。
主な装備でございますけれ
ども、南の方には戦車が大体、朝鮮戦争のときも戦車というものは大変大きな働きをしたわけでございますけれ
ども、戦車が千二百しか南にはございません。それから装甲いたしました兵員輸送車、これは八百五十両しかございませんが、北の方は戦車の数が何と二千六百七十五両ございます。それから軽戦車がこれに加えまして百五十両、それから装甲車が百四十両、それから装甲兵員輸送車、これが何と一千両もございます。大変な量でございます。それ以外に地対地ミサイルとか、これは五十四基あると言われておりますけれ
ども、それ以外にSA7という地対空ミサイルも持っております。南の方には地対地ミサイルのオネストジョンがわずか十二基、地対空のホーク、ナイキハーキュリーズが若干という程度でございます。
次に、海でございます。海軍につきましては、北朝鮮側がトータルで六万八千トン、去年は六万六千トンと
白書に書いてございます。若干ふえております。ただし、船の数は四百八十隻、この前よりも十隻減っております。それから
韓国の方は船の総トン数が九万二千トン、前年よりも三千トンばかりふえております。数は百十隻で同じでございます。ついでながら特徴的なのは、北は非常に小型の船が多いということでございます。これはゲリラ侵攻とかそういうことを考えまして非常に小型の船をたくさん持っておるということが北の特徴でございます。それからその中身でございますけれ
ども、北にあって南にはないものがございます。これは
潜水艦でございます。
潜水艦が北には十九隻、南には
潜水艦はゼロでございます。護衛艦が北の方は四隻、それからミサイル哨戒艇が十二隻等々がございます。南の方は駆逐艦が十九隻、この駆逐艦等でございまして、これは護衛艦八隻を入れて大体十九隻というぐあいになっております。それから今度は南にあって北にないものがございます。これは海兵団でございます。マリン・コーでございまして、これが
韓国の方には二個師団、約二万人おりますけれ
ども、北の方にはないということでございます。
空軍
勢力でございますけれ
ども、北は七百四十機、これに対します南は四百五十機でございますが、北の方には軽爆撃機のイリューシン28、これが七十機、それからスホーイク7が二十機、ミグ19が約二百機、ミグ21が約百六十機、ミグ15ないし17が約二百九十機というぐあいになっております。それから南の方は、古いところではまだF86Fというふうな大変古いのも七十機ばかり残っておりますが、これに加えましてファントムのF4のD及びEが七十機、F5が二百五十機、最近入りましたA10と称します攻撃用の飛行機が六機等々というぐあいになっておりまして、トータルいたしますと、北の方が装備につきましても非常に南よりも質の高い、数においてまた多いものを持っておるということでございまして、こういった点も考慮いたしまして、一番先に申し上げましたGNPの大体二〇ないし二五%を北の方は振り向けておるという結論を出しておる次第でございます。
-
○
政府委員(橋本恕君) 先ほど私が申し上げました
数字、これは出所を明らかにして申し上げましたが、これは主としてイギリスのミリタリー・バランスでございますが、これによりますれば、一九八二年の十七・〇億ドルという
数字、これが北朝鮮のGNPにおいて占めるパーセンテージと、それから先生御指摘のとおりに、
防衛庁からお答えしました二〇以上というパーセンテージに相当差があると、これは一体
外務省と
防衛庁と話が全く違うというところが御
質問の一番の
問題点だと私は
理解いたしますが、ここで私がひとつ申し上げておきたいのは、
防衛庁がお考えになっているこのGNPの中における国防費の占める割合というものが大きい理由は、実際にGNPの中で占める国防費の実額そのものが私
どもの出した
数字よりも
防衛庁の方は多いと、こういうところに根拠があろうかと思います。
なぜ私
どもの出した
数字と
防衛庁の出した
数字が違うかといいますと、私
どもは純粋に先ほ
ども北朝鮮の最高法院が明確に出しました財政
報告の
数字を申し上げましたけれ
ども、これはいわゆる純軍事費ということでございまして、先生御存じと思いますが、社会主義国家、
ソ連とか中国もそうでございますが、いわゆる社会主義国家におきますところの軍事費の類と、つまり予算にかけられる軍事費の類と、それから私
ども資本主義自由世界におきまして出すところの
防衛費、軍事費の計算の算定の根拠が違う。例えば、
ソ連でも中国でもそうでございますが、社会主義国家におきましては、兵器生産発注の予算が、いわゆる
防衛費からはみ出しまして、つまり重工業部門の予算としてつけられることが往々にある。したがいまして、先ほど
防衛庁がるる御説明申し上げましたような北の方の、北朝鮮の兵器、武器のかなりの部分が、あるいはいわゆる国防費、北朝鮮の最高法院が出しました
数字と別の
数字として、つまり重工業部門の予算として算定されているというものを
防衛庁が推定して、私
ども資本主義世界における
防衛費と同じような立て方で計算すればああいう
数字になろうかというのが私の推定でございます。
-
-
-
○
志苫裕君 感じを述べているんで、兵力比較を見て、こんなに少ない額ではないがなというので二〇ないし二五と言うんでしょう。しかし、
外務省の発表のみならず、ミリタリー・バランスでもSIPRIでも、あるいは朝日新聞が出している年鑑でも、あるいは
アメリカのシーバードの出している軍事社会支出でも、全部共通をしてGNPは百七、八十億ドル、予算額は百十億ドル前後、国防費は十七億ドル前後。したがって、そのGNPに占める比率は八%。少ないもので六%くらいですが、七、八%と、この
数字はあらゆるものがその
数字です。ひとり
防衛庁のみ違うのでありますから、感じで言ってもらっちゃ困る、
数字を示さにゃ。GNP幾ら、国防費幾ら、国家予算幾ら、出してください。
-
○
政府委員(古川清君) ただいままでにいろいろ詳しく御説明申し上げました次第によりまして、かなり北朝鮮を加えた共産圏の軍事力のシェアの出し方ということは御
理解いただけたかと思っておりますけれ
ども、かような過程を経まして、私
どもとしましてはいろいろな
情報を総合し、またきめ細かい分析を行いまして、一番冒頭に申し上げましたようなおおむね二〇ないし二五、この二〇ないし二五というのは既に幅があるわけでございますから、どんぴしゃりという数でもないわけでございます。相当な幅でございます、二〇ないし二五というのは。そういう判断の結論を出しておるということでございます。
-
○
志苫裕君 答弁になっていない。納得されぬでしょうが、あんた。どうしてこれがわかりますか。
-
○
委員長(
西村尚治君) 速記をとめて。
〔午前十一時四十三分速記中止〕
〔午前十一時五十三分速記開始〕
-
○
委員長(
西村尚治君) 速記を起こして。
午前の質疑はこれまでとし、午後一時まで休憩いたします。
午前十一時五十四分休憩
—————・—————
午後一時十八分開会
-
-
-
-
○塩出
啓典君 まず、
総理に
お尋ねいたしますが、平和国家である
日本において、先般の宮澤さんの事件とか、今回のように有名人に対する誘拐事件が非常に相次いでおるわけでありますが、
総理の御感想をお伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 最近一カ月の間に三つの大きな誘拐事件が起こりまして、まことに遺憾にたえません。最近の
一つの犯罪の傾向を示すものであると思います。治安当局にも指示いたしまして、このような不祥事件を起こさないように、さらに警戒指導を厳重にいたしたいと思います。それと同時に、やはり我々
国民全般が自分の身辺のことや何かについては十分注意する必要があるように思っております。
-
○塩出
啓典君
国家公安委員長に
お尋ねいたしますが、今回の江崎グリコ社長誘拐事件等は、けた外れの身の代金を要求するなど、欧州を舞台に続発する富豪誘拐事件に似ているように思うわけでありますが、今後再発防止にどう取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
-
○
国務大臣(
田川誠一君) 大変重要な御
質問で、私
どもも今回のような事件が起こったことに対して非常に重大な関心を持っております。こういうような誘拐事件、身の代金要求の事件で、まず人命救助という、これが原点でございまして、その前提のもとにやっぱりああいう犯罪はやっては損だということを知らしめていかなければならぬ。割に合わない犯罪なんだということを十分認識をさせていかなければならない。そういう
意味から、まずこういう事件が起こったら検挙する。必ず犯人を捕まえる。検挙にまさる防犯なしと警察庁なんかで言っておりますけれ
ども、必ず検挙する、こういう方針でやっていくつもりでございます。
-
○塩出
啓典君 私の調査では、誘拐事件の検挙率は九七%で、全刑法犯の検挙率六〇・三%に比べればはるかに高いわけであります。これは警察当局の御努力の結果と思いますが、そういうような点、誘拐事件が割に合わない、こういうこともひとつ大いにPRをして頑張っていただきたいと思います。
そして、最後に
総理に
お尋ねをいたしますが、犯罪は時代を映す鏡である、そういう点で政治の世界の金権主義が世間に悪影響を及ぼしているのではないか、こういう点も言われておるわけでありますが、我々も政治家として政治倫理の確立てさらに努力をしていかなければならない。与
野党ともに責任あると思うのでございますが、
総理の決意を伺っておきます。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 仰せのとおり、政治倫理を確立して、それから国家公務員、地方公務員、政府関係機関の職員等、公の立場にある者はやはり紀綱を振粛して
国民の御期待におこたえするようにしっかりやっていかなければならぬと思いますし、そのように心がけてまいりたいと思います。
-
○塩出
啓典君 それでは、最初に平和外交の問題について
お尋ねをいたします。
まず、平和研究の問題について
総理のお考えを聞きたいと思うのでございますが、第二次世界大戦後、平和研究というものが国際的にも非常に盛んになってきております。御存じのように、一九六四年にオランダのグロニンゲン大学で国際平和研究学会第一回総会が開かれ、
日本からも
参加をし、今日まで続いておるわけであります。戦争がなぜ起こるのか、また平和を維持する条件は何か、どういうシステムをつくればいいか、そういう平和研究は私はまことに重要であり、平和憲法を持ち、核兵器の悲惨さを体験した
我が国こそ平和研究で世界のリーダーシップをとるぐらいの姿勢が必要ではないか、このように思うわけでございますが、
総理のお考えはどうでしょうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) その点も同感でございます。
日本の憲法は世界でもユニークな憲法で、最大級の平和志向の憲法であるだろうと思います。そういう
意味におきましても、平和をいかに具体的に確立し、維持していくかという研究は今後も十分行うべきであると思っております。学界であるとかあるいは政界であるとか評論界であるとか、各方面のそのような研究活動を旺盛に奨励もするし、政府としても心がけてまいりたいと思っております。
-
○塩出
啓典君 こういう平和研究あるいは平和教育の問題、そういう点にはユネスコ等もかなり取り組んでおるわけでございますが、こういう会合に
参加いたしました広島の女学院大学の庄野教授は、
日本における平和研究の取り組みが非常に弱いと、このように感想を述べておられます。また、いろんなレポートを見ましても、平和研究はヨーロッパ、最近は
アメリカの大学等で盛んである、こういうようなことが
報告書等にもあるわけでありますが、
我が国は非常におくれをとっておるという点をどのようにお考えになりますか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 私は、それほどおくれをとっておるとは思いません。
一般論といたしまして、法学においてもあるいは社会学においても、あるいは医学その他の面においてすら平和というものを志向して、研究の基礎としてやっぱり置かれているだろうと私思います。また、いろいろな政府の法制等におきましても、平和志向ということが法制的にも規制されている国は
日本が一番大きな国ではないかとも思います。そういう環境のもとにあるので、研究の方も突っ込みの足らぬ点はあるとは思いますけれ
ども、一般的には盛んになってきていると思うのであります。
問題は、前から私は言うのでありますが、軍縮論にいたしましても、平和論にいたしましても、
日本の場合は割合に外国のものと比べると感情的要素が強い、あるいはセンチメンタルな要素が多い。もちろん、そういう要素も世論をつくる上で大事でありますけれ
ども、具体的な軍縮論とか平和論というものは、いかに戦争を起こさせないかという具体的、実証的研究でなければ力がないと思うんです。そういう
意味から核兵器にせよ、あるいは通常兵器にせよ、兵器の性能とか、あるいはいわゆる政治ゲームですね、国際政治のゲームであるとか、そういういろんなあらゆる深い面からの研究が必要で、特に心理学の面からも必要でありましょう。そういう
意味における突っ込みの足らなさ、あるいは幅の狭さというものが
日本の欠陥ではないかと思っております。
-
○塩出
啓典君 政府として、世界にどのような平和に関する研究機関があるか、これを掌握されておりますか。また、
日本の国内ではどういうものがございますか。特に
日本の大学でそういう平和研究を集中的にやっているところはどういうところがございますか。これをお願いします。
-
○
説明員(岡崎
久彦君) 私
どもが承知しております限りで、米国ではカーネギー国際平和研究財団というものがございまして、それからサンフランシスコのスタンフォード大学フーバー戦争・革命・平和研究所というのがございます。それからフランスには平和開発法学研究所、西独にはヘッセン平和・紛争研究財団、スイスにはジュネーブ平和研究所、ノルウェーには国際平和研究所、もちろんスウェーデンにストックホルム国際平和研究所がございます。
日本では
日本国際問題研究所というのがございまして、これは財団法人でございます。そのほかに民間の平和研究機関といたしましては鹿島平和研究所がありまして、それから平和・安全保障研究所というのがございます。
大学で特に平和研究ということ、私、今資料を持っておりませんので……。
-
-
-
○
政府委員(大崎仁君) 大学関係の平和研究は、各学部その他関係の研究者が多数おるわけでございますけれ
ども、直接平和ということで絞りました研究施設といたしましては、私立大学関係で申しますと創価大学の平和問題研究所、長崎総合科学大学の長崎平和文化研究所、それから国際関係ではございますが、上智大学、津田塾大学にいずれも国際関係研究所というのが置かれております。それから国立大学につきましては、広島大学に平和科学研究センターというものが設けられております。
-
○塩出
啓典君 上智大学の川田帆教授は、平和研究は不可避的に国際的な広がりを持ったものでなければならないと。そのために、平和研究所と名づけられるような機関がある国に設立されたような場合には、そこには外国からの研究者が集まるであろうし、また平和研究者の
会議も多くの場合国際
会議という形をとることになろうと。
総理は、さきの所信表明演説でも、当事国相互の対話や
情報の交流が密であれば紛争も防止できると、そういう
意味のことを述べられておるわけなんですが、そういう
意味で、
我が国も世界に誇るような平和研究所をつくる考えはないかどうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 私は、施政方針でも申し上げましたが、ともかく
情報の交流というものは今戦争を抑止している力が絶大である、テレビが太平洋戦争前に今のように発達しておったら太平洋戦争はなかったろうと、そういうことを申し上げました。今そういう
意味で、戦争を抑止しているのは、我々が見ず知らずのうちに毎日影響を受けているテレビによる
情報供給という面が非常に大きいと思うのでございます。そういう
意味において、この
情報に関する国際間の垣根を下げていく、あるいは垣根を取っ払っていくということが非常に有効な平和確保の方法である。共産圏を問わず、自由世界を問わず、この
情報の垣根を下げていく、自由にしていくということが非常に重要であると痛感しております。そういうような面も心がけつつ、一面において、この二十一世紀にかけて、新しい平和の維持確保についてどういう方法でいくべきかという研究は必要であると思います。塩出さんの御提言は、ひとつ検討さしていただきたいと思います。
-
○塩出
啓典君 スウェーデンのストックホルム平和研究所も、私の調査では大体年間二億七千万円ぐらいの予算ですね。だから、これはそう大したお金はかからないのじゃないかと思うんですが、そういう
意味で、これを広島にやはりつくる考えはないか。現在広島大学には平和科学研究センターというものもございます。また、広島、長崎の市民平和研究所をつくろうという有志の学者、文化人が集まって、既に一千万円の募金も集めておるわけでありますが、私はどういう形がいいか、さらに研究はしたいと思うんですが、そういう研究所を広島につくる、こういうお考えはございませんか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 研究所をつくる場合に、国がやるのがいいかどうかというのは
一つの
問題点であるだろうと思います。やはりこれは非常に自由な発想に基づいて、国の
政策等に余り影響を受けない、独自の見解をつくり出していく必要があると思います。そういう
意味において、国がある程度援助するということはあり得ますが、やはり民間を主体にしたものが望ましい。昔、満鉄の調査所というのがありましたが、あれなんかも
一つの考えられるケースではないかと思います。そういう
意味で、国の力が余り大きくならぬようなものが望ましい。第二に、場所はどこがいいか、あるいは京都みたいな静かな場所がいいか、あるいは
情報量のもっと多い、交通、通信のいい場所がいいか、これはその際またゆっくり検討さしていただいたらいいと思います。
-
○塩出
啓典君 国際
会議の開催状況を、私の調査によりますと、一九八一年の
データでございますが、ロンドンとかパリ、これが二百九十二件で、一位でございます。それからジュネーブ、ブリュッセル、ウィーン、ローマ、西ベルリン、ニューヨーク、ストラスブール、マニラ、コペンハーゲン、東京が十二番目で五十五件なんですね。そういう
意味で、私はやはりこれからも
日本が国際
会議の
会議場にもっとなるように努力をしていかなくちゃならぬ。そういう
意味でぜひ広島にそういう国際
会議場をつくってはどうか。京都にはこういう国際
会議場があるのでありますが、広島の地元にもぜひそういう国立の国際平和
会議場をつくろうというこういう動きがあるわけでございますが、
総理はそういう動きに対して応援をする気持ちがあるかどうか、お伺いしておきます。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 最近、国際
会議場をつくろうという運動は各地にありまして、横浜にもありますし、相当な場所でそういう誘致運動が起きております。広島もそういう点については非常に条件の整ったいい場所ではあると思いますが、こういう問題もひとつ総合的に検討させていただきたいと思います。
-
○塩出
啓典君
総理は、ことしを核廃絶の年と言っておられるわけでございますが、当然国連にも
出席して世界に向かって平和外交を展開すべきだと思いますが、その点どうでしょうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 秋の政治日程がどういうふうになるか、そういう点もよく検討の上、考えてみたいと思います。
-
○塩出
啓典君 私は昨年の
予算委員会でも
質問したわけでございますが、昨年の総会においてもインド等の非同盟諸国が提案をされた核不使用条約決議、これは賛成百二十六、反対十七、棄権六で可決をしておるわけでございますが、
日本は依然として棄権をしておるわけでございます。なぜ賛成できないんでしょうか。
-
○
政府委員(山
田中正君) お答え申し上げます。
我が国といたしまして、核軍縮というものを軍縮の最大
重点項として国際的に努力をする建前でございまして、そのようにいたしておるわけでございますが、先ほど
総理からも御答弁ございましたように、核軍縮、一般の軍縮も含めてでございますが、軍縮というものはやはり具体的に効果的な措置を伴うものに最
重点を置いて行うべきであるという考えでございます。単に核の不使用を宣言すること、それのみでは効果的な軍縮措置が達成されないのみならず、世界の安全保障にとっても有効な手段でないと考えられます。したがいまして、
我が国としては、先生御指摘ございました決議を積極的に支持する立場になかったわけでございますが、ただこの決議は、この問題を軍縮
委員会で検討するようにという手続的なものでございますので、棄権したわけでございます。
-
○塩出
啓典君
総理、いつもこういう答弁で、いつも棄権なんですけれ
ども、非常にわかりにくいと思うんですね。やっぱり国連の場も
一つの
我が国の姿勢を示すPRの場ですから、そういう
意味で実効的な処置が実際に行われる可能性がないというのであるならば、私はそれでもやった方がいいんじゃないかと思うんですけれ
ども、もしそれがだめだというならば、
我が国としてやっぱり独自の
一つの案を出して世界の
協力を求めていくということ、こういう姿勢が必要じゃないかと思うんですが、そういう点、検討する余地はございませんか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) おっしゃるように、受け身ではかりいるのが能ではない。核軍縮の問題は我々の最大の関心事の問題でありますから、
外務省にもそういう実効性の伴う軍縮のやり方等について検討してもらいたいと思っております。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 国連総会、特に軍縮の場におきまして、
日本が独自な立場で積極的に軍縮、特に核軍縮等に対して決議案を提出したり、積極的な行動をしている事例は幾多もあるわけでございます。特に核実験の全面禁止決議案とか、あるいはまた米ソの同時核軍縮といったような決議等については、提出をしあるいは共同提案をいたしたり、あるいは全面的な賛成等もしておるわけでありまして、これは
日本が軍縮問題を非常に重要に考え、特に核軍縮については非常に重要に考えて、国連では積極的なそういう
意味での活動はしておる。ただ、今のお話のような核不使用決議等については実効性がないということは、やっぱり実効性がなければせっかく決議案が通っても
意味がないわけですから、そういうやはり実効性を伴うということが大事じゃないか。そういう点で、場合によってはそういう現実的な立場からいろいろと配慮を求めておるということもあるわけでございまして、核軍縮、軍縮についての
日本の決意あるいは熱意というものは変わっておらないということであります。
-
○塩出
啓典君 ぜひ、
総理大臣が言われたように、
外務省においてもひとつ検討していただきたい、このことを要望しておきます。
それから
総理の平和問題研究会、これは私の主張する平和研究所と違う平和問題研究会ですね。これがGNP一%枠にかわる新たな歯どめを検討すると、こういうことを言っておるわけでございますが、
総理は一%を守るということを言われたわけでありますが、これはことしだけは守るということなのか、将来にわたってこの一%を世論の代表として堅持するお考えなのか、これを承っておきます。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) できるだけ長い期間この一%を守るように努力してまいりたいと、そういうことであります。
-
○塩出
啓典君 それから、
総理がこのたび中国を訪問されるわけでありますが、いろいろ朝鮮問題も
お尋ねする予定でございましたが、先般の
委員会でお考えもわかりましたので、
一つだけお願いをしておきたいわけでございますが、実は
昭和六十五年にアジア大会が開催されるわけで、その開催地として北京と広島市が名のり出ておるわけでございます。それで、広島市での開催については先般閣議了解もいただいたわけでございます。広島は被爆後四十五周年、平和を目指している新しい都市広島をアジアの人に見てもらいたいと、このように願っておるわけでございますが、私たちも日中友好を守りつつフェアに競争していきたいと、こういう状況でございますが、もし中国の首脳からこういう件についてお話があった場合には、ぜひ広島の気持ちも伝えていただきたい、このようにお願いするわけですが、
総理のお考えを承っておきます。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) もしそういう話が出ました際は、広島の御要望もお伝え申したいと思っております。
-
○塩出
啓典君
我が国の発展途上国に対する政府開発援助は、二国間援助と国際機関に対する出資、拠出等に分けた場合に、最近は特別の二国間援助という方針が非常に
重点的になってきておる。このように方向転換をしてきたのかどうか、これを伺っておきます。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君)
我が国の経済
協力は年々増加をしておりまして、今、倍増計画のもとに特に力を入れておるわけでありますが、その中で、援助の形が今二国間の援助とそれから多国間援助と二つに分かれておりまして、二国間援助につきましては一番ストレート、ダイレクトでありますから、
日本のそうした援助というのが相手の国にストレートに映るわけですね。それなりの
意味はまたあるわけでございます。反面また多国間援助は、やはり国際機関というものを通じてこの援助が実行されるわけで、これはまた非常に専門的な施策が講じられるというメリットもあるわけでございます。私は、やはり両々相まってこの援助というものは進めていかなければならない。そういうことで国際的にも行われておりまして、
日本の場合は大体多国間援助が全体の三割でございまして、これは現在のところでは先進国の大体の比率と似ておる、同じ程度でございますから、私は、こういう方向で今後ともバランスをとってやっていけばいいのじゃないかと、こういうふうに思っておるわけでございます。特に二国間に力を置いてということだけじゃなくて、やはり多国間援助というものにも相当力を置きながら、
日本はバランスをとって今後ともやっていきたい、援助を続けていきたいと、こういうふうに考えております。
-
○塩出
啓典君 私は、発展途上国に対する援助の基本は、東西関係の激化をさせる軍事援助まがいのものであってはならない、援助国の民生安定、福祉の向上によって世界平和に貢献すべきものでなければならないと思うのでございますが、現実にはかなり国際機関を通す援助がだんだん減ってきておると、こういう点を踏まえて今後の
考え方について
総理に伺っておきます。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君)
日本の経済
協力は我々の国策の大事な視点の
一つでございまして、二国間の問題、多国間の問題、今後とも適切に配分を行いながらこれをふやしていくように努力いたしたいと思っております。それがやはり平和
政策、福祉
政策をとる
日本の大きな国是として世の中に認識されるようにしていきたいと思っております。
-
○塩出
啓典君 特に食糧援助の問題で、アデデジ国連事務
次長は、本年二月二十日、アフリカ大陸二十四カ国、約一億五千万人が飢えている状況に対して各国に食糧援助の要請をしております。ところが、
我が国におきましては、この途上国への過剰米輸出が不作続きのために五十八年度限りで終了する、そういうことで大変深刻な打撃を受けておるようでございますが、こういう問題はやはり再検討すべきではないでしょうか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君)
我が国のこの余剰米を使っての援助ということになりますと、御承知のように
日本の余剰米も底をついてきたわけですから、確かに今後こういう方式は無理になってきたわけでございますが、しかし食糧援助は
