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1984-07-25 第101回国会 参議院 本会議 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月二十五日(水曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十五号     —————————————   昭和五十九年七月二十五日    午前十時 本会議     —————————————  第一 日本電信電話株式会社法案電気通信事   業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気   通信事業法施行に伴う関係法律整備等に   関する法律案趣旨説明)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      —————・—————
  2. 木村睦男

    ○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。  日程第一 日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案趣旨説明)  三案について提出者趣旨説明を求めます。奥田郵政大臣。    〔国務大臣奥田敬和登壇拍手
  3. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  初めに、日本電信電話株式会社法案につきまして申し上げます。  この法律案は、今後における社会経済進展及び電気通信分野における技術革新等に対処するため、日本電信電話公社を改組して日本電信電話株式会社を設立し、事業公共性に留意しつつ、その経営の一層の効率化活性化を図ろうとするものであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  第一に、日本電信電話株式会社は、国内電気通信事業経営することを目的とする株式会社であるとしております。  また、会社は、国内電気通信事業を営むほか、郵政大臣認可を受けて、これに附帯する業務その他会社目的を達成するために必要な業務を営むことができることとしております。  これにつきましては、衆議院における修正により、国内電気通信事業に附帯する業務に関し必要な事項は、郵政省令で定めることとし、同業務については、郵政大臣認可事項としないこととされております。  第二に、会社責務といたしまして、会社は、その事業を営むに当たっては、常に経営が適正かつ効率的に行われるように配意し、国民生活に不可欠な電話役務を適切な条件で提供することにより、当該役務のあまねく日本全国における安定的な供給の確保に寄与するとともに、今後の社会経済進展に果たすべき電気通信役割重要性にかんがみ、電気通信技術に関する実用化研究及び基礎的研究推進並びにその成果の普及を通じて我が国電気通信の創意ある向上発展に資するよう努めなければならないこととしております。  第三に、会社株式につきましては、政府は、常時、会社発行済み株式総数の三分の一以上の株式を保有していなければならないこととしております。  また、政府の保有する会社株式処分は、その年度の予算をもって国会の議決を経た限度数の範囲内でなければならないこととしております。  なお、外国人及び外国法人等は、会社株式を保有することができないこととしております。  第四に、新株発行、取締役及び監査役選任等決議定款変更等決議事業計画、それに重要な設備譲渡につきましては、郵政大臣認可を受けなければならないものとする等会社の監督について所要規定を設けることとしております。  第五に、郵政大臣は、新株発行定款変更等決議事業計画、重要な設備譲渡について認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならないこととしております。  第六に、附則において、政府は、会社成立の日から五年以内に、この法律施行状況及びこの法律施行後の諸事情変化等を勘案して会社のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることを定めるとともに、会社の設立及び日本電信電話公社の解散に関し所要経過措置等を定めることとしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしておりますが、日本電信電話公社法等廃止及びこれに伴う経過措置規定は、昭和六十年四月一日から施行することとしております。  次に、電気通信事業法案につきまして申し上げます。  電気通信事業は、国民生活及び国民経済維持発展に必要不可欠な電気通信役務提供する事業であって、我が国が二十一世紀へ向け高度情報社会形成していくための基盤的役割を担うものであります。  この法律案は、このような電気通信事業競争原理を導入することにより、その効率化活性化推進するとともに、電気通信事業の有する公共性にかんがみ、事業運営を適正かつ合理的なものとすることにより、電気通信役務の円滑な提供確保し、及びその利用者利益保護し、もって電気通信の健全な発達を図ろうとするものであります。  次に、法律案概要を御説明申し上げます。  その内容の第一は、総則的事項といたしまして、電気通信事業者が取り扱う通信の秘密の保護、検閲の禁止を規定するとともに、利用の公平及び重要通信確保について定めております。  第二に、電気通信事業を、みずから電気通信回線設備を設置して電気通信役務提供する第一種電気通信事業と、第一種電気通信事業者から電気通信回線設備提供を受けて電気通信役務提供する第二種電気通信事業とに区分しております。  このうち、第一種電気通信事業につきましては、電気通信回線設備が著しく過剰とならないこと等、事業安定性確実性確保するため、事業開始郵政大臣許可に係らしめております。また、その料金については、国民生活国民経済に重大な影響を及ぼすものでありますので、利用者にとって適切なものであるよう認可に係らしめております。  また、第二種電気通信事業につきましては、多種多様な通信需要に応じた電気通信役務提供が想定される分野でありますので、原則として届け出事業開始できることとしております。ただし、特別第二種電気通信事業、すなわち、不特定 多数を対象とする全国的基幹的な事業及び外国との間の事業につきましては、その社会的経済的重要性にかんがみ、適切な業務運営が行われるよう、事業開始郵政大臣登録に係らしめております。  第三に、第一種電気通信事業及び特別第二種電気通信事業につきましては、事業を営む上で最も基本となる電気通信設備について、国が一定技術基準を定め、良質かつ安定的な電気通信役務提供確保するとともに、端末設備については、円滑な電気通信が行われるよう一定技術基準を定めた上で、利用者が自由に設置できることとしております。  第四に、第一種電気通信事業において事業遂行上必要となる土地の利用等について所要措置を講ずることとしております。  第五に、郵政大臣事業許可料金認可等この法律に基づく重要な処分をしようとする場合には、審議会に諮り、その決定を尊重してこれをしなければならないことといたしております。  第六に、附則において、政府は、この法律施行の日から三年以内に、この法律施行状況についての検討を加え、必要な措置を講ずるものといたしております。  この法律施行期日は、昭和六十年四月一日といたしております。  次に、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきまして申し上げます。  この法律案は、さきに述べました両法案施行に伴い、関係法律廃止及び改正を行うとともに、所要経過措置等を定めようとするものであります。  次に、この法律案概要を御説明申し上げます。  まず、日本電信電話株式会社法施行に伴うものといたしましては、電信電話債券に係る需給調整資金の設置に関する臨時措置法廃止するほか、関係法律の主な改正といたしまして、第一に、日本電信電話公社法廃止に伴い、同法及び日本電信電話公社名称を引用している関係法律について、引用部分削除名称変更等所要改正を行うこととしております。  第二に、日本電信電話公社が改組され日本電信電話株式会社となった後も、引き続き共済制度を適用することとし、これに伴い、関係法律について所要改正を行うこととしております。  第三に、会社労働関係については、労働三法によることとし、公共企業体等労働関係法は適用しないこととするとともに、調停に関する暫定的な特例措置を定めるため、関係法律について所要改正を行うこととしております。  これにつきましては、衆議院における修正により、調停に関する暫定的な特例措置に関する規定施行の日から三年後に、その施行後の諸事情変化を勘案して、この規定について見直しを行うものとすることとされております。  次に、電気通信事業法施行に伴うものといたしましては、電話設備費負担臨時措置法廃止するほか、関係法律の主な改正といたしまして、第一に、公衆電気通信法廃止に伴い、同法及び同法中に規定されている公衆電気通信役務等用語を引用している関係法律について、引用部分削除用語変更等所要改正を行うこととしております。  第二に、有線電気通信法及び電波法等関係法律中、公衆電気通信業務一元的運営前提とする規定について所要改正を行うこととしております。  また、以上の関係法律廃止及び改正とあわせて、所要経過措置等を定めることとしております。  なお、この法律は、昭和六十年四月一日から施行することといたしております。  以上、日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)     —————————————
  4. 木村睦男

    ○議長(木村睦男君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。片山甚市君。    〔片山甚市君登壇拍手
  5. 片山甚市

