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1984-07-31 第101回国会 参議院 文教委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月三十一日(火曜日)    午後零時四十三分開会     —————————————    委員異動  七月二十七日     辞任         補欠選任      粕谷 照美君     矢田部 理君  七月三十日     辞任         補欠選任      矢田部 理君     粕谷 照美君      中西 珠子君     峯山 昭範君      高木健太郎君     高桑 栄松君  七月三十一日     辞任         補欠選任      粕谷 照美君     矢田部 理君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長谷川 信君     理 事                 杉山 令肇君                 田沢 智治君                 久保  亘君                 吉川 春子君     委 員                 大島 友治君                 藏内 修治君                 山東 昭子君                 世耕 政隆君                 仲川 幸男君                 柳川 覺治君                 中村  哲君                 安永 英雄君                 高桑 栄松君                 小西 博行君                 美濃部亮吉君        発  議  者  久保  亘君    委員以外の議員        発  議  者  粕谷 照美君    国務大臣        文 部 大 臣  森  喜朗君    政府委員        文部大臣官房長  西崎 清久君        文部省学術国際        局長       大崎  仁君    事務局側        常任委員会専門        員        佐々木定典君    説明員        法務省刑事局刑        事課長      北島 敬介君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (国立大学における機器購入をめぐる不祥事件  に関する件) ○学校教育法及び教育職員免許法の一部を改正す  る法律案久保亘君外二名発議) ○女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保  に関する法律の一部を改正する法律案粕谷照  美君外一名発議)     —————————————
  2. 長谷川信

    委員長長谷川信君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、粕谷照美君が委員辞任され、その補欠として矢田部理君が選任されました。
  3. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 次に、教育文化及び学術に関する調査のうち、国立大学における機器購入をめぐる不祥事件に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 安永英雄

    安永英雄君 本委員会におきましては、十七日の日、二十六日に私も多少質問をしたわけでありますけれども、この二つの文部省汚職をめぐっての質疑あるいは答弁の中で、不明確な点が非常に多いんで、さらに私の方から質問をしたいと思います。  何といっても、私はこの前、いわゆる事件そのもの追及という、捜査というものは、捜査当局がこれは当然やるだろうと思いますが、私は、主として、短い時間ではあったけれども、いわゆる文部省自身責任所在責任とり方というものこそ急がなければならぬのではないかということを強調をしたわけです。これはこの前も随分話しましたので、私の意見はここで余り述べませんけれども、何といっても、私は大臣の、その当時の決意を聞きましたけれども、遺憾であるとか、残念であるというふうな繰り返しですし、それから、私はちょっと耳をはじいたのは、あの段階、私はあれを構造汚職というものなんだということを指摘をしたんでありますが、部下をかばうのかどうかしりませんけれども、どうしても売り込み側の商社といいますか、そういったものが、とにかく、いかぬのだということを私の質問の中でも答弁をされました。私は今度の事件というのは、ただ単に個人の、ふと魔が差したというふうなことではないんであって、あくまでも文部省中枢部を舞台にして、そして巧妙に仕組まれた私は犯罪だと思う。そしてまた、大臣答弁を聞いていますと、処分の問題も、当面の臨教審審議もあることだし、あるいはまた目の前に控えておる予算概算要求の時期でもあるし、責任とり方そのものについては、そういった時期でもあるんでという言葉も少し出てきたわけでありまして、どうしても、私は、文部大臣の、この一連不祥事件というものについての受け取り方、特に責任とり方、こういったものについての所見をもう一回明確に承りたいというふうに思います。
  5. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 先に私からちょっと申し上げたいと思いますが、ただいま安永先生指摘のとおり、本件に関しましては、それぞれ逮捕されておる三人の個人の問題でありますと同時に、私ども文部省予算にかかわる組織、あるいは、その意思決定プロセスの問題であるという点の受けとめ方を私どもはしておるわけでございます。  具体的なその責任の問題につきましての私どもの現時点での考え方は、例えば、大阪大学における中曽根経理部長、私どもにおける鳥野見あるいは田中、それぞれの個人の問題といたしましては、捜査進展に合わせまして、個人と私どもが接触できる段階におきまして、それぞれの個人から私ども事情聴取をいたしたいというふうに考えております。捜査における刑事的な責任追及の問題とは別個に、行政的な問題として三人にかかわる私ども処分の問題は検討してまいらねばならないと、こういうふうに考えております。  それから、第二の問題といたしまして、先生指摘組織の問題という点に関しましては、例えば、大阪大学におきまして機器購入に関する意思決定プロセスで、中曽根以外の、例えばそれぞれの上司であるとか、あるいは機器購入にかかわる意思決定に携わった予算関係職員のかかわり方とか、そういう点についての事実の究明をいたさねばならないと思っておりますし、私ども本省関係におきましても、それぞれ二人の行動に関連いたしまして、私ども組織にそれぞれかかわる意思決定のそれぞれの職務、権限にかかわる責任と申しますか、そういうふうなものもただしていか なければならないというふうに考えておるわけでございます。  ただ、事実関係につきましての、三人の拘束という現状におきまして、全体の取り回しがなかなか難しいという現状でございまして、決して、私どもは、それらの責任問題をなおざりにしているわけではないということを御承知いただきたいと思う次第でございます。
  6. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 先般の委員会で、先生質問に対しまして、幾つか私なり、に個人的な考え方も述べたわけでありまして、それにつきまして先生から若干誤解をちょうだいをしておるような点もございまして、適切な言葉でなかったということであるとするならばおわびを申し上げる次第でございますが、例えば、そういう商業活動商行為がむしろ憎むべきであるということを私は申し上げたのには、一般的なことではなくて、前提をその際も申し上げたと、留保予算とか、そうした大学研究というものを、できるだけ自由にやっていただきたい、後から予算をこうして執行するというやり方も、他の省庁とは若干違った面もあるというのも、大学自主性学術研究というものは、これはいろんな形で変化をしていくものであろう、そういう学問、研究というのは、できるだけ支障なく遂行ができるように、そういうことを文部省としてもバックアップしてあげなきゃならぬだろうという、そういう制度としていい悪いという問題はこれから検討しなきゃなりませんが、そういうような制度として残されていた、そのことについて、そこにつけ入るすきがもしあったとするならば、そういう商行為といいましょうか、そうしたことについて私は憎まなきゃならぬというふうに申し上げたわけでございまして、決して、逮捕された人たちに対して一私は一般的にただかわいそうだというふうに申し上げたのではないというふうに、ぜひ御理解をしていただきたいと思います。  なおまた、今極めて大事な時期だというふうに申し上げたのは、責任体制というものは明らかにしないということではなくて、予算概算要求を目前にし、あるいは教育改革という大事なことを、今、国会で御論議をいただいておる、こういう大事な時期でありますから、文部省として十二分に謙虚に、そして、また、どちらかと言えば、今、文部省の全職員は非常に意気消沈をしているということは、これは事実でございますから、そういう気持ちで、教育を大事に行政の中で進めていくという基本的な考え方を持つために、しっかりやってほしいということを私は全省員に対して指導をいたしておるところでございます。しかしながら、責任をとるとかとらないという問題は、これまた別個の問題でございまして、私自身は、この問題は極めて重要な問題であるというふうに考えておりますだけに、まだ捜査段階が進めておりますところに、文部省としての解明は、やはり捜査の方を主に置かなきゃならぬ、これは先生も御指摘されたとおりでございますから、事実解明を、文部省自体としては、作業としては若干おくれている面もございますが、そうした事態の進展というものも見きわめつつ、なおかつ、また文部省といたしましても、事の重大性というものを十分に認識をしながら、責任は私以下全職員にあるわけでございまして、とりわけ指導的立場にある私どもにとりましては、その責任は、本人等も含めまして十分に考えていかなければならぬというふうに申し上げたところでございまして、今もってその気持ちは全く私ども忘れているわけではございません。むしろ、今まで以上にそのことについては十分反省をいたしておるところでございます。
  7. 安永英雄

