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1984-05-18 第101回国会 参議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十八日(金曜日)    午前十一時二分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第十六号   昭和五十九年五月十八日    午前十一時開議  第一 地方自治法第百五十六条第六項の規定に   基づき、地方運輸局及び海運監理部の設置に   関し承認を求めるの件(衆議院送付)  第二 地方交付税法等の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第三 地方公共団体関係手数料に係る規定の合   理化に関する法律案内閣提出衆議院送付   )  第四 昭和四十二年度以後における地方公務員   等共済組合法年金の額の改定等に関する法   律等の一部を改正する法律案内閣提出、衆   議院送付)  第五 調和ある対外経済関係の形成を図るため   の国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加   盟に伴う措置に関する法律等の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送付)  第六 著作権法の一部を改正する法律案内閣   提出衆議院送付)  第七 電波法の一部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)  第八 国籍法及び戸籍法の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、雇用保険法等の一部を改正する法律案(趣   旨説明)  一、日程第一より第八まで  一、国会議員互助年金法の一部を改正する法律   案(衆議院提出)  一、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する   法律の一部を改正する法律案衆議院提出)  一、国会職員法の一部を改正する法律案(衆議   院提出)  一、国立国会図書館法規定により行政部門   に置かれる支部図書館及びその職員に関する   法律の一部を改正する法律案衆議院提出)  一、参議院事務局職員の定員に関する件      —————・—————
  2. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより会議を開きます。  この際、日程に追加して、  雇用保険法等の一部を改正する法律案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木村睦男

    議長木村睦男君) 御異議ないと認めます。坂本労働大臣。    〔国務大臣坂本三十次君登壇拍手
  4. 坂本三十次

    国務大臣坂本三十次君) ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  ここ数年、雇用問題をめぐる環境は大きく変わりつつあります。すなわち、高齢化社会進展に伴い、労働力人口高齢化が急速に進んでおり、また、婦人職場進出も着実に増加しております。また、雇用の場が第二次産業よりもサービス業において拡大するなどのいわゆるサービス経済化が進んできております。さらに、マイクロエレクトロニクス中心とする技術革新素材産業などに見られるような産業構造転換等が進みつつあります。しかも、このような構造的な変化は今後とも一層進展することが見込まれる情勢となってきております。  政府といたしましては、このような変化に的確に対応し、雇用の安定が図られるよう各般の施策を積極的に推進していくことを基本方針としており、特に雇用保険制度において、その効率的な運営を確保して、失業未然防止離職者の再就職の促進を図ることが極めて重要であると考えております。  ところで、このような情勢変化背景として、最近における雇用保険受給者数年ごとに大幅な増加傾向を示すとともに、高年齢者中心として再就職をする受給者割合も著しく減少しており、これに伴い、雇用保険財政も急速に悪化しつつあります。このような情勢にかんがみ、雇用保険制度が創設されて十年を経た今日において、これらの構造的な変化に的確に対応し得るものとするようその見直しが必要となってまいりました。  このため、中央職業安定審議会雇用保険部会に検討をお願いしておりましたところ、昨年末に、今後における産業構造雇用構造変化対応しながら失業者生活の安定を図り、再就職を促進すると同時に労使負担をできる限りふやさないことにも配慮した現行制度改善方向が示されたところであります。  政府といたしましては、この報告書において示された方向及び中央職業安定審議会における論議を踏まえつつ、この法律案を作成し、関係審議会にお諮りした上、提出した次第であります。  次に、その内容の概要を御説明申し上げます。  第一は、雇用保険法の一部改正であります。  その一は、失業給付の額の算定基礎を変更することであります。現行失業給付の額は、受給者失業する前の毎月の賃金に加えて、いわゆる賞与等をも含んだ総賃金基礎として算定されております。そのため給付の額が毎月の手取り賃金や再就職時の賃金に比べて割高になっていること、さらに、賞与等の額は、業種、規模による格差が大きく、また、企業の業績によっても変動があることなどの問題があります。これらの点を総合的に考慮して、賞与等を除いて毎月の賃金基礎として失業給付の額を算定するよう改めることといたしております。  ただし、賃金の低い受給者層中心給付額最低保障額給付率引き上げを図ることにより、この改正による影響を少なくするよう配慮しているところであります。  これにつきましては、衆議院における修正により、給付率引き上げ範囲をさらに拡大することとされています。  その二は、給付日数を変更することであります。現行失業給付給付日数は、主として受給者年齢に応じて定められており、比較的短期間で離職する高年齢者中心として、給付負担の不均衡拡大しております。この点を考慮して、給付日数年齢に応じて定めるという現行原則維持しつつも、離職前の勤続期間にも応じて定めることといたしております。  これにつきましては、衆議院における修正により、改正に伴い給付日数が減少する人たちのうち、倒産に伴い離職を余儀なくされた人たちなどにつきましては、改正前の給付日数に達するまで、これを延長することができることとされております。  その三は、給付制限期間を変更することであります。現在、雇用保険受給者のうち自分の都合によって離職した人たちがかなりの割合に上っております。これらの人たち離職を決意する際の慎重な判断を期待し、また、離職後の再就職意欲を高めることにも配慮して、給付制限期間を延長することといたしております。  その四は、高年齢の被保険者の取り扱いを変更することであります。六十五歳以上の高年齢者一般労働市場からの引退過程にあり、その就業希望も多様化しているほか、これらの人たち通常雇用につく機会も極端に少なくなっております。このような事情にかんがみ、六十五歳以上で離職した人たちに対しては、基本手当を支給するかわりに一時金を支給する制度を創設するとともに、六十五歳以降に新たに就職した人たちは、被保険者としないことといたしております。  これにつきましては、衆議院における修正により、六十五歳の定年に達したこと等により離職した人たちにつきましては、一時金にかえて、特例として基本手当を支給することとされるとともに、六十五歳以降に新たに通常雇用についた人たちにつきましては、政令で定める日までに、認可を受けて被保険者となることができることとされております。  その五は、受給者ができる限り早く就職することを積極的に奨励しようとすることであります。このため、早期に再就職した受給者には、一定手当を支給する制度を創設することといたしております。  その六は、日雇い労働者に対する給付改善を図ることであります。一般保険者についての失業給付の額を引き上げることに伴い、日雇い労働者給付金を、現行の三段階の上にさらに一段階を設け、四段階制とすることといたしております。  第二は、労働保険保険料徴収等に関する法律の一部改正であります。  日雇い労働者給付金を四段階制にすることに伴い、印紙保険料の額を現行の三段階制から四段階制とすることといたしております。  第三は、船員保険法の一部改正であります。  その一は、船員保険についても、雇用保険と同様の趣旨から、給付日数離職前の勤続期間にも応じて定めること、六十歳以上で離職した人たちに対して一時金を支給する制度を創設すること、早期に再就職した受給者一定手当を支給する制度を創設することなどであります。  これにつきましては、衆議院において、雇用保険法関係と同様の趣旨修正が行われております。  その二は、最近における船員保険財政状況等にかんがみ、失業部門保険料率を千分の五引き上げるとともに、千分の二を増減した率の範囲内において、厚生大臣がこれを変更することができることとすることなどであります。  以上が雇用保険法等の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)     —————————————
  5. 木村睦男

