○
国務大臣(
中曽根康弘君)
二宮議員に
お答えを申し上げます。
広範な問題について御
質問をいただきましたので、順次
お答えを申し上げます。
まず、
選挙の結果に関する御
批判でございますが、やはり
政治倫理に対する
政治姿勢において
国民の
皆様方の御
納得を十分得ることができなかった点を大いに反省しておる次第でございます。
これにつきましては、どういう
方法でこれを直していくかという御
質問でございますが、やはり
政治家自体が自分の良心に従い、
責任を持った
行動をとるということでありまして、私以下閣僚、あるいは
政治家全体がそういう心組みで進むべきではないかと思っておりますし、また、
国会運営等につきましても、
国民の
皆様方の御意思を尊重して、与
野党協調していけるように、
対話と
話し合いで極力進めるように今後謙虚に
努力してまいりたいと思っておるところでございます。しかし、
政策面におきまして、
行政改革やあるいは
外交や、あるいは
選挙のときに訴えました
教育問題等につきましては、私は
国民の皆様に力強く支持していただいていると、このように確信しておるところでございます。
いわゆる
田中問題の
けじめにつきまして御
質問をいただきました。
私は、
選挙の結果に対する深い反省の上に立ちまして、いわゆる
総裁声明を発出いたしまして、自後自粛、それから挙党一致の党内
運営等につきまして
考えを新たにして進むと申し上げたのでございます。さらに、
政治倫理確立等を
中心にして新自由クラブとの間に
政策合意を行いまして、それを実行するということで今実行しつつあるところであり、たとえば閣僚の財産公開等もその一つのあらわれでございますし、また声明に関しましては、その後の
内閣及び党の
運営につきまして編成がえ等を行いまして、私の意のあるところもお示しした次第でございます。
さらに、党内に
総裁直属の
政治倫理問題調査会をつくりまして、具体的に
政治倫理を進める方策を今探求してもらっております。既に党の幹部に対しましては、私から六項目にわたる検討課題をお示ししておりますが、各党各派のお
考え等もよくその検討の中に加えていただきまして、
国会にできました
政治倫理協議会にいろいろお諮りもし、また各党と相談をしてその実を上げるように私からもお願いいたしておるところでございます。
次に、一審有罪議員の辞職の慣行を設けよという御
質問でございますが、この問題は
国会法の改正等々を伴うものでございまして、議会の
運営の基礎に関する問題でございます。したがいまして、両院に設けられた
政治倫理協議会等でしかるべく御協議願いたいと思っております。
企業の
政治献金の問題につきましては、前から申し上げておりますように、企業も労働組合と同じく
社会的存在の一つでございまして、
政治活動の自由も保障されておるわけでございます。したがいまして、
企業献金を最初から悪であると決めてかかることはどうかと思っております。ただ、
政治資金についてはできるだけ公明正大にこれが扱われるべきであり、それらの問題につきましては、
自民党はもとより、各党とのいろいろな御相談の上で
改革すべきものは
改革すべきであると、このように
考えております。
定数の問題につきましては、これも議会
政治運用上の基礎的な重大問題でございます。これらにつきましても、
衆参両院の定数を含めまして各党の合意が形成されるように、わが党の内部におきましてもこれを督促しておるところでございます。できるだけ早く法案の提出ができるように私たちの方も督促いたしたいと思っております。
教育改革につきましては、思いつきや政略でやっているのではございません。私は、一年前の昨年の通常
国会におきましても、
行革が軌道に乗った暁には、次には
教育改革に取りかかりたいということも
国会で申し上げておるのでございます。
行政改革も、相当数の法案も成立し、また今
国会におきましても約二十三の
行政改革の法案を提出する予定でございまして、軌道に乗っておると思いますので、いよいよ
教育改革の順番が来たと
考えて、
選挙を通じて
国民にもお訴え申し上げた次第でございます。
教育改革の目的とするところは、これは二十一
世紀を目指した新しい
時代に十分
対応できる
国際国家日本にふさわしい
日本人を形成していただく、そういう
考えに立ちましてお願いをしておるところでございます。
さらに、
パイロットスクールや、あるいは五歳児
入学の問題あるいは入試
制度の
改革等の問題について極めて示唆に富む御指摘をいただきましたが、これらにつきましては、いずれできまする適当な機関において十分御
審議願うべき問題であり、これらの御提言は極めて含蓄のある御提言であると