    安永英雄君 私が言っておるのは、いわゆる責任所在を明らかにするという、そのことは早くやった方がいいということを私は言っておるのでありまして、この点はちょっと取り違えておられるんじゃないかというふうな感じがするわけでありまして、予算の問題にしろ臨教審審議にしろ、私は、この審議を今やっておるわけですが、大臣、向こうに走ったりこっちに来られたりしていますけれども、私は、この委員会でこの問題を解決せずして内閣委員会に行って、一体、何を大臣言うんだろうかという気がするわけです。そのことを私は前から言っておるわけで、遺憾であります、これは甚だ済まぬことでございますというそのことだけ、あるいは、今おっしゃった、責任感じています、解明努力をしていますと言うだけでは——現在、教育界全般に私は構造的なものが確かにあると思うんです。この前も、私は、詳しくは申しませんでしたけれども、去年、ことしと二カ年だけで新聞にぎわせるような事件が二十八件あるんですよ。そのうちでもまだ解決していない問題が残っておる、それはもう御存じのとおりであります。九州産業大学の問題にしたってあるいは国士館の問題にしたって、医科歯科大学の問題にしたって、多いんですよ。あるいはまた、これは大学だけに限らず、教員に対するリベートあるいはプレゼント、こういった問題も非常に問題にされておるし、校長になろう、教頭になろう、管理職になるときに、それぞれのところに金を贈って、これが問題になったこともたくさんあるわけです。あるいは大学教授のポストをめぐって金が乱れ飛ぶという、こういう贈収賄関係事件もたくさんある。もう数え切れないですよ。教科書採択をめぐっての図書会社売り込み、これに対する収賄、贈賄、もうほとんどこれは成立するようなことがたくさんある。この教育界金権主義、こういったものが入ってきている。その頂点に文部省のこの事件が起こった。こういったことは、これは文部行政をやっていく上にまずやらなきゃならぬ問題だと思うし、臨教審の  私は、この次質問さしていただきますけれども、これは総理にしたって大臣にしたって、二十一世紀を目指してどういうことをやるんだと幾ら聞きましても、おっしゃらないけれども、その中で明確になっているのは、やっぱり随所随所道徳教育、こういったものをとにかく尊重するというのが随分出てきている。確かに臨教審の方は文部省が主体になって大臣努力されておるようですけれども、この問題は、あるいは次の予算の獲得のためにも、文部省としては、こういう問題については責任をはっきりとったんだというやっぱり姿というものがないと、内閣委員会には大臣行けぬのじゃないか。だれが行くか知りませんけれども大蔵折衝なんというのに行ったら、これはずたずたですよ。私学その他の問題もたくさん残っておる。産業大学問題あたりも、随分、私もしつこく聞きましたけれども、昨年の、ばっさり私学補助金がやられた一つの大きな原因といいますか、直接の原因じゃないでしょうけれども、これあたりになっていることは事実ですよ。シーリングの何のという問題もさることながら、そういった問題をやっぱり解決しないと、例えば、私学の振興については頑張ると、こうおっしゃるけれども私学に起こったこういった一連問題等、未解決の問題はきちっと片づける、今度の文部省の中に起こったこの問題については、後で一々質問してまいりますけれども、やっぱり責任というものを明確に私はしてかかるべきだと、これが私の意見だし、この前も大臣に申し上げましたように、それじゃだれそれを、どういう係の者をどうする、そして何日までにということは私は申しませんけれども、この問題はやっぱり早急に、この捜査とは別に、文部省責任とり方をはっきりしなければならない、こう思います。  後で質問しますけれども文部省内に設けられておりますこの対策委員会等もやっぱり小手先じゃないかという感じがするんですよ。予算のときから起こったんじゃなかろうか、配分のときに起こったんじゃなかろうか、人事配置で起こったんじゃなかろうか、こういう分け方の範囲の中で責任問題は生まれてきませんよ。これは大臣のやっぱり決意が必要だと思います。  これは大臣どうですか、明年度予算、早速、目の前ですが、概算要求の取りまとめがもう大詰めを迎えておりますけれども、こういった点で国立大学関係とか、あるいは私学文教予算全般に影響することはないですか。
  8. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 概算要求の基準につきましては、きょうの閣議で財政当局から政府全体の考え方として示されたわけでございます。私どもは、その中にありまして、文教行政がスムーズに展開ができるように、これから最大の努力をしていかなければならぬ。私もけさほど記者会見でもそのように申し上げておるところでございます。  今、先生がいろいろと御指摘をいただきましたが、そうした不祥事の事柄が予算概算要求、あるいは年末におきます予算編成ということに支障がないかという御指摘でございますが、私どもといたしましては、今、検討委員会で、三つの部会で、いろんな角度から対応策、あるいはまた今日これまでの反省点を、どういうふうに、どこに問題があったかということについて今チェックをいたしておるところでございます。こうした新たなる委員会の新しい考え方も示し、その中で、こうしたことが二度と起きないような、そうした対策も十分講じて、そして、今、先生からも重々とおしかりもいただきましたけれども責任体制も明らかにし、そうしたこともきちっといたしまして予算編成に取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。  支障がないかどうかということについての御心配は、心配として私どもも十分踏まえながら、なお文教行政支障のないように最大限の努力をする、こう申し上げておきたいと思います。
  9. 安永英雄

    安永英雄君 これは先ほど官房長からもお話がありましたけれども報道によれば、フクダ電子、これが阪大医療機械会社、これで大阪の繁華街飲みに歩いたということが出ていますが、その際、中曽根はもちろんでございますけれども阪大医学部教官から事務職員、こういうのが一緒に飲み歩いている、私はこれが一番問題になるわけで、知らぬという言葉は悪いかもしれませんが、中曽根という問題に焦点を当てて、その周りにおる者については、今までの経験からいったら全然触れない。捜査当局も触れないので、結局は、これは、私は文部省調査をしなければならぬ。今さっきもそれらしいことをおっしゃったんですが、今日まで、これらの付随した人間は、明確に出てきている以外のところで今度の事件で出てきているのがありますか。
  10. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 大阪大学の御指摘の点につきましては、実は中曽根経理部長が逮捕されました以後、いろいろな形で報道がなされ、私ども大阪大学の内部におけるいろいろな問題について精査をする必要があるということで、六月二十七日に人事課調査官ら五名を大阪大学に派遣したわけでございます。派遣をいたしまして、大阪大学で、そのような問題について、やはり学内自助努力といたしまして教官中心とした綱紀委員会をつくる必要があると。今、先生が御指摘のようなことも含めて、学内でみずから調査をすべきであるという勧告をいたしました。そこで、理学部長中心といたしまして人事綱紀に関する委員会が発足いたしまして、各学部における教官を含めてのもろもろの行動その他についても服務の観点から調査検討をしようというふうな申し合わせがなされ、つい最近、医学部自体において、医学部のみの綱紀委員会がまた設けられました。部会という形で設けられておるという形でございます。そのような形で、現在、医学部については特にそのような御指摘も多いということで、医学部のみにかかわる綱紀委員会が、みずからそのような服務に関連し、行動に関連した諸問題について検討を行うという段階に現在あるわけでございます。  まだ、個々具体教官名あるいは事務官名等についての結果は私どもでは承知いたしておりません。
  11. 安永英雄