    議長木村睦男君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。糸久八重子君。    〔糸久八重子登壇拍手
  6. 糸久八重子

    糸久八重子君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました雇用保険法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣質問をさせていただきます。  まず最初に、最近の雇用失業情勢と今後の見通し並びにその対応策についてお伺いいたします。  最近、景気回復が言われている中で、雇用失業情勢はなお厳しい状況が続いております。労働経済指標によりますと、完全失業率は四十年代の一%台から五十年代の二%、さらに五十八年には二・六%と総理府が統計を開始して以来の最悪の事態になっており、さらに本年に入ってもなお厳しく、三月にはついに三・一%へと上昇傾向をたどっております。  これを完全失業者数で見ますと、四十五年の五十九万人から五十年の百万人、そして五十八年には百五十七万人へと大幅に増加し、本年三月には百七十八万人にも達しているのであります。  このことは深刻な雇用動向を端的に示すものであり、このような実態は歴代政府及び自民党の財政経済政策が適切でなかったこと、また、雇用に関する諸施策が実効を上げ得なかった結果と言うべきではないでしょうか。  総理、あなたは防衛力増強等に熱心な余り、深刻な失業問題を等閑視されているのではありませんか。失業は重大な不公正であります。我が国西欧諸国のように失業問題を即社会不安ととらえる厳しさに欠けているのではないでしょうか。総理は、雇用失業問題の現状についてどのように認識され、責任を感じておられるか、お伺いいたします。  さらに、今後の雇用失業動向については、急速な高齢化産業構造転換ME中心とする技術革新等進展に伴い、労働力需給ミスマッチ拡大し、高失業社会が到来するのではないかと危惧されているのであります。したがって、これに的確に対応していくためには、単に雇用保険制度見直しにとどまらず、積極的に雇用を優先した総合的な対策推進していくべきであり、完全雇用達成のための基本政策についても総理所見を承りたいのであります。  次に、政府経済計画における雇用見通しについてお伺いします。  政府は「一九八〇年代経済社会展望指針」に基づき、第五次雇用対策基本計画を策定されておりますが、これによりますと、実質経済成長率年平均四%程度とし、六十五年度の完全失業率を二%程度とする、殊に世帯主失業率を低くするとの目標を明らかにしております。しかし、従来から政府経済計画における雇用見通しは実績と乖離しており、果たしてこのような六十五年目標達成は可能なのかどうか、可能であるとするならば、その方途と段取りについて総理並びに経済企画庁長官の御所見を賜りたいのであります。  次に、積極的な雇用対策推進について、具体的提案を含めてお伺いいたします。  労働行政産業政策の後追いでいつも後手後手行政と言われるのでありますが、労働大臣は今回の所信表明において、山積する課題に対し、積極的に、かつ機敏に取り組んでいくと述べておられます。  そこで、具体的にお伺いしますが、その第一は高年齢者雇用対策についてであります。  急速な労働力人口高齢化の中で、五十五歳以上の高年齢者男子失業率は四%台と高くなっております。その雇用確保対策の基軸とも言うべき六十歳定年制は、四十八年の閣議決定以降十年以上も経過しているにもかかわらず、実施企業は全体の半数程度にすぎません。政府の公約した六十年までに六十歳定年一般化するという目標達成できるのでしょうか。六十歳定年早期に実現するためにも、政府は野党四党が提案している六十五歳以上定年法制化を図るとともに、施策重点を六十歳台前半層雇用確保対策へと移していくべきではないかと思いますが、改めて労働大臣所見を伺いたいのであります。  次に、心身障害者雇用確保について伺います。  心身障害者は二百万人にも及んでおり、その重度化高齢化が進んでおります。しかし、心身障害者雇用改善国際障害者年が終了して以降著しく鈍化し、五十一年に定められた一・五%法定雇用率はいまだに達成されておりません。また、障害者離職も多くなっていることから、その雇用の安定、維持を図るため身体障害者解雇届け出制度の徹底など実効ある施策を講ずるべきと思いますが、この点についても労働大臣の明確な御答弁を賜りたいのであります。  次に、新たな技術革新とその対応策についてお伺いします。  近年、ME中心とする技術革新は目覚ましく、生産、流通、事務などの産業活動のあらゆる分野に急速に普及しており、今やME化本格化時代を迎えようとしております。既に雇用面への影響も大きく、各方面からその的確な対応が要請されております。早期に全国民的なコンセンサスを得るための協議機関を設置し、技術革新に当たっての雇用労働条件などの基準づくりを行うほか、事前事後協議制の義務づけ等の措置を講ずるとともに、その法制化を図っていくべきと思います。政府の積極的かつ機敏な対応策について、総理並びに労働大臣の御所見を伺いたいのであります。  次に、ワークシェアリングについて伺います。  今日、労働時間の短縮の問題は、雇用維持拡大といった観点から一層重要な課題となっております。日本人の働き過ぎ批判や貿易摩擦がある中でも我が国の長時間労働改善されず、年間総労働時間は二千百時間程度となっており、欧米先進国との格差は一層広がる傾向にあります。このような現状では、労働時間を二千時間以内にすることを目標行政指導を進める政府目標達成すら不可能ではありませんか。この際、大幅な労働時間の短縮や休日の増加などによって雇用拡大を図るという政策推進していくべきと考えますが、労働大臣の御見解を伺いたいのであります。  以上、雇用対策に関する主なる問題について政府積極策をお伺いいたしましたが、一方、これらの諸施策に対し、経営者側は最近一段と拒否反応を強めているのが実情であります。総理並びに労働大臣はいかなる決意をもって労働行政推進なされるのか、重ねてお伺いする次第です。  さて、そこで雇用保険制度法改正内容について若干の問題点をただしたいと存じます。  その第一は、今回の法改正の意図についてであります。  失業者増加と再就職低下は、即雇用保険受給者の急増となり、これに伴い保険財政は五十七年度で二百十七億円、五十八年度末には二百四十五億円の赤字が見込まれており、今回の法改正は、この雇用保険財政建て直しと、また法改正によって保険給付総額を五十九年度で千二百五十億円も削減しようとしているのでありますが、これでは国の責任で生じた雇用保険財政赤字負担を一方的に弱者たる失業者に転嫁するものであり、雇用保険制度趣旨にも反するものと言わざるを得ません。この点を明確にしていただきたいのであります。  次は、本改正案内容についてであります。改正案衆議院段階修正が行われておりますが、なお基本的な問題についてお伺いいたします。  