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1984-05-08 第101回国会 参議院 文教委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月八日(火曜日)    午前十時八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長谷川 信君     理 事                 田沢 智治君                 久保  亘君                 吉川 春子君     委 員                 井上  裕君                 大島 友治君                 藏内 修治君                 山東 昭子君                 世耕 政隆君                 仲川 幸男君                 林 健太郎君                 柳川 覺治君                 粕谷 照美君                 中村  哲君                 安永 英雄君                 高木健太郎君                 高桑 栄松君                 美濃部亮吉君    国務大臣        文 部 大 臣  森  喜朗君    政府委員        文部大臣官房長  西崎 清久君        文部大臣官房審        議官        兼内閣審議官   齊藤 尚夫君        文部省初等中等        教育局長     高石 邦男君        文部省大学局長  宮地 貫一君        文部省管理局長  阿部 充夫君    事務局側        常任委員会専門        員        佐々木定典君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十四年度以後における私立学校教職員共  済組合からの年金の額の改定に関する法律等の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付  )     —————————————
  2. 長谷川信

    委員長長谷川信君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。森文部大臣
  3. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) このたび、政府から提出いたしました昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  私立学校教職員共済組合は、昭和二十九年一月に、私立学校教職員福利厚生を図る目的のもとに、私立学校教職員共済組合法により設立されたものでありますが、それ以後、本共済組合が行う給付については、国公立学校教職員に対する給付の水準と均衡を保つことを建前とし、逐次改善が進められ、現在に至っております。  今回は、昭和五十九年度における国公立学校教職員年金の額の改定措置等に準じて、私立学校教職員共済組合法規定による既裁定年金の額の改定等を行うため、この法律案を提出することといたしたのであります。  次にこの法律案概要について申し上げます。  第一に、私立学校教職員共済組合法規定による退職年金等の額を、昭和五十八年度国家公務員給与改善内容に基づいて行われる国公立学校教職員退職年金等の額の改定に準じ、昭和五十七年度以前の退職者に係る年金について、昭和五十九年四月分から引き上げることといたしております。  なお、昭和三十七年一月一日前のいわゆる旧法期間を有している者に係る年金当該旧法期間分の額については昭和五十九年三月分から引き上げることといたしております。  また、これに伴い、旧私学恩給財団年金についても昭和五十九年三月分から引き上げることといたしております。  第二に、既裁定退職年金障害年金及び遺族年金最低保障額国公立学校教職員既裁定年金最低保障額引き上げに準じ、昭和五十九年三月分から引き上げるとともに、遺族年金については同年八月分以後、さらにその額を引き上げることといたしております。  第三に、標準給与の月額の最高額国公立学校教職員掛金等の算定の基礎となる俸給等限度額引き上げに準じ四十四万円から四十五万円に引き上げるとともに、最低額についても七万五千円から七万七千円に引き上げることといたしております。  最後に、この法律は、公布の日から施行することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。
  4. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 以上で趣旨説明の聴取を終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 粕谷照美

    粕谷照美君 いただきました資料の四ページに私学共済の「長期経理収支状況」が載っております。この収支状況につきましては昭和五十五年に長期見通しを出しているわけでありますが、この数字を見ただけでは簡単に現状がどうなっているかということを把握するわけにはまいりません。例えば、収入は四十八年に比べて六倍になっている。支出は七倍になっている。保有資産は約六・六倍になっている。こういう数字からいえば健全な動きを示しているように見られますけれども、その状況はどのようなものであるか、また他共済に比べまして私学共済収支状況はどうであるかということについてお伺いします。
  6. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 私学共済長期経理についての財政状況のお尋ねでございますけれども、昭和五十七年度長期経理におきます収入は千三百九十四億円、支出は三百三十六億円ということで収支差が千五十八億円あるわけでございます。こういう収支差が逐年積み立てられてまいりまして、現在その累計額が六千七百十九億円と相なっておるわけでございます。これを将来のためのいわゆる責任準備金という計算方式計算をいたしますと、その計算方式による充足率は九五%ということでございまして、そういう点では他の共済制度に比べますと、年金財政は、何と申しますか、安定していると申しますか、非常にいい状況にあるということが言えようかと思うわけでございます。
  7. 粕谷照美

    粕谷照美君 責任準備金が九五%で、いいということ、普通この責任準備金というのは一〇〇%なければならないのではないかというふうに思うわけです。というのは、大体この責任準備金給付分保有資産責任準備金引当金、こう考えてみますと八百四十三億二千三百万円ほど不足をしているのではないかというふうに思うわけですね。その責任準備金が九五%で良好だというその判断はどこに出てくるのでしょう。
  8. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) この責任準備金という仕組みにつきましては、将来の事柄につきまして、いろいろ不確定要素を、ある程度条件を設定しながら計算をするものでございます。そういう意味で、若干不確定要素を含んでいるということもございます。それからまた、先生おっしゃるとおり、事柄計算上は一〇〇%であることが必要と申しますか、望ましいことでございますけれども、実態の各種の共済組合経理状況等を見ますと、九五%という責任準備金の率は非常に高い率になっておるわけでございまして、これを一〇〇%にするということを直ちに考えますと、そのために掛金引き上げというようなことを行わなければならないという問題にもなってくるわけでございます。したがいまして、掛金率等について適正な負担組合員等に求めながら、しかも、将来のある安定度見通しながら考えていくという場合に、他の共済制度等と比較いたしまして九五%というのは非常にいい状態だということで考えておる次第のものでございます。
  9. 粕谷照美

    粕谷照美君 私学共済が出しました長期経理収支見通し昭和五十五年に、を私は拝見しておりますと、他共済につきましては、例えば掛金率はそれぞれその共済組合の実情に応じて出されているわけでありますけれども、計算そのものが、私学共済昭和六十五年度でもう組合員は一応ふえない。給与改定率年金改定率も八%である。毎年給与も八%上がります、年金も八%上がりますということで計算をしているわけです。資産運用利回り、他共済は大体六%ですけれども、私学共済は七%、非常に有利な運用状況をやっているわけです。こう考えてみますと、今回、大体平均して二%になりますが、引き上げということになりますと、この計算は八%で計算している、長期は。今回二%ですね。さらに有利になるのではないかと思いますけれども、どうですか。
  10. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 現在の段階で五十九年度をベースにした計算というのはいたしておりませんので、そういう意味では確たることは申し上げかねるわけでございますけれども、掛金もとになります改定率等が少なければある程度、何と申しますか、先生おっしゃるように将来有利になっていくだろうというようなことは考え得ることではないかと思います。
  11. 粕谷照美

    粕谷照美君 次に、責任準備金不足の問題とも関連するわけですけれども、一応行革関連法案で五十七年から五十九年までの国庫補助減額というものが決まったわけでありますけれども、この減額責任準備金不足をするということとは関連がないのかどうか、そしてこの減額分につきましては、三年間だけです。その後は利息をつけてお返しをします。こういう国会答弁もあるわけですけれども、この辺は大丈夫という見通しに立っているのかどうか、どうでしょう。
  12. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 責任準備金計算に関しましては、先生、御指摘行革関連特例法による四分の一の補助金削減分は当然戻るという計算でやっておりますので、九五%という数字でその結果が出ておるわけでございます。それから、行革関連特例法によります四分の一の補助金削減分の取り扱いでございますけれども、これにつきましては、この積立金運用収入減額分、いわば利子相当分と申しましょうか、そういうものまで含めまして将来にわたる年金財政の安定が損なわれることのないように、特例期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ、できる限り速やかに繰り入れに着手するということが政府部内で意見が統一されておるわけでございます。具体に何年度からどういうふうにいわば返してもらうかということは、それぞれの年度財政状況等に応じて考えていくことでございますけれども、基本方針については変わりはないというふうに考えております。
  13. 粕谷照美

    粕谷照美君 次に、やはりいただきました資料で「短期経理収支状況」に触れたいと思いますが、五十九年度で二億六千七百万円マイナスになっていますね。それまではいつも短期経理、優秀な成績でお金が余っていたわけです。この私学共済がいつも短期でもう非常にいいという条件は、幼稚園の先生が非常に多くて、しかも女子の先生が多くて結婚するとやめていかれるという、こういう状況の中で黒字なわけです、若い方が多いから。どうしてこんなに突如としてマイナスになったんでしょうか。
  14. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 御指摘のございましたように、短期経理につきましては、従来、毎年黒字を計上してきたわけでございますが、昭和五十七年度におきましては二億六千七百万円の赤字という状況になっております。この赤字になりましたのは、実は老人保健法昭和五十八年の二月一日、つまり五十七年度最後の時期におきまして施行されたということに伴いまして、五十七年度分の老人保健拠出金約七億八千九百万円を拠出をしたわけでございますが、この制度の実施によりまして、当然今度は医療給付費の方の減ということがあって、ある程度とんとんになってくるというわけでございますけれども、その医療給付費の減少の影響が二カ月おくれの新年度から出てくるというようなことのようでございまして、そういったことから、この五十七年度におきまして赤字ということになったわけでございますが、平年度化されます五十八年度以降につきましては、もとへ戻ってまいりますので、従来どおり五十八年度現在まだ決算途中でございますけれども、再び黒字になるという見込みを立てておるところでございます。
  15. 粕谷照美

    粕谷照美君 では次に、業務上の災害補償について伺います。  私学共済遺族給付とこの災害補償との併給の関係は一体どのようになっておりますでしょうか。
  16. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 私学共済組合組合員業務上死亡したという場合でございますけれども、これにつきましては、遺族に対しましては遺族年金が百分の二十積み増しをしまして、もとが百分の二十のところを百分の四十が支給されるというのが共済組合制度でございますけれども、他方、労働者災害補償保険法におきます遺族補償年金という制度がございますので、そちらの遺族補償年金給付をされるという場合には、私学共済の方で積み増しをする百分の二十分、つまり半分でございますけれども、この部分については支給を停止するということに制度上なっております。もちろんこの労災保険の方の遺族補償年金がある期間限って支給されますので、その期間を過ぎた後はこの遺族年金積み増し分は従来どおり回復して積み増しをされるというようなことでございます。労災補償からお金をもらっている間は積み増し分は確保する、こういう調整になっております。
  17. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは労災保険なんですけれども、労災保険というのは大体強制加入だというふうに思いますけれども、私学、各学校法人ですね。どの程度入っていらっしゃるか、調査したことおありでしょうか。
  18. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) ただいま御指摘の点については資料を持っておりませんので、後ほど調べまして先生のところへ御報告をさしていただきたいと思います。
  19. 粕谷照美

    粕谷照美君 これは調べなきゃならないことでありましたのに、事前に質問通告しておきませんでしたので、こちらも申しわけなかったわけですけれども、しかし、この労災保険というのは強制加入適用であって、暫定任意適用事業場というのもありますけれども、それはもう極めて極めて小さな小企業だけなんですね。したがって、学校法人のようなところは全部入らなきゃならないということになっているんですけれども、本人が負担をしないで全部使用者側経営者側負担をしなきゃならないということになりますから、私は、ひょっとすると入っていないところがあるのではないだろうかという感じがしてならないわけであります。  それで、これに関連をいたしまして、私立逗子開成高校山岳部のパーティー、この引率教員一名、生徒五人の全員が昭和五十五年の十二月に北アルプスの八方尾根で遭難死をしたという、まことにお気の毒な事故があったわけであります。私も、この事故が発表されたときに、一体、この子供たち学校安全会給付が受けられるんだろうかということがまず気になりました。それと同時に、その先生はこれは業務災害になるんだろうかということが大変気になりました。  これをめぐりまして、やっぱり学校の方でいろいろごたごたがあったようであります。特に新聞などを見ますと、このことについて学校側は、これは公務じゃないと言うわけです。ところが、遺族及び職員組合の方はこれは公務であると言うわけです。それがもう全然だめになりまして、結局、裁判ざたになった。これ、もし負けたならば、学校側としては、引率した教師のミスなんだから遺族に対して賠償金を出しなさいと。つまり、先生の奥さんに対してあなたのところで賠償金を出しなさいと、こういうことを裁判に提起をしているということがあったわけですね。こういうことだったら、もう教師生徒を連れてどこへも行けない。恐ろしくてクラブ活動指導をできない。文部大臣はラグビーをやっていらっしゃる。あれも随分けがの多いあれですけれども、そういうことになったらびびってしまうわけですね。  それで、どういうふうになるのかなと思って気にしておりましたら、裁判の上では、ことしの一月二十七日、公務であるとかないとかいうことはもう避けまして、そして和解が成立しているわけです。子供たち一人当たりに四千百六十万円、学校側が二億八百万円を出します、ということになったわけですね。これは学校側も容易なことじゃないなと思っておりましたら、本当に容易なことじゃないようですね。この後、学校長引責辞任をしたり、そして役員が全面交代をしたというのですから、経営者側が、理事がそういうことになったのだろうと思います。一法人が二億八百万円を出すということは大変なことだというふうに思うのですね。  さて、今度は教師の場合ですね。これはどういうことになったかといいますと、裁判でも、公務であるとかないとかという判断が避けられたわけですから、どうにもならなくなっているわけであります。事故から二年たちまして、遺族の方が、職員組合も一生懸命にやりまして、横須賀の労働基準監督署業務労災認定をしてほしいと、こういうことで申請をしていたわけですね。これが二年たったのですから、五十七年の十二月、そして五十八年の十二月、五十九年の今、五月ですから一年と五カ月たちまして、ようやくこれは公務災害だ、労災だということで認定を受けた。奥様と二人の子供に対して遺族補償特別支給金、一時金と葬祭料三百六十四万円と、年間一百七十二万円の年金が交付されることになったということになっているわけです。  これ、よく調べてみましたら、この学校はたまたまこういうことを、事故を予測したわけじゃないんでしょうけれども、この事故が起きるちょうど一年前ぐらいに労災保険に加入しているんですね。だから、それはすっと入っていった。もしこの開成高校労災保険お金を出していないとすればどんなことになったかといいますと、それはもうさかのぼって学校側労災保険を掛けていかなければならないということになったのでしょうね。そういう意味では労働者は、教師は救われているわけでありますけれども、この給付事故が起きてから三年五カ月もの間、全然奥様のところに一円の金も入っていかない、こんなばかな話ないと思うんですけれども、これ一体どこが問題点になるんですか。
  20. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 昭和五十五年の十二月に北アルプス冬山登山の訓練中の逗子開成高校先生遭難、死亡されたということで、遺族年金支給の問題が生じたわけでございます。仁の件につきましては、二年後の昭和五十七年の十二月になりましてから、私学共済組合に対しまして遺族年金請求書が提出されたわけでございます。しかしながら、その請求書では職務上か職務外かということが明確に記載されていないということで、そこを明確にしてほしいということで請求書私学共済側としては学校に対して返送をしたわけでございます。先ほど先生のお話にございましたように、本年の四月に至りまして労働基準監督署におきまして職務上の災害であるという認定が行われたために、この五月一日付で職務災害に基づく遺族年金ということで支給決定をいたしたところでございまして、年金支給につきましてはもちろん昭和五十六年の一月——事件が五十五年の十二月でございますので、その直後からということで、五十六年の一月分にさかのぼって支給をするということを決めておるわけでございます。  こういうことになっておりますことにつきましては、何と申しましても、現在のこの私学共済組合の文総決定をいたします手続が、職務上か職務外かということによって変わってくるという、あるいは給付内容が変わってくるということになっておりますために、その部分について争いがある場合に、なかなかどちらかに判定をするということが共済組合側としてはいたしにくいというような点があるわけでございまして、それらの点はこれからの検討課題であろうかと思っておるところでございます。
  21. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、高等学校におけるクラブ活動で大変な事故がたくさんあるわけですね。例えば山形におきましても、柔道で首の骨を折りましてもう一生だめになったとか、プールに飛び込んで首の骨を折りまして、やっぱりもう一生働くことができなくなったとか、こういうことがあるんですけれども、授業中のものは明確になるとしましても、クラブ活動部活動というようなもの教師としての本務であるとかないとかというこの判断というのは非常に難しい。その辺をどういうふうに特にこれから体力をつけなきゃいけない、体育を盛んにしていかなければならないということも入ってくるわけでありますから、やっていかなければならないというふうにお考えでしょうか。
  22. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 粕谷先生指摘のように、確かにこれからクラブ活動、あるいは生徒児童が自主的にいろんな課外活動、あるいは友誼を深める意味での校外活動、これは促進されなければいけないものであると思いますが、クラブ活動においては、これは正規な校務の仕事だという判断は当然なさるべきでありますが、自主的に、先生方が親しい生徒一緒登山をするとか、あるいはスポーツに打ち興じるとか、いろいろケースは出てくると思います。そういう場合の認定判断というのは非常に難しいところでございます。恐らくただいま、阿部局長と今、先生との御議論の中にもございましたように、その認定についてかなり時間を要するという面もあるわけでありますが、ケースバイケースで、その辺の動機あるいはその当時の行動状況等々、ケースバイケースで考えざるを得ないというのが現段階判断であろうというふうに思うわけであります。  ただ、今、私も大変不勉強でございまして、先生の御質問いただきながら、ちょっと局長とも打ち合わせしてみましたが、現実の問題としてはケースバイケースでやってるようだということでございます。こうした問題も、これから知・徳・体という三位一体の調和のとれた教育を進めるということであるとするならば、課外でやっても、先生一緒にそうした行動をしていくことについて、安心をして先生指導していけるような方途は、これは考えておかなければならぬことだと。それを公務として判断をするか、あるいは先生が個人としてのそういう何か方法学校全体としてとれるものであるかどうか、その辺のことも十分考えながら何らかの方法を考えていく、そういうことがなければ先生が安心して生徒児童指導はしていけないだろうというふうに、今の段階で私は個人的にそう考えます。具体的にどういう方向で進めていくかということについては、局長としても足かな考え方を今持っておるようでございませんけれども、十分文部省としてもこうした方向を、年金制度というふうな直接の問題とはまた別途に考えましても、大事な問題として取り組んでいかなきゃならぬなということを、先生の御意見をちょうだいをしながら、そんな感じもいたしておるところでございまして、十分にまた文部省としても検討してみたい、そういうふうに考えます。
  23. 粕谷照美

    粕谷照美君 大臣のお気持ちはよくわかります。私たちも一番ここのところで悩む問題でありますから、十分なこの対策をとって、安心して部活動、それこそ冬休み、春休み、夏休みなどに生徒たちを伸び伸びと運動をさせてやれるような状況ですね、それを条件をつくっていただきたいというふうに思います。  さて、それで、私が今言いたいのはそのことを話したいのではなくて、この三年四カ月もの間全然この労災認定もされないで、奥様子供たち一体資産があればよろしいんですけれども、どうやって生活をしていくかという問題があろうかと思います。これにつきまして、厚生年金の方と私学共済、違うんですね。厚生年金労災認定されなくてもちゃんとお金が出るんですね。私学共済だと、労災認定されないとお金が出てこない、ここのところを直してもらわなきゃ困るんですね。厚生年金はそのまず全額を支給する、そして労災の方で認定になったら労災の分が上積みされるという制度になりますから、組合員が死亡する、遺族には即遺族年金が出されていく、そして労災認定されればその分が上積みをされるという制度。ところが私学共済は、労災認定お金が出なければ上積み、つまり私学共済は上積みされない、それも半分ですよという、こういう上積みの形態なんですけれども、そこのところが問題になるのではないかというふうに思います。ですから、ここのところを調整をしていく、直していくというようなことが、その他の共済組合とも一緒だと思いますけれども、私学共済として考えるべきではないだろうかと。たくさんあったらたまったもんじゃありません、そんなのはない方がいいんですけれども、そういうふうに思いますが、どうでしょうか。
  24. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 厚生年金の場合についてのお話があったわけでございますが、厚生年金共済年金は仕組みが違ってる点がございまして、先生御承知のところでございますけれども、厚生年金の場合には職務上であるかないかという問題がないわけでございます。職務上の災害死亡の場合の上積みという制度がないわけでございますので、したがいまして、当初からどういう形の死亡であれ、同じ額の年金遺族年金として支給されるという仕組みになるわけでございますが、片や共済年金の場合には、公務上の場合には上積みされるという仕組みになっております関係上、年金支給に当たりまして職務上か職務外かということが、まずそこを分明にしないと年金支給決定できないというのが今までの仕組みだったわけでございます。ただ、確かに先生おっしゃいますように、それが非常に長引くような場合に御遺族、御本人が大変苦労されるということは考えなきゃならないことだと思います。これは扱い上の問題でございますけれども、例えば職務外ということで了解したわけではないけれども、とりあえず職務外として年金支給は受ける後で職務上ということが明確になった場合にはその分の上積みをさかのぼってするというような仕組みも不可能ではないんではないかと現在考えているところでございまして、そういった方法につきまして私学共済組合とも相談をいたしまして、可能であれば今後そういう扱いをするようにという指導をしたい、現在そう考えておるところでございます。
  25. 粕谷照美

    粕谷照美君 大変うれしい今の答弁なんですけれども、できるだけ早くやっていただきたいんですね。  それは何か規定のようなものを直していくということになりますでしょうか。
  26. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 私学共済組合の内部規定の手続規定等の改正が必要になってくるかと思います。
  27. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは、そのことを早急にやっていただくことを要望いたしましてこの問題は終わります。  次に、今回提案をされております年金改革案は、国民年金厚生年金と船員保険制度について共通の基礎年金を導入するという新しい構想が入っているわけで、公的年金制度の一元化に向けて、昨年度決定して、ことしの四月から実施するという公共企業体共済の統合に基づく第二弾だというふうに思っているわけであります。今後の一元化構想の中で、私学共済はどういうふうになっていくのでありますか。
  28. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 先生もう十分御承知のことでございますのでかえって失礼かと思いますが、今、御指摘私学共済のこれからの基礎年金導入等を図る改正に対します対応の方針でございますが、二月二十四日の閣議決定におきまして、公約年金制度長期的安定と整合性のある発展を図る、こういう目的をねらいといたしまして、今お尋ねの中にございましたように五十九年には国民年金厚生年金等に基礎年金の導入等を図る改正を行う。六十年には共済年金につきまして上記改革の趣旨に沿った改正を行い、そして六十一年度からこれを実施する、こういう閣議決定をいたしておるところでございます。この閣議決定に従いまして、公的年金制度の一元化を展望をしながら、昭和六十年におきまして制度改正を行うように共済関係各省と協議をしながら検討を進めているところでございます。  なお、私学共済年金は、これも御承知のとおり教育基本法第六条の趣旨に沿いまして従来から国家公務員等の共済年金に準ずることを建前といたしておりますので、今後の改正におきましても国家公務員等の共済年金制度との均衡を基本として検討を進めてまいりたい、このように考えておるところであります。
  29. 粕谷照美

    粕谷照美君 大臣、均衡を基本としてというのは、積極的にやらなきゃならないという考え方なのか、話し合いをしながら、これから考えようということなのか、その辺明確にしていただきたい。
  30. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 当然、これは教育基本法第六条の趣旨というふうに申し上げておりますので、国公立と、そして私学というものは、常に同じ条件であるべきであるという、そういう基本的な認識に立っておるわけでございますので、先生のお尋ねから言えば、積極的に対応していきたい、こういうことでございます。
  31. 粕谷照美