    安永英雄君 この前、ちょっと質問したんですけれども、五十八年度予算追加配分ワープロ購入した国立大学、これは京都とか東北、筑波あたりが名前出ていましたが、たしか十八校とおっしゃったような気がするんですが、これもオリエンタルマシンから購入をしておるということですが、ここらあたりのこの調査はなさいましたか。
  12. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 先生、御指摘のとおり、前回、私、お答えいたしましたのは、大阪大学以外で追加予算配分にかかわるワープロ購入大学が十八大学と、大阪大学を含めますと十九大学ということでございました。前回、お答えいたしました際は、捜査への御協力という意味もあって、これらの個々大学についての調査具体には差し控えるという形であったわけでございます。しかし、先週末の内閣委員会等における御論議も経まして、私どもも独自に調査を始めることにいたしました。先週末に、各大学に対して、これはまだ電話段階でございますが、公式調査という形で照会中でございます。全体のまだ調査結果がまとまっておりませんが、御指摘の十九大学にかかわるワープロ具体購入オリエンタルにかかわるものとしては現在十大学というふうに承知いたしております。
  13. 安永英雄

    安永英雄君 いや、そこのところの調査で何か出ましたかというんです。
  14. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) この追加予算にかかわる十大学についてオリエンタルマシン社からワープロ等事務機購入しておるという事実が現在判明しておりますが、全体の台数大阪大学を含めまして全体で七十九台というふうな台数、それから金額にいたしまして一億三千六百五十万というふうな金額を全体額として把握いたしております。
  15. 安永英雄

    安永英雄君 時間がありませんからあれですが、疑惑は出なかったかということなんです。  そこで、私は初め質問はちょっとしなかったわけですけれども文部省内に起こった今度の問題に限って質問を多少してみたいと思うんですが、今度の事件原因背景というものは、国立大学における物品購入、この仕組み、手続、いわゆるこの未配分予算あり方と執行の方法、それからノンキャリアと言われる職員の処遇と職務体制、まあ、これはノンキャリアというのはどうかと思いますけれども、確かにあることは事実ですから、私も申し上げておきたいと思うんですが、こういうところに私は背景があると思うんですけれども大臣として、今度のこの文部省内で起こった、しかも大臣官房中枢で起こったこの問題についての背景と、こういったものはどこにあるとお考えですか。
  16. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) その点のところが一番大事なところであろうと思います。  先ほど官房長も申し上げておりますように、今回の事件は、基本的には職員モラルと、公務員としての自覚の欠如ということは、これは指摘ができますし、このことについては、まず基本的に、一番弁解の私はできるところではないと、こういうふうに考えております。ただ契約体制あり方でありますとか、あるいは予算配分の仕組みでございますとか、そういうことも、もう少しチェックお互いにできるような、そういう体制はやはり必要であったということでございますが、今日まではお互いの信頼のきずなの中に文教行政というのは進められてきたわけでございますので、そういったところに、先ほど申し上げたように職員モラルや、あるいは公務員自覚というものが欠如しておったことが、こうした不幸な事件に発展をしたわけでございまして、大変その点については私も残念でしようがないと、こういうふうに申し上げているわけでございます。したがいまして、問題は人事管理の問題でございますが、確かに三年以上同じ場所のところには仕事をしないということが基本的原則になっているわけでございますが、これは先生一番よく御承知だと思いますが、文部省予算というのは大変細かくて非常に複雑でございます。予算のときに、先生建設省のことをちょっと例に挙げられましたけれども建設省のように何百億という金を大まかにぱっぱっと置いていく役所とは違って、本当に細かいところに数十万円なんというようなものもあるわけです。それだけにこの予算は、短期間に、しかも非常に大まかにやれる役所と、非常に細やかなことをしていかなきゃならぬ厚生省やあるいは文部省と同じようなタイムリーの時間の枠の中で処理 をしなきゃならぬ。そういうようなことから考えますと、やはり極めて専門的な能力を持つ人を置かざるを得なかったと。また配置転換についても、毎年決められたときに必ずしも人事異動ができるという、そういう環境にもないわけでありまして、国会との関係もございますし、国会中に人を動かすということも、ある意味では非常に難しい面もございますし、いろんな多面的な要素もあるわけでありまして、そういう中で三年を超えてしまったという経緯もあるようでございますが、こうしたことなどについての基本的な考え方については、私ども幹部全体が、責任として、このことについては十分反省もしなきゃならぬということであろうかというふうに思います。  私といたしましては、キャリアあるいはノンキャリアということについて、大臣立場で、ここでいいか悪いかというようなことを申し上げるということは、大変、私は立場上、端的に申し上げて、御答弁することには非常につろうございます。しかし、そういうキャリアであるとか、キャリアでなくても、それぞれの分野で、それぞれの立場で、能力を遺憾なく発揮してもらえるということなども十分本人の個性あるいは適性、そしてまた仕事のいろんな重要な面、そうしたことなども考えて、今日まで人事を適正にやっておるというふうに私も信じておるわけでございます。その結果がこうしたことになるということについては、またもとの話に戻ってまいりますが、公務員としての自覚が欠如しておった、モラルが欠如しておったということを指摘せざるを得ないわけでございまして、直接キャリア、ノンキャリアというふうな問題がこの問題と関連しておったというふうに私どもは考えてはいないわけでございます。
  17. 安永英雄

    安永英雄君 次に、各大学における物品購入の仕組み、手順、こういったものについてお聞きしますけれども、これは十七日の日に官房長は、この委員会におきまして、業者や機種の選定については選定委員会を設けるなど、一人の意思決定で選ぶのではない、こういうシステムがちゃんと大学ではできているというふうに強調されたように私は聞きました。しかし、それにかかわらずやっぱり起きたんだと、システムはちゃんとあるんだと、全然自由裁量とかなんとかいうふうな余地はないんだと、こういうことを強調されたと私は思います。  しかし、普通競争の入札、指名競争入札、随意契約、このいずれをとりましても、各担当課がこの請求書を経理部に提出をする、経理部が必要性の有無、緩急の度合い等を考えて判断をして購入を決める。金額のかさむOA機器、これはもうほとんど入札制度がとられなきゃならぬ、これが原則じゃないか。そういったところで関係部長が入札に立ち会い、経理部長の一存では決定できない仕組みになっておる。これが阪大の大体形態だと思うんですね、システム、システムと言いますけれども。それでもやっぱりこの阪大中曽根中心にしてこういったことが起こるというのは、大体どこに狂いが来たのか、それをちょっと説明してください。
  18. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 前回、私がお答えいたしました点では、物品購入に関しまして個人の判断ではなく、複数の判断で、例えば検討委員会等を設けて、そこに意思決定における適正なプロセスを持つべきだと、こういうことで、今後の改善の大きな眼目として私どもが認識をしていると、こういうふうに申し上げた記憶がございます。  それからもう一点、その点が大変大事であるということで、私どもは年来指導をしてきたという点も申し上げたと思います。しかし、現状において、それが果たして現実に機能しているかという点では、遺憾ながらいまだしであるというふうにも申し上げたように思うわけでございます。  そういう点で、大阪大学に関して申し上げますれば、ただいま先生指摘のように、ワープロ購入その他における物品購入で複数の者の判断が関与する形での検討委員会プロセスを経ていない、そういう検討委員会が存在していないというふうなケースでございまして、実態の面における遺憾なケースと申し上げざるを得ないわけでございます。そういう点では、大阪大学についてのみならず、今後の各大学における物品購入につきましては、今申し上げましたような複数の者の判断による意思決定プロセスを現実に導入して物品購入の適正な処理をしてまいらねばならない。今後私どもの改善指導の重点として、そこを十分意識してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  19. 安永英雄