    片山甚市君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました電気通信改革法案に対し、総理並びに関係大臣質問を行うものであります。  まず初めに、本法案に関する基本的な問題点を指摘し、中曽根総理考えをただしたいと考えます。  先ほど郵政大臣は、「電気通信事業は、国民生活及び国民経済維持発展に必要不可欠な電気通信役務提供する事業であって、我が国が二十一世紀へ向け高度情報社会形成していくための基盤的役割を担うもの」であると述べられましたが、まことに言やよしであります。しかしながら、二十一世紀を展望した電気通信事業基盤的役割に真に着目されているならば、この際、政府として、いかなる高度情報化社会を到来させようという構想なのか、同時に、その基盤的役割を担おうとする情報通信システムをどのように構築しようとするのか、基本的な方針を明確にされたい。  私は、高度情報化社会論が、技術的な可能性としてフィーバーしている疑いの濃い現状であるだけに、国民が不安を抱く影の部分、すなわち情報の集中、情報システム脆弱性、雇用問題などへの対応策の樹立について、プライバシー保護を含め、国としての基本政策早期確立必要性を痛感し、既にこの本会議において、去る昭和五十四年一月には大平総理に、また昭和五十七年四月には鈴木総理に、それぞれその対策を講ずべしと強く要求してきたところでありますが、こうした基本的政策は放置したまま本法案のごときを拙速に制定しようとすることは、人間のための情報化社会形成していく上で、まさに本末転倒であると言わねばなりません。かつて、高度工業化を急ぐ余りに環境破壊と人命を軽視して、多くの公害患者を出したという悲惨な経験を私たちは決して忘れてはならないのであります。  この際、総理から情報基本法の制定について具体的な方針を示していただきたいと思います。  次に、私は、本法案審議前提として、いやしくも閣内における意思の不統一があってはならないことを指摘し、この際明確な統一見解を求めます。  その第一は、国民の多年の努力によって形成されてきた国民共有財産である日本電信電話公社株式会社に変え、投資に名をかりた一部利権亡者の具に供するがごとき意図を私は断じて認めることはできません。仮に百歩譲ったとしても、株式売却益政府はどのように使おうと考えているのか。衆議院審議過程において、郵政大臣は、特別会計を設けるなどによって電気通信事業公共的発展に寄与する方向に活用したいと言明しているのに対し、大蔵大臣は、当然財政需要全般に充当されるべきものであると述べ、その食い違いを指摘した我が党の追及に対し示された政府統一見解なるものは、「予算編成過程で慎重に検討する」という程度であって、単に問題の先送りでしかない、全く不透明なものではありませんか。口先だけで閣内統一をごまかすことをせず、もっと明確に、本問題については国民共有財産であるという見地で、基金制度を設け、電電債務償還研究開発福祉の充実などに充てるべきではありませんか。  第二に、本法案が提出されるに至るまでの政府部内、特に通産、郵政両省間の縄張り争いは、情報通信産業に対する主導権争いも絡んで、まことに見苦しい限りでした。現になお、第二種電気通信事業について、登録によるか届け出によるかの境界については明確になっておりません。そして 高度情報化社会へ向けて、一方がテレトピア構想電気通信高度化基本法と言えば、他方はニューメディアコミュニティー構想情報産業基盤整備法と言うようなぐあいでこれに対する法案検討をしているような状態で、これでどうして情報化社会形成していくための政府方針統一されていると言えるでしょうか。電気通信情報処理の融合が一層深まる時代にあって、しかも電気通信事業の持つ基盤的役割重要性に着目するならば、かかる閣内の不統一について、本日の総理答弁国民の不信を完全に取り除かれるべきであります。  これらに対する明快な解明を前提として、私は、今次改革の数多い問題点のうちから四点に絞り、私の考えを述べ、疑問をただしたいと思います。  その第一に、あまねく公平に提供すべき公衆電気通信役務という理念の放棄は許されないということであります。  私は、競争が進歩のための偉大な力を持っていることを全面的に否定はいたしませんが、人類が抱える問題のすべてが競争原理によって解決されるとは思われません。それは、事業の持つ社会的機能を発揮する目的で行われるべきものであり、一元化目的によっては欠かせない人類の方策であります。  今日まで、電報電話人間基本的な社会的コミュニケーションの手段ととらえ、あまねく公平な役務社会的提供確保することとして、いわゆる公衆電気通信役務という理念が育てられ、それをもとに電気通信秩序形成してきたところであります。高度情報化社会における新たなニーズに対し、データ通信などが民間企業と公正な競争を行うことは考えられても、ユニバーサルサービス、普遍的な電話サービスについては今後ともこの基本政策を改める必要はなく、むしろ充実する立場で一元的な提供を一事業体責務として課すべきであります。  また、電報事業については、暫定措置として新電電国際電電役務とされていますが、今日では一つの社会慣習としての定着した、国民生活にとって欠かすことのできない役割を果たしているのであります。したがって、電報についても両事業体基本的責務として明確に位置づけ、現在のサービスの一層の改善を図っていくべきものだと思います。政府の明快な答弁を求めます。  第二に、電気通信基幹的ネットワークは、高度情報化社会のインフラストラクチャーとしての重要性にかんがみ、今後とも一元的に、広く一般的に建設整備されるべきだという点であります。  法案が指向するように、第二電電、第三電電をつくってみたところで、結局、新電電との相互接続は欠かせないことが明らかであります。利用者立場に立って言えば、電気通信回線網一元性が求められるのは当然のことであります。今後とも、広く一般的かつ高度な統合ディジタルネットワーク構築が求められるとき、各個ばらばらに多元化されてよいとすることは、全く理解に苦しむものと言わざるを得ません。  また、国際通信分野においては、衛星通信に関してインテルサットによる一元的体制をとるものとし、米国の一部にある非インテルサット系通信衛星計画に対して締約国総会がこれを許すべきでないとの態度を明らかにしています。一体、日本政府は、本法案成立によってこの国際的秩序にひとり挑戦しようというのかどうか、しかと伺いたい。  さらに、国内通信衛星については、宇宙開発委員会、宇宙開発事業団、加えて通信放送衛星機構までが組織され、宇宙開発政策大綱等により、各利用機関が一元的に協力して開発に当たり、また管制の一元化に当たってきています。しかるに、民間電気通信事業体通信衛星利用外国からの調達を認めることは、その前提として、宇宙条約等の遵守のための国内法制整備しなければならないはずであります。政府はこうした宇宙開発政策との整合性をどのようにしていくおつもりか、それを聞かせてもらいたいのであります。  第三には、電気通信に関する国の主権について、これをあいまいなものにすることは許されないということであります。  電気通信が、国民生活経済活動等存立基盤を支える中枢的機能提供し、また警察、防災等国全体の総合安全保障機能にもかかわるため、電気通信を自国の支配のもとに置くか否かは、一国の独立にかかわる基本ではありませんか。我が国情報外国のデータベースに依存することは、外国への文化的隷属を意味し、食糧を外国に全面的に依存するのと同じように国家的問題であると認識しますが、総理情報主権についてどのように認識しておられるか。  例えば、特別第二種事業者に対して外国性規制を定めていませんが、我が国はコンピューターのハード面米国に追いついたと言われながらも、ソフトウエアについては十年おくれていると言われています。このような日米間に格差がある中で、内外無差別の参入を認めることは、外資巨大企業に席巻され、我が国通信主権がなし崩しにいずれは根底から揺るがされるおそれがあり、我が国における鉱業権、航空機、船舶、放送などと同様に何らかの外資規制を明確に法定すべき必要があると考えますが、いかがですか。第四は、新事業体に働く人々基本的権利であるストライキ権などについて、規制は撤廃すべきであります。  政府は、労働関係調整法附則改正し、新電電に対しスト規制を導入するとのことでありますが、衆議院における厳しい追及の中で、施行の日から三年後に見直す旨の修正が行われたものの、規制撤廃趣旨が不明確なままであります。このような先送りで問題をそらすのでなく、労働基本権を否定した不当な改正は直ちに削除することを総理から明確にお答えいただきたいのであります。  以上述べました特徴的な問題にとどまらず、法としての体裁を取り繕うため、政令、省令への委任事項が八十五項目にも上り、不明な部分が余りにも多く、また、会社法案について言えば成立の日から五年以内、事業法案では施行の日から三年以内の見直し規定を設けるなど、法案それ自体が現状に適切に対応していない不完全なものであることを露呈した欠陥法案と断ぜざるを得ません。  総理電電公社制度改革について、今国会に千六十五万人余の人々請願を出されていることについて御存じでしょうか。  その主な内容を言えば、一、電気通信事業公益性を重視し、運営公開、分権、参加の原則に立ち、開かれた事業とすること。一、国民共有財産にふさわしい事業体とすること。一、事業活性化を図るため当事者能力を確立し、労働基本権を保障すること。一、公聴会を各地で開催し、利用者国民の声を反映させ、慎重に審議することなどであります。  実に、我が国成人の七人に一人の人々が要求する請願について、いかにこたえるかが国会責務であるにもかかわらず、今日までに明らかにされている政府態度は全く不十分と言わざるを得ません。この一千万余の請願の重みを総理はどう受けとめておられるか、お聞きしたい。  今日までの電信電話事業有余年の歴史が築き上げた国民共有財産を、情報通信産業基盤として公共福祉増進国民利便確保のため一層発展させる国家百年の計が立てられることこそ求められているものではありませんか。  最後に、私は、ただいま提案された三法案が、到底、郵政大臣が言うように来るべき高度情報化社会への国民の期待に沿い得るものでないことを明らかにし、我が国の将来を誤らしめることのない政策確立のために、総理以下の責任のある答弁を求めて質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  6. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 片山議員にお答えを いたします。  まず、第一問は、どのような高度情報化社会を目指して電気通信システム整備を行うかという御質問でございます。  高度情報社会形成に当たりましては、社会経済効率化人間性尊重、文化的な豊かさを基本理念とする所存でございます。この形成に当たりましても、先導的役割を果たす電気通信システムについては、競争原理の導入による電気通信事業活性化基盤として、公共性をも確保しつつ、多様かつ高度な機能を持つシステム構築推進してまいりたいと思います。  次に、人間優先高度情報化社会構築するための基本法を制定すべきではないかという御質問でございます。  基本法検討に当たりましては、人間性尊重の視点に立って、情報公開の問題あるいはプライバシー保護問題等広範多岐にわたる検討を行う必要があると思います。これらは基本的人権にもかかわる重要な問題であり、多数の省庁にも関係する問題でありまするので、政府全体として慎重に対処いたしたいと思っております。  株式売却についての御質問がございました。  政府保有株式は、国民全体の財産、大変大事な財産であると思います。政府といたしましても、厳正かつ公正な方法で慎重に売却を行うようにいたさなければならないと思います。国民の全体の財産でございますから、国民の納得のいくように、一部に偏した処理を行わないで、国益全体を踏まえて処理をすべきものであると考えます。  次に、今度の政府高度情報社会への取り組みが不統一であるという御質問でございます。高度情報化社会への取り組みについての私の見解を御質問いただきました。  高度情報社会形成は重要な国家的課題でありまして、省庁間に不統一が生じないように、今後とも施策総合性整合性確保しつつ、有効適切な施策推進を図る所存でございます。  高度情報社会につきましては、いまだ不明確な点がかなりございます。そういう意味におきましても、総合的に、かつ文明史的にこれを把握する必要があると思っております。私は、私の個人的な研究会といたしまして高度情報社会懇談会を設置して、既に数度にわたりまして御意見を伺っておりますが、これらの御意見も総合的に勘案いたしまして考え方をまとめてまいりたいと思っております。  次に、特別第二種については、通信主権考え方からも外資規制を法定すべきであると思うがいかんという御質問でございます。  電気通信は、国民のあらゆる重要な情報を伝達する基盤的役割を果たすと認識し、極めて高い公共性を持つということは否定できません。国内企業が優秀な外国系企業自由競争市場競争を行い、切磋琢磨することもまた利用者国民利益になりますし、日本企業技術力資本力経営力は決して外国企業に劣ることはないと確信しております。法案では、これらを総合的に判断いたしまして、内外無差別原則のもとで自由闊達な企業競争を行うことが、より国民利益につながるという考えを持って外資規制を設けなかったのでございます。  次に、スト権の規制に関する御質問がございました。  新会社に係る特例調停の仕組みを設ける労調法附則は、当分の間必要なものと考えてまいりました。しかし、衆議院における修正によりまして、この特例措置については三年後に見直すこととなりますが、その際には、電気通信事業分野における状況変化等を勘案して、この措置廃止を含めて見直しを行ってまいる所存でございます。  次に、公社制度改革について千六十五万余の請願等があったが、どう受けとめているかという御質問でございます。  公社制度改革につきまして、請願を含め各界から種々の御意見が寄せられておりますことはよく承知しております。今般提出しておりまする法案は、このような各界の意見を幅広く反映したバランスのとれた内容になっておると考えております。  残余の御質問に対しては関係大臣から御答弁いたします。(拍手)    〔国務大臣奥田敬和登壇拍手
  7. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 私に対する片山議員質問にお答えいたします。  まず第一は、株式売却益の使途を明確にせよについてでございます。  総理から御答弁がありましたとおりでございますが、御指摘のような資産形成の経緯にかんがみ、国益にかなうよう、今後予算編成過程を通じ政府部内において慎重に検討をすることといたしているところでございます。  次に、公衆法上のあまねく公平を事業法上明記せよとの御指摘でございます。  今回の電気通信事業法案規定しておるとおり、事業者には利用の公平や提供義務を課すことにいたしております。したがって、利用者の必要とする電気通信サービスは、あまねく、ひとしく享受できるよう法的にも措置しておるところでございます。  次に、電報電話の取り扱いについてでございます。  今後は、ディジタル統合化によりサービスが統合化していくので、先生御存じのとおり、電話サービスだけを取り出して一元的なサービス提供することは適当ではないと思われます。また、電報につきましては、事業収支の現状利用構造、収支見通し等を総合的に勘案して、事業体にとっても利用者にとっても望ましい将来のあり方について、なお検討する必要があると考えております。このような趣旨から、事業法案附則第五条で「当分の間、」としておりますけれども、従前どおり両事業体が一元的にサービス提供できることは明確に規定しているところでございます。  電気通信ネットワークを一元的に整備強化、充実すべきではないかという御指摘でございました。  電気通信事業競争原理を導入するという目的は、従来のような一元的なネットワークで全国画一的なサービス提供するというだけではなくて、利用者の高度化、多様化する電気通信のニーズに即応することが求められておるようになっており、これに今回の法案はこたえようとするものであります。また、接続技術の進歩によって、複数のネットワークの併存が技術的には十分可能となっていることから、複数の事業者が互いに創意工夫を生かして全国的にも多層なネットワークを効率的に構築いたしまして、これにより国民利用者がよりよいサービスを自由に選択できるようにすべきではないかと考えておる次第でございます。  国際通信分野においてインテルサットによる一元的体制をとるものとされておるが、アメリカで非インテルサット系の動きがあるという御指摘でございます。また、政府は今回の法律案成立により、どのような対応措置をとるかということでございます。  今回の法案では、国内通信のみならず、国際通信についても競争原理を導入することにしております。したがって、国際通信についても近い将来においては複数の事業者が出現する可能性は生じます。しかし、インテルサット以外の商業通信衛星を打ち上げることは、現在の太平洋地域の通信需要動向から見て経済的には採算が合わないと考えられますので、通常はインテルサット衛星をこのまま利用することになると思われます。なお、仮にインテルサット以外の衛星を利用する場合は、インテルサット協定に基づき、事前にインテルサットと調整を行う必要がございます。  次の質問でございます、衛星通信において民間の参入や外国からの調達といった事態が考えられるけれども、従来の宇宙開発政策との整合性をと うするつもりかという御指摘でございました。  我が国通信放送衛星の開発利用推進については、これまで自主開発基本とする国の宇宙開発計画の一環として進められてまいりました。現在、通信分野への新規参入を可能とする今回の法案国会審議をお願いしておるところでございますが、去る四月決定されました政府の対外経済対策において、これら法案成立前提といたしまして、民間企業外国通信衛星を購入する道が開かれることになり、このため必要と認められる措置を講ずるということにしておるところでございます。  このような状況にかんがみまして、今後、自主開発基本とする従来の宇宙開発政策との整合性を図りながら、宇宙通信の一層の普及促進を図るために二十一世紀を展望いたしました長期総合的な宇宙通信政策を確立すべく、現在、政府部内において鋭意検討を行っておるところでございます。(拍手)     —————————————
  8. 木村睦男

    ○議長(木村睦男君) 服部信吾君。    〔服部信吾君登壇拍手
  9. 服部信吾

    ○服部信吾君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本電信電話株式会社法案電気通信事業法案など電電三法に関しまして総理並びに関係大臣に御質問いたしますので、明快なる答弁を求めるものでございます。  申すまでもなく、現在我が国は工業化社会から高度情報社会への移行期にあり、電気通信はその中でいわば原動力として、その果たすべき役割はますます重要となってくるわけであります。したがって、今回、電気通信事業を自由化し、競争原理の導入を図るとともに、電電公社を民営化するという電気通信制度改革の成否いかんが、日本の将来の発展を決定づけるものであると言っても過言ではないと思います。総理は、電気通信制度改革に対してどのような基本的認識を持たれているのか、まずお伺いをしておきます。  今回の改革において最も重要な観点は、電気通信の持つ公共性公益性確保され、また国民がこれまで以上に低廉で良質なサービスを受けることができる制度でなければならないということでございます。  今日までの電電公社を支え、育ててきたのは、言うまでもなく国民利用者であります。したがって、今回の改革によって国民の利便向上、公共福祉増進が一層図られるものでなくてはならないと思います。こうした視点に立って、今回の改革が来るべき二十一世紀高度情報化社会を先取りし、国際社会をリードするためのものでなくてはならないと思うものであります。たとえ通信が自由化され、公社が民営化されたとしても、通信公共性公益性が薄れるものではありません。むしろ高度情報化社会における電気通信の持つ公共性公益性は、これまで以上に重要となってくるのであります。  私は、このような観点から、国民利用者立場に立ち。以下の問題について具体的にお伺いをいたすものでございます。  