日本の食糧を使うということだけじゃなくて、タイとかビルマとかその他の国々の食糧を使いましたこの援助ということは、これは今後とも行っていくわけであります。あるいはまた、直接資金を援助するということを通じて食糧の援助を行うという援助も行っておるわけであります。特に、最近のアフリカの非常なあの干ばつに対しましては、我々も深甚な気持ちを持ってこれに何とかそうした干ばつで被害を受けた人たちに対して見舞いをしなければならぬということで、政府としても先般例えばモザンビーク等を初めとする五カ国に対しまして食糧の緊急援助二百万ドルを実行したばかりでございます。さらに今後ともこうした援助は積極的に続けてまいる考えであります。
-
○塩出
啓典君 ひとつ国際的な批判を招かないように御努力を要請いたします。
それから次に、財政問題で
お尋ねをいたしますが、今回特例公債の借りかえ禁止の大原則を崩したわけでございます。しかし、この借りかえをしたからといって財政的には何ら実質の面において変更はない。であるならば、やはり今までどおり財政の節度の
一つであります借りかえ禁止の大原則を守った方が財政の状況が
国民にも
理解できていいのじゃないかにもかかわらず、なぜ変更するのか、この理由を
お尋ねをいたします。
-
○
国務大臣(竹下登君) 今、御指摘になりましたとおり、特例公債の借りかえは行わないということを毎年財特法をお願いするに当たりまして、それをきちんと法律の中に明示して、したがって財政の節度を守っていこうと、こういう
考え方であったことも御指摘のとおりであります。今度の法律をつくるに当たりまして、今まさに塩出
委員がおっしゃったとおりの議論を私
どももいたしました。借りかえということが仮に許容されるとしても、その都度年度ごとの必要額をいわば法律で国会でお許しいただくというのが節度に対する
一つの姿勢ではないかと、こういう
趣旨の議論であります。
私
どもが最終的にこの問題をお願いするに至りましたのは、さはさりながら、この五十九年度発行いたしますものから、既にいたしまして借りかえ規定を外しておる。過去のものが残っておって、これからのものがそれが外れておるということに対する法律上の
一つの整合性の問題がございました。が、究極的にやはり私
どもはここで大きな
政策転換をしたと言わざるを得ないではないか。そうしますと、
政策転換ということになると、しかしその節度という言葉で御指摘なすったそれをどういうふうに調和さしていくかというところでいわばこの訓示規定というものを入れまして、その訓示規定を絶えず念頭に置きながらこの実行をしていくということで、いわば節度の問題をそこに残すということで国会の御審議をお願いしようと。しかし、私
どもも今塩出さんの御指摘なすったことを議論した上で今度の法律をお願いしておるわけでございますので、御
理解を賜りたいと思っております。
-
○塩出
啓典君 政府の財政再建計画、いわゆる特例公債の依存体質からの脱却という
目標年次が当初
昭和五十五年であったのが五十七年になり、五十九年になり、そうして先般の中曽根内閣の「展望と指針」で六十五年になったわけですね。ところが、その六十五年脱却を決めたもう舌の根も乾かないうちに実現不可能とわかって、そしてこの特例公債の借りかえ禁止の原則を崩せば見せかけだけは非常に楽になると、こういう意図で決めたのじゃないか。私は、そういう姿勢は非常によろしくないと思うんですが、この点
総理のお考えどうでしょうか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これはやはり今の塩出さんの御指摘というものも、私
どもはある
意味においてこれは甘んじて受けなければならぬ御指摘だと思います。がしかしながら、六十五年度脱却を努力
目標にして、それができそうにないから借りかえという措置をお願いすることにしたということでなく、既に六十五年を努力
目標といたしました当時から国会の議論等を踏まえていずれ財政制度審議会において現金償還のための財源措置としての借りかえ制度というものも検討してもらわなければならないという環境になっておりますということを説明しつつ、その後財政制度審議会もやむを得ないだろうと、こういう御答申に基づいてこの措置をとることにしたということになるわけでございますので、私
どもなりには、ただ便法的に事を行うことではなくして、このおっしゃる御指摘等を十分念頭に置きながら、それぞれの手続を踏みつつ、国会の問答等を通じてこの方向を選択したというふうに御
理解を賜りたいと思います。
-
○塩出
啓典君 それでは、これは
総理にも
お尋ねしなければいかぬわけですが、六十五年のいわゆる特例公債依存財政を脱却するという
意味は、いわゆる一般会計の特例公債だけを指すのか、あるいは、今回、国債整理基金から借換債を発行するわけでありますが、そういう点を含めてのものであるのか、その点はどうなんですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは第一段階として、一般会計における単年度ごとの新規財源としての特例公債の発行をゼロにしていくということにまず第一段階としては全力を傾注しようと、こういうことでございます。
-
○塩出
啓典君 それでは次に、サラ金問題について
お尋ねしますが、サラ金二法が施行されましてもう五カ月になるわけでございますが、この法律施行後の犯罪の状況あるいは新法による申請の状況等はどうでしょうか、これを
お尋ねいたします。
-
○
政府委員(
行天豊雄君) お答え申し上げます。
御承知のとおり、昨年十一月一日に貸金業の規制法が施行されまして、自来新法によります登録の申請を受理しているわけでございますが、今月十日現在で登録の申請をいたしましたものが二万九百七十九件、そのうち登録がもう完了いたしまして済んだものが一万七千六百八十四件というふうになってございます。
-
○
政府委員(
鈴木良一君) いわゆるサラ金二法が施行されましてから、昨年の十一月から本年の一月までの三カ月間のサラ金の返済苦に係ります犯罪について見ますと、四百八十六件、百五十一名ということになっております。犯罪の検挙は実は施行前の事案も施行後に検挙している例がございますので、必ずしも施行前、施行後ということが厳密な比較ができにくいわけでございますけれ
ども、一応施行前の三カ月間と施行後の三カ月間を比較してみますと、施行前では月平均二百二十件、施行後では月平均百六十件ということで、若干減少傾向が見られるところでございます。
-
○塩出
啓典君 今お話がありましたように、二十二万件あったサラ金業者も二万件ぐらいしか申請をしていないと、こういう状況でございますが、新聞紙上等ではなかなかサラ金を原因とする犯罪が後を絶たないわけでございますが、サラ金新法は効果があったと考えているのかどうなのか。これ大蔵大臣と
国家公安委員長に
お尋ねいたします。
-
○
国務大臣(竹下登君) これは議員立法において成立した法律でございますが、それの効果がどの程度にあったかというのには、いかにも施行後日なお浅くと、こういう状態でございますので、これを正確に比較するということは私はなかなか難しい問題であろうと思いますけれ
ども、私は今日この法律、まさに都道府県あるいは県警等々御
協力いただいて、今その
趣旨の普及に努めて今日に至っておる段階でございますので、必ずそれなりの成果は出てくるものではないかと、こういうふうに期待をいたしておるというお答えが今日の時点においては大体限界かなと、こういうふうに思っております。
-
○
国務大臣(
田川誠一君) 新法施行後はこれに基づきまして警察では厳しく取り締まりを行っております。反面、業者の方にも幾分自粛の傾向も見られるようでございます。何と申しましても、まだ施行後間もないことでございますのでもう少し今後の動きを見守ってまいりたいと孝之ております。
-
○塩出
啓典君 サラ金への銀行やあるいは生命保険等の金融機関からの融資が本
委員会でも問題になったわけでございますが、また銀行
局長の通達も出ているようでございますが、融資状況を簡単に御説明願いたいと思います。それと、銀行
局長の通達はどういう
内容なのかですね。
-
○
政府委員(
行天豊雄君) お答え申し上げます。
まず、いわゆるサラ金、貸金業者に対する銀行等の融資の状況でございますが、私
どもが昨年の九月末現在で調査をいたしましたところによりますと、全国銀行の貸出残高が五百九十一億円、それから
日本にございます外国の銀行が二千五百二十億円、相互銀行が一千五百六十一億円、信用金庫が百七十億円、それから生命保険会社が八十一億円、損害保険会社が八十三億円、全部合計いたしますと五千六億円ということになってございました。
それから次の御
質問でございますが、昨年六月に銀行
局長名で出しました通達のごく大ざっぱな
趣旨は、こういう貸金業者に対します一般の金融機関の貸し出しにつきまして、確かにこういう簡易な消費者金融に対する需要があるわけでございますので、そういうものを全部否定するわけにはまいらないと思うのでございますけれ
ども、御指摘のようにいろいろこれは社会問題等もございますので、こういう貸金業者に対する融資を行うに当たりましてはそういった貸金業者の経営の姿勢であるとか、経営の状態であるとかということを十分に調査をいたしまして、間接融資がそういった貸金業者の改善、それからひいては消費者金融の改善に役立つように、そういうことに十分注意をして融資を行うようにというような
趣旨でございました。
-
○塩出
啓典君 だから、融資をしてはいけないと、まあいけないわけではないけれ
ども、そういう点非常に良質のところは貸してもいいという、こういうような御意見のようでございますが、もうちょっと具体的な基準みたいなものはないのでございますか。
-
○
政府委員(
行天豊雄君) お答え申し上げます。
特に
数字的に基準というものは考えてございません。率直に申しましてやはり金融機関でございますので、その融資につきましては
自主性を尊重しなければならないということがあるわけでございますが、ただ御指摘のようにいろいろな問題がございますので、貸金業者の仕振りにつきましては、取り立ての問題、金利の問題、それから過剰貸し付けにならないような点とか、いろいろ具体的に貸金業者のあるべき姿というようなことも考えまして、金融機関側において十分慎重な
対応をするようにということを通達したわけでございます。
-
○塩出
啓典君
総理にお伺いいたしますが、
総理は、サラ金についてはどのようにお考えを持っておりますか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) サラ金から来る悲劇については非常に心を痛めております。こういう悲劇を何とか起こさせないような方法はないものかと考えておるわけでありますが、現実の問題といたしましてやはり子供のいろいろな費用とかそういういろんな面で十万、二十万という小口の金を急に用立てなきゃならぬという方々も出てきて、銀行に行くわけにいかぬというようなそういう人のためにこういうものは出てきておる状態、存在自体は今の社会の仕組みから見るとやむを得ないけれ
ども、決してこれはそう褒めるべきことではない、むしろ仕組みや何かについていろいろ検討すべき点もあるというふうに考えております。先般議員立法でこれが規制に関する法律が成立して、それが開始したところでありますが、これによって第一段階は前進してきた。相当の脆弱なものは統合されるとか、あるいはやめなきゃならぬという立場にもなってきておるし、金利についても順次下げていくというめどがこれでついたという点、あるいは届け出制によって監督規制を強化するという面もできた。そういう点においては今までの野放しよりは一歩前進してきている。とりあえずこれを固めて規制をある程度立派にやって、そしてその状況を見ながら考えたらどうか。こういう痛ましいことがかなり起きておりますので、いろいろ検討をする必要もあると考えております。
-
○塩出
啓典君 大蔵大臣に
お尋ねいたしますが、サラ金の三悪は高金利と過剰融資とそれから強制的な取り立てと言われております。そういう
意味で私は、やはり大手であれ中小であれ、非常に貸し倒れが少ないとか、あるいは貸出金利が非常に安いとか、そういう業者には融資をしてもいいのじゃないか。非常に金利が高いとか貸し倒れが非常に多いとか、こういうようなところにはもう厳然と融資をしない。そういうことでやっぱりいい
意味での業者を育てる、そういう点のやっぱり基準を設けた方がいいのじゃないか。あるいは銀行業界で自主ルールをつくらせるとか、こういう点はどうでしょうか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 御提言の
趣旨は極めて良識的で、みんなが考える
一つの観点だと思います。御案内のように、これは金融市場というものに対しては、もとよりそれは銀行自身の判断で行うわけでございますが、いわゆる金融機関の持つ公共性というようなことからいろいろな指導をする立場にもございますので、御提言の
趣旨を生かして検討さしていただきたい、こういうふうに考えております。
-
○塩出
啓典君 新聞
報道では五十八年度決算で、大手サラ金業者においても回収不能が急速にふえて、残高の八・七%にも達しておると、また貸付金の残高が借入金よりも多い、こういう業者もいるようでありますが、そういう点、八・七%も回収不能が出るような業者は私はよろしくないと、大蔵大臣、どう思いますか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 御
趣旨のことは私も同感でございます。ただ、その基準ということになりますと、また各方面の意見も聞かなければならないと思いますが、今お示しなさった
一つの見解というものも検討に当たっての十分な参考とさしていただくべきものであるというふうに
理解をいたしております。
-
○塩出
啓典君 大蔵省は、いわゆる消費者金融の新立法、あるいは信用
情報の一本化、あるいは銀行の消費者金融促進のために現行の利息制限法の上限金利二〇%を三〇%に上げること等を検討しているようですが、状況はどうですか。
-
○
国務大臣(竹下登君) 新聞にも
報道されておりました、今おっしゃったような
趣旨からする金利三法の一元化という問題だと思います。いわゆる出資法と利息制限法と臨時金利調整法、こういうことでございます。この問題につきましては、これはまさに銀行
局長の私的諮問機関でございます金融問題研究会で去年の九月から消費者信用についての総合的な視点に立って検討が行われておりまして、今月末にも
報告書が取りまとめられると、こういうように承っております。この審議の過程で多くの方々から今おっしゃいましたような意見を含めていろいろな意見、御指摘があったところでございましたので、この
報告がまとまればこれを参考にして、これはもちろん関係省庁とも協議しなければなりませんが、行政当局としての
対応ぶりを検討すべきことではないかというふうに考えております。
なお、今御意見として御指摘のありました信用
情報の一本化という問題につきましても、これはまあプライバシーの問題が大いに関係あるところでございます。したがいまして、どういうふうにこの議論をしてみますか、言ってみれば各個人信用
情報機関でのあるいは相互に
情報を交換するというシステムとか、そういうこともやはり検討の課題になることであろうというふうに認識をいたしております。
-
○塩出
啓典君 今、個人
情報の一本化という点でございますが、サラ金業界の
情報、あるいは信販業界の
情報、あるいは銀行業界の
情報、そういうものを一本化するというのは、私は非常に危険な感じがするのであります。むしろブラック
情報の交換だけでやっていく方がより順当ではないかと思うのでございますが、この点は通産大臣はどういうお考えを持っていますか。
-
○
国務大臣(
小此木彦三郎君) 通産省が割賦販売を持っているわけでございますが、基本的にはこの問題はただ単に割賦販売だけでなしに、何と申しますか、消費者信国産業全体の問題としてやはり考えていくのが筋だと思います。したがって、今後関係省庁と十分相談して
対応を行っていく所存でございます。
-
○塩出
啓典君 これは私の意見として申し上げておきたいと思います。
それから、
情報化社会への
対応としてコンピューターに組み込まれた個人に関する
情報についてのプライバシー保護の問題。これは
総理の演説の中でもあったわけでございますが、これは四十八年四月の
予算委員会において私も当時の福田行管庁
長官に
質問をいたしまして、プライバシー保護の新立法の検討が必要がある、このように
長官は言っておるわけでございます。OECDも一九七九年にプライバシー保護のガイドラインを発表し、各国に立法措置を勧告しておるわけでございますが、この立法は非常に緊急のことではないか。今、検討状況はどうなんでしょうか。いつごろ国会に提出できるんでしょうか。
-
○
国務大臣(
後藤田正晴君) この問題につきましては、この国会でも
総理の施政方針演説で、適切な
対応をしてまいりたい、こういうお話があったのですが、その前に、御
質問にございましたようにOECDから、これは
昭和五十五年であったと思いますが、
昭和五十五年に、収集制限の原則、
データ正確性の原則、
目的明確化の原則、利用制限の原則、安全保護の原則、公開の原則、個人
参加の原則、責任の原則、こういった八原則を示しまして、各国で立法化を推進をするようにという勧告があったわけでございますが、それを受けまして政府としては、加藤
一郎さんをまあ大将にして、数名の専門家の方にそれぞれのお立場でそれぞれ御意見を表明していただいて、一応の取りまとめができたわけでございます。その取りまとめは、収集制限の原則、これは収集に際し
目的の明確化。それから利用制限の原則、これは収集
目的の範囲内での利用。三番目が個人
参加の原則、自己の
データ内容を知る権利。適正管理の原則が四番目、これは
データの適正管理と安全保護措置。それから五番目が責任明確化の原則、これは管理責任者の問題でございますが、こういった原則をお示しになられたわけでございます。そこで、それを受けまして、現在は政府の部内で各省庁の
局長クラスの連絡協議会をつくって、立法化に向けての検討を進めておるわけでございます。
なお、本件については行政調査会等からも、制度の問題を含めて立法化に向かって準備をするようにと、こういう御提言もあるわけでございますので、政府としては鋭意検討を進めて、もうここまで来れば、何とか立法化にある段階に来れば踏み切らなければならない。ただこの問題は片方に、今日のような時勢でございますから、一方で
情報の公開法をつくれ、こういう要求があるわけでございます。そこらをにらみ合わせまして、政府としては、今時期がいつだということになるとちょっとお示し困難でございますけれ
ども、できるだけ早い機会に結論を得て立法化を進めなければならぬ、かように考えておるわけでございますので、しばらく時間の猶予をちょうだいいたしたい、かように思うわけでございます。
-
○塩出
啓典君 それで、この国会には提出できるのかどうか。それともう
一つは、民間のコンピューターの
データが規制外と聞いているんですが、その点はどうなんでしょうか。
-
○
国務大臣(
後藤田正晴君) この国会でというのはちょっと御勘弁を願いたいと思います。できるだけ早くということで御
理解をいただきたい。
なお、私
どもが今検討をしておりますのは、やはり公の立場で集めた
情報というものがむやみに、本来
情報というのは当該個人が自分自身の
情報は管理するというのがこれは基本的な権利でございますから、それを公の立場で集めたものをみだりに外に漏らすといったようなことはぐあいが悪い、こういうことであろうと思うわけでございますが、御説の、商売の関係とかなんとかというようなことで、民間の機関がそれぞれお互いの信頼の上に立って集めていらっしゃるのだろうと思いますが、それがまたむやみに外へ出るということもこれまた適当とは思いませんが、こういった問題がございまして、なかなかこのプライバシーの保護というものがそう簡単に結論が出るという筋合いのものでもないんだということも御
理解をしておいていただきたい、かように思うわけでございます。
-
○塩出
啓典君 この件で
総理に要望をしたいわけでございますが、今政府が考えておりますのは国とか地方自治体のコンピューターの
情報だけでございます。しかし、今申しました加藤
一郎東大教授を座長とするプライバシー保護研究会は、金融機関の個人信用
情報等は民間部門でも公的部門と同じく規制をせよと言っております。私はやはりそういう点が必要じゃないかと思うんですね。と同時に、国の
対応がおくれているために地方自治体が独自でプライバシー保護規定を設けておるわけでございます。福岡県の春日市の個人
情報保護条例もその例でございます。これは民間業者にも努力義務を課しておるわけでございますが、そういう国の
対応がおくれることは非常によくないと思うわけでございますが、
総理も施政方針演説で述べたわけですから、これは早急にひとつ検討して立法化をしてもらいたい。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 御
趣旨に沿いまして幅広く検討しつつ、できるだけ早く制定に至るように努力させたいと思います。
-
○塩出
啓典君 教育問題について
お尋ねをいたします。
当
委員会でも先般偏差値が問題になりました。ペーパーテストの結果のみが人間の評価に使われ、点数の悪い者は敗者とされてしまう、こういう風潮でございますが、
総理御自身は学生時代を振り返ってペーパーテストの結果はどの程度でございましたですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 試験に関するものについては、私も旧制高校を受ける前に、たしか中学三年の後半から、あのころ英語通信社とかいうのがあってペーパーテストみたいのをやりました。私は田舎の中学校で別に勉強するよすがもありませんからそれをひとつやってみよう、あとは学校の本でやろうと、そういうことで、それから昔あった問題集、各高等学校や専門学校で出た問題集というものも自分で勉強してみたりしました。まあ全く独学でやってみたんです。ペーパーテストの結果は、英語とか国語とか数学とかはまあまあの成績をやっぱりとっておりました。それで受けてみたんですが、幸いに山が当たったんでしたかどうでしたか合格して四年で高等学校へ入ったわけであります。ですが、そのころは今のようにマークシート方式でぱっぱっと大量生産的にやるというんじゃないので、もっと余裕がありまして、学校の勉強をがっちりやっておけばまあまあ何とかやれるというていのものであったように思います。
ところが今のやり方は、全く工場の流れ作業をやるように、もうそれ独特の技術をのみ込めないとあの大量のものを短時間に消化することはできない。私も自分で日曜日にやってみましたけれ
ども、問題を見た瞬間にもう心が震えちゃって、これが果たしてやれるかというおののきが出ましたね、実際。それで英語から何からやってみましたけれ
ども、とてもこれはもうつっかえちゃってできませんでした。そういうことを今の子供にやらせるということはこれはもう、動物虐待防止法というのがありますが、人間虐待防止法というのをつくってやりたいぐらいのものだろうと、そう思いました。そういうことを非常に痛感したのもやっぱり教育問題に関心を持った大きな原因であります。
-
○塩出
啓典君 最近はいわゆる専修学校に進学する人がふえておるわけでございます。高校を卒業して短大に進む人よりも専修学校へ行く人がついにオーバーしちゃったわけでございますが、こういう風潮は私は非常に喜ばしいと思いますが、
総理のお考えはどうですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) これは人生観、価値観が多様化しておのおのが見識を持ってきつつあるということで、非常に歓迎すべきことであります。
-
○塩出
啓典君 ここでは文部大臣に
お尋ねしますが、教育の多様化を推進するためにも、やはり専修学校といわゆる一条校とのいろいろな点の格差の是正が必要だと思います。今回の税改正で税金の面等の格差はかなりなくなってきたようでございますが、単位の互換性とか、あるいは中学を出て専修学校へ入った人に、もちろんある条件を決めなくちゃいけないと思うんですけれ
ども、大学の受験資格を与えるとかあるいは編入の資格を与えるとか、そういうような点を今後どのように改善されていくおつもりか、これを承っておきます。
-
○
国務大臣(森喜朗君) 専修学校が大変若い皆さんに好評を博している、表現はちょっとよろしくありませんが、そういう価値観の多様性というのは今
総理が御答弁申し上げたとおりでございます。
専修学校はもう御承知のように、いわゆる中学卒対象あるいは高等学校卒業対象、あるいは学歴は全く問わない、こういう皆さんにも社会の多様な要請にこたえて柔軟な教育ができる、そういう教育が展開できるという妙味があるわけであります。一条学校はもう幼稚園から大学まできちっと
目的、入学資格、修業年限、教育
内容、すべてこれ明確に決められているわけでございますから、私はこういう
変化で一条校とそして専修学校が両方いい形で発展をしていくということは
日本の教育にとっていいことだと考えております。ただ、この中に格差があるという面では確かに御指摘のとおりでございますが、税制の面あるいは育英奨学制度の面、五十一年に専修学校制度ができましてからかなりそういう面では改善をされてきておりまして、まだまだ足りない面もございますけれ
ども、文部省としては、専修学校もできる限り高等教育の位置づけと同じように
国民の皆さんから見ていただけるようなそういう価値観のあるものにしていきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
ただ、今、先生御指摘がございましたように、単位の互換性、あるいはまた専修学校の履修で高校と短大の単位と認定をしていくというようなことについては、これは大変意義のあることでございますが、今すぐこのことを取り入れるということは
日本の教育の根幹に触れてくることでもございますので、検討の課題として今文部省もいろんな
意味で勉強もいたしておるところでございます。入学資格の弾力性の中でこの問題をどういうふうに取り入れるかということになりますと、これは今申し上げましたように、
日本の教育そのものの方式といいますか、そのこと自体の根幹に触れてまいります。
総理はたしか
衆議院の
予算委員会の中で複線あるいは複々線というような形を答弁の中でお話をされておりますが、私はもうこういう
考え方が、これから二十一世紀に向けての
日本の教育の体系として極めて意義のある取り進め方だと考えております。しかし、今申し上げたように大変教育全体の根幹に触れるとたびたび申し上げておりますが、そういう問題でもございますから、今から私
どもからこういうふうなことをやれ、やっていただきたいということを申し上げることは越権でありますけれ
ども、でき得れば新しい教育を見直す審議機関の中でこうした問題もぜひ取り上げていただければいいがなという、政府の立場から言えば期待感を持っておるところであります、
-
○塩出
啓典君
総理に
お尋ねしますが、偏差値万能の風潮を改めるには、やっぱり企業の採用試験ですか、そういうときに余りペーパーテストじゃなしに、もっと人物を見るとか、そういうようなことが私は必要じゃないかと思うんです。だんだんそういう風潮にはなっていると思うんですけれ
どもね。そういう点を各企業にも本当に、ペーパーテストは一番簡単ではあるのですけれ
ども、企業としてもより人材を探すためにもっと入社試験の多様化というか、こういう点を指導する考えはないか。また、国家公務員の採用試験においても、ひとつ余り偏差値優先ではなしに、もっといろんなほかの要素も加味するようなそういう方向に検討すべきではないか、その点どうでしょうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) そういうことが行えなければ学校の改革もできないだろうと思います。結局、終着駅からどこへ行くかということが若い人たちの関心事でありますから、その受け入れ態勢自体がそういう方向に行かなければ、なかなか複線化をやっても実らないものだろうと思うんです。ですから、非常にそれは大事な点でありまして、官庁自体も採用のやり方とか、あるいは企業自体も選考の方法とか、そういうものを一緒に変えていかなければこれは実らない。ただし、時間は多少かかるでしょうけれ