    安永英雄君 文部省所管のこの会計経理事務取扱通則、この五条、大臣官房会計課は会計実地監査をしなければならない。物品に関する事項、契約に関する事項は、これは監査の対象になる。国立学校関係についても、この五条で監査できるわけでしょう。これはどうなんです、この監査次第では出てきておった問題じゃないですか、これ。
  20. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 文部省における予算事務処理の会計実地監査は、先生指摘のような条文によりまして、現実に我が省の会計課の職員により毎年実施しておるところでございます。  その実施対象といたしましては、会計検査院の検査というものもございますし、検査院が各大学を単年度で全部カバーするというわけにもまいらないという現状がございまして、私どもとしては、検査院の検査対象の大学となるべくダブらないような形で文部省独自の会計監査を実施する。原則的には春、秋と、ある一定数の大学を選んで実施するというふうな仕組みにいたしております。  そこで、内容としましては、先生指摘のとおり、物品の購入に関する監査ということも行われるわけでございますが、この春、あるいは昨年の秋に監査をいたしました実情の結果といたしましては、ワープロ購入につきましての具体の、今、逮捕者が出ておる事件に関連しての問題というふうな形での認識は、会計監査を実施する者にもなかったわけでございまして、具体にこの点について問題意識を持って監査をいたしていないというふうな現状もあり、この点についての監査結果で、その点で問題が生じたというふうな監査報告書は出ていないという結果でございます。
  21. 安永英雄

    安永英雄君 これは大阪に限らず、監査ということで各大学を対象にしてやった中で何か問題になったことありますか。大阪大学に限らず、監査で指摘ができて、そしてそういった注意をし、指導をしてよくなったというふうな例はありますか、監査に引っかかったのは。
  22. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 私どもで監査を行いまして、その大学における物品購入その他につきまして、特に不正が発見されたというふうな意味での結果が生じた例はございません。
  23. 安永英雄

    安永英雄君 次に、文部省の未配分予算の問題について、これが非常に大きな問題になるわけでございますけれども、この未配分予算というのが非常にくせ者でして、この前、時間がなかったから、簡単に聞いたわけでありますけれども、そのときちらっと言われたのは緊急支出の必要性、そういったことを言われたような気がするんですけれども、一定額を各大学配分せずに手元に留保しておく、とめ置き予算ですな。これでちょっとこの前数的に説明されたんですけれども、国立学校特別会計全体の約三〇%、これが文部省でとめ置かれておるという、こういうことですが、三割を留保しておる理由について少し、具体的に数等があれば、余り昔にさかのぼってこうやるとあれですから、ごく最近の例等も挙げて、三〇%の留保しておる理由、こういったものについて説明願いたい。
  24. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 未配分予算につきましての御指摘でございますが、この点は前回も申し上げたかと思いますけれども、例えば人件費につきましては、退職手当など年度末その他人数が確定してから配分をしなければならないとか、あるいは教育研究計画が進行いたしましてから経費を確定して追加配分をする必要があるものと、いろいろ性格があることは申し上げたわけでございますが、全体の数字から申し上げますと、五十八年度の決算で申しまして、人件費につきましては六千五百八十四億のうちほとんどは当初で配っておりますが、約一五%、千百九十四億を留保いたしております。この一五%と申しますのが先ほど申し上げました退職手当とか年度途中の採用者にかかる人件費、こういう性格のものでございます。それから物件費につきましては、三千七百九十九億というものが当初に配分されまして、配分が、留保いたしますのが千百八十三億、これが約二三%でございます。この物件費の二三%の中身といたしましては、設備費とかあるいは実習船経費とか農場演習林経費とか、もろもろの経費が入っておるというふうに申し上げられるわけでございます。第三のカテゴリーといたしましては、施設費が千八百三十四億あるわけでございますが、これは四半期ごとの実施協議を財政当局といたしまして配分をするというふうな性格で、当初には配分をいたしておりませんで、四半期ごとに追加をしてまいると、こんなふうな内容になっております。
  25. 安永英雄

    安永英雄君 この前も質問したんですけれども、この保留分の支出決裁手続については自由裁量という形から、こういった鳥野見等のこの手続は生まれてきたんではないかという私の質問に対して、官房長は、大学側から第二予算班に申請が来て、係長、第二予算班の主査、副長、課長と、こういう決裁のシステムがあると。だから総括予算班のこの主査、これはむしろ合い議を受ける立場。だから、ずっと上って決裁していく場合には、ちょっと横道にそれて合い議という形をとるような任務を持っている。ここで自由裁量的なことができるというのは私は不思議でたまらない。ここに事件の起きた理由があるんですよ。私はどうも、鳥野見、田中以外に監督責任がこの当時どこにあったのか。決裁ルートの人物、監督責任というよりも、私は、そういったところに、これは疑いなんですけれども事件の直接責任者がおりはしないかということまで考える。このとき、事件が起こったこの当時、そういったポジションにおった人はだれか、これを聞きたい。
  26. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 本件につきましての金銭の授受の時点と、こういう点でとらえますと、五十七年度、五十八年度ということでございます。会計課長といたしましては、國分正明というふうなことで申し上げられようかと思います。
  27. 安永英雄

    安永英雄君 私は、國分という当時の課長というのが事件の直接責任者といいますか、加担しておったんじゃないかという疑いを持っている。そういった点も十分調査をしていただきたい。  それがなかったら、もう一回聞きますけれども、総括予算班の主査は、そういった位置にありながら、あのようなことができるのはなぜか。その点もう少し明確に……。
  28. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 先生お話しの点ではございますが、ただいま具体に名前が出ました前國分会計課長は本件には私どもは全く関係ないというふうに現在判断しておりますし、そう信じておることを申し上げたいと思います。  それから総括予算班主査の職務権限に関してでございますが、文部省設置法施行規則で予算班に係る事務の規定がございまして、総括予算班といたしましては、「第一予算班、第二予算班、第三予算班及び第四予算班において行なう予算に関する事務の総括事務を処理すること。」というふうに書いてございます。したがいまして、総括予算班主査としては、予算に関する事務の総括事務を処理するという権限はございます。先ほど申し上げました関連では、決裁の流れと申しますか、稟議書の流れといたしましては、第二予算班主査から副長、課長と上がってまいりますプロセスで総括予算班主査は合い議を受けるという立場であることを申し上げたわけでございまして、総括事務を処理するというポジションでいろいろな予算に関する事務についての調整をやる立場というのが総括予算班主査にあることは事実でございます。
  29. 安永英雄