まず第一に、電電公社が民営化された場合、逆に料金コストの上昇を招くおそれがないのかということであります。  現在、電電公社に対しては、法人税、事業税等租税が非課税となっているほか、道路占用料等も免除されているわけであります。しかし、民営化後にはこれらの優遇措置原則的に廃止され、しかも配当金の支払いが加わるなど経営上の負担が増加するはずであります。これらの支出増加が仮にも料金の値上げにはね返るようなことがあれば、国民の反発を招くことは必至であります。一体いかなる経営手段によって支出増加分を吸収するのか、果たして新会社経営の合理化、効率化でカバーできるのかどうか、具体的な対応を明示されたいのであります。  私は、民営化が国民生活によりよい効果をもたらすと言われるならば、少なくとも最低、今後見直し期間の向こう五年間は料金の値上げをしないと、この場において国民の前に総理が確約すべきであると思いますけれども、その御所見をお伺いしたいと思います。  第二は、電気通信事業競争原理の導入によって、国民生活に欠かすことのできない電話サービスが今までどおり低廉かつ安定的に確保できるのかどうかということであります。  我が国電話料金は、歴史的経緯もあって、費用に見合った体系が実現されておらず、近距離通話の一部費用を遠距離通話の収入で補っているのが実情であります。しかしながら、競争原理を導入した場合、こうした総合原価主義の採用は困難であり、勢い費用を重視した料金体系とならざるを得ないはずであります。すなわち、東京−大阪間等の特定のもうかる地域のみ新規参入者が予想され、いわゆるクリームスキミングが起こり、その結果、市内通話の料金値上げをもたらすとともに、過疎地域や福祉、災害対策等の電話サービスの低下を招くことは必至であります。したがって、今回の改革利用者にとって果たして利益をもたらすものかどうか、疑問を抱かざるを得ません。  現にアメリカでは、長距離通話分野への新規参入が本格化するにつれ、長距離通話料金は値下げされたものの、市内料金が引き上げられ、電話加入を取りやめざるを得ない事態が発生するなど大きな波紋を投げかけております。総理はこうしたことは絶対あり得ないと考えておられるのかどうか、あわせて明確な答弁を求めるものであります。  第三は、新規参入によって有効な競争が展開されるかどうかという点であります。  電気通信分野における競争原理の導入を電気通信改革基本に据えておりますが、新規参入が可能な制度をつくることと実際に有効な競争機能することとは必ずしも同じではありません。そこで、今回の改革によって有力な事業体が誕生じ、有効な競争が展開されると見ているのかどうか、総理にお伺いするものであります。私は、実際に競争が生じるのは、先ほども指摘した東京−大阪間等の主要幹線区間のみであり、その他の地域は相変わらず新電電会社の独占が続くものと思わざるを得ません。これでは本当の意味の有効な競争とは言えないはずであります。  また、現在、新規参入を意図している有力な事業体として道路公団や国鉄等の国の関係機関が名乗りを上げていますが、これらの事業体が果たして臨調答申で言う民間の創意と工夫、活力の導入に値するものと言えるでありましょうか。この点についてもあわせて総理の御見解をお聞かせ願いたいのであります。  また、今、民間では第二電電一本化の構想もあるやに聞いておりますが、この点についての政府のお考えをお伺いしたいと思います。  第四は、料金決定のあり方についてであります。  料金認可原則は、電気通信事業法で抽象的に述べられているのみで、具体的な認可基準は明示されていないのであります。競争原理導入後の料金認可はこれまでとは異なり、具体的な認可基準がなければ恣意的決定となるおそれが十分あり、早急に明確な決定基準を定め、公表すべきであります。この点、政府の明快な御答弁を求めるものであります。  さらに、運賃や電気料金などの公共料金認可に当たっては、法的に公聴会が義務づけられ、広く国民の声が反映できる仕組みとなっておりますが、電気通信料金事業法、整備法にも公聴会設置の規定は全く盛り込まれていないのであります。これでは国民利用者の声を無視したものと言わざるを得ないのであります。政府料金認可の際、当然公聴会を開催すべきであります。また、なぜ法律上設置を義務づけなかったのか、あわせて政府の納得のいく答弁を求めるものであり ます。  第五は、VAN等の特別第二種事業外資規制の問題であります。  アメリカでは、VANサービス開始以来十数年を経て、ようやく一年前、市場原理にゆだねたところであり、いわばこの十数年間は完全な競争市場にする前の準備期間であったわけであります。我が国においては、一昨年十月、中小企業VANを臨時暫定的措置として自由化したにすぎません。このような状況下で内外無差別の参入を認めることは、アメリカの企業が圧倒的優位な立場我が国に進出することが懸念されるのであります。これで果たして公正な競争と言えるのでしょうか。特に、ATTやIBMなどのアメリカ大資本によって市場が一度席巻されますと、電気通信の特質上、後発の国内企業の進出は極めて困難となり、国益上からもゆゆしき事態を招来することが予想されるのであります。  我が党といたしましては、国家による特別保護を求めるものではありませんが、少なくとも我が国企業が対外的に公正な競争に耐え得るまでの期間は当然外資規制が必要であり、国際的にも認められるものと考えますが、政府見解を伺いたいのであります。  第六は、電電公社の株式会社移行に伴う株式公開とその売却益の使途についてであります。  電電公社の資産は長年にわたり蓄積された加入者の貴重な財産であり、株式公開に当たっては、いやしくも利権の対象になるようなことがあってはなりません。この問題は、厳正公平、かつ慎重に対応しなければならない問題であります。そこでまず、新電電会社政府保有株式処分に当たっては、国会で十分慎重に検討を加えるため、予算に盛るばかりでなく、個別案件として国会に提出すべきものと考えますが、総理並びに大蔵大臣の御所見を伺いたいのであります。  また、株式売却益の使途については、政府は六十年度以降の問題であると先送り態度を示しておりますが、これには全く納得ができません。加入者の共有財産の見地から、株式売却益一定部分については、電気通信分野への振興、研究開発及び福祉電話のための設備投資等に充てるべきであります。この点についても総理の明快なる御答弁をお願いいたします。  第七は、新電電会社効率化についてであります。  現在、従業員三十二万人、総資産は帳簿価格で十兆円を超えるという巨大な企業であります。これがそっくり民営化されれば、我が国最犬の超マンモス会社になることは言うまでもありません。しかも、競争原理が導入されるとはいえ、当分は独占的状態が続くのは必至でありましょう。それに安住することになれば、経営の合理化、効率化は単なるうたい文句にすぎません。新電電会社経営の合理化、効率化計画を明らかにし、これを国会に報告するという措置を講ずるのが国民に対する経営者の当然の責務ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。  また、新会社が大資本力とか技術力をバックにあらゆる分野に進出し、既存企業と摩擦を起こすことは避けるべきであります。新会社は、特に電気通信機器の製造分野への進出は行うべきでないと思いますが、いかがでございましょうか。  以上の諸点について、総理並びに関係大臣の明快なる御答弁を求めるものでございます。  最後に、私は、今回の電気通信の大改革が将来に禍根を残さぬよう慎重の上にも慎重な審議が必要である、このことを強く訴えまして質問を終わらせていただきます。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  10. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 服部議員にお答えをいたします。  まず、電気通信制度改革に対する基本的認識についての御質問でございます。  高度情報社会を展望して、近年の新しい通信メディアの実用化と国民の需要の高度化、多様化という状況に的確に対応するためには、従来の一元的運営体制に対して競争体制への政策転換が必要であると考えました。電電公社につきましては、当事者能力、自主性を持った競争体制にふさわしい経営形態に転換することが急務であると考えまして、また一面、事業公共性にも十分留意をして法案を策定した次第でございます。  次に、見直し期間の五年間、料金値上げを行わぬと確約できるかという御質問でございます。  新会社に対しましては、民営化効果と競争導入効果等により、最大限効率的経営に努めることを期待しております。競争導入によりまして、市内回線網利用増大も見込まれます。したがいまして、できるだけ長期間、値上げは行われないことを期待しております。  次に、競争原理の導入によっても従来どおりの低廉かつ安定的な電話サービス確保は果たして可能であるか、米国のような例は起こらないかという御質問でございます。  新規参入は、新規の需要を開拓し、通信量全体を増大するものと考えます。また、競争原理の導入に伴い、全国的電話サービスを継承する新電電会社経営効率化活性化すると思われます。したがいまして、今後とも低廉かつ安定的な電話サービス確保は可能であると考えます。  米国の場合、市内料金の値上げは電話会社の細分化、経済事情変化等米国固有の事情によるものでありまして、全国一体での民営化を行う現法案下の我々のやり方では、米国と違い、利用者電話加入をやめるような事態は想定できません。  さらに、今回の電電改革で有力な事業体の誕生と有効な競争原理の展開を果たしてどう見ておるか、例えばほかの政府関係機関等が事業体として名のりを上げているが、これが臨調答申に言う民間の活力導入に値するかという御質問でございます。  電気通信に対する利用者のニーズの高度化及び多様化並びに新メディアの出現によりまして、新事業体誕生の環境は十分整っている状況にあると思います。また新規参入によりまして、新電電に対しても競争原理が有効に働いてくると認めます。  国の関係機関の中には、電気通信回線の設置に利用できる全国的な広がりを持つ用地を有するものがあります。これらを民間活力に有効に活用するのも一つの方法であると考えております。  新電電政府保有株式処分について御質問がございましたが、株式売却収入は歳入予算の見積もりに計上する考え方であります。これとの見合いで、予算総則に処分限度数を計上して国会の議決をいただくことを適当と考えておる次第でございます。  株式売却益の使途についての御質問でございますが、この株式売却益の使途につきましては、いろいろ議論があることをよく承知しております。いずれにいたしましても、これは国民全体の大事な財産でございます。したがいまして、一部に偏しないように、国民の納得する方法で、十分国益にかなうように今後予算編成過程を通じて政府部内においても慎重に検討してまいるつもりでございます。  残余の答弁関係大臣からいたします。(拍手)    〔国務大臣奥田敬和登壇拍手
