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国務大臣(森喜朗君) お答えをいたします。
学校におきます問題行動がいろいろ起きておりますが、これにつきましては、ただいま
総理からお答えをいただきましたように、すべての学校は正常に、特にこの三月期は入学、進学あるいは卒業という学生生活にとって大変歴史的に大きな意味を持つ時期でございまして、それぞれ正しく正常に行われていると、文部大臣としてもそのことを最も望んでおるところでございます。しかしながら、確かに今村上さん御指摘のようなそういう社会的な風潮は全くないとは言えないと思うんです。私も村上さんも大体同じような世代でありますから、みんな一生懸命礼儀作法も教えておりますし、また先生と生徒との
関係というのは敬けんで、そして本当に教える者と教えられる者との敬けんな
関係でなければならぬ、とうとい
関係でなければならぬということは我々も理解をいたしております。
しかし、学校でも努めてそのように指導はいたしておりますけれ
ども、このことは単に学校の教育だけで徹底できるものではなくて、社会や家庭がやっぱり大変大きな意味を持つものだと思うんです。学校でそういうことを一生懸命学んでまいりましても、家に帰って、つっぱりが横行して、あたかもつっぱっていることが格好のいいようなテレビを見ておれば、やっぱり心身の発達の程度によって子供たちにはそのことをまねをしてみようかなという、そういう気持ちになってくる。それを家庭でテレビを見ながら父や母がどのように指導していくかということもこれは決して怠ってはならぬことだと思うのでありますが、そのようなことがどうもうまく今の家庭生活の中でも行われていないのじゃないか。昔は兄弟もたくさんいましたから、弟や兄の
関係、姉、妹の
関係もその中で自然に人間の理屈を教えたと思うんです。あるいはおじいちゃん、おばあちゃんというそういう三世代の家庭が大体平均でございましたから、お父さんやお母さんは家事や仕事で忙しいわけですが、おじいちゃん、おばあちゃんが教えるという機会もともすればやはり欠落しておるというのも今日の家庭
状況でございます。そういうことをもう少しやはり単に学校教育だけではなくて、生涯教育全体の中で文部省としてもさらに
考えてまいりたいと、こう思っております。
もう
一つは、私は、これも村上さんにおしかりをいただくかもしれませんが、同世代の者として大事に
考えておかなければならぬことは、今の
日本の国は、いい悪いは別でございますが、昔の教育勅語を受けて育ってきた人と、その人をお父さんお母さんに持った人たちと、全く新しい民主主義の教育を受けた人たちと、もう
一つ、その教育を受けた人たちの子供たちが今やもう社会の中で活躍しているという、そういうやはり価値観が全く違った四世代の
考え方を持つ人たちが今
日本の中に一緒に生活をしている。そこのところにやはり価値観をめぐっていろんなトラブルが起きているのではないだろうか。こんなことを文部省としてはやはりいろんな教育の角度の中で
考えてみなければならぬ、そういうことを私は今痛切に
考えておるわけでございます。適切なまた御指導をいただきながら、文部省としても特に来年度は学校・家庭連携推進校な
ども設けまして、社会と学校と家庭が連携して、子供たちが本当に正しく大人になる道をみんなで諭してあげられるような、導いてあげられるような、そういう教育体系をぜひ努力していきたいと、こんなふうに
考えておるところであります。