    安永英雄君 そこらあたりは内々のことだし、現在おるんだから、課長の名前だけはおっしゃったけれども、先ほど挙げたポジション、ポジションのところの調査をしていただきたい。  時間がありませんから、産学協同の問題について基本的な考え方を少し聞きたいと思っていましたが、時間がありませんから、これはまた機会があると思うので、その際にやります。  ちょっと気がかりな点が起こるんですが、東京工大の問題、これは十六日の私ども質問のときには、官房長胸を張って、私学の問題については、慶應大の問題については、これはなかなか私学には手がつかない、これは正直におっしゃったけれども、少なくとも国立大学については握っているということを言われて数日したところが東京工大の問題が出てきて、これはまた国立大学文部省握ってないんじゃないかというふうなことであったわけですが、これについてはちょっとおくとしまして、時間がありませんから、その事件によって毎日新聞が国立大学調査を、その辺の調査をやっておるのが発表になりました。東京工大の問題は、これは私は文部省指導から全く外れていると思う。しかし、ぎりぎりのところのこの問題ですよ。朝日新聞社の調査によりますと、やはりちょっとひっかかるのは、名古屋、京都、大阪大学、この三つを挙げておるわけですが、ここでは、企業よりの研究費の受け入れ窓口の財団法人、これが関連する大学の教授を非常勤研究員あるいは所員ということにして、大学会計を通さずに教授に直接その財団から金が、研究費が出ているということで、この点はちょっと違うんですね。一応財団という形にして、研究所という形の所員にして、そしてその所員と企業等とで研究のテーマを設定して、その間でこの経費、予算の問題が話し合われて直接行っているということですが、私はこれが非常に多いんじゃないかと思う、全国国立大学。このけじめをつけておかないと、この問題だけ何も毎日新聞が出したから、それで黙っておってはけじめがつきませんよ、これ。  もう時間がありませんから聞きますけれども、ここで兼業の届けを出す、これで一応大学関係とは、外に出るという、この話が決定する。その、しかし、兼業を出した場合でも、その大学の中における自分の担当時間、いわゆる教官としてやらなきゃならぬ時間数、仕事、量、こういったものは確実にして、余裕があれば、これは学長が届けを受理するという形になるから、兼業というのが、これは恐らく出しておると思う、兼業は出している。  それから次に、私はいろいろ調査をしたんだけれども、なかなか出てこないんだけれども大学の施設は使わないという。だから、身柄が外に出ただけで、大学の施設は使わない。それから研究員の身分になっている、研究所の研究員の身分になっている。そこで研究テーマを決めて、研究費はこの法人から直接受け取る、こういうシステムになっている。これが案外多いんじゃないかと思うんだけれども文部省としてはこういう形は認められるものかどうか、認められないとすればどこにひっかかるのか、認められるとすれば、これはいわゆる産学協同等の方針といったものとどこが一致しておるのか、お聞きしたい。
  30. 大崎仁

    政府委員(大崎仁君) ただいま先生の御指摘ございましたように、その問題となりました三大学につきましては、私ども大学及び財団の関係者から一通りの事情を聞いたわけでございますが、その結果といたしましては、ただいまお話がございましたように、法人自身研究を行うということにつきまして、関係教官をいわば財団の非常勤の研究員に委嘱をして、財団自身研究として実施をするという形をとっているものでございます。いずれの大学につきましても、学長の同意を得まして、かつ無報酬で法人の研究事業に従事をしておるということでございますので、形の上では基本的には問題がなかろうというふうに考えておるわけでございますが、ただ、研究の実態といたしまして、それが財団の研究ということで、教官が参画して実施するということが適当な形態なり内容かということにつきましては、さらに実態の把握に努めさしていただきたいと思っているわけでございます。なお、そういう形がいいかどうかという点につきましては、基本的には、これも先生の御指摘をいただきましたように、当然、本務である大学教育研究というものの実施に支 障がないということが第一でございますし、第二といたしましては、協力をする相手先なり、あるいはその研究内容というものが、やはり大学研究者としての協力にふさわしいものでなければならないということは十分確保すべきであろうかと思っております。
  31. 安永英雄

    安永英雄君 最後に、今の局長さんの答弁わかるんですけれども、やっぱりこのままじゃちょっといかぬだろう、そしてその関係大学だけ呼んだだけではちょっといかぬだろう、改めてやっぱりこれは文部省指導をきちっとやらなきゃならぬ問題ですから、ここで私、これ以上どうのこうのとは言いませんけれども、ぜひ実態の調査なり、あるいは後の、この新聞に、ただ毎日からすっぱ抜かれて書かれたというだけにとどめないで、これはまともに受けとめて私はやっていただかぬと、これは困るというふうに思います。  それから、大臣に最後にお聞きしますけれども、それから御意見を承りたいと思うんですけども大学における、この学術研究というのは、真理の探究を目的としておることはもちろんでありますが、学問の全分野にわたる体系的な発展がなけりゃならぬ。自由な発想による独創的な研究が行われなきゃならぬ。そして、一番大事なことは、大学における学術研究というのは人材養成、いわゆる教育面というものが大きく——技術も大事ですけれども、いわゆる人材を養成するという教育面が私は大きな価値を持ってると思うんであります。それが民間とか民間の研究所と違う、毅然とした大学教育の目的ではなかろうかというふうに私は思うんです。だから、産学協同という問題については改めて私はあれすると思いますけれども、少なくとも国立学校における研究費、こういったものは国が必要なだけは持たなきゃならぬという原則に立たなきゃならぬ、これが産学協同の基本だと思うんですよ。この点についての私は大臣のお考えというものを最後に承って、終わりたいと思います。
  32. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 大学におきます学問研究を進めていくという上でのとらえ方は、今、先生が御指摘されたとおりだというふうに思います。ただ、経費が国として十分ではない。そういう中から民間の資金を仰がなければならぬという、そういう考え方で民間の資金を導入するというものではないと思うんです。しかし、現実に研究、学問というものが高まりを見せていくということは、やはり民間の需要というものがなければならない。そういう中に企業が新しいものも求めて、これを模索する、あるいは研究を求めていく、こういうことの民間の高まりというものが、こうした私立大学あるいはまた国立大学学術研究と一緒になって燃えていくということは、私はこれは至当なことだろうというふうに考えておりまして、したがって、学術研究を、国が、基本的に予算面で窮屈であるから、それをこうしたところに求めるということはあってはならないと、あくまでも学問の研究というのは、主体的に大学自体が進めていくということでなければならぬというふうに考えております。  ただ、今いろいろと先生からも御指摘をいただきました点、また、いろいろと新聞等でも指摘された点については、私どもとして十分、基本的な大事なポイントを、ややもするとないがしろにされていくという傾向もないわけではないわけでありまして、今後とも研究事業についてはどのように現実としてなっているのか、また、これからどうあるべきなのかということなども十分に把握する必要がある。そういう意味で、私は早速事務当局に、実態をまずすぐ調査をして把握をしろと、そして、あくまでも研究体制というものを持続さしていく、あるいはさらに燃やしていくという時点の中で、文部省としては十分この経費の面でどのようにあるべきなのかということについても事務当局として十分検討するように、今、指示、指導をいたしておるところでございまして、いろいろと先生から御指摘をいただきました点なども十分に踏まえながら、あるべき研究体制をさらに発展をさせていけるように、その体制をぜひ確立をしていきたいと、このように考えております。
  33. 吉川春子