ども、そういう方向で今回の新しい教育審議機関もお考え願いたいと思いますし、成案がそう出てきたらこれは内閣が断固実行しなければいかぬ、そう思います。
-
○塩出
啓典君 先ほどの
総理の言われました共通一次試験の問題ですが、
総理は先般国大協の幹部をお招きして、未年の入試から間に合うように改革を要請されたわけでございます。また、森文部大臣も二月十八日の我が党の二見議員の
質問に答えて、芸大に行く人に数学、理科は要らない、当
委員会でもそういう論議があったわけですけれ
ども、あるいはアラカルト方式を導入するとか、こういうように答弁されておるわけでございます。六十年実施というともう早くやらないと間に合わないと思うんですけれ
ども、これはどうなりますか。
-
○
国務大臣(森喜朗君) 芸大へ進む方に理科や数学は要らないというふうに私は決めつけたわけではございませんが、今の共通一次のやはり
問題点は五教科七科目、学者によってはこれぐらいのことをマスターしてくれなければ国立に入る資格がないんだということもおっしゃる先生もおられますけれ
ども、そのことが大変過重な負担になって高等学校の教育あるいはまたその前の中学、小学校に至る教育の体系が崩れているということであるならば、もう少しそのあたりに工夫をしてみたらどうか、文科系と理科系を望む人たちにやはりその辺の科目についてもう少し柔軟な措置がとれないだろうか、こういうことを今国大協のいわゆる懇談会の先生方に希望をいたしておるところであります。
そこで、高等学校側から要望がございました三学期をできるだけ高等学校の学問が落ちついてできるようにということで、試験期日の繰り下げというのをこれは要望しておりましたが、これは先般二月二十二日にとりあえず六十年度から一月二十六、二十七日に繰り下げることは決定をいたしましたので、近く実施要綱で改正をいたします。ただ、これ以上延ばすということは、やっぱり沖縄からもう北海道まで一遍に三十万を超える人がやるわけですから、これ以上繰り下げるということは難しいようでございます。
ただ、アラカルト方式とか柔軟な多様性という問題は今検討いたしていただいておりますが、これがもうかなり前進、前向きに国大協の先生方にも今改善の努力をしていただいておるわけですが、ぜひこれは塩出先生に、もうお間違いないと思いますが、六十年度からすぐこの問題に踏み切れるかということについてはこれはこの場では、今の段階では難しいと思います。これはそのような方向をうっかり六十年、六十一年からできるのではないかという希望的なことを申し上げますと、今の高等学校へ入る一年生から勉強そのもののスケジュールが全部狂ってまいりますし、またそういうことの期待を生徒さんがしてしまってもこれは大変な問題になってしまいます。したがいまして、繰り下げについては六十年度からいたしますが、アラカルトやあるいは多様性あるいは二次試験に対するいろんな多様な
考え方は今検討いたしておるところでございまして、これにつきましては、いつからどうというようなことは、国会のこの場では、生徒の皆さんにも影響いたしますので、具体的な実施時期については申し上げることはできませんけれ
ども、国大協の関係者でも鋭意そうした
国民的な期待にこたえて今検討をしていただいておるものだと、こういうふうに御
報告を申し上げることはできると思います。
-
○塩出
啓典君 文部大臣、もう既にアラカルト方式をやっている学校もあるわけであります。だから、まあ全部七科目やれとかじゃなしに、それはある程度大学の選択に任せて、やっぱりやれるところはもう六十年度からもやるし、そのあたりは全部一律じゃなくても、いろいろ多様化でもいいのじゃないかと思うですね。そういう
意味で、アラカルト方式をやっぱり文部省として、希望のある大学はやってもいいと、こういう認可をしてはどうなんでしょうか。それはできませんか。
-
○
国務大臣(森喜朗君) 文部省としましては、そういう方向で採用してもらいたいという希望はもう伝えてあるわけです。問題は、実施するのは国大協でございますから、国大協の先生方がどのように受けとめてくださるかということだと思います。でき得れば、国立だけをその枠にはめてしまいますので、私立大学の方が非常に濃度が濃いといいますか、学問をきわめることになりますので、偏差値を取り上げるのはよくありませんけれ
ども、伝えられるところによる偏差値によれば、早稲田や慶応の偏差値が東大以上になっているという面もございます。そういう面からいいますと、国大協の立場からいえば私大に対する不満もあるわけですから、私大もこのアラカルト方式になら
参加してもいいぐらいのニュアンスは出しておいてくれておりますので、私学もできればこの共通一次に
参加していただく、そして本当に自分たちの希望の学部や学科が、この学問だけ試験していくというようなやり方をぜひ選択してもらえるようにしたいなと思っておりますが、ただ、今、先生御指摘でございますが、もうそのことをやらせてもいいじゃないかということでありますが、やるのはやっぱり国立大学でありますので、文部省としてはそういう方向をぜひやってもらいたいという希望は出しておりますが、六十一年からとか六十年からというようなことの明言は私
どもは今できない、そういう立場でございます。
-
○塩出
啓典君 東京芸術大学では数学、理科の点数は合否に関係をしない、こういうアラカルト方式をとっておるわけでございます。ところが大学入試センターは、芸大を第一志望としている受験生も共通一次の七科目の答案を提出させ、七科目すべて提出しないと受験生から国公立大学二次試験に受験する資格を剥奪しておる。だからこれは、やはりほかの数学、理科以外のものを受けた人にもそういう資格を与えるように指導できませんか。
-
○
国務大臣(森喜朗君) 非常に難しい問題でありまして、今御指摘のとおり、芸大あたりではもう既に実際には数学とか理科というものにそうウエートを置いていないというふうに聞いております。ただ、点数を公表できないということもございますので、芸大の場合はやっぱり音楽、絵画の道に通ずるその方に非常にウエートを置いておりまして、私も内々ちょっと調査をしてみますと、必ずしも共通一次の平均はそう高いものではないわけです。それはやはり高いものをとる科目と、まあ適当と言うとしかられますけれ
ども、そうでないものがあるというのが平均点でわかっておりますので、かなり大学では工夫をしておるようであります。ただ、もう
一つ先生御指摘のように、もう少し大学がきちっと受験生に対してその辺をはっきりと明示ができるようにしてあげることで受験生の心が非常に和らぐというふうに考えておりますので、今後ともできるだけそのような方向で国立大学協会、あるいは私立大学連盟、協会等にも文部省としても改善の努力をするように善処していきたいと、こう思っております。
-
○塩出
啓典君 最近の生命科学の進歩は非常に目覚ましいものがあるわけでございますが、しかしこうした生命に関する技術的進歩が次々と現実化される中にあって、社会的な
対応のおくれが目立ち始めてきております。こうした問題は、人類の生存、生命の尊厳にかかわるものだけに、生物学者や医者など専門分野の人だけに任せるべきではなく、広く英知を集め、こうした技術進歩をどのようにコントロールし人類の幸福に結びつけていくか、重要な課題と言えます。
今月十九日、箱根で開催された「生命科学と人間の
会議」、これは大きな注目を浴びておるわけでございますが、そういう
意味にあると思うのでございます。そういう
意味で、
総理はこの会を呼ばれたわけでございますが、その
会議の
目的と、またどういう成果を期待しているのか、これを承っておきます。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 去る十九日から、先進国首脳
会議参加国の大統領、
総理の御
協力をいただきまして、各国から平均三名の生化学者あるいは哲学者あるいは神学者等々の御参集をいただいて、東京及び箱根で
会議を行いました。その状況を、中間
報告を聞いてみますと、非常に御熱心な討議があり、非常にまた有意義な
会議であったという中間
報告を得ております。それで、フランスがこの問題についてはまだ非常な興味を持って、次の
会議はフランスでやりたいという御提議もありました。また、各国の大統領、
総理大臣から開会に当たって特別のメッセージが寄せられましたが、こういうことも珍しいことではないかと思っております。
それで、この
会議を考えました基本は、ともかく、主としてバイオテクノロジーあるいは遺伝子の組みかえというものがこれだけ発展してまいりますと、生命の根源に科学的に迫っていけば迫っていくだけ人間はおののきを感じなければならぬはずだ、それを科学の名において傍若無人にやったら、これはえらいことが出てくる危険があると。また、あるいは非常に大きな惨害が人類に出てくる危険がある。例えば異常な生物やあるいは動物が出てきたり、あるいはばい歯やその他が出てくる危険性もなきにしもあらずである。そういうような面からも、これらの生化学の発展については、これはもう一国家や一大学の関心事ではない、全人類の課題である。そのほか、試験管ベビーであるとか、あるいは受胎、妊娠に関する最近のいろんな状況であるとか、あるいは安楽死の問題であるとか、あるいは植物人間に対する扱いであるとか、そういう非常に人間の尊厳や精神性を伴う問題が続々出てきておる状況ですから、世界の賢人に集まっていただいてフリーディスカッションをしていただいて、結論は出ないかもしれない、出なくても結構だと。しかし、人間の一番深い考えを持っている人たちがそれを議論していただいたことを世界の関係者にその資料を頒布しよう、読んでいただこうと、それを何回か続けてやっていくうちにどうしたらいいかという方向は自然に生まれてくるであろうと。
こういう問題は、法律とか条約ですぐ強制すべき問題ではない。価値観という問題は、人類により、地域によりみんな千差万別です。あるところでは一夫一婦制ですが、あるところでは一夫多妻制もとっておる。事ほどさように価値観が違うのであるから非常に扱いは難しい。しかし、共通のものは何かあるはずであると。そういうこれは人類的視点と申しますか、そういうような面に立った
一つの
考え方あるいは幾つかの
考え方というものを生み出すことができれば幸いであると、そういうことから
会議をやりまして、わざわざ
日本へ来ていただきましたから、仏教の東洋哲学の権威者の話も聞きたいという話がありまして、そういうお坊さんの権威者も箱根でお話を申し上げたりして非常に喜ばれたりいたしまして、かなり成果が上がったと思います。これらの結果は、
日本はもちろん、各国のしかるべきところに頒布して、次第にこれを濃度を濃くしていくようにしたいと、そう考えておる次第でございます。
-
○塩出
啓典君 最近では徳島大学におけるいろいろな問題等もあったわけでございますが、例えば体外受精のガイドラインとか、あるいは脳死を含む死の判定の基準の問題とか、こういうように非常にお医者さんの論理で必ずしも統一されていないこういうような点は、私は国内的なコンセンサスを得て速やかに
一つの方向を出すべきではないかと、このように思うわけでございますが、この死の判定基準の問題あるいは体外受精のガイドラインの問題についてどういう状況であるのか、御
報告をいただきたいと思います。
-
○
国務大臣(渡部恒三君) 体外受精の問題、もう私も厚生大臣になっていろいろ勉強させていただいておるのでありますけれ
ども、本来、人間というものは夫婦の愛の営みによってということでなければ、少なくとも男女の愛の営みによって生まれることによってそこに人間愛とか夫婦のきずなとか親子の愛情とか生まれてくるものと、またそれは非常に大事にしていかなければならないことだと思っておるのでありますけれ
ども、しかしまた一方、体外受精の問題が不妊症に苦しんでおる夫婦の人たちに大きな朗報であることもこれは否定できない事実なのであります。そういう中で生命の科学の発達が人間の倫理を侵さないようにどこにガイドラインを設けるか、大変難しい問題なのでありますけれ
ども、今それぞれの大学あるいは産科婦人科学会においては胚移植等体外受精に関する見解ということで
一つのガイドラインを示しております。ただ、これを行政の分野でどこまでつくれるかと、こういうことになりますと、学問の自由、研究の問題等もありますので、まだここまでというところまではまとまっておらないのでありますけれ
ども、非常に大事な問題でございますので、厚生省でも生命と倫理に関する懇談会をつくりまして、権威ある人たちにお集まりをいただいて、この方々とよく研究しながら検討を進めてまいりたい。
脳死の問題もやはりこれと同じような問題でございますが、先生が今御指摘のように、もう医学的な検討、これだけで解決できない、法律、倫理等幅広い議論からこれは進んでいかなければならない問題でございますので、今厚生省の研究班では、引き続き
昭和五十九年度においても、この調査結果をもとに現在の医学的知見に基づいた脳死の判定基準、これを検討していかなければならない。これには先生御指摘のようなもっと幅広い立場の二十一世紀の未来に人間の根源を、生命等の倫理を科学の発展の中でどこまで守っていくかということで検討してまいりたいと思います。
-
-
○峯山
昭範君 先日の
委員会におきましてバイオエシックスの問題についてお伺いをいたしましたが、きょうは生物兵器等のかかわりについてお伺いしたいと思います。特にバイオ技術が発達をしてまいりますと、生物兵器への応用という問題がこれは出てくるわけでございますが、この問題について
総理のお考えを初めにお伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 将来、仮にバイオテクノロジーの研究の発展によって生物兵器として利用し得る微生物等が現出する可能性が生じるような場合にも、生物兵器禁止条約において生物兵器の開発、生産、貯蔵等が禁止されている以上、バイオテクノロジーを利用した生物材の生物兵器への使用という事態は防ぐことができると考えております。
我が国はもとよりこのような考えに立脚して実行してまいるつもりでおります。
-
○峯山
昭範君 生物兵器は一部の科学者にとっては大変誘惑に駆られやすい研究であるということも聞いております。その上で、これは非常にそういう問題についての歯どめという問題が大変必要になってくると私は思います。そういう点に絡めまして、特にこの点についての科学技術、厚生、
防衛、各省のお考えをお伺いしておきたいと思います。
-
○
国務大臣(
岩動道行君) ただいま
お尋ねのバイオテクノロジーによる生物兵器については、基本的には
総理が御答弁なさったとおりでございます。
また、私
ども科学技術全体を預かっておる立場におきましては、科学技術
会議におきましていろいろな研究開発の指針を示しているところでございます。そういう中において、特に先ほど塩出
委員からのお話がありましたような人間の遺伝子の組みかえ等につきましては、これは認めないという方針を科学技術
会議でも指針を示しておられます。したがって、科学技術庁といたしましてもその線に沿って行政を進めているところでございます。
また、ただいまのように兵器という分野になりますと、これはもう絶対に認めるわけにはまいりません。したがいまして、今後とも私
どもは科学技術
会議のいろいろな御検討をいただきながら、そのような分野に研究が進まないように、これは歯どめをしていかなければならないと、かように考えておるところでございます。
-
-
○
国務大臣(渡部恒三君) 御指摘の兵器への応用は理論的にはこれは可能であると思われますが、このような場合には生物兵器禁止条約、これに基づく法令による必要な規制措置等がとられて心配がないと、私自身、今御
質問をいただいて、今までそういうようなことを夢にも考えておらなかったのでためらったような状態でありますから、そのような御心配は全くないものと考えます。
-
○峯山
昭範君 この点はぜひ、夢にも考えていなかったことが後で大変なことになったりすることもありますので、明確にしておきたかったわけであります。
これは
防衛庁当局にお伺いいたしますが、安保条約第六条、地位協定十四条に基づく基本労務契約の職務ナンバー五〇三について御説明願いたいと思います。
-
○
政府委員(塩田章君) 御指摘のナンバー五〇三でございますが、「医学研究職—微生物」と、こういう職種でございます。要点を申し上げますと、微生物につきましてその生成過程、病気の原因としての重要性、殺菌消毒の方法等に関する研究を行う職務であります。
-
○峯山
昭範君 この学職は、従来職務番号が四二〇番で細菌学職というふうになっていたわけでありますが、なぜ「医学研究職—微生物」ということに変わったんですか。
-
○
政府委員(塩田章君) 御指摘のように、元細菌学職という職種であったものが
昭和三十六年六月に、先ほど申し上げました「医学研究職—微生物」というふうに職種名が改められております。職務
内容は現在のものと従前の細菌学職とほとんど同じでございますが、その変えられた理由につきましては、現在つまびらかな点を承知いたしておりません。
-
○峯山
昭範君 この問題は、従来、神奈川県相模原市に
米軍第四〇六
部隊と呼ばれる細菌学職の化学戦の
特殊部隊が配置されていた経緯があるわけであります。そういうような点からいいまして、従来、細菌学職というふうにありましたのがこういうふうに名前を変えて、そして同じ
内容になっているということが
一つ。
それからもう一点は、いわゆる細菌についての研究あるいは細菌学者の確保という面で、日米安保条約に基づいて、いわゆる
米軍からのそういう人をいただきたいという
協力要請があった場合、これは今の前段の化学兵器という、生物兵器という問題から考えても、当然
防衛庁としてはこれを拒否なさると私は考えておりますが、この点非常に重要な問題だと思いますので御答弁をいただきたいと思います。
-
○
政府委員(塩田章君) 今申し上げました「医学研究職—微生物」という職種は、現在、
昭和五十一年以降その職に在籍する者はおりません。今の御
質問は、その職種に労務の提供を求められた場合に提供する義務があるかどうか、どうこたえるかという
お尋ねだと思いますが、現在、化学職、別にございますけれ
ども、化学職または微生物の研究を行うということが直ちに生物兵器の応用につながるとは考えられないわけでございますが、駐留軍従業員の化学職あるいは医学研究職につきましては、基本労務契約に基づきまして日米間で協議の上で設定されたものでございまして、その職務
内容は、防食でありますとか防錆、防疫、免疫といったようなことに関しまして分析調査をするものでありまして、生物兵器の研究開発といったようなこととは直接関係はないものと私たちは承知しております。したがいまして、そういうものである限り労務の提供上は別に問題はないというふうに考えております。もし
お尋ねのように生物兵器に直接かかわるというようなことであれば、これは当然お断りすべきものであるというふうに考えております。
-
○塩出
啓典君 文部省に
お尋ねしますが、東海大学の五島雄
一郎教授らの研究グループが文部省の科学研究費による特別研究で
日本人のコレステロール値の
変化を長期的に調べております。五十五年の調査は、金沢医大関本博教授が班長となって全国で一万人余について調査をしておるわけでございますが、この調査結果を御
報告願いたいと思います。簡単で結構ですから。
-
○
国務大臣(森喜朗君) 御指摘の研究は、今、塩出先生からお話しのとおりでありますが、五十八年の十二月に循環器学会において成果を発表されております。研究の概要は、二十年前より全般的にコレステロール値が増加をしている、特に若者、十歳、二十歳台のコレステロール値は米国よりも高い値になっているということでございまして、食生活の
変化、特に動物性たんぱく質、脂肪の摂取増という、そういう関連があるのではないかという推定をいたしておるところであります。
-
○塩出
啓典君 今申しましたように
日本人のコレステロールの値が非常に高くなっておる。特に若い世代が
アメリカを超しておると、こういう状況でございますが、こういうコレステロールが高いために生ずるいわゆる動脈硬化性の疾患の状況はどうなのか、厚生省に
お尋ねをいたします。
-
○
政府委員(大池眞澄君) 血清コレステロールの過剰が起こりますと動脈硬化というような状況につながってくるわけでございますが、動脈硬化と結びつきの深い疾患といたしましては心筋梗塞などを初めとします虚血性心疾患、これが増加をしてくるわけでございます。過去二十年ほどのこれらの疾病の死亡率でございますとか、あるいは有病率というような指標を経年
変化、推移を見ますと、この間に約二倍程度増加をしてきておることが認められております。ただ、御承知のように近年、この間非常に高齢化ということが急速なテンポで進行しているわけでございまして、直ちに疾病そのものが本質的に二倍ふえたということでは必ずしもないわけでございまして、高齢者が非常にふえてきたということと非常に関係の深い状況であるというふうに考えております。
なお、先ほど研究
報告で触れておりました若年層についての問題でございますけれ
ども、こういう年齢別にこの病気の死亡状況の最近の推移を見てみますと、二十歳未満の世代での死亡率は幸いまだそれほど大きな
変化を示していないという現状でございます。しかし、いろいろ欧米諸国等の研究その他をもとにいたしますと、将来こういった世代の人、今のコレステロール値がどんどんまだ上昇していくというようなことでございますと、いろいろ欧米諸国で経験しておりますような心臓の関係の病気がふえていくことの可能性があると、こういう指摘がされておる。これはよく我々も注目しながら必要なまた
対応をしていかなければならぬと、かように考えております。
-
○塩出
啓典君
総理、
アメリカの上院では栄養問題特別
委員会というのが
アメリカ人の栄養問題について調査をし、一九七七年に五千ページを超えるレポートを発表しております。これは
総理ではなしに、厚生省はどういう
内容か掌握しているんでしょうか、大体の概略でいいんですけれ
ども。
-
○
政府委員(大池眞澄君) ただいま御指摘のございましたレポートは、米国の上院におきまして、栄養及び人間ニーズに関する特別
委員会が一九七七年に公表をいたしました「
米軍の食事
目標」という
報告書であると
理解しているところでございます。一般にマクガバン
報告とも言われていることと存じます。このレポートにおきましては、米国人の心臓病等を予防するための食生活のガイドラインとして大きく七項目に分けまして
目標が示されておるわけでございます。ごく簡単に申し上げますと以上のようなことでございます。
〔
委員長退席、理事初
村滝一郎君着席〕
-
○塩出
啓典君
総理、
アメリカはこのようにマクガバン
報告によりまして食生活のガイドラインを設けて非常に食事改善運動をやっておる。現在
アメリカにおいてはすしなどの
日本食ブームが非常に起きておるわけで、その結果非常に減ってきておるわけですね。ところが肝心の
日本の方は、いわゆる先ほどのレポートのように特に児童のコレステロール値が高くなっておる。教授はやっぱりこのままいくと今の二十歳以下が二十歳、三十歳になった将来が非常に心配であると言っておるわけでございますが、こういう点で私は、やはり
我が国においてもそういう食生活の改善運動というか、もっと厚生省も
国民の食事に対する指導というか、そういうものを検討すべきではないかと思うんですが、その点お考えはどうですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) それは適切なお考えだろうと思います。
アメリカのそのリポートも私はかつて勉強したこともありますが、この間レーガンさんが来たときも、
日本食をしたときにその話が出まして、私は
日本の御婦人はお年を召しても非常に美しい、欧米の人よりも
日本の御老人の方が女性は美しいのは
日本食のせいだ、そういうことを言って大いに効能書きを述べておきました。非常にお二人も同感だというようなことを言っておりました。その肝心の
日本が最近若人等についてコレステロールがたまっておるという状態は憂うべきことでありまして、厚生省を中心に大いに啓蒙していくようにしたいと思っております。
-
○塩出
啓典君 厚生省は
国民の栄養の調査等もやっておるわけなんですけれ
ども、ただやっているだけで、こんな厚い
データが出ただけでは
意味がないと思うんですね。そういうものをやはりフィードバックして、そして
国民の皆さんの栄養の指針となるようなそういうものをつくってもらいたい。ことしはちょうど五年目の改訂の時期なんですけれ
ども、そういう
意味でぜひ将来を見通した
我が国国民の食生活はどうあるべきか、こういう見地に立っての指針を
国民に示してもらいたい。この点どうでしょうか。
-
○
国務大臣(渡部恒三君) 御指摘のように、厚生省では五年に一遍ずつ健康な
国民生活を守るための必要な栄養量を調査いたしておりますが、五十九年、今年八月に第三次検討の結果が出てまいります。この結果を踏まえまして、今、先生御指摘のように、また先ほど
総理から発言がありましたように、
日本人の健康を最高に守っていく食生活はいかにあるべきか。私は、
日本というのは中華料理もあり洋食もあり
日本食があり、栄養面でいきますとそれぞれに特徴と短所がありますから、これらを十分に取り入れているそれぞれの食生活、これは
日本は必ずすばらしいそういう
意味の方向ができると思います。二十一世紀の
日本人の健康を守る食生活はいかにあるべきかということを、先生の御意見を踏まえて研究してみたいと思います。
-
-
-
○久保亘君 最初に、
農林水産大臣に
お尋ねいたしますが、十五日、十六日のサンフランシスコの非公式協議で日米交渉に歩み寄りが見られたと、あなたが言われたと
報道されておりますが、その
内容を少し説明してください。
-
○
国務大臣(山村新治郎君) 先週の十五、十六日、サンフランシスコにおきまして十三品目の問題等につき事務レベルで非公式な日米協議が行われました。この協議は今週、きょう二十二日から二十四日に予定される佐野経済
局長とスミス通商次席代表との非公式協議に先立つ予備的なものでございます。十三品目の問題を牛肉、かんきつ問題とあわせて解決したいというようなことで十五、十六日行わせました。そして、この協議は友好的な雰囲気の中で突っ込んだ密度の高いものであったという
報告が来ております。米側も有益な協議であるということを評価しておるということを聞いております。
-
○久保亘君 二十二日からのワシントンの佐野・スミス会談といいますか、この協議で佐野代表は
日本側の最終的な譲歩案というのをお持ちになっているんですか、どうですか。
-
○
国務大臣(山村新治郎君) 佐野経済
局長の方はかなり具体的な方針を明らかにするということでは行っておりますが、最終的ということではございません。最終的には担当大臣の私が行って最終責任ということになろうかと思います。
-
○久保亘君 今、牛肉の場合で言いますと、
日本と
アメリカとのそれぞれが歩み寄っているその開きは何千トンですか。
-
○
国務大臣(山村新治郎君) 何千トンということの数量の方はあれでございますが、まだかなりの開きがあるということの感触は受けております。ただ、きょう、恐らく今夜遅くなっての会合になると思いますので、二十二日ですから、ちょうど
アメリカの時間でありますと、それはまだ佐野さんからの
報告は来ておりません。
-
○久保亘君 佐野さんは、ガードはかたくやるが決着は大胆にやるということを言われたことがございます。それで、今伝えられるところでは、
日本側、牛肉七千五百トンというような話がありますが、七千五百トンまで譲られるのか、その辺はどうなんですか。
-
○
国務大臣(山村新治郎君) そのような
数字の面はまだ全然出ておりません。そして佐野
局長にいたしましても、いわゆる
日本農業を守るという立場でやってまいるつもりでございます。
-
○久保亘君 それでは、その七千五百トンというようなべらぼうな
数字になるようなことは絶対ないということで、あなた、ここでおっしゃっていただけますか。
-
○
国務大臣(山村新治郎君)
数字が出ておらないわけでございまして、絶対とかなんとかということは、まだ交渉の途中でもございますし、そのようなことはちょっと私の口からは申し上げられないと思います。
-
○久保亘君 そうすると、これは
農林水産大臣として
日本農業を守るという立場で頑張るとあなたおっしゃるのだから、そうすると七千五百トンなどと一部で
報道されているような
数字は絶対にあり得ない、こういうことは言えるんじゃないですか。
-
○
国務大臣(山村新治郎君) それぞれ推測の