  11. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 服部議員の質問にお答えをいたします。  電電公社の民営化に伴い、料金コスト上昇の懸念とその対応策いかんという御指摘であったと思います。  電電公社の民営化によりまして、確かに新たな租税や配当の負担増が生ずるものでございます。しかし、他方、日進月歩の技術革新並びに今日の社会の情報化の進展に伴いまして、電気通信需要が総体として高まることによる収入の増加も予測されておるところでございます。また新電電については、民営化によって責任のある経営体制のもとで最大限効率的な運営に努めることが期待され ておるところでございます。これらのことによって、新電電会社は、租税負担、配当負担等の負担増にたえ得て十分経営を行うことができるものと考えております。したがいまして、国民利用者料金の値下げを受けることがあっても値上げはないと、かたく期待しておるところでございます。  次に、民間の第二電電一本化構想についての御指摘がございました。  事業者の自由な発想によってサービスを競い合う形で今回の法律競争原理を導入いたしました。その結果、国民利用者が安くて良質なサービスを受けられるという方向である限りにおきまして、行政がこれらに介入して一本化調整をするようなことは考えておりません。  料金決定の明確な基準というものを定めて公表しなさいという御指摘でございました。  料金認可基準については、今回の電気通信事業法案の三十一条におきまして、第一に、能率的な経営のもとにおける適正な原価に照らし公正妥当なものであること、第二に、料金の額の算定方法が適正かつ明確に定められていること、第三には、特定の者に対して不当な差別的取り扱いをするものでないことという形の基本が明定されております。その趣旨は、利用者にとって低廉で、しかも利用しやすい料金水準と合理的な料金体系をつくることにございます。目下、電気通信審議会に対してもこういった詳細な料金決定の原則について諮問をいたして、近く答申が出てくる手はずになっております。  また、料金決定に当たって公聴会を開くことの義務づけいかんという御指摘であったと思います。  料金決定に当たりましては、審議会に諮問してその決定を尊重することとして、国民のコンセンサスを得ることにしております。公聴会を開くことにつきましては、ただいまの国会の御意見等々も踏まえて、公聴会を開くことがいいかどうかについては審議会の判断にゆだねることが適当ではなかろうかと考えております。  対外的に公正な競争にたえられるまで特別第二種事業外資規制は必要ではなかったのかという御指摘でございます。  外国、特にアメリカの巨大通信事業者、御存じのとおりでございますが、卓越した資金力と技術力、長年にわたる経験を持っておることは事実でございます。しかしながら、国内企業が優秀な外国系企業自由競争市場競争を行って、切瑳琢磨して、特にこれは第二種電気通信事業のVANあたりに、そういった形で切磋琢磨してやっていただく方が国民にとってメリットが大きいと思っております。日本企業の現在の対応力、技術力、成長力等も踏まえて考えるならば、外国系企業に開放しても、日本企業は対抗して、健全な市場が形成されていくことは十分期待できるところでございます。  そういうことを総合的に判断いたしまして、今回の第二種電気通信事業につきましては、外資制限という方法よりも、内外無差別原則のもとで自由闊達な企業競争が行われるという形をとったところでございます。最終ユーザーが必ずこれによってプラスするという確信を持って、外資制限を設けないことといたした次第でございます。  次に、新電電経営の合理化、効率化計画等について国会報告をもなさいという御指摘でございました。  この法案にとって一番大事なことは、今回の法案通過がもしできて、そして余り政府関与がなくて、事業者当事者能力をうんと発揮していただくということが原点でございます。そして、このような環境づくりに配意して、法案の細かい点についても配意してあるところでございます。したがって、その企業性を発揮していただく、そして経営の合理化、効率化計画というものを策定して、その実現に積極的に取り組んでいただくということを大きく期待しておるところでございます。  御指摘の国会御報告についても、事業体の自主性を尊重する、そして効率経営によって国民に良質なサービスを還元してもらえるという趣旨を踏まえて、大いに活力を発揮していただきたいと思っております。ただ御指摘のように、国会の方で御要求があれば、経営の概況、通信の概況等々について報告するということなどは前向きに対応してまいりたいと思っております。  新電電電気通信機器製造分野への進出でほかの産業分野が非常に影響を受けるということで、これに対しての対応策いかんということでございます。  今も申し述べましたように、今回の新電電移行後も弾力的に経営を行わせようということで、臨調答申に沿って比較的、投資、事業の自由という形は今回の法案によっても認めておるところでございます。しかし、電気通信機器製造分野への進出については、まず原則から言えば事業者自身がまずもって判断すべきものでありますが、これは産業分野における重大な影響等々にもかんがみ、慎重に対処すべきものであろうというふうに考えております。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇拍手
  12. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は、新電電政府保有株式処分国会付議の形式につきましての御意見を交えてのお尋ねでございます。  総理からもお答えがございましたが、新電電株式会社株式売却収入は歳入予算に計上されるわけであります。したがって、これと見合いで予算総則に処分限度数を計上いたしまして、そこで、お言葉にもございましたように、厳正、公正な立場から国会の議決をいただく、これが最も適当であると考えた次第であります。(拍手)     —————————————
  13. 木村睦男

    ○議長(木村睦男君) 佐藤昭夫君。    〔佐藤昭夫君登壇拍手
  14. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました電電民営化等三法案について、総理並びに郵政大臣質問をいたします。  まず、厳しく指摘をしたいことは、衆議院逓信委員会での本法案審議をめぐって、委員会を中断して行われていた我が党を除く与野党の修正案協議が一定の結論に達するや否や、理事会で確認されていた我が党委員の質問を一方的に打ち切り、地方公聴会も開催しないまま採決が強行されたことであります。私は、このようなファッショ的国会運営に強く抗議するとともに、我が参議院では十分慎重審議を尽くすことを冒頭に強く要求するものであります。  さて、質問の第一は、電電公社を民営化する本法案のねらいについてであります。  明治の初めに官営事業を三井、三菱に払い下げ、財閥を肥え太らせたことはよく知られています。今次法案の最大の目的は、資産十兆円、年間収益三千億から四千億円に上る国民財産である電電公社を民間大企業に売り渡すとともに、将来にわたって大企業の利益追求の事業体に変えることではありませんか。総理並びに郵政大臣の明確な答弁を求めます。  その証拠に、現行公衆法では、電気通信事業目的は「公衆電気通信役務を合理的な料金で、あまねく、且つ、公平に提供」し、「公共福祉を増進する」と定めているのを、今次法案では「公平」、「公共福祉」という表現を全く削除したのであります。事業公共性放棄は明白でありませんか。断じて許されないことと思いますが、総理及び郵政大臣見解を求めます。  第二は、通信主権の放棄と軍事利用のおそれの問題であります。  本来、通信主権は、国際電気通信条約にも明記されているように、世界の常識であります。ところが、アメリカは日本の事業への全面参入を執拗に要求し、政府は当初考えていた第二種事業に対する外資規制を撤回し、アメリカに屈服しました。総理、あなたは衆議院において、アメリカの IBMやATTが進出してきても日本の企業は対抗する力があると答えておられますが、通信主権を守るか失うかは、我が国企業がIBMやATTに勝つか負けるかの問題ではなく、外国の介入を許さない制度を保持するかどうかの問題であります。そこで総理、あなたはこの通信主権重要性をどう認識されておるのか、明確な見解を求めます。  同時に、本法案は、日米安保・軍事同盟体制強化のもとで、日本の情報通信が軍事的に利用される危険を増大させます。現に自衛隊と米軍が通信衛星利用を公然と計画しているのに、その上、民営化によって国会の監視を外すならば、軍事利用の危険が一層深まるのは当然であります。総理、あなたは公衆電気通信を軍事利用に組み込まないとはっきりここで約束すべきだと思いますが、どうですか、お答えを願います。  第三は、電電公社民営化が国民にもたらす不利益と負担の増大であります。  何よりも電信電話料金等の法定制撤廃によって、郵政大臣の判断で自由に値上げができるように変えることは断じて許せません。既にことし春には各種工事料金の大幅値上げ、例えば親子電話の場合、二千五百円から八千百円へと大幅値上げを大臣は認可しましたが、これは民営化がもたらす方向を明瞭に示しているではありませんか。早くも六十一年度には基本料金の体系見直しをすると言われていますが、その際料金値上げはしないときっぱり約束できますか。