考えております。
大学入試につきまして多様性を持たせろというお
考え、今のような単線進行型というものでなくして、平素の業績であるとかさまざまな要素を入れよと、そういうような御指摘は、私はまことに当を得た御指摘であると思って、私も同感なのでございます。
入学試験というような問題あるいは
教育問題等につきましては、今弾力性、あるいは多様性、あるいは国際性、あるいは生涯
教育等を通ずる
社会性、こういうことが要請されていると思っております。その中の一つの多様性、弾力性として今のようなお示しの点も
国民世論になっているのではないかと思いまして、十分検討していただきたいと思っておる次第でございます。
そうして、入試等につきまして
公的資格制度を活用せよ、学歴だけにとらわれるなというお示しも、本人の実力が
社会で正しく評価されるようになることが大切でありまして、必ずしも学校を出たということだけが
資格要件であるという必要はない。それも一つの要件ではあり得ますけれども、それだけではない、ほかの場合もあり得る、そういうような弾力性を持たせることが適当であると
考え、これらもしかるべき機関において検討していただくべき問題であると思っております。
次に、
財政政策と
増税問題等について御
質問がございましたが、赤字公債をできるだけ減らそうという
考えに立ちまして、歳出歳入構造全般を点検いたしました厳しい
予算を組まざるを得なかったのでございます。
政府といたしましては、今回編成いたしました
予算は現時点におきましては最善のものと
考えまして、これを修正する
考えはございません。我々は、できるだけ現在の行政あるいは
財政の状態を簡素効率的なものにやりかえて、そして将来に向かって弾力性のある
財政構造に至急切りかえなければ、二十一
世紀に向かって
日本は有効な施策を行い得ない。それからさらに、
年金や
医療等につきましても、今
年金あるいは掛金を
負担している青年たちが我々の年になっても、安心してよりよき
医療その他を受けられるようにしてあげるという世代間の公平を維持していく、これらの
制度を長期的に安定させていくという
責任を持っておるわけでございます。そういう観点に立ちまして、今日我々は自分たち自体に対しても厳しい措置をある
程度とらざるを得ぬ事態に来ておる。そういう認識に立ちまして
改革を行ったのでございまして、御了承をいただきたいと思う次第でございます。
特例公債の借りかえの問題でございますが、現在の厳しい
財政事情のもとにおきましては、急激な変動を
経済界に与えないようにする必要がある。そして漸進的にこれらは
改革を行うべきものである。
経済や
財政問題について非常に大事なことは、急激な変動を与えてはいけないということなのでございます。そういう意味からも、この借りかえ問題につきまして踏み切らざるを得なくなったのでございまして、まことに遺憾ではございますが、事情を御了承いただきたいと思っておるわけでございます。我々としては、六十五年度までに特例公債依存体質から脱却するという
努力目標を掲げまして、今後とも最大限
努力していく
考え方でございます。
次に、
福祉や文教
政策、
公共料金の問題について御
質問をいただきましたが、今申し上げましたような
財政構想によりまして厳しい措置をとらざるを得ないという反面に、このような措置をやらざるを得なかったのでございます。
政府としては、一般歳出を前年度から三百三十八億円も減額しておるわけでございます。そして
国民生活に関係の深い
福祉や文教、あるいは
高齢化社会の進展に
対応する
各種の施策につきましては、できるだけ慎重な配慮を行うように
努力してきたところでございますが、この
程度までは我慢していただかざるを得ないというような
程度までは今回はある
程度行わざるを得なかったのでございます。
例えば、育英
制度等につきましても、一部の人には利子をお願いする、しかし、それだけ育英の適用する人の範囲を広げる、そういうような措置も実は行って、できるだけ公平と、それから
制度の趣旨を維持していくという
考えに立って行ったところでございます。
公共料金につきましては、独立採算制ということが基本でございまして、
受益者負担の
原則というものもわきまえていかなければなりませんが、物価や
国民生活に対する
影響等も十分
考えまして厳正に取り扱ったところです。これらの
公共料金の
値上げがどの
程度物価に
影響するかという点は、試算によりますれば大体〇・三%
程度であると
考えております。
年金の統合につきましては、
行政改革の一環といたしまして、臨時行政調査会の指針に基づきまして営々と