数字でございまして、私の方として
数字を出した覚えはございません。
-
○久保亘君 交渉事ですからあなたの方も言いにくい点もあると思うから、これ以上は
お尋ねいたしませんが、それなら、もし
日本側が牛肉の輸入枠について拡大を行った場合には、肉牛生産の六十五年度までの長期見通しがございますね。この見通しにどういうふうな影響を与えますか。これを
修正しなければならないようになることはございませんか。
-
○
国務大臣(山村新治郎君) 私といたしましては、あくまでも
日本農業を守るという立場を堅持してまいりますし、また一昨年五月、参議院の農林水産
委員会でいただきました御決議、そしてまた本年一月の申し入れ、この
趣旨を踏まえてやってまいります。詳細の
数字につきましては事務局から
報告させます。
-
○
政府委員(
角道謙一君) お答え申し上げます。
現在、日米間で話し合いが行われておりますのはもっぱら高級牛肉の話でございまして、私
ども需給見通してはそれ以外の一般の牛肉を含めました全体の
数字について長期の見通しを立てております。そういう
意味におきまして現段階で
アメリカと問題になっております高級牛肉の数量自体が将来の長期需給見通しに大きな影響を与えるということはございません。むしろ全体をどう考えるかという点が今後の問題だと考えております。
-
○久保亘君 それなら、今度は別の角度から
お尋ねいたしますが、今、日米間で交渉が行われている農畜産物の自由化が仮に行われたとしても、日米の貿易摩擦の解消に寄与するのはどの程度でしょうか。
-
○
国務大臣(山村新治郎君) 少なくとも牛肉、かんきつに関しては、大きく見ましても数億ドルということでございますが、あと詳細は事務局から。
-
○
政府委員(
角道謙一君) お答え申し上げます。
現在、非自由化品目全体で輸入しております農林水産物の総額は大体十一億ドルでございます。そのうち牛肉は全体で三億九千百万ドル、
アメリカからの輸入量が一億三千七百万ドル、これは八二年の
数字でございます。現在の実情はそういうことでございます。
-
○久保亘君 それじゃない。貿易摩擦の解消にどれだけ寄与するかと言っているんだ。
-
○
政府委員(
角道謙一君) 自由化いたしました場合、現在の牛肉の輸入量三億九千百万ドルという全体から見ましても、仮に自由化された場合どれだけの
数字が入ってくるか、これは価格状況をどうするか。例えば国内では牛肉につきましては価格の安定制度をとっておりますので、
アメリカの牛肉価格が、自由化された場合、国内の価格安定とどのように調和させていくかというような問題がございまして、なかなか予測は難しいかと考えております。ただ、現在の牛肉の消費量等から考えまして、大体八三年度におきまして総額十四万一千トンの輸入枠でございます。先ほどの総額が牛肉で三億九千百万ドルと、大体その程度のオーダーでございますので、自由化されたとしてもあるいは仮に十四万一千トン程度入ってきても、輸入額は四億ドル程度にすぎないというのが実態でございますので、
日本の現在の全体の貿易量、例えば
数字が若干あれかもしれませんが、八二年度では約千二、三百億ドルの輸入状況でございますから、その改善そのものに寄与する点は額としては非常にわずかであるというように考えております。
-
○久保亘君 貿易摩擦の解消にほとんど寄与しない、全然寄与しないというわけではないでしょうけれ
ども、ほとんど大きな寄与をするわけではない。しかし、この自由化が行われる場合には、現在でも一戸当り畜産農家の飼育頭数七・六頭、そして生産費の八五%が子牛代とか飼料代に回っておって価格が低迷しているということで、大変厳しい状況にある畜産農家に与える影響が大きいと思うんですが、
総理は今度の日米交渉の問題を農家に与える影響という観点からどのようにお考えでしょう。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 前から申し上げておりますように、
日本の国益を守るという立脚点に立ちまして
日本の農家経済を守る、一貫して我々はそういう線を守っていきたいと思っております。その上に立って対外関係、外交関係の考慮、経済摩擦の調整、そういうような面も考慮する、しかし基本は
日本の農家の生計が崩れるようなことがあっては大変でございますから、あくまで
日本の農家の経済を守っていくという基本的観点に立ってまいるつもりでおります。
-
○久保亘君 それでは次に、石油の国家備蓄について
お尋ねいたしますが、今、政府が考えておられる国家備蓄三千万キロリットルの達成年度はどこに
目標を置いておられますか。
-
○
政府委員(豊島格君)
昭和六十二年度三千万キロリットル、達成年度は六十三年度ということを
目標にいたしております。
-
○久保亘君 三千万キロの備蓄基地別の内訳を説明してください。
-
○
政府委員(豊島格君) 現在、立地が決定されており、かつ備蓄会社が設立されている備蓄基地につきましては、むつ小川原約五百七十万キロリットル、苫小牧東部六百二十万キロリットル、白島五百六十万キロリットル、福井三百四十万キロリットル、上五島六百万キロリットル、秋田四百五十万キロリットルでございます。これを合計いたしますと三千百四十万キロリットルとなるわけでございますが、実は消防法によりまして定期検査をする、そのための空きタンクが要る、あるいは油種がいろいろ違いますのでぎりぎりいっぱい入れられないというような問題等の余裕がございますので、七五ないし八〇%の稼働といいますか貯油率ということを前提といたしますと、大体四千万キロリットル要るということでございまして、その差額については今後立地決定が行われることとなっております。
-
○久保亘君 民間タンクの余裕容量をどの程度見ておられますか。
-
○
政府委員(豊島格君) 計算の手法がいろいろあると思いますが、私
どもとしては大体千五百万キロリットルあるということでございますが、そのうち国家備蓄で備蓄基地ができるまでの間、活用ということで六百六十万キロリットル分ぐらいを使っております。
-
○久保亘君 北海道共同備蓄の建設状況と、公団がここにどれだけ備蓄できるのか、それをお答えください。
-
○
政府委員(豊島格君) 三百五十万キロリットル分の基地タンクがございまして、それに対して一部利用しておるということでございます。国家備蓄として利用しているということでございます。
-
○久保亘君 その量を聞いているんです、一部じゃなくて。
-
○
政府委員(豊島格君) 約二百万キロリットル利用いたしております。
-
○久保亘君 これからまだ北海道共備の完成されていく分も含めて幾ら国家備蓄に使えるんですか、石油公団の備蓄に。
-
○
政府委員(豊島格君) 北海道共備につきましては第三期というのがございまして、これが百六十万キロリットルぐらい建設予定でございますが、この見通しはまだ立っておりません。したがって、残りとして使えるのは先ほどの貯油率等を考えると大体五十万キロリットルぐらいが現在のところ使えるのじゃないかと、こう考えております。
-
○久保亘君 そうすると、二百五十ね。
-
○
政府委員(豊島格君) 大体そういうことでございます。
-
○久保亘君 沖縄の石油基地の建設状況と、この沖縄の石油基地に公団がどれぐらい使えるのか、それをお答えいただきたい。
-
○
政府委員(豊島格君) 三百五十万キロリットルぐらいですが、あそこは自分で使っているのもございますので、大体今五十万キロリットルぐらい国家備蓄を入れていると思います。
-
○久保亘君 むつ小川原の場合には、民間が二〇%出資するかわりに二〇%を限度に民間がタンクを使うことになっておりましたね、最初。これが途中で変わりましたでしょう。そうすると、その二〇%は全部公団の油が入りますね。そうすると、むつ小川原の場合には国情の量が計画よりふえるんじゃないですか。
-
○
政府委員(豊島格君) 国家備蓄基地を最初手がける当時、民間の基地も足らないということで、確かに先生御指摘のように、大体設備容量の二割を限度として民間が使うという権利義務があるわけでございます。ただ会社としては、最近のような民間のタンクの余裕というようなこともございまして、この利用義務を解除してほしいということを言っておりますが、この問題については現在検討中でございまして、結論は出ておりませんが、いずれにしましても、全体の備蓄基地、まだ半分完成でございますが、全体ができ上がった時点までにおいて結論を出したいと、このように考えております。
-
○久保亘君 そうなりますと、今建設中もしくは既存の六つの基地でもって三千百四十万というお話でした。そのほかに北海道共備それから沖縄等々、先ほどのお話の分を足してまいりますと、一千万を超えます。そうすると、合計すると四千万を超えるんじゃないですか。
〔理事初
村滝一郎君退席、
委員長着席〕
-
○
政府委員(豊島格君) 先生御指摘のような計算をすると、そういうことになろうかと思いますが、実は共備につきましては、国家備蓄基地としては一時的利用ということでございまして、他の民間のタンクの余裕千五百万と同様にその中でカウントいたしておりまして、したがってその中で六百六十万使う、それと同一の扱いをいたしております。したがいまして、それは国家備蓄基地の三千万というものの達成とは関係のない
数字である、このように考えております。
-
○久保亘君 国家的な見地から見ても、民間の空きタンクが一千五百万もある、そのほかにも国備のタンクとして使えるものがいっぱいある、そういう状況の中で、それは別だと、こういうことをやるのは余り国家
政策の上からも得になることじゃないじゃないですか。
-
○
政府委員(豊島格君) 先ほど来申し上げておりますように、共備基地につきましては民間の余裕タンクの中にカウントしておりまして、それで大体千五百万キロリットルの余裕があるということも、現時点でそれを国備に一部使っておりますが、そのこと自身もある
意味で事実がと思います。
ただ、それではなぜそういう余裕があるのに国家備蓄基地をつくり続けるのか、三千万キロリットルとは別につくるのかと、こういうのが先生の御
質問の
趣旨かと思いますが、実は民間のタンクにつきましてはそのときどきの石油の
情勢によって相当変わるわけでございまして、五十五年とか五十六年には、あるときは先高感から買い付けが進む、あるときは買い過ぎてそれだけ需要がないというようなことがたまたま起こったわけですが、そのときには、現在の基地、その後ちょっとふえておりますが、民間の石油タンクはいっぱいになりまして、沖にタンカーをとめて荷揚げを待つ、こういうような状態でございまして、そういうことからいたしますと、恒久的措置としての国家備蓄をそういう一時的な、現在国家備蓄基地がまだ建設されておりませんから、そういうときに使うならともかくとして、いわゆる非常時に備え、あるいは恒久的な措置としてそれを活用することには限度がある。千五百万というのは、先ほど申しましたように、ちょっと何かあると沖待ちになってしまう、こういう
情勢を考えておるので、決して国家備蓄基地を別途つくるということがむだであるということにはならぬので、むしろ絶対必要であると、このように考えておる次第でございます。
-
○久保亘君 タンカーが沖待ちをしたのは、これは政府が石油危機をあおり立てて、そして実際にはどんどんタンカーが入ってきているのに、もうなくなったような宣伝をしたために沖待ちをさせられた、だからあなたが言っていることと全く逆のことなんですよ。備蓄の必要がないのにそれをいろいろ宣伝をしてやったからそういうことになったんです。
-
○
政府委員(豊島格君) まあ宣伝をしたかどうかということは、宣伝はしておらないということだと思いますが、五十六年の場合を申しますと、需要減から原油の在庫はふえた、したがって陸上タンクが満杯になった。五十四年のときは確かにイラン政情が不安で、五十五年、イラク戦争が本格化ということで先高感があったとか、いろいろ事情があります。これは必ずしも政府がどうこうということじゃなくて、民間の判断で、やはり先高であると思えばある程度買い込むというのは営業をやっておれば当然でしょうし、また余ってやむを得ず沖待ちする、こういう事態も避けられなかったわけでございまして、それを一々とやかく言う必要もないと思いますが、いずれにしても、民間タンクはそういうことでいっぱいになるということはすぐあり得るという経験則を申し上げたわけでございます。
-
○久保亘君
総理は、クウェートの大使をしておられた石川さんの「オイル外交日記」というのをお読みになったことがありますか。
-
-
○久保亘君 このクウェート大使をされた石川さんの本を読みますと、いわゆる石油ショック時代の
真実は何であったかというのを私たちは知らされるような気がするんです。あのときの大騒ぎがこの備蓄基地の建設につながっているとすれば、やっぱり私たちは石油の問題について
真実を知らなきゃいかぬと思うんですね。どんなものでしょうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) その本を私読んでおりませんから何とも判定はできませんが、しかし、治にいて乱を忘れず、ある程度の備蓄というものは国家の安全保障上からも必要であり、それは食糧の自給がある程度必要であるのと全く同じであると思います。
-
○久保亘君 エネルギー調査会の
報告を見ましても、需給関係は大幅に下方
修正ですね。そういう
意味では私は、きちんとした見通しの上に立ってやらないと国費の乱用になるおそれもあると思うからお聞きをしているんです。
引き続き公団に
お尋ねいたしますが、ことしの石油公団の予算に組まれている国家備蓄の第七プロジェクトと思われるものは、これはどこを指しておりますか。
-
○
政府委員(豊島格君) まだ正式には決定されておりませんが、最も有望といいますか、ものとしては鹿児島県の志布志プロジェクトということになろうかと思います。
-
○久保亘君 じゃ、志布志湾につくる場合、いろいろ予算を組まれる以上は試算が行われていると思うんですが、総事業費を幾らに見込んでおられますか。それからその内訳も説明してみてください。
-
○
政府委員(豊島格君) 事業費につきましては今後立地決定してから正式にやるということでございますが、石油公団が鹿児島県の
協力によって五十七年にフィジビリティースタディーを行っておるわけですが、これによりますと、総事業費は千八百億円、その内訳としては用地造成費等が五百五十億円、陸上施設等が千二百五十億円、このようになっておると承知しております。
-
○久保亘君 その場合、この建設費でキロリットル当たりの単価は幾らになりますか。それから、他の備蓄基地と比較してみた場合に、志布志湾の建設単価はどのようになりますか。
-
○
政府委員(豊島格君) 千八百億円といたしますと、三万五千円キロリットル当たりということでございまして、たしか平均が三万六千円見当じゃないかと思いますが、大体、ほぼほかの基地並みでできると、こういうことになろうかと思います。
-
○久保亘君 この用地造成費の五百五十億は事務費や建設利息も含んでおりますか。
-
○
政府委員(豊島格君) 事務費とか建設中の利息は入っておりません。
-
○久保亘君 それじゃ、事務費や建設利息というのは、私
どもが得ております計算の内訳では二百億をはるかに超えるんですが、これは別途の建設費になるわけですね。
-
○
政府委員(豊島格君) 二百億超えるという
数字はどの
数字をお示しか存じませんが、鹿児島県が発表した中には、国家備蓄基地ができてからやると思っていたものが一応築堤とか植栽工事とか防波堤等の建設等も入っているようでございます。したがって、そういうものを含めると二百億超えるのかもわかりませんが、いずれにしましても、金利につきましては、一体どういう埋立地の譲渡が行われるか、タイミングとか、その建設のスピードとか、そういうこともありまして、これから現実的に計算されるといいますか、発生するものかと存じます。現在のところ、どのくらいかかるかについてはわかりません。
-
○久保亘君 大体、海の中に、水深十メートル以上のところに防波堤を築いて、そして島をつくってやるのに、ほかの陸上の基地と同じ単価になるなんというのが大体おかしいんだ、そんな計算をしておることが。だから、この建設利息とかこういうものを加えていったら他の基地よりも高いはずですよ。終わってから高くなった分あなたが払ってくれるか。
-
○
政府委員(豊島格君) おっしゃるような立地条件といいますか、そういうことを含めて計算した上で先ほど申し上げたような
数字がフィージビリティースタディーにおいては出ておる、こういうことでございます。
-
○久保亘君 いや、他の基地と比べて同じぐらいだということは、それは常識的にも考えられぬことじゃないですか。そんな間違ったこと言ってはいかぬですよ。
-
○
政府委員(豊島格君) 一般的な
考え方としては、先生御指摘のように、ほかと比較して工事
内容が違うという場合には、それぞれの他の条件をすべて一定とするならば、そのようなお考えもできるかと思いますが、一応私
どもは公団と県がやりましたフィージビリティースタディーで千八百億でできるということを伺っておるわけでございまして、それにはその実情に応じた計算が行われているものと思います。
-
-
-
○
政府委員(豊島格君) 陸と海との場合に、いろいろのコストのかかりようが違うかと思います。例えば海であれば、何といいますか、漁業補償があるわけです。これはいずれのところも海に面しておるわけですからあるわけで、この漁業補償なり代償の問題、それからあるいは土地の取得に関する地主との問題が陸の場合あるかと思います。それから、陸であるからといっても地盤を強化しなくちゃいけないとか、そういう問題もございまして、先生御指摘のように、非常に端的に言いますとおっしゃるような見方もできるかと思いますが、それはそれなりに専門家がフィージビリティースタディーをいたしましてはっきりそういうふうに
報告しておるわけでございますから、我々としてはそれを見ていろいろ説明を聞き、その上での先ほど申し上げましたようなお答えをしているわけでございます。
-
○久保亘君 他の基地の場合に、それじゃ志布志湾の現段階で計算をしたようなやり方で計算したものと比較したらどうなりますか。一方は実際に使ったものを、一方は事前の研究段階のものでこうやっておるんだから、それは合わぬわ。
-
○
政府委員(豊島格君) いろいろとケースがございますが、例えば秋田基地の場合、現在三万六千七百円ぐらいといいますか、それぐらいですが、当初フィージビリティースタディーの段階では三万三千円ぐらいだったとか、そういう差はある程度出てきておるということは事実でございます。
-
○久保亘君 そうすれば、やっぱり事務費とか建設利息を考えたり、それから研究段階で出てきたものと、それから実際にこの工事をした場合の差を考えたりすると、志布志湾の基地は従来のものより高くつくということは言えるのじゃないですか。
-
○
政府委員(豊島格君) 最初にやったときと、ある程度でき上がったところと全く同じであるというわけにはいかないかと思いますが、そういうことを含めて、新しいプロジェクトにつきましては最近いろいろございますが、安全性は大事でございますけれ
ども、できるだけ合理化して工事をするというようなことの指導もしていくことは当然のことだと思いますので、そういう
意味で、仮に少しばかり外れてもなるべく安くなるようにと、こういうことを最大限努力していきたいと思います。今申しましたように、平均より安いというか、平均並みになるとか、ちょっと超える、その辺のところは今後のまた工事の運び方にもよろうかと思いますが、できるだけ当初の見積もりに合うように我々としては最善を尽くすように公団、あるいは今後備蓄会社ができれば備蓄会社を指導していきたい、このように考えております。
-
○久保亘君 五十九年度の予算の中で、むつ小川原の建設費の元金返済はどこに計上されておりますか。
-
○
政府委員(豊島格君) 返済方法が決まっておりまして、三年ごとにまとめてある程度返すというのが現在の返済方法になっておりますので、返済としては計上いたしておりません。
-
○久保亘君 それも前に国会で答弁されていることと大分違うんですがね。
-
○
政府委員(豊島格君) 基地の使用料を計算する場合に、その基地を運営するための事業費とかあるいは修繕費とかメンテナンス、いろいろな費用、それから当然のことながら減価償却費というのを織り込んでおるわけでございます。したがって、手数料から仮に返済する財源があるとすれば、それは減価償却の費用と。十五年返済ですから、建設費、大体建物その他の十五分の一ですか、そういうものが減価償却費として織り込まれるわけです。これが返済財源になる。したがって、その中から返済、最終的にはほかの手段をとらなければそれが返済財源になる、こういうことかと思います。そういう
意味では手数料の中に入っていると言えば入っていると、こういうことを申し上げたのではないかと存じます。
-
○久保亘君 また次の機会に詳しいことを
お尋ねいたしますが、最後に二つ三つ確認しておきたいことがございますが、今のあなたのお話からすると、志布志湾に建設された場合に、ここで推定されるタンクの利用料というのは、決して他の地域のタンクや民間タンクの借り上げより高くならないということについてここで保証されますか。はっきり言っておいてください。
-
○
政府委員(豊島格君) 先ほど来先生御指摘のように、一体この建設費でいくかどうかということてございますので、それにつきましては、若干の過去においてもずれがあったかもしれないけれ
ども、これはできるだけ安くするということを我々としては考えておるわけでございます。したがって、手数料につきましてもよそより高くならないように最大限の努力をする、できればもっと安くする、そういうことが
目標であることには間違いございません。そういうことで最大限努力をするのが我々の立場であるし、公団その他もそういうふうに指導していきたいと、こう考えております。
-
○久保亘君 指導したって安くならぬよ。建設費がよそより高くならないとあなたは言う。そんならタンクの利用料だって他より高くならないということを明言しておきなさいよ。
-
○
政府委員(豊島格君) 私
どもとしましては、先ほどのフィージビリティースタディーで見る限りは決して高くならないということを申し上げたのが
一つでございまして、それでそういうものに沿うように我々としては最大限の努力をするよう公団及び備蓄会社ができれば備蓄会社を指導していきたい。そうしてそういう建設費ででき上がれば当然のことながら常識的に見れば高くならないという……。
-
○久保亘君 でき上がらなかったらどうする。
-
○
政府委員(豊島格君) でき上がるように努力したいと、こういうことでございます。
-
○久保亘君 でき上がらないことがわかっているのにそんな言い方はないでしょう。それほど自信があるなら、絶対に上がらないということを言っておいてもらわぬといかぬ。
-
○
政府委員(豊島格君) 借り上げ料につきましては、原価計算でやるわけですから、工事費を適正なところに抑えるように努力すれば当然のことながら上がらない、しかしその手数料を決めるのは相当先のことでございますので、我々としては先生がおっしゃるような御
趣旨で最大限努力するということが今申し上げられるところかと存じます。
-
○久保亘君 通産大臣、今の公団の言っていることは非常に矛盾しておるわけです。建設費は地並みでできると言うが、利息は入れてない、事務費も入れてない。それで漁業補償も断然高いんですよ。そういうことをやっておいて、そしてでき上がったら利用料は他より高くならない、もっと安くするように努力しますって、そういうこと言えますか。
-
○
国務大臣(
小此木彦三郎君) 失礼でございますが、石油公団でなしに、あれは
資源エネルギー庁の
長官でございますからよろしく。
今の
お尋ねのことでございますが、建設費はやはり今つくるよりも前につくった方が安いのは当然でございます。そういう
意味から、努力しまして、手数料が上がらないように最大限の努力をするという
長官の答弁は至当かと思います。
-
○久保亘君 これは
長官や通産大臣がそういうことをここで言っておられても、でき上がるときにはもうあなた方おられぬのだから、そのときにあれはあのときの話さということでは済まぬと思うんですよ。膨大な経費を使って、国費を使って、そして環境の破壊をやってつくっておいて、それが大変高いものについて、結局国費の乱費につながったということになれば、その責任はただでは済まぬと思うんです。もっとまじめに答えてもらわにゃ困る。
-
○
国務大臣(
小此木彦三郎君) 土地の購入にいたしましても建設費用にいたしましても、現在のものが前に建設したものよりも高くなるということは私は当然かと思います。そういうことですけれ
ども、しかし手数料については上がらないように最大限の努力をすると申し上げているわけです。
-
○久保亘君 それでは最後に
一つ。
志布志まで含めてあなた方の計画を仮に完成させた場合に、年間の国家備蓄関係の予算はどの程度必要になりますか。
-
○
政府委員(豊島格君) 国家備蓄三千万キロリットルにするということになりますと、その原油購入資金の借り入れの利子、金利、これを補給することが
一つ。それから国家備蓄基地の利用料というのがございます。それから基地建設、まあこれはある程度公団の自己資金といいますか出資と、それからあとは借り入れで、これの金利が要るわけでございます。それで、これ幾らになるかということにつきましては、これからどういうことになろうかという先のことではございますが、昨年の三月二十四日、参議院商工
委員会で、私のところの
石油部長がお答え申し上げたときは、たしか四千億ぐらい年間かかるのじゃないか、こういうことを申し上げたかと存じます。先生その点を御承知かと思います。ただ、このときの計算は、大体基地の建設借入金であって、それがそのまま残高として残っておるということを前提として四千億ぐらいかかるんじゃないか、こう申し上げたかと思います。
実際問題といたしましては、減価償却があれば、先ほど先生おっしゃいましたけれ
ども、それだけ返済に当たるわけでございますので、そういうことをすれば当然もっとそれまでに返済される部分の金利が下がるということで、かなりそれより下回る。それから、返済が終われば、それから償却も終わればその分だけ落ちるということで、ピークのときにどのくらいかということをいたしますと、いろんな条件で、一銭も返さないでそこまでためておくということになると四千億ぐらいかかる。しかし、実際問題としてはそれより相当下回り、それから年々年を追って減っていく、こういう計算になるのじゃないかと思います。
-
○久保亘君 その四千億の財源はどうやって確保されますか。
-
○
政府委員(豊島格君) 先生四千億という
数字御存じかと思いましたので四千億と申しましたが、実際は四千億かかるかどうかは、先ほ
どもちょっと御説明いたしましたけれ
ども、基地の建設資金の借り入れの返済をどうするのか、それから金利も、例えば八・四、年ですとプライム八・四が今八・二になっているというようなことで、今後わからないのですが、まあ少しそれは変動するので正確には計算できないわけでございますが、別途、収入がどうかということでございますと、今後の石油収入があるわけでございまして、それは石油価格がどうなるかということにも関係するわけです。それから石油備蓄以外の費用、開発とか技術開発、それから代替エネルギー等ございまして、そんなことを総合して考えますと、なかなかそのときでどういう収支になるかということは難しい問題かと思いますが、私
どもとしましては、いずれにしましても、必要最小限度の財源措置として今回石油税の拡充をお願いしておるわけでございますので、いろいろとそういうことを考えながら、最大限、この今回の措置によって得られた歳入の増でできるだけ長く賄っていく。そういう四千億というのも、例えば返済スケジュールをどうする、そういうことも考えまして、最大限歳出も節約し、そういうことでできるだけお願いしておる石油税で長くもたせていきたい、こう考えておる次第でございます。
-
○久保亘君 ことしの予算を編成する上でも、国備関係の費用が足らないものだから石油税を一・二%引き上げた。これは将来国備関係の経費が四千億ということになっても、石油税からの繰り入れや建設費の償還を入れても、そんな額にはとてもなってこぬです。そうすると、その分だけどうするかということになれば、石油税の引き上げで、結局石油を安定的に安く供給するという
目的のやつが高い石油を
国民に買わせる、こういうことにつながっていくことを私
どもは大変危惧いたしております。この問題については環境問題も含めてまた改めてやります。