今回の改正では、失業給付額算定基準から臨時に支払われた賃金及びボーナス等を削除することとしており、これによって五十九年度で約三百五十億円もの給付削減を図ると言っているのでありますが、賃金範囲見直しは、失業者生活保障という観点からも大きな問題であります。しかも、一方、保険料ボーナスを含めて徴収するなど、施策に全く一貫性が見られませんが、この点について労働大臣のお考えを伺いたいのであります。  次に、改正案は、一部の者を除いて六十五歳以降に再就職した者を雇用保険から除外し、六十五歳以上の離職者には失業給付をやめ一時金とするほか、保険料免除年齢を六十歳から六十四歳に引き上げるなど、高年齢者に対する改悪内容となっております。労働力人口高齢化の中で、勤労者引退年齢個人差は大きく、また六十五歳を超えてなお普通勤務で働きたい者は一六・六%にも達しており、これを六十五歳と区切って原則として一律に引退に追い込むことは納得できません。  また、現行法では再就職難易度を考慮して失業給付日数年齢別に一律に定めているのを、改正案では、給付負担の不均衡などを理由に被保険者期間を加味して変更するとしています。これは、雇用保険法制定の際、高齢者社会への移行に対処し、高齢者に思い切って手厚い措置を講ずることとした趣旨に反するばかりでなく、中高年齢者の再就職が一層困難となっている実情をも無視するものであります。この点について労働大臣のお考えを伺いたいのであります。  最後に、厚生大臣に伺います。  改正案では、船員保険法についても雇用保険法と同趣旨改正を行うほか、保険料率を一挙に千分の万引き上げることとしております。御承知のごとく、船員保険失業部門の被保険者は漸次減少し、既に十六万人程度となっており、その財政状況を見ますと年々赤字を生じているのであります。年金部門厚生年金保険に移行すれば、総合保険としての船員保険制度も根本的にさま変わりいたします。この際、失業部門雇用保険法へ移行することをも含めて船員保険制度抜本的見直しが必要ではありませんか。御見解をお伺いいたします。  以上、改正案をめぐる問題について質問をいたしましたが、これら諸問題を未解決のまま拙速に制度抜本的改革を強行するのではなく、当事者たる労働者側委員の意見を尊重しつつ、本来の失業保険制度趣旨を踏まえ、中長期的展望に立った改革案を再提出すべきであると考えますが、いかがお考えでしょうか。最後にこの点をただしつつ私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  7. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 糸久議員にお答えいたします。  まず、雇用失業情勢が非常に厳しいが、所見いかんという御質問でございます。  なるほど最近の雇用情勢は非常に厳しさを残しておりますが、景気回復背景改善の動きが見られてきております。  このような状況はどうして起きたかという面を見ますと、女子の経済的自立の意識が非常に強まってきた、それからローンとか、あるいは子供の教育費をつくりたい、あるいはレクリエーションの費用を出したい、そういうことで家庭におりました御婦人職業に入りたいという方がふえてきておる。しかし適当なものが見つからない。そういうことで、意思はあるが適職がないという状態にある方が失業として出てきておるわけです。必ずしも意に反して首を切られたとか職を失ったという方はそうふえてはいないのです。そのほかに、実は流適時代あるいはソフト化時代によって若年層定着率が非常に悪くなってきた、職業を持ってもすぐかえてやめてしまう、そういうような状況雇用情勢の数字に出てきておるのであります。  そういう面において、やはり政府は適切な対策をとる必要があると思います。つまり御婦人に対しましては、職業紹介であるとか、そのような意欲をお持ちの方々に適職を見つけ、あてがうという積極的な努力が必要でございます。そういうような適当な新しい施策を我々は考え、かつ基本的には機動的な経済運営に努め、景気持続的拡大を図る、そういうような考えに立って基礎的な政策を行わなければならないと思っております。  次に、積極的な雇用を優先した総合的な対策推進していくべきであり、完全雇用達成のための基本政策いかん、こういう御質問でございます。  完全雇用達成のためには、一つには経済政策雇用政策との連携が極めて重要であります。そのためには内需を中心にする経済成長拡大、これによる雇用機会の増大、雇用対策については高齢化及び産業構造変化に伴う適切な対策を打ち出すということ、昨年十月、第五次雇用対策基本計画を策定して、中長期的な展望に立った労働力需給ミスマッチの解消を図ることを重点とした積極的な雇用対策が打ち出されておりますが、これらを推進してまいりたいと思っております。  次に、「一九八〇年代経済社会展望指針」及び第五次雇用対策基本計画でのねらいである六十五年度完全失業率二%程度は、目標達成できるかという御質問でございます。  最近における景気の緩やかな上昇等考えてみますと、五十九年度において四・一%程度経済成長を見込むことは可能であります。また、雇用失業情勢はなお厳しさを残しておりますが、五十九年度におきましては、失業率は若干低下に向かうという見通してございます。中長期的には、先ほど申し上げましたような政策推進し、特に高齢化対策あるいは産業構造変化対応する適切な対策を積極的に推進して、昭和六十五年度の完全失業率を二%程度にするということは不可能ではないと考えております。  次に、ME等技術革新進展に伴うこれらの対策として協議機関を設置する、あるいは事前事後協議制を義務づける、法制化する、こういう御質問でございます。  マイクロエレクトロニクス、いわゆるME等技術革新進展に伴う雇用問題に対処するためには、やはり国民的コンセンサスが必要であると考えております。先般、労使の代表、学識経験者等から成る雇用問題政策会議からME化対応のあり方に対する原則について労働大臣報告がございました。今後、この線に沿って国民的コンセンサスを形成するように努力してまいりたいと思います。  しかし、労使間の事前事後協議制の義務づけというような問題は、大体これらの問題は原則として労使協議によって行うのが原則であると思いまして、それらについては慎重な対応が必要ではないかと考えております。  次に、積極的な雇用対策について経営者側拒否反応を強めておるが、労働行政推進についての所見いかんという御質問でございます。  高齢者及び心身障害者雇用対策重要性については、我々も努力もしておりますし、経営者側の理解も深まりつつあると思います。雇用問題は社会全体の問題としてとらえていくべきであり、全国民の御協力を得ながら、産業政策等を適切に行って実効ある雇用対策推進してまいるつもりであります。  次に、中長期的な展望に立った改革案を再提出すべきであるというお考えでございますが、今まで申し上げましたような政策推進することによりまして、我々は労働政策雇用政策推進しようと考えておりまして、この法案を撤回し再提出する意思はございません。  残余の御答弁関係大臣からいたします。(拍手)    〔国務大臣坂本三十次君登壇拍手
  8. 坂本三十次