努力してまいりました。秋の臨時
国会におきましては、公社の
年金、それと
国家公務員の
年金、この統合を行ったところです。今度の特別
国会におきまして、
国民年金、厚生
年金、それから船員保険の統合を、
公明党がかねて御主張なさった基礎
年金という構想を入れましてこの統合を行わんとして法案の御
審議を願うことになっております。そして、最終的には七十年におきましてすべての
年金を統合しよう、そういう方向を
確立いたしまして鋭意
努力しておるというところなのでございます。
防衛費につきましては、
GNPの一%以内にとどめるように
努力をいたしました。その
努力と、それから
防衛計画大綱の水準にできるだけ早く到達するという
政府のかねての言明を両立させ、かつ、ほかの経費とのバランス等も
考えまして六・五五%という増加率を認めたわけであります。この中には、特に自衛隊員の練度の低下ということが憂うべき状態にありました。例えば戦闘機等の搭乗員の搭乗時間あるいは艦船の外洋訓練の時間等が、ほかの経費の圧迫を受けまして減ってきておったのであります。
アメリカやNATOあるいはそのほかの国と比較しますと、非常にこれが落ちてまいっておりました。燃料の使用等もそうでございます。しかし、最近は石油の値段の低下等もありまして、それに加えて若干これらの練度を向上させるように留意した経費を配当した次第なのでございます。
経済成長につきましては、中期展望におきまして、四%を維持する、四%
程度ということで、大体四%台を頭に置いて八カ年の展望指針を先般来つくったところで、その線を実現すべく、ことしは四・一%という目標をつくった次第でございます。赤字公債に頼る膨張
政策は不適切であると
政府は
考えております。
日米農林水産物問題等につきましては、かねて申し上げますように、できることとできないことがある。特に農業という問題は、私の申し上げますような生命産業であり、普通の加工工業関係の仕事とは違う。また、農村というものには
社会性というものもある。そういう点も
考え、かつ食糧の自給度の向上、長期的安定も考慮しつつ、対外関係の調整もまた次に
考えながらこの問題は解決してまいりたいと思います。あくまで
日本の農業を守るという基本的
立場に立ちながら、妥当と思われるお互いの
話し合いの合意をつくっていきたいと
考えておるところでございます。
関税率の
引き下げ問題につきましては、昨年十月の総合
経済対策を踏まえまして、
昭和五十九年度の措置を決定いたしました。農林水産物に関する米国の
追加要望品目の関税
引き下げ等々は、
昭和六十年度の検討課題であります。
日本の農業につきましてまた御
質問がございましたが、先ほど申し上げましたように、食糧の安定供給と
安全保障の確保という要請等も踏まえ、国内の生産性の向上、産業としての
自立性を確保していく、そういう点で今後とも
努力してまいります。
金融及び資本の
自由化の点につきましては、我が国の特性を踏まえつつ、主体的かつ積極的に取り組んでまいるつもりであります。資本並びに金融の
自由化につきましては、大蔵省に対しまして私から、中長期のプログラムを示しなさい、断片的にものをやってはいけない、そういう意味において中長期のプログラミングを示すようにと課題を出しておりまして、これらの提出をまちまして具体的に検討してまいりたいと思っております。
減税につきましては、今回は一兆千八百億円というかなり大規模のものを行い、かつ税率構造の
是正も含む本格的
減税に入ったわけでございます。現在、
予算におきましては約二五%の公債発行依存に頼らざるを得ぬという状態でございまして、今回の
減税規模はぎりぎり精いっぱいの
努力であるというふうに御理解願いたいと思います。
公共投資につきましては、
財政がこのような事情でございますから、
公共投資による景気の振興という面は制約を受けざるを得ないのは残念でございます。しかし、民間資金の活用や財投資金等々あらゆる面を動員いたしまして、五十八年度を上回る実質的工事量を確保しておるつもりでございます。なお、地方単独
事業につきましても、住民
生活の基盤となる
社会資本の整備を重点的に行えるように、地方公共団体に対して要請しておるところでございます。なお、
事業の配分に当たりましては、用地の手当て済みの
事業、
事業効果の高いものに重点を置く。それからさらに地方の中小の建設業者等の
立場も十分
考えた
政策を行うように、従来に引き続きまして
努力してまいりたいと思っております。
投資
減税につきましては、今回は厳しい
財政の中ではございましたが、投資
促進税制を実現いたしました。代替エネルギー関係、それからハイテク関係、それからテクノポリス関係、この