次は、教育改革について
お尋ねいたします。教育改革に当たって、教育基本法の尊重を設置法案に明文化されるように決まったのでしょうか。
-
○
国務大臣(森喜朗君) 新しい審議機関の設置法につきましては、今、今月末国会提出を目途といたしまして最終的な検討を進めておるところでございまして、
衆議院
予算委員会あるいはまた本
予算委員会の諸先生方の御質疑によりまして、
総理からも、教育基本法をしっかり守っていく、尊重していこう、こういう答弁をいたしておりますので、その精神にのっとった
趣旨を法律に盛り込むように検討いたしておるところであります。
-
○久保亘君 法制
局長官、法の解釈というのはだれがやるんですか。
-
○
政府委員(茂串俊君) お答え申し上げます。
最終的には最高裁判所の判決によって確定するわけでございますが、その確定があるまでの間におきましては、第一次的にはその法律を執行する任に当たる行政機関が行うと思います。それからまた、いろいろ疑義が出た場合にどうするかと言えば、最終的には内閣でその疑義を解消する。またさらには、国会におかれましてもいろいろ御議論がありまして、国会の意見も十分にもちろん参酌した上で決定すると、こんなような格好になっておると思います。
-
○久保亘君
総理大臣が
衆議院で、教育基本法の解釈は私の考えが中曽根内閣の解釈だと御答弁になったように聞いておりますが、こういうような法の解釈というのは正しいのでしょうか。
長官、どうですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) これは
衆議院におきまして
昭和三十一年に清瀬文部大臣が旧臨調法案なるものを提出したときの質疑応答があったようであります。そのときに、忠であるとか孝であるとかという道徳律が入っているか入っていないかという議論があった由であります。清瀬さんは入っていないというような感触で問答しておったようでありますが、私が読んだところでは、第一条そのほかを通読してみまして、親に孝行するとか他人に親切するとか、そういうような必要な徳目は今の教育基本法の中に十分解釈で盛られていると解しておる次第であります。
-
○久保亘君
総理大臣、あなたがそういうことをおっしゃるのは自由だと思う。ただ、教育基本法の解釈はおれの解釈が正しいという言い方はどうなんですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 私の解釈が正しいというふうに断定したかどうかはまだ記憶新たでありませんが、清瀬さんがおっしゃったような解釈を私はとらない、私はこういうふうにとると、こういうふうに申し上げたのです。
-
○久保亘君 教育基本法の解釈は私の考えが中曽根内閣の解釈だと、これでいくんだと、こういうことですね。そうすると、自分の考えが正しい、朕は国家なり、こういうことですね。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) これは法律に対する解釈論の問題でありまして、一条等を読んでみれば、親に孝行するとか社会に責任を持つとか、そういうようなところは十分あの中で解釈ができると私は解釈をしておると、そういうことであります。
-
○久保亘君 臨時教育審議会を設置する政府の
考え方がいろいろ
報道されておりますが、
総理大臣は本
会議場などでも教育改革については臨時の機関、臨調はなじまないということを言ってこられましたですね。そうすると、今度新たに設置される機関は臨時の機関にはなりませんね。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) それは、臨時の臨にとらわれた発言ではなくして、行政改革と教育改革は違いますと、そういう
意味であのときは申し上げております。それで、しかし臨時であるかないかということは、これは中教審というものが既に存在しておるわけでありますから、したがって今度できる機関は、それは中教審の存在を前提にし、そして考えるというわけであるから臨時の機関であろうと私は思います。
-
○久保亘君 そうすると、大分
総理大臣の言い方は
変化が激しいものだから、私たちもとてもついていけないのです。あなたが伊勢神宮に行かれたとき、神様の前で記者会見されて、この教育改革は中教審に諮問すると言っておられた。それから二週間もたたないうちに今度は教育臨調とは言われぬけれ
ども、特別な直属の機関をつくると言われたのです。法の解釈論についてもそうです。臨時ということについても国会でもたびたび表現が変わってくるのです。一貫性がないんじゃないですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 私は一貫性があると思っております。まず、その中教審を尊重する、中教審というものを中心的にひとつ考えて対策を考えていくということは言っております。しかし、中教審でいくとはっきり私は断定した表現はしていなかったのではないかと思います。中教審を中心に考えていくと、そういう表現であったと私は思います。それはやはり四十六年の答申あるいは四十九年の答申というものがあることが私は頭にあったからだろうと思います。
ただ、その後党首会談をいたしましたときに、
野党の諸先生からお話を承って、民社党あるいは公明党の皆さん方が臨時の教育審議会あるいは臨時の教育調査会というような
考え方を打ち出されて正式の話を聞きました。それによりまして、
野党ともよく話し合って進めますと私言っておりましたし、そういう考えでおりましたから、その点は
野党のお考えも非常に尊重した考えになりまして、そして中心という
考え方を、もちろん中教審は尊重してその今までの存在あるいは
実績というものは評価しつつ、臨時の新しい教育機関をつくっていこうと、そういうふうにはっきり方針を決めたわけであります。
-
○久保亘君 今、
総理は随分この一月の初めの発言をあいまいにされましたけれ
ども、少なくとも新聞に
報道された限りでは、テレビでもそうだったと思いますが、一月中に中教審に教育改革について諮問する、こういうことをおっしゃっておりますね。
-
-
○久保亘君 それは違ったらどうしますか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) よく調べてみますが、私の観念はそういうものであったと考えておりますし、またその後党首会談の経過を経まして、
野党のお考えも尊重してそういうように確定していったのでございます。これも御了承願いたいと思います。
-
○久保亘君 またいろいろこれからこの問題は、
国民共通の教育改革は必要だということについて
国民の共通の考えがあるのですから、その上に立って、より
国民的な合意を得られる民主的な教育改革は何かという、その入り口で何をつくるかということについてはいろいろ積極的な議論をしてみたいと思っております。ただ、今伝えられる政府案について関係を持ちながら私お聞きしておきたいのは、
総理直属の臨時教育審議会になる場合に、文部大臣は具体的にはどんな役割でどういう位置づけをされるのでしょうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 中教審は非常に功績があり、かつ
実績も残っておるわけでございますが、今回考えておる構想は、
総理大臣の諮問に応ずると。これは幅広く全
国民的な立場に立って、そして
国民の広場に教育という問題を持ち出して
国民総
参加でこの問題を進めよう、そういう考えに立ちまして、文部大臣の諮問ということよりも
総理大臣の諮問という方がさらに全内閣を挙げての
国民的スケールというものになり得るという考えがあった、これは
野党の皆様方のお考えもそういう考えであったと、そういうことでございます。それでしかし、実際やるについては事務局をつくらなければいけませんが、事実工事務を運営する事務
局長格は、これは文部省の事務次官になってもらったらいいのではないか。それからこの
委員会を事実上いろいろあんばいをしてくれる
国務大臣、これについては文部大臣を私から指定しよう、そういうふうに考えておるところでございます。
-
○久保亘君
委員も
総理の任命、会長も
委員の互選によらず
総理の指名、こういうことが伝えられておりますが、これでは
国民の間にある政治と教育との関係に対する危惧が大きくなると思うんですが、この
委員の任命その他について国会との関係でより民主的な選び方をするというようなことはお考えになったことはありませんか。
-
○
国務大臣(森喜朗君) 先ほ
ども申し上げましたように、設置法案につきまして今検討いたしておるわけでありまして、
委員の国会同意につきましても検討をいたしておるところでございますが、
委員の選任に当たりまして適、不適を個別に各党に御判断をいただくというようなそういう作業をすること自体が、また一面中立性の確保を特に要請される教育の場合についてはある
意味では適切さを欠くのではないか、こういう
考え方もできるわけでございまして、目下まだそのことにつきましては今検討を重ねているところでございます。
-
○久保亘君 審議の公開についてはどうお考えになっておりますか。
-
○
国務大臣(森喜朗君) これも大変大事なところでございますが、審議をすべて公開をいたしますと、逆に
委員一人一人の発言がまた束縛をされるような面が出てくる。かえって自由な議論の展開ができないという面が出てくるのではないか。そういう
意味においてこれも今検討しておるところでありますが、非常に難しい判断になると思います。むしろそういう
委員の自由な議論を自由に公開することよりも、逆にむしろ別の工夫を凝らしてみて適宜その審議の概要を
国民の前に随時明らかにしていく、その方がより正しい意見が求められるのではないか、こういうふうにも考えておりますが、これも今検討いたしておるところであります。
-
-
○瀬谷英行君 まず、
総理にお伺いしたいと思うのでありますが、中教審と今度の機関との関係は一体どうなっているんですか。これは中教審の補助機関なのか、あるいは別個の機関として並立をしていくものなのか、中教審の上に乗っかっている屋根みたいなものなのか、おもしみたいなものか、一体どういう性格を持っているんですか。
-
○
国務大臣(森喜朗君) 新しいこの機関は、いわゆるゼロからのスタートではないというふうに私
ども申し上げておるわけでありますが、先ほ
ども総理が申し上げましたように、中教審の長い間の議論あるいはたくさん積み重ねていただきました今日までの集積、そうしたものを踏まえながら、いわゆる新しい角度、視点を少し変えてみる。新しい視点、そしてまた別の角度、そういう中で教育を見直してみようと、こういうことでございます。
-
○瀬谷英行君 中教審との関係は、そうするとどういうことになりますか。
-
○
国務大臣(森喜朗君) 中教審の議論を踏まえて、そこからスタートをしていきたいということでございますので、中教審とタブるということではございません。全く新しい角度から、別の視点から教育を改革をしていこう、こういう関係になるわけでございます。
-
○瀬谷英行君 どうもわかりにくいんですけれ
どもね。端的に言って、
総理、
総理自身が考えておられる教育改革の方向というのはどういう方向なんですか。例えば教育勅語の洗い直しでもするということなのか、知的水準を高めるということなのか、それとも人格教育ということに力を入れるということなのか、その辺のねらいは一体どこにあるんですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 私が願っておりまするのは、今言われておるいわゆる教育の弊害というものを是正する。そして、今の子供たちが伸び伸びと教育が受けられ、社会に出られるような環境をつくるような教育体制に変えていきたい。
それからさらに大事なことは、二十一世紀に向かって教育をどういうふうに改革したらいいかという大きな問題を抱えてきておる。今の子供たちは二十一世紀の半ばころまで生きられる子供たちであります。したがいまして、新しい高度
情報時代というものが現出しつつあり、さまざまな大きな激変が社会に出てくる可能性がございます。そういうことも踏まえて、どういう子供たちをつくったら社会や世界や子供たちの幸福になるであろうか、そういう新しい観点からもその基礎である教育というものを検討していただこう、こういう考えに立っておるわけであります。
-
○瀬谷英行君 新しい観点に立つということであれば、私はやはりオープンで新しい機関も考えられていいのではないかと、こういう気がするんです。先ほどのお話は臨調のまねをして何かオープンではなく、
内容を公開しないでやるというふうに聞き取れるんです。実際にその結果、例えば臨調の答申がどうなったかということを考えてみますと、密室の中で議事録も公開しないでこそこそと行われる。結果的には間違ったものが出てくるということがあり得ると思うんですよ。だから、国会におけるチェックができるようになっているのかどうか、その点オープンにできないのかどうか、その点は一体どうなんでしょう。
-
○
国務大臣(森喜朗君) 先ほど久保さんの御
質問にお答え申し上げましたのと重なるようで恐縮なんでありますが、公開をするということか必ずしも自由濶達な論議ができるかどうかというと、やはり見方にもよりますけれ
ども、私はやっぱり一考を要するところがあると思うんです。議論をいたしますことを全部第三者が見ておりますと、どうしてもやはり
委員が発言することそのものに制限をしなければならぬということが出てくると思うんです、これはどういう立場に立ちましても。そういうことがかえって審議会の
自主性というものを損なうことになるのではないだろうか、そんな感じがいたします。
したがいまして、だからといって密室ですべて進めていいというふうに私
どもは考えているわけじゃございませんので、先ほ
どもちょっと申し上げましたが、その審議の概要を
国民の前にその都度
報告ができるようなそういう工夫は凝らしてみたい。こんなふうにも考えておるわけでございまして、そういう形で国会の同意あるいはまた今の審議会の公開につきましても、この設置法案の中にどのように盛り込んでいったら一番いいか、それこそ本当に教育基本法の
考え方に乗って新しい二十一世紀にふさわしい子供たちを教育できるか、そういう制度が各般の広い多くの
国民的な層からの議論ができるか、そんなことを大変大事に考えながら、あるいはまた今、先生が御指摘いただきましたようなことを十分留意しながら、その設置法の最終的なまとめを今いたしておるところでございまして、そうした先生方の御指摘というものを、先ほど久保さんから
総理に対するいろいろ御
質問がございましたけれ
ども、
衆議院そして参議院と、この国会におきます各先生方、各党各会派のいろいろな御意見を十分踏まえながら、その議論を中心にして法案づくりを急いでいるということでございますので、ぜひ御
理解をいただきたいと思います。
-
○瀬谷英行君 後の
質問にも関連をいたしますが、その機関が国会の質疑の対象になる場合に、
出席を求められて
出席をするということもお考えになっているのかどうか。
それからやはり事が教育ですから、私はオープンにして一向に差し支えないと思うんです。何も密室の中でこそこそ相談をする必要はないんです。大体人目を忍んで相談をするのにろくなことはないんです。泥棒の相談と同じなんだから。事が違うんですからね。私はオープンにすべきであるという考えはあくまでも持っています。その点をもう一度お伺いしたい。
-
○
国務大臣(森喜朗君) こそこそ泥棒のようなと言われるとちょっと困るのでありますが、例え方が非常に悪いんですが、一番率直なことを申し上げます。この国会でも
衆議院でも幼保の問題が出てまいりました。私は幼保の問題は幼保であれ保幼であれ、もう少し前向きに考える。それは今お互いに厚生省、文部省、どうも前に進まないのは各省の立場を考え過ぎているからではないか、受ける子供たちや親の立場から見たらそう大差はないんです。ですから、幼保を一体化していくという
考え方はぜひ私は進めるべきだという、そういう発言をいたしますと、大変生意気なようですが、全国の町村長の皆さんから随分頑張ってくれという手紙が来るんです。ところが、ちょっと申し上げにくいのでありますが、厚生省関係の方から、余り前に進んだ話はしないようにという、直接厚生省じゃございませんが、保育団体の皆さんから随分手紙が来るんです。正直申し上げて、私の選挙区なんかの保育団体からも、前向きな姿勢はいいけれ
ども、それは見当が違っておるんだから、幼保の一元化などというような発言はいかぬという、そういう御指摘の手紙がやっぱり参ります。そんな手紙はいいじゃないかということでありますが、それはもちろんいいことでありますが、私はそういう立場をとっておりますが、そういう議論をしてまいりますと、自分の発言にどうしても制限を意識的にしていかざるを得ない立場が私はやっぱり出てくると思います、例えばの話です、今のは。
もっともっと本当に
日本の教育がこれから国際化あるいは
情報化、高齢化、高学歴化、そういう中で新しい教育というものを見直していかなければならぬということになれば、どうしても現在ある教育の制度を何らかの形でやはり手直すというようなことも出てくると思う。そのときに、今までの制度を守っていこうとしている人たちからはいろんな
意味で意見が出てくると思いますが、そういう中でやっぱりオープンな議論というのはしにくい面がございますから、何も密室でごちょごちょやるというのではなくて、ある程度議論をいたしましたらまとめた、長期的な問題もございますし、短期的な問題もございますが、まとめた概論は
国民の皆さんの前に明らかにできるようなそういう工夫は十分凝らしていきたい、そういうふうに私は先ほどから申し上げているわけでございますので、ぜひ御
理解をいただきたいと思います。
-
○久保亘君 中曽根さんの私的諮問機関の文化と教育に関する懇談会は、もう提言をまとめられたんですか。
-
-
○久保亘君 これはやっぱり審議会の設置に
一つの
目標を置いて提言を非常に急がれたということでございますか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 設置のときは必ずしもそうではございません。しかし、教育に関する新機関をつくろうと、そういう考えが芽生えましたときには、やはり今せっかくこれだけ文化と教育という大きなテーマについてやっていただいているわけでありますから、六月か五月に終わるのならば三月まで繰り上げてやっていただいた方がいいと、そういう考えに立ちまして若干審議を急いでいただいたという経過はございます。
-
○久保亘君 この提言を新たな審議機関のたたき台といいますか、審議の対象とされますか。
-
-
○久保亘君 では、公式にといいますか、直接にはこの提言が審議会の議題となることはないと、こういうことですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) これは私から申し上げることではなくして、何を審議するかということは、私が抽象的な諮問を申し上げて、それによってこの
委員になった皆さんが自分でお決めいただくことであると考えております。
-
○久保亘君 文部大臣、教科書のあり方とか教員の養成や資格に関する問題というのは、やはり教育改革の
一つの大きな課題だと思うんですが、いかがですか。
-
○
国務大臣(森喜朗君) 教科書の問題、それから教員の資質の問題等を含めた教員確保の問題、あり方の問題は確かに教育の大事な私は
政策の柱だと思います。ただ、このたび新しく設置いたします審議機関はどのような事柄を議論するかということは、これはやはり新しい審議機関の皆さんがお考えになることだと思います。したがいまして、私
どもが今ここで、先ほど
総理も文教懇のことで申し上げましたように、このようなことを議論してくれと言うことはこれは越権だろうというふうに考えております。したがいまして、新しい審議機関の皆さんが教育を自由な立場でお考えをいただきました中でそうした問題が出てくるということは、これはその
意味では私は結構なことだというふうに考えております。
-
○久保亘君 であるとすれば、少なくともあなた方がお考えになっている審議会が審議を始めて、何を論議するかという課題を決定していく。その中に教科書の問題とか教員の養成や資格に関する問題というものも審議会で論議しようではないかということになるかもしれない、今のあなたのお話だと。そういうことであるとすれば、これらにかかわる法案は別途に国会に出すというのでは筋道が通らなくなるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
-
○
国務大臣(森喜朗君) 新しい審議機関の皆さんがどのようにお考えになられるかという問題でございまして、この問題が審議機関にかかるということは私は断定できませんし、それは今申し上げた越権だというふうに申し上げております。しかし、別途文部省の方として、教員の資質向上の面、あるいはまた教科書の正しいあり方等につきまして、これは文部省固有の事務でございますので、そうしたことに対しましてできるだけいい方向に持っていけるように、また
国民の期待にこたえていけるように文部省としての行政を進めていくということは、私は矛盾をしないと考えております。
-
○久保亘君 これらの課題が新しい審議会で審議されるかどうかは断定できないということは、審議されないともされるとも自分からは予断を与えないということ。審議されるかもしれない。しかも、伝えられるところでは、中曽根さんの私的諮問機関も教員の資質に関する問題などについても御提言があるようであります。こういう問題が今教育改革の重要な課題として論議されようとしているときに、文部省は固有の行政事務だといって、法律は法律だと、こういうやり方は私は非常に拙速に過ぎるんじゃないかと思うのですが、いかがですか。少なくとも審議会が審議に関する一定の方向を決めるまでは、そういう問題を文部省が先行させるということは、審議会を置く意図と合わなくなるんじゃないですか。
-
○
国務大臣(森喜朗君) 今、文部省が準備を進めております教員の問題は、これは先般の教養審の答申に基づくものでございます。したがいまして、これから新しい機関で議論をされ得るかどうかわかりませんけれ
ども、そのこととは全く私は矛盾はしないというふうに思っておりますが、確かに久保さん御指摘のように、そうした御心配も私はやっぱり
一つの
考え方だろうと思いますので、文部省としてはそのことにつきましては非常に慎重に今考えておるところでございます。
-
○久保亘君 また改めてその問題についてはいろいろお考えをお聞きしましょう。
最後に、教育改革の問題で先ほ
ども御
質問ございましたけれ
ども、学歴偏重社会を是正していくために入学試験の改善を問題とされておりますが、やっぱり企業の指定校制度とか公務員の採用の仕方ということは非常に重要な問題。政府がみずからすぐ手をつけられる問題ということになれば、公務員の採用にかかわる問題です。これが大学の入学試験と同じようなやり方でやられてきているということに問題があります。そうして採用後の大事についても、特定の大学の出身でなければなかなか重要な任務につけないという風潮もある面では指摘されております。そういうことを考えてまいります場合に、官公庁における公務員の採用や大事について抜本的に改革する、人事院の試験の仕方についても改革をするということについてお考えになったことはありませんか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 現在の人事院制度というものは、
昭和二十二年から長い伝統と権威を持ってきていると思います。その人事院が今のような試験制度をやってきておるわけであります。しかし、それが全部いいとは限りません。久保さんがおっしゃったような議論も十分世の中にあることをよく知っております。まだ、若干の改革を必要とするであろうと思います。これらの点につきましてはひとつよく検討してもらいたいと。また、教育改革に伴いまして、いかに大学制度や試験制度を変えても採用する方の企業あるいは官庁というものの態度が変わらない限り、その改革は効をなさないという面も出てくると思います。やっぱり終着駅を目指して生徒はあるいは学生は前進していくものでありますから、そういう面におきましても社会性を持つ大事な面があると思っております。そういうこともありまして
総理大臣の諮問機関という幅の広い機関ということを実は考えておった面もあるのであります。したがいまして、今後検討さしていただきたいと思っております。
-
○久保亘君 文部大臣、
中野区の教育
委員会の準公選について文部省が廃止勧告を行った法的な根拠は何ですか。
-
○
国務大臣(森喜朗君) 文部大臣は、いわゆる法治ルールに従いまして、
中野区の教育
委員会の選任は地教行法第四条に違反する、こういう判断をいわゆる主務大臣としていたしております。したがいまして、地方自治法二百四十五条四項に基づく勧告をいたした次第です。
-
○久保亘君 地教行法の四条によって違法と断定できるのでしょうかね。区議会の決定に基づいて、区長が準公選によって選ばれた人たちを区議会の同意を得て任命をするという手続をとっているので、これは地教行法の四条に違反して違法であるという断定ができるものなのでしょうか。
-
○
政府委員(高石邦男君) お答えいたします。
地教行法の第四条一項では、長がまず専属的にどういう候補者を選ぶかという選定権があるわけです。今度の
中野区の条例は、その前に投票によって結果が出ると、それを参考にしなければならないという拘束を受けるわけです。したがいまして、長の専属的な選定権限が侵されるという
意味で第四条一項に違反すると、こういうふうに解しているわけでございます。
-
○久保亘君 これは文部省の初中局の解釈であって、準公選の結果を参考にするという、そしたらだれの意見も聞いてはいけないということですか。教育
委員の任命をやるときには、だれの意見も聞かずに長が自分だけで考えたことを議会に提出せいと、そういうことですか。
-
○
政府委員(高石邦男君) 長が最も適任と思う人を選ぶ際に、事実上いろんな形で意見を聞くことはあり得ると思います。しかし、今回の
中野区の条例は、条例という規則をつくられて、しかも住民による投票の結果を尊重しなければならないというわけですから、長の自由な判断による意見聴取ではなくして、議会の制定した条例によって拘束されて、そしてそれを尊重しなければならないという手かせ足かせを受けて
対応しなければならないと、こういう制約の発生する条例であると思うわけでございます。
-
○久保亘君 それは、長自身が考えることであって、文部省が考えることじゃない、拘束されているかどうかは。参考にしてその提案をするという長の権限です。それはそれであなた方の解釈で勧告されたと言う。私
どもはそれを違法だと思わないのだけれ
ども、違法であると言って勧告をした。しかし、
中野区議会はその予算を決定してこれを実施する方向である。今後さらに文部省としてこの
中野区の準公選について介入されるおつもりですか。
-
○
政府委員(高石邦男君) 条例についての文部省の見解は変わらないわけでございます。ただ、地方公共団体は法律の規定に基づいて行政事務を執行するという前提で行政組織の法律はでき上がっているわけでございます。その前提が打ち破られた際に、それ以上の強制的な
対応ということができないわけでございます。したがいまして、我々としては期待として、文部省の法律の見解に反するというところに従ってみずから是正されることを期待し、願うという立場を超えるわけにいかないわけでございます。
-
○久保亘君 次に、
自衛隊の問題について二、三
お尋ねいたします。
最初に、ことしの二月二十七日に起きた陸上
自衛隊の発砲殺傷事件の事実経過と責任について
報告してください。
-
○
国務大臣(
栗原祐幸君) まず最初に、この機会に、ああいう事件が起きまして大変
国民の皆さんに御迷惑をかけたと、まことに相済まぬことであると、それに基づきまして、
防衛庁といたしましては、それぞれ今後の対策あるいは処分等をいたしたわけでございます。ただいまの御
質問につきましては
政府委員から答弁をいたさせたいと思います。
-
○
政府委員(上野隆史君) お答え申し上げます。
まず、事実経過、事件の概要でございますが、事件発生以来現在まで
防衛庁におきまして調査した結果を申し上げます。
昭和五十九年二月二十七日、陸上
自衛隊第一七普通科連隊第一中隊は、山口県山口市所在の陸上
