○藤原房雄君 私は、公明党・
国民会議を代表いたしまして、ただいま
議題となりました
たばこ事業法案外四
法案に対し、
総理並びに
大蔵大臣に
質問をいたします。
中曽根内閣は、発足当初から
行政改革を国政上の最重要
課題として掲げ、特に増税なき
財政再建の堅持をうたってまいりました。確かに、昨年三月の第二次
臨時行政調査会の解散後、五月に新行革大綱を決定し、
行革関連法案を
国会へ提出するなど、
行政推進の姿勢は堅持しているように見受けられはいたします。しかし、今日まで進められてきた諸施策は、健康保険法
改正の動きにも見られるように、
国民に
負担増を強いるいわば切りやすいところからの
改革が
中心で、思い切った中央省庁の統廃合、
国鉄の本格的
改革、特殊法人の整理など
行政改革の本来の
目的である機構減らし、人減らし金減らしという点での
改革は、ほとんど手つかずの状態であると言っても過言ではありません。
さらに、増税なき
財政再建を言いつつも、五十九年度税制
改正では、減税財源の見返りに酒税、物品税など既存税目の洗い直しを行い、増税路線への転換を図ろうとさえしております。
総理の行
財政改革に政治生命をかけると言われた公約を、今後どのようなスケジュールのもとに果たそうと
考えておられるのか、具体的に明示していただきたいと思います。
また、来年度予算編成に臨むに当たっては、行
財政の
改革という見地からどのような
方針を
考えておられるのか、御
見解を伺いたい。
さて、
専売制度改革について伺います。
専売改革の具体的内容が示されたのは五十七年七月の
臨調の第三次
答申でありますが、提案されている
改革案の内容では、必ずしも
基本答申どおりとは言いがたいのであります。第三次
答申が出た後、五十七年八月、
臨時行政調査会の第三次答
申に関する対処
方針で、
政府は、
答申を最大限尊重する旨の閣議決定を行っております。
総理は、今日までの
専売制度の果たしてきた
役割をどう評価し、認識されてこのたびの
改革に至ったのか、明らかにしていただきたいのであります。
次に、
改革内容について具体的にお伺いをいたします。
まず、
経営形態についてであります。
臨調答申では、
国産葉たばこ問題が解決し、
特殊会社の
経営基盤が
強化された
段階で
民営化に
移行することとなっております。
改革案では、全額
政府出資とし、
株式の二分の一以上は
政府が保有することとし、附則で当分の間は三分の二以上を保有することになっておりますが、この「当分の間」についてはいつごろまでなのか定かではありません。また、
政府保有以外の
株式が一般に公開されるのかどうかも不明であり、
法律案からは
民営化の将来構想は何ら見当たらないのであります。提案されている今回の
経営形態の
あり方は、将来の
民営化のワンステップと
考えているのか、あるいは
特殊会社が
経営形態の終着点なのかどうか、
総理の
見解をお伺いしたい。
さらに、今回の
改革案において、
政府が当分の間、三分の二以上の
株式を保有することにした理由は何なのか、あわせて御
答弁を願いたい。
また、新法人に対する
政府規制は可能な限り緩和するとしているにもかかわらず、
事業計画の決定、取締役の選任や解任、重要財産の譲渡などについては
大蔵大臣の許可が必要となっており、相変わらず
政府関与が
規定されていることは否定できません。このような
規制が、外国
たばこ産業との
競争にも耐え得る機動的、
効率的
経営を阻害することにならないのかどうか。あわせて、新法人の全取締役の選任や解任などの大事について
政府規制のもとに置くことは、
行政庁からの天下り先の
確保を図るものではないかとの疑問が持たれておりますが、この点についても明確な御
答弁を願いたい。
さらに、新法人の
労働関係は、公労法の適用をやめ
労働三法によることになっておりますが、
株式を二分の一以上、当分の間三分の二以上を
政府が保有する
状況のもとで、果たして公正な
労働関係の
確立が可能かどうか、
政府の
介入はないことを約束できるのか、お伺いをしたいと思います。
次に、
葉たばこ生産に関して伺います。
我が国の
葉たばこの
価格は、外国
葉たばこに比べ三倍程度高い
状況にあり、全量買い取り制による
公社の一年分の過剰在庫の
現状から、
臨調答申では全量買い取り制を廃止し、耕作者との
契約とすべきであるとしております。今回の
改革案では、耕作者と新
会社が
買い入れ契約をし、その
契約に基づいて生産された
葉たばこは新
会社が全量を買い上げることになっております。しかし、約十万と言われる