    粕谷照美君 ところで、今、大臣のおっしゃった二月二十四日の閣議決定なんですが、厚生年金、国年、船員保険、この制度は五十九年の四月、つまりことしの四月からということになっているわけですね、法律が。共済年金については昭和六十年において基礎年金の導入を図る等制度改革を行うと、一年ずれているわけです。しかし、実施はどちらも六十一年からですよと、そこでスタートラインに全部並ぶわけですね。この一年間というのは一体どういう意味があるんでしょうか。
  32. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 今回各種の公的年金制度の一元化に向けて、その第一歩を踏み出そうということで、基礎年金という構想が出てまいったわけでございますけれども、現在の公的年金制度の、何といいましても、ほとんど大部分、主流を占めますのは国民年金厚生年金等でございます。これをどうするかというのが一番の基本の問題でございまして、これを実施するためには、ある程度の準備期間等も必要であるし、それから、まず基本方針が定まりませんと、他の年金との関係というのを整備していくことが難しいというような点もございまして、まずは国民年金厚生年金等につきまして具体の実施は六十一年からでございますけれども、その一年ほど前にその問題の解決を図ろうというのが今回出されております国民年金等の改正に関する法律の趣旨であろうかと思います。  共済年金制度の場合には、その沿革から申しましても、あるいは給付の要件、給付の算定方式等が厚生年金とはかなり異なったものになっておりますので、厚生年金についての基本的な方向が出されました段階で直ちに検討に着手するわけでございますが、そのためには約一年程度の期間はどうしても検討期間として必要であろうというようなことで、提案そのものは一年おくれと考えておにますが、実施につきましては、そういった状況等を勘案いたしまして、同時に昭和六十一年から実施をする、こういうことで進めておるものでございます。  既に、先ほど大臣からお答え申し上げましたように各関係省が国家公務員共済、地方共済それから私学共済、農林共済と、共済が大きく四本ございますので、これらの関係省庁におきまして既に勉強会もスタートをさせておりまして、この夏あるいは秋ぐらいに基本的な手続を出し、さらに細かく詰めていこうというような方向で、現在、鋭意検討を進めているところでございます。
  33. 粕谷照美

    粕谷照美君 勉強会がスタートしたばっかりで、これから秋にかけて鋭意詰めていくというんでお答えがしづらいかもしれませんけれども、私どもも全然わかりませんので伺っていくわけですけれども、政府の統合案では、基礎年金の財源を捻出するために厚生年金勘定から国庫負担の三分の一をつけて所要の額から拠出をすると、こういうことになっていますね。厚生年金には定額部分というのがあるわけですけれども、共済年金には定額部分というのがないわけですね。その辺のところは、一体、他共済との絡みでどのような話し合いが進められておりましたのでしょうか。
  34. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 御指摘がございましたように、要するに制度のあり方をどうするかということと、その国庫負担の問題をどうするかということは切り離せない問題でございますので、最初からの私ども勉強のための非常に大きなテーマとなっておるわけでございますが、それにいたしましても制度のあり方をどうしていくかということを、給付の水準をどうするかといったようなたぐいのことをまずは検討いたしませんと、国庫負担の問題につきましてもなかなか手がつかないという状況でもございますので、現在の段階のところは、そういったことを総合的に議論を始めているというところでございまして、今の段階でどうなってくるであろうかということはお答えしにくいわけでございます。さらに、国から金が出るという面から申しますと、同じ共済組合と申しましても、公務員の共済組合の場合にはさらに、何と申しますか事業主負担分みたいなものも国費から出るというような特殊性もあるわけでございまして、向こうが特殊性というよりは、私学の方がその部分がないという特殊性があると申した方が正確かと思いますが、そういったようないろいろの違いもあるわけでございますが、その辺のところを全体の議論を進めながら逐次詰めていく以外にないだろうということで、現段階のところでは、恐縮でございますが、お答えいたしかねるわけでございます。
  35. 粕谷照美

    粕谷照美君 と申しますが、この文教委員会で毎回私学共済に対して百分の二十、厚年以上の国庫負担を出しなさいという附帯決議をつけているわけですね。そうすると、制度改正をしていかなければならないということと、今後の附帯決議を一体どういうふうにつけていくかということは大変大きな関連があるというふうに思うのです。明確でないのに、これからもこのままの私学共済でいくんですよ、だから百分の二十の国庫負担以上の負担を出しなさいという附帯決議を委員会としてつけていいものなのかどうなのか、私は今迷っているので、それでお伺いをしたわけであります。他共済との並びもあって、わからないということもわかりましたので、今はここのところで質問を、この点に関しては終わりたいと思っております。  それで、この基礎年金を導入した際の保険料率、将来どの程度の水準になるものと予想をしていらっしゃるか、これから勉強会ですから、なかなか計算も難しいとは思いますけれども、それでも厚年なんかはきちんと計算をしているわけですね。大体昭和六十年の十月から千分の十八引き上げて、女子は千分の二十引き上げてその差を毎年千分の一ずつ引き上げて男と並ばせていきたい、こういうことも考えている。具体的な料率を示すことができなくても、どのような考え方で行くかということは、少なくとも明確にしていただきたいと思いますけれども、どうでしょう。
  36. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 大変お答えがしにくい御質問でございまして、恐縮をいたしておるところでございますけれども、保険料をどの程度の料率にするかということは、給付水準をどうするかということによって決まってくる性格のものでございます。厚生年金の場合には既に一つの方針を出しまして、給付水準をこの程度にする、したがって保険料はこの程度になる、こういう計算ができるわけでございますが、今後、共済年金につきまして、厚生年金の改正の方向というのもひとつ十分検討、考慮の材料に入れなければならないわけでございますけれども、共済には共済のそれぞれの歴史等もございます。今までの積立金等もあるわけでございますので、いろいろなことを考えながら、給付水準をどうするかということをまず決めてかからなければならないわけでございます。それに伴って保険料負担の金額というのが出てくるということになるわけでございまして、現段階で、その点についてお答えするだけの資料を持ち合わせてないわけでございます。  なお、御参考までにというだけのことでございますけれども、昭和五十七年の七月に共済年金制度基本問題研究会というのが大蔵省に設けられまして研究をいたしたわけでございますが、そこから出されました意見におきましては、これは負担の限界の話でございますけれども、負担の限界領域といたしまして、標準報酬の二〇%から二五%ぐらいではなかろうかというようなことが言われておるわけでございますが、こういう意見がある機関から出ているということだけ御参考に申し上げさせていただく次第でございます。
  37. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうすると、負担限界が二〇%から二五%、相当なものになりますね。私も、国連婦人の十年の中間年でデンマークヘ行きまして厚生大臣にお会いしましたら、厚生大臣は、私の収入から三六%の保険料が取られている、こういうお話で、みんなしてびっくりしてきたものですけれども、しかしこれも、負担限界といっても大変な負担になってくる。今、局長御答弁になりましたけれども、共年には共年の歴史がありますよ、それから今までの給付の実績がありますよということを主張すると、厚年グループと共済年金グループというものは違う方向に行くんですか、基礎年金だけは足並みそろえていかなければならないという、この原則がないのですか。基礎年金は足並みそろえていかなきゃならないんだろうという上に立っての共済の統合というふうに考えるんですけれども、どうでしょう。
  38. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 基礎年金の問題につきましては、共済年金につきましても厚生年金が考えておりますのと同じような方向で考える必要があるだろうと思っておるわけでございまして、問題は、その上の二階屋の部分と言っておりますけれども、上に積みます報酬比例部分という関係の給付についてどう考えていくかというところがいろいろ問題があるわけでございます。これは基礎年金部分だけ切り離せばそれでとりあえず済むというわけにはまいりませんので、やはり全体の姿を考えていかなきゃなりません。その場合に、報酬比例部分につきましては厚生年金とのバランスというのも当然考慮に置かなければならないことでございますけれども、かといって、片方ではそれなりの歴史なり伝統なりがあるということも考えなきゃならない、その辺の調整をどうしていくかというあたりに大変難しい問題があるわけでございまして、それがこれからの検討の大きな課題であろう、こういうことでございます。
  39. 粕谷照美

    粕谷照美君 よくわかりました。  ととろで、官民格差ということに触れるわけですけれども、共済組合は、特に国家公務員共済厚生年金よりも五割も高いと、こういうふうに言われておりますけれども、本当にそうなんでしょうか。特に優良な状況を持っている私学共済については国公に準じているわけですから、厚年よりも五割も高いと、そういうものなんでしょうか。
  40. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) よく世間で官民格差ということが言われておるわけでございますが、個個のものを個別にいろいろ当たってみますと、必ずしも、それなりの理由なり根拠なりがあって、そういうわけじゃないというケースもしばしばあるわけでございまして、ただいま先生の御指摘がございましたように、国共済年金厚生年金より五割高いということがよく言われるわけでございます。確かに、現在の平均的な、既に年金をもらっておられる方々の年金額でございますけれども、これは平均で申しまして国共済の場合には十七万三千円、それから厚生年金の場合は十一万三千円ということでございますから、五割程度高くなっておるということは事実でございます。しかしながら、これは要するに組合員期間がどれぐらいあるかによって金額がかなり変わってくるという要素があるわけでございますが、この組合員期間の平均を見ますと、国共済の方は三十五年七カ月、厚生年金の場合には二十五年少々というようなことでもって、十年近い組合員期間の差があるわけでございます。そういったようなことを考えますと、にわかに五割高いから官民格差だというようなことには直ちには結びつかないのではないかと、こんなふうに考えております。
  41. 粕谷照美

    粕谷照美君 マスコミで随分官民格差、官民格差と言うものですから、確かに、今でも恩給いただいている方で、司法出身の方で年間の恩給が千三十五万円、これもらっているという方もいらっしゃったりしますから、そういう特例の人を見て官民格差などと言ってもらったんでは、一般の胴共済、あるいは私学共済、公立学校共済等々の人たちが気の毒だというふうに私は思うわけです。それじゃ本当に厚生年金が低いのかということになりますと、私学の中でも絶対に私学共済に入らないで今でも厚生年金に入っている学校、幾つもあるわけですね。それは厚生年金の水準が低ければ入らないと思うんですよ。こちらに出てくると思うんです。水準によってそう差がないというふうに考えているから、私は、私学共済に入らない私学があるんだと、こう思っております。特に企業年金で自社年金だとか、税制適格年金だとか、厚生年金基金だとか、いろいろの形を変えた年金というようなものもあるわけで、簡単な比較だけはしてもらいたくないというふうに私は思っております。  ところで次に、年金改革の目玉として婦人の年金権の確立というものが随分大きくうたわれております。被用者の無業の妻という地位は、厚生年金保険者の配偶者も共済組合員の配偶者も同一であるわけであります。私学共済組合員の配偶者をこの基礎年金の対象者とするという改正は、厚年と同時の時点で確立をするのでしょうか。
  42. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 私学共済につきましても、先ほどお答え申し上げましたように、基礎年金制度を原則として取り入れるという方向で今調整を進めているところでございますが、それを実施いたします際、つまり昭和六十一年に基礎年金制度が全面的に施行されるまでの間には間に合わせて、同時にそれに対応できるようにいたしたいと、考えておるところでございます。
  43. 粕谷照美

    粕谷照美君 このときに、無業の妻ということになりますか、個人としての年金、すべての個人に年金権を確立をさせるんだという立場に立つ年金改正なのかどうなのかということは、私たち女性にとりましても非常に大きな問題があると思いますね。喜んで賛成できるような年金改革でなければ、私たちは、もしこの私学共済年金改革出たときには反対せざるを得ない。そういう意味で、十分に大勢の人たち意見を聞きながら立派な年金改革案をまとめていただきたいということを要望しておきたいと思います。  さてその次は、厚生年金保険法に障害年金の大幅改善が盛り込まれております。特に事後重症の制限撤廃というのは非常に障害者の人たちが大きな期待を寄せているわけですね。  これは、この法律が通りますと、六十一年からほかの部分は適用ということになるんでしょうけれども、この部分については、ことしの八月から実施をするということになるわけです。最近の難治性、慢性の疾患などが次々と問題になっているということを考えてみますと、五年間の期限を撤廃するという方針は、障害者の本当に期待が大きいわけでありまして、私学共済だけじゃなくて、その他の共済もそうですけれども、退職後の五年という期限がついておりますが、厚年保険法に準じて検討をしていくということが必要なのではないか。このままでも厚年の事後制限撤廃と同じ条件であるから大丈夫ですよという考え方に立つのか、その辺はどうでしょう。
  44. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) いわゆる事後重症の問題でございますけれども、先生十分御承知のように、厚生年金の場合の障害年金は、在職中、障害を受けた時点から支給されるという仕組みでございますが、共済年金の場合には国家公務員私学、いずれも全体共通いたしまして、在職中には支給されない、退職後に支給されるという基本的な違いがあるわけでございます。  そういった違いの中で、厚生年金につきましては今回の改正がございまして、いわゆる事後重症制度につきまして、障害の認定日から五年以内に症状が重くなったというようなことが出た場合にそれを認定するという仕組みを、五年という制限を撤廃いたしまして、六十五歳までの間にというふうに直そうということで、現在、提案されておるわけでございます。  また、ほぼこれとのバランスで考えます場合に、共済年金につきましては退職のときに障害の認定を行い、その後五年間でさらに重症化すれば認定をする、こういうような仕組みになっておりますので、六十歳で退職するとすれば、六十五歳までは同じように認定される可能性があるということで、仕組みとしてはそろっているようにも思うわけでございますけれども、しかしながら、退職の年次が五十五歳で退職されるというような方もあるかと思いますので、そういう点では違っている結果になるケースもあろうかと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、そのもとのところの在職中支給するかしないかというところから基本的に違っている制度でございますので、これをどういうふうにするのかというのはなかなか難しい問題でございますが、いずれにいたしましても昭和六十年に共済年金制度の改正を行う中で、障害年金をどうするかというのは一つの検討テーマとして取り上げまして、厚生年金とのバランス等のことも十分念頭に置きながら検討するということにいたしたいと思っている点でございます。
  45. 粕谷照美

    粕谷照美君 これは私もよくいろんな学校を回るわけですけれども、例えば秋田県あたりの物すごい雪で寒いところで、昔の作法室なんかに先生方が集まっていらっしゃると、中に足を出したままの方がいらっしゃるんですよね。何だと聞きましたら、リューマチだというんですね。長い廊下を歩いたり何かをすることができなくて、ことしの三月はやめたいと思うなどということをおっしゃる。お幾つかというと、五十歳とか五十一歳なんですね。  それから、リューマチ友の会などというリューマチの方々の集まって励まし合う会があるわけですけれども、これなんかも前に社会労働委員長やったときにあいさつなんかに行きまして、そして帰ろうとすると中から飛んできて、前に学校教師をしてましたというような方々がいらっしゃるわけですね。若くて退職して五年以上たって、本当に一級とか三級とかになる方がいらっしゃるわけですね。これ撤廃してもらったら、その時点から、ああ該当するのになと、こう思うんですね。どちらが有利かというのは具体的な数字を挙げてみたりして計算をしないとわかりませんけれども、本当にそういう痛みを持った人たちのことを考えた、何といいますか制度改正、改革、これをやっていただきたいということを要望いたします。  ところで、今度法律をこういうふうに出すがどうだろうかということを受けて諮問をしているわけでありますけれども、その諮問に対して、社会保障制度審議会が二月十五日に答申を出しておりますね。どんな答申を出しているんですか。
  46. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 社会保障制度審議会の答申は比較的簡単なものでございますけれども、「大筋において恩給の改正にならうものであり、恩給と共済年金を切り離すことが今なお不可能とすれば、やむを得ない。」、こういう答申でございます。  これは、今回の改正につきまして御意見を伺ったものに対して、こういう御結論をいただいたということでございます。
  47. 粕谷照美

    粕谷照美君 「大筋において恩給の改正にならうもの」というのは、大筋なんですから違う部分があるんですね。どことどこが違いますでしょうか。
  48. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 細かく言えばいろいろあるのかもしれませんけれども、私ども考えております恩給と異なる点と申しますのは、改定の実施時期の問題でございまして、実施の時期が三月実施ということで恩給関係は行われておりますが、これに対しまして共済年金につきましては原則が四月から実施ということでございますが、恩給と関連をするあるいはバランスをとらなければならないような部分については三月からということで、一部三月のもの、大部分が四月、原則が四月実施、こういうふうな仕組みになっております。そういう点で実施時期が違っているというのが大きな違いであろうかと思います。
  49. 粕谷照美

    粕谷照美君 なぜ恩給だけ三月から実施になったんですか。内示というのはどちらも四月からだったですね。恩給だけが三月になって、こちらが四月になったというのはどういうことですか。  聞くところによりますと、大臣折衝で一カ月恩給の方は繰り上げが決まったということでありますけれども、そうすると何か共済の方は大臣折衝失敗したような感じじゃないですか。
  50. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 恩給につきましての、三月になったということは、予算折衝等の結果であろうかと思いますので、私どももつまびらかにその点は承知しておらなかったわけでございますが、恩給と共済とのバランスの問題につきましては、共済年金につきましても恩給関連部分という関係、つまり私学共済で申しますれば、昭和三十七年以前の旧法期間、それ以前の部分につきましては三月から実施というような形にいたしておりますので、その点のバランスは完全にとってあるわけでございます。損はないようにはできておるわけでございます。  私学共済ばかりでなくて、公務共済全体が恩給関連部分について恩給とのバランスをとるということは、かねてからやってきていることでございますので、その方向に沿って共済全体横並びの措置としてそういう形をとったものと思います。
  51. 粕谷照美

    粕谷照美君 大臣、恩給にならってバランスをとってというのに、恩給が三月になっているのに、なぜ共済は四月になっているんですか、大臣折衝なさったんですか。いかがですか。
  52. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 共済関係につきましては、共済関係の各省全部共通の問題でもございますので、このためにそれぞれの省が特別に大臣折衝を別途行うという措置は従来からとっておらないわけでございます。
  53. 粕谷照美

    粕谷照美君 それはさっぱり納得がいきませんですね。片っ方だけ三月実施して、片っ方は四月からでがまんしなさいなんて、いつも並んで並んでと——並ぶのはけしからぬという論議もありますけれども、いい方に並ばしてもらえばいいじゃないですか。そういう意味では、私は大変この点は不満であります。二%という点も不満ではありますけれども、しかし年金を上げるということは掛金との関連ですから、この辺は非常に難しいところがありますけれども、実施時期は並べていただくということが原則でなきゃならないと思います。  それと、あわせて答申の中に、「恩給と共済年金を切り離すことが今なお不可能とすれば、やむを得ない。」などという言葉がありますね。何か非常に何も事情を知らない人——私なんかそうですけれども——聞きますと、非常に不満であるというような意味がこもっているような感じがいたしますけれども、これはどういう読み取り方をすればよろしいでしょうか。
  54. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 恩給制度共済年金制度というのが基本的に考え方が違っている点があるわけでございまして、旧来の恩給制度の場合には、ほとんど全額が国庫負担ということであったわけでございますが、年金制度はそれぞれの掛金を中心に運営されるという制度でございます。そういった関係上、恩給と年金というのはやっぱり別のもので、別々に考えていいのではないかという考え方が、年金制度を考えられる方々の中には、相当強いお気持ちとしてあるんだろうと思います。  ただ、私ども現実に行政を担当している側から申しますと、恩給をもらっておられる方々、年金をもらっておられる方々、そして、それが例えば私の場合を申しましても、恩給期間がある部分ございまして、それからその後は年金期間になっているというようなことで、まだ退職しておりませんけれども、切り離せない関係が中にあるわけでございますので、そういった意味では、恩給とのバランスというのはある程度は考えていかなければならない、こういうことで全体の仕組みをお願いをしておるわけでございます。その辺について、この審議会としては年金年金として考えてはどうかというような考え方もある部分ございますので、こういうような表現になっておるのではないか、こう考えるところでございます。
  55. 粕谷照美

    粕谷照美君 時間が来ましたので終わります。
  56. 藏内修治

    ○藏内修治君 私学共済年金について若干の御質問を申し上げて、あと各党理事のお許しをいただきまして、私学の問題について若干お尋ねをさしていただきたいと思っております。  私学共済年金のこの改定概要については、大臣の御説明もありましたし、それから、ただいま粕谷先生の御質問がありましたので、若干の重複があるかもしれませんが、ひとつお許しをいただきたいと思っております。  まず最初に、昭和六十年において基礎年金制度を導入していこうというお考えであるようでありますが、各種共済それぞれみんな設立の沿革、歴史、そういうものを異にした制度でございます。そのほかに、さらに国年あり厚年あり、いろいろ年金制度というものが現に行われておりまして、これを基礎年金導入によってやっていくということはなかなか簡単には、口では言えても、実施の問題になると非常に難しい問題があることは承知ができるわけであります。特に共済の関係では、国鉄のように破産寸前のようなところもある。この私学共済は、成熟度が比較的低いというか、今のところ健全である、あと二十年ぐらいは全く心配はないという状態のようでありますが、    〔委員長退席、理事田沢智治君着席〕 しかしながら、安心だといってこのまま手放しでいくわけにもいかない。そこで、いろいろ基礎年金制度を導入していこうというお考えでありますが、その中で考えていくべき大筋の問題としては、今お話がありましたように、給付水準をできるだけ維持していこうということ、それから、掛金率をできるだけ抑制をしていきたい、国庫補助率もできるならば現状あるいは現状以上に充実をさしていきたいということだろうと思います。そういう際に、私学共済としては、今の制度全般は大体国家公務員共済に準じてやっておりますが、こういうところと、それから著しく内容の今悪くなってしまったその他の共済との調整において、どういう配慮を今なさっていらっしゃるのか、その点についてお伺いをしたいと思っております。
  57. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 私学共済につきましては、ただいま先生いろいろお話がございましたように、成熟度も大変低い、したがって財政的にはかなり安定をしているというような状況にあるわけでございます。そういった状況というのは、私学共済組合員のこれまで掛金等によりまして、そういう運営が行われてきたという経緯等もあるわけでございます。したがいまして、現実に、国鉄の例をお引きになりましたけれども、他の年金制度が危ないから直ちに金を出せというような形では、なかなか問題は進行することが難しかろうというような点もあるわけでございます。個々のいろいろな点についてどうするかこうするかという問題は、これから十分詰めてみなければならないわけでございますし、いろいろな考え方あり得るわけでございますが、しかしながら、それにいたしましても、全体として年金の一元化という方向は大事な方向でございますので、そういう方向に進めるにいたしましても、何と申しましても、これまでの経緯なり沿革なり現状なりというものをある程度踏まえて、それとのバランス、何と申しますか、調整をとりながら円滑に移行し改善をすることができるようにするというところが、一番基本的に大事なことだろうと思うわけでございます。  個別のことはこれから詰めてまいりますといろんな問題が出てくる可能性はあると思っておるわけでございますが、現在のところは、そういうことを念頭に置きながら、まず大筋のことを共済全体として固め、さらに細かいバリエーションを私学共済として考えていくというようなことで、段階で検討を進めたいと思っておるところでございまして、まだ具体的にこの点とこの点はというところを申し上げる段階にまで至ってないわけでございます。
  58. 藏内修治

    ○藏内修治君 昭和六十年に基礎年金制度を導入していくということについては、自信がありますか。
  59. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) この点につきましては、その方向で進めたいと考えておりますし、また私学共済組合の関係者等にも事前に十分相談をしながらやってきておりますので、基礎年金の導入そのものは方針としては大丈夫だと思っておるわけでございます。ただ、基礎年金を導入するとなりますと、残った部分の報酬比例部分をどうするかという問題とセットで考えなければならないという問題がございますので、そちらの方が大問題で、これの検討に相当の時間を要するだろうと、こういうことでございます。
  60. 藏内修治