三つにつきまして投資
減税を織り込んだわけでございまして、
総額においてたしか一千億円以上になると推定をいたしております。
減税財源につきましては、
退職給与引当金あるいは
有価証券取引税等についての御指摘がございましたが、現在我々が検討したところでは、今回の
予算でこれらを盛り込むことは適当でないという
考えに立って行わなかったところでございます。
有価証券取引税等については、既に過去十年間で株券の税率は大体三倍以上に
引き上げられておる次第でございます。
防衛費につきましては、先ほど申し上げましたように必要最小限の
防衛目的達成のための経費を計上いたしております。
電電公社や
専売公社の市町村
納付金の
あり方につきましては、
納付金の性格等を考慮しつつ、引き続き検討すべき課題であります。
それから、新規住宅
政策につきましては、住宅金融公庫の無抽せん
制度の維持、貸付限度額の
引き上げ、民間
活力を活用した再
開発の
促進、あるいは親子間の住宅取得資金の贈与の特例、これらの措置を新しく講じまして、全体として緩やかではあるが増加をさせるように
努力をしております。
なお、
土地区画整理事業の保留予定地等につきまして、
担保力を持たないためこれを補完するための実効的な措置につきましては、関係方面をして検討させたいと思っております。
社会保障の問題でございますが、この点は先ほど申し上げましたように、世代間の公平及び長期的安定を
考えまして、厳しい
財政の中で必要な措置をとったところでございます。これらの点につきましては、幅広く御意見を拝聴しながら
改革に取り組んでまいるべきであると思い、与
野党の御意見も関係
委員会等を通じて十分承り、論議を尽くしてまいりたいと思っております。
婦人差別撤廃条約は、六十年に批准する目標で諸般の整備を行っております。
雇用平等の問題につきましても、労働省を
中心に今鋭意関係各省と詰めを行っております。その上は、
審議会の結論を得た上で、できるだけ早期に
国会に提出したいと思っております。
パート労働法の問題でございますが、当面は雇用の整備あるいは環境の整備を図る必要があり、職業相談あるいは職業訓練の充実等の条件をできるだけ改善していきたいと
考えております。このために、労働条件の明示の徹底、職業紹介体制の充実、相談、指導の充実等について積極的に
努力してまいりたいと思います。
行政機構の問題でございますが、中央省庁の
改革につきましては、今
国会十省庁の内部改編を実行いたしたいと思っております。
臨調以上の仕事をやれというお示してございますが、
さきに成立を見ました総務庁の設置は、これは
臨調以上の仕事でありました。
また、お示しの
人員削減あるいは
補助金等の問題につきましても、鋭意
努力してまいりたいと思っておるところでございます。公務員の定員は六次にわたる
定員削減計画を十七年間にやっておりまして、ネットで一万六千人減らしておるという現状でございます。今後につきましてもさらに積極的にこれは取り組んでまいりたいと思っております。今回は三千九百五十三人のネットの減員を行った次第でございます。
予算補助か
法律補助かの問題でございますが、
法律補助にいたしますと弾力性を失いまして、これをやめるとか変更するという場合に非常に硬直性が出てくるわけでございます。やはり
予算補助という性格は奨励的な指導的な要素が込められているわけでございまして、必ずしも
法律補助がいいというわけではございません。そういう意味におきまして、その補助の内容をよく点検いたしまして、一つ一つ点検の上これは決定すべきであると思っております。
次に、平和の維持の問題でございます。
私は前から、遺憾ながら
世界の平和は抑止力と
均衡によって維持されていると申し上げました。我々の目標が
世界平和の維持にあることはもちろんのことでございます。
日本のように貿易で生きていく国にとりましては、平和の確保は死活的重要性を持っておる
国家存立の基礎条件であると思っております。それを実行するために、総合的
安全保障対策や
外交政策等あらゆる手段を使いまして総合的にやりたいと思っておりますが、
安全保障上の問題から見ますと、やはり抑止力と
均衡、これによって
戦争は起こらない、大戦が起こらないということが担保されているのが実情であると思います。やはりこの冷厳な現実の上に立ちながら、現実的な実効性のある仕組みをつくりながら平和を維持していくというのが実際的な
立場であり、そのような態度をとっておるわけでございます。
核軍縮決議につきましては、昨年の
国連総会で核実験全面
禁止、
米ソ間の
核軍縮交渉等、五本の
核軍縮決議を共同
