○
国務大臣(
竹下登君) まず
最初のお尋ねは、過去の
特例公債の
借りかえ
禁止規定を一括して改定する、これは乱暴じゃないか、こういう御
指摘でござい
ます。
これは、第二次
石油ショック以後、予期せざる
経済事情の変化に伴いまして、今後の
財政を
展望するときには、遺憾ながら
特例公債の
償還財源の調達に当たっては借
換債の
発行を
考えざるを得ない、そういう前提のもとに従来のいわば
政府の
方針を変更したわけでござい
ます。したがって、五十九
年度財源確保法における五十九
年度の
特例公債について、いわゆる
借りかえ
禁止規定を置かない、そうして
国債整理基金特別会計法第五条による
償還のための
起債は、国の
財政状況を勘案してできる限り行わない旨の
努力規定というものによって一つの歯どめとしてお願いしなければならぬようになった。
さて、この場合において、
財政事情のより厳しい時期に
償還期が参り
ます五十八
年度以前の
発行に係る
特例公債、これの
償還についてどう
考えるか、これについては随分私
どもも部内でも
議論をいたしました。
国会におきましての従来の御
議論の経過等も十分踏まえまして、そして
政府の
方針をこのように変更せざるを得なくなった以上、これらの
借りかえ
禁止規定をそのまま残しておくというのは、むしろこれは
法律としてもある種の整合性というものを欠くではないか、こういうことで思い切ってこの
努力規定を置かせていただくことによって御
審議をいただく、こういうことにいたしたわけでござい
ます。
それから次の
質問は、短期
国債の
発行等についての御提言も交えた御
質問でござい
ますが、大量の
国債償還を、そして
借りかえを円滑に進めていくため、これはどうしても投資家のニーズに合ったいろいろな種類の
国債、すなわち多様化していかなければならぬ。こうした
観点から、短期
国債の
発行というのも確かに一つの
検討課題であるというふうに事実認識をいたしており
ます。したがって、この問題は
財政面、金融面等々さまざまな
観点から十分
検討してまいりたいと存じ
ます。
それで、この問題について、
年度内
償還の短期の借
換債については、現行の
国債整理基金特別会計法の解釈としては、これを
発行することは難しいのではないかと私も
考えます。したがって、短期
国債の
発行そのものの
検討の一環として
検討すべき
課題だというふうに
考えており
ます。
それから定率繰り入れ、これは三回目、これを停止した、こういうことでござい
ます。
何としても、
国民の保有する
公債について満期が到来した場合、個々の保有者に対して全額を現金で
償還することは当然のことであり
ますし、
公債政策のこれは根幹でござい
ます。
政府としては、今後とも現行の
減債制度の仕組みを維持するという
基本的
考え方を踏まえながら適切に対処して、
公債の確実な
償還を行い
ますとともに、歳出の
節減合理化等
財政の健全化のための
努力を重ねて、
公債政策に対する
国民の信頼を維持していかなければならぬということは当然のことであると思っており
ます。
それから、歯どめ策というようなものに言及しながらのお尋ねでございました。
公債は当面の
負担を伴わないことから、安易に
公債に依存するという危険性がござい
ます。したがって、
公債発行については
節度を保つ必要がある、このことは御
指摘のとおりであり
ます。したがって、この問題について、従来いわゆる
借りかえ
禁止規定というようなものは、私はやはり歯どめの大きな一つの問題であったという事実認識をいたしており
ます。しかし、今日の
状態に至り
ますと、まず
節度としては、第一
段階としては単
年度ごとの新規
財源としての
特例公債の
発行をゼロにしていくための
努力を継続していく、そしてそれは六十五
年度を
努力目標にする。第二
段階として、
公債の
残高について速やかに減少させていく。こういう二
段階ということを
考えて、それが
特例公債依存
体質からの
脱却を最優先としておるという政策のあらわれではないかというふうに
考えます。
そして今度は、具体的な歯どめの問題につきましては、これは確かに
節度の一つといたしまして
いわゆる
訓示規定もござい
ますが、
財政改革の過程においてざらに
