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国務大臣(
森喜朗君) 今の御
指摘は大変大事な問題だと思います。結論から申し上げますと、
臨時教育審議会でどうしたことを審議するかは、今の
段階では私から申し上げる
立場ではないわけでございますが、高等
教育を含めまして、
教育全般にわたる
検討をされるわけでございますから、当然やはり
教育に対して国がどの程度これはかかわり合いを持つべきなのか、あるいは公費、私費どういう形でやっていくべきなのかというようなことは、私は当然論議されるべきであろうというふうに期待をいたしておるわけでございます。
今日の国全体の
教育費、よく
先生方からも、聖域論であるとか、そうでないとかという議論も出てくるわけでございます。そういうことの観点から
考えましても、
教育というのは、国の全体の財政の
仕組みの中でどうあるべきであろうかなどというようなことも、私はこの際
教育全般を見直すためには十二分に議論をしてもらいたいなあ、こういうふうに私自身はそんな
感じを持っておるわけでございまして、繰り返すようでございますが、今の
段階でそのことは議論されるテーマであるというふうに
文部大臣の
立場から申し上げるということは越権でございますが、そうしたことの議論が恐らくなされるのではないかというような、そういう期待を私はいたしておるわけでございます。
先ほどから、幾つか御
指摘いただきました
先生のお話はとても大事なところだと思いますが、これはもう
先生も十分御承知だと思いますが、奨学資金というのは、奨学資金を求める学生がたくさんあればあるほどいいのか、奨学資金を求めなくてもいいというような
事態になることが本当はいいのか、これなんか私は、どちらがいい悪いということではなくて、大事な問題だというふうに思うんです。
ローンができました
経緯も、
先生御承知だと思いますが、当時、これは先ほど、
大学局長の
立場からは、他省庁の政策的なことだからというふうに、言及をいたしませんでしたが、私は政治家でございますから、当時、ゆうゆうローンという形でこれは郵政省がスタートさせたわけでございます。この郵政省が
考えました一つの方法としては、もちろん一時的に入学金等が大変御家庭でお困りであろうからお貸しをしますよという制度からスタートしたんですが、逆に言えば、郵便貯金をふやしていきたい、ある程度郵便貯金をしてもらった方に優先的にお貸ししますよという制度だったわけなんです。だから、当然、郵政省として貯金をふやすという政策的な方途に使われたと。それに対抗して大蔵省は、それは困るというような
立場も、当時、
経緯はいろいろあって、そして、国金とかほかの金融
機関を使いながら、一般市中銀行もそれに
対応したと。本来言えば、一般市中銀行がもう少しそういう点は柔軟に、入学金等いわゆる一時的にお金の要る、そういう時期には、もう少し柔軟にお金を貸してあげればよかったんだろうと思うんですが、そういうことのいろんな背景から、こうした制度ができ上がったということだと思いますので、おのずからこれは、
教育に対するいわゆる奨学資金的なものと比較していくということにはスタートの
時点で私は違っておると思うんです。
しかし、いずれにいたしましても、
先生から御
指摘のように、確かにスカラシップとローンというのはそう変わらないじゃないかと、今日のこの制度では、という点は私
ども十分
考えていかなければならない問題でございますので、先ほど
局長も申しましたように、あくまでもこれは
教育的配慮ということは十二分に今後とも
考えていく、そうでなければ、また
文部省としての施策ということは言えないということは、これはもう当然のことであろうというように
考えておりますから、今後とも、そういう点については十分留意をしながら、あくまでも奨学資金、その資金をできるだけ拡大をしていくということについて、経済的にいろんなお
立場で、もちろん無利子であれば一番いいわけでありますが、有利子でもいいから、ぜひその制度を利用したいという方々がおるということであれば、その方々に対する一つのやはり量の拡大という
意味からいえば、これもまた一つの方途であろうというふうに
考えてきているわけでございます。しかし、あくまでも、たびたび申し上げるようですが、
教育的配慮と、その点についての留意は、今後とも
文部省は十分な
検討をしながら施策を進めていかなければならぬ、こういうふうに
考えているわけでございます。