    ○藏内修治君 今度の法律改正の年金改定そのものについては、私は結構なことで異存はありません。異存はありませんが、この年金財政に及ぼす影響、また、その改定に伴う国庫補助金の額がどのくらいになるのか、その点についてお尋ねをいたします。
  61. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 今回の年金改定は、この法律でお願いしている部分と、それから法令上の規定から政令でやることになっている部分とございまして、両方を合わせた金額で今回の年金改定として御報告をさしていただきますと、増加する費用が昭和五十九年度におきまして、政令改正分まで含めまして六億一千七百万円余り、これが平年度化いたしますと七億三千七百万円余りというような金額に相なります。これに伴います国庫補助金は、昭和五十九年度が八千三百三十三万円、平年度化いたしました場合に九千九百六十一万円という金額でございまして、この増加する費用によります年金財政への影響といたしましては、千分の〇・三程度でございます。これは国庫補助金分を差し引きますと千分の〇・二五程度ということで、いわゆる影響としては大きなものではないわけでございます。
  62. 藏内修治

    ○藏内修治君 先ほども粕谷先生からの御質問がございましたが、行革関連の特例によりまして五十七年から五十九年度長期給付に関する国庫補助金は、四分の一程度減額をされてきたわけですね。この三年間の減額措置の総額はどのくらいになるのかということが一つと、この減額分について期間終了後は金利をつけて、利子をつけて返還するということになっておりますが、    〔理事田沢智治君退席、委員長着席〕 この間の大蔵等との了解はついておるのか、そして、返還するということになれば、補てんするということになれば、いつできるのか、その辺の見通しについてお尋ねをいたします。
  63. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 行革関連特例法による減額分でございますけれども、この総額が五十七、五十八、五十九と三年間で総額にいたしまして約五十三億円が減額されておるわけでございます。この減額されたものにつきましては、この特例期間終了後、積立金運用収入減額分、つまり利子に相当するような部分でございますけれども、その部分も含めまして、この経過後に国の財政状況を勘案しつつ、できるだけ速やかに繰り入れに着手するということが政府部内で意見が統一されているわけでございます。具体に、それではいつから、何年度から、どういう格好で戻してもらうか、あるいは利子相当分として何%程度にするのかというようなたぐいの事柄につきましては、今後、財政状況等見ながら、各年次ごとに財政当局と相談をしていくということになろうかと思いますが、基本方針につきましては、先ほど申し上げた方向で変わりがないわけでございます。
  64. 藏内修治

    ○藏内修治君 次に、長期給付掛金に対する都道府県の補助金、この交付額はほぼ国の補助金に近い金額になっているわけですね。それはそれとして、一体この補助金について都道府県の方はどういう反応を示しておるのか。それから、制度を充実していくについて国の補助金と都道府県の補助金との、何といいますか、バランスというか、調整は今後どういうぐあいに持っていくおつもりなのか。その辺のところはいかがでしょう。
  65. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) お話にございましたように、この私学共済組合長期給付関係につきましては、この共済組合が発足いたしました昭和二十九年当時から、長期給付掛金の千分の八相当額を都道府県からの補助を受けるということで進んでまいりました。これは、このうちの千分の四、半分づつに分けまして千分の四、千分の四それぞれが組合員負担と事業主の負担のそれぞれに対して補助される、こういうような形になっておるわけでございます。  しかしながら、最近都道府県の財政事情も悪化をしてきたというようなこともございまして、若干、大変遺憾なことでございますけれども、この補助が減ってくるような傾向がございまして、現在の段階で申し上げますと、全部の学校の種類、つまり、大学から幼稚園に至るまで全部出してくれているというところは、四十七都道府県の中で三十五県ということでございまして、その他の県の場合には高校から以下のものについては出していただいておるわけでございますけれども、大学、短大といった高等教育関係につきましては補助対象から除外をするとか、あるいは丸々ではなくて何カ月否かに限って補助をしてくれるというようなことがあるわけでございます。私どもといたしましては、その制定当時の経緯や、その後の状況等を勘案いたしまして、各都道府県に対しましては、できるだけ満額補助をしてほしいということを指導と申しますか、お願いをいたしておるわけでございますが、特に高等教育につきましては交付税措置が講じられていないというようなこともございまして、若干、そういう、先ほど申し上げましたような傾向があるわけでございます。  また、今後、これから年金の一元化の方向を進めていくに当たりまして、こういう都道府県の補助を受けているというケース私学だけの非常に特別なケースでもございますので、いろいろな議論が出てくるということはあり得ることだろうと思っておるわけでございますが、私どもといたしましては、せっかく私学に対する援助のために特別につくられている制度でございますので、この基本は大事にしていくという方向で対応するように考えてまいりたいと、こう思っておるところでございます。
  66. 藏内修治

    ○藏内修治君 今度の改定の中で標準給与の上限、下限を引き上げておるわけでありますが、この措概の対象となる組合員の数がどのくらいあるのか。そしてこの引き上げによる全般的な影響といいますか、そういうものはどういう状況か、御承知なら教えていただきたい。
  67. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 今回の改定に当たりまして標準給与の上限、下限、下限につきましては七万五千円の者を七万七千円に、それから上限の方は四十四万円の者を四十五万円にという引き上げを行っておるわけでございます。  この引き上げの影響を受ける者の数をこれは推計でございますけれども、推計をいたしますと、下限の引き上げの対象となる者が四千九石人、これは全組合員三十三万人に対しまして一・四%でございます。それから上限の引き上げ、つまり四十五万円以上もらっておられる方々というのは、これも推計でございますが、二万八千六百人ということで、全組合員の八・二%というような感じになっておるわけでございます。  なお、組合員のこの掛金負担へどう影響するかという点につきましては、掛金負担の増額が下限引き上げの方の場合には一月百八十円、それから上限引き上げの場合には一月九百円の掛金負担引き上げが行われるということになるわけでございます。
  68. 藏内修治

    ○藏内修治君 これの適用除外になっている要するに人たちが若干あるわけであります。例えば、これ私学共済から出していただいているこのパンフレットの中にも書いてあったと思うんです。今どこかちょっと探しあぐねておるんですが、常勤の先生方以外の者、これは適用除外ではないかと思います。ところが、全般の傾向として、何といいますか、常勤の教職員よりも、特に教員でありますが、講師などが非常にふえていく傾向にあるのではないか。そうなると、この私学共済の適用外の人間がふえるし、学校関係者もできるだけ、何といいますか、適用除外の人たちをふやさないようにする傾向があるのじゃないか。その辺はいかがでしょうか。
  69. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 組合員の資格でございますけれども、原則として、専任でない者、それから臨時使用されている者、それから常時勤務に服さない者というような者が組合員にならないということになっておるわけでございますが、個々具体の実態につきましては、どういうケースの者については組合員にするというような内規等でこの範囲定めがあるわけでございます。  先生ただいま御指摘がありましたその傾向でございますけれども、この傾向につきましては、私ども手元の資料でただいまそういう資料を所持いたしておりませんで、後ほど少し勉強さしていただきたいと思います。
  70. 藏内修治

    ○藏内修治君 この改正案に対する御質問の最後に、長期経理についての資産運用状況、これについて御説明をしていただければと思いますが。
  71. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 長期経理資産でございますけれども、これは将来年金給付をするための財源ということで大事に扱わなければならないものでございまして、法令で、その運用についてのある範囲を定めた基準等もあるわけでございますので、それに従いまして安全でしかも効率的な運用ということを心がけておるわけでございます。  先ほど粕谷先生の御質問にもお答えしましたが、現在の保有資産総額六千七百十九億円と相なっておりますけれども、その内訳で申し上げますと、一番大きいのが、地方債、国債等の有価証券を買っておりますのが三千五百十一億円で、半分以上はそちらの方のものでございます。それから二番目が、組合員に対して家を建てるというような関係での貸し付けを行っておりますのが千二百六十億円、それから私学振興財団へ貸し付けまして、これが私学振興財団から各私学へまた融資されるというようなものが九百七十一億円、その他いろいろあるわけでございますけれども、そういったことに大部分を使っておるわけでございます。  こういったことの結果といたしまして、運用の利回りは七・四八%というようなことに相なっておりまして、これは他の共済等に比べますとかなり有利に運用しているという結果になっておりますので、この点が私学共済長期経理の財政が比較的安定しているということの一つの原因にもなっておるわけでございます。
  72. 藏内修治

    ○藏内修治君 私学共済関係の御質問をその程度にさしていただきまして、若干、先般の一般質問にぜひ私も御質問さしていただきたいと思っておったんですが、とうとう時間がございませんでしたので、きょう改めて各党理事さんのお許しをいただきまして、若干の時間をちょうだいいたしましたので、主として大臣にお尋ねを申し上げたいと思っております。  東の国士館大学、それから西の九州産業大学、その他にも、余り大規模ではないが、私学の紛争というものが潜在的に幾つもあるわけでございます。そういう大学を過去から今日まで見てみますと、往々にして、その大学の理事長あるいは学長、それに当たる人たちが、これは変な話ですが、総裁とか会頭とか、それから会長とか、今度の国士館の場合も館長というんですね。そういう特殊な名称を使うんですね。旧帝国大学の場合には帝国大学の中に単科大学が幾つもありまして、全体を統率する形として東京帝国大学総長という立場があったんですが、総長という名称は今日では法制上はないという形になっておりますね。ただし、決して使ってはならないということではない、そういう解釈のようでございます。大体において、こういう特殊な名称を使うということが、要するに独裁的な権力を振るう理事者の場合に往々にしてありがちなんですな。そういうことなので、過去の大学の設立の歴史等、伝統もありましょうけれども、本来、大学運営に関する主要責任者は法律上、理事長と学長ということになっておるんですから、名称というものはおかしな、まあ、おかしなという言葉は適当でないかもしれませんが、名称はできるだけ規制をしていく、そういう御方針をおとりになったらどうかと思うんですが、大臣いかがですか。
  73. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 学校教育法におきましては、大学には学長を置かねばならないとされているわけであります。しかし、先生が今御指摘がございましたように、特に私立の大学におきましては、学長、総長と呼称いたしましたり、あるいは学長と理事長を兼ねておられるような方々を、総長や塾長というふうに称しておられるというようなことはございます。しかし、これも先生も十分御承知のとおり、こうした呼称は当該大学の設立されました当時のいろんな経緯もありますでしょうし、それから長い伝統もございますし、慣行に基づいて行われているというものが非常に多いというふうに承知をいたしております。  学長としての職務を行う者の呼称として特段支障がない限り、特に私立の場合でございますから、これを禁止して呼び方を統一してしまうということも、またこれいかがなものかなというような感じがいたしまして、むしろ、こうした、今、先生が御指摘をいただきました段階の前段に、いろいろと不祥事が多いということの意味から言いますと、何かこの総長という言葉は、ちょっと逆に言うと暗いイメージがありますけれども、林先生そこにいらっしゃって大変恐縮でございますが、東京大学は学長であるべきに定められておりますが、総長と呼んでおりますが、その場合の総長というのは大変学術と文化の薫り高い、そういう方に私は印象として受ける、一方では、何か悪いことが行われる、総長というと何かこう、暴力団がやくざのところに総長というのはよくあるんですね。そことどうも結びつけられるような感じがいたしますが、やはり、これは教育の機関でありますし、その私立大学ができました大学設立の趣旨、建学の精神、こういうものが尊重されるべきでございますので、必ずしもこれを統一をするというのはこれは私立大学においてはいかがなものかなというふうに私は感じておりまして、余り悪い印象にならないように私立大学の皆さんに十分にお考えをしていただかなきゃならぬということがまず一番大事なことではないかなと、こんなふうに考えるわけでございます。
  74. 藏内修治

    ○藏内修治君 大臣のお考えはお考えでよくわかります。ただ、これは国士館大学の場合、私はこだわるわけではないが、館長という立場に柴田梵天さんが残った。これは象徴的なものであって、一切学校に対しての権限はないんだという形になっておりますが、この辺が、後の御質問にも関連してきますが、それじゃ国士館大学の教職員、特に教授会の先生方はもうこれで安心だという気持ちを持っておられるかというと、決してそうでないんですね。今度、裁判官出身の綿引さんという理事長が出られましたから、その方の手腕というか、力量といいますか、お人柄というか、これに信頼する以外はないと思いますが、いずれにしても、国士館大学の今後の問題は、やっと終わったのではなくて、これから始まるんだという気がするんですね。そこで、こういう館長という立場がいつの間にかまた何らかの影響力、支配力を発揮することがないように、もっと端的に言いますならば院政というものが行われないような保証というものは、今のところ綿引さんに、理事長に信頼する以外ほかにないんですね。そういうことですので、今、大臣のお答えはよくわかりますが、この点はひとつ文部省も今後とも十分御留意をお願いを申し上げたいと思います。  それから大学の紛争ですが、大学の紛争は今まで各地に発生いたしました問題を見てみますと、主として、主としてというよりも、もう大部分がそうなんでありますが、一つのパターンにほぼ統一される。どういう形かというと、学校法人と教授会との権限がまことに不明確であるという点から問題が始まっておる点が多いんですね。原則的には学校法人、要するに理事会は経営に当たるし、教授会は教学に当たる。その活動が、区分さるべきであるものが、現状は、要するに法人が教学の面にまで支配権をじりじりと拡大していく傾向にあるということが、これが紛争の大きな原因になっておるということだけは、これはもう否定することができない。学校教育法の五十九条の中には、「重要な事項」についてはという条項がございまして、これらについては教授会の権限というものを非常に強くうたってある。しかしながら、じゃ「重要な事項」というものは、何が「重要な事項」かということについては法文上の規定はない。そういうところにいろいろと、いわゆる法人が勝手に解釈をして勝手にやっていくという傾向がある。そして、それに反するというか、その意図と違った結論なり方向を教授会が打ち出そうとすると、これは左翼であるとか、アカであるとかというレッテルをすぐ張る。国士館大学の場合も、特殊な印刷物が我々のところにも配布されておりますが、すべてこれは日本の伝統的な教学を遂行しようとしておる大学に対する左翼の陰謀であるというようなことを書いてあるんですね。そうでないことは私自身がよく知っております。というのは、私自身が国士館大学の中にお世話をして教授を二人入れておるんです。これらの方々は全く人物としても信頼できるまことに国土的なタイプのお方なんですが、そういう人でもみんなレッテルを張られちゃうんですね。張られちゃう。そういうことで、まことにこれ困ったものなんですが、そこで、その教授会の持つ教学の機能と、それから法人の持つ経営に対する権限というものを、学校教育法上もう少し明確に規定をする必要があるのではないかと、その点はいかがでしょうか。
  75. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 今、先生から御指摘がございましたように、学校教育法第五十九条におきまして「大学には、重要な事項を審議するために、教授会を置かなければならない。」と、これだけしか、明記だけで、内容といいますか、もう少しそういうところを、どういうことをやるのかということを明文化すべきではないかというような御指摘でございますが、同法の施行規則によりまして、「学生の入学、退学、転学、留学、休学、進学の課程の修了及び卒業は、教授会の議を経て、学長が、これを定める。」と、こういうふうに施行規則では規定されているわけでございます。したがいまして、これらの規定に基づきまして、教授会の具体的な権限については、各大学の学則や学部規則等でこれを定められているわけでございまして、学生の入退学というのは一番大事なことでございますし、通常の教員の人事や教育の課程や学生の賞罰、学則、その他諸規定の制定の改廃、こうしたことなどが審議事項として規定をされているということになるわけであります。先生が御指摘ありましたように、もう少しそれをきちっと制度的に、あるいは規則的に明文化できないかなというのも一つの考え方でございますが、これも、学校というのは、本来自主的に、特に私学の場合は、先ほど申し上げたように建学の精神を一つのよりどころとして、お互いにその建学の精神を中心として学術、研究を進めて、そして学生にこれを伝授、継承していくということが高等教育機関の一番大事な目的だろうというふうに考えますから、これらが上手に、うまく運用されていくということは、それぞれの大学が伝統や慣習、それから、さっき申し上げましたような建学のそうした精神、そういう実情に即して自主的に工夫していくということが一番いいのではないかなというふうに私は考えておるわけでございます。  文部省としては、こうしたいろんな紛争事が起きますと、もう少し文部省としてきちっとしたことを指導できるようにした方がいいかなというような感じも確かにいたします。現に、国士館や九産大の問題で、衆議院の予算委員会、参議院の予算委員会、衆議院、参議院の文教委員会、何で僕たちがこんなに皆さんに、何かこう能力のない者のようにしかられなきゃならぬのかなと思って、本当に時々情けない思いがするというのが正直なところでございますけれども、逆に言えば、大学の自治、学問の自由といいますか、そういうことからいえば、本来大学を経営したり運営する人たちというのは、世間から見て、そんなばかなことが行われることがないという、そういうお互いの信頼感の上にできているものだろう、こう思いますので、こうしたことがあるからといって、何か余りにも文部省が深く立ち入ったことを規則や法律の中で明文化することが私は決していいことではない、むしろそういう基本的なスタンスというものは本来は大事にしていくべきものであろう、こういうふうに思いますので、大学の関係者には、もうみずから本当にいろんな工夫を学内で考えていただいて、そして大学の運営というのは、世間から見ても、なるほど高等教育機関であるなどいう、そういう姿勢や立場というものをきちっとしてほしいなというのは、私たちの立場から見れば、そのことをむしろ期待したいというのが正直な私の気持ちでございます。
  76. 藏内修治

    ○藏内修治君 大臣の話もよくわかりますし、私立大学の場合は建学の精神というものがありまして、その自主性を非常に尊重なさっておるがゆえに、私学運営に対してはできるだけ文部省は不介入の姿勢を今日までとってこられたと思います。そうであるとするならば、私立学校は官学よりも、より高い教育理念というものを持つべきであり、それによってみずからを律していくべきものである。しかるに、その私立大学において、この文部省の姿勢をむしろ逆用してきたのが今日までのいろいろな紛争のもとだと思いますね。それが長期化し、泥沼化し、その迷惑を、学生はもちろんでありますが、社会にも大きな迷惑をかけてきたということが現実の姿だろうと思います。ですから、これを何とか、そういう抜き差しのならない極限の病状にまで達しない前に解決する方法として、これは文部省の中にそういう機関を置くということは適当でないかもしれませんが、少なくとも私立大学の団体、私大連盟、私立大学協会、そういう中に、問題が発生した時点において解決すべき何らかの機関、こういうものを自主的におつくりになるようにしたらどうだ、そういうことを文部省が勧奨というか、勧める意味での勧奨ですが、なさることは、決して私学に対する不当なる介入には私はなるまいという気がいたしますが、官制のそういう機関をつくるということは、私も考えてみて余り適当でないのかもしれませんが、少なくとも自主的に私学団体に、そういう問題が発生した早期において双方の主張をまじめに取り上げて問題解決の糸口を発見する何らかのそういう機関、調停機関、そういうものをつくらせる、つくったらどうかといって勧められるというお気持ちはありませんか。
  77. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 先般、懇話会と私立大学協会それから私立大学連盟、三団体が、これから将来に向けて、できるだけ統合をするということが、直接うたってはおりませんけれども、そういうふうに連絡団体協議会のような形で、ちょっと名称は私今忘れましたが、そういうスタートをいたしまして、私も招かれましたので、そのときごあいさつで申し上げたんです。今度の国士館やこうしたいろんな不祥な問題が時々、毎年出てまいりますけれども、むしろ文部省や国会のこうした論議にまつのではなくて、どうして自主的に大学のそういう仲間から自浄的に解決ができるようにできないものだろうか、これだけ大学のすばらしい学者さんたちがおられて、むしろそういうことをぜひ皆さんで自浄能力という形でやってもらえないだろうか、こんなことをお祝いのことではございましたけれども、私は若干苦言も呈しながら申し上げたわけであります。私は党におりましたときも、当時、私学予算のことで何か団体を統一しなければ私学予算を制裁的に出さないんだ、下げたんだというようなこともちょっと国会で、これはたしか衆議院だったか私はおしかりをいただいたんですが、私はそのときに申し上げたんですが、大学というのは、できるだけ私立大学は自主的に管理運営をされていくことは大事なことですから、団体も本来であれば一つになって、業界という言葉はよろしくありませんけれども、同じ仲間が一緒になってお互いにみんなでそういうことを研さんし合っていく、あるいはお互いにみがき合っていくということは大事なことなので、それが学生懇話会にいる、連盟にいる、協会にいる、いや、そうじゃない、実際どこにも入ってないんだというのが六十も七十もあるという、どうでもいいんだというようなことであってはこれは形骸化しているわけですから、お互いに同じ団体にあって、そしていろんな問題が起きたときに、むしろその団体から外されてしまう、そのことが学校運営をしていくことに非常に支障があるんだということを、むしろしていくぐらいの気持ちでやっていただきたい。特に私立学校助成法ができたときには、国会、私は党側でおりましたので、余り国からお金を出すことによって国がかかり合いを強めるんではないかというようなことは非常に当時与野党の皆さんからも意見が強く出たところでございますから、むしろ、こうして私学助成法による国からの助成が出ているのならばなおのこと、大学がみずから姿勢を正して、みずから大学のあるべき姿というものをお互いに研さんし、求め合ってもらいたいものだと、私はいつもこんなふうにも思い、大学側にもそのことを期待しているわけでございます。したがいまして、今、先生が御指摘の中にもお話にございましたように、大学関係がみずからそうした関係を持って、そんなような機関を持ってくれるということは、私は一つの見識だろうと思いますし、それが現在にもどういう形であるかわかりませんが、今のように、それぞれの団体がばらばらになっていれば、これは全く機能を果たさないわけでございますから、お互いに団体が一緒になろうという機運があるときでございますから、逆にお互いの、そういう問題が起きたときには、そういう解決ができ得るような機関を大学が自主的に、大学側がそういうふうにおつくりになるということは、私は一つの考え方であろうというふうに思っているわけであります。そういうふうに私は今受けとめさしていただいたわけです。  文部省といたしましては、できるだけこれは双方からの意見を聞きながら、公平に今日まで解決を気長く——余り気長くやって国会でおしかりばかりいただいておりましたけれども、できるだけ努力してきたようでございますが、できるだけこうしたことは未然防止をしなきゃならぬ、それから自主努力による解決が一番文部省としては大事だと考えておりますので、この間、御審議をいただきました予算の中に、本年度からいわゆる学識経験者等の協力を得て学校法人の実態を実地に調査し、その運営に当たって必要な指導、助言をしたいということで、学校法人運営調査委員という制度を仮称でございますが発足をさせたところでもございますし、このたび機構改革が七月に行われるわけでございますが、このときには私学行政が高等教育局の中に一元化されていく、そしてその中に私学部というふうに設けられていくわけでございますので、従来のように大学局と管理局というふうに二元的なものではなくて、一元的になっていくことによって、あるいはこうした私学の問題も、今後、文部省一体になって、より健全な方向に進めていかれるようなそういう方向に向かって進んでいくことが期待できるのではないかと、こんなふうにも考えておるところでございます。
  78. 藏内修治