    国務大臣坂本三十次君) 糸久議員にお答えを申し上げます。  定年延長の立法化問題及び六十歳台前半層対策についてのお尋ねでございました。  六十歳定年は現在約半数の四九・四%に達しておりまして、また、近く定年延長を予定しておる企業を含めますと六割を超える状況にございまして、今や六十歳定年が主流を占めるに至っております。定年延長の立法化問題につきましては、五十七年八月に雇用審議会から提出された、定年延長の今後の進展動向を見ながら昭和六十年ごろに改めて検討を行うという旨の答申をいただいておりますので、当面、企業に対する指導、援助の充実強化によって、昭和六十年度六十歳定年一般化の早期実現に向けて最大限の努力を傾注していきたいと思っております。  また、今後高齢化の波が移ると見込まれておりまする六十歳台前半層雇用就業対策は、今後の重要な政策課題でございまして、このため、この年齢層の多様な就業ニーズに対応して、まず第一に、六十歳を超える雇用延長を促進するための助成制度を積極的に活用し、二番目に、任意就業を希望する者に対して短期的、補助的な仕事を提供するシルバー人材センターの育成援助などの対策をこれまで進めてきたところでもございまするが、また力を入れていきたい。これらに加えて、五十九年度においては、六十歳台前半層の短時間勤務による雇用延長を行う事業に対して助成措置等の新しい施策を講ずることといたしております。  次に、障害者雇用率の早期達成雇用率の引き上げ及び障害者雇用の安定維持を図るための施策いかんということでございます。  民間企業において一・五%という障害者雇用率をできるだけ早く達成するため、雇い入れ計画を作成するよう命令する制度や、作成された計画を適正に実施するよう勧告する制度、これらがございますが、積極的に活用する努力をしているところであります。また、こうした指導にもかかわらず雇用達成のための努力が見られず、障害者雇用についての理解のない企業については、公表措置を講ずることを含めて、指導を一層強化してまいりたいと思っております。  法定雇用率については五年に一度見直すこととされておりますので、次回の見直し年である昭和六十一年度において、身体障害者雇用失業の実態についての必要な全国的調査を実施した上で、雇用率を引き上げるか否かについて検討することといたしたいと思います。  今後は、雇用達成のための指導を一層強化充実するとともに、単に障害者の雇い入れ促進のみでなく、就職した障害者が職場に定着できるようにするための指導や、法律に定められている解雇届け出制度の適正な運用に努めて、障害者雇用の安定の維持に努めてまいりたいと思っております。  次は、ME等技術革新進展対応する協議機関の設置、雇用労働条件、安全衛生、教育訓練等に関する基準の作成、事前事後協議制の義務づけ等の法制化についてのお尋ねがございました。  これにつきましては、最近の我が国におけるME化進展は目覚ましくて、雇用面にもさまざまな影響が見られますが、ME化に係る雇用問題について適切な対応を進めるに当たっては、特に労使を初めとして国民的コンセンサスが形成されることが重要な課題であると考えております。  先般、学識経験者と労使の代表から成る雇用問題政策会議からME化への対応に関して、失業者を出さないこと、労働者の不適応をもたらさないこと、労働災害の発生、労働条件低下をもたらさないこと、労使間の意思疎通を促進すること、国際経済社会の発展に寄与することという、いわゆるME原則が示され、それに基づいて具体的対応のあり方についていろいろ報告をされたところでございます。今後、これに沿って、政府、学識経験者、労使代表のトップレベルをメンバーとして定期的に開催されておりまする産業労働懇話会などの場を通じて国民的コンセンサスを得るように努力をいたしますとともに、産業別の労使会議を開催するなどによって関係労使意思の疎通の促進に努めてまいりたいと思っております。また、この報告を踏まえ、関係審議会にもお諮りした上で具体的対応策を検討し、その積極的な推進を図ってまいりたいと思っております。  なお、労使間の事前事後協議制の義務づけ等の法制化につきましては、各方面において今後なおさまざまな意見があると考えまするので、慎重に対応していくことが必要であると思っております。  次に、労働時間を二千時間以内とするとの政府目標達成及び労働時間の短縮、休日の増加等により雇用拡大を図る政策推進すべきではないかというお尋ねでございます。  我が国労働時間は、長期的には短縮してきてはおりまするけれども、近年厳しい経済状況を反映して短縮のテンポは鈍化してきており、昭和五十八年には年間総実労働時間で二千九十八時間となっております。このような状況から見て、週休二日制等の労働時間対策推進計画の目標達成は厳しい状況にあることは事実であります。しかし、労働省におきましては、従来から週休二日制の普及促進等を重点労働時間の短縮に努めておるところであります。今後とも労働時間短縮が持つ雇用維持確保の意義をも十分踏まえまして、労働時間の短縮推進に努めてまいりたいと思います。  なお、今後の労働時間対策の進め方について、公労使三者の代表で構成される中央労働基準審議会労働時間部会で御検討をいただいているところでございます。  次に、積極的な雇用対策に対する経営者側拒否反応があるが、これに対する対応いかんということであります。  定年延長などの高年齢者雇用対策、身体障害者雇用の促進や週休二日制の普及については、かつて行政指導のあり方をめぐって経営者側が問題にしたことがありました。しかし、その後意見交換を図った結果、現在においてはこれらの対策重要性について理解が深まりつつあると考えております。これらの問題は、企業内の労使間の問題であると同時に、社会全体として取り組んでいくべき問題でもございますので、労働行政として、労使初め広く国民各層の理解と協力を積極的に求めながら、実効ある対策推進してまいりたいと思っております。  次に、今回の改正案は一方的に失業者負担を転嫁するものではないかという御指摘と質問がございました。  今回の改正は、保険財政の面にのみ着目したものではございませんで、今後の雇用失業情勢の構造的変化に的確に対応しようというものでありまして、労使負担をできる限りふやさないように努めながら、将来にわたって制度の健全な運営を図ろうとしておるものでございます。このため、再就職手当を新設することなどによって失業者の再就職の促進を図る、引退過程にある高年齢者の就業の実情に合った給付の仕組みに改めるとともに、制度の不合理な面を改めることなどを主な内容としたものでございまして、失業者負担を転嫁しようという内容のものではないと思っております。  次に、給付額算定基礎からボーナス等を削除すること及び保険料ボーナス等を含めて徴収するということについて矛盾はないかというお尋ねでございました。  今回の改正では、ボーナス給付算定基礎に含めないこととする一方で、低所得者を中心として給付率及び最低保障額引き上げを行うこととしておりまして、失業者生活保障にも十分配慮しておるところでございます。また、保険料の徴収の基礎ボーナスを含むか否かは、給付財源の調達のために何から徴収したら無理がないかという問題でございまして、仮にボーナスを除外して徴収するとすれば、毎月の賃金から徴収する保険料を相当引き上げなければならないことにもなります。したがって、ボーナスを含めて徴収する現行の取り扱いの方が妥当であると考えております。  次に、六十五歳以上の高年齢者の取り扱いについてでございます。  高年齢者雇用対策については、高齢化社会への移行に対処するための最重要課題でありまして、積極的に取り組んでいく所存でありますが、六十五歳以上の高齢者一般的には労働市場からの引退過程にあり、通常の雇用につくことを希望する人は著しく減少する実態にあります。このような事情にかんがみまして、六十五歳以降に新たに就職した人は被保険者としないこととするとともに、六十五歳以上で離職した人に対しては一時金の支給を行うこととしておりましたが、衆議院において、六十五歳以降に新たに通常雇用についた人たちについては、政令で定める日までに認可を受けて被保険者となることができるなどとするような修正が行われたところであります。  また、就職を希望する六十五歳以上の人たちに対しては、公共職業安定所はもとより、全国主要都市に設置している高年齢者職業相談室においても、職業紹介、相談など必要な援助を今後とも積極的に行ってまいりたいと思っております。  保険料の免除年齢引き上げることにつきましては、六十歳台前半層人たちの雇い入れや雇用の継続に対する給付金制度など、各種の助成措置が充実強化されたことに伴いまして、保険料免除という形で助成措置を続けていく必要は薄くなったことなどによるものであります。  また、給付日数について離職前の勤続期間も加味して定めるものとしたことにつきましては、比較的短期間で離職する高年齢者中心として給付負担の不均衡が著しく拡大しているということなどを考慮したものでございまして、就職難易度、すなわち年齢に応じて定めるという現行原則維持しながらも必要な是正を図ることといたしたものでございます。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇拍手
  9. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 経済企画庁長官事務代理、この立場からお答えをいたします。  最近における景気は緩やかながら着実な回復を続けておりまして、雇用情勢についてもなお厳しいという情勢にありながらも改善の動きが見られております。  政府としては、今後とも適度な経済成長維持、先ほど総理からもお答えがありました四・一%程度を見込んでおるわけでございますが、これを通じて雇用機会拡大によりまして労働力需給をおおむね総量として均衡させますとともに、労働力需給構造の変化を踏まえ、「八〇年代経済社会展望指針」で申し上げておるとおり、性、年齢階層、職種等における部分的な需給の不適合の是正に向けて、職業訓練体制の整備、定年延長の促進等の構造的政策推進することによりまして、昭和六十五年度の完全失業率を二%程度を目安としてできるだけ低くするよう努めてまいる所存であります。(拍手)    〔国務大臣渡部恒三君登壇拍手
  10. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 糸久議員の私に対する御質問船員保険制度見直しについてでございますが、総合保険制度である船員保険につきましては、その沿革、経緯、船員労働の特殊性等を勘案いたしますと、各部門給付負担の両面にわたる見直しを行い、その運営の健全化を図りつつ、今後とも現行総合保険の形式を維持していくことが適当であると考えております。  なお、社会保険審議会においても、年金部門厚生年金保険統合後の船員保険のあり方について、引き続き船員保険法により総合的な制度運営を行うことが適当である旨の意見書をいただいておることも申し添えさせていただきます。  以上でございます。(拍手)     —————————————
  11. 木村睦男