自衛隊山口射撃場において、二十八名をもって中隊の検定射撃を実施しておりました。事件当時は、兼信雄一二等陸士(二十一歳)を含みます五名が、十一時三十分ごろから射撃を開始いたしまして、所定の十四発を撃ち終わった後に、検定射撃を実施するため装てん動作を行っておりました。この際、兼信二士の右隣に位置する射手が装てん動作に手間取ったので、射撃係と安全係が指導しておりましたところ、十一時四十五分ごろ、兼信二士は後方に振り向きざま何かを口走りつつ小銃三発を発射し、隊員四名を受傷させ、近くにありました六発入りの弾倉をつかみ取って、銃を擬しつつ屋内射場出入口から外に出まして、ジープを奪って、開放されていた射撃場の門から逃走いたしました。兼信二士は、その後、十六時四十六分ごろ、同市内宮野中学校北側の山林内で捜索中の警察官によって逮捕されました。なお、負傷いたしました隊員のうち一名は翌二月二十八日死亡いたしました。
処分の概要でございますが、この事件は、現地
部隊の教育訓練中の事件ではございますが、社会に与えた影響が大であるというごとにかんがみまして、現地関係者のみならず、上級司令部、陸上幕僚監部、内部部局を含めて、三月九日、総員二十五名に対して処分を行った次第でございます。
-
○久保亘君 この
防衛庁が出されております読本の中には、「たまに撃つ 弾がないのが 玉にきず」という、
防衛庁のすぐれた川柳だと、予算をふやせと言わんばかりに書いてあります。しかし、私、こんな事件を見ておりますと、たまに撃つ弾があるのが玉にきずじゃないか、こういう気がするんですが、発砲事件を起こした当時、現場の指揮官がとった措置は正しかったのですか。
-
○
政府委員(上野隆史君) 発砲がありました射場ドーム内には、射場指揮官である中隊長以下二十八名がおりました。そのうち小銃を保持しておりました者は、当該兼信を除きまして四名でございます。射場ドーム外の逃走経路周辺には九名、これはいずれも小銃を保持しておりませんでした。そういう者がおりましたが、小銃を構え、あるいは車両で逃走を図るという兼信二士を制止するということは、当時の状況からいって極めて困難な状況にあったと思います。事柄の性質から申しまして、
対応要領等はこれはなかったわけでございますが、射場指揮官であります中隊長は、みずからの判断で、兼信二士を制止すべく説得に努めるとともに、射場外に出た同人をトラックで追跡する等の措置を講じたわけでございますが、結果としてその同人の逃走を阻止することができなかったということはまことに遺憾なことだと存じております。
-
○久保亘君 市民に被害がなかったからいいようなものの、実弾を持った、しかもそこで殺傷事件を起こした隊員が悠々とジープを奪って市中に逃走するなんということは考えられぬことです。しかも先ほど
報告がありましたように、実弾射撃をやる射撃場の正門が訓練中にあいていたというのはどういうことですか。
-
○
政府委員(
西廣整輝君) 射撃場は駐屯地からちょっと離れたところにあるのが大体でございまして、この山口駐屯地の場合も駐屯地の外にございますが、たまたまこの射撃場には外さくがございましたが、事件当時扉があいておったことは先生の御指摘のとおりであります。当時ちょうど車が入った直後であったという事情はあるかと思いますけれ
ども、直ちに扉を閉めなかったということは確かに今から考えましても失態であったというように私は考えております。その後、外さくにつきましては車両等の通行のとき以外は必ず直ちに閉めるというような指導をいたしておりますが、それ以外、外さくのない射場等もございますので、これは財政的な問題もございますけれ
ども、できるだけ早い機会にそういったものを整備をいたしたいというように考えております。
-
○久保亘君
自衛隊の場合には、
自衛隊の中で起こした事件について、その犯人を逮捕することができるのですか、できないのですか。
-
○
政府委員(上野隆史君) これは警察官職務執行法上の権限を有します警務官という者がおります。これは
自衛隊法上、
自衛隊の施設内におきます隊員の起こしました事件、それ以外にもございますけれ
ども、それにつきましては逮捕する権限はございます。
-
○久保亘君 この射撃訓練場から悠々と実弾を持って脱走されるということだけでも大変ですが、その警察官職務執行法の権限を持つ警務隊が出動しても、結局この実弾を持ったその犯人を逮捕したのは県警の機動隊であった。こういう
自衛隊が果たして
国民の生命や財産を守ることができるのですか。
-
○
政府委員(上野隆史君) 事件を起こしました同人を
自衛隊のみずからの手で捕まえられなかったということはまことに残念なことと思っております。ただ当時、当該兼信二士が逃走いたしました後、警察と打ち合わせをいたしまして、
自衛隊は百六十六名をもちまして捜索隊を編成いたしました。そしてそれぞれ分担をいたしまして、
自衛隊につきましては山口市の、事件の起こった場所が郊外でございますので、山口市内に犯人が潜入することを防ぐという役割を持ちまして、そちらの方、市外の方に向かっていわば阻止線を張ったわけでございます。一方、警察は
自衛隊員兼信の逃走経路の方を追いまして、そして結果的には先ほど御
報告申し上げましたような時間に逮捕するに至ったということでございます。なお、
自衛隊はヘリコプター一台を飛ばしまして、上空からの捜索にも当たりまして警察に
協力をいたしました。
-
○久保亘君 この兼信雄一の
自衛隊歴をチェックできなかったのは、今の募集のやり方、地連に対してノルマを課すというようなこともあると聞いておりますが、員数そろえをやっている、そういうところに原因がありはしませんか。
-
○
政府委員(上野隆史君) 隊員の募集につきましては、特に二等陸海空士の募集につきまして、これは
防衛庁・
自衛隊の大きな人事施策の
一つとして力を入れてやっておるということは事実でございます。ただ、いわゆる高度成長時代のころと違いまして、当時は大変苦労したわけでございますけれ
ども、世上いろいろとお騒がせするような事案もございましたが、最近におきましては、こういう安定成長期に入ったということもございまして、いわゆる高校在学生、高校を出てすぐ
自衛隊に入ってくるという者の率も最近では順次上がってきておりますし、特に員数合わせというようなことで考え、またそういう施策をしておるつもりはないのでございます。大体応募倍率といたしましては、約二倍ないし二・五倍の応募者が士の階級につきましてはございます。
-
○久保亘君 この前、上野駅で隊員募集に伴う事件ございましたね。あれはどう見ておられるんですか。
-
○
政府委員(上野隆史君) お答え申し上げます。
あの事件は、先生御承知と思いますが、部外の方、この方は適齢年齢を過ぎておった方でございますが、その方に
自衛隊の広報員が声をかけたということから、その方はこういうような募集のやり方はおかしいのではないかという御疑問を持ったようでございます。それが去年夏でございまして、その後御本人は広報員の街頭募集中の状況を二、三メートル近くに寄って写真をお撮りになるというようなこともございます。一方、その隊員の方、広報員の方は、部外の方とトラブルを起こすということは厳に上司から戒められておりますので、そういういわばまあ受ける方の隊員からいたしますと嫌がらせととったわけでございますが、その点は先方と御認識の違いがあると思いますけれ
ども、結果的にはいさかいになりまして、まず口論になりまして、広報員の方は、あなたは自分の方の写真を何枚もお撮りになるが、ひとつ警察に行こうではないか、ということで同行を促したと。その際もみ合いになりまして、先方さんは首筋にアンダーシャツの襟のところできぬずれを生じ、一方、その隊員の方も、一人でございますが、御当人に殴られたというようなこともございます。
いずれにいたしましても、警察に参りまして、そして事情を両方で言ったのでございますが、結果的には示談をしようではないかという双方の話になりましたのですが、その示談が何と申しましょうか、言葉は悪いのですがこじれまして、しばらく時を過ごしておるうちに、警察の方では
自衛隊員二名を、これは罪名はちょっと今記憶しておりませんが、傷害かと思いますが、書類送致をしたというのが二月の中ごろのことでございます。いずれにしましても、こういうようなことでいやしくも警察当局から書類送致をされるというようなことは、これはまことに不名誉なことだと存じております。
-
○久保亘君 この兼信が隠していた前歴、第三特科連隊で停職処分を受けた、その理由は何ですか。
-
○
政府委員(上野隆史君) 兼信二士は、第三特科連隊に入った後、まあ勤務状況は普通だったと、可もなく不可もなしというのでしょうか、普通だったということでありますが、たしかあれは六月の末だったと思いますけれ
ども、十カ月ぐらい勤務した後だったと思いますが、ちょっと記憶が定かでございません、もし間違いましたら後ほど訂正さしていただきたいと思いますが、外出を許されまして外出したのですが、そのまま六日間と記憶いたしますが、
部隊に帰らなかったということで停職処分を受けまして、本人も、
自衛隊は自分には向かないなということで中隊長に退職を申し出、中隊長も、やはり君は退職した方がいいだろうということで、その退職を認めたものでございます。
-
○久保亘君 その処分の理由。
-
○
政府委員(上野隆史君) 理由は所在不明でございます。
-
○久保亘君
自衛隊では外出許可をしたまま一週間も帰ってこぬ者は、これは所在不明ということで扱われるんですか。
-
-
○
政府委員(上野隆史君) 失礼いたしました。処分理由は所在不明ということではございませんで、職務放棄でございます。
-
○久保亘君 そこで
防衛庁長官にお聞きいたしますが、あなたはこの事件が起きた後、新聞
報道によれば、記者会見で、一言で言えばあれはいい隊員だと、こういうことをおっしゃっておりますが、いい隊員だということをあなたが判断されたのはだれの
報告に基づくんですか。
-
○
国務大臣(
栗原祐幸君) そういう発言をしたことは事実でございます。
それで、私のそのときの発言の根拠になりましたのは、まだ兼信その者が逮捕されていない、一体この男はどういう男だと、資料を出せということで、
防衛庁の方から資料を私のところへ持ってこさせたわけです。そうしまして見ますと、いわゆる適性検査ですね、適性検査の中にいろいろの項目があるわけですよ、その項目を見ますと、その適性検査そのもので見る限りにおいてはむしろ悪いと言えない、もっと言うと上の部だと、こういう
報告を受けたわけでございます。したがって、これはどういうことでそうなったのかなと、こういう感じでおったわけでございますが、記者会見のときに
質問がございましたから、今までの調査ではこういうことになっておるということを申したわけでございます。
-
○久保亘君 そういうことを
長官が、小銃発砲事件を起こした隊員を間違った
報告に基づいていい隊員だと言われたことは何とも思っておられぬのですか。
-
○
国務大臣(
栗原祐幸君) それはそのときまでの
報告でございますけれ
ども、結果的には大変申しわけなかったと、こう考えております。
-
-
○
国務大臣(
栗原祐幸君) まあこれは私の責任において発表したことでございますから、私の責任というふうにおとりをいただきたいと思います。
-
○久保亘君 私は、処分について、市民を恐怖に巻き込んだ、幸い被害はなかったけれ
ども、この事件に対して社会的に与えた影響が大きかったから責任をとらせると、そんなことで済む問題じゃないんじゃないですか。これはあなた、社会を不安に陥れたその責任に対して今度発表されたような処分で済む問題ですか。
-
○
国務大臣(
栗原祐幸君) これはただいまもお話しありましたとおり、結果として一般の
国民の皆さんに危害を与えなかった。しかし、大変不安も与え、御迷惑をかけたと、そういう
意味で私
どもは非常に重大な事件であると、そういうふうに心得ております。
それで、どのような処分をすることが適当かということで、私は私なりにいろいろ考えてみたわけでございます。いままでのいろいろの例を見まして、今回の場合には、こんなことでいいのかと言われる方もございますけれ
ども、いままでの処分から見るとまあまあ厳正にやったのじゃないかというようなそういう評価もいただいておりますが、私といたしましては、とにかく先ほどから話のあったとおり、一体兼信をその現場でとめられなかったものかどうか、何をしておったんだ。それから門があいておったと、これはどういうことなんだと。それからいわゆる
自衛隊自体の警務官の中でやれなかったかどうか、あるいはこの逃走した兼信について
自衛隊みずからが捜索できなかったかどうか、そういう点についての疑問は全く同感でございまして、いろいろとそこら辺についても詰めてみたんですが、結論的には先ほど人事
教育局長、
政府委員から申し述べたようなことであったわけでございます。
それで、従来でございますると、これは制服組にのみ責任をとらせるというケースが多かったようでございますが、今回は制服と内局と責任一体であると、そういうことで内局の方の責任者でありまする次官も処分をしたということでございまして、そういうことを総合的に御勘案をいただきまして、御
理解を賜りたいと思います。
-
○久保亘君
長官や、
自衛隊の最高指揮官である
総理大臣には責任はないのですか。
-
○
国務大臣(
栗原祐幸君) 私には、実動
部隊を統括するという重大な責任がございます。私の責任のとり方は、いわゆる今後こういう事件が起きないように厳正な処置をとる、また教育訓練その他につきましても万全を期していく、また採用についても注意をしていく、そういうことを実行をさしていくのが私の大きな責任であると、こういうように認識をしております。
-
○久保亘君 次に、
自衛隊の基地を民間人が利用する場合、いかなる場合に認められておりますか。
-
○
政府委員(
佐々淳行君) お答えいたします。
一般的に申しますると、例えば御近所の方々との友好関係を維持するために
自衛隊の記念行事等の際に基地を開放いたしまして中を御
見学いただく、あるいは募集関係業務に大変御
協力をいただいた方の航空機に対する体験搭乗をやる、あるいは各会社の教育訓練担当の皆様の御要望によりまして体験入隊をする、こういうようなことで基地にお入りをいただくと、こういうケースがあろうかと存じます。
-
○久保亘君 航空隊の航空基地の滑走路をチャーター機で民間人が自由に利用するということについて、これは基地の判断で許可していいのですか。
-
○
政府委員(
佐々淳行君) お答えいたします。
突然の
お尋ねでございますので、ちょっとしばらくお時間をいただきまして、担当
政府委員をこちらによこしまして御答弁を申し上げます。
-
○久保亘君 突然の
お尋ねといったって、こんなのわかっとらないといかぬよ。
-
-
-
○
政府委員(宍倉宗夫君)
自衛隊の飛行場に例えば
日本の民間会社のチャーターする飛行機が着陸を必要とするような場合もあるわけでございまして、その場合には許可を求めてまいりまして、実際に許可をいたしますのはそこの基地の司令かと思いますが、一定の手続がございまして、内局の方にも相談があるわけでございます。
-
○久保亘君 それなら、内局の方にも相談があるのならば、去年の六月、
自民党の幹部が選挙応援のために海上
自衛隊第一航空群鹿屋基地をチャーター機の離着陸に御利用になったのは、内局の方はこれは承知の上で許可されたのですか。
-
○
政府委員(宍倉宗夫君) ただいま突然の
お尋ねでございますので、具体的に調べてみませんとわかりませんので、時をかしていただきたいと存じます。
-
○久保亘君 そんな重要なこと、あなた、内局に協議を求めて知らねということはないだろう。
-
-
-
○
政府委員(
佐々淳行君) 申しわけございません。ちょっと突然の
お尋ねでございますので、担当
政府委員も今こちらに向かっておりますので、しばらくお時間をちょうだいいたします。
-
-
-
○久保亘君 別の問題で
お尋ねしておきます。
戦後処理の問題について、台湾出身
日本兵の補償問題について政府はどのような
対応をされているのか
お尋ねいたします。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 台湾の方で元
日本人であった人たちが当時兵士として戦って戦死をされた、あるいはまた戦傷されたという方が随分あるわけでございます。特に戦死をされた台湾人の方、元
日本兵ですね。大変我々としては気の毒に思っておりますし、また遺族の皆さんにも大変我々としてもお気の毒に感ずるわけでありますが、同時にまた戦傷された人も随分まだおられると思うわけですが、これらの方々に対しましては、政府としましては台湾問題、台湾と
日本との関係のいわゆる請求権の問題が全面的に解決していないというふうな
情勢にありますために、これらに対して今措置を講ずるという状況にないわけであります。これはまあ大変今難しい状況でございますが、しかし検討はしなければならぬ。実は
自民党におきましても調査費なんかつけましていろいろと研究をいたしておるわけでございますが、今のところを申し上げますと、今直ちにこれらに対して何らかの対策を講ずるというふうな状況にまで至っていないということを申し上げざるを得ないわけでございます。
-
○久保亘君 同様な例について諸外国はどんな扱いをされておりますか。
-
○
政府委員(橋本恕君)
アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、西独について調査をいたしましたが、外国人元兵士に対しまして、御
質問のような場合に年金あるいは一時金を支給していると、こういうふうに承知いたしております。ただ、この場合、
一つ補足いたしますと、これらの国々は補償する場合、相手方の外国人であるその外国人が属する国との間にそれぞれすべて外交関係を持っております。
-
○久保亘君
総理大臣はこの問題について賛成の署名をされ、そして行管庁
長官時代にテレビで、行政改革をやって浮いたお金でこういう問題を解決せにゃいかぬとおっしゃったことを覚えておられますか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 台湾のそういう元の
日本兵あるいは軍属であった人たちのそういう過去の問題、あるいは処遇につきましては、非常にお気の毒だと私は同情しておりました。私自体も海軍に従軍中に台湾におったこともありまして、そういう人たちと接触した経験もございます。そういう
意味からも同情的に考えておったわけでございますが、しかしこれを政治の正式の問題とすると、あるいは法律上の問題にするとなると、これはいろいろ国際関係やら、あるいは財政関係やら、あるいはそのほかの影響等も考えなければならぬので、慎重に考えなければならぬと思っております。
-
○久保亘君 いま私、聞いたことじゃないです。テレビでおっしゃったのを覚えておられますかと聞いたんです。
-
-
○久保亘君 諸外国においてはこういう問題が解決されているだけではなく、
アメリカやカナダなどでも日系人に対する謝罪や補償などを国家も民間も非常にフランクにやってきていると思うんです。国際国家ということを言われるなら、まず国際信義にかかわるこういう問題を解決することが重要なことなんじゃないでしょうか、いかがですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) おっしゃることは
理解できないこともありませんけれ
ども、この問題の幅の広がりやそのほかを見ますと、政府としては慎重に対処せざるを得ないのであります。
-
○久保亘君 今、台湾出身の方々の戦死者の数や戦傷者の数は政府はどのような数で押さえておられますか。
-
○
政府委員(入江慧君) 私
どもが把握しておりますのは、台湾籍の旧軍人、軍属計約二十万七千人、そのうち死亡者が約三万人で、傷病者についてはちょっと把握しておりません。
-
○久保亘君 もう
一つ、この台湾の方で戦争犯罪人として取り扱われた方々は、そのまま
日本政府が引き継いだということは御承知ですか。
-
○
政府委員(入江慧君) 申しわけございません。その点承知しておりませんので、調べまして別途御
報告いたします。
-
○久保亘君 いいですよ、さっきのやつを待ちましょう、時間がないから。
-
-
-
○
政府委員(
佐々淳行君) 申しわけございません。事実関係についてはちょっと今、至急担当
政府委員こちらへ向かっておりますので、後ほど御答弁させていただくことといたしまして、まず法的な問題から申し上げますと、国有財産法第十八条の三項、これによりまして、「行政財産は、その用途又は
目的を妨げない限度において、その使用又は収益を許可することができる」、こういう規定がございます。これを受けまして、内閣及び
総理府所管国有財産取扱規則というのがございまして、この第二十一条に一般使用、グライダーその他という例がございますけれ
ども、一時的な使用で営利的な
目的でないというような場合に使用を許可することができる。さらに、
防衛庁本庁所属国有財産(施設)の取扱いに関する訓令というのがございまして、この訓令の第十四条というところを見ますると、一カ月以内の使用であって云々という場合には、「供用事務担当官限りで使用の許可をすることができる」というのがございます。
御指摘のケース、ちょっと事実関係後ほど答弁させていただきますけれ
ども、法的にはこういうことで、
防衛庁が所管しておる国有財産を一時的に使用を許可することができると。この場合多少、先ほど鹿屋ということでございましたが、鹿屋でございますと供用事務担当官は鹿屋の第一航空群司令と、こういうことに相なっております。法律関係の面だけとりあえず御説明させていただきます。
-
-
-
○久保亘君
自衛隊法に定める政治活動禁止の条項を読んでみてください。
-
○
政府委員(
佐々淳行君) 「政治的行為の制限」「隊員は、
政党又は政令で定める政治的
目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもってするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない。」ということでございます。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) お答えをいたします。
五十八年の六月十一日に、民間機のパイパー機でございますが、チャーター便でございます、これが鹿屋の飛行場を使用したいという使用の申し入れがございまして、当時の海上
自衛隊の第一航空群司令がこれを許可をいたしております。
根拠は、国有財産法十八条第三項の規定によりまして、隊務遂行上特段の支障がないということで、「行政財産は、その用途又は
目的を妨げない限度において、その使用又は収益を許可することができる」、こういう規定に基づいて許可をいたしております。
-
○久保亘君 申請があったのはいつですか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) お答えいたします。
五十八年の六月六日でございます。
-
○久保亘君 六月六日に申請を行って、十一日に着陸して、いま
報告されなかったが、十二日までこの飛行機はエプロンに滞留して、翌日奄美大島に向かったのじゃないですか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 申請書によりますと、使用期間といたしまして、五十八年六月十一日から十二日と、使用施設名及び使用区分といたしまして、滑走路、誘導路等飛行場施設一式ということで許可申請が出ております。
-
○久保亘君 すると、
自衛隊法に定める政治活動の制限とはどうなりますか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 先ほどお答えいたしましたとおり、国有財産法上の規定に基づきまして民間機のチャーター便の許可を行いましたものでございまして、この権限につきましては、
防衛庁本庁所属国有財産の取扱いに関する訓令の規定によりまして供用官に一応許可の権限がおりておりまして、一応航空機の使用が
自衛隊の任務遂行上特段の支障がないという場合には民間機の使用の許可を通常いたしておりまして、こういう飛行機ばかりでございませんで、
報道関係の飛行機でございますとか一般の民間のチャーター機等についても特段の支障がない場合には許可をいたしております。
-
○久保亘君 そのような場合には基地の幹部が並んで見送るものですか。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 当時の状況については、私詳しいことを現在まだ事情を聞いておりませんですけれ
ども、新聞社がお使いになる場合等についてもやはり出入りの便宜をその場合一応考えてあげたり、あるいはVIPがお乗りになっておられるような場合にはしかるべく一応敬意を表するというようなことはあるのではないかと思います。
-
○久保亘君 このような場合には、だれが申し出ても、選挙活動のためであってもお貸しになるんですね、申し出れば。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 選挙活動との関係につきましては、特にその施設内で選挙活動を行いますとか、当該航空機から飛行場の上空で何らかの選挙活動を行うということでございますと、当然これはいろいろ問題が出てまいるわけでございますけれ
ども、単に人員を輸送するということで実は申請も出ておりまして、私
どもとしては単に航空機による送り迎えということで取り扱いをいたしたものと承知をいたしております。
-
○久保亘君 これは党派や人物を問わず、申し出れば許可になるんですね。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 私
どもとしては、あくまで先ほど申し上げました国有財産法の規定並びにその関連諸規定の規定に基づきまして、私
どもの
自衛隊の業務の遂行に支障がないという場合には一般的に許可を申し上げておるということでございます。
-
-
○
国務大臣(
栗原祐幸君) 事務当局からそういうような今までの話がございますから、それについては一応そういうことであろうと思います。
-
○久保亘君 それでは、一週間前に申し込んでおっても、
自衛隊としてはその離着陸を許可するということですね。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) その場合、当日、突然災害派遣があるとか一般的に使用が
自衛隊任務遂行上非常に難しいというような場合には、あるいはいろいろ変更をお願いする場合があるかもわかりませんけれ
ども、一般的には先ほど申し上げましたとおりの基準で私
どもとしては判断をいたしておるということでございます。
-
○久保亘君 私は、お使いになった方が問題だと言っているんじゃない。
自衛隊がそういうことで航空基地の滑走路の使用を民間に自由に認めると、そういうことをはっきりしてもらえばいいんだ。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) ちょっと誤解があるといけませんけれ
ども、私
どもとして、あくまで
自衛隊の任務遂行上必要な施設として
自衛隊の飛行場を維持管理をいたしておるわけでございまして、あくまで
自衛隊の任務遂行に必要な業務というものをまず優先して私
どもとしては考えておるわけでございますが、その任務遂行に特段の支障がないというような場合につきましては国有財産法上の関連諸規定等もございますので、一般的な御利用について御便宜をお図りしておるということでございます。
-
-
-
○久保亘君 法制
局長官、
自衛隊基地の使用について法的にはそういうことで問題ありませんか。
-
○
政府委員(茂串俊君) 私、具体的な問題は全く承知しておりませんので、今初めて伺ったわけでありますが、
一般論としては、そのような国有財産の利用というものは認められてしかるべきであると思います。
-
○久保亘君 それなら、それは
国民によく告知すべきだと思う、いつでも使えるということですね。VIPという言葉があったけれ
ども、VIPなら申し込めば使えるというようなことでは……。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 私
どもとしては、特別な人に使用を認めるというようなことではございませんで、やはり
自衛隊の基地でございますので、隊務遂行というような面にあくまでプライオリティーを置いて考えておるわけでございますが、当然、今の一般的なチャーター便のほかにも