郵政大臣、いかがですか。  また、民営にすれば当然利潤第一主義となり、需要の多い大都市と少ない地方では、サービスの面でも料金の面でも格差が生まれるおそれがあります。これは全国公平な地域発展を妨げる重大問題でありますが、このような地域格差を是認されるのかどうか、総理及び郵政大臣の明確な答弁を求めます。  さらに、民営化は公社で働く労働者の労働条件にも重大な不利益をもたらします。既に労働者を九万人削減するという報道もなされ、つとに臨調答申は、公社経営について大幅な人減らし、勤務時間の延長を求めています。現に公社も認めたように、大阪西地区では「「五十八歳になったら退職しなければならない」とした職場雰囲気の醸成に努め」よ、こうした管理部長指示文書を出すなど、露骨な高齢者追い出しが行われているのはもってのほかであります。  郵政大臣、そこでお尋ねしますが、こうした大幅な人減らし合理化を政府として公社に指導しているのか、民営化によって何万人もの人減らしを予定しているのか、お答えを願いたいのであります。  さらに、ストライキ権について伺います。  本来、ストライキ権は憲法で認められた労働基本権であり、経営形態のいかんにかかわらず保障されるべきものであります。アメリカ占領軍の指令に基づく公労法によるスト権剥奪の体制を引き続き継続するということは、憲法違反の暴挙であります。衆議院スト規制三年後見直し修正が行われましたが、直ちに撤廃すべきが当然ではありませんか。三年後の見直しといっても、スト規制を残す意図があるのではないか、総理の明確な答弁を求めるものであります。  さて、今国民が求めている課題は、現行公社の運営の民主的改革であります。  すなわち第一の問題は、国民が高い料金を払い、債券まで買ってきた電話事業について、さらに国民が便利に安く使えるよう料金の引き下げやサービスの改善を進めるべきであります。当面、基本料金の値下げ、割引料金の時間と区域の拡大、悪評の高い一〇〇番通話や番号案内改善のための要員増加、福祉電話の拡充などが必要であります。これらは、電話料金での莫大な利益を大企業本位の投資やサービスにつき込む今の経営方針を改めれば、直ちに実現できることです。また、衆議院での我が党の質問政府も答えているように、ニューメディアについても公社形態のままで十分できるのであります。郵政大臣はこうした方向での経営方針の民主的転換を決意されるよう求めるものですが、どうですか。  第二に、米軍の軍事通信網に対し市内料金並みの特権的便宜供与をやめることや、公社の仕事の中小企業発注率を高めることも重要だと考えますが、大臣の見解はいかがですか。  以上のように、我が党は、公社運営の民主的改革を進めることを要求し、本民営化法案に強く反対することを表明して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  15. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 佐藤議員にお答えをいたします。  まず、今回の電電公社の民営化は大企業の利益追求の事業体に転換させることではないかという御質問でございます。  今回の電電公社の民営化は、高度情報社会に対応するため、従来の一元的運営に対しまして、競争体制への政策転換を図る中で、電電公社を当事者能力、自主性を持った競争体制にふさわしい経営形態に転換するものでございます。事業公共性にも十分留意した国民のための改革を心がけております。  次に、事業法では電気通信事業公共性を放棄するものではないかという御質問でございますが、電気通信事業公共性にかんがみまして、電気通信事業法案第一条におきましては、「電気通信事業公共性にかんがみ、」と書いてあるのであります。また、電気通信に対するニーズの多様化も踏まえて、事業法案では、利用の公平及び提供義務を規定しておりまして、利用者がひとしくサービス提供を受けられるように措置しておるものであります。  次に、いわゆる通信主権に関しまして、その重要性をいかに認識しているかという御質問でございます。  外資規制を撤廃しましたのは、これは自主的判断によるものでありまして、米国の圧力によるものではありません。電気通信は、国民のあらゆる重要な情報を伝達する基盤的役割を果たすものと認識しております。しかし、第二種電気通信事業利用者のニーズに柔軟に対応する事業でありまして、内外無差別原則のもとで自由に競争することが利用者国民利益になるものと考えております。我が国企業の技術力経営力外国企業にまさるとも劣らないものであります。外資の参入を認めても、市場を席巻されるようなことはありません。したがって、特別第二種電気通信事業に外資制限を設けることは不要であると考えました。  次に、公衆電気通信を軍事目的利用しないことを約束するかという御質問でございます。  電気通信役務提供については、利用の公平が不可欠であります。電気通信事業者は、利用者のいかん、内容のいかんによって取り扱いを異にすることはできないものであるのであります。したがって、官公署を含め企業、すべてのものに一般利用者並みの取り扱いをするということにいたしたいと思っております。  次に、地域格差に関する御質問がございました。  全国画一的なサービスは、ネットワーク全体の均質化により最大限の効用が出ると思います。したがって、地域格差を設けるのは不合理であります。電電公社の全国サービスを継承する新電電は、全国一体の経営により、料金サービスの地域格差を設けずとも、従来どおり全国的な収支の確保が可能であると考えております。  次に、スト権についての御質問がございました。  新会社に係る特例調停の仕組みを設ける労調法附則は、当分の間必要なものと考えておりましたが、衆議院における修正によりまして、この特例措置については三年後に見直すこととなります が、その際には電気通信事業分野における状況変化等を勘案して、この措置廃止も含め、見直しを行ってまいる所存であります。  残余の答弁関係大臣からいたします。(拍手)    〔国務大臣奥田敬和登壇拍手
  16. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 佐藤議員の質問にお答えいたします。  電電公社の民営化のねらいは、国民財産である電電公社を大企業に売り渡し、利益追求の事業体に変えることではないかという御指摘でございました。  このお答えに関しましては総理から御答弁がございましたけれども、さらに敷衍して申し上げますと、今回の電電公社の民営化は、近年、新しい通信メディアが次々と登場し、実用化されるという時代になってまいりました。国民の需要も高度化、多様化しつつあるような状況に的確に対応しようというものでございます。すなわち、電気通信国民利用者の期待にこたえて、来るべき高度情報社会への先導的な役割を果たしていくために、従来の一元的な運営体制に対して競争体制への政策転換を図る中で、複数の事業体の一つとして当事者能力、自主性を十分に持った競争体制に持っていきたいと考えたところでございます。  民営化に当たりましては、従来の公共性にも十分留意しているところでございまして、今回の改革によって国民利用者にさらに一層低廉な料金で、きめの細かい多様なニーズにこたえる電気通信サービス提供が行われる、そのメリットが還元されるということを期待しているところでございます。  事業法は電気通信事業公共性を放棄するものではないかという御指摘でございました。  総理からも御答弁ございましたが、電気通信事業法案では、その第一条において「電気通信事業公共性にかんがみ、」と明定し、また、あまねく公平については、事業者利用の公平や提供義務を課すことを規定しておることでございます。  次に、電信電話料金の法定制を堅持すべきである、基本料金体系見直しの際料金値上げはしないと約束するかというような御指摘でございました。  法定制につきましては、今回の電気通信事業国民生活社会経済の不可欠な公共性の高い事業であるとともに、事業者の創意工夫を生かした柔軟な事業経営に対応していただきたいということから考えますと、法定制よりも認可に係らしめることが適当であると考えております。  今後の料金につきましては、料金体系の見直しについて申請があった際には、コストあるいは利用者の負担変動、生活実感など諸事情を総合的に勘案して対処してまいりますが、いずれにしても、公共料金としてできるだけ安く、かつ利用者にとって利用しやすい料金とすべきことは当然でございます。  料金サービスの地域格差を認めるのか、これについても、御指摘について総理の御答弁がありましたので、総理の御答弁どおりでございますけれども、料金サービスの地域格差がないことが最も望ましいことは当然でございます。今後ともそのように努力を続けてまいる所存でございます。  また、高齢者追い出しのような人減らし合理化を電電公社が行っているという御指摘でございました。  これらの問題につきましては、事業者事業体内部における人事管理の問題でございます。具体的には労使の自主決定に基づく協約により運用されておるところでございますが、日本電信電話公社法第三十一条に定める身分保障制度に反するものであってはなりません。もちろん退職を強制するものであってはならないことは当然でございます。しかし、これらの問題はあくまで労使間の自主性を尊重し、事業当事者が当事者能力を持ってみずからのものとして決定していくべきものであると考えております。  当面の公社運営の民主的改革として、大企業本位の経営方針を転換すべきではないかということでございますが、従来とも我が電電公社は大企業本位ではなくて、法のもとにあまねく公平、平等に取り扱ってきており、今後においても、大企業であれ個人であれ、利用者のいかんによって差別することにはならないものと考えております。  米軍通信に対して市内料金並みの特権的便宜供与をしているが、やめるべきではないかという御指摘であったと思います。  少し長くなりますが、在日米軍の用に供する電信及び電話に関する料金は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定等の実施に伴う公衆電気通信法等の特例に関する法律の定めるところにより、これまたちょっと長くなりますが、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定によるとされており、公社と米軍との交渉にゆだねているものでありますので、さよう御理解願いたいと思います。  公社の中小企業発注率を高めるべきであるという御指摘でございました。  中小企業発注率についてでございますが、毎年度閣議決定されております中小企業者に関する国等の契約に関する方針基本方針に沿いまして、中小企業者の受注の機会の確保を図るように電電公社を指導しているところでございます。電電公社においても、その趣旨を十分に認識しておりまして、中小企業者の受注機会の増大につきましては可能な限り配慮していると承知しております。郵政省といたしましても、今後とも一層の努力によりまして、中小企業者の受注機会が増大するように公社を指導してまいることといたします。(拍手)     —————————————