    議長木村睦男君) 中西珠子君。    〔中西珠子君登壇拍手
  12. 中西珠子

    ○中西珠子君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、雇用保険法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係各大臣に質問させていただきます。  まず、雇用保険考えるに当たっての前提である雇用失業情勢に対する政府の取り組みについて伺います。  昭和五十四年以来、政府の経済見通しと実績は年々大きな乖離を見せ、完全失業率も年々上昇を続けています。特に最近は完全失業率が高くなって、総理府の統計によりますと、五十八年度の平均は二・六%、本年一月が二・九%、本年二月と三月はともに三%を超え、季節調整値も二・七%を記録しております。これは総理府の統計開始以来の最悪の数字が続いていることになり、雇用失業情勢の厳しさを物語っています。殊に、中高年男子の就職難は年々深刻さを加え、昭和五十八年においては、五十五歳から六十四歳までの年齢層の男子の完全失業率は五%を記録し、約十年前、昭和四十八年のほとんど三倍に近い状況です。また、五十八年度の女子の完全失業率は、どの年齢層においても昭和四十八年度の二倍を超え、特に三十歳から三十九歳までの年齢層においては完全失業率は三倍以上となっています。  一方、有効求人倍率は、昭和五十八年度は平均〇・六一倍であり、本年一月が〇・六四倍、二月が〇・六五倍、三月が〇・六四倍と依然として低迷を続けており、労働力需要は上昇の兆しを見せていません。  総理は先ほど、景気回復に向かいつつあると言われましたが、本年四月の企業倒産は千七百五十八件を数え、件数、負債総額ともに過去最高を記録し、昨年一月から十六カ月連続で前年同月比を上回っていると報道されております。このような厳しい経済情勢と深刻な雇用失業情勢が続いているのは、内需振興に重点を置いた効果的な景気浮揚策をとり得なかった中曽根内閣責任と言えましょう。総理のお考えをお伺いしたいと思います。  政府は、現下の厳しい雇用失業情勢改善のためどのような産業経済政策をとるおつもりなのか、また、今後予想される労働力人口の急速な高齢化産業ロボットなどマイクロエレクトロニクス中心とする技術革新雇用削減効果、内外の厳しい経済環境から見て一層促進されることが必至である産業構造転換などに対応して、中長期的にどのような雇用対策をおとりになるつもりなのか。雇用対策法は、質的、量的な完全雇用を目指し、雇用確保のための総合的な政策の策定と実施を国に義務づけています。今回の雇用保険法改正案のような小手先の改革で雇用失業情勢が好転するとは思えません。もっと長期的展望に立った総合的、効果的な産業経済政策と、それの一環としての積極的な雇用対策が必要と考えますが、内閣総理大臣並びに労働大臣の御所見を伺います。  さらに、昨年十月策定されました第五次雇用対策基本計画においては、昭和六十五年の完全失業率の目安を二%程度としていますが、この目標達成する自信はおありになるのかどうか、労働大臣にお伺いいたします。  次に、雇用保険法改正案についてお尋ねいたします。  雇用保険法が制定されて十年が経過しようとしています。従来の失業保険制度の目的であった失業中の所得保障と就職の促進に加えて、失業の予防及び雇用機会の増大、雇用構造改善労働者の能力の開発向上、その他労働者の福祉の増進を図ることを目的として雇用保険法が制定されたわけでございますが、この十年間に失業情勢は悪化するばかりであり、雇用保険法失業の予防機能は効果を発揮していないように思われます。事実、失業給付受給者は最近年間七万人ずつ増加し、現在の受給者数は八十五万人に達しています。受給者就職率の低下も目立っており、失業者の滞留傾向も出てきております。その結果、雇用保険財政は急速に悪化し、昭和五十七年度においては二百十七億円の赤字を出し、五十八年度は約二百四十五億円の赤字見込みとなっています。  今回の雇用保険法改正原案は、失業給付総額の抑制による赤字財政の立て直しだけを目標として提案されたもののように見受けられました。すなわち、政府改正原案は、賞与等失業給付算定基礎から除外することによって給付水準の実質的な切り下げを図り、また、現在年齢別一律である所定給付日数年齢と被保険者期間に応じて三段階に分け、中高年層を中心給付日数の削減を図り、かつ給付制限期間の延長や、六十五歳以上の高年齢者の適用除外と基本手当支給にかわる一時金制度の創設、保険料免除年齢引き上げを行うなど、弱き者にしわ寄せをして、失業給付総額の抑制による赤字財政の立て直しを図ったものでありました。  しかし、幸いにして、衆議院において自民、社会、公明、民社、社民連の五党共同修正案が可決され、赤字財政立て直しの負担が弱い立場にある失業者、殊に中高年齢層に重くのしかかっているのを多少なりとも緩和したことは一歩前進であります。この共同修正によって、基本手当給付率を六〇%以上八〇%以内とする賃金日額の範囲拡大、特定不況業種離職者等に対する所定給付日数現行基準適用による延長、六十五歳定年などにより離職した者に対する基本手当の支給や、六十五歳以上の雇用者の任意加入への道が開かれることなどは評価できると思います。  しかし、政府案はまだ多くの問題を残しています。例えば、安易な自己退職を防止するためにと称する給付制限期間の延長や再就職促進措置の強化は、運用次第によっては憲法で保障されている職業選択の自由、適職選択権を侵害するおそれなしとしません。現行基本手当の水準は高過ぎるので、失業者の再就職意欲を阻害しているという主張を援用して給付水準を引き下げ、失業者生活の窮乏化から再就職を急ぐことによって受給者数も受給日数も減るであろうし、保険財政上プラスになるという発想は容認できません。一方、一定の所定給付日数を残して早く就職した者に対する再就職手当の支給は、再就職奨励の恩恵ではなく受給者の当然の権利であることを確認していただきたいと思います。  今回提案されている失業給付制度の財政のつじつま合わせ的改革のみでは、雇用失業情勢が好転するとは思えません。同じ雇用保険法のもとで行われている雇用安定、雇用改善、能力開発、雇用福祉の四事業の効果についても、厳密な評価と全面的な見直しを行う必要があるのではないかと考えます。
  13. 木村睦男