    ○藏内修治君 それから文部省が、定期的と言っていいのかどうか知りませんが、大学の監査を行っておられるわけですが、これは、文部省のお役人さんがたくさんいらっしゃるのに恐縮ですが、原則的に言って、どうも非常に形式的、もっと悪い言葉で言うとおざなりではないか。多くの場合、調査に行かれた係官は、法人側の実力者あるいは特殊なグループ、そういうところとだけ接触をして、本当の意味でのその学校の持っておる病根といいますか、問題点、これらについて見落としておる傾向があるのじゃないか。もう少しこの点は深く立ち入って、場合によっては——ほとんどの場合、これは特に伺いませんが、大学の調査に行かれた場合、恐らく大部分が日帰りだろうと思うんです。一泊二泊して徹底して調べだというような実例はほとんどないのではないかと思うんですが、あれば、いや、そんなことはないと、ここの場合はこうして見てきたぞという例があれば教えていただきたいんです。そういう本当に徹底したというか、何も重箱の隅をほじくるようなことまでなさる必要はないけれども、本当の意味での内情を把握される調査にしなければなるまいと私は思います。その場合主たる問題点は、私立大学の場合の問題点というのは、もう大体決まっているんですね。先ほども御答弁がありました。要するに法人側の、無資格者である人たちに教員の資格を与えたりなんかするような、そういうやり方、それから組合とか、その他特別な研究団体に対するいわれなき圧力、こういうものは、いわゆる先ほどもお話がありました教学と運営との問題で解決していかなきゃならぬと思うんですが、一番深刻で嫌な問題は経理内容の問題だろうと思いますね。国士館の場合にも九州産大の場合にも莫大な、とにかく社会常識を無視したいろんな、学外と一概に言っていいのかどうか知りませんが、少なくとも投資をなさったり、あるいは資産をいろんなところに形成をしていく、そういうものについて、こういうものがどうも不明則な使用をされている。使途不明金、大変嫌な話ですが、政治の世界にまでそういうものが流れておるなんていう嫌なうわさすらあるんですね。そういう状態もありますので、経理内容については特に慎重であり、さらにそれらに眼光紙背に徹するというか、そういうところまで調査ができるような調査、そういうものをひとつぜひやっていただきたいと思うんですが、従来の文部省の行ってきた大学の監査というものは、そういう点から見ますると、非常に微温的で、さらっと上っ面だけをなでて帰ってきた、そういう傾向は私は否めないと思うんです。そういう面について何らかの改善策を講じる必要が私はあると思うのですが、その点について何らか具体策をお持ちであれば伺いたいと思います。
  79. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 従来の調査が先生が御指摘をなされましたようなことであったとは私は思っておりませんが、従来につきましては管理局長からお答えをいただいた方がいいかと思いますが、先ほど私が申し上げましたように、大学人みずからが何らかの新しい方途をぜひお互いに検討していただきたいなというのが私の気持ちでもございます。文部省としましては、先ほど申し上げましたように、そうした学校法人運営調査委員制度というものを設けておりますので、これが機能を果たしてくれるのではないかという期待もありますし、文部省自体が高等教育局ということで、私学と官学を一体化させたと、こういう面もございますので、これもやはり一つの機会に、今、先生がおっしゃられたようなことなども含めて、適切な監査や指導ができるような、その方向は十分事務当局で検討さしていきたい、このように思うわけでございます。必要がございましたら従来のことを……
  80. 藏内修治

    ○藏内修治君 特になければ伺いませんけれども。
  81. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) これまでは私立大学審議会というのがございまして、私学を新設をいたしました場合、その後数年間は、アフターケアと称しておりますけれども、現地へ行って実態を見るという仕組みをとっておったわけでございます。その期間が過ぎますと、いわば制度的には野放しのような状態になるわけでございますが、そこの部分を先ほど大臣が申し上げましたように、学校法人運営調査委員という制度を新たにつくって、同じような機能を果たすようにしたいということで体制が整いつつあるわけでございます。そういった中で、私立大学審議会の委員のこれまでの視察の状況に際しましても、これまで調査指導に当たりましては事前にいろんな項目について各大学から文書による報告を求めまして、その報告を委員と私ども事務官とが一緒になって十分検討した上で、ここはこういうところが問題がありそうだから、あそこへ行ってここをつっついてこようというような形で現地へ行くようにいたしております。もちろん、非常に数が多い学校法人を数名の職員で処置しているというような関係もございますので、なかなか行き届かない面もあるいはあったかとは思いますけれども、某大学における事件のごとく、私大審議会の委員が現地で事実関係を発見して、それがかなり問題になり、その後改善の道が進められているというようなケースも幾つか現実にはあるわけでございます。そういう意味では完全ではなかったかと思いますけれども、相当のことはしてきたつもりでございます。  なお、先生からもいろいろ御指摘をいただきましたので、そういった点も十分念頭に置きまして、今後の指導等に当たりまして、御指摘の点は十分考えながら、事前の準備等も十分いたした上で現地にも参り、あるいは関係者等の意見もより多く聞くようにさらに一層の努力をしたいと思います。
  82. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時十分まで休憩をいたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後二時十分開会
  83. 長谷川信

    委員長長谷川信君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  84. 高木健太郎

    高木健太郎君 年金のことにつきましては、私余り詳しくございませんので、大略のことをお聞きいたします。その後、これに関連したことをきょうはお聞き申し上げたいと思います。  私学共済年金法律が今度改正になるということですが、大臣趣旨説明にございましたように、公務員の方の二%アップに伴った改定であるということを承っておりますが、この私学共済年金の現在における財政の状況、あるいは積立金というのですか、そういうものと、それから各人の掛金と、それから政府援助の関係はどれくらいになっておるのか、それから政府の援助は、今回の措置によりましてどの程度増加するか、これは午前の粕谷委員の質問と少しダブるところもございますが、そのことについてお聞きしたいと思います。
  85. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 私学共済年金財政状況でございますけれども、昭和五十七年度長期経理、つまり年金関係の経理におきます収入は一千三百九十四億円の掛金等収入でございます。支出が三百三十六億円ということで、その収支差が一千五十八億円あるわけでございますが、これは将来の年金給付のために積み立てるということになっております。  年々、こういう形で積み立てが行われてきておりまして、現在その累計額は六千七百十九億円というところまで達しておるわけでございます。この累計額につきまして将来の給付のために必要な準備しておくべき計算上の金額を責任準備金と申しておりますけれども、現在持っております六千七百十九億円が責任準備金に対してどれぐらいになっているかという点につきましては、その充足率九五%ということで、かなり一〇〇%に近い充足を見せておるわけでございまして、これは各種の共済制度年金制度が他にもいろいろあるわけでございますが、そういった中でも特に著しく充実をした準備が行われているというような状況にあるわけでございます。私学共済につきましては、ただいま申し上げましたのは昭和五十七年度末での推計でございますけれども、財源率の再計算等を適時行いまして、必要な掛金引き上げ等を行ってきた結果、この程度の水準にまで到達をしておるというような状況でございます。  私学共済に対する、こういう私学共済の経費でございますけれども、国庫補助が一八%、給付時の補助ということで毎年国庫補助が出ております。午前中の御質疑にもございましたように、現在行政改革の関係の特別措置の行われている期間であるために四分の一がカットされておりますけれども、期間終了後、いずれ返していただけるということで一八%プラスアルファ程度の国庫補肋が毎年行われているということで、ただいま申し上げましたような財政状況になっておる次第でございます。
  86. 高木健太郎

    高木健太郎君 最近、これは社会一般に高齢化が進んでおりますけれども、恐らく私学においても高齢化が進むのではないだろうかと思います。そういう意味では、年金の最近の傾向というものは、いわゆるふえる傾向にあるか平衡を保っているのか、だんだん掛金年金支出の方がふえているかどうかその傾向をひとつお話しいただきたいと思いますが、その前にひとつ掛金をする人とそれから給付を受ける人、そういう人との比は現在どうなっておって、将来大体どういう見込みでこれ推移するであろうかということをひとつお聞きしたい。
  87. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 現在、現実の組合員として掛金を行っている者と、それからその年金給付を受けておる者の比率を成熟度という言葉で言っておるわけでございますけれども、私学共済の場合にはその成熟度が三・六七%というようなことで、非常に若い共済制度だということが言えようかと思います。  これに対しまして、他の共済との比較で申しますと、先般、特に問題になりまして、昨年、特別の措置が講じられました国鉄共済等の場合には成熟度が六五・六九%というような非常に高い成熟度でございまして、私学との関係で公立学校共済組合の場合を申し上げますと二二・九九%というようなことでございますので、私学共済の三・六七%というのは非常に成熟度が低いわけでございます。こういう成熟度が低いために、年金財政としては比較的安定が保てるわけでございます。  私学共済の場合には、先ほどの先生の御質問にも含まれておりましたけれども、職員構成がやや特殊でございまして、年々給付を受ける者の数がふえてまいっておりますから、そういう意味で成熟度はだんだん高まってきておるわけでございますが、それにいたしましても、一つには幼稚園の元生等は若くして退職されるというケースがかなり多いわけでございますし、それからまた、国立学校等の教官から、停年になった後私学へ来られるというような先生方もおられるといったような意味で、他の共済組合と少し人員構成が違ったような部分があるわけでございますが、そういったような点もこの私学共済の成熟度の問題、あるいは年金財政の問題に、いわばそういう意味ではいい影響が出ておるということになろうかと思います。
  88. 高木健太郎

    高木健太郎君 これも素人のような御質問なんですが、二十年勤続すると、それから年金給付されると、そういうことでございますか。そういうときに、その人が将来何年ぐらい生きておれば何年ぐらいで自分の掛金というものを全部取得するのかということは、これは一概には言えないと思いますけれども、大体何年ぐらいでございましょうか。  それから、二十年たたないでやめた人もあると思いますが、そのときにはどういう形になりますか。
  89. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 二つ質問があったわけでございますけれども、この私学年金は御本人の掛金と、それから国庫補助、さらには都道府県の補助等がいろいろな格好で入っておりますので、本人の掛金だけを見ますと、例えば二十年勤続後で退職されて年金を受けられるというと五年弱ぐらいで御本人の掛金の分は全部取り返しがつく、言葉が適当かどうかは別でございますけれども、そういうようなことでございます。それ以上の分は国庫補助なんかから返ってきておるような計算になるわけでございます。  それから、途中で、二十年未満で退職された方方の場合には、いわゆる通算退職年金という制度がございまして、他の職業等に就かれました場合に、それとの関係での通算ができるというような仕組みになっておるわけでございまして、完全に掛け捨てになるということにはならないような形になっております。
  90. 高木健太郎

    高木健太郎君 このようなことをお聞きしましたのは、私は大学のしかよくわかりませんが、国立から公立へ移るとか、あるいは国公立から私立大学へかわるという場合が非常にたくさんあるわけでございますし、また私立大学の方から国公立の方へ移ってこられると。人によりますと、初め国立て奉職しておった者が一度私立大学へ行くと、それからまた私立大学から国立大学へ戻ってこられると。このような場合に、そのような人は、ある一つの大学で二十年勤続している人よりも得なのか損なのか。これは非常に雑な問い方でございますが、これがよく我々に聞かれる一つの質問でございます。  それから、公立の場合は給与が国立よりも高い場合もございまして、そういう場合には、国立に帰っていくと給与がかえって下がってしまうというようなこともある。こういうことを私が申し上げるのは、給与面もございますけれども、年金面や退職金なんかで、移ることは損だという、損であるのか得であるのかということが一つの、ある障害といいますか、そういうものになっておって、人事異動がうまくいかないというようなこともあるやに聞いております。実は、その動き得るような人は、かなり優秀な人が多いわけなんですね。あの人はいいからこちらへ来てもらおうというような人で、動くという人はかなり高く学問的にも人間的にも評価されている人が多いと。そういう人が、動いてほしいと呼んできましても、その人に対しては不利益になると、それは退職金、給与あるいは年金を含めてですね。そういうことがあるのかないのか。巷間言われるところは、損であるというふうに聞いておりますが、そんなことはないのかあるのか、非常に大ざっぱな質問で恐縮でございますが、ひとつお答え願いたいと思うんです。
  91. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) これは、いろいろなケースがあろうかと思うわけでございますけれ戸も、一般的に申しまして、国立と公立という場合には、もうほとんど同じ仕組みでございますので、この間を移動されてもほとんど違いはないということが言えようかと思います。ただ、国立と公立て、特に公立て非常に高給を、比較的高給をもらっていた方々が国立へ行って若干給料が落ちたというような場合には、退職時の額で計算がされるというようなこともございますし、そういう点では問題が出てくるケースもあるいはあるかと思いますけれども、一般的には問題が少ないかと思います。国立と私立、あるいは公立と私立の場合には、これは俸給の基本的な計算の仕方等が若干違っているというようなこと等もございますので、これもケースバイケースでございますけれども、ごく一般的には、国立から私立へ移られるというようなことがあった場合には、若干は損になるんではないかということが一般的なケースであろうかと思います。くどいようでございますけれども、ケースバイケースで、例えば国立の共済年金計算は、俸給額によって計算するわけでございますが、私立の場合には、給与の総額で計算を、標準給与という別個の制度をつくっておりまして計算をする。いろんな手当等も入ってくるとかいうようなこともございます。手当等の水準も、国立のように一定しておらない、各大学によって随分差があるというようなこと等もございますので、全く一概には言えないわけでございますけれども、若干国立—私立、あるいは公立—私立間の移動の場合には損になるケースが比較的多いように聞いておるわけでございます。
  92. 高木健太郎

    高木健太郎君 私が申し上げるのは、その額ももちろんでございますけれども、できれば、そういう移動によって本人が損失をこうむらないというように、ひとつ調整をしていただいたらどんなものかと。例えば、公立と国立の場合、退職金を途中で切ってしまうと。そのつながりがないと。いわゆる通年というんですか、通年制度がとられていない県と、とられている県があるわけなんですね。そうすると、とられている県では非常に人事がスムーズに動くけれども、とられていない県では非常に人事がぎこちなくなる。これが教育とか研究面で非常にマイナスの面をたくさん持つことがあると。こういう意味で、私立と国公立の間にもそういうことが起こり得るでしょう。だから、ケースバイケースというよりも、大体において波がそういうふうにはないというようなことを文部省サイドからいろいろ調整をしていただくような努力をしていただくと、これが大学の機能なり、あるいは教育の機能の発揮に非常に都合がいいのではないか。そういうことは、文部省としては時にはそういう調整役を買って出られたこともございますですか。
  93. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 年金の関係につきましては、これから年金の一元化の問題ということに取り組んでいくわけでございますけれども、そういう中でも、例えば基礎年金というのを全体に共通につくるとか、いろんな形で各年金制度の間のいろんなアンバランスを是正をしていこうという方向を進めておるわけでございます。そもそも国立と私立て給与体系が全然違うという大問題があるものですから、なかなかうまくいかない面はあるわけでございますけれ空も、先生、おっしゃるようなことは十分念頭に置いて考えてまいりたいと思っております。  なお、退職金等はちょっと別の問題ではございますけれども、また関係の部局等とも十分相談をしてまいりたいと思います。
  94. 高木健太郎

    高木健太郎君 今のようなことは小さいようでございますけれども、非常にその本人なり学問研究の上に割と大きく響いているように私は思うわけなんです。そういう意味で、一元化というんですか、年金の一元化もお進めになっているわけでございますから、こういう方面でもひとつ目をつけていただいて、調整を買っていただいたらどうかなと、こういうふうに私からもお願いをしておきます。  それから、年金というのは、最終給与ですか、国公立の、公務員の方は最終給与の百分の四十ですか、二十年勤めれば。そういうふうに決められておりますが、これはいつごろからそう決められて、何を基準にして百分の四十というふうに決められたんでしょうか。今は物価もあるいは生活費も割と安定をしておりますけれども、何かの拍子に上がったという場合には、これが基準になっておれば、またそれによって上がるんでしょうか。どういうふうになっているんですか。この最初に決められた百分の四十というその基準は、何を基準にして百分の四十というものを決められたのかという、そういう意味です。退職後の生活をこれだけではとても保障できないと思いますが、何かを基準にしないと百分の四十という数が出てこないわけですね。そういうのは、何を基準にして決めておられるんでしょうか。例えば物価というようなものを基準にして決めておられると、今後インフレというふうなことがあった場合には、それに伴って上げられるのかどうかと、こういう意味です。
  95. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 大部長い歴史のあることでございますので、私も詳しくはわからないわけでございますけれども、先生御案内のように古い制度では、国家公務員につきましては恩給制度があったわけでございまして、あれが十七年勤続をして退職をした者に三分の一で三三%ぐらいを支給するというような仕組みであったわけでございまして、勤続年数が長くなれば、さらにそれに少しずつ上積みしていく、こういう仕組みであったわけでございます。新しい年金制度昭和三十四年でございましたか、国家公務員についてできました際に、恐らくその辺を考慮に入れながら、そのバランスを保ちながら二十年だから四〇%ぐらいというような水準が一応出てきたのではなかろうかと思うわけでございますが、そういうことで、私学共済の場合にはすべて国家公務員の、いわゆる国立学校の教員あるいは公立学校の教員に準ずるという仕組みをとっております関係上、同じような方式をとってまいったわけでございます。  今後どうするのかという年金水準の問題につきましては、従来から物価関係の問題等につきましては、御承知のようにこういう共済組合年金のアップは、公務員のベースアップとのバランスをとりながら上げていくという仕組みをしてまいりましたので、年金の比率を上げるんじゃなくて、給与の額が、もとが上がるわけでございますので、それに合わせて同じパーセンテージで、同じ水道のものが上がっていくと、こういう仕組みであったわけでございますけれども、これから年金の一元化を進めていくに当たりまして、公務員等の共済年金と、それから厚生年金等とのバランスということが今基本的に問題になっております。厚生年金につきましては、これはちょっと別の考え方でございますけれども、現役で働いている勤労者の大体七割弱ぐらいのところが老齢で退職された方の年金額としては適当ではないかというようなことをある水準として描きながら、厚生年金については改定を考えているようでございますが、そういうものとのバランスをとりながら、具体にこの共済年金についてどういう率にするかは、これからのまさに給付水準をどうするかという、ことし検討しなければならない課題になっておるわけでございますが、その辺のバランスを見ながら考えていく、新しい給付水準を考えていく事柄であろう、こう思っておるところでございます。
  96. 高木健太郎

    高木健太郎君 こういう問題は別に理論的に出てくるというわけでもないので、非常に計算がやりにくいんじゃないかなと。恩給が、十七年の人が三三%、多分三分の一ぐらいだから三三になったんじゃないかと思うんですが、それに三年加えて二十年だから今度四〇%ぐらいじゃないかなという非常に大まかな概算的な推計によって出されているんだろうと思うんです。何か払いつでも困るのが、授業料というのが非常に困るんですね。何を基準にして授業料というのを幾らに決めたということがない、そうすると学生とのいろんな交渉で、授業料とは何ですかということを聞かれるとまことにこちらは答えにくい。それは建物使用料であるとか、あるいは貸借料であるとか、あるいは損耗料であるとかといろんな考え方があると思いますが、また物価の方からも何か響いてきている、それからほかとの見合いというようなバランスというようなことも考える。しかし、授業料というのは何ですかという本質については全然答えられないというような問題があるわけなんです。これがいつでも授業料問題で学内でがやがやする問題の一つになっているわけです。特に国立大学が幾らと決められますと公立も私立もそれに右へ倣えするというような、今までではそういう関係になっておりますので、国立が何か動かされると、理屈も何もなしにそれじゃわしらの方も何%上げる、こういうふうな順序で動いているわけです。国というものはそういうものでいいのかもしれませんけれども、このごろの学生はなかなか理屈もききますから、今度のこういう年金というようなものも、何か今度おつくりになるときには今までの長い歴史だからこうだというのではなくて、そこに何かの基準を一応つけられまして、その基準が悪ければ基準の方を変えていって年金の率を変えるというようにしておいた方が将来とも私ぐあいがいいんじゃないか、そういうように思いますので、今こんなことをお聞きしたわけでございます。  それから、今度二%引き上げますね。そうすると、その財源というのをどこからか持ってこなきゃならなくなるわけなんですけれども—引き上げというのは給与引き上げですよ、国公立の方は二%引き上げたわけなんですね。私立の方も、今言いましたように、国公立が引き上げますというと私立の方もやっぱり引き上げざるを得ないんじゃないかと、こう思いますが、最近における私学給与引き上げというのは平均どれぐらいになっているものでございましょうか。
  97. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) ただいま手元に数字を持っておりませんので、勘でお答えして恐縮なんでございますけれども、一昨年でございましたか、五十七年度あたりで五%ないし六%ぐらい私学では引き上げがあったかと思います。国立の大学の場合でございますけれども、国立大学は国家公務員でございますので、ベースアップがストップになりました時点のときに私学は若干五、六%ぐらいは引き上げになったように記憶しております。
  98. 高木健太郎

    高木健太郎君 この間、人事院から総理に対して勧告というんですか、申し入れがあったようですが、今度は六%ぐらいじゃないかというようなことも言われております。そうすると、また私学が上げなきゃ何かぐあいが悪いんじゃないか、バランスがとれないんじゃないか。そうなりますと、私学給与引き上げといいましても、これは自分でその財源を探してこなければならないと思うんですが、私学に対しては給与というのはかなり大きな負担になってくるんだから、年金は今言われましたように、いわゆる責任何ですか、共済年金で、それで十分九五%安全だということですが、給与の方はこれは何もためおいたわけじゃなくて、ある学校ではかなりの負債もあるんじゃないか、こう思います。そういうところで国家公務員の方が上げるとそれを上げなければならない。特に私お伺いしたいのは、医科系の大学というのは非常に経費がいろいろな面でかかるわけでございます。その経費について政府私学振興助成といいますか、そういうものに対して政府の援助をやっておられるわけです。何か取り決め——いや法律でございますか、五〇%までの経常費を見てやろうというお話でございますが、ことしは行革によってまだまだそこまで達していないのに、ことしは幾らか削減されたという話も聞いておりますが、ことしは去年に比べてどれくらいになっているか、ちょっとお聞きいたします。
  99. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) お話にございましたように私学に対する経常費助成というのを行ってきておるわけでございますが、これは大学等の高等教育機関に対しまする部分は国が直接助成をいたします。私学振興財団を通じて国から金を出しているわけでございますが、高等学校以下につきましては各都道府県が補助をしていく、それに対して国が補助金の形とそれから交付税の形と両方で財源の面倒を見ている、こういうような仕組みになっておるわけでございます。先生の御指摘のございましたように、私学振興助成法によりまして二分の一以内を補助するということになっておりますが、事の趣旨は、二分の一以内というのは二分の一を目指して頑張ろう、こういうことでございますので、五〇%を目指してということで努力をしてまいったわけでございますが、最近の非常に厳しい財政事情から概算要求そのものが一〇%カットさせられる、査定に際してはさらにそれに対してのカットがかけられてくるというような情勢で、大変やむを得ない事情ではございましたけれども、先日、御審議を上げていただきました昭和五十九年度の予算におきましては、私立大学の方の経常費助成については前年度より一二%カット、それから高校以下につきましては一〇%カットという措置を最終的に講じた次第でございます。大学と高校以下に差をつけましたのは、やはり高校以下の場合には、何と申しましても、国民生活との密着の度合いがより高いだろうというようなことも考慮いたしたわけでございますが、高校以下につきましては、そのほかに交付税措置の方で若干三%ほど引き上げをしていただきましたので、国の財源措置全体としては高校以下は前年とほぼ同じ財源措置をしたわけでございます。したがいまして、大学関係が三%減という結果にならざるを得なかったわけでございます。
  100. 高木健太郎