  17. 木村睦男

    ○議長(木村睦男君) 中村鋭一君。    〔中村鋭一君登壇拍手
  18. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、日本電信電話株式会社法案及び電気通信事業法案並びに両法の施行に伴う関係法律整備法案につきまして質問を行いたいと思います。  言うまでもなく、今回のいわゆる電電法案は第二臨調の答申に基づくものでありまして、行政改革の重要な一環として位置づけられるものであります。すなわち、日本電信電話公社を民営化して、その経営効率化を図ると同時に、従来電電公社により独占的に営まれておりました電気通信事業競争原理を導入して、その活性化を図ろうというものであります。周知のとおり、我が党は、常に行政改革に果敢に取り組んでおりまして、電電公社を民営化して当事者能力を与えることにより効率的な経営を行えるようにすること及び電気通信事業民間企業の参入を認めて多様なサービスを選択できるようにすることには、基本的に賛成の立場を明らかにしているところであります。  同時に、今回の改正案は、電電公社及び民間の電気通信事業者高度情報化社会に適応して柔軟な事業を行い得るようにするという意義を持つものであります。私は、高度情報化社会という新しい酒を入れるためには、規制の多い従来の公衆電気通信法という古い革袋のかわりに、新しい電気通信秩序を定める新しい革袋が必要であると考えます。この意味からも、私は今回の電電三法による改革を高く評価するものであります。  しかしながら、電気通信事業は、企業社会を初めとする現代社会の最先端を担うものであり、国民、企業、国家利益と安全に密接にかかわるものであります。当然ながら、改革内容は、電電公社を民営化して自主的かつ効率的な経営を行わせること及び電気通信事業全般について政府の行政介入を必要最小限に抑えるという、行政改革の根本的趣旨を体現するものでなければならないと思いま す。  私は、今回の電電法案基本的に賛成の態度を堅持しつつも、以上のような観点に立ちまして、また衆議院における審議過程も踏みながら、以下、総理大臣並びに関係各大臣に質問を行ってまいります。  第一の問題点でありますが、電電公社の民営化と政府による規制との関係であります。  先ほども述べましたように、新電電会社に最大限の自主性を与えることが行政改革趣旨であり、今回の法改正の一つの大きなポイントであります。今回公社制度が廃止されることにより、新電電会社政府からの予算統制を免れ、労働条件を初めとする経営全般について自主的に決定できることとなったはずであります。ところが、日本電信電話株式会社法においては、会社事業計画郵政大臣認可事項とされております。また、この認可に当たっては大蔵大臣との協議を行うこととされております。これらの認可や協議を通しての介入や牽制や制肘が多岐にわたりまして、労働条件の決定を初めとする経営の自主性を損なうおそれがあるのではないか。まず郵政大臣に、事業計画に対する認可内容と範囲をお伺いするとともに、大蔵大臣に協議の内容と範囲をお伺いいたします。  さらに、電電会社法においては、新電電会社の取締役全員について、その選任及び解任を郵政大臣認可に係らしめておりますが、これは会社の大事に対する行政の過剰な介入を招くとともに、会社役員に対する行政府からの天下りの手段として悪用されるおそれもあると思います。そこで私は、この認可を代表取締役だけに限定すべきだと考えるが、これは法案修正にかかわる問題でありますから、総理大臣及び郵政大臣見解をお伺いいたしたいと思います。  またさらに、新電電会社業務範囲が制限されていることが問題であります。新電電会社はなお特殊会社であるとは言い条、商法上の株式会社でありまして、かつ将来に向かって政府持ち株を漸減していくとされているのであります。したがって、その業務範囲は可能な限り自由にすべきであり、他の民間企業と対等な競争ができるようにすべきであります。  当初は附帯業務目的達成業務の両者に対して認可を行うこととされておりましたが、衆議院段階において附帯業務については認可を外してその要件を省令にゆだねるという修正が行われたことは、我々の主張が一部実現したものとしてこれを高く評価するにやぶさかでありません。しかし、なお、目的達成業務に対する認可制が残っていること、省令の内容が明らかでないこと、そして何よりも本来業務、附帯業務目的達成業務の範囲が行政庁の恣意に任されている点が問題であると考えます。でありますから、郵政大臣から、目的達成業務に対する認可制を廃止する意思があるのかないのか、省令の内容はどういうものであるのか、そして、三業務の範囲の区分及び将来は本来業務等の対象範囲を拡大していくべきではないか、こういった点について明確なお答えをちょうだいいたしたいと思います。  次は、電気通信事業者に対する各種の規制の問題であります。  今回の改革の大きな目的電気通信事業に対する競争原理の導入による事業全体の活性化である以上、政府規制は最小限のものにとどめらるべきであります。しかるに、第一種電気通信事業者はその事業を行うことが郵政大臣許可に係っており、また特別第二種事業者登録制、一般第二種事業者届け出制となっております。また、第一種業者の電気通信設備に関しては需給調整条項があります。これらが競争を制限する方向に運用されたのでは新法の意義はなくなってしまうのであります。これらの規定の運用につきまして、どのような方針をもってお臨みになるのか、郵政大臣にお伺いいたします。  次に、第一種事業者料金については、法文上は原則認可事項とされておりますが、行政による規制を最小限に抑制するためにも、また同種のサービスを行う第二種業者については料金が自由なことからも、なるべく同一の競争条件を確保するために、認可の対象とする料金は主要かつ基本的なサービスにとどめるべきであると思います。この点については、衆議院におきましても議事確認がなされておりますが、再度郵政大臣見解をお伺いしたい。  第三の問題点は、本日もこれまでに再三指摘されておりますが、株主の処分についてであります。  その処分に当たりましては、特定の個人、法人への株式の集中が生じたり、また売却について疑惑が招かれるようなことが絶対にあってはならないと思います。また売却益の使途については、赤字国債の償還、電気通信基礎的研究開発あるいはインフラストラクチャーの整備等々、国民経済に明確にプラスとなるような目的のために使われるべきであり、また、国庫が所有する株式に対する配当を行う旨の方針が示されておりますが、この配当金の使途についても同様のことが言えると思います。株式売却の方法と売却益の使途のあり方及び配当金の使い道のあり方について、総理大臣、大蔵大臣並びに郵政大臣見解をお伺いいたします。  第四の問題点は、新電電会社の労働者の労働基本権の問題であります。  政府提出原案では、労働関係調整法附則を設けて、特別の規制を加えることとされておりました。しかし、衆議院において我が党を初めとする各党の要求が実り、与野党の合意によって、この条項は法施行三年後に見直す旨の修正成立いたしました。私は、これは大いなる前進であると理解はしております。しかし、なお不十分であります。労調法本則の総理大臣の緊急調整がある以上、ストの二重規制措置は全く必要ないと考えます。これは労使の自主性に任せるべきであると考えるものであります。そこで私は、総理大臣、労働大臣、郵政大臣に、附則削除の意思があるかどうかという点及び衆議院における見直し規定の挿入は三年後の附則撤廃を含むものであると思うかどうかという点についてお伺いいたします。  以上で私の質問を終わりますが、総理以下各大臣が問題点についての明快かつ前向きな御答弁をいただくことによりまして、この百有余年来に初めてと言われます根本的大改革が見事に成し遂げられることを心から願いまして、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  19. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 中村議員にお答えをいたします。  まず、会社の取締役の選任等の大事についての御質問でございます。  新会社の規模、その事業公共性重要性から見まして、取締役の認可は必要であると考えております。新会社は大体十兆円の総資産、四兆三千億円の収益、従業員数約三十二万という大会社でございます。そういう意味からも、ある程度の公共性の考慮が必要であると考えた次第であります。認可は任命と異なりまして、事業体の自主性を尊重する上において行うのでございまして、差があるのでございます。  次に、株式売却の方法、売却益の使途について御質問をいただきました。  政府保有株式国民共有の資産でありますので、政府としても厳正かつ公正な方法で売却を行うように対処いたします。また、売却益の使途につきましても、いろいろ議論があることはよく承知しておりますが、いずれも国民共有財産であることにかんがみまして、国益にかなうよう今後予算編成過程を通じ政府部内において慎重に検討いたします。いずれにせよ、国民の納得するように、一部に偏せず、国益を踏まえて公平に実行すべきものと考えております。  次に、配当金の使途のあり方について御質問がございましたが、配当金の使途につきましても、株式売却益と同様の取り扱いをいたしたいと思っております。  次に、スト規制についての御質問でございます。  新会社に係る特例調停の仕組みを設ける労調法附則は、当分の間必要なものと考えておりましたが、衆議院における修正によりまして、この特例措置については三年後に見直すこととなりますが、その際には、電気通信事業分野における状況変化等をも勘案して、この措置廃止をも含め見直しを行ってまいる所存でございます。  残余の答弁関係大臣からいたします。(拍手)    〔国務大臣奥田敬和登壇拍手