報道関係でございますとか、その他の他の官庁の航空機でございますとか、
自衛隊の飛行場が任務遂行上特段の支障がない場合には使えるということについては十分御承知になっておられるものというふうに考えております。
-
○久保亘君 今度の場合はこれはもう明らかに選挙
目的に使われるということはわかっておるんですよ。それで許可になっているんですから、その場合でもいいんですね。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 私
どもとしましては、当該航空機の運航が選挙
目的であるというようなことについては一切承知をいたしておりません。
-
○久保亘君 何だ、
目的がわからぬで貸したのか。そんなおかしな話はない。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 申請には、航空機のランウェーとか誘導路の使用ということで申請が上がってくるわけでございます。
-
○久保亘君 では、そういうような
目的を持っておっても、そういう今あなたが言われたような形で申請すれば許可になるということですね。それをはっきりしておいてもらえばいい。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) この場合の申請者でございますが、チャーター機の機長から申請が上がってきておるわけでございます。
-
○久保亘君 聞いていることに答えない。
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 特段の選挙活動に使うというような申し出は一切ございません。
-
○久保亘君 あった場合だよ。
-
-
-
○
政府委員(
友藤一隆君) 選挙活動に使用するという申し出ではお断りをするということになると思います。
-
○久保亘君 選挙活動に使用するという
目的を書かずに人員輸送のためと書けば、選挙活動の
目的であってもいいということでしょう。それははっきりしておいてくれ。今後のことがあるので聞いている。
-
○
国務大臣(
栗原祐幸君) 今、
政府委員からいろいろお話がありましたが、そのときの要件というのは、
自衛隊の業務に支障がないという大きな縛りがあるわけですね。その中で民間の供与に申し入れによっては応ずることがあるということなんです。ですから、場合によってはいつも申し込んだからそれを許す、そういうふうにはならぬと思います。
-
○久保亘君 人によって区別することはないですね。
-
-
○久保亘君 それで、それは選挙活動のためということを書かないんですよ、今度のように。そのときにはそういう判断でいいですわと言うんです。
-
-
○久保亘君 終わります。(拍手)
-
-
-
○瀬谷英行君
参考人にはお忙しいところお繰り合わせいただき御
出席いただきましたことを感謝いたします。これはまあ
委員長が言うことなんでしょうけれ
ども。
参考人に
お尋ねする前に、国鉄から二問ほどお聞きしたいと思います。
第一問は、上越新幹線が今日開通いたしておりますが、完成するに至りました費用、一体どのぐらいかかったのか、それから現在その償還のために一体これからどのくらい払わなければならないのか、その点を国鉄からお聞きしたいと思います。
-
○
説明員(仁杉巖君) 建設費は七千億弱かかったというふうに思っております。それから鉄道建設公団からの借料は、いろいろ計算がございますが、CD線方式で三十年の均等償還というようなことで計算いたしますと、現時点で八百億から九百億の間ぐらいに計算されると思っております。
-
○瀬谷英行君 一年間に八百億ないし九百億返さなければならない、こういうふうにお聞きいたしましたが、それでいいですね。
その次に第二問として、青函トンネルは一体どのくらいかかっておるのか、またいつ完成をするのか、それから完成をした後どのようにしてこれは償還をするのか、また利用法はどうなっておるのか等についてお伺いしたいと思います。
-
○
説明員(仁杉巖君) ちょっと思い違いをいたしました。上越新幹線は一兆六千億余りというふうに訂正いたします。
それから青函トンネルが七千億足らずでございます。それで、これの完成時期は、鉄道建設公団の所管でございますが、大体六十一年度というふうに聞いております。しかし、現在、使用方法等が運輸大臣の私的諮問機関であります青函トンネル有効活用懇談会の結論待ちのような格好になっておりますので、まだはっきり最終どう使うかということは決まってないのでございますが、現在の工事実施計画ではナローゲージでございます。現在の在来線のゲージで青森から函館まで複線をつくるという計画になっております。
-
○瀬谷英行君 ナローゲージというのは七十六センチで、それは軽便鉄道のゲージなんですよ。在来線のは一メートル六七なんです。違うんです。
-
○
説明員(仁杉巖君) おっしゃるとおりでございます。千六十七ミリでございます。
-
○瀬谷英行君 それから、借用料八百億ないし九百億というのは、これは青函トンネルのお間違いじゃないんでしょうか。今、上越新幹線の借用料についてはおっしゃいませんでしたが、これは一千億を超えているように聞いておりますが。
-
○
説明員(仁杉巖君) 失礼をいたしました。上越新幹線は、今、公団借料が千億ちょっとでございます。それは五十八年度の予定が千億ちょっとでございます。先ほど申しましたのは青函トンネルでございます。
-
○瀬谷英行君 そこで、
参考人にお伺いしたいと思うのでありますが、今、上越新幹線とそれから青函トンネルの例を私は聞いてみたんです。上越新幹線は一年間に一千億、それから青函トンネルができ上がると八百億ないし九百億返さなければならぬ、こういうことになっております。しかも、この青函トンネルはどういうふうに使うかということもまだ定かでないということなんですね。これが国鉄財政にとって、もし国鉄が使用するということになると、大変な負担になると思うのでありますが、監理
委員会としては、国鉄の財政再建についてはどのようにお考えになっておられるか、まずその点をお伺いしたいと思います。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 青函トンネルについて御
質問がございましたけれ
ども、これにつきましては現在施工中でございまして、今のところ当初より非常に乗客数が少なくなるということを聞いておりまして、四十五年着工時には大体乗客数が年間二千四百五十万人乗るであろうという予想であったのが、最近、国鉄あたりが計算しますと、大体これは一割ぐらい、二百二、三十万しかないだろうと、こういうことでございまして、現在国鉄の状況を北海道だけをとってみましても、売上高が九百七十一億、経費が三千七百億というふうな状態でございまして、現在の国鉄が、こういうふうな需要が減った青函トンネルの鉄道を経営するということは体力上無理があるのではないかと、こういうふうに考えておりますが、ただ、二十年近い歳月をかけてできた国家的財産というものは何らかの方法で活用するということについて検討をしたいと、こういうふうに考えております。
-
○瀬谷英行君 上越新幹線にしても一千億です。そうすると、この一千億を払わなければならぬということになりますと、果たして営業収支として引き合うのかどうか。これは国鉄総裁にちょっとお伺いしたいと思います。
-
○
説明員(仁杉巖君) 現在の五十七年度の経営収支を係数で申しますと約三〇〇という
数字になっております。しかし、五十八、五十九というような
数字を見ておりますと予想以上に収入があるようでございますので、だんだん収支はよくなると思いますが、いわゆる黒字に転換するという時点を現状で推察をいたしますと、これはごく大ざっぱな推察でございますが、約二十年かかるというような見通しになっております。
-
○瀬谷英行君 そこで
参考人にお伺いしたいのでありますが、国鉄の赤字というふうに一言で言うけれ
ども、この赤字の原因は何かということになると、臨調の基本答申は必ずしも明確にしていない、こういうふうに私は思うんです。臨調の基本答申ではその他の中に入っているわけです。したがって、財政再建をするためには、国鉄のこの長期債務を処理をするということが先決問題であるというふうに考えられるのでありますが、その点について監理
委員会としてはどのようにお考えでしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 長期債務の問題でございますが、五十七年度末で十八兆、本年度末で二十兆ということでございまして、現在国鉄の年商売上高は三兆弱でございますから、年商売上高の七倍に近い借金というのは完全な破産状態でございます。
これについてどういうふうにするかということでございますが、私は経営者の端くれでございますけれ
ども、会社経営で考えてみましても、こういう借金の処理というものは新しく再生した企業形態というものがどういうふうな形になるかと、こういうこととにらみ合わせまして、
国民各位なり政府なりの御
理解を得なければこれは到底解決ができない非常な難問題であると、こういうふうに考えております。
-
○瀬谷英行君 実はこれは
昭和三十八年の参議院
予算委員会の
会議録でありますが、鉄道建設公団をつくる
目的について私が
質問をいたしましたところ、綾部運輸大臣並びに
田中角榮大蔵大臣から答弁がございました。綾部運輸大臣の答弁はどうもよくわからなかったのでありますが、
田中角榮大蔵大臣が、専ら鉄建公団をつくることによってこの投資費用は全部公団でもって持つんだと、国鉄に負担をかけないんだと、こういう
意味の答弁をしておるわけであります。当時の約束は、鉄建公団をつくるから、建設費用というものは、投資費用というものは国が面倒を見るんだと、こういう
趣旨だったんです。ところが実際にはそうなっていないような気がするのでありますが、その点、国鉄総裁はどのようにお考えでしょうか。
-
○
説明員(仁杉巖君) 鉄道建設公団法によりますと、当初は鉄建公団は鉄道新線を建設するということでございまして、この中にはAB線とCD線という区分けがございまして、AB線の方は大体無償貸付または譲渡、CD線の方は有償貸付または譲渡というような形で進められておりましたので、今、先生のおっしゃるような法律ができ上がりましたときには、そういう形でなしに、有償のものは有償というような形で進められたわけでございます。
-
○瀬谷英行君 要するに、最初の話と後の話が違ってきたわけです。
そこで、監理
委員長にお伺いしたいと思うのでありますが、国鉄の赤字というふうに一言で言いますけれ
ども、この赤字の
内容を見てみますと、何が一番大きいかというと、借入金によるその設備投資が一番大きいわけです。したがって、この問題を解決しないと財政再建もなかなかむずかしいと思うのでありますが、その点は監理
委員会としてどのように処理されるおつもりでしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 国鉄の赤字につきましては、ただいま御指摘のとおりに単純なものではございません。いろいろな理由の複合体でございますが、その中に建設費の負担の問題もございますし、また借金の利息という負担もございますし、また国鉄全体が現在競争に破れつつあるといいますか、長距離は飛行機にとられ、短距離はモータリゼーションにとられるというように、需要の低下という現象もございます。また、過剰人員の生産性の問題もあります。そういうものをいろいろ総合いたしまして、どういう効率的な経営形態をとれば少なくとも赤字を減らしていける体制がとれるかということについて現在鋭意検討中でございます。
-
○瀬谷英行君 国鉄の長期債務表を見ますと、投資額計十四兆一千億、借入金の方が十二兆六千億、政府出資は四千五百億にすぎない。つまり、借金でもって投資をやってきて今日のような赤字を招いたと、一言で言えばそういうことになる。その点の御認識については同じだろうと思うのであります。
そこで、この臨調の答申というのは分割民営ということを柱にしております。分割民営を具体的にやる場合にはどのようなことになるのか、その点についての構想をお伺いしたいと思います。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 私
どもは、監理
委員会といたしまして、国鉄の効率的な経営形態を確立する、そして適切なる運営をする体制を確保するという任務を与えられまして、現在検討をしておるのでございますが、非常に大きな問題でございまして、現在の経営実態あるいはいろいろな経営資料というものをつぶさに現在調査検討中でございまして、どういう構想ということをお話しする段階まで煮詰まった議論はやっておらないのでございます。
ただ、私個人として考えますのに、少なくとも新しい経営形態というものは、競争によって企業というものは進歩するのでございますから、競争意識というものを持てる形態がどうであろうか。第二には、旅客流動、これの実態に合わした
国民へのサービスのさらに向上できるもの。そして第三には、一人の管理者の範囲内において、きめの細かい経営管理が確立できる体制。そういうものを総合して検討した案をつくりたい、こういうふうに存じております。
-
○瀬谷英行君 まだ非常に漠然としているわけですが、一体、運輸大臣としては、監理
委員会の意見というものと運輸大臣の権限というものをどういうふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(細田吉藏君) お答え申し上げます。
もう申し上げるまでもございませんが、監理
委員会は、去年本院を通過いたしました法律によって設置されておる機関でございます。そして、第二臨調の答申の線に沿って、今、
亀井委員長の言われたような任務を持ってやっておられる、こういうことだろうと思うのでございます。それで、運輸大臣は一般的な国鉄に対する監督権限を持っておるわけでございますから、ある
意味ではちょっとダブったような格好になっておると思うのでございますが、やはり経営形態の問題を一番主としまして、第二臨調の答申を実現するためにはどうするかということについては、監理
委員会が第一番手に考える、運輸大臣はこれを受けてどうするかということをやっていく。しかしながら、監理
委員会がいろいろ御検討になり、お決めになる段階において、我々は長い間ずっと続けて監督をいたしておるわけでございますし、今日も監督をいたしておるわけでございますから、我々の意見は十分監理
委員会に反映させるということだと思います。
それでは、なぜできたかということですが、これはもう法律が通ったんですから私があえて申し上げるまでもございませんが、国鉄の問題は非常に難しくて、これは簡単にいかない。内閣を挙げてこれに対処しなければならぬと、こういうことで
総理大臣の関係の機関としてこれが設置された。こういうことでございまして、私
ども緊密な連絡をとりながら、国鉄の財政をよくしていく、国鉄の経営をよくしていくということに努力する、こういうことになっておると思うのでございます。
-
○瀬谷英行君 監理
委員会で手がけたことの
一つとして、例えば新幹線の上野—東京間の工事、これは凍結をされているわけであります。そうすると、今、工事の進捗状況は約五〇%だと、こういうふうに言われているんですが、これを抑えて、じゃこのままやめてしまうのか、あるいは財政状態がよくなってから継続をするということなのか。この辺も監理
委員会の権限の範囲だと思うのでありますが、その点はどうなっておるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 上野までは新幹線が開通いたしますが、上野—東京間というものについて、経営的な見地から見れば、どうも余りプラスがないということでございまして、現在の経営実態からいえば、経営実態がよくなるまでは抑えておくという方がいいのではなかろうかという意見を申し上げたまででございます。
-
○瀬谷英行君 それでは、いつ開通をさせるかということは別に決めていない、当分の間、ということでよろしいんですか。
-
-
○瀬谷英行君 お伺いいたしますと、監理
委員会というのが非常な権限を持っておる。もうこうなると私は立派な行政機関であるというふうに考えるんですよ。したがって、この行政機関の長としては、国会には
政府委員の一員として
出席をお願いしなければならないのじゃないかという気がするんです。なぜかというと、今までは、
委員会でもって運輸大臣に聞いても国鉄総裁に聞いても、みんなそれは監理
委員会ということで逃げられているんです。らちが明かないんです。こうなりますと、やはり責任を持っている、権限を持っている監理
委員長にお出ましを願わなければならぬと、こういうことになると思うのでありますが、今後、例えば
予算委員会のみならず、決算
委員会あるいは社労
委員会、運輸
委員会等に御
出席を願わなければならぬということになると思うのでありますが、その点はよろしゅうございますか。
-
○
国務大臣(細田吉藏君) お答え申し上げます。
政府委員というお話がございましたが、御案内のようにこれは三条機関ではないのでございまして、政府ではない。国鉄総裁でもこれは
説明員でございます。したがって、
政府委員ということではないと思うんです。ただ、
質問者の御真意は、やはり出てきていろいろ意見を聞かしてもらわぬと困ると、こういうことだろうと思うのでございますが、これはあくまでも諮問機関でございまするので、もし必要があれば
参考人としてお呼び出しを願うという以外には現行の法規上は方法がないのではないかと、かように思っておる次第でございます。
-
○瀬谷英行君 だから、現行の法規上しようがないから
参考人としてお出ましを願っていると、こういうわけなんです。ただ、
政府委員と同様に出てきていただかないと審議の方法がないだろうということを言っているわけです。
-
○
国務大臣(細田吉藏君) 国会が
参考人をどうお呼びになるかというのは答弁の限りでございませんので、失礼いたします。
-
○瀬谷英行君 運輸大臣が、今までの例によると、前の長谷川運輸大臣はこの種の問題になりますと、全部これは監理
委員会というふうにお逃げになった。また細田大臣は自信がおありだから喜んで答弁されるようでありますけれ
ども、しかし監理
委員会という役目柄、やはり頻繁にお出ましを願うということにならざるを得ないと思うのであります。その点はどうでしょう。
-
○
国務大臣(細田吉藏君) 先ほどお答え申し上げたとおりでございまして、これ以上私のお答えのしようがございません。国会が
参考人の必要があれば
参考人を呼ばれるというのは国会の国政調査権の範囲の中でございますので、私がこれ以上申し上げることはないと存じております。おっしゃることはよくわかります。
-
○瀬谷英行君 しかし、実際問題として、監理
委員会においでを願うということは余りなかったんです。
そこで、監理
委員長にまたお伺いをしたいと思うのでありますが、臨調の答申を実行するというのが役割になっておるのでありますが、答申そのものにいろいろと矛盾もあり、問題もあり、間違いもありというふうに指摘できることがあるのであります。それらの点については一体どのように処理をされるのか。国会の質疑に対してお答えになって問題を解決をしていくということがこれから期待できるのかどうか。その点をお伺いしたいと思います。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 臨調の答申といいますのは、時の内閣が最大限に尊重すると仰せられておりますが、私
ども、国鉄再建監理
委員会法では国鉄の効率的な経営形態並びに運営の適正化、また長期債務の処理その他の任務がございますので、臨調答申は参考にしながら、私
ども委員で、国鉄をいかにして
国民のためによくするか、そういう点で努力をして案をつくりたいと、こういうふうに考えております。
-
○瀬谷英行君 緊急提言というふうな監理
委員会から出されたものがございますが、これによりますと非常に細かなことまで規制をしております。もう労使関係も無視するというようなことも出てくるし、あるいはまた憲法違反のような疑いのある問題も出てくるし、問題はたくさんあるんです。しかし、今日まで十分な審議の余裕がないまま過ごされてまいりましたけれ
ども、大きな柱である分割民営ということになりますと、例えば北海道と九州、あるいは本州との間に格差運賃というものが設けられる。僻地の方は高い運賃でもって我慢してもらうというようなことが大原則にならなければ不可能だと思うのでありますが、そういう
考え方でこれはやむを得ないとお考えでしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 運賃の問題につきましては、やはり「原価を償うものであること」というふうな条件も国鉄運賃法にございますし、また公平という観点から見ると、大都会の通勤については大変な混雑のもとに行われる、そして地方へ行くと
一つの電車に数人しか乗っていないと、こういう実態で一体本当に公平なのかどうか。そういう見直しから、一度この地域別運賃というものについて検討していただいたらどうかという意見を申し上げたことでございます。
-
○瀬谷英行君 それでは、今度は地方ローカル線の問題なんでありますけれ
ども、地方ローカル線の問題は、これはもう整理をするというふうに受け取られるわけであります。しかし、地方ローカル線にはそれぞれのやはりなければならない必要性というものもあるわけでありますし、それから都会地でいうと、輸送需要に応じられないという問題があるわけです。例えば新規採用をやめるということになりますと、これは輸送力増強のための増発ができないと、こういうことになるわけです。こういう点もやむを得ないということであきらめてしまうのか、その点は臨調の答申にはあるけれ
ども考えるということになるのか、その点もお伺いしたいと思うんです。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 地方ローカル線につきましては、既に第一次、第二次の案が国鉄でできておる次第でございますが、これについては、鉄道が整理されても別の、国鉄の経営ではなくて、バス転換であるとか、あるいは民営化であるとか、第三セクターということで、その地域の交通に不便をかけないような配慮は絶対にしていく、こういう
考え方でおる次第でございます。余談になりますが、昨年の十月、北海道の白糠線がバス転換になりまして、現実に現地へ行きましたら、地域の方は大変便利になったということで喜んでおられるのでございます。
そういうことでございますから、二十一世紀に向けて新しい
国民の交通体系というものはいかにあるべきか、こういうことを考えていくべきではないか。しかも、都会の通勤につきましては、先ほ
ども申し上げたように、場所によっては動物並みの扱いということでございますから、こういうものはやはりサービスを向上するという面で考えていかねばならぬ、こういうふうに思っております。あくまでも私
どもは
国民の総体的なニーズ、またはそれの適切な負担がいかにあるべきかという観点からの見直しを続けていきたい、そういうふうに思っております。
-
○瀬谷英行君 一応、
参考人に対する
質問は、細かいことを申し上げる必要もないと思いますので、きょうはこの程度にしたいと思います。
ただ、今後、先ほ
ども申し上げましたように、各関係
委員会への
出席をお願いしたいというふうに考えておりますので、どうかおっくうがらずに出てきていただきたい。
-
○
委員長(
西村尚治君)
亀井参考人には、御多忙のところを長時間大変ありがとうございました。
質問が済んだようですから、御退席願って結構でございます。
-
○瀬谷英行君 そこで、改めて今度は運輸大臣に御
質問したいと思うのでありますけれ
ども、あらゆる問題がみんな監理
委員会に逃げ込まれるという状況になっておるんですよ。しかも、監理
委員会でもってこんな緊急提言のような細かいことまで、重箱の隅をつつくようなことまでやっているんです。これでは鉄道監督局なんか要らなくなってしまうと思うんですね。当分の間、これは運輸省の仕事はなくなると思うんでありますが、この点はそれでいいんでしょうか。
-
○
国務大臣(細田吉藏君) お答え申し上げます。
決して何でもかんでも監理
委員会に逃げるというようなことはいたしません。ただ、監理
委員会にあずかっていただいております一番大きな問題は、今あなたから御
質問がございました長期債務の問題、この問題は運輸省でももちろん考えております、いろいろ研究しておりますが、非常に大きな問題でございます。監理
委員会の一番大きな仕事であろうかと思います。それから分割民営化というのは、一応七つ程度に分割民営化するというのが第三次臨調の答申に出ておりまして、政府は最大限に尊重することになっておるわけでございます。これらの点については監理
委員会でいろいろ御検討になっておる。これについても私
どもはもちろん検討いたしております。ただ、監理
委員会と別に私
どもが意見を申し上げるというようなわけにはまいりません、これは監理
委員会ができた
趣旨が
趣旨でございますから。そういうことで、実質的に監理
委員会の御判断を仰ぐのに我々の研究を十分反映させる、こういうことなんでございます。
なお、小さいことについて云々ということでございましたが、臨調の答申に全然触れられていないような問題はないように実は承知いたしております。また、私
ども、そこに書いてあるだけが国有鉄道に対する監督の全部だと思っていただくと大変迷惑するわけでございまして、国有鉄道というものは大変複雑多様なるものでございまして、運輸省の仕事の中でも、国有鉄道の監督の部分の仕事は、依然として非常に大きなウエートを持っておるということを私は申し上げることができると思っておりまして、当分そちらの方はないだろうというようなことはございません。
-
○瀬谷英行君 青函トンネルなんですけれ
ども、こんなに莫大な費用をかけて、年月をかけてでき上がろうというときに、まだ利用方法が決まらないなんという、こういう投資はちょっと例がないと思うんですよ。一体青函トンネルをどうすべきだということに政府としては考えておられるのか、その点をお伺いしたいと思うんです。
-
○
国務大臣(細田吉藏君) 青函トンネルは、いわば世紀の大工事でございまして、本トンネルがもうしばらくであくという状況まで来ておるのでございます。先ほど来お話が総裁からございましたように、巨費を投じてトンネルを抜いたものでございまして、国の貴重な財産、いろんな
意味での財産でございます。これを使わないということは、私
ども絶対に考えておりません。使わなければならない。
どういう形で使うのがよろしいのか、またどういう経営形態であるべきか、国有鉄道がこれを直接にやるべきであるかどうか、こういうような点について御検討が、運輸大臣の諮問機関である青函トンネル懇談会並びにその下の研究会でもう結論を間もなく得るような時点まで、段階まで実はまいっておるわけでございます。したがって、これにつきましては、やはりどう利用するかということについて今ここでは申し上げられませんが、研究は着々進めておるような次第でございます。
-
○瀬谷英行君 順序がちょっとかわってまいりましたけれ
ども、昨日、秦議員から
質問のありましたフィリピンへの経済援助とアキノ事件のことなんです。このアキノ事件というのはまことに不可解なことなんでありますが、この事件の全貌というのはどの程度とらえられておるのか、わかりましたら御
報告を願いたいと思います。
-
○
政府委員(橋本恕君) 現在、御承知のとおりに、真相究明のための調査
委員会、これはアグラバ女史、元法曹関係にあった方でございますが、アグラバ女史を長とするところの調査
委員会というものが、現在フィリピン内外のこの事件関係に関する調査を続行中でございます。
-
○瀬谷英行君 もう少し
内容を詳しく御
報告いただけませんか。
-
○
政府委員(橋本恕君) 八月の二十一日にアキノ元上院議員が、この方はボストンに居住しておりましたけれ
ども、本国に帰るということで、各地を経由してマニラ空港に到着した際、これは中華航空と承知しておりますが、中華航空機に乗りましてマニラ空港に到着の際に何者かによって射殺された。直ちにその後フィリピン政府は真相究明調査
委員会というものを設けましていろいろ調べておったようでございますが、しかしながら、このつくられました真相究明
委員会というものの構成人員から見まして、これではフィリピン
国民としてとても満足できないという世論の声を受け入れまして、先ほど申し上げましたとおりに、フィリピンの