    高木健太郎君 これは財政上やむを得ないと私は思うわけですが、先ほどもちょっとお話ししましたように、学校は、国立の方で二%上げ、何%上げとしますと、私立大学の方は二%よりか少しでもよくしないと、いい教官も集まらないとかそういうこともあると思いますし、設備が老朽化していけば、それに対しても金を出さなきゃならぬというようなことで、とかく私は非常に物入りが多いと思うんですね、私立大学というのは。そういう意味で経常費補助というこの計画もやられたんだと思います。これまで順調に進んできておったんですが、ここへ来てそれをカットせざるを得なくなったと。ところが、もう一方におきましては給与を払わなきゃならぬ、それは上げなきゃならぬ。そうすると、私立大学自体としては、私は私立大学を経営したことがないので全然わかりませんけれども、恐らく、特に医科系、理科系というようなところでは非常に大型機械が、このごろ、あるいは工学機械といいますか、そういうものが入っておる。それから、医科系におきましては、薬価基準が一六%か一七%か引き下げられている。だから医科系では収入がそっちの方から減ってきている。ただでさえ医科系の大学では赤字のところが私は今までも多かったと思うんですけれども、それがなおさら赤字が一給与も上げなきゃならぬ。それにそういう諸経費も要る。一方ではそういう補助金がカットされてしまった。これの財源というものを大体どこから持ってきたらよいかということなんですね。これ経営者としては大変頭を痛めておられるのではないだろうかと、こう思います。  そこで、経営者として考えられるのは、多分授業料を上げなきゃならぬということになると思うんですが、授業料が今勝手に上げることができないのじゃないか。それから、学債だとかあるいは寄附金というものも余り多額に取らないようにという、そういう勧告というんでしょうか、そういうことが文部省から私学の方へあるいは行っているのかもしれないと思うんですね。そういう点あっても、しかし背に腹はかえられないから、学生の方へ負担をかけざるを得ないということになっていくのじゃないかと。この点とういうふうにお考えでございましょうか。
  101. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 最初に理工系でお金がかかるというお話がございました。御指摘のとおりでございまして、医科系でございますとか理工系の教育の場合には、一般の文科系教育に比べまして、かなり多額の経費がかかるわけでございます。そういった点を考慮いたしまして、先ほど来申し上げております経常費補助金を配分いたします際に、教育研究に要する物件費等につきまして補助単価を理科系については高くするというようなことで、特別の配慮を配分の際にしてきておるわけでございますが、具体に申しますと、学生一人当たりに換算しました場合に、補助金が出ております額が、昭和五十七年度の決算の数字で申し上げますと、一般の学部の場合は学生一人当たり十万円でございますけれども、理工系の学部の場合には二十一万円ということで倍以上でございます。さらに、医学系の学部の場合には二百十九万円ということで、これは膨大に金がかかりますので膨大なお金を交付するようにいたしておるわけでございまして、これを経常的経費の中で、それではどれぐらいの割合を補助していることになるかと申しますと、これも五十七年度数字でございますが、一般の学部では二二%くらい、それから理工系の学部では二八%ぐらい、それから医学系では四一%くらいの補助というようなことで、配分の上で、運営が非常に難しい理科系それから医学系については特別の配慮をいたしておるわけでございます。  それから、補助金総額の減少というようなことで、これがいろいろな面で私学の経営の圧迫の要因になっているということは事実でございまして、それをどうするかということになりますと、勢い授業料のアップということに結びつけざるを得ないということになりかねないわけでございますが、私どもとしてそれはある程度やむを得ない面はあるにいたしましても、できるだけその大学自体の中で経営面での御努力を願って、授業料アップをできるだけ抑えてほしいということを繰り返し繰り返し各私学の関係者にお願いをしてまいったわけでございます。幸いに、各私学でもいろいろ御努力をいただいていることだと思いますけれども、最近の授業料のアップ率というのはここ十年来では一番低いところまで落ちてきておりまして、昭和五十九年度、今年度の授業料とか入学金とか合わせました初年度納付金でございますけれども、その値上げ率は三・二%ということで、昨年あたりに比べますと半分近くにまで落ちているということでございます。これまでは、こういうことでもって非常に努力をしていただいた結果、そういうふうに抑制されているという結果が出ているわけでございますが、しかし、今後すべてこれでいけるかどうかというのはかなり難しい問題でございます。私どもとしては、引き続きそういう御努力をお願いすると同時に、これから厳しい財政の中で、できるだけ最大限の援助の額を確保するように努力をしなければならないと、こう思っておるところでございます。
  102. 高木健太郎

    高木健太郎君 これは物価も上がりますし、それから今のように給与も上げなきゃならない、それから設備の更新もしなければならないという意味で、かかるのはこれはやむを得ないと思いますが、そういう意味で経常費補助が行われておって、これは私非常によかったと。というのは、私学も国公立と同じように教育の非常に大事な場面を引き受けておるんだから、これに対してそれ相当の補助をするということは、私は非常にいいことであったと思うんですが、国家財政、いかに苦しいといえ、そこのところを削られるというと、それはきっと学生に行くと。そうすると、その家庭にとっては増税が来たのと同じようなことになりますから、増税はしないと言われているけれども、おれのところは増税になったというようなかっこうにもなるわけですから、できるだけそういうことは、特に医学部ですけれども、そういうことがないようにお互いにひとつよく相談して、二分の一補助ということを決めた以上は、できるだけ、苦しくとも、その方面に向かっていって、そしてその家庭に対する、あるいは本人に対する、そういう負担が余り大きくならないようにひとつ考えていただきたいと、こう思います。  同じようなことですけれども、これは育英会のことはまたいつかお聞きしますけれども、大体育英会、奨学金とこう言っておりますけれども、奨学金というのはスカラシップということですけれども、これは無利子ということが本来の姿でございますけれども、これはいわゆる貸付金ということなんですね。貸付金であれば、私、利子を取ってもこれはいいんですけれども、何か奨学金、奨学金というと、ただでもらった気持ちで、後でまた利子を取られるというのは余りいい感じじゃないんですけれども、その利子を取るということで、また本人にある程度負担がかかっているということも考えておかなきゃならぬ。  時間がなくなりましたから、もう一つ申し上げますというと、現在私—私塾といいますかね。塾がたくさんできていると。この塾、この前、細川隆元さんと文部大臣お話になっておったときも、塾の話がちょっと出ましたが、出たかとも思いますが、塾はやむを得ざる悪というんですかね。悪ではないんですけれども、必要にしてそういうように生まれてきたものであって、塾というものは、そんなのない方がいいといっても、必要悪としてそこに存在している。しかも、現在は非常に多くの塾ができて、子供は何%くらい行ってるのかですね。小学校の五、六年生、それから中学、高校として、だんだんふえていますし、それに対する経費が、いわゆる家からの持ち出しがかなりふえてるんじゃないか、こう思います。これ時間がありませんから、簡単にひとつ、どれくらい塾があって、どれくらいの子供が行っていて、平均どれくらいの持ち出しをやってるのか、簡単にひとつお答え願います。
  103. 齊藤尚夫

    政府委員(齊藤尚夫君) 学習塾に通っております児童生徒の推計でございますが、文部省では昭和五十二年の三月に調査を実施いたしまして、その結果、小学校全体で全体の数の一二%の子供、それから中学校、中学生の三八%、これは昭和五十二年二月現在の数字でございます。その後、総理府で調査したものによりますと、小学校五、六年生で三八%、中学校全学年で四五%という数字もあるわけでございます。多少ずつふえておるという実態がと考えます。  それから、経費でございますが、文部省では保護者が支出した教育費調査というのを毎年実施いたしておるわけでございますが、その中で家庭教師だとか学習塾のための経費、あるいはおけいこごとの月謝として支出した経費などまとめまして、いわゆる家庭教育費と称しておるわけでございますが、この経費につきましても、ここ数年、若干ずつではございますけれども、増加の傾向を示しているわけでございます。数字を簡単に申し上げますと、昭和五十七年度現在でございますが、保護者が支出しました家庭教育費、一人当たりの年額で申し上げますと、公立小学校の場合に家庭教育費総額が七万九千七百十八円、このうち家庭教師、学習塾のための経費が六千二百六十四円、それからおけいこごとの月謝、これが三万六千三十四円ということでございます。それから、公立中学校で申しますと、家庭教育費総額が七万三千二百六十三円、そのうち家庭教師及び学習塾の軽微が二万八千七百三円、おけいこ事の月謝が一万二千八百二十五円という実態になっております。これ五年前に比較しますと、物価上昇分を差し引きましても、多少全体として増加傾向にあるということでございます。
  104. 高木健太郎

    高木健太郎君 また塾のことにつきましては、私、改めてお聞きしたいと思っております。というのは、これをどういうふうにするのか、今後どういうふうにするのか、外国には例のないことでございますけれども、これがなくては現在の学歴社会におくれをとるというようなことで、もう必要であるというのは、みんなあんまりいいことではないと思うけれども、各家庭とも必要であるからというのでやる。それから経費の方も、なかなかこれ実態は把握しにくいんだと思いますけれども、私が聞いたところでは、一月小学校の五、六年で三万円ぐらい払っているところがざらにあるわけなんですね。  こういうことで、せっかく文部大臣お忙しいところをおいでいただきましたので塾の話はまた別に回しまして、私がきょうお聞きしたいのは、いろいろな意味教育費というものが、表に出ているようなものよりも下に沈んでいるものの方が非常に大きくなってきたんじゃないかという気がするわけです。そういうことは、一つ一つの家庭に対して教育負担というものが非常に大きくなっている。だから、行恥というようなもので国家財政というものを考えていろいろおやりになる。医療費を削減するとかいろいろな案をお考えになっているようですけれども、どうもいつでも来るのはそういう福祉、厚生というようなものと、そして教育費というようなもののところへ何かしわ寄せが来ているような気がする。日本では非常に教育に熱心な私、国民で、この点、世界に非常に誇るべきような国民だと思いますけれども、それだけにこれは文句を言わないでほかのものを削ってでも教育費に入れているという状況でございます。こういうことを、何とかやっているからいいだろうというふうにやっていくということは私は非常にこれよくないことだと。余り声は大きくはありませんけれども、しかし、そういうことは文部省としてよくお考えいただいて、国民のそういう家庭の教育負担というものを少しずつでも軽くしてやる。しかも、月給取りになって、やっと小学校の五、六年ぐらいになって、三十か三十五ぐらいで、一番本人も金がかかるというようなときに、その教育費というのがかかってくるんですね。だから、逆に言うと、よく月給はもう六十になったら下げた方がいいという考え方も昔あったわけなんで、教育に非常にかかるべきそういうときに、実は月給というのはまだ、そこまではいってないと。こういうことが、私、非常に不合理ということはないけれども、何か考えていただかないと、教育にひずみが結局は来るのではないか。働きに行きたくないけれども、奥さんも一緒にどこかにパートをしなければならぬとか、夜なべをしなきゃならぬとか、そうすると、お母さんがパートに行く、御主人もいない。そこへ子供はひとりぼっちで帰ってきて、それで塾に行くというような、いわゆる家庭全体が何か知らない間にひずみを受けてくる。これが教育の悪い効果としてそこへあらわれてくるということは、金ということばっかり考えていると、教育というのはどこかでひずんでしまうんじゃないかなあということを心配して、ひとつ文部大臣にも、ぜひこの点お考えいただきまして、国家財政も大事だけれども、目に見えないひずみというのを教育に起こすような、そういうことにならないようにこの際ぜひ御尽力をお願いしたい、こう思いまして、最後大臣のお考えをお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  105. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 高木先生の御質問、そして政府側の答弁のやりとりを伺っておりませんので、その経緯全部について申し上げることはかえって失礼であるかと思いますが、委員長初め委員の皆さんのお許しをいただきまして衆議院の本会議に出ておりましたので大変御無礼をいたしました。  いわゆる教育にかかる経費の問題についての御論議であるというふうに承知をいたしておりましたが、教育は御承知のとおり、まさに旧政の基本でございますので、厳しい財政状況ではございますが、こうした状況を踏まえつつ、私どもといたしましては、所要の文教予算の確保に努め、教育費の保護者負担が適正なものになるように十分今後とも努力をしていきたい。そのように申し上げておきたいと思います。
  106. 高木健太郎

    高木健太郎君 終わります。
  107. 安永英雄

    ○安永英雄君 私学共済の姓物で大阪、東京、ここで立派な会館ができておりますが、私も先日、初めて新しくなりました東京の会館に行ってみましたけれども、ちょっとびっくりいたしました。北海道、愛知、九州、ここにも会館ができておるわけでありますが、今後、広島、宮城と、こういう計画もあるやに聞いておるわけでありますが、この計画はどこまでいくんですか、会館づくり。
  108. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 私立学校共済組合が設置をしております会館でございますけれども、先生御承知のように、私立学校共済組合は年々拡充をしてまいりまして、現在加入校数は一万二千五首七十四校、それから組合員数が三十三万、被扶養者が三十万というような非常に大きな団体になっておるわけでございます。これらの組合員等は全国に散在をしておるわけでございますけれども、公立学校共済組合の場合には、各都道府県ごとに支部が置かれておりまして適切な運営が行われておるわけでございますが、私立学校共済組合の場合にはそういうことを行い得ないような状況でもございます関係上、全国を七ブロックに分けまして会館を設置いたしました。宿泊事業のほかに支部的な事業もあわせて行うと、共済組合支部としての事業もあわせて行うというようなことで、北海道、宮城、東京、愛知、大阪、広島、九州、この七カ所について、これを設置するという計画を昭和四十九年度に立てたわけでございまして、以後、先生の御指摘にございましたが、北海道、東京、愛知、大阪、九州、この五カ所の会館は既に設置をされまして活動を開始をいたしております。したがいまして、残り広島と宮城について同様にこれを設置するということで、一応この計画は完成をするという予定になっているわけでございます。  なお、広島と宮城につきましても既に用地の確保なども済んでおるわけでございまして、近く建設工事に入りたいと思っておるところでございます。
  109. 安永英雄

    ○安永英雄君 この会館の機能をちょっと今触れられましたけれども、結婚式場、その他の経営もやっておるようですし、それぞれの地域に密着した福祉事業、こういったこともやりたい。それからこれ各会館に電算機のオンラインシステム化ということも考えている。こういうことですが、実際会館の機能というのはどういうことですか、具体的にぼ。
  110. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 会館につきましては、お話にございましたように会館として、宿泊施設として組合員及びその家族の利用に提供するというのが一つあるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように支部を地方に持っておりません関係上、共済組合のそういう広島支部、九州支部というような支部としての役割を果たすことを考えているわけでございまして、具体的に申し上げますと、地域の組合員がいろいろな年金の問題、その他会館の業務となるような仕事につきまして御相談に見えた場合の相談に応ずる仕事でございますとか、あるいは地域の福祉センターという意味で地域内の組合員の日常生活に密着するようなきめの細かい保険関係の事業でございますとかというものを行う。あるいは会議、宿泊等の施設という意味で、地域の私学先生方の研修施設という役割も当然会議室等において果たすことになる。あるいは地域に私学団体がございますけれども、会館の一部をその事務所として提供するというようなこと等もあるわけでございます。先ほど電算機のことについてお触れになったわけでございますけれども、具体に電算機を共済組合の本部に備えると同時に、端末を各会館に設置をいたしまして、これをいたしますと、例えば具体的には個々の組合員が自分の年金額の計算はどうなったろうかというのは、支部に聞けば支部が直ちに本部とコンピューターで連絡をして、かつ結論が出てきて、これぐらいになっていますという指導ができるようにというようなたぐいの業務が非常にやりやすくなるというような点でのプラスもあわせて考えているわけでございます。
  111. 安永英雄

    ○安永英雄君 この東京湯島の会館の場合、延べ面積が二万八千坪、総額百億円超すような大変な規模ででき上がっておるわけでありますが、九州の福岡の場合はよく私もお世話をしたこともありますし、知っているんですけれども、これは組合員といいますか、会員の分布状態等考えたら、もう少し建てる箇所あたりはちょっと考えた方がいいというふうな気もするんですけれども、ここらあたりの配分、ただブロックと、こういう形じゃなくて、もう少し工夫した方がいいんじゃないかという気もするんですけれども、これは例えば九州の場合、九州各県の私学共済に加入しておる人の支部の役目をするというのですが、各県の仕事を全部やるんですか、そこで。ちょっとお聞きしますが。
  112. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 九州地区の組合員年金業務その他の仕事について、ここで取りまとめて行うという考え方でございます。
  113. 安永英雄

    ○安永英雄君 これは私の感想ですけれども、そうなればちょっと位置的におかしいような気もするんですね。これ、今からやられるときには考えられた方がいいんじゃないかと思います。まだ今から設置されるところは。  そこで、今、コンピューターの話もありましたけれども、そういった会館にも末端にずっとコンピューターを置くというふうな形なんですけれども、もちろんこれは幼稚園から大学まで、それから年金受給者の勤務条件、経歴、いろいろ多岐にわたっておる私学共済ですから、これは相当事務的なコンピューター化というのは必要だろうということはわかるんです。予算、五十八年の私は予算しか見てないんでわかりませんけれども、これやっぱり電算の費用が約五億円、これ年々ずっとふえているような状態ですけれども、これは末端のところにずっとつけていくという施設がふえているんですか、中央のこの東京の湯島の会館でコンピューターの充実を図っているんですか。
  114. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) これには中央の関係の、中心に置いてありますレンタルの電算機のレンタル料を初めといたしまして、地方におきます新しく設置しました端末等の設置の経費等が、全体が含まれているわけでございますので、この会館等がふえるに従ってもちろん金額もふえるわけでございますが、そのほかに逐次新しくいろいろなデータをコンピューター化をしていこうというようなことで、ソフトウエアの開発等も逐次行っております。例えばデータにつきまして、漢字を取り入れるというようなことも昨年あたりから工夫をしてやり始めているというようなこともございますので、全体のコンピューターシステムを全体に拡充していくというためにこれだけ、金額で申しますと五十五年度が二億九千万、五十六年度三億一千万、五十七年度三億六千万、五十八年度四億九千万というふうにふえておるわけでございますけれども、全体としてそういう体制をつくるための経費として使われているものでございます。
  115. 安永英雄

    ○安永英雄君 それじゃ、先でやります質問と非常に関係あるんですけど、ここでお聞きしますけどね。ちょっと、三十四万ぐらいの会員で、湯島の会館のようなああいう形とか、電算機を取りつけると。こういったところでは、長期見通しを私は今から後で聞きたいと思うんですけれども、ちょっとでき過ぎではないか。例えば私、参議院の高齢化社会の小委員会の委員長やっておるんですけど、この前やりましたけども、どうしてもあの年金会館を売れという議員がおりまして、私もてこずったんですけれども、やっぱり今後のこの私学共済のあり方、こういった点で、計画的にそういうことが進められているとは思いますけどね。これはちょっと話は別になりますが、この前、高井戸の社会保険庁のあのセンターに行ったんですけども、すばらしいですね。これはやっぱりあれだけ、健康保険全部あそこで取り扱っておるわけですから。あそこで露骨に私どもには言わなかったけれども、ずうっと出ておる中に私学共済入ってる。この私学共済あたりの仕事はうちでやってもよろしいと−言わなかったですかな。しかし、そう感じたんですけどね。このくらいの、とにかく一巻きの、コンピューターが出てくるあのフィルムですね、七十万ですよ、一単位が。相手方が何千万の処理をするんですけど、コンピューターあそこに持ってって、あれからこう装置をすれば一巻きなんですね、三十五万のあれは。そういった点もちょっと私は、合理化とかなんとかという問題じゃないですけども、三十五万で出先、出先でコンピューターつくって、年々コンピューター組織やっていくというのも、計画の中にはあると思いますけれども、長期の中でやっぱり考えていく必要があるんじゃないかと思います。  特に大臣にお聞きしたいと思うんですが、私は随所に、例えば今、広島とか宮城、そういったところでも、もう行政改革、行革の方が目をつけていますよ。目をつけてる。ちょっとでかいじゃないか、余り金のありもしないし、組合員の小さいところで、ちょっと身分不相応ではないかというふうなことはちらちらもう出ている。それからまた私は大臣に特に申し上げたいのは、今度でも法案が出ていますけれども、安全会と給食会、今度は競技場、こういったものと次々に、行革は人身御供を出せということで、文部省も私に言わせれば余り抵抗なしに人身御供を送っておるようですけどもね。行革の方の意向としてはこれは相当私学共済ねらっていますよ。外郭団体で残っておるのは、ここと、育英会と、あるいは公立共済、こういったところで来るわけですから。この点はひとつ大臣、案外、私どもも法案として出てくるものですから随分追及もするけれども、余り意味のないものをただもうひっつけていくと。安全会と給食会なんというの、およそ違ったものを一つにしといて、今度は陸上競技場その他スポーツ関係ひっつけてくると、こういう……。だんだんこう質問していきますと、大臣は必ず、これはもう行革の方でどうしても出せと言われてやむを得ないと、本意じゃないからという答弁がありますけれどもね。ぜひとも、ひとつこの私学共済の問題は、行革があれだけでかいものを、会館つくっただけでも目をつけている。あるいは私が感じたところでは、コンピューターをめぐって、同じ保険であそこでやらせりゃ一巻きじゃないかというふうな声も聞く。そしてまた行革が厳しく文部省の外郭団体合併させると、こういう形をとっている。これは非常に憂慮すべき問題なんですよ。こういうことが今後いろいろ起こってくると、長期の計画なんていうのは立てられない。そういった意味で、大臣ひとつこの点、どうでしょうかね、今後そういった行革その他の問題について、今度出されとるのも私ども反対ですけれども、今後、続々こんなものが起こってきたら、とてもじゃないが、私学の本当に生活を握ってる共済、こういったものが、今、着々と計画を立ててブロックごとにやっている、コンピューターも据えつけている、こういった中で大もとを揺るがされるようなやり方というのは、これはもう非常に警戒を要すると思うんですけれども、ぜひひとつ頑張ってもらいたいと思うんですが、その点の大臣の御意見を承りたいと思います。
  116. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 安永先生の御質問は幾つかにまたがっておりましたので、まず一番大事な点というと大変恐縮ですが、いわゆる特殊法人の削減の中に私学共済を入れられるようなことになってはいかぬという御心配の、また文部省に対する励ましのような、そういう御意見でもあるというふうに理解をさしていただきました。文部省所管の特殊法人につきましては、行政行革の観点からは所要の統廃合の措置は今日まで講じてまいりましたが、今御指摘ございましたように、この国会では、国立競技場、日本学校健康会の統合、そして日本体育・学校健康センター法案として今国会にお願いをいたしておるところでございます。私立学校教職員共済組合につきましては、臨調の答申でも直接統廃合等には触れておりませんので、したがって、文部省といたしましては、現在のところ統廃合は考えておりません。  それから、その前段といたしまして、私学共済の建物やコンピューターのお話もございました。私も、実は私学共済の東京の竣工式でしたか、たまたま私学共済のお祝いの会が何か式典がございまして、大臣として出席をさしていただきまして、ちょっと見てびっくりいたしました。しかし、いろんな角度から検討されたものだろうと思いますが、昨今は、子供たちの結婚式などでも、かなり親の愛情としては、いい結婚式にさしてあげたいとか、ホテルが大変林立もいたしておりますし、そういうことも考えますと、私学関係の皆さんにできるだけ安くて、しかも、なおかつ子供たちのそうした満足度も十分得られるようにというようなことの配慮からいえば、みんなのお金で、そしてつくった建物が、確かに一見華美のように見えますけれども、私学関係者にとっても、またみんなの自分たちものであるという喜び、あるいはその関係者のお子さんが結婚されるようなことになれば、自分のお父さんやお母さんの働いておられるその大きなエネルギーによってできたものであるという喜びもあるでしょうし、一概に建物が華美だからといっていかぬとも言いにくいところもあると思いますが、しかし、安永先生が御心配の余りにおっしゃるお気持ちもよくわかりますので、そうしたことのむだな、ただいたずらに華美な点というのは十分文部省としても指導できる範囲の中で指導していかなければならぬことだというふうに、私は、今先生のお話をお聞きしながら、この間の東京の建物も確かに立派なもので、ちょっとあれだけのものはないなあと思うくらい立派なものでございましたが、そういう今先生のお話を受けながら感想を持ったものでございます。
  117. 安永英雄