    議長木村睦男君) 中西君、時間が超過しております。
  14. 中西珠子

    ○中西珠子君 はい。  長期的展望に立った効率的な経済運営と、雇用保険制度全体の抜本的な見直しを含む積極的かつ弾力的な雇用対策が今ほど必要とされるときはないと思いますが、労働大臣の御所見をお伺いいたします。  最後に、職業安定審議会の答申でも、また衆議院の附帯決議の中でも要請されていることでありますが、安易な保険料引き上げを行わないことと必要な国庫負担を確保すること、この二点についての大蔵大臣並びに労働大臣の御決意のほどを伺いまして、私の質問を終えます。(拍手)    〔国務大臣中曽根康弘登壇拍手
  15. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 中西議員の御質問にお答えをいたします。  現下の厳しい雇用失業情勢改善のためにどのような経済政策をとるか、また今までの政策に対する責任いかん、こういう御質問でございます。  最近の雇用情勢につきましては依然として厳しい情勢にあるが、先ほど申し上げましたように、少しずつ改善の動きが見られます。政府といたしましては、機動的な経済運営に努め、物価の安定を基調として国内の民間需要を中心とする景気持続的拡大を図り、もって雇用対策に万全を期してまいりたいと思っております。  何といっても、最近の情勢につきましては、産業の構造変化、あるいは高齢化社会、あるいは女性、あるいは若年層等の労働意欲等に大きな変化が起こっておりまして、これらに対応するきめの細かい政策が着実に進められる必要があると考えております。  次に、総合的な効果的な経済政策とそれの一環としての積極的な雇用対策を必要とするがいかんということでございます。  中長期的な経済運営につきましては、「一九八○年代経済社会展望指針」でお示ししました。また、行政の改革、財政の改革を進めるということも重大な基本線でございます。さらに、産業構造の高度化に支えられた新しい成長への道を歩むということも大事であります。この中におきましては、特に高度情報社会への対応ということを重要視しているものであります。さらに、民間活力の役割を重要視してその活用を図っていくということ、国際協力を推進すること、この四点を中心に、経済環境の変化に即応した諸般の政策を適切に推進して対応してまいりたいと思っております。  雇用につきましても、適度な経済成長維持を通じまして、雇用機会拡大労働需給の調整、おおむね総量としての均衡ということを目標努力してまいります。特に、性、年齢階層、職種等における部分的な需給の不適合の是正に向けて構造対策を展開する、そして質量ともにバランスのとれた完全雇用の道を図る、このことが大事であると考えております。  残余の答弁関係大臣から申し上げます。(拍手)    〔国務大臣坂本三十次君登壇拍手
  16. 坂本三十次