    ○吉川春子君 今回の阪大に端を発しました文部省の汚職は、大変根が深くて悪質であるということが国会審議を通じて明らかになってまいりました。  それで、オリエンタルマシンからのワープロ購入について、十九大学中十大学であるという、今、官房長のお答えがありましたが、この十大学の名前を明らかにしていただきたいと思います。それから各大学ごとに何台購入したのか。そしてそれが当初配分の分と追加配分の分、それからワープロの割引率ですね、これが何%であったのかお示しいただきたいと思います。
  34. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) ただいま吉川先生指摘の点でございますが、十大学の名前と台数を申し上げますと、弘前大学が三台、岩手大学が四台、東北大学が三台、秋田大学が二台、山形大学が六台、金沢大学が七台、それから大阪大学が四十三台ということは前回申し上げたと思います。それから大阪外国語大学が三台、神戸商船大学が一台、佐賀大学が七台というふうなことで、大阪大学を含めまして合計七十九台であるということでございます。それから、これらの大学は私どもの認識としては、追加予算配分を行ったものというふうな十九大学の押さえの中の大学でございます。  それから最後に、割引率と申しますか、その金額その他につきましては、私ども先週末からの電話照会でいろいろ押さえておりまして、その詳細の個別につきましては、十分まだ把握できていないというのが今日の時点の現状でございます。
  35. 吉川春子

    ○吉川春子君 追加配分ですべて買ったということですか。
  36. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) ただいま申し上げました各大学が、現在、報告を受けております内容では、本省から追加予算配分をしたものによって購入をしておる、こういうふうに聞いております。
  37. 吉川春子

    ○吉川春子君 それで、割引率等が、まだ十分に把握していないということなんですけれども、これを調査が完了した時点で、この委員会に御報告いただきたいと思いますが、いかがですか。
  38. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 割引率、個々購入単価についても電話照会の内容には入れておりますので、それが間に合い次第御報告できるように調整をしたいというふうに思っております。ただ本日はちょっと間に合いかねるわけでございます。
  39. 吉川春子

    ○吉川春子君 じゃ、それはそういうことでお願いをしておきます。  七月十七日の当委員会で、私は鳥野見逮捕について、そんなに多額の予算を全く一人で自由にできるのかという点について御質問し、だれかに相談すべきであったのにしなかったのかという問題について質問しました。その中で官房長は、これは鳥野見一人の犯行であり、ほかへの波及はあり得ないというふうにお答えになったんですけれども、一週間後に文化庁の田中会計課長が逮捕されました。それでさらに逮捕者がふえるのではないかというような見方もあるんですけれども文部大臣お見通しはいかがですか。
  40. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) ただいま先生指摘の点、前回はほかの人が絡んでいる余地はないというふうに答えたのかという先生の御指摘で、私のお答えとしては、先生の御質問の内容は会計課職員鳥野見行動をよく知っていたんではないか、こんな御指摘であったかと思うわけでございますが、前回関係職員が、鳥野見がそういうふうな立場でいろいろやっておったということは全く承知していなかったのではないかというふうに私は信じておる、こういうふうにお答えした経緯がございます。  端的に申しまして、田中会計課長がその後逮捕されたわけでございますが、現時点におきまして、私は、まだ鳥野見主査と田中会計課長二人がどういうふうな関係にあったかということは承知できておりません。この点は二人の間にどのような意思疎通があったのかとか、あるいはどういうリレーションがあったのかということなどもどもの関心事ではございますが、まだなお司直の手による捜査が現在続けられておるということでございまして、この点についてはまだ現時点では承知いたしておりません。  それから、今後、この関係事件がまだ広がるのではないかという大臣への御質問でございますが、私どもとしては、まだこの点について捜査が続行されておるというふうに承知しておるわけではございますが、それがどのような展開になるかということは、まだ現時点では承知していないというのが本日の段階でございます。
  41. 吉川春子

    ○吉川春子君 田中の被疑事実は九大、佐賀大など六、七校に事務機器納入に関する上で有利に取り計らったということですが、五十七年十一月と五十八年二月の二回、会計課内で七十五万円受け取ったというものですが、田中が五十六年四月から総括予算主査になっているわけですが、五十六、五十七、五十八年度の予算執行において、オリエンタルマシン社大学がどの程度関与してきたかという点について明らかにしていただきたいんです。
  42. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) ただいまの御指摘は、田中文化庁会計課長が総括予算班主査時代にオリエンタルマシン社とどのようにかかわっていたかという御指摘かと思うわけでございますが、私どもは、まだ田中文化庁会計課長がオリエンタルマシン社とどの時点でリレーションを生じ、そして具体的にオリエンタルマシン社のためにどのような行動をしたかという詳細をつかみかねているということでございまして、この点は司直の手による捜査が今行われていると思います。私どもが本人と接触できる段階が参りましたならば、本人からも事情聴取をいたさねばならないという点かと存じます。本月の段階では、まだ承知していないことを申し上げざるを得ないわけでございます。
  43. 吉川春子

    ○吉川春子君 それでは、その点については明らかになった時点でお答えいただくということで、ちょっと不十分で中途半端ですけれども、次の質問に進みます。  法務省お見えになっていただいていると思いますが、オリエンタルマシン社と関与した大学は九十王国立大学中の三分の一の大学に上っていると報道されておりますが、その点が事実であるのかどうかという点と、それから捜査は今までどの程度行われてきているのか、そして各大学事情聴取などはどの程度まで進んでいるのか、六月の末に佐賀大学関係者の事情聴取を行ったということは私どもつかんでおりますけれども、わかる範囲でお答えいただきたいと思います。
  44. 北島敬介

    説明員(北島敬介君) お答え申し上げます。  このオリエンタルマシン事務機売り込みに関する贈収賄につきましては、御指摘のように各大学にどういうふうに売り込みが行われたかというふうなことが一つの捜査のポイントになるわけでございまして、当然、必要に応じて各大学関係者から事情聴取するとか、その他所要の捜査をしておるものというふうに考えておりますが、どの大学のだれからどういう事項を調べておるというふうな点はお答えは差し控えさせていただきたいと思います。  それから、現在までの捜査がどのように進んでおるかということでございますが、既に御案内のとおりかと存じますが、この中曽根大阪大学経理部長につきましては、五十九年七月九日付でオリエンタルマシンの辻社長から二百七十三万円を収賄したという事実、辻氏については、それに対応する贈賄の事実で起訴しております。  それから七月二十日付でパシフィック科学貿易代表取締役井上異から百五十万円を収賄したという事実並びに井上については、そのそれに対応する贈賄の事実で起訴しております。  それから七月三十日、昨日でございますが、これはフクダ電子株式会社取締役永田明巳から六十万円を収賄したという事実、さらに永田については、それに対応する贈賄の事実で起訴いたしております。  そのほか捜査中の事実といたしましては、先ほどもお話に出ました鳥野党博あるいは田中潤佑に関するオリエンタルマシンからの各収賄事実がございます。
  45. 吉川春子