  20. 奥田敬和

    国務大臣奥田敬和君) 中村議員の質問にお答えいたします。  事業計画認可内容と範囲についての御指摘でございました。  まず、今回の電電公社の民営化の大きな眼目は、事業当事者に十分な自主性を与えるということでございます。したがいまして、新会社は独占事業体である電電公社の設備業務、人員すべてを継承することになるわけでございますけれども、他方、高い公共性を持った巨大事業体であるということにも留意しなければなりません。したがいまして、新会社に対する政府の関与も、この点をよく踏まえまして必要最小限に抑えたところでございます。  事業計画は、利用者へのサービス提供という面で重要な意味を持つところのサービス計画と建設計画が内容の中心になるものと考えております。収支計画、資金計画は、このサービスあるいは建設計画の裏づけとなるものでございまして、事業計画認可の申請の際にも添付資料として提出されるものとしております。いずれにいたしましても、事業計画認可に当たりましては、今回の電電民営化の趣旨にかんがみまして、事業当事者の自主性、特に労使間の賃金あるいは労働条件等に関しましては自主決定は当然でございますけれども、最大限に尊重していく所存でございます。  取締役認可を代表取締役だけにしたらいいじゃないかという御指摘でございました。  総理からも御答弁がございましたように、新会社は、しかしながら十兆円の総資産、四兆三千億円の収益、従業員数三十二万人という公社事業をそのまま引き継ぐことになりますと、民間における我が国における超巨大企業になるわけでございます。資産、収益、従業員数においても、ほかの従来の特殊会社とはけた数が一つも二つも違うと言っても過言ではないと思います。しかも、その経営する事業は国益とも深くかかわる高度な公共性重要性を有していることも御指摘のとおりでございます。したがいまして、取締役の認可は必要であると考えた次第でございます。新会社の役員については、しかし任命という命令で定める形はとっておりません。あくまでも事業体が自主的に選任した役員を郵政大臣が事後的に認可するという形をとることによって、新会社の自主性と経営性を尊重した樹皮にしているところでございます。  目的達成業務に関しまして認可制を廃止する意思があるのか、附帯業務の省令の内容はどういうものか、あるいはこういった三業務、具体的に言えば本来業務、附帯業務目的達成業務の対象範囲の区分及び本来業務について将来は拡大していくのかどうかという御指摘でございました。  本来事業である国内電気通信事業とは、法においても明定いたしましたように「電気通信役務を他人の需要に応ずるために提供する事業」、これは事業法案の第二条に明定しているそういった内容でございます。また附帯業務とは、本来事業である国内電気通信事業そのものではないですけれども、その事業に直接に関連して、電気通信事業を遂行する上でのノーハウ、技術力を活用する等、この本来事業に密接に関連する業務でございます。目的達成業務ということになりますと、この附帯業務に比してはっきり言って本来事業とはさらに薄い、およそ本来事業の的確な遂行に寄与するという業務であれば、こういった会社設立の趣旨に照らし合わせてみて、目的達成業務のすそ野というのはこういう解釈でいきますと非常に広いことになってまいります。  そういうことでございますので、目的達成業務は、ただいまも申し上げましたとおり、本来業務との関係が附帯業務よりも薄く、さらに範囲も広いという性格を持っておりますので、郵政大臣認可に関して、御指摘ではありますけれども、附帯業務と同一に考えることは適当ではないと考えた次第でございます。  附帯業務修正に関しまして、郵政省令で定める内容については、法案成立を受けて後に、修正の御趣旨を体しまして省令として策定してまいる所存でございます。  本来業務の対象範囲の拡大等でございますけれども、会社設立の趣旨目的に反しない限り、広く事業活動を行い得るように措置しているところでございます。中村議員の御指摘にも十分対応できるものと考えております。  各規制競争制限的に運用されると競争原理の導入の趣旨が失われはしまいかという御指摘でございます。  今回の電気通信事業法案は、通信の秘密の保護、安全、信頼性の確保前提としております。それぞれの規定は、自由な企業活動によって利用 者の利益保護を他面図りながら運用されるべきものと考えておりますので、先生の御指摘のような方向にはまいらないものと思っております。  次に、第一種事業者料金について、認可の対象は基本サービスにとどめるべきである。認可の対象は、確かに国民生活及び国民経済に大きな影響を与える基本サービス料金に限り、利用者が自由に選択できる付加的な料金につきましては認可を不要とするという形で、この点は御指摘のとおりにそういった形をやってまいるつもりでございます。  株式売却の方法、売却益使途、配当金の使途につきましては、先ほど来総理からも御答弁がございました。  政府保有の新会社株式売却は、会社法案によって、毎年度国会の議決をいただく、そして限度数の範囲内で行うということは明定しております。具体的な売却方法については今後の検討課題でございます。極めて重要な、資産形成の経緯から見ても国民共有の大事な資産でございます。売却をめぐってはいささかも国民に疑問を抱かせるようなことは断じて許されないということで、厳正かつ公正な方法でやらねばならないことは当然のことでございます。  また、売却益の使途について、これは国益にかなうように、予算編成過程を通じて政府部内において慎重に検討してまいるという御答弁総理からもございました。配当金の使途につきましても、株の売却益同様の取り扱いとして慎重に検討してまいることといたします。  労調法附則、これは三年後の附則撤廃を合意するものであると思うけれども、いかがかということでございます。  今回の調停に関する特例措置は、当分の間の措置として必要なものと私は考えております。ただ、衆議院における修正で挿入された三年後の見直し規定は、総理からも御答弁がございましたが、電気通信事業分野における状況変化等を勘案して、この措置廃止を含めて見直しを行うというものであると理解をいたしております。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇拍手
  21. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は、まずは事業計画に対する大蔵大臣の協議の内容と範囲いかん、こういうことでございます。  郵政大臣からもお答えがございましたが、新電電株式会社事業計画につきましては、他の特殊会社の例に倣いまして、主務大臣認可大蔵大臣協議、こういうことにしておるところでございます。他の特殊会社の場合には、事業計画にあわせて資金計画、収支予算認可の対象としているものもございますが、電電の場合には、民営化の趣旨に沿いまして、資金計画、収支予算について法律上の認可事項としてはおりません。なお、資金計画、収支計画につきましては事業計画に添付していただく方法で考えております。  いずれにしても、新電電に対します規制は必要最小限のものにとどめておりまして、また、これらによって新会社の弾力的な運営が阻害されることがないようにしたいという考え方基本といたしておるところであります。  次の問題は、株式処分方法であります。  何分、資本金そのものが会社法案成立後でなければ決定されないという事情もございます。したがって、株式売却につきまして具体的に申し上げる段階にはないことを御理解いただきたいものでございますが、株式売却の方法につきましては、競争入札によるのか、あるいはその他の方法、例えばシンジケート団によりますのかといった点につきまして、さらに株式市場との関連等も慎重に検討する必要がございますので、今後市場関係者等の意見も聞きながら政府部内で十分検討することとしたい、このように考えております。  それから、株式売却益並びに配当の問題でございます。  総理、また郵政大臣からもお答えがございました。株式売却収入の使途につきましては、ただいまも中村議員御例示がございましたように、種々議論があることは十分承知いたしておりますが、株式売却益、これはまさに国民共有の資産である、そしてまた配当は国民共有の資産から生ずる果実である、こういうことにかんがみまして、まさに国益にかなうように予算編成過程を通じて政府部内において慎重に検討してまいりたい、こういう考え方基本認識として持っておることを申し上げてお答えといたします。(拍手)    〔国務大臣坂本三十次君登壇拍手
  22. 坂本三十次

    国務大臣(坂本三十次君) 中村君にお答えをいたします。  今般の措置は、まず公労法の適用から労組・労調法の適用へと法的基盤が移行したこと、次いで、新会社の行う業務が引き続き公社時代と同様の極めて重大な役割を果たすことなどを考えれば、新会社における争議行為によって国民生活国民経済に実害が生ずることのないように、このような労使紛争を特に迅速に解決するための調停制度の特例を設けたものでございます。したがって、この措置は民営化後も当分の間必要なものと考えます。  しかしながら、衆議院における修正により、三年後に今般の措置について見直すこととなりました。その際には、電気通信事業分野における新会社役割や地位、新会社の労使関係等諸事情変化を勘案し、この措置廃止を含め、見直しを行ってまいる所存であります。(拍手
  23. 木村睦男

    ○議長(木村睦男君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十九分散会      —————・—————