    国務大臣坂本三十次君) 中西議員にお答えを申し上げます。  高齢化技術革新産業構造転換などに対応した雇用対策について御質問がございました。  このような構造的な変化が起こっておりまするが、政府といたしましては、中長期的な展望に立って昨年十月第五次雇用対策基本計画を策定いたしまして、この線に沿って高年齢者雇用就業機会の確保、サービス経済化産業構造転換技術革新進展対応した雇用対策の安定確保を図ってまいっております。また、中長期的にわたる変化対応した労働力需給の円滑な調整を基本方針として雇用対策を積極的に推進いたしておるところでございます。  次は、長期的展望に立った産業経済政策の一環としての積極的な雇用対策についてお尋ねになりました。  「一九八〇年代の経済社会展望指針」と調和を図りながら第五次雇用対策基本計画を昨年十月に策定いたしましたが、これに基づいて経済政策産業政策と緊密な連携を図りまして、経済変動に対応した失業予防対策や不況業種・地域の雇用安定対策推進しているところでありますが、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。  次に、第五次雇用対策基本計画における昭和六十五年度の完全失業率二%という目標達成は可能かというお尋ねでございます。  最近の雇用失業情勢はなお厳しさを残しておりますが、景気回復背景として改善の動きを示しております。本年度においては、完全失業率は若干低下に向かうと見込まれております。中長期的には、適切な経済運営によって適度の経済成長維持し、雇用機会拡大を図るとともに、第五次雇用対策基本計画趣旨にのっとって、定年延長の促進等の高年齢者雇用対策産業構造転換技術革新進展対応した雇用対策を積極的に進めまして、最終年度の昭和六十五年度には完全失業率二%程度を目安としてできるだけ低くするように努力をいたしたいと思っております。  次に、今回の改正案はまだ多くの問題点を残しているのではないかとの御指摘がございました。  今回の改正案保険財政の面にだけ着目したものではございませんで、今後の雇用失業情勢の構造的変化に的確に対応するとともに、労使負担をできる限りふやさないように努めながら将来にわたる制度の健全な運営を図ろうとするものでございまして、そのためにも再就職手当を新設いたしましたり、その他制度の不合理な面を改めるなどいろいろな内容を盛り込んでおります。  次に、雇用保険制度の四事業の効果について見直しの必要はないかというお尋ねでございました。  雇用保険制度のいわゆる四事業につきましては、失業の予防、雇用改善、能力の開発などその目的に即した事業の効果的な推進に努めなければなりませんし、雇用対策の重要な役割を果たしているところでもございます。これらの事業については、制度発足以来、関係審議会においてその運用についてチェックをするとともに必要な見直しを重ねてきておりますが、今後とも雇用情勢変化に即応して十分に活用され、効果の上がるように見直しを行い、その整備充実を図ってまいりたいと思っております。  長期的な展望に立った効率的な経済運営と積極的、弾力的な雇用対策の必要性についてお尋ねがございました。  政府は、「一九八〇年代経済社会展望指針」及びこれと調和を図りながら策定された第五次雇用対策基本計画に基づきまして、中長期的な展望に立った経済運営及び雇用対策推進に努めているところでございます。特に、雇用対策については、高年齢化の進展などの構造的変化に伴って、その実効が上がるように随時法律を含めた制度見直しを行うことといたしておりまして、今回の雇用保険制度改正もその一環となるものでございます。今後とも雇用対策の充実には積極的に努めてまいりたいと思っております。  次は、安易な保険料引き上げを行わないこと、必要な国庫負担を確保せよという趣旨の御質問でございました。  今後の保険財政見通しに関しましては、再就職手当制度の創設などや景気動向もございまして、その改正効果について正確な見通しを立てにくい面もございますが、これまでのような受給者の急増傾向や滞留傾向改善できるものだと期待しております。したがって、今後、改正された制度の効率的な運用を図るとともに雇用対策に万全を期することによりまして、保険料引き上げるような事態に至らぬよう最大限の努力をいたしたいと思います。  また、国庫負担の問題については、事務費の国庫負担を抑制するようにとの臨調答申もあります。また国の財政も厳しいことでございますので、非常に困難な状況ではございますが、今後とも必要な国庫負担は確保するように努力をいたします。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇拍手
  17. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 今度は大蔵大臣としてお答えをいたします。  ただいまの御質問は、中央職業安定審議会の答申、それから衆議院社労委員会における附帯決議、この指摘に基づきましてのお尋ねであったと理解をいたします。  労働大臣からもお答えがございましたように、私どもといたしまして、今回の制度改正によりまして受給者の急増傾向や滞留傾向改善できるものと期待をいたしております。いずれにいたしましても、中央職業安定審議会の答申におきましても、全体的な支出の効率化を図ることにより、安易な保険料率引き上げにつながらないよう努力すべきである旨の御指摘もございます。保険料率引き上げるような事態にはならないように制度の効率的な運営を期待しておるところであります。  雇用保険法では、給付に要する費用につきましては、原則として四分の一を国庫が負担することとなっておりまして、今後とも所要の国庫負担の確保に努力してまいりたい、このように考えております。(拍手
  18. 木村睦男

    議長木村睦男君) これにて質疑は終了いたしました。      —————・—————
  19. 木村睦男

    議長木村睦男君) 日程第一 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、地方運輸局及び海運監理部の設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長矢原秀男君。    〔矢原秀男君登壇拍手
  20. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 ただいま議題となりました承認を求めるの件について、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本件は、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、北海道に北海道運輸局を、宮城県に東北運輸局を、新潟県に新潟運輸局を、東京都に関東運輸局を、愛知県に中部運輸局を、大阪府に近畿運輸局を、広島県に中国運輸局を、香川県に四国運輸局を、福岡県に九州運輸局をそれぞれ設置するとともに、神戸市に神戸海運監理部を設置することについて国会の承認を求めようとするものであります。  委員会における質疑の詳細は会議録に上り御承知願います。  質疑を終了し、別に討論もなく、採決の結果、本件は多数をもって原案どおり承認すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  21. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより採決をいたします。  本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  22. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、本件は承認することに決しました。      —————・—————
  23. 木村睦男

    議長木村睦男君) 日程第二 地方交付説法等の一部を改正する法律案  日程第三 地方公共団体関係手数料に係る規定の合理化に関する法律案  日程第四 昭和四十二年度以後における地方公務員共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部峯改正する法律案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長大河原太一郎君。    〔大河原太一郎君登壇拍手
  24. 大河原太一郎

    ○大河原太一郎君 ただいま議題となりました三法律案について御報告いたします。  まず、地方交付税法等改正案は、地方交付税の総額について、交付税特別会計における新たな借り入れ措置にかえて、当分の間、法律により必要な特例措置を講ずること、昭和五十九年度分の総額の特例措置として千七百六十億円を加算すること、加算額のうち三百億円は後年度の交付税総額から減額すること、昭和五十九年度分借入金限度額のうち約二分の一を国の一般会計に帰属させるとともに、残余の額は地方の負担とし、償還期間を変更すること、各種の制度改正等に伴う行政経費に係る単位費用を改めること等を主な内容とするものであります。  次に、地方公共団体手数料規定の合理化法案は、大麻取締法外人法律に定める国の機関委任事務に係る申請等手数料について、その額を実費を勘案して政令で定めるよう規定の合理化を図ろうとするものであります。  委員会におきましては、以上二法案を一括して質疑を行いましたところ、地方財政の健全化方策、借り入れ制度の変更に伴う財源保障、給与の適正化指導、手数料の引き上げ基準等の諸問題について熱心な質疑が行われ、またその間、地方交付税制度について参考人の意見を聴取するなど慎重な審査を行いました。  両案の質疑を終局し、まず地方交付税法等改正案について討論に入りましたところ、日本社会党を代表し佐藤委員、公明党・国民会議を代表して原田委員、日本共産党を代表して神谷委員、民社党・国民連合を代表して小西委員よりそれぞれ反対、自由民主党・自由国民会議を代表して真鍋委員より賛成の意見が述べられました。  討論を終局し、採決の結果、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対しましては交付税総額の確保を図ること等の附帯決議が行われました。  次いで、地方公共団体手数料規定の合理化法案について採決を行いましたところ、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、地方公務員等共済組合の年金額を改定する法案について御報告いたします。  本法律案は、地方公務員共済組合の年金額につき、恩給法等の改正内容を参酌し、引き上げ措置を講ずるほか、給付等の算定基礎となる給料の最高限度額を引き上げること等を主な内容とするものであります。  委員会におきましては、共済制度の当面の改善措置年金制度の一元化、年金額改定の実施時期等の諸問題について熱心な質疑が行われました。  質疑を終局し、日本社会党提出修正案について提案理由の説明を聴取し、討論の後、採決を行いましたところ、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  25. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  26. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、三案は可決されました。      —————・—————
  27. 木村睦男