    ○吉川春子君 具体的に、これからどの大学捜査に入りますなどということはもちろん伺っているわけじゃありませんが、そうしますと、九十五国立大学中の大体三分の一ぐらいの大学に上っていて、大体この三分の一ぐらいの大学捜査の対象に含まれていると、こういうふうに考えてよろしいですか。
  46. 北島敬介

    説明員(北島敬介君) その点もとの程度の範囲の大学からというふうなことも、現段階ではお答えは御容赦いただきたいと思います。
  47. 吉川春子

    ○吉川春子君 捜査中であるからということですけれども、御回答としてはなかなか納得のいかないものでございますので、これは引き続きお伺いするということにいたします。  留保予算国立大学予算の中で三〇%を占めているわけなんですけれども、これはこういう形ではなくて、予備費として、予備費でもってやるということはできないものかどうかと思うんです。例えば、さっき説明がありました施設費は当初配分はゼロで、すべて追加予算として配分されているということもなかなか納得のいかないことです。それから、追加予算を膨大な額として握っていることで大学に対するコントロール、大学の自治に対する介入にもつながっているのではないか、こういうふうにも思われます。文部省予算事務処理体制改善検討委員会を発足させて、予算事務などについても洗い直しを始めるというふうに言っているわけですけれども、この留保予算あり方についても検討課題にすべきだと思いますが、いかがですか。
  48. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 留保予算につきましては、先ほど申し上げましたように、やはり各大学における教育研究計画が年度途中に進行しセットをされるとか、退職手当などで端的に示されますように、経費の性格とかいろいろございまして、そのような形での予算の留保というものが必要であることは私どもも現在も考え方は変えておりません。しかし、留保予算にかかわる、例えば各大学文部省との関係の整序であるとか、文部省における意思決定プロセスあり方とか、そのような意味での留保予算についてのあり方検討ということは、私ども厳しくこれを受けとめ、検討課題として現在論議をしておるところでございまして、留保予算にかかわります今回の事件の展開にかんがみまして、私ども留保予算につきましての、今申し上げましたような観点での検討は十分いたしてまいりたいというふうに考えております。
  49. 吉川春子

    ○吉川春子君 ちょっと、私に許された時間が大変少ないものですから、留保予算の問題についても引き続き別の機会にお聞きしていきたいと思います。  それで、端的にお伺いいたしますが、逮捕されました中曽根、田中、鳥野見、この三人の上司はそれぞれだれになるんですか。
  50. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) 大阪大学中曽根経理部長の上司は、事務局長でございます。事務局としての経理部長でございますので、事務局長でございます。それから、総括予算班主査の上司としては会計課副長、会計課長、官房長、次官、大臣、こういうふうに相なろうかと思います。それから、田中会計課長の上司といたしましては、文化庁次長、それから文化庁長官というふうになろうかと思います。
  51. 吉川春子

    ○吉川春子君 それで、その追加予算の執行に当たりまして、田中、鳥野見についてはだれが許可を与えていたんですか。
  52. 西崎清久

    政府委員西崎清久君) これは文部省の内部における決裁規程という内部的な意思決定プロセスの手続がございまして、支出負担行為の関係における決裁の手続としては、会計課長が専決者として決裁をするというふうな仕組みで現在まで処理されてきておったわけでございます。
  53. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間が参りましたので、最後に大臣に三つほどまとめてお伺いいたします。  まず、「官庁綱紀の粛正について」という通達あるいは閣議決定を無視して、三年以上同一職場に在籍させていたという事実があり、その結果、こういう事態が起こったわけですが、この責任はだれがとるのが一番ふさわしいとお考えでしょうか。また、それはいつごろその責任をとるのがふさわしいとお考えでしょうか。それが第一点です。  それから文部省の本庁としては、恐らく戦後初の汚職事件であろうと言われているんですけれども、今行われております教育改革との関係について先ほど来大臣も御意見を述べられました。私はこのけじめをはっきりしないで教育改革を説く資格はないのではないかというふうに考えます。子供たちに、この事件を、大臣はどのように御説明なさるのか、その点についてお答えください。
  54. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 長期在籍の問題につきましては、先ほどもちょっと御質問の中に触れましたわけですが、決してそのこと自体を容認をしているわけじゃございませんが、それだけのタイミングとかいろいろな角度から検討されて、そのままになった点はあろうと思います。したがいまして、そのことが犯罪を生んだかどうかということについては、これは捜査当局で事実を解明をしていただかなければならぬことでございますので、私の今の立場では、それが原因であったというふうに申し上げるわけにはいかないと思います。長期であれ短期であれ、その職の任にある者はやはり公務員としてのモラル、そうしたことを大事にしなきゃならないということであろうと考えます。そういう意味でこの長期在籍あるいはその責任はだれにあるのかということになれば、やはりそのときの直接の上司ということになるんであろうというふうに考えます。しかし、かかるこの責任は全体的に文部省全員が私は負わなければならぬというふうに職員にも申し上げておるところでございまして、いずれこうした事実関係というものが明確になって、そしてその事態を待ちまして、本人も含めながら、責任ありました者すべてに対しまして、もちろん私も含めて、国民に対して明らかな責任を何らかの形でとるべきだというふうに私自身は判断をいたしておるところでございます。  なお、教育改革を、こういう時期で、文部省として進めるのはいかがかというようなことについての御質問であったというふうに考えておりますが、教育改革は国民の多くのいわゆる要請、そしてまた諸制度の新たな見直しについては緊急的な課題であるというふうに私どもは受けとめておるわけでございます。そういう中で国民の信頼感を失ったということについてはざんきにたえないところでございますが、だからといって、教育の諸制度あるいはまたこれから展開をしていかなければならぬ教育行政そのものについて、このことによってとめてしまうということであっては、かえって国民に相済まないということになるわけであります。責任体制を明確にして、反省すべき点は反省し、そして二度とこうしたことを生じさせないような、そうした体制をきちっととるということは当面最も大事なところでございますし、同時にまた国民の、これからの求めている新しい教育の諸制度は、また別の観点から多くの御論議をちょうだいしながら、政府としては進めていかなきゃならぬことも、また政治的な責任であろうというふうに考えておるわけでございます。
  55. 吉川春子

    ○吉川春子君 私の質問はこれで終わりますが、大変駆け足で質問いたしまして、まだ未解明な部分がたくさん取り残されておりますので、私は委員長に、引き続き近い機会にこういう質問を続ける機会をつくっていただきたいということを要望して、質問を終わります。
  56. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 本件の調査はこの程度といたします。     —————————————
  57. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 次に、学校教育法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案を議題とし、発議久保亘君から趣旨説明を聴取いたします。久保君。
  58. 久保亘