    ○安永英雄君 私も立派なものをつくった方がいいと思いますけれども、ごっそりそのまま持っていかれたり、あるいは公立共済があれの中に入ってもちょうどいいくらいのことになってきて、せっかく建てたものを乗っ取られてしまうというふうな気もするので、そういった長期の問題はがっちり大臣にお願いを今したわけなんです。そうしないと計画立ちませんよ。  そこで、これも五十八年度の予算書で見たわけですけれども、保有資産が七千八百六十五億と、これはちょっと世帯の細いところにしてはでかい資産持っているわけですが、この資産があるから今のうち建てておこうというようなことじゃないかと思うんですけれども、しかし、一昨年のこの委員会で論議されたときには、結局、長期見通しについて七十九年度赤字に転ずる、保有資金は八十七年度にはゼロになる、これは非常に単純計算だとは思いますけれども、そういう見通しが立っているでしょうか。また、これ随分変わったんでしょうか。これ一昨年の状態のときに話された数字なんですけれども。
  118. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 私学共済長期経理に関する収支の見通してございますけれども、五十五年の一月の実施をした所要財源率の再計算結果でございますので、先生のお話のように、一昨年の審議のとき同じ数字でお答えを申し上げているかと思います。それによりますと、これは大変いろいろな前提を置いて再計算をいたしますので、先生の御指摘にもございましたように、組合員数はこれまで毎年どんどんふえてきたわけですが、これはふえないものと仮定をするとか、あるいは給与改定率は八%程度ととりあえず見込むとか、いろいろやっておりますが、特に掛金率千分の百二というのをそのまま据え置くと、仮に、そういう形で計算をすると、単年度収支では二十年後の昭和七十九年、それから保有資産まで食いつぶすということになりますと、二十八年後の昭和八十七年までもって、それから後赤字に転ずると、こういうような推計になるわけでございます。くどいようでございますけれども、大変そういう組合員数がふえないであろうとかいうような、非常に現実から言うとややおかしい前提を置いております。それから、また、そういう掛金率等につきましても、長期経理の全体の状況を見ながら、年によっては若干上げるとかいうことも必要になってくることは当然であろうかと思うわけでございまして、そういうこと等を考えますれば、直ちにこの二十年後に危なくなるというものでは必ずしもないと思いますけれども、極めて単純な計算をすると、一応そういうことになっているというようなわけでございます。
  119. 安永英雄

    ○安永英雄君 そこなんですよね。おっしゃるとおり、一つの見通しは立てなきゃならぬと思うんですけれども、二十年は大丈夫、しかし二十年たてばちょっとこれはゼロになるという、こういう見通しの中で、先ほど言ったように、コンピューターから、建物から、そういった形というのはちょっと無謀な気がする。ここで私は今大臣と約束しましたように、制度上でよそと合併するとか、大もとを揺さぶられるようなことはないという立場に立っての長期見通しというのは、よほどしっかりしたこのデータを出して、これはもう早急に取り組まなきゃならぬ問題だと思うんですけれども、話に聞くと、野村総合研究所あたりにも委託をして研究してもらっているというような話もちょっと聞きましたけれども、これは今も言ったように、一昨年の分とデータは変わりません。そうすると、二十年後にはゼロになりますという今のお話ですが、もう少しこれは見通し立てないと危ないんじゃないですか。特に第二次ベビーブームがもう一遍ざあっとやってきますし、今のところ大体、何といいますか、制度の成熟度といいますか、だから、若い人がいっぱいおって年金その他の支払いが少ない、こういった状態ですから、膨大な保有金も持つことができると思うんですけれども、それにしても二十年後にはゼロになるということですが、この点文部省あたり指導していますか。
  120. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) こういう将来の推計は一定の条件をつけて計算をするわけでございます。場合によっては、ことしあたり、そろそろ再計算の時期かというようなことも考えておったわけでございますけれども、先生御案内のように、午前中の質疑でもいろいろお答え申し上げましたように、現在では年金制度の一元化という問題が当面の大きな問題になってきておりますので、それによりまして将来の給付水準をどうするのかというあたりの見通しを立てていくということが一つ大きな課題になっております。そういったあたりと、この長期経理見通しの問題というのは絡んでくるわけでもございますので、当面、政府全体として、この共済年金制度厚生年金の改正等とのバランスでどう考えるかという問題に取り組んでいるところでございますので、その動向等を見ながらさらに将来の推計等も検討していくようにいたしたい、かように考えております。御指摘の点につきましては十分心得てやってまいりたいと思います。
  121. 安永英雄

    ○安永英雄君 これは簡単に答えていただきたいと思うんですが、私学七団体のうち大学と幼稚園の団体が統合されたわけですが、私学共済の役員構成はこれで変わりますか。
  122. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 私学共済の役員構成につきましては、従来から私学関係者ということで全私学連合、これは幼稚園から大学までの各団体が加盟しているものでございますが、それにお願いをして御推薦を願い、その中から役員が選出されるということにしてきたわけでございます。  従来の例から申しますと、大学、短大、中高、幼稚園といったところから役員が出ておるわけでございますけれども、こういった関係上、これにつきましては団体の連合の程度いかん等で動くということはなかろうと思っておるわけでございます。
  123. 安永英雄

    ○安永英雄君 役員の問題ですけれども、今、私学共済の役員会、運営審議会、出席悪いですよ。これは今私が申し上げたような長期計画その他の問題について、役員は少なくとも真剣にならなきゃならぬ。ところが何だか私学各団体が分かれている、そこから役員を送り込んでおる、それには来ないんだ、会議に。事実上、あそこの本部に任せきりでしょう。これじゃいかぬですよ。まだ各大学その他加入してないところ、必死になって入れなきゃならぬ。あるいは長期見通しを立てなきゃならぬ。こういった中で、役員会開いたって来ない、運審開いたって来ない。こういった役員、何になりますか。これはひとつ文部省の方としても指導してもらいたい。これだけお願いをしておきます。  次に、私学共済に加入しております専修学校の問題についてお聞きしたいと思うんですけれども、どれぐらいこの私学共済に加入していますか。これは私は、たしか十何年前は十六万ぐらいしかおらなかったですよ、この私学共済の会員が。私どもも委員全部手分けをしまして、それぞれの地域のところの加入してない大学に、私どもはこれへ入りなさいというここで申し合わせをして、お互いに走り回ったものですけれども、大学関係では思いのほか余り進んでいませんね、加入が。したがって、いわゆる幼稚園あるいは専修学校、こういったものがぐっと入ってきて、今やっと三十四万程度になっているという状態なんです。  そこで、専修学校というのは私学共済にとっては、これは新しいお客さんでして、大事なお客さんなんですよ。この専修学校はどれくらい入っていますか。
  124. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 昭和五十七年度末の統計でございますけれども、私学共済組合に加入をしております専修学校の数は七百五十八校でございます。
  125. 安永英雄

    ○安永英雄君 そこで、専修学校の問題についてお聞きしたいと思うんですけれども、高等専修学校の問題について主としてお聞きしていきたいと思うんです。  中学校の新卒から高等専修学校に入っておる者の数、率、そういったものがわかればお聞かせ願いたい。
  126. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 五十八年度数字でございますけれども、高等専修学校、つまり中学校卒業程度を入学資格とする専修学校でございますが、これの入学者が四万四千二百二十九人でございましたけれども、その中で中学校を新規卒業で高等専修学校に入りました者、これが二万三千四百四十九人ということで、全体の半数以上が中学新卒で高等専修学校へ入ってきている、こういうような状況でございます。
  127. 安永英雄

    ○安永英雄君 分野別それから学科別、生徒の現状というものをお聞かせ願いたいと思います。
  128. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 高等専修学校の分野別で申しますと、細かい数字は省略させていただきまして、パーセンテージで申し上げますと、大変多いのが高等課程で最高が医療の関係が三四%、約三分の一が医療関係でございます。それから衛生関係、似たようなものでございますけれども、これが二四%。それから次に多いのが家政の関係が二二%、商業実務が一〇%、その他工業でございますとか、農業、文化、教養といった面が若干ございまして、全体が約七万七千というのが高等専修学校の現状でございます。
  129. 安永英雄

    ○安永英雄君 この専修学校、特に現在の高等専修学校の問題ですが、設置基準の問題ですけれども、これは非常に簡単な設置基準に、他の学校とは違った意味でなっていると思うんですね。  これができたとき、私も委員会でこれは審議したことがあるわけですが、この点は非常にあの当時自然発生的に大体生まれてきたものなんですよ、これは。実際にいいところがあるじゃないか、また、むちゃくちゃに悪いところがあって、入学金その他集めたところが、翌日その経営者が逃げ出すという事件が毎日のように新聞に載っておったというような事態、それでもいい学校があるから育てようじゃないかということで、これはできたあれですから、設置基準としては非常に各種学校から、やっと少し条件のいいところを引き上げていこうということですから、年限が一年以上とか、あるいは授業日数が八百時間、生徒が四十人以上、この三つがそろえば大体認めていこうということにして専修学校が生まれたわけですけれども、それだけにとにかく内容は多様なものができているわけですね。  そこで、文部省の方でこれを認可した後の追跡あるいは監督、こういったものをされているかどうかお聞きしたいと思います。
  130. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 専修学校につきましての所管は法令上都道府県知事になっておりますので、文部省といたしましては、先ほど先生指摘がございましたような、設置基準を定め、それを各都道府県等に通達をするということで、あとの具体の実務は都道府県の知事部局でございますけれども、において認可もし、その後の監督等も行っているという関係にあるわけでございます。  そういうことで、文部省としては、いろいろな機会を通じまして、専修学校を所管しております各都道府県の関係課長あるいは専修学校の団体に対して、直接ということもございますけれども、内容の充実向上というような面がこれから大事なことだということでの指導方をお願いをしているということでございますが、具体にそれぞれの現場でどうなっているかというところまでは把握をいたしておらないわけでございます。    〔委員長退席、理事田沢智治君着席〕
  131. 安永英雄

    ○安永英雄君 私は、文部省の方が、そろそろ今日まで育ってきた専修学校については、これは局授通達ぐらいは出してやらないと、大変な状態に今なっているということを私は申し上げたいと思うんですよ。それで、今度の大臣の所信の中にも、こういった面の助成というのは出ておりましたけれども、これは先ほど申し上げましたように、設置基準が非常に荒っぽいやつで、また生まれてから割と年数がたっていない。しかし、これは大事な一つの教育機関だということで、各都道府県に任しておいてはちょっと危険な状態に今来ているということで私は申し上げてみたいと思うんです。  これは、ちょっとお耳に入れておきたいと思うんですけれども、複数で課程を設置している——高等課程、昨門課程、一般課程と設置していますけれども、生徒が減ってくると、さっと二つを一緒にしたり、三つを一緒にしたり、こういった形にやってしまっておって、制度の趣旨が生まれてこないような状態が融通無碍に行われておる。これは大変なことですよ、この点は。とにかく生徒の出入りが激しいんですわ。そうすると、本来の各種学校に実態としてはもう下がってしまっているような状態がたくさんあるということで、これは指導しないともとのもくあみに返っていくような気がします。  教員数、それから教員資格、皆怪しげなものですよ。これは各県に言っていただきたい。何らかの形で通達出してもらわないかぬと思うんですよ、指導してもらわんと。これはもう課程別に決めてあります生徒の総定員数から見て教員不足は明らかなところはたくさんある。無資格の教員を採用しているところはたくさんある。八十時間以上の要件があるのに、主として一般課程において、一般課程のところでは八十時間を割っているところがたくさんありますよ。校舎面積の基準、これあたりはもう私の知っておるだけでも十になりますよ。認可を受けるときの面積で建ててしまって、認可を受けたときには半分ぐらいを切って売ってますわ。これあたりは多少はけじめをつけないと、私は、せっかく今から育てていこうという、あるいは各都道府県だけじゃなくて、全国的に文部省指導しなきゃならぬと思います。  ひどいところはですね。設置者、校名、それから位置、学費、それから学科の変更は届け出をしなきゃならぬ。これはほとんど出ていないと見ていいですよ、各県に。初めのままですわ。それから、勝手にとにかく看板が交わりましてね。朝ほども総長の名前が出ましたけれども、日本一の学校のような看板が、大きなものがかかっておりますよ。これは全部届け出になっているんだけれども、全然届け出していない、こういうのがたくさん出てきている。  職業あっせんの問題につきましても、あるいはこの指定養成施設との関係等につきましても、非常にあいまいさが出てきておるということで、私はあえて今の時期が一番大事だと、なるべく早く各県に何らかの形で指導しないといけないというふうに思います。  そこで、私は、大臣になられて予算委員会あるいは当委員会、特にこの前の委員会等で教育の基本に触れるようなお話がございました。と申しますのは、要するに、平たい言葉で言えば、能力のない者は大学へ行かんでもいいじゃないか、高等学校へ行かんでもいいじゃないか、あるいは弾力的な、あるいは多様化と、こういった言葉の中に。割とこの専門学校の言葉が出たこともあると思うんですが、そういった、もう中学校のときから、あるいは高等学校から大学に行かずに、そういった、私に言わせれば、何といいますかね、複線型という中にこの専修学校が入っているような気がしてならないんです。もう大学に通らない者を、また行ったって、無理して行かんでもいいじゃないかと。そのまま専修学校なりコンピューターを教えている専修学校に行けばいいじゃないかというふうな印象を受けるわけですけれども。この点の大臣のお考えをもう少しお聞きしたい。  もう少し説明しますと、いわゆる単線型というよりも、少し複線型にした方がいいんじゃないかという考え方があって、どうもこの専修学校とは名指しがない。しかし、何かその能力に応じてそのまま大学、高等学校というんじゃなくて、実際身につけるような教育的な場所があればそこでやったらいいじゃないかというこの考え方は、文部大臣として持っていらっしゃるんでしょうか。それと専修学校との関係を考え方があるとすればお話し願いたいと思うんです。
  132. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 安永さんから今、能力のある者は大学で、能力のなき者は専修学校ででもというふうに、どうも私が話したというふうに御指摘をいただきましたが、私はどうもそのような発言をした記憶はないんです。また、そんなことを発言するはずも私はないわけでありまして、私は専修学校というのは職業もしくは実際生活に必要な能力を育成し、または教養の向上を図ることを目的とし、制度発足以来着実な発展を遂げている、これが文部省としてのいわゆる専修学校に対する位置づけでございまして、極めて評価をしているわけでございます。  私自身といたしましても、そういう意味先生が今そのようなお尋ねをいただいたということは、恐らく臨時教育審議会設置に当たって、高等教育に関する文部大臣としての考え方は何回かごの委員会でも申し上げたり、予算委員会でも申し上げてまいりました。私は、今の高等教育に進む過程の中にあって、いわゆる十五歳で高等学校、十八歳で大学というふうに、受験戦争に追われている。しかし、家庭的な事情等もあり、また本人のそうした進学の気持ちもなくて、仮に社会に入ったとしても、また大学に行ける機会があったら、もっと多様に高等教育に進めるような道を考えるような、多様な面も今後は必要ではないだろうか。あるいは専修学校に進んで、そして一定の職業についたけれども、なお一層高等教育に進んで学びたいという。そういう青年が出てきた場合に、できればこの専修学校で学んだことなども高等教育機関への一つの単位などは、これを利用するということができないだろうか、こういうような柔軟な考え方を持ってもいいのではないか。  そういうような例示として、私は自分がそういう考え方を持っておりますから、今後、臨時教育審議会などで、もちろんこれは委員の皆さんがお考えになられることでありましょうが、私は自分の考えとしては、この臨時教育審議会では学校制度全般の問題は当然議論はなされるであろうと思いますけれども、高等教育についての議論はぜひ願いたいなという期待を持っておりますので、そういう高等教育機関の検討の中で、多様に、もう少し子供たちがその必要に応じて、あるいは能力に応じていろんな方向へ伸びていけるような、そういう構えを国としてしておくことが大事なのではないか、こういうような、私は自分としての考え方も持っておりますし、そんなような制度が、今後、日本の高等教育の進路の方向を進めるに当たって、それぐらいの柔軟な考え方を持った方がいいのではないか、私はこのようなことを申し上げた記憶はございますが、先生から、そこのところが誤解をされたのではないかなと考えております。  むしろ、私は、専修学校、とても大事なものとして考えておるわけでありまして、先ほど阿部局長からも申し上げましたけれども、高等学校卒業者を入学資格とする専門課程にあっては、広い意味での高等教育機関の一環として、また中学卒業者を入学資格といたしております高等課程にありましては、これも広い意味で後期中等教育の機関の一環として、多様な教育の要請にこたえて発展していくことを私どもとしては期待をいたしておるわけでございますので、今後、そういう意味で専修学校というものを縦横無尽といいましょうか、いろんな意味でいい方向に駆使していくことが、日本の高等教育あるいは専門教育の中にあって大変私は意義のあることではないかと、こんなふうに考えておるわけでございます。    〔理事田沢智治君退席、委員長着席〕 今後文部省といたしましては、専修学校が期待にこたえてその責務を果たしていくためには、各専修学校が、先ほど先生から御指摘があったような安易な考え方ではなくて、教育内容の充実に真剣に取り組むことが、まず必要であろうと思いますし、文部省としても、専修学校と一条校との連携のあり方などにも十分留意をしながら、一層その充実に努めてまいりたい、こんなふうに考えておるところであります。
  133. 安永英雄

    ○安永英雄君 私は、今おっしゃったところにちょっと疑問があったわけです。と申しますのは、今もいみじくもおっしゃったんですけれども、専門学校をこれを高等教育機関というふうな形まで引き上げていきたいというふうな考え方が私は強く耳にはじくわけですよ。これはもう御存じのように、学校教育法ではっきり高等専門学校規定してありますよね、これは。これは明らかに職業に必要な能力を養成するということではっきりしてありますが、将来はこれを変えていくということですか。大学に行きたい、能力のない者、あるいは能力があってもこちらの方に来て、専門学校に入って、それからまた大学に行けるコースというのを考える。そうするとやっぱり高等教育機関というふうな形に組み入れていこうというふうな考え方ですか。
  134. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 私は広い意味でと、こう申し上げましたが、高等教育というのはここでも大学だけにそう限定をしないで、いわゆるこうした専修学校に行って専門的な学問をすることも広い意味での解釈からいえば、高等教育機関としての位置づけで、国民みんなが考えて受けとめてくれた方がいいなという願望が私はあるわけでございます。それから専修学校で学んだ者が、その学んだのが高等教育の一環として、そこから高等教育にまた進めるようにしたらいいではないかという考えあるのかという御指摘でございますが、これは私は前段に区切って申し上げたんですが、私が個人としてもし臨時教育審議会で高等教育機関のあり方などを御検討いただく際には、自分の立場あるいは家庭の状況、あるいはそのときの進学、進路の気持ちがなくて、こうした専修学校に学んで、そしてそこで専門的知識を持って職業についたといたしまして、その後、大学に行きたいなという気持ちがわいたときに、また一から出直すというのではなくて、この専修学校などで学んだことの単位などはうまく利用していけないだろうかなと、そういうようなことも専門的に御議論いただけたらいいがなという、そういう私は期待感を申し上げたわけであります。
  135. 安永英雄

    ○安永英雄君 時間もありませんから、九州産業大学の問題について質問をいたします。  この前、この委員会で大臣も、これはもう普通で考えられないような大学の実態だと、したがって、最悪の場合は特別立法でもやってでもこれは解決するような時期も近まってきたというふうなお答えがありました。私も、大臣があれだけの強い決意を示されたわけですから、別にたびたびこの問題について質問をしようというふうには考えていなかったわけですけれども、ごく最近の動きが多少気になるところがありましたので、あえて質問をいたします。  時間がありませんから、二十六日に堀監事を呼びまして監査報告を文部省は受けたということでありますけれども、この際、この堀という監事からは、前理事長の退職金と今後他の理事がやめた場合の退職金との間に不均衡は生じないか。国の補助金が停止されている現状から見て、前理事長への退職金は大学の財政を圧迫しないか。いわゆる三億六千五百万のあのけた外れの退職金を支払ったことについての調査だっただろうと思うんです。その際、今、理事全員が辞任して、これに支払われる退職金と鶴岡、平野両氏への退職金を合算すると幾らになり、それを支払えば大学の財政はパンクしないかというふうに文部省側が聞いておるわけですけれども、それに対しては、退職金の総額は鶴岡氏の分と合わせると五、六億に上る、それを全額支払っても財政には影響ないと、こう堀監事は答えだということが報じられておるわけです。私はびっくりしたわけでありますけれども。ここで文部省の方で審議官が当たられたそうでありますけれども、この退職金のけた外れの金額というのは、一つの根拠があるはずと思うんですが、この内規なるものが出てまいりまして、そしてその内規に照らしたら、結局、三億六千五百万になると、根拠はあるんですという答えをしているわけですね。その根拠に従って今答えたのは五、六億に上るという計算を頭の中でしたんだろうと思うんですけれども、この点についてこの内規の分、内規という問題、これは非常に怪しげな内規なんですけれども、文部省としてはこれは信用していらっしゃるんですか。それが根拠にあって今みたいなやりとりがあったのかお聞きしたい。
  136. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) この九州産業大学、中村産業学園の役員の退職金に関する内規なるものでございますけれども、これにつきましては四月の十七日に来省を求めました際に、その内容等について種々問いただしをしたわけでございますが、昭和五十五年に内規として決めたのであるというようなことを言われておりますが、さらに詰めていろいろ聞いてまいりますと、いつの理事会で決めたのかとか、あるいは、その内規なるものは、それでは理事者、役員等がみんな当然承知しているのかどうかといったような点は極めて不明確でございます。また、この内規が制定された以後に退職された役員の方がおられるわけでございますけれども、その役員についてこれが適用されたかどうかという点については、適用したことはないというような回答でございました。そういったような回答等を全般を見ますと、端的に申しまして、この内規というのはどこまで信用できるのか、要するに規範としての性格を持っているかどうかということについて疑いの念を持たざるを得ないというのが私どものこの内規に対する態度でございます。
  137. 安永英雄