検討を加えていかなければならぬ
課題だという
問題意識を持っておるものであり
ます。
それから、金利自由化との
関係で御心配を交えての御発言でごさいましたが、金利の自由化について前向きに対処していく必要があり
ますが、同時に、
我が国経済、金融に悪
影響を及ぼさないように、その
条件、
手続等につきましては十分な
検討を行って、いわゆるソフトランディングに努めていかなければならないところであり
ます。
なかんずく、小口預貯金を主体とする中小金融機関の経営環境が一段と厳しくなるというようなことにつきましては、まさに中小企業への資金の安定的供給、地域
経済に密着した活動という期待に的確にこたえていく必要があると私も
考えます。したがって、金利の自由化に当たりましては、それが中小金融機関等の経営にもたらす
影響等についても十分注意しながら進めていかなければならないというふうに
考えており
ます。
そのことはまた、ただいまの御意見にもございました漸進的、
段階的に進めるべきであるという
考え方と一致するところでござい
ます。そういう問題につきまして、私
どもといたしましては、自由化による競争の激化から金融機関の経営格差が拡大して、一部金融機関の経営悪化が表面化して信用秩序を阻害するという、こういうことがあってはならない。したがって、まさに御
指摘のとおり漸進的に対処していく
課題であるというふうに
考えており
ます。
それから、
不公平税制の是正の問題について、
総理からも
お答えがございました。
不公平税割という言葉は、いつも申し上げ
ますように、使うお方によってさまざまな
意味を持っており
ます。これが仮に租税
特別措置という
意味であるとずるならば、これはその都度政策税制としてとられた
措置でござい
ますものの、社会
経済情勢の変化に対応して今日までも絶えず
見直しを行っておるところでござい
ます。しかしながら、それが概念的なものであり、観念的なものであっても、税の公正
確保という点から、税制全般について絶えず
見直しを行うという
姿勢を持ち続けていかなければならない
課題であると思い
ます。
それの一環として、御
指摘のありましたいわゆるグリーンカード
制度にかわる具体策、この問題でござい
ます。
この問題は、確かに税制調査会の
答申等を見ましても、非常に多くの人に
関係する問題だ、なかんずく金融市場についてもまた大きな
影響を与える問題である、したがって今後なお時間をかけて
検討することが適当だと、こうなされながら、御
指摘なさいましたように、グリーンカード
制度の凍結期間との
関係から、できればことし夏ごろまでには結論を得ることが望ましい、そういう御
答申をいただいておるわけでござい
ますので、先般からこの税制調査会でも
国会での御
議論等を正確にお伝えいたしました。いわば
検討が開始されており
ます。したがって、その
検討の推移を見詰めながら対処していかなければならぬ
課題だという認識に立っており
ます。
それから次は、補助金の問題等を含めて今後、なかんずく来
年度の
予算編成に対する対応についての具体策を示せ、こういう御
指摘でござい
ます。
財政改革を推進して、その
対応力の
回復を図り
ますことは、
我が国の将来の安定と
発展のために緊要な
国民的
課題であり
ます。六十五
年度までに
特例公債依存
体質からの
脱却と
公債依存度の引き下げに努めるという
努力目標に向かいまして、毎
年度最大限の
努力を積み重ねていく必要がござい
ます。六十
年度予算の編成に当たりましても、こうした見地から、御
指摘なさった補助金等の問題を含めて
制度のいわゆる根本にまで踏み込んだ
改革を行うなど、歳出歳入両面にわたるぎりぎりの
努力をこれからも引き続き行っていかなければなりません。
今後
予算編成の具体的
方法はどうか、これにつきましては、先般の閣議でも私お願いをしておるところでござい
ますが、具体的にはいましばらく勉強させていただきたいと申し上げており
ますものの、歳出全般にわたる徹底した
節減合理化と
規模の抑制を図るため、厳しい概算要求枠を設定していく必要があろう、こういう総体的な認識の上に立っておるわけであり
ます。
以上で
お答えを終わり
ます。(
拍手)
〔
国務大臣河本敏夫君
登壇、
拍手〕