    久保亘君 私は、ただいま議題となりました学校教育法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案について、その提案の理由と内容の概要を御説明申し上げます。  本法律案は、盲学校、聾学校及び養護学校の寄宿舎における寮母の教育的役割の重要性にかんがみ、その専門性を確立し、もって障害児教育の一層の充実を図ろうとするものであります。  昭和五十七年度において、全国の盲・聾・養護学校八百八十二校中、約二百九十校に寄宿舎が設置され、約一万四千四百名の子供たちがそこで生活しております。そして、四千七百四十六名の寮母がこれらの子供たちの生活指導と世話に当たっているのであります。  障害児教育においては、教科等に関する指導のほかに、基礎的な生活習慣と社会的自立の基礎を育成するための生活指導が極めて重要であります。また、これが教科指導を支える基礎でもあります。この生活指導が成果を上げるためには、在校時における教職員指導だけでは不十分であり、寄宿舎または家庭において、教職員と十分な連携と協力のもとに一貫した教育が行われる必要があります。特に、寄宿舎においては、子供たちの生活全面にわたる指導に当たる寮母が、子供の特徴はもちろん、その背景となる家庭環境等についても把握するとともに、教職員から子供の成長発達の過程や具体的な指導の方針について密接な連絡を受けて、子供の指導に当たることが必要であります。また、寮母が寄宿舎における生活指導の中で感じた問題、意見等が積極的に教職員に提供され、学校生活に生かされることが重要であります。このように、教職員と寮母が協力して子供の教育に当たって、初めて子供の全面的な成長発達が期待されるのであります。  なお、このような経験・知識が教職員や寮母から障害児の父母に提供され、家庭における指導に役立てられることもまた極めて重要であります。  したがいまして、寮母は、単に子供の生活の世話に従事するものではなく、子供の成長発達に直接かかわる極めて重要な教育専門職と位置づけられるべきものであります。当然にまた、寮母がこのような職務を十分に果たすためには、障害児教育及び教職に関する専門的知識と識見を持っていることが必要であります。  障害児の教育を受ける権利を実質的に保障するために、寄宿舎とそこで果たす寮母の役割はますますその重要性を増してきております。  しかしながら、現状は障害児教育における寄宿舎の重要性が十分に認識されるに至っておりません。現行の学校教育法においても、寮母の職務について「寄宿舎における児童、生徒又は幼児の養育に従事する。」こととされており、寄宿舎における寮母の教育的役割を十分に反映した定めとはなっておりません。また、寮母の名称も必ずしも適切でないばかりでなく、近年における男性の寮母がふえつつある現状から見ても、実態に合わなくなっております。さらに、その重要な教育上の役割にもかかわらず、寮母については教育職員免許法に基づく免許制度がなく、その教育職務にふさわしい専門性が確立されるに至っておりません。  このような現状を改善するためには、寮母の職務と名称を教育専門職にふさわしいものに改めるとともに、その資質の保持と向上を図るために教育職員免許法による免許制度を新たに設けることが必要であると考えるものであります。  以上が本法律案を提出した理由であります。  次に、本法律案の内容について申し上げます。  第一に、寄宿舎を設ける盲・聾・養護学校に置く寮母の名称を寄宿舎教諭に改めるとともに、その職務について寄宿舎における児童、生徒または幼児の教育及びこれに必要な世話を行うことといたしております。  また、寄宿舎教諭の職務を助ける寄宿舎助教諭を置くことができることといたしております。  第二に、寄宿舎教諭免許状及び寄宿舎助教諭免許状を設けることといたしております。  すなわち、寄宿舎教諭一級普通免許状は、学士の称号を有する者で特殊教育に関する科目二十単位及び教職に関する単位十単位を大学で修得した者に、寄宿舎教諭二級普通免許状は、大学に二年以上在学して六十二単位以上修得した者で特殊教育に関する科目十単位及び教職に関する科目十単位を大学で修得した者に、それぞれ授与することとしております。  また、教育職員検定によって寄宿舎教諭免許状を授与する場合についても、所要の規定を設けております。  第三に、本法施行の際に現に寮母である者は、寄宿舎助教諭となり、十五年の間、引き続きその職務を行うことができることとするとともに、当分の間、この寄宿舎助教諭をもって寄宿舎教諭にかえることができることとしております。  また、このようにして、寄宿舎助教諭となった者に対して、教育職員検定により寄宿舎教諭免許状を授与する場合における特別措置についても定めております。  その他関係法律に所要の規定の整備を行っております。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。     —————————————
  59. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 次に、女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、発議粕谷照美君から趣旨説明を聴取いたします。粕谷君。
  60. 粕谷照美

    委員以外の議員(粕谷照美君) ただいま議題となりました女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由と内容の概要を御説明申し上げます。  学校教育がその目的を達成するためには、児童・生徒の教科・生活指導のほか、財務・会計、学習・生活環境の整備、子供の健康・安全と福祉などにかかわる活動が一体として機能しなければなりません。そのため学校には、いろいろな職種の教職員が配置され、その協同による有機的運営が期待されているのであります。  しかし、児童・生徒の教育に直接従事する教育職員以外の職員の重要性・必要性については、必ずしも十分に認識されるに至っていない現状であります。特に学校教育法上、必要なときに置くことができる職員として規定されている技術職員はもとより、その職名及び職務内容が明定されるに至っていないその他の職員、すなわち学校給食調理員、用務員、警備員、学校図書館司書、養護職員等の職務内容の確立と地位・待遇の保障が極めて不十分と言わなければなりません。申すまでもなくこれらの職員は、それぞれ教材の維持・管理、学校給食、環境の整備・保全、学校図書館活動、学校保健など学校における児童・生徒の学習・生活に密接にかかわる重要な職務に従事しており、また日々子供たちと親しく接する存在であります。したがって、子供たちに与える教育的影響も大きなものがあります。ちなみに、昭和五十八年度において国公私立の小・中・高等学校、盲・聾・養護学校及び幼稚園にこれらの職員が配置されている数は約十四万七千人であり、そのうち約九万五千人が女子職員であります。  しかるに、昭和三十年に本法が制定されて以来、昭和三十九年には実習助手を、昭和五十三年には学校事務職員及び学校栄養職員をそれぞれ法の対象に加える改正が行われ、今日では上述の職員のみが本法の適用の対象外に置かれているのであります。  この結果、これら職種の職員は、多くの場合各学校に一名程度しか配置されていない実態から、出産の場合、産前産後の休暇を十分にとることができず、無理な勤務を行わざるを得ない状況に追い込まれているのであります。それのみでなく、これがまた学校運営上さまざまな障害を生じているところであります。すなわち、これら職員が産休で休みますと、他の教職員へのしわ寄せ、学校給食内容の低下、教育環境の整備・保全がおろそかになるなど多くの問題を生じております。  さらに、産休代替職員制度について、同一職場におけるこのような不均衡・不平等な取り扱いは、学校の一体的運営を阻害するばかりでなく、人材の確保、積極的な職務態度の維持等の障害ともなりかねないところであります。  したがって、このような不合理な実情を改め、かつ、母体及び乳児の保護と正常な学校運営を確保するため、これらの職員を本法の適用の対象に加える改正案を提出した次第であります。  次に改正案の内容としましては、女子教職員の出産に際しての補助教職員の臨時的任用制度の適用範囲を拡大するため、小・中・高等学校、盲・聾・養護学校及び幼稚園に常時勤務する女子教職員のうち政令で定める職員を加え、すべての女子教職員を適用の対象とすることを目指そうとするものであります。  なお、この法律の実施については、その準備期間の必要性を考慮して、公布の日から起算して三月を経過した日から施行することにしております。  以上が本法律案の提案の理由と内容の概略であります。  何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
  61. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  なお、両案の質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時九分散会      —————・—————