国民の信頼を得られるような方々、特にアグラバ女史を
委員長とする新しい調査
委員会を設けて、その調査
委員会が現在真相究明に当たっている、こういうふうに承知いたしております。
-
○瀬谷英行君 ここでちょっと
総理にお伺いしたいと思うのです。
-
-
-
○瀬谷英行君
総理にお伺いしたいと思うんです。
このアキノ事件というのは、白昼公然と衆人環視の中で、マルコス大統領の政敵と目されているアキノ氏が殺されたわけですよ。これはまことに驚くべきことだと思う。こういう問題は、単なるよその国の出来事だからといって見過ごすわけにいかないと思うんですね。言ってみれば、こんなことはあり得ないわけですよ、犯人も背後関係もわからないということは。明らかにこれは権力と軍隊による共同犯罪であるというふうに見られても仕方がないと思うのでありますが、
総理の見解はどうでしょう。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) アキノさんの事件は非常な不幸な事件で、まことにお気の毒にたえないと思います。御遺族にはお見舞いの気持ちを申し上げたいと思います。
しかし、この事件はフィリピン国内で起きた問題でございまして、今真相を究明中であります。我々は内政不干渉という原則を持っておりますから、この事件に関する論評は一切差し控えることが賢明であると考えております。
-
○瀬谷英行君 しかし、そうは言っても、ラングーン事件やら何やらいろいろな事件が起きると、国によってはそちらの方の見解をとるといったようなことがあるわけですから、この事件のように、ほかのことと違って、犯人も背後関係もわからないということはフィリピンの
国民としても納得しないと思うんですね、当然。
そこで、そういうフィリピンに対して経済援助を行うということは、名目はどうあれ、実際問題としてフィリピンの
国民感情からすると、感情を逆なでされるというような結果にならないかということを心配してもいいのではないかと思うのでありますが、その点どうでしょう。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) ラングーン事件の場合は、ビルマ政府が公式にその原因を政府として発表した事件でありまして、アキノ事件とはちょっと今のところ
情勢が違うように思います。それからフィリピンに対する経済
協力はずっと続けてやってきておるものでございまして、五十八年度分について既に決まった分をいかに具体化するかという問題で事務的に煮詰めてきておった問題であります。
ただ
一つ、フィリピンの財政問題という問題が絡んで、IMFそのほか国際機関との関係が問題であったと思っておりますが、その問題もIMFとフィリピン政府の間で逐次煮詰められつつある状態であります。
そういう点につきましても、我々は深甚の注意を払って行いつつありますが、問題は要するにフィリピンの一政権に対する援助とか
協力という
意味じゃなくして、フィリピン
国民あるいはフィリピンの国家に対する
日本としての
協力である、そういうふうに
理解していただきたいと思うのです。財政的に難しくなり、そのために外貨不足等の現象が起こって、そしてフィリピンの企業が、原料不足で失業の状態、あるいは万悪くすれば倒産という状態等も起きかねまじき状態があるやに、若干そういう現象があるやにおそれられております。そういう状況のもとに、フィリピンに失業問題が発生したりあるいは民生安定が崩れるようなことは、これは隣国といたしましてもできるだけ
協力すべき問題で、それはASEANの国々が全部見ておる現象であります。
私はASEANへ参りまして、
日本も善意を持って
協力すると言って回ってきているところでありまして、そういう面から見れば、アジアの一員でありまた先進工業国である
日本は、できるだけ西欧の国々に先駆けてASEANの国々には
協力すべきものであると私は考えておるのです。そういうやさきの問題でもありまして、
日本は約束したものを実行するか、五十八年度分の借款の問題でもございますから、そういう
意味におきましてもやはり我々としては約束したことは実行すべきである、そう考えておる次第であります。
-
○瀬谷英行君 問題はマルコス政権にあるわけです。このマルコ又政権がアキノ氏暗殺とかかわり合いかないというふうにフィリピンの
国民が考えておれば、それは経済援助は経済援助でもいいと思うんです。ところが、フィリピンの
国民は
日本の
国民以上にはるかに深刻にこの問題を受け取っているんじゃないかと思わなければならぬと思うんです。それはもう先ほ
ども申し上げましたけれ
ども、白昼公然と衆人環視の中で行われた犯罪なんです。それが犯人がわからない、背後関係がわからないなどということは世間に通用することじゃないわけですよ。どう考えてみたところで、これは権力とあるいは軍とが一体となった計画的犯罪であるというふうに見られても仕方がないんじゃないか。恐らくフィリピンの
国民はそういう感情で見ているんじゃないか。だから、この間もアキノ氏の弟が
日本に来て、フィリピンでは経済援助よりもまず民主主義の確立が先だと、こう言っているんですね。こういう
国民感情というものは決して軽視してはならぬと思うんです。だから、この
国民感情を無視して経済援助を行うということは、マルコス政権のてこ入れをするというふうに見られるということになると思うんですよ。その問題が果たしてフィリピンの
国民に素直に受け入れられるかどうかということは、やはり
日本としても慎重に考えなければならぬことではないかと思うのでありますが、その点はどうでしょう。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 我々は一マルコス政権のてこ入れというような
考え方でこれをやっておるのではないので、国家間の約束を履行するという
日本の誠実さと申しますか、約束を履行する国家であるという一面信頼度にかかわる問題でもあります。それと同時に、やはりフィリピン経済というものを考えて、これでフィリピンの民族資本、あるいは合弁企業等々の間で失業が多発したり、あるいは企業倒産が行われるというようなことでは、福祉と民生安定が非常に崩れるわけでございますから、長い目で見て、このフィリピンと
日本との関係を考えまして行わんとしておるものなのでございます。
-
○瀬谷英行君 長い目で見ようと短い目で見ようと、この問題はやはりフィリピン
国民にしてみれば非常に重大な問題だと思うんですよ。マルコ又政権に責任ありというふうに
国民が見ている場合に、果たして経済援助が素直に
国民の方に回っていくかどうかという疑問を持ってしょう。言ってみれば、非行少年に小遣いをくれるようなことになりはしないかという懸念があるということなんですよ。その場合に、本当に経済援助というものは有効に使われるかどうか、そういう疑問が生じてくるんじゃないですか。だから私は慎重にすべきではないかというふうに思うんですが、その点の配慮はどうなんですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 経済援助の実施につきましては、いろいろ細
目的な取り決めも行いまして、そしておのおのが誠実にその約束を実行して行うということで、各国ともみんなやってきておるのでございまして、ですからいろいろ詰めをやってきておったわけでございます。そういう点からも援助が有効に行われることにつきましては我々も万全を期してやっていくつもりでございます。
-
○瀬谷英行君 ビルマ事件についても甚だ不可解な点が多いのでありますが、この点についてはきょうは触れません。
もう
一つ、日韓大陸棚の共同開発の経緯とその現状について、これも
韓国に対する援助とも関連をしてくると思うんで、
報告をお願いしたいと思います。
-
○
政府委員(橋本恕君) 御承知のとおりに、日韓の間には大陸棚に関する協定、正確に申しますと、北部の境界画定に関する協定及び南部の共同開発に関する協定というものをつくりまして、そこで国会の御承認も得たわけでございますが、これらの二つの協定締結によりまして、日韓の間のそれまでございました大陸棚開発をめぐる紛争が回避されまして、それからその結果大陸棚における石油資源の共同開発が可能になりました。共同開発につきましては、
昭和五十四年の十月の下旬から両
国民間当事者の間で開発権者による探査活動が開始されまして、これまで順調に来ているというふうに承知いたしております。
-
○瀬谷英行君 順調に来ているということは、どういう成果が上がっているのでしょうか。
-
○
政府委員(豊島格君) 今、アジア
局長の方から話がございましたが、各鉱区に開発権者が申請をいたしまして、大体の鉱区は物探をかけたわけでございます。それから第五、第七、第八小鉱区を中心にいろいろやっておるのですが、第五小鉱区では一坑掘った、試掘をやった。それから第七小鉱区では二坑の試掘をやったわけでございまして、一応試掘を三本やったということでございます。そういうことで探鉱活動は進められておるということでございます。
さらに五十九年度の探鉱計画については、第五小鉱区でさらに一坑やるということが予定されておる。そういう
意味で、それまでいろいろ問題がありまして手がつけられなかったところに探鉱が行われておるということでございます。ただ、残念ながら、十分そういう商業採算に乗るような油田が発見されたかどうかという点につきましては、まだ発見されてはおらないというのが現状でございます。
-
○瀬谷英行君 この問題は、参議院でも
野党側の反対を押し切って強行採決までやったんですよ。強行採決までやって強引に押し通したんだけれ
ども、じゃどういう成果が上がっているかというと、残念ながらどうとかこうとかといって言葉を濁してしまったわけですね。
要するに、もう一度はっきり聞きたいけれ
ども、油が一滴でも出たのかどうか、それから出る見込みがあるのかどうか、今後一体どうするつもりなのか、脈があるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思うんです。
-
○
政府委員(豊島格君) 日韓大陸棚のこの地域につきましては、それまで双方の権益権の主張がありまして振れなかったということで、それを探鉱することができるようになったということは非常な前進であるということで、もしこれが、大陸棚条約ができなければなかなか難しかった。そういう
意味で、探鉱活動ができるようになったということは非常に望ましいことであったと思います。
それから、現在までにそれではちゃんと油が出て、開発ができるようなものがあったかどうかということにつきましては、残念ながら先ほど申しましたようになかったわけでございますが、なお今後も探鉱活動が行われることは、先ほど申しましたように五十九年度の計画においてもあるわけでございまして、石油の開発につきましてはあくまでも掘ってみなければわからないということでございますので、掘ること自身が非常に大事だ、探鉱すること自身が大事だということで、将来必ず当たるかどうかということにつきましては、これはやっぱり探鉱活動を続けなければわからない。しかし、その可能性があるからこそ、現在、計画としてそういう探鉱計画があるというふうにお考えいただきたいと思います。
-
○瀬谷英行君 強行採決までやったけれ
ども、まさにこれが大山鳴動してネズミ一匹も出ない、こういうことなんです。
それからもう
一つ、やはり経済的に果たしてどういうものか我々は疑問を持つのに原子力船「むつ」の問題があるのですね。これも随分いろいろと世間を騒がせましたけれ
ども、結論的にもうこれ以上役に立たないということであれば、この船の使い道も改めて考えた方がいいのじゃないかという気がするのでありますが、この点どうなんでしょうか。
-
○
国務大臣(
岩動道行君) 原子力船「むつ」につきましては長い経過がございます。まず
昭和四十九年に微少ではございまするが放射線漏れが起こりました。したがいまして、まずその遮へい工事を急いでやらなければならない、こういうことでようやく佐世保に回航して遮へい工事は完了をいたしました。と同時に、安全についても総点検を行って、そして佐世保からさてどこに行くか、こういうことになったのでございますが、青森県の方といろいろお話をいたしました。特に大湊にそのまま帰ってそこを定係港としたい、こういうことで政府としても地元と非常に濃密なお話し合いをいたしましたけれ
ども、残念ながら「むつ」の定係港として使うことについては地元の御了解が得られませんでした。そこで
昭和五十七年に中川元
長官がいろいろな努力の結果、大湊でなくて関根浜に港をつくって、そこで原子力船「むつ」の研究開発実験を行うということで、関根浜に港をまずつくる、こういうことで地元とようやくお話し合いができ、政府としても関根浜に港をつくるということでお約束をいたしたわけでございます。
一方、私
どもはこのようなおくれたことについては十分に反省をしなければならないと思っております。特に放射線漏れが微少であってもあったということは重大な反省の原点でございます。しかし、これは先ほど申したように、既に完全な点検も行って済んでおります。そして、今やまさに原子力船「むつ」による研究開発実験が行われるような段階に到達をいたしておったわけでございます。
そういう中におきまして、五十九年度の予算編成に当たりましてさまざまな御意見が各方面から出てまいりました。したがいまして、私
どもはこれにつきましては十分なお話し合いをいたし、そして予算編成の段階におきまして、本年の八月末を目途として、
自民党の中においても検討
委員会を設けて、そして原子力船「むつ」による舶用炉の研究をどうするかということの結論を出すことになった次第でございます。しかし、
日本は資源のない国、油は九九%海外から輸入しなければならない。しかも中東
情勢というものは極めて流動的であります。そういう中において、原子力エネルギーの平和利用ということは極めて大事なことでございます。殊に海運国家であり、そしてまた貿易立国である
日本にとりましては、どうしても舶用炉の研究開発というものは必要でございます。したがいまして、私
どもは今後とも舶用炉の研究開発は続けなければならないと考えているところでございます。
一方、先ほど申したように、関根浜に港をつくるということは、政府と地元の関係者との間のお約束でございます。したがって、そのお約束は忠実に守っていかなければならない、こういうことで私
どもは関根浜の港の着工にも手を伸ばしているわけでございます。そういう中で、本年の八月までに検討
委員会での結論、私
どももまたその場においていろいろと御意見を申し上げまして、そして結論を得て、その結論に対して対処してまいりたい、かように考えているところでございます。
-
○瀬谷英行君 何かこの原子力船「むつ」は、予算を取るために無理にこれを抱え込んでいるんじゃないか、まあこんなふうな感じを持つわけなんですよ。だから、もうこれ以上役に立たないんならば、ほかの使い道を考えた方がいいのじゃないか、こういう気がするんですね。それは少し、まあ短兵急に過ぎると言われるかもしれないけれ
ども、かなりの長い年月なんですね。だから、船自体は改装すれば使い道があるのじゃないか。例えば海上保安庁に払い下げて巡視船にするとか、あるいはまた海上
自衛隊の方に持っていって護衛艦のかわりにこれを使うとか、昔も戦艦「陸奥」というのがあったんだから、名前もそのまま使える。あるいはまた、青函連絡船の老朽船の代用に改造して使うとか、もう少し有効な使い道というのがあるのじゃないかという気がするんですよ。余りこだわらずに、原子力の研究だなんて、「むつ」の研究ができ上がらないうちにほかのエネルギー資源というものが開発されるかもしれない。だから、そういう点、もうこの辺で見切りをつけた方がいいんじゃないかという気がするし、
自民党の中にもそういう意見があるようでありますから、これはやはり「むつ」自体の有効な利用方法について、余り今までのいきさつにこだわらないで考えるということが、私はお金のむだ遣いをしないためにもいいのじゃないかという気がするのでありますが、どうでしょうか。
-
○
国務大臣(
岩動道行君) いろいろな貴重な御意見でございますが、私
どもは先ほど申したように、海運国家、造船国家、そして貿易国家としての
日本、さらにまた将来のエネルギー源というものを考えた場合には、必ず原子力船というものが
日本の存立のためには極めて重要な役割を果たす時代が来る。そのためにはどうしても原子力による舶用炉の研究開発というものはできるだけ早くその実験研究を終えて、その知見を持っているということが極めて大事であると、こういう
考え方になっておるわけでございます。
原子力船「むつ」は、そういう中において今後検討してどうするかということになっているわけでございまして、今直ちにやめるということでもございません。今後の検討の結果によるわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
-
○瀬谷英行君 これも本
委員会で随分しばしば取り上げられた問題でありますけれ
ども、なかなかはっきりとした結論が出ておりません。非核三原則並びに武器輸出三原則の問題、ニュージャージー等の出入国なんです。
総理がこれから中国へ行かれるに当たっては、やはりこれらの問題についてあいまいな姿勢をとられることはよくないと、こういう気がするんですね。だから、このトマホーク搭載、あるいは核搭載ということがもう十分に予想されるような
アメリカの艦船については
日本の出入国はお断りをすると、こういうふうにはっきり言ってしまった方がすっきりしていいのじゃないかという気がするんですね。持って回ったような言い方をして結局真意はどこかというふうに勘ぐられるよりも、その方がいいと私は思うんですが、
総理の見解をお伺いしたいと思うんです。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 今までここで累次申し上げましたように、非核三原則を厳守し、かつ日米安保条約を友好的に運用していくと、こういう方向でやっていきたいと思っております。
-
○瀬谷英行君 そういう型どおりの答弁が世界的に認められるならば別なんです。ところが、それは国会答弁で、一時しのぎであって、本当にそうかなという疑問が持たれた場合にどうしますか。これは
総理としてまずいでしょう。特にニュージャージーだけじゃない。これから先、戦艦、巡洋艦、航空母艦、
潜水艦に至るまでトマホークを搭載をする、こういうことになってくるわけでしょう。
潜水艦の場合は潜りで認めてやろうなどというわけにはいかないだろうと思うんですね。だから、あらゆる艦船、艦艇について、これはやはり事前協議の対象となる、こういうことが明確である、こういう場合には四の五の言わずにずらっとリストをつくっちゃって、これとこれとこれ、これはもうはっきりしているんだから入港はお断り、このようにした方が私はいろいろ遠回しな言い方をするよりもいいと思うんですね。そのために
アメリカとの関係を損ねるというふうな余計な心配をする必要はなかろうという気がするんでありますが、その点はどうですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 今まで申し上げましたように、非核三原則を守り、かつ日米安保条約を友好的に運用する、そういう方針で間違いないと思っております。これは日米間の問題でありますから、日米間における相互信頼という形、その上に立って今後も実行していきたいと思っております。
-
○瀬谷英行君 イギリスの航空母艦のインビンシブルも結局は入らなかったわけでしょう。それはやはり非核三原則という
日本の方針に対して遠慮したからではないかと思うんです。だから、こちらの方でやはり言うべきことはちゃんと言う、こういう態度をとれば、
アメリカといえ
ども何も無理にニュージャージーを初めとするたくさんの艦船を
日本の港に入れる必要はないと思うんです。余計な誤解を招く必要はないと思うんです。しかし、これらの問題について
総理が同じ答弁を繰り返されるということであれば、これは外国へ行かれる場合に私は足しにならぬと思うんですよ。だから、その点を申し上げたかったわけでありますが、何回聞いても同じ答弁しかないと思うからこれ以上聞きませんがね。違う答弁があるというなら別です。
それで、今度はやはり本
委員会でもいろいろと問題になってまいりましたけれ
ども、外交、
防衛の関係なんであります。特に
自衛隊の問題が先ほど来も問題になりました。しかし、
自衛隊が軍隊ではないと、こう言っても、これはやはり世界的には通らないんじゃないかという気がするんですね。この前
予算委員会で、私が
自衛隊は軍隊か軍隊でないのかと言ったら、
総理は軍隊じゃないと、こういうふうに御答弁がございました。軍隊でないということになると、一体どういうことになるんですか。公務員なんですか。どういうことなんですか。
-
-
○瀬谷英行君
自衛隊は軍隊じゃないと言ったところで、それじゃ、公務員でもないと、軍隊でもない、じゃボーイスカウトか、金をもらった公務員かと。これはどういうふうに定義づけをしていいのかわからないですね。つまり外国には軍隊として通用しているんですよ。外国に軍隊として通用していることは
総理自身もお認めになるのじゃないですか。その点どうですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 外国にも
自衛隊として説明もし、実行しておるわけであります。国内におきましてももちろん憲法の範囲内で行われる必要最小限の自衛力である、
防衛力であり抵抗力であると、そういうふうに我々も考え、
国民も考えておるわけであります。
-
○瀬谷英行君 政治倫理の問題でここでも随分いろいろとやりとりがございました。
国民の政治家に対する信頼感を確保するためには、政治倫理の確立ということは非常に大事な問題だと思います。資産公開のことでもって随分たくさんの大臣からいろんな御答弁がございました。しかし、資産公開だけでもって政治倫理の確立のあかしにするというわけにはいくまいと、こういう気がするんですね。具体的にはどうしたらよろしいというふうにお考えになるでしょうか。その点をお伺いしたいと思うんです。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 与
野党で今つくっていただいておりまする政治倫理の協議会でいろいろな具体的な政治倫理を確保する方策をこれからも引き続いて検討して成果を上げていくようにしていきたいと考えております。
-
○瀬谷英行君 わかったようなわからないような話なんですけれ
ども、しかし小此木さんからは大分いろいろな御意見がございました。あなたの御意見もよくわかるんですよ。あなたの御意見の中に、
野党も資産公開に応ずべきだと、こういう発言がしばしば出てまいりましたから、
野党の一員として私も申し上げたいと思うのですが、我々
野党は、別に資産公開しろと言われたってどうということないんですよ。ただ、皆さんのようにたくさん並べるものがないのが通例じゃないかと思うんですね。だからそれでは余り
意味がない。土地もなく持ち家もなく金もなしと、資産公開、書くところなしと、こういう状態ですからね。だから、そういう状態では無理に我々の方に資産公開を求めてもしょうがないと思うのですね。そこで、その点一体、具体的にはこの資産公開以外にどういう方法があるというふうにお考えになるんでしょうか。
田川さんにこの点をお伺いしたいと思うのですが。
-
○
国務大臣(
田川誠一君) 最初に、我々には書くものがないとおっしゃられましたけれ
ども、資産のない方こそこれはやらなければいけないんじゃないでしょうか。継続性、比較性があって、ない人はないで届けておかないと、今度は一年たって、地位を利用してそうして資産がふえたということがわかるわけですね。そういうところに資産公開の
意味があるのでございまして、御謙遜をなさらないで、やっぱりないときはないというふうにお書きになるべきではないかと思います。
それから、資産公開は初めてでございますから、資産公開だけでいいとも言えないと思います。しかし、とにかく初めての試みですから、これをやってみて、そして一年たち二年たち、やられることがやっぱり
国民の皆さんの疑惑を少しでも解いていく道であると思います。
それから、やはり私は国
会議員会員がやった方がいいと思うのです。閣僚がやったってどうせ一年か何かでかわる人が多いですから、ですからやっぱり一般の議員もおやりになるべきでないかと思います。
新自由クラブは今月末に一斉に資産公開をやる予定になっております。
-
○瀬谷英行君 最後に、
衆議院の
予算委員会の冒頭で三塚さんからいろいろと御意見が出たんでありますけれ
ども、まあ青少年非行対策で図書の規制をやったらどうかという
意味のお話がございました。しかし、私は、事が犯罪を誘導するような問題等についてはこれは取り締まらなければいかぬけれ
ども、そうでない限りはやたらと
文書の規制をやるということはよくないのじゃないか。かえってこれはまずい結果になるのじゃないかという気がするんです。したがって、私は、言論の自由を侵害をするというおそれのあるような
文書の規制をするよりも、やはりいい図書を指導するという形に持っていった方がかえっていいのじゃないかという気がするんでありますが、その点についての御見解をあわせてお伺いしたいと思います。
特に、凶悪犯罪、誘拐犯等が出てまいりましたので、これはテレビの影響等もございますからその点を考えるべきではないかと思うのでありますが、その点どうでしょうか。ついでですから、警察庁の関係で。
-
○
政府委員(金澤昭雄君) お答えいたします。
誘拐事件につきましての
報道の問題でございますが、現在、誘拐事件がありまして、被害者の生命に危険が及ぶと、こういうおそれが強いような場合には警察の方から
報道各社の方に
報道協定を結んでいただいて
報道の自主規制をやっていただく、こういう申し入れをするわけでございます。その申し入れによりまして、
報道各社は自主的に取材、
報道を規制すると、こういうことでやっていただいておりまして、今回の事件につきましても、ちょっと当初のいきさつがありまして一部
報道が行われましたけれ
ども、その後はこの
報道の自主規制が順調に行われた、こういうことでございます。今後もそういった仕組みによりまして行っていきたい、こういうふうに考えております。
-
○瀬谷英行君 公安
委員長と
総理の見解をお伺いしたいと思います。
-
○
国務大臣(
田川誠一君) 刑事
局長が言ったとおりでございまして、あの種の事件につきましては、やはり人命尊重の上から、今までどおり自主規制ができるときは、やはり
報道関係者に自主的に一時
報道を控えていただくということは人命を救助する、尊重する
意味でいいというふうに思っております。
-
○瀬谷英行君 図書の規制の方は。
-
○
国務大臣(
田川誠一君) 図書につきましては、私の方の管轄になりますかどうかわかりませんけれ
ども、有害図書が大変ひどいということは先刻来言われておりまして、一番理想的なのは、業者がお互いに自粛していくということが一番好ましい姿であると思います。どうしてもそれができないという場合には、やはり何らかの規制をやっていかなければなりませんけれ
ども、やっぱり言論、出版の自由ということがございますから、こういうことに触れない程度に何らかの規制を考えていかなければならない、このように考えております。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 誘拐というのは非常にひきょうな犯罪だろうと思います。この誘拐というものが最近頻発してきていることは非常に残念なことで、警察庁その他を通じまして厳重に犯人を検挙して、それを予防していく、そういう形で督励したいと思っております。
それから有害図書の問題につきましては、できるだけ言論の自由を尊重するということは民主主義の本旨であると思いますが、先般来の例証にもよりましても余りにもひど過ぎる、見るにたえないものもありますし、万引きとか、あるいはいろいろな悪を唆す手口を教えるていのものすら出ておると、こういうことは、このままほうってはいけないという状況であると思います。青少年の精神環境を守っていくというためにもやはり伝家の宝刀を持っておく必要が今日はあるだろう、しかし運用については非常に注意する必要がある。そういうことで各党各派にいろいろ御相談を申し上げておる最中でございます。御意見も聞きましてやっていきたいと思っております。
-
○
委員長(
西村尚治君) 以上で瀬谷君の質疑は終了いたしました。(拍手)
本日の質疑はこれまでとし、これにて散会いたします。
午後六時四十五分散会