    ○安永英雄君 これは調査いたしますか。
  138. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 理事長を呼びまして問いただした結果が、それだけしか回答が返ってこないわけでございますので、内規というものが公式のものとして存在していたのかどうかということについては、これ以上私ども調査のしようがないわけでありますけれども、そういう意味でかなりこの問題については私どもは疑問に思っているということでございます。
  139. 安永英雄

    ○安永英雄君 私は、期ほどからのお話もありましたけれども、事九産大の問題につきましては、これは文部省のいわゆる大学に介入してはならないという、それを裏返しをやっておるわけですから、これはやっぱり調べなきゃならないし、方法はありますよ。また、これを調査していくというのに肝心の一緒になってやった監事から聞いたって出てくるはずはないですよ。監事を東京に呼んでおいて、その監事も認めて、これだけの膨大な三億六千五百万のこれを決済しておるんですから、これは何らかの形で調べてもらいたい。どうしてもこれは調べないと出てきませんよ。
  140. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 何度も同じような答えを繰り返すことになりますけれども、これにつきましては私ども責任者である理事長と、それから当時担当しておりました既に先般退官いたしましたけれども、平野という理事と両方を呼びまして、両方に、対して確認をしたわけでございます。ところが、その説明によりますと、昭和五十五年度当時内規を作成をし、理事会にかけて了修を得たけれども、内規としての性格上議事録に残さなかったと、こういう説明をしておるわけでございます。私どもの方としては議事録にも残っておらないし、あるいは当時の理事者の中でも、そういうことは全く知らなかったと言われる方もあるというようなことも耳にしておりますので、この内規の成立については疑問を感じているというわけでございます。  なお、監事の問題につきましては、この当該、堀という監事はこの四月に着任をされた方でございますので、それ以前のことについていろいろ事情を聞き、責任を問うというのはいかがかということで、今後のことについてということで監事からは事情聴取をしているわけでございます。
  141. 安永英雄

    ○安永英雄君 監事の問題もありますけれども、時間がありませんからよしますが、ここで幾ら聞いたって出てこない、これははっきりいたしております。  そうすると、この二十何日でしたかね、二十七日、このときに理事長以下東京に呼んで、そして事情聴取なり指導をやられたわけですが、この中で平野理事の退職金を早急に支払い、九産大との関係を清算することという注文をつけられておる。これは後でまたいろいろ質問しますけれども、このときの文部省のあれというのは、このはっきりしない内規、これによって早く支払えと言っておるんですか、これは。これで内規で大体計算をして、私の知っておるところでは一億一千万程度になるそうですが、この一億一千万程度を早く平野に払って、そして九産大との関係を清算するようにと、こういう指導をしておるんですか。
  142. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 内規については、そのような性格のものでございますから、先ほど来申し上げているような性格のものでございますから、私どもとしては、それが非常に何と申しますか、学園内で正確に位置づけられているものかどうかということは認定をいたしかねるわけでございます。したがいまして、この内規に沿って退職金を支払えというような指導をしているわけではございません。しかしながら、いずれにいたしましても今回のこの九州産業大学に関しまして大切なことは、不祥事についての責任者である元の理事長の鶴岡氏、それからまた先般退職されました、当時は副理事長ということで実際問題のすべての責任者であった平野氏、この両氏が完全に学園と手を切っていくということが大事だというふうに考えているわけでございますので、そういうふうに学園と完全に関係を断ち切るというためには退職金問題等が残っているのは適切ではないだろうから、こういうたぐいの問題は早くけりをつけて、完全に手を切ることが必要だと、こういう指導をしておるわけでございます。
  143. 安永英雄

    ○安永英雄君 二十七日のときに、文部省として二十二日までにもう一回検討してこいということで出されたのが平野理事の退職金の問題、これを早急に片づけると、鶴岡前理事長を人権擁護対策事務室長としないこと、理事公宅問題を解決すること、理事会の定数増を決めること。この四点を追求して、次の二十二日までに持ってこいというふうになっているんですか、これ。
  144. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) こういうたぐいの事柄の一番の基本には、かねてから文部省が申しておりますように、理事体制の刷新を図るということが大事だということを一番基本に持っておるわけでございまして、そういった中で、昨年の十二月に鶴岡理事長が退任した、そしてことしの四月に平野理事が退任したということで、当時の責任者は一応いなくなったような形になっておりますけれども、実態として、その関係が吹っ切れているかどうかということが大変むずかしいわけでございます。したがいまして、そういう実態として、その関係を吹っ切れるということを基本に言っているわけでございまして、そういうためには事実上どうなっているかということは目になかなか見えない話でございますので、極めて目に完全についている部分については明確にその点を、例えば鶴岡氏が何とか室長という格好でなおかつ残っているとかといったようなたぐい、あるいは理事長の公邸に依然としてとどまっているというようなたぐいのことについては、これは明確にせいということを申しておるわけでございますが、それだけやればいいというんではなくて、その基本に理事体制全体の刷新がまさに鶴岡氏、あるいは平野氏の影響下から離れた理事体制の刷新ということが必要だということを基本に置きつつ、一番目立つ部分を言っている、こういうことでございます。
  145. 安永英雄

    ○安永英雄君 よくわかりました。わかりましたけれども、どうもやっぱりそういう印象を皆受けるんですよ。四項目示しておると、だから、この四項目が大体今度二十二日にでも何とか鶴岡氏を事務室長から外させる、それから公定問題を解決してくる、理事の定数を増すと、これだけを持ってくれば、もう大体九産大の問題は片づくというふうに文部省は思っておるのではないかというふうに皆思っておって、随分文部省の姿勢は後退したというふうなことを盛んに言っておるわけです。心配もしておるわけです。しかし、今お聞きをしましたのでわかりましたけれども、それではちょっと理事会のこれは刷新が一番急務ですけれども、理事会の定数増を決めてこい、聞くところによりますと、四名増を決めてこいと、こんなふうに文部省から持ちかけたんですか。私は少なくとも現在の理事の総退陣がなければ、この九産大の問題は片づかないというふうに思っていますけれども、次の宿題というのは理事のこの四名増というのを持ってこいということなんですか、この点は。
  146. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 理事の四名増云々ということは文部省から持ちかけたことではございませんで、当初既に昨年の大分前のことになりましょうか、最初のころに九産大が刷新の案として持ってきて、逐次これをやっていくと約束された中に、理事体制で理事の定数を増すということがあったわけでございます。この理事の定数を増すということは、学内の例えば教学関係の方々からも学長以外にもさらに入れてくるという可能性をふやすことになるわけでございますし、あるいは学外の有識者の意見を入れるというような意味でも、ある固まったグループだけで大学が運営されているよりは結構なことであるというふうに考えておるわけでございまして、そういったことの一環として、せっかく理事体制をふやすというならば、それは早くやったらどうかということを言っておるわけでございます。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、この問題につきまして、要するに原則論の投げ合いというだけでは問題は解決しないわけでございますので、一つ一つ具体に、このところはこうしろ、ここのところはこうしろということで、問題をつぶしていくという方向で逐次改善していくということが必要だろうと考えておるわけでございまして、そういう方向で、先ほど来お話が出ましたような理事長の公邸からは早く出ていってもらったらどうだと、これは事柄としては細かいことかもしれませんけれども、そういうことの中に鶴岡氏が依然として理事長としての力を持っているのではないかというような疑いと申しますか、想像させる部分があるわけでございますので、そういうものを一つ一つつぶしていくということも必要だろうということで対応しているわけでございます。
  147. 安永英雄

    ○安永英雄君 その一つ一つつぶしていくというそのことが非常に今心配を私はしているわけですよ。やるなら今だと私は思っている。もうあなたの方で四名増したらこれで文部省は許してくれると、こんなものの報告ですよ、帰っての。その中に、あれだけ文部省からねらわれておったけれども、現在の理事長、これはもう免罪符もらったと、大いに今からやりますなんというようなことで、大威張りで今からやるぞといって、一番鶴岡氏とつながっている現在の理事長、言うならわしは助かったと、こういう気持ちなんですよ。だから、かえって、四名をして、一段階として四名と、これは悪いことじゃないからそれをやるようなら早う持ってこいと、これはマイナスになっていますよ。そこらが非常に文部省の態度が後退したというふうに思われておるわけです。大臣もこの前おっしゃったように、これはもう相当危険な状態に来ていると思う。その中間的に平野がやめたと、一人、あと四名増すと、これで大体文部省はもう了解したと。あのこっちへ二十七日来る前に、一人の理事は、これはやっぱり文部省へ行くなら、わしらの辞表はみんな持っていかなきゃ話にならないと、こう言っておったけれども、まんまと四名とにかく増すと、それで平野一人切ったということで文部省はもう前進の方向だと、新聞にわざわざ前進だと言っておるんじゃないですか、審議官は。そういうところが私は非常に、あなたの考え方はわからぬことはないんですよ。そう短兵急にはいきませんよという立場はわかるけれども、あなたの考えておるほど現地の今の雰囲気というのはそうじゃないですよ。あのもたもたしておった教授会、全学の教授の大会で理事の総退陣、監事、評議員、みんな退陣していただきたい、退陣決議もやっているわけでしょう。あれだけびくびくしておった教授会がいよいよ立ち上がったわけですよ。それにもう得たり賢しで文部省に二十七日行ったところが、大体あれで平野を切ってあと四名ばかりで一名文部省から入れてもらえばこれで片づいたというふうな帰っての報告、相手側、また教授会の受ける感じ、あるいは学生、父兄、こういった者が、もう文部省の態度は後退した、こういうことで、これは大変なことになった、第二、第三の平野が出てくるぞと、こういうことで今騒然となっておるというのが、私、今度連休に帰って実際に調査した実情です。かえって局長のおっしゃったおもんぱかりが向こうにとっては裏にとりまして、何か強くまた、わしらの立場を文部省が支援してくれている、こういう言葉まで使ってやっているわけですから。  この点はもう時間が参りましたので大臣に一言申し上げたいと思うんですけれども、私の気持ちは局長と遮ってもう理事の総退陣、これが一番今のところ強く文部省指導する絶好の時期だというふうに思いますが、いろいろ文部省の方で対策を進められるわけでありましょうけれども、大臣がこの前おっしゃったように、そういった指導をしながらも、あくまでも内部的な問題が片づかないといった場合には、時限の立法というのもあえて構えているんだという態度というのが、今、文部大臣の口からおっしゃっていただきたい。なければないで局長が言うように、もうそんな時限立法あたりをつくってやる時期ではない。相当、向こうは前進してきておるのでというふうな態度なのか、そこらの文部大臣のお考えをお聞きして終わりたいと思います。
  148. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 九産大につきましては、安永先生を初めといたしまして、当文教委員会先生にも大変御心配をちょうだいをいたしております。  文部省の対応につきましては、確かに若干ちゅうちょしながらというような印象はぬぐえないのかもしれませんが、これが単に九産大問題だけではなくて、文部省と私立大学との関係、常に言われておりますように大学の自治あるいは自主性というものを尊重していくという、いわゆる一般的な対応というこの形だけは大事にしておきたいという気持ちがあるわけでございます。しかし、さはさりながら、そういう態度を、今、安永さんが御指摘のように逆にそれを盾にして、そして世間が納得できないような、そうした理不尽な行為が行われているということについては極めて私は怒りを持って遺憾だと申し上げてきておるところでございます。  先ほどから先生の御質問をいただきながら、管理局長からも御答弁申し上げておりますように、今、何回となくこれやりとりをいたしておるところでございまして、その基本的なスタンスは鶴岡、平野氏との関係を完全に絶つということが一番基本的な大事な体制刷新の第一歩というか、こういう考え方でおるわけでございまして、先ほども説明がありましたように、五月二十二日にもう一度また回答が来るように指導をいたしておりますので、基本的にはこの大学の対応を見て必要な指導を強めていきたい、こう考えておるところでございます。確かに新聞等では、地元でございますから、ある程度自分勝手な報告をしているような面も私も新聞を見ながら感じている面もございますが、文部省としては決して姿勢を崩しておるわけではございません。先ほど申し上げた私立大学と文部省という関係だけは大事にしながら、何とか指導していきたい、改善をしていきたいということで最大限の努力をしておることでございます。  こうして先生から国会でこう御質問いただき、我々がやりとりするということも私は大変有意義なことだと思っておりまして、国士館の問題もいろいろございましたけれども、国会の中の議論というのが関係者に対して大きな反省というものを私は生み出したものであろうというふうに思っておるわけでございます。  もちろん、国会のこうした国権の最高機関、議論というものを無視するというようなことであるなら、これはもう何をかいわんや、ましておや、教育関係者として私は基本的に誤っているというふうに指摘をしなければならぬところでございますが、前にもたしか久保先生の御質問、あるいはまた安永先生等の御質問にもお答えを申し上げておりますように、最大限の努力を文部省としては現在いたしつつ、そしてなおかつ解決の方向が見出せないということであるならば、十分にその対応について一つの判断もしていかなければならぬ、こういう構えております。ということを申し上げて、なお一層努力をいたしますのでしばらくの間、また、この二十二日の回答を少し待ちたいと、こういう気持ちでございますので、何とぞ事情を十分御賢察をいただきたい、こうお願いを申し上げる次第であります。
  149. 吉川春子

    ○吉川春子君 初めにこの法案の内容について若干質問します。  この法案は、私学共済年金受給者の給付額を二%程度引き上げるとともに、昭和三十七年以前にかかる旧法部分年金については三月分から引き上げを実施するという内容で、表面的には改良であるので年金受給者の生活苦を思えば我々も賛成したいという気持ちはあります。  しかし、二%という数字が昨年の凍結に引き続く低率アップで、二年間の物価上昇率四%台と比べて著しく低い、これではとても年金生活者は暮らしていけないのも事実です。また、物価スライドの完全実施はこれまで国民が築いてきた権利であり、事実上の制度であると言ってもいいかと思います。昨年に続くこのような事態は、この制度を崩壊させるものであり、私たち共産党としてはこの法案にそういう意味ではとても賛成することはできません。  そこで文部省に伺いますが、この法案の内容政府の人勧の値切りに連動したものであり、国家公務員共済法案などほかの七つの年金、恩給法案と横並びのものですけれども、文部省としては私学共済年金受給者の生活状況にかんがみて、この二%アップという法案の内容について意見を言ったんでしょうか。
  150. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 私立学校共済組合につきましては昭和二十九年にこの制度が発足をしたわけでございます。二十九年に発足いたしました当時は、その以前は私立学校教職員は、一部は厚生年金等に参加しておられる方もございましたけれども、これは任意加入ということで、全体の方々についてそういう措置がとられたわけでもないし、またその水準も公務員等の恩給その他の水準に比べると極めて低いというような状態に置かれておったわけでございます。  そういった中で、私立学校教職員につきましては教育基本法の第六条の規定が、国公私の区別なく、教職員について適切な処遇が図られるべきだと規定されていることに着目をいたしまして、国公立学校教職員の場合と私学教職員の場合とを同じように取り扱うということを念頭に置きまして、それを目指してこの共済組合制度ができ上がり、年金制度ができたわけでございます。今日では逐次その年金の水準等も充実をしてまいりまして、年金面ばかりでなくて、その他の面でも、国公立学校教職員と各種の福祉事業等の面につきましてもほとんど同じというような状況まで来たわけでございます。  そういった経緯のものでございますので、私立学校教職員に関するこの年金制度は、これまで専ら国家公務員共済制度に準じてこれを取り扱うというのが原則としてまいったわけでございまして、その国家公務員の場合は先生指摘がございましたように、人勧アップのバランスで考えるという仕組みになっておりますが、そういった関係上、こういった時期に共済に入って共済グループの一員として国公立学校教職員と同じようにしようという制度で出てきたものにつきまして、この時期に国公立学校とは違った制度私学についてだけとろうというのは適切でないであろうという判断をいたしまして、二%そのものの人勧アップの是非につきましてはいろいろ御意見、御議論があろうかと思いますけれども、共済制度といたしましては、その国公立学校に準ずるという基本の制度を貫くという考え方をとった次第でございます。
  151. 吉川春子

    ○吉川春子君 私学共済年金の生活者の立場に立って、やっぱり無批判にこういう年金抑制に手をかすというようなことを文部省はしてはならないというふうに私は思うわけです。  二番目に、年金統合による私学共済年金受給者への影響についてですが、政府は来年にも私学共済年金も含めた年金の一本化ということを考えておられるようですけれども、私学教職員の間で年金統合による年金水準の低下ということが非常に心配されています。統合した場合に、私学共済年金の現在の水準に比べて、掛金率支給額、支給開始年齢などについて若干伺いたいと思います。
  152. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 午前中以来、各要員の御質疑にお答えしてまいりましたわけでございますけれども、去る二月二十四日の閣議におきまして、「公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るため」ということで、国民年金厚生年金保険及び船員保険制度について基礎年金の導入を図る等の制度改正を五十九年度に行う、六十年度においては共済年金についても基礎年金の導入を図る等の改革の趣旨に沿った制度改正を行う、これらの改革は昭和六十一年度から実施をするということを決めたわけでございまして、現在この閣議決定に従いまして、共済関係の年金の取り扱いにつきまして関係各省が、大蔵省、自治省、農水省、文部省といったようなところでございますけれども、勉強会をスタートさせておるわけでございます。  したがいまして、これはまだスタートしたばかりでございますので、先生が御指摘のような点がどうなるかというのは、まさにこれから議論をしようということでございますので、現段階でお答えがいたしかねるわけでございますけれども、一方で、やはり各種の公的年金をできるだけ公平に扱っていこうではないかという基本的な考え方があるわけでございまして、一般の勤労者と公務員あるいは私学教職員との、いわば格差というようなことはよく言われるわけでございますけれども、そういう点をどう考えていくかといったような問題が基本にございますし、また、他方には、これまで私学共済制度をつくり、支えてきた組合員の方々等の努力の結晶というのが今の仕組みであるわけでございますので、そういったものとのバランスをどうとっていくかというのは大変難しい問題でございます。今の段階で私の口からは申し上げかねるわけでございますけれども、いろいろ御指摘の点等を十分念頭に置きながら、これから具体に各省と協議を開始をしていきたいと思います。
  153. 吉川春子

    ○吉川春子君 年金が統合された場合に、今までと比べて後退することになるということが一番問題だと思うので、その点は絶対後退しないようにということを要求しておきたいと思うんです。我我日本共産党も、年金の種類ごとに給付水準に大きな開きがある、こういう問題については現在のままでいいというふうには考えておりません。でも、統合によってすべての年金改善して水準を統一するのではなくて、低い水準にならして国庫補助を削減していく、こういう方向に強く反対しているわけです。  そこで、年金統合によって私学共済年金がどういうふうになるかということについては関知せずというのでは文部省としても困ると思うんです。少なくとも現在の私学共済年金の水準よりは下げない。具体的には、掛金については労働者負担をふやさない、給付額を下げない、支給開始年齢を六十五歳にするというふうにした場合は、定年退職年齢が例えば五十七歳だとすると、その間、年金ももらえない、仕事もやめたという間の再雇用を保障する、こういうような施策を講ずる必要があると思うんですけれども、こういうようなことにも責任を持っていただきたいと思いますが、いかがですか。
  154. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 私学教職員の立場という側から考えれば、いろいろな先生指摘のような御意見等も出てくるわけでございます。ただ、他方で国民全体の税負担の問題でございますとかいろいろな問題もあるわけでございます。そういったことを総合的に考えながら、しかも、私ども文部省として主張すべきは主張するということで、今後の対策として今後の対応は考えてまいりたいと思うわけでございまして、具体のことについてお答えするのはお許しをいただきたいと思うわけでございます。
  155. 吉川春子

    ○吉川春子君 それでは、その問題がもう少しはっきりした時点でまた改めて伺いたいと思います。  次に、高校生の急増急減問題について伺います。  一九六〇年代から一九八〇年代にかけて高校生の数の推移を文部省資料で見ていきますと、第一のピークが一九六五年、昭和四十年で、五百七万三千人です。その五年前の六〇年と比べると百八十三万四千人もふえているわけです。わずかな期間にこれだけの生徒がふえているということは大変な問題だっただろうと思うんです。戦後のベビーブームのときに生まれた子供が十五歳になって、すなわち高校へ進む年齢に達したときにこういう事態が起こったわけなんです。急激にふえた生徒に高校の教育を保障するために、この時期に文部省としてはどういう手を打たれたのか、それから、私学がこのうちふえた分の三二・八%の生徒を受け入れておりますけれども、国として私学にこの時期どんな援助をしたのでしょうか、伺います。
  156. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 高校急増に対しましては、それぞれ高等学校以下の教育について責任を持っております都道府県の教育委員会等が主体になって対応してきておったわけでございますが、第一次のベビーブームが高校に及びました時点では、全体を通ずる制度といたしましては、公立高等学校につきまして一学級当たりの学級生徒数の標準を五十名を五十五名に引き上げるというようなことを隈時的に行って対応したというようなことでございますが、私立学校につきましては当時から助成の制度等は行われておりませんでしたので、特段の助成措置はなかったかと存じます。
  157. 吉川春子

    ○吉川春子君 五十人学級をさらに一割ふやして五十五人学級にしたというのは驚くべきやり方だったというふうに思うわけですが、そして私学には何の援助もしなかったということもまた本当にびっくりするわけです。  次に伺いますけれども、五年後の一九七〇年には四面二十三万人に生徒の数が減っています。したがって八十四万二千人も生徒の数が少なくなったことになるんです。特に私学生徒は三十八万人少なくなっています。私立高校がこの時期、この急増急減期をどういうふうに切り抜けていったのか、また、私学が大変な混乱に陥ったわけですけれども、どういう状態であったか、文部省として把握しておられますか。
  158. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) それぞれの私立学校におきまして、私学はみずからの方針に基づきまして将来計画を立て対応をしていく性格のものでございますし、私ども、全体について何らかの調査をしたということでもございませんので、刈時の事情を、私も担当もいたしておりませんでしたし、詳しくは承知しておらないわけでございます。いずれにいたしましても、臨時的な学級増を行ったりいろいろな形で対応し、その後、学級減を行ったというようなことはあったのではなかろうかと思います。
  159. 吉川春子

    ○吉川春子君 これだけ物すごい数の子供がふえ、また減った時期に文部省としてはほとんど対応もせずに、その実態についても知らなかったという今の御答弁は非常に遺憾だというふうに思うわけです。  昭和四十四年一月十二日付の毎日新聞にこういう記事が載っています。「私立高校長夫妻が心中」ということで、宮崎県小林市で四百五十人の定員で発足した学校が二百五十名しか集まらず、またこの市では中卒者がさらに千二百人減るので、これからの学校経営に展望を失って自殺したという記事です。  それからまた四十三年の三月五日のやはり新聞の記事によりますと、東京都の私立の国華高校、練馬区の北大泉ですけれども、四百十七人卒業生を出したのに、翌年の一年生の応募が定員百人に対してたった一人しかいなかった。これは急増期に二億円近い鉄筋校舎を建てて荒川区から引っ越してきて、そして今度急減期にぶつかって、かつては女子名門高校、少数精鋭の教育をしていた学校がこういう目に遭った、こういうような新聞記事が載っておりますけれども、物すごいことを私立の高校が味わったということは、そこで学んだ子供たちにも大変な悪い影響が及ぼされたというふうに思うわけです。  そこで大臣にお伺いいたしますけれども、これから第二の急増、急減期に差しかかってくるわけですけれども、文部省としては、この六〇年代の苦い経験から何を学んで、これから急増期にかけてどういう手を打とうとしておるのかということをお聞かせいただきたいわけです。特に、現在は、当時と違って高校の進学率が九〇%を超えておりますので、一九八九年の第二のピーク時、今から七年でざっと百万人の生徒がふえるわけですけれども、六〇年代よりもさらに深刻な事態になると思いますけれども、こういう問題についてどう対応されていくのか、文部大臣お願いいたします。
  160. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 昭和六十四年度にピークを迎えます高校生の急増対策につきましては、直接の設置責任者であります各地方公共団体が、それぞれの実情に応じ経過的に対処しつつあるところでございます。文部省といたしましてもかねてから都道府県に対しましてはその地域の実情に応じまして適切な措置を講ずるようにしてきたところでございます。この場合、今、お話がございましたように、当然、急減期のことも十分留意するように配慮を促してきたところであります。  私立高校の具体の計画につきましては、各学校が主体的に決めるべき事柄でございますが、御指摘のような教員の整備等の問題についても、急減期に適切に対応ができますようにする配慮が必要でございますので、文部省としても、必要に応じまして、各都道府県を通じまして配慮を促してまいりたい、このように考えておるところであります。
  161. 吉川春子

