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国務大臣(
竹下登君) まず最初に、
金持ち優遇税制の御
指摘でございますが、このたびの
所得税の
最低税率の
引き上げ、
最高税率の
引き下げという問題は、「全体として、若干なだらかな
累進構造とする
方向で見直すことが適当である」という
税制調査会の
中期答申の
考え方に基づいて行ったものであります。
最低税率については、
課税最低限が国際的に見てかなり
水準が
引き上げられることを考えてみますならば、ある程度の
引き上げを行ってしかるべきではないか。そして
最高税率につきましては、これまた主要諸
外国と比べて高い。
民間活力の維持、
充実等の
観点にも配慮いたしたところであります。
それから、物価
調整減税的な
考え方を絶えず持っておるべきだ、こういう御
意見を交えた御
質問でございます。
御案内のように、「
国民の
所得に直接
負担を求める税である」、したがって「今後とも
税体系の基幹税たる役割を担うためには、
国民の
理解と信頼によって裏付けられることが必要である」、こういうふうにいわゆる
所得税そのものを定義づけられておるわけでありますので、「
社会経済情勢の
変化に対応して、数年に一度は、適宜その
見直しを行う必要がある」、このようにも
指摘されていることであります。
政府としましては、今後ともこうした
考え方で対処してまいりたいというふうに考えております。
次の御
指摘は、いわゆるパート
課税問題でございますが、配偶者控除を徐々に縮減するといった仕組みは執行が極めて複雑でございます。「税制の簡素化の
観点からも
現行制度のように、一種の免税点的な仕組みとすることが適当である」というふうに
指摘されておるところでございますので、問題になっております
給与所得控除と配偶者控除の
適用限度額の組み合わせという
現行制度の枠内で対処していくことが適当であろうというふうに考えておるわけであります。
それから、
退職給与引当金等の問題についてでございますが、
退職給与引当金は、五十五
年度の
改正において、累積限度額を期末退職給与の要支給額の五〇%から四〇%にまで
引き下げたところであります。それから
税制調査会の五十九
年度答申においても、「勤労者の平均予定在職年数は長期化する傾向があること、また、大規模の
企業に雇用されている勤労者については、全体の平均よりも平均予定在職年数が長いと認められること等を勘案し、」この引当金の累積限度のあり方について引き続き
見直しを行っていく必要があるというふうに
指摘されております。したがって、私
どもはこれも引き続き検討を続けるべき
課題だというふうに認識いたしておるわけであります。
それから、
法人税率が二年たったらという問題でございますが、これは二年後の期限到来時においてこれをどうするか、その際の
経済動向や
財政事情を考慮して、税制全体の
見直しの中で検討さるべき
課題だと思っております。
それから、
法人税率の
引き上げと
民間活力という問題について御
意見を交えての御
質問でありました。
今回の
法人税率の
引き上げは、
所得税等の
減税を
実施しながら
財政事情をこれ以上悪化させないという
観点からとられた
措置でございます。これは
税制調査会の
中期答申において、「
法人課税の
負担水準については、既に相応の
水準にあるが、総体としてみた
我が国企業の国際競争力や主要諸
外国における
法人課税の
負担水準からみて、厳しい
財政事情の下で」「若干の
負担の増加を求める余地も残されているのではないか」、こういう
考え方を踏まえまして、若干の
負担増をお願いするということにしたものでございます。御
理解をいただきたいと思います。
それから、
大型間接税の問題でございますが、
総理から
お答えがありました。私
どもといたしましては、
税調等で
指摘されておりますように、税そのものはいつの時代にも検討を絶えず続けていかなければならぬ問題でございます。したがって、私
どもの
勉強と、そして立案と執行というものは、おのずからそこに分けて考えなければならぬ
課題だという認識は十分にしておるつもりであります。
それから、要
調整額の問題でございますが、これは
負担する者も
国民、受益者もまた
国民でございます。最終的には
国民の選択に任すべき問題でございますが、私
どもは、毎
年度の
予算編成過程におきましてそれぞれ慎重に対応すべきものである、したがって要
調整額の処理の中身をあらかじめ定量的でまたリジッドな処理計画を立てるということは、やはり難しい問題だというふうに考えておるところであります。
それから、税務調査における官公署の協力要請の問題でございます。
この規定は、
税務職員が
所得税等の調査上参考となります資料の提供等について、官公署に対して協力を求めることができるとするものでございまして、税務当局は、従来から他の官公署等に対して資料の提供要請等種々協力をお願いしてきております。厳しい
財政状況のもとで
課税の公平が一層求められる現状にかんがみまして、税務行政の円滑な執行に資するためこのような明文の規定を
整備したということでございます。
それから、いわゆる
外国での多国籍
企業等の問題についての御
指摘がございました。
この多国籍
企業の税務調査では、特に海外取引関係に重点を置きまして徹底した調査を
実施しておるところでございます。国税庁では、海外取引調査体制の
整備を図るとともに、
租税条約に基づきます情報交換、また国際
会議の開催等によりまして国際協力の強化に一層努めておるところであります。
それから、クロヨンというお言葉をお使いになっての御
質問でございました。
クロヨンと言われる言葉ほどの
所得捕捉の格差は、現実にあるとは私は思っておりません。しかし、感覚的には私にも
理解できます。過少
申告を行う
納税者がいるという事実、このためにも今後も税務調査の充実に一層努力をしなければならないというふうに考えております。
それから、マル優問題、グリーンカード問題、そして
利子配当等に対する御
質問でございました。「貯蓄奨励のための政策税制としては、
現行の非
課税貯蓄
制度は往時に比べてその意義が薄れてきていると考えられておる」、あるいは「預金、貯金等の種類別を問わず、仮名、借名等による非
課税対象の濫用が少なからず見受けられる」などの問題が
指摘されております。したがって、今後
税制調査会において、非
課税貯蓄のあり方についてもさらに掘り下げた検討が必要であろうというふうに考えておるところであります。
また、グリーンカードの問題、そしてポスト・グリーンカードの問題でございますが、何にいたしましても、「今年夏頃までに結論をうることが望ましい」というふうに今日までも御
指摘を受けているところでありますし、今
税制調査会で鋭意検討を行っていた虎いておるところでありますので、その推移を見守っていかなければならぬというふうに思っております。
それから、
税務職員の問題と機械化の
問題等、
総理から
お答えがございました。御
趣旨を体して、一層の努力を重ねていかなければならないと思います。
そして
最後に、いわゆる地方
税務職員との協力体制という問題についての御
指摘でございますが、今後とも地方団体と十分
協議を行いまして、そして、さきに御案内のような了解事項が出ております、これを着実に
実施するという
考え方で対応してまいりたい、このように考えておるところであります。(
拍手)
〔
国務大臣田川誠一君
登壇、
拍手〕