    議長木村睦男君) 日程第五 調和ある対外経済関係の形成を図るための国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律等の一部善改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長伊江朝雄君。    〔伊江朝雄君登壇拍手
  28. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 ただいま議題となりました調和ある対外経済関係の形成を図るための国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、調和ある対外経済関係の形成を図るため、昭和五十八年十月に策定された総合経済対策のうち、国際復興開発銀行等に対する増資、外国会社に係る有価証券報告書提出期限の弾力化、非居住者である個人等による株式取得の特例措置の廃止等の施策を講ずることとし、関係法律を一括して改正しようとするものであります。  委員会におきましては、対外経済援助についての基本的なあり方、発展途上国の累積債務問題の打開策、我が国の金融・資本市場の開放策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終了し、討論なく、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  29. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  30. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。      —————・—————
  31. 木村睦男

    議長木村睦男君) 日程第六著作権法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。文教委員長長谷川信君。    〔長谷川信君登壇拍手
  32. 長谷川信

    ○長谷川信君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、著作物、実演またはレコードの複製物の貸与に関してその著作者、実演家またはレコード製作者の権利を創設するとともに、私的使用のための複製について公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器の使用を制限する等により、著作者等の経済的利益を保護しようとするものであります。  委員会におきましては、参考人を招致して意見の聴取を行った後、許諾権の性格と円満な利用秩序の形成、録音・録画機器等への賦課金制度の導入、文献複写の実態と早急な対策、コンピューター・ソフトウエアの保護、ニューメディア等の開発に対する速やかな対応などの諸問題について熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終わり、討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、田沢委員より、著作権思想の普及の必要性など五項目から成る附帯決議案が、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合の各派共同で提出され、全会一致をもってこれを委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  33. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  34. 木村睦男

    議長木村睦男君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。      —————・—————
  35. 木村睦男

    議長木村睦男君) 日程第七 電波法の一部峯改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長大木正吾君。    〔大木正吾君登壇拍手
  36. 大木正吾

    ○大木正吾君 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。  本法律案は、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約附属書の一部改正の発効に備えるため、義務船舶局の運用要件等を整備し、あわせて社会経済活動の国際化の進展にかんがみ、相互主義に基づいて、外国人等にも一定範囲の無線局について免許を与えることができることにするとともに、電波法関係手数料について、上限額の法定制を改め、実費の範囲内で政令で定めることができるようにするものであります。  委員会におきましては、放送衛星「ゆり二号a」の故障とその対策、手数料の政令委任と今後の改定見通し、無線局免許の外国性排除の緩和理由等について質疑が行われました。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して佐藤委員より本案に反対の意見が表明され、次いで採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手)     —————————————
  37. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  38. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。      —————・—————
  39. 木村睦男

    議長木村睦男君) 日程第八 国籍法及び戸籍法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長大川清幸君。    〔大川清幸君登壇拍手
  40. 大川清幸

    ○大川清幸君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。  本法律案は、最近における渉外婚姻の増加等の実情にかんがみ、また、昭和五十五年七月十七日に我が国が署名した婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の批准に備えるため、国籍法及び戸籍法の一部を改正しようとするものでありまして、その主な内容は次のとおりであります。  まず、国籍法につきましては、第一に、出生による国籍の取得について父母両系血統主義を採用すること。第二に、準正による国籍の取得の場合等について、法務大臣に届け出ることによって日本国籍を取得することができる制度を設けること。第三に、日本人の配偶者の帰化条件について男女の差異を解消するとともに、生計条件、重国籍防止条件等を緩和するなど帰化条件の整備を図ること。第四に、重国籍の増加に対処するため、現行の国籍留保の制度の適用範囲を広げるとともに、国籍の選択制度を新設すること。第五に、改正法施行前に日本人母から生まれた未成年者について、国籍の取得の特例を設けること等であります。  次に、戸籍法につきましては、第一に、国籍法改正に伴い、国籍の選択の宣言の届け出及び外国の国籍の喪失の届け出等に関し所要の規定を設けるとともに、国籍の留保の届け出についても、その届け出の期間を伸長し、届け出人の範囲を広げること。第二に、外国人との婚姻の場合についても婚姻による新戸籍を編製すること。また、外国人と婚姻をした者その他について氏の変更の特例を設けること等であります。  委員会におきましては、今回の法改正と憲法との関係、国籍の法的性格、重国籍者及び無国籍者の法的地位、国籍の留保制度及び選択制度の必要性、沖縄の無国籍児の救済、戸籍における外国国籍の記載、法例の改正等について質疑が重ねられたほか、参考人の意見を聴取するなど慎重に審査を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手)     —————————————
  41. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  42. 木村睦男

    議長木村睦男君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。      —————・—————
  43. 木村睦男

    議長木村睦男君) この際、日程に追加して、  国会議員互助年金法の一部を改正する法律案  国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部き改正する法律案  国会職員法の一部を改正する法律案  国立国会図書館法規定により行政部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案   (いずれも衆議院提出)  以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 木村睦男

    議長木村睦男君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長遠藤要君。    〔遠藤要君登壇拍手
  45. 遠藤要

    ○遠藤要君 ただいま議題となりました四法律案につきまして御報告申し上げます。  まず、国会議員互助年金法の一部を改正する法律案は、普通退職年金の支給開始年齢を六十歳に引き上げ、国庫納付金を歳費月額の百分の九・五相当額に改定するとともに、昭和四十九年三月三十一日以前に退職した国会議員等に給する互助年金の年額を改定する等所要の改正をしようとするものであります。  次に、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案は、議員の応召・帰郷旅費を廃止し、現在八十八万円に据え置かれている議員の歳費月額について、据え置き措置を本年四月から解除するとともに、国会議員から任命された政務次官等の俸給月額についても同様の解除措置を講じようとするものであります。  次に、国会職員法の一部を改正する法律案は、昭和六十年三月三十一日から、政府職員等と同様、国会職員定年を六十歳とし、その他特例措置を設けるとともに、所要の経過措置を講じようとするものであります。  本法律案に関しましては、委員会において、民間の定年年齢動向に応じた定年の再検討並びに職員団体の意向を十分聴取して本法の運用に当たることについて発言があり、事務総長より配慮する旨の答弁がございましたことを申し添えます。  以上三案は、委員会におきまして審査の結果、いずれも可決すべきものと多数をもって決定いたしました。  次に、国立国会図書館法規定により行政部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案は、林野庁に国立国会図書館の支部図書館を設置しようとするものであります。  委員会におきましては、審査の結果、可決すべきものと全会一致をもって決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  46. 木村睦男

    議長木村睦男君) これより採決をいたします。  まず、国会議員互助年金法の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  47. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。  次に、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  48. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。  次に、国会職員法の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  49. 木村睦男

    議長木村睦男君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。  次に、国立国会図書館法規定により行政部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  50. 木村睦男

    議長木村睦男君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。      —————・—————
  51. 木村睦男

    議長木村睦男君) この際、参議院事務局識員の定員に関する件についてお諮りいたします。  議長は、本件につきまして、議席に配付いたしましたとおりの参議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案を議院運営委員会に諮りましたところ、異議がない旨の決定がございました。
  52. 木村睦男

    議長木村睦男君) 本規程案に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 木村睦男

    議長木村睦男君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十分散会      —————・—————