    ○吉川春子君 私学は独自に対応する、そして高校だから自治体が独自に対応してもらうということだけでは済まない問題があるというふうに思うわけです。この危機を乗り切るためには国がやるべきこと、私学がやるべきこと、自治体がやるべきこと、いろいろあるわけですけれども、まず生徒がふえた分をすべて私学にかぶせて国は知らぬ顔をするということは当然できないと思うんです。公立高校の建設もこの間十分に進めていかなくてはならないわけですが、現在、県が高校建設をする場合に国庫補助制度があるわけですけれども、これは六十年までの時限立法になっています。六十年まででこの法律の効果を終わらせるということではなくて、これは当然延長しなくてはならないと思いますし、また同時にその内容についても、三分の一の補助率、あるいは用地費については全く今面倒見ていない、こういう内容ではなくて補助の内容の充実も絶対に欠かせない問題であるというふうに思うんです。自治体に任せる、高校の問題は自治体の問題だといっても、自治体で高校の増設をしようとしても、今の補助の内容ではなかなか思うように高等学校の建設計画が進まないという側面もありますので、これをぜひ充実させていただきたい。これから迎える急増期に向けて、国がまずこういう問題についてやっていかなきゃならないのじゃないかと思うんですけれども、大臣いかがですか。
  162. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 高校の生徒の急増に関しましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、かねてから、今回の場合には地方公共団体に対しまして、文部省では管理局長、初中局長連名の通知を出しまして、地域の実態に応じ高校、あるいは進学生の希望の動向でございますとか、あるいは公私立学校の分担の問題でございますとか、いろいろな点について十分注意をしてやってほしいということを文書によって指導すると同時に、公私立学校の連絡協議会というのを設けて、公立に押しつけたとか、私立に押しつけたとかいうようなことでなくて、私学としてはこれだけやりたい、それでは公立て残りをやろうというような話し合いで事柄を解決していく必要があるという指導もいたしておりまして、それぞれの地域でそういう団体等をつくっての、そういう組織をつくっての検討も進められ、それに基づいてそれぞれの整備が進んでいるところでございます。これに対するさらに国の援助措置といたしましては、先生のお話にもございましたように公立の高等学校につきまして、この急増関係で新増設を行います場合に、昭和五十年以降でございましたか、六十年までの時限的な特別な措置といたしまして、従来から、高等学校の新増設については、義務教育ではないので、補助の制度がないわけでございますけれども、これについて急増対策として特別の補助制度を設ける、またこれに準じまして、私立につきましても一部補助の制度を同様につくりまして措置をして対応してまいったわけでございます。  これまでのところ、各公立高等学校に関しましては、各都道府県から、それぞれ毎年その整備計画に即した校舎の建設についての要望が出てまいっておりますが、これについてはいわば一〇〇%対応するという姿勢で文部省はこれまでやってまいったわけでございますし、また今年度の五十九年度の予算につきましても、大変財政状況厳しい中でございますが、この件につきましては一〇〇%対応できるような額を用意をしているというようなことで、これについての万全を期しているところでございます。  なお、六十一年度以降どうするかという問題につきましては、今後の運用の状況等を十分見ながら検討する課題であろうかと思っておりますが、基本的には大体数年前、一年、二年前には整備が終わるというのが普通でございますので、六十四年度のピーク時を待たずに一般の都道府県におきましては高校の新増設関係の施設の整備は終わるであろうということが考えられるために一応六十年度までとしてあるわけでございますけれども、運用の状況等を見て六十一年度以降の問題については慎重に考えたいと思っております。
  163. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、六十年以降に急増対策として建てる高校が各県から申請が上がってくる可能性があれば時限立法の日にちを延ばすこともあり得るというふうに理解してよろしいわけですね。
  164. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) まだそういう意味で方針を決め切っているわけではございません。先ほど申し上げましたように、大体、各県の状況等を見ますと、一年、二年、前向きに整備をするというのが普通の場合でございますので、これも年次によりまして、それぞれ各県の財政事情等で毎年動いておりますので、どうなるかわからないわけでございますけれども、大部分は終わるのではないかということで六十年度までと、こうしておるわけでございます。その後の状況につきましては、その実態を見た上でないと、現在の段階では何とも申し上げかねるわけでございます。
  165. 吉川春子

    ○吉川春子君 私学助成という問題について伺いたいんですけれども、急増期の後には急減期がやってくるわけで、多くの私学が今最も頭を痛めている問題はこの時期をどう乗り切るかということです。私たち国民の側にとっても私学生徒がしわ寄せを受けることなく、この期間の対策を国に万全な策を講じてほしいというふうに思っているわけです。生徒の急増期に設備投資をやり、急減期に閉鎖に追い込まれるというような六〇年代の轍は絶対に踏まないためにはどうしたらいいのか、この問題を考えるときに、私は一つはやっぱり公私格差の是正ということが避けて通れないと思うんです。文部省が一昨年調査されました高校中途退学者の状況の中で、経済的な理由による退学者というのが私学の方で大変多かったというふうに聞いておりますけれども、そのことについて伺います。  やはり教育条件、施設、学費の点などで公立と私立の格差を縮めておくということが非常に大切だし、そのために国も援助するということが必要だと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
  166. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 御指摘の高校中退者で経済的理由による者ということでございますけれども、私ども持っておりますデータで見ますと、昭和五十七年度ベースで申し上げますと、私立高校で経済的理由によりまして中途退学をいたしました者が生徒千人当たりにいたしまして二人程度ということでございます。これに対しまして、公立高校の場合には、やはり千人当たりにいたしまして一人程度というようなことで、これは非常に大きな差と見るのか、余り差がないと見るのか、これは見方がなかなか、いろいろあろうかと思いますが、そのような実態にあるわけでございます。また、教育条件の問題につきましては、公立と私立の教育条件、これは教員一人当たりの生徒数でございますとか、あるいは校舎面積でございますとか、そういった目に見える形のものを比較いたしますと、これは余り差がないという状況にあるわけでございますが、先生指摘のように、学生、生徒からの納付金の方になりますと、公立高校に対しまして私立高校の方が五倍強というようなことで、かなり高いというような実態があるわけでございますので、一般の教育条件では差は少ないけれども、納付金の方で大きな差があるという状況にあるということは事実でございます。私どもといたしましては、大変財政状況厳しい中ではございますけれども、こういった中でも、私立高校に対する援助についてはできるだけの配慮を最大限いたしたいというようなことから、五十九年度の予算編成に当たりましても、私立高校関係につきましてはシーリングどおりの、要求どおりということで一〇%減にとどめることができたわけでございますし、さらにまた交付税措置につきましても、自治省に御努力を願いまして、前年度に比べまして三%程度増額ということで、国の援助の財源措置全体といたしましては、ほぼ前年と同額というのを確保できたわけでございます。なお、こういったことを背景にいたしまして、私立の高等学校に対しましては、学生納付金の引き上げ等につきまして、できるだけ学校経営面での御努力をいただきまして抑制してほしいという指導を各都道府県を通じて行ってまいったわけでございますが、現在その状況を、五十九年度の値上げ状況を調査中でございますけれども、大体三%程度にとどまるのではなかろうかというような中間の見通しになっております。従来の傾向からいいますと、比較的少ない率でとどまったということで、ややほっとしているというところでございます。今後とも財政状況は大変厳しいので、なかなか十分なことはいたしかねる時期ではございますけれども、そういった中でも、高校以下の私学助成につきましては、できるだけの努力を文部省としても払っていきたいと考えております。
  167. 吉川春子

    ○吉川春子君 五十七年から計算して第二のピークまでに百万人の高校生がふえるんですね。それで、仮にこれを、今の教育水準を維持するということになると新設校で受け入れるということになるわけですが、文部省が標準としている二十四クラスの校舎を建設するというふうに考えますと、大体九百二十五校必要になるわけです。これも文部省計算ですけれども、大体一校当たり三十億程度の高校の建設にお金がかかるわけで、これは首都圏ではとてもこんな金額ではできませんが、全国平均にならして、これで計算しても大体二兆七千億円ぐらいの校舎をつくるだけでもお金が必要になるわけなんですね。そういうことを考えたときに、その約三分の一を私立の高校で受け入れるというふうになっていっても莫大な経済的な負担私学も負わざるを得ないと思うわけなんです。これは、今かなり大ざっぱな計算なんですけれども、そういう立場に立っていきますと、私学に対する助成金というのを削るなんていうのはもうとんでもないというふうに思うわけなんです。ことしの概算要求の時期も近づいておりますけれども、一つ大臣に伺いますが、もうことし、私学助成を昨年のように一〇%も一二%も削るなんていうことは絶対にやらないでもらいたい。むしろ、急増期に向けて私学が果たすべき社会的役割を果たせるように十分な私学助成の予算を獲得していただくために御努力いただきたいと思いますが、いかがですか。
  168. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 先ほども管理局長申し上げましたように、この五十九年度予算につきましても、大変厳しい中で最大限の努力をしたわけでございます。特に高等学校以下につきましては、自治省の御協力もいただきながら、前年度と全く変わらない、そういう措置もいたしたところであります。来年度の予算概算要求が近づいてきたという御指摘でもございますが、私どもといたしましても私学法の精神を一番大事にしたいと考えております。現在の時点でどのように実施するかということにつきましては、財政当局の考え方もまだ定まっておりませんので、この場ではその対応の仕方について申し上げることはできませんが、文部省といたしましても、また文部大臣といたしましても、私学の重要な時期でございますので、先生の御指摘をいただきましたことも大事に考えながら十分な対応をしてまいりたいと、こう考えております。
  169. 吉川春子

    ○吉川春子君 じゃ、その点は本当に心からお願いしておきます。  次の問題に移りたいと思うんですけれども、今、私学に学ぶ学生、生徒は、大学で八割、高校で三割に達しておりまして、我が国の教育私学抜きでは考えられない。現に私学が非常に大きな役割を果たしているということは、もう言うまでもないことです。公教育と認めればこそ、国としても不十分ながらさまざまな補助制度私学に対して設けてきたのだと思います。その意味からも、私学自身も公教育として内容の充実の努力が求められているというふうに思うわけですけれども、文部大臣、いかがですか。
  170. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 御指摘のように、私学は自主的な団体組織として成立をしたものでございますから、そもそも自主的に運営されるべきものではございますけれども、しかしながら、先生からお話がございましたとおり、公教育の一端を担う、しかも場合によっては、その大多数を担っているというような重要な組織でもございますので、社会的な批判を受けるようなことのないようなきちんとした体制で運営されていくということが基本的に必要なことだろう、かように考えております。
  171. 吉川春子

    ○吉川春子君 私学が公教育でありますから、一族支配などが禁じられておりますし、生徒指導などについても恣意的であってはならないというふうに思います。そういう中で、職員会議のことについて伺いたいんですけれども、私学といえども職員会議を開いて、よく教師意見を聞きながら学校を運営していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。文部省が最近出されたパンフレットには、問題行動の解決には全教師の協力関係の強化の必要性について書かれておりますけれども、これは学年会議、職員会議もその中に含めて考えてよろしいんでしょうか。
  172. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 私学の場合におきましても、教育面での運営の問題につきましては、教職員の意向が運営に反映されることが望ましいことはもうもとよりのことでございますので、職員会議という格好がいいかどうか、いろいろな形がそれはあり得るのかもしれません。学年の教官の会議とかいろんな格好があるんだろうと思いますけれども、その形態のいかんを問わず、いろんな形で教職員の間の相互の意思交流が行われ、あるいはその意見が全体の教学面での運営に生かされていくということが望ましいことだろうと思っております。
  173. 吉川春子

    ○吉川春子君 埼玉県にあります山村女子高校では、昭和四十四年に校長名によって職員会議はやらない旨の文書での告示がなされまして、それ以来ほとんど職員会議が開かれていないという実態があります。したがって、生徒の退学処分などについても職員会議で検討されることはなく、きのうまで教えていた生徒が突然いなくなり、教科担任の先生のところへはこういうメモが来るわけです。「教科担当の先生方へ」と、何年何組何番だれそれ、「右の者、一身上の都合で退学いたしました。御指導ありがとうございました。」、担任だれそれと、こういう形で来るわけです。つまり、生徒の落第とかあるいは退学なんかについても職員会議で全く検討されない。こういう驚くべきことが十数年にわたって行われているわけですけれども、こういうような事実について文部省としてはいかがお考えでしょうか。
  174. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) ただいまのケースは、お話を初めて伺ったケースでございますので、私もにわかにお答えがいたしかねるわけでございますけれども、それがそういう状態になったのには、あるいはそれのよって来るいろいろな原因なり事情なりがあったのかもしれません。そういう点もございますので、そういう点は留保してお答えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、先ほど来申し上げましたように、職員会議という形式がいいかどうかということは、あるいはどういう形が適切かということはいろいろ各学校での工夫があろうかと思いますが、校長と教職員との間の意思の交流ということが何らかの形で十分行われるということが望ましいことでもございますし、そういう点では、その学校の運営については問題があるように思いますが、先ほども申し上げましたように、実態を全体を承知しているわけではございませんので、そういう前提でお答えをさしていただきました。
  175. 吉川春子

    ○吉川春子君 まだ十分中身を、もちろん今申し上げたわけですから、把握されていないわけですけれども、それではこの学校の実態などを十分御自身で調査されるなり、させるなりして、何らかの対応をしていただけるというふうに伺ってよろしいわけですか。
  176. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 私、担当でございませんで、大変恐縮でございますけれども、担当局の方にこういう御質問、御意見があったということを十分伝えたいと思います。
  177. 吉川春子

    ○吉川春子君 「埼玉県立高等学校管理規則」というのがありまして、その第十六条に「学校には校務の民主的かつ能率的な運営をはかるため職員会議をおく。」と、(2)といたしまして「職員会議は校長が招集し、校務に関し、校長の諮問、その他重要事項について審議し、又は、職員相互の伝達、連絡、調整等をおこなうものとする。」と、こういうふうになっております。学校教育の場で、一人一人の子供教育のために教職員の合意ということが今まで以上に必要になってきているということは、先ほど来の御答弁で納得がいったわけですけれども、大臣に伺いますが、教職員と校長の意思の疎通、その他を含めて職員会議という形態をとることが非常に望ましいと思うんですけれども、いかがですか。
  178. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) これも先ほど局長からも申し上げましたように、教育教育の目的について学校で順調に事が運んでいくという意味から言えば、教職員会議というのはやはり開いていろいろな問題で協議をし、そしてまた学校運営についてお互いに意見の交換をするということは私は極めてよいことだと考えております。ただし、私立学校でございますし、私学の建学の精神というものもあるでございましょうし、教職員会議がすべてであるというような考え方も、またこれは私としてはとるべきではないと考えております。当然、校長あるいはまた学校経営者の経営の面、そしてまた教学の面、お互いに協力をし、そして学校運営をしていくということが適切であるというふうに考えております。
  179. 吉川春子

    ○吉川春子君 山村女子高等学校長山村何がしでこういう通達を出しまして、これからは職員会議はやりませんよということが行われているわけですね。なし崩し的に何となくやらないというんじゃなくて、もうはっきり学校の方針として全体の教職員を集めた職員会議はやりませんと、こういう方針をとっているんですけれども、そのことについてはいかがですか。こういうことはやっぱり好ましいとお考えですか。
  180. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) 今初めて伺った問題でございますので、どういう経緯があったか、ただ単に一方的に教職員会議は今後やりませんよという通知が唐突に出たとすると、若干首をかしげたくなるということは正直に申し上げられると思いますが、そこに至るまでの何らかの経過か何かがあったのではないかなというふうなことも推測はできるわけでございまして、その辺の経緯等も十分に調査をしないと、知り得ませんと、私としては、この場では何とも申し上げるわけにはいきませんが、一般論としては、単に唐突に教職員会議をやらないというそういう書類が出たとすると、いかがなものかなという感じは持っております。
  181. 吉川春子

    ○吉川春子君 それでは十分に調査をいただきまして、その結果、また文部大臣のお考えを伺いたいと思いますけれども、いかがですか。
  182. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 担当局の方に話をいたしまして事情を調べるようにいたしたいと思います。
  183. 吉川春子

    ○吉川春子君 それではよろしくお願いいたします。  教職員会議の瑕疵があるのに退学処分を決めた事例が私立の新潟明訓高校の件についてありますけれども、これはどんな判断を下しているか御存じですか。
  184. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) ただいま初めて伺いましたので承知しておりません。
  185. 吉川春子

    ○吉川春子君 ああ、そうですか。通告をしてあったと思ったので伺ったんですけれども。これは原級とめ置きの決定をなすに当たっては、大多数の職員が出席した職員会議で審議を行うのが教育条理と考えられるところを、事実によると、進級判定会議には半数の教員が出席したにすぎないというのであるから、申請人に対する原級とめ置きの決定は適正手続に違反なされたものと認められるのが相当で、これは無効であるという判決が、新潟地裁で昭和四十七年四月二十七日に下っているわけなんです。生徒の落第とかあるいは退学というのは、場合によってはその子の将来の芽を摘んでしまうというような重要なものですから、職員会議で十分その議論をした結果、やむを得ず決めるというのが通常の形態であると思うので、この判決はそれが瑕疵のある職員会議であったから無効だという判決を出しているわけですけれども、これは文部省の考えとも一致するんじゃありませんか。
  186. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 先ほども申し上げましたように、大変恐縮でございますけれども、初めて伺いました事柄でもございますし、それがどういう格好で争われているかということも承知をいたしておりませんので、現段階でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
  187. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、職員会議で原級とめ置きとか、あるいは退学などが十分話し合われなくて処分がなされたような場合にでも、文部省としてはそれを認める場合もあるわけですか。文部省が認めるというのは変なんですけれども、そういうことは構わないというふうに判断なさる場合もあるということですか。
  188. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 大学等の場合には教授会に必ず諮れという規定があるわけでございますけれども、高等学校以下の諸学校につきましてはそういう規則等が法令上定まっているわけじゃございません。校長の権限で処置をすることでございますが、ただ事柄として先生のお話にございますように、いろいろな関係の教員等の議論を経てやっていくことが望ましいということは言えようかと思うわけでございますが、それを職員会議で諮らなかったから無効だというふうに直ちに言えるのかどうかということにつきましては、私、担当政府委員ではございませんけれども、疑問を感ずるところでございますので、そういう意味で、私自身が疑問を感じておりますので、それについて少し十分事情を調査した上でのお答えにさせていただきたいと申し上げているわけでございます。
  189. 吉川春子

    ○吉川春子君 先ほど申し上げました山村女子高校というのは、授業料の安さでは県内のトップグループにあるわけです。埼玉県では学費を安く抑えている学校にはそれだけ補助金の額を多く出すという方針をとっておりますので、一人当たり十九万九千円という最高額の補助金を受けている学校です。それから退学者の数も他校と比べて少ないですし、また入学時には落ちこぼれに近いような学力であった子供に対しても、数学の微分積分などをマスターさせるなど、非常にすぐれた教育実践もやられて、県内でも注目を集めているという、そういう面もあるわけです。私学教師の勤続年数が埼玉では大体六、七年なんですけれども、この学校では平均十三年というベテランの教師指導に当たっているという面もあるわけです。こういう一方では特色を持ちながら、他方では職員会議を持たない、特定の教師は徹底的に排除するというような前近代的な学校運営も行われているのが実情なんですね。こういうような問題に対して文部省としてさっきから私学の建学の精神とか、学問の自由とか、いろんな問題が出ておりますけれども、何らかの手が打てるんでしょうか。何か指導したり、そういうものを是正するような方策を文部省としてやらせることができるんでしょうか。
  190. 阿部充夫

    政府委員阿部充夫君) 私立の高等学校につきましては都道府県の知事の所管ということになっておりますので、文部省が直接指導するということはないわけでございますが、そういう必要があると認めた場合には、都道府県の知事等に対しまして、こういう指導をしたらどうかという助言をすることは文部省としてあり得るわけでございます。しかしながら、一般的には都道府県の所管でございますので、各都道府県において処置をする事項であろうかと思います。
  191. 吉川春子

    ○吉川春子君 それでは、先ほど御答弁の中でその調査をするということを約束していただきましたので、その調査に基づいて、適切でない点があったら、ぜひ、その法律の範囲内で指導もしていただきたいというふうに思うわけです。  時間が参りましたので最後の質問ですけれども、八〇年代の急増、急減期において私学は大変大きな試練に立たされようとしております。一九八一年の三月、愛知県の私学のシンポジウムで、私学協会の会長であり、私経協会会長の小林素三郎氏が、何といっても現在の私学にとって大きな問題は急増、急減、これに尽きるというふうに述べておられます。これは多くの私学の関係者の声を代弁したものであろうと私も考えるわけです。私学が先ほどお認めになりましたように公教育である以上、国はこういう事態に手をこまねいて見ているということは許されないし、また私学自身も国民の期待に沿うように公的な教育機関としての責任をかみしめて襟を正していくべきではないかというふうに思うわけですが、最後にこの問題について大臣の御見解を伺いたいと思います。
  192. 森喜朗

    国務大臣森喜朗君) けさからの私学共済に関しましての御質問が数々ございましたが、むしろ、その私学共済にあわせまして私学の問題がいろんな方面から御論議をいただいたわけでございます。今、吉川さんから御指摘のように、急増、そして急増以上に急減期、これはむしろ私学の経営者にとっては極めて最大の関心事であろうというふうに考えております。高等学校以下につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、地方公共団体等に積極的にその対応について既に検討に入っていただいておるわけでございますし、大学等につきましても大学設置審等で今中間答申も得、なお一層最終的ないわゆる六十七年ピーク時についての対応策も検討いたしておるところでございます。文部省といたしましても、私学全体に対して、またそうしたピーク時の六十四年あるいはまた大学の六十七年、そうした時期に対して社会的に大きな関心も寄せられておるところでございますので、十二分にそれらの国民の期待にこたえて対応していきたい、このように考えておりまして、文部省の各担当局も一致してこの問題に今対応を構えていると、こういうところであるというふうに御承知おきをいただきまして、今後ともいろんな意味でのまた御指導もいただきたい、このようにお願いをいたしておるところであります。
  193. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間ですので終わります。
  194. 長谷川信

    委員長長谷川信君) 本日の審査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時五十四分散会      —————・—————