提案いたしました。今後も積極的に
対応いたします。昨年の
核軍縮決議案は合計二十九本当ておりますが、我が国は
賛成十一、反対七、棄権十一という実績でございます。
トマホーク、ニュージャージー等を通ずる核の
持ち込み等の御
質問がございましたが、非核三
原則一を厳然と守ってまいるつもりであります。
軍縮
交渉と日
ソ関係でございますが、INFやSTARTは、ソ連側の事情によって一方的に中断あるいは無期休会となっていることは甚だ遺憾でございます。しかし、日
ソ関係につきましても、ここで申し上げましたように領土問題を解決するということが基本であります。しかし、その上に我々といたしましてはできるだけ
対話の窓口、糸口を広げて、お互いが現状を打開するために誠意を持って相話し合うべきものである、そのように心がくべきものであると、そのように
考えておる次第です。
三月には日ソの事務レベルの協議が行われます。
グロムイコ外相の訪日が懸案でございますが、一日も早く実現されるように期待をしております。目下のところ第三国で日ソ外相会談を行う
考えはございません。
米国のユネスコ撤退は甚だ残念でございました。
日本は関係国とも相談をして、撤退しないように米国にも随分
話し合いをやったところでございます。しかし、ユネスコの内部におきましても、
政治性が過剰であるとか、あるいは
予算の使い方がむだが多いとか、
批判さるべき点は確かに最近出てきておるのでございます。したがって、ユネスコ自体も
改革をする必要もあり、内部的に我々はそのような
努力も行い、それと相応じて
アメリカができるだけ早期に復帰するように今後とも
努力してまいりたいと思っております。
海外
経済協力につきましては、新中期目標のもとで今後とも
努力してまいりますが、五十九年度
予算においては九・七%増と特段の配慮をいたした次第であります。
防衛費を
突出と、こう言われますが、一番
突出しているのは九・七%の海外
経済協力なのであります。
朝鮮半島の問題につきましては、第一義的には南北の両当事者が話し合って解決すべき問題であります。北朝鮮の
提案につきましては関係各国の動向を注目しておるところでございます。
いずれにせよ、本日は、朝鮮半島の平和及び安定維持に重大な関心を持っておるところでございます。できるだけ北と南が話し合って緊張を緩和させ、融和していくことが望ましいと思っておりますが、仮に関係国が
話し合いをするという場合には、
アメリカが
提案したように、休戦会談の当事国である国、すなわち北と南及び中国及び
アメリカ、これが話し合うのがまず妥当ではないかと
考えております。関係国をふやすということは、一面においては問題を複雑化する危険性がありますが、話ができれば安定性をより持たせるという
効果もございます。そういう面もございますが、
日本としては重大な関心を持ちつつも、
日本の憲法あるいは個別的自衛権の
国家であるという、そういう
考え等も十分わきまえて慎重に
対応すべきであると
考えます。
外国人の登録問題は、これは列国が慣行として行い、あるいは
法律をもって行っているところでありまして、差別とは別の性格の問題であります。
外国人登録法は一年余り前の
国会において改正がなされまして、指紋の押捺とか
登録証の常時携帯というようなことは、これはそのときも十分
審議が行われましたが、これは各国が大体行っておるところであります。指紋の採取を全面的または部分的に採用している国は、米国、韓国を初めとする三十三カ国が実行しており、また常時携帯はほとんどの国においてこれを実施させておるところであります。
防衛費の
GNP一%の枠は、これは五十一年の閣議決定でございますが、現在のところ変える必要はありません。
米国国防省報告による
シーレーン防衛の問題は、これはもちろん
日本が自主的に決むべき問題であります。
国防報告を読んでみますと、
アメリカが期待しているということであって、
日本に対してこれを強制するとか、あるいは
日本が早急にこれを実行するように督促しているというような性格のものではございません。あくまで
日本の
防衛の一環として
日本が独自に決めていくべき問題であると思います。
将来必要な
防衛費の問題につきましては、もちろん自主的判断のもとに、
防衛計画の大綱に定める
防衛力の水準にできるだけ早く到達できない。しかし、一面においては我々は、憲法及び
財政状況、他の経費とのバランス等も十分
考えてやらなければならないと思っております。
防衛計画の大綱の見直しということは
考えてはおりません。(
拍手)
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