葉たばこ生産農家にとっては、
現行の
全量買い取り制度が
維持されることを強く要望しており、
公社を
株式会社へ変更することに大きな不安を抱いております。
特に、
葉たばこ耕作者の八五%強が専業農家あるいは第一種兼業農家であり、立地
条件の悪い山間部等に多く、転作も不可能な
状況にあるのが
実態であります。そのため、耕作面積の調整は
葉たばこ耕作者にとっては死活問題であり、
契約による
全量買い取り制度においてもなお不安はぬぐい切れないのであります。しかも、衆議院の論議を通じて大幅な減反
政策もやむなしとの
見解も明らかにされているところであります。これら耕作者の不安を除去し、営農
基盤の
確保がなされるような具体的施策をどう進めていかれようとするのか、
総理並びに
大蔵大臣の
見解を明らかにしていただきたいと思います。
次に、小売人の指定
制度についてであります。
臨調答申では、小売人の指定
制度は廃止し、
契約によることとなっていますが、
改革案においては、激変緩和
措置として当分の間、小売人の許可制をとることになっております。当分の間の
措置としての許可制を将来はどのようにしようと
考えておられるのか、明らかにしていただきたい。
次に、
専売納付金制度から
たばこ消費税制度への
移行問題についてお伺いします。
今回の
たばこ消費税制度では、
税率は
現行の
納付金率を
維持し、国と地方の税源配分比率も
現行の
考え方を
基本的に守ることとしておりますが、
税率において従価税と従量税を約八対二の割合で組み合わせることにしております。このような従量税を
たばこ消費税制度に導入した意図は何なのか、まず明らかにしていただきたい。
昭和五十年度以降の特例公債発行下において、
政府は何度か既存の専売
納付金に加えて、財源対策として特例
納付金や
臨時国庫納付金を求めてきました。今回、従量税を導入して、従量税部分を適宜見直すことにより、財源対策としての
たばこ消費税の
確保をねらっているのではないかとも思われるのですが、あくまで外国
たばこのダンピング的輸出を抑えるという
産業政策上からの従量税
制度導入と言い切れるのかどうか。もしそうだとすれば、今後、
税率の見直しに際しては、例えば紙巻き
たばこの
負担率は五六・四%を上限とすると明言できるのかどうか、明確にしていただきたい。
次は、
輸入たばこ自由化問題であります。
専売改革の一つには、
我が国たばこ市場の開放要請がその根底にあったことは否定できないところであります。今回の
改正により、
大蔵大臣の登録を受けるとどのような
企業でも外国
たばこの
販売が可能となり、
国産製造たばことの
競争の激化が予想されますが、五十八年度の外国
たばこシェア一・八%が一体どの程度まで拡大されるものと見ているのか、かつ、その
影響についてはどのような対策を講じようと
考えているのか、明らかにされたい。
また、外国
たばこの
価格は当分の間、
大蔵大臣の
認可を受けることになっておりますが、このような
規制が諸外国からの批判の対象となるおそれはないのかどうか、さらに、安い外国
たばこを
喫煙者に供給する道を狭めることにならないのかどうか、お伺いをしたい。
最後に、塩専売について伺います。
塩は
国民生活において必要欠くべからざる
基礎物資であり、資源ナショナリズムの
観点等からも、
最小限食料用塩の需要量程度は国内生産で賄うとの
方針のもとに、国内塩
価格の早急な国際
価格水準へのさや寄せ、国内製塩業の自立
体制の
確立が求められているところであります。
塩
事業の
自立化への道は、塩田方式からイオン交換膜法による工場製塩方式への切りかえ、さらには新膜新電槽の導入によるエネルギー
効率の促進、省エネ対策の推進など製塩部門の改善、
販売面では
企業の自己
責任による取引を拡大し、
市場原理の導入を
目的とした
販売特例塩
制度の導入、加えて輸送、保管、流通面での合理化などにより進んできてはおりますが、なおその前途は厳しいものがあります。今後、自立
体制の
確立にどのように取り組み、いつごろまでにその
確立を図ろうとするのか、そのプランを明らかにしていただきたいと思います。
今回の
改革案は、
専売制度八十年の歴史に一大転換をもたらすものであり、十万の耕作者、二十六万の
販売店及び専売
事業に関連する百万を超える人々が不安を抱きつつ見守っておるのであります。
総理並びに
大蔵大臣の明確な御
答弁を求めまして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣中曽根康弘君
登壇、
拍手〕